JP2005006563A - 新規てんかんモデル動物 - Google Patents

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Abstract

【課題】GABA抑制性神経系機能に関連する新たなてんかん発症機構と発症因子を提示し、該新規機構に立脚した新規創薬を行うための手段を提供する。
【課題を解決するための手段】分泌性抗接着因子Secreted Protein Acidic and Rich in Cysteine(SPARC)、海馬放線層領域のGABA抑制性神経において発現亢進することによっててんかん症状を引き起こすことを見いだし、この分泌性抗接着因子を用いててんかんモデル動物を作出するとともに、該転換モデル動物を用いて、てんかん症に対する新規医薬品や予防法の開発を行う。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗てんかん薬剤の探索あるいはてんかん発症機構の解明に有効なてんかんモデル動物、その作出方法、及び該動物を作出するための材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
てんかん発作を繰り返して起こすような慢性脳障害(てんかん性障害)を獲得した脳は、非発作時に於いても容易に過興奮状態へ移行する性質(けいれん準備性)を獲得している。また、てんかん発作発症には、抑制性(GABA)ならびに興奮性(グルタミン酸)神経伝達系のバランスが不均衡となることが重要な要因であると考えられている。てんかん発症機構の解明を目指すためには、このような「けいれん準備性」を獲得しているモデル動物を解析する必要があり、従来、下記のような動物モデルが知られている。
【0003】
(1)電撃けいれん(キンドリング)モデル
ー定の脳部位を反復電気刺激し、後発射を繰り返すことによって発作が次第増強し、二次性全般化発作が出現するようになる動物モデルを指す。難治性のヒト側頭稟てんかんの二次性全般化発作モデルと考えられており、けいれん準備性の維持が半永続的である特徴を有する。
(2)けいれん誘発動物(Elマウスなど)
Elマウスは、ddYマウスの突然変異体から見いだされたてんかんモデルマウスであり、遺伝的素因と後天的要因(発作履歴)が関与する最もヒトてんかんに近いモデルである。GABA抑制系機構における異常と複数の遺伝子の変異が発作に関与することが明らかにされている。
【0004】
(3)原因遺伝子改変マウス
アストロサイトに存在する‘グリア型グルタミン酸トランスポーター・ GLT−1ノックアウトマウスは、NMDAを皮下注射したときに観察されるてんかん発作と酷似した致死性のてんかん発作を引き起こす。これはシナプス間隙におけるグルタミン酸の取り込みが阻害されることが原因であることが知られている。
【0005】
(4)カイニン酸モデル
代表的なイオンチヤネル型グルタミン酸受容体作動薬の一つであるカイニン酸は、皮下注射や静脈内注射などの全身投与によって激しい1imbic motor seizuresを誘発し、大脳皮質、海馬CA1、扁桃核などに選択的神経細胞死を引き起こす。カイニン酸による痙攣は、特徴的で強烈であり、側頭てんかんのモデルといわれている。脳の解剖学的解析により、1)てんかん発作に伴う神経細胞の脱落に由来したグリア細胞の増殖の結果生じる「海馬硬化」2)苔状線維の異常発芽による海馬神経回路のパターンの変化、3)遺伝子発現変化などが報告されている。
【0006】
てんかん発症の主要因は、GABA抑制性神経機構と興奮性アミノ酸神経系の不均衡状態であると推定されている。現在、臨床上使用されている抗てんかん薬は、これら神経系のいずれかあるいは双方に作用点を有する薬物が用いられている。抗てんかん薬をてんかん発作発現機序の観点から類型化すると、1)抑制性GABA神経系の強化薬、2)興奮性アミノ酸神経系の阻害薬、3)イオンチャンネル系に作用する禅経細胞膜興奮性の安定化薬に分類される。第1群の抗てんかん薬は、GABA神経作動系を増強させるもので、フェントバルビタールなどのバルビタール系薬物や、ジアゼパムなどのペンゾジアゼピン系薬物が代表的であり、GABA受容体やシナプス間隙のGABA取り込み系あるいは分解系が作用点である。
【0007】
これらの薬物は、シナプス間隙のGABAを増加させることで抑制性GABA神経系を強化し、抗てんかん効果を発揮するものと考えられている。第2群の抗てんかん薬は、興奮性アミノ酸神経系伝達を抑制あるいは阻止することにより抗てんかん効果を発揮する薬物であり、シナプス前終末の電位依存性Na+チャンネルを阻害することでグルタミン酸放出抑制効果を示すフェニトインやラモトリギンが代表的薬物である。第3群の抗てんかん薬は、細胞膜上に存在するイオンチャンネルに作用して細胞膜興奮性の安定化を誘導する薬物であり、電位依存性Na+チャンネル桔抗薬ゾニサマイドやT型Ca 2+チャンネル括抗薬ラモトリギンなどが代表的薬物である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、難治性てんかん症に対しては、上記3群の薬物は有効ではなく、依然発症機構に関しても不明な点が多い。したがって、神経伝達物質受容体、神経伝達物質取り込み・分解、各種イオンチャンネル作用薬とは異なる作用機序を有する新規薬物の開発が求められており、新たなてんかん発症機構の解明とその機構に立脚した創薬が必要不可欠である。また、GABA抑制性神経系異常によるてんかん発症機構は、新規薬物開発の上でも重要な研究課題である。本発明は、GABA抑制性神経系機能に関連する新たなてんかん発症機構と発症因子を提示しようとするものであり、同時に新規機構に立脚した新規創薬の可能性を拓くものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意研究の結果、カイニン酸モデルにおいて、てんかん発症因子として新規に同定された分泌性抗接着因子Secreted Protein Acidic and Rich in Cysteine(SPARC)が、海馬放線層領域のGABA抑制性神経において発現亢進することによっててんかん症状を引き起こすことを見いだした。本発明は、この知見に基づき、1)異常GABA抑制性機構解明のための新規動物モデル創製、2)特に難治性てんかん症に対する新規医薬品や予防法の開発、3)新規薬物開発の基盤となるSPARC標的因子の同定と分子生理機能の解明、を行うための基盤技術を提示するものである。すなわち、本発明は、以下の構成を伴う。
【0010】
(1) 脳内におけるSPARC蛋白質量が過剰量存在していることを特徴とする、てんかんモデル動物。
(2) SPARC蛋白質が脳内投与されたものである、上記(1)に記載のてんかんモデル動物。
(3) 脳内におけるSPARC蛋白質の存在量が、SPARC蛋白質をコードする遺伝子の脳内発現量の増大により、増大せしめられていることを特徴とする、上記(1)に記載のてんかんモデル動物。
(4) SPARC蛋白質をコードする遺伝子が脳内に導入されていることを特徴とする、上記(3)に記載のてんかんモデル動物。
(5) SPARC蛋白質からなる、てんかんモデル動物を作出するための材料。
(6) SPARC蛋白質をコードする遺伝子からなる、てんかんモデル動物を作出するための材料
(7) SPARC蛋白質をコードする遺伝子が保持されたベクターからなる、てんかんモデル動物を作出するための材料。
(8) SPARC蛋白質を脳内投与することを特徴とする、てんかんモデル動物を作出する方法
(9) SPARC蛋白質をコードする遺伝子を脳内に導入することを特徴とする、てんかんモデル動物を作出する方法
(10)請求項1〜4のいずれかに記載のてんかんモデル動物に被験薬剤およびカイニン酸を投与し、該被験薬剤の、カイニン酸投与により生ずるてんかん症状の抑制を指標にして、該被験薬剤の抗てんかん作用を検定することを特徴とする抗てんかん薬剤のスクリーニング方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のてんかんモデル動物は、SPARC蛋白質、SPARC蛋白質と他の蛋白質との融合蛋白質、あるいはその遺伝子を用いて作出される。
このSPARC蛋白質 (secreted protein acidic and rich in cysteine ;「酸性およびシステインに富む分泌タンパク質」) は、骨中に存在する主要な非コラーゲン性タンパク質であるオステオネクチン(Osteonectin)として最初に報告され(Termine,J.D. et al., Cell, 26 : 99−105, 1981)、コラーゲンやハイドロキシアパタイトへの強い結合性を有し、Ca2+結合能を持つことから機能性骨特異タンパク質として注目された。このSPARCは、接着性培養細胞の増殖に伴い細胞外に分泌される分子量43kD蛋白として報告されていたものより遺伝子配列が決定されているものである(Sage.H. et al., J.Biol.Chem., 259, 3993−4007, 1984)。
このSPARC蛋白質のアミノ酸配列及び遺伝子の塩基配列をそれぞれ、配列表の配列番号1及び2(Accession ID: X04017)として示す。
【0012】
SPARCはその後、種々の培養細胞からの分泌が観察され、特に正常線維芽細胞や血管内皮細胞からの分泌が顕著である(Lane.T.F.& Sage, E.H., FASEB J., 8 : 163−173, 1994)。また、SPARCの機能としては、SPARCの細胞培養系への添加によって細胞外マトリックス分子への細胞接着が濃度依存的に阻害されることが知られている。
【0013】
一方、本発明者等は、モルヒネの慢性投与時に扁桃体において特異的に上昇する遺伝子群中にSPARC遺伝子を見いだし、チオレドキシン遺伝子含有ベクターの該遺伝子下流側にSPARC遺伝子を組み込み、これを大腸菌で発現させ、チオレドキシン−SPARC融合蛋白質(以下、SPARC融合蛋白質という。)を得るとともに、神経細胞に対して抗細胞接着活性及び球形化活性を発揮することを見いだしている。さらに、本発明者は、このSPARC融合蛋白質を扁桃体外側基底核に脳内微量投与を施したマウスでは、モルヒネの単回投与によってモルヒネ自発運動量の増強が引き起こされること、すなわち神経シナプスに変化をもたらすとともに、さらに、上記SPARC蛋白質が脳内において神経可塑性因子として機能することを見いだしている(特許第3012930号公報、特許第3012931号公報)。
上記SPARC融合蛋白質のアミノ酸配列及びその遺伝子の塩基配列を配列番号3、4にそれぞれ示す。
【0014】
本発明において、てんかんモデル動物を作出するための材料としては、上記した配列番号1のアミノ酸配列を有するSPARC蛋白質、配列番号3のアミノ酸配列を有するチオレドキシン(Trx)−SPARC融合蛋白質、あるいは配列番号1又は3に示すアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、SPARC蛋白質の生理学的活性を有するものが挙げられる。
【0015】
なお、SPARC蛋白質はシステインに富んだ分泌性の抗接着活性を有する蛋白質であり、その生理活性を発現させるためには、分子内S−S結合を正確に再構成させることが必要である。遺伝子工学的手法を用いてチオレドキシン(Trx)との融合蛋白質を得る手法は、大腸菌等の細菌を宿主として動物の生理活性蛋白質を製造させる場合において、得られる生理活性蛋白質の分子内S−S結合を正確に再構成させることによって立体構造を保持させ、本来の生理活性を得るために用いられているものである。しかし、動物細胞を宿主として使用する場合においては、融合蛋白質でなくても用いることができる。
【0016】
これら蛋白質は、哺乳動物の脳内、例えば、海馬、歯状回、扁桃体、大脳皮質等に投与され、これによりてんかんモデル動物を得ることができる。これら蛋白質の脳内投与量は、カイニン酸等の薬物の投与量や個々の動物の個体差にもよるが、数〜数十 pmoles程度である。海馬(放線層)へのチオレドキシン(Trx)−SPARC融合蛋白質の脳内投与実施例では、5 〜10 pmolesのTrx−SPARC融合蛋白質の脳内微量投与によりカイニン酸に対する顕著な感受性の増強が誘導されることが判明している。
【0017】
また、本発明においては、上記した配列番号1のアミノ酸配列を有するSPARC蛋白質あるいは配列番号3のアミノ酸配列を有するSPARC融合蛋白質をコードする遺伝子、また、配列番号1又は3に示すアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、SPARC蛋白質の生理学的活性な蛋白質をコードする遺伝子を、脳内組織、例えば、海馬、扁桃体、大脳皮質、線条体等に導入し、脳内において上記蛋白質を発現させてもよい。また、これら遺伝子をさらに具体的に挙げれば、配列番号2又は4の塩基配列を有するものを挙げることができる。
【0018】
これらSPARC蛋白質をコードする遺伝子は、各種ウイルスに該遺伝子を組み込み、脳内に導入することにより、該遺伝子を脳内においてSPARC蛋白質を発現させ、てんかんモデル動物を作出することができる。使用するウイルスとしては、例えば、シンドビスウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、レンチウイルス等を挙げることができる。また、該遺伝子を組み込む代表的なウイルスベクターとしては、各々pSinrep5 (Invitorogen社)、HSV−PrpUC、pAxCAwt,(宝酒造社)、pLenti6/V5 (Invitorogen社)等が存在する。
【0019】
ウイルスベクター中に存在するマルチクローニング部位に、SPARC蛋白質をコードするcDNAをin vitroで挿入し、組み換えウイルスDNAを作製する。この組み換えDNA (あるいは組み換えウイルスDNAより逆転写して作製した組み換えウイルスRNA)を宿主細胞(BHK細胞、HEK293細胞等)へトランスフェクションし、宿主細胞中で増殖して培地中に放出された組み換えウイルスを回収・精製することにより高力価SPARC遺伝子挿入組み換えウイルスを調製する。
これらウイルスあるいはリポソームに保持されたSPARC蛋白質をコードする遺伝子を脳内組織に導入するには、電気穿孔法、直接注射法、脳内投与法等の周知の方法を適用すればよい。
【0020】
また、SPARC蛋白質を脳内で発現させるための別の方法としては、SPARC蛋白質を分泌する細胞、組織を脳内に移植しても良い。移植される細胞の種類としては、海馬、歯状回、扁桃体、大脳皮質等の初代神経培養細胞、神経細胞やグリア細胞等を由来として株化された各種神経培養細胞(NG108−15, N18TG−2、C6Bu−1、PC12等)、神経幹細胞等の細胞群が挙げられる。また、移植される組織としては、脳組織の一部(海馬、歯状回、扁桃体、大脳皮質等)が挙げられる。
【0021】
また、ウイルス発現系や遺伝子改変動物等を利用し、SPARC蛋白質を過剰発現させるように人為的に構築された上記細胞・組織を脳内に移植しても良い。
上記SPARC蛋白質の脳内投与、該蛋白質の遺伝子の脳内導入あるいは該蛋白質分泌細胞、組織の脳内移植による該蛋白質の発現量の増大は、GABA抑制性神経の異常亢進を引き起こし、作出された動物は、カイニン酸をはじめとする痙攣誘発剤の投与、電気刺激、ストレス(放り投げ刺激)等により、たやすくけいれん等の発作を起こし、てんかん症状を呈する。すなわち、 本発明におけるてんかんモデル動物は、「けいれん準備」の状態にあり、いわゆる「てんかん持ち」に対応する状態にある。
【0022】
上記したように難治性てんかん症は、上記3群の薬物では効果がなく、これら薬物が作用する異常とは異なる異常が脳内に生じている可能性が強く、上記SPARC蛋白質の脳内発現量の増大に基づくGABA抑制性神経の異常亢進は、難治性てんかん症の原因と考えられる。
したがって、本発明によれば、例えば、以下のようにてんかんモデル動物に対する被験薬剤投与あるいはSPARC蛋白質に対する拮抗性等を利用して、てんかん症の予防、治療薬、特に難治性てんかん症の予防、治療薬のスクリーニングあるいは設計することが可能となる。
【0023】
(1)行動薬理学的評価に基づく新規抗てんかん薬剤のスクリーニング
被験薬剤(天然抽出物、蛋白質、ベプチド、核酸、その他の無機および有機化合物を含む)を上記てんかんモデル動物に対して投与(腹空投与、静動脈投与、経口投与、脳内投与など)し、カイニン酸投与による痙攣回数、痙攣程度などを行動薬理学的に観察し、カイニン酸投与による発症するてんかん症状の抑制、例えば、痙攣閥値の抑制の有無を検定することにより、てんかん症状の予防、あるいは抑制、軽減する薬剤をスクリーニングする。
【0024】
(2)SPARC蛋白質による抗接着活性評価に基づく新規抗てんかん薬剤のスクリーニング
上記したようにSPARC蛋白質は、神経細胞をはじめ各々の細胞に対し抗細胞接着活性を有し、この機能はSPARC蛋白質の基本的機能であり、上記球形化活性は、抗細胞接着活性によりもたらされる。したがって、これら活性を阻害する物質はSPARC蛋白質の機能を阻害する物質とみなすことができ、この活性阻害を示す物質は、抗てんかん薬剤である可能性がある。したがって、種々の神経培養細胞もしくは海馬をはじめとする各種初代神経培養細胞に対して、被験薬剤(天然抽出物、蛋白質、ヘプチド、核酸、その他の無機および有機化合物を含む)を添加し、該培養細胞から分泌されるSPARC蛋白質の抗接着活性を括抗するか否かを細胞形態の球形化度を指標として新規抗てんかん薬剤をスクリーニングすることができる。
【0025】
(3)トランスクリプトーム解析法及び/又はプロテオーム解析法を用いた新規抗てんかん薬剤の設計
上記新規てんかんモデル動物と正常動物間でのトランスクリプトーム解析あるいはプロテオーム解析等の包括的解析法により、例えば、発現遺伝子プロファイル及び発現蛋白質等における差異等を検出して、創薬ターゲットとなる「てんかん関連因子」の解明、その生理機能、分子機能等に関する知見を得、これらに基づき、新規抗てんかん薬剤を探索、設計することが可能となる。
さらに、本発明は、新規てんかん動物モデルの解析により、てんかん発症機構の解明あるいはGABA袖経系の制御機構などの解明にも寄与することはいうまでもない。
【0026】
以下に、実施例を示すが、該実施例において用いたSPARC融合蛋白質は、本発明者等が開発した方法(特許第3012931号)に従った。該方法を参考例として以下に示す。
【0027】
〔参考例〕
(1)SPARC融合蛋白質(リコンビナントTrx−SPARC)キメラ蛋白質の調製
a. SPARC 融合タンパク質発現用プラスミドベクターの作製
Tベクターの作製はD. Marchukらの方法(Nucleic Acids Research, 19 : 1154, 1990)に準じた。すなわち、プラスミド Bluescript SK(−) (10μg/μl) (STARATAGENE社製) 1.0μl、10×緩衝液H (宝酒造社製)2.0μl、EcoRV (10 U/μl) 2.0μl、滅菌水15.0μlを混合して総量を20.0μlに調製し、37℃で2時間反応させてプラスミドを完全に切断した。エタノール沈殿で生成した沈殿に、10×PCR緩衝液 (PEアプライドシステムズ社製) 4.0μl、10mM dTTP 8.0μl、Ampli Taq DNA polymerase (5U/μl)(PEアプライドシステムズ社製) 2.0μl、滅菌水24.0μlを加えて総量を40.0μlに調製し、70℃で2時間反応させた。フェノールクロロホルム抽出およびエタノール沈殿による精製濃縮後、生成した沈殿に滅菌水20μlに溶解させてTベクター溶液を得た。尚、Tベクターは4℃下で保存した。
【0028】
b. マウス大脳皮質からの全RNAの抽出
P.Chomczynskiらの方法(Analytical Biochemistry, 162 : 156−159, 1987)に準じて全RNA を抽出した。すなわち、マウス大脳皮質を摘出後に液体窒素で凍結し、ハンマーで破砕して粉末状にした。この粉末75mgをグアニジン溶液 (4Mグアニジンチオシアネート、25mMクエン酸ナトリウム pH7.0、0.5%サルコシルナトリウム、0.1Mメルカプトエタノール) 500μlに溶解させ、これに2M酢酸ナトリウム溶液 (pH4.0) 50μl、DEPC水飽和フェノール(pH4.0) 50μl 、クロロホルム 100μl を加えて撹拌した後、4℃で15分間放置した。10,000×g で20分間の遠心分離後に水層を回収し、これに同容量の冷却したイソプロパノール600μlとグリコーゲン(20μg/ml) 2μl を加えて−20℃で1時間放置した。16,000×gで10分間の遠心分離により生成した沈殿は、グアニジン溶液 500μlに完全に溶解させて上記の過程を再度繰り返した。イソプロパノール沈殿で生成した沈殿にDEPC水50μl を加えて溶解させ全RNA 溶液を得た。最終的にマウス大脳皮質 0.3gから254μgの全RNAが得られた。
【0029】
c. RT−PCR法によるマウスSPARC遺伝子のクローニング
〔cDNA の合成〕
上記b.工程において得られた全RNA(2.5 μg/μl) 1.2μl にランダムプライマー(100ng/μl) 1.0μl、DEPC処理滅菌水2.8μlを加えて総量を5.0μlに調製し、70℃で10分間の熱変性処理をした。この溶液に5×緩衝液 (GIBCO BRL社製)2.0μl、0.1Mジチオスレイトール 2.0μl、1.25mM dNTP 8.0μl、SUPERSCRIPTTM II Reverse Transcriptase (200U/ μl) 1.0μlを加えて総量を20.0μlに調製し、42℃で2時間反応させた。さらに、70℃で15分間の加熱処理により逆転写酵素を完全に失活させて一本鎖cDNA溶液を得た。
【0030】
〔PCR反応〕
次いで、得られた一本鎖cDNA溶液 5.0μlに 10×PCR緩衝液 (PEアプライドシステムズ社製) 2.5μl、Ampli Taq DNA polymerase (5U/μl ) (PEアプライドシステムズ社製)0.25μl、1.25mM dNTP 8.0μl、60ng/μl プライマー1(5’−CCGAGAGTTCCCAGCATCAT−3’); 20mer、およびプライマー2(5’−TCAAACCAATTCACCAGTCT−3’ ); 20mer を各々2.5μl、滅菌水4.25μlを加えて総量を25.0μlに調製して反応液とした。次に、DNA Thermal cycler PJ2000 Model 480 (PEアプライドシステムズ社)を用いてPCR(変性反応;94℃、30秒、アニーリング反応;50℃、45秒、合成反応 ; 72℃、90秒;35サイクル)、続いて72℃で10分間伸長反応を行った。約1750bpのPCR産物を1%アガロースゲル電気泳動により分離精製し、ウルトラフリー MC フィルター(ミリポア社製)を用いてゲルより回収した。回収したPCR産物は DNA Ligation Kit Ver.2(宝酒造社製)を用いて上記Tベクターにサブクローニングした。尚、プライマーはマウスSPARC cDNA塩基配列(J.H. McVey et. al. Journal of Biochemistry 263 , 11111−11116, 1988)の一部に対応するオリゴヌクレオチド配列を化学合成することにより作製した。プライマー1および 2は各々SPARC cDNA塩基配列の72−91ならびに1801−1820に対応するオリゴヌクレオチド配列である。
【0031】
〔PCR産物のcDNA塩基配列の決定〕
上記PCR産物をサブクローニングしたTベクター(pBSK−SPARCベクター)はサイクルシークエンス法によりcDNA塩基配列を決定した。すなわち、QIAGEN plasmid Minikit (フナコシ社製)により精製した上記Tベクター1.5μg を鋳型として使用し、PRISM Ready Reaction Terminator Cycle Sequencing Kit (PEアプライドシステムズ社製)を用いてシークエンス試料を作製した。尚、PCRはDNA Thermalcycler PJ2000 Model 480 (PEアプライドシステムズ社)を用い、変性反応;96℃、30秒、アニーリング反応;50℃、15秒、合成反応 ; 60℃、240秒;25サイクルの条件下で行った。PCR産物は、エタノール沈殿によって未反応物を除去後、変性溶液(5mg/ml ブルーデキストラン、8.3mM EDTA pH 8.0、83.3%ホルムアミド)4.0μlに溶解させて90℃で2分間の熱変性処理を行った。その後直ちにABI 373Sシーケンサー(PEアプライドシステムズ社製)を用いてcDNA塩基配列の解析を行い、PCR産物がマウスSPARC cDNA塩基配列 (72−1820)を有することを確認した。
【0032】
d. pGEX 4T−1ベクターへのサブクローニング
上記 pBSK−SPARC ベクター(6.25μg/μl) 10μl に10×緩衝液4(NEB社製) 10μl、BamHI 2μl、XhoI (12 U/μl) 2μl、滅菌水 76μl を加えて総量を100μlにし、37℃で2時間反応させた。約1800bpのBamHI−XhoI挿入断片は、1%アガロースゲル電気泳動により分離精製後にGENE CLEAN II kit(フナコシ社製) を用いてゲルから回収してTE溶液 (Tris−HCl pH 8.0、0.5mM EDTA pH 8.0) 48μl に溶解させた。次に、このBamHI−XhoI挿入断片溶液 42μlに10×緩衝液4(NEB社製) 10μl、BspHI (10 U/μl) 2μl、SmaI (10 U/ μl) 2μl 、滅菌水44μl を加えて総量を100μlにし、37℃で2時間反応させた。約1500bpのBspHI−SmaI挿入断片は、1%アガロースゲル電気泳動により分離精製後にGENE CLEANII kit(フナコシ社製)を用いてゲルから回収しTE溶液 48μl に溶解させた。このBspHI−SmaI挿入断片(960ng) はDNA Blunting Kit(宝酒造社製)を用いて平滑末端化し、TE溶液10μlに溶解させて平滑末端化挿入断片溶液を得た。
【0033】
一方、pGEX−4T1ベクター (500ng/μl) (Pharmacia Biotech社製) 2μl に10×緩衝液4(NEB社製) 2μl、SmaI (10 U/μl) 1μl 、滅菌水 15μl を加えて総量を20μlにし、37℃で2時間反応させた。フェノールクロロホルム抽出およびエタノール沈殿による精製濃縮後、生成した沈殿に10×脱リン酸化緩衝液 (宝酒造社製)5μl 、子牛小腸由来アルカリフォスファターゼ (10 U/μl) 1μl 、滅菌水 44μl を加えて総量を50μlにし、37℃で15分間反応させて脱リン酸化処理を施した。52℃で15分間の熱処理を行って脱リン酸化酵素を失活させた後、フェノールクロロホルム抽出およびエタノール沈殿による精製濃縮を行った。生成した沈殿はTE溶液 20μl に溶解させて脱リン酸化処理pGEX−4T1ベクター溶液を得た。
【0034】
最後に、脱リン酸化処理pGEX−4T1ベクター溶液 20μlと平滑末端化挿入断片溶液10μlを混合後にエタノール沈殿による濃縮を行い、DNA Ligation Kit Ver.2(宝酒造社製)によりpGEX−4T1ベクターのSmaI部位にBspHI−SmaI平滑末端化挿入断片を連結させてpGEX−4T−SPARC ベクターを得た。尚、BspHI−SmaI平滑末端化挿入断片がpGEX−4T1ベクターに予定どうり組み込まれていることは、pGEX−4T−SPARC ベクターのBamHI−XhoI挿入断片をpBluescript SK(−) ベクター(STRATAGENE社製) のBamHI−XhoI部位にサブクローニングしてcDNA塩基配列解析を行うことにより確認した。
【0035】
e. pET32a(+)−SPARCベクターの作製
上記pGEX−4T−SPARC ベクター (0.25μg/μl) 40μl に10×緩衝液K(宝酒造社製)10μl、BamHI (10 U/μl) 2μl、XhoI (12 U/μl) 2μl、滅菌水46μl を加えて総量を100μlにし、37℃で2時間反応させた。BamHI−XhoI挿入断片を1%アガロースゲル電気泳動により分離精製し、GENE CLEAN II kit(フナコシ社製)を用いてゲルよりBamHI−XhoI挿入断片を回収し、TE溶液 48μl に溶解させた。pET32a(+)ベクター(Novagen社製)のBamHI−XhoI部位へサブクローニングした。最終的に得られたpET32a(+)−SPARCベクターはcDNA塩基配列解析を行って遺伝子読み枠が合っていることを確認した。尚、pET32a(+)−SPARCベクターの全cDNA塩基配列は配列番号4に、このベクターにより生産されるSPARC融合タンパク質の全アミノ酸配列は配列番号3及び図1に示す。また、以上のpET32a(+)−SPARCベクターの構築の概略を図2に示す。
【0036】
f. SPARC融合タンパク質の生産
上記pET32a(+)−SPARCベクターにて大腸菌AD494(DE3)を形質転換した。この大腸菌をOD560=0.6 まで37℃で3時間、30μg/mlのカナマイシンを含むLB溶液にて培養後、1mM IPTG存在下、20℃で6時間振盪培養を行った。菌体は、遠心分離(6,000×g, 30 分) により回収し、緩衝液A(5mM Imidazole, 500mM NaCl, 20mM Tris−HCl, pH7.9)20mlに懸濁させて超音波処理を行い、遠心分離(30,000×g, 30 分) により可溶性画分を回収した。この可溶性画分をHis Bind Resinカラム(Novagnen社) に添加後、緩衝液B(1M Imidazole, 500mM NaCl, 20mM Tris−HCl, pH7.9) にて吸着画分を溶出させた。溶出液は約1mlに濃縮後、緩衝液C(10mM Tris−HCl, pH7.4, 100mM NaCl, 0.1% NP−40) で一晩透析し、ゲル濾過カラム[Superdex 75 (Pharmacia 社製)]に添加した。緩衝液D(10mM Tris−HCl pH7.4, 100mM NaCl)を流速1ml/min で展開して5mlごとに分画を行い、保持時間40分の単一ピーク(画分8−10) を回収し、緩衝液Bで一晩透析した。この試料を10%SDS−pAGE で分離後にCBB 染色を行い、精製試料が25kDa の単一バンドで98% 以上の純度を有することを確認した(図3)。尚、収率はLB培養液1L当たり約1mgであった。
【0037】
【実施例】
【実施例1】
(1)脳内微量投与
既報(池本、瀧田 日本薬理学雑誌118、277−282、2001)に準拠した。ddYマウス(雄、7週齢)に、塩化ペントバルビタール80mg/kgを腹腔投与し、全身麻酔をかけた。手を叩いた音にマウスが反応しないことを確認後、マウスを脳固定装置(成茂科学株式会社)に固定し、眼科用はさみで、頭頂部から眼部付近まで正中線に沿ってマウスの皮膚を切開した。頭蓋全体を露出後、頭部を綿棒でこすって結合組繊を除去し、縫合交点を明瞭にさせた。脳固定装置の脳座標軸原点を縫合交点に合わせた後、頭蓋骨にインナーカニユーラ(ステンレスパイプ0.2¢、インターメディカル株式会社)の挿入口を設ける目的で、Bregma −1.80mm、Lateral±1.5O mmの位置に歯科用電気ドリルを用いて直径1mm程度の穴を2箇所開け、大脳皮質を傷つけないように硬膜に切れ目を入れた。インナーカニユーラを、両側の海馬CAl琴域の放線層(striatum radiatum)(Bregma −1.80mm、Lat6ral±1・5Omm、Ventral+1.20mm)に一定の速度で慎重に挿入した。0.04%NP−40を含む生理食塩水に溶解させたTrx−SPARCキメラ蛋白質溶液を0.1μ1/minの速度で5分間、総量にして2.5〜10pmolesを脳内微量投与した。
【0038】
脳内微量投与終了後、直ちに、インナーカニユーラを掃引し、手術部位にゼラチンパウダーを盛って止血処置を施した。 更に、義歯床リベース用樹脂トクリーリベースファースト(株式会社トクソー)を用いてカニユーラ挿入部位を閉塞後、アロンアルファーゼリー状瞬間接着剤(東亜合成化学株式会社)を用いて切開した皮膚を接着した。皮膚が完全に接着後、マウスを脳固定装置より取りはずし、飼育ケージに戻して回復処置を施した。術後2日日(48時間経過後)に、カイニン酸一水和物(和光純薬工業株式会社)を単回で20mg/kgを腹腔に投与後、動物行動測定を行った。動物行動測定は、90分間にわたって、30分毎に痙攣回数とjumping回数、よだれの回数、Wet dog shakeの回数を測定した。動物行動の評価の指標には、1)痙攣回数、2)痙攣スコア、3)痙攣程度(症状)を用い、解析データーは、統計学的処理を行って有意差検定を行った。
【0039】
痙攣回数は、測定時間内に持続痙攣に移行した場合には、カウントに含めなかった。また、痙攣程度は、カイニン酸投与後から4時間以上にわたり観察を行い、スコア化と症状の判定を行った。 持続性の痙攣については、痙攣が3時間以上に持続した場合のみを「持続痙攣」、痙攣が3時間未満に終息した場合については「一過性痙攣」と定義した。さらに、痙攣スコアおよび痙攣程度(症状)は、以下に示すように分類した。
【0040】
<痙攣スコア>
1)スコア0 無症状
2)スコア1 一過性痙攣(よだれ、Wet dog shakeを含む)
3)スコア2 一過性痙攣(3時間未満の持続性痙攣、jumpingを含む)
4)スコア3 持続性痙攣(3時間以上の持続性痙攣のみ)
5)スコア4 死亡
以上5段階
<痙攣程度(症状)>
1)None (無症状)
2)phasic(一過性痙攣)
3)status(持続性痙攣)
4)死亡
以上4段階
【0041】
(2) Trx−SPAR蛋白質脳内投与により誘導されるカイニン酸感受性の亢進
1)SPARCキメラ蛋白質脳内投与後からの経過時間とカイニン酸感受性
ddYマウス(雄、7週齢)の海馬放線層にTrx−SPARCキメラ蛋白質10pmolesを脳内微量投与してからの経過時間が、急性カイニン酸投与(20mg/kg、腹腔投与)により誘導される痙攣発作に及ぼす影響を検討した。痙攣回数は、脳内微量投与後2日目のTrx−SPARC蛋白質投与群においてのみ統計的に有意に増加し、その効果は脳内微量投与後3日日以降には全く認められなかった(図4)。痙攣スコアは、脳内微量投与後2日日のTrx−SPARC蛋白質投与群のみで統計的に有意に増加した(図5)。以上の結果は、カイニン酸に対する薬物感受性がTrx−SPARC蛋白質の脳内微量投与後2日日に著しく亢進していることを示している。
【0042】
2)SPARCキメラ蛋白質の脳内微量投与時間
痙攣回数は、Trx−SPARC蛋白質投与群のみで顆著に増加した(図6)。
また、この効果はTrx−SPARC蛋白質の熱処理により消失した(図6)。
痙攣回数の経時変化曲線は、Vehicle投与群およびTrx−tag蛋白質投与群では、60分を最高に右下がりの曲線となったが、Trx−SPARC蛋白質投与群のみが60分以後も右上がりの曲線となった(図7)。特に90分後における痙攣回数は、Trx−SPARC蛋白質投与群において顕著な増加が認められた(図7)。
痙攣スコアもTrx−SPARC蛋白質投与群のみで顆著に増加した(図8)。
【0043】
また、この効果は、熱処理したTrx−SPARC蛋白質脳内投与群では消失し、Vehicle脳内投与群およびTrx−tag蛋白質脳内投与群と同程度の痙攣スコアおよび痙攣症状しか認められなかった(図8,9)。
以上の結果は、カイニン酸に対する薬物感受性の亢進がTrx−SPARC蛋白質の脳内微量投与により特異的に誘導されることを示している。
【0044】
3)Trx−SPARC蛋白質用量依存性
痙攣回数は、Trx−SPARC蛋白質の脳内微量投与量に依存して増加し、7.5pmoles以上のTrx−SPARC蛋白質の脳内微量投与で飽和に達した(図10)。痙攣回数の経時変化曲線は、Trx−SPARC蛋白質の脳内微量投与量に依存的に上方に移動し、60−90分後に於いて、Trx−SPARC蛋白質の脳内投与量依存的な鋲著な差異が認められた(図11)。一方、痙攣スコアも同様に、Trx−SPARC蛋白質の脳内微量投与量に依存して増加し、7.5 pmoles以上のTrx−SPARC蛋白質の脳内微量投与により飽和に達した(図12,13)。以上の結果は、カイニン酸に対する薬物感受性はTrx−SPARC蛋白質の脳内微量投与量に依存して亢進することを示している。
【0045】
4)カイニン酸用量依存性
痙攣回数は、Trx−SPARC蛋白質投与群では、カイニン酸投与量に依存してに増加し、いずれの用量においてもvehicle脳内微量投与群ならびにTrx−tag脳内微量投与群と比較して統計的に顕著な有意な増加を示した(図14)。痙攣回数の経時変化曲線は、カイニン酸投与量に依存的に上方に移動し、60−90分後に於いてカイニン酸投与量に依存的な頼著な差異が認められた(図15)。痙攣スコアは、20mg/kg以下の用量のカイニン酸投与時には、Trx−SPARC蛋白質脳内微量投与量群のみで統計的有意差を認めたが、25mg/kgのカイニン酸投与時には、統計的有意差を認めなかった(図16,17)。以上の結果は、Trx−SPARC蛋白質の脳内微量投与により惹起されるカイニン酸に対する薬物感受性は、20mg/kg以下の用量を投与した場合には、カイニン酸投与量に依存して亢進することを示している。
【0046】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、SPARC蛋白質はGABA抑制性神経系異常によるてんかん発症機構に関連し、該タンパク質を過剰量脳内に存在せしめた本発明の新規てんかんモデル動物は、従来のてんかんモデル動物にはみられない発症機構を有するものであり、本発明は、特に難治性のてんかん症に対する新規医薬品や予防法の開発、あるいは新規薬物開発の基盤となるてんかん発症機構を解明するための基盤技術として極めて有用なものである。
【0047】
【配列表】
Figure 2005006563
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【図面の簡単な説明】
【図1】SPARC融合タンパク質の全アミノ酸配列を示す図である。
【図2】pET32(+)−SPARCベクターの構築を示す図である。
【図3】参考例のSPARC融合タンパク質の生産工程において得られた精製試料のSDS−PAGEの結果を示す写真である。
【図4】SPARC融合タンパク質、生理的食塩水およびチオレドキシン(Trx)をそれぞれ脳内投与後、カイニン酸−一水和物を投与した場合における、痙攣回数の経時変化を測定した結果を示すグラフである。
【図5】SPARC融合タンパク質、生理的食塩水およびチオレドキシン(Trx)をそれぞれ脳内投与後、カイニン酸一水和物を投与した場合における、痙攣スコアの経時変化を測定した結果グラフである。
【図6】SPARC融合タンパク質、熱処理SPARC融合タンパク質、チオレドキシン(Trx−Tag)およびベヒクルのみそれぞれ脳内投与後、カイニン酸一水和物をそれぞれ投与した場合における、カイニン酸一水和物を投与後90分間の各合計痙攣回数を示すグラフである。
【図7】SPARC融合タンパク質、熱処理SPARC融合タンパク質、チオレドキシン(Trx−Tag)およびベヒクルのみそれぞれ脳内投与後、カイニン酸一水和物をそれぞれ投与した場合における、痙攣回数の経時変化を測定した結果を示すグラフである。
【図8】SPARC融合タンパク質、熱処理SPARC融合タンパク質、チオレドキシン(Trx−Tag)およびベヒクルのみそれぞれ脳内投与後、カイニン酸一水和物をそれぞれ投与した場合における、カイニン酸一水和物を投与後90分間の各合計痙攣スコアを示すグラフである。
【図9】SPARC融合タンパク質、熱処理SPARC融合タンパク質、オレドキシン(Trx−Tag)およびベヒクルのみそれぞれ脳内投与後、カイニン酸一水和物をそれぞれ投与した場合における、カイニン酸一水和物を投与後90分間に呈した各痙攣程度の割合を示すグラフである。
【図10】SPARC融合タンパク質を脳内投与後、カイニン酸一水和物を投与した場合における、SPARC融合タンパク質の投与量とカイニン酸一水和物を投与後90分間に呈した痙攣回数との関係を示すグラフである。
【図11】SPARC融合タンパク質を脳内投与後、カイニン酸一水和物を投与した場合において、SPARC融合タンパク質の各投与量毎に痙攣回数の経時変化を測定した結果を示すグラフである。
【図12】SPARC融合タンパク質を脳内投与後、カイニン酸一水和物を投与した場合における、SPARC融合タンパク質の投与量とカイニン酸一水和物投与後90分間に呈した痙攣スコアの関係を示すグラフである。
【図13】SPARC融合タンパク質を脳内投与後、カイニン酸一水和物をそれぞれ投与した場合における、カイニン酸一水和物を投与後90分間に呈した各痙攣程度の割合をSPARC融合タンパク質の投与量毎に測定したグラフである。
【図14】SPARC融合タンパク質、チオレドキシン(Trx−Tag)およびベヒクルをそれぞれ脳内投与後、カイニン酸一水和物をそれぞれ投与した場合における、カイニン酸一水和物の投与量と痙攣回数の関係を示すグラフである。
【図15】SPARC融合タンパク質を脳内投与後、カイニン酸一水和物を投与した場合において、カイニン酸一水和物の各投与量毎に痙攣回数の経時変化を測定した結果を示すグラフである。
【図16】SPARC融合タンパク質をそれぞれ脳内投与後、カイニン酸一水和物をそれぞれ投与した場合における、カイニン酸一水和物の投与量と痙攣スコアの関係を示すグラフである。
【図17】SPARC融合タンパク質を脳内投与後、カイニン酸一水和物を投与した場合における、カイニン酸一水和物を投与後90分間に呈した各痙攣程度の割合をカイニン酸一水和物の投与量毎に測定したグラフである。

Claims (10)

  1. 脳内におけるSPARC蛋白質量が過剰量存在していることを特徴とする、てんかんモデル動物。
  2. SPARC蛋白質が脳内投与されたものである、請求項1に記載のてんかんモデル動物。
  3. 脳内におけるSPARC蛋白質の存在量が、SPARC蛋白質をコードする遺伝子の脳内発現量の増大により、増大せしめられていることを特徴とする、請求項1に記載のてんかんモデル動物。
  4. SPARC蛋白質をコードする遺伝子が脳内に導入されていることを特徴とする、請求項3に記載のてんかんモデル動物。
  5. SPARC蛋白質からなる、てんかんモデル動物を作出するための材料。
  6. SPARC蛋白質をコードする遺伝子からなる、てんかんモデル動物を作出するための材料
  7. SPARC蛋白質をコードする遺伝子が保持されたベクターからなる、てんかんモデル動物を作出するための材料。
  8. SPARC蛋白質を脳内投与することを特徴とする、てんかんモデル動物を作出する方法
  9. SPARC蛋白質をコードする遺伝子を脳内に導入することを特徴とする、てんかんモデル動物を作出する方法
  10. 請求項1〜4のいずれかに記載のてんかんモデル動物に被験薬剤およびカイニン酸を投与し、該被験薬剤の、カイニン酸投与により生ずるてんかん症状の抑制を指標にして、該被験薬剤の抗てんかん作用を検定することを特徴とする抗てんかん薬剤のスクリーニング方法。
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