JP2004529945A - Cd21を阻害する薬剤を使用して抗体媒介性病理を処置する方法 - Google Patents

Cd21を阻害する薬剤を使用して抗体媒介性病理を処置する方法 Download PDF

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Abstract

本明細書において、抗体媒介性病理の1以上の症状を緩和するためにCD21/C3d相互作用を阻害する薬剤を使用する、抗体媒介性病理(例えば、自己免疫疾患(例えば、SLE、ITPおよび甲状腺炎)を処置する方法が提供される。本明細書において、そのような遅延をもたらすためにCD21/C3d相互作用を阻害する薬剤を使用する、抗体媒介性病理の発症を遅延させるための方法もまた、提供される。抗体媒介性病理に罹患している個体を処置するための方法であって、この方法は、有効量の、CD21に対するC3dの結合を妨害する薬剤をこの個体に投与し、それによってこの抗体媒介性病理の症状を緩和する工程を包含する。

Description

【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許仮出願番号第60/292,132号(2001年5月17日出願)(これは、全体が参考として援用される)の優先権の利益を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、抗体媒介性病理(例えば、自己免疫疾患)の分野に関連する。より具体的には、本発明は、自己免疫疾患のような抗体媒介性病理を有する個体を処置する方法およびCD21/C3d相互作用を干渉する抗体媒介性病理の発展を遅延させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
抗体媒介性病理は、自己免疫疾患、異種移植片拒絶、同種移植拒絶、移植片対宿主疾患、および連続的に投与される治療タンパク質への免疫応答を含む多くの障害を包含する。抗体媒介性自己免疫病理は、免疫複合体を生じ得る自己抗体の過剰な産生によって特徴付けられる。特異的な器官または組織部位における免疫複合体の沈着によって、組織損傷、腎不全、糸球体腎炎、脈管炎症(vasculitis)および心膜炎を伴う重篤な器官浸潤のような病理が生じ得る。抗体媒介性自己免疫病理の例としては、原発性抗リン脂質症候群(APS)、甲状腺炎、重症筋無力症、Graves疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性強皮症、特発性血小板減少性血栓性紫斑病(ITP)および多発性筋症が挙げられる。
【0004】
抗リン脂質(aPL)抗体は、血栓症、再発性致死性の損失および原発性抗リン酸脂質症候群(APS)のような血小板減少症ならびに全身性エリテマトーデス(SLE)のような自己免疫疾患に関連する自己抗体を記述するのに一般的に与えられる用語である。Harrisら(1983)Lancet 2:1211−1214;およびLockshinら(1985)N.Engl.J Med.313:152−156。APSは、原発性または二次性(他の状態、主にSLEと関連することを意味する)であり得る。「Phospholipid−Binding Antibodies」(Harrisら編,CRC Press,Boca Raton,FL,1991;McNeilら「Advances in Immunology」,Vol.49,pp.193−281(Austenら編,Academic Press,San Diego,CA,1991))。aPL抗体としては、所謂、以下に議論されるような抗カルジオリピン(aCL)自己抗体が挙げられる。aPL抗体(aCL抗体を含む)は多くの条件で検出されるが、β糖タンパク質I(自己免疫疾患の関連において見出されるβGPI依存性抗リン脂質抗体)のみが、リン酸脂質結合血清タンパク質であるβGPIの存在を必要とする。Vaaralaら(1986)Clin.Immunol.Immunopathol.41:8−15。APSの臨床的発症としては、動脈閉塞、端部の壊疽、発作、心筋梗塞、他の内臓梗塞、静脈閉塞、末梢静脈閉塞、内臓静脈閉塞(例えば、バッド−キアーリ症候群、門脈閉塞)、再発性致死性損失、血小板減少症、クームズ陽性溶血性貧血、網状皮斑、神経学的異常(例えば、舞踏病、一過性虚血発作)、弁性の心疾患、および突然性多臓器動脈閉塞(sudden multisystem arterial occlusion)が挙げられる。Scientific American Medicine第15章第IV節第5頁(2001)。
【0005】
甲状腺炎(または橋本甲状腺炎)およびGraves疾患は、甲状腺に関連する他の自己免疫疾患であり、甲状腺刺激ホルモン(TSH)レセプターに対する自己抗体によって引き起こされると考えられている。その甲状腺における病理学的知見としては、慢性的な炎症性細胞を伴う過剰な浸潤、濾胞性裂傷(follicular rupture)、好酸球増加症、程度が変動する過形成、および線維症が挙げられる。慢性甲状腺炎の臨床的発現は可変であるが、主要な症候群は、無痛性甲状腺腫、甲状腺機能低下症、および両方の組み合わせである。Scientific American Medicine第6章第VI節6〜8頁および第3章第I節16頁(2001)。
【0006】
重症筋無力症は、アセチルコリンレセプター(AchR)に対する自己抗体によって引き起こされると考えられている自己免疫疾患である。AchRに対する自己抗体は、重症筋無力症を有する患者の血清中で、検出され、測定され得る。重症筋無力症の臨床的発現としては、骨格筋衰弱および疲労性が挙げられる。筋肉衰弱は、眼瞼を上げる能力が損なわれたことおよび眼球外の筋肉の運動によって引き起こされる非対称的な下垂および複視を示され得る。他の身体的な症状としては、衰弱した頸部伸筋、頭部のドローピング、顔面および延髄周辺の(bulbar)筋肉の衰弱に起因する患者が笑おうと試みたときの顔面硬直(facial snarl)、鼻声または構音障害である低音量の不快な話し方、窒息または嘔吐を生じ得るえん下困難、ならびに歩行、昇段、または物の運搬において困難を生じ得る骨格筋衰弱が挙げられる。この疾患は、患者の病原性IgGで実験動物へと伝播され得る。Scientific American Medicine第6章第VI節6〜8頁および第11章第III節第12〜13頁(2001)。
【0007】
全身性強皮症は、核タンパク質(例えば、SS−A(Ro)、SS−B(La)、Scl−70)および動原体に対する自己抗体によって生じると考えられている稀なゆっくりと進行するリウマチ性疾患である。全身性強皮症は、散在し得るし、また、局限されもする。全身性強皮症の限定された形態、またはCREST(石灰沈着症、レーノー現象、食道浸潤(involvement)、強指症および毛細血管拡張症)は、致死性であり得、そして、散在性強皮症よりも低い頻度で内部器官を浸潤(involve)し得る。全身性強皮症の臨床的な特徴としては、指および手の膨張および肥厚(その表面の浸潤が起こりうる)、皮膚の肥厚化、ひじの近くの体幹部および四肢の浸潤が挙げられる。全身性強皮症が進行する際、臨床的特徴としては、以下が挙げられる:毛髪、皮脂腺、および汗腺の損失がおこり得る皮膚無栄養症;皮膚の柔軟性の消失;皮膚がその基礎構造に密に癒着したかまたは結合した硬い皮膚;および特に指における限定された可動性。Scientific American Medicine第6章第VI節第6〜8頁および第15章第V節1〜4頁(2001)。
【0008】
特発性血小板減少性血栓性紫斑病(ITP)は、血小板の迅速な破壊によって特徴付けられる自己免疫障害である。血小板にあるタンパク質に対する自己抗体が形成され、この血小板が網内皮細胞系によって連続的に取り除かれる血小板に結合すると考えられている。この自己抗体は、高頻度で血小板糖タンパク質(GP)IIb−IIIaのレセプター複合体に指向される。ITPにおける自己抗体に対する別の標的は、GPIbレセプター複合体である。ITPのいくつかの臨床的特徴としては、以下が挙げられる:末梢の低位置にある四肢での点状出血の存在、紫斑、鼻血、歯肉からの出血、月経過多、認知が難しい脾臓からなる穏やかな臨床的出血、ならびに、いくつかの血小板減少症の場合の口腔内の水泡。Scientific American Medicine第5章第XIII節2頁(2001)。
【0009】
多発性筋症は、主要な骨格筋の衰弱に関連するリウマチ性疾患である。多発性筋症は、核タンパク質(例えば、Jo−1)、ヒスチジルtRNA合成酵素、スレオニルtRNA合成酵素、PM−1およびMi−2に対する自己抗体によって引き起こされると考えられている。多発性筋症の臨床的特徴は、基部の筋肉の衰弱であり、多発性筋症はまた、吸引性肺炎のような潜在的な肺性浸潤、間質性疾患;軟組織石灰化(小児において最もよく見られる);および別のリウマチ性疾患(例えば、レーノー現象)との関連が挙げられ得る。Scientific American Medicine第6章第VI節第6〜8頁および第15章第VI節1〜4頁(2001)。
【0010】
全身性エリテマトーデス(SLE)は、多くの核性抗原(2本鎖DNA(dsDNA)を含む)に対する抗体の産生によって特徴づけられる自己免疫疾患である。さらに、抗βGPI抗体はまた、SLEを有する個体において見出され得る。DNAと反応する自己抗体はSLEの病理における役割を担っていると考えられており、そしてループス腎炎と密接に関連している。例えば、Morimotoら(1982)J Immunol.139:1960−1965;Fosterら(1993)Lab.Invest.69:494−507;ter Borgら(1990)Arthritis Rheum.33:634−643;およびBootsmaら(1995)Lancet 345:1595−1599を参照のこと。SLEに関連する他の臨床症状としては、頬部紅斑、円盤状の紅斑、蝶形紅斑、光感受性、口内潰瘍、関節炎、漿膜炎(胸膜炎および/または心膜炎)、腎障害(例えば、タンパク質尿)、神経学的障害(例えば、発作または精神病)、血液学的障害(例えば、溶血性貧血、白血球減少症、リンパ球症、減少血小板減少症)ならびに免疫障害(例えば、陽性エリトマトーデス細胞調製物、異常な力価のネイティブDNAに対する抗DNA抗体、抗SM核性抗原抗体)が挙げられる。CoutranらPathologic Basis of Disease第4版(1989)。
【0011】
SLEの可能な処置のためのいくつかの方法が提案されている。1つの方法は、プラットホームとも称される、非免疫原性キャリアと結合体化するdsONの使用である。合成dsONは、抗dsDNA抗体と交差反応することが示されている(米国特許番号第5,276,013号)。例えば、ポリ(エチレングリコール)結合価プラットホーム(valency platform)に結合した4つのdsONから構成される、テトラキス結合体であるLJP249は、免疫したマウスモデル系において寛容であることを示すために使用された(Jonesら(1994)Bioconjugate Chem.5:390−399)。別の結合体であるLJP 394は、プラットホームに結合した4つのdsONから構成される4結合価結合体(tetravalent conjugate)であり、この結合体は、BXSB実験げっ歯類ループス腎炎モデルにおいて、腎疾患の進行を遅延し、そして、生存を長期化することが示された(Plunkettら(1995)Lupus 4:S99;Couttsら(1996)Lupus 5:158−159)。LJP 394はまた、SLEを有するヒト患者において抗dsDNA抗体を少なくすることが示されている(Weismanら(1997)J.Rheumatol.24:314−318)。
【0012】
SLEの処置において使用され得る他の方法が記載されており、この方法としては、B細胞寛容を誘導することによって循環抗体のレベルを低減する方法を包含し、以下を含むがこれらに限定されない:米国特許第5,276,013号;同第5,391,785号;同第5,786,512号;同第5,726,329号;同第5,552,391号;同第5,268,454号;同第5,606,047号;同第5,633,395号;同第5,162,515号;同第6,022,544号;米国出願番号第08/118,055号(米国特許番号第6,060,056号);米国出願番号第60/088,656号および同60/103,088号(米国特許番号第09/328,199号およびPCT国際出願番号PCT/US99/13194)。
【0013】
SLEは、広く自己免疫疾患であるとみなされているが、SLEの病因論は、いまだ未知である。ヒト補体レセプター1および2(hCRlおよびhCR2)のB細胞発現は、SLEといくらかの関連を有すると考えられる。SLEを有する患者において、hCRlおよびhCR2(CD21)の発現における異常は、hCRlおよびhCR2に対するモノクローナル抗体を使用するフローサイトメトリーにより測定されるように、非SLE患者において見出されたレベルの約50%であることが従来より観察されている。例えば、Wilson,J.G.ら、Arthritis Rheum.(1986)29:739;Levy,E.J.,Clin.Exp.Immunol.(1992)90:235;およびMarquart,H.V.ら、Clin.Exp.Immunol.(1995)101:60を参照のこと。
【0014】
ヒトCD21(すなわち、補体レセプター2(CR2))は、成熟Bリンパ球上に優勢に発現する約145〜150kDaの膜糖タンパク質である。Tedder,T.F.らJ.Immunol.(1984)133:678。ヒトCD21は、補体フラグメントC3d、C3dgおよびiC3b、ならびにエプスタイン−バーウイルス(EBV)に対するレセプターである。Weis,J.J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1984)81:881およびFingeroth,J.D.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1984)81:4150。CD21は、各々約60〜70アミノ酸の、約15〜16個の短い細胞外コンセンサスリピート(SCR)、約24アミノ酸の膜貫通領域、および約34アミノ酸の短い細胞質部分からなる。マウスにおいて、CR2およびCR1は、同じ遺伝子の選択的スプライシングによって産生される。対照的に、ヒトにおいては、CR2およびCR1は、異なる遺伝子の独自の産物である。
【0015】
CD21は、B細胞活性化において重要なCD81およびCD19との、非共有結合的なレセプター複合体を形成する。成熟B細胞上で、CD21は、ポリマー製C3dによる架橋後の同時刺激シグナルを伝達する。Melchers,F.ら,Nature(1985)317:264。短いコンセンサスリピート1および2(SCR1および/またはSCR2)は、C3dを特異的に認識するCD21の部分であると考えられる。補体フラグメント(例えば、C3d)の、CD21に対する結合は、B細胞抗原レセプターとその共レセプターとの間の結合を提供し、従って、B細胞を、抗原に対して100〜10,000倍、より感受性にすることによって、B細胞応答において重要な役割を果たすと考えられる。JanewayおよびTravers Immunobiology、第3版(1997)8:43。
【0016】
補体またはB細胞表面タンパク質を含む、CD21に対する結合因子についてのいくつかの組成物が記載されてきた。1つの組成物は、補体フラグメントに対する結合のために設計された組換え融合タンパク質を含む。例えば、WO 91/16437を参照のこと。記載される別の組成物は、内皮細胞上のB細胞レセプターに対する結合因子を含む。これらのB細胞レセプターとしては、CD1lb、CDl1c、CD21、CD23、70〜85 kDaのタンパク質または115kDaのタンパク質が挙げられる。例えば、WO 96/12742,WO 96/12741またはEP 0788513を参照のこと。なお別の組成物は、ヒトCD21に対するマウスモノクローナル抗体を含む。このマウスモノクローナル抗体は、エプスタイン−バーウイルスでのCD21発現細胞の感染を阻害し得る。さらに、この抗体は、濾胞樹状細胞およびB細胞に対する、C3dgコーティングした抗原の送達もまた妨害し得る。例えば、Prodingerら(1998)J.Immunol.161:4604;米国特許第6,291,239号(Prodingerら);EP 1001021(Prodingerら);Guthridgeら(2001)167:5758を参照のこと。また、WO 01/92295(IsenmanおよびClemenza);米国特許第5,552,381号(Atkinson)および同第5,719,127号(Atkinsonら);WO 00/67796(Curdら);WO 96/12742(BonnefoyおよびLeCoanet−Henchoz);米国特許第6,238,670号(FearonおよびDempsey);WO 91/16437(HebellおよびFearon);EP 528926(HebellおよびFearon)も参照のこと。
【0017】
他の文献は、抗体応答におけるマウス補体レセプターの関与を記載する。例えば、Wiersma,E.J.ら、Eur.J.Immunol.(1991)21:2501−2506およびTakahashi,K.ら、J.Immunol.(1997)159:1557−1569を参照のこと。なお他の文献は、SLEのマウスモデルにおいてB細胞の活性化に関与し得るリンパ球表面レセプターの研究を記載する。例えば、Early,G.S.ら、J.Immunol.(1996)157:3159−3164;およびMihara,M.ら、(2000)J.Clin.Invest.106:91−101を参照のこと。
【0018】
これらの研究は、SLEマウスモデルにおけるB細胞活性化レセプターCD40およびCD152の関与を調査してきたが、継続する自己免疫応答においてCD21が果たす役割についての調査に限定されている。
【0019】
所望でない抗体応答を抑制する改善された方法についての必要性が存在する。また、自己免疫疾患(例えば、SLE)を有する患者を処置する改善された方法、および個体における自己免疫疾患(例えば、SLE)の発症を遅延する改善された方法についての必要性も存在する。本明細書中に提供される発明は、これらの必要性を満たす。
【0020】
本明細書中に引用される全ての特許、特許出願および刊行物は、本明細書中でその全体が参考として援用される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0021】
(発明の要旨)
本発明は、自己免疫疾患(例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)。ITP、または甲状腺炎)のような抗体媒介性病理に罹患している個体を処置する方法を提供し、この方法は、CD21へのC3d結合を阻害し、その結果、抗体媒介性病理の症状を改善するような(すなわち、少なくとも1つの症状が改善されるか、そして/または遅延される)有効量の薬剤をこの個体に投与する工程を包含する。
【0022】
別の局面において、本発明は、個体における抗体媒介性病理(例えば、自己免疫疾患(例えば、全身性エリテマトーデス(SLE),ITPまたは甲状腺炎)に関連する症状の発症を遅延させるための方法を提供し、この方法は、CD21に対するC3dの結合を妨害する有効量の薬剤をこの個体に投与する工程を包含し、その結果、抗体媒介性病理の症状の発症が遅延される。
【0023】
この症状は、抗体媒介性病理に関連する1以上の症状のいずれかであり得る。
【0024】
(発明の詳細な説明)
本発明者らは、種々の抗体媒介性病理についての当該分野で受容されたモデルを使用して、C3dとCD21との相互作用を阻害することが、抗体媒介性病理における抗体産生を抑制することを発見した。抗体媒介性病理としては、自己免疫疾患、異種移植および対宿主性移植片病が挙げられるが、これらに限定されない。実験結果に基づいて、本発明者らは、抗体媒介性病理における抗体(例えば、自己免疫疾患(例えば、SLE)における抗dsDNA抗体)レベルを抑制する抗CD21モノクローナル抗体が挙げられるが、これに限定されない薬剤を使用して、C3dとCD21との相互作用を阻害または妨害することを見出した。
【0025】
従って、本発明は、C3dとのCD21の相互作用を阻害して、おそらく抗体媒介性病理(例えば、自己免疫疾患(例えば、SLE))の処置についての抗体媒介性病理における所望でない応答を抑制する薬剤を使用する方法を提供する。さらに、本発明は、抗体媒介性病理(例えば、SLE)の発症を遅延させる方法を提供し、この方法は、C3dとのCD21の相互作用を阻害して、おそらくB細胞による抗体産生を抑制する1以上の薬剤の有効量を個体に投与することにより、その結果、抗体媒介性病理の症状の発症が遅延される。
【0026】
(一般技術)
本発明の実施は、他に示さない限り、当業者の範囲内の分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来技術を使用する。このような技術は、文献(例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(Sambrookら,1989)Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,編,1984);Animal Cell Culture(R.I.Freshney)、編,1987);Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir & C.C.Blackwell,編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller & M.P.Calos,編,1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら,編,1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullisら,編、1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら,編,1991)およびShort Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999))中に十分に説明されている。
【0027】
(定義)
「抗体」(複数形で相互交換可能に使用される)は、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を介して、標的(例えば、炭水化物、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)に特異的に結合し得る免疫グロブリン分子である。本明細書中で使用される場合、この用語は、インタクトな抗体のみならず、そのフラグメント(例えば、Fab,Fab’,F(ab’),Fv)、単鎖(ScFv)、その変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体および特異性に必要な抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変構成をも包含する。抗体としては、任意のクラス(例えば、IgG,IgAまたはIgM)の抗体が挙げられ、そしてこの抗体は、特定のクラスのいずれかである必要はない。
【0028】
「モノクローナル抗体」は、均質な抗体集団をいい、ここで、このモノクローナル抗体は、抗原の選択的結合に関与するアミノ酸(天然に存在するアミノ酸または天然に存在しないアミノ酸)から構成される。モノクローナル抗体は、単一の抗原性部位に対して指向し、高度に特異的である。用語「モノクローナル抗体」は、インタクトなモノクローナル抗体および全長モノクローナル抗体のみならず、そのフラグメント(例えば、Fab,Fab’,F(ab’),Fv)、単鎖(ScFv)、その変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒトモノクローナル抗体、キメラ(例えば、ヒト化)モノクローナル抗体、および特異性に必要な抗原認識部位を含み、そして抗原に対する結合能力を有する免疫グロブリン分子の任意の他の改変構成をも包含する。これは、抗体の供給源または抗体が作製される様式(例えば、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、トランスジェニック動物など)に関しての限定とは解釈されない。
【0029】
「ヒト化」抗体とは、非ヒト種由来の免疫グロブリンに実質的に由来する、抗原結合部位(例えば、相補性決定領域すなわちCDR)と、ヒト免疫グロブリンの構造および/または配列に基づく分子の残りの免疫グロブリン構造を有する分子をいう。この抗原結合部位は、定常ドメインに融合した完全可変ドメインを含み得るか、または可変ドメイン中の適切なフレームワーク領域に移植された相補性決定領域(CDR)のみのいずれかを含み得る。抗原結合部位は、野生型であっても、または1以上のアミノ酸置換によって改変されてもよい(例えば、ヒト免疫グロブリンにより密接に類似するように改変されてもよい)。ヒト化抗体のいくつかの形態は、全てのCDR配列(例えば、マウス抗体由来の6種全てのCDRを含むヒト化マウス抗体)を保存する。ヒト化抗体の他の形態は、元々の抗体に関して変更された1以上のCDRを有する。
【0030】
本明細書中で使用する場合、「抗体媒介性病理」または「抗体媒介性疾患」は、1以上の病理(症状を含む)が関連する免疫応答傷害をいい、そして特に、抗体の不適切および/または所望でない産生によって(直接的または間接的に)引き起こされる免疫応答傷害をいう。免疫応答傷害は、本発明の目的のためには文脈非依存的であるので、「抗体媒介性病理」は、自己免疫疾患を包含し得、そしてまた、移植拒絶(特に異種移植片拒絶および対宿主性移植片病)および妊娠におけるRhベースの拒絶を包含し得、ここで、免疫応答は、外来の移植組織を維持するための試みに関して不適切である。抗体媒介性病理はまた、遺伝子治療における抗体の不適切な産生に関連する病理を包含し得る。抗体媒介性病理はまた、治療剤(例えば、治療タンパク質)に対する望まれないかまたは所望でない免疫応答を包含し得る。このようなタンパク質の例としては、インターフェロンおよびヘパリン(これは、ヘパリン誘導性の血小板減少症を生じ得る)が挙げられる。例えば、Perini(2001)Eur.Cytokine Netw.12:56−61;Amiralら(1998)Platelets 9:77−91を参照のこと。
【0031】
本明細書中で交換可能に使用される場合、「抗体媒介性自己免疫病理」、「抗体媒介性自己免疫障害」、または「自己免疫障害」は、自己抗原に対する抗体の異常な量が生成される免疫応答である。抗体媒介性自己免疫病理としては、全身エリテマトーデス(SLE)、抗体媒介性血栓症、血小板減少症(例えば、ITP)、抗リン脂質症候群(APS)、甲状腺炎、全身性強皮症、および重症筋無力症のような自己免疫障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書中で使用される場合、「自己免疫」とは、自己抗原に対する免疫応答をいう。
【0033】
本明細書中で使用される場合、「自己抗体」とは、自己抗原に対する抗体をいう。自己抗原としては、核酸(例えば、二本鎖DNAまたは二本鎖RNA、一本鎖DNAまたは一本鎖RNA、あるいはこれらの任意の組み合わせ)、核タンパク質(例えば、SS−A(Ro)、SS−B(La)、Scl−70、セントロメア、Jo−1、ヒスチジル(histadyl)−tRNAシンセターゼ、スレオニル−tRNAシンセターゼ、PM−1、Mi−2、ヒストン、およびクロマチン)、細胞レセプター(例えば、アセチルコリンレセプター、甲状腺刺激ホルモンレセプター)、細胞タンパク質(例えば、カルジオリピンまたはβ2GP1)、RNAタンパク質複合体(例えば、RNPおよびSm)、赤血球、および血小板糖タンパク質(GP)レセプター複合体(例えば、IIb−IIIaおよびIb)が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書中で使用される場合、用語「薬剤」は、単純なまたは複雑な有機分子または無機分子、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、抗体誘導体、または抗体フラグメントのような生物学的化合物または化学的化合物を意味する。種々の化合物(例えば、オリゴペプチドおよびオリゴヌクレオチドのようなオリゴマー、ならびに種々のコア構造に基づいた合成有機化合物)が合成され得、これらはまた、用語「薬剤」の中に含まれる。用語「薬剤」には、動物において生成される抗体または組換えもしくはファージディスプレイにより合成される抗体もまた含まれる。さらに、種々の天然の供給源が、スクリーニングのための化合物(例えば、植物もしくは動物の抽出物など)を提供し得る。化合物は、1つで、または互いに組み合わせて試験および/または使用され得る。
【0035】
「CD21/C3d媒介性B細胞活性化を阻害または抑制する」薬剤は、C3dとの相互作用により媒介されるCD21/C3d媒介性B細胞活性化の程度を減少する(すなわち、薬剤およびC3dの存在下でのCD21/C3d媒介性B細胞活性化の程度が、薬剤の存在なしにC3dの存在下でのCD21/C3d媒介性B細胞活性化の程度と比較した場合に減少される)薬剤である。B細胞活性化の阻害は、B細胞の活性における部分的な減少(例えば、抗体生成の減少)であり得る。CD21/C3d媒介性B細胞活性化の阻害または抑制は、部分的であってもよいし全体的であってもよい。CD21/C3d媒介性B細胞活性化を示す方法は、当該分野で公知であり、本明細書中に記載される。「B細胞活性化」は、休止B細胞の活性化、非抗体分泌B細胞の活性化、ならびに既に活性化されているB細胞の活性化状態の維持および/または増強(例えば、プラスマ細胞)を含むことが理解される。CD21/C3d媒介性B細胞活性化を阻害する薬剤の例としては、C3dとのCD21相互作用を阻害する抗体(C3dが天然に結合するCD21の領域に方向付けられ得る)、競合的インヒビター(C3に結合し得、CD21への結合について競合し得る)、可溶性タンパク質、融合タンパク質、組換えタンパク質、および低分子が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法の目的について、本明細書中に記載される薬剤は、CD21/C3d媒介性B細胞活性化を阻害または抑制する。
【0036】
「CD21へのC3d結合を妨害する」または「C3dのCD21への結合を抑制する」薬剤は、薬剤がない別の条件下と比較すると、C3dリガンドとCD21との間の相互作用の程度を減少させる薬剤である。CD21へのC3d結合を決定するための方法は、本明細書中に開示される。「CD21へのC3d結合を妨害する」薬剤は、適切に投与された場合、抗dsDNA抗体のような抗体のレベルを減少させる。
【0037】
本明細書中で使用される場合、用語「阻害する」、「抑制する」、「ブロックする」および「妨害する」が、CD21とC3dとの間の相互作用の状況をいうために使用される場合、これらの用語は、CD21とC3dとの間の相互作用の発生を妨げる薬剤の投与に起因して、CD21とC3dとの間の相互作用が完全にブロックされた状態にまで制限されていることを意味する。CD21/C3d媒介性抗体生成を「阻害」または「抑制」することは、このような抗体生成を減少させる(排除を含み得る)ことを意味する。
【0038】
「可溶性CD21」または「sCD21」は、本明細書中で交換可能に使用され、可溶性(すなわち、非膜結合)形態のCD21をいう。このCD21は、組換え生成され得るか、または細胞から単離され得る(例えば、CD21放出(shedding))。可溶性CD21はまた、C3dに結合し得るような、種々の長さの、短縮化されたか、または全長CD21のフラグメントであり得る。
【0039】
本明細書中で使用される場合、「C3d」とは、補体経路の一部として生成される補体フラグメントをいう。当該分野で周知であるように、C3は、血漿中に豊富である。古典的補体経路の一部として、C3は、C3コンベルターゼにより、C3aおよびC3bに変換される。iC3bは、C3bの誘導体であり、例えば、オプソニン作用(opsonization)の一部として病原体に結合した場合に、さらにC3dgに変換され得る。第2補体経路の一部として、C3bは、自発的切断(ときおり、「自動活性化(tickover)」として公知)によりC3からかなりの速度で生成される。C3bは、セリンプロテアーゼであるI因子(これは活性形態にて循環し、C3bを切断して、最初にiC3bにし、次いでC3dgにさらに切断する)と相互作用し得る。C3dgはさらに分解されて、C3dを生じ得る。C3dおよびC3dgの両方が、CD21に結合し得る。C3dおよびC3dgが、本明細書中で交換可能に使用され得ることが理解される。C3dに対する言及は、C3dgおよびiC3bを含むこともまた理解される。iC3bは、C3dgおよびC3dのアミノ酸配列を含み、類似の親和性でCD21に結合する。iC3bは、プロテアーゼにより切断されて、C3dgを生じる。C3dgは、カルボキシ末端にていくつかのさらなるアミノ酸を有し、カルボキシ末端は、細胞プロテアーゼにより切断されて、C3dを生じる。C3dの構造は、当該分野で周知である(例えば、Nagar,B.ら,Science 1998.280,1277−1281を参照のこと)。C3dは、組換え生成され得る(例えば、Genbankのような供給源から公開された配列を使用して)か、または市販の供給源(Calbiochem−Novabiochem;San Diego,CA,カタログ番号;204870)から精製形態で入手され得る。
【0040】
本明細書中で使用される場合、「処置」は、好ましくは臨床結果を含む、有益なまたは所望の結果を得るためのアプローチである。本発明の目的について、有益なまたは所望の臨床結果としては、以下のうちの1以上が挙げられるが、これらに限定されない:低下したレベルの抗体(例えば、抗二本鎖DNA抗体)生成(生成レベルおよび/または循環レベルを含む)、以下に列挙される抗体媒介性病理(例えば、SLE、甲状腺炎、異種移植片拒絶、重症筋無力症、APS、全身性強皮症、ITP、および多発性筋炎のような自己免疫疾患)と関連する、1以上の症状の緩和、抗体媒介性病理の程度の減少、安定した(すなわち、悪くなっていない)状態の抗体媒介性病理、抗体媒介性病理の発生または再発の防止、抗体媒介性病理の発生の遅延、抗体媒介性病理の遅延または緩慢、抗体媒介性病理の改善、抗体媒介性病理の発生率および/または抗体媒介性病理と関連する症状の軽減(部分的であるか全体的であるかどうかにかかわらず)、減少。
【0041】
SLEの処置は、任意の局面のSLE(免疫学的障害(例えば、陽性のエリテマトーデス細胞調製物、異常な力価の未処置(native)DNAに対する抗DNA抗体、抗SM核抗原抗体、抗βGPI抗体)、発疹、羞明、口内潰瘍、関節炎、漿膜炎(胸膜炎および/または心膜炎)、腎障害(例えば、タンパク尿)、神経学的障害(例えば、痙攣または精神病)、血液学的障害(例えば、溶血性貧血、白血球減少症、リンパ球減少症、血小板減少症、続発性血小板減少性紫斑病)、またはループス腎炎(これは、慢性炎症性腎疾患である)が挙げられるが、これらに限定されない)を含む。ループス腎炎の間に、「発赤」が生じ得る。「発赤」は、活性(一般に、炎症活性)が増大することをいう。その活性が腎臓に存在する場合、発赤は、「腎臓発赤(renal flare)」といわれる。「腎臓発赤」は、タンパク尿レベル、血尿レベル、および血清クレアチニンレベルが挙げられるが、これらに限定されない要因を評価することにより同定され得る。ループス腎炎の「処置」は、ループス腎炎の症状がない場合に施され得、このような処置(「処置」の定義が示すように)は、発赤の発生率を減少させる。「狼瘡の処置」または「SLEの処置」による、狼瘡の任意の局面(例えば、ループス腎炎)の病理的結果の軽減もまた含まれる。
【0042】
甲状腺炎の処置は、甲状腺炎の任意の局面を包含し、これらとしては、慢性炎症性細胞を伴う過剰な浸潤、濾胞性破裂(follicular rupture)、好酸球増加症、過形成の種々の程度、線維症、無痛性甲状腺腫、および甲状腺低下症が挙げられるが、これらに限定されない。異種移植に関連する抗体媒介性病理の治療は、異種移植の処置の任意の局面を包含し、これらとしては、外来組織拒絶の減少または排除、移植された組織に対する抗体力価の低減、および対宿主性移植片病反応の減少または排除が挙げられるが、これらに限定されない。重症筋無力症の処置は、重症筋無力症の任意の局面を包含し、これらとしては、骨格筋の衰弱、疲労性、非対称性下垂症、複視、弱い頸部伸筋(weak neck extensors)、頭部のドローピング(drooping of the head)、患者が顔面筋肉および延髄性筋肉の衰弱に起因する、笑顔を試みる場合の顔面の混乱(snarl)、鼻または構語障害および不快な話し声の小ささ、息が詰まるか、または逆流を生じ得る嚥下障害、歩行、階段の昇降または荷物を運ぶことの困難性を引き起こし得る骨格筋の衰弱が挙げられるが、これらに限定されない。全身性強皮症の処置は、全身性強皮症の任意の局面を含み、これらとしては、顔面に関連し得る指および手の膨張および厚化、皮膚の厚化、体幹および肘に対して近位の腕の関与、髪、皮脂腺および汗腺の潜在的喪失を伴う皮膚萎縮症;皮膚の柔軟さの喪失;皮膚が緊密に引き付けられ、そして裏打ち構造に結合する、強皮症(hidebound skin);および(特に指における)限定された移動性が挙げられるが、これらに限定されない。ITPの処置は、ITPの任意の局面を含み、これらとしては、下肢における点状出血の存在、紫斑からなる穏やかな臨床的出血、鼻血、歯肉出血、月経過多、触知不能な脾臓(unpalpable spleen)およびいくつかの血小板減少症の症状、口内の血性水泡が挙げられるが、これらに限定されない。多発性筋炎の処置は、多発性筋炎の任意の局面を含み、これらとしては、主に骨格筋の衰弱、近位筋の衰弱、吸引性肺炎、間質性肺疾患、軟組織のカルシウム沈着およびレーノー現象が挙げられるが、これらに限定されない。APS(これは、抗体媒介性の血栓症も含み得る)の処置は、APSの任意の局面を含み、これらとしては、動脈閉塞、端部壊疽、発作、心筋梗塞、他の内臓梗塞、種々の梗塞、抹消の種々の梗塞、内臓の種々の梗塞(例えば、バッド−キアーリ症候群、門脈静脈梗塞)、再発性の流産(fetal loss)、血小板減少症、クームズ陽性溶血性貧血、網状皮斑、神経学的異常(例えば、舞踏病、一過性の虚血発作)、弁心臓疾患および突然の多臓器梗塞(sudden multisystem occlusion)が挙げられるが、これらに限定されない:。
【0043】
抗体媒介性病理または抗体媒介性病理の1つ以上の症状を「寛容にする」とは、本発明に従って、CD21/C3d相互作用を干渉する試薬で処置した個体または個体の集団において、抗体媒介性病理の症状の程度および/または検出不可能な臨床的発現の経過時間を減少させることを意味する。
【0044】
抗体媒介性病理の「症状の重篤度を減少させる」または「症状を改善する」とは、CD21/C3d相互作用を干渉する薬剤を投与しない場合と比較して、抗体媒介性病理の1つ以上の症状を低減または改善することを意味する。「重篤度を減少させること」とはまた、症状の持続時間における短縮または減少を含む。抗体媒介性病理の症状(例えば、自己免疫疾患、(例えば、SLE)APS、ITP、甲状腺炎、異種移植変拒絶、対宿主性移植片病反応、全身性強皮症、重症筋無力症、および多発性筋炎)は、上に記載され、そして(改善された症状として全体の生存時間は増大された)生存を含み得る。
【0045】
本明細書中で使用される場合、抗体媒介性病理の発症を「遅延させる」とは、抗体媒介性病理の発症を、先送りにし、妨害し、遅らせ(slow)、遅延させ(retard)、安定化させ、および/また延期させることを意味する。この遅延は、抗体媒介性病理および/または試験されている個体の病歴に依存して時間の長さを変化し得る。当業者に明らかなように、十分な、または有意な遅延は、抗体媒介性病理を発症していない個体における発現を事実上含み得る。抗体媒介性病理の発症を「遅延する」方法は、この方法を使用しないときと比較して、所定の時間枠において病理の発症可能性もしくは抗体媒介性病理に関連する症状を減少させる方法、および/または所定の時間枠において疾患の程度を減少させる方法である。このような比較は、代表的に、必要ではないが、実質的に非常に多くの被験体を用いる臨床試験に基づく。例えば、臨床医は、このような処置は、抗体媒介性病理の1つ以上の症状に関する個体のリスクをより減少させ得るという(臨床研究の根拠を伴うか、または伴わない)信念に基づいて、「危険性のある」個体において、本発明の方法を使用することを決定し得る。
【0046】
抗体媒介性病理の「発症」は、個体における、抗体媒介性病理(例えば、自己免疫疾患)の発症および/または進行を意味する。抗体媒介性病理の発症(自己免疫疾患の発症を含む)は、本明細書中に記載されるような標準的臨床技術を使用して、検出可能であり得る。しかし、発症はまた、初めは検出不可能であり得る疾患の進行をいう。本発明の目的のために、進行は、疾患状態(例えば、抗体(自己抗体を含む)の産生が上げられる)の生物学的コースをいう。「発症(Development)」としては、発生(occurrence)、再発(recurrence)および発症(onset)が挙げられる。本明細書中で使用する場合、抗体媒介性病理の「発症」または「発生」は、最初の発症および/または再発を含む。
【0047】
本明細書中で使用される場合、「危険性のある」個体は、抗体媒介性病理を発症する可能性が高いと考えられる固体である。「危険性のある」個体は、検出可能な疾患を有していてもいなくてもよく、そして、本明細書中で記載される処置方法よりも前に検出可能な疾患を提示していても、提示していなくてもよい。「危険性のある」は、個体が、いわゆる1つ以上の危険因子を有することを意味する。これらの危険因子の1つ以上を有する個体は、これらの危険因子を有さない個体よりも、1つ以上の自己免疫疾患を発症する高い可能性を有する。これらの危険因子としては、1つ以上の抗体媒介性病理を発症する家族病歴、以前に罹患した病歴、年齢、性別、種、食事、疾患の前兆の存在、遺伝的(すなわち、遺伝的な)理由、環境曝露、SLEにおける頬部紅斑および蝶形疹の発症病歴、APSの場合における再発性流産の病歴が挙げられ得るが、これらに限定されない。「危険性のある」個体の別の例は、個体が要求していない抗体反応を引き起こす治療剤または治療を受けるか、または受けている個体がある。「危険のある」個体は、本発明の方法を受けるための適切な固体の例である。
【0048】
「エピトープ」とは、当該分野で十分理解される用語であり、そして抗体への特異的な結合を示す任意の化学的部分を意味する。「エピトープ」はまた、抗原を含み得、抗原はエピトープを含む部分または分子であり、そして、それ自体でもまた抗体に特異的に結合する。
【0049】
「二本鎖DNAエピトープ」または「dsDNAエピトープ」は、抗二本鎖DNA抗体に特異的な結合を示す任意の化学的部位であり、したがってそのようなエピトープを含む分子を包含する。
【0050】
抗体に「特異的に結合する」エピトープは、当該分野で十分に理解された用語であり、そしてそのような特異的結合を決定するための方法もまた、当該分野で周知である。分子が、代替の細胞または代替の物質と会合するよりも、特定の細胞または特定の物質とより頻繁に、より迅速に、より長い持続時間および/またはより強い親和性で反応または会合する場合、分子は、「特異的結合」を示すといわれる。抗体が、他の物質に結合するよりもより強い親和性、アビディティで、より容易に、および/またはより長い持続期間で結合する場合、抗体は、標的(例えば、C3dが結合するCD21の領域)に「特異的に結合する」。当該分野で周知ように、特異的結合を検出するための1つ方法は、本明細書中に記載のように、競合アッセイによる。
【0051】
本明細書中で交換可能に使用さる「抗二本鎖DNA抗体」または「抗dsDNA抗体」または「二本鎖DNA抗体」は、二本鎖DNA(dsDNA)へ特異的に結合する任意の抗体である。同様に、「抗アセチルコリンレセプター抗体」または「抗AchR抗体」(本明細書中で交換可能に使用される場合)は、アセチルコリンレセプターに特異的に結合する任意の抗体である。「抗甲状腺刺激ホルモンレセプター抗体」または「抗TSHレセプター抗体」(本明細書中で交換可能に使用される場合)は、甲状腺刺激ホルモンレセプターに特異的に結合する任意の抗体である。「抗galαl−3 gal抗体」は、異種移植片拒絶におけるαガラクトースに結合する任意の抗体である。SS−A(Ro)、SS−B(La)、Scl−70、セントロメア、ヒストン、染色体、Jo−1、ヒスタジル−tRNAシンテターゼ、スレオニル−tRNAシンテターゼ、PM−1、およびMi−2または細胞レセプター(例えば、アセチルコリンレセプター、甲状腺刺激ホルモンレセプター)のような核タンパク質、あるいは細胞タンパク質(例えば、カルジオリピン)が、抗体の「標識」であり得、そして本明細書中で「抗「標的」抗体」とし参照されることが理解される。さらに、遺伝子治療ビヒクル(例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスなど)に対する抗体は、「抗「標的」抗体」として包含される。
【0052】
本明細書中で提供した「抗体」の定義に明確に示されるように、「抗二本鎖DNA抗体」、または本明細書中に記載される任意の抗体は、この不可欠な機能的(すなわち、dsDNAへの特異的な結合)特性を示す任意のフラグメント(例えば、Fabフラグメントのような可変領域を含むフラグメント)を包含し、そしてこの原理を本明細書中に記載される抗体に適応する。下記のように任意の抗二本鎖DNA抗体(または機能的フラグメント)への特異的結合で十分であることが理解される。
【0053】
用語「循環抗体」は、生物学的サンプル上および/またはその中のその同族のエピトープに結合しない、抗体、すなわち遊離抗体を意味する。例えば、用語「循環自己免疫疾患抗体」は、生物学的サンプル上および/またはその中のその同族エピトープに結合しない、自己免疫抗体、すなわち、遊離抗体を意味する。別の例において、用語「循環抗二本鎖(ds)DNA抗体」は、生物学的サンプル上および/またはその中の二本鎖DNAエピトープに結合しない、抗二本鎖DNA抗体、すなわち遊離抗体を意図する。
【0054】
本明細書中で使用される場合、用語「免疫原」は、動物に注入された際に、体液性免疫応答を誘起する化学的実質を意味する。免疫原はB細胞エピトープおよびT細胞エピトープの両方を有する。
【0055】
「T細胞エピトープ」は、T細胞が、抗原特異的な特異的結合部位を有するための構成成分またはその部分を意味し、結合部位への結合の結果、T細胞を活性化する。本発明の実施形態が、T細胞エピトープを「欠く」として記載される場合、このことは、T細胞エピトープが、当該分野で標準的なアッセイを使用して検出され得ないということを意味すると解釈される。本発明の目的に関して、T細胞エピトープを「欠く」エピトープは、このエピトープが、処置された個体(すなわち、エピトープ提示原子プラットホーム分子(valency platform molecule)を受けた個体)において、T細胞活性化を引き起こすT細胞エピトープを欠くことを意味する。例えば、エピトープは、おそらく、個体または個体の群に関するT細胞エピトープを欠き得るが、他の個体に関するT細胞エピトープを処理し得るようである。T細胞エピトープの存在を検出するための方法は、当該分野で公知であり、そしてT細胞増殖(例えば、チミジン取込み)を検出するアッセイを含む。バックグラウンドより上の統計学的に有意なチミジンの取込み(すなわち、一般的に、標準的な統計学的方法を使用して、pが0.05未満)を誘導することが出来ない免疫原は、一般的にT細胞エピトープを欠くと考えられるが、定量的な量のチミジン取込みの量が、試験される免疫原に依存して変化し得ることが理解される。一般的に、約2〜3より下(より好ましくは、約1より下)の刺激指標(stimulation index)は、T細胞エピトープの欠損を示す。T細胞エピトープの存在はまた、標準的な方法に従うT細胞由来リンフォカインの分泌を測定することにより決定され得る。存在する場合、T細胞エピトープの位置および含量は、経験的に決定され得る。長い時間をかけて、より感度の高いアッセイが、T細胞エピトープの存在を検出するために開発され得、T細胞エピトープの欠損の特定化が、使用される検出システムの型に依存することが理解される。
【0056】
用語「ポリヌクレオチド」および「核酸」(本明細書中で交換可能に使用される)は、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれかである任意の長さのヌクレオチドの重合形態を言う。これらの用語は、一本鎖DNA、二重鎖DNAもしくは三重鎖DNA、ゲノムDNA、cDNA、RNA、DNA−RNAハイブリット、またはプリン塩基およびピリミジン塩基を含むポリマー、あるいは他の天然のヌクレオチド塩基、化学的ヌクレオチド塩基、生化学的に改変されたヌクレオチド塩基、非天然のヌクレオチド塩基もしくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含む。本明細書中に記載される二本鎖ポリヌクレオチド配列もまた、本明細書中に記載される改変を含むことが理解される。ポリヌクレオチドの骨格は、糖およびリン酸基(代表的には、RNAまたはDNA中に見出され得るようなもの)、あるいは改変された糖もしくはリン酸基、または置換された糖もしくはリン酸基を含み得る。あるいは、ポリヌクレオチドの骨格は、合成サブユニットのポリマー(例えば、ホスホルアミデート)を含み得、従ってオリゴデオキシヌクレオシドホスホスルアミデート(P−NH2)または混合されたホスホルアミデート−ホスホジエステルオリゴマーであり得る。ホスホロチエート結合は、ホスホジエステル結合の置換に用いられ得る。さらに、二重鎖ポリヌクレオチドは、相補鎖を合成しそして適切な条件下で鎖とアニーリングすることによってか、または適切なプライマーを用いてDNAポリメラーゼを使用してデノボで相補鎖を合成することによってかのいずれかで、化学合成の一本鎖ポリヌクレオチド産物から得られ得る。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子フラグメント、エキソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、およびプライマー。
【0057】
本明細書中で用いられる場合、「DNA」は、塩基A、T、CおよびGのみならず、任意のこれらのアナログまたはこれらの塩基の改変された形態(例えば、メチル化ヌクレオチド、ヌクレオチド間改変(例えば、非荷電結合およびチオエート)、糖アナログの使用、ならびに改変型および/または代替の骨格構造(例えば、ポリアミド)もまた含む。
【0058】
「実質的に相同な」とは、配列相同性をいい、ここで、以下の配列比較アルゴリズムのうちの1つを使用するかまたは可視検査によって測定されるように、最大の一致について比較および整列した場合、配列の少なくとも50%が同一である(好ましくは、少なくとも60%、好ましくは、少なくとも70%、好ましくは、少なくとも80%、そしてより好ましくは、少なくとも90%のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の同一性)。2つの配列(アミノ酸配列またはヌクレオチド配列)が、それら配列の全長(例えば、それらが実質的に異なる長さである場合、それら2つの配列のより短い長さ)にわたって比較され得る。配列比較について、代表的に、一方の配列は、参照配列として作用し、この参照配列と、試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列および参照配列は、コンピューターに入力され、必要な場合、その後の調整が指定され、そして配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。次いで、配列比較アルゴリズムは、その指定されたプログラムパラメーターに基づいて、参照配列に対する試験配列についての配列同一性%を算出する。比較のための配列の最適な整列は、例えば、Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所的相同アルゴリズムによってか、Needleman & Wunsch,J.Mol.Biol.48:433(1970)の相同アラインメントアルゴリズムによってか、Pearson & Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似方法の検索によってか、これらのアルゴリズムのコンピューター化インプリメンテーション(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WIのGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)によってか、または可視検査(一般的に、Ausubelら、Current Protocols In Molecular Biology,Greene Publishing and Wiley−Interscience,New York、前出)によって、行われ得る。前述のアルゴリズムのいずれかを使用する場合、ウィンドウの長さ、ギャップペナルティなどに関してデフォルトパラメーターが、使用される。2つの核酸配列またはポリペプチドが実質的に同一であるというさらなる指標は、第一のポリペプチド(例えば、第一の核酸によってコードされるポリペプチド)が第二のポリペプチド(例えば、第二の核酸によってコードされるポリペプチド)と免疫学的に交差反応性であるということである。従って、ポリペプチドは代表的には、第二のポリペプチドと実質的に同一である(例えば、ここで、これら2つのペプチドは、保存的置換基のみが異なる)。
【0059】
「天然に存在する」とは、内因性化学部分(例えば、炭水化物、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列)、すなわち、天然において見出されるものである。天然に存在する部分のプロセシングは、1つ以上の工程で行われ、これらの用語は、このプロセシングの全ての段階を包含する。反対に、「天然に存在しない」部分とは、他の全ての部分(例えば、組換えポリヌクレオチド配列および天然に存在しない炭水化物のような、天然において存在しないもの)をいう。
【0060】
ポリヌクレオチドは、そのネイティブな状態においてかまたは当業者に周知の方法によって操作される場合、ポリヌクレオチドは、転写および/または翻訳されて、ポリペプチドまたはそのフラグメントを産生し得る場合に、ポリペプチドを「コードする」といわれる。本発明の目的のためおよび相補鎖に対する邪魔な参照(refferal)を回避するために、このようなポリヌクレオチドのアンチセンス鎖(または相補鎖)もまた、配列をコードするといわれる;すなわち、ポリペプチドを「コードする」ポリヌクレオチド配列は、従来のコード鎖と相補配列(または相補鎖)との両方を含む。
【0061】
「融合ポリペプチド」は、天然に存在するよりも異なる位置の領域を含むポリペプチドをいう。この領域は、通常は、別個のタンパク質中に存在し得、融合ポリペプチド中で合わせられるか、またはそれらは、通常は同じタンパク質中に存在し得るが、融合ポリペプチド中の新たな位置に配置される。融合ポリペプチドはまた、例えば、直鎖にせよ分枝鎖にせよ、ポリマー形態(例えば、分泌目的、精製目的、または可視化目的に使用され得るマーカーに融合される抗CD21モノクローナル抗体の可変領域)から生じる。
【0062】
「宿主細胞」は、個々の細胞または細胞培養物を含み、これらは、ベクターのためのレシピエントかまたはポリヌクレオチドおよび/もしくはタンパク質の混合のためのレシピエントであり得るかまたはそのようなレシピエントである。宿主細胞は、単一の宿主細胞の子孫を含み、この子孫は、自然変異、偶発的な変異、または意図的な変異に起因して、本来の親細胞に(形態学において、または全DNA組のゲノムにおいて)必ずしも完全に同一ではないかもしれない。宿主細胞は、本発明のポリヌクレオチドとインビボでトランスフェクトされる細胞を含む。
【0063】
「形質転換」または「トランスフェクション」とは、挿入のために使用される方法とは無関係な、宿主内への外来性ポリヌクレオチドの挿入(例えば、リポフェクション、形質導入、感染またはエレクトロポレーション)をいう。この外来性ポリヌクレオチドは、非統合(non−integrated)ベクター(例えば、プラスミド)として維持され得るか、あるいは、宿主細胞ゲノムに組み込まれ得る。
【0064】
「有効量」(自己免疫疾患のような抗体媒介性病状における)は、臨床的な結果を含むかまたは疾患の発症を遅滞させる、有益な結果または所望する結果をもたらすに十分な量である。有効量は、1回以上の投与により投与され得る。本発明の目的のためには、本明細書中に記載の試薬(または試薬を含む組成物)の有効量は、必ずしも必要ではないが、一般的には、所望されないレベルの抗体(例えば、抗二本鎖DNA抗体、循環抗体、または免疫複合体として沈着される抗体)のレベルを低下させるのに十分な量である。処置に関して、本明細書中で記載される薬剤(または薬剤を含む組成物)の「有効量」は、自己免疫疾患(例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)(SLEに起因する腎臓の進行性炎症性変性(すなわちループス腎炎)を含む)のような抗体媒介性疾患を、緩和、改善、安定化、逆転、その進行の鈍化もしくは遅延、または予防に十分な量である。他の抗体媒介性疾患(例えば、ITP、甲状腺炎、重症筋無力症、全身性強皮症、多発性筋炎、およびAPSの処置に関して、本明細書中に記載される「有効量」の薬剤は、以下を含むがこれらの限定されないこれらの抗体媒介性疾患の1つ以上の症状の進行を、緩和、改善、安定化、逆転、鈍化もしくは遅延、またはそれらの症状の予防に十分な量である:血小板減少症、血性水疱、慢性炎症性細胞による過剰浸潤、外来性組織の移植片対宿主性移植型拒絶、異種移植片拒絶、小胞破裂、好酸球増加症、過形成の変化程度、線維症、無痛性甲状腺腫、甲状腺機能低下症、骨格筋衰弱、疲労性、非対称性下垂症、複視、頸部の伸筋虚弱(weak neck extensor)、頭部のドローピング、顔面の筋肉および延髄の筋肉の衰弱に起因した、患者が笑おうと試みた際の顔面の引きつけ(facial snarl)、鼻部または構語障害および低量の不快性言語障害(nasal or dysarthric and low−volume dysphonic speech)、窒息または逆流を生じ得る嚥下困難、歩行困難、階段を上がる困難性、物を運ぶ困難性、顔に併発し得る指および手の膨潤および肥大、皮膚の肥大、肘の近位の体幹および腕の併発、髪、皮脂腺、および汗腺を損失し得る皮膚萎縮症を引き起こし得る、骨格筋衰弱;皮膚の柔軟性の損失;強皮性皮膚(ここで、皮膚は、密接に引きつけられ、下層構造に結合する);特に、指における制限移動度、一次骨格筋の衰弱、近位骨格の衰弱、吸引性肺炎、介在性(interstitial)肺疾患、軟組織カルシウム沈着、レイノー現象の発症、動脈閉塞、末端壊疽(extremity gangrene)、脳卒中、心筋梗塞、他の内蔵梗塞、静脈閉塞、末梢性静脈閉塞、内臓静脈閉塞(例えば、バッド−キアーリ症候群、門脈閉塞)、再発性胎性損失(recurrent fetal loss)、血小板減少症、クームズの陽性溶血性貧血、網状皮斑、神経性異常(例えば、舞踏病、一過性脳虚血発作)、心臓弁疾患(valvular heart disease)、ならびに突発性多システム閉塞。症状は、生存を含み得る。
【0065】
「単離した」または「精製した」ポリペプチドまたはポリヌクレオチドとは、天然ではそれが結合している物質を、実質的に含まないポリペプチドまたはポリヌクレオチドである。実質的に含まないとは、天然ではそれが結合している物質の、少なくとも50%。好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、を含まないこと意味している。
【0066】
「生物学的サンプル」は、個体から得られる様々なサンプルのタイプを包含し、診断アッセイまたはモニタリングアッセイに使用され得る。この定義は、血液および生物起源の他の液体サンプル、生検標本もしくは組織培養株またはそれらに由来する細胞ならびにこれらの子孫のような固体組織サンプルを包含する。この定義はまた、これらの獲得後、任意の方法(例えば、試薬による処理、可溶化あるいはタンパク質またはポリヌクレオチドのような特定の成分の富化)で操作されたサンプルを包含する。用語「生物学的サンプル」は、臨床サンプルを包含し、また培養中の細胞、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、生物学的流体および組織サンプルを包含する。
【0067】
「〜と併せて(in conjunction with)」とは、ある処置様式を、別の処置様式に加えて、施行すること(例えば、別の薬剤(例えば、CD40、CTLA−4)の投与に加えて、同じ個体に本明細書中に記載の薬剤の投与)をいう。別の例の場合、1つの抗CD21モノクローナル抗体は、異なる配列を有するが、同じエピトープに指向される別の抗CD21モノクローナル抗体とともに投与される(例えば、SCR1および/またはSCR2)。従って、「〜と併せて」とは、個体への他の処置様式の送達前、送達中、または送達後に、ある処置様式を施行することを言う。
【0068】
「処置を受ける」とは、最初の処置および/または継続中の処置を包含する。
【0069】
「個体」とは、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。哺乳動物としては、家畜、競技用動物、愛玩動物、霊長類、マウスおよびラットが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
「含む(comprising)」は、含むこと(including)を意味する。
【0071】
本明細書中で用いる場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段の指摘がない限り、複数形のその指示物を包含する。例えば、「抗体(an antibody)」という表現は、一種以上の抗体を包含し「症状(a symptom)」は、1つ以上の症状を意味する。
【0072】
(本発明の方法)
本明細書中に記載される全ての方法について、組成物(例えば、C3dと相互作用するCD21を阻害する薬剤)に対する言及は、1種以上のこられの物質を含有する組成物もまた含む。これらの組成物は、適切な賦形剤(例えば、当該分野で周知である、薬学的に受容可能な賦形剤(緩衝剤を含む))を、さらに含有し得る。
【0073】
(CD21/C3d媒介性B細胞活性化を阻害することによって、抗体媒介性病理を処置する方法)
本発明は、抗体産生によって特徴付けられる抗体媒介性病理(例えば、自己免疫疾患)を処置する方法を提供する。この方法は、CD21/C3d相互作用の阻害、または抑制をいい、これは、CD21媒介性B細胞活性化、特に、抗体産生(これは、抗体産生および自己抗体産生を含む)を導き得るCD21/C3d媒介性活性化、を妨害し得る。
本発明の方法は、CD21/C3d相互作用を阻害する薬剤の投与を伴う。CD21を発現するリンパ球(一般的には、B細胞)は、CD21/C3d相互作用を阻害する薬剤に曝露され、B細胞CD21媒介性活性化および抗体産生が阻害され得る。いくつかの実施形態おいて、天然に存在するCD21発現細胞(例えば、B細胞)が、使用される。いくつかの実施形態において、CD21/C3d相互作用を阻害する薬剤が、CD21/C3d媒介性B細胞活性化および、その後の抗体産生を阻害するのに十分な量で個体に投与され、その結果、一般的に、1つ以上の症状が緩和され、そして/または疾患の発症が遅滞される。
【0074】
CD21/C3d相互作用を阻害することによってCD21活性化を阻害し、その結果、CD21/C3d媒介性B細胞活性化およびその後の抗体産生が阻害される、任意の薬剤が、適している。また、CD21/C3d相互作用を阻害し、その結果、抗体産生のレベルが、このような薬剤を使用しない抗体産生のレベルと比較して、より低くなる薬剤も、適している。別の実施形態において、CD21/C3d相互作用を阻害し、その結果、CD21を発現するB細胞が、抗体分泌性の形質細胞中への発症を遅滞される、任意の薬剤が適している。CD21/C3d相互作用を阻害するのに適切な薬剤としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:抗CD21抗体、その誘導体またはフラグメント、および細胞性CD21の競合体(competitor)(例えば、C3dに結合する可溶性CD21)。1つの実施形態において、抗体は、CD21のSCR1領域および/またはSCR2領域に指向される。そのような薬剤を作製するのに適切な薬剤および方法の記述は、本明細書中に開示されている。別の実施形態において、この薬剤は、可溶性CD21分子であり、この分子は、C3dに結合し得、そして未結合のC3dに結合するために細胞性CD21と競合し得る。
【0075】
おそらく、抗体媒介性病理症状の発症を改善および/または遅滞することは、B細胞活性化および/または抗体産生を阻害することに起因し、このような薬剤の投与は、抗体産生のこのような減少をもたらし得るが、その正確な機構を理解する必要はないことが、理解される。CD21/C3d相互作用を妨害し、その結果、この投与がこのような発症の改善および/または遅滞に寄与し、そして/またはそれらを生じる、任意の薬剤が、本発明に適している。
【0076】
CD21/C3d媒介性B細胞活性化は、当業者に公知のかなり多くの方法で検出され得る。使用され得る1つの方法は、PCRおよびゲル電気泳動を使用する、VDJ組換えを検出するための方法である。B細胞活性化を検出するために使用され得る別の方法は、フローサイトメトリーおよびB細胞活性化を示すマーカーであり、これらのマーカーとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:CD22、CD23、CD24、CD25、CD28、CD30、CD39、CD69、CD72、CD75、CD76、CD86、CD97、CD125、CD126、CD130、およびCD153。
【0077】
本発明は、CD21/C3d相互作用を阻害する薬剤を使用する。この相互作用の阻害は、B細胞活性化を防止し得、そして/または抗体産生を抑制し得る。好ましくは、抗体産生は、阻害されるか、抑制されるか、または低下される。従って、処置を受けている個体の抗体レベルは、低下され得る。この方法は、C3dとのCD21相互作用を阻害する薬剤を個体に投与することによって、個体における抗体媒介性病理(例えば、自己免疫障害(例えば、SLE)を処置する際に有用である。この方法はまた、個体における抗体媒介性病理(例えば、自己免疫疾患(例えば、SLE、ITP、または甲状腺炎))の発症を遅滞させるのに有用である。自己抗体の発達を全く有さない発疹(蝶形紅斑)、疲労、再発性流産(recurrent pregnancy loss)、言語障害または笑顔障害(difficulty with speaking or smiling)の発生は、自己抗体の発達が進んでいることの指標であり得る。本明細書中に記載される試薬は、自己抗体の発達前に、発疹またはSLEに付随した他の初期症状を経験する個体に投与され得る。提供される方法をまた使用して、SLEの再発を防止し得るかまたはSLEに付随する症状を無期限に遅滞し得る。
【0078】
いくつかの方法が、CD21/C3d相互作用の阻害を評価するために使用され得る。これらの方法は、種々の試薬(例えば、抗CD21抗体または可溶性CD21)(これは、CD21/C3d相互作用を阻害する)に適用可能である。CD21/C3d相互作用の阻害を評価するための1つの方法は、B細胞またはCD21を発現する他の細胞(例えば、その抗体を用いて処置を受けている個体由来)に対する、抗CD21モノクローナル抗体の結合を決定することである。細胞上のCD21への抗体の結合は、抗CD21に結合する二次抗体を使用して直接決定され得る。この二次抗体は、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)または蛍光色素(例えば、フルオロセイン)と結合体化され得る。この二次抗体は、抗CD21抗体の動物種に対して指向されるべきであることが理解される。例えば、この薬剤がマウス抗CD21モノクローナル抗体である場合、可視化マーカーに結合体化された二次抗マウスIgGが、結合を評価するために使用され得る。あるいは、処置を受けている個体由来のB細胞上、またはCD21を発現する他の細胞上のCD21のレベルは、酵素または蛍光色素と結合体化された非関連性抗CD21を使用して、CD21の発現を測定することによって、決定され得る。
【0079】
CD21/C3d相互作用の阻害を評価するために使用され得る別の方法は、C3dでコーティングされたELISAプレートを使用し、ELISAプレートと生物学的サンプル(例えば、B細胞またはCD21を発見する他の細胞)を接触させ、そしてELISAプレートに結合する細胞の数を数えることである。別の代替において、生細胞によって発現された酵素は、ELISAプレート上で比色アッセイ(例えば、MTT色素)によって評価される。
【0080】
使用され得る別の方法は、抗赤血球抗体および補体を使用して、補体活性化の古典的な経路を介して補体フラグメントで赤血球(例えば、ヒツジ赤血球(SRBC))をコーティングすることである。補体装飾(complement−decorated)SRBCは、National Jewish Hospital(Denver、CO)のComplement Labから入手され得る。抗CD21抗体の不在下で、CD21発現細胞と結合した補体コーティングSRBCは、「ロゼッタ」を形成する。対照的に、抗CD21抗体の存在下で、CD21発現細胞と結合した補体コーティングSRBCは、「ロゼッタ」を形成しない。なぜなら、CD21への抗CD21抗体の結合は、SRBCへのCD21の結合を阻害するからである。このロゼッティング(rosetting)技術をまた使用して、CD21/C3d相互作用を阻害する、可溶性CD21の能力を評価する。使用され得る代替の方法は、代替の補体経路の活性化によって補体を固定するように血清中でインキュベートされた酵母粒子の使用である。次いで、この酵母粒子は、CD21発現細胞に接触し得、そしてロゼッタ形成をモニターされ得る。使用され得る代替の方法は、代替の経路の活性化によってか、または精製された補体フラグメントの直接的な結合体化によるかのいずれかで、補体フラグメントを用いて、蛍光ラテックスビーズ(Molecular Probes、Eugene、Oregon)をコーティングすることである。CD21発現細胞へのビーズの結合は、顕微鏡またはフローサイトメトリーによって測定され得る。
【0081】
CD21/C3d相互作用の阻害を評価するために使用され得る別の方法は、生物学的サンプル(例えば、血液、各々の個体(異なる増加の投薬量)由来)を得、そして所望の場合、ヒツジ赤血球(SRBC)へと全血を供することによってB細胞からT細胞を分離することである。T細胞は、優先的にSRBCに結合し、そしてT細胞−SRBCグループは、B細胞よりも高密度を有する。密度遠心分離は、B細胞からT細胞−SRBCグループを分離し得る。次いでB細胞は、標準的なELISAにおいてC3dコートされたプレートと接触され得、そして抗CD21抗体(または代替の可溶性CD21)のレベルがB細胞上の全てのC3d結合領域を十分にブロックする場合、次いで極僅かのB細胞しか、C3dコートされたプレートに結合しない。
【0082】
CD21/C3d相互作用の阻害を評価するために使用され得る別の方法は、検出可能なマーカー(例えば、FITC)と結合体化した抗CD21抗体を利用する。生物学的サンプルは、検出可能なマーカーと結合体化した抗CD21抗体が投与された個体から得られ得る。フローサイトメトリーを使用して、適切なチャネル(例えば、FITCに対するFL1)で検出可能なマーカーをモニターすることによってB細胞への結合を可視化し得、そしてB細胞に結合した抗CD21抗体を確認するための第2の抗体(例えばCD19)を結合して可視化し得る。一旦、B細胞はB細胞に結合した抗CD21抗体を有することが確認されると、B細胞は、補体コートされたSRBCと結合され得、そして上記のような「ロゼット」の出現についてモニターする。
【0083】
CD21/C3d相互作用を阻害する薬剤(例えば、可溶性CD21または抗CD21抗体)によるCD21/C3d相互作用の阻害を評価する別の方法は、競合アッセイ(例えば、Farrアッセイ)である。CD21/C3d相互作用を阻害する薬剤(例えば、可溶性CD21または抗CD21抗体)によるCD21/C3d相互作用の阻害を評価する他の方法は、使用可能であり、そして当業者に公知である。
【0084】
自己免疫疾患(例えば、SLE)のような抗体媒介病理のいくつかのマウスモデルを使用して、抗体媒介病理において抗体応答を抑制するために、CD21/C3d相互作用を阻害する抗体(例えば、抗CD21抗体またはsCD21)を試験し得る。1つのモデルは、雌性のNew Zealand Black×New Zealand White(NZB×NZW)F1マウスを利用する自発性狼瘡モデル(spontaneous lupus model)である。利用され得る別のモデルは、MRL lpr/lpr自発性狼瘡モデルである。MRL lpr/lprマウスは、SLEを患うヒトと類似の症状を発症する。これらの症状としては、限定されないが、高力価の抗dsDNA、低補体血症、リンパ節症および致死性免疫複合媒介糸球体腎炎(fatal immune complex−mediated glomerulonephritis)が挙げられる。
【0085】
治療の有効性を評価するために使用され得る別の動物モデルは、抗DNA抗体産生の誘導モデルである。このモデルにおいて、オリゴヌクレオチド−キーホール吸着ヘモシアニン(ON−KLH)は、抗dsDNAの形成を誘導するための有効量でマウスに投与される。実施例1は、マウスモデルにおいて抗ON抗体を誘導するためのON−KLHの使用方法を開示する。ON−KLHは、(CA)10〜(TG)10からなる20マーの二本鎖オリゴヌクレオチドとKLHをカップリングすることによって作製され、そして上記のかなり多くの方法で投与される。投与の方法としては、限定されないが、注射(例えば、腹腔内、静脈内、皮下、筋内など)が挙げられる。次いで、マウスは、抗dsON抗体を発達可能にされ、次いでC3dとCD21との相互作用を阻害する1つ以上の薬剤(例えば、抗CD21抗体または可溶性CD21タンパク質)は、マウスに投与され得る。抗dsDNA抗体のレベルは、実験の過程の間の任意の時点(限定されないが、CD21とC3dとの相互作用を妨害する1つ以上の薬剤の投与前の1以上の時点、およびCD21とC3dとの相互作用を妨害する1つ以上の薬剤の投与後に続く1以上の時点を含む)でモニターされ得る。
【0086】
処置の有効性を評価する他の方法は、本明細書中に論じられる。種々の抗体媒介病理のための、他の適切な当該分野で受容される(art−accepted)マウスのモデルは、実施例に記載される。
【0087】
(C3dとのCD21の相互作用を阻害するための薬剤)
本発明の方法は、補体フラグメントiC3b、C3dおよびC3dgとのCD21の相互作用を阻害する様式で、CD21と相互作用する薬剤を使用することを必要とする。C3dおよびC3dgが、相互に交換できるように本明細書中で使用され得ることが理解される。C3dに対する言及は、C3dgおよびiC3bをまた含むことが理解される。iC3bは、C3dgおよびC3dのアミノ酸配列を含み、そして類似親和性でCD21に結合する。iC3bは、C3dgを得るためにプロテアーゼによって切断される。C3dgは、C3dを得るために細胞プロテアーゼによって切断されるカルボキシ末端に、いくつかのさらなるアミノ酸を有する。
【0088】
従って、本発明によって考えられる薬剤としては、限定されないが、抗CD21抗体、融合タンパク質、可溶性CD21のような可溶性タンパク質および組換えタンパク質が挙げられる。
【0089】
従って、使用され得る、CD21/C3d相互作用を妨害する薬剤の1つの例は、C3dリガンドに結合し、そして未結合のC3dへの結合について細胞性CD21と競合する、可溶性CD21(sCD21)タンパク質である。好ましい大部分のC3dはsCD21によって結合されて、その結果、細胞性CD21(すなわち、B細胞およびT細胞のような細胞の細胞表面に結合するCD21)と未結合のC3dとの間の相互作用が、阻害されるかまたは抑制され、そして抗体産生が減少されるかまたは阻害される。sCD21は、Hebellら、(1991)Science 254:102またはWO 91/16437に開示される以下の手順によって得られ得る。
【0090】
いくつかの実施形態において、薬剤は、抗CD21抗体(例えば、ヒト抗体またはヒト化抗体)であり得る。使用され得る抗CD21抗体の1つの例は、C3dが自然に結合するCD21上の領域に結合する抗体である。短いコンセンサスな領域1および2は、このような領域の例である。1つの実施形態において、薬剤は、ヒトCD21の短いコンセンサス領域1(SCR1)およびSCR2に結合する、マウスの抗ヒト抗体である。別の実施形態において、薬剤は、ヒトCD21の短いコンセンサス領域1(SCR1)および短いコンセンサス領域2(SCR2)に結合するヒト化抗体である。なお別の実施形態において、薬剤は、ヒトCD21の短いコンセンサス領域1(SCR1)およびSCR2に結合するヒト抗体である。なお別の実施形態において、薬剤は、SCR1またはその一部に結合する抗体である。別の実施形態において、薬剤は、SCR2またはその一部に結合する抗体である。
【0091】
抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体フラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、Fcなど)、キメラ抗体、単鎖(ScFv)、その変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、ならびに必要とされる特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の他の任意の改変配置が挙げられ得る。抗体は、マウス、ラット、ヒト、または他の任意のものが起源であり得る。本発明の目的で、抗体は、ヒトCD21のC3dとの相互作用を阻害し、そしてCD21/C3d媒介B細胞活性化および引き続く抗体産生を抑制し得る様式で、ヒトCD21と反応する。1つの実施形態において、抗体は、C3dが結合するヒトCD21における1つ以上のエピトープを認識する、マウス抗体またはラット抗体である。このエピトープは、連続または不連続であり得る。抗体が指向し得るエピトープの例としては、短いコンセンサス領域1および2(SCR1および/またはSCR2)が挙げられるが、これらに限定されない。所望であれば、SCR1および/またはSCR2に結合する抗体(例えば、マウスCD21に指向するラットモノクローナル抗体7G6)は、Kinoshitaら(1988)J.Immunol.140:3066から得られ得、そして適切な、当該分野において認容されたマウスの疾患モデルにおいて使用され得る。別の局面において、C3dとのCD21の相互作用(例えば、CD21のSCR1および/またはSCR2エピトープに特異的)を阻害し得る抗体(例えば、ヒト、ヒト化、マウス、キメラ)は、CD21を発現する免疫原を使用することによって、作製され得る。免疫原の1つの例は、高いCD21の発現を有する細胞であり、例えば、ATCCから得られ得るRaji細胞(受託番号CCL−86)である。使用され得る免疫原の別の例は、CD21のSCR1および/またはSCR2部分を含む、可溶性CD21融合タンパク質である。CD21のSCR1および/またはSCR2部分は、例えば、WO91/16437に開示されるように、重鎖IgGと融合され得る。Raji細胞またはCD21融合タンパク質は、単独でか、または免疫原として互いとの組合せで使用され得る。
【0092】
別の局面において、使用され得るヒトCD21(特に、SCR1および/またはSCR2)に結合する抗体は、マウス抗ヒトモノクローナル抗体(mAb)2B12である。mAb 2B12は、実施例6〜11に記載されるように、作製および特徴付けされた。mAb 2B12は、CD21とC3dとの間の相互作用を破壊することが示された(実施例7)。ブダペスト条約によれば、mAb 2B12を産生するハイブリドーマは、American Type Culture Collection(ATCC),10801 University Blvd.,Manassas VA20110−2209に、2002年5月15日に寄託され、そして___の特許寄託指定(受託番号)を与えられた。本発明は、このハイブリドーマまたはその任意の子孫(これは、寄託されたハイブリドーマと同一であっても同一でなくてもよい)を提供する。
【0093】
従って、本発明は、以下のうちのいずれか(または以下のうちのいずれかを含有する組成物(薬学的組成物を含む))を提供する:(a)抗体2B12;(b)上記ハイブリドーマによって産生される抗体;(c)抗体2B12のヒト化形態;(d)上記ハイブリドーマによって産生される抗体のヒト化形態;(e)抗体2B12の軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域を含む抗体;(f)上記ハイブリドーマによって産生される抗体の軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域を含む抗体(g);2B12の軽鎖CDRおよび/または重鎖CDRを含む抗体;(h)上記ハイブリドーマによって産生される抗体の軽鎖CDRおよび/または重鎖CDRを含む抗体。この抗体のヒト化形態は、2B12、または上記ハイブリドーマによって産生される抗体と同一のCDRを有してもよく、有さなくてもよい。CDR領域の決定は、十分に当該分野の技術の範囲内である。いくつかの実施形態において、本発明は、2B12または上記ハイブリドーマによって産生される抗体の、少なくとも1つのCDR、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つのCDRと実質的に相同な(または、いくつかの実施形態においては、2B12の6つ全てのCDRと実質的に相同な)、少なくとも1つのCDRを含む抗体を提供する。他の実施形態は、2B12または上記ハイブリドーマによって産生される抗体の、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRと実質的に相同な、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを有する抗体を包含する。本発明の目的で、結合特異性および/または全体的な活性(これは、抗体産生の抑制および/または1つ以上の症状の軽減の観点であり得る)は、一般的に保持されるが、活性の程度は、2B12と比較して変動し得る(より大きくてもより少なくてもよい)ことが理解される。本発明はまた、これらの任意の抗体を作製する方法を提供する。抗体を作製する方法は、当該分野において公知であり、そして本明細書中に記載されている。
【0094】
宿主動物の免疫の経路および計画は、一般に、抗体の刺激および産生のための、確立された従来の技術と調和する。
【0095】
ヒトを含む任意の哺乳動物被験体、またはその被験体由来の抗体産生細胞は、哺乳動物(ヒトを含む)、ハイブリドーマ細胞株の産生の基礎として働くように操作され得ることが、企図される。代表的に、宿主動物は、免疫原性応答を生じるために十分な量の免疫原(例えば、Raji細胞またはSCR1/SCR2融合タンパク質)を、腹腔内に接種され、次いで類似の量の免疫原で追加免疫される。リンパ系細胞(好ましくは、宿主由来の脾臓リンパ系細胞)が、最後の追加免疫の数日後に収集され、そして融合において使用するために、細胞懸濁物がそれから調製される。
【0096】
ハイブリドーマは、リンパ球および免疫された骨髄腫細胞から、Kohler,B.およびMilstein,C.(1975)Nature 256:495−497の一般的な体細胞ハイブリダイゼーション技術を使用して、またはBuck,D.W.ら(1982)In Vitro,18:377−381によって改変されたように、調製され得る。利用可能な骨髄腫株(X63−Ag8.653およびSalk Institute,Cell Distribution Center,San Diego,Calif.,USA製のものが挙げられるが、これらに限定されない)が、ハイブリダイゼーションにおいて使用され得る。一般に、この技術は、ポリエチレングリコールのようなフソジェン(fusogen)を使用して、または当業者に周知の電気的手段によって、骨髄腫細胞とリンパ系細胞とを融合させる工程を包含する。融合後、これらの細胞を融合培地から分離し、そして選択増殖培地(例えば、ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン(HAT)培地)中で増殖させ、ハイブリダイズしていない親細胞を除去する。本明細書中に記載される任意の培地(血清を補充されているかまたは補充されていない)が、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを培養するために使用され得る。細胞融合技術についての別の代替として、EBV不死化B細胞が、本発明の抗CD21モノクローナル抗体を産生するために使用され得る。このハイブリドーマは、所望であれば、増殖およびサブクローニングされ、そして上清が、従来のイムノアッセイ手順(例えば、ラジオイムノアッセイ、酵素イムノアッセイ、または蛍光イムノアッセイ)によって、抗免疫原活性についてアッセイされる。
【0097】
抗体の供給源として使用され得るハイブリドーマは、免疫のために使用される細胞の型の代表である抗原に特異的なモノクローナル抗体を産生する、親ハイブリドーマの全ての誘導体、子孫細胞を包含する。
【0098】
このような抗体を産生するハイブリドーマは、公知の手順を使用して、インビトロまたはインビボで増殖され得る。モノクローナル抗体は、所望であれば、従来の免疫グロブリン精製手順(例えば、硫酸アンモニウム沈澱、ゲル電気泳動、透析、クロマトグラフィー、および限外濾過)によって、培養培地または体液から単離され得る。所望されない活性は、存在する場合、例えば、調製物を、固相に付着された免疫原から作製される吸着剤に流し、そしてこの免疫原から所望の抗体を溶出または放出することによって除去され得る。Raji細胞またはSCR1/SCR2融合タンパク質での宿主細胞の免疫は、抗体(例えば、モノクローナル抗体)の集団を生じ得る。
【0099】
所望であれば、目的の抗CD21抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)は、配列決定され得、次いで、ポリヌクレオチド配列が、発現または増殖のためのベクターにクローニングされ得る。目的の抗体をコードする配列は、宿主細胞中でベクター中に維持され得、次いで、この宿主細胞は、将来の使用のために、増殖および凍結され得る。代替において、ポリヌクレオチド配列は、抗体を「ヒト化」するため、またはその抗体の親和性もしくは他の特徴を改善するために、遺伝子操作するために使用され得る。例えば、定常領域は、ヒト定常領域に、より類似するように操作されて、その抗体が臨床試験およびヒトの処置において使用される場合に、免疫応答を回避し得る。SCR1および/またはSCR2に対するより大きな親和性を得るように、抗体配列を遺伝子操作することが望ましくあり得る。もう1つのポリヌクレオチドの変化が、抗CD21抗体になされ得、そして依然として、CD21のSCR1領域および/もしくはSCR2領域、またはそれらのエピトープに対するその結合能力を維持することが、当業者に明らかである。
【0100】
モノクローナル抗体をヒト化するための、4つの一般的な工程が存在する。これらは、以下の通りである:(1)出発抗体の軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインの、ヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を決定する工程、(2)ヒト化抗体を設計する工程(すなわち、どの抗体間質領域を、ヒト化プロセスの間に使用するかを決定する工程)、(3)実際のヒト化方法論/技術、および(4)ヒト化抗体のトランスフェクションおよび発現。例えば、米国特許第4,816,567号;同第5,807,715号;同第5,866,692号;および同第6,331,415号を参照のこと。
【0101】
非ヒト免疫グロブリン由来の、抗原結合部位を含む多数の「ヒト化」抗体分子が記載されており、これには、げっ歯類または改変げっ歯類V領域およびそれらの関連する相補性決定領域(CDR)がヒト定常ドメインに融合した、キメラ抗体が挙げられる。例えば、Winterら、Nature 349:293−299(1991)、Lobuglioら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:4220−4224(1989)、Shawら、J Immunol.138:4534−4538(1987)、およびBrownら、Cancer Res.47:3577−3583(1987)を参照のこと。他の参考文献は、ヒト支持間質領域(FR)にグラフトされ、その後、適切なヒト抗体定常領域に融合した、げっ歯類CDRを記載する。例えば、Riechmannら、Nature 332:323−327(1988)、Verhoeyenら、Science 239:1534−1536(1988)、およびJonesら、Nature 321:522−525(1986)を参照のこと。別の参考文献は、組換え的に覆われた(veneered)げっ歯類間質領域によって維持される、げっ歯類CDRを記載する。例えば、欧州特許出願公開第519,596号を参照のこと。これらの「ヒト化」分子は、げっ歯類抗ヒト抗体分子に対する所望されない免疫学的応答(これは、これらの部分のヒトレシピエントにおける治療適用の持続時間および有効性を制限する)を最小にするように設計されている。同様に利用され得る、抗体をヒト化する他の方法は、Daughertyらによって、Nucl.Acids Res.,19:2471−2476(1991)に、ならびに米国特許第6,180,377号;同第6,054,297号;同第5,997,867号;および同第5,866,692号に開示されている。
【0102】
なお別の代替において、完全ヒト抗体は、特定のヒト免疫グロブリンタンパク質を発現するように操作された、市販のマウスを使用することによって得られ得る。より望ましい(例えば、完全ヒト抗体)かまたはより頑健な免疫応答を生じるように設計されたトランスジェニック動物もまた、ヒト化抗体またはヒト抗体の作製のために使用され得る。このような技術の例は、Abgenix,Inc.(Fremont,CA)製のXonomouseTM、ならびにMedarex,Inc.(Princeton,NJ)製のHuMAb−Mouse(登録商標)およびTC MouseTMである。
【0103】
代替において、抗体は、組換え的に作製され得、そして当該分野において公知の任意の方法を使用して、発現され得る。抗体は、宿主動物から作製された抗体をまず単離すること、遺伝子配列を得ること、およびこの遺伝子配列を使用して、宿主細胞(例えば、CHO細胞)中で組換え的にこの抗体を発現することによって、組換え的に作製され得る。使用され得る別の方法は、植物(例えば、タバコ)またはトランスジェニックミルクにおいて、抗体配列を発現させることである。植物またはミルクにおいて抗体を組換え的に発現させるための方法は、開示されている。例えば、Peetersら、(2001)Vaccine 19:2756;Lonberg,N.およびD.Huszar(1995)Int.Rev.Immunol 13:65;ならびにPollockら(1999)J Immunol Methods 231:147を参照のこと。抗体の誘導体(例えば、ヒト化抗体、単鎖抗体など)を作製するための方法は、当該分野において公知である。別の代替において、抗体は、ファージディスプレイ技術によって、組換え的に作製され得る。例えば、米国特許第5,565,332号;同第5,580,717号;同第5,733,743号;同第6,265,150号;およびWinterら、Annu.Rev.Immunol.(1994)12:433−455を参照のこと。
【0104】
宿主動物の免疫によってかまたは組換え的にかのいずれかで作製された抗体は、以下の特徴の全てを示すはずである:(a)CD21に結合する;(b)C3dが結合するCD21の1つ以上のエピトープに結合する;(c)CD21に結合してCD21/C3d媒介B細胞活性化を阻害する、(d)CD21に結合してCD21/C3d媒介B細胞活性化を阻害し、そして抗体産生のレベルを低下させる。
【0105】
イムノアッセイおよびフローサイトメトリー選別技術(例えば、蛍光細胞分析分離装置(FACS))もまた、CD21、ならびにより好ましくは、CD21のSCR1および/またはSCR2エピトープに特異的な抗体を単離するために使用され得る。例えば、C3dでコーティングされたプレートおよび可溶性CD21でコーティングされたプレートを用いるELISAを使用して、どの抗体がCD21のC3d結合部分(すなわち、SCR1および/またはSCR2)に特異的であるかを決定し得る。フローサイトメトリーを使用して、抗体がCD21発現細胞(B細胞またはRajiのような細胞株が挙げられるがこれらに限定されない)にいかに十分に結合するかを評価し得る。代替において、抗体は、B細胞の集団と混合し、次いでB細胞をC3dの供給源(単離形態(例えば、C3dでコーティングされたプレート)または天然形態(例えば、血清中)のいずれか)に曝露することによって、スクリーニングされ得る。フローサイトメトリーおよびB細胞活性化を示すマーカー(CD22、CD23、CD24、CD25、CD28、CD30、CD39、CD69、CD72、CD75、CD76、CD86、CD97、CD125、CD126、CD130、およびCD153が挙げられるが、これらに限定されない)を使用して、抗CD21抗体がいかに十分にB細胞活性化を阻害するかを検出し得る。
【0106】
抗体は、多くの異なるキャリアに結合され得る。キャリアは、活性および/または不活性であり得る。周知のキャリアの例としては、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、ガラス、天然セルロースおよび修飾セルロース、ポリアクリルアミド、アガロースならびに磁鉄鉱が挙げられる。キャリアの性質は、本発明の目的で、可溶性または不溶性のいずれかであり得る。当業者は、抗体を結合するための他の適切なキャリアを知っているか、または慣用的な実験を使用して、このようなキャリアを確認し得る。
【0107】
抗体はまた、検出可能な薬剤と結合体化され得る。この複合体は、HarlowおよびLane(1988)によって前出に記載されるような、標準的な免疫化学的技術(例えば、フローサイトメトリーまたは免疫組織化学)を使用して、サンプル中で抗体が特異的に結合する抗原を検出するために有用である。検出可能なマーカーもまた、検出可能なマーカーをB細胞に固有の別のマーカー(例えば、CD19、CD20、CD22など)と共に使用し、そしてFACSによって染色パターンを分析することによって、細胞の型(例えば、B細胞)に対する結合特異性を確認するために、使用され得る。当業者に公知の多くの異なる標識、および標識の方法が、存在する。本発明において使用され得る標識の型の例としては、放射性同位体、酵素、コロイド金属、蛍光性化合物(例えば、FITC、PE、PECy5、APCなど)、生物発光化合物、および化学発光化合物が挙げられる。当業者は、抗体に結合するために適切な他の標識を知っているか、またはこのような標識を、慣用的な実験を使用して確認し得る。さらに、本発明の抗体への、これらの標識の結合は、当業者に通常の標準的な技術を使用してなされ得る。
【0108】
(薬剤の投与)
薬剤(例えば、抗体またはそのフラグメント)の種々の処方物が、投与のために使用され得る。いくつかの実施形態において、抗CD21抗体またはそのフラグメントのような薬剤は、ニートで投与され得る。いくつかの実施形態において、薬剤は、抗CD21抗体またはそのフラグメント、および薬学的に受容可能な賦形剤を含有し、そして種々の処方であり得る。薬学的に受容可能な賦形剤は、当該分野において公知であり、そして薬理学的に有効な物質の投与を容易にする、比較的不活性な基質である。例えば、賦形剤は、形状または濃度(consistency)を与え得るか、あるいは希釈剤として働き得る。適切な賦形剤としては、安定剤、湿潤剤および乳化剤、種々の浸透圧のための塩、カプセル化剤、緩衝剤、ならびに皮膚浸透増強剤が挙げられるが、これらに限定されない。非経口薬物送達および経口薬物送達のための賦形剤および処方物は、Remington,The Science and Practice of Pharmacy 第20版、Mack Publishing(2000)に記載されている。
【0109】
一般に、これらの薬剤は、注射(例えば、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内など)による投与のために処方される。従って、これらの薬剤は、好ましくは、薬学的に受容可能なビヒクル(例えば、生理食塩水、リンガー溶液、ブドウ糖溶液など)と組み合わせられる。特定の投薬レジメン(すなわち、用量、タイミングおよび反復)は、特定の個体およびその個体の病歴に依存する。経験的な考慮(例えば、半減期)は、一般に、投薬量の決定に寄与する。投与の頻度は、治療の経過にわたって決定および調節され得、そして一般に、抗体産生の減少および/または1つ以上の症状の抑制/軽減/遅延の維持に基づくが、これは必須ではない。他の適切な用量計画は、個体または抗体によって媒介される疾患状態に依存して、連続的な注射から、毎日もしくは1週間あたり3用量、または1週間あたり1用量、または2〜4週間ごとに1用量、または毎月の用量、あるいはより低い頻度の計画と同程度の頻度であり得る。反復的な投与(通常、B細胞の代謝回転速度に従うタイミングにされる)は、抗体により媒介される病理(例えば、自己免疫疾患(例えば、SLE))を処置するために、CD21/C3d相互作用の抑制の状態を達成および/または維持するために必要とされ得る。あるいは、薬剤の持続的な連続放出処方物が、適切であり得る。徐放を達成するための種々の処方物およびデバイスが、当該分野において公知である。
【0110】
代替において、投薬レジメンは、抗体により媒介される病理(例えば、自己免疫疾患(例えば、SLE))の家族病歴を有する個体については、それに応じて、抗体により媒介される病理の発症を遅延させるように、調節され得る。このような場合には、可能な毒性から生じる副作用と、有効な投薬量とのバランスがとれるように、考慮がなされる。
【0111】
1つの実施形態において、薬剤についての投薬量は、CD21/C3d相互作用を阻害して抗体により媒介される病理(例えば、自己免疫疾患(例えば、SLE))を処置する薬剤の、1以上の投与を与えられた個体において、経験的に決定され得る。個体は、CD21/C3d相互作用を阻害する薬剤(例えば、抗CD21抗体)の漸増投薬量を与えられる。生物学的サンプル(例えば、血液)が、各個体から、異なる漸増投薬量において得られ、そして所望であれば、全血をヒツジ赤血球細胞(SRBC)に曝露することによって、T細胞が、B細胞から分離され得る。T細胞は、SRBCに優先的に結合し、そしてT細胞−SRBC群は、B細胞より高い密度を有する。密度遠心法は、T細胞−SRBC群をB細胞から分離し得る。次いで、B細胞は、標準的なELISAにおいてC3dでコーティングされたプレートに収集され得、そしてB細胞上の抗CD21抗原のレベルが全てのC3d結合領域をブロックするために十分である場合には、B細胞は、C3dでコーティングされたプレートにほとんどまたは全く結合しない。代替において、補体でコーティングされたSRBCは、上記で開示されるように、ロゼット形成(rosetting)アッセイにおいて使用され得る。別の代替において、処置された個体における細胞表面上のCD21の損失もまた、例えば、FACSによってモニタリングされ得る。CD21の損失は、1つ以上の本明細書中に開示される薬剤での処置の際に、細胞表面上のCD21のダウンレギュレーションによって、またはCD21の流れによって、起こり得る。例えば、Fremeaux−Bacchiら(1999)Immunopharmacology 42:31を参照のこと。
【0112】
投薬量は、個体、抗体により媒介される病理の段階および個体におけるB細胞の組成に依存して変動し得ることが、当業者に明らかである。さらに、個体のリンパ球の全体の割合に対してより大きなB細胞の組成を有する個体は、より低いB細胞の割合を有する別の個体より高い投薬量を必要とし得る。SLEの症状(例えば、抗dsDNA抗体または抗β−GPI抗体(これはまた、APSまたは抗体により媒介される血栓症を罹患する個体において見られ得る))を発生させている個体は、抗dsDNA抗体のレベルが低いかまたは有さない別の個体より高い投薬量の、CD21/C3d相互作用を阻害する薬剤を必要とし得る。
【0113】
他の処方物は、当該分野において公知の適切な送達形態を包含し、これには、リポソームのようなキャリアが挙げられるが、これに限定されない。Mahatoら(1997)Pharm.Res.14:853−859。リポソーム調製物としては、サイトフェクチン(cytofectin)、多重ラメラ小胞および単層小胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
いくつかの実施形態において、1より多い薬剤(例えば、抗体)が存在し得る。この薬剤は、互いに同じかまたは異なり得る。このような薬剤は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つの、異なる抗体を含有し得る。抗CD21抗体は、B細胞表面タンパク質に対して反応性の、1つ以上の抗体(CD19、CD20、CD23、CD28、CD38、CD40、CD45、CD45R、またはCD81が挙げられるが、これらに限定されない)と混合され得る。1つの実施形態において、B細胞表面タンパク質は、B細胞の活性化またはB細胞の成熟に関与するタンパク質である。B細胞の成熟は、B細胞発達の任意の段階においてであり得る。1つの実施形態において、抗体は、活性化経路を標的化する抗体(例えば、CD19およびCD81)の混合物である。他の実施形態において、抗体は、発達の間のB細胞の特定の集団(例えば、未熟B細胞、成熟ナイーブB細胞、リンパ芽球、記憶B細胞、またはプラスマ細胞)を標的化する抗体の混合物である。なお別の実施形態において、抗CD21抗体は、B細胞の活性化および/または成熟の補助に関与する、Tリンパ球表面タンパク質と反応性の抗体と混合される。このようなタンパク質の例としては、CD40リガンド、CD152(CTLA4)、およびCD28が挙げられるが、これらに限定されない。抗体の混合物は、これらがしばしば当該分野において記載されるように、より広い範囲の個体の集団を処置する際に、特に有用であり得る。個体におけるB細胞の任意の集団が、異なる発達段階を起こしている未熟B細胞、部分的に成熟なB細胞、および成熟B細胞の混合物を含有することが、理解される。抗CD21抗体と他の抗リンパ球タンパク質との組み合わせもまた、1つのみの抗体(またはカクテルに含まれるより少ない抗体)を使用するより効果的である場合に、有用であり得る。
【0115】
いくつかの実施形態において、この方法は、薬剤(これは、抗体であり得る)を、別の治療または処置のモーダリティと組み合わせて投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、他の治療は、CD21に基づく治療以外である(すなわち、このさらなる治療は、CD21/C3d相互作用に影響を与えない)。従って、本発明は、別の処置(または治療剤)またはさらなる処置を施す工程を、さらに包含する方法を提供し、この処置としては、1つ以上のさらなる処置(治療剤)が挙げられ得る。さらなる処置(または治療剤)は、抗体により媒介される病理に対して使用される、任意のもの(薬剤または他の処置(例えば、放射線)が挙げられる)であり得る。例えば、薬剤は、1つ以上の免疫抑制剤(例えば、同じ個体に対するコルチコステロイドシクロホスファミド免疫抑制剤であって、これは、狼瘡に適切である)の投与に加えて、投与され得る。例えば、免疫抑制治療に関して、1つ以上のさらなる治療剤が投与され得、そしてこのような併用療法は、当該分野において公知である。シクロホスファミド(および他の免疫抑制剤)の投与(処方、投薬などを含む)は、当該分野において公知である。この組合せは、他の治療剤に対する必要性(例えば、より低い投与および/または投薬の頻度の観点で)(これはしばしば、ネガティブな副作用を有する)を減少させ得る。逆に、これらの結合的な治療はまた、CD21に基づく治療の保護効果に起因して、より高い投薬を可能にし得る。
【0116】
(処置の効果を評価する方法)
処置の効果の評価を、いくつかの異なるレベルで実施し得る。臨床的徴候(例えば、抗体媒介性病状(例えば、SLE、ITPまたは甲状腺炎と関連する病状)、細胞応答(例えば、抗体分泌)または1つ以上の細胞内の分子変化(例えば、B細胞活性化マーカー)をモニタリングすることによって、評価を行い得る。抗体媒介性病状の処置のための種々の測定の例は、上に議論されている。
【0117】
抗体媒介性病状(例えば、自己免疫疾患)の処置における効果の検出および測定は、一般に、自己抗原に対する自己免疫応答および/または自己免疫疾患に関連する他の症状のレベルの検出および測定に基づく。自己免疫応答のレベルは、自己抗原に対する抗体力価を反映し得る。好ましくは、自己抗原に対する抗体力価は、本発明の1つ以上の抗原を用いる処置の前の抗体力価と比較して、本発明の1つ以上の抗原を用いる処置の後に減少する。SLEの場合、抗二本鎖DNA(抗dsDNA)抗体、抗SM核抗原抗体、抗βGPI抗体(これはまた、APSまたは抗体媒介性血栓症を有する個体において見出され得る)、および/またはSLEと関連する臨床的症状(これは当該分野で公知である)の測定値が、効果の尺度として使用され得る。抗dsDNA抗体レベルの測定は、臨床的設定条件において慣用的に用いられる試験(例えば、FarrアッセイまたはELISA)によって、達成され得る。他のSLE関連症状の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:頬部発疹、円板状紅斑、蝶形紅斑、羞明、口腔潰瘍、関節炎、漿膜炎(胸膜炎および/または心膜炎)、腎臓障害(例えば、蛋白尿)、神経学的障害(例えば、痙攣または精神病)、血液障害(例えば、溶血性貧血、白血球減少症、リンパ球減少症、血小板減少症およびループス腎炎。ループス腎炎(糸球体腎炎または腎臓炎症)は、最終的には腎不全になる、腎臓機能の段階的減少により特徴付けられる。ループス腎炎は、血尿、尿排出量の減少、血液尿素窒素レベルの増加、血清クレアチンレベルの上昇、高血圧および蛋白尿により特徴付けられる。従って、これらのパラメータは、腎臓変性をモニタリングする手段としてモニタリングされ得る。
【0118】
甲状腺炎の場合、処置の効果の決定としては、以下が挙げられ得るが、これらに限定されない:甲状腺刺激ホルモンレセプターに対する抗体力価のレベルの測定、および甲状腺炎に関連する症状(慢性炎症性細胞の過剰な浸潤、濾胞破裂、好酸球増加症、種々の程度の過形成、線維症、無痛性甲状腺腫および甲状腺機能不全症が挙げられるが、これらに限定されない)の回復または緩和。
【0119】
ITPの場合、処置の効果の決定としては、血小板レベルの測定、臨床学的出血(例えば、紫斑、鼻出血、歯肉出血または月経過多)の回復、血性水疱の散逸、および下肢の点状出血が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0120】
異種移植の場合、処置の効果の決定としては、移植(すなわち、異種)組織に対する抗体力価のレベルの測定、対宿主性移植片応答の減少または排除、および当業者により決定されるような移植組織の拒絶の減少(例えば、壊死組織の減少または排除)が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0121】
APS(これはまた、抗体媒介性血栓症を含み得る)の場合、処置の効果の決定としては、抗リン脂質、カルジオリピンまたはβ−GPIに対する抗体力価のレベルの測定が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、APSに関する非限定的な症状としては、以下が挙げられる:動脈閉塞、末端壊疽、発作、心筋梗塞、他の内臓梗塞、静脈閉塞、末梢静脈閉塞、内臓静脈閉塞(例えば、バッド−キアーリ症候群、門脈閉塞)、再発性流産(recurrent fetal loss)、血小板減少症、クームズ陽性溶血性貧血、網状皮斑、神経学的異常(例えば、舞踏病、一過性虚血性発作)、心臓弁疾患、および突然多系統閉塞(sudden myltisystem occlusion)。
【0122】
重症筋無力症の場合、処置の効果の決定としては、アセチルコリンレセプターに対する抗体力価のレベルの測定、および重症筋無力症に関連する症状の回復または緩和が挙げられ得るが、これらに限定されず、この重症筋無力症に関連する症状としては、骨格筋の衰弱(歩行の際、階段を登る際または物を運ぶ際に困難を生じ得る)、疲労性、非対称性下垂症、複視、弱い首部伸筋、頭部のドローピング、表情筋および球筋の衰弱に起因する患者が笑おうとする際の顔のゆがみ(snarl)、鼻声(nasal speech)または構語障害性の音量の小さい発声障害性の声、ならびにえん下障害(これは窒息または吐出を生じ得る)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
全身性強皮症の場合、処置の効果の決定としては、核タンパク質(例えば、SS−A(Ro)、SS−B(La)、Scl−70および動原体)に対する抗体力価のレベルの測定が挙げられ得るが、これらに限定されない。さらに、全身性強皮症に関連する非限定的な症状としては、以下が挙げられる:指および手の腫大および肥厚(おそらく顔にも影響がある)、皮膚の肥厚(体幹および肘の近位の腕に影響がある)、毛髪、脂腺および汗腺の潜在的な喪失を伴う皮膚萎縮;皮膚の柔軟性の喪失;強皮症(ここで皮膚は下にある構造に強く引っ張られるかまたは結合される);ならびに特に指の制限された運動性。
【0124】
多発性筋炎の場合、処置の効果の決定としては、核タンパク質(例えば、Jo−1、ヒスタジル(histadyl)−rRNAシンテターゼ、スレオニル−RNAシンテターゼ、PM−1およびMi−2)に対する抗体力価のレベルの測定が挙げられ得るが、これらに限定されない。さらに、多発性筋炎に関連する非限定的な症状としては、主要な骨格筋の衰弱、近位筋肉の衰弱、吸引性肺炎、間質性肺疾患、軟組織石灰化、およびレーノー現象が挙げられる。
【0125】
一般に、適切な抗体力価の測定(疾患の状況に依存する)は、疾患状態および適切な投薬量をモニタリングするために適切である。本発明の目的のために、1つ以上の症状が、回復(適切な場合、事象の発率および頻度を含む)および/または遅延される。
【0126】
(キット)
本発明は、本発明の方法を実施するためのキットを提供する。従って、種々のキットが、適切なパッケージングで提供される。このキットは、本明細書中で記載される1つ以上の任意の用途のために使用され得、従って、以下の用途の任意の1つ以上のための指示書を含み得る:抗体媒介性病状の処置;抗体媒介性病状の発症の遅延。
【0127】
本発明のキットは、本明細書中で記載される因子のいずれか(例えば、抗体)を含む1つ以上の容器を備える。各成分(1つより多い成分が存在する場合)が、別個の容器にパッケージングされ得るか、または交差反応性および貯蔵寿命が許容する場合、いくつかの成分が、1対の容器中で合わされ得る。
【0128】
本発明のキットは、必要に応じて、指示書(一般的には、文書の指示書)のセットを含み得るが、本発明の方法の成分の使用に関する指示書を含む電子記憶媒体(例えば、磁気ディスケットまたは光学ディスク)もまた、受容可能である。キットと共に含まれる指示書は一般に、成分およびそれらの個体への投与に関する情報を含む。
【実施例】
【0129】
以下の実施例は、本発明を限定するのではなく例示するために示される。
【0130】
(実施例)
(実施例1.抗dsDNA抗体のレベルを減少するためのsCD21の使用)
C57/B6マウスを、3.8モルオリゴヌクレオチド/モルKLHの割合で、モデルT依存性抗原((CA)10−(TG)10から構成される20マーの二本鎖オリゴヌクレオチドに結合されたキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)(ON−KLH))を用いて、プライムした。マウスから採血し、次いで、さらなるアジュバントとしての2×10の殺傷したB.pertussis生物と共に50μgのミョウバン沈降OH−KLHを腹腔内注射することにより免疫した。14日後、マウスを、10μgのON−KLHの腹腔内注射により追加免疫した。追加免疫時に、このマウスに、300μgの可溶性CD21(sCD21;Hebellら(1991)Science 254:102)を静脈内注射し、そして300μgのsCD21を腹腔内注射した。コントロールマウスに、PBSを投与した。次の3日間の間毎日、マウスに、300μgのsCD21またはPBSを静脈内注射した。
【0131】
追加免疫の7日後に、マウスから採血し、そしてONに特異的な血清IgGレベルを、ウシ血清アルブミンに結合したONに対するELISAによって測定した。ONに対する抗体の濃度(任意単位)を、免疫したマウスの血清の標準的なプールとの比較によって決定した。表1および図1に示されるように、sCD21を用いる処置は、IgG抗ONのレベルを有意に減少した(p=0.02,Mann−Whitney U検定)。
【0132】
(表1:プライミングの後のマウスにおけるIgG抗ONレベル(u/ml、前)、および追加免疫+PBSまたはsCD21での処置の7日後のIgG抗ONレベル(u/ml、後)
【0133】
【表1】
Figure 2004529945
sCD21で処置した群の平均抗体レベルは、BSTで処置した群と比較して64%減少した。
【0134】
(実施例2.抗dsDNA抗体のレベルを減少するための抗CD21抗体の使用)
BALB/cマウスを、3.8モルオリゴヌクレオチド/モルKLHの割合で、モデルT依存性抗原((CA)10−(TG)10から構成される20マーの二本鎖オリゴヌクレオチドに結合されたキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)(ON−KLH))を用いて、プライムした。
【0135】
次いで、マウスから採血し、次いで、さらなるアジュバントとしての2×10の殺傷したB.pertussis生物と共に50μgのミョウバン沈降OH−KLHを腹腔内注射することにより免疫した。10週間後、マウスから採血し、そしてPBSまたは200μgのラットモノクローナル抗体7G6の静脈内注射により処置した。ラットモノクローナル抗体7G6(IgG2b抗マウスCD21抗体)は、Kinoshitaら(1988)J.Immunol.140:2066に記載される。24時間後、マウスを、10μgのON−KLHの腹腔内注射により追加免疫した。追加免疫の14日後に、ONに特異的なIgG抗体を、ONに対するELISAによって測定した。この実験において、マウスは、追加免疫の前に、有意なレベルのIgG抗ONを有し、従って、処置の効果を、追加免疫前および後のIgG抗ONの比を比較することによって決定した。モノクローナル抗体を用いる処置は、IgG抗ONのレベルを有意に減少した(p=0.03,Mann−Whitney U検定)。データを、表2に示し、そして図2に記載する。
【0136】
【表2】
Figure 2004529945
この抗体で処置した群の後/前の抗体レベルの比は、PBSで処置した群と比較して45%減少した。
【0137】
(実施例3A.狼瘡の自然発生モデルにおける抗dsDNA抗体のレベルを減少するための抗CD21抗体の使用)
NZB/WF1(H−2d/z)マウス系統は、狼瘡における自己免疫の発生を制御する複雑な機構を研究するための自己免疫モデルを提供する。この動物は、NZB/B1NJの雌およびNZW/LacJの雄のF1ハイブリッド子孫であり、そしてLackson Laboratory(Bar Harbor,Maine)から得られる。このマウスは、遺伝的因子により強く影響を受ける未知の起源の慢性炎症疾患を発症している。自己免疫は、高レベルの循環抗核抗体(抗二本鎖DNA抗体を含む);RNA−タンパク質複合体(例えば、RNPおよびSm)、ssDNA、Hisuトン、クロマチン、赤血球およびカルジオリピンに対する自己抗体;腎臓における沈着物との免疫複合体形成(蛋白尿を生じる);ならびに進行性糸球体腎炎、として現れる。この実験には雌性動物を使用する。なぜなら、雌性動物は、雄性動物よりもはるかに高い疾患の発生率および重篤度を有するからである(Jackson Laboratoryによると、平均寿命は、雌について約35週間であり、雄については約1年である)。
【0138】
各研究は、異なる疾患段階の動物の群を含み(以下に詳述する)、そして以下を含む:
(1)処置を受けない(生理食塩水)コントロール群、(2)アイソタイプコントロール抗体を受けるコントロール群、および(3)試験試薬を単独でかまたは互いに組み合わせて受ける試験群。
【0139】
4ヶ月齢と6ヶ月齢との間のマウスを、タンパク尿によりモニタリングされるような疾患段階に基づいて、4つの研究群に割り当てる。この疾患段階は、以下の通りである:
・疾患発症前=なし。
・1+<30mg/dl(軽い)。
・2+<100mg/dl(重篤)
・3+<100mg/dl(進行性)。
【0140】
動物を、ラットIgG2b抗マウスCD21抗体(7G6)またはラットIgG2bアイソタイプコントロール(Kinoshitaら(1990)Int.Immunol.2:651−659)で処置する。あるいは、可溶性CD21−IG融合タンパク質またはマウスIgG1コントロール(Hebell,T.ら(1991)Science 254:102−105)を使用する。シクロホスファミドもまた、全身免疫抑制のために使用し、そして抗体との相乗作用について試験する。
【0141】
各群(1群につき最低10匹のマウス)において、マウスを、以下のレジメンのうちの1つで処置する:
1.1週間に2回(3日目および7日目)の、尾静脈を介する抗CD21(500μg)。
2.1週間に2回(3日目および7日目)の、尾静脈を介するCD21−Ig(500μg)。
3.週一回(7日目)の、シクロホスファミド(1mg)の腹腔内注射。
4.1週間に2回(3日目および7日目)の、尾静脈を介するラットIgG2B(500μg)。
5.1週間に2回(3日目および7日目)の、尾静脈を介するマウスIgG1(500μg)。
6.1週間に2回(3日目および7日目)の、尾静脈を介する生理食塩水。
7.1と3との組み合わせ。
8.2と3との組み合わせ。
【0142】
処置後、抗dsDNA抗体力価および抗β2GPI抗体力価、ならびにRNA−タンパク質複合体(例えば、RNPおよびSm)、ssDNA、ヒストン、クロマチン、赤血球およびカルジオリピンに対する自己抗体の力価を測定するために、1週間に1回、マウスから採血する。蛋白尿のレベルをまた、1週間に1回評価して、自己免疫疾患の進行をモニタリングする。
【0143】
自己免疫疾患の発症または進行を決定するためにいくつかのアッセイを使用する。以下は、使用されるアッセイである:
1)抗dsDNA ELISA。動物血清における抗二本鎖DNA抗体の力価を、固相ELISAにより決定する。
2)抗RNP、抗Sm、抗ssDNA、抗ヒストン、抗クロマチン、抗赤血球および抗カルジオリピンに対する抗体の力価を、ELISAにより測定する。
3)腎臓疾患。蛋白尿を、市販のディスプティック(dipstick)(Ames Uristix;Bayer Diagnostics,カタログ番号2184,Tarrytown,NY)を使用して測定する。
4)抗β2−糖タンパク質I(β2GPI)ELISA。β2GPIに対する抗体の力価を、固相ELISAを使用して測定する。
5)生存期間。実験用マウスの生存率を、モニタリングする。
【0144】
(実施例3B.抗CD21抗体を使用する動物の研究)
60匹の雌性(NZB)×(NZW)F1マウスを、18週齢で採血し、そして二本鎖(ds)DNAに対する血清抗体の力価を、基質としてサケ精子DNA(Calbiochem,San Diego,DA)を使用する標準的なELISAアッセイによって測定した。マウスを、各群が比較可能な血清抗DNA抗体レベルを有するマウスを含むように、13〜15匹の4つの群に無作為化した。次いで、これらの動物に対して、以下の4つの処置レジメンのうちの1つを開始した:
A)処置なし。
B)1週間に1回(3日目)、40mg/kgで、一回の腹腔内注射としての滅菌リン酸緩衝化生理食塩中のシクロホスファミドの投与。
C)1週間に1回(7日目)、250μgで、1回の腹腔内注射としての滅菌リン酸緩衝化生理食塩水中のラットIgG2bκ抗マウスCD21 mAb 7G6の投与。
D)指定された用量での、シクロホスファミド(3日目)および7G6(7日目)の両方の腹腔内投与。
【0145】
処置を、18週齢と36週齢との間でのみ実施した。この時間の間、マウスを、2週間に1回分析して、体重、蛋白尿レベル、ヘマトクリットおよび血清抗dsDNA抗体濃度を決定した。さらに、動物を、窮迫の徴候について毎日モニタリングし、そして瀕死の動物を安楽死させた。
【0146】
生存期間に対する各処置の影響を、Kaplan−Meierプロットに示す(図4)。処置なしと比較した場合、抗CD21 mABのみの注射は、生存期間を延長せず、一方、免疫抑制剤のシクロホスファミドは、延長した。生存期間の延長に対する最も目立った影響を、シクロホスファミドおよびmAb 7G6の両方を投与した動物の群において観察した。
【0147】
コントロールマウス(処置なし)またはシクロホスファミドのみで処置したマウスと比較した場合、抗dsDNA抗体の全濃度に対する抗CD21(7G6)処置の効果は、(単独で投与してもシクロホスファミドと組み合わせて投与しても)、なかった。
【0148】
(実施例4.モノクローナル抗CD21抗体7G6を使用するα1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼノックアウトマウスにおけるgal α1−3galに対する抗体の抑制)
α1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼノックアウトマウス(Thallら、J.Biol.Chem.(1995)270:21437−21440)(GaIT KO)は、Galα1−3Galジサッカリド(digal)を合成することができず、そしてそれ自体は、末端Galα1−3Galエピトープを認識する抗体を自発的に形成するという点で、ヒト、類人猿およびOld Worldモンキーと類似している。ヒトにおける天然の抗Galα1−3Gal抗体は、異種移植に対して有意なバリアを示し、異種移植片の超急性拒絶反応を生じる。従って、GalT KOマウスモデルは、天然の抗Galα1−3Gal抗体の投与の可能な方法を試験するための非常に有用な系である(Yangら、J.Exp.Med.(1998)187:1335−1342)。
【0149】
この実験の目的は、CD21に特異的なモノクローナル抗体7G6を用いるGalT KOマウスの処置が、Galα1−3Galジサッカリドの供給源であるウサギ赤血球での免疫に応答して、抗Galα1−3抗体の誘発を防止するか否かを決定することであった。
【0150】
GalT KOマウスを、John Lowe(University of Michigan)から得た。マウス(11週齢、1群につき10匹)を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中の7G6(600μg)またはPBSのみの腹腔内注射によって処置した。1日後、マウスを、1×10のウサギ赤血球の腹腔内注射により免疫した。8日後、動物から採血し、血清サンプルを、抗digal抗体について、ELISAによってアッセイした。免疫アッセイプレート(Costar#3590)を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中5μg/mlにて、4℃で一晩、100μl/ウェルdigal−ウシ血清アルブミン(BSA−digal)で被覆した。プレートを、PBSで洗浄し、残留したタンパク質結合部位を、250μl/ウェルのPBS中5%の脱脂粉乳で、4℃で一晩ブロックした。血清サンプルを、0.5%BSA(HBSA)を含有するハンクス平衡塩溶液(HBSS)中に希釈した。ブロックしたプレートを、PBS−0.1%Tween20で洗浄し、そして50μlの血清サンプル希釈物を添加した。プレートを、室温で1時間インキュベートした。プレートを、PBS−0.1%Tween20で洗浄した。アルカリホスファターゼ結合ヤギ抗マウスIgGまたはIgM(Jackson#115−055−146または115−055−075,HBSA中1/1000)を添加し(100μl/ウェル)、そしてプレートを、室温で1時間インキュベートした。プレートを、PBS−0.1%Tween20で洗浄した。フェノールフタレインモノホスフェート(蒸留水中1:26、1ウェルあたり100μl)を添加し、そしてこのプレートを、室温でインキュベートした。インキュベーションの10分後および30分後に、光学密度を、PowerWave 340マイクロプレート分光光度計で550nmで読みとった。
【0151】
抗digal抗体の血清レベル(任意単位/ml)を、ウサギ赤血球で免役したGalT KOマウスからプールした血清を使用して作成した標準曲線と比較することによって、決定した。
【0152】
血清抗digal抗体のレベルを、Statviewを使用して、スチューデントt検定によって分析した。IgM抗digal抗体およびIgG抗digal抗体は、偽薬で処置した動物と比較して、7G6で処置した動物において有意に減少した(IgM、p=0.0085、IgG、p=0.0146、Mann−Whitney U検定)。7G6での処置は、RRBC免疫により刺激される抗digal抗体の増加をブロックした。これらの実験の結果を、表3および図3にまとめる。
【0153】
(表3:コントロールマウスおよび抗CD21で処置したマウスにおけるIgM抗digalおよびIgG抗digalのレベル)
【0154】
【表3】
Figure 2004529945
PBS処置した群と比較して、抗体処置した群におけるIgM抗digal抗体レベルにおいて65%の減少が存在した。PBS処置した群と比較して、抗体処置した群におけるIgG抗digal抗体レベルにおいて69%の減少が存在した。
【0155】
(実施例5 自己免疫甲状腺炎の自然発生モデルにおける抗CD21抗体の使用)
NOD.H−2h4マウス株は、飲用水中のヨウ化ナトリウムを受けた後に、自発的自己免疫甲状腺炎を発症する。自己免疫甲状腺炎の発症には、マウスサイログロブリンに対する抗体レベルの増加が伴う(Braley−Mullen,H.およびYu,S.(2000)J.Immunol.165:7265−7269)。
【0156】
動物を、飲用水中のヨウ化ナトリウムの導入によって甲状腺炎を発症するように誘導し、次いで7G6ラットIgG2b抗マウスCD21抗体またはラットIgG2bアイソタイプコントロールで処置する(Kinoshitaら、1990 Int.Immunol.2:651−659)。
【0157】
処置プロトコル:
各研究は、以下を含む動物群からなる:
(a)処置を受けないコントロール群(生理食塩水)。
(b)アイソタイプコントロール抗体を受けるコントロール群。
(c)7G6抗CD21を受ける試験群。
【0158】
8週齢にて、マウスは、甲状腺炎を誘導するために、その飲用水中0.05%のヨウ化ナトリウムを受ける。最初の実験において、マウスの処置は、8週齢(すなわち、疾患の発症前)にて開始する。処置レジメンは、以下に詳述する。血液サンプルを、16週齢で収集し、そしてサイログロブリンに対する抗体についてアッセイする。飲用水中へのヨウ化ナトリウムの導入の8週間後、マウスを屠殺し、そして甲状腺組織を組織学的評価のために収集する。甲状腺の病変は、NOD.H−2h4マウスにおいて、飲用水中へのヨウ化ナトリウムの導入の7〜9週間後に最大の重篤度に達する。
【0159】
後の実験において、マウスの処置は、16週齢(すなわち、疾患の発症後)にて開始する。マウスを、以下に記載のレジメンを使用して、4週間にわたって処置する。次いで、血液サンプルを収集して、抗サイログロブリン抗体のレベルを決定する。マウスを屠殺し、そして甲状腺組織を組織学的評価のために収集する。
【0160】
各群において、マウスを以下のレジメンの1つを用いて処置する:
1.一週間に二回(3日目および7日目)、尾部静脈を介した抗CD21抗体500μg。
2.一週間に二回(3日目および7日目)、尾部静脈を介したラットIgG2b抗体500μg。
3.一週間に二回(3日目および7日目)、尾部静脈を介した生理食塩水。
【0161】
1群当たり最少10匹のマウスを評価する。追跡アッセイを使用して、甲状腺炎の発症を追跡する:
1.抗サイログロブリンELISA。動物血清中の抗サイログロブリン抗体の力価を、固相ELISAを使用して決定する。
2.甲状腺病理を、組織化学によって決定する。甲状腺小胞に対する損傷を、単核球細胞による浸潤の程度を測定することによって定量する。
【0162】
(実施例6 モノクローナル抗体2B12の産生)
Balb/cJのメスを、Immuneasyアジュバント(Qiagen、Valencia、CA)中の10μgの可溶性ヒトCD21(ドメイン1−2)−Ig融合タンパク質(Hebell,T.ら、(1991)Science 254:102−105)を用いて、筋内(i.m.)でプライムした。2週間後、マウスを同じ抗原とアジュバントとの組み合わせで追加免疫した。6週間後、マウスを、滅菌PBS中の50μgのsCD21(1−2)−Igを用いて静脈内(i.v.)で追加免疫した。3日後、マウスを屠殺し、そして脾臓細胞を、標準的な手順によって、マウス骨髄腫細胞株SP2/0と融合させた。選択の2週間後、ハイブリドーマ上清を、sCD21(1−2)−Igを用いる直接的ELISAによって最初にスクリーニングし、次いで、実施例7〜11に記載の方法によってスクリーニングした。
【0163】
(実施例7 mAb 2B12による、CD21/C3d相互作用の破壊)
(BSAミクロスフェアまたはC3dミクロスフェアのコーティング)
1μmのカルボキシル化改変蛍光ミクロスフェア(#F8823、Molecular Probes、Eugene、OR)の上清約1.5×1010に等しい容積を、5000×gで5分間ペレット化し、1mlの50mM MES(pH7.0(2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸))で1回洗浄し、そして0.5mlの50mM MES中に再懸濁した。この上清に、各2mgのEDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドHCl、Pierce #22980)およびスルホ−NHS(N−ヒドロキシスルホスクシンイミド Pierce #24510)を添加し、そしてサンプルを、暗中にて、室温で20分間回転させた。活性化ミクロスフェア懸濁物を、5000×gで5分間遠心分離し、そして1mlの50mM MES(pH7.0)で3回洗浄した。次いで、1容積の活性化ミクロスフェア懸濁物を、2容積のPBS中1mg/mlタンパク質のC3dまたはBSAのいずれかに添加し、そして暗中にて、室温で2時間回転させた。ミクロスフェアを再び遠心分離し、そして50mM MES(pH7.0)で3回洗浄した。C3dまたはBSAでコーティングされたミクロスフェアを、1%BSAおよび0.01%NaNを含む50mM HEPES(pH7.4)中に、4×10/mlで最終的に再懸濁し、4℃で保存した。
【0164】
(Raji細胞−C3dミクロスフェア結合アッセイ)
CD21ヒトバーキットリンパ髄腫細胞株Raji(ATCC #CCL86)の細胞を、培養物から収集し、そしてPFN(1%(v/v)ウシ胎仔血清(FBS:Gibco BRL、Gaithersburg、MD)およびCD21表面改変を防止するための0.01%(w/v)のアジ化ナトリウムを含むPBS)で洗浄した。細胞を、PFN中で10/mlで再懸濁し、そして200μ1/サンプルを、FACSチューブ中に分割した。マウス抗ヒトCD21 mAb 2B12を、50μLのPFNに添加した(予備実験において決定されたように、30〜50ng)。コントロールチューブは、抗体を含まないかまたは30〜50ngのマウス抗ヒトCD21 mAb HB5(BD Pharmingen、La Jolla、CA)(これは、CD21のドメイン3〜4上のエピトープを認識し、そしてC3d結合に対する軽微な影響を有する)を含むかのいずれかであった。チューブを、4℃で15分間インキュベートした。次いで、BSAまたはC3dでコーティングした1μmの蛍光ミクロスフェアを細胞に添加して、Raji細胞当たり、25、50または100のミクロスフェアの最終的な比率を得た。添加したミクロスフェアの総容積は、20μLであった。チューブを、短時間ボルテックスして、室温で20分間インキュベートした。PFNを添加して、最終容積を500μLにし、次いでサンプルをボルテックスして、FACSCaliburフローサイトメータで室温にて分析した。Raji−ミクロスフェア結合体を、異なる数のミクロスフェアに結合した細胞を示す一連のピークとして、FL3において同定した。結果の定量的分析のために、マーカーをヒストグラム上にセットして、第一のピークをこの分析から排除した。
【0165】
以下の表は、mAb 2B12の存在下または非存在下で、種々のミクロスフェア:細胞の比にて、C3dまたはBSAでコーティングされたビーズに結合したRaji細胞の割合の代表的データを示す。
【0166】
mAb 2B12の添加が、Raji細胞に対するC3d特異的結合を完全に阻害することが見出され得る。特により低いミクロスフェア:細胞の比率での、mAb HB5による小さい程度の阻害が、観察された。
【0167】
【表4】
Figure 2004529945
Figure 2004529945
%結合細胞は、マーカーM1内の細胞の%である。
**%阻害=100×[(Ab無しのM1中の細胞の%)−(Ab有りのM1中の細胞の%)/Ab無しのM1中の細胞の%]
(実施例8 直接的ELISAによる、可溶性組換えヒトCD21タンパク質ドメインに対する2B12結合の検出)
マイクロタイターウェルを、組換え可溶性CD21(1−2)−Ig融合タンパク質(Hebell前出)または組換え可溶性CD21(1−4)−hisで、5μg/mlにて、4℃で一晩コーティングした。組換え可溶性CD21(1−4)−hisを、以下のように作成した:
シグナルペプチドおよびヒトCD21の最初の4個のアミノ末端タンパク質ドメインをコードするcDNAを含むフラグメントを、標準的な方法を使用して、ヒト脾臓総RNA(Clontech、Palo Alto、CA)からPCRによって増幅した。この増幅プライマーは、
【0168】
【数1】
Figure 2004529945
であった。逆方向プライマーは、(His)精製タグ、その後の終止コドン、およびSacI制限部位をコードする。順方向プライマーは、BglII制限部位をコードする。増幅されたフラグメントを、pCR2.1−TOPO(登録商標)プラスミドベクター中に、製造業者(Invitrogen、Carlsbad、CA)の指示に従ってクローニングした。クローニングしたフラグメントの核酸配列(配列番号3)を、Retrogenプライマー伸長配列決定サービス(San Diego、CA)を使用して確認した。CD21コード配列は、小文字で示す;増幅プライマー配列は、大文字で示す;BglII制限部位およびSacI制限部位には下線を付す。
【0169】
【数2】
Figure 2004529945

【0170】
クローニングした核酸配列(配列番号4)は、以下のCD21配列をコードするオープンリーディングフレームを含む。推定シグナルペプチドおよび(His)精製タグに下線を付す。
【0171】
【数3】
Figure 2004529945

【0172】
配列番号3における制限フラグメントを、BglIIおよびSacI制限エンドヌクレアーゼを使用して、pCR2.1−TOPOから遊離させ、そして標準的な技術を使用して、発現ベクターpBacPAK8(Clontech、Palo Alto、CA)(これは、同じ制限エンドヌクレアーゼによって線状化されていた)にサブクローニングした。得られた発現プラスミド(CD21SCRI−4)中のCD21フラグメントの核酸配列を、Retrogenプライマー伸長配列決定サービス(San Diego、CA)を使用して確認した。
【0173】
CD21SCR1−4を、BaculoPlatinumTM同時トランスフェクションベクター(Orbigen、San Diego、CA)を、製造業者の指示に従って使用して、Sf9昆虫細胞中にトランスフェクションした。ウイルス粒子を収集し、そして高力価のストックを、標準的な方法に従うSf9細胞の再感染によって生成した。組換えタンパク質SCD21(1−4)−hisを、高力価ウイルスによるTN5昆虫細胞の感染、その後の約50時間のインキュベーションによって生成した。組換えsCD21(1−4)−hisタンパク質を、製造業者の指示に従って、Ni−NTAアガロース(QIAGEN、Valencia、CA)でのニッケルキレート化クロマトグラフィーによって収集した。さらなる詳細は、Prodinger WMら、Immunopharmacology(1997)39:141−8中に提供される。
【0174】
比較コントロールは、マウスIgGλ(Ig融合パートナーのアイソタイプ)または代替のhisタグ組換えタンパク質でコーティングしたウェルである。1% BSA/PBS溶液での1時間のブロッキング後、ウェルを洗浄し、試験抗体を二連で添加して、そしてプレートを室温で1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、そして室温で30分間二次ヤギ抗マウスIgκ−アルカリホスファターゼ抗体をウェルに添加した。プレートを洗浄し、そしてフェノールフタレインモノホスフェート基質(PPMP)中で発色させた。
【0175】
代表的なODの結果は、以下である:
【0176】
【表5】
Figure 2004529945
(実施例9 細胞ELISAにより検出される、Raji細胞に対する2B12の結合)
Raji細胞を、HFN(1%(v/v)のFBSおよび0.05%(w/v)のNaNを含むHanks Balanced Salt Solution(HBSS))で1回洗浄し、そしてマイクロタイターウェルに分割した。全ての工程を、4℃で実行した。プレートを遠心し、そして上清を除去した。試験抗体をウェルに添加し、このプレートを攪拌し、そして30分間インキュベートした。次いで、細胞を、4サイクルのHFNの添加、その後の遠心および上清除去によって洗浄した。二次アルカリホスファターゼ結合体化ヤギ抗マウスIgG(Jackson ImmunoResearch、West Grove、PA)をHFN中に添加し、プレートを攪拌し、そして30分間インキュベートした。細胞を、上記のように再び洗浄した。PPMP基質溶液を30分間添加し、その後、プレートを550nmで読み取って、ODを決定した。
【0177】
代表的なODの結果は、以下であった:
Figure 2004529945
【0178】
(実施例10 フローサイトメータによって検出される、Raji細胞に対する2B12の結合)
Raji細胞を、冷PFN(1%FBSおよび0.1%NaNを含むPBS)で洗浄し、2×10/サンプルでFACSチューブに分割した。試験サンプル(例えば、ハイブリドーマ上清、精製mAb)を細胞に添加し、混合し、そして4℃で20分間インキュベートした。細胞をPFNで洗浄し、そして二次蛍光団結合体化Ab(例えば、ヤギ抗マウスIgG(H+L)−FITC Jackson ImmunoResearch、West Grove、PA)を添加した。細胞を再び4℃で20分間インキュベートし、次いで洗浄した。死んだ細胞を、ヨウ化プロピジウムの添加によってフローサイトメトリー分析から除外して、PFN中最終濃度2μg/mlにした。次いで、細胞をFACSCaliburで分析し、染色強度をMFIにより測定した。代表的な結果を、以下に示す:
Figure 2004529945
Ortho Diagnostics(Raritan、NJ)製のOKB7
**BioSource International(Camarillo、CA)製のBE−5
*** BD Pharmingen(La Jolla、CA)製のHB5。
【0179】
(実施例11 2B12による、Raji細胞からのCD21の免疫沈降)
ヒトBリンパ芽球株Rajiの細胞を、表面ビオチン化し、そして界面活性剤含有緩衝液で可溶化した。細胞溶解物を、骨髄腫細胞株SP2/0由来の培養物上清(ネガティブコントロール)またはハイブリドーマHB5由来の培養物上清(マウス抗ヒトCD21ドメイン3〜4)もしくは試験ハイブリドーマ2B12由来の培養物上清と共にインキュベートした。続いて、これらの溶解物をウサギ抗マウスポリクローナル抗体と共にインキュベートし、その後、プロテインA保有殺傷Staph.aureus生物(PansorbinTM)と共にインキュベートして、免疫複合体を収集した。これらの一次免疫沈降由来のペレットを、SDS−PAGEによって分離し、メンブレンに移し、ペルオキシダーゼ結合体化ストレプトアビジンで発色させ、そして化学発光によって明らかにした。
【0180】
既知の抗CD21 mAbおよび試験2B12抗体が同じ分子を認識することを実証するために、一次免疫沈降由来の上清を、各々3つの部分に分けて、同じ抗体を用いる二回目の免疫沈降に供した。
【0181】
この実験の結果は、mAb 2B12が、mAb HB5と同じ分子を認識することを明確に実証した。第一に、これらは共に、約140kDの同様の大きさの分子を直接的に免疫沈降させた。第二に、mAb HB5によってCD21が除去された上清はまた、mAb 2B12により認識される分子が除去されている。逆に、2B12により認識される分子が除去された上清はまた、HB5によって免疫沈降されたCD21が除去されている。従って、mAb HB5および2B12は、両方とも、Raji細胞からCD21を免疫沈降させる。
【0182】
上記の発明を、例示ならびに明確さおよび理解の目的のための例として、いくらか詳細に記載してきたが、特定の変化および改変が実行され得ることは、当業者に明らかである。従って、説明および実施例は、特許請求の範囲によって示される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0183】
【表6】
Figure 2004529945

【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】図1は、プライミングの14日後、かつ追加免疫+PBS(コントロール動物)または可溶性CD21(sCD21、実験動物)のいずれかで処置した7日後のマウスにおけるIgG抗オリゴヌクレオチド(ON)レベルを示す。
【図2】図2は、追加免疫+PBS(コントロール動物)または抗CD21モノクローナル抗体7G6(mAb;実験動物)のいずれかで処置した14日後のマウスにおけるIgG抗オリゴヌクレオチド(ON)レベルを示す。
【図3】図3は、コントロール(PBS)および抗CD21(mAb 7G6)処置したマウスにおけるIgMおよびIgG抗Galα1−3 Gal ジサッカリド(すなわち、digal)の平均レベルを示す(±1の標準偏差、すなわち、s.d.)。
【図4】図4は、シクロホスファミド、ラット抗マウス7G6またはこれら両方で処置したNZB×NZW(Fl)マウスの生存結果を示すKaplan−Meierプロットである。

Claims (20)

  1. 抗体媒介性病理に罹患している個体を処置するための方法であって、該方法は、有効量の、CD21に対するC3dの結合を妨害する薬剤を該個体に投与し、それによって該抗体媒介性病理の症状を緩和する工程を包含する、方法。
  2. 前記抗体媒介性病理が、自己免疫疾患である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記自己免疫疾患が、全身性エリテマトーデスである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記抗体媒介性病理が、異種移植片拒絶である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記抗体媒介性病理が、甲状腺炎である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記薬剤が、C3dが結合するCD21の領域に特異的に結合する抗体である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記領域が、短いコンセンサス領域1および短いコンセンサス領域2を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記領域が、短いコンセンサス領域1またはその一部を含む、請求項6に記載の方法。
  9. 前記領域が、短いコンセンサス領域2またはその一部を含む、請求項6に記載の方法。
  10. 前記薬剤が抗体である、請求項1に記載の方法。
  11. 個体における抗体媒介性病理に関連する症状の発症を遅延させるための方法であって、該方法は、有効量のCD21に対するC3dの結合を妨害する薬剤を該個体に投与する工程を包含し、ここで、該抗体媒介性病理の症状の発症が遅延される、方法。
  12. 前記抗体媒介性病理が、自己免疫疾患である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記自己免疫疾患が、全身性エリテマトーデスである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記抗体媒介性病理が、異種移植片拒絶である、請求項11に記載の方法。
  15. 前記抗体媒介性病理が、甲状腺炎である、請求項11に記載の方法。
  16. 前記薬剤が、C3dが結合するCD21の領域に特異的に結合する抗体である、請求項11に記載の方法。
  17. 前記領域が、短いコンセンサス領域1および短いコンセンサス領域2を含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記領域が、短いコンセンサス領域1またはその一部を含む、請求項16に記載の方法。
  19. 前記領域が、短いコンセンサス領域2またはその一部を含む、請求項16に記載の方法。
  20. 前記薬剤が抗体である、請求項11に記載の方法。
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