JP2004533847A - Gpr50の対立遺伝子変異体 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は、少なくとも1つの多型部位を有するGPR50と呼ばれる受容体遺伝子をコードする単離ポリヌクレオチド類を提供する。本発明は、前記受容体遺伝子における多型部位を分析する方法をさらに提供する。多型部位(対立変異体)を有するこれらポリヌクレオチド類の幾つかは、対照集団と比較して、臨床的双極性うつ病または単極性うつ病患者集団において、より多く見られることが判明している。双極性うつ病および単極性うつ病の遺伝子的試験は、本発明のさらなる実施形態である。さらに、これらの多型部位を含むポリヌクレオチド類、多型部位に対し遠位または近位に不変に局在化したポリヌクレオチド類、ならびにGPR50をコードするポリヌクレオチド類は本発明の部分である。
【0002】
本発明はまた、これらの受容体に活性な新規化合物が、治療的使用のために確認できるような、適切な濃度でこれら新規受容体を発現する組換え細胞株を提供する。
【背景技術】
【0003】
G蛋白質共役型受容体(GPCR類)は、広範囲で多数の一連の細胞外シグナルを細胞内応答に変換する膜受容体の大きなスーパーファミリーである。同種のリガンドによる受容体刺激により、対合したヘテロトリマーG蛋白の活性化に導き、次にこれがエフェクター酵素およびイオンチャンネルに作用する細胞内経路を調節する(Wessら、1997年)。GPCR類に結合する内因性リガンド類の幾つかの例としては、神経伝達物質、神経ペプチド類、ホルモン類、ケモカイン類および臭気物質が挙げられる。したがって、この受容体群は、神経伝達、給餌、気分、痛み、返報、視覚、嗅覚、ならびに炎症応答および免疫応答を含む複数の生理学的過程の調節に関与する(Straderら、1995年)。
【0004】
今日まで薬剤標的の40〜50%がGPCR類であり、GPCR類は優れた治療上の標的としての歴史が示されている(Murphyら、1998年)。GPCRファミリーは、350種を超えるクローニングされたヒトメンバーを含むが、これら受容体に対する内因性リガンドの一部だけが確認されている。分子クローニング法および生理的リガンドが知られていない生体情報により確認されるG蛋白質共役型受容体の数が増え続けており;これらはオーファン受容体と言われる。これらオーファンGPCR類の多くが脳内で発現するため、CNS疾患治療のための新規な治療標的となることができる(O’Dowdら、1997年)。
【0005】
逆薬理学または機能的ゲノミックスが、現在、創薬過程において採用されている。これは、代用リガンド類または内因性リガンドのいずれかにより、新規遺伝子を薬理的に検証すること目指す遺伝子に基づく生物学である。
【0006】
新規オーファンGPCR類に加えて、以前に未確認のリガンドを結合する新規なGPCR遺伝子サブファミリーもまた存在することを示唆する証拠がある。オーファンGPCR類の多くが、天然リガンドに帰せられることを待機していることから、多くのこれら受容体は、このように今まで確認にほど遠かった新規リガンドと結合できると考えられる(Civelliら、1999年)。
【0007】
不活性な受容体は、進化上廃棄されたはずであるという前提に立って、オーファンGPCRはリガンドと結合することが予想される。したがってオーファン受容体を、それらの天然リガンド類または代用リガンド類を単離するための釣り餌として用いることができる。新規リガンド類の同定においてこの方策の使用は、オーファニン(orphanin)/ノシセプチン(nociceptin)、オレキシン(orexin)類/ヒポクレチン類(hypocretin)およびプロラクチン放出ペプチドの同定において例証されている(Reinscheidら、2000年、Sakuraiら、1998年およびHinumaら、1998年)。
【0008】
多くの知られたG蛋白質共役型受容体(GPCR)類はよく確立された薬物標的であり、このようなGPCR類を標的とした現在利用できる薬物はかなり多い(Wilsonら、1998年)。受容体へのリガンド結合によるGPCRの活性化後、シグナルは、シグナル伝達のカスケードの範囲で増幅され、その結果、GPCRへのリガンド結合を経たシグナル伝達経路の調節により、厳密に制御された生物学的経路の調節が可能となる。
【0009】
GPCR類は、広範囲の生体関連過程を媒介し、光、生体アミン類、アミノ酸類、ペプチド類、脂質類、ヌクレオシド類、および大型ポリペプチド類などの、広範囲の刺激および化学/神経伝達物質に応答する。特定受容体のクローニングが、治療化合物の開発をいかに導いたかは、セロトニンとアドレナリン受容体の場合で具体的に例証される。さらに、多くの疾患が、知られたGPCR類における変異を伴っていることが報告されている(Wilsonら、1998年)。GPCR類の作用を媒介するシグナル伝達経路はまた、製薬産業に対して重要な多くの生物学的過程に関係してきた。このようなシグナル伝達経路には、G蛋白質、cAMPまたはカルシウムなどの第2のメッセンジャー類、ホスホリパーゼCなどのエフェクター蛋白質、アデニリルシクラーゼ、RGS蛋白質、プロテインキナーゼAおよびプロテインキナーゼCが含まれる(Lefkowitz,1991年)。
【0010】
例えば、GPCRは、その受容体へのリガンド結合により活性化でき、シグナル伝達経路の次の成分にメッセージを運ぶG蛋白質を活性化することとなる。このような成分は、アデニリルシクラーゼであり得る。この酵素の活性化のために、あるファミリーの一員である関連G蛋白質は、G蛋白質が不活性状態にある場合に結合しているGDPに、GTPを交換しなければならない。GDPのGTPへの交換は、GPCRへのリガンド結合後に生じるが、GDPのGTPへのある程度の基礎交換は、調査中の受容体に依存して生じることもできる。
【0011】
G蛋白質に結合したGTPのGDPへの交換は、加水分解によって生じ、G蛋白質自体によって触媒される。この加水分解後、G蛋白質は不活性状態に戻る。その結果、G蛋白質は、活性化受容体から細胞内シグナル伝達経路へのシグナル伝達を媒介するのみならず、受容体が、GTP結合G蛋白質を介して細胞内シグナル伝達経路を活性化できる時間の長さを制御することにより、他のレベルの制御をもたらす。
【0012】
一般に、これら受容体のトポロジーは、おおよそ20〜30個のアミノ酸からなる7つの膜貫通(TM)ドメインを含有するものである。その結果、これらの受容体は、7TM受容体としてしばしば知られている。これら7TMドメインは、コンセンサスアミノ酸配列およびKyte Doolittleプログラム(Probstら、1992年)などの構造予知演算法により決めることができる。推定の膜貫通ドメイン内で、細胞外および細胞内ループを経て連結される疎水性ヘリックスが形成される。ポリペプチドのN末端は膜の外面上にあり、C末端は膜の内面上にある。
【0013】
他にも多くの特徴がGPCR類にしばしば観察される。その中の1つにN末端部のグリコシル化が挙げられる。最初の2つの細胞外ループ各々の保存されたシステインは、ジスルフィド結合が形成されるように修飾され、これが、安定化された機能的三次構造を生じると考えられている。GPCR類に生じる他の修飾としては、脂質化(例えば、パルミトイル化およびファルネシル化)ならびにホスホリル化が挙げられる。ホスホリル化事象は、第3の細胞内ループおよびGPCR類の細胞質C末端部に生じることが多い。G蛋白質共役型受容体キナーゼ(GRK)類は、標的としてトレオニン残基およびセリン残基を有する複数の部位でGPCR類をリン酸化することが知られている。これらのリン酸化事象は、受容体の細胞内取込み、脱感作、および/またはダウンレギュレーション経路を調節するために重要である(TsaoおよびZastrow、2000年;Tiruppathiら、2000年;Jacksonら、2000年)。その結果、GPCRの特定領域における具体的変異は、下流の細胞内シグナル伝達事象に対し機能的な意義を有することができる。
【0014】
バクテリオロドプシンは、微生物、ハロバクテリウム−サリナリウムに見出された7TM GPCRである。この細菌は、唯一のエネルギー源として光を利用し、蛋白バクテリオロドプシンは、光駆動プロトンポンプとして寄与し、細胞膜を通って蛋白質を輸送する。したがって、バクテリオロドプシンは、より複雑な哺乳類のGPCR類の構造/機能特性の幾つかを調べる簡便なモデルとして使用されることが多い。バクテリオロドプシンの結晶構造が、最近解明され(Kuhlbrandt、2000年;Palczewskiら、2000年)、したがって、これは、二次構造要素の帰属および高保存性アミノ酸の位置など、他のGPCR類のための構造鋳型として寄与できる。ロドプシンは、GPCRファミリーの中でサイズが中位であるので、G蛋白質活性化において機能的に重要性な大部分の本質的部分を特色付けることができる。7つの膜貫通ヘリックスおよび3つの細胞外ループの長さは、ファミリーのメンバーの大部分とほぼ同一であると予想される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
細胞内シグナル伝達経路の活性化に加えて、GPCR類はまた、G蛋白質を経由して、イオンチャンネル、輸送体および酵素などのさらなる遺伝子族と結合できる。GPCR類の多くは、極めて特異的なパターンから極めて広いパターンの分布範囲を示す哺乳動物系に存在する。この理由のため、推定の新規GPCRの同定後、新規GPCRに対する治療適用の帰属は、以前に報告されたGPCR類のこの多様な機能および分布のため明白ではない。
【0016】
矯正、予防または改善のために病状を変化させるように機能することができる新規GPCR類を同定し、特性を決定することは明らかに必要である。このような疾患は多様であり、限定はしないが、うつ病、分裂病、不安症、神経障害、肥満症、不眠症、嗜癖、神経退化、低血圧、高血圧、急性心不全、アテローム血栓症、アテローム、骨粗鬆症、リウマチ性関節炎、および不妊症が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、GPR50と称されるG蛋白質共役型受容体またはメラトニン受容体関連受容体(MRR)に関する新規な対立遺伝子変異体を提供する。GPR50は、クローン化Mel1aおよびMel1bメラトニン受容体(Reppertら、1996年)に対し最も高い配列類似性を示すオーファンGPCRである。Mel1aおよびMel1b受容体の各々は、[125I]ヨードメラトニンと高親和性を有して結合することが示されたが、GPR50は、受容体のCOS−7細胞への一過性トランスフェクション後のリガンド結合研究においてこのホルモンと結合することは見出されなかった(Reppertら、1996年;Conwayら、2000年、GubitzおよびReppert、2000年)。メラトニンは松果体から分泌される主要ホルモンで、概日リズムのタイミングを調整し、気分調節に関与すると考えられている(Reppertら、1995年)。
【0018】
ヒトGPR50 mRNAは、脳下垂体および視床下部で発現し、in situハイブリダイゼーション実験により、それが脳下垂体内に不均一的に分布し、漏斗茎および中央基底の視床下部に局在化していることが証明されている(Reppertら、1996年)。Drewらは最近、マウス、ラットおよびハムスターの間でGPR50の発現が、視床下部および第3心室の内側上皮層および傍室視床核の領域において保存されているという証拠を提供した(Drewら、2001年)。これらのデータは、受容体にとって重要な生理的役割を示している。さらに、in situデータを用いて、我々は視床下部の数個の核およびさらに海馬においてもGPR50の区別できる発現を見出した。このように、GPR50の発現は、うつ病、分裂病および不安症に関係が有ると考えられるHPA軸を伴う脳領域に限定されているようである。
【0019】
抑うつ病の種々の形態が定義されており、精神医学のハンドブック、例えば、「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders」、第4版(DSM−IV)、アメリカ精神医学会により発行、ワシントン、DC(1994)に供された基準に従って個々に診断されている。
【0020】
ヒトのGPR50遺伝子は、X結合であり、Xq28に局在化している(GubitzおよびReppert、1999年)。20を超える遺伝子疾患の遺伝子座は、この多遺伝子染色体領域上に集中していることが判っており、したがって、GPR50はこのような疾患の原因となり得る候補遺伝子である。
【0021】
双極性情動障害(BPAD)は、うつ病と気分高揚との周期的な組合わせを示す精神病であり、この疾患はXq28遺伝子座に関連していることが証明されている(Baronら、1994年;Stineら、1997年)。GPR50が、精神病を伴うことは、以前の遺伝子研究では示されていなかった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明によれば、数種のポリヌクレオチド類が、GPR50遺伝子上に多型部位を含んでいることが確認された。これらは、GPR50の対立遺伝子変異体と呼ばれる。これらの対立遺伝子変異体は、精神病、好ましくはBPADまたは単極性うつ病(UP)の遺伝機構を理解する上で役立つと思われる。したがって、ポリヌクレオチド類またはその部分は、さらにこれらの障害の遺伝学的試験に使用できると考えられる。ポリヌクレオチド類の部分は、少なくとも10個の連続するヌクレオチド類、好ましくは10〜100個のヌクレオチド類であることが好ましい。それらは、ハイブリダイゼーションに基づく核酸検出法に使用できる。配列番号:1から得られた配列の一部を含む断片、ならびに対立遺伝子変異体配列を含む断片がこの目的のために、使用できることは明らかであろう。
【0023】
本発明の目的は、GPR50前駆物質である蛋白質をコードする全配列を含むポリヌクレオチド、または対立遺伝子変異体を含む成熟蛋白質を提供することである。また、完全なmRNA配列またはGPR50のゲノム配列も、前記配列が、配列番号:1で同定された配列から逸脱する少なくとも1つの多型部位を有するという条件で、本発明の一部を形成する。最も好ましい多型部位は、1582位、1804位および1503位〜1504位に局在化する。ポリヌクレオチドは1582位および/または1804位にAまたはG、および/または1503位〜1504位に挿入/欠失を有することが好ましい。ヌクレオチドの1503位〜1504位における挿入は、好ましくは12種のヌクレオチド類、より好ましくはACCACTGGCCACのヌクレオチド長からなる。BPADとUPに最も強力な対合は、1503位〜1504位における挿入の欠如、および/または1804位における多型部位の欠如である。この部位はヌクレオチドAを有することが好ましい。
【0024】
コドンの変異性に適応し、本発明はまた、本明細書中に開示された配列と同一のアミノ酸配列をコードする配列を含む。配列番号:1のヌクレオチド配列は、配列番号:9で示される配列の蛋白質をコードする。したがって、ヌクレオチド配列が本発明に従った多型部位を含むという条件で、本発明はまた、配列番号:9の蛋白質をコードするポリヌクレオチド配列を含む。また、発現蛋白質の個々のドメインをコードするコード配列の部分も、本発明の一部である。時に遺伝子は、スプライシング変異体としてある一定の組織に発現し、改変された5’または3’mRNAとなるか、またはさらなるエクソン配列が含まれることとなる。これらの配列ならびにこれらの配列によりコードされる蛋白質は全て、同一または類似の機能を実行することが予想され、やはり、本発明の一部を形成する。
【0025】
本明細書中に提供された配列情報は、誤って同定された塩基の包含を必要とするほど狭義に解釈すべきではない。本明細書中に開示された特定の配列は、完全遺伝子を単離するために容易に使用でき、次にこれをさらなる配列分析に容易に提供することができ、それによって配列決定の誤りを確認できる。
【0026】
このように、本発明は、GPR対立遺伝子変異体をコードする単離ポリヌクレオチド類を提供する。
【0027】
本発明によるDNAは、cDNAから得ることができる。この組織はヒト由来であるのが好ましい。リボ核酸は、脳下垂体、視床下部または他の組織から単離するのが好ましい。他に、コード配列は、ゲノムDNAであってもよく、またはDNA合成法を用いて調製できる。ポリヌクレオチドはまた、RNAの形態であってもよい。ポリヌクレオチドがDNAである場合、1本鎖または2本鎖の形態であってもよい。前記1本鎖は、コード鎖であっても、非コード(アンチセンス)鎖であってもよい。小断片は、よく知られた化学合成法を用いて容易に調製できる。
【0028】
本発明はさらに、僅かな変異を有する配列番号:1のポリヌクレオチド類の対立遺伝子変異体に関する。僅かな変異を有するポリヌクレオチド類は、蛋白質の天然の成熟対立遺伝子形と同一の生物学的機能または活性を保持するポリペプチド類をコードする。他に、依然として標的に結合できるGPR50蛋白質のドメインをコードする上記ポリヌクレオチド類の断片もまた、本発明の実施形態である。
【0029】
このようなポリヌクレオチド類は、好ましくは高厳密条件下のハイブリダイゼーションにより同定できる。本発明によれば、用語の「厳密」とは、65℃の温度で1×SSC、0.1%SDSの洗浄条件を意味し;高厳密条件は、0.3×SSCへのSSCでの希釈、より好ましくは0.1×SSCへの希釈を言う。
【0030】
このように、前記ポリヌクレオチド類の誘導体もまた、本発明の一部である。前記用語の誘導体とは、少なくとも1つの多型部位を有するGPR50の対立遺伝子変異体をコードする任意のポリヌクレオチド類であって、配列番号:1との同一性が、少なくとも90%、好ましくは95%、より好ましくは98%、さらにより好ましくは少なくとも99%を有するものと解されるべきである。このようなポリヌクレオチド類は、蛋白質の天然の成熟対立遺伝子形と同一の生物学的機能または活性を保持するポリペプチド類をコードする。対立遺伝子変異体は、配列番号:1の1582位、1804位および1503位〜1504位の上記同定部位に位置することが好ましい。前記ポリヌクレオチドは、1582位および/または1804位にAまたはG、および/または1503位〜1504位に挿入を有することが好ましい。ヌクレオチドの1503位〜1504位における挿入は、好ましくは12個のヌクレオチド類、より好ましくはACCACTGGCCACのヌクレオチド長からなる。
【0031】
2種の配列間の同一性パーセンテージは、DNAMAN(Lynnon Biosoft、バージョン3.2)などのプログラムにより決定できる。このプラグラムを用いて、2種の配列は、至適整列演算法(SmithおよびWaterman,1981年)を用いて整列させることができる。2種の配列の整列後、同一性パーセンテージは、整列配列の長さから全ギャップの長さを差し引いたもので2種の配列間の同一ヌクレオチド数を割ることにより算出できる。
【0032】
本発明の他の態様は、配列番号:1の多型部位における不変の近位、または不変の遠位ヌクレオチド配列に特異的にハイブリッド形成できるヌクレオチドを有し、単一のヌクレオチド多型部位を特異的に検出するために使用されるポリヌクレオチド類に関する。このようなポリヌクレオチド類は、例えばPCRなどのプライマー伸長法に基づくアッセイに特に有用である。
【0033】
個人からのポリヌクレオチド類を分析する方法を提供し、配列番号:1の多型部位を占めるヌクレオチドを決定することが本発明のさらなる目的である。1503位〜1504位、1582位および1804位のヌクレオチド類が決定されることが好ましい。ヌクレオチドの1503位〜1504位に、好ましくは12種のヌクレオチド類、より好ましくはACCACTGGCCACのヌクレオチド長の挿入が存在する可能性があることが判明した。ヌクレオチドの1582位および1804位は、AまたはGによって占められることが好ましい。これらの変異体の組合わせを含む多型変異体が、数人の個人からの核酸の配列決定により発見された。GPR50の7つの可能な対立遺伝子変異体を一覧表にしている(配列番号:2から8はヌクレオチド配列、配列番号:10から16はアミノ酸配列)。
【0034】
かように本発明は、GR50遺伝子をコードする核酸配列における変異に関連した精神病のための診断用アッセイの一部としてのGPR50遺伝子の使用に関するものである。このような変異は、例えば、PCR(Saikiら、1986年)または特異的ハイブリダイゼーションを使用することによって検出できる。また、RNAの相対濃度は、例えば、ハイブリダイゼーションまたは定量的PCR法またはDNAマイクロアレイを用いて決定できる。
【0035】
GPR50受容体自体の存在および濃度は、受容体に対して増加した特異的抗体を用いてラジオイムノアッセイ、ウェスタンブロット法およびELISAなどの免疫学的技術によりアッセイできる。RNAおよび蛋白質濃度を測定するこのような方法は、当業技術者によく知られている。
【0036】
個々の患者の受容体発現レベルの測定によって、治療プロトコルの細かい調整ができるようになる。
【0037】
本発明によるポリヌクレオチド類は、全てこの受容体の細胞質尾部に含有されている。GPCR類のC末端部は受容体のダウンレギュレーション、細胞内取込みおよび/または脱感作の経路を特異的に指令することが報告されている(TsaoおよびZastrow、2000年;Trapaidzeら、2000年;Wangら、2000年)。本明細書中に提供されたポリヌクレオチド類は、GPR50のC末端部にスレオニン類を導入する。GPK類はセリンおよびスレオニン残基におけるGPCRのC末端部をリン酸化することが知られており、このことが受容体の脱感作を改変することで、この受容体の機能性に対して著しい作用を及ぼすと考えられる。
【0038】
本発明の他の態様においては、上記のDNA分子によってコードされたアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。
【0039】
本発明によるポリペプチドは、528位および/または602位にアミノ酸置換を有し、および/または501位〜502位に挿入を有する、配列番号:9で示されたアミノ酸配列の少なくとも一部の変異体を含むことが好ましい。好ましい変異体は、アミノ酸の528位にThrまたはAlaおよび/または602位にIleまたはVal、および/または501位〜502位に挿入を含むポリペプチドである。位置は、配列番号:9におけるアミノ酸配列を指す。最も好ましい挿入はThr−Thr−GlyHisである。
【0040】
配列変異を有しているが機能的特性はなお維持している、配列番号:9またはその部分の変異体に相同なポリペプチドである機能的等価物もまた本発明に含まれる。
【0041】
配列において生じ得る機能上等価な変異体は、配列全体における単数または複数のアミノ酸の違いまたは、前記配列における単数または複数のアミノ酸の削除、置換、挿入、反転または付加によって示すことができる。生物学的および免疫学的活性を本質的に変化させないと考えられるアミノ酸置換は記載されている。関連アミノ酸の間の交換または進化において生じることの多い交換は、とりわけ、Ser/Ala、Ser/Gly、Asp/Gly、Asp/Asn、Ile/Valである(Dayhof、M.D.「Atlas of protein sequence and structure」、Nat.Biomed.Res.Found.、ワシントンD.C.1978年、5巻、増刊3を参照)。この情報に基づきLipmanとPearsonは、迅速で感度の良い蛋白質の比較方法を開発し(LipmanおよびPearson、1985年)、相同ポリペプチド間の機能的類似性を測定した。
【0042】
本発明によるポリペプチドは、配列番号:9の対立遺伝子変異体を含むポリペプチド類を含むが、また、それらの誘導体、すなわち、配列番号:9と比較して80%、好ましくは90%、より好ましくは95%、さらにより好ましくは98%の類似性を有するポリペプチド類も含む。また、依然として生物学的作用を与えることのできるそのようなポリペプチド部分も含まれる。特に、依然としてリガンドに結合している部分は本発明の一部を形成している。このような部分は、可溶化形態において、それ自体で機能的であり得るか、または、知られた生物学的方法または化学合成によって他のポリペプチドと結合させて、キメラ蛋白質を得ることができると考えられる。このような蛋白質は、GPR50遺伝子発現の変形により、個人における遺伝子産物の代わりとなり得るという点で治療剤として有用となり得るであろう。
【0043】
前記遺伝子配列はまた、好適な宿主細胞におけるコード化蛋白質発現のためのベクター分子の調製においても使用できる。本発明のGPR50蛋白質またはその部分をコードする核酸配列のクローニングには、多種多様な宿主細胞とクローニングには、多種多様な宿主細胞とクローニング媒体との組合わせが有益に使用できる。例えば、有用なクローニング媒体としては、種々の知られた細菌のプラスミドおよび広域宿主プラスミド、およびプラスミドの組合わせ由来のベクターおよびファージまたはウィルスDNAなどの染色体、非染色体、および合成のDNA配列を挙げることができる。
【0044】
本発明の遺伝子、またはそのリガンド結合ドメインの発現に使用される媒体は、リガンド結合ドメインをコードする核酸配列に操作可能に結合した制御配列をさらに含む。このような制御配列は一般に、そのプロモーター配列および発現レベルを調節および/または増加させる配列を含む。もちろん、制御配列および他の配列は選択される宿主細胞に応じて変わり得る。
【0045】
好適な発現ベクターは、例えば、細菌または酵母のプラスミド、広域宿主プラスミドやプラスミドの組合わせ由来のベクター類およびファージまたはウィルスDNAである。染色体DNA由来のベクター類も含まれる。さらに、本発明によるベクター内には、複製源および/または優性選択マーカーが存在し得る。本発明によるベクターは、宿主細胞の形質転換に好適である。
【0046】
本発明のDNAを含む組換え発現ベクター類、ならびに前記DNAまたは前記発現ベクターにより形質転換した細胞もまた本発明の部分を形成する。
【0047】
本発明による好適な宿主細胞は、細菌の宿主細胞、酵母や他の真菌宿主、植物宿主またはチャイニーズハムスター卵巣細胞、ヒト胚腎臓細胞またはサル細胞などの動物宿主である。このように、本発明によるDNAまたは発現ベクターを含む宿主細胞もまた、本発明の範囲内にある。設計された宿主細胞は、従来の栄養培地で培養できるが、例えば適切な選択増幅または転写誘導のために変更できる。温度、pH、栄養物などの培養条件は当業者によく知られている。
【0048】
本発明によるDNAまたはベクターの調製、ならびに前記DNAまたはベクターによる宿主細胞の形質転換またはトランスフェクションは標準的であり、当業界によく知られている。例えば、Sambrookら、「Molecular Cloning:A laboratory Manual」、第2版、ニューヨーク州コールドスプリングハーバーのCold Spring Harbor、1989年を参照されたい。
【0049】
本発明による蛋白質は、硫酸アンモニウム沈殿、抽出、疎水性相互作用クロマトグラフィ、陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィ、または親和性クロマトグラフィ、および高性能液体クロマトグラフィなどのクロマトグラフィなど、一般的な生化学的精製法によって回収し、精製することができる。必要であれば、蛋白質の再折りたたみステップを含めることができる。
【0050】
本発明の他の実施形態は、ヒトにおける臨床的双極性うつ病の同定法に関しており、前記方法において、前記ヒトからポリヌクレオチドを含有した生体試料を得て、診断性ポリヌクレオチドの存在に関して分析するが、前記診断性ポリヌクレオチドは配列番号:1の1582位および/または1804位にAを有し、または1503位〜1504位に挿入を有し、それと組合わせて、1582位および/または1804位にGを有するGRP50受容体をコードし、前記診断性ポリヌクレオチドの存在が、前記生体試料内に検出される場合は、前記遺伝子が多型を有することが確認されているポリヌクレオチドである。
【0051】
本発明によるGRP50遺伝子産物は、新規リガンドまたはその類縁体のインビボまたはインビトロの同定に使用できる。この目的のために、例えば、本発明によるDNAによって形質転換した細胞、本発明によるDNAを含む発現ベクター、本発明によるGRP50遺伝子産物を発現する前記細胞を用いて結合試験が実施できる。他に、GRP50遺伝子産物それ自体、またはそのリガンド結合ドメインもまた、GRP50遺伝子産物に関する機能的リガンドまたは類縁体の同定用アッセイに使用できる。本発明により、GRP50は、BPADおよびUPを伴うことが判明した。したがって、GRP50に結合している化合物を、これらの疾患状態を調整するために使用できる。
【0052】
発現遺伝子産物への結合を測定する方法、ならびに遺伝子産物の生物学的活性を測定するためのインビトロおよびインビボアッセイはよく知られている。一般に、発現した遺伝子産物を被験化合物と接触させ、結合や、例えば、シグナル導入能力などの機能性応答の刺激または阻害を測定する。
【0053】
以下の実施例は、本発明を例示するためのものであり。本発明の範囲を限定するものとして解釈してはならない。
【0054】
(実施例)
【実施例1】
【0055】
GPR50のPCR増幅
GPR50をコードする完全および部分cDNAを、プルーフリーディング伸長ポリメラーゼ(Roche)および配列番号:1で示されたGPR50の配列に基づくオリゴヌクレオチドプライマー類を用いてPCRにより増幅した。PCR反応に用いられた鋳型は、ヒトの5’−伸長下垂体cDNAライブラリ、ヒト視床下部Marathon−ready cDNA(Clontech)またはヒトゲノムDNA(Promega)であった。完全および部分GPR50のPCR産物を図1に示す。完全長GPR50の増幅の場合、5’プライマーは、以下の配列:
5’−GACAAGCTTATGGGGCCCACCCTAGCGGTTCCCACC−3’(プライマー1)
を有するHind III部位を含み、3’プライマー類の各々は、以下の配列:
5’−CTGGGATCCCACAGCCATTTCATCAGGATC−3’(pcDNA3.1(+)Myc His(B)中への連結のためのストップコドン無し)(プライマー2)、
5’−CTGGGATCCTCACACAGCCATTTCATCAGGATC−3’(pcDNA3.1(+)Hygro中への連結のためのストップコドン有り)(プライマー3)
を有するBamHI部位を含んだ。
以下の追加のセンスプライマー類は、部分長GPR50断片の増幅のために使用された:
5’−GCCTGTCCTGCTGTGGAGGAAAC−3’(プライマー4)、
5’−ATCCTGACAACCAACTTGCTGAGGTTCGC−3’(プライマー5)。
使用されたサイクル条件は、以下のとおりである:
94℃で2分間の最初の変性ステップ後、反応は、一連の温度によって33回から35回サイクルさせた:1)94℃で30秒間の変性、2)60℃で1分間のプライマーのアニール化、3)72℃で2分間から3分間の伸長化。72℃で6分間の最終伸長化ステップを実施して、完全長産物の生成を確実にした。
【実施例2】
【0056】
完全長GPR50のクローニング
上記のPCR反応で生成した完全長GPR50 cDNAを、哺乳動物発現ベクター類のpcDNA3.1/Myc−His−(B)またはpcDNA3.1(+)Hygro(Invitrogen)中に結合した。化学的変換およびミニ分取DNA単離後、Hind IIIおよびBamHIを用いて制限消化を実施し、陽性クローン類を同定した。
【実施例3】
【0057】
cDNA源からのGPR50の配列決定
DNA配列決定は、ABI prism(登録商標)BigDye(商標)ターミネータサイクル配列決定即時反応キットを用いて実施した。精製PCR産物を直接配列決定、またはpcDNA3.1/Myc−HisベクターまたはpcDNA3.1Hygroベクターにクローン化し、次いで個々の陽性クローン類を配列決定した。配列決定反応に使用されたプラーマー類としては、GPR50配列特異的プライマー類、またはT7プロモーター部位およびpcDNA3.1ベクター上に存在するpcDNA3.1/BGH逆プライム化部位に設計したプライマー類が挙げられる。DNAMANプログラムソフトウェアを用いて配列を比較した。
【0058】
脳下垂体または視床下部から単離された多くの独立したGPR50クローン類の配列決定により、このヌクレオチド配列に関する数種の対立遺伝子変異体の存在が明らかになった。GPR50に関する7つの可能な対立遺伝子変異体を図2に示しているが、全ての変異体ヌクレオチド類は、翻訳された蛋白質の細胞質C末端部に生じる。対立遺伝子変異体は、配列番号:1の1582位、1804位および1503位〜1504位に位置している。1582位は、AまたはGのいずれかであり得、1804位は、AまたはGのいずれかであり得、1503位〜1504位にヌクレオチド伸張ACCACTGGCCACからなる12個のヌクレオチド挿入の有無のいずれかである。
【0059】
さらに、GPR50の配列決定分析により、公表されたGPR50のcDNA配列(アクセス番号U52219)が2つの配列エラーを含んでいることを明らかにした。これらは、配列番号:1に958位および1343位に位置している。958位は、プロリンからセリンに変化させるC(Tでなく)であり、1343位は、グリシンからアラニンに変化させるC(Gでなく)である。
【実施例4】
【0060】
各個人のゲノムDNAからのGPR50の配列決定
幾つかの多型性が、GPR50配列に同定されたので、各個人がGPR50に関して異なる配列を含むかどうかを調べるために、ゲノムDNAを、14人の対照患者から得た。部分PCR産物を、遺伝子特異性(プライマー2およびプライマー5)を用いて、これら各々の試料から増幅し、精製断片(1166bp)を直接配列決定した。数人の個人が、12個のヌクレオチド挿入を有するGPR50配列を含んでいることが判り、他は、挿入なしの配列を含み、おおよそ半分が挿入有る配列と無い配列を含んでいた。1582位および1804位のヌクレオチド類は、やはり、各々AとG間の変異体であった。配列決定結果は表1にまとめてある。男性はX染色体の1個の複製のみを含むことから、GPR50に関する異型接合性配列は女性のみに見られた。8種の対立遺伝子の全てがGPR50に可能性であったが、ある一定の配列がより多く存在することが見出された。例えば、配列が挿入を含んだ場合は、1594位と1816位に、それぞれAとGが最も多く(対立遺伝子7)、配列が挿入を含まない場合、1582位と1804位にそれぞれGとAが最も多かった(対立遺伝子2)。さらに、対立遺伝子7は、14個のゲノムDNA試料に最もよく見られる配列であった。
【実施例5】
【0061】
制限分析によるGPR50対立遺伝子変異体の決定
BalI制限エンドヌクレアーゼ部位は、12個のヌクレオチド挿入部位内、ならびにGPR50配列内の他の幾つかの部位に含まれることが判った。これにより、挿入を含んだ、または含まなかったGPR50対立遺伝子変異体の決定が可能になった。部分長GPR50は、プライマー2およびプライマー5に相当するプライマー類を用いて各個人のゲノムDNAから増幅された。PCR産物を精製し、各300ngをBalIにより37℃で2時間消化し、次いで臭化エチジウムを含有する2%寒天ゲル上で分解し、UV照射により肉眼で見た。BalI消化により、挿入の有無を示す以下のフレグメントサイズを生じた。断片340bpと75pは、12個のヌクレオチド挿入を示し;断片403bpは挿入を示さず、403bp、340bpおよび75pのバンドは、挿入有り無しの対立遺伝子、両方が存在することを示した。図3は、試料1、2および3からGPR50PCR産物のBalI消化を示す。これは、試料1が挿入有りのGPR50対立遺伝子のみを含み、試料2は、挿入有り無しの対立遺伝子を有し、試料3は、挿入無しのGPR50対立遺伝子のみを含んでいることを示している。したがって、このことは、表1に示した配列決定結果と一致する。
【実施例6】
【0062】
GPR50の組織分布解析
GPR50cDNAは、プライマー4(センス)およびプライマー2(アンチセンス)を用いてPCRにより増幅し、この受容体のC末端領域に相当する0.78kbプローブを産生した。PCR産物を精製し、DNA濃度を寒天ゲル電気泳動により推定した。cDNA(100ng)を、High PrimeランダムプライマーDNA標識法(Boeringer Mannheim)を用いて放射性標識し、引続きProbeQuant G−50ミクロカラム(Amersham Pharmacia Biotech)を用いて、取り込みのないヌクレオチドからプローブを分離精製した。プレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションを、製造元のガイドラインに従ってExpressHyb溶液(clontech)を用いて実施した。MTEアレイを以下の一連の洗浄ステップに供した:2×SSCおよび1%SDS中、65℃で20分洗浄を4回;および1×SSCおよび0.5%SDS中、55℃で20分洗浄を2回。全ての洗浄ステップは、連続振とうによって実施した。前記MTEをサランラップで包み、−70℃で一晩、増感スクリーンによりX線フィルムに曝露した。
【0063】
図4に示されるように、強いハイブリッド形成シグナルが、脳下垂体中にのみ観察された。ヒトGPR50の発現は、脳下垂体および視床下部に限定されていることが以前報告されており(Reppertら、1996年)、したがってここで得られた結果は、このデータと一致する。GPR50の発現は、図4に示された末梢組織のいずれにおいても検出されなかった。GPR50の発現は、PCRにより視床下部において確認された(図1b)。脳下垂体および視床下部においてGPR50発現が確認されたこと、および図4に調べられた他の組織のいずれにも、この転写体の発現を検出できなかったことは、HPA軸機能におけるこのオーファン受容体の役割を支持している。
【実施例7】
【0064】
GPR50多型性と双極性情動障害および再発性単極性うつ病との関連性
症例−対照関連性試験を、1503位〜1504位における12個のヌクレオチドの挿入/欠失多型性および単一ヌクレオチド多型、SNP1804により実施した。前記挿入/欠失は、双極性情動障害(BPAD)(274人)、再発性の単極性うつ病(UP)(262人)または分裂病(SCZ)(265人)の診断を有する被験者を含む801人の無関係の被験者、および519人の無関係の対照被験者において遺伝子型決定がなされた。SNPは、BPAD(257人)、UP(260人)またはSCZ(260人)の診断を有する被験者を含む777人の無関係の被験者、および452人の無関係の対照被験者において遺伝子型決定がなされた。表2は、性別および診断による被験者数を示す。
【0065】
試料:
双極性情動障害(296人)、再発性の単極性うつ病(269人)または分裂病(289人)の診断を有する個人からなる854人の無関係の被験者は、スコットランド南部の精神医学サービス施設の入院患者または外来患者であった。「情動障害および分裂病のためのスケジュール−生涯版」(Endicott J、Spitzer RL、1978年、診断インタビュー:情動障害および分裂病のスケジュール、一般精神医学書35:837〜844頁および症例記録報告書)を用いて、熟練精神科医(Douglas Blackwood教授、Walter Muir博士)による個人インタビュー後、DSM−IV基準(「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders」、アメリカ精神医学会、ワシントンDC、1994年)に従って総意診断がなされた。年令および性別が知られた610人の対照被験者を、同じ地域から募集し、この地域の輸血施設によって募集された幾人かの被験者も含んだ。対照被験者は、短いアンケートを用いてインタビューしたが、主たる精神病歴は無かった。
【0066】
末梢血試料からのDNA抽出には標準的方法が用いられた。
【0067】
遺伝子型決定:
プライマー類は、挿入/欠失多型およびSNPを交差して増幅させるように設計した。追加の伸長プライマーは、SNaPshot(商標)プライマー伸長反応におけるSNPの遺伝子型を分類するように設計した。
挿入/欠失多型
プライマーA:TTCATTTCAAGCCTGCTTCC
プライマーB:CTTAGGGTGGCTGGTAGTGG
PCR産物設計サイズ:185/197
SNP1804
プライマーA:CACTGCTGACTATCCCAAGC
プライマーB:TCACACAGCCATTTCATCAG
伸長プライマー:GATCATCTTCAACATCAA
SNP:A/G
挿入/欠失の遺伝子型決定
挿入/欠失多型を遺伝子型決定するためのPCR反応は、1×PCR緩衝液II(Applied Biosystems)中、合計24ngのDNA、10pmolの各プライマー、100μMのdNTP類(Sigma)、1.5mMのMgCl2および1UのTaqDNAポリメラーゼ(Sigma)を用いてPTC225(MJ Research)上で実行された。使用されたPCRプログラムは、次のとおりである:94℃で3分間の最初の変性化、次いで94℃で15秒間、30秒間で65℃〜1℃/サイクルおよび72℃で45秒間の10サイクル。
【0068】
試料を希釈し、2μlを、5容量の脱イオンホルムアミド:2容量の25mM EDTA、50mg/ml青色デキストラン、1容量のGeneScan(登録商標)−350[TAMRA](商標)の内部レーン基準(Applied Biosystems)、1容量の水を含有する2μlのTAMRA充填緩衝液に加えた。試料を、最初に94℃で5分間変性させ、電気泳動をABI PRISM377DNAシーケンサ上で実施した。
【0069】
SNA遺伝子型決定
SNP遺伝子型決定のためのPCR反応は、1×PCR緩衝液II(Applied Biosystems)中、合計24ngのDNA、2.5pmolの各プライマー、100μMのdNTP類(Sigma)、1.5mMのMgCl2および1UのTaqDNAポリメラーゼ(Sigma)を用いてPTC225(MJ Research)上で実施された。使用されたPCRプログラムは、次のとおりである:94℃で3分間の最初の変性化、次いで94℃で15秒間、30秒間で65℃〜1℃/サイクルおよび72℃で45秒間の10サイクル。PCRプライマー類およびdNTP類を、遺伝子型決定前に除去した:4μlのPCR産物を、1μlのExoSaplT(Anersham−Pharmacia)と共に37℃で45分間温置し、次いで酵素不活化のために80℃で20分温置した。
【0070】
遺伝子型決定反応は、2μlの精製PCR産物、1μlのSnaPshot(商標)マルチプレックスミックス(Applied Biosystems)、2pmoleの伸長プライマー(製造元の推奨に従って設計した)を含有する最終容量10μl中で実施した。PCR条件は、94℃で10秒間、50℃で5秒間、および60℃で30秒間の25サイクルであった。サイクル後、取り込まれなかったddNTP類を、1Uのシュリンプアルカリホスファターゼ(Anersham−Pharmacia)を添加することによって除去し、37℃で45分間温置し、次いで酵素不活化のために80℃で20分間温置した。2μlの充填緩衝液(5容量の脱イオンホルムアミド:1容量の25mM EDTA、50mg/ml青色デキストラン)を、2μlのSnaPshot(商標)反応液に加え、試料を94℃で5分間変性させた。電気泳動をABI PRISM377DNAシーケンサ上で実施した。
【0071】
結果を、GeneScan Analysis Softwareバージョン3.1を用いて解析し、挿入/欠失多型に関して、Genotyperバージョン1.1を用いてさらに解析した。
【0072】
統計解析
関連性解析を、診断と性別に基づき、対立遺伝子の頻度、遺伝子型およびハプロタイプのレベルで実施した。本実施例で記載された関連性試験に関して、1503〜1504挿入/欠失多型性を記載する場合、対立遺伝子1は、挿入の欠如(すなわち欠失)に相当し、対立遺伝子2は、挿入の存在に相当する。同様に、SNAP1804に関して、対立遺伝子1はアデノシン(Adenosine)に、また対立遺伝子2はグアニン(Guanine)に相当する。遺伝子型およびハプロタイプの記載は、適切な表内に記載される。
【0073】
統計解析を実行する前に、遺伝子型決定の誤差の影響を予想し、対照集団が無作為試料の集団で構成されていることを確認することが必要である。最初に、男性において遺伝子型の度数および遺伝子型決定誤差に対して解析を実施した。GPR50はX染色体上に位置していることから、異型接合の男性は、遺伝子分類誤差から生じていると推測される。この誤差率は、挿入/欠失多型に関して1.8%、SNP1804に関して2.8%(平均2.3%)と算出された。遺伝子型誤差率は、女性においても男性と同じであると推定される。男性の異型接合体の存在により測定された誤差率は、極めて低いと考えられたので、この結果に強い影響を与えないと思われる。1つ以上の遺伝子座における男性の異型接合体の解析は、以後の解析から除外された。
【0074】
対立遺伝子の度数を、対照試料において推定し、対照におけるHardy−Weinberg(H−W)予想値と比較した(表3)。H−W平衡式は、式p2+2pq+q2=1を用い、式中pは対立遺伝子1の度数であり、qは対立遺伝子2の度数であり、p+q=1である。したがって、p2は、遺伝子型1/1が発生する確率であり、q2は、遺伝子型2/2が発生する確率であり、2pqは、遺伝子型1/2が発生する確率である。女性における対立遺伝子1の度数(pf)および男性における対立遺伝子1の度数(pm)を、別々に導き、次いでこれらを対立遺伝子1の合計度数(加重平均、p)を計算するために用いた。算出された加重平均p値を用いて、表3に示されたとおり、Hardy−Weinberg比に従って予想度数を計算した。次に観察度数および予想度数を、その比率が異なっているかどうかを見るためにカイ2乗検定で比較した。この結果から、対照集団における観察度数と予想度数との間の差は有意ではなく、その結果、対照集団においてバイアスがあることを示唆する証拠はH−W検定からないことが証明された。したがって、診断状態と関心のある多型性との関連性に関するこれらの結果を検定することは妥当である考えられた。
【0075】
各々の診断群における対立遺伝子の度数解析(表4)は、BPAD女性(p=0.00004)およびUP女性(p=0.002)において1503位〜1504位(対立遺伝子1)における欠失多型との関連性に関して強い証拠があることを示している(表4a)。これらの群の男性またはSCZでは関連性がやはり観察されなかった(表4b)。男性と女性を合わせると、生じたp値は、BPADおよびUPに関してそれぞれ0.002と0.002であり、SCZに関しては0.073であった(表4c)。
【0076】
SNP1804は同様の関連性パターンを示し;BPAD女性(p=0.003)およびUP女性(0.019)におけるSNP1804=A(対立遺伝子1)との関連性に関する強い証拠がある(表4a)。これらの群の男性またはSCZ群では対合が観察されなかった(表4b)。SNPに関して男性と女性を合わせると、生じたp値は、BPADおよびUPに関してそれぞれ0.003と0.032であり、SCZに関しては0.022である(表4c)。
【0077】
3つの診断群全てを合わせると(BPAD、SCZおよびUP)、挿入/欠失多型およびSNP1804の双方に関して、女性および女性と男性を合わせた群により有意な関連性が見出される。
【0078】
遺伝子型度数の解析(表5)により、遺伝子型1/1が,BPAD女性(p=0.0002)およびUP女性(0.006)における挿入/欠失多型性とSNP1804の双方に関して有意に上昇することを示唆する。これは、欠失対立遺伝子を有するGPR50の2つの複製またはSNP1804における対立遺伝子Aの2つの複製のいずれかに相当する。男性ではマーカーと疾患状態について、遺伝子型決定との関連性に関する証拠はない。
【0079】
男性におけるハプロタイプ(挿入/欠失多型とSNP1804の組合わせ)の度数の比較でもまた、有意な関連性を示されなかった(データは示さず)。両方のマーカーが異型接合であってもハプロタイプであることを決定できないので、女性のハプロタイプの比較は推定ハプロタイプ度数に依る。EHプログラム(TerwilligerおよびOtt、1994年)は、EM演算法を用いて二重異型接合の個人に関するハロタイプを帰属させる。導かれた女性ハロタイプの度数解析(表6)により、BPAD、UPおよび全症例(それぞれ、p=0.0002、p=0.0216およびp=0.0027)における有意な関連性に関する証拠が提供されている。
【0080】
要約すると、1503位〜1504位における12個のヌクレオチド挿入/欠失多型および単一ヌクレオチド多型、SNP1804との関連性を評価するために設計した症例対照試験において、GPR50は、女性BPADおよびUP症例における疾患状態と有意に関連しているが、男性では関連してないことが判明した。このことにより、GPR50の変異は、女性においてこれらの情動障害を発現する確率に影響を与えること、または、その確立に影響を与える変異によりGPR50が強い結合不均衡にあることを示唆している。
【0081】
表1 各個人のゲノムDNAからGPR50の配列決定
GPR50は、14人の対照個人のゲノムDNAから増幅され、次に精製PCR産物を直接配列決定した。
【0082】
【表1】
【0083】
表2 関連性試験において各多型に関して遺伝子型決定された個人の試料数
全症例は、BPAD、SCZおよびUP症例群の全個人を含む。
【0084】
【表2】
【0085】
表3 対照における対立遺伝子度数の推定および対照における遺伝子型度数とHardy−Weinbarg予想値との比較
挿入/欠失多型に関して、欠失は対立遺伝子1として、挿入は対立遺伝子2としてコードされ;SNP1804に関して、Adenosineは対立遺伝子1として、Guanineは対立遺伝子2としてコードされている。加重平均p値(対立遺伝子1:挿入/欠失では0.398、SNPでは0.367)は、Hardy−Weinbarg比に従って予想値を計算するために用いた。
【0086】
【表3】
【0087】
表4 患者群および対照群における挿入/欠失多型性に関する対立遺伝子1の度数およびSNP1804に関する対立遺伝子1の度数
挿入/欠失に関する対立遺伝子1は欠失に相当し、SNP1804に関する対立遺伝子1はAに相当する。各症例群において観察された対立遺伝子度数を、カイ二乗分割検定を用いて対照群の度数と比較した。報告されたp値は、ゼロ仮説(症例群と対照群との間が等しい対立遺伝子度数)を検定するカイ二乗分割表検定(1度の自由度で)に由来する。
【0088】
【表4】
【0089】
表5 女性における遺伝子型度数の解析
挿入/欠失多型に関する遺伝子型1/1は、欠失対立遺伝子の2つの複製に相当し、遺伝子型2/2は、1503位〜1504位における12個のヌクレオチド挿入の2つの複製に相当し、遺伝子型1/2は、1つの欠失対立遺伝子および1つの挿入対立遺伝子に相当する。SNP1804に関する遺伝子型1/1は、対立遺伝子Aを有するGPR50の2つの複製に相当し、遺伝子型2/2は、対立遺伝子Gの2つの複製に相当し、遺伝子型1/2は、1つの対立遺伝子Aと1つの対立遺伝子Gを有するGPR50に相当する。
【0090】
各症例群において観察された遺伝子型度数を、カイ二乗分割検定を用いて対照群の度数と比較した。報告されたp値は、ゼロ仮説(症例群と対照群との間で遺伝子型度数が等しい)を検定するカイ二乗分割表検定(2度の自由度で)に由来する。
【0091】
【表5】
【0092】
表6 女性における推定ハプロタイプ度数
ハプロタイプ1−1は、欠失およびA SNPに相当し、ハプロタイプ1−2は、欠失およびG SNPに相当し、2−1は、挿入およびA SNPに相当し、2−2は、挿入およびG SNPに相当する。EHプログラムにおけるEM演算法(Terwillinger&Ott、1994年)を用いて、二重異型接合の各人に対しハプロタイプを帰属させた。報告されたp値は、ゼロ仮説(症例群と対照群との間でハプロタイプ度数が等しい)を検定するカイ二乗検定統計値に由来する。カイ二乗検定統計値(X2)は、症例、対照および合わせたデータに関する可能性対数から算出されるX2=2(ln(Lcase)+ln(Lcontrol)−ln(Lcombined))(例えば、Sharm1998年)。
【0093】
【表6】
【0094】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】ヒト脳下垂体cDNAおよびヒト視床下部cDNA由来GPR50のPCR増幅を示す図である。
配列番号:1に従って設計した遺伝子特異的プライマー類を用いてPCRにより、GPR50をヒト脳下垂体cDNAライブラリ(a)およびヒト視床下部cDNA(b)から増幅した。レーン1と4は、DNA分子サイズのマーカー(それぞれ1kb段階およびDNA低質量段階、Gibco−BRL)を含む。
【図2】GPR50ヌクレオチド配列の対立遺伝子変異体を示す図である。
GPR50ヌクレオチド配列に関する7種の対立遺伝子変異体(対立遺伝子2〜8)を示す。GPR50遺伝子は、おおよそ3kbのイントロンにより分離された2種のエクソンからなる。TMドメインI〜VII、それに続いて大きな細胞質C末端部が示されている。変異体ヌクレオチド類は、全てC末端領域内に含まれる。ヌクレオチド類の番号は、12個のヌクレオチド挿入のない対立遺伝子に相当する。対立遺伝子1は配列番号:1によって表され、対立遺伝子2(対立遺伝子変異体)は配列番号:2によって表され、対立遺伝子3(対立遺伝子変異体)は配列番号:3によって表されるというように配列番号:8まで同様である。
【図3】12個のヌクレオチド挿入を含む対立遺伝子を決定するためのGPR50のBal I制限分析を示す図である。
GPR50は、各個人のゲノムDNAから増幅され、精製PCR産物は、Bal Iによって消化され、次に2%寒天ゲル上で分解される。断片340bpおよび75bpは配列が、挿入を含んでいることを示し;断片403bpは配列には、挿入を含まないことを示し;これら3本のバンド全ては、12個のヌクレオチド挿入の有無による配列が存在することを示した。
【図4】GPR50の組織分布分析を示す図である。
広範囲のヒト組織由来のポリA+RNA類を含有する多重組織発現(MTE)アレイ(Clontech)を、このcDNAの3’−末端に相当するGPR50の0.78kb放射標識断片により調べた。
【図5】GPR50対立遺伝子1〜8の配列整列を示す図である。
7種のGPR50対立遺伝子変異体(対立遺伝子2〜8)のアミノ酸配列整列。対立遺伝子1の蛋白質配列は、配列番号:9によって表され、対立遺伝子2(対立遺伝子変異体)は配列番号:10によって表され、対立遺伝子3(対立遺伝子変異体)は配列番号:11によって表されるというように配列番号:16まで同様である。
Claims (16)
- GPR50受容体蛋白質をコードする、少なくとも1つの多型部位を有する単離ポリヌクレオチド。
- 前記多型部位が、配列番号:1の1503位〜1504位、1582位または1804位に局在化している請求項1に記載の単離ポリヌクレオチド。
- 前記ポリヌクレオチドが、配列番号:2から8のいずれか1つを含む請求項1に記載の単離ポリヌクレオチド。
- 前記ポリヌクレオチドが、配列番号:10から16のいずれか1つを含むポリペプチドをコードする請求項1に記載の単離ポリヌクレオチド。
- 前記ポリヌクレオチドが、1582位および/または1804位にAを有し、または1582位および/または1804位のGと組合わせて、1503位〜1504位に1個の挿入を有する請求項1に記載の単離ポリヌクレオチド。
- 請求項1から5のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクター。
- 請求項1から5のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたは請求項6に記載の組換え発現ベクターによりコードされるポリペプチド。
- 請求項1から5のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたは請求項6に記載の組換え発現ベクターにより形質移入された細胞。
- 請求項7に記載のポリペプチドを発現する安定な形質移入細胞である請求項8に記載の細胞。
- 新薬の確認に関するスクリーニングアッセイにおいて、GPR50蛋白質またはその多型変異体をコードする請求項1から5のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、または請求項6に記載の組換え発現ベクター、請求項8又は9に記載の細胞または請求項7に記載のポリペプチドの使用。
- 精神障害用薬剤の調製のためのGPR50モジュレーターに対するスクリーニングにおける請求項10に記載の使用。
- 前記障害がBPADまたはUPである請求項10に記載の使用。
- 配列番号:1の1582位および/または1804位におけるAを有し、または1582位および/または1804位におけるGと組合わせて1503位〜1504位における1個の挿入を有するGPR50受容体をコードする診断用ポリヌクレオチドの存在に関して個人の生体試料を分析すること;および
前記診断用ポリヌクレオチドが、前記生体試料において検出される場合に、前記遺伝子が多型性を有していることを確認すること、
を含むヒトのGPR50をコードする遺伝子における多型部位を分析する方法。 - a)請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたは請求項6に記載の組換え発現ベクターを好適な宿主細胞に導入するステップ;
b)導入されたポリヌクレオチドの発現を可能にする条件下で前記宿主細胞を培養するステップ;
c)発現産物を場合によっては単離するステップ;
ステップcの発現産物またはステップbの宿主細胞を、潜在的なリガンド類と接触させるステップ;
前記リガンドの発現蛋白質に対する結合量、またはそのシグナル伝達能を確立するステップ;および場合によっては、
前記リガンドを単離するステップを含む、精神障害、好ましくはBPADまたはUP用の薬剤を調製するために、請求項7に記載のGPR50蛋白質またはその多型変異体のリガンド結合を測定する方法。 - 請求項14に記載の方法を含む薬剤組成物を製剤化し、確認された化合物を薬剤として許容できる担体と混合する方法。
- 配列番号:1の1804位にAを有し、および/または1503位〜1504位に挿入が欠如しているGPR50受容体をコードするポリヌクレオチドの存在に関して個人の生体試料を分析すること;前記ポリヌクレオチドの存在が、前記生体試料に検出される場合、BPADまたはUPを伴う多型を有する前記遺伝子を確認することを含むヒトにおける臨床的双極性うつ病またはUPの危険性が増大したことを確認する方法。
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