JP2004533496A - 化合物、組成物及びプロセス - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は、化合物、これらの化合物を含有する組成物、インク、印刷プロセス、印刷した基体(substrate)、及びインクジェットプリンタカートリッジに関する。
インクジェット印刷(IJP)は、ノズルを基体に接触させないでインク液滴が細いノズルから基体上に噴射される非-衝撃印刷法である。
【0002】
IJPで使用される染料及びインクに対しては多くの厳しい性能要件がある。例えば、これらの染料及びインクは、優れた耐水堅牢度、耐光性、耐オゾン性及び光学密度をもつ、はっきりした、にじみのない画像を提供するのが望ましい。基体に適用したときにぼやけないようにするためにインクが早く乾燥することが求められることが多いが、クラストでプリンタが止まってしまうので、インクジェットノズルのチップにクラストができないようにしなければならない。また、このインクは細いノズルを塞いでしまう沈殿物を形成したり分解することなく、長期間の貯蔵でも安定でなければならない。
【0003】
フォトリアリズム品質の印刷物にとって特に問題となるのは、耐光性である。印刷物は長期にわたって日光に暴露されることが多いので、できるだけ耐光性の高い画像が求められている。しかしながら、同時に、インクジェットのフォトリアリズム品質の印刷物は、ハロゲン化銀の写真と競合しなければならないので、IJPインクで使用する染料は、桁外れに高価にはできない。大気のオゾンと反応する印刷物中の着色剤は、耐光性が低いことの大きな原因となっていることがある。
【0004】
本発明は、優れた耐オゾン性と耐光性とを備えた、インクジェット印刷用インクと、インクジェット印刷プロセスとで使用するのに好適な着色剤に関する。
本発明により、媒体と、式(1):
【0005】
【化1】
【0006】
{式中、Aは場合により置換されたアリールであり;Bは、場合により置換されたアリーレンであり;及びR1とR2とは、それぞれ独立してHまたは場合により置換されたアルキルである}の化合物とを含む組成物を、インクジェットプリンタによって基体に適用することを含む、基体の着色化プロセスを提供する。
【0007】
このインクジェットプリンタは、基体上に小さいオリフィスを通して噴射される液滴の状態で組成物を基体に適用するのが好ましい。好ましいインクジェットプリンタは、圧電性インクジェットプリンタ及びサーマルインクジェットプリンタである。サーマルインクジェットプリンタでは、プログラムされた熱パルスがオリフィスに隣接するレジスタによってリザーバ中のインクに適用され、これによって基体とオリフィスとの間の相対的運動の間に紙の方へ向けられた小さな液滴の形態で組成物を噴射する。圧電性インクジェットプリンタでは、小さな結晶の振動によってオリフィスから組成物が噴射される。あるいは、インクは、たとえばPCT国際公開第WO00/48938号及び同第WO00/55089号に記載の如き移動可能なパドルまたはプランジャーに接続された電気機械式アクチュエータによって噴射することができる。
【0008】
基体は好ましくは、紙、プラスチック、テキスタイル(布)、金属またはガラスであり、紙、オーバーヘッドプロジェクタースライドまたはテキスタイル材料がより好ましく、紙が特に好ましい。
【0009】
好ましい紙は、酸性、アルカリ性または中性であってもよい、普通紙(plain papar)、コーティング紙または加工紙(treated paper)である。
Aは、場合により置換されたフェニルまたは場合により置換されたナフチルであるのが好ましい。
【0010】
Bは、場合により置換されたフェニレンまたは場合により置換されたナフチレンであるのが好ましい。Aは場合により置換されたフェニルであり、Bは場合により置換されたフェニレンであるのがより好ましい。
【0011】
AまたはBに独立して存在し得る好ましい任意の置換基としては、場合により置換されたアルキル(好ましくはC1-4-アルキル)、場合により置換されたアルコキシ(好ましくはC1-4-アルコキシ)、場合により置換されたアリール(好ましくはフェニル)、場合により置換されたアリールオキシ(好ましくはフェノキシ)、ポリアルキレンオキシド(好ましくはポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシド)、カルボキシ、ホスファト、スルホ、ニトロ、シアノ、ハロ、ウレイド、SO2F、ヒドロキシ、エステル、-NR3R4、-COR3、-CONR3R4、-NHCOR3、カルボキシエステル、スルホン及び-SO2NR3R4[ここで、R3及びR4は、それぞれ独立してHまたは場合により置換されたアルキル(特にC1-4-アルキル)である]がある。
【0012】
AまたはBに独立して存在し得るより好ましい任意の置換基としては、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、カルボキシ、ホスファト、スルホ、ニトロ、フェノキシ、シアノ、カルボキシエステル、スルホン、スルホンアミド、ウレイド、SO2NR3R4またはNHCOR3基であり、ここでR3及びR4は、上記定義の如きである。
【0013】
Aが場合により置換されたナフチルであるか、またはBが場合により置換されたナフチレンであるとき、A及び/またはBは、ヒドロキシ、アミノ、スルホ及びカルボキシから選択される一つ以上(好ましくは1〜4個の)置換基を保持するのが好ましい。
【0014】
Aが場合により置換されたフェニルであるか、またはBが場合により置換されたフェニレンであるとき、A及び/またはBは、ヒドロキシ、ホスファト、アミノ、スルホ及びカルボキシから選択される少なくとも1個の置換基を保持するのが好ましい。Aが場合により置換されたフェニルであるか、またはBが場合により置換されたフェニレンであるとき、A及びBはそれぞれ独立して少なくとも1個のカルボキシまたはスルホ置換基を保持するのがより好ましい。
【0015】
R1及びR2は、それぞれ独立してHまたはC1-4-アルキルであるのが好ましく、R1及びR2はHであるのがより好ましい。
好ましくは、式(1)の化合物は、1、2または3個の水分散性置換基(water-dispersing substituent)をもつ。好ましい水分散性置換基としては、ポリアルキレンオキシド、スルホ、ホスファト及びカルボキシがあり、スルホ及びカルボキシがより好ましい。
【0016】
好ましいポリアルキレンオキシド基は、ポリ(C2-3-アルキレンオキシド)基であり、好ましくは1〜20個のグリコール単位を持ち、且つヒドロキシまたはC1-4-アルコキシ基で末端停止したポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールがより好ましい。
【0017】
式(1)の化合物は水溶性であるのが好ましい。
式(1)の化合物は、テキスタイルに対して反応性を有する基を含まないのが好ましい。
【0018】
式(1)の化合物がジスアゾ(disazo)であるのも好ましい。
上記の好ましい例を考慮すると、式(1)の好ましい化合物は、以下に記載する式(2)の化合物である。
【0019】
本化合物上の任意の酸性基または塩基性基は、塩の形態であるのが好ましい。従って、本明細書中に示されている式は、遊離酸または塩の形態の化合物を包含する。
好ましい塩は、アルカリ金属塩、特にリチウム、ナトリウム及びカリウム、アンモニウム及び置換アンモニウム塩[(CH3)4N+等の四級アミンを含む]並びにそれらの混合物である。特に好ましいものは、ナトリウム、リチウム、アンモニア及び揮発性アミン類との塩であり、ナトリウム塩がより好ましい。本化合物は、公知方法を使用して塩に転換させることができる。
【0020】
式(1)と式(2)の化合物は、本明細書中で示されているもの以外の互変異性体の形でも存在することができる。これらの互変異性体は、本発明の範囲内に含まれる。
好ましくは、本組成物は、
(a)上記定義の如き式(1)の化合物、好ましくは下記定義の如き式(2)の化合物0.01〜30部と、
(b)媒体70〜99.99部
とを含み、ここで全ての部は、重量であり、(a)と(b)の部数の合計=100である。
【0021】
この媒体は液体媒体であるのが好ましい。
成分(a)の部数は、0.1〜20であるのが好ましく、0.5〜15であるのがより好ましく、1〜5部であるのが特に好ましい。成分(b)の部数は、99.9〜80であるのが好ましく、99.5〜85がより好ましく、99〜95部が特に好ましい。
【0022】
もちろん、本組成物は、(a)と(b)とに加えて、さらなる成分を含んでもよい。
成分(a)は成分(b)に完全に溶解するのが好ましい。成分(a)は、20℃で成分(b)に少なくとも10%の溶解性をもつのが好ましい。これによって、より希薄なインクを製造するのに使用できる液体濃縮物の製造が可能になり、貯蔵時に液体媒体の蒸発が起きても、成分(a)が沈澱する可能性も低くなる。
【0023】
好ましい液体媒体としては、水、水と有機溶媒との混合物、水を含まない有機溶媒が挙げられる。
液体媒体が水と有機溶媒との混合物を含むとき、水対有機溶媒の重量比は、99:1〜1:99が好ましく、99:1〜50:50であるのがより好ましく、95:5〜80:20が特に好ましい。
【0024】
水と有機溶媒との混合物中に配合される前記有機溶媒は、水混和性の有機溶媒であるか、またはそのような溶媒の混合物であるのが好ましい。好ましい水混和性有機溶媒の例としては、C1-6-アルカノール類、好ましくはメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-ペンタノール、シクロペンタノール及びシクロヘキサノール;線状アミド類、好ましくはジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミド;ケトン類及びケトン-アルコール類、好ましくはアセトン、メチルエーテルケトン、シクロヘキサノン及びジアセトンアルコール;水混和性エーテル類、好ましくはテトラヒドロフラン及びジオキサン;ジオール類、好ましくは2〜12個の炭素原子を持つジオール類、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール及びチオジグリコール並びにオリゴ-及びポリ-アルキレングリコール類、好ましくはペンタン-1,5-ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール;トリオール類、好ましくはグリセロール及び1,2,6-ヘキサントリオール;ジオール類のモノ-C1-4-アルキルエーテル類、好ましくは2〜12個の炭素原子をもつジオール類のモノ-C1-4-アルキルエーテル類、特に2-メトキシエタノール、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、2-(2-エトキシエトキシ)-エタノール、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、2-[2-(2-エトキシエトキシ)-エトキシ]-エタノール及びエチレングリコールモノアリルエーテル;環式アミド類、好ましくは2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、カプロラクタム及び1,3-ジメチルイミダゾリドン;環式エステル類、好ましくはカプロラクトン;スルホキシド類、好ましくはジメチルスルホキシド及びスルホランが挙げられる。好ましい液体媒体は、水と、2種以上、特に2〜8種類の水混和性有機溶媒とを含む。
【0025】
特に好ましい水混和性有機溶媒は、環式アミド類、特に2-ピロリドン、N-メチル-ピロリドン及びN-エチル-ピロリドン;ジオール類、特にペンタン-1,5-ジオール、エチレングリコール、チオジグリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール;並びにジオール類のモノ-C1-4-アルキル及びC1-4-アルキルエーテル類、より好ましくは、2〜12個の炭素原子を持つジオール類のモノ-C1-4-アルキルエーテル類、特に2-メトキシ-2-エトキシ-2-エトキシエタノールである。
【0026】
必ずしも必要ではないが、さらに着色剤を本発明の組成物媒体に添加して、本組成物の組成物特性及び色相を修正することができる。そのような着色剤の例としては、C.I.Direct Yellow86、132、142及び173;C.I.Direct Blue199及び307;C.I.Food Black2;Direct Black168及び195;Acid Yellow23;並びにSeiko Epson Corporation、Hewlett Packard Company、Canon.Inc及びLexmark Internationalにより販売されているインクジェットプリンタで使用されるどんな染料もが挙げられる。そのようなさらなる着色剤は、全体の溶解性を高めることができるので、得られた組成物のコゲーション(kogation:ノズル閉塞)が少なくなる。
【0027】
特に本組成物にC.I.Direct Yellow173を添加するのが好ましい。
水と一種以上の有機溶媒との混合物を含むさらなる好適な液体媒体の例は、米国特許第4,963,189号、同第4,703,113号、同第4,626,284号及び欧州特許第EP4,251,50A号に記載されている。
【0028】
この液体媒体が、水を含まない有機溶媒(則ち、1重量%未満の水)を含むとき、この溶媒は30℃〜200℃の沸点をもつのが好ましく、40℃〜150℃の沸点がより好ましく、50〜125℃の沸点が特に好ましい。この有機溶媒は、水非混和性溶媒、水混和性溶媒またはそのような溶媒の混合物であってもよい。好ましい水混和性有機溶媒は、上記任意の水混和性有機溶媒及びそれらの混合物である。好ましい水非混和性の溶媒としては、たとえば脂肪族炭化水素類;エステル類、好ましくは酢酸エチル;塩素化炭化水素類、好ましくはCH2Cl2;及びエーテル類、好ましくはジエチルエーテル;並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0029】
この液体媒体が水非混和性有機溶媒を含むとき、極性溶媒を含むのが好ましい。というのも、極性溶媒は液体媒体中で染料の溶解性を高めるからである。極性溶媒の例としては、C1-4-アルコール類が挙げられる。上記の好ましいものの観点から、液体媒体が水を含まない有機溶媒である場合、ケトン(特にメチルエチルケトン)及び/またはアルコール(特にC1-4-アルカノール、特にエタノールまたはプロパノール)を含むのが、特に好ましい。
【0030】
水を含まない有機溶媒は、1種類の有機溶媒または、2種以上の有機溶媒の混合物であってもよい。この媒体が水を含まない有機溶媒である場合、2〜5種の異なる有機溶媒の混合物であるのが好ましい。これによって、組成物の乾燥特性及び貯蔵安定性をうまく制御することができる媒体を選択することができる。
【0031】
水を含まない有機溶媒を含む液体媒体は、早い乾燥時間が要求される場合、特に疎水性で非吸収性の基体、たとえばプラスチック、金属及びガラスに印刷するときに特に有用である。
【0032】
本組成物は、10μm未満の平均孔径、より好ましくは3μm未満、特に2μm未満、さらには1μm未満の孔径を持つフィルタで濾過したのが好ましい。この濾過によって、多くのインクジェットプリンタで見られる細いノズルを閉塞させてしまうような粒状物質を除去する。
【0033】
本組成物は、ハロゲン化物イオンを全部で500ppm未満、より好ましくは250ppm未満、特に100ppm未満、さらには10ppm未満含むのが好ましい。
本組成物は、組成物の全重量に対して二価金属イオンと三価金属イオン(インクの成分に結合している全ての二価及び三価金属イオン以外)の総濃度が100万分の1000重量部(parts per million by weight)未満、より好ましくは100万分の500重量部未満、特に100万分の100重量部未満、さらに100万分の20重量部未満、特に100万分の10重量部未満であるのが好ましい。この種の純粋な組成物は、高純度成分を使用するか、及び/または製造後に組成物を精製することによって製造することができる。好適な精製法は公知であり、たとえば限界濾過、逆浸透、イオン交換及びこれらの組合せがある。
【0034】
従って、特に好ましい組成物とは、1000ppm未満の二価金属イオン及び三価金属イオン(インクの成分に結合している全ての二価及び三価金属イオン以外)を含み、且つ10μm未満の平均孔径をもつフィルタで濾過した組成物である。
【0035】
特に好ましい組成物は、1000ppm未満の二価及び三価金属イオン(インクの成分に結合している全ての二価及び三価金属イオン以外)と、500ppm未満のハロゲン化物イオンとを含み、且つ10μm未満の平均孔径をもつフィルタで濾過した組成物である。
【0036】
本液体媒体は、インクジェット印刷用インクで慣用的に使用される添加剤、たとえば、粘度及び表面張力調節剤、腐蝕防止剤、殺生物剤、コゲーション防止添加剤(kogation reducing additives)及び、イオン性または非イオン性であってもよい界面活性剤を含んでいてもよい。
【0037】
本発明の第二の側面では、本発明の第一の側面に従ったプロセスにより印刷した基体、特に紙、オーバーヘッドプロジェクター用スライド、テキスタイル材料、プラスチック、ガラス及び金属を提供する。この基体は紙であるのが好ましい。
【0038】
好ましい紙は、酸性、アルカリ性または中性であってもよい、普通紙、コーティング紙または加工紙である。
本発明の第三の側面では、上記定義の如き式(1)の化合物と、水と有機溶媒または水を含まない有機溶媒との混合物を含む媒体とを含む組成物であって、前記組成物は組成物の全重量に対して100万分の1000重量部未満の二価金属イオンと三価金属イオンとの総濃度(インクの成分に結合している全ての二価及び三価金属イオン以外)を含むか、及び/または500ppm未満のハロゲン化物イオンであるか、及び/または10μm未満の平均孔径のフィルタで濾過した、前記組成物を提供する。
【0039】
本組成物の二価と三価の金属イオンの総濃度(インクの成分と結合した全ての二価と三価の金属イオン以外)は、組成物の全重量に対して100万分の500重量部未満、より好ましくは100万分の100重量部未満、特に100万分の20重量部未満、さらに100万分の10重量部未満である。
【0040】
本組成物は、3μm未満の平均孔径、より好ましくは2μm未満、特に1μm未満の平均孔径のフィルタで濾過してあるのが好ましい。
本組成物は、ハロゲン化物イオンを250ppm未満含むのが好ましく、100ppm未満がより好ましく、10ppm未満が特に好ましい。
【0041】
式(1)の化合物は、以下に定義の如き式(2)の化合物であるのが好ましい。
水と有機溶媒と水を含まない有機溶媒との好ましい混合物は、本発明の第一の側面に記載の如きである。
【0042】
本発明の第三の側面に従った組成物は、高純度の成分を使用し、及び/または製造後に組成物を精製することにより製造するのが好ましい。好適な精製法は公知であり、例えば限外濾過、逆浸透、イオン交換及びこれらの組合せ(本発明に従った組成物に配合する前後)である。この精製によって、その合成で発生した無機塩と副生成物との実質的に全てを除去する。そのような精製法は、インクジェットプリンタで使用するのに好適な低粘度の水溶液の製造の役立つ。
【0043】
本組成物は、インクジェット印刷用インクまたは液体染料濃縮物であるのが好ましい。濃縮物は、着色剤を輸送するための手段として有用であるので、化合物を乾燥したり、過剰量の液体を輸送する上でのコストを最小化することができる。
【0044】
本発明の第四の側面では、式(1)の化合物、但し、これは少なくとも1つのカルボキシ基を含む、または式(2)若しくは式(3):
【0045】
【化2】
【0046】
{式中、Xは水分散性置換基であり;pは1〜5であり;qは0〜4であり;Dは場合により置換されたナフチルであり;Eは場合により置換されたフェニレンであり;及びR1とR2とはそれぞれ独立してHまたは場合により置換されたアルキルである}の化合物を提供する。
【0047】
Xはそれぞれ独立してスルホまたはカルボキシであるのが好ましい。
pは1または2であるのが好ましい。
qは0または1であるのが好ましい。
【0048】
Dは、少なくとも1個の水分散性置換基を保持するのが好ましく、Dは少なくとも1個のスルホ及び/または1個のカルボキシを保持するのがより好ましい。
本発明の第五の側面では、チャンバと組成物とを含むインクジェットプリンタカートリッジであって、前記組成物がチャンバ内にあり、前記組成物が本発明の第三の側面に記載の如きである、前記インクジェットプリンタカートリッジを提供する。
【0049】
本発明を以下の実施例によって詳細に説明する。他に記載しない限り、全ての部と割合は重量基準である。
実施例1
【0050】
【化3】
【0051】
の製造
C.I.Acid Yellow9(4g)をpH6で水(150ml)に溶かした。この溶液を0〜5℃に冷却し、濃塩酸(5ml)、続いて亜硝酸ナトリウム(0.8g)を添加し、この懸濁液を5℃で30分間撹拌した。スルファミン酸(0.5g)を添加し、水(150ml)に溶かしたバルビツール酸(1.3g)が入ったビーカーに5℃で、この混合物を注いだ。このpHを2moldm-3水酸化ナトリウム溶液でpH5〜6に調節した。2時間撹拌した後に、反応が完了した。沈殿物を濾過により集め、少量の水で洗浄し、乾燥すると、黄色い固体が得られた。これを水に溶解すると、λmax=417nmとεmax=40,000dm3mol-1cm-1であった。
【0052】
実施例2
【0053】
【化4】
【0054】
の製造
硫酸(20ml)を0〜10℃で撹拌し、亜硝酸ナトリウム(0.8g)を徐々に添加した。次いで4-アミノ-3',5'-ジカルボキシアゾベンゼン(4g)を添加し、その後86:14の酢酸:プロピオン酸混合物(20ml)を添加した。この混合物を0〜10℃で1時間撹拌した。得られた懸濁液を、バルビツール酸(1.3g)、スルファミン酸(0.5g)と水(150ml)の撹拌溶液に、0〜10℃で添加した。このpHを2moldm-3水酸化ナトリウム溶液でpH5〜6に調節し、2時間撹拌して、反応を完了させた。塩化ナトリウムを添加して表記化合物を沈澱させた。この沈殿物を濾過により集め、乾燥すると、黄色い固体が得られた。これを水に溶解すると、λmax=425nmとεmax=31,000dm3mol-1cm-1であった。
【0055】
実施例3
【0056】
【化5】
【0057】
の製造
3-(4-アミノ-フェニルアゾ)-ナフタレン-1,5-ジスルホン酸(13g)を水(300ml)にpH7で溶解した。亜硝酸ナトリウム(1.8g)を添加した。この溶液を0〜5℃に冷却し、濃塩酸(8ml)を添加し、この懸濁液を5℃で30分間撹拌した。次いでスルファミン酸(0.5g)を添加し、水(150ml)に溶解したバルビツール酸(3.6g)が入ったビーカーにこの混合物を5℃で注いだ。炭酸ナトリウム溶液を使用して、pHを5〜6に調節した。2時間撹拌した後、反応が完了した。得られた沈殿物を濾過により集め、少量の水で洗浄し、乾燥すると、黄色い固体が得られた。これを水に溶解すると、λmax=422nmとεmax=31,000dm3mol-1cm-1であった。
【0058】
実施例4
【0059】
【化6】
【0060】
の製造
3-(4-アミノ-2-メトキシフェニルアゾ)-ベンゼンスルホン酸(9.5g)を水(300ml)にpH7で溶解した。亜硝酸ナトリウム(2.0g)を添加した。この溶液を0〜5℃に冷却し、濃塩酸(10ml)を添加し、この懸濁液を5℃で60分間撹拌した。次いでスルファミン酸(0.5g)を添加し、水(150ml)に溶解したバルビツール酸(3.8g)が入ったビーカーにこの混合物を5℃で注いだ。炭酸ナトリウム溶液を使用して、pHを5〜6に調節した。2時間撹拌した後、反応が完了した。得られた沈殿物を濾過により集め、少量の水で洗浄し、乾燥すると、黄色い固体が得られた。これを水に溶解すると、λmax=432nmとεmax=34,000dm3mol-1cm-1であった。
【0061】
実施例5
【0062】
【化7】
【0063】
の製造
3-(4-アミノ-2-メトキシフェニルアゾ)-ベンゼンスルホン酸の代わりに、3-(4-アミノ-3-メトキシフェニルアゾ)ベンゼンスルホン酸を使用した以外には、実施例4の製造法を繰り返して、上記染料を合成した。黄色い固体が生成し、これを水に溶解すると、λmax=446nmとεmax=36,000dm3mol-1cm-1であった。
【0064】
実施例6
【0065】
【化8】
【0066】
の製造
3-(4-アミノ-2-メトキシフェニルアゾ)-ベンゼンスルホン酸の代わりに、3-(4-アミノ-2,5-ジメチルフェニルアゾ)ベンゼン-1,4-ジスルホン酸を使用した以外には、実施例4の製造法を繰り返して、上記染料を合成した。黄色い固体が得られ、これを水に溶解すると、λmax=441nmとεmax=34,000dm3mol-1cm-1であった。
【0067】
実施例7
インク1の製造
実施例1の化合物(3g)を、重量比5:5:1で2-ピロリドン/チオジグリコール/Surfynol(商標)465からなる液体媒体100ml中に溶解することにより、インク1を製造した。
【0068】
実施例8
インク2の製造
実施例1の化合物(1.5g)とFast Yellow2(1.5g)とを、5:5:1の割合で2-ピロリドン/チオジグリコール/Surfynol(商標)465からなる液体媒体100mlに溶解することにより、インク2を製造した。
【0069】
実施例9
インク3の製造
実施例4の化合物(3g)を、5:5:1の割合で2-ピロリドン/チオジグリコール/Surfynol(商標)465からなる液体媒体100ml中に溶解することにより、インク3を製造した。
【0070】
実施例10
インクジェット印刷
Hewlett Packard DeskJet550C(商標)を使用して、種々の紙の上にインク1〜3をインクジェット印刷した。それぞれの印刷物のCIE色座標(a、b、L、彩度C及び色相h)を、Xrite983(商標)スペクトロデンシトメーターを使用し、0゜/45゜測定幾何学、20nmスペクトル間隔、400〜700nmのスペクトル範囲で、イルミナントCを使用し、2゜(CIE1931)のオブザーバー角度と状態Tの密度操作で測定した。10mm×10mmより大きいサイズの印刷物上のべた一色のブロックを対角線上に横切って、2回以上の測定を実施した。得られた印刷物の特性を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
耐光堅牢度
耐光堅牢度を評価するために、印刷物をAtlas Ci35ウェザロメーター(Weatherometer)中で100時間照射した。この結果を表2に示す。表中、退色度は△Eで表し、数字が小さいと耐光堅牢度が高いことを表す。△Eは、印刷物のCIE色座標L*、a*、b*における全体の変化として定義され、等式:△E=(△L2+△a2+△b2)0.5により表される。
【0073】
【表2】
【0074】
耐オゾン性
Canon 4300 IJプリンタを使用して、示されている基体上にインク1〜3を印刷した。次いで、この印刷した基体を、Hampden試験装置製のオゾン試験キャビネットを使用して、オゾン安定性について評価した。この試験は、オゾン1億分の400部(parts per hundred million)の存在下、40℃及び55%相対湿度で2時間半実施した。印刷したインクのオゾンに対する耐性は、Xrite 983スペクトロデンシトメーターを使用して、オゾンに暴露する前後の光学密度の差によって判断した。従って、ODの%損失が小さいほど、耐オゾン性が高い。結果を表3に示し、これらの結果は、本発明の染料をベースとするインクが優れた耐オゾン性を示すことをはっきりと実証している。
【0075】
【表3】
【0076】
インク及びインクジェット印刷
実施例1及び2に記載の化合物を、好適な液体媒体に溶解し、0.45μmフィルタで溶液を濾過することによって、インクに配合することができる。たとえば、好適なインクは、5部の2-ピロリドン、5部のチオジグリコール、2部のSurfynol(商標)465(Air Products、Inc製の非イオン性界面活性剤)と88部の水からなる液体媒体96.5部に、本化合物3.5部を含む。
【0077】
紙にインクジェット印刷すると、高い耐水性、高い耐光堅牢度、耐オゾン性、及び高い光学密度をもつ、明るい黄色(bright yellow)の色相である印刷物が得られた。
追加のインク
表I及びIIに記載のインクを製造した。第一欄に記載の染料は、その番号の上記実施例で製造した化合物である。第二欄に引用した数字は、該当する成分の部数を指し、全ての部は重量である。このインクは、サーマルインクジェット印刷または圧電インクジェット印刷により紙に適用することができる。
【0078】
以下の略号を表Iと表IIで使用する:PG=プロピレングリコール;DEG=ジエチレングリコール;NMP=N-メチルピロリドン;DMK=ジメチルケトン;IPA=イソプロパノール;MEOH=メタノール;2P=2-ピロリドン;MIBK=メチルイソブチルケトン;P12=プロパン-1,2-ジオール;BDL=ブタン-2,3-ジオール;CET=セチルアンモニウムブロミド;PHO=Na2HPO4及びTBT=三級ブタノール;TDG=チオジグリコール。
【0079】
【表4】
【0080】
【表5】
本発明は、化合物、これらの化合物を含有する組成物、インク、印刷プロセス、印刷した基体(substrate)、及びインクジェットプリンタカートリッジに関する。
インクジェット印刷(IJP)は、ノズルを基体に接触させないでインク液滴が細いノズルから基体上に噴射される非-衝撃印刷法である。
【0002】
IJPで使用される染料及びインクに対しては多くの厳しい性能要件がある。例えば、これらの染料及びインクは、優れた耐水堅牢度、耐光性、耐オゾン性及び光学密度をもつ、はっきりした、にじみのない画像を提供するのが望ましい。基体に適用したときにぼやけないようにするためにインクが早く乾燥することが求められることが多いが、クラストでプリンタが止まってしまうので、インクジェットノズルのチップにクラストができないようにしなければならない。また、このインクは細いノズルを塞いでしまう沈殿物を形成したり分解することなく、長期間の貯蔵でも安定でなければならない。
【0003】
フォトリアリズム品質の印刷物にとって特に問題となるのは、耐光性である。印刷物は長期にわたって日光に暴露されることが多いので、できるだけ耐光性の高い画像が求められている。しかしながら、同時に、インクジェットのフォトリアリズム品質の印刷物は、ハロゲン化銀の写真と競合しなければならないので、IJPインクで使用する染料は、桁外れに高価にはできない。大気のオゾンと反応する印刷物中の着色剤は、耐光性が低いことの大きな原因となっていることがある。
【0004】
本発明は、優れた耐オゾン性と耐光性とを備えた、インクジェット印刷用インクと、インクジェット印刷プロセスとで使用するのに好適な着色剤に関する。
本発明により、媒体と、式(1):
【0005】
【化1】
【0006】
{式中、Aは場合により置換されたアリールであり;Bは、場合により置換されたアリーレンであり;及びR1とR2とは、それぞれ独立してHまたは場合により置換されたアルキルである}の化合物とを含む組成物を、インクジェットプリンタによって基体に適用することを含む、基体の着色化プロセスを提供する。
【0007】
このインクジェットプリンタは、基体上に小さいオリフィスを通して噴射される液滴の状態で組成物を基体に適用するのが好ましい。好ましいインクジェットプリンタは、圧電性インクジェットプリンタ及びサーマルインクジェットプリンタである。サーマルインクジェットプリンタでは、プログラムされた熱パルスがオリフィスに隣接するレジスタによってリザーバ中のインクに適用され、これによって基体とオリフィスとの間の相対的運動の間に紙の方へ向けられた小さな液滴の形態で組成物を噴射する。圧電性インクジェットプリンタでは、小さな結晶の振動によってオリフィスから組成物が噴射される。あるいは、インクは、たとえばPCT国際公開第WO00/48938号及び同第WO00/55089号に記載の如き移動可能なパドルまたはプランジャーに接続された電気機械式アクチュエータによって噴射することができる。
【0008】
基体は好ましくは、紙、プラスチック、テキスタイル(布)、金属またはガラスであり、紙、オーバーヘッドプロジェクタースライドまたはテキスタイル材料がより好ましく、紙が特に好ましい。
【0009】
好ましい紙は、酸性、アルカリ性または中性であってもよい、普通紙(plain papar)、コーティング紙または加工紙(treated paper)である。
Aは、場合により置換されたフェニルまたは場合により置換されたナフチルであるのが好ましい。
【0010】
Bは、場合により置換されたフェニレンまたは場合により置換されたナフチレンであるのが好ましい。Aは場合により置換されたフェニルであり、Bは場合により置換されたフェニレンであるのがより好ましい。
【0011】
AまたはBに独立して存在し得る好ましい任意の置換基としては、場合により置換されたアルキル(好ましくはC1-4-アルキル)、場合により置換されたアルコキシ(好ましくはC1-4-アルコキシ)、場合により置換されたアリール(好ましくはフェニル)、場合により置換されたアリールオキシ(好ましくはフェノキシ)、ポリアルキレンオキシド(好ましくはポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシド)、カルボキシ、ホスファト、スルホ、ニトロ、シアノ、ハロ、ウレイド、SO2F、ヒドロキシ、エステル、-NR3R4、-COR3、-CONR3R4、-NHCOR3、カルボキシエステル、スルホン及び-SO2NR3R4[ここで、R3及びR4は、それぞれ独立してHまたは場合により置換されたアルキル(特にC1-4-アルキル)である]がある。
【0012】
AまたはBに独立して存在し得るより好ましい任意の置換基としては、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、カルボキシ、ホスファト、スルホ、ニトロ、フェノキシ、シアノ、カルボキシエステル、スルホン、スルホンアミド、ウレイド、SO2NR3R4またはNHCOR3基であり、ここでR3及びR4は、上記定義の如きである。
【0013】
Aが場合により置換されたナフチルであるか、またはBが場合により置換されたナフチレンであるとき、A及び/またはBは、ヒドロキシ、アミノ、スルホ及びカルボキシから選択される一つ以上(好ましくは1〜4個の)置換基を保持するのが好ましい。
【0014】
Aが場合により置換されたフェニルであるか、またはBが場合により置換されたフェニレンであるとき、A及び/またはBは、ヒドロキシ、ホスファト、アミノ、スルホ及びカルボキシから選択される少なくとも1個の置換基を保持するのが好ましい。Aが場合により置換されたフェニルであるか、またはBが場合により置換されたフェニレンであるとき、A及びBはそれぞれ独立して少なくとも1個のカルボキシまたはスルホ置換基を保持するのがより好ましい。
【0015】
R1及びR2は、それぞれ独立してHまたはC1-4-アルキルであるのが好ましく、R1及びR2はHであるのがより好ましい。
好ましくは、式(1)の化合物は、1、2または3個の水分散性置換基(water-dispersing substituent)をもつ。好ましい水分散性置換基としては、ポリアルキレンオキシド、スルホ、ホスファト及びカルボキシがあり、スルホ及びカルボキシがより好ましい。
【0016】
好ましいポリアルキレンオキシド基は、ポリ(C2-3-アルキレンオキシド)基であり、好ましくは1〜20個のグリコール単位を持ち、且つヒドロキシまたはC1-4-アルコキシ基で末端停止したポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールがより好ましい。
【0017】
式(1)の化合物は水溶性であるのが好ましい。
式(1)の化合物は、テキスタイルに対して反応性を有する基を含まないのが好ましい。
【0018】
式(1)の化合物がジスアゾ(disazo)であるのも好ましい。
上記の好ましい例を考慮すると、式(1)の好ましい化合物は、以下に記載する式(2)の化合物である。
【0019】
本化合物上の任意の酸性基または塩基性基は、塩の形態であるのが好ましい。従って、本明細書中に示されている式は、遊離酸または塩の形態の化合物を包含する。
好ましい塩は、アルカリ金属塩、特にリチウム、ナトリウム及びカリウム、アンモニウム及び置換アンモニウム塩[(CH3)4N+等の四級アミンを含む]並びにそれらの混合物である。特に好ましいものは、ナトリウム、リチウム、アンモニア及び揮発性アミン類との塩であり、ナトリウム塩がより好ましい。本化合物は、公知方法を使用して塩に転換させることができる。
【0020】
式(1)と式(2)の化合物は、本明細書中で示されているもの以外の互変異性体の形でも存在することができる。これらの互変異性体は、本発明の範囲内に含まれる。
好ましくは、本組成物は、
(a)上記定義の如き式(1)の化合物、好ましくは下記定義の如き式(2)の化合物0.01〜30部と、
(b)媒体70〜99.99部
とを含み、ここで全ての部は、重量であり、(a)と(b)の部数の合計=100である。
【0021】
この媒体は液体媒体であるのが好ましい。
成分(a)の部数は、0.1〜20であるのが好ましく、0.5〜15であるのがより好ましく、1〜5部であるのが特に好ましい。成分(b)の部数は、99.9〜80であるのが好ましく、99.5〜85がより好ましく、99〜95部が特に好ましい。
【0022】
もちろん、本組成物は、(a)と(b)とに加えて、さらなる成分を含んでもよい。
成分(a)は成分(b)に完全に溶解するのが好ましい。成分(a)は、20℃で成分(b)に少なくとも10%の溶解性をもつのが好ましい。これによって、より希薄なインクを製造するのに使用できる液体濃縮物の製造が可能になり、貯蔵時に液体媒体の蒸発が起きても、成分(a)が沈澱する可能性も低くなる。
【0023】
好ましい液体媒体としては、水、水と有機溶媒との混合物、水を含まない有機溶媒が挙げられる。
液体媒体が水と有機溶媒との混合物を含むとき、水対有機溶媒の重量比は、99:1〜1:99が好ましく、99:1〜50:50であるのがより好ましく、95:5〜80:20が特に好ましい。
【0024】
水と有機溶媒との混合物中に配合される前記有機溶媒は、水混和性の有機溶媒であるか、またはそのような溶媒の混合物であるのが好ましい。好ましい水混和性有機溶媒の例としては、C1-6-アルカノール類、好ましくはメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-ペンタノール、シクロペンタノール及びシクロヘキサノール;線状アミド類、好ましくはジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミド;ケトン類及びケトン-アルコール類、好ましくはアセトン、メチルエーテルケトン、シクロヘキサノン及びジアセトンアルコール;水混和性エーテル類、好ましくはテトラヒドロフラン及びジオキサン;ジオール類、好ましくは2〜12個の炭素原子を持つジオール類、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール及びチオジグリコール並びにオリゴ-及びポリ-アルキレングリコール類、好ましくはペンタン-1,5-ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール;トリオール類、好ましくはグリセロール及び1,2,6-ヘキサントリオール;ジオール類のモノ-C1-4-アルキルエーテル類、好ましくは2〜12個の炭素原子をもつジオール類のモノ-C1-4-アルキルエーテル類、特に2-メトキシエタノール、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、2-(2-エトキシエトキシ)-エタノール、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、2-[2-(2-エトキシエトキシ)-エトキシ]-エタノール及びエチレングリコールモノアリルエーテル;環式アミド類、好ましくは2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、カプロラクタム及び1,3-ジメチルイミダゾリドン;環式エステル類、好ましくはカプロラクトン;スルホキシド類、好ましくはジメチルスルホキシド及びスルホランが挙げられる。好ましい液体媒体は、水と、2種以上、特に2〜8種類の水混和性有機溶媒とを含む。
【0025】
特に好ましい水混和性有機溶媒は、環式アミド類、特に2-ピロリドン、N-メチル-ピロリドン及びN-エチル-ピロリドン;ジオール類、特にペンタン-1,5-ジオール、エチレングリコール、チオジグリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール;並びにジオール類のモノ-C1-4-アルキル及びC1-4-アルキルエーテル類、より好ましくは、2〜12個の炭素原子を持つジオール類のモノ-C1-4-アルキルエーテル類、特に2-メトキシ-2-エトキシ-2-エトキシエタノールである。
【0026】
必ずしも必要ではないが、さらに着色剤を本発明の組成物媒体に添加して、本組成物の組成物特性及び色相を修正することができる。そのような着色剤の例としては、C.I.Direct Yellow86、132、142及び173;C.I.Direct Blue199及び307;C.I.Food Black2;Direct Black168及び195;Acid Yellow23;並びにSeiko Epson Corporation、Hewlett Packard Company、Canon.Inc及びLexmark Internationalにより販売されているインクジェットプリンタで使用されるどんな染料もが挙げられる。そのようなさらなる着色剤は、全体の溶解性を高めることができるので、得られた組成物のコゲーション(kogation:ノズル閉塞)が少なくなる。
【0027】
特に本組成物にC.I.Direct Yellow173を添加するのが好ましい。
水と一種以上の有機溶媒との混合物を含むさらなる好適な液体媒体の例は、米国特許第4,963,189号、同第4,703,113号、同第4,626,284号及び欧州特許第EP4,251,50A号に記載されている。
【0028】
この液体媒体が、水を含まない有機溶媒(則ち、1重量%未満の水)を含むとき、この溶媒は30℃〜200℃の沸点をもつのが好ましく、40℃〜150℃の沸点がより好ましく、50〜125℃の沸点が特に好ましい。この有機溶媒は、水非混和性溶媒、水混和性溶媒またはそのような溶媒の混合物であってもよい。好ましい水混和性有機溶媒は、上記任意の水混和性有機溶媒及びそれらの混合物である。好ましい水非混和性の溶媒としては、たとえば脂肪族炭化水素類;エステル類、好ましくは酢酸エチル;塩素化炭化水素類、好ましくはCH2Cl2;及びエーテル類、好ましくはジエチルエーテル;並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0029】
この液体媒体が水非混和性有機溶媒を含むとき、極性溶媒を含むのが好ましい。というのも、極性溶媒は液体媒体中で染料の溶解性を高めるからである。極性溶媒の例としては、C1-4-アルコール類が挙げられる。上記の好ましいものの観点から、液体媒体が水を含まない有機溶媒である場合、ケトン(特にメチルエチルケトン)及び/またはアルコール(特にC1-4-アルカノール、特にエタノールまたはプロパノール)を含むのが、特に好ましい。
【0030】
水を含まない有機溶媒は、1種類の有機溶媒または、2種以上の有機溶媒の混合物であってもよい。この媒体が水を含まない有機溶媒である場合、2〜5種の異なる有機溶媒の混合物であるのが好ましい。これによって、組成物の乾燥特性及び貯蔵安定性をうまく制御することができる媒体を選択することができる。
【0031】
水を含まない有機溶媒を含む液体媒体は、早い乾燥時間が要求される場合、特に疎水性で非吸収性の基体、たとえばプラスチック、金属及びガラスに印刷するときに特に有用である。
【0032】
本組成物は、10μm未満の平均孔径、より好ましくは3μm未満、特に2μm未満、さらには1μm未満の孔径を持つフィルタで濾過したのが好ましい。この濾過によって、多くのインクジェットプリンタで見られる細いノズルを閉塞させてしまうような粒状物質を除去する。
【0033】
本組成物は、ハロゲン化物イオンを全部で500ppm未満、より好ましくは250ppm未満、特に100ppm未満、さらには10ppm未満含むのが好ましい。
本組成物は、組成物の全重量に対して二価金属イオンと三価金属イオン(インクの成分に結合している全ての二価及び三価金属イオン以外)の総濃度が100万分の1000重量部(parts per million by weight)未満、より好ましくは100万分の500重量部未満、特に100万分の100重量部未満、さらに100万分の20重量部未満、特に100万分の10重量部未満であるのが好ましい。この種の純粋な組成物は、高純度成分を使用するか、及び/または製造後に組成物を精製することによって製造することができる。好適な精製法は公知であり、たとえば限界濾過、逆浸透、イオン交換及びこれらの組合せがある。
【0034】
従って、特に好ましい組成物とは、1000ppm未満の二価金属イオン及び三価金属イオン(インクの成分に結合している全ての二価及び三価金属イオン以外)を含み、且つ10μm未満の平均孔径をもつフィルタで濾過した組成物である。
【0035】
特に好ましい組成物は、1000ppm未満の二価及び三価金属イオン(インクの成分に結合している全ての二価及び三価金属イオン以外)と、500ppm未満のハロゲン化物イオンとを含み、且つ10μm未満の平均孔径をもつフィルタで濾過した組成物である。
【0036】
本液体媒体は、インクジェット印刷用インクで慣用的に使用される添加剤、たとえば、粘度及び表面張力調節剤、腐蝕防止剤、殺生物剤、コゲーション防止添加剤(kogation reducing additives)及び、イオン性または非イオン性であってもよい界面活性剤を含んでいてもよい。
【0037】
本発明の第二の側面では、本発明の第一の側面に従ったプロセスにより印刷した基体、特に紙、オーバーヘッドプロジェクター用スライド、テキスタイル材料、プラスチック、ガラス及び金属を提供する。この基体は紙であるのが好ましい。
【0038】
好ましい紙は、酸性、アルカリ性または中性であってもよい、普通紙、コーティング紙または加工紙である。
本発明の第三の側面では、上記定義の如き式(1)の化合物と、水と有機溶媒または水を含まない有機溶媒との混合物を含む媒体とを含む組成物であって、前記組成物は組成物の全重量に対して100万分の1000重量部未満の二価金属イオンと三価金属イオンとの総濃度(インクの成分に結合している全ての二価及び三価金属イオン以外)を含むか、及び/または500ppm未満のハロゲン化物イオンであるか、及び/または10μm未満の平均孔径のフィルタで濾過した、前記組成物を提供する。
【0039】
本組成物の二価と三価の金属イオンの総濃度(インクの成分と結合した全ての二価と三価の金属イオン以外)は、組成物の全重量に対して100万分の500重量部未満、より好ましくは100万分の100重量部未満、特に100万分の20重量部未満、さらに100万分の10重量部未満である。
【0040】
本組成物は、3μm未満の平均孔径、より好ましくは2μm未満、特に1μm未満の平均孔径のフィルタで濾過してあるのが好ましい。
本組成物は、ハロゲン化物イオンを250ppm未満含むのが好ましく、100ppm未満がより好ましく、10ppm未満が特に好ましい。
【0041】
式(1)の化合物は、以下に定義の如き式(2)の化合物であるのが好ましい。
水と有機溶媒と水を含まない有機溶媒との好ましい混合物は、本発明の第一の側面に記載の如きである。
【0042】
本発明の第三の側面に従った組成物は、高純度の成分を使用し、及び/または製造後に組成物を精製することにより製造するのが好ましい。好適な精製法は公知であり、例えば限外濾過、逆浸透、イオン交換及びこれらの組合せ(本発明に従った組成物に配合する前後)である。この精製によって、その合成で発生した無機塩と副生成物との実質的に全てを除去する。そのような精製法は、インクジェットプリンタで使用するのに好適な低粘度の水溶液の製造の役立つ。
【0043】
本組成物は、インクジェット印刷用インクまたは液体染料濃縮物であるのが好ましい。濃縮物は、着色剤を輸送するための手段として有用であるので、化合物を乾燥したり、過剰量の液体を輸送する上でのコストを最小化することができる。
【0044】
本発明の第四の側面では、式(1)の化合物、但し、これは少なくとも1つのカルボキシ基を含む、または式(2)若しくは式(3):
【0045】
【化2】
【0046】
{式中、Xは水分散性置換基であり;pは1〜5であり;qは0〜4であり;Dは場合により置換されたナフチルであり;Eは場合により置換されたフェニレンであり;及びR1とR2とはそれぞれ独立してHまたは場合により置換されたアルキルである}の化合物を提供する。
【0047】
Xはそれぞれ独立してスルホまたはカルボキシであるのが好ましい。
pは1または2であるのが好ましい。
qは0または1であるのが好ましい。
【0048】
Dは、少なくとも1個の水分散性置換基を保持するのが好ましく、Dは少なくとも1個のスルホ及び/または1個のカルボキシを保持するのがより好ましい。
本発明の第五の側面では、チャンバと組成物とを含むインクジェットプリンタカートリッジであって、前記組成物がチャンバ内にあり、前記組成物が本発明の第三の側面に記載の如きである、前記インクジェットプリンタカートリッジを提供する。
【0049】
本発明を以下の実施例によって詳細に説明する。他に記載しない限り、全ての部と割合は重量基準である。
実施例1
【0050】
【化3】
【0051】
の製造
C.I.Acid Yellow9(4g)をpH6で水(150ml)に溶かした。この溶液を0〜5℃に冷却し、濃塩酸(5ml)、続いて亜硝酸ナトリウム(0.8g)を添加し、この懸濁液を5℃で30分間撹拌した。スルファミン酸(0.5g)を添加し、水(150ml)に溶かしたバルビツール酸(1.3g)が入ったビーカーに5℃で、この混合物を注いだ。このpHを2moldm-3水酸化ナトリウム溶液でpH5〜6に調節した。2時間撹拌した後に、反応が完了した。沈殿物を濾過により集め、少量の水で洗浄し、乾燥すると、黄色い固体が得られた。これを水に溶解すると、λmax=417nmとεmax=40,000dm3mol-1cm-1であった。
【0052】
実施例2
【0053】
【化4】
【0054】
の製造
硫酸(20ml)を0〜10℃で撹拌し、亜硝酸ナトリウム(0.8g)を徐々に添加した。次いで4-アミノ-3',5'-ジカルボキシアゾベンゼン(4g)を添加し、その後86:14の酢酸:プロピオン酸混合物(20ml)を添加した。この混合物を0〜10℃で1時間撹拌した。得られた懸濁液を、バルビツール酸(1.3g)、スルファミン酸(0.5g)と水(150ml)の撹拌溶液に、0〜10℃で添加した。このpHを2moldm-3水酸化ナトリウム溶液でpH5〜6に調節し、2時間撹拌して、反応を完了させた。塩化ナトリウムを添加して表記化合物を沈澱させた。この沈殿物を濾過により集め、乾燥すると、黄色い固体が得られた。これを水に溶解すると、λmax=425nmとεmax=31,000dm3mol-1cm-1であった。
【0055】
実施例3
【0056】
【化5】
【0057】
の製造
3-(4-アミノ-フェニルアゾ)-ナフタレン-1,5-ジスルホン酸(13g)を水(300ml)にpH7で溶解した。亜硝酸ナトリウム(1.8g)を添加した。この溶液を0〜5℃に冷却し、濃塩酸(8ml)を添加し、この懸濁液を5℃で30分間撹拌した。次いでスルファミン酸(0.5g)を添加し、水(150ml)に溶解したバルビツール酸(3.6g)が入ったビーカーにこの混合物を5℃で注いだ。炭酸ナトリウム溶液を使用して、pHを5〜6に調節した。2時間撹拌した後、反応が完了した。得られた沈殿物を濾過により集め、少量の水で洗浄し、乾燥すると、黄色い固体が得られた。これを水に溶解すると、λmax=422nmとεmax=31,000dm3mol-1cm-1であった。
【0058】
実施例4
【0059】
【化6】
【0060】
の製造
3-(4-アミノ-2-メトキシフェニルアゾ)-ベンゼンスルホン酸(9.5g)を水(300ml)にpH7で溶解した。亜硝酸ナトリウム(2.0g)を添加した。この溶液を0〜5℃に冷却し、濃塩酸(10ml)を添加し、この懸濁液を5℃で60分間撹拌した。次いでスルファミン酸(0.5g)を添加し、水(150ml)に溶解したバルビツール酸(3.8g)が入ったビーカーにこの混合物を5℃で注いだ。炭酸ナトリウム溶液を使用して、pHを5〜6に調節した。2時間撹拌した後、反応が完了した。得られた沈殿物を濾過により集め、少量の水で洗浄し、乾燥すると、黄色い固体が得られた。これを水に溶解すると、λmax=432nmとεmax=34,000dm3mol-1cm-1であった。
【0061】
実施例5
【0062】
【化7】
【0063】
の製造
3-(4-アミノ-2-メトキシフェニルアゾ)-ベンゼンスルホン酸の代わりに、3-(4-アミノ-3-メトキシフェニルアゾ)ベンゼンスルホン酸を使用した以外には、実施例4の製造法を繰り返して、上記染料を合成した。黄色い固体が生成し、これを水に溶解すると、λmax=446nmとεmax=36,000dm3mol-1cm-1であった。
【0064】
実施例6
【0065】
【化8】
【0066】
の製造
3-(4-アミノ-2-メトキシフェニルアゾ)-ベンゼンスルホン酸の代わりに、3-(4-アミノ-2,5-ジメチルフェニルアゾ)ベンゼン-1,4-ジスルホン酸を使用した以外には、実施例4の製造法を繰り返して、上記染料を合成した。黄色い固体が得られ、これを水に溶解すると、λmax=441nmとεmax=34,000dm3mol-1cm-1であった。
【0067】
実施例7
インク1の製造
実施例1の化合物(3g)を、重量比5:5:1で2-ピロリドン/チオジグリコール/Surfynol(商標)465からなる液体媒体100ml中に溶解することにより、インク1を製造した。
【0068】
実施例8
インク2の製造
実施例1の化合物(1.5g)とFast Yellow2(1.5g)とを、5:5:1の割合で2-ピロリドン/チオジグリコール/Surfynol(商標)465からなる液体媒体100mlに溶解することにより、インク2を製造した。
【0069】
実施例9
インク3の製造
実施例4の化合物(3g)を、5:5:1の割合で2-ピロリドン/チオジグリコール/Surfynol(商標)465からなる液体媒体100ml中に溶解することにより、インク3を製造した。
【0070】
実施例10
インクジェット印刷
Hewlett Packard DeskJet550C(商標)を使用して、種々の紙の上にインク1〜3をインクジェット印刷した。それぞれの印刷物のCIE色座標(a、b、L、彩度C及び色相h)を、Xrite983(商標)スペクトロデンシトメーターを使用し、0゜/45゜測定幾何学、20nmスペクトル間隔、400〜700nmのスペクトル範囲で、イルミナントCを使用し、2゜(CIE1931)のオブザーバー角度と状態Tの密度操作で測定した。10mm×10mmより大きいサイズの印刷物上のべた一色のブロックを対角線上に横切って、2回以上の測定を実施した。得られた印刷物の特性を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
耐光堅牢度
耐光堅牢度を評価するために、印刷物をAtlas Ci35ウェザロメーター(Weatherometer)中で100時間照射した。この結果を表2に示す。表中、退色度は△Eで表し、数字が小さいと耐光堅牢度が高いことを表す。△Eは、印刷物のCIE色座標L*、a*、b*における全体の変化として定義され、等式:△E=(△L2+△a2+△b2)0.5により表される。
【0073】
【表2】
【0074】
耐オゾン性
Canon 4300 IJプリンタを使用して、示されている基体上にインク1〜3を印刷した。次いで、この印刷した基体を、Hampden試験装置製のオゾン試験キャビネットを使用して、オゾン安定性について評価した。この試験は、オゾン1億分の400部(parts per hundred million)の存在下、40℃及び55%相対湿度で2時間半実施した。印刷したインクのオゾンに対する耐性は、Xrite 983スペクトロデンシトメーターを使用して、オゾンに暴露する前後の光学密度の差によって判断した。従って、ODの%損失が小さいほど、耐オゾン性が高い。結果を表3に示し、これらの結果は、本発明の染料をベースとするインクが優れた耐オゾン性を示すことをはっきりと実証している。
【0075】
【表3】
【0076】
インク及びインクジェット印刷
実施例1及び2に記載の化合物を、好適な液体媒体に溶解し、0.45μmフィルタで溶液を濾過することによって、インクに配合することができる。たとえば、好適なインクは、5部の2-ピロリドン、5部のチオジグリコール、2部のSurfynol(商標)465(Air Products、Inc製の非イオン性界面活性剤)と88部の水からなる液体媒体96.5部に、本化合物3.5部を含む。
【0077】
紙にインクジェット印刷すると、高い耐水性、高い耐光堅牢度、耐オゾン性、及び高い光学密度をもつ、明るい黄色(bright yellow)の色相である印刷物が得られた。
追加のインク
表I及びIIに記載のインクを製造した。第一欄に記載の染料は、その番号の上記実施例で製造した化合物である。第二欄に引用した数字は、該当する成分の部数を指し、全ての部は重量である。このインクは、サーマルインクジェット印刷または圧電インクジェット印刷により紙に適用することができる。
【0078】
以下の略号を表Iと表IIで使用する:PG=プロピレングリコール;DEG=ジエチレングリコール;NMP=N-メチルピロリドン;DMK=ジメチルケトン;IPA=イソプロパノール;MEOH=メタノール;2P=2-ピロリドン;MIBK=メチルイソブチルケトン;P12=プロパン-1,2-ジオール;BDL=ブタン-2,3-ジオール;CET=セチルアンモニウムブロミド;PHO=Na2HPO4及びTBT=三級ブタノール;TDG=チオジグリコール。
【0079】
【表4】
【0080】
【表5】
Claims (12)
- 式(1)の化合物において、Aが場合により置換されたフェニルであり、Bが場合により置換されたフェニレンである、請求項1に記載のインクジェット印刷プロセス。
- 式(1)の化合物において、R1とR2とはそれぞれ独立してHまたはC1-4アルキルである、請求項1または2のいずれかに記載のインクジェット印刷プロセス。
- 前記媒体が液体媒体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット印刷プロセス。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロセスにより印刷した基体、特に紙、オーバーヘッドプロジェクター用スライド、テキスタイル材料、プラスチック、ガラス及び金属。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の式(1)の化合物と、水と有機溶媒との混合物または水を含まない有機溶媒を含む媒体との組成物であって、前記組成物の全重量に対して100万分の1000重量部未満の二価と三価金属イオンとの総濃度を含む、前記組成物。
- 10μm未満の平均孔サイズをもつフィルタを通して濾過した、請求項6に記載の組成物。
- 二価金属イオンと三価金属イオンとの総濃度が100ppm未満である、請求項6または7のいずれかに記載の組成物。
- インクジェット印刷用インクまたは液体染料の濃縮物である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の組成物。
- 式(2)の化合物において、Xがそれぞれ独立してスルホまたはカルボキシである、請求項10に記載の化合物。
- チャンバと組成物とを含むインクジェットプリンタカートリッジであって、前記組成物がチャンバ内にあり、前記組成物が請求項6〜9のいずれか1項に記載のものである、前記インクジェットプリンタカートリッジ。
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