JP2004536677A - 複数部位心臓ペーシングシステムにおけるペーシングチャネルの絶縁 - Google Patents
複数部位心臓ペーシングシステムにおけるペーシングチャネルの絶縁 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004536677A JP2004536677A JP2003516619A JP2003516619A JP2004536677A JP 2004536677 A JP2004536677 A JP 2004536677A JP 2003516619 A JP2003516619 A JP 2003516619A JP 2003516619 A JP2003516619 A JP 2003516619A JP 2004536677 A JP2004536677 A JP 2004536677A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pacing
- input
- pace
- output
- current loop
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61N—ELECTROTHERAPY; MAGNETOTHERAPY; RADIATION THERAPY; ULTRASOUND THERAPY
- A61N1/00—Electrotherapy; Circuits therefor
- A61N1/18—Applying electric currents by contact electrodes
- A61N1/32—Applying electric currents by contact electrodes alternating or intermittent currents
- A61N1/36—Applying electric currents by contact electrodes alternating or intermittent currents for stimulation
- A61N1/362—Heart stimulators
- A61N1/365—Heart stimulators controlled by a physiological parameter, e.g. heart potential
- A61N1/368—Heart stimulators controlled by a physiological parameter, e.g. heart potential comprising more than one electrode co-operating with different heart regions
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61N—ELECTROTHERAPY; MAGNETOTHERAPY; RADIATION THERAPY; ULTRASOUND THERAPY
- A61N1/00—Electrotherapy; Circuits therefor
- A61N1/18—Applying electric currents by contact electrodes
- A61N1/32—Applying electric currents by contact electrodes alternating or intermittent currents
- A61N1/36—Applying electric currents by contact electrodes alternating or intermittent currents for stimulation
- A61N1/362—Heart stimulators
- A61N1/37—Monitoring; Protecting
- A61N1/3702—Physiological parameters
- A61N1/3704—Circuits specially adapted therefor, e.g. for sensitivity control
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Cardiology (AREA)
- Heart & Thoracic Surgery (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Physiology (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Radiology & Medical Imaging (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Public Health (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Electrotherapy Devices (AREA)
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
Abstract
N個のペーシングチャネルおよび最大N−1個のペーシングチャネルにおける小型電気絶縁回路部を使用した、単一心腔ペーシングまたは2つ以上の心腔における複数腔ペーシングにおいて、複数部位ペーシングを行って、任意の1つのペーシングチャネルにおいて、ペーシングパルスの送出中に生成される漏れ電流の作用が、他のペーシングチャネルの検知増幅器に影響を与えるのを最小にするようにする心臓ペーシングシステムが開示される。ペース/検知電極を漏れ電流から絶縁することは、モノリシック絶縁回路手段を使用して行われる。モノリシック形態で作製された絶縁型プレーナセルと共に巨大磁気抵抗効果(GMR)検知素子を使用した絶縁型電流複製器は、従来のVLSI回路部に組み込まれる。すなわち、モノリシック絶縁回路手段は、低損失の入力および出力コイルを備える微小機械作製式(MEMS)絶縁変圧器でできており、低損失の入力および出力コイルは、入力コイルを出力コイルから絶縁する絶縁層によって分離されている。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一心腔ペーシング、または、少なくとも1つの上部心腔と1つの下部心腔におけるAV順次ペーシングおよび検知を含む多腔ペーシング、および/または、2心腔、3心腔、または4心腔におけるペーシングおよび検知を含む両心房ペーシングまたは両心室ペーシングにおいて複数部位ペーシングを行う心臓ペーシングシステムに関し、特に、ある部位またはある心腔と連結した検知増幅器の少なくとも1つの入力において小型電気絶縁回路部を使用して、別の部位または別の心腔におけるペーシングパルスの送出に続く心臓脱分極の検知を改善することに関する。
【0002】
心血管系は、体の種々の構造に酸素化された血液を供給する。正常に機能する心臓において、酸素化血液に対する体の要求は変わり、心臓は、要求を満たすために、心拍数および収縮力を増減することによって反応する。心底に近い上部右心房壁の洞房結節が生成した電気信号は、上部心腔、すなわち、右心房および左心房を通って伝導され、右心房および左心房が、同期して収縮するようにさせる。上部心腔の収縮によって、上部心腔内にたまった血液が、開いた心臓弁を通して右心室および左心室すなわち下部心腔内に押し出される。心房電気脱分極波は、心室の上方のAV結節に達し、心室脱分極波の伝導がトリガーされ、右心室と左心室の間の隔壁内のヒス束を下方に向かって、心尖へと導かれる。その後、脱分極波が、心臓の外部心室壁を通って、上方へ、後方へ、および前方へ進むにつれて、心室は、洞房結節脱分極に続く短い房室(AV)遅延時間後に収縮する。下部心腔は、収縮し、血液を体の血管系を通して循環させる。心室腔を最大限空にする右心室および左心室の収縮は、組織化された方法で進行する。心房腔および心室腔の同期した電気脱分極は、電気的に検知され、表示されることができ、電気波形は、一般に受容された習慣により「PQRST」群として特徴付けられている。PQRST群は、心房脱分極波に対応するP波、心室脱分極波に対応するR波、および心臓細胞の再分極を表すT波を含む。
【0003】
種々の疾病機構は伝導障害を生じ、伝導障害は、正常の心臓刺激伝導系に干渉し、体に適切な心拍出量を供給する心臓の能力に影響を与える。ある疾病機構において、洞房結節は、酸素化血液に対する要求を満たすのに必要とさるのと同じ程度に速く脱分極し、P波を始めることができないか、または、心房は、心室の反応能力を十分に超えるレートで自発的に脱分極する可能性がある。こうした状況において、心室は、異所性脱分極部位から自発的に脱分極することによって、補償する場合がある。SA結節が正しく働いている他の場合において、1:1の心房および心室脱分極同期が失われるが、その理由は、AV結節が全てのP波に反応できないか、または、ヒス束の欠陥が心室脱分極の伝導に干渉するからである。これらの場合の全てにおいて、心室は、適切でないレートで収縮して、適切な心拍出量を供給する可能性がある。
【0004】
心房または心室があまりにゆっくり収縮する時に、患者は、うまく機能しない心腔に、十分な心拍出量を回復するペーシングレートでペーシングパルスを印加することによって、心拍数を回復させるための心臓ペースメーカ埋め込みの対象となる可能性がある。最新の埋め込み可能心臓ペースメーカは、埋め込み可能パルス発生器(IPG)、および、IPGから心腔に対して設置された1つまたは複数のペース/検知電極に延びて、ペーシングパルスを送出し、P波またはR波を検知するようにする1つまたは複数のリード線を備える。通常、リード線は、経静脈的に、上大静脈および右心房を介して特定の心腔に導入され、ペース/検知電極は、リード線の遠位端の固定機構によって心臓組織との接触を維持される。しかし、リード線は、IPGと心臓の外部の間で皮下に配置され、ペース/検知電極は、所望の部位の心外膜に取り付けられてよい。さらに、心内膜冠状静脈洞リード線は、右心房を通って冠状静脈洞および大静脈内に導入されて、ペース/検知電極が左心房または左心室に近接して設置されるようにする。
【0005】
単腔型のデマンドペースメーカを埋め込んで、単一の上部または下部心腔、通常、右心房または右心室にペーシングパルスが、当該腔の徐脈に応答して供給される。AAIペーシングモードで動作する心房のデマンドペースメーカにおいて、心房補充(逸脱)間隔タイマによって計時された心房補充間隔(A−A間隔)内で、心房ペース/検知電極に結合した心房検知増幅器によってP波が検知されない場合、心房ペーシングパルスがIPGによって、心房ペース/検知電極に送出される。VVIペーシングモードで動作する心室のデマンドペースメーカにおいて、心室補充間隔タイマによって計時された心室補充間隔(V−V間隔)内で、心室ペース/検知電極に結合した心室検知増幅器によってR波が検知されない場合、心室ペーシングパルスが、心室ペース/検知電極に送出される。
【0006】
2腔型のデマンドペースメーカを埋め込んで、1つの上部心腔および1つの下部心腔、通常、右心房および右心室に対して、必要とされる時に、ペーシングパルスが供給される。DDDペーシングモードで動作する2腔型のデマンドペースメーカにおいて、AAIおよびVVIペーシングモードは両方とも、先に決めた条件下で起こる。心房検知増幅器によるP波の検知から計時したAV時間間隔内で、心室ペース/検知電極に結合した心室検知増幅器によってR波が検知されない場合、心室ペーシングパルスが、心室ペース/検知電極に送出される。
【0007】
何年間にもわたって、心腔の徐脈および頻脈の両方を含む種々の伝導障害は、少なくとも1つの電極部位で検知された脱分極と同期して、心腔内または心腔のまわりに位置決めされた複数の電極部位で印加された刺激によって利益を得るであろうと提案されてきた。さらに、伝導欠陥を補償するために、また、1つの上部心腔または下部心腔で本来起こる脱分極が、他の上部心腔または下部心腔に十分に高速に伝導しないうっ血性心不全においてペーシングを使用することが提案されてきた。こうした場合、右心腔および左心腔は、互いに最適に同期しては収縮せず、心拍出量は、タイミング不平衡によって被害を受ける。他の場合には、左心房または左心室の自発性脱分極は、これらの左心腔の異所性病巣で発生し、自然な活性化シーケンスが著しく乱される。こうした場合、右および左心腔の収縮が、心腔から血液を噴出させるのに十分に同期しないため、心拍出量が低下する。
【0008】
うっ血性心不全を患う患者において、心臓は拡張し、心腔の伝導および脱分極シーケンスは、心房内伝導欠陥(IACD)、左脚ブロック(LBBB)、右脚ブロック(RBBB)、および心室内伝導欠陥(IVCD)を示す場合がある。右心房および/または右心室の単腔ペーシングおよび2腔ペーシングは、こうした場合、欠陥のある伝導経路およびペース/検知電極の場所しだいでは逆効果を生じる可能性がある。
【0009】
同一譲受人に譲渡された米国特許第5,902,324号およびその特許において開示された引例において述べられたように、ペーシング治療を行って、これらの状態を軽減し、左右、上下心腔の同期した脱分極を回復するようにする多くの提案が提唱されてきた。通常、右心房は、A−A補充間隔の終了でペーシングされ、左心房は、同時にペーシングされるか、または、短い遅延時間後に同期してペーシングされる。同様に、右心室は、V−V補充間隔の終了でペーシングされ、左心室は、同時にペーシングされるか、または、短い遅延時間後に同期してペーシングされる。これらの特許のあるものは、「両心室」または「両心房」のデマンドペーシング機能またはトリガーされたペーシング機能を有するDDDペーシングの限定された形態を提案している。補充間隔の終わり、または、AV遅延(「ペーシングされた事象」)の終わりに送出されたペーシングパルスは、他の心腔に対してペーシングパルスの同時のまたは少し遅れた送出をトリガーする。
【0010】
先に参照した米国特許第5,902,324号は、補充間隔またはAV遅延の終わりに右心腔(RHC)または左心腔(LHC)をペーシングすることを提案している。RHCまたはLHCのうちの他方の心腔におけるペーシングは、伝導された脱分極が、その他方の心腔において、ペース/検知電極の場所に関連し、その特許では伝導遅延窓(CDW)と呼ぶ生理的時間の間に検知される場合には禁止される。
【0011】
これらの手法は、右および左心臓脱分極波の重大な伝導障害を有する疾患のある心臓において右および左心腔の同期した収縮を回復させる見込みのあることを示しているが、生理的な方法で右および左心臓の同期性を保つことができない。右心房と左心房間の重大な伝導障害によって、右心房ペーシングまたはP波の検知と同期して左心房をペーシングすることによって抑圧することができる左心房粗動または細動を生ずる可能性がある。そして、特に、心不全を病む患者において、左心房および左心室心拍出量は、左および右心腔の同期性が回復される時に著しく改善される可能性がある。
【0012】
上述したペーシングシステムの全ては、デマンドモードおよび/またはトリガーされたモードおよび/または同期モードで動作し、それらのモードは、電磁干渉(EMI)の存在下で、かつ、ペーシングパルスの送出に続く出来る限り短時間において、1つまたは複数の部位すなわち心腔においてP波および/またはR波を正確に検知する能力に依存する。単腔、複数腔または複数部位ペーシングシステムの各ペーシング部位について、「ペーシングチャネル」は、リード線、ペーシング出力回路、検知増幅器、およびその部位用のペース/検知電極対に延びるリード線に結合した関連回路部によって決まる。検知増幅器の入力および出力回路の出力コンデンサは、一般に、それぞれのペース/検知電極対に結合する。ペーシングパルスは、ペーシングチャネルのペース/検知電極対に送出され、ペース/検知電極対において、ペース/検知電極の少なくとも一方はペーシング部位にあり、他方の不関ペース/検知電極は、2極ペーシングおよび検知を行うために電極に近いリード線上に設置されるか、または、単極ペーシングおよび検知を行うために、より遠隔の場所、たとえば、IPGの容器または筐体に設置される。いずれ場合も、全てのペーシングチャネルの不関ペース/検知電極は全て、通常、共通して、かつ、ペーシング回路部の共通接地回路に電気接続される。バッテリもまた、通常、共通接地回路に接続される。ペーシング出力回路の低抵抗値カップリング部品もまた、漏れ電流を、2つ以上のペーシングチャネルのペース/検知電極対の活性ペース/検知電極に伝導することができる。
【0013】
いくつかの理由で、同じチャネルまたは別のチャネルへのペーシングパルスの送出に続く期間の間に、ペーシングされた脱分極または自発性脱分極によって引き起こされたP波、R波、またはPQRST群の他の信号を検知することは難しいことが多い。リード線導体、ペース/検知電極対と心臓組織すなわち流体との「電極−組織界面」、および、ペース/検知電極対間の大量の心臓組織すなわち流体は、出力回路の出力およびペーシングチャネルの検知増幅器の入力に提示される容量性―抵抗性リアクタンスを含む。ペーシングパルスは、通常、充電された出力コンデンサが、出力コンデンサと直接結合したペーシングチャネルの容量性―抵抗性リアクタンスに部分的に放電することによって送出され、ペーシングパルスとペーシングパルスの間の間隔の間に、出力コンデンサが再充電される。ペーシングパルスエネルギーは、意図された「同じチャネル」のペース/検知電極対に直接送出されるが、漏れ電流すなわち「クロストーク」は、ペーシングシステムの共通接地およびカップリング部品を通ってペース/検知電極対または未ペーシングのペーシングチャネルへ「クロスチャネル」で伝導される可能性がある。
【0014】
それぞれが、組織固有の双極子モーメントの分極をもたらす放電電流または漏れ電流によって組織−電極界面の電気的平衡状態が破壊されているため、出力コンデンサの放電によって、それぞれ同じチャネルまたはクロスチャネルの後作用が生ずる。これらの刺激が起こした「後電位」は、ペース/検知電極対に結合した従来のペースメーカ検知増幅器に対して、ペーシングパルス送出に続いて、電気的平衡状態が回復するまでのある時間枠の間持続する減衰電圧信号として現れる。これらの後作用は、刺激パルスの送出の直後に続くか、または、送出によって生ずる心臓の脱分極を検知する検知増幅器の能力を妨害する。
【0015】
米国特許第4,476,868号、第4,406,286号、第3,835,865号、および第4,170,999号で例示されたように、ペーシングパルスの後縁に追従してペース/検知電極対を通して送出される「高速再充電」電流によって、ペーシングパルスの後電位を中和し、同時に出力コンデンサを再充電する種々の試みが従来技術において行なわれてきた。しかし、単に十分な電流を電極−組織界面を通って流して出力コンデンサを再充電しても、必ずしも電極−組織系がそれ以前の平衡状態に戻らない。別法として、米国特許第4,498,478号に開示されたように、単にパルスの送出に続いてパルス送出に関わる電極をいっしょに結合すること、または、米国特許第4,811,738号に開示された低エネルギーパルス列によって、刺激パルス送出の後作用を中和することが提案されてきた。
【0016】
米国特許第5,902,324号に記載されているように、また、同一譲受人に譲渡された米国特許第5,156,149号において、集積回路(IC)技術が採用された時以来、実質的に信号源を装備しない非常に高いインピーダンスのP波およびR波検知増幅器がペーシングシステムにおいて使用されてきた。検知増幅器は、同一譲受人に譲渡された米国特許第4,275,737号、第4,379,459号、および第4,649,931号の教示を反映して、たゆまない開発および工夫を受けてきた。しかし、心臓により生成される低レベル信号を検知するために高いインピーダンスおよび高い利得を必要とする、基礎にある設計哲学は、何年にもわたって同じのままである。バンドパスフィルタ、時間領域フィルタリング、および振幅しきい値比較は、使用され続けて、EMI、および、同じチャネルまたはクロスチャネルのペース/検知電極対に印加された以前のペーシングパルスから存続する同じチャネルおよびクロスチャネルの後電位からP波またはR波が見分けられる。従来技術の高入力インピーダンス検知増幅器回路は、検知増幅器の入力端子に結合したペース/検知電極間で送出されたか、または、他の心腔または他の部位のペース/検知電極間で送出されたペーシングパルスによって容易に飽和する。
【0017】
米国特許第3,757,791号、第3,766,413号、および第3,814,106号に示されるように、初期のAV順次の、DVI2腔ペーシングシステムが開発された時、絶縁変圧器によって、心室ペース/検知電極から心房検知電極を電気的に絶縁することが都合がよいということが見出された。しかし、比較的かさばる巻線変圧器を使用するこの手法は、IPG回路部の小型化を可能にするIC作製技術の採用および十分に小さく信頼性のあるディスクリート部品変圧器を得ることができないことによって放棄された。
【0018】
たとえば、同一譲受人に譲渡された米国特許第4,310,000号に記載されるように、個別のリード線導体および電極をペーシングパルス出力回路および検知増幅器入力端子に専用にすることによって、検知機能とペーシング機能の間の相互作用を最小にすることも提案されてきた。しかし、リード線サイズおよび制限されたIPG筐体フィードスルー空間およびコネクタサイズの考慮事項によって、これまで上記のように共有されるペース/検知電極を有するIPGコネクタおよびリード線システムの使用が余儀なくされてきた。
【0019】
これまでのところ、同じチャネルペース/検知電極対にわたってペーシングパルスを送出することによって、または、任意の他のペーシングチャネルのペース/検知電極対へペーシングパルスを送出することによって始動する所定の「ブランキング」期間の間、検知増幅器入力端子が、通常、ペース/検知電極から切り離されてペーシングパルスエネルギーによる飽和を防止するのに役立つ。ブランキング期間は、通常、さらなる時間枠の間延びて、電極−組織界面での後電位が、対象の心臓信号を確実に検知するのに十分に消散することを可能にする。ブランキングスイッチは、通常閉じているが、ブランキング期間の間開いている検知増幅器入力の1つまたは両方と直列に接続されている単一FETスイッチ、および/または、通常開いているが、ブランキング期間の間閉じている入力端子にわたって結合している別のFETスイッチを通常備える。例示的なブランキング回路部は、たとえば、同一譲受人に譲渡された米国特許第4,401,119号に開示されている。通常の同じチャネルブランキング期間は持続期間が約100ミリ秒であり、通常のクロスチャネルブランキング期間は、現代のペースメーカIPGにおいて約30ミリ秒である。
【0020】
IC作製を採用する前は、検知増幅器は、ハイブリッド回路部として組み立てられた、むしろかさばるディスクリート部品で作られた。単腔ペーシングシステムにおいて、検知増幅器出力信号が下流のペースメーカ回路部によって用いられることを防止することによって、ブランキングが行なわれた。検知増幅器およびペーシング出力回路部は、ハイブリッドパッケージ内に搭載されたディスクリート部品およびバイポーラICを使用して作製された。タイミング機能および制御機能は、最近は、マイクロプロセッサ、メモリおよび関連する部品を組み込み、マイクロコンピュータを形成する、デジタルIC作製技法を使用して実施され基板上に搭載された。ごく最近では、単一チップ上の一定のディスクリート部品を除く、ペーシングIPG回路部の全てを統合する、リニアで、かつミクロン以下のCMOS作製技法が採用された。この技法は、電圧絶縁破壊および回路クロストークが少ないために、ブランキング期間を短くすることをますます難しくしてきた。
【0021】
米国特許第5,902,324号を参照して上述した両心房または両心室検知およびペーシングシステムの状況において、たとえば、5〜10ミリ秒と100ミリ秒の間のペースパルスまたは、他の心腔における検知事象に応答して1つの心腔における伝導した脱分極を検知するようにCDWをプログラムすることが望ましいであろう。CDW時間は、右および左心腔ペース/検知電極の身体的場所および電極間の正常伝導時間遅延によって決まる。この範囲において、他方の心腔において送出され、計時されている心腔内のペース/検知電極に反映されたペースパルスからの後電位は、CDW時間内に発生する伝導した心臓脱分極の任意の根元的な形跡を不明にするであろう。通常の100ミリ秒のブランキング期間を用いて後電位問題を克服することによって、検知増幅器が伝導した脱分極波を検知するのが妨げられるであろう。
【0022】
米国特許第5,902,324号において、ペース/検知電極対を2つの電極の極として扱い、2つの電極の極を装備して、通過する波面によってリード線システム内に注入される電流量を測定するようにする「電界密度クランプ」回路が使用されることが提案されている。電界密度クランプ検出システムは、この検出戦略が、リード線システムを通して励起可能な組織にペーシングエネルギーを送出することによって生ずる、いわゆる「電極分極」効果に比較的感度がないために、ペーシングおよび検知機能が電極の極を共有するシステムに特に適していることが主張されている。動作時、能動回路部は、2つの極の間で平衡状態を維持するのに必要な電界密度を確立し維持する。通過する波面によって生ずる電界擾乱は、電極での電位を平衡させようと試みる能動回路部によってゼロにされる。このゼロ状態を維持するのに必要な、仮想負荷を通って電極表面に供給される電流量は、監視され、通過する脱分極波面の検出に対する基準を形成する。仮想負荷の両端の電圧を監視し、その電圧を電流測定値と掛け算して、通過する脱分極波面によって電極システムに送出される電力の特徴を表すことも好ましい。残念ながら、この検知概念は本質的に、たとえば、従来の検知増幅器と比較して頻脈性不整脈エピソード中に、高い検知レートでの許容できない電流ドレインを含み、いくつかの信号源からEMIを受け易い。
【0023】
上述した例の全てにおいて、また、当業者にとって思いつくであろう他の例において、ペース/検知電極対にわたって伝導した、すなわち、本来の心臓脱分極を、同じか、または異なる対のペース/検知電極へペーシングパルスを送出した後に検知するのに使用される検知増幅器のブランキング期間を減らすことが依然として望ましい。ブランキング期間の低減は、ペーシングシステムのサイズを増加させず、IPGバッテリからの電流消費を増やさない方法で行われなければならない。
[発明の概要]
したがって、本発明は、少なくとも2つの部位または心腔でのペーシングシステムにおいて、ペース/検知電極対にわたって心臓脱分極を、同じか、または異なる対のペース/検知電極へペーシングパルスを送出した後に検知するのに使用される検知増幅器のブランキング期間を減らすことを対象とする。本発明は、ペース/検知電極対と結合した出力電流ループおよび検知増幅器入力に結合した入力電流ループを備えるモノリシック絶縁回路手段を組み込み、入力および出力電流ループは、集積回路導体として形成され、検知された心臓脱分極の絶縁型電流複製器として働く。N個の検知増幅器チャネル内にN個の検知増幅器を有する複数部位または複数腔ペーシングシステムにおいて、N−1個の絶縁型電流複製器が、ペース/検知電極と最大N−1個の検知増幅器の入力間の回路内にある。
【0024】
好ましくは、それぞれの絶縁型電流複製器もまた、ペーシングパルス発生器とチャネルのペース/検知電極対の間の回路内にある。出力電流ループは、チャネルのペース/検知電極対と結合し、入力電流ループは、検知増幅器の入力およびペーシングパルス発生器の出力の両方と結合する。この実施形態において、入力電流ループへ送出されるペーシングトリガーパルスは、出力電流ループで複製され、ペース/検知電極へ送出されるが、ペース/検知電極および出力電流ループを横切る心臓信号は、入力電流ループで複製され、検知増幅器に供給される。
【0025】
入力電流ループおよび出力電流ループは、互いに絶縁され、その結果、出力電流ループ、およびペーシングチャネルのペース/検知電極対を含む出力電流ループと結合した部品は、ペーシング回路部から切り離され、別のペーシングチャネルのペース/検知電極対へペーシングパルスを送出することに伴う漏れ電流から絶縁されている。出力電流ループは、入力電流ループに結合したペーシング回路部から絶縁されて、別のペーシングチャネルにおいてペーシングパルスを送出することに伴うクロスチャネル漏れ電流が、出力電流ループと結合したペース/検知電極対に印加されることを防止するようにする。したがって、後電位は、絶縁されたペース/検知電極対上で生成せず、ブランキング期間は、大幅に減らすことができる。
【0026】
好ましくは、第1ブランキング期間は、ペーシングパルスが、入力電流ループに接続されている同じチャネルのペース/検知電極対に送出される時に、電流複製器入力電流ループと結合したそれぞれの検知増幅器に対して始められる。第2ブランキング期間は、クロスチャネルペーシングパルスが、入力電流ループに接続されている異なるペース/検知電極対に印加される時に始められる。後者の場合、ブランキング期間は、ゼロまたはペーシングパルス幅、および関連する再充電時間または約5ミリ秒〜約10ミリ秒に設定されることができる。前者の場合、ブランキング期間は約50ミリ秒〜約100ミリ秒の範囲に設定されることができる。
【0027】
一実施形態において、絶縁型電流複製器は、巨大磁気抵抗効果(GMR:Giant Magneto-Resistive))素子、を使用して形成され、それぞれのGMRは、モノリシック形態絶縁プレーナセルで作製され、従来のVLSI回路部に組み込まれたGMR抵抗器と連結したGMR誘導子を備える。入力および出力電流ループは、GMR抵抗器と連結したGMR誘導子を用いて形成され、GMR抵抗器は、次に、ブリッジ回路において演算増幅器の入力と結合する。出力電流ループは、演算増幅器の出力およびペーシングチャネルのペース/検知電極対と結合する。入力電流ループは、検知増幅器の入力およびペーシングチャネルのペーシングパルス発生器の出力と結合する。
【0028】
さらなる実施形態において、絶縁型電流複製器は、低損失入力および出力コイルを備える微小機械作製式(MEMS)絶縁変圧器でできており、低損失入力および出力コイルは、入力コイルを出力コイルから絶縁する絶縁層によって分離されている。
【0029】
本発明は、種々の複数部位および複数腔ペーシングシステム、好ましくは、上部心腔および下部心腔において、あるいは2つの上部心腔において、あるいは2つの下部心腔において、あるいは3つまたは4つの心腔においてペーシングおよび検知を行い、必要であれば、上部心腔および下部心腔および/または右心腔および左心腔を同時にペーシング可能にする複数腔ペーシングシステムにおいて実施されることができる。本発明のこうしたペーシングシステムは、上述した複数腔ペーシングシステムの問題および制限を克服し、個々の患者の心臓のニーズに対して送出されるペーシング治療を調整するのに大きな柔軟性を提供する。
【0030】
絶縁型電流複製器は、従来の容量性放電ペーシング出力回路および検知増幅器と共に使用されることができるので有利である。
さらに、ペース/検知電極と結合した絶縁型電流複製器によって、他の腔における自発性または誘発性脱分極から伝導された自発性および誘発性脱分極の形態が解析されて、伝導経路の異常(pathology)を確定することが可能になる。
【0031】
本発明は、進行したうっ血性心不全を病んでおり、IACD、LBBB、RBBB、および/またはIVCDを示す患者に対して、右および左心臓ペーシングを提供する時に多数の利点を提供する。CDWがタイムアウトになる特定の場合、ペーシングパルスまたは自発性脱分極から他の心腔への非常に短いCDW内で、右または左心腔のうちの一方の心腔において伝導した誘発性または自発性脱分極を検知する能力が、絶縁型電流複製器の使用によって増す。それぞれの制御用CDW内で検出された検知事象によってペーシングパルスの送出を禁じることによって寿命が増す。IPGの種々の動作モードおよび各CDWおよび各AV遅延は、長期にわたる埋め込み中にプログラムされて、患者の状態が改善するか、または悪化する時の底流にある電気活動シーケンスの観察される変化に対して調整される。
【0032】
本発明のこれらのおよび他の目的、利点、および特徴は、図面と共に考えると、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより容易に理解されるであろう。図面においては、同じ参照数字は、いくつかの図面を通して同じ構造を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下の詳細な説明において、本発明を実施する例示的な実施形態に言及されるが、例示的な実施形態では、絶縁型電流複製器回路が、ペース/検知電極と、N個の検知増幅器を備えるペーシングシステムの最大N−1個の検知増幅器の検知増幅器入力との間に設置される。本発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態が利用されてよいことが理解される。たとえば、左および右心腔の脱分極および収縮における同期性を回復して、左および右心腔の徐脈を処置するようにするための、要求に応じ、かつトリガーされたペーシングモードで動作する2腔ペーシングシステムまたはペースメーカの環境で利用された本発明の第1の好ましい実施形態が以下で開示される。上部心腔および下部心腔の右および左心腔の脱分極における同期性を回復するための、AV順次動作モードを有する4腔ペーシングシステムまたはペースメーカの環境において本発明の第2の好ましい実施形態もまた開示される。4腔ペーシングシステムは、上部または下部ペーシング腔のうちの一方を選択的に使用不能にすることによって、3腔ペーシングシステムとして働くように構成可能である。本明細書に詳細に記載される、2腔、3腔、または4腔ペーシングシステムおよび方法が埋め込まれ、単一心腔における、または、2つの心腔間の電気伝導擾乱の処置に使用することができることも理解されるであろう。
【0034】
本発明は、DDDまたはDDDRペーシングモードで動作する2腔ペーシングシステムまたはペースメーカの環境で実施されることができることもまた理解されるであろう。
本発明を利用して、心房頻脈性不整脈が抑制されることができ、本発明が、特効のある高レートペーシングおよびカーディオバージョンショック治療を含む抗頻脈性不整脈システムに全体として組み込まれて、診断された不整脈を処置するために段階的な治療を供給することができる。
【0035】
図1は、正常心拍数での正常電気的活性化シーケンスでの、心臓10の右心房(RA)、左心房(LA)、右心室(RV)、および左心室(LV)を通る心臓脱分極波の伝達を示す図であり、先に参照した米国特許第5,902,324号に記載されているように、伝導時間が図上に秒で示されている。心周期は、通常、右心房壁の洞房(SA)結節での脱分極インパルスの生成、心房レベルでのバッハマン(Bachmann)束の心房伝導経路および節間路(Internodal tract)を通って左心房中隔に入るインパルスの伝達によって始まる。RA脱分極波は、約40ミリ秒以内で房室(AV)結節および心房中隔に達し、約70ミリ秒以内でRAおよびLAの最も遠い壁に達し、心房は、結果としてその収縮を完了する。集合的なRAおよびLA脱分極波は、外部ECG電極にわたって検知され表示されると、PQRST群のP波として現れる。それぞれ、RAまたはLA上に、またはそれに隣接して設置された単極または2極ペース/検知電極対の間を通過する心房脱分極波の成分はまた、検知されたP波と呼ばれる。外部ECG電極または埋め込まれた単極心房ペース/検知電極の場所および間隔はある程度影響するが、正常P波幅は、こうした電極と結合した高インピーダンス検知増幅器によって測定されると、幅が80ミリ秒を超えない。間隔が密な2極ペース/検知電極間で検知され、RAまたはLA内に、またはそれに隣接して設置された正常な近場(near field)P波は、高インピーダンス検知増幅器によって測定されると、わずか60ミリ秒の幅しか有しない。
【0036】
AV結節に達する脱分極インパルスは、約120ミリ秒の遅延後、心室間中隔のヒス束を下方へ分散する。脱分極波は、約20ミリ秒後に心臓尖部(apical)領域に達し、その後、残りの40ミリ秒にわたって、プルキンエ線維網を通って上方へ進む。集合的なRVおよびLV脱分極波および脱分極した心筋の再分極を伴う後続のT波は、外部ECG電極にわたって検知され表示されると、PQRST心周期群のQRST部と呼ばれる。それぞれ、RVまたはLV上に、またはそれに隣接して設置された単極または2極ペース/検知電極対の間を通過するQRS心室脱分極波の最も振幅の大きい成分はまた、検知されたR波と呼ばれる。外部ECG電極または埋め込まれた単極心室ペース/検知電極の場所および間隔はある程度影響するが、正常R波幅は、高インピーダンス検知増幅器によって測定されると、幅が80ミリ秒を超えない。間隔が密な2極ペース/検知電極間で検知され、RVまたはLV内に、またはそれに隣接して設置された正常な近場R波は、高インピーダンス検知増幅器によって測定されると、わずか60ミリ秒の幅しか有しない。
【0037】
この正常電気的活性化シーケンスは、進行したうっ血性心不全を病み、IACD、LBBB、RBBB、および/またはIVCDを示す患者において非常に乱れる。これらの伝導欠陥は、ヒス束、右および左束分岐、またはより遠位のプルキンエ終端に沿う伝導不良により、RVとLVの間の大きな非同期性を示す。通常の心室内ピーク−ピーク非同期生は、80〜160ミリ秒以上の範囲である。RBBBおよびLBBBの患者において、QRS群は、表面ECG上で測定されると、正常範囲をはるかに超えて、120ミリ秒〜250ミリ秒に広がる。この増加した幅は、右および左心室脱分極および収縮の同期性の欠如を実証している。
【0038】
本発明のある実施形態によれば、図1の脱分極シーケンス、および適当な心拍出量に寄与する、右および左心房および心室心腔間の同期性を回復するための方法および装置が提供される。この回復は、必要に応じて各心腔に対して最適にタイミングを取った心臓ペーシングパルスを供給すること、および、各心腔に対してペース/検知電極の特定の埋め込み部位を調節することによって行なわれる。
【0039】
上述したように、従来技術では、非常に高いインピーダンスのP波およびR波検知増幅器を用いて、心臓脱分極の通路によってペース/検知電極にわたって生成される、低振幅電流または電圧差信号を増幅するようにすることが一般的であった。高インピーダンス検知増幅器は、高利得を用いて、低振幅信号を増幅し、パスバンドフィルタ、時間領域フィルタリングおよび振幅しきい値比較によって、P波またはR波を背景電気雑音から区別する。さらに、検知増幅器は、検知増幅器の飽和を回避するために、ペーシングシステムのペース/検知電極の任意の電極に対してペ−シングパルスを送出した後、最大100ミリ秒までのブランキング期間の間、ペース/検知電極から切り離される。
【0040】
以下で述べる本発明は、好ましくは、ペース/検知電極対と検知増幅器の入力との間に絶縁型電流複製器を用いて、印加されたブランキング期間を短くし、ペーシングシステムで使用されるか、または使用可能にされる場合に、比較的短いCDWSおよびCDWPをタイムアウトさせることができる。右および左心腔検知増幅器ブランキング間隔は、およそ、通常0.5〜1.0ミリ秒で、最大約10ミリ秒であるペーシングパルス幅に短くされることができる。絶縁型電流複製器が、ペース/検知電極対にわたって示されたペーシングパルスアーチファクトによって生じた後電位を阻止することができ、直ぐに続く任意の心臓脱分極波面を検出することができるため、ブランキング間隔は最小にされることができる。好ましくは、ブランキング間隔は、ブランキング間隔が埋め込み後に調整されるようにプログラム可能であり、患者の心臓の心臓伝導状態を反映するように最小にされる。
【0041】
図2は、右および左心房の同期性収縮を回復するための、上述のタイプの埋め込み式2腔心臓ペースメーカの略図である。図2において、心臓10は、上部心腔、すなわち右心房(RA)および左心房(LA)、下部心腔、すなわち右心室(RV)および左心室(LV)、ならびに右心房の開口から心房のまわりを横方向へ延び、さらに下方に延びて大静脈の分岐に至る冠状静脈洞(CS)を含む。ペースメーカIPG14は、皮膚と肋骨の間で皮下に埋め込まれる。2極心内膜RAリード線16および2極心内膜LA CSリード線22は、LA腔に沿って延びるように、静脈を通して心臓10のRA腔およびCS内に進められる。リード線本体15内にあるとともに遠位先端RAペース/検知電極19および近位リングRAペース/検知電極21に接続された電気的に絶縁された導体対に結合したインラインコネクタ13がIPGコネクタブロック12の2極穴に嵌合した状態で、RAリード線16が形成される。RAリード線16の遠位端は、取り付け機構17によってRA壁に取り付けられる。リード線本体26内にあるとともに遠位リングLA CSペース/検知電極30および近位リングLA CSペース/検知電極28と接続された電気的に絶縁された導体対に結合したインラインコネクタ24がIPGコネクタブロック12の2極穴に嵌合した状態で、LA CSリード線22が形成される。LA CSリード線26の遠位端は、CS内に延びて、隣接するLA壁に対してLA CSペース/検知電極を最適に位置決めするようにする。
【0042】
動作時、心房ペース/検知電極17、19または28、30の任意の対または選択された対にわたって検知されたP波を使用して、その時のA−A心房補充間隔をリセットし、心房検知事象トリガーCDW(CDWS)のタイムアウトを始動するようにする。A−A補充間隔は、通常、右心房のペーシングされ、検知された事象から計時されるが、適当な状況では、それは、左心房のペーシングされ、検知された事象である可能性がある。右および左心房検知CDWSのミリ秒での長さは、正常な電気的活性化シーケンスにおいて、心房ペース/検知電極17、19、および28、30の間の、自発性心房脱分極の正常伝導遅延を反映するか、または、逆活性化シーケンスに応答するようにプログラムされる。他の対の心房ペース/検知電極17、19または28、30でP波を検知することなく適当な心房CDWSがタイムアウトする場合、心房ペースパルスを他の対の心房ペース/検知電極に送出して、右および左心房脱分極を同期させる。A−A心房補充間隔がタイムアウトする場合、心房ペースパルスは、通常、RAペース/検知電極17、19にわたって最初に送出され、ペーシングされた心房CDW(CDWP)のタイムアウトが始まる。LA CSペース/検知電極28および30でP波を検知することなくペーシングされた心房CDWPがタイムアウトする場合、心房ペースパルスは、LA CSペース/検知電極28、30に送出される。
【0043】
図3は、右および左心室の同期性収縮を回復するための、上述のタイプの埋め込み式2腔心臓ペースメーカの略図である。2極心内膜LV CSリード線42は、LV腔に沿って遠位リングペース/検知電極48および50を延ばすために、静脈を通って、心臓10のRA腔内に進み、CS内に進み、その後、大静脈および大静脈から延びる心臓静脈内を下方に延びる。2極心内膜RVリード線32は、静脈を通って、心臓10のRA腔内、およびRV内に進み、RVにおいて、リード線遠位リングおよび先端ペース/検知電極38および40が、遠位取り付け機構52によって心尖または心室間中隔の所定位置に固定される。リード線本体36内にあるとともに遠位先端RAペース/検知電極40および近位リングペース/検知電極38と接続された電気的に絶縁された導体対に結合したインラインコネクタ34がIPGコネクタブロック12の2極穴に嵌合した状態で、RVリード線32が形成される。リード線本体46内にあるとともに遠位リングペース/検知電極50および近位リングペース/検知電極48と接続された電気的に絶縁された導体対に結合したインラインコネクタ44がIPGコネクタブロック12の2極穴に嵌合した状態で、LV CSリード線42が形成される。LV CSリード線42の遠位端は、CS内に延びて、隣接するLV壁に対してリング電極を最適に位置決めするようにする。
【0044】
動作時、心室ペース/検知電極38、40または48、50の選択された対にわたって検知されたR波を使用して、その時のV−V心室補充間隔をリセットし、心室CDWSのタイムアウトを始動するようにする。V−V補充間隔は、通常、RVのペーシングされ、検知された事象から計時されるが、適当な状況では、それは、LVのペーシングされ、検知された事象である可能性がある。右および左心室CDWSのミリ秒での長さは、正常な電気的活性化シーケンスおよび逆活性化シーケンスにおいて、心室ペース/検知電極38、40、および48、50の間の正常伝導遅延を反映するようにプログラムされる。他の対の心室ペース/検知電極38、40または48、50でR波を検知することなく右または左心室CDWSがタイムアウトする場合、心室ペースパルスを他の対の心室ペース/検知電極に送出して、右および左心室脱分極を同期させる。V−V心室補充間隔がタイムアウトする場合、心室ペースパルスは、通常、RVペース/検知電極38、40にわたって最初に送出され、心室ペースCDWPのタイムアウトが始まる。LV CSペース/検知電極48および50でP波を検知することなく心室CDWPがタイムアウトする場合、心室ペースパルスは、LV CSペース/検知電極48、50に送出される。以下にさらに述べられるように、この順番(order)は適当な間隔で繰り返され得る。
【0045】
示されているこれらRAおよびLAおよびRVおよびLVのペース/検知リード線および電極の場所は、本発明のこれらの実施形態の実践で使用することができる、可能性のあるリード線および電極の場所の単なる例である。心臓の右および左腔内か、またはその腔のまわりに設置された、1つまたは複数の他のタイプの心内膜および心外膜リード線およびペース/検知電極が、図2および図3で示し、上述したものと置き換えることができることが理解されるであろう。
【0046】
図4において、RHCおよびLHCの名称を使用して、本発明の2腔ペーシングシステムを用いる、両心房および両心室の環境の両方を包含する。したがって、図4は、RHC回路部100と、LHC回路部200と、図2の2腔、両心房ペースメーカ、または図3の両心室ペースメーカにおいてペーシングおよび検知機能を行うために使用することができる共通部品とを備える2腔ペーシングシステム回路の単純化したブロック図である。RHCおよびLHC回路部100および200のタイミングおよび制御は、マイクロプロセッサ108、RAM/ROMチップ110、およびDMA回路112を備えるマイクロコンピュータ内に保持されるソフトウェアルーチン、およびマイクロコンピュータと結合したペーサタイミング/ロジック回路120内に保持されたソフトウェアルーチンによって実現される。動作モードおよびパラメータ値は、患者の皮膚を通して、RFテレメトリ送信情報を、アンテナ106およびペーサタイミング/ロジック回路120と結合したRFテレメトリ送信器/受信器102に送信する外部プログラマ90の使用によってRAM/ROMチップ110内のRAMにプログラムされる。こうした経皮的RFテレメトリは、当技術分野ではよく知られており、本発明に従って、動作モード、A−AおよびV−V補充間隔、ならびに左および右腔CDWSおよびCDWP時間長を含めたその他のタイミングおよび制御間隔のプログラミングを可能にする。
【0047】
RHCおよびLHCペーシング/検知回路部100および200の間に内部接続部を設けて、各CDWSのタイムアウトが行なわれ、右および左心腔が、互いに所望の時間関係で、確実に脱分極し、収縮するのに必要な場合にはペ−シングが行なわれる。図4の2腔IPG回路は、本発明の種々の実施形態を実践するのに使用される可能性がある、特定の両心房および両心室IPG回路を包括的に示すことが意図されている。図示したRHCおよびLHCペーシング/検知回路部100および200は全く対称である。非対称2腔IPG回路は、過度に長いRHC−LHC伝導遅延またはLHC−RHC伝導遅延を処置するように機能する、図4に示す包括的な2腔IPG回路から引き出されることが理解されるであろう。こうした非対称2腔IPG回路は、RHCまたはLHC回路部100または200の未使用部品を、(プログラミング命令によって)選択的に使用不能にするか、あるいは単に物理的になくすことによるかのいずれかによって行うことができる。図4に示す部品およびロジック内部接続をまず述べ、次に、可能な変更が述べられる。
【0048】
RHC回路部100に関して、コネクタブロック12内のRHCペース/検知端子は、RHC検知増幅器126の入力端子およびRHCペーシングパルス出力回路134の出力端子に結合される。RHC検知増幅器126およびRHCペーシングパルス出力回路134の動作パラメータは、データ/制御バス122上に供給されたプログラムされたパラメータ値および動作モードによって設定される。RHCペーシングパルス出力回路134は、ORゲート116を通過したRHC PACE信号に応答して、プログラムされたパルス幅および振幅でRHC端子にRHCペーシングパルスを送出する。RHC PACE信号は、RHC CDWタイマ230によって生成されたRHCペーストリガー(RHC PT)信号か、あるいはペーサタイミング/ロジック回路120内の補充間隔タイマによって生成されたRHC補充間隔ペーストリガー(RHC EI PT)信号のいずれかである。
【0049】
RHC BLANK信号は、ライン118上をRHC検知増幅器126に印加され、RHC検知増幅器126は、ペーシングパルス送出中に、かつ、RHCペーシングパルスの送出に続く約100ミリ秒未満の、または、LHCペーシングパルスの送出に続く約7ミリ秒未満の短期間、RHCブランキング期間を供給する。RHC BLANK信号は、ORゲート114を通過してRB入力に至るRHCブランキングトリガー信号に応答して、RHCブランキング回路136によって供給される。ペーシングパルスが、RHCおよびLHCペース出力回路134および234のいずれかによってトリガーされ、送出されると、ORゲート114はRHC BLANK AND LHC BLANKトリガー信号を供給する。ORゲート114は、ORゲート116およびORゲート216のRHC PACE出力信号およびLHC PACE出力信号を通過させ、ORゲート116およびORゲート216は、次に、補充間隔またはプログラム可能なCDWSおよびCDWP時間のタイムアウトによって生成されたRHCペーストリガー(RHC PT)信号およびLHCペーストリガー(LHC PT)信号を通過させる。RHC BLANK信号の持続期間は、RAM/ROMチップ110にプログラムされ、取り出され、データ/制御バス122上をプログラム可能RHCブランキング回路136のRBP入力に印加される。それによって、RHC検知増幅器126は、RHC BLANK信号がライン118上でRHC検知増幅器126に印加される短い期間の間に、RHC脱分極信号に応答できなくされる。
【0050】
図4に略図で示すRHCプログラム可能ブランキング回路136は、上述した方法で、検知増幅器入力をRHCリード線導体から切り離すように動作するよう構成されることができることが理解されるであろう。
【0051】
RHC BLANK信号が存在しない時、RHC検知増幅器126は、RHC心臓脱分極に応答して、ライン132上に、大振幅で持続期間が短い検知事象RHC(SERHC)信号を供給する。RHC検知増幅器126は、RHCペース/検知電極にわたって検知されたRHC心臓脱分極に応答する。RHC心臓脱分極は、自発的にRHCで発生するか、自発的にLHCで発生するか、あるいはLHCペース/検知電極に送出されたLHCペースパルスによって誘発される可能性があり、いずれの場合も、RHCのRHCペース/検知電極に伝導される。LHC CDWタイマ130がその時禁止されていない場合、SERHC信号は、プログラム可能LHC CDWタイマ130に供給されて、プログラム可能LHC CDWS時間のタイムアウトを始動する。SERHC信号はまた、RHCペーシング出力回路134のRHC禁止入力に印加されて、RHCペーシング出力回路134が動作しないようにし、ペーサタイミング/ロジック回路120内のリセットロジックに印加されて、補充間隔タイマをリセットするようにする。補充間隔タイマは、SERHC信号か、SELHC信号のいずれかによって再始動して、補充間隔タイマの終了時に(on its expiration)、RHC EI PT信号か、LHC補充間隔ペーストリガー(LHC EI PT)信号を生成する。SERHC信号はまた、RHC CDW INHIBIT信号としてNORゲート135を通過して、以下に述べるように、RHC CDWタイマをリセットし、禁止する。
【0052】
LHC CDWSおよびCDWP時間長は、RAM/ROMチップ110にプログラムされ、取り出され、データ/制御バス122上をプログラム可能LHC CDWタイマ130のTD入力に印加される。プログラム可能LHC CDWタイマ130は、スタート入力S1でのSERHC信号の受信によって、プログラムされたLHC CDWS時間のタイムアウトを始動する。さらに、プログラム可能LHC CDWタイマ130は、RHC PACE信号がRHCペーシング出力回路134のスタート入力S2に印加される時にプログラムされたLHC CDWS時間のタイムアウトを始動する。LHC CDWタイマ130は、第1LHC CDWS時間が、スタート入力S1においてSERHC信号が印加されるとすぐに始動され、第2LHC CDWP時間がスタート入力S2に対してRHC EI PT信号が印加されるとすぐに始動されることを可能にするように冗長タイマおよび選択ロジックを含んでよいことが理解されるであろう。LHC CDWタイマ130は、プログラム入力された(programmed in)選択命令に応答して、SERHC信号およびRHC EI PT信号の一方または両方に対するLHC CDWタイマ130の応答を不能にするようにするプログラム可能ロジックを含んでよいことも理解されるであろう。
【0053】
LHC検知増幅器226がLHC脱分極波を検出せず、プログラムされたRHC CDWSまたはCDWPがタイムアウトする前に、ライン232上に左心腔検知事象信号(SELHC)およびLHC RESET命令を生成しない場合、プログラム可能LHC CDWタイマ130は、LHC PT信号を生成する。LHC PT信号は、ORゲート216を通してLHCペーシングパルス出力回路234のLHC PACE入力に印加され、LHCペーシングパルス出力回路234は、コネクタ組み立て品12のLHC端子にLHCペーシングパルスを供給する。こうして、RHC−LHC同期性を回復するために、それぞれ、LHC CDWPまたはRHCペーシングパルスに続くCDWSまたはSERHC信号に続いて、コネクタ組み立て品12のLHC端子にLHCペーシングパルスが印加される。
【0054】
LHC CDW タイマ130によるプログラム可能LHC CDWSまたはCDWP時間のタイムアウトは、停止され、LHCタイマ130をさらにトリガーすることは、LHC CDWタイマ130の禁止(INH)入力に印加されたLHC CDW INHIBIT信号によって禁止される。LHC CDW INHIBIT信号は、任意のプログラムされたCDW時間より長いが、ペーシング補充間隔より短い持続期間を有する。LHC CDW INHIBIT信号は、LHC CDWタイマ130が、LHCペース/検知電極からRHCペース/検知電極へ伝導され、それ自体、LHC CDWタイマ130がNORゲート216に送出したLHC PT信号によって誘発される脱分極を検知した際に生成されるSERHC信号に応答して再始動しないようにさせる。その結果、LHC PT信号は、NORゲート216および235通過して、LHC CDWタイマ130のINH入力に印加される。同様に、LHC CDW INHIBIT信号は、LHC EI PT信号またはSELHC信号がNORゲート235を通過することによって生成され、LHC CDWタイマのINH入力に印加される。RHC CDWタイマ230のみが、これらのRHCのペーシングされ、検知された事象が発生する時に始動されなければならない。
【0055】
NORゲート114、116、および135に関して、LHC信号検知およびペーシング出力回路部200は、上述したRHC信号検知およびペーシング出力回路部100と左右対称形で構成され機能する。しかし、この場合、図8および図9に示され、以下でさらに述べる絶縁型電流複製器回路または複製器225は、LHCペース/検知電極対およびLHC検知増幅器226の入力ならびにLHCペーシングチャネルのLHCペーシング出力回路234の出力の間に挿入される。コネクタブロック12のLHCペース/検知端子は、IPG容器を通る容量性ろ過型フィードスルーを介して絶縁型電流複製器225の出力電流ループに結合される。入力電流ループは、LHC検知増幅器226の入力およびペーシング出力回路234の出力の両方と結合する。この実施形態において、入力電流ループに送出されたペーシングトリガーパルスは、出力電流ループにおいて複製され、LHCペース/検知電極に送出されるが、LHCペース/検知電極および出力電流ループを横切る心臓信号は、入力電流ループにおいて複製され、LHC検知増幅器226に供給される。
【0056】
図4に略図で示すLHCプログラム可能ブランキング回路236は、上述したタイプのブランキングスイッチを使用して、絶縁型電流複製器225の入力電流ループから検知増幅器を切り離すように動作するよう構成されることができることが理解されるであろう。したがって、絶縁型電流複製器回路225の入力電流ループは、LHCプログラム可能ブランキング回路236によって動作するこうしたブランキングスイッチを通してLHC検知増幅器226の入力に印加されることができることが理解されるであろう。
【0057】
さらに、絶縁型電流複製器対は、LHCペーシングチャネル内に挿入され得るであろうことが理解されるであろう。第1絶縁電流複製器は、LHCペーシングチャネルのLHCペース/検知電極対をLHC検知増幅器226から絶縁するために挿入されることができる。第2絶縁電流複製器は、LHCペーシングチャネルのLHCペース/検知電極対をLHCペーシング出力回路234から絶縁するために挿入されることができる。
【0058】
ORゲート114を通って反映されたRHC PACE信号またはLHC PACE信号の間、任意選択で、その後のブランキング時間期間の間、LHC BLANK信号が、ライン215上をLHC検知増幅器226に印加される。LHC BLANK信号によって供給されたLHCブランキング期間は、RHCペーシングパルスの送出に続く約7ミリ秒未満か、または、LHCペーシングパルスの送出に続く約100ミリ秒未満であるのが好ましい。LHC BLANK信号は、ORゲート114によって生成されてLB入力に印加されたRHCブランキングトリガー信号に応答して、LHCブランキング回路236によって供給される。LHC BLANK信号の持続期間は、RAM/ROMチップ110内にプログラムされ、取り出されて、データ/制御バス122上をプログラム可能LHCブランキング回路236のLBP入力に印加される。
【0059】
LHC CDWタイマ130ではそうであるように、RHC CDWタイマ230は、スタート入力S1においてSELHC信号が印加されるとすぐに始動した検知RHC CDWSおよびスタート入力S2に対してLHC EI PT信号が印加されるとすぐに始動したペースRHC CDWPを計時するために、冗長タイマおよび選択ロジックを含むことが理解されるであろう。プログラム可能RHC CDWタイマ230は、禁止されていない場合、LHC PACE信号がLHCペーシング出力回路234に印加される時にプログラムされたRHC CDWP時間のタイムアウトを始動する。RHC CDWタイマ230は、プログラム入力された選択命令に応答して、SELHC信号およびLHC EI PT信号の一方または両方に対するRHC CDWタイマ230の応答を不能にするようにするプログラム可能ロジックを含んでよいこともまた理解されるであろう。
【0060】
LHC BLANK信号によってブランキングされていない時、LHC検知増幅器226は、LHCペース/検知電極にわたって検知されるLHC心臓脱分極に応答して、ライン232上に、大振幅で、持続期間が短い、検知事象SELHC信号を供給する。LHC心臓脱分極は、自発的にLHCで発生するか、自発的にRHCで発生するか、あるいはRHCペース/検知電極に送出されたRHCペースパルスによって誘発される可能性があり、いずれの場合も、LHCのLHCペース/検知電極に伝導される。RHC CDWタイマ230がその時禁止されていない場合、SELHC信号は、プログラム可能RHC CDWタイマ230のS1入力に供給されて、プログラムされたRHC CDWS時間のタイムアウトを始動する。SELHC信号はまた、LHCペーシング出力回路234のLHC INH入力に印加されて、LHCペーシング出力回路234が動作しないようにし、ペーサタイミング/ロジック回路120内のリセットロジックに印加されて、補充間隔タイマがSELHC信号に応答するようにプログラムされている場合、補充間隔タイマをリセットするようにする。SELHC信号はまた、このシナリオでは実際にはLHC CDW時間をタイムアウトしていないが、NORゲート235を通してLHC CDWタイマ130のINH入力として印加される。
【0061】
RHC検知増幅器126が早期にRHC脱分極波を検出せず、SERHC信号を生成する場合、プログラム可能RHC CDWタイマ230は、RHC CDWSのタイムアウトでRHC PT信号を生成する。RHC PT信号は、ORゲート116を通してRHCペーシングパルス出力回路134のRHC PACE入力に印加され、RHCペーシングパルス出力回路134は、コネクタ組み立て品12のRHCペース/検知端子にペーシングパルスを供給する。しかし、RHC CDWS時間中にSERHC信号が生成される場合、SERHC信号は、RHC CDWタイマ230をリセットして、RHC CDW時間を終わらせ、上述した方法で、RHC CDWタイマ230の動作が、プリセットされた禁止期間の間に再始動されるのを禁止する。
【0062】
RHCおよびLHC検知増幅器126および226の検知特性、LHCおよびRHC CDWタイマ130および230ならびにRHCおよびLHCペーシングパルス出力回路134および234のCDWSおよびCDWP時間は、個別にプログラムされることができる。外部プログラマ90を使用して、アンテナ106有するダウンリンクテレメトリおよびRF送信器/受信器102によって、プログラムされたモードおよび値を供給し、これらのモードおよび値は、当技術分野ではよく知られている方法で、復号され、RAM/ROMチップ110内に記憶される。このように、右および左心腔ペーシング/検知回路部に対称性が存在しながら、所与の患者において機能を最適化するために、動作が対称にされるか、非対称にされることができる。
【0063】
図4に図示した包括的な2腔IPG回路において、単一補充間隔タイマは、ある補充間隔値を用いてプログラムされ、補充間隔が検知されたRHCまたはLHC脱分極によって早期に再始動されなければ、補充間隔のタイムアウトでRHC EI PT信号またはLHC EI PT信号を生成するようにプログラムされることができる。
【0064】
正常に機能する心臓は、図1について先に示したAV遅延時間後に、最初に右心房の、次に左心房の、右および左心室の脱分極および収縮を伴う。心房間伝導擾乱は、AV遅延に近づくか、またはAV遅延を超える可能性のある長時間遅延か、全てまたは一定の心拍数での右および左心房収縮の完全な分離のいずれかを伴う。心室間伝導擾乱は、通常、左心室外壁を通る脱分極波の遅延を伴い、その遅延は、うっ血性心腔において見られる伝導系および/または拡張した心筋に対する損傷によって生ずる可能性がある。どんな場合であっても、処置されるべき通常の場合において、右心腔(複数可)が最初に収縮し、それに続いて、長い伝導遅延後に左心腔(複数可)が収縮する。逆の状況は、通常は起こらないが、左心房で生ずる早期心房収縮の結果として生ずる可能性がある。したがって、この場合、図4のIPG回路は、LHC CDWタイマ230の使用が、プログラム入力された命令によってオフにプログラムされるか、または、全くなくされる、非対称な方法で動作するようにプログラムされることができる。
【0065】
たとえば、2腔IPG回路部品は、図1の正常な電気的活性化シーケンスにおける非常に長いRHC−LHC伝導遅延(IACD、LBBB、IVCD、RV異所性病巣伝導パターン、RVペーシング伝導パターンによって起こる)に応答し、処理するようにプログラムされることができる。これらの場合に、プログラム入力されたモード命令は、RHC CDWタイマ230を不能にし、リセットロジックは、SERHC信号を使用するだけで、補充間隔タイマをリセットするようにプログラムされる。さらに、補充間隔タイマはRHC EI PT信号を生成するだけである。
【0066】
しかし、2腔IPG回路部品は、図1の正常な電気的活性化シーケンスではなく、逆の電気的活性化シーケンスにおける、非常に長いLHC−RHC伝導遅延(RBBB、IVCD、LV異所性病巣伝導パターン、LVペーシング伝導パターンによって起こる)に応答し、処理するようにプログラムされることができることがわかるであろう。これらの場合に、プログラム入力されたモード命令は、LHC CDWタイマ230を不能にし、リセットロジックは、SELHC信号を使用するだけで、補充間隔タイマをリセットするようにプログラムされる。さらに、補充間隔タイマはLHC EI PT信号を生成するだけである。もちろん、これらの構成は、図4の包括的な2腔ペーシングシステムの部品および内部接続部を物理的に減らすことによって実現されることができる。
【0067】
図4の上述した2腔ペーシングシステムはまた、複数部位ペーシングシステムとして使用されることができ、複数部位ペーシングシステムにおいて、ペース/検知電極がその心腔内で互いから離れるように、RHCおよびLHCリード線が、実際には共通心腔に導入されることが留意されるべきである。たとえば、RHCペース/検知電極をRV心尖部に設置し、LHCペース/検知電極をヒス束に対して心室間中隔壁に固定されるように設置して、これらの部位における検知された心室脱分極またはR波のシーケンスによって決まるシーケンスで、RV内のこれらの場所に対してペーシングパルスの同期した送出を行うのが望ましいであろう。単一心腔において、または、単一心腔に対して2(または3以上)ペーシング/検知チャネルを提供する本発明は、こうしたペーシングシステム内で実装されることができる。図4のペーシングシステムの構成および動作についての他の変形形態、および以下で述べる実施形態は以下で現れる。
【0068】
図5は、右および左心房ならびに右および左心室の同期収縮を回復するための、上述したタイプの、埋め込み式4腔心臓ペースメーカの略図である。RAリード線16のインラインコネクタ13は、IPGコネクタブロック12の2極穴に嵌合し、リード線本体15内の電気的に絶縁された導体対(遠位先端RAペース/検知電極19および近位リングRAペース/検知電極21と結合する)に結合する。RAリード線16の遠位端は、従来の取り付け機構17によってRA壁に取り付けられる。2極心内膜RVリード線32は、静脈を通過して心臓10のRA腔、およびRVに入り、RVにおいて、その遠位リングおよび先端RVペース/検知電極38および40は、従来の遠位取り付け機構41によって尖部の所定位置に固定される。リード線36内にあるとともに遠位先端RVペース/検知電極40および近位リングRVペース/検知電極38と接続された電気的に絶縁された導体対に結合したインラインコネクタ34がIPGコネクタブロック12の2極穴に嵌合した状態で、RVリード線32が形成される。
【0069】
この場合、4極心内膜LV CSリード線52は、LV CSペース/検知電極48および50の遠位対をLV腔に沿って延ばし、LA CSペース/検知電極28および30の近位対をLAに隣接して残すために、静脈を通過して、心臓10のRA腔内に、CS内に、その後、下方に大静脈に進められる。LV CSリード線52は、4個の導体リード線本体56が近位端でIPGコネクタブロック12の2極穴対に嵌合する分岐インラインコネクタ54に結合した状態で形成される。LV CSリード線本体56の4個の電気的に絶縁されたリード線導体は、LV CSペース/検知電極48および50の遠位対およびLA CSペース/検知電極28および30の近位対のうちの一方と個別に接続される。
【0070】
動作時、直前の心室ペーシングパルスまたはR波検知事象から計時されたV−A補充間隔の間に、RAペース/検知電極17および19またはLAペース/検知電極28および30にわたって検知されたP波を使用して、AV遅延を始動し、LA CDWSまたはRA CDWSをそれぞれ始動させる。心房ペース/検知電極17および19または28および30の他の対において、伝導された同じP波を検知することなく、それぞれのLAまたはRA CDWSがタイムアウトする場合、心房ペースパルスが心房ペース/検知電極の他の対に送出される。
【0071】
心房ペース/検知電極17および19または28および30のいずれかの対においてP波を検知することなく、V−A心房補充間隔がタイムアウトしない場合、通常、最初に心房ペースパルスがRAペース/検知電極17および19にわたって送出され、それぞれのLA CDWP時間が始まる。その後、これらのペース/検知電極においてP波を検知することなくLA CDWP時間がタイムアウトする場合にのみ、心房ペースパルスがLA CSペース/検知電極28および30に送出される。しかし、V−A心房補充間隔の終了で、LA CSペース/検知電極28および30に最初の心房ペースパルスが送出されるように、逆の順序の送出をプログラムすることも可能である。その後、RAペース/検知電極においてP波を検知することなく、RA CDWP時間がタイムアウトする場合にのみ、心房ペースパルスがRAペース/検知電極17および19に送出される。
【0072】
この実施形態では、最初の心房検知事象が、RAペース/検知電極17および19またはLA CSペース/検知電極28および30にわたって検知されたかどうかによって使用される個別のプログラム可能検知AV(SAV)遅延を使用することが可能である。さらに、最初の心房ペーシングパルスが、RAペース/検知電極17および19またはLA CSペース/検知電極28および30にわたって送出されたかどうかによって使用される個別のプログラム可能ペーシングAV(PAV)遅延を使用することが可能である。SAVRAおよびPAVRAおよびSAVLAおよびPAVLAを示す、これらの個別にプログラム可能なSAVおよびPAV遅延は、所定の長さでプログラムされて、RAおよびLAペース/検知電極の特定の場所およびRVおよびLVペース/検知電極の選択された場所の間の最も生理的なAV遅延を供給することができる。個別のプログラム可能SAVRAおよびSAVLA遅延ならびに個別のプログラム可能PAVRAおよびPAVLA遅延を使用するこの手法は、本発明を実践することができる一手法として、図6および図7を参照して本明細書に開示される。しかし、本発明は、単一のプログラム可能なAV遅延のみ、またはただ一つのSAV遅延およびPAV遅延を用いた複雑でない手法を使用して実践されることができることが理解されるであろう。
【0073】
したがって、好ましいより複雑な場合、SAVRAまたはSAVLAまたはPAVRAまたはPAVLA時間は、最初のP波の検知か、右または左心房心腔に対する最初の心房ペーシングパルスの送出のいずれかによって始動される。SAVまたはPAV時間遅延中に、RVまたはLV CSペース/検知電極38および40または48および50のいずれかにわたって検知されたR波を使用して、AVタイマをリセットし、V−A補充間隔を始動させ、それぞれのLV CDWSまたはRV CDWSを始動させる。RVまたはLV CSペース/検知電極38および40または48および50の他の対において、伝導された同じR波を検知することなく、LV CDWSまたはRV CDWSがタイムアウトする場合、心房ペースパルスが心房RVまたはLV CSペース/検知電極の他の対に送出される。
【0074】
正常な活性化シーケンスが回復されるはずであると仮定すると、AV結節からヒス束への正常AV伝導時間に対応する単一AV遅延が使用するためにプログラムされる。AV遅延がタイムアウトする場合、心室ペースパルスは、通常、RVペース/検知電極38および40にわたって最初に送出されるようにプログラムされ、LV CDWP時間が始まる。LV CSペース/検知電極48および50において、R波を検知することなく、LV CDWPがタイムアウトする場合、左心室ペースパルスがLV CSペース/検知電極48および50に送出されるようにプログラムされる。
【0075】
その後、V−A補充間隔がタイムアウトする場合、RAペースパルスが通常、RAペース/検知電極17および19にわたって最初に送出され、AV遅延タイマが再始動し、LA CDW時間が始まるようにシーケンスが繰り返される。LA CSペース/検知電極28および30において、P波を検知することなく、LA CDW時間がタイムアウトする場合、LAペースパルスがLA CSペース/検知電極28および30に送出される。
【0076】
各SAVおよびPAV遅延ならびに各CDWSおよびCDWPは、特定の伝導障害およびRA、LA、RV、およびLVペース/検知電極の場所を考慮して、正常な活性化シーケンスを回復するようにプログラムされることができる。活性化シーケンスを変更して、AV遅延および心房腔CDWSおよびCDWPを、LA異所性病巣から生ずる初期LA脱分極から計時することができる。
【0077】
図6および図7は、図5のシステムで使用される、右および左心腔の4腔ペースメーカIPG14のための、本発明の包括的な4腔IPG回路の単純化したブロック図をひとまとめにして含む。図6は、それぞれ、データ/制御バス122、心房ペーサタイミング/ロジック回路120A、マイクロコンピュータ部品108、110、112、およびプログラム可能AV遅延ロジック160と関連するRAおよびLAペーシング/検知回路部300および400を示す。図7は、それぞれ、データ/制御バス122、心室ペーサ/タイミングロジック回路120V、RFテレメトリ送信器/受信器102、および外部プログラマ90と関連するRVおよびLVペーシング/検知回路部500および600を示す。図6のマイクロコンピュータ部品108、110、112および心房ペーサ/タイミングロジック回路120Aは、図7のRVおよびLVペーシング/検知回路部500および600ならびに心室ペーサタイミング/ロジック回路120Vと、データ/制御バス122によって内部接続されている。図7のRFテレメトリ送信器/受信器102は、図6の心房ペーサタイミング/ロジック回路120Aと、導体104によって接続され、図6のプログラム可能AV遅延回路160からの心室ペーストリガー出力信号は、図7の心室ペーサタイミング/ロジック回路120Vと、導体162によって結合される。心房および心室ペーサタイミング/ロジック回路120Aおよび120Vならびにプログラム可能AV遅延回路160は、別法として、DDDペースメーカでは通常はそうであるように、共通回路内で組み合わされてよい。
【0078】
RAおよびLAペーシング/検知チャネル300および400ならびにRVおよびLVペーシング/検知チャネル500および600は概してそれぞれ、先に詳細に述べた、図4のRHCおよびLHC回路部100および200のアーキテクチャに従う。RA、LA、RV、およびLVペース出力回路334、434、534、634の任意の回路によるペースパルスの送出に応答してRA、LA、RV、およびLV検知増幅器326、426、526、626の4個全てのブランキングを可能にするために、この4腔の実施形態において、ブランキング回路部はやや異なる。RA、LA、RV、およびLVプログラム可能ブランキング回路336、436、536、および636のそれぞれは、ライン318、418、518、および618上に、RAM/ROMチップ110内にプログラムされた持続期間を有するRA、LA、RV、およびLV BLANK信号を生成する。RA、LA、RV、およびLV BLANK信号は、ORゲート314およびORゲート514の出力でそれぞれ生成される心房ブランキング(AB)および心室ブランキング(VB)トリガー信号によってトリガーされる。
【0079】
ORゲート314の入力は、RAおよびLAペース出力回路334および434にそれぞれ送出されるRA PACEおよびLA PACE信号を供給するORゲート316および416の出力と結合する。ORゲート316および416は、それぞれ、V−A補充間隔の終了で選択的に生成されたRA EI PTおよびLA EI PT信号ならびにプログラム可能時間遅延330および430によって計時された各プログラム可能CDWのタイムアウトで生成されたRA PTおよびLA PTを通過させる。
【0080】
同様に、ORゲート514の入力は、RVおよびLVペース出力回路534および634にそれぞれ送出されるRVおよびLV PACE信号を供給するORゲート516および616の出力と結合する。ORゲート516および616は、それぞれ、AV遅延およびRV PT終了で選択的に生成されたRV EI PTおよびLV EI PT信号、ならびにLVおよびRV CDWタイマー530および630によって各プログラム可能CDWのタイムアウトでそれぞれ生成されたRV PTおよびLV PT信号を通過させる。
【0081】
この実施形態において、図8および図9に示し、以下でさらに述べる絶縁型電流複製器325は、RAペース/検知電極対とRAペーシングチャネル300のRA検知増幅器326の入力との間に挿入される。コネクタブロック12のRAペース/検知端子は、IPG容器を貫通する容量性ろ過式フィードスルーによって、絶縁型電流複製器325の出力電流ループに結合する。入力電流ループは、RA検知増幅器326の入力およびRAペーシング出力回路334の出力の両方と結合する。この実施形態において、入力電流ループに送出されるRAペーシングトリガーパルスは、出力電流ループで複製され、RAペース/検知電極に送出されるが、RAペース/検知電極および出力電流ループを横切る心臓信号は、入力電流ループで複製され、RA検知増幅器334に供給される。
【0082】
図6に概略的に示すRAプログラム可能ブランキング回路336は、先に述べたタイプのブランキングスイッチを使用して、検知増幅器入力を、絶縁型電流複製器325の入力電流ループから切り離すように動作するよう構成されることができることが理解されるであろう。したがって、絶縁型電流複製器325の入力電流ループは、RAプログラム可能ブランキング回路336によって動作する、こうしたブランキングスイッチを通してRA検知増幅器326の入力に適用されることができることが理解されるであろう。RA BLANK信号によって供給されるRAブランキング期間は、好ましくは、RAペーシングパルスの送出に続く約100msec未満であるか、LA、RV、およびLVに印加された任意のペーシングパルスの送出に続く約7msec未満である。
【0083】
同様に、図8および図9に示し、以下でさらに述べる絶縁型電流複製器回路425は、LAペース/検知電極対とLAペーシングチャネル400のLA検知増幅器426の入力との間に挿入される。コネクタブロック12のLAペース/検知端子は、IPG容器を貫通する容量性ろ過式フィードスルーによって、絶縁型電流複製器425の出力電流ループに結合する。入力電流ループは、LA検知増幅器426の入力およびLAペーシング出力回路434の出力の両方と結合する。この実施形態において、入力電流ループに送出されるLAペーシングトリガーパルスは、出力回路ループで複製され、LAペース/検知電極に送出されるが、LAペース/検知電極および出力回路ループを横切る心臓信号は、入力電流ループで複製され、LA検知増幅器434に供給される。
【0084】
図6に概略的に示すLAプログラム可能ブランキング回路436は、先に述べたタイプのブランキングスイッチを使用して、検知増幅器入力を、絶縁型電流複製器425の入力電流ループから切り離すように動作するよう構成されることができることが理解されるであろう。したがって、絶縁型電流複製器425の入力電流ループは、LAプログラム可能ブランキング回路436によって動作する、こうしたブランキングスイッチを通してLA検知増幅器426の入力に適用されることができることが理解されるであろう。LA BLANK信号によって供給されるLAブランキング期間は、好ましくは、LAペーシングパルスの送出に続く約100ミリ秒未満であるか、RA、RV、およびLVに印加された任意のペーシングパルスの送出に続く約7ミリ秒未満である。
【0085】
さらに、図8および図9に示し、以下でさらに述べる絶縁型電流複製器625は、LAペース/検知電極対とLAペーシングチャネル600のLA検知増幅器626の入力の間に挿入される。コネクタブロック12のLVペース/検知端子は、IPG筐体を貫通する容量性ろ過式フィードスルーによって、絶縁型電流複製器625の出力電流ループに結合する。入力電流ループは、LA検知増幅器626の入力およびLAペーシング出力回路634の出力の両方と結合する。この実施形態において、入力電流ループに送出されるLVペーシングトリガーパルスは、出力電流ループで複製され、LVペース/検知電極に送出されるが、LVペース/検知電極および出力電流ループを横切る心臓信号は、入力電流ループで複製され、LV検知増幅器634に供給される。
【0086】
図7に概略的に示すLVプログラム可能ブランキング回路636は、先に述べたタイプのブランキングスイッチを使用して、検知増幅器入力を、絶縁型電流複製器625の入力電流ループから切り離すように動作するよう構成されることができることが理解されるであろう。したがって、絶縁型電流複製器625の入力電流ループは、LVプログラム可能ブランキング回路636によって動作する、こうしたブランキングスイッチを通してLV検知増幅器626の入力に適用されることができることが理解されるであろう。LV BLANK信号によって供給されるLAブランキング期間は、好ましくは、LVペーシングパルスの送出に続く約100ミリ秒未満であるか、RA、RV、およびLAに印加された任意のペーシングパルスの送出に続く約7ミリ秒未満である。
【0087】
この例において、RVペース/検知電極対およびRV検知増幅器526の入力およびRVペーシングチャネル500のRVペーシングパルス出力回路534の間には絶縁型電流複製器は挿入されない。3つの絶縁型電流複製器325、425、および625の場所は、示された場所から変わる可能性があるか、RVペース/検知電極対とRV検知増幅器526の入力とRVペーシングパルス出力回路534の出力の間には別の絶縁型電流複製器が挿入される可能性があることが理解されるであろう。ダウンリンクテレメトリ命令によって使用可能にされることができる切り換え回路部を設けて、絶縁型電流複製器の任意の複製器をバイパスさせることも可能である。
【0088】
絶縁型電流複製器対は、各ペーシングチャネル内に挿入されて、チャネルのペース/検知電極対を、各チャネルの検知増幅器およびペーシング出力回路から個別に絶縁させる可能性があることが理解されるであろう。
【0089】
動作時、V−A補充間隔は、先行する心室の、検知されたかペーシングされた事象からタイムアウトしていると仮定し、また、自発性心房脱分極は、RAまたはLAの一方で起こり、かつ、RAペース/検知電極対17、19またはLA CSペース/検知電極対28、30(図5)の一方のそばを最初に通過すると仮定する。P波が、RA検知増幅器326またはLA検知増幅器426によって、ペース/検知電極17および19またはLA CSペース/検知電極28および30にわたってそれぞれ検知されると、SERA信号またはSELA信号が生成される。V−A補充間隔のタイムアウト中に発生するSERAまたはSELA信号の最初の信号を使用して、心房ペーサタイミング/ロジック回路120Aでタイムアウトしている、その時のV−A心房補充間隔がリセットされる。最初に発生するSERAまたはSELA信号はまた、各RAまたはLA CDWタイマ330または430によって各RAまたはLA CDWSのタイミングを始動させる。最初に発生するSERAまたはSELA信号はまた、それぞれ、この状況下では任意のCDW時間をタイムアウトしないであろうと思われるLAまたはRA CDWタイマ430または330をリセットするように印加される。RAまたはLA CS心房ペース/検知電極17および19または28および30の他方の対において、P波を検知することなく、RAまたはLA CDWSがタイムアウトする場合、RAまたはLAペーシング出力回路334または434によって心房ペース/検知電極の他方の対に心房ペースパルスが送出される。
【0090】
P波が検知されずに、V−A補充間隔がタイムアウトし、その後、それぞれ、RA EI PT信号またはLA EI PT信号に応答して、それぞれ、各RAペース出力回路334またはLAペース出力回路434によって、RAペースパルスまたはLAペースパルスが送出されると仮定する。いずれの心房ペーシングパルスを送出するかの選択をプログラムすることができる。RAペースパルスが、RAペース/検知電極17および19にわたって送出される場合、LA CDW時間がLA CDW時間タイマ330で始動される。LA CSペース/検知電極28および30においてP波を検知することなく、RA CDW時間がタイムアウトする場合、心房ペースパルスがLA CSペース/検知電極28および30に送出される。
【0091】
いずれの場合も、AV遅延タイマ160が始動して、P波の検知によってSAV遅延をタイムアウトさせるか、または心房ペースパルスの送出によってPAV遅延をタイムアウトさせる。上述したように、好ましくは、個別のプログラム可能なペーシングされたSAVRAおよびSAVLA遅延は、最初の心房検知事象が、RAペース/検知電極17および19か、LA CSペース/検知電極28および30のいずれにわたって検知されるかによって使用される。個別のプログラム可能なペーシングされたPAVRAおよびPAVLA遅延はまた、最初の心房ペーシングパルスが、RAペース/検知電極17および19か、LA CSペース/検知電極28および30のいずれにわたって送出されるかによって使用される。これらの4つの可能な遅延は、「オン」または「オフ」でプログラムされ、遅延値は、RAM/ROMチップ110内にプログラムされる。プログラムされた遅延値は、プログラム可能AV遅延タイマ160で用いられ、心房ペーサタイミング/ロジック回路120Aにおいて、AV遅延選択ロジックによって生成されたRSAV、LSAVトリガー信号の1つによって、または、V−A補充間隔タイマ(複数可)によって生成されたRPAV、LPAVトリガー信号の1つによって始動される。別法として、単一のRAVまたはLAV遅延のみが、それぞれ、RSAVおよびRPAVトリガー信号またはLSAVおよびLPAVトリガー信号に応答して、トリガーされることができる。
【0092】
最も一般的な場合、AV時間遅延の間に、RVまたはLV CSペース/検知電極38および40または48および50の一方の対にわたって、R波が検知される場合、SERVまたはSELV信号が、RV検知増幅器526またはLV検知増幅器626によって生成され、心室ペーサタイミング/ロジック回路120Aのロジックをリセットするように印加される。リセット信号はライン164上で生成され、リセット信号を使用して、図6のAV遅延タイマがリセットされる。SERVまたはSELV信号もまた使用して、心室ペーサタイミング/ロジック回路120VにおいてV−A補充間隔が始動され、各RVまたはLV CDWタイマ530または630において心室CDW時間が始動される。RVまたはLV CSペース/検知電極38および40または48および50の他の対においてR波を検知することなく、心室CDW時間がタイムアウトする場合、それぞれRVまたはLVペーシング出力パルス発生器534または634により心室ペースパルスが心室ペース/検知電極の他の対に送出される。
【0093】
V−A補充間隔がタイムアウトする場合、通常、心室ペースパルスが最初にRVペース/検知電極38および40にわたって送出され、RV CDW時間がRV CDWタイマ530において始まる。LV CSペース/検知電極48および50においてR波を検知することなく、心室CDW時間がタイムアウトする場合、LVペーシング出力回路634によって心室ペースパルスがLV CSペース/検知電極48および50に送出される。
【0094】
再び、RAおよびLA心房検知およびペーシング回路300および400に関して、RAおよびLA検知増幅器326および426の検知特性、CDW時間タイマ330および430のCDW時間ならびにペーシングパルス出力回路334および434のパラメータは、個別にプログラムされ、RAM/ROMチップ110に格納されることができる。同様に、RVおよびLV心房検知およびペーシング回路500および600に関して、RVおよびLV検知増幅器526および626の検知特性、CDWタイマ530および630のCDW時間ならびにペーシングパルス出力回路534および634のパラメータは、個別にプログラムされ、RAM/ROMチップ110に格納されることができる。さらに、両心室および両心房動作モードのいずれか、または両方は、任意選択で、特定の患者または特定の患者の状態の変化に対応するためにプログラム上でオフされることができる。たとえば、上述した両心房ペーシングモードをプログラム上でオンし、最適な心房伝導時間遅延を選択し、両心室ペーシングおよび検知機能をプログラム上でオフすることによって、先に参照した左心房頻脈性不整脈を処置することができてよい。逆に、両心房ペーシングおよび検知機能が選択的にプログラム上でオフされ、両心室ペーシングおよび検知機能が、最適にプログラムされて、正常な心房間伝導および異常に長い心室間伝導遅延を有する患者に対する治療が提供されてよい。
【0095】
上述した図6および図7の4腔ペーシングシステムは、たとえば、少なくとも1つの電流複製器を使用して、2腔DDDペーシングモードで動作する2腔AV順次ペーシングシステムとして選択的に構成されることができることが理解されよう。たとえば、左心房ペーシングおよび検知システム300および左心室ペーシングおよび検知システム600および関連する部品は、なくされるか、または、RAおよびRVのAV順次ペーシングおよび検知を行なわないようにプログラムされることができる。ここで、RA絶縁電流複製器325は上述した方法で動作する。したがって、図6および図7はまた、本発明を組み込むことができる、こうした2腔ペーシングシステムを示すことが理解されるべきである。
【0096】
図8について考えると、図8は、概略的に、図4および図6、図7の絶縁型電流複製器225、325、425、および625として使用可能なGMR絶縁型電流複製器を示す。GMR絶縁型電流複製器は、米国特許第6,252,390号、および、「Magnetically Coupled Linear Isolator」(IEEE Trans, on Magnetics, vol. 33, no, 5, September 1997, pp.4029-4031)と題するT.M. Hermann等による論文および「Monolithic 4-20mA Isolating Current Replicator using GMR Resistors」(ISSC98/Session 17/Sensor Technology/Paper SA 17.5)と題するW.L. Hui等による論文に記載される方法で、機能し、好ましくは作製される。
【0097】
最近、2つの主要表面(それぞれの上には、非等方的強磁性薄膜が形成されている)を有する分離材料からなる中間薄層の形態で磁界素子を設けることは、こうした「サンドイッチ」構造の強磁性薄膜および中間層の厚みが十分に薄く作られた場合、「巨大磁気抵抗効果(GMR)作用」をもたらすことがわかった。この効果は、こうした強磁性膜と中間層を特別に交互に並べたものを用いて、こうしたGMR素子を形成して超格子を形成することによって、増大されることができる。得られる増大したGMR効果は、よく知られている非等方的磁気抵抗応答による大きさより最大一桁大きい範囲内にある可能性のある、GMR抵抗器の磁気抵抗応答を生ずる可能性がある。
【0098】
米国特許第6,252,390号ならびにHermannおよびHuiの論文は、信号絶縁体内で生ずる磁場状態を磁気抵抗を用いて検知することに基づいた信号絶縁体を開示しており、信号絶縁体は、有利には、強磁性薄膜材料を用いて作製されることができる。こうした信号絶縁体は、モノリシックICの表面上に形成されることができて、それによって、絶縁体と絶縁体用の動作回路部の間に都合のよい電気接続部を設けることが可能になる。
【0099】
図8に示す各GMR絶縁型電流複製器225、325、425、および625は、クロスチャネル信号の伝導を阻止するために、互いから絶縁した集積回路として形成された入力電流ループ201と出力電流ループ205を備える。上述した好ましい実施形態において、入力電流ループ203は、1つまたは複数のブランキングスイッチによって、検知増幅器の入力およびペーシングチャネルのペーシングパルス回路の出力に結合される。出力電流ループ205は、高値負荷抵抗器212にわたってペーシング/検知チャネルのペース/検知電極と結合される。入力電流ループ203は、同じチャネルブランキング回路のブランキング回路スイッチによって同じチャネル検知増幅器入力に結合される。心臓脱分極信号は、クロスチャネルペーシングパルスの送出に続く、約5ミリ秒〜10ミリ秒、たとえば、7ミリ秒の短いブランキング期間後に、出力電流ループ205から入力電流ループ203へ伝えられることができる。出力電流ループ205は、GMR素子によって、入力電流ループ203に結合したペーシング回路部から絶縁されて、別のペーシングチャネルにおけるペーシングパルス送出に伴うクロスチャネル漏れ電流が、出力電流ループ205と結合したペース/検知電極対に印加されるのを防止する。
【0100】
図8において、4つの磁界に敏感なGMR抵抗器202、204、206、および208は、ICで作製した従来の演算増幅器(オペアンプ)210の入力端子、調整された電源、およびグラウンドに関して、ブリッジ構成で配置される。抵抗器202、204、206、および208は、高い磁気感度を示し、従来のICプロセスに容易に組み込まれるGMR材料で作られる。各GMR抵抗器202、204、206、および208の抵抗値は、それぞれのGMR誘導子コイル202’、204’、206’、および208’または各GMR素子を通して横切る電流信号によって作られる磁界の関数として変化する。逆に、各GMR抵抗器202、204、206、および208を横切る電流は、それぞれの誘導子コイル202’、204’、206’、および208’を通して電流を誘導する。
【0101】
入力電流ループ203は、それぞれ、磁界に敏感な抵抗器202および208の上に重なる誘導子コイル202’および208’を有するIC基板上に形成される入力電流搬送IC導体でできている。各GMR抵抗器202および208は、誘導子コイル202’および208’を通って入力電流信号によって作られる磁界がない場合に第1抵抗値を有する。入力電流信号が、入力電流搬送導体203に対して、かつ、それぞれ、コイル202’および208’を通して印加されると、磁界が各GMR抵抗器202および208上に生成され、それによって、その抵抗値の変化が生ずる。
【0102】
同様に、出力電流ループ205は、それぞれ、磁界に敏感な抵抗器204および206の上に重なる誘導子コイル204’および206’を有するIC基板上に形成される出力電流搬送IC導体でできている。各GMR抵抗器204および206は、電流信号がない時に第1抵抗値を、電流信号が、出力電流搬送導体205に印加され、それぞれ、コイル204’および206’に磁界を誘導する時に第2抵抗値を有する。この場合、出力電流ループ205の電流信号は、オペアンプ210か、出力電流ループに結合するペース/検知電極対を横切る電気信号のいずれかによって生成されることができる。
【0103】
IC上に形成されるオペアンプ210は、第1および第3巨大GMR抵抗器202および208に結合した第1増幅器入力、第2および第4巨大GMR抵抗器204および206に結合する第2増幅器入力、および出力電流ループ205に結合する増幅器出力を有する。入力電流ループ203の電流は、出力電流ループ205のオペアンプ210によって生成される、絶縁された等しいフィードバック電流によって平衡し、それによって、ペーシングパルスは、出力電流ループ205と結合するペース/検知電極対に送出されることができる。逆に、心臓脱分極信号が、ペース/検知電極から出力電流ループ205に伝導されると、心臓脱分極信号は、オペアンプ210のオペアンプ入力を不平衡にし、それによって、電流が入力電流ループ203に誘導され、心臓脱分極信号が複製される。
【0104】
ペーシングパルス回路によって生成されたペーシングパルスは、入力電流ループ203に印加され、信号電流によって、第1および第2GMR抵抗器202および208は抵抗値を変え、オペアンプ210の入力を不平衡にする。出力電流ループ205のオペアンプ210によって生成された信号は、ペーシングパルスを複製し、それによって、抵抗器212およびペース/検知電極対にわたって複製されたペーシングパルスを生成する。
【0105】
ペース/検知電極対を横切る心臓脱分極信号または他の電気信号によって、電流は、出力電流ループ205内に誘導され、第3および第4GMR抵抗器204および206は抵抗値を変える。抵抗値の変化は、オペアンプ210の入力に印加された電圧を変える。入力を再平衡化させるための、オペアンプ210によって引き出される電流によって、電流が、第1および第3GMR抵抗器202および208を通って引き出され、その電流が、各第1および第3GMR誘導子コイル202’および208’に電流を誘導し、その電流は入力電流ループ203を通って検知増幅器入力に印加される。
【0106】
図8に示すGMR絶縁型電流複製器225、325、425、および625は、標準的なバイポーラプロセスおよびCMOSプロセスを用いて集積化されることができ、実質的にハイブリッドの容積、ハイブリッドの費用(FAPC)を低減することができ、検知増幅器をペーシング出力回路から絶縁することについて、従来の方法と比べて、信頼性および患者の安全性を高めることができる。
【0107】
さらに好ましい実施形態において、MEMSで作製した絶縁変圧器を備えるモノリシック絶縁回路は、図4および図6、図7の絶縁型電流複製器225、325、425、および625として用いられるように取って代わる。こうしたモノリシック絶縁回路302は、図9に示されており、絶縁層310によって分離されたMEMSで作製された低損失入力および出力コイル306および308を備え、絶縁層は、入力コイル306を出力コイル308から絶縁させる。この設計は2500ボルトのスタンドオフを提供する。再び、この技術は、上述した同様な利点を可能にする標準的なCMOSウェハ312の上部に集積化されるであろう。
【0108】
上述の好ましい実施形態において、GMR絶縁型電流複製器またはMEMSで作製した絶縁変圧器は、それぞれのCDWSおよびCDWPを、0ミリ秒から任意の好ましい上限までの範囲でプログラムすることを可能にすることが理解されるであろう。CDWPおよびCDWSが0ミリ秒でプログラムされている時、右または左心腔の一方における検知された事象またはペーシングされた事象は、他の心腔に対するペーシングパルスのほぼ同時の送出をトリガーする。プログラム可能な最大CDWSおよびCDWPは、図1に示す生理的活性化シーケンス伝導遅延を補償するために約100ミリ秒であると想定される。すなわち、長いCDWをプログラムして、伝導された脱分極を検知すること、および、右および左心腔ペース/検知電極の任意の対間での実際のペーストリガーされた伝導遅延または自発性伝導遅延を測定することが可能になる。すなわち、右心腔と左心腔の間の伝導がない場合、長いCDWをプログラムして、1つの心腔における検知されたかペーシングされた事象に続いて、他の心腔に対して遅延の非常に長いペーシングパルスを送出して、右および左心腔の脱分極の特定の治療タイミングを得ることができる。
【0109】
しかし、上述したペーシングシステムは、動作が単純化されてもよく、それでも、上述したGMR絶縁型電流複製器またはMEMSで作製した絶縁変圧器を用いる恩恵を享受することが理解されよう。たとえば、ペーシングモードは、上述した禁止されたモードではなくCDWをタイムアウトしない付託されたモードにプログラムされて、それによって、RHCおよびLHCペーシングパルスは、先行するペーシングパルスまたは検知事象から計時されたペース遅延後に、同時かあるいは所定の右−左または左−右シーケンスで、常に送出される。この場合、単純な遅延または遅延窓は、条件付きでなく、タイムアウトによって、それぞれ、LHCまたはRHCペーシングパルスの送出をもたらす、通常、A−A遅延(心房)またはV−V遅延(心室)と呼ぶ、RHCまたはLHCのペーシングパルスすなわち検知された事象からタイムアウトされる。したがって、「遅延窓」は、こうしたA−A遅延またはV−V遅延、あるいは、RHC−LHCの実施形態における種々のタイプの上述したCDWのことを言ってよい。
【0110】
したがって、本発明は、単一心腔内、すなわち、選択された上部および下部ならびに右および左心腔の中の、少なくとも第1および第2部位においてペーシングおよび検知を行う任意のペーシングシステムで実施できることを理解することができる。両心房または3腔または4腔ペーシングシステムにおいて、第1部位は、右心房および左心房の一方であり、第2部位は、右心房および左心房の他方である可能性がある。両心室または3腔または4腔ペーシングシステムにおいて、第1部位は、右心室および左心室の一方であり、第2部位は、右心室および左心室の他方である可能性がある。AV順次ペーシングシステムにおいて、第1部位は心房心腔および心室心腔の一方であり、第2部位は、心房心腔および心室心腔の他方である可能性がある。
【0111】
2極心房および/または心室リード線システムが、図面に示され、上述されているが、本発明は、右および左心腔内のまたはそのまわりの図示した位置の単一ペース/検知電極、および図2、図3および図5のIPG12のハウジングの外面の一部として形成された遠隔電極20を使用する単極リード線システムと共に使用されてよいことが理解されるであろう。さらに、RA、LA、RV、およびLV上またはその内部の電極部位に設置されるようになっている、図示したリード線およびペース/検知電極の代わりに、他のリード線およびペース/検知電極を用いてもよい。
【0112】
前述の具体的な実施形態は本発明の実施を例示している。したがって、本発明または添付特許請求項の範囲から逸脱することなく、当業者に知られているか、本明細書で開示される他の手段を使用してよいことが理解されるべきである。したがって、添付特許請求項の範囲内で、本発明の精神および範囲から実際に逸脱することなく、具体的に述べた方法以外の方法で本発明を実施してよいことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】心臓脱分極波の、心臓を通る正常な電気的活性化シーケンスでの伝達を示す図である。
【図2】本発明が実施される2腔の両心房ペーシングシステムを示す略図である。
【図3】本発明が実施される2腔の両心室ペーシングシステムを示す略図である。
【図4】図2および図3のシステムで使用される、右および左心腔IPGのための、本発明の回路部の単純化したブロック図である。
【図5】本発明が実施される3腔または4腔の両心房および/または両心室ペーシングシステムを示す略図である。
【図6】右および左、上部および下部の心腔を選択的にペーシングするために、4ペーシング腔を提供するためか、選択的に3ペーシング腔を選択的にプログラムするための、図5のシステムで使用される本発明のIPG回路部の一実施形態の単純化したブロック図の一部である。
【図7】右および左、上部および下部の心腔を選択的にペーシングするために、4ペーシング腔を提供するためか、選択的に3ペーシング腔を選択的にプログラムするための、図5のシステムで使用される本発明のIPG回路部の一実施形態の単純化したブロック図の一部である。
【図8】本発明による、図4および図6、図7の回路部のN個の検知増幅器のうちの最大N−1個の検知増幅器を、関連するペース/検知電極対から絶縁するための、GMR素子を使用した、ブリッジ構成の例示的な絶縁電流複製器回路の略図である。
【図9】MEMS作製技法を使用して形成された絶縁型電流複製器の略図である。
【0001】
本発明は、単一心腔ペーシング、または、少なくとも1つの上部心腔と1つの下部心腔におけるAV順次ペーシングおよび検知を含む多腔ペーシング、および/または、2心腔、3心腔、または4心腔におけるペーシングおよび検知を含む両心房ペーシングまたは両心室ペーシングにおいて複数部位ペーシングを行う心臓ペーシングシステムに関し、特に、ある部位またはある心腔と連結した検知増幅器の少なくとも1つの入力において小型電気絶縁回路部を使用して、別の部位または別の心腔におけるペーシングパルスの送出に続く心臓脱分極の検知を改善することに関する。
【0002】
心血管系は、体の種々の構造に酸素化された血液を供給する。正常に機能する心臓において、酸素化血液に対する体の要求は変わり、心臓は、要求を満たすために、心拍数および収縮力を増減することによって反応する。心底に近い上部右心房壁の洞房結節が生成した電気信号は、上部心腔、すなわち、右心房および左心房を通って伝導され、右心房および左心房が、同期して収縮するようにさせる。上部心腔の収縮によって、上部心腔内にたまった血液が、開いた心臓弁を通して右心室および左心室すなわち下部心腔内に押し出される。心房電気脱分極波は、心室の上方のAV結節に達し、心室脱分極波の伝導がトリガーされ、右心室と左心室の間の隔壁内のヒス束を下方に向かって、心尖へと導かれる。その後、脱分極波が、心臓の外部心室壁を通って、上方へ、後方へ、および前方へ進むにつれて、心室は、洞房結節脱分極に続く短い房室(AV)遅延時間後に収縮する。下部心腔は、収縮し、血液を体の血管系を通して循環させる。心室腔を最大限空にする右心室および左心室の収縮は、組織化された方法で進行する。心房腔および心室腔の同期した電気脱分極は、電気的に検知され、表示されることができ、電気波形は、一般に受容された習慣により「PQRST」群として特徴付けられている。PQRST群は、心房脱分極波に対応するP波、心室脱分極波に対応するR波、および心臓細胞の再分極を表すT波を含む。
【0003】
種々の疾病機構は伝導障害を生じ、伝導障害は、正常の心臓刺激伝導系に干渉し、体に適切な心拍出量を供給する心臓の能力に影響を与える。ある疾病機構において、洞房結節は、酸素化血液に対する要求を満たすのに必要とさるのと同じ程度に速く脱分極し、P波を始めることができないか、または、心房は、心室の反応能力を十分に超えるレートで自発的に脱分極する可能性がある。こうした状況において、心室は、異所性脱分極部位から自発的に脱分極することによって、補償する場合がある。SA結節が正しく働いている他の場合において、1:1の心房および心室脱分極同期が失われるが、その理由は、AV結節が全てのP波に反応できないか、または、ヒス束の欠陥が心室脱分極の伝導に干渉するからである。これらの場合の全てにおいて、心室は、適切でないレートで収縮して、適切な心拍出量を供給する可能性がある。
【0004】
心房または心室があまりにゆっくり収縮する時に、患者は、うまく機能しない心腔に、十分な心拍出量を回復するペーシングレートでペーシングパルスを印加することによって、心拍数を回復させるための心臓ペースメーカ埋め込みの対象となる可能性がある。最新の埋め込み可能心臓ペースメーカは、埋め込み可能パルス発生器(IPG)、および、IPGから心腔に対して設置された1つまたは複数のペース/検知電極に延びて、ペーシングパルスを送出し、P波またはR波を検知するようにする1つまたは複数のリード線を備える。通常、リード線は、経静脈的に、上大静脈および右心房を介して特定の心腔に導入され、ペース/検知電極は、リード線の遠位端の固定機構によって心臓組織との接触を維持される。しかし、リード線は、IPGと心臓の外部の間で皮下に配置され、ペース/検知電極は、所望の部位の心外膜に取り付けられてよい。さらに、心内膜冠状静脈洞リード線は、右心房を通って冠状静脈洞および大静脈内に導入されて、ペース/検知電極が左心房または左心室に近接して設置されるようにする。
【0005】
単腔型のデマンドペースメーカを埋め込んで、単一の上部または下部心腔、通常、右心房または右心室にペーシングパルスが、当該腔の徐脈に応答して供給される。AAIペーシングモードで動作する心房のデマンドペースメーカにおいて、心房補充(逸脱)間隔タイマによって計時された心房補充間隔(A−A間隔)内で、心房ペース/検知電極に結合した心房検知増幅器によってP波が検知されない場合、心房ペーシングパルスがIPGによって、心房ペース/検知電極に送出される。VVIペーシングモードで動作する心室のデマンドペースメーカにおいて、心室補充間隔タイマによって計時された心室補充間隔(V−V間隔)内で、心室ペース/検知電極に結合した心室検知増幅器によってR波が検知されない場合、心室ペーシングパルスが、心室ペース/検知電極に送出される。
【0006】
2腔型のデマンドペースメーカを埋め込んで、1つの上部心腔および1つの下部心腔、通常、右心房および右心室に対して、必要とされる時に、ペーシングパルスが供給される。DDDペーシングモードで動作する2腔型のデマンドペースメーカにおいて、AAIおよびVVIペーシングモードは両方とも、先に決めた条件下で起こる。心房検知増幅器によるP波の検知から計時したAV時間間隔内で、心室ペース/検知電極に結合した心室検知増幅器によってR波が検知されない場合、心室ペーシングパルスが、心室ペース/検知電極に送出される。
【0007】
何年間にもわたって、心腔の徐脈および頻脈の両方を含む種々の伝導障害は、少なくとも1つの電極部位で検知された脱分極と同期して、心腔内または心腔のまわりに位置決めされた複数の電極部位で印加された刺激によって利益を得るであろうと提案されてきた。さらに、伝導欠陥を補償するために、また、1つの上部心腔または下部心腔で本来起こる脱分極が、他の上部心腔または下部心腔に十分に高速に伝導しないうっ血性心不全においてペーシングを使用することが提案されてきた。こうした場合、右心腔および左心腔は、互いに最適に同期しては収縮せず、心拍出量は、タイミング不平衡によって被害を受ける。他の場合には、左心房または左心室の自発性脱分極は、これらの左心腔の異所性病巣で発生し、自然な活性化シーケンスが著しく乱される。こうした場合、右および左心腔の収縮が、心腔から血液を噴出させるのに十分に同期しないため、心拍出量が低下する。
【0008】
うっ血性心不全を患う患者において、心臓は拡張し、心腔の伝導および脱分極シーケンスは、心房内伝導欠陥(IACD)、左脚ブロック(LBBB)、右脚ブロック(RBBB)、および心室内伝導欠陥(IVCD)を示す場合がある。右心房および/または右心室の単腔ペーシングおよび2腔ペーシングは、こうした場合、欠陥のある伝導経路およびペース/検知電極の場所しだいでは逆効果を生じる可能性がある。
【0009】
同一譲受人に譲渡された米国特許第5,902,324号およびその特許において開示された引例において述べられたように、ペーシング治療を行って、これらの状態を軽減し、左右、上下心腔の同期した脱分極を回復するようにする多くの提案が提唱されてきた。通常、右心房は、A−A補充間隔の終了でペーシングされ、左心房は、同時にペーシングされるか、または、短い遅延時間後に同期してペーシングされる。同様に、右心室は、V−V補充間隔の終了でペーシングされ、左心室は、同時にペーシングされるか、または、短い遅延時間後に同期してペーシングされる。これらの特許のあるものは、「両心室」または「両心房」のデマンドペーシング機能またはトリガーされたペーシング機能を有するDDDペーシングの限定された形態を提案している。補充間隔の終わり、または、AV遅延(「ペーシングされた事象」)の終わりに送出されたペーシングパルスは、他の心腔に対してペーシングパルスの同時のまたは少し遅れた送出をトリガーする。
【0010】
先に参照した米国特許第5,902,324号は、補充間隔またはAV遅延の終わりに右心腔(RHC)または左心腔(LHC)をペーシングすることを提案している。RHCまたはLHCのうちの他方の心腔におけるペーシングは、伝導された脱分極が、その他方の心腔において、ペース/検知電極の場所に関連し、その特許では伝導遅延窓(CDW)と呼ぶ生理的時間の間に検知される場合には禁止される。
【0011】
これらの手法は、右および左心臓脱分極波の重大な伝導障害を有する疾患のある心臓において右および左心腔の同期した収縮を回復させる見込みのあることを示しているが、生理的な方法で右および左心臓の同期性を保つことができない。右心房と左心房間の重大な伝導障害によって、右心房ペーシングまたはP波の検知と同期して左心房をペーシングすることによって抑圧することができる左心房粗動または細動を生ずる可能性がある。そして、特に、心不全を病む患者において、左心房および左心室心拍出量は、左および右心腔の同期性が回復される時に著しく改善される可能性がある。
【0012】
上述したペーシングシステムの全ては、デマンドモードおよび/またはトリガーされたモードおよび/または同期モードで動作し、それらのモードは、電磁干渉(EMI)の存在下で、かつ、ペーシングパルスの送出に続く出来る限り短時間において、1つまたは複数の部位すなわち心腔においてP波および/またはR波を正確に検知する能力に依存する。単腔、複数腔または複数部位ペーシングシステムの各ペーシング部位について、「ペーシングチャネル」は、リード線、ペーシング出力回路、検知増幅器、およびその部位用のペース/検知電極対に延びるリード線に結合した関連回路部によって決まる。検知増幅器の入力および出力回路の出力コンデンサは、一般に、それぞれのペース/検知電極対に結合する。ペーシングパルスは、ペーシングチャネルのペース/検知電極対に送出され、ペース/検知電極対において、ペース/検知電極の少なくとも一方はペーシング部位にあり、他方の不関ペース/検知電極は、2極ペーシングおよび検知を行うために電極に近いリード線上に設置されるか、または、単極ペーシングおよび検知を行うために、より遠隔の場所、たとえば、IPGの容器または筐体に設置される。いずれ場合も、全てのペーシングチャネルの不関ペース/検知電極は全て、通常、共通して、かつ、ペーシング回路部の共通接地回路に電気接続される。バッテリもまた、通常、共通接地回路に接続される。ペーシング出力回路の低抵抗値カップリング部品もまた、漏れ電流を、2つ以上のペーシングチャネルのペース/検知電極対の活性ペース/検知電極に伝導することができる。
【0013】
いくつかの理由で、同じチャネルまたは別のチャネルへのペーシングパルスの送出に続く期間の間に、ペーシングされた脱分極または自発性脱分極によって引き起こされたP波、R波、またはPQRST群の他の信号を検知することは難しいことが多い。リード線導体、ペース/検知電極対と心臓組織すなわち流体との「電極−組織界面」、および、ペース/検知電極対間の大量の心臓組織すなわち流体は、出力回路の出力およびペーシングチャネルの検知増幅器の入力に提示される容量性―抵抗性リアクタンスを含む。ペーシングパルスは、通常、充電された出力コンデンサが、出力コンデンサと直接結合したペーシングチャネルの容量性―抵抗性リアクタンスに部分的に放電することによって送出され、ペーシングパルスとペーシングパルスの間の間隔の間に、出力コンデンサが再充電される。ペーシングパルスエネルギーは、意図された「同じチャネル」のペース/検知電極対に直接送出されるが、漏れ電流すなわち「クロストーク」は、ペーシングシステムの共通接地およびカップリング部品を通ってペース/検知電極対または未ペーシングのペーシングチャネルへ「クロスチャネル」で伝導される可能性がある。
【0014】
それぞれが、組織固有の双極子モーメントの分極をもたらす放電電流または漏れ電流によって組織−電極界面の電気的平衡状態が破壊されているため、出力コンデンサの放電によって、それぞれ同じチャネルまたはクロスチャネルの後作用が生ずる。これらの刺激が起こした「後電位」は、ペース/検知電極対に結合した従来のペースメーカ検知増幅器に対して、ペーシングパルス送出に続いて、電気的平衡状態が回復するまでのある時間枠の間持続する減衰電圧信号として現れる。これらの後作用は、刺激パルスの送出の直後に続くか、または、送出によって生ずる心臓の脱分極を検知する検知増幅器の能力を妨害する。
【0015】
米国特許第4,476,868号、第4,406,286号、第3,835,865号、および第4,170,999号で例示されたように、ペーシングパルスの後縁に追従してペース/検知電極対を通して送出される「高速再充電」電流によって、ペーシングパルスの後電位を中和し、同時に出力コンデンサを再充電する種々の試みが従来技術において行なわれてきた。しかし、単に十分な電流を電極−組織界面を通って流して出力コンデンサを再充電しても、必ずしも電極−組織系がそれ以前の平衡状態に戻らない。別法として、米国特許第4,498,478号に開示されたように、単にパルスの送出に続いてパルス送出に関わる電極をいっしょに結合すること、または、米国特許第4,811,738号に開示された低エネルギーパルス列によって、刺激パルス送出の後作用を中和することが提案されてきた。
【0016】
米国特許第5,902,324号に記載されているように、また、同一譲受人に譲渡された米国特許第5,156,149号において、集積回路(IC)技術が採用された時以来、実質的に信号源を装備しない非常に高いインピーダンスのP波およびR波検知増幅器がペーシングシステムにおいて使用されてきた。検知増幅器は、同一譲受人に譲渡された米国特許第4,275,737号、第4,379,459号、および第4,649,931号の教示を反映して、たゆまない開発および工夫を受けてきた。しかし、心臓により生成される低レベル信号を検知するために高いインピーダンスおよび高い利得を必要とする、基礎にある設計哲学は、何年にもわたって同じのままである。バンドパスフィルタ、時間領域フィルタリング、および振幅しきい値比較は、使用され続けて、EMI、および、同じチャネルまたはクロスチャネルのペース/検知電極対に印加された以前のペーシングパルスから存続する同じチャネルおよびクロスチャネルの後電位からP波またはR波が見分けられる。従来技術の高入力インピーダンス検知増幅器回路は、検知増幅器の入力端子に結合したペース/検知電極間で送出されたか、または、他の心腔または他の部位のペース/検知電極間で送出されたペーシングパルスによって容易に飽和する。
【0017】
米国特許第3,757,791号、第3,766,413号、および第3,814,106号に示されるように、初期のAV順次の、DVI2腔ペーシングシステムが開発された時、絶縁変圧器によって、心室ペース/検知電極から心房検知電極を電気的に絶縁することが都合がよいということが見出された。しかし、比較的かさばる巻線変圧器を使用するこの手法は、IPG回路部の小型化を可能にするIC作製技術の採用および十分に小さく信頼性のあるディスクリート部品変圧器を得ることができないことによって放棄された。
【0018】
たとえば、同一譲受人に譲渡された米国特許第4,310,000号に記載されるように、個別のリード線導体および電極をペーシングパルス出力回路および検知増幅器入力端子に専用にすることによって、検知機能とペーシング機能の間の相互作用を最小にすることも提案されてきた。しかし、リード線サイズおよび制限されたIPG筐体フィードスルー空間およびコネクタサイズの考慮事項によって、これまで上記のように共有されるペース/検知電極を有するIPGコネクタおよびリード線システムの使用が余儀なくされてきた。
【0019】
これまでのところ、同じチャネルペース/検知電極対にわたってペーシングパルスを送出することによって、または、任意の他のペーシングチャネルのペース/検知電極対へペーシングパルスを送出することによって始動する所定の「ブランキング」期間の間、検知増幅器入力端子が、通常、ペース/検知電極から切り離されてペーシングパルスエネルギーによる飽和を防止するのに役立つ。ブランキング期間は、通常、さらなる時間枠の間延びて、電極−組織界面での後電位が、対象の心臓信号を確実に検知するのに十分に消散することを可能にする。ブランキングスイッチは、通常閉じているが、ブランキング期間の間開いている検知増幅器入力の1つまたは両方と直列に接続されている単一FETスイッチ、および/または、通常開いているが、ブランキング期間の間閉じている入力端子にわたって結合している別のFETスイッチを通常備える。例示的なブランキング回路部は、たとえば、同一譲受人に譲渡された米国特許第4,401,119号に開示されている。通常の同じチャネルブランキング期間は持続期間が約100ミリ秒であり、通常のクロスチャネルブランキング期間は、現代のペースメーカIPGにおいて約30ミリ秒である。
【0020】
IC作製を採用する前は、検知増幅器は、ハイブリッド回路部として組み立てられた、むしろかさばるディスクリート部品で作られた。単腔ペーシングシステムにおいて、検知増幅器出力信号が下流のペースメーカ回路部によって用いられることを防止することによって、ブランキングが行なわれた。検知増幅器およびペーシング出力回路部は、ハイブリッドパッケージ内に搭載されたディスクリート部品およびバイポーラICを使用して作製された。タイミング機能および制御機能は、最近は、マイクロプロセッサ、メモリおよび関連する部品を組み込み、マイクロコンピュータを形成する、デジタルIC作製技法を使用して実施され基板上に搭載された。ごく最近では、単一チップ上の一定のディスクリート部品を除く、ペーシングIPG回路部の全てを統合する、リニアで、かつミクロン以下のCMOS作製技法が採用された。この技法は、電圧絶縁破壊および回路クロストークが少ないために、ブランキング期間を短くすることをますます難しくしてきた。
【0021】
米国特許第5,902,324号を参照して上述した両心房または両心室検知およびペーシングシステムの状況において、たとえば、5〜10ミリ秒と100ミリ秒の間のペースパルスまたは、他の心腔における検知事象に応答して1つの心腔における伝導した脱分極を検知するようにCDWをプログラムすることが望ましいであろう。CDW時間は、右および左心腔ペース/検知電極の身体的場所および電極間の正常伝導時間遅延によって決まる。この範囲において、他方の心腔において送出され、計時されている心腔内のペース/検知電極に反映されたペースパルスからの後電位は、CDW時間内に発生する伝導した心臓脱分極の任意の根元的な形跡を不明にするであろう。通常の100ミリ秒のブランキング期間を用いて後電位問題を克服することによって、検知増幅器が伝導した脱分極波を検知するのが妨げられるであろう。
【0022】
米国特許第5,902,324号において、ペース/検知電極対を2つの電極の極として扱い、2つの電極の極を装備して、通過する波面によってリード線システム内に注入される電流量を測定するようにする「電界密度クランプ」回路が使用されることが提案されている。電界密度クランプ検出システムは、この検出戦略が、リード線システムを通して励起可能な組織にペーシングエネルギーを送出することによって生ずる、いわゆる「電極分極」効果に比較的感度がないために、ペーシングおよび検知機能が電極の極を共有するシステムに特に適していることが主張されている。動作時、能動回路部は、2つの極の間で平衡状態を維持するのに必要な電界密度を確立し維持する。通過する波面によって生ずる電界擾乱は、電極での電位を平衡させようと試みる能動回路部によってゼロにされる。このゼロ状態を維持するのに必要な、仮想負荷を通って電極表面に供給される電流量は、監視され、通過する脱分極波面の検出に対する基準を形成する。仮想負荷の両端の電圧を監視し、その電圧を電流測定値と掛け算して、通過する脱分極波面によって電極システムに送出される電力の特徴を表すことも好ましい。残念ながら、この検知概念は本質的に、たとえば、従来の検知増幅器と比較して頻脈性不整脈エピソード中に、高い検知レートでの許容できない電流ドレインを含み、いくつかの信号源からEMIを受け易い。
【0023】
上述した例の全てにおいて、また、当業者にとって思いつくであろう他の例において、ペース/検知電極対にわたって伝導した、すなわち、本来の心臓脱分極を、同じか、または異なる対のペース/検知電極へペーシングパルスを送出した後に検知するのに使用される検知増幅器のブランキング期間を減らすことが依然として望ましい。ブランキング期間の低減は、ペーシングシステムのサイズを増加させず、IPGバッテリからの電流消費を増やさない方法で行われなければならない。
[発明の概要]
したがって、本発明は、少なくとも2つの部位または心腔でのペーシングシステムにおいて、ペース/検知電極対にわたって心臓脱分極を、同じか、または異なる対のペース/検知電極へペーシングパルスを送出した後に検知するのに使用される検知増幅器のブランキング期間を減らすことを対象とする。本発明は、ペース/検知電極対と結合した出力電流ループおよび検知増幅器入力に結合した入力電流ループを備えるモノリシック絶縁回路手段を組み込み、入力および出力電流ループは、集積回路導体として形成され、検知された心臓脱分極の絶縁型電流複製器として働く。N個の検知増幅器チャネル内にN個の検知増幅器を有する複数部位または複数腔ペーシングシステムにおいて、N−1個の絶縁型電流複製器が、ペース/検知電極と最大N−1個の検知増幅器の入力間の回路内にある。
【0024】
好ましくは、それぞれの絶縁型電流複製器もまた、ペーシングパルス発生器とチャネルのペース/検知電極対の間の回路内にある。出力電流ループは、チャネルのペース/検知電極対と結合し、入力電流ループは、検知増幅器の入力およびペーシングパルス発生器の出力の両方と結合する。この実施形態において、入力電流ループへ送出されるペーシングトリガーパルスは、出力電流ループで複製され、ペース/検知電極へ送出されるが、ペース/検知電極および出力電流ループを横切る心臓信号は、入力電流ループで複製され、検知増幅器に供給される。
【0025】
入力電流ループおよび出力電流ループは、互いに絶縁され、その結果、出力電流ループ、およびペーシングチャネルのペース/検知電極対を含む出力電流ループと結合した部品は、ペーシング回路部から切り離され、別のペーシングチャネルのペース/検知電極対へペーシングパルスを送出することに伴う漏れ電流から絶縁されている。出力電流ループは、入力電流ループに結合したペーシング回路部から絶縁されて、別のペーシングチャネルにおいてペーシングパルスを送出することに伴うクロスチャネル漏れ電流が、出力電流ループと結合したペース/検知電極対に印加されることを防止するようにする。したがって、後電位は、絶縁されたペース/検知電極対上で生成せず、ブランキング期間は、大幅に減らすことができる。
【0026】
好ましくは、第1ブランキング期間は、ペーシングパルスが、入力電流ループに接続されている同じチャネルのペース/検知電極対に送出される時に、電流複製器入力電流ループと結合したそれぞれの検知増幅器に対して始められる。第2ブランキング期間は、クロスチャネルペーシングパルスが、入力電流ループに接続されている異なるペース/検知電極対に印加される時に始められる。後者の場合、ブランキング期間は、ゼロまたはペーシングパルス幅、および関連する再充電時間または約5ミリ秒〜約10ミリ秒に設定されることができる。前者の場合、ブランキング期間は約50ミリ秒〜約100ミリ秒の範囲に設定されることができる。
【0027】
一実施形態において、絶縁型電流複製器は、巨大磁気抵抗効果(GMR:Giant Magneto-Resistive))素子、を使用して形成され、それぞれのGMRは、モノリシック形態絶縁プレーナセルで作製され、従来のVLSI回路部に組み込まれたGMR抵抗器と連結したGMR誘導子を備える。入力および出力電流ループは、GMR抵抗器と連結したGMR誘導子を用いて形成され、GMR抵抗器は、次に、ブリッジ回路において演算増幅器の入力と結合する。出力電流ループは、演算増幅器の出力およびペーシングチャネルのペース/検知電極対と結合する。入力電流ループは、検知増幅器の入力およびペーシングチャネルのペーシングパルス発生器の出力と結合する。
【0028】
さらなる実施形態において、絶縁型電流複製器は、低損失入力および出力コイルを備える微小機械作製式(MEMS)絶縁変圧器でできており、低損失入力および出力コイルは、入力コイルを出力コイルから絶縁する絶縁層によって分離されている。
【0029】
本発明は、種々の複数部位および複数腔ペーシングシステム、好ましくは、上部心腔および下部心腔において、あるいは2つの上部心腔において、あるいは2つの下部心腔において、あるいは3つまたは4つの心腔においてペーシングおよび検知を行い、必要であれば、上部心腔および下部心腔および/または右心腔および左心腔を同時にペーシング可能にする複数腔ペーシングシステムにおいて実施されることができる。本発明のこうしたペーシングシステムは、上述した複数腔ペーシングシステムの問題および制限を克服し、個々の患者の心臓のニーズに対して送出されるペーシング治療を調整するのに大きな柔軟性を提供する。
【0030】
絶縁型電流複製器は、従来の容量性放電ペーシング出力回路および検知増幅器と共に使用されることができるので有利である。
さらに、ペース/検知電極と結合した絶縁型電流複製器によって、他の腔における自発性または誘発性脱分極から伝導された自発性および誘発性脱分極の形態が解析されて、伝導経路の異常(pathology)を確定することが可能になる。
【0031】
本発明は、進行したうっ血性心不全を病んでおり、IACD、LBBB、RBBB、および/またはIVCDを示す患者に対して、右および左心臓ペーシングを提供する時に多数の利点を提供する。CDWがタイムアウトになる特定の場合、ペーシングパルスまたは自発性脱分極から他の心腔への非常に短いCDW内で、右または左心腔のうちの一方の心腔において伝導した誘発性または自発性脱分極を検知する能力が、絶縁型電流複製器の使用によって増す。それぞれの制御用CDW内で検出された検知事象によってペーシングパルスの送出を禁じることによって寿命が増す。IPGの種々の動作モードおよび各CDWおよび各AV遅延は、長期にわたる埋め込み中にプログラムされて、患者の状態が改善するか、または悪化する時の底流にある電気活動シーケンスの観察される変化に対して調整される。
【0032】
本発明のこれらのおよび他の目的、利点、および特徴は、図面と共に考えると、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより容易に理解されるであろう。図面においては、同じ参照数字は、いくつかの図面を通して同じ構造を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下の詳細な説明において、本発明を実施する例示的な実施形態に言及されるが、例示的な実施形態では、絶縁型電流複製器回路が、ペース/検知電極と、N個の検知増幅器を備えるペーシングシステムの最大N−1個の検知増幅器の検知増幅器入力との間に設置される。本発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態が利用されてよいことが理解される。たとえば、左および右心腔の脱分極および収縮における同期性を回復して、左および右心腔の徐脈を処置するようにするための、要求に応じ、かつトリガーされたペーシングモードで動作する2腔ペーシングシステムまたはペースメーカの環境で利用された本発明の第1の好ましい実施形態が以下で開示される。上部心腔および下部心腔の右および左心腔の脱分極における同期性を回復するための、AV順次動作モードを有する4腔ペーシングシステムまたはペースメーカの環境において本発明の第2の好ましい実施形態もまた開示される。4腔ペーシングシステムは、上部または下部ペーシング腔のうちの一方を選択的に使用不能にすることによって、3腔ペーシングシステムとして働くように構成可能である。本明細書に詳細に記載される、2腔、3腔、または4腔ペーシングシステムおよび方法が埋め込まれ、単一心腔における、または、2つの心腔間の電気伝導擾乱の処置に使用することができることも理解されるであろう。
【0034】
本発明は、DDDまたはDDDRペーシングモードで動作する2腔ペーシングシステムまたはペースメーカの環境で実施されることができることもまた理解されるであろう。
本発明を利用して、心房頻脈性不整脈が抑制されることができ、本発明が、特効のある高レートペーシングおよびカーディオバージョンショック治療を含む抗頻脈性不整脈システムに全体として組み込まれて、診断された不整脈を処置するために段階的な治療を供給することができる。
【0035】
図1は、正常心拍数での正常電気的活性化シーケンスでの、心臓10の右心房(RA)、左心房(LA)、右心室(RV)、および左心室(LV)を通る心臓脱分極波の伝達を示す図であり、先に参照した米国特許第5,902,324号に記載されているように、伝導時間が図上に秒で示されている。心周期は、通常、右心房壁の洞房(SA)結節での脱分極インパルスの生成、心房レベルでのバッハマン(Bachmann)束の心房伝導経路および節間路(Internodal tract)を通って左心房中隔に入るインパルスの伝達によって始まる。RA脱分極波は、約40ミリ秒以内で房室(AV)結節および心房中隔に達し、約70ミリ秒以内でRAおよびLAの最も遠い壁に達し、心房は、結果としてその収縮を完了する。集合的なRAおよびLA脱分極波は、外部ECG電極にわたって検知され表示されると、PQRST群のP波として現れる。それぞれ、RAまたはLA上に、またはそれに隣接して設置された単極または2極ペース/検知電極対の間を通過する心房脱分極波の成分はまた、検知されたP波と呼ばれる。外部ECG電極または埋め込まれた単極心房ペース/検知電極の場所および間隔はある程度影響するが、正常P波幅は、こうした電極と結合した高インピーダンス検知増幅器によって測定されると、幅が80ミリ秒を超えない。間隔が密な2極ペース/検知電極間で検知され、RAまたはLA内に、またはそれに隣接して設置された正常な近場(near field)P波は、高インピーダンス検知増幅器によって測定されると、わずか60ミリ秒の幅しか有しない。
【0036】
AV結節に達する脱分極インパルスは、約120ミリ秒の遅延後、心室間中隔のヒス束を下方へ分散する。脱分極波は、約20ミリ秒後に心臓尖部(apical)領域に達し、その後、残りの40ミリ秒にわたって、プルキンエ線維網を通って上方へ進む。集合的なRVおよびLV脱分極波および脱分極した心筋の再分極を伴う後続のT波は、外部ECG電極にわたって検知され表示されると、PQRST心周期群のQRST部と呼ばれる。それぞれ、RVまたはLV上に、またはそれに隣接して設置された単極または2極ペース/検知電極対の間を通過するQRS心室脱分極波の最も振幅の大きい成分はまた、検知されたR波と呼ばれる。外部ECG電極または埋め込まれた単極心室ペース/検知電極の場所および間隔はある程度影響するが、正常R波幅は、高インピーダンス検知増幅器によって測定されると、幅が80ミリ秒を超えない。間隔が密な2極ペース/検知電極間で検知され、RVまたはLV内に、またはそれに隣接して設置された正常な近場R波は、高インピーダンス検知増幅器によって測定されると、わずか60ミリ秒の幅しか有しない。
【0037】
この正常電気的活性化シーケンスは、進行したうっ血性心不全を病み、IACD、LBBB、RBBB、および/またはIVCDを示す患者において非常に乱れる。これらの伝導欠陥は、ヒス束、右および左束分岐、またはより遠位のプルキンエ終端に沿う伝導不良により、RVとLVの間の大きな非同期性を示す。通常の心室内ピーク−ピーク非同期生は、80〜160ミリ秒以上の範囲である。RBBBおよびLBBBの患者において、QRS群は、表面ECG上で測定されると、正常範囲をはるかに超えて、120ミリ秒〜250ミリ秒に広がる。この増加した幅は、右および左心室脱分極および収縮の同期性の欠如を実証している。
【0038】
本発明のある実施形態によれば、図1の脱分極シーケンス、および適当な心拍出量に寄与する、右および左心房および心室心腔間の同期性を回復するための方法および装置が提供される。この回復は、必要に応じて各心腔に対して最適にタイミングを取った心臓ペーシングパルスを供給すること、および、各心腔に対してペース/検知電極の特定の埋め込み部位を調節することによって行なわれる。
【0039】
上述したように、従来技術では、非常に高いインピーダンスのP波およびR波検知増幅器を用いて、心臓脱分極の通路によってペース/検知電極にわたって生成される、低振幅電流または電圧差信号を増幅するようにすることが一般的であった。高インピーダンス検知増幅器は、高利得を用いて、低振幅信号を増幅し、パスバンドフィルタ、時間領域フィルタリングおよび振幅しきい値比較によって、P波またはR波を背景電気雑音から区別する。さらに、検知増幅器は、検知増幅器の飽和を回避するために、ペーシングシステムのペース/検知電極の任意の電極に対してペ−シングパルスを送出した後、最大100ミリ秒までのブランキング期間の間、ペース/検知電極から切り離される。
【0040】
以下で述べる本発明は、好ましくは、ペース/検知電極対と検知増幅器の入力との間に絶縁型電流複製器を用いて、印加されたブランキング期間を短くし、ペーシングシステムで使用されるか、または使用可能にされる場合に、比較的短いCDWSおよびCDWPをタイムアウトさせることができる。右および左心腔検知増幅器ブランキング間隔は、およそ、通常0.5〜1.0ミリ秒で、最大約10ミリ秒であるペーシングパルス幅に短くされることができる。絶縁型電流複製器が、ペース/検知電極対にわたって示されたペーシングパルスアーチファクトによって生じた後電位を阻止することができ、直ぐに続く任意の心臓脱分極波面を検出することができるため、ブランキング間隔は最小にされることができる。好ましくは、ブランキング間隔は、ブランキング間隔が埋め込み後に調整されるようにプログラム可能であり、患者の心臓の心臓伝導状態を反映するように最小にされる。
【0041】
図2は、右および左心房の同期性収縮を回復するための、上述のタイプの埋め込み式2腔心臓ペースメーカの略図である。図2において、心臓10は、上部心腔、すなわち右心房(RA)および左心房(LA)、下部心腔、すなわち右心室(RV)および左心室(LV)、ならびに右心房の開口から心房のまわりを横方向へ延び、さらに下方に延びて大静脈の分岐に至る冠状静脈洞(CS)を含む。ペースメーカIPG14は、皮膚と肋骨の間で皮下に埋め込まれる。2極心内膜RAリード線16および2極心内膜LA CSリード線22は、LA腔に沿って延びるように、静脈を通して心臓10のRA腔およびCS内に進められる。リード線本体15内にあるとともに遠位先端RAペース/検知電極19および近位リングRAペース/検知電極21に接続された電気的に絶縁された導体対に結合したインラインコネクタ13がIPGコネクタブロック12の2極穴に嵌合した状態で、RAリード線16が形成される。RAリード線16の遠位端は、取り付け機構17によってRA壁に取り付けられる。リード線本体26内にあるとともに遠位リングLA CSペース/検知電極30および近位リングLA CSペース/検知電極28と接続された電気的に絶縁された導体対に結合したインラインコネクタ24がIPGコネクタブロック12の2極穴に嵌合した状態で、LA CSリード線22が形成される。LA CSリード線26の遠位端は、CS内に延びて、隣接するLA壁に対してLA CSペース/検知電極を最適に位置決めするようにする。
【0042】
動作時、心房ペース/検知電極17、19または28、30の任意の対または選択された対にわたって検知されたP波を使用して、その時のA−A心房補充間隔をリセットし、心房検知事象トリガーCDW(CDWS)のタイムアウトを始動するようにする。A−A補充間隔は、通常、右心房のペーシングされ、検知された事象から計時されるが、適当な状況では、それは、左心房のペーシングされ、検知された事象である可能性がある。右および左心房検知CDWSのミリ秒での長さは、正常な電気的活性化シーケンスにおいて、心房ペース/検知電極17、19、および28、30の間の、自発性心房脱分極の正常伝導遅延を反映するか、または、逆活性化シーケンスに応答するようにプログラムされる。他の対の心房ペース/検知電極17、19または28、30でP波を検知することなく適当な心房CDWSがタイムアウトする場合、心房ペースパルスを他の対の心房ペース/検知電極に送出して、右および左心房脱分極を同期させる。A−A心房補充間隔がタイムアウトする場合、心房ペースパルスは、通常、RAペース/検知電極17、19にわたって最初に送出され、ペーシングされた心房CDW(CDWP)のタイムアウトが始まる。LA CSペース/検知電極28および30でP波を検知することなくペーシングされた心房CDWPがタイムアウトする場合、心房ペースパルスは、LA CSペース/検知電極28、30に送出される。
【0043】
図3は、右および左心室の同期性収縮を回復するための、上述のタイプの埋め込み式2腔心臓ペースメーカの略図である。2極心内膜LV CSリード線42は、LV腔に沿って遠位リングペース/検知電極48および50を延ばすために、静脈を通って、心臓10のRA腔内に進み、CS内に進み、その後、大静脈および大静脈から延びる心臓静脈内を下方に延びる。2極心内膜RVリード線32は、静脈を通って、心臓10のRA腔内、およびRV内に進み、RVにおいて、リード線遠位リングおよび先端ペース/検知電極38および40が、遠位取り付け機構52によって心尖または心室間中隔の所定位置に固定される。リード線本体36内にあるとともに遠位先端RAペース/検知電極40および近位リングペース/検知電極38と接続された電気的に絶縁された導体対に結合したインラインコネクタ34がIPGコネクタブロック12の2極穴に嵌合した状態で、RVリード線32が形成される。リード線本体46内にあるとともに遠位リングペース/検知電極50および近位リングペース/検知電極48と接続された電気的に絶縁された導体対に結合したインラインコネクタ44がIPGコネクタブロック12の2極穴に嵌合した状態で、LV CSリード線42が形成される。LV CSリード線42の遠位端は、CS内に延びて、隣接するLV壁に対してリング電極を最適に位置決めするようにする。
【0044】
動作時、心室ペース/検知電極38、40または48、50の選択された対にわたって検知されたR波を使用して、その時のV−V心室補充間隔をリセットし、心室CDWSのタイムアウトを始動するようにする。V−V補充間隔は、通常、RVのペーシングされ、検知された事象から計時されるが、適当な状況では、それは、LVのペーシングされ、検知された事象である可能性がある。右および左心室CDWSのミリ秒での長さは、正常な電気的活性化シーケンスおよび逆活性化シーケンスにおいて、心室ペース/検知電極38、40、および48、50の間の正常伝導遅延を反映するようにプログラムされる。他の対の心室ペース/検知電極38、40または48、50でR波を検知することなく右または左心室CDWSがタイムアウトする場合、心室ペースパルスを他の対の心室ペース/検知電極に送出して、右および左心室脱分極を同期させる。V−V心室補充間隔がタイムアウトする場合、心室ペースパルスは、通常、RVペース/検知電極38、40にわたって最初に送出され、心室ペースCDWPのタイムアウトが始まる。LV CSペース/検知電極48および50でP波を検知することなく心室CDWPがタイムアウトする場合、心室ペースパルスは、LV CSペース/検知電極48、50に送出される。以下にさらに述べられるように、この順番(order)は適当な間隔で繰り返され得る。
【0045】
示されているこれらRAおよびLAおよびRVおよびLVのペース/検知リード線および電極の場所は、本発明のこれらの実施形態の実践で使用することができる、可能性のあるリード線および電極の場所の単なる例である。心臓の右および左腔内か、またはその腔のまわりに設置された、1つまたは複数の他のタイプの心内膜および心外膜リード線およびペース/検知電極が、図2および図3で示し、上述したものと置き換えることができることが理解されるであろう。
【0046】
図4において、RHCおよびLHCの名称を使用して、本発明の2腔ペーシングシステムを用いる、両心房および両心室の環境の両方を包含する。したがって、図4は、RHC回路部100と、LHC回路部200と、図2の2腔、両心房ペースメーカ、または図3の両心室ペースメーカにおいてペーシングおよび検知機能を行うために使用することができる共通部品とを備える2腔ペーシングシステム回路の単純化したブロック図である。RHCおよびLHC回路部100および200のタイミングおよび制御は、マイクロプロセッサ108、RAM/ROMチップ110、およびDMA回路112を備えるマイクロコンピュータ内に保持されるソフトウェアルーチン、およびマイクロコンピュータと結合したペーサタイミング/ロジック回路120内に保持されたソフトウェアルーチンによって実現される。動作モードおよびパラメータ値は、患者の皮膚を通して、RFテレメトリ送信情報を、アンテナ106およびペーサタイミング/ロジック回路120と結合したRFテレメトリ送信器/受信器102に送信する外部プログラマ90の使用によってRAM/ROMチップ110内のRAMにプログラムされる。こうした経皮的RFテレメトリは、当技術分野ではよく知られており、本発明に従って、動作モード、A−AおよびV−V補充間隔、ならびに左および右腔CDWSおよびCDWP時間長を含めたその他のタイミングおよび制御間隔のプログラミングを可能にする。
【0047】
RHCおよびLHCペーシング/検知回路部100および200の間に内部接続部を設けて、各CDWSのタイムアウトが行なわれ、右および左心腔が、互いに所望の時間関係で、確実に脱分極し、収縮するのに必要な場合にはペ−シングが行なわれる。図4の2腔IPG回路は、本発明の種々の実施形態を実践するのに使用される可能性がある、特定の両心房および両心室IPG回路を包括的に示すことが意図されている。図示したRHCおよびLHCペーシング/検知回路部100および200は全く対称である。非対称2腔IPG回路は、過度に長いRHC−LHC伝導遅延またはLHC−RHC伝導遅延を処置するように機能する、図4に示す包括的な2腔IPG回路から引き出されることが理解されるであろう。こうした非対称2腔IPG回路は、RHCまたはLHC回路部100または200の未使用部品を、(プログラミング命令によって)選択的に使用不能にするか、あるいは単に物理的になくすことによるかのいずれかによって行うことができる。図4に示す部品およびロジック内部接続をまず述べ、次に、可能な変更が述べられる。
【0048】
RHC回路部100に関して、コネクタブロック12内のRHCペース/検知端子は、RHC検知増幅器126の入力端子およびRHCペーシングパルス出力回路134の出力端子に結合される。RHC検知増幅器126およびRHCペーシングパルス出力回路134の動作パラメータは、データ/制御バス122上に供給されたプログラムされたパラメータ値および動作モードによって設定される。RHCペーシングパルス出力回路134は、ORゲート116を通過したRHC PACE信号に応答して、プログラムされたパルス幅および振幅でRHC端子にRHCペーシングパルスを送出する。RHC PACE信号は、RHC CDWタイマ230によって生成されたRHCペーストリガー(RHC PT)信号か、あるいはペーサタイミング/ロジック回路120内の補充間隔タイマによって生成されたRHC補充間隔ペーストリガー(RHC EI PT)信号のいずれかである。
【0049】
RHC BLANK信号は、ライン118上をRHC検知増幅器126に印加され、RHC検知増幅器126は、ペーシングパルス送出中に、かつ、RHCペーシングパルスの送出に続く約100ミリ秒未満の、または、LHCペーシングパルスの送出に続く約7ミリ秒未満の短期間、RHCブランキング期間を供給する。RHC BLANK信号は、ORゲート114を通過してRB入力に至るRHCブランキングトリガー信号に応答して、RHCブランキング回路136によって供給される。ペーシングパルスが、RHCおよびLHCペース出力回路134および234のいずれかによってトリガーされ、送出されると、ORゲート114はRHC BLANK AND LHC BLANKトリガー信号を供給する。ORゲート114は、ORゲート116およびORゲート216のRHC PACE出力信号およびLHC PACE出力信号を通過させ、ORゲート116およびORゲート216は、次に、補充間隔またはプログラム可能なCDWSおよびCDWP時間のタイムアウトによって生成されたRHCペーストリガー(RHC PT)信号およびLHCペーストリガー(LHC PT)信号を通過させる。RHC BLANK信号の持続期間は、RAM/ROMチップ110にプログラムされ、取り出され、データ/制御バス122上をプログラム可能RHCブランキング回路136のRBP入力に印加される。それによって、RHC検知増幅器126は、RHC BLANK信号がライン118上でRHC検知増幅器126に印加される短い期間の間に、RHC脱分極信号に応答できなくされる。
【0050】
図4に略図で示すRHCプログラム可能ブランキング回路136は、上述した方法で、検知増幅器入力をRHCリード線導体から切り離すように動作するよう構成されることができることが理解されるであろう。
【0051】
RHC BLANK信号が存在しない時、RHC検知増幅器126は、RHC心臓脱分極に応答して、ライン132上に、大振幅で持続期間が短い検知事象RHC(SERHC)信号を供給する。RHC検知増幅器126は、RHCペース/検知電極にわたって検知されたRHC心臓脱分極に応答する。RHC心臓脱分極は、自発的にRHCで発生するか、自発的にLHCで発生するか、あるいはLHCペース/検知電極に送出されたLHCペースパルスによって誘発される可能性があり、いずれの場合も、RHCのRHCペース/検知電極に伝導される。LHC CDWタイマ130がその時禁止されていない場合、SERHC信号は、プログラム可能LHC CDWタイマ130に供給されて、プログラム可能LHC CDWS時間のタイムアウトを始動する。SERHC信号はまた、RHCペーシング出力回路134のRHC禁止入力に印加されて、RHCペーシング出力回路134が動作しないようにし、ペーサタイミング/ロジック回路120内のリセットロジックに印加されて、補充間隔タイマをリセットするようにする。補充間隔タイマは、SERHC信号か、SELHC信号のいずれかによって再始動して、補充間隔タイマの終了時に(on its expiration)、RHC EI PT信号か、LHC補充間隔ペーストリガー(LHC EI PT)信号を生成する。SERHC信号はまた、RHC CDW INHIBIT信号としてNORゲート135を通過して、以下に述べるように、RHC CDWタイマをリセットし、禁止する。
【0052】
LHC CDWSおよびCDWP時間長は、RAM/ROMチップ110にプログラムされ、取り出され、データ/制御バス122上をプログラム可能LHC CDWタイマ130のTD入力に印加される。プログラム可能LHC CDWタイマ130は、スタート入力S1でのSERHC信号の受信によって、プログラムされたLHC CDWS時間のタイムアウトを始動する。さらに、プログラム可能LHC CDWタイマ130は、RHC PACE信号がRHCペーシング出力回路134のスタート入力S2に印加される時にプログラムされたLHC CDWS時間のタイムアウトを始動する。LHC CDWタイマ130は、第1LHC CDWS時間が、スタート入力S1においてSERHC信号が印加されるとすぐに始動され、第2LHC CDWP時間がスタート入力S2に対してRHC EI PT信号が印加されるとすぐに始動されることを可能にするように冗長タイマおよび選択ロジックを含んでよいことが理解されるであろう。LHC CDWタイマ130は、プログラム入力された(programmed in)選択命令に応答して、SERHC信号およびRHC EI PT信号の一方または両方に対するLHC CDWタイマ130の応答を不能にするようにするプログラム可能ロジックを含んでよいことも理解されるであろう。
【0053】
LHC検知増幅器226がLHC脱分極波を検出せず、プログラムされたRHC CDWSまたはCDWPがタイムアウトする前に、ライン232上に左心腔検知事象信号(SELHC)およびLHC RESET命令を生成しない場合、プログラム可能LHC CDWタイマ130は、LHC PT信号を生成する。LHC PT信号は、ORゲート216を通してLHCペーシングパルス出力回路234のLHC PACE入力に印加され、LHCペーシングパルス出力回路234は、コネクタ組み立て品12のLHC端子にLHCペーシングパルスを供給する。こうして、RHC−LHC同期性を回復するために、それぞれ、LHC CDWPまたはRHCペーシングパルスに続くCDWSまたはSERHC信号に続いて、コネクタ組み立て品12のLHC端子にLHCペーシングパルスが印加される。
【0054】
LHC CDW タイマ130によるプログラム可能LHC CDWSまたはCDWP時間のタイムアウトは、停止され、LHCタイマ130をさらにトリガーすることは、LHC CDWタイマ130の禁止(INH)入力に印加されたLHC CDW INHIBIT信号によって禁止される。LHC CDW INHIBIT信号は、任意のプログラムされたCDW時間より長いが、ペーシング補充間隔より短い持続期間を有する。LHC CDW INHIBIT信号は、LHC CDWタイマ130が、LHCペース/検知電極からRHCペース/検知電極へ伝導され、それ自体、LHC CDWタイマ130がNORゲート216に送出したLHC PT信号によって誘発される脱分極を検知した際に生成されるSERHC信号に応答して再始動しないようにさせる。その結果、LHC PT信号は、NORゲート216および235通過して、LHC CDWタイマ130のINH入力に印加される。同様に、LHC CDW INHIBIT信号は、LHC EI PT信号またはSELHC信号がNORゲート235を通過することによって生成され、LHC CDWタイマのINH入力に印加される。RHC CDWタイマ230のみが、これらのRHCのペーシングされ、検知された事象が発生する時に始動されなければならない。
【0055】
NORゲート114、116、および135に関して、LHC信号検知およびペーシング出力回路部200は、上述したRHC信号検知およびペーシング出力回路部100と左右対称形で構成され機能する。しかし、この場合、図8および図9に示され、以下でさらに述べる絶縁型電流複製器回路または複製器225は、LHCペース/検知電極対およびLHC検知増幅器226の入力ならびにLHCペーシングチャネルのLHCペーシング出力回路234の出力の間に挿入される。コネクタブロック12のLHCペース/検知端子は、IPG容器を通る容量性ろ過型フィードスルーを介して絶縁型電流複製器225の出力電流ループに結合される。入力電流ループは、LHC検知増幅器226の入力およびペーシング出力回路234の出力の両方と結合する。この実施形態において、入力電流ループに送出されたペーシングトリガーパルスは、出力電流ループにおいて複製され、LHCペース/検知電極に送出されるが、LHCペース/検知電極および出力電流ループを横切る心臓信号は、入力電流ループにおいて複製され、LHC検知増幅器226に供給される。
【0056】
図4に略図で示すLHCプログラム可能ブランキング回路236は、上述したタイプのブランキングスイッチを使用して、絶縁型電流複製器225の入力電流ループから検知増幅器を切り離すように動作するよう構成されることができることが理解されるであろう。したがって、絶縁型電流複製器回路225の入力電流ループは、LHCプログラム可能ブランキング回路236によって動作するこうしたブランキングスイッチを通してLHC検知増幅器226の入力に印加されることができることが理解されるであろう。
【0057】
さらに、絶縁型電流複製器対は、LHCペーシングチャネル内に挿入され得るであろうことが理解されるであろう。第1絶縁電流複製器は、LHCペーシングチャネルのLHCペース/検知電極対をLHC検知増幅器226から絶縁するために挿入されることができる。第2絶縁電流複製器は、LHCペーシングチャネルのLHCペース/検知電極対をLHCペーシング出力回路234から絶縁するために挿入されることができる。
【0058】
ORゲート114を通って反映されたRHC PACE信号またはLHC PACE信号の間、任意選択で、その後のブランキング時間期間の間、LHC BLANK信号が、ライン215上をLHC検知増幅器226に印加される。LHC BLANK信号によって供給されたLHCブランキング期間は、RHCペーシングパルスの送出に続く約7ミリ秒未満か、または、LHCペーシングパルスの送出に続く約100ミリ秒未満であるのが好ましい。LHC BLANK信号は、ORゲート114によって生成されてLB入力に印加されたRHCブランキングトリガー信号に応答して、LHCブランキング回路236によって供給される。LHC BLANK信号の持続期間は、RAM/ROMチップ110内にプログラムされ、取り出されて、データ/制御バス122上をプログラム可能LHCブランキング回路236のLBP入力に印加される。
【0059】
LHC CDWタイマ130ではそうであるように、RHC CDWタイマ230は、スタート入力S1においてSELHC信号が印加されるとすぐに始動した検知RHC CDWSおよびスタート入力S2に対してLHC EI PT信号が印加されるとすぐに始動したペースRHC CDWPを計時するために、冗長タイマおよび選択ロジックを含むことが理解されるであろう。プログラム可能RHC CDWタイマ230は、禁止されていない場合、LHC PACE信号がLHCペーシング出力回路234に印加される時にプログラムされたRHC CDWP時間のタイムアウトを始動する。RHC CDWタイマ230は、プログラム入力された選択命令に応答して、SELHC信号およびLHC EI PT信号の一方または両方に対するRHC CDWタイマ230の応答を不能にするようにするプログラム可能ロジックを含んでよいこともまた理解されるであろう。
【0060】
LHC BLANK信号によってブランキングされていない時、LHC検知増幅器226は、LHCペース/検知電極にわたって検知されるLHC心臓脱分極に応答して、ライン232上に、大振幅で、持続期間が短い、検知事象SELHC信号を供給する。LHC心臓脱分極は、自発的にLHCで発生するか、自発的にRHCで発生するか、あるいはRHCペース/検知電極に送出されたRHCペースパルスによって誘発される可能性があり、いずれの場合も、LHCのLHCペース/検知電極に伝導される。RHC CDWタイマ230がその時禁止されていない場合、SELHC信号は、プログラム可能RHC CDWタイマ230のS1入力に供給されて、プログラムされたRHC CDWS時間のタイムアウトを始動する。SELHC信号はまた、LHCペーシング出力回路234のLHC INH入力に印加されて、LHCペーシング出力回路234が動作しないようにし、ペーサタイミング/ロジック回路120内のリセットロジックに印加されて、補充間隔タイマがSELHC信号に応答するようにプログラムされている場合、補充間隔タイマをリセットするようにする。SELHC信号はまた、このシナリオでは実際にはLHC CDW時間をタイムアウトしていないが、NORゲート235を通してLHC CDWタイマ130のINH入力として印加される。
【0061】
RHC検知増幅器126が早期にRHC脱分極波を検出せず、SERHC信号を生成する場合、プログラム可能RHC CDWタイマ230は、RHC CDWSのタイムアウトでRHC PT信号を生成する。RHC PT信号は、ORゲート116を通してRHCペーシングパルス出力回路134のRHC PACE入力に印加され、RHCペーシングパルス出力回路134は、コネクタ組み立て品12のRHCペース/検知端子にペーシングパルスを供給する。しかし、RHC CDWS時間中にSERHC信号が生成される場合、SERHC信号は、RHC CDWタイマ230をリセットして、RHC CDW時間を終わらせ、上述した方法で、RHC CDWタイマ230の動作が、プリセットされた禁止期間の間に再始動されるのを禁止する。
【0062】
RHCおよびLHC検知増幅器126および226の検知特性、LHCおよびRHC CDWタイマ130および230ならびにRHCおよびLHCペーシングパルス出力回路134および234のCDWSおよびCDWP時間は、個別にプログラムされることができる。外部プログラマ90を使用して、アンテナ106有するダウンリンクテレメトリおよびRF送信器/受信器102によって、プログラムされたモードおよび値を供給し、これらのモードおよび値は、当技術分野ではよく知られている方法で、復号され、RAM/ROMチップ110内に記憶される。このように、右および左心腔ペーシング/検知回路部に対称性が存在しながら、所与の患者において機能を最適化するために、動作が対称にされるか、非対称にされることができる。
【0063】
図4に図示した包括的な2腔IPG回路において、単一補充間隔タイマは、ある補充間隔値を用いてプログラムされ、補充間隔が検知されたRHCまたはLHC脱分極によって早期に再始動されなければ、補充間隔のタイムアウトでRHC EI PT信号またはLHC EI PT信号を生成するようにプログラムされることができる。
【0064】
正常に機能する心臓は、図1について先に示したAV遅延時間後に、最初に右心房の、次に左心房の、右および左心室の脱分極および収縮を伴う。心房間伝導擾乱は、AV遅延に近づくか、またはAV遅延を超える可能性のある長時間遅延か、全てまたは一定の心拍数での右および左心房収縮の完全な分離のいずれかを伴う。心室間伝導擾乱は、通常、左心室外壁を通る脱分極波の遅延を伴い、その遅延は、うっ血性心腔において見られる伝導系および/または拡張した心筋に対する損傷によって生ずる可能性がある。どんな場合であっても、処置されるべき通常の場合において、右心腔(複数可)が最初に収縮し、それに続いて、長い伝導遅延後に左心腔(複数可)が収縮する。逆の状況は、通常は起こらないが、左心房で生ずる早期心房収縮の結果として生ずる可能性がある。したがって、この場合、図4のIPG回路は、LHC CDWタイマ230の使用が、プログラム入力された命令によってオフにプログラムされるか、または、全くなくされる、非対称な方法で動作するようにプログラムされることができる。
【0065】
たとえば、2腔IPG回路部品は、図1の正常な電気的活性化シーケンスにおける非常に長いRHC−LHC伝導遅延(IACD、LBBB、IVCD、RV異所性病巣伝導パターン、RVペーシング伝導パターンによって起こる)に応答し、処理するようにプログラムされることができる。これらの場合に、プログラム入力されたモード命令は、RHC CDWタイマ230を不能にし、リセットロジックは、SERHC信号を使用するだけで、補充間隔タイマをリセットするようにプログラムされる。さらに、補充間隔タイマはRHC EI PT信号を生成するだけである。
【0066】
しかし、2腔IPG回路部品は、図1の正常な電気的活性化シーケンスではなく、逆の電気的活性化シーケンスにおける、非常に長いLHC−RHC伝導遅延(RBBB、IVCD、LV異所性病巣伝導パターン、LVペーシング伝導パターンによって起こる)に応答し、処理するようにプログラムされることができることがわかるであろう。これらの場合に、プログラム入力されたモード命令は、LHC CDWタイマ230を不能にし、リセットロジックは、SELHC信号を使用するだけで、補充間隔タイマをリセットするようにプログラムされる。さらに、補充間隔タイマはLHC EI PT信号を生成するだけである。もちろん、これらの構成は、図4の包括的な2腔ペーシングシステムの部品および内部接続部を物理的に減らすことによって実現されることができる。
【0067】
図4の上述した2腔ペーシングシステムはまた、複数部位ペーシングシステムとして使用されることができ、複数部位ペーシングシステムにおいて、ペース/検知電極がその心腔内で互いから離れるように、RHCおよびLHCリード線が、実際には共通心腔に導入されることが留意されるべきである。たとえば、RHCペース/検知電極をRV心尖部に設置し、LHCペース/検知電極をヒス束に対して心室間中隔壁に固定されるように設置して、これらの部位における検知された心室脱分極またはR波のシーケンスによって決まるシーケンスで、RV内のこれらの場所に対してペーシングパルスの同期した送出を行うのが望ましいであろう。単一心腔において、または、単一心腔に対して2(または3以上)ペーシング/検知チャネルを提供する本発明は、こうしたペーシングシステム内で実装されることができる。図4のペーシングシステムの構成および動作についての他の変形形態、および以下で述べる実施形態は以下で現れる。
【0068】
図5は、右および左心房ならびに右および左心室の同期収縮を回復するための、上述したタイプの、埋め込み式4腔心臓ペースメーカの略図である。RAリード線16のインラインコネクタ13は、IPGコネクタブロック12の2極穴に嵌合し、リード線本体15内の電気的に絶縁された導体対(遠位先端RAペース/検知電極19および近位リングRAペース/検知電極21と結合する)に結合する。RAリード線16の遠位端は、従来の取り付け機構17によってRA壁に取り付けられる。2極心内膜RVリード線32は、静脈を通過して心臓10のRA腔、およびRVに入り、RVにおいて、その遠位リングおよび先端RVペース/検知電極38および40は、従来の遠位取り付け機構41によって尖部の所定位置に固定される。リード線36内にあるとともに遠位先端RVペース/検知電極40および近位リングRVペース/検知電極38と接続された電気的に絶縁された導体対に結合したインラインコネクタ34がIPGコネクタブロック12の2極穴に嵌合した状態で、RVリード線32が形成される。
【0069】
この場合、4極心内膜LV CSリード線52は、LV CSペース/検知電極48および50の遠位対をLV腔に沿って延ばし、LA CSペース/検知電極28および30の近位対をLAに隣接して残すために、静脈を通過して、心臓10のRA腔内に、CS内に、その後、下方に大静脈に進められる。LV CSリード線52は、4個の導体リード線本体56が近位端でIPGコネクタブロック12の2極穴対に嵌合する分岐インラインコネクタ54に結合した状態で形成される。LV CSリード線本体56の4個の電気的に絶縁されたリード線導体は、LV CSペース/検知電極48および50の遠位対およびLA CSペース/検知電極28および30の近位対のうちの一方と個別に接続される。
【0070】
動作時、直前の心室ペーシングパルスまたはR波検知事象から計時されたV−A補充間隔の間に、RAペース/検知電極17および19またはLAペース/検知電極28および30にわたって検知されたP波を使用して、AV遅延を始動し、LA CDWSまたはRA CDWSをそれぞれ始動させる。心房ペース/検知電極17および19または28および30の他の対において、伝導された同じP波を検知することなく、それぞれのLAまたはRA CDWSがタイムアウトする場合、心房ペースパルスが心房ペース/検知電極の他の対に送出される。
【0071】
心房ペース/検知電極17および19または28および30のいずれかの対においてP波を検知することなく、V−A心房補充間隔がタイムアウトしない場合、通常、最初に心房ペースパルスがRAペース/検知電極17および19にわたって送出され、それぞれのLA CDWP時間が始まる。その後、これらのペース/検知電極においてP波を検知することなくLA CDWP時間がタイムアウトする場合にのみ、心房ペースパルスがLA CSペース/検知電極28および30に送出される。しかし、V−A心房補充間隔の終了で、LA CSペース/検知電極28および30に最初の心房ペースパルスが送出されるように、逆の順序の送出をプログラムすることも可能である。その後、RAペース/検知電極においてP波を検知することなく、RA CDWP時間がタイムアウトする場合にのみ、心房ペースパルスがRAペース/検知電極17および19に送出される。
【0072】
この実施形態では、最初の心房検知事象が、RAペース/検知電極17および19またはLA CSペース/検知電極28および30にわたって検知されたかどうかによって使用される個別のプログラム可能検知AV(SAV)遅延を使用することが可能である。さらに、最初の心房ペーシングパルスが、RAペース/検知電極17および19またはLA CSペース/検知電極28および30にわたって送出されたかどうかによって使用される個別のプログラム可能ペーシングAV(PAV)遅延を使用することが可能である。SAVRAおよびPAVRAおよびSAVLAおよびPAVLAを示す、これらの個別にプログラム可能なSAVおよびPAV遅延は、所定の長さでプログラムされて、RAおよびLAペース/検知電極の特定の場所およびRVおよびLVペース/検知電極の選択された場所の間の最も生理的なAV遅延を供給することができる。個別のプログラム可能SAVRAおよびSAVLA遅延ならびに個別のプログラム可能PAVRAおよびPAVLA遅延を使用するこの手法は、本発明を実践することができる一手法として、図6および図7を参照して本明細書に開示される。しかし、本発明は、単一のプログラム可能なAV遅延のみ、またはただ一つのSAV遅延およびPAV遅延を用いた複雑でない手法を使用して実践されることができることが理解されるであろう。
【0073】
したがって、好ましいより複雑な場合、SAVRAまたはSAVLAまたはPAVRAまたはPAVLA時間は、最初のP波の検知か、右または左心房心腔に対する最初の心房ペーシングパルスの送出のいずれかによって始動される。SAVまたはPAV時間遅延中に、RVまたはLV CSペース/検知電極38および40または48および50のいずれかにわたって検知されたR波を使用して、AVタイマをリセットし、V−A補充間隔を始動させ、それぞれのLV CDWSまたはRV CDWSを始動させる。RVまたはLV CSペース/検知電極38および40または48および50の他の対において、伝導された同じR波を検知することなく、LV CDWSまたはRV CDWSがタイムアウトする場合、心房ペースパルスが心房RVまたはLV CSペース/検知電極の他の対に送出される。
【0074】
正常な活性化シーケンスが回復されるはずであると仮定すると、AV結節からヒス束への正常AV伝導時間に対応する単一AV遅延が使用するためにプログラムされる。AV遅延がタイムアウトする場合、心室ペースパルスは、通常、RVペース/検知電極38および40にわたって最初に送出されるようにプログラムされ、LV CDWP時間が始まる。LV CSペース/検知電極48および50において、R波を検知することなく、LV CDWPがタイムアウトする場合、左心室ペースパルスがLV CSペース/検知電極48および50に送出されるようにプログラムされる。
【0075】
その後、V−A補充間隔がタイムアウトする場合、RAペースパルスが通常、RAペース/検知電極17および19にわたって最初に送出され、AV遅延タイマが再始動し、LA CDW時間が始まるようにシーケンスが繰り返される。LA CSペース/検知電極28および30において、P波を検知することなく、LA CDW時間がタイムアウトする場合、LAペースパルスがLA CSペース/検知電極28および30に送出される。
【0076】
各SAVおよびPAV遅延ならびに各CDWSおよびCDWPは、特定の伝導障害およびRA、LA、RV、およびLVペース/検知電極の場所を考慮して、正常な活性化シーケンスを回復するようにプログラムされることができる。活性化シーケンスを変更して、AV遅延および心房腔CDWSおよびCDWPを、LA異所性病巣から生ずる初期LA脱分極から計時することができる。
【0077】
図6および図7は、図5のシステムで使用される、右および左心腔の4腔ペースメーカIPG14のための、本発明の包括的な4腔IPG回路の単純化したブロック図をひとまとめにして含む。図6は、それぞれ、データ/制御バス122、心房ペーサタイミング/ロジック回路120A、マイクロコンピュータ部品108、110、112、およびプログラム可能AV遅延ロジック160と関連するRAおよびLAペーシング/検知回路部300および400を示す。図7は、それぞれ、データ/制御バス122、心室ペーサ/タイミングロジック回路120V、RFテレメトリ送信器/受信器102、および外部プログラマ90と関連するRVおよびLVペーシング/検知回路部500および600を示す。図6のマイクロコンピュータ部品108、110、112および心房ペーサ/タイミングロジック回路120Aは、図7のRVおよびLVペーシング/検知回路部500および600ならびに心室ペーサタイミング/ロジック回路120Vと、データ/制御バス122によって内部接続されている。図7のRFテレメトリ送信器/受信器102は、図6の心房ペーサタイミング/ロジック回路120Aと、導体104によって接続され、図6のプログラム可能AV遅延回路160からの心室ペーストリガー出力信号は、図7の心室ペーサタイミング/ロジック回路120Vと、導体162によって結合される。心房および心室ペーサタイミング/ロジック回路120Aおよび120Vならびにプログラム可能AV遅延回路160は、別法として、DDDペースメーカでは通常はそうであるように、共通回路内で組み合わされてよい。
【0078】
RAおよびLAペーシング/検知チャネル300および400ならびにRVおよびLVペーシング/検知チャネル500および600は概してそれぞれ、先に詳細に述べた、図4のRHCおよびLHC回路部100および200のアーキテクチャに従う。RA、LA、RV、およびLVペース出力回路334、434、534、634の任意の回路によるペースパルスの送出に応答してRA、LA、RV、およびLV検知増幅器326、426、526、626の4個全てのブランキングを可能にするために、この4腔の実施形態において、ブランキング回路部はやや異なる。RA、LA、RV、およびLVプログラム可能ブランキング回路336、436、536、および636のそれぞれは、ライン318、418、518、および618上に、RAM/ROMチップ110内にプログラムされた持続期間を有するRA、LA、RV、およびLV BLANK信号を生成する。RA、LA、RV、およびLV BLANK信号は、ORゲート314およびORゲート514の出力でそれぞれ生成される心房ブランキング(AB)および心室ブランキング(VB)トリガー信号によってトリガーされる。
【0079】
ORゲート314の入力は、RAおよびLAペース出力回路334および434にそれぞれ送出されるRA PACEおよびLA PACE信号を供給するORゲート316および416の出力と結合する。ORゲート316および416は、それぞれ、V−A補充間隔の終了で選択的に生成されたRA EI PTおよびLA EI PT信号ならびにプログラム可能時間遅延330および430によって計時された各プログラム可能CDWのタイムアウトで生成されたRA PTおよびLA PTを通過させる。
【0080】
同様に、ORゲート514の入力は、RVおよびLVペース出力回路534および634にそれぞれ送出されるRVおよびLV PACE信号を供給するORゲート516および616の出力と結合する。ORゲート516および616は、それぞれ、AV遅延およびRV PT終了で選択的に生成されたRV EI PTおよびLV EI PT信号、ならびにLVおよびRV CDWタイマー530および630によって各プログラム可能CDWのタイムアウトでそれぞれ生成されたRV PTおよびLV PT信号を通過させる。
【0081】
この実施形態において、図8および図9に示し、以下でさらに述べる絶縁型電流複製器325は、RAペース/検知電極対とRAペーシングチャネル300のRA検知増幅器326の入力との間に挿入される。コネクタブロック12のRAペース/検知端子は、IPG容器を貫通する容量性ろ過式フィードスルーによって、絶縁型電流複製器325の出力電流ループに結合する。入力電流ループは、RA検知増幅器326の入力およびRAペーシング出力回路334の出力の両方と結合する。この実施形態において、入力電流ループに送出されるRAペーシングトリガーパルスは、出力電流ループで複製され、RAペース/検知電極に送出されるが、RAペース/検知電極および出力電流ループを横切る心臓信号は、入力電流ループで複製され、RA検知増幅器334に供給される。
【0082】
図6に概略的に示すRAプログラム可能ブランキング回路336は、先に述べたタイプのブランキングスイッチを使用して、検知増幅器入力を、絶縁型電流複製器325の入力電流ループから切り離すように動作するよう構成されることができることが理解されるであろう。したがって、絶縁型電流複製器325の入力電流ループは、RAプログラム可能ブランキング回路336によって動作する、こうしたブランキングスイッチを通してRA検知増幅器326の入力に適用されることができることが理解されるであろう。RA BLANK信号によって供給されるRAブランキング期間は、好ましくは、RAペーシングパルスの送出に続く約100msec未満であるか、LA、RV、およびLVに印加された任意のペーシングパルスの送出に続く約7msec未満である。
【0083】
同様に、図8および図9に示し、以下でさらに述べる絶縁型電流複製器回路425は、LAペース/検知電極対とLAペーシングチャネル400のLA検知増幅器426の入力との間に挿入される。コネクタブロック12のLAペース/検知端子は、IPG容器を貫通する容量性ろ過式フィードスルーによって、絶縁型電流複製器425の出力電流ループに結合する。入力電流ループは、LA検知増幅器426の入力およびLAペーシング出力回路434の出力の両方と結合する。この実施形態において、入力電流ループに送出されるLAペーシングトリガーパルスは、出力回路ループで複製され、LAペース/検知電極に送出されるが、LAペース/検知電極および出力回路ループを横切る心臓信号は、入力電流ループで複製され、LA検知増幅器434に供給される。
【0084】
図6に概略的に示すLAプログラム可能ブランキング回路436は、先に述べたタイプのブランキングスイッチを使用して、検知増幅器入力を、絶縁型電流複製器425の入力電流ループから切り離すように動作するよう構成されることができることが理解されるであろう。したがって、絶縁型電流複製器425の入力電流ループは、LAプログラム可能ブランキング回路436によって動作する、こうしたブランキングスイッチを通してLA検知増幅器426の入力に適用されることができることが理解されるであろう。LA BLANK信号によって供給されるLAブランキング期間は、好ましくは、LAペーシングパルスの送出に続く約100ミリ秒未満であるか、RA、RV、およびLVに印加された任意のペーシングパルスの送出に続く約7ミリ秒未満である。
【0085】
さらに、図8および図9に示し、以下でさらに述べる絶縁型電流複製器625は、LAペース/検知電極対とLAペーシングチャネル600のLA検知増幅器626の入力の間に挿入される。コネクタブロック12のLVペース/検知端子は、IPG筐体を貫通する容量性ろ過式フィードスルーによって、絶縁型電流複製器625の出力電流ループに結合する。入力電流ループは、LA検知増幅器626の入力およびLAペーシング出力回路634の出力の両方と結合する。この実施形態において、入力電流ループに送出されるLVペーシングトリガーパルスは、出力電流ループで複製され、LVペース/検知電極に送出されるが、LVペース/検知電極および出力電流ループを横切る心臓信号は、入力電流ループで複製され、LV検知増幅器634に供給される。
【0086】
図7に概略的に示すLVプログラム可能ブランキング回路636は、先に述べたタイプのブランキングスイッチを使用して、検知増幅器入力を、絶縁型電流複製器625の入力電流ループから切り離すように動作するよう構成されることができることが理解されるであろう。したがって、絶縁型電流複製器625の入力電流ループは、LVプログラム可能ブランキング回路636によって動作する、こうしたブランキングスイッチを通してLV検知増幅器626の入力に適用されることができることが理解されるであろう。LV BLANK信号によって供給されるLAブランキング期間は、好ましくは、LVペーシングパルスの送出に続く約100ミリ秒未満であるか、RA、RV、およびLAに印加された任意のペーシングパルスの送出に続く約7ミリ秒未満である。
【0087】
この例において、RVペース/検知電極対およびRV検知増幅器526の入力およびRVペーシングチャネル500のRVペーシングパルス出力回路534の間には絶縁型電流複製器は挿入されない。3つの絶縁型電流複製器325、425、および625の場所は、示された場所から変わる可能性があるか、RVペース/検知電極対とRV検知増幅器526の入力とRVペーシングパルス出力回路534の出力の間には別の絶縁型電流複製器が挿入される可能性があることが理解されるであろう。ダウンリンクテレメトリ命令によって使用可能にされることができる切り換え回路部を設けて、絶縁型電流複製器の任意の複製器をバイパスさせることも可能である。
【0088】
絶縁型電流複製器対は、各ペーシングチャネル内に挿入されて、チャネルのペース/検知電極対を、各チャネルの検知増幅器およびペーシング出力回路から個別に絶縁させる可能性があることが理解されるであろう。
【0089】
動作時、V−A補充間隔は、先行する心室の、検知されたかペーシングされた事象からタイムアウトしていると仮定し、また、自発性心房脱分極は、RAまたはLAの一方で起こり、かつ、RAペース/検知電極対17、19またはLA CSペース/検知電極対28、30(図5)の一方のそばを最初に通過すると仮定する。P波が、RA検知増幅器326またはLA検知増幅器426によって、ペース/検知電極17および19またはLA CSペース/検知電極28および30にわたってそれぞれ検知されると、SERA信号またはSELA信号が生成される。V−A補充間隔のタイムアウト中に発生するSERAまたはSELA信号の最初の信号を使用して、心房ペーサタイミング/ロジック回路120Aでタイムアウトしている、その時のV−A心房補充間隔がリセットされる。最初に発生するSERAまたはSELA信号はまた、各RAまたはLA CDWタイマ330または430によって各RAまたはLA CDWSのタイミングを始動させる。最初に発生するSERAまたはSELA信号はまた、それぞれ、この状況下では任意のCDW時間をタイムアウトしないであろうと思われるLAまたはRA CDWタイマ430または330をリセットするように印加される。RAまたはLA CS心房ペース/検知電極17および19または28および30の他方の対において、P波を検知することなく、RAまたはLA CDWSがタイムアウトする場合、RAまたはLAペーシング出力回路334または434によって心房ペース/検知電極の他方の対に心房ペースパルスが送出される。
【0090】
P波が検知されずに、V−A補充間隔がタイムアウトし、その後、それぞれ、RA EI PT信号またはLA EI PT信号に応答して、それぞれ、各RAペース出力回路334またはLAペース出力回路434によって、RAペースパルスまたはLAペースパルスが送出されると仮定する。いずれの心房ペーシングパルスを送出するかの選択をプログラムすることができる。RAペースパルスが、RAペース/検知電極17および19にわたって送出される場合、LA CDW時間がLA CDW時間タイマ330で始動される。LA CSペース/検知電極28および30においてP波を検知することなく、RA CDW時間がタイムアウトする場合、心房ペースパルスがLA CSペース/検知電極28および30に送出される。
【0091】
いずれの場合も、AV遅延タイマ160が始動して、P波の検知によってSAV遅延をタイムアウトさせるか、または心房ペースパルスの送出によってPAV遅延をタイムアウトさせる。上述したように、好ましくは、個別のプログラム可能なペーシングされたSAVRAおよびSAVLA遅延は、最初の心房検知事象が、RAペース/検知電極17および19か、LA CSペース/検知電極28および30のいずれにわたって検知されるかによって使用される。個別のプログラム可能なペーシングされたPAVRAおよびPAVLA遅延はまた、最初の心房ペーシングパルスが、RAペース/検知電極17および19か、LA CSペース/検知電極28および30のいずれにわたって送出されるかによって使用される。これらの4つの可能な遅延は、「オン」または「オフ」でプログラムされ、遅延値は、RAM/ROMチップ110内にプログラムされる。プログラムされた遅延値は、プログラム可能AV遅延タイマ160で用いられ、心房ペーサタイミング/ロジック回路120Aにおいて、AV遅延選択ロジックによって生成されたRSAV、LSAVトリガー信号の1つによって、または、V−A補充間隔タイマ(複数可)によって生成されたRPAV、LPAVトリガー信号の1つによって始動される。別法として、単一のRAVまたはLAV遅延のみが、それぞれ、RSAVおよびRPAVトリガー信号またはLSAVおよびLPAVトリガー信号に応答して、トリガーされることができる。
【0092】
最も一般的な場合、AV時間遅延の間に、RVまたはLV CSペース/検知電極38および40または48および50の一方の対にわたって、R波が検知される場合、SERVまたはSELV信号が、RV検知増幅器526またはLV検知増幅器626によって生成され、心室ペーサタイミング/ロジック回路120Aのロジックをリセットするように印加される。リセット信号はライン164上で生成され、リセット信号を使用して、図6のAV遅延タイマがリセットされる。SERVまたはSELV信号もまた使用して、心室ペーサタイミング/ロジック回路120VにおいてV−A補充間隔が始動され、各RVまたはLV CDWタイマ530または630において心室CDW時間が始動される。RVまたはLV CSペース/検知電極38および40または48および50の他の対においてR波を検知することなく、心室CDW時間がタイムアウトする場合、それぞれRVまたはLVペーシング出力パルス発生器534または634により心室ペースパルスが心室ペース/検知電極の他の対に送出される。
【0093】
V−A補充間隔がタイムアウトする場合、通常、心室ペースパルスが最初にRVペース/検知電極38および40にわたって送出され、RV CDW時間がRV CDWタイマ530において始まる。LV CSペース/検知電極48および50においてR波を検知することなく、心室CDW時間がタイムアウトする場合、LVペーシング出力回路634によって心室ペースパルスがLV CSペース/検知電極48および50に送出される。
【0094】
再び、RAおよびLA心房検知およびペーシング回路300および400に関して、RAおよびLA検知増幅器326および426の検知特性、CDW時間タイマ330および430のCDW時間ならびにペーシングパルス出力回路334および434のパラメータは、個別にプログラムされ、RAM/ROMチップ110に格納されることができる。同様に、RVおよびLV心房検知およびペーシング回路500および600に関して、RVおよびLV検知増幅器526および626の検知特性、CDWタイマ530および630のCDW時間ならびにペーシングパルス出力回路534および634のパラメータは、個別にプログラムされ、RAM/ROMチップ110に格納されることができる。さらに、両心室および両心房動作モードのいずれか、または両方は、任意選択で、特定の患者または特定の患者の状態の変化に対応するためにプログラム上でオフされることができる。たとえば、上述した両心房ペーシングモードをプログラム上でオンし、最適な心房伝導時間遅延を選択し、両心室ペーシングおよび検知機能をプログラム上でオフすることによって、先に参照した左心房頻脈性不整脈を処置することができてよい。逆に、両心房ペーシングおよび検知機能が選択的にプログラム上でオフされ、両心室ペーシングおよび検知機能が、最適にプログラムされて、正常な心房間伝導および異常に長い心室間伝導遅延を有する患者に対する治療が提供されてよい。
【0095】
上述した図6および図7の4腔ペーシングシステムは、たとえば、少なくとも1つの電流複製器を使用して、2腔DDDペーシングモードで動作する2腔AV順次ペーシングシステムとして選択的に構成されることができることが理解されよう。たとえば、左心房ペーシングおよび検知システム300および左心室ペーシングおよび検知システム600および関連する部品は、なくされるか、または、RAおよびRVのAV順次ペーシングおよび検知を行なわないようにプログラムされることができる。ここで、RA絶縁電流複製器325は上述した方法で動作する。したがって、図6および図7はまた、本発明を組み込むことができる、こうした2腔ペーシングシステムを示すことが理解されるべきである。
【0096】
図8について考えると、図8は、概略的に、図4および図6、図7の絶縁型電流複製器225、325、425、および625として使用可能なGMR絶縁型電流複製器を示す。GMR絶縁型電流複製器は、米国特許第6,252,390号、および、「Magnetically Coupled Linear Isolator」(IEEE Trans, on Magnetics, vol. 33, no, 5, September 1997, pp.4029-4031)と題するT.M. Hermann等による論文および「Monolithic 4-20mA Isolating Current Replicator using GMR Resistors」(ISSC98/Session 17/Sensor Technology/Paper SA 17.5)と題するW.L. Hui等による論文に記載される方法で、機能し、好ましくは作製される。
【0097】
最近、2つの主要表面(それぞれの上には、非等方的強磁性薄膜が形成されている)を有する分離材料からなる中間薄層の形態で磁界素子を設けることは、こうした「サンドイッチ」構造の強磁性薄膜および中間層の厚みが十分に薄く作られた場合、「巨大磁気抵抗効果(GMR)作用」をもたらすことがわかった。この効果は、こうした強磁性膜と中間層を特別に交互に並べたものを用いて、こうしたGMR素子を形成して超格子を形成することによって、増大されることができる。得られる増大したGMR効果は、よく知られている非等方的磁気抵抗応答による大きさより最大一桁大きい範囲内にある可能性のある、GMR抵抗器の磁気抵抗応答を生ずる可能性がある。
【0098】
米国特許第6,252,390号ならびにHermannおよびHuiの論文は、信号絶縁体内で生ずる磁場状態を磁気抵抗を用いて検知することに基づいた信号絶縁体を開示しており、信号絶縁体は、有利には、強磁性薄膜材料を用いて作製されることができる。こうした信号絶縁体は、モノリシックICの表面上に形成されることができて、それによって、絶縁体と絶縁体用の動作回路部の間に都合のよい電気接続部を設けることが可能になる。
【0099】
図8に示す各GMR絶縁型電流複製器225、325、425、および625は、クロスチャネル信号の伝導を阻止するために、互いから絶縁した集積回路として形成された入力電流ループ201と出力電流ループ205を備える。上述した好ましい実施形態において、入力電流ループ203は、1つまたは複数のブランキングスイッチによって、検知増幅器の入力およびペーシングチャネルのペーシングパルス回路の出力に結合される。出力電流ループ205は、高値負荷抵抗器212にわたってペーシング/検知チャネルのペース/検知電極と結合される。入力電流ループ203は、同じチャネルブランキング回路のブランキング回路スイッチによって同じチャネル検知増幅器入力に結合される。心臓脱分極信号は、クロスチャネルペーシングパルスの送出に続く、約5ミリ秒〜10ミリ秒、たとえば、7ミリ秒の短いブランキング期間後に、出力電流ループ205から入力電流ループ203へ伝えられることができる。出力電流ループ205は、GMR素子によって、入力電流ループ203に結合したペーシング回路部から絶縁されて、別のペーシングチャネルにおけるペーシングパルス送出に伴うクロスチャネル漏れ電流が、出力電流ループ205と結合したペース/検知電極対に印加されるのを防止する。
【0100】
図8において、4つの磁界に敏感なGMR抵抗器202、204、206、および208は、ICで作製した従来の演算増幅器(オペアンプ)210の入力端子、調整された電源、およびグラウンドに関して、ブリッジ構成で配置される。抵抗器202、204、206、および208は、高い磁気感度を示し、従来のICプロセスに容易に組み込まれるGMR材料で作られる。各GMR抵抗器202、204、206、および208の抵抗値は、それぞれのGMR誘導子コイル202’、204’、206’、および208’または各GMR素子を通して横切る電流信号によって作られる磁界の関数として変化する。逆に、各GMR抵抗器202、204、206、および208を横切る電流は、それぞれの誘導子コイル202’、204’、206’、および208’を通して電流を誘導する。
【0101】
入力電流ループ203は、それぞれ、磁界に敏感な抵抗器202および208の上に重なる誘導子コイル202’および208’を有するIC基板上に形成される入力電流搬送IC導体でできている。各GMR抵抗器202および208は、誘導子コイル202’および208’を通って入力電流信号によって作られる磁界がない場合に第1抵抗値を有する。入力電流信号が、入力電流搬送導体203に対して、かつ、それぞれ、コイル202’および208’を通して印加されると、磁界が各GMR抵抗器202および208上に生成され、それによって、その抵抗値の変化が生ずる。
【0102】
同様に、出力電流ループ205は、それぞれ、磁界に敏感な抵抗器204および206の上に重なる誘導子コイル204’および206’を有するIC基板上に形成される出力電流搬送IC導体でできている。各GMR抵抗器204および206は、電流信号がない時に第1抵抗値を、電流信号が、出力電流搬送導体205に印加され、それぞれ、コイル204’および206’に磁界を誘導する時に第2抵抗値を有する。この場合、出力電流ループ205の電流信号は、オペアンプ210か、出力電流ループに結合するペース/検知電極対を横切る電気信号のいずれかによって生成されることができる。
【0103】
IC上に形成されるオペアンプ210は、第1および第3巨大GMR抵抗器202および208に結合した第1増幅器入力、第2および第4巨大GMR抵抗器204および206に結合する第2増幅器入力、および出力電流ループ205に結合する増幅器出力を有する。入力電流ループ203の電流は、出力電流ループ205のオペアンプ210によって生成される、絶縁された等しいフィードバック電流によって平衡し、それによって、ペーシングパルスは、出力電流ループ205と結合するペース/検知電極対に送出されることができる。逆に、心臓脱分極信号が、ペース/検知電極から出力電流ループ205に伝導されると、心臓脱分極信号は、オペアンプ210のオペアンプ入力を不平衡にし、それによって、電流が入力電流ループ203に誘導され、心臓脱分極信号が複製される。
【0104】
ペーシングパルス回路によって生成されたペーシングパルスは、入力電流ループ203に印加され、信号電流によって、第1および第2GMR抵抗器202および208は抵抗値を変え、オペアンプ210の入力を不平衡にする。出力電流ループ205のオペアンプ210によって生成された信号は、ペーシングパルスを複製し、それによって、抵抗器212およびペース/検知電極対にわたって複製されたペーシングパルスを生成する。
【0105】
ペース/検知電極対を横切る心臓脱分極信号または他の電気信号によって、電流は、出力電流ループ205内に誘導され、第3および第4GMR抵抗器204および206は抵抗値を変える。抵抗値の変化は、オペアンプ210の入力に印加された電圧を変える。入力を再平衡化させるための、オペアンプ210によって引き出される電流によって、電流が、第1および第3GMR抵抗器202および208を通って引き出され、その電流が、各第1および第3GMR誘導子コイル202’および208’に電流を誘導し、その電流は入力電流ループ203を通って検知増幅器入力に印加される。
【0106】
図8に示すGMR絶縁型電流複製器225、325、425、および625は、標準的なバイポーラプロセスおよびCMOSプロセスを用いて集積化されることができ、実質的にハイブリッドの容積、ハイブリッドの費用(FAPC)を低減することができ、検知増幅器をペーシング出力回路から絶縁することについて、従来の方法と比べて、信頼性および患者の安全性を高めることができる。
【0107】
さらに好ましい実施形態において、MEMSで作製した絶縁変圧器を備えるモノリシック絶縁回路は、図4および図6、図7の絶縁型電流複製器225、325、425、および625として用いられるように取って代わる。こうしたモノリシック絶縁回路302は、図9に示されており、絶縁層310によって分離されたMEMSで作製された低損失入力および出力コイル306および308を備え、絶縁層は、入力コイル306を出力コイル308から絶縁させる。この設計は2500ボルトのスタンドオフを提供する。再び、この技術は、上述した同様な利点を可能にする標準的なCMOSウェハ312の上部に集積化されるであろう。
【0108】
上述の好ましい実施形態において、GMR絶縁型電流複製器またはMEMSで作製した絶縁変圧器は、それぞれのCDWSおよびCDWPを、0ミリ秒から任意の好ましい上限までの範囲でプログラムすることを可能にすることが理解されるであろう。CDWPおよびCDWSが0ミリ秒でプログラムされている時、右または左心腔の一方における検知された事象またはペーシングされた事象は、他の心腔に対するペーシングパルスのほぼ同時の送出をトリガーする。プログラム可能な最大CDWSおよびCDWPは、図1に示す生理的活性化シーケンス伝導遅延を補償するために約100ミリ秒であると想定される。すなわち、長いCDWをプログラムして、伝導された脱分極を検知すること、および、右および左心腔ペース/検知電極の任意の対間での実際のペーストリガーされた伝導遅延または自発性伝導遅延を測定することが可能になる。すなわち、右心腔と左心腔の間の伝導がない場合、長いCDWをプログラムして、1つの心腔における検知されたかペーシングされた事象に続いて、他の心腔に対して遅延の非常に長いペーシングパルスを送出して、右および左心腔の脱分極の特定の治療タイミングを得ることができる。
【0109】
しかし、上述したペーシングシステムは、動作が単純化されてもよく、それでも、上述したGMR絶縁型電流複製器またはMEMSで作製した絶縁変圧器を用いる恩恵を享受することが理解されよう。たとえば、ペーシングモードは、上述した禁止されたモードではなくCDWをタイムアウトしない付託されたモードにプログラムされて、それによって、RHCおよびLHCペーシングパルスは、先行するペーシングパルスまたは検知事象から計時されたペース遅延後に、同時かあるいは所定の右−左または左−右シーケンスで、常に送出される。この場合、単純な遅延または遅延窓は、条件付きでなく、タイムアウトによって、それぞれ、LHCまたはRHCペーシングパルスの送出をもたらす、通常、A−A遅延(心房)またはV−V遅延(心室)と呼ぶ、RHCまたはLHCのペーシングパルスすなわち検知された事象からタイムアウトされる。したがって、「遅延窓」は、こうしたA−A遅延またはV−V遅延、あるいは、RHC−LHCの実施形態における種々のタイプの上述したCDWのことを言ってよい。
【0110】
したがって、本発明は、単一心腔内、すなわち、選択された上部および下部ならびに右および左心腔の中の、少なくとも第1および第2部位においてペーシングおよび検知を行う任意のペーシングシステムで実施できることを理解することができる。両心房または3腔または4腔ペーシングシステムにおいて、第1部位は、右心房および左心房の一方であり、第2部位は、右心房および左心房の他方である可能性がある。両心室または3腔または4腔ペーシングシステムにおいて、第1部位は、右心室および左心室の一方であり、第2部位は、右心室および左心室の他方である可能性がある。AV順次ペーシングシステムにおいて、第1部位は心房心腔および心室心腔の一方であり、第2部位は、心房心腔および心室心腔の他方である可能性がある。
【0111】
2極心房および/または心室リード線システムが、図面に示され、上述されているが、本発明は、右および左心腔内のまたはそのまわりの図示した位置の単一ペース/検知電極、および図2、図3および図5のIPG12のハウジングの外面の一部として形成された遠隔電極20を使用する単極リード線システムと共に使用されてよいことが理解されるであろう。さらに、RA、LA、RV、およびLV上またはその内部の電極部位に設置されるようになっている、図示したリード線およびペース/検知電極の代わりに、他のリード線およびペース/検知電極を用いてもよい。
【0112】
前述の具体的な実施形態は本発明の実施を例示している。したがって、本発明または添付特許請求項の範囲から逸脱することなく、当業者に知られているか、本明細書で開示される他の手段を使用してよいことが理解されるべきである。したがって、添付特許請求項の範囲内で、本発明の精神および範囲から実際に逸脱することなく、具体的に述べた方法以外の方法で本発明を実施してよいことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】心臓脱分極波の、心臓を通る正常な電気的活性化シーケンスでの伝達を示す図である。
【図2】本発明が実施される2腔の両心房ペーシングシステムを示す略図である。
【図3】本発明が実施される2腔の両心室ペーシングシステムを示す略図である。
【図4】図2および図3のシステムで使用される、右および左心腔IPGのための、本発明の回路部の単純化したブロック図である。
【図5】本発明が実施される3腔または4腔の両心房および/または両心室ペーシングシステムを示す略図である。
【図6】右および左、上部および下部の心腔を選択的にペーシングするために、4ペーシング腔を提供するためか、選択的に3ペーシング腔を選択的にプログラムするための、図5のシステムで使用される本発明のIPG回路部の一実施形態の単純化したブロック図の一部である。
【図7】右および左、上部および下部の心腔を選択的にペーシングするために、4ペーシング腔を提供するためか、選択的に3ペーシング腔を選択的にプログラムするための、図5のシステムで使用される本発明のIPG回路部の一実施形態の単純化したブロック図の一部である。
【図8】本発明による、図4および図6、図7の回路部のN個の検知増幅器のうちの最大N−1個の検知増幅器を、関連するペース/検知電極対から絶縁するための、GMR素子を使用した、ブリッジ構成の例示的な絶縁電流複製器回路の略図である。
【図9】MEMS作製技法を使用して形成された絶縁型電流複製器の略図である。
Claims (19)
- 心臓の少なくとも2つの部位において、ペーシングおよび検知を行うペーシングシステムであって、
第1ペーシングチャネルであって、
自発性心臓脱分極を検知し、かつ、ペーシングパルスを心臓の第1部位に印加して、該第1部位の誘発脱分極を促す(stimulate)ようにするための第1ペース/検知電極を設置されている第1リード線、
前記第1部位での自発性心臓脱分極から生ずる心臓信号を検知し、第1検知事象信号を供給する第1検知手段、および、
第1ペーストリガー信号に応答して、前記第1ペース/検知電極を通して、前記第1部位で心臓をペーシングするように第1部位ペーシングパルスを前記第1リード線に供給するための第1ペーシングパルス出力手段
を備える、第1ペーシングチャネルと、
第2ペーシングチャネルであって、
自発性心臓脱分極を検知し、かつ、ペーシングパルスを心臓の第2部位に印加して、該第2部位の誘発脱分極を促すようにするための第2ペース/検知電極を設置されている第2リード線、
前記第2部位での自発性心臓脱分極から生ずる心臓信号を検知し、第2検知事象信号を供給する第2検知手段、および、
第2ペーストリガー信号に応答して、前記第2ペース/検知電極を通して、前記第2部位で心臓をペーシングするように第2部位ペーシングパルスを前記第2リード線に供給するための第2ペーシングパルス出力手段
を備える、第2ペーシングチャネルと、
前記第1および第2検知手段による検知を可能にし、かつ、前記第1および第2ペーシングパルス出力手段を作動して、ペーシングパルスを前記第1および第2部位に選択的に印加するようにするタイミングおよび制御手段と、
を備え、
漏れ電流経路が、前記第1および第2ペーシングチャネル間のペーシング回路部内に存在し、前記第1および第2ペーシングチャネルのうちの少なくとも一方は、前記ペーシングチャネルの前記ペース/検知電極に結合した出力電流ループおよび前記ペーシングチャネルの前記検知手段に結合した入力電流ループを備えるモノリシック絶縁回路手段をさらに備える絶縁型ペーシングチャネルであり、前記入力および出力電流ループは、互いから絶縁された集積回路導体として形成され、
それによって、心臓脱分極信号は、前記出力電流ループと結合した前記ペース/検知電極から前記出力電流ループに伝導されて前記入力電流ループにおいて複製され、前記ペース/検知電極と結合した前記出力電流ループは、漏れ電流経路から絶縁されて、漏れ電流の前記出力電流ループへの伝送が禁止されるペーシングシステム。 - 前記タイミングおよび制御手段はさらに、
第1ペーストリガー信号または第1検知事象信号からペーシング補充間隔を計時する補充間隔タイミング手段と、
前記ペーシング補充のタイムアウトによって、前記第1ペーストリガー信号を生成し、それによって、前記ペーシング補充間隔のタイムアウト中に第1検知事象信号がない時に、前記第1部位をペーシングするための基本ペーシングレートを供給する手段と、
前記ペーシング補充間隔の前記タイムアウトまたは前記ペーシング補充間隔のタイムアウト以前における前記第1検知事象信号の検知に応答して、遅延窓の計時を始めるようにする遅延タイミング手段と、
前記遅延窓の前記タイムアウトで前記第2心臓ペーストリガー信号を生成する手段と、を備える請求項1に記載のペーシングシステム。 - 前記絶縁型ペーシングチャネルはさらに、前記入力電流ループと前記検知手段の入力の間に挿入され、少なくとも前記第1ペーシングパルスまたは前記第2ペーシングパルスの送出持続期間を含むブランキング期間中に、前記入力電流ループを前記検知手段入力から切り離すようになっているブランキング手段を備える請求項1に記載のペーシングシステム。
- 前記絶縁型ペーシングチャネルの前記ペーシングパルス出力手段は、前記入力電流ループに結合しており、それによって、該入力電流ループと結合した前記ペーシングパルス出力手段によって生成されるペーシングパルスは、前記出力電流ループにおいて複製され、該出力電流ループと結合した前記ペース/検知電極に印加される請求項1に記載のペーシングシステム。
- 前記入力電流ループは、磁界誘導コイルを有する集積回路基板上の入力電流搬送導体でできており、
前記出力電流ループは、前記集積回路基板上の出力電流搬送導体でできており、さらに、
前記入力電流搬送導体に対して置かれ、かつ、該入力電流搬送導体から電気的に絶縁されており、前記入力電流搬送導体に印加された入力電流信号がない時に第1抵抗値を、入力電流信号が前記入力電流搬送導体に印加された時に第2抵抗値を有する、少なくとも1つの巨大磁気抵抗効果抵抗器と、
前記少なくとも1つの巨大磁気抵抗効果抵抗器および前記出力電流搬送導体に結合しており、前記入力電流ループに印加された前記ペーシングパルスを複製して、該印加されたペーシングパルスによって前記巨大磁気抵抗効果抵抗器の抵抗値が変化する時に前記出力電流ループ内で前記ペーシングパルスを形成するようにする複製回路手段とを備える請求項4に記載のペーシングシステム。 - 前記複製回路手段は、前記巨大磁気抵抗効果抵抗器に結合した増幅器入力および前記出力電流搬送ループに結合した増幅器出力を有する演算増幅器を備える請求項5に記載のペーシングシステム。
- 前記入力電流ループは、第1および第2磁界誘導コイルを含む集積回路基板上の入力電流搬送導体でできており、前記第1および第2磁界誘導コイルは、電流が、前記入力電流搬送導体内に誘導されるか、または、該入力電流搬送導体に印加される時に第1および第2磁界を生成し、
前記出力電流ループは、第3および第4磁界誘導コイルを含む集積回路基板上の第2電流搬送導体でできており、前記第3および第4磁界誘導コイルは、電流が、前記出力電流搬送導体内に誘導されるか、または、該出力電流搬送導体に印加される時に第3および第4磁界を生成し、さらにブリッジ回路を備えており、
該ブリッジ回路は、
第1および第2増幅器入力ならびに前記出力電流ループに結合した増幅器出力を有する前記集積回路上に形成された演算増幅器と、
それぞれ、前記第1、第2、第3、および第4磁界誘導コイルに対して置かれ、かつ、該第1、第2、第3、および第4磁界誘導コイルからそれぞれ電気的に絶縁された第1、第2、第3、および第4巨大磁気抵抗効果抵抗器であって、各巨大磁気抵抗効果抵抗器は、磁界が印加されないと第1抵抗値を、磁界誘導コイルを通して印加された電流によって生じた磁界にさらされると第2抵抗値を有する、第1、第2、第3、および第4巨大磁気抵抗効果抵抗器と、
前記第1、第2、第3、および第4巨大磁気抵抗効果抵抗器を、電流源に対し、かつ、ブリッジ回路内の前記演算増幅器の前記入力にわたって結合させる手段であって、それによって、前記演算増幅器は、前記入力電流搬送導体に印加されたペーシングパルスに応答して、前記第1および第2演算増幅器入力と結合した前記第1および第2磁気抵抗効果抵抗器が前記ペーシングパルス電流によって抵抗値を変化させた時に、前記出力電流搬送導体内で前記ペーシングパルスを複製し、前記演算増幅器は、前記出力電流搬送導体上の心臓脱分極信号に応答して、前記第1および第2演算増幅器入力と結合した前記第3および第4磁気抵抗効果抵抗器が前記心臓脱分極電流によって抵抗値を変化させた時に、前記入力電流ループ内で前記心臓脱分極信号を複製する、結合させる手段とを備える請求項4に記載のペーシングシステム。 - 前記絶縁型ペーシングチャネルはさらに、前記入力電流ループと前記検知手段の入力の間に挿入され、少なくとも前記第1ペーシングパルスまたは前記第2ペーシングパルスの送出持続期間を含むブランキング期間中に、前記入力電流ループを前記検知手段入力から切り離すようになっているブランキング手段を備える請求項4に記載のペーシングシステム。
- 前記入力電流ループは、第1および第2磁界誘導コイルを含む集積回路基板上の入力電流搬送導体でできており、前記第1および第2磁界誘導コイルは、電流が、前記入力電流搬送導体内に誘導されるか、または、該入力電流搬送導体に印加される時に第1および第2磁界を生成し、
前記出力電流ループは、第3および第4磁界誘導コイルを含む集積回路基板上の第2電流搬送導体でできており、前記第3および第4磁界誘導コイルは、電流が、前記出力電流搬送導体内に誘導されるか、または、該出力電流搬送導体に印加される時に第3および第4磁界を生成し、さらにブリッジ回路を備えており、
該ブリッジ回路は、
第1および第2増幅器入力ならびに前記出力電流ループに結合した増幅器出力を有する前記集積回路上に形成された演算増幅器と、
それぞれ、前記第1、第2、第3、および第4磁界誘導コイルに対して置かれ、かつ、該第1、第2、第3、および第4磁界誘導コイルからそれぞれ電気的に絶縁された第1、第2、第3、および第4巨大磁気抵抗効果抵抗器であって、各巨大磁気抵抗効果抵抗器は、磁界が印加されないと第1抵抗値を、磁界誘導コイルを通して印加された電流によって生じた磁界にさらされると第2抵抗値を有する、第1、第2、第3、および第4巨大磁気抵抗効果抵抗器と、
前記第1、第2、第3、および第4巨大磁気抵抗効果抵抗器を、電流源に対し、かつ、ブリッジ回路内の前記演算増幅器の前記入力にわたって結合させる手段であって、それによって、前記演算増幅器は、前記出力電流搬送導体上の心臓脱分極信号に応答して、前記第1および第2演算増幅器入力と結合した前記第3および第4磁気抵抗効果抵抗器が前記心臓脱分極電流によって抵抗値を変化させた時に、前記入力電流ループ内で前記心臓脱分極信号を複製する、結合させる手段とを備える請求項1に記載のペーシングシステム。 - 前記絶縁型ペーシングチャネルは、前記入力電流ループと前記検知手段の入力の間に挿入され、少なくとも前記第1ペーシングパルスまたは前記第2ペーシングパルスの送出持続期間を含むブランキング期間中に、前記入力電流ループを前記検知手段入力から切り離すようになっているブランキング手段をさらに備える請求項9に記載のペーシングシステム。
- 前記入力電流ループは、磁界誘導コイルを有する集積回路基板上の入力電流搬送導体でできており、
少なくとも1つの巨大磁気抵抗効果抵抗器は、入力電流信号がない時に第1抵抗値を、入力電流信号が前記入力電流搬送導体に印加された時に第2抵抗値を有する前記入力電流搬送導体に対して置かれ、かつ、該入力電流搬送導体から電気的に絶縁されており、
前記出力電流ループは、前記集積回路基板上の出力電流搬送導体でできており、
さらに、前記少なくとも1つの巨大磁気抵抗効果抵抗器および前記入力および出力電流搬送導体に結合しており、前記入力電流信号によって前記巨大磁気抵抗効果抵抗器の抵抗値が変化する時に前記入力電流ループ上の前記出力電流ループに現れた心臓脱分極信号を複製するようにする複製回路手段をさらに備える請求項1に記載のペーシングシステム。 - 前記絶縁型ペーシングチャネルは、前記入力電流ループと前記検知手段の入力の間に挿入され、少なくとも前記第1ペーシングパルスまたは前記第2ペーシングパルスの送出持続期間を含むブランキング期間中に、前記入力電流ループを前記検知手段入力から切り離すようになっているブランキング手段をさらに備える請求項11に記載のペーシングシステム。
- 前記複製回路手段は、前記巨大磁気抵抗効果抵抗器に結合した増幅器入力および前記出力電流搬送ループに結合した増幅器出力を有する演算増幅器を備える請求項11に記載のペーシングシステム。
- 前記第1部位は、第1心腔および第2心腔のうちの一方であり、前記第2部位は、前記第1心腔および前記第2心腔のうちの他方である請求項1に記載のペーシングシステム。
- 前記第1部位は、右心房および左心房のうちの一方であり、前記第2部位は、右心房および左心房のうちの他方である請求項1に記載のペーシングシステム。
- 前記第1部位は、右心室および左心室のうちの一方であり、前記第2部位は、右心室および左心室のうちの他方である請求項1に記載のペーシングシステム。
- 前記第1部位は、心房心腔および心室心腔のうちの一方であり、前記第2部位は、前記心房心腔および前記心室心腔のうちの他方である請求項1に記載のペーシングシステム。
- 前記モノリシック絶縁回路手段は、低損失入力および出力コイルを備える微小機械作製式(MEMS)絶縁変圧器でできており、前記低損失入力および出力コイルは、前記入力コイルを前記出力コイルから絶縁する絶縁層によって分離されている請求項1に記載のペーシングシステム。
- 前記絶縁型ペーシングチャネルはさらに、前記低損失出力コイルと前記検知手段の入力の間に挿入され、少なくとも前記第1ペーシングパルスまたは前記第2ペーシングパルスの送出持続期間を含むブランキング期間中に、前記出力電流ループを前記検知手段入力から切り離すようになっているブランキング手段を備える請求項18に記載のペーシングシステム。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US09/918,225 US6711437B2 (en) | 2001-07-30 | 2001-07-30 | Pacing channel isolation in multi-site cardiac pacing systems |
PCT/US2002/019742 WO2003011389A2 (en) | 2001-07-30 | 2002-06-19 | Pacing channel isolation in multi-site cardiac pacing systems |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004536677A true JP2004536677A (ja) | 2004-12-09 |
Family
ID=25440018
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003516619A Pending JP2004536677A (ja) | 2001-07-30 | 2002-06-19 | 複数部位心臓ペーシングシステムにおけるペーシングチャネルの絶縁 |
Country Status (7)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US6711437B2 (ja) |
EP (1) | EP1412025B1 (ja) |
JP (1) | JP2004536677A (ja) |
AT (1) | ATE288778T1 (ja) |
CA (1) | CA2455895A1 (ja) |
DE (1) | DE60202957T2 (ja) |
WO (1) | WO2003011389A2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008538981A (ja) * | 2005-04-25 | 2008-11-13 | カーディアック・ペースメーカーズ・インコーポレーテッド | 長期の心房間遅延の処置のための装置 |
JPWO2006129417A1 (ja) * | 2005-06-03 | 2008-12-25 | 国立大学法人 新潟大学 | 心臓ペースメーカー及び心臓ペーシング法 |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7231249B2 (en) * | 2003-07-24 | 2007-06-12 | Mirowski Family Ventures, L.L.C. | Methods, apparatus, and systems for multiple stimulation from a single stimulator |
US7181281B1 (en) | 2003-10-08 | 2007-02-20 | Pacesetter, Inc. | ICD using MEMS for optimal therapy |
US20060063964A1 (en) * | 2004-08-20 | 2006-03-23 | Massen Richard J | Micro electromechanical machine-based ventricular assist apparatus |
US7899538B2 (en) * | 2006-04-18 | 2011-03-01 | Medtronic, Inc. | Methods and apparatus for automatically tracking heart failure status |
WO2010114428A1 (en) * | 2009-03-31 | 2010-10-07 | St. Jude Medical Ab | Implanted heart-stimulation device enabling charge balance after stimulation sequence |
US8478423B2 (en) | 2009-04-07 | 2013-07-02 | Boston Scientific Neuromodulation Corporation | Insulator layers for leads of implantable electric stimulation systems and methods of making and using |
US9956413B2 (en) | 2012-10-11 | 2018-05-01 | Pacesetter, Inc. | Systems and methods for packed pacing using bifurcated pacing pulses of opposing polarity generated by an implantable medical device |
US9037234B2 (en) | 2013-07-25 | 2015-05-19 | Pacesetter, Inc. | Implantable cardiac stimulation devices, and methods of use therewith, that use assignable pace return capacitors |
US9579512B2 (en) | 2015-03-24 | 2017-02-28 | Medtronic, Inc. | Techniques for minimizing current drain in an implantable medical device |
Family Cites Families (36)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US3766413A (en) | 1969-12-15 | 1973-10-16 | American Optical Corp | Rate discrimination circuit |
US3835865A (en) | 1970-07-10 | 1974-09-17 | Gen Electric | Body organ stimulator |
US3757791A (en) | 1971-12-30 | 1973-09-11 | American Optical Corp | Synchronized atrial and ventricular pacer and timing circuitry therefor |
US3814106A (en) | 1972-04-14 | 1974-06-04 | American Optical Corp | Atrial and ventricular pacer having independent rate controls and means to maintain a constant av delay |
US4170999A (en) | 1977-08-19 | 1979-10-16 | Biotronik Mess- Und Therapiegerate Gmbh & Co. | Demand pacer having reduced recovery time |
US4275737A (en) | 1978-11-06 | 1981-06-30 | Medtronic, Inc. | Demand cardiac pacemaker having reduced polarity disparity |
US4476868A (en) | 1978-11-06 | 1984-10-16 | Medtronic, Inc. | Body stimulator output circuit |
US4310000A (en) | 1980-01-23 | 1982-01-12 | Medtronic, Inc. | Implantable pulse generator having separate passive sensing reference electrode |
US4649931A (en) | 1981-03-02 | 1987-03-17 | Medtronic, Inc. | Sampled data sense amplifier |
US4379459A (en) | 1981-04-09 | 1983-04-12 | Medtronic, Inc. | Cardiac pacemaker sense amplifier |
US4406286A (en) | 1981-04-09 | 1983-09-27 | Medtronic, Inc. | Fast recharge output circuit |
US4498478A (en) | 1982-09-13 | 1985-02-12 | Medtronic, Inc. | Apparatus for reducing polarization potentials in a pacemaker |
US4726380A (en) | 1983-10-17 | 1988-02-23 | Telectronics, N.V. | Implantable cardiac pacer with discontinuous microprocessor, programmable antitachycardia mechanisms and patient data telemetry |
CA1290813C (en) | 1985-08-12 | 1991-10-15 | Michael B. Sweeney | Pacemaker for detecting and terminating a tachycardia |
US4800883A (en) | 1986-04-02 | 1989-01-31 | Intermedics, Inc. | Apparatus for generating multiphasic defibrillation pulse waveform |
GB8612659D0 (en) | 1986-05-23 | 1986-07-02 | Coventry City Council | Cardiac pacemaker circuit |
US4830006B1 (en) | 1986-06-17 | 1997-10-28 | Intermedics Inc | Implantable cardiac stimulator for detection and treatment of ventricular arrhythmias |
US4953551A (en) | 1987-01-14 | 1990-09-04 | Medtronic, Inc. | Method of defibrillating a heart |
US4850357A (en) | 1988-01-12 | 1989-07-25 | Cardiac Pacemakers, Inc. | Biphasic pulse generator for an implantable defibrillator |
US4998531A (en) | 1990-03-28 | 1991-03-12 | Cardiac Pacemakers, Inc. | Implantable N-phasic defibrillator output bridge circuit |
US5156149A (en) | 1990-08-10 | 1992-10-20 | Medtronic, Inc. | Sensor for detecting cardiac depolarizations particularly adapted for use in a cardiac pacemaker |
US5163427A (en) | 1990-11-14 | 1992-11-17 | Medtronic, Inc. | Apparatus for delivering single and multiple cardioversion and defibrillation pulses |
US5117824A (en) | 1990-11-14 | 1992-06-02 | Medtronic, Inc. | Apparatus for monitoring electrical physiologic signals |
US5433729A (en) | 1991-04-12 | 1995-07-18 | Incontrol, Inc. | Atrial defibrillator, lead systems, and method |
US5178140A (en) | 1991-09-05 | 1993-01-12 | Telectronics Pacing Systems, Inc. | Implantable medical devices employing capacitive control of high voltage switches |
US5265588A (en) | 1992-01-15 | 1993-11-30 | Medtronic, Inc. | VCO driven flyback converter for implantable cardoverter/defibrillator |
US5292338A (en) | 1992-07-30 | 1994-03-08 | Medtronic, Inc. | Atrial defibrillator employing transvenous and subcutaneous electrodes and method of use |
US5722998A (en) | 1995-06-07 | 1998-03-03 | Intermedics, Inc. | Apparatus and method for the control of an implantable medical device |
US5929636A (en) | 1996-05-02 | 1999-07-27 | Integrated Magnetoelectronics | All-metal giant magnetoresistive solid-state component |
US5831426A (en) | 1996-08-16 | 1998-11-03 | Nonvolatile Electronics, Incorporated | Magnetic current sensor |
US5836981A (en) | 1997-01-17 | 1998-11-17 | Paceseter, Inc. | Pacemaker circuit and associated methods for generating electrical stimulation signals |
US6054780A (en) | 1997-10-23 | 2000-04-25 | Analog Devices, Inc. | Magnetically coupled signal isolator using a Faraday shielded MR or GMR receiving element |
US6122545A (en) | 1998-04-28 | 2000-09-19 | Medtronic, Inc. | Multiple channel sequential cardiac pacing method |
US5902324A (en) * | 1998-04-28 | 1999-05-11 | Medtronic, Inc. | Bi-atrial and/or bi-ventricular sequential cardiac pacing systems |
US6101417A (en) | 1998-05-12 | 2000-08-08 | Pacesetter, Inc. | Implantable electrical device incorporating a magnetoresistive magnetic field sensor |
US6087882A (en) | 1998-12-04 | 2000-07-11 | Analog Devices, Inc. | Ultra-low power magnetically coupled digital isolator using spin valve resistors |
-
2001
- 2001-07-30 US US09/918,225 patent/US6711437B2/en not_active Expired - Fee Related
-
2002
- 2002-06-19 JP JP2003516619A patent/JP2004536677A/ja active Pending
- 2002-06-19 WO PCT/US2002/019742 patent/WO2003011389A2/en active IP Right Grant
- 2002-06-19 CA CA002455895A patent/CA2455895A1/en not_active Abandoned
- 2002-06-19 EP EP02742250A patent/EP1412025B1/en not_active Expired - Lifetime
- 2002-06-19 DE DE60202957T patent/DE60202957T2/de not_active Expired - Lifetime
- 2002-06-19 AT AT02742250T patent/ATE288778T1/de not_active IP Right Cessation
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008538981A (ja) * | 2005-04-25 | 2008-11-13 | カーディアック・ペースメーカーズ・インコーポレーテッド | 長期の心房間遅延の処置のための装置 |
JPWO2006129417A1 (ja) * | 2005-06-03 | 2008-12-25 | 国立大学法人 新潟大学 | 心臓ペースメーカー及び心臓ペーシング法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
ATE288778T1 (de) | 2005-02-15 |
US6711437B2 (en) | 2004-03-23 |
US20030023280A1 (en) | 2003-01-30 |
DE60202957D1 (de) | 2005-03-17 |
EP1412025B1 (en) | 2005-02-09 |
WO2003011389A2 (en) | 2003-02-13 |
CA2455895A1 (en) | 2003-02-13 |
WO2003011389A3 (en) | 2003-05-01 |
DE60202957T2 (de) | 2006-03-30 |
EP1412025A2 (en) | 2004-04-28 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5902324A (en) | Bi-atrial and/or bi-ventricular sequential cardiac pacing systems | |
EP1075308B1 (en) | Multiple channel, sequential, cardiac pacing systems | |
US6466820B1 (en) | Multi-site cardiac pacing system having trigger pace window | |
EP1117462B1 (en) | Multi-site cardiac pacing system having conditional refractory period | |
US6721598B1 (en) | Coronary sinus cardiac lead for stimulating and sensing in the right and left heart and system | |
EP1140284B1 (en) | Av synchronous cardiac pacing system delivering multi-site ventricular pacing triggered by a ventricular sense event during the av delay | |
US6751503B1 (en) | Methods and systems for treating patients with congestive heart failure (CHF) | |
EP1446191B1 (en) | System for bi-ventricular fusion pacing | |
US6421564B1 (en) | Bi-chamber cardiac pacing system employing unipolar left heart chamber lead in combination with bipolar right chamber lead | |
US6915164B2 (en) | Automatic capture using independent channels in bi-chamber stimulation | |
US6735472B2 (en) | Method of defibrillating a heart with electrode configurations including a left ventricular defibrillation electrode | |
WO2001036042A1 (en) | Cardiac pacing system delivering multi-site pacing in a predetermined sequence triggered by a sense event | |
EP1140286B1 (en) | Recharge circuitry for multi-site stimulation of body tissue | |
EP1412025B1 (en) | Pacing channel isolation in multi-site cardiac pacing systems | |
US6760619B1 (en) | Two lead universal defibrillation, pacing and sensing system | |
US6745081B1 (en) | Coronary Sinus Cardiac Lead For Stimulating and Sensing The Atria of the Right and Left Heart and System | |
US6931280B1 (en) | Apparatus and method for bi-ventricular pacing and sensing in an implantable device | |
US8788039B1 (en) | Implantable cardiac stimulation device providing bichamber and multichamber pacing timing and method |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050620 |
|
A072 | Dismissal of procedure [no reply to invitation to correct request for examination] |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A073 Effective date: 20051208 |