JP2005009908A - 回転検出器、容積式流量計、及び回転検出方法 - Google Patents

回転検出器、容積式流量計、及び回転検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】非円形回転子の回転計測にも対応でき、微少回転域における脈動や回転ゼロの状態を検知することが可能な回転検出器を提供する。
【解決手段】一対の非円形回転子のうち第1回転子3に被検出用部材5を備え、回転検出器側に、第1回転子3の回転をその回転に伴う被検出用部材5の回転として検出する回転検出素子2を備える。回転検出素子2は、第1回転子3の回転方向と逆の方向に所定の角速度ωで回転する回転板1等の回転手段に搭載する。ここで、被検出用部材5及び回転検出素子2の組み合わせにより、磁気的,電磁的,光学的のいずれの検出方式を採用してもよい。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転検出器、容積式流量計、及び回転検出方法に関し、より詳細には、回転子の回転を検出する回転検出器及び回転検出方法、及び計量室内に設けられた回転子の回転をその回転検出器で検出することで被測定流体の容積流量を測定する容積式流量計に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、容積式流量計は、被測定流体が流入,流出する計量室と、その計量室内で回転する回転子等の運動子を備えている。ここで、運動子は計量室とで定められる基準の流体体積を排出する。回転子を備えた容積式流量計は、計量室を通過する流量が回転子の回転に比例した流量であり、流入する流体のフローパターンに影響されない高精度の流量であることを利用して、容積流量を測定する流量計である。
【0003】
回転子の回転は、磁気接手等の回転伝達機構を介して液密に流量表示器に機械的に伝達する方法と、回転子の回転を、光学的,磁気的,電磁的等に回転子の位置を検出する位置検出器を用いて検出して、直接回転信号を流量パルスとして出力する方法とに大別される。
【0004】
回転子の回転を機械的に伝達する方法は、回転伝達機構が回転子の負荷となるため、誤差要因となり、特に小流量域の測定には不向きである。従って、同方法は、小型の流量計のみならず、測定レンジの広い流量計には不適である。
【0005】
一方、位置検出器を有する方式、特に電磁的又は磁気的に位置を検出する磁気検出方式は、測定流体の性状に影響されることなく流量検出が可能であるので、容積式流量計、特に小型の流量計において、流量検出の主流をなしている。その中でも、流量計回転子に埋設された磁石の磁力を、隔板を介して接液外に配置した感磁素子に与えてこれを働かせるようにした磁気感知方式が一般的に採用されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
図5は、従来技術(特許文献1)による、磁気感知方式を採用した容積式流量計の一例を示す図であり、図5(A)は図5(B)の矢視A−A線断面図、図5(B)は図5(A)の矢視B−B線断面図である。図5中、50は容積式流量計、51は筐体(外筐)、52は端面板、55は磁気センサ、60は計量室、61は流入口、62は流出口、63,67は回転子、63aは回転子63の歯車部(噛合部)、63bは回転子63の端面、64は回転子63の回転軸、65,66は磁石である。
【0007】
容積式流量計50は、外筐51と、端面板52と、外筐51及び端面板52により形成される空間に相当する計量室60と、及び計量室60内に配設され回転軸64まわりに回転可能に支持される回転子63及びそれと同様の回転子67と、をその主要な構成要素とする。計量室60は、流入口61及び流出口62に連通した外筐51の内壁と、開口した外筐51を封止するために外筐51に取り付けられた非磁性材からなる端面板52と、により構成される。また、計量室60内には、回転軸64が垂直に且つ互いに平行に埋設され、回転軸64に回転可能に支持された非円形歯車の回転子63及び同様の回転軸に回転可能に支持された非円形歯車の回転子67が各々噛合するよう配設されている。また、回転子63の端面63bの長径上には軸対称な位置に磁石65,66が埋設されている。このように、計量室60内で流入する流体の体積に比例して回転する回転子63の端面63bに、柱状の磁石65,66を圧入して磁石65,66の磁束が端面板52に配設された磁気センサ55により検出できるようにしている。
【0008】
さらに、光学的に回転子の位置を検出する方式(光学式位置検出方式)を採用し、回転子の回転操作を、光を利用して計測するようにした容積式流量計も、様々なものが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0009】
図6は、従来技術(特許文献2)による、光学式位置検出方式を採用した容積式流量計の一例を示す図であり、図6(A)は容積式流量計の縦断正面図、図6(B)は図6(A)の矢視B−B線断面図である。図6中、70は容積式流量計、71は光透過性をもたない筐体(外筐)、72,73は外筐71に配設した光路、74は受光部、75は光源、80は計量室、81は流入口、82は流出口、83,87は回転子、83aは回転子83の歯車部(噛合部)、84は回転子83の回転軸、85,86は回転子に配設した光路である。図5で説明した容積式流量計と異なる点は、磁石及び磁気センサの代わりに光学的な位置検出手段を設けたところであり、その他の部分の説明は省略する。
【0010】
光路85は、回転子83の回転方向を横切る方向に穿った光路で、図示では一方の回転子83に対し回転軸84に平行な方向に穿ってあるが、光路85は回転軸84とは必ずしも平行である必要はなく、斜め方向に穿っても差支えなく、しかも両方の回転子83,87に穿ってもよい。さらにまた、光路は、回転子につき1箇所だけでなく、光路85,86として図示のように、1つの回転子につき回転軸に対称な位置に複数穿っても差支えない。一方、光路72,73は、容積式流量計70の外筐71において光路85の延長上で同一線上に配設した、流体が漏れない構成の光路で、石英ガラス,光ファイバなどを埋設して形成する。光源75が一方の光路73の外側に配置され、センサなどの受光部74が他方の光路72の外側に配置されている。なお、この例では、非円形歯車を一対の回転子とした容積式流量計に用いた場合を示したが、他の容積式流量計、例えばルーツ型などの回転子を有する全てのこの種の流量計に適用できることは勿論である。
【0011】
上述のごとき構成に基づいて、容積式流量計70の作用を説明する。被測定流体が容積式流量計70内を流入口81より流出口82に向かって流れると、回転子83,87が回転する。回転子83には光路85等が穿ってあるので、回転の度毎に容積式流量計70の外筐71の光路72,73を横切る。光路72,73上には、光源75と受光部74が配設されてあるので、光路85が同一線上に達すると光源75からの光を受光部74が受光し、これを検出することができる。したがって、回転子83の回転数に応じた受光作用が行われるので、受光部74での受光検知を積算計数すれば、流量に比例した積算計数を知ることができる。しかも回転子83に穿った光路85は、その設置数を増やせばより微細な計数が可能となるので、測定精度を向上できる。
【0012】
また、光学式位置検出方式としては、回転子に薄板円環状のエンコーダを埋没させ、そのエンコーダのスリットを光学的に検出する流量計発信器も提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
【0013】
【特許文献1】
特開平7−12613号公報
【特許文献2】
実開昭56−124829号公報
【特許文献3】
特公平7−1186号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術による位置検出方式を採用した容積式流量計は、小流量の測定を可能とするために、回転子や回転板に埋め込む磁石の数,光路の数,エンコーダのスリット数等、回転子側に設ける被検出用部材の数を増やすことで分解能(回転子1回転当りのパルス数)を上げることしか考えられていない。
【0015】
この被検出用部材の数を増やすためには回転子及び計量室内の構造が複雑になり、計量室の密閉性や回転子で吐出する容積の見積もりの正確性を要求される容積式流量計では、流量計によって器差のばらつきが大きくなり、微小流量域での測定精度を確保できない。特に、オーバル歯車式容積式流量計など、非円形歯車等の非円形回転子を用いた容積式流量計は、回転子の回転角と吐出量との関係が一定でないため、回転角を等間隔でとる高分解能方式(ハイパルス方式)を採用すると誤差が生じ得る。さらに、回転子の大きさ(軸方向断面の広さ)によっては、設置できる被検出用部材の数に限りがあり、要求される分解能を得られるように設計できない場合もある。
【0016】
また、従来技術による位置検出方式では、被検出用部材の数(例えば回転子上の穴の数)を増やすことで微小流量の検出は可能であっても、被検出用部材が検出位置に到達した際の検出器側のパルスを計測する方式であるため、回転子の回転が超低速回転(極微小流量)の状態であるのか、流量ゼロの状態であるのかを判別することができない。さらに、流量ゼロの状態であるのか、流体揺動(脈動)等によって逆回転している状態であるのかを判別することもできない。
【0017】
以上、回転子を有する容積式流量計においてその回転子の回転を検出する方式に関する課題を述べたが、これは容積式流量計に限らず、回転子の回転を検出する一般の回転検出器に対しても、回転子の大きさが限られている場合や、回転子を複雑な構造にできない場合などに、同様に成立する。すなわち、非円形歯車等の回転子に回転角を等間隔でとる高分解能方式(ハイパルス方式)を採用すると誤差が生じ得ることや、微小回転域における揺動(脈動)や回転ゼロの状態を検知することが難しいことなどの課題が存在する。
【0018】
本発明は、上述のごとき実情を鑑みてなされたものであり、回転子の回転を検出するに際し、非円形回転子の回転計測にも対応でき、微小回転域における脈動や回転ゼロの状態を検知することが可能な回転検出器及び回転検出方法を提供することをその目的とする。
【0019】
また、本発明は、回転子の回転から容積流量を測定するに際し、非円形回転子であっても対応可能で、微小流量域における脈動や流量ゼロの状態を検知することが可能な、回転検出器を備えた容積式流量計を提供することを他の目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の各技術手段により構成される。
第1の技術手段は、少なくとも1つの被検出用部材を有する回転子の回転を検出する回転検出器であって、前記回転子の回転に伴う前記被検出用部材の回転方向と逆の方向に回転して、前記被検出用部材の回転を検出する回転検出手段を有することを特徴としたものである。
【0021】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記回転検出手段は、前記被検出用部材を検出した検出間隔により、前記被検出用部材の回転の角速度を検出する手段であることを特徴としたものである。
【0022】
第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記被検出用部材の回転軌跡と前記回転検出手段における検出部の回転軌跡とが、同じ円筒上にあるよう構成することを特徴としたものである。
【0023】
第4の技術手段は、第1乃至第3のいずれか1の技術手段において、前記回転検出手段は、前記被検出用部材の回転に伴う断続信号をとりだすセンサと、該センサを装着し、該センサを前記被検出用部材の回転方向と逆の方向に回転させる回転体と、を有することを特徴としたものである。
【0024】
第5の技術手段は、第4の技術手段において、前記被検出用部材は磁石であり、前記センサは磁気センサであることを特徴としたものである。
【0025】
第6の技術手段は、第4の技術手段において、前記被検出用部材は光反射体であり、前記センサは光電センサであることを特徴としたものである。
【0026】
第7の技術手段は、第1乃至第6のいずれか1の技術手段における回転検出器と、被測定流体の流入口及び流出口を有する計量室内に設けられた、該計量室に流入する被測定流体の体積に比例して回転する、少なくとも1つの被検出用部材を有する回転子とを備え、前記回転検出器により前記回転子の回転を検出して、被測定流体の流量を測定する容積式流量計である。
【0027】
第8の技術手段は、少なくとも1つの被検出用部材を有する回転子の回転の角速度を検出する回転検出方法であって、前記回転子の回転に伴う前記被検出用部材の回転方向と逆の方向に回転するセンサによって前記被検出用部材を検出し、該検出した検出間隔により、前記被検出用部材の回転の角速度を検出することを特徴としたものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る回転検出器における回転子位置検出原理を説明するための模式図で、図2は、非円形回転子の一定流量時における角速度の変化を示す図である。図1中、1は回転板、2は回転検出素子、3は第1回転子、4は第2回転子、5は被検出用部材である。また、本明細書中では、第1回転子3の角速度ω,第2回転子4の角速度ω,回転板1の角速度ωは図1の矢印で示す方向を正として説明する。
【0029】
本発明に係る回転検出器は、図1で例示するように第1回転子3に被検出用部材5を備えておくことを条件として、第1回転子3の回転を、その回転に伴う被検出用部材5の回転として検出する回転検出センサ(回転検出素子ともいう)2を備えるものとする。さらに、この回転検出素子2は、第1回転子3の回転方向と逆の方向に回転する回転板1等の回転手段(回転体)に搭載されているものとする。本発明に係る回転検出方法もこの回転体上に搭載された回転検出センサを用いて回転子の回転を検出する。また、図1の構成例においては、回転子として一対の非円形回転子(非円形歯車回転子)を適用したものを例示するが、例えばルーツ型などの他の回転子や円形の回転子に対しても適用可能である。なお、回転手段による回転の角速度ωは、一定にしておくことを基本とするが、回転検出素子2で検出した第1回転子3の回転角速度をフィードバックさせるなどして、変化させることを可能としてもよい。
【0030】
ここで、被検出用部材5及び回転検出素子2の組み合わせとしては、磁気的,電磁的,光学的やその他のいずれの検出方式を採用してもよい。また、第1回転子3及び第2回転子4の2つの回転子が噛合した系を想定して説明するが、回転子の数は1つでもよいし、3つ以上の回転子が噛合った系でもよいが、回転検出素子2はそのうち1つの回転子に対する回転を検出できるよう1つ備えれば十分である。
【0031】
回転検出素子2は、被検出用部材5、すなわち第1回転子3の回転を、被検出用部材5を前回検出してから今回検出するまでの時間間隔に基づいて演算するための素子である。回転検出素子2は、第1回転子3における被検出用部材5の回転軸と同じ回転軸をもち、被検出用部材5と同半径をもつ回転軌跡をもつようにすることが好ましい。
【0032】
この場合、回転検出素子2の回転角速度をω(=一定)とし、被検出用部材5を検出してから再度検出するまでの時間がΔtであったとすると、その時の被検出用部材5の回転角速度ωは、下式で求まることとなる。
1/Δt=ω+ω
ω=1/Δt−ω
【0033】
ここで、Δt=1/ωの時はω=0で、第1回転子3が止っている(容積流量計に適用した場合には流量がゼロである)ことを意味し、Δt>1/ωの時はω<0で、第1回転子3は逆回転をしていることを意味する。
【0034】
なお、図1のごとく第1回転子3(被検出用部材5を備えた回転子)が非円形である場合には、流量が一定であっても図2に例示するように回転角度(θ)に応じてその角速度ωも変化するが、平均角速度<ω>は流量が一定であれば一定であるので、ここでの説明のように被検出用部材5を1つだけ設けた場合には基本的に噛合位置を鑑みた補正は必要ない。なお、回転角度θは、図1に示したように第1回転子3の長軸上の歯部を0°とし、そこから回転子同士の噛合点の歯部までの間の回転角度を指している。但し、被検出用部材5を複数設けた場合には、その数の多さに従って補正の必要度が増してくるが、第1の被検出用部材と第2の被検出用部材との間,第2の被検出用部材と第3の被検出用部材との間などの経過時間に基づいた計算ではなく、あくまで第1の被検出用部材を前回検出してから今回検出するまでの時間Δtに基づいた計算を行って測定値を算出し、次の測定値には第2の被検出用部材を前回検出してから今回検出するまでの時間Δtに基づいた計算を行って測定値を算出し、これを被検出用部材の数だけ行っていき、それを繰り返していくようにすれば噛合位置θによる補正は必要ない。
【0035】
一方、回転検出素子2及び被検出用部材5の回転軸がお互い傾いているが、その回転軌跡が同一円筒上にある場合(但し回転検出素子2が被検出用部材5の軌跡の方向を向いている必要がある)には、換算すれば回転子の回転は求まる。しかしながら、回転検出素子2の回転軌跡が被検出用部材5の回転軌跡と同一円筒上になく、一点や二点でのみ検出可能に交わる場合には、回転検出素子2の角速度ωを、想定できる第1回転子3の角速度ωに比べかなり大きめに設定しておく必要がある。
【0036】
本実施形態によれば、微小回転域における脈動や回転ゼロの状態を検知することも可能となる。例えば、角速度ωによっては現状の数十倍ものハイパルスを得ることも、特に極微小回転時において回転板の回転数を上げることでハイパルスを得ることも可能である。また、非円形歯車等の非円形回転子の回転計測にも、回転子の回転角に応じた回転数を正確に求めることができる。
【0037】
図3は、本発明の一実施形態に係る容積式流量計の一構成例を示す図で、磁気感知方式を採用した容積式流量計の一例を示す図であり、図3(A)は図3(B)の矢視A−A線断面図、図3(B)は図3(A)の矢視B−B線断面図である。図3中、10は容積式流量計、11は筐体(外筐)、12は端面板、15は磁気センサ、20は計量室、21は流入口、22は流出口、23,27は回転子、23aは回転子23の歯車部(噛合部)、23bは回転子23の端面、24は回転子23の回転軸、25,26は磁石である。
【0038】
本実施形態に係る容積式流量計は、図1及び図2で説明した回転検出器を適用して回転子の回転を検出し、その検出された値を元に計量室内の2つの回転子が吐出する被測定流体の容積流量を求める流量計である。以下、回転検出器における測定原理は図1及び図2で説明済みであり省略して説明する。また、図3の構成例においては、回転子として一対の非円形回転子(非円形歯車回転子)を適用した容積式流量計を例示するが、他の容積式流量計、例えばルーツ型などの回転子を有する全てのこの種の流量計に適用できることは勿論である。
【0039】
容積式流量計10は、外筐11と、蓋部(端面板)12と、外筐11及び端面板12により形成される空間に相当する計量室20と、及び計量室20内に配設され回転軸24のまわりに回転可能に支持される回転子23及びそれと同様の回転子27と、磁気センサ15と、回転軸14のまわりに回転可能に支持される回転板13と、をその主要な構成要素とする。
【0040】
計量室20は、流入口21及び流出口22に連通した外筐11の内壁と、開口した外筐11を封止するために外筐11に取り付けられた非磁性材からなる端面板12と、により構成される。また、計量室20内には、回転軸24が垂直に且つ互いに平行に埋設され、回転軸24に回転可能に支持された非円形歯車の回転子23及び同様の回転軸に回転可能に支持された非円形歯車の回転子27が各々噛合するよう配設されている。
【0041】
また、一方の回転子23の端面23bには軸対称な位置(ここでは長径上)に磁石25,26が埋設されている。このように、計量室20内で流入する流体の体積に比例して回転する回転子23の端面23bに、柱状の磁石25,26を圧入して、磁石25,26の磁束が端面板12の上で回転する回転板13に配設された磁気センサ15により検出できるようにしている。本構成例では、磁石25,26を回転子23に埋設した例を示したが、図1及び図2で説明したように1つの磁石のみを埋設するようにしてもよい。
【0042】
図3の構成例では、回転検出手段として、回転子23の回転軸24と位置的に同じ回転軸14を中心に回転する回転板13を端面板12上に配設し、磁石25(及び磁石26)の回転軌跡と真上から見て同一の回転軌跡(回転方向は逆)をもつように磁気センサ15を回転板13の下側に埋設している。回転板13は、端面板12上に設けられたアーム部17に保持されたモータ等の回転手段18によって、回転軸14を中心に角速度ωで、磁石25(及び磁石26)の回転と逆の回転方向に回転させる。図1及び図2で上述したように角速度ωは一定としても可変としてもよい。また、磁気センサ15の出力はコード16を介して回転軸14上の接触部まで送られ、アーム部17の回転手段18側に送信され、図示しない演算器にて演算処理がなされる。
【0043】
本実施形態によれば、微小流量域における脈動や流量ゼロの状態を検知することも可能となる。例えば、角速度ωによっては現状の数十倍ものハイパルスを得ることも、特に極微小流量時において回転板の回転数を上げることでハイパルスを得ることも可能である。また、非円形歯車等の非円形回転子を用いた場合にも、回転子の回転角に応じた回転数を正確に求めることができる。
【0044】
図4は、本発明の他の実施形態に係る容積式流量計の一構成例を示す図で、光学式位置検出方式を採用した容積式流量計の一例を示す図であり、図4(A)は図4(B)の矢視A−A線断面図、図4(B)は図4(A)の矢視B−B線断面図である。図4中、30は容積式流量計、31は筐体(外筐)、32は端面板、35は光電センサ、40は計量室、41は流入口、42は流出口、43,47は回転子、43aは回転子43の歯車部(噛合部)、43bは回転子43の端面、44は回転子43の回転軸、45は光反射体である。
【0045】
本実施形態に係る容積式流量計は、図1及び図2で説明した回転検出器を適用して回転子の回転を検出し、その検出された値を元に計量室内の2つの回転子が吐出する被測定流体の容積流量を求める流量計であり、図3で説明した容積式流量計と異なる点は、磁石及び磁気センサの代わりに光学的な位置検出手段を設けたところである。以下、回転検出器における測定原理は図1及び図2で説明済みであり、また本実施形態の効果は図3を参照して説明済みであり、省略して説明する。また、図4の構成例においては、回転子として一対の非円形回転子(非円形歯車回転子)を適用した容積式流量計を例示するが、他の容積式流量計、例えばルーツ型などの回転子を有する全てのこの種の流量計に適用できることは勿論である。
【0046】
容積式流量計30は、外筐31と、蓋部(端面板)32と、外筐31及び端面板32により形成される空間に相当する計量室40と、及び計量室40内に配設され回転軸44まわりに回転可能に支持される回転子43及びそれと同様の回転子47と、光電センサ35と、回転軸34のまわりに回転可能に支持される回転板33と、をその主要な構成要素とする。
【0047】
計量室40は、流入口41及び流出口42に連通した外筐31の内壁と、開口した外筐31を封止するために外筐31に取り付けられた光透過性(透光性)のある材質で形成された端面板32と、により構成される。また、計量室40内には、回転軸44が垂直に且つ互いに平行に埋設され、回転軸44に回転可能に支持された非円形歯車の回転子43及び同様の回転軸に回転可能に支持された非円形歯車の回転子47が各々噛合するよう配設されている。
【0048】
また、一方の回転子43の端面43bの長径上等に光反射体(光反射板等)45が埋設されている。光電センサ(光センサ)35は、LED等で構成される発光部及び反射光を受光する受光部が設けられたセンサである。好ましくは、光電センサ35において、この発光部及び受光部は一体に組み込まれたものが好ましい。このように、計量室40内で流入する流体の体積に比例して回転する回転子43の端面43bに、光反射体45を張り付け或いは塗布して、端面板32の上で回転する回転板33に配設された光電センサ35から発せられた光が、光反射体45で反射し、光電センサ35により検出できるようにしている。本構成例では、光反射体45を回転子43に1つ設けた例を示したが、図1及び図2で説明したように複数の光反射体を設けるようにしてもよい。
【0049】
図3の構成例では、回転検出手段として、回転子43の回転軸44と位置的に同じ回転軸34を中心に回転する回転板33を端面板32上に配設し、光反射体45の回転軌跡と真上から見て同一の回転軌跡(回転方向は逆)をもつように光電センサ35を回転板33の下側に埋設している。回転板33は、端面板32上に設けられたアーム部37に保持されたモータ等の回転手段38によって、回転軸34を中心に角速度ωで、光反射体45の回転と逆の回転方向に回転させる。図1及び図2で上述したように角速度ωは一定としても可変としてもよい。また、光電センサ35の出力はコード36を介して回転軸34上の接触部まで送られ、アーム部37の回転手段38側に送信され、図示しない演算器にて演算処理がなされる。
【0050】
【発明の効果】
本発明に係る回転検出器によれば、非円形歯車等の非円形回転子の回転計測にも対応でき、微小回転域における脈動や回転ゼロの状態を検知することが可能となる。
【0051】
また、本発明に係る容積式流量計によれば、非円形歯車等の非円形回転子を用いた容積式流量計にも対応でき、微小流量域における脈動や流量ゼロの状態を検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回転検出器における回転子位置検出原理を説明するための模式図である。
【図2】非円形回転子の一定流量時における角速度の変化を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る容積式流量計の一構成例を示す図で、磁気感知方式を採用した容積式流量計の一例を示す図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る容積式流量計の一構成例を示す図で、光学式位置検出方式を採用した容積式流量計の一例を示す図である。
【図5】従来技術による、磁気感知方式を採用した容積式流量計の一例を示す図である。
【図6】従来技術による、光学式位置検出方式を採用した容積式流量計の一例を示す図である。
【符号の説明】
1,13,33…回転板、2…回転検出素子、3…第1回転子、4…第2回転子、5…被検出用部材、10,30…容積式流量計、11,31…外筐、12,32…端面板、14,24,34,44…回転軸、15…磁気センサ、16,36…コード、17,37…アーム部、18,38…回転手段、20,40…計量室、21,41…流入口、22,42…流出口、23,27,43,47…回転子、23a,43a…歯車部(噛合部)、23b,43b…端面、25,26…磁石、35…光電センサ、45…光反射体。

Claims (8)

  1. 少なくとも1つの被検出用部材を有する回転子の回転を検出する回転検出器であって、前記回転子の回転に伴う前記被検出用部材の回転方向と逆の方向に回転して、前記被検出用部材の回転を検出する回転検出手段を有することを特徴とする回転検出器。
  2. 前記回転検出手段は、前記被検出用部材を検出した検出間隔により、前記被検出用部材の回転の角速度を検出する手段であることを特徴とする請求項1に記載の回転検出器。
  3. 前記被検出用部材の回転軌跡と前記回転検出手段における検出部の回転軌跡とが、同じ円筒上にあるよう構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の回転検出器。
  4. 前記回転検出手段は、前記被検出用部材の回転に伴う断続信号をとりだすセンサと、該センサを装着し、該センサを前記被検出用部材の回転方向と逆の方向に回転させる回転体と、を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転検出器。
  5. 前記被検出用部材は磁石であり、前記センサは磁気センサであることを特徴とする請求項4に記載の回転検出器。
  6. 前記被検出用部材は光反射体であり、前記センサは光電センサであることを特徴とする請求項4に記載の回転検出器。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の回転検出器と、被測定流体の流入口及び流出口を有する計量室内に設けられた、該計量室に流入する被測定流体の体積に比例して回転する、少なくとも1つの被検出用部材を有する回転子とを備え、前記回転検出器により前記回転子の回転を検出して、被測定流体の流量を測定する容積式流量計。
  8. 少なくとも1つの被検出用部材を有する回転子の回転の角速度を検出する回転検出方法であって、前記回転子の回転に伴う前記被検出用部材の回転方向と逆の方向に回転するセンサによって前記被検出用部材を検出し、該検出した検出間隔により、前記被検出用部材の回転の角速度を検出することを特徴とする回転検出方法。
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