JP2005010611A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱ロール型定着装置の構造の単純化、小型化、コスト低減、ウォーミングアップ時間の短縮、排出されるシート材の変形の抑制を可能にする。
【解決手段】熱定着ロール1と、該熱定着ロール1に押圧する加圧ロール2と、該加圧ロール2の外周に捲着され熱定着ロール1との間に挟持されて移動する耐熱ベルト3と、該耐熱ベルト3を張架するベルト張架部材4とを備え、シート材上に形成した未定着トナー像を定着する定着装置又は該定着装置を搭載した画像形成装置において、ベルト張架部材4は、一端または両端に摺動する耐熱ベルトの端部を位置規制する端部位置規制突壁4aを有すると共に、端部位置規制突壁4aの立ち上がり角度を耐熱ベルト3の端部の角度より大きくし、加圧ロール2との間で耐熱ベルト3に張力を付与して張架し熱定着ロール1に耐熱ベルト3を巻き付けて定着ニップを形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】熱定着ロール1と、該熱定着ロール1に押圧する加圧ロール2と、該加圧ロール2の外周に捲着され熱定着ロール1との間に挟持されて移動する耐熱ベルト3と、該耐熱ベルト3を張架するベルト張架部材4とを備え、シート材上に形成した未定着トナー像を定着する定着装置又は該定着装置を搭載した画像形成装置において、ベルト張架部材4は、一端または両端に摺動する耐熱ベルトの端部を位置規制する端部位置規制突壁4aを有すると共に、端部位置規制突壁4aの立ち上がり角度を耐熱ベルト3の端部の角度より大きくし、加圧ロール2との間で耐熱ベルト3に張力を付与して張架し熱定着ロール1に耐熱ベルト3を巻き付けて定着ニップを形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、熱定着ロールと、該熱定着ロールに押圧する加圧ロールと、該加圧ロールの外周に捲着され前記熱定着ロールとの間に挟持されて移動する耐熱ベルトと、該耐熱ベルトを張架するベルト張架部材とを備え、シート材上に形成した未定着トナー像を定着する定着装置および画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機やプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において、転写材上に未定着のトナー像を接触加熱定着する加熱ロール型定着装置として、表面に弾性体が被覆され加熱源を内蔵して回転可能な熱定着ロールと、複数の支持ロールによって張架された耐熱ベルトと、耐熱ベルトを熱定着ロールの廻りに所定角度だけ巻き付けてニップ領域を形成させると共にそのニップ領域の出口に他の部分よりも大きな圧力を局部的に加えて熱定着ロール表面の弾性体に歪みを生じさせる圧力手段とを設け、ニップ部からのシート材の排出を容易にした定着装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来の定着装置では、圧力手段が存在することにより、予め熱定着ロールの表面に歪みを有しているので、ニップ領域の出口で、熱定着ロールの表面上にトナーが接触している状態からその表面歪みを瞬間的に開放する。そのため、シート材がニップ部から排出される時に、トナーと熱定着ロールとの付着力を減少させてシート材が熱定着ロールに巻き付くことを抑制し、腰の弱い記録紙でもベルトニップの出口において容易に剥離できる。上記装置は、このことによって、従来必要とされてきた剥離爪を不要にしている。
【0004】
また、ロール間に設定した圧力によってロールを撓ませてロールに接するニップ長を形成し、このニップ間に未定着トナー像を担持したシート材を通過させて定着させ、シート材の特性に合わせロールの駆動速度として、第1の速度か第2の速度かを選択して駆動する定着装置(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【0005】
また、表面に弾性体を被覆し加熱源を内蔵して回転する熱定着ロールに対して、接触した状態で走行するエンドレスベルトを張架し、このエンドレスベルトの内側に非回転状態で配置してエンドレスベルトを熱定着ロールに圧接させて定着ニップを形成するとともに、熱定着ロールの表面弾性層を変形させる圧力パッドを配置して熱定着ロールとエンドレスベルトの間に未定着トナー像を形成したシート材を通過させてトナーをシート材に熱定着させる定着装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この装置によれば、圧力パッドは非回転状態で配置されているので、熱定着ロールから伝達される熱が発散されにくく、熱定着ロールから奪う熱量が少ないという利点を有している。
【0006】
【特許文献1】
特許第3084692号公報
【0007】
【特許文献2】
特公平6−40235号公報
【0008】
【特許文献3】
特開平8−262903号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1の定着装置の構造では、複数の支持ロールに張架されて移動可能な耐熱ベルトを圧力手段でニップ形成可能な角度だけ熱定着ロールに巻き付けると共に、ニップ領域の出口に局部的に大きな圧力を加えて駆動するので、複数の支持ロールとその回転軸受が必要である。さらに、耐熱ベルトの周長が長くなり、定着装置が複雑で大型化するだけでなく、高価にする。定着装置の複雑、大型化、高価な構成は、必然的に当該定着装置を搭載した画像形成装置を複雑、大型化、高価にする。
【0010】
しかも、耐熱ベルトは、加熱源を内蔵して回転可能な熱定着ロールとのニップ部で加熱されるが、複数の支持ロールで張架し周長が長くなるという構成では、所定の経路で移動する時に、複数の支持ロールによって熱エネルギーが奪われ、また、周長の長さに応じて自然放熱が増える。そのため、所定の温度に到達するまでの時間が多く必要になり、電源オン時から定着可能になるまでの所謂ウォーミングアップ時間を長く要することになり、好ましくない。
【0011】
さらに、熱定着ロールに対して耐熱ベルトをニップ形成可能な角度だけ巻き付けてニップ部出口で他の部分より大きな圧力を局部的に加え熱定着ロールの弾性層に歪みを形成させる構成では、シート材が熱定着ロールに巻き付くのを抑制するには好適であるが、弾性層の歪みに沿って排出されるシート材は、この歪みに倣ってカールしたり、局部的な高圧力のために皺発生などの変形をもたらす。
【0012】
また、特許文献2のシート材特性に合わせてロールの駆動速度を第1の速度か第2の速度に選択する装置では、ロールの熱容量が大きくてウォーミングアップ時間を長く要して好ましくないばかりでなく、圧力によってロールを撓ませて形成した長ニップ間を通過するシート材は、前者の装置と同様、この圧力によるストレスが大きくてカールや皺などのシート材変形を引き起こす。
【0013】
また、特許文献3の装置は、圧力パッドを非回転状態で配置して熱定着ロールから伝達される熱が発散されにくくし、熱定着ロールから奪う熱量を少なくして経済的な定着装置としているが、ウォーミングアップ時に熱定着ロールからエンドレスベルトを介して圧力パッドに熱が伝達されてしまい、ウォーミングアップ時間が長くなるという問題を有している。また、ベルトを走行させるためのローラが3つ以上必要となり装置が大型化してしまうという問題を有している。
【0014】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、熱ロール型定着装置の構造の単純化、小型化、コスト低減を可能にし、ウォーミングアップ時間を短縮でき、シート材へのストレスを小さくしてカールの発生や皺発生など排出されるシート材の変形を抑制できることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明は、熱定着ロールと、該熱定着ロールに押圧する加圧ロールと、該加圧ロールの外周に捲着され前記熱定着ロールとの間に挟持されて移動する耐熱ベルトと、該耐熱ベルトを張架するベルト張架部材とを備え、シート材上に形成した未定着トナー像を定着する定着装置又は該定着装置を搭載した画像形成装置において、前記ベルト張架部材は、一端または両端に前記耐熱ベルトの端部を位置規制する端部位置規制突壁を有すると共に、前記端部位置規制突壁の立ち上がり角度を前記耐熱ベルトの端部の角度より大きくし、前記加圧ロールとの間で前記耐熱ベルトに張力を付与して張架し前記熱定着ロールに前記耐熱ベルトを巻き付けて定着ニップを形成することを特徴とする。
【0016】
前記端部位置規制突壁は、前記ベルト張架部材と一体に、前記ベルト張架部材の一部として設けられ、前記耐熱ベルトの厚み以上の高さを有し、前記耐熱ベルトを導入案内する斜面部を有し、あるいは前記熱定着ロールに当接してギャップを規制するギャップ規制部を有することを特徴とする。
【0017】
前記ベルト張架部材は、前記耐熱ベルトが摺動する部材であり、半月状部材であることを特徴とし、あるいは回転するロールであることを特徴とし、前記熱定着ロールの方向に揺動可能に支持され、前記熱定着ロールの方向に付勢する揺動付勢手段によって揺動付勢され、シート材の非通過時に前記ベルト張架部材と耐熱ベルトとの間にギャップを形成し、シート材の通過時にはベルト張架部材をシート材を介して熱定着ロールに押圧するように構成し、前記ベルト張架部材と前記加熱ロールとの間に前記耐熱ベルトの内周面に摺接してクリーニング部材を配置したことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の定着装置の1実施形態を示し、図1(A)は断面図、図1(B)は図1(A)のY−Y線に沿って矢印方向に見た断面図であり、装置の右半分は省略している。図中、1は熱定着ロール、1aはハロゲンランプ、1bはロール基材、1cは弾性体、2は加圧ロール、2aは回転軸、2bはロール基材、2cは弾性体、3は耐熱ベルト、4はベルト張架部材、4aは突壁、5はシート材、5aは未定着トナー像、6はクリーニング部材、7はフレーム、9はスプリング、Lは押圧部接線を示す。
【0019】
図1において、熱定着ロール1は、外径25mm程度、肉厚0.7mm程度のパイプ材をロール基材1bとして、その外周に厚み0.4mm程度の弾性体1cを被覆して形成し、ロール基材1bの内部に加熱源として1050W、2本の柱状ハロゲンランプ1aを内蔵して回転可能にしたものである。加圧ロール2は、外径25mm程度、肉厚0.7mm程度のパイプ材をロール基材2bとして、その外周に厚み0.2mm程度の弾性体2cを被覆して形成し、熱定着ロール1と加圧ロール2の圧接力を10kg以下、ニップ長を10mm程度で構成し、熱定着ロール1に対向して配置し、図示矢印方向に回転可能にした構造になっている。
【0020】
本実施形態によれば、熱定着ロール1および加圧ロール2の外径を25mm程度の小径に構成しているため、定着後のシート材が熱定着ロール1または耐熱ベルト3に巻き付くこともないので、シート材を強制的に剥がすための手段を不要にしている。また、熱定着ロール1の弾性体1cの表層には約30μmのPFA層を設ければ、その分だけ剛性が向上して弾性体1c、2cの厚みは異なるが、略均一な弾性変形をして所謂水平ニップが形成されて熱定着ロール1の周速に対して耐熱ベルト3またはシート材5の搬送速度に差異が生じることもなく、極めて安定した画像定着が可能となる。
【0021】
本実施形態においては、熱定着ロール1の内部に2本の加熱源1aを内蔵しており、このハロゲンランプの発熱エレメントを異なった配置に構成して選択的に点灯すると、後述する耐熱ベルト3が熱定着ロール1に巻き付いた定着ニップ部位とベルト張架部材4が熱定着ロール1に摺接する部位のような異なった条件や、幅の広いシート材と幅の狭いシート材とのように異なった条件下での温度コントロールを容易に行うことができる。
【0022】
耐熱ベルト3は、熱定着ロール1と加圧ロール2との間に挟持されて加圧ロール2とベルト張架部材4の外周に張架され移動可能になったエンドレスのベルトであり、0.03mm以上の厚みを有するステンレス管やニッケル電鋳管等の金属管、ポリイミドやシリコン等の耐熱樹脂等管で構成される。
【0023】
ベルト張架部材4は、熱定着ロール1と加圧ロール2のニップ部よりもシート材5搬送方向上流側に配設されるとともに、加圧ロール2の回転軸2aを中心として矢印P方向に揺動可能に配設されている。ベルト張架部材4は、シート材5が定着ニップを非通過の状態において耐熱ベルト3を熱定着ロール1の接線方向に張架する構成にしている。シート材が定着ニップに進入する初期位置で定着圧力が大きいと進入がスムーズに行われなくて、シート材先端に折れた状態で定着される場合があるが、耐熱ベルト3を熱定着ロール1の接線方向に張架する構成にすると、シート材の進入がスムーズに成される導入口部が形成でき、安定したシート材の進入を可能にする。
【0024】
このベルト張架部材4は、耐熱ベルト3の内周に嵌挿して加圧ロール2と協働して耐熱ベルト3に張力fを付与すると共に、耐熱ベルト3を熱定着ロール1に巻き付けてニップを形成する位置に配置した、略半月状のベルト摺動部材(耐熱ベルト3はベルト張架部材4上を摺動する)である。ベルト張架部材4は、耐熱ベルト3が熱定着ロール1と加圧ロール2との押圧部接線Lより熱定着ロール1側に巻き付けてニップを形成する位置に配置される。突壁4aは、ベルト張架部材4の一端または両端に突設され、耐熱ベルト3が一方に寄った場合にこの突壁4aに当接して寄り規制を行うためのものである。ベルト張架部材4は、突壁4aの熱定着ロール1と反対側端部のフレームとの間にスプリング9が配設され、スプリング9により熱定着ロール1に軽押圧され、熱定着ロール1に摺接して位置決めされる。
【0025】
耐熱ベルト3を加圧ロール2とベルト張架部材4により張架して加圧ロール2で安定して駆動するには、加圧ロール2と耐熱ベルト3との摩擦係数をベルト張架部材4と耐熱ベルト3との摩擦係数より大きく設定するとよいが、摩擦係数に関しては異物の侵入や摩耗などによって不安定になる場合がある。これに対し、加圧ロール2と耐熱ベルト3の巻き付け角よりベルト張架部材4と耐熱ベルト3の巻き付け角が小さくなるように、また、加圧ロール2の径よりベルト張架部材4の径が小さくなるように設定すると、耐熱ベルト3がベルト張架部材4を摺動する長さが短くなり、経時変化や外乱などに対する不安定要因から回避でき耐熱ベルト3を加圧ロールで安定して駆動することができる。
【0026】
クリーニング部材6は、加圧ロール2とベルト張架部材4との間に配置して耐熱ベルト3の内周面に摺接して耐熱ベルト3の内周面の異物や摩耗粉等をクリーニングするものであり、このような異物や摩耗粉等をクリーニングすることで耐熱ベルト3をリフレッシュして不安定要因を除去している。また、ベルト張架部材4に設けた凹部4fは、この除去した異物や摩耗粉等の収納に好適である。
【0027】
シート材5は、ベルト張架部材4が熱定着ロール1に軽押圧される位置をニップ初期位置として耐熱ベルト3と熱定着ロール1との間を通過することで未定着トナー像5aが定着され、熱定着ロール1に加圧ロール2が押圧する位置をニップ終了位置として押圧部接線Lの方向に排出される。
【0028】
次に、加圧ロール2とベルト張架部材4の支持構造について説明する。加圧ロール2の両端の回転軸2aは、図1(B)に示すように左右のフレーム7に軸受7aを介して回転自在に支持されている。加圧ロール2の回転軸2aの両側には、揺動アーム4bが回転自在に嵌合され、この揺動アーム4bのベルト張架部材4側にはガイド溝4cが形成されている。一方、ベルト張架部材4の両端には、加圧ロール2側に延設されたガイド部4dが形成されており、このガイド部4dがスプリング4eを介して前記揺動アーム4bのガイド溝4c内に嵌挿されている。これにより、ベルト張架部材4は、スプリング4eにより加圧ロール2から離れる方向に付勢され耐熱ベルト3に張力fが付与される構造になっている。
【0029】
本実施形態においては、ベルト張架部材4として、耐熱ベルト3を摺動させる非回転部材として使用し、回転部材ではないので軸受等が不要であり、支持構造が簡単になる。加えてベルト張架部材4を略半月状とすることにより、加圧ロール2側にその半月欠方向を向けて配置し、加圧ロール2に対して極限まで接近した配置が可能になる。このことによりまた、耐熱ベルト3の周長を短縮して構成することが可能になる。したがって、熱ロール型定着装置を簡単な構造にして小型で安価にすることができる。
【0030】
また、耐熱ベルト3が必要最小限の経路で移動するので、耐熱ベルト3は、加熱源を内蔵して回転可能な熱定着ロール1とのニップ部で加熱され、所定の経路で移動する時に奪われる熱エネルギーを最小限に抑えることができると共に、周長が短いので、自然放熱による温度低下も少なく、電源オン時から所望の温度に到達して定着可能になるまでの所謂ウォーミングアップ時間の短縮が可能である。
【0031】
また、耐熱ベルトは、加圧ロールとベルト張架部材の協働によって張力が付与されて熱定着ロールに巻き付けてニップを形成しているので、容易にニップ長を長く構成することができ、構造が簡単になり小型で安価にすることができる。
【0032】
また、シート材の上に形成した未定着トナー像を安定して定着するには、未定着トナー像を十分に溶融して定着することが必須であり、所望の温度と溶融時間を必要とするが、本発明による構成では、ニップ長を長く構成するために熱定着ロールの表面に被覆した弾性体を大きく歪ませてニップ長を長くするような手段は必要ないので、弾性体の厚みは薄く構成可能である。しかも、弾性体を歪ませるために加圧ロールの圧接圧力を大きく設定する必要もなく、未定着トナー像を担持したシート材が熱定着ロールと耐熱ベルトの間を通過するときに通過するシート材へのストレスが小さいので、未定着トナー像の定着後に排出されるシート材に皺発生などのシート材変形が抑制される。
【0033】
したがって、熱ロール型定着装置の機械的剛性アップは不要であるばかりでなく、熱定着ロールの薄肉厚化が可能であり、加熱源から耐熱ベルトを加熱する加熱速度が向上する。また、加圧ロールも同様に薄肉厚化が可能であり、熱容量を小さく構成できるので、耐熱ベルトからの熱エネルギー吸収が小さく、電源オン時から所望の温度に到達して定着可能になるまでの所謂ウォーミングアップ時間の短縮が可能である。
【0034】
図2〜図5は、図1の詳細構造を示し、図2は図1(A)のX−X線で切断し矢印方向に見た断面図、図3は、図1(A)で耐熱ベルトを除去した一部拡大断面図、図4は図3で耐熱ベルト3を装着した図、図5は図4でシート材の通過時の状態を示す図である。
【0035】
図2および図3において、ベルト張架部材4の突壁4aは熱定着ロール1に摺接面4gで摺接し位置決めされている。ベルト張架部材4の摺接面4gと耐熱ベルト3を押圧してシート材を熱定着ロール1に押圧する押圧面4hとの間に、耐熱ベルト3の厚みより大きなギャップ(段差)Gを設け、押圧面4hは定着ロール1と同心円状に形成されている。具体的には、ギャップは110μm程度の段差で構成し、耐熱ベルト3は80μm程度の厚みで構成し、これにより30μm程度の空隙を確保し、60μm程度の厚みを有するシート材でも安定した定着を可能にしている。
【0036】
図4は耐熱ベルト3を装着した図であり、耐熱ベルト3は、熱定着ロール1と加圧ロール2間のニップ部に圧接されると共に、その上流側で熱定着ロール1に巻き付けてニップ初期位置で耐熱ベルト3を熱定着ロール1に押圧している。
【0037】
定着工程の前工程でシート材上に未定着トナー像を形成するプロセス工程の速度と、定着工程の速度を完全に一致させることは、量産上の種々の部品寸法のバラツキを考慮すると現実的ではない。そこで、このバラツキを考慮してシート材上に未定着トナー像を形成するプロセス工程の速度に比較して定着工程の速度を早くするか遅くするか、いずれか一方側に設定して前後工程の速度バランスを構築するが、定着ニップにシート材が進入する初期位置でシート材を確実にグリップしてシート材の進入速度を明確にする必要があり、上記のように構成すると、この目的が達成される。
【0038】
また、ロールの弾性体表面と耐熱ベルト表面は同一の周速度で移動してシート材上に形成した未定着トナー像を定着するものであるが、耐熱ベルト表面がウエーブ状になっていたりシート材先端部がウエーブ状になっていたりすると、定着開始状態が不安定になる場合がある。そこで、ニップ初期位置で耐熱ベルト3を熱定着ロール1に押圧する構成にすると、双方の合流状態が安定するので、極めて安定した未定着トナー像の定着が可能になる。
【0039】
そして、本実施形態においては、シート材5が非通過のこの状態では、耐熱ベルト3とベルト張架部材4との間にギャップGが形成されている。従って、ウオーミングアップ時には、前記ギャップGの空隙が断熱層となって熱定着ロール1から耐熱ベルト3を介して奪い取る熱量が小さくなるので、熱ロスが減少し、ウオーミングアップ時間の短縮を図ることができる。
【0040】
一方、シート材5が定着ニップを通過する時は、図5に示すように、ベルト張架部材4の突壁4aは熱定着ロール1から離間され、耐熱ベルト3とベルト張架部材4との間のギャップGはなくなって、シート材5は定着ニップ部において耐熱ベルト3に押圧され、熱定着ロール1に押圧されるので、この押圧力をスプリング9(図1)により所望の圧力に調節すれば、適正な定着を達成することができる。
【0041】
また、ギャップGの存在のため、ベルト張架部材4が熱定着ロール1から加熱されて蓄熱する熱量が少ないので、シート材5が定着ニップに進入したときにシート材5上に形成された未定着トナー像5aの反対側の面は、熱容量の小さな耐熱ベルト3を冷却するが、ベルト張架部材4側から加熱される熱量は少ない構成となっている。そのため、シート材5上の第1面に形成した未定着トナー像を定着した後に再び反対側の第2面に未定着トナー像を定着する両面画像定着の場合には、第2面を定着するときに先に定着した第1面の画像を必要以上に加熱して画像を乱すことがない。
【0042】
本実施形態においては、図1(A)に示すように、揺動付勢手段としてアシストするスプリング9をベルト張架部材4の揺動支点から離れた熱定着ロール1と加圧ロール2との押圧部より耐熱ベルト3の移動方向上流側に配置している。熱定着ロール1または加圧ロール2の一方を駆動すると耐熱ベルト3が駆動され、この駆動力と耐熱ベルト3とベルト張架部材4の摺動摩擦力によってベルト張架部材4は熱定着ロール1方向に揺動するが、この揺動移動力のみではシート材5上に形成した未定着トナー像を定着する定着圧力が不足する場合がある。そこで、この揺動移動力をアシストして所望の定着圧力に設定すると極めて安定した未定着トナー像の定着が可能となる。
【0043】
図6はベルト張架部材の摺動面の形状と耐熱ベルトの蛇行に伴う座屈の発生との関係を説明するための図、図7は耐熱ベルトの端部角度、突壁の立ち上がり角度と蛇行に伴う座屈の発生との関係を説明するための図、図8は耐熱ベルトの蛇行に伴う座屈の発生を防止するベルト張架部材の摺動面の形状及び耐熱ベルトの端部の角度を説明する図、図9は耐熱ベルトの進入側での蛇行の規制を説明する図、図10は突壁に斜面部を設けたベルト張架部材に耐熱ベルトが進入する部分の拡大斜視図である。
【0044】
加圧ロール2とベルト張架部材4との協働によって耐熱ベルト3に付与される張力は、張架領域全域にわたって均一であることが好ましい。しかし、加圧ロール2及びベルト張架部材4の真直精度、又は耐熱ベルト3の内周均一精度、あるいは加圧ロール2とベルト張架部材4に張力を付与した状態で発生する撓み量の誤差要因等によって張架領域全域にわたって張力を均一にすることは難しい場合がある。
【0045】
また、耐熱ベルト3は、上記状態に加えて加圧ロール2とベルト張架部材4の配置状態における平行精度の要因等によって図6(A)に示すように蛇行走行し、加圧ロール2及びベルト張架部材4と耐熱ベルト3内面の摩擦力が大きければ大きい程、蛇行寄り力は大きくなって、走行位置規制が難しくなる。
【0046】
耐熱ベルト3の蛇行を防止するための位置規制を達成する条件は、耐熱ベルト3の蛇行寄り力に十分対応可能な位置規制手段を有することと、耐熱ベルト3が位置規制手段によって位置規制された状態で、十分な耐力を有することであり、耐熱ベルト3の耐力確保が重要なポイントとなる。
【0047】
図1(B)で示したようにベルト張架部材4をその両端部でスプリング4eにより支持することにより、少なくとも耐熱ベルト3の幅方向端部で、耐熱ベルト3に張力を付与し、当該張力付与部位から突出して耐熱ベルト3の端面を規制する突壁4aを有する構造に構成すると、耐熱ベルト3は、張力付与部位に密着し突壁4aに沿った状態となって、単独の座屈強度より大きな座屈規制機能を発揮することが可能になり、耐熱ベルト3を端部で位置規制して安定化でき有効である。
【0048】
例えば図6(B)に示すように突壁4aを設けたベルト張架部材4の端部近傍において凹みや段差、隙間などがあり、そのため耐熱ベルト3がベルト張架部材4の摺動面に密着できず間隙ができるようになっていると、耐熱ベルト3が蛇行走行して突壁4aに当たり大きな蛇行寄り力が働いたとき、図6(C)に示すように耐熱ベルト3の端部で座屈が発生する。
【0049】
また、耐熱ベルト3の端部角度と突壁4aの立ち上がり角度に着目した場合に、図7(A)に示すように突壁4aの立ち上がり角度θ1に対して耐熱ベルト3の端部角度θ2が大きくなると、耐熱ベルト3が蛇行走行して突壁4aに当たり大きな蛇行寄り力が働いたとき、突壁4aに沿って耐熱ベルト3の端部が浮き上がり、また、逆に図7(B)に示すように突壁4aの立ち上がり角度θ1に対して耐熱ベルト3の端部角度θ2が小さいが、ベルト張架部材4の摺動面と突壁4aとの間に間隙があると、耐熱ベルト3が蛇行走行して突壁4aに当たり大きな蛇行寄り力が働いたとき、突壁4aに沿って耐熱ベルト3の端部が間隙部に食い込み、耐熱ベルト3の端部で座屈が発生する。
【0050】
耐熱ベルト3の端部で座屈が発生しないようにするには、図8(B)に示すように耐熱ベルト3の端部領域でベルト張架部材4の摺動面に間隙がなく耐熱ベルト3が密着して、突壁4aがその摺動面から連続して立ち上がっている壁面を有することである。突壁4aは、ベルト張架部材4の一部として設けられ、また、ベルト張架部材4と別の部材であってもベルト張架部材4に耐熱ベルト3が密着して摺動し、その摺動面に間隙がないように一体に設けられていることが好ましい。そのためにはまた、ベルト張架部材4を両端部でスプリング4eを使って支持し、耐熱ベルト3を張架したとき、図8(B)に示すようにベルト張架部材4が中央に凹の逆クラウン状態になるのが好ましい。
【0051】
このことにより、耐熱ベルト3の端部では、ベルト張架部材4に密着して突壁4aに当接し蛇行規制が有効に働き、耐熱ベルト3の位置規制が安定して行われる。この場合、ベルト張架部材4は、両端の支持により耐熱ベルト3を張架することから、その際に生じる中央の撓みを考慮すると、図8(A)に示すように絶対基準仮想線φから中央部が凸のクラウン形状とすることも有効である。また、耐熱ベルト3の端部で座屈しないようにするには、図8(C)に示すように突壁4aの立ち上がり角度θ1に対して耐熱ベルト3の端部角度θ2を小さくすること、つまりθ2≦θ1とすることが好ましい。
【0052】
加圧ロール2とベルト張架部材4との協働によって耐熱ベルト3に張力を付与する構造として、突壁4aは、加圧ロール2とベルト張架部材4のいずれか一方側に形成すれば、耐熱ベルト3の蛇行走行に際してその端面が当接して位置規制する役割が発揮される。しかし、突壁4aを加圧ロール2側に形成すると、耐熱ベルト3の駆動側になるので、蛇行走行の位置規制には有効であるが、加圧ロール2は、熱定着ロール1に近接して回転するので、熱定着ロール1の形状に相対的な制約条件を発生する場合がある。一方、ベルト張架部材4側に形成すると、耐熱ベルト3の従動側になるが、蛇行の位置規制には支障がない。また、ベルト張架部材4と熱定着ロール1の配置関係には、相対的な制約条件がないので、構成上の自由度が大きく好ましい。
【0053】
また、耐熱ベルト3は、突壁4aに当接して蛇行走行位置規制を行う部位において、張力によってベルト張架部材4側に密着して摺動走行するが、この張力により蛇行走行力が勝ると耐熱ベルト3の端面が突壁4aを乗り越えたり、または耐熱ベルト3の端面が伸びて突壁4aの一部とオーバーラップする現象が発生することもある。そこで、突壁4aの厚み以上の高さを有して形成すると、この不具合が解消される。なお、耐熱ベルト3の端部強度や張力または蛇行走行力等の設定自由度を広げるためには、好ましくは図9(A)に示すように少なくとも突壁4aのベルト規制高さhを耐熱ベルト3の厚みtの2倍以上を有するように形成するとよい。
【0054】
耐熱ベルト3がベルト張架部材4の摺動面に密着した走行状態に至る前段、すなわち加圧ローラ2から離れてベルト張架部材4の突壁4aの蛇行走行位置規制部位に至る段階において、耐熱ベルト3は蛇行走行習性を有しているので、ベルト張架部材4の突壁4aの蛇行走行位置規制部位に導入案内させることが必要となる。本実施形態では、図9(B)に示すように耐熱ベルト3を突壁4aに導入案内させる目的で斜面部4a′を形成し、耐熱ベルト3は、この斜面部4a′にガイドされて図9(A)に示すように蛇行走行位置規制する突壁4aに入る。図9(C)、(D)により耐熱ベルト3がベルト張架部材4の下方から導入される状態で示すと、斜面壁4a′は、図9(C)に示すように突壁4aの上端縁に沿って設けてもよいし、図9(D)に示すように耐熱ベルト3の進入側において、突壁4aの進入側(進入開口)が広くなるような面として設けてもよい。突壁4aの上端縁に沿って斜面壁4a′を設けたベルト張架部材4に耐熱ベルト3が進入する部分の拡大斜視図を示したのが図10である。
【0055】
図11(a)はベルト張架部材4の揺動移動力のみの場合の定着圧力を示し、図11(b)は揺動移動力をアシストした場合の定着圧力を示している。なお、Hは熱容量の大きな厚めのシート材や封筒等の積層されたシート材、透明シート材(OHP)等の場合、Sは標準のシート材の場合、Lは薄目のシート材や耐熱性に劣るシート材等の場合を示している。
【0056】
本実施形態においては、スプリング9をベルト張架部材4の揺動支点から離れた熱定着ロール1と加圧ロール2との押圧部より耐熱ベルト3の移動方向上流側に配置しているため、テコのメカニズムにより図11(b)に示すように、ニップ初期位置から熱定着ロール1と加圧ロール2との押圧部に向かって連続的に加圧力を高めることが可能であり、シート材に変曲点のあるストレスを付与しないので、定着画像に定着ムラ等が発生せず、極めて安定した未定着トナー像の定着が可能になるばかりでなく、未定着トナー像の定着後に排出されるシート材に皺発生などのシート材変形を抑制することができる。
【0057】
また、熱定着ロール1と耐熱ベルト3との定着圧力(当接圧力分布)は、熱定着ロール1と加圧ロール2が圧接する部分で最高圧になる。未定着トナー像を十分に溶融して安定した定着を可能にし、例えばシート材の表面が凹凸していたり、OHPシートなどのように表面が極めて平滑で気密性に富んだ材質で溶融したトナー像が浸透しにくい場合には、シート材がニップを通過する最後の段階で溶融したトナーに対して溶融段階より高い圧力を付与すると、溶融したトナーの表面をより平滑にならしめるとともに、シート材への浸透作用を促進して定着画像をさらに安定させることができる。
【0058】
図12は、図1の定着装置の変形例を示し、図12(A)は断面図、図12(B)は図12(A)のY−Y線に沿って矢印方向に見た断面図である。なお、以下の説明において、前述の実施形態と同一の構成については同一番号を付して説明を省略する。
【0059】
本例が図1の実施形態と比較して相違する点は、図1の実施形態においては、ベルト張架部材4を加圧ロール2の回転軸2aと共通の軸で所定の角度分、揺動可能に構成しているのに対して、本例においては、ベルト張架部材4を加圧ロール2の回転軸2aとは異なる軸7bで所定の角度分、揺動可能に構成している点である。
【0060】
すなわち、回転軸2aの軸心とは異なる位置に配置した軸7bの両側には、揺動アーム4bが回転自在に嵌合され、この揺動アーム4bのベルト張架部材4側にはガイド溝4cが形成されている。一方、ベルト張架部材4の両端には、加圧ロール2側に延設されたガイド部4dが形成されており、このガイド部4dがスプリング4eを介して前記揺動アーム4bのガイド溝4c内に嵌挿されている。これにより、ベルト張架部材4は、スプリング4eにより加圧ロール2から離れる方向に付勢され耐熱ベルト3に張力fが付与される構造になっている。
【0061】
これにより、ベルト張架部材4に作用する回転モーメントを変化させることができ(図12の例では回転モーメントを大きくさせる)、軸7bの位置により耐熱ベルト3と熱定着ロール1の圧接する圧接力を調整することができる。なお、本例においても、図2に示すように、ベルト張架部材4の摺接面4gと耐熱ベルト3を押圧してシート材を熱定着ロール1に押圧する押圧面4hとの間に、耐熱ベルト3の厚みより大きなギャップ(段差)Gを設けている。
【0062】
図13は、図1の定着装置の変形例を示す断面図である。本例においては、ベルト張架部材4をロール状の非回転部材としている。なお、本例においても、図2に示すように、ベルト張架部材4の摺接面4gと耐熱ベルト3を押圧してシート材を熱定着ロール1に押圧する押圧面4hとの間に、耐熱ベルト3の厚みより大きなギャップ(段差)Gを設けている。
【0063】
図14〜図15は、本発明の定着装置の他の実施形態を示し、図14(A)は断面図、図14(B)は図14(A)のY−Y線に沿って矢印方向に見た断面図、図15はシート材非通過時の状態を示し、図15(A)は図14(A)の一部拡大断面図、図15(B)は図15(A)のX−X線で切断し矢印方向に見た断面図、図16はシート材通過時の状態を示し、図16(A)は図14(A)の一部拡大断面図、図16(B)は図16(A)のX−X線で切断し矢印方向に見た断面図である。なお、前記実施形態と同一の構成については同一番号を付けて説明を省略する。
【0064】
前記実施形態がベルト張架部材4を熱定着ロール1と加圧ロール2の押圧部よりもシート材5搬送方向上流側に配設したのに対して、本実施形態は、図14に示すように、ベルト張架部材4は、熱定着ロール1と加圧ロール2の押圧部よりもシート材5搬送方向下流側に配設され、加圧ロール2の回転軸2aを中心として矢印P方向に揺動可能に配設されている。このベルト張架部材4は、耐熱ベルト3の内周に嵌挿して加圧ロール2と協働して耐熱ベルト3に張力fを付与すると共に、耐熱ベルト3を熱定着ロール1に巻き付けてニップを形成する位置に配置した、半月状のベルト摺動部材である。ベルト張架部材4は、耐熱ベルト3を熱定着ロール1に巻き付けてニップを形成するニップ終了位置で熱定着ロール1の接線Lに接する位置に配置される。
【0065】
シート材5は、ベルト張架部材4が熱定着ロール1に圧接する位置をニップ初期位置として耐熱ベルト3と熱定着ロール1との間を通過することで未定着トナー像5aが定着され、ニップ終了位置で押圧部接線Lの方向に排出される。
【0066】
図15に示すように、ベルト張架部材4の突壁4aは熱定着ロール1に摺接面4gで摺接し位置決めされている。ベルト張架部材4の摺接面4gと耐熱ベルト3を押圧してシート材を熱定着ロール1に押圧する押圧面4hとの間に、耐熱ベルト3の厚みより大きなギャップ(段差)Gを設け、押圧面4hは定着ロール1と同心円状に形成されている。具体的には、ギャップは110μm程度の段差で構成し、耐熱ベルト3は80μm程度の厚みで構成し、これにより30μm程度の空隙を確保し、60μm程度の厚みを有するシート材でも安定した定着を可能にしている。
【0067】
耐熱ベルト3は、熱定着ロール1と加圧ロール2間のニップ部に圧接されるとともに、その下流側で熱定着ロール1に巻き付けてニップ終了位置で耐熱ベルト3を熱定着ロール1に押圧している。
【0068】
そして、本実施形態においては、シート材5が非通過のこの状態では、耐熱ベルト3とベルト張架部材4との間にギャップGが形成されている。従って、ウオーミングアップ時には、前記ギャップGの空隙が断熱層となって熱定着ロール1から耐熱ベルト3を介して奪い取る熱量が小さくなるので、熱ロスが減少し、ウオーミングアップ時間の短縮を図ることができる。
【0069】
一方、シート材5が定着ニップを通過する時は、図16に示すように、ベルト張架部材4の突壁4aは熱定着ロール1から離間され、耐熱ベルト3とベルト張架部材4との間のギャップGはなくなって、シート材5は定着ニップ部において耐熱ベルト3に押圧され、熱定着ロール1に押圧されるので、この押圧力をスプリング9(図1)により所望の圧力に調節すれば、適正な定着を達成することができる。
【0070】
また、ギャップGの存在のため、ベルト張架部材4が熱定着ロール1から加熱されて蓄熱する熱量が少ないので、シート材5が定着ニップに進入したときにシート材5上に形成された未定着トナー像5aの反対側の面は、熱容量の小さな耐熱ベルト3を冷却するが、ベルト張架部材4側から加熱される熱量は少ない構成となっている。そのため、シート材5上の第1面に形成した未定着トナー像を定着した後に再び反対側の第2面に未定着トナー像を定着する両面画像定着の場合には、第2面を定着するときに先に定着した第1面の画像を必要以上に加熱して画像を乱すことがない。
【0071】
熱定着ロール1または加圧ロール2の一方を駆動すると耐熱ベルト3が駆動され、この駆動力と耐熱ベルト3とベルト張架部材4の摺動摩擦力によってベルト張架部材4は熱定着ロール1から離れる方向に揺動移動するが、この揺動移動力に打ち勝ってベルト張架部材4を所望の付勢力で熱定着ロール1方向に付勢して、所望の定着圧力を設定すると極めて安定した未定着トナー像の定着が可能になる。
【0072】
そこで、本実施形態においては、揺動付勢手段としてアシストするスプリング9をベルト張架部材4の揺動支点から離れた熱定着ロール1と加圧ロール2との押圧部より耐熱ベルト3の移動方向下流側に配置している。
【0073】
図17はベルト張架部材4の揺動移動力をアシストした場合の定着圧力を示している。なお、Hは熱容量の大きな厚めのシート材や封筒等の積層されたシート材、透明シート材(OHP)等の場合、Sは標準のシート材の場合、Lは薄目のシート材や耐熱性に劣るシート材等の場合を示している。
【0074】
本実施形態においては、スプリング9をベルト張架部材4の揺動支点から離れた熱定着ロール1と加圧ロール2との押圧部より耐熱ベルト3の移動方向下流側に配置しているため、テコのメカニズムにより図17に示すように、熱定着ロール1と加圧ロール2との押圧部位から連続的に加圧力を低減して付与することが可能であり、シート材に変曲点のあるストレスを付与しないので、定着画像に定着ムラ等が発生せず、極めて安定した未定着トナー像の定着が可能になるばかりでなく、未定着トナー像の定着後に排出されるシート材に皺発生などのシート材変形を抑制することができる。
【0075】
図18は、図14の実施形態の変形例を示し、図18(A)は断面図、図18(B)は図18(A)のY−Y線に沿って矢印方向に見た断面図である。
【0076】
本実施形態が図14の実施形態と比較して相違する点は、前記実施形態においては、ベルト張架部材4を加圧ロール2の回転軸2aと共通の軸で所定の角度分、揺動可能に構成しているのに対して、本実施形態においては、ベルト張架部材4を加圧ロール2の回転軸2aとは異なる軸7bで所定の角度分、揺動可能に構成している点である。
【0077】
すなわち、回転軸2aの軸心とは異なる位置に配置した軸7bの両側には、揺動アーム4bが回転自在に嵌合され、この揺動アーム4bのベルト張架部材4側にはガイド溝4cが形成されている。一方、ベルト張架部材4の両端には、加圧ロール2側に延設されたガイド部4dが形成されており、このガイド部4dがスプリング4eを介して前記揺動アーム4bのガイド溝4c内に嵌挿されている。これにより、ベルト張架部材4は、スプリング4eにより加圧ロール2から離れる方向に付勢され耐熱ベルト3に張力fが付与される構造になっている。
【0078】
これにより、ベルト張架部材4に作用する回転モーメントを変化させることができ(図18の例では回転モーメントを大きくさせる)、耐熱ベルト3と熱定着ロール1の圧接する圧接力を調整することができる。
【0079】
本発明においては、熱定着ロールまたは加圧ロールが駆動ロールとなるが、この場合、安定な駆動を実現するには、硬い方のロールを駆動側とし、柔らかい方のロールを従動側とするのが好適である。加圧ロール2は、その外周に耐熱ベルト3を捲着して熱定着ロール1の表面に被覆した弾性体1cに対して耐熱ベルト3を圧接して駆動し、熱定着ロール1は従動する構成となる。加圧ロール2は、耐熱ベルト3、即ち、未定着トナー像5aを担持したシート材5の搬送スピードを決定付けるので、少なくとも熱定着ロール1の表面に被覆した弾性体1cより硬質な表面を有した構成とする。このことにより変形することなく搬送スピードを安定して駆動することができる。
【0080】
本発明においては、上記した構造に加えて、回転速度の選択を組み合わせることもできる。その駆動速度の制御について説明する。駆動手段は、熱定着ロール1及び加圧ロール2を駆動するために2つの回転速度を有し、シート材特性に応じて熱定着ロール1及び加圧ロール2を第1の回転速度とそれより遅い第2の回転速度で選択駆動する。この回転速度は、シート材特性を検知する検知手段を配置すると共に、予めシート材特性に応じた回転速度などの選択情報を設定する設定手段を設け、未定着トナー像5aを担持したシート材6の進行過程でシート材特性を検知すると、未定着トナー像5aを担持したシート材5の定着指令過程でシート材特性に応じた設定をして、その設定内容に応じ回転速度が選択され駆動される。設定手段としては、定着指令に先立って熱ロール型定着装置に連動する部位をマニュアル操作したり、電気的な信号等によって遠隔操作してもよい。
【0081】
未定着トナー像5aを担持したシート材5は、紙等の一般的なシート材、熱容量の大きな厚めのシート材、透明なシート材(OHPシート材)等の多様な用途への適用が必須である。一般的なシート材に比べて、特に、熱容量の大きな厚めのシート材や封筒等の積層されたシート材、透明なシート材(OHPシート材)等においては、未定着トナー像5aを十分溶融してシート材に定着するために、所望の溶融時間を要する。このような場合、シート材特性に応じて熱定着ロール1及び加圧ロール2を第1の回転速度とそれより遅い第2の回転速度で選択駆動することにより、未定着トナー像5aの溶融が適正化され、所望の定着が達成できる。
【0082】
そして、第1の回転速度または第2の回転速度で選択的に駆動しても、未定着トナー像5aを担持したシート材5が熱定着ロール1と耐熱ベルト3の間を通過するときに通過するシート材5へのストレスには変化がなくて小さいので、未定着トナー像5aの定着後に排出されるシート材5に対し皺発生などのシート材変形が抑制される。したがって、熱ロール型定着装置の機械的剛性アップは不要であるばかりでなく、熱定着ロール薄肉厚化が可能であり、加熱源から耐熱ベルトを加熱する加熱速度が向上する。また、加圧ロール2も同様に薄肉厚化が可能であり、熱容量が小さく達成できるので、耐熱ベルト3からの熱エネルギー吸収が小さく、電源オン時から所望の温度に到達して定着可能になるまでの所謂ウォーミングアップ時間の短縮が可能である。なお、選択的に駆動する選択手段としては、例えば駆動モータの回転数を選択的に可変する等の手段が好適である。
【0083】
図19は、本発明の画像形成装置の1実施形態を示す全体構成の模式的断面図である。図中、10は画像形成装置、10aはハウジング、10bは扉体、11は紙搬送ユニット、15はクリーニング手段、17は像担持体、18は画像転写搬送手段、20は現像手段、21はスキャナ手段、30は給紙ユニット、40は定着手段、Wは露光ユニット、Dは画像形成ユニットを示す。
【0084】
図19において、画像形成装置10は、ハウジング10aと、ハウジング10aの上部に形成された排紙トレイ10cと、ハウジング10aの前面に開閉自在に装着された扉体10bを有し、ハウジング10a内には、露光ユニット(露光手段)W、画像形成ユニットD、画像転写搬送手段18を有する転写ベルトユニット29、給紙ユニット30が配設され、扉体10b内には紙搬送ユニット11が配設されている。各ユニットは、本体に対して着脱可能な構成であり、メンテナンス時等には一体的に取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
【0085】
画像形成ユニットDは、複数(本実施形態では4つ)の異なる色の画像を形成する画像形成ステーションY(イェロー用),M(マゼンタ用),C(シアン用),K(ブラック用)を備えている。そして、各画像形成ステーションY,M,C,Kには、それぞれ、感光ドラムからなる像担持体17と、像担持体17の周囲に配設された、コロナ帯電手段からなる帯電手段19および現像手段20を有する。これら各画像形成ステーションY,M,C,Kは、転写ベルトユニット29の下側に斜めアーチ状のラインに沿って像担持体17が上向きになるように並列配置されている。なお、各画像形成ステーションY,M,C,Kの配置順序は任意である。
【0086】
転写ベルトユニット29は、ハウジング10aの下側に配設され図示しない駆動源により回転駆動される駆動ロール12と、駆動ロール12の斜め上方に配設される従動ロール13と、テンションロール14と、これら3本、少なくとも2本のロール間に張架されて図示矢印方向へ循環駆動される中間転写ベルトからなる画像転写搬送手段18と、画像転写搬送手段18の表面に当接するクリーニング手段15とを備えている。従動ロール13、テンションロール14および画像転写搬送手段18は、駆動ロール12に対して図で左側に傾斜する方向に配設され、これにより画像転写搬送手段18駆動時のベルト搬送方向が下向きになるベルト面18aが下方に位置し、搬送方向が上向きになるベルト面18bが上方に位置するようにされている。
【0087】
したがって、各画像形成ステーションY,M,C,Kも駆動ロール12に対して図で左側に傾斜する方向に配設されることになる。そして、像担持体17は、アーチ状のラインに沿って画像転写搬送手段18の搬送方向下向きのベルト面18aに接触され、図示矢印に示すように画像転写搬送手段18の搬送方向に回転駆動される。可撓性を有する無端スリーブ状の画像転写搬送手段18は、像担持体17に対して上側から被せるように略同一の巻き付け角度で接触させるため、像担持体17と画像転写搬送手段18との間の接触圧やニップ幅は、テンションロール14により画像転写搬送手段18に付与される張力、像担持体17の配置間隔、巻き付け角度(アーチの曲率)などを制御することにより調整することができる。
【0088】
駆動ロール12は、2次転写ロール39のバックアップロールを兼ねている。駆動ロール12の周面には、例えば厚さ3mm程度、体積抵抗率が105 Ω・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、2次転写ロール39を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ロール12に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、2次転写部へシート材が進入する際の衝撃が画像転写搬送手段18に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。また、駆動ロール12は、その径を従動ロール13、バックアップロール14の径より小さくすることにより、2次転写後のシート材がシート材自身の弾性力で剥離し易くすることができる。また、従動ロール13を後述するクリーニング手段15のバックアップロールとして兼用させている。
【0089】
なお、画像転写搬送手段18を駆動ロール12に対して図で右側に傾斜する方向に配設し、これに対応して各画像形成ステーションY,M,C,Kも駆動ロール12に対して図で右側に傾斜する方向に斜めアーチ状に沿って配設してもよい。
【0090】
クリーニング手段15は、搬送方向下向きのベルト面18a側に設けられ、二次転写後に画像転写搬送手段18の表面に残留しているトナーを除去するクリーニングブレード15aと、回収したトナーを搬送するトナー搬送部材15bを備えている。クリーニングブレード15aは、従動ロール13への画像転写搬送手段18の巻きかけ部において画像転写搬送手段18に当接されている。また、画像転写搬送手段18の裏面には、後述する各画像形成ステーションY,M,C,Kの像担持体17に対向して1次転写部材16が当接され、1次転写部材16には転写バイアスが印加されている。
【0091】
露光手段Wは、斜め方向に配設された画像形成ユニットDの斜め下方に形成された空間に配設されている。また、露光手段Wの下部でハウジング10aの底部には給紙ユニット30が配設されている。露光手段Wは、全体がケースに収納され、ケースは、搬送方向下向きのベルト面の斜め下方に形成される空間に配設されている。ケースの底部には、ポリゴンミラーモータ21a、ポリゴンミラー(回転多面鏡)21bからなる単一のスキャナ手段21を水平に配設されるとともに、各色の画像信号により変調される複数のレーザ光源23からのレーザビームをポリゴンミラー21bで反射させ各像担持体上に偏向走査する光学系Bには、単一のf−θレンズ22および各色の走査光路が像担持体17にそれぞれ非平行になって折り返すように複数の反射ミラー24が配設されている。
【0092】
上記構成からなる露光手段Wにおいては、ポリゴンミラー21bから各色に対応した画像信号が、共通のデータクロック周波数に基づいて変調形成されたレーザビームで射出され、f−θレンズ22、反射ミラー24を経て、各画像形成ステーションY,M,C,Kの像担持体17に照射され、潜像が形成される。反射ミラー24を設けることにより走査光路を屈曲させ、ケースの高さを低くすることが可能となり光学系のコンパクト化が可能となる。しかも、各画像形成ステーションY,M,C,Kの像担持体17への走査光路長は同一の長さになるように反射ミラー24が配置されている。このように各画像形成ユニットDに対する露光手段Wのポリゴンミラー21bから像担持体17までの光路の長さ(光路長)が略同一の長さになるように構成することにより、各光路で走査された光ビームの走査幅も略同一になり、画像信号の形成にも特別な構成を必要としない。したがって、レーザ光源は、それぞれ異なる画像信号によってそれぞれ異なった色の画像に対応して変調されるにも関わらず、共通のデータクロック周波数に基づいて変調形成可能であり、共通の反射面を用いるため副走査方向の相対差から生じる色ずれを防止し、構造が簡単で安価なカラー画像形成装置を構成できる。
【0093】
また、本実施形態においては、装置下方に走査光学系を配置することにより、画像形成手段の駆動系が装置を支持するフレームへ与える振動による走査光学系の振動を最小限にすることができ、画質の劣化を防止することができる。とくに、スキャナ手段21をケースの底部に配置することにより、ポリゴンモータ21a自身がケース全体に与える振動を最小限にすることができ、画質の劣化を防止することができる。また、振動源であるポリゴンモータ21aの数を一つにすることによりケース全体に与える振動を最小限にすることができる。
【0094】
給紙ユニット30は、シート材が積層保持されている給紙カセット35と、給紙カセット35からシート材を一枚ずつ給送するピックアップロール36を備えている。紙搬送ユニット11は、二次転写部へのシート材の給紙タイミングを規定するゲートロール対37(一方のロールはハウジング10a側に設けられている)と、駆動ロール12および画像転写搬送手段18に圧接される二次転写手段としての二次転写ロール39と、主記録媒体搬送路38と、定着手段40と、排紙ロール対41と、両面プリント用搬送路42を備えている。
【0095】
シート材に2次転写された2次画像(未定着トナー像)は、定着手段40の形成するニップ部で所定の温度で定着される。本例においては、転写ベルトの搬送方向上向きのベルト面18bの斜め上方に形成される空間、換言すれば、転写ベルトに対して画像形成ステーションと反対側の空間に定着手段40を配設することが可能になり、露光手段W、画像転写搬送手段18、画像形成手段への熱伝達を低減することができ、各色の色ずれ補正動作を行う頻度を少なくすることができる。特に、露光手段Wは、定着手段40から最も離れた位置にあり、走査光学系部品の熱による変位を最小限にすることができ、色ズレを防ぐことができる。
【0096】
本実施形態においては、画像転写搬送手段18を駆動ロール12に対して傾斜する方向に配設しているため、図で右側空間に広いスペースが生じその空間に定着手段40を配設することができ、コンパクト化を実現することができると共に、定着手段40で発生する熱が、左側に位置する露光ユニットW、画像転写搬送手段18および各画像形成ステーションY,M,C,Kへ伝達されるのを防止することができる。また、画像形成ユニットDの左側下部の空間に露光ユニットWを配置することができるため、画像形成手段の駆動系がハウジング10aへ与える振動による、露光ユニットWの走査光学系の振動を最小限に抑えることができ、画質の劣化を防止することができる。
【0097】
また、クリーニング手段を設置しないことに伴い、帯電手段としてはコロナ帯電手段19を採用している。帯電手段がロールである場合は、微量ではあるが像担持体17上に存在する1次転写残りトナーがロール上に堆積して帯電不良が発生するが、非接触帯電手段であるコロナ帯電手段19はトナーが付着しにくく、帯電不良の発生を防ぐことができる。
【0098】
また、本実施形態では、中間転写ベルトを画像転写搬送手段18として像担持体17に接触させる構成としたが、表面にシート材を吸着して搬送移動し、該シート材の表面にトナー像を順次重ねて転写して画像を形成搬送するシート材搬送ベルトを画像転写搬送手段18として像担持体17に接触させる構成としてもよい。この場合、画像転写搬送手段18であるシート材搬送ベルトのベルト搬送方向が像担持体17に接触する下面で逆方向の上向きになる。
【0099】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば実施の形態では、各色の現像器をロータリーフレームに搭載したロータリー式のカラー画像形成装置により説明したが、各色の現像器を並べて配置したタンデム式のカラー画像形成装置、白黒、モノカラーの画像形成装置においても同様に適用できることはいうまでもない。
【0100】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、熱定着ロールと、該熱定着ロールに押圧する加圧ロールと、該加圧ロールの外周に捲着され熱定着ロールとの間に挟持されて移動する耐熱ベルトと、該耐熱ベルトを張架するベルト張架部材とを備え、シート材上に形成した未定着トナー像を定着する定着装置又は該定着装置を搭載した画像形成装置において、ベルト張架部材は、一端または両端に耐熱ベルトの端部を位置規制する端部位置規制突壁を有すると共に、端部位置規制突壁の立ち上がり角度を耐熱ベルトの端部の角度より大きくし、加圧ロールとの間で耐熱ベルトに張力を付与して張架し熱定着ロールに耐熱ベルトを巻き付けて定着ニップを形成するので、単独の座屈強度より大きな座屈規制機能を発揮し、耐熱ベルトの位置規制を安定化できる。さらに、加圧ロールに対して極限まで接近して配置し、耐熱ベルトの周長を短縮して構成することが可能になり、熱ロール型定着装置を簡単な構造にして小型で安価にすることができ、蛇行走行する耐熱ベルトを位置規制し、走行を安定化して容易にニップ長を長く形成することができる。
【0101】
耐熱ベルトの端部を位置規制する突壁は、ベルト張架部材と一体に設けられ、あるいはベルト張架部材の一部として設けられるので、耐熱ベルトをベルト張架部材と隙間なく密着摺動させて突壁で蛇行走行位置規制を行い、耐熱ベルトが端部領域で座屈するのを防ぐことができ、耐熱ベルトの厚み以上の高さを有し、耐熱ベルトを摺動する面に導入案内する斜面部を有するので、耐熱ベルトの端面が突壁を乗り越えたり、または耐熱ベルトの端面が伸びて突壁の一部とオーバーラップするのを防ぐことができ、熱定着ロールに当接してギャップを規制するギャップ規制部を有するので、ウオーミングアップ時には、ギャップの空隙が断熱層となって熱定着ロールから耐熱ベルトを介して奪い取る熱量が小さくなり、熱ロスが減少し、ウオーミングアップ時間の短縮を図ることができる。
【0102】
また、耐熱ベルトは、加圧ロールとベルト張架部材の協働によって張力が付与されて熱定着ロールに巻き付けてニップを形成しているので、容易にニップ長を長く構成することができ、構造が簡単になり小型で安価にすることができる。また、ベルト張架部材として、耐熱ベルト摺動部材を使用する場合には、軸受等が不要になり、支持構造が簡単になる。加えてベルト張架部材を半月状とする場合には、加圧ロール側にその半月欠方向を向けて配置し、加圧ロールに対して極限まで接近した配置が可能になる。このことによりまた、耐熱ベルトの周長を短縮して構成することが可能になる。したがって、熱ロール型定着装置を簡単な構造にして小型で安価にすることができる。さらに、耐熱ベルトが必要最小限の経路で移動するので、加熱源を内蔵して回転可能な熱定着ロールとのニップ部で加熱された耐熱ベルトは、所定の経路で移動する時に奪われる熱エネルギーを最小限に抑えることができると共に、周長が短いので、自然放熱による温度低下も少なく、電源オン時から所望の温度に到達して定着可能になるまでの所謂ウォーミング時間の短縮が可能である。
【0103】
シート材の非通過時にベルト張架部材と耐熱ベルトとの間にギャップを形成し、シート材の通過時にはベルト張架部材をシート材を介して熱定着ロールに押圧するように構成するので、シート材が非通過の状態では、耐熱ベルトとベルト張架部材との間にギャップが形成されるため、ウオーミングアップ時には、ギャップの空隙が断熱層となって熱定着ロールから耐熱ベルトを介して奪い取る熱量が小さくなり、熱ロスが減少し、ウオーミングアップ時間の短縮を図ることができる。一方、シート材が定着ニップを通過する時は、耐熱ベルトとベルト張架部材との間のギャップGはなくなって、シート材は定着ニップ部において耐熱ベルトに押圧され、熱定着ロールに押圧されるので、安定した定着が可能となる。このとき、押圧力を揺動付勢手段により所望の圧力に調節すれば、適正な定着を達成することができる。
【0104】
また、シート材の上に形成した未定着トナー像を安定して定着するには、未定着トナー像を十分に溶融して定着することが必須であり、所望の温度と溶融時間を必要とするが、本発明による構成では、ニップ長を長く構成するために熱定着ロールの表面に被覆した弾性体を大きく歪ませてニップ長を長くするような手段は必要ないので、弾性体の厚みは薄く構成可能である。しかも、弾性体を歪ませるために加圧ロールの圧接圧力を大きく設定する必要もなく、未定着トナー像を担持したシート材が熱定着ロールと耐熱ベルトの間を通過するときに通過するシート材へのストレスが小さいので、未定着トナー像の定着後に排出されるシート材に皺発生などのシート材変形が抑制される。
【0105】
したがって、熱ロール型定着装置の機械的剛性アップは不要であるばかりでなく、熱定着ロールの薄肉厚化が可能であり、加熱源から耐熱ベルトを加熱する加熱速度が向上する。また、加圧ロールも同様に薄肉厚化が可能であり、熱容量を小さく構成できるので、耐熱ベルトからの熱エネルギー吸収が小さく、電源オン時から所望の温度に到達して定着可能になるまでの所謂ウォーミングアップ時間の短縮が可能である。
【0106】
また、耐熱ベルトと加圧ロールの巻き付き角より耐熱ベルトとベルト張架部材の巻き付き角を小さくし、また、加圧ロールの径よりベルト張架部材の径を小さくすることにより、耐熱ベルトと加圧ロールの巻き付き長さより耐熱ベルトとベルト張架部材の巻き付き長さを短くし、耐熱ベルトの周長を短縮して構成し、耐熱ベルトを必要最小限の経路で移動する構成にするので、熱ロール型定着装置を簡単な構造にして小型で安価にし、熱定着ロールとのニップ部で加熱された耐熱ベルトが所定の経路で移動する時に奪われる熱エネルギーを最小限に抑えることができ、自然放熱による温度低下も少なく、電源オン時から所望の温度に到達して定着可能になるまでの所謂ウォーミング時間の短縮が可能になるなど、多くの効果が期待できる。
【0107】
また、シート材特性に応じて熱定着ロール及び加圧ロールを第1の回転速度とそれより遅い第2の回転速度で選択駆動することにより、未定着トナー像の溶融が適正化され、所望の定着が達成できる。そして、第1の回転速度または第2の回転速度で選択的に駆動しても、未定着トナー像を担持したシート材が熱定着ロールと耐熱ベルトの間を通過するときに通過するシート材へのストレスには変化がなくて小さいので、未定着トナー像の定着後に排出されるシート材に皺発生などのシート材変形が抑制される。したがって、熱ロール型定着装置の機械的剛性アップは不要であるばかりでなく、熱定着ロール薄肉厚化が可能であり、加熱源から耐熱ベルトを加熱する加熱速度が向上する。また、加圧ロールも同様に薄肉厚化が可能であり、熱容量が小さく達成できるので、耐熱ベルトからの熱エネルギー吸収が小さく、電源オン時から所望の温度に到達して定着可能になるまでの所謂ウォーミングアップ時間の短縮が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る定着装置の1実施形態を示し、図1(A)は断面図、図1(B)は図1(A)のY−Y線に沿って矢印方向に見た断面図である。
【図2】図1の詳細構造を示し、図1(A)のX−X線で切断し矢印方向に見た断面図である。
【図3】図1(A)で耐熱ベルトを除去した一部拡大断面図である。
【図4】図3で耐熱ベルト3を装着した図である。
【図5】図4でシート材の通過時の状態を示す図である。
【図6】ベルト張架部材の摺動面の形状と耐熱ベルトの蛇行に伴う座屈の発生との関係を説明するための図である。
【図7】耐熱ベルトの端部角度、突壁の立ち上がり角度と蛇行に伴う座屈の発生との関係を説明するための図である。
【図8】耐熱ベルトの蛇行に伴う座屈の発生を防止するベルト張架部材の摺動面の形状及び耐熱ベルトの端部の角度を説明する図である。
【図9】耐熱ベルトの進入側での蛇行の規制を説明する図である。
【図10】突壁に斜面部を設けたベルト張架部材に耐熱ベルトが進入する部分の拡大斜視図である。
【図11】ニップ通過位置に応じて変化する定着圧力の例を示す図である。
【図12】図1の定着装置の変形例を示し、図12(A)は断面図、図12(B)は図12(A)のY−Y線に沿って矢印方向に見た断面図である。
【図13】図1の定着装置の変形例を示す断面図である。
【図14】本発明の定着装置の他の実施形態を示し、図14(A)は断面図、図14(B)は図14(A)のY−Y線に沿って矢印方向に見た断面図である。
【図15】図14においてシート材非通過時の状態を示し、図15(A)は図14(A)の一部拡大断面図、図15(B)は図15(A)のX−X線で切断し矢印方向に見た断面図である。
【図16】図14においてシート材通過時の状態を示し、図16(A)は図14(A)の一部拡大断面図、図16(B)は図16(A)のX−X線で切断し矢印方向に見た断面図である。
【図17】図16においてニップ通過位置に応じて変化する定着圧力の例を示す図である。
【図18】図14の実施形態の変形例を示し、図18(A)は断面図、図18(B)は図18(A)のY−Y線に沿って矢印方向に見た断面図である。
【図19】本発明の画像形成装置の1実施の形態を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1…熱定着ロール、1a…ハロゲンランプ、1b…ロール基材、1c…弾性体、2…加圧ロール、2a…回転軸、2b…ロール基材、2c…弾性体、3…耐熱ベルト、4…ベルト張架部材、4a…突壁、5…シート材、5a…未定着トナー像、6…クリーニング部材、7…フレーム、9…スプリング、L…押圧部接線
【産業上の利用分野】
本発明は、熱定着ロールと、該熱定着ロールに押圧する加圧ロールと、該加圧ロールの外周に捲着され前記熱定着ロールとの間に挟持されて移動する耐熱ベルトと、該耐熱ベルトを張架するベルト張架部材とを備え、シート材上に形成した未定着トナー像を定着する定着装置および画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機やプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において、転写材上に未定着のトナー像を接触加熱定着する加熱ロール型定着装置として、表面に弾性体が被覆され加熱源を内蔵して回転可能な熱定着ロールと、複数の支持ロールによって張架された耐熱ベルトと、耐熱ベルトを熱定着ロールの廻りに所定角度だけ巻き付けてニップ領域を形成させると共にそのニップ領域の出口に他の部分よりも大きな圧力を局部的に加えて熱定着ロール表面の弾性体に歪みを生じさせる圧力手段とを設け、ニップ部からのシート材の排出を容易にした定着装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来の定着装置では、圧力手段が存在することにより、予め熱定着ロールの表面に歪みを有しているので、ニップ領域の出口で、熱定着ロールの表面上にトナーが接触している状態からその表面歪みを瞬間的に開放する。そのため、シート材がニップ部から排出される時に、トナーと熱定着ロールとの付着力を減少させてシート材が熱定着ロールに巻き付くことを抑制し、腰の弱い記録紙でもベルトニップの出口において容易に剥離できる。上記装置は、このことによって、従来必要とされてきた剥離爪を不要にしている。
【0004】
また、ロール間に設定した圧力によってロールを撓ませてロールに接するニップ長を形成し、このニップ間に未定着トナー像を担持したシート材を通過させて定着させ、シート材の特性に合わせロールの駆動速度として、第1の速度か第2の速度かを選択して駆動する定着装置(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【0005】
また、表面に弾性体を被覆し加熱源を内蔵して回転する熱定着ロールに対して、接触した状態で走行するエンドレスベルトを張架し、このエンドレスベルトの内側に非回転状態で配置してエンドレスベルトを熱定着ロールに圧接させて定着ニップを形成するとともに、熱定着ロールの表面弾性層を変形させる圧力パッドを配置して熱定着ロールとエンドレスベルトの間に未定着トナー像を形成したシート材を通過させてトナーをシート材に熱定着させる定着装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この装置によれば、圧力パッドは非回転状態で配置されているので、熱定着ロールから伝達される熱が発散されにくく、熱定着ロールから奪う熱量が少ないという利点を有している。
【0006】
【特許文献1】
特許第3084692号公報
【0007】
【特許文献2】
特公平6−40235号公報
【0008】
【特許文献3】
特開平8−262903号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1の定着装置の構造では、複数の支持ロールに張架されて移動可能な耐熱ベルトを圧力手段でニップ形成可能な角度だけ熱定着ロールに巻き付けると共に、ニップ領域の出口に局部的に大きな圧力を加えて駆動するので、複数の支持ロールとその回転軸受が必要である。さらに、耐熱ベルトの周長が長くなり、定着装置が複雑で大型化するだけでなく、高価にする。定着装置の複雑、大型化、高価な構成は、必然的に当該定着装置を搭載した画像形成装置を複雑、大型化、高価にする。
【0010】
しかも、耐熱ベルトは、加熱源を内蔵して回転可能な熱定着ロールとのニップ部で加熱されるが、複数の支持ロールで張架し周長が長くなるという構成では、所定の経路で移動する時に、複数の支持ロールによって熱エネルギーが奪われ、また、周長の長さに応じて自然放熱が増える。そのため、所定の温度に到達するまでの時間が多く必要になり、電源オン時から定着可能になるまでの所謂ウォーミングアップ時間を長く要することになり、好ましくない。
【0011】
さらに、熱定着ロールに対して耐熱ベルトをニップ形成可能な角度だけ巻き付けてニップ部出口で他の部分より大きな圧力を局部的に加え熱定着ロールの弾性層に歪みを形成させる構成では、シート材が熱定着ロールに巻き付くのを抑制するには好適であるが、弾性層の歪みに沿って排出されるシート材は、この歪みに倣ってカールしたり、局部的な高圧力のために皺発生などの変形をもたらす。
【0012】
また、特許文献2のシート材特性に合わせてロールの駆動速度を第1の速度か第2の速度に選択する装置では、ロールの熱容量が大きくてウォーミングアップ時間を長く要して好ましくないばかりでなく、圧力によってロールを撓ませて形成した長ニップ間を通過するシート材は、前者の装置と同様、この圧力によるストレスが大きくてカールや皺などのシート材変形を引き起こす。
【0013】
また、特許文献3の装置は、圧力パッドを非回転状態で配置して熱定着ロールから伝達される熱が発散されにくくし、熱定着ロールから奪う熱量を少なくして経済的な定着装置としているが、ウォーミングアップ時に熱定着ロールからエンドレスベルトを介して圧力パッドに熱が伝達されてしまい、ウォーミングアップ時間が長くなるという問題を有している。また、ベルトを走行させるためのローラが3つ以上必要となり装置が大型化してしまうという問題を有している。
【0014】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、熱ロール型定着装置の構造の単純化、小型化、コスト低減を可能にし、ウォーミングアップ時間を短縮でき、シート材へのストレスを小さくしてカールの発生や皺発生など排出されるシート材の変形を抑制できることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明は、熱定着ロールと、該熱定着ロールに押圧する加圧ロールと、該加圧ロールの外周に捲着され前記熱定着ロールとの間に挟持されて移動する耐熱ベルトと、該耐熱ベルトを張架するベルト張架部材とを備え、シート材上に形成した未定着トナー像を定着する定着装置又は該定着装置を搭載した画像形成装置において、前記ベルト張架部材は、一端または両端に前記耐熱ベルトの端部を位置規制する端部位置規制突壁を有すると共に、前記端部位置規制突壁の立ち上がり角度を前記耐熱ベルトの端部の角度より大きくし、前記加圧ロールとの間で前記耐熱ベルトに張力を付与して張架し前記熱定着ロールに前記耐熱ベルトを巻き付けて定着ニップを形成することを特徴とする。
【0016】
前記端部位置規制突壁は、前記ベルト張架部材と一体に、前記ベルト張架部材の一部として設けられ、前記耐熱ベルトの厚み以上の高さを有し、前記耐熱ベルトを導入案内する斜面部を有し、あるいは前記熱定着ロールに当接してギャップを規制するギャップ規制部を有することを特徴とする。
【0017】
前記ベルト張架部材は、前記耐熱ベルトが摺動する部材であり、半月状部材であることを特徴とし、あるいは回転するロールであることを特徴とし、前記熱定着ロールの方向に揺動可能に支持され、前記熱定着ロールの方向に付勢する揺動付勢手段によって揺動付勢され、シート材の非通過時に前記ベルト張架部材と耐熱ベルトとの間にギャップを形成し、シート材の通過時にはベルト張架部材をシート材を介して熱定着ロールに押圧するように構成し、前記ベルト張架部材と前記加熱ロールとの間に前記耐熱ベルトの内周面に摺接してクリーニング部材を配置したことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の定着装置の1実施形態を示し、図1(A)は断面図、図1(B)は図1(A)のY−Y線に沿って矢印方向に見た断面図であり、装置の右半分は省略している。図中、1は熱定着ロール、1aはハロゲンランプ、1bはロール基材、1cは弾性体、2は加圧ロール、2aは回転軸、2bはロール基材、2cは弾性体、3は耐熱ベルト、4はベルト張架部材、4aは突壁、5はシート材、5aは未定着トナー像、6はクリーニング部材、7はフレーム、9はスプリング、Lは押圧部接線を示す。
【0019】
図1において、熱定着ロール1は、外径25mm程度、肉厚0.7mm程度のパイプ材をロール基材1bとして、その外周に厚み0.4mm程度の弾性体1cを被覆して形成し、ロール基材1bの内部に加熱源として1050W、2本の柱状ハロゲンランプ1aを内蔵して回転可能にしたものである。加圧ロール2は、外径25mm程度、肉厚0.7mm程度のパイプ材をロール基材2bとして、その外周に厚み0.2mm程度の弾性体2cを被覆して形成し、熱定着ロール1と加圧ロール2の圧接力を10kg以下、ニップ長を10mm程度で構成し、熱定着ロール1に対向して配置し、図示矢印方向に回転可能にした構造になっている。
【0020】
本実施形態によれば、熱定着ロール1および加圧ロール2の外径を25mm程度の小径に構成しているため、定着後のシート材が熱定着ロール1または耐熱ベルト3に巻き付くこともないので、シート材を強制的に剥がすための手段を不要にしている。また、熱定着ロール1の弾性体1cの表層には約30μmのPFA層を設ければ、その分だけ剛性が向上して弾性体1c、2cの厚みは異なるが、略均一な弾性変形をして所謂水平ニップが形成されて熱定着ロール1の周速に対して耐熱ベルト3またはシート材5の搬送速度に差異が生じることもなく、極めて安定した画像定着が可能となる。
【0021】
本実施形態においては、熱定着ロール1の内部に2本の加熱源1aを内蔵しており、このハロゲンランプの発熱エレメントを異なった配置に構成して選択的に点灯すると、後述する耐熱ベルト3が熱定着ロール1に巻き付いた定着ニップ部位とベルト張架部材4が熱定着ロール1に摺接する部位のような異なった条件や、幅の広いシート材と幅の狭いシート材とのように異なった条件下での温度コントロールを容易に行うことができる。
【0022】
耐熱ベルト3は、熱定着ロール1と加圧ロール2との間に挟持されて加圧ロール2とベルト張架部材4の外周に張架され移動可能になったエンドレスのベルトであり、0.03mm以上の厚みを有するステンレス管やニッケル電鋳管等の金属管、ポリイミドやシリコン等の耐熱樹脂等管で構成される。
【0023】
ベルト張架部材4は、熱定着ロール1と加圧ロール2のニップ部よりもシート材5搬送方向上流側に配設されるとともに、加圧ロール2の回転軸2aを中心として矢印P方向に揺動可能に配設されている。ベルト張架部材4は、シート材5が定着ニップを非通過の状態において耐熱ベルト3を熱定着ロール1の接線方向に張架する構成にしている。シート材が定着ニップに進入する初期位置で定着圧力が大きいと進入がスムーズに行われなくて、シート材先端に折れた状態で定着される場合があるが、耐熱ベルト3を熱定着ロール1の接線方向に張架する構成にすると、シート材の進入がスムーズに成される導入口部が形成でき、安定したシート材の進入を可能にする。
【0024】
このベルト張架部材4は、耐熱ベルト3の内周に嵌挿して加圧ロール2と協働して耐熱ベルト3に張力fを付与すると共に、耐熱ベルト3を熱定着ロール1に巻き付けてニップを形成する位置に配置した、略半月状のベルト摺動部材(耐熱ベルト3はベルト張架部材4上を摺動する)である。ベルト張架部材4は、耐熱ベルト3が熱定着ロール1と加圧ロール2との押圧部接線Lより熱定着ロール1側に巻き付けてニップを形成する位置に配置される。突壁4aは、ベルト張架部材4の一端または両端に突設され、耐熱ベルト3が一方に寄った場合にこの突壁4aに当接して寄り規制を行うためのものである。ベルト張架部材4は、突壁4aの熱定着ロール1と反対側端部のフレームとの間にスプリング9が配設され、スプリング9により熱定着ロール1に軽押圧され、熱定着ロール1に摺接して位置決めされる。
【0025】
耐熱ベルト3を加圧ロール2とベルト張架部材4により張架して加圧ロール2で安定して駆動するには、加圧ロール2と耐熱ベルト3との摩擦係数をベルト張架部材4と耐熱ベルト3との摩擦係数より大きく設定するとよいが、摩擦係数に関しては異物の侵入や摩耗などによって不安定になる場合がある。これに対し、加圧ロール2と耐熱ベルト3の巻き付け角よりベルト張架部材4と耐熱ベルト3の巻き付け角が小さくなるように、また、加圧ロール2の径よりベルト張架部材4の径が小さくなるように設定すると、耐熱ベルト3がベルト張架部材4を摺動する長さが短くなり、経時変化や外乱などに対する不安定要因から回避でき耐熱ベルト3を加圧ロールで安定して駆動することができる。
【0026】
クリーニング部材6は、加圧ロール2とベルト張架部材4との間に配置して耐熱ベルト3の内周面に摺接して耐熱ベルト3の内周面の異物や摩耗粉等をクリーニングするものであり、このような異物や摩耗粉等をクリーニングすることで耐熱ベルト3をリフレッシュして不安定要因を除去している。また、ベルト張架部材4に設けた凹部4fは、この除去した異物や摩耗粉等の収納に好適である。
【0027】
シート材5は、ベルト張架部材4が熱定着ロール1に軽押圧される位置をニップ初期位置として耐熱ベルト3と熱定着ロール1との間を通過することで未定着トナー像5aが定着され、熱定着ロール1に加圧ロール2が押圧する位置をニップ終了位置として押圧部接線Lの方向に排出される。
【0028】
次に、加圧ロール2とベルト張架部材4の支持構造について説明する。加圧ロール2の両端の回転軸2aは、図1(B)に示すように左右のフレーム7に軸受7aを介して回転自在に支持されている。加圧ロール2の回転軸2aの両側には、揺動アーム4bが回転自在に嵌合され、この揺動アーム4bのベルト張架部材4側にはガイド溝4cが形成されている。一方、ベルト張架部材4の両端には、加圧ロール2側に延設されたガイド部4dが形成されており、このガイド部4dがスプリング4eを介して前記揺動アーム4bのガイド溝4c内に嵌挿されている。これにより、ベルト張架部材4は、スプリング4eにより加圧ロール2から離れる方向に付勢され耐熱ベルト3に張力fが付与される構造になっている。
【0029】
本実施形態においては、ベルト張架部材4として、耐熱ベルト3を摺動させる非回転部材として使用し、回転部材ではないので軸受等が不要であり、支持構造が簡単になる。加えてベルト張架部材4を略半月状とすることにより、加圧ロール2側にその半月欠方向を向けて配置し、加圧ロール2に対して極限まで接近した配置が可能になる。このことによりまた、耐熱ベルト3の周長を短縮して構成することが可能になる。したがって、熱ロール型定着装置を簡単な構造にして小型で安価にすることができる。
【0030】
また、耐熱ベルト3が必要最小限の経路で移動するので、耐熱ベルト3は、加熱源を内蔵して回転可能な熱定着ロール1とのニップ部で加熱され、所定の経路で移動する時に奪われる熱エネルギーを最小限に抑えることができると共に、周長が短いので、自然放熱による温度低下も少なく、電源オン時から所望の温度に到達して定着可能になるまでの所謂ウォーミングアップ時間の短縮が可能である。
【0031】
また、耐熱ベルトは、加圧ロールとベルト張架部材の協働によって張力が付与されて熱定着ロールに巻き付けてニップを形成しているので、容易にニップ長を長く構成することができ、構造が簡単になり小型で安価にすることができる。
【0032】
また、シート材の上に形成した未定着トナー像を安定して定着するには、未定着トナー像を十分に溶融して定着することが必須であり、所望の温度と溶融時間を必要とするが、本発明による構成では、ニップ長を長く構成するために熱定着ロールの表面に被覆した弾性体を大きく歪ませてニップ長を長くするような手段は必要ないので、弾性体の厚みは薄く構成可能である。しかも、弾性体を歪ませるために加圧ロールの圧接圧力を大きく設定する必要もなく、未定着トナー像を担持したシート材が熱定着ロールと耐熱ベルトの間を通過するときに通過するシート材へのストレスが小さいので、未定着トナー像の定着後に排出されるシート材に皺発生などのシート材変形が抑制される。
【0033】
したがって、熱ロール型定着装置の機械的剛性アップは不要であるばかりでなく、熱定着ロールの薄肉厚化が可能であり、加熱源から耐熱ベルトを加熱する加熱速度が向上する。また、加圧ロールも同様に薄肉厚化が可能であり、熱容量を小さく構成できるので、耐熱ベルトからの熱エネルギー吸収が小さく、電源オン時から所望の温度に到達して定着可能になるまでの所謂ウォーミングアップ時間の短縮が可能である。
【0034】
図2〜図5は、図1の詳細構造を示し、図2は図1(A)のX−X線で切断し矢印方向に見た断面図、図3は、図1(A)で耐熱ベルトを除去した一部拡大断面図、図4は図3で耐熱ベルト3を装着した図、図5は図4でシート材の通過時の状態を示す図である。
【0035】
図2および図3において、ベルト張架部材4の突壁4aは熱定着ロール1に摺接面4gで摺接し位置決めされている。ベルト張架部材4の摺接面4gと耐熱ベルト3を押圧してシート材を熱定着ロール1に押圧する押圧面4hとの間に、耐熱ベルト3の厚みより大きなギャップ(段差)Gを設け、押圧面4hは定着ロール1と同心円状に形成されている。具体的には、ギャップは110μm程度の段差で構成し、耐熱ベルト3は80μm程度の厚みで構成し、これにより30μm程度の空隙を確保し、60μm程度の厚みを有するシート材でも安定した定着を可能にしている。
【0036】
図4は耐熱ベルト3を装着した図であり、耐熱ベルト3は、熱定着ロール1と加圧ロール2間のニップ部に圧接されると共に、その上流側で熱定着ロール1に巻き付けてニップ初期位置で耐熱ベルト3を熱定着ロール1に押圧している。
【0037】
定着工程の前工程でシート材上に未定着トナー像を形成するプロセス工程の速度と、定着工程の速度を完全に一致させることは、量産上の種々の部品寸法のバラツキを考慮すると現実的ではない。そこで、このバラツキを考慮してシート材上に未定着トナー像を形成するプロセス工程の速度に比較して定着工程の速度を早くするか遅くするか、いずれか一方側に設定して前後工程の速度バランスを構築するが、定着ニップにシート材が進入する初期位置でシート材を確実にグリップしてシート材の進入速度を明確にする必要があり、上記のように構成すると、この目的が達成される。
【0038】
また、ロールの弾性体表面と耐熱ベルト表面は同一の周速度で移動してシート材上に形成した未定着トナー像を定着するものであるが、耐熱ベルト表面がウエーブ状になっていたりシート材先端部がウエーブ状になっていたりすると、定着開始状態が不安定になる場合がある。そこで、ニップ初期位置で耐熱ベルト3を熱定着ロール1に押圧する構成にすると、双方の合流状態が安定するので、極めて安定した未定着トナー像の定着が可能になる。
【0039】
そして、本実施形態においては、シート材5が非通過のこの状態では、耐熱ベルト3とベルト張架部材4との間にギャップGが形成されている。従って、ウオーミングアップ時には、前記ギャップGの空隙が断熱層となって熱定着ロール1から耐熱ベルト3を介して奪い取る熱量が小さくなるので、熱ロスが減少し、ウオーミングアップ時間の短縮を図ることができる。
【0040】
一方、シート材5が定着ニップを通過する時は、図5に示すように、ベルト張架部材4の突壁4aは熱定着ロール1から離間され、耐熱ベルト3とベルト張架部材4との間のギャップGはなくなって、シート材5は定着ニップ部において耐熱ベルト3に押圧され、熱定着ロール1に押圧されるので、この押圧力をスプリング9(図1)により所望の圧力に調節すれば、適正な定着を達成することができる。
【0041】
また、ギャップGの存在のため、ベルト張架部材4が熱定着ロール1から加熱されて蓄熱する熱量が少ないので、シート材5が定着ニップに進入したときにシート材5上に形成された未定着トナー像5aの反対側の面は、熱容量の小さな耐熱ベルト3を冷却するが、ベルト張架部材4側から加熱される熱量は少ない構成となっている。そのため、シート材5上の第1面に形成した未定着トナー像を定着した後に再び反対側の第2面に未定着トナー像を定着する両面画像定着の場合には、第2面を定着するときに先に定着した第1面の画像を必要以上に加熱して画像を乱すことがない。
【0042】
本実施形態においては、図1(A)に示すように、揺動付勢手段としてアシストするスプリング9をベルト張架部材4の揺動支点から離れた熱定着ロール1と加圧ロール2との押圧部より耐熱ベルト3の移動方向上流側に配置している。熱定着ロール1または加圧ロール2の一方を駆動すると耐熱ベルト3が駆動され、この駆動力と耐熱ベルト3とベルト張架部材4の摺動摩擦力によってベルト張架部材4は熱定着ロール1方向に揺動するが、この揺動移動力のみではシート材5上に形成した未定着トナー像を定着する定着圧力が不足する場合がある。そこで、この揺動移動力をアシストして所望の定着圧力に設定すると極めて安定した未定着トナー像の定着が可能となる。
【0043】
図6はベルト張架部材の摺動面の形状と耐熱ベルトの蛇行に伴う座屈の発生との関係を説明するための図、図7は耐熱ベルトの端部角度、突壁の立ち上がり角度と蛇行に伴う座屈の発生との関係を説明するための図、図8は耐熱ベルトの蛇行に伴う座屈の発生を防止するベルト張架部材の摺動面の形状及び耐熱ベルトの端部の角度を説明する図、図9は耐熱ベルトの進入側での蛇行の規制を説明する図、図10は突壁に斜面部を設けたベルト張架部材に耐熱ベルトが進入する部分の拡大斜視図である。
【0044】
加圧ロール2とベルト張架部材4との協働によって耐熱ベルト3に付与される張力は、張架領域全域にわたって均一であることが好ましい。しかし、加圧ロール2及びベルト張架部材4の真直精度、又は耐熱ベルト3の内周均一精度、あるいは加圧ロール2とベルト張架部材4に張力を付与した状態で発生する撓み量の誤差要因等によって張架領域全域にわたって張力を均一にすることは難しい場合がある。
【0045】
また、耐熱ベルト3は、上記状態に加えて加圧ロール2とベルト張架部材4の配置状態における平行精度の要因等によって図6(A)に示すように蛇行走行し、加圧ロール2及びベルト張架部材4と耐熱ベルト3内面の摩擦力が大きければ大きい程、蛇行寄り力は大きくなって、走行位置規制が難しくなる。
【0046】
耐熱ベルト3の蛇行を防止するための位置規制を達成する条件は、耐熱ベルト3の蛇行寄り力に十分対応可能な位置規制手段を有することと、耐熱ベルト3が位置規制手段によって位置規制された状態で、十分な耐力を有することであり、耐熱ベルト3の耐力確保が重要なポイントとなる。
【0047】
図1(B)で示したようにベルト張架部材4をその両端部でスプリング4eにより支持することにより、少なくとも耐熱ベルト3の幅方向端部で、耐熱ベルト3に張力を付与し、当該張力付与部位から突出して耐熱ベルト3の端面を規制する突壁4aを有する構造に構成すると、耐熱ベルト3は、張力付与部位に密着し突壁4aに沿った状態となって、単独の座屈強度より大きな座屈規制機能を発揮することが可能になり、耐熱ベルト3を端部で位置規制して安定化でき有効である。
【0048】
例えば図6(B)に示すように突壁4aを設けたベルト張架部材4の端部近傍において凹みや段差、隙間などがあり、そのため耐熱ベルト3がベルト張架部材4の摺動面に密着できず間隙ができるようになっていると、耐熱ベルト3が蛇行走行して突壁4aに当たり大きな蛇行寄り力が働いたとき、図6(C)に示すように耐熱ベルト3の端部で座屈が発生する。
【0049】
また、耐熱ベルト3の端部角度と突壁4aの立ち上がり角度に着目した場合に、図7(A)に示すように突壁4aの立ち上がり角度θ1に対して耐熱ベルト3の端部角度θ2が大きくなると、耐熱ベルト3が蛇行走行して突壁4aに当たり大きな蛇行寄り力が働いたとき、突壁4aに沿って耐熱ベルト3の端部が浮き上がり、また、逆に図7(B)に示すように突壁4aの立ち上がり角度θ1に対して耐熱ベルト3の端部角度θ2が小さいが、ベルト張架部材4の摺動面と突壁4aとの間に間隙があると、耐熱ベルト3が蛇行走行して突壁4aに当たり大きな蛇行寄り力が働いたとき、突壁4aに沿って耐熱ベルト3の端部が間隙部に食い込み、耐熱ベルト3の端部で座屈が発生する。
【0050】
耐熱ベルト3の端部で座屈が発生しないようにするには、図8(B)に示すように耐熱ベルト3の端部領域でベルト張架部材4の摺動面に間隙がなく耐熱ベルト3が密着して、突壁4aがその摺動面から連続して立ち上がっている壁面を有することである。突壁4aは、ベルト張架部材4の一部として設けられ、また、ベルト張架部材4と別の部材であってもベルト張架部材4に耐熱ベルト3が密着して摺動し、その摺動面に間隙がないように一体に設けられていることが好ましい。そのためにはまた、ベルト張架部材4を両端部でスプリング4eを使って支持し、耐熱ベルト3を張架したとき、図8(B)に示すようにベルト張架部材4が中央に凹の逆クラウン状態になるのが好ましい。
【0051】
このことにより、耐熱ベルト3の端部では、ベルト張架部材4に密着して突壁4aに当接し蛇行規制が有効に働き、耐熱ベルト3の位置規制が安定して行われる。この場合、ベルト張架部材4は、両端の支持により耐熱ベルト3を張架することから、その際に生じる中央の撓みを考慮すると、図8(A)に示すように絶対基準仮想線φから中央部が凸のクラウン形状とすることも有効である。また、耐熱ベルト3の端部で座屈しないようにするには、図8(C)に示すように突壁4aの立ち上がり角度θ1に対して耐熱ベルト3の端部角度θ2を小さくすること、つまりθ2≦θ1とすることが好ましい。
【0052】
加圧ロール2とベルト張架部材4との協働によって耐熱ベルト3に張力を付与する構造として、突壁4aは、加圧ロール2とベルト張架部材4のいずれか一方側に形成すれば、耐熱ベルト3の蛇行走行に際してその端面が当接して位置規制する役割が発揮される。しかし、突壁4aを加圧ロール2側に形成すると、耐熱ベルト3の駆動側になるので、蛇行走行の位置規制には有効であるが、加圧ロール2は、熱定着ロール1に近接して回転するので、熱定着ロール1の形状に相対的な制約条件を発生する場合がある。一方、ベルト張架部材4側に形成すると、耐熱ベルト3の従動側になるが、蛇行の位置規制には支障がない。また、ベルト張架部材4と熱定着ロール1の配置関係には、相対的な制約条件がないので、構成上の自由度が大きく好ましい。
【0053】
また、耐熱ベルト3は、突壁4aに当接して蛇行走行位置規制を行う部位において、張力によってベルト張架部材4側に密着して摺動走行するが、この張力により蛇行走行力が勝ると耐熱ベルト3の端面が突壁4aを乗り越えたり、または耐熱ベルト3の端面が伸びて突壁4aの一部とオーバーラップする現象が発生することもある。そこで、突壁4aの厚み以上の高さを有して形成すると、この不具合が解消される。なお、耐熱ベルト3の端部強度や張力または蛇行走行力等の設定自由度を広げるためには、好ましくは図9(A)に示すように少なくとも突壁4aのベルト規制高さhを耐熱ベルト3の厚みtの2倍以上を有するように形成するとよい。
【0054】
耐熱ベルト3がベルト張架部材4の摺動面に密着した走行状態に至る前段、すなわち加圧ローラ2から離れてベルト張架部材4の突壁4aの蛇行走行位置規制部位に至る段階において、耐熱ベルト3は蛇行走行習性を有しているので、ベルト張架部材4の突壁4aの蛇行走行位置規制部位に導入案内させることが必要となる。本実施形態では、図9(B)に示すように耐熱ベルト3を突壁4aに導入案内させる目的で斜面部4a′を形成し、耐熱ベルト3は、この斜面部4a′にガイドされて図9(A)に示すように蛇行走行位置規制する突壁4aに入る。図9(C)、(D)により耐熱ベルト3がベルト張架部材4の下方から導入される状態で示すと、斜面壁4a′は、図9(C)に示すように突壁4aの上端縁に沿って設けてもよいし、図9(D)に示すように耐熱ベルト3の進入側において、突壁4aの進入側(進入開口)が広くなるような面として設けてもよい。突壁4aの上端縁に沿って斜面壁4a′を設けたベルト張架部材4に耐熱ベルト3が進入する部分の拡大斜視図を示したのが図10である。
【0055】
図11(a)はベルト張架部材4の揺動移動力のみの場合の定着圧力を示し、図11(b)は揺動移動力をアシストした場合の定着圧力を示している。なお、Hは熱容量の大きな厚めのシート材や封筒等の積層されたシート材、透明シート材(OHP)等の場合、Sは標準のシート材の場合、Lは薄目のシート材や耐熱性に劣るシート材等の場合を示している。
【0056】
本実施形態においては、スプリング9をベルト張架部材4の揺動支点から離れた熱定着ロール1と加圧ロール2との押圧部より耐熱ベルト3の移動方向上流側に配置しているため、テコのメカニズムにより図11(b)に示すように、ニップ初期位置から熱定着ロール1と加圧ロール2との押圧部に向かって連続的に加圧力を高めることが可能であり、シート材に変曲点のあるストレスを付与しないので、定着画像に定着ムラ等が発生せず、極めて安定した未定着トナー像の定着が可能になるばかりでなく、未定着トナー像の定着後に排出されるシート材に皺発生などのシート材変形を抑制することができる。
【0057】
また、熱定着ロール1と耐熱ベルト3との定着圧力(当接圧力分布)は、熱定着ロール1と加圧ロール2が圧接する部分で最高圧になる。未定着トナー像を十分に溶融して安定した定着を可能にし、例えばシート材の表面が凹凸していたり、OHPシートなどのように表面が極めて平滑で気密性に富んだ材質で溶融したトナー像が浸透しにくい場合には、シート材がニップを通過する最後の段階で溶融したトナーに対して溶融段階より高い圧力を付与すると、溶融したトナーの表面をより平滑にならしめるとともに、シート材への浸透作用を促進して定着画像をさらに安定させることができる。
【0058】
図12は、図1の定着装置の変形例を示し、図12(A)は断面図、図12(B)は図12(A)のY−Y線に沿って矢印方向に見た断面図である。なお、以下の説明において、前述の実施形態と同一の構成については同一番号を付して説明を省略する。
【0059】
本例が図1の実施形態と比較して相違する点は、図1の実施形態においては、ベルト張架部材4を加圧ロール2の回転軸2aと共通の軸で所定の角度分、揺動可能に構成しているのに対して、本例においては、ベルト張架部材4を加圧ロール2の回転軸2aとは異なる軸7bで所定の角度分、揺動可能に構成している点である。
【0060】
すなわち、回転軸2aの軸心とは異なる位置に配置した軸7bの両側には、揺動アーム4bが回転自在に嵌合され、この揺動アーム4bのベルト張架部材4側にはガイド溝4cが形成されている。一方、ベルト張架部材4の両端には、加圧ロール2側に延設されたガイド部4dが形成されており、このガイド部4dがスプリング4eを介して前記揺動アーム4bのガイド溝4c内に嵌挿されている。これにより、ベルト張架部材4は、スプリング4eにより加圧ロール2から離れる方向に付勢され耐熱ベルト3に張力fが付与される構造になっている。
【0061】
これにより、ベルト張架部材4に作用する回転モーメントを変化させることができ(図12の例では回転モーメントを大きくさせる)、軸7bの位置により耐熱ベルト3と熱定着ロール1の圧接する圧接力を調整することができる。なお、本例においても、図2に示すように、ベルト張架部材4の摺接面4gと耐熱ベルト3を押圧してシート材を熱定着ロール1に押圧する押圧面4hとの間に、耐熱ベルト3の厚みより大きなギャップ(段差)Gを設けている。
【0062】
図13は、図1の定着装置の変形例を示す断面図である。本例においては、ベルト張架部材4をロール状の非回転部材としている。なお、本例においても、図2に示すように、ベルト張架部材4の摺接面4gと耐熱ベルト3を押圧してシート材を熱定着ロール1に押圧する押圧面4hとの間に、耐熱ベルト3の厚みより大きなギャップ(段差)Gを設けている。
【0063】
図14〜図15は、本発明の定着装置の他の実施形態を示し、図14(A)は断面図、図14(B)は図14(A)のY−Y線に沿って矢印方向に見た断面図、図15はシート材非通過時の状態を示し、図15(A)は図14(A)の一部拡大断面図、図15(B)は図15(A)のX−X線で切断し矢印方向に見た断面図、図16はシート材通過時の状態を示し、図16(A)は図14(A)の一部拡大断面図、図16(B)は図16(A)のX−X線で切断し矢印方向に見た断面図である。なお、前記実施形態と同一の構成については同一番号を付けて説明を省略する。
【0064】
前記実施形態がベルト張架部材4を熱定着ロール1と加圧ロール2の押圧部よりもシート材5搬送方向上流側に配設したのに対して、本実施形態は、図14に示すように、ベルト張架部材4は、熱定着ロール1と加圧ロール2の押圧部よりもシート材5搬送方向下流側に配設され、加圧ロール2の回転軸2aを中心として矢印P方向に揺動可能に配設されている。このベルト張架部材4は、耐熱ベルト3の内周に嵌挿して加圧ロール2と協働して耐熱ベルト3に張力fを付与すると共に、耐熱ベルト3を熱定着ロール1に巻き付けてニップを形成する位置に配置した、半月状のベルト摺動部材である。ベルト張架部材4は、耐熱ベルト3を熱定着ロール1に巻き付けてニップを形成するニップ終了位置で熱定着ロール1の接線Lに接する位置に配置される。
【0065】
シート材5は、ベルト張架部材4が熱定着ロール1に圧接する位置をニップ初期位置として耐熱ベルト3と熱定着ロール1との間を通過することで未定着トナー像5aが定着され、ニップ終了位置で押圧部接線Lの方向に排出される。
【0066】
図15に示すように、ベルト張架部材4の突壁4aは熱定着ロール1に摺接面4gで摺接し位置決めされている。ベルト張架部材4の摺接面4gと耐熱ベルト3を押圧してシート材を熱定着ロール1に押圧する押圧面4hとの間に、耐熱ベルト3の厚みより大きなギャップ(段差)Gを設け、押圧面4hは定着ロール1と同心円状に形成されている。具体的には、ギャップは110μm程度の段差で構成し、耐熱ベルト3は80μm程度の厚みで構成し、これにより30μm程度の空隙を確保し、60μm程度の厚みを有するシート材でも安定した定着を可能にしている。
【0067】
耐熱ベルト3は、熱定着ロール1と加圧ロール2間のニップ部に圧接されるとともに、その下流側で熱定着ロール1に巻き付けてニップ終了位置で耐熱ベルト3を熱定着ロール1に押圧している。
【0068】
そして、本実施形態においては、シート材5が非通過のこの状態では、耐熱ベルト3とベルト張架部材4との間にギャップGが形成されている。従って、ウオーミングアップ時には、前記ギャップGの空隙が断熱層となって熱定着ロール1から耐熱ベルト3を介して奪い取る熱量が小さくなるので、熱ロスが減少し、ウオーミングアップ時間の短縮を図ることができる。
【0069】
一方、シート材5が定着ニップを通過する時は、図16に示すように、ベルト張架部材4の突壁4aは熱定着ロール1から離間され、耐熱ベルト3とベルト張架部材4との間のギャップGはなくなって、シート材5は定着ニップ部において耐熱ベルト3に押圧され、熱定着ロール1に押圧されるので、この押圧力をスプリング9(図1)により所望の圧力に調節すれば、適正な定着を達成することができる。
【0070】
また、ギャップGの存在のため、ベルト張架部材4が熱定着ロール1から加熱されて蓄熱する熱量が少ないので、シート材5が定着ニップに進入したときにシート材5上に形成された未定着トナー像5aの反対側の面は、熱容量の小さな耐熱ベルト3を冷却するが、ベルト張架部材4側から加熱される熱量は少ない構成となっている。そのため、シート材5上の第1面に形成した未定着トナー像を定着した後に再び反対側の第2面に未定着トナー像を定着する両面画像定着の場合には、第2面を定着するときに先に定着した第1面の画像を必要以上に加熱して画像を乱すことがない。
【0071】
熱定着ロール1または加圧ロール2の一方を駆動すると耐熱ベルト3が駆動され、この駆動力と耐熱ベルト3とベルト張架部材4の摺動摩擦力によってベルト張架部材4は熱定着ロール1から離れる方向に揺動移動するが、この揺動移動力に打ち勝ってベルト張架部材4を所望の付勢力で熱定着ロール1方向に付勢して、所望の定着圧力を設定すると極めて安定した未定着トナー像の定着が可能になる。
【0072】
そこで、本実施形態においては、揺動付勢手段としてアシストするスプリング9をベルト張架部材4の揺動支点から離れた熱定着ロール1と加圧ロール2との押圧部より耐熱ベルト3の移動方向下流側に配置している。
【0073】
図17はベルト張架部材4の揺動移動力をアシストした場合の定着圧力を示している。なお、Hは熱容量の大きな厚めのシート材や封筒等の積層されたシート材、透明シート材(OHP)等の場合、Sは標準のシート材の場合、Lは薄目のシート材や耐熱性に劣るシート材等の場合を示している。
【0074】
本実施形態においては、スプリング9をベルト張架部材4の揺動支点から離れた熱定着ロール1と加圧ロール2との押圧部より耐熱ベルト3の移動方向下流側に配置しているため、テコのメカニズムにより図17に示すように、熱定着ロール1と加圧ロール2との押圧部位から連続的に加圧力を低減して付与することが可能であり、シート材に変曲点のあるストレスを付与しないので、定着画像に定着ムラ等が発生せず、極めて安定した未定着トナー像の定着が可能になるばかりでなく、未定着トナー像の定着後に排出されるシート材に皺発生などのシート材変形を抑制することができる。
【0075】
図18は、図14の実施形態の変形例を示し、図18(A)は断面図、図18(B)は図18(A)のY−Y線に沿って矢印方向に見た断面図である。
【0076】
本実施形態が図14の実施形態と比較して相違する点は、前記実施形態においては、ベルト張架部材4を加圧ロール2の回転軸2aと共通の軸で所定の角度分、揺動可能に構成しているのに対して、本実施形態においては、ベルト張架部材4を加圧ロール2の回転軸2aとは異なる軸7bで所定の角度分、揺動可能に構成している点である。
【0077】
すなわち、回転軸2aの軸心とは異なる位置に配置した軸7bの両側には、揺動アーム4bが回転自在に嵌合され、この揺動アーム4bのベルト張架部材4側にはガイド溝4cが形成されている。一方、ベルト張架部材4の両端には、加圧ロール2側に延設されたガイド部4dが形成されており、このガイド部4dがスプリング4eを介して前記揺動アーム4bのガイド溝4c内に嵌挿されている。これにより、ベルト張架部材4は、スプリング4eにより加圧ロール2から離れる方向に付勢され耐熱ベルト3に張力fが付与される構造になっている。
【0078】
これにより、ベルト張架部材4に作用する回転モーメントを変化させることができ(図18の例では回転モーメントを大きくさせる)、耐熱ベルト3と熱定着ロール1の圧接する圧接力を調整することができる。
【0079】
本発明においては、熱定着ロールまたは加圧ロールが駆動ロールとなるが、この場合、安定な駆動を実現するには、硬い方のロールを駆動側とし、柔らかい方のロールを従動側とするのが好適である。加圧ロール2は、その外周に耐熱ベルト3を捲着して熱定着ロール1の表面に被覆した弾性体1cに対して耐熱ベルト3を圧接して駆動し、熱定着ロール1は従動する構成となる。加圧ロール2は、耐熱ベルト3、即ち、未定着トナー像5aを担持したシート材5の搬送スピードを決定付けるので、少なくとも熱定着ロール1の表面に被覆した弾性体1cより硬質な表面を有した構成とする。このことにより変形することなく搬送スピードを安定して駆動することができる。
【0080】
本発明においては、上記した構造に加えて、回転速度の選択を組み合わせることもできる。その駆動速度の制御について説明する。駆動手段は、熱定着ロール1及び加圧ロール2を駆動するために2つの回転速度を有し、シート材特性に応じて熱定着ロール1及び加圧ロール2を第1の回転速度とそれより遅い第2の回転速度で選択駆動する。この回転速度は、シート材特性を検知する検知手段を配置すると共に、予めシート材特性に応じた回転速度などの選択情報を設定する設定手段を設け、未定着トナー像5aを担持したシート材6の進行過程でシート材特性を検知すると、未定着トナー像5aを担持したシート材5の定着指令過程でシート材特性に応じた設定をして、その設定内容に応じ回転速度が選択され駆動される。設定手段としては、定着指令に先立って熱ロール型定着装置に連動する部位をマニュアル操作したり、電気的な信号等によって遠隔操作してもよい。
【0081】
未定着トナー像5aを担持したシート材5は、紙等の一般的なシート材、熱容量の大きな厚めのシート材、透明なシート材(OHPシート材)等の多様な用途への適用が必須である。一般的なシート材に比べて、特に、熱容量の大きな厚めのシート材や封筒等の積層されたシート材、透明なシート材(OHPシート材)等においては、未定着トナー像5aを十分溶融してシート材に定着するために、所望の溶融時間を要する。このような場合、シート材特性に応じて熱定着ロール1及び加圧ロール2を第1の回転速度とそれより遅い第2の回転速度で選択駆動することにより、未定着トナー像5aの溶融が適正化され、所望の定着が達成できる。
【0082】
そして、第1の回転速度または第2の回転速度で選択的に駆動しても、未定着トナー像5aを担持したシート材5が熱定着ロール1と耐熱ベルト3の間を通過するときに通過するシート材5へのストレスには変化がなくて小さいので、未定着トナー像5aの定着後に排出されるシート材5に対し皺発生などのシート材変形が抑制される。したがって、熱ロール型定着装置の機械的剛性アップは不要であるばかりでなく、熱定着ロール薄肉厚化が可能であり、加熱源から耐熱ベルトを加熱する加熱速度が向上する。また、加圧ロール2も同様に薄肉厚化が可能であり、熱容量が小さく達成できるので、耐熱ベルト3からの熱エネルギー吸収が小さく、電源オン時から所望の温度に到達して定着可能になるまでの所謂ウォーミングアップ時間の短縮が可能である。なお、選択的に駆動する選択手段としては、例えば駆動モータの回転数を選択的に可変する等の手段が好適である。
【0083】
図19は、本発明の画像形成装置の1実施形態を示す全体構成の模式的断面図である。図中、10は画像形成装置、10aはハウジング、10bは扉体、11は紙搬送ユニット、15はクリーニング手段、17は像担持体、18は画像転写搬送手段、20は現像手段、21はスキャナ手段、30は給紙ユニット、40は定着手段、Wは露光ユニット、Dは画像形成ユニットを示す。
【0084】
図19において、画像形成装置10は、ハウジング10aと、ハウジング10aの上部に形成された排紙トレイ10cと、ハウジング10aの前面に開閉自在に装着された扉体10bを有し、ハウジング10a内には、露光ユニット(露光手段)W、画像形成ユニットD、画像転写搬送手段18を有する転写ベルトユニット29、給紙ユニット30が配設され、扉体10b内には紙搬送ユニット11が配設されている。各ユニットは、本体に対して着脱可能な構成であり、メンテナンス時等には一体的に取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
【0085】
画像形成ユニットDは、複数(本実施形態では4つ)の異なる色の画像を形成する画像形成ステーションY(イェロー用),M(マゼンタ用),C(シアン用),K(ブラック用)を備えている。そして、各画像形成ステーションY,M,C,Kには、それぞれ、感光ドラムからなる像担持体17と、像担持体17の周囲に配設された、コロナ帯電手段からなる帯電手段19および現像手段20を有する。これら各画像形成ステーションY,M,C,Kは、転写ベルトユニット29の下側に斜めアーチ状のラインに沿って像担持体17が上向きになるように並列配置されている。なお、各画像形成ステーションY,M,C,Kの配置順序は任意である。
【0086】
転写ベルトユニット29は、ハウジング10aの下側に配設され図示しない駆動源により回転駆動される駆動ロール12と、駆動ロール12の斜め上方に配設される従動ロール13と、テンションロール14と、これら3本、少なくとも2本のロール間に張架されて図示矢印方向へ循環駆動される中間転写ベルトからなる画像転写搬送手段18と、画像転写搬送手段18の表面に当接するクリーニング手段15とを備えている。従動ロール13、テンションロール14および画像転写搬送手段18は、駆動ロール12に対して図で左側に傾斜する方向に配設され、これにより画像転写搬送手段18駆動時のベルト搬送方向が下向きになるベルト面18aが下方に位置し、搬送方向が上向きになるベルト面18bが上方に位置するようにされている。
【0087】
したがって、各画像形成ステーションY,M,C,Kも駆動ロール12に対して図で左側に傾斜する方向に配設されることになる。そして、像担持体17は、アーチ状のラインに沿って画像転写搬送手段18の搬送方向下向きのベルト面18aに接触され、図示矢印に示すように画像転写搬送手段18の搬送方向に回転駆動される。可撓性を有する無端スリーブ状の画像転写搬送手段18は、像担持体17に対して上側から被せるように略同一の巻き付け角度で接触させるため、像担持体17と画像転写搬送手段18との間の接触圧やニップ幅は、テンションロール14により画像転写搬送手段18に付与される張力、像担持体17の配置間隔、巻き付け角度(アーチの曲率)などを制御することにより調整することができる。
【0088】
駆動ロール12は、2次転写ロール39のバックアップロールを兼ねている。駆動ロール12の周面には、例えば厚さ3mm程度、体積抵抗率が105 Ω・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、2次転写ロール39を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ロール12に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、2次転写部へシート材が進入する際の衝撃が画像転写搬送手段18に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。また、駆動ロール12は、その径を従動ロール13、バックアップロール14の径より小さくすることにより、2次転写後のシート材がシート材自身の弾性力で剥離し易くすることができる。また、従動ロール13を後述するクリーニング手段15のバックアップロールとして兼用させている。
【0089】
なお、画像転写搬送手段18を駆動ロール12に対して図で右側に傾斜する方向に配設し、これに対応して各画像形成ステーションY,M,C,Kも駆動ロール12に対して図で右側に傾斜する方向に斜めアーチ状に沿って配設してもよい。
【0090】
クリーニング手段15は、搬送方向下向きのベルト面18a側に設けられ、二次転写後に画像転写搬送手段18の表面に残留しているトナーを除去するクリーニングブレード15aと、回収したトナーを搬送するトナー搬送部材15bを備えている。クリーニングブレード15aは、従動ロール13への画像転写搬送手段18の巻きかけ部において画像転写搬送手段18に当接されている。また、画像転写搬送手段18の裏面には、後述する各画像形成ステーションY,M,C,Kの像担持体17に対向して1次転写部材16が当接され、1次転写部材16には転写バイアスが印加されている。
【0091】
露光手段Wは、斜め方向に配設された画像形成ユニットDの斜め下方に形成された空間に配設されている。また、露光手段Wの下部でハウジング10aの底部には給紙ユニット30が配設されている。露光手段Wは、全体がケースに収納され、ケースは、搬送方向下向きのベルト面の斜め下方に形成される空間に配設されている。ケースの底部には、ポリゴンミラーモータ21a、ポリゴンミラー(回転多面鏡)21bからなる単一のスキャナ手段21を水平に配設されるとともに、各色の画像信号により変調される複数のレーザ光源23からのレーザビームをポリゴンミラー21bで反射させ各像担持体上に偏向走査する光学系Bには、単一のf−θレンズ22および各色の走査光路が像担持体17にそれぞれ非平行になって折り返すように複数の反射ミラー24が配設されている。
【0092】
上記構成からなる露光手段Wにおいては、ポリゴンミラー21bから各色に対応した画像信号が、共通のデータクロック周波数に基づいて変調形成されたレーザビームで射出され、f−θレンズ22、反射ミラー24を経て、各画像形成ステーションY,M,C,Kの像担持体17に照射され、潜像が形成される。反射ミラー24を設けることにより走査光路を屈曲させ、ケースの高さを低くすることが可能となり光学系のコンパクト化が可能となる。しかも、各画像形成ステーションY,M,C,Kの像担持体17への走査光路長は同一の長さになるように反射ミラー24が配置されている。このように各画像形成ユニットDに対する露光手段Wのポリゴンミラー21bから像担持体17までの光路の長さ(光路長)が略同一の長さになるように構成することにより、各光路で走査された光ビームの走査幅も略同一になり、画像信号の形成にも特別な構成を必要としない。したがって、レーザ光源は、それぞれ異なる画像信号によってそれぞれ異なった色の画像に対応して変調されるにも関わらず、共通のデータクロック周波数に基づいて変調形成可能であり、共通の反射面を用いるため副走査方向の相対差から生じる色ずれを防止し、構造が簡単で安価なカラー画像形成装置を構成できる。
【0093】
また、本実施形態においては、装置下方に走査光学系を配置することにより、画像形成手段の駆動系が装置を支持するフレームへ与える振動による走査光学系の振動を最小限にすることができ、画質の劣化を防止することができる。とくに、スキャナ手段21をケースの底部に配置することにより、ポリゴンモータ21a自身がケース全体に与える振動を最小限にすることができ、画質の劣化を防止することができる。また、振動源であるポリゴンモータ21aの数を一つにすることによりケース全体に与える振動を最小限にすることができる。
【0094】
給紙ユニット30は、シート材が積層保持されている給紙カセット35と、給紙カセット35からシート材を一枚ずつ給送するピックアップロール36を備えている。紙搬送ユニット11は、二次転写部へのシート材の給紙タイミングを規定するゲートロール対37(一方のロールはハウジング10a側に設けられている)と、駆動ロール12および画像転写搬送手段18に圧接される二次転写手段としての二次転写ロール39と、主記録媒体搬送路38と、定着手段40と、排紙ロール対41と、両面プリント用搬送路42を備えている。
【0095】
シート材に2次転写された2次画像(未定着トナー像)は、定着手段40の形成するニップ部で所定の温度で定着される。本例においては、転写ベルトの搬送方向上向きのベルト面18bの斜め上方に形成される空間、換言すれば、転写ベルトに対して画像形成ステーションと反対側の空間に定着手段40を配設することが可能になり、露光手段W、画像転写搬送手段18、画像形成手段への熱伝達を低減することができ、各色の色ずれ補正動作を行う頻度を少なくすることができる。特に、露光手段Wは、定着手段40から最も離れた位置にあり、走査光学系部品の熱による変位を最小限にすることができ、色ズレを防ぐことができる。
【0096】
本実施形態においては、画像転写搬送手段18を駆動ロール12に対して傾斜する方向に配設しているため、図で右側空間に広いスペースが生じその空間に定着手段40を配設することができ、コンパクト化を実現することができると共に、定着手段40で発生する熱が、左側に位置する露光ユニットW、画像転写搬送手段18および各画像形成ステーションY,M,C,Kへ伝達されるのを防止することができる。また、画像形成ユニットDの左側下部の空間に露光ユニットWを配置することができるため、画像形成手段の駆動系がハウジング10aへ与える振動による、露光ユニットWの走査光学系の振動を最小限に抑えることができ、画質の劣化を防止することができる。
【0097】
また、クリーニング手段を設置しないことに伴い、帯電手段としてはコロナ帯電手段19を採用している。帯電手段がロールである場合は、微量ではあるが像担持体17上に存在する1次転写残りトナーがロール上に堆積して帯電不良が発生するが、非接触帯電手段であるコロナ帯電手段19はトナーが付着しにくく、帯電不良の発生を防ぐことができる。
【0098】
また、本実施形態では、中間転写ベルトを画像転写搬送手段18として像担持体17に接触させる構成としたが、表面にシート材を吸着して搬送移動し、該シート材の表面にトナー像を順次重ねて転写して画像を形成搬送するシート材搬送ベルトを画像転写搬送手段18として像担持体17に接触させる構成としてもよい。この場合、画像転写搬送手段18であるシート材搬送ベルトのベルト搬送方向が像担持体17に接触する下面で逆方向の上向きになる。
【0099】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば実施の形態では、各色の現像器をロータリーフレームに搭載したロータリー式のカラー画像形成装置により説明したが、各色の現像器を並べて配置したタンデム式のカラー画像形成装置、白黒、モノカラーの画像形成装置においても同様に適用できることはいうまでもない。
【0100】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、熱定着ロールと、該熱定着ロールに押圧する加圧ロールと、該加圧ロールの外周に捲着され熱定着ロールとの間に挟持されて移動する耐熱ベルトと、該耐熱ベルトを張架するベルト張架部材とを備え、シート材上に形成した未定着トナー像を定着する定着装置又は該定着装置を搭載した画像形成装置において、ベルト張架部材は、一端または両端に耐熱ベルトの端部を位置規制する端部位置規制突壁を有すると共に、端部位置規制突壁の立ち上がり角度を耐熱ベルトの端部の角度より大きくし、加圧ロールとの間で耐熱ベルトに張力を付与して張架し熱定着ロールに耐熱ベルトを巻き付けて定着ニップを形成するので、単独の座屈強度より大きな座屈規制機能を発揮し、耐熱ベルトの位置規制を安定化できる。さらに、加圧ロールに対して極限まで接近して配置し、耐熱ベルトの周長を短縮して構成することが可能になり、熱ロール型定着装置を簡単な構造にして小型で安価にすることができ、蛇行走行する耐熱ベルトを位置規制し、走行を安定化して容易にニップ長を長く形成することができる。
【0101】
耐熱ベルトの端部を位置規制する突壁は、ベルト張架部材と一体に設けられ、あるいはベルト張架部材の一部として設けられるので、耐熱ベルトをベルト張架部材と隙間なく密着摺動させて突壁で蛇行走行位置規制を行い、耐熱ベルトが端部領域で座屈するのを防ぐことができ、耐熱ベルトの厚み以上の高さを有し、耐熱ベルトを摺動する面に導入案内する斜面部を有するので、耐熱ベルトの端面が突壁を乗り越えたり、または耐熱ベルトの端面が伸びて突壁の一部とオーバーラップするのを防ぐことができ、熱定着ロールに当接してギャップを規制するギャップ規制部を有するので、ウオーミングアップ時には、ギャップの空隙が断熱層となって熱定着ロールから耐熱ベルトを介して奪い取る熱量が小さくなり、熱ロスが減少し、ウオーミングアップ時間の短縮を図ることができる。
【0102】
また、耐熱ベルトは、加圧ロールとベルト張架部材の協働によって張力が付与されて熱定着ロールに巻き付けてニップを形成しているので、容易にニップ長を長く構成することができ、構造が簡単になり小型で安価にすることができる。また、ベルト張架部材として、耐熱ベルト摺動部材を使用する場合には、軸受等が不要になり、支持構造が簡単になる。加えてベルト張架部材を半月状とする場合には、加圧ロール側にその半月欠方向を向けて配置し、加圧ロールに対して極限まで接近した配置が可能になる。このことによりまた、耐熱ベルトの周長を短縮して構成することが可能になる。したがって、熱ロール型定着装置を簡単な構造にして小型で安価にすることができる。さらに、耐熱ベルトが必要最小限の経路で移動するので、加熱源を内蔵して回転可能な熱定着ロールとのニップ部で加熱された耐熱ベルトは、所定の経路で移動する時に奪われる熱エネルギーを最小限に抑えることができると共に、周長が短いので、自然放熱による温度低下も少なく、電源オン時から所望の温度に到達して定着可能になるまでの所謂ウォーミング時間の短縮が可能である。
【0103】
シート材の非通過時にベルト張架部材と耐熱ベルトとの間にギャップを形成し、シート材の通過時にはベルト張架部材をシート材を介して熱定着ロールに押圧するように構成するので、シート材が非通過の状態では、耐熱ベルトとベルト張架部材との間にギャップが形成されるため、ウオーミングアップ時には、ギャップの空隙が断熱層となって熱定着ロールから耐熱ベルトを介して奪い取る熱量が小さくなり、熱ロスが減少し、ウオーミングアップ時間の短縮を図ることができる。一方、シート材が定着ニップを通過する時は、耐熱ベルトとベルト張架部材との間のギャップGはなくなって、シート材は定着ニップ部において耐熱ベルトに押圧され、熱定着ロールに押圧されるので、安定した定着が可能となる。このとき、押圧力を揺動付勢手段により所望の圧力に調節すれば、適正な定着を達成することができる。
【0104】
また、シート材の上に形成した未定着トナー像を安定して定着するには、未定着トナー像を十分に溶融して定着することが必須であり、所望の温度と溶融時間を必要とするが、本発明による構成では、ニップ長を長く構成するために熱定着ロールの表面に被覆した弾性体を大きく歪ませてニップ長を長くするような手段は必要ないので、弾性体の厚みは薄く構成可能である。しかも、弾性体を歪ませるために加圧ロールの圧接圧力を大きく設定する必要もなく、未定着トナー像を担持したシート材が熱定着ロールと耐熱ベルトの間を通過するときに通過するシート材へのストレスが小さいので、未定着トナー像の定着後に排出されるシート材に皺発生などのシート材変形が抑制される。
【0105】
したがって、熱ロール型定着装置の機械的剛性アップは不要であるばかりでなく、熱定着ロールの薄肉厚化が可能であり、加熱源から耐熱ベルトを加熱する加熱速度が向上する。また、加圧ロールも同様に薄肉厚化が可能であり、熱容量を小さく構成できるので、耐熱ベルトからの熱エネルギー吸収が小さく、電源オン時から所望の温度に到達して定着可能になるまでの所謂ウォーミングアップ時間の短縮が可能である。
【0106】
また、耐熱ベルトと加圧ロールの巻き付き角より耐熱ベルトとベルト張架部材の巻き付き角を小さくし、また、加圧ロールの径よりベルト張架部材の径を小さくすることにより、耐熱ベルトと加圧ロールの巻き付き長さより耐熱ベルトとベルト張架部材の巻き付き長さを短くし、耐熱ベルトの周長を短縮して構成し、耐熱ベルトを必要最小限の経路で移動する構成にするので、熱ロール型定着装置を簡単な構造にして小型で安価にし、熱定着ロールとのニップ部で加熱された耐熱ベルトが所定の経路で移動する時に奪われる熱エネルギーを最小限に抑えることができ、自然放熱による温度低下も少なく、電源オン時から所望の温度に到達して定着可能になるまでの所謂ウォーミング時間の短縮が可能になるなど、多くの効果が期待できる。
【0107】
また、シート材特性に応じて熱定着ロール及び加圧ロールを第1の回転速度とそれより遅い第2の回転速度で選択駆動することにより、未定着トナー像の溶融が適正化され、所望の定着が達成できる。そして、第1の回転速度または第2の回転速度で選択的に駆動しても、未定着トナー像を担持したシート材が熱定着ロールと耐熱ベルトの間を通過するときに通過するシート材へのストレスには変化がなくて小さいので、未定着トナー像の定着後に排出されるシート材に皺発生などのシート材変形が抑制される。したがって、熱ロール型定着装置の機械的剛性アップは不要であるばかりでなく、熱定着ロール薄肉厚化が可能であり、加熱源から耐熱ベルトを加熱する加熱速度が向上する。また、加圧ロールも同様に薄肉厚化が可能であり、熱容量が小さく達成できるので、耐熱ベルトからの熱エネルギー吸収が小さく、電源オン時から所望の温度に到達して定着可能になるまでの所謂ウォーミングアップ時間の短縮が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る定着装置の1実施形態を示し、図1(A)は断面図、図1(B)は図1(A)のY−Y線に沿って矢印方向に見た断面図である。
【図2】図1の詳細構造を示し、図1(A)のX−X線で切断し矢印方向に見た断面図である。
【図3】図1(A)で耐熱ベルトを除去した一部拡大断面図である。
【図4】図3で耐熱ベルト3を装着した図である。
【図5】図4でシート材の通過時の状態を示す図である。
【図6】ベルト張架部材の摺動面の形状と耐熱ベルトの蛇行に伴う座屈の発生との関係を説明するための図である。
【図7】耐熱ベルトの端部角度、突壁の立ち上がり角度と蛇行に伴う座屈の発生との関係を説明するための図である。
【図8】耐熱ベルトの蛇行に伴う座屈の発生を防止するベルト張架部材の摺動面の形状及び耐熱ベルトの端部の角度を説明する図である。
【図9】耐熱ベルトの進入側での蛇行の規制を説明する図である。
【図10】突壁に斜面部を設けたベルト張架部材に耐熱ベルトが進入する部分の拡大斜視図である。
【図11】ニップ通過位置に応じて変化する定着圧力の例を示す図である。
【図12】図1の定着装置の変形例を示し、図12(A)は断面図、図12(B)は図12(A)のY−Y線に沿って矢印方向に見た断面図である。
【図13】図1の定着装置の変形例を示す断面図である。
【図14】本発明の定着装置の他の実施形態を示し、図14(A)は断面図、図14(B)は図14(A)のY−Y線に沿って矢印方向に見た断面図である。
【図15】図14においてシート材非通過時の状態を示し、図15(A)は図14(A)の一部拡大断面図、図15(B)は図15(A)のX−X線で切断し矢印方向に見た断面図である。
【図16】図14においてシート材通過時の状態を示し、図16(A)は図14(A)の一部拡大断面図、図16(B)は図16(A)のX−X線で切断し矢印方向に見た断面図である。
【図17】図16においてニップ通過位置に応じて変化する定着圧力の例を示す図である。
【図18】図14の実施形態の変形例を示し、図18(A)は断面図、図18(B)は図18(A)のY−Y線に沿って矢印方向に見た断面図である。
【図19】本発明の画像形成装置の1実施の形態を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1…熱定着ロール、1a…ハロゲンランプ、1b…ロール基材、1c…弾性体、2…加圧ロール、2a…回転軸、2b…ロール基材、2c…弾性体、3…耐熱ベルト、4…ベルト張架部材、4a…突壁、5…シート材、5a…未定着トナー像、6…クリーニング部材、7…フレーム、9…スプリング、L…押圧部接線
Claims (14)
- 熱定着ロールと、該熱定着ロールに押圧する加圧ロールと、該加圧ロールの外周に捲着され前記熱定着ロールとの間に挟持されて移動する耐熱ベルトと、該耐熱ベルトを張架するベルト張架部材とを備え、シート材上に形成した未定着トナー像を定着する定着装置において、前記ベルト張架部材は、一端または両端に前記耐熱ベルトの端部を位置規制する端部位置規制突壁を有すると共に、前記端部位置規制突壁の立ち上がり角度を前記耐熱ベルトの端部の角度より大きくし、前記加圧ロールとの間で前記耐熱ベルトに張力を付与して張架し前記熱定着ロールに前記耐熱ベルトを巻き付けて定着ニップを形成することを特徴とする定着装置。
- 前記端部位置規制突壁は、前記ベルト張架部材と一体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記端部位置規制突壁は、前記ベルト張架部材の一部として設けられていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の定着装置。
- 前記端部位置規制突壁は、前記耐熱ベルトの厚み以上の高さを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の定着装置。
- 前記端部位置規制突壁は、前記耐熱ベルトを導入案内する斜面部を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の定着装置。
- 前記端部位置規制突壁は、前記熱定着ロールに当接してギャップを規制するギャップ規制部を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の定着装置。
- 前記ベルト張架部材は、前記耐熱ベルトが摺動する部材であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の定着装置。
- 前記ベルト張架部材は、半月状部材であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の定着装置。
- 前記ベルト張架部材は、回転するロールであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の定着装置。
- 前記ベルト張架部材は、前記熱定着ロールの方向に揺動可能に支持されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の定着装置。
- 前記ベルト張架部材は、前記熱定着ロールの方向に付勢する揺動付勢手段によって揺動付勢されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の定着装置。
- 前記ベルト張架部材は、シート材の非通過時に前記ベルト張架部材と耐熱ベルトとの間にギャップを形成し、シート材の通過時にはベルト張架部材をシート材を介して熱定着ロールに押圧するように構成したことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の定着装置。
- 前記ベルト張架部材と前記加熱ロールとの間に前記耐熱ベルトの内周面に摺接してクリーニング部材を配置したことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の定着装置。
- 請求項1乃至13のいずれかに記載の定着装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。
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