JP2004533260A - 変異原性物質の検出方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、変異原性物質の迅速な検出方法および手段に関する。
細菌の変異原性試験や遺伝毒性試験は、化学および医薬産業の製品開発において、並びに環境サンプル(産業廃液、地表水、室内空気の結露、堆積物、浮遊物、土壌サンプルなど)の日常的な解析において、選抜方法として近年重要な役割を担っている。最も頻繁に利用されている変異アッセイはエームズ(サルモネラ/ミクロソーム)変異原性試験であり、そしてそれは承認された手法および毒性試験の一環でもある(Ames,B.N., Lee, F.D. and Durston, W.E.; Proc. Acad. Sci. USA 70 (1973) pp. 782-786; OECD guidelines for the testing of chemicals)。その他の遺伝毒性試験は、例えば、マイクロプレート版がDIN(DIN 38415-3)およびISOに基づいて導入され標準化されたumu試験(Reifferscheid,G., Heil, J., Oda, Y. and Zahn, R.K., Mutation Res. 253 (1991) pp. 215-222)、SOSクロモテスト(Quillardet, P., Honfnung, M., Mutation Res. 147 (1985) pp. 65-78)、Vitotox(登録商標)アッセイ(van-der-Leilie-D, Reginiers, L., Borremens, B., Provoost, A., Verschaeve, L., Mutation Res. 389 (1997) pp. 279-90)などが知られている。
【0002】
umu試験、SOSクロモテストおよびVitotox(登録商標)アッセイは、遺伝毒性に起因する供試生物のネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)または大腸菌(Escherichia coli)のDNAの分子構造の変化を検出する。試験は、細菌SOSレギュロンの遺伝子の、遺伝毒性に起因する、誘導の測定に基づく。これらの遺伝子には、例えば、エラーしやすいDNA修復系(SOS修復;umu試験におけるumuDC遺伝子)、細胞分裂の阻害(SOSクロモテストにおけるsfiA遺伝子)、並びに修復および組み換え(Vitotox(登録商標)アッセイにおけるrecN遺伝子)におけるものを含む。検出は、光学的、発光的または蛍光的測定で行なわれる。検出手法はおのおののSOS遺伝子に連結された、(しばしばプラズミドに局在する)レポーターシステム(例えば、ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ)のタイプに依存する。
【0003】
umu試験は、環境解析に関心がある州当局や化学―医薬産業の企業において、環境のモニタリングや物質試験に用いられている。umu試験、SOSクロモテスト、Vitotox(登録商標)アッセイは、遺伝毒素の指標として、初期のDNA損傷の広い範囲をカバーしているが、しかしながら、これらの試験は変異の直接的な証拠を提供しない。変異と比較して、初期のDNA損傷は正しく修復され、影響を受けた器官に対しては何の意味ももたない。
【0004】
時折用いられる、さらなる遺伝毒性試験として、Mutatox(登録商標)試験が挙げられる(Bulich-A, Schriftenr. Ver. Wasser. Boden. Lufthyg. 89 (1992) 763-70)。この試験方法は、海水性発光細菌のビブリオ菌(Vibrio fisheri)の暗化変異における遺伝毒性を検出する。遺伝変異原処理後の発光の回復の正確な機構については未だ説明がなされていない。しかしながら、この発光の復活は、とくに遺伝子誘導(SOS試験umu試験、SOSクロモテストおよびVitotox(登録商標)アッセイと同様)または代替のDNAの挿入が影響し得ると思われる(Bulich and Ulitzur: The mode of action of genotoxic agents in the Mutatox(登録商標)-Test-System, Microbics Corp., unpublished circular; Arfsten, D.P., Davenport, R., Schaeffer, D.J., Biomed. Environ. Sci. 7 (1994) 144-9)。この試験は時折使用されるだけなので、エームズ試験などの変異誘発性試験との関連性は未だ結論が出ていない。「Mutatox(登録商標)」という名が意味する変異検出の想定とは対照的に、この試験方法は、他のSOS試験と同様の指示薬試験である。
【0005】
エームズ試験では、ヒスチジンオペロン(His operon)内での変異を介して、ヒスチジン無添加栄養培地(最小栄養培地を含む寒天プレート)での生育能力を欠くネズミチフス菌系統のものを用いる。解析する試料の変異誘発性を利用するこの測定法は、この遺伝毒性物質の影響下でのHisオペロン内の変異を介して形成された原栄養性His復帰変異体の数を測定する。従来のエームズ試験は、基板上での取り込みアッセイとして、異なる複数の変異特異系統(例えばTA98、TA100、TA1535およびTA97)によって行なわれる[Maron, D.M. and Ames, B.N.; Mutation Res. 113 (3-4), 1983, 173-215]。直接的な変異原性でない物質の代謝活性化および供試細菌に対し、ここで試験したサンプルは、軟寒天(soft agar)、緩衝液またはS9ミックスを伴なう寒天培地上に置く。供試物質は、インキュベーション時間中(48時間)、寒天培地内に、その可溶性依存的に異なる比率で拡散するので、細菌に作用するサンプルの正確な濃度は決定できない。それゆえこのタイプの適用は、投与量(例えば100μg/プレート)として参照する。
【0006】
AmesII(登録商標)試験[Gee, P., Maron, D.M. and Ames, B.N.; Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91, 1994, 11606-11610]は液体培養に切り替わり、そして384ウェルマイクロタイタープレート上で彷徨アッセイ(fluctuation assay)として行なわれているが、これは現在、濃度相関型解析として利用できる従来のエームズ試験の改良に相当する。His復帰変異体の生育により酸性化が起こり、それは選択培地中でのpH依存指示薬の色変化により示される。ここで色変化の強度は考慮に入れず、色変化について陽性のすべてのウェルを計数した。フレームシフト変異系統TA98に加え、可能な6塩基置換型に特異的な6系統(TA7001〜TA7006)を用いることができる。
【0007】
両方の試験形式において、エームズ試験は日常的な作業の自動化への機会が少ない。AmesII(登録商標)試験での部分的な自動化へ必要条件として、384ウェルマイクロタイタープレートへの活性評価と菌接種用の特別な研究装備が必要である。
【0008】
復帰変異の計測可能なコロニー(従来のエームズ試験)の生育と代謝誘導されるpHの降下(AmesII(登録商標))の両方とも、48時間のインキュベーション段階が必要であり、そしてそれは長い試験時間の原因である。加えて、栄養欠乏を介した復帰変異の選抜は、栄養素が混入されてもよい環境混合物の解析による擬陽性選出の危険性を伴う。試験に非特異的な細菌または菌類の生育を防止するために、長いインキュベーション時間および選抜のタイプには、試験実行の間の高い程度の無菌性がさらに要求される。
【0009】
膨大な時間、作業、原料が要求されるため、エームズ試験の使用はそれゆえ大量検体処理のためのスクリーニング方法に限られている。加えて、染色体内の標的遺伝子の位置が、置換変異を特異的に解析することをより困難にしている。変異のための標的遺伝子が、複数の遺伝子からなる大きなオペロンの一部であり、このことは実際の復帰変異の事象が他の遺伝子における変異によって覆い隠されうることを意味する。
【0010】
本発明の目的は、迅速な指示試験および高感度なエームズ試験の良好な特性を組み合せた変異試験を開発することである。それは迅速かつ自動的な実行により既知の指示試験とは区別され、そして高速大量処理スクリーニング(HTPスクリーニング)に好適である。
【0011】
従来、迅速かつ高感度な変異試験は、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)からなる群由来の特別に改変された供試系統株の助力により行われてきた。該系統株は、特異的な変異によってスイッチが切られるような選択マーカーとレポーターシステムを有している。用いた選択マーカーは、好ましくは、復帰変異後の復帰変異株が選択的な生育を可能にする抗生物質耐性遺伝子である。用いられるレポーターは、細胞数に対して優先的に比例して形成されるタンパク質である。変異が起こり、生育している細胞だけが、ストリンジェントに制御されたレポーターが誘導後発現する。測定は、直接的または間接的に呈色反応、発光シグナル、蛍光シグナル、電気的シグナルを介して行なわれる。細胞の育成によって形成だけされるレポーターシステムを介して間接的に検出される選択マーカーでは、特異的な組み合せにより、種々の変異でもよい。復帰変異によって回復した標的遺伝子の機能の直接的検出もまた、選択マーカーがレポーターシステムとしての特性を有する場合、可能である。実際の変異原性の検出は、従来技術におけるような細胞育成を介しては行われず、代わりにレポーターシステムの発現を介して行われ、たった数時間後の評価を可能にする。
【0012】
したがって本発明は、以下の変異原性試験において用いられる単離した原核生物の供試系統株に関する。
a)細菌毒性もしくは静菌性物質または影響因子(influences)に対する耐性遺伝子の形式の復帰変異型選択マーカー
b)間接的または直接的に測定可能なシグナルを導き、復帰変異細菌において選択的に検出できるレポーターシステム
【0013】
一態様において、選択マーカーは、レポーターシステムとしてもまた同時に使われ得る。例えば、ここでは選択マーカーとレポーターシステムとは同一のものである。
好ましい態様において、選択マーカーは、静菌作用を有するか、またはタンパク質の生合成を阻害する抗生物質に対する、抗生物質耐性遺伝子である。
選択マーカーは、特に好ましくは、テトラサイクリン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子またはストレプトマイシン耐性遺伝子である。
【0014】
好ましい態様において、レポーターシステムは、発現において、呈色反応、発光シグナルまたは蛍光シグナルを直接的または間接的に導く。
好ましい態様において、用いられるレポーターシステムは、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼまたはβ−ラクタマーゼ遺伝子またはオペロンである。
好ましいものとして、下記の特性の1または2以上を付加的に有する供試系統株も提供される:
−巨大脂溶性分子が浸透可能な細胞壁
−除去修復能力欠損
−SOS系の機能的な調節ユニット
−変異誘発遺伝子umuDCおよび/またはmucAB
【0015】
本発明はまた、実質的に以下の段階によって特徴付けられる変異原の検出方法にも関する。
a)本発明にしたがう少なくとも1つの供試系統株の準備、
b)段階a)からの供試系統株の、潜在的な変異原とのインキュベーション、
c)生育能力を有する復帰変異体の選抜、
d)必要に応じ、レポーターシステムのインキュベーション(レポーターシステムが同時に選択マーカーである、または生育の監視を介した検出だけがなされる場合は不必要)、
e)直接または間接的な、レポーターシステムの遺伝子産物の検出および/または復帰変異系統株の生育の検出。
【0016】
段階a)において、「少なくとも1つの供試系統株」という用語は、1つまたは2つ以上の供試系統株または少なくとも2つの供試系統株の混合物が提供されることを意味する。
一態様において、段階e)における選択マーカーは、レポーターシステムとして用いられ、選択マーカーの遺伝子産物の検出がレポーターシステムの遺伝子産物の検出として行われることを意味する。
好ましい態様として、段階e)における生育の検出は培地中のpH指示薬の手段によって行われる。
【0017】
本発明はまた、本発明に従う少なくとも1つの供試系統株を含む変異試験を行う試験キットに関する。
本発明はまた、本発明に従う少なくとも1つの供試系統株を利用したHTPスクリーニングに関する。
【0018】
図1は、本発明に従う変異試験に用いうる供試系統株のプラスミドの遺伝子チャートを示す。
本発明に従う変異試験に用いうる供試系統株は、機能性が特異的変異原によって可逆的にスイッチが切られた好適なプラスミド局在選択マーカー、および選択マーカーが同時にレポーターシステムではない場合に誘導可能なレポーターシステムを含んでいる。
【0019】
用いられる供試系統株は細菌である。好ましいものとして、遺伝子型において決定された特異的な特性の組み合せを有する腸内細菌科からなる群、特に好ましくは大腸菌またはネズミチフス菌由来の原核生物供試系統株が挙げられる。用いる出発生物(starting organism)は、好ましくは、ネズミチフス菌TA1535(rfa、ΔuvrB)(McCann, J., Choi, E., Yamasaki, E. and Ames, B.E.; Proc. Natl. Acad. Sci. USA 72 (1975), pp. 5135-5139)または大腸菌EE122(rfa様変異、ΔuvrB)(Eisenstadt, E., Warren, A.J., Potter, J., Atkins, D. and Miller, H.J.; Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79, 1982, 1945-1949)である。
EE122系統株は、例えば、その堅牢性(robustness)および活発な染色体上のumuDCオペロンによって区別される。
【0020】
選択マーカーおよび誘導可能なレポーターシステムを有する系統株の多様性は、従来技術より知られている。しかしながら、これらの生物に対して、本発明に従う供試系統株の選択マーカーは、機能の欠損を伴なう可逆的な変異が起こる。このような変異が起こった選択マーカーの導入だけで、供試系統株は本発明に従う方法に用いることができる。
変異原による供試系統株の処理後、選択マーカーをコードする標的遺伝子内での復帰変異の結果としての選択培地における生育の再開は、好ましくは、レポーターシステムによって定量的に決定される。
【0021】
本発明に従う供試系統株のレポーターシステムは、好ましくは、誘導可能であり、そして好ましくは、存在細胞数に対し比例的に形成される。誘導されない基底的なレベルは、可能な限り低くするべきである。レポーターシステムは、個々の遺伝子または代替的にオペロンでありうる。
ここで好適なレポーターとしては、直接的または間接的に、光学的、蛍光的、発光的または電気的に検出可能な遺伝子産物である。好ましい遺伝子産物は、様々な既知の手法によって検出可能な、GFP(緑色蛍光タンパク質)、β−ラクタマーゼ、ルシフェラーゼおよび、特に好ましくは、β−ガラクトシダーゼである。
【0022】
GFPの利点は、基質を追加することなく検出可能なところにある。したがって、試験材料の構成物を阻害することによるレポーターの活性への影響は十分に排除できる。
選択マーカーおよびレポーターシステムが同一の場合、変異の直接的な検出が可能である。例示されるものとして、アンピシリン耐性を促進するβ−ラクタマーゼが挙げられる。復帰変異によって回復するアンピシリナーゼ遺伝子の活性は、例えば、基質ニトロセフィンの使用を介して、直接検出できる。(O’Callaghan, C.H., Morris, A., Kirkby, S.K. and Shingler, A.H, Antimicrob. Agents Chemother. 1 (1972) 282-288; Sutton, L.D., Biedenbach, D.J., Yen, A. and Jones, R.N., Diagn. Microbiol. Infect. Dis. 21 (1995) 1-8)。
【0023】
一方、β−ガラクトシダーゼの使用により、酵素反応産物の蓄積による増幅効果の利用が可能になる。代替的な発光による測定方法はさらに、例えば強度に着色した試験物質などのある種の干渉因子を排除できる。
レポータシステムおよび/または選択マーカーは、一定のコピー数で、ストリンジェントまたはリラックスした制御下のプラスミド上または染色体上に存在していてもよい。好ましいプラスミドの低コピー数は、15〜20コピーである。娘細胞における均一な分配が保証されるべきである。
【0024】
レポーターシステムは、好ましくはストリンジェントに制限された誘導性プロモーターの制御下にある。このタイプのプロモーターは当業者に知られている。tetRにコードされたリプレッサータンパク質により抑制され、変異の発現後、テトラサイクリンまたは例えば無水テトラサイクリンなどのTet誘導体の添加によってレポーターの特異的な誘導することが可能であるtetAプロモーターからできたものが用いられるのが好ましい。耐性(復帰変異)細菌細胞内のtetAプロモーターの最適な誘導として、無水テトラサイクリンなどの特殊なテトラサイクリンを用いるのが好ましい。MIC値(最小阻止濃度)が2μg/mlの無水テトラサイクリン誘導体は、0.5μg/mlのテトラサイクリンと比較して抗生作用が低くく[Olivia, B., Gordon, G., McNicholas, P., Ellestad, G. and Chopra, I Antimicrob. Agents Chemother. 36, 1992, 913-919]、それと同時に、Tetリプレッサーへの結合力は約35倍強い[Degenkolb, J., Takahashi, M., Ellestad, G.A. and Hillen, W. Antimicrob. Agents Chemother. 35, 1991, 1591-1595]。
無水テトラサイクリンで制御したtetAプロモーター下でのβ−ガラクトシダーゼの誘導によって、抗生物質による阻害が起こらない非常に低い濃度でさえ、強いシグナル値に達する。
【0025】
本発明に従う供試系統株に用いられる選択マーカーは、変異によって不活性化され、そして復帰変異後、その変異体の選択的な生育を促進する耐性遺伝子である。選択マーカーの適切な遺伝子産物は、一般的に、選択的な条件下で目的の生育が促進され、また変異によって可逆的にスイッチが切られ得る遺伝子がコードされた耐性タンパク質である。(機能が損なわれていない)耐性遺伝子によって増進された耐性は、例えば、抗生物質または効果、影響因子(例えば温度または照射などの病毒)などの細菌毒性または静菌性のものである。本発明に従う耐性遺伝子は、好ましくは抗生物質耐性遺伝子である。用いられる選択マーカーは、特に好ましくは、タンパク質生合成を阻害するかまたは溶菌性作用を有する抗生物質に対する耐性遺伝子である。選択マーカーのこの具体的なタイプは、抗生物質含有選択培地上において変異していない、そしてしたがって感受性細菌の生育が停止するだけでなく、タンパク質生合成のスイッチオフを起こす。シグナルバックグラウンドは、誘導後、変異の起こっていない細菌によって低い状態である。試験期間中は選択圧が維持されていることが保証されなければならない。
【0026】
供試系統株に用いられる選択培地は、例えば照射や温度などの効果による選抜でない場合、相当する選抜剤の添加物を含む従来の培地である。当業者は、用いる供試系統株、耐性機構および耐性遺伝子の数に依存して、好適な選択培地を構築することができる。選択培地における抗生物質の濃度は、通常用いられる範囲である。アンピシリンの場合、約50μg/mlで用いるのが好ましい。抗生物質の濃度は、耐性遺伝子が局在しているプラスミドのタイプ、耐性遺伝子の性質および用いられる供試系統株に依存する。
【0027】
選抜に用いられる本発明に従う抗生物質耐性によって、例えば、従来技術において、従来の変異原性試験を行う場合に比べ、培地の選択にあまり限定されない。このような試験は、例えば、His栄養性復帰変異体の形成に基づく。したがって、選択培地がヒスチジンを含有しないことを保証するために、最少培地だけが用いられる。本発明に従う方法のために、対照的に、用いた細菌のタイプに必要な全ての構成物を含む如何なるタイプの培地も用いることができる。選抜は、栄養構成物欠損を介するのではなく、代わりに抗生物質の添加を介するのが好ましい。したがって、最小培地に代えて、完全栄養培地が本発明に従って用いられるのが好ましい。このことは、復帰変異細菌の良好で迅速な生育をもたらし、そして特に試験の素早い実行および評価を促進する。
【0028】
選択マーカーとして利用される遺伝子は、単一の変異型を検出するため、ある型の変異を有しうる。さらに、プラスミド上の標的遺伝子の変異体は種々に変異しているが、様々な変異型は、組み合せた変異型の自然変異率が同じ規模である場合、ただ1種の供試系統株を用いてカバーされ得る。このことは、多数の系統株の使用および複雑で平行した測定がもはや必要でなくなるため、作業および材料の量の有意な低減をもたらす。
【0029】
標的の変異原性[Kunkel, T.A; Proc.Natl.Acad.Sci. USA; 82 (2) 488-92]による本発明に従う供試系統株の産物において、種々の変異型(フレームシフトおよび塩基置換変異)は、既知の部位または変異原性に対して特に感受性が高い合成産物部位(ホットスポット部位)に、またはPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)技術やその他のDNA修飾酵素の助けによって問題のプラスミドの合成の間、変異したプライマー対を用いて抗生物質耐性遺伝子の活性中心に直接導入される。種々の変異型および好適なホットスポット領域は、変異試験の分野における当業者よく知られている。例えば、高グアニン含有または交互のGCボックスの反復性塩基配列は特に感受性が高い。G−A転移およびG−T転換は、塩基置換において頻繁に起こる。
【0030】
抗生物質耐性段階は、塩基の欠失、挿入または置換によって改変された配列セクションの復帰変異によって回復する。改変された配列セクションが活性中心部の形成に必要とされる場合、大抵の場合、厳密な復帰変異だけが標的遺伝子の機能を完全に回復し得ることに留意すべきである。標的遺伝子の読み枠の開始で変異ホットスポットが局在している場合、より長い遺伝子領域が復帰変異に利用できる。塩基置換の場合、タンパク質の機能に重要であるアミノ酸を改変するか、代替的に終止コドンを導入するのが好ましい。これは、好ましくはタンパク質の機能に重要な遺伝子セクションの前に局在している。フレームシフト変異の導入の場合、代替的な読み枠が開始する可能性も考慮しなければならない。選択マーカーとレポーターシステムに加え、供試系統株は、好ましくは、本発明の試験により感受性で、広く応用性のあるさらなる特性を有している。これは特に、巨大分子や脂溶性分子の浸透性のある細胞壁(例えば、rfaまたはrfa様変異)および/または除去修復機能の欠如(例えば、uvrAまたはB遺伝子の変異)である。
【0031】
加えて、供試細菌は、好ましくは、利用可能なSOS系の機能的制限ユニットを有しているべきである。SOS系の多様な遺伝子は、変異原性物質に対する感受性および完全な検出において極めて有益である。これらにはrecA、lexA、umuDCおよび/またはmucAB遺伝子が含まれる。相同的な遺伝子産物UmuDCおよびMucABもまた、遺伝毒性が起きている間、細菌における変異形成の増大または初期的な促進から、変異原遺伝子として参照される。umuDC遺伝子は大腸菌の染色体に機能的な形態で局在し、mucABオペロンは自然発生的なプラスミドから単離された(McCann, J. and Ames, B.E.; Proc. Natl. Acad. Sci. USA 73 (1976) pp. 950-954)。これらの遺伝子産物は頻繁に相乗的に作用し、他の複製の致死的な終止を阻害する。遺伝子産物RecAおよびLexAは、DNA損傷の認識およびSOS系の遺伝子の導入の制御に用いられる。
出発系統株における抗生物質耐性の欠如もまた有利である。
【0032】
染色体Umuオペロンを有していない供試細菌の使用において、該オペロンまたは好ましくはMucオペロンをプラスミドを介して付加的に導入することができる。Mucオペロンの配列に用い得るソースは、プラスミドpMK101であり[McCann, J., Spingarn, N.E., Kobori, J. および Ames, B.N.; Proc.Natl.Acad.Sci. USA 72(3), 1975, 979-983]、ネズミチフス菌TA100またはTA98から単離し得る。PCRによる増幅[Mullis, K.B. and Falaona, F.A.; Methods Enzymol. 155, 1987, 335-350]およびクローニングの後、新しいプラスミドにおけるMucオペロンの機能は、エームズ試験により確認できる。基本的にSOS系を介した変異作用を発現する供試物質ノルフルラゾンを用いると[Bryant and McCalla; Chem. Biol. Interact. 31 (2) 1980, 151-66]、クローン化したMucオペロンを有する系統株の場合において、対照と比較して有意に増大した変異率が観察される[Zeiger, E., Anderson, B., Haworth, S., Lawlor, T., Mortelmans, K. および Speck, W; Environm. Mutagen. 9 (9) 1987, 1-110]。形質転換方法によって導入されるこのプラスミドは、供試系統株における複製に適した複製起点および増殖中のプラスミドの維持に対するマーカーを含まなければならない。加えて、変異した標的遺伝子および誘導性レポーターシステムは、このプラスミドに局在し得る。
【0033】
各プラスミドが1つの特異的変異を有するだけの複数のプラスミドの製造によって、記録される変異スペクトルを可能にしながら、変異原の区別が可能である。分子生物学的方法によって行なわれた変異解析は、ここではプラスミド上の変異遺伝子の好ましい位置によって簡素化される。またそれゆえ、複数の可能な変異体を同時に測定することが、プラスミド上の種々の変異型を伴なう選択マーカーとして用いられる変異遺伝子の増幅によって可能である。
復帰ではないが、遺伝子型の観点から相同性のある供試系統株を同時に用いることによって、試験材料の細胞毒性を監視することができる。
【0034】
これまで(エームズ試験)に用いられた供試系統株は、無機栄養要求性成長の回復に基づくものであり、そしてそれゆえに、特に有機物を多く含む環境のサンプルの解析において、不都合な影響を有しうる成長促進物質に感受性である。復帰変異の本発明に従う選抜は、好ましくは抗生物質耐性を介するが、疑陽性の発生を劇的に抑制することができ、また試験に非特異的な微生物の混入を避けることができる。
【0035】
したがって本発明は、変異原性物質の迅速な検出のための試験キットにも関する。この変異試験を行うための試験キットは、本発明に従う少なくとも1または2以上の供試系統株を含み、それは系統株の混合物の形で存在および/または使用されてもよい。さらに、レポーターシステムの基質、停止液または特異的選抜または選抜/指示培地などの付加的な構成も、さらに試験キットに存在してもよい。これら付加物は、試験キットの独立して商業的に利用可能な典型的な試薬である。本発明に従う方法で試験を行なう利用者がより簡便に遂行できるように、試験キットには、好ましくは付加的に、試験の説明書、評価プログラムを含む。本発明に従う試験キットは、変異原性物質の個別の検出またはHTPスクリーニングに用いることができる。
【0036】
図1は、本発明に従う供試系統株のプラスミドの例を示す。供試系統株は、単一コピーのプラスミドまたは適度な(15〜20コピー)コピー数を有する低コピー数のプラスミドを含む。プラスミドの構成は:
― 単一プラスミドまたは適度なコピー数を保証する複製起点(例えば、pMB1起点)
― 娘細胞へのプラスミドの均一な分配を確実にするpar領域
― 変異の標的遺伝子としての変異選択マーカー(amps)
― Tetリプレッサータンパク質に対する恒常的に発現するリプレッサー遺伝子(tetR)
― mucABオペロン
― プラスミドを得るための耐性遺伝子(R)
― tetAプロモーター制御下のlacZレポーターシステム
【0037】
本発明に従う方法を行なうために、本発明に従う1または2以上の供試系統株は、典型的には107〜109/mlの細胞数で提供される。細菌の培養に適した培地は、当業者に知られている。好ましいものとして、例えば、Luria-Bertani(LB)培地などの完全培地があげられる。
【0038】
試験は、マイクロタイタープレートまたは細菌培養に適した同様の容器で行なうことができる。第一に、調査すべき物質または調査すべき物質の混合物、および、所望により、例えば、S9ミックスなどのさらなる試薬を細胞に添加する。細胞は、続いてある期間、プレインキュベーションする。選抜剤は、作用機構に依存するが、迅速に、または代替的に所定のプレインキュベーション期間内に、添加する。プレインキュベーション期間は、セットされた損傷が、複製期間中、それ自体を変異として現れ得るように、特に細胞が試験される物質に十分長い期間接触するために必要である。プレインキュベーションは、典型的には0.5〜2時間である。細胞は、典型的には5〜24時間の期間、選抜段階で続けてインキュベートする。インキュベーション時間は、とりわけ、プレインキュベーション時間、インキュベーション温度、選抜タイプ、レポーターシステム、培地および試験バッチのプレ希釈に依存する。37℃で5〜8時間が典型的にインキュベーションに要求され、28〜30℃で15〜20時間が典型的に要求される。レポーターシステムを適当な誘導剤の添加によって続いて誘導し、混合物を37℃で、典型的には1〜2時間インキュベートする。レポーターシステムが選択マーカーと同一である場合、誘導の段階は不要である。
【0039】
調査される物質の変異原性は、レポーターシステムの遺伝子産物の検出によって決定される。このため、光学的、蛍光的、発光的または電気的測定が、レポーターシステムに依存しながら行われる。
レポーター遺伝子の誘導による復帰変異の検出に代えて、または加えて、生育を介しても検出できる。特に、完全培地を用いる場合、復帰変異の生育は一般的に約16〜18時間ほどの短時間で検出できる。生育の検出は、直接濁度測定または培地内の色素存在量の指示度によって代用できる。細菌の生育による培地のpH変化により、指示薬の色変化で代用できる。好適な指示薬はpH7〜5の間で変化が現れるべきである。例えば、ブロモクレゾールレッドまたはブロモシロルブルーなどが好適な指示薬の例としてあげられる。指示薬は遺伝毒性の潜在能を有していてはならず、細菌の生育に有意に影響を与えてはならない。
【0040】
復帰変異細菌の検出のためにこの付加的に援助することができるものとともに、2つの簡便でかつ感受性の高い検出システムを利用者は利用できる。細胞の成育を介した検出はとても簡便で、そしてレポーター遺伝子の誘導を要求しない。色変化の検出によっても評価できる。この検出方法は、定性的な結果を与えるだけである。定量的な結論は、試験バッチを等分したものが複数のバッチ(例えば、ウェル)に分配され、色変化が現れたバッチの数を試験材料のおのおのの濃度に関連付けた場合に可能である。それに対し、レポーター遺伝子の誘導を介した好ましい検出は、シグナル強度を測定できるので、直接的な定量的な結論を可能にする。
【0041】
本発明に従う方法は、変異を極めて迅速に検出できるという利点を提供する。以前の試験システムと比較して、インキュベーション時間の有意に短縮され、本発明に従う選抜方法は、試験方法の実質的な自動化を可能にする。以前は1週間で1〜2サイクルの試験だけ行うことができたが、今や1週間で4〜5サイクルの試験を4〜5サイクルの試験を行うことができる。
【0042】
発光による測定方法の利用において、ほんの数個の変異細胞でさえ極めて短時間の間に検出することができ、そのため、本発明に従う方法を介して、数時間で行い得る変異試験が、産業における物質スクリーニングのためや、環境性復帰変異物質または多成分混合物の試験のための双方で利用可能である。
【0043】
本発明に従う方法のさらなる利点は、代謝関連遺伝子における変異に用いられる供試系統株の非感受性である。選抜方法のために最小培地が用いられるべき変異試験において、代謝および栄養供給に関連する他の遺伝子における変異が、復帰変異による生育の有意な低減または細菌の死さえもがしばしばもたらされる。これに対し、本発明に従う細菌は、完全培地で選抜可能であり、細菌が培地から大量の栄養素を得て、代謝関連遺伝子における変異体への感受性を有意に減少させることを可能にする。
【0044】
本発明に従う方法は、特に、化学、製薬および化粧品産業における製品開発における、並びに環境解析(廃液、地表水、堆積物、浮遊物質、室内空気、汚染予防、純物質)における利用に適している。
【0045】
これ以上の説明がなくても当業者は上記の記載をもっと広い範囲で利用することが可能であると考えれらる。したがって、好ましい態様および例は、単に記述による開示であると考えられるべきであって、いかなる意味においても決して限定するものではない。
本明細書中に記載するすべての出願、特許および刊行物、ならびに対応ドイツ出願DE 101 32 280.1(出願日04.07.2001)のすべての開示内容は、参照として本明細書中に組み込まれる。
【0046】
例
以下の実施例は、プラスミドに局在した変異したアンピシリン耐性遺伝子(フレームシフト系統と塩基置換系統)を有するアンピシリン感受性系統株およびtetAプロモーターに制御されたレポーターシステムβ−ガラクトシダーゼに関する。該プラスミドは、供試系統株の大腸菌EE122またはネズミチフス菌TA1535に導入する。記載された検出方法は化学発光測定法である。フレームシフト変異の検出用系統株は下記に、そして結局、4Sまたは6Sとしてあげられた例に示され、塩基置換変異の検出用系統株は、3Sまたは14Sとして示される。
【0047】
実施例に用いた供試系統株は、pBR322に由来する複製起点(pMB1)を有するプラスミドを持つ[Sutcliffe, J.G.; Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 43, 1997, 77-90]。pSC101からのpar(‘partition’)領域の付加的なクローニングによって[Meacock, P.A. and Cohen, S.N., Cell 20, 1980, 529-542]、娘細胞内のプラスミドの安定した伝播が確かなものとなる。第二の耐性遺伝子(例に示したcam耐性遺伝子)用のドナープラスミドはプラスミドpBR328である(国立遺伝学研究所、谷田、日本)。mucABオペロンは、プラスミドpGW1700から取り出した[Perry, K.L. and Walker, G.C., Nature 300, 1982, 278-281]。ストリンジェントに制御されたβ−ガラクトシダーゼレポーター遺伝子の発現のために、tetA遺伝子のプロモーター/オペレーター領域(tetP/O)の後に正しい読み枠になるlacZY遺伝子配列を、プラスミドpASK75にクローニングしなければならない[Skerra, Gene 151, 131-135, 1994]。
【0048】
これは、恒常的に発現しているbla遺伝子(アンピシリン耐性)を転写的に連結したtetリプレッサー(TetR)をコードする遺伝子を付加的に含み、tetAプロモータの強力な抑制を生み出す[Skerra , Gene 151, 131-135, 1994]。LacZY遺伝子のために用いたソースは、プラスミドpMC1403であり、それにはβ−ガラクトシダーゼのプロモーター領域および最初の8アミノ酸(開始ATGを含む)が欠失している[Casadaban et al., J. Bacteriol. 143, 1980, 971-980]。数個の制限酵素認識部位(restriction interfaces)だけしかpMC1403からの配列の単離に利用できないので、lacZY遺伝子は、最初にpGFPuvベクターへクローニングした。lacZ配列の5’末端の制限酵素マルチクローニングサイト(MCS)により、tetA遺伝子の開始ATGの後の読み枠への標的としたクローニングが可能であった。
【0049】
塩基置換またはフレームシフト変異は、標的とした変異誘発によりβ−ラクタマーゼ遺伝子に導入した。塩基置換の例として、アデニンからグアニンへの移行が、開始ATGの67アミノ酸後の活性中心に行われた。それによって、アミノ酸グリシンが、アミノ酸セリンの代わりに導入され(5'-AGC-3' → 5'-GGC-3')、その結果、β−ラクタマーゼは可逆的に不活化された。さらになる塩基置換の例として(系統株S14)、チミンからグアニンへの変換が、開始ATGの66アミノ酸後に行われた。それにより、アミノ酸メチオニンに代わってアミノ酸アルギニンが導入された(5’-ATG-3’→ 5’-AGG-3’)。フレームシフト変異の例として(系統株4S)、塩基グアニンおよびシトシンが、活性セリン残基の9アミノ酸後の交互のGCボックスに導入され、該変異の44アミノ酸後の終止コドン(TGA)を作り出した。さらなるフレームシフト変異系統株の例として(系統株6S)、活性中心の17アミノ酸後にグアニンを付加され、該変異の19アミノ酸後の終止コドンを作り出した。すべてのケースにおいて、β−ラクタマーゼは可逆的に不活化した。
プラスミドは、大腸菌EE122系統株[Δ(lac proB) Δ(uvrB gal bio) ara thi rfa] [Eisenstadt, E., Warren, A.J., Porter, J., Atkins, D. and Miller, J.H., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79, 1982, 1945-1949]に導入した。
【0050】
1.前培養
細菌(3S、14S、4Sおよび6S)は、プラスミド維持のために抗生物質を添加したLuria-Bertani(LB)培地によって37℃で振盪しながら、インキュベーターで終夜(または少なくとも3〜4時間)、インキュベートした。翌朝(または少なくとも3〜4時間後)、細菌をLB培地を用い、細胞数約2.5×107(E600によると約0.05)に調整し、氷上に試験物質のインキュベーションまで置いた。
【0051】
2.試験プレートの準備およびインキュベーション
2.1 プレインキュベーション段階
プレインキュベーションは、24ウェルまたは96ウェル試験を用いて行なうことができる。
S9ミックスなしでのインキュベーションの間、各ケースにおいて、10μlの様々な濃度の試験物質、1mlの陰性対照物質(溶媒の対照)および陽性対照物質を、セクション1にしたがって調製した細菌に加えた。変異原性能を現すためにS9を要求する物質の場合、S9補因子ミックス(S9 cofactor mix)およびS9を添加する。該補因子ミックスはいつも、マロンおよびエームズの方法(Maron と Ames; Mutation Res. 113, 1983, 173-215)で、試験日に新たに調製する。S9でのインキュベーションの間、セクション1にしたがって調製した細菌1mlを初期に導入した。70μlの補因子ミックスおよび10μlのS9を添加する。次いで、10μlの試験する物質を添加する。バッチはよく混合する。
これに続き、37℃で90分間、振盪しながら、プレインベーションする。
【0052】
2.2 選抜段階
プレインキュベーション後、試験バッチは、LB培地(50μl/mlのアンピシリン添加)により、1:10に希釈され、6時間(37℃の短期試験)から16時間(28〜30℃の長期試験)、24ウェル、96ウェルまたは384ウェルプレートでインキュベーションする。
【0053】
3.レポーターシステムの誘導
レポーターシステムの誘導は、100〜200ng/mlの無水テトラサイクリンをバッチに添加し、次いで、37℃で1〜2時間インキュベートする。
【0054】
4.変異原性の測定
レポーターシステムの発光酵素試験のために、60mlの細菌懸濁液を、90μlの溶解緩衝液および30μlの基質液と混合する(Galacton-Plus(登録商標); Applied Biosystems, PE Deutschland GmbH)。28℃で30分間のインキュベーションの後、反応を終了させるために、120μlの停止液を添加する。続いて、全バッチの100μlを発光測定用に除いた。100μlの発光促進液(luminescent enhancer, Emerald(登録商標);Applied Biosystems, PE Deutschland GmbH)を自動注入した後、2秒間待機した後、5秒間発光測定器に入れる間隔で測定する。
化学発光の測定には、96ウェル発光測定器(例えば、Labsystems社製、Luminoscan)または単チャンネル発光測定器(例えば、Berthold社製、Lumat)を用いることができる。
【0055】
5.毒性対照
毒性対照用のバッチは、変異原性試験用のバッチと同様に行なう。用いられ得る供試系統株は、不可逆的な系統株ではあるが、残る遺伝子型の観点から他の部分は同一である。毒性対照は、可逆的な試験系統株で同様に行うことができる。この目的のためのバッチは、変異原性試験のためのバッチと類似している。選抜剤を含まない90分間のプレインキュベーションの後、直ちに試験バッチの光強度(E600nm)を測定する。物質のバッチの測定したE600値が、対照のバッチのそれよりも低い場合、細胞毒性がある。変異原性物質の毒性の指標は、rlu値の曲線の形から示され得る。試験物質は、rlu値の曲線が平坦になり始め、あるいは物質濃度のさらなる増大につれて降下すると同時に、ますます毒作用を有するようになり得る。
【0056】
6.評価
生データ(rlu値:相対発光単位)は、MSエクセル評価プログラムに変換する。rlu値は、ブランク対照を引き、対照バッチに対する試験バッチの割合を算出する。ここにある例において、物質は、シグナル/バックグランド比が少なくとも2つの濃度において係数2に達し、濃度/効果の相関が存在する場合、変異原性であるとみなす。
【0057】
結果例1
短期試験:プレインキュベーション:90分;選抜段階:6時間
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
長期試験:プレインキュベーション:90分間;選抜段階:16時間
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
結果例2
長期試験および色変化を介した検出(ブロモクレゾールレッド)
長期試験を行う場合、復帰変異の検出は、色変化を介して(例えば、ブロモクレゾールレッドの選択培地への添加を介して)行ない得る。プレインキュベーション後、細菌は、LB培地(アンピシリン添加、ブロモクレゾールレッド添加)で希釈し、24ウェル、96ウェルまたは384ウェルプレートで、37℃、16〜18時間インキュベートする。評価は「陽性」のウェル(ブロモクレゾールレッドの場合、黄色のウェル)の数や、光学器を用いる測定により行う。
【0066】
【表7】
【0067】
【表8】
【0068】
【表9】
【0069】
【表10】
【0070】
【表11】
【0071】
結果例3:
長期試験および色変化を介した検出(β−ラクタマーゼ活性)
長期試験を行う場合、復帰変異体は、復帰変異後に回復するβ−ラクタマーゼ活性の直接的検出によって、検出することができる。プレインキュベーション後、細菌は、LB培地(アンピシリン添加)で希釈し、24ウェル、96ウェルまたは384ウェルプレートで、37℃、16〜18時間インキュベートする。レポータ遺伝子の誘導は不要である。50μlのβ−ラクタマーゼ基質(例えば、ニトロセフィン[試験濃度50μl/ml])の添加後、試験バッチを5〜10分間インキュベートする。
評価は「陽性」のウェルの計数や、光学器(ニトロセフィン:E492nm)を用いる測定により行われる。
【0072】
【表12】
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明に従う変異試験に用いうる供試系統株のプラスミドの遺伝子チャートを示す。
Claims (12)
- 変異原の検出のための単離された原核生物の供試系統株であって、少なくとも、
a)細菌毒性もしくは静菌性物質または影響因子に対する耐性遺伝子の形式の復帰変異型選択マーカー;
b)発現が復帰変異細菌において選択的に検出できるレポーターシステム、
を含む、前記供試系統株。 - 選択マーカーが、同時にレポーターシステムとしても用いられることを特徴とする、請求項1に記載の供試系統株。
- 選択マーカーが、溶菌性作用を有するかまたはタンパク質生合成を阻害する抗生物質に対する抗生物質耐性遺伝子であることを特徴とする、請求項1または2に記載の供試系統株。
- 選択マーカーが、テトラサイクリン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子またはストレプトマイシン耐性遺伝子であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の供試系統株。
- レポーターシステムが、発現において、直接的または間接的に、呈色反応、発光シグナルまたは蛍光シグナルを導くことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の供試系統株。
- 用いるレポーターシステムが、β−ガラクトシダーゼ、β−ラクタマーゼまたはルシフェラーゼの遺伝子またはオペロンであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の供試系統株。
- 下記の特性:
a)巨大脂溶性分子が浸透可能な細胞壁
b)除去修復能力欠損
c)SOS系の機能的な調節ユニット
d)変異誘発遺伝子umuDCおよび/またはmucAB
の1または2以上を付加的に有する、請求項1〜6のいずれかに記載の供試系統株。 - 変異原の検出のための方法であって、下記の段階:
a)請求項1〜7のいずれかに記載の少なくとも1つの供試系統株の準備、
b)供試系統株の、潜在的な変異原とのインキュベーション、
c)復帰変異体の選抜、
d)必要に応じ、レポーターシステムのインキュベーション、
e)レポーターシステムの遺伝子産物の検出および/または復帰変異系統株の生育の検出
によって実質的に特徴付けられる、前記方法。 - 段階e)において、選択マーカーの遺伝子産物の検出が、レポーターシステムの遺伝子産物の検出として行われることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
- 段階e)における生育の検出が、培地中のpH指示薬によって行われることを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の供試系統株を実質的に1または2以上含む、変異試験を行うための試験キット。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の供試系統株の少なくとも1つの、HTPスクリーニングのための使用。
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