JP2004535441A - 1α,24(S)−ジヒドロキシビタミンD2の調製方法及び使用方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】悪性細胞又は腫瘍細胞を抗増殖量の1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2で治療することを特徴とする、上記細胞の異常増殖の抑制方法。その方法はまた1-α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2との細胞傷害薬の同時投与を含む。図は24-ヒドロキシビタミンD2の合成のための調製工程を示す。
【選択図】図1
【選択図】図1
Description
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は米国特許出願第09/211,991号、現在の米国特許第6,251,883号(これは米国特許出願第08/515,801号(これは1991年1月8日に出願された米国特許出願第07/637,867号の一部継続出願、及び1992年1月7日に出願された国際特許出願PCT/US92/00313である)米国特許出願第07/940,246号の継続出願である米国特許第08/275,641号の継続出願である)の一部継続出願であり、これは米国の“連邦支援研究又は開発に関する記載”を適用し得ないことをを指定した。
本発明はホルモン活性の、天然代謝産物1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2並びにこの代謝産物及び非生物学的エピマー1α,24(R)-ジヒドロキシビタミンD2の調製方法に関する。また、本発明は医薬上有効量の1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含む医薬組成物、医薬上有効量のその化合物を投与することによる異常なカルシウム代謝の調節方法、及びその化合物を投与することによる異常増殖性疾患の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビタミンD及びその活性代謝産物は動物及びヒトのカルシウム代謝を調節するのに重要であることが知られている。動物及びヒトのビタミンDの天然産形態はビタミンD3である。ヒトを含む動物では、ビタミンD3は肝臓中でC25位でヒドロキシル化され、続いて腎臓中で1α-ヒドロキシル化により活性化されてホルモン1α,25-ジヒドロキシビタミンD3〔“1α,25-(OH)2D3”〕を生成することが示されていた。米国特許第3,880,894号を参照のこと。ビタミンD3代謝産物、25-ヒドロキシビタミンD3及び1α,25-(OH)2D3の異化作用の主要な生理学的経路はC24-酸化により開始される。Holick, M.F., Kleiner-Bossallier, A., Schnoes, H.K., Kasten, P.M., Boyle, I.T.及びDeLuca, H.F., J. Biol. Chem., 248, 6691-6696 (1973)を参照のこと。
一方、ビタミンD2は植物中に見られるビタミンDの主要な、天然産形態である。ビタミンD2はビタミンD2がC24にメチル基を有し、C22とC23の間に二重結合を有する点でビタミンD3とは構造上異なる。
それらの発見後直ぐに、ビタミンD3及びビタミンD2は等しくなくても同様の生物活性を有することが明らかと考えられた。また、ビタミンD2の代謝(即ち、活性化及び異化作用)はビタミンD3と同じであると普通に考えられていた。ハリソンの内部薬物の原理:パート7、“骨の疾患及びミネラル代謝:35章”, E. Braunwald, K.J. Isselbacher, R.G. Petersdorf, J.D. Wilson, J.B. Martin及びH.S. Fauci(編集), カルシウム、リン及び骨代謝:カルシウム調節ホルモン, McGraw-Hill, New York, 1860-1865頁を参照のこと。これに関して、ビタミンD2の活性形態は1α,25-ジヒドロキシビタミンD2〔“1α,25-(OH)2D2”〕であると考えられる。更に、25-ヒドロキシビタミンD2及び1α,25-(OH)2D2の24-ヒドロキシ誘導体、即ち、24,25-ジヒドロキシビタミンD2及び1α,24,25-トリヒドロキシビタミンD2が知られており、ビタミンD3のように、ビタミンD2の異化作用が同じC24酸化工程により進行することを示唆する。Jones, G., Rosenthal, D., Segev, D., Mazur, Y., Frolow, F., Halfon, Y., Robinavich, D.及びShakked, Z., Biochemistry, 18:1094-1101 (1979)を参照のこと。
【0003】
しかしながら、ビタミンD2の活性類似体、1α-ヒドロキシビタミンD2〔“1α-(OH)D2”〕はそのビタミンD3相当物、1α-ヒドロキシビタミンD3〔“1α-(OH)D3”〕により示される薬理学的性質とは明らかに異なる薬理学的性質を有することが最近わかった。米国特許第5,104,864号は1α-(OH)D2が2.0μg/日以上の用量で投与された場合にヒトの骨多孔症患者の骨物質の損失を反転することを開示している。毒性のために、2.0μg/日以上の用量レベルは1α-(OH)D3では安全に得られない。
このような特有の薬理学的性質はヒトに投与された薬理学的用量の1α-(OH)D2が生物学的に活性な1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2〔“1α,24(S)-(OH)2D2”〕に一部代謝されるという本発明者らの発見により完全に、又は一部説明し得る。以下に更に詳しく説明されるように、1-ヒドロキシル化ビタミンD2分子の24位の炭素におけるヒドロキシル化は、ビタミンD2分子に特別な活性化経路に相当する。
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD3及び1α,24(R)-ジヒドロキシビタミンD3〔“1α,24(R/S)-(OH)2D3”〕は化学合成されたが(米国特許第4,022,891号)、いずれもが生物学的系中に見られる天然化合物であることは実証されていなかった。更に、本発明者らは1α,24(S)-(OH)2D2が1α,24(R/S)-(OH)2D3により示される生物活性とは明らかに異なる生物活性を有することを発見した。例えば、Ishizukaらは1α,24(R)-(OH)2D3が1,25-(OH)2D3それ自体よりも一層しっかりと1,25-(OH)2D3受容体部位を結合することを見出した。Ishizuka, S., Bannai, K., Naruchi, T.及びHashimoto, Y., Steroids, 37:1,33-42 (1981); Ishizuka, S., Bannai, K., Naruchi, T.及びHashimoto, Y., Steroids, 39:1,53-62 (1982)を参照のこと。同様のアッセイを使用して、本発明者らは1α,24(S)-(OH)2D2が1,25-(OH)2D3よりも1,25-(OH)2D3受容体部位を結合するのに2倍競合的ではないことを発見した。また、本発明者らは1α,24(S)-(OH)2D2がビタミンD血清結合タンパク質に対する比較的不十分な結合アフィニティーを示すことを見出し、これは低毒性を示すかなり短い半減期の証拠である。
【0004】
本発明者らは1α-(OH)D2投与されたヒト中の循環1α,24(S)-(OH)2D2の存在を実証した。これは動物及びヒトでは、ビタミンD2が1α,25-(OH)2D2及び1α,24(S)-(OH)2D2の両方に自然に代謝されることを示す。2種のビタミンD2ホルモンの相対比は前駆体及びC24経路に提示される前駆体の量に応じて変化することが明らかである。こうして、1α-(OH)D2の用量が増大されるにつれて、1α,24(S)-(OH)2D2対1α,25-(OH)2D2の比が増大することが明らかである。
以下に更に詳しく示されるこれらの結果は、1α,24(S)-(OH)2D2が低毒性とともに高い生物活性の望ましい特性を有することを示す。薬理学的レベルの1α-(OH)D2が投与される場合に1α,24(S)-(OH)2D2が重要な代謝産物であるという事実は1α,24(S)-(OH)2D2が1α-(OH)D2の望ましい薬理学的作用を媒介しているかもしれず、カルシウム代謝を伴う種々の型の疾患を治療するのに有益な治療薬であることを示す。
過去20年間の広範な研究がまた骨及びミネラル代謝におけるその古典的役割とは別にしてビタミンDについての重要な生物学的役割を証明していた。ビタミンDのホルモン活性形態である1α,25-ジヒドロキシビタミンD3に特異性の核受容体は、カルシウムホメオスタシスに関係しない多様な器官からの細胞中に存在する。例えば、特異性の、生物活性のビタミンD受容体がヒト前立腺癌細胞系、LNCaP中で実証されていた(Millerら, 52 Cancer Res. (1992) 515-520)。ビタミンD受容体はまた多くのその他の腫瘍細胞、例えば、胸部及び結腸の癌腫について記載されていた。
或る種のビタミンD化合物及び類似体は強力な抗増殖薬及び前分化(prodifferentiative)薬であることが実証されていた。例えば、Sudaらに発行された米国特許第4,391,802号は1α-ヒドロキシビタミンD化合物、特に1α,25-ジヒドロキシビタミンD3及び1α-ヒドロキシビタミンD3が非悪性マクロファージ(単球)への悪性細胞(特に白血病細胞)の分化を誘発するために強力な抗白血病活性を有し、白血病の治療に有益であることを開示している。1α,25-ジヒドロキシビタミンD3及びその他のビタミンD3類似体の抗増殖作用及び分化作用がまた前立腺癌細胞系に関して報告されていた。更に最近、ビタミンD受容体遺伝子多形と前立腺癌リスクの間の関連が報告されており、ビタミンD受容体が前立腺癌の発生、及び可能な治療に役割を有し得ることを示唆していた。
これらの先の研究は専らビタミンD3化合物に集中していた。たとえこれらの化合物が培養中の悪性細胞における分化を促進するのに高度に有効であり得るとしても、抗癌剤としての分化治療におけるそれらの実用的な使用はカルシウム代謝に影響する薬剤としてのそれらの同等に高い効力のためにひどく制限される。例えば、抗白血病薬としての有効な使用についてin vivoで必要とされるレベルでは、これらの同化合物はそれらの固有のカルシウム血活性のために著しく上昇され、かつ潜在的に危険な血液カルシウムレベルを誘発し得る。即ち、抗癌剤としての1α,25-ジヒドロキシビタミンD3及びその他のビタミンD3類似体の治療使用は高カルシウム血症及び高カルシウム尿症を含むそれらの副作用により排除され、又はひどく制限される。これは一層大きい特異的活性及び作用の選択性を有する化合物、即ち、抗増殖効果及び前分化効果を有するが、低いカルシウム血活性を有するビタミンD化合物に対する要望を示す。このような化合物は“低カルシウム血”ビタミンD化合物である。このような化合物に対する要望は腫瘍性疾患及び異常増殖性疾患の治療におけるよりも大きくない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はビタミンD2の生物学的に生成された活性形態である合成1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2〔1α,24(S)-(OH)2D2〕を提供する。その生物学的形態はまた1α,24(S)-ジヒドロキシエルゴカルシフェロールと称されてもよく、以下に示される構造により表される。その化合物の生物学的形態は強力な生物活性及び迅速な全身クレアランスを有し、低毒性を示す。
また、本発明はエルゴステロールを出発物質として使用し、24-ヒドロキシビタミンD2を生成し、次いで24-ヒドロキシ化合物を1α-ヒドロキシル化し、1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2エピマーを1α,24(R)-ジヒドロキシビタミンD2エピマーから分離することを伴う1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の新規な製造方法を含む。この合成の過程で、新規中間体がまた生成される。更に、1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の結晶形態は驚くべき安定性及びその化合物の白色粉末形態よりも良好な生物活性を有することがわかった。
【0006】
本発明の化合物はビタミンD欠乏及び種々の骨消耗疾患を特徴とする種々の疾患の治療、特に、高カルシウム血症又は高カルシウム尿症の同時発生を生じない治療に有益である。本発明の化合物はビタミンD欠乏病のため、骨物質の損失又はこのような損失を発生する素因があるヒトの骨ミネラル含量の反転又は防止のため、また腎性骨異常形成を患っているヒトの骨密度の安定化のための医薬組成物の活性成分として有利に使用される。
また、本発明の化合物は或る種の皮膚疾患の治療のための局所及び経口の薬剤として有益である。本発明の化合物は、例えば、皮膚疾患を回復し得るその他の薬剤をまた含んでもよい局所組成物中の活性成分として有利に使用される。
また、本発明の化合物は癌及びその他の異常増殖性疾患の治療における抗増殖薬及び前分化薬として有益である。
本発明のその他の利点並びに特別な適合、組成物の変化、並びに物理的及び化学的特性の一層良い理解が添付図面と一緒にされた、下記の本発明の詳細な記載の吟味後に得られるであろう。
本発明が以下に添付図面と一緒に記載され、図中、同様の表示は図中の同様の要素を表す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書に使用される“生物活性”、“生物学的に活性な”、“生物活性の”、又は“生物潜在能の”という用語は代謝に影響し、例えば、血清カルシウム濃度に影響し、又は適当な受容体タンパク質に結合し、例えば、ビタミンD受容体タンパク質に結合するような化合物の生化学的性質を表すことを意味する。化合物又は物質に関する“実質的に純粋な”という用語は少なくとも90%の純度を意味する。
ビタミンDに関する“活性な”又は“活性化された”という用語はC1位、C25位又はC24位の少なくとも一つでヒドロキシル化されているビタミンD化合物を表す。
本発明の局面の一つにおいて、本発明は式(I):
【0008】
【化1】
【0009】
の生物学的に活性な化合物、即ち、1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含む。
別の局面において、本発明は1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の調製に関する。1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の合成は図1及び2に示されたスキームに従って行なわれる。以下、24-ヒドロキシ化合物について言及される場合、特にことわらない限り、その化合物はR形態及びS形態のエピマー混合物であることが推定されるであろう。図1に見られるように、その合成はエルゴステロールを出発物質として使用する。エルゴステロールは5工程方法により24-ヒドロキシエルゴステロール(5,7,22エルゴスタトリエン-3β,24-ジオール(7))に変換される。次いでその24-ヒドロキシエルゴステロールが当業界で公知の方法により照射され、熱変換されて24-ヒドロキシビタミンD2を生じる。図2に見られるように、24-ヒドロキシビタミンD2がその後にPaarenら, J. Org. Chem., 45巻, 3253頁(1980)に記載された操作と同様の操作を使用して5工程方法でヒドロキシル化されて1α,24-ジヒドロキシビタミンD2を生じ、これからエピマーが分離される。
【0010】
詳しくは、エルゴステロールがアセチル化されて3β-アセテート(2)を生成する。次いで付加物(3)がチリアゾリンジオンとの3β-アセテートの反応によりエルゴステロール構造のB環で生成される。次いで付加物(3)がオゾン処理されて側鎖をトランケートしてC-21アルデヒド(4)を生成する。側鎖が適当なケト化合物との得られるアルデヒドの反応により再度確立されて24-エノン(5)を生じる。次いでエノンが24-メチル,3β,24-ジヒドロキシ付加物(6)に変換される。次いでこの付加物が水素化リチウムアルミニウムと反応させられて付加物を脱保護し、24-ヒドロキシエルゴステロール(7)を生じる。次いで24-ヒドロキシエルゴステロールが照射され、熱処理されて24-ヒドロキシビタミンD2を生成する。次いで24-ヒドロキシビタミンD2がトシル化されて24-ヒドロキシビタミンD2の3β-トシレートを生じる。トシレートが加溶媒分解により置換されて6-メトキシ-24-ヒドロキシ-3,5-シクロビタミンD2を生じる。シクロビタミンD2がアリル酸化にかけられて1α,24-ジヒドロキシシクロビタミン誘導体を生成する。1α,24-ジヒドロキシシクロビタミン誘導体が逐次加溶媒分解され、ディールス-アルダー型反応にかけられ、これが6-メトキシ基を除去し、1α,24-ジヒドロキシビタミンD2(5,6シス)を5,6トランス1α,24-ジヒドロキシビタミンD2から分離する。
1α,24-(OH)2D2が逆相高圧液体クロマトグラフィーにかけられて2種のエピマーを分離し、本発明のエピマー形態、1α,24(S)-(OH)2D2を回収する。
本発明の化合物は種々の臨床分野及び獣医分野に適用可能であり、カルシウム及びリンの異常な代謝の治療に特に有益である。詳しくは、1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2は、例えば、オステオカルシン(osteocalcin)の血清レベルにより測定されるように骨芽細胞活性を刺激するのに使用されることが意図されている。オステオカルシンは骨基質中の重要なタンパク質の一種である。1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2は1,25-(OH)2D3よりも弱くビタミンD血清結合タンパク質に結合し、迅速なクレアランス及び低毒性を示し、これがその医薬特性を増進する。
更なる局面において、本発明は、例えば、肝臓不全、腎不全、胃腸不全等により生じた異常なカルシウム代謝を治療するためのようなカルシウム代謝の調節方法に関する。1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2はビタミンD欠乏症及び関連疾患、例えば、腎性骨形成異常、脂肪便、鎮痙薬骨軟化、低リン酸塩血ビタミンD耐性くる病、骨多孔症(閉経期後の骨多孔症、老人性骨多孔症、ステロイド誘発骨多孔症、及び骨物質の損失を特徴とするその他の症状を含む)、偽欠乏(ビタミンD依存性)くる病、栄養性及び吸収性くる病、上皮小体機能減退、術後上皮小体機能減退、突発性甲状腺機能低下、偽上皮小体機能低下、及びアルコール中毒に二次的な骨軟化及びオステオペニアを予防的又は治療的に処置するのに使用し得る。
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2はまた異常増殖性皮膚疾患、例えば、乾癬、湿疹、適度の皮膚の硬さの欠如、皮膚水和、及び皮脂分泌の治療に有益である。
【0011】
更に、式(I)の化合物は乳癌及び結腸癌だけでなく、その他の腫瘍、例えば、膵臓癌、子宮内膜癌、肺の小細胞癌及び非小細胞癌(扁平上皮細胞型、腺癌型及び大細胞型を含む)、頭部及び首の扁平上皮細胞癌、膀胱癌、卵巣癌及び頸癌、ミエロイド及びリンパ球性白血病、リンパ腫、肝臓腫瘍、髄様甲状腺癌、多発性ミエローマ、メラノーマ、網膜芽腫、並びに軟組織及び骨の肉腫の治療に有益である。式(I)の化合物は腫瘍を有する被験者のビタミンDの血清レベルを高カルシウム血症を生じないで腫瘍の分化又は退縮を誘発するのに充分な期間にわたって生理学的レベルより上のレベルに上昇する量で投与される。式(I)の化合物は低カルシウム血性であり、このような生理学的レベルより上のレベルを可能にする。
式(I)の化合物は毎日の投薬又はエピソード投薬、例えば、2-6日毎に1回もしくは週1回で投与される。毎日の投薬は単一投薬であってもよく、又は2-4の細投薬(これらは全用量が与えられるまで1時間離れて与えられる)として分けられてもよい。
【0012】
本発明によれば、有効量の1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2が癌又は腫瘍を有する患者に投与される場合、異常な腫瘍細胞の増殖活性が抑制又は軽減され、細胞分化が誘発、促進又は増進され、同じ量の活性化ビタミンD3(例えば、1α-OH-D3又は1α,25-(OH)2D3)が既に知られている製剤中で投与された後に観察されるよりも有意に少ない高カルシウム血症及び高カルシウム尿症が観察される。こうして、本発明の化合物はビタミンD3類似体の活性形態に対し改良された治療インデックスを有する。
悪性症状の治療のために、本発明のビタミンDは医薬組成物中の活性成分として単独で、又は細胞傷害薬と組み合わせて投与されることが好適である。
別の局面において、本発明は本発明のビタミンD化合物、及び(i)細胞傷害薬、(ii)骨薬、及びその組み合わせからなる群から選ばれた薬剤、並びに生理学上許される担体を含む医薬組成物である。
更に、細胞傷害薬又は一種以上の抗癌剤と一緒の式(I)のビタミンDの同時投与方法が本発明の範囲内に含まれる。このような薬剤として、好適には、抗代謝産物(例えば、5-フルオロ-ウラシル、メトトレキセート、フルダラビン)、抗微小管薬(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、タキサン、例えば、パクリタキセル、ドデタキセル)、アルキル化剤(例えば、シクロファスファミド、メルファラン、バイオコロエチルニトロソ尿素、ヒドロキシ尿素)、白金薬剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、JM-216、CI-973)、アントラサイクリン(例えば、ドキシルビシン、ダウノルビシン)、抗生物質(例えば、ミトマイシン、イダルビシン、アドリアマイシン、ダウノマイシン)、トポイソメラーゼインヒビター(例えば、エトポシド、カンプトテシン)又はあらゆるその他の抗腫瘍薬(エストラムスチンホスフェート、プレドニムスチン)が挙げられる。
【0013】
種々の抗癌剤と組み合わせて使用される式(I)のビタミンDは癌細胞に対する有意に増進された細胞傷害作用を生じることができ、こうして増大された治療効果を与えることが予想される。詳しくは、有意に増大された増殖抑制効果は薬物が単独で使用される治療養生と較べて低濃度の抗癌薬を使用して先に開示された組み合わせで得られるので、抗癌薬と関連する不利な副作用が多用量で単独で使用される抗癌薬で通常観察されるよりもかなり軽減される治療を与える潜在性がある。これらの同時投与される抗癌剤の可能な用量範囲は約0.1〜20mg/kg/日である。
“同時投与”という用語は2種以上の薬剤が患者又は被験者に投与されるあらゆる投与経路を表すことを意味する。例えば、薬剤は一緒に、又は互いに前後に投与されてもよい。薬剤は異なる経路により投与されてもよく、例えば、一種の薬剤が静脈内投与されてもよく、一方、第二薬剤が筋肉内、静脈内又は経口で投与される。薬剤は、それらが両方の薬剤が生体中で有効濃度を得ることを可能にするのに充分な様式で与えられる限り、同時又は逐次投与されてもよい。薬剤はまた、例えば、単一錠剤中のように、混合物であってもよい。逐次投与において、一種の薬剤が他の薬剤の投与に直接追随してもよく、又は薬剤がエピソード的に与えられてもよく、即ち、一種が一度に与えられてもよく、続いて別の薬剤が後の時期に、典型的には1週間以内に与えられてもよい。
また、ホルモン又はその他の薬剤、例えば、エストロゲン(これらは骨疾患又は障害を回復することが知られている)の投与と連係しての有効用量の式(I)の化合物の同時投与が本発明の範囲内に含まれる。例えば、前立腺癌はしばしば骨に転移し、骨損失及び関連する痛みを生じる。このような骨薬剤は結合エストロゲン又はそれらの均等物、カルシトニン、ビスホスホネート、カルシウムサプリメント、コバラミン、百日咳毒素及びホウ素を含んでもよい。
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2は、例えば、カルシウムの異常な代謝により誘発された疾患又は異常増殖性疾患もしくは腫瘍疾患に適用された場合に、ビタミンD3の活性形態の既知の類似体と較べて軽減された副作用及び低毒性を有する医薬組成物中の活性化合物として有益である。これらの医薬組成物が本発明の別の局面を構成する。
【0014】
本発明の薬理学上活性な化合物は誘発的、非経口的又は局所の患者、例えば、ヒトを含む哺乳類への投与のための医薬を製造するための製薬の通常の方法に従って加工し得る。例えば、1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2は通常の賦形剤、例えば、腸内(例えば、経口)、非経口、又は局所の適用に適した医薬上許される担体物質(これらは活性化合物と有害に反応しない)と混合して使用し得る。
好適な医薬上許される担体として、水、塩溶液、アルコール、アラビアゴム、植物油(例えば、アーモンド油、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、オリーブ油、ヤシ油)、鉱油、魚肝油、油状エステル、例えば、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール、ゼラチン、炭水化物(例えば、ラクトース、アミロース又は澱粉)、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘稠なパラフィン、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられるが、これらに限定されない。
医薬製剤は滅菌でき、所望により、助剤、例えば、滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響するための塩、緩衝剤、着色剤、矯味矯臭薬及び/又は一種以上のその他の活性化合物、例えば、ビタミンD3及びその1α-ヒドロキシル化代謝産物、結合エストロゲン又はそれらの均等物、抗エストロゲン、カルシトニン、ビホスホネート、カルシウムサプリメント、コバラミン、百日咳毒素及びホウ素と混合し得る。
非経口適用について、注射可能な、無菌溶液、好ましくは油状溶液もしくは水溶液だけでなく、懸濁液、エマルション、又は座薬を含む、移植片が特に好適である。非経口投与として、好適には、皮下、筋肉内、もしくは静脈内の注射、鼻咽頭もしくは粘膜吸収、又は経皮吸収が挙げられる。示される場合、本発明の化合物は腫瘍、例えば、副甲状腺腺癌への直接の注射により、又は位置送出、例えば、動脈内送出もしくは門静脈を介する送出により与えられてもよい。位置送出が肝臓癌の治療に特に適している。アンプルが都合のよい単位投薬である。
【0015】
腸内適用について、錠剤、糖剤、液体、ドロップ、座薬、ロゼンジ、粉末、又はカプセルが特に適している。甘味料入りのビヒクルが所望される場合、シロップ、エリキシル剤等が使用し得る。
局所適用について、局所適用と適合性であり、好ましくは水より大きい動的粘度を有する担体、例えば、鉱油、アーモンド油、自己乳化性蜜蝋、植物油、白色軟質パラフィン、及びプロピレングリコールを含む好適な非噴霧性の粘稠な、半固体形態又は固体形態が使用し得る。好適な製剤として、クリーム、軟膏、ローション、溶液、懸濁液、エマルション、粉末、リニメント、軟膏、エアゾール、経皮パッチ等が挙げられるが、これらに限定されず、これらは、所望により、滅菌され、又は助剤、例えば、防腐剤、安定剤、解乳化剤、湿潤剤等と混合される。本発明のクリーム製剤は、例えば、水、アーモンド油、鉱油、及び自己乳化性蜜蝋の混合物を含むことが好適であり、軟膏製剤は、例えば、アーモンド油及び白色軟質パラフィンを含むことが好適であり、またローション製剤は、例えば、乾燥プロピレングリコールを含むことが好適である。
皮膚疾患の治療に有益な本発明の化合物の局所製剤はまた上皮化誘発剤、例えば、レチノイド(例えば、ビタミンA)、クロマノール、例えば、ビタミンE、β-アゴニスト、例えば、イソプロテレノール又は環状アデノシンモノホスフェート(cAMP)、抗炎症薬、例えば、コルチコステロイド(例えば、ヒドロコルチゾンもしくはそのアセテート、又はデキサメタゾン)及び角膜移植剤、例えば、コールタール又はアントラリンを含んでもよい。このような薬剤の有効量は、例えば、ビタミンA、組成物の約0.003〜約0.3重量%;ビタミンE、約0.1〜約10%;イソプロテレノール、約0.1〜約2%;cAMP、約0.1〜約1%;ヒドロコルチゾン、約0.25〜約5%;コールタール、約0.1〜約20%;及びアントラリン約0.05〜約2%である。
直腸投与について、化合物は座薬ベース、例えば、カカオ油又はその他のトリグリセリドを含む医薬組成物に形成される。貯蔵寿命を延長するために、組成物は酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール又はヒドロキノンを含むことが有利である。
【0016】
カルシウム代謝障害の治療について、本発明の医薬組成物の経口投与が好ましい。一般に、本発明の化合物は単位投薬当り医薬上許される担体中に約0.5μg〜約25μgを含む単位投薬形態により分配される。本発明の化合物の用量は一般に約0.01〜約1.0μg/kg/日、好ましくは約0.04〜約0.3μg/kg/日である。癌及び腫瘍並びにその他の異常増殖性疾患の治療のための経口用量は一般に約10μg〜200μg/日である。
皮膚疾患の局所治療について、局所組成物中の本発明の化合物の用量は一般に組成物1g当り約0.01μg〜約50μgである。癌の治療について、局所適用される組成物中の1α,24(S)-(OH)2D2の用量は組成物1g当り約0.01μg〜100μgである。
先に注目されたように、本発明の化合物の投薬はまたエピソード基準で行なわれてもよく、この場合、一層多い用量、一般に2〜7日毎に1回与えられる約20μg〜約200μgが使用し得る。
当業者は良好な医療慣例及び個々の患者の臨床状態により決められるような有効用量及び同時投与養生を容易に最適化するであろう。投与の様式にもかかわらず、特別な場合の活性化合物の実際の好ましい量は使用される特定の化合物の効力、製剤化される特別な組成物、適用の様式、並びに治療される特別な部位及び生体に応じて変化することが認められるであろう。例えば、特別な患者に特別な用量は年齢、体重、健康の全般状態及び性別、食事、投与の時期及び様式、排泄の速度、及び組み合わせて使用される薬物並びに治療が適用される特別な疾患の重度に依存する。所定の宿主に関する用量は通常の考慮を使用して、例えば、主題化合物及び既知の薬剤の差別活性の通例の比較により、例えば、適当な通常の薬理学的プロトコルにより決められる。
更に別の局面において、本発明の化合物はまた獣医組成物、例えば、低カルシウム血症を治療又は予防するための家畜動物用の飼料組成物中に有利に使用し得る。一般に、本発明の化合物はこのような飼料の通常の消費が動物に約0.01〜約1.0μg/kg/日を与えるように動物飼料中に分配される。
以下の実施例はどんな方法であろうとも開示の残部の限定ではなく、単なる例示と見なされるべきである。以下の実施例において、プロトン核磁気共鳴(1H NMR)を内部標準としてCHCl3を含むCDCl3溶液中でアスペクト3000コンピュータ付きのブルカーAM--400(400 MHz)で記録した。化学シフトがppmで報告される。紫外線スペクトルを日立U-2000スペクトロフォトメーターで記録し、エタノール溶液について報告する。
【実施例】
【0017】
実施例1:1α-(OH)D2とともにインキュベートされたヒト肝臓細胞中の1α,24(?)-(OH)2D2の生成、精製及び同定
実質的に純粋な1α-(OH)D2をウィスコンシン、マジソンのボーン・ケアー・インターナショナル社から得た。1α-(OH)D2を当業界で知られている方法を使用してウシ胎児血清を含まない培地中でヒトヘパトーム、Hep 3Bに由来する細胞とともに48時間培養した。
組み合わされた培地及び細胞の脂質抽出物を当業界で知られている方法により生成し、ヘキサン/イソプロパノール/メタノール(91:7:2)で展開されたゾルバックス-S1Lで高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)にかけた。推定1α,24(?)-(OH)2D2代謝産物が親1α-(OH)D2と標準1α,25-(OH)2D2(また、ウィスコンシン、マジソンのボーン・ケアー・インターナショナル社から得られた)の間で溶離した(本明細書に使用される“1α,24(?)-(OH)2D2”という用語はエピマー形態が同定されていないことを示すことが意味される)。質量スペクトル法分析を使用して代謝産物の同定を行なう前に、1α,24(?)-(OH)2D2をこのHPLC系により更に精製した。
精製代謝産物は出発物質、1α-(OH)D2よりも極性であり、こうしてジヒドロキシビタミンD2代謝産物であると一時的に結論した。また、この代謝産物はビタミンD発色団を有し、ビタミンDのシス-トリエン系の保持を示した。その代謝産物は1α-(OH)D2から誘導されたので、その構造はこうして1α,X-(OH)2D2(式中、“X”は第二ヒドロキシル基の位置を示す)であった。
【0018】
1α,X-(OH)2D2のトリメチルシリル誘導体を当業界で知られている方法に従って調製し、質量スペクトル法をTMS誘導体及び天然化合物について行なった。TMS誘導体をGC-MSにより分析し、同定は主としてピロ代謝産物の断片化パターンの解読に由来した。その分子イオンは644のm/zを有し、付加的な質量の216単位に相当する三つのTMS基の付加とともにジヒドロキシビタミンD2を示した。1α-(OH)D2は3β基及び1α基を有し、推定代謝産物は一つの付加的なヒドロキシルを有していたので、全ての三つのヒドロカルビルがこうして誘導体化された。特有の断片がm/z 601、511、421、331で見られ、断片単独の43質量単位又は一つに加えて、夫々90単位の二つもしくは三つのTMS基の損失に相当した。このパターンはたぶん43質量単位に相当するC3H7のC-24〜C-25結合損失の開裂により説明された。これはC26-C25-C27断片の損失に相当する。更に、質量スペクトルは全ての25-ヒドロキシル化ビタミンD化合物の特徴のm/z 131断片を欠いていた。
質量スペクトルはm/z 513断片を示し、ビタミンD化合物のまた特徴のC2-C3-C4の損失を伴うA環開裂のための131質量単位の損失を示した。また、質量スペクトルはm/z 143を含み、これはおそらくC-24〜C-23開裂及びメチル基の損失から誘導された。C23-C24開裂のための断片の損失と対にされたC24-C25もろさを示す43単位の異常な損失は1α,X-(OH)2D2中の特別なヒドロキシルが炭素-24にあることを示した。こうして、その構造を1α,24(?)-(OH)2D2と同定した。
天然代謝産物を直接プローブ質量スペクトル法により分析した。この分析は24位のヒドロキシルと一致し、また上記TMS誘導体のGC-MS分析と一致した。天然代謝産物はm/z 428に予想される分子イオン及びm/z 367に特有の断片を示し、一つの水の損失及び43質量単位のC25-C26-C27断片を示した。
【0019】
実施例2:1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の合成
(22E)-5,7,22-エルゴスタトリエン-3β-イルアセテート(2)
無水ピリジン300ml中のエルゴステロール(1)50g(0.13モル)の溶液に、無水酢酸33.3ml(0.35モル)を添加した。その混合物を室温で一夜撹拌し、次いで水600mlを添加した。沈殿を濾過し、アセトニトリル200mlづつで3回洗浄し、次いで空気乾燥して(2)42.0g(74%)を得た。
22-オキソ-5α,8α-(4-フェニル-3,5-ジオキソ-1,2,4-トリアゾリジン-1,2-ジイル)23,24-ジノル-6-コレン-3β-イルアセテート(4)
クロロホルム1000ml中のエルゴステロールアセテート(2)33.0g(0.075モル)の溶液に、4-フェニル-1,2,4-トリアゾリン-3,5-ジオン13.2g(0.075モル)を添加した。こうして生成された(3)の溶液を室温で30分間撹拌し、次いでピリジン5mlを添加した。その溶液を-78℃に冷却し、-78℃で2時間にわたってオゾン-酸素混合物で処理し、次いで窒素で充分にパージした。次いでジメチルスルホキシド50mlを添加し、その混合物を水300ml、次いで2N HCl 200mlで2回、最後に水300mlで洗浄した。有機層を分離し、無水MgSO4で乾燥させ、真空で濃縮、乾燥させた。ヘキサン中30%の酢酸エチルを使用して残渣をシリカゲルカラムで精製して標題化合物16.0g(39%)をフォーム状固体として得た。
1H NMR: (400 MHz; CDCl3): δppm 0.85 (3H,s, 18-CH3), 1.10 (3H,s, 19-CH3), 1.15 (3H,d, 21-CH3), 1.99 (3H,s, 3β-CH3CO), 5.45 (1H,m, 3α-H), 6.26 (1H,d, 7-H), 6.40 (1H,d, 6-H), 7.42 (5H,m, Ph), 9.58 (1H,d, HCO)
(22E)5α,8α-(4-フェニル-3,5-ジオキソ-1,2,4-トリアゾリジン-1,2-ジイル)コレスタ-6,22-ジエン-24-オン-3β-イルアセテート(5)
ブチルリチウム(ヘキサン8.94ml中の1.6M溶液、0.014モル)を窒素雰囲気下で乾燥テトラヒドロフラン(20ml)中のジイソプロピルアミン(1.45g、0.014モル)の撹拌した冷却(0℃)溶液に添加した。乾燥テトラヒドロフラン(6ml)中の3-メチルブタン-2-オン(1.23g、0.014モル)を0℃で15分間にわたって滴下して添加した。その溶液を0℃でもう1時間撹拌し、次いで-70℃に冷却し、乾燥テトラヒドロフラン(60ml)中のアルデヒド(4)(6.0g、0.011モル)の溶液を添加した。その温度を-20℃に上昇させ、この温度に3時間保った。次いで氷酢酸(20ml)を-20℃で添加し、その溶液を室温にした。エーテル(800ml)及び水(400ml)を添加し、有機層を分離し、10%塩酸(2x300ml)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(2x300ml)、及び水(2x300ml)で洗浄した。濃縮して粗生成物(7.5g)を得、これを1.5N塩酸(12ml)を含むテトラヒドロフラン(100ml)に溶解した。1.5時間還流した後、混合物をエーテル(600ml)で希釈し、5%炭酸ナトリウム溶液(2x200ml)及び水(2x200ml)で洗浄し、乾燥させた(無水MgSO4)。減圧で濃縮して粗生成物(7.0g)を得た。シリカゲルでクロマトグラフィー(ヘキサン中50%酢酸エチル)にかけてエノン(5)4.0g(59%)を得た。
1H NMR: (400 MHz): δppm 0.83 (3H,s, 18-CH3), 0.99 (3H,s, 19-CH3), 1.09 (6H,dd, 26及び27-CH3), 1.12 (3H,d, 21-CH3), 2.0 (3H,s, 3β-CH3CO), 2.84 (1H,m, 25-H), 5.45 (1H,m, 3α-H), 6.06 (1H,d, 23-H), 6.24 (1H,d, 7-H), 6.39 (1H,d, 6-H), 6.71 (1H,dd, 22-H), 7.42 (5H,m, Ph)
【0020】
(22E)-5α,8α-(4-フェニル-3,5-ジオキソ-1,2,4-トリアゾリジン-1,2-ジイル)-6,22-エルゴスタジエン-3β,24-ジオール(6)
乾燥エーテル(100ml)中のエノン(5)(3.5g、5.7ミリモル)を0℃に冷却し、メチルマグネシウムブロミド(エーテル6.8ml中3.0M溶液、0.02モル)を滴下して添加した。0℃で1時間後に、飽和塩化アンモニウム(100ml)を添加した。有機層を分離した。水層をエーテル(2x200ml)で抽出した。合わせたエーテル相を無水MgSO4で乾燥させ、真空で濃縮、乾燥させて(6)の粗生成物3.0g(90%)を得た。
(22E)-5,7,22-エルゴスタトリエン-3β,24-ジオール(7)
乾燥テトラヒドロフラン(250ml)中の(6)3.0g(5.1ミリモル)の溶液に、水素化リチウムアルミニウム3.6g(0.09モル)を添加した。その混合物を3時間にわたって加熱、還流し、氷水浴で冷却し、反応混合物を氷水(5ml)の慎重な滴下添加により分解した。その混合物を濾過し、濾液を真空で濃縮してテトラヒドロフランの殆どを除去した。残渣を酢酸エチル200mlに溶解し、飽和NaCl溶液(2x200ml)で2回洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、真空で濃縮した。ヘキサン中30%の酢酸エチルを使用して残渣をシリカゲルカラムで精製して(7)1.5g(71%)を得た。
1H NMR: (400 MHz, CDCl3): δppm 0.64 (3H,s, 18-H), 0.88 (6H,dd, 26及び27-CH3), 0.93 (3H,s, 19-CH3), 1.06 (3H,d, 21-CH3), 1.19 (3H,s, 28-CH3), 3.55 (1H,m, 3α-H), 5.36 (1H,d, 7-H), 5.42 (2H,m, 22及び23-H), 5.52 (1H,d, 6-H) UV(エタノール)λmax: 282 nm
【0021】
24-ヒドロキシビタミンD2(8)
(7) 1g(2.4ミリモル)をエーテル及びベンゼン(4:1)250mlに溶解し、窒素雰囲気下で水冷石英浸漬ウェル中でハノビア中間圧UVランプを使用して2時間にわたって撹拌しながら照射した。その溶液を真空で濃縮し、エタノール100mlに再度溶解し、一夜にわたって加熱、還流した。その溶液を真空で濃縮、乾燥させ、ヘキサン中30%の酢酸エチルを使用して残渣をシリカゲルカラムで精製して(8)0.55g(55%)を得た。
1H NMR: (400 MHz, CDCl3): δppm 0.57 (3H,s, 18-CH3), 0.92 (6H,dd, 26及び27-CH3), 1.06 (3H,d, 21-CH3), 1.20 (3H,s, 28-CH3), 3.93 (1H,m, 3-H), 4.79 (1H,m(シャープ), 19-H), 5.01 (1H,m, (シャープ), 19-H), 5.43 (2H,m, 22及び23-H), 6.02 (1H,d, 7-H), 6.22 (1H,d, 6-H) UV (エタノール) λmax: 265 nm
24-ヒドロキシビタミンD2トシレート(9)
無水ピリジン5mlに溶解した(8)0.55g(1.3ミリモル)の溶液に、塩化トシル0.6g(3.2ミリモル)を添加した。その混合物を窒素雰囲気下で5℃で20時間撹拌した。その反応混合物を冷却した飽和NaHCO3溶液100mlに注ぎ、エーテル(3x100ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を5%HCl溶液(2x200ml)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(2x200ml)及び飽和NaCl溶液(2x200ml)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、真空で濃縮して(9)0.62g(84%)を得た。
1H NMR: (400 MHz, CDCl3): δppm 0.57 (3H,s, 18-CH3), 0.92 (6H,dd, 26及び27-CH3), 1.08 (3H,d, 21-CH3), 1.24 (3H,s, 28-CH3), 2.43 (3H,s, CH3 (トシレート)), 4.69 (1H,m, 3-H), 4.77 (1H,m, (シャープ), 19-H), 5.0 (1H,m, (シャープ), 19-H), 5.42 (2H,m, 22及び23-H), 6.03 (1-H,d, 7-H), 6.25 (1-H,d, 6-H), 7.31及び7.83 (4H,d, 芳香族)
【0022】
24-ヒドロキシ-3,5-シクロビタミンD2(10)
無水メタノール50mlに溶解した(9)0.6g(1.06ミリモル)の溶液に、重炭酸ナトリウム4.0g(0.047モル)を添加した。その混合物を6時間にわたって加熱、還流した。その反応混合物を真空で濃縮した。水(100ml)を添加し、続いてエーテル(2x200ml)で抽出した。合わせたエーテル抽出物を無水MgSO4で乾燥させ、真空で濃縮、乾燥させて(10)450mg(100%)を油として得た。
1α,24-ジヒドロキシ-3,5-シクロビタミンD2(11)
tert-ブチルヒドロペルオキシド(870μL(2.61ミリモル);トルエン中3M)を窒素雰囲気下で無水ジクロロメタン50ml中の二酸化セレン73mg(0.66ミリモル)の懸濁液に添加した。その混合物を窒素雰囲気下で室温で3時間撹拌した。次いで無水ピリジン0.1mlを添加し、続いて無水ジクロロメタン15mlに溶解した(10)450mg(1.06ミリモル)の溶液を添加した。その混合物を窒素雰囲気下で室温で10分間撹拌し、次いで10%NaOH溶液25mlを添加し、その混合物をエーテル(3x100ml)で抽出した。合わせたエーテル抽出物を10%NaOH溶液(2x100ml)、水(2x100ml)、飽和塩化ナトリウム溶液(2x100ml)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、真空で濃縮、乾燥させた。ヘキサン中30%の酢酸エチルの混合物を使用して残渣をシリカゲルカラムで精製して(11)110mg(24%)を得た。
1H NMR: (400 MHz, CDCl3): δppm, 0.55 (3H,s, 18CH3), 0.90 (6H,dd, 26及び27-CH3), 1.03 (3H,d, 21-CH3), 1.19 (3H,s, 28-CH3), 3.25 (3H,s, -OCH3), 4.19 (1H,d, 6-H), 4.19 (1H,m, 1-H), 4.92 (2H,d, 7-H), 5.15 (1H,m, (シャープ), 19-H), 5.2 (1H,m, (シャープ), 19-H), 5.42 (2H,m, 22及び23-H)
【0023】
5,6-シス及び5,6-トランス-1α,24-ジヒドロキシビタミンD2(12, 13)
1α,24-ジヒドロキシ-3,5-シクロビタミンD2(11)110mg(0.25ミリモル)をジメチルスルホキシド2.0ml及び酢酸1.5mlに溶解し、窒素雰囲気下で1時間にわたって50℃で加熱した。その溶液を氷及び飽和NaHCO3溶液50mlに注いだ。その混合物をエーテル(3x100ml)で抽出した。合わせたエーテル抽出物を飽和NaHCO3溶液(3x100ml)、水(2x100ml)、飽和NaCl溶液(2x200ml)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、真空で濃縮して(12)及び(13)の粗生成物100mg(100%)を得た。
5,6-シス-1α,24-ジヒドロキシビタミンD2(12)
酢酸エチル5ml中の(12)及び(13)の溶液に、無水マレイン酸20mg(0.2ミリモル)を添加し、その混合物を35℃で窒素雰囲気下で24時間撹拌した。その溶液を真空で濃縮、乾燥させた。ヘキサン中50%の酢酸エチルを使用して残渣をシリカゲルカラムで精製して(12)20mg(22%)を得た。
1H NMR: (400 MHz, CDCl3): δppm 0.57 (3H,s, 18-CH3), 0.89 (6H,dd, 26及び27-CH3), 1.04 (3H,d, 21-CH3), 1.21 (3H,s, 28-CH3), 4.23 (1H,m, 3-H), 4.40 (1H,m, 1-H), 5.0 (1H,m, (シャープ), 19-H), 5.33 (1H,m, (シャープ), 19-H), 5.44 (2H,m, 22及び23-H), 6.01 (1H,d, 7-H), 6.37 (1H,d, 6-H) UV (エタノール) λmax: 265 nm
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2(14)
1α,24-(OH)2D2の24エピマーを溶媒系、アセトニトリル:水、60:40、10ml/分とともに逆相スペルコC-8prep.カラム(25cm x 21.2mm; 粒子サイズ12μm)を使用するウォーターズ装置で行なわれた、高圧液体クロマトグラフィーにより分離した。エピマーに名称エピマー1及びエピマー2を与えた。これらの条件下で、エピマー1の保持時間は63分であり、エピマー2の保持時間は71分であった。X線結晶学を使用して、エピマー2の立体化学は1α,24(R)-(OH)2D2であることを測定した。それ故、エピマー1の立体化学は1α,24(S)-(OH)2D2であることが知られた。
【0024】
実施例3:化学合成されたエピマー、1α,24(S)-(OH)2D2及び1α,24(R)-(OH)2D2との比較による立体化学及び生物学的に誘導された1α,24(?)-(OH)2D2代謝産物の同定
上記実施例1に記載されたようにして得られた生物学的に生成された代謝産物の立体化学を上記実施例2に記載されたようにして得られた化学合成されたエピマーに対して高圧液体クロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィーにより比較した。これらの比較に基づいて、生物学的に生成された代謝産物は構造、1α,24(S)-(OH)2D2を有することを決定した。図3はこの比較を行なう高圧液体クロマトグラフィー実験のプロフィールを示す。図3中、エピマー1は化学合成された1α,24(S)-(OH)2D2である。
(a) 高圧液体クロマトグラフィー比較は2種の異なるカラム及び溶媒系を使用した。溶媒系、アセトニトリル:水、60:40、1ml/分を使用する逆相カラムゾルバックス-ODS(デュポン・インストルメンツ;3μ;6.2mm x 8cm)では、生物学的代謝産物は14.3分で出現し、また1α,24(S)-(OH)2D2は14.2分で流れた。しかしながら、1α,24(R)-(OH)2D2は15.7分で流れた。
溶媒系、ヘキサン:イソプロパノール:メタノール、94:5:1、1ml/分を使用する直相カラムゾルバックス-SIL(デュポン・インストルメンツ;3μ;6.2mm x 8cm)では、生物学的代謝産物が22.4分で出現し、また1α,24(S)-(OH)2D2は22.4分で流れた。しかしながら、1α,24(R)-(OH)2D2は22.8分で流れた。
(b) ガスクロマトグラフィーでは、1α,24(S)-(OH)2D2は生物学的に生成された化合物と同時移動し、一方、1α,24(R)-(OH)2D2の保持時間は全く異なった(表1)。
【0025】
表1 ピロ-1α,25-(OH)2D3に対するピロ誘導体のガスクロマトグラフィー保持時間
【0026】
*ピロ誘導体を比較する場合、保持時間は内部標準1α,25-(OH)2D3に対して表される。
実施例4:1α,24(S)-(OH)2D2及び1α,24(R)-(OH)2D2の生物活性の比較
ビタミンD受容体(VDR)発現プラスミドpSG5-hVDR1/3及び成長ホルモン(GH)遺伝子を含むプラスミドp(CT4)4TKGHが、ビタミンD応答要素(VDRE)の制御下にグリーンサル腎臓、COS-1細胞に同時トランスフェクトされるビタミン依存性転写活性化モデル系を使用して、化学合成された1α,24(S)-(OH)2D2及び1α,24(R)-(OH)2D2のin vitro生物活性を測定した。これらの2種のベクターのDNAはアリゾナ大学(タクソン、アリゾナ)の生化学部門のMark Haussler博士により供給された。
トランスフェクト細胞をビタミンD代謝産物とともにインキュベートし、成長ホルモン生成を測定した。表2に示されるように、1α,24(S)-(OH)2D2はこの系中で1α,24(R)-(OH)2D2よりも有意に大きい活性を有する。
【0027】
表2 トランスフェクトされたCOS-1細胞中のビタミンD誘導成長ホルモン生成
【0028】
*二重測定の平均
実施例5:ビタミンD受容体(VDR)に対する1α,24(S)-(OH)2D2のアフィニティー
インクスター(スチルウォーター、ミネソタ)からのウシ胸腺VDR及び標準1,25-(OH)2-D3の市販のキットを使用して、哺乳類ビタミンD受容体(VDR)に対する1α,24(S)-(OH)2D2のアフィニティーを評価した。精製1α,24(S)-(OH)2D2をフォトダイオードアレイ分光光度計により定量し、ラジオレセプターアッセイでアッセイした。1α,24(S)-(OH)2D2の最大の半分の結合は約150pg/mlであり、一方、1α,25-(OH)2D2のそれは80pg/mlであった。こうして、1α,24(S)-(OH)2D2は1α,25-(OH)2D3よりもウシ胸腺VDRに対して2倍低いアフィニティーを有し、1α,24(S)-(OH)2D2は強力な生物活性を有することを示した。
実施例6:ビタミンD受容体に対する1α,24(S)-(OH)2D2及び1α,24(R)-(OH)2D2の相対アフィニティー
インクスター(スチルウォーター、ミネソタ)からのウシ胸腺VDR及び標準1,25-(OH)2-D3の市販の試薬を使用して、ビタミンD受容体(VDR)に対する1α,24(R)-(OH)2D2及び1α,24(S)-(OH)2D2の相対アフィニティーを評価した。精製1α,24(R)-(OH)2D2及び1α,24(S)-(OH)2D2エピマーを紫外線分光分析により定量した。その受容体からの3H-1α,25-(OH)2D3トレーサーの同じ置換を生じるのに必要とされる1α,24(R)-(OH)2D2の濃度は、図4に示されるように、1α,24(S)-(OH)2D2について必要とされる濃度の20-30倍であった。これらのデータは1α,24(S)-(OH)2D2エピマーの活性が1α,24(R)-(OH)2D2エピマーの活性よりも有意に大きいことを示す。
【0029】
実施例7:ビタミンD血清結合タンパク質(DBP)に対する1α,24(S)-(OH)2D2のアフィニティー
当業界で知られている方法に従ってビタミンD欠乏ラットを使用して、ビタミンD血清結合タンパク質(DBP)に対する1α,24(S)-(OH)2D2のアフィニティーを評価した。データはDBPの1α,24(S)-(OH)2D2結合が25-OH-D3についてのそれよりも少なくとも1000倍弱いことを示した。VDRに対する1α,24(S)-(OH)2D2の強い結合及びDBPに対する弱い結合を考慮すると、この化合物は標的細胞により摂取される傾向があり、こうして強力な生物活性を有するであろう。加えて、DBPによる弱い結合は一層迅速なクレアランスを示し、低毒性を可能にする。
こうして、先のアッセイは新規な1α,24(S)-(OH)2D2が活性の特有かつ特異なスペクトル、即ち、高い生物学的効力及び低毒性(これらは従来技術の化合物及びその24(R)エピマーからその化合物を明らかに区別する)を示すことを実証した。
実施例8:ビタミンD2及び24-OH-D2からの1α,24(S)-(OH)2D2の生成
ビタミンD2又は24-OH-D2をビタミンD欠乏ラットに投与した(経口又は腹腔内の補充)。血漿の脂質抽出物を調製し、代謝産物を標準生物学的1α,24-(OH)2D2を合成するための以下に記載されるHorstらの方法(Horst, R.L., Koszewski, N.J.及びReinhardt, T.A., Biochem., 29:578-82 (1990))により精製した。
24-OH-D2 10μgをビタミン欠乏ひなからつくられた20%腎臓ホモジネート5mlを含むフラスコ中でインキュベートすることにより、標準生物学的1α,24-(OH)2D2を24-OH-D2からin vitroで合成した。この反応の生成物をHPLCにより単離し、質量分光分析により同定した。ビタミンD2又は24-OH-D2を投与されたビタミンD欠乏ラットからの血漿の脂質抽出物中に、単離された一種の代謝産物は標準1α,24-(OH)2D2とHPLCで同時移動し、1α,24-(OH)2D2がビタミンD2の天然代謝産物であることを示した。対照的に、ビタミンD3を投与された比較ラットは検出可能な24-OH-D3を有していなかった。
実施例9:in vitroの増大された基質濃度による1α,24(S)-(OH)2D2の優先的生成
Hep 3B細胞を1、10、又は100 nM(実験1)、及び1又は10μM(実験2)の最終濃度で上記のように1α-OH-D2とともにインキュベートし、1α,24(S)-(OH)2D2を抽出し、精製した。1α,24(S)-(OH)2D2及び1α,25-(OH)2D2代謝産物を回収された放射能標識(実験1)又はフォトダイオードアレイ分光測光(実験2)により定量した。表3に示されるように、基質濃度が上昇されるにつれて、1α,24(S)-(OH)2D2の量が1α,25-(OH)2D2の量に対して増加した。これはこの系では1α,24(S)-(OH)2D2が一層高い基質濃度で1α-OH-D2の主たる天然活性代謝産物であったことを示す。
【0030】
表3
【0031】
*N.D.は検出できないことを意味する。
実施例10:1α-(OH)2D2を投与された骨多孔症の婦人中の1α,24(S)-(OH)2D2の生成
1α,25-(OH)2D2に対する1α,24(S)-(OH)2D2の生成の増加がまた骨多孔症の治療用のその薬物の研究の一部として1α-OH-D2を受けた婦人で本発明者らにより観察された。1α-OH-D2 2μgの単一投薬又は1週間にわたる8μg/日の毎日の投薬後に、血液を集め、代謝産物1α,24(S)-(OH)2D2及び1α,25-(OH)2D2について分析した。脂質を血液から抽出し、通常の方法を使用して代謝産物をHPLCにより精製し、インクスター(スチルウォーター、ミネソタ)により製造されたラジオレセプターアッセイで定量した。単一の2μg投薬後の1日目に、1α,24(S)-(OH)2D2のレベルは検出できず、1α,25-(OH)2D2レベルは約11pg/mlであった。対照的に、8μgの最後の投薬後の1日目に、1α,24(S)-(OH)2D2のレベルは平均で9pg/mlであり、1α,25-(OH)2D2レベルは平均で30pg/mlであった。
実施例11:閉経期後の骨多孔症の婦人における用量範囲研究
20人の閉経期後の骨多孔症の婦人を開放ラベル研究に入会させる。選ばれた患者は55〜75才の年齢を有し、LUNAR骨デンシトメーター(ルナー・コーポレーション、マジソン、ウィスコンシン)による測定により測定して、0.7〜1.05g/cm2のL2-L3椎骨ミネラル密度を示す。
その研究に入る際に、全ての患者がカルシウム400〜600mgを含む毎日の食事を選ぶことについての指示を受ける。この食事に対するコンプライアンスを週間隔で24時間の食物記録及び夫々の患者とのインタビューにより確かめる。
【0032】
全ての患者が1週の基準線期間、4週の治療期間、及び1週の治療後の観察期間を完了する。治療期間中、患者は最初の週にわたって0.5μg/日の初期用量、その後の4週の夫々で1.0、2.0、4.0、及び8.0μg/日の連続して一層多い用量の1α,24(S)-(OH)2D2を自己経口投与する。全ての用量を朝食前に投与する。
血液及び尿化学成分をその研究中週基準で監視する。重要な血液化学成分として、カルシウム、リン、オステオカルシン、クレアチニン、及び血液尿素窒素の空腹時血清レベルが挙げられる。重要な尿化学成分として、カルシウム、リン、及びクレアチニンの24時間排泄が挙げられる。
この臨床研究からの血液及び尿データはこの化合物がクレアチニンクレアランス及び尿素窒素の血液レベルにより測定して腎臓機能に悪影響せず、またそれがヒドロキシプロリンの尿排泄を増大しないことを示し、骨吸収に対する刺激効果の不在を示す。その化合物はルーチン監視される血清パラメーターに効果を有さず、代謝悪影響の不在を示す。
カルシウムホメオスタシスに対する1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の陽性効果は24時間尿カルシウムレベルの適度の増加から明らかであり、その化合物が腸カルシウム吸収を増大することを確認し、また血清オステオカルシンレベルの増大から明らかであり、その化合物が骨芽細胞を刺激することを示す。
【0033】
実施例12:閉経期後の骨多孔症の婦人における骨質量損失の予防処置
臨床研究を55〜75才の年齢を有する閉経期後の骨多孔症の外来患者で行なう。その研究は三つの治療グループにランダムに分けられた120人までの患者を伴い、24〜36ヶ月続く。治療グループのうちの二つは1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の一定用量(u.i.d.;1.0μg/日以上の2種の異なる用量レベル)を受け、他のグループはマッチング偽薬を受ける。全ての患者は食事カルシウムの通常の摂取(500〜800mg/日)を維持し、カルシウムサプリメントを使用することを控える。効力を(a)全生体カルシウム保持、及び(b)二重光子吸収法(DPA)又は二重エネルギーX線吸収法(DEXA)により測定されるような撓骨及び椎骨ミネラル密度に関して患者グループの治療前後の比較により評価する。安全性を尿ヒドロキシプロリン排泄、血清及び尿のカルシウムレベル、クレアチニンクレアランス、血液尿素窒素、及びその他のルーチン測定の比較により評価する。
結果は1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2で治療した患者が偽薬で治療された患者に対し有意に高い全生体カルシウム、並びに撓骨及び椎骨密度を示すことを示す。監視された安全性パラメーターは高カルシウム血症もしくは高カルシウム尿症、又は1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2治療によるその他の代謝の乱れのわずかな発生を確かめる。
【0034】
実施例13:閉経期後の骨損失の予防
臨床研究を55〜60才の健康な閉経期後の婦人で行なう。その研究は二つの治療グループにランダムに分けられた80人までの患者を伴い、24〜36ヶ月続く。一つの治療グループは1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の一定用量(u.i.d.;1.0μg/日以上の用量レベル)を受け、他のグループはマッチング偽薬を受ける。その研究を上記実施例2に示されたように行なう。
結果は1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2で治療された患者が基準線値に対し全生体カルシウム、撓骨又は椎骨密度の低減された損失を示すことを示す。対照的に、偽薬で治療された患者は基準線値に対しこれらのパラメーターのかなりの損失を示す。監視された安全性パラメーターはこの用量レベルにおける長期の1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2投与の安全性を確かめる。
実施例14:慢性血液透析患者における高カルシウム血症及び得られる代謝性骨疾患の処理
12ヶ月の二重盲検の偽薬対照臨床試験を慢性血液透析を受けている腎臓疾患を有する30人の男性及び婦人で行なう。全ての患者が8週のコントロール期間(その時間中に、彼らはビタミンD3の維持用量(400IU/日)を受ける)に入る。このコントロール期間後に、患者を二つの治療グループにランダム化する:一つのグループは1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の一定用量(u.i.d.;3.0μg/日より大きい用量)を受け、他のグループはマッチング偽薬を受ける。両方の治療グループはビタミンD3の維持用量を受け、食事カルシウムの通常の摂取を維持し、カルシウムサプリメントを使用することを控える。効力を(a)腸カルシウム吸収の直接測定、(b)全生体カルシウム保持、(c)撓骨及び椎骨ミネラル密度、又は(d)血清カルシウムの測定に関して二つの患者グループの治療前後の比較により評価する。安全性を血清カルシウムの規則的な監視により評価する。
臨床データの分析は1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2が二重同位元素技術を使用する直接測定により測定して腸カルシウム吸収を有意に増大することを示す。この化合物で治療された患者は基準線値に対し標準化された血清カルシウムレベル、全生体カルシウムについて安定な値、並びに安定な撓骨及び椎骨密度を示す。対照的に、偽薬で治療された患者は頻繁な高カルシウム血症、全生体カルシウム並びに撓骨及び椎骨密度のかなりの低下を示す。高カルシウム血症のわずかな発生が治療グループで観察される。
【0035】
薬物製剤
実施例15
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2 1.0mgをアーモンド油1gに溶解することにより局所クリームを調製する。この溶液に、鉱油40g及び自己乳化性蜜蝋20gを添加する。その混合物を加熱して液化する。熱水40mlの添加後に、混合物を良く混合する。得られるクリームはクリーム1g当り約10μgの1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含む。
実施例16
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2 1.0mgをアーモンド油30gに溶解することにより軟膏を調製する。この溶液に、液化されるのに充分に温められた白色軟質パラフィン70gを添加する。軟膏を良く混合し、冷却する。この軟膏は軟膏1g当り約10μgの1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含む。
実施例17
実施例14の軟膏に、充分に混合しながらアデノシン0.5g及びパパベリンベース2.0g(両方とも、最小量のジメチルスルホキシドに溶解された)を添加する。追加の成分は約0.5重量%(アデノシン)及び2重量%(パパベリンベース)の程度まで存在する。
実施例18
実施例14の軟膏に、充分に混合しながら最小量の植物油に溶解された10,000UのビタミンAを添加する。得られる軟膏は軟膏1g当り約100UのビタミンAを含む。
【0036】
実施例19
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2 1.0mgを乾燥プロピレングリコール100gに溶解することにより皮膚ローションを調製する。ローションを冷蔵庫中で褐色びん中に貯蔵し、これはローション1g当り約10μgの1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含む。
実施例20
アーモンド油1gに1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2 0.2mgを溶解する。その溶液に、鉱油40g及び自己乳化性蜜蝋20g、続いて熱水40mlを添加する。その混合物を良く混合してクリーム1g当り約2.0μgの1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含む化粧クリームを生成する。
実施例21
実施例18記載の化粧クリームに、アデノシン100mgを添加する。そのクリームを良く混合し、これは約0.1重量%のアデノシンを含む。
実施例22
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2 100μgをアーモンド油30gに溶解することにより軟膏を調製する。こうして生成された溶液に、液化されるのに充分に温められた白色軟質パラフィン70gを添加する。軟膏を良く混合し、冷却する。こうして生成された軟膏は軟膏1g当り約1.0μgの1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含む。
実施例23
実施例18の化粧軟膏に、充分に混合しながら最小量の植物油に溶解されたビタミンA200U/gを添加する。
実施例24
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2 300μgを乾燥プロピレングリコール100gに溶解することにより化粧ローションを調製する。ローションを冷蔵庫中で褐色びん中に貯蔵し、これはローション1g当り約3.0μgの1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含む。
【0037】
実施例25:皮膚学的試験
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含む組成物を皮膚炎(接触性及び転位性)の局所治療における組成物の治療効力について評価する。評価された組成物はペトロラツム-アーモンド油ベース中の軟膏1g当り10μgの1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含む軟膏である。対照組成物はそれが活性薬剤1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含まない以外は同じである。患者を外来患者診療所で治療する。彼らに1日2回その製剤を使用するように指示する。
軟膏をできる限り単一病変、又は疾患の領域に適用する。軟膏及びその容器を治療が始まる前に計量し、治療の終了時に再計量のために使用されない内容物とともに戻す。
治療される病変の面積を推定し、記録し、病変を好適な“対照”病変と一緒に必要に応じて写真撮影する。後者は治療される病変付近又は対称の対側性の、発生の同様のサイズ及び段階の病変であることが好ましい。写真操作の妥当な詳細は病変が次に写真撮影される場合に再現されるように記録される(距離、アパーチャ、角度、バックグラウンド等)。軟膏を毎日2回適用し、好ましくは回収されないで残される。“対照”病変は治療されないで残されるが、これが可能ではない場合には、それらについて使用される治療が書き留められる。
紅斑、スケーリング、及び厚さの評価を医師により週間隔で行ない、病変の重度は0から3までの範囲であった。最終評価を通常治療の4〜6週の終了時に行なう。1α,24(S)-(OH)2D2で治療されたこれらの病変は対照病変よりも低いスコアーを有する。高カルシウム血症のわずかな発生がまた観察される。
実施例26:表皮細胞分化及び増殖試験
ヒトケラチノサイトをRheiwald及びGreenにより最初に記載された系の既知の改良(Cell, 6巻, 331頁(1975))に従って培養する。エタノールに溶解した1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を細胞に添加して0.05〜5μg/mlの種々の濃度を得、エタノール濃度は0.5%v/vを超えない。対照培養物に0.5%v/vの最終濃度のエタノールを補給する。培養中の表皮細胞の分化及び増殖を
1. 角質化されたエンベロープの定量;
2. ディスクに取り付けられた細胞の細胞密度の定量;
3. トランスグルタミナーゼ活性の監視;又は
4. 3H-チミジンのとり込みによるDNA合成の監視
により調べる。
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2とともにインキュベートされた培養物は対照培養物よりも多い角質化されたエンベロープ、少ない付着された細胞、高いトランスグルタミナーゼ活性、及び低いDNA合成を有する。
本発明が今或る種の特異性でもって記載され、例示されたが、当業者は変化、付加、及び省略を含む、種々の改良(これらは記載されたものになされてもよい)を認めるであろう。それ故、これらの改良はまた本発明により含まれること及び本発明の範囲は特許請求の範囲と法律上一致し得る最も広い解釈のみにより限定されることが意図されている。
【0038】
実施例27:HL-60細胞分化アッセイにおける1α,24(S)-(OH)2D2の活性
用量-応答研究をDeLuca及びOstromにより記載されたHL-60細胞分化アッセイ(DeLuca, H.F.及びOstrem, V.K., Prog. Clin. Biol. Res., 259巻, 41-55頁(1988))で1α,24(S)-(OH)2D2を用いて行なう。この研究において、1α,25-(OH)2D3を陽性対照として使用し、また適当な溶媒を陰性対照として使用する。下記の変数を評価する:非特異性酸エステラーゼ活性、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)還元、及びチミジンとり込み。結果は1α,24(S)-(OH)2D2が単球へのHL-60前骨髄球の分化を促進する際に強力な活性を有することを示す。
実施例28:ヒト癌細胞系における1α,24(S)-(OH)2D2の抗増殖活性
用量-応答研究をヒト癌細胞系のバッテリーにおいて1α,24(S)-(OH)2D2を用いて行なう。これらの細胞系として、下記のものが挙げられるが、これらに限定されない:Shieh, H.L.ら, Chem. Biol. Interact., 81巻, 35-55頁(1982)により記載されたようなBCA-1又はZR-75-1(乳癌)及びCOL-1(結腸癌)。この研究において、適当な溶媒を陰性対照として使用する。結果は1α,24(S)-(OH)2D2がチミジンとり込みの抑制により判断して強力な(かつ可逆性の)抗増殖活性を有することを示す。
【0039】
実施例29:化学安定性試験
結晶性又は粉末1α,24-ジヒドロキシビタミンD2約5mgのサンプルを5mlのメスフラスコに夫々入れた。フラスコを熱及び光の変化の同じ環境条件に暴露した。熱及び光はビタミンD化合物の保全性に悪影響すると公知の環境パラメーターである。
1週間の時間後に、フラスコの内容物を目視で調べた。粉末標本は結晶性標本と較べて色がわずかに黄色であることが明らかであった。エタノール5mlを夫々のサンプルに添加し、夫々の標本を溶解した。これらの溶液を200〜320nmの紫外線吸収について分析した。同じ濃度でエタノールに溶解され、同じ時間期間にわたって冷蔵庫中に貯蔵された参考標準1α,24-ジヒドロキシビタミンD2を同様に分析した。
参考標準1α,24-ジヒドロキシビタミンD2はビタミンD構造のトリエン官能基に特徴的な紫外線スペクトル、即ち、265nmのλmax及び228nmのλminを示した。結晶性標本は265nmの特徴的なλmax及びλmin 228nmを保持した。対照的に、粉末標本は255nmのλmax及び228nmのλminを有し、別の実体への変換が生じたことを示す。265nmにおける吸収はベールの法則に従って濃度と線形である。参考標準は吸収の100%、ひいてはその濃度の100%を保持した。熱及び光に暴露された結晶性標本は吸収の93%を保持した。対照的に、粉末標本は初期の吸収/濃度のほんの45%を保持した。
また、結晶性及び粉末1α,24-ジヒドロキシビタミンD2のエタノール溶液を下記の条件下で高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。
ノバパックC18カラム: 3.9mm x 15cm
移動相: 50:50の水:アセトニトリル
流量: 0.5ml/分
検出: 265nmでフォトダイオードアレイ
psi: 1310
注入容積: 10μL
参考標準及び結晶性1α,24-ジヒドロキシビタミンD2のHPLCトレースは同じであり、標準のUV吸収物質の96%が1α,24-ジヒドロキシビタミンD2であり、また結晶性物質の95%が1α,24-ジヒドロキシビタミンD2であった。これらのデータは結晶性1α,24-ジヒドロキシビタミンD2を熱及び光に暴露した後に化合物の88%以上が無傷で残ったことを実証する。
一方、粉末1α,24-ジヒドロキシビタミンD2のHPLC分析はUV吸収物質のほんの78%が化合物のほんの35%の全保持について1α,24-ジヒドロキシビタミンD2であることを示した。HPLCトレース中の1α,24-ジヒドロキシビタミンD2に関するピーク面積の重量を基準とする標準化は参考標準の構造の100%保持、結晶性標本の93%及び粉末標本の23%を示した。1α,24-ジヒドロキシビタミンD2の保持時間より小さい保持時間を有する二つのHPLCピークが粉末標本で明らかであったが、参考標本又は結晶性標本では明らかではなかった。
これらのデータは粉末1α,24-ジヒドロキシビタミンD2と較べて環境に暴露された結晶性1α,24-ジヒドロキシビタミンD2の驚くべき安定性を実証する。
【0040】
実施例30:1α,24-(OH)2D2の結晶性形態vs粉末形態のビタミンD受容体結合アッセイ
ビタミンD受容体(VDR)に対する、環境に暴露された化合物、結晶性1α,24-ジヒドロキシビタミンD2及び粉末1α,24-ジヒドロキシビタミンD2の結合アフィニティーを、例えば、実施例6に記載されたような当業界で知られている方法を使用して評価した。結晶性1α,24-ジヒドロキシビタミンD2の結合アフィニティーは参考標準1α,24-ジヒドロキシビタミンD2のそれとほぼ同じであり、一方、粉末形態はかなり小さいことがわかった。化合物の結合%vs量(pg/管)を図5にグラフ化する。
図5に見られるように、受容体からの3H-1α,25-ジヒドロキシビタミンD3の同じ置換を生じるのに必要とされる結晶性1α,24-ジヒドロキシビタミンD2の濃度は標準1α,24-ジヒドロキシビタミンD2について必要とされる濃度と実際に同じであり、一方、同じ条件に暴露された粉末形態は25%未満を有する。標準及び結晶性物質に関するED50(結合された3H-1α,25-ジヒドロキシビタミンD3の50%を置換する物質の量)は約10pg/管であり、粉末物質に関するED50は約40pg/管である。これらのデータは環境条件に暴露された粉末形態がかなり低い生物活性を有することを実証する。換言すれば、結晶性形態は白色粉末形態よりも環境暴露後に一層生物活性の物質を保持する。
【0041】
実施例31:細胞増殖の抑制
Skowronskiら, 132 Endocrinology (1993) 1952-1960及び136 Endocrinology (1995) 20-26(これらの両方が参考として本明細書に含まれる)の技術を使用して、細胞増殖の抑制を実証する。細胞系、LNCaP及びPC-3(これらはヒト前立腺癌に由来する)を約50,000細胞/プレートの密度で6ウェル組織培養プレートに接種する。細胞が付着し、安定化した後(約2-3日)、培地に10-11M〜10-7Mの濃度のビヒクル又は活性ビタミンD類似体を含む培地を補給する。試験類似体又はビヒクルを含む培地を3日毎に交換する。6-7日後に、培地を除去し、細胞をすすぎ、冷たい5%トリクロロ酢酸で沈殿させ、冷エタノールで洗浄する。細胞を0.2N水酸化ナトリウムで可溶化し、DNAの量を通常の操作により測定する。結果は本発明に従って1α,24-(OH)2D2とともにインキュベートされた培養物が対照培養物よりも有意に少ない細胞を有することを示す。
実施例32:細胞分化
Skowronskiら, 132 Endocrinology (1993) 1952-1960及び136 Endocrinology (1995) 20-26(これらの両方が参考として本明細書に含まれる)の技術を使用して、細胞系、LNCaP(これはヒト転移性前立腺癌に由来し、PSAを発現することが知られている)の細胞を約50,000細胞/プレートの密度で6ウェル組織培養プレートに接種する。細胞が付着し、安定化した後(約2-3日)、培地に10-11M〜10-7Mの濃度のビヒクル又は活性ビタミンD類似体、1α,24-(OH)2D2を含む培地を補給する。6-7日後に、培地を除去し、前立腺特異性抗原(PSA)分析のために-20℃で貯蔵する。
平行培養物からの細胞をすすぎ、沈殿させ、DNAの量を通常の操作により測定する。PSAを通常の既知の方法により測定する。1α,24-(OH)2D2とともにインキュベートされた培養物はPSAの質量/細胞として表される場合に対照培養物よりも有意に多いPSAを有する。
【0042】
実施例33:癌の一般的な治療
既知のビタミンD受容体陽性腫瘍(例えば、前立腺、胸部、肺、結腸もしくは膵臓の腺癌、又は膀胱の移行細胞癌腫、或いはメラノーマ)を有する患者が1α,24(S)-(OH)2D2の開放ラベル研究に参加する。患者を治療前に低減されたカルシウム食に置いて、腸吸収を最小にし、1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の更に一層多い用量を可能にすることを助ける。この低減されたカルシウム食は治療の期間にわたって、また1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の最後の投薬後1週間にわたって続けられてもよい。その食事は理想的には毎日のカルシウム摂取を400-500mgに制限する。また、患者はビタミンサプリメント又はビタミンD置換療法の使用を中止する。また、夫々の患者に通常の摂取よりも多い液体の4-6杯を飲むように依頼して適切な口の水和を確実にする。
夫々の被験者を(1)高カルシウム血症、高リン酸塩血症、高カルシウム尿症、高リン酸塩尿症及びその他の毒性、(2)転移性疾患の進行の変化の証拠、及び(3)規定された試験薬物用量とのコンプライアンスについて規則的な間隔で監視する。
投薬養生は24ヶ月にわたって毎日10μg又は20μg〜約100μg/日の毎日の用量基準である。また、非毎日の投薬養生、例えば、隔日に与えられる40μg、週1度与えられる100μgが使用し得る。投与の経路は経口から静脈内まで、また位置送出(例えば、門脈を介する、動脈注入)まで変化し得る。勿論、経口が最も容易かつ最もコスト有効な経路である。位置送出は高用量を可能にし、一般に高カルシウム血症の発生を回避する。しかし、本発明の化合物の場合、その化合物は実質的に低カルシウム血性である。
治療の18ヶ月後に、CAT、スキャン、X線及び骨スキャンが低用量で治療された多くの患者の転移性疾患又は部分緩解の進行、そして高用量で治療された多くの患者の安定な疾患及び部分又は完全緩解を評価するのに使用される。
【0043】
実施例34:前立腺癌の治療
進行したアンドロゲン非依存性前立腺癌を有する患者が1α,24-(OH)2D2の開放ラベル研究に参加する。適格の患者は少なくとも40才の年齢であり、前立腺の腺癌の履歴的証拠を示し、一種以上のホルモン介入に既に応答していた進行性疾患を呈する。研究への許可時に、患者は26週続く経口の1α,24-(OH)2D2による治療の過程を開始し、その間にカルシウムサプリメント、ビタミンDサプリメント、及びビタミンDホルモン置換療法の先の使用を中止する。治療中に、患者を(1)高カルシウム血症、高リン酸塩血症、高カルシウム尿症、高リン酸塩尿症及びその他の毒性、(2)転移性疾患の進行の変化の証拠、及び(3)規定された試験薬物用量とのコンプライアンスについて規則的な間隔で監視する。
研究を二つのフェーズで行なう。第一フェーズ中、次第に高い用量を患者の連続のグループに投与することにより毎日の経口の1α,24-(OH)2D2の最大の寛容用量(MTD)を測定する。全ての用量を朝食前に朝に投与する。患者の第一グループを25.0μg/日の1α,24-(OH)2D2で治療する。患者のその後のグループを50.0、75.0及び100.0μg/日で治療する。血清カルシウムが11.6mg/dlを越えない限り、又は等級3もしくは4(NCI共通毒性基準)のその他の毒性が観察されない限り、投薬を研究の期間にわたって中断しないで続け、その場合、投薬を観察される一種以上の毒性作用の消散まで機能停止に保ち、次いで10.0μgだけ減少されたレベルで再開する。
研究の第一フェーズからの結果は1α,24-(OH)2D2に関するMTDが1α,25-(OH)2D3で得られるよりも10〜40倍高いレベルである、20.0μg/日より上であることを示す。参加する患者から規則的な間隔で集められたサンプルの分析は循環1α,24-(OH)2D2のレベルが投与される用量と比例して増大し、最高用量で100pg/mlより良く上の最高レベルまで上昇すること、及び1α,25-(OH)2D3の循環レベルがしばしば検出できないレベルまで下げられることを明らかにする。血清及び尿のカルシウムが用量応答様式で上昇される。少なくとも6ヶ月にわたって1α,24-(OH)2D2のMTDで治療された患者は転移性疾患と関連する骨の痛みが有意に軽減されると報告する。
第二フェーズ中に、患者を24ヶ月にわたってMTDの0.5倍及び1.0倍で1α,24-(OH)2D2で治療する。治療の1年及び2年後に、転移性疾患の進行を評価するために使用されたCATスキャン、X線及び骨スキャンが低用量で治療された多くの患者で安定な疾患又は部分緩解を示し、また高用量で治療された多くの患者で安定な疾患及び部分又は完全緩解を示す。
【0044】
実施例35:メラノーマの治療
実施例33及び実施例34の方法を使用して、例えば、顎の転移性悪性メラノーマを有する患者を治療する。治療の18ヶ月後に、転移性疾患の進行は安定な疾患又は部分緩解を示す。
実施例36:網膜芽細胞腫の治療
実施例33及び実施例34の方法を使用して転移性網膜芽細胞腫を有する患者を治療する。治療の18ヶ月後に、転移性疾患の進行は安定な疾患又は部分緩解を示す。
実施例37:肝臓癌の治療
実施例33及び実施例34の方法を使用して肝細胞癌を有する患者を治療する。本発明の化合物の位置送出、即ち、動脈注入による位置送出を使用する。治療の18ヶ月後に、転移性疾患の進行は安定な疾患又は部分緩解を示す。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】24-ヒドロキシビタミンD2の合成のための調製工程を示す。
【図2】24-ヒドロキシビタミンD2で開始する1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の合成のための調製工程を示す。
【図3】生物学的1α,24-ジヒドロキシビタミンD2並びに合成1α,24-ジヒドロキシビタミンD2のRエピマー及びSエピマーの逆相高圧液体クロマトグラフィープロフィールである。
【図4】1α,24(S)-(OH)2D2及び1α,24(R)-(OH)2D2の相対結合アフィニティーを示すグラフである。
【図5】結晶性1α,24-(OH)2D2及び粉末1α,24-(OH)2D2の相対結合アフィニティーを示すグラフである。
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は米国特許出願第09/211,991号、現在の米国特許第6,251,883号(これは米国特許出願第08/515,801号(これは1991年1月8日に出願された米国特許出願第07/637,867号の一部継続出願、及び1992年1月7日に出願された国際特許出願PCT/US92/00313である)米国特許出願第07/940,246号の継続出願である米国特許第08/275,641号の継続出願である)の一部継続出願であり、これは米国の“連邦支援研究又は開発に関する記載”を適用し得ないことをを指定した。
本発明はホルモン活性の、天然代謝産物1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2並びにこの代謝産物及び非生物学的エピマー1α,24(R)-ジヒドロキシビタミンD2の調製方法に関する。また、本発明は医薬上有効量の1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含む医薬組成物、医薬上有効量のその化合物を投与することによる異常なカルシウム代謝の調節方法、及びその化合物を投与することによる異常増殖性疾患の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビタミンD及びその活性代謝産物は動物及びヒトのカルシウム代謝を調節するのに重要であることが知られている。動物及びヒトのビタミンDの天然産形態はビタミンD3である。ヒトを含む動物では、ビタミンD3は肝臓中でC25位でヒドロキシル化され、続いて腎臓中で1α-ヒドロキシル化により活性化されてホルモン1α,25-ジヒドロキシビタミンD3〔“1α,25-(OH)2D3”〕を生成することが示されていた。米国特許第3,880,894号を参照のこと。ビタミンD3代謝産物、25-ヒドロキシビタミンD3及び1α,25-(OH)2D3の異化作用の主要な生理学的経路はC24-酸化により開始される。Holick, M.F., Kleiner-Bossallier, A., Schnoes, H.K., Kasten, P.M., Boyle, I.T.及びDeLuca, H.F., J. Biol. Chem., 248, 6691-6696 (1973)を参照のこと。
一方、ビタミンD2は植物中に見られるビタミンDの主要な、天然産形態である。ビタミンD2はビタミンD2がC24にメチル基を有し、C22とC23の間に二重結合を有する点でビタミンD3とは構造上異なる。
それらの発見後直ぐに、ビタミンD3及びビタミンD2は等しくなくても同様の生物活性を有することが明らかと考えられた。また、ビタミンD2の代謝(即ち、活性化及び異化作用)はビタミンD3と同じであると普通に考えられていた。ハリソンの内部薬物の原理:パート7、“骨の疾患及びミネラル代謝:35章”, E. Braunwald, K.J. Isselbacher, R.G. Petersdorf, J.D. Wilson, J.B. Martin及びH.S. Fauci(編集), カルシウム、リン及び骨代謝:カルシウム調節ホルモン, McGraw-Hill, New York, 1860-1865頁を参照のこと。これに関して、ビタミンD2の活性形態は1α,25-ジヒドロキシビタミンD2〔“1α,25-(OH)2D2”〕であると考えられる。更に、25-ヒドロキシビタミンD2及び1α,25-(OH)2D2の24-ヒドロキシ誘導体、即ち、24,25-ジヒドロキシビタミンD2及び1α,24,25-トリヒドロキシビタミンD2が知られており、ビタミンD3のように、ビタミンD2の異化作用が同じC24酸化工程により進行することを示唆する。Jones, G., Rosenthal, D., Segev, D., Mazur, Y., Frolow, F., Halfon, Y., Robinavich, D.及びShakked, Z., Biochemistry, 18:1094-1101 (1979)を参照のこと。
【0003】
しかしながら、ビタミンD2の活性類似体、1α-ヒドロキシビタミンD2〔“1α-(OH)D2”〕はそのビタミンD3相当物、1α-ヒドロキシビタミンD3〔“1α-(OH)D3”〕により示される薬理学的性質とは明らかに異なる薬理学的性質を有することが最近わかった。米国特許第5,104,864号は1α-(OH)D2が2.0μg/日以上の用量で投与された場合にヒトの骨多孔症患者の骨物質の損失を反転することを開示している。毒性のために、2.0μg/日以上の用量レベルは1α-(OH)D3では安全に得られない。
このような特有の薬理学的性質はヒトに投与された薬理学的用量の1α-(OH)D2が生物学的に活性な1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2〔“1α,24(S)-(OH)2D2”〕に一部代謝されるという本発明者らの発見により完全に、又は一部説明し得る。以下に更に詳しく説明されるように、1-ヒドロキシル化ビタミンD2分子の24位の炭素におけるヒドロキシル化は、ビタミンD2分子に特別な活性化経路に相当する。
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD3及び1α,24(R)-ジヒドロキシビタミンD3〔“1α,24(R/S)-(OH)2D3”〕は化学合成されたが(米国特許第4,022,891号)、いずれもが生物学的系中に見られる天然化合物であることは実証されていなかった。更に、本発明者らは1α,24(S)-(OH)2D2が1α,24(R/S)-(OH)2D3により示される生物活性とは明らかに異なる生物活性を有することを発見した。例えば、Ishizukaらは1α,24(R)-(OH)2D3が1,25-(OH)2D3それ自体よりも一層しっかりと1,25-(OH)2D3受容体部位を結合することを見出した。Ishizuka, S., Bannai, K., Naruchi, T.及びHashimoto, Y., Steroids, 37:1,33-42 (1981); Ishizuka, S., Bannai, K., Naruchi, T.及びHashimoto, Y., Steroids, 39:1,53-62 (1982)を参照のこと。同様のアッセイを使用して、本発明者らは1α,24(S)-(OH)2D2が1,25-(OH)2D3よりも1,25-(OH)2D3受容体部位を結合するのに2倍競合的ではないことを発見した。また、本発明者らは1α,24(S)-(OH)2D2がビタミンD血清結合タンパク質に対する比較的不十分な結合アフィニティーを示すことを見出し、これは低毒性を示すかなり短い半減期の証拠である。
【0004】
本発明者らは1α-(OH)D2投与されたヒト中の循環1α,24(S)-(OH)2D2の存在を実証した。これは動物及びヒトでは、ビタミンD2が1α,25-(OH)2D2及び1α,24(S)-(OH)2D2の両方に自然に代謝されることを示す。2種のビタミンD2ホルモンの相対比は前駆体及びC24経路に提示される前駆体の量に応じて変化することが明らかである。こうして、1α-(OH)D2の用量が増大されるにつれて、1α,24(S)-(OH)2D2対1α,25-(OH)2D2の比が増大することが明らかである。
以下に更に詳しく示されるこれらの結果は、1α,24(S)-(OH)2D2が低毒性とともに高い生物活性の望ましい特性を有することを示す。薬理学的レベルの1α-(OH)D2が投与される場合に1α,24(S)-(OH)2D2が重要な代謝産物であるという事実は1α,24(S)-(OH)2D2が1α-(OH)D2の望ましい薬理学的作用を媒介しているかもしれず、カルシウム代謝を伴う種々の型の疾患を治療するのに有益な治療薬であることを示す。
過去20年間の広範な研究がまた骨及びミネラル代謝におけるその古典的役割とは別にしてビタミンDについての重要な生物学的役割を証明していた。ビタミンDのホルモン活性形態である1α,25-ジヒドロキシビタミンD3に特異性の核受容体は、カルシウムホメオスタシスに関係しない多様な器官からの細胞中に存在する。例えば、特異性の、生物活性のビタミンD受容体がヒト前立腺癌細胞系、LNCaP中で実証されていた(Millerら, 52 Cancer Res. (1992) 515-520)。ビタミンD受容体はまた多くのその他の腫瘍細胞、例えば、胸部及び結腸の癌腫について記載されていた。
或る種のビタミンD化合物及び類似体は強力な抗増殖薬及び前分化(prodifferentiative)薬であることが実証されていた。例えば、Sudaらに発行された米国特許第4,391,802号は1α-ヒドロキシビタミンD化合物、特に1α,25-ジヒドロキシビタミンD3及び1α-ヒドロキシビタミンD3が非悪性マクロファージ(単球)への悪性細胞(特に白血病細胞)の分化を誘発するために強力な抗白血病活性を有し、白血病の治療に有益であることを開示している。1α,25-ジヒドロキシビタミンD3及びその他のビタミンD3類似体の抗増殖作用及び分化作用がまた前立腺癌細胞系に関して報告されていた。更に最近、ビタミンD受容体遺伝子多形と前立腺癌リスクの間の関連が報告されており、ビタミンD受容体が前立腺癌の発生、及び可能な治療に役割を有し得ることを示唆していた。
これらの先の研究は専らビタミンD3化合物に集中していた。たとえこれらの化合物が培養中の悪性細胞における分化を促進するのに高度に有効であり得るとしても、抗癌剤としての分化治療におけるそれらの実用的な使用はカルシウム代謝に影響する薬剤としてのそれらの同等に高い効力のためにひどく制限される。例えば、抗白血病薬としての有効な使用についてin vivoで必要とされるレベルでは、これらの同化合物はそれらの固有のカルシウム血活性のために著しく上昇され、かつ潜在的に危険な血液カルシウムレベルを誘発し得る。即ち、抗癌剤としての1α,25-ジヒドロキシビタミンD3及びその他のビタミンD3類似体の治療使用は高カルシウム血症及び高カルシウム尿症を含むそれらの副作用により排除され、又はひどく制限される。これは一層大きい特異的活性及び作用の選択性を有する化合物、即ち、抗増殖効果及び前分化効果を有するが、低いカルシウム血活性を有するビタミンD化合物に対する要望を示す。このような化合物は“低カルシウム血”ビタミンD化合物である。このような化合物に対する要望は腫瘍性疾患及び異常増殖性疾患の治療におけるよりも大きくない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はビタミンD2の生物学的に生成された活性形態である合成1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2〔1α,24(S)-(OH)2D2〕を提供する。その生物学的形態はまた1α,24(S)-ジヒドロキシエルゴカルシフェロールと称されてもよく、以下に示される構造により表される。その化合物の生物学的形態は強力な生物活性及び迅速な全身クレアランスを有し、低毒性を示す。
また、本発明はエルゴステロールを出発物質として使用し、24-ヒドロキシビタミンD2を生成し、次いで24-ヒドロキシ化合物を1α-ヒドロキシル化し、1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2エピマーを1α,24(R)-ジヒドロキシビタミンD2エピマーから分離することを伴う1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の新規な製造方法を含む。この合成の過程で、新規中間体がまた生成される。更に、1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の結晶形態は驚くべき安定性及びその化合物の白色粉末形態よりも良好な生物活性を有することがわかった。
【0006】
本発明の化合物はビタミンD欠乏及び種々の骨消耗疾患を特徴とする種々の疾患の治療、特に、高カルシウム血症又は高カルシウム尿症の同時発生を生じない治療に有益である。本発明の化合物はビタミンD欠乏病のため、骨物質の損失又はこのような損失を発生する素因があるヒトの骨ミネラル含量の反転又は防止のため、また腎性骨異常形成を患っているヒトの骨密度の安定化のための医薬組成物の活性成分として有利に使用される。
また、本発明の化合物は或る種の皮膚疾患の治療のための局所及び経口の薬剤として有益である。本発明の化合物は、例えば、皮膚疾患を回復し得るその他の薬剤をまた含んでもよい局所組成物中の活性成分として有利に使用される。
また、本発明の化合物は癌及びその他の異常増殖性疾患の治療における抗増殖薬及び前分化薬として有益である。
本発明のその他の利点並びに特別な適合、組成物の変化、並びに物理的及び化学的特性の一層良い理解が添付図面と一緒にされた、下記の本発明の詳細な記載の吟味後に得られるであろう。
本発明が以下に添付図面と一緒に記載され、図中、同様の表示は図中の同様の要素を表す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書に使用される“生物活性”、“生物学的に活性な”、“生物活性の”、又は“生物潜在能の”という用語は代謝に影響し、例えば、血清カルシウム濃度に影響し、又は適当な受容体タンパク質に結合し、例えば、ビタミンD受容体タンパク質に結合するような化合物の生化学的性質を表すことを意味する。化合物又は物質に関する“実質的に純粋な”という用語は少なくとも90%の純度を意味する。
ビタミンDに関する“活性な”又は“活性化された”という用語はC1位、C25位又はC24位の少なくとも一つでヒドロキシル化されているビタミンD化合物を表す。
本発明の局面の一つにおいて、本発明は式(I):
【0008】
【化1】
【0009】
の生物学的に活性な化合物、即ち、1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含む。
別の局面において、本発明は1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の調製に関する。1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の合成は図1及び2に示されたスキームに従って行なわれる。以下、24-ヒドロキシ化合物について言及される場合、特にことわらない限り、その化合物はR形態及びS形態のエピマー混合物であることが推定されるであろう。図1に見られるように、その合成はエルゴステロールを出発物質として使用する。エルゴステロールは5工程方法により24-ヒドロキシエルゴステロール(5,7,22エルゴスタトリエン-3β,24-ジオール(7))に変換される。次いでその24-ヒドロキシエルゴステロールが当業界で公知の方法により照射され、熱変換されて24-ヒドロキシビタミンD2を生じる。図2に見られるように、24-ヒドロキシビタミンD2がその後にPaarenら, J. Org. Chem., 45巻, 3253頁(1980)に記載された操作と同様の操作を使用して5工程方法でヒドロキシル化されて1α,24-ジヒドロキシビタミンD2を生じ、これからエピマーが分離される。
【0010】
詳しくは、エルゴステロールがアセチル化されて3β-アセテート(2)を生成する。次いで付加物(3)がチリアゾリンジオンとの3β-アセテートの反応によりエルゴステロール構造のB環で生成される。次いで付加物(3)がオゾン処理されて側鎖をトランケートしてC-21アルデヒド(4)を生成する。側鎖が適当なケト化合物との得られるアルデヒドの反応により再度確立されて24-エノン(5)を生じる。次いでエノンが24-メチル,3β,24-ジヒドロキシ付加物(6)に変換される。次いでこの付加物が水素化リチウムアルミニウムと反応させられて付加物を脱保護し、24-ヒドロキシエルゴステロール(7)を生じる。次いで24-ヒドロキシエルゴステロールが照射され、熱処理されて24-ヒドロキシビタミンD2を生成する。次いで24-ヒドロキシビタミンD2がトシル化されて24-ヒドロキシビタミンD2の3β-トシレートを生じる。トシレートが加溶媒分解により置換されて6-メトキシ-24-ヒドロキシ-3,5-シクロビタミンD2を生じる。シクロビタミンD2がアリル酸化にかけられて1α,24-ジヒドロキシシクロビタミン誘導体を生成する。1α,24-ジヒドロキシシクロビタミン誘導体が逐次加溶媒分解され、ディールス-アルダー型反応にかけられ、これが6-メトキシ基を除去し、1α,24-ジヒドロキシビタミンD2(5,6シス)を5,6トランス1α,24-ジヒドロキシビタミンD2から分離する。
1α,24-(OH)2D2が逆相高圧液体クロマトグラフィーにかけられて2種のエピマーを分離し、本発明のエピマー形態、1α,24(S)-(OH)2D2を回収する。
本発明の化合物は種々の臨床分野及び獣医分野に適用可能であり、カルシウム及びリンの異常な代謝の治療に特に有益である。詳しくは、1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2は、例えば、オステオカルシン(osteocalcin)の血清レベルにより測定されるように骨芽細胞活性を刺激するのに使用されることが意図されている。オステオカルシンは骨基質中の重要なタンパク質の一種である。1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2は1,25-(OH)2D3よりも弱くビタミンD血清結合タンパク質に結合し、迅速なクレアランス及び低毒性を示し、これがその医薬特性を増進する。
更なる局面において、本発明は、例えば、肝臓不全、腎不全、胃腸不全等により生じた異常なカルシウム代謝を治療するためのようなカルシウム代謝の調節方法に関する。1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2はビタミンD欠乏症及び関連疾患、例えば、腎性骨形成異常、脂肪便、鎮痙薬骨軟化、低リン酸塩血ビタミンD耐性くる病、骨多孔症(閉経期後の骨多孔症、老人性骨多孔症、ステロイド誘発骨多孔症、及び骨物質の損失を特徴とするその他の症状を含む)、偽欠乏(ビタミンD依存性)くる病、栄養性及び吸収性くる病、上皮小体機能減退、術後上皮小体機能減退、突発性甲状腺機能低下、偽上皮小体機能低下、及びアルコール中毒に二次的な骨軟化及びオステオペニアを予防的又は治療的に処置するのに使用し得る。
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2はまた異常増殖性皮膚疾患、例えば、乾癬、湿疹、適度の皮膚の硬さの欠如、皮膚水和、及び皮脂分泌の治療に有益である。
【0011】
更に、式(I)の化合物は乳癌及び結腸癌だけでなく、その他の腫瘍、例えば、膵臓癌、子宮内膜癌、肺の小細胞癌及び非小細胞癌(扁平上皮細胞型、腺癌型及び大細胞型を含む)、頭部及び首の扁平上皮細胞癌、膀胱癌、卵巣癌及び頸癌、ミエロイド及びリンパ球性白血病、リンパ腫、肝臓腫瘍、髄様甲状腺癌、多発性ミエローマ、メラノーマ、網膜芽腫、並びに軟組織及び骨の肉腫の治療に有益である。式(I)の化合物は腫瘍を有する被験者のビタミンDの血清レベルを高カルシウム血症を生じないで腫瘍の分化又は退縮を誘発するのに充分な期間にわたって生理学的レベルより上のレベルに上昇する量で投与される。式(I)の化合物は低カルシウム血性であり、このような生理学的レベルより上のレベルを可能にする。
式(I)の化合物は毎日の投薬又はエピソード投薬、例えば、2-6日毎に1回もしくは週1回で投与される。毎日の投薬は単一投薬であってもよく、又は2-4の細投薬(これらは全用量が与えられるまで1時間離れて与えられる)として分けられてもよい。
【0012】
本発明によれば、有効量の1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2が癌又は腫瘍を有する患者に投与される場合、異常な腫瘍細胞の増殖活性が抑制又は軽減され、細胞分化が誘発、促進又は増進され、同じ量の活性化ビタミンD3(例えば、1α-OH-D3又は1α,25-(OH)2D3)が既に知られている製剤中で投与された後に観察されるよりも有意に少ない高カルシウム血症及び高カルシウム尿症が観察される。こうして、本発明の化合物はビタミンD3類似体の活性形態に対し改良された治療インデックスを有する。
悪性症状の治療のために、本発明のビタミンDは医薬組成物中の活性成分として単独で、又は細胞傷害薬と組み合わせて投与されることが好適である。
別の局面において、本発明は本発明のビタミンD化合物、及び(i)細胞傷害薬、(ii)骨薬、及びその組み合わせからなる群から選ばれた薬剤、並びに生理学上許される担体を含む医薬組成物である。
更に、細胞傷害薬又は一種以上の抗癌剤と一緒の式(I)のビタミンDの同時投与方法が本発明の範囲内に含まれる。このような薬剤として、好適には、抗代謝産物(例えば、5-フルオロ-ウラシル、メトトレキセート、フルダラビン)、抗微小管薬(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、タキサン、例えば、パクリタキセル、ドデタキセル)、アルキル化剤(例えば、シクロファスファミド、メルファラン、バイオコロエチルニトロソ尿素、ヒドロキシ尿素)、白金薬剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、JM-216、CI-973)、アントラサイクリン(例えば、ドキシルビシン、ダウノルビシン)、抗生物質(例えば、ミトマイシン、イダルビシン、アドリアマイシン、ダウノマイシン)、トポイソメラーゼインヒビター(例えば、エトポシド、カンプトテシン)又はあらゆるその他の抗腫瘍薬(エストラムスチンホスフェート、プレドニムスチン)が挙げられる。
【0013】
種々の抗癌剤と組み合わせて使用される式(I)のビタミンDは癌細胞に対する有意に増進された細胞傷害作用を生じることができ、こうして増大された治療効果を与えることが予想される。詳しくは、有意に増大された増殖抑制効果は薬物が単独で使用される治療養生と較べて低濃度の抗癌薬を使用して先に開示された組み合わせで得られるので、抗癌薬と関連する不利な副作用が多用量で単独で使用される抗癌薬で通常観察されるよりもかなり軽減される治療を与える潜在性がある。これらの同時投与される抗癌剤の可能な用量範囲は約0.1〜20mg/kg/日である。
“同時投与”という用語は2種以上の薬剤が患者又は被験者に投与されるあらゆる投与経路を表すことを意味する。例えば、薬剤は一緒に、又は互いに前後に投与されてもよい。薬剤は異なる経路により投与されてもよく、例えば、一種の薬剤が静脈内投与されてもよく、一方、第二薬剤が筋肉内、静脈内又は経口で投与される。薬剤は、それらが両方の薬剤が生体中で有効濃度を得ることを可能にするのに充分な様式で与えられる限り、同時又は逐次投与されてもよい。薬剤はまた、例えば、単一錠剤中のように、混合物であってもよい。逐次投与において、一種の薬剤が他の薬剤の投与に直接追随してもよく、又は薬剤がエピソード的に与えられてもよく、即ち、一種が一度に与えられてもよく、続いて別の薬剤が後の時期に、典型的には1週間以内に与えられてもよい。
また、ホルモン又はその他の薬剤、例えば、エストロゲン(これらは骨疾患又は障害を回復することが知られている)の投与と連係しての有効用量の式(I)の化合物の同時投与が本発明の範囲内に含まれる。例えば、前立腺癌はしばしば骨に転移し、骨損失及び関連する痛みを生じる。このような骨薬剤は結合エストロゲン又はそれらの均等物、カルシトニン、ビスホスホネート、カルシウムサプリメント、コバラミン、百日咳毒素及びホウ素を含んでもよい。
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2は、例えば、カルシウムの異常な代謝により誘発された疾患又は異常増殖性疾患もしくは腫瘍疾患に適用された場合に、ビタミンD3の活性形態の既知の類似体と較べて軽減された副作用及び低毒性を有する医薬組成物中の活性化合物として有益である。これらの医薬組成物が本発明の別の局面を構成する。
【0014】
本発明の薬理学上活性な化合物は誘発的、非経口的又は局所の患者、例えば、ヒトを含む哺乳類への投与のための医薬を製造するための製薬の通常の方法に従って加工し得る。例えば、1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2は通常の賦形剤、例えば、腸内(例えば、経口)、非経口、又は局所の適用に適した医薬上許される担体物質(これらは活性化合物と有害に反応しない)と混合して使用し得る。
好適な医薬上許される担体として、水、塩溶液、アルコール、アラビアゴム、植物油(例えば、アーモンド油、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、オリーブ油、ヤシ油)、鉱油、魚肝油、油状エステル、例えば、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール、ゼラチン、炭水化物(例えば、ラクトース、アミロース又は澱粉)、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘稠なパラフィン、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられるが、これらに限定されない。
医薬製剤は滅菌でき、所望により、助剤、例えば、滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響するための塩、緩衝剤、着色剤、矯味矯臭薬及び/又は一種以上のその他の活性化合物、例えば、ビタミンD3及びその1α-ヒドロキシル化代謝産物、結合エストロゲン又はそれらの均等物、抗エストロゲン、カルシトニン、ビホスホネート、カルシウムサプリメント、コバラミン、百日咳毒素及びホウ素と混合し得る。
非経口適用について、注射可能な、無菌溶液、好ましくは油状溶液もしくは水溶液だけでなく、懸濁液、エマルション、又は座薬を含む、移植片が特に好適である。非経口投与として、好適には、皮下、筋肉内、もしくは静脈内の注射、鼻咽頭もしくは粘膜吸収、又は経皮吸収が挙げられる。示される場合、本発明の化合物は腫瘍、例えば、副甲状腺腺癌への直接の注射により、又は位置送出、例えば、動脈内送出もしくは門静脈を介する送出により与えられてもよい。位置送出が肝臓癌の治療に特に適している。アンプルが都合のよい単位投薬である。
【0015】
腸内適用について、錠剤、糖剤、液体、ドロップ、座薬、ロゼンジ、粉末、又はカプセルが特に適している。甘味料入りのビヒクルが所望される場合、シロップ、エリキシル剤等が使用し得る。
局所適用について、局所適用と適合性であり、好ましくは水より大きい動的粘度を有する担体、例えば、鉱油、アーモンド油、自己乳化性蜜蝋、植物油、白色軟質パラフィン、及びプロピレングリコールを含む好適な非噴霧性の粘稠な、半固体形態又は固体形態が使用し得る。好適な製剤として、クリーム、軟膏、ローション、溶液、懸濁液、エマルション、粉末、リニメント、軟膏、エアゾール、経皮パッチ等が挙げられるが、これらに限定されず、これらは、所望により、滅菌され、又は助剤、例えば、防腐剤、安定剤、解乳化剤、湿潤剤等と混合される。本発明のクリーム製剤は、例えば、水、アーモンド油、鉱油、及び自己乳化性蜜蝋の混合物を含むことが好適であり、軟膏製剤は、例えば、アーモンド油及び白色軟質パラフィンを含むことが好適であり、またローション製剤は、例えば、乾燥プロピレングリコールを含むことが好適である。
皮膚疾患の治療に有益な本発明の化合物の局所製剤はまた上皮化誘発剤、例えば、レチノイド(例えば、ビタミンA)、クロマノール、例えば、ビタミンE、β-アゴニスト、例えば、イソプロテレノール又は環状アデノシンモノホスフェート(cAMP)、抗炎症薬、例えば、コルチコステロイド(例えば、ヒドロコルチゾンもしくはそのアセテート、又はデキサメタゾン)及び角膜移植剤、例えば、コールタール又はアントラリンを含んでもよい。このような薬剤の有効量は、例えば、ビタミンA、組成物の約0.003〜約0.3重量%;ビタミンE、約0.1〜約10%;イソプロテレノール、約0.1〜約2%;cAMP、約0.1〜約1%;ヒドロコルチゾン、約0.25〜約5%;コールタール、約0.1〜約20%;及びアントラリン約0.05〜約2%である。
直腸投与について、化合物は座薬ベース、例えば、カカオ油又はその他のトリグリセリドを含む医薬組成物に形成される。貯蔵寿命を延長するために、組成物は酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール又はヒドロキノンを含むことが有利である。
【0016】
カルシウム代謝障害の治療について、本発明の医薬組成物の経口投与が好ましい。一般に、本発明の化合物は単位投薬当り医薬上許される担体中に約0.5μg〜約25μgを含む単位投薬形態により分配される。本発明の化合物の用量は一般に約0.01〜約1.0μg/kg/日、好ましくは約0.04〜約0.3μg/kg/日である。癌及び腫瘍並びにその他の異常増殖性疾患の治療のための経口用量は一般に約10μg〜200μg/日である。
皮膚疾患の局所治療について、局所組成物中の本発明の化合物の用量は一般に組成物1g当り約0.01μg〜約50μgである。癌の治療について、局所適用される組成物中の1α,24(S)-(OH)2D2の用量は組成物1g当り約0.01μg〜100μgである。
先に注目されたように、本発明の化合物の投薬はまたエピソード基準で行なわれてもよく、この場合、一層多い用量、一般に2〜7日毎に1回与えられる約20μg〜約200μgが使用し得る。
当業者は良好な医療慣例及び個々の患者の臨床状態により決められるような有効用量及び同時投与養生を容易に最適化するであろう。投与の様式にもかかわらず、特別な場合の活性化合物の実際の好ましい量は使用される特定の化合物の効力、製剤化される特別な組成物、適用の様式、並びに治療される特別な部位及び生体に応じて変化することが認められるであろう。例えば、特別な患者に特別な用量は年齢、体重、健康の全般状態及び性別、食事、投与の時期及び様式、排泄の速度、及び組み合わせて使用される薬物並びに治療が適用される特別な疾患の重度に依存する。所定の宿主に関する用量は通常の考慮を使用して、例えば、主題化合物及び既知の薬剤の差別活性の通例の比較により、例えば、適当な通常の薬理学的プロトコルにより決められる。
更に別の局面において、本発明の化合物はまた獣医組成物、例えば、低カルシウム血症を治療又は予防するための家畜動物用の飼料組成物中に有利に使用し得る。一般に、本発明の化合物はこのような飼料の通常の消費が動物に約0.01〜約1.0μg/kg/日を与えるように動物飼料中に分配される。
以下の実施例はどんな方法であろうとも開示の残部の限定ではなく、単なる例示と見なされるべきである。以下の実施例において、プロトン核磁気共鳴(1H NMR)を内部標準としてCHCl3を含むCDCl3溶液中でアスペクト3000コンピュータ付きのブルカーAM--400(400 MHz)で記録した。化学シフトがppmで報告される。紫外線スペクトルを日立U-2000スペクトロフォトメーターで記録し、エタノール溶液について報告する。
【実施例】
【0017】
実施例1:1α-(OH)D2とともにインキュベートされたヒト肝臓細胞中の1α,24(?)-(OH)2D2の生成、精製及び同定
実質的に純粋な1α-(OH)D2をウィスコンシン、マジソンのボーン・ケアー・インターナショナル社から得た。1α-(OH)D2を当業界で知られている方法を使用してウシ胎児血清を含まない培地中でヒトヘパトーム、Hep 3Bに由来する細胞とともに48時間培養した。
組み合わされた培地及び細胞の脂質抽出物を当業界で知られている方法により生成し、ヘキサン/イソプロパノール/メタノール(91:7:2)で展開されたゾルバックス-S1Lで高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)にかけた。推定1α,24(?)-(OH)2D2代謝産物が親1α-(OH)D2と標準1α,25-(OH)2D2(また、ウィスコンシン、マジソンのボーン・ケアー・インターナショナル社から得られた)の間で溶離した(本明細書に使用される“1α,24(?)-(OH)2D2”という用語はエピマー形態が同定されていないことを示すことが意味される)。質量スペクトル法分析を使用して代謝産物の同定を行なう前に、1α,24(?)-(OH)2D2をこのHPLC系により更に精製した。
精製代謝産物は出発物質、1α-(OH)D2よりも極性であり、こうしてジヒドロキシビタミンD2代謝産物であると一時的に結論した。また、この代謝産物はビタミンD発色団を有し、ビタミンDのシス-トリエン系の保持を示した。その代謝産物は1α-(OH)D2から誘導されたので、その構造はこうして1α,X-(OH)2D2(式中、“X”は第二ヒドロキシル基の位置を示す)であった。
【0018】
1α,X-(OH)2D2のトリメチルシリル誘導体を当業界で知られている方法に従って調製し、質量スペクトル法をTMS誘導体及び天然化合物について行なった。TMS誘導体をGC-MSにより分析し、同定は主としてピロ代謝産物の断片化パターンの解読に由来した。その分子イオンは644のm/zを有し、付加的な質量の216単位に相当する三つのTMS基の付加とともにジヒドロキシビタミンD2を示した。1α-(OH)D2は3β基及び1α基を有し、推定代謝産物は一つの付加的なヒドロキシルを有していたので、全ての三つのヒドロカルビルがこうして誘導体化された。特有の断片がm/z 601、511、421、331で見られ、断片単独の43質量単位又は一つに加えて、夫々90単位の二つもしくは三つのTMS基の損失に相当した。このパターンはたぶん43質量単位に相当するC3H7のC-24〜C-25結合損失の開裂により説明された。これはC26-C25-C27断片の損失に相当する。更に、質量スペクトルは全ての25-ヒドロキシル化ビタミンD化合物の特徴のm/z 131断片を欠いていた。
質量スペクトルはm/z 513断片を示し、ビタミンD化合物のまた特徴のC2-C3-C4の損失を伴うA環開裂のための131質量単位の損失を示した。また、質量スペクトルはm/z 143を含み、これはおそらくC-24〜C-23開裂及びメチル基の損失から誘導された。C23-C24開裂のための断片の損失と対にされたC24-C25もろさを示す43単位の異常な損失は1α,X-(OH)2D2中の特別なヒドロキシルが炭素-24にあることを示した。こうして、その構造を1α,24(?)-(OH)2D2と同定した。
天然代謝産物を直接プローブ質量スペクトル法により分析した。この分析は24位のヒドロキシルと一致し、また上記TMS誘導体のGC-MS分析と一致した。天然代謝産物はm/z 428に予想される分子イオン及びm/z 367に特有の断片を示し、一つの水の損失及び43質量単位のC25-C26-C27断片を示した。
【0019】
実施例2:1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の合成
(22E)-5,7,22-エルゴスタトリエン-3β-イルアセテート(2)
無水ピリジン300ml中のエルゴステロール(1)50g(0.13モル)の溶液に、無水酢酸33.3ml(0.35モル)を添加した。その混合物を室温で一夜撹拌し、次いで水600mlを添加した。沈殿を濾過し、アセトニトリル200mlづつで3回洗浄し、次いで空気乾燥して(2)42.0g(74%)を得た。
22-オキソ-5α,8α-(4-フェニル-3,5-ジオキソ-1,2,4-トリアゾリジン-1,2-ジイル)23,24-ジノル-6-コレン-3β-イルアセテート(4)
クロロホルム1000ml中のエルゴステロールアセテート(2)33.0g(0.075モル)の溶液に、4-フェニル-1,2,4-トリアゾリン-3,5-ジオン13.2g(0.075モル)を添加した。こうして生成された(3)の溶液を室温で30分間撹拌し、次いでピリジン5mlを添加した。その溶液を-78℃に冷却し、-78℃で2時間にわたってオゾン-酸素混合物で処理し、次いで窒素で充分にパージした。次いでジメチルスルホキシド50mlを添加し、その混合物を水300ml、次いで2N HCl 200mlで2回、最後に水300mlで洗浄した。有機層を分離し、無水MgSO4で乾燥させ、真空で濃縮、乾燥させた。ヘキサン中30%の酢酸エチルを使用して残渣をシリカゲルカラムで精製して標題化合物16.0g(39%)をフォーム状固体として得た。
1H NMR: (400 MHz; CDCl3): δppm 0.85 (3H,s, 18-CH3), 1.10 (3H,s, 19-CH3), 1.15 (3H,d, 21-CH3), 1.99 (3H,s, 3β-CH3CO), 5.45 (1H,m, 3α-H), 6.26 (1H,d, 7-H), 6.40 (1H,d, 6-H), 7.42 (5H,m, Ph), 9.58 (1H,d, HCO)
(22E)5α,8α-(4-フェニル-3,5-ジオキソ-1,2,4-トリアゾリジン-1,2-ジイル)コレスタ-6,22-ジエン-24-オン-3β-イルアセテート(5)
ブチルリチウム(ヘキサン8.94ml中の1.6M溶液、0.014モル)を窒素雰囲気下で乾燥テトラヒドロフラン(20ml)中のジイソプロピルアミン(1.45g、0.014モル)の撹拌した冷却(0℃)溶液に添加した。乾燥テトラヒドロフラン(6ml)中の3-メチルブタン-2-オン(1.23g、0.014モル)を0℃で15分間にわたって滴下して添加した。その溶液を0℃でもう1時間撹拌し、次いで-70℃に冷却し、乾燥テトラヒドロフラン(60ml)中のアルデヒド(4)(6.0g、0.011モル)の溶液を添加した。その温度を-20℃に上昇させ、この温度に3時間保った。次いで氷酢酸(20ml)を-20℃で添加し、その溶液を室温にした。エーテル(800ml)及び水(400ml)を添加し、有機層を分離し、10%塩酸(2x300ml)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(2x300ml)、及び水(2x300ml)で洗浄した。濃縮して粗生成物(7.5g)を得、これを1.5N塩酸(12ml)を含むテトラヒドロフラン(100ml)に溶解した。1.5時間還流した後、混合物をエーテル(600ml)で希釈し、5%炭酸ナトリウム溶液(2x200ml)及び水(2x200ml)で洗浄し、乾燥させた(無水MgSO4)。減圧で濃縮して粗生成物(7.0g)を得た。シリカゲルでクロマトグラフィー(ヘキサン中50%酢酸エチル)にかけてエノン(5)4.0g(59%)を得た。
1H NMR: (400 MHz): δppm 0.83 (3H,s, 18-CH3), 0.99 (3H,s, 19-CH3), 1.09 (6H,dd, 26及び27-CH3), 1.12 (3H,d, 21-CH3), 2.0 (3H,s, 3β-CH3CO), 2.84 (1H,m, 25-H), 5.45 (1H,m, 3α-H), 6.06 (1H,d, 23-H), 6.24 (1H,d, 7-H), 6.39 (1H,d, 6-H), 6.71 (1H,dd, 22-H), 7.42 (5H,m, Ph)
【0020】
(22E)-5α,8α-(4-フェニル-3,5-ジオキソ-1,2,4-トリアゾリジン-1,2-ジイル)-6,22-エルゴスタジエン-3β,24-ジオール(6)
乾燥エーテル(100ml)中のエノン(5)(3.5g、5.7ミリモル)を0℃に冷却し、メチルマグネシウムブロミド(エーテル6.8ml中3.0M溶液、0.02モル)を滴下して添加した。0℃で1時間後に、飽和塩化アンモニウム(100ml)を添加した。有機層を分離した。水層をエーテル(2x200ml)で抽出した。合わせたエーテル相を無水MgSO4で乾燥させ、真空で濃縮、乾燥させて(6)の粗生成物3.0g(90%)を得た。
(22E)-5,7,22-エルゴスタトリエン-3β,24-ジオール(7)
乾燥テトラヒドロフラン(250ml)中の(6)3.0g(5.1ミリモル)の溶液に、水素化リチウムアルミニウム3.6g(0.09モル)を添加した。その混合物を3時間にわたって加熱、還流し、氷水浴で冷却し、反応混合物を氷水(5ml)の慎重な滴下添加により分解した。その混合物を濾過し、濾液を真空で濃縮してテトラヒドロフランの殆どを除去した。残渣を酢酸エチル200mlに溶解し、飽和NaCl溶液(2x200ml)で2回洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、真空で濃縮した。ヘキサン中30%の酢酸エチルを使用して残渣をシリカゲルカラムで精製して(7)1.5g(71%)を得た。
1H NMR: (400 MHz, CDCl3): δppm 0.64 (3H,s, 18-H), 0.88 (6H,dd, 26及び27-CH3), 0.93 (3H,s, 19-CH3), 1.06 (3H,d, 21-CH3), 1.19 (3H,s, 28-CH3), 3.55 (1H,m, 3α-H), 5.36 (1H,d, 7-H), 5.42 (2H,m, 22及び23-H), 5.52 (1H,d, 6-H) UV(エタノール)λmax: 282 nm
【0021】
24-ヒドロキシビタミンD2(8)
(7) 1g(2.4ミリモル)をエーテル及びベンゼン(4:1)250mlに溶解し、窒素雰囲気下で水冷石英浸漬ウェル中でハノビア中間圧UVランプを使用して2時間にわたって撹拌しながら照射した。その溶液を真空で濃縮し、エタノール100mlに再度溶解し、一夜にわたって加熱、還流した。その溶液を真空で濃縮、乾燥させ、ヘキサン中30%の酢酸エチルを使用して残渣をシリカゲルカラムで精製して(8)0.55g(55%)を得た。
1H NMR: (400 MHz, CDCl3): δppm 0.57 (3H,s, 18-CH3), 0.92 (6H,dd, 26及び27-CH3), 1.06 (3H,d, 21-CH3), 1.20 (3H,s, 28-CH3), 3.93 (1H,m, 3-H), 4.79 (1H,m(シャープ), 19-H), 5.01 (1H,m, (シャープ), 19-H), 5.43 (2H,m, 22及び23-H), 6.02 (1H,d, 7-H), 6.22 (1H,d, 6-H) UV (エタノール) λmax: 265 nm
24-ヒドロキシビタミンD2トシレート(9)
無水ピリジン5mlに溶解した(8)0.55g(1.3ミリモル)の溶液に、塩化トシル0.6g(3.2ミリモル)を添加した。その混合物を窒素雰囲気下で5℃で20時間撹拌した。その反応混合物を冷却した飽和NaHCO3溶液100mlに注ぎ、エーテル(3x100ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を5%HCl溶液(2x200ml)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(2x200ml)及び飽和NaCl溶液(2x200ml)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、真空で濃縮して(9)0.62g(84%)を得た。
1H NMR: (400 MHz, CDCl3): δppm 0.57 (3H,s, 18-CH3), 0.92 (6H,dd, 26及び27-CH3), 1.08 (3H,d, 21-CH3), 1.24 (3H,s, 28-CH3), 2.43 (3H,s, CH3 (トシレート)), 4.69 (1H,m, 3-H), 4.77 (1H,m, (シャープ), 19-H), 5.0 (1H,m, (シャープ), 19-H), 5.42 (2H,m, 22及び23-H), 6.03 (1-H,d, 7-H), 6.25 (1-H,d, 6-H), 7.31及び7.83 (4H,d, 芳香族)
【0022】
24-ヒドロキシ-3,5-シクロビタミンD2(10)
無水メタノール50mlに溶解した(9)0.6g(1.06ミリモル)の溶液に、重炭酸ナトリウム4.0g(0.047モル)を添加した。その混合物を6時間にわたって加熱、還流した。その反応混合物を真空で濃縮した。水(100ml)を添加し、続いてエーテル(2x200ml)で抽出した。合わせたエーテル抽出物を無水MgSO4で乾燥させ、真空で濃縮、乾燥させて(10)450mg(100%)を油として得た。
1α,24-ジヒドロキシ-3,5-シクロビタミンD2(11)
tert-ブチルヒドロペルオキシド(870μL(2.61ミリモル);トルエン中3M)を窒素雰囲気下で無水ジクロロメタン50ml中の二酸化セレン73mg(0.66ミリモル)の懸濁液に添加した。その混合物を窒素雰囲気下で室温で3時間撹拌した。次いで無水ピリジン0.1mlを添加し、続いて無水ジクロロメタン15mlに溶解した(10)450mg(1.06ミリモル)の溶液を添加した。その混合物を窒素雰囲気下で室温で10分間撹拌し、次いで10%NaOH溶液25mlを添加し、その混合物をエーテル(3x100ml)で抽出した。合わせたエーテル抽出物を10%NaOH溶液(2x100ml)、水(2x100ml)、飽和塩化ナトリウム溶液(2x100ml)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、真空で濃縮、乾燥させた。ヘキサン中30%の酢酸エチルの混合物を使用して残渣をシリカゲルカラムで精製して(11)110mg(24%)を得た。
1H NMR: (400 MHz, CDCl3): δppm, 0.55 (3H,s, 18CH3), 0.90 (6H,dd, 26及び27-CH3), 1.03 (3H,d, 21-CH3), 1.19 (3H,s, 28-CH3), 3.25 (3H,s, -OCH3), 4.19 (1H,d, 6-H), 4.19 (1H,m, 1-H), 4.92 (2H,d, 7-H), 5.15 (1H,m, (シャープ), 19-H), 5.2 (1H,m, (シャープ), 19-H), 5.42 (2H,m, 22及び23-H)
【0023】
5,6-シス及び5,6-トランス-1α,24-ジヒドロキシビタミンD2(12, 13)
1α,24-ジヒドロキシ-3,5-シクロビタミンD2(11)110mg(0.25ミリモル)をジメチルスルホキシド2.0ml及び酢酸1.5mlに溶解し、窒素雰囲気下で1時間にわたって50℃で加熱した。その溶液を氷及び飽和NaHCO3溶液50mlに注いだ。その混合物をエーテル(3x100ml)で抽出した。合わせたエーテル抽出物を飽和NaHCO3溶液(3x100ml)、水(2x100ml)、飽和NaCl溶液(2x200ml)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、真空で濃縮して(12)及び(13)の粗生成物100mg(100%)を得た。
5,6-シス-1α,24-ジヒドロキシビタミンD2(12)
酢酸エチル5ml中の(12)及び(13)の溶液に、無水マレイン酸20mg(0.2ミリモル)を添加し、その混合物を35℃で窒素雰囲気下で24時間撹拌した。その溶液を真空で濃縮、乾燥させた。ヘキサン中50%の酢酸エチルを使用して残渣をシリカゲルカラムで精製して(12)20mg(22%)を得た。
1H NMR: (400 MHz, CDCl3): δppm 0.57 (3H,s, 18-CH3), 0.89 (6H,dd, 26及び27-CH3), 1.04 (3H,d, 21-CH3), 1.21 (3H,s, 28-CH3), 4.23 (1H,m, 3-H), 4.40 (1H,m, 1-H), 5.0 (1H,m, (シャープ), 19-H), 5.33 (1H,m, (シャープ), 19-H), 5.44 (2H,m, 22及び23-H), 6.01 (1H,d, 7-H), 6.37 (1H,d, 6-H) UV (エタノール) λmax: 265 nm
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2(14)
1α,24-(OH)2D2の24エピマーを溶媒系、アセトニトリル:水、60:40、10ml/分とともに逆相スペルコC-8prep.カラム(25cm x 21.2mm; 粒子サイズ12μm)を使用するウォーターズ装置で行なわれた、高圧液体クロマトグラフィーにより分離した。エピマーに名称エピマー1及びエピマー2を与えた。これらの条件下で、エピマー1の保持時間は63分であり、エピマー2の保持時間は71分であった。X線結晶学を使用して、エピマー2の立体化学は1α,24(R)-(OH)2D2であることを測定した。それ故、エピマー1の立体化学は1α,24(S)-(OH)2D2であることが知られた。
【0024】
実施例3:化学合成されたエピマー、1α,24(S)-(OH)2D2及び1α,24(R)-(OH)2D2との比較による立体化学及び生物学的に誘導された1α,24(?)-(OH)2D2代謝産物の同定
上記実施例1に記載されたようにして得られた生物学的に生成された代謝産物の立体化学を上記実施例2に記載されたようにして得られた化学合成されたエピマーに対して高圧液体クロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィーにより比較した。これらの比較に基づいて、生物学的に生成された代謝産物は構造、1α,24(S)-(OH)2D2を有することを決定した。図3はこの比較を行なう高圧液体クロマトグラフィー実験のプロフィールを示す。図3中、エピマー1は化学合成された1α,24(S)-(OH)2D2である。
(a) 高圧液体クロマトグラフィー比較は2種の異なるカラム及び溶媒系を使用した。溶媒系、アセトニトリル:水、60:40、1ml/分を使用する逆相カラムゾルバックス-ODS(デュポン・インストルメンツ;3μ;6.2mm x 8cm)では、生物学的代謝産物は14.3分で出現し、また1α,24(S)-(OH)2D2は14.2分で流れた。しかしながら、1α,24(R)-(OH)2D2は15.7分で流れた。
溶媒系、ヘキサン:イソプロパノール:メタノール、94:5:1、1ml/分を使用する直相カラムゾルバックス-SIL(デュポン・インストルメンツ;3μ;6.2mm x 8cm)では、生物学的代謝産物が22.4分で出現し、また1α,24(S)-(OH)2D2は22.4分で流れた。しかしながら、1α,24(R)-(OH)2D2は22.8分で流れた。
(b) ガスクロマトグラフィーでは、1α,24(S)-(OH)2D2は生物学的に生成された化合物と同時移動し、一方、1α,24(R)-(OH)2D2の保持時間は全く異なった(表1)。
【0025】
表1 ピロ-1α,25-(OH)2D3に対するピロ誘導体のガスクロマトグラフィー保持時間
【0026】
*ピロ誘導体を比較する場合、保持時間は内部標準1α,25-(OH)2D3に対して表される。
実施例4:1α,24(S)-(OH)2D2及び1α,24(R)-(OH)2D2の生物活性の比較
ビタミンD受容体(VDR)発現プラスミドpSG5-hVDR1/3及び成長ホルモン(GH)遺伝子を含むプラスミドp(CT4)4TKGHが、ビタミンD応答要素(VDRE)の制御下にグリーンサル腎臓、COS-1細胞に同時トランスフェクトされるビタミン依存性転写活性化モデル系を使用して、化学合成された1α,24(S)-(OH)2D2及び1α,24(R)-(OH)2D2のin vitro生物活性を測定した。これらの2種のベクターのDNAはアリゾナ大学(タクソン、アリゾナ)の生化学部門のMark Haussler博士により供給された。
トランスフェクト細胞をビタミンD代謝産物とともにインキュベートし、成長ホルモン生成を測定した。表2に示されるように、1α,24(S)-(OH)2D2はこの系中で1α,24(R)-(OH)2D2よりも有意に大きい活性を有する。
【0027】
表2 トランスフェクトされたCOS-1細胞中のビタミンD誘導成長ホルモン生成
【0028】
*二重測定の平均
実施例5:ビタミンD受容体(VDR)に対する1α,24(S)-(OH)2D2のアフィニティー
インクスター(スチルウォーター、ミネソタ)からのウシ胸腺VDR及び標準1,25-(OH)2-D3の市販のキットを使用して、哺乳類ビタミンD受容体(VDR)に対する1α,24(S)-(OH)2D2のアフィニティーを評価した。精製1α,24(S)-(OH)2D2をフォトダイオードアレイ分光光度計により定量し、ラジオレセプターアッセイでアッセイした。1α,24(S)-(OH)2D2の最大の半分の結合は約150pg/mlであり、一方、1α,25-(OH)2D2のそれは80pg/mlであった。こうして、1α,24(S)-(OH)2D2は1α,25-(OH)2D3よりもウシ胸腺VDRに対して2倍低いアフィニティーを有し、1α,24(S)-(OH)2D2は強力な生物活性を有することを示した。
実施例6:ビタミンD受容体に対する1α,24(S)-(OH)2D2及び1α,24(R)-(OH)2D2の相対アフィニティー
インクスター(スチルウォーター、ミネソタ)からのウシ胸腺VDR及び標準1,25-(OH)2-D3の市販の試薬を使用して、ビタミンD受容体(VDR)に対する1α,24(R)-(OH)2D2及び1α,24(S)-(OH)2D2の相対アフィニティーを評価した。精製1α,24(R)-(OH)2D2及び1α,24(S)-(OH)2D2エピマーを紫外線分光分析により定量した。その受容体からの3H-1α,25-(OH)2D3トレーサーの同じ置換を生じるのに必要とされる1α,24(R)-(OH)2D2の濃度は、図4に示されるように、1α,24(S)-(OH)2D2について必要とされる濃度の20-30倍であった。これらのデータは1α,24(S)-(OH)2D2エピマーの活性が1α,24(R)-(OH)2D2エピマーの活性よりも有意に大きいことを示す。
【0029】
実施例7:ビタミンD血清結合タンパク質(DBP)に対する1α,24(S)-(OH)2D2のアフィニティー
当業界で知られている方法に従ってビタミンD欠乏ラットを使用して、ビタミンD血清結合タンパク質(DBP)に対する1α,24(S)-(OH)2D2のアフィニティーを評価した。データはDBPの1α,24(S)-(OH)2D2結合が25-OH-D3についてのそれよりも少なくとも1000倍弱いことを示した。VDRに対する1α,24(S)-(OH)2D2の強い結合及びDBPに対する弱い結合を考慮すると、この化合物は標的細胞により摂取される傾向があり、こうして強力な生物活性を有するであろう。加えて、DBPによる弱い結合は一層迅速なクレアランスを示し、低毒性を可能にする。
こうして、先のアッセイは新規な1α,24(S)-(OH)2D2が活性の特有かつ特異なスペクトル、即ち、高い生物学的効力及び低毒性(これらは従来技術の化合物及びその24(R)エピマーからその化合物を明らかに区別する)を示すことを実証した。
実施例8:ビタミンD2及び24-OH-D2からの1α,24(S)-(OH)2D2の生成
ビタミンD2又は24-OH-D2をビタミンD欠乏ラットに投与した(経口又は腹腔内の補充)。血漿の脂質抽出物を調製し、代謝産物を標準生物学的1α,24-(OH)2D2を合成するための以下に記載されるHorstらの方法(Horst, R.L., Koszewski, N.J.及びReinhardt, T.A., Biochem., 29:578-82 (1990))により精製した。
24-OH-D2 10μgをビタミン欠乏ひなからつくられた20%腎臓ホモジネート5mlを含むフラスコ中でインキュベートすることにより、標準生物学的1α,24-(OH)2D2を24-OH-D2からin vitroで合成した。この反応の生成物をHPLCにより単離し、質量分光分析により同定した。ビタミンD2又は24-OH-D2を投与されたビタミンD欠乏ラットからの血漿の脂質抽出物中に、単離された一種の代謝産物は標準1α,24-(OH)2D2とHPLCで同時移動し、1α,24-(OH)2D2がビタミンD2の天然代謝産物であることを示した。対照的に、ビタミンD3を投与された比較ラットは検出可能な24-OH-D3を有していなかった。
実施例9:in vitroの増大された基質濃度による1α,24(S)-(OH)2D2の優先的生成
Hep 3B細胞を1、10、又は100 nM(実験1)、及び1又は10μM(実験2)の最終濃度で上記のように1α-OH-D2とともにインキュベートし、1α,24(S)-(OH)2D2を抽出し、精製した。1α,24(S)-(OH)2D2及び1α,25-(OH)2D2代謝産物を回収された放射能標識(実験1)又はフォトダイオードアレイ分光測光(実験2)により定量した。表3に示されるように、基質濃度が上昇されるにつれて、1α,24(S)-(OH)2D2の量が1α,25-(OH)2D2の量に対して増加した。これはこの系では1α,24(S)-(OH)2D2が一層高い基質濃度で1α-OH-D2の主たる天然活性代謝産物であったことを示す。
【0030】
表3
【0031】
*N.D.は検出できないことを意味する。
実施例10:1α-(OH)2D2を投与された骨多孔症の婦人中の1α,24(S)-(OH)2D2の生成
1α,25-(OH)2D2に対する1α,24(S)-(OH)2D2の生成の増加がまた骨多孔症の治療用のその薬物の研究の一部として1α-OH-D2を受けた婦人で本発明者らにより観察された。1α-OH-D2 2μgの単一投薬又は1週間にわたる8μg/日の毎日の投薬後に、血液を集め、代謝産物1α,24(S)-(OH)2D2及び1α,25-(OH)2D2について分析した。脂質を血液から抽出し、通常の方法を使用して代謝産物をHPLCにより精製し、インクスター(スチルウォーター、ミネソタ)により製造されたラジオレセプターアッセイで定量した。単一の2μg投薬後の1日目に、1α,24(S)-(OH)2D2のレベルは検出できず、1α,25-(OH)2D2レベルは約11pg/mlであった。対照的に、8μgの最後の投薬後の1日目に、1α,24(S)-(OH)2D2のレベルは平均で9pg/mlであり、1α,25-(OH)2D2レベルは平均で30pg/mlであった。
実施例11:閉経期後の骨多孔症の婦人における用量範囲研究
20人の閉経期後の骨多孔症の婦人を開放ラベル研究に入会させる。選ばれた患者は55〜75才の年齢を有し、LUNAR骨デンシトメーター(ルナー・コーポレーション、マジソン、ウィスコンシン)による測定により測定して、0.7〜1.05g/cm2のL2-L3椎骨ミネラル密度を示す。
その研究に入る際に、全ての患者がカルシウム400〜600mgを含む毎日の食事を選ぶことについての指示を受ける。この食事に対するコンプライアンスを週間隔で24時間の食物記録及び夫々の患者とのインタビューにより確かめる。
【0032】
全ての患者が1週の基準線期間、4週の治療期間、及び1週の治療後の観察期間を完了する。治療期間中、患者は最初の週にわたって0.5μg/日の初期用量、その後の4週の夫々で1.0、2.0、4.0、及び8.0μg/日の連続して一層多い用量の1α,24(S)-(OH)2D2を自己経口投与する。全ての用量を朝食前に投与する。
血液及び尿化学成分をその研究中週基準で監視する。重要な血液化学成分として、カルシウム、リン、オステオカルシン、クレアチニン、及び血液尿素窒素の空腹時血清レベルが挙げられる。重要な尿化学成分として、カルシウム、リン、及びクレアチニンの24時間排泄が挙げられる。
この臨床研究からの血液及び尿データはこの化合物がクレアチニンクレアランス及び尿素窒素の血液レベルにより測定して腎臓機能に悪影響せず、またそれがヒドロキシプロリンの尿排泄を増大しないことを示し、骨吸収に対する刺激効果の不在を示す。その化合物はルーチン監視される血清パラメーターに効果を有さず、代謝悪影響の不在を示す。
カルシウムホメオスタシスに対する1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の陽性効果は24時間尿カルシウムレベルの適度の増加から明らかであり、その化合物が腸カルシウム吸収を増大することを確認し、また血清オステオカルシンレベルの増大から明らかであり、その化合物が骨芽細胞を刺激することを示す。
【0033】
実施例12:閉経期後の骨多孔症の婦人における骨質量損失の予防処置
臨床研究を55〜75才の年齢を有する閉経期後の骨多孔症の外来患者で行なう。その研究は三つの治療グループにランダムに分けられた120人までの患者を伴い、24〜36ヶ月続く。治療グループのうちの二つは1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の一定用量(u.i.d.;1.0μg/日以上の2種の異なる用量レベル)を受け、他のグループはマッチング偽薬を受ける。全ての患者は食事カルシウムの通常の摂取(500〜800mg/日)を維持し、カルシウムサプリメントを使用することを控える。効力を(a)全生体カルシウム保持、及び(b)二重光子吸収法(DPA)又は二重エネルギーX線吸収法(DEXA)により測定されるような撓骨及び椎骨ミネラル密度に関して患者グループの治療前後の比較により評価する。安全性を尿ヒドロキシプロリン排泄、血清及び尿のカルシウムレベル、クレアチニンクレアランス、血液尿素窒素、及びその他のルーチン測定の比較により評価する。
結果は1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2で治療した患者が偽薬で治療された患者に対し有意に高い全生体カルシウム、並びに撓骨及び椎骨密度を示すことを示す。監視された安全性パラメーターは高カルシウム血症もしくは高カルシウム尿症、又は1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2治療によるその他の代謝の乱れのわずかな発生を確かめる。
【0034】
実施例13:閉経期後の骨損失の予防
臨床研究を55〜60才の健康な閉経期後の婦人で行なう。その研究は二つの治療グループにランダムに分けられた80人までの患者を伴い、24〜36ヶ月続く。一つの治療グループは1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の一定用量(u.i.d.;1.0μg/日以上の用量レベル)を受け、他のグループはマッチング偽薬を受ける。その研究を上記実施例2に示されたように行なう。
結果は1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2で治療された患者が基準線値に対し全生体カルシウム、撓骨又は椎骨密度の低減された損失を示すことを示す。対照的に、偽薬で治療された患者は基準線値に対しこれらのパラメーターのかなりの損失を示す。監視された安全性パラメーターはこの用量レベルにおける長期の1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2投与の安全性を確かめる。
実施例14:慢性血液透析患者における高カルシウム血症及び得られる代謝性骨疾患の処理
12ヶ月の二重盲検の偽薬対照臨床試験を慢性血液透析を受けている腎臓疾患を有する30人の男性及び婦人で行なう。全ての患者が8週のコントロール期間(その時間中に、彼らはビタミンD3の維持用量(400IU/日)を受ける)に入る。このコントロール期間後に、患者を二つの治療グループにランダム化する:一つのグループは1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の一定用量(u.i.d.;3.0μg/日より大きい用量)を受け、他のグループはマッチング偽薬を受ける。両方の治療グループはビタミンD3の維持用量を受け、食事カルシウムの通常の摂取を維持し、カルシウムサプリメントを使用することを控える。効力を(a)腸カルシウム吸収の直接測定、(b)全生体カルシウム保持、(c)撓骨及び椎骨ミネラル密度、又は(d)血清カルシウムの測定に関して二つの患者グループの治療前後の比較により評価する。安全性を血清カルシウムの規則的な監視により評価する。
臨床データの分析は1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2が二重同位元素技術を使用する直接測定により測定して腸カルシウム吸収を有意に増大することを示す。この化合物で治療された患者は基準線値に対し標準化された血清カルシウムレベル、全生体カルシウムについて安定な値、並びに安定な撓骨及び椎骨密度を示す。対照的に、偽薬で治療された患者は頻繁な高カルシウム血症、全生体カルシウム並びに撓骨及び椎骨密度のかなりの低下を示す。高カルシウム血症のわずかな発生が治療グループで観察される。
【0035】
薬物製剤
実施例15
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2 1.0mgをアーモンド油1gに溶解することにより局所クリームを調製する。この溶液に、鉱油40g及び自己乳化性蜜蝋20gを添加する。その混合物を加熱して液化する。熱水40mlの添加後に、混合物を良く混合する。得られるクリームはクリーム1g当り約10μgの1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含む。
実施例16
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2 1.0mgをアーモンド油30gに溶解することにより軟膏を調製する。この溶液に、液化されるのに充分に温められた白色軟質パラフィン70gを添加する。軟膏を良く混合し、冷却する。この軟膏は軟膏1g当り約10μgの1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含む。
実施例17
実施例14の軟膏に、充分に混合しながらアデノシン0.5g及びパパベリンベース2.0g(両方とも、最小量のジメチルスルホキシドに溶解された)を添加する。追加の成分は約0.5重量%(アデノシン)及び2重量%(パパベリンベース)の程度まで存在する。
実施例18
実施例14の軟膏に、充分に混合しながら最小量の植物油に溶解された10,000UのビタミンAを添加する。得られる軟膏は軟膏1g当り約100UのビタミンAを含む。
【0036】
実施例19
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2 1.0mgを乾燥プロピレングリコール100gに溶解することにより皮膚ローションを調製する。ローションを冷蔵庫中で褐色びん中に貯蔵し、これはローション1g当り約10μgの1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含む。
実施例20
アーモンド油1gに1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2 0.2mgを溶解する。その溶液に、鉱油40g及び自己乳化性蜜蝋20g、続いて熱水40mlを添加する。その混合物を良く混合してクリーム1g当り約2.0μgの1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含む化粧クリームを生成する。
実施例21
実施例18記載の化粧クリームに、アデノシン100mgを添加する。そのクリームを良く混合し、これは約0.1重量%のアデノシンを含む。
実施例22
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2 100μgをアーモンド油30gに溶解することにより軟膏を調製する。こうして生成された溶液に、液化されるのに充分に温められた白色軟質パラフィン70gを添加する。軟膏を良く混合し、冷却する。こうして生成された軟膏は軟膏1g当り約1.0μgの1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含む。
実施例23
実施例18の化粧軟膏に、充分に混合しながら最小量の植物油に溶解されたビタミンA200U/gを添加する。
実施例24
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2 300μgを乾燥プロピレングリコール100gに溶解することにより化粧ローションを調製する。ローションを冷蔵庫中で褐色びん中に貯蔵し、これはローション1g当り約3.0μgの1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含む。
【0037】
実施例25:皮膚学的試験
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含む組成物を皮膚炎(接触性及び転位性)の局所治療における組成物の治療効力について評価する。評価された組成物はペトロラツム-アーモンド油ベース中の軟膏1g当り10μgの1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含む軟膏である。対照組成物はそれが活性薬剤1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を含まない以外は同じである。患者を外来患者診療所で治療する。彼らに1日2回その製剤を使用するように指示する。
軟膏をできる限り単一病変、又は疾患の領域に適用する。軟膏及びその容器を治療が始まる前に計量し、治療の終了時に再計量のために使用されない内容物とともに戻す。
治療される病変の面積を推定し、記録し、病変を好適な“対照”病変と一緒に必要に応じて写真撮影する。後者は治療される病変付近又は対称の対側性の、発生の同様のサイズ及び段階の病変であることが好ましい。写真操作の妥当な詳細は病変が次に写真撮影される場合に再現されるように記録される(距離、アパーチャ、角度、バックグラウンド等)。軟膏を毎日2回適用し、好ましくは回収されないで残される。“対照”病変は治療されないで残されるが、これが可能ではない場合には、それらについて使用される治療が書き留められる。
紅斑、スケーリング、及び厚さの評価を医師により週間隔で行ない、病変の重度は0から3までの範囲であった。最終評価を通常治療の4〜6週の終了時に行なう。1α,24(S)-(OH)2D2で治療されたこれらの病変は対照病変よりも低いスコアーを有する。高カルシウム血症のわずかな発生がまた観察される。
実施例26:表皮細胞分化及び増殖試験
ヒトケラチノサイトをRheiwald及びGreenにより最初に記載された系の既知の改良(Cell, 6巻, 331頁(1975))に従って培養する。エタノールに溶解した1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を細胞に添加して0.05〜5μg/mlの種々の濃度を得、エタノール濃度は0.5%v/vを超えない。対照培養物に0.5%v/vの最終濃度のエタノールを補給する。培養中の表皮細胞の分化及び増殖を
1. 角質化されたエンベロープの定量;
2. ディスクに取り付けられた細胞の細胞密度の定量;
3. トランスグルタミナーゼ活性の監視;又は
4. 3H-チミジンのとり込みによるDNA合成の監視
により調べる。
1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2とともにインキュベートされた培養物は対照培養物よりも多い角質化されたエンベロープ、少ない付着された細胞、高いトランスグルタミナーゼ活性、及び低いDNA合成を有する。
本発明が今或る種の特異性でもって記載され、例示されたが、当業者は変化、付加、及び省略を含む、種々の改良(これらは記載されたものになされてもよい)を認めるであろう。それ故、これらの改良はまた本発明により含まれること及び本発明の範囲は特許請求の範囲と法律上一致し得る最も広い解釈のみにより限定されることが意図されている。
【0038】
実施例27:HL-60細胞分化アッセイにおける1α,24(S)-(OH)2D2の活性
用量-応答研究をDeLuca及びOstromにより記載されたHL-60細胞分化アッセイ(DeLuca, H.F.及びOstrem, V.K., Prog. Clin. Biol. Res., 259巻, 41-55頁(1988))で1α,24(S)-(OH)2D2を用いて行なう。この研究において、1α,25-(OH)2D3を陽性対照として使用し、また適当な溶媒を陰性対照として使用する。下記の変数を評価する:非特異性酸エステラーゼ活性、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)還元、及びチミジンとり込み。結果は1α,24(S)-(OH)2D2が単球へのHL-60前骨髄球の分化を促進する際に強力な活性を有することを示す。
実施例28:ヒト癌細胞系における1α,24(S)-(OH)2D2の抗増殖活性
用量-応答研究をヒト癌細胞系のバッテリーにおいて1α,24(S)-(OH)2D2を用いて行なう。これらの細胞系として、下記のものが挙げられるが、これらに限定されない:Shieh, H.L.ら, Chem. Biol. Interact., 81巻, 35-55頁(1982)により記載されたようなBCA-1又はZR-75-1(乳癌)及びCOL-1(結腸癌)。この研究において、適当な溶媒を陰性対照として使用する。結果は1α,24(S)-(OH)2D2がチミジンとり込みの抑制により判断して強力な(かつ可逆性の)抗増殖活性を有することを示す。
【0039】
実施例29:化学安定性試験
結晶性又は粉末1α,24-ジヒドロキシビタミンD2約5mgのサンプルを5mlのメスフラスコに夫々入れた。フラスコを熱及び光の変化の同じ環境条件に暴露した。熱及び光はビタミンD化合物の保全性に悪影響すると公知の環境パラメーターである。
1週間の時間後に、フラスコの内容物を目視で調べた。粉末標本は結晶性標本と較べて色がわずかに黄色であることが明らかであった。エタノール5mlを夫々のサンプルに添加し、夫々の標本を溶解した。これらの溶液を200〜320nmの紫外線吸収について分析した。同じ濃度でエタノールに溶解され、同じ時間期間にわたって冷蔵庫中に貯蔵された参考標準1α,24-ジヒドロキシビタミンD2を同様に分析した。
参考標準1α,24-ジヒドロキシビタミンD2はビタミンD構造のトリエン官能基に特徴的な紫外線スペクトル、即ち、265nmのλmax及び228nmのλminを示した。結晶性標本は265nmの特徴的なλmax及びλmin 228nmを保持した。対照的に、粉末標本は255nmのλmax及び228nmのλminを有し、別の実体への変換が生じたことを示す。265nmにおける吸収はベールの法則に従って濃度と線形である。参考標準は吸収の100%、ひいてはその濃度の100%を保持した。熱及び光に暴露された結晶性標本は吸収の93%を保持した。対照的に、粉末標本は初期の吸収/濃度のほんの45%を保持した。
また、結晶性及び粉末1α,24-ジヒドロキシビタミンD2のエタノール溶液を下記の条件下で高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。
ノバパックC18カラム: 3.9mm x 15cm
移動相: 50:50の水:アセトニトリル
流量: 0.5ml/分
検出: 265nmでフォトダイオードアレイ
psi: 1310
注入容積: 10μL
参考標準及び結晶性1α,24-ジヒドロキシビタミンD2のHPLCトレースは同じであり、標準のUV吸収物質の96%が1α,24-ジヒドロキシビタミンD2であり、また結晶性物質の95%が1α,24-ジヒドロキシビタミンD2であった。これらのデータは結晶性1α,24-ジヒドロキシビタミンD2を熱及び光に暴露した後に化合物の88%以上が無傷で残ったことを実証する。
一方、粉末1α,24-ジヒドロキシビタミンD2のHPLC分析はUV吸収物質のほんの78%が化合物のほんの35%の全保持について1α,24-ジヒドロキシビタミンD2であることを示した。HPLCトレース中の1α,24-ジヒドロキシビタミンD2に関するピーク面積の重量を基準とする標準化は参考標準の構造の100%保持、結晶性標本の93%及び粉末標本の23%を示した。1α,24-ジヒドロキシビタミンD2の保持時間より小さい保持時間を有する二つのHPLCピークが粉末標本で明らかであったが、参考標本又は結晶性標本では明らかではなかった。
これらのデータは粉末1α,24-ジヒドロキシビタミンD2と較べて環境に暴露された結晶性1α,24-ジヒドロキシビタミンD2の驚くべき安定性を実証する。
【0040】
実施例30:1α,24-(OH)2D2の結晶性形態vs粉末形態のビタミンD受容体結合アッセイ
ビタミンD受容体(VDR)に対する、環境に暴露された化合物、結晶性1α,24-ジヒドロキシビタミンD2及び粉末1α,24-ジヒドロキシビタミンD2の結合アフィニティーを、例えば、実施例6に記載されたような当業界で知られている方法を使用して評価した。結晶性1α,24-ジヒドロキシビタミンD2の結合アフィニティーは参考標準1α,24-ジヒドロキシビタミンD2のそれとほぼ同じであり、一方、粉末形態はかなり小さいことがわかった。化合物の結合%vs量(pg/管)を図5にグラフ化する。
図5に見られるように、受容体からの3H-1α,25-ジヒドロキシビタミンD3の同じ置換を生じるのに必要とされる結晶性1α,24-ジヒドロキシビタミンD2の濃度は標準1α,24-ジヒドロキシビタミンD2について必要とされる濃度と実際に同じであり、一方、同じ条件に暴露された粉末形態は25%未満を有する。標準及び結晶性物質に関するED50(結合された3H-1α,25-ジヒドロキシビタミンD3の50%を置換する物質の量)は約10pg/管であり、粉末物質に関するED50は約40pg/管である。これらのデータは環境条件に暴露された粉末形態がかなり低い生物活性を有することを実証する。換言すれば、結晶性形態は白色粉末形態よりも環境暴露後に一層生物活性の物質を保持する。
【0041】
実施例31:細胞増殖の抑制
Skowronskiら, 132 Endocrinology (1993) 1952-1960及び136 Endocrinology (1995) 20-26(これらの両方が参考として本明細書に含まれる)の技術を使用して、細胞増殖の抑制を実証する。細胞系、LNCaP及びPC-3(これらはヒト前立腺癌に由来する)を約50,000細胞/プレートの密度で6ウェル組織培養プレートに接種する。細胞が付着し、安定化した後(約2-3日)、培地に10-11M〜10-7Mの濃度のビヒクル又は活性ビタミンD類似体を含む培地を補給する。試験類似体又はビヒクルを含む培地を3日毎に交換する。6-7日後に、培地を除去し、細胞をすすぎ、冷たい5%トリクロロ酢酸で沈殿させ、冷エタノールで洗浄する。細胞を0.2N水酸化ナトリウムで可溶化し、DNAの量を通常の操作により測定する。結果は本発明に従って1α,24-(OH)2D2とともにインキュベートされた培養物が対照培養物よりも有意に少ない細胞を有することを示す。
実施例32:細胞分化
Skowronskiら, 132 Endocrinology (1993) 1952-1960及び136 Endocrinology (1995) 20-26(これらの両方が参考として本明細書に含まれる)の技術を使用して、細胞系、LNCaP(これはヒト転移性前立腺癌に由来し、PSAを発現することが知られている)の細胞を約50,000細胞/プレートの密度で6ウェル組織培養プレートに接種する。細胞が付着し、安定化した後(約2-3日)、培地に10-11M〜10-7Mの濃度のビヒクル又は活性ビタミンD類似体、1α,24-(OH)2D2を含む培地を補給する。6-7日後に、培地を除去し、前立腺特異性抗原(PSA)分析のために-20℃で貯蔵する。
平行培養物からの細胞をすすぎ、沈殿させ、DNAの量を通常の操作により測定する。PSAを通常の既知の方法により測定する。1α,24-(OH)2D2とともにインキュベートされた培養物はPSAの質量/細胞として表される場合に対照培養物よりも有意に多いPSAを有する。
【0042】
実施例33:癌の一般的な治療
既知のビタミンD受容体陽性腫瘍(例えば、前立腺、胸部、肺、結腸もしくは膵臓の腺癌、又は膀胱の移行細胞癌腫、或いはメラノーマ)を有する患者が1α,24(S)-(OH)2D2の開放ラベル研究に参加する。患者を治療前に低減されたカルシウム食に置いて、腸吸収を最小にし、1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の更に一層多い用量を可能にすることを助ける。この低減されたカルシウム食は治療の期間にわたって、また1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の最後の投薬後1週間にわたって続けられてもよい。その食事は理想的には毎日のカルシウム摂取を400-500mgに制限する。また、患者はビタミンサプリメント又はビタミンD置換療法の使用を中止する。また、夫々の患者に通常の摂取よりも多い液体の4-6杯を飲むように依頼して適切な口の水和を確実にする。
夫々の被験者を(1)高カルシウム血症、高リン酸塩血症、高カルシウム尿症、高リン酸塩尿症及びその他の毒性、(2)転移性疾患の進行の変化の証拠、及び(3)規定された試験薬物用量とのコンプライアンスについて規則的な間隔で監視する。
投薬養生は24ヶ月にわたって毎日10μg又は20μg〜約100μg/日の毎日の用量基準である。また、非毎日の投薬養生、例えば、隔日に与えられる40μg、週1度与えられる100μgが使用し得る。投与の経路は経口から静脈内まで、また位置送出(例えば、門脈を介する、動脈注入)まで変化し得る。勿論、経口が最も容易かつ最もコスト有効な経路である。位置送出は高用量を可能にし、一般に高カルシウム血症の発生を回避する。しかし、本発明の化合物の場合、その化合物は実質的に低カルシウム血性である。
治療の18ヶ月後に、CAT、スキャン、X線及び骨スキャンが低用量で治療された多くの患者の転移性疾患又は部分緩解の進行、そして高用量で治療された多くの患者の安定な疾患及び部分又は完全緩解を評価するのに使用される。
【0043】
実施例34:前立腺癌の治療
進行したアンドロゲン非依存性前立腺癌を有する患者が1α,24-(OH)2D2の開放ラベル研究に参加する。適格の患者は少なくとも40才の年齢であり、前立腺の腺癌の履歴的証拠を示し、一種以上のホルモン介入に既に応答していた進行性疾患を呈する。研究への許可時に、患者は26週続く経口の1α,24-(OH)2D2による治療の過程を開始し、その間にカルシウムサプリメント、ビタミンDサプリメント、及びビタミンDホルモン置換療法の先の使用を中止する。治療中に、患者を(1)高カルシウム血症、高リン酸塩血症、高カルシウム尿症、高リン酸塩尿症及びその他の毒性、(2)転移性疾患の進行の変化の証拠、及び(3)規定された試験薬物用量とのコンプライアンスについて規則的な間隔で監視する。
研究を二つのフェーズで行なう。第一フェーズ中、次第に高い用量を患者の連続のグループに投与することにより毎日の経口の1α,24-(OH)2D2の最大の寛容用量(MTD)を測定する。全ての用量を朝食前に朝に投与する。患者の第一グループを25.0μg/日の1α,24-(OH)2D2で治療する。患者のその後のグループを50.0、75.0及び100.0μg/日で治療する。血清カルシウムが11.6mg/dlを越えない限り、又は等級3もしくは4(NCI共通毒性基準)のその他の毒性が観察されない限り、投薬を研究の期間にわたって中断しないで続け、その場合、投薬を観察される一種以上の毒性作用の消散まで機能停止に保ち、次いで10.0μgだけ減少されたレベルで再開する。
研究の第一フェーズからの結果は1α,24-(OH)2D2に関するMTDが1α,25-(OH)2D3で得られるよりも10〜40倍高いレベルである、20.0μg/日より上であることを示す。参加する患者から規則的な間隔で集められたサンプルの分析は循環1α,24-(OH)2D2のレベルが投与される用量と比例して増大し、最高用量で100pg/mlより良く上の最高レベルまで上昇すること、及び1α,25-(OH)2D3の循環レベルがしばしば検出できないレベルまで下げられることを明らかにする。血清及び尿のカルシウムが用量応答様式で上昇される。少なくとも6ヶ月にわたって1α,24-(OH)2D2のMTDで治療された患者は転移性疾患と関連する骨の痛みが有意に軽減されると報告する。
第二フェーズ中に、患者を24ヶ月にわたってMTDの0.5倍及び1.0倍で1α,24-(OH)2D2で治療する。治療の1年及び2年後に、転移性疾患の進行を評価するために使用されたCATスキャン、X線及び骨スキャンが低用量で治療された多くの患者で安定な疾患又は部分緩解を示し、また高用量で治療された多くの患者で安定な疾患及び部分又は完全緩解を示す。
【0044】
実施例35:メラノーマの治療
実施例33及び実施例34の方法を使用して、例えば、顎の転移性悪性メラノーマを有する患者を治療する。治療の18ヶ月後に、転移性疾患の進行は安定な疾患又は部分緩解を示す。
実施例36:網膜芽細胞腫の治療
実施例33及び実施例34の方法を使用して転移性網膜芽細胞腫を有する患者を治療する。治療の18ヶ月後に、転移性疾患の進行は安定な疾患又は部分緩解を示す。
実施例37:肝臓癌の治療
実施例33及び実施例34の方法を使用して肝細胞癌を有する患者を治療する。本発明の化合物の位置送出、即ち、動脈注入による位置送出を使用する。治療の18ヶ月後に、転移性疾患の進行は安定な疾患又は部分緩解を示す。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】24-ヒドロキシビタミンD2の合成のための調製工程を示す。
【図2】24-ヒドロキシビタミンD2で開始する1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2の合成のための調製工程を示す。
【図3】生物学的1α,24-ジヒドロキシビタミンD2並びに合成1α,24-ジヒドロキシビタミンD2のRエピマー及びSエピマーの逆相高圧液体クロマトグラフィープロフィールである。
【図4】1α,24(S)-(OH)2D2及び1α,24(R)-(OH)2D2の相対結合アフィニティーを示すグラフである。
【図5】結晶性1α,24-(OH)2D2及び粉末1α,24-(OH)2D2の相対結合アフィニティーを示すグラフである。
Claims (25)
- 悪性細胞又は腫瘍細胞の異常増殖の抑制方法であって、これらの細胞を抗増殖量の1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2で治療し、細胞が肺、首及び頭部、膵臓、子宮内膜、膀胱、頸部、卵巣の癌、扁平上皮癌、ミエロイド及びリンパ球白血病、リンパ腫、髄様甲状腺癌、メラノーマ、多発性ミエローマ、網膜芽腫又は軟組織及び骨の肉腫であることを特徴とする上記細胞の異常増殖の抑制方法。
- 悪性細胞又は腫瘍細胞の異常増殖活性の抑制方法であって、これらを患っている患者に、抗増殖量の1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を投与し、細胞が肺、首及び頭部、膵臓、子宮内膜、膀胱、頸部、卵巣の癌、扁平上皮癌、ミエロイド及びリンパ球白血病、リンパ腫、髄様甲状腺癌、メラノーマ、多発性ミエローマ、網膜芽腫又は軟組織及び骨の肉腫であることを特徴とする上記細胞の異常増殖活性の抑制方法。
- 1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を毎日の投薬養生又はエピソード投薬養生で投与する、請求項2記載の方法。
- エピソード養生が2〜7日毎に1回の投薬である、請求項3記載の方法。
- 1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を約10〜100μg/日の用量で毎日投与する、請求項3記載の方法。
- 1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を経口投与し、静脈内投与し、癌部位に直接注射し、又は癌部位に位置送出する、請求項2記載の方法。
- 1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を経口投与する、請求項6記載の方法。
- 1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を細胞傷害薬と同時投与する、請求項2記載の方法。
- 細胞傷害薬が抗代謝薬、及び抗微小管薬、アルキル化剤、白金薬剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼインヒビター、又は抗生物質である、請求項8記載の方法。
- 抗代謝薬が5-フルオロ-ウラシル、メトトレキセート又はフルダラビンである、請求項9記載の方法。
- 抗微小管薬がビンクリスチン、ビンブラスチン又はタキサンである、請求項9記載の方法。
- タキサンがパクリタキセル又はドセタキセルである、請求項11記載の方法。
- アルキル化剤がシクロファスファミド、メルファラン、バイオコロエチルニトロソ尿素又はヒドロキシ尿素である、請求項9記載の方法。
- 白金薬剤がシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、JM-216又はCI-973である、請求項9記載の方法。
- アントラサイクリンがドクスルビシン又はダウノルビシンである、請求項9記載の方法。
- 抗生物質がミトマイシン、イダルビシン、アドリアマイシン又はダウノマイシンである、請求項9記載の方法。
- トポイソメラーゼインヒビターがエトポシド又はカンプトセシンである、請求項9記載の方法。
- 細胞傷害薬がエストラムスチンホスフェート又はプレドニムスチンである、請求項9記載の方法。
- 細胞傷害薬の抗増殖有効量が単独で投与される場合の細胞傷害薬の抗増殖有効量より低い、請求項8記載の方法。
- ヒトに有効量の1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を投与することを特徴とする、膵臓癌、子宮内膜癌、肺の小細胞癌及び非小細胞癌(扁平細胞型、腺癌型及び大細胞型を含む)、頭部及び首の扁平細胞癌、膀胱癌、卵巣癌及び頸癌、ミエロイド及びリンパ球白血病、リンパ腫、肝臓腫瘍、髄様甲状腺癌、多発性ミエローマ、メラノーマ、網膜芽腫又は軟組織及び骨の肉腫の病的作用を軽減するためのヒトの治療方法。
- 細胞傷害薬による治療を要する疾患を有する患者に1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2及び細胞傷害薬を投与することを特徴とする上記患者における細胞傷害薬の抗増殖効果の増進方法。
- 1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を細胞傷害薬の投与の0.5〜7日前に投与する、請求項21記載の方法。
- 1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を細胞傷害薬の投与の2〜4日前に投与する、請求項22記載の方法。
- 細胞を前分化量の1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2で処置することを特徴とする、悪性細胞又は腫瘍細胞の分化を誘発する方法。
- 被験者に有効量の1α,24(S)-ジヒドロキシビタミンD2を投与して被験者に高カルシウム血症を誘発しないでビタミンDの血液レベルを腫瘍の増殖を抑制するのに充分な期間にわたって充分に高生理レベルまで上昇することを特徴とする、ビタミンD受容体を発現する腫瘍を有する被験者の治療方法。
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