JP2004533831A - イソフラボノイド産生植物の植物の一部のイソフラボノイド特性を変化させる方法 - Google Patents

イソフラボノイド産生植物の植物の一部のイソフラボノイド特性を変化させる方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004533831A
JP2004533831A JP2003503774A JP2003503774A JP2004533831A JP 2004533831 A JP2004533831 A JP 2004533831A JP 2003503774 A JP2003503774 A JP 2003503774A JP 2003503774 A JP2003503774 A JP 2003503774A JP 2004533831 A JP2004533831 A JP 2004533831A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
product
isoflavonoid
total
seed
plant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003503774A
Other languages
English (en)
Inventor
オデル,ジヨアン・テイ
ユー,シアオダン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
EIDP Inc
Original Assignee
EI Du Pont de Nemours and Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by EI Du Pont de Nemours and Co filed Critical EI Du Pont de Nemours and Co
Publication of JP2004533831A publication Critical patent/JP2004533831A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/82Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
    • C12N15/8241Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology
    • C12N15/8242Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with non-agronomic quality (output) traits, e.g. for industrial processing; Value added, non-agronomic traits
    • C12N15/8243Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with non-agronomic quality (output) traits, e.g. for industrial processing; Value added, non-agronomic traits involving biosynthetic or metabolic pathways, i.e. metabolic engineering, e.g. nicotine, caffeine
    • C12N15/825Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with non-agronomic quality (output) traits, e.g. for industrial processing; Value added, non-agronomic traits involving biosynthetic or metabolic pathways, i.e. metabolic engineering, e.g. nicotine, caffeine involving pigment biosynthesis
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/82Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
    • C12N15/8241Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology
    • C12N15/8242Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with non-agronomic quality (output) traits, e.g. for industrial processing; Value added, non-agronomic traits
    • C12N15/8243Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with non-agronomic quality (output) traits, e.g. for industrial processing; Value added, non-agronomic traits involving biosynthetic or metabolic pathways, i.e. metabolic engineering, e.g. nicotine, caffeine

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Nutrition Science (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)

Abstract

C1 myb転写因子および Rタイプのmyc転写因子を用いてイソフラボノイド産生植物における全ゲニステインに対する全ダイゼインの比を変化させるための方法について説明する。また、ゲノムにこれらの転写因子を含む植物ならびに、これらの植物の種子から作られるイソフラボノイド含有生成物についても説明する。このような生成物では、対照の全ダイゼイン対全ゲニステイン比と比較した場合に全ゲニステインに対する全ダイゼインの比が高められている。

Description

【関連出願の相互参照】
【0001】
本件出願は2001年6月13日出願の米国仮特許出願第60/297,981号の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体を本願明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、フェニルプロパノイド経路における遺伝子の発現を調節するC1 myb転写因子とRタイプのmyc転写因子とを利用してイソフラボノイド産生植物中の各イソフラボノイドの比を変化させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
イソフラボノイドとは、マメ科の植物においてフェニルプロパノイド経路から派生して得られる一群の二次代謝産物を示し、イソフラボン、イソフラバノン、ロテノイド、プテロカルパン、イソフラバン、キノン誘導体、3−アリール−4−ヒドロキシクマリン、3−アリールクマリン、イソフラブ−3−エン、クメスタン、α−メチルデオキシベンゾイン、2−アリールベンゾフラン、イソフラバノール、クマロノクロモンなどの化合物がこれに含まれる。植物では、これらの化合物は他の生物体との間の相互作用に関与し、植物病原微生物に対するマメ科植物の防御応答に加わることが知られている(非特許文献1)。イソフラボノイド由来の化合物は、最終的に根粒形成および窒素固定につながる根株と根粒菌との共生にも関与し(非特許文献2)、全般的にいえば抗生物質や防虫剤、誘引物質、シグナル化合物として機能することが明らかになっている(非特許文献3)。
【0004】
また、イソフラボノイドは、動物およびヒトでの研究で生理活性を持つことも報告されている。たとえば、ダイズ種子に見られるイソフラボンに、抗溶血作用(非特許文献4)、抗真菌作用(非特許文献5)、発情促進作用(非特許文献6)、腫瘍抑制作用(非特許文献7、非特許文献8)、脂質低下作用(非特許文献9)、血清コレステロール低下作用(非特許文献10)があることが報告されている。これらの研究から、ダイズタンパク生成物に含まれるイソフラボンが健康面からみて重要な多くの効用を生み出すのではないかということが分かる。
【0005】
遊離イソフラボンがダイズ中に高濃度で蓄積されることはほとんどなく、通常は炭水化物または有機酸と結合している。ダイズ種子には、アグリコン型のダイゼイン、ゲニステインおよびグリシテイン、グルコシド型のダイジン、ゲニスチンおよびグリシチン、マロニルグルコシド型の6’’−O−マロニルダイジン、6’’−O−マロニルゲニスチンおよび6’’−O−マロニルグリシチンと、3つのタイプのイソフラボンが3通りの形で含まれる。加工処理時に、6’−O−アセチルダイジン、6’−O−アセチルゲニスチン、6’−O−アセチルグリシチンといったアセチルグルコシドの形が生成される。ダイズ種子中のイソフラボノイド含有量は極めて多様であり、遺伝的特徴と育成場所や登熟期の温度などの環境条件の両方に影響される(非特許文献11、非特許文献12)。また、マメ科植物のイソフラボノイド含有量は、病原体による攻撃、創傷、強いUV光線への曝露、汚染によってストレス誘発される可能性がある(非特許文献13)。ゲニステインの形でのイソフラボノイドがダイズ種子や大半の食品に最も豊富に含まれるグループをなし、一方、ダイゼインおよびグリシテインの形で存在する濃度は低い(非特許文献14)。
【0006】
ダイズにおけるイソフラボノイドの生合成経路ならびにいくつかの他のクラスのフェニルプロパノイドとの関係を図1Aおよび図1Bに示す。
【0007】
イソフラボンシンターゼの作用によってイソフラボノイドが合成される分岐経路が見られるのは主にマメ科の植物に限られるが、フェニルプロパノイド経路や他の派生はマメ科以外の植物種においても起こる。メイズでは、フェニルプロパノイド経路とこれよりも下流のアントシアニン分岐経路の遺伝子が、Rタイプの因子との組み合わせで転写因子C1によって調節される。C1およびRタイプの因子は、メイズ細胞でのアントシアニンの合成および蓄積につながる一連の遺伝子の発現を活性化する(非特許文献15)。
【0008】
メイズのC1は、メイズ細胞でのアントシアニンの産生と蓄積とに関与する遺伝子の発現を調節するmybタイプの転写因子である。しかしながら、C1単独では遺伝子発現を活性化することができず、標的遺伝子プロモーターを活性化するにはRタイプのmyc転写因子との相互作用が必要になる。Rタイプの因子としては、特に、Rのアレル、メイズのB相同遺伝子のアレル、Lc相同遺伝子のアレルがあげられる。これらの遺伝子は同じように機能し、R/B遺伝子ファミリを構成する(非特許文献16)。R/B遺伝子ファミリのさまざまな遺伝子は、各々プロモーターが違うことからトウモロコシ茎葉内での発現パターンを変動させる異なるアレルとして見られることがある。このファミリのメンバは極めて似通ったアミノ酸配列を持つタンパク質をコードするため、アントシアニン経路の構造遺伝子に対して共通の作用を持つ。これらの異なるプロモーターの特異性からアントシアニン生合成の組織特異性が生じる(非特許文献17、非特許文献18)。所望の組織または発達段階においてR遺伝子の機能を得るにあたって、最適なプロモーターとの併用でこの大きなファミリの機能的遺伝子のコード領域のうちのどれを使ってもよいことは当業者であれば分かるであろう。R/Bファミリ遺伝子およびアレルの例としては、Lc、R、R−S、R−P、Sn、B−Peru、B−Iがあげられるが、これに限定されるものではない。C1に関しての実験では、Lc遺伝子またはB遺伝子の特定のアレル、特にB−Peruアレルのコード領域が最もよく使用されている。
【0009】
エストラジオールを添加した後、C1とRとの融合のエストラジオール誘導バージョン(CRC)を持つメイズ自殖ブラックメキシカンスウィート(Black Mexican Sweet)(BMS)の懸濁細胞株を分析した。カルコンイソメラーゼ以外の既知のフラボノイド遺伝子から得られるcDNA断片をホルモン誘導後にCRC発現株で誘導した(非特許文献19)。メイズのC1およびRタイプの因子が一緒になると、本来はアントシアニンが発現されないArabidopsisの組織(非特許文献20)およびペチュニアの葉(非特許文献21)でアントシアニンの合成を促進することができる。
【0010】
1999年7月29日公開の特許文献1には、RのLcアレルとメイズC1をトマト果実で発現させたところ、フラボノールケンフェロールの濃度が上昇したことが開示されている。このように、Arabidopsis、ペチュニア、トマト、メイズをはじめとする植物において、C1およびRタイプの因子によってフェニルプロパノイド経路の個々の遺伝子の発現を調節し、アントシアニンまたはフラボノールを産生できることが周知である。これらの植物はいずれもイソフラボンが産生されない植物である。イソフラボンが産生されるのはマメ科の植物だけにほぼ限られている。イソフラボンが産生されるマメ科以外の植物のごく限られた例のひとつにシュガービートがある。
【0011】
マメ科の植物であるシロツメクサとエンドウマメにおいてC1とB−Peruとを一過的に発現させ(非特許文献22)、目視による検査でアントシアニン濃度を調べた。C1およびB−Peruが一過的に発現することで、シロツメクサとエンドウマメのいくつかの組織でのアントシアニンが産生される結果となった。C1およびB−Peruがイソフラボノイド濃度に対しておよぼす作用を判定するためのアッセイについては実施されなかった。このため、イソフラボノイド産生植物でC1およびRタイプのmycがイソフラボノイド濃度に対してどのような影響をおよぼすのかは教示されていない。
【0012】
2000年8月3日公開の特許文献2には、イソフラボンシンターゼ遺伝子の過発現に関連してメイズのC1およびR(CRCキメラとして)でダイズを形質転換することについて開示されている。CRC単独の場合にイソフラボノイドの濃度にどのような影響がおよぶのかについては何ら報告されていない。このように、イソフラボンシンターゼのない状態で、C1およびRタイプの因子を単独で導入するとイソフラボノイド産生植物でのイソフラボノイドの合成と蓄積とに何らかの影響がおよび得るのか否かは明らかになっていない。
【0013】
植物と人間のどちらにおいてもイソフラボノイドに関連した生理学的な利点があることから、作物でその含有量を操作することが極めて望ましくなっている。たとえば、ダイズ種子中のイソフラボノイド濃度を高めれば、血清コレステロールの低減用またはエストロゲン補充療法用として今日販売されているイソフラボン関連生成物の抽出効率を高め、これにかかるコストを低減することができよう。
【0014】
【特許文献1】
WO99/37794号明細書
【特許文献2】
WO00/44909号明細書
【非特許文献1】
Dewick,P.M.(1993)、The Flavonoids,Advances in Research Since 1986,Harborne,J.B.編、第117〜238頁、Chapman and Hall、London。
【非特許文献2】
Phillips,D.A.(1992)、Recent Advances in Phytochemistry.、第26巻、第201〜231頁、Stafford,H.A.およびIbrahim,R.K.編、Plenum Press、New York。
【非特許文献3】
Barz,W.およびWelle,R.(1992)、Phenolic Metabolism in Plants、第139〜164頁、H.A.StaffordおよびR.K.Ibrahim編、Plenum Press、New York。
【非特許文献4】
Naim,M.ら(1976)、J.Agric.Food Chem.24:1174〜1177。
【非特許文献5】
Naim,M.ら(1974)、J.Agr.Food Chem.22:806〜810。
【非特許文献6】
Price,K.R.およびFenwick,G.R.(1985)、Food Addit.Contam.2:73〜106。
【非特許文献7】
Messina,M.およびBarnes,S.(1991)、J.Natl.Cancer Inst.83:541〜546。
【非特許文献8】
Peterson,G.ら(1991)、Biochem.Biophys.Res.Commun.179:661〜667。
【非特許文献9】
Mathur,K.ら(1964)、J.Nutr.84:201〜204。
【非特許文献10】
Sharma,R.D.(1979)、Lipids 14:535〜540。
【非特許文献11】
塚本知玄ら(1995)、J.Agric.Food Chem.43:1184〜1192。
【非特許文献12】
Wang,H.およびMurphy,P.A.(1994)、J.Agric.Food Chem.42:1674〜1677。
【非特許文献13】
Dixon,R.A.およびPaiva,N.L.(1995)、Plant Cell 7:1085〜1097。
【非特許文献14】
Murphy,P.A.(1999)、J.Agric.Food Chem.47:2697〜2704。
【非特許文献15】
Grotewold,E.ら(1998)、Plant Cell 10:721〜740。
【非特許文献16】
Goff,S.A.ら(1992)、Genes Dev.6:864〜875。
【非特許文献17】
Radicella,J.P.ら(1992)、Genes Dev.6:2152〜2164。
【非特許文献18】
Walker,E.L.(1995)、EMBO J.14:2350〜2363。
【非特許文献19】
Bruceら(2000)、Plant Cell 12:65〜80。
【非特許文献20】
Lloyd,A.M.ら(1992)、Science 258:1773〜1775。
【非特許文献21】
Quattrocchio,F.ら(1993)、Plant Cell 5:1497〜1512。
【非特許文献22】
Majnikら(1998)、Aust.J.Plant Phys.25:335〜343。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
イソフラボノイド全体の濃度を変化させるだけでなく、個々のイソフラボノイド成分の比率を変化させることも対象とする。ゲニステインおよびダイゼインがそれぞれ植物の病気に対する応答に影響し、さらには人間の健康に何らかの影響をおよぼすという指摘もいくつかある。ダイゼインがダイズの主要なフィトアレキシンすなわちグリセオリンの前駆体であるのに対し、ゲニステインはグリセオリンが合成されるように病原体の攻撃に対する細胞応答の成立に関与している(グラハム(Graham)およびグラハム(Graham)(2000)Mol. Plant Microbe Interact. 5:181〜219)。人間の健康という点では、ダイゼインは人間の血液中におけるLDLコレステロール濃度を抑え、HDLコレステロール濃度を高める上で効果がある(米国特許第5,855,892号)。また、ダイゼインは高血圧や冠状動脈アテローム性硬化心臓疾患の治療にも効果がある(リュウ(Liu),Y.ら(1990)、Shenyang Yaoxueyuan Xuebao 7:123〜125)。このように、イソフラボノイド全体のうちのダイゼイン成分を増やすと有意な可能性がある。
【0016】
したがって、イソフラボノイドの濃度を高め、イソフラボノイド産生植物中のイソフラボノイド成分の比率を変化させることには需要がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、(a)(i)C1 myb転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含む第1の組換え発現コンストラクトおよびR mycタイプの転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含む第2の組換え発現コンストラクト、(ii)C1 myb転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターとR mycタイプの転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターとを含む組換え発現コンストラクト、あるいは(iii)C1 myb転写因子の全体または一部とR mycタイプの転写因子の全体または一部とをコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含み、C1 myb転写因子およびR mycタイプの転写因子の両方として機能できる組換え発現コンストラクトを用いて植物を形質転換し、そして
(b)形質転換植物を単数または複数の組換え発現コンストラクトの発現に適した条件下で成長させることを含み、単数または複数のコンストラクトの発現によって対照の全ダイゼイン対全ゲニステイン比よりも全ダイゼイン対全ゲニステイン比を高くすることで形質転換植物のイソフラボノイド特性を変化させる、イソフラボノイド産生植物のイソフラボノイド特性を変化させる方法に関するものである。
【0018】
第2の実施形態では、上述した組換え発現コンストラクトが、C1 DNA結合ドメインとC1活性化ドメインとの間に座位するメイズのR mycタイプのコード領域を含むキメラ転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含む。
【0019】
第3の実施形態では、イソフラボノイド産生植物が、ダイズと、クローバーと、リョクトウと、レンズマメと、ヘアリーベッチと、アルファルファと、ルピナスと、シュガービートと、サヤエンドウと、からなる群から選択される。また、イソフラボノイド含有生成物を得るまたは抽出することのできる、本発明の組換え発現コンストラクトを用いて形質転換された植物の種子または植物の一部も対象となる。
【0020】
第4の実施形態では、本発明はこれらのイソフラボノイド含有生成物が配合された食品または飲料に関するものである。
【0021】
第5の実施形態では、本発明は、(a)本発明のいずれかの組換え発現コンストラクトを用いて形質転換された植物から得られる種子を破って外皮から種実を取り除き、そして(b)ステップ(a)で得られた種実を、所望のフレーク厚が得られるようにフレーク状にすることを含む、イソフラボノイド含有生成物の製造方法に関するものである。
【0022】
第6の実施形態では、本発明は、(i)C1 myb転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含む第1の組換え発現コンストラクトおよびR mycタイプの転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含む第2の組換え発現コンストラクト、
(ii)C1 myb転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターとR mycタイプの転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターとを含む組換え発現コンストラクト、あるいは
(iii)C1 myb転写因子の全体または一部とR mycタイプの全体または一部とをコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含み、C1 myb転写因子およびR mycタイプの転写因子の両方として機能できる組換え発現コンストラクトをゲノム中に含む、イソフラボノイド産生植物であって、
対照の全ダイゼイン対全ゲニステイン比と比較した場合に前記植物の全ダイゼイン対全ゲニステイン比が高められている、イソフラボノイド産生植物に関するものである。
【0023】
微生物の寄託
ブダペスト条約の定めにより、10801 University Boulevard,Manassas,VA 20110−2209の米国菌株保存機関(ATCC)に、以下のプラスミドの寄託を行い、以下の表示、受入番号および寄託日を得ている。
【0024】
【表1】
Figure 2004533831
【0025】
本願の一部をなす以下の詳細な説明および添付の配列表から本発明をなお一層理解することができる。
【0026】
以下の配列の説明ならびに本願明細書に添付の配列表は、米国特許施行規則第1.821〜1.825に記載の特許出願におけるヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列の開示に関する規則を遵守している。この配列表では、本願明細書に援用するNucleic Acids Research 13:3021〜3030(1985)およびBiochemical Journal 219(No.2):345〜373(1984)に記載のIUPAC−IUB標準に従って定義されるように、ヌクレオチド配列文字の表記については1文字コードを、アミノ酸については3文字コードを採用している。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データに用いる記号および形式は米国特許施行規則第1.822に記載の規則に準拠している。
【0027】
配列表の配列番号1はCRC組換えDNA断片の検出に用いられるプライマー1のヌクレオチド配列である。
【0028】
配列表の配列番号2はCRC組換えDNA断片の検出に用いられるプライマー2のヌクレオチド配列である。
【0029】
配列表の配列番号3はゲノムおよびキメライソフラボンシンターゼ遺伝子の検出に用いられるプライマー3のヌクレオチド配列である。
【0030】
配列表の配列番号4はゲノムおよびキメライソフラボンシンターゼ遺伝子の検出に用いられるプライマー4のヌクレオチド配列である。
【0031】
配列表の配列番号5はダイズのフェニルアラニンアンモニアリアーゼの少なくとも一部をコードするクローンsdp3c.pk002.c22へのcDNAインサートのヌクレオチド配列である。
【0032】
配列表の配列番号6はダイズケイ皮酸4−ヒドロキシラーゼの少なくとも一部をコードするクローンsrc3c.pk014.e17へのcDNAインサートのヌクレオチド配列である。
【0033】
配列表の配列番号7はダイズのカルコンイソメラーゼの少なくとも一部をコードするクローンssm.pk0013.e3へのcDNAインサートのヌクレオチド配列である。
【0034】
配列表の配列番号8はダイズのカルコンレダクターゼの少なくとも一部をコードするクローンsrc3c.pk009.e4へのcDNAインサートのヌクレオチド配列である。
【0035】
配列表の配列番号9はダイズのイソフラボンシンターゼの少なくとも一部をコードするクローンpOY204へのcDNAインサートのヌクレオチド配列である。
【0036】
配列表の配列番号10はダイズのフラバノン3−ヒドロキシラーゼの少なくとも一部をコードするクローンsfl1.pk0040.g11へのcDNAインサートのヌクレオチド配列である。
【0037】
配列表の配列番号11はダイズのジヒドロフラボノールレダクターゼの一部をコードするクローンsfl1.pk131.g5へのcDNAインサートのヌクレオチド配列である。
【0038】
配列表の配列番号12はダイズのジヒドロフラボノールレダクターゼの少なくとも一部をコードするクローンsrc.pk0043.d11へのcDNAインサートのヌクレオチド配列である。
【0039】
配列表の配列番号13はダイズのフラボノールシンターゼの少なくとも一部をコードするクローンssl.pk0057.d12へのcDNAインサートのヌクレオチド配列である。
【0040】
配列表の配列番号14はダイズのイソフラボンレダクターゼの少なくとも一部をコードするクローンsrr1c.pk001.k4へのcDNAインサートのヌクレオチド配列である。
【0041】
配列表の配列番号15はクローンpOY204からの増幅によるイソフラボンシンターゼ配列の調製に用いられるプライマー5のヌクレオチド配列である。
【0042】
配列表の配列番号16はクローンpOY204からの増幅によるイソフラボンシンターゼ配列の調製に用いられるプライマー6のヌクレオチド配列である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
ここに引用の特許、特許出願および公開公報についてはいずれもその内容全体を本願明細書に援用する。
【0044】
本願の開示内容においては多数の専門用語を使用しなければならない。
【0045】
「イソフラボノイド(単数または複数)」という用語は、植物に自然に生じる、共通のジフェニルプロパン骨格を基本とするポリフェノール化合物からなる大きな群を意味する。本願明細書において使用する場合、この用語は、3つのタイプのイソフラボンを3通りの形ですなわちアグリコン型のダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン、グルコシド型のダイジン、ゲニスチン、グリシチン、マロニルグルコシド型の6’’−O−マロニルダイジン、6’’−O−マロニルゲニスチン、6’’−O−マロニルグリシチンを含み、さらには加工処理時に生成されるアセチルグルコシド型の6’−O−アセチルダイジン、6’−O−アセチルゲニスチン、6’−O−アセチルグリシチンを含むがこれに限定されるものではない。
【0046】
本願明細書において使用する「全ゲニステイン」とは型に関係なくこのイソフラボノイドの総量を意味する。よって、「全ゲニステイン」には、アグリコン型、グルコシド型、マロニルグルコシド型、他のゲニステイン型を含む。同様に「全ダイゼイン」とは型に関係なくこのイソフラボノイドの総量を意味する。よって、「全ダイゼイン」には、アグリコン型、グルコシド型、マロニルグルコシド型、他のダイゼイン型を含み、「全グリシテイン」は、アグリコン型、グルコシド型、マロニルグルコシド型、他のグリシテイン型を含む。
【0047】
「イソフラボノイド産生植物」という用語はイソフラボノイドが普通に生じる植物を意味する。
【0048】
「対照」という用語は比較の根拠として用いられる、種子などの植物または植物の一部を意味する。本願明細書にて記載の種子などの対照の植物または植物の一部は、イソフラボン特性が変化していない植物または植物の一部である。適切な対照の例として、野生型の植物または野生型の植物から得られる植物の一部、ボンバードメントを施して、このような形質転換植物から得られる、核酸断片または該当する断片または植物の一部すなわち単数または複数の種子などの含有が認められなかった植物があげられ、対照の植物または植物の一部は、該当する単数または複数の核酸断片を含有する形質転換植物由来のものであってもよいが、ここでは有性生殖(これは野生型分離個体と呼ぶことができる)時の断片(単数または複数)の分離によって該当する単数または複数の核酸断片を含まない、あるいは対照の植物はイソフラボン特性を変化させることもない核酸断片で形質転換された植物、たとえばリジン表現型が多い種子を産生するように形質転換されたがイソフラボン特性は変化しない植物であってもよいが、これに限定されるものではない。たとえば、該当する植物がダイズ植物である場合、好ましい対照は上述した植物のうちのひとつから得られる種子であろう。該当する植物がクローバーである場合、好ましい対照は上述した植物のうちのひとつから得られる葉であろう。それぞれの対照が該当する植物に応じて決まるものであることは当業者であれば理解できよう。
【0049】
「C1 myb転写因子」という用語は、メイズC1遺伝子によってコードされるタンパク質ならびにC1 myb転写因子と機能的に等価なあらゆるタンパク質を意味する。
【0050】
「R mycタイプの転写因子」という用語は、R/B遺伝子ファミリのメンバによってコードされる塩基性ヘリックス・ループ・ヘリックスドメインを有するタンパク質ならびにR mycタイプの転写因子と機能的に等価なあらゆるタンパク質を意味する。
【0051】
本願明細書において使用する場合、「単離された核酸断片」は、合成、非天然または変化したヌクレオチド塩基を含有していてもよい一本鎖または二本鎖のRNAまたはDNAのポリマーである。DNAのポリマーの形での単離された核酸断片は、cDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAの1以上のセグメントで構成されるものであってもよい。ヌクレオチド(通常はその5’−モノリン酸の形態で見られる)は、(それぞれRNAまたはDNAについて)アデニル酸またはデオキシアデニル酸に「A」、シチジル酸またはデオキシシチジル酸に「C」、グアニル酸またはデオキシグアニル酸に「G」、ウリジル酸に「U」、デオキシチミジル酸に「T」、プリン(AまたはG)に「R」、ピリミジン(CまたはT)に「Y」、GまたはTに「K」、AまたCまたはTに「H」、イノシンに「I」、すべてのヌクレオチドについて「N」という一文字で表される。
【0052】
本願明細書では「機能的に等価な細断片(subfragment that is functionally equivalent)」および「機能的に等価な細断片(functionally equivalent subfragment)」という表現を同義に用いる。これらの表現は、断片または細断片が活性酵素をコードするか否かを問わず、遺伝子発現を変化させるまたは特定の表現型を生じる機能が保持されている単離された核酸断片の一部または部分配列を意味する。たとえば、断片または細断片を組換えDNA断片またはキメラ遺伝子の設計に利用して、形質転換植物で所望の表現型を得ることができる。
【0053】
本願明細書では、「相同性」、「相同的」、「実質的に類似の」および「実質的に相当する」を同義に用いる。これらの表現は、1以上のヌクレオチド塩基が変わっても核酸断片の持つ遺伝子発現を媒介する機能または特定の表現型を生じる機能に影響がない核酸断片を意味する。また、これらの表現は、最初の未修飾の断片に対して得られる核酸断片の機能的な特性を実質的に変化させない1以上のヌクレオチドの欠失または挿入などの本発明の核酸断片の修飾も意味する。したがって、当業者であれば分かるように、本発明にはここに例示する特定の配列以外の配列も包含されることは理解できよう。
【0054】
さらに、本発明に包含される実質的に類似の核酸配列も、本願明細書に例示する配列と適度にストリンジェントな条件(たとえば、0.5×SSC、0.1%SDS、60℃)下でハイブリダイズする機能によって、あるいは本願明細書に開示の核酸配列と機能的に等価である、本願明細書に開示のヌクレオチド配列のいずれかの部分で定義されることは、当業者であれば分かるであろう。ストリンジェンシー条件については、遠縁の生物体から得られる相同配列などの適度な類似性のある断片から、近縁の生物体から得られる機能的酵素を複製する遺伝子などの極めて類似性の高い断片に至るまで、スクリーニングできるように調節することが可能である。ハイブリダイゼーション後の洗浄でストリンジェンシー条件を判定する。好ましい条件一組には、6×SSC、0.5%SDSで室温にて15分間に続いて、2×SSC、0.5%SDSを45℃にて30分間行い、さらに0.2×SSC、0.5%SDSを50℃にて30分間ずつ2回繰り返す一連の洗浄が含まれる。さらに好ましいストリンジェントな条件の組では上記よりも高い温度を使用する。この場合、最後に行う0.2×SSC、0.5%SDSでの30分ずつ2回の洗浄時の温度を60℃に上げること以外は上記と同じである。極めてストリンジェントな条件のもうひとつの好ましい組として、0.1×SSC、0.1%SDSでの最後の2回の洗浄を65℃にする形がある。
【0055】
配列アライメントと類似率の計算値については、LASARGENEバイオインフォマティクスコンピューティングパッケージ(ウィスコンシン州マディソン、DNASTAR Inc.)のMegalignプログラムを含むがこれに限定されるものではない、相同配列を検出するように設計されたさまざまな比較方法を利用して求めることができる。また、Clustal法のアライメント(ヒギンス(Higgins)およびシャープ(Sharp)(1989)CABIOS.5:151〜153)をデフォルトのパラメータ(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=10)で利用して配列のマルチプルアライメントを行う。Clustal法を用いてのペアワイズアライメントのデフォルトのパラメータおよびタンパク質配列の同一性の割合の計算値は、KTUPLE=1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5およびDIAGONALS SAVED=5である。核酸では、これらのパラメータはKTUPLE=2、GAP PENALTY=5、WINDOW=4およびDIAGONALS SAVED=4である。
【0056】
「遺伝子」とは、コード配列に先行(5’非コード配列)および後続(3’非コード配列)する制御配列をはじめとする特定のタンパク質を発現する核酸断片を意味する。「天然遺伝子」とは、それぞれに制御配列を持つ自然界に見られるような遺伝子を意味する。「キメラ遺伝子」とは、天然遺伝子ではなく、自然界では一緒に見られることのない制御配列とコード配列とを含むあらゆる遺伝子を意味する。したがって、キメラ遺伝子は、異なる起源に由来する制御配列とコード配列とを含むものであってもよいし、同一起源由来であるが自然界で見られる形とは違った形に配列された制御配列およびコード配列を含むものであってもよい。「外来遺伝子」とは、宿主生物には通常は見られないが、遺伝子移行によって宿主生物に導入された遺伝子を意味する。外来遺伝子は、未変性ではない生物体に挿入された天然遺伝子、あるいはキメラ遺伝子を含むことができる。「トランスジーン」とは、形質転換法によってゲノムに導入された遺伝子のことである。「アレル」とは、染色体上の同じ座位に座乗する形態の異なるいくつかの遺伝子のうちのひとつである。染色体上の同じ座位に存在するアレルがすべて同じである場合、その植物はその座位でホモ接合性である。染色体上の同じ座位に存在するアレル同士が異なっている場合は、その植物はその座位でヘテロ接合性である。
【0057】
「コード配列」とは、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列を示す。「制御配列」とは、コード配列の上流(5’非コード配列)、コード配列内またはコード配列の下流(3’非コード配列)に位置し、関連のコード配列の転写、RNAプロセシングまたは安定性、あるいは翻訳に影響するヌクレオチド配列を意味する。制御配列には、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0058】
「プロモーター」とは、コード配列または機能的RNAの発現を制御できるDNA配列を意味する。プロモーター配列は、近位の要素とこれよりも遠位にある上流の要素とからなるものであり、後者の要素はエンハンサーと呼ばれることも多い。したがって、「エンハンサー」とは、プロモーター活性を刺激できるDNA配列であり、プロモーターにもともとある要素であってもよいし、あるいはプロモーターのレベルまたは組織特異性を高めるために挿入される異種要素であってもよい。プロモーターは、全体が天然遺伝子由来のものであってもよいし、自然界に見られる異なるプロモーターに由来する異なる要素からなるものであってもよく、あるいは、合成DNAセグメントを含むものであってもよい。プロモーターが変われば、異なる組織または細胞型の遺伝子の発現、異なる発達段階での遺伝子の発現、あるいは異なる環境条件に応答しての遺伝子の発現が指示される場合があることは、当業者であれば理解できよう。ほとんどの細胞型でほぼ常に遺伝子を発現させるプロモーターは一般に「構成的プロモーター」と呼ばれている。植物細胞において有用なさまざまなタイプの新たなプロモーターが常に発見されつづけており、オカムロ(Okamuro),J.K.およびゴールドバーグ(Goldberg),R.B.が編纂したBiochemistry of Plants 15:1〜82(1989)に多くの例が見られる。さらに、多くの場合は制御配列の正確な境界が完全に画定されていないため、若干異なるDNA断片が同じプロモーター活性を持つこともあると言われている。
【0059】
「翻訳リーダー配列」とは、遺伝子のプロモーター配列とコード配列との間に位置するポリヌクレオチド配列を意味する。翻訳リーダー配列は翻訳開始配列の完全に(fully)プロセシングされたmRNA上流に存在する。翻訳リーダー配列は、mRNAへの一次転写物のプロセシング、mRNAの安定性または翻訳効率に影響する場合がある。翻訳リーダー配列の例については過去に記載がある(ターナー(Turner),R.およびフォスター(Foster),G.D.(1995)、Mol.Biotech. 3:225〜236)。
【0060】
「3’非コード配列」とは、コード配列の下流に位置するDNA配列を意味し、ポリアデニル化認識配列ならびにmRNAのプロセシングまたは遺伝子発現に影響をおよぼすことのできる調節シグナルをコードする他の配列を含む。ポリアデニル化シグナルは通常、mRNA前駆体の3’末端へのポリアデニル酸領域の付加に影響することが特徴である。さまざまな3’非コード配列の使用例が、インゲルブレヒト(Ingelbrecht),I.L.ら(1989)、Plant Cell 1:671〜680に記載されている。
【0061】
「RNA転写物」とはDNA配列のRNAポリメラーゼ触媒転写によって生じる産物を意味する。RNA転写物がDNA配列の完全に相補的なコピーである場合、これを一次転写物と呼び、一次転写物の転写後プロセシングで得られるRNA配列であれば成熟RNAと呼ぶ。「メッセンジャーRNA(mRNA)」とは、イントロンを持たず、細胞によってタンパク質への翻訳が可能なRNAを意味する。「cDNA」とは、mRNA鋳型と相補であり、かつ酵素の逆転写酵素を用いてmRNA鋳型から合成されるDNAを意味する。cDNAは一本鎖であってもよいし、DNAポリメラーゼIのクレノー断片を用いて二本鎖形態に変換したものであってもよい。「センス」RNAとは、mRNAを含み、細胞内またはin vitroにてタンパク質への翻訳が可能なRNA転写物を意味する。「アンチセンスRNA」とは、標的の一次転写物またはmRNAの全体または一部に対して相補的であり、標的遺伝子の発現をブロックするRNA転写物を意味する(米国特許第5,107,065号)。アンチセンスRNAの相補性は、5’非コード配列、3’非コード配列、イントロンまたはコード配列など、特定の遺伝子転写物のどの部分に対するものであってもよい。「機能的RNA」とは、翻訳はされないが、それでもなお細胞プロセスに対する影響力を持つ、アンチセンスRNA、リボザイムRNAまたは他のRNAを意味する。本願明細書では「相補体」および「逆相補体」という用語をmRNA転写物に関して同義に使用し、メッセージのアンチセンスRNAを定義するものとする。
【0062】
「作動的に結合された」という表現は、一方の機能が他方に影響するような形で1つの核酸断片上に核酸配列が会合した状態を意味する。たとえばプロモーターであれば、コード配列の発現を調節できる(すなわちそのコード配列がプロモーターの転写制御下にある)ときに、そのコード配列と作動的に結合されると言う。コード配列は、センスまたはアンチセンスの向きで制御配列への作動的な結合が可能である。もうひとつ例をあげると、本発明の相補RNA領域を、標的mRNAの5’または標的mRNAの3’あるいは標的mRNA内に直接または間接的に作動的に結合することが可能である。あるいは、第1の相補的な領域が5’であり、その相補体が標的mRNAの3’である。
【0063】
本願明細書において使用する場合、「発現」という用語は、mRNAまたはタンパク質(前駆体または成熟)などの機能的な最終産物が生成されることを意味する。
【0064】
「成熟」タンパク質とは、翻訳後プロセシングを受けたポリペプチドすなわち、翻訳産物中に含まれるプレペプチドまたはプロペプチドがすべて除去されたポリペプチドを意味する。「前駆体」タンパク質とは、mRNA翻訳の一次産物すなわち、プレペプチドおよびプロペプチドが残ったままの一次産物を意味する。プレペプチドおよびプロペプチドとしては細胞内局在シグナルがあり得るが、これに限定されるものではない。
【0065】
「安定した形質転換」とは、核ゲノムとオルガネラゲノムの両方を含む宿主生物のゲノムに核酸断片が移行し、遺伝的に安定した遺伝が起こることを意味する。これとは対照的に、「一過性の形質転換」とは、宿主生物の核またはDNA含有オルガネラに核酸断片が移行し、統合または安定した遺伝のない遺伝子発現が起こることを意味する。形質転換された核酸断片を含む宿主生物を「トランスジェニックな」生物と呼ぶ。コメ、トウモロコシ、他の単子葉植物の細胞形質転換の好ましい方法としては、粒子加速または「遺伝子銃」での形質転換技術(クライン(Klein)ら、(1987)、Nature(ロンドン)327:70〜73、米国特許第4,945,050号)を利用するか、あるいはトランスジーンを含む適当なTiプラスミドを用いるAgrobacteriumによる方法(石田祐二ら、1996、Nature Biotech.14:745〜750)があげられる。
【0066】
本願明細書にて使用する標準的な組換えDNAおよび分子クローニングの技法は従来技術において周知であり、さらに詳細については、サムブルック(Sambrook),J.、フリッツ(Fritsch),E.F.およびマニアティス(Maniatis),T.、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press:Cold Spring Harbor、1989(以下「Sambrook」)に記載されている。
【0067】
「組換え」という用語は、たとえば遺伝子工学の技法により単離された核酸セグメントを操作または化学合成することで、組換えを行わなければ別々である2つの配列セグメントの人工的な組み合わせを意味する。
【0068】
「PCR」または「ポリメラーゼ連鎖反応」とは、特定のDNAセグメントを大量に合成するための手法のことであり、一連の繰り返しサイクルで構成される(コネチカット州ノーウォーク、Perkin Elmer Cetus Instruments)。一般に、二本鎖DNAを熱変性させ、標的セグメントの3’境界と相補な2つのプライマーを低温でアニールした後、中間温度で伸展させる。この連続した3工程をまとめてサイクルと呼ぶ。
【0069】
「組換えDNA断片」とは、コード配列と非制御配列などの自然界では一緒に見られることのない核酸断片同士の人工的な組み合わせを意味する。よって、「組換えDNA断片」と以下で定義する「組換えコンストラクト」との違いは、核酸配列の人工的な組み合わせにおける制御配列の有無に左右される。制御配列が組み合わせの一部であれば、これは「組換えコンストラクト」である。組み合わせの中に制御配列がなければ、これは「組換えDNA断片」である。
【0070】
本願明細書では、「組換えコンストラクト」、「発現コンストラクト」、「キメラコンストラクト」、「コンストラクト」、「組換え発現コンストラクト」という用語を同義に使用する。組換えコンストラクトは、自然界では一緒に見られることのない、制御配列とコード配列などの核酸断片の人工的な組み合わせを含む。たとえば、キメラコンストラクトは、異なる起源に由来する制御配列を少なくとも1つとコード配列を少なくとも1つとを含むこともあれば、同一起源由来の制御配列とコード配列とを含むこともあるが、いずれにしても自然界で見られるものとは異なった形に配置されている。このようなコンストラクトは、それ自体でも使用できるしベクターと併用することもできるものである。ベクターを用いるのであれば、どのベクターを選択するかは当業者間で周知のように宿主細胞の形質転換にどの方法を使うかに左右される。たとえばプラスミドベクターを用いることが可能である。当業者であれば、本発明の単離された核酸断片のうちのいずれかを含む宿主細胞の形質転換し、選択し、増殖させる過程を成功させるには、ベクター上にどの遺伝因子を存在させなければならないかについて十分に認識している。また、当業者であれば、互いに独立した異なる形質転換イベントでは得られる発現のレベルやパターンが異なる(ジョーンズ(Jones)ら、(1985)、EMBO J.4:2411〜2418、ドゥ・アルメイダ(De Almeida)ら、(1989)、Mol.Gen.Genetics 218:78〜86)ことから、所望の発現レベルとパターンとを呈する系統を得るには複数のイベントをスクリーニングしなければならないことも理解できよう。このようなスクリーニングについては特に、DNAのサザン分析、mRNA発現のノーザン分析、タンパク質発現のイムノブロッティング分析あるいは表現型の分析によって行うことができる。
【0071】
本発明は、(a)(i)C1 myb転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含む第1の組換え発現コンストラクトおよびR mycタイプの転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含む第2の組換え発現コンストラクト、(ii)C1 myb転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターとR mycタイプの転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターとを含む組換え発現コンストラクト、あるいは(iii)C1 myb転写因子の全体または一部とR mycタイプの転写因子の全体または一部とをコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含み、C1 myb転写因子およびR mycタイプの転写因子の両方として機能できる組換え発現コンストラクトを用いて植物を形質転換し、そして
(b)形質転換植物を単数または複数の組換え発現コンストラクトの発現に適した条件下で成長させることを含み、単数または複数のコンストラクトの発現によって対照の全ダイゼイン対全ゲニステイン比よりも全ダイゼイン対全ゲニステイン比を高くすることで形質転換植物のイソフラボノイド特性を変化させる、イソフラボノイド産生植物のイソフラボノイド特性を変化させる方法に関するものである。
【0072】
また、(i)C1 myb転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含む第1の組換え発現コンストラクトおよびR mycタイプの転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含む第2の組換え発現コンストラクト、
(ii)C1 myb転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターとR mycタイプの転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターとを含む組換え発現コンストラクト、あるいは
(iii)C1 myb転写因子の全体または一部とR mycタイプの全体または一部とをコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含み、C1 myb転写因子およびR mycタイプの転写因子の両方として機能できる組換え発現コンストラクトをゲノム中に含む、イソフラボノイド産生植物であって、
対照の全ダイゼイン対全ゲニステイン比と比較した場合に前記植物の全ダイゼイン対全ゲニステイン比が高められている、イソフラボノイド産生植物も対象となる。
【0073】
イソフラボノイド産生植物の例としては、ダイズ、クローバー、リョクトウ、レンズマメ、ヘアリーベッチ、アルファルファ、ルピナス、シュガービート、サヤエンドウがあげられるが、これに限定されるものではない。さらに好ましい実施形態では、好ましいイソフラボノイド産生植物はダイズであろう。他のイソフラボノイド産生植物の例については1993年11月25日公開のWO93/23069号に見出すことができ、その開示内容を本願明細書に援用する。
【0074】
形質転換方法は当業者間で周知であり、上述したとおりである。
【0075】
イソフラボノイド産生植物を形質転換するのに利用できる組換え発現コンストラクトは、
(1)たとえば、1つのコンストラクトがC1 myb転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含み得るものであり、もう1つの別のコンストラクトがR−mycタイプの転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含み得るなど、複数のコンストラクトを完全に別のものとすることが可能である。
(2)C1 myb転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターとR−mycタイプの転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターとを含む単一のコンストラクト、あるいは
(3)2つのコードされるタンパク質を組み合わせる融合タンパク質が生成されるように、C1 myb転写因子の全体または一部をコードする単離された核酸断片と、R−mycタイプの転写因子の全体または一部をコードする単離された核酸断片と、に作動的に結合されたプロモーターを含む単一のコンストラクト
という3つのカテゴリに分類される。
【0076】
次に、単数または複数の組換え発現コンストラクトの発現に適した条件下で形質転換植物を栽培する。単数または複数の組換え発現コンストラクトが発現することで、形質転換を行っていない植物または植物の一部の全ダイゼイン対全ゲニステイン比よりも全ダイゼイン対全ゲニステイン比が高くなり、形質転換植物または植物の一部のイソフラボノイド特性が変化する。たとえば、場合によっては、形質転換植物から得られる種子を形質転換を行っていない植物から得られる種子と比較して組換え発現コンストラクトの発現を検討し、全ダイゼイン対全ゲニステイン比が増えているか否かを判断すると好ましいことがある。
【0077】
さらに好ましい実施形態では、メイズRコード領域がC1 DNA結合ドメインとC1活性化ドメインの間に位置するキメラ転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含む組換え発現コンストラクトでイソフラボノイド産生植物を形質転換することができる。
【0078】
単一の植物プロトプラスト形質転換体またはさまざまな形質転換外植体から得られた植物の再分化、発達および培養は従来技術において周知である(WeissbachおよびWeissbach、Methods for Plant Molecular Biology(編)、Academic Press,Inc.、カリフォルニア州サンディエゴ(1988))。この再分化と成長の過程には一般に、形質転換された細胞を選択し、根のある小植物体段階への通常の胚芽発達段階でこれらの個々の細胞を培養するステップが含まれる。トランスジェニックな胚芽および種子についても同様に再分化させる。後に、このようにして得られる根のあるトランスジェニックな苗条を土壌などの適当な植物栽培用の培地に植え付ける。
【0079】
該当するタンパク質をコードする外因性の外来遺伝子を含む植物の発達または再分化は従来技術において周知である。このような再分化植物が自家受粉してホモ接合性トランスジェニック植物が得られると好ましい。そうでなければ、再分化植物から得た花粉を農学的に重要な系統の種子栽培植物に交雑させる。逆に、これらの重要な系統の植物から得た花粉を使って再分化植物を受粉させる。当業者間で周知の方法を利用して、所望のポリペプチドを含む本発明のトランスジェニック植物を培養する。
【0080】
植物組織から植物を再分化させる方法にはさまざまなものがある。どの再分化方法を使うかは、開始植物組織と再分化させる具体的な植物種とに左右される。
【0081】
主にAgrobacterium tumefaciensを利用して双子葉植物を形質転換し、トランスジェニック植物を得るための方法が、綿(米国特許第5,004,863号、米国特許第5,159,135号、米国特許第5,518,908号)、ダイズ(米国特許第5,569,834号、米国特許第5,416,011号、マカベ(McCabe)ら、BiolTechnology 6:923(1988)、クリストウ(Christou)ら、Plant Physiol.87:671〜674(1988))、Brassica(米国特許第5,463,174号)、ピーナッツ(チェン(Cheng)ら、Plant Cell Rep.15:653〜657(1996)、マッケントリー(McKently)ら、Plant Cell Rep.14:699〜703(1995))、パパイヤ、ナシ(グラント(Grant)ら、Plant Cell Rep.15:254〜258(1995))について公開されている。
【0082】
ポリエチレングリコール処理、電気穿孔または微粒子銃によって植物細胞に核酸分子を導入することで、クローニングした核酸コンストラクトの一過性発現に基づく遺伝子発現をアッセイする方法が開発されている(マルコッテ(Marcotte)ら、Nature 335:454〜457(1988)、マルコッテ(Marcotte)ら、Plant Cell 1:523〜532(1989)、マッカーティ(McCarty)ら、Cell 66:895〜905(1991)、服部ら、Genes Dev.6:609〜618(1992)、ゴフ(Goff)ら、EMBO J.9:2517〜2522(1990))。
【0083】
一過性発現系を利用して遺伝子コンストラクトを機能的に精査することもできる(概要については、マリーガ(Maliga)ら、Methods in Plant Molecular Biology、Cold Spring Harbor Press(1995)を参照のこと)。本発明の核酸分子はいずれも、ベクター、プロモーター、エンハンサーなどの他の遺伝因子と組み合わせて、永久的または一過的に植物細胞に導入可能なものであることは理解できよう。
【0084】
上述した手法に加えて、専門家であれば、巨大分子(DNA分子、プラスミドなど)の構築、操作、単離、組換えDNA断片および組換え発現コンストラクトの生成、クローンのスクリーニングおよび単離の具体的な条件ならびに手法について解説した標準的な資料に馴染みがある(たとえば、サムブルック(Sambrook)ら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press(1989)、マリーガ(Maliga)ら、Methods in Plant Molecular Biology、Cold Spring Harbor Press(1995)、ビレン(Birren)ら、Genome Analysis: Detecting Genes,1、Cold Spring Harbor、New York(1998)、ビレン(Birren)ら、Genome Analysis: Analyzing DNA,2、Cold Spring Harbor、New York(1998)、Plant Molecular Biology: A Laboratory Manual編、Clark、Springer、New York(1997))。
【0085】
本発明の方法では、どのようなプロモーターでも利用可能である。よって、所望の宿主組織で所望のタンパク質遺伝子について翻訳可能なmRNAを発現することで本発明を達成できるだけの十分な転写活性を持つ限り、コード配列の発現をドライブするのに選択したプロモーターをどこから入手するかは重要ではない。好ましい実施形態では、プロモーターは種子特異的プロモーターである。種子特異的プロモーターの例としては、β−コングリシニンのプロモーター(チェン(Chen)ら(1989)、Dev.Genet.10:112〜122)、ナピンプロモーターおよびファゼオリンプロモーターがあげられるが、これに限定されるものではない。2000年4月6日公開のWO00/18963号には、極めて多数のプロモーターが記載されており、その開示内容を本願明細書に援用する。
【0086】
また、本発明の範囲内に包含されるものに、このような形質転換植物から得られる種子または植物の一部がある。植物の一部としては、根株、茎、芽、葉、花粉、種子、腫瘍組織ならびに、単細胞、プロトプラスト、胚芽、カルス組織などのさまざまな形態の細胞および培養物を含むがこれに限定されるものではない、分化した組織および未分化の組織があげられる。植物組織は、植物におけるものであってもよいし、器官、組織または細胞培養におけるものであってもよい。
【0087】
もうひとつの態様では、本発明は、本願明細書に記載の形質転換植物に由来する種子または植物の一部から得られる、全ダイゼインが高く全ゲニステインが低いイソフラボノイド含有生成物に関するものである。このようなイソフラボノイド含有生成物の例としては、タンパク質単離物、タンパク質濃縮物、ミール、グリッツ、全脂および脱脂フラワー、組織状タンパク質、組織状フラワー、組織状濃縮物、組織状単離物があげられるが、これに限定されるものではない。さらに別の態様では、本発明は、本願明細書に記載の形質転換植物に由来する種子または植物の一部から抽出される、全ダイゼインが高く全ゲニステインが低いイソフラボノイド含有生成物に関するものである。抽出された生成物を、イソフラボンを高濃度で含むように作られるピル、錠剤、カプセルまたは他の同様の剤形の製造に用いることが可能であろう。
【0088】
このような生成物を得るための方法は当業者間で周知である。たとえば、ダイズの場合、このような生成物をさまざまな方法で得ることができる。ダイズタンパク質単離物の調製に一般に用いられる条件については、[Choら(1981)、米国特許第4,278,597号、Goodnightら(1978)、米国特許第4,072,670号]に記載されている。ダイズタンパク質濃縮物は、(pH約4.5での)酸浸出、アルコールでの抽出(約55〜80%)、高圧蒸気を用いてのタンパク質の変性後に水で抽出するという3つの基本プロセスで製造される。ダイズタンパク質濃縮物の調製に一般に用いられる条件については、パス(Pass)[(1975)米国特許第3,897,574号]およびキャンベル(Campbell)ら[(1985)、New Protein Foods、AltschulおよびWilcke編、Academic Press、第5巻、第10章、Seed Storage Proteins、第302〜338頁]に説明されている。
【0089】
「イソフラボン含有タンパク質生成物」は、食餌、食品および/または飲料に用いられる適当な植物の種子から生成される品目として定義できる。たとえば、「ダイズタンパク生成物」には、表1「ダイズタンパク生成物」に列挙した品目を含み得るが、これに限定されるものではない。
【0090】
【表2】
Figure 2004533831
【0091】
「プロセシング」とは、表1に列挙した生成物(製品)を得るのに用いるあらゆる物理的方法および化学的方法を意味し、全粒種子または砕粒種子の熱調質、フレーク化および粉砕、押出、溶媒抽出、水浸漬および抽出を含むがこれに限定されるものではない。さらに、「プロセシング」には、全粒種子または砕粒種子からダイズタンパク質を濃縮して分離するのに用いられる方法ならびに、東洋で発酵大豆食品の製造に伝統的に用いられているさまざまな方法を含む。これらの生成物(製品)の多くについては取引規準と仕様とが確立されている(National Oilseed Processors Association Yearbook and Trading Rules 1991〜1992を参照のこと)。「高タンパク質」または「低タンパク質」であると呼ばれる生成物はこれらの標準仕様に説明されている通りである。「NSI」はAmerican Oil Chemists’ Societyの方法Ac4 41によって定義されるような水溶性窒素指数である。大豆ミールの品質を示すインジケータに「KOH窒素溶解性(KOH nitrogen solubility)」があるが、これはArabaおよびDale[(1990)Poult. Sci. 69:76−83]に記載の条件下で0.036MのKOHに溶解する窒素の量を意味している。「白色」フレークとは、外皮を取り除いた子葉を脱脂し、制御された高圧蒸気で処理してNSIが約85から90になるようにフレーク化したものを意味する。この用語は、米国標準の篩でNo.100のサイズを通るように粉砕された、同等のNSIのフラワーも意味し得る。「調理済み」とは、NSIが約20から60の一般にはフラワーであるダイズタンパク生成物を意味する。「トーストした」とは、NSIが20未満で一般にはフラワーであるダイズタンパク生成物を意味する。「グリッツ」とは、米国標準の篩でNo.10から80の間にある、脱脂し、外皮を取り除いた子葉を意味する。「ダイズタンパク質濃縮物」とは、(pH約4.5での)基本的に酸浸出、アルコールでの抽出(約55〜80%)、高圧蒸気を用いてのタンパク質の変性後に水で抽出するという3つの工程で外皮を取り除いて脱脂したダイズ生成物を意味する。ダイズタンパク質濃縮物の調製に一般に用いられる条件については、パス(Pass)[(1975)米国特許第3,897,574号およびキャンベル(Campbell)ら、(1985)、New Protein Foods、AltschulおよびWilcke編、Academic Press、第5巻、第10章、Seed Storage Proteins、第302〜338頁]に説明されている。「押出」とは、材料(グリッツ、フラワーまたは濃縮物)を、材料の組織を変化させるための手段としてのジャケット付きのオージェ(jacketed auger)に高温高圧下で通すプロセスを意味する。「組織化」および「構造化」とは、材料の物性を調節するのに用いられる押出プロセスを意味する。熱可塑性押出を含むこれらのプロセスの特徴については過去に説明がなされている[アトキンソン(Atkinson)(1970)、米国特許第3,488,770号、Horan(1985)、New Protein Foods、アルチュル(Altschul)およびウィルケ(Wilcke)編、Academic Press、第1A巻、第8章、第367〜414頁]。さらに、ダイズタンパク生成物を含む複合食材混合物の押出処理の間に用いられる条件が、[ロキー(Rokey)(1983)、Feed Manufacturing Technology III、222〜237、マッカローチ(McCulloch)、米国特許第4,454,804号]において過去に説明がなされている。
【0092】
また、本発明のイソフラボノイド含有生成物が配合された食品および飲料も本発明の範囲内である。
【0093】
飲料は液体であっても乾燥粉末状であってもよい。
【0094】
本発明のイソフラボノイド含有生成物を配合/添加可能な食品には、ほぼすべての食品/飲料が含まれる。たとえば、挽肉、乳化させた肉、マリネにした肉、本発明のイソフラボノイド含有生成物と一緒に導入される肉類、栄養補給剤、栄養補助飲料、スポーツ飲料、タンパク質補助飲料、ジュース、乳、代替乳、ダイエット飲料などの飲料類、ハードチーズおよびソフトチーズ、クリームチーズ、カテージチーズなどのチーズ、アイスクリーム、アイスミルク、低脂肪氷菓、乳を使っていない氷菓などの氷菓、ヨーグルト、スープ、プディング、ベーカリー製品、サラダドレッシング、マヨネーズなどのディップおよびスプレッド、チップディップ、フードバーをあげることができる。このイソフラボノイド含有生成物を、食品および/または飲料の摂取者に所望の用量を送達すべく選択した量で添加可能である。さらに別の態様では、本発明は、(a)本発明の形質転換植物から得られる種子を割って外皮から種実を取り除き、そして(b)ステップ(a)で得られた種実を、所望のフレーク厚が得られるようにフレーク化することを含む、イソフラボノイド含有生成物の製造方法に関するものである。
【実施例】
【0095】
以下、実施例において本発明をさらに定義する。実施例中、特に明記しない限り部およびパーセンテージはいずれも重量基準であり、度は摂氏である。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示してこそいるが、単なる例示にすぎないことを理解されたい。当業者であれば上記の説明とこれらの実施例から本発明の本質的な特徴を把握することができ、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明にさまざまな変更および改変を施して多様な使用法や条件に適合させることができる。よって、当業者には本願明細書に図示および説明する以外の本発明のさまざまな改変例も明らかであろう。このような改変例も添付の特許請求の範囲に記載の内容に包含されるものとする。
【0096】
実施例1
Glycine maxの形質転換用プラスミドの構築
C1およびRのLcアレルをコードするメイズヌクレオチド配列を含有する組換えDNA断片によってコードされるタンパク質がダイズのイソフラボノイド特性にたいしてどのような影響をおよぼすのかを試験した。この目的で、CRC組換え発現コンストラクトをダイズ胚芽に導入するためのプラスミドpOY203を構築した。プラスミドpOY203については、PCT出願公開第WO00/44090号(2000年8月3日公開)で簡単に説明したが、細菌系と植物系の両方でハイグロマイシンの存在下で成長の選択を可能にする発現系を含むベクターのファゼオリンプロモーターおよび終結シグナルの制御下でCRC組換えDNA断片が含有されている。
【0097】
プラスミドpOY203については中間プラスミドpOY135を介して作製した。プラスミドpOY135には、Hind IIII制限エンドヌクレアーゼ部位に隣接して、ファゼオリンプロモーターとポリアデニル化シグナル配列との間にCRC組換えDNA断片が挿入されている。CRC組換えDNA断片には、
(a)125位アミノ酸までのC1 mybドメインと、
(b)RのLcアレルの全コード領域(1位アミノ酸から160位アミノ酸)と、
(c)C1転写活性化ドメイン(126位アミノ酸からC1のC末端まで)と、をコードするメイズヌクレオチド配列がSma I部位間に5’から3’への方向で含まれる。
【0098】
プラスミドpDP7951(2000年8月3日公開のPCT出願公開第WO00/44090号に記載、ATCC受入番号PTA371)からCRC組換えDNA断片を単離し、ベクターpCW108Nに挿入した。ベクターpCW108Nは市販のベクターpUC18(ギブコ−BRL)由来のものであり、Hind III部位間に、
(a)転写開始部位に対して−410から+77までのファゼオリン遺伝子プロモーターのDNA断片(Slightomら(1991)、Plant Mol.Biol.Man.B16:1)と、
(b)同じファゼオリン遺伝子のポリアデニル化シグナル配列領域を含む1175bpのDNA断片(ドイル(Doyle)ら(1986)、J.Biol.Chem.261:9228〜9238およびスライトム(Slightom)ら(1983)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:1897〜1901の配列の説明を参照のこと)と、が含有されている。
【0099】
ファゼオリンプロモーターとポリアデニル化シグナル配列との間を切断するAsp 718でプラスミドpCW108Nを消化し、dATP、dCTP、dGTP、dTTPの存在下でT4 DNAポリメラーゼと一緒にインキュベーションして突出末端を埋めた。CRC組換えDNA断片を含むDNA断片を、Sma Iでの消化によってpDP7951から単離し、アガロースゲル電気泳動を用いて精製し、平滑末端化したpCW108Nに挿入してpOY135を形成した。
【0100】
pOY203を形成するために、ファゼオリンプロモーター/CRC組換えDNA断片/ファゼオリンポリアデニル化シグナル配列を含むカセット(以下、CRC組換え発現コンストラクトと呼ぶ)をHind IIIでの消化によってpOY135から遊離させ、Hind III消化pZBL102に導入した。プラスミドpZBL102には、細菌系と植物系の両方でプラスミドDNA配列を含む細胞を同定する手段として用いられるハイグロマイシンの存在下で成長の選択を可能にする発現系を含み、PCT出願公開第WO00/44090号に記載されている。
【0101】
本発明を実施するにあたって必要なことではないが、最初の実験では、プラスミドpOY203を同じくPCT出願公開第WO00/44090号に記載されているプラスミドpWSJ001と一緒にボンバードメント法でダイズ胚芽に導入した。プラスミドpWSJ001には、細菌系と植物系の両方でハイグロマイシンの存在下で成長の選択を可能にする発現系を含むベクターのα’β−コングリシニンプロモーターおよびファゼオリンポリアデニル化シグナル配列の制御下でイソフラボンシンターゼコード領域が含有されている。4時間発芽させた種子で作製したダイズcDNAライブラリから得られるクローン(sgs1c.pk006.o20)をPCR増幅し、イソフラボンシンターゼコード領域(NCBIの汎用識別子No.6979520に見られる)を得た。増幅にはPfuポリメラーゼ(ストラタジーン)を使用し、プライマー5(配列表の配列番号15に示す)とプライマー6(配列表の配列番号16に示す)とを用いてGeneAmp PCR Systemにて標準的なPCR反応で行った。
【0102】
5’−TTGCTGGAACTTGCACTTGGT−3’[配列表の配列番号15]
5’−GTATATGATGGGTACCTTAATTAAGAAAGGAG−3’[配列表の配列番号16]
【0103】
まず、ベクターpCW109のα’β−コングリシニンプロモーターとファゼオリンポリアデニル化シグナル配列との間にイソフラボンシンターゼコード領域を挿入した。ベクターpCW109には、α’β−コングリシニンプロモーターの550bpの断片(Slightomら(1991)、Plant Mol.Biol.Man.B16:1)と、pCW108Nについて上述したものと同じファゼオリンポリアデニル化シグナル配列とが含まれている。プラスミドpCW109のプロモーターとポリアデニル化シグナル配列断片との間にあるNco I部位をNco Iでの消化によって除去した後、dATP、dCTP、dGTP、dTTPの存在下にてT4 DNAポリメラーゼで埋めた。このようにして得られたDNAを、埋められたNco I部位の3’を切断するKpn Iで消化し、イソフラボンシンターゼ断片を導入した。IFSキメラ遺伝子(α’β−コングリシニンプロモーター/イソフラボンシンターゼ/ファゼオリン3’ポリアデニル化配列)を含むカセットをHind IIIで消化してこのプラスミドから遊離させ、Hind III−消化pZBL102に導入してpWSJ001を形成した。
【0104】
実施例2
ダイズ体細胞胚培養物の形質転換とダイズ植物の再分化
プラスミドpOY203およびpWSJ001でダイズ不定胚培養物を形質転換し、CRC組換え発現コンストラクトのみを発現している形質転換体をスクリーニングし、植物を再生させ、生成されたイソフラボンの濃度を測定することで、CRC組換え発現コンストラクトを発現しているトランスジェニックなダイズ植物でイソフラボン濃度を変化させる機能を試験した。本発明ではプラスミドpWSJ001は必要ない。PCR増幅を利用してトランスジーンの有無についてのスクリーニングを行い、イソフラボンシンターゼ組換え発現コンストラクトを含有する植物を本研究から排除した。
【0105】
粒子銃でのボンバードメント法によってpWSJ001と併せてpOY203でダイズの胚形成懸濁培養物を形質転換し、pOY203にCRC組換え発現コンストラクトを持つがpWSJ001にIFS組換え発現コンストラクトを持たない形質転換体を同定した。
【0106】
ダイズ植物の形質転換と再分化には以下のストック溶液と培地とを利用した。
【0107】
ストック溶液(1リットルあたり)
MSスルフェート100×ストック溶液:MgSO.7HOを37.0g、MnSO.HOを1.69g、ZnSO.7HOを0.86g、CuSO.5HOを0.0025g。
MSハライド100×ストック溶液:CaCl.2HOを44.0g、KIを0.083g、CoCl.6HOを0.00125g、KHPOを17.0g、HBOを0.62g、NaMoO.2HOを0.025g、NaEDTAを3.724g、FeSO.7HOを2.784g。
B5ビタミンストック溶液:myo−イノシトールを100.0g、ニコチン酸を1.0g、ピリドキシンHClを1.0g、チアミンを10.0g。
2,4−Dストック溶液:10mg/mL
【0108】
培地(1リットルあたり)
SB55:各MSストック溶液を10mL、B5ビタミンストック溶液を1mL、NHNOを0.8g、KNOを3.033g、2,4−Dストック溶液を1mL、アスパラギンを0.667g、pH5.7。
SB103:ムラシゲ&スクーグ塩混合物(ギブコBRL)を1パック、マルトースを60g、ジェランガム2g、pH5.7。
SB71−1:B5塩、B5ビタミンストック溶液を1mL、スクロースを30g、MgCl2を750mg、ジェランガムを2g、pH5.7。
【0109】
蛍光と白熱光との混合光線を用いて、日中16時間で夜間8時間のサイクルにて、(ジャック変種(Jack variety)の)ダイズ胚形成懸濁培養物を、回転振盪機(150rpm)で28℃にてSB55液体培地35mL中に保持した。新鮮な液体培地35mLに組織約35mgを接種して培養物を2から3週間ごとに継代培養した。
【0110】
ダイズ胚芽懸濁培養物を、デュポンのBiolistic PDS1000/He装置を用いて粒子銃によるボンバードメント法(クライン(Klein)ら(1987)、Nature 327:70〜73を参照)で形質転換した。胚芽をプラスミドpOY203(CRC組換え発現コンストラクトを含有)およびプラスミドpWSJ001(IFS組換え発現コンストラクトを含有)と一緒にボンバードメントした。PCRを用いてCRC組換え発現コンストラクトを単独で含む形質転換体を同定した。これを本願明細書に記載する。IFS組換え発現コンストラクトを含む形質転換体については他の目的で利用し、本発明の一部をなしてはいない。
【0111】
ボンバードメントにあたっては、pOY203(0.5μg/μL)とpWSJ001(1μg/μL)プラスミドDNAとの1:2混合物5μLと、CaCl(2.5M)50μLと、スペルミジン(0.1M)20μLとを、0.6μm金粒子の60mg/mLの懸濁液50μLに加えた。粒子調製物を3分間攪拌し、微量遠心管にて10秒間スピンし、上清を除去した。続いて、DNAをコーティングした金粒子を100%エタノール400μLで1回洗浄し、無水エタノール40μL中に再懸濁させ、1秒ずつ3回超音波処理した。次に、それぞれのマイクロキャリアディスクにDNAをコーティングした金粒子を5μLずつ仕込んだ。
【0112】
2週間培養した懸濁培養物約300から400mgを60mm×15mmの空のペトリ皿に入れ、ピペットを使って組織から残った液体を除去した。この組織を保持用スクリーンから約3.5インチ離して配置し、ボンバードメントを2回行った。メンブレン破断圧を1100psiに設定し、およびチャンバを−28インチHgまで脱気した。それぞれの実験で2枚のプレートをボンバードメントし、ボンバードメント後、組織を半分に割り、液体培地に戻し、上述したようにして培養した。
【0113】
ボンバードメントの11日後、液体培地をハイグロマイシン50mg/mLを含有する新鮮なSB55培地と交換した。選択培地を毎週リフレッシュした。ボンバードメントの7週間後、形質転換した緑色の組織が形質転換されなかった壊死胚形成クラスタから成長しているのが観察された。緑色の単離組織を取り出し、個々のフラスコに接種して、クローン繁殖させた新たな形質転換胚形成懸濁培養物を生成した。このように、新たな系統を各々独立した形質転換イベントとして処理した。ダイズ懸濁培養については、継代培養によって未熟な発達段階でクラスター形成された胚芽の懸濁液として保持するか、あるいは個々の不定胚の成熟と発芽によって再生して植物全体にすることが可能である。
【0114】
形質転換された胚形成クラスタを液体培養物から取り出し、ホルモンまたは抗生物質を含有しないSB103固体寒天培地にのせた。蛍光と白熱光との混合光線を用いて、日中16時間、夜間8時間のスケジュールで、胚芽を26℃にて8週間培養した。この期間に、クラスタから個々の胚芽を取り出し、さまざまな胚芽発達段階で分析した。選択した系統にCRC組換え発現コンストラクトおよび/またはIFS組換え発現コンストラクトがあるか否かをPCR増幅によって分析した。
【0115】
5’− AGGCGGAAGAACTGCTGCAACG −3’[配列表の配列番号1]
5’− AGGTCCATTTCGTCGCAGAGGC −3’[配列表の配列番号2]
5’−ATGTTTGGCAAGTAGGAAGGGACC −3’[配列表の配列番号3]
5’−GCATTCCATAAGCCGTCACGATTC −3’[配列表の配列番号4]
【0116】
野生型のダイズ胚芽には存在しない断片を産生するプライマー1およびプライマー2(それぞれ配列表の配列番号1および配列表の配列番号2に示す)を用いてCRC組換え発現コンストラクトの有無を判断した。また、プライマー3およびプライマー4(それぞれ配列表の配列番号3および配列表の配列番号4に示す)を用いてIFS組換え発現コンストラクトの有無を判断した。このプライマー対を用いて得られた増幅生成物をアガロースゲル上で分離したところ、すべての試料で内在性のIFS遺伝子を示す(すなわちイントロンを含む)1062bpの断片が得られ、同じくIFS組換え発現コンストラクトを含む845bpの断片が胚芽で得られた。CRC組換え発現コンストラクトを含み、IFS組換え発現コンストラクトを含まない胚芽を、さらに研究する目的で選択した。
【0117】
不定胚は8週間後に発芽に適したものとなったため、成熟培地から取り出し、空のペトリ皿で1から5日かけて乾燥させた。この乾燥胚芽をSB71−1培地に蒔き、ここで上記にて説明したものと同じ光線および発芽条件で発芽させた。発芽した胚芽を滅菌土壌に移し、熟すまで栽培した。種子を収穫した。
【0118】
実施例3
CRC組換え発現コンストラクトを含む形質転換体のR1種子中のイソフラボンの分析
CRC組換え発現コンストラクトを含み、IFS組換え発現コンストラクトを含まないダイズ一次形質転換体(R1種子)から得られる種子で、イソフラボン濃度を分析した。以下のようにして抽出物を調製し、HPLCで分析した。各種子を秤量し、1/4インチ円柱ビーズとフラボン20mg(内部標準)の入った2mL容のねじ蓋付きのチューブに入れた。次に、ビーズ破砕装置を用いて4200rpmで30秒間の間隔で微粉末になるまで種子をひき割った。80%水性メタノール800μLを加えて試料を溶液に均質化し、さらにビーズ破砕をほどこした。各試料を60℃の振盪水浴中に4時間放置した後、12000rpmで10分間遠心処理した。上清のアリコート100μLを取り出し、脱イオン水100μLを加え、ボルテックスし、遠心処理し、HPLCで分析した。HPLC分析には、ダイオードアレイ検出器とPhenomenex製のLuna 3 C18(2)、4.6mm×150mmカラムとを取り付けたHP1100装置を利用した。カラム温度を22℃とし、溶媒流量を1mL/分とし、260nmで検出を行った。溶媒溶出は5%メタノール/95%0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)の水溶液から100%メタノールまでの勾配で16分間とし、続いて3分間の後洗浄を行った。これによって、ダイゼイン、グリシテイン、ゲニステイン、その複合誘導体のクロマトグラムが得られた。それぞれの分析について標準曲線を作成し、個々の化合物を測定した。複合体はすべて標準の変換係数を用いてアグリコン当量値に変換した。各アグリコンの総濃度に加えて、全イソフラボン含有量も算出した。
【0119】
おおむね、各形質転換イベントで得られた1から3つの植物それぞれから種子個体を5つ採取して分析を行った。合計で13の形質転換イベントで得られた一次形質転換植物の種子にはそれぞれCRC組換え発現コンストラクトしか含まれず、これについてもトランスジーンを持たない一次形質転換植物の種子と同様に分析した。CRCイベントのサブセットから、対照とは異なるイソフラボノイド組成物が認められた。トランスジェニック植物の一部における表現型の観察結果については、独立した形質転換イベントで発生するトランスジーンの発現の通常のバリエーションで説明がつく。
【0120】
対照の植物から得た種子のイソフラボン成分の特性を図10に種子番号1〜5で示す。この対照の植物は形質転換実験で得られたものであるが、CRC組換え発現コンストラクトについてはPCR陰性であった。この典型的な対照特性では、ゲニステインが最も豊富なイソフラボンである。ダイゼインはおおむね次に濃度の高い成分で、グリシテインが最低であるが、種子によってはダイゼインとグリシテインの濃度が近くなる場合もある。また、この例では、個々のイソフラボンの濃度ならびにイソフラボン総濃度の合計には、同じ植物から得たものであっても種子ごとに相当な量のばらつきがあることがわかる。4つの独立した形質転換イベントを示す植物から得た種子でイソフラボン成分の特性の明らかな変化が見て取れた(図10)。半接合性一次形質転換体から得たR1種子はトランスジーンで分離されるものと思われた。1−1、1−2および1−35のイベントの植物から分析した種子の中には、特性が変化した種子もあれば上述した対照の特性を持つ種子もある。1−25のイベントで得た種子ではいずれも特性が変化していたことから、5つの種子がすべてトランスジーンを持っていることが分かる。これは、分離遺伝子座が複数あることによるものか、あるいはそれぞれが単一の座を含む5つの種子が1つずつ偶然に選択されたことによる可能性がある。
【0121】
これらのイソフラボン成分が変化した種子では、グリシテイン濃度への影響が最も少なかった。しかしながら、種子によっては、特に1−1イベントの種子では、グリシテイン濃度が同じ形質転換体の野生型の分離個体種子の場合よりも約2倍高くなった(図10、種子番号6、10、13)。グリシテイン合成経路は定義されていないが、ゲニステインよりもダイゼインの方がグリシテインの構造に近いため、ダイゼイン分岐経路の一部ではないかと思われる。グリシテイン合成に関与している可能性のあるCYP71D9 P450でコードされる酵素が最近になって特徴付けられた(ラチュンデ−ダダ(Latunde−Dada)ら(2001)、J.Biol.Chem.276:1688〜1695)。ダイゼインとグリシテインが密接に関連しているとすれば、CRCトランスジーンにイソフラボン合成のダイゼイン/グリシテイン分岐経路を活性化する作用がある。ダイゼイン濃度の高いCRC形質転換体から得られた種子個体のなかには、イソフラボンの総濃度が高くなったものがあった。イソフラボン特性が変化した16個の種子(図10に示す)のうち、14個の種子でイソフラボンの総濃度が対照の植物から得られた種子よりも高くなった。このため、種子個体におけるイソフラボンの総濃度には極めて幅があるが、場合によってはCRCが原因でその濃度がさらに高くなり得るという結論を導きだせる。この作用には矛盾があることから、最終的なイソフラボンの総濃度を決めることになる何らかの要因が他にもまだあるに違いないと考えられる。
【0122】
これらの4つのイベントにおいて種子のイソフラボン特性が変化していることは全ダイゼインの濃度が著しく高くなることで見分けることができ、対照および野生型の分離種子(segregating seed)(種子番号10および17)のダイゼイン濃度と比較すると濃度が最も高くなるときで約4倍まで上昇する。ダイゼイン濃度が高い同じ種子個体でもゲニステイン濃度は著しく低下し、場合によってはほとんど検出できないレベルにまで低くなった(種子番号6、11、13など)。これらの変化によって、対照および野生型の分離種子でダイゼインは全体の20%から35%であるのが普通なのに対し、表現型が変化した種子で全イソフラボンの60%から80%がダイゼイン成分によるものとなる(図11)。表現型が変化した種子では、ゲニステイン成分はほぼ0%という低い値から14%までの範囲であるが、対照および野生型の分離種子ではこの範囲が全イソフラボンの43%から60%である(図12)。ゲニステイン濃度の低下は形質転換イベントによってまちまちであり、イベント1−2がゲニステインの低下率が最も高く、ほぼゼロまで達した。イベント1−25では、ゲニステインは全イソフラボンの6%から14%までしか低下しなかったが、これでもまだ対照の濃度よりはかなり低い。
【0123】
図2は、1−1、1−2、1−25、1−35の各形質転換イベントの植物から得られた全ダイゼイン対全ゲニステイン比が高められた種子個体ならびに対照の種子の全ダイゼイン対全ゲニステイン比を示している。対照の種子については、PCR増幅の際にCRC組換え発現コンストラクトが陰性である形質転換実験で得られた植物、あるいはイソフラボノイド特性を変化させない組換えDNA発現コンストラクトで形質転換された植物のうちのいずれかから得る。1−2のイベントで得た2つの種子での比は高すぎて(784.0および801.0)同じチャートの中にプロットすることができないため、ここでは図示していない。対照の種子での全ダイゼイン対全ゲニステイン比は0.3から1.6の範囲であったが、新規な高い全ダイゼイン表現型を持つ4つの形質転換イベントの種子での比は4.7から801.0の範囲であった。全ゲニステインに対する全ダイゼインの正確な比は、単一の形質転換イベントの中ですら種子個体によってまちまちであった。しかしながら、ダイズ種子においてCRC組換え発現コンストラクトを発現させると全ダイゼイン対全ゲニステイン比が2未満から4.5を超える値まで変化することは明らかである。
【0124】
4つの形質転換イベントで得られた全ダイゼイン対全ゲニステイン比が高められた種子の大半では、全イソフラボンの濃度も上昇した。図3は、図2に示す全ダイゼイン対全ゲニステイン比の場合と同じ種子についての全イソフラボン濃度を示すグラフである。分析の対象となった、全ダイゼイン対全ゲニステイン比が高められた24個の種子のうち、18個で全イソフラボン濃度が対照の全イソフラボンの最高値よりも高くなった。対照の種子では全イソフラボン濃度が種子重量1gあたり199から1833μgの範囲であった。全ダイゼイン対全ゲニステイン比が高められた18個の種子では全イソフラボン濃度が2003から4737の間であったのに対し、全ダイゼイン対全ゲニステイン比が高められた残りの6個の種子の全イソフラボン濃度は348から1808の間であった。このように、ダイズ種子でCRC組換え発現コンストラクトが発現すると、全ダイゼイン対全ゲニステイン比が高い種子の大多数で全イソフラボンの濃度が高くなる。
【0125】
実施例4
CRC組換え発現コンストラクトを含む形質転換体のR2種子中のイソフラボンの分析
上述した1−1、1−2、1−25、1−35のイベントで得られたR1種子をデラウェア州ニューアークのスティーネ(Stine)敷地にある圃場に蒔き、1−1のイベントで得られたR1種子をポットに蒔いて栽培室で栽培した。種子を収穫し(R2種子)、イソフラボン濃度を分析した。単一の種子抽出物を調製し、実施例3で説明した手順を以下のように変更して分析した。まず、内部標準を加えなかった。試料を80%メタノール中で27℃にて1時間かけて抽出した。遠心分離後、上清500μLを新しい2mL容のチューブに移した。チューブに残った破砕後の種子に80%メタノールを別途500μL加え、この混合物をSpex 2000 Geno−グラインダで1620ストローク/分にて30秒間再懸濁させ、遠心処理を繰り返した。別に500μLの上清を新しいチューブ内の500μLと混合し、試料をボルテックスし、再度遠心処理し、300μLを脱イオン水300μLに加えてボルテックスした。カラムの温度を25℃とし、検出を262nmで行ったこと以外は実施例3の条件下で、試料をHPLCでアッセイした。実施例3で説明したようにしてデータの計算を行った。
【0126】
全ダイゼイン対全ゲニステイン比の高い種子個体には種子の中線に沿って茶色の縞があったことにも注意した。これらの種子には、対照の表現型を持つ種子が全体的に明るい黄褐色であったのに対して、子葉軸に平行にへそとは反対側の中線のまわりに暗褐色の縞があった。茶色の縞のある種子の中には、対照の種子よりも小さいものがあり、わずかに皺がよっているものもあった。種子を切ったところ、茶色の着色は外側の皮にしかなく、子葉にまでは達していないことが分かった。
【0127】
目に見える表現型とイソフラボン特性との間に考えられる相関についてさらに調査検討するために、1−1、1−2、1−25のイベントで得られた黄褐色または茶色の縞のあるR1種子を用いて栽培チャンバで植物を栽培し、目に留まったR2種子を収穫した。黄褐色の種子から栽培した植物ではいずれも黄褐色の種子しか得られなかった。茶色の縞のある種子から栽培した1−25の植物には茶色の縞のある種子が17個でき、この系統には複数の遺伝子座があるという点と整合していた。茶色の縞のある種子から栽培した1−1および1−2の植物ではいずれも茶色の縞のある分離種子と黄褐色の分離種子とが得られた。1−2の系統では分離が茶色の縞対黄褐色で3:1であったことから、優性の形質が明らかになった。1−1の系統では分離比が2:1であったことから、この形質の割合が低かったか劣性種子致死表現型との間に何らかの関連性があるのではないかと考えられた。1−1および1−2のイベントで得られた茶色の縞の種子個体と黄褐色の種子個体ならびに、1−25のイベントで得られた茶色の縞の種子個体でイソフラボン濃度を分析した。いずれの場合も、茶色の縞のある種子ではダイゼインが高くゲニステインは低かったのに対し、黄褐色の種子ではゲニステインの対照特性が高かった(それぞれ図13および図14)。このように、茶色の縞がCRC形質転換体から得られた種子におけるイソフラボン表現型の変化を伴って同時分離されている。この目に見える表現型は、CRCホモ接合体ならびに野生型の分離個体を同定する上での手段となる。
【0128】
このように、分析を行う前に全ダイゼイン対全ゲニステイン形質が高い種子を目視で特定することができた。これらの植物には茶色の縞がない種子しかできないため、CRC形質転換イベント系統から得られた野生型の分離個体である植物を同定し、これらの植物から圃場栽培のR2種子の対照を得た。
【0129】
茶色の縞のある種子ができない植物(野生型の分離個体)または茶色の縞で分離される種子ができる植物のいずれかである圃場栽培植物から得られる単一のR2種子の全ダイゼイン対全ゲニステイン比を図4に示す。CRC組換えDNAコンストラクトを発現しているトランスジェニック植物は表現型で分離されるが、茶色の縞のある種子のデータのみを示してある。野生型の分離個体における全ダイゼイン対全ゲニステイン比は0.6から0.7であったのに対し、種子の中線に沿って茶色の縞のある種子の全ダイゼイン対全ゲニステイン比は2.9から128.0の範囲であった。分析対象とした、中線に沿って茶色の縞のある18個の種子のうち16個で全ダイゼイン対全ゲニステイン比が20以上になったのに対し、他の2つの種子では比が2.9および4.5であった。R2の圃場栽培種子におけるイソフラボン成分濃度から分かるように、全ダイゼイン対全ゲニステインの高い比が、1−1、1−2、1−25のイベントの第二世代の植物に遺伝しているのは明らかであった。
【0130】
栽培室で栽培した植物の対照の種子は、中線に沿って茶色の縞のない種子であり、種子の中線に沿って茶色の縞のある種子と同じ植物から収穫されたものである。栽培室の植物から得られたR2種子の全ダイゼイン対全ゲニステイン比を求めた。これを図5に示す。栽培室で育った1−1のイベントの植物から得られたR2種子では、全ダイゼイン対全ゲニステイン比が対照の種子での比に比べてかなり高かった。対照の種子では全ダイゼイン対全ゲニステイン比が0.5から0.6の間であったのに対し、中線の下に向かって茶色の縞がある種子では全ダイゼイン対全ゲニステイン比が13.6から64.4の間であった。
【0131】
圃場栽培植物から得られたR2種子の全イソフラボン濃度を測定した。これを図6にまとめておく。中線に沿って茶色の縞のある種子の中には全イソフラボン濃度が茶色の縞のない種子の約2倍になったものもあるが、この茶色の縞のある種子の中には全イソフラボン濃度が茶色の縞のない野生型の分離個体種子よりも低いものもあった。1−1の形質転換イベントに由来する植物から得られた種子では、中線に沿って茶色の縞のあるすべての種子で全イソフラボン濃度が野生型の分離個体種子よりも高かった。1−25の形質転換イベントに由来する植物から得られた種子では、中線に沿って茶色の縞のある種子の全イソフラボン濃度が、分析対象となった1つを除くすべての種子で野生型の分離個体よりも高かった。1−2の形質転換イベントに由来する植物から得られた種子では、野生型の分離個体種子のうちのひとつの全イソフラボン濃度が通常の対照範囲よりも高かった。この種子の全イソフラボン濃度は、1−2の形質転換イベントに由来する中線に沿って茶色の縞のあるどの種子の全イソフラボン濃度よりも高かった。しかしながら、1−2の形質転換イベントに由来し、中線に沿って茶色の縞のある1つを除くすべての種子で、全イソフラボン濃度が(1−1、1−25および1−2のイベントについて)残りの野生型の分離個体種子よりも高かった。
【0132】
栽培室で栽培した1−1の形質転換イベントの植物から得られたR2種子の全イソフラボン濃度を図7に示す。中線に沿って茶色の縞のある種子は、対照の種子よりも全イソフラボン(isoflavonw)濃度が高かった。
【0133】
図15に示すように、3つのイベントからの圃場栽培した茶色の縞のあるR2種子はいずれもダイゼイン濃度が高く、おおむねゲニステインが2%程度の濃度までかなり低減した。R1種子でのゲニステインの低下率が最も少なかった1−25のイベントですら、圃場栽培種子よりもゲニステインの低下率が大きかった(図16)。このように、世代や環境によってゲニステインが低減される度合いのばらつきがみられた。1−1のイベントから得られたものと1−25のイベントから得られたものの2つの種子個体が、約15%〜17%のゲニステインを持つ点で注目すべきである。このことから、同じ植物から得られる種子個体ですらゲニステイン濃度に影響するばらつきがあることが分かる。しかしながら、CRCトランスジーンを持つR2種子では全体としてダイゼイン濃度の上昇とゲニステイン濃度の低下が見られ続けた。また、種子によっては全イソフラボン濃度が上昇した種子が、ここでも一貫性はなかった(図17)。
【0134】
要するに、第二世代の種子の全イソフラボン濃度は、中線に沿って茶色の縞のある種子のほとんどの例で対照の野生型分離個体種子よりも高くなった(全ダイゼイン対全ゲニステイン比が高くなり、CRC組換え発現コンストラクトが存在することで分かる)。
【0135】
実施例5
CRC組換え発現コンストラクトを含む形質転換体のR3種子中のイソフラボンの分析
1−1、1−2、1−25の形質転換イベントに由来する栽培室栽培の植物から収穫したR2種子を使って栽培室で植物を栽培し、種子を収穫(R3)してイソフラボン含有量を分析した。以下のようにして抽出物を調製し、バルク試料で分析した。それぞれの植物から採取した8個の種子を混合し、市販されていない粉砕装置で粉砕した。試料200mgを秤量し、2mL容のバイアルに移した。この試料を実施例4で説明したようにして調製してアッセイした。この実験での対照は茶色の縞のない種子しかできない野生型の分離個体から採取したR3種子とした。各形質転換イベントごとに、対照の植物1つとCRC組換え発現コンストラクトを含む植物3つの各々から1つずつ試料を分析した。結果を図8に示す。野生型の分離個体のバルク種子試料における全ダイゼイン対全ゲニステイン比は0.7から0.8の範囲であった。CRC組換え発現コンストラクトを有する植物から採取した試料の全ダイゼイン対全ゲニステイン比は5.3から71.8の範囲であった。R3種子のイソフラボン成分濃度から分かるように、全ダイゼイン対全ゲニステインの高い比が、1−1、1−2、1−25のイベントの第三世代の植物に遺伝しているのは明らかであった。
【0136】
バルクR3試料の全イソフラボン濃度を図9に示す。R3種子では、CRC組換え発現コンストラクトを有する植物から得られたすべてのバルク種子試料で全イソフラボン濃度が対照の植物種子試料のいずれよりも高くなった。
【0137】
実施例6
CRC組換え発現コンストラクトを含む形質転換体のR4種子におけるフェニルプロパノイド経路の遺伝子の発現の分析
ノーザンブロットおよびイムノブロット分析を行い、CRC組換え発現コンストラクトの発現に影響されるフェニルプロパノイド経路の遺伝子を求めた。フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)、ケイ皮酸4−ヒドロキシラーゼ(C4H)、カルコンイソメラーゼ(CHI)、カルコンレダクターゼ(CHR)、イソフラボンシンターゼ(IFS)、フラバノン3−ヒドロキシラーゼ(F3H)、ジヒドロフラボノールレダクターゼ(DFR)、フラボノールシンターゼ(FS)、イソフラボンレダクターゼ(IFR)から、mRNAを検出するためのプローブを作製した。CRC組換え発現コンストラクトを含むR3植物の種子または対照からRNAを調製し、メンブレンにトランスファーし、上述したプローブとハイブリダイズさせた。これらのノーザンブロット分析によって、PAL、C4H、CHI、CHR、F3H、DFR、FSのそれぞれの濃度が、CRC組換え発現コンストラクトを発現しているトランスジェニック植物の種子で対照よりも高くなることが分かった。抗CHS、抗CHRまたは抗IFS抗血清を用いて、同じ植物の種子に由来するタンパク質試料のイムノブロット分析を行った。CHR遺伝子およびIFS遺伝子のタンパク質発現特性をそのRNA発現特性と相関させた。CRCトランスジェニック植物の種子でCHSタンパク質が増加したことから、CHS遺伝子の発現量が高くなったのではないかと思われた。
【0138】
ノーザンブロット分析
1−1のイベントのR3世代の植物を栽培チャンバで栽培した。茶色の縞のある種子しかできないCRC組換え発現コンストラクトとホモ接合性の植物と、黄褐色の種子しかできない野生型の分離個体とを栽培した。開花約10日後と開花20日後の2つの発達段階で、それぞれ重量が約150mgおよび250mgの未熟な種子を収穫した。これらの物質から得られる全RNAおよびタンパク質を別々に抽出した。RNA抽出では、Trizol法(メリーランド州ロックビルのギブコBRL、ライフテクノロジーズ)に手を加えたものを適用した。各試料について約5個の種子を液体窒素中でまとめて粉砕し、粉末500mgをTrizol試薬7.5mLで5分間かけて抽出した。クロロホルム3mLを加え、混合し、水相4mlを回収した。イソアミルアルコール4mLを加えてRNAを沈殿させた。遠心処理および液相の除去後、RNA沈殿物を75%エタノールで洗浄し、20分間風乾させた。RNAを水400μL中に再懸濁させ、各試料から、30μgのRNAに相当する量をプレキャストRilant RNA Gel(メーン州ロックランドのFMC)の各レーンにローディングした。RNA分離とノーザンブロッティングの標準的なプロトコール(Sambrook)に従ってRNA成分を電気泳動で分離し、メンブレンにトランスファーした。
【0139】
デュポンESTの独自データベースで所望の遺伝子をコードすると特定したクローンからプローブを作製した。選択した各々のクローン(srr1c.pk001.k4以外)のcDNAインサート全体の配列を得て、この挿入物が正しい遺伝子を表していることを確認した。プローブの作製に利用したクローンを、コードされるポリペプチドならびに添付の配列表で使用する対応の識別子(配列表の配列番号)と一緒に表2に示す。
【0140】
【表3】
Figure 2004533831
【0141】
プローブについては、ギブコ−BRL、ライフテクノロジーズから入手したランダムプライマーDNAラベリングシステムを利用して、製造業者のプロトコールに従ってランダムプライマー法で作製した。IFSコード領域を含むPCR産物を鋳型にしたIFS以外のすべてのプローブでプラスミド全体を鋳型として利用した。このPCR増幅産物は、WSJ001の調製について上記の実施例1で説明したようにして得たものである。
【0142】
ランダムプライマー反応混合物全体を、精製せずにハイブリダイゼーションに利用した。ハイブリダイゼーション条件はPerfectHyb Buffer(ミズーリ州セントルイスのシグマ−アルドリッチ)のプロトコールに従った。このハイブリダイゼーションについては、68℃にて一晩で実施した。次に、2×SSC緩衝液(ギブコBRL、ライフテクノロジーズ)で2回、0.1×SSCで1回、68℃にてそれぞれ15分ずつメンブレンを洗浄した。
【0143】
イムノブロット分析
CHSまたはCHRコード領域を発現しているE. coliから精製したタンパク質に対するCHS抗体およびCHR抗体を、常法でCovance(カリフォルニア州リッチモンド)によって調製した。また、WO00/44,909号に記載されているように、IFSタンパク質の合成ペプチドに対するIFS抗体を調製した。イムノブロット分析には、抗CHS、抗CHRまたは抗IFS抗血清を用いる標準的なプロトコールを利用した。スーパーシグナルWest Pico化学発光基質(イリノイ州ロックフォードのピアース社)を用いてCHSおよびCHRの結合抗体を可視化し、一方、IFSにはFemto化学発光基質(イリノイ州ロックフォードのピアース社)を用いた。
【0144】
150mgまたは250mgのいずれかで収穫した、野生型の分離個体である対照の植物から得られた種子またはCRC組換え発現コンストラクト植物から得られた種子でのイソフラボノイド経路における異なる遺伝子のRNAおよび/またはタンパク質の相対的な検出結果を表3に示す。プラス記号(+)1つはRNAまたはタンパク質が明確に検出されたことを示す。+/−はRNAまたはタンパク質が辛うじて検出されたことを示す。2つ以上のプラス記号は特定のRNA濃度またはタンパク質濃度の検出量がほぼ増えたことを示す。
【0145】
【表4】
Figure 2004533831
【0146】
これらの結果から、ダイズ種子でCRC組換え発現コンストラクトを発現させると、上記にて列挙したようなフェニルプロパノイド経路の特定のダイズ遺伝子の発現量が増えたことが分かる。上流のフェニルプロパノイド経路では、PAL遺伝子およびCHS遺伝子の発現量に最も劇的な変化が観察された。C4H、CHI、CHRの発現量も有意に増加した。
【0147】
IFSの発現量は増えなかった。ダイゼインからのグリセオリンの合成に関与する酵素であるIFRは、若い種子では増えず、月日を経た種子では若干増えた。
【0148】
フェニルプロパノイド経路のフラボノール/アントシアニン分岐経路に関与する酵素をコードするいくつかの遺伝子の発現量がCRCの発現によって増えた。これには、F3H、DFR、FSが含まれる。
【0149】
CRC組換え発現コンストラクトを発現しているダイズ種子には中線に沿って茶色の縞があるため、これを簡単に特定できることが分かった。R1種子、R2種子、R3種子の分析結果から、対照の種子とCRC組換え発現コンストラクトを含む種子のどちらでも全イソフラボンの濃度および全ダイゼイン対全ゲニステイン比が変化することが分かった。
【0150】
全体的にみて、CRC組換え発現コンストラクトを含む種子の全ダイゼイン対全ゲニステイン比は2.9から801.0の範囲であり、対照の種子から得られた試料ではこれが0.3から1.6の範囲であった。これらの範囲に重複する部分はない。
【0151】
検討対象とした種子のうち、CRC組換え発現コンストラクトを発現していない植物よりもCRC組換え発現コンストラクトを発現している植物から得られたR1種子の方が全イソフラボン濃度が高かった。2つの例外を除き、圃場栽培植物から得られたR2種子の全イソフラボン濃度は、組換え発現コンストラクトを発現していない植物から得られた種子と比較してCRC組換え発現コンストラクトを発現している植物から得られた種子の方が高かった。この場合、上記の結果に当てはまらなかった種子が2つあった。すなわち、CRC組換え発現コンストラクトを含む1−25の形質転換イベントから得られた1つの種子で全イソフラボン濃度が野生型の分離個体から得られた種子よりも低く、1−2の形質転換イベントから得られた野生型の分離個体の1つの種子で全イソフラボン濃度が並外れて高かった。中線に沿って茶色の縞を持つ検討対象としたR3種子ではいずれも全イソフラボン濃度が野生型の分離個体から得られた種子よりも高かった。
【0152】
実施例7
CRC組換え発現コンストラクトを含む形質転換体に蓄積されるフェニルプロパノイド経路の中間体の同定
質量分析法を利用して、CRC組換えDNA断片を発現しているダイズ種子と対照の種子とのHPLC特性の違いを求めた。質量分析法を利用して、野生型の種子ではほとんど検出できないがCRC組換え発現コンストラクトを発現している種子には存在する3種類の化合物を特定した。この後から特定した化合物はいずれもm/zが505であるが、保持時間が15.46分、21.29分、21.75分と異なる(野生型の種子についての図18とCRC組換え発現コンストラクトを発現している種子についての図19とを比較のこと)。MS2分析によって、各化合物についてm/zが257の主断片を1つ得た。この質量から、質量248の断片が失われたことが分かるが、これは複合化合物からのマロニル−グルコースのフラグメンテーションの結果と一致している。
【0153】
ダイゼイン合成の中間体であるリキリチゲニンおよびイソリキリチゲニンはいずれも質量が256であり、未知のピークそれぞれについて検出されたm/zの257に一致する。未知のものについては、まずインソースフラグメンテーション(ソース衝突誘導解離)を利用して248m/zの断片を除去して257m/zの種を残し、続いてMS2によってさらに分析した。最初のフラグメンテーションについては、マロニル−グルコース部分をダイゼインおよびゲニステインのマロニル−グルコース誘導体から除去するのに理想的であると判断された条件下で行った。MS2では、3つの未知のものそれぞれについて、239、147および137の同じ断片が生成された。リキリチゲニンおよびイソリキリチゲニン標準を分析したところ、各化合物について主なピークがm/z257にあるMS1スペクトルと、239、147および137のMS2断片とが認められた。これらの結果から、3つの未知のものが、リキリチゲニンおよび/またはイソリキリチゲニンのマロニル−グルコース誘導体ではないかと考えられる。
【0154】
リキリチゲニンおよびイソリキリチゲニン標準をさらにキャラクタリゼーションしたところ、これらの2つの化合物を区別するのにUVスペクトルおよび保持時間を利用できることが明らかになった。リキリチゲニンのUVスペクトルは保持時間15.5で未知のものと一致し、未知のものの21.3および21.8でのスペクトルがイソリキリチゲニンのUVスペクトルに近い(データ図示せず)。未知のものの保持時間を、リキリチゲニンおよびイソリキリチゲニンそれぞれの保持時間18.3および27.1と比較すると、フラボノイドアグリコンとその対応するマロニル−グルコース複合体との保持時間の差に基づく予想と一致する。この結果ならびに上記のデータから、15.5の未知のものはリキリチゲニンのマロニル−グルコース複合体であり、21.3および21.8の未知のものはイソリキリチゲニンのマロニル−グルコース複合体であるという結論に至る。2つの異なる位置でイソキリチゲニンの複合が起こるのは、おそらく後ろの2つのピークによるものであろう。これらの中間体がCRC種子に蓄積されることから、イソフラボンシンターゼ触媒反応が制限されているのではないか(図1)と思われるが、複合に関与している酵素をコードする遺伝子の活性化が高まることで中間体の捕促が増えることも可能性のひとつである。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1A】ダイズのイソフラボノイド生合成経路ならびに他のいくつかのフェニルプロパノイド類との関係を示す図であり、フェニルアラニンからダイゼイン、ゲニステイン、ジヒドロフラボノールまでの経路を示している。
【図1B】ダイズのイソフラボノイド生合成経路ならびに他のいくつかのフェニルプロパノイド類との関係を示す図であり、ダイゼイン、ゲニステイン、ジヒドロフラボノールから、グリセオリン、キエビトン(kievitone)、アントシアニン、フラボノールまでの経路を示している。
【図2】新規な全ダイゼイン対全ゲニステイン比を示す4通りの独立した形質転換イベントから得られる植物に由来するR1種子個体ならびに対照の種子で観察された全ダイゼイン対全ゲニステイン比を示している。バーの上の表示は各群の種子の起源(すなわちCRC形質転換イベント番号または対照)である。対照の種子については、ボンバードメントを施して該当する核酸断片の含有が認められなかった植物または形質転換植物のイソフラボノイド特性を変化させない組換えDNA発現コンストラクトで形質転換した植物から入手する。種子1、2、5、6、7、8、9、10、11、14、15、16、17、21、22、23、24、25、26、27、28、29、31、35、36、37、39、40、43は、PCR増幅の際にCRC組換え発現コンストラクト陰性であった、形質転換実験から得られた植物に由来するものである。仮特許出願の図2の種子番号1〜7は本図の番号3、20、8、41、13、30および38に相当する。
【図3】新規な全ダイゼイン対全ゲニステイン比を示す4通りの独立した形質転換イベントでの植物で得られるR1種子個体ならびに対照の種子のイソフラボンの全濃度を示している。本図の種子は図2の種子と同一である。バーの上の表示は各群の種子の起源(すなわち対照またはイベント番号)である。
【図4】CRC組換え発現コンストラクト株および野生型分離個体(図中、アスタリスク[]で示す)由来の圃場栽培トランスジェニック植物から得られる単一のR2種子で観察された全ダイゼイン対全ゲニステイン比を示している。全ダイゼイン対全ゲニステイン比が新規な種子も中線に沿って茶色の縞を示していた。バーの上の表示は各群の種子の起源(CRC形質転換イベント番号)である。
【図5】1−1形質転換イベントに由来し、栽培室にて栽培された植物から得られる単一のR2種子で観察された全ダイゼイン対全ゲニステイン比を示している。バーの上にポンド記号(#)を付してあるのは中線に沿った茶色の縞がない種子であり、マークのないバーは中線に沿って茶色の縞がある種子を示している。
【図6】CRC組換え発現コンストラクト株および野生型分離個体(図中、アスタリスク[]で示す)由来の圃場栽培トランスジェニック植物から得られる単一のR2種子で観察されたイソフラボンの全濃度を示している。バーの上の表示は各群の種子の起源(CRC形質転換イベント番号)である。
【図7】栽培室で栽培され、1−1形質転換イベントに由来する植物から得られる単一のR2種子中のイソフラボンの全濃度を示している。バーの上にポンド記号(#)を付してあるのは中線に沿った茶色の縞がない種子であり、その他のマークがないバーは茶色の縞がある種子を示している。種子個体は図5の種子と同一である。
【図8】栽培室で栽培された植物から収穫したバルク分析したR3種子の全ダイゼイン対全ゲニステイン比を示している。各バルク種子試料は異なる植物から得たものである。各種子試料のCRC組換え発現コンストラクト株(すなわちCRC形質転換イベント番号)をバーの上に表示してある。CRC組換え発現コンストラクト株由来の野生型分離個体から得られる種子試料についてはバーの上にアスタリスク[]を付して示してある。
【図9】栽培室で栽培された植物から収穫したバルク分析したR3種子のイソフラボンの全濃度を示している。各バルク種子試料は異なる植物から得たものである。各種子試料のCRC組換え発現コンストラクト株(すなわちCRC形質転換イベント番号)をバーの上に表示してある。CRC組換え発現コンストラクト株由来の野生型分離個体から得られる種子試料については図中アスタリスク[]を付して示してある。これらの種子は図8で分析したものと同一である。
【図10】CRC組換えDNA発現コンストラクトで形質転換した植物から得られるR1種子個体から調製される抽出物のHPLC分析で得られた個々のイソフラボン(ダイゼイン、グリシテイン、ゲニステイン)総量ならびにイソフラボン総量を示している。それぞれの植物について3から5個の種子を分析した。対照種子については、CRC組換えDNA発現コンストラクトが陰性の形質転換体から得る。CRC組換えDNA発現コンストラクトが陽性の植物から得られる種子は、各形質転換イベント1−1、1−2、1−25、1−35からのものである。バーの上の表示は各群の種子の起源(形質転換イベントの後ろに植物の番号)である。
【図11】CRC組換えDNA発現コンストラクトで形質転換し、図10で分析したものと同じR1種子で得られたイソフラボン総量に対する全ダイゼインの比を示している。
【図12】CRC組換えDNA発現コンストラクトで形質転換し、図10で分析したものと同じR1種子で得られたイソフラボン総量に対する全ゲニステインの比を示している。
【図13】栽培室で栽培され、3通りの形質転換イベント(1−1、1−2、1−25)に由来する植物から得られるR2種子個体でのイソフラボン総量に対する全ダイゼインの比を示している。各植物ごとに6個の種子で得られた比を示してある。種子の収穫元となった個々の植物を数字と文字との組み合わせで特定し、バーの上に表示してある。最初の2つの数字は形質転換イベント番号を示し、3つ目の数字はR0植物を示し、文字はR2種子が得られたR1植物を示している。中線に沿った茶色の縞がない種子についてはバーの上にポンド記号(#)を付して示してある。
【図14】栽培室で栽培され、3通りの形質転換イベント(1−1、1−2、1−25)に由来する植物から得られるR2種子個体での全ゲニステインとすべてのイソフラボンの合計との比を示している。図示の比は図13に示した種子と同じ種子についてのものである。
【図15】圃場で栽培され、3通りの形質転換イベント(1−1、1−2、1−25)に由来する植物から得られるR2種子個体での全ダイゼインとイソフラボン総量との比を示している。バーの上にアスタリスク()を付した2つの種子の各組は、黄褐色の種子しかできない分離個体から得られた黄褐色の種子であるため、隣接する植物の形質転換イベントの野生型の分離個体として特定した。3つの形質転換イベントからの2つのCRC組換えDNA発現コンストラクト含有植物各々から得られた、いずれも茶色の縞がある3つの種子をアッセイした。種子を収穫した個々のCRC組換えDNA発現コンストラクト含有植物を3つの数字で特定する。最初の2つの数字は形質転換イベント番号を示し、3つ目の数字はR2種子を得たR0植物を示す。
【図16】圃場で栽培され、3通りの形質転換イベント(1−1、1−2、1−25)に由来する植物から得られたR2種子個体について、全ゲニステインと全イソフラボンの合計との比を示している。図示の比は図15に示す種子と同じ種子についてのものである。
【図17】圃場で栽培され、3通りの形質転換イベント(1−1、1−2、1−25)に由来する植物から得られたR2種子個体について、イソフラボンの総量を示している。これらの種子は図11で分析した種子と同じである。
【図18】CRC組換えDNA発現コンストラクトを含まない対照の野生型の分離個体種子からの抽出物で得られたm/z504.6から505.6のLC−MS2質量クロマトグラムを示している。
【図19】1−1の形質転換イベントに由来する茶色の縞のあるR3種子からの抽出物で得られたm/z504.6から505.6のLC−MS2質量クロマトグラムを示している。14.38、15.46、21.29および21.75分間の時点に別のピークが認められる。

Claims (52)

  1. (a)(i)C1 myb転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含む第1の組換え発現コンストラクトおよびR mycタイプの転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含む組換え発現コンストラクト、(ii)C1 myb転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターとR mycタイプの転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターとを含む第2の組換え発現コンストラクト、あるいは(iii)C1 myb転写因子の全体または一部とR mycタイプの全体または一部とをコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含み、C1 myb転写因子およびR mycタイプの転写因子の両方として機能できる組換え発現コンストラクトを用いて植物を形質転換し、そして
    (b)形質転換植物を単数または複数の組換え発現コンストラクトの発現に適した条件下で成長させることを含み、
    単数または複数のコンストラクトの発現によって対照の全ダイゼイン対全ゲニステイン比よりも全ダイゼイン対全ゲニステイン比を高くすることで形質転換植物のイソフラボノイド特性を変化させる、イソフラボノイド産生植物のイソフラボノイド特性を変化させる方法。
  2. C1 DNA結合ドメインとC1活性化ドメインとの間に座位するメイズRコード領域を含むキメラ転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含む組換え発現コンストラクトを用いて植物を形質転換する、請求項1に記載の方法。
  3. プロモーターが種子特異的プロモーターである、請求項1または2に記載の方法。
  4. イソフラボノイド産生植物が、ダイズと、クローバーと、リョクトウと、レンズマメと、ヘアリーベッチと、アルファルファと、ルピナスと、シュガービートと、サヤエンドウと、からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
  5. 前記植物の全ダイゼイン対全ゲニステイン比が対照の全ダイゼイン対全ゲニステイン比よりも高い、請求項1または2に記載の方法によって作出されるイソフラボノイド産生植物。
  6. 前記植物が、ダイズと、クローバーと、リョクトウと、レンズマメと、ヘアリーベッチと、アルファルファと、ルピナスと、シュガービートと、サヤエンドウと、からなる群から選択される、請求項5に記載のイソフラボノイド産生植物。
  7. 請求項5に記載の植物の種子または植物の一部。
  8. 請求項6に記載の植物の種子または植物の一部。
  9. 請求項7に記載の種子または植物の一部から得られる、全ゲニステインに対する全ダイゼインの比が高められたイソフラボノイド含有生成物。
  10. 請求項8に記載の種子または植物の一部から得られる、全ゲニステインに対する全ダイゼインの比が高められたイソフラボノイド含有生成物。
  11. イソフラボノイド生成物が、タンパク質単離物と、タンパク質濃縮物と、ミールと、グリッツと、全脂および脱脂フラワーと、組織状タンパク質と、組織状フラワーと、組織状濃縮物と、組織状単離物と、からなる群から選択される、請求項9に記載のイソフラボノイド含有生成物。
  12. イソフラボノイド含有生成物が、タンパク質単離物と、タンパク質濃縮物と、ミールと、グリッツと、全脂および脱脂フラワーと、組織状タンパク質と、組織状フラワーと、組織状濃縮物と、組織状単離物と、からなる群から選択される、請求項10に記載の生成物。
  13. 全ゲニステインに対する全ダイゼインの比が高められた抽出イソフラボノイド含有生成物であって、前記生成物が請求項7に記載の種子または植物の一部から抽出される、抽出イソフラボノイド含有生成物。
  14. 全ゲニステインに対する全ダイゼインの比が高められた抽出イソフラボノイド含有生成物であって、前記生成物が請求項8に記載の種子または植物の一部から抽出される、抽出イソフラボノイド含有生成物。
  15. 請求項9に記載の生成物が配合された食品。
  16. 請求項10に記載の生成物が配合された食品。
  17. 請求項9に記載の生成物が配合された飲料。
  18. 請求項10に記載の生成物が配合された飲料。
  19. 請求項8に記載の種子から得られる、全ゲニステインに対する全ダイゼインの比が高められたイソフラボノイド含有ダイズタンパク生成物であって、種子がダイズ種子である、イソフラボノイド含有ダイズタンパク生成物。
  20. イソフラボノイド生成物が、タンパク質単離物と、タンパク質濃縮物と、ミールと、グリッツと、全脂および脱脂フラワーと、組織状タンパク質と、組織状フラワーと、組織状濃縮物と、組織状単離物と、豆乳と、豆腐と、発酵大豆製品と、全粒大豆製品と、からなる群から選択される、請求項19に記載の生成物。
  21. 全ゲニステインに対する全ダイゼインの比が高められた抽出イソフラボノイド含有ダイズタンパク生成物であって、前記生成物が請求項8に記載の種子から抽出され、この種子がダイズ種子である、抽出イソフラボノイド含有ダイズタンパク生成物。
  22. 請求項19に記載の生成物が配合された食品。
  23. 請求項19に記載の生成物が配合された飲料。
  24. (a)請求項7に記載の種子を破って外皮から種実を取り除き、そして
    (b)ステップ(a)で得られた種実を、所望のフレーク厚が得られるようにフレーク状にすることを含む、イソフラボノイド含有生成物の製造方法。
  25. (a)請求項8に記載の種子を破って外皮から種実を取り除き、そして
    (b)ステップ(a)で得られた種実を、所望のフレーク厚が得られるようにフレーク状にすることを含む、イソフラボノイド含有生成物の製造方法。
  26. 種子がダイズ種子である、請求項25に記載の方法。
  27. (i)C1 myb転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含む第1の組換え発現コンストラクトおよびR mycタイプの転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含む組換え発現コンストラクト、
    (ii)C1 myb転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターとR mycタイプの転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターとを含む第2の組換え発現コンストラクト、あるいは
    (iii)C1 myb転写因子の全体または一部とR mycタイプの全体または一部とをコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含み、C1 myb転写因子およびR mycタイプの転写因子の両方として機能できる組換え発現コンストラクトをゲノム中に含む、イソフラボノイド産生植物であって、
    対照の全ダイゼイン対全ゲニステイン比と比較した場合に前記植物の全ダイゼイン対全ゲニステイン比が高められている、イソフラボノイド産生植物。
  28. 組換え発現コンストラクト(iii)が、C1 DNA結合ドメインとC1活性化ドメインとの間に座位するメイズRコード領域を含むキメラ転写因子をコードする単離された核酸断片に作動的に結合されたプロモーターを含む、請求項27に記載のイソフラボノイド産生植物。
  29. プロモーターが種子特異的プロモーターである、請求項27または28に記載のイソフラボノイド産生植物。
  30. イソフラボノイド産生植物が、ダイズと、クローバーと、リョクトウと、レンズマメと、ヘアリーベッチと、アルファルファと、ルピナスと、シュガービートと、サヤエンドウと、からなる群から選択される、請求項27または28に記載のイソフラボノイド産生植物。
  31. 前記植物の全ダイゼイン対全ゲニステイン比が対照の全ダイゼイン対全ゲニステイン比よりも高い、請求項27または28に記載のイソフラボノイド産生植物。
  32. 前記植物が、ダイズと、クローバーと、リョクトウと、レンズマメと、ヘアリーベッチと、アルファルファと、ルピナスと、シュガービートと、サヤエンドウと、からなる群から選択される、請求項31に記載のイソフラボノイド産生植物。
  33. 請求項31に記載の植物の種子または植物の一部。
  34. 請求項32に記載の植物の種子または植物の一部。
  35. 請求項33に記載の種子または植物の一部から得られる、全ゲニステインに対する全ダイゼインの比が高められたイソフラボノイド含有生成物。
  36. 請求項34に記載の種子または植物の一部から得られる、全ゲニステインに対する全ダイゼインの比が高められたイソフラボノイド含有生成物。
  37. イソフラボノイド生成物が、タンパク質単離物と、タンパク質濃縮物と、ミールと、グリッツと、全脂および脱脂フラワーと、組織状タンパク質と、組織状フラワーと、組織状濃縮物と、組織状単離物と、からなる群から選択される、請求項35に記載の生成物。
  38. イソフラボノイド含有生成物が、タンパク質単離物と、タンパク質濃縮物と、ミールと、グリッツと、全脂および脱脂フラワーと、組織状タンパク質と、組織状フラワーと、組織状濃縮物と、組織状単離物と、からなる群から選択される、請求項36に記載の生成物。
  39. 全ゲニステインに対する全ダイゼインの比が高められた抽出イソフラボノイド含有生成物であって、前記生成物が請求項33に記載の種子または植物の一部から抽出される、抽出イソフラボノイド含有生成物。
  40. 全ゲニステインに対する全ダイゼインの比が高められた抽出イソフラボノイド含有生成物であって、前記生成物が請求項34に記載の種子または植物の一部から抽出される、抽出イソフラボノイド含有生成物。
  41. 請求項35に記載の生成物が配合された食品。
  42. 請求項36に記載の生成物が配合された食品。
  43. 請求項35に記載の生成物が配合された飲料。
  44. 請求項36に記載の生成物が配合された飲料。
  45. 請求項34に記載の種子から得られる、全ゲニステインに対する全ダイゼインの比が高められたイソフラボノイド含有ダイズタンパク生成物であって、種子がダイズ種子である、イソフラボノイド含有ダイズタンパク生成物。
  46. イソフラボノイド生成物が、タンパク質単離物と、タンパク質濃縮物と、ミールと、グリッツと、全脂および脱脂フラワーと、組織状タンパク質と、組織状フラワーと、組織状濃縮物と、組織状単離物と、豆乳と、豆腐と、発酵大豆製品と、全粒大豆製品と、からなる群から選択される、請求項44に記載の生成物。
  47. 全ゲニステインに対する全ダイゼインの比が高められた抽出イソフラボノイド含有ダイズタンパク生成物であって、前記生成物が請求項34に記載の種子から抽出され、この種子がダイズ種子である、抽出イソフラボノイド含有ダイズタンパク生成物。
  48. 請求項40に記載の生成物が配合された食品。
  49. 請求項40に記載の生成物が配合された飲料。
  50. (a)請求項33に記載の種子を破って外皮から種実を取り除き、そして
    (b)ステップ(a)で得られた種実を、所望のフレーク厚が得られるようにフレーク状にすることを含む、イソフラボノイド含有生成物の製造方法。
  51. (a)請求項34に記載の種子を破って外皮から種実を取り除き、そして
    (b)ステップ(a)で得られた種実を、所望のフレーク厚が得られるようにフレーク状にすることを含む、イソフラボノイド含有生成物の製造方法。
  52. 種子がダイズ種子である、請求項50に記載の方法。
JP2003503774A 2001-06-13 2002-06-13 イソフラボノイド産生植物の植物の一部のイソフラボノイド特性を変化させる方法 Pending JP2004533831A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US29798101P 2001-06-13 2001-06-13
PCT/US2002/021107 WO2002101023A2 (en) 2001-06-13 2002-06-13 A method for altering the isoflavonoid profile in the plant parts of an isoflavonoid-producing plant

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004533831A true JP2004533831A (ja) 2004-11-11

Family

ID=23148492

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003503774A Pending JP2004533831A (ja) 2001-06-13 2002-06-13 イソフラボノイド産生植物の植物の一部のイソフラボノイド特性を変化させる方法

Country Status (6)

Country Link
US (2) US20030150012A1 (ja)
EP (1) EP1401260A4 (ja)
JP (1) JP2004533831A (ja)
CA (1) CA2449085A1 (ja)
NZ (1) NZ529443A (ja)
WO (1) WO2002101023A2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021106606A (ja) * 2007-06-13 2021-07-29 大塚製薬株式会社 エクオール含有抽出物及びその製造方法、エクオール抽出方法、並びにエクオールを含む食品

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7189895B2 (en) * 2002-06-13 2007-03-13 E. I. Du Pont De Nemours And Company Methods to increase the isoflavonoid levels in plants and plants producing increased levels of isoflavonoids
WO2005026368A2 (en) * 2003-09-10 2005-03-24 E. I. Du Pont De Nemours And Company Dihydroflavonol-4-reductase
WO2005103258A1 (en) * 2004-04-20 2005-11-03 Grain Biotech Australia Pty Ltd A plant, its use as a nutraceutical and the identification thereof
CN115873870B (zh) * 2022-12-27 2024-03-08 四川农业大学 喜树中的cyp71be环氧化酶的基因、载体、微粒体蛋白以及应用

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07506822A (ja) * 1992-05-19 1995-07-27 ノボゲン リサーチ ピーティーワイ リミッテッド フィト−エストロゲン,類似体またはその代謝産物を含有する健康補助剤
CZ426698A3 (cs) * 1996-09-13 1999-05-12 Abbott Laboratories Způsob zpracování rostlinných proteinů a nutriční výrobky z nich vyrobené
WO1998021946A1 (en) * 1996-11-18 1998-05-28 Internutria, Inc. Composition and treatment for persistent reproductive transition symptoms
US5855892A (en) * 1997-09-19 1999-01-05 Potter; Susan M. Method for decreasing LDL-cholesterol concentration and increasing HDL-cholesterol concentration in the blood to reduce the risk of atherosclerosis and vascular disease
GB9801598D0 (en) * 1998-01-26 1998-03-25 Unilever Plc Methods and compositions for modulating flavonoid content
EP1037590B1 (en) * 1998-07-16 2004-04-14 Aaron Tabor Soy formulations and their use for promoting health
CA2353306A1 (en) * 1999-01-27 2000-08-03 E. I. Du Pont De Nemours And Company Nucleic acid sequences encoding isoflavone synthase

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021106606A (ja) * 2007-06-13 2021-07-29 大塚製薬株式会社 エクオール含有抽出物及びその製造方法、エクオール抽出方法、並びにエクオールを含む食品
JP7009043B2 (ja) 2007-06-13 2022-01-25 大塚製薬株式会社 エクオール含有抽出物及びその製造方法、エクオール抽出方法、並びにエクオールを含む食品
JP7009044B1 (ja) 2007-06-13 2022-01-25 大塚製薬株式会社 エクオール含有抽出物及びその製造方法、エクオール抽出方法、並びにエクオールを含む食品
JP7019279B1 (ja) 2007-06-13 2022-02-15 大塚製薬株式会社 エクオール含有抽出物及びその製造方法、エクオール抽出方法、並びにエクオールを含む食品
JP2022037077A (ja) * 2007-06-13 2022-03-08 大塚製薬株式会社 エクオール含有抽出物及びその製造方法、エクオール抽出方法、並びにエクオールを含む食品
JP2022044055A (ja) * 2007-06-13 2022-03-16 大塚製薬株式会社 エクオール含有抽出物及びその製造方法、エクオール抽出方法、並びにエクオールを含む食品
JP7255036B1 (ja) 2007-06-13 2023-04-10 大塚製薬株式会社 エクオール含有抽出物及びその製造方法、エクオール抽出方法、並びにエクオールを含む食品
JP7271804B1 (ja) 2007-06-13 2023-05-11 大塚製薬株式会社 エクオール含有抽出物及びその製造方法、エクオール抽出方法、並びにエクオールを含む食品
JP2023071874A (ja) * 2007-06-13 2023-05-23 大塚製薬株式会社 エクオール含有抽出物及びその製造方法、エクオール抽出方法、並びにエクオールを含む食品
JP2023071873A (ja) * 2007-06-13 2023-05-23 大塚製薬株式会社 エクオール含有抽出物及びその製造方法、エクオール抽出方法、並びにエクオールを含む食品
JP2023082097A (ja) * 2007-06-13 2023-06-13 大塚製薬株式会社 エクオール含有抽出物及びその製造方法、エクオール抽出方法、並びにエクオールを含む食品
JP2023093697A (ja) * 2007-06-13 2023-07-04 大塚製薬株式会社 エクオール含有抽出物及びその製造方法、エクオール抽出方法、並びにエクオールを含む食品
JP7309312B2 (ja) 2007-06-13 2023-07-18 大塚製薬株式会社 エクオール含有抽出物及びその製造方法、エクオール抽出方法、並びにエクオールを含む食品
JP7354470B2 (ja) 2007-06-13 2023-10-02 大塚製薬株式会社 エクオール含有抽出物及びその製造方法、エクオール抽出方法、並びにエクオールを含む食品

Also Published As

Publication number Publication date
EP1401260A4 (en) 2005-04-06
WO2002101023A2 (en) 2002-12-19
US20030150012A1 (en) 2003-08-07
WO2002101023A3 (en) 2003-10-09
CA2449085A1 (en) 2002-12-19
EP1401260A2 (en) 2004-03-31
WO2002101023A9 (en) 2003-02-06
US20060218672A1 (en) 2006-09-28
NZ529443A (en) 2005-05-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN102124111B (zh) 参与生物合成的新基因
US7960608B2 (en) Modification of flavonoid biosynthesis in plants
Wu et al. Overexpression of the GbF3′ H1 gene enhanced the epigallocatechin, gallocatechin, and catechin contents in transgenic Populus
CA2748974A1 (en) Manipulation of flavonoid biosynthesis in plants
US7034203B1 (en) Methods and composition for modulating flavonols content
AU2008212096A1 (en) Means and methods of producing fruits with high levels of anthocyanins and flavonols
US20060005276A1 (en) Transgenic soybean seeds having reduced activity of lipoxygenases
US20060218672A1 (en) Method for altering the isoflavonoid profile in the plant parts of an isoflavonoid-producing plant
US7189895B2 (en) Methods to increase the isoflavonoid levels in plants and plants producing increased levels of isoflavonoids
US7323621B2 (en) Method of decreasing liquiritigenin-derived isoflavones relative to total isoflavones in plants and plants producing reduced ratio of liquiritigenin-derived isoflavones relative to total isoflavones
AU2002312625A1 (en) A method for altering the isoflavonoid profile in the plant parts of an isoflavonoid-producing plant
US20040006793A1 (en) Novel regulatory genes involved in condensed tannin synthesis in plants
AU2013202737B2 (en) Manipulation of flavonoid biosynthesis in plants (6)
AU2006272455B2 (en) Modification of flavonoid biosynthesis in plants
AU2008201994B2 (en) Manipulation of flavonoid biosynthesis in plants (2)
CN119876237A (zh) Gsk3家族基因在调控番茄果皮柚皮素查尔酮合成和果色形成中的应用
AU2012213953B2 (en) Modification of flavonoid biosynthesis in plants with transparent testa glabra 1
US20050198710A1 (en) Method of improving soybean protein color by reducing levels of flavonol
PT1945768E (pt) Modificação da biossíntese de flavonóides em plantas
AU2012227243A1 (en) Manipulation of flavonoid biosynthesis in plants (3)