JP2004531266A - 機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないマウス、および、α−4インテグリンタンパク質アンタゴニスト活性に関して化合物または薬剤を分析する方法、ならびにVLA−4受容体のシグナリング活性の調節因子の有効性を評価するための遺伝子マーカー - Google Patents

機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないマウス、および、α−4インテグリンタンパク質アンタゴニスト活性に関して化合物または薬剤を分析する方法、ならびにVLA−4受容体のシグナリング活性の調節因子の有効性を評価するための遺伝子マーカー Download PDF

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Abstract

本発明は、機能的α−4−インテグリンタンパク質を発現できないマウス、および、α−4インテグリンアンタゴニスト活性に関する薬剤を分析する方法、ならびに、遺伝子マーカーとしてVLA−4調節因子、特にアンタゴニストの有効性を分析する方法を提供する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、新規で、有用で、かつこれまで未知の、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないマウスに関する。本発明はまた、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないマウス、およびそれから得られた情報を、α−4インテグリンタンパク質活性を調節する化合物または薬剤、およびVLA−4受容体のシグナリング活性を調節する化合物または薬剤を分析することに利用する方法を含む。
【0002】
優先権の主張
本願は、2001年10月17日付けで出願されたイギリス国仮出願第0124895.4号の利益を主張し、その全体を参照により本明細書に加入する。
国内優先権の主張
本願は、2001年6月8日付けで出願された米国仮出願第60/297,112号;
「機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないマウス、および、α−4インテグリンタンパク質−アンタゴニスト活性に関して化合物または薬剤を分析する方法、ならびにVla−4受容体のシグナリング活性の調節因子の有効性を評価するための遺伝子マーカー」という名称の2002年5月23日付けで出願された米国特許仮出願(出願番号は与えられていない)、および、「機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないマウス、および、α−4インテグリンタンパク質アンタゴニスト活性に関して化合物または薬剤を分析する方法、ならびにVla−4受容体のシグナリング活性の調節因子の有効性を評価するための遺伝子マーカー」という名称の2002年5月29日付けで出願された米国仮出願(出願番号は与えられていない)の利益を主張し、ここで前記出願は、参照によりその全体を本明細書に加入する。
【背景技術】
【0003】
白血球は、微生物侵入に対する体の防御システムにおける主要作動因子である。これはまた、自己免疫反応プロセスや炎症において体自身の細胞を攻撃することにおいて主要な役割を有する。体の防御システムの一部をなすその他の細胞は、顆粒球およびマクロファージである。これら細胞は非特異的成分である。顆粒球は、好中球、好塩基球および好酸球で構成され、これらはいずれも、微生物に遭遇すると細胞毒性の化合物を放出することができる。マクロファージは、食細胞活動により侵入した抗原を殺すこともできる。
【0004】
その上、リンパ系は、抗原特異的免疫反応を引き起こし、これは、T細胞およびB細胞(それらの分化の源または部位にちなんでそれぞれ名付けられた)で構成される。特に、T細胞は、それらの主な分化が起こる場所である胸腺にちなんで名付けられている。3種の異なるタイプのT細胞がある。T−キラー細胞は、ウイルス感染細胞のような外来抗原を提示する細胞を破壊する。ヘルパーT細胞は、抗体を生産するB細胞を補助する。残りのタイプのT細胞は、T−サプレッサー細胞であり、これは、免疫系の体液性および細胞媒介性の分岐の抑制を媒介する。
【0005】
同様に、B細胞はまた、それらが分化し成熟する体の位置、すなわち骨髄にちなんで名付けられている。B細胞は、ヘルパーT細胞に結合すると、特定の外来抗原に対して特異的な抗体を放出する。これら抗体の放出により、抗原の破壊が起こる。
【0006】
全ての免疫系細胞(上述したものなど)は、循環系およびリンパ系の至る所を循環し、外来抗原から身体を守る。外来生物が身体に侵入すると、免疫系内の様々なカスケードやメカニズムが活性化され、抗原を破壊する。しかしながら、場合によっては、免疫系は、健康な自己由来細胞を攻撃したり、抗原の存在に過剰反応したりして、それにより、いくつか例を挙げると、気管支喘息、若年性糖尿病、バセドー病のような病気、または、橋本甲状腺炎、悪性貧血、アジソン病、糖尿病、リウマチ様関節炎、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン病、皮膚筋炎、エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、ライター症候群、またはグレーブス病のような自己免疫疾患を引き起こす。
【0007】
α−4インテグリンタンパク質
インテグリンは、相同膜貫通型リンカータンパク質の大規模なファミリーを形成する。インテグリンは、細胞−細胞相互作用および細胞−細胞外基質相互作用のメディエーターとして作用する。全ての受容体は、非共有結合により共に連結したα鎖とβ鎖とからなるヘテロダイマーである。これらの鎖は膜貫通型糖蛋白質サブユニットである。現在、16種の異なるα鎖と、8種の異なるβ鎖が知られており、組み合わされて少なくとも22種の異なるインテグリンを形成する[Newham and Humphries,1996]。インテグリンタンパク質のそのリガンドへの結合は、Mg2+やCa2+のような2価カチオンに依存する。
【0008】
α−4インテグリンタンパク質は、β−1鎖と、VLA−4(Very Late Antigen−4)受容体を形成するか、または、β−7鎖とLPAM−1(Lymphocytes Payer's Patch Adhesion Molecule)受容体を形成する。両方の受容体は、主として、好中球以外の全てのサブクラスの白血球で発現される[Bochner et al.,1991]、[Dunon et al.,1996]。しかしながら、近年の研究によれば、α−4インテグリンはまた、好中球で発現されることが示されている[Issekutz,1998]、[Taooka et al.,1999]。VLA−4受容体はまた、発生の際に、様々な他の組織で発現され、例えば筋肉 [Yang et al.,1996]、[Rosen et al., 1992]、肝臓[Jaspers et al.,1995]、胎盤および心臓[Yang et al.,1995]で発現される。α−4インテグリンはまた、細胞外基質の成分として、結合セグメント−1(CS−1)を介して、オルタナティブスプライシングされたフィブロネクチンセグメントに結合する[Hynes,1992]。VLA−4およびLPAM−1はまた、内皮に存在するVCAM−1(vascular cell Adhesion molecule)に結合することもできる。しかしながら、LPAM−1だけは、消化管関連リンパ節に存在するMadCAM−1(mucosal vascular addressin)に結合する(Payer's Patches)。
【0009】
VLA−4受容体および接着におけるその役割
VLA−4受容体は、白血球で非常に低いレベルで構成的に発現される[Chen et al.,1999]、[Yednock et al.,1995]、[Chan et al.,1991]、[Shimizu et al.,1990]。発現は、「インサイドアウト(inside out)」または「アウトサイドイン(outside in)」メカニズムを介して、細胞の活性化の際に迅速にアップレギュレートされる。VLA−4受容体は、白血球の内皮への強固な接着において重要な役割を有する。
【0010】
白血球の内皮の膜への接着、および、組織への移動は、多数の分子が関与する多段階プロセスである。一般的に、白血球の血管外漏出は、主として高内皮細静脈(HEV)で起こり、高内皮細静脈とは、リンパ球遊走に特化した内皮であり、脾臓以外の全ての二次リンパ器官で見出される[Girard and Springer,1995]。殆どの再循環リンパ球は、選択的にHEVに結合し、その他の血管内皮細胞には強固に接着しない。二次リンパ器官の特定の器官へのリンパ球の補充は、「ホーミング(homing)」と呼ばれる。
【0011】
HEVにおけるリンパ球の接着と遊走は、初めのうちはL−セレクチン−シリアルルイスX(sLeX)相互作用で媒介され、その後、LFA−l/ICAM−1およびLPAM−1/MadCAM−1相互作用によりリンパ球は活性化される。活性化に関与する因子および分子は、HEVではよく特徴付けされていない。末梢非リンパ組織において、接着の第一段階は、内皮の膜に沿って白血球を繋げ、ロールさせることであり、これはセレクチンで媒介される。この相互作用は、さらなる接着経路が活性化されるまでの一時的なものである。
【0012】
炎症、および多量の体の特定の領域におけるケモカインおよびサイトカインは、白血球の活性化をもたらす。その上、炎症はまた、VLA−4を活性化し、その発現は、様々な因子を介してアップレギュレートされ、該因子としては、例えばβ−ケモカインMIP−1β(マクロファージ炎症性タンパク質)があり、これは接着分子CD44への結合を介して白血球に提示される。MIP−1βの白血球への提示の際、VLA−4は活性化され、強固な細胞接着を媒介する。VLA−4はまた、IL−4およびTNF−αを介して活性化される。内皮の膜へ強固に接着した後に限り、白血球は膜を超えて遊走し、組織に入ることができる。
VLA−4活性のコントロールを介して炎症をコントロールする試みがなされてきた。例えば、特異的抗体でVLA−4をブロックすることにより、限定された治療効果を得ることができた。その上、VLA−4のブロッキングにより、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)からの好酸球の血管外漏出または好酸球蓄積およびモルモット喘息モデルにおける遅発性喘息反応を阻害できることがわかっている[Sagara et al.,1997]。また、可溶性VCAM−Ig融合タンパク質でのVLA−4のブロッキングにより、肥満でない糖尿病マウスにおける養子移入による自己免疫の糖尿病の発症を遅らせ得ることがわかっている[Jakubowski et al.,1995]。
【0013】
加えて、VLA−4媒介接着、それによる白血球の組織への遊走は、様々な病気、例えば半月形腎炎[Allen et al.,1999]、リウマチ様関節炎、全身性エリテマトーデス、糖尿病、シェーグレン病[McMurray 1996]、喘息、多発性硬化症、および、神経疾患[Mousa and Cheresh,1997]において主要な役割を有することが提唱されている。
【0014】
インビボでのVLA−4またはその欠失の効果をさらに理解するために、および、薬剤がα−4インテグリンアンタゴニスト活性を有するかどうかを決定するインビボで化合物または薬剤を分析する方法を開発するために、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できない哺乳動物を開発する試みがなされている。特に、トランスジェニックおよびノックアウトマウスが、インビボでの遺伝子またはタンパク質機能を決定するのに役に立つ手段を提供することがよく理解されている[Capecchi,1994,Capecchi,1989,Capecchi,1989 で総評される]。その上、ノックアウトモデルは、抗体を用いた研究に対して確かな利点を有し、なぜなら、インビボでの不適切な架橋現象、Fc−受容体介在効果または不十分な浸透により生じる人為的結果により、抗体が誤って導かれる可能性があるためである[Sharpe,1995]。
【0015】
接着分子のノックアウトマウス
ほとんどの接着分子に関してホモ接合型ノックアウトモデルが開発され、細胞−細胞外基質相互作用に関して研究されている。([Hynes,1996]、[George and Hynes,1994]、[Ley,1995]、[Hynes,1994]、[Hynes and Wagner,1996]、[Nebert and Duffy,1997]で総評される)。数種のノックアウトは致死性であり、なかでも、以下のインテグリンである:α−4[Yang et al., 1995]、α−5[Yang et al.,1993];α−6[Georges-Labouesse et al.,1996]、α−8[Hynes,1996 に述べられている]、α−9[Hynes,1996 に述べられている]、α−v[Hynes,1996 に述べられている]、β−1[Fassler and Meyer,1995]、[Stephens et al.,1995]、および、β−4[van derNeut et al., 1996]。
【0016】
ホモ接合型α−4インテグリンノックアウトを作製する近年の試みは、成功していない。α−4インテグリンタンパク質のホモ接合型ノックアウトは、マウスにおいて、胎盤および心臓の発達における深刻な欠陥のために胚の段階で死に至る。[Yang et al.,1995] 特に、このようなノックアウトマウスにおいて、尿膜と柔毛膜との融合が妊娠11日目に失敗することがわかっている。約50%の子孫がこの失敗を克服しているものの、その生き残った子孫は、発達中の心臓の2つの層が共に融合し損ねるために妊娠14日目に死亡する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、機能的α−4インテグリンタンパク質を生産できなくても、妊娠期を生き抜き、生存可能なマウスに成熟できるマウスが必要である。このようなマウスは、機能的α−4インテグリンタンパク質の拮抗を引き起こす遺伝子型および表現型の効果を決定することにおいて多大な有用性を有する可能性がある。
【0018】
さらに必要なことは、α−4インテグリンタンパク質活性、または、VLA−4受容体、特にそのアンタゴニストのシグナリング活性を調節する能力に関して化合物または薬剤をインビボおよびインビトロで分析する方法である。このような化合物または薬剤は、α−4インテグリンタンパク質またはVLA−4受容体の発現に関連する病気および疾患、例えば、これらに限定されないが、いくつか例を挙げると、気管支喘息、若年性糖尿病、バセドー病、または、橋本甲状腺炎、悪性貧血,アジソン病、糖尿病、リウマチ様関節炎、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン病、皮膚筋炎、エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、ライター症候群、またはグレーブス病のような自己免疫疾患の炎症および多血症の治療において用途を有する。
【0019】
本明細書における全ての参考文献の引用は、このような参考文献が本願の「従来技術」として用いられると認めたものとして解釈されるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明によれば、機能的α−4インテグリンタンパク質を生産できない新規かつ有用なマウスを提供する。さらに本発明によれば、α−4インテグリンタンパク質活性またはVLA−4受容体のシグナリング活性を調節するそれらの能力に関して、インビボおよびインビトロで化合物または薬剤を分析する新規の方法を提供する。
従って、概括的に、本発明は機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないマウスに及ぶ。
【0021】
その上、本発明は、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないマウスに及び、該マウスは、機能的α−4インテグリンタンパク質を検出することができず、該マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルが、コントロール野生型マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルと比べて調節されるという表現型を有する。コントロール野生型マウスで測定されたレベルと比べて本発明のマウスで調節される特定の遺伝子マーカーとしては、いくつか例を挙げると以下のものが挙げられる(ただしこれらに限定されない):
【0022】
ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
(H−2クラスI組織適合性抗原,d−kα鎖前駆体;
ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全cds;
赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ];
vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのcds;
NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
ハツカネズミmRNAのRHAMM;
R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA3’末端;
ハツカネズミの薄い耳(pale ear)(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNAハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;
vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;
ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA;および、
血液の幹細胞前駆体濃度。
【0023】
以下で説明するが、本発明のマウスで測定された、これら遺伝子マーカーのうちのいくつかのレベルは、コントロール野生型マウスで測定されたレベルと比べて増加するが、一方で、本発明のマウスで測定された、その他の遺伝子マーカーのレベルは、遺伝子マーカーのコントロール野生型マウスで測定されたレベルと比べて減少する。本発明のマウスで測定された遺伝子マーカーのレベルが、コントロール野生型マウスで測定されたレベルと比べて増加する遺伝子マーカーとしては、いくつか例を挙げると以下のものが挙げられる:
【0024】
ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
(H−2クラスI組織適合性抗原,D−Kα鎖前駆体;
ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全c;
赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ];
vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
ハツカネズミmRNAのRHAMM;
R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA3’末端;
ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのc;
ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNAハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;および、
血液の幹細胞前駆体濃度。
【0025】
同様に、本発明のマウスで測定されたレベルが、野生型コントロールマウスで測定されたレベルと比べて減少する遺伝子マーカーの例としては、いくつか例を挙げると以下のものが挙げられる(ただしこれらに限定されない):
vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;および、
マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA。
【0026】
その上、本発明は、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないマウスに及び、該マウスは、ノックアウトマウスである。このような本発明のノックアウトマウスは、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現することができる第一および第二の対立遺伝子を含み、ここで、第一の対立遺伝子は、第一の対立遺伝子に機能的α−4インテグリンタンパク質を発現させないような欠陥を含み、第二の対立遺伝子は、第二の対立遺伝子に機能的α−4インテグリンタンパク質を発現させないような欠陥を含む。このようなノックアウトマウスはまた、操作可能にプロモーターと結合したα−4インテグリンタンパク質をコードするcDNA分子の部分を含む導入遺伝子の2つのコピーをそのゲノム内に含む。特定の実施形態において、用いられるプロモーターは、tetPプロモーターであり、導入遺伝子は、配列番号1のDNA配列を含む。
【0027】
多数のタイプの欠陥を用いて、本発明のノックアウトマウスが機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できなくなるように対立遺伝子発現を破壊することができる。このような欠陥の例としては、ただしこれらに限定されないが、第一の対立遺伝子および第二の対立遺伝中の1またはそれ以上のヌクレオチドの置換、挿入、および/または欠失が挙げられる。
【0028】
その上、本発明は、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないノックアウトマウスの製造方法に及び、以下の工程:
(a)機能的α−4インテグリンタンパク質を発現することができる第一および第二の対立遺伝子を含む2種のノックアウトマウスを交雑する工程[各ノックアウトマウスの第一または第二の対立遺伝子のいずれかが、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないように、ノックアウトマウスはそれぞれ第一の対立遺伝子または第二の対立遺伝子のいずれかに欠陥を含む];
(b)工程(a)の交雑で得られた胚を回収する工程;
(c)操作可能にプロモーターと結合したα−4インテグリンタンパク質をコードする単離されたcDNA分子の部分を含む導入遺伝子を、工程(b)で回収された各胚に挿入し、導入遺伝子が胚のゲノムに取り込まれるようにトランスフェクトされた胚を形成する工程;
(d)偽妊娠雌マウスが機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できる第一および第二の対立遺伝子を含むマウスを産むように、トランスフェクトされた胚を偽妊娠雌マウスに挿入する工程[第一または第二の対立遺伝子のいずれかが、対立遺伝子に機能的α−4インテグリンタンパク質を発現させないような欠陥と、導入遺伝とを含む];および、
(e)工程(d)で生産された2種のマウスを交雑し、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できる第一および第二の対立遺伝子を含むノックアウトマウスを生産する工程[第一および第二の対立遺伝子がそれぞれ、対立遺伝子に機能的α−4インテグリンタンパク質を発現させないような欠陥を含み、ノックアウトマウスのゲノムが導入遺伝子の2つのコピーを含む];
を含み、工程(e)のノックアウトマウスは、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できない。
【0029】
本発明の方法で用途を有するヘテロ接合型α−4ノックアウトマウスの特定の例は、ヘテロ接合型α−4インテグリンノックアウトマウスであり、これは、ジャクソンラボラトリー(Bar Harbor,Maine)から容易に入手可能であり、ジャクソンラボラトリーのストック番号002463が付与されている。これらヘテロ接合型ノックアウトマウスを以下で詳細に説明する。
【0030】
加えて、本発明は、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないノックアウトマウスの製造方法に及び、該方法において、導入遺伝子は、操作可能にtetPプロモーターと結合したα−4インテグリンタンパク質をコードする単離されたcDNA分子の部分を含み、配列番号1のDNA配列を有する。
【0031】
当然ながら、当業者であれば、導入遺伝子をマウス胚に挿入する多数の方法が容易に利用可能である。このような挿入のための特定の方法は、導入遺伝子を発現ベクターに挿入すること、続いて、発現ベクターを胚に挿入することを含む。本発明において用途を有するその他の方法を以下で説明する。
【0032】
その上、本発明は、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないノックアウトマウスの製造方法に及び、以下の工程を含む:
(a)ジャクソンラボラトリーのストック番号002463を付与された2種のヘテロ接合型α−4インテグリンノックアウトマウスを交雑する工程[2種のノックアウトマウスは、機能的α−4インテグリンタンパク質をコードする第一または第二の対立遺伝子のいずれかに、対立遺伝子のいずれか1つにおける機能的α−4インテグリンタンパク質発現が破壊されるような欠陥を有する];
(b)工程(a)の交雑で得られた胚を回収する工程;
(c)操作可能にtetPプロモーターと結合したα−4インテグリンタンパク質をコードするcDNA分子の部分、および、配列番号1のDNA配列を含む導入遺伝子を、工程(b)で回収された胚に挿入して、胚のゲノムに導入遺伝子が含まれるようにトランスフェクトされた胚を形成する工程;
(d)偽妊娠雌マウスがゲノムに導入遺伝子を含むヘテロ接合型α−4ノックアウトマウスを産むように、トランスフェクトされた胚を偽妊娠雌マウスに挿入する工程;および、
(e)工程(d)で生産された2種のマウスを交雑し、ゲノム内に導入遺伝子の2つのコピーを含むホモ接合型α−4ノックアウトマウスを生産する工程。
【0033】
得られたノックアウトマウスは、双方の対立遺伝子のα−4インテグリンタンパク質を発現する能力を破壊する欠陥に関してホモ接合型であり、そのゲノム中に導入遺伝子の2つのコピーを含む。従って、得られたマウスは、妊娠期を生き抜き、生存可能なマウスに成熟するが、驚くべきことに、かつ意外なことに、成体マウスでは機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できない。
【0034】
他の実施形態において、本発明は、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないマウスに及び、ここで該マウスはトランスジェニックマウスである。このような本発明のトランスジェニックマウスは、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できる第一および第二の対立遺伝子が、非機能的に短縮されたα−4インテグリンタンパク質をコードする導入遺伝子の2つのコピーで置換されたゲノムを有し、ここで、導入遺伝子は、操作可能にプロモーターと結合したα−4インテグリンタンパク質をコードする単離されたcDNA分子の部分を含む。その結果として、本発明のトランスジェニックマウスは、妊娠期を生き抜き、成体マウスに成熟することができるが、成体マウスでは機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できない。
【0035】
当業者であれば、内因性対立遺伝子または遺伝子を異種核酸分子で置き換えるための多数の方法を容易に利用可能である。本発明において用途を有する特定の方法は相同組換えであり、以下で説明する。
【0036】
本発明のトランスジェニックマウスの特定の実施形態において、導入遺伝子は、操作可能にtetP−プロモーター[Gossen and Bujard,1992]と結合したα−4インテグリンタンパク質をコードするcDNA分子の部分を含み、配列番号1のDNA配列を含む。
【0037】
当然ながら、本発明はさらに、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないトランスジェニックマウスの製造方法に及ぶ。このような方法の第一工程は、第一のトランスジェニックマウス(機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できるいずれかの対立遺伝子が、操作可能にプロモーターと結合したα−4インテグリンタンパク質をコードする単離されたcDNA分子の部分を含む導入遺伝子で置換された)と、第二のトランスジェニックマウス(機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できるいずれかの対立遺伝子が、導入遺伝子で置換された)とを交雑することを含む。このような方法の第二工程は、交雑で得られた子孫のなかから、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できる双方の対立遺伝子が導入遺伝子の2つのコピーで置換されたゲノムを有するものを選択することを含む。これら選択された子孫は、成体マウスにおいて機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できない本発明のトランスジェニックマウスである。
【0038】
加えて、本発明は、α−4インテグリンタンパク質活性またはVLA−4受容体のシグナリング活性を調節、特に拮抗するそれらの能力に関して化合物または薬剤を分析する方法に及ぶ。特に、本発明は、化合物または薬剤を、VLA−4受容体のシグナリング活性のα−4インテグリンタンパク質活性を調節する能力に関して分析する方法に及び、(a)化合物または薬剤をマウスに投与する工程、(b)マウスで遺伝子マーカーのレベルを測定する工程、および(c)工程(b)の測定値と、コントロールマウスで測定された遺伝子マーカーのレベルとを比較する工程、を含む。コントロールマウスで測定された遺伝子マーカーのレベルと比べて、処理マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルが調節されることは、その化合物または薬剤が、α−4インテグリンタンパク質活性またはVLA−4受容体のシグナリング活性の調節因子としての有効性を有する可能性があるということを示す。本発明のこのような方法において用途を有する特定の遺伝子マーカーとしては、いくつか例を挙げると以下のものが挙げられる(ただしこれらに限定されない):
【0039】
ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
(H−2クラスI組織適合性抗原,d−kα鎖前駆体;
ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全cds;
赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ];
vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのcds;
NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
ハツカネズミmRNAのRHAMM;
R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA3’末端;
ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
【0040】
P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNAハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;
vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;
ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA;および、
血液の幹細胞前駆体濃度。
【0041】
その上、本発明は、化合物を、α−4インテグリン活性またはVLA−4受容体のシグナリング活性を調節、特に拮抗する能力に関して分析する方法に及び、該方法において、野生型マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルが調節されることは、コントロール野生型マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルと比べて増加することを含む。野生型マウスにおけるそれらのレベルと比べて、本発明のノックアウトマウスにおいてレベルが増加したことが決定された遺伝子マーカーの例としては、以下のものが挙げられる:
【0042】
ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
(H−2クラスI組織適合性抗原,D−Kα鎖前駆体;
ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全c;
赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ];
vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
ハツカネズミmRNAのRHAMM;
R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA3’末端;
ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのc;
ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNAハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;および、
血液の幹細胞前駆体濃度。
【0043】
従って、化合物または薬剤をマウスに投与することにより、これら遺伝子マーカーのいずれかのレベルの増加がもたらされるような本発明の方法において、該化合物または薬剤は、α−4インテグリンタンパク質活性またはVLA−4受容体のシグナリング活性の、可能性のあるアンタゴニストである。
【0044】
加えて、本発明は、化合物または薬剤をα−4インテグリンアンタゴニスト活性に関して分析する方法に及び、該方法において、野生型マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルが調節されることは、コントロール野生型マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルと比べて減少することを含む。α−4インテグリンタンパク質の活性が減少または拮抗するされた場合にレベルが減少する遺伝子マーカーの例としては、以下のものが挙げられる:
【0045】
vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cd;または、
マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA。
【0046】
その結果として、化合物または薬剤のマウスへの投与により、これら遺伝子マーカーのいずれかのレベルの減少をもたらすような本発明の方法において、該化合物または薬剤は、α−4インテグリンタンパク質活性またはVLA−4受容体のシグナリング活性の可能性のあるアンタゴニストである。
【0047】
その上、本発明は、α−4インテグリンタンパク質アンタゴニストに関連する有害な副作用を改善する活性に関して化合物または薬剤を分析する方法に及び、以下の工程:
(a)化合物または薬剤を機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できない本発明のマウスに投与する工程;
(b)マウスで遺伝子マーカーのレベルを測定する工程;および、
(c)マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルと、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できない本発明のコントロールマウスで測定された遺伝子マーカーのレベルとを比較する工程、
を含み、化合物または薬剤を投与されたマウスで測定された遺伝子マーカーのレベルが、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないコントロールマウスで測定された遺伝子マーカーのレベルと比べて調節されることとは、その化合物または薬剤が、α−4インテグリンタンパク質アンタゴニストに関連する有害な副作用を改善する活性を有する可能性があることを示す。この実施形態において用途を有する遺伝子マーカーの例は上述されている。当然ながら、この実施形態における調節は、上述したα−4インテグリンアンタゴニスト活性に関して化合物または薬剤を分析する方法おいて観察される調節とは反対の方向である。従って、α−4インテグリン活性を有する化合物または薬剤が遺伝子マーカーをアップレギュレートする場合、α−4インテグリンアンタゴニストの有害な副作用を改善できる化合物または薬剤は、その特定の遺伝子マーカーをダウンレギュレートし得る。
【0048】
本発明のマウスの他の特性は、その血液の幹細胞前駆体濃度が、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できるマウスの血液で観察された幹細胞前駆体濃度よりも大きいことである。本発明のマウスのこの特性は、化合物または薬剤のα−4インテグリンタンパク質アンタゴニスト活性に関する分析に容易に用いることができる。特に、化合物または薬剤投与後の哺乳動物で測定された幹細胞前駆体濃度が、化合物または薬剤の投与の前に哺乳動物の血液で測定された前駆細胞の濃度と比べて増加することは、VLA−4受容体のシグナリング活性に対する、その化合物または薬剤のα−4インテグリンタンパク質アンタゴニスト活性またはアンタゴニスト活性を示す。従って、本発明は、化合物または薬剤を可能性のあるα−4インテグリンタンパク質アンタゴニスト活性に関して分析する方法に及び、以下の工程を含む:
(a)哺乳動物から第一の血液サンプルを採取し、第一の血液サンプルで幹細胞前駆体濃度を測定する工程;
(b)化合物または薬剤を哺乳動物に投与する工程;
(c)哺乳動物から第二の血液サンプルを採取し、第二の血液サンプルで幹細胞前駆体濃度を測定する工程;および、
(d)第一の血液サンプルで測定された幹細胞前駆体濃度と、第二の血液サンプルで測定された幹細胞前駆体濃度とを比較する工程。
【0049】
第二の血液サンプルで測定された幹細胞前駆体濃度が、第一の血液サンプルで測定された幹細胞前駆体濃度と比べて増加することは、その化合物または薬剤が、α−4インテグリンタンパク質アンタゴニスト活性を有する可能性があることを示す。
【0050】
その上、本発明は、化合物または薬剤をα−4インテグリンタンパク質アンタゴニスト活性に関して分析する方法に及び、以下の工程を含む:
(a)化合物または薬剤を哺乳動物に投与する工程;
(b)哺乳動物の血液で幹細胞前駆体濃度を測定する工程;および、
(c)哺乳動物の血液で測定された幹細胞前駆体濃度と、コントロール哺乳動物の血液中で測定された幹細胞前駆体濃度とを比較する工程、
を含み、ここで、哺乳動物の血液の幹細胞前駆体濃度が、コントロール哺乳動物の血液の幹細胞前駆体濃度と比べて増加することは、その化合物または薬剤が、α−4インテグリンタンパク質アンタゴニスト活性を有する可能性のあることを示す。
【0051】
当然ながら、多数のタイプの哺乳動物が、化合物または薬剤をα−4インテグリンアンタゴニスト活性に関して分析する方法において用途を有する。特定の例としては、いくつか例を挙げれば、ただしこれらに限定されないが、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、マウス、またはヒトが挙げられる。
【0052】
他の実施形態において、本発明は、本発明のノックアウトマウスにおけるレベルが、野生型マウスにおけるそのレベルと比べて調節された本明細書で説明された遺伝子マーカーを、化合物または薬剤がVLA−4受容体のシグナリングを調節するかどうかを決定するのに使用することに及ぶ。上記で説明したように、VLA−4受容体のシグナリングは、α−4インテグリンタンパク質の活性に依存する。その結果として、α−4インテグリン発現における調節(例えば減少すること)は、VLA−4受容体シグナリングの調節を起こし得る。従って、概括的に、本発明は、化合物または薬剤が、VLA−4受容体のシグナリングを調節するかどうかを決定する方法に及び、該方法は、以下の工程:
(a)化合物または薬剤を生物に投与する工程;
(b)生物から採取された生体サンプルで、VLA−4受容体シグナリングに関する遺伝子マーカーの発現レベルを測定する工程;および、
(c)工程(b)の遺伝子マーカーの発現レベルと、コントロール生体サンプルで測定された遺伝子マーカーの発現レベルとを比較する工程、
を含み、ここで、生体サンプルとコントロール生体サンプルとで測定された遺伝子マーカーの発現レベルの差は、その化合物または薬剤が、VLA−4受容体のシグナリングを調節することを示す。
【0053】
本発明の方法において、生体サンプルとしては、ただしこれらに限定されないが、体液、例えば、血液、尿、唾液、粘液、精液、リンパ液等、または固体サンプル、例えば組織、骨、毛等が挙げられる。当然ながら、コントロール生体サンプルは、化合物または薬剤の投与の前に生物から採取された生体サンプルが可能であり、またあるいは、化合物または薬剤が投与されていない第一の生物と実質的に類似した第二の生物から採取された生体サンプル(同一または類似の種、年齢、体重、性別等)が可能である。
【0054】
その上、α−4インテグリンタンパク質の活性と、VLA−4受容体のシグナリング活性とが直接的に関係するために、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できない本発明のノックアウトマウスにおいて調節される遺伝子マーカーはまた、VLA−4受容体のシグナリング活性を調節するための遺伝子マーカーでもある。このような遺伝子マーカーの例としては、いくつか例を挙げると以下のものが挙げられる(ただしこれらに限定されない):
【0055】
ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
(H−2クラスI組織適合性抗原,d−kα鎖前駆体;
ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全cds;
赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ];
vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのcds;
NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
ハツカネズミmRNAのRHAMM:
R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA3’末端;
ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
【0056】
mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNAハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;
vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;
ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA;および、
血液の幹細胞前駆体濃度。
【0057】
本発明のノックアウトマウスにおいて発現レベルが増加し、それによりVLA−4受容体のシグナリング活性が拮抗される場合に増加するこれら遺伝子マーカーの例としては、
以下のものが挙げられる:
ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
(H−2クラスI組織適合性抗原,D−Kα鎖前駆体;
ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全c;
赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ];
vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
ハツカネズミmRNAのRHAMM;
R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA3’末端;
ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのc;
ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNAハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;および、
血液の幹細胞前駆体濃度。
【0058】
従って、生物に投与された化合物または薬剤により、これら遺伝子マーカーのいずれかのレベルがコントロール生物での測定値と比べて増加することが起こる本発明の方法において、該化合物または薬剤は、VLA−4受容体のシグナリング活性のアンタゴニストである。
【0059】
VLA−4受容体のシグナリング活性が拮抗される場合にレベルの減少を示すVLA−4受容体のシグナリング活性に関する遺伝子マーカーの例としては、以下のものが挙げられる:
vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3’末端;
Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;および、
マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA。
【0060】
従って、生物に投与された、これら遺伝子マーカーのいずれかのレベルがコントロール生物で測定されたレベルと比べて減少することが起こる化合物または薬剤は、その化合物または生物が、VLA−4受容体アンタゴニストであることを示す。
【0061】
特定の実施形態において、本発明は、化合物または薬剤がVLA−4受容体のシグナリングを調節するかどうかを決定する方法に及び、ここで、遺伝子マーカーは、マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNAであり、そのヌクレオチド配列はGenBank登録番号Z11974が付与されており、配列番号13に記載される。上記で説明したように、化合物または薬剤の投与により、マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNAのレベルの減少がもたらされた場合、その化合物または薬剤は、VLA−4受容体のシグナリング活性のアンタゴニストであり、喘息、関節炎、MSなどの病気または疾患を治療するための医薬品としての用途をすでに有する可能性がある。
【0062】
同様に、本発明は、化合物または薬剤がVLA−4受容体のシグナリングを調節するかどうかを決定する方法に及び、ここで、遺伝子マーカーとしては、JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds、または、SOCS−1タンパク質が挙げられ、そのヌクレオチド配列は、GenBank登録番号AB000677(配列番号17に記載される)、ESTAA571535(配列番号18のDNA配列;図21)、または、ESTAA154371(配列番号21のヌクレオチド配列;図23)を付与されている。化合物または薬剤の投与により、これら遺伝子マーカーの1つのレベルの減少がもたらされる場合、その化合物または薬剤は、VLA−4受容体のシグナリング活性のアンタゴニストであり、喘息、関節炎、MSなどの病気または疾患を治療するための医薬品としてすでに用途を有する可能性がある。
【0063】
多数のタイプの化合物または薬剤が、本発明の方法において用途を有する。このようなタイプの例としては、以下のものが挙げられる(ただしこれらに限定されない):タンパク質;例えば、免疫原としてVLA−4受容体を有する抗体もしくはこのような抗体の断片、または、免疫原としてα−4インテグリンタンパク質を有する抗体もしくはこのような抗体の断片;化学物質;核酸分子、例えば、VLA−4受容体またはα−4インテグリンタンパク質をコードするRNAにハイブリダイズするアンチセンス分子、または、VLA−4受容体またはα−4インテグリンタンパク質をコードするRNAを開裂させるリボザイム;炭水化物;またはホルモン。本発明において用途を有する化合物または薬剤の特定の例は、米国特許第6,331,552号、第6,352,977号、およびPCT公開特許出願WO99/23063に記載されており、その全体を参照により本明細書に加入する。
【0064】
加えて、本発明は、VLA−4受容体のシグナリングの可能性のあるアンタゴニストの有効性を決定する方法に及び、ここで、このような方法は、以下の工程を含む:
(a)第一の生体サンプルを生物から採取する工程;
(b)第一の生体サンプル中の、マクロファージマンノース受容体遺伝子マーカーに関するハツカネズミmRNAのレベルを測定する工程;
(c)可能性のあるアンタゴニストを生物に投与する工程;
(d)第二の生体サンプルを生物から採取する工程;
(e)第二の生体サンプルで、マクロファージマンノース受容体遺伝子マーカーに関する遺伝的ハツカネズミmRNAのレベルを測定する工程;および、
(f)工程(b)と工程(e)との測定レベルを比較する工程。
【0065】
工程(b)における遺伝子マーカーの測定レベルと比べて、工程(e)における遺伝子マーカーの測定レベルが減少することは、可能性のあるアンタゴニストが、VLA−4のシグナリング活性を拮抗することにおいて有効性を有することを示す。当然ながら、上述したように、第一および第二の生体サンプルは、体液、体の組織、または、それらの組み合わせを含み得る。遺伝子マーカーであるマクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNAのヌクレオチド配列は、登録番号Z11974が付与されており、配列番号13に記載される。
【0066】
本発明はさらに、VLA−4受容体のシグナリングの可能性のあるアンタゴニストの有効性を決定する方法に及び、ここで、このような方法は、以下の工程を含む:
(a)第一の生体サンプルを生物から採取する工程;
(b)第一の生体サンプルで、JAB遺伝子マーカーに関するハツカネズミmRNAのレベルを測定する工程;
(c)可能性のあるアンタゴニストを生物に投与する工程;
(d)第二の生体サンプルを生物から採取する工程;
(e)第二の生体サンプルで、JAB遺伝子マーカーに関するハツカネズミmRNAのレベルを測定する工程;および、
(f)工程(b)と工程(e)との測定レベルを比較する工程。
【0067】
工程(e)における遺伝子マーカーの測定されたレベルが、工程(b)における遺伝子マーカーの測定レベルと比べて減少することは、可能性のあるアンタゴニストが、VLA−4のシグナリング活性を拮抗することにおいて有効性を有することを示す。当然ながら、上述したように、第一および第二の生体サンプルは、体液、体の組織、または、それらの組み合わせを含み得る。遺伝子マーカーであるJABに関するハツカネズミmRNA,完全cds、または、SOCS−1タンパク質のヌクレオチド配列は、GenBank登録番号AB000677が付与されており、配列番号17に記載される。
【0068】
加えて、本発明はさらに、VLA−4受容体のシグナリングの可能性のあるアンタゴニストの有効性を決定する方法に及び、ここで、このような方法は、以下の工程を含む:
(a)第一の生体サンプルを生物から採取する工程;
(b)第一の生体サンプルで、遺伝子マーカーEST AA571353のレベルを測定する工程;
(c)可能性のあるアンタゴニストを生物に投与する工程;
(d)第二の生体サンプルを生物から採取する工程;
(e)第二の生体サンプルで、遺伝子マーカーEST AA571353のレベルを測定する工程;および、
(f)工程(b)と工程(e)との測定レベルを比較する工程。
【0069】
工程(e)で測定された遺伝子マーカーのレベルが、工程(b)における遺伝子マーカーの測定レベルと比べて減少することは、可能性のあるアンタゴニストが、VLA−4のシグナリング活性を拮抗することにおいて有効性を有することを示す。当然ながら、上述したように、第一および第二の生体サンプルは、体液、体の組織、または、それらの組み合わせを含み得る。遺伝子マーカーEST AA571353(vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン)のヌクレオチド配列は、配列番号21に記載される。
【0070】
その上、本発明は、VLA−4受容体のシグナリングの可能性のあるアンタゴニストの有効性を決定する方法に及び、ここで、このような方法は、以下の工程を含む:
(a)第一の生体サンプルを生物から採取する工程;
(b)第一の生体サンプルで、EST AA154371遺伝子マーカーのレベルを測定する工程;
(c)可能性のあるアンタゴニストを生物に投与する工程;
(d)第二の生体サンプルを生物から採取する工程;
(e)第二の生体サンプルで、遺伝子マーカーEST AA571353のレベルを測定する工程;および、
(f)工程(b)と工程(e)との測定レベルを比較する工程。
【0071】
工程(e)における遺伝子マーカーの測定レベルが、工程(b)における遺伝子マーカーの測定されたレベルと比べて減少することは、可能性のあるアンタゴニストが、VLA−4のシグナリング活性を拮抗することにおける有効性を有することを示す。当然ながら、上述したように、第一および第二の生体サンプルは、体液、体の組織、または、それらの組み合わせを含み得る。遺伝子マーカーEST AA154371(P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B)のヌクレオチド配列は、配列番号23に記載される。
【0072】
上記で説明したように、多数のタイプの生物が、VLA−4受容体のシグナリングの可能性のあるアンタゴニストの有効性を分析する方法において用途を有する。特定の例としては、いくつか例を挙げると(ただしこれらに限定されない)、哺乳動物、例えばヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、マウス、またはヒトが挙げられる。
【0073】
その上、VLA−4受容体のシグナリング活性を調節する、特にこのような活性を拮抗するそれらの能力に関して化合物または薬剤を分析することはまた、本発明のインビトロでの方法を用いて実施することもできる。従って、本発明はさらに、VLA−4受容体のシグナリング活性を調節、特に拮抗する化合物または薬剤の能力を決定する方法に及び、以下の工程を含む:
(a)化合物または薬剤と、生物からの生体サンプルとを接触させる工程;
(b)生体サンプルで、VLA−4受容体シグナリングに関する遺伝子マーカーの発現レベルを測定する工程;および、
(c)工程(b)で測定された遺伝子マーカーの発現レベルと、コントロール生体サンプルで測定された遺伝子マーカーの発現レベルとを比較する工程。
【0074】
VLA−4受容体のシグナリング活性が拮抗された際にレベルの増加が示されることがわかっているVLA−4受容体マーカーのレベルが増加する場合、その化合物または薬剤は、VLA−4受容体のシグナリング活性のアンタゴニストである。同様に、VLA−4受容体のシグナリング活性が拮抗された際にレベルの減少が示されることがわかっているVLA−4受容体マーカーのレベルが減少する場合、その化合物または薬剤は、VLA−4受容体のシグナリング活性のアンタゴニストである。VLA−4遺伝子マーカーの例、および、減少したVLA−4受容体のシグナリング活性の結果としての調節は、上述のとおりである。
従って、本発明の目的は、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないマウスを提供することである。
【0075】
本発明の他の目的は、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないマウスを生産する方法を提供することである。
本発明の他の目的は、α−4インテグリン活性またはVLA−4受容体のシグナリング活性を調節するそれらの能力に関して化合物または薬剤を分析する、有用かつこれまで未知の方法を提供することである。
【0076】
本発明のさらに他の目的は、有用で、新規かつこれまで未知の、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できない本発明のマウスから得られた表現型情報を利用する、化合物または薬剤をα−4インテグリンアンタゴニスト活性に関してインビボで分析する方法を提供することである。
【0077】
本発明のさらに他の実施形態において、化合物または薬剤が、VLA−4受容体のシグナリングを調節するかどうかを決定する、新規かつ有用な方法が提供される。
【0078】
添付図面と詳細な説明を参照することによって、本発明のこれら観点および他の観点をさらに評価する。
【0079】
図面の説明
図1A〜1Dは、配列番号1のヌクレオチド配列である。
図2は、α−4インテグリンcDNAの図式的なマップである。クローニングに用いられるプライマーの位置が示される(cDNAの第一の部分についてはfVおよびcDNA1B−R、ならびに、第二の部分についてはcDNA2−FおよびcDNA2−R)。開始および停止コドン、ならびに、得られたオープンリーディングフレーム(ORF)、同様に、ベクターへのcDNAクローニングに関連する制限部位が示される。該遺伝子は、4つのポリアデニル化部位を有し、いずれもcDNA2−Rの3’に位置する[De Meirsman et al.,1996]。
【0080】
図3は、プラスミドpBSK2.6である。
図4は、プラスミドpCR2cDNAである。
図5は、プラスミドpNEB1.1である。
図6は、プラスミドpNEB1.1(−)である。
図7は、ヘテロ接合型雌×ホモ接合型雄の交雑の典型的な系統図である:9匹の総子孫マウスのうち1匹だけが、ホモ接合型ノックアウトであり、残り全てが、ヘテロ接合型ノックアウトである。四角は雄動物を示し、丸は雌動物を示す。中央に点が付いている記号は、ホモ接合型ノックアウトマウスを示し、半分黒く半分白い記号は、ヘテロ接合型ノックアウトマウスを示す。第一の同腹子は、1999年8月24日に産まれ、第二の同腹子は、1999年9月13日に産まれた。
図8は、内因性α−4インテグリンバックグラウンドを評価するためのPCR分析である。プライマーの位置は、図9のBにおけるゲノムのα−4インテグリンDNAの図式的なマップに示される。
【0081】
図9は、α−4インテグリンバックグラウンドの遺伝子型分析であり、Aは、1.4kbのPstI/KpnIプローブとハイブリダイズさせた、PstIを用いた尾のゲノムDNA断片のサザンブロットである。約3kbと3.5kbの2つのバンドがヘテロ接合型マウスを示し、3.5kbの1つのバンドのみが内因性α−4インテグリンに関するホモ接合型KOのマウスを示し、そして、Bは、ゲノムのα−4インテグリンDNAの図式的なマップである。1.4kbのプローブの位置、および、Yang等によるα−4ノックアウトマウスの作製に関する置換領域が示される。PCRに用いられたプライマーのおよその位置が示される。関連する制限部位のみを示す。
【0082】
図10は、特異的α−4インテグリン抗体(CD49d,クローン9C10,BD Pharmingen)で染色された、脾臓切片の免疫組織化学(IHC)分析結果である。wtマウスにおいて褐色に染色された部分はα−4インテグリンタンパク質を示し、これはKOマウスには存在しない。
図11は、tep−VLA導入遺伝子(操作可能にtetPプロモーターと結合したα−4インテグリンの部分を含み、配列番号1のDNA配列を有する導入遺伝子)の図式的なマップであり、プローブの位置と、内因性RNAとトランスジェニックRNAとの両方に関する保護断片の指示とを含む。RNA保護分析には、一般的に、20〜30μgのDNアーゼで処理したトータルRNAが用いられた。プローブは、約60bpの転写開始部位のtet−プロモーターの3’と、α−4DNAの第二のエキソンの末端とで構成され、従って、内因性RNAと、トランスジェニックRNAとの両方にハイブリダイズし、異なるサイズの保護されたRNAが得られた。保護されたトランスジェニックRNAのサイズは、約550ntであり、一方で、保護された内因性RNAのサイズは、490ntである。線状化されたプローブは、約700ntのサイズである。
【0083】
図12は、本発明のホモ接合型α−4インテグリンノックアウト(KO)マウス(59系)と、FVBマウスとを比較したRNアーゼプロテクションアッセイ(RPA)である。59系マウスからの組織サンプルに関する導入遺伝子の保護されたサイズは、予想以上に顕著に短い。
図13は、2種の異なる系、胸腺および脾臓のKOマウスのRPAである。系2の導入遺伝子サイズは、予想されたサイズであるが、それに対して、系1は、導入遺伝子の短縮形態を示す。しかしながら、正しいサイズを示した系は、FVBマウスで示される内因性発現レベルに比べて、かなり低い導入遺伝子レベルを示す。FVBおよびC57(野生型)マウスは、保護された内因性RNAのバンドを示す。
図14は、プラスミドpNEB3.7(−)である。このプラスミドは、約3.6kbの完全長α−4cDNAを含む。
図15は、tetP−VLA導入遺伝子である。α−4cDNAをtet−プロモーターにより発動させた。マイクロインジェクションの前に、このプラスミドをXhoIで線状にした。
【0084】
図16は、マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNAの結果のTaqman分析である。脳サンプルにおけるHMR1031およびP/L984で処理したEAEマウスのmRNAレベルは、賦形剤コントロールマウスに比べて統計学的に有意に低い。脾臓サンプルは、いずれの処理においても脳と同じ結果を示さない(*:p値:001〜0.05)。
図17A〜17Cは、配列番号13のヌクレオチド配列である。
図18は、Taqman分析で用いられたEAEマウスの臨床評価である。
図19は、配列番号17のヌクレオチド配列である。
図20は、JAB FACSの結果である。
【0085】
図21は、配列番号18のヌクレオチド配列である。
図22は、遺伝子マーカーとしてEST AA571535を用いた実施例IVの詳細なTaqmanの結果である。
図23は、配列番号21のヌクレオチド配列である。
図24は、遺伝子マーカーとしてEST AA154371を用いた実施例Vの詳細なTaqmanの結果である。
【0086】
詳細な説明
本発明は、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないマウスをうまく作製できるという発見に基づく。このようなマウスは、化合物または薬剤をα−4インテグリンアンタゴニスト活性に関して分析する方法において、すでに用途を有する。
【0087】
その上、本発明の機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないマウスは、これまで未知の表現型を有する。特に、マウスで測定された特定の遺伝子マーカーのレベルは、野生型マウスにおいて測定されたこれらと同じ遺伝子マーカーのレベルと比べて調節される。この表現型データは、α−4インテグリンアンタゴニスト活性に関して化合物または薬剤を分析する方法において多大な有用性を有する。
【0088】
従って、概括的に、本発明は、機能的α−4インテグリン活性を発現できないマウスに及ぶ。このようなマウスの例としては、ただしこれらに限定されないが、ノックアウトマウスおよびトランスジェニックマウスが挙げられ、その両方を以下で説明する。
【0089】
多数の用語および句が本明細書および請求項で用いられることを特記する。これらの用語および句の定義を以下に示す:
本明細書で用いられる用語「トランスジェニック」は、タンパク質またはポリペプチドをコードする1またはそれ以上の単離された核酸分子、または、タンパク質を安定して取り込み、それらを後に続く世代に受け継ぐことができる植物または動物を意味する。
【0090】
本明細書で用いられる用語「ノックアウト」は、マウスのゲノムにおいて特定の遺伝子発現が破壊されたマウスを意味する。
本明細書で用いられる用語「調節」は、遺伝子マーカーの測定レベルがコントロールと比較して変化することを意味する。この調節とは、遺伝子マーカーの測定レベルが、コントロールで測定されたその遺伝子マーカーのレベルと比べて増加することであり得る。あるいは、調節とは、遺伝子マーカーの測定レベルが、コントロールで測定されたその遺伝子マーカーのレベルと比べて減少することであり得る。
【0091】
本明細書で用いられる用語、特定のタンパク質をコードする単離された核酸分子の「部分」は、ペプチドまたはポリペプチドをコードする十分な数の連続したヌクレオチドを含む単離された核酸分子の部分断片を意味する。当然ながら、単離された核酸分子の「部分」は、1個より多くのヌクレオチドからなり、その部分によりコードされたペプチドまたはポリペプチドは、以下のペプチドおよびポリペプチド定義で説明される多数のアミノ酸残基を含む。
【0092】
本明細書で用いられる用語「ペプチド」は、ペプチド結合により共有結合で結合した2またはそれ以上のアミノ酸を意味する。特定の実施形態において、ペプチドは、少なくとも10、好ましくは少なくとも20、より好ましくは少なくとも30、さらにより好ましくは少なくとも40、最も好ましくは50またはそれ以上のアミノ酸を含む。
【0093】
本明細書で用いられる用語「ポリペプチド」は、複数の連続したアミノ酸から成る直線状ポリマーを意味する。特に、ポリペプチドは、100kDより大きい分子量を有し得る。
本明細書で用いられる用語「表現型」は、細胞または生物の観察可能な特徴を意味する。このような観察可能な特徴としては、物理的な外観、同様に、細胞または生物に存在する特定の生理学的な組成物のレベルが挙げられる。
【0094】
本明細書で用いられる用語「コントロール」は、生物または生物の生体サンプルに関しては、化合物もしくは薬剤の投与の前の生物、もしくは、化合物もしくは薬剤の投与の前の生物から採取された生体サンプル、または、その化合物または薬剤が投与されていない第一の生物と実質的に類似した第二の生物(同一または類似の種、年齢、体重、性別等)から採取された生体サンプル、もしくは、その化合物または薬剤が投与されていない第一の生物と実質的に類似した第二の生物(同一または類似の種、年齢、体重、性別等)から採取された第二の生体サンプル、を意味する。従って、「コントロール」は、分析される化合物または薬剤で処理されていない。
【0095】
本明細書で用いられる用語「遺伝子マーカー」は、生理学的な組成物を意味し、生物中で測定されたそのRNAまたはタンパク質レベルは、特定のタンパク質が生物中に存在するかどうか、または、生物中で機能するかどうかを同定するのに役立つ。その上、遺伝子マーカーは、特定のタンパク質をコードしてもよく、またあるいは、タンパク質の「代理」マーカーとして役立つ可能性もあり、その活性は、生体サンプル中の遺伝子マーカーのレベルに関連する。この関係は、直接であってもよく、その場合、タンパク質活性レベルの減少は、遺伝子マーカーレベルの減少に相当し、またあるいは、その関係は、逆であってもよく、その場合、タンパク質活性レベルの減少は、遺伝子マーカーレベルの増加に相当する。このような生理学的な組成物としては、いくつか例を挙げると、ただしこれらに限定されないが、細胞(例えば、幹細胞前駆体)タンパク質、ポリペプチド、DNA、RNA、炭水化物、または脂肪酸が挙げられる。特定の本発明の実施形態において、特定の遺伝子マーカーの測定レベルは、本発明のマウスにおいて、野生型コントロールマウスで測定されたこのような遺伝子マーカーのレベルと比べて調節される。このような、本発明のマウスで測定されたレベルが、野生型マウスで測定されたレベルと比べて調節される遺伝子マーカーの例としては、以下のものが挙げられる(ただしこれらに限定されない):
【0096】
ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
(H−2クラスI組織適合性抗原,d−kα鎖前駆体;
ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全cds;
赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ];
vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMS ハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのcds;
NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
ハツカネズミmRNAのRHAMM;
R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA3’末端;
【0097】
ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNA ハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;
vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;
ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA;および、
血液の幹細胞前駆体濃度。
【0098】
これらタンパク質のいずれかの活性と直接的な関係を有する、α−4インテグリンまたはVLA−4受容体のシグナリング活性に関する遺伝子マーカーの例としては、いくつか例を挙げると、以下のものが挙げられる(ただしこれらに限定されない):
vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;および、
マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA。
【0099】
同様に、α−4インテグリンタンパク質の活性またはVLA−4受容体のシグナリング活性と逆の関係を有し、従って、これらタンパク質のいずれかの活性が減少する場合にレベルの増加を示す遺伝子マーカーの例としては、以下のものが挙げられる:
免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
(H−2クラスI組織適合性抗原,D−Kα−鎖前駆体;
ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全cds;
赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ];
vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
【0100】
ハツカネズミmRNAのRHAMM;
R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA3’末端;
ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのc;
ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNAハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;および、
血液の幹細胞前駆体濃度。
【0101】
VLA−4受容体のシグナリング活性に関する「代理遺伝子マーカー」の特定の例は、マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNAであり、その核酸配列は、GenBank登録番号Z11974が付与されており、配列番号13に記載される。その結果として、生物に投与された、マクロファージマンノース受容体mRNAの測定レベルを減少させる化合物または薬剤は、VLA−4受容体のシグナリング活性を拮抗する能力を示す。
【0102】
VLA−4受容体のシグナリング活性に関する「代理遺伝子マーカー」のその他の特定の例は、JABに関するハツカネズミmRNA,完全cdsであり、その核酸配列は、GenBank登録番号AB AB000677が付与されており、配列番号17に記載される。その結果として、生物に投与された、JABに関するハツカネズミmRNA,完全cdsの測定レベルを減少させる化合物または薬剤は、VLA−4受容体のシグナリング活性を拮抗する能力を示す。
【0103】
VLA−4受容体のシグナリング活性に関する「代理遺伝子マーカー」のその他の特定の例は、EST AA571535(vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン)(配列番号21ヌクレオチド配列を有する)、および、EST AA154371(P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B)(配列番号23のヌクレオチド配列を有する)である。
【0104】
本明細書で用いられる用語「対立遺伝子」は、遺伝子の代わりとなる一連の形態の1つを意味する。2倍体細胞において、各遺伝子は、2つの対立遺伝子を有することがあり、それぞれ相同染色体上の同じ位置(遺伝子座)を占める。
本明細書で用いられる用語「偽妊娠」は、不妊交尾後に様々な哺乳動物で通常生じる妊娠に似た無発情期の状態を意味する。
【0105】
本明細書で用いられる用語「野生型」は、生物の、正常な非突然変異形態、すなわち、自然に見られる形態を意味する。
本明細書で用いられる句「幹細胞前駆体」は、血液で見出される比較的未分化な細胞を意味し、これは、自己再生能力を失っており、所定の細胞系統の前駆体である。例えば、骨髄幹細胞は、赤血球(赤血球)、様々な白血球(好中球、好酸球、好塩基球、単球、肥満細胞)および血小板の幹細胞前駆体を生じる。本発明のマウスにおいて、このような幹細胞前駆体の血中濃度は、このような幹細胞前駆体の野生型コントロールマウスの血中濃度より大きい。
【0106】
本明細書で用いられる用語「導入遺伝子」および「トランスジェニックDNA」は、交換可能に用いることができ、本発明のマウスの製造に用いるためのマウス胚のゲノムに挿入しようとする外因性の単離された核酸分子を意味する。特定の実施形態において、導入遺伝子は、tetPプロモーターと操作可能に結合したα−4インテグリンをコードするcDNA分子の部分を含む。より特定には、導入遺伝子は、配列番号1のDNA配列を含む。
【0107】
本明細書で用いられる用語「化合物」または「薬剤」は、現在知られていないか、またはその後発見されるいかなる組成物を意味する。本発明において用途を有する化合物または薬剤の例としては、有機化合物(例えば、人工の、天然に存在する、および光学活性のもの)、ペプチド(人工の、天然に存在する、および光学活性のもの、すなわちD型またはL型アミノ酸のいずれか)、炭水化物、核酸分子等が挙げられる。
【0108】
本明細書で用いられる用語「ヘテロ接合型」は、特定の遺伝子の2つの異なる対立遺伝子を有する生物を意味する。より特定には、特定のタンパク質に関して「ヘテロ接合型」のノックアウトマウスとは、そのゲノムがそのタンパク質を発現することができる対立遺伝子、および、タンパク質を正常に発現できる対立遺伝子を有するが、そのタンパク質の成功裡な発現を破壊する欠陥を有するマウスのことである。従って、ヘテロ接合型ノックアウトマウスは、特定のタンパク質を発現することができる。
【0109】
本明細書で用いられる用語「ホモ接合型」は、特定の遺伝子の2つの同一な対立遺伝子を有する生物を意味する。より特定には、特定のタンパク質に関して「ホモ接合型」であるノックアウトマウスとは、そのゲノムが、そのタンパク質を正常に発現することができる2つの対立遺伝子を有するが、各対立遺伝子が、そのタンパク質の成功裡な発現を破壊する欠陥を有するマウスのことである。従って、ホモ接合型ノックアウトマウスは、特定のタンパク質を発現できない。
【0110】
その上、本発明に従って、当業界の範囲内で通常の分子生物学、微生物学、および組換えDNA技術を用いることができる。このような技術は、文献で十分に説明されている。例えば以下を参照:Sambrook,Fritsch & Maniatis,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York(本明細書においては「Sambrook et al., 1989」),DNA Cloning:APractical Approach,Volumes I and II(D.N. Glover ed.1985);OligonucleotideSynthesis(MJ.Gait ed.1984);Nucleic Acid Hybridization[B.D.Hames & S.J.Higgins eds.(1985)];Transcription And Translation[B.D.Hames & SJ.Higgins,eds.(1984)];Animal Cell Culture[R.I.Freshney,ed.(1986)];Immobilized Cell And Enzymes[IRL Press,(1986)];B.Perbal,A Practical Guide To Molecular Cloning(1984);F.M.Ausubel et al.(eds.).Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.(1994)。
【0111】
従って、本明細書で用いられる場合、以下の用語は、以下に示す定義で用いられる。
「ベクター」は、プラスミド、ファージまたはコスミドのようなレプリコンであり、他のDNAセグメントをそこに付着させ、付着されたセグメントの複製を起こすことができる。「レプリコン」とは、インビボでのDNA複製の自律的ユニットとして機能する、すなわち、それ自身の制御下で複製することができるいかなる遺伝子要素(例えば、プラスミド、染色体、ウイルス)である。
【0112】
外因性または異種DNAが細胞内部に導入された場合、細胞は、このようなDNAで「トランスフェクトされた」ことになる。そのトランスフェクトされたDNAが表現形の変化をもたらす場合、細胞は、外因性または異種DNAで「形質転換された」ことになる。好ましくは、形質転換DNAは、染色体DNAに(共有結合で)統合されるべきであり、それにより細胞のゲノムが作り上げられる。
「異種」DNAは、細胞中に、または細胞の染色体部位に自然に存在しないDNA意味する。特に、異種DNAとしては、細胞に対して外来の遺伝子が挙げられる。
【0113】
「核酸分子」は、リボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジンまたはシチジン;「RNA分子」)またはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、またはデオキシシチジン;「DNA分子」)、または、それらのいずれかのホスホエステル類似体(例えばホスホロチオエートおよびチオエステル)の一本鎖形態または二本鎖ヘリックスのいずれかのリン酸エステル重合形態を意味する。二本鎖DNA−DNA、DNA−RNAおよびRNA−RNAヘリックスが可能である。用語「核酸分子」、特に「DNA分子」または「RNA分子」は、該分子の1次および2次構造のみを意味し、いかなる特定の3次形態にも限定されない。従って、この用語は、特に直線状または環状DNA分子で見出される二本鎖DNA(例えば制限断片)、プラスミド、および染色体を含む。特定の二本鎖DNA分子の構造を考察する際に、配列は、本明細書においては、DNAの非転写鎖(すなわちmRNAと相同な配列を有する鎖)にそって5’から3’方向の配列のみを与える通常の慣習に従って記載される。「組換えDNA分子」は、分子生物学的操作を施したDNA分子である。
【0114】
「相同組換え」は、ベクターの外来DNA配列を染色体の特定の染色体部位に挿入することを意味する。特定の相同組換えに関して、ベクターは、染色体配列に相同な十分に長い領域を含み、相補的結合およびベクターの染色体への取り込みを可能にする。相同なより長い領域や、より高度な配列類似性は、相同組換え効率を高め得る。
【0115】
DNA「コーディング配列」は、インビトロまたはインビボで、適切な調節配列のコントロール下に置かれた場合に、細胞中で転写されポリペプチドに翻訳される二本鎖DNA配列である。コーディング配列の境界は、5’(アミノ)末端にある開始コドンと、3’(カルボキシル)末端にある翻訳停止コドンとで決定される。コーディング配列としては、これらに限定されないが、原核細胞生物配列、真核細胞生物性mRNAからのcDNA、真核細胞生物性(例えば哺乳動物)DNAからのゲノムDNA配列が挙げられ、さらに合成DNA配列も含まれる。コーディング配列が真核細胞で発現されることを意図される場合、ポリアデニル化シグナルおよび転写停止配列は、通常、コーディング配列の3’に位置する。
【0116】
転写および翻訳制御配列は、プロモーター、エンハンサー、ターミネーターなどのDNA調節配列であり、これらは、宿主細胞においてコーディング配列の発現を提供する。真核細胞において、ポリアデニル化シグナルは、制御配列である。
【0117】
「プロモーター配列」または「プロモーター」は、細胞中でRNAポリメラーゼを結合させること、および、下流(3’方向)のコーディング配列の転写を開始させることができるDNA調節領域である。本発明を明確にする目的において、プロモーター配列は、転写開始部位とその3’末端で境界を接しており、バックグラウンドを超えて検出可能なレベルで転写を開始させるのに必要な最小限の数の塩基または要素を含むように上流(5’方向)に伸長する。転写開始部位(例えば、ヌクレアーゼS1を用いたマッピングにより便利に定義される)、および、RNAポリメラーゼの結合を起こすタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)は、プロモーター配列内に見出される。
【0118】
発現制御配列が、そのDNA配列の転写および翻訳を制御および調節する場合、DNA配列は、発現制御配列に「操作可能に結合」している。用語「操作可能に結合した」とは、発現されるべきDNA配列の前に適切な開始シグナル(例えばATG)を含むこと、および、正確なリーディングフレームを維持し、発現制御配列のコントロール下でDNA配列を発現させ、DNA配列によりコードされた所望の産物を生産させること、を含む。組換えDNA分子に挿入されることが望まれる遺伝子が適切な開始シグナルを含まない場合、このような開始シグナルをその遺伝子の前に挿入することができる。
【0119】
RNAポリメラーゼによりコーディング配列がmRNAに転写され、次にトランスRNAスプライシングされ、コーディング配列によりコードされたタンパク質に翻訳される場合、そのコーディング配列は、細胞中の転写および翻訳制御配列の「制御下で」ある。
【0120】
「シグナル配列」は、細胞表面上で発現されるべきタンパク質のコーディング配列の始めに含まれる。この配列は、成熟ポリペプチドに向けてシグナルペプチド、N末端をコードし、宿主細胞にポリペプチド(成熟ポリペプチド)を移動させるようにする。本明細書において、用語「トランスロケーションシグナル配列」は、この種のシグナル配列を意味するものとして用いられる。
【0121】
トランスロケーションシグナル配列は、真核生物および原核生物由来の様々なタンパク質に結合していることを見出すことができ、しばしば両方のタイプの生物で機能的である。
【0122】
本明細書で用いられる用語「配列相同性」は、全てのその文法上の形態において、「共通の進化起源」を有するタンパク質(例えばスーパーファミリー(例えば免疫グロブリンスーパーファミリー)からのタンパク質)と、異なる種(例えばミオシン軽鎖など)(Reeck et al.,1987,Cell50:667)からの相同タンパク質との間の関係を意味する。
【0123】
従って、用語「配列類似性」は、全てのその文法上の形態において、共通の進化起源を共有しない核酸またはタンパク質のアミノ酸配列間の同一性または対応の度合いを意味する(上述のReeck等を参照)。しかしながら、一般的な用法および本願において、用語「相同な」とは、「高く」のような副詞で修飾される場合、配列類似性を意味し、共通の進化起源を意味しない場合がある。
【0124】
特定の実施形態において、少なくとも約50%(好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約90または95%)のヌクレオチドが、DNA配列の定義された長さにわたって適合した場合、2つの核酸配列は、「実質的に相同」または「実質的に類似」である。実質的に相同な配列は、配列データバンクで利用可能な標準的なソフトウェアを用いて、または、例えばその特定のシステムで定義されたストリンジェントな条件下でのサザンハイブリダイゼーション実験で、配列を比較することにより同定することができる。定義された適切なハイブリダイゼーション条件は、当業界の技術範囲内である。例えば、上述の Maniatis等;上述の DNA Cloning,Vols.I & II;Nucleic Acid Hybridizationを参照。
【0125】
同様に、特定の実施形態において、2つのアミノ酸配列は、30%を超過するアミノ酸が同一である、または、約60%を超過するアミノ酸が類似(機能的に同一)である場合、「実質的に相同」または「実質的に類似」である。好ましくは、類似または相同配列は、例えばデフォルトパラメーターを用いたGCG(Genetics Computer Groupの、GCGパッケージバージョン7のプログラムマニュアル、Madison Wisconsin)パイルアッププログラムを用いて、アライメントにより同定される。
【0126】
本明細書において、用語「〜に対応する」とは、類似性または相同性が測定された分子と正確に位置が同一であっても、または異なっていても、類似または相同配列を意味するものとして用いられる。従って、用語「〜に対応する」とは、配列類似性を意味するものであって、アミノ酸残基またはヌクレオチド塩基のナンバリングを意味するものではない。
【0127】
従って、VLA−4アンタゴニストがヒトで試験される臨床条件において、当業者は、試験される化合物の有効性を評価するために、本明細書で説明された遺伝子マーカーの1つに対応する、または相同なヒト遺伝子発現を分析するだけでよい。上記で説明したように、この相同性または対応は、決まった実験技術を用いて当業者により容易に決定することができる。
【0128】
ベクターは、当業界既知の方法により所望の宿主細胞に導入され、例えばトランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、トランスダクション、細胞融合,DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿,リポフェクション(リソソーム融合)、ジーンガンの使用、またはDNAベクター輸送体により導入される(例えば、Wu et al.,1992,J.Biol.Chem.267:963-967;Wu and Wu,1988,J.Biol.Chem.263:14621-14624;Hartmut et al.,1990年3月15日付けで出願されたカナダ国特許出願第2,012,311号を参照)。特定の本発明の実施形態において、「宿主細胞」は、マウス胚である。
【0129】
機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないノックアウトマウス
上記で説明したように、トランスジェニックおよびノックアウトマウスは、インビボで遺伝子またはタンパク質の機能を決定するための役に立つツールを提供する[Capecchi,1994,Capecchi,1989,Capecchi,1989 で総評される]。
その上、ノックアウトモデルは、抗体を用いた研究に確実な利益を有するが、これは、不適切な架橋現象により生じた人工物、Fc−受容体媒介効果、および、インビボでの不十分な侵入のために、もしかすると抗体が誤って導かれる可能性があるためである[Sharpe,1995]。
【0130】
本発明は、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないマウスに及び、該マウスは、ノックアウトマウスである。本発明のノックアウトマウスにおいて、α−4インテグリンタンパク質を発現することができる双方の対立遺伝子が、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないように破壊されており、操作可能にプロモーターと結合したα−4インテグリンタンパク質をコードするcDNA分子の部分を含む導入遺伝子の2つのコピーが、そのノックアウトマウスのゲノムに挿入されている。その結果として、本発明のノックアウトマウスは、妊娠期を生き抜き、マウスに成熟するが、成体マウスは、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できない。特定の本発明の実施形態において、導入遺伝子は、操作可能にtetPプロモーターと結合したα−4インテグリンタンパク質をコードするcDNA分子部分を含み、配列番号1のDNA配列を有する。
【0131】
その上、本発明は、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないノックアウトマウスの製造方法に及び、該方法は、以下の工程を含む:
(a)2種のヘテロ接合型α−4インテグリン機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できる第一および第二の対立遺伝子を含むノックアウトマウスを交雑する工程、ここで、各ノックアウトマウスの第一または第二の対立遺伝子のいずれかが機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないように、該ノックアウトマウスはそれぞれ第一の対立遺伝子または第二の対立遺伝子のいずれかに欠陥を含む;
(b)工程(a)の交雑で得られた胚を回収する工程;
(c)操作可能にプロモーターと結合したα−4インテグリンタンパク質をコードする単離されたcDNA分子の部分を含む導入遺伝子を、工程(b)で回収された各胚に挿入し、導入遺伝子を有するトランスフェクトされた胚を形成する工程;
(d)偽妊娠雌マウスがゲノムに導入遺伝子を含むヘテロ接合型α−4ノックアウトマウスを産むように、トランスフェクトされた胚を偽妊娠雌マウスに挿入する工程;および、
(e)工程(d)で生産された2種のα−4ヘテロ接合型ノックアウトマウスを交雑して、ゲノム内に導入遺伝子の2つのコピーを含むホモ接合型α−4ノックアウトマウスを生産する工程。
【0132】
α−4インテグリンタンパク質をコードする対立遺伝子の発現を破壊する欠陥を置くために、当業者であれば多数の方法が容易に利用可能である。このような方法として例えば、ゲノムから対立遺伝子を欠失させるためのノックアウト技術を用いる方法が挙げられる。あるいは、ナンセンスおよびアンバー変異、または、非機能的α−4インテグリンタンパク質の発現をもたらす変異のような変異導入に、組換え技術を用いることもできる。他の実施形態において、α−4インテグリンタンパク質をコードする対立遺伝子は、野生型動物でアンチセンス方向で発現させた場合のそれらの表現型効果を試験することによって、破壊に関して試験することができる。このアプローチにおいて、野生型対立遺伝子の発現は抑制され、それにより突然変異体表現型がもたらされる。RNA−RNA二本鎖形成(アンチセンス−センス)によりmRNAの正常な操作が妨げられ、部分的または完全に野生型遺伝子効果が失われる。この技術を用いることによって、組織培養におけるTK合成が阻害され、ショウジョウバエにおけるKruppel変異、およびマウスにおけるShiverer変異の表現型が生じた[Izant et al.,Cell,36:1007−1015(1984);Green et al.,Annu.Rev.Biochem.,55:569−597(1986);Katsuki et al.,Science,241:593−595(1988)]。このアプローチの重要な利点は、全同起源のmRNAの発現の有効な阻害に関して発現させるのに遺伝子のほんのわずかな部分しか必要としないことである。アンチセンス導入遺伝子は、それ自身のプロモーターまたは正しい細胞型で発現された他のプロモーターの制御下に置かれ、SV40ポリA部位の上流に置かれる。この導入遺伝子は、トランスジェニックマウスを作製するのに用いることができ、また、遺伝子ノックアウト技術を用いることによってなされる。
【0133】
本発明の方法において用途を有する特定のヘテロ接合型α−4インテグリンノックアウトマウスは、ジャクソンラボラトリー(Jackson laboratories,Bar Harbor,ME)から入手可能であり、ジャクソンラボラトリーのストック番号002463が付与されている。
【0134】
本発明の方法のその他の工程は、α−4インテグリンヘテロ接合型ノックアウトマウスの交雑で生じた胚を回収すること、操作可能にプロモーターと結合したα−4インテグリンをコードするcDNA分子の部分を含む導入遺伝子で胚をトランスフェクトすること、トランスフェクトされた胚を偽妊娠マウスに挿入すること、2種のヘテロ接合型子孫を交雑する工程、および、次に、ホモ接合型α−4インテグリンノックアウトであり、それらのゲノムに導入遺伝子の2つのコピーを有するこの第二の交雑(F2世代)の子孫を選択すること、を含む。これらの工程を実施する方法は、十分に当業者の技術範囲内である。例えば、操作可能にプロモーターと結合したα−4インテグリンをコードするcDNA分子の部分を含む導入遺伝子は、適切な発現ベクター、すなわち、挿入されたタンパク質コーディング配列の転写および翻訳に必要な要素を含むベクターに挿入することができる。発現ベクターは、続いて順番に、回収されたα−4インテグリンヘテロ接合型胚をトランスフェクトするのに用いられる。必要に応じて、必要な転写および翻訳シグナルを組換え発現ベクターに提供することができ、または、それらは、天然の遺伝子、すなわちα−4インテグリンタンパク質および/またはそのフランキング領域をコードする遺伝子により供給されていてもよい。その上、必要に応じて、発現ベクターは、複製開始点を含んでいてもよい。
【0135】
マウスのゲノム内で導入遺伝子が発現されれば、当業界既知のいずれかのプロモーター/エンハンサー要素で制御することができるが、これらの調節要素は、マウス細胞で機能的でなければならない。導入遺伝子発現を制御するのに用いることができるプロモーターとしては、これらに限定されないが、SV40初期プロモーター領域(Benoist and Chambon,1981,Nature290:304−310)、ラウス肉腫ウイルスの3’ロングターミナルリピートに含まれるプロモーター(Yamamoto,et al.,1980,Cell 22:787−797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al.,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1441−1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinster et al.,1982,Nature 296:39-42);酵母またはその他の菌類からのプロモーター要素、例えばGal4プロモーター、ADC(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーター、アルカリホスファターゼプロモーター;および、動物転写制御領域、これは組織特異性を示し、トランスジェニック動物で利用されている:膵臓の腺房細胞で活性なエラスターゼI遺伝子制御領域(Swift et al.,1984,Cell 38:639-646;Ornitz et al.,1986,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399-409;MacDonald,1987,Hepatology 7:425-515);膵臓のβ細胞で活性なインスリン遺伝子制御領域(Hanahan,1985,Nature 315:115-122)、リンパ系細胞で活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al.,1984,Cell 38:647-658;Adames et al.,1985,Nature 318:533-538;Alexander et al.,1987,Mol.Cell.Biol.7:1436-1444)、精巣、乳房、リンパ系細胞および肥満細胞で活性なマウス乳腺ガンウイルス制御領域(Leder et al.,1986,Cell 45:485-495)、肝臓で活性なアルブミン遺伝子制御領域(Pinkert et al.,1987,Genes and Devel.1:268-276)、肝臓で活性なα−フェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlauf et al.,1985,Mol.Cell.Biol.5:1639-1648;Hammer et al.,1987,Science 235:53-58)、肝臓で活性なα−1−抗トリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al.,1987,Genes and Devel.1:161-171)、骨髄細胞で活性なβ−グロビン遺伝子制御領域(Mogram et al.,1985,Nature 315:338-340;Kollias et al.,1986,Cell 46:89-94)、脳の希突起膠細胞で活性なミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readhead et al.,1987,Cell 48:703-712)、骨格筋で活性なミオシン軽鎖−2遺伝子制御領域(Sani,1985,Nature 314:283-286)、および、視床下部で活性な性腺刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子制御領域(Mason et al.,1986,Science 234:1372-1378)が挙げられる。特定の実施形態において、導入遺伝子で利用されるプロモーターは、tet−プロモーターである。tet−プロモーターは、事実上サイレントの最小限のhCMV(ヒトサイトメガロウイルス)プロモーターと、数個のtetO(tet−オペレーター)配列(TRE(tet−応答要素)と呼ばれる)で構成される。(Gossen and Bujard,1992)。最小限のhCMVプロモーターはサイレントであると考えられているにもかかわらず、転写調節は厳密ではなく、それに続く遺伝子の低いレベルの「漏れ」が起こるということが一般的にわかっている。導入遺伝子を含む発現ベクターは、4つの一般的なアプローチで同定することができる:(a)所望のプラスミドDNAまたは特異的mRNAのPCR増幅、(b)核酸ハイブリダイゼーション、(c)選択マーカー遺伝子機能の存在または非存在、および(d)挿入配列の発現。第一のアプローチにおいて、核酸は、PCRにより増幅することができ、増幅産物の検出に提供される。第二のアプローチにおいて、発現ベクターに挿入された外来遺伝子の存在は、挿入されたマーカー遺伝子と相同な配列を含むプローブを用いた核酸ハイブリダイゼーションにより検出することができる。第三のアプローチにおいて、組換えベクター/宿主系を、同定し、外来遺伝子のベクターへの挿入により生じる特定の「選択マーカー」遺伝子機能の存在または非存在に基づき選択することができ、この遺伝子機能とは、例えば、β−ガラクトシダーゼ活性、チミジンキナーゼ活性、抗生物質耐性、形質転換表現型、バキュロウイルスでの封入体(occlusion body)形成などである。他の例において、導入遺伝子がベクターの「選択マーカー」遺伝子配列挿入される場合、導入遺伝子を含む組換え体は、選択マーカー遺伝子機能の非存在により同定することができる。第四のアプローチにおいて、組換え発現ベクターは、導入遺伝子によりコードされる短縮α−4インテグリンタンパク質の活性、生化学的または免疫学的特徴を分析することによって同定することができる。短縮タンパク質に対する抗体は、決まった実験技術を用いて容易に作製することができる。抗体を生産することがわかっている特定の方法としては、これらに限定されないが、もともとはKohlerおよび Milsteinにより開発されたハイブリドーマ技術[Nature 256:495-497(1975)]、同様にトリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術[Kozbor et al.,Immunology Today 4:72 1983];Cote et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:2026-2030(1983)]、および、ヒトモノクローナル抗体を作製するためのEBV−ハイブリドーマ技術[Cole et al.,in Monoclonal Antibody and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,pp.77-96(1985)]が挙げられる。
【0136】
本発明において用途を有する哺乳動物発現ベクターとしては、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)プロモーターのような誘導性プロモーターを有するベクターが挙げられ、例えば、DHFR発現ベクターまたはDHFR/メトトレキセート共増幅ベクターを有するいかなる発現ベクターであり、例えばpEDである(PstI,SalI,SbaI,SmaI、およびEcoRIクローニング部位、クローン化遺伝子およびDHFR両方を発現するベクターである;Kaufman,Current Protocols in Molecular Biology,16.12(1991)を参照)。あるいは、グルタミンシンセターゼ/メチオニンスルホキシミン共増幅ベクターであり、例えばpEE14である(Hind III,XbaI,SmaI,SbaI,EcoRI、およびBclIクローニング部位を有し、グルタミンシンターゼおよびクローン化遺伝子を発現するベクターである;Celltech)。他の実施形態において、エプスタイン−バーウイルス(EBV)の制御下でエピソーム発現を指揮するベクターを用いることができ、例えばpREP4(BamHI,SfiI,XhoI,NotI,NheI,Hind III,NheI,Pvu II,およびKpnIクローニング部位、構成的RSV−LTRプロモーター、ハイグロマイシン選択マーカーを有する;Invitrogen)、pCEP4(BamHI,SfiI,XhoI,NotI,NheI,Hind III,NheI,Pvu II、およびKpnIクローニング部位、構成的hCMV前初期遺伝子、ハイグロマイシン選択マーカー;Invitrogen)、pMEP4(KpnI,PvuI,NheI,Hind III,NotI,XhoI,SfiI,BamHIクローニング部位、誘導性メタロチオネインIIa遺伝子プロモーター、ハイグロマイシン選択マーカー:Invitrogen)、pREP8(BamHI,XhoI,NotI,Hind III,NheI、およびKpnIクローニング部位、RSV−LTRプロモーター、ヒスチジノール選択マーカー;Invitrogen)、pREP9(KpnI,NheI,Hind III,NotI,XhoI,SfiI、およびBamHIクローニング部位、RSV−LTRプロモーター、G418選択マーカー;Invitrogen)、およびpEBVHis(RSV−LTRプロモーター、ハイグロマイシン選択マーカー、ProBond樹脂によりN末端ペプチドで精製可能、エンテロキナーゼで開裂される;Invitrogen)である。本発明で用いられる選択可能な哺乳動物発現ベクターとしては、pRc/CMV(Hind III,BstXI,NotI,SbaI、およびApaIクローニング部位、G418選択;Invitrogen)、pRc/RSV(Hind III,SpeI,BstXI,NotI,XbaIクローニング部位、G418選択;Invitrogen)などが挙げられる。本発明に従って使用されるワクシニアウイルス哺乳動物発現ベクター(上述のKaufman,1991を参照)としては、これらに限定されないが、pSC11(SmaIクローニング部位、TK−およびβ−gal選択)、pMJ601(SalI,SmaI,AflI,NarI,BspMII,BamHI,ApaI,NheI,Sac II,KpnI、およびHind IIIクローニング部位;TK−およびβ−gal選択)、およびpTKgptF1S(EcoRI,PstI,SalI,AccI,Hind II,SbaI,BamHI、およびHpaクローニング部位、TKまたはXPRT選択)が挙げられる。
【0137】
発現ベクターは、当業界でよく知られた方法で胚に導入され、該方法としては、例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション;トランスダクション、細胞融合,DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション(リソソーム融合)、ジーンガンの使用、またはDNAベクター輸送体がある(例えば、Wu et al.,1992,J.Biol.Chem.267:963−967;Wu and Wu,1988,J.Biol.Chem.263:14621−14624;Hartmut等の1990年3月15日付けで出願されたカナダ国特許出願番2,012,311号を参照)。
【0138】
同様に、トランスフェクトされた胚を偽妊娠マウスに挿入することに関する工程はまた、よく理解されており、当業者であれば利用可能である。このような技術の特定の例は、Wagner等の米国特許第5,175,385号、および、Daynの米国特許第5,929,043号で明確に記載されており、これらいずれも参照によりその全体を本明細書に加入する。
【0139】
機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないトランスジェニックマウス
その上、上記で説明したように、本発明は、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないトランスジェニックマウスに及ぶ。特に、本発明のトランスジェニックマウスは、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できる第一および第二の対立遺伝子が、操作可能にプロモーターと結合したα−4インテグリンタンパク質をコードする単離されたcDNA分子の部分を含む導入遺伝子の2つのコピーで置換されたゲノムを有する。その結果として、本発明のトランスジェニックマウスは、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できない。
【0140】
当然ながら、本発明は、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないトランスジェニックマウスの製造方法に及び、該方法は、以下の工程を含む:
(a)機能的α−4インテグリンタンパク質を発現することができる対立遺伝子が、操作可能にプロモーターと結合したα−4インテグリンタンパク質をコードする単離されたcDNA分子の部分を含む導入遺伝子で置換されたゲノムを有する第一のトランスジェニックマウスと、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できる対立遺伝子が、該導入遺伝子で置換されたゲノムを有する第二のトランスジェニックマウスとを交雑する工程;
(b)機能的α−4インテグリンタンパク質を発現することができる双方の対立遺伝子が該導入遺伝子の2つのコピーで置換されたゲノムを有する子孫を交雑体から選択すること。
【0141】
これら選択された子孫はトランスジェニックマウスであり、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないために本発明のトランスジェニックマウスである。
【0142】
第一および第二のトランスジェニックマウス内でα−4インテグリンタンパク質を発現することができる対立遺伝子を、上述の導入遺伝子で置換するために、多数の方法が当業者にとって利用可能である。このような方法の1つとして、遺伝子ターゲティングがある。「遺伝子ターゲティング」は、ゲノムDNAの断片が哺乳動物細胞に導入され、断片が内因性相同配列に位置し組みかえられている場合に生じる相同組換えのタイプである。これは、ゲノムに特異的変異を起こすために、酵母からマウスにいたる様々な系で用いられてきた。遺伝子ターゲティングは、インビボでのタンパク質機能を研究するのに有用であるばかりでなく、ヒトの病気や遺伝子治療のための動物モデルを作製するのにも有用である。該技術は、細胞に導入されたDNAと、その細胞の内因性染色体DNAとの相同組換えを含む。その結果として、この技術により、内因性DNAを外因性DNA(例えば操作可能にプロモーターと結合した配列番号1を含む導入遺伝子)に「交換する」ことができる。決まった実験技術を用いて本発明の用途に容易に適合させることができる遺伝子ターゲティングの特定の方法は、米国特許第6,143,566号で説明されており、その全体を参照により本明細書に加入する。胚を導入遺伝子を含む発現ベクターでトランスフェクトする技術、および、トランスフェクトされた胚をF1の偽妊娠雌マウスに挿入する技術は、上述の通りである。当然ながら、これら技術は、本発明のトランスジェニックマウスの作製においてすでに用途を有する。
【0143】
α−4インテグリンタンパク質活性を調節する能力に関して化合物または薬剤を分析する方法
上記で説明したように、生物が機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないことにより、驚くべきことに、かつ意外なことに、その生物において表現型の変化が起こることがわかった。このような生物は、それらの表現型に関して得られた情報に加えて、α−4インテグリンタンパク質活性を調節、特に拮抗する能力に関して化合物または薬剤を分析する方法においてすでに用途を有する。特に、驚くべきことに、かつ意外なことに、機能的α−4インテグリンの欠失が、哺乳動物における様々な遺伝子マーカーのレベルを調節することがわかった。このようなマーカーの例としては、以下のものが挙げられる(ただしこれらに限定されない):
【0144】
ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
(H−2クラスI組織適合性抗原,d−kα鎖前駆体;
ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全cds;
赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ]:
vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのcds;
NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
ハツカネズミmRNAのRHAMM;
R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA3’末端;
ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNAハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;
vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;
ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA;
および、血液の幹細胞前駆体濃度。
【0145】
より特定には、本発明のマウスの表現型において、機能的α−4インテグリンタンパク質の非存在により、様々な遺伝子マーカーの測定レベルが増加することがわかり、該遺伝子マーカーとしては、いくつか例を挙げると、以下のものが挙げられる(これらに限定されない):
ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
(H−2クラスI組織適合性抗原,D−Kα鎖前駆体;
ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全c;
赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ];
vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
ハツカネズミmRNAのRHAMM;
R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA
3’末端;
ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのc;
ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNAハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;および、
血液の幹細胞前駆体濃度。
【0146】
また、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないマウスにおいて、いくつかの遺伝子マーカーの測定レベルが減少することもわかった。レベルが減少する遺伝子マーカーの例としては、いくつか例を挙げると、以下のものが挙げられる:
vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;および、
マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA。
【0147】
本発明のマウスから得られたこの情報を用いて、α−4インテグリンアンタゴニスト活性の活性を調節、特に拮抗する能力に関して化合物または薬剤を分析する方法が見出された。α−4インテグリンタンパク質活性を拮抗する化合物または薬剤は、多様な病気または疾患、例えば炎症、喘息、関節炎、MSなどを治療する治療剤として用途を有する可能性がある。従って、本発明は、α−4インテグリンタンパク質活性を調節、特に拮抗する能力に関して化合物または薬剤を分析する方法に及び、該方法は、(a)化合物または薬剤を野生型マウスに投与する工程、(b)野生型マウスで遺伝子マーカーのレベルを測定する工程、および(c)工程(b)の測定値と、コントロール野生型マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルとを比較する工程、を含む。野生型マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルが、コントロール野生型マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルと比べて調節されることは、化合物または薬剤がα−4インテグリンタンパク質アンタゴニスト活性を有する可能性を示す。その調節がα−4インテグリンタンパク質活性の減少に直接関係する遺伝子マーカーの例、および、そのレベルがα−4インテグリンタンパク質活性の減少に逆に関係する遺伝子マーカーの例は、上述した通りである。従って、これら遺伝子マーカーのレベルを調節する化合物または薬剤は、上述したように、α−4インテグリンタンパク質アンタゴニストとしての能力を有する。従って、化合物または薬剤の投与後に以下の遺伝子マーカーのいずれかのレベルが増加する場合、その化合物または薬剤は、α−4インテグリンアンタゴニスト活性を有する可能性がある:
【0148】
ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
(H−2クラスI組織適合性抗原,D−Kα鎖前駆体;
ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全c;
赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ];
vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
ハツカネズミmRNAのRHAMM;
R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA3’末端;
ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのc;
ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNAハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;および、
血液の幹細胞前駆体濃度。
【0149】
あるいは、化合物または薬剤の投与後に以下の遺伝子マーカーのいずれかのレベルが減少する場合は、その化合物または薬剤は、α−4インテグリンアンタゴニスト活性を有する可能性がある:
vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;または、
マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA。
【0150】
その上、類似の方法は、化合物または薬剤を投与された動物からの血液サンプルと、コントロール哺乳動物から採取された血液サンプルとを比較する代わりに、化合物または薬剤の投与前の哺乳動物から採取された血液サンプルと、化合物または薬剤の投与後に同哺乳動物から採取された血液サンプルとを比較することを含む。
【0151】
その上、本発明は、α−4インテグリンアンタゴニストまたはVLA−4受容体アンタゴニストに関連する副作用を改善できる化合物または薬剤を分析するための、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないマウスの使用に及ぶ。特に、本発明のマウスは、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できない。従って、本質的に,それらの調節された表現型は、哺乳動物にいて機能的α−4インテグリンが欠失することにより生じる。従って、本発明のマウスに投与された化合物または薬剤により、そのマウスで測定された遺伝子マーカーのレベルが、野生型コントロールマウスで測定された遺伝子マーカーの測定レベルと比べて調節される場合、その化合物または薬剤は、α−4インテグリンタンパク質またはVLA−4受容体アンタゴニストに関連する副作用を治療することにおいて用途を有する可能性がある。
【0152】
従って、本発明は、α−4インテグリンタンパク質アンタゴニストまたはVLA−4受容体アンタゴニストに関連する有害な副作用を改善する活性に関して、化合物または薬剤を分析する方法に及び、該方法は、以下の工程:
(a)機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないマウスに化合物または薬剤を投与する工程;
(b)マウスで遺伝子マーカーのレベルを測定する工程;および、
(c)マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルと、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できない本発明のコントロールマウスで測定された遺伝子マーカーのレベルとを比較する工程、
を含み、化合物または薬剤が投与されたマウスで測定された遺伝子マーカーのレベルが、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないコントロールマウスで測定された遺伝子マーカーのレベルと比べて調節されることは、その化合物または薬剤が、α−4インテグリンタンパク質アンタゴニストに関連する有害な副作用を改善する活性を有する可能性があることを示す。
【0153】
α−4インテグリンアンタゴニストまたはVLA−4受容体アンタゴニストに関連する有害な副作用を改善する用途を有する化合物または薬剤は、α−4インテグリンアンタゴニスト投与の結果としてそれらの調節とは逆の方向で遺伝子マーカーの測定レベルを調節し得る。従って、特定の遺伝子マーカーに関して、α−4インテグリンアンタゴニスト投与により遺伝子マーカーの測定レベルが減少する場合、α−4インテグリンアンタゴニストに関連する副作用を治療するための化合物または薬剤により、遺伝子マーカーの測定レベルが増加し、逆もまた同様である。本発明のこのような方法において用途を有する遺伝子マーカーの例は、上述した通りである。
【0154】
本発明の方法において、現在利用可能な多数の方法が、化合物または薬剤を投与するのに用いることができる。特に、化合物または薬剤は、非経口で、例えば静脈注射により投与することができ、また、これらに限定されないが、細動脈内、筋肉内、皮内、皮下,腹膜内、心室内、および頭蓋内投与が挙げられる。本発明において用途を有する化合物または薬剤のさらなる他の投与方法は、経粘膜であり、例えば、経口、鼻、または直腸もしくは経皮がある。
血液サンプルの採取方法および遺伝子マーカーの測定方法を以下で説明する。
【0155】
化合物または薬剤がVLA−4受容体のシグナリング活性を調節する能力を有するかどうかを決定する方法
上記で説明したように、機能的α−4インテグリンを発現できない本発明のマウスにおける遺伝子マーカーのレベルは、機能的α−4インテグリンを発現できない本発明のマウスにおけるこれら遺伝子マーカーのレベルと比べて調節されることが見出された。上記で説明したように、いくつかの遺伝子マーカーは、α−4インテグリンタンパク質の活性に対して直接調節され、いくつかの遺伝子マーカーは、α−4インテグリンタンパク質活性に対して逆に調節される。その上、上述した理由と同様で、VLA−4受容体のシグナリング活性のレベルは、α−4インテグリンタンパク質の存在レベルに直接的に関係する。その結果として、生物におけるα−4インテグリンタンパク質に関する遺伝子マーカーのレベルを、コントロール生物における遺伝子マーカーのレベルと比べて調節するような生物に投与された化合物または薬剤は、VLA−4受容体のシグナリング活性を調節する能力も有する。従って、α−4インテグリンタンパク質に関する上述の遺伝子マーカーおよびそれらの調節はまた、VLA−4受容体のシグナリング活性に関する遺伝子マーカーであり、同じ方法で調節される。従って、本発明は、化合物または薬剤がVLA−4受容体のシグナリング活性を調節するかどうかを決定する方法に及び、以下の工程を含む:
(a)化合物または薬剤を生物に投与する工程;
(b)生物から採取された生体サンプルで、VLA−4受容体シグナリングに関する遺伝子マーカーの発現レベルを測定する工程;および、
(c)工程(b)の遺伝子マーカーの発現レベルと、コントロール生体サンプルで測定された遺伝子マーカーの発現レベルとを比較する工程。
【0156】
生体サンプルとコントロール生体サンプルとで測定された遺伝子マーカーの発現レベルの差は、化合物または薬剤がVLA−4受容体のシグナリングを調節することを示す。特に、その発現レベルが増加する遺伝子マーカー、すなわちVLA−4受容体シグナリング活性に対して逆に関連する遺伝子マーカーの例としては、以下のものが挙げられる(ただしこれらに限定されない):
ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
(H−2クラスI組織適合性抗原,D−Kα鎖前駆体;
ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全c;
赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ];
vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
ハツカネズミmRNAのRHAMM;
R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA
3’末端;
ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのc;
ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNA ハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;および、
血液の幹細胞前駆体濃度。
【0157】
同様に、その発現レベルが減少する遺伝子マーカー、すなわちVLA−4受容体シグナリング活性に対して直接的に関連する遺伝子マーカーの例としては、以下のものが挙げられる:
vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;および、
マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA。
【0158】
当然ながら、生体サンプルとしては、ただしこれらに限定されないが、体液、例えば、血液、尿、唾液、粘液、精液、リンパ液等、または固体サンプル、例えば組織、骨、毛等が挙げられる。その上、コントロール生体サンプルとは、化合物または薬剤の投与の前に生物から採取された生体サンプルが可能であり、またあるいは、化合物または薬剤が投与されていない第一の生物と実質的に類似した第二の生物(同一または類似の種、年齢、体重、性別など)から採取された生体サンプルが可能である。当然ながら、生物は、哺乳動物が可能であり、いくつか例を挙げると、これらに限定されないが、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコのマウスの、またはヒトが挙げられる。
【0159】
VLA−4受容体のシグナリング活性の「代理」マーカーであり、その発現レベルがVLA−4受容体のシグナリング活性に直接的に関連する遺伝子マーカーの特定の例は、マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNAであり、これは、GenBank登録番号Z11974が付与されており、配列番号13に記載される。
【0160】
VLA−4受容体のシグナリング活性の「代理」マーカーであり、その発現レベルがVLA−4受容体のシグナリング活性に直接的に関連する遺伝子マーカーの他の特定の例は、JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds、または、SOCS−1タンパク質であり、そのヌクレオチド配列は、GenBank登録番号AB000677が付与されており、配列番号17に記載される。
【0161】
VLA−4受容体のシグナリング活性の「代理」マーカーであり、その発現レベルがVLA−4受容体のシグナリング活性に直接的に関連する遺伝子マーカーのその他の特定の例は、EST AA571535(vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン)(配列番号21のヌクレオチド配列を有する)、および、EST AA154371(P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B)(配列番号23のヌクレオチド配列を有する)である。
【0162】
同様に、本発明は、VLA−4受容体のシグナリング活性を拮抗する化合物または薬剤の能力を決定する方法に及び、該方法は、以下の工程:
(a)第一の生体サンプルを生物から採取する工程;
(b)第一の生体サンプルで遺伝子マーカーのレベルを測定する工程;
を含み、ここで、該遺伝子マーカーは、以下からなる群より選択される:
vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;および、
マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA,
【0163】
(c)可能性のあるアンタゴニストを生物に投与する工程;
(d)第二の生体サンプルを生物から採取する工程;
(e)第二の生体サンプルで遺伝子マーカーのレベルを測定する工程、および、
(f)工程(b)と工程(e)との測定レベルを比較する工程。
【0164】
工程(e)における遺伝子マーカーの測定レベルが、工程(b)における遺伝子マーカーの測定レベルと比べて減少することは、その化合物または薬剤が、VLA−4のシグナリング活性のアンタゴニストであることを示す。当然ながら、上述したように、第一および第二の生体サンプルは、体液、体の組織、または、それらの組み合わせを含み得る。本発明において用途を有する特定の遺伝子マーカーは、以下のものである:マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA、GenBank登録番号Z11974が付与されており、配列番号13に記載される;JABに関するハツカネズミmRNA,完全cdsまたはSOCS−1タンパク質、そのヌクレオチド配列は、GenBank登録番号AB000677が付与されており、配列番号17に記載される;EST AA571535(vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン)、配列番号21のヌクレオチド配列を有する;および、EST AA154371(P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B)、配列番号23のヌクレオチド配列を有する。
【0165】
加えて、本発明は、VLA−4受容体のシグナリング活性を拮抗する化合物または薬剤の能力を決定する方法に及び、該方法は、以下の工程:
(a)生物から第一の生体サンプルを採取する工程;
(b)第一の生体サンプルで遺伝子マーカーのレベルを測定する工程;
を含み、ここで、該遺伝子マーカーは、以下からなる群より選択される:
ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
(H−2クラスI組織適合性抗原,D−Kα鎖前駆体;
ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全c;
赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
NRNT(1e−92);,完全配列[ハツカネズミ];
vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
ハツカネズミmRNAのRHAMM;
R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA3’末端;
ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのc;
ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNAハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;および、
血液の幹細胞前駆体濃度;
【0166】
(c)可能性のあるアンタゴニストを生物に投与する工程;
(d)第二の生体サンプルを生物から採取する工程;
(e)第二の生体サンプルで、遺伝子マーカーのレベルを測定する工程;および、
(f)工程(b)と工程(e)との測定レベルを比較する工程。
【0167】
工程(e)における遺伝子マーカーの測定レベルが、工程(b)における遺伝子マーカーの測定レベルと比べて増加することは、その化合物または薬剤は、VLA−4のシグナリング活性のアンタゴニストであることを示す。当然ながら、上述したように、第一および第二の生体サンプルは、体液、体の組織、または、それらの組み合わせを含み得る。
【0168】
上記で説明したように、多数のタイプの生物が、本発明の方法において用途を有する。特定の例としては、いくつか例を挙げると、ただしこれらに限定されないが、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、マウス、またはヒトのような哺乳動物が挙げられる。
【0169】
VLA−4受容体シグナリング活性の調節因子
上記で説明したように、本発明の方法で評価することができる化合物または薬剤としては、免疫原としてVLA−4受容体を有する抗体もしくはこのような抗体の断片、または、免疫原としてα−4インテグリンタンパク質を有する抗体もしくはこのような抗体の断片;化学物質;核酸分子、例えばVLA−4受容体またはα−4インテグリンタンパク質をコードするRNAにハイブリダイズするアンチセンス分子、または、α−4インテグリンタンパク質のVLA−4受容体をコードするRNAを開裂するように加工されたリボザイム;炭水化物;ホルモン、またはレクチン、が可能である。このような化合物または薬剤の特定の例を以下に説明する。
【0170】
a.抗体
VLA−4シグナリング活性を調節する化合物または薬剤の一例は、免疫原としてα−4インテグリンまたはVLA−4受容体のいずれかを含む抗体である。このような抗体としては、これらに限定されないが、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、一本鎖、Fab断片、およびFab発現ライブラリーが挙げられる。その上、抗VLA−4および抗α−4インテグリン抗体は、交差反応性の可能性があり、例えば、これらは、それぞれ異なる種からのVLA−4およびα−4インテグリンタンパク質を認識する可能性がある。ポリクローナル抗体は、より大きい交差反応性の可能性を有する。
あるいは、本発明の抗体は、例えばマウスのVLA−4またはα−4インテグリンタンパク質の単一形態(single form)に特異的であってもよい。
【0171】
VLA−4またはα−4インテグリンタンパク質に対するポリクローナル抗体を製造するために、当業界既知の様々な方法を用いることができる。抗体の製造のために、VLA−4またはα−4インテグリンタンパク質を注入することにより様々な宿主動物を免疫化することができ、該動物としては、これらに限定されないが、ウサギ、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ等が挙げられる。一実施形態において、VLA−4受容体またはα−4インテグリンタンパク質、または、それらの断片は、免疫原性担体、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)またはキーホールリンペットヘモシニアン(KLH)に結合させることができる。免疫応答を増加させるために、宿主の種に応じて様々なアジュバントを用いることができ、例えば、これらに限定されないが、フロインド(完全および不完全)、ミネラルゲル、例えば水酸化アルミニウム、表面活性物質、例えばリゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳濁液、キーホールリンペットヘモシニアン、ジニトロフェノールであり、場合によってはヒトアジュバント、例えばBCG(カルメット−ゲラン杆菌)およびコリネバクテリウム−パルヴムも有用である。
【0172】
VLA−4受容体もしくはα−4インテグリンタンパク質またはそれらの断片に向けられたモノクローナル抗体の調製のために、培養での連続的な細胞系による抗体分子製造を提供する技術のいずれも用いることができる。該技術としては、これらに限定されないが、もともとはKohlerおよびMilsteinにより開発されたハイブリドーマ技術[Nature 256:495-497(1975)]、同様に、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術[Kozbor et al.,Immunology Today 4:72 1983];Cote et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:2026-2030(1983)]、および、ヒトモノクローナル抗体を製造するためのEBV−ハイブリドーマ技術[Cole et al.,in Monoclonal Antibody and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,pp.77-96(1985)]。必要に応じて、モノクローナル抗体は、無菌動物で生産させることもできる[PCT/US90/02545]。VLA−4受容体またはα−4インテグリンタンパク質に特異的なマウス抗体分子からの遺伝子を、適切な生物活性のヒト抗体分子からの遺伝子と共にスプライシングすることによる、「キメラ抗体」の作製に関して開発された技術[Morrison et al.,J.Bacterial.159:870(1984);Neuberger et al.,Nature 312:604-608(1984);Takeda et al.,Nature 314:452-454(1985)]も用いることができる;このような抗体は、本発明の範囲内である。このようなヒトまたはヒト化キメラ抗体は、VLA−4受容体シグナリングアンタゴニストとして用いるのに好ましく、なぜなら、ヒトまたはヒト化抗体は、外因性抗体よりも免疫反応,特にそれ自身のアレルギー応答を誘発する可能性がかなり低いためである。
【0173】
本発明に従って、単鎖抗体の生産に関して説明された技術[Hustonの米国特許第5,476,786号および第5,132,405号;米国特許第4,946,778号]が、VLA−4受容体またはα−4インテグリンタンパク質特異的単鎖抗体を生産するのに適用可能である。本発明のさらなる実施形態は、Fab発現ライブラリーの構築に関して説明された技術を利用して[Huse et al.,Science 246:1275−1281(1989)]、VLA−4受容体またはα−4インテグリンタンパク質またはそれらの誘導体もしくは類似体に対する所望の特異性を有するモノクローナルFab断片を迅速で簡単に同定することができる。
【0174】
抗体分子のイディオタイプを含む抗体断片は、既知の技術により生産することができる。例えば、このような断片としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる: F(ab’)2断片、これは抗体分子のペプシン消化により生産することができる;Fab’断片、これはF(ab’)2断片のジスルフィド架橋を還元することによって生産することができる;および、Fab断片、これは抗体分子をパパインおよび還元剤で処理することにより生産することができる。
【0175】
抗体の製造において、所望の抗体のスクリーニングは、例えば、ラジオイムノアッセイ,ELISA(酵素結合免疫吸着分析)、「サンドイッチ」免疫分析、イムノラジオメトリック分析、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散分析、インサイチュ免疫分析(例えばコロイド金、酵素または放射線同位体標識を用いる)、ウェスタンブロット、沈降反応、凝集分析(例えば、ゲル凝集分析,血球凝集分析)、補体結合分析、免疫蛍光分析、タンパク質A分析、および、免疫電気泳動法分析等のような当業界既知の技術によって達成することができる。一実施形態において、抗体結合は、一次抗体上の標識を検出することによって検出される。他の実施形態において、一次抗体は、二次抗体または試薬の一次抗体への結合を検出することによって検出される。さらなる実施形態において、二次抗体が標識される。イムノアッセイにおける結合の検出に関する多くの手段が当業界既知であり、本発明の範囲内である。例えば、VLA−4受容体またはα−4インテグリンタンパク質に特異的なエピトープを認識する抗体を選択するために、このようなエピトープを含むVLA−4受容体またはα−4インテグリンタンパク質断片に結合する産物に関して生成したハイブリドーマを分析することもできる。特定の動物種からのVLA−4受容体またはα−4インテグリンタンパク質に特異的な抗体を選択するために、その動物種の細胞で発現される、または、それから単離されたVLA−4またはα−4インテグリンタンパク質との明確な結合に基づき選択することができる。
【0176】
前述の抗体はまた、VLA−4受容体またはα−4インテグリンタンパク質の位置確認および活性に関する当業界既知の方法で用いることができ、該方法としては、例えば、ウェスタンブロッティングに関して、インサイチュでVLA−4受容体またはα−4インテグリンタンパク質をイメージングすること、上述または当業界既知のいずれの検出技術を用いて適切な生理学的サンプル等でそれらのレベルを測定すること、である。
当然ながら、VLA−4またはα−4インテグリンタンパク質の活性を作動または拮抗する抗体を生産することができる。このような抗体は、説明された分析を用いて試験することができる。
【0177】
b.アンチセンスおよびリボザイム
本発明はまた、これらタンパク質をコードする遺伝子の発現を調節することにより、VLA−4受容体のシグナリング活性またはα−4インテグリンタンパク質の調節すること活性を調節するアンチセンスヌクレオチド、および、リボザイムの調製に及ぶ。このような発現を調節すること、特に減少させるかまたは妨害することは、VLA−4受容体シグナリングアンタゴニスト活性を示すこ化合物または薬剤をもたらす。このアプローチは、アンチセンス核酸およびリボザイムを利用して、アンチセンス核酸でそのmRNAをマスキングすること、またはリボザイムでそれを切断させることのいずれかによって特異的mRNAの翻訳をブロックする。
【0178】
アンチセンス核酸とは、特異的mRNA分子少なくとも一部分に相補的なDNAまたはRNA分子である[Marcus-Sekura,Anal.Biochem.172:298(1988)を参照]。細胞中で、その細胞はそのmRNAハイブリダイズし、二本鎖分子を形成する。その細胞は、この二本鎖形態においてmRNAを翻訳しない。それゆえに、アンチセンス核酸は、mRNAのタンパク質への発現を妨害する。約15個のヌクレオチドのオリゴマー、および、AUG開始コドンにハイブリダイズする分子は特に効率的であり、なぜなら、それらは簡単に合成でき、より大きい分子を器官細胞に導入する際の問題がより少ないと思われるためである。アンチセンス方法は、インビトロでの多くの遺伝子発現を阻害するのに用いられてきた[上述の Marcus-Sekura,1988;Hambor et al.,J.Exp.Med.168:1237(1988)]。必要に応じて、合成アンチセンスヌクレオチドは、天然のホスホエステル結合よりむしろ、ホスホロチオレート(phosphorothiolate)またはチオエステルのようなホスホエステル結合類似体を含む。このようなホスホエステル結合類似体は、より分解耐性であり、従って安定性が増加し、それゆえにアンチセンス核酸の有効性も増加する。
【0179】
リボザイムとは、DNA制限エンドヌクレアーゼといくらか類似した方法で特異的に他の一本鎖RNA分子を切断させる能力を有するRNA分子である。リボザイムは、ある種のmRNAはそれら自身のイントロンを切り出す能力を有するという観察から発見された。これらRNAのヌクレオチド配列を改変することにより、研究者は、RNA分子中で特定のヌクレオチド配列を認識し、それを切断させる分子を加工することを可能にした[Cech,J.Am.Meet.Assoc.260:3030(1988)]。それらが配列特異的であるために、特定の配列を有するmRNAだけが不活性化される。
【0180】
研究者は、2タイプのリボザイム、すなわちテトラヒメナ型、および、「ハンマーヘッド型」を同定した。テトラヒメナ型リボザイムは、4個の塩基配列を認識し、その一方で、「ハンマーヘッド型」は、11〜18個の塩基配列を認識する。認識配列が長くなればなるほど、標的MRNA種で独占的に発生する可能性をより高くできる。従って、特異的mRNA種を不活性化するためには、ハンマーヘッド型リボザイムがテトラヒメナ型リボザイムより好ましく、18個の塩基認識配列が、それより短い認識配列より好ましい。
【0181】
VLA−4およびα−4インテグリンタンパク質をコードするDNA配列は、当業者により容易に得ることができ(例えば、マウスおよびヒト配列は、GenBankから容易に得ることができ、例えば、マウスのα−4インテグリンは、GenBank登録番号NM010576、ヒトα−4インテグリンは、GenBank登録番号XM039011、マウスのVLA−4受容体は、GenBank登録番号U497283が付与されており、およびヒトVLA−4受容体をコードする配列の多くはGenBankから得ることができる)、従って、VLA−4受容体またはα−4インテグリンタンパク質に関するmRNAに対するアンチセンス分子、およびVLA−4受容体またはα−4インテグリンタンパク質に関するmRNAを切断させるリボザイムを調製するのに用いることができ、それによりVLA−4受容体のシグナリング活性タンパク質が調節される。
【0182】
c.有機化合物
VLA−4受容体シグナリング活性を調節する有機化合物が開発されている。例えば、このような化合物は、米国特許第6,352,977号、および、公開されたPCT特許出願WO99/23063に説明されており、参照によりその全体を本明細書に加入する。このような化合物の特定の例は、式:
【化1】
Figure 2004531266
で示される、(S)−3−((S)−2−(4,4−ジメチル−3−(4−(3−(2−メチルフェニル)ウレイド)ベンジル)−2,5−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)−2−(2−メチルプロピル)アセチルアミノ)−3−フェニルプロピオン酸またはそれらの生理学的に許容できる塩があり、前記化合物は、本明細書において「HMR1031」と称する。他の例として、式:
【化2】
Figure 2004531266
で示される有機化合物またはそれらの生理学的に許容できる塩があり、前記化合物は、本明細書において「IVL984」と称する。
【0183】
VLA−4受容体のシグナリング活性を調節するを調節する候補化合物または薬剤ライブラリー検索
従来、有用な特性を有する新しい化学物質は、いくつかの望ましい特性または活性を有する化学物質(「リード化合物」という)を同定すること、リード化合物の改変体を作製すること、これら改変化合物の特性および活性評価することにより製造されている。しかしながら、最近の傾向は、創薬の全ての側面においてタイムスケールを短縮することである。迅速かつ効率的に多数を試験する能力のために、ハイスループットスクリーニング(HTS)法が、通常のリード化合物同定法に替わりつつある。
【0184】
特定の実施形態において、ハイスループットスクリーニング方法は、多数の可能性のある治療化合物(候補化合物)を含むライブラリーを提供することを含む。次に、このような「コンビナトリアルケミストリーライブラリー」は、本明細書で述べたような1またはそれ以上の分析でスクリーニングされ、望ましい特徴的な活性を示すライブラリーメンバー(特定の化学種またはサブクラス)を同定することができる。従って、同定された化合物は、通常の「リード化合物」として役立たせることができ、または、それ自体を可能性のある、または実際的な治療剤として用いることもできる。
【0185】
コンビナトリアルケミストリーライブラリー
コンビナトリアルケミストリーライブラリーは、新しいリード化学物質の製造を補助する好ましい手段である。コンビナトリアルケミストリーライブラリーは、試薬などの多数の化学的「基礎成分」を組み合わせることにより化学合成または生物学的合成のいずれかにより製造された多様な化学物質のコレクションである。例えば、ポリペプチドライブラリーのようなリニアーコンビナトリアルケミストリーライブラリーは、一連のアミノ酸と呼ばれる化学的基礎成分を、所定の化合物長さ{すなわち、ポリペプチド化合物のアミノ酸の数}に関して全ての可能な方法で組み合わせることによって形成される。このような化学的基礎成分のコンビナトリアル混合により、多数の化学物質を合成することができる。例えば、ある解説者は、100種の交換可能な化学的基礎成分を組織的にコンビナトリアル混合することによって、理論上、1億種の四量体化合物、または、100億種の五量体化合物が合成されると述べている(Gallop et al.(1994)37(9):12331250)。
【0186】
コンビナトリアルケミストリーライブラリーの調製は、当業者周知である。このようなコンビナトリアルケミストリーライブラリーとしては、これらに限定されないが、ペプチドライブラリーが挙げられる[例えば、米国特許第5,010,175号,Furka(1991)Int.J.Pept.Prot.Res.,37:487-493,Houghton et al.,(1991)Nature,354:84-88を参照]。ペプチド合成は、決して本発明において使用を想定、意図されたアプローチのみではない。化学的に多様なライブラリーを製造するその他の化学法も用いることができる。このような化学法としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:ペプトイド(PCT公報番号WO91/19735,1991年12月26日)、コードされたペプチド(PCT公報WO93/20242,1993年10月14日)、ランダムバイオオリゴマー(PCT公報WO92/00091,1992年1月9日)、ベンゾジアゼピン(米国特許第5,288,514号)、ヒダントイン、ベンゾジアゼピンおよびジペプチドのようなダイバーソマー(diversomer)(Hobbs et al.,(1993)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 90:69096913)、ビニル様(vinylogous)ポリペプチド(Hagihara et al.,(1992)J.Amer.Chem.Soc.114:6568)、β−D−グルコース足場を有する非ペプチド性ペプチドミメティックス(Hirschmann et al.,(1992)J.Amer.Chem.Soc.114:92179218)、低分子化合物ライブラリーの類似の有機合成(Chen et al.,(1994)J.Amer.Chem.Soc.116:2661)、オリゴカルバメート(Cho,et al.,(1993)Science 261:1303)、および/またはペプチジルホスホネート(Campbell et al.,(1994)J.Org.Chem.59:658)。概して、以下を参照:Gordon et al.,(1994).J.Med.Chem.37:1385、核酸ライブラリー、ペプチド核酸ライブラリー(例えば、米国特許第5,539,083号を参照)、抗体ライブラリー(例えば、Vaughn et al.(1996)Nature Biotechnology,14(3):309-314)、およびPCT/US96/10287を参照)、炭水化物ライブラリー(例えば、Liang et al.,(1996)Science,274:1520-1522、および米国特許第5,593,853号を参照)、および低分子有機分子ライブラリー(例えば、ベンゾジアゼピン、Baum(1993)C&EN,1月18日、第33頁、イソプレノイド、米国特許第5,569,588号、チアゾリジノンおよびメタチアザノン(metathiazanone)米国特許第5,549,974号、ピロリジン、米国特許第5,525,735号および第5,519,134号、モルホリノ化合物、米国特許第5,506,337号、ベンゾジアゼピン第5,288,514号などを参照)。
【0187】
コンビナトリアルライブラリー調製装置は、市販されている(例えば357MPS,390MPS,Advanced Chem Tech, Louisville\ KY,Symphony,Rainin,Woburn, MA,433A Applied Biosystems(Foster City,CA,9050 Plus,Millipore,Bedford,MA)を参照)。溶液相化学法に関して多数の周知のロボットシステムが開発されている。これらシステムとしては、Takeda Chemical Industries,LTD.(Osaka,Japan)により開発された自動化合成装置のような自動化ワークステーション、および、ロボットアームを利用する多くのロボットシステム(Zymate II,Zymark Corporation,Hopkinton,Mass.;Orca,HewlettPackard,Palo Alto,Calif.)が挙げられ、これらは、化学者による手動の合成操作模擬する。上記装置のいずれも本発明での使用に適している。これら措置の性質や、本明細書で説明されたように操作可能なように改変を実施すること(必要に応じて)は、関連業界の当業者には明白である。加えて、多数のコンビナトリアルライブラリーそれ自身が市販されている(例えば、ComGenex,Princeton,N.J.,Asinex,Moscow,Ru,Tripos,Inc.,St.Louis,MO,ChemStar,Ltd,Moscow,RU,3D Pharmaceuticals,Exton,PA,Martek Biosciences,Columbia,MDなどを参照)。
【0188】
化学ライブラリーのハイスループット分析
上記で説明したように、本発明は、化合物または薬剤がVLA−4受容体のシグナリング活性を調節、特に拮抗するかどうかを決定するためのインビトロでの方法に及び、該方法は、以下の工程を含む:
(d)化合物または薬剤と、生物からの生体サンプルとを接触させる工程;
(e)生体サンプルで、VLA−4受容体シグナリングに関する遺伝子マーカーの発現レベルを測定する工程;および、
(f)工程(b)で測定された遺伝子マーカーの発現レベルと、コントロール生体サンプルで測定された遺伝子マーカーの発現レベルとを比較する工程。
【0189】
当然ながら、このような方法は、ハイスループットスクリーニングに適用することができる。ハイスループットスクリーニングシステムは、市販されている(例えば、Zymark Corp.,Hopkinton,MA;Air Technical Industries,Mentor,OH;Beckman Instruments,Inc.Fullerton,CA;Precision Systems,Inc.,Natick,MA などを参照)。一般的に、これらシステムは、全てのサンプルおよび試薬のピペッティング、液体調剤、時間計測されたインキュベート、および分析に適切な検出器での最終的なマイクロプレートの読み取りなどの全ての工程を自動化する。これら設定可能なシステムにより、ハイスループットおよび迅速な開始、同様に、高度なフレキシビリティーおよびカスタマイズが提供される。このようなシステムの製造元は、様々なハイスループットに関する詳細なプロトコールを供給している。従って、例えば、Zymark Corpは、遺伝子転写の調節、リガンド結合などを検出するためのスクリーニングシステムを説明した技術告示を供給している。
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照することによりよりよく理解することができ、これらは、本発明の例として提供される。以下の実施例は、より十分に本発明の好ましい実施形態を説明するために提供される。しかしながら、これら実施例は、決して本発明の広い範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
【0190】
〔実施例I〕
機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないノックアウトマウス調製
ここでは、このようなマウスを製造する方法に従って、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないマウスが提供される。機能的α−4インテグリンを発現できないマウスは、白血球の接着、炎症部位への遊走およびトラフィッキングにさらなる洞察を加えるための役に立つツールである。その上、このような本発明のマウスは、様々な病気または疾患、例えば、これらに限定されないが、リウマチ様関節炎や喘息の治療のための可能性のあるα−4インテグリンアンタゴニストをスクリーニングするための役に立つ有用性を有する。
【0191】
材料および方法
一般的な緩衝液および溶液
【表1】
Figure 2004531266
【0192】
プラスミド
【表2】
Figure 2004531266
【0193】
オリゴデオキシリボヌクレオチド
【表3】
Figure 2004531266
【0194】
抗体
免疫組織化学 CD49d,BD Pharmingen クローン 9Cl0
【0195】
方法
DNA操作
(a)DNA断片のプラスミドへのライゲーション
挿入物をプラスミドにライゲートするために、所望の挿入物を含むプラスミド、および、レシピエントプラスミドの両方を適切な制限酵素で消化した。必要に応じて、再アニーリングを防ぐために、その断片をクレノー処理し、レシピエントプラスミドを脱リン酸化した。アガロースゲルで消化物を泳動してサイズ分離し、所望のバンドをフェノール抽出で抽出することにより、挿入断片をその親プラスミドから分離した。一般的に、レシピエントプラスミドはまた、脱リン酸化の後にアガロースゲルから抽出された。ライゲーション反応のために、通常、100ngのレシピエントベクターと適切な量の挿入物分画とを混合し、モル比1:1、1:3および1:5にした。アダプターのベクターへの挿入のために、モル比1:50および1:100を用いた。反応に、2μlの10×緩衝液と、1μlのT4リガーゼ=10ユニット(Gibco,Life Technologies)とを加え、総容積は20μlになった。反応を16℃で一晩(12〜16時間)進行させた。PCR産物のクローニングのために、InvitrogenのTA−クローニングキットを用いた。該キットは、PCR反応中、Taqポリメラーゼは、1つのデオキシアデノシンをPCR産物の3’末端に付加するという事実に基づく。該キットにより提供された線形化されたベクターは、PCR産物がベクターと効率的にライゲートするように1つのデオキシチミジン残基を有する。
【0196】
(b)プラスミドDNAのコンピテントE.coli細胞への形質転換
この作業において、3種の異なるタイプのコンピテントE.coli細胞を用いた:DH5α細胞(Gibco,Life Technologiesから)、XL−1blue細胞(Stratageneから)およびINVαF’細胞(Invitrogenから)。供給元のプロトコールに従って形質転換反応を行った。形質転換反応を適切な抗生物質を濃度100μg/mlで含むLPプレートに置いた。プレートを37℃で一晩インキュベートした。
アンピシリンストック:アンピシリンを100mg/mlのストック水溶液として−20℃で保存し、オートクレーブし少なくとも45℃に冷却した後、LB培地に加え、最終濃度を50μg/mlにした。
LB寒天プレート:LB培地に、1.5%寒天を加え、オートクレーブした。〜45℃
で冷却した後、溶液を滅菌条件下で10cmの皿に注ぐ。形質転換された細菌をプレーティングする前に、所望の抗生物質をプレートに加えた。
低塩濃度のLBプレート:低塩濃度のLB培地を用いた以外はLB寒天プレートと同じ方法を用いた。
【0197】
(c)プラスミド含有細菌培養の成長
抗生物質LBプレートで培養したシングルコロニーをピックアップし、これを用いて、適切な抗生物質を濃度50μg/mlで含む5mlのLB培地(または低塩濃度のLB培地)に接種した。スモールスケールプラスミドDNA調製には、この溶液を37℃のインキュベーター振盪器で12〜16時間、225rpmで、インキュベートした。ラージスケールプラスミドDNA調製には、接種した5mlのLB培養液を〜5時間培養し、次に、適切な抗生物質を濃度50μg/mlで含む100mlのLB培地に移した。この細胞懸濁液をさらに12〜16時間培養した。
【0198】
(d)スモールスケールプラスミドDNA調製(「ミニ−プレップ」)
シングル細菌コロニーからのプラスミドDNAの迅速な単離のために、「QIAspinプラスミドキット」または「QIAprep 8プラスミドキット」(Qiagen)を用いた。20個を超えるコロニーを分析しなければならない場合は後者のキットを用いた。いずれの場合も、供給元により提供されたプロトコールは、一般的に1.5mlの一晩のLB培養液を出発原料として用いて続けられる。該キットの原理は、改変アルカ細胞溶解リ溶解法と、DNAのアニオン交換マトリックスへの結合とに基づく。細胞溶解の間、RNアーゼを該キットにより提供されたリシス緩衝液に加えることによりRNAは破壊される。全ての洗浄および溶出緩衝液は該キットに含まれ、DNAの最終溶出工程は、水またはTEで行われる。精製されたプラスミドDNAを制限酵素消化または配列解析で分析し、−20℃で保存した。
【0199】
(e)ラージスケールプラスミドDNA調製(「マキシ−プレップ」)
大量のプラスミドDNAを精製するために、「Qiagenプラスミドマキシキット」(Qiagen)を用いた。該キットの原理は、以下の点を除いては「ミニ−プレップ」キットと同様である:DNAを高塩濃度緩衝液で溶出させるため、DNAを濃縮し、イソプロパノール沈殿で脱塩し、DNAペレットを70%エタノールで洗浄しなければならない。一般的に、キットに含まれる1つの「Qiagen−tip500」と共に100mlの培養液を用いた。
【0200】
(f)アガロースゲルからのDNA抽出
エチジウムブロマイドを含む0.7%アガロースゲルでDNAを泳動し、所望の断片を紫外線で検出し、切り出し、細かく刻み、1.5mlのチューブに移した。これに、DNA断片〜750μlのフェノール:トリス(クロロホルムではない)(Sigma)を加え、ボルテックスし、−80℃で少なくとも30分間凍結した。次に、チューブを、卓上マイクロ遠心器で10分間、高速で遠心分離した。上清を取り、保存した。さらなる水またはTEを、フェノール相に加え、チューブをボルテックスし、さらに30分間(またはそれ以上)−80℃で凍結した。遠心分離工程を繰り返し、上清をプールした。このプールに、等量のフェノール:クロロホルム(Sigma)を加え、ボルテックスし、スピンダウンした。上清を、エタノール沈殿し、最終ペレットを水またはTEに再懸濁した。
【0201】
配列解析
TOPLAB GmbH(Martiensried,Germany)の施設で、pNEB3.7(−)プラスミドの配列解析をプライマーウォーキング法により行った。両方の鎖を配列解析した。
【0202】
トランスジェニックマウスの作製
(a)マイクロインジェクションおよび飼育
標準的なマイクロインジェクション技術は、「Manipulating the Mouse Embryo-A Laboratory Manual」(Hogan et al.,2nd ed.1994,Cold Spring Harbor Laboratory Press, ISBN0-87969-384-3)に詳細に説明されており、その全体を参照により本明細書に加入する。このようなプロトコールは、本発明のマウスを作製するための方法ですでに用途を有する。
【0203】
【表4】
Figure 2004531266
α−4インテグリンノックアウトのマウスヘテロ接合型は、ジャクソンラボラトリー(Bar Harbor,ME)(ストック番号002463)から購入された。これらマウスは、C57BL6/Jバックグラウンドを有する。
【0204】
(b)3週齢マウスの尾からのゲノムDNAの抽出
約1cmの尾組織を3〜4週齢マウスから採取した。この尾試験片を15mlのSSTチューブ(Becton and Dickinson)に置き、750μlの尾の消化緩衝液を加えた。(尾の消化緩衝液;450mlの脱イオン水;5mlの1Mのトリス(pH7.5);10mlの5MのNaCl;10mlの0.5MのEDTA;および、25mlの10%SDS、滅菌済み)。チューブを密封し、インキュベーター振盪器に置き、54℃で、225rpmで尾を消化した。12〜16時間後、750μlのフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール[1:1(24:1)](Sigma)を加え、チューブを穏やかに15〜30秒間混合した。相分離のために、チューブを、15分間、4000rpmで、室温で遠心分離した。上部の水相を6mlのファルコンチューブに移し、2倍量の96%エタノールを加えた。ゲノムのDNA沈殿を溶液から巻き取り、96ウェルプレートに移した。DNAを室温で1〜2時間乾燥させ、続いて、それを200μlのTEに再懸濁し、−20℃で保存しするか、または即座に加工した。PCR反応には、一般的に、1μlの1:10希釈をテンプレートとして用い、サザンブロッティングには、30μlの希釈しないDNAを用いた。
【0205】
(c)尾のゲノムDNAのPCR試験
尾調製で得られた各DNAサンプルは、内因性α−4インテグリンノックアウトに関して、同様に、トランスジェニックDNAの存在に関して分析しなければならない。特定の本発明の実施形態において、トランスジェニックDNAは、配列番号1のDNA配列を含む。DNA溶液を水で1:10に希釈し、95℃で5分間加熱し、次に、氷上に置いた。1回のPCR反応あたり1μlの希釈DNAを用いた。Perkin ElmerによるAmpliTaq酵素(2.5ユニット/反応)、Invitrogenからの0.2mMのdNTPおよび1×緩衝液Gを50μl容量で用いて反応を行った。特異的標的DNAに対してPCR条件およびプライマー濃度を最適化した。全てのPCR条件において、92〜94℃で2〜4分間で行われるDNA変性工程を最初に行い、続いて、一般的に、プライマーのメルティング温度に応じて、20〜45秒間のDNAメルティング(92〜94℃)、30〜60秒間のプライマーアニーリング(55〜64℃)、および、PCR産物の長さに応じて30〜60秒間のTaq媒介DNA合成(72℃)で構成される3段階法を35〜40サイクルを行った。この35〜40サイクルを行った後、72℃で5〜10分間の伸長工程を行い、全てのPCR産物が同じ長さになることを確実にした。次に、PCR産物を、ゲル電気泳動で分析した。
【0206】
内因性α−4インテグリン遺伝子のバックグラウンドを決定するためのインテグリンPCR
プライマー:ItgnII−F、ItgnII−R、NeoF−2、それぞれ最終濃度25、50および25μM。
PCR条件:
94℃で4分間を1サイクル、
94℃で45秒間を35サイクル、
61℃で45秒間、
72℃で1分間、10秒間の自己伸長を含む、
72℃で10分間を1サイクル。
【0207】
tetP−VLA導入遺伝子の存在を決定するためのTet−プロモーターPCR
プライマー:TetP−TherionおよびrM、それぞれ最終濃度0.4μM。
PCR条件:
94℃で3分間を1サイクル、
94℃で45秒間、55℃で30秒間、72℃で30秒間を35サイクル、
72℃で10分間を1サイクル。
【0208】
トランスジェニックマウスからの組織および血液サンプルの採取
組織採取のために、マウスを、頚部脱臼により屠殺した。所望の組織を滅菌条件下で採取し、ドライアイス上で予め冷却した24−ウェル組織培養皿に置いた。次に、サンプルを、使用するまで−80℃で保存した。血液採取のために、一般的に成体マウスあたり0.4〜0.6mlの2.5%アバーティンを腹腔内注射してマウスを麻酔した。以下のように眼窩を出血させることにより血液サンプルを採取した:頭を親指と人差し指で固定した。キャピラリーチューブを眼球の内側端に挿入し、眼窩の裏に向かって導入した。キャピラリーチューブを慎重に回すことにより血洞に穴をあけた。血液を凝集させないように氷上で血液を0.5MEDTAチューブ(Fisher Scientific)に採取した。
【0209】
一次組織培養
(a)脾臓細胞単離
マウスを、頚部脱臼により屠殺し、脾臓を無菌で採取した、RPMI1640培地(1%FCS含有)を含む50ml遠心管に置いた。脾臓を、次に、個別に滅菌ゴム製ポリスマン(0.23mm孔径のスクリーン、Thomas Scientific)を用いて滅菌ワイヤースクリーンを通して10cmのペトリ皿に濾し出した。スクリーンを洗浄し、細胞懸濁液を回収し、15mlの遠心管に移した。1200rpmで10分間、4℃で遠心分離した後、上清をデカントし、赤血球を、1ml/脾臓の氷冷赤血球リシス緩衝液で1〜3分間、氷上で溶解させた。次に、上清を、慎重に新しい15mlの遠心管に移し、脂肪ペレットを残した。細胞懸濁液を、10分間、1200rpmで、4℃で遠心分離した。上清を処分し、細胞をPBSに再懸濁し、氷上に置いた。血球計数器(Hauser Scientific)および染料として Trypan Blue(Gibco,Life Technologies)を用いて、生細胞の数を測定した。
赤血球リシス緩衝液:8.29gのNH4Cl;0.037gのEDTA;1gのKHCO3;水を加えて1リットルにし、ろ過滅菌した。
【0210】
(b)白血球組織培養
脾臓細胞単離プロトコールで調製された白血球を、開始濃度l07細胞/mlで、5%CO2で37℃で培養した。
培地
【表5】
Figure 2004531266
【0211】
(c)白血球からのRNA抽出
白血球からのRNA抽出のために、「RNeasy Blood Mini kit」(Qiagen)を利用した。該キット試薬に含まれる赤血球溶解工程をとばして、白血球溶解工程からプロトコールを開始させた。
【0212】
(b)免疫組織化学(IHC)プロトコール:凍結組織の調製および染色:
脾臓を、凍結組織マトリックスで部分的に充填された基礎鋳型(base mold)に置いた
。次に、基礎鋳型を、ブロックがほとんど固化するまで(約30秒間)液体窒素のデュワー中の予め冷却した2−メチルブタンに浸した。ブロックを、次に、ドライアイス上に置き、切片化するまで保存し、−70℃で凍結した。
切片化のために、ブロックをクライオスタットチャックに置いた。0.5ミクロンの切片を切り出し、二重にフロスト化したスライドに置いた。切片を冷却(−20℃)アセトン中で2分間固定し、完全に乾燥し、さらに使用するまで−70℃で保存した。
【0213】
染色のために、BD Pharmingenが出版した標準的な「Research Products catalogue」のような共通プロトコールを利用した:
スライドを室温に温め、次に、PBSで3回リンスした。PBS中の0.03%H22溶液を10分間適用し、次に、スライドを、再びPBSでリンスした。5%血清溶液を10〜30分間適用し、取り出し、次に、抗体溶液を加え、加湿したチャンバー中で1時間インキュベートした。用いられた抗体は、CD49d,クローン9C10(ラット抗マウス)(BD Pharmingen)であった。次に、スライドを、3回PBSで2分間リンスした。次に、スライドを、ビオチン標識抗ラットIgG抗体と共に30分間、室温でインキュベートし、続けてPBSで3回それぞれ2分間リンスした。スライドの水気を切り、DAB溶液(ジアミノベンジジン)を5分間加えた。過量のDABを切り、スライドを水を張った皿中の染色ラックに置いた。スライドを水で3回リンスし、次に、対比染色した。スライドをヘマトキシリンに2回浸し、水でリンスし、青色く着色する試薬に2回浸し(Bluing Reagent)、水でリンスした。次に、スライドを、以下の溶液にそれぞれ15分間沈めた:96%エタノール、80%エタノール、96%エタノール、キシラノール。Permount(Fisher Scientific)をスライド上にドリップし、ガラスカバースリップで覆った。
【0214】
RNA操作
(a)組織サンプルからのRNA抽出
融解とそれによるRNA分解を防ぐために、凍結サンプルをドライアイス上に置いた。各組織サンプルを「RNeasy Midi kit」(Qiagen)に含まれる3.8mlのリシス緩衝液に置き、PT3100Polytronで約1分間ホモジナイズした。RNアーゼを不活性化するために、強い変性条件下で溶解を行う。次に、「RNeasy Midi kit」のプロトコールに正確に従った。該キットの原理は、200個以上のヌクレオチド長さのトータルRNAが、キットに含まれるシリカメンブレンカラムに吸収されるという能力に基づく。次に、吸収されたRNAを含むメンブレンを数回洗浄して、不純物からRNAを分離し、次に、水で溶出させる。プロトコールに従って、RNAのエタノール沈殿を行い、確実に、サンプル中に残留した全てのエタノールを効果的に除去した。エタノール沈殿を−20℃で12〜16時間行い、RNAをスピンダウンし、ペレットをRNアーゼ非含有水で再懸濁し、−20℃で保存した。
【0215】
(b)血液サンプルからのRNA抽出
新しく採取した血液(EDTAチューブ中で氷上で保存)を、「RNeasy Blood Mini kit」(Qiagen)に従ってRNA抽出用に加工し、そこで説明された指示に従った。得られた精製RNAをさらなる使用まで−20℃で保存した。
【0216】
(d)Affymetrix遺伝子チップ分析
この実験で分析しようとするRNAを、5匹のC57マウス(C57系は以下で説明する)と、本発明のホモ接合型KO雄(59系)それぞれから得た。全てのマウスを屠殺した。マウスの脾臓を回収し、氷上で5mlのRPMI/1%FCS培地に置いた。白血球を上述した通りに単離した。それぞれの白血球総数を評価した。細胞の半分を、RNeasy Blood Mini Kit(Qiagen)のプロトコールに従って即座にRNA調製に用いた。細胞の残りの半分を1μg/mlのLPS(Sigma)を添加した組織培養液に移した。48時間後に細胞を回収し、RNAを調製した。各RNA調製の後、より高度に濃縮したRNAサンプルを得るためにEtOH沈殿を行った。プローブ合成に用いられたRNAサンプルの最低限の濃度は、0.5μg/μlであった。
【0217】
(i)二本鎖cDNA合成
トータルRNAから二本鎖cDNAを得るために、cDNA合成用の「Superscript Choice System」(Gibco,Life Technologies)を用いた。
(ii)第一鎖cDNA合成
10μgのトータルRNAと、100pmolのT7−T(24)プライマー(GGC CAG TGA ATT GTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG AGG CGG−(T)24)(配列番号11)とを混合し、RNアーゼ非含有水で最終容量11.5μlにした。プライマーのテンプレートへのアニーリングのため、混合物を70℃で10分間インキュベートし、即座にスピンダウンし、氷上に置いた。サンプルあたり以下の成分を含むマスター混合物を氷上で調製した:4μlの5×istcDNA緩衝液、2μlの0.1MのDTT、1μl(10mM)dNTPミックス、1.5μlのSSIIRT酵素。マスター混合物を調製したらすぐに、RNAサンプルを室温に移し、マスター混合物を〜37℃まで約2分間温め、8.5μlのマスター混合物を各チューブに等量で分配した。混合後、この反応を42℃で1時間インキュベートした。T7−T(24)プライマーは、トータルRNAのポリA末端にアニールし、提供されたヌクレオチドを用いてSSIIRT酵素により伸長させた。プライマーはまた、T7プロモーターに組み込まれ、これをその後の工程で用いた。
【0218】
(iii)第二鎖合成
迅速に回転させた後、第一鎖の反応を氷上に置き、60μlの以下の成分を含むマスター混合物を加えた:4μlの2MのKCl、2μlの1Mのトリス(室温でpH7.7)、0.4μlの1MのMgCl2,2μlのdNTP(10mM)ミックス、0.5μl[2U/μl]RNアーゼH-;2μl[10U/μl]のE.ColiのDNAポリメラーゼI、1μl[10U/μl]のE.Coli DNAリガーゼ、水で最終容量60μl(48.1μl)にする。
この混合物を16℃で2時間インキュベートした。このインキュベーションの間、第二のcDNA鎖を生成し、同様に、残留した一本鎖RNAを破壊した。第一鎖合成の終わりに、RNAの5’末端を取り囲むヘアピン構造が形成された。
次に、このループを第二鎖合成の開始に用いた。それゆえに、追加のプライマーは加えなかった。2時間インキュベーションした後、オーバーハングを含まない二本鎖cDNAを生成するために2μl(10ユニット)のT4ポリメラーゼを加え、5分間、16℃でインキュベートした。
反応を止めるため、10μlの0.5MのEDTAを加え、サンプルを−20℃で保存した。
【0219】
(iv)二本鎖cDNAの精製
二本鎖cDNAに、フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1、10mMのトリス−HCl(pH8.0)、1mMのEDTAで飽和)抽出を行い、続いて、エタノール沈殿を行い、即座に室温で5分間、12,000rpmで回転させた。ペレットを80%氷冷EtOHで2回洗浄し、最後に2μlの水に再懸濁した。
【0220】
(v)インビトロでの転写(IVT)によるビオチン標識RNAの合成
この工程において、AmbionのT7 Megascript Systemからの試薬を用いた。
4回のIVT反応のためのNTP標識ミックス:
4回のIVT反応のために、以下の成分を氷上で合わせた:8μlの10×ATP、8μlの10×GTP、6μlの10×CTP、6μlの10×UTP(全てのNTPは75mM,Ambion)、15μlのBio−11−CTP、および、15μlのBio−16−UTP(いずれも10mM,Enzo Diagnostics)。さらなる使用まで、過量のNTP標識ミックスを−20℃で保存した。
【0221】
(vii)インビトロ転写(IVT)反応:
各反応のために、以下の試薬を室温(RT)で合わせた:14.5μlのNTP標識ミックス、2μlの10×転写緩衝液(Ambion)、2μlの10×T7酵素ミックス(Ambion)、1.5μlの二本鎖cDNA。この混合物を37℃で5時間インキュベートした。
【0222】
(viii)IVT産物の精製:
この工程の間、RNeasy Midi Kit(Qiagen)を利用して、上述のように取り込まれなかったNTPを除去した。cRNAの最終溶出の後、0.5倍量の5MのNH4Ac、および、2.5倍量の無水EtOHを用いたEtOH沈殿を行い、確実に、最終cRNAから全ての残留EtOHを除いた。この沈殿を一晩−20℃で行った。cRNAをペレット化するため、沈殿溶液を14,000gで30分間、4℃で、スピンダウンし、ペレットを氷冷80%EtOHで2回洗浄し、最終的に16μlの水に再懸濁した。1μlを、260および280nmでのUV測定により濃度を決定するのに用い、1μlを、IVT産物の平均長さを1%アガロースゲルで決定するのに用いた。
【0223】
標的ハイブリダイゼーション
(a)IVT産物の断片化
その後のハイブリダイゼーション用にcRNAを断片化するために、約20μgのcRNAを、4μlの5×断片化緩衝液と混合し、水で最終容量20μlにした。この混合物を35分間、95℃でインキュベートした。
5×断片化緩衝液:1Mのトリス−酢酸塩(pH8.1)を4ml、MgOAcを0.64g、KOAcを0.98g、水で最終容量20mlにし、0.2μmフィルターユニットでろ過し、4℃で保存した。
【0224】
(b)ハイブリダイゼーション標的の調製
20μlの断片化したcRNAに、以下の混合物を加えた:150μlの2×MESハイブリダイゼーション緩衝液、3μlのニシン精子DNA(10mg/ml)、3μlの100×コントロールBioB、BioC、BioDおよびCreカクテル、3μlのアセチル化BSA(50mg/ml)、3μlのコントロールオリゴヌクレオチドB2(5nM)、118μlの水。
BioB、BioCおよびBioDは、ビオチン合成経路の細菌遺伝子である。Creは、P1バクテリオファージからのファージ遺伝子である。これら遺伝子を上述と同様のプロトコールでビオチン標識cRNAに転写し、断片化し、それぞれ最終濃度15nM、50nM、250nMおよび1μMのアリコートにして保存した。100×コントロールcRNAカクテルを以下のように混合した:10μlの各コントロールアリコート、10μlのニシン精子DNA(10mg/ml)、12×MESを83.3μl、5MのNaClを185μl、1μlのTween20(10%)、680.7μlの水。
B2ビオチン化オリゴヌクレオチドは、各Affymetrixチップの側および角にハイブリダイズし、染色およびスキャニングした後、スキャナーによりグリッドを整列させた。オリゴB2:5’bio GTC AAG ATG CTA CCG TTC AG 3’(配列番号12)。
2×MESハイブリダイゼーション緩衝液:8.3mlの12×MESストック、17.7mlの5MのNaCl、4mlの0.5MのEDTA、0.1mlの10%Tween20、19.9mlの水。
12×MESストック:70.4gのMES非含有酸一水化物、193.3gのMESナトリウム塩、800mlの水、pH6.5〜6.7、総容積1000ml、0.2μmフィルターでろ過した。
【0225】
(c)標的の精製およびハイブリダイゼーション
使用直前にAffymetrixチップを室温に平衡化した。ハイブリダイゼーションカクテルを99℃で5分間加熱した。その間に、チップを、10〜60分間、200μlの1×MESに、45℃で、回転させながら(60rpm)湿潤させた。加熱したサンプルを、マイクロ遠心器で、5分間、最高速度で回転させ、全ての不溶性材料をハイブリダイゼーション混合物から除去した。1×MES緩衝液をチップから除去し、200μlの清澄させたハイブリダイゼーション混合物で置き換えた。45℃で、回転式ボックスで60rpmで回転させて一晩(約16時間)ハイブリダイゼーションした。残りのハイブリダイゼーション混合物を−20℃で保存した。
【0226】
(d)プローブアレイの洗浄および標準的な染色
GeneChip Fluidics Station400を用いて洗浄と染色を行った。染色の前に、機械を適切な緩衝液AおよびBで準備する必要がある。
緩衝液A(非ストリンジェント):6×SSPE、0.01%Tween−20、0.005%Antifoam、1.2μmフィルターユニットでろ過した。
緩衝液B(ストリンジェント):0.5×SSPE、0.01%Tween−20、0.2μmフィルターユニットでろ過した。
ハイブリダイゼーション後、ハイブリダイゼーション混合物をチップから取り出し、前日の残りと合わせた。次に、他のハイブリダイゼーションまで混合物を−80℃で保存した。チップを200μlの緩衝液Aで充填した。
1つのプローブアレイに関して、以下の試薬を共に混合した:600μlの2×染色緩衝液、48μlのBSA(50mg/ml)、12μlのストレプトアビジンフィコエリトリン(SAPE)(1mg/ml)、540μlの水。
2×染色緩衝液:200mMのMES、2MのNa+、0.1%Tween20、0.01%Antifoam。
機械の設定プロトコールEukGE−WS2(GeneChip Software)に従って、この溶液でチップを染色し、緩衝液AおよびBおよび水で数回洗浄した。SAPE染色の後、シグナルを増強するために、チップを以下の抗体溶液で染色した:チップあたり、300μlの2×染色緩衝液、24μlの50mg/mlのアセチル化BSA、6μlの10mg/mlの正常ヤギIgG、3.6μlの0.5mg/mlのビオチン化抗体、266.4μlの水。染色後、チップを再び洗浄し、SAPE溶液での第三回目の染色を行った。
【0227】
(e)プローブアレイスキャン
GeneChip Softwareでスキャナーを制御した。プローブアレイをスキャナーにローディングする前に、チップのウィンドウを全ての気泡についてチェックする必要がある。気泡が存在する場合、より多くの緩衝液Aをチップに充填してそれらを取り除く必要がある。各チップを2回スキャンし、データをAffymetrix分析に送る前に、その機械で一次データを分析した。
【0228】
Affymetrix 分析
Affymetrix Data Mining Tool(Affymetrix Santa Clara,California)を用いてAffymetrix分析を行った。第一段階において、この実験に用いられたAおよびBマウスの11Kのチップを合わせた1つの仮チップ(virtual chip)を作製した。治療グループにつき、1匹のマウスあたり1つの仮チップを作製し、トータルで20個の仮チップを得た(5匹の本発明のKOマウス、および5匹のC57/BL6(野生型)マウス)。グループあたり最も悪い染色結果を示した1つのチップを処分し、トータルで16個のチップを得た。KOグループおよびC57グループに関してチップを合わせ、2つの大きい仮チップを得た。KOチップのデータを、C57チップと比較した。ノックアウトチップにおける遺伝子マーカーの発現を、C57チップにおける遺伝子マーカーの発現と比較した。得られたデータを以下に示す。
【0229】
α−4cDNAのクローニング
α−4cDNAを2つの部分でPCR増幅し、数回サブクローニングし、完全長cDNAに組み立てた。全てのPCR反応を「Expand high fidelity PCR kit」とそれを説明する指示書(Roche-Boehringer Mannheim)とを用いて行った。テンプレートDNAとして、「mouse skeletal muscle 5’stretch plus cDNA library」(Clontech)を用いた。
α−4cDNAの第一の2.6kbの部分は、エキソン1〜エキソン23にわたる。この部分のプライマーは、fVおよびcDNA1B−Rであった。フォワードプライマーは、MscI制限部位(平滑)を含み、リバースプライマーは、内部のKpnI制限部位の3’に設置される。DeMeirsman et al.,1994に従ってリバースプライマーを設計した。2.6PCR産物をアガロースゲルから抽出し、MluNI(MscI)およびKpnIで消化した。その断片をKpnI/SmaI(平滑)で消化した pBluescript SK-(Stratagene)にライゲートした。得られたプラスミドは、pBSK2.6と名付けられた。
【0230】
上記cDNAの第二の1.1kbの部分は、エキソン23からポリAシグナルの5’領域にわたる。この部分のプライマーは、cDNA2−FおよびcDNA2−Rであった。両方のプライマーは、以前に DeMeirsman et al.,1994で公開された。フォワードプライマーは、内部KpnI部位の5’に設置され、リバースプライマーは、唯一のBamHI部位に導入される。「TA−クローニングキット」の指示書(Invitrogen)に従って得られた1.1kbのPCR産物をpCR2.1にクローニングした。得られたプラスミドは、pCR2cDNAと名付けられた(図4)。
【0231】
pCR2cDNAからの挿入物をKpnI/BamHI制限酵素消化で切り出した。この断片を同様にKpnI/BamHIで消化したpNEB193にクローニングした。得られたプラスミドは、pNEB1.1と名付けられた(図5)。
【0232】
pNEB1.1におけるcDNA断片の方向がcDNAの失われた第一の部分が即座に付加されないようなものであったため、pNEB1.1をKpnI/EcoRIで消化した後にcDNA挿入物を切り出した。この断片をKpnI/EcoRIで切られたpNEB193にクローニングした。得られたプラスミドは、pNEB1.1(−)と名付けられた(図6)。
【0233】
cDNA部分の第一および第二の部分を合わせるために、pBSK2.6をBamHI/KpnIで消化した。2.6kbの部分を同じ酵素で消化したpNEB1.1(−)にライゲートした。最終的なプラスミドは、pNEB3.6(−)と名付けられ、これは、〜65bpの開始コドンATGの5’から始まり〜500bpの停止コドンTGAの3’で終わる完全長α−4cDNAを含む。完全長cDNAは、BamHIもしくはSalIを用いて、5’末端で、および、EcoRIを用いて3’末端で、このプラスミドから切り出し、3.6kbの部分を得ることができ、または、BamHIもしくはSalIを用いて5’末端で、および、XmnIを用いて3’末端で切り出し、3.2kbの部分を得ることができ、いずれの場合においてもポリAシグナルは含まれない。
【0234】
このプラスミドの両方の鎖をTOPLAB GmbH(Martiensried,Germany)による「プライマーウォーキング法」で配列解析した。Neuhaus et al.,1991で公開されたcDNA配列と比較することによって、Neuhaus等により仮定された開始コドンが、実際にはさらに下流であり、シグナルペプチドが、40個ではなくわずか33個のアミノ酸であることがわかった。このデータは、DeMeirsman等により公開されたデータと正確に一致する[DeMeirsman et al.,1994]。
【0235】
α−4ヘテロ接合型ノックアウトマウスから採取された胚への導入遺伝子の挿入
トランスフェクションおよびマイクロインジェクション用の構築物の調製
マイクロインジェクション用のDNAクローン(tet−VLA)をXhoIおよびNotIのような適切な酵素で切断させ、DNA断片を1%アガロースゲルでTBE緩衝液中で電気泳動する(Maniatis et al.,1989)。DNAバンドをエチジウムブロマイド染色により可視化し、切り出し、0.3Mの酢酸ナトリウム(pH7.0)を含む透析バッグに置いた。DNAを透析バッグに溶出させ、フェノール−クロロホルム(1:1)で抽出し、2倍量のエタノールで沈殿させる。DNAを1mlの低塩濃度の緩衝液(0.2MのNaCl、20mMのトリス(pH7.4)、および1mMのEDTA)に再溶解させ、ELUTIP−Dカラムで精製する。初めに、3mlの高塩濃度の緩衝液(1MのNaCl、20mMのトリスTM(pH7.4)、および1mMのEDTA)でカラムを準備し、続いて5mlの低塩濃度の緩衝液で洗浄する。DNA溶液を3回カラムに通過させ、DNAをカラムマトリックスに結合させる。3mlの低塩濃度の緩衝液で1回洗浄した後、DNAを0.4mlの高塩濃度の緩衝液で溶出させ、2倍量のエタノールで沈殿させる。UV分光光度計で、260nmの吸収によりDNA濃度を測定する。マイクロインジェクションのために、5mMのトリスTM(pH7.4)および0.1mMのEDTAで、DNA濃度を3μg/mlに調節した。マイクロインジェクション用のDNA精製のためのその他の方法はまた、Hogan等のManipulating the mouse embryo(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1986))、Palmiter等の Nature 300,611(1982)、Qiagen(Inc,Chatsworth,CA)により出版された「The Qiagenologist,Application Protocols」第三版、および Maniatis等の Molecular Cloning:a laboratory manual(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY 1989)で説明され、これら全て、その全体を参照により本明細書に加入する。
【0236】
トランスジェニック動物の構築:
トランスジェニック実験に適した動物は、標準的な市販の源、例えば Charles River(Wilmington,MA)、Taconic(Germantown,NY)、Harian Sprague Dawley(Indianapolis,IN)、ジャクソンラボラトリー(Bar Harbor,ME)等から得ることができる。
胚の検索(retrieval)およびトランスファーに関しては、Swiss Webster雌マウスが好ましい。B6D2Fi雄は交配に用いることができ、精管切除されたSwiss Webster種マウスは偽妊娠を刺激するのに用いることができる。精管切除された雄は、供給元より得ることができる。
【0237】
マイクロインジェクション法:
げっ歯類の胚の取り扱いと、DNAマイクロインジェクションに関する方法は、Hogan et al.,「Manipulating the mouse embryo」,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1986)で詳細に説明されており、その全体を参照により本明細書に加入する。
【0238】
トランスジェニックマウス
6週齢の雌マウスに、妊馬血清性性腺刺激ホルモン(PMSG,Sigma)を5IU注射(0.1cc,腹腔内)し、続いて、48時間後にヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG,Sigma)を5IU注射(0.1cc,腹腔内)することによって、過剰排卵を誘導する。hCG注射の後すぐに、雌を雄と共に置く。hCGから21時間後、つがいにした雌をCO2で窒息させるか、または頚部脱臼により屠殺し、切り出した輸卵管から胚を回収し、0.5%ウシ血清アルブミン(BSA,Sigma)を含むダルベッコリン酸緩衝食塩水に置く。周囲の卵丘細胞をヒアルロニダーゼ(1mg/ml)で除去する。次に、前核胚を洗浄し、注射の時間までに、37.5℃のインキュベーター中で、5%CO2、95%空気の加湿した雰囲気で、0.5%BSA(EBSS)を含むアール平衡塩溶液に置く。
【0239】
ランダムに循環した雌成体マウスを、精管切除した雄(Swiss Websterまたはその他の匹敵する系)とつがいにし、この目的に用いることができる。同時にレシピエント雌をドナー雌としてつがいにする。胚のトランスファーの時期に、レシピエント雌に体重1グラムあたり0.015mlの2.5%アバーティンを腹膜内注射することにより麻酔する。1回の背面正中線切開術により輸卵管を露出させる。次に、輸卵管を直接覆う体壁に切開術を行う。次に、時計工の鉗子を用いて卵巣嚢を割く。トランスファーさせる胚をDPBS(トランスファーピペットの先端に)に置く(約10〜12個の胚)。ピペットの先端を漏斗に挿入し、胚をトランスファーさせる。トランスファーした後、切開部を2回の縫合で閉じる。
【0240】
結果
マウスの飼育結果
57系:野生型マウス
59系:ヘテロ接合型×ヘテロ接合型α−4KO交雑である。42の交配により、子孫として286匹のマウスを生産したことが観察された。286匹のマウスのうち、147匹がヘテロ接合型の遺伝子型、132匹が野生型の遺伝子型、7匹がホモ接合型ノックアウトの遺伝子型であることが特定され、すなわち、40匹の動物あたり1匹のホモ接合型KOマウスの割合であった。
【0241】
ヘテロ接合型×ホモ接合型ノックアウトマウスの飼育
59系:ヘテロ接合型×ホモ接合型KOの交雑
59の交配により、総数で298匹の動物が生産され、そのうち、244匹がヘテロ接合型の遺伝子型、54匹の動物がホモ接合型ノックアウトの遺伝子型であることが観察され、すなわち、6匹の動物あたり1匹のホモ接合型KOマウスの割合であった。この系におけるこのような交配の同腹子の平均規模は、同腹子あたり5匹の子であることが測定された。
【0242】
2種のホモ接合型ノックアウトマウスの飼育
導入遺伝子の2つのコピーを有する2種のホモ接合型α−4インテグリンノックアウト(KO)マウスの飼育により、ホモ接合型ノックアウトの子孫のみが生じる。しかしながら、生きた子の数は、野生型×野生型の飼育と比較すると顕著に変化する。通常のwt×wt飼育ペアは、12匹までの同腹子を生産することができ、これらは全て生存し健康であり得る。「正常な」飼育ペアの同腹子の平均規模は、同腹子あたり6〜8匹である。しかしながら、ホモ接合型KO×ホモ接合型KO交雑の生きた子の最大数は、59系で〜5匹であった(これはこの規則の例外でり、平均同腹子規模は、同腹子(11の交配で生産された〜31匹の動物)あたりわずか2〜3匹動物であった)。
【0243】
機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できない本発明のノックアウトマウスの遺伝子型および表現型の評価
機能的α−4インテグリンを発現できないマウスを形成した後、マウスを評価し、マウスにおける機能的α−4インテグリンの欠失の遺伝子型および表現型効果を測定した。
【0244】
遺伝子型分析
動物からの尾のゲノムDNAを、導入遺伝子の存在、さらに内因性α−4インテグリンのバックグラウンドに関して、サザンブロッティングおよび/またはPCR分析により試験した。
導入遺伝子の検出は、特異的プライマーを用いた、トランスジェニックのみを増幅し、ゲノムDNAは増幅しない条件のPCRにより、単独で行われた。α−4インテグリンcDNA構築物のtetP部分を検出するためのリバースプライマーは、α−4インテグリンの第二のエキソンにアニールし、フォワードプライマー(tetpT)のみが、導入遺伝子に特異的であり、tet−プロモーターにアニールする。
【0245】
内因性α−4インテグリンがwt、ヘテロ接合型またはホモ接合型ノックアウトとして存在するかどうかを評価するためのPCR分析を、3種のプライマー、2種のフォワードプライマーおよび1種リバースプライマーを組み合わせて実施された。1種のフォワードプライマー(ItgnF1)は、約20bpの開始コドンの5’にアニールした。このプライマーだけが内因性ゲノムDNAにアニールするが、これは、ヘテロ接合型α−4ノックアウトマウスを生産するためにその領域がYang等のネオマイシンカセットで置換されているためである[Yang et al.,1995]。リバースプライマー(ItgnR1)は、neo挿入の3’に結合するために、全ての場合において結合する。第二のフォワードプライマー(NeoF2)は、neoカセットにアニールし、それゆえに標的対立遺伝子のみに結合する(図11(B))。プライマーItgnF1およびItgnR1ペアは、野生型およびヘテロ接合型において、〜240bpのバンドを生産する。プライマーNeoF2およびItgnR1ペアは、ヘテロ接合型およびホモ接合型において、〜600bpのバンドを生産する(図10)。
【0246】
Yang et al. 1995で説明されたように、サザンブロット分析(図10でグラフで示される)を1.4kbのPstI/KpnIプローブで行い、尾のゲノムDNAの制限酵素消化をPstIで行い、それにより、wt対立遺伝子では3.0kbの断片、および、標的対立遺伝子では3.5kbの断片が得られた。
【0247】
表現型分析
過剰発現ノックアウトマウスの表現型分析
3種の製造された過剰発現ノックアウト系のうち1種の系が、目のまわりに顕著な症状の変化を示した:59系におけるほとんど全てのノックアウトマウスの目は感染しているように思われ、それに対して、同じまたは別のケージで飼われたヘテロ接合型または野生型の同腹子は、同種の感染を受けていなかった。
しかしながら、59系ノックアウトマウスの全てがこの目の感染を起こしたわけではなく、サブライン、すなわちこの系で生じた第一のホモ接合型ノックアウトマウス(59−12−8−5)からのほとんど全ての子孫だけであった。感染タイプについてさらに観察するために、同じケージで生まれ成長した2種のホモ接合型ノックアウトの同腹子(あきらかに感染した目を有するマウスと有さないマウス)は、血清学、細菌学および病状の試験のために Charles River Laboratories(Wilmington,MA)に送られた。
【0248】
両方のマウスは、血清学に対して陰性と試験された(19の異なるELISA試験が両方のサンプルを用いて実施された)。
両方のマウスの結膜を細菌学試験に提供し、両方のマウス、あきらかに感染していないマウスも、Pasteurella pneumotropicaに陽性と試験された。両方の培養では、ほんのわずかしかコロニーを生じなかった。寄生生物学によれば、両方のマウスは陰性であると報告している(4の異なる寄生体に関して試験した)。
【0249】
機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できない本発明のマウスにおける幹細胞前駆体の濃度
野生型(wt)マウスと比較した、本発明のホモ接合型α−4インテグリンノックアウトマウスの組織病理学的分析によれば、顕著な骨髄前駆細胞の肺への辺縁趨向を示し(2/10動物)、そのうち1匹の動物は細静脈の拡張/崩壊を示し、間質の空間からの強化された辺縁趨向を伴う増加した骨髄の細胞充実性(主に顆粒球の)を示した(7/10動物)。本発明のKOマウスの脾臓は、増加した延髄外の造血、および、胚中心サイズ/細胞充実性における増加を示した(4/10動物)。さらなる組織病理学の発見によれば、本発明のホモ接合型α−4ノックアウトマウスにおいて、脾性の巨核球増加症(3/10)、血鉄症(haemosiderosis)を伴う脾性の赤血球貪食(1/10動物)、および、脾性の胚中心ネクローシス(2/10動物)が特記された。空腸において、本発明のホモ接合型KOマウスにおける発見は、粘膜固有層の基底または本体における炎症性の浸潤を含む(4/10動物)。加えて、細静脈の崩壊を伴う肺における骨髄前駆細胞を有する1つのホモ接合型α−4ノックアウト動物からの1つの心臓筋肉サンプルは、心筋症の組織学的徴候を示した。
【0250】
免疫組織化学分析結果:
IHCによってノックアウトマウスの脾臓にα−4タンパク質は検出できなかったが、それに対して、同じバックグラウンドの野生型マウスの脾臓は、α−4タンパク質の存在に関して染色された。これらの結果は、図10で図示される
【0251】
Afrvmetrix 分析
Affymetrix Data Mining Toolを用いてデータ分析がなされた。4匹のC57および4
匹の本発明のホモ接合型α−4インテグリンKOマウスのデータを治療グループごとにプールした。
本発明のホモ接合型α−4インテグリンKOマウスと、C57(wt)マウスとのデータの比較により、KOマウスにおいて、いくつかの遺伝子が顕著にアップレギュレートまたはダウンレギュレートされたことがわかった。その上、ホモ接合型α−4インテグリンKOグループにおいて、これら遺伝子のC57系マウスで測定されたレベルと比べてダウンレギュレートされた多数の遺伝子が存在する。以下の表において、本発明のノックアウトマウスにおいて、C57(野生型マウス)におけるこれと同じ遺伝子マーカーのレベルと比べてレベルが調節された遺伝子マーカーを列挙する。表の最も右側の列において、1より大きい数値は、遺伝子マーカーの発現(従ってそのレベル)が、野生型マウスにおける遺伝子マーカー発現に対してアップレギュレートされたことを示し、一方で、表の最も右側の列において、11より小さい数値は、遺伝子マーカーの発現が、野生型マウスにおける遺伝子マーカー発現に対してダウンレギュレートされたことを示す。また、表の左の列では、これらマーカーの登録番号が開示されている。
【0252】
【表6】
Figure 2004531266
【0253】
【表7】
Figure 2004531266
【0254】
それぞれ個々のマウスおよび治療グループから得られたデータを観察したところ、Asymetrix Data Mining Toolにより、マウスのα−4インテグリン遺伝子が、各単一の本発明のホモ接合型ノックアウトマウスにおいて「非存在」と称され、それに対して、マウスのα−4インテグリンが、全てのC57マウスの場合において「存在」と称されたことが示された。
【0255】
結論
上述したように、妊娠期を生き抜きマウスに成熟するが、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できない、新規で有用な、かつこれまで未知のマウスが開示される。上記で説明したように、このようなマウスは、α−4インテグリンアンタゴニスト活性に関して化合物または薬剤を分析する方法において即時的に用途を有する。
加えて、本発明のマウスは、野生型マウスの表現型に対して独特な表現型を有することがわかった。本発明のマウスの表現型から得られた情報は、VLA−4受容体タンパク質またはα−4インテグリンタンパク質の活性のシグナリング活性を調節、特に拮抗するそれらの能力に関して化合物または薬剤を分析する方法にすぐに用いることができる。このような活性を有する化合物または薬剤は、多様な炎症性および自己免疫疾患を治療することにおいて役に立つ用途を有する可能性がある。
【0256】
〔実施例II〕
VLA−4受容体シグナリングを調節することにおける化合物または薬剤の有効性を評価するために遺伝子マーカーを用いる方法
実施例Iに記載の本発明のノックアウトマウスから得られた情報を用いたところ、マウスの生体サンプルで測定された遺伝子マーカーのレベルが、野生型マウスで測定されたこれと同じ遺伝子マーカーのレベルと比べて調節されることがわかった。従って、これら遺伝子マーカーは、VLA−4受容体のシグナリング活性を調節する化合物または薬剤の能力を評価することにおいてすでに用途を有する「代理」遺伝子マーカーである。その結果として、VLA−4のシグナリング活性を調節するため、特に拮抗するための治療剤、および、病気または疾患の多血症を治療するための治療剤としてのこのような化合物または薬剤の有効性は、リサーチまたは臨床条件において評価することができる。
【0257】
材料および方法
実験計画:
実施例Iで説明したAffymetrixデータを確認するため、および、VLA−4阻害の代理遺伝子マーカーとして選択された遺伝子を確認するために、以下の実験を行った。
既知VLA−4受容体アンタゴニストの投与
これらの実験において、EAE(実験的アレルギー性脳脊髄炎)マウスを用いた。EAEマウスは、中枢神経系(CNS)自己免疫疾患の動物モデルである。これは、ヒト多発性硬化症(MS)モデルとして広く用いられている。
賦形剤単独で処理した、および、IVL9S4またはHMR1031で14日間処理したEAEマウス(以下のプロトコールを参照)(1グループあたり5匹のマウス)を、頚部脱臼により屠殺した。脳を無菌で採取し、RNAを標準TRIzol(Invitrogen)prepを用いて調製した(プロトコールは以下を参照)。調製されたRNAをアガロースゲル上で泳動して、RNAの品質を調べ、UVスペクトル分析により定量した。Taqman分析を配列特異的プライマーおよびプローブ(配列は以下参照)を用いて行った。
【0258】
動物:
SJL/J雌マウス、8週齢(ジャクソンラボラトリー,Bar Harbor,Maine)。
抗原:
ミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP139−151)(HSLGKWLGHPDKF(配列番号14))(カタログ番号H−2478) BACHEM,Bioscience,Inc.,3700 Horizon Dr.,King of Prussia,PA 19406。完全フロインドアジュバントH37Ra[1mg/mlのMycobacterium Tuberculosis H37Ra]Difco(カタログ番号3114−60−5,6×10ml)。
【0259】
Mycobacterium Tuberculosis
Difco,(カタログ番号3114−33−8,6×100mg)百日咳毒素。
Bordetella pertussis
(PBSおよびラクトースを含む凍結乾燥粉末)List Biological Laboratories(製品番号180)。
【0260】
マウスにおけるEAEの誘導
PLP139−151ペプチドを、H2O:PBS(1:1)溶液に、濃度5mg/10ml(マウスあたり50μgのPLP)または7.5mg/10ml(1グループあたり75μgのPLP)で溶解させ、次に、40mg/10mlの加熱して不活性化した Mycobacterium Tuberculosis H37Raを添加した等量のCFAで乳化した。マウスの腹側の皮下(各側に0.1ml)に、0.2mlのペプチド乳濁液を注射した。同日の72時間後、マウスに、生理食塩水中の35ngおよび50ngの Bordetella pertussis毒素(100μl)をそれぞれ静脈注射した。
IVL984もしくはHMR1031または賦形剤コントロール単独(0.2%ヒドロキシプロピルメチルセルロース)での処理を、免疫化してから7日後、最初のEAE症状が現れる前に始めた。
- EAEマウス、賦形剤
N=10(5匹のマウスをTaqmanに用いた)、
- HMR1031A(50mg/kg、1日1回、皮下)で、7日目から14日間処理したEAEマウス
N=10(5匹のマウスをTaqmanに用いた)
- IVL984(50mg/kg、1日1回、皮下)で、7日目から14日間処理したEAEマウス
N=10(5匹のマウスをTaqmanに用いた)
【0261】
TRIzol( Invitrogen )RNA Prep:
組織のホモジナイズ:
脳を半分に分割し、各半分を1.5mlの滅菌チューブに置いた。0.5mlのTRIzolを各チューブに加え、組織を手持ち式の組織ホモジナイザーを用いてホモジナイズした。ホモジナイズの後、さらなる0.5mlのTRIzolを各チューブに加え、サンプルを5分間、室温でインキュベートし、核タンパク質複合体を完全に解離させた。
【0262】
相分離
0.2mlのクロロホルム(Sigma)を各チューブに加え、ボルテックスした。サンプルをさらに5分間、室温でインキュベートし、次に、12,000×gで、15分間、4℃で遠心分離した。
RNA沈殿
上部の水相を新しい滅菌チューブに移し、2つのサンプルのマウスあたりの半分を合わせた。0.5mlのイソプロピルアルコールを、それぞれ併せたサンプルに加え、ボルテックスし、室温で10分間インキュベートした。次に、サンプルを、12,000×gで、4℃で遠心分離した。
RNA洗浄
上清を除去し、ペレットを1mlの75%エタノールで洗浄し、再び5分間、7,500×gで、4℃で遠心分離した。
RNAの再溶解
最終ペレットを簡単に風乾し、ヌクレアーゼ非含有滅菌水に再懸濁した。RNAのアリコートをアガロースゲル上で泳動して、18および28Sバンドの存在を調べた。260nmでの吸光度を測定することによって濃度を決定した。
【0263】
Taqman:
Taqmanプライマーを、マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNAに関して注文した(登録番号Z1197.4)。(マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNAの配列:配列番号13)。リアルタイムTaqmanPCR研究のためのプライマーを、プライマーエキスプレスソフトウェア(Perkin Elmer)を用いて選択し、Sigma Genosysにより合成した。フォワードおよびリバースプライマーの配列は、それぞれCAATTCACGAGAGGCAGGGA(配列番号15)およびGGGAAGGGTCAGTCTGTGTTTG(配列番号16)であった。PCR産物を4%アガロースゲル上で泳動し、単一バンドの存在を確認した。ABI Prizmシステム7700配列検出器(Perkin-Elmer)で、CybrGreen PCR Core Reagents Kit(Perkin-Elmer)を用いて、製造元のプロトコールに従ってPCR反応を行った。反応における最適な最終プライマー濃度が0.2μMであることがわかった。結果を18Sに基準化し、コピー数の差の対数の底2として、18SのRNAレベルと共に示した。ポイントあたり少なくとも3つの独立したRT反応からのサンプルを用いた。
EAEマウスの臨床評価を図18で説明する。
【0264】
結果
脳サンプル
HMR1031およびIVL984で処理したEAEマウスのmRNAレベルは、賦形剤コントロールマウスに比べて統計学的に有意に低い。
脾臓サンプル
脾臓サンプルはいずれの処理においても脳と同じ傾向を示さない(p値:0.01〜0.05)。
以下の表は結果の簡単な一覧である。
【0265】
【表8】
Figure 2004531266
【0266】
これらの結果は、遺伝子マーカーマクロファージマンノース受容体mRNAのレベルは、VLA−4受容体アンタゴニストで処理されたEAEマウスから採取された生体サンプルにおいて、このようなアンタゴニストで処理されていないEAEマウスで測定されたレベルよりも統計学的に有意に低いことを示す。
詳細なTaqmanの結果は図16に示す。
【0267】
考察
上述の結果および図16の結果によれば、実施例Iのノックアウトマウスにおいて発現が調節されたことが見出された遺伝子マーカーは、VLA−4受容体のシグナリング活性の調節のための代理遺伝子マーカーであることが明らかに示される。従って、それらは、化合物または薬剤が、VLA−4受容体のシグナリング活性の調節において有効性を有するかどうかを決定することに容易に用いることができる。特に、遺伝子マーカーであるマクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNAは、実施例Iのα−4インテグリンノックアウトマウスにおいて発現レベルが減少したことが決定され、これもまた、既知VLA−4受容体アンタゴニスト(すなわちIVL984)またはHMR1031を投与された生物において発現レベルが減少した。従って、本発明の方法は、VLA−4受容体のシグナリング活性のアンタゴニストを同定することに容易に用いることができ、該方法は、いくつか例を挙げると(ただしこれらに限定されない)喘息、関節炎、および多発性硬化症などの病気の多血症を治療することにすでに用途を有する。その上、化合物または薬剤が、VLA−4受容体のシグナリング活性を調節することにおいて有効性を有するかどうかを決定するための本発明の方法はまた、特に臨床条件においてVLA−4アンタゴニストが投与される患者をモニターするのに容易に用いることができる。
【0268】
〔実施例III〕
VLA−4受容体シグナリングの調節における化合物または薬剤の有効性を評価するために遺伝子マーカーを用いる方法
実施例Iに記載の本発明のノックアウトマウスから得られた情報を用いて、マウスの生体サンプルで測定された遺伝子マーカーのレベルが、野生型マウスで測定されたこれと同じ遺伝子マーカーのレベルと比べて調節されることがわかった。従って、これら遺伝子マーカーは、VLA−4受容体のシグナリング活性を調節する化合物または薬剤の能力を評価することにおいてすでに用途を有する「代理」遺伝子マーカーである。その結果として、VLA−4のシグナリング活性を調節するため、特に拮抗するための治療剤、および、病気または疾患の多血症を治療するための治療剤としてのこのような化合物または薬剤の有効性は、リサーチまたは臨床条件において評価することができる。
【0269】
材料および方法
実験計画:
実施例Iで説明したAffymetrixデータを確認するため、および、VLA−4阻害の代理遺伝子マーカーとして選択された遺伝子を確認するために、以下の実験を行った。
既知VLA−4受容体アンタゴニストの投与
これらの実験において、EAE(実験的アレルギー性脳脊髄炎)マウス、同様に、KOおよびwt本発明のマウスを用いた。EAEマウスは、中枢神経系(CNS)自己免疫疾患の動物モデルである。これは、ヒト多発性硬化症(MS)モデルとして広く用いられている。
賦形剤単独で処理した、および、IVL984で14日間処理したEAEマウス(以下のプロトコールを参照)(1グループあたり5匹のマウス)、同様に、5匹のα−4インテグリン本発明のKOマウス、および、4匹の同じ遺伝的バックグラウンドのwtマウスを、頚部脱臼により屠殺した。脾臓を無菌で採取し、RPMI1640培地(1%FCS含有)を含む15mlの遠心管に置いた。次に、脾臓を、個別に滅菌ゴム製ポリスマン(0.23mm孔径のスクリーン、Thomas Scientific)を用いて滅菌ワイヤースクリーンを通して10cmのペトリ皿に濾し出した。スクリーンを洗浄し、細胞懸濁液を回収し、15mlの遠心管に移した。1200rpmで10分間、4℃で遠心分離した後、上清をデカントし、赤血球を、1ml/脾臓の氷冷赤血球リシス緩衝液で1〜3分間、氷上で溶解させた。次に、上清を、慎重に新しい15.mlの遠心管に移し、脂肪ペレットを残した。細胞懸濁液を、10分間、1200rpmで、4℃で遠心分離した。上清を処分し、細胞をPBSに再懸濁し、氷上に置いた。血球計数器(Hauser Scientific)および染料として Trypan Blue(Gibco,Life Technologies)を用いて、生細胞の数を測定した。細胞を最終濃度107細胞/mlに希釈した。次に、細胞を、SOCS−1(C20)およびSOCS−1(N−18)タンパク質に関して以下のように染色した:
【0270】
1)SOCS−1抗体(SOCS−1(C−20)(Santa Cruz,sc−7005)およびSOCS−1(N−18)(Santa Cruz,sc−7006)の両方;イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)を結合させたマウスIgG1,κモノクローナル免疫グロブリンアイソタイプ標準(抗KLH)(PharMingen,03214C)の0.2μg/μlの希釈液を調製し、同様に、PBS中のアイソタイプコントロールを調製し、その希釈液の25μlのアリコートを、96−ウェルプレートのウェルに入れる、
2)100μlの細胞懸濁液(107細胞/ml)を加える、
3)わずかにプレートを叩き、4℃で30〜60分間インキュベートする、
4)100μlのPBSを各ウェルに加え、4℃で、700rpmで5分間回転させる、
5)プレートをひっくり返して上清を捨てる、
6)二次抗体を、SOCS−1抗体で染色したウェルに加え、ロバ抗ヤギFITCをPBSで1:100に希釈し、100μlを各ウェルに加える。PBSをアイソタイプコントロールで染色したウェルに加える、
7)4℃で30〜60分間インキュベートする、
8)100μlのPBSを各ウェルに加える、
9)プレートを4℃で5分間、700rpmで回転させ、プレートをひっくり返して上清を捨てる、
10)細胞をPBS中の0.1%ホルムアルデヒドに再懸濁し、FACS分析を行い陽性細胞の数を調べる、
11 赤血球リシス緩衝液:8.29gのNH4Cl;0.037gのEDTA;1gのKHCO3;水を加えて1リットルにする、滅菌フィルター。
【0271】
EAEマウスプロトコール:
動物:
SJL/J雌マウス、8週齢,(ジャクソンラボラトリー,Bar Harbor,Maine)。
本発明のα−4インテグリンKOおよびwtマウス。
【0272】
抗原:
ミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP139−151)(HSLGKWLGHPDKF(配列番号14))(カタログ番号H−2478) BACHEM,Bioscience,Inc.,3700 Horizon Dr.,King of Prussia,PA 19406。完全フロインドアジュバントH37Ra[1mg/mlの Mycobacterium Tuberculosis H37 Ra]Difco(カタログ番号3114−60−5,6×10ml)。
Mycobacterium Tuberculosis
Difco,(カタログ番号3114−33−8,6×100mg)百日咳毒素。
Bordetella pertussis
(PBSおよびラクトースを含む凍結乾燥粉末)List Biological Laboratories(製品番号180)。
【0273】
マウスにおけるEAEの誘導
PLP139−151ペプチドを、H2O:PBS(1:1)溶液に、濃度5mg/10ml(マウスあたり50μgのPLP)または7.5mg/10ml(1グループあたり75μgのPLP)で溶解させ、次に、40mg/10mlの加熱して不活性化した Mycobacterium TuberculosisH37Raを添加した等量のCFAで乳化した。マウスの腹側の皮下(各側に0.1ml)に、0.2mlのペプチド乳濁液を注射した。同日の72時間後、マウスに、生理食塩水中の35ngおよび50ngのBordetella pertussis毒素(100μl)をそれぞれ静脈注射した。
IVL984または賦形剤コントロール単独(0.2%ヒドロキシプロピルメチルセルロース)での処理を、免疫化してから7日後、最初のEAE症状が現れる前に始めた。
- EAEマウス、賦形剤
N=10(5匹のマウスをFACSに用いた)、
- IVL984(50mg/kg、1日1回、皮下)で、7日目から14日間処理したEAEマウス
N=10(5匹のマウスをFACSに用いた)
【0274】
未処理マウス、EAEでの誘導なし:
- 本発明のα−4インテグリンKOマウス、N=5
- 本発明のα−4インテグリンwtマウス、N=4
【0275】
結果
これらの結果は、遺伝子マーカーJABまたはSOCS−1タンパク質のレベルは、VLA−4受容体アンタゴニストで処理されたEAEマウスから採取された生体サンプルにおいて、このようなアンタゴニストで処理されていないEAEマウスで測定されたレベルよりも統計学的に有意に低いことを示す。JABに対するCおよびN末端抗体を用いてFACS分析を行い、両方の抗体は、一致する結果を示す。また、結果によれば、JABは、本発明のKOマウスにおいて、wtマウスに比べてRNAレベルをダウンレギュレートするだけでなく、JABは、用いられた両方の抗体で測定されたタンパク質レベルを統計学的に有意にダウンレギュレートすることを示す。
詳細なFACSの結果を図20に示す。
【0276】
考察
上述の結果および図20の結果によれば、実施例Iのノックアウトマウスにおいて発現が調節されたことがわかった遺伝子マーカーが、VLA−4受容体のシグナリング活性の調節のための代理遺伝子マーカーであることが明らかに示される。従って、それらは、化合物または薬剤が、VLA−4受容体のシグナリング活性を調節することにおいて有効性を有するかどうかを決定することに容易に用いることができる。特に、遺伝子マーカーJABまたはSOCS−1は、実施例Iのα−4インテグリンノックアウトマウスにおいて、RNAレベルの発現レベルを減少させたことが決定され、これはまた、既知VLA−4受容体アンタゴニスト(すなわちIVL984)が投与される生物においてタンパク質レベルにおいて発現レベルを減少させた。従って、本発明の方法は、VLA−4受容体のシグナリング活性のアンタゴニストを同定することに容易に用いることができ、これは、病気の多血症、いくつか例を挙げると、喘息、関節炎、および多発性硬化症(ただしこれらに限定されない)を治療するのに用途を有する。その上、化合物または薬剤が、VLA−4受容体のシグナリング活性を調節することにおいて有効性を有するかどうかを決定するための本発明の方法はまた、特に臨床条件においてVLA−4アンタゴニストが投与される患者をモニターするのに容易に用いることができる。
【0277】
〔実施例IV〕
VLA−4受容体シグナリングの調節における化合物または薬剤の有効性を評価するための遺伝子マーカーを用いる方法
実施例Iに記載の本発明のノックアウトマウスから得られた情報を用いたところ、マウスの生体サンプルで測定された遺伝子マーカーのレベルが、これと同じ遺伝子マーカーの野生型マウスで測定されたレベルと比べて調節されることがわかった。従って、これら遺伝子マーカーは、VLA−4受容体のシグナリング活性を調節する化合物または薬剤の能力を評価することにおいてすでに用途を有する「代理」遺伝子マーカーである。その結果として、VLA−4のシグナリング活性を調節するため、特に拮抗するための治療剤、および、病気または疾患の多血症を治療するための治療剤としてのこのような化合物または薬剤の有効性は、リサーチまたは臨床条件において評価することができる。この実施例において、遺伝子マーカーEST AA571535(vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;配列番号18のDNA配列を有し、図21でも示される)が用いられる。この遺伝子マーカーは、実施例Iにおいて、本発明のノックアウトマウスにおいてダウンレギュレートされることが見出された。
【0278】
材料および方法
実験計画:
実施例Iで説明したAffymetrixデータを確認するため、および、VLA−4阻害の代理遺伝子マーカーとして選択された遺伝子を確認するために、以下の実験を行った。
既知VLA−4受容体アンタゴニストの投与
これらの実験において、EAE(実験的アレルギー性脳脊髄炎)マウスを用いた。EAEマウスは、中枢神経系(CNS)自己免疫疾患の動物モデルである。これは、ヒト多発性硬化症(MS)モデルとして広く用いられている。
賦形剤単独で処理した、および、IVL984またはHMR1031で14日間処理したEAEマウス(以下のプロトコールを参照)(1グループあたり5匹のマウス)を、頚部脱臼により屠殺した。脳を無菌で採取し、RNAを標準TRIzol(Invitrogen)prepを用いて調製した(プロトコールは以下を参照)。調製されたRNAをアガロースゲル上で泳動して、RNAの品質を調べ、UVスペクトル分析により定量した。配列特異的プライマーおよびプローブ(配列は以下参照)を用いてTaqman分析を行った。
【0279】
動物:
SJL/J雌マウス、8週齢,(ジャクソンラボラトリー,Bar Harbor,Maine)。
【0280】
抗原:
ミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP139−151)(HSLGKWLGHPDKF(配列番号14))(カタログ番号H−2478) BACHEM,Bioscience,Inc.,3700 Horizon Dr.,King of Prussia,PA 19406。完全フロインドアジュバントH37Ra[1mg/mlの Mycobacterium Tuberculosis H37 Ra]Difco(カタログ番号3114−60−5,6×10ml)。
Mycobacterium Tuberculosis
Difco,(カタログ番号3114−33−8,6×100mg)百日咳毒素。
Bordetella pertussis
(PBSおよびラクトースを含む凍結乾燥粉末) List Biological Laboratories(製品番号180)。
【0281】
マウスにおけるEAEの誘導
PLP139−151ペプチドを、H2O:PBS(1:1)溶液に、濃度5mg/10ml(マウスあたり50μgのPLP)または7.5mg/10ml(1グループあたり75μgのPLP)で溶解させ、次に、40mg/10mlの加熱して不活性化した Mycobacterium Tuberculosis H37 Raを添加した等量のCFAで乳化した。マウスの腹側の皮下(各側に0.1ml)に、0.2mlのペプチド乳濁液を注射した。同日の72時間後、マウスに、生理食塩水中の35ngおよび50ngのBordetella pertussis毒素(100μl)をそれぞれ静脈注射した。
【0282】
IVL984もしくはHMR1031または賦形剤コントロール単独(0.2%ヒドロキシプロピルメチルセルロース)での処理を、免疫化してから7日後、最初のEAE症状が現れる前に始めた。
- EAEマウス、賦形剤
N=10(5匹のマウスをTaqmanに用いた)
- HMR1031A(50mg/kg、1日1回、皮下)で、7日目から14日間処理したEAEマウス
N=10(5匹のマウスをTaqmanに用いた)
- IVL984(50mg/kg、1日1回、皮下)で、7日目から14日間処理したEAEマウス
N=10(5匹のマウスをTaqmanに用いた)
【0283】
TRIzol( Invitrogen )RNA Prep:
組織のホモジナイズ:
脳を半分に分割し、各半分を1.5mlの滅菌チューブに置いた。0.5mlのTRIzolを各チューブに加え、組織を手持ち式の組織ホモジナイザーを用いてホモジナイズした。ホモジナイズの後、さらなる0.5mlのTRIzolを各チューブに加え、サンプルを5分間、室温でインキュベートし、核タンパク質複合体を完全に解離させた。
相分離
0.2mlのクロロホルム(Sigma)を各チューブに加え、ボルテックスした。サンプルをさらに5分間、室温でインキュベートし、次に、12,000×gで、15分間、4℃で遠心分離した。
RNA沈殿
上部の水相を新しい滅菌チューブに移し、2つのサンプルのマウスあたりの半分を合わせた。0.5mlのイソプロピルアルコールを、それぞれ併せたサンプルに加え、ボルテックスし、室温で10分間インキュベートした。次に、サンプルを、12,000×gで、4℃で遠心分離した。
RNA洗浄
上清を除去し、ペレットを1mlの75%エタノールで洗浄し、再び5分間、7,500×gで、4℃で遠心分離した。
RNAの再溶解
最終ペレットを簡単に風乾し、ヌクレアーゼ非含有滅菌水に再懸濁した。RNAのアリコートをアガロースゲル上で泳動して、18および28Sバンドの存在を調べた。260nmでの吸光度を測定することによって濃度を決定した。
【0284】
Taqman:
Taqmanプライマーを、登録番号AA571535のEST(EST AA571535(ESTの配列:配列番号18))に関して注文した。リアルタイムTaqmanPCR研究のためのプライマーを、プライマーエキスプレスソフトウェア(Perkin Elmer)を用いて選択し、Sigma Genosysにより合成した。フォワードおよびリバースプライマーの配列は、それぞれAGCAGCCATGGGAGGCA(配列番号19)およびTCCGTTTCCCCACAGCAC(配列番号20)であった。PCR産物を4%アガロースゲル上で泳動して、単一バンドの存在を確認した。ABI Prizmシステム7700配列検出器(Perkin-Elmer)で、CybrGreen PCR Core Reagents Kit(Perkin-Elmer)を用いて、製造元のプロトコールに従ってPCR反応を行った。反応における最適な最終プライマー濃度が0.2μMであることがわかった。結果を18Sに基準化し、コピー数の差の対数の底2として、18SのRNAレベルと共に示した。ポイントあたり少なくとも3つの独立したRT反応からのサンプルを用いた。
EAEマウスの臨床評価を図18で説明する。
【0285】
結果
脳サンプル
HMR1031およびIVL984で処理したEAEマウスのmRNAレベルは、賦形剤コントロールマウスに比べて統計学的に有意に低い。
脾臓サンプル
脾臓サンプルは、いずれの処理においても脳と同じ傾向を示さない(p値:0.01〜0.05)。
以下の表は結果の簡単な一覧である。
【0286】
【表9】
Figure 2004531266
【0287】
これらの結果は、遺伝子マーカーEST AA571535のレベルは、VLA−4受容体アンタゴニストで処理されたEAEマウスから採取された生体サンプルにおいて、このようなアンタゴニストで処理されていないEAEマウスで測定されたレベルよりも統計学的に有意に低いことを示す。
詳細なTaqmanの結果を図22を示す。
【0288】
考察
上述の結果および図22の結果によれば、実施例Iのノックアウトマウスにおいて発現が調節されたことがわかった遺伝子マーカーが、VLA−4受容体のシグナリング活性の調節のための代理遺伝子マーカーであることが明らかに示される。従って、それらは、化合物または薬剤が、VLA−4受容体のシグナリング活性の調節において有効性を有するかどうかを決定するのに容易に用いることができる。特に、遺伝子マーカーEST AA571535は、実施例Iのα−4インテグリンノックアウトマウスにおいて発現レベルが減少したことが測定され、これもまた、既知VLA−4受容体アンタゴニスト(すなわちIVL984)またはHMR1031が投与される生物において発現レベルが減少した。従って、本発明の方法は、VLA−4受容体のシグナリング活性のアンタゴニストを同定することに容易に用いることができ、該方法は、いくつか例を挙げると(ただしこれらに限定されない)喘息、関節炎、および多発性硬化症などの病気の多血症を治療することにすでに用途を有する。その上、化合物または薬剤が、VLA−4受容体のシグナリング活性を調節することにおいて有効性を有するかどうかを決定するための本発明の方法はまた、特に臨床条件においてVLA−4アンタゴニストが投与される患者をモニターするのに容易に用いることができる。
【0289】
〔実施例V〕
VLA−4受容体シグナリングの調節における化合物または薬剤の有効性を評価するために遺伝子マーカーを用いる方法
実施例Iに記載の本発明のノックアウトマウスから得られた情報を用いたところ、マウスの生体サンプルで測定された遺伝子マーカーのレベルが、野生型マウスで測定されたこれと同じ遺伝子マーカーのレベルと比べて調節されることがわかった。従って、これら遺伝子マーカーは、VLA−4受容体のシグナリング活性を調節する化合物または薬剤の能力を評価することにおいてすでに用途を有する「代理」遺伝子マーカーである。その結果として、VLA−4のシグナリング活性を調節するため、特に拮抗するための治療剤、および、病気または疾患の多血症を治療するための治療剤としてのこのような化合物または薬剤の有効性は、リサーチまたは臨床条件において評価することができる。この実施例において、遺伝子マーカーAA154371(P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;配列番号21のDNA配列(図21)を有する)が用いられる。実施例Iにおいて、この遺伝子マーカーが、本発明のノックアウトマウスにおいてダウンレギュレートされることが決定された。
【0290】
材料および方法
実験計画:
実施例Iで説明したAffymetrixデータを確認するため、および、VLA−4阻害の代理遺伝子マーカーとして選択された遺伝子を確認するために、以下の実験を行った。
既知VLA−4受容体アンタゴニストの投与
これらの実験において、EAE(実験的アレルギー性脳脊髄炎)マウスを用いた。EAEマウスは、中枢神経系(CNS)自己免疫疾患の動物モデルである。これは、ヒト多発性硬化症(MS)モデルとして広く用いられている。
賦形剤単独で処理した、および、IVL984またはHMR.1031で14日間処理したEAEマウス(以下のプロトコールを参照)(1グループあたり5匹のマウス)を、頚部脱臼により屠殺した。脳を無菌で採取し、RNAを標準 TRIzol(Invitrogen)prepを用いて調製した(プロトコールは以下を参照)。調製されたRNAをアガロースゲル上で泳動して、RNAの品質を調べ、UVスペクトル分析により定量した。Taqman分析を配列特異的プライマーおよびプローブ(配列は以下参照)を用いて行った。
【0291】
動物:
SJL/J雌マウス、8週齢,(ジャクソンラボラトリー,Bar Harbor,Maine)。
【0292】
抗原:
ミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP139−151)(HSLGKWLGHPDKF(配列番号14))(カタログ番号H−2478) BACHEM,Bioscience,Inc.,3700 Horizon Dr.,King of Prussia,PA 19406。完全フロインドアジュバントH37Ra[1mg/mlの Mycobacterium Tuberculosis H37 Ra]Difco(カタログ番号3114−60−5,6×10ml)。
Mycobacterium Tuberculosis
Difco,(カタログ番号3114−33−8,6×100mg)百日咳毒素。
Bordetella pertussis
(PBSおよびラクトースを含む凍結乾燥粉末) List Biological Laboratories(製品番号180)。
【0293】
マウスにおけるEAEの誘導
PLP139−151ペプチドを、H2O:PBS(1:1)溶液に、濃度5mg/10ml(マウスあたり50μgのPLP)または7.5mg/10ml(1グループあたり75μgのPLP)で溶解させ、次に、40mg/10mlの加熱して不活性化した Mycobacterium Tuberculosis H37Raを添加した等量のCFAで乳化した。マウスの腹側の皮下(各側に0.1ml)に、0.2mlのペプチド乳濁液を注射した。同日の72時間後、マウスに、生理食塩水中の35ngおよび50ngの Bordetella pertussis毒素(100μl)をそれぞれ静脈注射した。
【0294】
IVL984またはHMR1031または賦形剤コントロール単独:0.2%ヒドロキシプロピルメチルセルロース)での処理を、免疫化してから7日後、最初のEAE症状が現れる前に始めた。
- EAEマウス、賦形剤
N=10(5匹のマウスをTaqmanに用いた)
- HMR1031A(50mg/kg、1日1回、皮下)で、7日目から14日間処理したEAEマウス
N=10(5匹のマウスをTaqmanに用いた)
- IVL984(50mg/kg、1日1回、皮下)で、7日目から14日間処理したEAEマウス
N=10(5匹のマウスをTaqmanに用いた)
【0295】
TRIzol( Invitrogen )RNA Prep:
組織のホモジナイズ:
脳を半分に分割し、各半分を1.5mlの滅菌チューブに置いた。0.5mlのTRIzolを各チューブに加え、組織を手持ち式の組織ホモジナイザーを用いてホモジナイズした。ホモジナイズの後、さらなる0.5mlのTRIzolを各チューブに加え、サンプルを5分間、室温でインキュベートし、核タンパク質複合体を完全に解離させた。
相分離
0.2mlのクロロホルム(Sigma)を各チューブに加え、ボルテックスした。サンプルをさらに5分間、室温でインキュベートし、次に、12,000×gで、15分間、4℃で遠心分離した。
RNA沈殿
上部の水相を新しい滅菌チューブに移し、2つのサンプルのマウスあたりの半分を合わせた。0.5mlのイソプロピルアルコールを、それぞれ併せたサンプルに加え、ボルテックスし、室温で10分間インキュベートした。次に、サンプルを、12,000×gで、4℃で遠心分離した。
RNA洗浄
上清を除去し、ペレットを1mlの75%エタノールで洗浄し、再び5分間、7,500×gで、4℃で遠心分離した。
RNAの再溶解
最終ペレットを簡単に風乾し、ヌクレアーゼ非含有滅菌水に再懸濁した。RNAのアリコートをアガロースゲル上で泳動して、18および28Sバンドの存在を調べた。260nmでの吸光度を測定することによって濃度を決定した。
【0296】
Taqman:
Taqmanプライマーを、ESTに関して登録番号AA154371で注文した(EST AA154371(ESTに関する配列:配列番号21))。リアルタイムTaqmanPCR研究のためのプライマーを、プライマーエキスプレスソフトウェア(Perkin Elmer)を用いて選択し、Sigma Genosysにより合成した。フォワードおよびリバースプライマーの配列は、それぞれGACAGGGCTGAGGATTCGG(配列番号22)およびAGGTCCATGACCACATCTCACA(配列番号23)であった。PCR産物を4%アガロースゲル上で泳動し、単一バンドの存在を確認する。ABI Prizmシステム7700配列検出器(Perkin-Elmer)で、CybrGreen PCR Core Reagents Kit(Perkin-EImer)を用いて、製造元のプロトコールに従ってPCR反応を行った。反応における最適な最終プライマー濃度が0.2μMであることがわかった。結果を18Sに基準化し、コピー数の差の対数の底2として、18SのRNAレベルと共に示した。ポイントあたり少なくとも3つの独立したRT反応からのサンプルを用いた。
EAEマウスの臨床評価を図18で説明する。
【0297】
結果
脳サンプル
HMR1031およびIVL984で処理したEAEマウスのmRNAレベルは、賦形剤コントロールマウスに比べて統計学的に有意に低い。
脾臓サンプル
脾臓サンプルは、いずれの処理においても脳と同じ傾向を示さない(p値:0.01〜0.05)
以下の表は、結果の簡単な一覧である。
【0298】
【表10】
Figure 2004531266
【0299】
これらの結果は、遺伝子マーカーEST AA154371のレベルが、VLA−4受容体アンタゴニストで処理されたEAEマウスから採取された生体サンプルにおいて、このようなアンタゴニストで処理されていないEAEマウスで測定されたレベルよりも統計学的に有意に低いことを示す。
詳細なTaqmanの結果を図24に示す。
【0300】
考察
上述の結果および図24の結果によれば、実施例Iのノックアウトマウスにおいて発現が調節されたことがわかった遺伝子マーカーが、VLA−4受容体のシグナリング活性の調節のための代理遺伝子マーカーであることが明らかに示される。従って、それらは、化合物または薬剤が、VLA−4受容体のシグナリング活性を調節することにおいて有効性を有するかどうかを決定することに容易に用いることができる。特に、遺伝子マーカーEST AA154371は、実施例Iのα−4インテグリンノックアウトマウスにおいて発現レベルが減少したことが測定され、これもまた、既知VLA−4受容体アンタゴニスト、すなわちTVL984またはHMR1031を投与された生物において発現レベルが減少した。従って、本発明の方法は、VLA−4受容体のシグナリング活性のアンタゴニストを同定することに容易に用いることができ、該方法は、いくつか例を挙げると(ただしこれらに限定されない)喘息、関節炎、および多発性硬化症などの病気の多血症を治療することにすでに用途を有する。その上、化合物または薬剤が、VLA−4受容体のシグナリング活性を調節することにおいて有効性を有するかどうかを決定するための本発明の方法はまた、特に臨床条件においてVLA−4アンタゴニストが投与される患者をモニターするのに容易に用いることができる。
【0301】
本発明は、本明細書に記載された特定の実施形態による範囲に限定されない。実際に、本明細書で説明されたものに加えて、当業者には本発明の様々な改変が前述の説明および添付の図面から明白である。このような改変は、添付の請求項の範囲内であることが意図される。
本明細書および請求項に記載の全ての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、および全ての分子量または分子量値は、概算値であり、説明のために提供されていることがさらに理解される。
様々な出版物が本明細書に引用されており、その開示は、その全体を参照により本明細書に加入する。
【0302】
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【図面の簡単な説明】
【0303】
【図1A】配列番号1のヌクレオチド配列である。
【図1B】図1Aのヌクレオチド配列の続きである。
【図1C】図1Bのヌクレオチド配列の続きである。
【図1D】図1Cのヌクレオチド配列の続きである。
【図2】α−4インテグリンcDNAの図式的なマップである。
【図3】プラスミドpBSK2.6である。
【図4】プラスミドpCR2cDNAである。
【図5】プラスミドpNEB1.1である。
【図6】プラスミドpNEB1.1(−)である。
【図7】ヘテロ接合型雌×ホモ接合型雄の交雑の典型的な系統図である。
【図8】内因性α−4インテグリンバックグラウンドを評価するためのPCR分析である。
【図9】α−4インテグリンバックグラウンドの遺伝子型分析である。
【図10】特異的α−4インテグリン抗体(CD49d,クローン9C10,BD Pharmingen)で染色された、脾臓切片の免疫組織化学(IHC)分析結果である。
【図11】tep−VLA導入遺伝子(操作可能にtetPプロモーターと結合したα−4インテグリンの部分を含み、配列番号1のDNA配列を有する導入遺伝子)の図式的なマップであり、プローブの位置と、内因性RNAとトランスジェニックRNAとの両方に関する保護断片の指示とを含む。
【図12】本発明のホモ接合型α−4インテグリンノックアウト(KO)マウス(59系)と、FVBマウスとを比較したRNアーゼプロテクションアッセイ(RPA)である。
【図13】2種の異なる系、胸腺および脾臓のKOマウスのRPAである。
【図14】プラスミドpNEB3.7(−)である。
【図15】tetP−VLA導入遺伝子である。
【図16】マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNAの結果のTaqman分析である。
【図17A】配列番号13のヌクレオチド配列である。
【図17B】図17Aのヌクレオチド配列の続きである。
【図17C】図17Bのヌクレオチド配列の続きである。
【図18】Taqman分析で用いられたEAEマウスの臨床評価である。
【図19】配列番号17のヌクレオチド配列である。
【図20】JAB FACSの結果である。
【図21】配列番号18のヌクレオチド配列である。
【図22】遺伝子マーカーとしてEST AA571535を用いた実施例IVの詳細なTaqmanの結果である。
【図23】配列番号21のヌクレオチド配列である。
【図24】遺伝子マーカーとしてEST AA154371を用いた実施例Vの詳細なTaqmanの結果である。

Claims (54)

  1. 機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないマウス。
  2. 表現型が、
    a)機能的α−4インテグリンを含む第一の遺伝子マーカーが検出不可能なレベルであること、および、
    b)ノックアウトマウスにおける第二の遺伝子マーカーのレベルが、コントロール野生型マウスにおける前記遺伝子マーカーのレベルと比べて調節されていること、
    を含む、請求項1に記載のマウス。
  3. 第二の遺伝子マーカーが、
    ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
    免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
    (H−2クラスI組織適合性抗原,d−kα鎖前駆体;
    ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
    ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
    マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全cds;
    赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
    NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ];
    vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
    mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのcds;
    NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
    Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
    NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
    P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
    マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
    ハツカネズミmRNAのRHAMM;
    R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA3’末端;
    ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
    mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
    MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
    P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
    D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
    mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
    vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
    ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
    ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
    ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
    JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
    マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
    ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
    マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
    Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
    P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
    NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
    ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;
    ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
    マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA;または、
    血液の幹細胞前駆体濃度、
    を含む、請求項2に記載のマウス。
  4. 第二の遺伝子マーカーのレベルの調節が、コントロール野生型マウスで測定された第二の遺伝子マーカーのレベルと比べて、前記マウスで測定された前記第二の遺伝子マーカーのレベルが増加することを含み、前記第二の遺伝子マーカーは、
    ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
    免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
    (H−2クラスI組織適合性抗原,D−Kα鎖前駆体;
    ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
    ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
    マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全c;
    赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
    NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ];
    vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
    NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
    Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
    NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
    P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
    マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
    ハツカネズミmRNAのRHAMM;
    R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA3’末端;
    ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
    mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
    MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
    P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
    D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
    mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
    mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのc;
    ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
    C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNAハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;または、
    血液の幹細胞前駆体濃度、
    を含む、請求項3に記載のマウス。
  5. 第二の遺伝子マーカーのレベルが調節されることが、ノックアウトマウスで測定された
    第二の遺伝子マーカーのレベルが、コントロール野生型マウスで測定された前記第二の遺伝子マーカーのレベルと比べて減少することを含み、前記第二の遺伝子マーカーは、
    vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
    ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
    ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
    ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
    JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
    マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
    ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
    マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
    Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
    P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
    NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
    ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;または、
    マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA、
    を含む、請求項3に記載のノックアウトマウス。
  6. マウスがノックアウトマウスであり、そのゲノムは、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できる第一および第二の対立遺伝子を有し、
    (a)前記第一の対立遺伝子は、前記第一の対立遺伝子に、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現させないような欠陥を含み;
    (b)前記第二の対立遺伝子は、前記第二の対立遺伝子に、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現させないような欠陥を含み;および、
    (c)前記ゲノムは、操作可能にプロモーターと結合したα−4インテグリンプロモーターをコードするcDNA分子の部分を含む導入遺伝子の2つのコピーを含み、
    前記ノックアウトマウスは、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できない、請求項1に記載のマウス。
  7. 欠陥が、前記第一の対立遺伝子および前記第二の対立遺伝子における1またはそれ以上のヌクレオチドの置換、挿入、および/または欠失を含む、請求項6に記載のノックアウトマウス。
  8. 導入遺伝子が、操作可能にtetPプロモーターと結合したα−4インテグリンタンパク質をコードする前記単離されたcDNA分子の部分を含み、かつ、配列番号1のDNA配列を含む、請求項6に記載のノックアウトマウス。
  9. 機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないノックアウトマウスであって、
    (a)対立遺伝子に機能的α−4インテグリンタンパク質を発現させないような欠陥を有する、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できる第一および第二の対立遺伝子;および、
    (b)配列番号1のDNA配列を含む導入遺伝子の2つのコピー、
    を含むゲノムを有し、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないノックアウトマウス。
  10. 機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないノックアウトマウスの製造方法であって、
    (a)機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できる第一および第二の対立遺伝子を含む2種のノックアウトマウスを交雑する工程[各ノックアウトマウスの第一または第二の対立遺伝子のいずれかが機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないように、ノックアウトマウスはそれぞれ第一の対立遺伝子または第二の対立遺伝子のいずれかに欠陥を含む];
    (b)工程(a)の交雑で得られた胚を回収すること[胚は、欠陥に関してヘテロ接合型である];
    (c)操作可能にプロモーターと結合したα−4インテグリンタンパク質をコードする単離されたcDNA分子の部分を含む導入遺伝子を、工程(b)で回収された各胚に挿入し、トランスフェクトされた胚を形成する工程;
    (d)トランスフェクトされた胚を偽妊娠雌マウスに挿入し、それにより偽妊娠雌マウスがマウスを産むようにすること[産まれるマウスのゲノムは、
    (i)機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できる第一および第二の対立遺伝子(第一または第二の対立遺伝子のいずれかが対立遺伝子に機能的α−4インテグリンタンパク質を発現させないような欠陥を含む)、および、
    (ii)前記ゲノムに統合されている導入遺伝子、
    を含む];および、
    (e)工程(d)で生産された2種のマウスを交雑し、α−4ホモ接合型ノックアウトマウス(そのゲノム内に導入遺伝子の2つのコピーを含む)を生産すること、
    を含み、工程(e)で得られたノックアウトマウスは、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないノックアウトマウスの製造方法。
  11. 工程(a)の第一の対立遺伝子または第二の対立遺伝子のいずれかにおける欠陥が、第一の対立遺伝子または第二の対立遺伝子が機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないような第一の対立遺伝子または第二の対立遺伝子の破壊を含む、請求項10に記載の機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないノックアウトマウスの製造方法。
  12. 導入遺伝子が配列番号1のDNA配列を含む、請求項10に記載の機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないノックアウトマウスの製造方法。
  13. 導入遺伝子を胚に挿入する工程が、
    (a)導入遺伝子を発現ベクターに挿入する工程;および、
    (b)ベクターを胚に挿入すること、
    を含む、請求項10に記載の機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないノックアウトマウスの製造方法。
  14. 工程(a)の2種のヘテロ接合型α−4ノックアウトマウスは、ジャクソンラボラトリーのストック番号002463を付与されたものである、請求項10に記載の機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないノックアウトマウスの製造方法。
  15. 機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないノックアウトマウスの製造方法であって、
    (a)ジャクソンラボラトリーのストック番号002463を付与された2種のヘテロ接合型α−4インテグリンノックアウトマウスを交雑する工程;
    (b)工程(a)の交雑で得られた胚を回収する工程;
    (c)配列番号1のDNA配列を含む導入遺伝子を工程(b)で回収された各胚に挿入して、トランスフェクトされた胚を形成する工程;
    (d)偽妊娠雌マウスがゲノム内に導入遺伝子を有するα−4インテグリンヘテロ接合型ノックアウトマウスを産むように、トランスフェクトされた胚を偽妊娠雌マウスに挿入する工程;および、
    (e)工程(d)で生産された2種のノックアウトマウスを交雑し、ゲノム内に導入遺伝子の2つのコピーを含むホモ接合型α−4インテグリンノックアウトマウスを生産する工程;
    を含み、その結果、工程(e)のノックアウトマウスは、機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できないノックアウトマウスの製造方法。
  16. (a)野生型マウスに薬剤を投与する工程;
    (b)野生型マウスで遺伝子マーカーのレベルを測定する工程;および、
    (c)工程(b)の測定値と、コントロール野生型マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルとを比較する工程、
    を含み、野生型マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルが、コントロール野生型マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルと比べて調節されることは、薬剤がα−4インテグリンタンパク質アンタゴニスト活性を有する可能性があることを示す、α−4インテグリンタンパク質アンタゴニストとして可能性のある活性に関して薬剤を分析する方法。
  17. 遺伝子マーカーが、
    ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
    免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
    (H−2クラスI組織適合性抗原,D−Kα鎖前駆体;
    ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
    ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
    マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全cds;
    赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
    NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ];
    vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
    mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのcds;
    NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
    Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
    NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
    P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
    マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
    ハツカネズミmRNAのRHAMM;
    R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA3’末端;
    ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
    mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
    MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
    P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
    D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
    mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
    ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
    C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNAハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;
    vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
    ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
    ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
    ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
    JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
    マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
    ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
    マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
    Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
    P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
    NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
    ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;
    ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
    マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA;または、
    血液の幹細胞前駆体濃度、
    を含む、請求項16に記載の方法。
  18. 野生型マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルが調節されることが、コントロール野生型マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルと比べて増加することを含み、ここで、遺伝子マーカーは、
    ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
    免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
    (H−2クラスI組織適合性抗原,D−Kα鎖前駆体;
    ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
    ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
    マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全c;
    赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
    NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ];
    vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
    NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
    Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
    NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
    P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
    マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
    ハツカネズミmRNAのRHAMM;
    R74638 MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA3’末端;
    ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
    mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
    MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
    P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
    D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
    mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
    mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのc;
    ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
    C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNAハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;または、
    血液の幹細胞前駆体濃度、
    を含む、請求項17に記載の方法。
  19. 遺伝子マーカーのレベルが調節されることが、野生型マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルが、コントロール野生型マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルと比べて減少することを含み、ここで、遺伝子マーカーは、
    vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
    ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
    ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
    ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
    JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
    マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
    ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds:
    マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
    Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
    P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
    NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
    ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;または、
    マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA、
    を含む、請求項17に記載の方法。
  20. (a)機能的α−4インテグリンを発現できないマウスに薬剤を投与する工程;
    (b)マウスで遺伝子マーカーのレベルを測定する工程;および、
    (c)マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルと、機能的α−4インテグリンを発現できないコントロールマウスで測定された遺伝子マーカーのレベルとを比較する工程、を含み、マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルが、コントロールマウスで測定された遺伝子マーカーのレベルと比べて調節されることは、薬剤がα−4インテグリンタンパク質アンタゴニストに関連する有害な副作用を改善する活性を有する可能性があることを示す、α−4インテグリンタンパク質アンタゴニストに関連する有害な副作用を改善する活性に関して薬剤を分析する方法。
  21. 遺伝子マーカーは、
    ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
    免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
    (H−2クラスI組織適合性抗原,d−kα鎖前駆体;
    ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
    ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
    マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全cds;
    赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
    NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ];
    vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
    mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのcds;
    NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
    Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
    NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
    P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
    マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
    ハツカネズミmRNAのRHAMM;
    R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA3’末端;
    ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
    mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
    MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
    P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
    D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
    mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
    ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
    C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNAハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;
    vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
    ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
    ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
    ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
    JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
    マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
    ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
    マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
    Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
    P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
    NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
    ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;
    ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
    マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA;または、
    血液の幹細胞前駆体濃度、
    を含む、請求項20に記載の方法。
  22. 調節されることが、コントロールマウスで測定された遺伝子マーカーのレベルと比べて、マウスで測定された遺伝子マーカーのレベルが増加することであり、ここで、遺伝子マーカーは、
    ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
    免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
    (H−2クラスI組織適合性抗原,D−Kα鎖前駆体;
    ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
    ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
    マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全c;
    赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
    NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ];
    vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
    NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
    Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
    NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
    P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
    マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
    ハツカネズミmRNAのRHAMM;
    R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA3’末端;
    ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
    mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
    MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
    P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
    D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
    mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
    mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのc;
    ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
    C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNAハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;または、
    血液の幹細胞前駆体濃度、
    を含む、請求項21に記載の方法。
  23. 調節されることが、コントロールノックアウトマウスで測定された遺伝子マーカーのレベルと比べて、ノックアウトマウスで測定された遺伝子マーカーのレベルにおいて減少することであり、ここで、遺伝子マーカーは、
    vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
    ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
    ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
    ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
    JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
    マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
    ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
    マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
    Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
    P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
    NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
    ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;または、
    マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA、
    を含む、請求項21に記載の方法。
  24. マウスおよびコントロールマウスがノックアウトマウスであり、そのゲノムが、
    (a)対立遺伝子に機能的α−4インテグリンタンパク質を発現させないような欠陥を有する機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できる第一および第二の対立遺伝子;および、
    (b)操作可能にプロモーターと結合したα−4インテグリンタンパク質をコードする単離されたcDNA分子の部分を含む導入遺伝子の2つのコピー、
    を含む、請求項20に記載の方法。
  25. 導入遺伝子が、操作可能にtetPプロモーターと結合したα−4インテグリンタンパク質をコードするcDNA分子の部分を含み、配列番号1のDNA配列を含む、請求項24に記載の方法。
  26. (a)哺乳動物から第一の血液サンプルを採取し、第一の血液サンプル中の幹細胞前駆体濃度を測定する工程;
    (b)薬剤を哺乳動物に投与する工程;
    (c)哺乳動物から第二の血液サンプルを採取し、第二の血液サンプルで幹細胞前駆体濃度を測定する工程;および、
    (d)第一の血液サンプルで測定された幹細胞前駆体濃度と、第二の血液サンプルで測定された幹細胞前駆体濃度とを比較する工程、
    を含み、第二の血液サンプルで測定された幹細胞前駆体濃度が、第一の血液サンプルで測定された幹細胞前駆体濃度と比べて増加することは、薬剤がα−4インテグリンタンパク質アンタゴニスト活性を有する可能性があることを示す、可能性のあるα−4インテグリンタンパク質アンタゴニスト活性に関して薬剤を分析する方法。
  27. 哺乳動物が、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、マウス、またはヒトである、請求項26に記載の方法。
  28. (a)薬剤を哺乳動物に投与する工程;
    (b)哺乳動物の血液で幹細胞前駆体濃度を測定する工程;および、
    (c)哺乳動物の血液における幹細胞前駆体の測定濃度と、コントロール哺乳動物の血液における幹細胞前駆体の測定濃度とを比較する工程、
    を含み、哺乳動物の血液の幹細胞前駆体濃度が、コントロール哺乳動物の血液の幹細胞前駆体濃度と比べて増加することは、薬剤がα−4インテグリンタンパク質アンタゴニスト活性を有する可能性があることを示す、可能性のあるα−4インテグリンタンパク質アンタゴニスト活性に関して薬剤を分析する方法。
  29. 哺乳動物が、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、マウスまたはヒトである、請求項28に記載の方法。
  30. マウスが、トランスジェニックマウスであり、そのゲノムが、
    (a)機能的α−4インテグリンタンパク質を発現できる対立遺伝子を含まず;かつ、
    (b)操作可能にプロモーターと結合した機能的α−4インテグリン機能的タンパク質をコードする単離されたcDNA分子の部分を含む導入遺伝子の2つのコピーを含む、請求項1に記載のマウス。
  31. 導入遺伝子が、操作可能にtetPプロモーターと結合した機能的α−4インテグリンタンパク質をコードする単離されたcDNA分子の部分を含み、配列番号1のDNA配列を含む、請求項30に記載のマウス。
  32. (a)化合物または薬剤を生物に投与する工程;
    (b)生物から採取された生体サンプルで、VLA−4受容体シグナリングに関する遺伝子マーカーの発現レベルを測定する工程;および、
    (c)工程(b)の遺伝子マーカーの発現レベルと、コントロール生体サンプルで測定された遺伝子マーカーの発現レベルとを比較する工程、
    を含み、ここで、生体サンプルとコントロール生体サンプルとで測定された遺伝子マーカーの発現レベルの差は、化合物または薬剤がVLA−4受容体のシグナリングを調節することを示す、化合物または薬剤がVLA−4受容体のシグナリング活性を調節するかどうかを決定する方法。
  33. コントロール生体サンプルが、化合物または薬剤の投与の前に生物から採取された生体サンプル、または、化合物または薬剤が投与されていない実質的に類似の生物から採取された生体サンプルを含む、請求項32に記載の方法。
  34. 遺伝子マーカーが、
    ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
    免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
    (H−2クラスI組織適合性抗原,d−kα鎖前駆体;
    ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
    ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
    マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全cds;
    赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
    NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ];
    vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
    mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのcds;
    NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
    Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
    NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
    P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
    マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
    ハツカネズミmRNAのRHAMM;
    R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA3’末端;
    ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
    mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
    MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
    P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
    D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
    mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
    ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
    C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNAハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;
    vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
    ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
    ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
    ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
    JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
    マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
    ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
    マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
    Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
    P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
    NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
    ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;
    ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
    マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA;または、
    血液の幹細胞前駆体濃度、
    を含む、請求項32に記載の方法。
  35. 生体サンプルにおける遺伝子マーカーの発現レベルが、コントロール生体サンプルで測定された遺伝子マーカーの発現レベル未満であり、これは、化合物または薬剤がVLA−4受容体のシグナリング活性を拮抗することを示し、ここで、遺伝子マーカーは、
    vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
    ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
    ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
    ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
    JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
    マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
    ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
    マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
    Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
    P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
    NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
    ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;または、
    マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA、
    を含む、請求項34に記載の方法。
  36. 生体サンプルにおける遺伝子マーカーの発現レベルが、コントロール生体サンプルで測定された遺伝子マーカーの発現レベルより大きく、これは、化合物または薬剤がVLA−4受容体のシグナリング活性を拮抗することを示し、ここで、遺伝子マーカーは、
    ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
    免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
    (H−2クラスI組織適合性抗原,D−Kα鎖前駆体;
    ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
    ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
    マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全c;
    赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
    NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ];
    vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
    NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
    Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
    NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
    P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
    マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
    ハツカネズミmRNAのRHAMM;
    R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA3’末端;
    ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
    mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
    MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
    P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
    D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
    mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
    mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのc;
    ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
    C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNAハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;または、
    血液の幹細胞前駆体濃度、
    を含む、請求項34に記載の方法。
  37. 生体サンプルで測定された遺伝子マーカーの発現レベルが、コントロール生体サンプルで測定された遺伝子マーカーの発現レベル未満であり、これは、化合物または薬剤がVLA−4受容体のシグナリング活性を拮抗することを示し、ここで、遺伝子マーカーが、マクロファージマンノース受容体mRNA、JABに関するハツカネズミmRNA、完全cds、EST571535、およびEST AA154371からなる群より選択される、請求項32に記載の方法。
  38. 化合物または薬剤が、タンパク質、化学物質、またはヌクレオチド配列、ホルモン、炭水化物またはレクチンを含む、請求項32に記載の方法。
  39. 化合物または薬剤が、免疫原としてVLA−4受容体を有する抗体、VLA−4受容体mRNAとハイブリダイズするアンチセンス分子、または、VLA−4受容体mRNAを開裂させるリボザイムである、請求項38に記載の方法。
  40. (a)第一の生体サンプルを生物から採取する工程;
    (b)第一の生体サンプルで、マクロファージマンノース受容体mRNA遺伝子マーカーのレベルを測定する工程;
    (c)可能性のあるアンタゴニストを生物に投与する工程;
    (d)第二の生体サンプルを生物から採取する工程;
    (e)第二の生体サンプルで、マクロファージマンノース受容体mRNA遺伝子マーカーのレベルを測定する工程;および、
    (f)工程(b)と工程(e)との測定レベルを比較する工程、
    を含み、工程(e)で測定された遺伝子マーカーのレベルが、工程(b)で測定された遺伝子マーカーのレベルと比べて減少することは、可能性のあるアンタゴニストがVLA−4のシグナリング活性を拮抗することにおける有効性を有することを示す、VLA−4受容体のシグナリングの可能性のあるアンタゴニストの有効性を決定する方法。
  41. 第一および第二の生体サンプルが、体液、体の組織、または、それらの組み合わせを含む、請求項40に記載の方法。
  42. 可能性のあるアンタゴニストが、タンパク質、ヌクレオチド配列、化学物質、または、それらの組み合わせを含む、請求項40に記載の方法。
  43. 生物が哺乳動物である、請求項34に記載の方法。
  44. (a)化合物または薬剤と、生物からの生体サンプルとを接触させる工程;
    (b)生体サンプルで、VLA−4受容体シグナリングに関する遺伝子マーカーの発現レベルを測定する工程;および、
    (c)工程(b)で測定された遺伝子マーカーの発現レベルと、コントロール生体サンプルで測定された遺伝子マーカーの発現レベルとを比較する工程、
    を含む、VLA−4受容体のシグナリング活性を調節、特に拮抗する化合物または薬剤の能力を決定する方法。
  45. 遺伝子マーカーが、
    ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
    免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
    (H−2クラスI組織適合性抗原,d−kα鎖前駆体;
    ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
    ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
    マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全cds;
    赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
    NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ];
    vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
    mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのcds;
    NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
    Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
    NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
    P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
    マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
    ハツカネズミmRNAのRHAMM;
    R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA3’末端;
    ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
    mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13.5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
    MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
    P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
    D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
    mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
    ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
    C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNAハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;
    vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
    ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
    ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
    ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
    JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
    マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
    ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
    マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
    Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
    P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
    NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
    ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;
    ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
    マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA;または、
    血液の幹細胞前駆体濃度、
    を含む、請求項44に記載の方法。
  46. 生体サンプルにおける遺伝子マーカーの発現レベルが、コントロール生体サンプルで測定された遺伝子マーカーの発現レベル未満であり、これは、化合物または薬剤がVLA−4受容体のシグナリング活性を拮抗することを示し、ここで、遺伝子マーカーが、
    vm06f11.r1 Knowles Solterマウス胚盤胞B1ハツカネズミcDNAクローン;
    ハツカネズミ主要組織適合遺伝子座クラスII領域;
    ハツカネズミキャッピングタンパク質βサブユニットアイソフォーム1のmRNA,完全cds;
    ペルオキシソーム内在性膜タンパク質PMP34に関するハツカネズミmRNA;
    JABに関するハツカネズミmRNA,完全cds;
    マウスインターフェロン調節因子1のmRNA,完全cds;
    ハツカネズミGTPアーゼIGTPのmRNA,完全cds;
    マウスspi2プロテイナーゼ阻害剤(spi2/eb1)のmRNA,3末端;
    Q01514種と相同:インターフェロン誘導グアニル酸結合タンパク質;
    P13765種と相同:HLAクラスII組織適合性抗原,DO B;
    NRNT(3e−39):ヒトホスファチジルイノシトール(4,5)ビスリン酸5−ホスファターゼ;
    ハツカネズミ(クローンU2)T細胞特異的タンパク質のmRNA,完全cds;または、
    マクロファージマンノース受容体に関するハツカネズミmRNA、
    を含む、請求項45に記載の方法。
  47. 生体サンプルにおける遺伝子マーカーの発現レベルが、コントロール生体サンプルで測定された遺伝子マーカーの発現レベルより大きく、これは、化合物または薬剤がVLA−4受容体のシグナリング活性を拮抗することを示し、ここで、遺伝子マーカーが、
    ハツカネズミ抗フォン−ウィルブランド因子抗体NMC−4κ鎖mRNA;
    免疫グロブリンα重鎖,スイッチ領域およびconに関するマウス遺伝子;
    (H−2クラスI組織適合性抗原,D−Kα鎖前駆体;
    ハツカネズミMHCクラスIのQa−1a抗原mRNA,完全cds;
    ハツカネズミリボソームタンパク質L41のmRNA,完全cds;
    マウスMHCクラスIのD領域細胞表面抗原(D2d)遺伝子,完全c;
    赤血球分化レギュレーターに関するハツカネズミmRNA,部分的;
    NRNT(1e−92),完全配列[ハツカネズミ];
    vc50e11.r1 Knowles Solterマウス2細胞ハツカネズミcDNAクローン778028;
    NRNT(0.0):IIGPタンパク質に関するハツカネズミmRNA;
    Igγ鎖、分泌型および膜結合型に関するマウスDNA,部分的;
    NRNT(2e−61):PSMB5に関するハツカネズミDNA,完全cds;
    P32507種と相同:ポリオウイルス受容体相同前駆体;
    マウスIgの再配列させたH鎖のmRNA定常領域;
    ハツカネズミmRNAのRHAMM;
    R74638MDB0793マウス脳,StratageneハツカネズミcDNA3’末端;
    ハツカネズミの薄い耳(ep変異対立遺伝子)のmRNA,部分的cds;
    mj35h09.r1 Soaresマウス胚NbME13,5 14.5ハツカネズミcDNAクローン4;
    MUSGS00761マウス3’方向cDNA;MUSGS00761;クローンmb1494.TIGR clus;
    P41725種と相同:脳の強化されたヒアルロナン結合タンパク質PRE;
    D2Aドーパミン受容体に関するハツカネズミmRNA;
    mo54b05.r1 Life Techマウス胚10 5dpc 10665016ハツカネズミcDNAのcds;
    mt23g11.r1 Soaresマウス3NbMSハツカネズミcDNAクローン621956 5’TIGRのc;
    ハツカネズミBop1のmRNA,完全cds;
    C75959マウス3.5−dpc胚盤胞cDNAハツカネズミcDNAクローンJ0001C05;または、
    血液の幹細胞前駆体濃度、
    を含む、請求項45に記載の方法。
  48. ハイスループット様式で実施される、請求項44に記載の方法。
  49. (a)第一の生体サンプルをマウスから採取する工程;
    (b)第一の生体サンプルで、遺伝子マーカーJABに関するハツカネズミmRNA,完全cdsのレベルを測定する工程;
    (c)可能性のあるアンタゴニストをマウスに投与する工程;
    (d)第二の生体サンプルをマウスから採取する工程;
    (e)第二の生体サンプルで、遺伝子マーカーJABに関するハツカネズミmRNA,完全cdsのレベルを測定する工程;および、
    (f)工程(b)と工程(e)との測定レベルを比較する工程、
    を含み、ここで、工程(e)で測定された遺伝子マーカーのレベルが、工程(b)で測定された遺伝子マーカーのレベルに比べて減少することは、可能性のあるアンタゴニストがVLA−4のシグナリング活性を拮抗することにおける有効性を有することを示す、VLA−4受容体のシグナリングの可能性のあるアンタゴニストの有効性を決定する方法。
  50. 第一および第二の生体サンプルが、体液、体の組織、または、それらの組み合わせを含む、請求項49に記載の方法。
  51. 可能性のあるアンタゴニストが、タンパク質、ヌクレオチド配列、化学物質、または、それらの組み合わせを含む、請求項49に記載の方法。
  52. (a)第一の生体サンプルをマウスから採取する工程;
    (b)第一の生体サンプルで、遺伝子マーカーEST AA571535のレベルを測定する工程;
    (c)可能性のあるアンタゴニストをマウスに投与する工程;
    (d)第二の生体サンプルをマウスから採取する工程;
    (e)第二の生体サンプルで、遺伝子EST AA571535のレベルを測定する工程;および、
    (f)工程(b)と工程(e)との測定レベルを比較する工程、
    を含み、ここで、工程(e)で測定された遺伝子マーカーのレベルが、工程(b)で測定された遺伝子マーカーのレベルに比べて減少することは、可能性のあるアンタゴニストがVLA−4のシグナリング活性を拮抗する有効性を有することを示す、VLA−4受容体のシグナリングの可能性のあるアンタゴニストの有効性を決定する方法。
  53. 第一および第二の生体サンプルが、体液、体の組織、または、それらの組み合わせを含む、請求項52に記載の方法。
  54. 可能性のあるアンタゴニストが、タンパク質、ヌクレオチド配列、化学物質、または、それらの組み合わせを含む、請求項52に記載の方法。
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