JP2004530103A - 超常磁性標識を用いて生物学的反応を検出または定量する方法 - Google Patents

超常磁性標識を用いて生物学的反応を検出または定量する方法 Download PDF

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Abstract

超常磁性粒子をまず、抗体の群のような同一の生体分子の群に結合または吸着させ、その後、結合物または吸着物を、生物学的結合パートナー分子の群と反応させて、連結した生体分子と超常磁性粒子との堅固に結合した三次元塊を形成する。塊を超常磁性粒子の磁化を誘導するために必要な最も短い時間、磁界に曝露して、その後磁界を直ちに除去した。塊における超常磁性粒子は、磁界に暴露後少なくとも20分間持続する測定可能な非永続的集合磁化を協調して示し、前もって確立されている標準との比較により生物学的結合パートナーの量を定量するため、または試験試料における生物学的結合パートナーの存在を確実にするために用いることができる。

Description

【0001】
本発明は、生化学を含む生物学的反応、および特に免疫化学反応を認識および/またはモニターする新規検出系に関する。この系に超常磁性の力を導入すると、反応に関与する一つの反応物質の分子の濃度または数に基づいて、そのような反応の程度を正確に検出することが効果的に容易となる。本発明は、免疫測定法、クロマトグラフィーによる分子の分離、核酸プローブ分析、残留農薬分析、オリゴヌクレオチドプローブ、および生化学を含む生物学的反応が現在認められるもしくは測定されるその他の領域、またはまだ報告されていないがそのような観察および測定を有用に行うことができる領域を含む、多様なインビトロでの用途に関する。
【0002】
発明の背景
様々な参考文献によって、特定の金属コロイド粒子、および特に金コロイドを、生体組織に存在する可能性がある珍しい細胞または分子実体の同定物質として、および多様な免疫測定法、核酸プローブ分析、クロマトグラフィーによる分離、オリゴヌクレオチドプローブ、ならびに生物学的反応のモニタリング、一つまたはそれ以上の疾患を引き起こす生物の同定、特定の生物学的反応に関与するまたはそのような反応の正常な機能を破壊する可能性がある特異的実体の同定、病的反応を誘発する実体の同定、および生物/生化学特性に関する類似の情報を求める無数の他の特定の応用において、生化学を含む生物学的分子のタグとして用いることが記述されている。
【0003】
これらの反応にタグをつけるために金コロイドを用いることは、注意して、そして複雑な条件および段階を追加して、いくぶん定量的な特性の情報が得られるように行ってもよい。しかし、これらの金コロイドタグは、定性的に用いるほうが、それらによって定量的な情報を得る試みより容易に利用でき、一般的により正確で有用な結果を生じる。別の面では、金コロイドは特に、特定の生物学的分子または実体を同定するためにそれを用いることが目標である場合には、タグ材料として顕著な長所を示すが、金コロイドタグのみを用いるアッセイおよび他の反応から信頼できる定量的情報を得ることは、多くの場合、極めて困難で時間のかかる作業である。
【0004】
磁界センサーが例えば、分子の大きさまたは所望の最終産物の収率を決定することができる記録を生じると仮定して、磁気ビーズまたは粒子を生物学的反応の標識として用いることに関して多くの示唆がなされている。例えば、アデルマン(Adelmann)の米国特許第5,656,429号、およびアデルマン(Adelman, L.)、J. Assn. for Laboratory Automation 4、1999年6月、第3号、32〜35頁を参照のこと。
【0005】
アデルマンの雑誌の論文には、既製の磁気ビーズが「残留[sic]磁気を示す、すなわち永続的に磁化可能であること」(33頁)、そしてその残留磁界がポリヌクレオチドおよび他の結合標的を定量および/または検出できるものであることが開示されている。その例において、ビーズと呼ばれるものは、あるものは大きさが異常に大きく、800 nmのオーダーであり、あるものは大きさが4ミクロンである。そのような大きいビーズは、その流動学的特性のために、そのような反応が起こる通常のいくぶん粘性の媒体の中をそれらが容易に移動できないことから、そしてまたそのような反応がしばしば行われるセルロース誘導体、紙、木、ガラス等のようなマトリクスに沿ってそれらが容易に流れることができないことから、容積の大きい生物学的反応のマーカーとして有効に用いることができない。論文ではさらに、生物医学およびバイオテクノロジー研究所の科学者が、磁気ビーズを用いる場合に、標的の全細胞、DNA、または蛋白質に結合したビーズから過剰に存在する未結合のビーズを分離する必要性を長い間認識していたこと、そして未結合のビーズを誘引する固定された磁界に混合物を供することによってこの分離が行われること(同上)が開示されている。これらのビーズの永続的な磁化と、固定磁界が過剰量のビーズを誘引する状況はいずれも、ビーズの特徴が強磁性であって、超常磁性ではないことを強く示唆している。
【0006】
バセルト(Baselt)の米国特許第5,981,297号は、例えば、電子およびコンピューターでの応用において磁気テープまたはディスクを読みとるために用いられるものと類似の磁気抵抗性の元素を用いることを提案しており、これは、元素1個あたり多くの粒子を検出するために約20×20 μm(6段落34行目)を測定すると記述されている(同様に提案された1粒子1元素の態様とは区別される)。この磁気抵抗性元素をまず、絶縁体によって予めコーティングして、標的分子に対して特異的な結合分子をそれに共有結合させる。このように調製した元素を、それに標的分子を含む液体試料を加えるフローセルの中に入れた後、強磁性、フェリ磁性、または超常磁性であってもよいが、標的分子に対して特異的な結合分子のコーティングを有する直径1〜5nmの粒子の浮遊液を加える。明細書では、それぞれの磁気抵抗性元素が標的分子に結合する粒子を計数する目的を有すること、そして磁気抵抗性の検出要素を活性化する前に、電磁石のような磁気装置を用いて非特異的に接着する粒子を除去することが開示されている(第7段落、1〜14行目)。これは、この機能が空気をコアとする電磁コイルを通して「容量性放電回路によって作製された短い(〜10〜100 ms)パルスの電流を送ることによって最もよく提供される」と述べている(同上、11〜14行目)。次に、磁界発生装置(7段落、21〜38行目)が結合したビーズを磁化させて、そのそれぞれが磁界を生じ、それに結合する磁気抵抗性の元素の抵抗を変化させ、次にその抵抗をホイートストンブリッジによって対照元素と比較して、データをデジタル化し、マイクロプロセッサに送って、ここで特定の磁気抵抗性元素上でのビーズの総数を決定して、そこから標的分子濃度を計算することができる。
【0007】
試料内の標的物質を測定するために磁性または常磁性ビーズを用いる様々な他の方法も同様に記述されている。例えば、ラポポート(Rapoport)の米国特許第5,978,694号を参照されたいが、この特許は、少なくとも部分的に標的物質に結合する、常磁性、反磁性、または強磁性標識材料(「常磁性」として特徴が調べられている酸素であってもよい)を表す後者を、適用される磁界に供した場合に、導体を用いて液体試料の磁化率の変化を測定することを含む。
【0008】
ドイツのグループであるコチッツ(Kotitz)は、様々な生体分子にタグをつけるために強磁性(フェリ磁性を含む)ナノ粒子を用いることができることを示した。コチッツ(Kotitz)らの抄録:生物学的結合反応の結合特異的検出のための新規ツールとしての超伝導量子干渉デバイスに基づく磁性ナノ粒子の磁気緩和測定(Superconducting Quantum Interference Device−Based Magnetic Nanoparticle Relaxation Measurement as a Novel Tool for the Binding Specific Detection of Biological Binding Reactions)、J. Appl. Phys.、1997年4月、第81巻、4317頁を参照のこと、これは1996年11月にジョージア州アトランタで開催された第41回磁性磁気材料年次会(the 41st Annual Conference on Magnetism and Magnetic Materials)で発表された学会論文、および1995年1月27日のドイツの優先権の日付を主張し、抄録の著者と同じ4人の発明者の名前を挙げている、関連の米国特許第6,027,946号に関する。同様に、IEEE応用超伝導会議会報(IEEE Transaction on Applied Superconductivity)、1997年、第7巻、2号、第3版、3678〜3681頁において発表された同じグループからのさらなる学会論文も、これらの発表された抄録および米国特許に密接に関連しており、最初の論文は1996年の8月にペンシルバニア州ピッツバーグでの1996年応用超伝導会議で発表され、そのグループからは後にJ. Magnetism and Magnetic Materials、1999年4月、第194巻、第1〜3号、62〜68頁として論文が公表された。これらの4つの引用文献全てにおいて、グループは、超常磁性粒子ではなくて、フェリ磁性を含む強磁性ナノ粒子について研究した。米国特許を含むこれらの論文の3つは、著者(本発明者)らが「磁気緩和測定(magnetorelaxometric)」と呼ぶ検出法を用いてこれらの強磁性材料を標識した検体の検出に関し、この場合SQUIDSは、いずれも通常磁気遮蔽環境内で行われる磁界への曝露後、そして磁界を除去した後、強磁性粒子がその磁気モーメントの少なくとも部分的再整理を受けるあいだのミリ秒の時間を測定するために用いられる。
【0009】
IEEE会報の論文は、外部磁界の非存在下で残留試料磁化を測定するためにSQUIDを用いることに関する。より詳しく述べると、この論文は、III型コラーゲンに対するモノクローナル抗体を、デキストランコーティングした平均直径13 nmの強磁性酸化鉄ナノ粒子にカップリングさせる方法について記述する。同時に、ポリスチレンチューブをIII型コラーゲンのPBS溶液と共にインキュベートして、それによってこの抗原性材料をチューブの壁に吸着させた。
【0010】
強磁性流体における強磁性ナノ粒子標識モノクローナル抗体を、これらの準備したチューブに加えて、60分間インキュベートした。チューブをそれぞれ、磁界に10秒間曝露した。次に、強磁性流体を満たしたチューブにおいて残留磁気の測定を行い、測定は磁気遮蔽環境において行った。次に、チューブをそれぞれデカントして、PBSによって3回洗浄し、残留磁気をそれぞれについて再度測定した。結果は、チューブが強磁性流体によって満たされているあいだに得られた結果と比較して残留シグナルの変化を示さなかった。このことから、未結合の粒子、すなわち抗体−抗原反応に関与しない粒子は、それらがモノクローナル抗体単独とまず反応して「ブロックされた粒子」を形成するか否かにかかわらず全て無視することができ、そして測定された残留効果は、細胞壁に吸着された抗原に結合した粒子標的抗体で唯一認められたと結論された。その上、測定されたこの残留磁気は、チューブ壁上の抗原濃度の一次関数であることが判明した。
【0011】
本発明では、平均直径1〜約100 nm、好ましくは1〜約60 nm、および最も好ましくは5nm〜50 nmを示す物理的な大きさの個々の超常磁性粒子が、永続的に磁化可能ではない(したがって、IEEE文献に記載される残留磁気を有しない)が、それにもかかわらず連結した生物有機マトリクスに密に充填すると、情報量が多く非常に有用な測定を行うことができるほど十分に長く持続する非永続的磁化作用を獲得するという発見を含む。
【0012】
発明の簡単な説明
本発明は、平均直径が、1〜約100 nm、好ましくは1〜約60 nm、および最も好ましくは約5nm〜50 nmの範囲である、X線回折および透過型電子顕微鏡によって測定した物理的な大きさを有する超常磁性粒子を、生物反応の少なくとも一つの選択されたまたは疑われる反応物質のための標識物質として用いることを含み、反応物質は、反応物質内または反応物質間での相互作用が起こると、密に充填され、しばしば分子的にクロスリンクした生物有機材料と、結合した超常磁性(SPM)粒子との三次元塊を形成する。そのような塊において、SPM粒子は塊の三方向全てにおいて互いに密に近接しており、その結果、塊を磁界の磁化作用(例えば、強度が約10,000ガウスの磁石によって得られる磁界)に、30秒以下のオーダーで、短期間、好ましくは10秒またはそれ未満のあいだ供すると、密に近接した粒子が磁化する。
【0013】
この磁化は少なくとも20〜30分のあいだに徐々に減衰して、場合によっては、より長く、それが消失する点まで減衰することが実験によって示されている。前述した磁化は、本明細書において「非永続性集合磁化」と呼ぶ。この非永続性集合磁化は、望ましくは、塊からの磁界の影響を除いた分単位の設定時間内に測定する。
【0014】
本発明の基礎となる研究の際にこの間隔を5分に標準化することによって、同じ同一性特徴(すなわち、粒子の直径、表面処理、およびそれが結合する生体分子の同一性)を有する粒子の標準曲線を構築することができ、これらの粒子と反応し、したがって試験試料中に存在する標的分子の数または濃度を容易に計算できることが判明した。
【0015】
これらの実験において、同じ平均直径範囲の物理的大きさを有し、同じ表面処理を有する超常磁性材料の個々の散在した(stray)粒子は、それらが試験試料の標的分子と実際に反応する分子と同一である生体分子にまず結合するか、または全く結合しないかによらず、磁界を除いた際に測定可能な磁化を保持しなかったことが判明した。それらが磁化を保持しなかったため、超常磁性粒子と生体有機分子との塊状の相互作用塊の非永続性集合磁化を測定する前に、それらを物理的に分離する段階を行う必要はないという結論に達した。後者は、測定可能な磁気記録を生じ、熱効果に対するその感度は低いために、これは理論的である。反応しない超常磁性標識抗体または他の生体分子は、超常磁性標識免疫複合体または他の超常磁性標識反応バイオマスと比較して物理的粒子サイズが小さい。標識抗体または他の生体分子の超常磁性およびその磁化の方向は、熱効果の結果として直ちに散逸しやすく、超常磁性粒子単独の場合のように、超常磁性標識抗体における磁化の方向は、非常に迅速にランダムになる傾向があると考えられている。
【0016】
発明の詳細な説明
本発明に従って、如何なる程度の磁化も維持するには個々に小さすぎる超常磁性粒子を、可能な限り短い期間、好ましくは10秒またはそれ未満、および30秒以下、強度約10,000ガウスの磁界の作用に暴露すると、測定可能な非永続性の集合磁化を獲得することが示されている、すなわち、例えば標識した超常磁性抗体:抗原:固定抗体「サンドイッチ」の塊、標識した血小板の凝固塊、クロマトグラフィーによって分離したタンパク質塊等のような、塊状になった生物材料を密に充填した三次元塊に組み入れた場合の、集合して相互作用した三次元バイオマスの集合的磁化を獲得することが示されている。
【0017】
生化学を含む生物学的反応の標識として超常磁性粒子を用いることで、例えば、様々なアッセイ系において現在用いられている多くの標識に対して実質的な長所が提供される。例えば、超常磁性粒子は、強磁性粒子とは対照的に、残留磁化を示さず、磁界の影響を受けるまで磁気特性を示さない。したがって、それらは、金属コロイド、酵素、化学発光剤、放射活性微量元素等を含む、一般的に用いられる標識材料の多くとは対照的に実質的に無制限に貯蔵安定性である。
【0018】
その安定性のために、磁化を励起するために十分な強度の磁界に曝露されない限り、それらは他の物質と混合し易く、液体に浮遊させ易く、その他、扱い易い。
【0019】
本発明の意味において、認められたように非永続的な集合磁化は、試験試料における標的生体分子の濃度または数の一次関数である測定可能な現象である。しかし、一連の試験、すなわち、異なる濃度で行う標的検体分子の試験、標準曲線を作製するために行う試験、試料に存在する濃度を決定するために既に作製された標準曲線を信頼する意図で行う試験等において同等の結果を得るためには、この磁化を誘導する磁界を除去後に同じ時間間隔で非永続的集合磁化を測定するよう注意しなければならない。
【0020】
粒子の大きさ、粒子の表面特徴、磁界の強度、および磁化段階にかける時間は、生物有機材料の最終産物塊において捕獲される磁化粒子と結合する粒子との平均距離、ならびに非永続的な磁化が持続する時間の長さおよびそれが減衰する速度において、何らかの役割を有するであろうと考えられている。同様に、磁化全体の測定を、本発明の基礎をなす研究で選択される磁化段階後5分間隔のみならず、磁化段階後の他の何らかの均一な間隔で行う場合、少なくともこれまで調べた系では、結合した粒子数と標的検体または他の標的分子の濃度との相関が得られうる速度で減衰が起こるように思われる。磁化全体の測定においては、存在する可能性がある「プラットフォーム」または生体マトリクスに応じて、推定する必要がある如何なるバックグラウンド磁化の測定値をも大きく上回る記録が生じるような間隔で測定が行われるように、注意しなければならない。さらに、磁化全体の測定に関して異なる間隔を選択する前に、非永続的な集合磁化の減衰速度が、同じ処置を行ったことがある超常磁性粒子の一貫したパターンに従うということを確実にする必要がある。
【0021】
本明細書において用いられるように、「超常磁性粒子」とは、相互反応する生物有機材料の塊において共に密接に会合して密に充填した場合に磁化可能であるが、残留磁気を保持せず、そして磁化を試みた後に個々に測定しても残留磁気を示さない粒子を意味する。これらの粒子は、容易に磁化可能であることが知られている鉄、コバルト、カドミウム、ルテニウム、マグネシウム、マンガン等のような純粋な金属、酸化鉄、CoFe、MgFe、および塊そのものをニッケル、カドミウム、コバルト、ルテニウム等のような磁界の影響を受ける場所に置いた場合に容易に磁化可能となることが知られている他の金属酸化物を含んでもよい。例えば、X線回折および透過型電子顕微鏡によって調べた際にスピネル構造を示す、Fe−Ruおよびその酸化物ならびに他の金属との配合物、およびその酸化物も同様に利用可能である。純粋な金属は、平均直径が数ナノメートル内、通常5nm未満に限定される物理的な大きさの範囲内である場合に限って超常磁性であることに注意しなければならない。純粋な金属の超常磁性粒子も同様に化学的に不安定であるが、対応する超常磁性粒子の酸化物は比較的不活性であり、より広い物理的な大きさの範囲内でその超常磁性を維持する。
【0022】
これらの超常磁性粒子は、生物有機材料と本来反応性ではなく、しばしば望ましくは、それらをモニターすべき、アッセイすべき、またはそうでなければ位置を特定して定量すべき標的分子の結合パートナーと反応させる物質によってコーティングされる。そのようなコーティングのための様々な方法および材料は、様々なアッセイ系において用いられているインサートまたは「ディップスティック」を含む、ガラスビーズおよび固相ポリマーを含むポリマーまたはガラスをコーティングするために過去に用いられている。同じコーティング法および材料は、生化学を含む生物学的反応の最終産物を検出するために用いられる超常磁性粒子をコーティングするために有用である。タンパク質等が、例えば酸化鉄等の上に直接吸着される様々な吸着法もまた周知であり、それらも同様に粒子の反応性を改善するために本発明において利用してもよい。
【0023】
超常磁性粒子は、外部磁界に曝露した場合に永続的な残留磁化を獲得する(フェリ磁性)粒子を含む、強磁性材料および、強磁性材料の0.001倍弱い正の磁化率を有する常磁性材料とは区別される。超常磁性材料の磁化率は、強磁性材料と常磁性材料のあいだに存在し、粒子は、本明細書において強磁性粒子と常磁性粒子の中間体である。理想的な超常磁性系は、その臨界ブロッキング温度と同じ温度か下回る温度において緩和時間の遅延を示し、すなわちそれらは磁化状態から非磁化状態へとゆっくり復帰する。本出願の基礎となる本研究において用いた粒子は、X線回折および透過型電子顕微鏡によって測定したところ、平均直径が5〜15 nmであり、室温をわずかに上回る(すなわち、約25℃をわずかに上回る)ブロッキング温度を示した。それらは、X線回折および透過型電子顕微鏡によって確認すると、スピネル構造を有する純粋なFeで構成されていた。
【0024】
超常磁性材料が残留磁化を示さないことは、物理学者に知られている。超常磁性材料のヒステリシスループ(すなわち、磁界強度に対して磁化をプロットすることによって得られたプロット)は、曲線様であり、典型的に図2および2Aに示すものと類似する。これは、強磁性材料の典型的なヒステリシスループ(図1)および常磁性材料について得られた直線のヒステリシスプロットとは対照的である。最も通常、超常磁性粒子は、X線回折および透過型電子顕微鏡によって測定した場合、物理的な大きさが50 nm未満のオーダー、しばしば、30 nmまたはそれ未満の小さい平均直径を有するが、いくつかの系では、超常磁性特性を有するより大きい大きさの粒子が認められている。(磁界から除去後のその大きさおよび挙動はいずれも、800 nmおよびそれより大きい粒子はアデルマン(Adelmann)らの論文において強磁性であって、超常磁性ではないとの示唆が挿話的に認められている)。なおさらに、磁界に供した場合にそれらが示す可能性がある磁化は、それが全く散逸するまで時間と共に減衰することは超常磁性粒子の典型である。最後に、超常磁性粒子は、ある程度の磁気の秩序化を有し、すなわちそれらは非磁化状態の非対電子を有するいくつかの原子を含む多様な大きさの集団からなるサブドメイン構造と呼ばれるものを有するが、集団は、それぞれの原子または他の構造単位が真の磁気モーメントを付与する非対電子を有する磁区と呼ばれるより大きい集団を特徴とする強磁性材料の「磁区構造(domain structure)」と比較すると小さく、まばらである。これらの後者の材料において、それぞれの磁区は、その磁区に存在する全ての非対電子のベクターの総和である方向性磁気作用を示す。
【0025】
要約すると、強磁性材料は強い磁気秩序化を有し、超常磁性材料は何らかの磁気秩序化を有するが、強磁性材料よりかなり弱い。超常磁性材料における磁気秩序化の存在は、中性子回折測定によって確認されている。チェン(Chen)らの「超常磁性MgFeナノ粒子の共沈殿による合成(Synthesis of Paramagnetic MeFe Nanoparticles by Coprecipitation)」(J. Magnetism and Magnetic Materials、第94巻、1〜7頁(1999))を参照のこと。常磁性材料は磁気秩序化を有しない。
【0026】
物理学者が「強磁性」、「超常磁性」、および「常磁性」材料を認識する場合の類似性および差に関する良い技術的説明に関しては、チェン(Chen)らの「MgFeOスピネルフェライトナノ結晶のサイズ依存的超常磁性特性(Size−dependent Superparamagnetic Properties of MgFeO Spinel Ferrite Nanocrystallites)」、Appl. Phys. Letters.、73巻、3156〜8頁(1998)を参照のこと。
【0027】
超常磁性粒子と密接に会合した生物有機材料を含む集合した三次元反応産物において非永続的な集合磁化を測定できることは、これらの反応産物の比較的安定なマクロ構造に帰因する可能性があり、マクロ構造は、取り込まれた粒子をその場に保持して、磁界に曝露されることによって付与される磁化の減衰を持続させる。しかし、出願人は、本発明に関する実験的研究において認められた再現可能な現象についてのこの、または他の如何なる科学的説明を確立しておらず、したがって、如何なる特定の説明にそれら自身が拘束されることを意図しない。
【0028】
本発明は、少なくとも免疫測定法、DNAプローブ、オリゴヌクレオチドプローブ、クロマトグラフィーによる分子の分離、および存在する標的分子の量を定量するために望ましいその他の生物反応を含む、インビトロ生物反応の実質的に無制限のスペクトルの増強を提供する。本発明は、特定のインビボ生物反応をモニターする場合にも有用となる可能性があると考えられる。本発明の検出系は、免疫測定法全般、特に免疫クロマトグラフィーおよび他の「側水路」アッセイ法およびいわゆる「フロースルー」アッセイ法、すなわち、反応物質が共に運ばれる垂直方向の流動段階を含むアッセイ法において有益に用いられる。
【0029】
ミッドウェストサイエンティフィック社(Midwest Scientific Co.)の2000年10月のニューズレターにおいて、シャーク・バイテス(Shark Bytes)は、オハイオ州立大学で現在開発中のアッセイの型について記述しており、このアッセイ法は、コンパクトディスクプレーヤーによって回転するコンパクトディスク(「CD」)に小さいリザーバーとチャンネルとを備え、標的検体を含むことが疑われる医学試料を試験反応物質の小プールと混合させる。そのような試験プラットフォーム上の小プールに存在することが疑われる検体の超常磁性粒子タグ結合パートナーを含めて、オハイオ州のCDプレーヤーシステムに含まれる予定のコンピューターにより迅速に実行、評価できる非常に有用なアッセイ法が得られるであろう。このコンピューターは、外部磁界によって付与される非永続的な集合磁化をデジタル型で読みとって、この記録を標準曲線に対応する保存情報と相関させるように容易にプログラムすることができる。免疫測定法の当業者は、関連するCDプレーヤーコンピューターとCD1枚との組み合わせは、例えば、CDの異なる「プール」領域に存在する超常磁性粒子に結合した異なる標的検体に関して異なる抗体を提供することによって、単一の試験試料の一部でいくつかのアッセイ法を同時に行うように容易に適合させることができることを認識するであろう。
【0030】
CDの他に、超常磁性粒子タグ生体分子を試験試料中で標的生体分子と反応させてもよい他の「プラットフォーム」材料は、本発明の範囲内で行われる研究において有用であると考えられる。下記の特定の例が示すものの他に、予備研究において特に調査された可能性のある例は、バルサの木(balsa wood)およびガラスである。バルサの木を用いると、材料が、本質的に非磁性であって非磁化性である場合であっても、そのその毛細管現象によって非常に大きい標準偏差を示す非永続的集合磁化の記録が得られる可能性がある。これらの毛細管を非磁化プラスチックまたはウシ血清アルブミン、他のタンパク質、ポリエチレングリコール、または先行技術において記載された「ディップスティック」型の免疫測定装置において毛細管を遮断することが周知である他の物質によって充填すると、バルサの木は、プラットフォームとしてより許容されるようになるであろうと考えられる。ガラスは、適当なバックグラウンドの記録が得られる限り、毛細管の問題もなく、満足のゆくプラットフォーム材料であることが判明し、ほとんどのスライドガラスが磁界に曝露した場合に低い程度に磁化可能となるために十分な鉄を含むという事実を補償することができる。このため、一つの反応物質を本発明に従って超常磁性粒子によって標識する生物反応が、ガラスをプラットフォームとして行われる場合、バックグラウンドシグナルを決定して、それを試料の記録から差し引く必要がある。
【0031】
非永続性の集合磁化を測定するために、様々な機器を用いてもよい。この点において、いくつかの異なる研究開発グループが、高解像度の磁気記録技術およびコンピューターディスクドライブ技術から収集した知識を応用する比較的低コストの測定機器を開発中である。これらの一つは、エリコンプ・マグラブ2000であり、その少なくとも一つの初期の原型版が先に引用したアデルマン(Adelman、J.Assn. for Lab. Automation)の論文に説明されている。もう一つは、2000年4月4日に交付された米国特許第6,046,585号に記載されたクアンタムデザインインク社(Quantum Design, Inc.)の機器である。
【0032】
以下の特定の実施例は、本特許出願の代理人であるビナックスインク社(Binax, Inc.)から販売されているイヌ糸条虫の免疫クロマトグラフィー(「ICT」)アッセイ法において、金コロイドの代わりに本発明に係る超常磁性標識を用いることを説明するものである。
【0033】
実施例1−超常磁性粒子のためのコーティング剤の選択
超常磁性粒子は、イヌ糸条虫(「CHW」)抗体等の、特定の抗体に共有カップリングできるように、遊離のカルボキシル官能基を有する試薬によってコーティングすることができる。したがって、最初の研究は、この目的のために選択されるコーティング材料を確認するために行った。
【0034】
ICTアッセイ法の操作が成功するためには流動学的特性が重要であり、かつ金コロイド標識を用いた過去の経験では、より小さい粒子が流動学的に優れていることが示されている理由から、直径10 nmのFe粒子をこの研究のために選択した。それらの大きさは、X線回折および透過型電子顕微鏡によって確認した。
【0035】
米国特許第5,547,682号に記載されるコーティング法を用いて、2つのポリマーコーティング材料を超常磁性粒子の異なるロットについて調べた。これらの粒子の一つのロットを、コンドロイチン硫酸A(「CSA」)によってコーティングし、他のロットを小さいポリアクリル酸(「sPAA」)によってコーティングした。それぞれの場合において、コーティングした粒子の浮遊液は、動的光散乱によって測定すると、直径が40〜60 nmであった。CSAコーティングおよびsPAAコーティングした超常磁性粒子はいずれもさらに試験を行ったところ、CSAコーティング粒子は安定性および抗体に対する結合能に優れていることが示された。その全てがsPAAコーティングであり、それに市販の抗体ベチルが結合した異なる鉄濃度を有する3組の粒子に関して、振動試料磁力計(「VSM」)試験によって測定したヒステリシスループを図2に示す。非コーティング型のこれらの粒子は、実施例3の開始材料であった粒子と同じである。図2では、超常磁性材料の典型的なヒステリシス曲線の形状が示され、同様にこれらの粒子が残留磁化を示さないことが確認される。図2Aは、SQUID機器による(黒四角の曲線)、およびVSM(白丸の曲線)による超常磁性10 nm Feのコーティング粒子について行ったヒステリシス測定を示す。同様に、カルボキシ多糖類抗体を結合した同じコーティング粒子のVSMによって作製したヒステリシス測定のプロットも図2Aに示す。3つにおいては全て、典型的な形状の超常磁性材料のヒステリシス挙動が示され、粒子が残留磁化示さないことが確認される。
【0036】
実施例2−超常磁性粒子標識抗体の調製
実施例1において調製したCSAコーティング超常磁性粒子を、CHW抗原に関する市販のビナックスICT試験の製造に用いられた抗CHW抗体と同一の抗イヌ糸条虫(「CHW」)抗体に共有カップリングさせて、実施例3において使用するまで、10 mg/mlウシ血清アルブミンを含む燐酸緩衝生理食塩液に浮遊させた。
【0037】
実施例3−超常磁性標識を用いた CHW ICT アッセイ法の実施
ニトロセルロースのICT流路試験細片を、CHWに関してビナックス社から販売されているICTアッセイ法で用いられる細片と同じように処置した。これらの細片は、流路試験細片の重なり合う反対側の末端の吸着床成分に貼り合わせてディップスティック型の装置に組み入れた。CHW抗原を含む一連の溶液を抗原濃度100 pg/ml〜200 ng/mlの範囲で調製した。これらの抗原溶液のそれぞれ190 μlを新しいポリスチレン96穴マイクロタイタープレートの異なるウェルに分配した。これらの試料に、実施例2のCSAコーティングした超常磁性粒子標識抗CHW抗体5μlを加えた。標識抗体/抗原溶液混合物は室温で15分間インキュベートした。このインキュベーションの直後に、ディップスティック装置の試料受け入れ末端をそれぞれの標識抗体/抗原溶液混合物に加えて、混合物を捕獲域に流した。捕獲域において細片に結合する固定した非標識ウサギポリクローナル抗CHW抗体は、そこで抗原:超常磁性標識抗体結合物と反応して、固定抗体:抗原:超常磁性標識抗体の「サンドイッチ」を捕獲ラインに沿って形成する。ICT細片をICT装置から15分後に取り出して、10,000ガウスの磁界に10秒間それぞれ曝露した。磁界を除去して5分後、各細片を、捕獲ラインが検出器の視野に見えるようにエリコンプ・マグラブ2000装置に入れて、その非永続的集合磁化を読みとった。
【0038】
それぞれの抗原溶液は、記述のようにICT試験において1試料あたり2個ずつ試験した。約1ng/ml以上の既知濃度を有する双方のシリーズの試料に関する非永続性集合磁化の記録を、図3において抗原濃度に対してグラフにした。試験の1試料あたり2個ずつのシリーズにおいて、用いたICT装置の捕獲ラインでの免疫複合体のFe含有量は、シグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)からの市販のフェリチン試験を用いて化学熱量測定法によって決定した。図4に示すように、熱量測定化学試験の結果および磁化の記録は、抗原濃度ng/mlに対してFeとしてμg/mlで計算した鉄濃度のプロットとよく相関した。
【0039】
本実施例において実行したようにICT試験において、試料中の抗原と反応しない流路閾値で当初貯蔵された如何なる標識抗体も、捕獲域を通過して、その域から上流に存在するもう一つのパッドの位置に流れる。これらの未反応の常磁性粒子標識抗体を10,000ガウスの磁界の作用に10秒間供して、5分間放置してからエリコンプマグラブ2000機器のセンサー域に置いたところ、測定可能な磁化を示さないことが判明した。
【0040】
前述の実施例の結果から、相対的磁気単位(「RMU」)での磁気の記録と抗原濃度(標的検体)との関係は、抗原1ng/ml〜抗原150 ng/mlの範囲で本質的に一次関数であることが決定された。実行したCHWアッセイ法の2つのシリーズのそれぞれに関して、抗原濃度ng/mlに対する相対的磁気単位のプロット、図3を参照のこと。しかし、機器のノイズは、抗原濃度が1ng/ml未満である試料の記録に大きい標準偏差を引き起こした。これを図5の、pg/mlでの抗原濃度に対する相対的磁気単位の測定値のプロットに示す。加えた抗原200 pg/mlを有するICT片は、その抗原が、塊において回収される標識抗体:抗原:固定抗体サンドイッチに組み入れられて、10,000ガウスの磁界に10秒間供し、その後5分放置すると、記録することができる非永続的集合磁化を示したという事実は、金コロイド標識の代わりに超常磁性標識を用いることによって、試験の感度が有意に増強されることを、それにもかかわらず示している。
【0041】
ノイズが減少して改善された機器では、記述の超常磁性標識の物理的感度はFeとして計算したFe 0.1 ng、または約10−18/モルに達することは明白であるが、広い動的感度の範囲は、約1〜10相対単位のあいだに入り、これは存在する可能性がある様々な生物マトリクスからの干渉に対しておそらく高い抵抗性を有する。
【0042】
本発明は、イヌの疾患であるイヌ糸状虫(Dirofilaria immitis)の原因物質の抗原に対して特異的な周知の免疫診断系の状況において例示してきたが、本発明により広い範囲の応用がもたらされ、測定することが難しいもしくは不可能であるとこれまで思われていた観察現象の結果が大きく改善され、または正確な定量的測定が可能となることは、免疫化学および/または生物学の当業者に容易に明らかとなると思われる。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されると解釈される。
【図面の簡単な説明】
添付の図面は以下の通りである:
【図1】図1は、文献から得た典型的な強磁性材料に関するヒステリシス曲線の略図である。略図において、Hは適用した磁界をエルステッドで表し、σはそこから得られた磁化を表す。磁化の飽和は、σsによって表し、磁界を除去後に残っている残留または磁化をσrで表す。σrをゼロにするために必要な逆磁界は保磁力Hcによって表す。
【図2】図2は、小さいポリアクリル酸によってコーティングした後、ベチルと呼ばれる市販の抗体に反応させた超常磁性粒子について測定したヒステリシスを重ね合わせたプロットである。そのような三つの測定は、粒子の浮遊液について測定した異なる3つの鉄濃度、すなわち2.4 mg/ml(プロット上の●)、1.0 mg/ml(プロット上の■)、および0.3 mg/ml(プロット上の▲)の同一に処置した粒子上で行った。プロットにおいて、Mはemu(電磁単位)/cc(「cm」)で表した適用された磁化を表し、Hは磁化を負荷するため(ゼロの線から右方向)、または磁化を逆転させるため(ゼロの線から左方向)に必要な保磁力をエルステッドで表したものである。
【図2A】図2Aは、ポリマーをコーティングした(すなわち小さいポリアクリル酸コーティングまたはコンドロイチン硫酸Aコーティング)超常磁性Fe粒子上で2つの異なる機器測定技術を用いて、重なり合わせたヒステリシス測定の同様のプロットであり、コーティング前の粒子は本明細書に記載の実験的研究において用いたものと同一であり、ヒステリシス測定は振動試料磁力計(「VSM」)によって、CPS抗体に結合したFeの超常磁性粒子について行った。図2Aにおいて、SQUID機器を用いて行ったポリマーコーティングした超常磁性Fe粒子の測定は、■によって表し;ポリマーをコーティングした超常磁性Fe粒子について行った測定は、○で表し、および超常磁性Fe粒子−抗体結合物の測定は、▲によって表す。
【図3】図3は、ICT装置の捕獲ラインで測定した2つのシリーズの超常磁性粒子−抗原−固定抗体サンドイッチの、抗原濃度ng/mlに対する相対的磁気単位について、測定した磁化をプロットした図である。このタイプのICT装置は、ハワード・チャンドラー(Howard Chandler)の米国特許出願番号第07/706,639号、現在では米国特許第6,168,956号、またはその様々な係属特許および出願の如何なるものにも記載され、その全てがスミスクラインディアクノスティック社(Snith Kline Diagnostics, Inc)に譲渡されるが、本発明の代理人であるビナックスインクに対し、広い物質領域に関する免疫アッセイ法のために独占的に認可された。これらのデータは実施例3に記載の研究から得た。
【図4】図4は、実施例3において用いた超常磁性粒子標識のFeとしてμg/mlで計算されたFe濃度を、測定したCHW抗原濃度ng/mlに対してプロットした図である。このデータは、実施例3に記載した研究から得た。
【図5】図5は、抗原濃度pg/mlに対する相対的磁気単位について、測定した磁化をプロットした図である。同様に、実施例3に記載した研究からのデータを体現している。
【図6】図6は、本明細書に記述した実験的研究において用いた超常磁性Fe粒子(パターンA)および上記の2つのポリマーの一つによりコーティングした後の超常磁性Fe粒子(パターンB)の粒子サイズを測定して重なり合わせた結果を示すX線回折略図である。

Claims (34)

  1. (a)超常磁性粒子の群のそれぞれに、生物学的結合対のメンバーである同一の生体分子を結合または吸着させる段階、
    (b)超常磁性粒子に結合または吸着させた生体分子の生物学的結合パートナーを含む分子を含むか、または含むことが疑われる、液体および固体から選択される試料に、段階(a)の産物を接触させる段階、
    (c)段階(a)からの超常磁性粒子−生体分子結合物、または超常磁性粒子−生体分子吸着物を、該試料に存在する如何なる生体結合パートナー分子と反応させて、連結した生体分子と結合した超常磁性粒子とを含む複雑で堅固に結合した三次元塊を形成させる段階、
    (d)該塊における超常磁性粒子の磁化を誘導するために必要な最も短い時間、該塊を磁界に曝露した後、直ちに磁界を除去し、それによって該塊における超常磁性粒子が、磁界への暴露後少なくとも20分間持続する測定可能な非永続的集合磁化を協調して示す段階、ならびに以下のいずれかの段階、
    (e)定性的な結果のみが望ましい場合に、適した機器によってそのような磁化の存在を確認する段階、または
    (f)該非永続的集合磁化の磁気シグナル強度をそれが散逸する前に測定して、それを段階(c)に記載の塊の形成に関与する段階(a)または段階(b)の生体分子の一つの定量的濃度または数に相関させる段階
    を含む、生体反応を検出する方法。
  2. 超常磁性粒子が、X線回折および透過型電子顕微鏡によって測定した場合に平均直径1nm〜約100 nmを有するFeを含む、請求項1記載の方法。
  3. それぞれの超常磁性粒子が抗体に結合し、段階(b)の試料が該抗体の特異的結合パートナーである抗原を含む液体試料であって、定量的結果が段階(f)を実行することによって得られる、請求項2記載の方法。
  4. 段階(d)において磁界に曝露する期間が5〜10秒間であり、X線回折および透過型電子顕微鏡によって測定した超常磁性粒子の平均直径が5nm〜60 nmの範囲である、請求項3記載の方法。
  5. 試料の抗原含有量が段階(f)において定量される、免疫測定法である請求項4記載の方法。
  6. 側水路型式で行われる、請求項5記載の方法。
  7. 免疫クロマトグラフィーアッセイ法の型式で行われる、請求項6記載の方法。
  8. 垂直流またはフロースルー型式で行われる、請求項5記載の方法。
  9. 超常磁性粒子が、単一の磁化可能金属の超常磁性粒子、組み合わせた二つの磁化可能金属の超常磁性粒子、または単一の磁化可能金属もしくは組み合わせた二つの磁化可能金属のいずれかの酸化物の超常磁性粒子から選択される粒子を含む、請求項1記載の方法。
  10. それぞれの超常磁性粒子が抗体に結合し、段階(b)の試料が該抗体の特異的結合パートナーである抗原を含む液体試料であって、そして段階(f)を行うことによって定量的結果が得られる、請求項9記載の方法。
  11. 段階(d)において磁界に曝露する期間が5〜10秒間であり、X線回折および透過型電子顕微鏡によって測定した超常磁性粒子の平均直径が5nm〜50 nmの範囲である、請求項10記載の方法。
  12. 試料の抗原含有量が段階(f)において定量される、免疫測定法である請求項11記載の方法。
  13. 側水路型式で行われる、請求項12記載の方法。
  14. 免疫クロマトグラフィーアッセイ法の型式で行われる、請求項13記載の方法。
  15. 垂直流またはフロースルー型式で行われる、請求項12記載の方法。
  16. X線回折解析および透過型電子顕微鏡によって決定されるスピネル構造を示す超常磁性粒子が、組み合わせた二つの磁化可能金属の酸化物の超常磁性粒子を含む、請求項9記載の方法。
  17. それぞれの超常磁性粒子が抗体に結合し、段階(b)の試料が該抗体の特異的結合パートナーである抗原を含む液体試料であって、そして段階(f)を行うことによって定量的結果が得られる、請求項16記載の方法。
  18. 段階(d)において磁界に曝露する期間が5〜10秒間であり、X線回折および透過型電子顕微鏡によって測定した超常磁性粒子の平均直径が5nm〜50 nmの範囲である、請求項17記載の方法。
  19. 試料の抗原含有量が段階(f)において定量される、免疫測定法である請求項18記載の方法。
  20. 側水路型式で行われる、請求項19記載の方法。
  21. 免疫クロマトグラフィーアッセイ法の型式で行われる、請求項20記載の方法。
  22. 垂直流またはフロースルー型式で行われる、請求項19記載の方法。
  23. 同一の生体分子を段階(a)において超常磁性粒子に吸着させる、請求項2記載の方法。
  24. 段階(d)において磁界に曝露する期間が5〜10秒間であり、X線回折および透過型電子顕微鏡によって測定した超常磁性粒子の平均直径が5nm〜50 nmの範囲である、請求項23記載の方法。
  25. 免疫測定法である、請求項24記載の方法。
  26. 側水路型式で行われる、請求項25記載の方法。
  27. 免疫クロマトグラフィーアッセイ法の型式で行われる、請求項26記載の方法。
  28. 垂直流またはフロースルー型式で行われる、請求項26記載の方法。
  29. 超常磁性粒子が、超常磁性粒子、組み合わせた二つの磁化可能金属の超常磁性粒子、または単一の磁化可能金属もしくは組み合わせた二つの磁化可能金属のいずれかの酸化物の超常磁性粒子から選択される粒子を含む、請求項23記載の方法。
  30. X線回折分析および透過型電子顕微鏡によって決定されるスピネル構造を示す超常磁性粒子が、組み合わせた二つの磁化可能金属の酸化物の超常磁性粒子を含む、請求項23記載の方法。
  31. 段階(f)が、段階(e)の代わりに行われる、請求項1記載の方法。
  32. 請求項1記載の段階(b)において参照されるように、所定の生物学的結合パートナーの異なる濃度をそれぞれ含む一連の試料について繰り返し行われる方法であって、請求項1記載の段階(d)に記載される塊の非永続性集合磁化からの磁気シグナル強度の段階(f)における測定が、請求項1記載の段階(c)および(d)のそれぞれに記載される塊の磁界に対する曝露を除去した時間から同じ時間間隔でそれぞれの試料に関して均一に行われる、請求項31記載の方法。
  33. 請求項1記載の段階(b)に記載されるように、所定の生物学的結合パートナーの分子の濃度または数と、請求項32に記載のように得られた一連の試料に関して均一な時間間隔で段階(f)におけるシグナルを測定することによる、請求項1記載の段階(c)および段階(d)に記載されるそれを含む塊の非永続的集合磁化の磁気シグナル強度とのあいだに一度相関が確立されれば、同じ生物学的結合パートナーの分子の未知濃度または数を含む如何なる試料について請求項31記載の方法を行う場合はいつでも、段階(f)において同じ均一な時間間隔が固守される、請求項31記載の方法。
  34. X線回折および透過型電子顕微鏡によって測定した超常磁性粒子の平均直径が1nm〜60 nmの範囲である、請求項1記載の方法。
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