JP2005015187A - ワークのピッキング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】クランプ体43の昇降経路を横切るようにストッパー板44を配置する。ストッパー板44にはクランプ体43の昇降を許容する通過穴45が空いている。取り出し対象外のミニチューブ1が連れ上がりしても、そのミニチューブ1はコンテナ2,30から抜け出ることはなく、クランプ体43が離反すると自重でコンテナ2,30の格納穴に戻る。
【選択図】 図11
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒状容器のようなワークをピッキングしてコンテナ類から取り出しできる装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば化学物質や薬品類、遺伝子サンプル、血液サンプル、各種検体、組織サンプル、土壌サンプル、種子類などの様々の試料類を保管・管理するために、バイアル瓶やミニチューブのような細長い筒状容器が使用されている。試料類の量が膨大になると、自動倉庫システムのような自動保管・管理システムが必要となる。
【0003】
このような要請に応えるべく本願出願人は、例えば特許文献1(特開2003─34407号)において、試料類に好適な自動保管・管理システムを開示した。この自動保管・管理システムにおいて、筒状容器はコンテナ(ラックと言っても良い)に格納されて保管されたり搬送されたりする。
【0004】
すなわち、コンテナには、1本の筒状容器が部分的に嵌まる単位格納穴が平面視で縦横に整列した状態で多数形成されており、一つのコンテナに、多数本の筒状容器が、上向きに部分的に露出した状態で格納保持される。
【0005】
目的とする筒状容器をコンテナから取り出したり、使用した筒状容器をコンテナに戻したりせねばならず、このために、筒状容器の上部を掴んで昇降及び水平動するピッキング装置が使用されている。このピッキング装置は、筒状容器の上部を四方から掴持する4本のクランプ体を備えており、各クランプ体は、隣り合った4本の筒状容器で囲われた空間に入るようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように、各クランプ体は、隣り合った4本の筒状容器で囲われた空間に入り込む寸法に設定しているが、コンテナへの筒状容器の格納効率を高くするために筒状容器は近接した状態でコンテナに格納されており、このため、クランプ装置やコンテナのごく僅かのずれにより、コンテナが取り出すべき筒状容器に隣接した筒状容器の外面に接触することがあり、このため、取り出すべきでない筒状容器が連れ上がってコンテナから抜け出てしまうという事故が度々発生していた。
【0007】
これを防止するには、筒状容器の格納ピッチを広げることが考えられるが、これでは筒状容器の格納効率が低下してしまう。また、クランプ体を細くすることも考えられるが、強度や掴み保持確実性の点からはクランプ体を細くすることには限度があり、現実的でない。
【0008】
本発明は、このような現状を改善することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
ところで、問題の本質は、目的とするワークに隣接したワークが連れ上がりすること自体ではなく、連れ上がったワークがコンテナから抜け出てしまって、内容物が散逸したり試料を紛失したりシステムの運転(稼働)が停止したりすることである。本願発明者はこのような着想に基づき、本願発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち本願発明に係るピッキング装置は、コンテナ類に並べて格納された多数のワーク群のうちの1つ又は複数のワークを上方に取り出しできる昇降自在なピッカーと、取り出すべきワークに隣接した他のワークが連れ上がりしてコンテナ類から抜き出されるのを防止する規制手段とを備えている。
【0011】
請求項2の発明において、前記ワークはバイアル瓶やミニチャーブのような試料封入用の筒状容器であって、従来と同様に、多数の筒状容器が縦横に整列し且つ上部を露出させた状態でコンテナに格納できるようになっている。そして、ピッカーは、隣り合った筒状容器の間の空間に向けて下降動してから目的とする筒状容器の上部を掴持する複数のクランプ体で構成されており、前記規制手段はプレート状に形成されている。
【0012】
【発明の作用・効果】
本発明によると、取り出し対象外のワークに連れ上がり作用が働いても、そのワークがコンテナ類から抜け出ることはない。このため、試料の紛失や内容物の散逸、或いはシステムの運転停止といった問題は発生しない。
【0013】
従って、ワークの格納効率を低下させたり、ピッカーの強度を低下させたりすることなく、ワークの連れ上がりに伴う問題を解消することができる。また、既存の設備に簡単に対応できる点でも優れている。
【0014】
【発明の実施形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、試料類を自動的に格納管理する自動倉庫システムに適用している。
【0015】
(1).試料類の格納・管理態様
まず、自動倉庫システムに使用される試料格納・管理手段について簡単に説明する。図1は、ワークの一例である筒状容器(封入容器)の具体例であるミニチューブ1と、これが収容される格納用コンテナ2との概略斜視図である。格納用コンテナ2は合成樹脂製であり、多数の単位収納穴3が縦横に整列して形成されている。
【0016】
格納用コンテナ2は、図2に示すような格納用トレー4に離脱不能に取付けられている。1つのの格納用トレー4に例えば6個程度の格納用コンテナ2が取付けられている。ミニチューブ1は蓋で封止されている。
【0017】
自動倉庫システムでは、試料類の格納・管理手段として、ミニチューブ1の他に、ブロック体に多数の試料収容穴を設けて収容穴の群を一つの蓋で塞いだ構造のディープウエルも使用できるが、本願発明とは関係ないのでこの点の説明は省略する。
【0018】
(2).自動倉庫システムの概要
次に、ミニチューブ1を自動的に入出庫して保管する自動倉庫システムの概要を、図3〜図5に基づいて説明する。図3は自動倉庫システムの全体の概略斜視図、図4は同じく自動倉庫システムの全体の概略平面図、図5はミニチューブ移載部の概略斜視図である。
【0019】
本実施形態の自動倉庫システムは、例えば図4に示すように、大きく分けて、格納エリア8と移載エリア9と入出庫作業エリア10とからなっている。格納エリア8は、2段の棚装置11を相対向して配置した棚ユニット12を2列並設している(1列又は3列以上でも良い)。各棚装置11には、格納用トレー4を1個又は複数個格納できる単位格納部が多段かつ多列に形成されている。
【0020】
相対向した棚装置11で挟まれた空間には、移載装置の一例としてのスタッカクレーン13が走行自在に配置されている。スタッカクレーン13は一対のレール14を走行する。
【0021】
移載エリア9は、各棚装置11に近接した配置された2段式の第1コンベヤ(仮置き棚)15の群と、第1コンベヤ15の外側に配置した昇降式のリザーバ16と、リザーバ16の外側に配置した上下2段ずつの第2コンベヤ17の群と、各棚ユニット12の箇所に位置した左右の第2コンベヤ17を接続する上下2段の第3コンベヤ18の群とを備えている。
【0022】
更に、第3コンベヤ18の群の外側には上下2段ずつの第4コンベヤ19が、更にその外側には第4コンベヤ19と同じ高さの上下2段の第5コンベヤ20が配置されており、第4コンベヤ19及び第5コンベヤ20の両端の外側にはリフト装置21を配置している。また、上下第5コンベヤ20の両端部の間の高さ位置でかつリフト装置21の近傍には、入出庫用コンベヤ22を配置している。
【0023】
入出庫作業エリア10のうち入出庫コンベヤ22の始端部近傍には、作業用台車23をセットするための受け継ぎ用ゲート装置24を設けている。また、受け継ぎ用ゲート装置24の箇所には入出庫用ロボット25を設置している。
【0024】
作業用台車23には、図5に示す作業用トレー26を多段かつ多列に積載することができ、作業用トレー26は、入出庫用ロボット25によって作業用台車23と入出庫用コンベヤ22とに移し換えられる。作業用トレー26には取って27を設けている。作業用トレー26には作業用コンテナ30が載せられており、ミニチューブ1は、この作業用コンテナ30によって作業者のもとに配送される。
【0025】
そして、図4にごく簡単に示すように、第4コンベヤ19と第3コンベヤ18との間に、ミニチューブ移載用のロボット31を配置している。本実施形態では、上段の第4コンベヤ19及び第3コンベヤ18の箇所にミニチューブ移載用のロボット31を配置している。
【0026】
ロボット31はピッキング装置を設けており、このピッキング装置が昇降動と水平動とを行うことにより、ミニチューブ1は格納用コンテナ2と作業用コンテナ30との間に移し替えられる。次に、図6以下の図面を参照してピッキング装置の詳細を説明する。
【0027】
(3).ピッキング装置の詳細(図6〜図11)
図6はピッキング装置の要部正面図、図7は図6の VII−VII視平断面図、図8は図6の VIII−VIII視平断面図、図9は図6のIX−IX視平断面図、図10は要部の拡大平面図、図11は動きを説明するための図である。
【0028】
図6に示すように、ピッキング装置33は、昇降動及びXY方向に水平動を行う移動ベース34を備えており、移動ベース34に昇降体35を上下動自在に取り付けている。
【0029】
昇降体35は上下に離反したガイド板36を備えており(図6では下部のガイド板だけを示してい)、上下ガイド板36の間に上下2枚(又は1枚)の作動板37を配置している。作動板37に鉛直方向に延びる主軸38が固定されており、この主軸38を図示しないアクチェータ(ロータリソレノイドやモータ等)で水平回転させることができる。
【0030】
図7に示すように、上下のガイド板36には、作動板37の回転中心から放射状に延びる4つのガイド穴39が形成されており、各ガイド溝39に作動軸40がそれぞれ摺動可能に嵌まっている。他方、作動板37には、作動軸40が摺動可能に嵌まる作動穴41が形成されている。
【0031】
作動穴41は、平面視でガイド穴39と非直角状に交差する長穴になっている。このため、作動板37が水平旋回すると、各作動軸40は作動穴41の押圧作用を受けて、ガイド穴39に沿って半径方向に一斉に移動する。
【0032】
各作動軸40の下端部は下部のガイド板36から下方に露出しており、各作動軸40の下端部に、ホルダー42を介して棒状のクランプ体(ピッカー)43をを取り付けている。4本のクランプ体43の間隔は、コンテナ4(26)における収納穴3のピッチに対応しており、互いの間隔を広げた状態で下降すると、クランプ体43は隣り合ったミニチューブ1の間の空間に入り込み得る。
【0033】
各作動軸40の間隔を広げた状態でクランプ体43の群を下限まで下降させてから、作動板37を水平回転させて各作動軸40を半径内側に移動させると、各クランプ体43も互いの間隔が狭まるように移動し、これにより、4本のクランプ体43でミニチューブ1の上部を掴持することができる。
【0034】
その状態でクランプ体43を上昇させることにより、ミニチューブ1をピックアップすることができる。コンテナ2,30への格納は逆の手順で行われる。なお、ピッキング機構は特許文献1に詳細に記載されている。
【0035】
移動ベース34の下端には、規制手段の一例としてのストッパー板44を固定している。ストッパー板44はクランプ体43の昇降路を横切るように延びており、かつ、クランプ体43の群が昇降することを許容する通過穴45が空いている。
【0036】
図9や図10に示すように、ストッパー板44の通過穴45は、取り出し対象の1本のミニチューブ1だけが昇降してその周囲のミニチューブ1の群に対しては平面視で部分的に重なる大きさ及び形状に設定されている。また、ストッパー板44は、移動ベース34を下降させた状態で、ミニチューブ1をコンテナ2,30から抜き出しできない高さに設定されている。
【0037】
移動ベース34には、クランプ体43で抜き出されたミニチューブ1の下部を掴持する一対の補助クランプ46を設けている。これら補助クランプ46は2本のガイド軸47に接近・離反自在に装着されており、かつ、一方のガイド軸47に被嵌したばね48で接近する方向に押されている。
【0038】
これらの補助クランプ46は、移動ベース34に設けたアクチャータ(例えばノータリソレノイドやモータ)49にて接近・離反動させることができる(ミニチューブ1のクランプはばね48の力を利用して行われる)。
【0039】
なお、ミニチューブ1の取り出しは、移動ベース34の下降、クランプ体43の下降、クランプ体43によるミニチューブ1のクランプ、クランプ体43の上昇、補助クランプ46によるミニチューブ1の下部のクランプという手順で行われ、その状態で移動ベース34が水平移動する(移動ベース34は更に上昇させてから水平移動させても良い)。
【0040】
以上の説明から既に理解できるように、4本のクランプ体43で目的とするミニチューブ1をクランプして持ち上げるに際して、クランプ体43が触れることによって他のミニチューブ1が連れ上がりしても、その連れ上がりしたミニチューブ1はストッパー板44によってコンテナ2,30からの抜けが阻止される。
【0041】
そして、連れ上がりしたミニチューブ1は、クランプ体43の接触が解除されると自重でコンテナ2,30の収納穴3に落下する。このため、目的外のミニチューブ1がコンテナ2,30から抜け出ることに起因した様々の問題は全く生じない。
【0042】
本実施形態のように規制手段としてストッパー板44を使用すると、構造がごく簡単になる利点がある。
【0043】
(4).その他
本発明は図示した実施形態の他にも様々に具体化することができる。例えば規制手段は線材製としたり合成樹脂製としたりすることも可能である。ばねを使用して、ワークがコンテナから全く連れ上がりしないようにすることも可能である。更に、ワークの種類によって、エアを吹きつけて連れ上がりを防止するようなことも可能である。
【0044】
また、ピッカーは、ワークを外側から掴持するクランプ方式には限らず、真空吸着コレットや磁石を利用したピッキング方式など、ワークの種類等に応じて様々のものを使用することができる。一度に複数のワークをピッキングできるものにも適用できる。
【0045】
なお、本願発明では、ワークにピッカー触れて連れ上がりすることによるコンテナからの離脱を防止できるのみでなく、ワーク同士が接触することによって目的外ワークがコンテナから離脱することも防止できる。また、本願発明は、様々の態様のワーク(物品)に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ミニチューブとコンテナとの斜視図である。
【図2】保管用コンテナを保管用トレーに装着した状態の断面図である。
【図3】自動倉庫システムの全体の概略斜視図である。
【図4】自動倉庫システムの全体の概略平面図である。
【図5】ミニチューブの移し換え状態を示す概略斜視図である。
【図6】ピッキング装置の要部正面図である。
【図7】図6の VII−VII視平断面図である。
【図8】図6の VIII−VIII視平断面図である。
【図9】図6のIX−IX視平断面図である。
【図10】要部の拡大平面図である。
【図11】図11は動きを説明するための図で、(A)はピッキングしている状態の正面図、(B)は補助クランプで掴持している状態の平断面図である。
【符号の簡単な説明】
1 ワークの一例としてのミニチューブ
2 格納用コンテナ
8 自動倉庫システムの格納エリア
9 自動倉庫システムの移載エリア
10 自動倉庫システムの入出庫作業エリア
23 作業用台車
26 作業用トレー
30 作業用コンテナ
31 ミニチューブ移載用ロボット
33 ピッキング装置
34 移動ベース
43 クランプ体
44 規制手段の一例としてのストッパー板
45 通過穴
46 補助クランプ
Claims (2)
- コンテナ類に並べて格納された多数のワーク群のうちの1つ又は複数のワークを上方に取り出しできる昇降自在なピッカーと、取り出すべきワークに隣接した他のワークが連れ上がりしてコンテナ類から抜き出されるのを防止する規制手段とを備えている、
ワークのピッキング装置。 - 前記ワークはバイアル瓶やミニチャーブのような試料封入用の筒状容器であって、多数の筒状容器が縦横に整列し且つ上部を露出させた状態でコンテナに格納できるようになっている一方、
前記ピッカーは、隣り合った筒状容器の間の空間に向けて下降動してから目的とする筒状容器の上部を掴持する複数のクランプ体で構成されており、前記規制手段はプレート状に形成されている、
請求項1に記載したワークのピッキング装置。
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