JP2005013881A - フリーハンマ部材及びチッパ - Google Patents
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Abstract
【課題】被処理物を確実に破砕または切断することができるフリーハンマ部材、及びチッパを得る。
【解決手段】フリーハンマ10は、貫通孔18が形成された一端部が装置回転中心線と平行な軸線廻りの回転自在に支持されるアーム部12と、アーム部12の他端部に該アーム部12から上記軸線方向に張り出した部分を含んで設けられたハンマヘッド部16とで構成されている。アーム部が回転自在に支持される上記軸線が装置回転中心線廻りに公転すると、この回転力でハンマヘッド部16が被処理物を破砕または切断する。
【選択図】 図1
【解決手段】フリーハンマ10は、貫通孔18が形成された一端部が装置回転中心線と平行な軸線廻りの回転自在に支持されるアーム部12と、アーム部12の他端部に該アーム部12から上記軸線方向に張り出した部分を含んで設けられたハンマヘッド部16とで構成されている。アーム部が回転自在に支持される上記軸線が装置回転中心線廻りに公転すると、この回転力でハンマヘッド部16が被処理物を破砕または切断する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸廻りの回転によって付与された回転力で樹木の剪定枝等の被処理物を破砕または切断するためのフリーハンマ部材、及び該フリーハンマ部材を適用したチッパに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、果樹剪定小枝やタバコ残幹(幹・根)、樹木の剪定小枝、製材の屑材、間伐材等の被処理物を細断(粉砕、切断)処理するために、チッパと呼ばれる細断装置が用いられている。チッパを用いて被処理物を破砕または切断して得た細断処理物は、例えば、有機肥料の原料として利用される。
【0003】
このようなチッパとして、切削刃としてのフリーハンマを備えた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の農用小型チッパーでは、図5に示される如きフリーハンマ機構100を備えている。具体的に説明すると、フリーハンマ機構100は、装置の作動によって軸線廻りに回転する回転軸102を備えており、回転軸102には該回転軸102と同軸的かつ一体に回転する円板状の支持金104が軸線方向に離間して複数設けられている。各支持金104間には、回転軸102と平行な4本の支軸106が周方向に等間隔に架け渡されている。各支軸106は、それぞれ回転軸102の軸心を中心とする同一円周上に位置している。
【0004】
各支軸106には、複数のフリーハンマ108が軸支されている。図6に示される如く、フリーハンマ108は、略矩形平板状に形成されており、その基端部を板厚方向に貫通した貫通孔108Aと、先端部における幅方向両端部を尖鋭した刃部108Bとを有している。フリーハンマ108は、その貫通孔108Aに支軸106を遊嵌させることで、該支軸106の廻りに回転自在に軸支されている。これにより、フリーハンマ機構100では、回転軸102が回転して支軸106が回転軸102廻りに公転すると、フリーハンマ108が遠心力によって長手方向を回転軸102の径方向に一致させるようにして刃部108Bを支持金104の外縁から突出させ、該刃部108Bと図示しない固定刃とによって被処理物を破砕または切断するようになっている。
【0005】
また、各支軸106には、それぞれ複数のフリーハンマ108が軸線方向に等間隔に配置されている。すなわち、図7に示される如く、支軸106には、フリーハンマ108とスペーサ110とが交互に遊嵌されている。スペーサ110の長さは、フリーハンマ108の板厚(例えば、略9mm)とほぼ同等とされている。そして、周方向に隣り合う支軸106同士では、フリーハンマ108とスペーサ110の配置が入れ替えられることで、1つのフリーハンマ108は、その軸支された支軸106と隣り合う支軸106に支持されたフリーハンマ108間の隙間(スペーサ110)に対応する軸線方向の位置に位置している。これにより、固定刃とフリーハンマ108間の隙間との間に位置する被処理物が、該固定刃に次に近接するフリーハンマ108によって破砕または切断されるようになっている。
【0006】
【特許文献1】
実開昭54−152395号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の如き従来のフリーハンマ機構100を備えたチッパでは、フリーハンマ108が平板状に形成されていたため、例えば被処理物として細長い小枝等が投入された場合に、該被処理物がフリーハンマ108の横をかすめる(被処理物が支軸106の軸線方向に逃げる)ことが繰り返され、該被処理物が細かく細断(チップ)されずに長いままで排出されることがあった。この対策として、フリーハンマ108を厚肉化すると、装置全体として重量化すると共に刃部108B以外の部分が被処理物と干渉することとなり、エネルギ消費量が増加する原因となる。
【0008】
本発明は、上記事実を考慮して、被処理物を確実に破砕または切断することができるフリーハンマ部材、及びチッパを得ることが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係るフリーハンマ部材は、一端部が装置回転中心線と平行な軸線廻りに回転自在に支持されるアーム部と、前記アーム部の他端部に該アーム部から前記軸線方向に張り出した部分を含んで設けられ、前記軸線の前記中心線廻りの公転によって被処理物を破砕または切断するためのハンマヘッド部と、を備えている。
【0010】
請求項1記載のフリーハンマ部材は、アーム部の一端部が装置回転中心と平行な軸線廻りに回転自在に支持されて使用される。装置が作動すると、アーム部の他端部が遠心力によって回転軸の径方向外側を向き、該アーム部の他端部に形成されたハンマヘッド部が被処理物を破砕または切断する。
【0011】
ここで、ハンマヘッド部がアーム部から上記軸線方向に張り出した部分を含んで構成されているため、被処理物に当接してこれを破砕または切断する範囲が回転軸線方向に広い。このため、例えば、細い枝等の被処理物が回転軸線方向に逃げることを防止して、該被処理物を破砕または切断することが可能となる。
【0012】
このように、請求項1記載のフリーハンマ部材は、被処理物を確実に破砕または切断することができる。
【0013】
また、ハンマヘッド部の上記破砕または切断範囲を広げるためにアーム部(すなわちフリーハンマ部材全体)を回転軸線方向に厚肉化等する必要がないため、該アーム部が被処理物に干渉して回転抵抗を増加させることがなく、装置の消費エネルギの増加を防止また抑止することができる。さらに、本フリーハンマ部材は、ハンマヘッド部がアーム部から張り出した部分を含むことで、重心がハンマヘッド部側に位置する。このため、同じ重量の(複数の)従来のフリーハンマと比較して、慣性力すなわち破砕または切断力を大きくすることができる。
【0014】
請求項2記載の発明に係るフリーハンマ部材は、請求項1記載のフリーハンマ部材において、前記アーム部は、それぞれ一端部が軸線廻りに回転自在に支持されると共に該軸線方向に互いに離間して設けられた複数のアーム片にて構成され、前記ハンマヘッド部は、前記複数のアーム片間に張り出して該複数のアーム片の他端部を連結している、ことを特徴としている。
【0015】
請求項2記載のフリーハンマ部材は、それぞれ一端部が回転自在に支持される複数のアーム片によってアーム部が構成されており、隣り合うアーム片の他端部間は、それぞれハンマヘッド部における該アーム片間に張り出す部分によって連結されている。すなわち、ハンマヘッド部は、各アーム片の他端部と該他端部間に位置する部分とを含んで構成されており、その剛性が高い。このため、フリーハンマ部材は、ハンマヘッド部の変形が抑制されて被処理物を一層確実に破砕または切断する。
【0016】
請求項3記載の発明に係るフリーハンマ部材は、請求項2記載のフリーハンマ部材において、前記アーム部は、互いに平行な平板状に形成された一対のアーム片にて構成されている、ことを特徴としている。
【0017】
請求項3記載のフリーハンマ部材は、それぞれ平板状に形成された一対のアーム片より成るアーム部と、一対のアーム片の他端部間を架け渡して形成されたハンマヘッド部とで、全体として「コ」または「Π」字状に形成されている。このため、製造が容易であり、また支持される軸線方向に徒に大きくなることがないため、例えば、軸線方向に複数並列に配置される場合に、数の調整によって各種装置寸法に対応することが容易であり、本フリーハンマ部材の汎用性が高い。
【0018】
請求項4記載の発明に係るフリーハンマ部材は、請求項1乃至請求項3の何れか1項記載のフリーハンマ部材において、前記アーム部とハンマヘッド部とを金属材にて一体に形成し、かつ前記ハンマヘッド部にのみ硬化熱処理を施した、ことを特徴としている。
【0019】
請求項4記載のフリーハンマ部材は、金属材にてアーム部(アーム片)とハンマヘッド部とが一体に形成され、さらにハンマヘッド部のみが硬化熱処理を施されて構成されている。このため、ハンマヘッド部の硬度が高くより一層確実に被処理物を破砕または切断することができる。一方、アーム部は硬化されていないため、該アーム部が装置の支持部分(例えば、アーム部の貫通孔に挿通される支軸やアーム部から突設した軸を支持する軸受等)を攻撃して摩耗させたりする恐れがない。
【0020】
また、上記目的を達成するために請求項5記載の発明に係るチッパは、機台に対し軸心廻りに回転自在に支持された回転軸と、前記回転軸と平行に配置されると共に請求項1乃至請求項4の何れか1項記載のフリーハンマ部材のアーム部の一端部を回転自在に支持し、前記回転軸の回転に伴って該回転軸の軸心廻りに公転する支軸と、前記機台における前記ハンマヘッド部の公転軌跡の径方向外側近傍に配置された固定刃と、を備えている。
【0021】
請求項5記載のチッパでは、作動して回転軸が回転すると、支軸が回転軸と平行な状態を維持しつつ該回転軸廻りに公転する。この公転に伴い、支軸に回転自在に支持されたフリーハンマ部材は、そのアーム部の他端部が遠心力によって回転軸の径方向外側を向き、該アーム部の他端部に形成されたハンマヘッド部が固定刃との間で被処理物を破砕または切断する。
【0022】
ここで、請求項1乃至請求項4の何れか1項記載のフリーハンマ部材を備えているため、該フリーハンマ部材が固定刃との間で被処理物を確実に破砕または切断する。すなわち、ハンマヘッド部は、アーム部から支軸の軸線方向に張り出した部分を含んで構成されているため、被処理物に当接してこれを破砕または切断する範囲が回転軸線方向に広く、例えば細い枝等の被処理物が回転軸線方向に逃げることを防止して、該被処理物を破砕または切断することが可能となる。
【0023】
このように、請求項5記載のチッパでは、被処理物を確実に破砕または切断することができる。
【0024】
また、本チッパでは、フリーハンマ部材のアーム部を回転軸線方向に厚肉化等する必要がないため、該アーム部が被処理物に干渉して回転抵抗を増加させることがなく、消費エネルギの増加が防止される。さらに、ハンマヘッド部がアーム部から張り出した部分を含むことで、フリーハンマ部材の重心がハンマヘッド部側に位置するため、同じ重量の(複数の)従来のフリーハンマを用いたチッパと比較して、慣性力すなわち破砕または切断力を大きくすることができる。
【0025】
なお、本チッパが複数のフリーハンマ部材を備える場合において、該複数のフリーハンマ部材のうち、少なくとも一部が請求項1乃至請求項4の何れか1項記載のフリーハンマ部材であれば足りることは言うまでもない。したがって、例えば、本チッパが請求項1乃至請求項4の何れか1項記載のフリーハンマ部材と、従来のフリーハンマとを共に備えて構成されても良い。
【0026】
請求項6記載の発明に係るチッパは、請求項5記載のチッパにおいて、前記支軸を前記回転軸と同心の円周上に複数設けると共に、該各支軸に軸線方向に離間した複数の前記フリーハンマ部材を回転自在に支持させ、前記ハンマヘッド部を、前記円周の周方向に隣接する支軸が支持する前記フリーハンマ部材間の隙間を軸線方向に跨ぐように配置した、ことを特徴としている。
【0027】
請求項6記載のチッパでは、周方向に沿って複数の支軸が設けられており、かつ各支軸がそれぞれ複数のフリーハンマ部材を軸線方向に離間させつつ回転自在に支持している。そして、少なくとも1つのフリーハンマ部材(好ましくは、軸線方向の両端位置する一部のフリーハンマ部材を除く全てのフリーハンマ部材)のハンマヘッド部が、その軸支されている支軸と周方向に隣り合う別の支軸に支持されているフリーハンマ部材間の隙間を該支軸の軸線方向に跨ぐようにして位置している。すなわち、上記ハンマヘッド部が、上記隙間の両側にそれぞれ位置するフリーハンマ部材のハンマヘッド部と、それぞれ支軸の軸線方向にオーバーラップしている。
【0028】
これにより、例えば、ある回転位置において細い枝等である被処理物がフリーハンマ間の隙間に位置して破砕または切断されなくても、次に固定刃に近接するフリーハンマ部材のハンマヘッド部が該隙間に位置する被処理物を軸線方向に逃すことなく確実に破砕または切断する。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係るフリーハンマ部材であるフリーハンマ10、及び該フリーハンマ10が適用されたチッパ30について、図1乃至図4に基づいて説明する。
【0030】
(フリーハンマの構成)
図1には、フリーハンマ10が斜視図にて示されている。この図に示される如く、フリーハンマ10はアーム部12を備えており、アーム部12は互いに対向する一対のアーム片14にて構成されている。各アーム片14は、側面視で略矩形の平板状に形成されている。また、フリーハンマ10は、各アーム片14の先端を架け渡して連結するハンマヘッド部16を備えており、全体として略「コ」字状に形成されている。
【0031】
各アーム片14の基端部には、それぞれ板厚方向に貫通する円形状の貫通孔18が形成されている。各貫通孔18は、互いに略同軸同径とされており、それぞれ後述するチッパ30の支軸56に遊嵌されるようになっている。また、各アーム片14の基端側からハンマヘッド部16の先端に至る幅方向の両側部には、それぞれ円弧面状の凹部20が形成されている。
【0032】
これにより、ハンマヘッド部16の先端は、幅方向の両側が尖鋭されて形成されたエッジ22とされている。なお、エッジ22(凹部20)は、後述する回転軸52の回転方向(図4に示す矢印C方向)に対応して一方側にのみ設けられても良いが、両側に設けることで組付方向の別がなくなり組付作業が容易となる(組付ミスが排除される)と共に、矢印C側のエッジ22が摩耗した場合に反対側のエッジ22に組み替えることでフリーハンマ10の刃物としての寿命を伸ばすことが可能な構成とされている。また、ハンマヘッド部16は、側面視で幅方向中央部を頂部とする緩やかな山形に形成されている。
【0033】
以上説明したフリーハンマ10は、鋼等の金属材より成り、ハンマヘッド部16にのみ焼入れ等の硬化熱処理が施されている。
【0034】
(チッパの構成)
図4には、チッパ30の該略全体構成が側断面図にて示されている。なお、便宜上、この図に矢印Aにて示される紙面右側を前側とし、矢印Aに直交する紙面直角方向を装置幅方向として説明することとする。
【0035】
図4に示される如く、チッパ30は機台32を備えている。機台32には、図示しないエンジンまたはモータ等の駆動源が設置されている。また、機台32上には、装置本体34が固定的に取り付けられている。装置本体34は箱状に形成されており、その内部には前側に位置する供給室36と供給室36に連続する細断室38とが形成されている。
【0036】
また、装置本体34の前端部には、剪定枝等の被処理物Sを供給室36に供給するためのダクト状の供給樋40が取り付けられている。すなわち、供給室36は、供給樋40を介して外部と連通されている。さらに、供給室36内には、送りロール42が配設されている。送りロール42は、装置幅方向に沿って長手とされたロール軸42Aと、ロール軸42Aの外周部に供給室36の略全幅に亘りかつ周方向に等間隔に設けられた複数の送り突起42Bとで構成されている。
【0037】
この送りロール42は、上記駆動源の動力が図示しない回転伝達機構を介してロール軸42A伝達されて、比較的低速度で矢印B方向に回転するようになっている。これにより、送りロール42の送り突起42Bと、供給樋40の底面に沿った供給室36の底面36Aとの隙間Gに供給された被処理物Sを細断室38に送り出すようになっている。
【0038】
さらに、装置本体34には、その細断室38の後端から下部に亘り開口する排出口44が形成されており、排出口44は側断面視で円弧状に形成された胴板46にて覆われている。胴板46には多数の透孔46Aが設けられており、該透孔46Aから細断処理物Sc(細断後の被処理物S)を細断室38外に排出するようになっている。また、装置本体34における後部から下部に至る外面には排出樋47が取り付けられており、胴板46の透孔46Aすなわち排出口44から排出される細断処理物を所望の排出方向に案内するようになっている。
【0039】
また、装置本体34には、供給室36の底面36Aと細断室38の底部を規定する胴板46の前端部との間に立壁状の段部34Aが形成されている。段部34Aの内面(細断室38側)には、固定刃48が取り付けられている。固定刃48の上端は底面36Aと略一致している。
【0040】
そして、以上説明した装置本体34の細断室38内には、フリーハンマ機構50が設けられている。
【0041】
フリーハンマ機構50は、軸線方向を装置幅方向に一致させた回転軸52を備えている。この回転軸52は、装置本体34の左右の側壁をそれぞれ貫通して図示しない軸受によって回転自在に支持されており、図示しない回転伝達機構を介して上記駆動源の駆動力が伝達されるように構成されている。
【0042】
図2に示される如く、回転軸52には、軸線方向に等間隔に配置された複数(本実施の形態では3つ)の軸支持板54が固定的に取り付けられている。各軸支持板54は、それぞれ円板状に形成されており、回転軸52と常に一体かつ同軸的に回転する構成である。装置幅方向の両端に位置する各軸支持板54は、それぞれ上記装置本体34の左右の側壁の内面近傍に位置している。
【0043】
各軸支持板54の外周近傍部分には、軸支持板54(回転軸52)と同軸的な仮想同一円周上で周方向に等間隔に配置された複数(本実施の形態では4本)の支軸56が回転軸52と平行に架け渡されて固定されている。本実施の形態では、装置幅方向の中央に位置する軸支持板54の両側で、該軸支持板54の周方向における各支軸56の位相が45°(周方向に隣り合う支軸56間の角の半分)だけずらされている。各支軸56は、回転軸52が回転すると該回転軸52の軸心廻りに公転する構成である。回転軸52は、高速度で回転駆動されるようになっている。
【0044】
各支軸56は、それぞれ複数のフリーハンマ10を該各支軸56廻りの回転自在に軸支している。具体的には、各支軸56は、軸支持板54の周方向に交互に2つまたは3つのフリーハンマ10を、ぞれぞれの貫通孔18に遊嵌状態で挿通されて回転自在に軸支している。各フリーハンマ10間及びフリーハンマ10と軸支持板54との間には、それぞれ支軸56を挿通させたリング状または筒状のスペーサ58が配設されており、各フリーハンマ10の支軸56の軸線方向への位置ズレを規制している。
【0045】
ここで、各支軸56及びフリーハンマ10を区別する必要があるときは、フリーハンマ10を2つだけ軸支している支軸56を支軸56Aといい、該支軸56Aに軸支されている各フリーハンマ10をそれぞれフリーハンマ10Aということとする。また、フリーハンマ10を3つだけ軸支している支軸56を支軸56Bといい、該支軸56Bに軸支されている各フリーハンマ10のうち中央に位置するフリーハンマ10をフリーハンマ10B、残余のフリーハンマ10をそれぞれフリーハンマ10Cということとする。
【0046】
そして、フリーハンマ機構50では、図3に示される如く、フリーハンマ10A間に隙間C1が形成されると共に、各フリーハンマ10Aと対応する軸支持板54との間にそれぞれ隙間C2が形成されている。一方、フリーハンマ10Bとフリーハンマ10Cとの間にそれぞれ隙間C3が形成されると共に、各フリーハンマ10Cと対応する軸支持板54との間にそれぞれ隙間C4が形成されている。
【0047】
各フリーハンマ10Aは、それぞれのハンマヘッド部16が、共通の支軸56Bに軸支されたフリーハンマ10B、10Cの各ハンマヘッド部16と、それぞれ軸線方向(装置幅方向)にオーバーラップするように位置している。また、各フリーハンマ10Bは、それぞれのハンマヘッド部16が、共通の支軸56Aに軸支された2つのフリーハンマ10Aの各ハンマヘッド部16と、それぞれ軸線方向にオーバーラップするように位置している。
【0048】
すなわち、フリーハンマ10のハンマヘッド部16の装置幅方向(アーム片14の厚み方向)における長さは、その軸支された支軸56と周方向に隣り合う支軸56に軸支されているフリーハンマ10間の隙間(隙間C1または隙間C3)よりも大とされており、かつ該ハンマヘッド部16が隙間を跨ぐように配置されている。さらに別言すれば、ハンマヘッド部16は、その回転軸52廻りの公転軌跡が、その跨ぐ隙間の公転軌跡に対し装置幅方向両側に張り出すように構成されている。
【0049】
また、本実施の形態では、各フリーハンマ10Cのハンマヘッド部16がそれぞれフリーハンマ10Aのハンマヘッド部16と軸線方向にオーバーラップしており、各フリーハンマ10Cのハンマヘッド部16の公転軌跡が隙間C2の公転軌跡に張り出すようになっている。そして、各フリーハンマ10Cと軸支持板54との隙間C4は、極力小さく設定されている。
【0050】
なお、各フリーハンマ10A、10B、10Cのハンマヘッド部16の装置幅方向における長さは互いに等しくても良く、異なっても良い(図2及び図3では互いに異なるものとして図示している)。また、各隙間C1、C2、C3、C4(各スペーサ58の軸線方向寸法)についても、これらの全部または一部が等しくても良く、全て異なっても良い。
【0051】
以上説明した各フリーハンマ10は、上記の通り、それぞれ支軸56廻りに回転(自転)自在とされていることにより、各支軸56が上記の如く公転すると、遠心力によってハンマヘッド部16が軸支持板54の外縁よりも径方向外側に突出してエッジ22がその円軌道の公転軌跡における接線方向を向くようになっている(図4参照)。そして、フリーハンマ機構50は、その回転軸52の回転方向が図4に矢印Cで示される方向とされており、高速で回転(公転)するフリーハンマ10のハンマヘッド部16(エッジ22)と固定刃48との間で被処理物Sを細断して細断処理物Scにする構成とされている。
【0052】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0053】
上記構成のフリーハンマ10を備えたチッパ30では、作動すると駆動源の駆動力がそれぞれロール軸42A、回転軸52に伝達される。すると、送りロール42が矢印B方向に回転すると共に、フリーハンマ機構50が矢印C方向に回転する。フリーハンマ機構50では、図4に想像線にて示す如く重力によって下方を向いていた各フリーハンマ10が、図4に実線にて示す如く遠心力によってアーム部12の長手方向を回転軸52の径方向に一致させてハンマヘッド部16を軸支持板54の外縁から突出させつつ矢印C方向に公転する。
【0054】
この状態で供給樋40に剪定枝等の比較的長尺の被処理物Sが投入されると、該被処理物Sは、矢印B方向に回転している送りロール42によって、その先端から細断室38に順次送り出される。このとき、フリーハンマ機構50が矢印C方向に高速回転しているため、被処理物Sは、細断室38に送り出されながら、矢印C方向の回転によって固定刃48に近接してくるフリーハンマ10のハンマヘッド部16(エッジ22)と該固定刃48と間で、その先端から順次破砕または切断される。すなわち、被処理物がフリーハンマ10の回転力によって破砕または切断される。
【0055】
このようにして連続的に投入される被処理物Sは、細断されて細断処理物Scとされ、排出口44を覆う胴板46の透孔46Aから排出され、排出樋47の案内されつつ所定箇所に堆積される。細断処理物Scは、例えば堆肥の原料等として有効利用される。
【0056】
ここで、フリーハンマ10は、アーム部12を構成する一対のアーム片14間に張り出すハンマヘッド部16を有しているため、該ハンマヘッド部16における被処理物Sに当接してこれを破砕または切断する範囲が装置幅方向に広い。これにより、フリーハンマ機構50では、ハンマヘッド部16の幅を隣り合う支軸56に支持されたフリーハンマ10間の隙間よりも大きくすることができ、かつ該ハンマヘッド部16が上記隙間を跨ぐ(隙間両側のハンマヘッド部16とオーバーラップする)構成が実現された。
【0057】
このため、例えば固定刃48上の被処理物Sがフリーハンマ10A間の隙間C1に位置して該フリーハンマ10Aによって破砕または切断されなくても、この被処理物Sは、次に固定刃48に近接するフリーハンマ10Bによって確実に破砕または切断される。同様に、隙間C3に位置してフリーハンマ10B、10Cによって破砕または切断されなかった被処理物Sは、フリーハンマ10Aによって確実に破砕または切断される。したがって、剪定枝等の比較的長尺の被処理物Sが長いままの状態でチッパ30から排出されてしまうことが防止される。
【0058】
このように、本実施の形態に係るフリーハンマ10は、チッパ30に適用されて被処理物Sを確実に破砕または切断することができる。換言すれば、フリーハンマ10を適用したチッパ30では、被処理物Sを確実に破砕または切断することができる。
【0059】
また、ハンマヘッド部16がアーム片14の厚み方向に張り出したフリーハンマ10では、ハンマヘッドの装置幅方向における長さ(肉厚)を大きくするためにアーム部12(各アーム片14)を厚肉化する必要がないため、該アーム部12が被処理物Sに干渉して回転抵抗を増加させることがない。このため、チッパ30では、消費エネルギの増加を防止また抑止されている。
【0060】
さらに、フリーハンマ10は、ハンマヘッド部16をアーム部12から張り出して形成することで、その重心が先端に位置するハンマヘッド部16側に位置する。このため、同じ重量の従来の(複数の)フリーハンマと比較して、チッパ30(フリーハンマ機構50)の慣性力すなわち破砕または切断力を大きくすることができる。
【0061】
さらにまた、フリーハンマ10は、アーム片14がハンマヘッド部16の両端に位置してハンマヘッド部16は装置幅方向(支軸56の軸線方向)に自由端がない(片持ちされない)。このため、ハンマヘッド部16は、剛性が高く、変形が抑制されて被処理物を一層確実に破砕または切断する。
【0062】
また、フリーハンマ10は、一対のアーム片14がアーム部12を構成して略「コ」字状に形成されているため、上記各効果を得るための形状が簡単で製作が容易である。また、フリーハンマ10(ハンマヘッド部16)は、3つ以上のアーム片14を有する構成のように全体として大幅に厚肉化されることがないため、その支持される個数の調整によって各種寸法の支軸56(装置本体34の幅)に容易に対応することができ、汎用性が高い。換言すれば、フリーハンマ10は、その装置幅方向における長さ(肉厚)がチッパ30の設計(の自由度)に与える制約が小さい。
【0063】
さらに、フリーハンマ10は、ハンマヘッド部16のみが硬化熱処理を施されて構成されているため、ハンマヘッド部16の硬度が高く、より一層確実に被処理物Sを破砕または切断することができる。一方、アーム部12は硬化されていないため、支軸56に対し回転する各アーム片14が貫通孔18の縁部によって該支軸56を攻撃して摩耗させたりする恐れがない。
【0064】
なお、上記の実施の形態では、フリーハンマ10が一対のアーム片14と各アーム片14を連結するハンマヘッド部16とで略「コ」字状に形成された好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、フリーハンマ10は、単一のアーム片14とハンマヘッド部16とで略「L」字状や略「T」字状に形成されても良く、3つのアーム片14とハンマヘッド部16とで略「E」字状に形成されても良く、一対のアーム片14の外側にハンマヘッド部16が張り出す「Π」字状等に形成されても良い。また、アーム部12を構成する1つまたは複数のアーム片14は、平板状に形成される構成に限定されることはなく、例えば円断面や角断面、中空等の棒状等に形成されても良く、複数のアーム片14が基端部において互いに連結されても良い。
【0065】
また、上記の実施の形態では、チッパ30のフリーハンマ機構50を構成するフリーハンマが全てフリーハンマ10である好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、フリーハンマ機構50(チッパ30)がフリーハンマ10と従来のフリーハンマ108とを混在させて構成されても良い。また、上記の如き略「L」字状、略「T」字状、略「E」字状、「Π」字状等、及び「コ」字状の各種フリーハンマ10の一部または全部を適宜混在させてフリーハンマ機構50を構成しても良い。
【0066】
さらに、本発明は、上記の実施の形態におけるフリーハンマ機構50の軸支持板54や支軸56の数、配置等に限定されることはない。したがって例えば、支軸56を周方向に1つだけ設けてフリーハンマ機構50を構成しても良い。また、フリーハンマ機構50では、各支軸56が複数のフリーハンマ10を軸支する好ましい構成に限定されることはなく、例えば、一部または全部の支軸56が1つのフリーハンマ10を軸支する構成としても良い。以上により、本発明は、各フリーハンマ10Aとフリーハンマ10B、10Cとがオーバーラップする好ましい構成に限定されることもない。
【0067】
さらにまた、上記の実施の形態では、チッパ30が独立した細断装置である構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、チッパ30が前処理装置として堆肥製造装置等の他の装置に組み込まれていても良い。また、チッパ30にて細断処理される被処理物Sが剪定枝に限定されないことは言うまでもない。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るフリーハンマ部材、及び該フリーハンマ部材を適用したチッパは、被処理物を確実に破砕または切断することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るフリーハンマの斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るフリーハンマが適用されたフリーハンマ機構の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るフリーハンマのフリーハンマ機構における配置を示す拡大図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るフリーハンマが適用されたチッパの側断面図である。
【図5】従来のフリーハンマを備えたフリーハンマ機構の斜視図である。
【図6】従来のフリーハンマの斜視図である。
【図7】従来のフリーハンマのフリーハンマ機構における配置を示す拡大図である。
【符号の説明】
10 フリーハンマ(フリーハンマ部材)
12 アーム部
14 アーム片
16 ハンマヘッド(ハンマヘッド部)
30 チッパ
48 固定刃
52 回転軸
56 支軸
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸廻りの回転によって付与された回転力で樹木の剪定枝等の被処理物を破砕または切断するためのフリーハンマ部材、及び該フリーハンマ部材を適用したチッパに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、果樹剪定小枝やタバコ残幹(幹・根)、樹木の剪定小枝、製材の屑材、間伐材等の被処理物を細断(粉砕、切断)処理するために、チッパと呼ばれる細断装置が用いられている。チッパを用いて被処理物を破砕または切断して得た細断処理物は、例えば、有機肥料の原料として利用される。
【0003】
このようなチッパとして、切削刃としてのフリーハンマを備えた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の農用小型チッパーでは、図5に示される如きフリーハンマ機構100を備えている。具体的に説明すると、フリーハンマ機構100は、装置の作動によって軸線廻りに回転する回転軸102を備えており、回転軸102には該回転軸102と同軸的かつ一体に回転する円板状の支持金104が軸線方向に離間して複数設けられている。各支持金104間には、回転軸102と平行な4本の支軸106が周方向に等間隔に架け渡されている。各支軸106は、それぞれ回転軸102の軸心を中心とする同一円周上に位置している。
【0004】
各支軸106には、複数のフリーハンマ108が軸支されている。図6に示される如く、フリーハンマ108は、略矩形平板状に形成されており、その基端部を板厚方向に貫通した貫通孔108Aと、先端部における幅方向両端部を尖鋭した刃部108Bとを有している。フリーハンマ108は、その貫通孔108Aに支軸106を遊嵌させることで、該支軸106の廻りに回転自在に軸支されている。これにより、フリーハンマ機構100では、回転軸102が回転して支軸106が回転軸102廻りに公転すると、フリーハンマ108が遠心力によって長手方向を回転軸102の径方向に一致させるようにして刃部108Bを支持金104の外縁から突出させ、該刃部108Bと図示しない固定刃とによって被処理物を破砕または切断するようになっている。
【0005】
また、各支軸106には、それぞれ複数のフリーハンマ108が軸線方向に等間隔に配置されている。すなわち、図7に示される如く、支軸106には、フリーハンマ108とスペーサ110とが交互に遊嵌されている。スペーサ110の長さは、フリーハンマ108の板厚(例えば、略9mm)とほぼ同等とされている。そして、周方向に隣り合う支軸106同士では、フリーハンマ108とスペーサ110の配置が入れ替えられることで、1つのフリーハンマ108は、その軸支された支軸106と隣り合う支軸106に支持されたフリーハンマ108間の隙間(スペーサ110)に対応する軸線方向の位置に位置している。これにより、固定刃とフリーハンマ108間の隙間との間に位置する被処理物が、該固定刃に次に近接するフリーハンマ108によって破砕または切断されるようになっている。
【0006】
【特許文献1】
実開昭54−152395号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の如き従来のフリーハンマ機構100を備えたチッパでは、フリーハンマ108が平板状に形成されていたため、例えば被処理物として細長い小枝等が投入された場合に、該被処理物がフリーハンマ108の横をかすめる(被処理物が支軸106の軸線方向に逃げる)ことが繰り返され、該被処理物が細かく細断(チップ)されずに長いままで排出されることがあった。この対策として、フリーハンマ108を厚肉化すると、装置全体として重量化すると共に刃部108B以外の部分が被処理物と干渉することとなり、エネルギ消費量が増加する原因となる。
【0008】
本発明は、上記事実を考慮して、被処理物を確実に破砕または切断することができるフリーハンマ部材、及びチッパを得ることが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係るフリーハンマ部材は、一端部が装置回転中心線と平行な軸線廻りに回転自在に支持されるアーム部と、前記アーム部の他端部に該アーム部から前記軸線方向に張り出した部分を含んで設けられ、前記軸線の前記中心線廻りの公転によって被処理物を破砕または切断するためのハンマヘッド部と、を備えている。
【0010】
請求項1記載のフリーハンマ部材は、アーム部の一端部が装置回転中心と平行な軸線廻りに回転自在に支持されて使用される。装置が作動すると、アーム部の他端部が遠心力によって回転軸の径方向外側を向き、該アーム部の他端部に形成されたハンマヘッド部が被処理物を破砕または切断する。
【0011】
ここで、ハンマヘッド部がアーム部から上記軸線方向に張り出した部分を含んで構成されているため、被処理物に当接してこれを破砕または切断する範囲が回転軸線方向に広い。このため、例えば、細い枝等の被処理物が回転軸線方向に逃げることを防止して、該被処理物を破砕または切断することが可能となる。
【0012】
このように、請求項1記載のフリーハンマ部材は、被処理物を確実に破砕または切断することができる。
【0013】
また、ハンマヘッド部の上記破砕または切断範囲を広げるためにアーム部(すなわちフリーハンマ部材全体)を回転軸線方向に厚肉化等する必要がないため、該アーム部が被処理物に干渉して回転抵抗を増加させることがなく、装置の消費エネルギの増加を防止また抑止することができる。さらに、本フリーハンマ部材は、ハンマヘッド部がアーム部から張り出した部分を含むことで、重心がハンマヘッド部側に位置する。このため、同じ重量の(複数の)従来のフリーハンマと比較して、慣性力すなわち破砕または切断力を大きくすることができる。
【0014】
請求項2記載の発明に係るフリーハンマ部材は、請求項1記載のフリーハンマ部材において、前記アーム部は、それぞれ一端部が軸線廻りに回転自在に支持されると共に該軸線方向に互いに離間して設けられた複数のアーム片にて構成され、前記ハンマヘッド部は、前記複数のアーム片間に張り出して該複数のアーム片の他端部を連結している、ことを特徴としている。
【0015】
請求項2記載のフリーハンマ部材は、それぞれ一端部が回転自在に支持される複数のアーム片によってアーム部が構成されており、隣り合うアーム片の他端部間は、それぞれハンマヘッド部における該アーム片間に張り出す部分によって連結されている。すなわち、ハンマヘッド部は、各アーム片の他端部と該他端部間に位置する部分とを含んで構成されており、その剛性が高い。このため、フリーハンマ部材は、ハンマヘッド部の変形が抑制されて被処理物を一層確実に破砕または切断する。
【0016】
請求項3記載の発明に係るフリーハンマ部材は、請求項2記載のフリーハンマ部材において、前記アーム部は、互いに平行な平板状に形成された一対のアーム片にて構成されている、ことを特徴としている。
【0017】
請求項3記載のフリーハンマ部材は、それぞれ平板状に形成された一対のアーム片より成るアーム部と、一対のアーム片の他端部間を架け渡して形成されたハンマヘッド部とで、全体として「コ」または「Π」字状に形成されている。このため、製造が容易であり、また支持される軸線方向に徒に大きくなることがないため、例えば、軸線方向に複数並列に配置される場合に、数の調整によって各種装置寸法に対応することが容易であり、本フリーハンマ部材の汎用性が高い。
【0018】
請求項4記載の発明に係るフリーハンマ部材は、請求項1乃至請求項3の何れか1項記載のフリーハンマ部材において、前記アーム部とハンマヘッド部とを金属材にて一体に形成し、かつ前記ハンマヘッド部にのみ硬化熱処理を施した、ことを特徴としている。
【0019】
請求項4記載のフリーハンマ部材は、金属材にてアーム部(アーム片)とハンマヘッド部とが一体に形成され、さらにハンマヘッド部のみが硬化熱処理を施されて構成されている。このため、ハンマヘッド部の硬度が高くより一層確実に被処理物を破砕または切断することができる。一方、アーム部は硬化されていないため、該アーム部が装置の支持部分(例えば、アーム部の貫通孔に挿通される支軸やアーム部から突設した軸を支持する軸受等)を攻撃して摩耗させたりする恐れがない。
【0020】
また、上記目的を達成するために請求項5記載の発明に係るチッパは、機台に対し軸心廻りに回転自在に支持された回転軸と、前記回転軸と平行に配置されると共に請求項1乃至請求項4の何れか1項記載のフリーハンマ部材のアーム部の一端部を回転自在に支持し、前記回転軸の回転に伴って該回転軸の軸心廻りに公転する支軸と、前記機台における前記ハンマヘッド部の公転軌跡の径方向外側近傍に配置された固定刃と、を備えている。
【0021】
請求項5記載のチッパでは、作動して回転軸が回転すると、支軸が回転軸と平行な状態を維持しつつ該回転軸廻りに公転する。この公転に伴い、支軸に回転自在に支持されたフリーハンマ部材は、そのアーム部の他端部が遠心力によって回転軸の径方向外側を向き、該アーム部の他端部に形成されたハンマヘッド部が固定刃との間で被処理物を破砕または切断する。
【0022】
ここで、請求項1乃至請求項4の何れか1項記載のフリーハンマ部材を備えているため、該フリーハンマ部材が固定刃との間で被処理物を確実に破砕または切断する。すなわち、ハンマヘッド部は、アーム部から支軸の軸線方向に張り出した部分を含んで構成されているため、被処理物に当接してこれを破砕または切断する範囲が回転軸線方向に広く、例えば細い枝等の被処理物が回転軸線方向に逃げることを防止して、該被処理物を破砕または切断することが可能となる。
【0023】
このように、請求項5記載のチッパでは、被処理物を確実に破砕または切断することができる。
【0024】
また、本チッパでは、フリーハンマ部材のアーム部を回転軸線方向に厚肉化等する必要がないため、該アーム部が被処理物に干渉して回転抵抗を増加させることがなく、消費エネルギの増加が防止される。さらに、ハンマヘッド部がアーム部から張り出した部分を含むことで、フリーハンマ部材の重心がハンマヘッド部側に位置するため、同じ重量の(複数の)従来のフリーハンマを用いたチッパと比較して、慣性力すなわち破砕または切断力を大きくすることができる。
【0025】
なお、本チッパが複数のフリーハンマ部材を備える場合において、該複数のフリーハンマ部材のうち、少なくとも一部が請求項1乃至請求項4の何れか1項記載のフリーハンマ部材であれば足りることは言うまでもない。したがって、例えば、本チッパが請求項1乃至請求項4の何れか1項記載のフリーハンマ部材と、従来のフリーハンマとを共に備えて構成されても良い。
【0026】
請求項6記載の発明に係るチッパは、請求項5記載のチッパにおいて、前記支軸を前記回転軸と同心の円周上に複数設けると共に、該各支軸に軸線方向に離間した複数の前記フリーハンマ部材を回転自在に支持させ、前記ハンマヘッド部を、前記円周の周方向に隣接する支軸が支持する前記フリーハンマ部材間の隙間を軸線方向に跨ぐように配置した、ことを特徴としている。
【0027】
請求項6記載のチッパでは、周方向に沿って複数の支軸が設けられており、かつ各支軸がそれぞれ複数のフリーハンマ部材を軸線方向に離間させつつ回転自在に支持している。そして、少なくとも1つのフリーハンマ部材(好ましくは、軸線方向の両端位置する一部のフリーハンマ部材を除く全てのフリーハンマ部材)のハンマヘッド部が、その軸支されている支軸と周方向に隣り合う別の支軸に支持されているフリーハンマ部材間の隙間を該支軸の軸線方向に跨ぐようにして位置している。すなわち、上記ハンマヘッド部が、上記隙間の両側にそれぞれ位置するフリーハンマ部材のハンマヘッド部と、それぞれ支軸の軸線方向にオーバーラップしている。
【0028】
これにより、例えば、ある回転位置において細い枝等である被処理物がフリーハンマ間の隙間に位置して破砕または切断されなくても、次に固定刃に近接するフリーハンマ部材のハンマヘッド部が該隙間に位置する被処理物を軸線方向に逃すことなく確実に破砕または切断する。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係るフリーハンマ部材であるフリーハンマ10、及び該フリーハンマ10が適用されたチッパ30について、図1乃至図4に基づいて説明する。
【0030】
(フリーハンマの構成)
図1には、フリーハンマ10が斜視図にて示されている。この図に示される如く、フリーハンマ10はアーム部12を備えており、アーム部12は互いに対向する一対のアーム片14にて構成されている。各アーム片14は、側面視で略矩形の平板状に形成されている。また、フリーハンマ10は、各アーム片14の先端を架け渡して連結するハンマヘッド部16を備えており、全体として略「コ」字状に形成されている。
【0031】
各アーム片14の基端部には、それぞれ板厚方向に貫通する円形状の貫通孔18が形成されている。各貫通孔18は、互いに略同軸同径とされており、それぞれ後述するチッパ30の支軸56に遊嵌されるようになっている。また、各アーム片14の基端側からハンマヘッド部16の先端に至る幅方向の両側部には、それぞれ円弧面状の凹部20が形成されている。
【0032】
これにより、ハンマヘッド部16の先端は、幅方向の両側が尖鋭されて形成されたエッジ22とされている。なお、エッジ22(凹部20)は、後述する回転軸52の回転方向(図4に示す矢印C方向)に対応して一方側にのみ設けられても良いが、両側に設けることで組付方向の別がなくなり組付作業が容易となる(組付ミスが排除される)と共に、矢印C側のエッジ22が摩耗した場合に反対側のエッジ22に組み替えることでフリーハンマ10の刃物としての寿命を伸ばすことが可能な構成とされている。また、ハンマヘッド部16は、側面視で幅方向中央部を頂部とする緩やかな山形に形成されている。
【0033】
以上説明したフリーハンマ10は、鋼等の金属材より成り、ハンマヘッド部16にのみ焼入れ等の硬化熱処理が施されている。
【0034】
(チッパの構成)
図4には、チッパ30の該略全体構成が側断面図にて示されている。なお、便宜上、この図に矢印Aにて示される紙面右側を前側とし、矢印Aに直交する紙面直角方向を装置幅方向として説明することとする。
【0035】
図4に示される如く、チッパ30は機台32を備えている。機台32には、図示しないエンジンまたはモータ等の駆動源が設置されている。また、機台32上には、装置本体34が固定的に取り付けられている。装置本体34は箱状に形成されており、その内部には前側に位置する供給室36と供給室36に連続する細断室38とが形成されている。
【0036】
また、装置本体34の前端部には、剪定枝等の被処理物Sを供給室36に供給するためのダクト状の供給樋40が取り付けられている。すなわち、供給室36は、供給樋40を介して外部と連通されている。さらに、供給室36内には、送りロール42が配設されている。送りロール42は、装置幅方向に沿って長手とされたロール軸42Aと、ロール軸42Aの外周部に供給室36の略全幅に亘りかつ周方向に等間隔に設けられた複数の送り突起42Bとで構成されている。
【0037】
この送りロール42は、上記駆動源の動力が図示しない回転伝達機構を介してロール軸42A伝達されて、比較的低速度で矢印B方向に回転するようになっている。これにより、送りロール42の送り突起42Bと、供給樋40の底面に沿った供給室36の底面36Aとの隙間Gに供給された被処理物Sを細断室38に送り出すようになっている。
【0038】
さらに、装置本体34には、その細断室38の後端から下部に亘り開口する排出口44が形成されており、排出口44は側断面視で円弧状に形成された胴板46にて覆われている。胴板46には多数の透孔46Aが設けられており、該透孔46Aから細断処理物Sc(細断後の被処理物S)を細断室38外に排出するようになっている。また、装置本体34における後部から下部に至る外面には排出樋47が取り付けられており、胴板46の透孔46Aすなわち排出口44から排出される細断処理物を所望の排出方向に案内するようになっている。
【0039】
また、装置本体34には、供給室36の底面36Aと細断室38の底部を規定する胴板46の前端部との間に立壁状の段部34Aが形成されている。段部34Aの内面(細断室38側)には、固定刃48が取り付けられている。固定刃48の上端は底面36Aと略一致している。
【0040】
そして、以上説明した装置本体34の細断室38内には、フリーハンマ機構50が設けられている。
【0041】
フリーハンマ機構50は、軸線方向を装置幅方向に一致させた回転軸52を備えている。この回転軸52は、装置本体34の左右の側壁をそれぞれ貫通して図示しない軸受によって回転自在に支持されており、図示しない回転伝達機構を介して上記駆動源の駆動力が伝達されるように構成されている。
【0042】
図2に示される如く、回転軸52には、軸線方向に等間隔に配置された複数(本実施の形態では3つ)の軸支持板54が固定的に取り付けられている。各軸支持板54は、それぞれ円板状に形成されており、回転軸52と常に一体かつ同軸的に回転する構成である。装置幅方向の両端に位置する各軸支持板54は、それぞれ上記装置本体34の左右の側壁の内面近傍に位置している。
【0043】
各軸支持板54の外周近傍部分には、軸支持板54(回転軸52)と同軸的な仮想同一円周上で周方向に等間隔に配置された複数(本実施の形態では4本)の支軸56が回転軸52と平行に架け渡されて固定されている。本実施の形態では、装置幅方向の中央に位置する軸支持板54の両側で、該軸支持板54の周方向における各支軸56の位相が45°(周方向に隣り合う支軸56間の角の半分)だけずらされている。各支軸56は、回転軸52が回転すると該回転軸52の軸心廻りに公転する構成である。回転軸52は、高速度で回転駆動されるようになっている。
【0044】
各支軸56は、それぞれ複数のフリーハンマ10を該各支軸56廻りの回転自在に軸支している。具体的には、各支軸56は、軸支持板54の周方向に交互に2つまたは3つのフリーハンマ10を、ぞれぞれの貫通孔18に遊嵌状態で挿通されて回転自在に軸支している。各フリーハンマ10間及びフリーハンマ10と軸支持板54との間には、それぞれ支軸56を挿通させたリング状または筒状のスペーサ58が配設されており、各フリーハンマ10の支軸56の軸線方向への位置ズレを規制している。
【0045】
ここで、各支軸56及びフリーハンマ10を区別する必要があるときは、フリーハンマ10を2つだけ軸支している支軸56を支軸56Aといい、該支軸56Aに軸支されている各フリーハンマ10をそれぞれフリーハンマ10Aということとする。また、フリーハンマ10を3つだけ軸支している支軸56を支軸56Bといい、該支軸56Bに軸支されている各フリーハンマ10のうち中央に位置するフリーハンマ10をフリーハンマ10B、残余のフリーハンマ10をそれぞれフリーハンマ10Cということとする。
【0046】
そして、フリーハンマ機構50では、図3に示される如く、フリーハンマ10A間に隙間C1が形成されると共に、各フリーハンマ10Aと対応する軸支持板54との間にそれぞれ隙間C2が形成されている。一方、フリーハンマ10Bとフリーハンマ10Cとの間にそれぞれ隙間C3が形成されると共に、各フリーハンマ10Cと対応する軸支持板54との間にそれぞれ隙間C4が形成されている。
【0047】
各フリーハンマ10Aは、それぞれのハンマヘッド部16が、共通の支軸56Bに軸支されたフリーハンマ10B、10Cの各ハンマヘッド部16と、それぞれ軸線方向(装置幅方向)にオーバーラップするように位置している。また、各フリーハンマ10Bは、それぞれのハンマヘッド部16が、共通の支軸56Aに軸支された2つのフリーハンマ10Aの各ハンマヘッド部16と、それぞれ軸線方向にオーバーラップするように位置している。
【0048】
すなわち、フリーハンマ10のハンマヘッド部16の装置幅方向(アーム片14の厚み方向)における長さは、その軸支された支軸56と周方向に隣り合う支軸56に軸支されているフリーハンマ10間の隙間(隙間C1または隙間C3)よりも大とされており、かつ該ハンマヘッド部16が隙間を跨ぐように配置されている。さらに別言すれば、ハンマヘッド部16は、その回転軸52廻りの公転軌跡が、その跨ぐ隙間の公転軌跡に対し装置幅方向両側に張り出すように構成されている。
【0049】
また、本実施の形態では、各フリーハンマ10Cのハンマヘッド部16がそれぞれフリーハンマ10Aのハンマヘッド部16と軸線方向にオーバーラップしており、各フリーハンマ10Cのハンマヘッド部16の公転軌跡が隙間C2の公転軌跡に張り出すようになっている。そして、各フリーハンマ10Cと軸支持板54との隙間C4は、極力小さく設定されている。
【0050】
なお、各フリーハンマ10A、10B、10Cのハンマヘッド部16の装置幅方向における長さは互いに等しくても良く、異なっても良い(図2及び図3では互いに異なるものとして図示している)。また、各隙間C1、C2、C3、C4(各スペーサ58の軸線方向寸法)についても、これらの全部または一部が等しくても良く、全て異なっても良い。
【0051】
以上説明した各フリーハンマ10は、上記の通り、それぞれ支軸56廻りに回転(自転)自在とされていることにより、各支軸56が上記の如く公転すると、遠心力によってハンマヘッド部16が軸支持板54の外縁よりも径方向外側に突出してエッジ22がその円軌道の公転軌跡における接線方向を向くようになっている(図4参照)。そして、フリーハンマ機構50は、その回転軸52の回転方向が図4に矢印Cで示される方向とされており、高速で回転(公転)するフリーハンマ10のハンマヘッド部16(エッジ22)と固定刃48との間で被処理物Sを細断して細断処理物Scにする構成とされている。
【0052】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0053】
上記構成のフリーハンマ10を備えたチッパ30では、作動すると駆動源の駆動力がそれぞれロール軸42A、回転軸52に伝達される。すると、送りロール42が矢印B方向に回転すると共に、フリーハンマ機構50が矢印C方向に回転する。フリーハンマ機構50では、図4に想像線にて示す如く重力によって下方を向いていた各フリーハンマ10が、図4に実線にて示す如く遠心力によってアーム部12の長手方向を回転軸52の径方向に一致させてハンマヘッド部16を軸支持板54の外縁から突出させつつ矢印C方向に公転する。
【0054】
この状態で供給樋40に剪定枝等の比較的長尺の被処理物Sが投入されると、該被処理物Sは、矢印B方向に回転している送りロール42によって、その先端から細断室38に順次送り出される。このとき、フリーハンマ機構50が矢印C方向に高速回転しているため、被処理物Sは、細断室38に送り出されながら、矢印C方向の回転によって固定刃48に近接してくるフリーハンマ10のハンマヘッド部16(エッジ22)と該固定刃48と間で、その先端から順次破砕または切断される。すなわち、被処理物がフリーハンマ10の回転力によって破砕または切断される。
【0055】
このようにして連続的に投入される被処理物Sは、細断されて細断処理物Scとされ、排出口44を覆う胴板46の透孔46Aから排出され、排出樋47の案内されつつ所定箇所に堆積される。細断処理物Scは、例えば堆肥の原料等として有効利用される。
【0056】
ここで、フリーハンマ10は、アーム部12を構成する一対のアーム片14間に張り出すハンマヘッド部16を有しているため、該ハンマヘッド部16における被処理物Sに当接してこれを破砕または切断する範囲が装置幅方向に広い。これにより、フリーハンマ機構50では、ハンマヘッド部16の幅を隣り合う支軸56に支持されたフリーハンマ10間の隙間よりも大きくすることができ、かつ該ハンマヘッド部16が上記隙間を跨ぐ(隙間両側のハンマヘッド部16とオーバーラップする)構成が実現された。
【0057】
このため、例えば固定刃48上の被処理物Sがフリーハンマ10A間の隙間C1に位置して該フリーハンマ10Aによって破砕または切断されなくても、この被処理物Sは、次に固定刃48に近接するフリーハンマ10Bによって確実に破砕または切断される。同様に、隙間C3に位置してフリーハンマ10B、10Cによって破砕または切断されなかった被処理物Sは、フリーハンマ10Aによって確実に破砕または切断される。したがって、剪定枝等の比較的長尺の被処理物Sが長いままの状態でチッパ30から排出されてしまうことが防止される。
【0058】
このように、本実施の形態に係るフリーハンマ10は、チッパ30に適用されて被処理物Sを確実に破砕または切断することができる。換言すれば、フリーハンマ10を適用したチッパ30では、被処理物Sを確実に破砕または切断することができる。
【0059】
また、ハンマヘッド部16がアーム片14の厚み方向に張り出したフリーハンマ10では、ハンマヘッドの装置幅方向における長さ(肉厚)を大きくするためにアーム部12(各アーム片14)を厚肉化する必要がないため、該アーム部12が被処理物Sに干渉して回転抵抗を増加させることがない。このため、チッパ30では、消費エネルギの増加を防止また抑止されている。
【0060】
さらに、フリーハンマ10は、ハンマヘッド部16をアーム部12から張り出して形成することで、その重心が先端に位置するハンマヘッド部16側に位置する。このため、同じ重量の従来の(複数の)フリーハンマと比較して、チッパ30(フリーハンマ機構50)の慣性力すなわち破砕または切断力を大きくすることができる。
【0061】
さらにまた、フリーハンマ10は、アーム片14がハンマヘッド部16の両端に位置してハンマヘッド部16は装置幅方向(支軸56の軸線方向)に自由端がない(片持ちされない)。このため、ハンマヘッド部16は、剛性が高く、変形が抑制されて被処理物を一層確実に破砕または切断する。
【0062】
また、フリーハンマ10は、一対のアーム片14がアーム部12を構成して略「コ」字状に形成されているため、上記各効果を得るための形状が簡単で製作が容易である。また、フリーハンマ10(ハンマヘッド部16)は、3つ以上のアーム片14を有する構成のように全体として大幅に厚肉化されることがないため、その支持される個数の調整によって各種寸法の支軸56(装置本体34の幅)に容易に対応することができ、汎用性が高い。換言すれば、フリーハンマ10は、その装置幅方向における長さ(肉厚)がチッパ30の設計(の自由度)に与える制約が小さい。
【0063】
さらに、フリーハンマ10は、ハンマヘッド部16のみが硬化熱処理を施されて構成されているため、ハンマヘッド部16の硬度が高く、より一層確実に被処理物Sを破砕または切断することができる。一方、アーム部12は硬化されていないため、支軸56に対し回転する各アーム片14が貫通孔18の縁部によって該支軸56を攻撃して摩耗させたりする恐れがない。
【0064】
なお、上記の実施の形態では、フリーハンマ10が一対のアーム片14と各アーム片14を連結するハンマヘッド部16とで略「コ」字状に形成された好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、フリーハンマ10は、単一のアーム片14とハンマヘッド部16とで略「L」字状や略「T」字状に形成されても良く、3つのアーム片14とハンマヘッド部16とで略「E」字状に形成されても良く、一対のアーム片14の外側にハンマヘッド部16が張り出す「Π」字状等に形成されても良い。また、アーム部12を構成する1つまたは複数のアーム片14は、平板状に形成される構成に限定されることはなく、例えば円断面や角断面、中空等の棒状等に形成されても良く、複数のアーム片14が基端部において互いに連結されても良い。
【0065】
また、上記の実施の形態では、チッパ30のフリーハンマ機構50を構成するフリーハンマが全てフリーハンマ10である好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、フリーハンマ機構50(チッパ30)がフリーハンマ10と従来のフリーハンマ108とを混在させて構成されても良い。また、上記の如き略「L」字状、略「T」字状、略「E」字状、「Π」字状等、及び「コ」字状の各種フリーハンマ10の一部または全部を適宜混在させてフリーハンマ機構50を構成しても良い。
【0066】
さらに、本発明は、上記の実施の形態におけるフリーハンマ機構50の軸支持板54や支軸56の数、配置等に限定されることはない。したがって例えば、支軸56を周方向に1つだけ設けてフリーハンマ機構50を構成しても良い。また、フリーハンマ機構50では、各支軸56が複数のフリーハンマ10を軸支する好ましい構成に限定されることはなく、例えば、一部または全部の支軸56が1つのフリーハンマ10を軸支する構成としても良い。以上により、本発明は、各フリーハンマ10Aとフリーハンマ10B、10Cとがオーバーラップする好ましい構成に限定されることもない。
【0067】
さらにまた、上記の実施の形態では、チッパ30が独立した細断装置である構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、チッパ30が前処理装置として堆肥製造装置等の他の装置に組み込まれていても良い。また、チッパ30にて細断処理される被処理物Sが剪定枝に限定されないことは言うまでもない。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るフリーハンマ部材、及び該フリーハンマ部材を適用したチッパは、被処理物を確実に破砕または切断することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るフリーハンマの斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るフリーハンマが適用されたフリーハンマ機構の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るフリーハンマのフリーハンマ機構における配置を示す拡大図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るフリーハンマが適用されたチッパの側断面図である。
【図5】従来のフリーハンマを備えたフリーハンマ機構の斜視図である。
【図6】従来のフリーハンマの斜視図である。
【図7】従来のフリーハンマのフリーハンマ機構における配置を示す拡大図である。
【符号の説明】
10 フリーハンマ(フリーハンマ部材)
12 アーム部
14 アーム片
16 ハンマヘッド(ハンマヘッド部)
30 チッパ
48 固定刃
52 回転軸
56 支軸
Claims (6)
- 一端部が装置回転中心線と平行な軸線廻りに回転自在に支持されるアーム部と、
前記アーム部の他端部に該アーム部から前記軸線方向に張り出した部分を含んで設けられ、前記軸線の前記中心線廻りの公転によって被処理物を破砕または切断するためのハンマヘッド部と、
を備えたフリーハンマ部材。 - 前記アーム部は、それぞれ一端部が軸線廻りに回転自在に支持されると共に該軸線方向に互いに離間して設けられた複数のアーム片にて構成され、
前記ハンマヘッド部は、前記複数のアーム片間に張り出して該複数のアーム片の他端部を連結している、
ことを特徴とする請求項1記載のフリーハンマ部材。 - 前記アーム部は、互いに平行な平板状に形成された一対のアーム片にて構成されている、ことを特徴とする請求項2記載のフリーハンマ部材。
- 前記アーム部とハンマヘッド部とを金属材にて一体に形成し、かつ前記ハンマヘッド部にのみ硬化熱処理を施した、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項記載のフリーハンマ部材。
- 機台に対し軸心廻りに回転自在に支持された回転軸と、
前記回転軸と平行に配置されると共に請求項1乃至請求項4の何れか1項記載のフリーハンマ部材のアーム部の一端部を回転自在に支持し、前記回転軸の回転に伴って該回転軸の軸心廻りに公転する支軸と、
前記機台における前記ハンマヘッド部の公転軌跡の径方向外側近傍に配置された固定刃と、
を備えたチッパ。 - 前記支軸を前記回転軸と同心の円周上に複数設けると共に、該各支軸に軸線方向に離間した複数の前記フリーハンマ部材を回転自在に支持させ、
前記ハンマヘッド部を、前記円周の周方向に隣接する支軸が支持する前記フリーハンマ部材間の隙間を軸線方向に跨ぐように配置した、
ことを特徴とする請求項5記載のチッパ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003182402A JP2005013881A (ja) | 2003-06-26 | 2003-06-26 | フリーハンマ部材及びチッパ |
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JP2003182402A JP2005013881A (ja) | 2003-06-26 | 2003-06-26 | フリーハンマ部材及びチッパ |
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ID=34182799
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JP (1) | JP2005013881A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008194645A (ja) * | 2007-02-15 | 2008-08-28 | Komatsu Ltd | 木材破砕用ビット |
CN113424982A (zh) * | 2021-07-08 | 2021-09-24 | 云南昆船烟草设备有限公司 | 一种打叶器刀框距调节装置和刀框距可调的打叶器 |
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2003
- 2003-06-26 JP JP2003182402A patent/JP2005013881A/ja active Pending
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