JP2004535180A - Gタンパク質共役受容体に関するリガンドを同定する方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、オーファンGPCRのリガンドを同定する方法に関する。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、FLIPR(蛍光イメージングプレートリーダー)によりオーファンGPCR(Gタンパク質共役受容体)に関するリガンドを同定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、様々な生理学的なプロセスにおいて中心的な役割を果する。ヒトゲノムにおいて約1000個の遺伝子がこの受容体ファミリーに関してコードされていると考えられる。処方箋を介して現在入手可能な薬剤の約60%が、GPCRアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する。これは、薬剤リサーチ産業におけるこの受容体クラスの重要性を示す。当該タンパク質ファミリーのサイズと重要性のために、および、生理学的なリガンドが多くのGPCR(オーファンGPCR)に関して未だ知られていないという事実を考慮して、この受容体クラスが、将来的に、新規な医薬物質の探索における適切な標的タンパク質の最も重要な貯蔵庫の一つとなり得ることも考えられる。
【0003】
GPCRは、細胞表面に位置する内在性膜タンパク質のファミリーである。それらは、細胞外シグナル伝達物質(例えばホルモン、神経伝達物質、ペプチド、脂質)からのシグナルを受容し、グアニンヌクレオチド結合タンパク質、すなわち「Gタンパク質」のファミリーを介してこれらシグナルを細胞内部に伝達する。受容体の特異性、活性化されたGタンパク質および細胞型に応じて、それらは様々なシグナル伝達経路を活性化する。
【0004】
全てのGPCRポリペプチド鎖は、細胞膜のリン脂質二重層を貫通する7個のα−ヘリックスに折りたたまれる。7回の膜貫通により細胞外および細胞内のループが形成され、該ループは細胞外のリガンドの結合とGタンパク質の細胞内共役を許容する。この理由のために、GPCRはまた、7回膜貫通受容体とも言われる。全てのGタンパク質共役受容体は、共通の基本パターンに従って作用する:細胞外のリガンドの結合は、前記受容体タンパク質がGタンパク質に接触できるように受容体タンパク質中で立体構造変化をもたらす。最終的に、細胞中のGタンパク質介在シグナル伝達カスケードは、細胞の生物学的な応答をもたらす。Gタンパク質は、サブユニットα、βおよびγで構成されたヘテロ三量体タンパク質であり、脂質のアンカー(anchor)により細胞膜内部に位置する。活性化GPCRがGタンパク質に共役することにより、GαサブユニットでのGDP/GTPの交換、および、ヘテロ三量体のαおよびβγサブユニットへの解離が起こる。活性化αサブユニットとβγ複合体との双方は、細胞内のエフェクタータンパク質に作用することができる。Gαs型Gタンパク質による膜結合アデニレートシクラーゼ(AC)の活性化は、例えば、細胞内のcAMPレベルの増加をもたらし、または、Gαi型Gタンパク質による活性化の場合、それらの減少をもたらす。Gq型Gタンパク質は、イノシトール1,4,5−三リン酸(IP3)とジアシルグリセロール(DAG)の形成を触媒するホスホリパーゼC(PLC)を活性化する。これら分子は順に、細胞内の蓄積からのCa2+放出、または、タンパク質キナーゼC(PKC)の活性化をもたらし、双方においてさらなる効果を伴う。
【0005】
上述のGタンパク質型(Gαi/s,Gq)に加えて、G16、G12/13などと表記される多数のその他の型が存在する。多種多様なGタンパク質型は、多種多様の大きく異なるGPCR機能を示す。
【0006】
殆どのGPCRは、Gαサブユニットの一つの型のみに結合し、すなわちそれらは特定のシグナル伝達経路に選択的である。この狭い特異性は、GPCR依存性シグナル伝達経路を作動させる化合物が同定され得るような方法を開発する目的において大きな障害である。加えて、迅速かつ容易に分析可能な読み出し(read out)を提供するそれらのシグナル伝達経路のみが、例えばハイサンプルスループット(ハイスループットスクリーニング=HTS)を用いた工業的分析タイプに適している。GqまたはG16タンパク質による細胞内のCa2+レベル増加は、この要求に合う。近年、できるだけ多くのGPCRをCa2+経路に機能的に共役させることを目的として「乱交雑(promiscuous)」Gタンパク質がますます構築され、そうすることにより、HTSスクリーニングに関してそれらを利用可能にする。「乱交雑(promiscuity)」は、GPCRに関するGタンパク質の非選択性を意味する。ハイブリッドGタンパク質から乱交雑Gタンパク質を調製することは、分子生物学的および生化学的方法、または、G16ファミリーでの変異誘発により可能である。従って、例えば、Gαi受容体の認識領域とGαqエフェクター活性化領域とを融合させることによって、Gi共役受容体からシグナルを受容するが、Gαq−PLC−βシグナル伝達経路を作動させるGαq/iハイブリッドを調製することが可能である。この種のハイブリッドは、Gαqの5C−末端アミノ酸が対応するGαi配列(Gαqi5)で置換されており、Conklin et al.,Nature 363,274−276(1993)において初めて説明された。
【0007】
受容体のこの「再共役(recoupling)」は、分析の終点(アデニレートシクラーゼ阻害と比較した細胞内Ca2+濃度の増加)が、測定方法を通してよりわかりやすく、さらに、ハイスループットスクリーニングで用いることができる、という利点を有する。FLIPR(Molecular Devices)は、細胞内Ca2+レベルを96−ウェルおよび384−ウェルのフォーマットで測定できる装置である。
【0008】
多くのGPCRに関して、天然リガンドは未だ知られていない。このようなGPCRは、オーファンGPCRと呼ばれている。
【0009】
オーファンGPCRの例は、ヒトGPR3、6および12である。GPRとは、Gタンパク質共役受容体(G protein−coupled receptor)の別の名称である。数字は、特定の型を意味する。全ての3種の受容体は、元来、中枢神経系で多く発現されることがわかっている。
【0010】
しかしながら、それ以来、GPR3、6および12は、末梢血管系(内皮細胞および平滑筋細胞)でも発現されることが示されている。それゆえに、これら受容体は、内皮、従って全てのヒト血管系の生理学/病態生理学において主要な役割を有することが考えられる。
【0011】
高血圧、アテローム性動脈硬化症またはその他の心臓血管の障害の進行は、これら受容体に関連する可能性がある。配列比較に基づき、脂質リガンドを有するGPCRとの高いホモロジーが見出された。配列類似性により、GPR3、6および12も同様に脂質受容体であり得ることが示されている。
【0012】
その3種の受容体遺伝子に関する配列情報は、公的に入手可能である。配列受入番号は、ヒトGPR3遺伝子に関しては「L32831」、ヒトGPR6遺伝子に関しては「L36150」およびヒトGPR12遺伝子に関しては「U18548」である。情報は、例えばwww.ncbi.nlm.nih.govから入手可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
GPCRリガンドは、一般的に試行錯誤により室内実験で同定されている。この方法は、しばしば時間を浪費し、ランダムであるという不利益がある。それゆえに、本発明の一つの目的は、1またはそれ以上のGPCRに関するリガンドを同定する迅速で簡便な方法を提供することである。生理学的なリガンドの分析設計と特異的な探索に関して、バイオインフォマティクスからの結果を考慮することはここで不可欠である。
【0014】
ヒトGPR3が構成的に活性な方法でαs型Gタンパク質を刺激し得ることは、文献で知られている(Eggerickx et al,1995)。しかしながら、GPR3が本当の永続的に活性なGPCRであるのか、または、むしろ細胞培養液中の因子が構成的な活性化を引き起こすのかを明白にすることはできていない。配列比較により、GPR3、6、12受容体と、脂質様リガンドと結合する受容体との相関が明らかである。その上、脂質は、細胞培養液の主成分である。この理由のために、培養液中に存在する脂質が受容体活性化を引き起こすと推測することは、筋が通っているように思われる。
【0015】
すでに最大限活性化された受容体は、それ以上刺激させることができないので細胞を飢餓に晒し(培養液中の、血清、従って脂質の減少)、潜在的刺激物質が見出される。飢餓した受容体を活性化剤の外的な添加により作動させることが可能なはずである。
【0016】
本発明では、可能性のある脂質活性化剤により刺激した後、受容体を、HTSに適したCa2+経路に連結させることを試みた。
【0017】
内因性の脂質受容体発現によるバックグラウンドを減少させるために、かつ、GPR3、6、12−介在シグナルを増加させるために、300μMスラミンの存在下で機能的な実験を行った。
【0018】
同様に、ラットGPR3に関して、生理学的なリガンドは知られていない。この受容体部分的な配列のみが、公的に利用可能なデータベースに存在するだけである(受入番号:L32829)。
【0019】
これは、例えば薬剤に関する選択性の研究において、前記薬剤を調査するために前記受容体を用いることができないという不利益をもたらす。それゆえに、完全ラットGPR3遺伝子を提供することも、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
それゆえに、本発明は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)のリガンドを同定する方法に関し、当該方法は、
a)細胞の内因性シグナル伝達カスケードが、オーファンGPCRGPR3、6および12またはrGPR3をCa2+経路に共役させる細胞を提供すること、を含む。ここで、1%FCS含有培養液で細胞(HEK293)を培養すること、および、内因性の脂質により誘導されるバックグラウンドシグナルを減少させるために300μMスラミンを添加することが必要である。
【0021】
b)前記GPCRが前記細胞系で過剰発現されるように、a)からの細胞系に組換えGPCR構築物をトランスフェクトすること、
c)バイオインフォマティクスおよび文献での検索(Eggerickx et al,1995)でサポートされた理論上予備的な考察により可能性のあるリガンドとみなされる少なくとも1種の化合物を提供すること、
d)c)からの化合物とb)からの細胞系とを接触させること、
e)d)に従って接触させた後、カルシウム感受性の蛍光染料によりFLIPR分析で蛍光を測定すること、
f)e)での蛍光測定結果と、a)に記載の細胞とc)に記載の化合物とを接触させた後の蛍光測定結果とを比較することにより、測定結果を評価すること。
【0022】
本発明のGPCR(GPR3、6および12)は、特に、Gタンパク質αサブユニットのGαiクラスと相互作用する。Gαiの活性化は、アデニレートシクラーゼ阻害を引き起こす。加えて、それに関するβγ複合体は、細胞内での貯蔵細胞器官からのCa2+放出をもたらすことができる。Gαi−またはαs−共役GPCRを用いたFLIPR分析に関して、様々なリガンド特異性のGPCRとCa2+シグナル伝達経路とを共役させるGアルファタンパク質が用いられる。「Gα16」タンパク質は、上述の本発明の方法を実施するのに特に適切である。DE10033353.2は、前記方法の実施に用いることができるさらなるGαタンパク質を開示する。
【0023】
組換え技術は、細胞系における様々なGPCRを結合させ、分析するのに用いることができる。生理学的なリガンドが未だ知られていないGPCRを用いる方法を実施することが好ましい。生理学的なリガンドは、生物(特に哺乳動物)で形成され、前記GPCRに結合し、それにより下流のG−アルファタンパク質を活性化する分子を意味するものと理解される。
【0024】
また、GPR3、6および12からなる群よりのGPCRが、本方法を実施するのに好ましく、適切である。完全ラットGPR3受容体が特に好ましく、適切である。
【0025】
適切で好ましい細胞は、哺乳動物の細胞である。これら細胞は、初代細胞でも細胞系でもよい。このような細胞の例は、哺乳動物の臓器(例えば脳、筋肉、脂肪組織、心臓、肺、肝臓、腎臓、血管、ホルモンの腺など)からの初代細胞である。適切で好ましい細胞系は、CHO、HEK293、COS、マウス3T3、HeLaなどの細胞である。また、酵母細胞を用いることも好ましい。
【0026】
細胞を提供することは、その調製、培養およびさらなる加工を含む。細胞は、例えば、臓器または組織から適切な細胞材料を調製することにより、または、適切な細胞系または微生物を増殖させることにより、提供される。様々な適切な培養液を培養に用いることができる。細胞は生物にとって最適な温度で維持される。必要に応じて、防腐剤、抗生物質、pH指示薬、血清成分、血清、添加剤またはその他の物質が、各場合において用いられる増殖培地に加えられる。調製、培養およびさらなる加工のためのプロセスは、標準的な教本(例:Basic Cell Culture;Ed.J.M.Davis;IRL Press;1994)に記載されている。
【0027】
組換え技術の適用により、細胞で発現することができ、熟練者がその人の専門知識の援助により決まった手順で調製することができるポリヌクレオチド配列の形態で存在し得る構築物が提供される。分子生物学/生化学の熟練者は、これに関する専門知識を、例えばF.M.Ausubel et al.;Current Protocols in Molecular Biology;John Wiley & Sons;New Yorkで見出すことができる。ベクター構築物は、例えばGPCRのアミノ酸配列をコードしたポリヌクレオチドを発現ベクターに取り入れることにより調製される。発現ベクターは、ポリヌクレオチド配列が宿主細胞にトランスフェクトされ、宿主細胞で発現できるベクターを意味することと理解される。ベクターは、プラスミド、ウイルスまたはコスミドから誘導することができ、自発的な複製が可能でなければならない。それらは概して、複製起点、制限酵素の開裂部位、および、マーカー遺伝子(例えば抗生物質耐性遺伝子)を含む。発現ベクターにおいて、増殖しようとするポリヌクレオチド配列、または、外部から導入されたポリヌクレオチド配列は、プロモーターの機能的な制御下である。プロモーターは、可変的な長さの機能的なポリヌクレオチド配列であり、転写、すなわち前記プロモーターの3’に近接したポリヌクレオチド配列のmRNAの合成を制御するのに用いられる。原核生物でのみ活性なプロモーター(例えばlac、tacおよびtrcプロモーター)、または、真核生物でのみ活性なプロモーター(例えばCMV、TおよびADHプロモーター)である。従って、原核性の発現ベクターは、真核性の発現ベクターとは異なる。
【0028】
好ましい実施形態において、組換えベクター構築物は、真核生物および/または原核生物で用いることができる発現ベクターを含む。発現ベクターは、生物(例えば細菌、真菌または真核細胞系細胞)で前記ポリヌクレオチド配列によりコードされたタンパク質が合成されるようにポリヌクレオチド配列に機能的に連結することができるプロモーターを含む。プロモーターは、例えばトリプトファンにより誘導され得るものか、または、構成的に活性であるものであり得る。発現ベクターの例は、pUC18、pUC19、pBluescript、pcDNA3.1などである。
【0029】
トランスフェクションは、外来ポリヌクレオチド配列をベクターにより宿主細胞へ導入させることと、それに続く前記ポリヌクレオチド配列をいくらでも同一なコピーに増殖させることを意味することと理解される。
【0030】
細胞系は、決まった方法で一時的に組換え構築物でトランスフェクトされるが、この決まった方法は、熟練者により上述のJohn Wiley&Sonsに(New York)より出版されたCurrent Protocols in Molecular Biology、または、Sambrook等のA Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,ISBN0−87969−309−6で見出すことができる。このような決まった方法の例は、エレクトロポレーション、Ca2+リン酸塩での共沈、および、リポゾームを用いたトランスフェクションである。トランスフェクトされた遺伝子の宿主細胞中での発現は、免疫検出方法と組み合わせた、トランスフェクトされた細胞の細胞溶解物のウェスタンブロッティングにより証明することができる。
【0031】
また、これに関して、必要とされる実験方法は、熟練者により上記マニュアル中に見出すことができる。本発明の方法を実施するのに適切なGPCR受容体の免疫検出に特異的な抗体(例えばEDG1〜8)は、一部市販されている。多数の供給業者の一つとして、Exalpha Biologicals社(www.exalpha.com)が挙げられる。特異的抗体を生産するために、ウサギがGPR3、6および12に対して免疫化される。
【0032】
特に化学合成または生物学的材料からの化学物質単離により、化合物が提供される。生物学的材料は、生細胞もしくは非生細胞またはその成分が含まれる。
【0033】
熟練者は、化合物の化学合成または生物学的な細胞のからの物質の単離について決まった方法を用いることができる。このような方法は、Organic Synthesis Workbook;1995;John Wiley&Sons;ISBN3−527−30187−9、The Organic Chemistry of Drug Synthesis;1998;John Wiley&Sons;ISBN0−471−24510−0、または、Bioactive Compound from Natural Sources;2001;Taylor&Francis;ISBN0−7484−0890−8のような教本において熟練者に利用可能である。
【0034】
合成または単離で得られた化合物は、適切な溶媒に溶解させることができる。適切な溶媒としては、水、緩衝物質(例えばTris、HEPES、MOPSなど)、一価および/または二価イオン(例えばK+、Na+、Mg2+、Ca2+など)、酸(例えばHCl、H2SO4、ギ酸、酢酸など)、塩基(例えばNaOHなど)、アルコール(例えばメタノール、エタノール、グリセロール)、界面活性剤(例えばドデシル硫酸Naなど)、有機溶媒(例えばホルムアミド、アセトン、ジメチルスルホキシドなど)、および、その他の成分、特に可溶化剤や安定剤が挙げられる。
【0035】
本発明の方法のための化合物は、GPCRリガンドとして適切であるべきであり、同様に、GPR3、6および12の脂質GPCRへの類似性のために、脂質でもよい。
【0036】
このような化合物は、特に、哺乳動物の組織または臓器、例えば内皮細胞組織、心臓組織、脳組織、血液、血清または血漿から得ることができる。本発明の方法を実施するのに適切な好ましい化合物は、天然のGPCRリガンドである。
【0037】
熟練者は、決まった実験方法を用いて化合物と前記細胞系とを接触させることができる。接触は、例えば、Erienmeyer管、チューブ、エッペンドルフ管中で、または、マイクロタイタープレート上で行ってもよい。一定温度(例えば30℃または37℃)および一定CO2または湿度条件を設定することができる温度制御されたインキュベーターを前記接触のために用いることができる。また、接触は特に、そのために提供された実験ロボット装置(FLIPR)で実施することもできる。接触は、数秒〜数分から、数時間までの様々な時間が可能である。各場合で選択される条件は、受容体、細胞系および化合物による。
【0038】
接触させたあと、蛍光は、FLIPRにより測定される。FLIPRは、フルオメトリックイメージングプレートリーダー(Fluometric imaging plate reader)を意味する。当該システムは、細胞内のCa2+シグナルを測定するのに適切である。測定は、96または384ウェルを有するマイクロタイタープレートで実施される。リガンドがGPCRへ結合することにより、細胞内でCa2+が放出される。放出されたCa2+の量は、カルシウム感受性の蛍光染料(例えばfluo−4)により測定することができる。細胞のCa2+シグナルと、GPR3、6または12を過剰発現する細胞のCa2+シグナルとの比較により、前記GPCRのリガンドを決定することが可能になる。このようなリガンドは、機能的にGPCRを過剰発現する細胞においてより良好にCa2+放出を活性化する。Ca2+を測定するための試薬を含むFLIPRシステムの技術的な器具は、市販である。1つの特定の供給業者は、Molecular Devices社である(特に、Sunnyvale(CA)、Ismaning(Germany)およびAshiya(Japan)に支社を有する)。
【0039】
本発明はまた、上述の方法により同定されたリガンドに関する。S1PおよびDHS1Pは、HEK293細胞でCa2+放出を引き起こす。本分析では内因性の脂質バックグラウンドを減らすためにスラミンが用いられた。
【0040】
生物、例えば脊椎動物は、その生物の環境内で便宜上GPCRを活性化するために天然リガンドを形成する。その目的は、特に、生化学的な機能(例えば、感覚刺激を処理するために活動電位を作動させること、構造タンパク質またはメッセンジャーとして作用するタンパク質の遺伝子の合成を作動させること、メッセンジャーを放出すること、代謝機能を調節すること、臓器の機能、例えば心臓の鼓動、血圧、または類似の生物学的プロセスを調節すること)を誘発させることである。GPCRのリガンドとして適切な化合物は、前記GPCRに結合する。リガンドの結合により、前記受容体の活性化が引き起こされる。本発明の方法において、GPCR活性化は、細胞中で細胞内Ca2+放出をもたらす。
【0041】
その上、本発明は、上述のリガンドと、前記リガンドを安定化させるための添加物および/または薬剤を配合するための添加物とを含む薬剤に関する。本発明はまた、薬剤の調製に関する。この目的のために、上述のリガンドは、添加物と混合され、続いて薬剤を最終形態に加工し、容器に入れ、説明書を添え、パッケージングする。薬剤の最終形態は、例えば錠剤、顆粒、スプレー、溶液、軟膏、チンキまたはその他の剤形のような最終的な製剤に関する。最終形態への加工は、特定の製剤の調製を意味する。
【0042】
本発明はまた、前記リガンドが結合するGPCRの不適切な機能により生じる病気を治療するのに適切な薬剤を調製するための、上述したようなリガンドの使用に関する。心臓血管の障害およびCNS障害を治療する薬剤を調製するためのリガンドを用いることが好ましい。
【0043】
該リガンドは、好ましくは、医薬組成物の形態で、許容できる担体と共に存在する。担体は、もちろん、組成物の他の成分に適合するという点で許容可能でなければならず、患者に無害である。担体は、固体もしくは液体、または、その両方でよく、好ましくは単回投与として、例えば活性物質が0.05重量%〜95重量%で含まれ得る錠剤として化合物と共に配合される。本発明の医薬組成物は、既知の製剤方法のいずれかに従って製造することができ、このような製剤方法は、成分を薬理学的に許容できる担体および/または賦形剤と共に混合することを本質的に含む。
【0044】
本発明の医薬組成物は、口、直腸、局所的、経口(例えば舌下)、および、非経口(例えば皮下、筋肉内、皮内または静脈内)投与に適切なものである。
【0045】
望ましい生物学的効果を得るために必要な上述のリガンドの量は、例えば選択された特定の化合物、意図した使用、投与タイプ、および、患者の臨床状態のようなファクターの数に依存する。以下に示す量は、単一のリガンドについて言及されている。
【0046】
一般的に、一日量は、0.3mg〜100mg(一般的には3mg〜50mg)/日/体重kg、例えば3〜10mg/kg/日の範囲である。静脈内の用量は、例えば0.3mg〜1.0mg/kgの範囲でよく、最も適切には、10ng〜100ng/kg/分の点滴で投与することができる。この目的に適切な点滴用溶液は、例えば0.1ng〜10mg、一般的には1ng〜10mg/mlで含み得る。単回投与は、活性物質を、例えば1mg〜10gで含み得る。従って、注射用アンプルの場合、例えば1mg〜100mgを含ませることが可能であり、経口投与が可能な単回投与製剤(例えば錠剤またはカプセル)の場合、例えば1.0〜1000mg、一般的には10〜600mgを含ませることが可能である。
【0047】
本発明はまた、ラットGPR3をコードする、配列番号1に記載のポリヌクレオチド配列に関する。その上、本発明は、配列番号2に記載の少なくとも1種のアミノ酸配列を含むラットGPR3に関するタンパク質を含む。
【0048】
本発明はまた、配列番号1に記載のラットGPR3の上記ポリヌクレオチド配列が組み込まれた発現ベクターを含む。その上、本発明は、少なくとも配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むラットGPR3を発現する細胞の調製に関し、前記細胞は、上述の発現ベクターによりトランスフェクトされている。発現ベクターと細胞に関して、上記の章で示された本発明の説明が参照される。熟練者であれば、配列番号1に記載のポリヌクレオチド配列、少なくとも配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、発現ベクターおよび細胞を調製し特徴付ける方法を、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons;ISBN0−471−50338−x、および、Molecular Cloning;Cold Spring Harbor Laboratory;ISBN0−87969−309−6のようなマニュアルに見出すことができる。
【実施例1】
【0049】
ヒトGPR3、6および12のクローニング
GPR3、6および12のヒト遺伝子はイントロンを含まず、それゆえにPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によりヒトゲノムDNAから増幅することができる。コーディング配列は、pcDNA3.1(Invitrogen)のHindIII/XbaI部位でクローニングされた。
【実施例2】
【0050】
ラットGPR3のクローニング
完全ラットGPR3遺伝子の配列は、5’プライマー5’−ATG CTT GCC ATG GCC TGG TTC TCA GCC GCC TCA−3’(配列番号3)および3’プライマー(マウス)5’−TCT AGA CTA GAC ATC ACT AGG GGA CCG GGA−3’(配列番号4)を用いたPCR増幅によりラット脳のcDNAから増幅させた。その上、5’プライマーはHindIII部位を提供し、開始コドンの前にKozac配列を生じさせる。3’プライマーにおいては、XbaI部位も考慮される。990bpの増幅産物をpcDNA3.1(Invitrogen)のHindIII/XbaI部位にクローニングし、続いて配列解析した。
【実施例3】
【0051】
GPR遺伝子の発現
HEK293細胞(ヒト胎児の腎臓細胞系)を、DMEM(10%ウシ胎仔血清、10,000IU/mlペニシリン、10,000μg/mlストレプトマイシンおよび25mMのHEPESが添加されたもの;pH7.0)で培養した。CHO−K1細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞系)を、Iscove培地(10%ウシ胎仔血清、10,000IU/mlペニシリン、10,000μg/mlストレプトマイシン、ゲンタマイシンおよび2mMのL−グルタミンが添加されたもの)で培養した。Iscove培地は市販されている(例えばBiochromから)。
【0052】
5×105個のHEK293細胞または2×105個のCHO−K1細胞を6−ウェルプレートで37℃で24時間インキュベートすることにより、一時的なトランスフェクションを行った。次に、GPR3、6または12が真核性CMVプロモーターの制御下にクローニングされたベクター、または、相当するクローン化インサートを含まないコントロールプラスミドの1〜2μgを、細胞にトランスフェクトさせた。FuGene6トランスフェクション試薬(例えばRoche Diagnosticsから市販されている)によりHEK293細胞をトランスフェクトさせ、リポフェクトアミン試薬(例えばGIBCO−BRLから市販されている)によりCHO細胞をトランスフェクトさせた(いずれの場合も使用説明書に従った)。
【実施例4】
【0053】
蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR)分析
HEK293細胞を、一時的なトランスフェクションの24時間後、96−ウェルマイクロタイタープレートに移した。細胞密度は、80,000細胞/ウェルであった。マイクロタイタープレートをポリ−D−リシンでコーティングした。細胞を1%FCS(ウシ胎仔血清)を含む培養液で18〜24時間維持した。トリプシン処理後、DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)[25mMのHEPES(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸)(pH7.0)、1%FCS、10,000IU/mlペニシリン、10,000μg/mlストレプトマイシンおよび4μMの染料fluo4(Molecular Dynamics社製の蛍光性のカルシウム指示薬)をさらに含む]]に細胞を懸濁し、続いて、37℃で、5%CO2で、1時間インキュベートした。続いてその細胞を、PBS(リン酸緩衝食塩水)[1mMのMgCl2、1mMのEDTAおよび0.4mg/mlのFAF−BSA(脂肪酸非含有ウシ血清アルブミン)を含む]で3回洗浄した。最後の洗浄工程の後、量は、100μl/ウェルであった。ほとんどの場合、分析される化合物は、DMSO(ジメチルスルホキシド)中の2mMストック溶液として存在した。これらストック溶液を1mMのMgCl2、1mMのEDTAおよび0.4mg/mlのFAF−BSAを含むPBS溶液で1:500に希釈した。脂質は、分析前には、3倍濃縮溶液の形態で存在した。スラミン(Sigma)を、1mMのMgCl2、1mMのEDTAおよび0.4mg/mlのFAF−BSAを含むPBSでの3倍濃縮溶液の形態に調製した。
【0054】
50μlの3倍濃縮スラミンストック溶液が細胞に添加され、最終スラミン濃度が300μMになるようにFLIPRをプログラミングした。最初の3分は3秒のインターバルで、最後の2分は10秒のインターバルで、蛍光を測定した。リガンドのCa2+シグナルを同様に測定した。
【0055】
18〜37秒のタイムインターバルの蛍光データを用いて、アゴニスト活性を決定した。
【0056】
装置それ自体は、内部でゼロ値を比較する。
【実施例5】
【0057】
GPCR3、6および12に関するリガンドの同定
GPCR3、6および12は、GPCRタンパク質ファミリーのオーファン受容体である。遺伝子バンク検索(EMBL)を用いて、GPR3、6および12の構造的に最も近い近縁物として脂質受容体EDG(内皮の分化遺伝子)GPCRとカンナビノイドGPCRとを同定することができた。1つの種間でのホモロジーは、ヌクレオチド配列に関して65〜68%である。ヒトの配列では、ラットの配列と比較して、それぞれ87%(GPR3)、83%(GPR6)および88%(GPR12)のホモロジーを示す。
【0058】
RT−PCR分析(RT PCR=逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応)によれば、大脳組織および心臓血管の臓器(例えば心臓、腎臓)において、hGPR3、6および12の適合する発現が示される。この結果に基づき、単離された内皮細胞および平滑筋細胞における発現を確認できた。HEK293細胞でCa2+FLIPR分析を用いることによって、hGPR3、6および12の生理学的なリガンドとして脂質スフィンゴシン1−リン酸塩(S1P)およびジヒドロスフィンゴシン1−リン酸塩(DHS1P)を同定することができた。S1PおよびDHS1PのEC50値は、100nM未満であった。200個の生物活性脂質からなる脂質ライブラリーを用いても、さらなるリガンドは生産されず、加えて、カンナビノイドが効果が無いことが示された。新たにクローニングされたrGPR3(L32829,33bpの部分配列)、同様に、そのヒト相同体は、Ca2+FLIPR分析においてS1P/DHS1Pにより作動させることができる。
【0059】
HEK293細胞において、GPR3、6および12は、G16またはその他のキメラ乱交雑Gαサブユニットのコトランスフェクションなしに、Ca2+シグナル伝達経路に共役される。HEK293細胞におけるS1P/DHS1Pにより誘導されたCa2+放出は百日咳毒素感受性であり、すなわちシグナル伝達カスケードは、Gαi型Gタンパク質を介して行われる。その上、Ca2+放出は、ある程度、スフィンゴシンキナーゼ阻害剤に感受性である。
【0060】
それらが、S1P/DHS1Pと共に、EDGファミリーメンバーと同じリガンドを有し、さらにそれらの発現パターンも概ねEDGの発現パターンと同一であるため、それらが、匹敵する生理学的機能(アポトーシスからの防御、血管新生、増殖の促進および阻害、血小板活性化、血管作動作用、化学走性、細胞分化など)を発揮する、ということが考えられる。
【0001】
本発明は、FLIPR(蛍光イメージングプレートリーダー)によりオーファンGPCR(Gタンパク質共役受容体)に関するリガンドを同定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、様々な生理学的なプロセスにおいて中心的な役割を果する。ヒトゲノムにおいて約1000個の遺伝子がこの受容体ファミリーに関してコードされていると考えられる。処方箋を介して現在入手可能な薬剤の約60%が、GPCRアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する。これは、薬剤リサーチ産業におけるこの受容体クラスの重要性を示す。当該タンパク質ファミリーのサイズと重要性のために、および、生理学的なリガンドが多くのGPCR(オーファンGPCR)に関して未だ知られていないという事実を考慮して、この受容体クラスが、将来的に、新規な医薬物質の探索における適切な標的タンパク質の最も重要な貯蔵庫の一つとなり得ることも考えられる。
【0003】
GPCRは、細胞表面に位置する内在性膜タンパク質のファミリーである。それらは、細胞外シグナル伝達物質(例えばホルモン、神経伝達物質、ペプチド、脂質)からのシグナルを受容し、グアニンヌクレオチド結合タンパク質、すなわち「Gタンパク質」のファミリーを介してこれらシグナルを細胞内部に伝達する。受容体の特異性、活性化されたGタンパク質および細胞型に応じて、それらは様々なシグナル伝達経路を活性化する。
【0004】
全てのGPCRポリペプチド鎖は、細胞膜のリン脂質二重層を貫通する7個のα−ヘリックスに折りたたまれる。7回の膜貫通により細胞外および細胞内のループが形成され、該ループは細胞外のリガンドの結合とGタンパク質の細胞内共役を許容する。この理由のために、GPCRはまた、7回膜貫通受容体とも言われる。全てのGタンパク質共役受容体は、共通の基本パターンに従って作用する:細胞外のリガンドの結合は、前記受容体タンパク質がGタンパク質に接触できるように受容体タンパク質中で立体構造変化をもたらす。最終的に、細胞中のGタンパク質介在シグナル伝達カスケードは、細胞の生物学的な応答をもたらす。Gタンパク質は、サブユニットα、βおよびγで構成されたヘテロ三量体タンパク質であり、脂質のアンカー(anchor)により細胞膜内部に位置する。活性化GPCRがGタンパク質に共役することにより、GαサブユニットでのGDP/GTPの交換、および、ヘテロ三量体のαおよびβγサブユニットへの解離が起こる。活性化αサブユニットとβγ複合体との双方は、細胞内のエフェクタータンパク質に作用することができる。Gαs型Gタンパク質による膜結合アデニレートシクラーゼ(AC)の活性化は、例えば、細胞内のcAMPレベルの増加をもたらし、または、Gαi型Gタンパク質による活性化の場合、それらの減少をもたらす。Gq型Gタンパク質は、イノシトール1,4,5−三リン酸(IP3)とジアシルグリセロール(DAG)の形成を触媒するホスホリパーゼC(PLC)を活性化する。これら分子は順に、細胞内の蓄積からのCa2+放出、または、タンパク質キナーゼC(PKC)の活性化をもたらし、双方においてさらなる効果を伴う。
【0005】
上述のGタンパク質型(Gαi/s,Gq)に加えて、G16、G12/13などと表記される多数のその他の型が存在する。多種多様なGタンパク質型は、多種多様の大きく異なるGPCR機能を示す。
【0006】
殆どのGPCRは、Gαサブユニットの一つの型のみに結合し、すなわちそれらは特定のシグナル伝達経路に選択的である。この狭い特異性は、GPCR依存性シグナル伝達経路を作動させる化合物が同定され得るような方法を開発する目的において大きな障害である。加えて、迅速かつ容易に分析可能な読み出し(read out)を提供するそれらのシグナル伝達経路のみが、例えばハイサンプルスループット(ハイスループットスクリーニング=HTS)を用いた工業的分析タイプに適している。GqまたはG16タンパク質による細胞内のCa2+レベル増加は、この要求に合う。近年、できるだけ多くのGPCRをCa2+経路に機能的に共役させることを目的として「乱交雑(promiscuous)」Gタンパク質がますます構築され、そうすることにより、HTSスクリーニングに関してそれらを利用可能にする。「乱交雑(promiscuity)」は、GPCRに関するGタンパク質の非選択性を意味する。ハイブリッドGタンパク質から乱交雑Gタンパク質を調製することは、分子生物学的および生化学的方法、または、G16ファミリーでの変異誘発により可能である。従って、例えば、Gαi受容体の認識領域とGαqエフェクター活性化領域とを融合させることによって、Gi共役受容体からシグナルを受容するが、Gαq−PLC−βシグナル伝達経路を作動させるGαq/iハイブリッドを調製することが可能である。この種のハイブリッドは、Gαqの5C−末端アミノ酸が対応するGαi配列(Gαqi5)で置換されており、Conklin et al.,Nature 363,274−276(1993)において初めて説明された。
【0007】
受容体のこの「再共役(recoupling)」は、分析の終点(アデニレートシクラーゼ阻害と比較した細胞内Ca2+濃度の増加)が、測定方法を通してよりわかりやすく、さらに、ハイスループットスクリーニングで用いることができる、という利点を有する。FLIPR(Molecular Devices)は、細胞内Ca2+レベルを96−ウェルおよび384−ウェルのフォーマットで測定できる装置である。
【0008】
多くのGPCRに関して、天然リガンドは未だ知られていない。このようなGPCRは、オーファンGPCRと呼ばれている。
【0009】
オーファンGPCRの例は、ヒトGPR3、6および12である。GPRとは、Gタンパク質共役受容体(G protein−coupled receptor)の別の名称である。数字は、特定の型を意味する。全ての3種の受容体は、元来、中枢神経系で多く発現されることがわかっている。
【0010】
しかしながら、それ以来、GPR3、6および12は、末梢血管系(内皮細胞および平滑筋細胞)でも発現されることが示されている。それゆえに、これら受容体は、内皮、従って全てのヒト血管系の生理学/病態生理学において主要な役割を有することが考えられる。
【0011】
高血圧、アテローム性動脈硬化症またはその他の心臓血管の障害の進行は、これら受容体に関連する可能性がある。配列比較に基づき、脂質リガンドを有するGPCRとの高いホモロジーが見出された。配列類似性により、GPR3、6および12も同様に脂質受容体であり得ることが示されている。
【0012】
その3種の受容体遺伝子に関する配列情報は、公的に入手可能である。配列受入番号は、ヒトGPR3遺伝子に関しては「L32831」、ヒトGPR6遺伝子に関しては「L36150」およびヒトGPR12遺伝子に関しては「U18548」である。情報は、例えばwww.ncbi.nlm.nih.govから入手可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
GPCRリガンドは、一般的に試行錯誤により室内実験で同定されている。この方法は、しばしば時間を浪費し、ランダムであるという不利益がある。それゆえに、本発明の一つの目的は、1またはそれ以上のGPCRに関するリガンドを同定する迅速で簡便な方法を提供することである。生理学的なリガンドの分析設計と特異的な探索に関して、バイオインフォマティクスからの結果を考慮することはここで不可欠である。
【0014】
ヒトGPR3が構成的に活性な方法でαs型Gタンパク質を刺激し得ることは、文献で知られている(Eggerickx et al,1995)。しかしながら、GPR3が本当の永続的に活性なGPCRであるのか、または、むしろ細胞培養液中の因子が構成的な活性化を引き起こすのかを明白にすることはできていない。配列比較により、GPR3、6、12受容体と、脂質様リガンドと結合する受容体との相関が明らかである。その上、脂質は、細胞培養液の主成分である。この理由のために、培養液中に存在する脂質が受容体活性化を引き起こすと推測することは、筋が通っているように思われる。
【0015】
すでに最大限活性化された受容体は、それ以上刺激させることができないので細胞を飢餓に晒し(培養液中の、血清、従って脂質の減少)、潜在的刺激物質が見出される。飢餓した受容体を活性化剤の外的な添加により作動させることが可能なはずである。
【0016】
本発明では、可能性のある脂質活性化剤により刺激した後、受容体を、HTSに適したCa2+経路に連結させることを試みた。
【0017】
内因性の脂質受容体発現によるバックグラウンドを減少させるために、かつ、GPR3、6、12−介在シグナルを増加させるために、300μMスラミンの存在下で機能的な実験を行った。
【0018】
同様に、ラットGPR3に関して、生理学的なリガンドは知られていない。この受容体部分的な配列のみが、公的に利用可能なデータベースに存在するだけである(受入番号:L32829)。
【0019】
これは、例えば薬剤に関する選択性の研究において、前記薬剤を調査するために前記受容体を用いることができないという不利益をもたらす。それゆえに、完全ラットGPR3遺伝子を提供することも、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
それゆえに、本発明は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)のリガンドを同定する方法に関し、当該方法は、
a)細胞の内因性シグナル伝達カスケードが、オーファンGPCRGPR3、6および12またはrGPR3をCa2+経路に共役させる細胞を提供すること、を含む。ここで、1%FCS含有培養液で細胞(HEK293)を培養すること、および、内因性の脂質により誘導されるバックグラウンドシグナルを減少させるために300μMスラミンを添加することが必要である。
【0021】
b)前記GPCRが前記細胞系で過剰発現されるように、a)からの細胞系に組換えGPCR構築物をトランスフェクトすること、
c)バイオインフォマティクスおよび文献での検索(Eggerickx et al,1995)でサポートされた理論上予備的な考察により可能性のあるリガンドとみなされる少なくとも1種の化合物を提供すること、
d)c)からの化合物とb)からの細胞系とを接触させること、
e)d)に従って接触させた後、カルシウム感受性の蛍光染料によりFLIPR分析で蛍光を測定すること、
f)e)での蛍光測定結果と、a)に記載の細胞とc)に記載の化合物とを接触させた後の蛍光測定結果とを比較することにより、測定結果を評価すること。
【0022】
本発明のGPCR(GPR3、6および12)は、特に、Gタンパク質αサブユニットのGαiクラスと相互作用する。Gαiの活性化は、アデニレートシクラーゼ阻害を引き起こす。加えて、それに関するβγ複合体は、細胞内での貯蔵細胞器官からのCa2+放出をもたらすことができる。Gαi−またはαs−共役GPCRを用いたFLIPR分析に関して、様々なリガンド特異性のGPCRとCa2+シグナル伝達経路とを共役させるGアルファタンパク質が用いられる。「Gα16」タンパク質は、上述の本発明の方法を実施するのに特に適切である。DE10033353.2は、前記方法の実施に用いることができるさらなるGαタンパク質を開示する。
【0023】
組換え技術は、細胞系における様々なGPCRを結合させ、分析するのに用いることができる。生理学的なリガンドが未だ知られていないGPCRを用いる方法を実施することが好ましい。生理学的なリガンドは、生物(特に哺乳動物)で形成され、前記GPCRに結合し、それにより下流のG−アルファタンパク質を活性化する分子を意味するものと理解される。
【0024】
また、GPR3、6および12からなる群よりのGPCRが、本方法を実施するのに好ましく、適切である。完全ラットGPR3受容体が特に好ましく、適切である。
【0025】
適切で好ましい細胞は、哺乳動物の細胞である。これら細胞は、初代細胞でも細胞系でもよい。このような細胞の例は、哺乳動物の臓器(例えば脳、筋肉、脂肪組織、心臓、肺、肝臓、腎臓、血管、ホルモンの腺など)からの初代細胞である。適切で好ましい細胞系は、CHO、HEK293、COS、マウス3T3、HeLaなどの細胞である。また、酵母細胞を用いることも好ましい。
【0026】
細胞を提供することは、その調製、培養およびさらなる加工を含む。細胞は、例えば、臓器または組織から適切な細胞材料を調製することにより、または、適切な細胞系または微生物を増殖させることにより、提供される。様々な適切な培養液を培養に用いることができる。細胞は生物にとって最適な温度で維持される。必要に応じて、防腐剤、抗生物質、pH指示薬、血清成分、血清、添加剤またはその他の物質が、各場合において用いられる増殖培地に加えられる。調製、培養およびさらなる加工のためのプロセスは、標準的な教本(例:Basic Cell Culture;Ed.J.M.Davis;IRL Press;1994)に記載されている。
【0027】
組換え技術の適用により、細胞で発現することができ、熟練者がその人の専門知識の援助により決まった手順で調製することができるポリヌクレオチド配列の形態で存在し得る構築物が提供される。分子生物学/生化学の熟練者は、これに関する専門知識を、例えばF.M.Ausubel et al.;Current Protocols in Molecular Biology;John Wiley & Sons;New Yorkで見出すことができる。ベクター構築物は、例えばGPCRのアミノ酸配列をコードしたポリヌクレオチドを発現ベクターに取り入れることにより調製される。発現ベクターは、ポリヌクレオチド配列が宿主細胞にトランスフェクトされ、宿主細胞で発現できるベクターを意味することと理解される。ベクターは、プラスミド、ウイルスまたはコスミドから誘導することができ、自発的な複製が可能でなければならない。それらは概して、複製起点、制限酵素の開裂部位、および、マーカー遺伝子(例えば抗生物質耐性遺伝子)を含む。発現ベクターにおいて、増殖しようとするポリヌクレオチド配列、または、外部から導入されたポリヌクレオチド配列は、プロモーターの機能的な制御下である。プロモーターは、可変的な長さの機能的なポリヌクレオチド配列であり、転写、すなわち前記プロモーターの3’に近接したポリヌクレオチド配列のmRNAの合成を制御するのに用いられる。原核生物でのみ活性なプロモーター(例えばlac、tacおよびtrcプロモーター)、または、真核生物でのみ活性なプロモーター(例えばCMV、TおよびADHプロモーター)である。従って、原核性の発現ベクターは、真核性の発現ベクターとは異なる。
【0028】
好ましい実施形態において、組換えベクター構築物は、真核生物および/または原核生物で用いることができる発現ベクターを含む。発現ベクターは、生物(例えば細菌、真菌または真核細胞系細胞)で前記ポリヌクレオチド配列によりコードされたタンパク質が合成されるようにポリヌクレオチド配列に機能的に連結することができるプロモーターを含む。プロモーターは、例えばトリプトファンにより誘導され得るものか、または、構成的に活性であるものであり得る。発現ベクターの例は、pUC18、pUC19、pBluescript、pcDNA3.1などである。
【0029】
トランスフェクションは、外来ポリヌクレオチド配列をベクターにより宿主細胞へ導入させることと、それに続く前記ポリヌクレオチド配列をいくらでも同一なコピーに増殖させることを意味することと理解される。
【0030】
細胞系は、決まった方法で一時的に組換え構築物でトランスフェクトされるが、この決まった方法は、熟練者により上述のJohn Wiley&Sonsに(New York)より出版されたCurrent Protocols in Molecular Biology、または、Sambrook等のA Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,ISBN0−87969−309−6で見出すことができる。このような決まった方法の例は、エレクトロポレーション、Ca2+リン酸塩での共沈、および、リポゾームを用いたトランスフェクションである。トランスフェクトされた遺伝子の宿主細胞中での発現は、免疫検出方法と組み合わせた、トランスフェクトされた細胞の細胞溶解物のウェスタンブロッティングにより証明することができる。
【0031】
また、これに関して、必要とされる実験方法は、熟練者により上記マニュアル中に見出すことができる。本発明の方法を実施するのに適切なGPCR受容体の免疫検出に特異的な抗体(例えばEDG1〜8)は、一部市販されている。多数の供給業者の一つとして、Exalpha Biologicals社(www.exalpha.com)が挙げられる。特異的抗体を生産するために、ウサギがGPR3、6および12に対して免疫化される。
【0032】
特に化学合成または生物学的材料からの化学物質単離により、化合物が提供される。生物学的材料は、生細胞もしくは非生細胞またはその成分が含まれる。
【0033】
熟練者は、化合物の化学合成または生物学的な細胞のからの物質の単離について決まった方法を用いることができる。このような方法は、Organic Synthesis Workbook;1995;John Wiley&Sons;ISBN3−527−30187−9、The Organic Chemistry of Drug Synthesis;1998;John Wiley&Sons;ISBN0−471−24510−0、または、Bioactive Compound from Natural Sources;2001;Taylor&Francis;ISBN0−7484−0890−8のような教本において熟練者に利用可能である。
【0034】
合成または単離で得られた化合物は、適切な溶媒に溶解させることができる。適切な溶媒としては、水、緩衝物質(例えばTris、HEPES、MOPSなど)、一価および/または二価イオン(例えばK+、Na+、Mg2+、Ca2+など)、酸(例えばHCl、H2SO4、ギ酸、酢酸など)、塩基(例えばNaOHなど)、アルコール(例えばメタノール、エタノール、グリセロール)、界面活性剤(例えばドデシル硫酸Naなど)、有機溶媒(例えばホルムアミド、アセトン、ジメチルスルホキシドなど)、および、その他の成分、特に可溶化剤や安定剤が挙げられる。
【0035】
本発明の方法のための化合物は、GPCRリガンドとして適切であるべきであり、同様に、GPR3、6および12の脂質GPCRへの類似性のために、脂質でもよい。
【0036】
このような化合物は、特に、哺乳動物の組織または臓器、例えば内皮細胞組織、心臓組織、脳組織、血液、血清または血漿から得ることができる。本発明の方法を実施するのに適切な好ましい化合物は、天然のGPCRリガンドである。
【0037】
熟練者は、決まった実験方法を用いて化合物と前記細胞系とを接触させることができる。接触は、例えば、Erienmeyer管、チューブ、エッペンドルフ管中で、または、マイクロタイタープレート上で行ってもよい。一定温度(例えば30℃または37℃)および一定CO2または湿度条件を設定することができる温度制御されたインキュベーターを前記接触のために用いることができる。また、接触は特に、そのために提供された実験ロボット装置(FLIPR)で実施することもできる。接触は、数秒〜数分から、数時間までの様々な時間が可能である。各場合で選択される条件は、受容体、細胞系および化合物による。
【0038】
接触させたあと、蛍光は、FLIPRにより測定される。FLIPRは、フルオメトリックイメージングプレートリーダー(Fluometric imaging plate reader)を意味する。当該システムは、細胞内のCa2+シグナルを測定するのに適切である。測定は、96または384ウェルを有するマイクロタイタープレートで実施される。リガンドがGPCRへ結合することにより、細胞内でCa2+が放出される。放出されたCa2+の量は、カルシウム感受性の蛍光染料(例えばfluo−4)により測定することができる。細胞のCa2+シグナルと、GPR3、6または12を過剰発現する細胞のCa2+シグナルとの比較により、前記GPCRのリガンドを決定することが可能になる。このようなリガンドは、機能的にGPCRを過剰発現する細胞においてより良好にCa2+放出を活性化する。Ca2+を測定するための試薬を含むFLIPRシステムの技術的な器具は、市販である。1つの特定の供給業者は、Molecular Devices社である(特に、Sunnyvale(CA)、Ismaning(Germany)およびAshiya(Japan)に支社を有する)。
【0039】
本発明はまた、上述の方法により同定されたリガンドに関する。S1PおよびDHS1Pは、HEK293細胞でCa2+放出を引き起こす。本分析では内因性の脂質バックグラウンドを減らすためにスラミンが用いられた。
【0040】
生物、例えば脊椎動物は、その生物の環境内で便宜上GPCRを活性化するために天然リガンドを形成する。その目的は、特に、生化学的な機能(例えば、感覚刺激を処理するために活動電位を作動させること、構造タンパク質またはメッセンジャーとして作用するタンパク質の遺伝子の合成を作動させること、メッセンジャーを放出すること、代謝機能を調節すること、臓器の機能、例えば心臓の鼓動、血圧、または類似の生物学的プロセスを調節すること)を誘発させることである。GPCRのリガンドとして適切な化合物は、前記GPCRに結合する。リガンドの結合により、前記受容体の活性化が引き起こされる。本発明の方法において、GPCR活性化は、細胞中で細胞内Ca2+放出をもたらす。
【0041】
その上、本発明は、上述のリガンドと、前記リガンドを安定化させるための添加物および/または薬剤を配合するための添加物とを含む薬剤に関する。本発明はまた、薬剤の調製に関する。この目的のために、上述のリガンドは、添加物と混合され、続いて薬剤を最終形態に加工し、容器に入れ、説明書を添え、パッケージングする。薬剤の最終形態は、例えば錠剤、顆粒、スプレー、溶液、軟膏、チンキまたはその他の剤形のような最終的な製剤に関する。最終形態への加工は、特定の製剤の調製を意味する。
【0042】
本発明はまた、前記リガンドが結合するGPCRの不適切な機能により生じる病気を治療するのに適切な薬剤を調製するための、上述したようなリガンドの使用に関する。心臓血管の障害およびCNS障害を治療する薬剤を調製するためのリガンドを用いることが好ましい。
【0043】
該リガンドは、好ましくは、医薬組成物の形態で、許容できる担体と共に存在する。担体は、もちろん、組成物の他の成分に適合するという点で許容可能でなければならず、患者に無害である。担体は、固体もしくは液体、または、その両方でよく、好ましくは単回投与として、例えば活性物質が0.05重量%〜95重量%で含まれ得る錠剤として化合物と共に配合される。本発明の医薬組成物は、既知の製剤方法のいずれかに従って製造することができ、このような製剤方法は、成分を薬理学的に許容できる担体および/または賦形剤と共に混合することを本質的に含む。
【0044】
本発明の医薬組成物は、口、直腸、局所的、経口(例えば舌下)、および、非経口(例えば皮下、筋肉内、皮内または静脈内)投与に適切なものである。
【0045】
望ましい生物学的効果を得るために必要な上述のリガンドの量は、例えば選択された特定の化合物、意図した使用、投与タイプ、および、患者の臨床状態のようなファクターの数に依存する。以下に示す量は、単一のリガンドについて言及されている。
【0046】
一般的に、一日量は、0.3mg〜100mg(一般的には3mg〜50mg)/日/体重kg、例えば3〜10mg/kg/日の範囲である。静脈内の用量は、例えば0.3mg〜1.0mg/kgの範囲でよく、最も適切には、10ng〜100ng/kg/分の点滴で投与することができる。この目的に適切な点滴用溶液は、例えば0.1ng〜10mg、一般的には1ng〜10mg/mlで含み得る。単回投与は、活性物質を、例えば1mg〜10gで含み得る。従って、注射用アンプルの場合、例えば1mg〜100mgを含ませることが可能であり、経口投与が可能な単回投与製剤(例えば錠剤またはカプセル)の場合、例えば1.0〜1000mg、一般的には10〜600mgを含ませることが可能である。
【0047】
本発明はまた、ラットGPR3をコードする、配列番号1に記載のポリヌクレオチド配列に関する。その上、本発明は、配列番号2に記載の少なくとも1種のアミノ酸配列を含むラットGPR3に関するタンパク質を含む。
【0048】
本発明はまた、配列番号1に記載のラットGPR3の上記ポリヌクレオチド配列が組み込まれた発現ベクターを含む。その上、本発明は、少なくとも配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むラットGPR3を発現する細胞の調製に関し、前記細胞は、上述の発現ベクターによりトランスフェクトされている。発現ベクターと細胞に関して、上記の章で示された本発明の説明が参照される。熟練者であれば、配列番号1に記載のポリヌクレオチド配列、少なくとも配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、発現ベクターおよび細胞を調製し特徴付ける方法を、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons;ISBN0−471−50338−x、および、Molecular Cloning;Cold Spring Harbor Laboratory;ISBN0−87969−309−6のようなマニュアルに見出すことができる。
【実施例1】
【0049】
ヒトGPR3、6および12のクローニング
GPR3、6および12のヒト遺伝子はイントロンを含まず、それゆえにPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によりヒトゲノムDNAから増幅することができる。コーディング配列は、pcDNA3.1(Invitrogen)のHindIII/XbaI部位でクローニングされた。
【実施例2】
【0050】
ラットGPR3のクローニング
完全ラットGPR3遺伝子の配列は、5’プライマー5’−ATG CTT GCC ATG GCC TGG TTC TCA GCC GCC TCA−3’(配列番号3)および3’プライマー(マウス)5’−TCT AGA CTA GAC ATC ACT AGG GGA CCG GGA−3’(配列番号4)を用いたPCR増幅によりラット脳のcDNAから増幅させた。その上、5’プライマーはHindIII部位を提供し、開始コドンの前にKozac配列を生じさせる。3’プライマーにおいては、XbaI部位も考慮される。990bpの増幅産物をpcDNA3.1(Invitrogen)のHindIII/XbaI部位にクローニングし、続いて配列解析した。
【実施例3】
【0051】
GPR遺伝子の発現
HEK293細胞(ヒト胎児の腎臓細胞系)を、DMEM(10%ウシ胎仔血清、10,000IU/mlペニシリン、10,000μg/mlストレプトマイシンおよび25mMのHEPESが添加されたもの;pH7.0)で培養した。CHO−K1細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞系)を、Iscove培地(10%ウシ胎仔血清、10,000IU/mlペニシリン、10,000μg/mlストレプトマイシン、ゲンタマイシンおよび2mMのL−グルタミンが添加されたもの)で培養した。Iscove培地は市販されている(例えばBiochromから)。
【0052】
5×105個のHEK293細胞または2×105個のCHO−K1細胞を6−ウェルプレートで37℃で24時間インキュベートすることにより、一時的なトランスフェクションを行った。次に、GPR3、6または12が真核性CMVプロモーターの制御下にクローニングされたベクター、または、相当するクローン化インサートを含まないコントロールプラスミドの1〜2μgを、細胞にトランスフェクトさせた。FuGene6トランスフェクション試薬(例えばRoche Diagnosticsから市販されている)によりHEK293細胞をトランスフェクトさせ、リポフェクトアミン試薬(例えばGIBCO−BRLから市販されている)によりCHO細胞をトランスフェクトさせた(いずれの場合も使用説明書に従った)。
【実施例4】
【0053】
蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR)分析
HEK293細胞を、一時的なトランスフェクションの24時間後、96−ウェルマイクロタイタープレートに移した。細胞密度は、80,000細胞/ウェルであった。マイクロタイタープレートをポリ−D−リシンでコーティングした。細胞を1%FCS(ウシ胎仔血清)を含む培養液で18〜24時間維持した。トリプシン処理後、DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)[25mMのHEPES(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸)(pH7.0)、1%FCS、10,000IU/mlペニシリン、10,000μg/mlストレプトマイシンおよび4μMの染料fluo4(Molecular Dynamics社製の蛍光性のカルシウム指示薬)をさらに含む]]に細胞を懸濁し、続いて、37℃で、5%CO2で、1時間インキュベートした。続いてその細胞を、PBS(リン酸緩衝食塩水)[1mMのMgCl2、1mMのEDTAおよび0.4mg/mlのFAF−BSA(脂肪酸非含有ウシ血清アルブミン)を含む]で3回洗浄した。最後の洗浄工程の後、量は、100μl/ウェルであった。ほとんどの場合、分析される化合物は、DMSO(ジメチルスルホキシド)中の2mMストック溶液として存在した。これらストック溶液を1mMのMgCl2、1mMのEDTAおよび0.4mg/mlのFAF−BSAを含むPBS溶液で1:500に希釈した。脂質は、分析前には、3倍濃縮溶液の形態で存在した。スラミン(Sigma)を、1mMのMgCl2、1mMのEDTAおよび0.4mg/mlのFAF−BSAを含むPBSでの3倍濃縮溶液の形態に調製した。
【0054】
50μlの3倍濃縮スラミンストック溶液が細胞に添加され、最終スラミン濃度が300μMになるようにFLIPRをプログラミングした。最初の3分は3秒のインターバルで、最後の2分は10秒のインターバルで、蛍光を測定した。リガンドのCa2+シグナルを同様に測定した。
【0055】
18〜37秒のタイムインターバルの蛍光データを用いて、アゴニスト活性を決定した。
【0056】
装置それ自体は、内部でゼロ値を比較する。
【実施例5】
【0057】
GPCR3、6および12に関するリガンドの同定
GPCR3、6および12は、GPCRタンパク質ファミリーのオーファン受容体である。遺伝子バンク検索(EMBL)を用いて、GPR3、6および12の構造的に最も近い近縁物として脂質受容体EDG(内皮の分化遺伝子)GPCRとカンナビノイドGPCRとを同定することができた。1つの種間でのホモロジーは、ヌクレオチド配列に関して65〜68%である。ヒトの配列では、ラットの配列と比較して、それぞれ87%(GPR3)、83%(GPR6)および88%(GPR12)のホモロジーを示す。
【0058】
RT−PCR分析(RT PCR=逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応)によれば、大脳組織および心臓血管の臓器(例えば心臓、腎臓)において、hGPR3、6および12の適合する発現が示される。この結果に基づき、単離された内皮細胞および平滑筋細胞における発現を確認できた。HEK293細胞でCa2+FLIPR分析を用いることによって、hGPR3、6および12の生理学的なリガンドとして脂質スフィンゴシン1−リン酸塩(S1P)およびジヒドロスフィンゴシン1−リン酸塩(DHS1P)を同定することができた。S1PおよびDHS1PのEC50値は、100nM未満であった。200個の生物活性脂質からなる脂質ライブラリーを用いても、さらなるリガンドは生産されず、加えて、カンナビノイドが効果が無いことが示された。新たにクローニングされたrGPR3(L32829,33bpの部分配列)、同様に、そのヒト相同体は、Ca2+FLIPR分析においてS1P/DHS1Pにより作動させることができる。
【0059】
HEK293細胞において、GPR3、6および12は、G16またはその他のキメラ乱交雑Gαサブユニットのコトランスフェクションなしに、Ca2+シグナル伝達経路に共役される。HEK293細胞におけるS1P/DHS1Pにより誘導されたCa2+放出は百日咳毒素感受性であり、すなわちシグナル伝達カスケードは、Gαi型Gタンパク質を介して行われる。その上、Ca2+放出は、ある程度、スフィンゴシンキナーゼ阻害剤に感受性である。
【0060】
それらが、S1P/DHS1Pと共に、EDGファミリーメンバーと同じリガンドを有し、さらにそれらの発現パターンも概ねEDGの発現パターンと同一であるため、それらが、匹敵する生理学的機能(アポトーシスからの防御、血管新生、増殖の促進および阻害、血小板活性化、血管作動作用、化学走性、細胞分化など)を発揮する、ということが考えられる。
Claims (21)
- a)Ga/Ca2+シグナル伝達経路に少なくとも1種のGPCRと共役するG−アルファタンパク質を含む細胞を用意し、
b)a)からの細胞系を該細胞系中または細胞系上で上記GPCRが発現されるように組換えGPCR構築物で形質転換し、
c)少なくとも1種の化合物を用意し、
d)c)からの化合物とb)からの細胞系とを接触させ、
e)d)に従って接触させた後、カルシウム感受性の蛍光染料によりFLIPRで蛍光を測定し、
f)e)からの蛍光測定結果と、a)に記載の細胞とc)に記載の化合物とを接触させた後の蛍光測定結果とを比較することにより、測定結果を評価する、
ことを含む、Gタンパク質共役受容体(GPCR)のリガンドを同定する方法。 - 細胞が、HEK293、CHO、COS、マウス3T3、HeLa細胞であるか、哺乳動物の臓器から調製され培養されたものであるか、または、酵母細胞である、請求項1に記載の方法。
- G−アルファタンパク質が、リガンドに対して異なる特異性を有するGPCRをGq/Ca2+シグナル伝達経路に共役させる、請求項1または2に記載の方法。
- これまで不可能であったGPCRのリガンドを同定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- GPCRが、哺乳動物またはヒトのGPR3、6および12からなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- ラットGPR3が用いられる、請求項5に記載の方法。
- 化合物が、ペプチド、多糖類、脂肪酸化合物、ポリヌクレオチドまたは有機分子であり、該化合物の分子量が0.1〜25kDaである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
- 分子量が0.1〜10kDaである、請求項7に記載の方法。
- 請求項1〜8に記載の方法で同定することができるGPCRリガンド。
- 0.1〜25kDaの分子量を有する、請求項9に記載のリガンド。
- タンパク質、多糖類、脂肪酸化合物またはポリヌクレオチドである、請求項9または10に記載のリガンド。
- LPA、S1Pまたはスラミンからなる、請求項9〜11のいずれかに記載のGPR3、6または12のリガンド。
- 請求項9〜12のいずれか一項に記載のリガンドと、該リガンドを安定化させるための添加物および/または薬剤を配合するための添加物とを含む薬剤。
- 初めにリガンドを添加物と混合し、薬剤を最終形態に加工し、続いて容器に入れ、説明
書を添え、パッケージングする、請求項13に記載の薬剤の調製。 - リガンドが結合するGPCRの不適切な機能により引き起こされる疾病を治療する薬剤を調製するための、請求項9〜12のいずれか一項に記載のリガンドの使用。
- 心臓血管の障害を治療するための、請求項16に記載のリガンドの使用。
- 配列番号1に記載のラットGPR3をコードするポリヌクレオチド配列。
- 配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むラットGPR3タンパク質。
- 請求項17に記載のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクター。
- 請求項19に記載の発現ベクターを含む細胞。
- 請求項19に記載の発現ベクターで細胞を形質転換させることにより請求項18に記載のタンパク質を発現する、請求項20に記載の細胞の調製。
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