JP2005003470A - 換気機能を有する装置 - Google Patents

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Takuji Ikuta
卓司 生田
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Abstract

【課題】装置内の換気を確実に行うことができ、かつ腐蝕性物質に対しても影響の少ない装置を提供することを目的とする。
【解決手段】装置内の換気機能および換気用空気取り込み口のフィルタ機能を有する装置であって、前記フィルタが除塵機能とともに特定物質の吸着機能を有することを特徴とする。特に、試料あるいは校正用の流体を導入する分析装置において好適である。ここで、前記分析装置に導入された試料あるいは校正用の排出流体の一部あるいは全部が、前記換気用空気の一部に混入することが好適である。また、前記フィルタが活性炭を含有することが好適である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、換気機能を有する装置に関するもので、例えば、燃焼排気ガス中の特定成分分析装置等として特に有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、発生源用測定装置や環境大気用測定装置あるいは自動車排気ガス測定装置などにおいては、採取後の試料を前処理部に導入し、クリーンな状態で測定部において検出・信号処理後、表示・出力する分析装置が多く用いられている。また、各種プロセス管理用や実験・研究用の測定において利用できる汎用型の測定装置などは、別ユニットによって前処理を行い、処理されたクリーンな試料流体を直接測定部に導入する分析装置が用いられることがある。
【0003】
例えば、大気中の二酸化硫黄(SO )自動計測器として用いられる紫外線 蛍光方式(UVF法)分析装置の構成例を、図4に示す。吸引ポンプ7によって試料大気入口6から吸引採取された試料は、ダストフィルタ8でダストをほぼ取り除き、流量計9、スクラバー10を経由して測定部(蛍光室)5に導入される。スクラバー10は、試料中の芳香族炭化水素を除去するためのもので、必要に応じて用いられる。測定部5内では、放電等によって光源部11から発せられた紫外線を受けた試料が励起状態になった後、基底状態に戻るときに発せられる紫外線領域の光(hν’)を、測光部12で検出する。測光部12の出力は増幅器13を経由して指示記録計14によって明示される(例えば非特許文献1参照)。
【0004】
SO + hν → SO
SO → SO + hν’
【0005】
このとき、分析装置内には、上記の例によれば、試料採取用の吸引ポンプ、あるいは、光源部、検出部や信号処理・表示部およびその電源部等の補助機能など、一般に多くの発熱源を設けていることが多く、装置内に熱が蓄積されると電子部品や試料処理部品の劣化を引き起こすことから、その熱処理が必要となる。通常、装置の周辺の空気による換気を行い、装置外装表面からファンなどによって強制的に換気風を発生させる方法が採られる。また、特定部品からの発熱量が多い場合には、部分的に外部から冷却風を当てたり、換気用空気の取り込み位置や配管等に対する工夫・提案がなされている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
同様に、分析装置以外の各種計測機器あるいは各種OA機器においても、内蔵する発熱源の熱処理に対して、換気用空気の取り込み方法あるいは装置内の熱設計などに多種多様な工夫がされている。
【0007】
【非特許文献1】
日本工業規格 JIS B7952−1996
【特許文献1】
実公平5−8514号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、装置の使用環境に腐蝕性ガスが含まれる場合や、試料ガス中に腐蝕性ガスを含み排気処理が十分にできていない場合においては、こうしたガスが装置内に混入することとなり、その結果、電子部品をはじめとする装置内部の各種部品が腐蝕されることになる。特に、無臭の腐蝕性物質であれば、その発見は容易でなく、腐蝕が進行した状態になって初めて排気処理が不十分であったことを認識するといったことも少なくない。
【0009】
前者の場合にあっては、一般に、清浄空気を別途準備し、装置内に所定量供給してパージする方法が採られているが、大きな工場を除き、別途清浄空気の準備をすることは、費用面や保守面においても大きな負担となる。
【0010】
また、後者にあっては、装置内部から放出された腐蝕性ガスが装置周囲に滞留する可能性があり、換気が逆に腐蝕を促すことになる場合があり、清浄な流体によるパージが必要となる。
【0011】
さらに、試料中あるいは装置の使用環境中の腐蝕性ガスが非常に微量の場合にあっては、清浄空気によるパージ処理を行うことは設備の使用効率の面からも良い手段とはいえない。
【0012】
そこで、本発明の目的は、装置内の換気を確実に行うことができ、かつ腐蝕性物質に対しても影響の少ない装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、分析装置を始め各種の機器や装置について鋭意研究したところ、下記の機能を有する装置によって上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、装置内の換気機能および換気用空気取り込み口のフィルタ機能を有する装置であって、前記フィルタが除塵機能とともに特定物質の吸着機能を有することを特徴とする。こうした装置によって、腐蝕性物質に対しても影響を受けずに、装置内の換気を確実に行うことができる。その結果、長期間安定な装置の供給が可能となる。
【0015】
また、試料あるいは校正用の流体を導入する分析装置であって、装置内の換気機能および換気用空気取り込み口のフィルタ機能を有し、前記フィルタが除塵機能とともに特定物質の吸着機能を有することを特徴とする。こうした機能は、腐蝕性物質を取り扱うことの多い分析装置において、非常に有効であり、腐蝕性物質に対しても影響を受けずに、装置内の換気を確実に行うことができる。その結果、長期間安定で、測定精度の高い分析装置の供給が可能となる。
【0016】
ここで、前記分析装置に導入された試料あるいは校正用の排出流体の一部あるいは全部が、前記換気用空気の一部に混入することが好適である。試料中あるいは装置の使用環境中の腐蝕性ガスが非常に微量の場合にあっては、別途、排気管を設ける必要もなく、腐蝕性物質に対しても影響を受けずに、装置内の換気を確実に行うことができる。
【0017】
また、前記フィルタが活性炭を含有することが好適である。活性炭は容易に入手できる強力な吸着剤であり、腐蝕性物質を効率よくかつ簡便な構造で処理することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
すなわち、本発明は、本発明は、装置内の換気機能および換気用空気取り込み口のフィルタ機能を有する装置であって、前記フィルタが除塵機能とともに特定物質の吸着機能を有することを特徴とする。本発明者は、除塵用のフィルタに吸着する能力が高い材料を含有することによって、確実に腐蝕性物質等を装置内から排除することができることを見出したもので、簡易かつコンパクトな構造で非常に効率のよい装置内の換気を行うことができる装置を提供することができる。
【0019】
つまり、例えば、図1に示す本発明の第1の構成例のように、フィルタ2を介して装置1周辺の空気を吸引ファン3によって吸引し、装置1内を強制換気する。掃気された空気は主にフィルタ2’を通して装置外に運び出される。このとき、当該フィルタ2を除塵機能とともに吸着機能を有するフィルタとすることによって、従来の除塵機能のみによる強制換気では限界であった、腐蝕性物質等の装置内からの排除が可能となったものである。
【0020】
フィルタとしては、気流抵抗の少ないことが好適である。例えば、各種のプラスチックス、布、グラスウール、紙などを素材とし、吸着剤を内蔵する網目状の包装体が利用可能である。また、フィルタ自体に吸着性を有する材料を用いることも可能である。例えば、カーボン繊維を素材とする織布や活性炭の細粉を含浸させた紙や布製の濾材などが挙げられる。さらには、ポリエステル系、レーヨン、アクリル系やアクリレート系などの吸湿性繊維製の織布を用いることによって、一定の湿度を保持した状態における吸着能力の増大効果を利用することが可能となる。特に、水溶性の腐蝕性物質については、吸湿性繊維内の水分への溶解による吸着能力の長期的な維持が可能となり、フィルタの交換頻度を少なくできるという保守面でも有効な手段となる。
【0021】
吸着機能は、吸着剤のみによる場合、吸着能力のあるフィルタとの組合せ、単独で十分な吸着能力を有するフィルタを用いる場合が挙げられる。吸着剤としては、活性炭、活性アルミナ、シリカゲルやゼオライトなどの多くの物質について吸着能力のある素材以外に、腐蝕性物質などに対して固有の吸着能力を有する素材を使用することも可能である。例えば、SO に対する二酸化マンガン系触媒や酸化銅系触媒などを挙げることができる。吸着能力のあるフィルタとしては、こうした吸着剤を含浸させた上記の繊維やカーボン繊維などのように素材自体が吸着性を有する素地を使用することが可能である。また、吸着剤として、特定物質単体の場合のみならず、複数の物質の混合物なども使用することが可能である。
【0022】
吸引ファンとしては、能力、形式など特に限定されるものではないが、分析装置内の発熱量との関係や換気効率などを考慮して設定される。例えば、直流型の軸流ファンやシロッコファンなどが挙げられる(日本電産社製、D09Tシリーズなど)。
【0023】
換気効率は、通常、室内換気の基準としては、約2時間に1回程度であるが、分析装置やOA機器などの装置においては、30分に1回程度で設定されることが多く、特に、現場設置型では、さらにその数倍程度の設定をすることが一般的である。また、ファンの吸引能力については、可変タイプを利用することが好適である。季節や設置場所の変化に伴う周囲の環境の変化に対応した換気効率を設定することも可能となり、本発明を有効に生かす手段といえる。
【0024】
また、装置の密閉度が高い場合においては、フィルタを吸引ポンプから離れた位置に設けることが可能である。具体的には、図2に示すような本発明の第2の構成例において、装置1の背面にファン3を設け、装置1の側面にフィルタ2を設けることで、装置1の前面を操作機能や表示・監視機能用として有効に利用するとともに、操作をする者や周囲の特定物に対して装置1の内部換気を終えた温風が当たることのないように配慮することができる。
【0025】
本発明は、試料あるいは校正用の流体を導入する分析装置であって、装置内の換気機能および換気用空気取り込み口のフィルタ機能を有し、前記フィルタが除塵機能とともに特定物質の吸着機能を有することを特徴とする。上述のような機能は、腐蝕性物質を取り扱うことの多い分析装置において、非常に有効であり、腐蝕性物質に対しても影響を受けずに、装置内の換気を確実に行うことができることから、長期間安定で、測定精度の高い分析装置の供給が可能となる。
【0026】
つまり、分析装置の場合、試料あるいは校正用の流体を装置内に導入することから、装置内では熱源だけでなく、腐蝕性物質に対しても有効な換気機能を有する装置設計が不可欠となり、本発明の有する機能を最大限活用することができる。例えば、図4のような(SO )自動計測器にあっては、試料大気入口6、ダストフィルタ8、流量計9、スクラバー10、測定部5、および吸引ポンプ7を経由して排出される試料流路に対して換気機能が働くような空気の流れを作れば、一部の流路においてリークが生じたとしても腐蝕性物質に対しても影響を受けることはない。
【0027】
ここで、前記分析装置に導入された試料あるいは校正用の排出流体の一部あるいは全部が、前記換気用空気の一部に混入することが好適である。通常、試料中あるいは装置の使用環境中の腐蝕性ガスが非常に微量の場合にあっても、試料流体は、別途分析装置の排気口に設けられた排気管を通じて、分析装置設置場所からは遠く離れた場所において所定の処理をして放棄することが多いが、本発明の分析装置にあっては、こうした排気管を設ける必要もなく、腐蝕性物質に対しても影響を受けずに、装置内の換気を確実に行うことができる。
【0028】
例えば、図3に示す本発明の第3の構成例のように、吸引ファン3によって、フィルタ2を介して分析装置1の周辺空気とともに装置排出口4からの試料流体を吸引しつつ、装置内を強制換気する。このとき、当該フィルタ2が除塵機能とともに吸着機能を有することから、試料中の腐蝕性ガスを吸着除去することができ、従来の除塵機能のみによる強制換気では限界であった、装置1の周辺空気および試料中の腐蝕性物質等を装置1の内部から排除することが可能となる。つまり、試料流体中の腐食性物質は、換気用空気によって大幅に希釈された状態でフィルタを通過することから、ほとんど完全に吸着除去が可能であり、装置内に導入された換気用空気は非常に清浄な状態となっている。従って、分析装置からの排出試料についての処理設備が不要となり、例えば、可搬型の分析装置のように、設置場所を選ばずに使用する分析装置にとっては、非常に優位性の高い機能となる。
【0029】
具体的には、通常、排出試料が1〜3L/minであるのに対し、換気用空気の吸引量は100L/minであり、約30〜100倍に希釈されることになり、大気中の成分測定は勿論、自動車排気ガス測定の場合であっても、そのままでの十分清浄といえるが、吸着剤による処理によってさらに清浄化することで、装置内における排出試料による影響は無視しうる状態となる。一般に、吸着物質の表面においては、被吸着物質の濃度が低いほど吸着熱の発生も少なく吸着能力は高いと考えられ、この点においても本発明においては優位である。
【0030】
また、上記のように換気用ファンの吸引能力を可変できる機能を設けた場合であって、試料中の測定対象成分が吸着物質の対象となる場合、例えば、上述のような大気中のSO 測定装置にあっては、測定値に連動して換気用ファンの吸引能力を変化させることが可能である。その結果、装置内部の熱交換および腐蝕性物質の除去などを行いつつ、フィルタ通過流量を最小必要量とすることができることから、フィルタの交換頻度を大幅に減少させることができ、保守面でも有効な手段となる。
【0031】
また、前記フィルタが活性炭を含有することが好適である。活性炭は、同一容積における表面積が非常に大きい素材であり、強力な吸着剤の1つとして知られており、また、その有用性から多くの用途で利用され容易に入手できる素材である。従って、本発明のように、通過時の圧力損失の少ない条件で腐蝕性物質を効率よくかつ簡便な構造で処理する場合においては、非常に有効な素材といえる。なお、吸着剤として、活性炭を単独で用いる場合のみならず、活性炭と他の吸着剤との混合物、活性炭の表面に別途吸着物質を胆持させる場合など多くの使用方法が可能である。
【0032】
以上のように、本発明は、広く分析装置以外にも適用可能な発明であり、特に、内部に発熱部を有し換気を必要とする各種のパッケジングされた装置に対して有用である。また、主に燃焼排気ガス中の特定成分測定装置等の分析装置全体および前処理部と分離した分析装置などについて述べたが、同様の技術は、測定装置を構成する別体となった前処理部や演算処理部などについても適用されるものである。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、換気用空気取り込み口のフィルタが除塵機能とともに特定物質の吸着機能を有することによって、腐蝕性物質に対しても影響を受けずに、装置内の換気を確実に行うことができる。その結果、長期間安定な装置の供給が可能となる。
【0034】
また、試料あるいは校正用の流体を導入する分析装置であっては、腐蝕性物質を取り扱うことが多く、こうした機能は非常に有効であり、腐蝕性物質に対しても影響を受けずに、装置内の換気を確実に行うことができる。その結果、長期間安定で、測定精度の高い分析装置の供給が可能となる。
【0035】
ここで、試料中あるいは装置の使用環境中の腐蝕性ガスが非常に微量の場合にあっては、排出流体の一部あるいは全部を前記換気用空気の一部に混入することによって、別途、排気管を設ける必要もなく、腐蝕性物質に対しても影響を受けずに、装置内の換気を確実に行うことができる。
【0036】
また、前記フィルタが活性炭を含有する場合には、腐蝕性物質を効率よくかつ簡便な構造で処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置の第1の構成例を示す説明図
【図2】本発明の装置の第2の構成例を示す説明図
【図3】本発明の装置の第3の構成例を示す説明図
【図4】従来の分析装置の一例を示す説明図
【符号の説明】
1 装置(分析装置)
2 フィルタ
3 ファン(吸引ファン)
4 排出口
5 測定部

Claims (4)

  1. 装置内の換気機能および換気用空気取り込み口のフィルタ機能を有する装置であって、前記フィルタが除塵機能とともに特定物質の吸着機能を有することを特徴とする装置。
  2. 試料あるいは校正用の流体を導入する分析装置であって、装置内の換気機能および換気用空気取り込み口のフィルタ機能を有し、前記フィルタが除塵機能とともに特定物質の吸着機能を有することを特徴とする分析装置。
  3. 前記分析装置に導入された試料あるいは校正用の排出流体の一部あるいは全部が、前記換気用空気の一部に混入することを特徴とする請求項2に記載の分析装置。
  4. 前記フィルタが活性炭を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008014540A (ja) * 2006-07-04 2008-01-24 Mitsubishi Electric Corp 給気換気システム
CN114396691A (zh) * 2022-01-26 2022-04-26 宜宾四川大学产业技术研究院 一种设在厂房车间兼顾事故排风的变频通风系统
DE212021000473U1 (de) 2020-09-30 2023-08-22 Horiba, Ltd. Tragbare Gasanalysevorrichtung

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JP2008014540A (ja) * 2006-07-04 2008-01-24 Mitsubishi Electric Corp 給気換気システム
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