JP2005005169A - α線を用いた除電装置 - Google Patents

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忠弘 大見
Hitoshi Naito
均 内藤
Makoto Moriguchi
誠 森口
Kenji Ueda
建治 上田
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Abstract

【課題】α線照射により電離生成される雰囲気イオンの内、除電対象物表面の帯電電荷と逆極性の雰囲気イオンを効率よく除電対象物表面に接触させることを可能としたα線を用いた除電装置を提供すること。
【解決手段】遮蔽箱(10)内におけるα線照射により電離生成された雰囲気イオンを、イオン放出用開口(100)から遮蔽箱外へと放出して除電対象物(M)に接触させることにより、除電対象物の帯電電荷を中和するようにしたα線を用いた除電装置において、遮蔽箱(10)内にイオン吸引電極として機能する導体を設ける。この例では、遮蔽箱(10)全体がアルミニウム(導体)で構成されており、遮蔽箱(10)の内壁面が導体として機能する。そして、導体の電位を遮蔽箱内残留イオンの電荷極性と反対極性の所定電位に設定する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、半導体ウェハや液晶用ガラス基板等の製造過程で製品表面に発生する静電気をα線照射により生成される雰囲気イオンを用いて除電するようにしたα線を用いた除電装置に係り、特に、製品表面の帯電電荷と逆極性の雰囲気イオンを効率よく製品表面に接触させるようにしたα線を用いた除電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウェハ、液晶用ガラス基板、磁気ディスク・光ディスク用基板、プリント基板、各種フィルム等の製品の製造過程にあっては、部品間摩擦等によりその表面に帯電(静電気)が生じることが知られている。このようにして生じる帯電は、半導体ウェハであれば素子の破壊、製品の性能劣化或いはゴミ(微粒子)の付着による表面汚染の要因ともなり得る。
【0003】
そこで、昨今では、このような帯電の除去装置として、雰囲気イオン化源を用いた除電装置が種々用いられるようになっている。例えば、イオン放出用開口を残して周囲を閉ざされた遮蔽箱と、この遮蔽箱内に収容される1又は2以上の雰囲気イオン化源とを有し、各雰囲気イオン化源により電離生成される雰囲気イオンをイオン放出用開口から放出して除電対象物に接触させるようにした除電装置が知られている。イオン化源としては、コロナ放電のためのタングステン電極、紫外線放射のためのUVランプ、或いは軟X線照射のための軟X線放電管等が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
コロナ放電を用いる除電装置では、タングステン電極に高電圧を印加することによって、所定強度以上の電界を電極先端部に発生させる。これにより、雰囲気中にイオンを発生させ、このイオンにより除電対象物表面の帯電(電荷)を中和する。
【0005】
また、紫外線を用いる除電装置は、UVランプにより紫外線を雰囲気中に照射し、これにより雰囲気中の分子がイオン化される作用を利用したものであり、雰囲気としては、例えば窒素ガスが使用される。
【0006】
また、軟X線を用いたものは、軟X線放電管を使用して軟X線を雰囲気中に照射するものであり、これにより雰囲気中の分子をイオン化するものである。
【0007】
ところで、上述の除電装置のうち、コロナ放電、紫外線を用いる除電装置にあっては、除電対象物の損傷の要因となるオゾンが発生するといった問題があり、また、コロナ放電、紫外線及び軟X線を用いる除電装置にあっては、メンテナンスが煩雑でかつ寿命の比較的短いタングステン電極やUVランプ、放電管等を用いらなければならないといった問題があるため、利用に踏み切り難いという欠点が指摘されており、昨今では、α線を使用した除電装置が提案されるに至っている。
【0008】
α線を用いた除電装置では、一般には、α線源としてのアメリシウム又はポロニウムの薄片が遮蔽箱内に設置される。この薄片からは常時α線が照射され、これにより、雰囲気中にイオンが電離生成される。
【0009】
このα線を用いた除電装置では、メンテナンスが煩雑でかつ寿命の比較的短いという欠点を有する放電管等に代えて、半減期の長い(寿命の長い)α線源(雰囲気イオン化源)が用いられており、またオゾンが発生される虞もないため、製品の汚染回避やメンテナンスの容易さといった点で有利であり、昨今、様々なものが提案されている(例えば、特許文献2,3参照)
【0010】
【特許文献1】
特開2001−176691号公報
【特許文献2】
特開平7−45297号公報
【特許文献3】
特開平7−211483号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来のα線を用いた除電装置にあっては、除電対象物表面の帯電電荷とのクーロン力によって、α線照射により生成される雰囲気イオンの内、逆極性の雰囲気イオンが帯電電荷に引き寄せられて帯電電荷の中和が行われている。このため、これが所定時間継続されると、除電対象物表面近傍には、帯電電荷と同極性の雰囲気イオンが過剰に残留し、その結果、除電対象物表面の帯電電荷に新たに引き寄せられるべき(除電に寄与する)逆極性の雰囲気イオンが、そのように過剰に残留した雰囲気イオンに先に吸着されてしまい、除電対象物表面の帯電電荷に接触されにくくなるという事態が生じることが知見されている。
【0012】
図6は、上記のような従来のα線を用いた除電装置における問題点を解説するための模式図である。同図において、符号aはα線遮蔽箱を、符号bはα線源を、符号cは除電対象物をそれぞれ示している。また、黒丸(●)はプラスの電荷を有する雰囲気イオンを、白丸(○)はマイナスの電荷を有する雰囲気イオンをそれぞれ示しているものとする。同模式図に示されるように、例えば、除電対象物cの表面がプラスに帯電されている場合、α線照射により生成された雰囲気イオンの内、除電対象物表面の帯電電荷と逆極性のマイナスの電荷を有する雰囲気イオンは、除電対象物表面に引き寄せられ、これにより、帯電電荷の中和が行われる。この結果、同図符号dの”囲み”で示されるように、帯電電荷と同極性のプラスの電荷を有する雰囲気イオンが余剰となってイオン放出用開口付近に存在することとなる。結果、除電対象物表面の帯電電荷に新たに引き寄せられるべきマイナスの極性を有する雰囲気イオンが、そのように過剰に残留したプラス極性の雰囲気イオンに先に吸着されてしまい、除電対象物表面の帯電電荷に接触されにくくなるという事態が生じる。
【0013】
加えて、このように、帯電電荷と同極性の雰囲気イオンが過剰に残留した状態が維持され続けると、残留イオンが除電対象物表面に付着して再び帯電させてしまうという虞がある。
【0014】
この発明は、上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、α線照射により電離生成される雰囲気イオンの内、除電対象物表面の帯電電荷と逆極性の雰囲気イオンを効率よく除電対象物表面に接触させることを可能としたα線を用いた除電装置を提供することにある。
【0015】
この発明のさらに他の目的乃至作用効果については、以下の明細書の記載を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のα線を用いた除電装置は、遮蔽箱内におけるα線照射により電離生成された雰囲気イオンを、イオン放出用開口から遮蔽箱外へと放出して除電対象物に接触させることにより、除電対象物の帯電電荷を中和するようにしたα線を用いた除電装置を前提とする。
【0017】
特徴的な点は、遮蔽箱内に残留イオンを吸引する導体を設けたことにある。
【0018】
『導体を設けた』とあるが、遮蔽箱が導体で構成されている場合には、遮蔽箱そのものを導体とすることもできる。
【0019】
『残留イオン』とは、除電対象物の帯電電荷と雰囲気イオンとの中和が行われた結果、余剰となった雰囲気イオン、すなわち除電対象物の帯電電荷と同極性の電荷を有する雰囲気イオンを意味している。
【0020】
このような構成によれば、α線照射により電離生成される雰囲気イオンの内、除電対象物表面の帯電電荷と同極性の雰囲気イオンを導体で吸引して除電対象物表面近傍から速やかに除去することができ、結果、除電対象物表面の帯電電荷と逆極性の雰囲気イオンを効率よく除電対象物表面に接触させることが可能となる。
【0021】
本発明のα線を用いた除電装置において、好ましくは、導体は遮蔽箱内におけるイオン放出用開口の奥方に設けられ、接地される。
【0022】
このような構成によれば、接地された導体と帯電した除電対象物との間にはイオン放出用開口を通り抜けるようにして電界が形成され、導体と除電対象物との間に存在する残留イオンは導体へと吸引されて遮蔽箱の奥方へと進む一方、除電に寄与する極性の雰囲気イオンは帯電している除電対象物へと吸引されていく。すなわち、このような構成によれば、より一層効率良く、除電対象物の帯電電荷と逆極性の電荷を有する雰囲気イオンを除電対象物へと接触させることができる。
【0023】
本発明のα線を用いた除電装置において、好ましくは、導体は、イオン放出用開口を覆うメッシュ形状の導体で、接地される。
【0024】
『メッシュ形状の導体』は、導体部分と隙間部分とが全体に分散して存在するような導体で、その隙間部分からはイオンが通過し、導体部分は全体が電気的につながっていて1つの導体を形成している。これには、網状の金属や、微小な穴を均一に空けた金属板、細長い金属もしくは金属線を隙間を空けて並べたものなどを含む。
【0025】
メッシュ形状の導体が『イオン放出用開口を覆う』には、メッシュ形状の導体が、開口を直接覆っている場合や、開口を覆ってはいるが開口とは離れて除電対象物に近い位置にある場合をも含む。
【0026】
本発明のα線を用いた除電装置において、好ましくは、イオン放出用開口を覆うメッシュ形状の導体から接地地点へ流れる電流をモニタする手段を有する。
【0027】
α線照射により電離生成された雰囲気イオンは、正と負の電荷がそれぞれ等量で生じることから、除電対象物近傍にある残留イオンの電荷量は除電対象物を除電した電荷量と等しい。従ってモニタされる電流は単位時間当たりに除去される残留イオンの電荷量であり、単位時間当たりに除電対象物を除電した電荷量と等量もしくはそれと相関を持った値となる。このように電流値をモニタすることにより、除電した単位時間当たりの電荷量もしくはそれに相関のある電荷量を知ることができる。また、電流値が0もしくは、除電対象物が帯電していないとみなせる場合に流れる電流程度の電流値となれば除電が完了したと判別することもできる。
【0028】
本発明のα線を用いた除電装置において、好ましくは、イオン放出用開口を覆うメッシュ形状の導体であってインピーダンスを介して接地され、その導体の電位をモニタする手段を有する。
【0029】
このような構成によれば、メッシュ形状の導体の電位をモニタすることにより、既知のインピーダンスの値を用いて換算すれば除電した単位時間当たりの電荷量もしくはそれに相関のある電荷量を知ることができる。電流を測定する必要がなく、電位を測定すればよいので実現が容易となる。また、メッシュ形状の導体の電位が接地電位もしくは、除電対象物が帯電していないとみなせる程度の電位となれば除電が完了したと判別することができる。
【0030】
本発明のα線を用いた除電装置において、好ましくは、遮蔽箱内におけるイオン放出用開口の奥方に設けられ、残留イオンを吸引する第1の導体と、イオン放出用開口を覆うメッシュ形状の導体であって当該位置の電位をモニタするための第2の導体と、を備え、第2の導体の電位をモニタし、その電位の極性に対して逆極性の電位を第1の導体に印加する。
【0031】
このような構成によれば、残留イオンの存在状態を第2の導体を通じてモニタすることができ、モニタ結果に応じた逆極性の電位を第1の導体に印加することができる。すなわち、第1の導体に対して残留イオンを吸引するための電位を積極的に与えることにより、残留イオンを除電対象物表面近傍から速やかに除去することができるとともに、除電対象物表面の帯電電荷と逆極性の電荷を有する雰囲気イオンに対しては、反発作用を生じさせることから、第1の導体を接地した場合と比べ、さらに効率良く除電対象物表面に接触させることが可能となる。
【0032】
また、さらに好ましくは、第2の導体の電位に基づいて除電の完了を判別する手段を有する。
【0033】
これには、第2の導体の電位が接地電位もしくは除電対象物が帯電していないとみなせる程度の範囲の電位となったことを判別する場合を含む。除電対象物が帯電していないとみなせる程度の範囲の電位は、所与の値としても良いし、設定手段によって設定できるようにしても良い。
【0034】
尚、第1の導体の電位を接地電位に固定した状態で第2の導体に誘起される電位をモニタし、そのときに検出される第2の導体の電位が接地電位もしくは除電対象物が帯電していないとみなせる程度の所与の範囲の電位となるまで、第2の導体の電位の極性に対して逆極性の電位をその後に第1の導体に印加する、という動作を繰り返すようにしてもよい。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るα線を用いた除電装置の好適な実施の一形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下の実施の形態は本発明の一例を示すものに過ぎず、言うまでもなく、本発明の要旨は特許請求の範囲によってのみ規定されるものである。
【0036】
本実施形態におけるα線を用いた除電装置(以下、α線除電装置という)の構成が図1に示されている。
【0037】
本実施の形態のα線除電装置は、上面開口100(イオン放出用開口)を有する略直方体状の中空のα線遮蔽箱10と、上面開口100付近の電位検出並びにα線遮蔽箱10への電圧印加を行うための制御回路200とで概略構成されている。尚、同図中、符号Mは、α線遮蔽箱10の上面開口100の直近を移動される除電対象物を示している。除電対象物としては、例えば、半導体ウェハ、液晶用ガラス基板、磁気ディスク・光ディスク用基板、プリント基板、各種フィルム等が挙げられる。
【0038】
同図では、断面図として描かれているが、α線遮蔽箱10の底壁面(上面開口と対向する壁体)には、α線源としてのアメリシウム薄片20が配置されている。このアメリシウム薄片20からは、飛距離約4cmのα線が常時照射されており、これにより、上面開口100付近が電離生成領域となり、この雰囲気イオンを上面開口100から自然放出させて除電対象物Mに接触させることで、除電対象物Mの表面に生じた帯電電荷を中和するものである。
【0039】
α線遮蔽箱10は、全体がアルミニウムで構成されており、その側壁には、制御回路200を構成する電圧発生回路16に通じる導線が接続されている。これにより、α線遮蔽箱の内壁面(奧方全体)が、イオン吸引電極(第1の導体)として機能されるように構成されている。
【0040】
α線遮蔽箱10の上面開口100は、メッシュ又は格子状の金網30で覆われている。この金網30には、制御回路200を構成するコンデンサ11に通ずる導線が接続されている。これにより、金網30が、上面開口100付近の雰囲気イオンに起因して生じる電位のモニタ電極(第2の導体)として機能されるように構成されている。
【0041】
制御回路200は、金網30に吸着される電荷を蓄積するコンデンサ11と、このコンデンサ11の両端電圧の差分を増幅する差動増幅回路12と、差動増幅回路12の出力を所定のしきい値(プラス側しきい値とマイナス側しきい値)と比較してプラス(+)、マイナス(−)の双方の出力を生成するコンパレータ13と、コンパレータ13からの2種類の出力状態をそれぞれ保持する保持回路15と、コンパレータ13と保持回路15との間に介在されるゲート14と、所定の間隔でサンプリング信号(ゲート開タイミング信号)をゲート14に与えると共に、所定の間隔でスイッチ信号を保持回路15に与えるタイミング信号生成回路17と、スイッチ信号の入力時間帯に保持回路15からの出力が入力され、この入力に基づきα線遮蔽箱10に電圧を印加する電圧発生回路16とを有して構成される。尚、同図中、それぞれ符号R1〜R5で示されるのは、抵抗である。
【0042】
制御回路200の動作を図2のタイミングチャートを参照しつつ説明する。図2は、差動増幅回路12からの出力電圧(検出電圧)と、各回路要素の動作との関係を示すものである。
【0043】
同図中(a)は金網30をモニタ電極として得られる検出電圧(差動増幅回路12の出力電圧)を、同図中(b)はコンパレータ13の出力状態を、同図中(c)はタイミング信号生成回路17から出力されるサンプリング信号の生成タイミングを、同図中(d)は保持回路15の出力保持状態を、同図中(e)はタイミング信号生成回路17から出力されるスイッチ信号の生成タイミングを、同図中(f)は電圧発生回路16からα線遮蔽箱10に印加される電圧極性をそれぞれ示している。
【0044】
同図には、検出電圧が同図(a)の符号Vで示される曲線を描いて変化するときの各回路要素の動作が現されている。この検出電圧の変化は、モニタ電極(金網30)の電位の変化、すなわち、上面開口100付近の雰囲気イオン(もっぱら残留イオン)の存在量に起因して生じるものである。尚、同図(a)に符号TH1,TH2で示されるのは、それぞれ、コンパレータ13におけるプラス側しきい値TH1及びマイナス側しきい値TH2である。
【0045】
同図(b)に示されるように、コンパレータ13の出力状態は、検出電圧Vがプラス側しきい値TH1を上回っている間はプラス側出力がONに、検出電圧Vがマイナス側しきい値TH2を下回っている間はマイナス側出力がONとなる。また、検出電圧が両しきい値の間にあるときは、出力はなされない。
【0046】
同図(c)に示されるように、タイミング信号生成回路17からゲート14に与えられるサンプリングタイミングは、一定間隔で生成される。同図(d)から明らかなように、保持回路15においては、このサンプリング信号がゲート14に与えられている間、コンパレータ13からの出力が入力され、保持(ラッチ)される。
【0047】
同図(e)に示されるように、タイミング信号生成回路17から保持回路15に与えられるスイッチ信号は、一定間隔で生成される。ここで、同図(b)との比較から明らかなように、タイミング信号生成回路17では、サンプリング信号とスイッチ信号とが、時間的に重複することなく交互に生成されている。
【0048】
保持回路15は、スイッチ信号が与えられている間、電圧発生回路16に保持状体信号を出力する。同図(f)から明らかなように、電圧発生回路16は、保持回路15からの出力(保持状態)がプラス側のとき、α線遮蔽箱10にマイナスの電圧を印可し、マイナス側のとき、α線遮蔽箱10にプラスの電圧を印加する。尚、スイッチ信号が保持回路15に与えられていないとき、すなわち、この例では、サンプリング信号が生成されているときは、α線遮蔽箱10への印加電圧は常時ゼロボルトに固定されている。
【0049】
上述の回路要素の動作内容から、以下のことが分かる。
(1)α線遮蔽箱(第1の導体)の電位をゼロボルトに固定した状態で金網30(第2の導体)に誘起される電位が検出(モニタリング)されている。より具体的には、サンプリング信号が生成されているとき、モニタ電極(金網30)を介して、上面開口100付近に残留する雰囲気イオンの存在状態が、コンパレータ13の出力を通じてモニタリングされている。
(2)第2の導体(金網30)により検出される電位の極性に応じた極性を有する所定電圧がα線遮蔽箱10(第1の導体)に印加する電位設定手段が設けられている。具体的には、スイッチ信号が生成されているとき、直前に生成されたサンプリングタイミング生成時のコンパレータ13の出力状態に応じた電圧が、電圧発生回路16からα線遮蔽箱10に印加される。より具体的には、直前に生成されたサンプリングタイミング時のコンパレータ13の出力がプラス側ONのとき、直後に生成されるスイッチ信号生成時にマイナスの電圧が印加される。逆に、直前に生成されたサンプリングタイミング時のコンパレータ13の出力がマイナス側ONのときには、直後に生成されるスイッチ信号生成時にプラスの電圧が印加される。また、検出電圧がコンパレータ13に設定された両しきい値(TH1,TH2)の間にあるときは、コンパレータ13からの出力はなされない。この状態は、除電対象物が帯電していないとみなせるので、これをもって除電が完了したと判別することができる。
【0050】
このように、本実施形態では、α線遮蔽箱10の上面開口100を覆うモニタ電極(金網30)を通じて、上面開口100付近(電離生成領域)の残留イオンの存在状態をモニタリングすると同時に、モニタリング結果に応じた極性の電圧をα線遮蔽箱10に印加することにより、上面開口100付近の雰囲気イオンの存在状態を適宜コントロールするようにしている。
【0051】
このようなα線遮蔽箱10(第1の導体)への電圧印加により生じる雰囲気イオンの動きが図3の模式図により示されている。
【0052】
同図(a)は、α線遮蔽箱10にマイナスの電圧を印加したときの状態を示すものである。尚、同図において、黒丸(●)はプラスの電荷を有する雰囲気イオンを、白丸(○)はマイナスの電荷を有する雰囲気イオンをそれぞれ示しているものとする。
【0053】
同図(a)に示される状態は、モニタリングにより、モニタ電極付近にプラスの電荷を有する雰囲気イオンが所定量以上存在すると判定された結果、すなわち、図2のしきい値TH1を超える検出電圧Vが検出された結果、α線遮蔽箱10にマイナスの電圧が印加された状態である。このような状態は、除電対象物Mの表面の帯電電荷がプラスであり、マイナスの電荷を有する雰囲気イオンが帯電電荷との中和により大凡消滅した結果、プラスの電荷を有する雰囲気イオンが余剰となって、モニタ電極付近に存在することにより生じる。
【0054】
本実施形態では、このような場合に、α線遮蔽箱10にマイナスの電圧を印加することにより、電界を生じさせ、プラスの電荷を有する雰囲気イオンをα線遮蔽箱10の内壁面(第1の導体)に吸い寄せることで、マイナスの電荷を有する雰囲気イオン(除電対象物表面の帯電電荷と逆極性の雰囲気イオン)を、より効率よく除電対象物表面に接触させることを可能としている。
【0055】
また、同図(b)は、α線遮蔽箱10にプラスの電圧を印加したときの状態を示すものである。尚、同図において、黒丸(●)はプラスの電荷を有する雰囲気イオンを、白丸(○)はマイナスの電荷を有する雰囲気イオンをそれぞれ示しているものとする。
【0056】
同図(b)に示される状態は、モニタリングにより、モニタ電極付近にマイナスの電荷を有する雰囲気イオンが所定量以上存在すると判定された結果、すなわち、図2のしきい値TH2を下回る検出電圧Vが検出された結果、α線遮蔽箱10にプラスの電圧が印加された状態である。このような状態は、除電対象物Mの表面の帯電電荷がマイナスであり、プラスの電荷を有する雰囲気イオンが帯電電荷との中和により大凡消滅した結果、マイナスの電荷を有する雰囲気イオンが余剰となって、モニタ電極付近に存在することにより生じる。
【0057】
本実施形態では、このような場合に、α線遮蔽箱10にプラスの電圧を印加することにより、電界を生じさせ、マイナスの電荷を有する雰囲気イオンをα線遮蔽箱10の内壁面(第1の導体)に吸い寄せることで、プラスの電荷を有する雰囲気イオン(除電対象物表面の帯電電荷と逆極性の雰囲気イオン)を、より効率よく除電対象物表面に接触させることを可能としている。
【0058】
尚、除電対象物表面の帯電電荷と逆極性の雰囲気イオンを、効率よく除電対象物表面に接触させるためのα線所電装置の構成として、簡易なものとしては、以下に示す第1、第2、及び第3の応用例が挙げられる。
【0059】
第1応用例が図4(a)に示されている。同図は、α線除電装置の断面図である。この例では、略直方体状のα線遮蔽箱10の底壁面10と、アメリシウム薄片20との間に導体40が配置される。この導体40は、同図に示されるように、導線を介して接地されている。このような構成によれば、接地された導体40と帯電した除電対象物Mとの間にはイオン放出用開口100を通り抜けるようにして電界が形成される。その結果、導体40と除電対象物Mとの間に存在する残留イオンは導体40へと吸引されて遮蔽箱10の奥方へと進む一方、除電に寄与する極性の雰囲気イオンは帯電している除電対象物Mへと吸引されていく。すなわち、このような構成によっても、効率良く、除電対象物の帯電電荷と逆極性の電荷を有する雰囲気イオンを除電対象物へと接触させることができる。
【0060】
第2応用例が図4(b)に示されている。同図は、α線除電装置の断面図である。この例では、略直方体状のα線遮蔽箱10のイオン放出用開口100の直近にメッシュ状の金網30が配置されている。この金網30は、イオン放出用開口100を覆ってはいるが開口100とは若干離れて除電対象物に近い位置にある。そして、この金網30は、同図に示されるように、導線を介して接地されている。このような構成によれば、接地された金網30と、帯電した除電対象物Mとの間に電界が形成される。その結果、金網30と除電対象物Mとの間に存在する残留イオンは金網30へと吸引される一方、除電に寄与する極性の雰囲気イオンは帯電している除電対象物Mへと吸引されていく。すなわち、このような構成によっても、効率良く、除電対象物の帯電電荷と逆極性の電荷を有する雰囲気イオンを除電対象物へと接触させることができる。
【0061】
第3応用例が図5に示されている。同図は、α線除電装置の断面図である。この例では、略直方体状のα線遮蔽箱10の底壁面10に導体40が配置されている。この導体40は、同図に示されるように、導線を介して接地されている。この第3応用例の特徴点は、α線遮蔽箱10の両側側壁に1対のアメリシウム片20a,20bが対向配置されている点にある。同図中符号10a、10bで示されるのは、アメリシウム片20a,20bからのα線粒子の除電対象物Mへの直射を避けるための上壁である。このような構成によれば、効率良く、除電対象物の帯電電荷と逆極性の電荷を有する雰囲気イオンを除電対象物へと接触させることができることに加えて、1対のアメリシウム片20a,20bを採用することにより、雰囲気イオン生成効率を向上できるというメリットが得られる。
【0062】
このように、本実施形態によれば、α線照射により電離生成される雰囲気イオンの内、除電対象物表面の帯電電荷と同極性の雰囲気イオン(残留イオン)を除電対象物表面近傍から速やかに除去することができ、結果、除電対象物表面の帯電電荷と逆極性の雰囲気イオンを効率よく除電対象物表面に接触させることが可能となる。
【0063】
尚、上述の説明では、α線源としてアメリシウム薄片を用いたが、α線源としては、ポロニウム等の他のα線源を用いてもよい。
【0064】
また、上述の説明では、α線遮蔽箱そのものを第1の導体としたが、α線遮蔽箱に別途、第1の導体を配置するようにしてもよい。
【0065】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明の除電装置によれば、α線照射により電離生成される雰囲気イオンの内、除電対象物表面の帯電電荷と逆極性の雰囲気イオンを効率よく除電対象物表面に接触させることを可能としたα線を用いた除電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るα線除電装置の構成を示す図である。
【図2】検出電圧と回路動作との関係を示すタイミングチャートである。
【図3】第1の導体への電圧印加による雰囲気イオンの動きを説明するための模式図である。
【図4】本発明に係るα線除電装置の応用例を示す図(その1)である。
【図5】本発明に係るα線除電装置の応用例を示す図(その2)である。
【図6】従来のα線を用いた除電装置の説明図である。
【符号の説明】
10 α線遮蔽箱(第1の導体)
11 コンデンサ
12 差動増幅回路
13 コンパレータ
14 ゲート
15 保持回路
16 電圧発生回路
17 タイミング信号生成回路
20 アメリシウム薄片(α線源)
30 金網(第2の導体)
100 上面開口(イオン放出用開口)
M 除電対象物
R 抵抗

Claims (7)

  1. 遮蔽箱内におけるα線照射により電離生成された雰囲気イオンを、イオン放出用開口から遮蔽箱外へと放出して除電対象物に接触させることにより、除電対象物の帯電電荷を中和するようにしたα線を用いた除電装置において、
    遮蔽箱内に、残留イオンを吸引する導体を設けたことを特徴とするα線を用いた除電装置。
  2. 前記導体は、遮蔽箱内におけるイオン放出用開口の奥方に設けられ、接地されていることを特徴とする請求項1に記載のα線を用いた除電装置。
  3. 前記導体は、イオン放出用開口を覆うメッシュ形状の導体であり、接地されていることを特徴とする請求項1に記載のα線を用いた除電装置。
  4. イオン放出用開口を覆うメッシュ形状の導体から接地地点へ流れる電流をモニタする手段を有することを特徴とする請求項3に記載のα線を用いた除電装置。
  5. 前記導体は、イオン放出用開口を覆うメッシュ形状の導体であってインピーダンスを介して接地され、その導体の電位をモニタする手段を有することを特徴とする請求項1に記載のα線を用いた除電装置。
  6. 遮蔽箱内におけるイオン放出用開口の奥方に設けられ、残留イオンを吸引する第1の導体と、イオン放出用開口を覆うメッシュ形状の導体であって当該位置の電位をモニタするための第2の導体と、を備え、前記第2の導体の電位をモニタし、その電位の極性に対して逆極性の電位を前記第1の導体に印加することを特徴とする請求項1に記載のα線を用いた除電装置。
  7. 前記第2の導体の電位に基づいて除電の完了を判別する手段を有することを特徴とする請求項6に記載のα線を用いた除電装置。
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