JP2004531208A - 情報伝達アプタマーのinvitro選択 - Google Patents
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Abstract
本発明は情報伝達アプタマーをin vitroで選択する方法を提供するものであって、上記方法はヌクレオチドがランダムに挿入されており、前記ヌクレオチドが非対称的モル比を有しているDNAのプールを合成するステップと、上記DNAプールを増幅させるステップと、蛍光ラベルされたヌクレオチドを用いて前記増幅されたDNAからRNAプールを転写するステップと、蛍光ラベルされたRNAプールを親和性カラムに入れて、上記蛍光ラベルされたRNAプールから高親和性蛍光RNA分子を取り出すステップと、上記高親和性蛍光RNA分子からcDNAプールを得るステップと、蛍光RNA分子上で増幅及び選択ステップを繰り返し、上記蛍光RNA分子をクローンして情報伝達アプタマーをつくりだすステップとで構成されている。DNA分子で構成される情報伝達アプタマーも選択される。リガンドを結合させた場合に起きる通常の変化を上記情報伝達アプタマーの蛍光強度の変化に変換する情報伝達アプタマーも提供される。
Description
【0001】
(発明の分野)
本発明は一般的には生化学及び核酸化学の分野に関するものである。より具体的には、本発明は1個から3個までの蛍光ラベルされた同一のヌクレオチドを含むRNA核酸結合種のin vitro 選択に関するものである。
【0002】
(関連技術の説明)
広範囲の標的物と結合する核酸結合種(アプタマー)はランダム配列群から容易に選択される3−6。選択されたアプタマーはアミノ酸7のような単純な分子あるいは赤血球細胞膜8のような複雑な分子を認識することができる。アプタマーに化学的に修飾された塩基を組み込むとその安定性が大幅に向上し、血清あるいは尿サンプルを使った同一アッセイでのアプタマーの利用を潜在的に適合化する。
【0003】
分子識別を直接光信号に変換できる試薬不要のバイオセンサーは多様な分析に用いられるセンサー・アレイの開発を可能にする。多能性核酸結合種であるアプタマーは容易に選択されるが、バイオセンサーとしての利用に適合させることは難しい。選択された核酸結合種(アプタマー)をバイオセンサーとして機能させるために適合化すれば、多数の診断学上の利用がさらに可能になる1,2。
【0004】
アプタマーを用いた初歩的なバイオセンサーのいくつかの例が既に開発されている。蛍光ラベルされたアプタマーとキャピラリー電気泳動法をレーザー誘起蛍光法(CE−LIF)と組み合わせたものが溶液中のIgE及びトロンビンの高感度検出に用いられている。ガラス基板上に固定化したラベル付き抗トロンビン・アプタマーはエヴァネセント波誘起蛍光異方性の変化を追跡することによって溶液中のトロンビンを検出することができる10。ラベル付き抗CD4アプタマーはヒトCD4を発現するマウスのT細胞を染色するために用いられる11。ラベル付き抗ヒト好中球エラスターゼ(HNE)アプタマーはビーズ上のヒト好中球エラスターゼ検出において抗抗ヒト好中球エラスターゼ抗体と同程度に効果的である12。
【0005】
しかし、これらの分析法は本質的には抗体を使って既に開発された方法の模倣であり、一般に洗浄またはその他の分離技術の後の結合を間接的に読み出した情報に頼るものである。対照的に、検体の存在を直接示すことができる分子はバイオセンサーとして有用であることが益々明らかになってきている13。例えば、その結合部位端部を蛍光色素でラベルされた大腸菌リン酸結合蛋白質の突然変異体14は無機リン酸塩結合の際に蛍光発光の大幅な増加を示した15。同様にラベル付けされたマルトース結合蛋白質は溶液中のマルトースを定量的に検出し16、ラベル付けされたグルコース結合蛋白質はグルコースを検出する17。受容体及び供与体のフルオロフォア双方のcAMP依存蛋白質キナーゼへの接合体はcAMPによって蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)が変調されるセンサーを生み出した18。
【0006】
小さな分子と結合するアプタマーはそれらの同系のリガンドと相互作用するときに配座変化を受けることが示されてきた19,20。配座変化を受けることが既知の領域でアプタマーに導入されたレポーターフルオロフォアは結合後の蛍光強度の変化につながることがある。しかし、フルオロフォアのそのような導入は、恐らくは立体障害または配座均衡の摂動によって結合エネルギーの大きな損失を招くことがある。
【0007】
機能性核酸は限定された化学的性質を持つ4つのモノマーしか含まず、ヌクレオチドは共依存であるというWatson−Crick両博士の発見に基づいて核酸の構造は概ね決定されていることを考慮すると、結合種及び触媒が任意のヌクレオチドで実質的に使い果たされたランダム配列プールから選択できるのは驚くべきことである。しかしながら、Rogers及びJoyce22はシチジンを欠失したリボザイムはBartel Class I リガーゼの連続放出後選択可能であることを示した。アプタマー及びリボザイムはヌクレオチドの1つで使い果たされたプールから選択される一方、明らかに機能性の代価は化学的性質と構造が失われることで支払われる。シチジンを欠失したリボザイムはシチジンを含むリボザイムと比較しておよそ100倍から10,000倍反応が遅い。
【0008】
そのため、リガンド結合と蛍光による情報伝達の間での明らかな不一致を減少させることは有益である。蛍光性ヌクレオチドの少数の同一残基のみを含む情報伝達アプタマーをつくりだす選択法は当初からそのような手段を提供している。これらの選択された情報伝達アプタマーはアプタマーの広範な分子識別特性を情報伝達と結びつけるものである。
【0009】
先行技術は情報伝達アプタマーをin vitro で選択する方法を欠いている点で不十分である。本発明はこの分野における長年のニーズと願望を成就するものである。
【0010】
(発明の要約)
本発明は情報伝達アプタマーをin vitro で選択する方法において;特定の非対称的モル比を有するヌクレオチドのランダム・インサートをDNAが有するようにDNAプールを合成するステップと;上記DNAプールを増幅させるステップと;前記増幅されたDNAからRNAプールを転写するステップにおいて、上記RNA転写で用いられるヌクレオチドが蛍光ラベルされていることを特徴とするステップと;上記蛍光ラベルされたRNAプールを親和性カラムに入れて、上記蛍光ラベルされたRNAプールから高親和性蛍光RNA分子を取り出すステップと;上記高親和性蛍光RNA分子からcDNAプールを得るステップと;上記高親和性蛍光RNA分子上で増幅と選択を繰り返し、上記蛍光RNA分子をクローンして、そのクローンが情報伝達アプタマーを含んでいるステップ;で構成されている方法を提供する。
【0011】
本発明はまた、情報伝達アプタマーをin vitro で選択する方法において;DNAがヌクレオチドのランダム・インサートを有し、前記ヌクレオチドが非対称的モル比を有しているDNAプールを合成するステップと;DNA増幅で用いられる1つのヌクレオチドが1つ以上のレポーター分子によってラベルされていることを特徴とする上記DNAプールを増幅するステップと;上記増幅されたDNAから上記ラベルされた一本鎖DNAを単離するステップと;上記ラベルされた一本鎖DNAのプールを高親和性ラベルDNA分子が上記ラベルされたDNAプールから取り出される親和性カラムに入れるステップと;上記親和性カラム上で上記高親和性ラベルDNAプールを保持するためにステップ(a)から(d)までを繰り返すステップと;そして、上記保持されたラベルDNA分子をクローンして、そのクローンが情報伝達アプタマーを含んでいるステップ;で構成されている方法を提供する。
【0012】
本発明の別の実施の形態では、1つのリガンドに結合する際の配座変化を上記情報伝達アプタマーのRNA配列に組み込まれる蛍光ラベルされたヌクレオチドの蛍光強度における変化に変換する情報伝達アプタマーを提供する。さらに、蛍光レベルされたヌクレオチドはDNA情報伝達アプタマーに組み込まれてもよい。
【0013】
本発明の1つの好ましい実施の形態では、フルオレセインを含んだRNA抗アデノシン情報伝達アプタマーを提供する。
【0014】
(発明の詳細な説明)
本発明による1つの実施の形態で、情報伝達アプタマーをin vitro で選択する方法において;ヌクレオチドが特定の非対称的モル比を有するヌクレオチドのランダム・インサートを有するDNAのDNAプールを合成するステップと;上記DNAプールを増幅させるステップと;上記RNA転写で用いられるヌクレオチドが蛍光ラベルされるように前記増幅されたDNAからRNAプールを転写するステップと;上記蛍光ラベルされたRNAプールを親和性カラムに入れて、上記蛍光ラベルされたRNAプールから高親和性蛍光RNA分子を取り出すステップと;上記高親和性蛍光RNA分子からcDNAプールを得るステップと;上記高親和性蛍光RNA分子上で増幅と選択を繰り返し、上記選択された蛍光RNA分子をクローンして、そのクローンが情報伝達アプタマーを含んでいるステップ;で構成されている方法を提供する。
【0015】
この実施の形態の1つの態様において、RNA増幅に使われるヌクレオチドは化学的に修飾されてもよい。好ましくは、そのDNAはA:C:G:Tのモル比が3:3:2:0.38で非対称的な51個のヌクレオチドのランダム・インサートを有している。蛍光ラベルは蛍光色素でもよく、上記蛍光ラベルされたヌクレオチドは転写が行われる間RNAに組み込まれる特定のヌクレオチドに付加される。蛍光色素の代表例はフルオレセイン、カスケード・ブルー、及びローダミン・グリーンである。好ましくは、蛍光RNAはその蛍光RNAが情報伝達アプタマーである蛍光ラベルを有する約1個から3個のヌクレオチドを含んでいる。本発明の好適な実施の形態では、1個から3個のフルオレセインを含んだウリジンを含んでいる選択された情報伝達アプタマーが提供される。
【0016】
本発明による別の実施の形態では、DNA情報伝達アプタマーをin vitro で選択する方法において;DNAがヌクレオチドのランダム・インサートを有し、前記ヌクレオチドが非対称的モル比を有しているDNAプールを合成するステップと;DNA増幅で用いられる1つのヌクレオチドが1つ以上のレポーター分子によってラベルされていることを特徴とする上記DNAプールを増幅するステップと;上記増幅されたDNAから上記ラベルされた一本鎖DNAを単離するステップと;上記ラベルされた一本鎖DNAのプールを高親和性ラベルDNA分子が上記ラベルされたDNAプールから取り出される親和性カラムに入れるステップと;上記親和性カラム上で上記高親和性ラベルDNAプールを保持するためにステップ(a)から(d)までを繰り返すステップと;そして、上記保持されたラベルDNA分子をクローンして、そのクローンが情報伝達アプタマーを含んでいるステップ;で構成されている方法を提供する。
【0017】
この実施の形態の1つの態様において、DNA増幅に使われるヌクレオチドは化学的に修飾されてもよい。好ましくは、そのDNAはA:C:G:Tのモル比が3:3:2:0.38で非対称的な51個のヌクレオチドのランダム・インサートを有している。蛍光ラベルは蛍光色素でもよく、特定のヌクレオチドあるいはプライマーに付加され、上記蛍光ラベルされたヌクレオチドは増幅の間、DNAに組み込まれる。蛍光色素の代表例はフルオレセイン、カスケード・ブルー、及びローダミン・グリーンである。好ましくは、蛍光DNAはその蛍光DNAが情報伝達アプタマーである蛍光ラベルを有する約1個から3個のヌクレオチドを含んでいる。
【0018】
本発明によるさらに別の実施の形態では、選択された情報伝達アプタマーがRNAまたはDNAの核酸結合種(アプタマー)から成り、そのアプタマーは約1個から3個の蛍光ラベルされた同一のヌクレオチドを含んでいる。選択された情報伝達アプタマーは、1つのリガンドに結合する際の配座変化を情報伝達アプタマーに組み込まれた蛍光色素の蛍光強度の変化に変換する。
【0019】
本発明の1つの好ましい実施の形態では、上記情報伝達アプタマーはフルオレセインを含んだ抗アデノシンRNAアプタマーである。
【0020】
ここで用いられる『アプタマー』または『選択された核酸結合種』とは、非修飾あるいは化学的に修飾されたRNAまたはDNAなどである。選択の方法は逆転写(RT)あるいはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるアフィニティークロマトグラフィー及び増幅法である。
【0021】
ここで用いられる『情報伝達アプタマー』とは、レポーター分子を有するアプタマーなどであり、好ましくはそのアプタマーのリガンドとの相互作用の結果生じる配座変化の際に上記レポーター分子が特異的な信号、好ましくは蛍光強度の変化をもたらすような方法でヌクレオチドに付加する蛍光色素を有するアプタマーなどである。
【0022】
ここで用いられる『リガンド』とは、情報伝達アプタマーと結合するあらゆる分子などである。
【0023】
ここで用いられる『付加した』とは、情報伝達アプタマーを含んでいるRNAが転写される間の蛍光ラベルされたヌクレオチドの組み込みなどを意味している。
【0024】
ここで用いられる『PCR』とは、Mullisの米国特許第4,683,195及び第4,683,202の主題であるポリメラーゼ連鎖反応、及び現在既知となっている本分野のその他の進展を意味する。
【0025】
ここで用いられる『塩基』とは、デオキシリボ核酸及びリボ核酸の両方を意味する。以下の略語、即ち、『A』はアデニン及びそのデオキシリボース誘導体、『T』はチミン、『U』はウリジン、『G』はグアニン及びそのデオキシリボース誘導体、『C』はシトシン及びそのデオキシリボース誘導体、が用いられる。本分野の通常の当業者であれば、本発明による方法を最適化するためこれらの塩基が修飾あるいは誘導されることを容易に理解するであろう。
【0026】
表1は本発明による選択された情報伝達アプタマーに関する詳細な情報を提供する。
【0027】
【表1】
【0028】
本発明は、情報伝達アプタマーが約1個から3個の蛍光された同一のヌクレオチドを含んでいる情報伝達アプタマーをin vitro で選択する方法に関するものである。さらに、本発明は、情報伝達アプタマーが1つのリガンドに結合する際の配座変化を情報伝達アプタマーに組み込まれた蛍光ヌクレオチドの蛍光強度の変化に変換するような情報伝達アプタマーに関するものである。
【0029】
アプタマーはリガンドに誘導された配座変化を受ける。アプタマーを情報伝達アプタマーに転化するため、レポーター分子がアプタマーに導入される。レポーター分子は配座変化の結果としてその場所での化学的環境の変化を感知し、その結果配座変化の信号を出してリガンド結合が起きる。
【0030】
情報伝達アプタマーを生成するため、蛍光またはその他のレポーターが未処理のランダム配列プールに導入される。例えば、蛍光レポーターを持つヌクレオチドがDNAまたはRNAポリメラーゼを用いるプールに導入される。同様に、レポーターを含んでいる蛍光レポーターまたはヌクレオチドを持つプライマーをDNAプールに導入することができる。アプタマーは標的分子と結合する能力に基づいてそのようなプールから選択される。選択されたアプタマーは必然的に蛍光レポーターの存在に順応する。アプタマーはリガンドに誘導された配座変化を受けるので、存在する蛍光レポーターもその場所での化学的環境の変化を受け、それに応じて配座変化の信号を出す。
【0031】
蛍光またはその他のレポーターが選択後アプタマーに導入されると、アプタマーの結合またはその他の機能を損なうことがある。しかしながら、結合またはその他の機能が損なわれたそれらのアプタマーはin vitro 選択の過程で失われ、機能的に蛍光レポーターを取り込めるアプタマーだけがその群の中に残るので、蛍光レポーターの選択前の導入によって、その蛍光レポーターが選択後にアプタマーの結合またはその他の機能を損なわないアプタマーの選択が可能である。
【0032】
【実施例】
以下の実施例は本発明の様々な実施の形態を説明する目的で示されるものであり、いかなる意味でも本発明の限定を意味しない。
【0033】
実施例1
材料
情報伝達アプタマーの特異性をテストするために使われるアガロース親和性レジン及びATPの誘導体をSigma(St. Louis, MO)から購入した。フルオレセイン−12−UTPをRoche Diagnostics(Indianapolis, IN)から購入した。別のフルオレセイントUTP接合体、カスケード・ブルー−7−UTP、テキサス・レッド−5−UTP及びローダミン・グリーン−5−UTPをMolecular Probes(Eugene, OR)から購入した。
【0034】
実施例2
蛍光測定
全ての蛍光測定値はSLM−AMINCO(Spectronic Instruments, Rochester, NY)からのSeries 2 発光分光計で得た。実験サンプルは対応する色素の最大励起(フルオレセインλex494nm、ローダミン・グリーン505nm、及びカスケード・ブルー400nm)で励起し、蛍光強度は対応する最大放射(フルオレセインλex521nm、ローダミン・グリーン533nm、及びカスケード・ブルー420nm)で測定した。1mlのアプタマー溶液を蛍光計セル(Starna Cells, Inc., Atascadero, CA)にピペットで取り、種々の濃度のリガンド溶液を少量添加した。
【0035】
実施例3
蛍光応答曲線
蛍光アプタマー(50nM)を結合緩衝液中で熱的に均衡させた。平均して、8個の読み出しが得られ、アプタマーの最初の蛍光強度を確立した。結合緩衝液中で種々の濃度のATP溶液を2μlずつ加えていった。ATP添加時の蛍光変化をプロットした。データ表現を標準化するため、任意のATP濃度(FX−F0)における蛍光変化を飽和ATP濃度(F100−F0)における蛍光変化で割った。そのデータはプログラムKaleidograph(Synergy, Reading, PA)を用いる以下の方程式と一致した:Y=AX/(X+B);ここで、Y=任意のATP濃度における蛍光の相対的増加、(FX−F0)/(F100−F0);X=ATP濃度;A=飽和ATP濃度における蛍光の増加、(F100−F0);B=見かけの乖離定数(Y=0.5AにおけるATP濃度)。
【0036】
実施例4
蛍光RNAプールの調製
シグナルが大きく、バックグラウンドは小さい情報伝達アプタマーを生成するため、各結合種には少数の蛍光残基だけが存在しなければならない。もし多数の蛍光残基が存在すると、その多くは局所的な配座変化には影響されず、バックグラウンドに本来備わっている蛍光が表われ、情報伝達アプタマーの識別はより困難になり、その結果全体としてのシグナルの大きさが減少する。
【0037】
従って、U残基が少なく表われる(A、C、及びGが33.1%、Uが6%)ように51個の残基ランダム配列領域を非対称にしたRNA分子(N51)のプールを生成する(図1A)。その結果生じるRNA群はその群の主要部分が1分子あたり3個か4個のウリジンしか含まない(Y=[51!/((X!)(51−X)!)](0.06)X(0.94)(51−X )、ここで、Y=その群の部分、X=1分子あたりのウリジンの数)2項分布で記述される。最近Cを欠いたリボザイム22の選択により、機能性核酸分子が4種類の塩基のうち1つを欠いたプールから潜在的に選択可能であり、従って、抗アデノシン・アプタマーをUが少ないプールから選択可能であることが証明されている。
【0038】
具体的には、51個のヌクレオチドのランダム・インサートを有する102−merDNAプール(N51;5’TAATACGACTCACTATAGGGAAGGCACGAC−−−N51−−−AGACCCAACCAGCCAGAGACC(配列識別番号No.1))(図1A)が合成された。各々のNはモル比が3:3:2:0.38 A:C:G:TホスホルアミダイトのA、C、G及びTの混合物である。1本鎖DNAプールを標準的手順33に従って脱保護、精製、PCR増幅した。その結果生じたDNAプールの10%のみが増幅可能であった。蛍光RNAプールは、UTPの代わりに1mMのF−12−UTPを使ったT7Ampliscribe in vitro 転写キット(Epicentre, Madison, WI)を用いて2本鎖DNAプールから転写された。dsDNAテンプレートを除去するためのデオキシリボヌクレアーゼ消化の後、蛍光ラベルされたRNAを10%のポリアクリルアミド・ゲル上で精製し、0.3MのNaCl溶液中で37℃の温度で一晩抽出し、エタノール沈殿した。そのプールを15μlのH2O中で再懸濁し、その後0.025mlcm−1 μg−1の吸光係数を用いるA260の測定によって計量した。これは非蛍光核酸34の標準吸光係数であり、フルオレセインがヌクレオチドとよく似た260(21,000M−1cm−1)に近似する吸光係数を有するため採用した。従って、少量のフルオレセイン・ラベルの添加は核酸プールの全体としての吸光係数をそれほど損なわないはずである。
【0039】
実施例5
蛍光ラベルされたRNAアプタマーのin vitro 選択
蛍光ラベルされた抗アデノシン・アプタマーの選択は抗アデノシン・アプタマーのもともとの選択と本質的に同じ方法で行われる23。最初のRNAプールは約2×1014個の塩基を含んでいる。結合緩衝液(300mMのNaCl、20mMのTris−Cl、pH7.4、5mMのMgCl2)中で3分間65℃の温度で熱変性させ、室温で均衡させた後、そのプールを0.5mlのアガロース・カラムに通し、カラム・マトリクスに結合するそれらの種を除去する。次に、そのプール(選択の過程の間4−30μgの範囲にある)をATP−アガロース親和性カラムに入れ(ATPはそのC8を通り抜け、ジアミノヘキシル・リンカーを経て臭化シアン活性アガロースと結合する)、10分間均衡させる。カラム内のATP濃度は2.3mMであり、親和性カラムの体積は選択の過程の間0.2mlから1mlの範囲内にあった。そのカラムを15から400カラム体積の結合緩衝液と展開することによって低親和性結合種を除去した。高親和性種は5mMのATPを含む0.4から3mlの結合緩衝液中のカラムから抽出した。エタノール沈殿による濃縮の後、生成された蛍光RNA分子の濃縮プールをcDNAプールに逆転写し、PCRで増幅し、次のラウンドのための蛍光RNAをin vitro 転写によって生成した。最後の3ラウンドで、先ずそのプールをネガティブ選択として0.5mlのGTPアガロース・カラムに通した。選択と増殖を11ラウンド行った後、蛍光RNAプールの1/3がATPアガロース・カラム上に保持され、8カラム体積を抽出した。初期のラウンドではそのプールの1%未満を特異的に保持、抽出した。さらに、転写プロセスの間化学的に修飾されたヌクレオチドを使うことによって転写による蛍光RNAの生成が可能である。
【0040】
ラウンド11からのアプタマーをTOPO TAクローニング・キット(Invitrogen, Carlsbad, CA)を使ってクローニングし、24個のアプタマーの配列をSequiTherm EXCEL II キット(Epicentre, Madison, WI)を使って配列決定した。平均すると、選択された1配列に付き2.25個のウリジンが存在し、修飾された塩基の取り込みに対する選択が殆ど、あるいは全く起こらなかったことを示している。アプタマーは配列の類似度に基づいて5つのファミリーと2つの分離物に容易に分類された(図1C)。ファミリー1及び2は6残基塩基モチーフ、CAGAAG(配列識別番号No.16)を共有すると見られる。図1BはSassanfar及びSzostakによって選択された最小の抗アデノシン・アプタマーを示す23。
【0041】
Raf17はヌクレオチドの1つの中でかなり使い果たされたプールから選択されたアプタマーの最初の例である。このプール(ファミリー4、図1C)からのその他のアプタマーはウリジン残基を含んでいない。Cのないプールに残ったウリジンは両方のプリンとペアになり、Uが少ないプールに残ったシチジンはアデノシンでなく主としてグアノシンと対になることから、機能性核酸がCではなくUが使い果たされたプールから選択されたことはとりわけ有望である。これらの結果はさらに、核酸レプリケータ及び触媒の最初の展開に遺伝子情報の完全な相補は必要でなかったという可能性を示している24,15。
【0042】
実施例6
情報伝達機能のためのアプタマーのスクリーニング
フルオレセインを含んだRNAの最後のプールは情報伝達能力をわずかに示す。その600nMのプールをATP2mMの存在下で均衡させると、7%の相対フルオレセインの増加を示した。配列の異なるファミリーの代表例を200μMのATPの存在下で情報伝達について分析した(図1D)。ファミリー1からのアプタマーのみが有意でポジティブな情報伝達能力(蛍光の増加)を示し、raf17が最良の情報伝達アプタマーであった。ファミリー5からの1つのアプタマー及び1つの分離物であるraf128は若干のネガティブな情報伝達能力
(蛍光の減少)を示した。
【0043】
実施例7
情報伝達残基のマッピング
アプタマーraf17及びraf15の両方ともアデノシンが存在するというシグナルを出すが、後者は前者よりウリジン残基を1つ多く含む。この比較によってraf15及びその他のファミリー1メンバー内の3’−mostウリジン残基はバックグラウンド蛍光に寄与するが、情報伝達には不必要であることが示唆される。このことはraf17(相対蛍光の22%増加)がraf15(相対蛍光の15%増加)よりわずかに大きな情報伝達能力を示すという事実から支持される。
【0044】
raf17(図2A)内の残り2つのフルオレセインを含むウリジン残基のどちらが情報伝達に必要か判定するため、位置52のウリジンをシチジンで(raf17−U52C)、あるいは位置61のウリジンをシチジンで(raf17−U61C)置換するraf17の変異体を構成した。U52Cの置換はATP依存の蛍光変化を何ら示さず、一方U61Cの置換はシグナルを発するだけでなく、母体分子であるraf17よりもわずかに大きなATP依存の蛍光変化を実際に示す(図2B)。これは情報伝達に無関係なフルオロフォアが除去されると、情報伝達が向上するという仮定に一致する。raf17はRFUの最大変化が56%を示し、ATPに対する見かけのKdは223μM±20μMである。raf17−U61CはRFUの最大変化が75%を示し、ATPに対する見かけのKdは165μM±10μMのKdである(図2B)。全般に、異なるアプタマー及び変異体による結果は、フルオレセインを含む位置52のウリジンが情報伝達のためのファミリー1のアプタマーに必要とされる唯一の残基であることを示す。さらに、情報伝達は明らかに同系リガンドがないときのフルオレセインの消滅によるものである。アプタマーがリボヌクレアーゼで消化されるとき、その最大蛍光強度はATP飽和濃度の存在下でのもともとのアプタマーの蛍光強度に等しい。
【0045】
他にどの残基が情報伝達にとって重要かに関する仮定を構築するため、アプタマーraf17−U61Cの予想される二次構造(図2A)を調べた。単一のウリジンは恒常領域から離れて、マルチ・アーム接合部と見られる部位に発生する。アプタマー(raf17)の不完全な異形は殆どの恒常領域が除去される場所に生成され、一方でマルチ・アーム接合部を支持する長い、予想されたステムが残る。raf17は情報伝達活性(図2B)を支持する。事実、情報伝達活性は向上し、RFUの最大変化は81%であった。見かけのKdは175μM±5μMで、母体アプタマーraf17−U61Cと本質的に同じであった。さらに、マルチ・アーム接合部の一部が除去されたraf17の不完全型はシグナルを出さなかった(データ図示せず)。
【0046】
Uが少ない抗アデノシン情報伝達アプタマーは、Sassanfar及びSzostakによって選択され23、BurkeとGold26及びBurgstallerとFamulok27によってそれぞれ独立に選択された標準抗アデノシン・アプタマーATP−40−1よりもおよそ200倍多いATPの対する見かけのKdを有していた。しかし、その選択された情報伝達アプタマーは相当する特異性の喪失がないように見える。これらの結果はアプタマーの特異性が個々のリガンドとの水素結合あるいは塩橋の形成または喪失というよりは、結合ポケットの構造に本来備わっている立体構造の制約が主として起因することと一致する。
【0047】
実施例8
情報伝達の特異性
アプタマーraf17−U61Cの特異性を評価するため、蛍光シグナルの相対変化を種々のアデノシン誘導体及びその他のヌクレオチドの存在下でモニターした。これらのデータは図3Aに示され、ATP存在下での蛍光変化に標準化されている。そのアプタマーは核塩基または糖(ATP、ADP、AMP、アデノシン、NAD)のいずれかを損なわない任意のアデノシン誘導体の存在下でシグナルを出す。しかしながら、核塩基または糖がアデノシンと異なる大部分の誘導体はシグナルを出さないか、フルオロフォアをわずかに消滅させる。唯一の例外はN6−メチル・アデノシン及び2’dATPで、若干のポジティブな情報伝達能力を示す。興味深いことに、2’デオキシアデノシンはシグナルを出さない。5’リン酸塩の存在は通例認識と情報伝達を強化すると思われ、ATP及びADPはAMP及びアデノシンよりもよくシグナルを出すので、アプタマーは2’dATPと2’デオキシアデノシンを識別しているのであろう。
【0048】
情報伝達アプタマー及びSassanfarとSzostakによって選択された抗アデノシン・アプタマー(ATP−40−1)23の両方がアデノシン・ヌクレオチドの塩基と糖の部分を主に認識する。しかし、ポジティブな情報伝達の基準に基づくと、raf17b情報伝達アプタマーの特異性は4つの残基全てを等量含むプールから選択された抗アデノシン・アプタマーの特異性と等しいか、あるいはそれよりも良好である(図3B)。‘Uが豊富な’ATP−40−1もアデニン、2’−O−メチルアデノシン、及び7−デアザアデノシンを交差認識し、一方‘Uが少ない’raf17−U61Cはそれらを交差認識しない。逆に、raf17−U61CもN6−メチル・アデノシンを認識するが、ATP−40−1はそれを認識しない。
【0049】
選択された情報伝達アプタマーが複雑な混合物の存在下でリガンドを計量するために十分特異的かどうか判定する必要があった。raf17の蛍光強度の変化をATP濃度をGTP、CTP、及びUTP(図4A)のバックグラウンドまたは1%コウシ血清(図4B)のバックグラウンドに対して変化させながら判定した。
【0050】
両方の場合で、情報伝達アプタマーはATPの存在及び濃度に追従した。しかし、これら2つの環境内での情報伝達アプタマーの見かけのKdはかなり違っており、他のヌクレオチド存在下での見かけのKdは127μM±3μMであったのに対して、血清内の見かけのKdは212μM±7μMであった。環境が異なると非リガンドで消滅型の情報伝達アプタマーを異なる程度に安定化または不安定化すると見られる。実際には、複雑な混合物内の分析的計量にはその他の多くの分析技術と同様に標準曲線の利用が必要であろう。
【0051】
実施例9
選択された情報伝達アプタマーは一般にリガンド認識を蛍光強度の変化につなぐことが可能である
raf17−U61Cがシグナルを出す仕組みは未知であるが、U52は化学環境のリガンド依存変化を受けるようである。もしそうならば、2つの可能性がある。リガンド依存の配座変化がF−12−Uに依存しているか、またはリガンド依存の配座変化とはF−12−Uと無関係であるかである。
【0052】
これらの可能性を調べるために、アプタマーを他のUTP類似体、即ち、カスケード・ブルー−7−UTP、ローダミン・グリーン−5−UTP、及びテキサス・レッド−5−UTPで転写した。光学的性質の明らかな差異は別にして、これらの類似体はフルオロフォアとヌクレオチドの間のアルキル・アミノ・スペーサーの全長も異なっていた(スペーサー内の原子数は類似体の名称の中に示される。例えば、カスケード・ブルー−7−UTPは色素とヌクレオチドの間に7個の原子を持つ)。
【0053】
raf17−U61Cをテキサス・レッド(raTR7b)で転写するとシグナルを出さないラベルされたアプタマーが生じる。しかし、注目すべきことに、F−12−UTPの代わりにカスケード・ブルー(raCB7b)、及びローダミン・グリーン(raRG7b)を使った転写は情報伝達アプタマーを生み出した(図5A及び5B)。raCB7bに対するRFUの最大増加量は160%で、見かけのKdは188μM±15μMである。raRG7bに対するRFUの計算上の最大増加量は220%で、ATPに対する見かけのKdは571μM±39μMである。いずれのアプタマーも最大500μMまでのGTPの存在下ではシグナルを出さない。
【0054】
選択された情報伝達アプタマー内の少数のウリジンは機能上重要である。かなり異なるウリジン色素接合体がraf17による情報伝達を支持できるという事実は結合及び配座変化は単一の残ったウリジン残基と強く結びついていることを示唆する。フルオレセインが選択が進行する間化学物質へのATP結合に貢献する機会をどんな核塩基、糖、またはリン酸ジエステルとも同じくらい多く有したことを考えるとこれはいささか驚くべきことである。より長いスペーサー・アームを持つ修飾されたヌクレオチド(F−12−UTP及びカスケード・ブルー−7−UTP)は、より短いスペーサー・アームを持つ修飾されたヌクレオチド(ローダミン・グリーン−5−UTP、及びテキサス・レッド−5−UTP)よりも結合を邪魔することが少ない。このような長さの明らかな相互関係もやはりウリジン残基自体の結合及び情報伝達における中心的な重要性を示している。
【0055】
実施例10
選択され、スクリーニングされた情報伝達アプタマーの感受性及び反応性
情報伝達アプタマーを設計するには三次元分子構造の詳細な知識が必要であり、利用する前に綿密に合成及び分析されなければならないが、選択されスクリーニングされた情報伝達アプタマーでは構造や配列の予測も必要なく、センサー成分として即時に利用できる。さらに、選択された情報伝達アプタマーは設計された情報伝達アプタマーよりも感受性がよい。残基A13がアクリジン・ラベルで置換される見かけのKd及びATP−40−1誘導体は340±70μMであるが、raf17の基礎量Kdは175±5μMである。選択された情報伝達アプタマーは反応性も非常に優れている(図6)。アクリジン共役ATP−40−1は28±2%21という相対蛍光のアデノシン依存の最大の増加を有し、一方選択されスクリーニングされた情報伝達アプタマーは最大7倍までの相対蛍光の増加を有する。A13がフルオレセインで置換されたアプタマーは情報伝達能力を示さなかったので、異なるフルオロフォアが情報伝達アプタマーの選択(フルオレセイン)よりも、情報伝達アプタマーの設計(アクリジン)に利用されたという事実はそのような比較の有効性を限定するものではない21。
【0056】
実施例11
蛍光ラベルされたRNA情報伝達アプタマーのin vitro 選択
対応する蛍光ラベルされたDNA情報伝達アプタマーは蛍光ラベルされたRNA情報伝達アプタマーとして提供される通り、DNA最終生成物を説明するためわずかに修飾することで、上記の方法を用いて容易にin vitro で選択できることは明らかである。これらのDNAアプタマーは修飾されていない、あるいは化学的に修飾されたいずれかのヌクレオチドを組み込んでもよい。非対称のモル比を持つヌクレオチドのランダム・インサートを用いるDNAプールが合成され、その後増幅される。そのDNAの増幅は1つ以上のレポーター分子を含んでいるプライマーあるいは1つ以上のレポーター分子を含んでいるヌクレオチドのいずれかを経て完成される。1本鎖DNAはその増幅されたDNAから単離され、DNAアプタマーの特異的結合種が選択され、その後増幅される。
【0057】
実施例12
診断用試薬としての情報伝達アプタマー
アプタマーのin vitro 選択は種々の標的に向けたレセプターを生成するためのきわめて容易で確固とした方法であることが証明されてきた。現在アプタマーは、抗体が以前そう証明されたのと殆ど同じように普遍的なレセプターであると考えられている。しかし、抗体とは異なり、アプタマーは溶液中での同系リガンドとの相互作用を即座に伝える、合成が容易な診断用試薬に転換される1,2,28。
【0058】
1つのアプタマーに導入された1つの蛍光レポーターは強度、異方性、寿命、波長及びスペクトルの性質の変化を生み出すことができた。特に、同じ情報伝達アプタマーが多数の異なる蛍光色素を収容できるという事実は異なる波長での分析に必要な仕組みや装置での情報伝達アプタマーの応用にとって好ましいことである。蛍光の性質を調節する複数の蛍光または分子は同一のアプタマーに導入され、強度、異方性、寿命、波長及びスペクトルの性質の協調的変化を受けることができる。さらに蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の変化も可能である。
これらの特徴に基づき、情報伝達アプタマー選択のための処理能力の高い方法をさらに開発することは多数の非核酸検体を検出できるセンサー・アレイの開発を可能にする。特に、例えば、技術の有益な組み合わせはビーズ上での情報伝達アプタマーの化学合成及びこれらのビーズを光ファイバーケーブル29,30またはエッチングされたマイクロウェル31,32に直接導入することが含まれるであろう。
【0059】
本明細書では以下の参考文献を引用した。
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31.Savoy, S. et al. Solution based analysis of multiple analytes by a sensor array: toward the development of an ”electronic tongue” Proc SPIE−Int Soc Opt Eng 3539 (Chemical microsensors and applications), 17−26 (1998).
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33.Pollard, J., Bell, S., Ellington, A., Design, Synthesis, and Amplification of DNA pools for In Vitro Selection, 9.2.1−23 In Press (John Wiley & Sons, Inc., New York, NY, 1999).
34.Gallagher. Quantitation of DNA and RNA with Absorption and Fluorescence Spectroscopy, A,3D.1−8 (John Wiley & Sons, Inc., New York, NY, 1996)
【0060】
本明細書で述べられた特許または刊行物のいずれもが本発明が関連する当業者の水準を示している。また、これらの特許及び刊行物は、個々の刊行物が言及によって組み込まれることが具体的、個別的に示されていたのと同じ程度に、言及されることによって本明細書に組み込まれる。
【0061】
この分野の当業者であれば、本発明がその目的を成就し、上に述べられたともに本発明に内在する目標と利点を達成するため好適であることを容易に理解するであろう。本実施例は本明細書に述べられた方法、手順、治療、分子、及び特定の化合物と共に現在のところ好ましい実施の形態の代表例であり、典型であり、本発明の範囲を限定することは意図していない。本発明の変形及びその他の利用は請求項の範囲で定義されているような本発明の精神の範囲内に含まれる本分野での当業者にとっては容易に想起できるものである。
【図面の簡単な説明】
本発明の特徴、利点及び目的などが達成され、詳細に理解されるために、本発明のより詳しい説明が添付図面で明示される本発明のいくつかの実施の形態を参照することによって得られるであろう。これらの図面は本明細書の一部を構成している。しかしながら、添付図面は本発明の好適な実施の形態を明示するためのものであり、従って、それらの範囲を限定するものと考えてはならない。
【図1A】選択に用いられるRNAプールの配列を示す図。このプールの51個のヌクレオチドのランダム配列領域は非対称的である(A、C、及びGは33.1%、Uは6%)。ウリジン残基はF−12−Uによって完全に置換される。
【図1B】Sassanfar及びSzostak23によって選択された最小の抗アデノシン・アプタマーを示す図。
【図1C】クローンされたアプタマーから51個のヌクレオチド・ランダム領域の配列を示す図。同一のクローンの番号は括弧内に示されている。下線を引いた残基はファミリー1及びファミリー2の配列で共有される6個のヌクレオチド・モチーフを示す。
【図1D】情報伝達アプタマーのスクリーンを示す図。200mMのATPの存在下でのアプタマー(100nM)の情報伝達能力が示されている。
【図2A】情報伝達アプタマーraf17、raf17−U61C、及びraf17sの予想される二次構造を示す図。恒常領域の残基は太字で示されている。F−12−U残基はハイライトされている。
【図2B】情報伝達アプタマーの応答曲線を示す図。設定された多数のデータが反応式Y=AX/(X+Kd)を用いた曲線に適合した。曲線の下の表は計算によるカーブ・フィット・パラメータ及び飽和状態での相対蛍光単位(RFU)の変化を示す。
【図3A】raf17−U61C(21nM)の情報伝達特異性を示す図。アプタマーraf17−U61Cの情報伝達について200μMのリガンド存在下で分析した。異なるリガンドに対するRFUの変化はATPと共にRFUの変化へ標準化されることが示されている。
【図3B】ATP−40−120で報告された結合特異性とraf17−U61Cのポディブな情報伝達特異性の比較図。
【図4】他のヌクレオチドの存在下(図4A)及び1%血清の存在下(図4B)での情報伝達アプタマーの応答曲線を示す図。図4Aでは、ATP、GTP、CTP、及びUTPの等モル溶液が種々の濃度で情報伝達アプタマーraf17sと混合された。図4Bでは、情報伝達アプタマーraf17sが種々の量のATPと混合された。図中の符号や意味は図2と同様である。
【図5】情報伝達アプタマーraCB7b(図5A)及びraRG7b(図5B)の応答曲線を示す図。設定された重複データは曲線に適合した。曲線の下の表は計算によるカーブ・フィット・パラメータを示す。
【図6】選択された情報伝達アプタマーであるraf17s、及び設計された情報伝達アプタマーであるRNA−13−AC21の応答曲線を示す図。
(発明の分野)
本発明は一般的には生化学及び核酸化学の分野に関するものである。より具体的には、本発明は1個から3個までの蛍光ラベルされた同一のヌクレオチドを含むRNA核酸結合種のin vitro 選択に関するものである。
【0002】
(関連技術の説明)
広範囲の標的物と結合する核酸結合種(アプタマー)はランダム配列群から容易に選択される3−6。選択されたアプタマーはアミノ酸7のような単純な分子あるいは赤血球細胞膜8のような複雑な分子を認識することができる。アプタマーに化学的に修飾された塩基を組み込むとその安定性が大幅に向上し、血清あるいは尿サンプルを使った同一アッセイでのアプタマーの利用を潜在的に適合化する。
【0003】
分子識別を直接光信号に変換できる試薬不要のバイオセンサーは多様な分析に用いられるセンサー・アレイの開発を可能にする。多能性核酸結合種であるアプタマーは容易に選択されるが、バイオセンサーとしての利用に適合させることは難しい。選択された核酸結合種(アプタマー)をバイオセンサーとして機能させるために適合化すれば、多数の診断学上の利用がさらに可能になる1,2。
【0004】
アプタマーを用いた初歩的なバイオセンサーのいくつかの例が既に開発されている。蛍光ラベルされたアプタマーとキャピラリー電気泳動法をレーザー誘起蛍光法(CE−LIF)と組み合わせたものが溶液中のIgE及びトロンビンの高感度検出に用いられている。ガラス基板上に固定化したラベル付き抗トロンビン・アプタマーはエヴァネセント波誘起蛍光異方性の変化を追跡することによって溶液中のトロンビンを検出することができる10。ラベル付き抗CD4アプタマーはヒトCD4を発現するマウスのT細胞を染色するために用いられる11。ラベル付き抗ヒト好中球エラスターゼ(HNE)アプタマーはビーズ上のヒト好中球エラスターゼ検出において抗抗ヒト好中球エラスターゼ抗体と同程度に効果的である12。
【0005】
しかし、これらの分析法は本質的には抗体を使って既に開発された方法の模倣であり、一般に洗浄またはその他の分離技術の後の結合を間接的に読み出した情報に頼るものである。対照的に、検体の存在を直接示すことができる分子はバイオセンサーとして有用であることが益々明らかになってきている13。例えば、その結合部位端部を蛍光色素でラベルされた大腸菌リン酸結合蛋白質の突然変異体14は無機リン酸塩結合の際に蛍光発光の大幅な増加を示した15。同様にラベル付けされたマルトース結合蛋白質は溶液中のマルトースを定量的に検出し16、ラベル付けされたグルコース結合蛋白質はグルコースを検出する17。受容体及び供与体のフルオロフォア双方のcAMP依存蛋白質キナーゼへの接合体はcAMPによって蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)が変調されるセンサーを生み出した18。
【0006】
小さな分子と結合するアプタマーはそれらの同系のリガンドと相互作用するときに配座変化を受けることが示されてきた19,20。配座変化を受けることが既知の領域でアプタマーに導入されたレポーターフルオロフォアは結合後の蛍光強度の変化につながることがある。しかし、フルオロフォアのそのような導入は、恐らくは立体障害または配座均衡の摂動によって結合エネルギーの大きな損失を招くことがある。
【0007】
機能性核酸は限定された化学的性質を持つ4つのモノマーしか含まず、ヌクレオチドは共依存であるというWatson−Crick両博士の発見に基づいて核酸の構造は概ね決定されていることを考慮すると、結合種及び触媒が任意のヌクレオチドで実質的に使い果たされたランダム配列プールから選択できるのは驚くべきことである。しかしながら、Rogers及びJoyce22はシチジンを欠失したリボザイムはBartel Class I リガーゼの連続放出後選択可能であることを示した。アプタマー及びリボザイムはヌクレオチドの1つで使い果たされたプールから選択される一方、明らかに機能性の代価は化学的性質と構造が失われることで支払われる。シチジンを欠失したリボザイムはシチジンを含むリボザイムと比較しておよそ100倍から10,000倍反応が遅い。
【0008】
そのため、リガンド結合と蛍光による情報伝達の間での明らかな不一致を減少させることは有益である。蛍光性ヌクレオチドの少数の同一残基のみを含む情報伝達アプタマーをつくりだす選択法は当初からそのような手段を提供している。これらの選択された情報伝達アプタマーはアプタマーの広範な分子識別特性を情報伝達と結びつけるものである。
【0009】
先行技術は情報伝達アプタマーをin vitro で選択する方法を欠いている点で不十分である。本発明はこの分野における長年のニーズと願望を成就するものである。
【0010】
(発明の要約)
本発明は情報伝達アプタマーをin vitro で選択する方法において;特定の非対称的モル比を有するヌクレオチドのランダム・インサートをDNAが有するようにDNAプールを合成するステップと;上記DNAプールを増幅させるステップと;前記増幅されたDNAからRNAプールを転写するステップにおいて、上記RNA転写で用いられるヌクレオチドが蛍光ラベルされていることを特徴とするステップと;上記蛍光ラベルされたRNAプールを親和性カラムに入れて、上記蛍光ラベルされたRNAプールから高親和性蛍光RNA分子を取り出すステップと;上記高親和性蛍光RNA分子からcDNAプールを得るステップと;上記高親和性蛍光RNA分子上で増幅と選択を繰り返し、上記蛍光RNA分子をクローンして、そのクローンが情報伝達アプタマーを含んでいるステップ;で構成されている方法を提供する。
【0011】
本発明はまた、情報伝達アプタマーをin vitro で選択する方法において;DNAがヌクレオチドのランダム・インサートを有し、前記ヌクレオチドが非対称的モル比を有しているDNAプールを合成するステップと;DNA増幅で用いられる1つのヌクレオチドが1つ以上のレポーター分子によってラベルされていることを特徴とする上記DNAプールを増幅するステップと;上記増幅されたDNAから上記ラベルされた一本鎖DNAを単離するステップと;上記ラベルされた一本鎖DNAのプールを高親和性ラベルDNA分子が上記ラベルされたDNAプールから取り出される親和性カラムに入れるステップと;上記親和性カラム上で上記高親和性ラベルDNAプールを保持するためにステップ(a)から(d)までを繰り返すステップと;そして、上記保持されたラベルDNA分子をクローンして、そのクローンが情報伝達アプタマーを含んでいるステップ;で構成されている方法を提供する。
【0012】
本発明の別の実施の形態では、1つのリガンドに結合する際の配座変化を上記情報伝達アプタマーのRNA配列に組み込まれる蛍光ラベルされたヌクレオチドの蛍光強度における変化に変換する情報伝達アプタマーを提供する。さらに、蛍光レベルされたヌクレオチドはDNA情報伝達アプタマーに組み込まれてもよい。
【0013】
本発明の1つの好ましい実施の形態では、フルオレセインを含んだRNA抗アデノシン情報伝達アプタマーを提供する。
【0014】
(発明の詳細な説明)
本発明による1つの実施の形態で、情報伝達アプタマーをin vitro で選択する方法において;ヌクレオチドが特定の非対称的モル比を有するヌクレオチドのランダム・インサートを有するDNAのDNAプールを合成するステップと;上記DNAプールを増幅させるステップと;上記RNA転写で用いられるヌクレオチドが蛍光ラベルされるように前記増幅されたDNAからRNAプールを転写するステップと;上記蛍光ラベルされたRNAプールを親和性カラムに入れて、上記蛍光ラベルされたRNAプールから高親和性蛍光RNA分子を取り出すステップと;上記高親和性蛍光RNA分子からcDNAプールを得るステップと;上記高親和性蛍光RNA分子上で増幅と選択を繰り返し、上記選択された蛍光RNA分子をクローンして、そのクローンが情報伝達アプタマーを含んでいるステップ;で構成されている方法を提供する。
【0015】
この実施の形態の1つの態様において、RNA増幅に使われるヌクレオチドは化学的に修飾されてもよい。好ましくは、そのDNAはA:C:G:Tのモル比が3:3:2:0.38で非対称的な51個のヌクレオチドのランダム・インサートを有している。蛍光ラベルは蛍光色素でもよく、上記蛍光ラベルされたヌクレオチドは転写が行われる間RNAに組み込まれる特定のヌクレオチドに付加される。蛍光色素の代表例はフルオレセイン、カスケード・ブルー、及びローダミン・グリーンである。好ましくは、蛍光RNAはその蛍光RNAが情報伝達アプタマーである蛍光ラベルを有する約1個から3個のヌクレオチドを含んでいる。本発明の好適な実施の形態では、1個から3個のフルオレセインを含んだウリジンを含んでいる選択された情報伝達アプタマーが提供される。
【0016】
本発明による別の実施の形態では、DNA情報伝達アプタマーをin vitro で選択する方法において;DNAがヌクレオチドのランダム・インサートを有し、前記ヌクレオチドが非対称的モル比を有しているDNAプールを合成するステップと;DNA増幅で用いられる1つのヌクレオチドが1つ以上のレポーター分子によってラベルされていることを特徴とする上記DNAプールを増幅するステップと;上記増幅されたDNAから上記ラベルされた一本鎖DNAを単離するステップと;上記ラベルされた一本鎖DNAのプールを高親和性ラベルDNA分子が上記ラベルされたDNAプールから取り出される親和性カラムに入れるステップと;上記親和性カラム上で上記高親和性ラベルDNAプールを保持するためにステップ(a)から(d)までを繰り返すステップと;そして、上記保持されたラベルDNA分子をクローンして、そのクローンが情報伝達アプタマーを含んでいるステップ;で構成されている方法を提供する。
【0017】
この実施の形態の1つの態様において、DNA増幅に使われるヌクレオチドは化学的に修飾されてもよい。好ましくは、そのDNAはA:C:G:Tのモル比が3:3:2:0.38で非対称的な51個のヌクレオチドのランダム・インサートを有している。蛍光ラベルは蛍光色素でもよく、特定のヌクレオチドあるいはプライマーに付加され、上記蛍光ラベルされたヌクレオチドは増幅の間、DNAに組み込まれる。蛍光色素の代表例はフルオレセイン、カスケード・ブルー、及びローダミン・グリーンである。好ましくは、蛍光DNAはその蛍光DNAが情報伝達アプタマーである蛍光ラベルを有する約1個から3個のヌクレオチドを含んでいる。
【0018】
本発明によるさらに別の実施の形態では、選択された情報伝達アプタマーがRNAまたはDNAの核酸結合種(アプタマー)から成り、そのアプタマーは約1個から3個の蛍光ラベルされた同一のヌクレオチドを含んでいる。選択された情報伝達アプタマーは、1つのリガンドに結合する際の配座変化を情報伝達アプタマーに組み込まれた蛍光色素の蛍光強度の変化に変換する。
【0019】
本発明の1つの好ましい実施の形態では、上記情報伝達アプタマーはフルオレセインを含んだ抗アデノシンRNAアプタマーである。
【0020】
ここで用いられる『アプタマー』または『選択された核酸結合種』とは、非修飾あるいは化学的に修飾されたRNAまたはDNAなどである。選択の方法は逆転写(RT)あるいはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるアフィニティークロマトグラフィー及び増幅法である。
【0021】
ここで用いられる『情報伝達アプタマー』とは、レポーター分子を有するアプタマーなどであり、好ましくはそのアプタマーのリガンドとの相互作用の結果生じる配座変化の際に上記レポーター分子が特異的な信号、好ましくは蛍光強度の変化をもたらすような方法でヌクレオチドに付加する蛍光色素を有するアプタマーなどである。
【0022】
ここで用いられる『リガンド』とは、情報伝達アプタマーと結合するあらゆる分子などである。
【0023】
ここで用いられる『付加した』とは、情報伝達アプタマーを含んでいるRNAが転写される間の蛍光ラベルされたヌクレオチドの組み込みなどを意味している。
【0024】
ここで用いられる『PCR』とは、Mullisの米国特許第4,683,195及び第4,683,202の主題であるポリメラーゼ連鎖反応、及び現在既知となっている本分野のその他の進展を意味する。
【0025】
ここで用いられる『塩基』とは、デオキシリボ核酸及びリボ核酸の両方を意味する。以下の略語、即ち、『A』はアデニン及びそのデオキシリボース誘導体、『T』はチミン、『U』はウリジン、『G』はグアニン及びそのデオキシリボース誘導体、『C』はシトシン及びそのデオキシリボース誘導体、が用いられる。本分野の通常の当業者であれば、本発明による方法を最適化するためこれらの塩基が修飾あるいは誘導されることを容易に理解するであろう。
【0026】
表1は本発明による選択された情報伝達アプタマーに関する詳細な情報を提供する。
【0027】
【表1】
【0028】
本発明は、情報伝達アプタマーが約1個から3個の蛍光された同一のヌクレオチドを含んでいる情報伝達アプタマーをin vitro で選択する方法に関するものである。さらに、本発明は、情報伝達アプタマーが1つのリガンドに結合する際の配座変化を情報伝達アプタマーに組み込まれた蛍光ヌクレオチドの蛍光強度の変化に変換するような情報伝達アプタマーに関するものである。
【0029】
アプタマーはリガンドに誘導された配座変化を受ける。アプタマーを情報伝達アプタマーに転化するため、レポーター分子がアプタマーに導入される。レポーター分子は配座変化の結果としてその場所での化学的環境の変化を感知し、その結果配座変化の信号を出してリガンド結合が起きる。
【0030】
情報伝達アプタマーを生成するため、蛍光またはその他のレポーターが未処理のランダム配列プールに導入される。例えば、蛍光レポーターを持つヌクレオチドがDNAまたはRNAポリメラーゼを用いるプールに導入される。同様に、レポーターを含んでいる蛍光レポーターまたはヌクレオチドを持つプライマーをDNAプールに導入することができる。アプタマーは標的分子と結合する能力に基づいてそのようなプールから選択される。選択されたアプタマーは必然的に蛍光レポーターの存在に順応する。アプタマーはリガンドに誘導された配座変化を受けるので、存在する蛍光レポーターもその場所での化学的環境の変化を受け、それに応じて配座変化の信号を出す。
【0031】
蛍光またはその他のレポーターが選択後アプタマーに導入されると、アプタマーの結合またはその他の機能を損なうことがある。しかしながら、結合またはその他の機能が損なわれたそれらのアプタマーはin vitro 選択の過程で失われ、機能的に蛍光レポーターを取り込めるアプタマーだけがその群の中に残るので、蛍光レポーターの選択前の導入によって、その蛍光レポーターが選択後にアプタマーの結合またはその他の機能を損なわないアプタマーの選択が可能である。
【0032】
【実施例】
以下の実施例は本発明の様々な実施の形態を説明する目的で示されるものであり、いかなる意味でも本発明の限定を意味しない。
【0033】
実施例1
材料
情報伝達アプタマーの特異性をテストするために使われるアガロース親和性レジン及びATPの誘導体をSigma(St. Louis, MO)から購入した。フルオレセイン−12−UTPをRoche Diagnostics(Indianapolis, IN)から購入した。別のフルオレセイントUTP接合体、カスケード・ブルー−7−UTP、テキサス・レッド−5−UTP及びローダミン・グリーン−5−UTPをMolecular Probes(Eugene, OR)から購入した。
【0034】
実施例2
蛍光測定
全ての蛍光測定値はSLM−AMINCO(Spectronic Instruments, Rochester, NY)からのSeries 2 発光分光計で得た。実験サンプルは対応する色素の最大励起(フルオレセインλex494nm、ローダミン・グリーン505nm、及びカスケード・ブルー400nm)で励起し、蛍光強度は対応する最大放射(フルオレセインλex521nm、ローダミン・グリーン533nm、及びカスケード・ブルー420nm)で測定した。1mlのアプタマー溶液を蛍光計セル(Starna Cells, Inc., Atascadero, CA)にピペットで取り、種々の濃度のリガンド溶液を少量添加した。
【0035】
実施例3
蛍光応答曲線
蛍光アプタマー(50nM)を結合緩衝液中で熱的に均衡させた。平均して、8個の読み出しが得られ、アプタマーの最初の蛍光強度を確立した。結合緩衝液中で種々の濃度のATP溶液を2μlずつ加えていった。ATP添加時の蛍光変化をプロットした。データ表現を標準化するため、任意のATP濃度(FX−F0)における蛍光変化を飽和ATP濃度(F100−F0)における蛍光変化で割った。そのデータはプログラムKaleidograph(Synergy, Reading, PA)を用いる以下の方程式と一致した:Y=AX/(X+B);ここで、Y=任意のATP濃度における蛍光の相対的増加、(FX−F0)/(F100−F0);X=ATP濃度;A=飽和ATP濃度における蛍光の増加、(F100−F0);B=見かけの乖離定数(Y=0.5AにおけるATP濃度)。
【0036】
実施例4
蛍光RNAプールの調製
シグナルが大きく、バックグラウンドは小さい情報伝達アプタマーを生成するため、各結合種には少数の蛍光残基だけが存在しなければならない。もし多数の蛍光残基が存在すると、その多くは局所的な配座変化には影響されず、バックグラウンドに本来備わっている蛍光が表われ、情報伝達アプタマーの識別はより困難になり、その結果全体としてのシグナルの大きさが減少する。
【0037】
従って、U残基が少なく表われる(A、C、及びGが33.1%、Uが6%)ように51個の残基ランダム配列領域を非対称にしたRNA分子(N51)のプールを生成する(図1A)。その結果生じるRNA群はその群の主要部分が1分子あたり3個か4個のウリジンしか含まない(Y=[51!/((X!)(51−X)!)](0.06)X(0.94)(51−X )、ここで、Y=その群の部分、X=1分子あたりのウリジンの数)2項分布で記述される。最近Cを欠いたリボザイム22の選択により、機能性核酸分子が4種類の塩基のうち1つを欠いたプールから潜在的に選択可能であり、従って、抗アデノシン・アプタマーをUが少ないプールから選択可能であることが証明されている。
【0038】
具体的には、51個のヌクレオチドのランダム・インサートを有する102−merDNAプール(N51;5’TAATACGACTCACTATAGGGAAGGCACGAC−−−N51−−−AGACCCAACCAGCCAGAGACC(配列識別番号No.1))(図1A)が合成された。各々のNはモル比が3:3:2:0.38 A:C:G:TホスホルアミダイトのA、C、G及びTの混合物である。1本鎖DNAプールを標準的手順33に従って脱保護、精製、PCR増幅した。その結果生じたDNAプールの10%のみが増幅可能であった。蛍光RNAプールは、UTPの代わりに1mMのF−12−UTPを使ったT7Ampliscribe in vitro 転写キット(Epicentre, Madison, WI)を用いて2本鎖DNAプールから転写された。dsDNAテンプレートを除去するためのデオキシリボヌクレアーゼ消化の後、蛍光ラベルされたRNAを10%のポリアクリルアミド・ゲル上で精製し、0.3MのNaCl溶液中で37℃の温度で一晩抽出し、エタノール沈殿した。そのプールを15μlのH2O中で再懸濁し、その後0.025mlcm−1 μg−1の吸光係数を用いるA260の測定によって計量した。これは非蛍光核酸34の標準吸光係数であり、フルオレセインがヌクレオチドとよく似た260(21,000M−1cm−1)に近似する吸光係数を有するため採用した。従って、少量のフルオレセイン・ラベルの添加は核酸プールの全体としての吸光係数をそれほど損なわないはずである。
【0039】
実施例5
蛍光ラベルされたRNAアプタマーのin vitro 選択
蛍光ラベルされた抗アデノシン・アプタマーの選択は抗アデノシン・アプタマーのもともとの選択と本質的に同じ方法で行われる23。最初のRNAプールは約2×1014個の塩基を含んでいる。結合緩衝液(300mMのNaCl、20mMのTris−Cl、pH7.4、5mMのMgCl2)中で3分間65℃の温度で熱変性させ、室温で均衡させた後、そのプールを0.5mlのアガロース・カラムに通し、カラム・マトリクスに結合するそれらの種を除去する。次に、そのプール(選択の過程の間4−30μgの範囲にある)をATP−アガロース親和性カラムに入れ(ATPはそのC8を通り抜け、ジアミノヘキシル・リンカーを経て臭化シアン活性アガロースと結合する)、10分間均衡させる。カラム内のATP濃度は2.3mMであり、親和性カラムの体積は選択の過程の間0.2mlから1mlの範囲内にあった。そのカラムを15から400カラム体積の結合緩衝液と展開することによって低親和性結合種を除去した。高親和性種は5mMのATPを含む0.4から3mlの結合緩衝液中のカラムから抽出した。エタノール沈殿による濃縮の後、生成された蛍光RNA分子の濃縮プールをcDNAプールに逆転写し、PCRで増幅し、次のラウンドのための蛍光RNAをin vitro 転写によって生成した。最後の3ラウンドで、先ずそのプールをネガティブ選択として0.5mlのGTPアガロース・カラムに通した。選択と増殖を11ラウンド行った後、蛍光RNAプールの1/3がATPアガロース・カラム上に保持され、8カラム体積を抽出した。初期のラウンドではそのプールの1%未満を特異的に保持、抽出した。さらに、転写プロセスの間化学的に修飾されたヌクレオチドを使うことによって転写による蛍光RNAの生成が可能である。
【0040】
ラウンド11からのアプタマーをTOPO TAクローニング・キット(Invitrogen, Carlsbad, CA)を使ってクローニングし、24個のアプタマーの配列をSequiTherm EXCEL II キット(Epicentre, Madison, WI)を使って配列決定した。平均すると、選択された1配列に付き2.25個のウリジンが存在し、修飾された塩基の取り込みに対する選択が殆ど、あるいは全く起こらなかったことを示している。アプタマーは配列の類似度に基づいて5つのファミリーと2つの分離物に容易に分類された(図1C)。ファミリー1及び2は6残基塩基モチーフ、CAGAAG(配列識別番号No.16)を共有すると見られる。図1BはSassanfar及びSzostakによって選択された最小の抗アデノシン・アプタマーを示す23。
【0041】
Raf17はヌクレオチドの1つの中でかなり使い果たされたプールから選択されたアプタマーの最初の例である。このプール(ファミリー4、図1C)からのその他のアプタマーはウリジン残基を含んでいない。Cのないプールに残ったウリジンは両方のプリンとペアになり、Uが少ないプールに残ったシチジンはアデノシンでなく主としてグアノシンと対になることから、機能性核酸がCではなくUが使い果たされたプールから選択されたことはとりわけ有望である。これらの結果はさらに、核酸レプリケータ及び触媒の最初の展開に遺伝子情報の完全な相補は必要でなかったという可能性を示している24,15。
【0042】
実施例6
情報伝達機能のためのアプタマーのスクリーニング
フルオレセインを含んだRNAの最後のプールは情報伝達能力をわずかに示す。その600nMのプールをATP2mMの存在下で均衡させると、7%の相対フルオレセインの増加を示した。配列の異なるファミリーの代表例を200μMのATPの存在下で情報伝達について分析した(図1D)。ファミリー1からのアプタマーのみが有意でポジティブな情報伝達能力(蛍光の増加)を示し、raf17が最良の情報伝達アプタマーであった。ファミリー5からの1つのアプタマー及び1つの分離物であるraf128は若干のネガティブな情報伝達能力
(蛍光の減少)を示した。
【0043】
実施例7
情報伝達残基のマッピング
アプタマーraf17及びraf15の両方ともアデノシンが存在するというシグナルを出すが、後者は前者よりウリジン残基を1つ多く含む。この比較によってraf15及びその他のファミリー1メンバー内の3’−mostウリジン残基はバックグラウンド蛍光に寄与するが、情報伝達には不必要であることが示唆される。このことはraf17(相対蛍光の22%増加)がraf15(相対蛍光の15%増加)よりわずかに大きな情報伝達能力を示すという事実から支持される。
【0044】
raf17(図2A)内の残り2つのフルオレセインを含むウリジン残基のどちらが情報伝達に必要か判定するため、位置52のウリジンをシチジンで(raf17−U52C)、あるいは位置61のウリジンをシチジンで(raf17−U61C)置換するraf17の変異体を構成した。U52Cの置換はATP依存の蛍光変化を何ら示さず、一方U61Cの置換はシグナルを発するだけでなく、母体分子であるraf17よりもわずかに大きなATP依存の蛍光変化を実際に示す(図2B)。これは情報伝達に無関係なフルオロフォアが除去されると、情報伝達が向上するという仮定に一致する。raf17はRFUの最大変化が56%を示し、ATPに対する見かけのKdは223μM±20μMである。raf17−U61CはRFUの最大変化が75%を示し、ATPに対する見かけのKdは165μM±10μMのKdである(図2B)。全般に、異なるアプタマー及び変異体による結果は、フルオレセインを含む位置52のウリジンが情報伝達のためのファミリー1のアプタマーに必要とされる唯一の残基であることを示す。さらに、情報伝達は明らかに同系リガンドがないときのフルオレセインの消滅によるものである。アプタマーがリボヌクレアーゼで消化されるとき、その最大蛍光強度はATP飽和濃度の存在下でのもともとのアプタマーの蛍光強度に等しい。
【0045】
他にどの残基が情報伝達にとって重要かに関する仮定を構築するため、アプタマーraf17−U61Cの予想される二次構造(図2A)を調べた。単一のウリジンは恒常領域から離れて、マルチ・アーム接合部と見られる部位に発生する。アプタマー(raf17)の不完全な異形は殆どの恒常領域が除去される場所に生成され、一方でマルチ・アーム接合部を支持する長い、予想されたステムが残る。raf17は情報伝達活性(図2B)を支持する。事実、情報伝達活性は向上し、RFUの最大変化は81%であった。見かけのKdは175μM±5μMで、母体アプタマーraf17−U61Cと本質的に同じであった。さらに、マルチ・アーム接合部の一部が除去されたraf17の不完全型はシグナルを出さなかった(データ図示せず)。
【0046】
Uが少ない抗アデノシン情報伝達アプタマーは、Sassanfar及びSzostakによって選択され23、BurkeとGold26及びBurgstallerとFamulok27によってそれぞれ独立に選択された標準抗アデノシン・アプタマーATP−40−1よりもおよそ200倍多いATPの対する見かけのKdを有していた。しかし、その選択された情報伝達アプタマーは相当する特異性の喪失がないように見える。これらの結果はアプタマーの特異性が個々のリガンドとの水素結合あるいは塩橋の形成または喪失というよりは、結合ポケットの構造に本来備わっている立体構造の制約が主として起因することと一致する。
【0047】
実施例8
情報伝達の特異性
アプタマーraf17−U61Cの特異性を評価するため、蛍光シグナルの相対変化を種々のアデノシン誘導体及びその他のヌクレオチドの存在下でモニターした。これらのデータは図3Aに示され、ATP存在下での蛍光変化に標準化されている。そのアプタマーは核塩基または糖(ATP、ADP、AMP、アデノシン、NAD)のいずれかを損なわない任意のアデノシン誘導体の存在下でシグナルを出す。しかしながら、核塩基または糖がアデノシンと異なる大部分の誘導体はシグナルを出さないか、フルオロフォアをわずかに消滅させる。唯一の例外はN6−メチル・アデノシン及び2’dATPで、若干のポジティブな情報伝達能力を示す。興味深いことに、2’デオキシアデノシンはシグナルを出さない。5’リン酸塩の存在は通例認識と情報伝達を強化すると思われ、ATP及びADPはAMP及びアデノシンよりもよくシグナルを出すので、アプタマーは2’dATPと2’デオキシアデノシンを識別しているのであろう。
【0048】
情報伝達アプタマー及びSassanfarとSzostakによって選択された抗アデノシン・アプタマー(ATP−40−1)23の両方がアデノシン・ヌクレオチドの塩基と糖の部分を主に認識する。しかし、ポジティブな情報伝達の基準に基づくと、raf17b情報伝達アプタマーの特異性は4つの残基全てを等量含むプールから選択された抗アデノシン・アプタマーの特異性と等しいか、あるいはそれよりも良好である(図3B)。‘Uが豊富な’ATP−40−1もアデニン、2’−O−メチルアデノシン、及び7−デアザアデノシンを交差認識し、一方‘Uが少ない’raf17−U61Cはそれらを交差認識しない。逆に、raf17−U61CもN6−メチル・アデノシンを認識するが、ATP−40−1はそれを認識しない。
【0049】
選択された情報伝達アプタマーが複雑な混合物の存在下でリガンドを計量するために十分特異的かどうか判定する必要があった。raf17の蛍光強度の変化をATP濃度をGTP、CTP、及びUTP(図4A)のバックグラウンドまたは1%コウシ血清(図4B)のバックグラウンドに対して変化させながら判定した。
【0050】
両方の場合で、情報伝達アプタマーはATPの存在及び濃度に追従した。しかし、これら2つの環境内での情報伝達アプタマーの見かけのKdはかなり違っており、他のヌクレオチド存在下での見かけのKdは127μM±3μMであったのに対して、血清内の見かけのKdは212μM±7μMであった。環境が異なると非リガンドで消滅型の情報伝達アプタマーを異なる程度に安定化または不安定化すると見られる。実際には、複雑な混合物内の分析的計量にはその他の多くの分析技術と同様に標準曲線の利用が必要であろう。
【0051】
実施例9
選択された情報伝達アプタマーは一般にリガンド認識を蛍光強度の変化につなぐことが可能である
raf17−U61Cがシグナルを出す仕組みは未知であるが、U52は化学環境のリガンド依存変化を受けるようである。もしそうならば、2つの可能性がある。リガンド依存の配座変化がF−12−Uに依存しているか、またはリガンド依存の配座変化とはF−12−Uと無関係であるかである。
【0052】
これらの可能性を調べるために、アプタマーを他のUTP類似体、即ち、カスケード・ブルー−7−UTP、ローダミン・グリーン−5−UTP、及びテキサス・レッド−5−UTPで転写した。光学的性質の明らかな差異は別にして、これらの類似体はフルオロフォアとヌクレオチドの間のアルキル・アミノ・スペーサーの全長も異なっていた(スペーサー内の原子数は類似体の名称の中に示される。例えば、カスケード・ブルー−7−UTPは色素とヌクレオチドの間に7個の原子を持つ)。
【0053】
raf17−U61Cをテキサス・レッド(raTR7b)で転写するとシグナルを出さないラベルされたアプタマーが生じる。しかし、注目すべきことに、F−12−UTPの代わりにカスケード・ブルー(raCB7b)、及びローダミン・グリーン(raRG7b)を使った転写は情報伝達アプタマーを生み出した(図5A及び5B)。raCB7bに対するRFUの最大増加量は160%で、見かけのKdは188μM±15μMである。raRG7bに対するRFUの計算上の最大増加量は220%で、ATPに対する見かけのKdは571μM±39μMである。いずれのアプタマーも最大500μMまでのGTPの存在下ではシグナルを出さない。
【0054】
選択された情報伝達アプタマー内の少数のウリジンは機能上重要である。かなり異なるウリジン色素接合体がraf17による情報伝達を支持できるという事実は結合及び配座変化は単一の残ったウリジン残基と強く結びついていることを示唆する。フルオレセインが選択が進行する間化学物質へのATP結合に貢献する機会をどんな核塩基、糖、またはリン酸ジエステルとも同じくらい多く有したことを考えるとこれはいささか驚くべきことである。より長いスペーサー・アームを持つ修飾されたヌクレオチド(F−12−UTP及びカスケード・ブルー−7−UTP)は、より短いスペーサー・アームを持つ修飾されたヌクレオチド(ローダミン・グリーン−5−UTP、及びテキサス・レッド−5−UTP)よりも結合を邪魔することが少ない。このような長さの明らかな相互関係もやはりウリジン残基自体の結合及び情報伝達における中心的な重要性を示している。
【0055】
実施例10
選択され、スクリーニングされた情報伝達アプタマーの感受性及び反応性
情報伝達アプタマーを設計するには三次元分子構造の詳細な知識が必要であり、利用する前に綿密に合成及び分析されなければならないが、選択されスクリーニングされた情報伝達アプタマーでは構造や配列の予測も必要なく、センサー成分として即時に利用できる。さらに、選択された情報伝達アプタマーは設計された情報伝達アプタマーよりも感受性がよい。残基A13がアクリジン・ラベルで置換される見かけのKd及びATP−40−1誘導体は340±70μMであるが、raf17の基礎量Kdは175±5μMである。選択された情報伝達アプタマーは反応性も非常に優れている(図6)。アクリジン共役ATP−40−1は28±2%21という相対蛍光のアデノシン依存の最大の増加を有し、一方選択されスクリーニングされた情報伝達アプタマーは最大7倍までの相対蛍光の増加を有する。A13がフルオレセインで置換されたアプタマーは情報伝達能力を示さなかったので、異なるフルオロフォアが情報伝達アプタマーの選択(フルオレセイン)よりも、情報伝達アプタマーの設計(アクリジン)に利用されたという事実はそのような比較の有効性を限定するものではない21。
【0056】
実施例11
蛍光ラベルされたRNA情報伝達アプタマーのin vitro 選択
対応する蛍光ラベルされたDNA情報伝達アプタマーは蛍光ラベルされたRNA情報伝達アプタマーとして提供される通り、DNA最終生成物を説明するためわずかに修飾することで、上記の方法を用いて容易にin vitro で選択できることは明らかである。これらのDNAアプタマーは修飾されていない、あるいは化学的に修飾されたいずれかのヌクレオチドを組み込んでもよい。非対称のモル比を持つヌクレオチドのランダム・インサートを用いるDNAプールが合成され、その後増幅される。そのDNAの増幅は1つ以上のレポーター分子を含んでいるプライマーあるいは1つ以上のレポーター分子を含んでいるヌクレオチドのいずれかを経て完成される。1本鎖DNAはその増幅されたDNAから単離され、DNAアプタマーの特異的結合種が選択され、その後増幅される。
【0057】
実施例12
診断用試薬としての情報伝達アプタマー
アプタマーのin vitro 選択は種々の標的に向けたレセプターを生成するためのきわめて容易で確固とした方法であることが証明されてきた。現在アプタマーは、抗体が以前そう証明されたのと殆ど同じように普遍的なレセプターであると考えられている。しかし、抗体とは異なり、アプタマーは溶液中での同系リガンドとの相互作用を即座に伝える、合成が容易な診断用試薬に転換される1,2,28。
【0058】
1つのアプタマーに導入された1つの蛍光レポーターは強度、異方性、寿命、波長及びスペクトルの性質の変化を生み出すことができた。特に、同じ情報伝達アプタマーが多数の異なる蛍光色素を収容できるという事実は異なる波長での分析に必要な仕組みや装置での情報伝達アプタマーの応用にとって好ましいことである。蛍光の性質を調節する複数の蛍光または分子は同一のアプタマーに導入され、強度、異方性、寿命、波長及びスペクトルの性質の協調的変化を受けることができる。さらに蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の変化も可能である。
これらの特徴に基づき、情報伝達アプタマー選択のための処理能力の高い方法をさらに開発することは多数の非核酸検体を検出できるセンサー・アレイの開発を可能にする。特に、例えば、技術の有益な組み合わせはビーズ上での情報伝達アプタマーの化学合成及びこれらのビーズを光ファイバーケーブル29,30またはエッチングされたマイクロウェル31,32に直接導入することが含まれるであろう。
【0059】
本明細書では以下の参考文献を引用した。
1.Hesselberth, J., Robertson, M.P., Jhaveri, S.D. & Ellington, A.D. In vitro selection of nucleic acids for diagnostic applications. Reviews in Molecular Biotechnology 74, 15−25 (2000).
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32.Lavigne, J.J. et al. Single−analyte to multianalyte fluorescence sensors Proc SPIE−Int Soc Opt Eng. 3602 (Advances in Fluorescence Sensing Technology IV), 220−231 (1999).
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34.Gallagher. Quantitation of DNA and RNA with Absorption and Fluorescence Spectroscopy, A,3D.1−8 (John Wiley & Sons, Inc., New York, NY, 1996)
【0060】
本明細書で述べられた特許または刊行物のいずれもが本発明が関連する当業者の水準を示している。また、これらの特許及び刊行物は、個々の刊行物が言及によって組み込まれることが具体的、個別的に示されていたのと同じ程度に、言及されることによって本明細書に組み込まれる。
【0061】
この分野の当業者であれば、本発明がその目的を成就し、上に述べられたともに本発明に内在する目標と利点を達成するため好適であることを容易に理解するであろう。本実施例は本明細書に述べられた方法、手順、治療、分子、及び特定の化合物と共に現在のところ好ましい実施の形態の代表例であり、典型であり、本発明の範囲を限定することは意図していない。本発明の変形及びその他の利用は請求項の範囲で定義されているような本発明の精神の範囲内に含まれる本分野での当業者にとっては容易に想起できるものである。
【図面の簡単な説明】
本発明の特徴、利点及び目的などが達成され、詳細に理解されるために、本発明のより詳しい説明が添付図面で明示される本発明のいくつかの実施の形態を参照することによって得られるであろう。これらの図面は本明細書の一部を構成している。しかしながら、添付図面は本発明の好適な実施の形態を明示するためのものであり、従って、それらの範囲を限定するものと考えてはならない。
【図1A】選択に用いられるRNAプールの配列を示す図。このプールの51個のヌクレオチドのランダム配列領域は非対称的である(A、C、及びGは33.1%、Uは6%)。ウリジン残基はF−12−Uによって完全に置換される。
【図1B】Sassanfar及びSzostak23によって選択された最小の抗アデノシン・アプタマーを示す図。
【図1C】クローンされたアプタマーから51個のヌクレオチド・ランダム領域の配列を示す図。同一のクローンの番号は括弧内に示されている。下線を引いた残基はファミリー1及びファミリー2の配列で共有される6個のヌクレオチド・モチーフを示す。
【図1D】情報伝達アプタマーのスクリーンを示す図。200mMのATPの存在下でのアプタマー(100nM)の情報伝達能力が示されている。
【図2A】情報伝達アプタマーraf17、raf17−U61C、及びraf17sの予想される二次構造を示す図。恒常領域の残基は太字で示されている。F−12−U残基はハイライトされている。
【図2B】情報伝達アプタマーの応答曲線を示す図。設定された多数のデータが反応式Y=AX/(X+Kd)を用いた曲線に適合した。曲線の下の表は計算によるカーブ・フィット・パラメータ及び飽和状態での相対蛍光単位(RFU)の変化を示す。
【図3A】raf17−U61C(21nM)の情報伝達特異性を示す図。アプタマーraf17−U61Cの情報伝達について200μMのリガンド存在下で分析した。異なるリガンドに対するRFUの変化はATPと共にRFUの変化へ標準化されることが示されている。
【図3B】ATP−40−120で報告された結合特異性とraf17−U61Cのポディブな情報伝達特異性の比較図。
【図4】他のヌクレオチドの存在下(図4A)及び1%血清の存在下(図4B)での情報伝達アプタマーの応答曲線を示す図。図4Aでは、ATP、GTP、CTP、及びUTPの等モル溶液が種々の濃度で情報伝達アプタマーraf17sと混合された。図4Bでは、情報伝達アプタマーraf17sが種々の量のATPと混合された。図中の符号や意味は図2と同様である。
【図5】情報伝達アプタマーraCB7b(図5A)及びraRG7b(図5B)の応答曲線を示す図。設定された重複データは曲線に適合した。曲線の下の表は計算によるカーブ・フィット・パラメータを示す。
【図6】選択された情報伝達アプタマーであるraf17s、及び設計された情報伝達アプタマーであるRNA−13−AC21の応答曲線を示す図。
Claims (38)
- 情報伝達アプタマーをin vitroで選択する方法において、
(a)ヌクレオチドがランダムに挿入されており(ランダム・インサート)、前記ヌクレオチドが非対称的モル比を有しているDNAのプールを合成するステップと、
(b)上記DNAプールを増幅させるステップと、
(c)前記増幅されたDNAからRNAプールを転写するステップにおいて、上記RNA転写で用いられるヌクレオチドが1つ以上のレポーター分子によってラベルされていることを特徴とするステップと、
(d)上記ラベルされたRNAプールを親和性カラムに入れて、上記ラベルされたRNAプールから高親和性ラベルRNA分子を取り出すステップと、
(e)上記高親和性ラベルRNA分子からcDNAプールを得るステップと、
(f)上記親和性カラム上で上記高親和性ラベルRNAプールを保持するためにステップ(a)から(e)までを繰り返すステップと、そして
(g)上記保持されたラベルRNA分子をクローンして、そのクローンが情報伝達アプタマーを含んでいるステップと
で構成されていることを特徴とする方法。 - RNA転写で用いられる上記ヌクレオチドが化学的に修飾されたヌクレオチドであることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 上記DNAが51個のヌクレオチドのランダム・インサートを有していることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 上記DNAが配列識別番号No.1に示される配列を有することを特徴とする請求項2記載の方法。
- 上記非対称的モル比が3:3:2:0.38 A:C:G:Tホスホルアミダイトであることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 上記高親和性ラベルRNAプールの概ね3分の1が上記親和性カラム上で保持されるまでステップ(a)から(e)が繰り返されることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 上記親和性カラムがATPアガロース親和性カラムであることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 上記レポーター分子が1つ以上の蛍光あるいは上記蛍光の性質を調節する分子で構成されることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 上記蛍光が1つの蛍光色素ヌクレオチド結合体が形成される蛍光色素であることを特徴とする請求項8記載の方法。
- 上記蛍光色素がフルオレセイン、カスケード・ブルー、テキサス・レッド及びローダミン・グリーンで構成される群から選択されることを特徴とする請求項9記載の方法。
- 上記蛍光色素ヌクレオチド結合体が蛍光色素ウリジン5’−3リン酸結合体であることを特徴とする請求項10記載の方法。
- 上記蛍光色素ウリジン5’−3リン酸結合体がフルオレセイン−12−UTP、カスケード・ブルー−7−UTP、テキサス・レッド−5−UTP及びローダミン・グリーン−5−UTPで構成される群から選択されることを特徴とする請求項11記載の方法。
- 上記情報伝達アプタマーがraf15、raf17、raf17−U61C、raf17−U52C、raf17s、raf134、raf110、raf111、raf18、raf133、raf117、raf114、raf120、raf126、raf128、racb7b、及びrarg7bで構成される群から選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 請求項1記載の方法によって選択される情報伝達アプタマー。
- 情報伝達アプタマーが1つ以上のレポーター分子を含む1つのRNA核酸結合種(アプタマー)で構成されることを特徴とする請求項14記載の情報伝達アプタマー。
- レポーター分子が1つ以上の蛍光あるいは上記蛍光の性質を調節する分子で構成されることを特徴とする請求項15記載の情報伝達アプタマー。
- 上記蛍光が1つの蛍光色素ヌクレオチド結合体が上記情報伝達アプタマー内に形成される蛍光色素であることを特徴とする請求項16記載の情報伝達アプタマー。
- 上記蛍光色素ヌクレオチド結合体が蛍光色素ウリジン5’−3リン酸結合体であることを特徴とする請求項17記載の情報伝達アプタマー。
- 上記情報伝達アプタマーがraf15、raf17、raf17−U61C、raf17−U52C、raf17s、raf134、raf110、racb7b、及びrarg7bで構成される群から選択されることを特徴とする請求項14記載の情報伝達アプタマー。
- 上記リガンドがアデノシン5’−3リン酸であることを特徴とする請求項14記載の情報伝達アプタマー。
- 上記情報伝達アプタマーが1つのリガンドに結合したときの配座変化を上記情報伝達アプタマーに組み込まれたレポーター分子の分光学的性質における変化に変換することを特徴とする請求項14記載の情報伝達アプタマー。
- 上記分光学的性質が蛍光の強度、異方性、寿命、波長及び蛍光共鳴エネルギー移動で構成される群から選択されることを特徴とする請求項21記載の情報伝達アプタマー。
- 情報伝達アプタマーをin vitro で選択する方法において、
(a)ヌクレオチドがランダム・インサートされ、前記ヌクレオチドが非対称的モル比を有しているDNAのプールを合成するステップと、
(b)上記DNA増幅で用いられる1つのヌクレオチドが1つ以上のレポーター分子によってラベルされていることを特徴とする上記DNAプールを増幅するステップと、
(c)上記増幅されたDNAから上記ラベルされた一本鎖DNAを単離するステップと、
(d)高親和性ラベルDNA分子が上記ラベルされた一本鎖DNA プールから取り出される親和性カラムに上記ラベルされた一本鎖DNA プールを入れるステップと、
(e)上記親和性カラム上で上記高親和性ラベルDNAプールを保持するためにステップ(a)から(d)までを繰り返すステップと、そして
(f)上記保持されたラベルDNA分子をクローンして、そのクローンが情報伝達アプタマーを含んでいるステップと
で構成されていることを特徴とする方法。 - 上記DNA増幅で用いられる上記ヌクレオチドが修飾されたヌクレオチドであることを特徴とする請求項23記載の方法。
- 上記DNAが51個のヌクレオチドのランダム・インサートを有していることを特徴とする請求項23記載の方法。
- 上記DNAが配列識別番号No.1に示される配列を有することを特徴とする請求項25記載の方法。
- 上記非対称的モル比が3:3:2:0.38 A:C:G:Tホスホルアミダイトであることを特徴とする請求項23記載の方法。
- 上記親和性カラムがATPアガロース親和性カラムであることを特徴とする請求項23記載の方法。
- 上記レポーター分子が1つ以上の蛍光あるいは上記蛍光の性質を調節する分子で構成されることを特徴とする請求項23記載の方法。
- 上記蛍光が1つの蛍光色素ヌクレオチド結合体が形成されるような蛍光色素であることを特徴とする請求項29記載の方法。
- 上記蛍光色素がフルオレセイン、カスケード・ブルー、テキサス・レッド及びローダミン・グリーンで構成される群から選択されることを特徴とする請求項30記載の方法。
- 請求項23記載の方法によって選択される情報伝達アプタマー。
- 情報伝達アプタマーが1つ以上のレポーター分子を含む1つのDNA核酸結合種(アプタマー)で構成されることを特徴とする請求項32記載の情報伝達アプタマー。
- レポーター分子が1つ以上の蛍光あるいは上記蛍光の性質を調節する分子で構成されることを特徴とする請求項33記載の情報伝達アプタマー。
- 上記蛍光が1つの蛍光色素ヌクレオチド結合体が上記情報伝達アプタマー内に形成されるような蛍光色素であることを特徴とする請求項34記載の情報伝達アプタマー。
- 上記リガンドがアデノシン5’−3リン酸であることを特徴とする請求項32記載の情報伝達アプタマー。
- 上記情報伝達アプタマーが1つのリガンドに結合するときの配座変化を上記情報伝達アプタマーに組み込まれたレポーター分子の分光学的性質における変化に変換することを特徴とする請求項32記載の情報伝達アプタマー。
- 上記分光学的性質が蛍光の強度、異方性、寿命、波長及び蛍光共鳴エネルギー移動で構成される群から選択されることを特徴とする請求項37記載の情報伝達アプタマー。
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