JP2005013838A - 多孔質材料の衝撃加圧・加熱処理方法及びそのための装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多孔質材料を金属製の密閉容器内に入れ、該容器の外周に配置した爆薬を爆発させ、その際に発生する衝撃圧力を該多孔質材料に負荷して多孔質材料を衝撃加圧する方法において、該多孔質材料の中心に予め金属製中空形状の物体を配置しておき、衝撃圧力によって多孔質材料及び該物体を収縮させ、この際該物体の内壁面を対向する内壁面又は該物体内に配置した別の金属製物体に衝突させることによって衝撃波を発生させ、爆薬の爆発による衝撃圧力に加えて該衝撃波を多孔質物体に負荷する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、爆薬の爆発によって直接負荷される爆発圧力や、爆発圧力によって飛翔する物体の衝突による衝撃を利用して、多孔質の被処理材を衝撃的高圧で加圧処理する技術に関する。本発明は特に、グラファイトからダイヤモンド、低圧相窒化ほう素(h−BN)から高圧相窒化ほう素(c−BN、w−BN)への相変態、またダイヤモンドや高圧相窒化ほう素、セラミック、金属等の粉体の焼結や、各種材料に特性改変のために内部欠陥を増加させたり或いは粉砕のために必要な衝撃高圧を効果的に発生させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来爆薬の爆発等によって固体材料を処理する方法としては、平面波法と称し、例えば米国特許3,238,019号“Method of making diamond”に記載される装置を用いる方法が公知である。これは平面波発生装置と称する起爆装置によって、平面状の爆轟(ごう)波で爆発する爆薬を被衝撃体に密着接触させ、平面状の爆発圧力を直接被衝撃体に負荷するか、同様にして被衝撃体から離れた金属板に接触した爆薬の爆発圧力により、金属板を高速で飛翔させて被衝撃体に衝突させ、衝撃圧力を負荷する方法である。
【0003】
別の方法として、円筒内に衝撃処理する材料を充填し、その外周に同心円状(共軸的)に貼り付けた爆薬を一端から他端へと進行的に爆発させて爆発衝撃を負荷し、或いは円筒の外周に距離を置いて同心円状に配置した金属円筒を、外周に貼り付けた爆薬の爆発圧力によって、求心的に飛翔させて材料を充填した円筒に衝突させ、衝撃を負荷する、いわゆる円筒法と称する衝撃方法が知られている。
【0004】
さらに、円筒法の特殊な例として、特定の衝撃圧力を負荷することによって、円筒内の被衝撃体中に、円筒軸に直角な平面衝撃波を発生する方法が米国特許3,667,911号“Method of treating solids with high dynamic pressure”に、また中空の円筒状の被衝撃体に外周から進行的に爆発衝撃を負荷して、被衝撃体を軸上に集中させて中実の成形体とする方法が特開昭58−139735に記載されている。
なお、本明細書においては、別段の説明がない限り、円筒と称する場合、すべて(中空)金属材製円筒を意味する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来装置を用いた加圧方法においては、次のような問題点がある。
(1) 平面波法の場合、被衝撃体に平面状衝撃を加えるために、爆薬を平面状の衝撃波を発生するように爆発させる必要があり、そのための平面波発生装置は複雑な構成を有し、高価であり、工業的使用に適しない。
【0006】
(2) また従来の平面波装置においては、被処理体は衝撃高圧が負荷されることによって高速に加速されるため、飛散して、回収することが困難となる。被処理体回収手段はいくつか提案されているが、効果的な条件を設定することは困難で、工業的な利用に適しないものであった。
【0007】
(3) 円筒法装置の場合、衝撃の負荷方法によっては、被処理体中に円筒の外周に近い部分から円筒中心に向かう斜めの衝撃波が発生する。円筒中心部にはこの衝撃波が集中することによって、外周の圧力より高い圧力が発生し、反射衝撃波として外周方向に進行する。反射衝撃波は円筒に到達すると円筒を外方に引張、この衝撃が強い場合には円筒が破裂し充填された被処理体が飛散して回収不能になるので、従来の装置では必ずしも充分な衝撃を被処理体に負荷することができなかった。
【0008】
(4) 円筒法装置の特殊な例として、米国特許3,667,911号には、円筒の中心軸に直角な平面波を発生させることによって、円筒を破裂させる有害な反射衝撃波の発生を防ぐことが記載されている。しかし、軸に直角な平面波を発生させるためには、負荷する衝撃の性質に制約が多いので任意の衝撃が負荷できないし、制約範囲内で実施しても、必ずしも完全に被処理体が回収できる訳ではない。
【0009】
(5) 従来の衝撃負荷装置に共通の欠点として、そのいずれの装置においても、衝撃圧力が負荷された状態で、多孔質材料の構成要素相互が剪断的に変形する量(以後『変形量』と称する)を制御することが困難か事実上不可能なことが挙げられる。特に多孔質材料を緊密な状態に圧縮して、その理論的密度に極めて近い状態で強固に結合(以後『焼結』と称する)させる場合、多孔質材料の構成要素、特に多孔質材料が粉粒体の場合、個々の粉粒体の表面同士が高圧下の変形過程で擦れ合うことが、良好に焼結するために必要であるが、それを制御することが出来なかった。
【0010】衝撃負荷
(6) また、従来公知の装置では、1回の爆薬爆発で得られる衝撃負荷の有効な持続時間は約1μs程度で、それも1回負荷されるだけに過ぎないので、より長い衝撃時間が達成できる、或いは1回の爆発で反復的な衝撃負荷が得られる構成の装置が期待されていた。即ち衝撃負荷の有効持続時間や負荷回数の増加が達成によって、ダイヤモンドや高圧相窒化ほう素のような高圧相物質の合成や、セラミックの焼結がより高い転換率や良好な焼結状態で得られることが予想された。
【0011】
(7) さらに軸に直角な平面波衝撃を発生させない一般の円筒法装置の場合、円筒外周に負荷された衝撃は、円筒中心方向に進行するに従い集中して圧力が上昇する。従って、被処理体の円筒外周に近い部分と中心部では強さの異なる衝撃圧力が負荷されることになり、均一な反応条件での加圧処理を実施することが難しい、という問題があった。
【0012】
上記のような状況にあって、平面波発生装置のような特別の装置に依らず、かつ被処理体の回収が容易であり、しかも高圧が負荷された状態下において、多孔質被処理体の構成要素(粉粒体)相互の剪断的変形量を任意に制御可能で、さらに1回の衝撃負荷で従来よりも長い衝撃負荷時間、又は多数回の反復衝撃が得られる装置の開発が望まれて来た。しかしこれには、以下の問題点を解決する必要があった。
【0013】
(1) 平面波発生装置のような特殊な装置によらず、通常の起爆法で爆薬を爆発させて容易に多孔質材料被衝撃体を回収するには、被処理体の調整の容易さや、爆薬の種類と形態の自由度の広さ及び起爆方法の簡易さを含めて、円筒法が最も優れているため、基本的には、その範疇に含まれる装置とすることが好ましい。
【0014】
(2) 円筒法装置において回収が不良となる原因と様相は、主として以下に示す2通りである。
【0015】
▲1▼ 被衝撃体を充填した円筒の周囲から同心円状の圧縮衝撃波が円筒中心に向かい、中心で1点に集中すると、衝撃は反射して円筒の外周に向かう圧縮衝撃となる。それが円筒外周に到達すると、今度は反射して引張波となって円筒中心に向かう。多くの場合、被衝撃体と円筒はその引張応力に耐えられずに破裂し、被衝撃体が飛散して回収できなくなる。この状況は、一般の円筒法においてよく発生する状況で、円筒を包囲する爆薬がその一端から起爆されて、反対側の端に爆発が進行する際、被処理体中に、環状の衝撃負荷点である外周を起点とする円錐状の衝撃波が発生する場合に生起する。米国特許3,667,911号によれば、特定の衝撃負荷を与えて円筒軸に直角な平面衝撃を負荷することによって、このような状況を緩和できるとされている。
【0016】
▲2▼ 前項に説明した、円錐状の衝撃波が発生する場合と、円筒軸に直角な平面衝撃を負荷する場合の両者に共通な現象として、爆発圧力または衝撃負荷点が進行して起爆点の反対側の端に到達した際、それと前後して被衝撃体を充填した円筒の端に被衝撃体中の衝撃波も到達するが、円錐状の衝撃波の場合、円錐の頂角をαとし、衝撃波によって被衝撃体中に発生する衝撃応力をσとした場合、
【数1】
が円筒軸に沿って円筒の端の方へ向かう成分となり、軸に直角な平面衝撃波の場合は、衝撃力の殆ど全部が円筒の端の方へ向かう成分となる。衝撃波成分は圧縮波であるため、円筒中に充填された被衝撃体はその終端で圧縮応力が解放されたことによる引張応力を受けて、円筒の端を破って噴出し、多くの場合回収できなくなる。
【0017】
(3) 円筒法装置において、(2) 項の円筒の起爆と反対側の端に向かう衝撃による被衝撃体の円筒からの噴出を避けるには、従来円筒の端の部分にモーメンタムトラップと称する被衝撃体とは異なる材料を置き、それに被衝撃体の持つ運動量を移して飛ばすことによって被衝撃体の噴出を防ぐ試みもあったが有効に作用するようなモーメンタムトラップの形状や質量などの設定が非常に困難で、有効に働くものを設定できることは少なかった。
【0018】
(4) 衝撃高圧が負荷された状態で、多孔質材料の構成要素相互が剪断的に変形する量は、従来の円筒法装置では相変態による体積変化を無視すれば、圧縮による変形量に応じて一義的に定まり、制御できないことが問題である。仮に爆発進行方向への円筒の変形がなく、円筒断面の中心に向かって、多孔質材料に含まれる空隙が無くなるまで圧縮されたとする場合、相変態による体積変化がないとして
、被衝撃体断面の変形率εは
【数2】
によって得られる。ただし、δは空隙率である。式によれば、例えば空隙率δが40%の多孔質材料に衝撃を負荷して圧縮し、空隙がない状態にした場合、変形率は約22.5%になる。この値は必ずしも小さな値ではないが、空隙率に左右され、変形率を任意に制御することはできない。
【0019】
(5) 衝撃圧力を負荷する場合、被衝撃体又は被衝撃体を充填した容器に爆薬を接触させてその爆発圧力を直接負荷する装置(以下『直接法装置』と称する)では、衝撃圧力の負荷時間は爆薬の特性と量に左右される。爆薬の爆発圧力で飛翔する金属を被衝撃体又は被衝撃体を充填した容器に衝突させて衝撃圧力を負荷する装置(以下間接法装置)では、飛翔する金属の厚さを、圧力を伝達する方向に測った値に依存する。例えば10μsの衝撃負荷時間を得ようとすれば、負荷圧力の大きさにもよるが、直接法装置の場合厚さ約50mm以上の爆薬を使用する必要があり、鋼板を使用した間接法装置の場合、約25mm以上の厚さの鋼板を衝突させる必要があって、共に莫大な量の爆薬を必要とし、実用的ではない。さらに、1回の爆発で2回以上の衝撃を被衝撃体に負荷することは、従来知られていた実用的な装置では非常に困難である。
【0020】
(6) 可能性としては、前掲特開昭58−139735のように、外部円筒に充填された被衝撃体の内部に、内部の円筒を置かずに円筒状の空洞を設け、外周から衝撃を受けた被衝撃体が中心の円筒状空洞に向けて収縮することによっても、本発明と同等の効果が得られるかのように思われるが、そのような構成の装置では、衝撃インピーダンスが低い多孔質材料を扱う場合、外周から伝わった衝撃が被衝撃体内部の空洞表面に到達した際に、被衝撃体は何等の制約も受けずに空間へ飛び出すことになり、その瞬間から被衝撃体に加わった衝撃応力は事実上0となり圧力を空洞側から被衝撃体の外周側へ経時的に解放する。圧力が解放された被衝撃体は、円筒軸上で被衝撃体同士が衝突して、再度衝撃を受けるが、既に圧力解放を受けたことによって、被衝撃体は内部円筒による拘束を受けてないため、衝突までの過程で被衝撃体内部の圧力を受けた状態での剪断変形や、圧力の持続等の効果を発揮できない。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の問題点につき理論的、実験的に検討を重ねた結果、以下の構想と構成からなる本発明を得た。
【0022】
(1) まず、被衝撃体の形態は、被衝撃体の取扱の容易さと、上述の問題が解決された場合の回収の容易さから、円筒法装置を基本とする。
【0023】
(2) 円筒法装置において良好な回収を妨げる要因の一つである、材料中に発生する円錐状の衝撃波に伴う反射圧縮波から派生する、円筒及び被衝撃体の引張波による破壊は、円筒断面中心での圧縮衝撃波の反射を極小化することによって抑止する。また、起爆と反対側の端に向かう圧縮衝撃波成分に起因し、円筒から被衝撃体が噴出する現象によって、目的とする被衝撃体の回収が妨げられることへの対策としては、円錐状衝撃波が発生する場合と円筒軸に直角な平面衝撃波が発生する場合のいずれにおいても、モーメンタムトラップの他に、被衝撃体以外の材料にも運動量を付与して、円筒から飛び出させることにより、被衝撃体の受け持つ軸に平行な方向の運動量を軽減して、噴出を防止する。
【0024】
(3) 円筒内に充填された被衝撃体に伝達される衝撃波の形態が、円錐状の衝撃波であるか、円筒軸に直角な平面波であるかにかかわらず、円筒外周に加えられた衝撃波が円筒中心に集中することを防ぎ、かつ衝撃波が被衝撃体中を伝播する過程で、被衝撃体が多孔質材料の空隙が潰れることによって許される以上に変形可能なように被衝撃体を配置し、被衝撃体に広い範囲の変形を許す。それによって、合成や焼結時に必要な物質移動を助長し、あるいは制御して、ダイヤモンドや高圧相窒化ほう素のような高圧相物質の合成においては、従来の衝撃負荷方法によるより高い転換率を得、セラミックや金属の焼結がより良好で均一な焼結状態が得られるようにする。即ち、変形量が増加することによって、構成原子の移動を助長し、同素異体変態や焼結を容易にするものである。
【0025】
(4) 具体的には、円筒に充填された又は円筒形に成形された被衝撃体 (以後単に『被衝撃体』と称する)の内部円筒中心軸上に円筒を介在させ、即ち、被衝撃体を二重の円筒の間に充填するか、円筒形の被衝撃体の内側に接して円筒を介在させることにより、単に円筒外部から衝撃圧力が負荷されて内部の円筒状の空隙を潰して被衝撃体の変形量を制御するだけでなく、衝撃によって被衝撃体に与えられた、爆発進行方向への運動量の多くの部分が内部の円筒に集中し、特に運動量の円筒軸に平行な方向の成分を負担するため、被衝撃体の回収が容易となる。同時に多孔質材料中の空隙が潰れる以上の変形を内部円筒が収縮することによって被衝撃体に許す機構が、多孔質材料と円筒が中心に収縮した際に衝突が起きて衝撃を発生させるため、被衝撃体への衝撃の持続時間を延長するか、2回以上の衝撃が負荷されるように働くものである。
【0026】
上記の効果を得るために、被衝撃体の中心軸上に配置する内部円筒の内径は、少なくとも0.5mm以上必要である。その理由は、被衝撃体、即ち多孔質材料を収納する外部円筒の外径が極端に小さく例えば3mm程度の場合を考えても、外部円筒及び内部円筒の肉厚が共に0.1mmとすると、多孔質材料の有効外径は2.8mm、有効内径は0.7mm、従って多孔質材料の肉厚は1.05mmとなる。この場合、内部円筒の内径が0.5mmよりも小さいと、内部円筒内壁同士の衝突によって発生する衝撃波が十分に成長しないため、本発明による効果が十分に得られない。
【0027】
(5) 本発明の装置に用いる被衝撃体は、特に多孔質材料に限定するが、その理由は、爆発衝撃を利用して材料の相変態や焼結、材料特性の改善を必要とする材料の多くが粉体や不完全な焼結体等の多孔質材料であることと、多孔質でない材料にこのような処理をしても特別な意味がないことによる。また、本発明で取り扱う多孔質材料の定義としては、その材料の理論密度或は空隙のない状態の密度の97%未満、30%以上のものとする。
【0028】
図1は、以上の構想を可能とする本発明による衝撃加圧・加熱処理装置を示す断面図であり、円筒軸中心を通り軸に平行な平面での切断面が示されている。図において1は円筒状に配置された多孔質の被衝撃体乃至被処理体であり、ダイヤモンドの合成反応においては炭素の微粉末で構成される。2は円筒状に配置された爆薬、3は被処理材1の外周を包囲する外部円筒、4は外部円筒3の起爆側端部及び爆発の終了側端部において被処理体1を円筒3内に封入するための環状の金属栓、5は円筒状の多孔質材料1の内周側に配置した円筒、6は爆薬を起爆するための電気雷管である。また、2’は円筒状の爆薬2の全周を同時に起爆するために、頂点に電気雷管6を配した傘状の爆薬で、7は爆発圧力の減衰を遅延させるために円筒状の爆薬2の外周に配した円筒、8は円筒5の内周部に意図的に設けられた空間である。さらに、A−Aの矢印は、図2で示す断面の位置を示すものである。また,この図に示す装置は、爆薬2を被衝撃体である多孔質材料1を収納した円筒3に接して包囲しているため、直接法に分類される。尚、本発明で使用する爆薬2の外周に配した円筒7の材質は目的を達する性質さえ有すれば任意とするが、それ以外の円筒は、展延性、対衝撃性を要するため、全て金属製とする。
【0029】
図2は、図1にA−Aの矢印で示された断面で、図1の各部品の番号に“a”を付けて区別している。すなわち、“1a”は、図1の“多孔質材料1”に対応する。図1と図2から明らかなように、円筒5、5aの内周側の空間8または8aは何も充填されてない空間である。この空間は、空気や水素、窒素、炭酸ガス、酸素などの気体が充填されていても、真空であってもよく、液体又は固体が充填されていないことが要件である。つまり、後に説明するように、円筒状の爆薬2または2aが爆発して、その衝撃圧力によって、円筒3または3a、多孔質材料1または1aならびに円筒5または円筒5aの内周の空間8または8aを潰して収縮する時、液体または固体が充填されていると、甚だしい抵抗を受けて、上記構成が期待する収縮を達成できないためである。
【0030】
図3は、図1において電気雷管6を起爆して、爆薬の傘状の部分2’が放射状に爆発することによって、円筒状爆薬2の全周が同時に起爆され、爆薬2の全長のほぼ半分まで爆発が進行した状況を示す断面図である。各部の番号は、対応する図1の番号にbを付してあるが、新出の番号2”bは爆発が進行している最前面で、爆轟波面と呼ばれる。また、9bは爆発ガスを示す。
【0031】
この図は爆発衝撃を受けたことによって発生する、被衝撃体である多孔質材料1bとそれを包囲する円筒3bと4b中の衝撃波または疑似等エントロピ的圧力変化の状況は示されてなく、定性的なものであるが、本発明による被衝撃体の変形状況を示す典型的な図である。即ち、円筒3bと5bの間に充填された多孔質材料からなる被衝撃体(被処理体)1bは、円筒3bの外周から加えられた爆発圧力によって内方に収縮する。また爆発が1端から他端へ進行するので、端から絞り込まれるように変形し、円筒5b内周の空間8bが押し潰されて消滅するため、最後には円筒3bと5b及び被衝撃体1bが(中実の)棒状になる。
【0032】
図4は、図3にB−Bで示された断面を示す図で、他の図と等しく図1の相当する各部の番号にcを付けて示してある。図から明らかなように、円筒5c内部の8cの位置にあった空間は全く無くなっている。
【0033】
図5は、図2に示す爆発衝撃負荷前の被衝撃体の断面と図4に示す衝撃負荷後の被衝撃体の断面の寸法関係を説明するための図で、図5が衝撃前、図6が衝撃後の断面である。衝撃後には、上記のように内部円筒5dが収縮して内部の空間8が無くなり、収縮前r01だった内半径は0となるため、当然その外半径r00はr0Xまで縮まる。ここで、内部円筒5dが衝撃前後で体積変化がないものとし、
さらに長さの変化がないと仮定すれば、断面積Sには変化がなく、
【数3】
より、
【数4】
によってr0Xが求められる。
【0034】
ただし、多孔質材料からなる被衝撃体1dについては、既に述べたように、爆発衝撃によって空隙が潰れ、空隙がない状態にまで圧縮されるため、断面積には変化が生ずる。被衝撃体1dの衝撃前の断面積をS0、衝撃後をS1とすると、材
料に相変態による体積変化がないとして、S1は
【数5】
で与えられ、図から
【数6】
が得られるから、既知の値からは、
【数7】
によって求められる。さらに、図の条件と数式3から、
【数8】
が得られ、数式4〜数式8を組み合わせることにより、
【数9】
から円筒5dが収縮して内部の空間が無くなり、多孔質材料からなる被衝撃体の材料間の空孔が潰れた後の材料の外径RX1が与えられる。
【0035】
以上の演算から、多孔質材料からなる被衝撃体において、本発明の内部円筒5dが収縮することによって、従来の方法に較べてどれだけ変形量が変化するかを調べることができる。以下にその比較を行う。
【0036】
多孔質材料からなる被衝撃体の変形後の外半径は数式9で与えられ、変形前の
値はRI0であるから、被衝撃体外周部での変形率ε’は、
【数10】
から求めることができる。この式の形は数式2とよく似ており、数式2のδを
【数11】
で置き換えたものである。数式2では、1−δが小さい程、即ちδが大きい程変形率が大きく、従って数式10でも()内が大きい、即ちr0I 2が大きく、δr0O 2が小さい程変形率が大きい。
【0037】
これに対して、被衝撃体の衝撃後の内半径rxは
【数12】
で与えられる。衝撃前の内半径はr0Oであるから、被衝撃体内周における変形率ε”は
【数13】
で与えられ、()内が小さい程変形率ε”は大きくなるので、r0Iが大きく、r0Oが小さい程変形率ε”は大きくなる。
【0038】
次に被衝撃体の任意の位置での変形率を求める。図5で内部円筒5dの外半径位置から、被衝撃体中に任意の距離dだけ離れた点pでの変形率εdを求める。点dを外半径位置とする被衝撃体の半径はr0O+dで得られるから、その点から
内側の被衝撃体の断面積Sdは、
【数14】
で与えられ、衝撃による変形後の点pを外半径とする被衝撃体の断面積Sd’は
、
【数15】
で得られる。その際、被衝撃体の内半径即ち円筒5aの外半径r0Xは、数式12により得られるから、内部円筒5aの断面積と、被衝撃体の断面積Sd’を合わ
せた面積Stは、
【数16】
によって与えられる。それにより、構成の中心から点pまでの衝撃後の半径rd
’は
【数17】
で得られる。よって変形率εdは
【数18】
となり、d=0とすると数式13、r0O+d=R0Iとすると数式10になる。
【0039】
既述のように段落0018では、従来の円筒法で空隙率40%の多孔質材料を空隙が無くなるまで衝撃した場合、22.5%の変形率となることを数式2によって説明したが、本発明装置による衝撃の場合、どの程度の変形率が得られるかを具体的な数値を入れて求め、比較してみる。被衝撃体の外径R0Iを30mm、内径即ち内部円筒の外径r0Oを20mm、内部円筒の内径r0Iを16mmとし、衝撃によって内部円筒の内部空間が完全に潰れ、また多孔質材料の空隙が完全に潰れたものとする。
【0040】
まず、多孔質材料からなる被衝撃体の最外周では、変形率ε’は数式10に各値を入れて計算すると0.298であり、従来法の22.5%に対して変形率が約7.3%増加していることが分る。また、最内周の変形率ε”は、数式13から40%が得られ、これも従来法に較べて17.5%の変形率の増加が認められる。
【0041】
前段では、多孔質材料からなる被衝撃体の最外周と最内周部の変形率について従来法と比較したが、その中間部については、一方から他方に近付くにつれて、変形率εが徐々に変化し、最終的に最内周または最外周の値に落ち着くことは当然である。また、被衝撃体の外周と内部の円筒の内外周が変化すれば、変形率εも変化することも当然である。その状況は、通常の数学的展開により数式18から容易に求めることができる。しかしすべてのパラメータを変化させて示すことは容易ではないので、次の表では一例として空隙率40%の多孔質材料を採り、内部円筒の外半径r0 Oを10mmに固定し、内部円筒の内半径r0Iを0から9mmに1mm刻みに変化させた場合に就き、点Pの位置を、内部円筒の外径位置から材料の外周に向かって、1mm刻みに0mmから10mmまで変化させた時の変形率εの計算値を示す。
【0042】
【表1】
【0043】
表2は、表1の場合と同様に、空隙率40%の多孔質材料について、内部円筒の外半径r0 Oを15mmとし、内部の円筒の内半径r0Iを0mmから14mmに1mm刻みに変化させて衝撃した場合に就いて、点Pの位置を0から9mmまで変化させた場合の変形率εの計算値を示す。
【0044】
【表2】
【0045】
いずれの表においても、内部円筒の内半径r0Iが0(mm)の場合は中空の円筒ではなくて中実の円筒、つまり実際には金属棒であることを意味する。従って、金属棒の表面に接した部分では、前提として金属は体積変化をしないこととしてあるため、変形率εは0となっている。この場合、多孔質材料を充填する円筒は二重円筒とならず、多孔質材料は、円筒とこの円筒内に挿入された中実の金属棒との間の円筒状空間に充填されることになるので、当然本発明の技術的範囲には含まれない。
【0046】
これに対し円筒内に中空の(内部)円筒を設置する本発明の二重円筒構造の場合、円筒の内半径r0Iが増加するに伴って変形率εは増加し、上掲表1においては最大56.4%、表2では最大64.1%にも達していることが分る。これは、空隙率40%の多孔質材料を衝撃して真密度まで圧縮した場合、数式2によれば、従来の円筒法装置での変形率εの22.5%に対して、本発明の場合には2倍以上の変形率が得られることを意味する。
【0047】
さらに特筆すべきは、例えば表1において、内部の円筒の内半径r0Iを1mmとした場合、多孔質材料の変形率εは0.5%から16.5%の範囲となり、この値は、従来の円筒装置における変形率より低いことが明白である。即ち、本発明においては、従来法の場合よりも低い変形率からより高い変形率まで、任意に設定できることを意味している。また、多孔質材料の変形率が、半径上の位置によって異なるということは、半径方向に隣り合った多孔質材料間に剪断応力が働くことを意味し、多孔質材料が粉体である場合、粉体の表面が高圧下で摩擦力を受けることとなり、粉体を焼結する際に有利に働く。加えて、材料の相変態を意図する場合も、剪断力は物質移動を容易にするため、結晶構造の組み替えを助長する。
【0048】
また、本発明には、後に説明するように、内部円筒の内部に、さらに空間を置いて同心円状に円筒や金属棒を配置する方法も含まれるが、それらの場合の変形率は、上記の説明や数式を援用すれば、通常の数学的処理により当業者が計算可能なものである。
【0049】
これまでは、爆薬を直接被衝撃体または被衝撃体を収納した円筒に密接し、爆発させることによって衝撃圧力を被衝撃体に負荷する直接法を図で示してきたが、次に、爆発圧力によって円筒を高速で飛翔させ、被衝撃体または被衝撃体を収納した円筒に衝突させることにより、被衝撃体に衝撃圧力を負荷する、間接法について説明する。
【0050】
図7は本発明による間接法装置の実施例を示す断面図で、被衝撃体を含む円筒組合わせ体の中心軸を通り、軸に平行な平面におけるで組合わせ体の断面を示す。各部品番号は既出の各図と共通であり、相当する各部品の数字にeをつけて区別してある。図7で新たに現れた番号10eは、間接法の特徴であるドライバ円筒を示す。ドライバ円筒10eは、円筒3eの外周から距離を置いて同心円状(共軸的)に配置された円筒で被衝撃体を収納し、その外周に密接して円筒状の爆薬2eが配置されている。
【0051】
図8は、図7に示した間接法装置において、円筒状の爆薬2eの全長のほぼ半分の位置まで爆発が進行した時の状況を説明するための断面図である。2”fは爆轟波面で、爆発がそこまで進行したため、円筒状爆薬2fの内面に接したドライバ円筒10fは爆発圧力によってドライバ円筒の内周側に高速で投射され、既に爆発圧力を受けた部分は元の位置からの移動が進んでいるので、ドライバ円筒10fの既に爆発圧力を受けた部分は、円筒軸に対して傾斜し、起爆側で多孔質材料1fを収納した外部円筒3fに衝突する。その位置で金属が流動的になるために発生する爆発進行方向に向うジェット11fと、中心の円筒5fが収縮して向い合う壁面に衝突することによって発生するジェット12fを示す。ジェット11fと12fは、衝突の条件によって発生する場合としない場合があるが、後に詳述する。
【0052】
外部円筒3fは、ドライバ円筒10fの衝撃によって円筒軸方向に押しやられて傾斜し、それによって、収納された多孔質材料1fも同じ方向に押しやられる。衝撃によって、多孔質材料1fには衝撃が伝えられた部分から衝撃波が発生するが、その形態を2種類に分類できる。図9に示す形態は、斜衝撃波と呼ばれる形態で、軸に対して傾斜した衝撃波Wが発生している状態を説明する断面図である。図は、多孔質材料1g、ドライバ円筒10g、外側の円筒3g及び内部円筒5gの共通円筒軸に平行な断面を示しているが、円筒軸に対して上下対称であるため、図の下半分は省略してある。
【0053】
図9の上部に示した矢印は、多孔質材料1g中の爆発速度D、衝撃波速度Usと衝撃波面Wの円筒軸に対する傾斜角度θの関係を示し、図から明らかなように
、D、Us及びθの間には、
【数19】
の関係がある。さらに、多孔質材料1g中に伝えられた衝撃波の最高圧力Pfは
、
【数20】
で表わされる。ここで、ρ0は多孔質材料1gの衝撃前の初期密度、Upは衝撃によって多孔質材料が移動する速度で、物質速度または粒子速度と呼ばれる。
【0054】
衝撃波面での最高圧力Pfの値を知るには、ρ0、Us、Upの値を必要とする。しかし、ρ0とUsは簡単な測定により求めることができるが、Upについては、多孔質材料の物性に関する知識によって計算するか、やや困難な計測によって得ることを必要とする。困難な計測を避けるために、各種の物質について既に測定された値を利用することが可能であり、理論密度を有する多くの固体についてUsとUpの関係が知られているので、それらから多孔質材料のUs−Up関係を導きだすことが適当である。
【0055】
【数21】
は固体のUs−Up関係を示す一般式で、多くの固体でbは0であるか、0として近似的に求めても問題はない。この数式でC0は固体中の音速、a及びbはそれぞれの固体に固有の係数で、多くの固体についての測定値が、LASL Shock Hugoniot Data、(S.P.Marsh編、University of California Press、1980年刊行)に記載されているので、利用することができる。ただし、データのほとんどは、理論密度又はそれに近い密度の物質に関する値であるため、そのまま多孔質材料に適用することはできない。
【0056】
多孔質材料のUs−Up関係は、理論密度を有する同種の固体のUs−Upデータ
を
【数22】
に代入して得ることができる。ここで、Pは多孔質材料中の圧力、PHは理論密度を有する固体の圧力、V0は初期密度ρ0の逆数で初期比容積、Vは圧力が負荷された際の密度ρの逆数で比容積、V0 *は多孔質材料の初期密度、γはそれぞれの固体に固有の性質を示すグリュナイゼン係数と呼ばれる係数で、体積のみに依
存するものとされ、
【数23】
の関係を有し、γ0は密度がρ0の場合の、またγは密度がρの場合の、それぞれグリュナイゼン係数である。
【0057】
例えば、理論密度を有する固体に衝撃圧力をかけて、その際に発生した衝撃波速度Usを測定すると、数式21から粒子速度Upが得られ、初期密度ρ0は既知であるから、発生圧力Pも求められる。次に、理論密度の固体のUs−Up関係を、任意の密度で同材質の固体についてUs−Up関係に変換するには、前述の数式22と23を用いる。また、γ0の値は、前掲のLASL Shock Hugoniot Dataや、その他の固体物理に関する参考書から、圧力が負荷された状態での密度ρは、
【数24】
から求めることができる。これらの、Us、Up、P、V、ρ等の関連を持った値からなる一連の式は、Hugoniot Relation(ユゴニオ関係)と称されている。
【0058】
以上の関係を利用すれば、多孔質材料についても、材料中に発生した衝撃波の速度Usを測定したり、ドライバ円筒が外部円筒に衝突する速度を求めて、発生圧力などのデータを得ることができる。以下、なぜそれらの値が必要であるかを説明する。
【0059】
本発明による衝撃法装置を利用する場合、多孔質材料中に発生する衝撃波には、2種類の形態が存在する。通常は図9に示すような斜衝撃波Wが発生するが、この場合、数式19から明らかなように、衝撃波速度Usは爆発速度Dより小さい。この形態は、前述のように、多孔質材料に投入された衝撃エネルギーが低めの場合に発生する。
【0060】
これに対し、多孔質材料に投入される衝撃エネルギーが増加すると当然発生圧力が増加し、それに伴って数式20及び21から明らかなように、必然的にUsが増加し、ついには爆発速度Dを上回る。数式19から明らかなように、衝撃波速度Usが速くなるにつれ、衝撃波の傾きθは大きくなり、爆発速度Dと衝撃波速度Usが等しくなると、衝撃波は円筒軸に直角になる。即ち円筒軸に直角な平面波となる。
【0061】
爆発速度Dと衝撃波速度Usが等しくなる条件の圧力をPRとして、圧力PがPRより大きくなると、衝撃波速度Usも爆発速度Dより大きくなるので、衝撃波の波面(以後衝撃波面)は、直接法で衝撃した場合の図10にWhで示すように爆発衝撃の負荷点L、或は間接法においては、図11にWiで示すようにドライバ円筒の衝突点L’より前に出てくる(以後『先行衝撃波』と称する)。なお、本発明における衝撃形態は共通円筒軸に関して上下対称であるため、図10と図11では、衝撃点近傍の断面上半分のみを示している。また、両図とも円筒同士の衝突によって発生するジェットは省略してある。
【0062】
ただし、どんなに衝撃圧力Pが高くなっても、衝撃点より先行して材料を圧縮する仕事をすることによって圧力が減衰するため、先行衝撃波はある程度以上は前に出ない。またこのような形態になった状態では、衝撃波の圧力上昇と下降の形態は斜衝撃波の場合とは異なる。斜衝撃波の場合、縦軸を圧力P、横軸を経過時間tとした圧力波形は、図12のような急峻な立ち上がりを示し、圧力の除去も、立ち上がりよりは遅いが急速な低下を示す。これに対して、衝撃波が衝撃負荷点より前に出た場合は、図13に示すように、斜衝撃波よりも緩やかな立ち上がりと低下を示す。
【0063】
負荷した衝撃の種類と、衝撃を受けた多孔質材料の物性に関するデータがあれば、衝撃波が上記のいずれの形態を取るかは、後に述べる計算手順で知ることができる。また、単純な円筒に充填された多孔質材料に斜衝撃波が負荷された場合、斜衝撃波が円筒の中心部まで進入すると、多孔質材料の断面積が円筒周辺よりも小さくなるため、衝撃波の集中が起きて周辺部より衝撃圧力が強化されることがある。これは厳密には3次元的な解析によって解く必要があるが、本発明装置の場合、内部円筒の中心部は空間であり、それが衝撃によって圧縮されても、多孔質材料の内側の円筒(内部円筒)や、さらにその内側に配置された円筒や金属丸棒が多孔質材料の内径を制限しているため、円筒の中心部には多孔質材料が存在せず、そのため衝撃の集中は無視できる。よって、解析は2次元解析で差し支えない。
【0064】
本発明において、衝撃波が斜衝撃波であるか、円筒軸に直角な平面波であるかの違いが重要である理由は、以下による。斜衝撃波の場合、多孔質材料中を斜衝撃波の先頭部分が通過した後、圧力は急速に低下する。従って、斜衝撃波の通過した多孔質材料中の圧力は急速に大気圧に近い状態になる。ただし、その状態は、圧力を検知する位置によって異なる。
【0065】
例えば多孔質材料の衝撃点に近い部分では、圧力の解放が、多孔質材料の衝撃負荷点又は多孔質材料を拘束する円筒の衝撃負荷点や、間接衝撃の場合ドライバ円筒の外表面から始まるため、衝撃負荷後極めて短い時間で大気圧に近い状態となる。これに対して、多孔質材料中の衝撃負荷点から遠い位置では、圧力除去が衝撃負荷点側から始まるため、圧力低下は衝撃負荷点側より遅れる。
【0066】
円筒軸に直角な平面波の場合は、斜衝撃波の場合とやや異なり、圧力の上昇、下降共に斜衝撃波の場合より緩やかである。定性的には、図13のような、やや切り立ってはいるが斜衝撃波の場合よりも緩やかな圧力上昇と、これよりもずっと緩やかな圧力下降からなっている。特に斜衝撃波と異なる点は、圧力の下降状態が材料の位置によってそれほど異ならないことである。これは斜衝撃波の圧力上昇がジャンプにより、圧力下降もジャンプではないが圧力−比容積曲線に沿って起きるのに対し、軸に直角な平面波の場合は、圧力上昇が、圧力が負荷されてない状態の多孔質材料中に入って行った先行衝撃波が圧力減衰によって圧力が低下した部分から徐々に最高圧力部分に推移することによる。また、圧力下降についても、その形態は、圧力が時間の経過に伴って指数関数的に減衰する膨張によると仮定できるため、斜衝撃波の場合より緩やかな圧力下降を示す。
【0067】
これらの違いは、多孔質材料の内部の円筒が、多孔質材料を通じて伝播した衝撃によって収縮する際、斜衝撃波においては多孔質材料は急峻な圧力上昇で最高圧力に到達するのに対して、円筒軸に直角な平面波については、最初は急峻な圧力上昇を示すが、それに続いて緩やかな波形で最高圧力に達すると言う違いとなって現われる。
【0068】
本発明において、多孔質材料が二重の金属製円筒の間の、環状の空間に充填されると言う要件は極めて大事である。例えば、前述のように多孔質材料を1本の金属製円筒の内部に充填し、円筒の中心軸部分に円筒状の空間を設けることによっても、本発明と同等の効果が得られるような印象を与えるかも知れないが、以下の点で本発明の効果が得られない。
【0069】
まず、円筒の外部から進行的な衝撃が伝えられた場合、多孔質材料内に衝撃が進行するまでは同一と考えてよい。しかし、衝撃が多孔質材料内面の空間に達した時そこに金属製の内部円筒がないと、衝撃を受けた多孔質材料は直ちに圧力開放され、その圧力開放が既に衝撃を負荷されて高圧になっている多孔質材料を包囲する円筒に近い部分に稀薄波として伝播し、最終的には円筒側から進行した稀薄波と衝突し、既に圧縮されていた多孔質材料を引き裂く。
【0070】
一方、多孔質材料内の空間に面していた部分は、負荷された圧力に対応する速度で空間内に飛翔し、360゜方向から飛翔してきているので軸上で衝突し、そこで改めて衝突による衝撃圧力を発生する。これは既に説明した、本発明による二重の円筒の間の環状の空間に充填された多孔質材料に衝撃が加えられた場合と大きく異なり、そのため、本発明によって達成される多くの利点が得られない。さらに、本発明による、二重円筒の間の環状の空間に充填された多孔質材料の、内部円筒に面した部分に衝撃が到達した場合、内部円筒は多孔質材料からの衝撃を伝達されて収縮するため、内部円筒がない場合や、内部円筒に相当する金属が中実、即ち金属棒である場合に較べて、多孔質材料内への衝撃波の反射は軽減され、よって多孔質材料の外側を包囲する金属の破裂の可能性が極端に低下する。
【0071】
本発明においては、衝撃の負荷方法として、直接、間接の両方を用いることが可能であるが、系に投入されるエネルギーを求める点の容易さについては、間接
法の方が有利である。間接法において、系に投入されるエネルギーは
【数25】
で表されるガーネーの公式から求めることができる。この式によれば、ドライバ円筒の単位面積当たりの重量mdと爆薬量mxとの比率、及び爆薬の単位重量当たりエネルギーから、爆発圧力によって飛翔するドライバ円筒の最高速度Vp mが
与えられ、
【数26】
によって、飛翔距離Yと爆発圧力Pxに並びにその飛翔距離におけるドライバ円筒の速度Vpの関係が与えられる。ただし、この式からは直接Vpを得ることができないので、適宜数値を代入して、左辺と右辺が釣りあう条件を求め、その際のVpを、与えられた飛翔距離Yでのドライバ円筒の速度とする。
【0072】
さらに、数式26から得られた飛翔距離Yをドライバ円筒が外部の円筒に衝突
する位置とすれば、ドライバ円筒の飛翔速度Vpを
【数27】
に代入することによって、外部円筒の単位面積当たり投入エネルギーを求めることができ、さらに、充填された多孔質材料全体に投入エネルギーが与えられたと考えられる。ただし、ドライバ円筒と外部の円筒の衝突が超音速の場合は、衝突によるエネルギーロスは無視して差し支えないが、亜音速の場合は、ドライバ円筒と外部の円筒の間にジェットが発生して運動エネルギー損失が発生することにより、多孔質材料に与えられるエネルギー量が低下する。
【0073】
ドライバ円筒と外部円筒との衝突が超音速か亜音速かの判定は、簡便には、使用爆薬の爆発速度又はドライバ円筒と外部の円筒の衝突する点の移動速度が、ドライバ円筒或は外部円筒を構成する金属材の、縦波の音速より高いか否かによることができる。各種の金属の音速は、前掲のLASL Shock Hugoniot Dataや、その他の固体物理に関する参考書から知ることができる。
【0074】
ドライバ円筒と外部円筒の材質が異なる場合は、
1)両方共超音速
2)両方共亜音速
3)音速の低い方が超音速で、高い方が亜音速
の3種類の状況が考えられる。
【0075】
ドライバ円筒と外部円筒が2)または3)の様式で衝突することによって、ジェットが発生してエネルギー損失Ejが生ずる。その値は、2)の場合
【数28】
によって得られ、3)の場合その1/2の値となる。また、1)の超音速衝突の場合は、エネルギー損失は無視できる程度である。エネルギー損失を受けた後の、多孔
質材料に投入されるエネルギーEgは
【数29】
で得られる。ただし、Efはドライバ円筒の運動エネルギーである。
【0076】
ドライバ円筒の外部円筒への衝突によって伝えられた衝撃は、外部円筒を通して多孔質材料に伝えられる。これによって、多孔質材料は衝撃的な圧力上昇に供されるが、その際にも、多孔質材料の性質によって亜音速衝撃と超音速衝撃の2種類の衝撃形態のいずれかが伝わることになる。
【0077】
多孔質材料内の衝撃が超音速・亜音速のいずれであるかを知るには、まず多孔質材料のユゴニオ曲線又はユゴニオ関係式を知ることが必要となる。既に段落0057で説明したように、多孔質材料のユゴニオ関係を知るには、数式22と数式23によって、理論密度の固体のUs−Up関係から、任意の密度で同材質の固体についてUs−Up関係、或は比容積Vと圧力Pの関係に変換できる。さらに、2種類以上の固体からなる多孔質材料の場合は、各々の理論密度でのユゴニオ関係を重ね合わせ、多孔質材料状態のユゴニオに変換しても、それぞれの材料が均等な空隙を持った多孔質状態であると仮定して計算し、それらを重ね合わせてもよい。
【0078】
ここで、本発明による衝撃方法の極めて有効な応用例である、グラファイトからダイヤモンドを合成する場合に利用される、2種類の固体からなる多孔質材料のユゴニオ関係を求める。衝撃を受ける材料即ち被衝撃体乃至被処理体としては、高圧力によって相変態を起こしてダイヤモンドとなるグラファイトと、圧力上昇材兼冷却材として鉄粉を用いる。鉄粉は、グラファイトがダイヤモンドになった後で急速に圧力が低下し、一方生成したダイヤモンドは、数千度Kもの高温になっているので、常圧では不安定なため、そのままではグラファイトに戻ってしまう。これを防止するのが冷却材の鉄粉で、鉄粉は数百度Kにしか達しないので、ダイヤモンドから熱を奪うことによって、常圧でもグラファイトに戻らない温度にまで冷却し、ダイヤモンドとして回収できるようにするためのものである。
【0079】
また、圧力上昇材としての効果は、グラファイトが鉄に較べて密度が低く圧縮性が高いため、外部から衝撃を受けた場合に大きく収縮してグラファイト内に高い圧力が発生し難い。反面、鉄はグラファイトに較べて密度が高く圧縮性は低いため、同じ外部衝撃を受けた場合に、より高い圧力を発生する。従って、これらを混ぜ合わせると、同一の外部衝撃圧力を受けた場合、グラファイト単独の場合よりも高い圧力が発生し、容易に必要な高圧力を得ることができる。
【0080】
具体的な計算例として、グラファイト5重量%と鉄粉95重量%の混合粉を円筒内にプレスによって圧入し、4750kg/m3の密度になった場合のユゴニオ関係式の諸データを求める。グラファイトの密度を2260kg/m3、鉄の密度を7850kg/m3とし、空隙は全てグラファイトに含まれるとすると、グラファイトと空隙の体積を合わせた容積に対応する密度は,558.6kg/m3となり、これはグラファイトの理論密度とされる2260kg/m3に対して24.7%に相当する。
【0081】
多孔質材料に衝撃を負荷した場合のP−V曲線の求め方については、既に説明したが、グラファイトに衝撃を負荷してダイヤモンドを合成する場合については、既に多くの測定が為され、より簡便な計算方法がM. Araki and C.O.Leiber、Shock Compression of Condensed Matter 1991、 ed. S.C.Schmidt, R.D.Dick, J.W.Forbes and D.G.Tasker (Elsevir Science Publishers B.V., 1992年刊行)p.547に
【数30】
の形で与えられているので、ここではそれを利用する。この計算例の目的は、高い衝撃圧力を受けた場合に、グラファイトがダイヤモンドに相変態する状況でのユゴニオ関係を知るためのものである。
【0082】
【数31】
は、グラファイトが衝撃を負荷された場合のUsと(P/ρ0)1/2の関係を示すもので、グラファイトのρoが270 kg/m3から1000kg/m3のものについて共通のものであるが、この場合の558.6 kg/m3はその中に含まれるため、この関係を利用することに問題はない。また、この関係は、実測値から最小二乗法により求めたもので、その相関係数は0.993であり、高い精度を有している。
【0083】
ユゴニオ関係を求める上で、最も基本的と考えられるデータは,圧力Pと比容積Vの関係であり、その軌跡曲線を図にしたものをP−V曲線、P−V図、又は圧力−比容積曲線或はユゴニオ曲線等と呼ぶ(以後P−V曲線とする)。P−V曲線を求めるには幾つかの方法があるが、以下代表的な例について説明する。
【0084】
まず、数式31に任意の圧力Pと既知のρ0の値を代入する。例えば、最初にPとして10GPa、ρ0として0.5586g/cm3を代入すると、衝撃波速度Usとして4.899km/sが与えられる。ただし、この式は他の式が全て物理単位によるのに対し、圧力PをGPa、密度ρoをg/cm3で代入し、得られた値は衝撃波速度Usをkm/sで表わしたものであることに注意する必要がある。粒子速度Upは数式20のPfをPと読み代えて求めることができ、既知のP、Us、ρ0の値を代入して、3.654km/sが得られ、さらに数式24から、衝撃下の密度ρとして2198kg/m3、比容積Vは4.549×10−4m3/kgが与えられる。P−V曲線を得るには、そのように任意圧力Pの数点について計算して、Us、Up、ρまたはVを得ることによる。ただし、比容積Vは密度ρの逆数である。
【0085】
表3はそのようにして、空隙のあるグラファイトの衝撃下の物性値を10GPaから100GPaまで10GPaごとに求めたものを示している。また、図14は、表3の圧力Pと密度ρoの関係を、圧力Pと密度の逆数である比容積Vの関係に直して図示したP−V曲線である。この関係は、グラファイトを出発材料としているが、グラファイトは20GPaから40GPaの間でダイヤモンドに転換していると考えられるので、ダイヤモンドのP−V関係として扱って差し支えない。
【0086】
【表3】
【0087】
グラファイトと鉄の混合物のP−V関係を求めるには、さらに鉄のP−V関係を知る必要がある。数式21での鉄の係数はC0が3.574、aが1.920、bが−0.068であることが、前述のLASL Shock Hugoniot Dataによって報告されている。
【0088】
【表4】
【0089】
表4に、このようにして鉄のP、Us、Up、V及びρ0を、Pを20Gpaから100GPaまで10GPa刻みに変えて求めた結果を示す。10GPaの点を記載しなかったのは、鉄の場合13GPaで変曲点があり、その圧力以下では上記の係数が利用できないためと、20GPa以下ではグラファイトからダイヤモンドへの相転換は起らないと考えられるからである。図15は、鉄のP−V関係を図示したP−V曲線である。この鉄のP−V関係と、既に求めたグラファイトのP−V関係を、数式31によって重ね合わせた結果を、表5と図16に示す。各種の計算を容易にするためには、表5に示されたUs−Upの関係を、数式21の形にすることが好ましい。最小二乗法によって空隙のあるグラファイトと鉄の混合物の数式21の各係数を求めたところ、C0は1.112km/s、aは1.738、bは0で、その相関係数Rは1.00であった。
【0090】
【表5】
【0091】
これ以降の計算による衝撃条件の推定は、多孔質材料に加えられる外部からの衝撃条件を知ることが必要となる。外部から加えられる衝撃条件には、以下の4種類の様式が考えられる。
1)多孔質材料の音速を超える超音速の強い衝撃
2)多孔質材料の音速を超える超音速の弱い衝撃
3)多孔質材料の音速以下の亜音速の強い衝撃
4)多孔質材料の音速以下の亜音速の弱い衝撃
【0092】
これらの表現は抽象的で具体性を欠くが、状況をより明確にするために説明を加えれば、まず、1)の強い衝撃とは発生圧力が高く、そのため多孔質材料を収納した二重円筒が十分に収縮し、内部円筒の内壁が、向い合った同じ円筒の内壁と衝突するような状況を言う。2)の弱い衝撃とは、1)から容易に設定できることで、多孔質材料を収納した二重円筒の収縮が不十分で、向い合った同じ円筒の内壁と衝突するに至らないか、衝突してもその速度が不十分で、多孔質材料内にその衝突による強い衝撃波が発生しない状況を言う。3)の強い衝撃とは、超音速と亜音速の違いはあるが1)とほぼ等しく、さらに外部からの衝撃によって発生した衝撃波が二重円筒の軸に直角な波面を有する平面衝撃波であることを言う。4)の弱い衝撃とは、2)とほぼ等しく、さらに3)に説明した平面衝撃波が発生しない状況であることを言う。
【0093】
本発明の要件から言えば、当然上記衝撃条件の2)と4)は多数回の衝撃を与えるか、衝撃時間を持続させる点では第1の要件を満たさないが、内部円筒の収縮が十分大きければ、多孔質材料の変形率の範囲が、一重の円筒に充填されて同様に衝撃を受けた場合よりも広い範囲であることについて、第2の要件を満たす。
【0094】
本発明の第1の要件を満たすには、衝撃を受けた結果、少なくとも多孔質材料を含む部分の内側には、衝撃後に空隙が残らない状態まで、内部の円筒が収縮していることが要求される。ただし、一旦内部円筒が収縮して反対側の壁面又は内部円筒の内部に挿入された金属棒或は円筒と衝突して跳ね返った結果、空隙が残った場合は要件を満たしたこととする。
【0095】
本発明の第2の要件を満たすか否かは、衝撃を受けて変形した量が、既に説明したように、多孔質材料の変形率の範囲が、一重の円筒に充填されて同様に衝撃を受けた場合よりも広範囲であれば満たすことになる。また、本発明の有効性は、両方を満たした場合は、当然達成されたことになるが、第1または第2の要件のいずれかを満たした場合でも達成されたものとする。
【0096】
多孔質材料内の超音速と亜音速の定義は、段落0074と0075で述べた超音速と亜音速の定義とは異なる。上記段落で述べた超音速と亜音速の定義は、使用した爆薬の爆発速度或はドライバ円筒と外部の円筒の衝突する点の移動速度が、ドライバ円筒或は外部の円筒を構成する金属の縦波の音速より高いか否かを問題にしていたが、ここでは、使用した爆薬の爆発速度或いはドライバ円筒と外部の円筒の衝突する点の移動速度、即ち外部から二重円筒内の多孔質材料に加えられる衝撃の円筒軸方向における移動速度が、加えられた衝撃によって多孔質材料内に誘起された圧力によって発生する衝撃波速度より高いか低いかを問題とし、高い場合超音速、低い場合亜音速と定義する。
【0097】
亜音速とは、衝撃が充分に強いため、発生した衝撃波の速度が衝撃点の移動速度Vmよりも高い場合であり、発生した衝撃波は衝撃が加えられた位置から、まだ衝撃が加えられてない、爆発進行方向の前方へ進行する(以後先行衝撃波)。しかし、ある程度進行すると、多孔質材料を圧縮しながら進むためエネルギーを消費し、その結果圧力が減衰し、衝撃波の速度も衝撃点の移動速度Vmと等しくなり、その部分で衝撃波面を形成して、定常的に進行する。その状況を図示したのが図13で、点pが衝撃の加えられた位置、sfが衝撃点より前方の衝撃波面形成位置を、圧力の軌跡を示す線は、縦軸を圧力P、横軸を距離Xとして示されている。
【0098】
先行衝撃波は、一般的な平面衝撃波として扱って差し支えなく、その速度は衝撃点の移動速度Vmと等しい。しかし、その後に続く圧力上昇は、なだらかな等エントロピー的な圧力上昇であり、先行衝撃波がジャンプによる圧力上昇であるのとは対照的である。亜音速条件で多孔質材料に与えられる内部エネルギー増E
tは
【数32】
によって求められる。数式32中の“P”は、数式20の“Pf”を“P”と読み代え、“Us”に“Vm”を代入することによって得られる。また、“Pm”は
、
【数33】
によって、“Upm”は
【数34】
“Vn”は
【数35】
で与えられる。数式32で、前半の部分は先行衝撃波による内部エネルギー増で、後半は等エントロピ的圧力上昇による内部エネルギー増である。
【0099】
それに対する超音速条件とは、衝撃の程度が亜音速条件より低く、発生した衝撃波の速度Usが衝撃点の移動速度Vmより低い場合を言う。この場合、ホイヘンスの波動理論によって、衝撃波は衝撃点である多孔質材料の外周を起点とし、内周を終点とする円錐台形の斜衝撃波となる。その際の衝撃波速度をUs’とす
ると、衝撃点の移動速度Vmとの関係は
【数36】
で、多孔質材料に与えられる内部エネルギーE’は、
【数37】
で与えられる。その際Pは、亜音速条件でのPの求め方と等しく、Vは
【数38】
で得られる。
【0100】
本発明で亜音速となるか、或は超音速となるかは、次のようにして計算することができる。即ち、数式29で与えられる多孔質材料に投入されるエネルギーE
gが、
【数39】
の条件を満足すれば、亜音速衝撃となり、満足しない場合、超音速衝撃となる。数式39の意味は、右辺は多孔質材料内に先行衝撃波が発生するための最低条件を示し、これ以下であれば、衝撃波は斜衝撃波、即ち超音速条件となることを意味している。
【0101】
超音速条件では、厳密には斜衝撃波が外径位置から内径方向に進行するに従って、衝撃波が集中して来るため、その効果を計算に入れる必要があるが、本発明においては、中心に内部円筒があり、全体の直径に対する多孔質材料の厚みは十分に小さいので、その効果は誤差の範囲に止まり、実用上考慮の必要は殆どない。即ち、3次元的解法は必要でなく、2次元的解法で対応して問題ない。
【0102】
次に、多孔質材料内に平面衝撃波又は斜衝撃波が発生した後に続く状況について説明する。まず平面衝撃波が発生した場合、数学的な厳密さから言えば、Eg=Etの場合は、内部の円筒は収縮せずに内外径を維持したまま、多孔質材料中に平面衝撃波が発生することになるが、現実にはそのようなことは起こり得ない。と言うのは、多孔質材料内に発生する平面衝撃波の内部円筒に近い側は、衝撃圧力の内部の円筒からの反射によって発生するので、内部の円筒は円筒の内側に対して高い圧力で押されることになるからである。また、内部円筒の収縮に対する抵抗は、発生する圧力に対して十分に小さく、無視しても差し支えない程度である。従って、数式39が成り立つ場合、内部の円筒が収縮しつつ、平面衝撃波が発生すると考えてよい。
【0103】
この平面衝撃波が発生する場合、衝撃波によって上昇した圧力は、既に説明したように、圧力が時間の経過に伴って指数関数的に減衰するプラントル―マイヤー膨張によって下降すると仮定できるため、斜衝撃波の場合よりも緩やかな圧力下降を示し、後に説明する、斜衝撃波が通過した後に発生する激しく急速な圧力下降は起きず、また、本発明においては、平面波発生に伴う爆発進行方向に対する運動量の一部が、内部円筒の収縮に伴って発生したジェットに受け持たれるため、衝撃処理を受けた多孔質材料は、容易に円筒中に収まったまま回収できる。
【0104】
本発明による多孔質材料の衝撃処理方法を用いて平面波衝撃を発生させた場合、現象はそれに止まらない。上記したように、内部円筒は、ドライバ円筒から外部円筒を介して多孔質材料に加えられた衝撃によって内方に収縮し、壁面は反対側の円筒内壁面と衝突する。それによって機械的な衝撃が内部の円筒を通して多孔質材料に伝えられ、膨張によって下降していた圧力は再び上昇に転じ、その圧力は、平面衝撃波面を上流とした場合の上流側に伝わって、平面衝撃波面と内部の円筒が収縮して内壁が衝突している点の間で、圧力がほぼ一定に保たれると言う現象が発生する。図17はその状況を示す圧力の推移を示す図である。
【0105】
平面衝撃波面と内部円筒が収縮して内壁が衝突している点の間の距離をK、ドライバ円筒と外部円筒の衝突点の軸に平行な移動速度をVmとすると、圧力がほ
ぼ一定に保たれる時間teは
【数40】
で与えられる。無論、内部円筒の内径r0Iが非常に大きい場合、即ち、多孔質材料の厚みが非常に薄い場合、平面衝撃波(以後『1次衝撃』と称する)によって高圧に達した多孔質材料は、内部円筒が収縮したことによって与えられる衝撃(以後『2次衝撃』と称する)が発生する前に減衰してしまい、2次衝撃の発生が1次衝撃による高圧を維持する効果はない。内部円筒の内径がどの程度であれば、1次衝撃によって発生した圧力を維持する効果が得られるかについては、計算によって求めることも可能であるが、手順は面倒であり、その信頼性は高くない。ただし経験的には、内部円筒の内径が外部円筒の外径の15%以上かつ60%以下であれば、圧力の保持効果は期待できることが分った。
【0106】
さらに、1次衝撃から2次衝撃までの時間teは数式40で得られるが、肝心の平面衝撃波面と、内部円筒が収縮して内壁と衝突していると点の間の距離Kを知ることが難しい。これも計算で得られるが、同様に手順は面倒であり信頼性は高くない。これを確実に知るには、0052で説明したフラッシュX線を用いることが最も確実であるが、より簡便には、回収した円筒を切断して、最内部の円筒の内壁面が、反対側の内壁面或は内部の金属棒に衝突しているか否かを確認し、衝突していればその時点まで圧力は維持されたと判断することが定性的ではあるが確実な方法であり、また、実用的にはそれで十分である。
【0107】
数式39が成り立たない場合、即ち超音速衝撃条件で発生する斜衝撃波では、衝撃波の起点は外部円筒の内壁にあり、内部円筒の外壁(多孔質材料に面した側)で終了する。ただし、内部円筒の外壁に衝突した斜衝撃波は、そこで反射して斜の反射衝撃波となり、既に衝撃波によって高圧になった多孔質材料をさらに昇圧しつつ多孔質材料中を伝播する。その際の圧力上昇の程度と反射斜衝撃波の速度は、数式29で与えられるEgの値を数式38のE’に代入し、これまで説明してきた関連式から計算できる。他方、ドライバ円筒の衝突した外部円筒側では、ドライバ円筒の外部は大気圧にさらされていると考えてよく、多孔質材料は衝撃により高圧になっているので、急速に圧力を下げつつ膨張する。その圧力を下げる波を稀薄波と称する。稀薄波は、圧力が大気圧の点から始まり、高圧になった
材料中を、圧力を下げつつ
【数41】
で計算される音速で進行する。式においてPは圧力、ρは圧力Pでの密度を示す。
【0108】
しかし、本発明による多孔質材料の衝撃処理方法においては、それに止まらず、多孔質材料中を進行し内部円筒の外壁に衝突した斜衝撃波は、そこで反射して斜の反射衝撃波になるのと同時に、内部円筒を収縮させ、内部円筒内壁の反対側の面と衝突し、その際再び衝撃波を発生して、多孔質材料中へ2次の斜衝撃波として伝播する。最初の衝撃波に加えて反射衝撃波が発生し、さらに2次の衝撃波が発生することを加えると、合計3回の斜衝撃波が発生することになる。それらの他に稀薄波が発生することを計算に入れると、作用は錯綜しており、原理的には計算できるが、信頼性はさほど高くなく、これもフラッシュX線で測定してそれぞれの速度を測定し、圧力等を計算することが最も信頼性が高い。しかし、実用上は、錯綜した衝撃波の作用を計算或は測定したりする必要は殆どなく、衝撃波が2回以上作用する効果を享受するのみで充分である。
【0109】
ここで留意する必要がある点は、斜衝撃波が発生する場合と平面衝撃波が発生する場合のどちらも、多孔質材料を充填した円筒よりも内部にある空間は、必ず爆発衝撃によって潰されていなければならないということで、これが本発明を実施する上での必要条件である。斜衝撃波が発生した場合、円筒の内側で発生した最後の衝撃によって、円筒が外方に反射して一旦潰された空間がまたできることもあるが、そのような場合は、回収した試料を切断して最後の衝突点を検査すれば、衝突した後が残るので容易に判断できる。それに対して衝突が発生しなかった場合は、内部に空洞が残るか、或いは衝突が期待された部分に衝突の痕跡が残らないため、これも判断することは容易である。
【0110】
以上の情報から、例えば斜衝撃波を発生させる方法において、2次の斜衝撃波が発生していなかったり或は発生した2次衝撃波が弱いと判断された場合や、平面衝撃波を発生させる方法で、最終衝突点でジェットが発生してないと判断された場合は、最初の衝撃で与えられる投入圧力を増やすために、爆薬量を増加すればよい。また、斜衝撃波を発生させる方法において、発生した2次の斜衝撃波が強すぎる場合、ドライバ円筒と外部円筒が2次の斜衝撃波に起因する稀薄波の引張応力に耐えられずに破裂することがあるが、この場合は、2次の斜衝撃波が強すぎるものとして、爆薬量を低下させればよい。これらの調整は、爆薬を利用して各種加工をすることに習熟した当業者であれば、本発明明細書を参考にして、容易に実施し得ることである。
【0111】
以上の衝撃波の形態や衝撃の持続時間に関する説明は、間接法について説明してきたが、直接法においても本質的には変りなく、爆薬を利用して各種加工をすることに習熟した当業者であれば、本発明明細書や既に挙げた文献等を参考にして、容易に理解し、間接法を直接法に変えて実施し得ることである。
【0112】
以下、実施例と比較例について説明する。
【0113】
【実施例1】天然グラファイト5重量%と100メッシュの篩を通過した鉄粉95重量%をボールミルで均一に混合して多孔質材料(被処理体)とした。外部円筒を外径40mm、厚さ2mmで、長さが300mmの銅円筒、内部円筒を外径20mm、厚さ2mmで、同じ長さの銅円筒として、同軸上に組み合わせ、二重円筒としたものの一端を、それぞれの円筒の内径と外径に合致した環状の鋼鉄製の栓を圧入して塞ぎ、天然グラファイト5重量%と鉄粉95重量%の混合粉をプレスで圧入して充填し、充填を終了してから、環状の鋼栓を圧入して塞いだ。環状の栓の長さは、両端共各20mmとした。その結果、多孔質材料を充填した容積は1.83×10−4m3、量は0.869kgとなり、充填密度は4750kg/m3であった。この値は、グラファイトの密度を2260kg/m3、鉄粉の密度を7850kg/m3とした場合の密度6986kg/m3の約68%に相当し、空隙率は約32%であることが分る。
【0114】
一方、外径80mm、厚さ2mm、長さ350mmの銅のドライバ円筒と、外径139.8mm、厚さ4.5mm、長さ350mmの鋼円筒を同心円状に組み合わせ、両者の間に形成された8.41×10−3m3の環状の空間に、爆発速度4480/s、爆発エネルギー5000kJ/kgの爆薬を密度1210kg/m3で充填し、一端に爆発速度7100m/s、厚さ3mmの板状爆薬を頂角150゜、直径145mmの傘状に成形し、外周をほぼ一致させて取り付けた。環状の空間に爆薬を充填した二重円筒の中に、鉄粉とグラファイトを混合して作った多孔質材料を充填した二重円筒を、両端に環状に切り抜いたボール紙を接着して同心円状に配置し、傘状の爆薬を取り付けた側を多孔質材料を充填した円筒の一端から50mm離し、他端が一致するようにした。
【0115】
以上のように爆薬を充填した二重円筒と、多孔質材料を充填した二重円筒を組み合わせたものを、砂上に傘状の爆薬を取り付けた側を上にして立て、傘状の爆薬の頂点に電気雷管を取り付けて爆発させた。その結果、爆薬を充填した側の銅円筒は、多孔質材料を充填した銅円筒の外円筒に接合しつつ内円筒を収縮させて内側の空間を無くし、中実の一本の棒のような状態となって回収された。
【0116】
回収された被衝撃体及び円筒部材等(以後『回収体』と称する)は、爆薬が装着された銅円筒が、多孔質材料を充填した円筒に接合して回収され、爆発の終了側に取り付けられた環状の栓の一部が吹き飛び、その近くに詰められた鉄粉−グラファイト混合体が少量吹き飛んだと推定されたが、残部は一体となっていた。回収体の全長は、約295mm、多孔質材料の充填部の外径は約42mmから約40mmの間であった。環状の鋼栓がはめ込まれた部分は、起爆側では外径が約46mmで、多孔質材料が充填された部分になだらかに径が変ってつながり、爆発の終了した側の環状の鋼栓は、塑性変形によって軸方向に引き伸ばされて細くなり、最端部は吹き飛び、鋼栓と多孔質材料が接する部分はなだらかな段でつながっていた。
【0117】
回収体を全長のほぼ中央で円筒軸に直角に切断し、長さ約5mmと約10mmの円板乃至円筒状の試験サンプルを作った。長さ約10mmのサンプルはさらに、円筒軸のほぼ中心を通る、円筒軸に平行な面で切断した。軸に直角な面を光学顕微鏡で検査したところ、最内部の円筒は中心の空洞部が完全に圧潰されて棒状となり、中心部には円筒の内面が溶融して発生したジェットが円筒内に捉らえられ、冷却により固化した部分が、直径0.1mmから1.8mmの不規則な形状の断面で存在しており、内円筒の外径は約12mmであった。
【0118】
上記と同様な処理を繰り返した。回収した別の回収体から鋼栓部分を切断して除去し、銅製ドライバ円筒、外部円筒及び内部円筒を硝酸で溶かして除去し、鉄粉−グラファイト混合体を取りだした。部分的に剥落した鉄粉とグラファイトを硝酸溶液中から回収したものを合わせた混合体の重量は1.058kgで、装填した量との差は、爆発に際して円筒の終端から吹き飛んだ分と、硝酸処理の際に失われた分によるものと推定された。
【0119】
次に、混合体を沸騰した塩酸中に浸し、鉄分を除去した。残存した粉体を水洗してから乾燥し、重量を計測したところ50.8gであった。これを70%硝酸100重量部と塩素酸カリ50部との混合液中に投入して加熱し、沸騰させて液量が減少する都度硝酸を注ぎ足し、48時間放置後に瀘過して水洗、乾燥し、重量を計測したところ48.2gであった。全体をよく混合してから約1gを取り出し、粉末X線解折により検査したところ、全部が立方晶型のダイヤモンドであった。鉄分を除去した後の粉体を全て炭素分とし、硝酸と塩素酸カリの混合液での処理により減少した分が、全てダイヤモンドに転換しなかった炭素とすると、グラファイトのダイヤモンドへの転換率は94.9%になる。
【0120】
本実施例の衝撃条件について、ドライバ円筒が多孔質材料を充填した円筒に衝突する際の垂直速度Vpを数式25及び26によって求めたところ1924m/sであった。これを基に多孔質材料1kg当たりについて計算すると、ドライバ円筒の運動エネルギーEfは数式27から2.43MJ/kg、同様にしてジェットのエネルギーEjは数式28から0.35MJ/kg、よって多孔質材料に投入されたエネルギーEgは数式29から多孔質材料1kg当り2.08MJ/kgであることが分った。
【0121】
一方、多孔質材料内に平面波を発生するのに必要なエネルギーEtは、数式32から1.87MJ/kgとなり、投入エネルギーEgは、平面波発生に必要なエネルギーEtよりも0.21MJ/kgだけ過剰で、平面波を発生することができる条件であることが判明した。また、実際に回収した被衝撃体の状況から、平面波衝撃が発生したと判断された。さらに、圧潰された内部円筒の中心部にジェットが発生したことが認められたことから、ドライバ円筒が衝突してから、内部円筒が圧潰されるまで、圧力が保存されたと判断された。多孔質材料各部での変形率は、外部円筒に接した多孔質材料の最外周部で約26%、内部円筒に接した部分で約40%であった。
【0122】
(比較例1) 外径30mm、厚さ2mm、長さが300mmの銅製円筒に、実施例1で充填したのと同様な密度で天然グラファイト5重量と鉄粉95重量%の混合物を多孔質材料として充填し、両端を長さ20mmの鋼栓で塞いだ。その結果、円筒内には0.76kgの混合粉が充填された。
【0123】
一方、外径60mm、厚さ2mm、長さ350mmの銅製のドライバ円筒と、外径114.3mm、厚さ3.5mm、長さ350mmの鋼製円筒を同心円状に組み合わせ、両者の間に形成された2.18×10−3m3の環状の空間に、爆発速度4480m/s、爆発エネルギー5500kJ/kgの爆薬を密度1210kg/m3で充填し、一方爆発速度7100m/s、厚さ3mmの板状爆薬を頂角150゜、直径115mmの傘状に成形し、上記爆薬の一端に両者の外周をほぼ一致させて取り付けた。二重円筒の環状の空間に爆薬を充填した。また別の銅製円筒には鉄粉とグラファイトを混合して調製した多孔質材料を充填し、二重円筒の中央に配置した。この際、両端に環状に切り抜いたボール紙を接着して共軸性を確保し、また傘状の爆薬を取り付けた側は多孔質材料を充填した円筒の一端から50mm離し、他端は一致するようにした。
【0124】
以上のように組み合わせた爆薬充填二重円筒及び多孔質材料を充填した円筒を、傘状の爆薬を取り付けた側を上にして砂上に立て、傘状の爆薬の頂点に電気雷管を取り付けて爆発させた。その結果、爆薬を充填した側の銅円筒は、多孔質材料を充填した銅円筒の外円筒に接合して回収された。
【0125】
回収した多孔質材料を充填した円筒は、爆発が終了する側の鋼栓が吹き飛び、爆発を開始した側に約60mm程度の長さで、衝撃を受けた多孔質材料が残っているだけで、殆どの多孔質材料が管から吹き出して回収できなかった。回収できた多孔質材料を、実施例1と同様にして処理した結果、回収された炭素の22.4%がダイヤモンドに転換したことが認められた。
【0126】
本比較例の衝撃条件について、ドライバ円筒が多孔質材料を充填した円筒に衝突する際の垂直速度Vpを数式25及び26によって求めたところ1846m/sであった。これを基に多孔質材料1kg当たりについて計算すると、ドライバ円筒の運動エネルギーEfは数式27から2.21MJ/kg、同様にジェットのエネルギーEjは数式28から0.33MJ/kg、よって多孔質材料に投入されたエネルギーEgは多孔質材料1kg当り数式29から1.88MJ/kgであることが分った。
【0127】
一方、多孔質材料内に平面波を発生するのに必要なエネルギーEtは、数式32から1.87MJ/kgとなり、投入エネルギーEgは、平面波発生に必要なエネルギーEtとほぼ等しく、平面波を発生することができる条件であることが判明した。また、実際に回収した被衝撃体の状況から、平面波衝撃が発生したと判断された。
【0128】
実施例1の結果と異なり、グラファイトからダイヤモンドへの転換率が低い理由は、回収された部分が起爆側に近い部分で、多孔質材料内の圧力が充分に成長してなかったことも考えられるが、それよりも、本発明による圧力の持続効果が得られなかったため、グラファイトからダイヤモンドへ転換する時間が不充分であったこと、また計算上の変形率が、多孔質材料外周部で約20%、多孔質材料の中心軸上で0%で、高圧、高温と共に材料の移動を助けて、高い率でグラファイトからダイヤモンドへの相転換を達成する変形率が低かったためと考えられる。
【0129】
また、円筒内の多孔質材料が吹き出して、回収が適切に行われなかった理由は、本発明では、被衝撃体の爆発進行方向への運動エネルギーの一部を、内部円筒のジェットの運動エネルギーとして受け持たせ、多孔質材料の爆発進行方向へ向かう運動エネルギーを軽減するのに対し、比較例の方法ではそれが得られないことによると考えられる。
【0130】
【実施例2】実施例1の実験を操り返した。ただし、爆薬は密度1310kg/m3で爆発速度5500m/s、爆発エネルギー5800kJ/kgのものと変え、その他の条件は変えずに実施した。また、爆薬を装填する鋼管を外径114.3mm、厚さ3.5mmのものとした。その結果、回収体は、爆薬が装填された銅円筒が、多孔質材料を充填した円筒に重なってはいるが、冶金的には接合しないで状態で、爆発の終了側に取り付けられた環状の栓の一部が吹き飛び、その近くに詰められた鉄粉−グラファイト混合体が少量吹き飛んだと推定されたが、後の部分は一体となっていた。回収体の全長は、約286mm、多孔質材料の充填部の外径は、重なったドライバ管を含めて約44mmから約42mmの間であった。環状の鋼栓がはめ込まれた部分は、起爆側では外径が約46mmで、多孔質材料が充填された部分になだらかに径が変ってつながり、爆発の終了した側の環状の鋼栓は、周囲を覆う銅管及び内部円筒と共に多孔質材料から千切れて吹き飛んでいた。
【0131】
回収体を全長の略中央部で円筒軸に直角に切断し、長さ約5mmと約10mmの円板状又は円筒状の試験サンプルを作った。さらに、長さ約10mmのサンプルは、ほぼ円筒軸の中心を通る、円筒軸に平行な面で切断した。軸に直角な面を光学顕微鏡で検査したところ、最内部の円筒は中心の空洞部が圧潰されて棒状となっていたが、所々に直径1mm以下の細長い空洞が認められ、空洞がない部分は機械的に押し付けられた状態で、冶金的な接合や、円筒の内面が溶融して発生したジェットが捕捉されたと思われるものは認められなかった。
また、実施例1と同様にして、グラファイトのダイヤモンドへの転換率を測定したところ、92.8%で、実施例1による転換率とほぼ同等であった。
【0132】
この場合、多孔質材料内の衝撃波の形態は、実施例1と同様にして計算によって求めたところ、ドライバ管の垂直速度は、1605m/s、それによって多孔質材料に投入されるエネルギーは1.69MJ/kgで、平面波を発生するのに必要なエネルギーは2.92MJ/kgであるので、発生する衝撃波の形態は、斜衝撃波で、円筒軸に対する傾斜は51.6゜であり、超音速衝撃であることが判明した。通常、超音速衝撃の場合、多孔質材料を包囲する円筒は内部で反射した衝撃波が円筒外周で引張波となるため、その応力に耐えられずに破裂して、内部の多孔質材料が飛び散って回収できないが、本実施例で回収出来た理由は、内部円筒が収縮した結果、中実円筒の中心で発生する程強い反射波が発生しなかったことによると考えられる。また、この実験で多孔質材料に発生した圧力は37.6GPaであることが計算から求められた。
【0133】
(比較例2) 実施例2と同様な実験を行った。ただし、内部円筒を取り除き、外側の外径40mm、厚さ2mmの円筒全体に、多孔質材料を充填し、両端を直径36mm、長さ20mmの栓で封じた。その結果、充填された多孔質材料の量は1.257kgで、充填密度は4750kg/m3であった。その他の条件を実施例2と等しくして爆薬を爆発させたところ、外部円筒とそれを覆うドライバ管は破裂して多孔質材料は飛散し、全く回収出来なかった。
【0134】
この例の場合、多孔質材料に平面波衝撃波を発生させるのに必要な投入エネルギーは2.92MJ/kgであり、これに対して実際に投入されるエネルギーは、多孔質材料1kgあたり1.17MJ/kgであったので、超音波衝撃による斜衝撃波が発生することになり、多孔質材料中心部で発生した反射波が、外部円筒を覆うドライバ管の表面で引張波となって両者を破裂させたものである。この場合、発生した圧力は、27.4GPaであることが計算から求められた。
【0135】
【実施例3】外径20mm、厚さ2mm、長さ200mmの銅製の円筒と外径10mm、厚さ2mmで長さが同じ銅製円筒を共軸的に組み合わせ、2つの銅円筒間に限定される環状の空間に平均粒径15μmのダイヤモンド粉を詰めて、両端を長さ15mmの環状の適合径の銅栓を圧入して封じた。封入されたダイヤモンド粉の量は38.3gで、ダイヤモンドの真密度を3540kg/m3として、真密度に対する充填率は51.9%であった。
【0136】
ダイヤモンド粉を充填した後、銅製の二重円筒を10−1Torr以下の真空中400℃で2時間以上保持してから、両端を銅蝋付けして密封し、室温まで冷却した。外部円筒の外周全面を厚さ3mmの爆発速度7100m/sで爆発エネルギー6.4MJ/kg、密度1340kg/m3の爆薬で覆い、一端に、同じ爆薬を高さ40mmの傘状で、かつ裾の外径を円筒周囲の爆薬の外径と等しく成形したものを取り付けた。
【0137】
砂を直径約500mm、高さ約300mmに積み上げ、その上に爆薬を取り付けた管を、傘状の爆薬を上にしてほぼ垂直に立て、頂点に電気雷管を取り付けて爆発させた。爆発衝撃を受けた同心円状の管は、砂の中に打ち込まれた状態で回収され、爆発が終了する側の環状の栓が、半分程度衝撃で千切れて飛散している他は、損傷なく回収された。回収された管を、長手の軸に直角に、厚さ0.5mm、直径127mmのダイヤモンドブレードで15mmの幅で切断したが、一部を除いて切断が極めて困難で、ブレードがダイヤモンド部に到達すると、短時間で切れなくなり、ドレッシングを操り返して切断した。
【0138】
切断した断面は、爆発を開始した側の環状の栓に接した部分では、ダイヤモンドが多孔質の状態で固まり、アルキメデス法によって測定したところ、ダイヤモンドの真密度に対して、78%から86%の密度であった。栓とダイヤモンドが接する部分から、爆発の進行側へ15mm離れた位置では、ダイヤモンドは殆ど隙間なく固まり、断面をダイヤモンドペーストで研磨して光学顕微鏡で検査したところ、ダイヤモンド粒子同士は直接接合し、所々、直径1μm以下の空隙が認められた。その状況は、さらに爆発が進行した位置でも同様で、各位置で固まったダイヤモンドを切り出して、ピクノメータで密度を測定したところ、真密度とされる3540kg/m3に対して、96.7%から99.3%であった。また、ダイヤモンド部分の断面には、上記の空隙を除いて亀裂等の欠陥は認められなかった。
【0139】
外部円筒は、起爆側の銅栓部分が約19mmから20mm程度の僅かに歪んだ円形で、ダイヤモンドを充填した直径16.8mmから17.4mmの同じく歪んだ円形の部分になだらかに継がっていた。ダイヤモンド部分は、外径が11.7mmから12.6mmで、外周部分と内周部分は接する銅管がダイヤモンド粒の管に食い込んで接合していた。また、内側の銅管は、内部の空洞部が潰れて棒状になり、元空洞であった部分は、光学顕微鏡で見ると、周囲から収縮した点状の組織が認められ、直径10から100μm程度の空洞が認められる部分もあったが、ジェットが捕捉された痕跡は認められなかった。
【0140】
ダイヤモンドの固化した部分を、一辺が3mmの正三角形で厚さ0.5mmの形状にダイヤモンドブレードで切り出して、先端角が60゜で長さ100mm、断面が10mm角の鋼棒に蝋付けしてバイトとし、真鍮で直径100mm、長さ300mmの丸棒を、切り込み0.3mm、送り0.1mm/回転、周速80m/分で100本切削したところ、フランク摩耗と呼ばれる刃先側面の摩耗が0.07mmであった。比較として、静的高圧高温下で金属を加えて固めた市販のダイヤモンドバイトによって同条件で切削したところ、フランク摩耗は0.18mmであった。
【0141】
(比較例3) 実施例3と同様の実験を実施した。ただし、同心円状に配置した内側の銅管は使用せず、直径20mmの銅管にダイヤモンド粉を充填し、両端を直径16mm、長さ15mmの銅栓を圧入して封じた。封入したダイヤモンド粉の量は63.3gで、真密度に対して52.3%に相当する。実施例3と同様の爆薬を装着し、同様にして爆発させたところ、銅管は破裂してダイヤモンド粉は飛散し、回収出来なかった。
【0142】
【実施例4】外径40mmで厚さ2mm、長さ360mmの銅円筒を外側の円筒、外径20mm、厚さ2mmで、長さが360mmの銅円筒を内部円筒として同軸上に組み合わせ、二重円筒としたものの一端を、それぞれの円筒の内径と外径に合致した鋼鉄製の長さ30mmで環状の栓を圧入して塞ぎ、平均粒径3.5μmの炭化タングステン(以後『WC』と称する)をプレスで圧入して充填し、充填を終了してから、同じ材質と形状栓を圧入して塞いだ。その結果、充填されたWCの多孔質材料の量は1.776kgとなり、充填容積は2.11×10−4m3であるので、充填密度は8412.5kg/m3であった。この値は、WCの密度を15500kg/m3とした場合の密度の約54.3%に相当し、空隙率は約45.7%であることが分る。
【0143】
一方、外径90mm、厚さ2mm、長さ400mmの銅のドライバ円筒と、外径160mm、厚さ5mmで同じ長さの鋼製円筒を同心円状に組み合わせ、両者の間に形成された環状の空間に密度1420kg/m3、爆発速度3400m/s、爆発エネルギー5500kJ/kgの爆薬を6.424kg充填し、一端に爆発速度7100m/s、厚さ3mmの板状爆薬を頂角150゜、直径200mmの傘状に成形したものを外周を略一致させて取り付けた。環状の空間に爆薬を充填した二重円筒の中に、WCを充填した二重円筒を、両端に環状に切り抜いたボール紙を接着して同心円状に配置し、傘状の爆薬を取り付けた側を多孔質材料を充填した円筒の一端から40mm離し、他端が一致するようにした。
【0144】
このようにして爆薬を充填した二重円筒と、多孔質材料を充填した二重円筒を組み合わせたものを、砂上に傘状の爆薬を取り付けた側を上にして立て、傘状の爆薬の頂点に電気雷管を取り付けて爆発させた。その結果、爆薬を充填した側の銅円筒は、多孔質材料を充填した銅円筒の外部円筒に接合しつつ内部円筒を収縮させて内側の空間を無くし、中実の一本の棒のような状態となって回収された。
【0145】
回収体は、爆薬が装着された銅円筒が、多孔質材料を充填した円筒に接合して回収され、爆発の終了側に取り付けられた環状の栓の一部が吹き飛び、その近くに詰められたWCが少量吹き飛んだと推定されたが、残部は一体となっていた。回収体の全長は、約328mm、多孔質材料の充填部の外径は、約40mmから約43mmの間であった。環状の鋼栓がはめ込まれた部分は、起爆側では外径が約45mmで、多孔質材料が充填された部分になだらかに径が変ってつながり、爆発の終了した側では、環状の鋼栓は塑性変形によって軸方向に引き伸ばされて細くなったため、多孔質材料を充填した部分とほぼ同じ径となっていた。
【0146】
回収体を全長のほぼ中央部で円筒軸に対して直角に切断し、長さ約5mmと約10mmの円板状又は円筒状の試験サンプルを作った。さらに、長さ約10mmのサンプルは、ほぼ円筒軸の中心を通る、円筒軸に平行な面で切断した。軸に直角な面を光学顕微鏡で検査したところ、最内部の円筒は中心の空洞部が完全に圧壊されて棒状となり、中心部には円筒の内面が溶融して発生したジェットが円筒内に捉らえられ、冷却により固化した部分が、直径0.2mmから2.3mmの不規則な形状の断面で存在しており、内部円筒の外径は約12mmであり、固化したWCの外径は平均約25mmであった。
【0147】
次に、銅製のドライバ円筒と外部円筒を切削できる部分を超硬合金の切削工具で切削除去し、WC焼結体を取り出したところ、一体に固化していた。さらに、中心部の銅をドリルで切削除去し、最後に外周と内面の切削で除去できなかった銅をダイヤモンド砥石で除去し、WCだけとした。この状態で軸に直角な切断面を研磨し光学顕微鏡で検査したが、WCの粉体は相互に結合し、全体として強固な焼結体となっており、亀裂や空隙は認められなかった。また、微小硬度を測定したところ、10点の測定点の平均値が18.23GPaで、外周部と中心に近い部分での差異は認められなかった。また,アルキメデス法によって密度を測定したところ、15550kg/m3で、WCの真密度とされる15500〜15700kg/m3に対して事実上100%と認められた。
【0148】
この実施態様について、これまで説明した方法によって、衝撃の各因子を計算した。多孔質材料に軸に直角な平面波を発生するのに必要なエネルギーは2.33MJであるが、ドライバ円筒が外部円筒に衝突する速度は2145m/s、その衝突によって発生するエネルギーは、多孔質材料が充填された部分について3.42MJで、その際ドライバ円筒と外部円筒との間で発生するジェットに消費されるエネルギーが1.06MJであるため、多孔質材料に投入されるエネルギーは2.36MJとなり、投入されるエネルギーは、多孔質材料に軸に直角な平面波を発生するのに必要な量をやや上回り、計算が信頼できることを裏付けた。また、多孔質材料の変形率は、外周部で37.5%、内部円筒に接する部分で40%であった。
【0149】
(比較例4) 実施例4の実験を繰り返した。ただし内部円筒は使用せず、代わりにWC粉末を充填した。その結果、充填されたWCの多孔質材料の量は2.594kgとなり、充填容積は3.05×10−4m3であるので、充填密度は8504.9kg/m3であった。この値は、WCの密度を15500kg/m3とした場合の密度の約54.9%に相当し、空隙率は約45.1%であることが分る。また、爆薬を充填する鋼製円筒の外径を230mmとし、ドライバ円筒の外径を110mmとした他は同じ条件で、鋼製円筒とドライバ円筒との間に爆薬を16.193kg充填し、実施例4と同様にして爆発させた。
【0150】
その結果、ドライバ円筒はWC粉末を充填した外部円筒と接合して回収されたが、WCは爆発の終了する側の端から噴き出し、充填した量の約半分が爆発を開始した側に残っていた。外側のドライバ管と円筒を除去し、WCを取り出したところ、WCは固化していたが、軸に直角で不規則な亀裂が1〜5mmの間隔で存在していた。
【0151】
これまで説明した方法によって、衝撃の各因子を計算したところ、多孔質材料に、軸に直角な平面波を発生するのに必要なエネルギーは3.40MJであるが、ドライバ円筒が外部円筒に衝突する速度は2540m/s、その衝突によって発生するエネルギーは多孔質材料が充填された部分について5.87MJ、その際ドライバ円筒と外部円筒との間で発生するジェットに消費されるエネルギーが2.33MJであるため、多孔質材料に投入されるエネルギーは3.54MJとなって、軸に直角な平面波を発生するのに必要な量をやや上回り、多孔質材料は平面は衝撃を受けたと判断された。
【0152】
それにもかかわらず、多孔質材料の半分が噴出したのは、実施例4では、系に与えられる爆発進行方向に向う運動量の一部を内部円筒で発生するジェットが受け持たれたことにより、多孔質材料に与えられる運動量が軽減されて、噴出が抑制されたことと、多孔質材料の各部位でほぼ同程度の変形率が維持されたため、全体に良好に焼結されたのに対し、比較例4では内部円筒のジェット発生がなく、変形率も各部で大きく異なることにより焼結も不十分であったためと考えられる。
【0153】
【実施例5】外径30mm、厚さ2mm、長さ300mmの銅製円筒と、外径12mm、厚さ1.5mm、長さ300mmの銅製円筒を同心円状に組合わせ、円筒間に限定される環状の空間に平均粒径10μmのhBN(六方晶型窒化ほう素又は低圧相窒化ほう素)を充填し、両端を、内外径が環状の空間に合致する長さ30mmの鋼栓を圧入して封じた。封入されたhBNの量は114gで、hBNの真密度を2260kg/m3とすると、真密度に対して50.3%の充填率となる。
【0154】
hBNを充填した銅円筒の外周に、密度1630kg/m3、爆発速度7300m/s、爆発エネルギー6060KJ/kgの、厚さ8mmの爆薬を全周に密着して巻きつけた。また起爆剤として、厚さ3mmの同種の爆薬を頂角90゜、外周46mmの笠状に成形し、円筒周囲の爆薬の一端に、両者の外周が一致して密着するようにして取り付けた。全体を、盛り上げた砂の上に、笠状爆薬(起爆剤)を上にして垂直に立てた。この状態で、笠状の爆薬の頂部に6号電気雷管を取り付けて爆発させた。
【0155】
爆発衝撃を受けた同心円状の銅管とhBNの組合せ体を回収したところ、爆発の終了する側で環状の栓が吹き飛び、それと共に爆発を開始した側の端から60mmの位置から先の、hBNと内部円筒とが吹き飛んでいた。また、銅製の外部円筒は、爆発の終了した側の端が、hBNが残っていた部分を起点として外径約40mmのラッパ状に開き、その端は不規則な形状で、爆発を開始した側の端から計って約290mmの位置であった。
【0156】
銅製外部円筒のhBNが残存していた部分においては、爆発を開始した栓の部分の外径が約29mmの所からなだらかに減少して、直径21mmから22mmの不規則な円柱状となっていた。爆発を開始した位置から120mmの位置で、円柱の軸に直角に厚さ約5mmにダイヤモンドカッターで切り出し、断面を光学顕微鏡で検査したところ、内部円筒は中心の穴が圧縮されて、内径0.02mm〜0.2mmの不規則な形状となっていて、ジェットが発生した痕跡は認められなかった。ただし、穴の内面には打撃痕が認められ、一旦穴がなくなるまで圧縮されてから、反発して微細な穴ができたものと推察された。
【0157】
外部円筒と内部円筒との間のhBNを取り出し、X線回折装置によって結晶の相を調べたところ、主としてウルツ鉱型窒化ほう素(以後『wBN』と称する)と立方晶型窒化ほう素(以後『cBNと』称する)の回折線が認められ、その他に微量のhBNの存在が確認された。即ち2種類の高圧相窒化ほう素と低圧相窒化ほう素であるhBNの混合物であることが分った。
【0158】
さらに、混合物1重量部に対して水酸化カリウム4重量部を混合し、約260℃に加熱して水酸化カリウムが溶融した状態にし、2時間放置した後ほぼ室温まで冷却して、水洗により水酸化カリウムを除去し、乾燥してから再度X線回折装置によって結晶相を調査した。その結果、水酸化カリウムによって処理した混合物には、wBNとcBNのみが認められ、hBNは上記の処理によって分解されたものと考えられた。
【0159】
処理後のwBNとcBNの混合物の重量を計ったところ、処理前の量に対して92.1%で、減少した量が全てhBNであったと仮定すると、hBNからwBNとcBNへの転換率は92.1%であったことになる。この場合に受けた衝撃圧力は、約20GPaで、爆薬の衝撃によって発生した衝撃波(以後『1次衝撃波』と称する)は円筒軸に対して49゜傾斜した斜衝撃波で、内部銅管が収縮し軸心で衝突して発生した衝撃波(以後『2次衝撃波』と称する)も、他の実験の結果からほぼ同程度の圧力であったと推定された。
【0160】
(比較例5) 実施例5と同様の実験を行った。ただし銅製の内部円筒は用いず、外径30mmの円筒内全体にhBNを充填した。その結果、充填されたhBNの量は145gで、真密度に対する充填率は50.4%となり、実施例5の場合とほぼ等しかった。また、円筒に密着して巻きつけた爆薬は厚さを9.7mmとし、実施例5で充填したhBN当りの爆薬量に比例する量を使用するようにした。
【0161】
上記構成を用いて、実施例5と同様に衝撃処理を行ったところ、銅製円筒が破裂し、充填したhBNは、円筒内壁に微量が付着していたのを除いて、殆ど回収できなかった。付着していた微量のhBN試料を集めてX線回折試験を行ったところ、wBNとhBNのみが認められ、cBNの回折線は認められなかった。さらに、実施例5と同様にして、水酸化カリウムによって処理したところ、残存したのはwBNのみで、処理量に対する回収量は32.4%であった。
【0162】
比較例5で、銅製円筒が破裂して充填物が殆ど回収できなかった理由は次のように考えられる。即ち本発明の実施例5では、被衝撃体の中心軸上にさらに中空円筒があり、その作用によって軸で発生する反射衝撃波が緩和されると共に、衝撃回数または衝撃負荷時間を増して衝撃が分散されるようにしたことにより、外部円筒を破裂させる作用を有する、外部円筒の外側へ向かう反射衝撃波や、外部円筒外壁から内部に進入する稀薄波の影響を軽減したことにより、回収を可能としている。これに対し比較例5では、これらの作用がなく、(単一の)円筒中心へ向かう衝撃波は、中心軸上に集中して衝撃圧力を高め、反射して円筒を破裂させる作用を有する、円筒外部ヘ向かう強烈な衝撃波を発生し、その応力に管が耐えられなかったためと考えられる。
【0163】
また、僅かに回収された充填物の相がhBNとwBNのみで、実施例5で認められたcBNが存在しなかった理由は、次のように考えられる。即ち実施例5では充填物の変形量が33.3%から40.8%で、しかも爆薬による1次衝撃波と、内部円筒内壁が収縮して軸心で衝突することによる2次衝撃波が負荷されたため、物質移動の確率が高くなり、wBNより複雑な合成機構を要するcBNが合成されたものと考えられる。反面、比較例5では、被衝撃体外周では変形率は42.1%と実施例5の場合とほぼ等しいが、軸上では0(%)であり、衝撃は爆薬による1次衝撃のみで、それも衝撃を受けた次の瞬間には破裂してしまい、hBNからcBNへの相転換を行える程の物質移動確率が得られなかったためと考えられる。また、得られたwBNの量が少なかったことも同様な理由によると思われる。
【0164】
【実施例6】外径40mm、厚さ2mm、長さ300mmの銅管と、外径25mm、厚さ1.5mm、長さ300mmの銅製中空円筒を共軸的に組合わせ、両円筒間に限定される環状の空間に平均粒径10μmのhBN20重量%と100メッシュ通過の鉄粉80重量%との混合物を被処理体として充填し、両端を内外径が環状の空間に合致する、長さが30mmの鋼栓を圧入して封じた。封入されたhBNと鉄粉との混合物の量は410gで、hBNの真密度を2260kg/m3、鉄の真密度を7850g/m3とすると、混合物の真密度は5250kg/m3であり、充填率は61.8%となる。
【0165】
別に外径15mm、厚さ1.5mm、長さ300mmの銅管を用意し、hBNを充填した二重の銅製円筒の内部円筒内に、両端と円筒の中心軸を合わせ、両端に外径22mm、内径15mm、厚さ1mmの環状のアルミニウム板をはめて固定した。この状態で、hBNを充填した外部円筒の外周に、厚さ8mmの実施例5で使用したものと同種の爆薬を密着して巻きつけた。また厚さ3mmの同種の爆薬を頂角90゜、外周56mmの笠状に成形し、円筒周囲の爆薬の一端に互いの外周が一致して密着するようにして取り付け、笠状の爆薬が上になるようにして、盛り上げた砂の上に垂直に立てた。この状態で、笠状の爆薬の頂部に6号電気雷管を取り付けて爆発させた。
【0166】
回収体を回収したところ、爆発終了側で環状の栓が吹き飛んでいた。爆発開始側においては環状の栓をはめた部分は外径が約33mmとなり、この外径はhBNと鉄粉を詰めた部分の外径約27mmまでなだらかに変化していた。hBNと鉄粉を詰めた部分を、円筒軸に対して直角に、約10mmの厚さにダイヤモンドカッターで切り取り、断面を光学顕微鏡で観察したところ、内部円筒及びその内側に挿入した銅管は機械的に重なりあい、最内層の銅管の中心部は、穴が圧縮されて内径0.03mmから0.15mmの不規則な形状となっていて、ジェットが発生した痕は認められなかった。ただし、穴の内面には打撃痕が認められ、一旦穴がなくなるまで圧縮されてから、反発して微細な穴ができたものと推察された。
【0167】
外部円筒及び内部円筒の間から被衝撃体を取りだし、X線回折装置によって結晶の相を調べたところ、主としてcBNの回折線が認められ、微量のwBNとhBNの存在が確認され、結局2種類の高圧相窒化ほう素(cBN、wBN)と低圧相窒化ほう素(hBN)の混合物であることが分った。さらに、混合物1重量部に対して水酸化カリウム4重量部を混合し、約260℃に加熱して水酸化カリウムが溶融した状態にし、2時間放置した後ほぼ室温まで冷却して、水洗により水酸化カリウムを除去し、乾燥してから再度X線回折装置によって結晶相を調査した。その結果、水酸化カリウム処理した混合物には、cBNと痕跡程度のwBNが認められ、hBNは上記の処理によって分解されたものと考えられた。
【0168】
水酸化カリウム処理後のwBNとcBNの混合物の量を計ったところ、処理前の量に対して93.2%で、減少した量が全てhBNであったと仮定すると、hBNからwBNとcBNへの転換率は93.2%であったことになる。この実験で、hBNから転換した高圧相BNが殆どcBNであった理由は、実施例5では受けた衝撃の回数が2回であったのに対し、この例では内部円筒中にさらに銅管を挿入したことにより、衝撃回数が3回になり、そのため、BN分子の移動の可能性が増えて、wBNの多くの部分がさらにcBNに転換することができたためと考えられる。
【0169】
(比較例6) 実施例6の実験を繰り返した。ただし、外部円筒内に内部円筒を、或いはさらにその中に銅管挿入することなく、単一の円筒として使用し、全体に実施例6で充填したhBNと鉄粉を実施例6とほぼ同じ充填密度で充填し、両端を円柱状の鋼栓で封じた。実施例6と同様にして爆薬を取り付けて爆発させたところ、銅製円筒は破裂して、充填した材料(被衝撃体)は全く回収できなかった。
【0170】
【実施例7】外径20mm、厚さ1mm、長さ150mmの銅管を外部円筒として用い、この中に外径8mm、厚さ1mm、長さ150mmの銅管を内部円筒として、両端を合わせて互いに共軸的に挿入した。両管の間の環状空間に、粒度範囲が10〜20μmの静的高圧で合成したダイヤモンドを充填し、両端に外径と内径を環状の空間の内外径に合わせた長さ15mmの鋼製の栓を圧入して封じた。充填したダイヤモンドの量は37.6gで、これはダイヤモンドの真密度を3540kg/m3とした場合、43.3%の充填率となる。
【0171】
別に、厚さ0.5mmの紙製で、内径36mm、長さ200mmの一方の端が閉じた円筒を用意し、上記のダイヤモンドを充填した二重の筒を、紙製の筒の中に入れ、一端を紙筒の底から20mmの位置とし、紙筒の円筒軸とダイヤモンドの軸が一致するようにして紙製の環で固定した。その状態で、紙筒全体にダイヤモンドを充填した二重の筒を包んで、爆発速度2700m/s、爆発エネルギー5800kJ/kg、充填密度1050kg/m3の爆薬を164g充填し、紙筒が開いた側の爆薬の中心に6号電気雷管を紙テープで固定して取り付けた。全体を雷管が付いた方を上にして盛り上げた砂の上に立て、爆薬を爆発させた。
【0172】
ダイヤモンドを詰めた円筒は、外径が縮まった状態で回収され、外部円筒を切り開いて中のダイヤモンドを取り出し、水中沈降法によって粒度を測定したところ、重量比で粒径10〜20μmが3.8%、5〜10μmが13.7%、1〜5μmが31.3%、残部が1μm以下で、粗粒のダイヤモンドの粉砕にも有効であることが判明した。
【0173】
(比較例7) 実施例7と同様な実験を実施した。ただし、ダイヤモンドを充填した二重円筒の代わりに、実施例7の外部円筒と等しい寸法の銅管内に同様なダイヤモンドを充填し、両端を外径18mm、長さ20mmの円柱形の鋼製の栓で封じて用いた。充填されたダイヤモンドの量は379gで、ダイヤモンドの密度に対して42.8%であった。実施例7と同様にして充填した爆薬を爆発させたところ、銅管は破裂して、充填したダイヤモンドは回収できなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様を示す、円筒軸を通る面で切った断面図。
【図2】図1の実施態様を円筒軸に直角な面で切った断面図
【図3】図1に示す実施態様で、爆薬が爆発過程にある状態を示す断面図
【図4】図3において既に爆発が通過した後の被衝撃体を、円筒軸に直角な面で切った断面図
【図5】本発明における変形率の概念を説明するための、衝撃前の被衝撃体を円筒軸に直角な面で切った断面図
【図6】本発明における変形率の概念を説明するための、衝撃後の被衝撃体を円筒軸に直角な面で切った断面図
【図7】本発明における間接法の実施態様を示す、円筒軸の軸線を通る面で切った衝撃前の断面図。
【図8】本発明における間接法の実施態様を示す、円筒軸の軸線を通る面で切った衝撃中の断面図。
【図9】図7において、斜衝撃波の発生状況を示す断面図
【図10】直接法において、円筒軸に直角な平面衝撃波が発生した状況を示す、被衝撃体を円筒軸に平行な面で切った断面図
【図11】間接法において、円筒軸に直角な平面衝撃波が発生した状況を示す、被衝撃体を円筒軸に平行な面で切った断面図
【図12】斜衝撃波が発生した場合の発生圧力の推移を示す図
【図13】円筒軸に直角な平面衝撃波が発生した場合の発生圧力の推移を示す図
【図14】グラファイトの圧力−比容積曲線
【図15】鉄の圧力−比容積曲線
【図16】鉄とグラファイトの混合物の圧力−比容積曲線
【図17】本発明により長い衝撃負荷が発生した状況での発生圧力の推移を示す図
【符号の説明】
1 多孔質材料
2 爆薬
2’ 起爆用爆薬
2e’ 起爆用爆薬
2”b 爆発波面
2”f 爆発波面
2”g 爆発波面
2”h 爆発波面
3 外部円筒
4 環状の栓
5 内部円筒
6 電気雷管
7 爆薬収納管
8 内部円筒内空間
8’d 衝撃後内部円筒中心
9 爆発ガス
10 ドライバ管
11 ドライバ管と外部円筒の間に発生したジェット
12 内部円筒に発生したジェット
r00 内部円筒の内半径
r01 内部円筒の外半径
R10 外部円筒の内半径
点P 多孔質材料内の任意の点
r0x 衝撃後の内部円筒の外半径
Rx1 衝撃後の外部円筒の内半径
W 衝撃波面
D 爆発速度を示すベクトル
U 爆発速度の衝撃波面に直角な成分を示すベクトル
Claims (12)
- 多孔質材料を金属製の密閉容器内に入れ、該容器の外周に配置した爆薬を爆発させ、その際に発生する衝撃圧力を該多孔質材料に負荷して多孔質材料を衝撃加圧する方法において、該多孔質材料の中心に予め金属製中空形状の物体を配置しておき、衝撃圧力によって多孔質材料及び該物体を収縮させ、この際該物体の内壁面を対向する内壁面又は該物体内に配置した別の金属製物体に衝突させることによって衝撃波を発生させ、爆薬の爆発による衝撃圧力に加えて該衝撃波を多孔質物体に負荷することを特徴とする、多孔質材料の衝撃加圧・加熱処理方法。
- 上記多孔質材料および爆薬をそれぞれ円筒状に配置し、爆薬の軸方向一端で起爆し、他端に向かって進行させ、衝撃波を反復的あるいは継続的に発生させて多孔質材料に負荷する、請求項1に記載の多孔質材料の衝撃加圧・加熱処理方法。
- 共軸的に配置された一対の第一外部円筒と内部円筒の対向円筒壁面間に限定される空間に多孔質材料を充填し、また第一外部円筒の外方にかつ該多孔質材料に沿って爆薬を包囲設置し、該爆薬の軸方向一端の端面上で起爆して他端に向かって爆発を進行させ、これによって多孔質材料に、一端から他端に向かう進行的かつ連続的な半径方向の求心的衝撃圧力を負荷し、多孔質材料と共に内部円筒を進行的かつ求心的に収縮させ、この際内部円筒壁を対向内壁面又は第二の物体と衝突させる、請求項1に記載の多孔質材料の衝撃加圧・加熱処理方法。
- 上記爆薬を、上記外部円筒の外周に密着して円筒状に設置する、請求項3に記載の多孔質材料の衝撃加圧・加熱処理方法。
- 上記爆薬を、上記第一外部円筒の外方に空間を介して共軸的に配置した金属製の第二外部円筒の外周面に密着して円筒状に設置し、爆薬の爆発の際に、該第二外部円筒を求心的に収縮させて第一外部円筒に衝突させることによって多孔質材料に衝撃圧力を負荷する、請求項3に記載の多孔質材料の衝撃加圧・加熱処理方法。
- 共軸的に配置された共に中空の第一金属材製の外部円筒と第二金属材製の内部円筒との対向円筒壁面間に限定される多孔質材料収容空間、該外部円筒の外周に密着して設置された爆薬、爆薬軸方向の一端に隣接配置した起爆材および起爆剤に連結した雷管を有する、請求項1に記載の衝撃加圧・加熱処理を行うための装置。
- 共軸的に配置された共に中空の第一金属材製の外部円筒と第二金属材製の内部円筒との対向円筒壁面間に限定される多孔質材料収容空間、該外部円筒の外方に空間を介して共軸的に配置した金属製の第二外部円筒、該第二外部円筒の外周に密着して設置された爆薬、爆薬軸方向の一端に隣接配置した起爆材および起爆剤に連結した雷管を有する、請求項6に記載の衝撃加圧・加熱処理を行うための装置。
- 上記内部円筒内に、第二の物体として、内部円筒の内壁面から隔ててさらなる金属製の中空円筒又は棒を共軸的に配置した、請求項6に記載の衝撃加圧・加熱処理を行うための装置。
- 上記第一金属材が銅、銅基合金、鋼から選ばれる1種である、請求項6に記載の衝撃加圧・加熱処理を行うための装置。
- 上記第二金属材が銅、銅基合金、鋼から選ばれる1種である、請求項6に記載の衝撃加圧・加熱処理を行うための装置。
- 上記内部円筒が0.5mm以上の内径及び20mm以上の有効軸長を有する、請求項6に記載の衝撃加圧・加熱処理を行うための装置。
- 上記内部円筒の内径と、外部円筒の外径との比率が、1:1.5〜1:50の範囲内である、請求項6項に記載の衝撃加圧反応装置。
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