JP2004533611A - 高速可変ゲインシステムおよび該システムの制御方法 - Google Patents
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Abstract
マイクロチャネルプレート(MCP)ディテクタシステム30はMCPディテクタとデータ獲得ユニット20を備える。ディテクタは、第1と第2のMCP電子増倍管12,14、獲得ユニットに接続された一つまたはそれ以上のアノード16、および第1と第2のMCP電子増倍管の間に配置されたゲート電極32を有する。システムは、データ記憶ユニット36、および電極・記憶ユニットに接続したゲインコントロールユニット34を備える。パイロットスペクトルは記憶ユニットに記憶される。ユニット34は、記憶ユニットからパイロットスペクトルを読み出すとともに、該スペクトルに応じ遅延電位をm/zまたは時間の関数として電極に印加し、多量のタンパク質イオンが現れると第2のMCP電子増倍管への電子の伝達率を低下させる一方で、測定サイクルの残りの時間高感度を維持し、僅かな量のタンパク質イオン由来の隣りのピークが検出可能になるようにする。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロチャネルプレート(MCP)ディテクタシステム、改良高速ゲインMCPディテクタ、および該ディテクタの作動方法に関する。本発明は特に、高速可変ゲインのマイクロチャネルプレートディテクタシステム、および、改良ダイナミックレンジが得られるよう該システムを作動する方法に関する。
【従来技術】
【0002】
細胞由来の全てのタンパク質を分析することは、各発現タンパク質の量が広いダイナミックレンジにわたって変化するため、今日の技術では不可能である。マススペクトロメトリは、他の技術とともに、必要なダイナミックレンジが不足している。これは、主に、同一の混合物内で多量のタンパク質と非常に僅かな量のタンパク質の両方を検出する検出技術がないからである。注目すべきは、分離したサンプル(LC、ゲルなど)もまた、オーバーラップするタンパク質種からなる混合物であり、複雑な混合物の問題は分離後においても残っている。したがって、理想的なマススペクトロメータは、単一粒子の感度を有しつつ高いダイナミックレンジを有する必要がある。図3aは、各発現タンパク質の量の上述した大きな変化を表す、マススペクトロメータスペクトルの作成例を示す。
【0003】
本文献では、イオン化効率およびイオン源からディテクタまでの構成については説明しない。質量分析検出の設計はトレードオフである。今日、完全なシステムは、極端な2つの場合の一つである。すなわち、単イオン検出用か高ダイナミックレンジ用に検出を調整する場合である。高ディテクタゲインでディジタルの単一粒子パルス計測電子機器を用いて高感度を得ることができる。低ゲインでアナログの検出電子機器を用いて高ダイナミックレンジを得ることができる。問題は、理想として高感度と高ダイナミックレンジの両方が求められることである。
【0004】
図1は、マススペクトロメータ用のマイクロチャネルプレート(MCP)ディテクタシステム10を示す。マイクロチャネルプレート増倍管12,14は、平行に配置された多数の個別電子増倍管チャネルからなり、典型的に多孔質で薄皿形状である。このディテクタシステムは、典型的に、それぞれゲインが1000程度の2つのMCP電子増倍管12,14を有する。これは、第1のMCP12が入射イオン18を多数の二次電子に変換し、二次電子は続いて、第1のディテクタの出口で1000のオーダに増倍される。これら1000個の電子は、ミリメートルのオーダで離れた第2のMCP14に移動する。1000個の電子は、第2のMCP14の表面に衝突し、増幅率が1000程度の新たな増倍プロセスが起きる。
【0005】
MCPの増幅は、あまりに多くの二次電子をチャネルの出口から出すと、一時的に劣化する(あるいは失われる)。ゲインが劣化した結果、アナログ−ディジタル変換(ADC)を用いると記録されたスペクトルでの信号−ノイズ比が低くなるか、あるいは、時間−ディジタル変換(TDC)を用いると大きなピークの後無駄時間が生じる。ゲインの一時的な劣化が起きるのは2つの状況下、すなわち高ゲインの場合(これは高感度に必要である。)、あるいは、短期間にあまりにも多くのイオンがMCPに到達する場合(これは、高ダイナミックレンジモードにおいてあるイオン種に対し起きうる。)のいずれかである。
【0006】
したがって、タンパク質濃度が広く変動するサンプルを検出しようとすることで正にこのような状況が生じうることは明らかである。高ゲインモードでは、僅かな量のタンパク質は、多量にあるタンパク質由来の非常に減衰した信号の中にかき消されて見失われるであろう。低ゲインモードでは、僅かな量のタンパク質は、MCPの暗電流(イオンビームをオフすることによる信号)にあまりにも近くて見失われるであろう。
【0007】
したがって、MCPディテクタシステムの低ゲインおよび高ゲイン動作モードの良い部分を組み合わせる方法が必要とされる。拡張したダイナミックレンジを有するディテクタシステムを提供するための方法がいくつか知られている。
【0008】
ダイナミックレンジを拡張するための2つの動作モードを有する上記タイプのディテクタが、KristoおよびEnkeによりRev.Sci.Instrum.1988 vol 59(3)pp 438-442に開示されている。このディテクタは、中間アノードと直列に並んだ2つのチャネル型電子増倍管を備えている。中間アノードは、第1の増倍管を出た電子の約90%を捕捉し、残りを第2の増倍管に入射させるように構成されていた。中間アノードにはアナログ増幅器が接続され、第2の増倍管を出た電子を受けるように配置された電極には弁別器およびパルス計数器が接続されていた。アナログ増幅器およびパルス計数器の出力は、電子的に組み合わされていた。保護グリッドが増倍管同士の間に配置されていた。高入射イオンフラックスにおいて、出力信号には中間アノードに接続したアナログ増幅器の出力を含めた。このような状況下で、ポテンシャルを保護グリッドに印加し、これにより電子が第2の増倍管に入射するのを防止した(そうでないと第2の増倍管に損傷を与える。)。低イオンフラックスにおいて、保護グリッドの電位をオフにし、出力信号にはパルス計数器の出力を含めた。このモードでは、ディテクタは、中間アノードを用いて低感度アナログモードで動作可能であり、増幅管およびパルス計数器の両方を用いて高感度イオン計数モードで動作可能であった。したがって、ダイナミックレンジは、これらのモードの一つのみを用いる従来のディテクタよりかなり広がった。この場合、2つの感度レベルの間の切り換えは、検出信号に対する応答すなわちダイレクトフィードバックとして行われる。
【0009】
WO99/38190には、異なるエリアに2つの収集電極を有するデュアルゲインディテクタが開示されている。大きい方の電極は低イオンフラックスでの検出に用いられ、小さい方の電極は高イオンフラックスでの検出に用いられる。特殊な実施形態では、収集用小電極は、第1および第2のMCPの間に配置されるグリッドとして用いられる。
【0010】
ソ連発明者証SU851549には、2つのマイクロチャネルプレート電子増倍管の間に制御グリッドを配置し、グリッドの電位を調整してアセンブリのゲインを制御することが示唆されている。このディテクタはさらにダイレクトフィードバック検出システムに組み込まれている。
【0011】
しかしながら、これらのディテクタシステムのいずれも細胞内のタンパク質の完全なイオンフラックススペクトルを高精度でカバーできるシステムではない。具体的に、Kristoらは低イオンフラックスでイオンの10%程度を検出するのみで、このシステム、およびWO99/38190に開示されたシステムとも、静的な2つのレベルに関するシステムであって、全体的な感度は低くなる。
【発明の開示】
【0012】
明らかに、改良したダイナミックレンジで検出を行い、これによりタンパク質濃度が広く変動するサンプル、例えば細胞をマススペクトロメータで分析できるような改良ディテクタシステムが必要である。
【0013】
したがって、本発明の目的は、従来のデバイスの制約を克服する高感度の新規ディテクタシステムおよび該システムの制御方法を提供することである。これは、請求項5のディテクタシステム、請求項1に定義された方法、および請求項3のディテクタにより実現される。
【0014】
本発明に係るディテクタシステムの利点は、ゲインが高速可変の新規なディテクタシステムおよび該システムの作動方法が得られることである。
【0015】
本発明の実施形態は従属請求項に定義されている。
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0017】
図2は、本発明に係るディテクタシステム30で、後で詳述する改良MCPディテクタ、データ獲得ユニット20、データ記憶ユニット36、およびゲインコントロールユニット34を備える。データ獲得ユニット20は、ディテクタアノード16に接続され、スペクトルデータをデータ記憶ユニット36および/または獲得したスペクトルを処理・表示する外部のデータ処理ユニットに出力する。ゲインコントロールユニット34は、データ記憶ユニット36に記憶された制御スペクトルにしたがってスペクトルの獲得中にディテクタのゲインを制御するようになっている。制御スペクトルは、以前に記録されたパイロットスペクトルまたの別の予め定義されたスペクトルに類似していてもよい。
【0018】
本発明の基本となる考え方は、豊富な量のタンパク質イオンが現れる際に、第2のMCP14への伝達率を下げることでディテクタゲインを下げることである。この総ゲインの変化は、タイムオブフライトシステム用に、イオンの到着期間(マススペクトルピーク幅)の間すなわち約10nsの時間スケールで行う必要がある。この極めて短い時間スケールのため、従来のMCPディテクタではMCP12,14に対する電圧を変化することでゲインを変動させることはできない。その理由は、MCP12,14の1GΩの抵抗により、電界がMCPチャネルに沿って低下するからである。
【0019】
代わりに、図2に示すように、改良MCPディテクタを提案する。改良MCPディテクタ(以下、高速可変ゲインMCPディテクタという。)は、従来のMCPディテクタと同様に、第1および第2のMCP12,14、および第2のMCP14からの出力電子を収集するアノード16を備える。高速可変ゲインMCPディテクタは、第1と第2のMCP12,14の間にゲート電極32を配置することにより得られる。ゲート電極32は、高透過性の導電性メッシュが可能で、第1のMCP12からの出力電子に対し遅延電界を与えることができる。遅延電界は、低エネルギの電子を遅延および反転させる一方、高エネルギの出力電子エネルギ分布はゲート電極を通過し、その結果、低電子電流が第2のMCP14に到達する。アノード16は、第2のMCP14からの出力電子を収集する。ゲート電極32での遅延電位のために、アノード16からの出力信号は低くなる。ディテクタの動作原理は、トランジスタの前身である三極電子管の動作原理と同様である。このアナロジでは、第1のMCP12はカソード、ゲート32はグリッド、第2のMCP14とアノード16は電子管のアノードとして作用する。
【0020】
本発明に係るMCP検出システムにおいて、ゲインコントロールユニット34はゲート電極32に接続されており、ユニット34は、適当な遅延電位をゲート電極32に印加することにより高速可変ゲインMCPディテクタのゲインを制御できる。上述したように、ゲインコントロールユニット34は、データ記憶ユニット36から制御情報データを受け取る。
【0021】
あるサンプルに対しいつゲインを下げるかを知るために、第1の「パイロット」スペクトルを、ゲート電極32に一定の電位を与えて測定を行うことにより該サンプル用として記録する。その後、記録されたパイロットスペクトルは、データ記録ユニット36に記録される。そのようなパイロットスペクトルの例を図3aに示し、本発明の後の工程で得られるスペクトルの例を図3b,3cに示す。場合によっては、パイロットスペルトルを予め決められた関数にしたがって変化するゲート電極に対する電位とともに記録するのが有利である。
【0022】
後に続く測定サイクルの間、ゲインコントロールユニット34は、データ記憶ユニット36からパイロットスペクトルを受け取り、このスペクトルに応じて遅延電位をm/zまたは時間の関数としてゲート電極32に印加する(図3b)。ここで、後に続く測定サイクルで記録されたスペクトルは、言うならば、記憶されたパイロットスペクトルで変調され、弱いピークが現れる可能性がある。図3cに示されるように、このプロセスにより第2のピークが現れ、このピークは第1のスペクトル(図3a)と高度に弁別される。パイロットスペクトルの初期の高ピークは、このm/zでのゲインが低いため低くなる。
【0023】
さらに精度を上げるため、いくつかのスペクトルを合成(sum up)して良好な信号−雑音(S/N)比を得るようにしてもよく、続いてこの合成したスペクトルを新たなパイロットスペクトルとして用いてもよい。このプロセスをサンプルが消費されるまで繰り返しせば、十分な情報が収集される。
【0024】
既によく知られたサンプルを分析する場合で且つ少量のサンプルのみ利用できる場合、予め定義されたパイロットスペクトルを用い、パイロットスペクトルの記録を省略してもよい。このように、パイロットスペクトルは未知のサンプルを分析する必要がある場合にのみ記録する必要がある。
【0025】
高速可変ゲインMCPディテクタの別の実施形態では、シールド電極40を第1のMCP12とゲート電極32との間に配置して、これによりゲート電極32への遅延電位をシールドし応答時間を短くしつつピークを広げるようにしてもよい。代わりに、第2のシールド電極42もゲート電極32と第2のMCP14との間に配置し、これにより性能を向上させてもよい。ディテクタは上述したように一般に、三極電子管に類似しており、既存の電子管構成に対応する別の実施形態は本発明の範囲内にあると考えるべきである。
【0026】
第1のMCP12が入射イオン18を直接二次電子に変換してもよいが、代わりに、別個の変換ダイノード表面(図示せず)をシステムの第1のMCP12の前段に導入し、イオンを表面に衝突させ二次電子を発生させてさらに第1のMCP12に供給してもよい。この2番目の変形例では、ゲート電極32を第1と第2のMCP12,14の間に導入してもよいし、変換ダイノードと第1のMCP12の間に導入してもよい。電子を加速したり電界をシールドするために、別の電極を導入してもよい。
【0027】
僅かな量のイオンを良好に検出するために、スペクトル間でMCPに対する電圧(UMCP)を徐々に増加させ、これによりMCPのゲートで制御されないゲインを高めてもよい。これを効果的にするためには、各スペクトル内でゲート電位を変調し、これにより多量のイオンを弁別することが重要である。
【0028】
非常に豊富な量のイオンに対しADCを用い非常に少ない量のイオンに対しTDCを用いることで、ADCおよびTDC技術の両方を用いることが可能である。各スペクトル間の高速データ処理を利用してTDCを模倣するのにADCを用いることができる。TDC/ADC技術用の可変弁別回路またはバイアス閾値を用い、これにより弁別またはバイアス閾値レベルをスペクトル間で変更できるようにするのが有利である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】
従来のMCPディテクタシステムの例を示す。
【図2】
本発明に係る高速スイッチングMCPディテクタシステムを示す。
【図3】
(a)−(c)は本発明に係る方法の各工程で記録されたスペクトルの例を示す。
【図4】
本発明の一実施形態に係る高速スイッチングMCPディテクタシステムを示す。
【0001】
本発明は、マイクロチャネルプレート(MCP)ディテクタシステム、改良高速ゲインMCPディテクタ、および該ディテクタの作動方法に関する。本発明は特に、高速可変ゲインのマイクロチャネルプレートディテクタシステム、および、改良ダイナミックレンジが得られるよう該システムを作動する方法に関する。
【従来技術】
【0002】
細胞由来の全てのタンパク質を分析することは、各発現タンパク質の量が広いダイナミックレンジにわたって変化するため、今日の技術では不可能である。マススペクトロメトリは、他の技術とともに、必要なダイナミックレンジが不足している。これは、主に、同一の混合物内で多量のタンパク質と非常に僅かな量のタンパク質の両方を検出する検出技術がないからである。注目すべきは、分離したサンプル(LC、ゲルなど)もまた、オーバーラップするタンパク質種からなる混合物であり、複雑な混合物の問題は分離後においても残っている。したがって、理想的なマススペクトロメータは、単一粒子の感度を有しつつ高いダイナミックレンジを有する必要がある。図3aは、各発現タンパク質の量の上述した大きな変化を表す、マススペクトロメータスペクトルの作成例を示す。
【0003】
本文献では、イオン化効率およびイオン源からディテクタまでの構成については説明しない。質量分析検出の設計はトレードオフである。今日、完全なシステムは、極端な2つの場合の一つである。すなわち、単イオン検出用か高ダイナミックレンジ用に検出を調整する場合である。高ディテクタゲインでディジタルの単一粒子パルス計測電子機器を用いて高感度を得ることができる。低ゲインでアナログの検出電子機器を用いて高ダイナミックレンジを得ることができる。問題は、理想として高感度と高ダイナミックレンジの両方が求められることである。
【0004】
図1は、マススペクトロメータ用のマイクロチャネルプレート(MCP)ディテクタシステム10を示す。マイクロチャネルプレート増倍管12,14は、平行に配置された多数の個別電子増倍管チャネルからなり、典型的に多孔質で薄皿形状である。このディテクタシステムは、典型的に、それぞれゲインが1000程度の2つのMCP電子増倍管12,14を有する。これは、第1のMCP12が入射イオン18を多数の二次電子に変換し、二次電子は続いて、第1のディテクタの出口で1000のオーダに増倍される。これら1000個の電子は、ミリメートルのオーダで離れた第2のMCP14に移動する。1000個の電子は、第2のMCP14の表面に衝突し、増幅率が1000程度の新たな増倍プロセスが起きる。
【0005】
MCPの増幅は、あまりに多くの二次電子をチャネルの出口から出すと、一時的に劣化する(あるいは失われる)。ゲインが劣化した結果、アナログ−ディジタル変換(ADC)を用いると記録されたスペクトルでの信号−ノイズ比が低くなるか、あるいは、時間−ディジタル変換(TDC)を用いると大きなピークの後無駄時間が生じる。ゲインの一時的な劣化が起きるのは2つの状況下、すなわち高ゲインの場合(これは高感度に必要である。)、あるいは、短期間にあまりにも多くのイオンがMCPに到達する場合(これは、高ダイナミックレンジモードにおいてあるイオン種に対し起きうる。)のいずれかである。
【0006】
したがって、タンパク質濃度が広く変動するサンプルを検出しようとすることで正にこのような状況が生じうることは明らかである。高ゲインモードでは、僅かな量のタンパク質は、多量にあるタンパク質由来の非常に減衰した信号の中にかき消されて見失われるであろう。低ゲインモードでは、僅かな量のタンパク質は、MCPの暗電流(イオンビームをオフすることによる信号)にあまりにも近くて見失われるであろう。
【0007】
したがって、MCPディテクタシステムの低ゲインおよび高ゲイン動作モードの良い部分を組み合わせる方法が必要とされる。拡張したダイナミックレンジを有するディテクタシステムを提供するための方法がいくつか知られている。
【0008】
ダイナミックレンジを拡張するための2つの動作モードを有する上記タイプのディテクタが、KristoおよびEnkeによりRev.Sci.Instrum.1988 vol 59(3)pp 438-442に開示されている。このディテクタは、中間アノードと直列に並んだ2つのチャネル型電子増倍管を備えている。中間アノードは、第1の増倍管を出た電子の約90%を捕捉し、残りを第2の増倍管に入射させるように構成されていた。中間アノードにはアナログ増幅器が接続され、第2の増倍管を出た電子を受けるように配置された電極には弁別器およびパルス計数器が接続されていた。アナログ増幅器およびパルス計数器の出力は、電子的に組み合わされていた。保護グリッドが増倍管同士の間に配置されていた。高入射イオンフラックスにおいて、出力信号には中間アノードに接続したアナログ増幅器の出力を含めた。このような状況下で、ポテンシャルを保護グリッドに印加し、これにより電子が第2の増倍管に入射するのを防止した(そうでないと第2の増倍管に損傷を与える。)。低イオンフラックスにおいて、保護グリッドの電位をオフにし、出力信号にはパルス計数器の出力を含めた。このモードでは、ディテクタは、中間アノードを用いて低感度アナログモードで動作可能であり、増幅管およびパルス計数器の両方を用いて高感度イオン計数モードで動作可能であった。したがって、ダイナミックレンジは、これらのモードの一つのみを用いる従来のディテクタよりかなり広がった。この場合、2つの感度レベルの間の切り換えは、検出信号に対する応答すなわちダイレクトフィードバックとして行われる。
【0009】
WO99/38190には、異なるエリアに2つの収集電極を有するデュアルゲインディテクタが開示されている。大きい方の電極は低イオンフラックスでの検出に用いられ、小さい方の電極は高イオンフラックスでの検出に用いられる。特殊な実施形態では、収集用小電極は、第1および第2のMCPの間に配置されるグリッドとして用いられる。
【0010】
ソ連発明者証SU851549には、2つのマイクロチャネルプレート電子増倍管の間に制御グリッドを配置し、グリッドの電位を調整してアセンブリのゲインを制御することが示唆されている。このディテクタはさらにダイレクトフィードバック検出システムに組み込まれている。
【0011】
しかしながら、これらのディテクタシステムのいずれも細胞内のタンパク質の完全なイオンフラックススペクトルを高精度でカバーできるシステムではない。具体的に、Kristoらは低イオンフラックスでイオンの10%程度を検出するのみで、このシステム、およびWO99/38190に開示されたシステムとも、静的な2つのレベルに関するシステムであって、全体的な感度は低くなる。
【発明の開示】
【0012】
明らかに、改良したダイナミックレンジで検出を行い、これによりタンパク質濃度が広く変動するサンプル、例えば細胞をマススペクトロメータで分析できるような改良ディテクタシステムが必要である。
【0013】
したがって、本発明の目的は、従来のデバイスの制約を克服する高感度の新規ディテクタシステムおよび該システムの制御方法を提供することである。これは、請求項5のディテクタシステム、請求項1に定義された方法、および請求項3のディテクタにより実現される。
【0014】
本発明に係るディテクタシステムの利点は、ゲインが高速可変の新規なディテクタシステムおよび該システムの作動方法が得られることである。
【0015】
本発明の実施形態は従属請求項に定義されている。
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0017】
図2は、本発明に係るディテクタシステム30で、後で詳述する改良MCPディテクタ、データ獲得ユニット20、データ記憶ユニット36、およびゲインコントロールユニット34を備える。データ獲得ユニット20は、ディテクタアノード16に接続され、スペクトルデータをデータ記憶ユニット36および/または獲得したスペクトルを処理・表示する外部のデータ処理ユニットに出力する。ゲインコントロールユニット34は、データ記憶ユニット36に記憶された制御スペクトルにしたがってスペクトルの獲得中にディテクタのゲインを制御するようになっている。制御スペクトルは、以前に記録されたパイロットスペクトルまたの別の予め定義されたスペクトルに類似していてもよい。
【0018】
本発明の基本となる考え方は、豊富な量のタンパク質イオンが現れる際に、第2のMCP14への伝達率を下げることでディテクタゲインを下げることである。この総ゲインの変化は、タイムオブフライトシステム用に、イオンの到着期間(マススペクトルピーク幅)の間すなわち約10nsの時間スケールで行う必要がある。この極めて短い時間スケールのため、従来のMCPディテクタではMCP12,14に対する電圧を変化することでゲインを変動させることはできない。その理由は、MCP12,14の1GΩの抵抗により、電界がMCPチャネルに沿って低下するからである。
【0019】
代わりに、図2に示すように、改良MCPディテクタを提案する。改良MCPディテクタ(以下、高速可変ゲインMCPディテクタという。)は、従来のMCPディテクタと同様に、第1および第2のMCP12,14、および第2のMCP14からの出力電子を収集するアノード16を備える。高速可変ゲインMCPディテクタは、第1と第2のMCP12,14の間にゲート電極32を配置することにより得られる。ゲート電極32は、高透過性の導電性メッシュが可能で、第1のMCP12からの出力電子に対し遅延電界を与えることができる。遅延電界は、低エネルギの電子を遅延および反転させる一方、高エネルギの出力電子エネルギ分布はゲート電極を通過し、その結果、低電子電流が第2のMCP14に到達する。アノード16は、第2のMCP14からの出力電子を収集する。ゲート電極32での遅延電位のために、アノード16からの出力信号は低くなる。ディテクタの動作原理は、トランジスタの前身である三極電子管の動作原理と同様である。このアナロジでは、第1のMCP12はカソード、ゲート32はグリッド、第2のMCP14とアノード16は電子管のアノードとして作用する。
【0020】
本発明に係るMCP検出システムにおいて、ゲインコントロールユニット34はゲート電極32に接続されており、ユニット34は、適当な遅延電位をゲート電極32に印加することにより高速可変ゲインMCPディテクタのゲインを制御できる。上述したように、ゲインコントロールユニット34は、データ記憶ユニット36から制御情報データを受け取る。
【0021】
あるサンプルに対しいつゲインを下げるかを知るために、第1の「パイロット」スペクトルを、ゲート電極32に一定の電位を与えて測定を行うことにより該サンプル用として記録する。その後、記録されたパイロットスペクトルは、データ記録ユニット36に記録される。そのようなパイロットスペクトルの例を図3aに示し、本発明の後の工程で得られるスペクトルの例を図3b,3cに示す。場合によっては、パイロットスペルトルを予め決められた関数にしたがって変化するゲート電極に対する電位とともに記録するのが有利である。
【0022】
後に続く測定サイクルの間、ゲインコントロールユニット34は、データ記憶ユニット36からパイロットスペクトルを受け取り、このスペクトルに応じて遅延電位をm/zまたは時間の関数としてゲート電極32に印加する(図3b)。ここで、後に続く測定サイクルで記録されたスペクトルは、言うならば、記憶されたパイロットスペクトルで変調され、弱いピークが現れる可能性がある。図3cに示されるように、このプロセスにより第2のピークが現れ、このピークは第1のスペクトル(図3a)と高度に弁別される。パイロットスペクトルの初期の高ピークは、このm/zでのゲインが低いため低くなる。
【0023】
さらに精度を上げるため、いくつかのスペクトルを合成(sum up)して良好な信号−雑音(S/N)比を得るようにしてもよく、続いてこの合成したスペクトルを新たなパイロットスペクトルとして用いてもよい。このプロセスをサンプルが消費されるまで繰り返しせば、十分な情報が収集される。
【0024】
既によく知られたサンプルを分析する場合で且つ少量のサンプルのみ利用できる場合、予め定義されたパイロットスペクトルを用い、パイロットスペクトルの記録を省略してもよい。このように、パイロットスペクトルは未知のサンプルを分析する必要がある場合にのみ記録する必要がある。
【0025】
高速可変ゲインMCPディテクタの別の実施形態では、シールド電極40を第1のMCP12とゲート電極32との間に配置して、これによりゲート電極32への遅延電位をシールドし応答時間を短くしつつピークを広げるようにしてもよい。代わりに、第2のシールド電極42もゲート電極32と第2のMCP14との間に配置し、これにより性能を向上させてもよい。ディテクタは上述したように一般に、三極電子管に類似しており、既存の電子管構成に対応する別の実施形態は本発明の範囲内にあると考えるべきである。
【0026】
第1のMCP12が入射イオン18を直接二次電子に変換してもよいが、代わりに、別個の変換ダイノード表面(図示せず)をシステムの第1のMCP12の前段に導入し、イオンを表面に衝突させ二次電子を発生させてさらに第1のMCP12に供給してもよい。この2番目の変形例では、ゲート電極32を第1と第2のMCP12,14の間に導入してもよいし、変換ダイノードと第1のMCP12の間に導入してもよい。電子を加速したり電界をシールドするために、別の電極を導入してもよい。
【0027】
僅かな量のイオンを良好に検出するために、スペクトル間でMCPに対する電圧(UMCP)を徐々に増加させ、これによりMCPのゲートで制御されないゲインを高めてもよい。これを効果的にするためには、各スペクトル内でゲート電位を変調し、これにより多量のイオンを弁別することが重要である。
【0028】
非常に豊富な量のイオンに対しADCを用い非常に少ない量のイオンに対しTDCを用いることで、ADCおよびTDC技術の両方を用いることが可能である。各スペクトル間の高速データ処理を利用してTDCを模倣するのにADCを用いることができる。TDC/ADC技術用の可変弁別回路またはバイアス閾値を用い、これにより弁別またはバイアス閾値レベルをスペクトル間で変更できるようにするのが有利である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】
従来のMCPディテクタシステムの例を示す。
【図2】
本発明に係る高速スイッチングMCPディテクタシステムを示す。
【図3】
(a)−(c)は本発明に係る方法の各工程で記録されたスペクトルの例を示す。
【図4】
本発明の一実施形態に係る高速スイッチングMCPディテクタシステムを示す。
Claims (6)
- 第1と第2のMCP電子増倍管(12,14)の間に配置されたゲート電極(32)を備えた高速スイッチングマイクロチャネルプレート(MCP)ディテクタを用いた、幅広のダイナミックレンジスペクトルを得るための方法において、
パイロットスペクトルに応じて、遅延電位をm/zまたは時間の関数としてゲート電極(32)に印加し、これにより、多量のタンパク質イオンが現れると第1のMCP(12)から第2のMCP電子増倍管(14)への電子の伝達率を低下させて、僅かな量のタンパク質イオン由来の隣りのピークが検出可能となるようにすることを特徴とする方法。 - パイロットスペクトルは、
ゲート電極(32)に対し一定値に設定された電位、または、測定サイクルにわたって予め決められた関数に従うよう設定された電位を与えることで第1のスペクトルを獲得する工程と、
獲得した第1のスペクトルをパイロットスペクトルとして記憶する工程と、
により獲得されることを特徴とする請求項2の方法。 - 第1および第2のMCP電子増倍管(12,14)、アノード(16)、および、第1と第2のMCP電子増倍管(12,14)の間に配置されたゲート電極(32)を備えた高速スイッチングマイクロチャネルプレート(MCP)ディテクタにおいて、
シールド電極(40)が第1のMCP電子増倍管(12)とゲート電極(32)との間に配置され、これによりゲート電極(32)に対する遅延電位をシールドすることを特徴とするMCPディテクタ。 - 第2のシールド電極(42)がゲート電極(32)と第2のMCP電子増倍管(14)との間に配置され、これによりゲート電極(32)に対する遅延電位をシールドすることを特徴とする請求項3のMCPディテクタ。
- MCPディテクタおよびデータ獲得ユニット(20)を備え、
該ディテクタが第1および第2のMCP電子増倍管(12,14)、データ獲得ユニット(20)に接続された一つまたはそれ以上のアノード(16)、および、第1と第2のMCP電子増倍管(12,14)の間に配置されたゲート電極(32)を有する、マイクロチャネルプレート(MCP)ディテクタシステム(10)において、
データ記憶ユニット(36)と、ゲート電極(32)およびデータ記憶ユニット(36)に接続されたゲインコントロールユニット(34)とをさらに備え、
パイロットスペクトルはデータ記憶ユニット(36)に記憶され、
ゲインコントロールユニット(34)は、データ記憶ユニット(36)からパイロットスペクトルを読み出すとともに、該パイロットスペクトルに応じて遅延電位をm/zまたは時間の関数としてゲート電極(32)に印加するように構成され、これにより、多量のタンパク質イオンが現れると予想される時間に第2のMCP電子増倍管(14)への電子の伝達率を低下させる一方で、測定サイクルの残りの時間高感度を維持し、僅かな量のタンパク質イオン由来の隣りのピークが検出可能になるようにすることを特徴とするMCPディテクタシステム。 - 請求項5に係るマイクロチャネルプレート(MCP)ディテクタシステム(10)を備えたマススペクトロメータ。
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