JP2005002405A - 高炉操業方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高炉減尺操業前のクリーニング操業において、スラグ塩基度(CaO/SiO2)を1.08〜1.20、装入TiO2量を4.0kg/溶銑トン以下として高炉操業を行う。この操業方法において、スラグ中のAl2O3含有量を14.5質量%以下とすれば、炉床部の銑滓の流れおよびスラグの排出性をより良好にし得るので望ましい。
【選択図】なし
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、炉内補修のための高炉減尺操業を実施する前の操業方法であって、前記補修後の高炉立上げを円滑に行うことができる高炉操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、高炉の内壁は、耐火物およびステーブ・冷却盤などの冷却装置でライニングされているが、長期間にわたって高炉内装入物の降下による摩耗・衝撃を受け、また高温ガスに曝されることにより、前記耐火物の損耗および冷却装置の破損が生じる。
【0003】
特に冷却装置の破損が激しい場合、装置そのものの補修・交換がなされる。冷却装置の交換に際しては、その交換する場所に応じて、高炉内の原料装入物レベルを徐々に下げ、シャフト下部、場合によってはボッシュ部まで装入物レベルを低下させる。炉内装入物レベルを低下させた後、休風に入り、高炉炉壁部に設置されている破損した冷却装置を炉内側に押し出して取り外し、新たな冷却装置を炉内側から取付ける。この冷却装置の交換作業には、通常、休風時間にして約100時間を要する。
【0004】
このように、装入物レベルを下げて炉内を空にし、高炉を長時間休風することによって炉内の温度が大きく低下するので、冷却装置の交換工事が終わって高炉を立ち上げる際には、炉が冷えているため多大な労力を要する。
【0005】
そのため、例えば、特許文献1では、羽ロレベルまでの減尺吹き止めを行なった高炉を再立上げする場合、羽口前の溶銑滓の流路と出銑口前の貯銑滓域の炉内容物を新しいコークスに入れ替え、出銑口を通して炉内にパイプを挿入し、そこから炉内に酸素を吹込む休止高炉の再送風立上げ方法が提案されている。しかし、この方法では、休風しているとはいえ、炉内残留物はかなりの熱を持っており、炉内残留物の掻き出しは、重機による作業ではあっても作業者の大きな負担となる。また、重機の作業範囲の確保、および掻き出した炉内残留物の処理等にかなりのスペースを必要とするが、通常の高炉においては、羽口廻りおよび交換する冷却装置廻りにはスペースがなく、スペースを確保するためには、多大な投資が必要となる。
【0006】
特許文献2では、休風前に予め炉内装入物レベルを高炉ボッシュレベルまで減尺し、炉内残留物をコークスとスラグ成分調整用のフラックスのみとして休風に入る高炉操業方法が開示されている。しかし、高炉の羽口より下部の炉床部については、休風直前にコークスのみにしても、休風前の通常操業時に生成されている溶銑滓の動きを妨げる低透過層およびコークスとコークスの空隙部に存在する凝固層等を除去するのは困難で、これらを抱えたまま、長時間休風に入ると、凝固層等の存在域が拡大し、炉床部の銑滓の流れを悪くする可能性がある。また、このような状態で送風すると、炉内で生成した銑滓が炉床部に滑らかに移動せず、羽口前で貯まって羽口を溶損させる可能性があり、高炉立上げに支障を来す場合もある。
【0007】
また、特許文献3には、炉壁付着物を除去するために、付着物の生成位置に該当する羽口群から揮発分が40%以上の微粉炭を吹き込み、炉内ガス流が周辺流化することを利用して前記付着物を溶融、落下させる方法が開示されている。同
文献3の
【従来の技術】の欄に記載されている、コークス比を増大させるいわゆるクリーニング操業の改良技術である。このクリーニング操業は、後述する本発明の高炉操業方法においても実施するが、冷却装置の交換工事の障害とならないように予め炉壁部付着物を除去することが目的であり、クリーニング操業それ自体は長時間休風の立上げを円滑に進めるための炉床部の活性化等に寄与する方法ではない。
【0008】
【特許文献1】
特開平1−234510号公報
【特許文献2】
特開平1−222004号公報
【特許文献3】
特開平5−1308号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高炉減尺操業を行って炉内補修を実施した後の高炉立上げの際、前述したように、多大な労力を要し、あるいは重機の作業範囲の確保、掻き出した炉内残留物の処理スペースの確保が困難であり、また炉床部の銑滓の流れが悪化する等、従来技術における問題を解決し、前記補修後の高炉立上げを円滑に行うことができる高炉操業方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、この課題を解決するために検討を重ねた結果、下記(1)〜(8)に示す知見を得た。
【0011】
(1) スラグ温度とスラグ粘度との関係は、スラグ温度が1400℃以上では、スラグ温度の低下に伴い、スラグ粘度は直線的に緩やかに上昇するが、1350℃以上1400℃未満ではスラグ粘度の上昇割合が増加し、1350℃未満では急上昇する。
【0012】
(2) 一方、例えば、36時間休風後の立ち上げ時の溶銑・スラグ温度は1450±20℃程度であるが、高炉減尺操業を行う場合のような長時間休風(約100時間)後では、溶銑・スラグ温度は1320±20℃程度と大きく低下する。
【0013】
(3) スラグ温度が1350℃未満では、前記のようにスラグ粘度が急上昇するので、前記高炉減尺操業の場合のような休風後の立ち上げ操業をスムーズに行うには、炉内に残留しているスラグを可能な限り事前に排出し、炉床部のコークス充填層の空隙率を大きくすることが、通気・通液性確保のために重要となる。
【0014】
(4) スラグ粘度を低下させ、炉内に残留しているスラグの排出性を良好にする手段としては、高炉減尺操業前のクリーニング操業で、スラグ塩基度を低下させることが有効である。
【0015】
(5) しかし、クリーニング操業時におけるスラグ塩基度が低過ぎると、スラグの溶銑脱硫性能が低下し、クリーニング操業時の溶銑中のS含有量が上昇するので、高炉減尺操業前のクリーニング操業時のスラグ塩基度には最適範囲が存在する。
【0016】
(6) 炉床部のコークス充填層の空隙率を大きくするには、前記コークス充填層内のチタンベアを排除することが重要となる。
【0017】
(7) 前記チタンベアを排除する手段としては、クリーニング操業で、装入するTiO2量を低下させることが有効である。
【0018】
(8) また、スラグ粘度を低下させ、スラグの排出性を良好にする手段としては、スラグ中のAl2O3含有量を低下させることが望ましい。
【0019】
本発明は上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は、下記の高炉操業方法にある。
『高炉減尺操業前のクリーニング操業において、スラグ塩基度(CaO/SiO2)を1.08〜1.20、装入TiO2量を4.0kg/溶銑トン以下とする高炉操業方法。』
この操業方法において、スラグ中のAl2O3含有量を14.5質量%以下とすれば、スラグの排出性をより良好にし得るので望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の高炉操業方法について詳細に説明する。なお、溶銑中のTi含有量およびスラグや鉱石中のAl2O3含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
本発明の高炉操業方法は、高炉減尺操業前のクリーニング操業において、スラグ塩基度(CaO/SiO2)を1.08〜1.20の範囲に調整し、炉内に装入するTiO2量を4.0kg/溶銑トン以下とする操業方法である。
【0021】
ここで行う「クリーニング操業」は、前記のように、炉内補修工事の障害とならないように予め炉壁部付着物を除去する操業で、通常は、コークス比を増大させて行う。本発明の方法においても、常法にしたがって行えばよいが、炉壁部付着物を除去するという目的が達せられ、かつ本発明の方法の効果が妨げられなければ、その他の方法を用いて行ってもよい。
【0022】
また、前記の「高炉減尺操業」は、高炉内の原料装入物レベルをシャフト下部、あるいはボッシュ部など、必要なレベルまで徐々に下げていき、休風に入る操業で、ここでは、冷却装置の交換等の炉内補修のために行う。
【0023】
本発明の高炉操業方法は、このような高炉減尺操業前のクリーニング操業において、スラグ塩基度と装入TiO2量を前記所定の範囲に規定して行う操業方法で、この操業方法の実施により、前記炉内補修後の高炉立上げ(再立上げ)を円滑に行うことが可能となる。
【0024】
本発明の方法で、スラグ塩基度(CaO/SiO2)を1.08〜1.20とし、装入TiO2量を4.0kg/溶銑トン以下とする理由を以下に説明する。
【0025】
減尺操業を行った後、長時間の休風で冷えた高炉を支障なく円滑に再立上げするためには、炉床部・炉芯部のコークス充填層内の空隙率を大きくし、炉床部の溶銑滓の流れを円滑にすることが必要である。
【0026】
そのための手段の一つとして、スラグ塩基度(CaO/SiO2)を低下させ、スラグ溶融温度(または、結晶化温度)を低下させる方法があげられる。スラグ塩基度は、通常は、炉内での脱硫能力を高めて溶銑中のS含有量を低下させ、溶銑処理コストを低減するために、1.25〜1.30の範囲で操業しているが、通常操業時に炉床部・炉芯部に蓄積されているスラグ塩基度の高い高溶融の(または、結晶化温度の高い)スラグを、徐々に塩基度の低い低融点の(または、結晶化温度の低い)スラグに置き換えることによって、スラグの流れを円滑にし、炉床部・炉芯部のコークス充填層内の空隙率を大きくすることができる。
【0027】
本発明の高炉操業方法では、スラグ塩基度を1.08〜1.20の範囲に調整する。スラグ塩基度を1.20以下とするのは、後述する実施例の結果から、この範囲で効果が顕著になり、休風後の再立上げの際の所定風量まで戻すのに要する時間(戻し時間)が大幅に短縮されるからである。一方、スラグ塩基度の下限を1.08とするのは、同じく実施例に示されるように、スラグ塩基度が1.08未満では、溶銑中S含有量が高く、溶銑処理コストの上昇が避けられないという問題が生じるからである。
【0028】
前記コークス充填層内の空隙率を大きくするための手段の二つ目は、装入TiO2量を低下させて炉床部のコークス充填層内のチタンベアを排除する方法である。
【0029】
装入されたTiO2は、一部は還元され溶銑中にTiとして、他の一部はスラグ中にTiO2として分配される。この溶銑中のTiはTiC、TiN等を生成し、チタンベアを形成する。このチタンベアは、溶融点が非常に高く、付着物として、炉床の壁部に付着したり炉床湯溜り部の銑鉄中に存在している。なお、チタンベアは、TiNにTiCが固溶した物質とコークス、スラグ、粒銑が混合した物質の総称である。
【0030】
このチタンベアの生成に対して、溶銑中のTi含有量が大きな影響を及ぼしている。すなわち、溶銑Ti含有量が増大すると、溶銑中のTi化合物のうちのTiN、TiCの割合が増加し、チタンベアの生成を助長する。したがって、装入TiO2量を低減して溶銑中のTi含有量を低下させることによりチタンベアの生成を抑制することができる。
【0031】
しかし、一方で、炉床部にチタンベアが生成していないと、炉床部レンガが溶銑滓に直接接触し、長期間にわたる操業の間にレンガは浸食される。この炉床部レンガの浸食を1週間程度の短期間で補修することは不可能であり、炉床部レンガの浸食の度合いが高炉の寿命を決定すると言っても過言ではない。そのため、炉床部レンガの残存厚さおよびチタンベアの形成状態を判断して、装入TiO2量の下限値(操業値)を決定している。したがって、装入TiO2量を低く抑える装入低TiO2操業は、高炉操業上は望ましいが、高炉の長寿命化を図る上では問題がある。
【0032】
このような実状を踏まえ、通常の高炉操業(スラグ塩基度:1.25〜1.30)においては、装入TiO2量を2.0〜6.0kg/銑鉄トン程度の範囲で制御し、高炉炉床の状態(残存レンガの厚さおよびチタンベアの形成状態)により増減させている。前記制御範囲において、装入TiO2量を6.0kg/銑鉄トン以下とするのは、溶銑中のTi含有量が上昇すると、溶銑の粘性の増大により溶銑の流動性が悪化し、溶銑の排出性が悪化して高炉操業トラブルの一因となるからである。また、2.0kg/銑鉄トン以上とするのは、一般の鉄鉱石や石炭に含まれる微量のTiO2が炉内に持ち込まれ、一方において、炉床部に異常が認められない通常操業時であっても、炉床部レンガの保護のためにある程度の装入TiO2が必要だからである。
【0033】
ところで、一般的に、スラグの粘度はスラグ温度と密接な関係を有している。
図1は、振動減衰法により測定したスラグの粘度と温度との関係を例示する図であるが、この図に示されるように、スラグ温度が1400℃以上の低粘度領域では、スラグ温度の低下に伴い、スラグ粘度はほぼ直線的に緩やかに上昇し、1350℃以上1400℃未満の中間粘度領域ではスラグ粘度の上昇割合が増加し、1350℃未満の高粘度領域では急上昇する。なお、同図中には、低粘度領域における「粘度/温度」勾配の外挿線と高粘度領域における「粘度/温度」勾配の外挿線との交点から求められる結晶化温度を例示している。
【0034】
通常行われる12〜50時間程度の休風では、炉内の温度低下は少なく、例えば、36時間の休風後、再立上げ初回の溶銑・スラグ温度は概ね1450±20℃程度である。そのため、通常の休風程度では、前述したスラグ塩基度を低下させてスラグ溶融温度(または、結晶化温度)を低下させるだけで、十分対応することができる。
【0035】
しかし、本発明の操業方法を適用した後高炉減尺操業に入った場合、装入物レベルが大きく低下し、長時間の休風になるため、炉内の温度は大幅に低下する。例えば、100時間の休風で1320±20℃程度になる。先に述べたように、スラグ温度が1350℃未満ではスラグの粘度が急上昇することを考慮すると、減尺操業実施後の再立上げを円滑に行うためには、炉内に残留しているスラグをできるだけ排出し、炉床部のコークス充填層の空隙率を大きくすることが極めて重要である。したがって、減尺操業前のクリーニング操業中に、スラグ塩基度を低くしてスラグ溶融温度を低下させるだけではなく、炉床部のコークス充填層内のチタンベアを排除して前記充填層の空隙率をより大きくすることも非常に重要となる。
【0036】
このチタンベアの生成量は、先に述べたように、溶銑中のTi化合物の一つであるTiCの割合によって変化する。
【0037】
図2は、装入TiO2量と溶銑中のTi(すなわち、T.Ti)含有量の関係を示す図であり、図3は、溶銑中のTi(T.Ti)含有量と前記Ti(T.Ti)含有量に対するTiCとして存在するTiの割合(図中には、「TiCとしてのTi/T.Ti(%)」と表示)を示す図である。前記の「T.Ti」は全Tiを意味する。なお、図3において、×印は試験高炉における流銑について、●印は試験高炉におけるスラグ中の粒銑について、○印は実際の高炉の銑鉄について、また△印は机上実験により、それぞれ求めた「TiCとしてのTi/T.Ti(%)」である。
【0038】
図2および図3に示すように、溶銑中のTi含有量は装入TiO2量に依存し、TiCとしてのTiの割合は溶銑中のTi含有量に依存する。
【0039】
図3において、溶銑中のTi含有量が0.1%以下であれば、前記TiCとしてのTiの割合は大きく減少していることがわかる。溶銑中のTi含有量を0.1%以下に調整するためには、前記図2から、装入TiO2量を4.0kg/銑鉄トン以下にする必要がある。
【0040】
そこで、本発明の操業方法では、装入TiO2量を4.0kg/溶銑トン以下とする。装入TiO2量は低いほど望ましく、下限は特に規定しない。なお、この範囲は、前記の通常操業時の装入TiO2量の範囲(2.0〜6.0kg/銑鉄トン)と数値の上では一部重複する。しかし、「2.0〜6.0kg/銑鉄トン」は、炉床部の状態に異常のない通常の操業時における装入TiO2量の制御範囲であるのに対し、本発明で規定する「4.0kg/溶銑トン以下」は、通常の操業とは異なり、高炉減尺操業を行って炉内補修を実施した後の再立上げを円滑に行うという観点から、チタンベアの生成を抑制し、炉床部のコークス充填層内のチタンベアを排除するために定めた範囲で、前提が異なっており、比較する意味はない。
【0041】
以上述べたように、スラグ塩基度(CaO/SiO2)を低下させることによりスラグ溶融温度を低下させ、スラグ粘度を低下させるだけではなく、装入TiO2量を低減させることによって、チタンベアの生成を大きく抑制し、炉床部のコークス充填層内のチタンベアを排除するとともに、炉床湯溜り部のチタンベア量を低下させることができる。これに伴い、溶銑滓の流れをより円滑にすることが可能である。ただし、チタンベアは高融点物質であるため、これを炉床部から除去するには時間を要する。
【0042】
本発明の高炉操業方法において、スラグ中のAl2O3含有量を14.5%以下とすれば、スラグの流れをより円滑にし、炉床部・炉心部のコークス充填層内の空隙率をより高めることができるので望ましい。
【0043】
スラグ中のAl2O3含有量は、原料コスト削減の観点からAl2O3含有量の高い鉄鉱石を配合する操業が行われる趨勢にあり、通常、15.0〜16.0%程度である。しかし、塩基度が1.08〜1.20のスラグにおいて、スラグ中のAl2O3含有量が上昇すると、スラグの粘性が増大し、スラグが排出されにくく、炉床部に蓄積されやすい。その結果、スラグが炉床部のコークス充填層内に蓄積され、溶銑滓の流れが阻害される。そこで、粘性の高いスラグを粘性の低い低Al2O3スラグと置換えることにより、炉床部の銑滓の流れを円滑にすることができ、長時間休風で冷えた炉を支障なく再立上げすることが可能となる。
【0044】
前記Al2O3含有量の下限は特に規定しないが、以下に述べるように、約10%が下限である。
【0045】
スラグ中のAl2O3含有量を低下させるには、二つの方策が考えられる。そのうちの一つは炉内に装入するAl2O3量を低下させることである。しかし、還元材に由来する持ち込みAl2O3量は、コークスおよび微粉炭によるものだけでも、約15kg/銑鉄トンあり、スラグ中のAl2O3含有量に換算すると5〜6%に相当する。また、一般的に、低Al2O3鉱石といわれる鉱石のAl2O3含有量は0.7〜1%程度で、この低Al2O3鉱石のみを使用した場合でも、スラグ中Al2O3含有量は約4〜5%になる。しかも、低Al2O3鉱石は高価なので、低Al2O3鉱石のみを使用するのはコスト上問題が生じる。
【0046】
もう一つの方策は、スラグ量を増加させ、スラグ中のAl2O3の比率を低下させることである。しかし、この方法は、スラグの絶対量を増加させるので、スラグの粘度が低下するとはいえ、必ずしもスラグの排出を良好になし得るとはいえず、スラグの排出性の観点からみて問題がある。
【0047】
このように、スラグ量を増やさずにスラグ中のAl2O3含有量を低下させるのは容易ではなく、前記Al2O3含有量の下限は約10%になる。
【0048】
【実施例】
内容積が2700m3の高炉で本発明の操業方法を実施し、長時間休風後の立上げの際の所定風量まで戻すに要した時間(戻し時間)および送風開始後72時間経過後の合計出銑量を調査した。
【0049】
表1に、調査結果、ならびに休風時間、減尺操業における減尺レベル、スラグ塩基度(CaO/SiO2)、装入TiO2量、スラグ中のAl2O3含有量および休風前の溶銑中S含有量を示す。表1において、試験No.1〜3がスラグ塩基度を通常の操業範囲ないしはそれに近い値に維持したベース(比較例)である。
【0050】
【表1】
【0051】
表1に示した結果から明らかなように、長時間休風前の装入TiO2量を本発明の方法で規定する4.0kg/銑鉄トン以下とし、スラグ塩基度を同じく1.20以下に低減させた試験No.4〜6では、試験No.1〜3と比較して、休風後の立上げの際の所定風量までの戻し時間が大幅に短縮され、その結果、送風開始後72時間経過後の合計出銑量も大幅に増大した。本発明の操業方法の適用により、スラグの流れが円滑になり、炉床部のコークス充填層内のチタンベアが排除され、炉床部における銑滓の流れが円滑化したことによるものと考えられる。
【0052】
また、試験No.8〜10は、スラグ塩基度および装入TiO2量に加え、スラグ中のAl2O3含有量を段階的に低下させた場合であるが、Al2O3含有量を本発明で規定する14.5%以下まで低滅させた試験No.9および10では、前記所定風量までの戻し時間はさらに短縮され、送風開始72時間後の合計出銑量も増大した。
【0053】
一方、休風前操業のスラグ塩基度が本発明の規定から外れる1.08未満の試験No.7では、前記所定風量までの戻し時間は大幅に短縮されたが、休風前の操業における脱硫率が低下したため、溶銑中S含有量が高く、溶銑処理コストの上昇が避けられないという問題があった。
【0054】
【発明の効果】
本発明の高炉操業方法によれば、高炉減尺操業を行った後、長時間の休風で炉内温度が大きく低下した高炉を、炉床部の銑滓の流れを良好に保持して、支障なく円滑に再立上げすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スラグの粘度と温度との関係を例示する図である。
【図2】装入TiO2量と溶銑中のTi含有量の関係を示す図である。
【図3】溶銑中のTi含有量と前記Ti含有量に対するTiCとして存在するTiの割合を示す図である。
Claims (2)
- 高炉減尺操業前のクリーニング操業において、スラグ塩基度(CaO/SiO2)を1.08〜1.20、装入TiO2量を4.0kg/溶銑トン以下とすることを特徴とする高炉操業方法。
- スラグ中のAl2O3含有量を14.5質量%以下とすることを特徴とする請求項1に記載の高炉操業方法。
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