JP2005004355A - 信号入力装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】操作範囲の境界部分における操作手段のふらつきに起因する処理の頻繁な変更を防止できる信号入力装置を得る。
【解決手段】本コントローラでは、操作ロッドの縦方向及び横方向の傾動位置を検出する両ポテンショメータの出力電圧に基づいて、基準位置を中心とした現在の位置までの距離の自乗に対応した値RVを演算する。さらに、値RVが値R3以上値R4未満の場合、すなわち、操作ロッドの位置がヒステリシスエリア内である場合には、その直前の信号UMが出力され、その結果、それまでの状態が維持される。これにより、操作ロッドが不用意に移動したり、ふらついたとしても、それまでと同じ画面操作が行なわれる。これにより、不用意で且つ頻繁に画面操作が変更されるという不具合を抑制又は防止できる。
【選択図】 図15
【解決手段】本コントローラでは、操作ロッドの縦方向及び横方向の傾動位置を検出する両ポテンショメータの出力電圧に基づいて、基準位置を中心とした現在の位置までの距離の自乗に対応した値RVを演算する。さらに、値RVが値R3以上値R4未満の場合、すなわち、操作ロッドの位置がヒステリシスエリア内である場合には、その直前の信号UMが出力され、その結果、それまでの状態が維持される。これにより、操作ロッドが不用意に移動したり、ふらついたとしても、それまでと同じ画面操作が行なわれる。これにより、不用意で且つ頻繁に画面操作が変更されるという不具合を抑制又は防止できる。
【選択図】 図15
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載されたカーナビゲーション装置等の各種装置の制御手段に操作信号を入力するための信号入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の車両には、複数の人工衛星からの電波を受信して車両の現在位置を演算し、この演算結果に基づき車両室内に設けられたテレビ等のモニタ手段の画面に車両の現在位置及びその周辺の地図画像を表示する所謂「カーナビゲーション装置」を設置することが多くなっている。
【0003】
また、この種のカーナビゲーション装置は、目的地や経由地等を予め設定しておき、現在位置から経由地や目的地まで、所望の条件に適したルートを演算し、モニタ手段の画面に表示したり、音声にてガイドする機能が付加されている。
【0004】
ところで、上記のように目的地や経由地を設定する際には、モニタ手段の画面に表示された現在位置近傍の地図を、目的地や経由地の近傍の地図に切り替えなければならない。このような地図画面の切り替えには、様々な方法があるが、その一例としては、カーナビゲーション装置のコントローラで地図画面をスクロール操作する方法がある。
【0005】
このスクロール操作は、地図の画像データをモニタ手段の画面上で目的地や経由地とは逆方向に移動させ、目的地や経由地側で画面の表示範囲から外れていた画像データを表示範囲内に移動させ、それまで表示範囲内にあった画像データを表示範囲外に移動させる。これにより、あたかも目的地や経由地の方向に画面が移動しているように見え、現在位置に対する経由地や目的地の方向や距離が概ね既知である場合には簡単で有効な地図画面の切り替え方法である。
【0006】
以上のような機能を有するカーナビゲーション装置に適用されるコントローラの形態も様々であるが、その一例としては、所謂「ジョイスティック・タイプ」のコントローラがある(ジョイスティック・タイプのコントローラの一例としては、下記特許文献1を参照)。
【0007】
下記特許文献1に開示されたジョイスティック・タイプのコントローラは、略棒形状のジョイスティックを備えている。ジョイスティックは基端側を軸にして軸方向を傾斜させる方向へ傾動可能となっている。また、このコントローラは、一対のポテンショメータを備えている。一対のポテンショメータの一方は、ジョイスティックの前後方向の傾動角度に応じて出力する電圧が変化するように設けられ、他方のポテンショメータはジョイスティックの左右方向の傾動角度に応じて出力する電圧が変化するように設けられている。
【0008】
この一対のポテンショメータの各出力電圧から、ジョイスティックの傾動方向が検出される。
【0009】
例えば、このようなジョイスティック・タイプのコントローラによって上記のような画面のスクロール操作を行なう場合には、ジョイスティックをモニタ手段の画面上においてスクロールしたい方向に対応した方向へジョイスティックを押圧して傾動させる。ジョイスティックが傾動したことは一対のポテンショメータの各出力電圧の電圧値に基づいて検出され、この電圧値に対応した信号がECU等の制御部に入力されると、上述したような画像データの移動が開始される。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−188626公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようなポテンショメータを使用した場合には、ジョイスティックの傾動角度が所定の角度に達した場合にスクロール速度を変える等の様々な応用が可能になる。
【0012】
しかしながら、上記の所定角度を境にスクロール速度が変わる等の構成にすると、その境の近傍でジョイスティックがふらつくと、スクロール速度等が頻繁に変化し、操作者が不快感を抱く可能性がある。
【0013】
本発明は、上記事実を考慮して、操作範囲の境界部分における操作手段のふらつきに起因する処理の頻繁な変更を防止できる信号入力装置を得ることが目的である。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明に係る信号入力装置は、制御手段に操作信号を入力するための信号入力装置であって、外縁が略円形又は略楕円形の可動範囲の中央側から前記外縁までの間で変位可能な操作手段と、前記操作手段の位置を検出する位置検出手段と、前記操作信号を前記位置検出手段が検出した前記操作手段の位置に応じたレベルで出力する信号出力手段と、前記可動範囲の内側に設定された略円形又は略楕円形の第1境界位置と前記第1境界位置よりも前記外縁側に設定された第2境界位置との間のヒステリシスエリア内に前記操作手段が前記第1境界位置及び前記第2境界位置の何れか一方の側から変位した際の前記操作手段の位置の変化を前記位置検出手段が検出した場合に、前記制御手段に入力する前記操作信号を前記何れか一方の位置に対応した操作信号に維持する信号維持手段と、を備えることを特徴としている。
【0015】
請求項1に記載の本発明に係る信号入力装置によれば、操作手段の位置は位置検出手段によって検出される。したがって、円形又は略楕円形に設定された可動範囲内で操作手段を変位させると、この変位による操作手段の位置に変化が位置検出手段によって検出される。位置検出手段により操作手段の位置が検出されると、この位置検出手段での検出結果、すなわち、操作手段の位置に応じた操作信号が信号出力手段から出力され、直接又は間接的に制御手段に入力される。
【0016】
また、本発明に係る信号入力装置では、可動範囲の内側に略円形又は略楕円形の第1境界位置が設定され、更に、この第1境界位置の外側に略円形又は略楕円形の第2境界位置が設定される。この第1境界位置と第2境界位置との間はヒステリシスエリアとされ、第1境界位置及び第2境界位置の何れか一方の側からヒステリスエリア内に操作手段が変位すると、この変位に伴う操作手段の位置の変化が位置検出手段によって検出される。
【0017】
本来であれば、このような場合には、ヒステリシスエリア内での操作手段の位置に対応した操作信号が制御手段に入力されるが、本発明に係る信号入力装置では、このような場合、信号維持手段によって上記の何れか一方、すなわち、第1境界位置及び第2境界位置のうち、操作手段がヒステリシスエリア内に変位する直前の境界位置に対応した操作信号で維持される。
【0018】
さらに、ヒステリシスエリア内において操作信号が維持された状態から、第1境界位置及び第2境界位置の何れか他方の境界位置に操作手段が変位すると、制御手段に入力される操作信号が、それまで維持されていた何れか一方の境界位置に対応する操作信号から何れか他方の境界位置に対応する操作信号に切り替わる。
【0019】
このように、本発明に係る信号入力装置では、第1境界位置よりも内側と、第2境界位置の外側との間で操作手段がヒステリシスエリアを跨いで変位する際に、第1境界位置及び第2境界位置の何れか一方の境界位置を越えても、ヒステリシスエリアを越えるまでは制御手段に入力される操作信号が何れか一方の境界位置に対応した操作信号に維持される。このため、操作手段が第1境界位置や第2境界位置の近傍でふらつく(微小な往復変位をする)ことにより生じる不具合が抑制又は防止される。
【0020】
したがって、本発明に係る信号入力装置を、例えば、車両の室内に搭載されたカーナビゲーション装置やテレビ放送の受信装置等の画面操作装置の制御手段に接続した場合には、上記のふらつきによる不用意で且つ頻繁な画面の画面の切り替え(表示する画像データの変更等)が抑制又は防止される。
【0021】
請求項2に記載の本発明に係る信号入力装置は、請求項1に記載の本発明において、前記第1境界位置及び前記第2境界位置の少なくとも何れか一方を、前記可動範囲に対して略同心の相似形状に設定した、ことを特徴としている。
【0022】
請求項2に記載の本発明に係る信号入力装置によれば、第1境界位置及び第2境界位置の少なくとも何れか一方が、操作手段の可動範囲に対して略同心の相似形状に設定される。
【0023】
ところで、操作手段や位置検出手段等の組み付け誤差や、操作手段や位置検出手段を支持する支持部材、更には、これらを収容するハウジング等の寸法誤差や組み付け誤差によって、第1境界位置や第2境界位置の中心が操作手段の可動範囲の中心に対してずれる可能性がある。
【0024】
これに対して、信号出力手段や信号維持手段は、あくまでも位置検出手段での検出結果、すなわち、位置検出手段から出力される電圧等の検出信号に基づいて操作信号の出力や維持を行なう。したがって、信号出力手段や信号維持手段にとって第1境界位置や第2境界位置は予め設定された検出信号の信号レベルに過ぎず、この第1境界位置や第2境界位置に対応した検出信号の信号レベルに関して言えば、上記のような「ずれ」が生じることはなく、また、第1境界位置や第2境界位置に対応した検出信号の信号レベルが上記の「ずれ」に対応することもない。
【0025】
このため、実際に操作手段が第1境界位置や第2境界位置に到達した状態でも、位置検出手段での検出信号が、既に第1境界位置や第2境界位置を越えた状態の信号レベルになることが考えられる。
【0026】
ここで、本発明に係る信号入力装置では、上記のように第1境界位置や第2境界位置を越えてヒステリシスエリアに操作手段が変位しても、その直前の境界位置に対応した操作信号が制御手段に入力される。このため、上記のような「ずれ」に起因する不具合を効果的に抑制又は防止できる。
【0027】
もちろん、上記の機械的な誤差や「ずれ」を考慮して、最終的に機械的な第1境界位置や第2境界位置に位置検出手段での検出信号を合致させるべく、修正設定作業や補正設定作業を行なうことで、上記の不具合を防止することは可能である。
【0028】
また、部品の寸法精度や組み付け精度を極めて厳格に設定することによっても上記の不具合の発生を抑制できる。
【0029】
しかしながら、上記のような修正設定作業や補正設定作業を行なったり、部品の寸法精度や組み付け精度を極めて厳格に設定することで、製造コストや部品コストが高くなるといった新たな問題が当然生じる。
【0030】
これに対して、本発明に係る信号入力装置では、上記のような修正設定作業や補正設定作業を行なうことなく、しかも、各部材の寸法精度や組み付け精度を格別厳格に設定しなくても、上記の「ずれ」に起因する不具合を抑制又は防止でき、これにより、部品コストや製造コストを低減できる。
【0031】
請求項3に記載の本発明に係る信号入力装置は、請求項1又は請求項2に記載の本発明において、前記操作手段に係合して前記操作手段を介して節度感を付与する節度手段を、前記第1境界位置及び前記第2境界位置の少なくとも何れか一方に設けた、ことを特徴としている。
【0032】
請求項3に記載の本発明に係る信号入力装置によれば、第1境界位置及び第2境界位置の少なくとも何れか一方には節度手段が設けられており、節度手段が設けられた境界位置まで操作手段が変位すると、節度手段が操作手段に係合する。
【0033】
操作手段に節度手段が係合すると、節度手段は操作手段を介して操作手段を操作する操作者の身体(例えば、指先や掌等)に、操作時における荷重の変化や軽い衝撃等の節度感を付与する。これにより、操作者は、操作手段を直接視認しなくても節度手段が設けられた境界位置まで操作手段が変位したことを認識できる。
【0034】
ところで、操作手段や位置検出手段等の組み付け誤差や、操作手段や位置検出手段を支持する支持部材、更には、これらを収容するハウジング等の寸法誤差や組み付け誤差によって、節度手段の位置がずれる可能性がある。
【0035】
これに対して、信号出力手段や信号維持手段は、あくまでも位置検出手段での検出結果、すなわち、位置検出手段から出力される電圧等の検出信号に基づいて操作信号の出力や維持を行なう。したがって、信号出力手段や信号維持手段にとって第1境界位置や第2境界位置は予め設定された検出信号の信号レベルに過ぎず、この第1境界位置や第2境界位置に対応した検出信号の信号レベルに関して言えば、上記のような「ずれ」が生じることはなく、また、第1境界位置や第2境界位置に対応した検出信号の信号レベルが上記の「ずれ」に対応することもない。
【0036】
このため、実際に操作手段が第1境界位置や第2境界位置に到達して節度手段が操作手段に係合した状態であっても、位置検出手段での検出信号が、既に第1境界位置や第2境界位置を越えた状態の信号レベルになることが考えられる。このような場合、本来であれば、操作者の操作感と位置検出手段の検出信号の信号レベルとが合致せず、操作者は違和感を抱くことになる。
【0037】
ここで、本発明に係る信号入力装置では、上記のように第1境界位置や第2境界位置を越えてヒステリシスエリアに操作手段が変位しても、その直前の境界位置に対応した操作信号が制御手段に入力される。このため、上記のような「ずれ」が生じていたとしても、節度手段が操作手段に係合した状態では節度手段が設けられた境界位置に対応した操作信号が制御手段に入力される。これにより、操作者の操作感と位置検出手段の検出信号の信号レベルとを合致させることができ、操作者は違和感を抱くことがない。
【0038】
もちろん、上記の機械的な誤差や「ずれ」を考慮して、最終的に機械的な第1境界位置や第2境界位置に位置検出手段での検出信号を合致させるべく、修正設定作業や補正設定作業を行なうことで、上記の不具合を防止することは可能である。
【0039】
また、部品の寸法精度や組み付け精度を極めて厳格に設定することによっても上記の不具合の発生を抑制できる。
【0040】
しかしながら、上記のような修正設定作業や補正設定作業を行なったり、部品の寸法精度や組み付け精度を極めて厳格に設定することで、製造コストや部品コストが高くなるといった新たな問題が当然生じる。
【0041】
これに対して、本発明に係る信号入力装置では、上記のような修正設定作業や補正設定作業を行なうことなく、しかも、各部材の寸法精度や組み付け精度を格別厳格に設定しなくても、上記の「ずれ」に起因する不具合を抑制又は防止でき、これにより、部品コストや製造コストを低減できる。
【0042】
【発明の実施の形態】
<本実施の形態の構成>
図1には、本発明の一実施の形態に係る信号入力装置としてのコントローラ10の構造が分解斜視図によって示されている。
【0043】
この図に示されるように、コントローラ10はベース12を備えている。ベース12は平面視で略長方形状に形成されており、その外周部からは周壁14が立設されている。したがって、ベース12は全体的に厚さ方向一方(図1の上方)へ向けて開口した浅底の箱形状とされている。ベース12の上方にはアッパハウジング16が設けられている。
【0044】
アッパハウジング16は、平面視でベース12の長手方向に沿って長手とされた略長方形状とされ、全体的にはベース12側へ向けて開口した略箱形状とされており、図2に示されるように、ベース12を上側から覆う構造となっている。
【0045】
図3に示されるように、ベース12の周壁14には複数の嵌合爪18が外方へ向けて突出形成されており、これらの嵌合爪18に対応してアッパハウジング16に形成された嵌合孔20に嵌合爪18が嵌合することで、ベース12とアッパハウジング16とが略一体的に連結される構造となっている。
【0046】
また、図1に示されるように、ベース12の長手方向中間部には略矩形の開口部22が形成されている。この開口部22の周縁からは下方(すなわち、アッパハウジング16とは反対側)へ向けて周壁24が形成されている。さらに、この周壁24のアッパハウジング16とは反対側の端部には底壁26が形成されており、周壁24のアッパハウジング16とは反対側の端部を閉止している。
【0047】
また、底壁26の長手方向中間部における幅方向略中央には凹部28が形成されている。凹部28は平面視で略円形とされており、全体的には略円錐形の擂鉢形状に形成されている。
【0048】
一方、図1に示されるように、凹部28の上方にはスライダ30が設けられている。スライダ30はスライダ本体32を備えている。スライダ本体32はベース12の幅方向に沿って長手方向の略長方形の枠状に形成されている。スライダ本体32の長手方向一方の側には脚板34が設けられており、スライダ本体32の長手方向他方の側には脚板36が設けられている。
【0049】
脚板34は、ベース12の幅方向に沿って厚さ方向とされた板状部で、ベース12の深さ方向に沿った脚板34の中間部に形成された連結部38を介してスライダ本体32の長手方向一端に一体的に連結されている。一方、脚板36もまたベース12の幅方向に沿って厚さ方向とされた板状部で、スライダ本体32の長手方向他端に一体的に連結されている。
【0050】
図3に示されるように、これらの脚板34、36は、底壁26の幅方向両端に沿って形成されたガイド溝42に入り込んでいる。ガイド溝42に入り込んだ脚板34、36はガイド溝42の開口幅方向両側の内壁に干渉されることで、ベース12の幅方向に沿った脚板34、36の変位が規制されている。これにより、基本的にスライダ30がベース12の長手方向にスライドする構造となっている。
【0051】
また、図1に示されるように、スライダ30の上側(すなわち、スライダ30を介してベース12の反対側)にはスライダ44が設けられている。スライダ44はスライダ本体46を備えている。スライダ本体46はベース12の長手方向に沿って長手方向の略長方形の枠状に形成されている。スライダ本体46の長手方向一方の側には脚板48が設けられており、スライダ本体46の長手方向他方の側には脚板50が設けられている。
【0052】
脚板48は、ベース12の長手方向に沿って厚さ方向とされた板状部で、ベース12の深さ方向に沿った脚板48の中間部に形成された連結部52を介して、スライダ本体46の長手方向一端に一体的に連結されている。一方、脚板50もまたベース12の長手方向に沿って厚さ方向とされた板状部で、ベース12の深さ方向に沿った脚板50の中間部に形成された連結部52を介してスライダ本体46の長手方向他端に一体的に連結されている。
【0053】
これらの脚板48、50に対応して底壁26上には一対のガイドレール54が形成されている。これらのガイドレール54は、ベース12の幅方向に沿って連続した溝部を有しており、図4に示されるように、一方のガイドレール54の溝部に脚板48が入り込み、他方のガイドレール54の溝部に脚板50が入り込んでいる。
【0054】
各ガイドレール54は、ベース12の長手方向に沿って対向する溝部の内壁が脚板48、50に干渉することでベース12の長手方向に沿った脚板48、50の変位を規制している。これにより、基本的にスライダ44がベース12の幅方向にスライドする構造となっている。
【0055】
図1に示されるように、スライダ44の上方(すなわち、スライダ44を介してスライダ30とは反対側)には、回路基板56が配置されている。回路基板56はベース12の長手方向に沿って長手方向とされた略長形状の板状で、ベース12の四隅に形成された円筒状のボス58を貫通するねじ等の締結手段が回路基板56の角部に螺入されることにより、周壁14上で回路基板56が固定される構造となっている。
【0056】
また、図2及び図3に示されるように、回路基板56上にはカバー60が設けられている。カバー60は平板状の上底部62を備えている。上底部62の外周部には周壁64が形成されており、周壁64の端部(上底部62とは反対側の端部)が回路基板56に当接している。これにより、回路基板56上に設けられた抵抗やコンデンサ等の各部品等に上底部62が干渉しない状態で上底部62が回路基板56を被覆している。
【0057】
また、図1に示されるように、回路基板56の幅方向略中央には円孔66が形成されている。円孔66にはリング部材68が嵌め込まれている。リング部材68の軸方向中間部よりも一端側は回路基板56の表側に突出している。ベース12の長手方向に沿ってリング部材68の両側では、回路基板56上にプッシュスイッチ70が配置されている。
【0058】
図6に示されるように、プッシュスイッチ70は可動部72を備えている。可動部72は、ゴム材や絶縁性を有する比較的柔軟な合成樹脂材により略椀形状に形成されており、その開口側が回路基板56側へ向いた状態で回路基板56上に取り付けられている。可動部72の内底部には、可動接点74が取り付けられている。
【0059】
可動接点74は、例えば、銅等の導電性を有する金属箔によって形成されている。この可動接点74の対向して回路基板56上に形成された配線76は、可動接点74の中間部に対応した部分が断線している。この配線76に対して可動部72の底部が回路基板56に接近する如く可動部72が弾性変形して、可動接点74が回路基板56に接触すると、断線している配線76の一方である配線76Aと他方である配線76Bの双方に可動接点74が接触して導通する。これにより、配線76Aと配線76Bとが可動接点74を介して導通する。
【0060】
また、これらのプッシュスイッチ70に対応して回路基板56上には電流検出素子78(図1においては図示省略、図7の概略的なブロック図参照)が設けられている。電流検出素子78は、上述したプッシュスイッチ70に対応した配線76に接続されており、可動接点74を介して配線76が導通して配線76に電流が流れると所定レベルのデジタルの電気信号SPを出力する。
【0061】
一方、図1に示されるように、回路基板56の裏面には調整板82が取り付けられている。調整板82は基部84を備えている。基部84は全体的に平板状に形成され、厚さ方向一方の側が回路基板56の裏面に対向した状態で回路基板56に固定されている。ベース12の長手方向に沿った基部84の一方の端部では、調整壁86の一部が下方(底壁26側)へ向けて略直角に屈曲形成されている。
【0062】
基部84の回路基板56とは反対側の面には、位置検出手段としてのポテンショメータ88が取り付けられている。ポテンショメータ88は、ベース12の長手方向に沿って幅方向とされた略直方体形状の本体90を備えており、この本体90の内部に電気的な抵抗部材が収容されている。
【0063】
また、本体90の基部84とは反対側の面からはスライド突起92が突出している。スライド突起92は所定ストロークスライド自在とされており、スライド突起92のスライド位置に応じた電位に対応するアナログの電気信号EXがポテンショメータ88から出力される。
【0064】
図1に示されるように、ポテンショメータ88の本体90は、スライド突起92のスライド方向がベース12の幅方向に沿うように基部84に取り付けられていると共に、上述したスライダ44に形成された嵌合孔94にスライド突起92が嵌合している。したがって、スライダ44がベース12の幅方向に沿ってスライドすることで、スライダ44と略一体的にスライド突起92がスライドする。すなわち、このポテンショメータ88は、ベース12の幅方向に沿ったスライダ44の位置を検出することになる。
【0065】
また、上記の回路基板56にはA/Dコンバータ96(図1においては図示省略、図7の概略的なブロック図参照)が設けられており、ポテンショメータ88の出力端子がA/Dコンバータ96の入力端子に接続されている。A/Dコンバータ96にはポテンショメータ88から出力された信号EXが入力され、A/Dコンバータ96は入力された信号EXの信号レベルに応じた操作信号としてのデジタルの電気信号SXを出力する。
【0066】
一方、回路基板56の裏面には調整板98が取り付けられている。調整板98は基部100を備えている。基部100は全体的に平板状に形成され、厚さ方向一方の側が回路基板56の裏面に対向した状態で回路基板56に固定されている。
【0067】
図1に示されるように、ベース12の長手方向に沿った基部100の一方の端部では、調整壁102の一部が下方(底壁26側)へ向けて略直角に屈曲形成されている。基部100の回路基板56とは反対側の面には、位置検出手段としてのポテンショメータ104が取り付けられている。ポテンショメータ104は、ベース12の長手方向に沿って長手方向とされた略直方体形状の本体106を備えており、この本体106の内部に電気的な抵抗部材が収容されている。
【0068】
また、本体106の基部100とは反対側の面からはスライド突起108が突出している。スライド突起108は所定ストロークスライド自在とされており、スライド突起108のスライド位置に応じた電位に対応するアナログの信号EYがポテンショメータ104から出力される。
【0069】
図4に示されるように、ポテンショメータ104の本体106は、スライド突起108のスライド方向がベース12の長手方向に沿うように基部100に取り付けられていると共に、上述したスライダ30の連結部38に形成された嵌合孔110にスライド突起108が嵌合している。したがって、スライダ30がベース12の長手方向に沿ってスライドすることで、スライダ30と略一体的にスライド突起108がスライドする。すなわち、このポテンショメータ104は、ベース12の長手方向に沿ったスライダ30の位置を検出することになる。
【0070】
また、上記の回路基板56にはA/Dコンバータ112(図1においては図示省略、図7の概略的なブロック図参照)が設けられており、ポテンショメータ104の出力端子がA/Dコンバータ112の入力端子に接続されている。A/Dコンバータ112にはポテンショメータ104から出力された信号EYが入力され、A/Dコンバータ112は入力された信号EYの信号レベルに応じた操作信号としてのデジタルの電気信号SYを出力する。
【0071】
また、図7に示されるように、回路基板56には、CPU116やRAM118、ROM120により構成された信号出力手段及び信号維持手段としてのマイコン114が設けられている。マイコン114の入力ポートには、上述した電流検出素子78及びA/Dコンバータ96、112の各出力端子が接続されており、電流検出素子78及びA/Dコンバータ96、112から出力された信号SP、SX、SYがマイコン114のCPU116に入力される。CPU116は、ROM120から読み込んだ後述する信号処理プログラムや判定処理プログラムに基づいて信号SP、SX、SYを処理し、更に、その処理結果に基づいた画面制御信号SDを出力する。
【0072】
なお、本実施の形態では、マイコン114とは別にA/Dコンバータ96、112を設けた構成であったが、A/Dコンバータ96、112の実質的な機能をマイコン114に付加して、構造的にA/Dコンバータ96、112を省略する構成としてもよい。
【0073】
図7に示されるように、マイコン114は、車両に搭載されたカーナビゲーション装置130の制御手段としての制御部132に接続されている。制御部132はCPU134やRAM136、ROM138等によって構成されている。さらに、制御部132は車両に搭載されたモニタ手段としてのモニタテレビ140に接続されており、CPU134に入力された各種信号や、CPU134がROM138から読み込んだナビゲーションプログラムや画面制御プログラム等に基づき、CPU134がモニタテレビ140に画像を表示させる。
【0074】
一方、図2に示されるように、上述したカバー60の上底部62には、回路基板56に形成された円孔66に対応して孔142が形成されている。この孔142の周縁に沿って上底部62の裏面には延出部144が形成されている。延出部144は鉤状に屈曲し、更に孔142の開口径方向内方側へ向けて延出されている。延出部144は上記のように基端側が鉤状に屈曲していることで、孔142の開口径方向内方側の部分がカバー60の上底部62よりも回路基板56側に位置している。
【0075】
さらに、延出部144を介して回路基板56とは反対側には軸受プレート146が配置されている。軸受プレート146は、全体的に高台付きの椀形状(更に言えば、高台付きの椀を天地逆にした形状)とされており、平面視では略円形とされている。軸受プレート146には、その本体部分の外周部に沿ってリング状の周壁148が形成されている。周壁148は、上述したカバー60の孔142を貫通し、更に、端部が孔142の周縁に形成された延出部144と対向している。
【0076】
周壁148の内側には押圧プレート150が収容されている。図5に示されるように、押圧プレート150の外周部には複数(本実施の形態では、3つ)の係合片152が突出形成されている。これらの係合片152に対応して軸受プレート146の周壁148の内周部にはガイド片154が形成されている。ガイド片154は、係合片152が係合した状態で係合片152の変位方向を軸受プレート146の深さ方向(図2の上下方向)に規制している。
【0077】
また、図2に示されるように、ベース12の長手方向に沿った押圧プレート150の裏面の両端側には、押圧片156が設けられている。これらの押圧片156は、上述したプッシュスイッチ70の可動部72と対向しており、押圧プレート150が下降することで、各押圧片156が対応する可動部72を押圧して可動部72を弾性変形させる構成となっている。
【0078】
さらに、ベース12の長手方向に沿った押圧プレート150の略中央部には、下方(回路基板56側)へ向けて張り出すように略半球形状に湾曲した半球状部158が形成されている。この半球状部158の底部には円孔160が形成されている。
【0079】
一方、図1に示されるように、アッパハウジング16によって閉じられたベース12内には操作手段としての操作ロッド162が設けられている。操作ロッド162は、回路基板56に形成された円孔66、カバー60に形成された孔142、及び押圧プレート150に形成された円孔160を貫通し、更に、軸受プレート146の略中央に形成された軸受孔164を貫通した状態で配置されている。さらに、操作ロッド162は上端側がアッパハウジング16の上底に形成された円孔166を通過してアッパハウジング16の外部に延出されている。また、操作ロッド162の上端には操作摘み170が取り付けられている。
【0080】
図2に示されるように、操作摘み170はベース部172を備えている。ベース部172は、その本体部分が略円盤状に形成されていると共に、本体部分の裏面の略中央には円筒形状のボス174が本体部分に対して略同軸的に一体形成されている。ボス174の内周部には雌ねじが形成されており、操作ロッド162の上端に形成された雄ねじが螺合することで、ベース部172と操作ロッド162とが機械的に一体的に連結されている。
【0081】
一方、ベース部172のボス174が形成された側とは反対側からは、摘み部176がベース部172に取り付けられている。摘み部176は、下方へ向けて開口した有底円筒形状に形成されている。摘み部176の内径寸法はベース部172の外径寸法よりも極僅かに大きい程度とされ、ベース部172は摘み部176に対して略同軸的に摘み部176の内側に嵌まり込むことが可能である。また、摘み部176の内底部の略中央には突き当てリブ178が形成されている。
【0082】
突き当てリブ178は、摘み部176の機械的強度を確保すると共に、上記のようにベース部172が摘み部176の内側に嵌まり込んだ状態でベース部172に当接し、これにより、それ以上ベース部172が摘み部176の内側に入り込むことを規制する。
【0083】
一方、摘み部176の開口端には係止爪180が開口半径方向内方側へ突出形成されている。この係止爪180に対応して、ベース部172の本体部分の外周部には、嵌合爪18がベース部172の半径方向外方へ向けて鉤状に突出形成されている。ベース部172が上記の突き当てリブ178に当接した状態では、摘み部176からベース部172が抜け出る方向に沿って係止爪180が嵌合爪18に干渉する。これにより、摘み部176からベース部172が抜け出ることを防止し、摘み部176とベース部172とを一体的に連結している。
【0084】
また、図8に示されるように、操作ロッド162の雄ねじ部よりも下側は軸部182とされている。軸部182は表面が操作ロッド162の上端側へ向けて張り出すように湾曲した略半球形状に形成されており、その最大外径寸法は、上述した軸受プレート146の軸受孔164の最大内径寸法よりも充分に大きい。軸部182は軸受プレート146の内側から軸受孔164に嵌まり込んでおり、この状態で、軸受プレート146に対して自らを軸にあらゆる方向へ所定角度回動できる構造となっている。
【0085】
さらに、軸部182の下側にはフランジ部186が形成されている。フランジ部186は外径寸法が軸部182の外径寸法よりも充分に大きな略リング状で、操作ロッド162の軸方向に沿って、操作ロッド162の雄ねじ部や軸部182に対して同軸的に形成されている。フランジ部186の下側には半球状部188が形成されている。
【0086】
半球状部188は表面が操作ロッド162の下側へ向けて張り出すように湾曲した略半球形状に形成されており、しかも、表面の曲率半径は軸部182の表面の曲率半径よりも大きく、延出部144の半径寸法よりも小さい。半球状部188もまたフランジ部186と同様に、操作ロッド162の雄ねじ部や軸部182に対して同軸的に形成され、上述した押圧プレート150の半球状部158に上方から嵌まり込んでいる。
【0087】
半球状部188の下側には円柱形状の首部190が同軸的に形成されており、更に、首部190の下側には胴部192が形成されている。胴部192は首部190よりも外径寸法が大きな略円柱形状に形成されている。但し、胴部192の外周部は操作ロッド162の軸心に対して外方へ張り出すように湾曲しており、基本的には操作ロッド162の軸方向に沿った球の両側をカットした形状となっている。
【0088】
胴部192は、スライダ本体46(スライダ44)の内側であるガイド孔194に入り込んでいる。ガイド孔194はベース12の長手方向に沿って長手とされた略長方形状に形成されており、幅方向に沿った内寸が胴部192の外径寸法よりも極僅かに大きい。したがって、胴部192は、ガイド孔194の長手方向、すなわち、スライダ本体46の長手方向に対してはガイド孔194の内部で移動可能であるが、ガイド孔194の幅方向に移動しようとした場合には、ガイド孔194の内周部をガイド孔194の幅方向に押圧して、スライダ本体46を伴って移動する(図9、図12、図13参照)。
【0089】
また、胴部192の下側には外径寸法が胴部192よりも小さな円柱形状の首部196が形成されており、更に、首部196の下側には胴部198が形成されている。胴部198は首部196よりも外径寸法が大きな略円柱形状に形成されている。但し、胴部198の外周部は操作ロッド162の軸心に対して外方へ張り出すように湾曲しており、基本的には操作ロッド162の軸方向に沿った球の両側をカットした形状となっている。
【0090】
胴部198は、スライダ本体32(スライダ30)の内側であるガイド孔200に入り込んでいる。ガイド孔200はベース12の幅方向に沿って長手とされた略長方形状に形成されており、幅方向に沿った内寸が胴部198の外径寸法よりも極僅かに大きい。したがって、胴部198は、ガイド孔200の長手方向、すなわち、スライダ本体32の長手方向に対してはガイド孔200の内部で移動可能であるが、ガイド孔200の幅方向に移動しようとした場合には、ガイド孔200の内周部をガイド孔200の幅方向に押圧して、スライダ本体32を伴って移動する(図9乃至図11参照)。
【0091】
一方、図8に示されるように、操作ロッド162には下端(すなわち、胴部198の側)で開口した有底の収容孔202が操作ロッド162に対して同軸的に形成されている。収容孔202には節度手段を構成する節度ピン204が入り込んでいる。
【0092】
節度ピン204は、外径寸法が収容孔202の内径寸法よりも極僅かに小さな有底の円筒形状に形成されており、その先端である外底面は外方へ張り出した略半球形状とされている。また、収容孔202の内底と節度ピン204の開口端との間には、付勢手段としての圧縮コイルスプリング206が配置されている。
【0093】
圧縮コイルスプリング206は、一端が収容孔202の内底に当接していると共に、他端が節度ピン204の開口端に当接しており、節度ピン204を収容孔202から突出させる方向に付勢している。
【0094】
節度ピン204の先端側は圧縮コイルスプリング206の付勢力によって上述した底壁26の凹部28に圧接している。ここで、凹部28の内周面の曲率半径の中心は、上記の軸部182の中心よりも下方に位置している。したがって、軸部182を中心にして操作ロッド162が回動し、節度ピン204の先端が、凹部28の開口側に変位すると、節度ピン204が圧縮コイルスプリング206の付勢力に抗して収容孔202内に入り込む。
【0095】
圧縮コイルスプリング206の付勢力は、節度ピン204が収容孔202に入り込むほど付勢力が増加する。したがって、圧縮コイルスプリング206の付勢力は、収容孔202内に入り込んだ節度ピン204を押し出すことで、結果的に回動状態の節度ピン204を凹部28の底部中央へ向けて変位させることになる。
【0096】
さらに、図3における一点鎖線の円Aの部分を拡大した図14に示されるように、上記の凹部28は、その開口側と底部との間の中間部に節度手段を構成する節度部208が設けられている。節度部208は、平面視で凹部28に対して同心の円形に形成されている。
【0097】
この節度部208よりも凹部28の開口端側における凹部28の傾斜角度θ1は、節度部208よりも凹部28の底部側の傾斜角度θ2よりも大きい。上記のように節度ピン204の先端は略半球形状であるため、節度部208を境に節度部208よりも下方から上方へ節度ピン204が移動して節度部208の近傍に到達すると、節度部208よりも下側で節度ピン204が点接触するのみならず、節度部208よりも上側で凹部28が節度ピン204に接触する。
【0098】
この節度部208を境とする両側で節度ピン204が接触した状態では、節度ピン204を更に凹部28の上側へ移動させる際に凹部28から節度ピン204が受ける抵抗が大きくなる。しかも、節度部208よりも上側では凹部28の傾斜角度が大きくなるため、節度ピン204はそれまでよりも大きく収容孔202内に入り込もうとする。これにより、圧縮コイルスプリング206の付勢力が急激に増加し、操作ロッド162を回動させる際の抵抗が大きくなる。
【0099】
以上の構成のコントローラ10は、例えば、車両の運転席と助手席との間に設けられたコンソールボックスの前方等に設けられ、運転席が相対的に車両の右側にある場合には、運転席乗員が左手で摘み部176を操作できるように配置される。
【0100】
<本実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0101】
(コントローラ10の動作)
本コントローラ10では、操作摘み170の摘み部176が略車両前後方向、略車両左右方向、更には、略車両前後方向に対して略車両左右方向に傾斜した方向へ押圧されると、操作ロッド162が軸部182を中心に回動し、操作ロッド162及び操作摘み170が傾動する。このように、軸部182を中心に操作ロッド162が回動すると、軸部182よりも下側は、操作摘み170の傾動方向とは反対方向に傾動する。
【0102】
操作ロッド162の軸部182よりも下側部分が軸部182を中心に傾動すると、操作ロッド162の胴部192によってスライダ本体46のガイド孔194の内周部が胴部192の傾動方向に押圧されると共に、操作ロッド162の胴部198によってスライダ本体32のガイド孔200の内周部が胴部198の傾動方向に押圧される。
【0103】
但し、スライダ44は脚板48、50が一対のガイドレール54に干渉されることで、その移動方向がベース12の幅方向に規制される。このため、例えば、胴部192がベース12の幅方向に対して傾斜した方向に傾動すると、その傾動方向に対するベース12の幅方向に沿った変位量だけスライダ44がスライドし、ベース12の長手方向にはガイド孔194の内部で胴部192が変位するのみとなる。
【0104】
これに対して、操作ロッド162の軸部182よりも下側部分が軸部182を中心に傾動すると、操作ロッド162の胴部198によってスライダ本体32のガイド孔200の内周部が胴部198の傾動方向に押圧されると共に、操作ロッド162の胴部198によってスライダ本体32のガイド孔200の内周部が胴部198の傾動方向に押圧される。
【0105】
但し、スライダ30は脚板34、36がガイド溝42の内壁に干渉されることで、その移動方向がベース12の長手方向に規制される。このため、例えば、胴部198がベース12の長手方向に対して傾斜した方向に傾動すると、その傾動方向に対するベース12の長手方向に沿った変位量だけスライダ30がスライドし、ベース12の幅方向にはガイド孔200の内部で胴部198が変位するのみとなる。
【0106】
このように、操作ロッド162が傾動すると、この傾動角度に対応した量だけベース12の幅方向にスライダ44がスライドし、ベース12の長手方向にスライダ30がスライドする。
【0107】
上記のように、スライダ44がベース12の幅方向にスライドすると、スライダ本体46の嵌合孔94に嵌合しているスライド突起92がスライダ44と共に略一体的にスライドする。スライド突起92がベース12の幅方向にスライドすると、このスライド量(変位量)に応じてポテンショメータ88の本体90における電気的な抵抗値が変化する。
【0108】
ポテンショメータ88からは、この電気抵抗値の変化、すなわち、スライダ44の位置に応じたアナログの電圧(電気信号)EXが出力される。ポテンショメータ88から出力された信号EXはA/Dコンバータ96に入力される。A/Dコンバータ96からは、入力された信号EXの信号レベル(電圧値)に応じたデジタルの電気信号SXが一定時間毎に出力される。A/Dコンバータ96から出力された信号SXはマイコン114のCPU116に入力され、後述する各処理に供される。
【0109】
これに対して、スライダ30がベース12の長手方向にスライドすると、連結部38の嵌合孔110に嵌合しているスライド突起108がスライダ30と共に略一体的にスライドする。スライド突起108がベース12の長手方向にスライドすると、このスライド量(変位量)に応じてポテンショメータ104の本体106における電気的な抵抗値が変化する。
【0110】
ポテンショメータ104からは、この電気抵抗値の変化、すなわち、スライダ30の位置に応じたアナログの電圧(電気信号)EYが出力される。ポテンショメータ104から出力された信号EYはA/Dコンバータ112に入力される。A/Dコンバータ112からは、入力された信号EYの信号レベル(電圧値)に応じたデジタルの電気信号SYが一定時間毎に出力される。A/Dコンバータ112から出力された信号SYはマイコン114のCPU116に入力され、後述する各処理に供される。
【0111】
なお、本実施の形態では、A/Dコンバータ96、112から一定時間毎に信号SX、SYを出力する構成であるが、一定時間毎に信号EX、EYをA/Dコンバータ96、112が読み込み、信号EX、EYに変化が生じた場合にのみ信号SX、SYを出力する構成としてもよい。
【0112】
一方、以上のように、操作ロッド162を傾動させると、節度ピン204が凹部28上を摺動する。ここで、上述したように、凹部28の内周面の曲率中心は、操作ロッド162の回動(傾動)中心である軸部182よりも下方であるため、操作ロッド162が傾動して節度ピン204が凹部28の開口端側(すなわち、上側)に変位すると、操作ロッド162の回動中心から節度ピン204の先端と凹部28と接触位置までの距離が短くなる。
【0113】
これにより、操作ロッド162が傾動すると、節度ピン204は圧縮コイルスプリング206の付勢力に抗して収容孔202の内側へ向けて変位する。このように、節度ピン204が収容孔202の内側へ変位することで、圧縮コイルスプリング206の付勢力が増加する。
【0114】
したがって、操作ロッド162を傾動させるために、乗員が摘み部176に付与した押圧力を解除すると、収容孔202から節度ピン204を押し出そうとする圧縮コイルスプリング206の付勢力が、節度ピン204を凹部28の底部側に変位させる。したがって、操作ロッド162は、操作ロッド162を傾動させるために操作摘み170に付与した押圧力が解除されると、圧縮コイルスプリング206の付勢力で自動的に節度ピン204が凹部28の底部に位置する基準位置に復帰する。
【0115】
また、上記のように、圧縮コイルスプリング206の付勢力に抗して操作ロッド162を傾動させ、これにより、節度ピン204の先端が節度部208の近傍に達すると、上述したように、それまで、凹部28に点接触していた節度ピン204は、節度部208を境に節度部208よりも下側で凹部に点接触し、且つ、節度部208よりも上側で凹部28に接触する。このように、節度部208を境とする上下両側で凹部28が節度ピン204に接触することで、それまで操作摘み170に付与していた押圧力では操作ロッド162を傾動させることができなくなり、言わば、操作ロッド162の傾動が規制された状態になる。
【0116】
このように、操作ロッド162の傾動が規制されることで、操作ロッド162を押圧している乗員は、操作摘み170を直視しなくても、節度部208の近傍に節度ピン204が位置するまで操作ロッド162が傾動されたことを認識できる。
【0117】
さらに、このような規制状態であっても、それまで以上の押圧力で操作摘み170を押圧すれば、節度ピン204の先端が節度部208よりも上側に乗り上げ、更に、凹部28の開口端側へ節度ピン204を変位させることができる。
【0118】
但し、節度部208よりも上側ではそれまで(すなわち、節度部208よりも下側)よりも凹部28の傾斜角度が大きいため、収容孔202内への節度ピン204の変位量が大きくなり、圧縮コイルスプリング206の付勢力もそれまで以上に増加する。
【0119】
したがって、操作摘み170を押圧する際の操作感としては、それまで(節度ピン204の先端が節度部208よりも下側で凹部28に接していた状態)よりも重いものになり、節度ピン204が節度部208よりも上側で凹部28に接した状態で操作ロッド162を傾動させていることを容易に認識できる。
【0120】
一方、操作摘み170の摘み部176を操作ロッド162の軸方向に沿って下方へ押圧すると、節度ピン204を付勢する圧縮コイルスプリング206の付勢力に抗して操作摘み170と操作ロッド162とが一体的に下降する。操作ロッド162が下降すると、押圧プレート150の半球状部158に嵌め込まれた操作ロッド162の半球状部188が半球状部158を下方へ押圧し、押圧プレート150を下降させる。
【0121】
押圧プレート150が下降すると、押圧プレート150の両端に設けられた押圧片156がプッシュスイッチ70の可動部72を上側から押圧し、可動部72を弾性変形させる。可動部72が弾性変形することで、可動接点74が配線76A、76Bに接触し、配線76Aと配線76Bとが導通される。
【0122】
このように配線76Aと配線76Bとが導通されることで配線76に電流が流れると、この電流が電流検出素子78によって検出され、更に、電流検出素子78からHighレベルの電圧信号SPが出力される。電流検出素子78から出力された信号SPはマイコン114のCPU116に入力される。
【0123】
次に、マイコン114における信号SX、SY、SPの処理について図15のフローチャートに基づいて説明する。
【0124】
本実施の形態では、図15のフローチャートに示される信号処理プログラムがステップ300で起動されると、ステップ302で初期設定が行なわれ、更に、ステップ304でポテンショメータ88の出力電圧に基づくデジタルの信号SXとポテンショメータ104の出力電圧に基づくデジタルの信号SYとが読み込まれる。
【0125】
次いで、ステップ306では、次の式(1)に基づいて値RVが演算される。
RV=(SX−SXC)2+(SY−SYC)2・・・(1)
ここで、式(1)におけるSXCは、ポテンショメータ88の最小出力電圧EX0と、最大出力電圧EXVの中央値EXCに対応する値であり、SYCは、ポテンショメータ104の最小出力電圧EY0と、最大出力電圧EYVの中央値EYCに対応する値である。
【0126】
すなわち、この式(1)で求められる値RVは、図16の概念的な座標系において、中央値EXC、EYCからポテンショメータ88、104の出力電圧EX、EYまでの直線距離の自乗に対応している。
【0127】
次いで、ステップ308では、値RVが値R0より小さいか否かが判定される。ここで、値R0は、図16に示される概念的な円C0の半径の自乗に対応する値で、ステップ308において値RVが値R0より小さい、すなわち、ポテンショメータ88、104の出力電圧EX、EYが円C0の内側に位置すると判定された場合にはステップ310に進む。
【0128】
ステップ310では、プッシュスイッチ70の可動接点74を介して配線76が導通し状態に対応したデジタルの信号SPが入力されたか否かが判定される。この状態で、信号SPが入力されたと判定された場合には、ステップ312でCPU116から信号UPが出力される。
【0129】
信号UPはカーナビゲーション装置130の制御部132のCPU134に入力される。仮に、この状態で、図17に示されるようなメニュー画面がモニタテレビ140の画面に表示されていた場合には、この状態で選択状態(反転状態)となっているアイコン222に示される処理が確定されて実行される。
【0130】
次いで、ステップ314では、RAM118に記憶する値RMに上記の値RVを代入してステップ304に戻る。
【0131】
これに対して、ステップ310において信号SPが入力されていないと判定された場合にはステップ316に進む。ステップ316では、基本的に操作ロッド162が傾動していないことを意味する信号U0がCPU116から出力される。
【0132】
信号U0がCPU134に入力された場合には、CPU116はモニタテレビ140の画面に表示した画像データをそのままの状態で維持する(すなわち、画面に変化が生じない)。次いで、ステップ314に進み、RAM118に記憶する値RMに上記の値RVを代入してステップ304に戻る。
【0133】
一方、ステップ308で値RVが値R0以上である、すなわち、ポテンショメータ88、104の出力電圧EX、EYが円C0上又は円C0の外側に位置すると判定された場合にはステップ318に進む。ステップ318では、RAM118に記憶した値RM、すなわち、過去の値RVと現在の値RVとが比較される。
【0134】
ステップ318にて値RVが値RMよりも小さい、すなわち、操作ロッド312の傾動位置が基準位置側に変位したとみなされる場合には、ステップ320でフラグFに1が代入されているか否かが判定され、フラグFに1が代入されていなければステップ322で信号U0がCPU116から出力される。次いで、ステップ324でフラグFに1が代入されてステップ314に進む。
【0135】
これに対して、ステップ320でフラグFに1が代入されていると判定された場合には、ステップ326でフラグFに0が代入されてフラグFがリセットされる。
【0136】
一方、ステップ318にて値RVが値RM以上である、すなわち、操作ロッド312にの傾動位置が変更されていないか、又は、基準位置から遠ざかる方向へ操作ロッド312が傾動していると判定された場合、或いは、ステップ326でフラグFがリセットされた後には、ステップ328で値RVが値R1以上であるか否かが判定される。ここで、値R1は、図16に示される概念的な円C0と同心で且つ円C0よりも大径の円C1の半径の自乗に対応する値である。すなわち、ステップ328では、ポテンショメータ88、104の出力電圧EX、EYが円C0上又は円C1と円C0との間に位置するか否かが判定される。
【0137】
ステップ328で値RVが値R1未満であると判定された場合には、ステップ330で信号SX、SYに基づく操作ロッドの傾動方向の情報が含まれた信号U1がCPU116から出力される。
【0138】
例えば、図18に示されるように、モニタテレビ140の画面に地図画面が表示された状態で、CPU134に信号U1が入力されると、CPU134は、図19に示されるように、頂部が操作ロッド162の傾動方向に対応した方向に向いた三角形224をモニタテレビ140の画面に表示すると共に、三角形224の向き(頂部の向き)とは反対方向に所定の速度で地図画像データを移動させ、画面に表示する地図をあたかも三角形224の向きに移動させるが如く表示する(すなわち、三角形224の向きに画面をスクロールする)。
【0139】
一方、ステップ328で値RVが値R1以上であると判定された場合にはステップ332に進む。ステップ332では値RVが値R2以上であるか否かが判定される。ここで、値R2は、図16に示される概念的な円C0と同心で且つ円C1よりも大径の円C2の半径の自乗に対応する値である。すなわち、ステップ332では、ポテンショメータ88、104の出力電圧EX、EYが円C1上又は円C2と円C1との間に位置するか否かが判定される。
【0140】
ステップ332で値RVが値R2未満であると判定された場合にはステップ330に進む。これに対して、ステップ332で値RVが値R2以上であると判定された場合にはステップ334に進む。
【0141】
ステップ334では、値RVが値R3以上であるか否かが判定される。ここで、値R3は、図16に示される概念的な円C0と同心で且つ円C2よりも大径の円C3の半径の自乗に対応する値である。すなわち、ステップ334では、ポテンショメータ88、104の出力電圧EX、EYが円C2上又は円C3と円C2との間に位置するか否かが判定される。
【0142】
ステップ334で値RVが値R3未満であると判定された場合には、ステップ336で信号SX、SYに基づく操作ロッドの傾動方向の情報が含まれた信号U2がCPU116から出力される。
【0143】
例えば、図18に示されるように、モニタテレビ140の画面に地図画面が表示された状態で、CPU134に信号U2が入力されると、CPU134は、図20に示されるように、頂部が操作ロッド162の傾動方向に対応した方向に向いた2つの三角形224をモニタテレビ140の画面に並べて表示すると共に、三角形224の向き(頂部の向き)とは反対方向に、信号U1が入力された場合よりも早い速度で地図画像データを移動させ、画面に表示する地図をあたかも三角形224の向きに移動させるが如く表示する。
【0144】
一方、ステップ334で値RVが値R3以上であると判定された場合にはステップ338に進む。ステップ338では、値RVが値R4以上であるか否かが判定される。ここで、値R4は、図16に示される概念的な円C0と同心で且つ円C3よりも大径で円C4の半径の自乗に対応する値である。しかも、円C4は更に上記の節度部208の近傍に節度ピン204が位置して節度部208の上下両側が節度ピン204に接した際の状態に対応している。
【0145】
すなわち、ステップ338では、ポテンショメータ88、104の出力電圧EX、EYが円C3上又は円C4と円C3との間に位置するか否かが判定される。
【0146】
ステップ338で値RVが値R4未満であると判定された場合にはステップ340に進む。ステップ340では、ステップ340に到達する直前にステップ314にてRAM118に記憶された値RMに対応した信号UM、すなわち、直前の信号SX、SYに基づく操作ロッド162の傾動方向の情報が含まれた信号UMがCPU116から出力される。
【0147】
この場合には、ポテンショメータ88、104の出力電圧EX、EYの変化が、円C3の内側や円C4の外側から移動する如く操作ロッド162が操作されたとしても、移動する前の状態が維持される。したがって、この場合には、直前の状態が画面のスクロールであれば、直前のスクロールの向きと速度が維持される(すなわち、円C3と円C4の間は「ヒステリシスエリア」とされ、この範囲内では、それ以前の状態が維持される)。
【0148】
これに対して、ステップ338で値RVが値R4以上であると判定された場合には、信号SX、SYに基づく操作ロッド162の傾動方向の情報が含まれた信号U3がCPU116から出力される。
【0149】
モニタテレビ140の画面に地図画面が表示された状態で、CPU134に信号U3が入力されると、CPU134は、図21に示されるように、頂部が操作ロッド162の傾動方向に対応した方向に向いた3つの三角形224をモニタテレビ140の画面に並べて表示すると共に、三角形224の向き(頂部の向き)とは反対方向に、信号U3が入力された場合よりも早い速度で地図画像データを移動させ、画面に表示する地図をあたかも三角形224の向きに移動させるが如く表示する。
【0150】
本実施の形態では、以上のような信号処理が行なわれる。ここで、本実施の形態では、操作ロッド162が傾動していないとみなせる状態でのみ信号SPの入力判断が行なわれる。これについて換言すれば、実質的に操作ロッド162が傾動させられている状態では、仮に、信号SPが入力されていても実質的に信号SPがキャンセルされる。
【0151】
このため、操作摘み170を押圧している状態で不用意に操作摘み170を押圧してしまっても、信号UPがCPU116から出力されることはなく、したがって、信号UPに基づいた処理が誤って実行されることがない。
【0152】
また、本実施の形態では、上述したように、基準位置の側へ向けて操作ロッド162が復帰するように移動した場合には、最初に信号U0がCPU116から出力される。したがって、このように操作ロッド162が変位した際には、最初に基準位置に操作ロッド162が戻った場合と同じ処理、すなわち、上記のように画面スクロールが行なわれている状態では、画面スクロールが停止される。
【0153】
ここで、操作ロッド162を傾動させて画面をスクロールする場合、所望の画面(地図上の所望の位置等)が画面に表示された場合に操作者は操作摘み170に対する押圧力の付与を解除する。上記のように、押圧力の付与が解除されれば圧縮コイルスプリング206の付勢力で操作ロッド162は基準位置に復帰しようとする。このような操作が行なわれた場合に、本実施の形態では、先ず、画面のスクロールが停止されるため、操作者の意図に合致した位置で画面スクロールを停止させることができる。
【0154】
また、本実施の形態では、フラグFに1が代入されていれば、すなわち、一度信号U0が出力された後であれば、続けて基準位置の側へ向けて操作ロッド162が復帰するように移動したとしても、信号SX、SYに基づく操作ロッド162の傾動方向の情報が含まれた信号U1、U2の何れかがCPU116から出力される。
【0155】
このため、例えば、図16における円C5の近傍に対応した位置から操作者が意図的に円C1と円C2との間に対応した位置に操作ロッド162を戻して、画面スクロールの速度を遅くするような場合には、一旦、画面スクロールは停止されるものの、その後はゆっくりとした画面スクロールが行なわれる。このため、このような場合の操作者の意図にも合致させることができる。
【0156】
さらに、本実施の形態では、値RVが値R3以上値R4未満の場合には、上述したように、それまでの状態が維持される。このため、操作摘み170の押圧力が一定ではなく、強弱のばらつきが生じていることで、円C3の内側から円C3の外側に対応する位置に操作ロッド162が不用意に移動したり、また、円C4の外側から円C4の内側に対応する位置に操作ロッド162が不用意に移動したりしても、それまでの画面操作(例えば、画面スクロール)と同じ画面操作が行なわれる。これにより、上記のようなばらつきによる頻繁な画面操作の変更という不具合を抑制又は防止できる。
【0157】
また、本実施の形態では、操作ロッド162の傾動をポテンショメータ88、104の出力電圧の変化として検出する構成である。したがって、上記のような円C0乃至円C5を概念的に設定しても、本コントローラ10の各部品の寸法誤差や組付誤差によっては、設定上での出力電圧の中央値EXC、EYCと基準位置での出力電圧EX、EYに僅かな差が生じることは充分に考えられる。
【0158】
一方で、本実施の形態では節度部208を設け、基本的には節度部208を越えて操作ロッド162を傾動させれば、出力電圧EX、EYが円C3を越えるものと操作者は考える。
【0159】
ここで、上記のような中央値EXC、EYCと基準位置での出力電圧EX、EYに僅かな差が生じている場合には、操作ロッド162が節度部208を越えていないにも拘わらず、出力電圧EX、EYが円C3を僅かに越えてしまう可能性がある。しかしながら、本実施の形態では、上記のようなヒステリシスエリアを設けていることで、出力電圧EX、EYが円C3を僅かに越えてしまっても、それまで状態が維持されるため、実質的には出力電圧EX、EYが円C3を越えていないことと同じになる。
【0160】
すなわち、本実施の形態では、中央値EXC、EYCと基準位置での出力電圧EX、EYに僅かな差が生じていても、この差をヒステリシスエリアで吸収させてしまうことができる。これにより、コントローラ10の各部品の寸法誤差や組付誤差を必要以上に厳格に設定しなくてもよく、コストを安価にできるという効果もある。
【0161】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、操作範囲の境界部分における操作手段のふらつきに起因する処理の頻繁な変更を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る信号入力装置の構成を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る信号入力装置の構成を示す正面断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る信号入力装置の構成を示す側面断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る信号入力装置の内部の構成を示す平断面図である。
【図5】図4とは異なる位置での平断面図である。
【図6】プッシュスイッチの拡大断面図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る信号入力装置とカーナビゲーション装置との関係を示す概略的なブロック図である。
【図8】操作手段の断面図である。
【図9】操作手段が基準位置にある状態でのスライダの位置及び位置検出手段からの出力信号を示す図である。
【図10】操作手段が基準位置から移動した状態でのスライダの位置及び位置検出手段からの出力信号を示す図である。
【図11】操作手段が基準位置から移動した状態でのスライダの位置及び位置検出手段からの出力信号を示す図である。
【図12】操作手段が基準位置から移動した状態でのスライダの位置及び位置検出手段からの出力信号を示す図である。
【図13】操作手段が基準位置から移動した状態でのスライダの位置及び位置検出手段からの出力信号を示す図である。
【図14】節度手段を構成する節度部の拡大図である。
【図15】本発明の一実施の形態に係る信号入力装置での信号処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】位置検出手段での出力信号の信号レベルと、判定に用いる信号レベルの設定範囲との関係を概念的に示す図である。
【図17】カーナビゲーション装置の画面の一例である。
【図18】カーナビゲーション装置の画面の他の一例である。
【図19】カーナビゲーション装置の画面の他の一例である。
【図20】カーナビゲーション装置の画面の他の一例である。
【図21】カーナビゲーション装置の画面の他の一例である。
【符号の説明】
10 コントローラ(信号入力装置)
88 ポテンショメータ(位置検出手段)
104 ポテンショメータ(位置検出手段)
114 マイコン(信号出力手段、信号維持手段)
132 制御部(制御手段)
162 操作ロッド(操作手段)
204 節度ピン(節度手段)
208 節度部(節度手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載されたカーナビゲーション装置等の各種装置の制御手段に操作信号を入力するための信号入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の車両には、複数の人工衛星からの電波を受信して車両の現在位置を演算し、この演算結果に基づき車両室内に設けられたテレビ等のモニタ手段の画面に車両の現在位置及びその周辺の地図画像を表示する所謂「カーナビゲーション装置」を設置することが多くなっている。
【0003】
また、この種のカーナビゲーション装置は、目的地や経由地等を予め設定しておき、現在位置から経由地や目的地まで、所望の条件に適したルートを演算し、モニタ手段の画面に表示したり、音声にてガイドする機能が付加されている。
【0004】
ところで、上記のように目的地や経由地を設定する際には、モニタ手段の画面に表示された現在位置近傍の地図を、目的地や経由地の近傍の地図に切り替えなければならない。このような地図画面の切り替えには、様々な方法があるが、その一例としては、カーナビゲーション装置のコントローラで地図画面をスクロール操作する方法がある。
【0005】
このスクロール操作は、地図の画像データをモニタ手段の画面上で目的地や経由地とは逆方向に移動させ、目的地や経由地側で画面の表示範囲から外れていた画像データを表示範囲内に移動させ、それまで表示範囲内にあった画像データを表示範囲外に移動させる。これにより、あたかも目的地や経由地の方向に画面が移動しているように見え、現在位置に対する経由地や目的地の方向や距離が概ね既知である場合には簡単で有効な地図画面の切り替え方法である。
【0006】
以上のような機能を有するカーナビゲーション装置に適用されるコントローラの形態も様々であるが、その一例としては、所謂「ジョイスティック・タイプ」のコントローラがある(ジョイスティック・タイプのコントローラの一例としては、下記特許文献1を参照)。
【0007】
下記特許文献1に開示されたジョイスティック・タイプのコントローラは、略棒形状のジョイスティックを備えている。ジョイスティックは基端側を軸にして軸方向を傾斜させる方向へ傾動可能となっている。また、このコントローラは、一対のポテンショメータを備えている。一対のポテンショメータの一方は、ジョイスティックの前後方向の傾動角度に応じて出力する電圧が変化するように設けられ、他方のポテンショメータはジョイスティックの左右方向の傾動角度に応じて出力する電圧が変化するように設けられている。
【0008】
この一対のポテンショメータの各出力電圧から、ジョイスティックの傾動方向が検出される。
【0009】
例えば、このようなジョイスティック・タイプのコントローラによって上記のような画面のスクロール操作を行なう場合には、ジョイスティックをモニタ手段の画面上においてスクロールしたい方向に対応した方向へジョイスティックを押圧して傾動させる。ジョイスティックが傾動したことは一対のポテンショメータの各出力電圧の電圧値に基づいて検出され、この電圧値に対応した信号がECU等の制御部に入力されると、上述したような画像データの移動が開始される。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−188626公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようなポテンショメータを使用した場合には、ジョイスティックの傾動角度が所定の角度に達した場合にスクロール速度を変える等の様々な応用が可能になる。
【0012】
しかしながら、上記の所定角度を境にスクロール速度が変わる等の構成にすると、その境の近傍でジョイスティックがふらつくと、スクロール速度等が頻繁に変化し、操作者が不快感を抱く可能性がある。
【0013】
本発明は、上記事実を考慮して、操作範囲の境界部分における操作手段のふらつきに起因する処理の頻繁な変更を防止できる信号入力装置を得ることが目的である。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明に係る信号入力装置は、制御手段に操作信号を入力するための信号入力装置であって、外縁が略円形又は略楕円形の可動範囲の中央側から前記外縁までの間で変位可能な操作手段と、前記操作手段の位置を検出する位置検出手段と、前記操作信号を前記位置検出手段が検出した前記操作手段の位置に応じたレベルで出力する信号出力手段と、前記可動範囲の内側に設定された略円形又は略楕円形の第1境界位置と前記第1境界位置よりも前記外縁側に設定された第2境界位置との間のヒステリシスエリア内に前記操作手段が前記第1境界位置及び前記第2境界位置の何れか一方の側から変位した際の前記操作手段の位置の変化を前記位置検出手段が検出した場合に、前記制御手段に入力する前記操作信号を前記何れか一方の位置に対応した操作信号に維持する信号維持手段と、を備えることを特徴としている。
【0015】
請求項1に記載の本発明に係る信号入力装置によれば、操作手段の位置は位置検出手段によって検出される。したがって、円形又は略楕円形に設定された可動範囲内で操作手段を変位させると、この変位による操作手段の位置に変化が位置検出手段によって検出される。位置検出手段により操作手段の位置が検出されると、この位置検出手段での検出結果、すなわち、操作手段の位置に応じた操作信号が信号出力手段から出力され、直接又は間接的に制御手段に入力される。
【0016】
また、本発明に係る信号入力装置では、可動範囲の内側に略円形又は略楕円形の第1境界位置が設定され、更に、この第1境界位置の外側に略円形又は略楕円形の第2境界位置が設定される。この第1境界位置と第2境界位置との間はヒステリシスエリアとされ、第1境界位置及び第2境界位置の何れか一方の側からヒステリスエリア内に操作手段が変位すると、この変位に伴う操作手段の位置の変化が位置検出手段によって検出される。
【0017】
本来であれば、このような場合には、ヒステリシスエリア内での操作手段の位置に対応した操作信号が制御手段に入力されるが、本発明に係る信号入力装置では、このような場合、信号維持手段によって上記の何れか一方、すなわち、第1境界位置及び第2境界位置のうち、操作手段がヒステリシスエリア内に変位する直前の境界位置に対応した操作信号で維持される。
【0018】
さらに、ヒステリシスエリア内において操作信号が維持された状態から、第1境界位置及び第2境界位置の何れか他方の境界位置に操作手段が変位すると、制御手段に入力される操作信号が、それまで維持されていた何れか一方の境界位置に対応する操作信号から何れか他方の境界位置に対応する操作信号に切り替わる。
【0019】
このように、本発明に係る信号入力装置では、第1境界位置よりも内側と、第2境界位置の外側との間で操作手段がヒステリシスエリアを跨いで変位する際に、第1境界位置及び第2境界位置の何れか一方の境界位置を越えても、ヒステリシスエリアを越えるまでは制御手段に入力される操作信号が何れか一方の境界位置に対応した操作信号に維持される。このため、操作手段が第1境界位置や第2境界位置の近傍でふらつく(微小な往復変位をする)ことにより生じる不具合が抑制又は防止される。
【0020】
したがって、本発明に係る信号入力装置を、例えば、車両の室内に搭載されたカーナビゲーション装置やテレビ放送の受信装置等の画面操作装置の制御手段に接続した場合には、上記のふらつきによる不用意で且つ頻繁な画面の画面の切り替え(表示する画像データの変更等)が抑制又は防止される。
【0021】
請求項2に記載の本発明に係る信号入力装置は、請求項1に記載の本発明において、前記第1境界位置及び前記第2境界位置の少なくとも何れか一方を、前記可動範囲に対して略同心の相似形状に設定した、ことを特徴としている。
【0022】
請求項2に記載の本発明に係る信号入力装置によれば、第1境界位置及び第2境界位置の少なくとも何れか一方が、操作手段の可動範囲に対して略同心の相似形状に設定される。
【0023】
ところで、操作手段や位置検出手段等の組み付け誤差や、操作手段や位置検出手段を支持する支持部材、更には、これらを収容するハウジング等の寸法誤差や組み付け誤差によって、第1境界位置や第2境界位置の中心が操作手段の可動範囲の中心に対してずれる可能性がある。
【0024】
これに対して、信号出力手段や信号維持手段は、あくまでも位置検出手段での検出結果、すなわち、位置検出手段から出力される電圧等の検出信号に基づいて操作信号の出力や維持を行なう。したがって、信号出力手段や信号維持手段にとって第1境界位置や第2境界位置は予め設定された検出信号の信号レベルに過ぎず、この第1境界位置や第2境界位置に対応した検出信号の信号レベルに関して言えば、上記のような「ずれ」が生じることはなく、また、第1境界位置や第2境界位置に対応した検出信号の信号レベルが上記の「ずれ」に対応することもない。
【0025】
このため、実際に操作手段が第1境界位置や第2境界位置に到達した状態でも、位置検出手段での検出信号が、既に第1境界位置や第2境界位置を越えた状態の信号レベルになることが考えられる。
【0026】
ここで、本発明に係る信号入力装置では、上記のように第1境界位置や第2境界位置を越えてヒステリシスエリアに操作手段が変位しても、その直前の境界位置に対応した操作信号が制御手段に入力される。このため、上記のような「ずれ」に起因する不具合を効果的に抑制又は防止できる。
【0027】
もちろん、上記の機械的な誤差や「ずれ」を考慮して、最終的に機械的な第1境界位置や第2境界位置に位置検出手段での検出信号を合致させるべく、修正設定作業や補正設定作業を行なうことで、上記の不具合を防止することは可能である。
【0028】
また、部品の寸法精度や組み付け精度を極めて厳格に設定することによっても上記の不具合の発生を抑制できる。
【0029】
しかしながら、上記のような修正設定作業や補正設定作業を行なったり、部品の寸法精度や組み付け精度を極めて厳格に設定することで、製造コストや部品コストが高くなるといった新たな問題が当然生じる。
【0030】
これに対して、本発明に係る信号入力装置では、上記のような修正設定作業や補正設定作業を行なうことなく、しかも、各部材の寸法精度や組み付け精度を格別厳格に設定しなくても、上記の「ずれ」に起因する不具合を抑制又は防止でき、これにより、部品コストや製造コストを低減できる。
【0031】
請求項3に記載の本発明に係る信号入力装置は、請求項1又は請求項2に記載の本発明において、前記操作手段に係合して前記操作手段を介して節度感を付与する節度手段を、前記第1境界位置及び前記第2境界位置の少なくとも何れか一方に設けた、ことを特徴としている。
【0032】
請求項3に記載の本発明に係る信号入力装置によれば、第1境界位置及び第2境界位置の少なくとも何れか一方には節度手段が設けられており、節度手段が設けられた境界位置まで操作手段が変位すると、節度手段が操作手段に係合する。
【0033】
操作手段に節度手段が係合すると、節度手段は操作手段を介して操作手段を操作する操作者の身体(例えば、指先や掌等)に、操作時における荷重の変化や軽い衝撃等の節度感を付与する。これにより、操作者は、操作手段を直接視認しなくても節度手段が設けられた境界位置まで操作手段が変位したことを認識できる。
【0034】
ところで、操作手段や位置検出手段等の組み付け誤差や、操作手段や位置検出手段を支持する支持部材、更には、これらを収容するハウジング等の寸法誤差や組み付け誤差によって、節度手段の位置がずれる可能性がある。
【0035】
これに対して、信号出力手段や信号維持手段は、あくまでも位置検出手段での検出結果、すなわち、位置検出手段から出力される電圧等の検出信号に基づいて操作信号の出力や維持を行なう。したがって、信号出力手段や信号維持手段にとって第1境界位置や第2境界位置は予め設定された検出信号の信号レベルに過ぎず、この第1境界位置や第2境界位置に対応した検出信号の信号レベルに関して言えば、上記のような「ずれ」が生じることはなく、また、第1境界位置や第2境界位置に対応した検出信号の信号レベルが上記の「ずれ」に対応することもない。
【0036】
このため、実際に操作手段が第1境界位置や第2境界位置に到達して節度手段が操作手段に係合した状態であっても、位置検出手段での検出信号が、既に第1境界位置や第2境界位置を越えた状態の信号レベルになることが考えられる。このような場合、本来であれば、操作者の操作感と位置検出手段の検出信号の信号レベルとが合致せず、操作者は違和感を抱くことになる。
【0037】
ここで、本発明に係る信号入力装置では、上記のように第1境界位置や第2境界位置を越えてヒステリシスエリアに操作手段が変位しても、その直前の境界位置に対応した操作信号が制御手段に入力される。このため、上記のような「ずれ」が生じていたとしても、節度手段が操作手段に係合した状態では節度手段が設けられた境界位置に対応した操作信号が制御手段に入力される。これにより、操作者の操作感と位置検出手段の検出信号の信号レベルとを合致させることができ、操作者は違和感を抱くことがない。
【0038】
もちろん、上記の機械的な誤差や「ずれ」を考慮して、最終的に機械的な第1境界位置や第2境界位置に位置検出手段での検出信号を合致させるべく、修正設定作業や補正設定作業を行なうことで、上記の不具合を防止することは可能である。
【0039】
また、部品の寸法精度や組み付け精度を極めて厳格に設定することによっても上記の不具合の発生を抑制できる。
【0040】
しかしながら、上記のような修正設定作業や補正設定作業を行なったり、部品の寸法精度や組み付け精度を極めて厳格に設定することで、製造コストや部品コストが高くなるといった新たな問題が当然生じる。
【0041】
これに対して、本発明に係る信号入力装置では、上記のような修正設定作業や補正設定作業を行なうことなく、しかも、各部材の寸法精度や組み付け精度を格別厳格に設定しなくても、上記の「ずれ」に起因する不具合を抑制又は防止でき、これにより、部品コストや製造コストを低減できる。
【0042】
【発明の実施の形態】
<本実施の形態の構成>
図1には、本発明の一実施の形態に係る信号入力装置としてのコントローラ10の構造が分解斜視図によって示されている。
【0043】
この図に示されるように、コントローラ10はベース12を備えている。ベース12は平面視で略長方形状に形成されており、その外周部からは周壁14が立設されている。したがって、ベース12は全体的に厚さ方向一方(図1の上方)へ向けて開口した浅底の箱形状とされている。ベース12の上方にはアッパハウジング16が設けられている。
【0044】
アッパハウジング16は、平面視でベース12の長手方向に沿って長手とされた略長方形状とされ、全体的にはベース12側へ向けて開口した略箱形状とされており、図2に示されるように、ベース12を上側から覆う構造となっている。
【0045】
図3に示されるように、ベース12の周壁14には複数の嵌合爪18が外方へ向けて突出形成されており、これらの嵌合爪18に対応してアッパハウジング16に形成された嵌合孔20に嵌合爪18が嵌合することで、ベース12とアッパハウジング16とが略一体的に連結される構造となっている。
【0046】
また、図1に示されるように、ベース12の長手方向中間部には略矩形の開口部22が形成されている。この開口部22の周縁からは下方(すなわち、アッパハウジング16とは反対側)へ向けて周壁24が形成されている。さらに、この周壁24のアッパハウジング16とは反対側の端部には底壁26が形成されており、周壁24のアッパハウジング16とは反対側の端部を閉止している。
【0047】
また、底壁26の長手方向中間部における幅方向略中央には凹部28が形成されている。凹部28は平面視で略円形とされており、全体的には略円錐形の擂鉢形状に形成されている。
【0048】
一方、図1に示されるように、凹部28の上方にはスライダ30が設けられている。スライダ30はスライダ本体32を備えている。スライダ本体32はベース12の幅方向に沿って長手方向の略長方形の枠状に形成されている。スライダ本体32の長手方向一方の側には脚板34が設けられており、スライダ本体32の長手方向他方の側には脚板36が設けられている。
【0049】
脚板34は、ベース12の幅方向に沿って厚さ方向とされた板状部で、ベース12の深さ方向に沿った脚板34の中間部に形成された連結部38を介してスライダ本体32の長手方向一端に一体的に連結されている。一方、脚板36もまたベース12の幅方向に沿って厚さ方向とされた板状部で、スライダ本体32の長手方向他端に一体的に連結されている。
【0050】
図3に示されるように、これらの脚板34、36は、底壁26の幅方向両端に沿って形成されたガイド溝42に入り込んでいる。ガイド溝42に入り込んだ脚板34、36はガイド溝42の開口幅方向両側の内壁に干渉されることで、ベース12の幅方向に沿った脚板34、36の変位が規制されている。これにより、基本的にスライダ30がベース12の長手方向にスライドする構造となっている。
【0051】
また、図1に示されるように、スライダ30の上側(すなわち、スライダ30を介してベース12の反対側)にはスライダ44が設けられている。スライダ44はスライダ本体46を備えている。スライダ本体46はベース12の長手方向に沿って長手方向の略長方形の枠状に形成されている。スライダ本体46の長手方向一方の側には脚板48が設けられており、スライダ本体46の長手方向他方の側には脚板50が設けられている。
【0052】
脚板48は、ベース12の長手方向に沿って厚さ方向とされた板状部で、ベース12の深さ方向に沿った脚板48の中間部に形成された連結部52を介して、スライダ本体46の長手方向一端に一体的に連結されている。一方、脚板50もまたベース12の長手方向に沿って厚さ方向とされた板状部で、ベース12の深さ方向に沿った脚板50の中間部に形成された連結部52を介してスライダ本体46の長手方向他端に一体的に連結されている。
【0053】
これらの脚板48、50に対応して底壁26上には一対のガイドレール54が形成されている。これらのガイドレール54は、ベース12の幅方向に沿って連続した溝部を有しており、図4に示されるように、一方のガイドレール54の溝部に脚板48が入り込み、他方のガイドレール54の溝部に脚板50が入り込んでいる。
【0054】
各ガイドレール54は、ベース12の長手方向に沿って対向する溝部の内壁が脚板48、50に干渉することでベース12の長手方向に沿った脚板48、50の変位を規制している。これにより、基本的にスライダ44がベース12の幅方向にスライドする構造となっている。
【0055】
図1に示されるように、スライダ44の上方(すなわち、スライダ44を介してスライダ30とは反対側)には、回路基板56が配置されている。回路基板56はベース12の長手方向に沿って長手方向とされた略長形状の板状で、ベース12の四隅に形成された円筒状のボス58を貫通するねじ等の締結手段が回路基板56の角部に螺入されることにより、周壁14上で回路基板56が固定される構造となっている。
【0056】
また、図2及び図3に示されるように、回路基板56上にはカバー60が設けられている。カバー60は平板状の上底部62を備えている。上底部62の外周部には周壁64が形成されており、周壁64の端部(上底部62とは反対側の端部)が回路基板56に当接している。これにより、回路基板56上に設けられた抵抗やコンデンサ等の各部品等に上底部62が干渉しない状態で上底部62が回路基板56を被覆している。
【0057】
また、図1に示されるように、回路基板56の幅方向略中央には円孔66が形成されている。円孔66にはリング部材68が嵌め込まれている。リング部材68の軸方向中間部よりも一端側は回路基板56の表側に突出している。ベース12の長手方向に沿ってリング部材68の両側では、回路基板56上にプッシュスイッチ70が配置されている。
【0058】
図6に示されるように、プッシュスイッチ70は可動部72を備えている。可動部72は、ゴム材や絶縁性を有する比較的柔軟な合成樹脂材により略椀形状に形成されており、その開口側が回路基板56側へ向いた状態で回路基板56上に取り付けられている。可動部72の内底部には、可動接点74が取り付けられている。
【0059】
可動接点74は、例えば、銅等の導電性を有する金属箔によって形成されている。この可動接点74の対向して回路基板56上に形成された配線76は、可動接点74の中間部に対応した部分が断線している。この配線76に対して可動部72の底部が回路基板56に接近する如く可動部72が弾性変形して、可動接点74が回路基板56に接触すると、断線している配線76の一方である配線76Aと他方である配線76Bの双方に可動接点74が接触して導通する。これにより、配線76Aと配線76Bとが可動接点74を介して導通する。
【0060】
また、これらのプッシュスイッチ70に対応して回路基板56上には電流検出素子78(図1においては図示省略、図7の概略的なブロック図参照)が設けられている。電流検出素子78は、上述したプッシュスイッチ70に対応した配線76に接続されており、可動接点74を介して配線76が導通して配線76に電流が流れると所定レベルのデジタルの電気信号SPを出力する。
【0061】
一方、図1に示されるように、回路基板56の裏面には調整板82が取り付けられている。調整板82は基部84を備えている。基部84は全体的に平板状に形成され、厚さ方向一方の側が回路基板56の裏面に対向した状態で回路基板56に固定されている。ベース12の長手方向に沿った基部84の一方の端部では、調整壁86の一部が下方(底壁26側)へ向けて略直角に屈曲形成されている。
【0062】
基部84の回路基板56とは反対側の面には、位置検出手段としてのポテンショメータ88が取り付けられている。ポテンショメータ88は、ベース12の長手方向に沿って幅方向とされた略直方体形状の本体90を備えており、この本体90の内部に電気的な抵抗部材が収容されている。
【0063】
また、本体90の基部84とは反対側の面からはスライド突起92が突出している。スライド突起92は所定ストロークスライド自在とされており、スライド突起92のスライド位置に応じた電位に対応するアナログの電気信号EXがポテンショメータ88から出力される。
【0064】
図1に示されるように、ポテンショメータ88の本体90は、スライド突起92のスライド方向がベース12の幅方向に沿うように基部84に取り付けられていると共に、上述したスライダ44に形成された嵌合孔94にスライド突起92が嵌合している。したがって、スライダ44がベース12の幅方向に沿ってスライドすることで、スライダ44と略一体的にスライド突起92がスライドする。すなわち、このポテンショメータ88は、ベース12の幅方向に沿ったスライダ44の位置を検出することになる。
【0065】
また、上記の回路基板56にはA/Dコンバータ96(図1においては図示省略、図7の概略的なブロック図参照)が設けられており、ポテンショメータ88の出力端子がA/Dコンバータ96の入力端子に接続されている。A/Dコンバータ96にはポテンショメータ88から出力された信号EXが入力され、A/Dコンバータ96は入力された信号EXの信号レベルに応じた操作信号としてのデジタルの電気信号SXを出力する。
【0066】
一方、回路基板56の裏面には調整板98が取り付けられている。調整板98は基部100を備えている。基部100は全体的に平板状に形成され、厚さ方向一方の側が回路基板56の裏面に対向した状態で回路基板56に固定されている。
【0067】
図1に示されるように、ベース12の長手方向に沿った基部100の一方の端部では、調整壁102の一部が下方(底壁26側)へ向けて略直角に屈曲形成されている。基部100の回路基板56とは反対側の面には、位置検出手段としてのポテンショメータ104が取り付けられている。ポテンショメータ104は、ベース12の長手方向に沿って長手方向とされた略直方体形状の本体106を備えており、この本体106の内部に電気的な抵抗部材が収容されている。
【0068】
また、本体106の基部100とは反対側の面からはスライド突起108が突出している。スライド突起108は所定ストロークスライド自在とされており、スライド突起108のスライド位置に応じた電位に対応するアナログの信号EYがポテンショメータ104から出力される。
【0069】
図4に示されるように、ポテンショメータ104の本体106は、スライド突起108のスライド方向がベース12の長手方向に沿うように基部100に取り付けられていると共に、上述したスライダ30の連結部38に形成された嵌合孔110にスライド突起108が嵌合している。したがって、スライダ30がベース12の長手方向に沿ってスライドすることで、スライダ30と略一体的にスライド突起108がスライドする。すなわち、このポテンショメータ104は、ベース12の長手方向に沿ったスライダ30の位置を検出することになる。
【0070】
また、上記の回路基板56にはA/Dコンバータ112(図1においては図示省略、図7の概略的なブロック図参照)が設けられており、ポテンショメータ104の出力端子がA/Dコンバータ112の入力端子に接続されている。A/Dコンバータ112にはポテンショメータ104から出力された信号EYが入力され、A/Dコンバータ112は入力された信号EYの信号レベルに応じた操作信号としてのデジタルの電気信号SYを出力する。
【0071】
また、図7に示されるように、回路基板56には、CPU116やRAM118、ROM120により構成された信号出力手段及び信号維持手段としてのマイコン114が設けられている。マイコン114の入力ポートには、上述した電流検出素子78及びA/Dコンバータ96、112の各出力端子が接続されており、電流検出素子78及びA/Dコンバータ96、112から出力された信号SP、SX、SYがマイコン114のCPU116に入力される。CPU116は、ROM120から読み込んだ後述する信号処理プログラムや判定処理プログラムに基づいて信号SP、SX、SYを処理し、更に、その処理結果に基づいた画面制御信号SDを出力する。
【0072】
なお、本実施の形態では、マイコン114とは別にA/Dコンバータ96、112を設けた構成であったが、A/Dコンバータ96、112の実質的な機能をマイコン114に付加して、構造的にA/Dコンバータ96、112を省略する構成としてもよい。
【0073】
図7に示されるように、マイコン114は、車両に搭載されたカーナビゲーション装置130の制御手段としての制御部132に接続されている。制御部132はCPU134やRAM136、ROM138等によって構成されている。さらに、制御部132は車両に搭載されたモニタ手段としてのモニタテレビ140に接続されており、CPU134に入力された各種信号や、CPU134がROM138から読み込んだナビゲーションプログラムや画面制御プログラム等に基づき、CPU134がモニタテレビ140に画像を表示させる。
【0074】
一方、図2に示されるように、上述したカバー60の上底部62には、回路基板56に形成された円孔66に対応して孔142が形成されている。この孔142の周縁に沿って上底部62の裏面には延出部144が形成されている。延出部144は鉤状に屈曲し、更に孔142の開口径方向内方側へ向けて延出されている。延出部144は上記のように基端側が鉤状に屈曲していることで、孔142の開口径方向内方側の部分がカバー60の上底部62よりも回路基板56側に位置している。
【0075】
さらに、延出部144を介して回路基板56とは反対側には軸受プレート146が配置されている。軸受プレート146は、全体的に高台付きの椀形状(更に言えば、高台付きの椀を天地逆にした形状)とされており、平面視では略円形とされている。軸受プレート146には、その本体部分の外周部に沿ってリング状の周壁148が形成されている。周壁148は、上述したカバー60の孔142を貫通し、更に、端部が孔142の周縁に形成された延出部144と対向している。
【0076】
周壁148の内側には押圧プレート150が収容されている。図5に示されるように、押圧プレート150の外周部には複数(本実施の形態では、3つ)の係合片152が突出形成されている。これらの係合片152に対応して軸受プレート146の周壁148の内周部にはガイド片154が形成されている。ガイド片154は、係合片152が係合した状態で係合片152の変位方向を軸受プレート146の深さ方向(図2の上下方向)に規制している。
【0077】
また、図2に示されるように、ベース12の長手方向に沿った押圧プレート150の裏面の両端側には、押圧片156が設けられている。これらの押圧片156は、上述したプッシュスイッチ70の可動部72と対向しており、押圧プレート150が下降することで、各押圧片156が対応する可動部72を押圧して可動部72を弾性変形させる構成となっている。
【0078】
さらに、ベース12の長手方向に沿った押圧プレート150の略中央部には、下方(回路基板56側)へ向けて張り出すように略半球形状に湾曲した半球状部158が形成されている。この半球状部158の底部には円孔160が形成されている。
【0079】
一方、図1に示されるように、アッパハウジング16によって閉じられたベース12内には操作手段としての操作ロッド162が設けられている。操作ロッド162は、回路基板56に形成された円孔66、カバー60に形成された孔142、及び押圧プレート150に形成された円孔160を貫通し、更に、軸受プレート146の略中央に形成された軸受孔164を貫通した状態で配置されている。さらに、操作ロッド162は上端側がアッパハウジング16の上底に形成された円孔166を通過してアッパハウジング16の外部に延出されている。また、操作ロッド162の上端には操作摘み170が取り付けられている。
【0080】
図2に示されるように、操作摘み170はベース部172を備えている。ベース部172は、その本体部分が略円盤状に形成されていると共に、本体部分の裏面の略中央には円筒形状のボス174が本体部分に対して略同軸的に一体形成されている。ボス174の内周部には雌ねじが形成されており、操作ロッド162の上端に形成された雄ねじが螺合することで、ベース部172と操作ロッド162とが機械的に一体的に連結されている。
【0081】
一方、ベース部172のボス174が形成された側とは反対側からは、摘み部176がベース部172に取り付けられている。摘み部176は、下方へ向けて開口した有底円筒形状に形成されている。摘み部176の内径寸法はベース部172の外径寸法よりも極僅かに大きい程度とされ、ベース部172は摘み部176に対して略同軸的に摘み部176の内側に嵌まり込むことが可能である。また、摘み部176の内底部の略中央には突き当てリブ178が形成されている。
【0082】
突き当てリブ178は、摘み部176の機械的強度を確保すると共に、上記のようにベース部172が摘み部176の内側に嵌まり込んだ状態でベース部172に当接し、これにより、それ以上ベース部172が摘み部176の内側に入り込むことを規制する。
【0083】
一方、摘み部176の開口端には係止爪180が開口半径方向内方側へ突出形成されている。この係止爪180に対応して、ベース部172の本体部分の外周部には、嵌合爪18がベース部172の半径方向外方へ向けて鉤状に突出形成されている。ベース部172が上記の突き当てリブ178に当接した状態では、摘み部176からベース部172が抜け出る方向に沿って係止爪180が嵌合爪18に干渉する。これにより、摘み部176からベース部172が抜け出ることを防止し、摘み部176とベース部172とを一体的に連結している。
【0084】
また、図8に示されるように、操作ロッド162の雄ねじ部よりも下側は軸部182とされている。軸部182は表面が操作ロッド162の上端側へ向けて張り出すように湾曲した略半球形状に形成されており、その最大外径寸法は、上述した軸受プレート146の軸受孔164の最大内径寸法よりも充分に大きい。軸部182は軸受プレート146の内側から軸受孔164に嵌まり込んでおり、この状態で、軸受プレート146に対して自らを軸にあらゆる方向へ所定角度回動できる構造となっている。
【0085】
さらに、軸部182の下側にはフランジ部186が形成されている。フランジ部186は外径寸法が軸部182の外径寸法よりも充分に大きな略リング状で、操作ロッド162の軸方向に沿って、操作ロッド162の雄ねじ部や軸部182に対して同軸的に形成されている。フランジ部186の下側には半球状部188が形成されている。
【0086】
半球状部188は表面が操作ロッド162の下側へ向けて張り出すように湾曲した略半球形状に形成されており、しかも、表面の曲率半径は軸部182の表面の曲率半径よりも大きく、延出部144の半径寸法よりも小さい。半球状部188もまたフランジ部186と同様に、操作ロッド162の雄ねじ部や軸部182に対して同軸的に形成され、上述した押圧プレート150の半球状部158に上方から嵌まり込んでいる。
【0087】
半球状部188の下側には円柱形状の首部190が同軸的に形成されており、更に、首部190の下側には胴部192が形成されている。胴部192は首部190よりも外径寸法が大きな略円柱形状に形成されている。但し、胴部192の外周部は操作ロッド162の軸心に対して外方へ張り出すように湾曲しており、基本的には操作ロッド162の軸方向に沿った球の両側をカットした形状となっている。
【0088】
胴部192は、スライダ本体46(スライダ44)の内側であるガイド孔194に入り込んでいる。ガイド孔194はベース12の長手方向に沿って長手とされた略長方形状に形成されており、幅方向に沿った内寸が胴部192の外径寸法よりも極僅かに大きい。したがって、胴部192は、ガイド孔194の長手方向、すなわち、スライダ本体46の長手方向に対してはガイド孔194の内部で移動可能であるが、ガイド孔194の幅方向に移動しようとした場合には、ガイド孔194の内周部をガイド孔194の幅方向に押圧して、スライダ本体46を伴って移動する(図9、図12、図13参照)。
【0089】
また、胴部192の下側には外径寸法が胴部192よりも小さな円柱形状の首部196が形成されており、更に、首部196の下側には胴部198が形成されている。胴部198は首部196よりも外径寸法が大きな略円柱形状に形成されている。但し、胴部198の外周部は操作ロッド162の軸心に対して外方へ張り出すように湾曲しており、基本的には操作ロッド162の軸方向に沿った球の両側をカットした形状となっている。
【0090】
胴部198は、スライダ本体32(スライダ30)の内側であるガイド孔200に入り込んでいる。ガイド孔200はベース12の幅方向に沿って長手とされた略長方形状に形成されており、幅方向に沿った内寸が胴部198の外径寸法よりも極僅かに大きい。したがって、胴部198は、ガイド孔200の長手方向、すなわち、スライダ本体32の長手方向に対してはガイド孔200の内部で移動可能であるが、ガイド孔200の幅方向に移動しようとした場合には、ガイド孔200の内周部をガイド孔200の幅方向に押圧して、スライダ本体32を伴って移動する(図9乃至図11参照)。
【0091】
一方、図8に示されるように、操作ロッド162には下端(すなわち、胴部198の側)で開口した有底の収容孔202が操作ロッド162に対して同軸的に形成されている。収容孔202には節度手段を構成する節度ピン204が入り込んでいる。
【0092】
節度ピン204は、外径寸法が収容孔202の内径寸法よりも極僅かに小さな有底の円筒形状に形成されており、その先端である外底面は外方へ張り出した略半球形状とされている。また、収容孔202の内底と節度ピン204の開口端との間には、付勢手段としての圧縮コイルスプリング206が配置されている。
【0093】
圧縮コイルスプリング206は、一端が収容孔202の内底に当接していると共に、他端が節度ピン204の開口端に当接しており、節度ピン204を収容孔202から突出させる方向に付勢している。
【0094】
節度ピン204の先端側は圧縮コイルスプリング206の付勢力によって上述した底壁26の凹部28に圧接している。ここで、凹部28の内周面の曲率半径の中心は、上記の軸部182の中心よりも下方に位置している。したがって、軸部182を中心にして操作ロッド162が回動し、節度ピン204の先端が、凹部28の開口側に変位すると、節度ピン204が圧縮コイルスプリング206の付勢力に抗して収容孔202内に入り込む。
【0095】
圧縮コイルスプリング206の付勢力は、節度ピン204が収容孔202に入り込むほど付勢力が増加する。したがって、圧縮コイルスプリング206の付勢力は、収容孔202内に入り込んだ節度ピン204を押し出すことで、結果的に回動状態の節度ピン204を凹部28の底部中央へ向けて変位させることになる。
【0096】
さらに、図3における一点鎖線の円Aの部分を拡大した図14に示されるように、上記の凹部28は、その開口側と底部との間の中間部に節度手段を構成する節度部208が設けられている。節度部208は、平面視で凹部28に対して同心の円形に形成されている。
【0097】
この節度部208よりも凹部28の開口端側における凹部28の傾斜角度θ1は、節度部208よりも凹部28の底部側の傾斜角度θ2よりも大きい。上記のように節度ピン204の先端は略半球形状であるため、節度部208を境に節度部208よりも下方から上方へ節度ピン204が移動して節度部208の近傍に到達すると、節度部208よりも下側で節度ピン204が点接触するのみならず、節度部208よりも上側で凹部28が節度ピン204に接触する。
【0098】
この節度部208を境とする両側で節度ピン204が接触した状態では、節度ピン204を更に凹部28の上側へ移動させる際に凹部28から節度ピン204が受ける抵抗が大きくなる。しかも、節度部208よりも上側では凹部28の傾斜角度が大きくなるため、節度ピン204はそれまでよりも大きく収容孔202内に入り込もうとする。これにより、圧縮コイルスプリング206の付勢力が急激に増加し、操作ロッド162を回動させる際の抵抗が大きくなる。
【0099】
以上の構成のコントローラ10は、例えば、車両の運転席と助手席との間に設けられたコンソールボックスの前方等に設けられ、運転席が相対的に車両の右側にある場合には、運転席乗員が左手で摘み部176を操作できるように配置される。
【0100】
<本実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0101】
(コントローラ10の動作)
本コントローラ10では、操作摘み170の摘み部176が略車両前後方向、略車両左右方向、更には、略車両前後方向に対して略車両左右方向に傾斜した方向へ押圧されると、操作ロッド162が軸部182を中心に回動し、操作ロッド162及び操作摘み170が傾動する。このように、軸部182を中心に操作ロッド162が回動すると、軸部182よりも下側は、操作摘み170の傾動方向とは反対方向に傾動する。
【0102】
操作ロッド162の軸部182よりも下側部分が軸部182を中心に傾動すると、操作ロッド162の胴部192によってスライダ本体46のガイド孔194の内周部が胴部192の傾動方向に押圧されると共に、操作ロッド162の胴部198によってスライダ本体32のガイド孔200の内周部が胴部198の傾動方向に押圧される。
【0103】
但し、スライダ44は脚板48、50が一対のガイドレール54に干渉されることで、その移動方向がベース12の幅方向に規制される。このため、例えば、胴部192がベース12の幅方向に対して傾斜した方向に傾動すると、その傾動方向に対するベース12の幅方向に沿った変位量だけスライダ44がスライドし、ベース12の長手方向にはガイド孔194の内部で胴部192が変位するのみとなる。
【0104】
これに対して、操作ロッド162の軸部182よりも下側部分が軸部182を中心に傾動すると、操作ロッド162の胴部198によってスライダ本体32のガイド孔200の内周部が胴部198の傾動方向に押圧されると共に、操作ロッド162の胴部198によってスライダ本体32のガイド孔200の内周部が胴部198の傾動方向に押圧される。
【0105】
但し、スライダ30は脚板34、36がガイド溝42の内壁に干渉されることで、その移動方向がベース12の長手方向に規制される。このため、例えば、胴部198がベース12の長手方向に対して傾斜した方向に傾動すると、その傾動方向に対するベース12の長手方向に沿った変位量だけスライダ30がスライドし、ベース12の幅方向にはガイド孔200の内部で胴部198が変位するのみとなる。
【0106】
このように、操作ロッド162が傾動すると、この傾動角度に対応した量だけベース12の幅方向にスライダ44がスライドし、ベース12の長手方向にスライダ30がスライドする。
【0107】
上記のように、スライダ44がベース12の幅方向にスライドすると、スライダ本体46の嵌合孔94に嵌合しているスライド突起92がスライダ44と共に略一体的にスライドする。スライド突起92がベース12の幅方向にスライドすると、このスライド量(変位量)に応じてポテンショメータ88の本体90における電気的な抵抗値が変化する。
【0108】
ポテンショメータ88からは、この電気抵抗値の変化、すなわち、スライダ44の位置に応じたアナログの電圧(電気信号)EXが出力される。ポテンショメータ88から出力された信号EXはA/Dコンバータ96に入力される。A/Dコンバータ96からは、入力された信号EXの信号レベル(電圧値)に応じたデジタルの電気信号SXが一定時間毎に出力される。A/Dコンバータ96から出力された信号SXはマイコン114のCPU116に入力され、後述する各処理に供される。
【0109】
これに対して、スライダ30がベース12の長手方向にスライドすると、連結部38の嵌合孔110に嵌合しているスライド突起108がスライダ30と共に略一体的にスライドする。スライド突起108がベース12の長手方向にスライドすると、このスライド量(変位量)に応じてポテンショメータ104の本体106における電気的な抵抗値が変化する。
【0110】
ポテンショメータ104からは、この電気抵抗値の変化、すなわち、スライダ30の位置に応じたアナログの電圧(電気信号)EYが出力される。ポテンショメータ104から出力された信号EYはA/Dコンバータ112に入力される。A/Dコンバータ112からは、入力された信号EYの信号レベル(電圧値)に応じたデジタルの電気信号SYが一定時間毎に出力される。A/Dコンバータ112から出力された信号SYはマイコン114のCPU116に入力され、後述する各処理に供される。
【0111】
なお、本実施の形態では、A/Dコンバータ96、112から一定時間毎に信号SX、SYを出力する構成であるが、一定時間毎に信号EX、EYをA/Dコンバータ96、112が読み込み、信号EX、EYに変化が生じた場合にのみ信号SX、SYを出力する構成としてもよい。
【0112】
一方、以上のように、操作ロッド162を傾動させると、節度ピン204が凹部28上を摺動する。ここで、上述したように、凹部28の内周面の曲率中心は、操作ロッド162の回動(傾動)中心である軸部182よりも下方であるため、操作ロッド162が傾動して節度ピン204が凹部28の開口端側(すなわち、上側)に変位すると、操作ロッド162の回動中心から節度ピン204の先端と凹部28と接触位置までの距離が短くなる。
【0113】
これにより、操作ロッド162が傾動すると、節度ピン204は圧縮コイルスプリング206の付勢力に抗して収容孔202の内側へ向けて変位する。このように、節度ピン204が収容孔202の内側へ変位することで、圧縮コイルスプリング206の付勢力が増加する。
【0114】
したがって、操作ロッド162を傾動させるために、乗員が摘み部176に付与した押圧力を解除すると、収容孔202から節度ピン204を押し出そうとする圧縮コイルスプリング206の付勢力が、節度ピン204を凹部28の底部側に変位させる。したがって、操作ロッド162は、操作ロッド162を傾動させるために操作摘み170に付与した押圧力が解除されると、圧縮コイルスプリング206の付勢力で自動的に節度ピン204が凹部28の底部に位置する基準位置に復帰する。
【0115】
また、上記のように、圧縮コイルスプリング206の付勢力に抗して操作ロッド162を傾動させ、これにより、節度ピン204の先端が節度部208の近傍に達すると、上述したように、それまで、凹部28に点接触していた節度ピン204は、節度部208を境に節度部208よりも下側で凹部に点接触し、且つ、節度部208よりも上側で凹部28に接触する。このように、節度部208を境とする上下両側で凹部28が節度ピン204に接触することで、それまで操作摘み170に付与していた押圧力では操作ロッド162を傾動させることができなくなり、言わば、操作ロッド162の傾動が規制された状態になる。
【0116】
このように、操作ロッド162の傾動が規制されることで、操作ロッド162を押圧している乗員は、操作摘み170を直視しなくても、節度部208の近傍に節度ピン204が位置するまで操作ロッド162が傾動されたことを認識できる。
【0117】
さらに、このような規制状態であっても、それまで以上の押圧力で操作摘み170を押圧すれば、節度ピン204の先端が節度部208よりも上側に乗り上げ、更に、凹部28の開口端側へ節度ピン204を変位させることができる。
【0118】
但し、節度部208よりも上側ではそれまで(すなわち、節度部208よりも下側)よりも凹部28の傾斜角度が大きいため、収容孔202内への節度ピン204の変位量が大きくなり、圧縮コイルスプリング206の付勢力もそれまで以上に増加する。
【0119】
したがって、操作摘み170を押圧する際の操作感としては、それまで(節度ピン204の先端が節度部208よりも下側で凹部28に接していた状態)よりも重いものになり、節度ピン204が節度部208よりも上側で凹部28に接した状態で操作ロッド162を傾動させていることを容易に認識できる。
【0120】
一方、操作摘み170の摘み部176を操作ロッド162の軸方向に沿って下方へ押圧すると、節度ピン204を付勢する圧縮コイルスプリング206の付勢力に抗して操作摘み170と操作ロッド162とが一体的に下降する。操作ロッド162が下降すると、押圧プレート150の半球状部158に嵌め込まれた操作ロッド162の半球状部188が半球状部158を下方へ押圧し、押圧プレート150を下降させる。
【0121】
押圧プレート150が下降すると、押圧プレート150の両端に設けられた押圧片156がプッシュスイッチ70の可動部72を上側から押圧し、可動部72を弾性変形させる。可動部72が弾性変形することで、可動接点74が配線76A、76Bに接触し、配線76Aと配線76Bとが導通される。
【0122】
このように配線76Aと配線76Bとが導通されることで配線76に電流が流れると、この電流が電流検出素子78によって検出され、更に、電流検出素子78からHighレベルの電圧信号SPが出力される。電流検出素子78から出力された信号SPはマイコン114のCPU116に入力される。
【0123】
次に、マイコン114における信号SX、SY、SPの処理について図15のフローチャートに基づいて説明する。
【0124】
本実施の形態では、図15のフローチャートに示される信号処理プログラムがステップ300で起動されると、ステップ302で初期設定が行なわれ、更に、ステップ304でポテンショメータ88の出力電圧に基づくデジタルの信号SXとポテンショメータ104の出力電圧に基づくデジタルの信号SYとが読み込まれる。
【0125】
次いで、ステップ306では、次の式(1)に基づいて値RVが演算される。
RV=(SX−SXC)2+(SY−SYC)2・・・(1)
ここで、式(1)におけるSXCは、ポテンショメータ88の最小出力電圧EX0と、最大出力電圧EXVの中央値EXCに対応する値であり、SYCは、ポテンショメータ104の最小出力電圧EY0と、最大出力電圧EYVの中央値EYCに対応する値である。
【0126】
すなわち、この式(1)で求められる値RVは、図16の概念的な座標系において、中央値EXC、EYCからポテンショメータ88、104の出力電圧EX、EYまでの直線距離の自乗に対応している。
【0127】
次いで、ステップ308では、値RVが値R0より小さいか否かが判定される。ここで、値R0は、図16に示される概念的な円C0の半径の自乗に対応する値で、ステップ308において値RVが値R0より小さい、すなわち、ポテンショメータ88、104の出力電圧EX、EYが円C0の内側に位置すると判定された場合にはステップ310に進む。
【0128】
ステップ310では、プッシュスイッチ70の可動接点74を介して配線76が導通し状態に対応したデジタルの信号SPが入力されたか否かが判定される。この状態で、信号SPが入力されたと判定された場合には、ステップ312でCPU116から信号UPが出力される。
【0129】
信号UPはカーナビゲーション装置130の制御部132のCPU134に入力される。仮に、この状態で、図17に示されるようなメニュー画面がモニタテレビ140の画面に表示されていた場合には、この状態で選択状態(反転状態)となっているアイコン222に示される処理が確定されて実行される。
【0130】
次いで、ステップ314では、RAM118に記憶する値RMに上記の値RVを代入してステップ304に戻る。
【0131】
これに対して、ステップ310において信号SPが入力されていないと判定された場合にはステップ316に進む。ステップ316では、基本的に操作ロッド162が傾動していないことを意味する信号U0がCPU116から出力される。
【0132】
信号U0がCPU134に入力された場合には、CPU116はモニタテレビ140の画面に表示した画像データをそのままの状態で維持する(すなわち、画面に変化が生じない)。次いで、ステップ314に進み、RAM118に記憶する値RMに上記の値RVを代入してステップ304に戻る。
【0133】
一方、ステップ308で値RVが値R0以上である、すなわち、ポテンショメータ88、104の出力電圧EX、EYが円C0上又は円C0の外側に位置すると判定された場合にはステップ318に進む。ステップ318では、RAM118に記憶した値RM、すなわち、過去の値RVと現在の値RVとが比較される。
【0134】
ステップ318にて値RVが値RMよりも小さい、すなわち、操作ロッド312の傾動位置が基準位置側に変位したとみなされる場合には、ステップ320でフラグFに1が代入されているか否かが判定され、フラグFに1が代入されていなければステップ322で信号U0がCPU116から出力される。次いで、ステップ324でフラグFに1が代入されてステップ314に進む。
【0135】
これに対して、ステップ320でフラグFに1が代入されていると判定された場合には、ステップ326でフラグFに0が代入されてフラグFがリセットされる。
【0136】
一方、ステップ318にて値RVが値RM以上である、すなわち、操作ロッド312にの傾動位置が変更されていないか、又は、基準位置から遠ざかる方向へ操作ロッド312が傾動していると判定された場合、或いは、ステップ326でフラグFがリセットされた後には、ステップ328で値RVが値R1以上であるか否かが判定される。ここで、値R1は、図16に示される概念的な円C0と同心で且つ円C0よりも大径の円C1の半径の自乗に対応する値である。すなわち、ステップ328では、ポテンショメータ88、104の出力電圧EX、EYが円C0上又は円C1と円C0との間に位置するか否かが判定される。
【0137】
ステップ328で値RVが値R1未満であると判定された場合には、ステップ330で信号SX、SYに基づく操作ロッドの傾動方向の情報が含まれた信号U1がCPU116から出力される。
【0138】
例えば、図18に示されるように、モニタテレビ140の画面に地図画面が表示された状態で、CPU134に信号U1が入力されると、CPU134は、図19に示されるように、頂部が操作ロッド162の傾動方向に対応した方向に向いた三角形224をモニタテレビ140の画面に表示すると共に、三角形224の向き(頂部の向き)とは反対方向に所定の速度で地図画像データを移動させ、画面に表示する地図をあたかも三角形224の向きに移動させるが如く表示する(すなわち、三角形224の向きに画面をスクロールする)。
【0139】
一方、ステップ328で値RVが値R1以上であると判定された場合にはステップ332に進む。ステップ332では値RVが値R2以上であるか否かが判定される。ここで、値R2は、図16に示される概念的な円C0と同心で且つ円C1よりも大径の円C2の半径の自乗に対応する値である。すなわち、ステップ332では、ポテンショメータ88、104の出力電圧EX、EYが円C1上又は円C2と円C1との間に位置するか否かが判定される。
【0140】
ステップ332で値RVが値R2未満であると判定された場合にはステップ330に進む。これに対して、ステップ332で値RVが値R2以上であると判定された場合にはステップ334に進む。
【0141】
ステップ334では、値RVが値R3以上であるか否かが判定される。ここで、値R3は、図16に示される概念的な円C0と同心で且つ円C2よりも大径の円C3の半径の自乗に対応する値である。すなわち、ステップ334では、ポテンショメータ88、104の出力電圧EX、EYが円C2上又は円C3と円C2との間に位置するか否かが判定される。
【0142】
ステップ334で値RVが値R3未満であると判定された場合には、ステップ336で信号SX、SYに基づく操作ロッドの傾動方向の情報が含まれた信号U2がCPU116から出力される。
【0143】
例えば、図18に示されるように、モニタテレビ140の画面に地図画面が表示された状態で、CPU134に信号U2が入力されると、CPU134は、図20に示されるように、頂部が操作ロッド162の傾動方向に対応した方向に向いた2つの三角形224をモニタテレビ140の画面に並べて表示すると共に、三角形224の向き(頂部の向き)とは反対方向に、信号U1が入力された場合よりも早い速度で地図画像データを移動させ、画面に表示する地図をあたかも三角形224の向きに移動させるが如く表示する。
【0144】
一方、ステップ334で値RVが値R3以上であると判定された場合にはステップ338に進む。ステップ338では、値RVが値R4以上であるか否かが判定される。ここで、値R4は、図16に示される概念的な円C0と同心で且つ円C3よりも大径で円C4の半径の自乗に対応する値である。しかも、円C4は更に上記の節度部208の近傍に節度ピン204が位置して節度部208の上下両側が節度ピン204に接した際の状態に対応している。
【0145】
すなわち、ステップ338では、ポテンショメータ88、104の出力電圧EX、EYが円C3上又は円C4と円C3との間に位置するか否かが判定される。
【0146】
ステップ338で値RVが値R4未満であると判定された場合にはステップ340に進む。ステップ340では、ステップ340に到達する直前にステップ314にてRAM118に記憶された値RMに対応した信号UM、すなわち、直前の信号SX、SYに基づく操作ロッド162の傾動方向の情報が含まれた信号UMがCPU116から出力される。
【0147】
この場合には、ポテンショメータ88、104の出力電圧EX、EYの変化が、円C3の内側や円C4の外側から移動する如く操作ロッド162が操作されたとしても、移動する前の状態が維持される。したがって、この場合には、直前の状態が画面のスクロールであれば、直前のスクロールの向きと速度が維持される(すなわち、円C3と円C4の間は「ヒステリシスエリア」とされ、この範囲内では、それ以前の状態が維持される)。
【0148】
これに対して、ステップ338で値RVが値R4以上であると判定された場合には、信号SX、SYに基づく操作ロッド162の傾動方向の情報が含まれた信号U3がCPU116から出力される。
【0149】
モニタテレビ140の画面に地図画面が表示された状態で、CPU134に信号U3が入力されると、CPU134は、図21に示されるように、頂部が操作ロッド162の傾動方向に対応した方向に向いた3つの三角形224をモニタテレビ140の画面に並べて表示すると共に、三角形224の向き(頂部の向き)とは反対方向に、信号U3が入力された場合よりも早い速度で地図画像データを移動させ、画面に表示する地図をあたかも三角形224の向きに移動させるが如く表示する。
【0150】
本実施の形態では、以上のような信号処理が行なわれる。ここで、本実施の形態では、操作ロッド162が傾動していないとみなせる状態でのみ信号SPの入力判断が行なわれる。これについて換言すれば、実質的に操作ロッド162が傾動させられている状態では、仮に、信号SPが入力されていても実質的に信号SPがキャンセルされる。
【0151】
このため、操作摘み170を押圧している状態で不用意に操作摘み170を押圧してしまっても、信号UPがCPU116から出力されることはなく、したがって、信号UPに基づいた処理が誤って実行されることがない。
【0152】
また、本実施の形態では、上述したように、基準位置の側へ向けて操作ロッド162が復帰するように移動した場合には、最初に信号U0がCPU116から出力される。したがって、このように操作ロッド162が変位した際には、最初に基準位置に操作ロッド162が戻った場合と同じ処理、すなわち、上記のように画面スクロールが行なわれている状態では、画面スクロールが停止される。
【0153】
ここで、操作ロッド162を傾動させて画面をスクロールする場合、所望の画面(地図上の所望の位置等)が画面に表示された場合に操作者は操作摘み170に対する押圧力の付与を解除する。上記のように、押圧力の付与が解除されれば圧縮コイルスプリング206の付勢力で操作ロッド162は基準位置に復帰しようとする。このような操作が行なわれた場合に、本実施の形態では、先ず、画面のスクロールが停止されるため、操作者の意図に合致した位置で画面スクロールを停止させることができる。
【0154】
また、本実施の形態では、フラグFに1が代入されていれば、すなわち、一度信号U0が出力された後であれば、続けて基準位置の側へ向けて操作ロッド162が復帰するように移動したとしても、信号SX、SYに基づく操作ロッド162の傾動方向の情報が含まれた信号U1、U2の何れかがCPU116から出力される。
【0155】
このため、例えば、図16における円C5の近傍に対応した位置から操作者が意図的に円C1と円C2との間に対応した位置に操作ロッド162を戻して、画面スクロールの速度を遅くするような場合には、一旦、画面スクロールは停止されるものの、その後はゆっくりとした画面スクロールが行なわれる。このため、このような場合の操作者の意図にも合致させることができる。
【0156】
さらに、本実施の形態では、値RVが値R3以上値R4未満の場合には、上述したように、それまでの状態が維持される。このため、操作摘み170の押圧力が一定ではなく、強弱のばらつきが生じていることで、円C3の内側から円C3の外側に対応する位置に操作ロッド162が不用意に移動したり、また、円C4の外側から円C4の内側に対応する位置に操作ロッド162が不用意に移動したりしても、それまでの画面操作(例えば、画面スクロール)と同じ画面操作が行なわれる。これにより、上記のようなばらつきによる頻繁な画面操作の変更という不具合を抑制又は防止できる。
【0157】
また、本実施の形態では、操作ロッド162の傾動をポテンショメータ88、104の出力電圧の変化として検出する構成である。したがって、上記のような円C0乃至円C5を概念的に設定しても、本コントローラ10の各部品の寸法誤差や組付誤差によっては、設定上での出力電圧の中央値EXC、EYCと基準位置での出力電圧EX、EYに僅かな差が生じることは充分に考えられる。
【0158】
一方で、本実施の形態では節度部208を設け、基本的には節度部208を越えて操作ロッド162を傾動させれば、出力電圧EX、EYが円C3を越えるものと操作者は考える。
【0159】
ここで、上記のような中央値EXC、EYCと基準位置での出力電圧EX、EYに僅かな差が生じている場合には、操作ロッド162が節度部208を越えていないにも拘わらず、出力電圧EX、EYが円C3を僅かに越えてしまう可能性がある。しかしながら、本実施の形態では、上記のようなヒステリシスエリアを設けていることで、出力電圧EX、EYが円C3を僅かに越えてしまっても、それまで状態が維持されるため、実質的には出力電圧EX、EYが円C3を越えていないことと同じになる。
【0160】
すなわち、本実施の形態では、中央値EXC、EYCと基準位置での出力電圧EX、EYに僅かな差が生じていても、この差をヒステリシスエリアで吸収させてしまうことができる。これにより、コントローラ10の各部品の寸法誤差や組付誤差を必要以上に厳格に設定しなくてもよく、コストを安価にできるという効果もある。
【0161】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、操作範囲の境界部分における操作手段のふらつきに起因する処理の頻繁な変更を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る信号入力装置の構成を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る信号入力装置の構成を示す正面断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る信号入力装置の構成を示す側面断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る信号入力装置の内部の構成を示す平断面図である。
【図5】図4とは異なる位置での平断面図である。
【図6】プッシュスイッチの拡大断面図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る信号入力装置とカーナビゲーション装置との関係を示す概略的なブロック図である。
【図8】操作手段の断面図である。
【図9】操作手段が基準位置にある状態でのスライダの位置及び位置検出手段からの出力信号を示す図である。
【図10】操作手段が基準位置から移動した状態でのスライダの位置及び位置検出手段からの出力信号を示す図である。
【図11】操作手段が基準位置から移動した状態でのスライダの位置及び位置検出手段からの出力信号を示す図である。
【図12】操作手段が基準位置から移動した状態でのスライダの位置及び位置検出手段からの出力信号を示す図である。
【図13】操作手段が基準位置から移動した状態でのスライダの位置及び位置検出手段からの出力信号を示す図である。
【図14】節度手段を構成する節度部の拡大図である。
【図15】本発明の一実施の形態に係る信号入力装置での信号処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】位置検出手段での出力信号の信号レベルと、判定に用いる信号レベルの設定範囲との関係を概念的に示す図である。
【図17】カーナビゲーション装置の画面の一例である。
【図18】カーナビゲーション装置の画面の他の一例である。
【図19】カーナビゲーション装置の画面の他の一例である。
【図20】カーナビゲーション装置の画面の他の一例である。
【図21】カーナビゲーション装置の画面の他の一例である。
【符号の説明】
10 コントローラ(信号入力装置)
88 ポテンショメータ(位置検出手段)
104 ポテンショメータ(位置検出手段)
114 マイコン(信号出力手段、信号維持手段)
132 制御部(制御手段)
162 操作ロッド(操作手段)
204 節度ピン(節度手段)
208 節度部(節度手段)
Claims (3)
- 制御手段に操作信号を入力するための信号入力装置であって、
外縁が略円形又は略楕円形の可動範囲の中央側から前記外縁までの間で変位可能な操作手段と、
前記操作手段の位置を検出する位置検出手段と、
前記操作信号を前記位置検出手段が検出した前記操作手段の位置に応じたレベルで出力する信号出力手段と、
前記可動範囲の内側に設定された略円形又は略楕円形の第1境界位置と前記第1境界位置よりも前記外縁側に設定された第2境界位置との間のヒステリシスエリア内に前記操作手段が前記第1境界位置及び前記第2境界位置の何れか一方の側から変位した際の前記操作手段の位置の変化を前記位置検出手段が検出した場合に、前記制御手段に入力する前記操作信号を前記何れか一方の位置に対応した操作信号に維持する信号維持手段と、
を備えることを特徴とする信号入力装置。 - 前記第1境界位置及び前記第2境界位置の少なくとも何れか一方を、前記可動範囲に対して略同心の相似形状に設定した、
ことを特徴とする請求項1に記載の信号入力装置。 - 前記操作手段に係合して前記操作手段を介して節度感を付与する節度手段を、前記第1境界位置及び前記第2境界位置の少なくとも何れか一方に設けた、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の信号入力装置。
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- 2003-06-10 JP JP2003165265A patent/JP2005004355A/ja active Pending
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