JP2004536559A - ノミgabaレセプターサブユニットの核酸分子、タンパク質およびその使用 - Google Patents
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Abstract
本発明は、ノミGABAレセプターサブユニット核酸分子;そのような核酸分子によりコードされる、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質;そのようなタンパク質に対して惹起された抗体;および、そのようなタンパク質の活性を阻害する化合物に関する。本発明はまた、そのような、タンパク質、核酸分子、抗体、および阻害化合物を得るための方法を包含する。本発明はまた、そのような、タンパク質、核酸分子、抗体および阻害化合物(特に、ノミGABAレセプターサブユニット活性を特異的に阻害する化合物)を含む治療組成物、ならびに動物を処置するためのそのような治療組成物の使用を、含む。
Description
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ノミGABAレセプターサブユニット核酸分子、そのような核酸分子によってコードされるタンパク質、そのようなタンパク質に対して産生される抗体、およびそのようなタンパク質のインヒビターに関する。本発明はまた、そのようなタンパク質、核酸分子、抗体、および阻害性化合物を得るための方法も包含する。本発明はまた、そのようなインヒビターを含む治療的組成物、およびその使用も包含する。
【0002】
(発明の背景)
動物のノミのインフェステーションは、ペットのオーナーにとって健康上および経済上の心配事である。特に、インフェステーションが、ペットにとってだけではなく、自分の家が一般的に虫に汚染されていることを見出し得るペットのオーナーにとっても悩みの種となることに起因して、ノミの咬傷は、ペットとして飼育されている動物に関する問題である。ノミが、様々な病気(アレルギーを含む)を直接引き起こすこと、そしてまた内寄生性生物(例えば、線虫、条虫、吸虫および原虫)、細菌およびウイルスを含むが、これらに限定されない様々な感染因子を保有することが知られている。このように、ノミは、それらが動物上に存在する場合だけでなく、それらが動物の環境一般に存在する場合にも問題である。
【0003】
ノミのインフェステーションの医学的な重要性は、ノミのインフェステーションを制御し得る薬剤の開発を促した。ノミのインフェステーションを制御するために共通して見られる方法は、一般的に殺虫剤の使用に集中されていて、その方法は、以下の理由によってしばしば不成功に終っている:(1)オーナーのコンプライアンスの失敗(頻繁な投与が必要とされる);(2)殺虫剤物質または殺虫剤投与の方法に対する、ペットの習性上のかまたは生理学的な不耐性;および(3)処方された殺虫剤の投与量に対して耐性なノミ集団の発生。
【0004】
γ−アミノ酪酸(GABA)は、GABAレセプターに結合する、昆虫および脊椎動物の両方において主要な神経伝達物質であり、そのレセプターは、脊椎動物および脊椎動物の神経組織における内在性の膜糖タンパク質であって、レセプターの中でもリガンド型イオンチャネルスーパーファミリーの一員である。研究者は、Drosophila melanogasterより、推定のGABAレセプターをコードする3種の昆虫クローン((1)Rdl(ジエルドリン耐性)、(2)Grd(DrosophilaのGABAおよびグリシン様レセプター);ならびに(3)Lcch3(リガンド型クロライドチャネルホモログ3))を単離した。昆虫GABAレセプターは、シクロジエン(例えば、ジエルドリン)、およびフェニルピラゾール(例えば、フィプロニル)を含む様々な殺虫剤の公知の標的である;例えば、Casida,J.E.、1993、Archives of Insect Biochem.and Physiol.22:13−23、およびColeら、1993、Pesticide Biochem.and Physiol.、46:47−54を参照のこと。Drosophila、甲虫、蚊、コナジラミ、ゴキブリおよびアブラムシを含む、複数の昆虫において、シクロジエン耐性は、アニリンからセリンへの1つのアミノ酸突然変異と関連する。
【0005】
初期の調査は、特定の昆虫GABAレセプターサブユニットタンパク質および/または昆虫GABAレセプターサブユニット核酸配列(例えば、ffrench−Constantら、1991、Proc.Nat.Acad.Sci.88:7209−7213が挙げられる)、および特定の脊椎動物タンパク質および/または脊椎動物核酸配列(例えば、Pritchettら、1989、Nature、338:582−585が挙げられる)を記載している。残念ながら、GABAレセプターを標的とする多くの殺虫剤はまた、哺乳動物のGABAAレセプターにも作用し、従ってノミを殺すための標的としてGABAレセプターを用いることは困難であった。処置する動物のGABAレセプターに対する潜在的な交差反応性を制限する必要性に起因して、ノミGABAレセプターの配列を有することは、宿主動物に対する毒性を最小限にする一方でノミに対して効果のある処置を作製するために、大変な利点となり得る。
【0006】
従って、ノミGABAレセプターサブユニット遺伝子の単離および配列決定は、ノミインフェステーションに対して動物を処置するための特定の物質の同定における使用のために必要不可欠である。
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、以下を提供する:ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質;ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質をコードする核酸配列;そのようなタンパク質に対して産生する抗体(すなわち、抗ノミGABAレセプターサブユニット抗体);そのようなタンパク質または抗体のミメトープ(mimetope);およびノミGABAレセプターサブユニット活性を阻害する化合物(すなわち、阻害性化合物またはインヒビター)。
【0008】
本発明はまた、そのようなタンパク質、ミメトープ、核酸分子、抗体および阻害性化合物を得るための方法も包含する。本発明はまた、そのような阻害性化合物を同定するためのタンパク質および抗体の使用ならびにそのような阻害性化合物を同定するためのアッセイキットの使用を包含する。また、本発明中には、本発明のタンパク質、ミメトープ、核酸分子、抗体、および阻害性化合物を含む治療的組成物も含まれ(それらは、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害する本発明のタンパク質から誘導された治療的化合物を含む);またそのような治療的化合物の使用も含まれる。
【0009】
本発明の1つの実施形態は、20%以下の塩基対がミスマッチし得る条件下で、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および/または配列番号11を有する核酸配列とハイブリダイズする、単離されたノミGABAレセプターサブユニット核酸分子である。本発明の別の実施形態は、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および/もしくは配列番号11と少なくとも80%が同一である核酸配列を有する単離されたノミGABAレセプターサブユニット核酸分子であるか、または少なくとも約35ヌクレオチド長のそれらのフラグメントである。
【0010】
本発明はまた、本発明の核酸分子を含む、組換え分子、組換えウイルスおよび組換え細胞にも関する。またそのような核酸分子、組換え分子、組換えウイルスおよび組換え細胞を産生する方法も、含まれる。
【0011】
本発明の別の実施形態としては、配列番号2、配列番号5、および/または配列番号10から成る群より選択されたアミノ酸配列と少なくとも95%が同一である、単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質ならびにそのフラグメントが挙げられる(ここでそのようなフラグメントは各々のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に対する免疫応答を誘導し得るかまたは各々のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に匹敵する活性を有する)。
【0012】
本発明の別の実施形態としては、20%以下の塩基対以下の塩基対がミスマッチし得る条件下で、配列番号3、配列番号8、および/または配列番号11を有する核酸配列とハイブリダイズする核酸分子によってコードされた単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質が挙げられる。
【0013】
本発明の別の実施形態としては、賦形剤、ならびに本発明の核酸分子、タンパク質、および抗体から成る群より選択された化合物、を含む組成物、ならびにそのような動物にそのような組成物を投与することを含む、動物のインフェステーションを処置する方法が挙げられる。
【0014】
本発明の別の実施形態としては、ノミGABAレセプターサブユニット活性のインヒビターを検出する方法が挙げられ、この方法は以下の工程を含む:(a)本発明の単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質と、推定の阻害性化合物を、この化合物が存在しない場合に、このタンパク質がノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性を有するような条件下で接触させる工程、および(b)この推定阻害性化合物がノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性を阻害するかどうかを測定する工程。
【0015】
(本発明の詳細な説明)
本発明は、ノミGABAレセプターサブユニット核酸分子、そのような核酸分子によってコードされたタンパク質、そのようなタンパク質に対して産生された抗体、およびそのようなタンパク質に対するインヒビターを提供する。本明細書中に使用される場合、ノミGABAレセプターサブユニット核酸分子およびそのような核酸分子によってコードされたタンパク質はまた、各々、本発明のGABAレセプターサブユニット核酸分子および本発明のGABAレセプターサブユニットタンパク質として示される。本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子および本発明のGABAレセプターサブユニットタンパク質は、ノミより単離され得るか、または組換え的にかもしくは合成的に調製され得る。本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、RNAでもDNAでも、それらの改変体でもよく、そして二本鎖でも一本鎖でもよい;核酸分子の例としては、相補的DNA(cDNA)分子、ゲノムDNA分子、合成DNA分子、メッセンジャーRNAに特異的なタグであるDNA分子、および対応するmRNAが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のノミ核酸分子自体は、そのような核酸分子を含有する染色体全体を指すことを意図されないが、しかし、本発明のノミGABAレセプターサブユニットcDNAは、例えば、そのようなcDNAによってコードされるノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の産生を制御する調節領域(例えば、転写調節領域、翻訳調節領域または翻訳後調節領域が挙げられるが、これらに限定されない)およびそのコード領域自身、ならびに任意のイントロンまたは非翻訳コード領域の全ての領域を含み得る。本明細書中に使用される場合、句、「ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質」とは、ノミGABAレセプターサブユニット核酸分子によってコードされたタンパク質を言う。
【0016】
ノミから単離された既知の長さのノミGABAレセプターサブユニット核酸分子(例えば、Ctenocephalides felis)は、「nCfGR#」(例えば、nCfGR5503)と示され(ここで「#」は、その分子中のヌクレオチドの数を示す)、そして既知の長さのノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、「PCfGR#」(例えば、PCfGR482)と示される(ここで「#」は、その分子中のアミノ酸残基の数を示す)。
【0017】
本発明はまた、メッセンジャーRNAに特異的なタグであるノミGABAレセプターサブユニットDNA分子も提供する。そのようなDNA分子は、メッセンジャーRNAの全配列またはメッセンジャーRNAの一部の配列と適合し得、従って、そのようなメッセンジャーRNA分子と適合するDNA分子(すなわち、cDNA分子)、は、タンパク質の全長またはタンパク質の一部をコードし得る。一部の長さのタンパク質をコードする核酸分子は、適合する(または構造的に関連する)全長のタンパク質をコードするcDNA核酸分子を同定および/または単離するために、プローブとして直接的にか、またはプライマーを作製するために間接的に用いられ得る。そのような部分的cDNA核酸分子はまた、調節領域、エキソンおよびイントロンを含む完全な遺伝子を含有する核酸分子のようなゲノム核酸分子を同定するためにも同様の様式で用いられる。全長かつ適合するcDNA分子を同定するための、部分的なノミGABAレセプターサブユニットcDNA分子および部分的なノミGABAレセプターサブユニットcDNA配列を用いる方法が、本明細書において以下に記載される。
【0018】
本発明のタンパク質および核酸分子は、天然の供給源から得ても、例えば、核酸組換え技術または化学合成を用いて産生されてもよい。また本発明中には、これらのタンパク質の使用および核酸分子の使用、ならびにそれらに対する治療的組成物としての抗体の使用および阻害性化合物の使用、ならびに他の適用における、以下に開示するような使用も、含まれる。
【0019】
本発明の1つの実施形態は、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を含む、単離されたタンパク質である。用語「1つの(a)」存在物または「1つの(an)」存在物が1つ以上のその存在物を示す(例えば、1つのタンパク質、1つの核酸分子、1つの抗体および1つの治療的組成物が「1つ以上の」または「少なくとも1つの」、各々タンパク質、核酸分子、抗体および治療的組成物を示す)ことが、示され得る。用語「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、「1つ以上の」および「少なくとも1つの」、それら自体が、本明細書中に互換的に用いられ得る。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」が互換的に用いられ得ることもまた、示され得る。本発明に従って、単離されているか、または生物学的に純粋な、タンパク質とは、その天然の環境より取り出されたタンパク質である。「単離された」および「生物学的に純粋な」、それら自体は、そのタンパク質が精製された程度を、必ずしも反映しない。本発明の単離されたタンパク質は、その天然の供給源より得ても、組換えDNA技術を用いて産生しても、化学合成によって産生してもよい。
【0020】
本明細書中に使用する場合、本発明の単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、全長のタンパク質でも、そのようなタンパク質のいかなるホモログでもよい。本発明の単離されたタンパク質(ホモログを含む)は、そのタンパク質がノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に対して免疫応答を誘導する能力によってか、またはそのタンパク質がノミGABAレセプターサブユニット活性(例えば、GABAと結合する活性)を示す能力によって、直接的な様式で同定され得る。ノミGABAレセプターサブユニットホモログタンパク質の例としては、そこでそのホモログがノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に対する免疫応答を誘導し得る、かつ/かまたはノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に対する抗体と結合し得る、少なくとも1つのエピトープを含むように、アミノ酸が欠失(例えば、ペプチドのような、タンパク質の切断されたバージョン)挿入、反転、置換および/または誘導体化(例えば、糖化、リン酸化、アセチル化、ミリストイル化、プレニル化、パルミトイル化、アミド化および/またはグリセロホスファチジルイノシトールの付加)された、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質が挙げられる。すなわち、このホモログが、当業者に公知の方法を用いて、免疫原として動物に投与される場合、この動物は、天然のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の少なくとも1つのエピトープに対する免疫応答を生じる。タンパク質の免疫応答をもたらす能力は、当業者に公知の技術を用いて測定され得る。本明細書中に使用される場合、用語「エピトープ」とは、抗体の抗原結合部位またはT細胞レセプターに選択的に結合し得る、タンパク質または他の抗体の最小部分を言う。このタンパク質エピトープの最小サイズが約4〜6アミノ酸であることは、当業者によって十分に認められている。当業者に理解されているように、エピトープは、天然で互いに連続するアミノ酸および、その天然タンパク質の三次構造に起因して、エピトープを形成し得るほどに十分に近接しているアミノ酸を含み得る。本発明に従う、エピトープとしては、少なくとも4アミノ酸長、少なくとも5アミノ酸長、少なくとも6アミノ酸長、少なくとも10アミノ酸長、少なくとも15アミノ酸長、少なくとも20アミノ酸長、少なくとも25アミノ酸長、少なくとも30アミノ酸長、少なくとも35アミノ酸長、少なくとも40アミノ酸長、少なくとも50アミノ酸長を含むタンパク質の部分が挙げられる。
【0021】
本発明の1つの実施形態において、ノミGABAレセプターサブユニットホモログタンパク質は、ノミGABAレセプターサブユニット活性を有する(すなわち、このホモログは、天然の対応物と類似の活性を示す(例えば、GABAに結合する能力))。そのような活性を検出および測定するための方法は、当業者に公知である。
【0022】
ノミGABAレセプターサブユニットホモログタンパク質は、天然の対立遺伝の変異の結果でも、天然の突然変異の結果でもあり得る。本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質ホモログはまた、タンパク質の直接の改変または例えば、不規則な突然誘発または標的化された突然誘発を果たすための、古典的な技術もしくは組換えDNA技術を用いるタンパク質をコードする遺伝子の改変を含むが、これらに限定されない、当該分野において公知の技術を用いても産生され得る。
【0023】
本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、ノミGABAレセプターサブユニット核酸分子によってコードされている。本明細書中に使用される場合、ノミGABAレセプターサブユニット核酸分子としては、天然のノミGABAレセプターサブユニット遺伝子に関連する核酸配列、そして、好ましくは、C.felisノミGABAレセプターサブユニット遺伝子に関連する核酸配列が挙げられる。本明細書中に使用される場合、ノミGABAレセプターサブユニット遺伝子としては、そのような遺伝子によってコードされるノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の産生を制御する調節領域(例えば、転写制御領域、翻訳制御領域または翻訳後制御領域があるが、これらに限定されない)およびコード配列自体、ならびに任意のイントロンまたは非翻訳コード配列のような全ての領域が挙げられる。本明細書中に使用される場合、配列を「含む(include)」または「含む(comprise)」核酸分子は、1つの連続する配置中の配列を含んでも、しばしばノミ遺伝子に関して見出されるように、断片化されたエキソンのような配列を含んでもよい。本明細書中に使用される場合、用語「コード領域」とは、タンパク質に翻訳される、ヌクレオチドの連続的かつ直線的な配置を言う。全長のコード領域とは、任意の翻訳後修飾の前に、天然の環境において最初に翻訳された場合に、全長の(すなわち、完全な)タンパク質へと翻訳されるコード領域である。
【0024】
本発明の1つの実施形態は、1つの連続する配置中にかまたは天然に存在するイントロンによって割り込まれているかのいずれかの、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および/または配列番号11の核酸配列を含むC.felis flea GABAレセプターサブユニット遺伝子である。これらの核酸配列は、本明細書中にさらに記載される。例えば、配列番号7の核酸配列は、本明細書中にC.felis GABAレセプターサブユニット核酸分子nCfGR1446として示されるC.felis cDNAのコード鎖の推定配列を表す(この配列の産生物が、例において開示される)。配列番号7の核酸配列は、見かけ上、全長のコード領域を含む。配列番号7の相補体(本明細書中に配列番号8によって表される)は、核酸配列7を有する鎖と十分に相補的な鎖の核酸配列を示す(このことは、当業者によって容易に決定され得る)。同様に、本発明の任意の核酸配列に相補的な核酸配列とは、引用された配列に対して十分に相補的な(すなわち、それと完全な二重螺旋を形成し得る)核酸鎖の核酸配列を指す。核酸配列決定技術が完全に失敗が無いとは限らないので、配列番号7(および本明細書中に示される、他の核酸配列およびタンパク質配列)が本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質をコードする核酸分子の見かけ上の核酸配列を表すことに、留意すべきである。
【0025】
配列番号4(nCfGR5503のコード鎖)の翻訳および配列番号7(nCfGR5503のコード領域を表す、nCfGR1446のコード鎖)の翻訳は、本明細書中にPCfGR482として示される、482アミノ酸のタンパク質を産生し、そのアミノ酸配列は、配列番号5において表され、(a)開始コドンが、それぞれ配列番号4のヌクレオチド378〜380または配列番号7のヌクレオチド1〜ヌクレオチド3にわたり、そして(b)終止コドンが配列番号4のヌクレオチド1824から1826にわたることが予想される。
【0026】
1つの実施形態において、本発明の遺伝子および他の核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および/または配列番号11と類似するが同一でない配列を含む対立遺伝子の改変体であり得る。例えば、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および/または配列番号11を含むC.felis GABAレセプターサブユニット遺伝子の対立遺伝子改変体とは、本質的に配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および/または配列番号11を含む遺伝子とゲノム中の同じ座に生じるが、しかし、例えば、突然変異または組換えによって引き起こされる天然の改変に起因して、類似するが同一でない配列を有する、遺伝子である。天然の選択が、特に機能に影響する変更に対する選択をすることに起因して、対立遺伝子改変体(すなわち、引用された核酸配列に適合するか、または引用された核酸配列の対立遺伝子)は、それらと比較される遺伝子によってコードされたタンパク質の活性と類似する活性を有するタンパク質を通常コードする。遺伝子の対立遺伝子の改変体または核酸分子の対立遺伝子の改変体はまた、遺伝子の5’または3’の非翻訳領域における(すなわち、調節制御領域における)変化を含んでいても、初期転写物の選択的スプライシング(これによって代替的なエキソンが近位へと運ばれる)を含んでいてもよい。対立遺伝子の改変体は、当業者に周知であり、そしてそのゲノムが二倍体でありかつ有性生殖が対立遺伝子の再組み合わせを生じ得るので、対立遺伝子の改変体が所定のノミ種において天然に生じ得ることが予想される。
【0027】
本発明の1つの実施形態において、単離したノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件下で、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質をコードする遺伝子、またはノミGABAレセプターサブユニットタンパク質をコードする他の核酸分子の各々とハイブリダイズする核酸分子によってコードされる。本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の最小限のサイズは、対応する天然のタンパク質をコードする核酸分子の相補的配列と安定なハイブリッドを形成し得る(すなわち、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする)核酸分子によって十分にコードされ得るサイズである。そのようなタンパク質をコードする核酸分子のサイズは、核酸の組成およびノミGABAレセプターサブユニット核酸分子とその相補的核酸配列との間の相同性%に依存する。ストリンジェントな条件下での安定なハイブリッドを形成するために必要とされる相同性の程度が、相同な配列が所定の核酸分子を通して散在しているのかまたは所定の核酸分子上の特定の領域において集中しているのか(すなわち、局在化するか)のいずれであるかに依存して、変化し得ることは、容易に理解され得る。
【0028】
ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質をコードする遺伝子との安定なハイブリッドを形成し得る核酸分子の最小限のサイズは、その核酸分子がGCリッチの場合、少なくとも約12〜約15ヌクレオチド長であり、そしてそれがATリッチの場合、少なくとも約15〜約17塩基長である。本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質ホモログをコードするために用いられるのに最小限の核酸分子のサイズは、約12〜約18ヌクレオチド長である。従って、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質ホモログの最小限のサイズは、約4〜約6アミノ酸長である。本発明の核酸分子が、遺伝子の一部またはcDNAの一部またはRNAの一部を含んでも、遺伝子全体またはcDNA全体またはRNA全体を含んでも、複数の遺伝子または複数のcDNAまたは複数のRNAを含んでもよいことに起因して、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質をコードする核酸分子の最大限のサイズには、実施上の制限を除き、制限がない。本発明の核酸分子によってコードされるタンパク質の好ましいサイズは、そのようなタンパク質の全長、そのようなタンパク質の融合、そのようなタンパク質の多価性、またはそのようなタンパク質の機能性部分のいずれが所望されるかに依存する。
【0029】
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、核酸分子がハイブリダイズするノミGABAレセプターサブユニット核酸分子の規定の物理学的特性に基づいて決定され、数学的に定義され得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、個々の当業者が異種の核酸分子間の十分な類似性を同定することを可能にする実験的パラメーターである。これらの条件は、当業者に周知である。例えば、Sambrookら、1989、Molecular Cloning.A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Labs Press、およびMeinkothら、1984、Anal.Biochem.138、267−284を参照のこと、これらの各々は、本明細書中全体に参考として援用される。引用された参考文献中において詳細に説明されるように、ハイブリダイゼーションの条件の決定は、イオン強度(M、mole/l)、ハイブリダイゼーション温度(℃)、核酸ヘリックス不安定化剤(例えば、ホルムアミド)の濃度、最短ハイブリッド二重鎖の平均長(n)、および未知の核酸分子がハイブリダイズするフラグメント中のGおよびC組成の%を含む変数のセットの操作を包含する。少なくとも約150ヌクレオチドの核酸分子に関して、これらの変数が、所定の核酸分子の融解温度(またはTm)を算出するための標準的な数式へと挿入される。以下の式中の記載において、Tmは、2本の相補的な核酸分子鎖が解離し得る温度である(二本鎖間が100%相補的であると仮定する):
Tm=81.5℃+16.6logM+0.41(GおよびCの%)−500/n−0.61(ホルムアミドの%)。
約50ヌクレオチド未満の核酸分子に関して、ハイブリッドの安定性は、解離温度(Td)で定義され、これは、二本鎖の50%が解離する温度として定義される。これらの低分子に関して、標準的イオン強度での安定性が、以下の式で定義される:
Td=4(G+C)+2(A+T)。
Tdの5℃下の温度が、完全に相補的な分子間のハイブリダイゼーションを検出する為に用いられる。
【0030】
また、どのような塩基対ミスマッチ、すなわち、比較されている2つの核酸分子間の違い(所定の位置での塩基の非相補性を含む)および比較されているいずれかの核酸分子上での所定の位置での1以上の塩基の挿入または欠失によるギャップが、異なるサイズの核酸分子に対するTmまたはTdに影響するかは、当業者に周知である。例えば、Tmは、約150bpを超えるハイブリッドに関して塩基対ミスマッチのそれぞれ1%につき約1℃減少し、そしてTdは、約50bp未満のハイブリッドに関して、それぞれの塩基対ミスマッチにつき約5℃減少する。約50塩基対と約150塩基対との間のハイブリッドの条件は、当業者に周知の標準の実験手順を用いて、経験的にそして過度の実験なく、決定され得る。これらの簡単な手順により、当業者は、指定された%を超える塩基対ミスマッチを有する核酸ハイブリッドだけがハイブリダイズするように、このハイブリダイゼーション条件を設定し得る(例えば、その塩濃度、そのホルムアミド濃度、またはその温度を変更することにより)。当業者は、試験されるべき所定の核酸分子が約50ヌクレオチド未満か、あるいは約50ヌクレオチドより大きいかを容易に決定し得、そしてその結果、ハイブリダイゼーションの条件を決定するための適切な処方を選択し得るので、当業者は、望ましい量の塩基対ミスマッチであり得るように設計された条件下で、その核酸分子が所定の遺伝子とハイブリダイズするかどうかを決定し得る。
【0031】
ハイブリダイゼーション反応は、ハイブリダイズされるべき核酸分子を固体支持体(例えば、メンブレン)に取り付ける工程、そしてその後、ハイブリダイゼーション溶液に懸濁された、一般的にプローブと言われる標識核酸分子とハイブリダイズする工程により、しばしば実行される。一般的なハイブリダイゼーション反応技術の例としては、周知のサザンブロット手順およびノザンブロット手順が挙げられるが、これらに限定されない。代表的に、この実際のハイブリダイゼーション反応は、非ストリンジェントな条件下、すなわち、より低い温度、および/またはより高い塩濃度で行われ、そしてその後、高ストリンジェンシーが、より高い温度および/またはより低い塩濃度を有する溶液中でメンブレンを洗浄することにより獲得され、所望のストリンジェンシーを達成する。
【0032】
例えば、当業者が、30%以下の対ミスマッチを容認する条件下で、約150bp以上の長さのノミGABAレセプターサブユニット核酸分子とハイブリダイズする核酸分子を同定したい場合、好ましくは下記の条件が使用され得る。このノミDNAの平均G+C含有量は、既知のノミ核酸配列から算出した場合、約37%である。知られていない核酸分子は支持体メンブレンに取り付けられ、そして、その150bpプローブは、例えば放射性タグを用いて標識される。このハイブリダイゼーション反応は、核酸ヘリックス不安定化化合物の非存在下で2×SSCを含む溶液中で、温度約37℃(低ストリンジェンシー状態)で行われ得る。異なる濃度のSSC溶液は、望ましい濃度のSSCを得るために、20×SSC(水1L中に、175.3グラムの塩化ナトリウム、および約88.2グラムのクエン酸ナトリウムを含み、pH7)のストック溶液を希釈することにより、当業者により作製され得る。当業者は、30%までの塩基対ミスマッチを許容するために必要な洗浄条件を算出する。例えば、核酸ヘリックス不安定化化合物の非存在下で1×SSCを含む洗浄液において、完全なハイブリッドのTmは、約79.6℃である:
81.5℃+16.6log(0.15M)+(0.41×37)−(500/150)−(0.61×0)=79.6℃。
【0033】
従って、約20%の塩基対ミスマッチを有する核酸分子とのハイブリダイゼーションを達成するためには、ハイブリダイゼーション洗浄が、59.6℃以下の温度で行われる。従って、当業者内で、塩基対ミスマッチの望ましい百分率に基づきさらなるハイブリダイゼーション温度を計算するために、公式およびG/C含有量が本明細書中に開示されている。例えば、本明細書中で指定の配列を有する本発明の核酸分子に対するハイブリダイゼーションに関して、試験されるべきその核酸分子が150ヌクレオチドより長くなる場合、塩基対ミスマッチを20%まで許容するハイブリダイゼーション反応のためのTmは、59.6℃から著しく変動しないことが、当業者によって認識される。同様に、約10%の塩基対ミスマッチを有する核酸分子とのハイブリダイゼーションを達成するためには、ハイブリダイゼーション洗浄は69.6℃以下の温度で実施され、そして、約5%の塩基対ミスマッチを有する核酸分子とのハイブリダイゼーションを達成するためには、ハイブリダイゼーション洗浄は74.6℃以下の温度で実施される。
【0034】
さらに、2つの核酸配列間またはタンパク質配列間の類似度を決定するための市販のコンピュータープログラムの存在が、当該分野で公知である。これらのコンピュータープログラムは、ハイブリッド核酸分子間またはハイブリッドタンパク質間の同一性パーセンテージ、ならびに、ギャップの数および長さを決定するための、種々の公知の方法を含む。アミノ酸配列間、そしてまた核酸配列間の同一性パーセントを決定するための好ましい方法は、核酸配列またはアミノ酸配列を比較および解析するために設計された、1つ以上の市販のコンピュータープログラムを用いる解析を含む。これらのコンピュータープログラムとしては、SeqLab(登録商標)Wisconsin PackageTM バージョン10.0−UNIX(登録商標)配列解析ソフトウェア(Genetics Computer Group、Madison、WIから入手可能)(本明細書中で以下「SeqLab」);およびDNAsis(登録商標)配列解析ソフトウェア、バージョン2.0(日立ソフトウェア、San Bruno、CAから入手可能)(本明細書中で以下「DNAsis」)が挙げられるが、これらに限定されない。このようなソフトウェアプログラムは、アルゴリズムの使用のために、グラフィカルユーザーインターフェースと組み合わせたアルゴリズムの集合を表す。例えば、このDNAsisおよびSeqLabソフトウェアは、特殊なアルゴリズムであるNeedleman−Wunschアルゴリズムを使用して、2つの配列間で二つ一組の比較を行って同一性パーセンテージスコアを算出する(本明細書中でその全体が参考として援用されている、Needleman,S.B.およびWunch,C.D.、1970、J.Mol.Biol.、48、443参照のこと)。Needleman−Wunschアルゴリズムを含め、そのようなアルゴリズムは、配列を比較するために、核酸配列決定およびアミノ酸配列決定分野の当業者により一般に使用されている。アミノ酸配列間、そしてまた核酸配列間の同一性パーセントを決定する好ましい方法は、ギャップ生成ペナルティーおよびギャップ伸長ペナルティーが初期値で設定され、そしてギャップシフト制限が最大で設定されたnwsgapdna.cmpスコアリングマトリックスを有するPairwise Comparison/Gap関数を用いている、SeqLabソフトウェア中で利用可能なNeedleman−Wunschアルゴリズムの使用を包含する。(本明細書中で以後「SeqLabデフォルトパラメータ」という)。アミノ酸配列間およびまた核酸配列間の同一性パーセントを決定するさらなる好ましい方法は、DNAsisソフトウェア(本明細書中で以後「DNAsis」という)中で利用可能なHiggins−Sharpアルゴリズムの使用を包含し、このHiggins−Sharpアルゴリズムは、ギャップペナルティーが5で設定され、最高ダイアゴナル数が5で設定され、固定のギャップペナルティーが10で設定され、k−tupleが2で設定され、ウィンドウサイズが5で設定され、そして浮動ギャップペナルティーが10で設定されでいる。アミノ酸配列間、そしてまた核酸配列間の同一性パーセントを決定するための特に好ましい方法は、SeqLabデフォルトパラメータを用いた、SeqLabソフトウェア中で利用可能なNeedleman−Wunschアルゴリズムの使用を包含する。
【0035】
本発明の1つの実施形態は、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を含む。好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、好ましくは20%以下の塩基対ミスマッチを許容する条件下で、好ましくは10%以下の塩基対ミスマッチを許容する条件下で、好ましくは8%以下の塩基対ミスマッチを許容する条件下で、好ましくは5%以下の塩基対ミスマッチを許容する条件下で、または、好ましくは2%以下の塩基対ミスマッチを許容する条件下で、配列番号3、配列番号8、そして/または配列番号11からなる群より選択される核酸分子とハイブリダイズする核酸分子によりコードされるタンパク質を含む。
【0036】
本発明の別の実施形態は、以下(a)および(b)を含む条件下で、配列番号3、配列番号6、配列番号8、そして/または配列番号11からなる群より選択される単離された核酸分子にハイブリダイズする核酸分子によりコードされる、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を含む。(a)核酸ヘリックス不安定化化合物の非存在下で1×SSCを含む溶液中で、温度37℃でハイブリダイズする条件、および(b)核酸ヘリックス不安定化化合物の非存在下で1×SSCを含む溶液中で、温度69.6℃で洗浄する条件。
【0037】
本発明の、別の好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、配列番号1、配列番号4、配列番号7、そして/または配列番号9の核酸配列を有する核酸分子と、好ましくは少なくとも80%同一、好ましくは少なくとも90%同一、好ましくは少なくとも92%同一、好ましくは少なくとも95%同一、または、好ましくは少なくとも98%同一である、核酸分子によりコードされるタンパク質を含み;また、少なくとも35ヌクレオチドである核酸分子によりコードされる、上記タンパク質のフラグメント(すなわち、一部分)も好ましい。本明細書中で使用される場合、同一性パーセントは、デフォルトパラメーターを使用しているSeqLabソフトウェア中で利用可能なNeedleman−Wunschアルゴリズムを用いて決定される。
【0038】
本発明の、さらなる好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、配列番号2、配列番号5、そして/または配列番号10のアミノ酸配列を有するタンパク質、および、配列番号2、配列番号5、そして/または配列番号10のアミノ酸配列を有するタンパク質のホモログを含むタンパク質を含む。ここで、このようなホモログは、配列番号2、配列番号5、そして/または配列番号10のアミノ酸配列を有するタンパク質に対する免疫応答を誘発する、少なくとも1エピトープを含む。同様に、配列番号1、配列番号4、配列番号7、そして/または配列番号9の核酸配列を含む核酸分子、またはそれらのホモログによりコードされるタンパク質もまた好ましい。
【0039】
本発明の、好ましい、単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、以下:nCfGR183、nCfGR5503、nCfGR1446、および/またはnCfGR717の核酸分子、あるいはこれらの核酸分子のいずれかの対立遺伝子改変体の少なくとも1つによりコードされるタンパク質である。配列番号1、配列番号4、配列番号7、そして/または配列番号9の核酸配列を有する核酸分子によりコードされる、単離されたタンパク質;または、これらの列挙された核酸分子のいずれかの対立遺伝子改変体によりコードされるタンパク質もまた好ましい。
【0040】
本発明の、好ましいタンパク質は、PCfGR60、PCfGR482、PCfGR239と、少なくとも90%、好ましくは92%、好ましくは95%、好ましくは98%、好ましくは99%、または、好ましくは100%同一であるタンパク質を含む。タンパク質PCfGR60、PCfGR482、PCfGR2 39をコードする核酸分子の対立遺伝子改変体によりコードされるタンパク質が、さらに好ましい。また、少なくとも180アミノ酸残基を有する、それらのフラグメントも好ましい。
【0041】
本発明の、好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、配列番号2、配列番号5、そして/または配列番号10のアミノ酸配列と、少なくとも90%、好ましくは92%、好ましくは95%、好ましくは少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%、または好ましくは100%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質;および、配列番号2、配列番号5、そして/または配列番号10のアミノ酸配列を有するノミGABAレセプターサブユニットタンパク質をコードする核酸分子の対立遺伝子改変体によりコードされるタンパク質を含む。少なくとも180アミノ酸残基を有するそれらのフラグメントも、また好ましい。
【0042】
本発明の、好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、(a)配列番号2、配列番号5、および配列番号10からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質;および(b)(a)のアミノ酸配列の少なくとも180個連続するアミノ酸部分と配列において同一の、少なくとも180個連続するアミノ酸部分を含むタンパク質、からなる群より選択されるタンパク質を含む。
【0043】
本発明の1つの実施形態において、C.felis GABAレセプターサブユニットタンパク質は、配列番号2、配列番号5、そして/または配列番号10のアミノ酸配列(配列番号2、配列番号5、そして/または配列番号10のアミノ酸配列からなるタンパク質、融合タンパク質、および多価のタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない)、および、配列番号2、配列番号5、そして/または配列番号10のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸分子の対立遺伝子改変体によりコードされるタンパク質を含む。
【0044】
1つの実施形態において、好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、少なくとも35個のアミノ酸、好ましくは少なくとも50個のアミノ酸、好ましくは少なくとも100個のアミノ酸、好ましくは少なくとも125個のアミノ酸、好ましくは少なくとも150個のアミノ酸、好ましくは少なくとも175個のアミノ酸、好ましくは少なくとも180個のアミノ酸、好ましくは少なくとも190個のアミノ酸、好ましくは少なくとも200個のアミノ酸、好ましくは少なくとも225個のアミノ酸、好ましくは少なくとも250個のアミノ酸、好ましくは少なくとも275個のアミノ酸、好ましくは少なくとも300個のアミノ酸、好ましくは少なくとも350個のアミノ酸、好ましくは少なくとも400個のアミノ酸、好ましくは少なくとも450個のアミノ酸、好ましくは少なくとも475個のアミノ酸、好ましくは少なくとも480個のアミノ酸、または好ましくは少なくとも485個のアミノ酸のアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、全長のタンパク質(すなわち、全長コード領域によりコードされるタンパク質)、またはその翻訳後修飾されたタンパク質(例えば、開始メチオニンおよび/またはシグナル配列または「プロ」配列が除去された、成熟タンパク質)を含む。
【0045】
本発明の、さらなる好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、nCfGR183、nCfGR5503、nCfGR1446、nCfGR7l7の少なくとも一部分を含む核酸分子によりコードされるタンパク質、ならびに、このような核酸分子の対立遺伝子改変体によりコードされるノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を含む。そのようなノミGABAレセプターサブユニット核酸分子の一部分は、好ましくは、少なくとも35ヌクレオチドの長さである。
【0046】
また、配列番号1、配列番号4、配列番号7、そして/または配列番号9の少なくとも一部分を含む核酸配列を有する核酸分子ならびにこれらの核酸分子の対立遺伝子改変体によりコードされる、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質が、好ましい。このようなノミGABAレセプターサブユニット核酸分子の一部分は、好ましくは少なくとも35ヌクレオチドの長さである。
【0047】
別の実施形態において、本発明の、好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、少なくとも30ヌクレオチド、好ましくは少なくとも50ヌクレオチド、好ましくは少なくとも75ヌクレオチド、好ましくは少なくとも100ヌクレオチド、好ましくは少なくとも125ヌクレオチド、好ましくは少なくとも150ヌクレオチド、好ましくは少なくとも175ヌクレオチド、好ましくは少なくとも200ヌクレオチド、好ましくは少なくとも250ヌクレオチド、好ましくは少なくとも350ヌクレオチド、好ましくは少なくとも450ヌクレオチド、好ましくは少なくとも550ヌクレオチド、好ましくは少なくとも650ヌクレオチド、好ましくは少なくとも750ヌクレオチド、好ましくは少なくとも1000ヌクレオチド、好ましくは少なくとも1500ヌクレオチド、好ましくは少なくとも1750ヌクレオチド、好ましくは少なくとも2000ヌクレオチド、好ましくは少なくとも2250ヌクレオチド、好ましくは少なくとも2500ヌクレオチド、好ましくは少なくとも2750ヌクレオチド、好ましくは少なくとも3000ヌクレオチド、好ましくは少なくとも3500ヌクレオチド、好ましくは少なくとも4000ヌクレオチド、好ましくは少なくとも4500ヌクレオチド、好ましくは少なくとも5000ヌクレオチド、または、好ましくは少なくとも5500ヌクレオチドの長さを含む核酸分子によりコードされる。この実施形態の範囲内において、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、nCfGR183、nCfGR5503、nCfGR1446、nCfGR7l7の少なくとも一部分、または、これらの核酸分子のいずれかの対立遺伝子改変体によりコードされる。本発明の、好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、見かけ上全長のノミGABAレセプターサブユニットコード領域を含む核酸分子(すなわち、見かけ上全長のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質、または細胞外ドメインをコードする核酸分子)によりコードされる。
【0048】
本発明の、好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、効果的な方法で動物に投与される場合、ノミのインフェステーションからその動物を守ることを可能にするインヒビターを開発するために使用され得る。本発明に基づき、本発明のインヒビターがノミのインフェステーションから動物を守る能力とは、例えば、そのタンパク質がノミにより引き起こされるインフェステーションを処置し、回復させ、そして/または予防する能力をいう。特に、この成句「ノミのインフェステーションからその動物を守ること」とは、その動物上およびその周囲でノミの集団が拡大する可能性を低減すること(すなわち、ノミ負荷重を低減すること)をいう。好ましくは、このノミの集団のサイズが、その動物がもはやノミに悩まされない程度まで至適に縮小される。本明細書中で使用される場合、宿主動物は、ノミがその動物の皮膚に付着し、そしてその動物の皮膚を通して摂食することにより摂食し得る、動物である。ノミおよび他の外部寄生生物は、寄生動物上で長期間生存し得るか、または、摂食するために一時的に動物に付着し得る。その動物の環境中に、残留物が存在するが故に、常に、ノミの集団のいくらかの割合が、宿主動物に存在し得る。そのような環境は、成体ノミだけでなく、ノミの卵、および/またはノミの幼虫も含み得る。この環境は、この環境中のノミが宿主動物上に飛び乗り得、そして飛んで離れ得るような任意のサイズであり得る。例えば、動物のこの環境は植物(例えば、作物)を含み、その作物からノミが動物に寄生し得る。従って、動物自体のノミ負荷重を低減するだけでなく、その動物の環境中のノミ負荷重を低減することも望ましい。
【0049】
標的とするのに適切なノミは、本発明のインヒビターを投与された動物において実質的に疾患を引き起こし得ない、任意のノミを含む。従って、標的とするノミは、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質機能を阻害して、それによって、寄生虫が動物において疾患を引き起こす能力を低下させる阻害化合物により標的とされ得るタンパク質を産生する、任意のノミを含む。標的とされる好ましいノミとしては、下記の属:Ctenocephalides、Cyopsyllus、Diamanus(Oropsylla)、Echidnophaga、Nosopsyllus、Pulex、Tunga、およびXenopsyllaのノミが挙げられ、それらの、Ctenocephalides canis、Ctenocephalides felis、Diamanus montanus、Echidnophaga gallinacea、Nosopsyllus faciatus、Pulex irritans、Pulex simulans、Tunga penetrans、およびXenopsylla cheopisの種がより好ましく、C.felisがさらにより好ましい。このようなノミは、本発明のタンパク質または核酸分子の単離にも、また好ましい。
【0050】
本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の1つの実施形態は、1つ以上の融合セグメントに結合された、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質含有ドメインを含む、融合タンパク質である。本発明による使用に適した融合セグメントとしては、以下:タンパク質の安定性を高め得る;免疫増強物質として作用し得る;そして/またはノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の精製を補助し得る(例えば、アフィニティクロマトグラフィーによって)セグメントが挙げられるが、これらに限定されない。適切な融合セグメントは、望ましい機能(例えば、増加した安定性を与える、タンパク質に対し増大した免疫原性を与える、および/またはタンパク質の精製を簡易化する)を有する、任意のサイズのドメインであり得る。融合セグメントは、タンパク質のノミGABAレセプターサブユニット含有ドメインのアミノ末端および/またはカルボキシル末端に連結され得、そして、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質が簡単に回復し得るように、切断を受けやすくあり得る。融合タンパク質は、好ましくは、ノミGABAレセプターサブユニット含有ドメインのカルボキシル末端および/またはアミノ末端のいずれかに結合した融合セグメントを含むタンパク質をコードする融合核酸分子により形質転換された組み換え細胞の培養により産生される。好ましい融合セグメントとしては、金属結合ドメイン(例えば、ポリヒスチジンセグメント);免疫グロブリン結合ドメイン(例えば、プロテインA;プロテインG;T細胞;B細胞;Fcレセプター、または補体タンパク質抗体結合ドメイン);糖結合ドメイン(例えば、マルトース結合ドメイン);および/または「タグ」ドメイン(例えば、β−ガラクトシダーゼの少なくとも一部、ストレップ(strep)タグペプチド、T7タグペプチド、FlagTMペプチド、または、他のドメイン(そのドメインに結合する化合物(例えば、モノクローナル抗体)を用いて精製し得る)が挙げられる。より好ましい融合セグメントとしては、金属結合ドメイン(例えば、ポリヒスチジンセグメント);マルトース結合ドメイン;ストレップタグペプチド(例えば、Biometra、Tampa、FLから入手可能);およびS10ペプチドが挙げられる。
【0051】
本発明はまた、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質のミメトープ(mimetope)を含む。本明細書中で使用される場合、多くの場合、このミメトープが、特定のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を模倣する構造を有するので、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質のミメトープを、このようなノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を模倣し得る任意の化合物という。ミメトープは、以下:分解に対するそれらの感受性を減少させるように改変されたペプチド(例えば、全−Dレトロ(all−D retro)ペプチド);抗イディオタイプ抗体そして/または触媒作用的な抗体、あるいはそれらのフラグメント;単離されたタンパク質の非タンパク質性免疫原性部分(例えば、糖質構造);および、核酸を含む、合成有機分子または天然の有機分子であり得るが、それらに限定されない。このようなミメトープは、本発明のタンパク質のコンピューターによって生成された構造を用いて設計され得る。ミメトープはまた、無作為な分子のサンプル(例えば、オリゴヌクレオチド、ペプチド、は他の有機分子)を生成する工程、および、対応する結合パートナーを用いたアフィニティクロマトグラフィー技術によりこのようなサンプルをスクリーニングする工程によっても、また獲得され得る。
【0052】
本発明の別の実施形態は、ノミGABAレセプターサブユニット核酸分子を含む、単離された核酸分子である、すなわち、ノミcDNAライブラリーから単離され得る核酸分子である。そのような核酸分子の特性を識別することは、前述されている。本発明の核酸分子は、単離された天然のノミGABAレセプターサブユニット遺伝子またはそれらのホモログを含み得、この後者は、以下にさらに詳細に記載されている。本発明の核酸分子は、1つ以上の、調節領域、全長または部分的なコード領域、あるいはそれらの組み合わせを含み得る。本発明の最小サイズの核酸分子は、別の核酸分子の相補配列との安定なハイブリッド形成(すなわち、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でのハイブリダイゼーション)を可能にするのに十分なサイズである。従って、本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子の最小のサイズは、12〜18ヌクレオチドの長さである。
【0053】
本発明に一致して、単離された核酸分子は、その天然の環境から取り出された核酸分子であり(すなわち、ヒトの操作に供されている)、そして、DNA、RNA、あるいは、DNAまたはRNAいずれかの誘導体を含み得る。従って、「単離された」は、その核酸分子が精製された程度を反映しない。本発明の単離されたノミGABAレセプターサブユニット核酸分子、またはそれらのホモログは、天然の供給源から単離され得るか、あるいは、組み換えDNA技術(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅またはクローニング)または化学合成を用いて生成され得る。例えば、単離されたノミGABAレセプターサブユニット核酸分子、およびそれらのホモログは、天然の対立遺伝子改変体、および、改変が本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質をコードする核酸分子の能力を、実質的に妨げないような様式での、ヌクレオチド挿入、欠失、置換、そして/または転位により改変された、核酸分子を含み得る。
【0054】
ノミGABAレセプターサブユニット核酸分子ホモログは、当業者に公知の多数の方法を用いて生成され得る(例えば、本明細書中でその全体が参考として援用される、Sambrookら、同書を参照のこと)。例えば、核酸分子は、種々の技術により改変され得る。この種々の技術としては、古典的な変異誘発、および組み換えDNA技術(例えば、部位指向型変異誘発、化学的処置、制限酵素切断、核酸フラグメントの連結、PCR増幅、オリゴヌクレオチド混合物の合成および核酸分子の混合物を「構築する」ための混合物群の連結、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。核酸分子ホモログは、ノミGABAレセプターサブユニット核酸分子とのハイブリダイゼーション、または、核酸分子によりコードされるタンパク質の機能(例えば、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の少なくとも1エピトープに対する免疫応答を誘発するか、またはノミGABAレセプターサブユニット活性をもたらす能力)のスクリーニングにより、選択され得る。
【0055】
本発明の単離されたノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、各々少なくとも1つの本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質をコードする核酸配列を含み得、そのようなタンパク質の例は、本明細書中に開示される。句「核酸分子」とは、本来、物理的な核酸分子をいい、そして句「核酸配列」とは、本来、核酸分子上のヌクレオチドの配列をいうが、特にノミGABAレセプターサブユニットタンパク質をコードし得る、核酸分子または核酸配列に関して、これらの2つの句は、互換的に用いられ得る。
【0056】
本発明の好ましい核酸分子は、動物に投与された場合、ノミ感染からその動物を保護し得る。以下に詳細に開示されるように、本発明の核酸分子は、アンチセンスRNA、トリプルヘリックスを形成し得る分子、リボザイム、または核酸に基づく他の薬物化合物であり得るか、またはそれらをコードし得る。さらなる実施形態において、本発明の核酸分子は、保護タンパク質(例えば、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質)をコードし得、そしてその核酸分子は、例えば、直接的な注射によって(すなわち、遺伝子ワクチンまたは治療)か、またはビヒクル中(例えば、組換えウイルスワクチンもしくは治療または組換え細胞ワクチンもしくは治療)で、その動物に送達される。
【0057】
本発明の1つの実施形態において、好ましいノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、好ましくは、20%以下の塩基対のミスマッチを許容とする条件下で、好ましくは、10%以下の塩基対のミスマッチを許容とする条件下で、好ましくは、8%以下の塩基対のミスマッチを許容とする条件下で、好ましくは、5%以下の塩基対のミスマッチを許容とする条件下で、または好ましくは、2%以下の塩基対のミスマッチを許容とする条件下で、配列番号1、配列番号3、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および/または配列番号11からなる群より選択される核酸分子とハイブリダイズする単離された核酸分子を含む。
【0058】
本発明の1つの実施形態は、ノミGABAレセプターサブユニット核酸分子を含み、この核酸分子は、(a)核酸ヘリックスの非安定化化合物の非存在下で、1×SSCを含む溶液中、37℃の温度でのハイブリダイズ、および(b)核酸ヘリックス非安定化化合物の非存在下で、1×SSCを含む溶液中、69.6℃の温度での洗浄、を含む条件下で、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および/または配列番号11からなる群より選択される単離された核酸分子にハイブリダイズする。本発明のさらなる好ましい核酸分子としては、単離された核酸分子のオリゴヌクレオチドが挙げられ、この核酸分子は、(a)核酸ヘリックス非安定化化合物の非存在下で、1×SSCを含む溶液中、37℃の温度でのハイブリダイズ、および(b)核酸ヘリックス非安定化化合物の非存在下で、1×SSCを含む溶液中、69.6℃の温度での洗浄、を含む条件下で、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および/または配列番号11からなる群より選択される単離された核酸分子にハイブリダイズし、このオリゴヌクレオチドは、少なくとも35ヌクレオチドを含む。
【0059】
本発明のさらなる好ましいノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および/または配列番号11からなる群より選択される核酸配列に、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%同一である、核酸配列を含む核酸配列を含む。そのような核酸分子の任意のフラグメントもまた、好ましい。本明細書中に使用される場合、パーセント同一性は、SeqLabソフトウェアにおいてデフォルトパラメーターを用いて利用可能なNeedleman−Wunschアルゴリズムを使用して、決定される。
【0060】
本発明の1つの実施形態は、核酸分子nCfGR183、nCfGR5503、nCfGR1446、nCfGR717の全体もしくはその部分、またはそれらの核酸分子の対立遺伝子改変体を含む核酸分子である。本発明の1つの好ましい実施形態は、配列番号1、配列番号少3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および/または配列番号11の核酸配列の少なくとも1つの部分、ならびにこれらの核酸配列を有する核酸分子の対立遺伝子改変体およびこれらの核酸配列を有する核酸分子のホモログを含み;好ましくは、そのようなホモログは、配列番号1、配列番号少3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および/または配列番号11のアミノ酸配列を有するタンパク質に対する免疫応答を誘発する少なくとも1つのエピトープをコードするか、またはそれをコードする核酸分子に相補的である。そのような核酸分子としては、これらの配列番号中に包含されるヌクレオチドに加えて、例えば、全長遺伝子、全長コード領域、融合タンパク質をコードする核酸分子、または多価の保護化合物をコードする核酸分子のようなヌクレオチドが挙げられ得るが、これらに限定されないヌクレオチドが挙げられる。
【0061】
本発明の1つの実施形態は、以下:(a)配列番号1、配列番号少3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および配列番号11からなる群より選択される核酸配列;および(b)配列番号1、配列番号少3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および配列番号11からなる群より選択される核酸配列の少なくとも35の連続するヌクレオチド部分と同一な配列の、少なくとも35の連続するヌクレオチド部分を有する核酸分子、からなる群より選択される核酸配列を有する単離された核酸分子を包含する核酸分子である。
【0062】
1つの実施形態において、本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、PCfGR60、PCfGR482、またはPCfGR239と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%、また好ましくは少なくとも100%が同一であるタンパク質をコードする。
【0063】
1つの実施形態において、本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、配列番号2、配列番号少5、および/または配列番号10と、少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%、また好ましくは少なくとも100%が同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。本発明はまた、配列番号2、配列番号少5、および/または配列番号10の少なくとも1つの部分を有するタンパク質をコードするノミGABAレセプターサブユニット核酸分子、ならびにこれらの配列を有するタンパク質をコードする核酸分子の対立遺伝子改変体を含み、この対立遺伝子改変体は、そのような核酸分子が発現される細胞のコドン利用特性に適応するように改変された核酸分子を含む。
【0064】
別の実施形態において、本発明の好ましいノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、少なくとも35ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも40ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも45ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも50ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも75ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも100ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも125ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも150ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも175ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも200ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも250ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも350ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも400ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも450ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも500ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも550ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも600ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも650ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも700ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも750ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも1000ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも1500ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも1750ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも2000ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも2250ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも2500ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも2750ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも3000ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも3500ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも4000ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも4500ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも5000ヌクレオチド長、または好ましくは少なくとも5500ヌクレオチド長を含む核酸分子を含む。
【0065】
別の実施形態において、好ましいノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、少なくとも180アミノ酸、好ましくは少なくとも200アミノ酸、好ましくは少なくとも225アミノ酸、好ましくは少なくとも250アミノ酸、好ましくは少なくとも300アミノ酸、好ましくは少なくとも350アミノ酸、好ましくは少なくとも400アミノ酸、好ましくは少なくとも450アミノ酸、好ましくは少なくとも475アミノ酸、または好ましくは少なくとも480アミノ酸を含むタンパク質をコードする。
【0066】
別の実施形態において、本発明の好ましいノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、見かけ上全長のノミGABAレセプターサブユニットコード領域を含む(すなわち、好ましい核酸分子は、各々、見かけ上全長のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質、またはそれらの翻訳後修飾されたタンパク質をコードする)。1つの実施形態において、本発明の好ましいノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、成熟タンパク質または細胞外ドメインをコードする。
【0067】
別の実施形態において、本発明の好ましいノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および/または配列番号11を含む核酸分子、またはそれらのフラグメントを含む。
【0068】
本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、配列番号1、配列番号少3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および配列番号11からなる群より選択される対応する連続する配列に配列が同一な、好ましくは少なくとも35ヌクレオチド、好ましくは少なくとも40ヌクレオチド、好ましくは少なくとも45ヌクレオチド、好ましくは少なくとも50ヌクレオチド、好ましくは少なくとも75ヌクレオチド、好ましくは少なくとも100ヌクレオチド、好ましくは少なくとも125ヌクレオチド、好ましくは少なくとも150ヌクレオチド、好ましくは少なくとも175ヌクレオチド、好ましくは少なくとも200ヌクレオチド、好ましくは少なくとも250ヌクレオチド、好ましくは少なくとも350ヌクレオチド、好ましくは少なくとも400ヌクレオチド、好ましくは少なくとも450ヌクレオチド、好ましくは少なくとも500ヌクレオチド、好ましくは少なくとも550ヌクレオチド、好ましくは少なくとも600ヌクレオチド、好ましくは少なくとも650ヌクレオチド、好ましくは少なくとも700ヌクレオチド、好ましくは少なくとも750ヌクレオチド、好ましくは少なくとも1000ヌクレオチド、好ましくは少なくとも1500ヌクレオチド、好ましくは少なくとも1750ヌクレオチド、好ましくは少なくとも2000ヌクレオチド、好ましくは少なくとも2250ヌクレオチド、好ましくは少なくとも2500ヌクレオチド、好ましくは少なくとも2750ヌクレオチド、好ましくは少なくとも3000ヌクレオチド、好ましくは少なくとも3500ヌクレオチド、好ましくは少なくとも4000ヌクレオチド、好ましくは少なくとも4500ヌクレオチド、好ましくは少なくとも5000ヌクレオチド、または好ましくは少なくとも5500ヌクレオチドを含む。
【0069】
句、少なくとも「x」連続を含む核酸分子、または句、少なくとも「x」の連続部と配列が同一な連続的ヌクレオチド、または句、配列番号「y」からなる群より選択される核酸分子の連続的ヌクレオチドとは、配列番号「y」の「x」ヌクレオチドの部分と配列が同一である「x」ヌクレオチド長の核酸分子、および「x」より長い長さの核酸分子をいう。さらなる長さとは、連続する同一な「x」ヌクレオチドの部分の5’末端または3’末端のいずれかから延長するヌクレオチドの形態であり得る。この5’および/または3’末端延長部とは、本発明の分子に対する同一性を有さない1つ以上の延長部、および引用される核酸配列またはその一部に対する類似性または同一性を示す延長部を含み得る。
【0070】
本発明の特定のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子の核酸配列に関する知見は、当業者が、例えば、(a)それらの核酸分子のコピーを作製すること、(b)そのような核酸分子の少なくとも1つの部分を含む核酸分子(例えば、全長遺伝子、全長コード領域、調節制御配列、短縮化されたコード領域を含む核酸分子)を得ること、および(c)他のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子を得ることを可能とする。そのような核酸分子は、本発明の抗体を用いた、適切な発現ライブラリーのスクリーニング;適切なライブラリーをスクリーニングするための本発明のオリゴヌクレオチドプローブを用いた従来のクローニング技術;および本発明のオリゴヌクレオチドプライマーを用いた、適切なライブラリーまたはDNAの適切なPCR増幅を包含する種々の方法によって得られ得る。スクリーニングするためか、またはそこから核酸分子を増幅するための好ましいライブラリーとしては、cDNAライブラリー、およびゲノムDNAライブラリーが挙げられる。同様に、スクリーニングするためか、またはそこから核酸分子を増幅するための好ましいDNA供給源としては、cDNA、およびゲノムDNAが挙げられる。遺伝子をクローニングおよび増幅するための技術が、例えば、Sambrookら、前出に開示されている。
【0071】
本発明はまた、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、本発明の他の(好ましくは長鎖の)核酸分子(例えば、C.felis GABAレセプターサブユニット核酸分子または他のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子を含む核酸分子)の相補的領域とハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドである核酸分子も含む。本発明のオリゴヌクレオチドは、RNA、DNA、またはいずれかの誘導体であり得る。そのようなオリゴヌクレオチドの最小サイズは、本発明の核酸分子のオリゴヌクレオチドと相補的配列との間の安定なハイブリッドの形成に必要とされるサイズである。本発明の好ましいオリゴヌクレオチドは、好ましくは100〜200ヌクレオチドの最大サイズを有する。本発明は、例えば、核酸分子を同定するためのプローブ、核酸分子を産生するためのプライマー、またはノミGABAレセプターサブユニットタンパク質産生または活性を阻害する治療的薬剤(例えば、アンチセンスRNA、3本鎖形成RNA、リボザイムRNA、および/またはRNA薬物に基づく薬剤)として用いられ得るオリゴヌクレオチドを含む。本発明はまた、1つ以上のそのような技術を用いて動物を疾患から保護するための、そのようなオリゴヌクレオチドの使用も含む。適切なオリゴヌクレオチドを含む治療的組成物は、当業者に公知の技術を用いて動物に投与され得る。
【0072】
本発明の1つの実施形態は、宿主細胞中に核酸分子を送達し得る任意のベクターに挿入された、少なくとも1つの本発明の単離された核酸分子を含む、組換えベクターを包含する。そのようなベクターは、異種核酸配列を含み、その異種核酸配列は、天然では、本発明の核酸分子に隣接して見出されず、そして好ましくはその核酸分子が誘導される種以外の種から誘導される。このベクターは、RNAまたはDNAのいずれか、原核細胞生物性または真核生物細胞性のいずれかであり得、そして代表的には、ウイルスまたはプラスミドである。組換えベクターは、本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子の、クローニング、配列決定、および/または他の操作に用いられ得る。
【0073】
本明細書中に組換え分子として言及される、組換えベクターの1つの型は、発現ベクターに作動可能に連結された本発明の核酸分子を含む。句、作動可能に連結されたとは、核酸分子がある様式で発現ベクター中に挿入され、その結果核酸分子が、宿主細胞中に形質転換された場合に発現され得ることをいう。本明細書中に使用される場合、発現ベクターとは、宿主細胞を形質転換し得、そして特定の核酸分子の発現をもたらし得るDNAベクターまたはRNAベクターである。好ましくは、この発現ベクターはまた、その宿主細胞内で複製し得る。発現ベクターは、原核生物性または真核生物性のいずれかであり得、そして代表的にはウイルスまたはプラスミドのいずれかである。本発明の発現ベクターは、本発明の組換え細胞(細菌細胞、真菌細胞、寄生物細胞、昆虫細胞、他の動物細胞、および植物細胞を含む)において機能する(すなわち、遺伝子発現を指向する)任意のベクターを含む。本発明の好ましい発現ベクターは、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞において、そしてより好ましくは本明細書中に開示される細胞型において遺伝子発現を指向し得る。
【0074】
特に、本発明の発現ベクターは、転写制御配列、翻訳制御配列、複製起点、転写制御配列、およびその組換え細胞に適応可能でありかつ本発明の核酸分子の発現を制御する他の制御配列を含む。特に、本発明の組換え分子は、転写制御配列を含む。転写制御配列とは、転写の開始、延長、および終結を制御する配列である。特に重要な転写制御配列は、転写開始を制御する転写制御配列である(例えば、プロモーター配列、エンハンサー配列、オペレーター配列、およびリプレッサー配列)。適切な転写制御配列は、本発明の組換え細胞の少なくとも1つにおいて機能し得る任意の転写制御配列を含む。種々のそのような転写制御配列は、当業者に公知である。好ましい転写制御配列は、細菌細胞、酵母細胞、または昆虫細胞、および哺乳動物細胞において機能する転写制御配列(例えば、tac、lac、trp、trc、oxy−pro、omp/lpp、rrnB、バクテリオファージλ(例えば、λpLおよびλpRならびにそのようなプロモータを含む融合物)、バクテリオファージT7、T7lac、バクテリオファージT3、バクテリオファージSP6、バクテリオファージSP01、メタロチオネイン、α−メイティングファクター、Pichiaアルコールオキシダーゼ、αウイルスサブゲノムプロモーター、抗生物質耐性遺伝子、バキュロウイルス、Heliothis zea昆虫ウイルス、ワクシニアウイルス、疱疹ウイルス、ラクーンポックスウイルス、他のポックスウイルス、アデノウイルス、サイトメガロウイルス(例えば、最初期プロモーター)、シミアンウイルス40、レトロウイルス、アクチン、レトロウイルス性の長鎖の末端反復、ラウス肉種ウイルス、熱ショック、リン酸および硝酸転写制御配列ならびに原核生物細胞または真核生物細胞における遺伝子発現を制御し得る他の配列であるが、これらに限定されない)を含む。さらなる適切な転写制御配列は、組織特異的プロモーターおよびエンハンサーならびにリンホカイン誘導プロモーター(例えば、インターフェロンまたはインターロイキンによって誘導可能なプロモーター)が挙げられる。本発明の転写制御配列はまた、本来ノミに関連する、天然に存在する転写制御配列(例えば、C.felis転写制御配列)も含む。
【0075】
本発明の組換えベクター中に含むのに適しかつ好ましい核酸分子が、本明細書中に開示される。組換えベクター(および特に組換え分子)中に含むのに好ましい核酸分子としては、nCfGR183、nCfGR5503、nCfGR1446、nCfGR717が挙げられる。
【0076】
本発明の組換え分子はまた、(a)本発明の発現されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を、そのタンパク質を産生する細胞から分泌させ得る分泌シグナル(すなわち、シグナルセグメント核酸配列)および/または(b)融合タンパク質として本発明の核酸分子を発現する融合配列を含む。適切なシグナルセグメントの例としては、本発明のタンパク質の分泌を指向し得る任意のシグナルセグメントが挙げられる。好ましいシグナルセグメントとしては、組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−PA)、インターフェロン、インターロイキン、成長ホルモン、組織適合性およびウイルスエンベロープグリコプロテインシグナルセグメントが挙げられるが、これらに限定されない。融合セグメント核酸にコードされた適切な融合セグメントが、本明細書中に開示される。さらに、本発明の核酸分子は、そのコードされたタンパク質をプロテオソームに指向する融合セグメント(例えば、ユビキチン融合セグメント)に結合され得る。真核生物の組換え分子はまた、本発明の核酸分子の核酸配列の周辺および/またはその中の、介在配列および/または非翻訳配列も含む。
【0077】
本発明の別の実施形態は、1つ以上の本発明の組換え分子で形質転換された宿主細胞を含む組換え細胞を包含する。細胞への核酸分子の形質転換は、核酸分子が細胞へと挿入され得る任意の方法によって果たされ得る。形質転換の技術としては、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクチン、吸着、およびプロトプラスト融合が挙げられるが、これらに限定されない。組換え細胞は、単細胞のままであり得るか、または組織、器官、多細胞生物へと成長し得る。細胞株が、トランスジェニック動物ではない、任意の本発明の組換え細胞をいうことが示され得る。形質転換された本発明の核酸分子は、染色体外にいるままであり得るか、または発現され得るそれらの能力が保持されるような様式で形質転換された(すなわち組換え)細胞の染色体内の1つ以上の部位へと組み込み得る。細胞に形質転換するために用いられる好ましい核酸分子は、本明細書中に開示されるノミGABAレセプターサブユニット核酸分子を含む。細胞を形質転換するために用いられる好ましい核酸分子としては、nCfGR183、nCfGR5503、nCfGR1446、nCfGR717、が挙げられる。
【0078】
形質転換に適する宿主細胞は、本発明の核酸分子で形質転換され得る任意の細胞を含む。宿主細胞は、形質転換されていない細胞または少なくとも1つの核酸分子(例えば、1つ以上の本発明のタンパク質および/または多価のワクチンの産生に有用な他のタンパク質をコードする核酸分子)で既に形質転換された細胞のいずれかであり得る。本発明の宿主細胞は、内因的に(すなわち、天然で)、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を産生し得るか、または少なくとも1つの本発明の核酸分子で形質転換された後にそのようなタンパク質を産生し得るかのいずれかである。本発明の宿主細胞は、少なくとも1つの本発明のタンパク質を産生し得る任意の細胞であり得、そして、その宿主細胞としては、細菌細胞、真菌細胞(酵母を含む)、寄生物細胞(蠕虫、原虫、および外寄生生物を含む)、他の昆虫細胞、他の動物細胞および植物細胞が挙げられ得る。好ましい宿主細胞としては、細菌細胞、マイコバクテリア細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞が挙げられる。より好ましい宿主細胞としては、Salmonella、Escherichia、Bacillus、Caulobacter、Listeria、Saccharomyces、Pichia、Spodoptera、Mycobacteria、Trichoplusia、BHK(乳児ハムスター腎臓)細胞、MDCK細胞(Madin−Darbyイヌ腎臓細胞株)、CRFK細胞(Crandellネコ腎臓細胞株)、CV−1細胞(例えば、ラクーンポックスウイルスを培養するための、アフリカサル腎臓細胞株)、COS(例えば、COS−7)細胞およびVero細胞が挙げられる。特に好ましい宿主細胞は、Escherichia coli(E.coli K−12誘導体を含む);Salmonella typhi;Salmonella typhimurium(UK−1x3987およびSR−11x4072のような弱毒化株を含む);Caulobacter;Pichia;Spodoptera frugiperda;Trichoplusia ni;BHK細胞;MDCK細胞;CRFK細胞;CV−1細胞;COS細胞;Vero細胞;および非腫瘍形成性マウスG8筋芽細胞(例えば、ATCC CRL 1246)である。さらなる適切な哺乳動物細胞宿主としては、他の腎臓細胞株、他の線維芽細胞株(例えば、ヒト胚線維芽細胞株、マウス胚線維芽細胞株、またはニワトリ胚線維芽細胞株)、骨髄腫細胞株、チャイニーズハムスター卵巣細胞、マウスNIH/3T3細胞、LMTK31細胞および/またはHeLa細胞が挙げられる。1つの実施形態において、このタンパク質は、イムノグロブリンプロモーターを使用する骨髄腫細胞株において異種タンパク質として発現され得る。
【0079】
組換え細胞は好ましくは、1以上の転写制御配列(この例は、本明細書中に開示される)を含む発現ベクターに作動的に連結された本発明の1以上の核酸分子を各々が含む1以上の組換え分子で宿主細胞を形質転換することによって生成される。句、作動的に連結されるとは、宿主細胞内に形質転換された場合に核酸分子が発現され得るような様式での、発現ベクターへの核酸分子の挿入をいう。
【0080】
本発明の組換え細胞は、本発明の任意の核酸分子のうちの少なくとも1つで形質転換された任意の細胞を包含する。細胞に移入するために適切かつ好ましい核酸分子ならびに適切かつ好ましい組換え分子は、本明細書中に開示される。
【0081】
本発明の組換え細胞はまた、本発明の1以上のタンパク質をコードするノミGABAレセプターサブユニット核酸分子および他の防御性化合物をコードする1以上の他の核酸分子(本明細書中に開示されるとおり)(例えば、多価ワクチンを生成するため)を含む1以上の組換え分子で同時形質転換され得る。
【0082】
組換えDNA技術を用いて、例えば、宿主細胞内のこれらの核酸分子のコピー数、これらの核酸分子が転写される効率、得られる転写産物が翻訳される効率、および翻訳後修飾の効率を操作することによって、形質転換された核酸分子の発現を改善し得る。本発明の核酸分子の発現を増大させるために有用な組換え技術としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:高コピー数プラスミドに核酸分子を作動的に連結すること、1以上の宿主細胞染色体へのこれらの核酸分子の組み込み、プラスミドへのベクター安定性配列の付加、転写制御シグナル(例えば、プロモーター、オペレーター、エンハンサー)の置換もしくは改変、翻訳制御シグナル(例えば、リボソーム結合部位、Shine−Dalgarno配列)の置換もしくは修飾、その宿主細胞のコドンの使用頻度に対応させるための、本発明の核酸分子の改変、転写産物を不安定にする配列の欠失、および組換え細胞の増殖を発酵の間の組換え酵素生成から時間的に隔てる制御シグナルの使用。本発明の発現された組換えタンパク質の活性は、このようなタンパク質をコードする核酸分子をフラグメント化、改変または誘導体化することによって改善され得る。
【0083】
本発明の単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、種々の方法で生成され得、この方法としては、天然のタンパク質の生成および回収、組換えタンパク質の生成および回収、ならびにこのタンパク質の化学合成が挙げられる。1つの実施形態では、本発明の単離されたタンパク質は、このタンパク質を発現し得る細胞を、このタンパク質を生成するに有効な条件下で培養する工程、およびこのタンパク質を回収する工程によって生成される。培養するために好ましい細胞は、本発明の組換え細胞である。有効な培養条件としては、タンパク質の生成を可能にする、有効な培地、バイオリアクター、温度、pHおよび酸素条件が挙げられるがこれらに限定されない。有効な培地とは、細胞を培養して本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を生成させる任意の培地をいう。このような培地は代表的に、同化可能な炭素源、窒素源およびリン酸源、ならびに適切な塩、ミネラル、金属および他の栄養素(例えば、ビタミン)を有する水性培地を含む。本発明の細胞は、従来の発酵バイオリアクター、振盪フラスコ、試験管、マイクロタイターディッシュおよびペトリプレートにおいて培養され得る。培養は、組換え細胞に適切な、温度、pHおよび酸素含量で実施され得る。このような培養条件は、当業者の技術範囲内である。適切な条件の例は、実施例の節に含まれる。
【0084】
生成のために用いられるベクターおよび宿主系に依存して、本発明の得られるタンパク質は、組換え細胞内に保持されるか;発酵培地内に分泌されるか;2つの細胞膜の間の空間(例えば、E.coliにおける細胞周辺腔)に分泌されるか;または細胞膜もしくはウイルス膜の外表面に保持されるかのいずれかであり得る。
【0085】
句「タンパク質を回収する」、ならびに同様の句は、このタンパク質を含む発酵培地全体を収集することをいい、そして分離または精製のさらなる工程を包含することを必要としない。本発明のタンパク質は、種々の標準的なタンパク質精製技術(例えば、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、濾過、電気泳動、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、コンカナバリンAクロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィーおよび示差的可溶化(differential solubilization)を含むがこれらに限定されない)を用いて精製され得る。本発明のタンパク質は好ましくは、「実質的に純粋な」形態で回収される。本明細書中で使用される場合、「実質的に純粋な」とは、治療組成物または診断薬としてのそのタンパク質の有効な使用を可能にする純度をいう。動物のための治療組成物は、例えば、実質的な毒性を示さないべきであり、好ましくは処置した動物における抗体生成を刺激し得るべきである。
【0086】
本発明はまた、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質またはそのミメトープ(mimetope)に選択的に結合する、単離された(すなわち、それらの天然の環境から取り出された)抗体(例えば、抗ノミGABAレセプターサブユニット抗体)を包含する。本明細書中で使用される場合、用語タンパク質に「選択的に結合する」とは、本発明の抗体が、本発明の指定されたタンパク質およびそのミメトープに優先的に結合する能力をいう。結合は、酵素免疫アッセイ(例えば、ELISA)、免疫ブロットアッセイなどを含め、当該分野において標準的な種々の方法を用いて測定され得る;例えば、Sambrookら,同書,およびHarlowら,1988,Antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Labs Pressを参照のこと;Harlowら(同書)は、その全体が本明細書中に参考として援用される。本発明の抗ノミGABAレセプターサブユニット抗体は好ましくは、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の機能を阻害するような様式で、それぞれ、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に選択的に結合する。
【0087】
本発明の単離された抗体は、血清中の抗体または種々の程度まで精製された抗体を包含し得る。本発明の抗体は、ポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体であり得、または機能的等価物(例えば、抗体フラグメントおよび遺伝子操作された抗体(1以上のエピトープに結合し得る、単鎖抗体もしくはキメラ抗体を含む))であり得る。
【0088】
本発明の抗体を生成する好ましい方法は、以下を包含する:(a)有効量の本発明のタンパク質、ペプチドまたはそれらのミメトープを動物に投与して、この抗体を生成させる工程、および(b)この抗体を回収する工程。別の方法では、本発明の抗体は、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を生成するために、これまで開示されたような技術を用いて組換え生成される。規定されたタンパク質またはミメトープに対して惹起された抗体は、有利であり得る。なぜなら、このような抗体は、他の場合には診断アッセイにおける干渉または治療組成物における使用の場合に副作用を引き起こし得る、他の物質に対する抗体が実質的に夾雑していないからである。
【0089】
本発明の抗体は、本発明の範囲内にある、種々の潜在的用途を有する。例えば、このような抗体は、以下として用いられ得る:(a)動物を、このような抗体による処置に感受性のノミから防御するために、動物を受動免疫する治療化合物として、ならびに/または(b)発現ライブラリーをスクリーニングするためおよび/もしくはタンパク質および他の夾雑物の混合物から本発明の所望のタンパク質を回収するためのツールとして。さらに、本発明の抗体を用いて、このようなノミを直接的に殺傷するために、細胞傷害剤をノミに標的化し得る。標的化は、このような抗体を、当業者に公知の技術を用いてこの細胞傷害剤へと結合体化(すなわち、安定に連結する)することによって達成され得る。適切な細胞傷害剤は、当業者に公知である。
【0090】
本発明の1つの実施形態は、ノミインフェステーションに感受性の動物に投与した場合、この動物をノミインフェステーションから防御し得る、治療組成物である。本発明の治療組成物は、以下の防御分子のうちの少なくとも1つを含む:単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質;単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質のミメトープ;単離されたノミGABAレセプターサブユニット核酸分子;ならびに/またはノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害する、上記の単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質から誘導された化合物、抗ノミGABAレセプター抗体、および/またはノミGABAレセプターの活性を阻害する化合物。本発明の治療組成物はさらに、賦形剤、キャリアおよび/またはアジュバントの群から選択される成分を含み得る;これらの成分は、本明細書中にさらに記載される。本明細書中で使用される場合、防御分子または防御化合物とは、有効な様式で動物に投与した場合、ノミインフェステーションを処置、改善および/または予防し得る化合物をいう。標的化される好ましいノミは、これまでに開示されている。防御分子の一例は、ワクチンまたは治療剤(例えば、裸の核酸ワクチンまたは治療剤、組換えウイルスワクチンまたは治療剤、組換え細胞ワクチンまたは治療剤および組換えタンパク質ワクチンまたは治療剤であるがこれらに限定されない)である。防御分子の別の例は、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害する化合物(例えば、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に選択的に結合する単離された抗体、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の基質アナログ、アンチセンスに基づく化合物、三重鎖形成に基づく化合物、リボザイムに基づく化合物および/もしくはRNA薬物に基づく化合物、またはノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害する、他の無機分子もしくは有機分子)である。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害するとは、化合物がノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を低減し得る能力を言及し得る。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害するとはまた、化合物が、ノミにおけるノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の量を低減し得る能力を言及し得る。
【0091】
本発明の別の実施形態は、ノミインフェステーションに対して感受性の動物においてノミインフェステーションを低減する方法を包含する。このような方法は、以下からなる群より選択される防御化合物を含む治療分子をこの動物に投与する工程を包含する:(a)単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質;(b)単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質のミメトープ;(c)単離されたノミGABAレセプターサブユニット核酸分子;および(d)ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害する、単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質から誘導された化合物。
【0092】
本発明の治療組成物は、ノミインフェステーションに対して感受性の任意の動物(好ましくは哺乳動物、より好ましくはイヌ、ネコ、ヒト、クロアシイタチ、ウマ、ウシ、ヒツジおよび他のペット、経済的食用動物、使役(work)動物および動物園の動物)に投与され得る。ノミインフェステーションに対して防御されるに好ましい動物としては、イヌ、ネコ、ヒトおよびクロアシイタチが挙げられ、イヌおよびネコが特に好ましい。
【0093】
本明細書中で使用される場合、用語「誘導される」または用語「から誘導される」とは、本発明のノミGABAレセプターサブユニットのタンパク質または核酸分子(例えば、タンパク質もしくは核酸分子の一部)から直接的または間接的に得られた、または本発明のタンパク質もしくは核酸分子を用いて生成された、ペプチド、抗体、ミメトープ、核酸分子または他の化合物をいう。本発明のノミGABAレセプターサブユニット分子由来の誘導体を得る方法は当該分野で公知であり、そしてそれ自体、以下を含むがこれらに限定されない:活性部位を決定するためのノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の分子モデリングならびにこれらの活性部位からの、これらの活性部位を保持および/または模倣し、それによって、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害する、より小さなフラグメントおよび/またはミメトープの予測。ノミGABAレセプターサブユニット活性の他のインヒビターはまた、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に対する、ペプチドまたは低分子化合物ライブラリーのスクリーニング;および本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に特異的に結合する抗体を見出す、ポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体のスクリーニングを含むがこれらに限定されない、種々の方法で入手され得る。
【0094】
本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質インヒビター(すなわち、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質のインヒビター)は、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を模倣するか、このタンパク質に結合するか、このタンパク質を改変するかまたは他の方法でこのタンパク質と相互作用し、それによって、天然のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害する能力によって同定される。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性の適切なインヒビターは、以下の種々の方法のうちの少なくとも1つにおいてノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性を阻害し得る化合物である:(a)ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質部位に結合すること、もしくはこの部位と他の方法で相互作用すること、もしくはこの部位を他の方法で改変すること;(b)ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性部位に結合すること、もしくはこの部位と他の方法で相互作用すること、もしくはこの部位を他の方法で改変すること;(c)ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に結合し、従って溶液中でのノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の利用可能性を減らすこと;(d)ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を模倣すること;および(e)ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の他の領域と相互作用して、例えば、アロステリックな相互作用によって、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害すること。
【0095】
ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質インヒビターは、このような化合物が、処置されるべき宿主動物にとって有害でない限り、動物を処置するための本発明の組成物中の化合物として直接的に使用され得る。本発明の好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質インヒビターとしては以下が挙げられるがこれらに限定されない:ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の基質アナログ、およびノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性が阻害されるような様式でノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に(例えば、アロステリック部位に)結合する他の分子。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の基質アナログとは、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性部位と相互作用(例えば、結合、会合、改変)する化合物をいう。好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の基質アナログは、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害する。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の基質アナログは、任意の無機組成物または有機組成物であり得る。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の基質アナログは、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性部位と相互作用し得る限り、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の天然の基質に構造的に類似し得るが、その必要はない。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の基質アナログは、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の、コンピューターで作成した構造、またはノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の天然の基質のコンピューター構造を用いて設計され得る。モデリングすることが好ましい部位としては、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性部位のうちの1以上が挙げられる。基質アナログはまた、分子(例えば、オリゴヌクレオチド、ペプチド、ペプチド模倣化合物または他の無機分子もしくは有機分子)のランダムなサンプルを作製し、そしてこのようなサンプルを、例えば、アフィニティークロマトグラフィー技術によって、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質とそれらの基質との間の相互作用を妨害する能力についてスクリーニングすることによって入手され得る。好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の基質アナログは、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質模倣化合物、すなわち、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の天然の基質に対して、特に、この基質のうちのノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性部位と相互作用する領域に対して、構造的および/または機能的に類似であるが、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性部位と相互作用するとノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害する、化合物である。
【0096】
本発明はまた、1以上の感染性因子に対して防御する少なくとも1つのさらなる化合物と組み合わせた、本発明の少なくとも1つの防御分子を含む治療組成物を含む。
【0097】
1つの実施形態では、本発明の治療組成物を用いて、インフェステーションを予防するためにこのような組成物をノミに投与することによって、動物をノミインフェステーションから防御し得る。ノミおよび/または動物に対するこのような投与は、経口的であるかまたは動物の身体表面への塗布(例えば、局所的にたらすこと(topical spot−on)、またはその動物への噴霧)によって、あるいは環境への適用(例えば、噴霧)によって、行われ得る。このような組成物の例としては、少なくとも1つの本発明の治療組成物を生成し得るトランスジェニックベクターが挙げられるがこれらに限定されない。別の実施形態では、ノミは、本発明の治療組成物が投与された宿主動物の表面または血液中に存在する、治療組成物またはその産物を摂食し得る。
【0098】
本発明に従って、宿主動物(すなわち、ノミがインフェステーションしているかまたはノミがインフェステーションし得る動物)は、本発明の組成物自体(例えば、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質インヒビター、GABAレセプターサブユニットタンパク質合成サプレッサー(すなわち、ノミにおけるGABAレセプターサブユニットタンパク質の生成または半減期を減少させる化合物)、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質ミメトープ、もしくは抗ノミGABAレセプターサブユニット抗体)またはその組成物の投与に応答して動物によって生成される産物(例えば、ノミGABAレセプターサブユニットのタンパク質もしくは核酸分子の投与に応答して生成される抗体、または不活性インヒビター「プロドラッグ」の、活性なノミGABAレセプターサブユニットタンパク質のインヒビターへの変換)がノミの中に最終的に侵入するような様式で、本発明の治療組成物を動物に投与することによって処置される。宿主動物は好ましくは、化合物またはその産物が、その動物の体表面に存在するかまたはその動物の血流中に侵入するような方法で処置される。次いで、ノミは、この動物から摂食するときにこの組成物または産物に曝露される。例えば、動物に投与されるノミGABAレセプターサブユニットタンパク質インヒビターは、このインヒビターがこの動物の血流中に侵入するような方法で投与され、ここで、このインヒビターは、ノミが摂食することによって取り込まれ得る。
【0099】
本発明はまた、本発明の治療組成物が投与された宿主動物からノミが摂食した場合に、ノミによって取り込まれる血液中の本発明の化合物またはその産物の少なくとも一部が、ノミによって糞便中に排出され、これは続いて、ノミの幼虫によって摂食されるという点で、幼虫のノミのインフェステーションを減らす能力を含む。特に、ノミの幼虫が、全てでないにしても、その栄養の大部分をノミの糞便から得ることに注目するべきである。
【0100】
本発明に従って、ノミにおけるノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を低下させることは、処置した動物およびその周囲の環境におけるノミの量を減らす、多数の結果を導き得る。このような結果としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:(a)処置した動物から摂食したノミの生存率を低下させること、(b)処置した動物から摂食した雌性のノミの繁殖力を低下させること、(c)処置した動物から摂食した雄性のノミの生殖能力を低下させること、(d)処置した動物から摂食した雌性のノミによって産卵された卵の生存率を低下させること、(e)処置した動物から摂食したノミの血液摂食挙動を変更すること(例えば、ノミが、1回の摂食あたり、より少ない容量を取り込むかまたはより少ない頻度で摂食する)、(f)例えば、処置した動物から摂食したノミの糞便からの幼虫の摂食に起因して、ノミの幼虫の生存率を低下させること、(g)ノミの幼虫の発生を(例えば、摂食挙動を低下させること、成長を阻害すること、脱皮を阻害する(例えば、遅延させるかもしくはブロックする)こと、および/または成虫への成熟を他の方法で阻害することによって)変更すること、ならびに/あるいは(h)ノミまたはノミの幼虫が血液という餌を消化する能力を変更または低下させること。
【0101】
動物をノミのインフェステーションから防御するために、本発明の治療組成物は、この組成物がその動物をノミのインフェステーションから防御し得るような有効な様式で動物に投与される。本発明の治療組成物は、インフェステーションを予防するために(すなわち、予防的ワクチンとして)インフェステーションの前に動物に投与され得るか、および/またはインフェステーションの後に(すなわち、治療剤として)動物に投与され得る。例えば、タンパク質、それらのミメトープおよびそれらの抗体は、免疫治療剤として用いられ得る。
【0102】
本発明の治療組成物は、処置されるべき動物が耐え得る賦形剤中に処方され得る。このような賦形剤の例としては、水、生理食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液、ハンクス溶液および他の水性の生理学的平衡化塩溶液が挙げられる。非水性ビヒクル(例えば、不揮発性油、ゴマ油、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド)もまた使用され得る。他の有用な処方物としては、粘度増強剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストラン)を含む懸濁物が挙げられる。賦形剤はまた、少量の添加物(例えば、等張性を増強する物質および化学的安定性を増強する物質)を含み得る。緩衝液の例としては、リン酸緩衝液、重炭酸緩衝液およびTris緩衝液が挙げられ、一方、保存剤の例としては、チメロサールまたはo−クレゾール、ホルマリンおよびベンジルアルコールが挙げられる。標準的な処方物は、液体の注射可能物質、または注射用の懸濁物もしくは溶液として適切な液体中に溶解され得る固体のいずれかであり得る。従って、非液体処方物中では、賦形剤は、投与の前に滅菌水または滅菌生理食塩水が添加され得る、デキストロース、血清アルブミン、保存剤などを含み得る。
【0103】
本発明の1つの実施形態において、治療組成物はアジュバントを含み得る。アジュバントは、特異的な抗原に対する動物の免疫応答を増強し得る薬剤である。適切なアジュバントとして、サイトカイン、ケモカイン、ならびにサイトカインおよびケモカインの産生を誘導する化合物(例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、Flt−3リガンド、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、マクロファージ、コロニー刺激因子(M−CSF)、コロニー刺激因子(CSF)、エリスロポエチン(EPO)、インターロイキン2(IL−2)、インターロイキン−3(IL−3)、インターロイキン4(IL−4)、インターロイキン5(IL−5)、インターロイキン6(IL−6)、インターロイキン7(IL−7)、インターロイキン8(IL−8)、インターロイキン10(IL−10)、インターロイキン12(IL−12)、インターフェロンγ、インターフェロンγ誘導因子I(IGIF)、トランスフォーミング増殖因子β、RNATES(活性化の際に調節され、正常なT細胞で発現され、そしておそらく分泌される)、マクロファージ炎症性タンパク質(例えば、MIP−1αおよびMIP−Iβ)、およびLeishmania伸長開始因子(LEIF);細菌成分(例えば、内毒素、特に、スーパー抗原、外毒素、および細胞壁成分);アルミニウムベースの塩;カルシウムベースの塩;シリカ;ポリヌクレオチド;トキソイド;血清タンパク質、ウイルスコートタンパク質;ブロックコポリマーアジュバント(例えば、Hunter’s TitermaxTMアジュバント(VaxcelTM,Inc.Norcross、GA)、Ribiアジュバント(Ribi ImmunoChem Research,Inc.、Hamilton、MT);ならびにサポニンおよびそれらの誘導体(例えば、Quil A(Superfos Biosector A/S、Denmark))が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のタンパク質アジュバントは、本明細書中に記載される方法を用いて、タンパク質自体の形態で、またはこのようなタンパク質をコードする核酸分子の形態で送達され得る。
【0104】
本発明の1つの実施形態において、治療組成物はキャリアを含み得る。キャリアとして、処置される動物中での治療組成物の半減期を増加させる化合物が挙げられる。適切なキャリアとして、ポリマー性制御放出ビヒクル、生物分解性移植片、リポソーム、細菌、ウイルス、他の細胞、油、エステル、およびグリコールが挙げられるがこれらに限定されない。
【0105】
本発明の1つの実施形態は、本発明の組成物を動物中にゆっくりと放出し得る制御放出処方物である。本明細書中で使用する場合、制御放出処方物は、制御放出ビヒクル中に本発明の組成物を含む。適切な制御放出ビヒクルとして、生物適合性ポリマー、他のポリマーマトリクス、カプセル、マイクロカプセル、微粒子ボーラス調製物、浸透圧ポンプ、分散デバイス、リポソーム、リポスフィア、および経皮送達システムが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の他の制御放出処方物として、動物への投与の際に、インサイチュで固体またはゲルを形成する液体が挙げられる。好ましい制御放出処方物は生物分解性(すなわち、生物腐食性)である。
【0106】
本発明の好ましい制御放出処方物は、本発明の組成物を、この組成物の治療用量レベルが達成されるのに十分な一定の割合で処置される動物の血液中に放出し得る。この治療組成物は、好ましくは、約1月〜約12月の期間にわたって放出される。本発明の制御放出処方物は、好ましくは少なくとも1ヶ月間、より好ましくは少なくとも3ヶ月間、さらにより好ましくは少なくとも6ヶ月間、さらにより好ましくは少なくとも9ヶ月間、そしてさらにより好ましくは少なくとも12ヶ月間、処置をもたらし得る。
【0107】
効果的な様式で治療組成物を投与するための受容可能なプロトコルとして、個々の用量の大きさ、用量の数、用量投与の頻度、および投与の様式が挙げられる。このようなプロトコルの決定は、当業者によって達成され得る。適切な単回用量は、適切な期間にわたって1回以上投与された場合に動物を処置し得る用量である。例えば、インヒビターの好ましい単回用量は、動物の1キログラム体重あたり約1マイクログラム(μg)〜約10ミリグラム(mg)の治療組成物である。ブースターワクチン接種は、本来の投与から約2週間〜数年後に施され得る。ブースター投与は、好ましくは、動物の免疫応答が、動物を疾患から保護するのに不十分である場合に投与される。好ましい投与スケジュールは、動物の1kg体重あたり約10μg〜約1mgの治療組成物が、約2週間〜約12ヶ月かけて約1回〜約2回投与されるスケジュールである。投与の様式として、皮下経路、皮内経路、静脈内経路、鼻内経路、経口経路、経皮経路、眼内経路、鼻内経路、結膜経路、および筋内経路が挙げられるが、これらに限定されない。他の治療化合物のための投与様式は当業者によって決定され得、そして、毎日、毎週、毎月、または毎年のレジメンにおいて1回以上の治療組成物の投与が挙げられ得;投与の経路は、当業者によって決定され得、そして任意の経路が含まれ得る。ノミに対して投与する場合のインヒビター化合物の好ましい投与経路は、局所処方または動物の身体表面に投与される「スポットオン」処方であり、その結果、ノミは、動物に付着した場合に阻害化合物に遭遇する;阻害化合物の別の好ましい投与経路は、動物に食された場合にその動物の血流中に進入し、次いで動物から供給されつつノミに移動する経口処方である。
【0108】
本発明の組み換えタンパク質ワクチンまたは治療は、本発明の組み換え生成されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を含み、ノミのインフェステーションから動物を保護するために十分な免疫応答をその動物において生じるプロトコルに従って動物に投与される。このようなプロトコルは当業者によって決定され得る。
【0109】
1つの実施形態に従って、本発明の核酸分子は、動物においてその核酸分子の保護タンパク質または保護RNA(例えば、アンチセンスRNA、リボザイム、三重らせん形態、またはRNA薬)の発現を可能にする様式で動物に投与され得る。核酸分子は、種々の方法で動物に送達され得、その方法としては、(a)遺伝子ワクチンまたは治療としての裸(すなわち、ウイルスコートまたは細胞膜でパッケージされていない)核酸の投与(例えば、Wolffら、1990、Science 247、1465−1468に教示されるような、裸のDNAまたはRNA分子として)、あるいは(b)組み換えウイルスワクチンもしくは治療としてまたは組み換え細胞ワクチンもしくは治療としてパッケージされた核酸分子の投与(すなわち、核酸分子がウイルスまたは細胞ビヒクルにより送達される)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0110】
本発明の遺伝子(すなわち、裸の核酸)ワクチンまたは治療は、本発明の核酸分子を含み、好ましくは、好ましくは複製(そうでなければ増幅)コンピテントな本発明の組み換え分子を含む。本発明の遺伝子ワクチンまたは治療は、例えば、ジシストロン性組み換え分子の形態で、1つ以上の本発明の核酸分子を含み得る。好ましい遺伝子ワクチンまたは治療は、ウイルスゲノムの少なくとも一部(すなわち、ウイルスベクター)を含む。好ましいウイルスベクターとして、アルファウイルス、ポックスウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ピコルナウイルス、およびレトロウイルスに基づくベクターが挙げられ、アルファウイルス(例えば、シンドビスまたはSemliki forestウイルス)、種特異的ヘルペスウイルス、およびポックスウイルスに基づくベクターが特に好ましい。タンパク質産生に適していることが開示されている転写制御配列を含む、任意の適切な転写制御配列が使用され得る。特に好ましい転写制御配列として、サイトメガロウイルス最初期(好ましくは、イントロンAと組み合わせて)、ラウス肉腫ウイルス長末端反復、および組織特異的転写制御配列、ならびにウイルスベクターが使用される場合に、ウイルスベクターに内因性の転写制御配列が挙げられる。「強力」なポリアデニル化シグナルの組み込みもまた好ましい。
【0111】
本発明の遺伝子ワクチンまたは治療は、種々の様式で投与され得、筋内経路、皮下経路、皮内経路、経皮経路、結膜経路、眼内経路、および経口経路の投与が好ましい。遺伝子ワクチンの好ましい単回用量は、約1ナノグラム(ng)〜約600μgの範囲であり、投与経路および/または送達方法に依存し、これらは当業者により決定され得る。適切な送達方法として、例えば、注入による送達、滴薬としての送達、エアロゾル送達、および/または局所送達が挙げられる。本発明の遺伝子ワクチンは、水性賦形剤(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)単独またはキャリア(例えば、脂質系ビヒクル)中に含まれ得る。
【0112】
本発明の組み換えウイルスワクチンまたは治療は、ウイルスコートにパッケージされ、そして投与後に動物中で発現し得る本発明の組み換え分子を含む。好ましくは、組み換え分子は、パッケージング不能または複製不能であり、そして/または弱毒化されたウイルスをコードする。アルファウイルス、ポックスウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ピコルナウイルス、およびレトロウイルスに基づく組み換えウイルスを含むがこれらに限定されない、多くの組み換えウイルスが使用され得る。好ましい組み換えウイルスワクチンまたは治療は、アルファウイルス(例えば、シンドビスウイルス)、アライグマポックスウイルス、種特異的ヘルペスウイルス、および種特異的ポックスウイルスに基づく組み換えワクチンまたは治療である。アルファウイルス組み換えウイルスワクチンの生成方法および使用方法の例は、XiongおよびGrieveらに対する米国特許第5,766,602号(これは本明細書中にその全体が参考として援用される)において開示されている。
【0113】
動物に投与される場合、本発明の組換えウイルスワクチンまたは治療は、免疫した動物内で細胞を感染させ、そして本明細書に開示されるようなノミのインフェステーションからその動物を保護し得る保護タンパク質またはRNA核酸分子を産生させる。例えば、本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子を含む組換えウイルスワクチンまたは治療は、ノミのインフェステーションから動物自身を保護するために十分な免疫応答を、その動物中で生じるプロトコルに従って動物に投与される。本発明の組換えウイルスワクチンまたは治療の好ましい単回用量は、動物の1kg体重あたり約1×104〜約1×108ウイルスプラーク形成ユニット(pfu)である。投与プロトコルは、タンパク質に基づくワクチンまたは治療に関して本明細書中に記載されているプロトコルと同様であり、皮下投与経路、筋内投与経路、鼻内投与経路、眼内投与経路、結膜投与経路、および経口投与経路が好ましい。
【0114】
本発明の組換え細胞ワクチンまたは治療は、本発明の少なくとも1つのタンパク質を発現する、本発明の組換え細胞を含む。この実施形態に関して好ましい組換え細胞として、Salmonella、E.coli、Listeria、Mycobacterium、S.frugiperda、酵母(Saccharomyces cerevisiaeおよびPichia pastorisを含む)、BHK、CV−1、筋芽細胞G8、COS(例えば、COS−7)、Vero、MDCK、およびCRFK組換え細胞が挙げられる。本発明の組換え細胞ワクチンまたは治療は、種々の方法で投与され得るが、好ましくは1kg体重あたり約108〜約1012細胞の範囲の用量で、経口投与され得るという利点を有する。投与プロトコルは、タンパク質に基づくワクチンまたは治療に関して本明細書中に記載されているプロトコルと同様である。組換え細胞ワクチンまたは治療は、全細胞、細胞壁の細胞剥離物、または細胞溶解物を含み得る。
【0115】
ノミのインフェステーションから動物を保護するという本発明の治療組成物の効果は、種々の様式(保護抗体の検出(例えば、本発明のタンパク質またはmimetopeを用いて)、処置動物中の細胞性免疫の検出、または処置動物がインフェステーションに対して耐性か否かを決定するための、ノミを用いた処置動物のチャレンジが挙げられるが、これらに限定されない)で試験され得る。チャレンジ研究として、処置動物へのノミの直接的な投与が挙げられ得る。1つの実施形態において、治療組成物は、動物モデル(例えば、マウス)において試験され得る。このような技術は、当該分野で公知である。
【0116】
本明細書中で議論されているように、本発明の1つの治療組成物として、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性のインヒビター(すなわち、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の機能に実質的に干渉し得る化合物)が挙げられる。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性または機能のインヒビターは、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を用いて同定され得る。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質機能の好ましいインヒビターは、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の機能に実質的に干渉し得、かつ宿主動物GABAレセプターサブユニットタンパク質の機能と実質的に干渉しない化合物である。本明細書中で使用する場合、宿主動物GABAレセプターサブユニットタンパク質を実質的に阻害も干渉もしない化合物は、宿主動物に投与される場合、その宿主動物がGABAレセプターサブユニットの阻害に起因する有意な副作用を示さず、かつ効果的な様式で動物に投与される場合、ノミのインフェステーションから動物を保護し得る化合物である。
【0117】
本発明の1つの実施形態は、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性を阻害し得る化合物を同定する方法である。このような方法は、以下の工程を包含する:(a)本発明の単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質と、推定阻害化合物を、その化合物の非存在下で、そのタンパク質がノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性を有する条件下で接触させる(例えば、結合、混合させる工程)工程;および(b)推定阻害化合物がその活性を阻害するか否かを決定する工程。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性は、当該分野で公知の種々の方法(ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の、基質と結合するか、そうでなければ相互作用する能力の決定が挙げられるがこれらに限定されない)で決定され得る。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質がノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性を有するこのような条件として、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質が、生理学的条件(すなわち、生理学的pH、生理学的イオン濃度、および生理学的温度)下での正確な三次元折り畳み構造を有する条件が挙げられる。
【0118】
スクリーニングする推定阻害化合物として、抗体(そのフラグメントおよびmimetopeを含む)、推定基質アナログ、および他の、好ましくは小さい有機分子または無機分子が挙げられる。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性を決定する方法は、当業者に公知である。
【0119】
ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性を阻害し得る化合物を同定するための好ましい方法は、本発明の単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質と、推定阻害化合物を、その化合物の非存在下でそのタンパク質がノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性を有する条件下で接触させる工程;および推定阻害化合物がその活性を阻害するか否かを決定する工程を包含する。
【0120】
本発明の別の実施形態は、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質のインヒビターを同定するためのアッセイキットである。このキットは、本発明の単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質、およびノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性の阻害を決定するための手段(この手段は阻害の検出を可能にする)を含む。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の阻害の検出により、推定インヒビターがノミGABAレセプターサブユニットタンパク質のインヒビターであることが同定される。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の阻害を決定するための手段として、例えば、ノミGABAレセプターサブユニット分子に対する推定インヒビターの結合を検出するアッセイ系、およびGABAに結合するノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の能力の、推定インヒビターによる干渉を検出するアッセイ系が挙げられる。手段および方法は本明細書中に記載されており、等業者に公知である。
【0121】
本発明の1つの実施形態は、殺虫剤に対する耐性を与える個々のノミまたはノミ集団におけるGABAレセプター遺伝子型の存在を同定するための方法である。このような方法は、以下の工程を包含する:(a)1つ以上のノミから本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子を単離する工程;(b)このような核酸分子の核酸配列を決定する工程;および(c)この核酸配列が、1つ以上の既知の殺虫剤耐性遺伝子を含むか否かを決定する工程、またはその集団について、これまで知られていない変異遺伝子の存在を決定する工程。1つの実施形態において、このような方法は、本発明者らが初めて同定し、ノミにおけるシクロジエン耐性と相関させた配列番号5のタンパク質をコードする両方の対立遺伝子を決定する工程、および各々の対立遺伝子が、配列番号5のアミノ酸285でセリンまたはアラニンをコードするか否かを決定する工程を包含する。本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子を単離するための好ましい方法は、本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸配列を用いて設計されたプライマーおよびプローブの使用を包含する。核酸分子の配列を単離および決定するための技術は、当業者に公知である。
【0122】
本発明の1つの実施形態は、本発明の核酸分子を用いてノミGABAレセプターサブユニット活性のインヒビターを設計または同定するための方法である。このような方法は、以下の工程を包含する:(1)ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の1つ以上の殺虫剤耐性遺伝子座を同定する工程、および(2)殺虫剤耐性遺伝子座により影響を受けない化合物を、設計または同定する工程。この実施形態は、化合物を、1つ以上の殺虫剤耐性遺伝子座を有するノミおよびこのような殺虫剤耐性遺伝子座を有さないノミと代替的に接触させる工程、およびノミを殺傷するこの化合物の能力が殺虫剤耐性遺伝子座により影響を受けるか否かを決定する工程によって化合物をスクリーニングする方法を包含する。
【0123】
以下の実施例は、例示の目的で提供され、本発明の範囲を限定することを意図していない。以下の実施例は、当業者に公知の多くの組換えDNAおよびタンパク質化学の技術を含む:例えば、Sambrookら、同書を参照のこと。
【0124】
(実施例1)
この実施例は、ノミ混合齢cDNAライブラリーからの、本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子の単離および特徴付けを記載する。
【0125】
A.約183ヌクレオチドのノミGABAレセプターサブユニット核酸分子を、ノミ混合齢cDNAライブラリーから単離し、以下のようなネステッドPCR増幅において、PCT公開WO99/31253(1999年6月24日公開、本明細書中に参考として援用される)に記載されるようにして調製した。第1のPCR反応において、縮重センスプライマーGABASen(ヌクレオチド配列5’ATG GAT TTY ACA YTG GAY TTY TAY3’を有し;配列番号12と名付けられている)を、以下のPCR反応および熱サイクル条件下:2.5ユニットのAmpliTaqTMGold(Perkin Elmer、Norwalk、CTから市販されている)、1X AmpliTaq Gold PCR緩衝液、0.2mM dNTP、50μl反応容量中の2.0μM 各プライマーを含む反応液において、(1)95度で10分間を1サイクル;(2)95度で15秒間、43度で20秒間、および72度で60秒間を5サイクル;ならびに(3)95度で15秒間、46度で15秒間、および72℃で75秒間を30サイクル(本明細書の以降で「標準PCR反応条件」と称する)で、2μlのノミ混合齢cDNAライブラリーをテンプレーとして使用して、逆方向プライマー(核酸配列5’TAA TAC GAC TCA CTA TAG GG3’を有し、配列番号13と名付けられている)と組み合わせて使用した。
【0126】
センスプライマーGABASen(上記)および縮重逆方向プライマーGABArev(ヌクレオチド配列5’ATT NAK CCA RAA TGA WAC CCA3’を有し、配列番号14と名付けられている)を使用して、以下のような第2のヘミネステッドPCR反応を実施した。第1のPCR反応産物をテンプレートとして用いて、標準反応条件下(AmpliTaq GoldではなくAmpliTaqTMポリメラーゼおよび緩衝液(Clontech Laboratories、Inc.、Palo Alto、CAから市販されている)を使用することを除いて)で、以下のサイクル条件:(1)95℃で35秒間を1サイクル、(2)95℃で15秒間、42℃で15秒間、72℃で1分間を35サイクル、および(3)72℃で5分間を1サイクルの下で、第2の反応を実施した。
【0127】
第2のPCR反応における増幅産物から得られた配列情報を使用して、センスプライマーGABAnestFor(ヌクレオチド配列5’AAA CAT ATG GGT CCC TGA CAC3’を有し、配列番号15と名付けられている)および逆方向プライマーGABAnestRev(ヌクレオチド配列5’TAT CGC GCA TCG TGT AGC CG3’を有し、配列番号16と名付けられている)を設計した。第2のPCR反応からの反応産物を、第3のPCR反応におけるテンプレートして使用して、標準条件下(1μlのテンプレートを使用することを除いて)で、以下のサイクル条件下:(1)95℃で30秒間を1サイクル、(2)95℃で15秒間、50℃で15秒間、72℃で1分間を30サイクル、および(3)72℃で5分間を1サイクルで実施した。配列番号1と名付けられたコード鎖および配列番号3と名付けられた相補鎖を有するnCfGR183と名付けられた183ヌクレオチドフラグメントを単離し、T/Aを、TOPOTMT/Aクローニングキット(Invitrogen、Carlsbad、CAから市販されている)を用いてクローニングし、そしてPCfGR60と名付けられた60アミノ酸の部分長タンパク質をコードすることを示し、そしてこれを本明細書中で配列番号2として示す。この配列は、配列番号1のヌクレオチド1〜ヌクレオチド3にまたがる第1コドンおよび配列番号1のヌクレオチド181〜ヌクレオチド183にまたがる最終コドンと推定される。
【0128】
B.核酸分子nCfGR183を32Pα−dATP標識して、そして、PCT公開WO99/31253(同章)に記載されるように調製した、徘徊性幼虫ノミcDNAライブラリーよりノミGABAレセプター核酸分子を単離する、標準的なプラークリフトハイブリダイゼーション手順においてプローブとして使用した。以下のハイブリダイゼーション条件を使用した:フィルターを、1分間当たり約1×106数/mlのプローブと、5×SSPE(Sambrookら(同章)を参照のこと)、1%サルコシル、0.1%脱脂粉乳および5×デンハルト(Denhardt’s)試薬(Sambrookら(同章)を参照のこと)中で、45℃にて約29時間ハイブリダイズした。ハイブリダイゼーションに次いで、0.5×SSPE、0.1%サルコシル中で、55℃にて初回洗浄に約20分間、および2回目洗浄に15分間の、2回の洗浄を実施した。プローブに強固にハイブリダイズした1つのポジティブなプラークを、プラーク純化が達成されるまで、連続的プラークスクリーニングを通じて保持し、次いでインビボ切除に供した。インビボ切除を、Stratagene社(LaJolla,CA)より入手可能なEx−AssistTMヘルパーファージ系およびプロトコルを用いて実施し、ポジティブなプラークをpBluescriptTMプラスミドDNAに変換させた。Bio Rad(Hercules,CA)より入手可能なQuantum Prep Kitを用いて業者の手引書を用いてDNAを調製した後、Perkin Elmerより入手可能なABI PRISM 377自動DNA Sequencerを使用して、配列決定を行った。
【0129】
得られたプラスミドは、コード鎖が配列番号4と本明細書に記される、約5503塩基対の核酸分子(本明細書ではnCfGR5503と称される)を含んだ。配列番号4の相補体は、本明細書中で配列番号6と示される。配列番号4の翻訳は、核酸分子nCfGR5503が482アミノ酸の全長ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質(本明細書中でPCfGR482と称される)をコードすることを示唆し、配列番号5により示されるアミノ酸配列を有し、開始コドンが配列番号4のヌクレオチド378からヌクレオチド380までにわたり、そして終止コドンが配列番号4のヌクレオチド1824からヌクレオチド1826にわたることを想定させる。PCfGR482をコードするコード領域は、核酸分子nCfGR1446と示され、配列番号7により示される核酸配列を有するコード鎖および配列番号8により示される核酸配列を有する相補鎖を有する。PCfGR482のアミノ酸配列は、PCfGR482が約53.7キロダルトン(kDa)の推定分子量および約9.6の推定等電点(pI)を有することを予測させる。
【0130】
配列番号5のアミノ酸配列とGenBankに報告されたアミノ酸配列との比較は、配列番号5がGenBank登録番号AF024647のLucilia cuprina γ−アミノブチル酸レセプターサブユニット(Rdl)mRNAのタンパク質産物と最も高い相同性(すなわち、約88%の同一性)を示す。配列番号7とGenBankに報告された核酸配列との比較は、配列番号7がGenBank登録番号AF024647のLucilia cuprina γ−アミノブチル酸レセプターサブユニット(Rdl)mRNA核酸分子と最も高い相同性(すなわち、約75%の同一性)を示したことを示す。同一性パーセントの計算を、デフォルト値にセットしたnwsgapdna.cmpスコア付けマトリクス、ギャップ生成ペナルティおよびギャップ延長ペナルティ、ならびに最大値にセットしたギャップシフト制限を有する、Pairwise Comparison/Gap機能を用いて、SeqLabソフトウェアにおいて使用可能な、Needleman−Wunschのアルゴリズムを用いる二つ一組(pair−wise)の比較により実施した。
【0131】
(実施例2)
次の実施例は、本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子の細胞外ドメインの発現を記載する。
【0132】
タンパク質の細胞外ドメインを含むと考えられる配列番号4のN末端部分を、以下のように作製した。Clontechより入手可能な、テンプレート20ngおよびAdvantage2ポリメラーゼを使用すること以外は標準的なPCR反応条件下で、本明細書中で配列番号17と称される、ヌクレオチド配列
【0133】
【化1】
(太字で示されるXhoIサイトを有する)を有する順方向プライマーGABA5Met、および本明細書中で配列番号18と称される、ヌクレオチド配列
【0134】
【化2】
(太字で示されるEcoR1サイトを有する)を有する逆方向プライマーEXP3R1を用いて、配列番号4を鋳型として用いるPCR反応を実施した。この反応についての温度サイクル条件は、以下の通りである:(1)95℃で60秒間を1回;(2)94℃で10秒間、49℃で40秒間、および69℃で60秒間を5回;ならびに(3)94℃で10秒間、52℃で20秒間、および69℃で90秒間を27回。このPCR反応は、推定のノミGABAレセプターサブユニット細胞外ドメイン(つまり、配列番号4のヌクレオチド377から1095)をコードするPCR産物(本明細書でnCfGR717と示される)を生成し、これは、配列番号9に示される核酸配列を有するコード鎖および配列番号11に示される核酸配列を有する相補鎖を有し、XhoI制限部位およびEcoRI制限部位が隣接する。配列番号9の翻訳は、核酸分子nCfGR717が、239アミノ酸の部分長ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質(本明細書中でPCfGR239と称され、配列番号10によって示されるアミノ酸配列を有する)をコードすることを示唆し、このことは、開始コドンが配列番号9のヌクレオチド2からヌクレオチド4にわたり、そして終止コドンが配列番号9のヌクレオチド716からヌクレオチド718にわたることを推定させる。
【0135】
上記のPCR反応からの生産物を、アガロースゲルにて分離し、切り出し、Qiaquickカラム(Qiagen,Valencia,CAより入手可能)を使用して精製し、XhoI制限酵素およびEcoRI制限酵素を用いて消化し、そして組換え分子pλcro−nCfGR717を作製するためにXhoIおよびEcoRIにより消化したλcroプラスミドベクター(その生成は、Trippらによる米国特許第5,569,603号(1996年10月29日に発行された)に記載される)に連結し、そしてゲル精製した。組換え分子中の挿入物を、DNA配列決定により確認した。組換え分子pλcro−nCfGR717を使用してE.coli系統(BL21)を形質転換し、それによりBL21−pλcro−nCfGR717を作製した。細胞を、100μg/mlのアンピシリンを補充したLB培地中で、32℃にて0.5のOD600値に達するまで増殖させた。温度を42℃に移行させ、そしてさらに2〜3時間インキュベートすることにより、タンパク質PCfGR239の生成を、誘導した。細胞を冷却し、次いで、International Equipment Company、Needham Heights、MAより入手可能な、IECモデルPR−7000M冷却大容量遠心機中で6000×gで30分間の遠心分離により収集した。誘導した細胞溶解物を、SDS−PAGEゲルにて泳動し、タンパク質をニトロセルロースに転写し、そして、Novagen、Madison、WIより入手可能な、抗T−7タグモノクローナル抗体により、約28kDaのバンドを認識した。配列番号10のアミノ酸配列をGenBankに報告されたアミノ酸配列と比較すると、配列番号10がGenBank AAF50311のDrosophila melanogaster Rdl遺伝子のタンパク質産物と最も高い相同性(すなわち、約91%同一性)を示したことを、示す。配列番号9のアミノ酸配列をGenBankに報告されたアミノ酸配列と比較すると、配列番号9がGenBank登録番号AF024647のLucilia cuprina γ−アミノブチル酸レセプターサブユニット(Rdl)mRNA核酸分子と最も高い相同性(すなわち、約75%同一性)を示したことを、示す。
【0136】
(実施例3)
本実施例は、個々のノミに由来するDNAの配列決定を行って、所定の個体における対立遺伝子改変体の存在を決定することを記載する。
【0137】
いくつかの異なる集団由来の個々のノミからのDNAを配列決定し、そして分析した。これら配列の分析は、配列番号5のアミノ酸278位および285位をコードする、特定のヌクレオチドでの対立遺伝子変異体の存在を明らかにした。アミノ酸278は、配列番号7のヌクレオチド832位におけるアデニンとシトシンとの間の変化のため、NまたはHのいずれかで有り得る。アミノ酸285は、配列番号7のヌクレオチド853位におけるチミンとグアニンとの間の変化のため、SまたはAのいずれかで有り得る。アミノ酸285での変化は、D.melanogaster GABAレセプターにおいて見られる、アミノ酸302でのセリンからアラニンへの変化に対して相同であると考えられ、この変化はシクロジエン(cylcodiene)に対する耐性と結びついている。
【0138】
個々のノミの遺伝子型を決定するために、以下の方法を使用した。個々のノミを、Gibco BRL、Rockville、MDより入手可能なDNAzol 30μlを有する微量遠心管中で、ピペットチップを用いて物理的に破砕し、次いで95℃まで5分間熱した。この混合物を2分間遠心分離し、液体を取り出し、そしてDNAをエタノールで沈殿させた。沈殿したDNAを遠心分離して、エタノールを除去し、そしてそのペレットを30μlの蒸留水に再懸濁した。本明細書中で配列番号19と称される、核酸配列5’TATAAACTAGCGAACAACATTAC3’を有する順方向プライマー285for、および、本明細書中で配列番号20と称される、核酸配列5’GATTCAATTCGTGCGTTCTATG3’を有する逆方向プライマー285revを用いて、5μlのDNA懸濁液をPCR反応において使用した。以下のPCR温度サイクル条件および反応条件を使用した:1×AmpliTaq緩衝液、Perkin Elmer、Foster City、CAより入手可能なAmpliTaqポリメラーゼ2.0U、0.2mMのdNTP、および0.5μMの各々のプライマーを含む反応物中で(1)95℃で30秒間を1回、(2)94℃で10秒間、52℃で30秒間、および72℃で30秒間を35回。
【0139】
PCR産物を、ゲル電気泳動により分離し、そしてQiagenより入手可能なQiaquickTMカラムを使用して精製し、約240ヌクレオチドの分子を作製した。次いで、その約240ヌクレオチドの産物をプライマー285forおよびプライマー285rev、ならびにdローダミン(dRhodamine)ターミネーター化学を使用して配列決定し、そして配列を解読し、個々がセリンまたはアラニンについてホモ接合性か、あるいはヘテロ接合性か否かを決定した。
【0140】
(実施例4)
本実施例は、シクロジエン殺虫剤であるディルドリン(dieldrin)の様々な濃度にノミを曝露し、曝露されたノミの中の生存率を観察し、個々のノミのDNAを配列決定し、そして生存率を遺伝子型と相関させることを記載する。
【0141】
異なる3つの集団のノミを、実施例3に記載したように、アミノ酸285におけるそれらのGABAレセプター集団の遺伝子型について評価した。その3つの集団が、アミノ酸285においてホモ接合性セリン、ホモ接合性アラニン、およびヘテロ接合性であることを、見出した。
【0142】
ディルドリンを、0.001mMから1000mMにわたる濃度でジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解した。各々の濃度からの溶解したディルドリン約1μlを、4mlのスクリュートップガラスバイアルの底に置いた直径6mmのGF/Cフィルターディスク(Whatman,Inc.Clifton,NJ)上にスポットし、そして24時間風乾させた。ディルドリンをDMSOに溶解しないことを除いて、ネガティブコントロールのバイアルを、同様の方法で調製した。各ディルドリン濃度を、3つのノミ集団の各々について3連で試験した。約25匹の新たに発生したネコノミを4℃で落ち着かせ、そして各バイアルに移した。各バイアルを、上部の開いたスクリューキャップにより締めつけられた、薄い穴の開いたテフロン(登録商標)隔膜を用いてシールし、そして暗所で垂直に保持した。約30時間後、各バイアル中の元気に生存するノミ、瀕死のノミ、および死亡したノミを、計数した。次いで、各バイアル中の死亡したノミのパーセントを、式M=100(D−(FC/100)/(F−(FC/100))を使用して計算し、ここで、Mは、ディルドリンの添加のため死亡したノミのパーセントであり、Dは、ディルドリン含有バイアル中の死亡したノミの数であり、Fは、ディルドリン含有バイアル中のノミの総数であり、そしてCは、ネガティブコントロールバイアル中の死亡したノミの数のパーセントである。50%のノミが殺傷されるディルドリンの濃度として規定されるディルドリンLC50を、各ノミ集団について決定した。ホモ接合性セリンのノミ集団についてのLC50は30mMであり、へテロ接合性アラニン/セリンのノミ集団についてのLC50は1.0mMであり、そしてホモ接合性アラニンのノミ集団についてのLC50は0.2mMであった。さらに、10mMおよび50mMのディルドリンに曝露したヘテロ接合性集団由来のノミを配列決定し、そしてデータを以下の結果を得るためにプールした。ホモ接合性セリンである21匹のノミのうち、16匹が生存し、1匹が瀕死であり、そして4匹が死亡した;29匹のヘテロ接合性のうち、2匹が生存し、3匹が瀕死であり、そして24匹が死亡した;1匹のホモ接合性アラニンのうち、1匹が死亡した。これらの結果は、配列番号5の285位での変化に起因する、ノミにおけるディルドリンに対する抵抗性が、ffrench−Constant(同章)により記載されるように、302位でのセリンのアラニンへの変化に起因するD.melanogasterについて記載された周知の抵抗性と相関するようであることを、示唆する。
【0143】
本発明の種々の実施形態は、詳細に記載しているが、これらの実施形態の改変および適応が、当業者に生じることは明らかである。しかし、このような改変および適応が、添付の特許請求の範囲の記載されるように、本発明の範囲内であることは、明らかに理解され得る。
(発明の分野)
本発明は、ノミGABAレセプターサブユニット核酸分子、そのような核酸分子によってコードされるタンパク質、そのようなタンパク質に対して産生される抗体、およびそのようなタンパク質のインヒビターに関する。本発明はまた、そのようなタンパク質、核酸分子、抗体、および阻害性化合物を得るための方法も包含する。本発明はまた、そのようなインヒビターを含む治療的組成物、およびその使用も包含する。
【0002】
(発明の背景)
動物のノミのインフェステーションは、ペットのオーナーにとって健康上および経済上の心配事である。特に、インフェステーションが、ペットにとってだけではなく、自分の家が一般的に虫に汚染されていることを見出し得るペットのオーナーにとっても悩みの種となることに起因して、ノミの咬傷は、ペットとして飼育されている動物に関する問題である。ノミが、様々な病気(アレルギーを含む)を直接引き起こすこと、そしてまた内寄生性生物(例えば、線虫、条虫、吸虫および原虫)、細菌およびウイルスを含むが、これらに限定されない様々な感染因子を保有することが知られている。このように、ノミは、それらが動物上に存在する場合だけでなく、それらが動物の環境一般に存在する場合にも問題である。
【0003】
ノミのインフェステーションの医学的な重要性は、ノミのインフェステーションを制御し得る薬剤の開発を促した。ノミのインフェステーションを制御するために共通して見られる方法は、一般的に殺虫剤の使用に集中されていて、その方法は、以下の理由によってしばしば不成功に終っている:(1)オーナーのコンプライアンスの失敗(頻繁な投与が必要とされる);(2)殺虫剤物質または殺虫剤投与の方法に対する、ペットの習性上のかまたは生理学的な不耐性;および(3)処方された殺虫剤の投与量に対して耐性なノミ集団の発生。
【0004】
γ−アミノ酪酸(GABA)は、GABAレセプターに結合する、昆虫および脊椎動物の両方において主要な神経伝達物質であり、そのレセプターは、脊椎動物および脊椎動物の神経組織における内在性の膜糖タンパク質であって、レセプターの中でもリガンド型イオンチャネルスーパーファミリーの一員である。研究者は、Drosophila melanogasterより、推定のGABAレセプターをコードする3種の昆虫クローン((1)Rdl(ジエルドリン耐性)、(2)Grd(DrosophilaのGABAおよびグリシン様レセプター);ならびに(3)Lcch3(リガンド型クロライドチャネルホモログ3))を単離した。昆虫GABAレセプターは、シクロジエン(例えば、ジエルドリン)、およびフェニルピラゾール(例えば、フィプロニル)を含む様々な殺虫剤の公知の標的である;例えば、Casida,J.E.、1993、Archives of Insect Biochem.and Physiol.22:13−23、およびColeら、1993、Pesticide Biochem.and Physiol.、46:47−54を参照のこと。Drosophila、甲虫、蚊、コナジラミ、ゴキブリおよびアブラムシを含む、複数の昆虫において、シクロジエン耐性は、アニリンからセリンへの1つのアミノ酸突然変異と関連する。
【0005】
初期の調査は、特定の昆虫GABAレセプターサブユニットタンパク質および/または昆虫GABAレセプターサブユニット核酸配列(例えば、ffrench−Constantら、1991、Proc.Nat.Acad.Sci.88:7209−7213が挙げられる)、および特定の脊椎動物タンパク質および/または脊椎動物核酸配列(例えば、Pritchettら、1989、Nature、338:582−585が挙げられる)を記載している。残念ながら、GABAレセプターを標的とする多くの殺虫剤はまた、哺乳動物のGABAAレセプターにも作用し、従ってノミを殺すための標的としてGABAレセプターを用いることは困難であった。処置する動物のGABAレセプターに対する潜在的な交差反応性を制限する必要性に起因して、ノミGABAレセプターの配列を有することは、宿主動物に対する毒性を最小限にする一方でノミに対して効果のある処置を作製するために、大変な利点となり得る。
【0006】
従って、ノミGABAレセプターサブユニット遺伝子の単離および配列決定は、ノミインフェステーションに対して動物を処置するための特定の物質の同定における使用のために必要不可欠である。
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、以下を提供する:ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質;ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質をコードする核酸配列;そのようなタンパク質に対して産生する抗体(すなわち、抗ノミGABAレセプターサブユニット抗体);そのようなタンパク質または抗体のミメトープ(mimetope);およびノミGABAレセプターサブユニット活性を阻害する化合物(すなわち、阻害性化合物またはインヒビター)。
【0008】
本発明はまた、そのようなタンパク質、ミメトープ、核酸分子、抗体および阻害性化合物を得るための方法も包含する。本発明はまた、そのような阻害性化合物を同定するためのタンパク質および抗体の使用ならびにそのような阻害性化合物を同定するためのアッセイキットの使用を包含する。また、本発明中には、本発明のタンパク質、ミメトープ、核酸分子、抗体、および阻害性化合物を含む治療的組成物も含まれ(それらは、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害する本発明のタンパク質から誘導された治療的化合物を含む);またそのような治療的化合物の使用も含まれる。
【0009】
本発明の1つの実施形態は、20%以下の塩基対がミスマッチし得る条件下で、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および/または配列番号11を有する核酸配列とハイブリダイズする、単離されたノミGABAレセプターサブユニット核酸分子である。本発明の別の実施形態は、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および/もしくは配列番号11と少なくとも80%が同一である核酸配列を有する単離されたノミGABAレセプターサブユニット核酸分子であるか、または少なくとも約35ヌクレオチド長のそれらのフラグメントである。
【0010】
本発明はまた、本発明の核酸分子を含む、組換え分子、組換えウイルスおよび組換え細胞にも関する。またそのような核酸分子、組換え分子、組換えウイルスおよび組換え細胞を産生する方法も、含まれる。
【0011】
本発明の別の実施形態としては、配列番号2、配列番号5、および/または配列番号10から成る群より選択されたアミノ酸配列と少なくとも95%が同一である、単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質ならびにそのフラグメントが挙げられる(ここでそのようなフラグメントは各々のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に対する免疫応答を誘導し得るかまたは各々のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に匹敵する活性を有する)。
【0012】
本発明の別の実施形態としては、20%以下の塩基対以下の塩基対がミスマッチし得る条件下で、配列番号3、配列番号8、および/または配列番号11を有する核酸配列とハイブリダイズする核酸分子によってコードされた単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質が挙げられる。
【0013】
本発明の別の実施形態としては、賦形剤、ならびに本発明の核酸分子、タンパク質、および抗体から成る群より選択された化合物、を含む組成物、ならびにそのような動物にそのような組成物を投与することを含む、動物のインフェステーションを処置する方法が挙げられる。
【0014】
本発明の別の実施形態としては、ノミGABAレセプターサブユニット活性のインヒビターを検出する方法が挙げられ、この方法は以下の工程を含む:(a)本発明の単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質と、推定の阻害性化合物を、この化合物が存在しない場合に、このタンパク質がノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性を有するような条件下で接触させる工程、および(b)この推定阻害性化合物がノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性を阻害するかどうかを測定する工程。
【0015】
(本発明の詳細な説明)
本発明は、ノミGABAレセプターサブユニット核酸分子、そのような核酸分子によってコードされたタンパク質、そのようなタンパク質に対して産生された抗体、およびそのようなタンパク質に対するインヒビターを提供する。本明細書中に使用される場合、ノミGABAレセプターサブユニット核酸分子およびそのような核酸分子によってコードされたタンパク質はまた、各々、本発明のGABAレセプターサブユニット核酸分子および本発明のGABAレセプターサブユニットタンパク質として示される。本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子および本発明のGABAレセプターサブユニットタンパク質は、ノミより単離され得るか、または組換え的にかもしくは合成的に調製され得る。本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、RNAでもDNAでも、それらの改変体でもよく、そして二本鎖でも一本鎖でもよい;核酸分子の例としては、相補的DNA(cDNA)分子、ゲノムDNA分子、合成DNA分子、メッセンジャーRNAに特異的なタグであるDNA分子、および対応するmRNAが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のノミ核酸分子自体は、そのような核酸分子を含有する染色体全体を指すことを意図されないが、しかし、本発明のノミGABAレセプターサブユニットcDNAは、例えば、そのようなcDNAによってコードされるノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の産生を制御する調節領域(例えば、転写調節領域、翻訳調節領域または翻訳後調節領域が挙げられるが、これらに限定されない)およびそのコード領域自身、ならびに任意のイントロンまたは非翻訳コード領域の全ての領域を含み得る。本明細書中に使用される場合、句、「ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質」とは、ノミGABAレセプターサブユニット核酸分子によってコードされたタンパク質を言う。
【0016】
ノミから単離された既知の長さのノミGABAレセプターサブユニット核酸分子(例えば、Ctenocephalides felis)は、「nCfGR#」(例えば、nCfGR5503)と示され(ここで「#」は、その分子中のヌクレオチドの数を示す)、そして既知の長さのノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、「PCfGR#」(例えば、PCfGR482)と示される(ここで「#」は、その分子中のアミノ酸残基の数を示す)。
【0017】
本発明はまた、メッセンジャーRNAに特異的なタグであるノミGABAレセプターサブユニットDNA分子も提供する。そのようなDNA分子は、メッセンジャーRNAの全配列またはメッセンジャーRNAの一部の配列と適合し得、従って、そのようなメッセンジャーRNA分子と適合するDNA分子(すなわち、cDNA分子)、は、タンパク質の全長またはタンパク質の一部をコードし得る。一部の長さのタンパク質をコードする核酸分子は、適合する(または構造的に関連する)全長のタンパク質をコードするcDNA核酸分子を同定および/または単離するために、プローブとして直接的にか、またはプライマーを作製するために間接的に用いられ得る。そのような部分的cDNA核酸分子はまた、調節領域、エキソンおよびイントロンを含む完全な遺伝子を含有する核酸分子のようなゲノム核酸分子を同定するためにも同様の様式で用いられる。全長かつ適合するcDNA分子を同定するための、部分的なノミGABAレセプターサブユニットcDNA分子および部分的なノミGABAレセプターサブユニットcDNA配列を用いる方法が、本明細書において以下に記載される。
【0018】
本発明のタンパク質および核酸分子は、天然の供給源から得ても、例えば、核酸組換え技術または化学合成を用いて産生されてもよい。また本発明中には、これらのタンパク質の使用および核酸分子の使用、ならびにそれらに対する治療的組成物としての抗体の使用および阻害性化合物の使用、ならびに他の適用における、以下に開示するような使用も、含まれる。
【0019】
本発明の1つの実施形態は、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を含む、単離されたタンパク質である。用語「1つの(a)」存在物または「1つの(an)」存在物が1つ以上のその存在物を示す(例えば、1つのタンパク質、1つの核酸分子、1つの抗体および1つの治療的組成物が「1つ以上の」または「少なくとも1つの」、各々タンパク質、核酸分子、抗体および治療的組成物を示す)ことが、示され得る。用語「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、「1つ以上の」および「少なくとも1つの」、それら自体が、本明細書中に互換的に用いられ得る。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」が互換的に用いられ得ることもまた、示され得る。本発明に従って、単離されているか、または生物学的に純粋な、タンパク質とは、その天然の環境より取り出されたタンパク質である。「単離された」および「生物学的に純粋な」、それら自体は、そのタンパク質が精製された程度を、必ずしも反映しない。本発明の単離されたタンパク質は、その天然の供給源より得ても、組換えDNA技術を用いて産生しても、化学合成によって産生してもよい。
【0020】
本明細書中に使用する場合、本発明の単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、全長のタンパク質でも、そのようなタンパク質のいかなるホモログでもよい。本発明の単離されたタンパク質(ホモログを含む)は、そのタンパク質がノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に対して免疫応答を誘導する能力によってか、またはそのタンパク質がノミGABAレセプターサブユニット活性(例えば、GABAと結合する活性)を示す能力によって、直接的な様式で同定され得る。ノミGABAレセプターサブユニットホモログタンパク質の例としては、そこでそのホモログがノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に対する免疫応答を誘導し得る、かつ/かまたはノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に対する抗体と結合し得る、少なくとも1つのエピトープを含むように、アミノ酸が欠失(例えば、ペプチドのような、タンパク質の切断されたバージョン)挿入、反転、置換および/または誘導体化(例えば、糖化、リン酸化、アセチル化、ミリストイル化、プレニル化、パルミトイル化、アミド化および/またはグリセロホスファチジルイノシトールの付加)された、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質が挙げられる。すなわち、このホモログが、当業者に公知の方法を用いて、免疫原として動物に投与される場合、この動物は、天然のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の少なくとも1つのエピトープに対する免疫応答を生じる。タンパク質の免疫応答をもたらす能力は、当業者に公知の技術を用いて測定され得る。本明細書中に使用される場合、用語「エピトープ」とは、抗体の抗原結合部位またはT細胞レセプターに選択的に結合し得る、タンパク質または他の抗体の最小部分を言う。このタンパク質エピトープの最小サイズが約4〜6アミノ酸であることは、当業者によって十分に認められている。当業者に理解されているように、エピトープは、天然で互いに連続するアミノ酸および、その天然タンパク質の三次構造に起因して、エピトープを形成し得るほどに十分に近接しているアミノ酸を含み得る。本発明に従う、エピトープとしては、少なくとも4アミノ酸長、少なくとも5アミノ酸長、少なくとも6アミノ酸長、少なくとも10アミノ酸長、少なくとも15アミノ酸長、少なくとも20アミノ酸長、少なくとも25アミノ酸長、少なくとも30アミノ酸長、少なくとも35アミノ酸長、少なくとも40アミノ酸長、少なくとも50アミノ酸長を含むタンパク質の部分が挙げられる。
【0021】
本発明の1つの実施形態において、ノミGABAレセプターサブユニットホモログタンパク質は、ノミGABAレセプターサブユニット活性を有する(すなわち、このホモログは、天然の対応物と類似の活性を示す(例えば、GABAに結合する能力))。そのような活性を検出および測定するための方法は、当業者に公知である。
【0022】
ノミGABAレセプターサブユニットホモログタンパク質は、天然の対立遺伝の変異の結果でも、天然の突然変異の結果でもあり得る。本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質ホモログはまた、タンパク質の直接の改変または例えば、不規則な突然誘発または標的化された突然誘発を果たすための、古典的な技術もしくは組換えDNA技術を用いるタンパク質をコードする遺伝子の改変を含むが、これらに限定されない、当該分野において公知の技術を用いても産生され得る。
【0023】
本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、ノミGABAレセプターサブユニット核酸分子によってコードされている。本明細書中に使用される場合、ノミGABAレセプターサブユニット核酸分子としては、天然のノミGABAレセプターサブユニット遺伝子に関連する核酸配列、そして、好ましくは、C.felisノミGABAレセプターサブユニット遺伝子に関連する核酸配列が挙げられる。本明細書中に使用される場合、ノミGABAレセプターサブユニット遺伝子としては、そのような遺伝子によってコードされるノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の産生を制御する調節領域(例えば、転写制御領域、翻訳制御領域または翻訳後制御領域があるが、これらに限定されない)およびコード配列自体、ならびに任意のイントロンまたは非翻訳コード配列のような全ての領域が挙げられる。本明細書中に使用される場合、配列を「含む(include)」または「含む(comprise)」核酸分子は、1つの連続する配置中の配列を含んでも、しばしばノミ遺伝子に関して見出されるように、断片化されたエキソンのような配列を含んでもよい。本明細書中に使用される場合、用語「コード領域」とは、タンパク質に翻訳される、ヌクレオチドの連続的かつ直線的な配置を言う。全長のコード領域とは、任意の翻訳後修飾の前に、天然の環境において最初に翻訳された場合に、全長の(すなわち、完全な)タンパク質へと翻訳されるコード領域である。
【0024】
本発明の1つの実施形態は、1つの連続する配置中にかまたは天然に存在するイントロンによって割り込まれているかのいずれかの、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および/または配列番号11の核酸配列を含むC.felis flea GABAレセプターサブユニット遺伝子である。これらの核酸配列は、本明細書中にさらに記載される。例えば、配列番号7の核酸配列は、本明細書中にC.felis GABAレセプターサブユニット核酸分子nCfGR1446として示されるC.felis cDNAのコード鎖の推定配列を表す(この配列の産生物が、例において開示される)。配列番号7の核酸配列は、見かけ上、全長のコード領域を含む。配列番号7の相補体(本明細書中に配列番号8によって表される)は、核酸配列7を有する鎖と十分に相補的な鎖の核酸配列を示す(このことは、当業者によって容易に決定され得る)。同様に、本発明の任意の核酸配列に相補的な核酸配列とは、引用された配列に対して十分に相補的な(すなわち、それと完全な二重螺旋を形成し得る)核酸鎖の核酸配列を指す。核酸配列決定技術が完全に失敗が無いとは限らないので、配列番号7(および本明細書中に示される、他の核酸配列およびタンパク質配列)が本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質をコードする核酸分子の見かけ上の核酸配列を表すことに、留意すべきである。
【0025】
配列番号4(nCfGR5503のコード鎖)の翻訳および配列番号7(nCfGR5503のコード領域を表す、nCfGR1446のコード鎖)の翻訳は、本明細書中にPCfGR482として示される、482アミノ酸のタンパク質を産生し、そのアミノ酸配列は、配列番号5において表され、(a)開始コドンが、それぞれ配列番号4のヌクレオチド378〜380または配列番号7のヌクレオチド1〜ヌクレオチド3にわたり、そして(b)終止コドンが配列番号4のヌクレオチド1824から1826にわたることが予想される。
【0026】
1つの実施形態において、本発明の遺伝子および他の核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および/または配列番号11と類似するが同一でない配列を含む対立遺伝子の改変体であり得る。例えば、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および/または配列番号11を含むC.felis GABAレセプターサブユニット遺伝子の対立遺伝子改変体とは、本質的に配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および/または配列番号11を含む遺伝子とゲノム中の同じ座に生じるが、しかし、例えば、突然変異または組換えによって引き起こされる天然の改変に起因して、類似するが同一でない配列を有する、遺伝子である。天然の選択が、特に機能に影響する変更に対する選択をすることに起因して、対立遺伝子改変体(すなわち、引用された核酸配列に適合するか、または引用された核酸配列の対立遺伝子)は、それらと比較される遺伝子によってコードされたタンパク質の活性と類似する活性を有するタンパク質を通常コードする。遺伝子の対立遺伝子の改変体または核酸分子の対立遺伝子の改変体はまた、遺伝子の5’または3’の非翻訳領域における(すなわち、調節制御領域における)変化を含んでいても、初期転写物の選択的スプライシング(これによって代替的なエキソンが近位へと運ばれる)を含んでいてもよい。対立遺伝子の改変体は、当業者に周知であり、そしてそのゲノムが二倍体でありかつ有性生殖が対立遺伝子の再組み合わせを生じ得るので、対立遺伝子の改変体が所定のノミ種において天然に生じ得ることが予想される。
【0027】
本発明の1つの実施形態において、単離したノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件下で、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質をコードする遺伝子、またはノミGABAレセプターサブユニットタンパク質をコードする他の核酸分子の各々とハイブリダイズする核酸分子によってコードされる。本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の最小限のサイズは、対応する天然のタンパク質をコードする核酸分子の相補的配列と安定なハイブリッドを形成し得る(すなわち、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする)核酸分子によって十分にコードされ得るサイズである。そのようなタンパク質をコードする核酸分子のサイズは、核酸の組成およびノミGABAレセプターサブユニット核酸分子とその相補的核酸配列との間の相同性%に依存する。ストリンジェントな条件下での安定なハイブリッドを形成するために必要とされる相同性の程度が、相同な配列が所定の核酸分子を通して散在しているのかまたは所定の核酸分子上の特定の領域において集中しているのか(すなわち、局在化するか)のいずれであるかに依存して、変化し得ることは、容易に理解され得る。
【0028】
ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質をコードする遺伝子との安定なハイブリッドを形成し得る核酸分子の最小限のサイズは、その核酸分子がGCリッチの場合、少なくとも約12〜約15ヌクレオチド長であり、そしてそれがATリッチの場合、少なくとも約15〜約17塩基長である。本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質ホモログをコードするために用いられるのに最小限の核酸分子のサイズは、約12〜約18ヌクレオチド長である。従って、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質ホモログの最小限のサイズは、約4〜約6アミノ酸長である。本発明の核酸分子が、遺伝子の一部またはcDNAの一部またはRNAの一部を含んでも、遺伝子全体またはcDNA全体またはRNA全体を含んでも、複数の遺伝子または複数のcDNAまたは複数のRNAを含んでもよいことに起因して、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質をコードする核酸分子の最大限のサイズには、実施上の制限を除き、制限がない。本発明の核酸分子によってコードされるタンパク質の好ましいサイズは、そのようなタンパク質の全長、そのようなタンパク質の融合、そのようなタンパク質の多価性、またはそのようなタンパク質の機能性部分のいずれが所望されるかに依存する。
【0029】
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、核酸分子がハイブリダイズするノミGABAレセプターサブユニット核酸分子の規定の物理学的特性に基づいて決定され、数学的に定義され得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、個々の当業者が異種の核酸分子間の十分な類似性を同定することを可能にする実験的パラメーターである。これらの条件は、当業者に周知である。例えば、Sambrookら、1989、Molecular Cloning.A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Labs Press、およびMeinkothら、1984、Anal.Biochem.138、267−284を参照のこと、これらの各々は、本明細書中全体に参考として援用される。引用された参考文献中において詳細に説明されるように、ハイブリダイゼーションの条件の決定は、イオン強度(M、mole/l)、ハイブリダイゼーション温度(℃)、核酸ヘリックス不安定化剤(例えば、ホルムアミド)の濃度、最短ハイブリッド二重鎖の平均長(n)、および未知の核酸分子がハイブリダイズするフラグメント中のGおよびC組成の%を含む変数のセットの操作を包含する。少なくとも約150ヌクレオチドの核酸分子に関して、これらの変数が、所定の核酸分子の融解温度(またはTm)を算出するための標準的な数式へと挿入される。以下の式中の記載において、Tmは、2本の相補的な核酸分子鎖が解離し得る温度である(二本鎖間が100%相補的であると仮定する):
Tm=81.5℃+16.6logM+0.41(GおよびCの%)−500/n−0.61(ホルムアミドの%)。
約50ヌクレオチド未満の核酸分子に関して、ハイブリッドの安定性は、解離温度(Td)で定義され、これは、二本鎖の50%が解離する温度として定義される。これらの低分子に関して、標準的イオン強度での安定性が、以下の式で定義される:
Td=4(G+C)+2(A+T)。
Tdの5℃下の温度が、完全に相補的な分子間のハイブリダイゼーションを検出する為に用いられる。
【0030】
また、どのような塩基対ミスマッチ、すなわち、比較されている2つの核酸分子間の違い(所定の位置での塩基の非相補性を含む)および比較されているいずれかの核酸分子上での所定の位置での1以上の塩基の挿入または欠失によるギャップが、異なるサイズの核酸分子に対するTmまたはTdに影響するかは、当業者に周知である。例えば、Tmは、約150bpを超えるハイブリッドに関して塩基対ミスマッチのそれぞれ1%につき約1℃減少し、そしてTdは、約50bp未満のハイブリッドに関して、それぞれの塩基対ミスマッチにつき約5℃減少する。約50塩基対と約150塩基対との間のハイブリッドの条件は、当業者に周知の標準の実験手順を用いて、経験的にそして過度の実験なく、決定され得る。これらの簡単な手順により、当業者は、指定された%を超える塩基対ミスマッチを有する核酸ハイブリッドだけがハイブリダイズするように、このハイブリダイゼーション条件を設定し得る(例えば、その塩濃度、そのホルムアミド濃度、またはその温度を変更することにより)。当業者は、試験されるべき所定の核酸分子が約50ヌクレオチド未満か、あるいは約50ヌクレオチドより大きいかを容易に決定し得、そしてその結果、ハイブリダイゼーションの条件を決定するための適切な処方を選択し得るので、当業者は、望ましい量の塩基対ミスマッチであり得るように設計された条件下で、その核酸分子が所定の遺伝子とハイブリダイズするかどうかを決定し得る。
【0031】
ハイブリダイゼーション反応は、ハイブリダイズされるべき核酸分子を固体支持体(例えば、メンブレン)に取り付ける工程、そしてその後、ハイブリダイゼーション溶液に懸濁された、一般的にプローブと言われる標識核酸分子とハイブリダイズする工程により、しばしば実行される。一般的なハイブリダイゼーション反応技術の例としては、周知のサザンブロット手順およびノザンブロット手順が挙げられるが、これらに限定されない。代表的に、この実際のハイブリダイゼーション反応は、非ストリンジェントな条件下、すなわち、より低い温度、および/またはより高い塩濃度で行われ、そしてその後、高ストリンジェンシーが、より高い温度および/またはより低い塩濃度を有する溶液中でメンブレンを洗浄することにより獲得され、所望のストリンジェンシーを達成する。
【0032】
例えば、当業者が、30%以下の対ミスマッチを容認する条件下で、約150bp以上の長さのノミGABAレセプターサブユニット核酸分子とハイブリダイズする核酸分子を同定したい場合、好ましくは下記の条件が使用され得る。このノミDNAの平均G+C含有量は、既知のノミ核酸配列から算出した場合、約37%である。知られていない核酸分子は支持体メンブレンに取り付けられ、そして、その150bpプローブは、例えば放射性タグを用いて標識される。このハイブリダイゼーション反応は、核酸ヘリックス不安定化化合物の非存在下で2×SSCを含む溶液中で、温度約37℃(低ストリンジェンシー状態)で行われ得る。異なる濃度のSSC溶液は、望ましい濃度のSSCを得るために、20×SSC(水1L中に、175.3グラムの塩化ナトリウム、および約88.2グラムのクエン酸ナトリウムを含み、pH7)のストック溶液を希釈することにより、当業者により作製され得る。当業者は、30%までの塩基対ミスマッチを許容するために必要な洗浄条件を算出する。例えば、核酸ヘリックス不安定化化合物の非存在下で1×SSCを含む洗浄液において、完全なハイブリッドのTmは、約79.6℃である:
81.5℃+16.6log(0.15M)+(0.41×37)−(500/150)−(0.61×0)=79.6℃。
【0033】
従って、約20%の塩基対ミスマッチを有する核酸分子とのハイブリダイゼーションを達成するためには、ハイブリダイゼーション洗浄が、59.6℃以下の温度で行われる。従って、当業者内で、塩基対ミスマッチの望ましい百分率に基づきさらなるハイブリダイゼーション温度を計算するために、公式およびG/C含有量が本明細書中に開示されている。例えば、本明細書中で指定の配列を有する本発明の核酸分子に対するハイブリダイゼーションに関して、試験されるべきその核酸分子が150ヌクレオチドより長くなる場合、塩基対ミスマッチを20%まで許容するハイブリダイゼーション反応のためのTmは、59.6℃から著しく変動しないことが、当業者によって認識される。同様に、約10%の塩基対ミスマッチを有する核酸分子とのハイブリダイゼーションを達成するためには、ハイブリダイゼーション洗浄は69.6℃以下の温度で実施され、そして、約5%の塩基対ミスマッチを有する核酸分子とのハイブリダイゼーションを達成するためには、ハイブリダイゼーション洗浄は74.6℃以下の温度で実施される。
【0034】
さらに、2つの核酸配列間またはタンパク質配列間の類似度を決定するための市販のコンピュータープログラムの存在が、当該分野で公知である。これらのコンピュータープログラムは、ハイブリッド核酸分子間またはハイブリッドタンパク質間の同一性パーセンテージ、ならびに、ギャップの数および長さを決定するための、種々の公知の方法を含む。アミノ酸配列間、そしてまた核酸配列間の同一性パーセントを決定するための好ましい方法は、核酸配列またはアミノ酸配列を比較および解析するために設計された、1つ以上の市販のコンピュータープログラムを用いる解析を含む。これらのコンピュータープログラムとしては、SeqLab(登録商標)Wisconsin PackageTM バージョン10.0−UNIX(登録商標)配列解析ソフトウェア(Genetics Computer Group、Madison、WIから入手可能)(本明細書中で以下「SeqLab」);およびDNAsis(登録商標)配列解析ソフトウェア、バージョン2.0(日立ソフトウェア、San Bruno、CAから入手可能)(本明細書中で以下「DNAsis」)が挙げられるが、これらに限定されない。このようなソフトウェアプログラムは、アルゴリズムの使用のために、グラフィカルユーザーインターフェースと組み合わせたアルゴリズムの集合を表す。例えば、このDNAsisおよびSeqLabソフトウェアは、特殊なアルゴリズムであるNeedleman−Wunschアルゴリズムを使用して、2つの配列間で二つ一組の比較を行って同一性パーセンテージスコアを算出する(本明細書中でその全体が参考として援用されている、Needleman,S.B.およびWunch,C.D.、1970、J.Mol.Biol.、48、443参照のこと)。Needleman−Wunschアルゴリズムを含め、そのようなアルゴリズムは、配列を比較するために、核酸配列決定およびアミノ酸配列決定分野の当業者により一般に使用されている。アミノ酸配列間、そしてまた核酸配列間の同一性パーセントを決定する好ましい方法は、ギャップ生成ペナルティーおよびギャップ伸長ペナルティーが初期値で設定され、そしてギャップシフト制限が最大で設定されたnwsgapdna.cmpスコアリングマトリックスを有するPairwise Comparison/Gap関数を用いている、SeqLabソフトウェア中で利用可能なNeedleman−Wunschアルゴリズムの使用を包含する。(本明細書中で以後「SeqLabデフォルトパラメータ」という)。アミノ酸配列間およびまた核酸配列間の同一性パーセントを決定するさらなる好ましい方法は、DNAsisソフトウェア(本明細書中で以後「DNAsis」という)中で利用可能なHiggins−Sharpアルゴリズムの使用を包含し、このHiggins−Sharpアルゴリズムは、ギャップペナルティーが5で設定され、最高ダイアゴナル数が5で設定され、固定のギャップペナルティーが10で設定され、k−tupleが2で設定され、ウィンドウサイズが5で設定され、そして浮動ギャップペナルティーが10で設定されでいる。アミノ酸配列間、そしてまた核酸配列間の同一性パーセントを決定するための特に好ましい方法は、SeqLabデフォルトパラメータを用いた、SeqLabソフトウェア中で利用可能なNeedleman−Wunschアルゴリズムの使用を包含する。
【0035】
本発明の1つの実施形態は、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を含む。好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、好ましくは20%以下の塩基対ミスマッチを許容する条件下で、好ましくは10%以下の塩基対ミスマッチを許容する条件下で、好ましくは8%以下の塩基対ミスマッチを許容する条件下で、好ましくは5%以下の塩基対ミスマッチを許容する条件下で、または、好ましくは2%以下の塩基対ミスマッチを許容する条件下で、配列番号3、配列番号8、そして/または配列番号11からなる群より選択される核酸分子とハイブリダイズする核酸分子によりコードされるタンパク質を含む。
【0036】
本発明の別の実施形態は、以下(a)および(b)を含む条件下で、配列番号3、配列番号6、配列番号8、そして/または配列番号11からなる群より選択される単離された核酸分子にハイブリダイズする核酸分子によりコードされる、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を含む。(a)核酸ヘリックス不安定化化合物の非存在下で1×SSCを含む溶液中で、温度37℃でハイブリダイズする条件、および(b)核酸ヘリックス不安定化化合物の非存在下で1×SSCを含む溶液中で、温度69.6℃で洗浄する条件。
【0037】
本発明の、別の好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、配列番号1、配列番号4、配列番号7、そして/または配列番号9の核酸配列を有する核酸分子と、好ましくは少なくとも80%同一、好ましくは少なくとも90%同一、好ましくは少なくとも92%同一、好ましくは少なくとも95%同一、または、好ましくは少なくとも98%同一である、核酸分子によりコードされるタンパク質を含み;また、少なくとも35ヌクレオチドである核酸分子によりコードされる、上記タンパク質のフラグメント(すなわち、一部分)も好ましい。本明細書中で使用される場合、同一性パーセントは、デフォルトパラメーターを使用しているSeqLabソフトウェア中で利用可能なNeedleman−Wunschアルゴリズムを用いて決定される。
【0038】
本発明の、さらなる好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、配列番号2、配列番号5、そして/または配列番号10のアミノ酸配列を有するタンパク質、および、配列番号2、配列番号5、そして/または配列番号10のアミノ酸配列を有するタンパク質のホモログを含むタンパク質を含む。ここで、このようなホモログは、配列番号2、配列番号5、そして/または配列番号10のアミノ酸配列を有するタンパク質に対する免疫応答を誘発する、少なくとも1エピトープを含む。同様に、配列番号1、配列番号4、配列番号7、そして/または配列番号9の核酸配列を含む核酸分子、またはそれらのホモログによりコードされるタンパク質もまた好ましい。
【0039】
本発明の、好ましい、単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、以下:nCfGR183、nCfGR5503、nCfGR1446、および/またはnCfGR717の核酸分子、あるいはこれらの核酸分子のいずれかの対立遺伝子改変体の少なくとも1つによりコードされるタンパク質である。配列番号1、配列番号4、配列番号7、そして/または配列番号9の核酸配列を有する核酸分子によりコードされる、単離されたタンパク質;または、これらの列挙された核酸分子のいずれかの対立遺伝子改変体によりコードされるタンパク質もまた好ましい。
【0040】
本発明の、好ましいタンパク質は、PCfGR60、PCfGR482、PCfGR239と、少なくとも90%、好ましくは92%、好ましくは95%、好ましくは98%、好ましくは99%、または、好ましくは100%同一であるタンパク質を含む。タンパク質PCfGR60、PCfGR482、PCfGR2 39をコードする核酸分子の対立遺伝子改変体によりコードされるタンパク質が、さらに好ましい。また、少なくとも180アミノ酸残基を有する、それらのフラグメントも好ましい。
【0041】
本発明の、好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、配列番号2、配列番号5、そして/または配列番号10のアミノ酸配列と、少なくとも90%、好ましくは92%、好ましくは95%、好ましくは少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%、または好ましくは100%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質;および、配列番号2、配列番号5、そして/または配列番号10のアミノ酸配列を有するノミGABAレセプターサブユニットタンパク質をコードする核酸分子の対立遺伝子改変体によりコードされるタンパク質を含む。少なくとも180アミノ酸残基を有するそれらのフラグメントも、また好ましい。
【0042】
本発明の、好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、(a)配列番号2、配列番号5、および配列番号10からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質;および(b)(a)のアミノ酸配列の少なくとも180個連続するアミノ酸部分と配列において同一の、少なくとも180個連続するアミノ酸部分を含むタンパク質、からなる群より選択されるタンパク質を含む。
【0043】
本発明の1つの実施形態において、C.felis GABAレセプターサブユニットタンパク質は、配列番号2、配列番号5、そして/または配列番号10のアミノ酸配列(配列番号2、配列番号5、そして/または配列番号10のアミノ酸配列からなるタンパク質、融合タンパク質、および多価のタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない)、および、配列番号2、配列番号5、そして/または配列番号10のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸分子の対立遺伝子改変体によりコードされるタンパク質を含む。
【0044】
1つの実施形態において、好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、少なくとも35個のアミノ酸、好ましくは少なくとも50個のアミノ酸、好ましくは少なくとも100個のアミノ酸、好ましくは少なくとも125個のアミノ酸、好ましくは少なくとも150個のアミノ酸、好ましくは少なくとも175個のアミノ酸、好ましくは少なくとも180個のアミノ酸、好ましくは少なくとも190個のアミノ酸、好ましくは少なくとも200個のアミノ酸、好ましくは少なくとも225個のアミノ酸、好ましくは少なくとも250個のアミノ酸、好ましくは少なくとも275個のアミノ酸、好ましくは少なくとも300個のアミノ酸、好ましくは少なくとも350個のアミノ酸、好ましくは少なくとも400個のアミノ酸、好ましくは少なくとも450個のアミノ酸、好ましくは少なくとも475個のアミノ酸、好ましくは少なくとも480個のアミノ酸、または好ましくは少なくとも485個のアミノ酸のアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、全長のタンパク質(すなわち、全長コード領域によりコードされるタンパク質)、またはその翻訳後修飾されたタンパク質(例えば、開始メチオニンおよび/またはシグナル配列または「プロ」配列が除去された、成熟タンパク質)を含む。
【0045】
本発明の、さらなる好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、nCfGR183、nCfGR5503、nCfGR1446、nCfGR7l7の少なくとも一部分を含む核酸分子によりコードされるタンパク質、ならびに、このような核酸分子の対立遺伝子改変体によりコードされるノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を含む。そのようなノミGABAレセプターサブユニット核酸分子の一部分は、好ましくは、少なくとも35ヌクレオチドの長さである。
【0046】
また、配列番号1、配列番号4、配列番号7、そして/または配列番号9の少なくとも一部分を含む核酸配列を有する核酸分子ならびにこれらの核酸分子の対立遺伝子改変体によりコードされる、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質が、好ましい。このようなノミGABAレセプターサブユニット核酸分子の一部分は、好ましくは少なくとも35ヌクレオチドの長さである。
【0047】
別の実施形態において、本発明の、好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、少なくとも30ヌクレオチド、好ましくは少なくとも50ヌクレオチド、好ましくは少なくとも75ヌクレオチド、好ましくは少なくとも100ヌクレオチド、好ましくは少なくとも125ヌクレオチド、好ましくは少なくとも150ヌクレオチド、好ましくは少なくとも175ヌクレオチド、好ましくは少なくとも200ヌクレオチド、好ましくは少なくとも250ヌクレオチド、好ましくは少なくとも350ヌクレオチド、好ましくは少なくとも450ヌクレオチド、好ましくは少なくとも550ヌクレオチド、好ましくは少なくとも650ヌクレオチド、好ましくは少なくとも750ヌクレオチド、好ましくは少なくとも1000ヌクレオチド、好ましくは少なくとも1500ヌクレオチド、好ましくは少なくとも1750ヌクレオチド、好ましくは少なくとも2000ヌクレオチド、好ましくは少なくとも2250ヌクレオチド、好ましくは少なくとも2500ヌクレオチド、好ましくは少なくとも2750ヌクレオチド、好ましくは少なくとも3000ヌクレオチド、好ましくは少なくとも3500ヌクレオチド、好ましくは少なくとも4000ヌクレオチド、好ましくは少なくとも4500ヌクレオチド、好ましくは少なくとも5000ヌクレオチド、または、好ましくは少なくとも5500ヌクレオチドの長さを含む核酸分子によりコードされる。この実施形態の範囲内において、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、nCfGR183、nCfGR5503、nCfGR1446、nCfGR7l7の少なくとも一部分、または、これらの核酸分子のいずれかの対立遺伝子改変体によりコードされる。本発明の、好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、見かけ上全長のノミGABAレセプターサブユニットコード領域を含む核酸分子(すなわち、見かけ上全長のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質、または細胞外ドメインをコードする核酸分子)によりコードされる。
【0048】
本発明の、好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、効果的な方法で動物に投与される場合、ノミのインフェステーションからその動物を守ることを可能にするインヒビターを開発するために使用され得る。本発明に基づき、本発明のインヒビターがノミのインフェステーションから動物を守る能力とは、例えば、そのタンパク質がノミにより引き起こされるインフェステーションを処置し、回復させ、そして/または予防する能力をいう。特に、この成句「ノミのインフェステーションからその動物を守ること」とは、その動物上およびその周囲でノミの集団が拡大する可能性を低減すること(すなわち、ノミ負荷重を低減すること)をいう。好ましくは、このノミの集団のサイズが、その動物がもはやノミに悩まされない程度まで至適に縮小される。本明細書中で使用される場合、宿主動物は、ノミがその動物の皮膚に付着し、そしてその動物の皮膚を通して摂食することにより摂食し得る、動物である。ノミおよび他の外部寄生生物は、寄生動物上で長期間生存し得るか、または、摂食するために一時的に動物に付着し得る。その動物の環境中に、残留物が存在するが故に、常に、ノミの集団のいくらかの割合が、宿主動物に存在し得る。そのような環境は、成体ノミだけでなく、ノミの卵、および/またはノミの幼虫も含み得る。この環境は、この環境中のノミが宿主動物上に飛び乗り得、そして飛んで離れ得るような任意のサイズであり得る。例えば、動物のこの環境は植物(例えば、作物)を含み、その作物からノミが動物に寄生し得る。従って、動物自体のノミ負荷重を低減するだけでなく、その動物の環境中のノミ負荷重を低減することも望ましい。
【0049】
標的とするのに適切なノミは、本発明のインヒビターを投与された動物において実質的に疾患を引き起こし得ない、任意のノミを含む。従って、標的とするノミは、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質機能を阻害して、それによって、寄生虫が動物において疾患を引き起こす能力を低下させる阻害化合物により標的とされ得るタンパク質を産生する、任意のノミを含む。標的とされる好ましいノミとしては、下記の属:Ctenocephalides、Cyopsyllus、Diamanus(Oropsylla)、Echidnophaga、Nosopsyllus、Pulex、Tunga、およびXenopsyllaのノミが挙げられ、それらの、Ctenocephalides canis、Ctenocephalides felis、Diamanus montanus、Echidnophaga gallinacea、Nosopsyllus faciatus、Pulex irritans、Pulex simulans、Tunga penetrans、およびXenopsylla cheopisの種がより好ましく、C.felisがさらにより好ましい。このようなノミは、本発明のタンパク質または核酸分子の単離にも、また好ましい。
【0050】
本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の1つの実施形態は、1つ以上の融合セグメントに結合された、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質含有ドメインを含む、融合タンパク質である。本発明による使用に適した融合セグメントとしては、以下:タンパク質の安定性を高め得る;免疫増強物質として作用し得る;そして/またはノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の精製を補助し得る(例えば、アフィニティクロマトグラフィーによって)セグメントが挙げられるが、これらに限定されない。適切な融合セグメントは、望ましい機能(例えば、増加した安定性を与える、タンパク質に対し増大した免疫原性を与える、および/またはタンパク質の精製を簡易化する)を有する、任意のサイズのドメインであり得る。融合セグメントは、タンパク質のノミGABAレセプターサブユニット含有ドメインのアミノ末端および/またはカルボキシル末端に連結され得、そして、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質が簡単に回復し得るように、切断を受けやすくあり得る。融合タンパク質は、好ましくは、ノミGABAレセプターサブユニット含有ドメインのカルボキシル末端および/またはアミノ末端のいずれかに結合した融合セグメントを含むタンパク質をコードする融合核酸分子により形質転換された組み換え細胞の培養により産生される。好ましい融合セグメントとしては、金属結合ドメイン(例えば、ポリヒスチジンセグメント);免疫グロブリン結合ドメイン(例えば、プロテインA;プロテインG;T細胞;B細胞;Fcレセプター、または補体タンパク質抗体結合ドメイン);糖結合ドメイン(例えば、マルトース結合ドメイン);および/または「タグ」ドメイン(例えば、β−ガラクトシダーゼの少なくとも一部、ストレップ(strep)タグペプチド、T7タグペプチド、FlagTMペプチド、または、他のドメイン(そのドメインに結合する化合物(例えば、モノクローナル抗体)を用いて精製し得る)が挙げられる。より好ましい融合セグメントとしては、金属結合ドメイン(例えば、ポリヒスチジンセグメント);マルトース結合ドメイン;ストレップタグペプチド(例えば、Biometra、Tampa、FLから入手可能);およびS10ペプチドが挙げられる。
【0051】
本発明はまた、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質のミメトープ(mimetope)を含む。本明細書中で使用される場合、多くの場合、このミメトープが、特定のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を模倣する構造を有するので、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質のミメトープを、このようなノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を模倣し得る任意の化合物という。ミメトープは、以下:分解に対するそれらの感受性を減少させるように改変されたペプチド(例えば、全−Dレトロ(all−D retro)ペプチド);抗イディオタイプ抗体そして/または触媒作用的な抗体、あるいはそれらのフラグメント;単離されたタンパク質の非タンパク質性免疫原性部分(例えば、糖質構造);および、核酸を含む、合成有機分子または天然の有機分子であり得るが、それらに限定されない。このようなミメトープは、本発明のタンパク質のコンピューターによって生成された構造を用いて設計され得る。ミメトープはまた、無作為な分子のサンプル(例えば、オリゴヌクレオチド、ペプチド、は他の有機分子)を生成する工程、および、対応する結合パートナーを用いたアフィニティクロマトグラフィー技術によりこのようなサンプルをスクリーニングする工程によっても、また獲得され得る。
【0052】
本発明の別の実施形態は、ノミGABAレセプターサブユニット核酸分子を含む、単離された核酸分子である、すなわち、ノミcDNAライブラリーから単離され得る核酸分子である。そのような核酸分子の特性を識別することは、前述されている。本発明の核酸分子は、単離された天然のノミGABAレセプターサブユニット遺伝子またはそれらのホモログを含み得、この後者は、以下にさらに詳細に記載されている。本発明の核酸分子は、1つ以上の、調節領域、全長または部分的なコード領域、あるいはそれらの組み合わせを含み得る。本発明の最小サイズの核酸分子は、別の核酸分子の相補配列との安定なハイブリッド形成(すなわち、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でのハイブリダイゼーション)を可能にするのに十分なサイズである。従って、本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子の最小のサイズは、12〜18ヌクレオチドの長さである。
【0053】
本発明に一致して、単離された核酸分子は、その天然の環境から取り出された核酸分子であり(すなわち、ヒトの操作に供されている)、そして、DNA、RNA、あるいは、DNAまたはRNAいずれかの誘導体を含み得る。従って、「単離された」は、その核酸分子が精製された程度を反映しない。本発明の単離されたノミGABAレセプターサブユニット核酸分子、またはそれらのホモログは、天然の供給源から単離され得るか、あるいは、組み換えDNA技術(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅またはクローニング)または化学合成を用いて生成され得る。例えば、単離されたノミGABAレセプターサブユニット核酸分子、およびそれらのホモログは、天然の対立遺伝子改変体、および、改変が本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質をコードする核酸分子の能力を、実質的に妨げないような様式での、ヌクレオチド挿入、欠失、置換、そして/または転位により改変された、核酸分子を含み得る。
【0054】
ノミGABAレセプターサブユニット核酸分子ホモログは、当業者に公知の多数の方法を用いて生成され得る(例えば、本明細書中でその全体が参考として援用される、Sambrookら、同書を参照のこと)。例えば、核酸分子は、種々の技術により改変され得る。この種々の技術としては、古典的な変異誘発、および組み換えDNA技術(例えば、部位指向型変異誘発、化学的処置、制限酵素切断、核酸フラグメントの連結、PCR増幅、オリゴヌクレオチド混合物の合成および核酸分子の混合物を「構築する」ための混合物群の連結、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。核酸分子ホモログは、ノミGABAレセプターサブユニット核酸分子とのハイブリダイゼーション、または、核酸分子によりコードされるタンパク質の機能(例えば、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の少なくとも1エピトープに対する免疫応答を誘発するか、またはノミGABAレセプターサブユニット活性をもたらす能力)のスクリーニングにより、選択され得る。
【0055】
本発明の単離されたノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、各々少なくとも1つの本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質をコードする核酸配列を含み得、そのようなタンパク質の例は、本明細書中に開示される。句「核酸分子」とは、本来、物理的な核酸分子をいい、そして句「核酸配列」とは、本来、核酸分子上のヌクレオチドの配列をいうが、特にノミGABAレセプターサブユニットタンパク質をコードし得る、核酸分子または核酸配列に関して、これらの2つの句は、互換的に用いられ得る。
【0056】
本発明の好ましい核酸分子は、動物に投与された場合、ノミ感染からその動物を保護し得る。以下に詳細に開示されるように、本発明の核酸分子は、アンチセンスRNA、トリプルヘリックスを形成し得る分子、リボザイム、または核酸に基づく他の薬物化合物であり得るか、またはそれらをコードし得る。さらなる実施形態において、本発明の核酸分子は、保護タンパク質(例えば、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質)をコードし得、そしてその核酸分子は、例えば、直接的な注射によって(すなわち、遺伝子ワクチンまたは治療)か、またはビヒクル中(例えば、組換えウイルスワクチンもしくは治療または組換え細胞ワクチンもしくは治療)で、その動物に送達される。
【0057】
本発明の1つの実施形態において、好ましいノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、好ましくは、20%以下の塩基対のミスマッチを許容とする条件下で、好ましくは、10%以下の塩基対のミスマッチを許容とする条件下で、好ましくは、8%以下の塩基対のミスマッチを許容とする条件下で、好ましくは、5%以下の塩基対のミスマッチを許容とする条件下で、または好ましくは、2%以下の塩基対のミスマッチを許容とする条件下で、配列番号1、配列番号3、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および/または配列番号11からなる群より選択される核酸分子とハイブリダイズする単離された核酸分子を含む。
【0058】
本発明の1つの実施形態は、ノミGABAレセプターサブユニット核酸分子を含み、この核酸分子は、(a)核酸ヘリックスの非安定化化合物の非存在下で、1×SSCを含む溶液中、37℃の温度でのハイブリダイズ、および(b)核酸ヘリックス非安定化化合物の非存在下で、1×SSCを含む溶液中、69.6℃の温度での洗浄、を含む条件下で、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および/または配列番号11からなる群より選択される単離された核酸分子にハイブリダイズする。本発明のさらなる好ましい核酸分子としては、単離された核酸分子のオリゴヌクレオチドが挙げられ、この核酸分子は、(a)核酸ヘリックス非安定化化合物の非存在下で、1×SSCを含む溶液中、37℃の温度でのハイブリダイズ、および(b)核酸ヘリックス非安定化化合物の非存在下で、1×SSCを含む溶液中、69.6℃の温度での洗浄、を含む条件下で、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および/または配列番号11からなる群より選択される単離された核酸分子にハイブリダイズし、このオリゴヌクレオチドは、少なくとも35ヌクレオチドを含む。
【0059】
本発明のさらなる好ましいノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および/または配列番号11からなる群より選択される核酸配列に、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%同一である、核酸配列を含む核酸配列を含む。そのような核酸分子の任意のフラグメントもまた、好ましい。本明細書中に使用される場合、パーセント同一性は、SeqLabソフトウェアにおいてデフォルトパラメーターを用いて利用可能なNeedleman−Wunschアルゴリズムを使用して、決定される。
【0060】
本発明の1つの実施形態は、核酸分子nCfGR183、nCfGR5503、nCfGR1446、nCfGR717の全体もしくはその部分、またはそれらの核酸分子の対立遺伝子改変体を含む核酸分子である。本発明の1つの好ましい実施形態は、配列番号1、配列番号少3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および/または配列番号11の核酸配列の少なくとも1つの部分、ならびにこれらの核酸配列を有する核酸分子の対立遺伝子改変体およびこれらの核酸配列を有する核酸分子のホモログを含み;好ましくは、そのようなホモログは、配列番号1、配列番号少3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および/または配列番号11のアミノ酸配列を有するタンパク質に対する免疫応答を誘発する少なくとも1つのエピトープをコードするか、またはそれをコードする核酸分子に相補的である。そのような核酸分子としては、これらの配列番号中に包含されるヌクレオチドに加えて、例えば、全長遺伝子、全長コード領域、融合タンパク質をコードする核酸分子、または多価の保護化合物をコードする核酸分子のようなヌクレオチドが挙げられ得るが、これらに限定されないヌクレオチドが挙げられる。
【0061】
本発明の1つの実施形態は、以下:(a)配列番号1、配列番号少3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および配列番号11からなる群より選択される核酸配列;および(b)配列番号1、配列番号少3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および配列番号11からなる群より選択される核酸配列の少なくとも35の連続するヌクレオチド部分と同一な配列の、少なくとも35の連続するヌクレオチド部分を有する核酸分子、からなる群より選択される核酸配列を有する単離された核酸分子を包含する核酸分子である。
【0062】
1つの実施形態において、本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、PCfGR60、PCfGR482、またはPCfGR239と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%、また好ましくは少なくとも100%が同一であるタンパク質をコードする。
【0063】
1つの実施形態において、本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、配列番号2、配列番号少5、および/または配列番号10と、少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%、また好ましくは少なくとも100%が同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。本発明はまた、配列番号2、配列番号少5、および/または配列番号10の少なくとも1つの部分を有するタンパク質をコードするノミGABAレセプターサブユニット核酸分子、ならびにこれらの配列を有するタンパク質をコードする核酸分子の対立遺伝子改変体を含み、この対立遺伝子改変体は、そのような核酸分子が発現される細胞のコドン利用特性に適応するように改変された核酸分子を含む。
【0064】
別の実施形態において、本発明の好ましいノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、少なくとも35ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも40ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも45ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも50ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも75ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも100ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも125ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも150ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも175ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも200ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも250ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも350ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも400ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも450ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも500ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも550ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも600ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも650ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも700ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも750ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも1000ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも1500ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも1750ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも2000ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも2250ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも2500ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも2750ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも3000ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも3500ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも4000ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも4500ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも5000ヌクレオチド長、または好ましくは少なくとも5500ヌクレオチド長を含む核酸分子を含む。
【0065】
別の実施形態において、好ましいノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、少なくとも180アミノ酸、好ましくは少なくとも200アミノ酸、好ましくは少なくとも225アミノ酸、好ましくは少なくとも250アミノ酸、好ましくは少なくとも300アミノ酸、好ましくは少なくとも350アミノ酸、好ましくは少なくとも400アミノ酸、好ましくは少なくとも450アミノ酸、好ましくは少なくとも475アミノ酸、または好ましくは少なくとも480アミノ酸を含むタンパク質をコードする。
【0066】
別の実施形態において、本発明の好ましいノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、見かけ上全長のノミGABAレセプターサブユニットコード領域を含む(すなわち、好ましい核酸分子は、各々、見かけ上全長のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質、またはそれらの翻訳後修飾されたタンパク質をコードする)。1つの実施形態において、本発明の好ましいノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、成熟タンパク質または細胞外ドメインをコードする。
【0067】
別の実施形態において、本発明の好ましいノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および/または配列番号11を含む核酸分子、またはそれらのフラグメントを含む。
【0068】
本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子は、配列番号1、配列番号少3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および配列番号11からなる群より選択される対応する連続する配列に配列が同一な、好ましくは少なくとも35ヌクレオチド、好ましくは少なくとも40ヌクレオチド、好ましくは少なくとも45ヌクレオチド、好ましくは少なくとも50ヌクレオチド、好ましくは少なくとも75ヌクレオチド、好ましくは少なくとも100ヌクレオチド、好ましくは少なくとも125ヌクレオチド、好ましくは少なくとも150ヌクレオチド、好ましくは少なくとも175ヌクレオチド、好ましくは少なくとも200ヌクレオチド、好ましくは少なくとも250ヌクレオチド、好ましくは少なくとも350ヌクレオチド、好ましくは少なくとも400ヌクレオチド、好ましくは少なくとも450ヌクレオチド、好ましくは少なくとも500ヌクレオチド、好ましくは少なくとも550ヌクレオチド、好ましくは少なくとも600ヌクレオチド、好ましくは少なくとも650ヌクレオチド、好ましくは少なくとも700ヌクレオチド、好ましくは少なくとも750ヌクレオチド、好ましくは少なくとも1000ヌクレオチド、好ましくは少なくとも1500ヌクレオチド、好ましくは少なくとも1750ヌクレオチド、好ましくは少なくとも2000ヌクレオチド、好ましくは少なくとも2250ヌクレオチド、好ましくは少なくとも2500ヌクレオチド、好ましくは少なくとも2750ヌクレオチド、好ましくは少なくとも3000ヌクレオチド、好ましくは少なくとも3500ヌクレオチド、好ましくは少なくとも4000ヌクレオチド、好ましくは少なくとも4500ヌクレオチド、好ましくは少なくとも5000ヌクレオチド、または好ましくは少なくとも5500ヌクレオチドを含む。
【0069】
句、少なくとも「x」連続を含む核酸分子、または句、少なくとも「x」の連続部と配列が同一な連続的ヌクレオチド、または句、配列番号「y」からなる群より選択される核酸分子の連続的ヌクレオチドとは、配列番号「y」の「x」ヌクレオチドの部分と配列が同一である「x」ヌクレオチド長の核酸分子、および「x」より長い長さの核酸分子をいう。さらなる長さとは、連続する同一な「x」ヌクレオチドの部分の5’末端または3’末端のいずれかから延長するヌクレオチドの形態であり得る。この5’および/または3’末端延長部とは、本発明の分子に対する同一性を有さない1つ以上の延長部、および引用される核酸配列またはその一部に対する類似性または同一性を示す延長部を含み得る。
【0070】
本発明の特定のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子の核酸配列に関する知見は、当業者が、例えば、(a)それらの核酸分子のコピーを作製すること、(b)そのような核酸分子の少なくとも1つの部分を含む核酸分子(例えば、全長遺伝子、全長コード領域、調節制御配列、短縮化されたコード領域を含む核酸分子)を得ること、および(c)他のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子を得ることを可能とする。そのような核酸分子は、本発明の抗体を用いた、適切な発現ライブラリーのスクリーニング;適切なライブラリーをスクリーニングするための本発明のオリゴヌクレオチドプローブを用いた従来のクローニング技術;および本発明のオリゴヌクレオチドプライマーを用いた、適切なライブラリーまたはDNAの適切なPCR増幅を包含する種々の方法によって得られ得る。スクリーニングするためか、またはそこから核酸分子を増幅するための好ましいライブラリーとしては、cDNAライブラリー、およびゲノムDNAライブラリーが挙げられる。同様に、スクリーニングするためか、またはそこから核酸分子を増幅するための好ましいDNA供給源としては、cDNA、およびゲノムDNAが挙げられる。遺伝子をクローニングおよび増幅するための技術が、例えば、Sambrookら、前出に開示されている。
【0071】
本発明はまた、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、本発明の他の(好ましくは長鎖の)核酸分子(例えば、C.felis GABAレセプターサブユニット核酸分子または他のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子を含む核酸分子)の相補的領域とハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドである核酸分子も含む。本発明のオリゴヌクレオチドは、RNA、DNA、またはいずれかの誘導体であり得る。そのようなオリゴヌクレオチドの最小サイズは、本発明の核酸分子のオリゴヌクレオチドと相補的配列との間の安定なハイブリッドの形成に必要とされるサイズである。本発明の好ましいオリゴヌクレオチドは、好ましくは100〜200ヌクレオチドの最大サイズを有する。本発明は、例えば、核酸分子を同定するためのプローブ、核酸分子を産生するためのプライマー、またはノミGABAレセプターサブユニットタンパク質産生または活性を阻害する治療的薬剤(例えば、アンチセンスRNA、3本鎖形成RNA、リボザイムRNA、および/またはRNA薬物に基づく薬剤)として用いられ得るオリゴヌクレオチドを含む。本発明はまた、1つ以上のそのような技術を用いて動物を疾患から保護するための、そのようなオリゴヌクレオチドの使用も含む。適切なオリゴヌクレオチドを含む治療的組成物は、当業者に公知の技術を用いて動物に投与され得る。
【0072】
本発明の1つの実施形態は、宿主細胞中に核酸分子を送達し得る任意のベクターに挿入された、少なくとも1つの本発明の単離された核酸分子を含む、組換えベクターを包含する。そのようなベクターは、異種核酸配列を含み、その異種核酸配列は、天然では、本発明の核酸分子に隣接して見出されず、そして好ましくはその核酸分子が誘導される種以外の種から誘導される。このベクターは、RNAまたはDNAのいずれか、原核細胞生物性または真核生物細胞性のいずれかであり得、そして代表的には、ウイルスまたはプラスミドである。組換えベクターは、本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子の、クローニング、配列決定、および/または他の操作に用いられ得る。
【0073】
本明細書中に組換え分子として言及される、組換えベクターの1つの型は、発現ベクターに作動可能に連結された本発明の核酸分子を含む。句、作動可能に連結されたとは、核酸分子がある様式で発現ベクター中に挿入され、その結果核酸分子が、宿主細胞中に形質転換された場合に発現され得ることをいう。本明細書中に使用される場合、発現ベクターとは、宿主細胞を形質転換し得、そして特定の核酸分子の発現をもたらし得るDNAベクターまたはRNAベクターである。好ましくは、この発現ベクターはまた、その宿主細胞内で複製し得る。発現ベクターは、原核生物性または真核生物性のいずれかであり得、そして代表的にはウイルスまたはプラスミドのいずれかである。本発明の発現ベクターは、本発明の組換え細胞(細菌細胞、真菌細胞、寄生物細胞、昆虫細胞、他の動物細胞、および植物細胞を含む)において機能する(すなわち、遺伝子発現を指向する)任意のベクターを含む。本発明の好ましい発現ベクターは、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞において、そしてより好ましくは本明細書中に開示される細胞型において遺伝子発現を指向し得る。
【0074】
特に、本発明の発現ベクターは、転写制御配列、翻訳制御配列、複製起点、転写制御配列、およびその組換え細胞に適応可能でありかつ本発明の核酸分子の発現を制御する他の制御配列を含む。特に、本発明の組換え分子は、転写制御配列を含む。転写制御配列とは、転写の開始、延長、および終結を制御する配列である。特に重要な転写制御配列は、転写開始を制御する転写制御配列である(例えば、プロモーター配列、エンハンサー配列、オペレーター配列、およびリプレッサー配列)。適切な転写制御配列は、本発明の組換え細胞の少なくとも1つにおいて機能し得る任意の転写制御配列を含む。種々のそのような転写制御配列は、当業者に公知である。好ましい転写制御配列は、細菌細胞、酵母細胞、または昆虫細胞、および哺乳動物細胞において機能する転写制御配列(例えば、tac、lac、trp、trc、oxy−pro、omp/lpp、rrnB、バクテリオファージλ(例えば、λpLおよびλpRならびにそのようなプロモータを含む融合物)、バクテリオファージT7、T7lac、バクテリオファージT3、バクテリオファージSP6、バクテリオファージSP01、メタロチオネイン、α−メイティングファクター、Pichiaアルコールオキシダーゼ、αウイルスサブゲノムプロモーター、抗生物質耐性遺伝子、バキュロウイルス、Heliothis zea昆虫ウイルス、ワクシニアウイルス、疱疹ウイルス、ラクーンポックスウイルス、他のポックスウイルス、アデノウイルス、サイトメガロウイルス(例えば、最初期プロモーター)、シミアンウイルス40、レトロウイルス、アクチン、レトロウイルス性の長鎖の末端反復、ラウス肉種ウイルス、熱ショック、リン酸および硝酸転写制御配列ならびに原核生物細胞または真核生物細胞における遺伝子発現を制御し得る他の配列であるが、これらに限定されない)を含む。さらなる適切な転写制御配列は、組織特異的プロモーターおよびエンハンサーならびにリンホカイン誘導プロモーター(例えば、インターフェロンまたはインターロイキンによって誘導可能なプロモーター)が挙げられる。本発明の転写制御配列はまた、本来ノミに関連する、天然に存在する転写制御配列(例えば、C.felis転写制御配列)も含む。
【0075】
本発明の組換えベクター中に含むのに適しかつ好ましい核酸分子が、本明細書中に開示される。組換えベクター(および特に組換え分子)中に含むのに好ましい核酸分子としては、nCfGR183、nCfGR5503、nCfGR1446、nCfGR717が挙げられる。
【0076】
本発明の組換え分子はまた、(a)本発明の発現されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を、そのタンパク質を産生する細胞から分泌させ得る分泌シグナル(すなわち、シグナルセグメント核酸配列)および/または(b)融合タンパク質として本発明の核酸分子を発現する融合配列を含む。適切なシグナルセグメントの例としては、本発明のタンパク質の分泌を指向し得る任意のシグナルセグメントが挙げられる。好ましいシグナルセグメントとしては、組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−PA)、インターフェロン、インターロイキン、成長ホルモン、組織適合性およびウイルスエンベロープグリコプロテインシグナルセグメントが挙げられるが、これらに限定されない。融合セグメント核酸にコードされた適切な融合セグメントが、本明細書中に開示される。さらに、本発明の核酸分子は、そのコードされたタンパク質をプロテオソームに指向する融合セグメント(例えば、ユビキチン融合セグメント)に結合され得る。真核生物の組換え分子はまた、本発明の核酸分子の核酸配列の周辺および/またはその中の、介在配列および/または非翻訳配列も含む。
【0077】
本発明の別の実施形態は、1つ以上の本発明の組換え分子で形質転換された宿主細胞を含む組換え細胞を包含する。細胞への核酸分子の形質転換は、核酸分子が細胞へと挿入され得る任意の方法によって果たされ得る。形質転換の技術としては、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクチン、吸着、およびプロトプラスト融合が挙げられるが、これらに限定されない。組換え細胞は、単細胞のままであり得るか、または組織、器官、多細胞生物へと成長し得る。細胞株が、トランスジェニック動物ではない、任意の本発明の組換え細胞をいうことが示され得る。形質転換された本発明の核酸分子は、染色体外にいるままであり得るか、または発現され得るそれらの能力が保持されるような様式で形質転換された(すなわち組換え)細胞の染色体内の1つ以上の部位へと組み込み得る。細胞に形質転換するために用いられる好ましい核酸分子は、本明細書中に開示されるノミGABAレセプターサブユニット核酸分子を含む。細胞を形質転換するために用いられる好ましい核酸分子としては、nCfGR183、nCfGR5503、nCfGR1446、nCfGR717、が挙げられる。
【0078】
形質転換に適する宿主細胞は、本発明の核酸分子で形質転換され得る任意の細胞を含む。宿主細胞は、形質転換されていない細胞または少なくとも1つの核酸分子(例えば、1つ以上の本発明のタンパク質および/または多価のワクチンの産生に有用な他のタンパク質をコードする核酸分子)で既に形質転換された細胞のいずれかであり得る。本発明の宿主細胞は、内因的に(すなわち、天然で)、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を産生し得るか、または少なくとも1つの本発明の核酸分子で形質転換された後にそのようなタンパク質を産生し得るかのいずれかである。本発明の宿主細胞は、少なくとも1つの本発明のタンパク質を産生し得る任意の細胞であり得、そして、その宿主細胞としては、細菌細胞、真菌細胞(酵母を含む)、寄生物細胞(蠕虫、原虫、および外寄生生物を含む)、他の昆虫細胞、他の動物細胞および植物細胞が挙げられ得る。好ましい宿主細胞としては、細菌細胞、マイコバクテリア細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞が挙げられる。より好ましい宿主細胞としては、Salmonella、Escherichia、Bacillus、Caulobacter、Listeria、Saccharomyces、Pichia、Spodoptera、Mycobacteria、Trichoplusia、BHK(乳児ハムスター腎臓)細胞、MDCK細胞(Madin−Darbyイヌ腎臓細胞株)、CRFK細胞(Crandellネコ腎臓細胞株)、CV−1細胞(例えば、ラクーンポックスウイルスを培養するための、アフリカサル腎臓細胞株)、COS(例えば、COS−7)細胞およびVero細胞が挙げられる。特に好ましい宿主細胞は、Escherichia coli(E.coli K−12誘導体を含む);Salmonella typhi;Salmonella typhimurium(UK−1x3987およびSR−11x4072のような弱毒化株を含む);Caulobacter;Pichia;Spodoptera frugiperda;Trichoplusia ni;BHK細胞;MDCK細胞;CRFK細胞;CV−1細胞;COS細胞;Vero細胞;および非腫瘍形成性マウスG8筋芽細胞(例えば、ATCC CRL 1246)である。さらなる適切な哺乳動物細胞宿主としては、他の腎臓細胞株、他の線維芽細胞株(例えば、ヒト胚線維芽細胞株、マウス胚線維芽細胞株、またはニワトリ胚線維芽細胞株)、骨髄腫細胞株、チャイニーズハムスター卵巣細胞、マウスNIH/3T3細胞、LMTK31細胞および/またはHeLa細胞が挙げられる。1つの実施形態において、このタンパク質は、イムノグロブリンプロモーターを使用する骨髄腫細胞株において異種タンパク質として発現され得る。
【0079】
組換え細胞は好ましくは、1以上の転写制御配列(この例は、本明細書中に開示される)を含む発現ベクターに作動的に連結された本発明の1以上の核酸分子を各々が含む1以上の組換え分子で宿主細胞を形質転換することによって生成される。句、作動的に連結されるとは、宿主細胞内に形質転換された場合に核酸分子が発現され得るような様式での、発現ベクターへの核酸分子の挿入をいう。
【0080】
本発明の組換え細胞は、本発明の任意の核酸分子のうちの少なくとも1つで形質転換された任意の細胞を包含する。細胞に移入するために適切かつ好ましい核酸分子ならびに適切かつ好ましい組換え分子は、本明細書中に開示される。
【0081】
本発明の組換え細胞はまた、本発明の1以上のタンパク質をコードするノミGABAレセプターサブユニット核酸分子および他の防御性化合物をコードする1以上の他の核酸分子(本明細書中に開示されるとおり)(例えば、多価ワクチンを生成するため)を含む1以上の組換え分子で同時形質転換され得る。
【0082】
組換えDNA技術を用いて、例えば、宿主細胞内のこれらの核酸分子のコピー数、これらの核酸分子が転写される効率、得られる転写産物が翻訳される効率、および翻訳後修飾の効率を操作することによって、形質転換された核酸分子の発現を改善し得る。本発明の核酸分子の発現を増大させるために有用な組換え技術としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:高コピー数プラスミドに核酸分子を作動的に連結すること、1以上の宿主細胞染色体へのこれらの核酸分子の組み込み、プラスミドへのベクター安定性配列の付加、転写制御シグナル(例えば、プロモーター、オペレーター、エンハンサー)の置換もしくは改変、翻訳制御シグナル(例えば、リボソーム結合部位、Shine−Dalgarno配列)の置換もしくは修飾、その宿主細胞のコドンの使用頻度に対応させるための、本発明の核酸分子の改変、転写産物を不安定にする配列の欠失、および組換え細胞の増殖を発酵の間の組換え酵素生成から時間的に隔てる制御シグナルの使用。本発明の発現された組換えタンパク質の活性は、このようなタンパク質をコードする核酸分子をフラグメント化、改変または誘導体化することによって改善され得る。
【0083】
本発明の単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質は、種々の方法で生成され得、この方法としては、天然のタンパク質の生成および回収、組換えタンパク質の生成および回収、ならびにこのタンパク質の化学合成が挙げられる。1つの実施形態では、本発明の単離されたタンパク質は、このタンパク質を発現し得る細胞を、このタンパク質を生成するに有効な条件下で培養する工程、およびこのタンパク質を回収する工程によって生成される。培養するために好ましい細胞は、本発明の組換え細胞である。有効な培養条件としては、タンパク質の生成を可能にする、有効な培地、バイオリアクター、温度、pHおよび酸素条件が挙げられるがこれらに限定されない。有効な培地とは、細胞を培養して本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を生成させる任意の培地をいう。このような培地は代表的に、同化可能な炭素源、窒素源およびリン酸源、ならびに適切な塩、ミネラル、金属および他の栄養素(例えば、ビタミン)を有する水性培地を含む。本発明の細胞は、従来の発酵バイオリアクター、振盪フラスコ、試験管、マイクロタイターディッシュおよびペトリプレートにおいて培養され得る。培養は、組換え細胞に適切な、温度、pHおよび酸素含量で実施され得る。このような培養条件は、当業者の技術範囲内である。適切な条件の例は、実施例の節に含まれる。
【0084】
生成のために用いられるベクターおよび宿主系に依存して、本発明の得られるタンパク質は、組換え細胞内に保持されるか;発酵培地内に分泌されるか;2つの細胞膜の間の空間(例えば、E.coliにおける細胞周辺腔)に分泌されるか;または細胞膜もしくはウイルス膜の外表面に保持されるかのいずれかであり得る。
【0085】
句「タンパク質を回収する」、ならびに同様の句は、このタンパク質を含む発酵培地全体を収集することをいい、そして分離または精製のさらなる工程を包含することを必要としない。本発明のタンパク質は、種々の標準的なタンパク質精製技術(例えば、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、濾過、電気泳動、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、コンカナバリンAクロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィーおよび示差的可溶化(differential solubilization)を含むがこれらに限定されない)を用いて精製され得る。本発明のタンパク質は好ましくは、「実質的に純粋な」形態で回収される。本明細書中で使用される場合、「実質的に純粋な」とは、治療組成物または診断薬としてのそのタンパク質の有効な使用を可能にする純度をいう。動物のための治療組成物は、例えば、実質的な毒性を示さないべきであり、好ましくは処置した動物における抗体生成を刺激し得るべきである。
【0086】
本発明はまた、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質またはそのミメトープ(mimetope)に選択的に結合する、単離された(すなわち、それらの天然の環境から取り出された)抗体(例えば、抗ノミGABAレセプターサブユニット抗体)を包含する。本明細書中で使用される場合、用語タンパク質に「選択的に結合する」とは、本発明の抗体が、本発明の指定されたタンパク質およびそのミメトープに優先的に結合する能力をいう。結合は、酵素免疫アッセイ(例えば、ELISA)、免疫ブロットアッセイなどを含め、当該分野において標準的な種々の方法を用いて測定され得る;例えば、Sambrookら,同書,およびHarlowら,1988,Antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Labs Pressを参照のこと;Harlowら(同書)は、その全体が本明細書中に参考として援用される。本発明の抗ノミGABAレセプターサブユニット抗体は好ましくは、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の機能を阻害するような様式で、それぞれ、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に選択的に結合する。
【0087】
本発明の単離された抗体は、血清中の抗体または種々の程度まで精製された抗体を包含し得る。本発明の抗体は、ポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体であり得、または機能的等価物(例えば、抗体フラグメントおよび遺伝子操作された抗体(1以上のエピトープに結合し得る、単鎖抗体もしくはキメラ抗体を含む))であり得る。
【0088】
本発明の抗体を生成する好ましい方法は、以下を包含する:(a)有効量の本発明のタンパク質、ペプチドまたはそれらのミメトープを動物に投与して、この抗体を生成させる工程、および(b)この抗体を回収する工程。別の方法では、本発明の抗体は、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を生成するために、これまで開示されたような技術を用いて組換え生成される。規定されたタンパク質またはミメトープに対して惹起された抗体は、有利であり得る。なぜなら、このような抗体は、他の場合には診断アッセイにおける干渉または治療組成物における使用の場合に副作用を引き起こし得る、他の物質に対する抗体が実質的に夾雑していないからである。
【0089】
本発明の抗体は、本発明の範囲内にある、種々の潜在的用途を有する。例えば、このような抗体は、以下として用いられ得る:(a)動物を、このような抗体による処置に感受性のノミから防御するために、動物を受動免疫する治療化合物として、ならびに/または(b)発現ライブラリーをスクリーニングするためおよび/もしくはタンパク質および他の夾雑物の混合物から本発明の所望のタンパク質を回収するためのツールとして。さらに、本発明の抗体を用いて、このようなノミを直接的に殺傷するために、細胞傷害剤をノミに標的化し得る。標的化は、このような抗体を、当業者に公知の技術を用いてこの細胞傷害剤へと結合体化(すなわち、安定に連結する)することによって達成され得る。適切な細胞傷害剤は、当業者に公知である。
【0090】
本発明の1つの実施形態は、ノミインフェステーションに感受性の動物に投与した場合、この動物をノミインフェステーションから防御し得る、治療組成物である。本発明の治療組成物は、以下の防御分子のうちの少なくとも1つを含む:単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質;単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質のミメトープ;単離されたノミGABAレセプターサブユニット核酸分子;ならびに/またはノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害する、上記の単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質から誘導された化合物、抗ノミGABAレセプター抗体、および/またはノミGABAレセプターの活性を阻害する化合物。本発明の治療組成物はさらに、賦形剤、キャリアおよび/またはアジュバントの群から選択される成分を含み得る;これらの成分は、本明細書中にさらに記載される。本明細書中で使用される場合、防御分子または防御化合物とは、有効な様式で動物に投与した場合、ノミインフェステーションを処置、改善および/または予防し得る化合物をいう。標的化される好ましいノミは、これまでに開示されている。防御分子の一例は、ワクチンまたは治療剤(例えば、裸の核酸ワクチンまたは治療剤、組換えウイルスワクチンまたは治療剤、組換え細胞ワクチンまたは治療剤および組換えタンパク質ワクチンまたは治療剤であるがこれらに限定されない)である。防御分子の別の例は、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害する化合物(例えば、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に選択的に結合する単離された抗体、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の基質アナログ、アンチセンスに基づく化合物、三重鎖形成に基づく化合物、リボザイムに基づく化合物および/もしくはRNA薬物に基づく化合物、またはノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害する、他の無機分子もしくは有機分子)である。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害するとは、化合物がノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を低減し得る能力を言及し得る。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害するとはまた、化合物が、ノミにおけるノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の量を低減し得る能力を言及し得る。
【0091】
本発明の別の実施形態は、ノミインフェステーションに対して感受性の動物においてノミインフェステーションを低減する方法を包含する。このような方法は、以下からなる群より選択される防御化合物を含む治療分子をこの動物に投与する工程を包含する:(a)単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質;(b)単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質のミメトープ;(c)単離されたノミGABAレセプターサブユニット核酸分子;および(d)ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害する、単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質から誘導された化合物。
【0092】
本発明の治療組成物は、ノミインフェステーションに対して感受性の任意の動物(好ましくは哺乳動物、より好ましくはイヌ、ネコ、ヒト、クロアシイタチ、ウマ、ウシ、ヒツジおよび他のペット、経済的食用動物、使役(work)動物および動物園の動物)に投与され得る。ノミインフェステーションに対して防御されるに好ましい動物としては、イヌ、ネコ、ヒトおよびクロアシイタチが挙げられ、イヌおよびネコが特に好ましい。
【0093】
本明細書中で使用される場合、用語「誘導される」または用語「から誘導される」とは、本発明のノミGABAレセプターサブユニットのタンパク質または核酸分子(例えば、タンパク質もしくは核酸分子の一部)から直接的または間接的に得られた、または本発明のタンパク質もしくは核酸分子を用いて生成された、ペプチド、抗体、ミメトープ、核酸分子または他の化合物をいう。本発明のノミGABAレセプターサブユニット分子由来の誘導体を得る方法は当該分野で公知であり、そしてそれ自体、以下を含むがこれらに限定されない:活性部位を決定するためのノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の分子モデリングならびにこれらの活性部位からの、これらの活性部位を保持および/または模倣し、それによって、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害する、より小さなフラグメントおよび/またはミメトープの予測。ノミGABAレセプターサブユニット活性の他のインヒビターはまた、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に対する、ペプチドまたは低分子化合物ライブラリーのスクリーニング;および本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に特異的に結合する抗体を見出す、ポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体のスクリーニングを含むがこれらに限定されない、種々の方法で入手され得る。
【0094】
本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質インヒビター(すなわち、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質のインヒビター)は、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を模倣するか、このタンパク質に結合するか、このタンパク質を改変するかまたは他の方法でこのタンパク質と相互作用し、それによって、天然のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害する能力によって同定される。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性の適切なインヒビターは、以下の種々の方法のうちの少なくとも1つにおいてノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性を阻害し得る化合物である:(a)ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質部位に結合すること、もしくはこの部位と他の方法で相互作用すること、もしくはこの部位を他の方法で改変すること;(b)ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性部位に結合すること、もしくはこの部位と他の方法で相互作用すること、もしくはこの部位を他の方法で改変すること;(c)ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に結合し、従って溶液中でのノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の利用可能性を減らすこと;(d)ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を模倣すること;および(e)ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の他の領域と相互作用して、例えば、アロステリックな相互作用によって、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害すること。
【0095】
ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質インヒビターは、このような化合物が、処置されるべき宿主動物にとって有害でない限り、動物を処置するための本発明の組成物中の化合物として直接的に使用され得る。本発明の好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質インヒビターとしては以下が挙げられるがこれらに限定されない:ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の基質アナログ、およびノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性が阻害されるような様式でノミGABAレセプターサブユニットタンパク質に(例えば、アロステリック部位に)結合する他の分子。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の基質アナログとは、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性部位と相互作用(例えば、結合、会合、改変)する化合物をいう。好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の基質アナログは、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害する。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の基質アナログは、任意の無機組成物または有機組成物であり得る。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の基質アナログは、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性部位と相互作用し得る限り、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の天然の基質に構造的に類似し得るが、その必要はない。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の基質アナログは、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の、コンピューターで作成した構造、またはノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の天然の基質のコンピューター構造を用いて設計され得る。モデリングすることが好ましい部位としては、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性部位のうちの1以上が挙げられる。基質アナログはまた、分子(例えば、オリゴヌクレオチド、ペプチド、ペプチド模倣化合物または他の無機分子もしくは有機分子)のランダムなサンプルを作製し、そしてこのようなサンプルを、例えば、アフィニティークロマトグラフィー技術によって、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質とそれらの基質との間の相互作用を妨害する能力についてスクリーニングすることによって入手され得る。好ましいノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の基質アナログは、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質模倣化合物、すなわち、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の天然の基質に対して、特に、この基質のうちのノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性部位と相互作用する領域に対して、構造的および/または機能的に類似であるが、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性部位と相互作用するとノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を阻害する、化合物である。
【0096】
本発明はまた、1以上の感染性因子に対して防御する少なくとも1つのさらなる化合物と組み合わせた、本発明の少なくとも1つの防御分子を含む治療組成物を含む。
【0097】
1つの実施形態では、本発明の治療組成物を用いて、インフェステーションを予防するためにこのような組成物をノミに投与することによって、動物をノミインフェステーションから防御し得る。ノミおよび/または動物に対するこのような投与は、経口的であるかまたは動物の身体表面への塗布(例えば、局所的にたらすこと(topical spot−on)、またはその動物への噴霧)によって、あるいは環境への適用(例えば、噴霧)によって、行われ得る。このような組成物の例としては、少なくとも1つの本発明の治療組成物を生成し得るトランスジェニックベクターが挙げられるがこれらに限定されない。別の実施形態では、ノミは、本発明の治療組成物が投与された宿主動物の表面または血液中に存在する、治療組成物またはその産物を摂食し得る。
【0098】
本発明に従って、宿主動物(すなわち、ノミがインフェステーションしているかまたはノミがインフェステーションし得る動物)は、本発明の組成物自体(例えば、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質インヒビター、GABAレセプターサブユニットタンパク質合成サプレッサー(すなわち、ノミにおけるGABAレセプターサブユニットタンパク質の生成または半減期を減少させる化合物)、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質ミメトープ、もしくは抗ノミGABAレセプターサブユニット抗体)またはその組成物の投与に応答して動物によって生成される産物(例えば、ノミGABAレセプターサブユニットのタンパク質もしくは核酸分子の投与に応答して生成される抗体、または不活性インヒビター「プロドラッグ」の、活性なノミGABAレセプターサブユニットタンパク質のインヒビターへの変換)がノミの中に最終的に侵入するような様式で、本発明の治療組成物を動物に投与することによって処置される。宿主動物は好ましくは、化合物またはその産物が、その動物の体表面に存在するかまたはその動物の血流中に侵入するような方法で処置される。次いで、ノミは、この動物から摂食するときにこの組成物または産物に曝露される。例えば、動物に投与されるノミGABAレセプターサブユニットタンパク質インヒビターは、このインヒビターがこの動物の血流中に侵入するような方法で投与され、ここで、このインヒビターは、ノミが摂食することによって取り込まれ得る。
【0099】
本発明はまた、本発明の治療組成物が投与された宿主動物からノミが摂食した場合に、ノミによって取り込まれる血液中の本発明の化合物またはその産物の少なくとも一部が、ノミによって糞便中に排出され、これは続いて、ノミの幼虫によって摂食されるという点で、幼虫のノミのインフェステーションを減らす能力を含む。特に、ノミの幼虫が、全てでないにしても、その栄養の大部分をノミの糞便から得ることに注目するべきである。
【0100】
本発明に従って、ノミにおけるノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性を低下させることは、処置した動物およびその周囲の環境におけるノミの量を減らす、多数の結果を導き得る。このような結果としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:(a)処置した動物から摂食したノミの生存率を低下させること、(b)処置した動物から摂食した雌性のノミの繁殖力を低下させること、(c)処置した動物から摂食した雄性のノミの生殖能力を低下させること、(d)処置した動物から摂食した雌性のノミによって産卵された卵の生存率を低下させること、(e)処置した動物から摂食したノミの血液摂食挙動を変更すること(例えば、ノミが、1回の摂食あたり、より少ない容量を取り込むかまたはより少ない頻度で摂食する)、(f)例えば、処置した動物から摂食したノミの糞便からの幼虫の摂食に起因して、ノミの幼虫の生存率を低下させること、(g)ノミの幼虫の発生を(例えば、摂食挙動を低下させること、成長を阻害すること、脱皮を阻害する(例えば、遅延させるかもしくはブロックする)こと、および/または成虫への成熟を他の方法で阻害することによって)変更すること、ならびに/あるいは(h)ノミまたはノミの幼虫が血液という餌を消化する能力を変更または低下させること。
【0101】
動物をノミのインフェステーションから防御するために、本発明の治療組成物は、この組成物がその動物をノミのインフェステーションから防御し得るような有効な様式で動物に投与される。本発明の治療組成物は、インフェステーションを予防するために(すなわち、予防的ワクチンとして)インフェステーションの前に動物に投与され得るか、および/またはインフェステーションの後に(すなわち、治療剤として)動物に投与され得る。例えば、タンパク質、それらのミメトープおよびそれらの抗体は、免疫治療剤として用いられ得る。
【0102】
本発明の治療組成物は、処置されるべき動物が耐え得る賦形剤中に処方され得る。このような賦形剤の例としては、水、生理食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液、ハンクス溶液および他の水性の生理学的平衡化塩溶液が挙げられる。非水性ビヒクル(例えば、不揮発性油、ゴマ油、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド)もまた使用され得る。他の有用な処方物としては、粘度増強剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストラン)を含む懸濁物が挙げられる。賦形剤はまた、少量の添加物(例えば、等張性を増強する物質および化学的安定性を増強する物質)を含み得る。緩衝液の例としては、リン酸緩衝液、重炭酸緩衝液およびTris緩衝液が挙げられ、一方、保存剤の例としては、チメロサールまたはo−クレゾール、ホルマリンおよびベンジルアルコールが挙げられる。標準的な処方物は、液体の注射可能物質、または注射用の懸濁物もしくは溶液として適切な液体中に溶解され得る固体のいずれかであり得る。従って、非液体処方物中では、賦形剤は、投与の前に滅菌水または滅菌生理食塩水が添加され得る、デキストロース、血清アルブミン、保存剤などを含み得る。
【0103】
本発明の1つの実施形態において、治療組成物はアジュバントを含み得る。アジュバントは、特異的な抗原に対する動物の免疫応答を増強し得る薬剤である。適切なアジュバントとして、サイトカイン、ケモカイン、ならびにサイトカインおよびケモカインの産生を誘導する化合物(例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、Flt−3リガンド、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、マクロファージ、コロニー刺激因子(M−CSF)、コロニー刺激因子(CSF)、エリスロポエチン(EPO)、インターロイキン2(IL−2)、インターロイキン−3(IL−3)、インターロイキン4(IL−4)、インターロイキン5(IL−5)、インターロイキン6(IL−6)、インターロイキン7(IL−7)、インターロイキン8(IL−8)、インターロイキン10(IL−10)、インターロイキン12(IL−12)、インターフェロンγ、インターフェロンγ誘導因子I(IGIF)、トランスフォーミング増殖因子β、RNATES(活性化の際に調節され、正常なT細胞で発現され、そしておそらく分泌される)、マクロファージ炎症性タンパク質(例えば、MIP−1αおよびMIP−Iβ)、およびLeishmania伸長開始因子(LEIF);細菌成分(例えば、内毒素、特に、スーパー抗原、外毒素、および細胞壁成分);アルミニウムベースの塩;カルシウムベースの塩;シリカ;ポリヌクレオチド;トキソイド;血清タンパク質、ウイルスコートタンパク質;ブロックコポリマーアジュバント(例えば、Hunter’s TitermaxTMアジュバント(VaxcelTM,Inc.Norcross、GA)、Ribiアジュバント(Ribi ImmunoChem Research,Inc.、Hamilton、MT);ならびにサポニンおよびそれらの誘導体(例えば、Quil A(Superfos Biosector A/S、Denmark))が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のタンパク質アジュバントは、本明細書中に記載される方法を用いて、タンパク質自体の形態で、またはこのようなタンパク質をコードする核酸分子の形態で送達され得る。
【0104】
本発明の1つの実施形態において、治療組成物はキャリアを含み得る。キャリアとして、処置される動物中での治療組成物の半減期を増加させる化合物が挙げられる。適切なキャリアとして、ポリマー性制御放出ビヒクル、生物分解性移植片、リポソーム、細菌、ウイルス、他の細胞、油、エステル、およびグリコールが挙げられるがこれらに限定されない。
【0105】
本発明の1つの実施形態は、本発明の組成物を動物中にゆっくりと放出し得る制御放出処方物である。本明細書中で使用する場合、制御放出処方物は、制御放出ビヒクル中に本発明の組成物を含む。適切な制御放出ビヒクルとして、生物適合性ポリマー、他のポリマーマトリクス、カプセル、マイクロカプセル、微粒子ボーラス調製物、浸透圧ポンプ、分散デバイス、リポソーム、リポスフィア、および経皮送達システムが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の他の制御放出処方物として、動物への投与の際に、インサイチュで固体またはゲルを形成する液体が挙げられる。好ましい制御放出処方物は生物分解性(すなわち、生物腐食性)である。
【0106】
本発明の好ましい制御放出処方物は、本発明の組成物を、この組成物の治療用量レベルが達成されるのに十分な一定の割合で処置される動物の血液中に放出し得る。この治療組成物は、好ましくは、約1月〜約12月の期間にわたって放出される。本発明の制御放出処方物は、好ましくは少なくとも1ヶ月間、より好ましくは少なくとも3ヶ月間、さらにより好ましくは少なくとも6ヶ月間、さらにより好ましくは少なくとも9ヶ月間、そしてさらにより好ましくは少なくとも12ヶ月間、処置をもたらし得る。
【0107】
効果的な様式で治療組成物を投与するための受容可能なプロトコルとして、個々の用量の大きさ、用量の数、用量投与の頻度、および投与の様式が挙げられる。このようなプロトコルの決定は、当業者によって達成され得る。適切な単回用量は、適切な期間にわたって1回以上投与された場合に動物を処置し得る用量である。例えば、インヒビターの好ましい単回用量は、動物の1キログラム体重あたり約1マイクログラム(μg)〜約10ミリグラム(mg)の治療組成物である。ブースターワクチン接種は、本来の投与から約2週間〜数年後に施され得る。ブースター投与は、好ましくは、動物の免疫応答が、動物を疾患から保護するのに不十分である場合に投与される。好ましい投与スケジュールは、動物の1kg体重あたり約10μg〜約1mgの治療組成物が、約2週間〜約12ヶ月かけて約1回〜約2回投与されるスケジュールである。投与の様式として、皮下経路、皮内経路、静脈内経路、鼻内経路、経口経路、経皮経路、眼内経路、鼻内経路、結膜経路、および筋内経路が挙げられるが、これらに限定されない。他の治療化合物のための投与様式は当業者によって決定され得、そして、毎日、毎週、毎月、または毎年のレジメンにおいて1回以上の治療組成物の投与が挙げられ得;投与の経路は、当業者によって決定され得、そして任意の経路が含まれ得る。ノミに対して投与する場合のインヒビター化合物の好ましい投与経路は、局所処方または動物の身体表面に投与される「スポットオン」処方であり、その結果、ノミは、動物に付着した場合に阻害化合物に遭遇する;阻害化合物の別の好ましい投与経路は、動物に食された場合にその動物の血流中に進入し、次いで動物から供給されつつノミに移動する経口処方である。
【0108】
本発明の組み換えタンパク質ワクチンまたは治療は、本発明の組み換え生成されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を含み、ノミのインフェステーションから動物を保護するために十分な免疫応答をその動物において生じるプロトコルに従って動物に投与される。このようなプロトコルは当業者によって決定され得る。
【0109】
1つの実施形態に従って、本発明の核酸分子は、動物においてその核酸分子の保護タンパク質または保護RNA(例えば、アンチセンスRNA、リボザイム、三重らせん形態、またはRNA薬)の発現を可能にする様式で動物に投与され得る。核酸分子は、種々の方法で動物に送達され得、その方法としては、(a)遺伝子ワクチンまたは治療としての裸(すなわち、ウイルスコートまたは細胞膜でパッケージされていない)核酸の投与(例えば、Wolffら、1990、Science 247、1465−1468に教示されるような、裸のDNAまたはRNA分子として)、あるいは(b)組み換えウイルスワクチンもしくは治療としてまたは組み換え細胞ワクチンもしくは治療としてパッケージされた核酸分子の投与(すなわち、核酸分子がウイルスまたは細胞ビヒクルにより送達される)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0110】
本発明の遺伝子(すなわち、裸の核酸)ワクチンまたは治療は、本発明の核酸分子を含み、好ましくは、好ましくは複製(そうでなければ増幅)コンピテントな本発明の組み換え分子を含む。本発明の遺伝子ワクチンまたは治療は、例えば、ジシストロン性組み換え分子の形態で、1つ以上の本発明の核酸分子を含み得る。好ましい遺伝子ワクチンまたは治療は、ウイルスゲノムの少なくとも一部(すなわち、ウイルスベクター)を含む。好ましいウイルスベクターとして、アルファウイルス、ポックスウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ピコルナウイルス、およびレトロウイルスに基づくベクターが挙げられ、アルファウイルス(例えば、シンドビスまたはSemliki forestウイルス)、種特異的ヘルペスウイルス、およびポックスウイルスに基づくベクターが特に好ましい。タンパク質産生に適していることが開示されている転写制御配列を含む、任意の適切な転写制御配列が使用され得る。特に好ましい転写制御配列として、サイトメガロウイルス最初期(好ましくは、イントロンAと組み合わせて)、ラウス肉腫ウイルス長末端反復、および組織特異的転写制御配列、ならびにウイルスベクターが使用される場合に、ウイルスベクターに内因性の転写制御配列が挙げられる。「強力」なポリアデニル化シグナルの組み込みもまた好ましい。
【0111】
本発明の遺伝子ワクチンまたは治療は、種々の様式で投与され得、筋内経路、皮下経路、皮内経路、経皮経路、結膜経路、眼内経路、および経口経路の投与が好ましい。遺伝子ワクチンの好ましい単回用量は、約1ナノグラム(ng)〜約600μgの範囲であり、投与経路および/または送達方法に依存し、これらは当業者により決定され得る。適切な送達方法として、例えば、注入による送達、滴薬としての送達、エアロゾル送達、および/または局所送達が挙げられる。本発明の遺伝子ワクチンは、水性賦形剤(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)単独またはキャリア(例えば、脂質系ビヒクル)中に含まれ得る。
【0112】
本発明の組み換えウイルスワクチンまたは治療は、ウイルスコートにパッケージされ、そして投与後に動物中で発現し得る本発明の組み換え分子を含む。好ましくは、組み換え分子は、パッケージング不能または複製不能であり、そして/または弱毒化されたウイルスをコードする。アルファウイルス、ポックスウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ピコルナウイルス、およびレトロウイルスに基づく組み換えウイルスを含むがこれらに限定されない、多くの組み換えウイルスが使用され得る。好ましい組み換えウイルスワクチンまたは治療は、アルファウイルス(例えば、シンドビスウイルス)、アライグマポックスウイルス、種特異的ヘルペスウイルス、および種特異的ポックスウイルスに基づく組み換えワクチンまたは治療である。アルファウイルス組み換えウイルスワクチンの生成方法および使用方法の例は、XiongおよびGrieveらに対する米国特許第5,766,602号(これは本明細書中にその全体が参考として援用される)において開示されている。
【0113】
動物に投与される場合、本発明の組換えウイルスワクチンまたは治療は、免疫した動物内で細胞を感染させ、そして本明細書に開示されるようなノミのインフェステーションからその動物を保護し得る保護タンパク質またはRNA核酸分子を産生させる。例えば、本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子を含む組換えウイルスワクチンまたは治療は、ノミのインフェステーションから動物自身を保護するために十分な免疫応答を、その動物中で生じるプロトコルに従って動物に投与される。本発明の組換えウイルスワクチンまたは治療の好ましい単回用量は、動物の1kg体重あたり約1×104〜約1×108ウイルスプラーク形成ユニット(pfu)である。投与プロトコルは、タンパク質に基づくワクチンまたは治療に関して本明細書中に記載されているプロトコルと同様であり、皮下投与経路、筋内投与経路、鼻内投与経路、眼内投与経路、結膜投与経路、および経口投与経路が好ましい。
【0114】
本発明の組換え細胞ワクチンまたは治療は、本発明の少なくとも1つのタンパク質を発現する、本発明の組換え細胞を含む。この実施形態に関して好ましい組換え細胞として、Salmonella、E.coli、Listeria、Mycobacterium、S.frugiperda、酵母(Saccharomyces cerevisiaeおよびPichia pastorisを含む)、BHK、CV−1、筋芽細胞G8、COS(例えば、COS−7)、Vero、MDCK、およびCRFK組換え細胞が挙げられる。本発明の組換え細胞ワクチンまたは治療は、種々の方法で投与され得るが、好ましくは1kg体重あたり約108〜約1012細胞の範囲の用量で、経口投与され得るという利点を有する。投与プロトコルは、タンパク質に基づくワクチンまたは治療に関して本明細書中に記載されているプロトコルと同様である。組換え細胞ワクチンまたは治療は、全細胞、細胞壁の細胞剥離物、または細胞溶解物を含み得る。
【0115】
ノミのインフェステーションから動物を保護するという本発明の治療組成物の効果は、種々の様式(保護抗体の検出(例えば、本発明のタンパク質またはmimetopeを用いて)、処置動物中の細胞性免疫の検出、または処置動物がインフェステーションに対して耐性か否かを決定するための、ノミを用いた処置動物のチャレンジが挙げられるが、これらに限定されない)で試験され得る。チャレンジ研究として、処置動物へのノミの直接的な投与が挙げられ得る。1つの実施形態において、治療組成物は、動物モデル(例えば、マウス)において試験され得る。このような技術は、当該分野で公知である。
【0116】
本明細書中で議論されているように、本発明の1つの治療組成物として、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性のインヒビター(すなわち、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の機能に実質的に干渉し得る化合物)が挙げられる。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性または機能のインヒビターは、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を用いて同定され得る。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質機能の好ましいインヒビターは、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の機能に実質的に干渉し得、かつ宿主動物GABAレセプターサブユニットタンパク質の機能と実質的に干渉しない化合物である。本明細書中で使用する場合、宿主動物GABAレセプターサブユニットタンパク質を実質的に阻害も干渉もしない化合物は、宿主動物に投与される場合、その宿主動物がGABAレセプターサブユニットの阻害に起因する有意な副作用を示さず、かつ効果的な様式で動物に投与される場合、ノミのインフェステーションから動物を保護し得る化合物である。
【0117】
本発明の1つの実施形態は、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性を阻害し得る化合物を同定する方法である。このような方法は、以下の工程を包含する:(a)本発明の単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質と、推定阻害化合物を、その化合物の非存在下で、そのタンパク質がノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性を有する条件下で接触させる(例えば、結合、混合させる工程)工程;および(b)推定阻害化合物がその活性を阻害するか否かを決定する工程。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性は、当該分野で公知の種々の方法(ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の、基質と結合するか、そうでなければ相互作用する能力の決定が挙げられるがこれらに限定されない)で決定され得る。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質がノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性を有するこのような条件として、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質が、生理学的条件(すなわち、生理学的pH、生理学的イオン濃度、および生理学的温度)下での正確な三次元折り畳み構造を有する条件が挙げられる。
【0118】
スクリーニングする推定阻害化合物として、抗体(そのフラグメントおよびmimetopeを含む)、推定基質アナログ、および他の、好ましくは小さい有機分子または無機分子が挙げられる。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性を決定する方法は、当業者に公知である。
【0119】
ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性を阻害し得る化合物を同定するための好ましい方法は、本発明の単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質と、推定阻害化合物を、その化合物の非存在下でそのタンパク質がノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性を有する条件下で接触させる工程;および推定阻害化合物がその活性を阻害するか否かを決定する工程を包含する。
【0120】
本発明の別の実施形態は、本発明のノミGABAレセプターサブユニットタンパク質のインヒビターを同定するためのアッセイキットである。このキットは、本発明の単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質、およびノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の活性の阻害を決定するための手段(この手段は阻害の検出を可能にする)を含む。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の阻害の検出により、推定インヒビターがノミGABAレセプターサブユニットタンパク質のインヒビターであることが同定される。ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の阻害を決定するための手段として、例えば、ノミGABAレセプターサブユニット分子に対する推定インヒビターの結合を検出するアッセイ系、およびGABAに結合するノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の能力の、推定インヒビターによる干渉を検出するアッセイ系が挙げられる。手段および方法は本明細書中に記載されており、等業者に公知である。
【0121】
本発明の1つの実施形態は、殺虫剤に対する耐性を与える個々のノミまたはノミ集団におけるGABAレセプター遺伝子型の存在を同定するための方法である。このような方法は、以下の工程を包含する:(a)1つ以上のノミから本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子を単離する工程;(b)このような核酸分子の核酸配列を決定する工程;および(c)この核酸配列が、1つ以上の既知の殺虫剤耐性遺伝子を含むか否かを決定する工程、またはその集団について、これまで知られていない変異遺伝子の存在を決定する工程。1つの実施形態において、このような方法は、本発明者らが初めて同定し、ノミにおけるシクロジエン耐性と相関させた配列番号5のタンパク質をコードする両方の対立遺伝子を決定する工程、および各々の対立遺伝子が、配列番号5のアミノ酸285でセリンまたはアラニンをコードするか否かを決定する工程を包含する。本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子を単離するための好ましい方法は、本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸配列を用いて設計されたプライマーおよびプローブの使用を包含する。核酸分子の配列を単離および決定するための技術は、当業者に公知である。
【0122】
本発明の1つの実施形態は、本発明の核酸分子を用いてノミGABAレセプターサブユニット活性のインヒビターを設計または同定するための方法である。このような方法は、以下の工程を包含する:(1)ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質の1つ以上の殺虫剤耐性遺伝子座を同定する工程、および(2)殺虫剤耐性遺伝子座により影響を受けない化合物を、設計または同定する工程。この実施形態は、化合物を、1つ以上の殺虫剤耐性遺伝子座を有するノミおよびこのような殺虫剤耐性遺伝子座を有さないノミと代替的に接触させる工程、およびノミを殺傷するこの化合物の能力が殺虫剤耐性遺伝子座により影響を受けるか否かを決定する工程によって化合物をスクリーニングする方法を包含する。
【0123】
以下の実施例は、例示の目的で提供され、本発明の範囲を限定することを意図していない。以下の実施例は、当業者に公知の多くの組換えDNAおよびタンパク質化学の技術を含む:例えば、Sambrookら、同書を参照のこと。
【0124】
(実施例1)
この実施例は、ノミ混合齢cDNAライブラリーからの、本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子の単離および特徴付けを記載する。
【0125】
A.約183ヌクレオチドのノミGABAレセプターサブユニット核酸分子を、ノミ混合齢cDNAライブラリーから単離し、以下のようなネステッドPCR増幅において、PCT公開WO99/31253(1999年6月24日公開、本明細書中に参考として援用される)に記載されるようにして調製した。第1のPCR反応において、縮重センスプライマーGABASen(ヌクレオチド配列5’ATG GAT TTY ACA YTG GAY TTY TAY3’を有し;配列番号12と名付けられている)を、以下のPCR反応および熱サイクル条件下:2.5ユニットのAmpliTaqTMGold(Perkin Elmer、Norwalk、CTから市販されている)、1X AmpliTaq Gold PCR緩衝液、0.2mM dNTP、50μl反応容量中の2.0μM 各プライマーを含む反応液において、(1)95度で10分間を1サイクル;(2)95度で15秒間、43度で20秒間、および72度で60秒間を5サイクル;ならびに(3)95度で15秒間、46度で15秒間、および72℃で75秒間を30サイクル(本明細書の以降で「標準PCR反応条件」と称する)で、2μlのノミ混合齢cDNAライブラリーをテンプレーとして使用して、逆方向プライマー(核酸配列5’TAA TAC GAC TCA CTA TAG GG3’を有し、配列番号13と名付けられている)と組み合わせて使用した。
【0126】
センスプライマーGABASen(上記)および縮重逆方向プライマーGABArev(ヌクレオチド配列5’ATT NAK CCA RAA TGA WAC CCA3’を有し、配列番号14と名付けられている)を使用して、以下のような第2のヘミネステッドPCR反応を実施した。第1のPCR反応産物をテンプレートとして用いて、標準反応条件下(AmpliTaq GoldではなくAmpliTaqTMポリメラーゼおよび緩衝液(Clontech Laboratories、Inc.、Palo Alto、CAから市販されている)を使用することを除いて)で、以下のサイクル条件:(1)95℃で35秒間を1サイクル、(2)95℃で15秒間、42℃で15秒間、72℃で1分間を35サイクル、および(3)72℃で5分間を1サイクルの下で、第2の反応を実施した。
【0127】
第2のPCR反応における増幅産物から得られた配列情報を使用して、センスプライマーGABAnestFor(ヌクレオチド配列5’AAA CAT ATG GGT CCC TGA CAC3’を有し、配列番号15と名付けられている)および逆方向プライマーGABAnestRev(ヌクレオチド配列5’TAT CGC GCA TCG TGT AGC CG3’を有し、配列番号16と名付けられている)を設計した。第2のPCR反応からの反応産物を、第3のPCR反応におけるテンプレートして使用して、標準条件下(1μlのテンプレートを使用することを除いて)で、以下のサイクル条件下:(1)95℃で30秒間を1サイクル、(2)95℃で15秒間、50℃で15秒間、72℃で1分間を30サイクル、および(3)72℃で5分間を1サイクルで実施した。配列番号1と名付けられたコード鎖および配列番号3と名付けられた相補鎖を有するnCfGR183と名付けられた183ヌクレオチドフラグメントを単離し、T/Aを、TOPOTMT/Aクローニングキット(Invitrogen、Carlsbad、CAから市販されている)を用いてクローニングし、そしてPCfGR60と名付けられた60アミノ酸の部分長タンパク質をコードすることを示し、そしてこれを本明細書中で配列番号2として示す。この配列は、配列番号1のヌクレオチド1〜ヌクレオチド3にまたがる第1コドンおよび配列番号1のヌクレオチド181〜ヌクレオチド183にまたがる最終コドンと推定される。
【0128】
B.核酸分子nCfGR183を32Pα−dATP標識して、そして、PCT公開WO99/31253(同章)に記載されるように調製した、徘徊性幼虫ノミcDNAライブラリーよりノミGABAレセプター核酸分子を単離する、標準的なプラークリフトハイブリダイゼーション手順においてプローブとして使用した。以下のハイブリダイゼーション条件を使用した:フィルターを、1分間当たり約1×106数/mlのプローブと、5×SSPE(Sambrookら(同章)を参照のこと)、1%サルコシル、0.1%脱脂粉乳および5×デンハルト(Denhardt’s)試薬(Sambrookら(同章)を参照のこと)中で、45℃にて約29時間ハイブリダイズした。ハイブリダイゼーションに次いで、0.5×SSPE、0.1%サルコシル中で、55℃にて初回洗浄に約20分間、および2回目洗浄に15分間の、2回の洗浄を実施した。プローブに強固にハイブリダイズした1つのポジティブなプラークを、プラーク純化が達成されるまで、連続的プラークスクリーニングを通じて保持し、次いでインビボ切除に供した。インビボ切除を、Stratagene社(LaJolla,CA)より入手可能なEx−AssistTMヘルパーファージ系およびプロトコルを用いて実施し、ポジティブなプラークをpBluescriptTMプラスミドDNAに変換させた。Bio Rad(Hercules,CA)より入手可能なQuantum Prep Kitを用いて業者の手引書を用いてDNAを調製した後、Perkin Elmerより入手可能なABI PRISM 377自動DNA Sequencerを使用して、配列決定を行った。
【0129】
得られたプラスミドは、コード鎖が配列番号4と本明細書に記される、約5503塩基対の核酸分子(本明細書ではnCfGR5503と称される)を含んだ。配列番号4の相補体は、本明細書中で配列番号6と示される。配列番号4の翻訳は、核酸分子nCfGR5503が482アミノ酸の全長ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質(本明細書中でPCfGR482と称される)をコードすることを示唆し、配列番号5により示されるアミノ酸配列を有し、開始コドンが配列番号4のヌクレオチド378からヌクレオチド380までにわたり、そして終止コドンが配列番号4のヌクレオチド1824からヌクレオチド1826にわたることを想定させる。PCfGR482をコードするコード領域は、核酸分子nCfGR1446と示され、配列番号7により示される核酸配列を有するコード鎖および配列番号8により示される核酸配列を有する相補鎖を有する。PCfGR482のアミノ酸配列は、PCfGR482が約53.7キロダルトン(kDa)の推定分子量および約9.6の推定等電点(pI)を有することを予測させる。
【0130】
配列番号5のアミノ酸配列とGenBankに報告されたアミノ酸配列との比較は、配列番号5がGenBank登録番号AF024647のLucilia cuprina γ−アミノブチル酸レセプターサブユニット(Rdl)mRNAのタンパク質産物と最も高い相同性(すなわち、約88%の同一性)を示す。配列番号7とGenBankに報告された核酸配列との比較は、配列番号7がGenBank登録番号AF024647のLucilia cuprina γ−アミノブチル酸レセプターサブユニット(Rdl)mRNA核酸分子と最も高い相同性(すなわち、約75%の同一性)を示したことを示す。同一性パーセントの計算を、デフォルト値にセットしたnwsgapdna.cmpスコア付けマトリクス、ギャップ生成ペナルティおよびギャップ延長ペナルティ、ならびに最大値にセットしたギャップシフト制限を有する、Pairwise Comparison/Gap機能を用いて、SeqLabソフトウェアにおいて使用可能な、Needleman−Wunschのアルゴリズムを用いる二つ一組(pair−wise)の比較により実施した。
【0131】
(実施例2)
次の実施例は、本発明のノミGABAレセプターサブユニット核酸分子の細胞外ドメインの発現を記載する。
【0132】
タンパク質の細胞外ドメインを含むと考えられる配列番号4のN末端部分を、以下のように作製した。Clontechより入手可能な、テンプレート20ngおよびAdvantage2ポリメラーゼを使用すること以外は標準的なPCR反応条件下で、本明細書中で配列番号17と称される、ヌクレオチド配列
【0133】
【化1】
(太字で示されるXhoIサイトを有する)を有する順方向プライマーGABA5Met、および本明細書中で配列番号18と称される、ヌクレオチド配列
【0134】
【化2】
(太字で示されるEcoR1サイトを有する)を有する逆方向プライマーEXP3R1を用いて、配列番号4を鋳型として用いるPCR反応を実施した。この反応についての温度サイクル条件は、以下の通りである:(1)95℃で60秒間を1回;(2)94℃で10秒間、49℃で40秒間、および69℃で60秒間を5回;ならびに(3)94℃で10秒間、52℃で20秒間、および69℃で90秒間を27回。このPCR反応は、推定のノミGABAレセプターサブユニット細胞外ドメイン(つまり、配列番号4のヌクレオチド377から1095)をコードするPCR産物(本明細書でnCfGR717と示される)を生成し、これは、配列番号9に示される核酸配列を有するコード鎖および配列番号11に示される核酸配列を有する相補鎖を有し、XhoI制限部位およびEcoRI制限部位が隣接する。配列番号9の翻訳は、核酸分子nCfGR717が、239アミノ酸の部分長ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質(本明細書中でPCfGR239と称され、配列番号10によって示されるアミノ酸配列を有する)をコードすることを示唆し、このことは、開始コドンが配列番号9のヌクレオチド2からヌクレオチド4にわたり、そして終止コドンが配列番号9のヌクレオチド716からヌクレオチド718にわたることを推定させる。
【0135】
上記のPCR反応からの生産物を、アガロースゲルにて分離し、切り出し、Qiaquickカラム(Qiagen,Valencia,CAより入手可能)を使用して精製し、XhoI制限酵素およびEcoRI制限酵素を用いて消化し、そして組換え分子pλcro−nCfGR717を作製するためにXhoIおよびEcoRIにより消化したλcroプラスミドベクター(その生成は、Trippらによる米国特許第5,569,603号(1996年10月29日に発行された)に記載される)に連結し、そしてゲル精製した。組換え分子中の挿入物を、DNA配列決定により確認した。組換え分子pλcro−nCfGR717を使用してE.coli系統(BL21)を形質転換し、それによりBL21−pλcro−nCfGR717を作製した。細胞を、100μg/mlのアンピシリンを補充したLB培地中で、32℃にて0.5のOD600値に達するまで増殖させた。温度を42℃に移行させ、そしてさらに2〜3時間インキュベートすることにより、タンパク質PCfGR239の生成を、誘導した。細胞を冷却し、次いで、International Equipment Company、Needham Heights、MAより入手可能な、IECモデルPR−7000M冷却大容量遠心機中で6000×gで30分間の遠心分離により収集した。誘導した細胞溶解物を、SDS−PAGEゲルにて泳動し、タンパク質をニトロセルロースに転写し、そして、Novagen、Madison、WIより入手可能な、抗T−7タグモノクローナル抗体により、約28kDaのバンドを認識した。配列番号10のアミノ酸配列をGenBankに報告されたアミノ酸配列と比較すると、配列番号10がGenBank AAF50311のDrosophila melanogaster Rdl遺伝子のタンパク質産物と最も高い相同性(すなわち、約91%同一性)を示したことを、示す。配列番号9のアミノ酸配列をGenBankに報告されたアミノ酸配列と比較すると、配列番号9がGenBank登録番号AF024647のLucilia cuprina γ−アミノブチル酸レセプターサブユニット(Rdl)mRNA核酸分子と最も高い相同性(すなわち、約75%同一性)を示したことを、示す。
【0136】
(実施例3)
本実施例は、個々のノミに由来するDNAの配列決定を行って、所定の個体における対立遺伝子改変体の存在を決定することを記載する。
【0137】
いくつかの異なる集団由来の個々のノミからのDNAを配列決定し、そして分析した。これら配列の分析は、配列番号5のアミノ酸278位および285位をコードする、特定のヌクレオチドでの対立遺伝子変異体の存在を明らかにした。アミノ酸278は、配列番号7のヌクレオチド832位におけるアデニンとシトシンとの間の変化のため、NまたはHのいずれかで有り得る。アミノ酸285は、配列番号7のヌクレオチド853位におけるチミンとグアニンとの間の変化のため、SまたはAのいずれかで有り得る。アミノ酸285での変化は、D.melanogaster GABAレセプターにおいて見られる、アミノ酸302でのセリンからアラニンへの変化に対して相同であると考えられ、この変化はシクロジエン(cylcodiene)に対する耐性と結びついている。
【0138】
個々のノミの遺伝子型を決定するために、以下の方法を使用した。個々のノミを、Gibco BRL、Rockville、MDより入手可能なDNAzol 30μlを有する微量遠心管中で、ピペットチップを用いて物理的に破砕し、次いで95℃まで5分間熱した。この混合物を2分間遠心分離し、液体を取り出し、そしてDNAをエタノールで沈殿させた。沈殿したDNAを遠心分離して、エタノールを除去し、そしてそのペレットを30μlの蒸留水に再懸濁した。本明細書中で配列番号19と称される、核酸配列5’TATAAACTAGCGAACAACATTAC3’を有する順方向プライマー285for、および、本明細書中で配列番号20と称される、核酸配列5’GATTCAATTCGTGCGTTCTATG3’を有する逆方向プライマー285revを用いて、5μlのDNA懸濁液をPCR反応において使用した。以下のPCR温度サイクル条件および反応条件を使用した:1×AmpliTaq緩衝液、Perkin Elmer、Foster City、CAより入手可能なAmpliTaqポリメラーゼ2.0U、0.2mMのdNTP、および0.5μMの各々のプライマーを含む反応物中で(1)95℃で30秒間を1回、(2)94℃で10秒間、52℃で30秒間、および72℃で30秒間を35回。
【0139】
PCR産物を、ゲル電気泳動により分離し、そしてQiagenより入手可能なQiaquickTMカラムを使用して精製し、約240ヌクレオチドの分子を作製した。次いで、その約240ヌクレオチドの産物をプライマー285forおよびプライマー285rev、ならびにdローダミン(dRhodamine)ターミネーター化学を使用して配列決定し、そして配列を解読し、個々がセリンまたはアラニンについてホモ接合性か、あるいはヘテロ接合性か否かを決定した。
【0140】
(実施例4)
本実施例は、シクロジエン殺虫剤であるディルドリン(dieldrin)の様々な濃度にノミを曝露し、曝露されたノミの中の生存率を観察し、個々のノミのDNAを配列決定し、そして生存率を遺伝子型と相関させることを記載する。
【0141】
異なる3つの集団のノミを、実施例3に記載したように、アミノ酸285におけるそれらのGABAレセプター集団の遺伝子型について評価した。その3つの集団が、アミノ酸285においてホモ接合性セリン、ホモ接合性アラニン、およびヘテロ接合性であることを、見出した。
【0142】
ディルドリンを、0.001mMから1000mMにわたる濃度でジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解した。各々の濃度からの溶解したディルドリン約1μlを、4mlのスクリュートップガラスバイアルの底に置いた直径6mmのGF/Cフィルターディスク(Whatman,Inc.Clifton,NJ)上にスポットし、そして24時間風乾させた。ディルドリンをDMSOに溶解しないことを除いて、ネガティブコントロールのバイアルを、同様の方法で調製した。各ディルドリン濃度を、3つのノミ集団の各々について3連で試験した。約25匹の新たに発生したネコノミを4℃で落ち着かせ、そして各バイアルに移した。各バイアルを、上部の開いたスクリューキャップにより締めつけられた、薄い穴の開いたテフロン(登録商標)隔膜を用いてシールし、そして暗所で垂直に保持した。約30時間後、各バイアル中の元気に生存するノミ、瀕死のノミ、および死亡したノミを、計数した。次いで、各バイアル中の死亡したノミのパーセントを、式M=100(D−(FC/100)/(F−(FC/100))を使用して計算し、ここで、Mは、ディルドリンの添加のため死亡したノミのパーセントであり、Dは、ディルドリン含有バイアル中の死亡したノミの数であり、Fは、ディルドリン含有バイアル中のノミの総数であり、そしてCは、ネガティブコントロールバイアル中の死亡したノミの数のパーセントである。50%のノミが殺傷されるディルドリンの濃度として規定されるディルドリンLC50を、各ノミ集団について決定した。ホモ接合性セリンのノミ集団についてのLC50は30mMであり、へテロ接合性アラニン/セリンのノミ集団についてのLC50は1.0mMであり、そしてホモ接合性アラニンのノミ集団についてのLC50は0.2mMであった。さらに、10mMおよび50mMのディルドリンに曝露したヘテロ接合性集団由来のノミを配列決定し、そしてデータを以下の結果を得るためにプールした。ホモ接合性セリンである21匹のノミのうち、16匹が生存し、1匹が瀕死であり、そして4匹が死亡した;29匹のヘテロ接合性のうち、2匹が生存し、3匹が瀕死であり、そして24匹が死亡した;1匹のホモ接合性アラニンのうち、1匹が死亡した。これらの結果は、配列番号5の285位での変化に起因する、ノミにおけるディルドリンに対する抵抗性が、ffrench−Constant(同章)により記載されるように、302位でのセリンのアラニンへの変化に起因するD.melanogasterについて記載された周知の抵抗性と相関するようであることを、示唆する。
【0143】
本発明の種々の実施形態は、詳細に記載しているが、これらの実施形態の改変および適応が、当業者に生じることは明らかである。しかし、このような改変および適応が、添付の特許請求の範囲の記載されるように、本発明の範囲内であることは、明らかに理解され得る。
Claims (25)
- ノミcDNA分子およびノミRNA分子からなる群より選択される単離された核酸分子であって、ここで、該核酸分子は少なくとも35ヌクレオチドの長さであり、そして以下の工程:(a)核酸へリックス不安定化化合物の非存在下で、37℃の温度にて2×SSCを含む溶液中でハイブリダイズさせる工程;および(b)ヘリックス不安定化化合物の非存在下で、69.6℃の温度にて1×SSCを含む溶液中で洗浄する工程、を包含する条件下で、配列番号1、配列番号3、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号11からなる群より選択される核酸配列を有する核酸分子とハイブリダイズする、核酸分子。
- 前記核酸分子が、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号11からなる群より選択される核酸配列に対して、90%同一な核酸配列を有し、ここで、SeqLabのデフォルトパラメータを使用する、SeqLabソフトウェアプログラムにおいて利用可能なNeedleman−Wunschアルゴリズムを使用して、パーセント同一性が決定される、請求項1に記載の核酸分子。
- 前記核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号11からなる群より選択される核酸配列を含み、そして該核酸分子は、配列が該核酸配列のいずれかの少なくとも35個連続するヌクレオチド部分に同一な、少なくとも35個連続するヌクレオチド部分を有する、請求項1に記載の核酸分子。
- 前記核酸分子が、配列番号2、配列番号5および配列番号10からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする、請求項1に記載の核酸分子。
- 転写制御配列と作動可能に連結された、請求項1に記載の核酸分子を含む、組換え分子。
- 請求項1に記載の核酸分子を含む、組換えウイルス。
- 請求項1に記載の核酸分子を含む、組換え細胞。
- 賦形剤、および請求項1に記載の単離された核酸分子を含む、組成物。
- 請求項8に記載の組成物を動物に投与する工程を包含する、ノミのインフェステーションから該動物を保護するための、方法。
- アジュバントおよびキャリアからなる群より選択される成分をさらに含む、請求項8に記載の組成物。
- 請求項1に記載の単離された核酸分子によりコードされるタンパク質を生産するための方法であって、該方法が、該タンパク質をコードする核酸分子を用いて形質転換した細胞を培養する工程を包含する、方法。
- (a)配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号11からなる群より選択される核酸配列;および(b)配列が、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号11からなる群より選択される核酸配列の少なくとも35個連続するヌクレオチド部分に同一な、少なくとも35個連続するヌクレオチド部分を有する核酸分子、からなる群より選択される核酸配列を有する、単離された核酸分子。
- 配列番号2、配列番号5および配列番号10からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含む、単離されたタンパク質であって、SeqLabのデフォルトパラメータを使用する、SeqLabソフトウェアプログラムにおいて利用可能なNeedleman−Wunschアルゴリズムを使用して、同一性パーセントが決定される、単離されたタンパク質。
- 配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号9からなる群より選択される核酸配列を有する核酸分子によりコードされる、請求項13に記載のタンパク質。
- 配列番号2、配列番号5および配列番号10からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項13に記載のタンパク質。
- 賦形剤、および請求項13に記載の単離されたタンパク質を含む、組成物。
- 請求項16に記載の組成物を動物に投与する工程を包含する、ノミのインフェステーションから該動物を保護するための、方法。
- アジュバントおよびキャリアからなる群より選択される成分をさらに含む、請求項16に記載の組成物。
- 請求項13に記載のタンパク質に選択的に結合する、単離された抗体。
- 賦形剤、および請求項19に記載の単離された抗体を含む、組成物。
- 請求項20に記載の組成物を動物に投与する工程を包含する、ノミのインフェステーションから該動物を保護するための、方法。
- アジュバントおよびキャリアからなる群より選択される成分をさらに含む、請求項20の組成物。
- ノミGABAレセプターサブユニット活性のインヒビターを検出するための方法であって、該方法は、以下の工程:(a)請求項13に記載の単離されたノミGABAレセプターサブユニットタンパク質を、ある条件下で推定の阻害化合物と接触させる工程であって、該化合物の非存在下において該タンパク質が、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性を有する、工程、および(b)該推定の阻害化合物が、ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質活性を阻害するか否かを決定する工程、を包含する、方法。
- 前記ノミGABAレセプターサブユニットタンパク質が、配列番号2、配列番号5および配列番号10からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、請求項23に記載の方法。
- 単離されたタンパク質であって、該タンパク質が、(a)配列番号2、配列番号5および配列番号10からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質;ならびに(b)配列が、(a)のアミノ酸配列の少なくとも180個連続するアミノ酸部分に同一な、少なくとも180個連続するアミノ酸部分を含むタンパク質、からなる群より選択される、タンパク質。
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