JP2005017546A - 液晶配向用基板、液晶配向用基板の製造方法、液晶表示装置及び液晶表示装置の製造方法 - Google Patents

液晶配向用基板、液晶配向用基板の製造方法、液晶表示装置及び液晶表示装置の製造方法 Download PDF

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富雄 田中
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Abstract

【課題】応答速度が速く視野角が広い液晶配向用基板を提供する。
【解決手段】基板の一方の表面に、液晶分子4のダイレクタを基板法線方向Yに沿って配列させる配向膜5を形成し、配向膜5の一部に、液晶分子4のダイレクタを基板法線方向に対して2以上の傾斜角度に傾斜して配列させる傾斜領域6を形成したことにより、上記課題を解決した。このとき、配向膜5は、疎水性の膜であり、傾斜領域6は、配向膜から漸次親水性に変化していることが好ましい。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶配向用基板、液晶配向用基板の製造方法、液晶表示装置及び液晶表示装置の製造方法に関し、さらに詳しくは、テレビジョン画像やコンピュータ画像などを表示する液晶表示装置において、応答速度が速く視野角が広い液晶配向用基板、液晶配向用基板の製造方法、液晶表示装置及び液晶表示装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、薄型化や低電圧駆動が可能なので、各種の表示装置として広く使用されている。特に、各画素にTFT(薄膜トランジスタ)等のアクティブスイッチ素子を組み込んだTN型液晶表示装置は、CRT並みの表示性能を発揮し、パーソナルコンピュータのディスプレイやテレビ等に用いられている。しかしながら、TN型液晶表示装置は、応答速度が遅く、視野角が狭いという欠点をもっている。そのTN型液晶表示装置の欠点を解決するために現在まで種々の研究開発が行われているが、その一方で、液晶分子のダイレクタが基板法線方向に配列する垂直配向型の液晶表示装置についても研究開発されている。
【0003】
垂直配向方式の液晶表示装置は、正面コントラストに優れ、さらに製造工程においてはラビング処理が不要になるという利点があり、種々の研究開発が盛んに行われている。この垂直配向方式の液晶表示装置においても、上述したTN型液晶表示装置と同様に、視角特性の向上と応答速度の向上に対する要求がある。
【0004】
こうした要求に対しては、一画素内で液晶分子の傾斜方向が複数になるように制御する技術、すなわちマルチドメイン化技術が提案されている。マルチドメイン化技術としては、図10に示すように、配向膜96の下地の任意の位置に突起状の構造物97を配置することが提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。このマルチドメイン技術によれば、電圧オフ時においては、液晶分子94がその構造物97の斜面にならってわずかに傾き、電圧オン時においては、わずかに傾いた液晶分子94がその傾斜方向に沿って最初に傾き、その構造物97以外の液晶分子95もその液晶分子94の影響を受けて順次同じ方向に傾斜する。すなわち、その構造物97を起点として、液晶分子94、95の配向が制御されることとなる。
【0005】
また、突起状の構造物を利用した液晶分子の配向制御としては、その構造物を二次元的に線状且つ矩形状に設けて4分割のドメイン構造とした例や、その構造物を一次元的に点状に設けて液晶分子が全方向に傾くドメイン構造とした例が知られている。
【0006】
一方、構造物によらずに液晶分子の配向制御としては、例えば、基板上に水平配向領域と垂直配向領域とを交互に設ける方法(例えば、特許文献1参照。)、一定の方向に傾く薄膜構成分子を一画素内に区画形成する方法(例えば、特許文献2、3参照。)などが挙げられる。
【0007】
【非特許文献1】
富士通FIND、Vol.19、No.5、2001(図1〜図3)
【特許文献1】
特開平10−206834号公報(図1、図5)
【特許文献2】
特開平11−167114号公報(図5、図12)
【特許文献3】
特開2001−281669号公報(図4〜図7)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した突起状の構造物を利用した配向制御においては、構造物を形成するために複数の工程が必要となるので、液晶表示装置のコストが上昇してしまうという難点があった。さらに、そこで使用される液晶材料は、セルギャップ内で自発的にツイスト構造をとるので、カイラル剤を多く含有させなければならず、その結果、応答時間が長くなり易いという傾向があった。
【0009】
また、上述した構造物によらない配向制御においては、微小な画素内に区画形成するので製造工程が複雑になると共に、応答時間が十分でないという課題があった。
【0010】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであって、応答速度が速く視野角が広い液晶配向用基板及び液晶表示装置の提供、及びコスト低減に効果的な液晶配向用基板の製造方法及び液晶表示装置の製造方法の提供を目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1の液晶配向用基板は、基板の一方の表面に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に沿って配列させる配向膜を形成し、該配向膜の一部に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して2以上の傾斜角度に傾斜して配列させる傾斜領域を形成したことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、傾斜領域上の液晶分子は基板法線方向に対して傾斜しているため、電源オン時において、傾斜領域上の液晶分子が容易に傾斜することとなるので、その液晶分子を起点として他の液晶分子も一斉に傾斜することとなる。その結果、液晶の応答時間の短縮化を図ることができる。
【0013】
また、傾斜領域は、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して2以上の傾斜角度に傾斜して配列させるため、液晶の応答時間の短縮化を一層図ることができる。すなわち、電源オン時において、他の液晶分子を一斉に傾斜させ得るべく傾斜する液晶分子は、傾斜領域の傾斜角度が同じ(1つの)場合、配向膜との境目のもの、つまり、傾斜角度が異なる境界のものと考えられるため、傾斜角度が2以上であると、その分他の液晶分子を一斉に傾斜させ得るべく傾斜する液晶分子が増えるので、液晶の応答時間の短縮化を一層図ることができる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の液晶配向用基板において、前記傾斜領域が、液晶分子のダイレクタを前記基板の表面に沿って配列させる第1領域と、該第1領域と前記配向膜との間に介設され、その配向膜から第1領域に沿って液晶分子のダイレクタの基板法線方向に対する傾斜を漸次大きくする第2領域とからなることを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の液晶配向用基板において、配向膜は、疎水性の膜であり、前記傾斜領域は、前記配向膜から漸次親水性に変化していることを特徴とする。
【0016】
これにより、傾斜領域の傾斜角度は、配向膜から離間するにつれて徐々に大きくなるため、隣接する液晶分子との間隔が狭いので、光漏れの心配もいらない。つまり、隣接する液晶分子の傾斜角度が大きいと、それだけ隣接する液晶分子との間隔が広くなるので、光漏れが起こることもあり得ると考えられるからである。
【0017】
上記課題を解決するための請求項4の液晶配向用基板の製造方法は、基板の一方の表面に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に沿って配列させる配向膜を形成し、該配向膜の一部に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して2以上の傾斜角度に傾斜して配列させる傾斜領域を形成した液晶配向用基板の製造方法であって、前記基板の一方の表面上に親水化処理可能な配向膜を形成する工程、及び、前記配向膜の一部を親水化処理して傾斜領域を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、親水化処理可能な疎水性の配向膜傾斜の一部を親水化処理することにより、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して傾斜させる傾斜領域を形成できるので、従来のような構造物や特殊な薄膜を形成しなくとも、極めて容易な工程により液晶の配向制御を可能にする傾斜領域を形成することができる。その結果、液晶配向用基板を効率的に製造することができ、コストダウンに寄与することができる。
【0019】
請求項5の発明は、請求項4に記載の液晶配向用基板の製造方法において、前記親水化処理が、光触媒層を有するマスクを用いて露光量を調整した露光処理により行われることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、光触媒層を有するマスクを用いて露光量を調整した露光処理により行われるので、露光時の光触媒の作用により疎水性の配向膜を極めて容易に傾斜領域に変化させることができると共に、露光処理するだけで極めて容易に配向制御可能な表面を形成することができる。
【0021】
上記課題を解決するための請求項6の液晶表示装置は、第1の基板と第2の基板とこれら基板間に介設された液晶とを有する垂直配向方式の液晶表示装置において、第1の基板の対向面及び/又は第2の基板の対向面に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に沿って配列させる配向膜を形成し、該配向膜の一部に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して2以上の傾斜角度に傾斜して配列させる傾斜領域を形成したことを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、傾斜領域上の液晶分子は基板法線方向に対して傾斜しているため、電源オン時において、傾斜領域上の液晶分子が容易に傾斜することとなるので、その液晶分子を起点として他の液晶分子も一斉に傾斜することとなる。その結果、液晶の応答時間の短縮化を図ることができる。
【0023】
また、傾斜領域は、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して2以上の傾斜角度に傾斜して配列させるため、液晶の応答時間の短縮化を一層図ることができる。すなわち、電源オン時において、他の液晶分子を一斉に傾斜させ得るべく傾斜する液晶分子は、傾斜領域の傾斜角度が同じ(1つの)場合、配向膜との境目のもの、つまり、傾斜角度が異なる境界のものと考えられるため、傾斜角度が2以上であると、その分他の液晶分子を一斉に傾斜させ得るべく傾斜する液晶分子が増えるので、液晶の応答時間の短縮化を一層図ることができる。
【0024】
請求項7の発明は、請求項6に記載の液晶表示装置において、前記傾斜領域が、液晶分子のダイレクタを前記基板の表面に沿って配列させる第1領域と、該第1領域と前記配向膜との間に介設され、その配向膜から第1領域に沿って液晶分子のダイレクタの基板法線方向に対する傾斜を漸次大きくする第2領域とからなることを特徴とする。
【0025】
請求項8の発明は、請求項6又は7に記載の液晶表示装置において、配向膜は、疎水性の膜であり、前記傾斜領域は、前記配向膜から漸次親水性に変化していることを特徴とする。
【0026】
これにより、傾斜領域の傾斜角度は、配向膜から離間するにつれて徐々に大きくなるため、隣接する液晶分子との間隔が狭いので、光漏れの心配もいらない。つまり、隣接する液晶分子の傾斜角度が大きいと、それだけ隣接する液晶分子との間隔が広くなるので、光漏れが起こることもあり得ると考えられるからである。
【0027】
上記課題を解決するための請求項9の液晶表示装置の製造方法は、第1の基板と第2の基板とこれら基板間に介設された液晶とを有し、第1の基板の対向面及び/又は第2の基板の対向面に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に沿って配列させる配向膜を形成し、該配向膜の一部に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して2以上の傾斜角度に傾斜して配列させる傾斜領域を形成した垂直配向方式の液晶表示装置の製造方法であって、前記第1の基板の対向面及び/又は前記第2の基板の対向面に上に親水化処理可能な配向膜を形成する工程、及び、前記配向膜の一部を親水化処理して傾斜領域を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、親水化処理可能な疎水性の配向膜の一部を親水化処理することにより、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して傾斜させる傾斜領域を形成できるので、従来のような構造物や特殊な薄膜を形成しなくとも、極めて容易な工程により液晶の配向制御を可能にする傾斜領域を形成することができる。その結果、液晶表示装置を効率的に製造することができ、コストダウンに寄与することができる。
【0029】
請求項10の発明は、請求項9に記載の液晶表示装置の製造方法において、前記親水化処理が、光触媒層を有するマスクを用いて露光量を調整した露光処理により行われることを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、光触媒層を有するマスクを用いて露光量を調整した露光処理により行われるので、露光時の光触媒の作用により疎水性の配向膜を極めて容易に傾斜領域に変化させることができると共に、露光処理するだけで極めて容易に配向制御可能な表面を形成することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の液晶配向用基板、液晶配向用基板の製造方法、液晶表示装置及び液晶表示装置の製造方法について図面を参照しつつ説明する。
【0032】
(液晶配向用基板、液晶表示装置)
図1は、垂直配向方式の液晶表示装置において、基板間に電圧を与えたときの液晶分子のダイレクタの変化を示す模式図である。図1(a)は、電源オフ(V=0)時において液晶分子4のダイレクタが基板法線方向Yに沿って配列している態様を示したものである。図1(b)は、液晶分子4が傾き始める臨界電圧Vcを与えたときの態様を示したものである。図1(c)は、液晶分子4が十分に傾斜する飽和電圧Vsat を与えたときの態様を示したものである。なお、ダイレクタとは、液晶分子4の平均的配向方向を表す単位ベクトルのことである。
【0033】
本発明の液晶表示装置は、図1に示すように、第1の基板1と、第2の基板2と、これら対向する基板1,2間に注入された液晶3とを有する垂直配向方式の液晶表示装置である。
【0034】
液晶3は、垂直配向方式の液晶表示装置において現在一般的に使用されている負の誘電率異方性のものであれば特に限定されず、具体的には例えば、メルク製のMLC−6608、MLC−2037、MLC−2038、MLC−2039等が挙げられる。
【0035】
液晶表示装置は、図1に示すように、第1の基板1の液晶3側表面(対向面)及び第2の基板2の液晶3側表面(対向面)に電源オフ時に液晶分子4のダイレクタを基板法線方向Yに沿って配列させる配向膜5がそれぞれ形成されてなるものである。
【0036】
この配向膜5としては、例えば疎水性の膜がよく、もともと疎水性であるが親水化処理をすることにより親水性とすることができる膜であることが好ましい。例えば、疎水膜形成用のフッ素系シリコーン樹脂、又は垂直配向膜形成用のポリイミド樹脂等により形成された膜等が挙げられる。疎水膜形成用のフッ素系シリコーン樹脂としては、例えば、東芝シリコーン製等の撥水膜形成用のフッ素系シリコーン樹脂等々の市販の感光性樹脂を例示できる。また、垂直配向膜形成用のポリイミド樹脂としては、垂直配向用のポリイミド樹脂である日本合成ゴム製のJALS−688等々の市販の感光性樹脂を例示できる。
【0037】
配向膜5の厚さについては特に限定されないが、例えば10nm〜100nmであることが好ましい。配向膜5は、配向膜形成用の材料を基板の全面にスピンコート等の塗布手段や各種の印刷手段で塗布されて形成される。
【0038】
第1の基板1の配向膜5及び第2の基板2の配向膜5の両方又は一方には、液晶分子4のダイレクタを基板法線方向Yに対して2以上の傾斜角度に傾斜して配列させる傾斜領域6が形成されている。このように、第1の基板1の液晶3側表面及び/又は第2の基板2の液晶3側表面に、配向膜5と傾斜領域6とを形成することにより、本発明の液晶配向用基板を構成することにもなる。
【0039】
傾斜領域6は、液晶分子4のダイレクタを基板法線方向Yに対して2以上の傾斜角度に傾斜して配列させるものであり、その傾斜角度は、電源オン時において、液晶分子4のダイレクタが一定方向に傾斜するのを促進する角度である。
【0040】
この傾斜角度は、電源オン時において、液晶分子4のダイレクタが一定方向に傾斜するのを促進することができるならば特に限定されないが、例えば、好ましくは3°以上である。
【0041】
傾斜角度は、液晶分子4のダイレクタを一定方向に傾斜するのを一層容易にさせる観点から、5°以上であることが特に好ましい。傾斜領域6としては、例えば親水性の領域がよく、親水性であればその傾斜角度が7°以上となる。
【0042】
傾斜領域6は、液晶分子4のダイレクタを基板法線方向Yに対して2以上の傾斜角度に傾斜して配列させることができるならばどのように構成してもよい。例えば、傾斜領域6は、傾斜領域6を2以上に分割し、各分割した分割領域ごとに傾斜角度を決めるようにしてもよく、この場合、傾斜角度が同じ領域が2以上あってもよい。
【0043】
傾斜領域6は、好ましくは、配向膜5から離間する(配向膜5から傾斜領域6の内側にいく)に連れて液晶分子のダイレクタの基板法線方向に対する傾斜が漸次大きくなるように形成することがよい。
【0044】
また、傾斜領域6は、液晶分子のダイレクタを基板の表面に沿って配列させる第1領域7と、この第1領域7と配向膜5との間に介設され、その配向膜5から第1領域7に沿って液晶分子のダイレクタの基板法線方向に対する傾斜を漸次大きくする第2領域8とからなることが好ましい。
【0045】
具体的には例えば、配向膜5が疎水性の膜であるので、傾斜領域6を、配向膜5との境界(実際にはどこが境界か分からないが)から漸次疎水性から親水性へと変化させるように形成するようにしてもよい。このとき、傾斜領域6は、図2に示すように、光の透過を制限しない部分からなる親水性の第1領域(親水性領域)7と、疎水性から親水性へと漸次変化した第2領域(グラデーション領域8)とからなることが好ましい。
【0046】
傾斜領域6の形成手段は、2以上の傾斜角度の領域が形成されるならばどのように形成してもよく、例えば、疎水性の配向膜5を親水化処理することによって得る場合に親水化処理する割合を変えることにより形成することができる。
【0047】
具体的には例えば、疎水性の配向膜を露光することにより、露光された部分の側鎖のみがOH基に置換されて親水性領域へとなる。このため、その露光量を調整することにより、親水性の割合が可変して、傾斜角度が可変した傾斜領域6を形成することができる。
【0048】
露光量の調整は、どのように行ってもよく、例えば、マスクを用いて露光処理する場合、マスクの光の透過率を変えることにより行ってもよいし、光出射位置と基板との距離を変えてもよいし、また、光出射位置及び/又は基板をずらす(光の出射方向に対してほぼ直交する方向に移動させる)ようにしてもよい。
【0049】
このように、配向膜5の一部に傾斜領域6を形成することにより、傾斜領域6上の液晶分子4は基板法線方向Yに対して傾斜して配列されるため、電源オン時(基板間に電圧が印加された時)に、傾斜領域6上の液晶分子4が容易に傾斜することとなる。その結果、傾斜領域6上の液晶分子4を起点として他の液晶分子4も一斉に傾斜するので、液晶の応答時間の短縮化を図れる。
【0050】
また、傾斜領域6は、液晶分子4のダイレクタを基板法線方向Yに対して2以上の傾斜角度に傾斜して配列させるため、液晶3の応答時間の短縮化を一層図ることができる。すなわち、電源オン時において、他の液晶分子4を一斉に傾斜させ得るべく傾斜する液晶分子4は、傾斜領域の傾斜角度が同じ(1つの)場合、配向膜5との境目のもの、つまり、傾斜角度が異なる境界のものと考えられる。このため、傾斜角度が2以上であると、その分他の液晶分子4を一斉に傾斜させ得るべく傾斜する液晶分子4が増えるので、液晶3の応答時間の短縮化を一層図ることができる。
【0051】
また、傾斜領域6が、図2に示するように、配向膜5から漸次親水性に変化して、傾斜領域6の傾斜角度が配向膜から離間するにつれて徐々に大きくなっていると、つまり、傾斜角度の領域の境目が明確でないグラデーション領域8であると、隣接する液晶分子4aとの間隔が狭くなる。このように、液晶分子4が密に配列されるので、光漏れの心配もいらない。傾斜角度の領域の境目が明確であると、隣接する液晶分子の傾斜角度が大きく、それだけ隣接する液晶分子との間隔が広くなるので、光漏れが起こることもあり得ると考えられるからである。その結果、液晶を黒表示にしたときに光漏れが起こる心配がなく、光抜けのない、コントラストが低下しない。
【0052】
傾斜領域6の形状は、電源オン時に、その傾斜領域6上にある液晶分子4を所定の方向に傾斜させる形状に設計されていることが好ましい。傾斜領域6がそのように設計されることにより、電源オン時の液晶分子4が所定の方向に傾き易くなるので、例えば、傾斜が起こり始める電圧(臨海電圧Vcともいう。)を従来よりも小さい値にすることができたり、その傾斜領域6上の液晶分子4が傾き初めてから全体の液晶分子4が傾くまでの時間(応答時間ともいう。)が短くなるという効果がある。
【0053】
傾斜領域6の形状としては、上記の効果を生じさせる形状であればよく特に限定されないが、例えば、図3(a)に示すように、液晶分子4が電源オン時に対向辺13に向かって倒れるように傾斜する鋭角部12を有する三角形11又はその三角形11を2つ以上組み合わせた複合形であることが好ましい。特に図3(a)のような三角形状の傾斜領域6が形成されている場合においては、液晶配向の応答時間が短縮されるという効果がある。その理由としては、電源オン時における鋭角部12近傍の液晶分子4は、先ず、その鋭角部12の対向辺13に向かって倒れるように傾き始め、そして、傾斜領域6上の他の液晶分子4は、図3(b)に示すように、最初に傾き始めた液晶分子4にならって一斉に傾き始める、すなわち一斉に一定の方向に傾斜するものと推察される。
【0054】
その三角形11を2つ以上組み合わせた複合形は、どのように構成してもよく、例えば、図4(a)及び図4(b)に示すように2つ以上の三角形11を一定のパターンで配列しても、2つ以上の三角形11をランダムに配列してもよい。図4(a)は、鋭角部12を有する三角形11からなる傾斜領域6を、その鋭角部12が画素の中心を向くように放射状に配列させた形態である。また、図4(b)は、鋭角部12を有する三角形11からなる傾斜領域6をその鋭角部12が画素の中心方向と直交するように配置し、その三角形11で円を描くように配列させた形態である。
【0055】
このように2つ以上の三角形11を配列して複合形を形成することにより、電源オン時におけるセルギャップ内の液晶分子4を多方向に傾斜させることができる。その結果、このように配向制御された液晶表示装置をどの方向から眺めても、視野角の広い均一な表示性能を得ることができる。
【0056】
特に、本発明においては、単一画素内に図4に示す傾斜領域6が形成されているので、1画素単位で液晶分子配向を制御することができる。
【0057】
図5は、両基板に異なる傾斜領域を形成した一例を示す平面図であり、図5(a)に示す形状に傾斜領域6を形成した第1の基板1と、図5(b)に示す形状に傾斜領域6を形成した第2の基板2とでセルギャップを形成し、そこに液晶3を注入し、電源をオンにしたときの液晶分子4の配向形態を示している。図5の中央には、上下の基板1、2に形成された三角形11が直交するように配置された態様Aが記載され、その外側には、液晶分子4が第1の基板1の近傍から第2の基板2の近傍に向かうに従って徐々に旋回したツイスト状態を示す態様Bが記載されている。
【0058】
以上のように、本発明の液晶表示装置及び液晶配向用基板は、電源オン時において、傾斜領域上の液晶分子を一定方向に容易に傾斜させることができるので、その液晶分子を起点として他の液晶分子を一斉に傾斜させることができ、液晶の応答時間の短縮化を図ることができる。また、セルギャップ内の液晶分子をツイスト構造に規制することができるので、液晶分子を多方向に傾斜させることができ、その結果、このように配向制御された液晶表示装置をどの方向から眺めても、視野角の広い均一な表示性能を得ることができる。さらに、液晶を黒表示にしたときに光漏れが起こり難くなるので、光抜けのない、コントラストが低下しないものとなる。
【0059】
次に、上述した配向層が形成される基板について説明する。第1の基板1及び第2の基板2は、図9の液晶表示装置に示すように、カラーフィルター基板101とデバイス(TFT)基板102の何れかを構成している。
【0060】
カラーフィルター基板101は、基板112上にマトリクス状のカラーフィルター層107が形成された基板であり、さらに詳しくは、基板112の内側面に、R(赤)G(緑)B(青)の各画素領域を形成するカラーフィルター層107と、漏れ光を遮蔽するためにその画素領域の周縁部に形成されているブラックマトリクス層108とを有する基板である。カラーフィルター層107上には共通透明電極109が形成され、さらにその共通透明電極109上には液晶分子のダイレクタを基板法線方向に配列させる疎水性の配向膜(図示しない)が形成されている。なお、本発明を構成するカラーフィルター基板101は、現在一般的に使用されている構成を有するものであれば特に限定されず、前記以外の構成を備えているものであっても構わない。
【0061】
一方、デバイス基板102は、基板112上にマトリクス状のTFT素子105が個々の画素領域として形成された基板であり、さらに詳しくは、基板112の内側面に、マトリックス状に配置された画素電極104、薄膜電界トランジスタ(TFT)素子105及びライン電極106が形成され、さらにその画素電極104上には、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に配列させる疎水性の配向膜(図示しない)が形成されている。なお、本発明を構成するデバイス基板102は、現在一般的に使用されている構成を有するものであれば特に限定されず、前記以外の構成を備えているものであっても構わない。
【0062】
なお、液晶表示装置において、基板112としては、ガラス基板又は透明プラスチック基板等が挙げられ、画素電極104及び透明電極109としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の透明電極が挙げられる。また、カラーフィルター基板101とデバイス基板102との間隔を所定の値にするためのスペーサが形成され、セルギャップを一定の値にしている。各基板の外側には、偏光板113が設けられ(図9参照)、デバイス基板側のさらに外側にはバックライトが設けられる。
【0063】
(液晶配向用基板の製造方法、液晶表示装置の製造方法)
次に、液晶配向用基板の製造方法及び液晶表示装置の製造方法について説明する。本発明の液晶配向用基板の製造方法及び液晶表示装置の製造方法は、上述した構成からなる液晶配向用基板の製造方法及び液晶表示装置の製造方法であって、その特徴は、▲1▼第1の基板(例えばカラーフィルター基板)及び第2の基板(例えばデバイス基板)のうち少なくとも一方の基板の対向面上に、親水化処理可能な疎水性の配向膜を形成する工程、▲2▼その配向膜の一部を親水化処理して、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して2以上の傾斜角度に傾斜して配列させる傾斜領域を形成する工程、を有することにある。なお、液晶表示装置を製造するためのその他の製造工程、例えば図9に示すようなカラーフィルター層、ブラックマトリクス層、透明電極層、THT素子等の形成工程については従来公知の方法と同様である。
【0064】
上記▲1▼の工程において、親水化処理可能な疎水性の配向膜を形成するための樹脂としては、疎水膜形成用のフッ素系シリコーン樹脂、垂直配向膜形成用のポリイミド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、両基板の全面にスピンコート等の塗布手段や各種の印刷手段で塗布される。
【0065】
上記▲2▼の工程において、配向膜の一部を傾斜領域にする手段は、図6に示すように、(i)配向膜である疎水性被膜を光触媒層34を有するマスク30で露光することにより、露光された部分の側鎖のみが置換されて傾斜領域36を形成する方法、図7に示すように、(ii)光触媒を含有する疎水性樹脂をコーティングして光触媒含有配向膜37を形成した後、その配向膜37を露光することにより、露光された部分の側鎖のみが置換されて傾斜領域36を形成する方法、等を挙げることができる。
【0066】
上記(i)工程においては、疎水性の配向膜31として、上述したフッ素系シリコーン被膜やポリイミド被膜を挙げることができる。光触媒層を有するマスクは、露光部分の周縁部の光の透過率が漸次増えるように処理したもの(露光部分の周縁部の光の透過を制限したもの)である。この光触媒層を有するマスクを利用した処理は、図6に示すように、先ず、マスクパターン33が形成された基板32上に光触媒層34を形成したマスク30と、疎水性の配向膜31が形成された第1の基板又は/及び第2の基板とを準備し(図6(a))、その光触媒層34を有するマスク30と疎水性の配向膜31とが所定の間隔となるように対向させ(図6(b))、そこに露光光35を照射することにより(図6(c))、傾斜領域36を形成する処理方法(親水化処理方法)である(図6(d))。この傾斜領域36は、光の透過を制限しない部分からなる親水性の第1領域(親水性領域)と、疎水性の配向膜31と親水性領域との間であり、疎水性から親水性へと漸次変化した第2領域(グラデーション領域)とからなるものである。
【0067】
この光触媒層34は、バインダー中に光触媒である酸化チタンを含有させたものである。酸化チタンは、アナターゼ型のものが好ましく、また、バインダー中に20〜40重量%の割合で含有させることが好ましい。酸化チタンの平均粒径はおよそ5〜20μmであることが好ましい。酸化チタンの代わりに、ZnOなどを光触媒として用いてもよい。こうした光触媒層34に例えば380nm以下の露光光35が照射されることにより、光触媒粒子内で光電気化学反応が起こり、露光された疎水性の配向膜31の側鎖を−OH基に置換させることができる。その結果、疎水性の配向膜31の一部を親水性領域36に変化させることができる。
【0068】
また、マスク30と疎水性の配向膜31との間隔は、光触媒反応により生じた活性酸素種等をその隙間に容易に発生させ、作用させることができる間隔であることが好ましく、およそ5〜20μmの間隔となるように配置することが好ましい。
【0069】
上記(ii)工程においては、疎水性の配向膜37として、上述した光触媒を含有するフッ素系シリコーン被膜やポリイミド被膜を挙げることができる。親水性領域の形成は、図7に示すように、先ず、基板32上にマスクパターン33が形成されたマスク40と、光触媒を含有する疎水性の配向膜37が形成された第1の基板又は第2の基板とを準備し(図7(a))、そのマスク40と、光触媒を含有する疎水性の配向膜37とが所定の間隔となるように対向させ(図7(b))、そこに露光光35を照射することにより(図7(c))、傾斜領域36を形成する方法(親水化処理方法)である(図7(d))。この傾斜領域36は、光の透過を制限しない部分からなる親水性の第1領域(親水性領域)と、疎水性の配向膜31と親水性領域との間であり、疎水性から親水性へと漸次変化した第2領域(グラデーション領域)とからなるものである。
【0070】
この疎水性の配向膜37は、バインダー中に光触媒である酸化チタンを含有させたものである。酸化チタンは、上記同様、アナターゼ型のものが好ましく、また、バインダー中に20〜40重量%の割合で含有させることが好ましい。酸化チタンの平均粒径はおよそ5〜20μmであることが好ましい。酸化チタンの代わりに、ZnOなどを光触媒として用いてもよい。こうした疎水性の配向膜37に例えば380nm以下の露光光35が照射されることにより、含有する光触媒粒子内で光電気化学反応が起こり、疎水性の配向膜の側鎖を−OH基に置換させることができる。その結果、疎水性の配向膜の一部を親水性領域に変化させることができる。また、マスク40と疎水性の配向膜37との間隔についても、上記(i)の場合と同様である。なお、(i)の工程と(ii)の工程とを比べると、(i)の工程をより好ましく適用することができる。
【0071】
図8は、疎水性の配向膜の一部が親水性領域(傾斜領域)に変化する表面反応の一例を示す説明図である。図8(a)は、疎水性の配向膜表面の側鎖に活性酸素種等がアタックし、その側差の結合を切断する様子を示しており、図8(b)は、切断された部位に水酸基が結合して親水性に変化する様子を示している。
【0072】
図8の表面反応を生じさせる処理に際しては、疎水性の配向膜と光触媒層を有するマスクとを、所定の間隔(例えば5〜20μm)で配置することが好ましい。疎水性の配向膜と光触媒層を有するマスクとを所定の間隔に配置することにより、光触媒反応により生じた活性酸素種等をその隙間に容易に発生させることができる。活性酸素種等としては、光触媒粒子内での光電気化学反応に基づいて生じる活性酸素又は活性水酸基が挙げられ、それらの活性酸素種等が図8に示す側鎖(例えばアルキル側鎖)にアタックし、その側差の結合が切断される。側鎖が切断された部分には、その活性酸素種等が入れ替わって結合し、図8(b)に示す親水性に変化する。従って、露光量を調整することにより、親水性の割合も調整することができる。
【0073】
以上のように、本発明の液晶配向用基板の製造方法及び液晶表示装置の製造方法は、極めて容易な工程により配向膜の一部に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して2以上の傾斜角度に傾斜して配列させる傾斜領域を形成することができるので、液晶配向用基板及び液晶表示装置を効率的に製造することができ、コストダウンに寄与することができる。
【0074】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。
【0075】
(実施例1)
<カラーフィルター基板側の配向制御膜の形成工程>
先ず、透明電極9としてITOが形成されたカラーフィルター基板1を準備し、その透明電極9上に、疎水性樹脂組成物(垂直配向用のポリイミド樹脂組成物、日本合成ゴム製、JALS−688)をスピンコートし、厚さ60nmの垂直配向規制領域である疎水性の配向膜を形成した。
【0076】
次に、その疎水性の配向膜上に、光触媒層33を有すると共に露光部分の周縁部の光の透過率が制限されたマスク30を、約20μmの間隔を保持するように配置し、その後波長200〜370nmの紫外線で露光処理した。露光された部分は、疎水性の配向膜から傾斜領域に変化した。傾斜領域は、光の透過を制限しない部分からなる親水性の第1領域(親水性領域)と、疎水性から親水性へと漸次変化した第2領域(グラデーション領域)とからなるものであった。
【0077】
なお、マスク30は、基板32上にクロム薄膜からなる所定のマスクパターン33が形成され、さらにそのマスクパターン33上にアナターゼ型酸化チタン粒子を光触媒として含有する厚さ0.05〜0.5μmの光触媒層34が形成されている。マスクパターンは、図4(a)に示すように、鋭角部12を有する三角形11からなる親水性領域6を、その鋭角部12が画素の中心を向くように放射状に配列させた形態とした。形成した各三角形の大きさは、鋭角部の角度を10〜30°、鋭角部12に対向する辺の長さを10〜50μmの二等辺三角形とした。また、この光触媒層34は、バインダー樹脂(シリコーン樹脂)中に酸化チタン粒子が約10〜100重量%含有されている。なお、酸化チタン100重量%とは、酸化チタンのみで光触媒層34を形成した場合である。
【0078】
こうして、カラーフィルター基板の透明電極上の疎水性の配向膜の一部を、傾斜領域に変化させたカラーフィルター基板を形成した。
【0079】
<デバイス基板側の配向制御膜の形成工程>
先ず、画素電極4としてITOが形成されたデバイス基板2を準備し、その画素電極4上に、疎水性樹脂組成物(垂直配向用のポリイミド樹脂組成物、日産化学製、SE−1211)をスピンコートし、厚さ60〜100μmの疎水性の配向膜を形成した。
【0080】
次に、その疎水性の配向膜上に、光触媒層33を有すると共に露光部分の周縁部の光の透過率が制限されたマスク30を、約10〜25μmの間隔を保持するように配置し、その後波長200〜370nmの紫外線で露光処理した。露光された部分は、疎水性の配向膜から傾斜領域に変化した。傾斜領域は、光の透過を制限しない部分からなる親水性の第1領域(親水性領域)と、疎水性から親水性へと漸次変化した第2領域(グラデーション領域)とからなるものであった。
【0081】
なお、マスク30は、基板32上にクロム薄膜からなる所定のマスクパターン33が形成され、さらにそのマスクパターン33上にアナターゼ型酸化チタン粒子を光触媒として含有する厚さ0.05〜0.5μmの光触媒層34が形成されている。マスクパターンは、図4(b)に示すように、鋭角部12を有する三角形11からなる親水性領域6をその鋭角部12が画素の中心方向と直交するように配置し、その三角形11で円を描くように配列させた形態とした。形成した各三角形の大きさは、鋭角部の角度を10〜30°、鋭角部12に対向する辺の長さを10〜50μmの二等辺三角形とした。なお、上述したカラーフィルター基板用のマスクとデバイス基板用のマスクとを重ね合わせて平面視したとき、それぞれのマスクに形成された三角形が90°の角度で旋回するように、両マスクにマスクパターンを形成した。
【0082】
また、光触媒層34を構成する光触媒の種類や配合量は、上述のカラーフィルター基板用のマスクと同様な構成とした。
【0083】
こうして、デバイス基板の画素電極上の疎水性の配向膜の一部を、傾斜領域に変化させたデバイス基板を形成した。
【0084】
<液晶表示装置>
上記の方法により形成されたカラーフィルター基板とデバイス基板を一定距離で対向させ、その間に液晶を注入して液晶を形成した。この液晶表示装置は、カラーフィルター基板の対向面とデバイス基板の対向面とに、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に配列させる疎水性の配向膜と、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して2以上の傾斜角度に傾斜して配列させる傾斜領域とが形成されている。
【0085】
この液晶表示装置は、液晶分子が約90°の角度でシフトしているので、液晶に含有させるカイラル剤を従来タイプの液晶表示装置の場合よりも約2%低減することができた。この液晶表示装置を電源オンにしたとき、液晶の応答時間が、従来タイプの液晶表示装置の約20msecに比べ、約15msecであった。
【0086】
(実施例2)
実施例1において、疎水性の配向膜を形成する樹脂組成物として、撥水性のフッ素系シリコーン樹脂(東芝シリコーン製、TSL8233及びTSL8114)を用いて、疎水性の配向膜を形成した他は、実施例1と同様にして、実施例2の液晶表示装置を構成した。
【0087】
<液晶表示装置>
実施例1と同様に液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置は、液晶分子が約90°の角度でシフトしているので、液晶に含有させるカイラル剤を従来タイプの液晶表示装置の場合よりも約2%低減することができた。この液晶表示装置を電源オンにしたとき、液晶の応答時間が、従来タイプの液晶表示装置の約20msecに比べ、約15msecであった。
【0088】
【発明の効果】
本発明の液晶配向用基板及び液晶表示装置によれば、第1の基板の対向面及び/又は第2の基板の対向面に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に沿って配列させる配向膜を形成し、この配向膜の一部に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して2以上の傾斜角度に傾斜して配列させる傾斜領域を形成したので、電源オン時において、その傾斜領域上の液晶分子が一定方向に容易に傾き始める。そして、その液晶分子を起点として他の液晶分子も一斉に傾斜することとなり、液晶全体の応答時間の短縮化を図ることができる。
【0089】
本発明の液晶配向用基板の製造方法及び液晶表示装置の製造方法によれば、配向膜を露光することにより傾斜領域を形成できるので、従来のような構造物や特殊な薄膜を形成しなくとも、極めて容易な工程により液晶の配向制御を可能にする傾斜領域を形成することができる。その結果、液晶配向用基板及び液晶表示装置を効率的に製造することができ、コストダウンに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】垂直配向方式の液晶表示装置において、基板間に電圧を与えたときの液晶分子のダイレクタの変化を示す模式図である。
【図2】本発明の配向膜及び傾斜領域における液晶分子のダイレクタの状態を示す模式図である。
【図3】傾斜領域の形状と、液晶分子の傾斜方向を説明する概略図である。
【図4】第1の基板に形成した傾斜領域の形状(a)及び第2の基板に形成した傾斜領域の形状(b)の一例を示す平面図である。
【図5】両基板に異なる傾斜領域を形成した一例と、形成されたセルギャップ内での液晶分子の配向形態を示す平面図である。
【図6】光触媒を用いた傾斜領域の形成方法の一例を示す説明図である。
【図7】光触媒を用いた傾斜領域の形成方法の他の一例を示す説明図である。
【図8】疎水性の配向膜が親水性に変化する表面反応の一例を示す説明図である。
【図9】一般的な液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図10】従来のマルチドメイン化技術の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 第1の基板
2 第2の基板
3 液晶
4 液晶分子
5 配向膜
6 傾斜領域
7 親水性領域(第1領域)
8 グラデーション領域(第2領域)
11 三角形(傾斜領域)
12 鋭角部
13 鋭角部の対向辺
30、40 マスク
31 配向膜
32 基板
33 マスクパターン
34 光触媒層
35 露光光
36 傾斜領域
37 光触媒を含有する配向膜
101 カラーフィルター基板
102 TFT基板
103 液晶
104 画素電極
105 TFT素子
106 ライン電極
107 カラーフィルター層
108 ブラックマトリクス層
109 共通透明電極
112 基板
113 偏光板
Y 基板法線方向

Claims (10)

  1. 基板の一方の表面に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に沿って配列させる配向膜を形成し、該配向膜の一部に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して2以上の傾斜角度に傾斜して配列させる傾斜領域を形成したことを特徴とする液晶配向用基板。
  2. 前記傾斜領域が、液晶分子のダイレクタを前記基板の表面に沿って配列させる第1領域と、該第1領域と前記配向膜との間に介設され、その配向膜から第1領域に沿って液晶分子のダイレクタの基板法線方向に対する傾斜を漸次大きくする第2領域とからなることを特徴とする請求項1に記載の液晶配向用基板。
  3. 前記配向膜は、疎水性の膜であり、前記傾斜領域は、前記配向膜から漸次親水性に変化していることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶配向用基板。
  4. 基板の一方の表面に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に沿って配列させる配向膜を形成し、該配向膜の一部に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して2以上の傾斜角度に傾斜して配列させる傾斜領域を形成した液晶配向用基板の製造方法であって、
    前記基板の一方の表面上に親水化処理可能な配向膜を形成する工程、及び、前記配向膜の一部を親水化処理して傾斜領域を形成する工程を含むことを特徴とする液晶配向用基板の製造方法。
  5. 前記親水化処理が、光触媒層を有するマスクを用いて露光量を調整した露光処理により行われることを特徴とする請求項4に記載の液晶配向用基板の製造方法。
  6. 第1の基板と第2の基板とこれら基板間に介設された液晶とを有する垂直配向方式の液晶表示装置において、
    第1の基板の対向面及び/又は第2の基板の対向面に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に沿って配列させる配向膜を形成し、該配向膜の一部に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して2以上の傾斜角度に傾斜して配列させる傾斜領域を形成したことを特徴とする液晶表示装置。
  7. 前記傾斜領域が、液晶分子のダイレクタを前記基板の表面に沿って配列させる第1領域と、該第1領域と前記配向膜との間に介設され、その配向膜から第1領域に沿って液晶分子のダイレクタの基板法線方向に対する傾斜を漸次大きくする第2領域とからなることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
  8. 前記配向膜は、疎水性の膜であり、前記傾斜領域は、前記配向膜から漸次親水性に変化していることを特徴とする請求項6又は7に記載の液晶表示装置。
  9. 第1の基板と第2の基板とこれら基板間に介設された液晶とを有し、第1の基板の対向面及び/又は第2の基板の対向面に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に沿って配列させる配向膜を形成し、該配向膜の一部に、液晶分子のダイレクタを基板法線方向に対して2以上の傾斜角度に傾斜して配列させる傾斜領域を形成した垂直配向方式の液晶表示装置の製造方法であって、
    前記第1の基板の対向面及び/又は前記第2の基板の対向面に上に親水化処理可能な配向膜を形成する工程、及び、前記配向膜の一部を親水化処理して傾斜領域を形成する工程を含むことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  10. 前記親水化処理が、光触媒層を有するマスクを用いて露光量を調整した露光処理により行われることを特徴とする請求項9に記載の液晶表示装置の製造方法。
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