JP2005003681A - 赤外サーモグラフィー - Google Patents

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Abstract

【課題】動物(ヒトを含む)、植物、組織、細胞及び無細胞系中で、産熱反応を惹起する生理学的及び分子学的事象をモニターするために温度変化をそくていすることで、結合ペアのリガンドと結合パートナーの両方を薬物候補としてスクリーニングする。
【解決手段】温度変化測定に特定波長において赤外サーモグラフィーを用い、生理学的プロセスにおける発熱反応を誘発する生理学的あるいは分子学的事象をモニターする。この方法によれば、レセプター/リガンドのような分子相互作用、酵素触媒およびその他の化学反応にも応用できる。さらに、その結果、複数の病気、障害及び症状に関する薬物候補のスクリーニング、同定及び等級付けにも利用できる。
【選択図】なし

Description

この出願は、1998年5月15日出願の米国仮出願第60/085,736号の優先権を主張するものであり、該仮出願の全開示は本明細書の一部をなす参照として本願に援用する。
本発明は一般にはサーモグラフィーに関し、特に、赤外サーモグラフィーを利用した動物(ヒトを含む)、植物、組織、細胞及び無細胞系に於いて発熱反応を誘発する生理学的及び分子学的事象をモニターする方法に関する。本方法は、複数の疾病、障害及び症状に関する薬物候補をスクリーニングし、特定し、ランク付けするのに利用できる。
熱力学は仕事と熱の間の関連性に関する科学である。実際に動物又は細胞内の全ての化学反応又は生理学的プロセスの生起には熱の吸収又は発生を伴い、そして系により吸収され又は発生した熱は行われた仕事量に比例する。従って、熱発生(即ち産熱)の測定を使用して、化学反応及び生理学的プロセスに用いられ、又は発生したエネルギーを算出することができる。
細胞内での産熱を制御するタンパク質(例えば脱共役タンパク質、UCPs)の発現を検出するための各種方法が利用可能である(例えばノーザンまたはウエスタン−ブロッティング)が、これら方法は多大な労力を要し、そしてタンパク質の活性を直接測定しない。グアノシン−5’−2リン酸(GDP)−結合アッセイ及び蛍光色素(例えばJC−1又はローダミン誘導体)は、UCP活性の直接測定を提供する(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、GDP-結合アッセイはタンパク質精製を必要とし、また色素の利用は非選択的染色や細胞毒性、細胞による色素の代謝により制限される。より重要なことに、これら技術は全て産熱中のリアルタイムの変動を直接測定できず、また侵襲的である。
ボンブ熱量計及びミクロ熱量計は、培養した細胞(例えば、非特許文献2参照。)又は化学反応により発生し、又は消費された熱の定量的測定に適した方法を提供する。しかし、最近のマルチチャンネル型熱量計の進歩にも関わらず、複数(≧60)の同時反応での熱変化を迅速に分析するための方法はない。更に、細胞培養プレート又は皮膚表面のような固定表面積上の温度勾配は熱量計では測定できない。
特定の身体部位(例えば耳道)から放射される赤外エネルギーの大きさを測定できる赤外サーモメーターが開発されている。しかし、これら装置は分離された細胞、組織の熱産生又は化学反応の測定には利用できず、又複数のサンプルからの発熱を長時間にわたり即時的に測定することもできない。更に、これら装置は広い表面積のイメージを提供しない。
赤外インタラクタンス装置も開発されている。赤外サーモメーターと異なり、これら装置は<1000nmの波長の近放射線を放射する。これら装置は近赤外線の吸収を測定することから、正確な産熱測定値は提供しない。
本発明は動物、植物、組織及び培養細胞を含む分離細された胞内の産熱を即時的に測定する、迅速な非侵襲的方法を提供する。本発明は発熱を変化させるレセプター/リガンドのような分子相互作用、酵素触媒及びその他の化学反応にも応用できる。赤外サーモグラフィーの利用に基づく本方法を利用して、様々な病気、障害及び症状を治療するための薬物候補をスクリーニングし、特定することができる。
Nedergarrd and Cannon, Am. J. Physiol. 248(3pt1):C365-C371(1985);(Peers et al, Biochemistry 30:4480-4486(1991) Bottcher and Furst, J.Biochem. Biophys. Methods, 32:191-194(1996)
発明の概要
本発明は、一般には赤外サーモグラフィーを利用し、生理学的変化及び分子相互作用をモニタリングする方法に関する。赤外サーモグラフィーは、動物、植物、培養細胞及び無細胞系内の化学反応に於ける熱産生に対する各種作用物質の効果を分析する非侵襲的アプローチを提供する。発明は化合物の熱散逸を変化させる能力に関するスクリーニングを可能にし、各種病気、障害及び症状の治療に応用される化合物の特定を可能にする。
本発明の目的および利点は以下の記述から明らかになるであろう。
発明の詳細な記述
本発明は分離された細胞、組織、植物、動物(例えばヒト)に於いて起こるものを含む分子相互作用中に生じる温度変化をモニターするための道具として、赤外サーモグラフィーを利用する方法を目的とする。赤外サーモグラフィーは、各種細胞、組織、植物及び動物型に於ける、酵素触媒中の、そしてより一般的には結合相手とのリガンド相互作用中の熱産生に及ぼす各種作用物質の効果の分析に利用できる。即ち、赤外サーモグラフィーは、産熱反応の変化を伴う各種疾患、障害及び症状の治療に好適な作用物質を同定するのに利用できる。
一般的には「赤外放射」とは、約2.5〜約50ミクロンの間の波長を有する、又は換言すれば1cm当り約200〜約4000の周波数(cm−1又は「波数」)を有する電磁波放射を意味する。赤外(IR)放射及びIRスペクトラムを熟知する者が理解する通り、一般的に赤外ととして特徴付けられている電磁放射の周波数は分子を振動させることで放射され、又は吸収され、そしてこのような振動は一般には物質周辺との関係に於ける物質の熱状態に対応する。その温度が絶対0°以上である固体は全てある程度の赤外エネルギーを照射し、約3500°K(摂氏3227°、華氏5840°)以下の温度では、この熱放射は主に電磁スペクトラムの赤外域で起こる。従って、体温と放射される赤外放射との間には直線的な相関性が存在する。本発明では、3〜100ミクロンの範囲の放射をモニタリングすることが好ましく、より好ましくは3〜15ミクロンであり、最も好ましくは3〜12ミクロンである(例えば6〜12ミクロン)。
更に、電磁放射熟知者が理解する通り、2.5cm−1以下の波長は電磁スペクトラムの「近IR」域と見なされており、倍振動及び低レベルの電子項遷移を表す。ここで使用する「赤外」とは、電磁スペクトラムの「近IR」域を包含することを意図しない。
本発明によれば、赤外イメージングシステム、好ましくは高い解像度赤外イメージングシステムは、データ解析用の中央処理ユニットにより提供されたイメージを利用した、例えば培養細胞または組織あるいは実験動物からの熱出力の即時的モニターに利用される(図1及び図2及び以下の実施例を参照)。好適なシステムの例は、FLIR赤外システム(AGEMA900 又は QWIP SC3000)により作られたものである。同ように、温度はリニアーラボラトリーズ社(Linear Laboratories)製の非接触赤外サーモメーター(C−1600MP)のようなものを利用し、測定することができる。これまでAGEMA900又はC−1600MPは、いずれも本発明の方法の実施に典型的に利用されてはいない。しかし、これら装置は当業者に公知の技術により適合され、例えば5.0℃又はそれ以上の温度から0.000001℃以下、好ましくは1.0℃〜0.00001℃、又は0.5℃〜0.0001℃、より好ましくは0.3℃〜0.0005℃又は0.25℃から0.001℃、最も好ましくは0.2℃〜0.002℃(図1及び図2、ならびに以下の実施例を参照)の範囲の温度の変化を測定できる。
実施形態の1つでは、本発明は分離細胞、組織又は動物内(霊長類を含む(例えばヒト))の産熱に及ぼす作用物質の効果をモニタリングする方法に関する。この方法は、i)赤外サーモグラフィーを用いて、作用物質に曝される前に細胞、組織又は動物の所定表面積により産生される熱を測定すること、ii)(例えば細胞又は組織が維持/増殖されている培地に作用物質を加え、又は標準的供与技術を利用し動物を作用物質で処理する事により)細胞、組織又は動物を作用物質に曝すこと、iii)赤外サーモグラフィーを用いて、作用物質で処理している間及び/又は後に細胞、組織又は動物より産生される熱を測定すること、並びにiv)工程i)及び(iii)にて得た測定値を比較することを含み、この場合に細胞、組織又は動物の温度の低下をもたらす作用物質は産熱阻害剤であり、温度の上昇をもたらす作用物質は産熱促進剤である。
本発明によりモニターできる細胞には、分離された天然に生起する細胞(初代培養体及び樹立細胞株を含む)及び加工細胞(例えば、分離された加工細胞)が含まれる。細胞は懸濁した状態、又は単層あるいは多層のいずれかで固相支持体に結合することができる。好適な支持体の例には、プラスチック又はガラス製プレート、皿又はスライド、膜及びフィルター、フラスコ、チューブ、ビーズ及びその他の関連容器が含まれる。好ましくは、プラスチック製マルチウエル型プレートが用いられ、96ウエル型及び384ウエル型マイクロタイタープレートが好ましい。好ましい細胞タイターは、接着細胞の場合は100ないし100,000細胞/cmであり、懸濁培養の場合には100ないし1,000細胞/μlであるが、潜在的にはいずれの細胞数/濃度も使用できる。
本発明の方法によりモニターできる、天然に生ずる分離細胞には、真核細胞、好ましくは哺乳動物細胞が含まれる。初代培養細胞、樹立細胞株、及びハイブリドーマ(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションより入手できるもの等)が利用できる。具体的な例には、脂肪(例えば脂肪細胞及びその前駆細胞)、筋肉(筋管、筋原細胞、筋細胞)、肝臓(例えば肝細胞、クップファー細胞)、消化系(例えば腸上皮、唾液腺)、膵臓(例えばα及びβ−細胞)、骨髄(例えば骨芽細胞、破骨細胞及びそれらの前駆細胞)、血液(例えばリンパ細胞、繊維芽細胞、網状細胞、造血前駆細胞)、皮膚(例えばケラチノ細胞、メラノ細胞)、羊水又は胎盤(例えば絨毛膜絨毛)、腫瘍(例えば、癌、肉腫、リンパ腫、白血病)、脳(例えばニューロン、視床下部、副腎及び脳下垂体)、呼吸器系(例えば肺、気道)、結合組織(例えば軟骨細胞)、眼、腎臓、心臓、膀胱、膵臓、胸腺、生殖腺、甲状腺及び内分泌制御に関わるその他の器官が含まれる。使用できる細胞には制限はない。本発明は、植物、真菌、原生動物及びモネラ界(例えば細菌)由来の細胞に利用できる。細胞は、確立された培養技術を利用し培養でき、培養条件を最適化することで生存能力、増殖及び/又は分化を適切に保証することができる。
本法によりモニターできる加工細胞には、温度制御、エネルギーバランスとエネルギー源利用、増殖と分化、並びに細胞により作られる熱を変化させる生理又は代謝に関するその他の観点に直接又は関節的に関与するタンパク質を産生、又は過剰産生するよう加工された細胞を含む。これら細胞は加工された前核細胞(モネラ界:例えばE.coli)、加工された高等又は下等真核細胞、又はトランスジェニック動物内に存在する、あるいは分離される細胞である。高等真核細胞の例(例えば植物及び動物界に由来する)には、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)より入手可能な細胞株(例えばCV−1、COS−2、C3H10T1/2、HeLa及びSF9)が含まれる。下等真核細胞の例には真菌(例えば酵母)及び原生動物(例えば粘菌及び繊毛虫)が含まれる。細胞又はトランスジェニック動物は、各種タンパク質を発現するように加工でき、このタンパク質には核レセプター及び転写因子(例えばレチノイドレセプター、PPARs、CCAAT−エンハンサー−結合タンパク質(CEBPs)、ポリメラーゼ)、細胞表面レセプター(例えば膜貫通型及び非膜貫通型レセプター、Gタンパク−共役レセプター、キナーゼ−共役レセプター)、膜トランスポーター及びチャンネル(例えば非共役タンパク質、糖トランスポーター、イオンチャンネル)、シグナル伝達タンパク質(例えばフォスフォジエステラーゼ、シクラーゼ、キナーゼ、フォスファターゼ)及びウイルス(例えばAIDS、ヘルペス、肝炎、アデノ)が含まれるが、もとよりこれらに限定されない。加工された細胞は、発現されるタンパク質をコードしている配列及び動作可能に連結されたプロモーターを含む構築体を宿主細胞内に導入することで生産できる。適当なベクター及びプロモーターは、所望する宿主に基づき選択でき、宿主への構築体の導入は各種標準的なトランスフェクション/形質導入法の何れかを利用し実施できる(分子生物学、研究室マニュアル(Molecular Biology、A Laboratory Manual)、第2版、J. Sambrook, E.F. Fritsh及びT. Maniatis、コールドスプリングハーバープレス(Cold Spring Harbor Press)、1989参照)。こうして作られた細胞は確立された培養技術を利用し培養でき、培養条件を最適化することで導入されたタンパク質コーディング配列の発現を保証することができる。
本発明の方法は、種々の無細胞系、細胞、組織、植物、動物及びヒトをベースとした産熱アッセイに於ける作用物質の効能、選択性、有効性、薬物動態及び薬力学に基づく各種疾患、障害又は症状の治療に使用するのに好適な作用物質(例えば薬物又は薬物候補)の同定、特徴付け、等級付け、及び選択に利用できる。例えば試験物質は異化又は同化薬としてのその能力について、赤外サーモグラフィーを利用することによりスクリーニングできる。培養細胞(例えば脂肪細胞又は酵母のような初代細胞、あるいはC3H10T1/2間葉性幹細胞、骨芽細胞又は脂肪細胞のような樹立細胞、植物、動物又はヒト(医薬品開発に於ける臨床試験の患者を含む)は試験物質により処理された後、赤外サーモグラフィーにより熱特性の変化を測定することができる。産熱(細胞による熱産生)を高める作用物質は異化薬物として潜在的に有用であり、産熱を抑制する薬物は同化薬物として潜在的に有用である。
代謝の変化に加え、産熱の変化は増殖及び分化における変化を反映できる。即ち、本発明の方法は、代謝、毒性、細胞増殖、器官発生及び/又は分化の変化を伴う疾患、障害又は症状の処置への利用に好適な作用物質(例えば薬物又は薬物候補)の同定、特徴付け、等級付け、及び選択に利用できる。
赤外サーモグラフィーにより同定された同化薬物による治療に対して潜在的に感受性である病態生理の例には、食欲不振、脱毛、自己免疫、悪液質、癌、老化に伴う異化作用、糖尿病、移植拒絶、成長遅延、骨粗鬆症、発熱、細菌及びウイルス感染症が含まれる。赤外サーモグラフィーにより特定される異化薬物の治療に対して潜在的に感受性である疾患、障害あるいは症状には、肥満に付随する疾患や障害、又は症状(例えば高血圧、異脂肪症ならびに心臓血管病)、並びに成長促進に付随する病気、障害又は症状(例えば癌、巨人症、特定のウイルス感染症)が含まれる。赤外サーモグラフィーにより特定される作用物質を利用する治療に感受性である病態生理は、一般には異化作用又は同化作用の変化を伴うものであるが、もとよりこれに限定されるものではない(例えば代謝性疾患)。本方法は男性勃起不全(MED)や炎症、高血圧、胃腸管疾患、行動傷害(CNS病)を含むその他の疾患、障害ならびに症状、更に血流の変化を伴う病気にも応用可能である。薬学研究ならびに開発に於いて、本発明により分析可能な病態生理に関しては制限はない(例えば薬物の効能、有効性、毒性、薬物動態ならびに薬力学の分析)。
本発明によれば、結合が産熱反応を誘導する結合相手(タンパク質又は非タンパク質(例えば核酸))へのリガンド(タンパク質又は非タンパク質(例えば核酸))の結合を、赤外サーモグラフィーの利用によりモニターできる。リガンド及び/又は結合相手は細胞内、又は無細胞環境内(例えば溶液)に存在できる。リガンド及び/又は結合相手は、天然には通常存在しない合成された化学的実体でよく、あるいはリガンド及び/又は結合−相手は、天然に生ずるタンパク質、核酸、ポリサッカライド、脂質、ホルモン又はその他の天然に生ずる物質あるいは細胞のような、天然に見いだされる実体でもよい。その結合の相手方により発生する熱に及ぼす試験物質(例えば潜在的リガンド)の影響は、赤外サーモグラフィーを利用して測定することができる。好適な方法の一つは:i)結合の相手方により生成された熱を測定することと、ii)結合の相手方に試験物質を加えることと、iii)潜在的リガンド(試験物質)と結合の相手方とを混合した後に生ずる熱を測定することと、iv)(i)及び(ii)の測定値を比較する工程とを含み、この場合発熱量を変える作用物質が結合の相手方に対するリガンドである。更に、試験物質は、その結合相手へのリガンド結合より生ずる産熱反応を変化させる能力についてスクリーニングすることができる。このような作用物質は、リガンド及び/又は結合相手のアロステリック制御因子、アゴニスト、又はアンタゴニストである。このようなスクリーニングは以下を具備する:i)赤外サーモグラフィーを用い、結合ペアの第2メンバーに結合ペアの第1メンバー(リガンド又は結合相手)を加えることで作られる熱を測定し、ii)結合ペアの第1メンバー、結合ペアの第2メンバー及び試験物質を加えた時に生じた熱を測定し、そしてiii)(i)の測定値と(ii)の測定値を比較するが、この場合結合相手にリガンドを加えた時の発熱量を変化させる作用物質が、例えば結合ペアの何れかのメンバー又は両メンバーへの結合による相互作用の変調因子である。
更に本発明によれば、作用物質は特定の酵素の触媒速度を変調するその能力についてスクリーニングできる。方法は、基質へ酵素を添加したときに発生する熱を、赤外サーモグラフィーを使用して測定すること、試験物質、酵素およびその基質の添加により発生した熱を測定すること、および結果を比較することを含む。熱産生を変化させる作用物質は酵素阻害剤又は活性剤である。これら方法に従って実施可能な制御には、試験化合物への酵素添加(基質無しに)により生ずる熱、及び試験化合物への基質の添加(酵素無しに)により生ずる熱を測定することが含まれる。このような制御により、添加毎の熱産生を決定することができる。このような方法を利用することで、基質として振る舞う能力について、試験物質をスクリーニングすることができる。このような作用物質は、その他いずれの既知基質も存在しない状態で酵素と混合すると、熱産生を増やすことができる。
別の実施形態では、本発明は上記アッセイを利用し特定される作用物質に関する。上記アッセイにより特定された作用物質は、医薬品組成物として処方できる。このような組成物は作用物質、及び医薬品として許容可能な希釈剤、又はキャリアを含む。作用物質は投与単位形状(例えば錠剤又はカプセル)、あるいは溶液として存在できるが、好ましくは、特に注射で投与される場合には無菌である。投与量と投与方法は、例えば患者や作用物質、そして所望される効果により様々である。最適投与量と方法は当業者が容易に決定できる。
別の実施形態では、本発明は様々な生物体(動物、植物、組織、及び細胞)に於ける産熱に及ぼす環境変化(例えば食物)及び/又は遺伝的背景の影響をモニタリングする方法に関する。この方法は:i)様々な環境条件(例えば異なる食事を与える;高又は低脂肪、タンパク質、あるいは炭水化物食)の下で生物体が生じた熱を、又は異なる遺伝的背景(例えば同系動物、集団)を持つ生物体が生じた熱を、赤外サーモグラフィーを用い測定することと、ii)生物体を各種作用物質(例えばプラセボ又は産熱作用物質;未処置コントロールを含む)に暴露することと、iii)作用物質により処理された生物体により生じた熱を、赤外サーモグラフィーを用いて測定することと、iv)工程(i)及び(iii)の測定値を比較して、環境変化及び遺伝的背景の影響を決定することとを含むことができる。
本発明の方法は、どの程度異なる環境(例えば食事)又は遺伝子型が、基底産熱あるいは作用物質により誘導される産熱に影響するかを特定し、推測し、特徴付けし、等級付けし、そして選択するために使用できる。使用可能な生物体の集団、種、株、性、あるいは年齢、又は食物あるいは環境条件に関して制限はない。生物体は天然に生ずるもの(例えばイエネズミ)、同系(例えばAKR/Jマウス)または創出されたもの(トランスジェニックマウス)で良い。方法は、食事、概日リズム、明期リズム、高度、気圧、湿度、温度、騒音、睡眠状態、身体又は精神的ストレス、細胞又は生体の傷害を変化させた際の、生じた熱を赤外サーモグラフィーにて測定することを含むことができる。食事は規定の緩いもの(例えばカフェテリア食)又は良く特徴付けられたもの(例えば実験室食)でも良い。生物体は決められた通りに、あるいは自由に食事して良い。産熱を変化させる作用物質は天然に生ずるものでも、合成したものでも、既知または未知のもの、安全又は有毒なもの、そして同化型、異化型、あるいは効果を持たないものでも良い。産熱(体温産生)を増強する環境変化(食事またはその他)、遺伝子型、又は作用物質は、潜在的には異化作用状態の特定に有益である。産熱(体温産生)を抑制する環境変化(食事またはその他)、遺伝子型、又は作用物質は、潜在的には同化作用状態の特定に有益である。
別の実施形態において、本発明は各種生物体(ヒト、動物、植物、組織及び細胞)での薬物−薬物相互作用をモニタリングする方法に関する。この方法は:i)作用物質への暴露前に、赤外サーモグラフィーを利用して生物体(細胞等)により作られる熱を測定することと、ii)生物体(細胞等)を単一作用物質及び複数の作用物質に暴露させること(例えば培地に添加し、あるいは注射、胃腸管栄養、局所適用等により投与することで)と、iii)単一作用物質により処理した後、及び複数の作用物質による処理の後に、赤外サーモグラフィーを利用して生物体(細胞等)により作られる熱を測定することと、iv)工程(i)及び(iii)にて生じた熱の差を決定し、単一作用物質への暴露後に生じた熱と複数の作用物質に暴露した後に生じた熱を比較することとを含む。複数の作用物質への暴露後に生じた熱の差(単一作用物質とは対照的に)は、作用物質は産熱反応と相互作用するか、又はこれを誘導することを示す。
上記の如く、単独で使用した場合に比較して、組合せて使用した場合に産熱に変化をもたらす作用物質は、薬力学的薬物−薬物相互作用に関係することが提言される。このような相互作用は、潜在的には生物体、組織又は細胞に対し有害または有益である。このような場合にも、赤外サーモグラフィーはどのような種類の作用物質(例えば薬物)がそれぞれ相互作用するかを特定、予測、特徴付け、等級付け、及び/又は選択するのに利用できる。利用できる作用物質のタイプと数、細胞、組織及び生物体について制限は無い。作用物質は天然に生ずる、合成、アゴニスト、アンタゴニスト、阻害剤、活性化剤、安全、毒性、同化作用、異化作用、既知または未知のものでよい。細胞、組織及び生物体は、植物、動物(例えばヒト)、真菌、原生動物、又はモネラ界より得ることができる。赤外サーモグラフィーは、暴露期間の変更、作用物質や医薬組成物の濃度、使用する作用物質の濃度の変更を含む各種薬物動態及び薬力学パラメータを変化させた時の細胞、組織及び/又は生物体により作られる熱の測定に利用できる。
更なる実施形態において、本発明は脱毛(禿げ)及び再生をモニタリングする方法に関する。この場合、赤外サーモグラフィーは髪の増殖を変える各種処置又は環境刺激の特定、予測、特徴付け、等級付け、及び/又は選択に利用することができる。脱毛又は増殖を変化させる可能性のある処置又は刺激のタイプには制限は無い。処置のタイプは、食事、運動、薬学的、放射性的、または外科的介入を含むことができ、侵襲的でも非侵襲的でも良い。髪の増殖を変えるための刺激は環境中に自然に存在(例えばラドンガス)するもの、又は環境汚染の結果(殺虫剤のようなものの汚染)でも良い。従って、赤外サーモグラフィーは、脱毛及び増殖に対する各種処置の安全性、効力ならびに有効性のモニタリングに利用できる。
別の実施形態では、本発明は医薬品の安全性プロフィールを評価する方法に関する。本実施形態によれば、作用物質により標的となるタイプの各種タンパク質(例えばチトクロームP450s等)、細胞内器官(例えばミクロゾーム等)、細胞、組織及び器官を分離し、各種濃度の作用物質で処理し、赤外サーモグラフィーを利用し生じた熱をモニターすることができる。この方法は、i)所望の標的(例えば作用物質の治療効果に関係するタンパク質、細胞内器官、細胞、組織、または器官)内での熱産生の促進、又は阻害に及ぼす作用物質の効力及び有効性を決定することと、ii)不所望標的(例えば作用物質の有毒効果に関係するタンパク質、細胞内器官、細胞、組織、または器官)内での熱産生の促進、又は阻害に及ぼす作用物質の効力及び有効性を決定することと、iii)工程(i)と(ii)を比較することで作用物質の選択性を決定することとを含むことができる。各種標的(例えばタンパク質、細胞内器官、細胞、組織、及び/又は器官)間での選択性の増加を示す医薬的作用物質では、安全性プロフィールの向上が期待できる。本実施形態では、作用物質の濃度を変化した場合の結合相手及び/又は酵素触媒により生ずる熱に及ぼす効果を利用して、複数の標的に対する選択性及び安全性プロフィールを決定することができる。所望及び不所望標的間(例えば細胞タイプ、結合相手、または酵素)の最適選択性は当業者により容易に決定できる。
別の実施形態において、本発明は、化合物の物理的状態及び/又は量を評価する方法に関する。この実施形態によれば、化合物の物理状態を決定することができる。何故なら、それは物理的状態を個体(即ち凍結液体)から液体(即ち、融解)、液体から固体(即ち結晶化)、液体から気体(即ち気化、蒸発)、固体から気体(即ち昇華)へと変化するに伴って、その物理特性を変化させる化合物に関連するからである。本実施形態は開放容器、閉鎖系、加圧容器(即ち吸入剤)内の化合物に適用できるが、もとよりこれに限定されるものではない。液体の量は、本発明を使用して測定することができる。本実施形態によれば、各種量の試験物質は特異的な熱プロフィールを生じ、これによりその特異的熱特性を利用して、存在する作用物質の量を測定することができる。
以下の既述より、発明が実際に動物又は動物組織と結びついた応用性を持つことが認識されるだろう。例えば、上記方法は霊長類(例えばヒト)及び一般的に研究に利用されている動物(例えばラット、マウス、ハムスター、モルモット及びウサギ)を含む哺乳動物、鳥類、両生類及びは虫類、そして昆虫に応用できる。 本発明の特定の観点は、以下の非限定的実施例中により詳細に既述される。
下記の実験プロトコール及び詳細は、その全て又は一部が以下の非限定的実施例に参照される。
脂肪細胞:
ヒト皮下脂肪細胞はゼンバイオ社(Zen-Bio、Inc)(リサーチトライアングルパーク、ノースカロライナ州(Research Triangle Park、NC))から購入した。C3H10T1/2クローン8繊維芽細胞は、前述(Lenhard et al., Biochem.Pharmacol. 54:801-808(1997)、Paulik and Lenhard, Cell Tissue Res. 290:79-87(1997))と同様にして脂肪細胞に分化させた。培養7日後に、トリグリセリドの蓄積を、リポタンパク質リパーゼ及びGPO−Trinder試薬(アッセイキット337−B、シグマダイアグノスティックス社、セントルイス、ミズーリ州(Sigma Diagnostics, St. Louis, MO))を細胞(50μl/cm)に加え、溶解物を37℃にて2時間インキュベーションし、決定した。光学密度は波長540nmにセットされた分光光度計を利用して測定された。脂肪溶解は既述(Lenhard et al., Biochem. Pharmacol. 54:801-808(1997))の如くにして測定された。
UCP2及び酵母形質転換体のクローニング:
ヒト骨格筋DNA(#7175−1)はクローンテック社(Clontech)(パロ アルト、カリフォルニア州(Palo Alto,CA)より購入した。UCP2特異的配列は、公開配列(GenBank U82819)の5’及び3’末端に適合したオリゴヌクレオチドプライマーを利用し、サンプルからPCR増幅された。2mMのMgSO及び5%DMSOを含む標準的反応混合液中にベント(Vent)ポリメラーゼ(ニューイングランドバイオラブス社、バーバーリー、マサチューセッツ(New England Biolabs, Berberyly, MA))を利用した。サイクルパラメーターは94℃1分、55℃1分、72℃1分で、これを29回繰り返した。サンプルは大腸菌を形質転換させるためのベクターと接続する前に、S−400スピンカラム(ファルマシア社、ピスキャタウェイ、ニュージャージー(Pharmacia, Piscataway, NJ))を通した。クローンの認証はDNA配列解析により確認された。酵母の実験では、配列AAAAAACCCCGGATCGAATTTCATGGTTGGGTTCAAGGCCA(配列番号1)(センス)及びCATTGTTCCTTATTCAGTTACTCGAGTTAGAAGGGAGCCTCTCGGGA(配列番号2)(アンチセンス)を持つプライマーを利用したPCR、続く配列TTAACGTCAAGGAGAAAAAACCCCGGATCG(配列番号3)(センス)及びGAAAGGAAAAACGTTCATTGTTCCTTATTCAG(配列番号4)(アンチセンス)を有するプライマーを利用した第2PCRにてUCP2コーディング配列が増幅された。PCR産物は、酵母株W303(ade2−1、his3−1、15leu2−3、112、trp1−1、ura3−1についてのa/aホモ接合体)内での相同的組み換えを利用しpYX233(R&Dシステムス)にクローン化した。酵母形質転換体はBSM−trp寒天上で選別された(バイオ101、ビスタ、カリフォルニア(Bio 101、Vista、CA))。正確なUCP2配列は、酵母から大腸菌に逆抽出されたプラスミドの配列を決定して確認された。
UCP2発現及び産熱の解析の為に、発現プラスミドを含む酵母はBSM−trpブロス中で24時間継代され、1回洗浄後2%DL−乳酸、pH4.5、1%エタノール、0.1%カザミノ酸及び40mg/mlのアデニンを含むYP中に、A600=0.001に摂取された。16時間後、グルコースを0.4%(w/v)に成るよう加え、培養体を誘導した。UCP2の発現を確認する為に、酵母(A600=0.1)を5%β−メルカプトエタノールを含むNuPAGEサンプルバッファー中(ノベックス、サンジェゴ、カリフォルニア州(Novex, San Diego, CA))で溶解し、可溶性タンパク質を10%NuPAGEゲル(ノベックス、サンジェゴ、カリフォルニア州(Novex, San Diego, CA))上で分離した。UCP2アミノ酸配列LKRALMAAYQSREAPF(配列番号5)を利用した合成ペプチドを合成し、抗体の作成に利用した(ゼネカ、ウィルミントン、デラウエアー州(Zeneca、Wilmington、DE))。ウエスタンブロット分析は、公開された方法(Paulik and Lenhard, Cell Tissue Res. 290:79-87(1997))に従い実施された。
実験動物プロトコール:
年齢及び体重が一致したオス+ob/+obマウス(ジャクソンラブス、バーハーバー(Jackson Labs, Bar Harbor)、ME)を72°F、相対湿度50%、12時間明暗サイクル、固形飼料(NIH R&M/Auto 6F-Ovals5K67, PMIFeeds(登録商標)、リッチモンド、インディアナ州(Richmond, Indiana))にて、5匹/ケージで飼育した。41日齢の動物に1日1回(午前8:00−9:00)0.05M N−メチルグルカミン(コントロール)及び5mg/kgの濃度のGW1929の0.05M N−メチルグルカミン液を、経口より強制投与した。投与2週後、動物に1mg/kgのCGP12177Aを投与し(腹膜内)、動物をイソフルオランにて麻酔した。処置群当たり6匹以上の動物について、赤外サーモグラフィックイメージを得て、温度計算を行った。この研究は実験動物飼育の原則(NIH公開番号86−23、改訂1985)及び動物飼育及び使用に関する会社の方針、及び関連する実務規則に則り行われた。
オスAKR/J、C57BL/6J及びSWR/Jマウスはジャクソンラボラトリーズ(Jackson Laboratories、(バーハーバー、マイン州)(Bar Harbor, ME)より購入した。マウスには、Surwitら(Metabolism44(5):645-651(1995))により規定された高ショ糖含有高脂肪及び低脂肪食が与えられた。この食事を14週間与えた後、肩甲骨間の毛を剃り、動物に1mg/kgのBRL37344を投与し(腹膜腔内)、動物をイソフルオランにて麻酔した。ヌードマウス(BALB/C)は6−8週齢であり、温度プロファイリングを行う前に2回吸入により投与した。MED及び炎症実験には、共にルイス(Lewis)ラット株(200−250g)を用いた。赤外サーモグラフィックイメージ及び温度計算はアゲマサーモビジョン(Agema Thermovision)900赤外システムを利用し記録された。
赤外サーモグラフィー:
発熱は、SWスキャナーと2−5.4ミクロンのスペクトル反応を検出する40°×25°レンズを装備したスターリングクールドアゲマサーモビジョン900赤外システムAB(マリエッタ、ジョージア州)を利用し、測定された。スキャナーは精度0.08℃の内部キャリブレーションシステムを備えていた。焦点距離は6cmであった。イメージは16にセットされた反復機能、又は32にセットされた平均化機能を利用しキャプチャーされた。データはOS−9アドバンスドシステム並びにERIKA2.00ソフトウエアーを、メーカー(FLIR赤外システムAB、ダンデライド、スウェーデン(FLIA Infrared Systems AB, Danderyd, Sweden))の指示書に従い
使用して解析された。脂肪細胞のサーモグラフィーは、キューエシステムス社(Queue Systems Inc)(パーカースブルグ、ウエストバージニア州)(Parkersburg, W.V.)インキュベーター、モデルQWJ500SABAを使い、培養細胞の室温を37℃±0.02℃に保つことで実施された。酵母のスペクトル分析は同一のインキュウベーターシステムを利用し30±0.02℃にて実施された。マイクロプレートを使ったアプリケーションの場合には、細胞を実験作用物質(例えばロテノン)で処理した後、産熱を即時測定する前にインキュベーター内にて温度を10分間平衡化した。可視波長の各種カラースケールを使い、記録されたイメージの温度変動を描写した。温度スケールは一定ではあるが、色スケールイメージは可変であり、レベル及びスパンのコントロールを使い調整することができる。
各種赤外検出システムパラメーターは、酵母及び培養脂肪細胞の両方を使って最適化された。酵母を用いた細胞力価実験は、下方検出限界がA600=0.01の密度であり、最大産熱反応はA600=0.1−0.2であることを示した。C3H10T1/2細胞懸濁液の温度活性は8×10細胞/ウエルから検出され、最大シグナルは1×10細胞/ウエルで得た。期待通り、接着脂肪細胞の最大産熱反応は周密細胞を利用した時に観察された。マイクロタイタープレートの比較は、酵母懸濁液の産熱測定には384ウエル型が最適であるのに対し、接着脂肪細胞の培養には96ウエル型が最適であることを示した。培養プレートの外側のウエルは、プレート端部では熱伝導の増加が起こることから検出システムより除外された。より直径の大きなウエル(即ち>1cm)は、メニスカス効果が観察され、熱伝導が均一でなくなるため満足度に劣った。更に、ウエル当たりの培地量は、多すぎるとシグナルを低下させ、少なすぎるとメニスカスができバックグランドノイズが上昇することから、重要である。最適な結果は、接着脂肪細胞を含む96ウエル型プレートと酵母懸濁液を含む384ウエル型プレートの両方について、50μl/ウエルを利用した時に得られた。気流及び光より生ずる温度ならびに反射力(即ち熱ノイズ)を最少にするには、検出システム及びプロファイルしようとする対象を封じ込める必要がある。反射特性の低い材料(例えばアルマイト)、特に赤外検出装置の観点で反射特性の低い材料は、熱プロファイリング中の外来性熱ノイズの最少化に理想的である(例えば、チャンバープレート等)。最後に、温度平衡化時間の延長(即ち>10min)はシグナル対ノイズ比を改善した。
実施例1
赤外サーモグラフィー用装置の設計
本発明の方法は、高解像度赤外イメージングシステムとデータ解析に適したソフトウエアーを備えた中央処理ユニットから好都合に構成された装置を利用する。好適装置の1例はFLIR赤外システムス社(FLIR Infrared Systmes)製の装置(AGEMA900)またはリニアーラボラトリーズ社(Linear Laboratories)製の非接触型赤外サーモメーター(C−1600MP)である。図1は、無細胞系又は細胞培養の赤外サーモグラフィー用のこれら装置の略図を示している。温度変動を緩衝するためのヒートシンクを提供する非反射型材料(例えばアルマイト)より作成された等温チャンバーは、培養プレート及び周囲環境からの熱ノイズ(例えば反射や気流)を最少にする。プレート内の熱均一性を保つために、プレートホルダーを等温チャンバー内に設置することができる。インキュベーターの利用も、周囲温度の変動を防ぎ、細胞反応及び生存率を改善する。図1に示す略図では、カメラが培養中の細胞から生ずる熱を即時的にモニターし、データキャプチャー用の中央処理ユニットによりイメージが記録され、ソフトウエアー分析によりさらにデータ解析される。図2は、マウス肩甲骨間領域の赤外サーモグラフィー用に設計された装置の着図を示す。本装置は、図1の装置と共通の特徴を有しており、赤外カメラ、等温チャンバー及びコンピューターインターフェイスを含んでいる。更に装置は、動物の麻酔状態を継続するための麻酔マニフォールドを備えた赤外スクリーニングプラットホーム、例えばアルマイト製の厳密制御されたヒーティングブロック、及び気流を最低限にとどめるための等温チャンバーも含んでいる。
実施例2
培養細胞システム(例えば脂肪細胞や酵母)中の赤外サーモグラフィー:産熱活性への小分子の効果。
ミトコンドリア熱産生のモニターへの赤外サーモグラフィーの利用を検証する最初の作業の一部として、96ウエル型マイクロタイタープレート内に培養されたヒト脂肪細胞、及び384ウエル型マイクロタイタープレート内に浮遊された酵母を、ロテノン又はシアン化カルボニルであるp−(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP)で処理した。ロテノンはミトコンドリア電子伝達の阻害剤であり(Ahmad-Juan et al., Biochem. Soc. Trans. 22:237-241(1994))であるのに対して、FCCPはミトコンドリア呼吸の脱共役剤である(Terada, Biochem. Biochem. Biophys. Acta 639:225-242(1981))。次に、細胞より生じた熱をAgema Thermovision 900赤外イメージングシステムを使い測定した(図1)。図3に示す用量反応アッセイに示すように、ロテノン処理は酵母(図3A)及びヒト脂肪細胞(図3B)の産熱を阻害した。これに対しFCCPは未処置細胞に比べ、両細胞での熱産生を促進した。動態分析は、熱産生の変化がいずれかの作用物質により細胞を処理した10後に検出可能であることを示した。これらの結果より、培養細胞又は無細胞システムに対する小分子(例えばFCCP、ロテノン)の用量依存的産熱作用の測定への赤外サーモグラフィーの応用性が実証された。
実施例3
齧歯類では、肩甲骨間の褐色脂肪組織(IBAT)は適応的産熱にとって重要な部位であり(Himms-Hagen, Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 208:159-169(1995))、そして齧歯類の肩甲骨間域内に局在している。この組織は、陰イオン輸送体、脱共役タンパク質(UCP1、従来UCPとして知られている)を発現するミトコンドリアを豊富に含んでいる(Ricquiier et al., FASEB J.5:2237-2242(1991))。IBAT内の呼吸によるUCP1脱共役酸化的リン酸化の結果、ATPに変わり熱の産生が起こる。UCP1はヒトには豊富に存在しないが、ヒトではUCP2(Fleury et al., Nat. Genet. 15:269-272(1997))が豊富に発現している。UCP2mRNAは広範に発現しており、その発現は肥満において変化する(Enerback et al., Nature 387:90-94(1997))。更に、糖尿病治療薬であるチアゾリジンジオーネ(例えばトログリタゾン)は、おそらく核レセプターPPARγを活性化することでUCP2の発現を増加することからし、UCP2はエネルギーバランスの制御に重要な役割を果たしていることが示唆されている(Shimabukuro et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 237:359-361(1997))。
UCP1は齧歯類ではミトコンドリアを介した産熱を制御するが、UCP2が同様の役割を果たしているという直接証拠はない。産熱に於けるUCP2の役割を評価するため、そして外来タンパク質を発現するように加工された細胞内における生理学的変化の検出への赤外サーモグラフィーの利用を検証するために、UCP2遺伝子がヒトcDNAライブラリーよりクローン化され、ガラクトース−誘導発現システムを利用し酵母中に発現された。図4Aに示すように、酵母内でのUCP2発現の結果、UCP2を欠いた細胞に比べ産熱は増加した。予想通り、ロテノンにより細胞処理はUCP2が介在する産熱を阻害した(図4A及び4B)。例えば、ウエスタンブロット分析によりこれら細胞でUCP2が発現していることが確認された(図4C)。最大の発現と産熱はUCP2合成をガラクトースで誘導してから2時間後に観察された。この結果は、外来タンパク質を発現するように加工された細胞モデル(例えば真菌類(例えば酵母)、SF9、CHO、アカパンカビ属等)でのミトコンドリア介在産熱への各種分子(例えばUCP2のようなレポーター遺伝子)の効果を計測する道具としての赤外サーモグラフィーの応用性を実証している。
外来タンパク質を過剰発現するように加工された細胞に於ける生理学的変化を検出するための赤外サーモグラフィーの利用について更に検証するために、ベータ3アドレナリン作動性レセプターレセプター(βAR)がヒトcDNAライブラリーよりクローン化され、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞内で発現された。βARを過剰発現する加工CHO細胞について、その特性がよく分かっているβ−ARアゴニストであるイソプロテレノールに対する反応性を温度的にプロファイルされた(図5)。図5に示すように、CHO細胞はイソプロテレノールに対し用量依存的様式で反応し、赤外サーモグラフィーが細胞表面レセプター(例えばβAR)に対するリガンドの評価、同定及び等級付けに利用できることを示唆した。これらの結果は更に、外来タンパク質を過剰発現している加工細胞モデルを利用した薬物探索に適した化合物の等級付け、選択及び同定に利用できる、又はアンチセンス発現にまで拡大できる非侵襲的道具としての赤外サーモグラフィーの利用性につても検証している。更に、赤外イメージングは良く特徴付けされているタンパク質キナーゼA(PKA)アゴニスト、フォスフォコリンを投与した場合のCHO細胞の用量依存的反応により例示される細胞内キナーゼ活性の活性のモニターにも利用できる(図5)。即ち、赤外サーモグラフィーは細胞内酵素に影響する作用物質のモニターに利用できる。
実施例4
PPARγ及びβ−ARアゴニストで処理された細胞の赤外分析:細胞増殖及び分化への効果
赤外サーモグラフィーがエネルギー代謝に影響する薬物の医薬効果の分析に利用できるか知ることは興味深い。トログリタゾン(Troglitazone)はC3H10T1/2細胞内での同化作用(例えば脂肪形成及びミトコンドリア容積)を増加し、そして異化作用(例えばベースの脂肪分解及び好気性呼吸)を低下させる糖尿病治療薬である(Lenhard et al., Biochem. Pharmacol. 54:801--808(1997))。これら細胞に対するトログリタゾンの効果は、転写因子PPARγ/RXRの活性化の結果であり、これにより幹細胞の脂肪細胞への分化が誘導される(Lenhard et al., Biochem. Pharmacol. 54:801-808(1997)、Paulik and Lenhard, Cell Tissue Res. 290:79-87(1997)、Lehmann et al., J. Biol. Chem. 270:12953-12956(1995))。即ち、赤外サーモグラフィーはトログリタゾン及び5種類の構造関連アゴニストのC3H10T1/2細胞内での熱産生に及ぼす効果の試験に利用できた;これら作用物質の細胞トリグリセリド蓄積への効果も、脂肪生成のマーカーとして測定された(図6及び7)。図6に示されるように、トログリタゾン処置はこれら細胞内でのトリグリセリド蓄積を増加し、この薬物が脂肪生成を促進するという観察結果に一致した(Lenhard et al., Biochem. Pharmacol. 54:801-808(1997)、Lehmann et al., J. Biol. Chem. 270:12953-12956(1995))。これに対し、より高い濃度のトログリタゾン、又は多の関連PPARγアゴニストで処理された細胞では、熱産生は減少し(図7)、これら細胞が脂肪細胞に分化するのに伴って産熱が抑制されることが示唆された。更に、産熱及び脂肪生成アッセイで試験された各種PPARγアゴニストの効力の等級は、BRP49653(EC50(μM)=0.063)−GW1929(EC50(μM)=0.052)>トログリタゾン(EC50(μM)=0.316)−ピオグリタゾン(EC50(μM)=0.389)>シグリタゾン(EC50(μM)=0.123)>エングリタゾン(EC50(μM)=>10.0)(図7)。幹細胞の脂肪細胞への分化に伴いUCP発現は増加することから(Paulik and Lenhard, Cell Tissue Res. 290:79-87(1997)、Tai et al., J. Biol. Chem. 271:29909-29914(1996))、これら観察は、脂肪細胞に於ける産熱の刺激にとってUCP発現の増加が十分でないことを示唆している。この見解は、脂肪細胞の産熱促進にはUCP発現の増加に加えて別のシグナル(例えばβ−AR刺激)が必要であるという提言に合致している(Lenhard et al., Biochem. Pharmacol. 54:801-808(1997)、Paulik and Lenhard, Cell Tissue Res. 290:79-87(1997))。更に、これらの結果は、赤外サーモグラフィーがトログリタゾンやその他の核レセプターリガンドのような細胞増殖と/又は分化に影響する作用物質の、熱産生に及ぼす薬学作用(即ち、作用、効力、動態等)の研究に利用できることを示している。
実施例5
PPARγアゴニスト処理されたob/obマウスに於ける肩甲骨間産熱と最少有効投与量の関係
転写因子PPARγ/RXRを活性かする試薬は糖尿病治療薬としての薬物潜在能力を有している。ここに記載された方法を利用した赤外サーモグラフィーを利用すると、動物モデルシステムでのこれら薬物の効果をモニターできる。この応用は薬物開発と試験にとって極めて重要である。
遺伝子型ob/obのマウスを糖尿病の動物モデルとして利用した。これら動物は糖尿病治療薬であるPPARγのアゴニストGW1929xの活性の試験に利用できる。図8Aは、ob/obマウスのグループのGW1929x処理の産熱効果を示す。コントロールのマウスは、薬物を欠く薬物賦形剤で処理する以外は実験グループと同ように処理された。予想通り、アッセイ前1ないし2週間の糖尿病治療薬処理は、コントロールの動物に比べ処理マウスのIBAT産熱の低下をもたらした(図8A)。この動物体での産熱アッセイは、薬物の有効性の決定に関し定量的な価値も有している。細胞培養体における赤外サーモグラフィーにより検出されるように、動物体内でのPPARγアゴニストグループの最少有効投与量(MED)(Henke et al., J. Med Chem. 41,5020-5036(1998))は産熱を抑制する(図8B及び実施例4内に記載の図7)。即ち、細胞培養プレート内で試験されたPPARγアゴニストの有効性の等級(BRL49653−GW1919>トログリタゾン−ピオグリタゾン>シグリタゾン>エングリタゾン)は、動物試験に於けるMEDの等級に対応した(R=0.95)。こららの結果は、動物に於ける産熱又は熱消費を変化させる能力に基づいた化合物の研究、同定、等級付け、及び選択に赤外サーモグラフィーが利用できることを示している。
実施例6
β−AR−介在異化作用及び産熱:代謝介在熱活性の測定
カテコールアミンは、おそらくUCP発現(Rehnmark et al., J. Biol. Chem. 265:16464-16471(1990))又は活性を制御することにより、体温及び成分を調節すると考えられている(Blaak et al., Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 17 Suppl3:S78-S81(1993))。脂肪細胞では、カテコールアミンはβ−アドレノレセプター(β−ARs)を活性化し、細胞内cAMP経路を刺激する(Lafontan and Berlan, J.Lipid Res. 34.1057-1091(1993))。動物へのノルエピネフィリン注射によるβ−AR経路の刺激は、IBATに於けるUCP1mRNAの寒冷誘導を模擬する(Silva, Mol. Endocrinol. 2:706-713(1998))。同様に、ノルエピネフィリン(Rehnmark et al., Exp. Cell Res. 182:75-83(1989))及びβ−AR−アゴニスト(Champigny and Ricquier, J. Lipid Res. 37:1907-1914(1996))は培養細胞培中のUCP1の発現を直接刺激する。即ち、カテコールアミン及びβ−AR−アゴニストの産熱効果は、UCP発現の増加により伝達されると推測されることが多い。しかし、β−AR−アゴニストがUCP発現の増加が無い状態で産熱を誘導できるかはまだ決定されていない。
β−AR−アゴニストは糖尿病及び肥満の治療に適した治療薬候補である。これら薬剤の作用メカニズムには、代謝速度の増加が関係していると考えられている(Scarpace, Ann. N. Y. Acad. Sci. 813:111-116(1997))いるが、β−AR−アゴニストは脂肪細胞による発熱を増加することも分かっている。これを受け、赤外イメージングが培養脂肪細胞での産熱に対するβ−AR−アゴニストの効果のモニターに利用できるかを決定した。C3H10T1/2脂肪細胞に於ける産熱は、選択的β−AR−アゴニストであるCL316243、及び非選択的β−AR−アゴニストであるイソプロテレノールで処理することで刺激された。βARアゴニストであるRO363、及びβ−2AR−アゴニストであるアルブテロールは、CL316243又はイソプロテレノールに比べこれら細胞での産熱促進に関し効果は低く、複数のリガンドの選択性と有効性の決定に赤外サーモグラフィーが利用できることが示された。β−AR−アゴニストとは逆に、ミトコンドリア電子伝達阻害剤であるロテノンは50nMの各種β−AR−アゴニストで処理された細胞の産熱を阻害した(図9)。タンパク質合成の阻害剤であるシクロヘキシミド(100μM)はこれら細胞に於けるβ−AR−介在産熱に影響を及ぼさなかった。更に、CL316243処理後15分の産熱は、18時間後よりも大きかった(CL316243には用量依存的な産熱効果があった(使用用量域は0.8−100nM))。従って、β−AR−誘導産熱はタンパク質(例えばUCP)合成の増加を必要としない急性反応であろう。しかし、他が示唆するように、これらの結果はUCP合成の制御に於けるβ−ARの役割を排除するものではない(Rehnmark et al., J. Biol. Chem. 265:16464-16471(1990); Lafontan and Berlan, J .Lipid Res. 34:1057-1091(1993); Silva, Mol. Endocrinol. 2:706-713(1988))。
コントロールとして脂肪分解に対するβ−AR−アゴニストの作用についても測定した。用量反応分析は、各種β−AR−アゴニストが産熱及び脂肪分解アッセイの両方で類似のEC50を有することを示した(表1)。各種β−AR−アゴニストの有効性を両アッセイにて比較したところ0.99の相関係数が観察されたことから、脂肪細胞においては同一のβ−ARシグナル経路が脂肪分解と産熱を伝達することが示唆された。まとめると、これらの結果は赤外サーモグラフィーによる細胞内に於けるリガンド−変更代謝活性のモニターの利用性を実証している。一般に、これは潜在的薬物候補の同化性及び異化性作用の両方を介した産熱活性の測定についても拡大される。
表 1
EC50(nM)
処置 β−AR 脂肪分解 産熱
レセプター
オリゴマイシン − 9.2
ロテノン − 8.5
RO306 β1 1000 956
アルブテロール β2 47.8 43.2
イソプロテレノール β1β2β3 27.1 28.0
CL316253 β3 7.9 8.9
実施例8
細胞表面レセプターに対するペプチドの効果;酵素反応の測定
血管内皮細胞増殖因子(VEGF)は、血管内皮細胞のキナーゼドメインレセプター(KDR)への結合と活性化を通し血管の発生の多くをコントロールする2量体ホルモンである。VEGFへの反応では、細胞はマイトージェン活性化タンパク質キナーゼ(例えばMAPKKK、S6キナーゼ(p90rsk))のようなシグナル伝達分子のカスケードを迅速に活性化する。VEGFはまた心筋細胞では転写因子2のリン酸化と活性化も引き起こす。(Ferrana, N., Davis-Smyth T, Endrocr Rev 1997 Febl18(1):4-25)。現在利用可能なこの経路を解析する方法ではVEGFに対する急性反応をキャプチャーできない。VEGFの活性化は急性キナーゼ/フォスファターゼ活性を有し、その結果最終的には結合の加水分解と形成を伴うことから、使用する装置の感度が十分であればこれら酵素反応より生じた熱は測定可能であるかもしれない。この仮説を検証するため、赤外サーモグラフィーを用い、VEGFで処理されたヒト血管上皮細胞(HUVEC)により生じた熱を測定した。図10Fに示すように、VEGFはHUVEC細胞に産熱を生じせしめたことから、赤外サーモグラフィーは培養細胞忠の酵素反応(例えばキナーゼ/フォスファターゼ活性)のモニターに利用できるだろう。即ち、赤外サーモグラフィーは、酵素反応への化合物の効果及び有効性の評価に利用できる。
実施例9
化学反応(例えばリガンド/結合−パートナー相互作用)のモニタリング
結合の形成と加水分解は、その想定リガンドへのレセプター結合固有のプロセスである。このプロセスは通常は発熱反応を伴い、そして現時点ではマイクロカロリーメトリーを利用してのみ測定される(Koenigbauer, Pharm. Res. Jun;11(6)777-783(1994))。これら測定はレセプター/薬物相互作用に関する等温結合を確立するためのベースである。酸及び塩基の混合は結合プロセスから生じる発熱反応を惹起するため、酸/塩基滴定を利用し赤外イメージングが分子内/分子間の結合動態の測定に利用できるか決定した。図11に示すように0.25mMのNaOHを各種濃度のHClと混合し赤外サーモグラフィーにより測定したところ、産熱反応を用量依存的に阻害した。これらデータはリガンド(例えば薬物)と結合パートナー(例えばレセプター)との相互作用のような分子事象の測定に於ける赤外サーモグラフィーの有用性を実証している。別の実施例は、赤外サーモグラフィーを用いた薬物−レセプター、タンパク質−タンパク質、タンパク質−DNA、DNA−DNA、DNA−RNA及びタンパク質−炭水化物相互作用のモニターを含む。
実施例10
不活性固体表面上での触媒のモニタリング(例えばコンビケム(Combi-Chem)ビーズ)
本発明に示すような赤外サーモグラフィーは高度に規定された無細胞系での産熱の測定にも利用できる。触媒剤はコンビケムビーズ(Borman, Chem. Eng. News 74:37(1996))のような不活性固相表面への結合により固定され特徴付けられることが多い。そのような事情より、本発明を利用しコンビケムビーズ上での触媒反応の熱分析を行った。触媒的に活性なコンビケムビーズは、25mLのビーカー又は96ウエルのマイクロタイタープレート内の溶媒に浸しながら分析された。図12は産熱がビーズを含むビーカー領域に局在して出力される(図12A、矢印)(温度差0.3℃)又は活性なビーズを含むマイクロタイタープレートのウエルに局在するが不活性なビーズを含むウエルには局在しないこと(図12B)を示している。即ち、赤外サーモグラフィーは非侵襲的及び非破壊的方法による迅速触媒活性の測定に利用できる。
実施例11
エアゾール誘導冷却のサーモグラフィー分析
薬物供給に利用される吸入剤投薬量測定のためのエアゾールシステムでは、供与忠に装置チャンバー内の温度が低下が起こる。この影響は薬物供給の効率性に関し大きな障害である。チャンバー温度の低下はしばしばMDIチャンバー及びステム内に於ける薬物結晶化を引き起こし、その結果薬物供給は非効率的になる。赤外熱イメージングは薬物供給忠の温度消失のモニター、ならびにこの問題を軽減又は改善した改良型装置の試験に利用できる。即ち、赤外サーモグラフィーをMDIの作動誘導チャンバー冷却の測定法として試験した。図13Aは、0、1又は5回連続作動した場合の、MDIの迅速熱プロフィールを示す。熱イメージは以下の3領域に於ける温度変動について解析された;領域1−バルブステム/エクスパンジョンチャンバーの表面;領域2−キャニスターの中央部表面;領域3−測定チャンバーがあるキャニスターヘッド内部。領域温度の経時的変化を図示した図13Bは、動作依存的に温度の低下が特にバルブステム/エクスパンジョンチャンバーで起こっていることを示している。動作毎に温度は繰り返し低下する。
更に、動物及びヒトに於ける吸入剤の生体利用度と生物活性を測定すること、及び定量化することは困難なことが多い。吸入剤の生体利用度を測定することができるアッセイには、選択された組織内(例えば肺)への放射性標識吸入剤の取り込みを測定するものが含まれる。赤外サーモグラフィーは吸入化合物の生体利用度/生物活性を測定するための非侵襲的方法を提供する。即ち、赤外サーモグラフィーを、ヌードマウスの胸部域内の吸入剤により誘導された熱活性の測定に利用した。図13Cは、附形剤またはアルブテロールを含む吸入剤で処理されたヌードマウスの熱プロフィールを示す。胴部温度の図示例からは、吸入剤を投与してから2.5分後には胴部温度が上昇することがわかる(図13D)。まとめると、これらの結果は赤外サーモグラフィーが装置内の吸入剤供給、及び動物モデルに於ける吸入剤の生体利用度/生物活性の非侵襲的測定に利用できることを示している。
実施例12
赤外サーモグラフィーはβ−AR−アゴニストで処理されたマウスに於けるIBAT産熱の測定に利用できる。
培養脂肪細胞及びCHO細胞に於ける産熱に対するβAR−アゴニストの刺激能については、上記実施例3及び6、及び図5、8及び9の中に示し、考察された。糖尿病及び肥満の治療には異化作用物質(例えばβAR−アゴニスト)の利用に適した潜在的臨床応用があることから、赤外サーモグラフィーが動物体に於いてβAR−アゴニスト誘導効果を測定できるか示すことは重要である。図14A及び14Bは、赤外サーモグラフィーがβAR−アゴニストを投与された動物に於ける、肩胛骨間褐色脂肪組織域(IBAT)の用量依存的及び時間依存的な産熱増加の測定に利用できることを示している。処理された動物に於ける血清グリセロールを直接測定することで、βARアゴニスト誘導産熱は異化作用性の活性の増加を反映するという仮説を検証した。処理マウスでは、βARアゴニスト誘導産熱は血清グリセロールの増加と相関していた(相関係数=0.92)。即ち、これは動物に於ける異化作用薬物のin vivo効果をモニターする赤外サーモグラフィーの利用を実証している。
実施例13
各種時間及び薬物濃度のモノアミン再取り込み阻害剤で処理されたob/obマウスのサーモグラフィー分析
モノアミン再取り込み阻害剤は異化作用活性を刺激する薬物群である(Stock, Int. J. Obesity 21:525-29(1997))。代表的モノアミン再取り込み阻害剤であるGW473559Aの効果を、処理したマウスに赤外サーモグラフィーを使いモニターした。図15は、赤外サーモグラフィーがGW473559Aで処理されたob/obマウスに於けるIBAT産熱の用量依存的(図15A)及び時間依存的(図15B)増加を測定することを示している。即ち、赤外サーモグラフィーは、化合物の生体利用度、及び活性に関する非侵襲性の高感度かつ強力な代替アッセイを提供する。
実施例14
体重変化を予測する代替アッセイとしてのサーモグラフィー分析
糖尿病または肥満治療のためのβAR−アゴニスト処理は、長期間(数週間から数ヶ月)にわたる治療を必要とする。βAR−アゴニスト治療に所望される結果は体重の減少である。図16に示すデータは、赤外サーモグラフィーを利用することで、薬物治療の結果としての体重減少を予測できることを示している。高脂肪色を与えられたAKRマウスに2週間にわたりプラセボまたはβARアゴニスト(1日2回)を投与した。試験期間中、産熱活性は赤外サーモグラフィーにより肩胛骨間域を測定し、同時に体重の減少を測定した。2週間後の体重減少は、肩胛骨間域の産熱と相関していた(r=0.97)。即ち、赤外サーモグラフィーは、化合物選択、及び効果及び有効性の評価に関して、臨床前及び臨床応用の両方に適した非侵襲的代替アッセイを提供できる。
糖尿病および肥満患者での体重減少を目的とした薬物治療は長期の治療になることが多い。赤外サーモグラフィーは、薬物が投与された場合には、薬物により誘導された代謝変化の変化を検出する。動物をモノアミン再取り込み阻害剤で処理した後の赤外サーモグラフィーにより記録されたIBAT産熱の変化は、急性(治療=2時間;r=0.92)及び慢性(治療=14日、投薬後2時間;r=0.94)治療プロトコールの両方について、体重増加の%減少に関し有意に相関していた。赤外サーモグラフィーは、体重減少を推測するための非侵襲代替アッセイを提供し、それにより労力のかかる、長期かつコストのかかる体重減少試験を排除する。
実施例15
食事誘導産熱に及ぼす遺伝的影響
代謝は遺伝的及び環境的因子の影響を受けることが多くの証拠より示されている。糖尿病、脂肪代謝異常または肥満の遺伝的素因を持つ個人について、代謝速度を変化させ環境因子の一つは食事である。サーモグラフィー使い、様々な遺伝子型の動物に於ける薬物誘導熱産生の変化に対する食事の効果を測定することができるかは不明である。そのために、3種類の近郊系マウスAKR/J、C57BL/6J及びSWR/Jに、β−アドレノレセプターアゴニストBRL37344で処理する前14週間、高脂肪食及び低脂肪食を与え続けた。処置前と処置60分後に赤外サーモグラフィーを使って、肩胛骨間域で生じた熱を測定した。図17に示すように、肥満マウスAKR/Jは高脂肪食を取った場合にBRL37344に対してより大きな産熱反応を示した。これに対し、肥満耐性マウスであるSWR/Jは、低脂肪食を与えた時により大きな産熱反応を示した。C57BL/6Jでは高または低脂肪食間に産熱反応の違いは殆どなかった。これらの結果は、熱発生に於ける薬物誘導変化に対する遺伝子型と環境変化(例えば食事)の効果の測定に赤外サーモグラフィーが利用できることを実証した。即ち、本技術は特定の環境または遺伝的背景について、所望の特性を持つ化合物の選択、及び効果と有効性の等級付けに利用できる。同ように、本技術は特定薬物候補に関し、所望特性を持つ動物及び環境因子の同定、等級付け、及び選択に利用できる。
実施例16
ヒトに於ける食物誘導産熱の赤外サーモグラフィー
カロリー摂取はヒトの代謝活性に劇的かつ急速な影響を与える。従って、ヒト試験者背面の産熱出力は、食物摂取の日時と試験者のパターンの関数として変動するだろう。このことは、食事前後に赤外サーモグラフィーを使って背温度をモニターすることで患者プロフィール中に提示される。図18Aは、昼食前後の時点に関するサーモグラフィープロフィールの定量分析を示す。図18Bは、3回別々にの昼食前後に2名の男性被験者及び1例の女性被験者について行われた同様の測定(裸身洞部デルタT)をまとめた図を示す。このデータセットは一致しており、かつ再現性を有しており、ヒト赤外サーモグラフィーが産熱のモニタリングに利用できることを示している。この方法は、ヒト患者に適用可能な多くの状況、例えば食事調整、薬物治療、薬物/薬物及び薬物/環境相互作用のモニターに有用であろう。赤外サーモグラフィーを使った結果に基づき、食物及び環境の変化ならびに薬物使用を規定することができる。
実施例17
ヒトに於ける薬物誘導産熱の赤外サーモグラフィー
交感神経作用薬であるエピネフィリンは、齧歯類で強力な発熱及び抗肥満特性を有すると報告されている(Astrup et al., Am. J. Clin. Nutr. 42:183-94(1985))。体重減少及び体組成の測定は、肥満に関する薬物治療の効果の決定に最初に利用されるマーカーである。しかし、これらのマーカーを利用する研究は、時間がかかり、大規模でコスト高の傾向がある。これら問題を回避するために、代替マーカーが開発されてきた。間接カロリメトリーは、静止状態の代謝速度の決定に利用されるが、その複雑さより広くは利用されていない。グルコース、グリセロール、非エステル化脂肪酸、トリグリセリドのような生化学マーカーが利用されているが、侵襲性である。しかし産熱イメージングはヒトに於けるエンドFeリンの特性測定には利用されていない。
2例のヒト被験者での産熱に対するエンドフェリンの効果を、0.6−0.7mg/kgの投与量のデフェドリン処理60分後に赤外イメージングし、検出した。図19は被験者A及びBでのエフェドリンにより誘導された産熱反応を決定する熱イメージである(それぞれデルタT℃=0.63及び0.46)。従って、赤外サーモグラフィーは臨床試験に於ける薬物の効果、有効性、薬物動態、薬力学を評価する非侵襲的代替アッセイとして利用することができる。
実施例18
db/dbマウスに於ける薬物−薬物相互作用の赤外サーモグラフィー
薬力学的な薬物−薬物相互作用の結果は様々であり、生命に大きな脅威を与える状態から救命治療の範囲に及ぶだろう。このようなことから、薬物相互作用の迅速評価に適した方法を特定する必要性は大きい。複数の薬物投与は代謝速度を変えることから、培養細胞及び/又は動物に於ける熱産生に対しては、各種薬物の相加的、減法的及び/または相乗的効果が存在することが予想される。従って、赤外サーモグラフィーを利用しin vivoの産熱に及ぼす各種薬剤を混合することの影響を分析できるか決定することは興味深い。更に赤外サーモグラフィーを利用することで、前臨床及び臨床試験において併用治療の有効性、有用性及び毒性を特定し、等級付けすることができる。
GW1929はリガンド活性化核レセプターPPARγの転写活性を活性化することで糖尿病動物に於ける血糖コントロールを改善する作用物質である。CGP12177Aは、細胞表面β−アドレナリンレセプターの刺激を介し作用する、肥満治療薬である(Kenalin, Lenhard and Paulik, CUrr Prot Pharm;1(unit4.6):1-36(1998))。多くの糖尿病患者は肥満でることから、これら2種類の作用物質(即ちGW1929及びCGP12177A)に何れかの薬力学的相互作用があるか決めることは興味深い。即ち、db/dbマウスを2週間にわたりGW1929にて、あるいはGW1929無しに治療され、肩甲骨間域で生じた熱を赤外サーモグラフィーを利用し測定した。図20に示すように、GW1929及びCGP12177Aの両方で治療された動物は、いずれか単独で治療された動物に比べより産熱反応が大きかった。即ち、これら結果は、熱産生を変化させる薬力学的薬物−薬物相互作用の強さの測定への赤外サーモグラフィーの利用を実証した。
実施例19
VEGFによる組織血管形成のサーモグラフィー分析
腫瘍は、腫瘍増殖力を増強する局所の血管形成により支持された活発に増殖し、代謝する組織領域である。サーモグラフィーは、組織血管形成に伴うものを含む腫瘍に随伴する産熱上昇を検出できる。血管上皮増殖因子(VEGF)は腫瘍組織中に発見され、その存在はそれが局在する組織内での産熱増加に関連する。即ち、上皮血管構造が露出しているヌードマウスを利用し、腫瘍検出及び血管形成に於けるサーモグラフィーの有用性を示した。ヌードマウスにVEGFペプチド又はコントロールを注射し、続いて両注射部位のサーモグラフィーイメージングを行った。図21は、サーモグラフィーイメージがVEGF注射局所部位で産熱が増加するが、コントロール注射局所部位では増加しないことを示していることを表す。即ち、赤外サーモグラフィーを利用し、組織血管形成を変化させる作用物質の効果をモニターできる。
実施例20
赤外サーモグラフィーによる腫瘍温度モニタリング
腫瘍温度は、腫瘍に於ける代謝速度の指標である。腫瘍は最大代謝活性に関してはVEGFの存在に依存しており、また腫瘍温度はVEGFの有用性の変化を反映する。この関連性は、抗VEGF抗体又は非特異的抗IgG抗体のいずれかで処理された腫瘍保有マウスをサーモグラフィー分析することで示される。図22は、VEGFが抗VEGF抗体の存在により中和されると腫瘍温度が低下することを示す定量的サーモグラフィー分析を表す。即ち、赤外イメージングは、癌治療の効果のモニター、及び抗ガン剤開発に於ける補助として利用できる。
実施例21
赤外サーモグラフィーによる禿げ(脱毛)のモニタリング
脱毛は各種治療(例えば癌患者放射線治療、手術等)の望ましくない副作用の結果生じ、また加齢とともに自然に起こるが、手術又は薬学的介入により髪の増殖を快復することができる。髪は熱消失に対する断熱作用を提供し、一定体温の維持に役立つことから、赤外サーモグラフィーが脱毛測定に利用できるか決定することは興味深い。化学療法により誘導される禿げの治療及び予防には進歩が認められない理由の一つは、再現性のある動物モデルならびに脱毛を定量的に測定する方法がないことに拠る。赤外イメージングが化学療法により誘導される脱毛を定量的に測定できるか決定するために、子宮内において既知発癌剤、エトポシドで処理された新生児ラットを脱毛に関し熱プロファイル分析した。図23は、脱毛の結果として全面部及び背部両方で熱活性が増加していることを示す熱イメージ(図23A)及び定量分析(図23B)を表している。即ち、これらの結果赤外サーモグラフィーが、一般に禿げ、及び脱毛の治療法の特定を支援する、又は副作用として脱毛を起こす薬物を特定する方法(例えば毒性スクリーニング)として脱毛を測定できることを実証している。
実施例22
男性勃起機能不全に適した薬物治療後のサーモグラフィー
男性勃起機能不全(MED)は、生殖器への血流を増加する薬物により治療される。局所産熱の増加には局所血流量の増加が伴う。この様式で作用し、MEDを治療する薬物の一つはピナシディル(Pinacidil)である。図24は、赤外サーモグラフィーは、3.0または0.3mgピナシディル/kgを何れか投与した2時間後に、ピナシディルがラット生殖器の産熱を増加させること検出することを示している。即ち、赤外サーモグラフィーは、MEDを適用とする薬物候補の特定と評価、ならびに副作用として勃起を起こす候補を特定するのに適した定量かつ非侵襲的方法を提供する。
実施例23
サーモグラフィーによる抗炎症剤の効果モニタリング
関節炎は関節の炎症を特徴とする病気であり、抗炎症剤により治療できる。炎症反応には反応部位に於ける産熱の増加を伴うことから、関節炎及び関節炎治療薬の効果はサーモグラフィーによりモニターできる。この応用を示すために、正常動物の片足にペプチドグリカンポリサッカライド(PGPS)を2週間注射し関節炎モデルを確立した。もう一方の脚は未治療とした。関節炎誘導処置後の赤外サーモグラフィーは、未処置脚に比べると処置した脚での産熱のレベルが高いことを示し(図25A)、赤外サーモグラフィーが炎症を起こす作用物質の能力のモニターに利用できることが示唆された。続く抗炎症剤、プレニソロンによる処置は産熱の上昇を元に戻し、処置後両足のサーモグラフィープロフィールは近似した(図25B)。即ち、赤外サーモグラフィーは炎症反応及び抗炎症剤の効果のモニタリング、ならびに関節炎適用例の治療に関する薬物候補の効果の評価に適した有用な道具である。
上記の全ての引用文献は参照され、その全体がここに取り込まれる。
当業者は本開示を読むことで、本発明の真の範囲から逸脱することなしに形状及び詳細について各種変更が可能であることを認識するだろう。
培養細胞中の赤外産熱のイメージングへの利用に好適な装置の略図。1=赤外線カメラ;2=細胞培養インキュベーター(37+/−.02℃);3=等温チャンバー;4=プレートホルダー;5=コンピューターインターフェイス。 生動物に於ける産熱イメージングへの利用に好適な装置の略図。1=赤外線カメラ;2=等温チャンバー;3=加温パッド(37℃);4=コンピューターインターフェイス;5=肩甲骨間褐色脂肪組織(IBAT)。 グレーのスケールインデックス又は図示された数値段階により示された、ロテノン及びFCCPで処理された酵母(図3A;384−ウエルプレート)の赤外サーモグラフィーのデータ(ロテノン=−●−;FCCP=−▲−)。 グレーのスケールインデックス又は図示された数値段階により示された、ヒト脂肪細胞培養体(Fig3B;96−ウエルプレート)の赤外サーモグラフィーのデータ(ロテノン=−●−;FCCP=−▲−)。 脱共役タンパク質2(UCP2)を発現する酵母細胞のサーモグラフィー分析(図4A)の例。 脱共役タンパク質2(UCP2)を発現する酵母細胞のサーモグラフィー分析(図4B)の例。 脱共役タンパク質2(UCP2)を発現する酵母細胞内のUCP2発現の分子解析(図4C)の例。 フォルスコリン(−■−)又はイソプロテレノール(−●−)存在下にβ−ARレセプターを過剰発現しているチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)内の産熱の赤外サーモグラフィー分析(ブランク=−▲−)。 脂肪細胞に於けるトリグリセリド蓄積(−●−)及び熱産生(−▲−)の分析。 インシュリン及び9−シスレチノイン酸存在下に、複数のパーオキシゾーム増殖因子活性化レセプターγ(PPARγ)に関する用量反応曲線を示す分化中脂肪細胞の赤外サーモグラフィーイメージ。 PPARγアゴニストであるGW1929で処理されたob/obマウスの肩甲骨内域の赤外サーモグラフィー分析の要約(図8A)。 PPARγアゴニストであるGW1929で処理されたob/obマウスに於けるサーモグラフィックシグナルと、各種PPARγアゴニストの最少有効量(MED)との相関性(図8B)(R2=0.954)の例示。 脂肪細胞に於けるβ−ARアゴニスト(50nM)−誘導産熱のロテノン感受性を示す例。 血管内皮増殖因子(VEGF)存在下(灰色実線)及び非存在下(破線)に於ける初代ヒト上皮細胞(HUVEC細胞)10分時の赤外サーモグラフィー分析の例。 HClへNaOHを添加した後の化学反応の赤外サーモグラフィー分析。 25mlビーカー中(図12A)(1=バルク溶媒);2=活性ビーズ;3=O−環)又は96ウエルマイクロタイタープレート(図12B;不活性及び活性ビーズ)中のコンビ−ケムビーズ上に於ける触媒反応の赤外サーモグラフィー分析。 25mlビーカー中(図12A)(1=バルク溶媒);2=活性ビーズ;3=O−環)又は96ウエルマイクロタイタープレート(図12B;不活性及び活性ビーズ)中のコンビ−ケムビーズ上に於ける触媒反応の赤外サーモグラフィー分析。 5連続作動中及び後の計量型投与吸引(MDI)装置(図13A;作動0、1及び5)の赤外サーモグラフィー分析(図13B)。吸引剤、アルブテロールで処理されたヌードマウスの赤外サーモグラフィー分析(図13C)、及びそれに続くアルブテロール活性の動態を示す胸部域定量分析(図13D)の例。 5連続作動中及び後の計量型投与吸引(MDI)装置(図13A;作動0、1及び5)の赤外サーモグラフィー分析(図13B)。吸引剤、アルブテロールで処理されたヌードマウスの赤外サーモグラフィー分析(図13C)、及びそれに続くアルブテロール活性の動態を示す胸部域定量分析(図13D)の例。 5連続作動中及び後の計量型投与吸引(MDI)装置(図13A;作動0、1及び5)の赤外サーモグラフィー分析(図13B)。吸引剤、アルブテロールで処理されたヌードマウスの赤外サーモグラフィー分析(図13C)、及びそれに続くアルブテロール活性の動態を示す胸部域定量分析(図13D)の例。 5連続作動中及び後の計量型投与吸引(MDI)装置(図13A;作動0、1及び5)の赤外サーモグラフィー分析(図13B)。吸引剤、アルブテロールで処理されたヌードマウスの赤外サーモグラフィー分析(図13C)、及びそれに続くアルブテロール活性の動態を示す胸部域定量分析(図13D)の例。 β−ARアゴニスト(1.0mg/kg=−●−;0.1mg/kg=−■−;0.01mg/kg=−▲−)で処理された後の用量−反応曲線ならびに動態データを示す、マウスの肩甲骨内産熱の赤外サーモグラフィー分析の例。 β−ARアゴニスト(1.0mg/kg=−●−;0.1mg/kg=−■−;0.01mg/kg=−▲−)で処理された後の用量−反応曲線ならびに動態データを示す、マウスの肩甲骨内産熱の赤外サーモグラフィー分析の例。 ob/obマウスの肩甲骨間産熱の咳ガイサーモグラフィー分析−−モノアミン再取り込み阻害剤GW73559A処理後の用量−反応(図15A)及び動態データ(図15B)(10.0mg−●−;5.0mg/kg=−■−;1.0mg/kg=−▲−)。 ob/obマウスの肩甲骨間産熱の咳ガイサーモグラフィー分析−−モノアミン再取り込み阻害剤GW73559A処理後の用量−反応(図15A)及び動態データ(図15B)(10.0mg−●−;5.0mg/kg=−■−;1.0mg/kg=−▲−)。 β−ARアゴニスト処理マウスに於ける肩甲骨間産熱と体重減少の相関性を示すグラフ(IBAT産熱=棒、2−週間体重減少=−●−)(R2=0.97) 19週齢齧歯類動物モデルのβ−伝達産熱に及ぼす遺伝的背景及び食物の影響を特徴付ける赤外サーモグラフィーの利用を示すグラフ(低脂肪食=実線灰色棒;高脂肪食=斜線棒(14週間給餌した動物)。 ヒトに於ける食事誘導産熱の赤外サーモグラフィー分析。図18Aは背温度の経時変化を示す。 ヒトに於ける食事誘導産熱の赤外サーモグラフィー分析。図18Bは昼食前後の男性2名と女性2名の背温度の平均差を示す(平均値=3−5日/被験者)。 エフェドリン(左=0分;右=60分)(用量=0.6−0.7mg/kg−デルタT℃(背全面=被験者Aは0.63、被験者Bは0.46))処理されたヒト(被験者A及び試験者B)に於ける薬物誘導産熱の赤外サーモグラフィー分析の例。 ob/obマウスの肩甲骨間産熱に影響する、2種類の薬剤、β−ARアゴニストCGP12177(1mg/kg−腹腔内注射)及びPPARγアゴニストGW1929間相互作用の赤外サーモグラフィーによる特徴付け(1=肩甲骨間領域)。 ヌードマウスに於けるVEGFペプチド誘導産熱活性の赤外サーモグラフィー分析(1=VEGF;2=コントロール)。 腫瘍温度に及ぼす抗−VEGF抗体の影響に関する赤外サーモグラフィー分析。 新生児マウスの無毛に及ぼす、子宮内エトポシド処置(6mg/kg)の効果に関する赤外サーモグラフィー分析。図23Aは、0日、3日及び5日目に得たサーモグラフィーのイメージを示す。 新生児マウスの無毛に及ぼす、子宮内エトポシド処置(6mg/kg)の効果に関する赤外サーモグラフィー分析。図23Bは、投薬後のトルソデルタT℃の経時変化を示す(背=白地の棒、前=実線、灰色の棒)。 ラットの生殖器産熱のピナシジル(Pinacidil)誘導変化の赤外サーモグラフィー分析(PO投与後2時間) プロテオグリカンポリサッカライド(PGPS)により誘導された(図25A;1=非−関節脚部;2=関節脚部)及び6mg/kg経口プレドニゾロンにより誘導された(図25B)(賦形剤=HPMC+0.1%TW80;経口)脚部炎症の赤外サーモグラフィー分析。 プロテオグリカンポリサッカライド(PGPS)により誘導された(図25A;1=非−関節脚部;2=関節脚部)及び6mg/kg経口プレドニゾロンにより誘導された(図25B)(賦形剤=HPMC+0.1%TW80;経口)脚部炎症の赤外サーモグラフィー分析。

Claims (4)

  1. 無細胞サンプル中で熱力学的変化を生じせしめる能力に関し試験物質をスクリーニングする方法であり、
    i)赤外サーモグラフィーを利用し前記サンプルの温度を測定することと、
    ii)該サンプルに前記試験物質を接触せしめることと、
    iii)赤外サーモグラフィーを利用し、工程ii)から生ずるサンプルの温度を測定することと、
    iv)工程(i)で得た温度と工程(iii)で得た温度とを比較することとを含み、
    工程(i)で得た温度と工程(iii)で得た温度との温度差により、前記試験物質が前記サンプル中で熱力学的変化を引き起こすことが示される方法であって、
    工程(ii)から生ずる前記サンプルが結合ペアのリガンドと結合パートナーの双方を含むスクリーニング方法。
  2. 工程(iii)は、工程(ii)から生じた前記サンプルの温度を複数の時点で測定することを含み、工程(iv)は、工程(i)で得た温度と工程(iii)で得た前記それぞれの時点での温度とを比較することを含み、工程(i)で得た温度と前記時点の少なくとも一つにおいて工程(iii)で得た温度との差によって、前記試験物質が前記サンプル中に熱力学的変化を生じせしめることが示される、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(i)及び(iii)の前記測定が、特定波長で又は特定波長領域内での赤外サーモグラフィーの利用により実施される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記赤外サーモグラフィーが赤外イメージングサーモグラフィーである、請求項1に記載の方法。

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