JP2005002033A - 防菌及び除菌剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、多剤耐性を含む緑膿菌等のグラム陰性菌、その他の微生物に広く有効な除菌剤(抗細菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤)及び除菌製品を提供すること。
【解決手段】抗菌性色素剤と金属を含有してなる除菌剤及び当該除菌剤で処理してなる物品。抗菌性色素剤としては、ゲンチアナバイオレット、マラカイトグリーン、ブリリアントブルー、エタクリジン、アゾ色素が好ましい。金属としては、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、スズ、クロム、鉛、銅、銀、白金、それらの塩及びそれらの錯体が好ましい。本発明の除菌剤は、抗菌性色素剤と金属を併用することによって、グラム陽性菌と陰性菌の両方に対して相乗的殺菌効果を発揮する。また、汚染が考えられる物品を染色処理して汚染の防止を図ることができる。
【解決手段】抗菌性色素剤と金属を含有してなる除菌剤及び当該除菌剤で処理してなる物品。抗菌性色素剤としては、ゲンチアナバイオレット、マラカイトグリーン、ブリリアントブルー、エタクリジン、アゾ色素が好ましい。金属としては、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、スズ、クロム、鉛、銅、銀、白金、それらの塩及びそれらの錯体が好ましい。本発明の除菌剤は、抗菌性色素剤と金属を併用することによって、グラム陽性菌と陰性菌の両方に対して相乗的殺菌効果を発揮する。また、汚染が考えられる物品を染色処理して汚染の防止を図ることができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細菌による感染と悪臭防止(腐敗防止)および、ガーゼ、リネン、衣服、床材、絨毯、マット、カテーテル、器具等への汚染防止と除菌に有効な除菌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
老人が増加している近年、寝たきりの老人人口も増加し続けている。寝たきり老人の増加に伴い皮膚、鼻腔、咽頭への細菌汚染や床ずれ部位の感染症も増加し続けており、それに伴いリネン類や衣服および、処置するためのガーゼ、カテーテル、器具などに対する汚染が拡大している。この汚染菌の原因菌はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)と緑膿菌が大半を占めている。それらの除菌剤として汎用されているのが次亜塩素酸、クレゾール、陽イオン界面活性剤の塩化ベンザルコニウムと塩化ベンゼトニウム、両性界面活性剤の塩化アルキルジアミノエチルグリシンおよび、ビグアナイト系薬剤のグルクロン酸クロルヘキシジンであるが、いずれも汚染後の除菌にしか使用できず、汚染の防止には役立たない。一旦、リネン類が汚染されてしまえば、院内感染もしくは在宅感染が発症するばかりか、それらを取り扱う医療従事者の他に清掃員やクリーニング従事者のような第三者に対する2次感染の危険性も大きくなる。これらの問題は医療上または医療費上に大きな負担を強いていることは事実であるが、老人人口の増大によりさらに加速することは容易に推察できる。
本発明者は、先にゲンチアナバイオレットを含有する抗菌性消毒剤を発明したが(特許文献1)、ガーゼ、リネン、衣服、カテーテル、器具等への半永久的維持能力は無く、洗浄によって容易に除洗されてしまう欠点がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−205941
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、多剤耐性を含む緑膿菌等のグラム陰性菌、その他の微生物に広く有効な除菌剤及び除菌製品を提供することであり、特に染色可能な除菌剤を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するべく、本発明者らは人体に安全であり、かつカテーテル、リネン類及び衣服などの繊維に染色可能な殺菌効果を有する除菌剤を検索した結果、マラカイトグリーンで代表される抗菌性色素剤が最も優れていると判断した。しかし、抗菌性色素剤はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)を含むグラム陽性菌には充分な殺菌効果を発揮するが、汚染菌としても重要なグラム陰性菌、特に緑膿菌に対しては充分な殺菌力は期待できない。そこで、本発明者は抗菌性色素剤と組み合わせることで殺菌効果増強と抗菌スペクトルの拡大、特にグラム陰性菌、就中緑膿菌に対する殺菌力を増強することができる化合物、かつ染色が可能な化合物の検索を行った結果、金属剤を用いると染色が可能であり、かつ従来品を上回る殺菌効果を有する防菌又は除菌剤が得られることを見いだし、本発明に到達した。
【0006】
即ち、本発明は,抗菌性色素剤と金属を含有してなる防菌又は除菌剤及び当該防菌剤で処理してなる物品である。抗菌性色素剤に金属を併用することにより、グラム陰性菌に対しても優れた殺菌力を示すようになる。また、金属を使用することにより、布やカテーテルに対しての染色が可能になる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明において使用する抗菌性色素剤としては、ゲンチアナバイオレット、マラカイトグリーン、ブリリアントブルー、エタクリジン、アゾ色素が好ましい。アゾ色素としては例えばスルファピリジン、スルファグアニジン、ホモスルファミン、スルファチアゾールが例示できる。これ等の中でゲンチアナバイオレットとマラカイトグリーンが特に好ましい。
【0008】
抗菌性色素剤は除菌剤として市販されているものでも、試薬として市販されているのもでも合成品でも構わない。また、液状でも固形状でも構わない。さらに、抗菌性色素剤自体でも、作成されうる塩の形態をとっていても構わない。水溶液の場合、抗菌性色素剤の濃度に制限はないが、通常0.00001〜10重量%水溶液である。除菌剤として使用されている抗菌性色素剤の濃度は約0.001重量%水溶液であり、好ましく使用できる。
【0009】
金属としては、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、スズ、クロム、鉛、銅、銀、白金、それらの塩及びそれらの錯体が好ましく、銅、マンガン、および銀、その塩又はその錯体が特に好ましい。これらの金属は、抗菌性色素剤の抗菌活性を増強し、かつ製品の安定化及び染色時に効力を有する。金属は、微粉末化した金属自体でも、作成されうる塩や錯体の形態をとっていても構わない。
【0010】
銅剤は、具体的には、銅、塩化銅、硫酸銅、酢酸銅、ホウ酸銅、フッ化銅、水酸化銅、硝酸銅、リン酸化銅、セレン銅、アルセネイト銅、臭化銅、硫化銅、銅−塩基性アミノ酸等が例示でき、好ましくは塩化銅、特に塩化第二銅と酢酸銅が好ましい。錯体としては、例えば酸性アミノ酸、クエン酸、リンゴ酸、フマール酸、オキザロ酢酸等によって形成される錯体が例示できる。銅剤は市販されているものでも、試薬として市販されているのもでも合成品でも構わない。抗菌性色素剤の染色固定に使用する銅剤は、余分な銅剤が洗浄除去されるため濃度制限はないが、人体に影響しない濃度を考慮すれば、0.001〜10重量%が好ましい。
【0011】
銀剤は、具体的には、銀、炭酸銀、臭化銀、酢酸銀、塩化銀、よう素酸銀、よう化銀、硝酸銀、亜硝酸銀、プロテイン銀、硫酸銀、亜硫酸銀、乳酸銀、トリフロオロ酢酸銀、トリフルオロメタンスルフォン酸銀、トルエンスルフォン酸銀等が例示でき、乳酸銀、酢酸銀と硝酸銀が好ましく、濃度は0.001〜10重量%が好ましい。
【0012】
本発明においては、抗菌性色素剤と金属の比は質量比で0.0001〜0.1:0.01〜5であることが好ましい。抗菌性色素剤がこの比率より小さいと、金属併用時に於ける相乗効果が期待できないし、この比率より多い抗菌性色素剤自体の皮膚刺激性による毒性の恐れがでてくる。金属の比率がこれより少ないと、抗菌性色素剤との併用による効果が期待できないし、これより多くなれば金属の析出と毒性の恐れがでてくる。
【0013】
本発明による除菌剤は、常法により任意の剤形とすることができる。例えば、粉末製剤、固化製剤、ゲル製剤、軟膏製剤、パップ製剤、水剤とすることができる。また、さらに抗感染症剤を含有させた形態、すなわち抗菌性色素剤と金属および抗感染症剤を配合した形態としてもよい。抗菌剤としては、例えば一般的に使用されているクロラムフェニコール、マクロライド、キノロン、β−ラクタム、テロラサイクリン、サルファ剤などが使用できる。
【0014】
本発明の除菌剤は、上記の様に殺菌効果増強と抗菌スペクトルが広いという特徴を有する製剤を提供できる。また、紙、綿球、ガーゼ、マスク、タオル、繊維、不織布、布地、リネン、ベットパッド、ベットカバー、寝具、オムツ、オムツカバー、靴下、靴の中敷、マット、絨毯、たたみ、床材、衣服、カテーテル、便座、タイル、用具、器具のように汚染が考えられる物品を処理することができる。即ち、抗菌性色素剤を殺菌剤の主成分とし、金属の添加によって抗菌性色素剤の抗菌効果が相乗的に強くなる染色可能な本製剤を作ることが出来る。具体的な処理方法としては、例えば物品を本発明の除菌剤に浸漬したり、物品に練り込んだり、物品をコーティングしたりあるいは物品にスプレーしたりして染色することができる。物品の染色の手順としては、例えば繊維であれば、植物繊維、動物繊維、合成繊維あるいはそれらの混合繊維などの染色で通常おこなわれている方法がとられ、例えばカチオン化、アニオン化、タンニン酸処理、酢酸アルミなど金属塩類による媒染、染色、金属による後媒染が好ましいが、これに限定されるものではない。物品に対する練り込みやコーティングも広く行われている常法の手順が応用できる。
【0015】
【実施例】
以下、実施例で本発明を説明する。
実施例1
マラカイトグリーン(MG)、ゲンチアナバイオレット(GV)、塩化第二銅(CuCl2)、塩化亜鉛(ZnCl2)、塩化マンガン(MnCl2)、塩化銀(AgCl)単剤および各併用時の各種細菌に対する抗菌力試験を行った。
試験菌は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)とバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)のグラム陽性菌2菌種、及び緑膿菌(P.aeruginosa)を含むグラム陰性菌4菌種を使用した。試験薬剤としては、市販のMG、GVと塩化第二銅、塩化亜鉛、塩化銀を用いた。最小発育阻止濃度(MIC)の測定はNCCLS法に準じて行った。
【0016】
結果は、20時間培養後の菌の生育の有無を肉眼で確認することによってMICを算出し、MG、GV、CuCl2 、ZnCl2、MnCl2、AgClの各単剤のMIC及びMGとCuCl2 、ZnCl2、MnCl2、AgClの併用(MG+CuCl2 、MG+ZnCl2 、MG+MnCl2 、MG+AgCl)とGVとCuCl2、ZnCl2、MnCl2 、AgClの併用(GV+CuCl2 、GV+ZnCl2 、GM+MnCl2 、GV+AgClについて比較検討した。
【0017】
表1に単剤時の抗菌力を最小発育阻止濃度(MIC,%濃度)で示す。
CuCl2のMICは何れの細菌に対しても0.1%であり、ZnCl2は0.05〜0.2%、MnCl2は0.2〜>0.2%、AgClは>0.025%であった。また、MGとGVはグラム陽性菌に強い抗菌力を示したが、E.coliを除くグラム陰性菌、特にP.aeruginosa 13Aに対する活性は弱かった。
【0018】
【表1】
【0019】
表2にMGとCuCl2 、ZnCl2、MnCl2、AgClの併用(MG+CuCl2 、MG+ZnCl2 、MG+MnCl2 、MG+AgCl)のMIC値を示す。併用したCuCl2 、ZnCl2、MnCl2の濃度は1/4MIC以下の0.0125%を用いた。またAgCl は1/10MIC以下の0.0025%を用いた。何れにしても、用いた細菌の増殖に影響を与えない濃度を併用した。MG単剤の抗菌力と比較し、MRSA Fu10に対してはZnCl2の併用で4倍以上の活性増強が、MnCl2とAgClの併用で2倍の活性増強が確認された。また、E.coli ATCC 25922に対しては、ZnCl2の併用で4倍以上の活性増強が、CuCl2とMnCl2の併用で2倍の活性増強が確認された。S. marcescens 12648は、ZnCl2 、CuCl2 、AgCl の併用で4倍の活性増強が、MnCl2の併用で2倍の活性増強が確認された。K.pneumoniae FuKに対しては、MnCl2の併用で8倍、CuCl2の併用で4倍、ZnCl2の併用で2倍の活性増強が確認された。AgCl の併用では単剤と同等の活性であった。P.aeruginosa 11AはCuCl2 、ZnCl2、MnCl2の併用で4倍の活性増強が確認されたが、AgCl の併用では単剤と同等の活性であった。P.aeruginosa 13Aでは、CuCl2 、MnCl2の併用で8倍以上、ZnCl2の併用で4倍以上の活性増強が確認された。上記のようにMGに、抗菌活性が発現しない極少量のCuCl2 、ZnCl2、MnCl2、AgClを添加しただけで、細菌に対する活性が増強することは新知見である。
【0020】
【表2】
【0021】
表3にGVとCuCl2 、ZnCl2、MnCl2、AgClの併用(GV+CuCl2 、GV+ZnCl2 、GV+MnCl2 、GV+AgCl)のMIC値を示す。併用したCuCl2 、ZnCl2、MnCl2 、AgClの濃度は、用いた細菌の増殖に影響を与えない0.005%を用いた。GV単剤の活性と併用時のグラム陽性菌に対する活性は、この実験系では確認できなかったが、MGとほぼ同様の併用効果が得られることは容易に想像できる。また、E.coli ATCC 25922に対しては、CuCl2の添加で8倍以上の、ZnCl2とMnCl2では4倍の活性増強が確認された。しかし、AgClは2倍活性が低下していた。S. marcescens 12648は、CuCl2とMnCl2で4倍の、ZnCl2は2倍の活性増強が確認され、AgClは同等であった。K.pneumoniae FuKに対しては、CuCl2とZnCl2で2倍の活性増強が確認され、MnCl2とAgCl は単剤と同等の活性であった。P.aeruginosa 11AはCuCl2の併用で8倍の活性増強が確認されたが、ZnCl2とMnCl2は2倍の活性増強であった。AgClの添加は無添加と同等であった。P.aeruginosa 13AではCuCl2の併用で2倍以上の活性増強が確認されたが、ZnCl2、MnCl2及びAgClは同等であった。上記のようにGVに、抗菌活性が発現しない極少量のCuCl2 、ZnCl2、MnCl2を添加しただけで、細菌に対する活性が増強することは新知見である。
【0022】
【表3】
【0023】
実施例2
繊維製品新機能評価協議会が提唱している抗菌防臭加工製品(繊維、抗菌加工素材等)の抗菌力評価試験に準じた菌数測定法を本製剤について行った。
方法は、本除菌薬で染色した0.2gの繊維と未処理の0.2gの繊維を高圧蒸気滅菌後、約106個/mLにBrain heart infusion broth(BHI)調製した菌液の50μLを各試料上に滴下した。37℃湿潤状態で18時間培養後、高圧蒸気滅菌したHeart infusion broth(HIB)を10mL加え30回振盪した。この液を適宜希釈し生菌数を算出した。試験菌として、SA、VREおよび緑膿菌を使用した。
【0024】
結果は表4に示す。SAは培養前の生菌数に比べ、18時間後では約25倍増加していた。マラカイトグリーン(MG)の添加で約1000倍の増殖抑制効果が認められた。さらに、CuCl2とMGの併用では測定範囲以下の値であり、その効果は100000倍以上の増殖抑制効果であった。MG単剤と比較しても100倍以上の抑制効果を示しており、併用による相乗効果が確認された。ゲンチアナバイオレット(GV)もほぼ同様の結果であるが、GV単剤による増殖抑制効果は4倍程度であるが、GVとCuCl2の併用では検出限界以下であり、その併用効果は100000倍以上、GV単剤と比較しても50000倍以上の増殖抑制効果を示した。また、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)は18時間の培養によって約2倍程度の増殖であった。この菌に対して、MG単剤による増殖抑制効果は30倍程度であったが、CuCl2とMG併用による増殖抑制効果は4000倍以上であり、MG単剤と比較しても100倍以上の効果を示していた。GV単剤は2倍程度の増殖抑制効果しか示さなかったが、CuCl2との併用により4000倍以上、GV単剤と比較しても2000倍以上の増殖抑制効果を示した。
さらに、培養前の生菌数と、CuCl2とMG併用もしくはCuCl2あるいは酢酸銅とGV併用による培養18時間後の生菌数を比較すると、何れの細菌に対しても初発菌量よりは減少しており、繊維の汚染防止ばかりか汚染後の殺菌および除菌にも有効と考えられる。
【0025】
【表4】
【0026】
表5にMGもしくはGVで染色された布に対する染色固定剤であるCuCl2 、ZnCl2 、AgNO3及びCu−Acetを用いた場合の抗菌評価試験結果を示す。
SAに対して、MGにCuCl2 、ZnCl2 、AgNO3を併用した場合、その増殖抑制効果は何れも同様の100倍以上であり、無添加と比較すると10000倍以上の増殖抑制効果であった。PAに対して、CuCl2とAgNO3はMG単剤に比べて3000倍以上の増殖抑制効果を示したが、ZnCl2は100倍程度であった。無添加と比較するとCuCl2とAgNO3は100000倍以上、ZnCl2は10000倍程度の増殖抑制効果であった。
【0027】
また、GVにCuCl2 、ZnCl2 、AgNO3及びCu−Acetを併用した場合、何れも同等の増殖抑制効果を示し、GV単剤と比較し併用時にはSAで200倍以上、PAで4000倍以上の増殖抑制効果を示した。無添加と比較した場合、SAで10000倍以上、PAで100000倍以上の増殖抑制効果であった。VREに対する、GVとGV+Cu−Acetの増殖抑制効果の結果は、Cu−Acet添加により100000倍以上、無添加と比較しても100000倍以上の効果が確認された。何れにしても、MGもしくはGVにCuCl2 、ZnCl2 、AgNO3のいずれかの併用により、非常に強力な相乗効果が確認できた。
【0028】
【表5】
【0029】
【発明の効果】
本発明の除菌剤は、抗菌性色素剤と金属を併用することによって、グラム陽性菌と陰性菌の両方に対して相乗的殺菌効果を発揮する。特にマラカイトグリーンと銅、就中CuCl2の添加によってマラカイトグリーンの活性が増強することは、これらの併用が染色に応用できることを示している。CuCl2はマラカイトグリーンを染料とする染色時の色止めに使用できる。本剤で繊維の染色を行うことにより、細菌の汚染防止が可能となる様々な製品が考えられることになる。また、その他の抗菌性色素剤、例えばゲンチアナバイオレットを用いても、マラカイトグリーンと同様の結果を得られるばかりか、ゲンチアナバイオレットはCu−Acetとの併用によっても優れた活性増強効果と染色効果が得られる。
さらに、消毒剤、抗菌剤、ゲル化剤、固化剤、安定化剤、pH調整剤を添加して使用しても同等の効果を得ることが可能である。従って、本発明の除菌剤を含有する製品は、細菌の汚染防止、除菌および創傷治療剤を目的として幅広く使用できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、細菌による感染と悪臭防止(腐敗防止)および、ガーゼ、リネン、衣服、床材、絨毯、マット、カテーテル、器具等への汚染防止と除菌に有効な除菌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
老人が増加している近年、寝たきりの老人人口も増加し続けている。寝たきり老人の増加に伴い皮膚、鼻腔、咽頭への細菌汚染や床ずれ部位の感染症も増加し続けており、それに伴いリネン類や衣服および、処置するためのガーゼ、カテーテル、器具などに対する汚染が拡大している。この汚染菌の原因菌はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)と緑膿菌が大半を占めている。それらの除菌剤として汎用されているのが次亜塩素酸、クレゾール、陽イオン界面活性剤の塩化ベンザルコニウムと塩化ベンゼトニウム、両性界面活性剤の塩化アルキルジアミノエチルグリシンおよび、ビグアナイト系薬剤のグルクロン酸クロルヘキシジンであるが、いずれも汚染後の除菌にしか使用できず、汚染の防止には役立たない。一旦、リネン類が汚染されてしまえば、院内感染もしくは在宅感染が発症するばかりか、それらを取り扱う医療従事者の他に清掃員やクリーニング従事者のような第三者に対する2次感染の危険性も大きくなる。これらの問題は医療上または医療費上に大きな負担を強いていることは事実であるが、老人人口の増大によりさらに加速することは容易に推察できる。
本発明者は、先にゲンチアナバイオレットを含有する抗菌性消毒剤を発明したが(特許文献1)、ガーゼ、リネン、衣服、カテーテル、器具等への半永久的維持能力は無く、洗浄によって容易に除洗されてしまう欠点がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−205941
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、多剤耐性を含む緑膿菌等のグラム陰性菌、その他の微生物に広く有効な除菌剤及び除菌製品を提供することであり、特に染色可能な除菌剤を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するべく、本発明者らは人体に安全であり、かつカテーテル、リネン類及び衣服などの繊維に染色可能な殺菌効果を有する除菌剤を検索した結果、マラカイトグリーンで代表される抗菌性色素剤が最も優れていると判断した。しかし、抗菌性色素剤はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)を含むグラム陽性菌には充分な殺菌効果を発揮するが、汚染菌としても重要なグラム陰性菌、特に緑膿菌に対しては充分な殺菌力は期待できない。そこで、本発明者は抗菌性色素剤と組み合わせることで殺菌効果増強と抗菌スペクトルの拡大、特にグラム陰性菌、就中緑膿菌に対する殺菌力を増強することができる化合物、かつ染色が可能な化合物の検索を行った結果、金属剤を用いると染色が可能であり、かつ従来品を上回る殺菌効果を有する防菌又は除菌剤が得られることを見いだし、本発明に到達した。
【0006】
即ち、本発明は,抗菌性色素剤と金属を含有してなる防菌又は除菌剤及び当該防菌剤で処理してなる物品である。抗菌性色素剤に金属を併用することにより、グラム陰性菌に対しても優れた殺菌力を示すようになる。また、金属を使用することにより、布やカテーテルに対しての染色が可能になる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明において使用する抗菌性色素剤としては、ゲンチアナバイオレット、マラカイトグリーン、ブリリアントブルー、エタクリジン、アゾ色素が好ましい。アゾ色素としては例えばスルファピリジン、スルファグアニジン、ホモスルファミン、スルファチアゾールが例示できる。これ等の中でゲンチアナバイオレットとマラカイトグリーンが特に好ましい。
【0008】
抗菌性色素剤は除菌剤として市販されているものでも、試薬として市販されているのもでも合成品でも構わない。また、液状でも固形状でも構わない。さらに、抗菌性色素剤自体でも、作成されうる塩の形態をとっていても構わない。水溶液の場合、抗菌性色素剤の濃度に制限はないが、通常0.00001〜10重量%水溶液である。除菌剤として使用されている抗菌性色素剤の濃度は約0.001重量%水溶液であり、好ましく使用できる。
【0009】
金属としては、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、スズ、クロム、鉛、銅、銀、白金、それらの塩及びそれらの錯体が好ましく、銅、マンガン、および銀、その塩又はその錯体が特に好ましい。これらの金属は、抗菌性色素剤の抗菌活性を増強し、かつ製品の安定化及び染色時に効力を有する。金属は、微粉末化した金属自体でも、作成されうる塩や錯体の形態をとっていても構わない。
【0010】
銅剤は、具体的には、銅、塩化銅、硫酸銅、酢酸銅、ホウ酸銅、フッ化銅、水酸化銅、硝酸銅、リン酸化銅、セレン銅、アルセネイト銅、臭化銅、硫化銅、銅−塩基性アミノ酸等が例示でき、好ましくは塩化銅、特に塩化第二銅と酢酸銅が好ましい。錯体としては、例えば酸性アミノ酸、クエン酸、リンゴ酸、フマール酸、オキザロ酢酸等によって形成される錯体が例示できる。銅剤は市販されているものでも、試薬として市販されているのもでも合成品でも構わない。抗菌性色素剤の染色固定に使用する銅剤は、余分な銅剤が洗浄除去されるため濃度制限はないが、人体に影響しない濃度を考慮すれば、0.001〜10重量%が好ましい。
【0011】
銀剤は、具体的には、銀、炭酸銀、臭化銀、酢酸銀、塩化銀、よう素酸銀、よう化銀、硝酸銀、亜硝酸銀、プロテイン銀、硫酸銀、亜硫酸銀、乳酸銀、トリフロオロ酢酸銀、トリフルオロメタンスルフォン酸銀、トルエンスルフォン酸銀等が例示でき、乳酸銀、酢酸銀と硝酸銀が好ましく、濃度は0.001〜10重量%が好ましい。
【0012】
本発明においては、抗菌性色素剤と金属の比は質量比で0.0001〜0.1:0.01〜5であることが好ましい。抗菌性色素剤がこの比率より小さいと、金属併用時に於ける相乗効果が期待できないし、この比率より多い抗菌性色素剤自体の皮膚刺激性による毒性の恐れがでてくる。金属の比率がこれより少ないと、抗菌性色素剤との併用による効果が期待できないし、これより多くなれば金属の析出と毒性の恐れがでてくる。
【0013】
本発明による除菌剤は、常法により任意の剤形とすることができる。例えば、粉末製剤、固化製剤、ゲル製剤、軟膏製剤、パップ製剤、水剤とすることができる。また、さらに抗感染症剤を含有させた形態、すなわち抗菌性色素剤と金属および抗感染症剤を配合した形態としてもよい。抗菌剤としては、例えば一般的に使用されているクロラムフェニコール、マクロライド、キノロン、β−ラクタム、テロラサイクリン、サルファ剤などが使用できる。
【0014】
本発明の除菌剤は、上記の様に殺菌効果増強と抗菌スペクトルが広いという特徴を有する製剤を提供できる。また、紙、綿球、ガーゼ、マスク、タオル、繊維、不織布、布地、リネン、ベットパッド、ベットカバー、寝具、オムツ、オムツカバー、靴下、靴の中敷、マット、絨毯、たたみ、床材、衣服、カテーテル、便座、タイル、用具、器具のように汚染が考えられる物品を処理することができる。即ち、抗菌性色素剤を殺菌剤の主成分とし、金属の添加によって抗菌性色素剤の抗菌効果が相乗的に強くなる染色可能な本製剤を作ることが出来る。具体的な処理方法としては、例えば物品を本発明の除菌剤に浸漬したり、物品に練り込んだり、物品をコーティングしたりあるいは物品にスプレーしたりして染色することができる。物品の染色の手順としては、例えば繊維であれば、植物繊維、動物繊維、合成繊維あるいはそれらの混合繊維などの染色で通常おこなわれている方法がとられ、例えばカチオン化、アニオン化、タンニン酸処理、酢酸アルミなど金属塩類による媒染、染色、金属による後媒染が好ましいが、これに限定されるものではない。物品に対する練り込みやコーティングも広く行われている常法の手順が応用できる。
【0015】
【実施例】
以下、実施例で本発明を説明する。
実施例1
マラカイトグリーン(MG)、ゲンチアナバイオレット(GV)、塩化第二銅(CuCl2)、塩化亜鉛(ZnCl2)、塩化マンガン(MnCl2)、塩化銀(AgCl)単剤および各併用時の各種細菌に対する抗菌力試験を行った。
試験菌は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)とバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)のグラム陽性菌2菌種、及び緑膿菌(P.aeruginosa)を含むグラム陰性菌4菌種を使用した。試験薬剤としては、市販のMG、GVと塩化第二銅、塩化亜鉛、塩化銀を用いた。最小発育阻止濃度(MIC)の測定はNCCLS法に準じて行った。
【0016】
結果は、20時間培養後の菌の生育の有無を肉眼で確認することによってMICを算出し、MG、GV、CuCl2 、ZnCl2、MnCl2、AgClの各単剤のMIC及びMGとCuCl2 、ZnCl2、MnCl2、AgClの併用(MG+CuCl2 、MG+ZnCl2 、MG+MnCl2 、MG+AgCl)とGVとCuCl2、ZnCl2、MnCl2 、AgClの併用(GV+CuCl2 、GV+ZnCl2 、GM+MnCl2 、GV+AgClについて比較検討した。
【0017】
表1に単剤時の抗菌力を最小発育阻止濃度(MIC,%濃度)で示す。
CuCl2のMICは何れの細菌に対しても0.1%であり、ZnCl2は0.05〜0.2%、MnCl2は0.2〜>0.2%、AgClは>0.025%であった。また、MGとGVはグラム陽性菌に強い抗菌力を示したが、E.coliを除くグラム陰性菌、特にP.aeruginosa 13Aに対する活性は弱かった。
【0018】
【表1】
【0019】
表2にMGとCuCl2 、ZnCl2、MnCl2、AgClの併用(MG+CuCl2 、MG+ZnCl2 、MG+MnCl2 、MG+AgCl)のMIC値を示す。併用したCuCl2 、ZnCl2、MnCl2の濃度は1/4MIC以下の0.0125%を用いた。またAgCl は1/10MIC以下の0.0025%を用いた。何れにしても、用いた細菌の増殖に影響を与えない濃度を併用した。MG単剤の抗菌力と比較し、MRSA Fu10に対してはZnCl2の併用で4倍以上の活性増強が、MnCl2とAgClの併用で2倍の活性増強が確認された。また、E.coli ATCC 25922に対しては、ZnCl2の併用で4倍以上の活性増強が、CuCl2とMnCl2の併用で2倍の活性増強が確認された。S. marcescens 12648は、ZnCl2 、CuCl2 、AgCl の併用で4倍の活性増強が、MnCl2の併用で2倍の活性増強が確認された。K.pneumoniae FuKに対しては、MnCl2の併用で8倍、CuCl2の併用で4倍、ZnCl2の併用で2倍の活性増強が確認された。AgCl の併用では単剤と同等の活性であった。P.aeruginosa 11AはCuCl2 、ZnCl2、MnCl2の併用で4倍の活性増強が確認されたが、AgCl の併用では単剤と同等の活性であった。P.aeruginosa 13Aでは、CuCl2 、MnCl2の併用で8倍以上、ZnCl2の併用で4倍以上の活性増強が確認された。上記のようにMGに、抗菌活性が発現しない極少量のCuCl2 、ZnCl2、MnCl2、AgClを添加しただけで、細菌に対する活性が増強することは新知見である。
【0020】
【表2】
【0021】
表3にGVとCuCl2 、ZnCl2、MnCl2、AgClの併用(GV+CuCl2 、GV+ZnCl2 、GV+MnCl2 、GV+AgCl)のMIC値を示す。併用したCuCl2 、ZnCl2、MnCl2 、AgClの濃度は、用いた細菌の増殖に影響を与えない0.005%を用いた。GV単剤の活性と併用時のグラム陽性菌に対する活性は、この実験系では確認できなかったが、MGとほぼ同様の併用効果が得られることは容易に想像できる。また、E.coli ATCC 25922に対しては、CuCl2の添加で8倍以上の、ZnCl2とMnCl2では4倍の活性増強が確認された。しかし、AgClは2倍活性が低下していた。S. marcescens 12648は、CuCl2とMnCl2で4倍の、ZnCl2は2倍の活性増強が確認され、AgClは同等であった。K.pneumoniae FuKに対しては、CuCl2とZnCl2で2倍の活性増強が確認され、MnCl2とAgCl は単剤と同等の活性であった。P.aeruginosa 11AはCuCl2の併用で8倍の活性増強が確認されたが、ZnCl2とMnCl2は2倍の活性増強であった。AgClの添加は無添加と同等であった。P.aeruginosa 13AではCuCl2の併用で2倍以上の活性増強が確認されたが、ZnCl2、MnCl2及びAgClは同等であった。上記のようにGVに、抗菌活性が発現しない極少量のCuCl2 、ZnCl2、MnCl2を添加しただけで、細菌に対する活性が増強することは新知見である。
【0022】
【表3】
【0023】
実施例2
繊維製品新機能評価協議会が提唱している抗菌防臭加工製品(繊維、抗菌加工素材等)の抗菌力評価試験に準じた菌数測定法を本製剤について行った。
方法は、本除菌薬で染色した0.2gの繊維と未処理の0.2gの繊維を高圧蒸気滅菌後、約106個/mLにBrain heart infusion broth(BHI)調製した菌液の50μLを各試料上に滴下した。37℃湿潤状態で18時間培養後、高圧蒸気滅菌したHeart infusion broth(HIB)を10mL加え30回振盪した。この液を適宜希釈し生菌数を算出した。試験菌として、SA、VREおよび緑膿菌を使用した。
【0024】
結果は表4に示す。SAは培養前の生菌数に比べ、18時間後では約25倍増加していた。マラカイトグリーン(MG)の添加で約1000倍の増殖抑制効果が認められた。さらに、CuCl2とMGの併用では測定範囲以下の値であり、その効果は100000倍以上の増殖抑制効果であった。MG単剤と比較しても100倍以上の抑制効果を示しており、併用による相乗効果が確認された。ゲンチアナバイオレット(GV)もほぼ同様の結果であるが、GV単剤による増殖抑制効果は4倍程度であるが、GVとCuCl2の併用では検出限界以下であり、その併用効果は100000倍以上、GV単剤と比較しても50000倍以上の増殖抑制効果を示した。また、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)は18時間の培養によって約2倍程度の増殖であった。この菌に対して、MG単剤による増殖抑制効果は30倍程度であったが、CuCl2とMG併用による増殖抑制効果は4000倍以上であり、MG単剤と比較しても100倍以上の効果を示していた。GV単剤は2倍程度の増殖抑制効果しか示さなかったが、CuCl2との併用により4000倍以上、GV単剤と比較しても2000倍以上の増殖抑制効果を示した。
さらに、培養前の生菌数と、CuCl2とMG併用もしくはCuCl2あるいは酢酸銅とGV併用による培養18時間後の生菌数を比較すると、何れの細菌に対しても初発菌量よりは減少しており、繊維の汚染防止ばかりか汚染後の殺菌および除菌にも有効と考えられる。
【0025】
【表4】
【0026】
表5にMGもしくはGVで染色された布に対する染色固定剤であるCuCl2 、ZnCl2 、AgNO3及びCu−Acetを用いた場合の抗菌評価試験結果を示す。
SAに対して、MGにCuCl2 、ZnCl2 、AgNO3を併用した場合、その増殖抑制効果は何れも同様の100倍以上であり、無添加と比較すると10000倍以上の増殖抑制効果であった。PAに対して、CuCl2とAgNO3はMG単剤に比べて3000倍以上の増殖抑制効果を示したが、ZnCl2は100倍程度であった。無添加と比較するとCuCl2とAgNO3は100000倍以上、ZnCl2は10000倍程度の増殖抑制効果であった。
【0027】
また、GVにCuCl2 、ZnCl2 、AgNO3及びCu−Acetを併用した場合、何れも同等の増殖抑制効果を示し、GV単剤と比較し併用時にはSAで200倍以上、PAで4000倍以上の増殖抑制効果を示した。無添加と比較した場合、SAで10000倍以上、PAで100000倍以上の増殖抑制効果であった。VREに対する、GVとGV+Cu−Acetの増殖抑制効果の結果は、Cu−Acet添加により100000倍以上、無添加と比較しても100000倍以上の効果が確認された。何れにしても、MGもしくはGVにCuCl2 、ZnCl2 、AgNO3のいずれかの併用により、非常に強力な相乗効果が確認できた。
【0028】
【表5】
【0029】
【発明の効果】
本発明の除菌剤は、抗菌性色素剤と金属を併用することによって、グラム陽性菌と陰性菌の両方に対して相乗的殺菌効果を発揮する。特にマラカイトグリーンと銅、就中CuCl2の添加によってマラカイトグリーンの活性が増強することは、これらの併用が染色に応用できることを示している。CuCl2はマラカイトグリーンを染料とする染色時の色止めに使用できる。本剤で繊維の染色を行うことにより、細菌の汚染防止が可能となる様々な製品が考えられることになる。また、その他の抗菌性色素剤、例えばゲンチアナバイオレットを用いても、マラカイトグリーンと同様の結果を得られるばかりか、ゲンチアナバイオレットはCu−Acetとの併用によっても優れた活性増強効果と染色効果が得られる。
さらに、消毒剤、抗菌剤、ゲル化剤、固化剤、安定化剤、pH調整剤を添加して使用しても同等の効果を得ることが可能である。従って、本発明の除菌剤を含有する製品は、細菌の汚染防止、除菌および創傷治療剤を目的として幅広く使用できる。
Claims (4)
- 抗菌性色素剤と金属を含有してなる防菌又は除菌剤。
- 抗菌性色素剤がゲンチアナバイオレット、マラカイトグリーン、ブリリアントブルー、エタクリジン、アゾ色素より選ばれた1種以上である請求項1の防菌又は除菌剤。
- 金属がマグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、スズ、クロム、鉛、銅、銀、白金、それらの塩及びそれらの錯体より選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1又は2の防菌又は除菌剤。
- 懸濁液、ゲル状、ペースト状、粉状、固形又は液状である請求項1、2又は3の防菌又は除菌剤。
【請求書5】請求項1〜4のいずれか1項の防菌剤で処理してなる物品。
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