JP2004532707A - 呼吸装置弁 - Google Patents

Abstract

枠（５０）と、枠を貫通する弁開口（５２）と、枠から延びるとともに少なくとも部分的に弁開口を取り囲む弁座（５４）とを含む弁体を含む一方向弁（２０）。この弁は枠に取り付けられた第１の部分（７６）と、弁座（５４）の少なくとも一部に接している第１の位置から少なくとも一部が弁座（５４）から離間している第２の位置へ移動自在な隣接する第２の部分（３７）とを有する弁フラップ（７０）をさらに含み、弁フラップ（７０）は不均一な厚さを有する。厚さ変化が弁フラップ（７０）の側部間で生じてもよく、また弁フラップ（７０）の端部間で生じてもよい。

Description

【技術分野】
【０００１】
本発明は使用者の呼吸域をガス、蒸気、微粒子から防護する呼吸装置に関する。より詳細には、本発明はこのような呼吸装置とともに用いるための弁を提供する。
【背景技術】
【０００２】
空中に浮遊する微粒子、ガス、および蒸気などの有害あるいは有毒物質で空気が汚染されている恐れのある領域で作業する人々により様々なタイプの呼吸装置が一般に装用されている。特定の環境で使用される呼吸装置のタイプは装着者が必要とする防護量およびタイプによる。
【０００３】
一般的な種類の呼吸装置には概して少なくとも１つのフィルタ処理空気入口と少なくとも１つの呼気出口あるいは穴を有する呼吸マスクを含むものがある。これらの呼吸装置は概して装着者の口と鼻を覆う半面面体呼吸装置と呼ばれるタイプか、さらに装着者の顔および目を覆う全面面体呼吸装置と呼ばれるタイプである。これらのタイプの呼吸装置では、装着者は息をしてフィルタ処理空気入口を通して空気を吸うことによりマスク内に陰圧を生じさせる。装着者が息を吐くと、装着者の口から放たれた空気がマスク内に陽圧を生じ、その空気の陽圧があるレベルに達すると呼気出口あるいは穴を介して空気がマスクから出ていく。
【０００４】
他の一般的なタイプの呼吸装置は一般に通気性のあるフィルタリング材でできたマスク本体を含むフィルタリングフェースマスクと呼ばれる。このフェースマスクはさらに少なくとも１つの呼気出口あるいは穴を含む。このタイプの呼吸装置は概して装着者の口および鼻の領域を覆う。使用時には装着者は息をして通気性マスク材を介して空気を吸い込み、その後息を吐いて呼気弁あるいは穴を介して空気をフェースマスクから出す。
【０００５】
特定の呼吸装置に用いられる構成要素は装着者に対して呼吸を困難にさせてはならず、理想的にはこの呼吸装置の使用時に装着者が快適に呼吸をすることができるようにしなければならない。呼吸装置の装着者の快適さに影響を与える可能性のある呼吸装置の構成要素は、呼気および吸気弁の両方を含む弁である。呼吸装置用に選択された呼気弁は、装着者が息を吐いた時に大部分の空気を呼吸マスクの内部から容易に抜けることができるようにしてマスク内で空気圧が上昇しないようにしなければならない。これは装着者が息を吐いた時に弁座から比較的容易に移動する弁部を設けることにより達成することができる。ところが弁部はまた、装着者が息を吐いていない時には弁座を容易に封止して汚染あるいはフィルタ処理されていない空気が不用意に装着者の呼吸域内に漏入しないようにしなければならない。吸気弁は同様に弁を介して空気を通過させることができるが、概して呼気弁とは反対向きに配置されることになる。こうして装着者が息を吸う時に弁部が弁座から移動することになる。吸器装置の向きにかかわらずいずれの弁も装着者に対して同じ防護を提供することが望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明の一態様において一方向弁が提供され、この弁は枠と、当該枠を貫通する弁開口と、前記枠から延びるとともに少なくとも部分的に前記弁開口を取り囲む弁座とを含む弁体を含む。この弁は前記枠に取り付けられた第１の部分と、前記弁座の少なくとも一部に接している第１の位置から少なくとも一部が前記弁座から離間している第２の位置へ移動自在な隣接する第２の部分とを有し、不均一な厚さを有する弁フラップをさらに含む。厚さ変化が前記弁フラップの側部間で生じてもよく、また前記弁フラップの端部間で生じてもよい。
【０００７】
本発明の他の態様において一方向弁を有する呼吸装置が提供され、この呼吸装置は一方向弁を収容するための少なくとも１つの開口を有するフェースマスクを含み、この一方向弁は枠と、当該枠を貫通する弁開口と、前記枠から延びるとともに少なくとも部分的に前記弁開口を取り囲む弁座とを含む弁体を含む。弁フラップは前記枠に取り付けられた第１の部分と、前記弁座の少なくとも一部に接している第１の位置から少なくとも一部が前記弁座から離間している第２の位置へ移動自在な隣接する第２の部分とを有し、不均一な厚さを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
いくつかの図面を通して同様な構造を同様な数字により示した添付の図面を参照して本発明をさらに説明する。
【０００９】
ここで、いくつかの図にわたって構成要素に同様な数字が付されている図、最初に図１および２を参照すると、一般に半面面体呼吸装置と呼ばれるタイプの空気清浄呼吸装置１０の一実施形態が図示されている。呼吸装置１０は、吸気口アセンブリ１６が係合あるいは固定される２つの開口あるいは穴１４と、呼気弁アセンブリ２０が係合あるいは固定される１つの開口１８とを有する可撓性面体１２を含む。図示のように吸気口アセンブリ１６は面体１２の対向側部あるいは端部に位置するとともに面体の下部に位置して呼吸装置の装着者の視界を遮らないようになっている。開口１８は一般には装着者の口あるいは呼吸域の前になるように面体１２の中心領域に配置されている。各開口１４、１８は面体１２の内部領域内に延びている。
【００１０】
吸気口アセンブリ１６は薬剤カートリッジと、エアラインと、微粒子フィルタと、その他の様々な構成要素とを含むことが可能である。アセンブリ１６はいくつかの構成要素を組み合わせて含んで装着者の呼吸空間に入る空気の特定な質を達成することもできる。本発明の一態様において開口１４は一般に円筒形状をしており、それぞれ面体１２から外に延びる円形フランジ２２を有する。これらのフランジ２２の各々は面体１２にアセンブリ１６を確実に固定することができるように１つの吸気口アセンブリ１６の結合金具（図示せず）を収容するように構成されている。図示の態様の場合、フランジ２２は結合金具上の溝(図示せず）と係合するように構成されている３つのタブ２６を有する。結合金具の内径はフランジ２２の外径より若干大きいため、これらの部品はアセンブリ１６の固定時には互いに干渉することなく確実に嵌合することができる。アセンブリ１６をフランジ２２に固定するためには、タブ２６が金具の内面上の溝と係合するまで結合金具をフランジ２２上を摺動させる。その後タブ２６が溝内の所定の位置にロックされるまでアセンブリ１６を回転させる。この構成により必要に応じて比較的容易にアセンブリ１６をフランジ２２から取り外すことができる。しかし多数の代替構成のいずれを用いてもアセンブリ１６を面体１２に固定可能であり、このアセンブリ１６が取り外し可能且つ交換可能、あるいは永久固定可能であることは理解できよう。上述の取り付け方法は吸気口アセンブリの取り付けおよび取り外しのための道具を別途必要としないが、他の方法は道具が必要な場合がある。
【００１１】
面体１２は本体部４２の上部から延びる鼻部４０を含む。本体部４２は一般に装着者の顔の形に適合するような形状をしているとともに、少なくとも部分的に突形状である。鼻および本体部４０、４２は、使用時に面体材が装着者の顔から快適な距離に位置するために十分に大きくなければならないが、面体１２と装着者の顔の間を確実に密着させるために十分に小さくなければならない。鼻および本体部４０、４２の大きさおよび形状は、呼吸装置の特定の美的および機能的要求によって様々に変更可能である。
【００１２】
面体１２は可撓性材料を含む様々な材料のいずれでも作製することができ、シリコン、ゴム、あるいは「クレイトン」（Ｋｒａｔｏｎ）という商品名で、テキサス州ヒューストンのシェル・オイル(Ｓｈｅｌｌ Ｏｉｌ（Ｈｏｕｓｔｏｎ，Ｔｅｘａｓ））により市販され、「モンプレーン」（Ｍｏｎｐｒｅｎｅ）という商品名で、ロードアイランド州ポータケットのテクノー・アペックス（Ｔｅｋｎｏｒ Ａｐｅｘ（Ｐａｗｔｕｃｋｅｔ，Ｒｈｏｄｅ Ｉｓｌａｎｄ））より市販され、および「サントプレーン」（Ｓａｎｔｏｐｒｅｎｅ）という商品名で、オハイオ州アクロンのアドバンスト・エラストマー・システムズ（Ａｄｖａｎｃｅｄ Ｅｌａｓｔｏｍｅｒ Ｓｙｓｔｅｍｓ（Ａｋｒｏｎ，Ｏｈｉｏ））により市販されているような熱可塑性エラストマーなどがある。しかし様々な可撓性を有する幅広い材料が面体１２に適当である。
【００１３】
上述のように、呼気弁アセンブリ２０を面体１２の開口１８に図１および２に図示したように嵌入させるが、図２はこのアセンブリの様々な特徴がよく見えるようにいくつかの構成要素を外した弁アセンブリ２０を示す。呼気弁アセンブリ２０は一般に開口あるいはオリフィス５２を有する枠５０と、概して開口５２の周囲に延在する弁座５４と、弁ダイヤフラム５６とを含む。開口５２は枠５０を強化且つ安定可能な支持部材５３をさらに含んでもよい。支持部材５３はさらに気圧の変化時に弁ダイヤフラム５６が開口５２を介して面体１２の内部領域に引き込まれるのを防止できる。
【００１４】
開口５２を部分的に平坦な楕円形状として示しているが、多数の形状が可能である。弁座５４は開口５２の周囲の大きさおよび形状とほぼ一致してもよく、あるいはその開口５２とは異なる大きさおよび／または形状を有してもよい。本発明の一態様において開口５２は弁座５４の内部の周囲の大きさおよび形状と同じ一般的な外周の大きさおよび形状を有する。いかなる場合も弁座５４は概して滑らかなあるいはテクスチャー模様の上面５８を有し、この上面５８の平滑度が弁ダイヤフラム５６と上面５８との間に達成される封止度に影響する場合がある。枠５０はさらに２つの取り付け孔６０を含むが、これについて以下でさらに説明する。図示のように取り付け孔６０を弁座５４の上方に配置することにより、開口５２の外側にある弁ダイヤフラム５６用取り付け点を提供する。
【００１５】
さらに図３および４を参照すると、弁ダイヤフラム５６の一実施形態が示されており、このダイヤフラム５６は上面７２と、下面７４と、第１の端部７６と、第２の端部７７とを有するフラップ部７０を含んでいる。この実施形態においてフラップ部７０は、第１の端部７６から第２の端部７７に延びる一定の湾曲を有するとともに、弁座５４の上面５８が基本的に平坦な面を規定している。ダイヤフラム５６が枠５０に設置されると、弁座５４に対するフラップ部７０の湾曲は、フラップ部７０の少なくとも一部分が弁座５４の上面５８と接するために曲線がある程度平坦あるいはまっすぐになるようなバイアスをフラップ部７０内に生じる。本発明の一態様において、フラップ部７０の湾曲により生じるバイアスは、全ての向きにおいてフラップ部７０を上面５８に対して封止させておくのに実質的に十分である。
【００１６】
あるいは、フラップ部７０は一定の湾曲を含まない側面輪郭を有してもよい。例えばフラップ部７０の湾曲は第１の端部７６から第２の端部７７へ変化してもよい。フラップ部７０の側面輪郭の多数の他の変形例も本発明の範囲であると考えるが、ここでこの弁座５４に対するフラップ部７０のバイアスの発生は気圧変化などの外力の影響を受けていない時にフラップ部７０を封止位置に保持するのに役立つ。
【００１７】
フラップ部７０は第１の端部７６から第２の端部７７へ厚さが変化してもよい。一例では、フラップ部７０は第２の端部７７における厚さＴ２より厚い第１の端部７６における厚さＴ１を有する。フラップ部７０の厚さは図示のように第１の端部７６から第２の端部７７へと徐々に薄くなるか、あるいは厚さが徐々にというより「段階」型構成のような変化をしてもよい。代替的に厚さＴ１は厚さＴ２より薄くてもよい。一端部７６から他端部７７へのフラップ部７０の厚さの変化を選択することにより、フラップ部を閉位置から開位置へ移動させるのに必要な所望の力量など、弁ダイヤフラム５６のある性能特性を達成することができる。例えば、フラップ部７０をある位置から他の位置へ移動させるのに必要な力を低減することが望ましい領域でフラップ部の厚さがより薄くてもよい。本発明により広範囲な厚さの変化が考えられるが、本発明の一態様においては第１の端部７６と第２の端部７７との間の任意の点における厚さの差は約１０％より大きいことが望ましい。
【００１８】
２つのコネクタ８０がフラップ部７０の下面７４から延びてダイヤフラム５６を枠５０に取り付けるのに用いられる。コネクタ８０は突起８２と先細キャップ８４とを含み、このキャップ８４は径Ｄ１（この例では基本的には点である）を有する第１の端部８６から第１の端部８６の径Ｄ１より大きい径Ｄ２を有する第２の端部８８まで先太りになっている。ダイヤフラム５６のこの実施態様において、フラップ部７０とコネクタ８０は両方とも比較的可撓性のある材料で形成されている。コネクタ８０は取り付け孔６０に収容されるように構成されており、キャップ８４の第２の端部８８の径Ｄ２は収容される取り付け孔６０の径より大きい。各コネクタ８０をそれぞれの取り付け孔６０と係合させるため、キャップ８４の外径が孔６０の内径と一致するまでキャップ８４を孔６０内に押したり引いたりする。その後第２の端部８８が孔６０を通過するまでコネクタにさらに力をかけて一時的にキャップ８４を圧縮して変形させる。この時点でコネクタ８０はフラップ部７０が枠５０の一方側にあり、突起８２が孔６０内にあり、先細キャップ８４が枠５０の反対側にあるように配置されることにより、ダイヤフラム５６を枠５０に固定する。ダイヤフラム５６を枠５０から外すには、各コネクタ８０をそれぞれの孔６０を介して反対方向に押したり引いたりする。
【００１９】
コネクタを用いてダイヤフラム５６を枠５０に取り付ける上述の説明は、本発明により考察された数多くの取り付け方法のうち１つに過ぎない。特定の用途のために選択される取り付け方法は、枠５０に対するダイヤフラム５６の一時的なあるいは永久的いずれかの取り付けを提供するものの、一時的取り付け方法では必要に応じてダイヤフラムの取り外しや交換が可能である。上述のコネクタ８０とは異なる構成を有するフラップ部７０の表面から延びるコネクタの利用を始めとする多数の公知の取り付け方法のいずれかによりダイヤフラム５６を枠５０に固定してもよい。ある特定の弁ダイヤフラムに２つ以上あるいは２つ以下のコネクタ８０を用いてもよいことも理解されよう。あるいは、再配置可能あるいは永久接着剤、フック・ループ型留め具、ねじまたは他の機械的留め具、溶接、あるいは他の適切な取り付け方法を利用してダイヤフラム５６を枠５０に取り付けてもよい。これらの取り付け方法のいずれにおいても、フラップ部７０および取り付け素子または材料を同一のあるいは異なる材料で作製することができる。一例ではフラップ部を熱硬化性エラストマーで作製して金属製ねじまたはリベットにより枠に取り付けてもよい。他の例ではフラップ部および取り付け手段を含めて弁ダイヤフラム５６全体を単一の材料で作製してもよい。
【００２０】
本発明の他の態様においてはダイヤフラム５６を枠５０に一体に成形しているため枠５０から着脱可能あるいは交換可能ではない。この実施形態においては枠５０およびダイヤフラム５６は必要に応じて一体型ユニットとして面体１２から取り外し可能あるいは交換可能になりうる。
【００２１】
ここで図５を参照すると、ダイヤフラム５６の一態様は第１の端部７６から第２の端部７７の距離の少なくとも一部に対してフラップ部７０の上面７２から延びる複数のリブ９０を含んでいる。この実施形態において、フラップ部７０の基部は均一の厚さを有する。リブ９０はダイヤフラム５６に補助剛性を与えるが、これはフラップ部７０に付加される質量を最低限に抑えながらフラップ部７０と弁座５４の間の所望の封止を提供するのに有用である。さらにリブを有するフラップ部は全体の輪郭にわたって比較的厚いフラップ部に比べて、同一レベルの剛性を達成しつつも質量が小さくなる。つまりフラップ部の剛性対フラップ部の質量比は、フラップ部全体にわたって厚さを増加させるよりもリブを付加する方が大きくなる。フラップ部７０の剛性対質量比が高いほど、弁ダイヤフラム５６を弁座５４に封止させておくのに必要な予荷重力あるいはバイアス量が小さくなる。加えて剛性対質量比が高い特定の弁ダイヤフラムを開けるのに必要な力は、剛性対質量比が低い弁ダイヤフラムを開けるのに必要な力より小さくなる。
【００２２】
各リブ９０の長さ、幅、厚さを選択してフラップ部７０に対して所望のレベルの剛性を達成することができる。単一のリブ９０あるいは複数のリブ９０を用いてもよく、各リブ９０の設計は同一フラップ部７０上の他のリブ９０と同一であっても異なっていてもよい。また各リブ９０はそのリブの一端からリブの多端に変化してもよい。例えば各リブ９０はそのリブの一端の方がそのリブの他端よりも広くてもあるいは厚くてもよい。またリブはフラップ部７０の第１の端部７６と第２の端部７７の間の距離の一部のみに延在してもよい。いずれの場合も使用されるリブの数、大きさおよび形状は、弁ダイヤフラムが通常の圧力変化で開くことができるように十分な可撓性を可能にしつつ弁ダイヤフラムに所望レベルの剛性を与えなければならない。
【００２３】
上述したように、フラップ部７０は一端部から多端部へ厚さが変化してもよい。また本発明の少なくとも一態様においてさらに第１の側部７８および第２の側部７９を含むフラップ部７０は、側部７８から側部７９へ厚さが変化してもよい。一例ではフラップ部７０は第２の側部７９における厚さとは異なる第１の側部７８における厚さを有することが可能である。フラップ部７０の厚さは第１の側部７８から第２の側部７９へ徐々に先細りになっていてもよく、あるいは厚さが徐々にというより「段階」型構成、あるいは一方側から他方へ規則的または不規則的な任意の他の変化なども可能である。さらに特定のフラップ部上の少なくとも１つのリブを含むことをフラップ部にわたる厚さ変化であると考えてもよい。
【００２４】
図６ａはフラップ部７０ａの端面図を示し、このフラップ部は第１の側部７８ａおよび第２の側部７９ａ近辺でもっとも厚く、フラップ部７０ａの中央近辺でもっとも薄い。フラップ部の厚さを変化させる他の例を図６ｂに図示する。図示のようにフラップ部７０ｂの上面７２ｂは第１の側部７８ｂから第２の側部７９ｂへ正弦波パターンで変化することにより異なる厚さを有するフラップ部７０ｂの部分を提供する。特定のフラップ部の表面にわたる規則的および不規則的両方の多数の厚さ変化が可能であるとともに本発明の範囲内にあると考えられることは理解できよう。しかし本発明の一態様において、第１の側部７８と第２の側部７９の間の任意の点における厚さの差が約１０％より大きいことが望ましい。フラップ部にリブを付加するのと同様に、これらの厚さ変化は側部から側部へ均一な厚さを有するフラップ部に比べてフラップ部に対する剛性対質量比を向上させることもできる。
【００２５】
弁ダイヤフラム５６の一態様は例えばシリコン、ゴム、あるいは熱可塑性エラストマーなどの比較的可撓性のある材料の薄膜あるいはフィルムで作製されたフラップ部７０を含む。多種多様な可撓性材料がフラップ部７０に適しており、材料を選択してダイヤフラム５６が閉位置にある時にダイヤフラム５６を弁座５４に封止させておく所望レベルの剛性を与え、さらにダイヤフラム５６が弁座５４から開または半開位置へ移動できるような所望レベルの可撓性を与える。弁ダイヤフラム５６がフラップ部７０の上面７２上に追加要素を含む場合（例えばリブ９０など）、その追加要素はフラップ部７０と同一材料でも異なる材料でもよい。例えばその追加要素を熱可塑性エラストマー、プラスチック、金属あるいは複合材料などの材料で作製してもよい。またこれらの構成要素の材料を選択して特定のダイヤフラム５６に対して所望レベルの剛性を与えることもできる。
【００２６】
フラップ部７０はさらに図５に示したようなの形状あるいは「フットプリント」を有してもよく、第１の端部７６が概して第２の端部７７と平行であるとともに、第１の側部７８が概して第２の側部７９と平行であるが、フラップ部７０に対して多数の他の形状が可能である。フラップ部の形状の選択は他の弁および呼吸装置の構成要素の形状および配置によるとともに、各特定の弁アセンブリに対する所望の性能特性にもよる。
【００２７】
フラップ部の所望の形状、大きさおよび湾曲を提供する任意の方法を用いてフラップ部７０を製造することができる。一例では圧縮成形や射出成形などの標準的な成形技術を用いてフラップ部７０を成形することができる。他の例ではフラップ部７０を押し出してフラップ部７０の側部あるいは端部いずれかから特定の輪郭を形成することが可能であり、これを異形押出しと呼ぶことがある。
【００２８】
作動中、弁ダイヤフラム５６は閉位置にある時は弁座５４に載置あるいは封止しており、概して弁ダイヤフラム５６の対応部分に接する弁座５４の表面領域がより広い時により良好な封止が達成される。フラップ部７０が閉位置にある弁ダイヤフラム５６の図が図４に実線で示されている。フラップ部７０が上述のような湾曲を有する場合、この曲線は図示のようにほぼ平坦な弁座５４上に少なくとも部分的に平らになる。このようにして弁ダイヤフラム５６にフラップ部７０の湾曲が予荷重されることにより、他の力の影響を受けない時に弁ダイヤフラム５６を閉位置に保持するのに必要な封止力を与える。装着者が息を吐くと呼吸装置１０内の気圧が上昇し、その気圧が十分に高くなって弁ダイヤフラム５６が弁座５４から矢示Ａで示す方向に押し出される。使用する特定の呼吸装置の構成要素に応じた一定量の圧力で、フラップ部を破線で示すとともに参照番号７０’で図示する位置に移動させることができる。
【００２９】
本発明の一態様においてコネクタ８０をフラップ部７０の第２の端部７７より第１の端部７６に近接して配置する。そのため弁アセンブリ２０を組み立てると弁ダイヤフラム５６は片持ち支持され、第１の端部７６に最も近いダイヤフラム５６の領域が枠５０に固定されるため、枠５０に対してその動きが制限される一方、第２の端部７７に最も近いダイヤフラム５６の領域は枠５０に対する動きがより自由である。この配置により装着者の呼吸動作によって弁ダイヤフラムが開位置から閉位置へ移動することが可能になる。ダイヤフラム５６をフラップ部７０の自由端部７７から最も遠い点で枠５０に固定した場合、可能最長モーメントアームが生じる。本発明のこの態様に対するモーメントアームは、フラップ部７０の取り付け点から、この取り付け点から最も遠いフラップ部の自由端部までの距離として定義されている。このように一定の圧力に対して弁座５４からのフラップ部７０の第２の端部７７の開距離がモーメントアームが短い場合よりも大きくなる。
【００３０】
本発明の他の態様においてフラップ部７０は、２つ以上の片持ち型フラップがコネクタの両側にできるように枠５０に固定可能な中間コネクタを有することができる。このタイプの配置において面体内の開口はコネクタが取り付け可能な中間支持構造を有してもよく、あるいは実際に面体の前部に２つ以上の開口あるいはオリフィスがあってもよい。複数の片持ち型フラップの各々を開口あるいはオリフィス上に位置させて封止することが好ましい。
【００３１】
図７に示した本発明の他の態様において、弁ダイヤフラム１５６に平坦あるいは平面部品であるフラップ部１７０を設けてもよい。この態様においてダイヤフラム１５６を弁座１５４のほぼ平坦な面に対して角度をつけて取り付けることにより、弁座１５４に対してフラップ部１７０を屈曲させるとともに、呼吸装置が気圧変化の影響を受けていない時に弁ダイヤフラムを閉位置に保持するのに必要な予荷重あるいはバイアスを与える。ダイヤフラム１５６は弁ダイヤフラム５６に対して上述した厚さあるいは輪郭変化のいずれを有してもよい。
【００３２】
あるいは、図８に示すように弁ダイヤフラム２５６に平坦あるいは形部品であるフラップ部２７０を設けてもよく、弁座２５４は平面ではない。本発明のこの態様において、弁座２５４の湾曲は必要に応じて弁ダイヤフラム２５４を閉位置に保持するのに必要な予荷重を生じる。また、弁ダイヤフラム２５６は弁ダイヤフラム５６に対してすでに上述した厚さあるいは輪郭変化のいずれを有してもよい。
【００３３】
上記の説明は半面面体型呼吸装置に対するものであるが、本発明の弁をこの型の呼吸装置に限定しようとするものではない。本発明の他の態様において、図９はフィルタリングフェースマスク呼吸装置３１０を図示しており、一般には通気性のあるフィルタリング材でできたマスク本体３１２と呼気弁アセンブリ３２０とを含んでいる。この型の呼吸装置により、装着者が息を吸うとマスク本体３１２のマスク材を介して空気を装着者の呼吸域に取り入れることができる。マスク材は装着者が息を吸った時に装着者の呼吸域に入る空気から望ましくない汚染物質（ガスや微粒子など）を取り除くフィルタリング能力を十分に提供しなければならない。マスク本体３１２は呼気弁アセンブリ３２０の少なくとも一部分が位置する呼吸装置装着者の口の領域全体に開口３１８を有する。呼気弁アセンブリ３２０は一般に開口あるいはオリフィスを有する枠３５０と、弁座と、弁ダイヤフラム３５２とを含む。呼気弁アセンブリ３２０を構成するいくつかの構成要素は弁アセンブリ２０に対して上述した変形および特徴のいずれを含んでもよい。このように呼気弁アセンブリ３２０も弁アセンブリ２０の作用に対して上述したものと基本的には同様に作用可能である。
【００３４】
上述した呼吸装置の型に加えて本発明の弁は、全面面体呼吸装置、動力付き空気清浄呼吸装置、弁付きカバー呼吸装置、溶接シールドおよび他の呼吸装置装置などの、呼吸装置の装着者の呼吸動作により封止位置から開位置へ移動可能な弁を提供することが望ましい他の型の呼吸装置に有用であることを意図するものである。これらの装置は本発明により考察された型の１つ以上の弁を有することができる。
【００３５】
さらに本発明の弁を吸気弁として用いることが考えられる。この装置では吸気弁アセンブリは基本的に呼気弁と同様に作用し、装着者の呼吸動作により呼吸装置内に生じる圧力の差により弁ダイヤフラムを同様に封止および弁座から移動させる。しかし吸気弁の場合は、装着者の顔に向かって開くことができるように弁ダイヤフラムが呼吸装置の内部に面している。このため装着者による吸気がダイヤフラムを弁座から開位置へ引っ張るのに必要な陰圧を呼吸装置内に発生させる。使用者が息を吐くと呼吸装置内で圧力が上昇することにより、ダイヤフラムが封止位置へ戻ることができる。
【００３６】
ここでいくつかの実施形態を参照して本発明を説明してきた。本明細書で確認した特許あるいは特許出願のいずれもその開示全体を本明細書に引用して援用する。上記の詳細な説明および例は明瞭な理解のために提供されたものに過ぎない。これらから何ら限定を考えるものではない。本発明の範囲から逸脱することなく記載された実施形態において多数の変形が可能であることは当業者にとって明らかであろう。そのため本発明の範囲は本明細書に記載された構造ではなく、請求項の言葉により記載された構造およびそれらの構造の同等物のみによりに限定される。
【図面の簡単な説明】
【００３７】
【図１】本発明による呼吸装置の斜視図である。
【図２】いくつかの構成要素を省略した図１と同様な呼吸装置の斜視図である。
【図３】本発明による弁ダイヤフラムの側面図である。
【図４】図１の弁アセンブリの側面図である。
【図５】弁ダイヤフラムの他の態様の斜視図である。
【図６ａ】本発明による弁ダイヤフラムの正面図である。
【図６ｂ】本発明による弁ダイヤフラムの正面図である。
【図７】本発明の他の弁アセンブリの側面図である。
【図８】本発明の他の弁アセンブリの側面図である。
【図９】本発明による他の呼吸装置の配置の斜視図である。

Claims (14)

1. 枠と、前記枠を貫通する弁開口と、前記枠から延びるとともに少なくとも部分的に前記弁開口を取り囲む弁座とを含む弁体と、
   前記枠に取り付けられた第１の部分と、前記弁座の少なくとも一部に接している第１の位置から少なくとも一部が前記弁座から離間している第２の位置へ移動自在な隣接する第２の部分とを有し、不均一な厚さを有する弁フラップと、を含む一方向弁。
2. 前記弁フラップが第２の側部から離間した第１の側部をさらに含み、前記弁厚さが前記第１および第２の側部間で変化する、請求項１に記載の一方向弁。
3. 前記弁フラップが前記第１および第２の側部間で最小厚さおよび最大厚さを有するとともに、前記最大厚さが前記最小厚さより少なくとも約１０％厚い、請求項２に記載の一方向弁。
4. 前記弁フラップが第２の端部から離間した第１の端部をさらに含み、前記弁厚さが前記第１および第２の端部間で変化する、請求項１に記載の一方向弁。
5. 前記弁フラップが前記第１および第２の端部間で最小厚さおよび最大厚さを有するとともに、前記最大厚さが前記最小厚さより少なくとも約１０％厚い、請求項４に記載の一方向弁。
6. 前記弁フラップが上面と、下面と、前記弁フラップの前記上面から延びる少なくとも１つのリブと、をさらに含む、請求項１に記載の一方向弁。
7. 前記少なくとも１つのリブが前記弁フラップの前記不均一厚さを提供する、請求項６に記載の一方向弁。
8. 複数のリブをさらに含み、前記複数のリブの各々が各隣接のリブから離間している、請求項７に記載の一方向弁。
9. 前記弁フラップが前記弁フラップと前記弁座との間の封止を提供する前記弁座に対する付勢フラップであり、前記弁座に対する前記弁フラップのバイアスが前記一方向弁の任意の向きに前記弁フラップと前記弁座との間の封止を提供するのに十分である、請求項１に記載の一方向弁。
10. 前記弁フラップが前記弁座に接する際に前記弁フラップの湾曲している前記フラップの少なくとも一部分が少なくとも部分的に平坦になる、請求項９に記載の一方向弁。
11. 前記弁フラップが剛性と質量とを有し、前記弁フラップと第２の比較弁フラップが同一の周囲、形状、および取り付け手段を有し、前記弁フラップの前記剛性対前記質量比が均一厚さを有する前記第２の比較弁フラップに対するものより高い、請求項１に記載の一方向弁。
12. 少なくとも人の鼻および口上に密着するように構成されるとともに、一方向弁を収容するための少なくとも１つの開口を有するフェースマスクと、
    請求項１に記載の前記一方向弁と、を含む呼吸装置。
13. 前記弁が呼気弁である、請求項１２に記載の呼吸装置。
14. 前記弁が吸気弁である、請求項１２に記載の呼吸装置。