JP2004532260A - デメチルカンタリジンをプラチナ含有抗がん剤と組み合わせて含む組成物およびその用途 - Google Patents

デメチルカンタリジンをプラチナ含有抗がん剤と組み合わせて含む組成物およびその用途 Download PDF

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Abstract

本発明は、デメチルカンタリジンをプラチナ含有抗がん剤と組み合わせて含む、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞を阻害するための医薬組成物、およびその用途を提供する。また、本発明は、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞の阻害における、デメチルカンタリジンまたは医薬として許容可能なそれらの誘導体とプラチナ含有抗がん剤との組合せの相乗作用についても開示する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、デメチルカンタリジンを含んで成る、がん細胞を阻害するための医薬組成物に関し、特に、デメチルカンタリジンをプラチナ含有抗がん剤と組み合わせて含む、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞を阻害するための医薬組成物、およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
デメチルカンタリジン(demethylcantharidin,DMC)は、「ツチハンミョウ(blister beetles)」が有する活性成分であるカンタリジンの修飾構造体である。ツチハンミョウは、漢方薬(TCM)として肝臓、肺および消化管のがんを治療するために用いられてきた。
【0003】
シスプラチンおよびカルボプラチンはいずれもプラチナ(Pt)を含む薬剤であり、世界中でがんの治療に臨床的に使用されている。これらの薬剤に共通の問題点には、毒性の副作用および薬剤耐性がある。しかしながら、近年の発明(本明細書に援用されるアウ‐ヨン(Au‐Yeung)らの米国特許第6,110,907号)により、構造IまたはII(アウ‐ヨン(Au‐Yeung)らの米国特許第6,110,907号を参照)を有するデメチルカンタリジンのプラチナ複合体がin vitro(生体外)で抗がん活性を示すことが明らかとなっている。発明者らの最近の研究では、該特許のプラチナ含有複合体はin vivo(生体内)での良好な活性、シスプラチン耐性の回避、ならびに乳がんおよび肝臓がんへの選択性を有することが示されている。後者の2つの特性(耐性の回避および選択性)は、DMCの含有によるものと考えられる。
【0004】
【化1】
Figure 2004532260
驚くべきことに、発明者らは、DMCまたはその加水分解物がそれ自体で高感受性ならびにシスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞の生育を阻害する良好な活性を有するだけでなく、Pt含有抗がん剤と組み合わせてシスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞の生育を阻害する相乗作用をも有することを見出した。その結果本発明が提供される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、デメチルカンタリジンを含んで成る、がん細胞を阻害するための医薬組成物を提供することであり、特に、デメチルカンタリジンをプラチナ含有抗がん剤と組み合わせて含む、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞を阻害するための医薬組成物、およびその用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞の生育を阻害するデメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物の用途を提供する。
【0007】
本発明は、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞を、ある量のデメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物と接触させることからなる、前記細胞の生育を阻害する方法を提供する。
【0008】
本発明は、対象者においてシスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞の生育を阻害する方法であって、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞の生育を阻害するために有効な量のデメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物を前記対象者に投与することからなる方法を提供する。
【0009】
本発明は、デメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物を、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞の生育阻害において相乗作用を有するプラチナ含有抗がん剤とともに含んでなる医薬組成物を提供する。
【0010】
本発明は、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞の生育を阻害するための医薬組成物の製造におけるデメチルカンタリジン(DMC)の用途を提供する。
【0011】
本発明は、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞を、デメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物とプラチナ含有抗がん剤との組合せに接触させることからなる、前記細胞の生育を阻害する方法を提供する。
【0012】
本発明は、対象者においてシスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞の生育を阻害する方法であって、デメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物とプラチナ含有抗がん剤との組合せを前記対象者に投与することからなる方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞の生育を阻害するデメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物の用途を提供する。
【0014】
本発明は、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞を、有効な量のデメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物と接触させることからなる、前記細胞の生育を阻害する方法を提供する。
【0015】
本発明は、対象者においてシスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞の生育を阻害する方法であって、前記細胞の生育を阻害するために有効な量のデメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物を前記対象者に投与することからなる方法も提供する。
【0016】
本明細書において「加水分解物」とは、DMCまたはその誘導体の加水分解によって得られる医薬として許容可能な任意の形態を意味し、二価酸、一価酸、エステル、塩などがあるがこれらに限定されない。一実施形態では、加水分解物はDMCの二価酸である。
【0017】
上述のがん細胞は、肺がん、肝臓がん、乳がん、大腸がん、卵巣がん、子宮頸がん、白血病、リンパ腫、または鼻咽頭がん由来である。
「有効な量」とは、通常は動物又はヒトを含む対象者においてがん細胞の生育を阻害するために有効な任意の量である。有効な量の決定方法は当業者には良く知られており、関係する対象者のタイプ、血液サンプルが接触する場合は大きさ、および使用される検出可能なマーカーなどの(これらに限定はされない)因子によって変わる。
【0018】
本発明において「投与(すること)」とは、当業者に周知の任意の標準的な投与方法を意味する。例としては、静脈内、腹腔内または筋肉内への投与があるが、これらに限定されない。
【0019】
本発明は、デメチルカンタリジンまたはその加水分解物と、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞の生育阻害において相乗作用を有するプラチナ含有抗がん剤との組合せ、ならびに医薬として許容可能な担体を含んでなる医薬組成物を提供する。該組成物において、デメチルカンタリジンまたはその加水分解物とプラチナ含有抗がん剤との比は、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞の生育阻害において相乗作用を生じる全ての比を対象とする。一般に、DMCまたはその加水分解物とプラチナ含有抗がん剤との間のモル比は55:1〜1:100であり、好ましくは10:1〜1:10であり、最も好ましくは1:1である(以降、比は特に指示のない限りモル比を意味する)。当然であるが、本発明の医薬組成物は1つまたはそれ以上のプラチナ含有抗がん剤を含みうる。
【0020】
2つ以上の治療薬を組み合わせる目的は、より低い薬剤用量を達成し、毒性を低減し、標的細胞による耐性の発現を最小限にとどめるかまたは遅らせることであり、相乗作用の可能性を提供することである。本明細書は、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞株における抗がん活性を示す、デメチルカンタリジンとプラチナ含有抗がん剤との相乗作用を有する組合せについての最初の報告である。種々のプラチナ含有抗がん剤とDMCとの様々な比率の組合せは、化学療法の探索における新たな候補となりうるものである。
【0021】
本発明において使用されるプラチナ含有抗がん剤には、がんの治療においてこれまで使用されてきた、または使用されるべき任意のプラチナ含有抗がん剤が含まれる。本発明において、プラチナ含有抗がん剤はシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、および米国特許第6,110,907号においてクレームに記載されたすべての複合体から選択されることが好ましい。米国特許第6,110,907号の複合体の中では、複合体1〜5が好ましいが、それらは以下の構造を有する。
【0022】
【化2】
Figure 2004532260
本発明は、デメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物をプラチナ含有抗がん剤ならびに医薬として許容可能な担体と組み合わせることからなる、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞の生育を阻害するための医薬組成物の製造におけるDMCまたはその加水分解物の用途を提供する。DMCまたはその加水分解物をプラチナ含有抗がん剤および医薬として許容可能な担体と組み合わせる方法は当業者にはよく知られている。医薬として許容可能な担体も当業者によく知られており、水溶液または非水性の溶液、懸濁液、乳濁液、および個体の形状でよい。担体の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物性油脂、水、生理食塩水、デキストロース、CaCO、および穀物などの粉末がある。がん細胞は、肺がん、肝臓がん、乳がん、大腸がん、卵巣がん、子宮頸がん、白血病、リンパ腫、または鼻咽頭がん由来である。
【0023】
シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞を、デメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物とプラチナ含有抗がん剤との組合せと接触させることからなる、前記細胞の生育を阻害する方法を提供する。
【0024】
本発明は、対象者においてシスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞の生育を阻害する方法であって、デメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物とプラチナ含有抗がん剤との組合せを前記対象者に投与することからなる方法も提供する。該組合せにおけるデメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物とプラチナ含有抗がん剤とのモル比は、55:1〜1:100であり、好ましくは10:1〜1:10であり、最も好ましくは1:1である。
【0025】
単剤として、DMCまたはその加水分解物、および米国特許第6,110,907号に開示された構造IおよびIIのプラチナ含有複合体は、表1および表2に示すように種々の細胞株においてin vitroで良好な抗がん活性を示す。
【0026】
【表1】
Figure 2004532260
【0027】
【表2】
Figure 2004532260
(プラチナ含有抗がん剤とデメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物との組合せの相乗作用)
【実施例1】
【0028】
(シスプラチンとDMCとの組合せ)
プラチナ含有抗がん剤とデメチルカンタリジンまたはその加水分解物(二価酸)との、様々な比率の組合せは、シスプラチン感受性およびシスプラチン耐性のがん細胞のいずれにおいても相乗作用を示す。例えば、相乗作用の結果として、感受性を有するL1210細胞株において、抗がん作用(シスプラチン単独と同等)を達成するために必要なシスプラチンの用量は、デメチルカンタリジンと組み合わせた場合(モル比は1:10を越えない)には1/2に低減可能である(表3)。同程度のシスプラチンとDMCとの比率について、この用量の低減は、シスプラチン耐性のL1210細胞株(シスプラチンに対して40倍の耐性を有する)においてはさらにより劇的である。すなわち、同等の抗がん作用を達成するために必要なシスプラチンの用量は1/6(シスプラチン:DMCがモル比で1:1)〜1/27(シスプラチン:DMCがモル比で1:6)に低減される(表4)。
【0029】
表3および4から、シスプラチン耐性のL1210におけるシスプラチンの用量低減指数(dose reduction index;DRI)は、一般にシスプラチン感受性のL1210細胞株におけるDRIよりも高かった。このことは、DMCをシスプラチンと組み合わせることにより、シスプラチンとDMCとの相乗作用(図1および2)によりシスプラチン耐性を克服する可能性がある理由の説明となりうる。
【0030】
シスプラチンおよびデメチルカンタリジン(DMC)ならびにそれらの組合せの、72時間曝露におけるシスプラチン感受性およびシスプラチン耐性のL1210マウス白血病細胞株の生育阻害における用量‐効果の関係を示す。
【0031】
【表3】
Figure 2004532260
【0032】
【表4】
Figure 2004532260
表中、パラメータm、Dm、およびrはメジアン‐効果プロットの傾き、x切片の真数、および直線の相関係数であり、それぞれ用量‐効果曲線の形、有効性(IC50)、および質量‐作用の法則に対するデータの整合性を意味する;用量‐効果の関係の実験を3セット実施し、各実験は6〜8連とした。
【0033】
♯DRI(用量低減指数)は、各薬剤単独の用量と比較して、ある一定程度の効果を導くために、組合せにおいて可能な用量の低減の規模の程度(倍数)を表す。全てのDRI値は、古典的なアイソボログラムの式および仮説に基づいて算出する。
【実施例2】
【0034】
(カルボプラチンとDMCとの組合せ)
プラチナ含有抗がん剤とデメチルカンタリジンまたはその加水分解物(二価酸)との、様々な比率の組合せは、シスプラチン感受性および耐性のがん細胞のいずれにおいても相乗作用を示す。例えば、相乗作用の結果として、感受性を有するL1210細胞株において、抗がん作用(カルボプラチン単独と同等)を達成するために必要なカルボプラチンの用量は、デメチルカンタリジンと組み合わせた場合には1/2〜1/8に低減可能である(表5)。同程度のカルボプラチンとDMCとの比率について、この用量の低減は、シスプラチン耐性のL1210細胞株(シスプラチンに対して40倍の耐性を有する)においてはさらにより劇的である。すなわち、同等の抗がん作用を達成するために必要なカルボプラチンの用量は1/17(カルボプラチン:DMCがモル比で1:1)〜1/65(カルボプラチン:DMCがモル比で1:7)に低減される(表6)。
【0035】
表5および6から、シスプラチン耐性のL1210におけるカルボプラチンの用量低減指数(DRI)は、一般にシスプラチン感受性のL1210細胞株におけるDRIよりも高かった。このことは、DMCをカルボプラチンと組み合わせることにより、カルボプラチンとDMCとの相乗作用(図3および4)によりシスプラチン耐性を克服する可能性がある理由の説明となりうる。
【0036】
カルボプラチンおよびデメチルカンタリジン(DMC)ならびにそれらの組合せの、72時間曝露における、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチン感受性および耐性のL1210マウス白血病細胞株の生育阻害における用量‐効果の関係を示す。
【0037】
【表5】
Figure 2004532260
【0038】
【表6】
Figure 2004532260
表中、パラメータm、Dm、およびrはメジアン‐効果プロットの傾き、x切片の真数、および直線の相関係数であり、それぞれ用量‐効果曲線の形、有効性(IC50)、および質量‐作用の法則に対するデータの整合性を意味する;用量‐効果の関係の実験を3セット実施し、各実験は6〜8連とした。
【0039】
♯DRI(用量低減指数)は、各薬剤単独の用量と比較して、ある一定程度の効果を導くために、組合せにおいて可能な用量の低減の規模の程度(倍数)を表す。全てのDRI値は、古典的なアイソボログラムの式および仮説に基づいて算出する。
【実施例3】
【0040】
(オキサリプラチンとDMCとの組合せ)
オキサリプラチンとデメチルカンタリジンまたはその加水分解物(二価酸)との、様々な比率の組合せは、シスプラチン感受性および耐性のがん細胞のいずれにおいても相乗作用を示す。例えば、相乗作用の結果として、感受性を有するL1210細胞株において、抗がん作用(オキサリプラチン単独と同等)を達成するために必要なオキサリプラチンの用量は、デメチルカンタリジンと組み合わせた場合には約1/2に低減可能である(表7)。この用量の低減は、シスプラチン耐性のL1210細胞株(シスプラチンに対して40倍の耐性を有する)においてより大きい。すなわち、同等の抗がん作用を達成するために必要なオキサリプラチンの用量は1/4に低減可能である(表8)。
【0041】
オキサリプラチンおよびデメチルカンタリジン(DMC)ならびにそれらの組合せの、72時間曝露における、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチン感受性および耐性のL1210マウス白血病細胞株の生育阻害における用量‐効果の関係を示す。
【0042】
【表7】
Figure 2004532260
【0043】
【表8】
Figure 2004532260
表中、パラメータm、Dm、およびrはメジアン‐効果プロットの傾き、x切片の真数、および直線の相関係数であり、それぞれ用量‐効果曲線の形、有効性(IC50)、および質量‐作用の法則に対するデータの整合性を意味する;用量‐効果の関係の実験を3セット実施し、各実験は6〜8連とした。
【0044】
♯DRI(用量低減指数)は、各薬剤単独の用量と比較して、ある一定程度の効果を導くために、組合せにおいて可能な用量の低減の規模の程度(倍数)を表す。全てのDRI値は、古典的なアイソボログラムの式および仮説に基づいて算出する。
【実施例4】
【0045】
(DMC‐Pt複合体1とDMCとの組合せ)
複合体1とデメチルカンタリジンまたはその加水分解物(二価酸)との、様々な比率の組合せは、シスプラチン感受性および耐性のがん細胞のいずれにおいても相乗作用を示す。例えば、相乗作用の結果として、感受性を有するL1210細胞株において、抗がん作用(複合体1単独と同等)を達成するために必要な複合体1の用量は、デメチルカンタリジンと組み合わせた場合には1/3〜1/5に低減可能である(表9)。同程度の複合体1とDMCとの比率について、この用量の低減は、シスプラチン耐性のL1210細胞株(シスプラチンに対して40倍の耐性を有する)においてはさらにより劇的である。すなわち、同等の抗がん作用を達成するために必要な複合体1の用量は1/4(複合体1:DMCがモル比で1:1)〜1/17(複合体1:DMCがモル比で1:5)に低減される(表10)。
【0046】
表9および10から、シスプラチン耐性のL1210における複合体1の用量低減指数(DRI)は、一般にシスプラチン感受性のL1210細胞株におけるDRIよりも高かった。このことは、DMCを複合体1と組み合わせることにより、複合体1とDMCとの相乗作用(図7および8)によりシスプラチン耐性を克服する可能性がある理由の説明となりうる。
【0047】
複合体1およびデメチルカンタリジン(DMC)ならびにそれらの組合せの、72時間曝露における、シスプラチン感受性および耐性のL1210マウス白血病細胞株の生育阻害における用量‐効果の関係を示す。
【0048】
【表9】
Figure 2004532260
【0049】
【表10】
Figure 2004532260
表中、パラメータm、Dm、およびrはメジアン‐効果プロットの傾き、x切片の真数、および直線の相関係数であり、それぞれ用量‐効果曲線の形、有効性(IC50)、および質量‐作用の法則に対するデータの整合性を意味する;nは、実施した用量‐効果の関係の実験セットの数である。
【0050】
♯DRI(用量低減指数)は、各薬剤単独の用量と比較して、ある一定程度の効果を導くために、組合せにおいて可能な用量の低減の規模の程度(倍数)を表す。全てのDRI値は、古典的なアイソボログラムの式および仮説に基づいて算出する。
【実施例5】
【0051】
(DMC‐Pt複合体5とDMCとの組合せ)
複合体5とデメチルカンタリジンまたはその加水分解物(二価酸)との、様々な比率の組合せは、シスプラチン感受性および耐性のがん細胞のいずれにおいてもわずかに弱い相乗作用を示す(図9および10)。
【0052】
表11および12から、シスプラチン耐性のL1210における複合体1の用量低減指数(DRI)は、シスプラチン感受性のL1210細胞株におけるDRIとほぼ同じであった。DMCの割合が高い場合でさえ、複合体5のDRIは低いままであり、シスプラチン(実施例1)およびカルボプラチン(実施例2)について得られた結果とは異なることが観察されている。このことは、複合体5単独でがん細胞のシスプラチン誘導による耐性を克服可能であり、複合体5単独で有効性の高い抗がん剤であることを意味している。
【0053】
複合体5およびデメチルカンタリジン(DMC)ならびにそれらの組合せの、72時間曝露における、シスプラチン感受性および耐性のL1210マウス白血病細胞株の生育阻害における用量‐効果の関係を示す。
【0054】
【表11】
Figure 2004532260
【0055】
【表12】
Figure 2004532260
表中、パラメータm、Dm、およびrはメジアン‐効果プロットの傾き、x切片の真数、および直線の相関係数であり、それぞれ用量‐効果曲線の形、有効性(IC50)、および質量‐作用の法則に対するデータの整合性を意味する;nは、実施した用量‐効果の関係の実験セットの数である。
【0056】
♯DRI(用量低減指数)は、各薬剤単独の用量と比較して、ある一定程度の効果を導くために、組合せにおいて可能な用量の低減の規模の程度(倍数)を表す。全てのDRI値は、古典的なアイソボログラムの式および仮説に基づいて算出する。
(Pt含有抗がん剤のシスプラチンに対する交差耐性のまとめ)
【0057】
【表13】
Figure 2004532260
表中、パラメータm、Dm、およびrはメジアン‐効果プロットの傾き、x切片の真数、および直線の相関係数であり、それぞれ用量‐効果曲線の形、有効性(IC50)、および質量‐作用の法則に対するデータの整合性を意味する;用量‐効果の関係の実験を3セット実施し、各実験は6〜8連とした。
【0058】
表中のパラメータは、メジアン‐効果プロットを用いてfa=50%において評価した。
後天的に耐性を得た細胞株はシスプラチンに対して約40倍の耐性を有し、カルボプラチンに対して約15倍の交差耐性を有する。オキサリプラチンおよび複合体1も異なる程度の交差耐性を示す。しかしながら、複合体5およびデメチルカンタリジン(DMC)の示す交差耐性はごくわずかである。
(Pt含有抗がん剤の用量低減指数(DRI)のまとめ)
【0059】
【表14】
Figure 2004532260
表中、パラメータm、Dm、およびrはメジアン‐効果プロットの傾き、x切片の真数、および直線の相関係数であり、それぞれ用量‐効果曲線の形、有効性(IC50)、および質量‐作用の法則に対するデータの整合性を意味する;用量‐効果の関係の実験を3セット実施し、各実験は6〜8連とした。
【0060】
表中のパラメータは、メジアン‐効果プロットを用いてfa=50%において評価した。
シスプラチンに対して交差耐性を示す化合物(シスプラチン(40倍)、カルボプラチン(15倍)、複合体1(8倍))については、シスプラチン耐性の細胞株におけるCIは一般に親細胞株におけるCIよりも低く、シスプラチン耐性の細胞株におけるDRIは一般に親細胞株におけるDRIよりも高い。これらのデータから、DMCが耐性のメカニズムを選択的に標的としていることが示唆される。
(実験の詳細)
(DMC加水分解物の調製)
DMC1相当を2相当の1M水酸化ナトリウムに溶解させた。得られた溶液を真空中(in vacuo)で乾燥させた。生成した白色の固体についてFT‐IRおよびNMRにより特性を解析した。
(In vitroにおける抗がん剤スクリーニング)
試験用複合体1‐5、DMC、DMC加水分解物、カンタリジンについて、対照のシスプラチンおよびカルボプラチンとともに、テトラゾリウム微小培養アッセイを用いて一連のヒトがん細胞株およびマウス白血病L1210に対するin vitroの抗がん活性についてスクリーニングした。
【0061】
(薬剤)
被験薬剤を、使用する最高濃度の2倍の濃度で完全培地に溶解した後、フィルター(0.22μm)で滅菌した。完全培地を用いて、各薬剤溶液の対数希釈系列を作製した。全ての薬剤溶液を、細胞に添加する前10分以内に調製した。
【0062】
(細胞)
MDA‐MB‐231(ヒト乳がん)、SK‐OV‐3(ヒト卵巣がん)、SK‐Hep‐1(ヒト肝臓がん)、COLO320DM(ヒト大腸がん)、L1210(マウス白血病)、NCI:H460(ヒト肺がん)およびNTERA‐Scl‐D1(ヒト精巣がん)を米国細胞バンク(ATCC)より入手した。
【0063】
(In vitroにおける薬剤への曝露)
トリプシン処理した細胞を完全培地中で2×10個/mlの濃度に調整し、各被験薬剤につき、該細胞懸濁液を96ウェルマイクロタイタープレートの24ウェルに0.1mlずつ添加した。次いで、細胞をウェルの底に付着させて対数増殖状態に回復させるために、プレートを標準的条件で24時間インキュベートした。対照の培養用および薬剤/濃度の組合せ用の各ウェルに、それぞれ0.1mlの完全培地および薬剤溶液を添加した。各々の薬剤/濃度の組合せは4連とし、対照培養物は12連とした。0.2mlの完全培地を含む12連のブランクを、バックグラウンドとするために用意した。培養物をさらに72時間インキュベートした。全ての実験を、別々の時に少なくとも3回繰り返した。
【0064】
(MTTアッセイ)
MTT(テトラゾリウム)アッセイを用いて種々の薬剤の生育阻害効果を測定した。MTT(3‐(4,5‐ジメチルチアゾール‐2‐イル)‐2,5‐ジフェニルテトラゾリウムブロマイド)の5mg/ml溶液をリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中に調製し、フィルター(0.22μm)で滅菌して−20℃で保存した。各ウェルに0.02mlのMTT溶液を添加し、プレートを標準的な条件で4時間インキュベートした。次いで各ウェルから培地を取り除き、0.1mlのDMSO(ジメチルスルホキシド)を各ウェルに添加してMTTの代謝による還元から生成した色素を可溶化した。還元されたMTTの量を、分光光学的手段(570nm)により測定した。
【0065】
(データ解析)
対照の12ウェルの平均OD値を測定した。各薬剤の各々の濃度について、4ウェルの平均OD値を測定した。バックグラウンドを考慮し、全ての平均OD値からブランクを差し引いた。「対照に対する比率(%)」の値を決定しプロットした。50%生育阻害をもたらす濃度(IC50)を、ソフトウェアPrism3.0を用いてグラフをS字状の用量‐反応曲線にフィッティングすることにより測定した。
(L1210マウス白血病細胞におけるシスプラチン耐性の誘導)
シスプラチン耐性のL1210白血病細胞株は、L1210/0細胞を1年にわたり薬物濃度を段階的に増大させて曝露することにより作製した(表14)。
(プラチナ含有抗がん剤とデメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物、二価酸との組合せにおける相乗作用)
プラチナ化合物を、単独およびデメチルカンタリジン(DMC)と組み合わせて細胞毒性効果について評価した。化合物の細胞毒性は、上述のようにMTTアッセイにより測定した。チョウ(Chou)およびタラレー(Talalay)のメジアン‐効果の原理(median‐effect principle)および組合せ指数(combination‐index)のアイソボログラムの方法を用いて、シスプラチン、DMC、またはそれらの様々な組合せ比率の混合物について用量‐効果のパラメータを測定した。細胞毒性アッセイにおける用量‐効果の関係を導くため、各薬物または混合物を3倍希釈系列とした。
【0066】
相乗作用の評価の詳細は以下のとおりである:
シスプラチンおよびDMCの組合せについて、チョウ(Chou)およびタラレー(Talalay)の参照文献1‐4のメジアン‐効果プロットおよび組合せ指数のアイソボログラムの方法を用いて、相乗作用、相加作用、または拮抗作用について評価した。
【0067】
この方法は、メジアン‐効果の式(3,6)を用いて、多段階希釈した各薬剤およびそれらの組合せについて用量‐効果曲線をプロットすることを含む。
fa/fu=(D/Dm)
(式中、faは作用を受けた細胞の割合(すなわち死滅した細胞の割合)、fuは作用を受けなかった細胞の割合(すなわち生き残った細胞の割合;fa=1−fu)、Dは薬剤の用量、およびDmはメジアン効果を引き起こす用量である)。
【0068】
パラメータm、Dm、およびrは、メジアン‐効果プロットの傾き、x切片の真数、および直線の相関係数であり、それぞれ用量‐効果曲線の形、有効性(IC50)、および質量‐作用の法則に対するデータの整合性を意味する(参照文献3、5および6)。Dm値およびm値を用いて組合せ指数(combination index;CI)の値を算出する。
【0069】
CI<1、CI=1、およびCI>1はそれぞれ相乗作用、相加作用、および拮抗作用を表す。古典的なアイソボログラムの式に基づき、CIを方程式により算出することができる。すなわち、
CI=[(D)1/(DX)1]+[(D)2/(DX)2]+[α(D)1(D)2]/[(DX)1/(DX)2]
(式中、(D)1は薬剤1の用量、
(D)2は薬剤2の用量、および
(DX)はメジアン効果を生じるのに必要な用量(=Dm[fa/(1-fa)]1/m) であり、
α=0の場合は薬剤が相互に独立な、α=1の場合は薬剤が相互に独立でない作用メカニズムを有する。)
チョウ(Chou)およびタラレー(Talalay)により定義された(参照文献7)、相互に独立でない、および独立な薬剤相互作用のいずれも評価される。2つの仮定条件についてのデータ間に実質的な違いはなかったので、提示のデータは相互に独立とする仮定条件のみについて得られたものである。
【0070】
擬陽性の結果を排除するため、古典的なアイソボログラム曲線のトレースにより妥当な部分的細胞毒性(fa=50%)における相乗作用を確認した。
【0071】
【表15】
Figure 2004532260
(用量低減指数)
「用量低減指数(dose‐reduction index)」すなわちDRIという用語は1988年に初めて発表され(チョウ ジェイ.およびチョウ ティ.‐シー.(Chou J.and Chou T.-C. )、相乗作用を有する薬剤の組合せにおける用量低減指数(DRI)のコンピュータ・シミュレーション(Computerized simulation of dose reduction index (DRI) in synergistic drug combinations. )、Pharmacologist、1988年、第30巻、要旨A231)、1989年にコンピュータによる自動解析に用いられた(バーマン イー.,デュゴウ‐オスタンドルフ アール.,クラウン エス.イー.,ファヌッキ エム.ピー.,チョウ ジェイ.,ヒルシュ エム.エス.,クラークソン ビー.ディー.,チョウ ティ.‐シー.(Berman E., Duigou-Osterndorf R., Krown S.E., Fanucchi M.P., Chou J., Hirsch M.S., Clarkson B.D., Chou T.-C. )アジドチミジンおよび組換えインターフェロンαの正常ヒト骨髄前駆細胞に対する相乗的細胞毒性作用(Synergistic cytotoxic effect of azidothymidine and recombinant interferon alpha on normal human bone marrow progenitor cells)、Blood 、1989年、第74巻、1281〜6ページ)。DRIは、ある一定の効果(すなわち阻害率(%))およびある一定の組合せ比率の、相乗作用を有する組合せにおいて、用量が何倍低減されうるかを表す。
CI=(D)1/(DX)1+(D)2/(DX)2=1/(DRI)1+1/(DRI)2
(式中、(D)1は組合せにおける薬剤1の用量、
(D)2は組合せにおける薬剤2の用量、および
(DX)はメジアン効果を生じるのに必要な(単独の薬剤の)用量(=Dm[fa/(1-fa)]1/m) である。)
従って、例えば感受性を有するL1210においてシスプラチン:DMCが1:1.49のときは、
【0072】
【数1】
Figure 2004532260
であり、シスプラチン耐性のL1210においてシスプラチン:DMCが1:1.67のときは、
【0073】
【数2】
Figure 2004532260
である。
シスプラチンについてのDRIは耐性の細胞株において感受性の親細胞株よりも約5.5倍高い。このことは、DMCとシスプラチンとの組合せがシスプラチン耐性を克服する可能性がある理由を説明するものかもしれない。
【0074】
(Fa‐CIプロット)
段階的に希釈された(すなわち阻害曲線全体にわたる)混合物中の様々な効果レベルにおける2つの薬剤の相乗作用又は拮抗作用を示すために、fa‐CIプロット(図11)を構築することも可能である。数種の混合物を作製すれば、プロットから最大の相乗作用をもたらす最適な組合せ比率を推定することが可能である。異なる効果レベルでは一般に相乗作用または拮抗作用の程度が異なる。CI<1、=1、>1は、それぞれ相乗作用、相加作用、および拮抗作用を表す。がんに対する化学療法については、高い効果レベルにおける相乗作用は、低い効果レベルにおける相乗作用よりも臨床的により意味のあることである。
【0075】
本発明を上記に説明してきたが、前述の発明を実施するための最良の形態の記載を基にした本発明の変更形態および修正形態は当業者には自明のことである。これらの変更形態、修正形態およびそれらの同等物のすべては特許請求の範囲の範囲内に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】感受性L1210マウス白血病細胞における、シスプラチン+DMCのアイソボログラムを示す図。
【図2】シスプラチン耐性L1210マウス白血病細胞における、シスプラチン+DMCのアイソボログラムを示す図。
【図3】感受性L1210マウス白血病細胞における、カルボプラチン+DMCのアイソボログラムを示す図。
【図4】シスプラチン耐性L1210マウス白血病細胞における、カルボプラチン+DMCのアイソボログラムを示す図。
【図5】感受性L1210マウス白血病細胞における、オキサリプラチン+DMCのアイソボログラムを示す図。
【図6】シスプラチン耐性L1210マウス白血病細胞における、オキサリプラチン+DMCのアイソボログラムを示す図。
【図7】感受性L1210マウス白血病細胞における、複合体1+DMCのアイソボログラムを示す図。
【図8】シスプラチン耐性L1210マウス白血病細胞における、複合体1+DMCのアイソボログラムを示す図。
【図9】感受性L1210マウス白血病細胞における、複合体5+DMCのアイソボログラムを示す図。
【図10】シスプラチン耐性L1210マウス白血病細胞における、複合体5+DMCのアイソボログラムを示す図。
【図11】シスプラチン耐性L1210におけるシスプラチンとDMCとの組合せ(1:4.5)についてのFa‐CIプロットを示す図。

Claims (30)

  1. シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞の生育を阻害するデメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物の用途。
  2. がん細胞は、肺がん、肝臓がん、乳がん、大腸がん、卵巣がん、子宮頸がん、白血病、リンパ腫、または鼻咽頭がん由来である、請求項1に記載の用途。
  3. シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞を、ある量のデメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物と接触させることからなる、前記細胞の生育を阻害する方法。
  4. がん細胞は、肺がん、肝臓がん、乳がん、大腸がん、卵巣がん、子宮頸がん、白血病、リンパ腫、または鼻咽頭がん由来である、請求項3に記載の方法。
  5. 対象者においてシスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞の生育を阻害する方法であって、前記細胞の生育を阻害するために有効な量のデメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物を前記対象者に投与することからなる方法。
  6. がん細胞は、肺がん、肝臓がん、乳がん、大腸がん、卵巣がん、子宮頸がん、白血病、リンパ腫、または鼻咽頭がん由来である、請求項5に記載の方法。
  7. デメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物を、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞の生育阻害において相乗作用を有するプラチナ含有抗がん剤、ならびに医薬として許容可能な担体とともに含んでなる医薬組成物。
  8. がん細胞は、肺がん、肝臓がん、乳がん、大腸がん、卵巣がん、子宮頸がん、白血病、リンパ腫、または鼻咽頭がん由来である、請求項7に記載の組成物。
  9. デメチルカンタリジンまたはその加水分解物とプラチナ含有抗がん剤とのモル比が55:1〜1:100である、請求項7に記載の組成物。
  10. 該モル比が10:1〜1:10である、請求項9に記載の組成物。
  11. 該モル比が1:1である、請求項10に記載の組成物。
  12. 前記プラチナ含有抗がん剤は
    Figure 2004532260
    の構造を有する複合体のうち少なくとも1つから選択される、請求項7〜11のいずれか一項に記載の組成物。
  13. RはH、CH(CH、CH、およびCから選択され、‐A‐A‐は
    Figure 2004532260
    である、請求項12に記載の組成物。
  14. 前記プラチナ含有抗がん剤はシスプラチンである、請求項7〜11のいずれか一項に記載の組成物。
  15. 前記プラチナ含有抗がん剤はカルボプラチンである、請求項7〜11のいずれか一項に記載の組成物。
  16. 前記プラチナ含有抗がん剤はオキサリプラチンである、請求項7〜11のいずれか一項に記載の組成物。
  17. シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞の生育を阻害するための医薬組成物の製造におけるデメチルカンタリジン(DMC)の用途。
  18. がん細胞は、肺がん、肝臓がん、乳がん、大腸がん、卵巣がん、子宮頸がん、白血病、リンパ腫、または鼻咽頭がん由来である、請求項17に記載の用途。
  19. シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞を、デメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物とプラチナ含有抗がん剤との組合せに接触させることからなる、前記細胞の生育を阻害する方法。
  20. がん細胞は、肺がん、肝臓がん、乳がん、大腸がん、卵巣がん、子宮頸がん、白血病、リンパ腫、または鼻咽頭がん由来である、請求項19に記載の方法。
  21. デメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物とプラチナ含有抗がん剤とのモ
    ル比が55:1〜1:100である、請求項19に記載の方法。
  22. 該モル比が10:1〜1:10である、請求項21に記載の方法。
  23. 該モル比が1:1である、請求項22に記載の方法。
  24. 前記プラチナ含有抗がん剤は
    Figure 2004532260
    の構造を有する複合体のうち少なくとも1つから選択される、請求項19〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. RはH、CH(CH、CH、およびCから選択され、‐A‐A‐は
    Figure 2004532260
    である、請求項24に記載の方法。
  26. 前記プラチナ含有抗がん剤はシスプラチンである、請求項19〜23のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記プラチナ含有抗がん剤はカルボプラチンである、請求項19〜23のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記プラチナ含有抗がん剤はオキサリプラチンである、請求項19〜23のいずれか一項に記載の方法。
  29. 対象者においてシスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンに感受性および耐性のがん細胞の生育を阻害する方法であって、デメチルカンタリジン(DMC)またはその加水分解物とプラチナ含有抗がん剤との組合せを前記対象者に投与することからなる方法。
  30. がん細胞は、肺がん、肝臓がん、乳がん、大腸がん、卵巣がん、子宮頸がん、白血病、リンパ腫、または鼻咽頭がん由来である、請求項29に記載の方法。
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