JP2004530112A - 較正ラジオメータ - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は、ラジオメータに関し、限定はしないが、特に、イメージングラジオメータ、リアルタイム受動ミリ波画像化装置、および1/4波長板受動ミリ波画像化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラジオメータスキャナ装置は知られている様々な構成を有し、スキャナサイズが一つの検討事項である。
【0003】
ラジオメータは電波波長の電磁放射を検波し、通常では、アンテナ、増幅器および検波器を有する。イメージングラジオメータ(または受動ミリ波画像化装置)は追加的に集束光学装置を有するであろう。すべての部品は温度に依存する可能性のある応答特性を有し、アンテナの場合には受信器アレイ上での温度差に依存する可能性がある。多チャネル受信器アレイ上の異なる温度および差動的チャネル温度応答は粗末な画質に結びつく可能性がある。
【0004】
ラジオメータの検波器の出力信号がラジオメータの温度、およびラジオメータにわたる温度の差異にある程度依存するという事実のせいで、検波器から来る出力信号を補償もしくは変更して、更に信頼性のある場面の画像を得るためにラジオメータを較正することが必要である。通常、ラジオメータは定期的(たとえば4カ月ごとなど)に主力研究所もしくは工場で較正されてリセットされる。これは、通常、既知の温度の高温源(たとえば室内雰囲気温度)にアンテナを向けること、および既知の温度の低温源(たとえば液体窒素)にアンテナを向けることを含む。その後、ラジオメータ内のソフトウェアが主な予備的較正を実行し、利得と検波器の出力電圧に印加されるオフセット電圧とを設定する。
【0005】
しかしながら、ラジオメータのチャネルの利得とオフセットは使用時のラジオメータの温度で変動し、この効果は30%も利得を変化させる可能性がある。利得とオフセットを変動させるその他の要因はあるが、温度は主要な変動要因である可能性がある。雰囲気温度の変化はイメージングラジオメータにとって重大な問題を引き起こす可能性がある。イメージングラジオメータにとってなおさら重要なことは異なるアンテナチャネル群(または異なる時間の同じアンテナチャネル)が異なる温度を有し得るという事実であり、それは検波器の出力電圧の歪みとそれによる画像歪みを生じさせる可能性がある。さらに、検波過程の間で異なる時間に増幅器が異なる温度を有する可能性があり、これは検波器の出力電圧に影響を与えるであろう。
【0006】
上述の問題を軽減するいくつかの方法が知られている。1つの方法はラジオメータの動作中にラジオメータの温度感受性部品の温度を一定に維持するように努め、それにより、入射線(すなわち検波対象のミリ波放射)に起因して検波器で認められる温度変化だけが検波器出力電圧の変化を生じるようにすることである。この取り組み方が機能すると、制御された環境のチャンバ内にラジオメータを提供すること、およびラジオメータ全体を入念に制御された温度、たとえば安定で高い(通常の雰囲気温度と比較して高い)温度に維持することが可能となる。しかしながら、その結果として装置は極めて使い勝手が悪くなり、外部のチャンバ加熱および/または冷却機構、およびそれらのサーボ制御は複雑かつ高価であり、機械的不具合もしくは損傷に弱くなる。この装置はまた、余計な重さとかさを有する。
【0007】
別の取り組み方は、場面の信号を基準信号と比較し、定期的にラジオメータを再較正するのにその基準を使用することである。ラジオメータは、イメージングラジオメータの各々のフレーム間で再較正されることもあり得る。基準信号はチョッパによって供給されることが可能であるが、これは、通常、(検波器が基準チョッパを観測することに時間の半分を費やすので)装置の感度を半減させる。別法として、抵抗器から検波信号に電子ノイズ信号を注入し、このノイズを基準信号として使用することが知られている。しかしながら、ノイズ源で使用される増幅器の利得が温度とともに変化する可能性があり、それゆえ、この基準信号は望ましいほどに安定になり得ない。
【0008】
ラジオメータが直面するその他の問題は、ミリ波ラジオメータについては、それらの検波器フィードホーンが限定されたサイズであり、これが、直線型アレイの中でそれらをどれほど近接した間隔に配置し得るかということに制限を加えることである。さらに、観測される場面の概念的画素間の信号に更に多くの情報内容/識別を有することがしばしば望まれる。
【0009】
走査ラジオメータには画素呼び掛け(interrogation)時間がある。それが長すぎる場合、観測される場面内の変化のせいでデータが信頼できないものになる可能性がある。したがって、ラジオメータ検波器の画素統合時間を短く保つことが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
新しいラジオメータを提供することが本発明の目的である。このラジオメータは前述の難題の少なくとも1つを少なくとも軽減することができる。温度変動を補償するために向上した較正特性を備えたラジオメータを提供すること、場合によっては可動部品が無いかもしくはわずかである較正/補償を提供すること、および装置の質量もしくはサイズに有意の追加をもたらさないことが本発明の一実施形態の目的である。
【0011】
解像度および/または画質を向上させることが本発明の別の実施形態の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1/4波長板スキャナ
第1の態様によれば、本発明は、スキャナ部品類、検波器、およびスキャナ部品類の動作を制御するように構成された制御プロセッサを有する走査型イメージングラジオメータを含み、スキャナ部品類は、放射を検波器上に集束する用途に適した集束素子、回転軸の周りで回転可能な反射器プレートを有する検波器の視野領域を含み、反射器プレートの平面が回転軸の垂線に対して傾斜しており、反射器プレートと集束素子の間に配置されて供給される1/4波長板を含み、検波器は集束素子と反射器プレートの間に配置されて供給される検波器フィードを有する。
【0013】
検波器フィードは集束素子と1/4波長板の間に提供されることが好ましい。1/4波長板はメアンダデバイスを含むことが好ましい。
【0014】
集束素子もまた、1つの偏波(たとえば第1の偏波面)の放射を透過させ、その直交偏波の放射を反射する用途に適した偏波器を有することが好ましい。
【0015】
検波器はフィード素子のアレイを有することが好ましい。各検波器は観測される場面の特定の部分から放射を受けることが好ましい。検波器の視野領域は、使用時に、観測される場面の特定の部分から検波器フィードへと(または観測される場面のそれぞれ異なる部分からそれぞれ異なる個々の検波器フィードへと)放射を導くことが好ましい。
【0016】
反射器は、検波器、1/4波長板、および反射器プレートよりもラジオメータの場面観測開口に近接して配置されることが好ましい。画像捕捉開口に関する物理的位置の順序では、集束素子が最も近く、続いて検波器であり、続いて1/4波長板であり、続いて反射器プレートであることが好ましい。
【0017】
ラジオメータは円錐形のスキャナであることが好ましい(観測される場面の空間で円形または環形を選択し、様々な環形に配置された点もしくは区画(装置の光学素子によって画定される範囲/領域)を検波器アレイのそれぞれの個々の検波素子上に集束させ、いずれの環形上の様々な点(微小領域)も同じ検波器素子上に、しかし時間的に異なる瞬間で集束される)。円錐形スキャナは、検波器の視野領域と集束光学素子を使用して、単一の環形から個々の検波器素子へと点/微小領域を導く。
【0018】
集束素子は偏波器、可能であれば直線偏波器を有することがあり得るが、それは別の形式の偏波器、たとえば円偏波装置であってもよい。集束素子は、第1の直線偏波で放射を集束するが90°回転した偏波で放射を集束しないものであってもよい。集束素子は概して平行のワイヤから構成されるディッシュを有することもあり得る。集束素子はラジオメータの場面捕捉開口に関して検波器フィードの前方に配置されてもよい。反射器と集束素子の間に偏波変更素子が供給され、メアンダデバイスを有することもあり得る。
【0019】
オフセットアレイ
別の態様によると、本発明は検波器アレイ、スキャナ、および検波器アレイから信号を受け取るように構成された制御プロセッサを有する走査型ラジオメータを含み、検波器アレイは細長い長さ、もしくは曲線を有し、検波器アレイフィード素子群の各々がそれぞれのチャネルに供給を行い、上記のフィード素子群がアレイの細長い長さもしくは曲線に沿って間隔を置かれ、スキャナは検波器アレイ上の観測場面の領域を走査するために制御プロセッサによって使用時制御され、検波器アレイはフィード素子群の第1の直線もしくは曲線を含み、それらの中心が第1の距離とフィード素子群の第2の直線もしくは曲線で間隔を置かれ、第2の直線もしくは曲線のフィード素子群の中心が第2の距離で間隔を置かれ、検波器素子群の第1および第2の直線もしくは曲線の中心が第1の直線もしくは曲線の長く延びた方向で互いからオフセット配置されている。
【0020】
フィード素子群の線は直線である必要がなく、曲線であってよい。
【0021】
曲線型検波器アレイの曲線は、隣接する直線状のアレイでもよく、隣接する環状のアレイであってよい。直線状アレイの場合には、画像化装置内の走査パターンは直線状に配置される円形であり、環状アレイの場合には、走査パターンは環状に配置される円形であろう。環状アレイの利点は、更に多くのサンプルが画像の中央で採取されることである。直線状アレイの利点は作製がより容易であることである。
【0022】
直線もしくは曲線のフィード素子群は、普通では、互いから等距離で間隔を置かれるであろうが、そうである必要はない。第1の直線もしくは曲線のフィード素子群の間隔は、通常は、第2の直線もしくは曲線に沿ったフィード素子群の間隔と同じであろうが、そうである必要はない。
【0023】
第2の直線もしくは曲線は、概して、第1の線と平行に延びることが好ましい。検波器フィードの第1および第2の直線もしくは曲線は互いに隣接することが好ましく、フィード素子群の幾何学形状が許す限り十分に互いに近接することが最も好ましい。第1の距離はフィード素子群の幾何学形状が許す限り十分に小さいことが好ましい。第1および第2のフィード素子群は実質的に同じサイズを有することが好ましい。第1および第2の直線もしくは曲線は、それら自体の直線もしくは曲線内の隣接フィード素子群に対して可能な限り十分に近接して間隔を置いた実質的に同一のフィード素子群の線を有し、互いに可能な限り十分に近接した2本の直線もしくは曲線を備え、長く延びた方向で第1および第2の直線もしくは曲線の相対位置にオフセットを備える。
【0024】
可能な限り近接した検波器素子を有することは装置の解像度を向上させる。
【0025】
2本の線をほぼ同じ場所で間隔を置きながら第1の線の検波器素子群との関連で第2の線の検波器素子群をオフセットさせる結果、多重線アレイが効果的に生じ、それは単一線アレイと同等であるが、アレイの長く延びた方向に間隔を置いた一層近接したフィード素子を備える。
【0026】
2つのフィード素子の中心をどの程度まで近接させ得るかということについては制限がある。それらは、通常、方形のホーンであり、限られたサイズを有する。これはホーンが線の中でどの程度まで密接に一体化され得るかということに拘束条件を課す可能性があり、それが装置の解像度を拘束する。
【0027】
ホーン/フィードの隣り合う線のホーン/視野にオフセットを設けることは、2つのホーンの中心間の線間隔(ホーン中心間の長く延びる方向の距離)を効果的に小さくする。
【0028】
オフセットは1/2ピッチのオフセットであってもよい。これは長く延びる方向のフィードの相互間隔を効果的に半減させる。あるいは異なるオフセット(たとえば1/4もしくは1/3ピッチ)が使用されてもよい。
【0029】
2本の線のフィード素子だけが存在することもあり得るが、必ずしも2本の線のフィード素子だけを有する必要はなく、2本よりも多い線、たとえば3本、4本なども考え得る。n本の同様のフィード素子の線がある場合、線上にあるフィード素子の中心間の直線方向でのオフセット、フィード間隔はピッチの1/nであってもよい。
【0030】
検波器アレイ上の場面の走査方向は、検波器素子の線の長く延びる方向に対して実質的に直角となる可能性がある。非直線的アレイでは、長く延びる方向は、局所的に延びる方向であり、数個、場合によってはアレイの2個のみのフィード素子の局所である可能性がある。たとえばフィード素子群の直線(曲線)内のどのような2個の隣接フィード素子についても、それらの間に線が存在可能であり、2つの隣接フィード素子に入射する放射の線に沿って投影視するとき、その隙間に異なる線から由来するオフセットを有するフィード素子があってよい。
【0031】
フィード素子群の異なる線のフィード素子の中心間のオフセットは、実効フィード素子中心間間隔を長く延びる方向でナイキスト間隔まで、またはナイキスト間隔付近まで、あるいはナイキスト間隔よりも良好な程度まで削減するようにされることがあり得る。
【0032】
もちろん、ナイキスト間隔は使用される放射周波数によって決まる。単一線のフィード素子の中心は約λFn離れ得ると考えられ、対象の放射に関するナイキスト間隔は
【数1】
であり得ると考えられ、それは、1/2ピッチの間隔を置くフィード素子群の2本の線がほぼナイキスト間隔を備えた系を生じるはずであることを意味する(ここでλは放射の自由空間波長であり、Fnは集束光学素子のF数であり、かつ
【数2】
である)。このラジオメータはイメージングラジオメータであることが好ましい。
【0033】
別の態様によれば、本発明は、直線型アレイの検波器フィード素子群、およびそのアレイの直線方向を横切る方向で直線型アレイにわたって観測場面を走査するスキャナを有する種類のイメージングラジオメータの解像度を向上させる方法を含む。この方法は、検波器素子群の複数の線を有するアレイを供給することを含み、それらの線は、アレイの直線方向に沿って全体として見る場合検波器フィードの間隔がフィード素子群の単一線に見られる間隔よりも小さく、それにより検波器アレイの直線方向の検波器フィード素子群の間隔を効果的に削減するように、線の直線方向でオフセットしている。
【0034】
較正
別の態様によれば、本発明は、少なくとも1つの検波器チャネルおよびそのチャネルによって使用時に獲得される放射を受け取るように構成される検波器、制御プロセッサ、および絶対基準温度供給装置を有するラジオメータを含む。これらの配列は、使用時にラジオメータが較正モードに設定され、そこで基準温度供給装置から由来する信号を使用することによって、少なくとも1つもしくは各々のチャネルに付随する利得および/またはオフセットをリセットするようにされる。
【0035】
絶対基準温度供給装置は、既知の温度の実質を保つためのホルダを有することが好ましい。
【0036】
ラジオメータには、既知の異なる温度を提供するように構成された2つ(またはそれ以上)の異なる絶対基準温度供給装置があってもよい。
【0037】
基準温度供給装置は、制御プロセッサに基準温度供給装置の温度を表す信号を供給するように構成された温度センサを含むことができる。基準温度供給装置は熱電デバイスを含むことができる。
【0038】
このラジオメータは検波器フィード素子群のアレイを有することができる。基準温度供給装置又はその各々は、検波器フィードアレイに隣接して設けられることができる。検波器フィードアレイとその読取り接続部は検波器素子から遠ざかって延び、ラジオメータの画像入手開口に入る放射の光学経路の一部に配置されることが好ましく、基準温度供給装置は読取り接続部と同じ投影位置に配置されることが好ましい。これは、基準温度供給装置は読取り配線と同経路(もしくは実質的に同経路)しか覆い隠さないので、放射によって捕捉される場面放射の更なる破壊/劣化を最小限にする。
【0039】
このラジオメータは、場面の代わりに基準温度供給装置からの放射を検波器アレイに検波させるように構成されたスイッチを有することが好ましい。このスイッチは場面観測位置と基準温度観測位置を有するように構成された偏波切り換え部品を含むことができる。このスイッチは基準温度の位置と場面観測の位置の間で角度移動されてもよい。このスイッチは1/4波長板を含むことができる。このスイッチはメアンダデバイスを含むことができる。このメアンダデバイスまたは1/4波長板は、基準温度測定中には、直線偏波放射平面に位置合せされ、場面放射測定時では直線偏波放射平面に対して45°で整列される高速軸もしくは低速軸を有することができる。
【0040】
このラジオメータはメアンダプレートを有することが可能であり、それが場面の通常の画像化については直線偏波器の下流にあり、かつメアンダプレートと相互作用する前に直線偏波されている場面から入る放射の偏波面に対して45°に傾斜した速もしくは低速軸を有し、基準温度観測モードにあるときはそれに入射する放射の偏波面に対して概して平行の速もしくは低速軸を有する。
【0041】
偏波型反射器は、受動ミリ波画像化を通常の画像化から、事実上同じ放射温度を有する場面から入る本質的に集束されていない放射を、すべての放射チャネルが観察するそれへと切り換えるためにその軸上で90°回転されることもあり得る。
【0042】
反射器の回転軸に関して傾斜していることもあり得る反射器は、メアンダデバイスの下流に設けられることが好ましい。直線偏波器はメアンダデバイスの上流に設けられることが好ましい。直線偏波器はまた、検波器アレイ上に放射を集束させることもあり得る。
【0043】
利得/オフセットの変更
別の態様によれば、本発明は、第1の検波器を使用して放射を検波する少なくとも第1のチャネルと第2の検波器を使用して放射を検波する第2のチャネルを有する多チャネルイメージングラジオメータの画質を向上させる方法を含む。この方法は、チャネル較正操作を実行することによって得られる利得とオフセットの値を使用して第1および第2のチャネルに関する場面温度対検波器電圧の式に使用される利得とオフセットを変更することを含み、そのチャネル較正操作においては、第1と第2のチャネルが実質的に同じ温度を観測するのを確実化し、かつ第1および/または第2のチャネルに関する利得および/またはオフセットについて変更された値を生じるために第1と第2の検波器の出力を使用する。ラジオメータは第1および/または第2のチャネルについての変更後の利得および/またはオフセットを使用し、第1と第2のチャネルを使用して画像を作り出す。
【0044】
第1と第2のチャネルは実質的に同じ場面温度を観測することが好ましい。もちろん、第1と第2のチャネルは検波器アレイ内で物理的に互いに隣合っていてもよいが、そうである必要はない。それらが物理的に間隔を開けられ、それらの間に他のチャネルが存在することもあり得る。「第1」と「第2」のチャネルは「チャネル」と「もう1つの異なるチャネル」として読まれることも可能である。
【0045】
こうして、工場/研究所で設定した第1のチャネルおよび第2のチャネルに関する利得とオフセット電圧は相対的チャネル較正操作で再評価される。一方のチャネルに関する利得とオフセットが基準、基準準位としてそのまま残され、2つ目のチャネルの利得とオフセットが基準対して設定され得ることは理解されるであろう。あるいは、両方のチャネルの利得とオフセットが変更/リセットされることもあり得る。
【0046】
第3のチャネルもしくは更なるチャネル群は、2つのチャネルが実質的に同じ温度を観測してかつそれらからの検波信号が一方のチャネルの利得とオフセットを他方に対して較正するのに使用されるチャネル較正操作を使用して第1もしくは第2のチャネルに対して較正された利得とオフセットを有することが好ましい。
【0047】
通例では、チャネルの利得とオフセットの両方が相対的較正操作で変更されるであろうが、ときには相対的な利得とオフセットとして式が作り出すものに応じて、それらの一方だけを変更することが必要になることもあり得る。
【0048】
2つのチャネルは、実質的に同じ時間に観測される場面の空間の実質的に同じ点を観測することによって、較正操作において同じ温度を観測することが便利である場合がある。通例では、同じ点の第1と第2のチャネルの観測の間にはわずかな時間的差異があるであろうが、場面内のその点の温度は、時間差が充分に少ない場合、一定であるとみなされ得る。
【0049】
較正操作は、第1と第2のチャネルで、各々のチャネルについて同じ温度である第1の温度、および第1の温度と異なる温度であって各々のチャネルについて同じ温度である第2の温度を観測するステップを含むことが好ましい。2つのチャネル、すなわち利得とオフセットに応じて決まるそれぞれの検波信号応答を各々が有する第1と第2のチャネルで観測する2つの異なる温度を有することによって、相対的利得および相対的オフセットに関する応答式の解を出すことが可能となる。
【0050】
観測された温度の温度は既知のものであり得るが、その理由は、たとえば、その温度は何らかの方式で測定されるか、あるいは、たとえばチャネル利得およびオフセットに関する工場設定を使用してラジオメータで評価されることもあり得るからである。この観測温度値はチャネルの相対的利得およびオフセットを判定する工程に使用されることもあり得る。使用される観測温度値は同じ温度を観測中の個々のチャネルの観測値温度の平均もしくは重み付き関数である可能性がある。
【0051】
相対的較正操作は、チャネル1の利得、チャネル2の利得、チャネル1のオフセット、およびチャネル2のオフセットのうちの1つまたは複数、あるいはすべてを判定するために以下の式を使用することが可能である。
【0052】
(i)検波器1の電圧=チャネル1の利得×観測温度(チャネル1)+チャネル1のオフセット電圧
(ii)検波器2の電圧=チャネル2の利得×観測温度(チャネル2)+チャネル2のオフセット電圧
式(i)と(ii)は2つの異なる温度、すなわち観測温度1と観測温度2について繰り返されることが好ましく、これが以下の4つの式を与え、
【数3】
【0053】
この方法はこれらの式の解を出して未知の変数g1、V01、g2、V02、(TobservedAとTobservedB、および検波器電圧は判っている)を決定するステップを含む。
【0054】
第1と第2のチャネルの相対的較正はラジオメータを使用中に定期的に生じることが好ましく、好ましくは自動的に定期的であるが、使用者がマニュアルで(たとえばボタンを押すことによって)開始できることも可能であり、あるいは較正の頻度を設定できることもあり得る。本ラジオメータは次の程度の間隔で相対的チャネル較正を実行することもあり得る。
【0055】
(i)50msもしくは100ms、または
(ii)1秒もしくは数秒、または
(iii)10秒もしくは数十秒、または
(iv)1分もしくは数分、または
(v)10分もしくはそれ以上、または
(vi)連続的画像作成の間、または
(vii)1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、もしくはそれ以上の画像ごとの間。
【0056】
この方法は、第1のチャネル上に観測された場面の第1の軌道もしくは経路を走査することと第2のチャネル上に観測された場面の第2の軌道もしくは経路を走査すること、およびそれらの経路を交差させることを有することができる。交点で、2つのチャネルは場面内の共通する点を捉えている。
【0057】
2つの軌道は観測場面の2つまたは2つ以上離れた点で交差することが好ましい。2つの離れた点は異なる温度であろうということは想定できる。このことは多くの観測場面について真実であろう。
【0058】
この方法は、第1と第2のチャネルによって観測される温度について事前の変更値をチェックし、それらが互いに充分に近く、2つのチャネルが同じ温度を測定すると考えられることを確実化することを含む。
【0059】
観測場面の2つの事前変更値がそれらの差異について許容可能限界から外れている場合、ラジオメータはその時点のそれらのチャネルの再較正を行うことができない。そのような事象が生じると、ラジオメータは更に短い間隔で、相対的較正について評価されるチャネルすべてが相対的に較正されるかどうか、再較正を行うことも可能である。
【0060】
2つのチャネルの各々によって評価された場面の温度はプロセッサによって評価されて、第1のチャネルが観測した時と第2のチャネルが観測した時の間で観測場面温度が変化したかどうか判定することも可能である。チャネルから見積もられた温度はそのチャネルの以前の場面Tと比較されるか、あるいは使用されるべき他のチャネル信号(もしくはそれ自体の以前の信号)を使用して評価した場合の場面Tと比較されることもあり得る。プロセッサは、温度信号が疑わしいと判断すると、2つのチャネルをその決定で相対的に較正すべきでないと決定することもあり得る。
【0061】
この方法は、焦点をはずすことによって2つのチャネルに同じ温度を捉えさせることを含むこともあり得る。集束もしくは画像化光学素子(「光学素子」によって光学的波長に対する制限は意図されない)は、2つのチャネルによって観測される温度は概して同じであることが確実化されるように焦点をはずすことが可能である。
【0062】
この方法は、検波器に入射する放射を場面放射から基準放射へと切り換えることによって2つのチャネルに同じ温度を捉えさせることを含むこともあり得る。基準放射はラジオメータに付随した供給源から由来することもあり得る。基準放射はチャネルによって観察されることになる熱源を設けることによって供給されることもあり得る。熱源はラジオメータの画像平面、できれば画像焦点面受信部フィードアレイの近接して設けられることもあり得る。熱源は、所望の温度の熱源を供給するように熱電デバイスで設けられてもよい。熱源の温度は測定可能であり、その温度がチャネルの利得とオフセットを判定するのに使用され得る。
【0063】
別の態様によれば、本発明は、ラジオメータの温度に伴う検波器出力電圧の変動に関して多チャネルラジオメータを補償する方法を含み、この方法は、一方のチャネルの利得とオフセットを他方のチャネルの利得とオフセットに関連して較正することによって、観測場面温度の評価に使用する利得とオフセット電圧を変更することを含む。
【0064】
この方法は、較正操作中に2つのチャネルが同じ温度を観測することを確実化することを含むことが好ましい。これは場面内の同じ点をチャネルに観測させるか、または基準熱源をチャネルに観測させるか、または場面の焦点をぼかすことによって達成され得る。
【0065】
別の態様によれば、本発明は、第1のチャネル検波器を有し、かつ第1のチャネルにより観測される場面の放射フィードに接続されるように構成される第1のチャネル、および第2のチャネル検波器を有し、かつ第2のチャネルにより観測される場面の放射フィードに接続されるように構成される第2のチャネル、および信号プロセッサを有する多チャネルイメージングラジオメータを含む。ここでは観測された場面の放射の信号は第1と第2の検波器それぞれに、それらの第1と第2のチャネルによって供給されるように構成され、検波器は使用時に第1と第2の検波器出力を信号プロセッサに供給するように構成され、信号プロセッサは第1と第2のチャネルによって観測された場面の観測温度を表す出力信号を使用時に供給するように構成される。しかも、信号プロセッサは使用時に、第1のチャネルと第2のチャネルについての利得と電圧オフセットを表すか、それらによって影響されるか、またはそれらに付随する値を使用し、受信した第1と第2の検波器出力で動作するように構成され、それにより第2のチャネルの利得と電圧オフセットを第1のチャネルのそれらに関連して較正する。
【0066】
信号プロセッサは各々のチャネルについて式
【数4】
または同等の式を使用するように構成され、変更後の利得とオフセットを決定することが好ましい。
【0067】
第1と第2のチャネル検波器は異なる検波器であることが好ましいが、それらが1つおよび同じ検波器であることも可能である。
【0068】
本ラジオメータは、走査経路をオーバーラップもしくは交差させる方式で観測場面を走査するように構成されることが好ましく、そのため、観測場面内の同じ点が複数のチャネルによって観察されることになる。本ラジオメータは円錐形の走査パターンを実行するように構成されてもよい。
【0069】
場面温度が2つのチャネルの相対的較正の間で変化するか、あるいは場面温度が変化する可能性があると予測される場合、その温度が一定であるとみなされ得る時間まで相対的較正が一時中断されるようにしてもよい。たとえば、画像化装置がパンしているかまたは傾いている場合、チャネルによって観測される空間内の点は相対的較正測定の間で変化し、それゆえ、温度は一定でないと予測される可能性がある。このラジオメータは、観察源が検波器チャネルを過ぎて移動するとチャネル間の相対的較正が生じなくなるように配列されることができる。
【0070】
相対的較正が実行されるとき、チャネルに関して評価された利得とオフセットが(a)互いおよび/または(b)それらの前の値から大きく異なっていないことを確認するために、評価された利得とオフセットがプロセッサもしくはソフトウェアによって試験もしくはチェックされることもできる。差異の許容可能限界は評価された利得とオフセットを選別するのに使用することができる。もちろん、いかなる画像のすべてのフレームも較正する必要があるというわけではなく、数分に1回で充分である可能性がある。
【0071】
このラジオメータには画像形成用集束器アセンブリが備えられてよい。検波画像をぼかすように構成された焦点はずれ装置があってもよい。このラジオメータは、検波器に当たる放射を、場面を起源とする放射から観測場面に由来しない放射へと使用時に転換させるように構成された観測放射ダイバータを有していてもよい。他の放射は、ラジオメータに備わるか、またはそれから分離された熱源によって供給されてもよい。本ラジオメータは熱源保持もしくは供給手段を有してもよい。熱源はペルチェデバイスなどの熱電デバイスを有してもよい。熱源の温度を測定し、かつ信号プロセッサに表示信号を供給するように構成された温度センサがあってもよい。所望の基準温度を達成するために制御器が熱電基準温度装置への電流を制御することができる。制御器および信号プロセッサは同じプロセッサの部分であってもよい。
【0072】
別の態様によれば、本発明は、既知の温度の熱源に対して少なくとも1つの放射検波チャネルに適用できる利得とオフセット電圧の絶対的較正を定期的に実行することを含むラジオメータによって作り出される出力信号画像もしくは画像の精度を向上させる方法を含み、絶対的較正は、較正のために装置を工場もしくは研究所に戻すことなく、その場でラジオメータで実行される。
【0073】
こうして、較正のためにラジオメータを遠隔の場所に戻すことによる中断および支出をすることなく、便利なことに絶対的較正は使用者によって実行され得る。
【0074】
供給源は熱源であってもよく、それには空が含まれ、その方法は、空から来る放射が検波チャネルによって受け取られることを確実化することを含むこともあり得る。熱源が液体窒素を含むこともあり得る。熱源が熱電デバイスを含んでもよい。
【0075】
この方法は2つの異なる熱源温度を観測することを含むと好ましい。
【0076】
この方法は、選択的に、観測場面からの放射を検波器上へ導くか、または既知の温度の供給源からの放射を検波器上へ導く選択装置を有することもできる。
【0077】
別の態様によれば、本発明は、少なくとも1つの検波チャネルと使用時にそのチャネルによって獲得された放射を受け取るように構成された検波器、制御プロセッサ、および絶対基準温度供給装置を有するラジオメータを含み、その配列は、使用時にラジオメータが較正モードに設定され得るようにされ、ここでは、基準温度供給装置から由来する信号を使用して少なくとも1つ、または各々のチャネルに付随する利得および/またはオフセットをリセットする。
【0078】
ラジオメータは、使用時に、放射が検波器に到達するのが、観測場面からか、または既知の温度の熱源であってもよい基準温度供給装置からかを選択するように構成された選択装置を有することが好ましい。焦点はずれ装置があってもよい。45°回転した高速軸を有することもあり得る1/4波長板があってもよい。
【0079】
別の態様によれば、本発明は、ラジオメータの温度変化について、または少なくとも、ラジオメータの少なくとも1つの部品の温度変化について補償を提供する少なくとも1つの検波チャネルを有するラジオメータの性能を向上させる方法を含む。
【0080】
この方法はチャネルによって観測された観測場面温度の評価で、ラジオメータまたは上記の少なくとも1つの部品の温度について補償を行う同等機能の提供を含むことが好ましい。この部品は、(i)放射フィードによって検波された信号を増幅する増幅器であってもよく、またはそれは(ii)放射フィードから得られる信号、普通は増幅信号を検波する検波器であってもよく、またはそれは(iii)放射フィード、たとえばホーンもしくはホーンアレイであってもよい。
【0081】
この方法は、ラジオメータもしくは前記部品の温度に応じて決まる検波器出力と評価場面温度との間のコンコーダンスを得ることを含んでもよい。このコンコーダンスは参照テーブルまたはアルゴリズムであってもよい。
【0082】
この方法は、部品(i)、(ii)、または(iii)の温度に応じて決まる(i)、(ii)、または(iii)のいずれかの入力と出力の間のコンコーダンスを得ることを含んでもよい。
【0083】
この方法は、部品(iii)の変更された出力を部品(i)への入力として、および/または部品(iii)の変更された出力を部品(ii)への入力として使用するステップを含んでもよく、これらの出力は部品の温度依存性の性能に従って変更される。
【0084】
別法として、または追加的に、観測場面内の点の温度の評価が部品(ii)の出力を得て次のうちの1つまたは複数を使用する変更を加えるステップを含んでもよい。
(a)温度に伴う部品(ii)の入出力特性、および/または
(b)温度に伴う部品(i)の入出力特性、および/または
(c)温度に伴う部品(iii)の入出力特性。
【0085】
入出力特性は次の式の部品に帰属すべき利得とオフセットであることが好ましい。
【数5】
【0086】
増幅器は最も温度感受性のある部品であると考えられ、ラジオメータはこれの温度変化について補償を行い、ホーンまたは検波器には行わないこともあり得る。検波器は次に温度感受性のある部品であると考えられ、ラジオメータはそれ、もしくはそれと増幅器の温度変化について補償を行い、ホーンの温度変化については行わないこともあり得る。
【0087】
部品の温度依存性は予測できるであろうが、これはそれらを測定することに比べるとおそらく望ましくない。この方法は、ラジオメータもしくは前記少なくとも1つの部品の温度応答性を、ラジオメータの動作温度範囲内の1つまたはそれよりも多くの温度で評価することを含んでよい。
【0088】
上記の方式で、独立した温度修正がなされ、いったん機械が較正され/そのプロセッサが適切な温度依存性修正でセットアップされると、それらは測定された応答に適用され、変更された応答を供給する。
【0089】
別の態様によれば、本発明は、ラジオメータの温度および/またはラジオメータの少なくとも1つの部品の温度によって決まる利得とオフセットを有する少なくとも1つの検波チャネル、信号プロセッサ、およびラジオメータもしくは上記の部品の温度を検出するように構成された温度センサを有するラジオメータを含む。チャネルは、使用時に観測場面の温度を表す信号を信号プロセッサに提供するように構成され、信号プロセッサは、使用時にチャネル信号と温度センサ信号の両方によって決まる評価された場面温度信号を発生するように構成される。
【0090】
チャネルは増幅器を有する可能性があり、温度センサが増幅器の温度を感知することもあり得る。チャネルは検波器を有するであろうし、温度センサが検波器の温度を検出することもあり得る。チャネルは放射入手アンテナ、たとえばホーンを有してもよく、温度センサがその温度を検出することもあり得る。本ラジオメータは、様々な部品の温度を表す信号を信号プロセッサに提供する少なくとも2つもしくは少なくとも3つの温度センサを有してもよい。
【0091】
信号プロセッサは評価された場面温度信号を生じるためにコンコーダンス参照テーブルもしくはアルゴリズムを有してもよく、コンコーダンスは出力検波器電圧を、ラジオメータまたはその部品もしくは各々の部品の様々な温度について評価された場面温度信号と連結させるものであって、信号プロセッサへの温度入力部を有する。
【0092】
別の態様によれば、本発明はラジオメータを較正する方法で、
(i)複数のチャネルを有するラジオメータを供給するステップ、
(ii)チャネルの各々についてサンプル走査パターンを検波するステップ、
(iii)少なくとも2つの走査パターンをオーバーラップさせるステップ、
(iv)走査パターンの交点でチャネルの出力をサンプリングするステップ、
(v)走査パターンのオーバーラップ部で利得とオフセットパラメータを参照するステップ
を有する方法を含む。
【0093】
利得とオフセットパラメータを得るためにチャネルのうちの1つの出力が所定の基準値と比較されてもよい。
【0094】
別の態様によれば、本発明はラジオメータを較正する方法で、
(i)既知の温度の範囲でラジオメータについてパラメータ値を記憶するステップ、
(ii)このラジオメータの部品の出力の温度変化に伴う変化の関数形式を判定するステップ、
(iii)ラジオメータの少なくとも1つの部品の温度を測定するステップ、
(iv)補償されたラジオメータ出力を算出するために、前記記憶したパラメータ値のうちの1つを測定温度における部品の出力の関数形式と組み合わせるステップ
を有する方法を含む。
【0095】
焦点はずれ
別の態様によれば、本発明は、使用時にラジオメータの通常の画像化操作のために検波器フィードもしくは検波器フィード素子の検波器フィードアレイ上に入射する放射を集束させるように構成された集束装置、および各々の検波器フィード素子が使用時に実質的に同じ入射放射を受けるように場面から検波器フィードもしくは検波器フィードアレイ上に届く放射の焦点がはずれるように構成された焦点はずれ装置を有するイメージングラジオメータを含む。
【0096】
焦点はずれ素子は集束するのと同じ素子であってもよい。集束装置が集束構成と焦点はずれ構成を有してよい。集束素子は、集束から焦点はずれ構成へと変えるために角度移動されることが好ましい。集束素子はそれらの構成の間で約90°角度移動されることもできる。集束素子は直線偏波器を有することが好ましい。集束素子は第1の直線偏波を伴う放射を検波器アレイ上に集束させ、90°移動した偏波を伴う放射を集束させないことが好ましい。
【0097】
集束素子は概して平行のワイヤのディッシュを含んでもよい。集束素子はラジオメータの場面捕捉用開口に関して検波器フィードアレイの前方に配置されてもよい。反射器および/または偏波変更素子が設けられることもできる。偏波変更素子は反射器と集束素子の間に設けられることが好ましい。偏波変更素子はメアンダデバイスなどの1/4プレートであってもよい。
【0098】
能動的温度安定化
別の態様によれば、本発明は検波器、検波器に結合された検波器フィード、検波器から信号を受け取って制御プロセッサに増幅信号を供給する増幅器、ラジオメータの1以上の温度感受性部品の温度、たとえばラジオメータ全体、検波器、増幅器、もしくは検波器フィードのの温度の1以上を感知する1以上の温度センサ、および温度制御手段を有するラジオメータを含む。温度センサはラジオメータの使用時に1以上の温度感受性部品の温度を表す温度信号を制御プロセッサへと供給し、制御器は使用時に1以上の温度感受性部品の温度を実質的に一定に保つために温度制御手段を制御するように構成される。
【0099】
こうして、温度変化がチャネルもしくはチャネル間の利得および/またはオフセットに影響を及ぼすであろう部品の温度の過剰な変動は回避され、それゆえに、過度の温度効果が回避される。
【0100】
温度センサと温度制御手段は、制御器が適切な動作温度を維持するのを可能にするためにフィードバックシステムを提供する。温度制御手段は熱電部品、たとえばペルチェ効果部品を含んでもよく、制御プロセッサはそれ自体が受け取る温度信号に応答して熱電デバイスへの電流を制御する。
【0101】
個々の温度感受性素子/部品がそれら自体の温度制御手段および/または温度センサを有することもできる。
【0102】
傾斜角度の変更
別の態様によれば、本発明は、使用時に反射器がその周りを回転する軸に対してある傾斜角度で傾いた反射器を有する円錐形走査型ラジオメータ画像化装置を含む。ここでは、反射器の傾斜角度を、反射器が周りを回転するその軸に対して変えるように構成された傾斜角度調節手段が設けられる。
【0103】
傾斜角度調節手段は反射器が回転している間でも、および/または反射器が停止しているときでも動作可能にされ得る。
【0104】
制御器は、モータ、ソレノイド、圧電デバイス、または電気機械的トランスデューサを含むこともあり得る傾斜角度調節手段に信号、好ましくは電気信号を供給し使用時の傾斜角度を調節することが好ましい。傾斜角度センサは、傾斜角度を表す信号を制御器に供給するように構成されることができる。傾斜角度調節手段は、ラジオメータの光学素子がそれぞれの検波器フィードチャネル上に、(円錐形の線の中心をより近く、もしくはより遠く離すために)時間内にビットずつ投影する場面空間の円錐形/円形の中心間の間隔を変えるために異なる位置に調節されてよい。傾斜角度は2つもしくはすべての円錐形を重ね合わせるように調節されてもよい。
【0105】
画素の集積化
別の態様によれば、本発明は円錐形の走査パターンを有するラジオメータ画像化装置を含み、そこでは、観測された場面空間の画素から由来する放射が、画像化装置の走査機構の光学素子が適切に位置合わせされる期間に検波器フィードに導かれ、検波器フィードに関連する検波器から入る電気信号が、制御プロセッサによって、それらが対応する場面空間の点と相関づけられ、かつそこでは、空間内の特定の点から結果的に生じる信号が検波器もしくは制御プロセッサで集積化可能となる集積化時間は、可変の画素集積化時間を有する画像化装置を提供するように、制御プロセッサによって制御可能である。
【0106】
画像化装置は、作成される画像内の他の画素と異なるいくつかの画素の集積化時間を制御するように構成されることが好ましい。特定の円錐形走査上の少なくとも1つ又はいくつかの画素は、制御プロセッサの制御下で、同じ円錐形走査上の他の画素群と異なる集積化時間を有し得ることが好ましい。これは、受け取った放射の電子的時間ゲーティングを変えてより長くゲートを開き続けること、および/または走査光学系内の反射器の回転速度を変えることによって達成することができる(たとえば、より長い集積化時間は走査光学系内の反射器の回転速度を変えることによって達成することができる)。制御プロセッサは、観測された場面、場面の一部又は場面内の目標物が所定の速度よりも速く移動しているかどうか決定するように構成されるか、あるいは、閾値速度以上の移動が確立されなかった場合に画素集積化時間を増加する方向で変えるように構成されるてもよい。
【0107】
場面の変化が速すぎる場合、画素のための増加された集積化時間が、どの特定の時間でも、場面のその画素について更に多くのデータを与えることはなく、代わりに時間と共に「不鮮明な」変化データとなり、より良好な解像度の代わりに平均化された値を生じるであろう。ゲートが開いている時間全体で、場面の一画素で見ることはないであろう。
【0108】
観測された場面のどの画素が変更された集積化時間を有するか選択するために画素選択手段が設けられてよい。画素選択手段は、マニュアルで特定の画素もしくは画素グループを選択して(たとえば、使用者は目標の領域の周囲を線引きすることができる)それらの集積化時間が変更されるようにマニュアルで操作できるようにされることもでき、かつ/または画像化装置が、或る部類又は複数部類の画素を識別してそれらの集積化時間を変えるように構成された自動的画素選択ルーチンを有することもできる。
【0109】
走査角度で画素較正を変更
別の態様によれば、本発明は、検波器フィードと検波器を有する検波器チャネルと、および場面の様々な部分を様々な時間で検波チャネルの検波器フィードに導くことによって観測場面を走査するスキャナとを有し、チャネルによって観測された観測場面の各々の概念上の画素は付随する走査角度を有するラジオメータを較正する方法を含む。この方法は、検出器によって検出された観測場面温度を、観測される概念上の画素の走査角度によって決まる較正もしくは補償の機能によって変更することを含む。
【0110】
この方法は、複数の検波チャネルを有し、検出されたそれぞれの場面温度をそれぞれの走査角度に依存する較正もしくは変更の機能によって変更することを含むと好ましい。各検波チャネルは、走査角度に依存する様々な変更もしくは較正の機能を有してもよい。あるいは、1以上又はすべてのチャネルが、場面画素について検出された温度に対して、共通した走査角度に依存する較正もしくは変更を有することも可能である。
【0111】
較正もしくは変更の機能は、特定の関連画素についてチャネルの利得および/またはオフセット電圧に対する変更を含むことができる。
【0112】
この方法はまた、好ましくは装置の温度で利得および/またはオフセット電圧を変更することによって場面温度を画素について評価するとき、チャネル又はチャネル部品の温度を補償することを含むことができる。
【0113】
別の態様によれば、本発明は、検波チャネルの検波器素子上の観測場面の概念上の画素を走査するように構成されたスキャナと、および検波器素子から信号を受けるように構成され、かつ検波器素子の出力から、および画素が評価された走査角度について補償を行うコンコーダンスもしくはアルゴリズムから概念上の画素の場面温度を評価するように構成された制御プロセッサとを有する走査型イメージングラジオメータを含む。
【0114】
コンコーダンスもしくはアルゴリズムはまた、ラジオメータの温度感受性部品の温度についても補償することが好ましい。
【0115】
ソフトウェア/プロセッサ
別の態様によれば、本発明は、信号プロセッサもしくはソフトウェアを含み、ラジオメータ内にロードされると、本発明の他のどの装置態様によるラジオメータを動作させ、あるいはラジオメータの動作を制御するとき、本発明の他のどの方法態様をも動作させる。
【0116】
ソフトウェアはディスクなどのデータ担体で設けられることも可能である。
【0117】
本発明は、おそらく約30GHzから約300GHzの範囲のミリ波装置などのラジオメータイメージへのほとんどの用途を有するが、赤外領域、またはその他の波長も可能であろう。
【0118】
ここで添付の図面を例示としてのみ参照して本発明の実施形態を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0119】
図1は場面温度に対するラジオメータの検波器の出力電圧Vを図式的に例示し、かつラジオメータが温度Tであるときに検波器が次の関係を有することを示す。
【数6】
【0120】
このとき装置はT2である(ここでT15は装置がT1のときの場面温度であり、g1はT1における利得であり、V01は装置がT1のときのオフセット電圧であり、T2sは装置がT2のときの場面温度であり、g2はT2における利得であり、V02はT2の装置のオフセット電圧である)。
【0121】
こうして、ラジオメータ装置は温度依存性の性能を有する。さらに、図1に示された直線グラフは単純化したものであり、受信アンテナが温度依存性の応答を有する可能性があり、増幅器が温度依存性の応答を有するであろうし、かつ検波器が温度依存性の応答を有するであろう。さらに、使用時のラジオメータ装置の温度はその構造の中のすべての点で確実に同じでありそうになく、熱的勾配が存在するであろう。
【0122】
図2Aと2Bは同じ効果を示す。図2Aは検波チャネルが温度T1のときに検波器チャネルが第1の点で場面を観測したときの時間対検波電圧のグラフであり、図2Bはチャネルが温度T2のときに更に遅い時間点における時間対電圧のグラフである。図2Aと2Bにやはり示されているのは、オフセットV01及びV02は、T1及びT2における電圧オフセットであり、g1及びg2は、T1及びT2における利得であるということである。
【0123】
図3Aと3Bはリアルタイムのミリ波メアンダ1/4λプレートを基本とした円錐形走査型ラジオメータ10を示す。リアルタイムの受動的走査型ミリ波イメージングラジオメータ10はスキャナ12、集束用レンズアセンブリ14、アンテナフィードアレイ16、増幅器18、検波器20、マイクロプロセッサ22、温度センサ24、および画像ディスプレイ26を有する。
【0124】
スキャナ12は、軸30の周りで回転可能に装着され、かつ軸30の垂線に対して角度θ(たとえば約5°)傾斜した平坦もしくはわずかに曲がった反射器プレート28を有する。集束用レンズ配列14は集束用ディッシュ36と反射器プレート28の間に設けられた1/4波長メアンダプレート32を有する。ディッシュ36は偏波用反射器素子(たとえばワイヤグリッド)を含む。
【0125】
入射放射5aは、(たとえば)垂直に対して45°傾斜したワイヤを有することができるグリッド/ディッシュ36によって直線偏波され、そのため、垂直に対して45°(グリッドのワイヤの線から90°)の偏波面を有する放射成分がグリッド36を透過する。る。参照番号5bのこの直線偏波の放射はメアンダプレート32に当たる。プレート32はグリッド36のワイヤの方向に対して(それゆえに放射5bの偏波に対して)45°傾斜した高速と低速のメアンダ軸を有する。メアンダプレート32から現れる放射5cは円偏波され、放射5dとして反射器プレート28から反射され、それは放射5cと反対の意味で円偏波される。放射5dがメアンダプレート32に当たると、それは元の直線偏波放射である放射5eに変換され、それは放射5bと比較して90°回転した偏波面を有する。放射5eが集束用グリッド36に当たると、それは反射され、フィードアレイ16上に集束される。
【0126】
プレート28をθで傾斜させることはアンテナ上で4θの角度の走査を生じさせる。
【0127】
フィードアレイのアンテナ16は検波器素子、もしくはホーン44の2本の列である列40と42を有する(図3Bに最もよく示される)。各ホーンは検波チャネルを含む。単一の検波器素子44は、プレート28が回転すると観測場面から円形の走査パターンをその上にトレースする。列の検波器素子は互いに隣り合うので、各列から形成される画像は、図5Aに示したように一連の移動した円である。
【0128】
各ホーン44の出力(参照番号46)は増幅器18に供給される。増幅器18は検波器20(たとえばショットキー検波器)へと出力する。マイクロプロセッサ22は検波器20と温度センサ24から信号を受け取り、これらの信号を処理してディスプレイ26に表示される画像48を作り出す。
【0129】
検波器アレイはフィードホーン、偏波方向を有することもあり得るマイクロ波導波路、およびモノリシックのマイクロ波回路(MMIC)受信部と検波回路を有する可能性がある。本ラジオメータの解像度は回折限界であることが好ましい。
【0130】
以上が円錐形走査型システムと称されるものである。それは特にコンパクトである。
【0131】
図3Cから3Fは、検波器アレイ上に入射する放射の方向に沿って見たときにそれらの実効間隔を小さくするように、アレイの更に多くのオフセットのフィード素子を有するという考え方が直線的で平坦なアレイだけでなく、曲線のアレイにも当てはまることを例示する。2本よりも多いフィード素子の線もしくは列があってもよい。図3Fは本発明を使用するために改造された円形アレイ(すなわちオフセットのあるフィード素子を有する2つの円)を示す。装置の開口から異なる距離でフィード素子にオフセットを設けることは各フィード素子に更に多くの空間を許容し/さらに接近した実効間隔を可能にする。
【0132】
相対的較正
図5Aは検波器20によって観測される場面上でトレースされるいくつかの検波経路50から54を示す(あるいはさらに正確には、プレート28の走査運動に起因して検波器によって検波される観測場面の領域を示す)。円50は第1のチャネル上もしくは内に投影される場面の環状の領域である(たとえば図3に示したチャネル50’)。円51は、スキャナが走査するにつれてチャネル51’によって検波される環状領域であり、円52はチャネル52’によって検波される環状領域であり、以下同様である。経路50から54が互いに充分に近接している場合、場面の良好な画像が作成可能である。検波信号の時間をスキャナの位置と相関付けることによって、各々の円50から54が、実際では、別々の測定から構成されることは理解されるであろう。これは、画素56、57、58であると考えられるものによって図5Bに表される。
【0133】
図5Bはまた、2つの円の交差する交点60から65も示す。異なる円は異なるチャネルによって検波される。交点では、2つのチャネルが場面内の空間の同じ点から検波を行っている。
【0134】
隣接する(もしくは必ずしも隣接する必要のない)チャネルは同じ交点から、見かけ上同時に、または装置の温度が有意に変化してしまわない少なくとも充分に近い時間で、かつ場面内のその点から発射された放射が有意に変化してしまわない(と想定される)充分な近さで検波を行う。
【0135】
円形走査の視野がスキャナにより走査間でわずかに変化する場合、異なる円が同じチャネルで、しかし異なる時間で検波され得ることは理解されるであろう。得られるものは、装置の温度が(その他に関する1つの走査について)一定でかつ観測場面が一定(もしくは事実上そう)である場合の2つの交差する走査円(もしくは経路で、必ずしも円である必要はない)である。
【0136】
同じチャネルを使用して検波される2つの走査経路(言わば円50と円51はスキャナによって40msの間隔でトレースされる)については、時間1で、
【数7】
であり、装置温度依存性の利得とオフセットを備える。
【0137】
2つのチャネルがあるケースについては、
【数8】
および
【数9】
である。
【0138】
隣接する(もしくは関連する)チャネルの各々の対には2つの交点、たとえば点60と63がある。これら2つの点について場面の温度は異なると想定され、それゆえ、
【数10】
を得る。
【0139】
場面の温度は何らかの方式で測定されるかまたは知られる。たとえば、主力工場での較正、
【数11】
は利得とVoffsetについて温度に無関係の値を有する。VDetectionは判っており、それゆえTsceneを算定することができる。これはチャネル群のうちの1つ、たとえばチャネル1についてなされ、それは主基準チャネルとして役立ち、それに対して様々なチャネルの相対的利得とオフセットが判定される。こうして、式(a)から(d)のTscene AとTscene Bの値が知られる。
【0140】
4つの式(a)から(d)はここで4つの未知変数を有し、それらの変数について解を得ることができる。こうして、g1とV01について、およびg2とV02について新たな温度感受性の値が確立される。それらは使用時には、g1とV01、およびg2とV02について工場で設定された基底線の値よりも互いに関して更に正確である。これにより画質が改善され、かつ/または較正のためにラジオメータを遠隔の場所に戻すことによる出費と中断が回避される。
【0141】
同様に、チャネル1とチャネル3、またはチャネル2とチャネル3の間(「すでにチャネル1との関連で相対的に較正された」チャネル対新たな未較正のチャネル)の相対比較のいずれかによってg3、V03に関する値を確立することができる。
【0142】
同様に、図5Aでは、チャネル4がチャネル1(およびチャネル2、3、5など)と交差し、その利得とオフセットを相対的に較正することができる。
【0143】
改良点として、交点の温度は実質的に同じであるので、本システムは2つの交差チャネルを使用して(およびそれらの工場設定の絶対的較正を使用して)、それについて2つの温度を算定することができる。チャネルが例えば場面の温度であるものの平均値をとり、それを処理中のTsとして使用することが可能である。
【0144】
焦点面アレイアンテナ16の温度が画質に重要である、あるいは更に正確には焦点面アレイアンテナにわたる温度のバラツキが画像の劣化の原因となると考えられ、そのような温度バラツキについて補償/較正することは画質を向上させることができる。
【0145】
チャネルの相対的な較正は定期的に、たとえば毎秒など、または10秒ごとなどに生じてもよく、装置は40msなどで画像を捕捉し、あるいは、相対的較正アルゴリズムがさらにしばしば、おそらく各画像作成時、または1、2、3、4、5、10、20、30、40、または更に多くの画像ごとに実行されることがあり得る。
【0146】
図6は更に大きな角度にわたる円錐形走査パターンを示す。スキャナは円錐形60、61、62、63、64、65、及び66などと順に走査することも可能である。場合によっては、それは60、62、61、63、64、66、65、及び67と順に、あるいは隣接する円錐形の走査が、得るべき場面が有意に変化してしまわないと見なせる場面について充分に近い時間で走査されるいかなるパターンで走査されてもよい。
【0147】
図7は、下側の列の各々の円/円錐形が上側の列の円/円錐形と2つの交点で交差して走査円錐形の下側の列が上側の列と交差する円錐形走査パターンを示す。これは上側列の円と下側列の円の間の(前述したような)相対的較正を可能にし、かつこれは画質を改善する。
【0148】
画像のサンプリング/走査線の密度は、視野の中程においてエッジより高いことということもやはり注目すべきである。2つの隣接する直線型アレイを備えた円錐形スキャナについては、画像化サンプリングは画像の上部と下部で(両方向共に)ナイキスト以上である。画像の中央では、サンプリングは水平方向でナイキストに近く(もしくはすぐ下)、垂直方向でナイキストである(その時のサンプリングによって規定される)。
【0149】
しばしば、システムは過剰にサンプリングして未知のパラメータの存在よりも多くの式を得る可能性があり、それらの式は正確に解を出さない可能性がある(それらのパラメータは、それらを決定するためにどのグループの式を解決するかということに応じてまったく同じはたらきをしない可能性がある)。そのような環境では、パラメータ(たとえば特定のチャネルに関する利得とオフセット)は何か(たとえば平均化、または最小二乗適合化)に適合化されることも可能である。(走査が原因の)過剰決定の問題は利益をもたらす可能性がある。解を幅広く整合させるために更に多くの相互照合を有することが可能であり、それにより信頼できるものとなり、或る式が異常な結果を生じる場合、それを解析から除外することができる。チャネルの1つ(もしくはおそらくそれより多く)が支障を生じると、余剰度を有することがやはり有用となる可能性がある。
【0150】
2つの温度が大きな温度差を有する場合、本技術が最良に働き、ここで一方が画像の最も上側の領域を使用し、他方が最も下側の領域を使用する場合にそうであり、隣接するオーバーラップしたチャネルについてもそうであろうことに注目すべきである。両方にとって最善であるために、1つの中央のチャネルと2つの隣接チャネルといった3つのチャネルを一時に補正するとよい場合がある。2つの隣接チャネルが支障を生じる可能性は1つのチャネルが支障を生じる場合よりもはるかに少ない。
【0151】
記述したリアルタイムの画像化装置の円錐形走査構造体が、相対的較正を向上させることのできる技術に対し見事に役立つことは理解されるであろう。これは、画像の多くの領域が異なるラジオメータチャネルによって数回測定されるからである。画像内の温度が測定間で変化しないという想定は概して有効であり、そうでなければ、ラジオメータから生の未較正データの試験から事実を知ることができる(装置はそのときにその技術を使用しないことを知っており、実際、装置はこのチェックを相対的較正操作の一部として有する)。この技術はまた、円形アレイのフィードから由来するパターンのような別の選択肢となる画像化構造体に導入することも可能である。
【0152】
前述から理解されるであろうが、特定のチャネル、マスターチャネルは固定された較正利得およびオフセットを有するように選択されるであろう。そのとき、隣のチャネルはチャネルが交差する点で測定される温度が同じになるように変更された利得とオフセットを有するであろう。隣り合うチャネルについては2つの交点が存在し、これら2つの点の場面温度が異なる場合(それは一般的ケースであるが)、そのチャネルについて修正された利得とオフセットが算出される。万が一、2つの点の温度が極めて類似していれば(未較正のデータを試験することによって確立され得る事実)、場面にわたる放射温度が大幅に異なる場面を観測するように画像を手配しなければならない。屋外での操作については、そのような方向は水平方向であろう(空中と地面は異なる温度を有する)。そのような様式では、この較正法は相対的較正を行いながら1つのチャネルから次へと移行し、そのような技術が画質を大幅に向上させる。
【0153】
上記の技術の延長は、単に隣接チャネルにおけるものだけではなく様々な交点が使用可能である。これは上記の方法を補完してなお更に画質を改善させるために使用される可能性がある。さらに、画像化装置の回転ディスク上の傾斜角度は、画像化装置が視野を変えること、及び較正のため場面や供給源の様々な領域を観察することを可能にするように変えることができよう。
【0154】
相対的較正の他の可能性は、360°の円錐形走査の平均化された温度または温度のAC成分を使用して隣接チャネルの利得とオフセットの補正を行うことである。ここで想定されることは、2つの隣接チャネルの温度のAC成分又は平均化された温度が同じであることである。
【0155】
本ラジオメータによって検波される放射の通常の周波数は35GHz、94GHz、140GHz、220GHzである可能性がある。これらはミリ波にとって大気ウィンドウ帯域である。
【0156】
本ラジオメータはモノリシックのマイクロ波集積回路群(MMICs)を使用し、小さい容積を有する。
【0157】
図4は、アンテナホーン72のグリッド、アレイの温度を検出する温度検出器74、増幅器76、および検波器78を有する凝視アンテナ70を示す。
【0158】
図4がたとえ凝視アレイを示していても、それでもそれは較正目的で走査を実行する。複数のチャネルに実質的に同じ時間(しかしまったく同じ時間ではない)に場面内の実質的に同じ点を観察させるために、微細走査が定期的に実行されることもあり得る。光学部品、もしくは画像化装置全体が、微細走査較正操作の中で(たとえば1つのチャネルが垂直および/または水平方向で最近接の画素、ならびにその画素自体を測定するように)わずかに移動させられる。この「ディザー」が同じ温度(極めて近い時間で同じ点)の影響を観察する同じ複数チャネルを生じ、それゆえ、凝視アレイはチャネル間の相対的較正を実行することができる。もちろん、それは絶対的較正を実行することができる。
【0159】
凝視アレイ内の同じチャネルによって観測される場面のうちの2つの物理的に離れた部分(それゆえに2つの大幅に異なる観測温度)を得るためには、ラジオメータの視野を移動させるか、あるいはそれを達成させる何か他のことを行うことが必要になる可能性がある。
【0160】
2つの異なる温度を互いに相対較正されるチャネルで観測できない場合、利得とオフセットの一方だけが温度で変化すること、および他方は固定されることを確実化し、変化すると想定される方を使用して較正を行うことが必要となる可能性がある。あるいは、単一点較正が使用される可能性がある。これらの点は走査型ラジオメータにも同様に当てはまる。
【0161】
独立式較正
チャネル間の相対的較正を実行するために異なるチャネルから異なる走査内の交点を使用することは一方のチャネルを他方に対して較正するのに役立つが、それは「マスター」チャネルの絶対的較正(またはいずれかのチャネルの完全絶対較正)の設定には役立つことはない。
【0162】
本装置10がチャネルの絶対的較正のリセットのために定期的に(たとえば3もしくは4カ月ごとに)研究所もしくは工場に戻される可能性のあることは考えられる。
【0163】
これに追加して、またはおそらくこれの代わりに、本装置は現場でその絶対的較正を調節することが可能である。
【0164】
本装置10は顧客に引き渡される前に多数の温度での装置について工場もしくは研究所でテストされ、性能の参照テーブルもしくはアルゴリズムが作成されて装置温度が利得とオフセット電圧とに相関付けられる。こうして、各装置温度について、利得とオフセット電圧に対応する値が使用時に装置によって確立される。これは、通常、プロセッサ22内の参照テーブルもしくはアルゴリズムである。
【0165】
装置温度について装置の利得とオフセットを補正するこの技術は、チャネル対チャネルの相対的較正を有する装置、および有しない装置に適用することができる。
【0166】
装置全体の温度を既知の同じ温度となるように制御すること、および装置の利得とオフセットをその温度における装置について確立することは、少し単純化されている(しかし現場で装置温度を変えることができないことよりも優れている)ことは理解されるであろう。現場では実際のところ、使用中の装置では装置にわたって温度勾配が存在しがちであり、或るチャネルは遠く離れたチャネルと異なる温度になる可能性があり、増幅器はアンテナと異なる温度になる可能性があり、検波器は更に異なる温度になる可能性がある。
【0167】
主たる温度感受性部品はrf(無線周波数)増幅器(温度依存性の影響のおそらく3/4がそれから由来する)および検波器(温度依存性の影響のおそらく1/4がそれから由来する)であると考えられる。実際、1個の温度センサしか必要にならないように増幅器と検波器を互いに近接させることは可能である。
【0168】
導入することがやはり可能であるが、さらに複雑になることに、装置の複数箇所に温度検出器が設けられる配列がある。図3は1個の温度センサ24しか示していないが、増幅器および/または検波器が単一の温度センサまたはそれら自体の温度センサのいずれでも有することが可能である。ホーンのグループもしくは各ホーンはおそらく付随の温度検出器を有する可能性がある。そのとき、マイクロプロセッサ22は装置の複数の領域/部品から複数の温度信号を受け取るであろう。
【0169】
マイクロプロセッサ22は、温度センサの温度を利得とオフセットに関係付ける、あるいは様々なおよびすべてのセンサの温度の組合せを付随の装置全体の利得とオフセットに、各チャネルについて関係付けるマトリクス/参照テーブルを有することが可能である。もちろん、これは装置の使用に先だって、既知の場面温度(少なくとも2つ)を観測するために装置をこれらの温度組合せで動作させ、参照テーブルにロードするために(もしくは適切なアルゴリズムを作成する)適切な利得とオフセットを解明することによって達成される必要がある。
【0170】
別の選択肢となる取り組みは、装置の1以上の個々の部品(または部品のグループ)の温度変化の影響または利得とオフセットを判定すること、およびそれらから全体的な利得とオフセットを作り出すことである。たとえば、各チャネル(または隣り合うチャネルのグループ)が工場でテストされてそれらの出力信号(Schannel)がチャネルの温度(Tc)でどのように変化するかが判定され、関数Sc(Tc)が作成される(参照もしくはアルゴリズムのいずれかに基づく)ことは可能である。
【0171】
増幅器の性能(SA)が増幅器温度(TA)でどのように変化するかが判定されて関数SA(TA)が作成されることは可能である。検波器が様々な検波器温度で評価され、検波器電圧(VD)が検波器温度(TD)の関数としてどのように変化するかが判定されてVD(TD)が作成されることは可能である。そのとき、検波器から出る出力電圧は次の関係であると予測され、
【数12】
補償された出力電圧(Vcalibrated)を次のように得ることが可能である。
【数13】
【0172】
別の方法で表現すると、利得とオフセット電圧は次のようになり得る。
【数14】
【数15】
【0173】
f(Tc)、f(TA)およびf(TD)は、基準温度供給源を使用してパラメータTc、TA、TDについて或る温度範囲で装置を動作させることによって評価/作成される。f(Tc)、f(TA)またはf(TD)の1以上を、それらを作成/判定するために装置を物理的にテストすることなく予測することは可能であり得る。
【0174】
まさに図1の実施形態がいくつかの温度センサを有することができるように、図4の実施形態も(やはり、できれば増幅器および/または検波器用の温度センサ、および各チャネル、もしくは各チャネルグループ用のもの)同様である。
【0175】
アンテナ設計
図3の実施形態、およびその他のミリ波イメージングラジオメータ、特にリアルタイムの画像化に適用できる更なる特徴はそのアンテナの設計である。従来のアンテナはホーンの単一列を有し、かつ(走査される場面画像の所望のサイズを得るために)一定の長さである。
【0176】
ホーンの単一列内のホーン/チャネルの現状の間隔は画像平面内でナイキストサンプリングを達成するのに不充分であり、それゆえに作成される画像にエイリアシングの可能性を導入し、チャネルはすなわち離れすぎていると理解されてきた。さらにそれらは所望の波長の放射を捕捉するために一定のサイズでなければならない。
【0177】
この問題に対する解決策は、第1の列と実質的に同じ平面にホーン/チャネルの第2の(もしくは更なる)列を有することであるが、この第2の列は、列の長く延びる方向にオフセットし、又はズレている。これは長く延びる方向でホーンの間隔が(2本の列で)半分になることを本質的に意味する。図3を参照すると、ホーン50’と51’の中心は距離Dで離れているが、列40のホーン50と列42のホーン53’の間の、アンテナの長く延びる方向の離間距離はD/2である。これは効果的に更に近接したホーンを得ることを可能にさせ、ナイキストサンプリング距離に近づくことを許容し、それにより作成画像内のエイリアシングを回避する。走査方向に対して横断方向に列の実効分離を削減するためにチャネル/ホーンの3本、4本、またはそれよりも多い列を使用することが可能である(スキャナ14は、アンテナの長く延びる方向に対して直角方向でアンテナ16にわたって観測場面を走査する)。
【0178】
検波器チャネルのオフセットは半分の周期にしなくてもよいが、2本の列だけが存在するときにはそれが最良の解像度を達成する。3本の列については、オフセットは1/3の周期にされる可能性がある(n本の列については1/nの周期)。
【0179】
図9Aは、1/4波長板(たとえばメアンダ)スキャナの別のリアルタイム画像化式走査型ラジオメータ90を示す。ラジオメータ90は焦点面検波器アレイ91、集束反射器と称される偏波感受性の選択的透過もしくは反射グリッドもしくはディッシュ92(これは平行ワイヤのグリッドであってもよい)、角度付き、もしくは傾斜付きの回転型反射プレートもしくはディスク93、および1/4波長板94を有する。メアンダプレートは既知のデバイスであって、それは本質的に1/4波長板であり、かつ直交する方向に繰り返し部品を備えた一連のメアンダを有し、入射する放射の偏波面とそれに関するメアンダプレートの配向に応じてそれがメアンダプレート94を通過するときに直線から円へと偏波を変える効果を有する。1/4波長板94は、グリッド92から到達する放射の偏波面に対して45°(図9Aに示した放射96aの偏波面に対して45°)の高速軸を備えて配列された通常の画像化動作のためのものである。1/4波長板94と回転ディスク93は一体になって捻れ反射器として作用し、素子92が入射放射96を集束させてしかも画像の円錐形走査を提供することを可能にする。
【0180】
図9Aに示した通常の画像化の用途では、観測場面から熱的放射96がラジオメータに入り、その放射は、反射器92を較正する平行なワイヤに対して直角の電場ベクトルで偏波されている場合、その平行ワイヤのグリッドを通過する。同様に、ワイヤに平行方向の電場ベクトルで偏波される放射は反射される。
【0181】
入射放射96の偏波成分は96aである。直線偏波された放射96aは1/4波長板94を通過して右回り偏波(RHC)放射96bへと変換される。これは、メアンダプレート、もしくは1/4波長板の高速(もしくは低速)軸が(前述したように)放射96aの偏波面に対して45°傾斜するときにのみ生じる。その後、RHC放射は反射してプレート93を離れ、左回り偏波放射(LHC)になり、1/4波長板94を通って戻り、LHC放射から直線偏波放射96cに変換されるが、その偏波面は放射96aの偏波面に対して90°となる。すなわち、放射96cが放射96aおよびディッシュ92に対して、ここで直交方向に偏波される。
【0182】
その後、放射96cは(その偏波面が、それが元々入ってきたときのものに対して今では90°であるので)反射して曲面反射器ディッシュ92を離れ、焦点面検波器アレイ91上に集束される。これは通常の画像化動作である。上記で検討した光学素子の後に受け取る放射の偏波面と平行であると想定される偏波面を、アレイ91の受信器フィードホーンが有することは思い出されるであろう。
【0183】
焦点面アレイ91は検波器フィード素子/ラジオメータ受信器の直線、または曲線、あるいは環状のアレイであってもよい。
【0184】
図9Cは画像平面内の受信器フィード素子もしくはチャネルの直線型アレイを示す。図9Dは、図9Cのアレイが画像化装置視野内で直線状に配置される感度の円を与えることを示す。
【0185】
図9Eは焦点面内の受信器フィード素子もしくはチャネルの環状アレイを示し、それは画像化装置視野内で図9Fに示す環状に配置された感度の円のセットを生じさせる。図9Dと9eに示した画像化装置視野の感度の円の中心は、それらが図9Cの直線型アレイに関連するかまたは図9Dの環状アレイに関連するかに応じて直線または円のいずれかに配置される。
【0186】
ラジオメータはまた、焦点はずれモードを有する。ディッシュ反射器92が上記で検討したその配向と比較して90°回転させられると、検波器アレイ91に入る放射は集束されず、そのため、検波器ホーンアレイ91内のすべてのチャネルについて実質的に同じになるであろう。これは、この構成において、検波器ホーンアレイが感受性放射になる偏波が、どの走査光学素子(部品94および93)も通過することなく、したがって集束されることなく、グリッド92を直接通り過ぎることができるからである。
【0187】
図10Aを参照すると、熱的放射の供給源99a(高温源)、およびもう1つの放射熱源99b(低温源)が直径方向で互いに反対側で検波器アレイ91の周縁に配置される。これら供給源は較正の目的で使用されることが可能である。後述するように、1/4波長板94を(通常の画像化モードから)45°回転させることは、これらの供給源から由来する放射をアレイ91のチャネルに入射させる。1/4波長板の高速軸(もしくは低速軸)はここでグリッド92のワイヤの方向に対して平行である。この較正構成では、ディスク93が回転するにつれて、焦点面に検波器アレイ91の環状画像がトレースされる。これは各検波器チャネルが高温と低温の較正源から放射を交互に測定する状態になることを意味する。
【0188】
図10Aを見ると、放射100aは供給源99aまたは99bによって放射される。直線偏波された放射100bはディッシュ92から反射で戻され(直交する方向に偏波された放射はディッシュを通過する)、放射100bは1/4波長板メアンダ94の高速軸もしくは低速軸の1つに対して平行の偏波面を有してそれを通過し、それでもまだ直線偏波しており、放射100cとして回転ディスク93から反射され、(それでもまだ直線偏波しており)、メアンダプレート94を通過して戻り、ディッシュ92に再び当たり、ディッシュ92によって反射および集束されて(放射100dが)アレイ91の周縁の点102へと至る。図10Aから分かる通り、ディッシュ92から反射される放射100aがほとんど平行のビーム(なぜならば供給源99aもしくは99bがほぼディッシュ92の焦点にあるからである)であり、ディスク93が回転すると、極めて大きな角度範囲から出る熱放射がディッシュ92によって集められる。図10Aの配列の効果がアレイの最外側の2つ(またはおそらくそれ以上)のチャネル103aと103bが熱源温度である既知の温度を観察すること、およびそれらのチャネルの絶対的較正のためにこれが使用可能であり、それが他のチャネルの相対的較正のための基準チャネルもしくはチャネル群として使用可能であることもやはり理解されるであろう。
【0189】
焦点はずれモードでラジオメータを操作することに関連する要素は、アレイ検波器が感度を有する偏波面に対するグリッド偏波器92のワイヤの相対的配向である。グリッド偏波器92を(画像化装置動作モードの通常モードから)90°回転させるとシステムが集束させるものから非集束の放射を受けるものへと変わる。
【0190】
傾斜したディスク93の回転は、アレイ91上に集束される焦点面アレイに隣接する点が焦点面内で直径が変化する環91aをトレースする原因となる。
【0191】
熱源98は初期にはアレイ91に隣接して配置された高温もしくは低温の負荷であることが可能であり、第2の較正操作では、それは高温もしくは低温負荷の他方である。単一の熱源、可能であれば、温度可変のものであってもよく、または図10AとBに示したように2つの異なる温度の供給源が設けられてもよい。
【0192】
熱負荷は熱放射の発射が2つの異なる温度で熱的吸収体から由来する真性の温度負荷であることは可能である。熱源99aまたは99bの温度は液体窒素の温度、または別の規定された温度であることは可能である。それらは数百ケルビンの範囲にわたることがあり得る。供給源98の温度が判っていると最善である。熱源99aもしくは99bの温度を測定するために温度センサ、たとえばサーミスタが存在することが可能であり、あるいは何らかの他の方式でそれが知られることも可能である(たとえば大気圧における液体窒素の沸点は知られている)。
【0193】
熱源はマニュアルで取付け可能および/または取外し可能であってもよく、あるいはそれは高温もしくは低温の負荷の供給源を保持することができ、焦点面アレイの隣に設けられたレセプタクルを有してもよい。
【0194】
高温および低温の負荷は、場合によっては、熱電の、たとえばペルチェ効果デバイスなどのソリッドステートの供給源によって作り出されることも可能である。
【0195】
アレイ91内の複数のチャネルに対して供給源温度を提供可能にすることが、前に(それが焦点はずれをさせることによるものであり、かつ一定温度として場面を使用しているかどうか、あるいはそれが同じ一定温度として供給源98を使用しているかどうか)検討したように、相対的チャネル較正を可能にすることは理解されるであろう。
【0196】
付け加えると、供給源99の絶対温度が充分な精度(たとえば1Kなどまで)判る場合、その知識は、チャネルシステム全体のうちの或るチャネルの絶対的較正を実行するのに使用することができる。たとえば、ラジオメータ90システムは既知の温度の単一の供給源99、あるいは2つの既知の(しかし異なる)供給源温度で定期的に、たとえば毎日、毎週、毎月、絶対的較正を有することが可能である。そして、このシステムははるかに頻繁に(たとえば、前に検討したように、数秒ごとの程度)相対的較正を実行することが可能である。供給源99もしくは複数供給源99は図9Aの実施形態ではシステムの各チャネルに設けられる。
【0197】
図9Aおよび10に示すスキャナ構成は、低い光学損失、たとえば約0.5dBを有する。これは、約4dBの損失を有する英国特許出願第9707654.1号のスキャナの損失に匹敵する。このように、図9Aおよび10のシステムは、英国特許出願第9707654.1号のスキャナの損失より少なくとも2倍高い感度を有する。
【0198】
図10Bに示した配列で、検波器アレイのチャネルがそれらの信号を処理するプロセッサもしくは制御器と電子的に通信する必要があり、およびこれが装置の直径に沿って延びる電気ケーブル104によって供給されることは気付かれるであろう。したがって、このケーブルは装置に入射する放射の一部を覆う。アレイのケーブルの出口領域と同じライン上に高温および低温の供給源99aと99bを追加しても、すでにケーブル104で覆われているされている以上、実質的にそれ以上画像化装置の動作領域を覆い隠すことはない。したがって、供給源99の導入が装置の光学的性能を有意に低下させることはない。
【0199】
このシステムの更なる利点は、所望の放射帯域幅が、フェライトを基本とするスキャナである英国特許出願第9707654.1号のスキャナのようにフェライトによって制限されることがないことである。これは、30GHz付近の帯域幅が26GHzから40GHzになり得ることを意味する。これは5GHzしかない英国特許出願第9707654.1号のスキャナの帯域幅の3倍の帯域幅である。これは感度の点で、√3、すなわち約1.7のファクタの改善を提供する。さらに、このシステムは94GHzのウィンドウで使用することができる。それはまた、さらに、140GHz、220GHz、及び、これ以上では適切なフェライトを見つけることが困難である高い周波数で使用することも可能である。それははるかに柔軟性のある動作周波数範囲を有する。
【0200】
反射器92および/またはメアンダプレート94の角度移動がマニュアルで行えること、あるいはこれを達成するためにラジオメータが制御器の制御下にあるモータを有し得ることもやはり理解されるであろう。コマンドを入力することによって使用者は較正操作を開始することができる。
【0201】
図11はCassegrain構成を有する別の円錐形画像化スキャナ110を示す。1次反射器112は放射を反射し、副反射器114上に集束させ、それが(図3に示したそれと同様に)放射を反射してホーン116もしくは焦点面ホーンアレイ内に集束させる補助をする。
【0202】
ホーンが方形の導波路ホーンであるとき、この装置は方形のホーンと導波路のため、本質的に直線偏波である。
【0203】
放射の経路、たとえばホーン116の前、もしくは画像化スキャナ全体の前に(場合によってはスキャナの一部として)直線偏波器を配置することによってシステムのポラメトリック感度を調節することが可能である。直線偏波器は1/2波長板であってもよい。直線偏波器がホーンの前に配置される場合、それは物理的に小型であることが可能であるが、一方、直線偏波器が1次反射器112に放射が到達する前である場合、より大型である必要がある。
【0204】
図12は1/2波長板118を示す。これは入射する直線偏波放射119の偏波面を、方形ホーンE_方向と1/2波長板の光学軸との間の角度の2倍の角度まで回転させる。こうして、φが45°である場合、1/2波長板118は偏波面を90°回転させる。図12は垂直の偏波を有するホーン116と入射する水平偏波の放射119を示す。
【0205】
こうして、1/2波長板118を回転させることによって、(それがホーンの直前に配置されてもその他の配置であっても)ホーンに入る放射に変えることが可能である。図12のケースでは、プレート118は外部の放射がホーンに付随する導波路に入るのを効果的に遮断することができる(なぜなら、ホーンが偏波面を有し、かつプレート118が直角に交差できるからである)。図13のケースでは、プレートの角度移動は集束用ディッシュ119の集束効果を消失させ、装置を効果的に焦点ぼかしさせることが可能である。
【0206】
図14Aは絶対的較正のための配列を示しており、そこではラジオメータ140は検波器141、キャビティ142、スイッチ143、およびアンテナ144を有する。スイッチが開状態にあるとき、外界から入る放射はキャビティ142を直接通って伝播し、ラジオメータ本体に入って検波器141によって検波される。これは通常の画像化配列である。ラジオメータはまた、較正の構成もしくはモードを有し、そこではスイッチ143は閉じられ、ラジオメータ本体に入る放射はキャビティからの放射である。キャビティの温度は測定可能である(機械が温度センサ145を有する)ので、放射の既知の熱的温度プロファイルが検波器に入射するであろう。
【0207】
このシステムの構造は一見して、ノイズ温度の変化を補償するためのスイッチであるDickeラジオメータの構造と同様に見えるが、本システムはラジオメータ装置温度(ノイズ温度ではない)の変化について較正し、利得および/またはオフセット電圧を補正するための更に緩やかなスイッチを有する。キャビティ142は低損失導波路長さであることが可能である。スイッチ143はpinダイオードであってもよい。
【0208】
このラジオメータは断熱および/または加熱/冷却システムによって温度が安定化された部分を有することが可能である。たとえば、フロントエンド(アンテナ144、スイッチ143、および導波路キャビティ142)が温度安定化されることがあり得る。
【0209】
真性の熱的な交番供給源信号(たとえばキャビティ143から入る)の代替として、他の基準温度信号を適切なスイッチを選択的に使用して供給することが可能である。そのような交番の供給源信号は既知の振幅の信号(たとえばRF源から入る)を含むことが可能である。2つの異なるレベルの交番供給源信号は、通常、異なる時間に供給され、利得とオフセット両方を評価するのを可能にする。利得とオフセットが単一のパラメータ、たとえば温度に対して限定される場合、単一レベルが使用されることも可能である。
【0210】
能動的温度安定化
画像化装置内の使用時の温度変化を補償する別の選択肢となる取り組みは、装置の温度を変化させない(あるいは1つまたは複数の重要な部品の温度を少なくとも変化させない)ことである。画像化装置の何らか、いくつか、又はすべての温度感受性部品の温度を維持するために加熱/冷却温度制御装置(たとえばペルチェ効果熱電デバイス)が使用されることもあり得る。
【0211】
画像化装置の設計は、高い熱容量の熱リザーバと関連付けられた温度感受性部品を有するようになされ、よって、それらの温度が急速に変化しないようにすることが可能である。たとえば、検波器もしくは検波器アレイが大きな金属ブロックに装着されることもあり得る。
【0212】
走査vs凝視
凝視アレイは更に高価なので、凝視アレイよりもむしろ走査型画像化装置を使用することが好ましい。コストの差が小さくなるか、またはコストに見合う場合、凝視アレイが好まれる場合がある。凝視アレイでは、更に長い間画素を観測できるという利点があり、これはノイズをさらに小さくし、それは好都合になり得る。しかしながら、凝視アレイにはいくつかの不都合があり、この不都合は、マイクロスキャニングが実施されないとナイキストサンプリング、画素の中間的なサンプリング、を得ることができないことである。さらに、いったん走査を開始すると相対的較正を行うことも可能である。それゆえ、実際上では走査はそれほど不都合ではなく、ノイズが多めであるという事実にもかかわらず、あまり長時間各々の画素を観測することはないので、それは多くの用途にとって充分に良好である。
【0213】
走査の各点について利得とオフセットの係数のセットを備えたシステムが考えられる。これらもやはり工場で装置をテストすることによって達成することができる。
【0214】
焦点はずれ
前に述べた実施形態およびその他の装置にもやはり適用可能な更なる技術は、各チャネルによって受け取られる信号を均一化するように観測場面を焦点はずれをさせる技術である。
【0215】
いくつかの理由で焦点はずれを行うことが望ましくなる可能性がある。1つの理由は、既知の放射温度の高温および低温の供給源を使用してチャネルの絶対的較正を実行するとき、チャネルが同じ強度の信号を受けるならば、多くのチャネルの更に良好な較正が達成されることにある。受信した放射を焦点はずれをすることによって、様々なチャネル間の受信放射強度の差異は絶対的較正処理の間で最小限にされるかまたは回避される。
【0216】
チャネルによって受信される放射の焦点はずれはまた、相対的較正にも目的を有する。検討される相対的較正技術の一部として、2つのチャネルの互いの交点での比較が検討されたが、その理由はそれらのチャネルがその点で同じ温度を観察するからである。焦点はずれはまた、各チャネルが実質的に同じ温度を観察することも意味する。こうして、チャネルを焦点はずれをすること、そして、チャネル間で相対的較正を達成することは有益である。それはまた、交点を持たないシステム(たとえば凝視アレイ)の相対的較正も可能にする。相対的較正のために各チャネルに同じ場面温度を実現するための焦点はずれは、交点の比較の代わりに、もしくはそれと並んで実行される可能性がある。
【0217】
もちろん、画像データ収集プロセスのために画像は再び集束される。
【0218】
本来着目している受動型のリアルタイムのミリ波長画像化装置では、焦点はずれを実現する特に興味ある方法がある。受信した放射は、通常、偏波されており、この偏波効果を使用すれば、装置を集束から焦点はずれへと変えることが可能となる。
【0219】
たとえば、図3のフェライトの円錐形スキャナの実施形態では、偏波グリッド32が反射ビーム5dの代わりにそれが透過するように図3に示した集束位置から90°回転すると、スキャナは効果的に、集束用反射器の代わりに単純に反射器となる。
【0220】
平板状部材、たとえば支持ディッシュの周縁に装着された偏波用グリッド32を90°回転させることは機械的に単純である。
【0221】
別法として、または追加的には、焦点はずれを実現するためにグリッド36を回転させることもあり得る。これは機械的に更に難しくなる可能性があるが、実現可能である。同じ効果を実現するためにグリッド32とグリッド36の両方を(たとえば各々45°)回転させることもあり得る。グリッド32とグリッド36の偏波の相対的配向に変化がある必要があり、実質的に90°が最善である。
【0222】
受信器フィードホーンに面した偏波グリッドを回転させることによって焦点はずれ技術がフェライトの円錐形スキャナおよびメアンダ円錐形スキャナに作用することがあろうことは理解されよう。それもやはり、ホーンフィードの偏波スイッチによって受信偏波を90°反転させることによって実現可能となる。
【0223】
いったん装置が焦点はずれされると、その後、すべてのチャネルは同じ温度を測定すると想定される。そのとき、アレイ内のすべてのラジオメータが温度を測定するために使用され、その後、焦点ぼかしした変化のない場面の平均温度を算出する。この方式で、温度の絶対的レベルの不確実性が最小限にされることを確実化するであろう。これは絶対的較正にとって重要となる可能性がある。
【0224】
いくらかのケースでは、変化のない場面全体にわたる放射温度が同じであることが完全に真実でない可能性がある。これは物体が画像化装置に極めて近接する保安用画像化用途の場合であり得る。このケースでは、隣接チャネルが同じ温度を測定していると想定することが可能である。こうして、2つのチャネルが場面内の同じ点を観測する可能性があるという考察の中では、充分に接近してほぼ同じとなる点を観測することもやはり意図され、それにより、チャネルが同じ温度、またはそれに近い温度を観測していると想定するのが妥当となる。
【0225】
「光学素子」を軸方向に移動させること(集束用ディッシュとホーンアレイの相対的移動)によってわずかに焦点はずれをすることもやはり可能である。このケースでは、隣接するチャネルが同じ温度を測定していると想定することがやはり可能である。
【0226】
単一の場面温度を使用して較正を実行するために、2つの異なる放射温度で焦点はずれ技術を実行することで4つの未知数について4つの式の解を得ることが可能である。
【0227】
画像に寄与する検波チャネルの冗長度は極めて役に立つ可能性がある。
【0228】
数値を平均化することによってまとめ上げのエラーは最小限となり、また、システムが不具合検波器について(たとえば正常作動している検波器の信号を使用することによって)補償することもできる。それはまた、複数のチャネルによって評価されるので、有意に異なる予測温度を識別し、それによって不具合の可能性のある検波器および/またはチャネルを識別するように評価温度の比較も可能にする。
【0229】
多くのミリ波画像化システムは偏波感受性であるので、焦点ぼかしもやはり偏波切換器を使用することによって実現可能である。偏波切換器が検波器の直前に設けられると、検波される放射は焦点が合わないであろう。検波器は、フィード内でメアンダ配列、または基本的な導波路ではフェライトであってよい。図12はこの考え方を具体的に示す。
【0230】
提供される可能性のある更なる特徴は、焦点面受信器フィードアレイ上に入射する信号を観測場面に由来する信号から基準較正場面に由来するものに切り換えるために偏波の変更(または他の切換機構)を使用する能力である。図10との関連で検討したメアンダプレートの回転はこの範例である。
【0231】
単一点較正
使用される可能性のある別の技術は単一点較正である。これは絶対的較正と相対的較正の技術に適用することができる。従来法では、2つの異なる、かつ既知の温度の2つの温度供給源を観測することによって利得とオフセットについて2つのチャネルを較正する必要がある。装置の温度が判っているかまたは概算される場合、較正式には2つではなく事実上1つの未知数しか存在しない。これは、(工場で)絶対的較正が与えられるとチャネル間の相対的較正が既知の温度の単一供給源の放射を使用して実行可能であることを意味する。
【0232】
単一点較正では、チャネルに1つの温度を与えることしかできないとき、相対的較正を達成することが望ましい。1つの温度を有するだけであれば、4つの未知数について2つの式を有するだけである。単一点較正は、たとえば2つの未知数、利得とオフセットが真に独立していないという想定を使用する。実際に関連はある。いったんこれが想定されると、1つのチャネルについて現実に1つの未知数が存在するだけである。この想定は、利得とオフセットを関連付けるものがシステムの温度であると言うことである。これはもちろん一つの想定ではあるが、妥当性がある。これは利得とオフセットの変化の大部分が温度変化に起因するという理由による。これはシステムの温度を測定する必要があることを意味する。そのとき、温度、利得とオフセットの間の関連は判っており、利得とオフセットの関係を調べることは可能であり、その結果、未知数は1つである。それゆえ、単一温度について2つの式と2つの未知数を有する。
【0233】
単一点較正を使用するために、2つの隣接チャネルが実質的に同じ入力を持つことを確実化する必要がある。これを確実化する1つの方法は焦点はずれである。
【0234】
この単一点相対的較正の技術は前に検討した焦点ぼかし技術を備えて、または備えずに使用される可能性がある。この単一点相対的較正の技術は空をたとえば単一の供給源として使用される可能性がある(または地面)。
【0235】
本装置は単一の供給源に方向付けられた専用のチャネルを有することが可能である。これは基準供給源に装置全体を指向させる必要性を回避することを可能にする。たとえば図4は空に方向付けられた専用のホーン79を示す。検波器アレイを基準較正供給源に指向させる必要がないことは、頻繁に、たとえば画像ごとに、あるいは定期的に数個の、もしくは数十の画像ごとに較正を行うことが可能であることを意味する。
【0236】
ラジオメータの較正は、主にソフトウェアによることは理解されるであろう。これは、ラジオメータハードウェアの設計が頑丈かつ単純に保たれることが可能であり、かつさらに洗練された改良を施されたものが開発されるとソフトウェアがグレードアップ可能であることを意味する。
【0237】
チャネルによって得られる画像内の各画素の較正
図14は概念的に画素142に画素化された場面140を図式的に示す。環状の走査パターン144は、傾斜ディスク93が回転するにつれて図9Aのラジオメータ内の1つのチャネルフィード上に、時間的に部分ごとに投影される観測場面の一部である。環状走査パターン146は図9Aの(および図9Bに示した)ラジオメータ内の第2のチャネルフィード上に順々の配列で投影される観測場面の一部である。走査経路142内の各画素は、装置の幾何学形状効果に起因して、同じチャネルについてそれらに付随する多様な利得とオフセットを有する可能性がある。こうして、いかなる瞬間でも温度依存性を備えた単一の利得とオフセットを有する単一のチャネルを前に考察しており、極めて優れた近似であって、全く正しいけれども、更に詳細なレベルでは、走査角度、走査周囲の角度θでチャネルの利得とオフセットの変動が存在する可能性がある。
【0238】
図15aと15bがこれを示す。実際のところ、走査周囲の角度(θ)、約180°隔たった角度で利得およびオフセットのプロファイルに2つの有意な「中断部」の存在する可能性がある。これらは検波器、および検波器アレイに通じる電気的ワイヤ104を保持するベースプレートに関連する可能性があり、それらは直径方向で180°反対側の位置にある。
【0239】
この効果を補償するために、走査周囲の各々の角度、走査角度θは、各チャネルについてそれ自体の付随する利得とオフセットを有することが可能である。これらは工場設定(完全に、普通に初期にある工場設定)であり得る。しかしながら、前に検討したように、利得とオフセットは装置の温度に依存する。各走査角度に関する利得とオフセットもやはりある程度まで温度依存性であろう。こうして、円錐形スキャナについては、
【数16】
であり、ここで、θは走査周囲角度、Tはラジオメータの温度(または少なくとも、重要な温度依存性部品の温度)である。
【0240】
走査角度θでチャネルの利得および/またはオフセットの絶対的較正が提供されることができる。異なる走査角度θでチャネルの利得および/またはオフセットの複数の絶対的較正が提供されることが可能である。実質的にすべてのθ値で絶対的較正が提供されることが好ましい。
【0241】
θでチャネルの利得とオフセットの変動を検出および補償することは、走査角度が特定のθであるときに「ウィンドウ」が電子的に開くように、検波器が本質的にその角度θの場面情報を見るだけとなるように、検波信号を時間ゲーティングすることによって実現することができることは理解されよう。走査の頂点に関してゲーティエングのタイミングを移動させることは観測される走査角度θを変化させる。
【0242】
走査周囲角度θで利得とオフセットの変動に余裕を持たせた2つのチャネル間の相対的較正を実行することもやはり望ましい。交点では一方のチャネルで走査角度がθ1であるが、他方のチャネルで交点/交差領域の走査角度が異なる角度θ2となるであろうから、これは交点で複雑になる可能性がある。
【0243】
1つの解決策は、工場/研究所で、各々のチャネルについて走査角度で利得とオフセットの変動を判定し、ラジオメータの使用時に、その場で決定される相対的利得および相対的オフセットの値で工場設定を変更し、相対的利得と相対的オフセットで、温度走査角度に依存しない状態でチャネル間変動を補償する、すなわち走査角度に無関係であるが装置の温度による温度変動に対し同じ相対的なチャネル補償をすることである。
【0244】
代案として逆のものがある。すなわち、相対的較正(または独立した較正または絶対的較正)に関して前に検討した方法を採用し、走査角度依存性であるが各チャネルについては同じである利得とオフセットに変更を被せるもので、すなわち、
【数17】
である。
【0245】
更なる可能性は各々のチャネルについて利得とオフセットに関する走査角度依存性の変更のセットを有することであり、各チャネルの各変更は温度依存性であってかつ既知である。
【0246】
複数の較正技術の適用
一実施形態では独立した較正、および/または絶対的較正および/または相対的較正がいかなる組合せでも、可能であれば3つすべてが使用される可能性があることが考えられる。独立した較正は相対的較正の前に使用される可能性がある。チャネルの相対的較正の頻度はチャネルの独立型較正の頻度と同じか、それよりも多いか、またはそれよりも少ないものであってもよい。
【0247】
円錐形スキャナの傾斜角度変更
反射器プレートがその回転軸に直角な方向に関して傾斜して設けられる、図9Aに示した種類のスキャナでは、反射器プレートの傾きの角度、もしくは傾斜角を変えることができる利点を有する可能性がある。
【0248】
角度φが画像化装置の走査パターンの大きさを制御する(傾斜角度φについて走査円錐形角度の全幅は4φ)ことは理解されるであろう。
【0249】
観測場面内の中心線領域付近(たとえば水平線に沿った詳細、または画像の中央領域)の情報を集めることが望まれ、かつさらに高い感度がそこに要求された場合、傾斜角度φが小さくされ、その結果、円錐形走査角度を小さくすることが可能である。これは画像内の中心線に沿って集められるデータの量を増加させ、画像のこの部分でS/N比を上昇させる。
【0250】
逆に、さらに広い視野が要求された場合、傾斜角度φの増大が、低下した感度を代償にして、走査角度を増加させるであろう。
【0251】
内部コーティング
ラジオメータの内部表面がエネルギー吸収性(少なくともラジオメータ内で画像化/検波に使用する波長で吸収する)のコーティングで被覆されることは考えられる。これは入射する場面放射と検波アレイによって検波される放射との間の関係を損なうスプリアス放射を防止する。それはまた、走査角度に関する利得とオフセットの変動を低減するためのに役立つ。
【0252】
画素集積化
図9Aのミリ波画像化装置の通常の動作については、ラジオメータは25Hz(すなわち、毎秒場面の25の「作成」フレームが円錐形走査経路から構成され、それらが観測される場面の領域を実質的に満たす)で動作する。
【0253】
場面内の特定の目標物を探すとき、あるいはラジオメータの視野でカバーされる観測場面の特定の領域を見るときにS/N比を高めるために、観測場面の一定の選択画素の集積化時間が増加される、たとえば、言わば数十マイクロ秒から数秒にされることが可能である。
【0254】
これは普通、目標物が画像場面に関して移動(少なくとも横方向でも縦方向でもなく)していないことが判っているか、または可能であれば制御プロセッサによって確証されたときに実行されるであろう。
【0255】
更に長く観測される(更に長い集積化時間)観測場面の領域は操作する人によって、あるいはソフトウェア(たとえばパターン認識ソフトウェアは既知の目標物、または疑わしい目標物を識別することが可能であり、制御プロセッサは目標物の領域の画素の集積化時間を増加させることができる)によって決めることが可能である。画素集積化の増加の程度は、たとえば数十マイクロ秒から数秒の範囲にわたって、使用者またはコンピュータにより制御可能である。
【0256】
1つの発明の従属的な特徴が他の発明で使用される可能性があるので、開示したさまざまな発明が互いにどのような組合せでも使用可能であることは理解されるであろう。そのような組合せに関する保護が求められる。
【図面の簡単な説明】
【0257】
【図1】物理的温度T1とT2を有するラジオメータについて、場面温度Tsに対する検波器出力電圧を示すグラフである。
【図2A】2つの異なる温度で、ラジオメータについて時間に対する検波器出力電圧を示すグラフの一方である。
【図2B】2つの異なる温度で、ラジオメータについて時間に対する検波器出力電圧を示すグラフの他方である。
【図3A】走査型のリアルタイムイメージングラジオメータを図式的に例示する図である。
【図3B】図3Aのラジオメータのフィードアレイをさらに詳細に例示する図である。
【図3C】非直線型検波器アレイを図式的に例示する1つの図である。
【図3D】非直線型検波器アレイを図式的に例示する1つの図である。
【図3E】非直線型検波器アレイを図式的に例示する1つの図である。
【図3F】非直線型検波器アレイを図式的に例示する1つの図である。
【図3G】非直線型検波器アレイを図式的に例示する1つの図である。
【図4】凝視アレイ型イメージングラジオメータを図式的に例示する図である。
【図5A】ラジオメータのスキャナの位置をさまざまに走査したときの、図3のアレイのさまざまなチャネルの視野のオーバーラップを図式的に例示する図である。
【図5B】図3のラジオメータの温度変動について較正もしくは補償をするための技術を図式的に例示する図である。
【図6】観測場面にわたる円錐形の走査の他のプロットを示す図である。
【図7】観測場面にわたる円錐形の走査の他のプロットを示す図である。
【図8】本発明の更なる実施形態のための独立した較正技術を例示する図である。
【図9A】本発明によるリアルタイム画像化式の円錐形走査型1/4波長板ラジオメータを例示する図である。
【図9B】図9のラジオメータの検波器フィードアレイの様々な検波器フィード内への観測場面の様々な領域の走査を図式的に例示する図である。
【図9C】フィード素子の直線型アレイと付随する感度パターンを示す図である。
【図9D】フィード素子の直線型アレイと付随する感度パターンを示す図である。
【図9E】フィード素子の環状アレイと付随する感度パターンを示す図である。
【図9F】フィード素子の環状アレイと付随する感度パターンを示す図である。
【図10A】較正のために構成された図9Aのラジオメータを示す図である。
【図10B】較正のために構成された図9Aのラジオメータを示す図である。
【図11】別の走査型ラジオメータを示す図である。
【図12】別の走査型ラジオメータを示す図である。
【図13】別の走査型ラジオメータを示す図である。
【図14A】別のラジオメータを示す図である。
【図14B】円形走査パターンの、モニタスクリーン上の表示もしくはデータ記憶に適した2次元画像への変換を示す図である。
【図15A】走査角度θで利得の変動を示す図である。
【図15B】走査角度θでオフセットの変動を示す図である。
Claims (46)
- 第1の検波器を使用して放射を検波する少なくとも第1のチャネルと、第2の検波器を使用して放射を検波する第2のチャネルとを有する多チャネルイメージングラジオメータの画質を向上させる方法であって、前記第1と前記第2のチャネルに関する場面温度対検波器電圧の関係式に使用される利得および/またはオフセットを、チャネル較正操作を実行することによって得られる利得とオフセットの値を使用して変更することを含み、当該チャネル較正操作においては、前記第1と前記第2のチャネルが実質的に同じ温度を観測することを確実化し、かつ前記第1と前記第2の検波器から出る出力を前記較正操作において使用して前記第1および/または前記第2のチャネルに関する変更された利得および/またはオフセットの値を作り出し、もって、前記ラジオメータが前記第1および/または前記第2のチャネルに関する前記変更された利得および/またはオフセットを使用し前記第1と前記第2のチャネルを使用して画像を作成するようにした、画質を向上させる方法。
- 前記第1と前記第2のチャネルが実質的に同じ場面温度を観測する請求項1に記載の方法。
- 2つのチャネルが実質的に同じ温度を観測し、かつそれらからの検波器信号が一方のチャネルの利得およびオフセットを他方について較正するために使用されるチャネル較正操作の使用によって、第3のチャネルまたは更なるチャネルが、前記第1または前記第2のチャネルに対して較正された利得とオフセットを有する請求項1または請求項2に記載の方法。
- 1つのチャネルが、基準チャネルとして、その他のチャネルの利得および/またはオフセットを該1つのチャネルに対して設定させる請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
- チャネルの利得およびオフセットの両方が相対的較正操作で変更される請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 実質的に同じ時間に観測される場面の空間内の実質的に同じ点を観測することによって、前記2つのチャネルが較正操作の中で同じ温度を観測する請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記第1と前記第2のチャネルで各チャネルにとって同じ温度である第1の温度、および各チャネルにとって同じ温度である第2の温度を観測するステップを含み、前記第2の温度が前記第1の温度と異なっている請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
- 相対的較正操作は式
(i)検波器1の電圧=チャネル1の利得×観測温度(チャネル1)+チャネル1の電圧オフセット、および、
(ii)検波器2の電圧=チャネル2の利得×観測温度(チャネル2)+チャネル2の電圧オフセット
を使用してチャネル1とチャネル2の利得および/またはオフセットを決定し、チャネル1の利得、チャネル2の利得、チャネル1のオフセット、チャネル2のオフセットのうちの1以上またはすべてを決定する請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。 - 前記第1のチャネル上で観測場面の第1の軌跡もしくは経路を走査すること、前記第2のチャネル上で観測場面の第2の軌跡もしくは経路を走査すること、及び、前記経路群を交差させることを含む請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記2つの軌跡が前記観測場面内の間隔を置いた少なくとも2つの点で交差を生じる請求項10に記載の方法。
- 前記第1と前記第2のチャネルによって観測される温度について予め変更した値をチェックし、2つのチャネルが同じ温度を測定していると考えるのに充分に互いに接近していることを確実化することを含む、請求項2または直接に又は間接的に請求項2を引用する請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
- 前記2つのチャネルが、(i)ラジオメータに焦点はずれを生じさせること、または(ii)前記検波器に入射する放射を場面の放射から基準放射へと切り換えることによって実質的に同じ温度を観察するようにする請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
- 基準放射が熱供給源から供給され、前記熱供給源の温度が測定され、熱供給源の温度が前記チャネル群の利得とオフセットの決定に使用される請求項13に記載の方法。
- ラジオメータの温度に伴う検波器出力電圧の変動について多チャネルラジオメータを補償する方法であって、観測場面の温度の評価に使用する利得とオフセット電圧を、一方のチャネルの利得とオフセットを他方のチャネルの利得とオフセットに対して較正することによって変更することを含む方法。
- 較正操作中に前記2つのチャネルが同じ温度を観測することを確実化することを更に含む請求項15に記載の方法。
- 第1のチャネル検波器を有し、かつ第1のチャネルの観測した場面の放射の捕捉器に接続されるように構成された第1のチャネルと、および第2のチャネル検波器を有し、かつ第2のチャネルの観測した場面の放射の捕捉器に接続されるように構成された第2のチャネルと、信号プロセッサとを有する多チャネルイメージングラジオメータであって、観測場面放射の信号が、前記第1と前記第2の検波器に対して、それぞれ、前記第1と前記第2のチャネルによって供給されるように構成され、前記検波器が、使用時に前記第1と前記第2の検波器の出力を前記信号プロセッサに供給するように構成され、前記信号プロセッサが使用時に、前記第1と前記第2のチャネルによって観測される観測場面内の温度を表す出力信号を供給するように構成され、かつ前記信号プロセッサが使用時に、前記第1のチャネルおよび前記第2のチャネルの利得と電圧オフセットを表す、影響される、または関連する値を使用して、受信した前記第1と前記第2の検波器の前記出力に作用するように構成され、前記第2のチャネルの利得と電圧オフセットを前記第1のチャネルの利得と電圧オフセットに対して較正するラジオメータ。
- 走査経路をオーバーラップもしくは交差させるような方式で観測場面を走査するように構成され、そのため、複数のチャネルによって観測場面内の同じ点が観察される請求項17または請求項18に記載のラジオメータ。
- 円錐形走査パターンを実行するように構成された請求項19に記載のラジオメータ。
- 画像作成用集束器アセンブリと、検波された画像が焦点はずれされるように構成された焦点はずれ器を備えた請求項17から20のいずれか一項に記載のラジオメータ。
- 使用時に前記検波器に当たる放射を、場面に起源を有した放射から観測場面に由来しない放射へと転換するように構成された観測放射ダイバータを有する請求項17から21のいずれか一項に記載のラジオメータ。
- ラジオメータによって作り出される画像もしくは出力信号画像の精度を向上させる方法であって、既知の温度の供給源に対する少なくとも1つの放射検波チャネルに適用可能な、利得とオフセット電圧の絶対的較正を定期的に実行することを含み、前記絶対的較正が、較正のために工場もしくは研究所に装置を戻すことなく、その場でラジオメータで実行される方法。
- 前記供給源が熱供給源である請求項23に記載の方法。
- 前記供給源が空を含み、前記方法が、空から入る放射が前記検波チャネルによって受け取られることを確実化することを含む請求項23に記載の方法。
- 2つの異なる熱供給源の温度を観測するステップを含む請求項23から25のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも1つの検波チャネルと使用時に前記検波チャネルによって得られる放射を受け取るように構成された検波器、制御プロセッサ、および絶対基準温度供給装置を有するラジオメータであって、前記ラジオメータは、使用時に、前記基準温度供給装置から由来する信号を使用することによって少なくとも1つ、又は各々の前記チャネルに関連する利得および/またはオフセットをリセットする較正モードに設定されるように配列がなされるラジオメータ。
- 使用時に、放射が前記検波器へ観測場面から到達するか、または前記基準温度供給装置から到達するかを選択するように構成された選択器を有する請求項27に記載のラジオメータ。
- 既知の温度の熱供給源を備えた請求項27または28に記載のラジオメータ。
- 焦点はずれ器が存在する請求項27から29のいずれか一項に記載のラジオメータ。
- 少なくとも1つの検波チャネルを有するラジオメータの性能を向上させる方法であって、前記ラジオメータの温度変動について、または少なくとも、前記ラジオメータの少なくとも1つの部品の温度変動について補償するステップを含む方法。
- 前記チャネルによって観測される観測場面温度の評価において前記ラジオメータ、または前記少なくとも1つの部品の温度について補償を行う同等の機能を提供するステップを含む請求項31の方法。
- 前記部品が、(i)放射フィードによって検波された信号を増幅する増幅器、または(ii)放射フィードから得られた信号を検波する検波器、または(iii)放射フィードである請求項31または請求項32に記載の方法。
- 検波器出力と、前記ラジオメータまたは前記部品の温度に応じて決まる評価された場面温度との間にコンコーダンスがある請求項31から33のいずれか一項に記載の方法。
- 前記部品(i)、(ii)、または(iii)の温度に応じて決まる前記部品(i)、(ii)、または(iii)のいずれかの入力と出力の間にコンコーダンスがあるを含む請求項33に従属する請求項34に記載の方法。
- 前記部品(ii)の出力を得て、
(a)温度に伴う部品(ii)の入出力特性、および/または
(b)温度に伴う部品(i)の入出力特性、および/または
(c)温度に伴う部品(iii)の入出力特性
のうちの1以上を使用する変更を加えることを含む請求項33から35のいずれか一項に記載の方法。 - ラジオメータの温度および/または前記ラジオメータの少なくとも1つの部品の温度に応じて決まる利得とオフセットを有する少なくとも1つの検波チャネルと、信号プロセッサと、前記ラジオメータまたは前記部品の温度を検出するように構成された温度センサとを有するラジオメータであって、前記チャネルは、使用時に、観測場面の温度を表す信号を前記信号プロセッサに供給するように構成され、かつ前記信号プロセッサは、使用時に、前記チャネルの信号と前記温度センサの信号の両方によって決まる評価された場面温度信号を発生するように構成されたラジオメータ。
- (i)前記チャネルは増幅器および前記増幅器の温度を感知するように構成された温度センサを有し、かつ/または
(ii)前記温度センサは前記検波器の温度を検出するように構成され、
(iii)チャネルは放射獲得用アンテナを有し、かつその温度を温度センサが検出するように構成されて設けられる請求項37に記載のラジオメータ。 - 前記信号プロセッサが、出力検波器電圧を前記ラジオメータまたは信号プロセッサへの温度入力を有する前記各部品の様々な温度について評価された場面温度の信号と結びつけるコンコーダンスを有し、請求項38に記載のラジオメータ。
- 検波器フィード及び検波器を有する検波器チャネルと、様々な時間に場面の様々な部分を前記検波器チャネルの前記検波器フィード上に導入することによって観測場面を走査するスキャナとを有し、前記チャネルによって観測される観測場面内の各々の概念上の画素が関連した走査角度を有するラジオメータを較正する方法であって、前記検波器によって検波された観測場面温度を、観測される概念上の画素の前記走査角度によって決まる較正または補償の機能によって変更することを含む方法。
- 複数の検波器チャネルを有し、それぞれの走査角度に依存する較正または変更の機能によってそれぞれの検波場面温度を変更することを含む請求項40に記載の方法。
- 様々な走査角度に依存する変更または較正の機能を有する様々な検波器チャネルを有することを含む請求項41に記載の方法。
- 前記較正または変更の機能が、関連する特定の画素に関するチャネルの利得および/またはオフセット電圧に対する変更を含む請求項40から42のいずれか一項に記載の方法。
- 観測場面内の概念上の画素を検波器チャネルの検波器素子上に走査するように構成されたスキャナと、前記検波器素子から信号を受け取るように構成され、かつ前記検波器素子の出力からおよび前記画素が評価される走査角度を補償するコンコーダンスまたはアルゴリズムから前記概念上の画素の場面温度を評価するように構成された制御プロセッサをと有する走査型イメージングラジオメータ。
- 前記コンコーダンスまたはアルゴリズムが、前記ラジオメータの温度感受性部品の温度も補償する請求項44に記載のラジオメータ。
- ラジオメータ内に有効に導入されると、先行する請求項に記載のラジオメータまたは方法を提供する信号プロセッサ、またはソフトウェア。
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