JP2004531252A - 増大した成長を特徴とする植物ならびにその作出に役立つ方法および核酸コンストラクト - Google Patents

増大した成長を特徴とする植物ならびにその作出に役立つ方法および核酸コンストラクト Download PDF

Info

Publication number
JP2004531252A
JP2004531252A JP2002579986A JP2002579986A JP2004531252A JP 2004531252 A JP2004531252 A JP 2004531252A JP 2002579986 A JP2002579986 A JP 2002579986A JP 2002579986 A JP2002579986 A JP 2002579986A JP 2004531252 A JP2004531252 A JP 2004531252A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plant
promoter
growth
nucleic acid
transformed plant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002579986A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004531252A5 (ja
Inventor
アーロン カプラン,
ジュディ リーマン−ハーウィッツ,
ダニエラ シャッツ,
ロン ミットラー,
シモン ラヒミレヴィッチ,
Original Assignee
イッサム リサーチ ディベロップメント カンパニー オブ ザ ヘブリュー ユニバーシティー オブ エルサレム
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by イッサム リサーチ ディベロップメント カンパニー オブ ザ ヘブリュー ユニバーシティー オブ エルサレム filed Critical イッサム リサーチ ディベロップメント カンパニー オブ ザ ヘブリュー ユニバーシティー オブ エルサレム
Publication of JP2004531252A publication Critical patent/JP2004531252A/ja
Publication of JP2004531252A5 publication Critical patent/JP2004531252A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/82Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
    • C12N15/8241Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology
    • C12N15/8261Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with agronomic (input) traits, e.g. crop yield
    • C12N15/8271Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with agronomic (input) traits, e.g. crop yield for stress resistance, e.g. heavy metal resistance
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/82Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
    • C12N15/8241Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology
    • C12N15/8261Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with agronomic (input) traits, e.g. crop yield
    • C12N15/8271Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with agronomic (input) traits, e.g. crop yield for stress resistance, e.g. heavy metal resistance
    • C12N15/8273Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with agronomic (input) traits, e.g. crop yield for stress resistance, e.g. heavy metal resistance for drought, cold, salt resistance

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Cultivation Of Plants (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Immobilizing And Processing Of Enzymes And Microorganisms (AREA)

Abstract

植物の成長および/または商品収量を増大させる方法が提供される。その方法は、その植物内で、配列番号3、5、6または7に記載のアミノ酸配列と少なくとも60%相同なアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現させることによって達成される。

Description

【0001】
発明の分野および背景
本発明は、増大した成長を特徴とする植物、ならびにその作出に役立つ方法および核酸コンストラクトに関する。
【0002】
作物の成長および生産性は商業栽培者にとって最も重要なパラメーターである。そのようなパラメーターは、例えばその植物の性質、植物内での資源配分、成長環境における資源の利用可能性、および病原体を含む他の生物との相互作用など、非常に多くの因子による影響を受ける。
【0003】
ほとんどの作物の成長および生産性は、カルボキシル化酵素リブロース1,5−二リン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(ルビスコ(Rubisco))にとってのCOの利用可能性によって制限される。そのような利用可能性は、COの周囲濃度および気孔伝導度、ならびにルビスコによるCO固定の速度(この酵素のKm(CO)およびVmaxによって決まる)によって決定される[31−33]。
【0004】
C3植物では、ルビスコが存在する部位におけるCO濃度が、とりわけ水ストレス条件下では、この酵素のKm(CO)よりも低くなる。したがって、例えば水ストレスが引き起こしうる気孔閉鎖などによって誘発される低CO条件にばく露されると、これらの作物は成長および生産性の大幅な低下を示す。
【0005】
多くの光合成微生物は、ルビスコが存在する部位にCOを濃縮する能力を持っているので、これによってCOに対するルビスコの親和性が低いことによって生じる制限を克服できる[34]。
【0006】
C4およびCAM生理群の高等植物も、空間的(C4の場合)または時間的(CAMの場合)に隔てられた二重のカルボキシル化によって、ルビスコが存在する部位におけるCO濃度を上昇させることができる。
【0007】
植物の成長および生産性は、とりわけC3作物の場合には、ルビスコにとってのCO利用可能性および固定速度に大きく依存しているので、植物内でのCO濃度または固定を増大させるために植物の遺伝子を改変する試みが、そのような改変が成長または収量の増加につながることを期待して、数多くなされてきた。
【0008】
したがって、数多くの研究が光合成細菌またはC4植物のCO濃縮機構をC3植物に導入しようと試みてきたが、それらは今までのところ、ほとんどまたは全く不成功に終わっている。
【0009】
例えば、ルビスコを遺伝子改変してCOに対するその親和性を高めようとする研究[35]や、C4代謝を担ういくつかの遺伝子によるC3植物(イネ)の形質転換[36−40]などが記載されている。
【0010】
そのようなアプローチは理論的にはC3植物におけるCO固定の増大をもたらしうるが、そのような研究から得られた結果は期待はずれだった。
【0011】
したがって、増大した成長および/または増加した商品収量を示す植物を作出する方法の必要性は広く認識されており、そのような方法を手に入れることは極めて有益であるだろう。
【0012】
発明の概要
本発明の一側面によれば、ある植物の成長および/または商品収量を増大させる方法であって、その植物内で、配列番号3、5、6または7に記載のアミノ酸配列と少なくとも60%相同なアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現させることを含む方法が提供される。
【0013】
本発明のもう一つの側面によれば、配列番号3、5、6または7に記載のアミノ酸配列と少なくとも60%相同なアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現させる形質転換植物であって、同様の成長条件下で生育した類似する非形質転換植物と比較して増大した成長を特徴とする形質転換植物が提供される。
【0014】
以下に説明する本発明の好ましい態様のさらなる特徴によれば、植物は、40%未満の湿度を特徴とする環境で生育される。
【0015】
本明細書に記載する好ましい態様のさらなる特徴によれば、植物は、空気中のCO濃度(空気中で約0.035%CO、溶液状態で10μM CO)と同等またはそれ未満のCO濃度を特徴とする環境で生育される。
【0016】
本明細書に記載する好ましい態様のさらなる特徴によれば、植物内におけるポリペプチドの発現は、そのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド領域を含む核酸コンストラクトで、植物細胞の少なくとも一部を形質転換することによって達成される。
【0017】
本明細書に記載する好ましい態様のさらなる特徴によれば、形質転換は、アグロバクテリウムを介した形質転換、ウイルス感染、エレクトロポレーションおよびパーティクルボンバードメントからなる群より選択される方法によって達成される。
【0018】
本明細書に記載する好ましい態様のさらなる特徴によれば、アミノ酸配列は、配列番号3、5、6、7に記載のとおりである。
【0019】
本明細書に記載する好ましい態様のさらなる特徴によれば、核酸コンストラクトは、トランジットペプチドをコードする第2のポリヌクレオチド領域をさらに含む。
【0020】
本明細書に記載する好ましい態様のさらなる特徴によれば、核酸コンストラクトは、第1ポリヌクレオチド領域の転写を指示するためのプロモーター配列をさらに含む。
【0021】
本明細書に記載する好ましい態様のさらなる特徴によれば、核酸コンストラクトは、第1および第2ポリヌクレオチド領域の転写を指示するためのプロモーター配列をさらに含む。
【0022】
本明細書に記載する好ましい態様のさらなる特徴によれば、プロモーターは真核細胞中で機能的である。
【0023】
本明細書に記載する好ましい態様のさらなる特徴によれば、プロモーターは構成的プロモーター、誘導性プロモーター、発生段階に応じて制御されるプロモーターおよび組織特異的プロモーターからなる群より選択される。
【0024】
本明細書に記載する好ましい態様のさらなる特徴によれば、植物はC3植物である。
【0025】
本明細書に記載する好ましい態様のさらなる特徴によれば、C3植物は、トマト、ダイズ、ジャガイモ、キュウリ、ワタ、コムギ、イネ、オオムギ、ヒマワリ、バナナ、タバコ、レタス、キャベツ、ペチュニア、アキノキリンソウおよびポプラからなる群より選択される。本明細書に記載する好ましい態様のさらなる特徴によれば、植物はC4植物である。
【0026】
本明細書に記載する好ましい態様のさらなる特徴によれば、C4植物は、トウモロコシ、サトウキビおよびモロコシ(sohrgum)からなる群より選択される。
【0027】
本明細書に記載する好ましい態様のさらなる特徴によれば、上記ポリペプチドを発現させる植物は、上記ポリペプチドを発現させない同様の植物と比較して、両者をCOが制限因子になる同様の成長条件下で生育した場合に、少なくとも10%は高い成長速度を特徴とする。
【0028】
本明細書に記載する好ましい態様のさらなる特徴によれば、成長速度は、増加した生体重、増加した乾物重、増加した根成長、増加したシュート成長、および経時的な花の発育からなる群より選択される少なくとも1つの成長パラメーターによって決定される。
【0029】
本明細書に記載する好ましい態様のさらなる特徴によれば、形質転換植物は、さらに、同様のCO制限条件下で生育した類似する非形質転換植物と比較して増加した商品収量を特徴とする。
【0030】
本発明のもう一つの側面によれば、(a)配列番号3、5、6または7に記載のアミノ酸配列と少なくとも60%相同なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする第1ポリヌクレオチド領域と、(b)プロモーターとして機能的である、真核細胞における第1ポリヌクレオチド領域の転写を指示するための、第2ポリヌクレオチド領域とを含む核酸発現コンストラクトが提供される。
【0031】
本明細書に記載する好ましい態様のさらなる特徴によれば、プロモーターは、構成的プロモーター、誘導性プロモーターおよび組織特異的プロモーターからなる群より選択される。
【0032】
本明細書に記載する好ましい態様のさらなる特徴によれば、プロモーターは植物プロモーターである。
【0033】
本明細書に記載する好ましい態様のさらなる特徴によれば、第1ポリヌクレオチド領域は、さらに、上記ポリペプチドに翻訳的に融合されたトランジットペプチドをコードする。
【0034】
本発明は、増大した成長を特徴とする植物ならびにその作出に役立つ方法および核酸コンストラクトを提供することにより、現在知られている構成の短所に、うまく対処するものである。
【0035】
図面の簡単な説明
本明細書では、一例として添付の図面を参照しながら、本発明を説明する。以下に図面に関して詳述するにあたって、本明細書に記載する詳細は単なる一例であって、本発明の好ましい態様をわかりやすく説明するために過ぎず、本発明の原理および概念的側面の最も有用で理解しやすい説明であると考えられる説明を行う目的で記載するものであることを強調しておく。この点に関して、本発明の構成上の特徴を、本発明の根本的理解に必要とされる以上に詳細に示そうとはしていないが、本発明のいくつかの形態を実際に体現する方法は、本明細書と図面とを合わせて考慮することにより、当業者には明白になる。
図1は、不活性化ライブラリー断片の挿入(星印で示す)が突然変異体IL−2の生成をもたらしたSynechococcus sp. PCC 7942中のゲノム領域の概略図である。DNA配列はGenBankアクセッション番号U62616として入手することができる。制限部位の印は次のとおりである:A−ApaI、B−BamHI、Ei−EcoRI、E−EcoRV、H−HincII、Hi−HindIII、K−KpnI、M−MfeI、N−NheI、T−TaqI。下線付きの文字は、プローブとして使用したDNA断片の終止位置を表す。EMBL3ライブラリーから単離された関連断片をE1、E2およびE3で表す。P1およびP2はPCRによって得られた断片である。三角印はKanをコードするカートリッジが挿入された部位を示す。オープンリーディングフレームを矢印で示し、他のタンパク質に対するそれらの類似性を注記してある。Sllおよびslr(4桁の数字が続いている)はSynechocystis sp. PCC 6803中の相同遺伝子[23];YZ02−myctu、アクセッション番号Q10536;ICC、アクセッション番号P36650;Y128−SYNP6、アクセッション番号P05677;YGGH、アクセッション番号P44648;sll0754およびP45141と相同なリボソーム結合因子A;sll0077およびNifSと相同なO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼである。ORF280はここに記載する概略図の上流から始まっていた。
図2は、ORF467(ICTB、配列番号2)とslr1515(SLR、配列番号4)との核酸配列アラインメントを示す。垂直線はヌクレオチドの一致を示す。ギャップはハイフンで示されている。アラインメントは、Blastソフトウェアを使用し、ギャップペナルティーを存在に関して10、伸長に関して10、平均マッチを10、平均ミスマッチを−5として行った。一致ヌクレオチドは56%である。
図3は、IctBタンパク質(ICTB、配列番号3)とslr1515がコードするタンパク質(SLR、配列番号5)とのアミノ酸配列アラインメントを示す。一致アミノ酸は整列した配列の間にその一文字記号で表し、類似アミノ酸は+記号によって示す。アラインメントは、Blastソフトウェアを使用し、ギャップ開始ペナルティーを11、ギャップ伸長ペナルティーを1、行列をblosum62として行った。一致アミノ酸は47%、類似アミノ酸は16%、総相同性は63%である。
図4a〜bは、Synechococcus PCC 7942(4a)および変異体IL−2(4b)によるCOおよびHCO 取り込みの速度を外部Ci濃度の関数として表したグラフである。LCおよびHCはそれぞれ低CO(空気)下または高CO(空気中5%CO)下で生育した細胞である。速度は、メンブレンインレット質量分析計(MIMS)を使った定常状態光合成中の測定から評価した[6,7,22]。
図5は、Synechococcus PCC 7942および突然変異体IL−2に見いだされるictBの一領域のDNA配列相同性比較を表す。この領域は、突然変異体では、1点交叉事象のせいで重複していた。野生型と比較すると、BamHI側には1個の追加ヌクレオチドと6ヌクレオチドの欠失とが見つかり、ApaI側では4個のヌクレオチドが欠失していた(図1参照)。これらの変化により、IctB中には、BamHI側およびApaI側のそれぞれ168アミノ酸後または80アミノ酸後に停止コドンが生じた。この図に示す配列はictBの69番目のアミノ酸から始まっている。
図6は、Clontech製のバイナリーベクターpBI121内に35Sプロモーター、エンドウ・ルビスコの小サブユニットに由来するトランジットペプチド(TP)(GeneBankアクセッション番号x04334のヌクレオチド座標329〜498。498位のGをTで置き換えたもの)、ictBコード領域、NOS終結配列およびカナマイシン耐性(Kn)を含む、本発明のトランスジェニック植物の作出に使用されるictBコンストラクトを示す。
図7は、ictBと18S rDNAの両方をプローブとして使用したトランスジェニックおよび野生型(w)シロイヌナズナおよびタバコ植物のノーザンブロット解析である。
図8は、細胞間CO濃度による影響を受ける野生型および本発明のトランスジェニックタバコ植物における光合成の速度を表す図。植物1および11がトランスジェニックである。
図9は、トランスジェニック(A、BおよびC)ならびに野生型(WT)シロイヌナズナ植物で行った成長実験を表す図。各生育鉢には1つの野生型植物と3つのトランスジェニック植物を植えた。データを植物の平均乾物重量±S.D.として記載する。成長条件は実施例の項で説明する。
【0036】
好ましい実施態様の説明
本発明は、増大した成長および/または果実収量および/または開花率を特徴とする植物を作出する方法、その方法によって作出される植物、およびそのような方法に利用される核酸コンストラクトの発明である。具体的に述べると、本発明は、C3植物の成長速度および/または果実収量を、特に低湿度および/または低CO濃度を特徴とする条件下で生育した場合に、大幅に増加させるために使用することができる。
【0037】
本発明の原理および作用は、図面とそれに付随する説明とを参照することにより、より良く理解されるだろう。
【0038】
本発明の少なくとも一つの態様を詳しく説明する前に、本発明が、その応用にあたって、以下に説明しまたは図面に示す構成の詳細および成分の配置に限定されないことを理解しておくべきである。本発明には他の態様も可能であり、本発明はさまざまな方法で実施または実行することができる。また、本明細書で使用する表現および用語は、説明のために使用されるのであって、これらを限定であるとみなしてはならない。
【0039】
作物の成長サイズ/速度および/または商品収量を増加させることは、とりわけ成長/栽培条件が例えば水不足などの理由で最適条件ではない地域では、最重要事である。
【0040】
本発明をなすにあたって、本発明者らは、ラン藻無機炭素輸送体をコードすると推定される外因性ポリヌクレオチドを発現させる植物が、とりわけ低湿度または低CO濃度を特徴とする条件下で生育した場合に、増大した成長を特徴とすることを、発見した。
【0041】
したがって本発明によれば、配列番号3、5、6または7に記載のアミノ酸配列と少なくとも60%相同なアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現させる形質転換植物が提供される。
【0042】
本発明の形質転換植物は、同様の成長条件下で生育した類似する非形質転換植物と比較して、増大した成長を特徴とする。
【0043】
本明細書で使用する「増大した成長」という語句は、増大した成長速度、あるいは植物もしくはその商品部分の生体重、乾物重またはサイズによって決定される植物体全体の、また好ましくはその植物の商品部分の、増加した成長サイズ/重量(増加した収量)を表す。
【0044】
下記実施例の項でさらに詳述するとおり、本発明の形質転換植物は、例えば、類似する非形質転換植物の成長速度と比較して、両植物を同様の成長条件下で生育した場合に、少なくとも10%高い成長速度を示す。
【0045】
本発明の好ましい態様によれば、上記ポリペプチドは、Blastソフトウェアを使用しギャップ開始ペナルティーを11、ギャップ伸長ペナルティーを1、行列をblosum62として決定した場合に、配列番号3、5、6もしくは7またはその一部に対して、少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも75%、さらに好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、理想的には95〜100%相同(一致+類似)である。
【0046】
本発明の好ましい態様によれば、上記成長条件は、40%未満の湿度および/または空気中のCO濃度より低いCO濃度を特徴とする。
【0047】
本発明の形質転換植物はどの植物であってもよく、例えばトマト、ダイズ、ジャガイモ、キュウリ、ワタ、コムギ、イネ、オオムギなどのC3植物、または例えばトウモロコシ、サトウキビ、モロコシ(sohrgum)などのC4植物を含むが、これらに限るわけではない。
【0048】
本発明の形質転換植物は、上述したポリペプチドをコードする核酸分子またはポリヌクレオチドを、植物の細胞に導入することによって作出される。
【0049】
そのような核酸分子またはポリヌクレオチドは、配列番号2、4、8または9の少なくとも一部分であって、増加した成長という形質をもたらすポリペプチドをコードしている部分に相当する配列を持つことができる。
【0050】
これに代えて、またはこれに加えて、核酸分子は、Blastソフトウェアを使用しギャップペナルティーを存在に関して10、伸長に関して10、平均マッチを10、平均ミスマッチを−5として決定した場合に、上記の部分と、少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも75%、さらに好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、理想的には95〜100%一致する配列を持つことができる。この点で、配列番号2、4、8または9を使って相同な配列を容易に単離することができ、それらを下記実施例の項で説明するようにその重炭酸イオン輸送活性について試験できることは理解されるだろう。そのような相同配列を単離する方法は、例えばSambrookら[9]などに詳しく説明されており、これにはハイブリダイゼーションおよびPCR増幅が含まれうる。
【0051】
さらに、上記に代えて、または上記に加えて、核酸分子は、配列番号2、4、8または9の上記部分とハイブリダイズする能力を有する配列を持つことができる。長い核酸(例えば長さが200bpを超える核酸)のハイブリダイゼーションは、本発明の好ましい態様では、ストリンジェントなハイブリダイゼーションまたは中等度のハイブリダイゼーションによって達成される。この場合、ストリンジェントなハイブリダイゼーションは、10%デキストラン硫酸、1M NaCl、1%SDSおよび5×10cpmの32P標識プローブを含むハイブリダイゼーション溶液により、65℃で行われ、最終洗浄は0.2×SSCおよび0.1%SDSの最終洗浄溶液を使って65℃で行われる。一方、中等度のハイブリダイゼーションは、10%デキストラン硫酸、1M NaCl、1%SDSおよび5×10cpmの32P標識プローブを含むハイブリダイゼーション溶液により、65℃で行われ、最終洗浄は1×SSCおよび0.1%SDSの最終洗浄溶液を使って50℃で行われる。
【0052】
好ましくは、本発明の核酸分子によってコードされるポリペプチドには、当該ポリペプチドを特定の膜に向かわせる働きをするN末端トランジットペプチドが融合されている。そのような膜は、例えば細胞膜であることができ、そこでは上記ポリペプチドが重炭酸イオンをアポプラストから細胞質内に輸送する働きをするだろう。また、そのような膜は、葉緑体の外膜および好ましくは内膜であることもできる。本明細書に記載するように機能するトランジットペプチドは当技術分野ではよく知られている。そのようなトランジットペプチドのさらに詳しい説明は、例えば、Johnsonら The Plant Cell(1990)2:525−532;Sauerら EMBO J.(1990)9:3045−3050;Muecklerら Science(1985)229:941−945;Von Heijne,Eur.J.Biochem.(1983)133:17−21;Yon Heijne,J.Mol.Biol.(1986)189:239−242;Iturriagaら The Plant Cell(1989)1:381−390;McKnightら,Nucl.Acid Res.(1990)18:4939−4943;MatsuokaおよびNakamura,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:834−838などに記載されている。「Recombinant proteins from plants」と題する最近の教科書(C.CunninghamおよびA.J.R.Porter編,1998,Humana Press,ニュージャージー州トトワ)には、植物内で組換えタンパク質を生産する方法および植物細胞内の異なるコンパートメントにタンパク質をターゲティングする方法が記載されている。CunninghamとPorterによるこの書籍は参照により本明細書に組み込まれる。しかし、多くの膜結合型タンパク質は取り外しの可能なトランジットペプチドを提示しないことも、当業者には理解されるだろう。そのような場合は、当該タンパク質内の一定のアミノ酸配列が、そのタンパク質の構造部分としてだけでなく、トランジットペプチドとしても働くと、一般に考えられている。
【0053】
好ましくは、本発明の核酸分子は、植物細胞を形質転換してその細胞内での本核酸分子の発現を可能にするためのベクターとして設計された核酸コンストラクト内に含まれる。
【0054】
植物発現は、内在ゲノム配列または細胞小器官ポリヌクレオチド配列(例えば葉緑体もしくはミトコンドリア)中に存在する植物プロモーターの下流に本発明の核酸分子を(好ましくは核酸コンストラクトを使って)導入し、よって植物細胞内でのその発現を可能にすることによって、達成することができる。
【0055】
そのような場合、核酸コンストラクトは、上記ゲノムまたは細胞小器官ポリヌクレオチド配列の特定のポリヌクレオチド領域またはランダムなポリヌクレオチド領域に本核酸分子を「ノックイン」できるようにする配列をさらに含む。
【0056】
好ましくは、本発明の核酸コンストラクトは、植物細胞内で本核酸分子の発現を指示するのに役立つ植物プロモーターをさらに含む。
【0057】
本明細書および特許請求の範囲で使用する「植物プロモーター」という語句は、植物細胞(DNA含有小器官を含む)内で遺伝子発現を指示することができるプロモーターを包含する。そのようなプロモーターは植物、細菌、ウイルス、真菌または動物から得ることができる。そのようなプロモーターは、構成的(すなわち複数の植物組織内で高レベルの遺伝子発現を指示する能力を持つプロモーター)でも、組織特異的(すなわち1つまたは複数の特定植物組織における遺伝子発現を指示する能力を持つプロモーター)でも、誘導性(すなわち刺激を受けて遺伝子発現を指示する能力を持つプロモーター)でも、キメラでもよい。
【0058】
したがって、使用する植物プロモーターは、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、誘導性プロモーターまたはキメラプロモーターであることができる。
【0059】
構成的植物プロモーターの例には、例えば、CaMV35SおよびCaMV19Sプロモーター、FMV34Sプロモーター、サトウキビ桿状バドナウイルスプロモーター、CsVMVプロモーター、シロイヌナズナ ACT2/ACT8アクチンプロモーター、シロイヌナズナ ユビキチンUBQ1プロモーター、オオムギ葉チオニンBTH6プロモーター、およびイネアクチンプロモーターなどがある。
【0060】
組織特異的プロモーターの例には、例えばマメ・ファゼオリン貯蔵タンパク質プロモーター、DLECプロモーター、PHSβプロモーター、ゼイン貯蔵タンパク質プロモーター、ダイズ由来のコングルチンガンマプロモーター、AT2S1遺伝子プロモーター、シロイヌナズナ由来のACT11アクチンプロモーター、セイヨウアブラナ由来のnapAプロモーター、およびジャガイモ・パタチン遺伝子プロモーターなどがある。
【0061】
誘導性プロモーターは、特定の刺激、例えば光、温度、化学物質、干ばつ、高塩分、浸透圧ショック、酸化的条件を含むストレス条件などによって誘導される、または発病時に誘導される、プロモーターであり、例えばエンドウrbcS遺伝子由来の光誘導性プロモーター、アルファルファrbcS遺伝子由来のプロモーター、干ばつ時に活性なプロモーターDRE、MYCおよびMYB、高塩分および浸透圧ストレス時に活性なプロモーターINT、INPS、prxEa、Ha hsp17.7G4およびRD21、ならびに病原体ストレス時に活性なプロモーターhsr203Jおよびstr246Cなどがこれに含まれる。
【0062】
本発明の核酸コンストラクトは、好ましくは、広宿主域原核生物複製起点、原核生物選択可能マーカー、そしてアグロバクテリウム形質転換の場合は、植物染色体へのアグロバクテリウムを介した導入のためのT−DNA配列を与える追加ポリヌクレオチド領域を、さらに含む。異種配列を容易に検出しがたい場合、コンストラクトは、好ましくは、植物細胞が形質転換されたかどうかを決定するのに適した選択可能マーカー遺伝子も持つだろう。イネ科の植物に適したマーカーの一般論は、WilminkおよびDons,Plant Mol.Biol.Reptr.(1993)11:165−185に記載されている。
【0063】
適切な原核生物選択可能マーカーとして、アンピシリン、カナマイシンまたはテトラサイクリンなどの抗生物質に対する耐性が挙げられる。当技術分野では知られているように、ベクター中には、追加の機能をコードする他のDNA配列も存在しうる。
【0064】
植物ゲノムへの異種配列の組込みを可能にするのに適した配列も推奨される。これらは、植物ゲノムへの異種発現カセットのランダム挿入を可能にするトランスポゾン配列ならびにTi配列を含むかもしれない。
【0065】
本発明の核酸コンストラクトを利用して植物細胞を安定にまたは一過性に形質転換することができる。安定形質転換の場合、本発明の核酸分子は植物ゲノムに組み込まれるので、これは安定な遺伝形質になる。一過性形質転換の場合、核酸分子は形質転換された細胞によって発現されるが、ゲノムには組み込まれないので、これは一過性の形質になる。
【0066】
単子葉植物および双子葉植物に外来遺伝子を導入するには、さまざまな方法がある(Potrykus,I.,Annu.Rev.Plant.Physiol.,Plant.Mol.Biol.(1991)42:205−225;Shimamotoら,Nature(1989)338:274−276)。
【0067】
植物ゲノムDNAへの外因性DNAの安定な組込みを引き起こす原理的方法には、主なアプローチが2つある。すなわち、
(i)アグロバクテリウムを介した遺伝子導入:Kleeら (1987)Annu.Rev.Plant Physiol.38:467−486;KleeおよびRogers「Cell Culture and Somatic Cell Genetics of Plants,Vol.6,Molecular Biology of Plant Nuclear Genes」(Schell,J.およびVasil,L.K.編,Academic Publishers,カリフォルニア州サンディエゴ,1989)の2〜25頁;Gatenby「Plant Biotechnology」(Kung,S.およびArntzen,C.J.編,Butterworth Publishers,マサチューセッツ州ボストン,1989)の93〜112頁と、
(ii)直接DNA取り込み:Paszkowskiら「Cell Culture and Somatic Cell Genetics of Plants,Vol.6,Molecular Biology of Plant Nuclear Genes」(Schell,J.およびVasil,L.K.編,Academic Publishers,カリフォルニア州サンディエゴ,1989)の52〜68頁;例えばプロトプラストへのDNAの直接取り込み法:Toriyama,K.ら (1988)Bio/Technology 6:1072−1074;植物細胞の短い電気ショックによって誘発されるDNA取り込み:Zhangら Plant Cell Rep.(1988)7:379−384;Frommら Nature(1986)319:791−793;パーティクルボンバードメントによる植物細胞または植物組織へのDNA注入:Kleinら Bio/Technology(1988)6:559−563;McCabeら Bio/Technology(1988)6:923−926;Sanford,Physiol.Plant.(1990)79:206−209;マイクロピペットシステムを使用する方法:Neuhausら,Theor.Appl.Genet.(1987)75:30−36;NeuhausおよびSpangenberg,Physiol.Plant.(1990)79:213−217;またはDNAと発芽花粉との直接インキュベーションによる方法:DeWetら「Experimental Manipulation of Ovule Tissue」(Chapman,G.P.,Mantell,S.H.およびDaniels,W.編,Longman,ロンドン,1985)の197〜209頁;Ohta,Proc.Natl.Acad.Sci. USA(1986)83:715−719など
である。
【0068】
アグロバクテリウム系には、植物ゲノムDNAに組み込まれる明確なDNAセグメントを含むプラスミドベクターの使用が含まれる。植物組織の接種方法は植物の種およびアグロバクテリウム送達系によって異なる。広く使用されているアプローチはリーフディスク法であり、これは植物体全体の分化の開始にとって良い出発点となる任意の組織外植片を使って行うことができる。Horschら「Plant Molecular Biology Manual A5」(Kluwer Academic Publishers, ドルドレヒト, 1988)の1〜9頁。補足的アプローチでは、アグロバクテリウム送達系を、真空浸透と組み合わせて使用する。アグロバクテリウム系はトランスジェニック双子葉植物の作出にはとりわけ実用的である。
【0069】
植物細胞にDNAを直接導入するには、さまざまな方法がある。エレクトロポレーションでは、プロトプラストを強い電場に短時間ばく露する。マイクロインジェクションでは、極めて小さいマイクロピペットを使ってDNAを細胞中に直接機械的に注入する。微粒子ボンバードメントでは、硫酸マグネシウム結晶またはタングステン粒子などのマイクロプロジェクタイルにDNAを吸着させ、そのマイクロプロジェクタイルを物理的に加速して細胞または植物組織内に打ち込む。
【0070】
安定形質転換に続いて、植物の繁殖を行う。最も一般的な植物繁殖法は種子による方法である。しかし、種子はメンデルの法則の支配を受ける遺伝分散に従って植物により産生されるので、種子繁殖による再生には、ヘテロ接合性ゆえに収穫物が均一性に欠けるという欠点がある。基本的に、各種子は遺伝的に異なり、それぞれが独自の形質を持って成長する。したがって、再生された植物が、親トランスジェニック植物と同じ形質および特徴を持つように形質転換植物を作出することが好ましい。したがって形質転換植物は、形質転換植物の迅速で一貫した再生をもたらす微細繁殖によって再生されることが好ましい。
【0071】
微細繁殖は、選択された親植物または栽培品種から切除された単一の組織片から新世代植物を成長させる方法である。この方法により、融合タンパク質を発現させる好ましい組織を持つ植物の大量再生が可能になる。生成する新世代植物は元の植物と遺伝的に同一であり、元の植物の特徴をすべて持っている。微細繁殖により、高品質な植物材料を短期間で大量に生産することができ、元のトランスジェニック植物または形質転換植物の特徴を保存する上で、選択した栽培品種を素早く増殖させることができる。植物をクローン化することの利点は、植物増殖のスピードと、生産される植物の品質および均一性である。
【0072】
微細繁殖は、段階間で培養培地または成長条件の変更を必要とする多段階法である。したがって微細繁殖法には4つの基本的段階、すなわち第1段階(初期組織培養)、第2段階(組織培養増殖)、第3段階(分化および植物形成)ならびに第4段階(温室栽培およびハードニング)が含まれる。第1段階(初期組織培養)では組織培養を樹立し、夾雑物の不在を証明する。第2段階では、生産目標を満たすのに十分な組織試料が得られるまで、初期組織培養を増殖させる。第3段階では、第2段階で成長させた組織試料を分割し、個々の小植物体に成長させる。第4段階では、形質転換小植物体をハードニング用の温室に移し、自然環境でも生育できるように、光に対する植物の耐性を徐々に増加させる。
【0073】
今のところは安定形質転換が好ましいが、本発明では、葉細胞、分裂細胞または植物体全体の一過性形質転換も考えられる。
【0074】
一過性形質転換は、上述の直接DNA導入法のいずれか、または改変植物ウイルスを使ったウイルス感染によって達成することができる。
【0075】
植物宿主の形質転換に役立つことが示されているウイルスには、例えばCaMV、TMVおよびBVがある。植物ウイルスを使った植物の形質転換は、米国特許第4855237号(BGV)、EP−A 67553(TMV)、特表昭63−14693(TMV)、EPA 194809(BV)、EPA 278667(BV)、およびGluzman, Y.ら「Communications in Molecular Biology: Viral Vectors」コールドスプリングハーバー研究所、ニューヨーク、p.172−189(1988)に記載されている。植物を含む多くの宿主で外来DNAを発現させるためのシュードウイルス粒子は、WO87/06261に記載されている。
【0076】
非ウイルス外因性核酸配列を植物に導入し植物内で発現させるための植物RNAウイルスの構築は、上記の文献ならびにDawson,W.O.ら,Virology(1989)172:285−292;Takamatsuら EMBO J.(1987)6:307−311;Frenchら Science(1986)231:1294−1297;およびTakamatsuらFEBS Letters(1990)269:73−76によって実証されている。
【0077】
ウイルスがDNAウイルスである場合は、ウイルス自体に適切な改変を施すことができる。あるいは、外来DNAを持つ望ましいウイルスベクターの構築が容易になるようにウイルスをまず細菌プラスミドにクローニングすることもできる。次に、ウイルスをそのプラスミドから切り出すことができる。ウイルスがDNAウイルスである場合は、細菌の複製起点をウイルスDNAに結合し、それを細菌によって複製させることができる。このDNAの転写および翻訳により、ウイルスDNAを包むコートタンパク質が産生されるだろう。ウイルスがRNAウイルスである場合は、一般的にはcDNAとしてウイルスをクローニングし、プラスミドに挿入する。次に、そのプラスミドを使って構築のすべてを行うことができる。次に、プラスミドのウイルス配列を転写することによってRNAウイルスを生成し、ウイルス遺伝子の翻訳によってウイルスRNAを包むコートタンパク質を産生させる。
【0078】
本発明のコンストラクトに含まれるような非ウイルス外因性核酸配列を植物に導入し植物内で発現させるための植物RNAウイルスの構築は、上記の文献および米国特許第5316931号によって実証されている。
【0079】
ある態様では、天然のコートタンパク質コード配列をウイルス核酸から欠失させて、植物宿主内での発現、組換え植物ウイルス核酸のパッケージング、および組換え植物ウイルス核酸による宿主の全身感染の確保が可能な非天然植物ウイルスコートタンパク質コード配列および非天然プロモーター(好ましくは非天然コートタンパク質コード配列のサブゲノムプロモーター)を挿入した植物ウイルス核酸を用意する。あるいは、タンパク質が産生されるように非天然核酸配列をコートタンパク質遺伝子内に挿入することによって、コートタンパク質遺伝子を不活性化してもよい。組換え植物ウイルス核酸は、1つまたは複数の追加非天然サブゲノムプロモーターを含んでもよい。各非天然サブゲノムプロモーターは、植物宿主内で隣接する遺伝子または核酸配列を転写または発現させることができ、互いに組換えを起こしたり、天然サブゲノムプロモーターと組換えを起こしたりすることはできない。非天然(外来)核酸配列は、天然植物ウイルスサブゲノムプロモーターに隣接して挿入するか、または2以上の核酸配列が含まれている場合には、天然および非天然植物ウイルスサブゲノムプロモーターに隣接して挿入することができる。非天然核酸配列はサブゲノムプロモーターの制御下に宿主植物内で転写または発現されて、所望の産物を産生する。
【0080】
第2の態様では、天然コートタンパク質コード配列が非天然コートタンパク質コード配列の代わりに非天然コートタンパク質サブゲノムプロモーターの一つに隣接している点以外は第1の態様と同様の組換え植物ウイルス核酸を用意する。
【0081】
第3の態様では、天然コートタンパク質遺伝子がそのサブゲノムプロモーターに隣接しており、1つまたは複数の非天然サブゲノムプロモーターがウイルス核酸に挿入されている組換え植物ウイルス核酸を用意する。挿入される非天然サブゲノムプロモーターは、植物宿主内で隣接する遺伝子を転写または発現させることができ、互いに組換えを起こしたり、天然サブゲノムプロモーターと組換えを起こしたりすることはできない。非天然核酸配列は、非天然サブゲノム植物ウイルスプロモーターに隣接して、その配列が当該サブゲノムプロモーターの制御下に宿主植物中で転写または発現されて所望の産物が産生されるように挿入することができる。
【0082】
第4の態様では、天然コートタンパク質コード配列が非天然コートタンパク質コード配列で置換されている点以外は第3の態様と同様の組換え植物ウイルス核酸を用意する。
【0083】
ウイルスベクターは、組換え植物ウイルス核酸がコードするコートタンパク質によって包まれて、組換え植物ウイルスを生じる。組換え植物ウイルス核酸または組換え植物ウイルスを使って適当な宿主植物を感染させる。組換え植物ウイルス核酸は宿主中で複製し、宿主全体に広がり、宿主内で外来遺伝子(単離された核酸)を転写または発現させて、所望のタンパク質を産生させる能力を持つ。
【0084】
上記の他に、本発明の核酸分子を葉緑体ゲノムに導入して、葉緑体で発現させることもできる。
【0085】
外因性核酸配列を葉緑体のゲノムに導入する技術は知られている。この技術には以下の手順が含まれる。第1に、1細胞あたりの葉緑体数がおよそ1個まで減少するように、植物細胞を化学的に処理する。次に、少なくとも1つの外因性核酸分子を葉緑体に導入する目的で、外因性核酸をパーティクルボンバードメントによって細胞中に導入する。外因性核酸は、葉緑体に固有の酵素によって容易に達成される相同組換えによって葉緑体ゲノム中に組み込まれうるように選択される。そのために、外因性核酸は、目的とする遺伝子の他に、葉緑体のゲノムに由来する少なくとも1つの核酸ストレッチを含む。さらに、外因性核酸は選択可能マーカーを含む。この選択可能マーカーは、逐次選択操作によって、そのような選択後に葉緑体ゲノムのコピーのすべてまたは実質上すべてが外因性核酸を含むことを確かめるのに役立つ。この技術に関するさらなる詳細は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4945050号および第5693507号に記載されている。このように、ポリペプチドを葉緑体のタンパク質発現系によって産生させて、葉緑体の内膜に組み込ませることができる。
【0086】
このように本発明は、方法、核酸コンストラクト、ならびにそのような方法およびコンストラクトを使って作出される形質転換植物であって、増大した成長速度および/または増加した商品収量を特徴とする形質転換植物を提供する。
【0087】
本発明のさらなる目的、利点、および新規な特徴は、限定を意図しない以下の実施例を精査すれば、当業者には明らかになるだろう。また、上に説明し特許請求の範囲に記載する本発明のさまざまな態様および側面については、それぞれにその実験的裏付けを、以下の実施例に見いだすことができる。
実施例
次に、下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明とともに、本発明を非限定的な様式で例示する。
一般に、本明細書中で使用される命名法および本発明において用いられる実験室手順には、分子的技術、生化学的技術、微生物学的技術および組換えDNA技術が含まれる。そのような技術は文献に詳細に説明されている。例えば、「Molecular Cloning:A laboratory Manual」、Sambrook他(1989);「Current Protocols in Molecular Biology」、第I巻〜第III巻、Ausubel,R.M.編(1994);Ausubel他、「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley and Sons、Baltimore、Maryland(1989);Perbal、「A Practical Guide to Molecular Cloning」、John Wiley&Sons、New York(1988);Watson他、「Recombinant DNA」、Scientific American Books、New York;Birren他(編)、「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」、第1巻〜第4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York(1998);米国特許第4666828号、同第4683202号、同第4801531号、同第5192659号および同第5272057号に示されるような方法論;「Cell Biology:A Laboratory Handbook」、第I巻〜第III巻、Cellis,J.E.編(1994);「Culture of Animal Cells−A Manual of Basic Technique」、Freshney, Wiley−Liss,N.Y.(1994)、第3編;「Current Protocols in Immunology」、第I巻〜第III巻、Coligan J.E.編(1994);Stites他(編)、「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton&Lange、Norwalk、CT(1994);MishellおよびShiigi(編)、「Selected Methods in Cellular Immunology」、W.H.Freeman and Co.、New York(1980)を参照のこと。様々な利用可能な免疫アッセイが特許および科学文献に広範囲に記載されている:例えば、米国特許第3791932号、同第3839153号、同第3850752号、同第3850578号、同第3853987号、同第3867517号、同第3879262号、同第3901654号、同第3935074号、同第3984533号、同第3996345号、同第4034074号、同第4098876号、同第4879219号、同第5011771号および同第5281521号;「Oligonucleotide Synthesis」、Gait,M.J.編(1984);「Nucleic Acid Hybridization」、Hames,B.D.およびHiggins S.J.編(1985);「Transcription and Translation」、Hames,B.D.およびHiggins S.J.編(1984);「Animal Cell Culture」、Freshney,R.I.編(1986);「Immobilized Cells and Enzymes」、IRL Press(1986);「A Practical Guide to Molecular Cloning」、Perbal,B.(1984)、および「Methods in Enzymology」、第1巻〜第317巻、Academic Press;「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press、San Diego、CA(1990);Marshak他、「Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual」、CSHL Press(1996)。これらはすべて、全体が本明細書中に示されているかのように参考として組み込まれる。他の一般的な参考文献がこの文書中に示されている。参考文献中の手順は、この分野では十分に知られていると考えられ、そして読者の便宜のために提供される。参考文献に含まれる情報はすべて、参考として本明細書中に組み込まれる。
【0088】
実施例1
ictBの単離および特徴付け
材料および実験方法
成長条件:
Synechococcus sp. PCC 7942株およびその突然変異体IL−2の培養物は、20mM Hepes−NaOH pH7.8および25μg・mL−1カナマイシン(突然変異体の場合)を添加したBG11培地中、30℃で生育させた。空気中の5%(v/v)CO(高CO)、または空気をCO非含有空気と1:1の割合で混合することによって調製した空気中の0.0175%(v/v)COで、培地を曝気した。大腸菌(DH5α株)は、必要に応じてカナマイシン(50μg/mL)またはアンピシリン(50μg/mL)を添加したLB培地[9]で生育させた。
【0089】
光合成およびCi取り込みの測定
無機炭素(Ci)依存的O発生の速度は、他の文献に記載されているようにO電極[10]によって、およびメンブレンインレット質量分析計(MIMS[6,11])によって測定した。MIMSは定常状態光合成中のCOおよびHCO 取り込みの評価にも使用した[6]。COまたはHCO の供給に続くCiフラックスは、濾過遠心分離技術[10]によって決定した。実験を行う12時間前に、対数増殖期の高CO生育細胞を低または高COに移した。収集した後、細胞を25mM Hepes−NaOH pH8.0に再懸濁し、100μmol光子量・m−2・s−1の光束下に空気(Ci濃度は約0.4mMだった)で曝気した。一部を抜き取り、直ちに遠心管に入れ、同様の光および温度条件下に保った。最終Ci濃度に影響を及ぼさない少量の14C−COまたは14C−HCO を注入し、5秒後に遠心分離によってCi取り込みを停止させた。
【0090】
一般的DNA操作:
ゲノムDNAは、他の文献に記載されているように単離した[12]。クローニングおよびサザン解析には、標準的な組換えDNA技術を使用し[12−13]、Random Primed DNA Labeling KitまたはDIGシステム(Boehringer, Mannheim)を使った。配列解析はDye Terminatorサイクルシークエンシングキット、ABI Prism(377DNAシークエンシング Perkin Elmer)を使って行った。ここで使用したゲノムライブラリーは、Stratagene(カリフォルニア州ラホーヤ)から入手できるLambda EMBL3/BamHIベクターキットを使って構築した。
【0091】
突然変異体IL−2の構築および単離
DolganovおよびGrossman[14]が開発した方法の変法を使って、新しい高CO要求突然変異体を生成させて、単離した[4,5]。簡単に述べると、ゲノムDNAをTaqIで消化し、改変ブルースクリプト SKプラスミドのポリリンカーのAccI部位に連結した。ブルースクリプト由来のアンピシリン耐性付与遺伝子は、カナマイシン耐性(Kan[8])をコードするカートリッジの(ScaI部位への)挿入によって不活性化した。そのライブラリーをSynechococcus sp. PCC 7942株細胞にトランスフェクトした[12]。Kanを付与する1点交叉事象により、さまざまな遺伝子の不活性化が起こった。Kan細胞を低CO条件に8時間ばく露して適応させた後、アンピシリン処理(400μg/mL)を12時間行った。低COに適応する能力を持ち、したがってこれらの条件下で成長することができる細胞は、この処理によって排除された。低CO条件下で分裂することができない高CO要求突然変異体IL−2は、高CO濃度存在下でのアンピシリンの除去および成長後に、生き残り、これを回収した。
【0092】
突然変異体IL−2からの関連損傷ゲノム領域のクローニング
突然変異体から単離したDNAを、ポリリンカー中のAccI部位の一方の側に位置するApaI、AccI部位の他方の側に位置するBamHIもしくはEcoRI、またはベクターもKanカートリッジも切断しないMfeIで消化した。これらの酵素はゲノムDNAも切断した。消化されたDNAを自己連結させた後、コンピテントE.coli細胞(DH5α株)のトランスフェクションを行った。次に、複製起点、Kanカートリッジおよび不活性化された遺伝子の一部を含むベクター配列を持つKanコロニーを単離した。この方法を使って、突然変異体に挿入されたベクターの両側の隣接領域をクローニングした。プラスミドから単離された1.3Kbp ApaI断片および0.8Kbp BamHI断片(1つのApaI部位およびBamHI部位はベクターポリリンカーに由来)を、野生型ゲノムのEMBL3ゲノムライブラリー中の関連クローンを同定するためのプローブおよびサザン解析用のプローブとして使用した。野生型ゲノム(配列番号1)におけるこれらの断片の位置を図1に示す。ApaI断片は、図1におよびで示す(配列番号1の)1600位と2899位の間にあり、BamHI断片は、図1におよびで示す(配列番号1の)4125位と4957位の間にある。0.8Kbp BamHI断片は1.6Kbp HincII断片(図1にE3で示す)とハイブリダイズした。1.3Kbp ApaI断片は約6KbpのEcoRI断片とハイブリダイズした。興味深いことに、この断片はゲノムライブラリーからE.coliにはクローニングできなかった。そこで、BamHI部位(2348位、配列番号1、図1)を使って、EMBL3クローンを、4.0Kbpと1.8Kbpの2つのクローニング可能な断片(それぞれE1およびE2、E1は図1の開始点にあるHindIIIの上流に位置するSau3Aから始まっている)に分割した。これら3つの断片が実際に図1に示すように位置しているという証拠は、野生型DNAをテンプレートとして使用するPCR(断片P1およびP2(図1)の合成をもたらす)によって得た。配列解析により、IL−2中の関連領域を野生型の対応する配列と比較することが可能になった。
【0093】
IL−2突然変異体の生理学的解析:
IL−2突然変異体は高CO濃度の存在下では野生型細胞とほぼ同じように成長したが、低CO下では成長することができなかった。光合成速度を外部Ci濃度の関数として解析したところ、IL−2突然変異体の見かけの光合成親和性は20mM Ciであることがわかった。これは低CO条件でのCiの濃度より約100倍高い。IL−2におけるCi濃度の関数としての光合成速度に関する曲線は、Synechococcus PCC 7942の他の高CO要求突然変異体で得られる曲線と似ていた[16,17]。これらのデータから、IL−2が低CO下で成長することができないのは、この突然変異体の光合成能力が低いためであることが示唆された。
【0094】
このような特徴を示す高CO要求突然変異体は、異常カルボキシソームを持つ突然変異体[9,10,12,18,19]またはCi取り込みの活性化に欠陥を持つ突然変異体[20,21]に認められている。現在までに特徴づけられたカルボキシソーム欠損突然変異体はすべて、野生型細胞と同様に細胞内にCiを蓄積することができた。しかし、これらの変異体は、低COにばく露された突然変異体細胞中のルビスコの活性化状態が低いために、そのCiを光合成に効率よく利用することができなかった[10]。これは、正常なカルボキシソームを持つがHCO 取り込みに障害を示す突然変異体IL−2には当てはまらなかった(表1、図4a〜b)。14Ci蓄積の測定により、高COで生育した野生型と突然変異体とでは、HCO およびCO取り込みは類似していることがわかった(表1)。
【表1】
Figure 2004531252
【0095】
成長培地中のCO濃度による影響を受けるSynechococcus sp. PCC 7942および突然変異体IL−2におけるCO取り込みおよびHCO 取り込みの速度。高CO条件下で生育した細胞または低COに12時間ばく露した細胞の一方向COまたはHCO 取り込みを、細胞内に蓄積したCi μmol・mg−1 Chl・h−1で表す。記載する結果は3回の異なる実験(各実験では4つのレプリカを使用)の平均値であり、データの範囲は平均の±10%以内だった。WT=野生型。
【0096】
野生型細胞によるHCO の取り込みは、低CO条件に12時間ばく露した後、約6倍増加した。これに対し、同じ処理を行っても、IL−2突然変異体の場合は、HCO 取り込みが2倍までしか増加しなかった。COの取り込みは、高CO条件から低CO条件への移行後に、野生型でもIL−2突然変異体でも約50%増加した。これらのデータは、突然変異体IL−2ではHCO 輸送が損なわれており、CO取り込みは損なわれていなかったことを示している。
【0097】
定常状態光合成時にMIMS[7,22]によって見積もったHCO 取り込みのVmax(図4a)は、高COおよび低COで生育した野生型の場合、それぞれ220および290μmol HCO ・mg−1 Chl・h−1であり、対応するK1/2(HCO )はそれぞれ0.3および0.04mM HCO だった。これらの推定値は、先に報告された値とよく一致している[7]。これに対して、高COで生育した突然変異体IL−2では、HCO 輸送系が見かけ上不活性だった。HCO 濃度の関数としてのHCO 輸送速度に関する曲線は、予想される可飽和速度論(野生型に見られるもの)とは似ておらず、拡散による過程で予想されるような線形依存性に近かった(図4b)。野生型が示すVmaxに似たHCO 取り込みの速度を達成するには、培地中のHCO の濃度を25mMという高い値にまで上昇させることが不可欠だった。
【0098】
高COで生育した野生型およびIL−2によるCO取り込みの推定Vmaxはどちらも約130〜150μmol CO・mg−1 Chl・h−1で同等であり、K1/2(CO)値は約5μMだったことから(図4a〜b)、IL−2における突然変異によってCO取り込みが受ける影響ははるかに少ないことがわかった。低COに12時間ばく露した突然変異体細胞は、HCO 取り込みに関して可飽和速度論を示したことから、運搬体の関与が示唆された。しかし、K1/2(HCO )は4.5mM HCO (すなわち高COおよび低COで生育した野生型のそれぞれ1/15および1/100)であり、Vmaxは約200μmol HCO ・mg−1 Chl・h−1だった。これらのデータは、突然変異体において高親和性HCO 取り込みが失活した後に活性化されまたは利用される低親和性HCO 輸送体が存在することを示している。低親和性輸送体の活性は、低COにばく露した突然変異体に見られる可飽和輸送速度論をもたらした。これらのデータにより、本突然変異体が低COシグナルに応答できることも証明された。
【0099】
使用した上記2つの方法で得られるデータが、高CO条件下で生育した野生型および突然変異細胞におけるHCO 取り込みに関して一致しない理由は、完全にはわかっていない。MIMS法では、HCO 取り込みが正味の光合成とCO取り込みとの差として評価されるという事実に関係しているのかもしれない[6,7,22]。したがって、突然変異体が正味の光合成を示さない3mM未満のCi濃度では、HCO 取り込みをゼロとして計算した(図4a〜b)。これに対して、ここで使用した濾過遠心分離技術では、同位体交換により、定常状態に近い一方向HCO 輸送を測定したが、結果のばらつきの一部はこれによって説明することができる。それにもかかわらず、どちらの方法によって得られたデータも、低COにばく露された突然変異細胞におけるHCO 取り込みの著しい阻害を、明確に示している。突然変異体が低COに順化する間にHCO 取り込みの特徴が変化したのに対して、CO輸送は影響を受けなかったというのは興味深いことである(図4a〜b)。したがって、IL−2の高CO要求表現型は、低COへの非順化ではなく、HCO 輸送体の突然変異によって生じると考えられる。
【0100】
IL−2突然変異体のゲノム解析
IL−2はHCO 輸送が損なわれているので、これを使って、高親和性HCO 取り込みに関与する関連ゲノム領域を同定し、クローン化した。図1は、1点交叉組換え事象(星印で示す)による不活性化ベクターの挿入がIL−2突然変異体をもたらしたSynechococcus sp. PCC 7942中のゲノム領域の概略図を表す。配列解析(GenBankアクセッション番号U62616、配列番号1)によって、いくつかのオープンリーディングフレーム(図1の説明で特定する)が同定されたが、その一部はSynechocystis PCC 6803で同定されたものに似ている[23]。野生型のDNA配列を、突然変異体IL−2中の2つの反復領域(1点交叉によるもの)のDNA配列と比較したところ、後者にいくつかの変異が確認された。これには、ApaI側の4ヌクレオチドの欠失、およびBamHI側の6ヌクレオチドの欠失と1bpの付加が含まれていた(図5)。これらの変異の理由はわからないが、これらはゲノムDNAと不活性化ライブラリー中のインサートを持つスーパーコイルプラスミドとの1点交叉組換え中に生じたものである。Synechococcus sp. PCC 7942の突然変異体JR12の高CO要求表現型も、ベクターの一部およびゲノム領域の一部が1点交叉事象中に欠失し、それが低CO下でのプリン生合成の欠損につながったことによってもたらされた[24]。
【0101】
図5に示す変異は、IL−2におけるORF467(配列番号1のヌクレオチド2670−4073、配列番号2)の両コピーの不活性化につながるフレームシフトをもたらした。それぞれ2919位および3897位(配列番号1)にあるORF467中のEcoRV部位またはNheI部位へのKanカートリッジの挿入(図1に三角印で示す)により、野生型よりはかなり(約50%)遅いものの低CO条件下にカナマイシンの存在下で成長する能力を持つ突然変異体が得られた。これらの突然変異体のサザン解析により、それらが部分二倍体であること、すなわち野生型ゲノム領域と突然変異型ゲノム領域の両方を含むことが、明確に示された。
【0102】
図2および図3は、ictBと、遺伝子バンク中に同定されたictBに最も似ている配列slr1515との、それぞれ核酸およびアミノ酸アラインメントを示す。これらの核酸配列間の一致ヌクレオチド(図2)は56%、これらのアミノ酸配列間の一致アミノ酸(図3)は47%、これらのアミノ酸間の類似アミノ酸(図3)は16%であって、両者の間の総相同性は63%になる(図3)ことに注目されたい。膜貫通ドメインなしで解析すると、これらのアミノ酸配列間で一致するアミノ酸は40%、これらのアミノ酸配列間で類似するアミノ酸は12%であって、両者の間の総相同性は52%になる。
【0103】
実施例2
ictB−推定無機炭素輸送体
ORF467がコードするタンパク質(配列番号3)は10個の推定膜貫通領域を含み、膜結合型タンパク質である。これは、E.coliのNa/パントテン酸共輸送体(アクセッション番号P16256)を含むいくつかの酸化還元タンパク質に対してある程度相同である。Naイオンはラン藻におけるHCO 取り込みにとって不可欠であり、Na/HCO 共輸送の関与の可能性が議論されている[3,25,26]。第4膜貫通ドメインの配列は、最も外側にある2つの位置がORF467では保存的変化で置換されている点以外はATPシンターゼのサブユニットC中のDCCD結合モチーフと類似する領域を含んでいる。多くの輸送タンパク質がORF467の遺伝子産物に相同であることからも、これがおそらくはHCO 取り込みに関与する輸送タンパク質であることが示唆される。ORF467をここではictB(inorganic carbon transport(無機炭素輸送)Bの略[27])と呼ぶ。
【0104】
低COにばく露したSynechococcus PCC 7942の細胞質膜中に蓄積する42kDaポリペプチドをコードするcmpA[28]と、硝酸塩輸送に関与するnrtA[29]との配列類似性から、CmpAはHCO 輸送に従事するABC型輸送体のペリプラスム部分である可能性が生じた[21,42]。しかしcmpAの不活化は、正常空気COレベルで成長するというSynechococcus PCC7942[30]およびSynechocystis PCC6803[21]の能力には影響を及ぼさなかったが、空気中20ppmのCOでは成長が減少した[21]ことから、この42kDaポリペプチドの役割ははっきりしていない。Synechococcus sp. PCC 7942は、cmpAによってコードされるもの、IctB、および低COにばく露された突然変異体IL−2細胞で発現される、その正体がまだ解明されていないもの、という3種類のHCO 運搬体を持っている可能性がある。これらの輸送体により、細胞はさまざまな環境条件下で無機炭素供給を維持することができる。
【0105】
実施例3
ictBを発現させるトランスジェニック植物
ictBのコード領域を、強力なプロモーター(CaMV35S)の下流およびエンドウ・ルビスコ小サブユニットのトランジットペプチドの下流に、トランジットペプチドとインフレームでクローニングした。この発現カセットをベクター配列に連結して、図6に示すコンストラクトを作製した。
【0106】
アグロバクテリウム法を使って、シロイヌナズナ thalianaおよびタバコ植物を、上記の発現カセットで形質転換した。野生型およびトランスジェニックシロイヌナズナ植物の実生を発芽させ、湿潤条件下で10日間栽培した。次に、各鉢が1つの野生型植物と3つのトランスジェニック植物とを含むように、実生を鉢に移した。鉢を2つの生育箱(Binder,ドイツ)に置き、20〜21℃、200マイクロモル光子・m−2・秒−1(9時間:15時間、明:暗)で生育した。相対湿度は一方の生育箱では30〜35%に保ち、他方の生育箱では70〜75%に保った。成長実験では、18日間の生育後に植物を両方の生育箱から収集した。植物を素早く秤量し(生体重)、乾燥重を決定するために乾燥器で一晩乾燥した。
【0107】
植物RNAのノーザン解析により、ictB mRNAのレベルはトランスジェニック植物毎に変動し、野生型植物では予想どおりictB mRNAは検出されないことが証明された(図7)。
【0108】
CO濃度に関する光合成特性の測定により、タバコ(図8)でもシロイヌナズナ(図なし)でも、飽和COレベルでの光合成の速度は、トランスジェニック植物と野生型植物とで同等であることがわかった。これに対して、空気レベルまたはそれより低いレベル(例えば水ストレス下で気孔が閉じた場合に起こるようなレベル)のCO下では、トランスジェニック植物は野生型よりかなり高い光合成速度を示した(図8)。細胞間CO濃度に対する光合成に関する曲線の傾きはトランスジェニック植物の方が急勾配であることに注目されたい。これはトランスジェニック植物の方がルビスコの活性が高いことを示唆している。
【0109】
実施例4
ictBトランスジェニック植物の成長速度
ictB発現が光合成能力に対して正の効果を持つことから、本発明のトランスジェニック植物を、野生型植物と比較した成長速度について、さらに調べた(図9)。当然ながら、水を十分に供給し、高い(約70%の)相対湿度下に維持した植物の方が、成長は速かった。そのような条件下では、野生型植物とトランスジェニック植物との間に有意差はなかった。
【0110】
これに対して、水の供給が制限され湿度が低い(40%未満)条件下では、トランスジェニック・シロイヌナズナ植物は、野生型よりもかなり早く成長した(図9)。これらのデータにより、特に、気孔閉鎖が細胞間COレベルの低下につながり、よって成長遅延につながりうる乾燥した条件において、植物の生産性を向上させることを目的とするictBの潜在的用途が証明された。
【0111】
ictB発現が成長に対して極めて大きな効果を持つ理由は、葉緑体へのHCO の移行が増大する結果として、トランスジェニック植物ではルビスコが存在する部位でのCO濃度が上昇するためであると考えられ、これはCOに関する補償点を低下させ、産生される有機物質のデルタ13Cを低下させると予想される[31]。表2は、トランスジェニック植物では補償点がわずかに低かったが、その差は統計的に有意ではなかったことを示している。細胞間CO濃度に対する光合成に関する曲線の傾き(図8)は、トランスジェニック植物の方が急勾配であった。これは(一般に認められている光合成のモデル[31〜33]によれば)ルビスコの活性が野生型よりも高いことを示唆している。トランスジェニック植物および野生型植物におけるルビスコの活性を比較した本発明者らの実験では、前者の方が活性が高いことが示唆された(図なし)。
【表2】
Figure 2004531252
【0112】
したがって、本発明の教示を応用することにより、例えばトマト、ダイズ、ジャガイモ、キュウリ、ワタ、コムギ、イネ、オオムギなどを含むC3植物およびトウモロコシ、サトウキビ、モロコシ(sohrgum)などを含むC4作物などの植物を形質転換し、それによって、とりわけ制限的COおよび/または水制限条件下で、より速く成長し、より高い収穫量をもたらす植物を作出することができる。
【0113】
実施例5
ictBホモログ
ictBとの機能的類似性を示す2つの追加アミノ酸配列を下記表3に挙げる。ictBと75〜80%相同なポリペプチド(表4)をコードしているこれらの配列も、上述した成長または収量の増大を結果として達成するために、植物の形質転換に使用することができる。
【表3】
Figure 2004531252
【表4】
Figure 2004531252
【0114】
産業上の利用可能性
トランスジェニック・シロイヌナズナ植物で得られた結果に基づいて(上記第2節参照)、コムギ、イネ、オオムギ、ジャガイモ、ワタ、ダイズ、レタスおよびトマトを含む最重要作物の一部でictBを発現させると、とりわけ、食用作物の商業栽培が成長条件(例えばアフリカのさまざまな地域を特徴づける乾燥した成長条件など)によって阻害される地域において、成長および商品収量の有意な増加が起こると予想される。
【0115】
以上、本発明をその特定態様に関して説明したが、多くの代替、変更および変形態様が当業者にとって明白であることは明らかである。したがって、特許請求の範囲の精神およびその広い範囲に包含されるそれらの代替、変更および変形態様は、全て本発明に包含されるものとする。本明細書で言及した刊行物、特許、特許出願およびアクセッション番号によって特定した配列は全て、個々の刊行物、特許、特許出願またはアクセッション番号によって特定した配列が参照により本明細書に組み込まれることを具体的かつ個別的に表示した場合と同じ程度に、参照により完全な形で本明細書に組み込まれるものとする。また、本願で行う参考文献の引用および特定は、当該参考文献を本発明に対する先行技術として利用できることを自認するものではないと解釈されるものとする。
【0116】
Figure 2004531252
Figure 2004531252
Figure 2004531252
Figure 2004531252

【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】不活性化ライブラリー断片の挿入(星印で示す)が突然変異体IL−2の生成をもたらしたSynechococcus sp. PCC 7942中のゲノム領域の概略図である。
【図2a】ORF467(ICTB、配列番号2)とslr1515(SLR、配列番号4)との核酸配列アラインメントを示す。垂直線はヌクレオチドの一致を示す。
【図2b】図2aの続きである。
【図3】IctBタンパク質(ICTB、配列番号3)とslr1515がコードするタンパク質(SLR、配列番号5)とのアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図4a】Synechococcus PCC 7942によるCOおよびHCO 取り込みの速度を外部Ci濃度の関数として表したグラフである。
【図4b】変異体IL−2によるCOおよびHCO 取り込みの速度を外部Ci濃度の関数として表したグラフである。
【図5】Synechococcus PCC 7942および突然変異体IL−2に見いだされるictBの一領域のDNA配列相同性比較を表す。
【図6】Clontech製のバイナリーベクターpBI121内に35Sプロモーター、エンドウ・ルビスコの小サブユニットに由来するトランジットペプチド(TP)(GeneBankアクセッション番号x04334のヌクレオチド座標329〜498。498位のGをTで置き換えたもの)、ictBコード領域、NOS終結配列およびカナマイシン耐性(Kn)を含む、本発明のトランスジェニック植物の作出に使用されるictBコンストラクトを示す。
【図7】ictBと18S rDNAの両方をプローブとして使用したトランスジェニックおよび野生型(w)シロイヌナズナおよびタバコ植物のノーザンブロット解析である。
【図8】細胞間CO濃度による影響を受ける野生型および本発明のトランスジェニックタバコ植物における光合成の速度を表す。
【図9】トランスジェニック(A、BおよびC)ならびに野生型(WT)シロイヌナズナ植物で行った成長実験を表す。

Claims (32)

  1. 植物の成長および/または商品収量を増大させる方法であって、その植物内で、配列番号3、5、6または7に記載のアミノ酸配列と少なくとも60%相同なアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現させることを含む方法。
  2. 植物は、40%未満の湿度を特徴とする環境で生育される請求項1の方法。
  3. 植物は、10μM未満の細胞間CO濃度を特徴とする環境で生育される請求項1の方法。
  4. 植物内における前記ポリペプチドの発現は、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド領域を含む核酸コンストラクトで、植物細胞の少なくとも一部を形質転換することによって達成される請求項1の方法。
  5. 前記形質転換は、アグロバクテリウムを介した形質転換、ウイルス感染、エレクトロポレーションおよびパーティクルボンバードメントからなる群より選択される方法によって達成される請求項4の方法。
  6. 前記アミノ酸配列は、配列番号3、5、6または7に記載のとおりである請求項1の方法。
  7. 前記核酸コンストラクトは、トランジットペプチドをコードする第2のポリヌクレオチド領域をさらに含む請求項4の方法。
  8. 前記核酸コンストラクトは、前記第1ポリヌクレオチド領域の転写を指示するためのプロモーター配列をさらに含む請求項4の方法。
  9. 前記核酸コンストラクトは、前記第1および前記第2ポリヌクレオチド領域の転写を指示するためのプロモーター配列をさらに含む請求項4の方法。
  10. 前記プロモーターは真核細胞中で機能的である請求項8の方法。
  11. 前記プロモーターは構成的プロモーター、誘導性プロモーター、発生段階に応じて制御されるプロモーターおよび組織特異的プロモーターからなる群より選択される請求項10の方法。
  12. 前記植物はC3植物である請求項1の方法。
  13. 前記C3植物は、トマト、ダイズ、ジャガイモ、キュウリ、ワタ、コムギ、イネ、オオムギ、レタス、アキノキリンソウ、バナナおよびポプラからなる群より選択される請求項12の方法。
  14. 前記植物はC4植物である請求項1の方法。
  15. 前記C4植物は、トウモロコシ、サトウキビおよびモロコシからなる群より選択される請求項14の方法。
  16. 前記ポリペプチドを発現させる植物は、前記ポリペプチドを発現させない同様の植物と比較して、両者を同様の成長条件下で生育した場合に、少なくとも10%は高い成長速度を特徴とする請求項1の方法。
  17. 前記成長速度は、増加した生体重、増加した乾物重、増加した根成長、増加したシュート成長、および増加した経時的な花の発育からなる群より選択される少なくとも1つの成長パラメーターによって決定される請求項16の方法。
  18. 配列番号3、5、6または7に記載のアミノ酸配列と少なくとも60%相同なアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現させる形質転換植物であって、同様の成長条件下で生育した類似する非形質転換植物と比較して増大した成長を特徴とする形質転換植物。
  19. 前記生育条件は、40%未満の湿度条件を含む請求項18の形質転換植物。
  20. 前記アミノ酸配列は、配列番号3、5、6または7に記載のとおりである請求項18の形質転換植物。
  21. 前記形質転換植物はC3植物である請求項18の形質転換植物。
  22. 前記C3植物は、トマト、ダイズ、ジャガイモ、キュウリ、ワタ、コムギ、イネ、オオムギ、レタス、アキノキリンソウ、バナナ、ポプラおよび柑橘類からなる群より選択される請求項21の形質転換植物。
  23. 前記形質転換植物はC4植物である請求項18の形質転換植物。
  24. 前記C4植物は、トウモロコシ、サトウキビおよびモロコシからなる群より選択される請求項23の形質転換植物。
  25. 前記形質転換植物の成長速度は、類似する非形質転換植物と比較して、両者を同様の成長条件下で生育した場合に、少なくとも10%は高い請求項18の形質転換植物。
  26. 前記成長速度は、生体重、乾物重、根成長、シュート成長、および花の発育からなる群より選択される少なくとも1つの成長パラメーターによって決定される請求項23の形質転換植物。
  27. 前記形質転換植物は、さらに、同様の条件下で生育した類似する非形質転換植物と比較して増加した商品収量を特徴とする請求項18の形質転換植物。
  28. 前記生育条件は、水ストレス、低湿度、塩ストレス、および/または低CO条件を含む請求項18の形質転換植物。
  29. 核酸発現コンストラクトであって、
    (a)配列番号3、5、6または7に記載のアミノ酸配列と少なくとも60%相同なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする第1ポリヌクレオチド領域と、
    (b)プロモーターとして機能的である、真核細胞における前記第1ポリヌクレオチド領域の転写を指示するための、第2ポリヌクレオチド領域と
    を含む核酸発現コンストラクト。
  30. 前記プロモーターは、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、発生段階に応じて制御されるプロモーター、および組織特異的プロモーターからなる群より選択される請求項29の核酸発現コンストラクト。
  31. 前記プロモーターは植物プロモーターである請求項29の核酸発現コンストラクト。
  32. 前記第1ポリヌクレオチド領域は、さらに、前記ポリペプチドに翻訳的に融合されたトランジットペプチドをコードする請求項29の核酸発現コンストラクト。
JP2002579986A 2001-04-09 2002-03-26 増大した成長を特徴とする植物ならびにその作出に役立つ方法および核酸コンストラクト Pending JP2004531252A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US09/828,173 US20030037356A1 (en) 2001-04-09 2001-04-09 Plants characterized by enhanced growth and methods and nucleic acid constructs useful for generating same
PCT/IL2002/000250 WO2002081622A2 (en) 2001-04-09 2002-03-26 Plants characterized by enhanced growth and methods and nucleic acid constructs useful for generating same

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004531252A true JP2004531252A (ja) 2004-10-14
JP2004531252A5 JP2004531252A5 (ja) 2005-07-28

Family

ID=25251083

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002579986A Pending JP2004531252A (ja) 2001-04-09 2002-03-26 増大した成長を特徴とする植物ならびにその作出に役立つ方法および核酸コンストラクト

Country Status (12)

Country Link
US (2) US20030037356A1 (ja)
EP (1) EP1408736B1 (ja)
JP (1) JP2004531252A (ja)
AT (1) ATE446005T1 (ja)
AU (1) AU2002251447B2 (ja)
CA (1) CA2443654A1 (ja)
DE (1) DE60234101D1 (ja)
ES (1) ES2335392T3 (ja)
IL (1) IL158244A0 (ja)
MX (1) MXPA03009154A (ja)
NZ (1) NZ528709A (ja)
WO (1) WO2002081622A2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2016093243A1 (ja) * 2014-12-09 2017-11-02 北海道公立大学法人 札幌医科大学 腫瘍抗原ペプチド

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100394844C (zh) 2006-02-22 2008-06-18 中国林业科学研究院林业研究所 一种培育转基因杨树的方法
CN102993285B (zh) * 2011-09-14 2014-05-14 中国科学院植物研究所 一种与二氧化碳浓缩机制相关的集胞藻蛋白的新用途
CN103233029A (zh) * 2013-05-06 2013-08-07 深圳华大基因研究院 构建体及其用途
WO2015103074A1 (en) * 2013-12-31 2015-07-09 The University Of Massachusetts Plants with enhanced photosynthesis and methods of manufacture thereof
CN105359856A (zh) * 2015-11-11 2016-03-02 中国科学院遗传与发育生物学研究所 一种批量鉴定小麦耐盐性的方法及装置

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6320101B1 (en) * 1999-06-14 2001-11-20 Yissum Research Development Company Of The Hebrew University Of Jerusalem Enhancing inorganic carbon fixation by photosynthetic organisms

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2016093243A1 (ja) * 2014-12-09 2017-11-02 北海道公立大学法人 札幌医科大学 腫瘍抗原ペプチド

Also Published As

Publication number Publication date
AU2002251447B2 (en) 2007-01-04
EP1408736A4 (en) 2004-12-29
DE60234101D1 (de) 2009-12-03
ES2335392T3 (es) 2010-03-26
ATE446005T1 (de) 2009-11-15
US20030192076A1 (en) 2003-10-09
IL158244A0 (en) 2004-05-12
MXPA03009154A (es) 2004-02-12
WO2002081622A2 (en) 2002-10-17
US20030037356A1 (en) 2003-02-20
NZ528709A (en) 2005-04-29
WO2002081622A3 (en) 2004-02-19
EP1408736B1 (en) 2009-10-21
CA2443654A1 (en) 2002-10-17
EP1408736A2 (en) 2004-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6320101B1 (en) Enhancing inorganic carbon fixation by photosynthetic organisms
CA2526440C (en) Methods of increasing abiotic stress tolerance and/or biomass in plants and plants generated thereby
US11965182B2 (en) Plants with enhanced yield and methods of construction
JP5770089B2 (ja) 植物性グルタミンフェニルピルビン酸トランスアミナーゼ遺伝子、およびそれを運搬するトランスジェニック植物
US10837026B2 (en) Drought and salt tolerant plants
US10072271B2 (en) Methods for improving crop yield
US20060117416A1 (en) New SOS1 gene from halophila that confers salt tolerance
JP2004531252A (ja) 増大した成長を特徴とする植物ならびにその作出に役立つ方法および核酸コンストラクト
EP1002086A1 (en) Materials and methods relating to a plant regulatory protein
US20200370063A1 (en) Genetically engineered land plants that express lcid/e protein and optionally a ccp1 mitochondrial transporter protein and/or pyruvate carboxylase
US9074216B2 (en) Methods and compositions for altering plant biomass
US20050108790A1 (en) Plants characterized by enhanced growth and methods and nucleic acid constructs useful for generating same
AU2002251447A1 (en) Plants characterized by enhanced growth and methods and nucleic acid constructs useful for generating same
US20170121728A1 (en) Plant glutamine phenylpyruvate transaminase gene and transgenic plants carrying same
US20040128720A1 (en) Plants characterized by enhanced growth and methods and nucleic acid constructs useful for generating same
US8907164B2 (en) Regulating nutrient allocation in plants
ES2400807T3 (es) Transportadores mejorados y sus usos
CN108359688A (zh) 提高植物对赤霉素抑制剂敏感性的方法及其应用
IL158244A (en) Plants characterized by enhanced growth and methods and nucleic acid constructs useful for generating same
US20030207283A1 (en) Isolated polynucleotide encoding a novel phosphate transporter in plants and a method of modulating phosphate uptake in plants
KR101559128B1 (ko) 환경내성을 증진시키는 비생물 스트레스-유도성 OsATL5 유전자, 단백질 및 OsATL5 발현이 증진된 내재해성 돌연변이체
CN114644700A (zh) 玉米ZmMYB126蛋白及其相关生物材料的应用
Oh Molecular cloning and characterization of the diageotropica gene in tomato (Lycopersicon esculentum Mill.)
WO2000007427A2 (en) Method for selective and optionally reversible degeneration of somatic plant tissue