JP2005016082A - 既設管路補修用の環状切削装置および既設管路の補修方法 - Google Patents

既設管路補修用の環状切削装置および既設管路の補修方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005016082A
JP2005016082A JP2003180088A JP2003180088A JP2005016082A JP 2005016082 A JP2005016082 A JP 2005016082A JP 2003180088 A JP2003180088 A JP 2003180088A JP 2003180088 A JP2003180088 A JP 2003180088A JP 2005016082 A JP2005016082 A JP 2005016082A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
existing pipe
existing
pipe
cutting
cylindrical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003180088A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuhiko Kimura
信彦 木村
Daisuke Araki
大介 荒木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kidoh Construction Co Ltd
Original Assignee
Kidoh Construction Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kidoh Construction Co Ltd filed Critical Kidoh Construction Co Ltd
Priority to JP2003180088A priority Critical patent/JP2005016082A/ja
Publication of JP2005016082A publication Critical patent/JP2005016082A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Excavating Of Shafts Or Tunnels (AREA)

Abstract

【課題】既設管路補修用の環状切削装置において、既設管の破砕片を効率的に確実に回収することができ、既設管の補修を能率的に行えるようにする。
【解決手段】既設管路を推進される装置本体22の前部に周状に配置され、周方向に回転して既設管10を切削する回転切削部30と、回転切削部30の前方で装置本体22に配置され、全体が円筒状をなし、回転切削部30で切削された既設管の破砕片を回収する回収口43を有する筒状回収部40と、筒状回収部40の内部で中心側から径方向に延びて配置され、周方向に回転して破砕片を移送する複数本の翼片と、筒状回収部40の前方で装置本体22に配置され、筒状回収部40の前面に連通し、破砕片を排出する排出管74とを備える。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、既設管路補修用の環状切削装置および既設管路の補修方法に関し、詳しくは、下水道などの既設管路を補修する際に、既設管路を推進させて既設管を切削除去する環状切削装置と、このような環状切削装置を用いて既設管路を補修する方法とを対象にしている。
【0002】
【従来の技術】
過去に施工された下水道の管材料が老化したり損傷したりしたときには、管路の補修が必要になる。このような既設管路の補修技術として、既設管路に既設管を切削除去する環状切削装置を持ち込み、環状切削装置を既設管路内に推進させながら既設管を切削除去し、既設管が切削除去されたあとには、環状切削装置の後端に連結された補修管を敷設していく技術が知られている。
特許文献1には、既設コンクリート管を破砕するカッタヘッドとして、切削刃が歯車状をなすローラカッタを、トンネル掘進機に備えておく技術が示されている。ローラカッタは、コンクリートを破砕するだけでなく、コンクリートに含まれる鉄筋の切断にも有効であるとされている。
【0003】
本件特許出願人が先に特許出願した特許文献2には、環状切削装置である補修装置に、ロータリビットや固定ビットなどの切削刃を備え周方向に回転する回転切削盤を備えておく技術が示されている。回転切削盤の周辺にホースで水を供給し、回転切削盤の下端付近に開口する排水ホースで、水とともに切削粉や切削片を回収している。補修装置の前方に延びる延長軸に、チェーンなどの牽引手段を連結し、地上からチェーンなどを引っ張って、補修装置を前進させる。回転切削盤が既設管を破砕する際に受ける反力を、補修装置の後方に連結された補修管の内部に延ばした反力受け軸などで受け止めて、補修装置のほうが回転してしまわないようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−88974号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2002−357083号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の環状切削装置では、既設管の破砕片を確実かつ迅速に排出したり回収したりするのが難しい。
例えば、特許文献1には、ローラカッタで破砕されたコンクリート片や鉄筋を、どのような手段で回収したり排出したりするのかは示されていない。
特許文献2の技術では、排水ホースの狭い開口に、破砕片を確実に集めるのが難しい。排水ホースの狭い開口が、大きな破砕片や長い鉄筋片などで塞がれると、それ以上は破砕片を吸い込み難くなることがある。
【0007】
本発明の課題は、前記したような従来の環状切削装置における問題点を解消して、既設管の破砕片を効率的に確実に回収することができ、環状切削装置による既設管の補修を能率的に行えるようにすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる既設管路補修用の環状切削装置は、既設管路を推進させて既設管路を構成する既設管を切削除去する既設管路補修用の環状切削装置であって、前記既設管路を推進される装置本体と、前記装置本体の前部に周状に配置され、周方向に回転して前記既設管を切削する回転切削部と、前記回転切削部の前方で前記装置本体に配置され、全体が円筒状をなし、回転切削部で切削された既設管の破砕片を回収する回収口を有する筒状回収部と、前記筒状回収部の内部で中心側から径方向に延びて配置され、周方向に回転して前記破砕片を移送する複数本の翼片と、前記筒状回収部の前方で前記装置本体に連結され、前記筒状回収部の前面に開口し、前記破砕片を排出する排出管とを備える。
【0009】
〔既設管路〕
既設管路には、上下水道、ガス配管、電力配管、通信線配管など、地中あるいは土木建築構造物の内部に埋めこまれて設置される各種管路が含まれる。
既設管路は、直線だけでなく、曲線の場合や、曲線と直線とが組み合わされている場合もある。
既設管路を構成する既設管の材質や形状は、特に限定されない。既設管の断面形状は、基本的には円形であるが、円形以外にも、楕円形や角形なども含まれる。既設管の材質は、下水道などで一般的な鉄筋コンクリート管あるいはヒューム管のほか、陶管や合成樹脂管、FRP管なども含まれる。複数の材料層からなる積層管もある。比較的に小口径の下水道には、塩化ビニールなどからなる樹脂管が良く使用されている。既設管の材質に合わせて、環状切削装置の回転切削部に設ける切削刃の配置構造を適切に設定することが望ましい。
【0010】
既設管の口径は、使用目的や要求性能、材質などの条件によっても異なるが、通常は、口径250〜800mmの範囲の既設管に適用できる。
既設管を切削除去する既設管路の両端には、人孔(マンホール)などの地上につながる立坑が存在する。この立坑から環状切削装置を搬入したり、環状切削装置に供給する切削液や電力、油圧などの供給したり、環状切削装置を牽引するチェーンを引き出したり、環状切削装置で切削された既設管の破砕片を排出したりする。通常は、既設の人孔などが利用できる。必要に応じて、地上から既設管路に到達する立坑を掘削することもできる。
【0011】
〔環状切削装置〕
環状切削装置の基本的な構造や形状は、既知の環状切削装置と共通する技術が適用できる。
環状切削装置の基本構造は、全体が円筒状をなす。前部には環状に配置された切削刃を有する。環状切削装置を推進させる推進機構や、切削刃を回転させる駆動機構、切削刃に切削液を供給する機構、既設管の破砕片を排出する機構などを備える。
環状切削装置の後端には、既設管に置きかえる補修管が連結できるようにしておくことができる。後端に補修管を連結した環状切削装置を推進させれば、環状切削装置の推進とともに補修管の埋設ができる。
【0012】
補修管の材質や形状構造は、前記した既設管と共通する技術が適用できる。既設管と同じ材質、同じ形状であってもよいし、既設管とは異なる材質、形状を採用することもできる。
環状切削装置には、装置本体、回転切削部、筒状回収部、排出管などを備えている。
〔装置本体〕
装置本体は、全体が概略筒状をなし、回転切削部、筒状回収部、排出管など、環状切削装置に配置される各種の構造部材や動作機構を収容したり支持したりしておく。
【0013】
装置本体の前方には、回転切削部および筒状回収部が順次配置されるとともに、筒状回収部の前面には、排出管を連結する取付盤を配置しておくことができる。
取付盤の前面には、排出管の連結継手を設けて、排出管を着脱自在に連結することができる。切削液供給管や油圧配管、電力配線、通信制御配線などの連結継手を設けておくこともできる。
取付盤には、排出管と連通する排出孔を配置し、排出孔の端部を筒状回収部の前面に隣接させて開口しておくことができる。切削液供給管と連通する供給孔を配置し、供給孔を筒状回収部の前面に隣接する位置や回転切削部の近傍に開口しておくことができる。
【0014】
取付盤と装置本体とは、その間に配置され回転動作を行う回転切削部や筒状回収部の翼片などを含む動作構造の回転動作を阻害しないようにして、一体連結しておくことが望ましい。そのために、環状切削装置の中心を通る固定軸で取付盤を装置本体に連結固定しておくことができる。
取付盤の外形は、既設管の内径よりも小さく設定しておく。取付盤の外周に、既設管の内面に摺動して、取付盤の前後の空間を封止遮断する封止構造を設けておくことができる。
〔回転切削部〕
装置本体の前部に周状に配置される。周方向に回転して既設管を切削する。
【0015】
基本的には、通常の環状切削装置における回転切削部と共通する技術が適用できる。
回転切削部の外周には、既設管の端面に当接する位置に、工具鋼や工具セラミックなどで形成された切削刃あるいは切削ビットを備えている。切削ビットは、周方向に間隔をあけて複数個所に設けておくことができる。切削ビットには、先端に切削刃を有するブロック状の固定ビットや、外周面に切削刃を有する歯車状ビットがある。
回転切削部で切削された既設管は、不定形状の小さな破砕片になる。既設管が、コンクリートと鉄筋とを含むヒューム管などの場合は、コンクリートからなるブロック状の破砕片と、鉄筋が短く切断された鉄筋片とが混在して生成されることがある。本発明で、破砕片とは、このようなブロック状をなす狭義の破砕片を意味する場合と、ブロック状の破砕片と線状の鉄筋片などを含む全ての破砕物を対象にする場合とがある。特にことわりがない限り、全ての破砕物を含む。
【0016】
<歯車状ビット>
歯車状ビットは、その中心軸を回転切削部の径方向に一致させて配置しておき、回転切削部の回転にともなって、歯車状ビットが中心軸周りに回転しながら既設管を切削するようにしておくことができる。歯車状ビットは、切削刃が中心軸に沿って配置された直歯状のもののほか、切削刃が中心軸に対して傾斜して配置されたはす歯状のもの、ねじれ歯状のものなども採用できる。歯車状ビットは、軸方向で口径が変わるテ−パ状のものも使用できる。
歯車状ビットの取付数は、施工条件によっても異なるが、通常は、2〜12個の範囲に設定される。歯車状ビットの外周面に設けられる歯形状の切削刃の歯数は、歯車状ビットの口径や切削能力によっても異なるが、通常、3〜18枚の範囲に設定される。
【0017】
回転切削部の周方向で複数個所に配置される歯車状ビットについて、歯数が異なる歯車状ビットを組み合わせることができる。これによって、既設管の全周を均等に効率的に切削することができる。同じ歯数の歯車状ビットだけでは、何れの歯車状ビットでも切削刃が当たらず切削されない個所が生じる可能性がある。この切削されない個所では、既設管から分離されずに長く延びるヒゲ状片などが発生する。歯数の異なる歯車状ビットを組み合わせれば、上記問題は解消できる。特に、前記したヒゲ状片が発生し易い塩ビ管などの樹脂管に有効である。
歯数が異なる歯車状ビットは、互いに歯数が1枚だけ違うものの組み合わせでもよいし、歯数が複数枚違うものでもよい。素数になる歯数の組み合わせ、最小公倍数が大きな歯数の組み合わせが好ましい。複数個所の歯車状ビットのうち、1個所の歯車状ビットだけが他の歯車状ビットと歯数が異なっていてもよいし、全ての歯車状ビットが異なる歯数に設定されていてもよい。歯数の異なる歯車状ビットは、口径については同じに設定しておけばよい。
【0018】
<回転切削部の駆動>
回転切削部は、装置本体に備えたモータなどで駆動される。
駆動モータとしては、例えば、油空圧モータや電磁モータが使用できる。
駆動モータの回転数を、既設管の切削に適した回転切削部の回転数に変換する変速部を、駆動モータと回転切削部の間に配置しておくことができる。変速部としては、各種機械装置に組み込まれている減速機あるいは変速装置と同様の技術が適用できる。遊星歯車機構を利用した変速部は、少ない占有スペースで大きな変速率が得られる。また、装置本体と取付盤とを中心の固定軸で連結した場合、変速部は、固定軸の外側空間に配置される必要がある。この場合にも、遊星歯車機構の採用が有利である。
【0019】
回転切削部の回転数は、施工条件によっても異なるが、通常、30〜50rpm程度に設定される。
回転切削部には、変速部からの回転駆動力を受ける回転筒体を備えておくことができる。回転筒体の外周に歯車状ビットなどの切削ビットを取り付けることができる。回転筒体の中心には取付盤の固定軸を挿通させることができる。
<反力受>
回転切削部で既設管を切削すると、切削抵抗によって、環状切削装置には、回転切削部の回転方向とは逆の方向の反力を受ける。
【0020】
この反力は、環状切削装置あるいは補修管と地盤との間の摩擦力などで吸収することもできるが、反力を受けて吸収する構造を備えておくこともできる。
例えば、環状切削装置から軸方向に反力受軸を延ばし、反力受軸の端部を、管路の外側の人孔などで、回転不能に支持しておくことが有効である。反力受軸の支持を、軸方向への移動を許容するようにしておけば、環状切削装置の推進を阻害することがない。反力受軸を、補修管と同じ程度の長さで継ぎ足し可能に構成しておけば、新たな補修管を継ぎ足すたびに反力受軸も継ぎ足していけばよい。
【0021】
〔筒状回収部〕
回転切削部の前方で装置本体に配置される。筒状回収部を構成する部材の一部は、回転切削部とともに回転し、残りの一部は装置本体あるいは取付盤に固定設置される。
筒状回収部の全体形状は円筒状をなす。筒状回収部には、円筒状をなし、取付盤を含む装置本体側に固定される外殻と、外殻の内部で周方向に回転する複数本の翼片とを備えておくことができる。
筒状回収部には、回転切削部で切削された既設管の破砕片を回収する回収口を有する。前記した外殻の外周面の一部を切り欠いておけば、回収口が構成できる。回収口は、環状切削装置の使用状態で、筒状回収部の上端になる位置に配置することができる。上端から何れかの方向に少し偏った位置に配置される場合もある。回収口は、通常、1個所設けておけばよいが、複数個所に配置することも可能である。回収口の大きさは、既設管の破砕片が容易に通過できる程度に設定される。
【0022】
筒状回収部の前後面を、回転切削部の前面と取付盤の背面とで構成することができる。このようにすれば、取付盤の背面に開口させた排出管や切削液供給管を、筒状回収部の内部空間に連通させることが容易である。また、翼片を回転切削部に取り付けて、回転切削部とともに回転させることができる。
〔翼片〕
筒状回収部の内部で中心側から径方向に延びて配置される。翼片は、複数本を筒状回収部の周方向に間隔をあけて配置される。複数本の翼片は、筒状回収部の中央に配置された軸体の外周に取り付けておくことができる。軸体として、中心に孔を有する筒軸を採用すれば、筒軸の内部に取付盤の固定軸を挿通させることができる。
【0023】
翼片の設置本数は、筒状回収部の寸法形状などによっても異なるが、通常、 3〜12本に設定できる。
翼片の形状は、破砕片の移送動作が行い易い形状が好ましい。通常は、平坦な矩形板状が採用されるが、屈曲板状であったり湾曲板状であったりすることもできる。例えば、バケット状に凹んだ翼片などが採用できる。
隣接する翼片間に実質的に閉じた空間が形成されるようにすることが望ましい。例えば、隣接する翼片と、筒状回収部の前面に配置される取付盤の背面、および、筒状回収部の背面に配置される回転切削部の前面と、筒状回収部の外殻の内面とで、正面形が扇形で前後に厚みのある、閉じた空間が構成できる。なお、閉じた空間とは、気密的および水密的に完全に密閉されている必要はなく、破砕片がはみ出したり漏れ出したりし難く、排出管による真空吸引が効率的に行われる程度に、周囲と隔離された状態であればよい。
【0024】
複数本の翼片は、筒状回収部の内部で周方向に回転する。その結果、筒状回収部の回収口から翼片間の閉じた空間に入った既設管の破砕片は、翼片の回転方向に移送され、排出管の開口位置まで送られる。
<傾斜翼>
翼片として、排出管の開口と対面する側辺がその反対側の側辺よりも回転進行方向で後方に配置されるように傾斜する傾斜翼を採用できる。
傾斜翼からなる翼片で移送される既設管の破砕片には、傾斜翼の面と直交する方向に力が加わる。この力のうち、筒状回収部の軸方向と平行な成分が、破砕片を筒状回収部から排出管のほうに押しやる機能を発揮する。これによって、筒状回収部から排出管への破砕片の移行がスムーズに行われる。
【0025】
傾斜翼の傾斜角度は、破砕片の周方向への移送と軸方向の排出管への移行との両方の機能が適切に発揮されるように設定できる。具体的には、筒状回収部の軸方向に対する傾斜翼の翼面の傾斜角度θを0〜20°に設定できる。
傾斜翼は、全ての位置で傾斜角度が同じ平坦面状であってもよいし、筒状回収部の軸方向あるいは径方向において、傾斜角度が異なる部分が存在していてもよい。
〔排出量調整片〕
筒状回収部は、複数本の翼片間に生じる扇形空間が全て、破砕片を収容し移送する空間となる。
【0026】
但し、破砕片の発生量や排出管の排出能力などの条件によって、全ての翼片間の空間に破砕片を収容するのは、無駄が多く、却って作業能率が低下したり、排出管による真空吸引排出が効率的に行えない場合がある。
このような場合に、筒状回収部に着脱自在に配置され、隣接する翼片間の空間を埋める排出量調整片をさらに備えることが有効である。排出量調整片は、複数の翼片間空間のうち、1個所または複数個所に配置できる。周方向に並ぶ翼片間空間に、連続して排出量調整片を配置してもよいし、飛び飛びに配置してもよい。1個所おきの翼片間空間に排出量調整片を配置できる。
【0027】
排出量調整片の形状は、翼片間の空間形状に合わせて設定される。基本的には、正面形が扇形で、翼片の幅に相当する厚みを有していればよい。排出量調整片は、中実構造であってもよいし、中空構造であってもよい。排出調整片のうち、筒状回収部の回収口を通過する外周面を除く個所には、肉盗みのための凹部や孔を有することもできる。
排出量調整片の材料は、翼片間の空間を埋めることができれば、各種の構造材料が使用できる。例えば、鋼材などの金属、合成樹脂、セラミック材料、木質材料などがある。
【0028】
排出量調整片を翼片間に着脱自在に取り付けるには、通常の機械装置における部品の取付手段が適用できる。例えば、ボルトによる締結、嵌合、係合、クリップ金具による締結などが挙げられる。
〔剪断刃〕
筒状回収部の回収口の端縁と翼片の先端とに、互いにすれ違う剪断刃を備えることができる。
回転する翼片が回収口を通過する際に、両者の剪断刃がすれ違い、その間に存在する破砕片を剪断して小さく破砕する。特に、鉄筋片のような線状で長い材料は、剪断刃の間に挟まれ易く、短く剪断することができる。回収口に大きな破砕片が引っ掛かって、翼片の回転が困難になる問題が起こり難い。大きく長い破砕片を排出管に吸い込み易い寸法にできる。
【0029】
剪断刃の材料は、通常の工具鋼や工具セラミックなどが採用される。翼片の回転方向によって、回収口の一方の端縁だけに剪断刃を設けておいてもよい。
〔排出管〕
既設管の破砕片を回収して排出する機能を有する。筒状回収部の前方で装置本体に固定された状態で配置される。装置本体に固定された取付盤の前面に連結しておくことができる。
排出管は、筒状回収部の前面に連通させておく。具体的には、筒状回収部の翼片間に形成される破砕片の収容空間に隣接する位置に排出管あるいは排出管につながる空間を開口させておけばよい。取付盤に、前面における排出管の連結個所から翼片間の空間に隣接する背面に至る排出孔を貫通させておくことができる。
【0030】
排出管は、破砕片回収装置に連結される。破砕片回収装置は、通常、地上に設置されるので、排出管は、既設管の内部から人孔などの立坑を経て地上の破砕片回収装置まで延ばして敷設する。破砕片回収装置を、人孔内に設置すれば、排出管は既設管内から人孔まで敷設するだけでよいことになる。
環状切削装置の推進にともなって、環状切削装置から破砕片回収装置までの距離が変動するので、排出管には、敷設距離の変動を吸収する構造を備えておくことが望ましい。
排出管として、可撓性のあるホース材料を使用すれば、前記した敷設距離の変動が吸収し易い。既設管の内部から人孔などを経て地上までの、屈曲や湾曲を必要とする敷設形態にも対応し易い。地上に、排出ホースを巻き取ったり引き出したりできる巻回装置を備えておくこともできる。
【0031】
排出管の材料は、破砕片の通過によっても損傷し難い耐久性のある材料が好ましい。破砕片回収装置で発生する真空吸引力に耐える保形性を有していることが望ましい。具体的には、繊維材料を編織したり、フィルム材料を積層したり、樹脂材料をコーティングしたりして構成される耐圧ホース材料などが使用できる。
排出管の途中に、破砕片の移送を促進するポンプなどを設けておくこともできる。ポンプによる圧送を行えば、真空吸引が不要になったり、真空吸引の負荷を軽減したりすることができる。
<破砕片回収装置>
破砕片回収装置は、真空吸引ポンプなどで真空吸引力を発生し、真空吸引力で破砕片を、環状切削装置から排出管を経て移送し回収する。
【0032】
破砕片回収装置には、排出管で破砕片とともに吸引される切削液などを破砕片と分離する分離装置を備えておくことができる。破砕片を貯留する破砕片タンクを備えておくこともできる。破砕片をさらに細かく破砕したり粉砕したりする機能を備えておくこともできる。破砕片のうち、コンクリートと鉄筋など材料毎に分離する装置を備えておくこともできる。
〔切削液供給管〕
回転切削部における既設管の切削除去は、乾燥状態でも可能であるが、切削液を供給することで、切削効率が向上し、切削ビットの耐久性を向上させたり、微細な切削粉が飛散するのを防いだりすることができる。また、破砕片を切削液とともに流したり移送したりすることで、破砕片の回収および排出をスムーズに行える。排出管における真空吸引による破砕片の吸い込みは、破砕片のみの場合よりも、液体である切削液とともに吸い込むほうが、効率的である。
【0033】
切削液としては、水が使用できる。水に油類や潤滑剤などを添加しておくこともできる。通常の土木作業において利用されている各種の切削液を使用してもよい。
切削液は、切削液供給管で回転切削部に供給することができる。切削液供給管は、前記した排出管と同様の取付構造が採用できる。具体的には、取付盤の前面に切削液供給管の連結継手を配置し、取付盤を貫通する供給孔を設け、取付盤の背面に開口する供給孔から筒状回収部および回転切削部に向けて切削液を噴出させることができる。
【0034】
回転切削部への切削液の供給は、既設管の切削位置の近傍に切削液が効率的に供給されるようにすることが好ましい。破砕片が回転切削部から筒状回収部の回収口に移動する経路で、切削液を供給することが有効である。
回転切削部へ供給された切削液の一部は、切削片の一部や掘削土と混合された状態で、回転切削部の外側から地盤と補修管との間に充填されることになって、周辺地盤の崩壊や地下水の侵入を防ぐ機能を発揮することができる。
〔既設管路の補修方法〕
基本的には、通常の環状切削装置を用いた既設管路の補修方法と共通する装置や手順、施工条件が適用できる。
【0035】
人孔などから既設管路に搬入された環状切削装置を、既設管路に推進させて既設管路を構成する既設管を切削除去する。
環状切削装置の後端には補修管を連結し、環状切削装置とともに補修管を推進させて既設管が切削除去されたあとに補修管を敷設する。
既設管は、全体を切削除去することもできるし、径方向の一部だけを切削除去して、外周側の一部は残しておくこともできる。この場合、既設管の残された部分の内側を環状切削装置が通過し、既設管の残された部分の内側に補修管が敷設されることになる。
【0036】
既設管の破砕片は、回転切削部から筒状回収部、排出管を経て、地上に排出し回収することができる。地上に設置された破砕片回収装置で、排出管を真空吸引すれば、筒状回収部からの破砕片の取り出し、および、排出管での移送が効率的に行われる。
特に、筒状回収部では、翼片間の閉じた空間に収容された破砕片あるいは破砕片と切削液との混合物を、排出管に吸い出すので、真空吸引力が外に漏れることなく効率的に、破砕片などの吸引に作用し、確実かつ迅速に破砕片を排出回収することができる。例えば、開放された空間で排出管の開口から真空吸引すると、回転切削部から直接に破砕片を吸い込んだり、回転掘削部と既設管や地盤との隙間から空気が入り込んで真空吸引能力が無駄になったりする。大量の破砕片が、排出管の開口に一度に吸い込まれて詰まってしまうような問題も起こる。翼片間の閉じた小さな空間だけを真空吸引すれば、上記のような問題は起こり難い。
【0037】
【発明の実施の形態】
図1に示す実施形態は、既設の下水道管路を補修する場合を示す。
〔全体構成〕
地上から地盤Eに掘削設置された人孔11、14をつないで下水が流通する下水道管路が設置されている。下水道管路は、ヒューム管からなる既設管10で構築されている。図2に詳しく示すように、既設管10は、全体がコンクリートからなるとともに、内部には補強用の鉄筋12が埋めこまれている。
〔環状切削装置〕
図1に示すように、既設管路の内部に環状切削装置20が挿入され、一方の人孔14から他方の人孔11へと推進される。環状切削装置20の前部には、既設管10を切削除去する回転切削部30を備える。回転切削部30の前方には、既設管10の破砕片を回収する筒状回収部40を備える。
【0038】
<牽引チェーン>
環状切削装置20の前方には牽引チェーン70が連結されている。牽引チェーン70は、既設管10の内部を人孔11に引き出され、人孔11に備えたスプロケットプーリ72で人孔11の上方に向かって地上まで引き出されている。図示を省略したが、地上には牽引チェーン70を巻き取る牽引装置が設置されている。牽引チェーン70を引っ張ることで環状切削装置20が推進する。
<ホース類>
環状切削装置20の前方には、回転切削部30に水あるいは潤滑剤などを含む切削液を供給する切削液供給ホース76、および、筒状回収部40で回収された既設管10の破砕片を切削液とともに回収する排出ホース74が連結されている。何れのホース74、76も、既設管10の内部から人孔11を経て地上に引き出されている。切削液供給ホース76は、地上に設置された切削液供給装置77に接続される。切削液供給装置77は、ポンプなどを備え、切削液を切削液供給ホース76に圧送する。排出ホース74は、地上に設置された破砕片回収装置75に接続される。破砕片回収装置75は、真空吸引ポンプなどを備え、排出ホース74を介して破砕片および切削液を真空吸引する。破砕片回収装置75では、破砕片と切削液とを分離して、切削液を切削液供給装置77に供給して再使用することもできる。
【0039】
環状切削装置20の前方には、回転切削部30を駆動する油圧モータへの油圧ホース78や、図示しない電力供給線、通信制御線なども接続される。
<補修管と反力受軸>
環状切削装置20の後方には、補修管16が連結され、環状切削装置20とともに推進させられる。人孔14の内部で、補修管16の後端には順次新たな補修管16が連結されていく。
環状切削装置20の後方で補修管16の内部には、反力受軸80が連結されている。反力受軸80は補修管16の内部を人孔14まで延び、人孔14の内壁に固定された反力受部材86に支持されている。反力受部材86は、反力受軸80の軸回りの回転は阻止するが軸方向の摺動は許容する。その結果、環状切削装置20は、回転切削部30で既設管10を切削する際の抵抗により発生する反力で、環状切削装置20のほうが逆方向に回転させられることがない。
【0040】
反力受軸80は、補修管16と同様に、環状切削装置20の推進にともなって順次後端に連結されて継ぎ足されていく。また、反力受軸80には、支持車輪84を有する。支持車輪84は、反力受軸80の重量を支え、補修管16の内壁に沿って転動する。
〔環状切削装置の詳細構造〕
図2に示すように、全体が筒状をなす環状切削装置20は、鋼製で筒状をなす本体部22に、油圧モータ23が収容されている。油圧モータ23は前記した油圧ホース78から供給される油圧で駆動される。
【0041】
本体部22の前方には、本体部22と同じ筒状をなす変速部24が配置されている。変速部24の内部には、遊星歯車機構などの変速機構を備え、油圧モータ23の回転力が入力される。
<回転切削部>
変速部24の前方には、回転切削部30が配置されている。回転切削部30には、変速部24から回転力が伝達される回転筒体32を有する。回転筒体32の中央には、固定軸25が配置されている。固定軸25は、変速部24の非回転構造を介して装置本体22に固定されている。回転筒体32は固定軸25の回りを回転する。図示を省略するが、回転筒体32と固定軸25との間には、軸受構造や封止構造を設けて、スムーズな回転ができるとともに、外部から水や切削粉などの異物が侵入しないようにしておく。
【0042】
回転筒体32の外周には、歯車状ビット34が周方向に一定の間隔をあけて複数個取り付けられている。歯車状ビット34は、回転筒体32の径方向を中心軸にして回転する。歯車状ビット34の周面には、歯車を構成する歯形のような凹凸からなる切削刃が設けられている。歯車状ビット34が、既設管10の端面に当接し、回転筒体32の回転とともに歯車状ビット34も回転して、既設管10を切削する。
歯車状ビット34の前方中心側には、内周切削ビット36が配置されている。内周切削ビット36は、既設管10の内周面に当接して、内周面の突出する部分を切削したり、歯車状ビット34で切削された既設管10の破砕片の内周への突出部分を切断したりすることができる。
【0043】
<取付盤>
回転切削部30の前方には、回転切削部30との間に間隙をあけて、固定軸25の先端が固定された取付盤50が配置されている。取付盤50の前面には、切削液供給ホース76、排出ホース74、および、牽引チェーン70の端部が連結される。切削液供給ホース76は、取付盤50の上端近くに連結されている。排出ホース74は、取付盤50の下端近くに連結されている。牽引チェーン70は、取付盤50の中心位置に連結されている。
切削液供給ホース76は、取付盤50を貫通する供給孔52を通じて、取付盤50の背面側に連通して開口している。排出ホース74は、取付盤50を貫通する排出孔54を通じて、取付盤50の背面側に連通して開口している。
【0044】
取付盤50の外周には、環状の弾性リップ56が取り付けられている。弾性リップ56は、既設管10の内周面に当接して摺動し、取付盤50の前後の空間を封止する。取付盤50の背面側に供給される切削液や、既設管10の破砕片などが、取付盤50の前方に漏れるのを阻止できる。
<筒状回収部>
取付盤50の背面と回転切削部30の間に、筒状回収部40が配置されている。
図3にも示すように、筒状回収部40は、円筒状をなす外殻42と、外殻42の内側空間で周方向に回転する複数本の翼片46とを有する。図3では、6本の翼片46が等角度で配置されている。外殻42は取付盤50に固定設置されている。翼片46は、固定軸25の外周に回転可能に支持された筒軸41の外周に支持されている。筒軸41は、回転切削部30の回転筒体32に支持されている。したがって、固定された外殻42の内部で、筒軸41および複数本の翼片46で構成される回転翼が周方向に回転することになる。
【0045】
翼片46の幅は、取付盤50と、回転切削部30で回転筒体32の前面に配置された仕切板38との間隔をほぼ塞ぐように設けられている。したがって、外殻42の内部空間は、複数本の翼片46同士の間で、前後の取付盤50および仕切板38に囲まれた扇形に隔離された小空間に分かれている。
外殻42の上端には、外殻42の一部を途切らせて、回収口43が設けられている。回収口43の端縁と、各翼片46の先端とには、互いに擦り合う剪断刃44、47が取り付けられている。翼片46の剪断刃47が、回収口43を通過して回収口43の剪断刃44と擦り合わされるときに、その間に挟まれた部材を剪断する。
【0046】
〔筒状回収部の動作〕
図3(a)に示すように、回転切削部30で切削された既設管10の破砕片10aが、切削液とともに、回収口43から、翼片46同士の間の扇形空間に落ち込む。破砕片10aには、既設管10に埋め込まれていた鉄筋の破片12aも含まれている。翼片46の回転にともなって、破砕片10aおよび鉄筋片12aは、外殻42の内周に沿って移送される。
図3(b)に示すように、比較的に長い鉄筋片12aは、外殻42の外側まで張り出しているので、翼片46が回収口43を通過する際に、翼片46の先端の剪断刃47と、回収口43の剪断刃44との間に挟み込まれて剪断され、比較的に短い状態の鉄筋片12aになって、送られていく。
【0047】
図3(c)に示すように、翼片46で囲まれた扇形空間が、取付盤50の下端の排出孔54に対応する位置まで移動すると、排出ホース74を介して排出孔54に加わっている真空吸引力によって、扇形空間内に存在する鉄筋片12aを含む破砕片10aは切削液とともに、排出孔54から排出ホース74に吸引されて排出される。このとき、閉鎖された比較的に狭い扇形空間を真空吸引するので、吸引力が外部に漏れることが少なく、扇形空間内の破砕片10aおよび鉄筋片12aを強力に効率的に吸い込むことができる。排出孔54に大量の破砕片10aが一度に吸い込まれて、排出孔54や排出ホース74が詰まってしまう問題も起こり難い。
【0048】
なお、図3(a)〜(c)では、破砕片10aの移動を判り易く説明するために、翼片46で挟まれた1個所の扇形空間のみに破砕片10aが存在するように図示している。実際には、回収口43を通過する全ての扇形空間に順次、破砕片10aが供給され、鉄筋片12aが剪断刃44、47で剪断され、排出孔54から吸い出されるという行程を繰り返す。
〔補修方法〕
図1に示すように、既設管10の補修は、既設管10を撤去し、そのあとに補修管16を敷設する。
【0049】
補修作業の前に、人孔11、14間の既設管路に、下水が流れ込まないように、人孔11、14でせき止めておくことができる。人孔11から人孔14に、既設管路を通さないバイパス流路を仮設しておくこともできる。例えば、人孔11,14の外側で管路をせき止め、バイパスホースを人孔11から地表および人孔14へと敷設することができる。
補修作業では、人孔14の内部に環状切削装置20を搬入する。環状切削装置20を分解して人孔14に搬入したあと、人孔14の底で環状切削装置20を組み立てることもできる。
【0050】
環状切削装置20を、人孔14に開口する既設管10の端部に配置する。環状切削装置20の前部には、人孔11側から既設管10の内部を通した牽引チェーン70や切削液供給ホース76、排出ホース74などを連結しておく。環状切削装置20の後部は、反力受軸80を介して反力受部材86に支持させておく。
牽引チェーン70で環状切削装置20を引っ張りながら、環状切削装置20の油圧モータ23で回転切削部30を作動させる。回転切削部30とともに筒状回収部40も作動する。切削液供給ホース76からは切削液を供給し、排出ホース74からは真空吸引を行う。
【0051】
既設管10の端部が切削されて破砕片10aおよび鉄筋片12aが発生する。破砕片10aなどは、切削液とともに筒状回収部40の回収口43から翼片46間の扇形空間に収容され、排出口54から排出ホース70に吸引排出される。
環状切削装置20が一定の距離を推進する毎に、人孔14で、環状切削装置20の後端に順次、補修管16を連結していく。補修管16の内部には反力受軸80も設置される。人孔14には、地表から順次、補修管16および反力受軸80を搬入する。
このようにして、牽引チェーン70による環状切削装置20の推進とともに、既設管10の切削除去が進行し、補修管16の推進埋設が進行する。既設管10の切削除去によって発生した破砕片10aは鉄筋片12aとともに、筒状回収部40で回収されて、排出ホース70から破砕片回収装置75に回収される。破砕片回収装置75で回収された破砕片10aなどは廃棄処分にすればよい。
【0052】
環状切削装置20の推進に伴って、排出ホース74や切削液供給ホース76の長さは余ってくる。余った長さ分は、人孔11内あるいは地表で折り返したり巻回したりしておけばよい。
環状切削装置20が、人孔11に到達し、既設管10が全て切削除去され、既設管路の全体が補修管16で置きかえられれば、補修作業は完了する。
環状切削装置20その他の作業資材は、人孔11、14から搬出する。
その後、補修管16と人孔11,14との接続個所をコンクリートで覆ったり、補修管16の内面を仕上げたり、補修管16の内部に必要な構造物や設備を設置したりするなど、通常の既設管路の補修作業と同様の作業を行うこともできる。下水道をせき止めていた場合は、せき止め構造を撤去して、下水道が流通できるようにする。
【0053】
〔翼片の傾斜〕
図4に示す実施形態は、筒状回収部40における翼片46の構造が、前記実施形態と異なる。基本的な構造は前記実施形態と共通するので、相違点を主にして説明する。
図4は、筒軸41の外周に配置された翼片46のうち、筒軸41の下方側を進行する翼片46を真上からみたところの断面形状を表す。2点鎖線で示す翼片46は、上方側を進行する翼片46である。下方側と上方側とでは、真上からみたときの進行方法および傾斜方向が逆に表示される。
【0054】
筒軸41の下方側を進行する翼片46の取付角度が傾斜角度θだけ傾斜している。すなわち、翼片46の回転進行方向(図では下から上)に対して、仕切板38側が進行方向の前方側になり取付盤50側が後方側になるように傾斜を付けている。筒軸41の中心軸方向に対して翼片46がなす角度を傾斜角度θで表している。
翼片46に傾斜角度θが付いていると、翼片46によって移送される破砕片10aは、周方向ではなく周方向から傾いた斜め方向に力を受ける。翼片46から受ける力のうち、翼片46の進行方向と直交する方向の力成分によって、破砕片10aは、取付盤50の排出孔54側へと効率的に押しやられることになる。排出孔54に加わる真空吸引力と協働して、破砕片10aを確実かつ迅速に排出することができる。
【0055】
〔排出量調整片〕
図5に示す実施形態は、筒状回収部40に排出量調整片48を用いること以外の基本的な構造は、前記実施形態と共通している。
排出量調整片48は、翼片46間に構成される扇形空間に対応する外形の鋼材などからなるブロック片である。
排出量調整片48を、翼片46間の扇形空間に嵌め入れ、ボルト49などで仕切板38あるいは回転筒体32に取り付ける。図5では、6個の扇形空間のうち、1個おきの3個所に排出量調整片48を取り付けている。
【0056】
このような状態の筒状回収部40では、回収部43に供給された破砕片10aが、排出量調整片48が取り付けられていない個所でのみ、翼片46間の扇形空間に収容され、排出孔54から排出される。なお、排出孔54の前面を排出量調整片48が通過している間は、扇形空間から排出孔54を経て排出ホース74へ吸い込まれる破砕片10aなどはない。
したがって、全ての翼片46間の扇形空間で破砕片10aを回収し排出する場合に比べて、破砕片10aの回収排出量が半分になる。
既設管10の口径や厚み、環状切削装置20の稼動条件などによって、破砕片10aの発生量が少ない場合は、一つの扇形空間で回収し排出する破砕片10aの量が少なくなり、排出ホース74の吸引能力が無駄になったり非効率的になったりする。
【0057】
排出量調整片48を用いて、一つの扇形空間で回収し排出する破砕片10aの量が適切になるように調整しておけば、排出ホース74の吸引能力を無駄なく効率的に発揮させることができる。
〔塩ビ管用の環状切削装置〕
図6および図7に示す実施形態は、既設管10が塩ビ管の場合に適した構造を示す。基本的な構造や動作は前記実施形態と共通するので、相違点を主に説明する。
図6に示すように、環状切削装置20は、本体部22に油圧モータ23が収容され、変速部24から回転切削部の回転筒体32に回転力が伝達される。
【0058】
回転切削部30には、前記実施形態と同様の回転する歯車状ビット34と、回転筒体32に固定されたままの切削ブロック60とを備えている。切削ブロック60は、その前面に固定された切削ビット62を有している。
塩ビ管からなる既設管10は、歯車状ビット34と切削ブロック60との両方で切削される。なお、既設管10の外径は、環状切削装置20の外径よりも少し小さい。したがって、環状切削装置20が推進すると、既設管10を切削除去するとともに既設管10の外側の地盤も掘削してトンネル径を拡大しながら推進していく。このとき、切削ビット60の回転外径が、掘削されるトンネル径を決めることになる。
【0059】
図7に示すように、回転筒体32の外周には、周方向に60°毎の間隔で歯車状ビット34と切削ブロック60とが交互に配置されている。3個の歯車状ビット34と3個の切削ブロック60が存在する。
さらに、歯車状ビット34は、3個所の歯車状ビット34A、34B、34Cが、互いに異なる。具体的には、各歯車状ビット34A、34B、34Cの径は同じであるが歯数が異なる。例えば、歯車状ビット34Aの歯数は12枚、歯車状ビット34Bの歯数は9枚、歯車状ビット34Cの歯数は15枚である。
このように歯数が異なる歯車状ビット34A、34B、34Cを組み合わせると、回転筒体32の回転に伴って歯車状ビット34A、34B、34Cも回転しながら既設管10を切削していくときに、既設管10の特定位置に対して、一つの歯車状ビット34Aは歯の谷間が通過して切削されなかったとしても、次に通過する歯車状ビット34B、Cでは、歯の山が当接して切削することができる。
【0060】
同じ歯数の歯車状ビット34では、周期的に繰り返し切削される個所と切削され難い個所とが生じて、全周におけるスムーズな切削が行い難くなる。既設管10の端面に、いつまでも切り落とされず長く延びるヒゲ状の樹脂片が残ったりする。このような現象は、既設管10の材料が、粘りのある塩ビ管などの樹脂管の場合、顕著に発生する。
これに対し、歯数の異なる歯車状ビット34を組み合わせれば、前記した作用によって、既設管10の全周を均等に切削することができる。前記したヒゲ状の樹脂片は成長するまでもなく直ぐに切断されて、細かな破砕片10aになる。
【0061】
【発明の効果】
本発明にかかる既設管路補修用の環状切削装置は、既設管を切削する回転切削部に隣接して、回転切削部で切削された既設管の破砕片を回収する回収口を有する筒状回収部を備えている。筒状回収部の内側を周方向に回転する複数本の翼片が、破砕片を回収口から排出管まで、確実かつ効率的に破砕片を移送する。翼片で仕切られた小さな扇形空間毎に、回収口から排出管に隣接する位置までの移送を行い、扇形空間毎に、破砕片を排出管に吸い出して排出するので、排出管への排出効率が良くなり、無駄に大きな真空吸引装置を採用することがなくなる。破砕片などが、筒状回収部以外の場所に滞留したり詰まったりすることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を表す既設管路の補修作業の全体構成図
【図2】環状切削装置の全体構造図
【図3】筒状回収部の回収移送動作を段階的に示す断面図
【図4】翼片の変更形態を示す断面図
【図5】排出量調整片の使用状態を示す断面図
【図6】環状切削装置の別の実施形態を示す全体構造図
【図7】回転切削部の配置構造を示す正面図
【符号の説明】
10 既設管
11、14 人孔
16 補修管
20 環状切削装置
30 回転切削部
40 筒状回収部
42 外殻
43 回収口
44、48 剪断刃
46 翼片
47 筒軸
50 取付盤
52 供給孔
54 排出孔
70 牽引チェーン
74 排出ホース
76 切削液供給ホース
78 油圧ホース

Claims (8)

  1. 既設管路を推進させて既設管路を構成する既設管を切削除去する既設管路補修用の環状切削装置であって、
    前記既設管路を推進される装置本体と、
    前記装置本体の前部に周状に配置され、周方向に回転して前記既設管を切削する回転切削部と、
    前記回転切削部の前方で前記装置本体に配置され、全体が円筒状をなし、回転切削部で切削された既設管の破砕片を回収する回収口を有する筒状回収部と、
    前記筒状回収部の内部で中心側から径方向に延びて配置され、周方向に回転して前記破砕片を移送する複数本の翼片と、
    前記筒状回収部の前方で前記装置本体に連結され、前記筒状回収部の前面に開口し、前記破砕片を排出する排出管と
    を備える既設管路補修用の環状切削装置。
  2. 前記筒状回収部の回収口の端縁と前記翼片の先端とに、互いにすれ違う剪断刃をさらに備える
    請求項1に記載の既設管路補修用の環状切削装置。
  3. 前記筒状回収部の前方で前記装置本体に連結され、前記回転切削部に切削液を供給する切削液供給管をさらに備える
    請求項1または2に記載の既設管路補修用の環状切削装置。
  4. 前記翼片が、前記排出管の開口と対面する側辺がその反対側の側辺よりも回転進行方向で後方に配置されるように傾斜する傾斜翼である
    請求項1〜3の何れかに記載の既設管路補修用の環状切削装置。
  5. 前記筒状回収部に着脱自在に配置され、隣接する前記翼片間の空間を埋める排出量調整片をさらに備える
    請求項1〜4の何れかに記載の既設管路補修用の環状切削装置。
  6. 前記回転切削部が、周方向の複数個所に配置され、径方向を中心軸にして回転する歯車状ビットを有し、
    前記複数個所の歯車状ビットは、歯数の異なる歯車状ビットが組み合わせられている
    請求項1〜5の何れかに記載の既設管路補修用の環状切削装置。
  7. 既設管路を構成する既設管を切削除去して補修管に置きかえる既設管路の補修方法であって、
    請求項1〜6の何れかに記載の環状切削装置を既設管路に推進させて既設管路を構成する既設管を切削除去する工程(a)と、
    前記環状切削装置の後端に連結された前記補修管を、環状切削装置とともに推進させて既設管が除去されたあとに敷設する工程(b)と
    を含む既設管路の補修方法。
  8. 前記排出管を、前記筒状回収部の前方から前記既設管路の内部を経て地上までにわたって敷設して地上に設置された真空吸引機能を有する破砕片回収装置に連結しておき、前記環状切削装置で切削除去された前記既設管の破砕片を、排出管を経て破砕片回収装置で真空吸引して回収する工程(c)をさらに含む
    請求項7に記載の既設管路の補修方法。
JP2003180088A 2003-06-24 2003-06-24 既設管路補修用の環状切削装置および既設管路の補修方法 Pending JP2005016082A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003180088A JP2005016082A (ja) 2003-06-24 2003-06-24 既設管路補修用の環状切削装置および既設管路の補修方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003180088A JP2005016082A (ja) 2003-06-24 2003-06-24 既設管路補修用の環状切削装置および既設管路の補修方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005016082A true JP2005016082A (ja) 2005-01-20

Family

ID=34181228

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003180088A Pending JP2005016082A (ja) 2003-06-24 2003-06-24 既設管路補修用の環状切削装置および既設管路の補修方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005016082A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010275831A (ja) * 2009-06-01 2010-12-09 Sanwa Kizai Co Ltd 既設管改築推進用カッターヘッド
JP2015224498A (ja) * 2014-05-29 2015-12-14 日本工機株式会社 下水道管の破砕工法及び下水道管の撤去工法
JP2016003469A (ja) * 2014-06-16 2016-01-12 日本工機株式会社 下水道管の更新工法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010275831A (ja) * 2009-06-01 2010-12-09 Sanwa Kizai Co Ltd 既設管改築推進用カッターヘッド
JP2015224498A (ja) * 2014-05-29 2015-12-14 日本工機株式会社 下水道管の破砕工法及び下水道管の撤去工法
JP2016003469A (ja) * 2014-06-16 2016-01-12 日本工機株式会社 下水道管の更新工法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4925344A (en) Method and apparatus for replacing buried pipe
CN106120938A (zh) 一种自行式底泥分离收集装置
CN106193269A (zh) 一种下水道清淤设备
US9039330B1 (en) Pipe boring shield
JP6479892B2 (ja) 切削破砕システム、切削破砕方法、改築推進方法
JP2005016082A (ja) 既設管路補修用の環状切削装置および既設管路の補修方法
JP4429927B2 (ja) 集水トンネルの構築方法
US5873421A (en) Tool for installing a pipeline under a structure
JP3784139B2 (ja) 礫破砕装置内蔵の泥水式シールド機及び泥水シールド工法
JP5657472B2 (ja) 泥水式改築推進装置
JPH0465956B2 (ja)
JP3225309B2 (ja) 掘削装置
JP2006509129A (ja) 土壌排水システム
JP4230316B2 (ja) 既設埋設管の更新方法および装置
JP2020139364A (ja) 既設管路の改築工法
JP3488407B2 (ja) シールド掘進機のカッタ面板閉塞防止方法
JP6804067B2 (ja) 掘進機
JP3569482B2 (ja) 管路の内径拡大方法および装置
CN216768561U (zh) 一种具有排土功能的地下管道铺设结构
CN212958462U (zh) 一种不开挖导流设备
CN218991596U (zh) 一种市政污水管顶管掘进机的高压水循环机构
CN212190440U (zh) 一种管道疏通器
CN211597036U (zh) 清理疏浚机器人
JP5058965B2 (ja) 既設管改築推進工法および装置
JP2014156691A (ja) トンネル施工方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060502

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080304

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080930

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090414