JP2005007031A - 歯科治療用co2レーザ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型で価格が安く、使用が容易であり、歯の治療に有効な歯科治療用CO2レーザ装置を提供する。
【解決手段】トリガー回路によりCO2ガスレーザ共振器の筒状放電管10からパルス幅が0.1ms未満のパルスからなるレーザ光を発振放射し、レーザ共振器から出力されたレーザ光を被照射体まで導く光ファイバー2はコアがAgClとAgBrの混晶からなるハロゲン化銀多結晶ファイバーであり、筒状放電管10からのレーザ光に可視光を重畳させてチップ3から出力されるパルスレーザ光の照準合わせを助けるようにしている。
【選択図】 図1
【解決手段】トリガー回路によりCO2ガスレーザ共振器の筒状放電管10からパルス幅が0.1ms未満のパルスからなるレーザ光を発振放射し、レーザ共振器から出力されたレーザ光を被照射体まで導く光ファイバー2はコアがAgClとAgBrの混晶からなるハロゲン化銀多結晶ファイバーであり、筒状放電管10からのレーザ光に可視光を重畳させてチップ3から出力されるパルスレーザ光の照準合わせを助けるようにしている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は歯科治療用CO2(炭酸ガス)レーザ装置に関し、歯の虫歯の予防や治療に用いる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
【特許文献1】特公昭56−49577号公報
【特許文献2】特開平10−33557号公報
【0004】
特許文献1(特公昭56−49577号公報)には、Nd:YAGレーザ発振器と、パルスレーザを集束するレンズと、集束されたパルスレーザを伝送するためのガラスファイバーとからなるレーザ光照射による歯牙う蝕防止装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2(特開平10−33557号公報)には、レーザ共振器と、このレーザ共振器から出力されたレーザ光を被照射体まで導く光導波路と、この光導波路の先端に装着されてレーザ光の径を規制する最先端外径が0.4〜1mmである細径チップと、この細径チップを通り前記被照射体を冷却する冷却ガスと、前記レーザ光を前記光導波路に集光して入射させる集光レンズと、前記レーザ共振器を放電励起する励起用電源と、パルス幅が0.1〜50msでかつデューティ比(パルス幅/周期)が5〜20%のレーザ光パルスに制御するパルス条件調整手段とを備えたことを特徴とする歯科用気体レーザ装置が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に開示された装置では、Nd:YAGレーザ発振器を用いており、歯の治療などに用いた場合に、このレーザが歯の表面のエナメル質に正確に当った場合にはエナメル質のごく表層の部分が溶け、エナメル質の表面に存在する小さな穴や周波条辺縁部が消失し、う蝕の最初の侵襲部位がなくなることにより、歯牙の耐う蝕性が向上して虫歯の予防に用いられる。
【0007】
しかしながら、この特許文献1に開示された装置においてはNd:YAGレーザ発振器を用いているために、このレーザの波長が1.06μmと短く、レーザ光が生体軟組織に吸収され難く、深達距離が長く、下部組織迄レーザ光の影響が及ぶため、治療すべき箇所以外までも傷付ける虞が大きいものであった。
【0008】
一方、特許文献2に開示されている装置によれば、レーザ共振器として気体レーザ、特にCO2レーザを用いた場合には、CO2レーザの10.6μmの波長を用いることによって特許文献1のNd:YAGレーザに比べてレーザ光が生体軟組織によく吸収され、深達する距離が非常に浅く、下部組織への悪影響の発生が極めて低減される。
【0009】
しかしながら、この特許文献2の装置においても、レーザ光パルスのパルス幅が0.1〜50msであり、歯に照射されるレーザのエネルギーが大き過ぎるために、処置される歯の表面が黒くなったり、歯の近くの組織を痛めるようなことがある。
【0010】
また、この特許文献2の装置においては、レーザから放射されるエネルギーが非常に大きいために歯の温度上昇が大きく、細径チップを通り被照射体を冷却する冷却ガスを噴射することが必須である。このため、この特許文献2の装置は非常に大型化し、価格も高くなる。また、歯等の治療部位の同一箇所が連続してレーザ光を照射し続けられ損傷されることを避けるために、レーザの操作者は頻繁に細径チップを移動させる必要があり、手が疲れたり、腱鞘炎を患ったりする。このため、この特許文献2の装置は使用しづらいものとなっている。
【0011】
【発明の目的】
本発明は上述したような特許文献1および特許文献2に付随する問題点を解決して、小型で価格が安く、使用が非常に容易であり、歯の治療に有効な歯科治療用CO2レーザ装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明においては上述の目的を、気体レーザ共振器と、該気体レーザ共振器から出力されたレーザ光を被照射体まで導く光ファイバーと、該光ファイバーの先端に取着されたチップからなる歯科治療用レーザ装置において、
前記気体レーザ共振器がCO2ガスを封入した筒状放電管からなり、該筒状放電管の軸方向両端に放電電極が対向配置され、電圧源により前記放電電極からパルス幅が0.1ms未満のパルスからなるレーザ光を発振放射し、
前記光ファイバーはコアがAgClとAgBrの混晶からなるハロゲン化銀多結晶ファイバーであり、
前記筒状放電器からのレーザ光に可視光を重畳させて前記チップから出力されるパルスレーザ光の照準合わせを助けるようにしたことを特徴とする歯科治療用CO2レーザ装置により達成する。
【0013】
本発明においては、前記放電電極のうち、前記光ファイバーと反対側の放電電極の先端が前記光ファイバー側の放電電極の近傍まで延在する筒状電極からなり、該筒状電極の先端と前記光ファイバー側の放電電極との間に絶縁板が設置されていることが好ましい。
更に本発明においては、前記レーザ共振器をトリガーして、パルス幅が0.05〜50μsのパルスからなるレーザ光を0.1〜50Hzで発振させるトリガー回路が前記電圧源に含まれていることが好ましい。
【0014】
本発明においては、歯科治療用CO2レーザ装置を用いているために10.6μmの波長のレーザ光を治療に用いることができ、レーザ光が生体軟組織によく吸収されて深達距離が非常に浅く下部組織への悪影響が発生する虞が少ない。
【0015】
また、本発明においては、気体レーザ共振器を特別の構成とすることによって気体レーザを極めて鋭く立ったパルス状に発生させることができる。そしてこのパルスのパルス幅を0.1ms未満のパルスとすることによって、レーザ装置の発生する出力が過度に大きくなく、このために歯のエナメル質などが黒くなったりすることがなく、また歯の近くの歯髄などにレーザ光が当った場合にも怪我をしたりすることがない。
【0016】
本発明のCO2レーザ発振器により発振されるパルス状のレーザ光のパルス幅は0.1ms未満とし、好ましくは0.05〜50μsの範囲内とし、特に好ましくは0.1μs程度とする。また立上がっているパルス部分の時間は100ns程度とすることが好ましい。ここに、本発明においてパルス幅とは繰返し発生する個々のパルスの全幅を指し、このパルス幅中の立上がっている部分の幅(80%のパルス高さまで立ち上がった部分の幅)を立上がっているパルス部分の時間と称している。また本発明のレーザ装置の出力は10〜200mJとし、このパルスを0.1〜50Hz、好ましくは10Hz程度で発振させることが望ましい。
【0017】
また本発明においては、上述したような制限されたパルス状のレーザ光を発生するために、レーザエネルギが過大でなく、特許文献2のような冷却装置を必要としない。従って、装置も極めて小型化し、安価となるとともに、頻繁にチップを移動させなくともよく、使い易く、操作者の疲労が少ない。
【0018】
また本発明においては、レーザ発振装置とチップとの間を繋ぎ、レーザ光を伝達する光ファイバーとして、そのコアがAgClとAgBrの混晶からなるハロゲン化銀多結晶ファイバーを用いることによって、CO2レーザを減衰することなく効率よく伝達することができ、しかも光ファイバーを自由に屈曲させることができるために、この点からも、操作が非常に容易であって扱い易い装置となる。
【0019】
更に本発明においては、筒状放電管のレーザ光に可視光を重畳させてチップから出力されるパルスレーザ光の照準合わせを助けるようにしている。これによって肉眼で見ることができないCO2レーザを可視光によって照準合わせすることにより、極めて使い勝手のよい歯科治療用CO2レーザ装置が提供される。
また、本発明においては、放電電極のうち、光ファイバーと反対側の放電電極の先端が光ファイバー側の放電電極の近傍まで延在する筒状電極からなり、筒状電極の先端と前記光ファイバー側の放電電極との間に絶縁板が設置されていることにより、所望のパルス幅のパルスからなるレーザ光を所望の周波数で確実に発振させることができ、好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図示した添付図面を参照して、本発明を詳細に説明する。図1は本発明に係る歯科治療用CO2レーザ装置の全体外観を示す斜視図であり、図1に示されるように、歯科治療用CO2レーザ装置はレーザ共振器、トリガー回路および電圧源を内部に有する本体1と、その本体1からパルス光を伝送するファイバー2とファイバー2の先端に設けられたチップ3からなっている。チップ3から放射されるレーザ光のオンーオフ制御は、足下のフットスイッチ4またはチップ3に設けられた手元スイッチで操作するようになっている。
【0021】
本体1にレーザ共振器および電圧源が内蔵されている。図2はレーザ共振器の概略回路図であり、筒状放電管10の両端に放電電極12a、12bが対向配置されている。筒状放電管10の一端には反射鏡14が、また他端には出力鏡16が設けられている。放電電極12a、12bのうち、反射鏡14側の放電電極12aは、その先端12aaが出力鏡16側の放電電極12bの近傍まで延在する筒状電極であり、筒状電極12aの先端12aaと放電電極12bとの間に絶縁板13が設置されている。前述したファイバー2は出力鏡16側に接続されている。
筒状放電管10の内部には、発振媒体ガスとしてCO2、Ne、Heその他が密封されている。放電電極12aの先端12aaおよび放電電極12bはそれぞれ電圧源22に接続されている。
【0022】
実施例においては、放電管10は長さ300mm、径が10mmのセラミックチューブからなり、セラミックチューブの厚さは1〜2mmである。反射鏡14は焦点距離10mである。また、出力鏡16は平板でありZnSe窓となっている。
【0023】
電圧源22は、600Vの直流高圧電源およびトリガー回路を含んでいる。トリガー回路のトリガー信号により、図3に示すように、パルス幅が0.05〜50μsのパルス状レーザ光を0.1〜50Hzで発振させるようになっている。なお、本発明においてパルス幅とは繰返し発生する個々のパルスの全幅を指し、図3に図示した実施例ではパルス幅は1μsであり、この1μsのパルス幅中の立上がっている部分の幅(80%のパルス高さまで立ち上がった部分の幅)は100nsである。
【0024】
レーザパルスの出力、パルス巾、繰返し周波数などは図4に示すように、チップ操作者の手元でダイアル41、調整つまみ42などで調整できるようにすることが好ましい。なお、本体1に設けた制御盤とダイアル41、調整つまみ42とは切り換えられるようにすることが好ましい。
【0025】
光ファイバー2は、例えば、古河機械金属株式会社が販売している銀ハライドファイバーを用いており、コアがAgClとAgBrの混晶からなるハロゲン化銀多結晶ファイバー2であり、先端にはGeレンズが装着されている。このため光ファイバー2はCO2レーザを減衰することなく効率よく伝達することができ、しかも光ファイバー2は自由に屈曲させることができる。
【0026】
筒状放電管10からのレーザ光に可視光を重畳させてチップ3から出力されるパルスレーザ光の照準合わせを助けるようにしている。この実施例の一例を図4に示す。図4において、CO2レーザ装置の光ファイバー2と平行に、例えば、He−Neガスレーザ装置の光ファイバー31を設け、CO2レーザ装置の光ファイバー2の先端にはGeレンズ32で焦点を絞って被照射体に照射するようにするとともに、この光ファイバー2から被照射体へのCO2レーザの光路内にCO2レーザ光は通過させるGeからなるハーフミラー33を斜めに設け、CO2レーザ光を通過させるとともにHe−Neレーザ光はこのハーフミラー33によって光路を曲げられCO2レーザ光に重畳させられ、CO2レーザ光の焦点を示すようにしている。
【0027】
上記実施例においては、可視光としてHe−Neレーザ光を用いていたが、半導体レーザなどの他のレーザを用いてもよく、また、LEDやランプとフィルタなどを光源として用いてもよい。また、本発明の歯科治療用CO2レーザ装置が歯肉や口腔内を治療することに用いるから、赤い点でCO2レーザ光の焦点を示したので見難いことがある。このような場合には、可視光の色を緑色、青色、白色などに変えてもよい。また、可視光の明るさはチップ操作者の手元でダイアル41、調整つまみ42などで調整できるようにすることが好ましい。
【0028】
上記構成からなる本発明の歯科治療用CO2レーザ装置においては、トリガー回路によりトリガーし、直流高圧電源から放電電極12a、12b間に放電電圧を印加してパルス幅が0.05〜50μsのパルス状レーザ光を0.1〜50Hzで発振させる。これにより、出力鏡16から所定のパルス幅のCO2レーザ光が所定の周期で安定して定常的に放射され、光ファイバー2を経て、チップ3に伝えられ、歯の下部組織への悪影響を与えずに、しかもレーザ操作者が疲れたりすることなく、歯の治療が行なえる。
【0029】
【発明の効果】
本発明においてはCO2レーザを用いることによってレーザ光が生体組織によく吸収され、深達する距離が非常に浅く、下部組織への悪影響の発生が極めて低減される。
【0030】
また本発明装置においては、レーザ光パルスのパルス幅が極めて短いパルスを発生するようにしているために、歯に照射されるレーザのエネルギが過大になることがなく、歯の表面が黒くなったり、歯の近くの組織が痛められるようなことがない。
【0031】
また本発明においては、レーザから放射するエネルギを適正な範囲に抑えているために、歯が過度に温度上昇することもなく、このために温度上昇を防止するための冷却装置を用いる必要をなくし、または装置も極めて小さいものとすることができる。
【0032】
また本発明に係る光ファイバーは、屈曲性が極めてよく操作が容易であり、しかも、レーザエネルギが過大でないため、患者に対し治療しているものは頻繁にチップを移動させる必要がなく、手が疲れたり、手が痛くなったりしないで済む。これらのことが相俟って本発明によっては装置が非常に小型化し取扱い易く、またその使用によって歯の治療に非常に有効な歯科治療用CO2レーザ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る歯科治療用CO2レーザ装置の実施例の全体外観を示す斜視図である。
【図2】図1の歯科治療用CO2レーザ装置に用いられているレーザ共振器の概略回路図である。
【図3】レーザ光のパルス波形を示す線図である。
【図4】チップ手元の調整装置を示す斜視図である。
【図5】レーザ光に可視光を重畳させる実施例の概略図である。
【符号の説明】
1 本体
2 光ファイバー
3 チップ
4 フットスイッチ
10 筒状放電管
12a、12b 放電電極
【発明の属する技術分野】
本発明は歯科治療用CO2(炭酸ガス)レーザ装置に関し、歯の虫歯の予防や治療に用いる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
【特許文献1】特公昭56−49577号公報
【特許文献2】特開平10−33557号公報
【0004】
特許文献1(特公昭56−49577号公報)には、Nd:YAGレーザ発振器と、パルスレーザを集束するレンズと、集束されたパルスレーザを伝送するためのガラスファイバーとからなるレーザ光照射による歯牙う蝕防止装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2(特開平10−33557号公報)には、レーザ共振器と、このレーザ共振器から出力されたレーザ光を被照射体まで導く光導波路と、この光導波路の先端に装着されてレーザ光の径を規制する最先端外径が0.4〜1mmである細径チップと、この細径チップを通り前記被照射体を冷却する冷却ガスと、前記レーザ光を前記光導波路に集光して入射させる集光レンズと、前記レーザ共振器を放電励起する励起用電源と、パルス幅が0.1〜50msでかつデューティ比(パルス幅/周期)が5〜20%のレーザ光パルスに制御するパルス条件調整手段とを備えたことを特徴とする歯科用気体レーザ装置が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に開示された装置では、Nd:YAGレーザ発振器を用いており、歯の治療などに用いた場合に、このレーザが歯の表面のエナメル質に正確に当った場合にはエナメル質のごく表層の部分が溶け、エナメル質の表面に存在する小さな穴や周波条辺縁部が消失し、う蝕の最初の侵襲部位がなくなることにより、歯牙の耐う蝕性が向上して虫歯の予防に用いられる。
【0007】
しかしながら、この特許文献1に開示された装置においてはNd:YAGレーザ発振器を用いているために、このレーザの波長が1.06μmと短く、レーザ光が生体軟組織に吸収され難く、深達距離が長く、下部組織迄レーザ光の影響が及ぶため、治療すべき箇所以外までも傷付ける虞が大きいものであった。
【0008】
一方、特許文献2に開示されている装置によれば、レーザ共振器として気体レーザ、特にCO2レーザを用いた場合には、CO2レーザの10.6μmの波長を用いることによって特許文献1のNd:YAGレーザに比べてレーザ光が生体軟組織によく吸収され、深達する距離が非常に浅く、下部組織への悪影響の発生が極めて低減される。
【0009】
しかしながら、この特許文献2の装置においても、レーザ光パルスのパルス幅が0.1〜50msであり、歯に照射されるレーザのエネルギーが大き過ぎるために、処置される歯の表面が黒くなったり、歯の近くの組織を痛めるようなことがある。
【0010】
また、この特許文献2の装置においては、レーザから放射されるエネルギーが非常に大きいために歯の温度上昇が大きく、細径チップを通り被照射体を冷却する冷却ガスを噴射することが必須である。このため、この特許文献2の装置は非常に大型化し、価格も高くなる。また、歯等の治療部位の同一箇所が連続してレーザ光を照射し続けられ損傷されることを避けるために、レーザの操作者は頻繁に細径チップを移動させる必要があり、手が疲れたり、腱鞘炎を患ったりする。このため、この特許文献2の装置は使用しづらいものとなっている。
【0011】
【発明の目的】
本発明は上述したような特許文献1および特許文献2に付随する問題点を解決して、小型で価格が安く、使用が非常に容易であり、歯の治療に有効な歯科治療用CO2レーザ装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明においては上述の目的を、気体レーザ共振器と、該気体レーザ共振器から出力されたレーザ光を被照射体まで導く光ファイバーと、該光ファイバーの先端に取着されたチップからなる歯科治療用レーザ装置において、
前記気体レーザ共振器がCO2ガスを封入した筒状放電管からなり、該筒状放電管の軸方向両端に放電電極が対向配置され、電圧源により前記放電電極からパルス幅が0.1ms未満のパルスからなるレーザ光を発振放射し、
前記光ファイバーはコアがAgClとAgBrの混晶からなるハロゲン化銀多結晶ファイバーであり、
前記筒状放電器からのレーザ光に可視光を重畳させて前記チップから出力されるパルスレーザ光の照準合わせを助けるようにしたことを特徴とする歯科治療用CO2レーザ装置により達成する。
【0013】
本発明においては、前記放電電極のうち、前記光ファイバーと反対側の放電電極の先端が前記光ファイバー側の放電電極の近傍まで延在する筒状電極からなり、該筒状電極の先端と前記光ファイバー側の放電電極との間に絶縁板が設置されていることが好ましい。
更に本発明においては、前記レーザ共振器をトリガーして、パルス幅が0.05〜50μsのパルスからなるレーザ光を0.1〜50Hzで発振させるトリガー回路が前記電圧源に含まれていることが好ましい。
【0014】
本発明においては、歯科治療用CO2レーザ装置を用いているために10.6μmの波長のレーザ光を治療に用いることができ、レーザ光が生体軟組織によく吸収されて深達距離が非常に浅く下部組織への悪影響が発生する虞が少ない。
【0015】
また、本発明においては、気体レーザ共振器を特別の構成とすることによって気体レーザを極めて鋭く立ったパルス状に発生させることができる。そしてこのパルスのパルス幅を0.1ms未満のパルスとすることによって、レーザ装置の発生する出力が過度に大きくなく、このために歯のエナメル質などが黒くなったりすることがなく、また歯の近くの歯髄などにレーザ光が当った場合にも怪我をしたりすることがない。
【0016】
本発明のCO2レーザ発振器により発振されるパルス状のレーザ光のパルス幅は0.1ms未満とし、好ましくは0.05〜50μsの範囲内とし、特に好ましくは0.1μs程度とする。また立上がっているパルス部分の時間は100ns程度とすることが好ましい。ここに、本発明においてパルス幅とは繰返し発生する個々のパルスの全幅を指し、このパルス幅中の立上がっている部分の幅(80%のパルス高さまで立ち上がった部分の幅)を立上がっているパルス部分の時間と称している。また本発明のレーザ装置の出力は10〜200mJとし、このパルスを0.1〜50Hz、好ましくは10Hz程度で発振させることが望ましい。
【0017】
また本発明においては、上述したような制限されたパルス状のレーザ光を発生するために、レーザエネルギが過大でなく、特許文献2のような冷却装置を必要としない。従って、装置も極めて小型化し、安価となるとともに、頻繁にチップを移動させなくともよく、使い易く、操作者の疲労が少ない。
【0018】
また本発明においては、レーザ発振装置とチップとの間を繋ぎ、レーザ光を伝達する光ファイバーとして、そのコアがAgClとAgBrの混晶からなるハロゲン化銀多結晶ファイバーを用いることによって、CO2レーザを減衰することなく効率よく伝達することができ、しかも光ファイバーを自由に屈曲させることができるために、この点からも、操作が非常に容易であって扱い易い装置となる。
【0019】
更に本発明においては、筒状放電管のレーザ光に可視光を重畳させてチップから出力されるパルスレーザ光の照準合わせを助けるようにしている。これによって肉眼で見ることができないCO2レーザを可視光によって照準合わせすることにより、極めて使い勝手のよい歯科治療用CO2レーザ装置が提供される。
また、本発明においては、放電電極のうち、光ファイバーと反対側の放電電極の先端が光ファイバー側の放電電極の近傍まで延在する筒状電極からなり、筒状電極の先端と前記光ファイバー側の放電電極との間に絶縁板が設置されていることにより、所望のパルス幅のパルスからなるレーザ光を所望の周波数で確実に発振させることができ、好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図示した添付図面を参照して、本発明を詳細に説明する。図1は本発明に係る歯科治療用CO2レーザ装置の全体外観を示す斜視図であり、図1に示されるように、歯科治療用CO2レーザ装置はレーザ共振器、トリガー回路および電圧源を内部に有する本体1と、その本体1からパルス光を伝送するファイバー2とファイバー2の先端に設けられたチップ3からなっている。チップ3から放射されるレーザ光のオンーオフ制御は、足下のフットスイッチ4またはチップ3に設けられた手元スイッチで操作するようになっている。
【0021】
本体1にレーザ共振器および電圧源が内蔵されている。図2はレーザ共振器の概略回路図であり、筒状放電管10の両端に放電電極12a、12bが対向配置されている。筒状放電管10の一端には反射鏡14が、また他端には出力鏡16が設けられている。放電電極12a、12bのうち、反射鏡14側の放電電極12aは、その先端12aaが出力鏡16側の放電電極12bの近傍まで延在する筒状電極であり、筒状電極12aの先端12aaと放電電極12bとの間に絶縁板13が設置されている。前述したファイバー2は出力鏡16側に接続されている。
筒状放電管10の内部には、発振媒体ガスとしてCO2、Ne、Heその他が密封されている。放電電極12aの先端12aaおよび放電電極12bはそれぞれ電圧源22に接続されている。
【0022】
実施例においては、放電管10は長さ300mm、径が10mmのセラミックチューブからなり、セラミックチューブの厚さは1〜2mmである。反射鏡14は焦点距離10mである。また、出力鏡16は平板でありZnSe窓となっている。
【0023】
電圧源22は、600Vの直流高圧電源およびトリガー回路を含んでいる。トリガー回路のトリガー信号により、図3に示すように、パルス幅が0.05〜50μsのパルス状レーザ光を0.1〜50Hzで発振させるようになっている。なお、本発明においてパルス幅とは繰返し発生する個々のパルスの全幅を指し、図3に図示した実施例ではパルス幅は1μsであり、この1μsのパルス幅中の立上がっている部分の幅(80%のパルス高さまで立ち上がった部分の幅)は100nsである。
【0024】
レーザパルスの出力、パルス巾、繰返し周波数などは図4に示すように、チップ操作者の手元でダイアル41、調整つまみ42などで調整できるようにすることが好ましい。なお、本体1に設けた制御盤とダイアル41、調整つまみ42とは切り換えられるようにすることが好ましい。
【0025】
光ファイバー2は、例えば、古河機械金属株式会社が販売している銀ハライドファイバーを用いており、コアがAgClとAgBrの混晶からなるハロゲン化銀多結晶ファイバー2であり、先端にはGeレンズが装着されている。このため光ファイバー2はCO2レーザを減衰することなく効率よく伝達することができ、しかも光ファイバー2は自由に屈曲させることができる。
【0026】
筒状放電管10からのレーザ光に可視光を重畳させてチップ3から出力されるパルスレーザ光の照準合わせを助けるようにしている。この実施例の一例を図4に示す。図4において、CO2レーザ装置の光ファイバー2と平行に、例えば、He−Neガスレーザ装置の光ファイバー31を設け、CO2レーザ装置の光ファイバー2の先端にはGeレンズ32で焦点を絞って被照射体に照射するようにするとともに、この光ファイバー2から被照射体へのCO2レーザの光路内にCO2レーザ光は通過させるGeからなるハーフミラー33を斜めに設け、CO2レーザ光を通過させるとともにHe−Neレーザ光はこのハーフミラー33によって光路を曲げられCO2レーザ光に重畳させられ、CO2レーザ光の焦点を示すようにしている。
【0027】
上記実施例においては、可視光としてHe−Neレーザ光を用いていたが、半導体レーザなどの他のレーザを用いてもよく、また、LEDやランプとフィルタなどを光源として用いてもよい。また、本発明の歯科治療用CO2レーザ装置が歯肉や口腔内を治療することに用いるから、赤い点でCO2レーザ光の焦点を示したので見難いことがある。このような場合には、可視光の色を緑色、青色、白色などに変えてもよい。また、可視光の明るさはチップ操作者の手元でダイアル41、調整つまみ42などで調整できるようにすることが好ましい。
【0028】
上記構成からなる本発明の歯科治療用CO2レーザ装置においては、トリガー回路によりトリガーし、直流高圧電源から放電電極12a、12b間に放電電圧を印加してパルス幅が0.05〜50μsのパルス状レーザ光を0.1〜50Hzで発振させる。これにより、出力鏡16から所定のパルス幅のCO2レーザ光が所定の周期で安定して定常的に放射され、光ファイバー2を経て、チップ3に伝えられ、歯の下部組織への悪影響を与えずに、しかもレーザ操作者が疲れたりすることなく、歯の治療が行なえる。
【0029】
【発明の効果】
本発明においてはCO2レーザを用いることによってレーザ光が生体組織によく吸収され、深達する距離が非常に浅く、下部組織への悪影響の発生が極めて低減される。
【0030】
また本発明装置においては、レーザ光パルスのパルス幅が極めて短いパルスを発生するようにしているために、歯に照射されるレーザのエネルギが過大になることがなく、歯の表面が黒くなったり、歯の近くの組織が痛められるようなことがない。
【0031】
また本発明においては、レーザから放射するエネルギを適正な範囲に抑えているために、歯が過度に温度上昇することもなく、このために温度上昇を防止するための冷却装置を用いる必要をなくし、または装置も極めて小さいものとすることができる。
【0032】
また本発明に係る光ファイバーは、屈曲性が極めてよく操作が容易であり、しかも、レーザエネルギが過大でないため、患者に対し治療しているものは頻繁にチップを移動させる必要がなく、手が疲れたり、手が痛くなったりしないで済む。これらのことが相俟って本発明によっては装置が非常に小型化し取扱い易く、またその使用によって歯の治療に非常に有効な歯科治療用CO2レーザ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る歯科治療用CO2レーザ装置の実施例の全体外観を示す斜視図である。
【図2】図1の歯科治療用CO2レーザ装置に用いられているレーザ共振器の概略回路図である。
【図3】レーザ光のパルス波形を示す線図である。
【図4】チップ手元の調整装置を示す斜視図である。
【図5】レーザ光に可視光を重畳させる実施例の概略図である。
【符号の説明】
1 本体
2 光ファイバー
3 チップ
4 フットスイッチ
10 筒状放電管
12a、12b 放電電極
Claims (3)
- 気体レーザ共振器と、該気体レーザ共振器から出力されたレーザ光を被照射体まで導く光ファイバーと、該光ファイバーの先端に取着されたチップからなる歯科治療用レーザ装置において、
前記気体レーザ共振器がCO2ガスを封入した筒状放電管からなり、該筒状放電管の軸方向両端に放電電極が対向配置され、電圧源により前記放電電極からパルス幅が0.1ms未満のパルスからなるレーザ光を発振放射し、
前記光ファイバーはコアがAgClとAgBrの混晶からなるハロゲン化銀多結晶ファイバーであり、
前記筒状放電器からのレーザ光に可視光を重畳させて前記チップから出力されるパルスレーザ光の照準合わせを助けるようにしたことを特徴とする歯科治療用CO2レーザ装置。 - 前記放電電極のうち、前記光ファイバーと反対側の放電電極の先端が前記光ファイバー側の放電電極の近傍まで延在する筒状電極からなり、該筒状電極の先端と前記光ファイバー側の放電電極との間に絶縁板が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の歯科治療用CO2レーザ装置。
- 前記レーザ共振器をトリガーして、パルス幅が0.05〜50μsのパルスからなるレーザ光を0.1〜50Hzで発振させるトリガー回路が前記電圧源に含まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の歯科治療用CO2レーザ装置。
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---|---|---|---|
JP2003176388A JP2005007031A (ja) | 2003-06-20 | 2003-06-20 | 歯科治療用co2レーザ装置 |
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JP2003176388A JP2005007031A (ja) | 2003-06-20 | 2003-06-20 | 歯科治療用co2レーザ装置 |
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JP2005007031A true JP2005007031A (ja) | 2005-01-13 |
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ID=34099283
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JP2003176388A Withdrawn JP2005007031A (ja) | 2003-06-20 | 2003-06-20 | 歯科治療用co2レーザ装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005007031A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014511215A (ja) * | 2011-02-02 | 2014-05-15 | コンバージェント デンタル, インコーポレイテッド | 歯科用レーザシステムおよび治療方法 |
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2003
- 2003-06-20 JP JP2003176388A patent/JP2005007031A/ja not_active Withdrawn
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