JP2005003777A - 吸音システム - Google Patents

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Tsutomu Nishigaki
勉 西垣
Hidenori Morita
英憲 森田
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Rikogaku Shinkokai
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Rikogaku Shinkokai
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Abstract

【課題】室内の位置に依存せずに、外壁を通して伝わる騒音を確実に低減する。
【解決手段】外壁を介して伝わる騒音は、膜状スピーカを透過して内壁に伝わろうとする。このとき、膜状スピーカから騒音を打ち消すための音を出力することで、内壁に伝わる騒音を低減できる。この結果、壁部の内側に形成される室内に騒音が侵入することを防止できる。膜状スピーカを騒音の侵入方向を遮るように配置することで、膜状スピーカが発生する波面のパターンを、騒音源が発生する波面のパターンに容易に近づけることができる。この結果、膜状スピーカの出力側に位置する任意の場所において、騒音のエネルギーを吸収できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁部を介して外部から内部に伝わる騒音を低減する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
航空機等の客室内の騒音は、エンジンで発生する音に起因するものや、機体の外表面に発生する空気境界層の乱れに起因するものに大別される。特に、低周波領域に広帯域なバンド幅を持つランダムノイズであることを特徴としている。
一般に、客室内の騒音対策として、外板と内装壁との間の空間に吸音材や制振材を配置することが行われている。しかし、これ等対策は、高周波領域の騒音には効果があるが、低周波領域の騒音には、効果が低い。
【0003】
近時、この種の騒音を低減するために、航空機の客室内に配置される騒音低減装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置は、スピーカと、指向性を有するマイクと、マイクで検出した騒音と逆位相の音をスピーカから発生させるための制御器とで構成されている。
【特許文献1】
特開平5−289676号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この騒音低減装置は、指向性を有するマイクを使用することで、客室内の特定の場所の騒音のみを検出している。このため、特定の場所の騒音は低減されるが、それ以外の場所では、騒音が大きくなるおそれがある。
【0005】
また、この装置は、客室内に入り込んだ騒音をマイクにより検出し、検出した客室内の騒音に基づいて逆位相の音をスピーカから出力する。このため、客室内に入り込んだ音を後から打ち消さなくてはならず、制御器による制御が複雑になる。
さらに、この装置は、客室内に配置されるため、客室内は狭くなる。装置は、客席の真横に置かれるため、見栄えも悪く、乗客に圧迫感を与えてしまう。
【0006】
本発明の目的は、外壁を通して伝わる騒音を確実に低減することにある。特に、室内を狭くすることなく騒音を低減することにある。
本発明の別の目的は、室内の位置に依存せずに、室内全体の騒音を低減することにある。
本発明の別の目的は、室内に騒音が入り込む前にその騒音を低減することにより、装置の制御を容易にすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の吸音システムでは、外壁と内壁とから構成され、内部空間を有する壁部と、内部空間に配置される複数のアクティブ吸音装置とを有している。各アクティブ吸音装置は、音の出力面が内壁に対向して配置される膜状スピーカと、外壁から内壁に向けて伝わる騒音を検出する検出部と、検出部による検出に応じて、騒音を打ち消すための音を膜状スピーカに出力させる制御部とを有している。
【0008】
外壁の外側から外壁を介して伝わる騒音は、膜状スピーカを透過して内壁に伝わろうとする。このとき、膜状スピーカから騒音を打ち消すための音を出力することで、内壁に伝わる騒音を低減できる。この結果、壁部の内側に形成される室内に騒音が侵入することを防止できる。室内に騒音が入り込む前にその騒音を低減することができるため、制御部の制御を容易にすることができる。
【0009】
膜状スピーカを騒音の侵入方向を遮るように配置することで、膜状スピーカが発生する波面のパターンを、騒音源が発生する波面のパターンに容易に近づけることができる。この結果、膜状スピーカの出力側に位置する任意の場所において、騒音のエネルギーを吸収できる。換言すれば、アクティブ吸音装置は、壁部を透過する騒音をあたかも吸音材のように吸音できる。
【0010】
膜状スピーカは、非常に軽量に構成でき、体積も小さい。このため、騒音源である外板に音の出力面を平行にして近接配置しても、周りの音場を乱すことを防止できる。
アクティブ吸音装置は、壁部内の内部空間に配置されるため、室内が狭くなることを防止できる。また、室内の美観を損なうことを防止できる。
【0011】
請求項2の吸音システムでは、内部空間は、縦横に配置される柱部材により複数のセル空間に仕切られている。アクティブ吸音装置は、セル空間毎に配置されている。
内部空間は、柱部材により複数のセル空間に仕切ることで、外壁の内面は、セル空間毎に騒音により振動し、間接的な騒音源になる。騒音は、各セル空間に対応する外壁の振動により発生するため、各セル空間内を伝わる騒音の波面パターンは、平面波に近くなる。一方、膜状スピーカは、膜全体が一体となって駆動することで音を発生するため、その音波は、平面波に近い。このため、膜状スピーカから騒音(平面波)を打ち消す平面波を出力させることで、騒音を確実に低減できる。
【0012】
請求項3の吸音システムでは、セル空間に配置されたアクティブ吸音装置は、それぞれ独立に動作する。各セル空間に伝わる騒音は、平面波に近いため、隣接するセル空間で騒音が互いに干渉することはない。このため、騒音の低減効果を低下させることなく、アクティブ吸音装置の制御部をセル空間毎に独立に動作させることができる。この結果、制御が容易になり、制御部を簡易に構成できる。あるいは、制御部の制御を高い精度で行うことができる。
【0013】
請求項4の吸音システムでは、膜状スピーカは、柱部材に直接固定されている。このため、膜状スピーカを容易かつ確実に内部空間に取り付けできる。膜状スピーカの交換も容易にできる。
請求項5の吸音システムでは、検出部は、外壁の内部空間側に接触させた加速度センサである。騒音は、外壁を介して内部に伝わる。この際、外壁は、騒音の音波により振動する。この振動を加速度センサで検出することで、騒音を確実に検出できる。また、マイクロホンで構成する検出部に比べて検出部を小型にできる。
【0014】
請求項6の吸音システムでは、吸音材が、内部空間におけるアクティブ吸音装置の外壁側に配置されている。すなわち、本吸音システムは、ハイブリッド吸音システムとして動作する。吸音材により高周波領域の騒音を低減できるため、アクティブ吸音装置は、低周波領域の騒音を低減することに専念できる。この結果、制御部を簡易に構成できる。あるいは、制御部の制御を高い精度で行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の吸音システムの一実施形態を示している。この実施形態の吸音システムは、航空機の客室内の騒音を低減するために適用される。図は、航空機の外板10(外壁)と内装壁12(内壁)により構成される壁部14を示している。
【0016】
吸音システムは、外板10と内装壁12により構成される壁部14と、外板10と内装壁12の間に形成される内部空間16に配置された複数のアクティブ吸音装置18と、各アクティブ吸音装置18の外板10側に配置されたグラスウール等の吸音材20により構成されている。すなわち、本吸音システムは、アクティブ吸音装置18によるアクティブ吸音と、吸音材20によるパッシブ吸音とを同時に行うハイブリッド吸音システムとして動作する。アクティブ吸音装置18は、内部空間16に配置されたフレーム22およびストリンガ24により仕切られる複数のセル空間26に配置されている。このように、本吸音システムは、壁部14内に構成されており、客室内は、従来と全く同一である。このため、客室を狭くすることなく機外からの騒音を低減できる。
【0017】
フレーム22は、外板10を周方向に支え、ストリンガ24は、外板の10の長さ方向を補強している。外板10、フレーム22およびストリンガ24は、アルミニウム合金により形成されている。外板10と、フレーム22およびストリンガ24とは、リベットにより結合されている。
【0018】
なお、アクティブ吸音装置18は、全てのセル空間26に配置されてもよく、客室に向き合うセル空間26のみ(航空機の上半分に相当)に配置されてもよい。
図2は、図1の要部の詳細を示している。
ストリンガ24は、横断面方向の一端が制振材34を介して外板10に固定され、他端が振動緩衝剤36を介して内装壁12に固定されている。
【0019】
アクティブ吸音装置18は、圧電フィルムスピーカユニット28(膜状スピーカ)と、加速度センサ30(検出部)と、図3に示す制御部32とで構成されている。特に図示していないが、アクティブ吸音装置18は、図の上下に隣接するセル空間26にも取り付けられている。
圧電フィルムスピーカユニット28は、圧電フィルムスピーカ28aと、このスピーカを支えるフレーム28bとで構成されている。圧電フィルムスピーカ28aは、外板10と内装壁12に平行に取り付けられている。すなわち、圧電フィルムスピーカ28aは、音の出力面が内装壁12に対向して配置されている。換言すれば、圧電フィルムスピーカユニット28は、騒音の進入経路に配置されている。このため、各セル空間26において、機外から外板10を介して機内に侵入する騒音は、吸音材20を透過して圧電フィルムスピーカユニット28に到達する。
【0020】
本発明では、圧電フィルムスピーカユニット28は、機外から外板10を通して機内に伝わる騒音の伝搬経路上に配置されている。このため、騒音(特に低周波成分)は、圧電フィルムスピーカ28を透過するときに、この圧電フィルムスピーカユニット28が出力する音により打ち消される。このように、アクティブ吸音装置18は、壁部14を透過する騒音を、あたかも吸音材のように吸収できる。
【0021】
圧電フィルムスピーカユニット28は、図1に示したように、各セル空間26に配置され、その設置範囲において侵入する騒音を吸収する。このため、航空機の広い客室内においても騒音を確実に低減することが可能になる。
【0022】
フレーム28bは、セル空間26に対応する大きさに形成されている。フレーム28bは、図示しないねじ部材によりフレーム22(図示せず)およびストリンガ24に直接取り付けられている。このため、圧電フィルムスピーカユニット28を容易かつ確実に各セル空間26に取り付けできる。また、圧電フィルムスピーカユニット28の交換も容易にできる。
【0023】
圧電フィルムスピーカ28aは、高分子膜が印加電圧に応じて伸縮することで音を発生するため、音の出力面が大きいにもかかわらず、その重量は軽い。このため、重量の増加は、従来のコイルスピーカを配置する場合に比べわずかである。
加速度センサ30は、制振材34の内部空間16側に固定されている。すなわち、加速度センサ28は、制振材34を介して外板10に接触している。加速度センサ30は、外板10から内装壁12に向けて伝わる機外からの騒音を外板10の振動として検出する。振動を加速度センサ30で検出することで、マイクロホンで構成する場合に比べて検出部を小型にできる。なお、加速度センサ28は、外板10に直接接触させてもよい。
【0024】
制御部32(図示せず)は、例えば、フレーム28b内に収納されている。制御部32に接続される電源線および圧電フィルムスピーカユニット28、スピーカ30、制御部32を互いに接続する信号線は、図示を省略している。
吸音材20は、各内部空間16内の外板10とアクティブ吸音装置18との間の空間に、加速度センサ30に接触しないように充填されている。吸音材20は、機外から侵入する騒音のうち、主に高周波の騒音を吸収する。吸音材20を配置することで、アクティブ吸音装置18は、低周波の騒音を低減するための制御を行えばよい。このため、アクティブ吸音装置18の制御を簡易にでき、あるいは、制御を高い精度で行うことができる。
【0025】
図3は、アクティブ吸音装置18の詳細を示している。
アクティブ吸音装置18は、上述したように、音の出力面が内装壁12に対向して配置される圧電フィルムスピーカユニット28と、外板10から内装壁12に向けて伝わる騒音を外板10の振動として検出する加速度センサ30と、加速度センサ30による騒音の検出に応じて、この騒音を打ち消すための音波を圧電フィルムスピーカ28に出力させる制御部32とで構成されている。
【0026】
制御部32は、アンプAMP1、アナログ/ディジタル変換器A/D、コントローラDSP(Digital Signal Processor)、ディジタル/アナログ変換器D/A、ローパスフィルタLPFおよびアンプAMP2を有している。アンプAMP1は、加速度センサ30の出力(騒音の検出信号)を増幅する。アナログ/ディジタル変換器A/Dは、アンプAMP1から出力されるアナログ信号をディジタル信号に変換する。コントローラDSPは、ディジタル信号に基づいて圧電フィルムスピーカ28が出力すべき音波に対応するディジタル信号を計算する。この例では、コントローラDSPは、Filtered−x LMS適応フィルタリングの手法を用いて一つの観測点における音圧が最小になるように系を制御する。
【0027】
ディジタル/アナログ変換器D/Aは、コントローラDSPから出力されるディジタル信号をアナログ信号に変換する。ローパスフィルタLPFは、ディジタル/アナログ変換器D/Aから出力される周波数成分のうち、吸音材20で吸音される高周波成分を取り除く。アンプAMP2は、ローパスフィルタLPFを透過するアナログ信号を増幅し圧電フィルムスピーカユニット28に出力する。
【0028】
各セル空間26に配置される制御部32は、独立に動作する。このため、アクティブ吸音装置18の制御は容易になり、制御部32を簡易に構成できる。あるいは、制御部32の制御を高い精度で行うことができる。
なお、制御部32の構成は、この例に限らない。例えば、コントローラDSPに代えて、マイクロプロセッサを用いてもよい。あるいは、複数のコントローラDSPを用いて、信号処理を並列に行ってもよい。さらに、アナログ/ディジタル変換器A/D、コントローラDSP、ディジタル/アナログ変換器A/Dに代えて、アナログ電子回路を用いてもよい。
【0029】
図4は、本発明の吸音システムの吸音メカニズムを示している。
本発明では、図3に示したように、騒音の伝搬経路上にアクティブ吸音装置18の圧電フィルムスピーカユニット28が配置される。このため、図4(a)に示すように、吸音のメカニズムは、スピーカ(二次音源)を騒音源に近接して配置する場合と等価になる。したがって、スピーカが発生する波面のパターンを、騒音源が発生する波面のパターンに近づけることができる。この結果、図4(a)に示すように、任意の場所において、騒音のエネルギーが吸収される。
【0030】
実際には、図3に示したように、機外からの騒音は、外板10を透過して侵入する。外板10は、騒音により振動するため、間接的な騒音源になる。外板10の内面は、図1に示したように、フレーム22およびストリンガ24により矩形状に区切られている。このため、機外からの騒音は、セル空間26毎に外板10の振動により発生する平面波に近い状態の波と考えることができる。このため、圧電フィルムスピーカユニット28から騒音を打ち消す平面波を出力させることで、機外からの騒音を確実に低減できる。
【0031】
これに対して、マイクとスピーカを客室内に配置するような従来の吸音システムでは、図4(b)に示すように、スピーカが発生する波面のパターンを、騒音源が発生する波面のパターンに重ねることができない。この結果、客室内に音圧が低下する点と音圧が上昇する点とが現れてしまう。換言すれば、このようなシステムでは、騒音を局所的に打ち消すことしかできない。
【0032】
また、圧電フィルムスピーカユニット28は、非常に軽量に構成でき、体積も小さい。このため、騒音源である外板10に音の出力面を平行にして近接配置しても、周りの音場にほとんど影響を与えない。これに対して、マイクとコイルスピーカで構成する従来の吸音システムでは、スピーカが大きな質量と体積を持つ。このため、騒音源である外板10に音の出力面を平行にして近接配置した場合、周りの音場を大きく乱してしまう。
【0033】
図5は、本発明者らが製作した吸音システムの吸音効果を確認するための実験装置を示している。
実験装置は、無音響室内に騒音発生装置、アクティブ吸音装置および騒音観測装置を配置することで構成されている。
騒音発生装置は、制御部から出力されるアナログ信号を受け騒音を発生する平面波スピーカSPを有している。制御部は、有帯域ホワイトノイズを発生するランダム波発生器RWG、ホワイトノイズのバンド幅を調整するバンドパスフィルタBPFおよびバンドパスフィルタBPFの出力を増幅して平面波スピーカSPに出力するアンプAMP3を有している。
【0034】
アクティブ吸音装置は、図2に示したアクティブ吸音装置18を模した装置であり、航空機の外板10を模した厚さ2mmのアルミニウム製の薄板TPに接触させた加速度センサ30と、騒音の回り込みを防ぐバッフルBUF上に立設するアクリル板ACRの先端部に取り付けられた圧電フィルムスピーカユニット28と、加速度センサ30および圧電フィルムスピーカユニット28に接続された制御部32により構成されている。
【0035】
騒音観測装置は、圧電フィルムスピーカユニット28に対向する位置に配置されたマイクロホンMICと、マイクロホンMICに入力される音を増幅するアンプAMP4と、増幅された音を記録するレコーダRECとで構成されている。マイクロホンMICは、圧電フィルムスピーカ28に対する位置を三次元的に変更可能であり、任意の場所の音を観測できる。
【0036】
図6は、騒音の観測時のマイクロホンMICの位置を示している。
騒音の観測は、薄板TPからの高さが30cm、50cm、70cm、90cmの平面上に、それぞれ20cm間隔で25個の格子点を設け、合計100地点で行った。各観測点は、航空機の客室内の任意の位置に相当する。
【0037】
図7〜図10は、アクティブ吸音装置を動作させないときと動作させたときの音圧分布を示している。図7は、マイクロホンMICを薄板TPから90cmの距離に配置したときの音圧分布を示している。図8は、マイクロホンMICを薄板TPから70cmの距離に配置したときの音圧分布を示している。図9は、マイクロホンMICを薄板TPから50cmの距離に配置したときの音圧分布を示している。図10は、マイクロホンMICを薄板TPから30cmの距離に配置したときの音圧分布を示している。
【0038】
図から明らかなように、全ての観測点において、アクティブ吸音装置を動作させたとき、音圧が最大で約10dB減少している。すなわち、航空機のセル空間26に本発明のアクティブ吸音装置18を構成することで、客室内の騒音は確実に低減される。
図11は、アクティブ吸音装置を動作させないときと動作させたときの音圧の時刻歴応答を示している。図から明らかなように、時間軸に対してランダムな信号に対しても音圧の減少効果が見られる。
【0039】
図12は、アクティブ吸音装置を動作させないときと動作させたときの音圧の周波数応答を示している。
機外から侵入する騒音のうち、高周波成分は、吸音材20により取り除くことができる。この実験では、吸音材20で取り除くことができない低周波成分を低減効果を確認するために、300Hz〜1kHzの有帯域ホワイトノイズをスピーカSPから出力した。図から明らかなように、航空機のセル空間26に本発明のアクティブ吸音装置18を構成することが、騒音の低周波成分の低減に有効であることが分かる。
【0040】
以上、本実施形態では、セル空間26毎に、内装壁12に対向してアクティブ吸音装置18を配置することで、外壁を介して侵入する騒音を確実に低減できる。この結果、航空機の客室内の騒音を低減できる。
【0041】
各セル空間26において、アクティブ吸音装置18を、平面波である騒音の侵入方向を遮るように配置することで、セル空間毎に騒音を確実に低減でき、客室内の任意の場所において、騒音を低減できる。
圧電フィルムスピーカユニット28は、非常に軽量に構成でき、体積も小さくできる。このため、周りの音場を乱すことなく、確実に騒音を低減できる。
【0042】
アクティブ吸音装置18の制御部32をセル空間26毎に独立に動作させることで、アクティブ吸音装置18の制御が容易になり、制御部32を簡易に構成できる。あるいは、制御部32の制御を高い精度で行うことができる。
圧電フィルムスピーカユニット28をフレーム22およびストリンガ24にねじ止めすることで、容易かつ確実にセル空間26に取り付けできる。圧電フィルムスピーカユニット28の交換も容易にできる。
【0043】
加速度センサ30により騒音を検出することで、マイクロホンで検出する場合に比べてシステムを小型にできる。
圧電フィルムスピーカユニット28の外板10側に高周波領域の騒音を低減する吸音材20を配置することで、アクティブ吸音装置18は、低周波領域の騒音を低減することに専念できる。この結果、制御部32を簡易に構成できる。あるいは、制御部32の制御を高い精度で行うことができる。
【0044】
なお、上述した実施形態では、騒音を打ち消すスピーカとして圧電フィルムスピーカ28aを使用した例について述べた。本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。例えば、圧電セラミックスピーカを使用してもよい。
上述した実施形態では、騒音を検出するために加速度センサ30を使用した例について述べた。本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。例えば、マイクロホンを使用してもよい。この場合、マイクロホンは、内部空間26内の外板10から少し離れた位置に取り付けることが望ましい。
【0045】
上述した実施形態では、圧電フィルムスピーカユニット28をフレーム22およびストリンガ24に直接ねじ止めした例について述べた。本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。例えば、圧電フィルムスピーカユニット28を固定金具等の適切な部材を用いて外壁10あるいは内壁12に固定してもよい。
上述した実施形態では、本発明を航空機の壁部14に適用した例について述べたが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明を列車等の車両の壁部に適用してもよい。さらに、本発明を、住宅、工場等の建物内の壁部に適用してもよい。建物の壁部にアクティブ吸音装置18を取り付けることで、室内の美観を損なうことなく、隣室から侵入する騒音を低減できる。
【0046】
【発明の効果】
請求項1の吸音システムでは、外壁を介して侵入する騒音を膜状スピーカにより低減でき、壁部の内側に形成される室内に騒音が侵入することを防止できる。
室内に騒音が入り込む前にその騒音を低減することができるため、制御部の制御を容易にできる。
【0047】
膜状スピーカを騒音の侵入方向を遮るように配置することで、膜状スピーカの出力側に位置する任意の場所において、騒音のエネルギーを吸収できる。
膜状スピーカは、非常に軽量に構成でき、体積も小さいため、周りの音場を乱すことを防止できる。
アクティブ吸音装置は、壁部内の内部空間に配置されるため、室内が狭くなることを防止でき、室内の美観を損なうことを防止できる。
【0048】
請求項2の吸音システムでは、膜状スピーカから騒音(平面波)を打ち消す平面波を出力させることで、セル空間毎に騒音を確実に低減できる。
請求項3の吸音システムでは、騒音の低減効果を低下させることなく、アクティブ吸音装置の制御部をセル空間毎に独立に動作させることができる。この結果、アクティブ吸音装置の制御が容易になり、制御部を簡易に構成できる。あるいは、制御部の制御を高い精度で行うことができる。
【0049】
請求項4の吸音システムでは、膜状スピーカを容易かつ確実に内部空間に取り付けできる。膜状スピーカの交換も容易にできる。
請求項5の吸音システムでは、加速度センサにより騒音を確実に検出できる。マイクロホンで構成する検出部に比べて検出部を小型にできる。
請求項6の吸音システムでは、吸音材により高周波領域の騒音を低減できるため、アクティブ吸音装置は、低周波領域の騒音を低減することに専念できる。この結果、制御部を簡易に構成できる。あるいは、制御部の制御を高い精度で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸音システムの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の要部の詳細を示す断面図である。
【図3】アクティブ吸音装置18の詳細を示すブロック図である。
【図4】本発明の吸音システムの吸音メカニズムを示す説明図である。
【図5】本発明者らが製作した吸音システムの吸音効果を確認するための実験装置を示すブロック図である。
【図6】騒音の観測時のマイクロホンMICの位置を示す斜視図である。
【図7】アクティブ吸音装置を動作させないときと動作させたときの音圧分布を示す特性図である。
【図8】アクティブ吸音装置を動作させないときと動作させたときの音圧分布を示す特性図である。
【図9】アクティブ吸音装置を動作させないときと動作させたときの音圧分布を示す特性図である。
【図10】アクティブ吸音装置を動作させないときと動作させたときの音圧分布を示す特性図である。
【図11】アクティブ吸音装置を動作させないときと動作させたときの音圧の時刻歴応答を示す特性図である。
【図12】アクティブ吸音装置を動作させないときと動作させたときの音圧の周波数応答を示す特性図である。
【符号の説明】
10 外板(外壁)
12 内装壁(内壁)
14 壁部
16 内部空間
18 アクティブ吸音装置
20 吸音材
22 フレーム
24 ストリンガ
26 セル空間
28 圧電フィルムスピーカユニット(膜状スピーカ)
30 加速度センサ(検出部)
32 制御部
34 制振材

Claims (6)

  1. 外壁と内壁とから構成され、内部空間を有する壁部と、
    前記内部空間に配置される複数のアクティブ吸音装置とを備え、
    前記各アクティブ吸音装置は、
    音の出力面が前記内壁に対向して配置される膜状スピーカと、
    前記外壁から前記内壁に向けて伝わる騒音を検出する検出部と、
    前記検出部による検出に応じて、前記騒音を打ち消すための音を膜状スピーカに出力させる制御部とを備えていることを特徴とする吸音システム。
  2. 請求項1記載の吸音システムにおいて、
    前記内部空間は、縦横に配置される柱部材により複数のセル空間に仕切られ、
    前記アクティブ吸音装置は、セル空間毎に配置されていることを特徴とする吸音システム。
  3. 請求項2記載の吸音システムにおいて、
    前記セル空間に配置された前記アクティブ吸音装置は、それぞれ独立に動作することを特徴とする吸音システム。
  4. 請求項2記載の吸音システムにおいて、
    前記膜状スピーカは、前記柱部材に直接固定されていることを特徴とする吸音システム。
  5. 請求項1記載の吸音システムにおいて、
    前記検出部は、前記外壁の前記内部空間側に接触させた加速度センサであることを特徴とする吸音システム。
  6. 請求項1記載の吸音システムにおいて、
    前記内部空間における前記アクティブ吸音装置の前記外壁側に、吸音材を配置したことを特徴とする吸音システム。
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