JP2004529849A - 扁平上皮癌に対する特異的モノクローナル抗体の同定と開発 - Google Patents
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Abstract
本発明は、肺癌、食道癌および子宮頸癌などの扁平上皮癌抗原に選択性の高いモノクローナル抗体、抗体フラグメントおよび抗体コンジュゲートに関する。本発明は、本発明の新規抗体を使用して、患者の生物学的サンプル中の扁平上皮癌抗原の発現を検出することによる診断または予後のin vivoおよびin vitro両方の臨床的スクリーニング法に関する。本発明はさらに、上記のスクリーニング方法を実施するためのキットを提供する。さらに、抗体コンジュゲートは、抗腫瘍作用を有する種々の薬剤を効果的に送達するのに用いることができる。本発明の抗体を、腫瘍細胞へのADCCをターゲットとして、結合していない形態で患者に投与することもできる。
Description
【0001】
1.緒言
本発明は、肺癌、食道癌および子宮頸癌を含む扁平上皮癌抗原に高度の選択性を示す新規抗体、抗体フラグメントおよび抗体コンジュゲートに関する。本発明は、本発明の新規抗体を使用して、患者の生物学的サンプル中の扁平上皮癌抗原の発現を検出することによる診断または予後のin vivoおよびin vitro両方の臨床的スクリーニング法に関する。本発明はさらに、上記のスクリーニング方法を実施するためのキットを提供する。かかるキットは、診断、予見または予後の癌の指標として扁平上皮癌抗原の発現について患者をスクリーニングするために使用することができる。さらに、抗体コンジュゲートは、抗腫瘍作用を有する種々の薬剤、非限定的な例としては抗癌剤、毒物、免疫応答調節剤、放射性同位元素などを効果的に送達するのに用いることができる。免疫応答調節剤はまた、融合タンパク質の形で提供され得、放射性同位元素はまた、単鎖のFv鎖構築物に結合されて送達され得る。腫瘍細胞へのADCCをターゲットとして、本発明の抗体を結合していない形態で患者に投与することもできる。
【0002】
2.発明の背景
肺癌は多くの人が患う一般的な悪性腫瘍のうちの1つである。腫瘍と診断されれば、全身的な予後は悪く、5年生存率はわずか13%である。しかし、肺癌の早期の検出および治療は5年の生存率を著しく改善することができる。疾患が早期に検出され、外科的切除が可能であれば、5年の生存率は40%まで増加する。肺癌の発生危険率の高い者については、集中的なモニタリングは疾患の発症の減少には効果がなく、気管支の正常細胞においてトランスフォーメーション最初に生じる時を疾患の早期段階と定義することはある意味不可能であることが分かってきた。
【0003】
腫瘍を関連する抗原へのモノクローナル抗体は、癌の診断、および腫瘍部位に、放射性同位元素、化学抗癌剤および毒素などの様々な抗腫瘍剤をターゲティングすることに有用な試薬を提供する。癌関連抗原に反応する多くのモノクローナル抗体が知られている。既知の抗体は、糖タンパク質(炭水化物部分に結合する場合が大部分である)を含む種々の癌関連抗原に結合する例えば、特定のタイプの癌の糖タンパク質抗原に結合するモノクローナル抗体は、米国特許第4,737,579号、米国特許第4,753,894号、4,579,827号、および米国特許第4,713,352号に記載されている。
【0004】
扁平上皮癌の場合、血清などの循環系の体液または気管支分泌物中に、多くの腫瘍細胞の糖タンパク質が循環されるので、モノクローナル抗体を使用してELISAで循環する抗原を検出できることは早期検出への可能なアプローチである。PSAおよびCEAなどの腫瘍マーカーの検出は、このアプローチである。例として、の気管支洗浄液の上清を、循環する抗原が上清液中に存在する気管支上皮の形質転換細胞の早期検出に使用し得る。現在のところ、痰サンプル中の所定の腫瘍細胞を調べるために設計されたアッセイは、正常扁平上皮細胞と異常な扁平上皮細胞とを区別するモノクローナル抗体は未だないため、効果的ではなく、悪性度の表現型の変化の前に遺伝的に変化した細胞が検出されることがわかった。
【0005】
多くの研究は、非特異的で、全てではないがほとんどの上皮細胞と反応するサイトケラチン(cytokeratin)抗体などの上皮細胞マーカーを使用してきた。したがって、より優れたモノクローナル抗体に基づく診断および予後のマーカー、および臨床的に肺癌を特定するために用いるためのより感度の高い試験が必要である。理想的なモノクローナル抗体は、疾患が臨床的には明らかでない早期段階で、特異的腫瘍抗原の発現を検出するものである。モノクローナル抗体によって特定される腫瘍抗原は、細胞の表面に発現される特異的な腫瘍抗原に対する免疫治療の標的としても用いることができる。かかる抗体はまた、予後の値に基づいて、疾患の異なる段階において発現されるか、または機能するマーカー、すなわち、e−カフェリン(e−capherin)、増殖因子または受容体などを同定することができる。
【0006】
3.発明の概要
本発明は、扁平上皮癌に選択性の高いモノクローナル抗体、抗体フラグメントおよび抗体コンジュゲートに関する。さらに詳細には、本発明の新規抗体、抗体フラグメントおよび抗体コンジュゲートは、扁平上皮癌上に認められる細胞膜抗原に結合するが、正常細胞または他の型の癌とは反応しないか、するとしてもわずかである。本発明は、扁平上皮癌に選択性の高いモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株ハイブリドーマにも関する。
【0007】
本発明の他の実施形態においては、本発明の抗体は、扁平上皮癌を検出するために設計されたin vivoもしくはin vitroの診断または予後の診断方法に用いることができる。例えば、抗体は、ヒトの肺、子宮頸部または他の組織における悪性症状の存在を検出するように設計された方法に用いることができる。サンプル中に存在し得る他の細胞型から扁平上皮癌細胞を識別できる本発明の抗体と、組織を接触させればよい。抗体が細胞に結合できる条件下で接触させると、標本の細胞への抗体の結合の存否が検出できる。さらなる診断方法は、検出可能なシグナルを有する薬剤で標識した本発明の精製抗体または抗体フラグメントを被験者に投与して生体内での腫瘍の位置を診断する方法である。腫瘍の位置は、体外シントグラフィー(external scintography)、放射断層撮影法あるいは放射核スキャニングを使用して検出される。
【0008】
本発明はさらに、例えば、腫瘍細胞と反応する本発明の抗体の治療用途にも関する。例えば、抗癌剤、毒素、免疫応答調節剤、酵素および放射性同位元素を含む種々の抗腫瘍作用を有する薬剤の標的選択的キャリアとして働く新規抗体コンジュゲートを使用することができる。
【0009】
あるいはまた、モノクローナル抗体は改変されずに、すなわち、コンジュゲートした形態ではなくても、扁平上皮癌の患者の治療に用いることができる。本発明の抗体は、特にヒトのリンパ細胞、マクロファージおよび補体の存在下での癌細胞をターゲティングして溶解させることができる抗体依存的細胞傷害性(ADCC)をメディエートするのに特に適している。
【0010】
本発明は、本発明の抗体によって特定される抗原も含む。さらに、扁平上皮癌に対して免疫接種されるワクチンとして、抗体によって特定される、精製されまたはクローン化された抗原を使用する方法も包含する。
【0011】
4.図面の簡単な説明
図面の簡単な説明については、後述する。
【0012】
5.発明の説明
本発明は、扁平上皮癌に特異性の高い新規モノクローナル抗体に関する。より具体的には、正常組織とは反応しないかまたはしてもわずかにしか反応しないが、肺および子宮頸部の扁平上皮癌と特異的に反応する抗体に関する。係る抗体には、設計されたAD6、5C6、AD7およびAH11が含まれる。ELISAと免疫蛍光分析を使用して分析すると、4種の抗体はすべて肺癌抗原およびヒト肺癌細胞株に対する反応性を有している。さらに、該抗体は強いADCCおよび免疫組織化学反応性を示す。
【0013】
5. 1. 扁平上皮癌特異的抗体
本発明は、正常なヒトの組織と全くまたはほとんど反応性を示さない肺および子宮頸部の扁平上皮癌に特異性の高い新規抗体に関する。本発明の新規抗体は、AD6、5C6、AD7およびAH1である。設計された抗体を用いて、それに結合する抗原を単離および解析することができる。したがって、抗体は、これが反応する細胞表面糖タンパク質の同定、単離および/または解析に用いることができる。
【0014】
本明細書中に使用する用語「AD6抗体」は、完全な欠失部分のないポリクローナル抗体、およびハイブリドーマATCCPTA−2460によって産生されるマウスAD6モノクローナル抗体のような、完全な欠失部分のないモノクローナル抗体、およびAD6抗体と同じ抗原決定基に結合し得るキメラ抗体分子を含む。上記AD6抗体は、Fab、F(ab’)、Fvフラグメントなどの、抗体の抗原結合領域を含有する抗体フラグメントを含む。AD6抗体はさらに融合タンパク質も含む。
【0015】
本明細書中に使用する用語「5C6抗体」は、完全な欠失部分のないポリクローナル抗体、およびハイブリドーマATCCPTA−2458によって産生されるマウス5C6モノクローナル抗体のような、完全な欠失部分のないモノクローナル抗体、および5C6抗体と同じ抗原決定基に結合し得るキメラ抗体分子を含む。上記5C6抗体は、Fab、F(ab’)、Fvフラグメントなどの、抗体の抗原結合領域を含有する抗体フラグメントを含む。5C6抗体はさらに融合タンパク質も含む。
【0016】
本明細書中に使用する用語「AD7抗体」は、完全な、欠失部分のないポリクローナル抗体、およびハイブリドーマATCCPTA−2459によって産生されるマウスAD7モノクローナル抗体のような、完全な欠失部分のないモノクローナル抗体、およびAD7抗体と同じ抗原決定基に結合し得るキメラ抗体分子を含む。上記AD7抗体は、Fab、F(ab’)、Fvフラグメントなどの、抗体の抗原結合領域を含有する抗体フラグメントを含む。AD7抗体はさらに融合タンパク質も含む。
【0017】
本明細書中に使用する用語「AH1抗体」は、完全な欠失部分のないポリクローナル抗体、およびハイブリドーマATCCPTA−2457によって産生されるマウスAH1モノクローナル抗体のような、完全な欠失部分のないモノクローナル抗体、およびAH1抗体と同じ抗原決定基に結合し得るキメラ抗体分子を含む。上記AH1抗体は、Fab、F(ab’)、Fvフラグメントなどの、抗体の抗原結合領域を含有する抗体フラグメントを含む。AH1抗体はさらに融合タンパク質も含む。
【0018】
本発明はさらに、扁平上皮癌細胞表面抗原に特異的な抗体を産生し得るハイブリドーマ細胞株を含む。かかるハイブリドーマ細胞株は、限定はされないが、ハイブリドーマATCC PTA−2457、ハイブリドーマ ATCC PTA−2459、ハイブリドーマATCC PTA−24S8、およびハイブリドーマATCCPTA−2460などである。
【0019】
本発明のAD6、5C6、AD7およびAH1などの扁平上皮癌細胞表面抗原に特異的な抗体を産生するマウスハイブリドーマは、マウスの融合パートナーの細胞(SP2/0など)と扁平上皮癌細胞表面抗原で免疫したマウスから単離した脾臓細胞とを融合することにより作製する。マウスの免疫は、対照とする抗原を非精製または粗精製な状態で含む調製物で行ってもよい。マウスの免疫は、種々の慣用技術にしたがって行えばよい。例えば、マウスに、抗原調調製物を、初回免疫と追加免疫をする。
【0020】
本発明のモノクローナル抗体は、培養中の継代細胞株により抗体分子を産生させる任意の技法によって得ることができる。これらは、限定はしないが、例えば、KohlerおよびMilstein(1975. Nature 256:495−497; および米国特許第4,376,1 10号) に記載のハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosborら、1983, Immunology Today 4:72; Coleら、1983, P,roc. Natl Acad. Sci, USA 80:2026−2030), EBV−ハイブリドーマ技術(Cole ら、1985. Monoclonal Antibodies Acad Cancer Therapy. Alan R. Liss, Lnc., pp. 77−96)などである。かかる抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDおよびこれらのあらゆるサブクラスを含む、いかなる免疫グロブリンクラスであってもよい。モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、in vitroまたはin vivoで培養することができる。in vivoで高力価のモノクローナル抗体を産生することが好ましい。
【0021】
さらに、適切な抗原特異性を有するマウス抗体分子から得られた遺伝子と適切な生物学的活性を有するヒト抗体分子から得られた遺伝子と一緒にしてスプライシングさせることによる、「キメラ抗体」の生産のために開発された技術を用いることができる(Morrisonら、1984, Proc. Natl. Acad. Sci., 81 :685 1−6855; Neubergerら、1984, Nature. 312: 604−608; Takeda ら、1 985, Nature 314: 452−454)。Fell ら(1989, 30 Proc. Natl. Acad. Sci., 86:8507−8511)に記載の2段階相同組換え法を用いてキメラ抗体を作製することもできる。あるいは、ヒト化抗体作製のために開発された技術(米国特許第. 5,585,089号)または一本鎖抗体(米国特許第4,946,778号、Bird, 1988, Science 242: 423−426; Hustonら、1988, Proc. Natl. Acad. Sci USA, 85: 5879−5883; およびWard ら、1989, Nature 334: 544−546) を用いて、扁平上皮癌を特異的に認識する抗体を作製することができる。
【0022】
本発明のモノクローナル抗体は、マウスの腹腔に、抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を接種し、適切な日数を経た後、高力価の抗体を含んでいる腹水を回収し、抗体をそこから単離することにより、大量に産生できる。モノクローナル抗体は、in vitroのハイブリドーマ細胞を培養し、該細胞培養培地から分泌されたmABを分離することことにより生産され得る(参照、Coleら、1985年、「モノクローナル抗体および癌治療」Alan R.Liss社)。あるいは、抗体遺伝子を、ウイルスのベクターに挿入して遺伝子治療の形態で使用することができ、その場合、抗体遺伝子を受け取った患者が自分の免疫系によって治療抗体を生産することができる。
【0023】
さらに、当技術分野で既に確立された方法で、活性のある抗原結合活性部位を含んでいる抗体のフラグメントなどの抗体フラグメントを提供することもできる(例えばMethods in Enzymology 1986、(Aeademic Press).121:663−69など参照)。
【0024】
本発明のAD6、5C6、AD7およびAH1抗体の抗イディオタイプ抗体もまた、本発明の範囲内に含まれる。AD6、5C6、AD7およびAH1抗体および/またはそのフラグメントを免疫原として用いることにより、抗イディオタイプ抗体生産することができる。係る抗イディオタイプ抗体は腫瘍に対する体液性応答を検出するための診断薬として有用である。また、ワクチンのような治療適用にも有用であり、扁平上皮癌細胞を有している患者の抗腫瘍応答を誘導する。
【0025】
AD6、5C6、AD7および/またはAH1抗体と同様の結合特異性を有し、かつ細胞傷害性薬剤と組合わせたキメラ抗体は、本発明に包含される。このような免疫毒素は、例えばジフテリア毒素のような細胞傷害性薬剤と融合したAD6、5C6、AD7あるいはAH1モノクローナル抗体の抗原結合領域を含む融合タンパク質をコードし得る組換えDNA分子を生産するために当技術分野で公知の遺伝子工学技術を使用して作製することができる。さらに、ヒト化抗体または完全なヒト抗体は、組換え遺伝子技術を使用して作製でき、こうして得られる抗体は、それが引き起こす抗マウス応答が低減される。
【0026】
本発明は種々の薬剤の標的選択性キャリアとして働く新規抗体コンジュゲートを包含し、かかる薬剤には、抗癌剤、毒素、免疫応答調節剤、酵素およびアイソトープが含まれる。係る薬剤は、扁平上皮癌細胞の表面に薬剤がターゲティングするのに利用するために、本発明のモノクローナル抗体にコンジュゲートさせることができる。係る細胞傷害性薬剤は、少数挙げるとすれば、例えば、ビンカ・アルカロイド(vinca alkaloids)、リシン、タキソール、ドクソルブシン、メトトレキセート、マイトマイシンCおよびサイトカラシンBがある。免疫応答調節剤も、融合タンパク質の形態で提供され得る。また、アイソトープを単鎖Fv鎖構築物にコンジュゲートさせて送達することも可能である。
【0027】
本発明の特異的抗体を産生するために、肺の扁平上皮癌由来の糖タンパク質を免疫原として、単離した。抗原は、手術の際に同種の材料を集め、これをSephadexG−200クロマトグラフィーによって分画して調製した。Balb/cマウスを、ヒトの肺癌細胞の部分的に精製された可溶性膜抗原で免疫し、十分な時間経過後、マウスを殺して、体液性抗体産生リンパ細胞(例えば脾臓細胞)を得、マウスミエローマ細胞株SP2/0−Ag14と融合させた。
【0028】
融合後、得られた細胞は、HAT培地等の選択的な培地中で増殖し得るので、生存した細胞を、限界希釈法を用いて該培地中で増殖させて、その上清を所望の特異性を有するモノクローナル抗体についてスクリーニングした。他のタンパク質および他の混入物から単離するモノクローナル抗体の単離および精製のための様々な従来技術が存在する。
【0029】
4つのハイブリッドクローンが、所望の特異性を有する抗体を産生することを見出した。これらの抗体はAD6、5C6、AD7およびAH1と命名した。4つのモノクローナル抗体はすべて、およびELISAおよび免疫蛍光検査法の分析により、肺癌抗原およびヒト肺癌細胞株に反応性であることがわかった。抗体は、正常組織、骨髄あるいは組織学的にタイプの異なる他の腫瘍細胞株とは反応しなかった。さらに、ウェスタンブロット分析により、肺癌細胞株P3およびP6に由来するタンパク質抽出物および部分的に精製した肺癌細胞膜抗原を使用して実施した。4種の異なる抗体により様々な分子量の抗原が検出され、各々のモノクローナル抗体が、細胞膜上に発現した別個の抗原を認識することがわかった。
【0030】
これらの抗体は、肺、食道および子宮頸癌を含む多くの扁平上皮癌にバイオマーカーを特定することがわかった。本発明者らは、抗体、すなわち5C6とAD7は、市販の抗体より子宮頸部扁平上皮悪性腫瘍においてはるかに感度が高いということを明らかにした。さらに、パップスメア(pap smear)試験を細胞が固定化されるように薄層調製技術を用いて実施する場合は、腫瘍抗原を測定および特定するための材料としてサイトスピンを用いることができる。
【0031】
5 2. 扁平上皮癌特異的抗原の検出の診断アッセイ
本発明によると、本発明の扁平上皮癌特異的モノクローナル抗体は、肺、食道、子宮頸癌などの疾患の早期診断に有用であり得る。さらに、抗原レベルをモニターおよび定量して、疾患の進行段階を予知するため、および患者の治療に用いる有効な薬剤の評価に用いることができる。
【0032】
患者から得たサンプル中の扁平上皮癌特異的抗原の検出は、多くの方法で達成され得る。患者の生物学的サンプル中の扁平上皮癌特異的抗原の好ましい診断法には、例えば、本発明の特異的抗体と抗原を反応させて検出する方法などがある。本発明に有用な抗体を用いて、扁平上皮癌特異的抗原またはそのフラグメントの定量的または定性的な検出が可能である。例えば、本発明のモノクローナル抗体を用いて、例えば、組織学的および細胞学的標本中の癌細胞を検出することができる。
【0033】
例えば、免疫ペルオキシダーゼ染色技術を用いて、組織標本を陽性染色にて分析できる (Garrigues et al., 1982, Int. J.Cancer 29:51 1)。本発明の実施において有用なイムノアッセイとしては、限定される訳ではないが、少数例示するとすれば、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素連結免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈殿反応(gel diffusion precipitin reactions)、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ、などの技法を用いたアッセイ系が挙げられる。
【0034】
扁平上皮癌特異的抗原タンパク質を含み得る生物学的サンプル、例えば、肺組織または他の生物学的組織は、特定の癌のリスクを有すると疑われる患者から採取する。全組織の一部または細胞を当技術分野で公知の種々の可溶化混液のうちのいずれかを用いて可溶化する。例えば、1リットル中8Mの尿素、20mlの界面活性剤NonidetP−40、20mlのアンホライト(pH3.5〜10)、20mlの2−メルカプトエタノール、および0.2mMのフェニルメチルスルホニルフッ素(PMSF)(脱イオン蒸留水で1リットルにする)を含む溶解バッファーの添加により、組織を可溶化することができる。
【0035】
扁平上皮癌特異的抗原の発現を検出するためのイムノアッセイは、典型的には、免疫特異的抗原抗体反応の起こる条件下で、組織サンプルなどの患者から得た生物学的サンプルを、本発明のモノクローナル抗体(すなわち、AD6、5C6、AD7およびAH1)に接触させて、抗体の免疫特異的結合量を検出または測定することを含む。特定の態様では、例えば、係る抗体の結合を用いて産生の存在および/または増加を検出することができる。
【0036】
扁平上皮癌特異的抗原タンパク質を含み得る生物学的サンプル、例えば、肺組織または他の生物学的組織は、特定の癌のリスクを有すると疑われる患者から採取する。全組織の一部または細胞を当技術分野で公知の種々の可溶化混液のうちのいずれかを用いて可溶化する。例えば、1リットル中8Mの尿素、20mlの界面活性剤NonidetP−40、20mlのアンホライト(pH3.5〜10)、20mlの2−メルカプトエタノール、および0.2mMのフェニルメチルスルホニルフッ素(PMSF)(脱イオン蒸留水で1リットルにする)を含む溶解バッファーの添加により、組織を可溶化することができる。
【0037】
扁平上皮癌特異的抗原の発現を検出するためのイムノアッセイは、典型的には、免疫特異的抗原抗体反応の起こる条件下で、組織サンプルなどの患者から得た生物学的サンプルを、本発明のモノクローナル抗体(すなわち、AD6、5C6、AD7およびAH1)に接触させて、抗体の免疫特異的結合量を検出または測定することを含む。特定の態様では、例えば、係る抗体の結合を用いて、扁平上皮癌特異的抗原の存在および/または産生の増加を検出できる。この場合、扁平上皮癌特異的抗原の検出または産生増加は、羅患している状態を示す。生物学的サンプル中の扁平上皮癌特異的抗原のレベルは、年齢および性別の合った正常固体についての基準および非癌状態または癌初期状態の様々な状態の患者についての基準と比較する。
【0038】
本発明のある実施態様では、組織抽出液などの生物学的サンプルは、サンプル中に存在するタンパク質全てを固定化する目的で固相支持体またはキャリア(ニトロセルロースなど)に接着させる。そして、支持体を適切なバッファーで洗浄して、AD6、5C6、AD7および/またはAH1などの検出可能な標識モノクローナル抗体で処理する。その後、固相支持体を結合していない抗体を除去するためにバッファーで2回洗浄する。固相支持体に結合した抗体の量を、公知の方法で測定する。抗体または抗体フラグメントを用いて、ラジオイムノアッセイ(RIA)の使用により、扁平上皮癌特異的抗原を検出することができる(例えば、Weintraub, B., Principles of Radioimunoassays, Seventh Training Co urse on Radioligand Assay Techniques. The Endocrine Society, March 1986参照)。放射活性同位元素を、ガンマカウンターまたはシンチレーションカウンターを使用する方法により、またはオートラジオグラフィーにより検出することができる。
【0039】
モノクローナル抗体は、蛍光化合物で標識することもできる。最も汎用される蛍光標識化合物は、フルオロセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリスリンおよびフルオレサミンである。同様に、生物発光化合物を用いてモノクローナル抗体を標識することができる。生物発光タンパク質の存在は、発光の存在を検出することにより検出される。標識の目的のために生物発光化合物の重要な物は、ルシフェリン、ルシフェラーゼおよびアエクオリンである。
【0040】
本発明の抗体を用いて、in vivoでの診断適用に用いることもできる。例えば、抗体または抗体から調製されるフラグメントを用いて、ヒト患者体内の転移腫瘍などの腫瘍を予測することができる。精製抗体またはそのフラグメントは、検出可能なシグナルを付与することができる試薬で標識され、適切な担体と共に、患者に例えば静脈注射により投与する。腫瘍に結合した抗体の局在は、エクスターナルシントグラフィー(external scintography)、エミッション・トモグラフィー(emission tomography)または放射核スキャニングによって、例えばγカメラを用いて検出することができる。
【0041】
5.3 キット
本発明はさらに、上述のアッセイを実施するためのキットを提供する。本明細書記載のアッセイは、例えば、抗体試薬(扁平上皮癌特異的抗原検出用)を含むプレパックされた診断キットを用いることにより実施できる。例えば、癌などの症状を診断するために臨床で使用することができる。抗体試薬は、AD6、5C6、AD7およびAH1モノクローナル抗体を含む。
【0042】
非限定的な例としては、本発明のキットは、患者の生物学的サンプルでの扁平上皮細胞特異的抗原を検出および/または測定する構成要素を含み得る。例えば、扁平上皮癌特異的抗原を酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)で検出および/または測定する場合には、かかる構成成分は、生物学的サンプル中の扁平上皮癌特異的抗原のレベルを検出および/または定量するのに用いることができる、扁平上皮癌特異的抗原のエピトープを認識する抗体を含み得る。抗体自体が、放射活性、蛍光、色素または酵素で標識されていてもよい。このような抗体は、AD6、5C6、AD7およびAH1モノクローナル抗体を含む。あるいは、該キットは、標識二次抗体を含んでいてもよい。
【0043】
5.4 モノクローナル抗体の治療的適用
本発明の抗体は、さまざまな治療方法に用いることができる。モノクローナル抗体は、扁平上皮癌を有する患者の治療に、修飾されないままで、すなわちコンジュゲートされてない形態で用いることもできる。例えば、抗体は補体(CDC)またはエフェクター細胞(ADCC)介在性細胞傷害をターゲットとしてもよい。あるいは、抗体を抗癌剤、毒素、放射性各種にコンジュゲートしてもよい。コンジュゲートした抗体を患者に投与し、抗体部分の結合親和性に基づいて腫瘍へ送達された抗癌剤の細胞傷害作用を介して、殺腫瘍効果が向上する。
【0044】
本発明のキメラ抗体分子は、ヒト定常領域ドメインと抗原結合ドメインを含むように調製するとよく(Morrisonら、1984, Proc. Natl Acad. Sci. U.S.A. 81 :6851; Takedaら、1985, 25 Nature, 3 14:452)、この手法を用いるとヒトの補体の活性化およびACDDの介在する能力などの所望のエフェクター機能を有する新規抗体分子を作製できる。
【0045】
本発明は、本発明の抗体を含む医薬組成物に関する。抗体、抗体フラグメントまたは誘導体の投与量とその処方は、癌治療の臨床分野の当業者が容易に決定できる。例えば、非経口、皮下、筋内、腹腔、経皮または舌下投与などでよい。投与用量は、投与される者の年齢、健康状態、体重、治療頻度、および所望する効果の性質によっても異なる。
【0046】
本発明の範囲内の組成物は、抗体、フラグメントまたは誘導体が意図する目的を達成するために効果的な量で含まれていれば、あらゆる組成物でよい。個々の必要性は様々であり、各組成物の最適範囲の効果的な量の決定は当業者には公知技術である。効果的な用量は、それぞれのキメラ抗体、モノクローナル抗体コンジュゲートした治療剤、患者およびその臨床的状態の存在および性質に依存するが、体重1kg当たり約10ng〜100mgの範囲内である。好ましい用量は、体重1kg当たり0.1〜10mg/kgである。非経口投与のための本発明の抗体、フラグメントまたは誘導体の調剤(イメージング用に検出可能な標識を付した形態、または治療用の遊離もしくは結合した形態など)は、滅菌した凍結乾燥タンパク質、水性または非水性液、懸濁剤および乳化剤を含む。非水性溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびエチルオレイン酸などの注射可能な有機エステルがある。水性担体は、水、アルコール/水溶液、乳化剤、懸濁剤などがあり、生理的食塩水、緩衝剤、塩化ナトリウム溶液、リンガーデキストロース液、デキストロースと塩化ナトリウム、乳酸加リンガー溶液または不揮発性油などの非経口ビヒクルが挙げられる。静脈投与ビヒクルは、液体およびリンガーデキストロース液などに基づいた栄養補充剤を含み得る。例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性気体などの保存剤および他の添加物を含んでもよい。概説としては、Remington’s Phannaceutical Science, 16th ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1980などを参照のこと。
【0047】
特に、抗体、そのフラグメントおよび誘導体は、扁平上皮癌を有する患者の治療に有用である。かかる治療は、抗体、そのフラグメントもしくは誘導体、またはそのコンジュゲートの単回または複数回の非経口投与を含み得る。
【0048】
AD6、5C6、AD7およびAH1抗体が結合する本発明の新規抗原は、治療適用に用いることもできる。抗原を腫瘍から精製して、免疫原として単独で、または適切な免疫アジュバントと一緒に投与する。あるいは、抗原を免疫原として利用するために遺伝子組換えにより作製してもよい。
【0049】
6.実施例
扁平上皮癌特異的モノクローナル抗体
抗体
下記に、扁平上皮癌の表面に発現される特異的糖タンパク質に対して反応するモノクローナル抗体の産生について記載する。免疫学的アッセイにより、該モノクローナル抗体が癌細胞と反応するが、正常組織とは全くもしくはほとんど反応しないことが示された。さらに、AH1およびAD7も同様である。
【0050】
6.1 モノクローナル抗体の調製
ヒト肺扁平上皮癌関連抗原(SLAA)に対するモノクローナル抗体は、Herzenbergらによって記載された方法の変法を用いて作製した。4週齢のBalb/cマウスに、腹腔内投与(ip)にて、外科手術時に患者から摘出したヒト肺扁平上皮癌を回収して、その膜を抽出したものから得た粗精製済みSLAA 100μgを、完全フロイントアジュバント200μlで乳化して免疫した。2週間感覚で、不完全フロイントアジュバント200μlで乳化したものを2回腹腔注射した。その後免疫原20μgで静脈内投与により最終免疫して、3日後に脾臓細胞を採取した。細胞ハイブリッドを、Muraroらの方法によりマウス非分泌性ミエローマ細胞株SP2/0−Ag14を用いて調製した。ハイブリドーマの上清を、ヒト肺扁平上皮癌の数種の細胞株(P3、P6およびH595)および粗精製免疫原を用いてELISAで特異的抗体産生についてアッセイした。全てのハイブリドーマ株を限界希釈法により2回クローニングした。
【0051】
腹水での調製のために、4週齢のBalb/cマウスに、プリスタン投与後、約5×106個のハイブリドーマ細胞を接種した。モノクローナル抗体を該マウスの腹水から精製して、プロテインGアフィニティカラムクロマトグラフィで精製した。精製抗体調製物のタンパク質含量は、12%SDSポリアクリルアミドTris−グリシンゲル上で解析した。
【0052】
6.2 モノクローナル抗体の調製
6.2.1. ウェスタンブロット
5C6、AD6、AD7およびAH1抗体を用いて、ウェスタンブロットを行った。タンパク質サンプルは、肺洗浄液標本から得た。サンプル(3μg)を12%SDS−PAGE上にロードした。タンパク質をニトロセルロース膜に転写して、西洋ワサビペルオキシダーゼで標識した抗体を用いて染色した。図1に示すように、本発明のモノクローナル抗体はいずれも、肺洗浄液標本から得た扁平上皮癌細胞に発現された異なる抗体に対して反応した。
【0053】
6.2.2. 扁平上皮癌特異的抗体による ADCC
4時間51Cr放出アッセイを用いてADCC活性を測定した。標的細胞を肺扁平上皮癌細胞株H595とした。標的細胞を、200μlのウシ胎児血清中で1時間200μCiの[51Cr]クロム酸ナトリウム(200〜500mCi/mg、Amersham、Arligton, IL)で標識した。標的細胞(1×104)を、モノクローナル抗体(1.0μg/ウェル)の存在下で、エフェクター細胞と共に(比率は、エフェクター細胞対標的細胞が80:1になるようにして)U底96ウェルプレートでインキュベートした。プレートを5%CO2存在、湿度条件下で、37℃にて4時間インキュベートした。上清を回収して、Skatron Harvesterフレームを使用してγカウントに供した。溶解率を下記式を用いて計算した:
溶解率(%)={[観察された放出量(cpm)−自発的放出量(cpm)]/[総放出量(cpm)−自発的放出量(cpm)] }×100
自発的放出量は、培地のみの中でインキュベートした標的細胞から放出された放射活性を測定することにより検出した。総放出量放射活性は、2.5%のTritonX−100で処理した後に測定した。放射性標識クロムの自発的放出は、2.5%のTritonX−100で処理した後に測定した。
【0054】
図2および図3に示すように、AH−1、D6および5C6モノクローナル抗体は、ヒト肺扁平上皮癌細胞に対して試験した場合のADCC活性を示す。図3Bに示すように、ADCC活性は、ヒト結腸癌細胞に対して活性は示さないことから、肺扁平上皮癌細胞に特異的であった。
【0055】
6.2.3. 扁平上皮癌特異的抗体を用いた免疫組織化学
染色方法は下記の通りである。
【0056】
Mayo 凍結組織法
スライドグラス標本を、10分間1%パラフォルムアルデヒドで固定化して3回PBSで洗浄した。内因性ペルオキシダーゼ(1%アジ化ナトリウム+3%H2O2)でブロッキングして1分間水で洗浄した。5%NGSを加えて10分後に、1%NGSで希釈した一次抗体(2μg/ml)を加えて、室温で2時間インキュベートした。スライドグラスをPBSで2〜3回洗浄し、ビオチンRAM(DAKO)と共に室温にて15分間インキュベートした。スライドグラスをPBSで2〜3回洗浄した。ストレプトアビジン(HRP) (DAKO)をスライドグラスに添加して室温で15分間インキュベートした。スライドグラスをPBSで2回洗浄し、水で1回洗浄した。DABまたはAECを反応させた。
【0057】
パラフィン切片法
スライドグラス標本を、20分間60℃で静置した。脱パラフィン化はセーフティキャビネット内で行った、(i)キシレン5分;(ii)キシレンと1%ヨード5分;キシレン10秒;(iii)100%アルコール;(iv)95%アルコール、(v)50%アルコール。スライドグラスを50%メタノール3%H2O2中に10分間静置し、1分間水で洗浄した。5%NGSを10分間添加して、1%NGSで希釈した一次抗体(1μg/ml)を加えて、室温で一晩インキュベートした。サンプルを水で洗浄し、ビオチンGAM(DAKO)と共に30分間室温にてインキュベートした。スライドグラスを水で洗浄し、ストレプトアビジン(HRP)(DAKO)をスライドグラスに添加して30分間インキュベートした。サンプルを水で洗浄し、DAB/AECを反応させた。
【0058】
本発明の4種のモノクローナル抗体は、肺の扁平上皮癌の表面に特異的に発現されるが、正常細胞の表面には発現しない抗原に対して反応することがわかった。さらに、抗体は、子宮頸癌細胞の表面に発現された抗原に対しても免疫反応性を有していることが分かった(図7A〜B)。
【0059】
さらに、ELISAアッセイを以下の方法を用いて実施した。肺洗浄液を、1:2、1:4、1:8、1:16、1:32、1:64、1:128の希釈割合で正確に希釈して100μ/ウェルで4℃で一晩コーティングした。ウェルをTBSTで3回洗浄した。ブロッキングをTBST/2%ジェラチンで行った(200〜100μl/ウェル、37℃、1時間)。その後、TBSTで5回洗浄した。腹水抗体100μl/mlを加えて30℃で1時間インキュベートした。抗マウスIgG AP抗体1:1000を添加して、37℃で1時間インキュベートした。ウェルをTBSTで5回洗浄した。基質P−NPPを各ウェルに添加して405nmでのエンドポイント吸光度測定を行った。図5および図6に示すように、5C6およびAD6モノクローナル抗体は、肺洗浄液組織サンプルと反応した。
【0060】
さらに、細胞フローサイトメトリーを実施して抗体の特異性を調べた。細胞(LS174T、H596、H441およびCaLu3)を、フェニルレッド不含培地中で対数増殖期まで増殖させて、0.025%トリプシンEDTA(BioWhittaker)でフラスコから剥離した。そして、細胞をPBS(pH7.4)で洗浄して30分間培地中に懸濁させてカウントした。全てのその後の手順は、4℃で実施した。
【0061】
細胞をPBSで3回洗浄した。5×105個の細胞を含むサンプルをPBS200μl中に懸濁して、それぞれの反応試験管に入れた。ビオチン化抗体溶液200μlをサンプルに加えて、4℃で30分間インキュベートした。細胞をPBSで3回洗浄して、500μlのPBSに懸濁させた。その後、細胞をフローサイトメトリーで解析した。図8に示すように、肺癌細胞(H596、H441およびCaLu3)は抗体で染色されたが、対照の結腸癌細胞(LS174T)はほとんど染色されなかった。
【0062】
6.3. ワクチンの研究
同種肺癌細胞(すなわち、扁平上皮癌)から膜調製物を得た。膜抽出物を生細胞から得て、低頻度超音波処理に供した。可溶性物質をSephadex G−200で分離して、さらに非連続的ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。個々のバンドをゲルから単離し、DHR(遅延型皮膚過敏症)について調べ、回収してワクチンとして用いた。DHRについての皮膚試験には、30μgの抗原(TAA)を用いた。免疫応答を抑制する阻害物質を含んでいたためSephadex画分Iをワクチンから除去した。例外なく、自己免疫肺製応答の徴候が現れた。各患者で、細胞性および体液性免疫の増強が観察された。DHRは5年以上増大したままであった。外科手術とワクチン接種のにより調べた患者(237例)の80%が生存したが、外科手術だけでは40%しか生存しなかった。
【0063】
6.4. AD7 および5 C6 重鎖ならびに軽鎖のクローニングと決定
AD7および5C6重鎖V領域のクローニングと増幅に用いたプライマーは以下の通りである:
(i) cDNA:MHCGSP1A:
5’−CAT GGA GTT AGT TTG GGC AGC AGA−3’
ブリッジ化アンカープライマー;
5’−GGC CAC GCG TCG ACT AGT ACG GGIIGG GII GGG IIG−3’
(ii) 増幅: MHCGSP2A:
5’−CAG GGG CCA GTG GAT AGA CAG ATG−3’
ブリッジ化アンカープライマー;
5’−GGC CAC GCG TCG ACT AGT ACG GGIIGG GII GGG IIG−3’
以下のプライマーを、 AD7と5C6の軽鎖V領域のクローニングと増幅に用いた:
(i) cDNA:MLCGSP1:
5’−CCT GTT GAA GCT CTT GAC AAT GGG−3’
ブリッジ化アンカープライマー;
5’−GGC CAC GCG TCG ACT AGT ACG GGIIGG GII GGG IIG−3’
(ii) 増幅: MOSKAPPA:
5’−ACT GGA TGG TGG GAA GAT GGA T−3’
ブリッジ化アンカープライマー;
5’−GGC CAC GCG TCG ACT AGT ACG GGIIGG GII GGG IIG−3’。
【0064】
6.5. ヒト − マウスキメラ抗体遺伝子の構築と発現
レトロウイルスベクターpLHCXIIとpLNCXIlを用いて、キメラ重鎖および軽鎖のcDNAをそれぞれ発現させた。pLHCXIIは、ネオ遺伝子の5’側から45塩基の位置にあるEcoRI部位はあるがベクター骨格中のEcoRI部位が破壊されていることを除いてはベクターLNCXと同じである。これはD. Miller博士(Fred Hutchinson Cancer Ressearch Center, Seattle WA)より供与いただいた。ベクターはN2ベクターからM−MuLVの5’末端反復配列(LTR)をM−MSVLRTに置換して、かつヒトサイトメガロウイルス(HCVM)の最初期遺伝子プロモーター3’からneo遺伝子までを含むBalI/XmaIII断片を挿入することにより得た。標的遺伝子のクローニングのために、HindIII、HpaIおよびClaI部位を含むポリリンカーは、3’からHCMVプロモーターまでに挿入された。ベクターpLHCXIIを、ネオマイシン耐性遺伝子を含む1.2KbのEcoRI/BamHIフラグメントをハイグロマイシン耐性を付与する遺伝子を有する1.4KbのEcoRI/BamHIフラグメントと置換して作製した。pLNCXIIHuKのレトロウイルス発現構築物を作製するために、キメラκ鎖(mAb)をコードするcDNAを含むDNA断片をpBluescript構築物をSmaI/ClaIで切断することにより得た。得られたフラグメントを、HpaI/ClaIで直鎖状にしたpLNCXIIベクターにクローニングした。キメラ重鎖をコードするDNA断片配列をpBluescript構築物から、プラスミドをXbaIで切断して、突出部分をKlenowで埋める以外は同様にして得、HindIIIで切断することにより断片を切り出した。できた断片を、HindIII/HpaIで直鎖状にしたpLHCXIIにクローニングして、キメラmAb重鎖の発現構築物であるpLHXIIHuG1を作製した。
【0065】
キメラmAbの開発のために続いて、HCおよびLC発現構築物をSP2/O細胞に、セルポレーターシステムを用いてエレクトロポレーションによって導入した。エレクトロポレーションは以下の通り行った。簡単に説明すると、SP2/O細胞を4.5g/Lグルコース含有血清不含DMEM(JRH Nioscience, Lenexa, KS)で洗浄し、5×106細胞/mlの濃度で同じ培地に懸濁した。プラスミド100μgを4℃に保ったエレクトロポレーションチャンバー中の細胞懸濁液1mlに加えた。細胞とDNAの混合物を650V/cmで13msにて刺激した(キャパシタンスセッティングは 1600 μF)。細胞を4℃で10分間保って、15%FCS含有RPMI1640で希釈した。その後、細胞を5×105細胞/ウェルの濃度で24ウェルプレートの播種した。37℃で15%CO2条件下で、24時間インキュベートした後、ハイグロマイシンまたは活性G418含有選択培地を500〜800μl/mlの濃度でそれぞれ添加した。
【0066】
ヒトマウスキメラmAb(Hu mAb)産生クローンは、タンパク質不含PFHM−IIハイブリドーマ培地(GIBCO, BRL)で増殖させ、プロテインGアフィニティクロマトグラフィで精製した。タンパク質濃度は、BioRadマイクロアッセイ法またはLowry法により測定する。充填済みの4〜20%のSDS−ポリアクリルアミドTris−グリシンゲル(Novex System, San Diego, CA)を用いて、2−メルカプトエタノールでの変性後もしくは未変性でタンパク質を解析した。タンパク質ゲルを、Lamemmliの方法でクマシーブリリアントブルーR250で可視化した。
【0067】
本発明は、ここに記載した特定の実施態様に限定されるものではない。記載の実施態様は、本発明のこの態様の単なる例示として示したものであり、機能的に同等な方法および構成要素は本発明の範囲に含まれる。無論、本明細書の記載および例示において、本発明に関する様々な改変が可能であることは、当業者には明らかであろう。かかる改変もまた、特許請求の範囲に含まれる者である。本明細書中に引用する種々の刊行物は、全体を参照として本明細書中に組込むものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】
モノクローナル抗体5C6、AD6、AD7およびAH1による肺洗浄液のウェスタンブロットの結果を示す。
【図2】
図2は、扁平上皮癌特異的抗体AH1およびAD7ならびにコントロール抗体UPC−10によるADCCの結果である。
【図3】
図3Aは、ヒト扁平上皮癌細胞株H596に対する、扁平上皮癌特異的抗体AH1、AD6、AD7、5C6およびコントロール抗体UPC−lOによるADCCの結果である。図3Bは、ヒトの結腸癌細胞株LS174Tに対する、扁平上皮癌特異的抗体AH1、AD6、AD7、5C6およびコントロール抗体UPC−lOによるADCCの結果である。
【図4】
図4は、扁平上皮癌特異的抗体AH6、AD7および5C6を用いた免疫組織染色の結果である。図4Aは、正常な肺組織をAD6でプロービングした結果である。図4Bは正常な肺組織をAD7でプロービングした結果である。図4Cは、扁平上皮癌肺洗浄液をAD6でプロービングした結果である。図4Dは、扁平上皮癌肺洗浄液を5C6でプロービングした結果である。図4Eは、扁平上皮癌を5C6でプロービングした結果である。図4Fは、扁平上皮癌をAD6でプロービングした結果である。
【図5】
図5は、肺洗浄液を用いた5C6およびAD6モノクローナル抗体による直接法ELISA分析の結果である。
【図6】
図6は、肺洗浄液を用いた5C6、AD6、AH1およびAD7モノクローナル抗体による直接法ELISA分析の結果である
【図7】
図7Aは、SC6およびAD7モノクローナル抗体を使用するパップスメア試験(Pap Smear)の結果である。スライドは形成障害を表わすが、癌特異的抗原を発現する細胞の存在を示す。図7Bは、C56(上)およびAD7(下)を使用して、子宮頸癌細胞をペルオキシダーゼでin situで染色した結果である。
【図8】
図8は、細胞のフローサイトメトリーの結果である。LS174T結腸癌細胞、H596、H441およびCaLu3 肺癌細胞を、AJ6またはAD7抗体で染色した。
1.緒言
本発明は、肺癌、食道癌および子宮頸癌を含む扁平上皮癌抗原に高度の選択性を示す新規抗体、抗体フラグメントおよび抗体コンジュゲートに関する。本発明は、本発明の新規抗体を使用して、患者の生物学的サンプル中の扁平上皮癌抗原の発現を検出することによる診断または予後のin vivoおよびin vitro両方の臨床的スクリーニング法に関する。本発明はさらに、上記のスクリーニング方法を実施するためのキットを提供する。かかるキットは、診断、予見または予後の癌の指標として扁平上皮癌抗原の発現について患者をスクリーニングするために使用することができる。さらに、抗体コンジュゲートは、抗腫瘍作用を有する種々の薬剤、非限定的な例としては抗癌剤、毒物、免疫応答調節剤、放射性同位元素などを効果的に送達するのに用いることができる。免疫応答調節剤はまた、融合タンパク質の形で提供され得、放射性同位元素はまた、単鎖のFv鎖構築物に結合されて送達され得る。腫瘍細胞へのADCCをターゲットとして、本発明の抗体を結合していない形態で患者に投与することもできる。
【0002】
2.発明の背景
肺癌は多くの人が患う一般的な悪性腫瘍のうちの1つである。腫瘍と診断されれば、全身的な予後は悪く、5年生存率はわずか13%である。しかし、肺癌の早期の検出および治療は5年の生存率を著しく改善することができる。疾患が早期に検出され、外科的切除が可能であれば、5年の生存率は40%まで増加する。肺癌の発生危険率の高い者については、集中的なモニタリングは疾患の発症の減少には効果がなく、気管支の正常細胞においてトランスフォーメーション最初に生じる時を疾患の早期段階と定義することはある意味不可能であることが分かってきた。
【0003】
腫瘍を関連する抗原へのモノクローナル抗体は、癌の診断、および腫瘍部位に、放射性同位元素、化学抗癌剤および毒素などの様々な抗腫瘍剤をターゲティングすることに有用な試薬を提供する。癌関連抗原に反応する多くのモノクローナル抗体が知られている。既知の抗体は、糖タンパク質(炭水化物部分に結合する場合が大部分である)を含む種々の癌関連抗原に結合する例えば、特定のタイプの癌の糖タンパク質抗原に結合するモノクローナル抗体は、米国特許第4,737,579号、米国特許第4,753,894号、4,579,827号、および米国特許第4,713,352号に記載されている。
【0004】
扁平上皮癌の場合、血清などの循環系の体液または気管支分泌物中に、多くの腫瘍細胞の糖タンパク質が循環されるので、モノクローナル抗体を使用してELISAで循環する抗原を検出できることは早期検出への可能なアプローチである。PSAおよびCEAなどの腫瘍マーカーの検出は、このアプローチである。例として、の気管支洗浄液の上清を、循環する抗原が上清液中に存在する気管支上皮の形質転換細胞の早期検出に使用し得る。現在のところ、痰サンプル中の所定の腫瘍細胞を調べるために設計されたアッセイは、正常扁平上皮細胞と異常な扁平上皮細胞とを区別するモノクローナル抗体は未だないため、効果的ではなく、悪性度の表現型の変化の前に遺伝的に変化した細胞が検出されることがわかった。
【0005】
多くの研究は、非特異的で、全てではないがほとんどの上皮細胞と反応するサイトケラチン(cytokeratin)抗体などの上皮細胞マーカーを使用してきた。したがって、より優れたモノクローナル抗体に基づく診断および予後のマーカー、および臨床的に肺癌を特定するために用いるためのより感度の高い試験が必要である。理想的なモノクローナル抗体は、疾患が臨床的には明らかでない早期段階で、特異的腫瘍抗原の発現を検出するものである。モノクローナル抗体によって特定される腫瘍抗原は、細胞の表面に発現される特異的な腫瘍抗原に対する免疫治療の標的としても用いることができる。かかる抗体はまた、予後の値に基づいて、疾患の異なる段階において発現されるか、または機能するマーカー、すなわち、e−カフェリン(e−capherin)、増殖因子または受容体などを同定することができる。
【0006】
3.発明の概要
本発明は、扁平上皮癌に選択性の高いモノクローナル抗体、抗体フラグメントおよび抗体コンジュゲートに関する。さらに詳細には、本発明の新規抗体、抗体フラグメントおよび抗体コンジュゲートは、扁平上皮癌上に認められる細胞膜抗原に結合するが、正常細胞または他の型の癌とは反応しないか、するとしてもわずかである。本発明は、扁平上皮癌に選択性の高いモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株ハイブリドーマにも関する。
【0007】
本発明の他の実施形態においては、本発明の抗体は、扁平上皮癌を検出するために設計されたin vivoもしくはin vitroの診断または予後の診断方法に用いることができる。例えば、抗体は、ヒトの肺、子宮頸部または他の組織における悪性症状の存在を検出するように設計された方法に用いることができる。サンプル中に存在し得る他の細胞型から扁平上皮癌細胞を識別できる本発明の抗体と、組織を接触させればよい。抗体が細胞に結合できる条件下で接触させると、標本の細胞への抗体の結合の存否が検出できる。さらなる診断方法は、検出可能なシグナルを有する薬剤で標識した本発明の精製抗体または抗体フラグメントを被験者に投与して生体内での腫瘍の位置を診断する方法である。腫瘍の位置は、体外シントグラフィー(external scintography)、放射断層撮影法あるいは放射核スキャニングを使用して検出される。
【0008】
本発明はさらに、例えば、腫瘍細胞と反応する本発明の抗体の治療用途にも関する。例えば、抗癌剤、毒素、免疫応答調節剤、酵素および放射性同位元素を含む種々の抗腫瘍作用を有する薬剤の標的選択的キャリアとして働く新規抗体コンジュゲートを使用することができる。
【0009】
あるいはまた、モノクローナル抗体は改変されずに、すなわち、コンジュゲートした形態ではなくても、扁平上皮癌の患者の治療に用いることができる。本発明の抗体は、特にヒトのリンパ細胞、マクロファージおよび補体の存在下での癌細胞をターゲティングして溶解させることができる抗体依存的細胞傷害性(ADCC)をメディエートするのに特に適している。
【0010】
本発明は、本発明の抗体によって特定される抗原も含む。さらに、扁平上皮癌に対して免疫接種されるワクチンとして、抗体によって特定される、精製されまたはクローン化された抗原を使用する方法も包含する。
【0011】
4.図面の簡単な説明
図面の簡単な説明については、後述する。
【0012】
5.発明の説明
本発明は、扁平上皮癌に特異性の高い新規モノクローナル抗体に関する。より具体的には、正常組織とは反応しないかまたはしてもわずかにしか反応しないが、肺および子宮頸部の扁平上皮癌と特異的に反応する抗体に関する。係る抗体には、設計されたAD6、5C6、AD7およびAH11が含まれる。ELISAと免疫蛍光分析を使用して分析すると、4種の抗体はすべて肺癌抗原およびヒト肺癌細胞株に対する反応性を有している。さらに、該抗体は強いADCCおよび免疫組織化学反応性を示す。
【0013】
5. 1. 扁平上皮癌特異的抗体
本発明は、正常なヒトの組織と全くまたはほとんど反応性を示さない肺および子宮頸部の扁平上皮癌に特異性の高い新規抗体に関する。本発明の新規抗体は、AD6、5C6、AD7およびAH1である。設計された抗体を用いて、それに結合する抗原を単離および解析することができる。したがって、抗体は、これが反応する細胞表面糖タンパク質の同定、単離および/または解析に用いることができる。
【0014】
本明細書中に使用する用語「AD6抗体」は、完全な欠失部分のないポリクローナル抗体、およびハイブリドーマATCCPTA−2460によって産生されるマウスAD6モノクローナル抗体のような、完全な欠失部分のないモノクローナル抗体、およびAD6抗体と同じ抗原決定基に結合し得るキメラ抗体分子を含む。上記AD6抗体は、Fab、F(ab’)、Fvフラグメントなどの、抗体の抗原結合領域を含有する抗体フラグメントを含む。AD6抗体はさらに融合タンパク質も含む。
【0015】
本明細書中に使用する用語「5C6抗体」は、完全な欠失部分のないポリクローナル抗体、およびハイブリドーマATCCPTA−2458によって産生されるマウス5C6モノクローナル抗体のような、完全な欠失部分のないモノクローナル抗体、および5C6抗体と同じ抗原決定基に結合し得るキメラ抗体分子を含む。上記5C6抗体は、Fab、F(ab’)、Fvフラグメントなどの、抗体の抗原結合領域を含有する抗体フラグメントを含む。5C6抗体はさらに融合タンパク質も含む。
【0016】
本明細書中に使用する用語「AD7抗体」は、完全な、欠失部分のないポリクローナル抗体、およびハイブリドーマATCCPTA−2459によって産生されるマウスAD7モノクローナル抗体のような、完全な欠失部分のないモノクローナル抗体、およびAD7抗体と同じ抗原決定基に結合し得るキメラ抗体分子を含む。上記AD7抗体は、Fab、F(ab’)、Fvフラグメントなどの、抗体の抗原結合領域を含有する抗体フラグメントを含む。AD7抗体はさらに融合タンパク質も含む。
【0017】
本明細書中に使用する用語「AH1抗体」は、完全な欠失部分のないポリクローナル抗体、およびハイブリドーマATCCPTA−2457によって産生されるマウスAH1モノクローナル抗体のような、完全な欠失部分のないモノクローナル抗体、およびAH1抗体と同じ抗原決定基に結合し得るキメラ抗体分子を含む。上記AH1抗体は、Fab、F(ab’)、Fvフラグメントなどの、抗体の抗原結合領域を含有する抗体フラグメントを含む。AH1抗体はさらに融合タンパク質も含む。
【0018】
本発明はさらに、扁平上皮癌細胞表面抗原に特異的な抗体を産生し得るハイブリドーマ細胞株を含む。かかるハイブリドーマ細胞株は、限定はされないが、ハイブリドーマATCC PTA−2457、ハイブリドーマ ATCC PTA−2459、ハイブリドーマATCC PTA−24S8、およびハイブリドーマATCCPTA−2460などである。
【0019】
本発明のAD6、5C6、AD7およびAH1などの扁平上皮癌細胞表面抗原に特異的な抗体を産生するマウスハイブリドーマは、マウスの融合パートナーの細胞(SP2/0など)と扁平上皮癌細胞表面抗原で免疫したマウスから単離した脾臓細胞とを融合することにより作製する。マウスの免疫は、対照とする抗原を非精製または粗精製な状態で含む調製物で行ってもよい。マウスの免疫は、種々の慣用技術にしたがって行えばよい。例えば、マウスに、抗原調調製物を、初回免疫と追加免疫をする。
【0020】
本発明のモノクローナル抗体は、培養中の継代細胞株により抗体分子を産生させる任意の技法によって得ることができる。これらは、限定はしないが、例えば、KohlerおよびMilstein(1975. Nature 256:495−497; および米国特許第4,376,1 10号) に記載のハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosborら、1983, Immunology Today 4:72; Coleら、1983, P,roc. Natl Acad. Sci, USA 80:2026−2030), EBV−ハイブリドーマ技術(Cole ら、1985. Monoclonal Antibodies Acad Cancer Therapy. Alan R. Liss, Lnc., pp. 77−96)などである。かかる抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDおよびこれらのあらゆるサブクラスを含む、いかなる免疫グロブリンクラスであってもよい。モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、in vitroまたはin vivoで培養することができる。in vivoで高力価のモノクローナル抗体を産生することが好ましい。
【0021】
さらに、適切な抗原特異性を有するマウス抗体分子から得られた遺伝子と適切な生物学的活性を有するヒト抗体分子から得られた遺伝子と一緒にしてスプライシングさせることによる、「キメラ抗体」の生産のために開発された技術を用いることができる(Morrisonら、1984, Proc. Natl. Acad. Sci., 81 :685 1−6855; Neubergerら、1984, Nature. 312: 604−608; Takeda ら、1 985, Nature 314: 452−454)。Fell ら(1989, 30 Proc. Natl. Acad. Sci., 86:8507−8511)に記載の2段階相同組換え法を用いてキメラ抗体を作製することもできる。あるいは、ヒト化抗体作製のために開発された技術(米国特許第. 5,585,089号)または一本鎖抗体(米国特許第4,946,778号、Bird, 1988, Science 242: 423−426; Hustonら、1988, Proc. Natl. Acad. Sci USA, 85: 5879−5883; およびWard ら、1989, Nature 334: 544−546) を用いて、扁平上皮癌を特異的に認識する抗体を作製することができる。
【0022】
本発明のモノクローナル抗体は、マウスの腹腔に、抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を接種し、適切な日数を経た後、高力価の抗体を含んでいる腹水を回収し、抗体をそこから単離することにより、大量に産生できる。モノクローナル抗体は、in vitroのハイブリドーマ細胞を培養し、該細胞培養培地から分泌されたmABを分離することことにより生産され得る(参照、Coleら、1985年、「モノクローナル抗体および癌治療」Alan R.Liss社)。あるいは、抗体遺伝子を、ウイルスのベクターに挿入して遺伝子治療の形態で使用することができ、その場合、抗体遺伝子を受け取った患者が自分の免疫系によって治療抗体を生産することができる。
【0023】
さらに、当技術分野で既に確立された方法で、活性のある抗原結合活性部位を含んでいる抗体のフラグメントなどの抗体フラグメントを提供することもできる(例えばMethods in Enzymology 1986、(Aeademic Press).121:663−69など参照)。
【0024】
本発明のAD6、5C6、AD7およびAH1抗体の抗イディオタイプ抗体もまた、本発明の範囲内に含まれる。AD6、5C6、AD7およびAH1抗体および/またはそのフラグメントを免疫原として用いることにより、抗イディオタイプ抗体生産することができる。係る抗イディオタイプ抗体は腫瘍に対する体液性応答を検出するための診断薬として有用である。また、ワクチンのような治療適用にも有用であり、扁平上皮癌細胞を有している患者の抗腫瘍応答を誘導する。
【0025】
AD6、5C6、AD7および/またはAH1抗体と同様の結合特異性を有し、かつ細胞傷害性薬剤と組合わせたキメラ抗体は、本発明に包含される。このような免疫毒素は、例えばジフテリア毒素のような細胞傷害性薬剤と融合したAD6、5C6、AD7あるいはAH1モノクローナル抗体の抗原結合領域を含む融合タンパク質をコードし得る組換えDNA分子を生産するために当技術分野で公知の遺伝子工学技術を使用して作製することができる。さらに、ヒト化抗体または完全なヒト抗体は、組換え遺伝子技術を使用して作製でき、こうして得られる抗体は、それが引き起こす抗マウス応答が低減される。
【0026】
本発明は種々の薬剤の標的選択性キャリアとして働く新規抗体コンジュゲートを包含し、かかる薬剤には、抗癌剤、毒素、免疫応答調節剤、酵素およびアイソトープが含まれる。係る薬剤は、扁平上皮癌細胞の表面に薬剤がターゲティングするのに利用するために、本発明のモノクローナル抗体にコンジュゲートさせることができる。係る細胞傷害性薬剤は、少数挙げるとすれば、例えば、ビンカ・アルカロイド(vinca alkaloids)、リシン、タキソール、ドクソルブシン、メトトレキセート、マイトマイシンCおよびサイトカラシンBがある。免疫応答調節剤も、融合タンパク質の形態で提供され得る。また、アイソトープを単鎖Fv鎖構築物にコンジュゲートさせて送達することも可能である。
【0027】
本発明の特異的抗体を産生するために、肺の扁平上皮癌由来の糖タンパク質を免疫原として、単離した。抗原は、手術の際に同種の材料を集め、これをSephadexG−200クロマトグラフィーによって分画して調製した。Balb/cマウスを、ヒトの肺癌細胞の部分的に精製された可溶性膜抗原で免疫し、十分な時間経過後、マウスを殺して、体液性抗体産生リンパ細胞(例えば脾臓細胞)を得、マウスミエローマ細胞株SP2/0−Ag14と融合させた。
【0028】
融合後、得られた細胞は、HAT培地等の選択的な培地中で増殖し得るので、生存した細胞を、限界希釈法を用いて該培地中で増殖させて、その上清を所望の特異性を有するモノクローナル抗体についてスクリーニングした。他のタンパク質および他の混入物から単離するモノクローナル抗体の単離および精製のための様々な従来技術が存在する。
【0029】
4つのハイブリッドクローンが、所望の特異性を有する抗体を産生することを見出した。これらの抗体はAD6、5C6、AD7およびAH1と命名した。4つのモノクローナル抗体はすべて、およびELISAおよび免疫蛍光検査法の分析により、肺癌抗原およびヒト肺癌細胞株に反応性であることがわかった。抗体は、正常組織、骨髄あるいは組織学的にタイプの異なる他の腫瘍細胞株とは反応しなかった。さらに、ウェスタンブロット分析により、肺癌細胞株P3およびP6に由来するタンパク質抽出物および部分的に精製した肺癌細胞膜抗原を使用して実施した。4種の異なる抗体により様々な分子量の抗原が検出され、各々のモノクローナル抗体が、細胞膜上に発現した別個の抗原を認識することがわかった。
【0030】
これらの抗体は、肺、食道および子宮頸癌を含む多くの扁平上皮癌にバイオマーカーを特定することがわかった。本発明者らは、抗体、すなわち5C6とAD7は、市販の抗体より子宮頸部扁平上皮悪性腫瘍においてはるかに感度が高いということを明らかにした。さらに、パップスメア(pap smear)試験を細胞が固定化されるように薄層調製技術を用いて実施する場合は、腫瘍抗原を測定および特定するための材料としてサイトスピンを用いることができる。
【0031】
5 2. 扁平上皮癌特異的抗原の検出の診断アッセイ
本発明によると、本発明の扁平上皮癌特異的モノクローナル抗体は、肺、食道、子宮頸癌などの疾患の早期診断に有用であり得る。さらに、抗原レベルをモニターおよび定量して、疾患の進行段階を予知するため、および患者の治療に用いる有効な薬剤の評価に用いることができる。
【0032】
患者から得たサンプル中の扁平上皮癌特異的抗原の検出は、多くの方法で達成され得る。患者の生物学的サンプル中の扁平上皮癌特異的抗原の好ましい診断法には、例えば、本発明の特異的抗体と抗原を反応させて検出する方法などがある。本発明に有用な抗体を用いて、扁平上皮癌特異的抗原またはそのフラグメントの定量的または定性的な検出が可能である。例えば、本発明のモノクローナル抗体を用いて、例えば、組織学的および細胞学的標本中の癌細胞を検出することができる。
【0033】
例えば、免疫ペルオキシダーゼ染色技術を用いて、組織標本を陽性染色にて分析できる (Garrigues et al., 1982, Int. J.Cancer 29:51 1)。本発明の実施において有用なイムノアッセイとしては、限定される訳ではないが、少数例示するとすれば、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素連結免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈殿反応(gel diffusion precipitin reactions)、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ、などの技法を用いたアッセイ系が挙げられる。
【0034】
扁平上皮癌特異的抗原タンパク質を含み得る生物学的サンプル、例えば、肺組織または他の生物学的組織は、特定の癌のリスクを有すると疑われる患者から採取する。全組織の一部または細胞を当技術分野で公知の種々の可溶化混液のうちのいずれかを用いて可溶化する。例えば、1リットル中8Mの尿素、20mlの界面活性剤NonidetP−40、20mlのアンホライト(pH3.5〜10)、20mlの2−メルカプトエタノール、および0.2mMのフェニルメチルスルホニルフッ素(PMSF)(脱イオン蒸留水で1リットルにする)を含む溶解バッファーの添加により、組織を可溶化することができる。
【0035】
扁平上皮癌特異的抗原の発現を検出するためのイムノアッセイは、典型的には、免疫特異的抗原抗体反応の起こる条件下で、組織サンプルなどの患者から得た生物学的サンプルを、本発明のモノクローナル抗体(すなわち、AD6、5C6、AD7およびAH1)に接触させて、抗体の免疫特異的結合量を検出または測定することを含む。特定の態様では、例えば、係る抗体の結合を用いて産生の存在および/または増加を検出することができる。
【0036】
扁平上皮癌特異的抗原タンパク質を含み得る生物学的サンプル、例えば、肺組織または他の生物学的組織は、特定の癌のリスクを有すると疑われる患者から採取する。全組織の一部または細胞を当技術分野で公知の種々の可溶化混液のうちのいずれかを用いて可溶化する。例えば、1リットル中8Mの尿素、20mlの界面活性剤NonidetP−40、20mlのアンホライト(pH3.5〜10)、20mlの2−メルカプトエタノール、および0.2mMのフェニルメチルスルホニルフッ素(PMSF)(脱イオン蒸留水で1リットルにする)を含む溶解バッファーの添加により、組織を可溶化することができる。
【0037】
扁平上皮癌特異的抗原の発現を検出するためのイムノアッセイは、典型的には、免疫特異的抗原抗体反応の起こる条件下で、組織サンプルなどの患者から得た生物学的サンプルを、本発明のモノクローナル抗体(すなわち、AD6、5C6、AD7およびAH1)に接触させて、抗体の免疫特異的結合量を検出または測定することを含む。特定の態様では、例えば、係る抗体の結合を用いて、扁平上皮癌特異的抗原の存在および/または産生の増加を検出できる。この場合、扁平上皮癌特異的抗原の検出または産生増加は、羅患している状態を示す。生物学的サンプル中の扁平上皮癌特異的抗原のレベルは、年齢および性別の合った正常固体についての基準および非癌状態または癌初期状態の様々な状態の患者についての基準と比較する。
【0038】
本発明のある実施態様では、組織抽出液などの生物学的サンプルは、サンプル中に存在するタンパク質全てを固定化する目的で固相支持体またはキャリア(ニトロセルロースなど)に接着させる。そして、支持体を適切なバッファーで洗浄して、AD6、5C6、AD7および/またはAH1などの検出可能な標識モノクローナル抗体で処理する。その後、固相支持体を結合していない抗体を除去するためにバッファーで2回洗浄する。固相支持体に結合した抗体の量を、公知の方法で測定する。抗体または抗体フラグメントを用いて、ラジオイムノアッセイ(RIA)の使用により、扁平上皮癌特異的抗原を検出することができる(例えば、Weintraub, B., Principles of Radioimunoassays, Seventh Training Co urse on Radioligand Assay Techniques. The Endocrine Society, March 1986参照)。放射活性同位元素を、ガンマカウンターまたはシンチレーションカウンターを使用する方法により、またはオートラジオグラフィーにより検出することができる。
【0039】
モノクローナル抗体は、蛍光化合物で標識することもできる。最も汎用される蛍光標識化合物は、フルオロセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリスリンおよびフルオレサミンである。同様に、生物発光化合物を用いてモノクローナル抗体を標識することができる。生物発光タンパク質の存在は、発光の存在を検出することにより検出される。標識の目的のために生物発光化合物の重要な物は、ルシフェリン、ルシフェラーゼおよびアエクオリンである。
【0040】
本発明の抗体を用いて、in vivoでの診断適用に用いることもできる。例えば、抗体または抗体から調製されるフラグメントを用いて、ヒト患者体内の転移腫瘍などの腫瘍を予測することができる。精製抗体またはそのフラグメントは、検出可能なシグナルを付与することができる試薬で標識され、適切な担体と共に、患者に例えば静脈注射により投与する。腫瘍に結合した抗体の局在は、エクスターナルシントグラフィー(external scintography)、エミッション・トモグラフィー(emission tomography)または放射核スキャニングによって、例えばγカメラを用いて検出することができる。
【0041】
5.3 キット
本発明はさらに、上述のアッセイを実施するためのキットを提供する。本明細書記載のアッセイは、例えば、抗体試薬(扁平上皮癌特異的抗原検出用)を含むプレパックされた診断キットを用いることにより実施できる。例えば、癌などの症状を診断するために臨床で使用することができる。抗体試薬は、AD6、5C6、AD7およびAH1モノクローナル抗体を含む。
【0042】
非限定的な例としては、本発明のキットは、患者の生物学的サンプルでの扁平上皮細胞特異的抗原を検出および/または測定する構成要素を含み得る。例えば、扁平上皮癌特異的抗原を酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)で検出および/または測定する場合には、かかる構成成分は、生物学的サンプル中の扁平上皮癌特異的抗原のレベルを検出および/または定量するのに用いることができる、扁平上皮癌特異的抗原のエピトープを認識する抗体を含み得る。抗体自体が、放射活性、蛍光、色素または酵素で標識されていてもよい。このような抗体は、AD6、5C6、AD7およびAH1モノクローナル抗体を含む。あるいは、該キットは、標識二次抗体を含んでいてもよい。
【0043】
5.4 モノクローナル抗体の治療的適用
本発明の抗体は、さまざまな治療方法に用いることができる。モノクローナル抗体は、扁平上皮癌を有する患者の治療に、修飾されないままで、すなわちコンジュゲートされてない形態で用いることもできる。例えば、抗体は補体(CDC)またはエフェクター細胞(ADCC)介在性細胞傷害をターゲットとしてもよい。あるいは、抗体を抗癌剤、毒素、放射性各種にコンジュゲートしてもよい。コンジュゲートした抗体を患者に投与し、抗体部分の結合親和性に基づいて腫瘍へ送達された抗癌剤の細胞傷害作用を介して、殺腫瘍効果が向上する。
【0044】
本発明のキメラ抗体分子は、ヒト定常領域ドメインと抗原結合ドメインを含むように調製するとよく(Morrisonら、1984, Proc. Natl Acad. Sci. U.S.A. 81 :6851; Takedaら、1985, 25 Nature, 3 14:452)、この手法を用いるとヒトの補体の活性化およびACDDの介在する能力などの所望のエフェクター機能を有する新規抗体分子を作製できる。
【0045】
本発明は、本発明の抗体を含む医薬組成物に関する。抗体、抗体フラグメントまたは誘導体の投与量とその処方は、癌治療の臨床分野の当業者が容易に決定できる。例えば、非経口、皮下、筋内、腹腔、経皮または舌下投与などでよい。投与用量は、投与される者の年齢、健康状態、体重、治療頻度、および所望する効果の性質によっても異なる。
【0046】
本発明の範囲内の組成物は、抗体、フラグメントまたは誘導体が意図する目的を達成するために効果的な量で含まれていれば、あらゆる組成物でよい。個々の必要性は様々であり、各組成物の最適範囲の効果的な量の決定は当業者には公知技術である。効果的な用量は、それぞれのキメラ抗体、モノクローナル抗体コンジュゲートした治療剤、患者およびその臨床的状態の存在および性質に依存するが、体重1kg当たり約10ng〜100mgの範囲内である。好ましい用量は、体重1kg当たり0.1〜10mg/kgである。非経口投与のための本発明の抗体、フラグメントまたは誘導体の調剤(イメージング用に検出可能な標識を付した形態、または治療用の遊離もしくは結合した形態など)は、滅菌した凍結乾燥タンパク質、水性または非水性液、懸濁剤および乳化剤を含む。非水性溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびエチルオレイン酸などの注射可能な有機エステルがある。水性担体は、水、アルコール/水溶液、乳化剤、懸濁剤などがあり、生理的食塩水、緩衝剤、塩化ナトリウム溶液、リンガーデキストロース液、デキストロースと塩化ナトリウム、乳酸加リンガー溶液または不揮発性油などの非経口ビヒクルが挙げられる。静脈投与ビヒクルは、液体およびリンガーデキストロース液などに基づいた栄養補充剤を含み得る。例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性気体などの保存剤および他の添加物を含んでもよい。概説としては、Remington’s Phannaceutical Science, 16th ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1980などを参照のこと。
【0047】
特に、抗体、そのフラグメントおよび誘導体は、扁平上皮癌を有する患者の治療に有用である。かかる治療は、抗体、そのフラグメントもしくは誘導体、またはそのコンジュゲートの単回または複数回の非経口投与を含み得る。
【0048】
AD6、5C6、AD7およびAH1抗体が結合する本発明の新規抗原は、治療適用に用いることもできる。抗原を腫瘍から精製して、免疫原として単独で、または適切な免疫アジュバントと一緒に投与する。あるいは、抗原を免疫原として利用するために遺伝子組換えにより作製してもよい。
【0049】
6.実施例
扁平上皮癌特異的モノクローナル抗体
抗体
下記に、扁平上皮癌の表面に発現される特異的糖タンパク質に対して反応するモノクローナル抗体の産生について記載する。免疫学的アッセイにより、該モノクローナル抗体が癌細胞と反応するが、正常組織とは全くもしくはほとんど反応しないことが示された。さらに、AH1およびAD7も同様である。
【0050】
6.1 モノクローナル抗体の調製
ヒト肺扁平上皮癌関連抗原(SLAA)に対するモノクローナル抗体は、Herzenbergらによって記載された方法の変法を用いて作製した。4週齢のBalb/cマウスに、腹腔内投与(ip)にて、外科手術時に患者から摘出したヒト肺扁平上皮癌を回収して、その膜を抽出したものから得た粗精製済みSLAA 100μgを、完全フロイントアジュバント200μlで乳化して免疫した。2週間感覚で、不完全フロイントアジュバント200μlで乳化したものを2回腹腔注射した。その後免疫原20μgで静脈内投与により最終免疫して、3日後に脾臓細胞を採取した。細胞ハイブリッドを、Muraroらの方法によりマウス非分泌性ミエローマ細胞株SP2/0−Ag14を用いて調製した。ハイブリドーマの上清を、ヒト肺扁平上皮癌の数種の細胞株(P3、P6およびH595)および粗精製免疫原を用いてELISAで特異的抗体産生についてアッセイした。全てのハイブリドーマ株を限界希釈法により2回クローニングした。
【0051】
腹水での調製のために、4週齢のBalb/cマウスに、プリスタン投与後、約5×106個のハイブリドーマ細胞を接種した。モノクローナル抗体を該マウスの腹水から精製して、プロテインGアフィニティカラムクロマトグラフィで精製した。精製抗体調製物のタンパク質含量は、12%SDSポリアクリルアミドTris−グリシンゲル上で解析した。
【0052】
6.2 モノクローナル抗体の調製
6.2.1. ウェスタンブロット
5C6、AD6、AD7およびAH1抗体を用いて、ウェスタンブロットを行った。タンパク質サンプルは、肺洗浄液標本から得た。サンプル(3μg)を12%SDS−PAGE上にロードした。タンパク質をニトロセルロース膜に転写して、西洋ワサビペルオキシダーゼで標識した抗体を用いて染色した。図1に示すように、本発明のモノクローナル抗体はいずれも、肺洗浄液標本から得た扁平上皮癌細胞に発現された異なる抗体に対して反応した。
【0053】
6.2.2. 扁平上皮癌特異的抗体による ADCC
4時間51Cr放出アッセイを用いてADCC活性を測定した。標的細胞を肺扁平上皮癌細胞株H595とした。標的細胞を、200μlのウシ胎児血清中で1時間200μCiの[51Cr]クロム酸ナトリウム(200〜500mCi/mg、Amersham、Arligton, IL)で標識した。標的細胞(1×104)を、モノクローナル抗体(1.0μg/ウェル)の存在下で、エフェクター細胞と共に(比率は、エフェクター細胞対標的細胞が80:1になるようにして)U底96ウェルプレートでインキュベートした。プレートを5%CO2存在、湿度条件下で、37℃にて4時間インキュベートした。上清を回収して、Skatron Harvesterフレームを使用してγカウントに供した。溶解率を下記式を用いて計算した:
溶解率(%)={[観察された放出量(cpm)−自発的放出量(cpm)]/[総放出量(cpm)−自発的放出量(cpm)] }×100
自発的放出量は、培地のみの中でインキュベートした標的細胞から放出された放射活性を測定することにより検出した。総放出量放射活性は、2.5%のTritonX−100で処理した後に測定した。放射性標識クロムの自発的放出は、2.5%のTritonX−100で処理した後に測定した。
【0054】
図2および図3に示すように、AH−1、D6および5C6モノクローナル抗体は、ヒト肺扁平上皮癌細胞に対して試験した場合のADCC活性を示す。図3Bに示すように、ADCC活性は、ヒト結腸癌細胞に対して活性は示さないことから、肺扁平上皮癌細胞に特異的であった。
【0055】
6.2.3. 扁平上皮癌特異的抗体を用いた免疫組織化学
染色方法は下記の通りである。
【0056】
Mayo 凍結組織法
スライドグラス標本を、10分間1%パラフォルムアルデヒドで固定化して3回PBSで洗浄した。内因性ペルオキシダーゼ(1%アジ化ナトリウム+3%H2O2)でブロッキングして1分間水で洗浄した。5%NGSを加えて10分後に、1%NGSで希釈した一次抗体(2μg/ml)を加えて、室温で2時間インキュベートした。スライドグラスをPBSで2〜3回洗浄し、ビオチンRAM(DAKO)と共に室温にて15分間インキュベートした。スライドグラスをPBSで2〜3回洗浄した。ストレプトアビジン(HRP) (DAKO)をスライドグラスに添加して室温で15分間インキュベートした。スライドグラスをPBSで2回洗浄し、水で1回洗浄した。DABまたはAECを反応させた。
【0057】
パラフィン切片法
スライドグラス標本を、20分間60℃で静置した。脱パラフィン化はセーフティキャビネット内で行った、(i)キシレン5分;(ii)キシレンと1%ヨード5分;キシレン10秒;(iii)100%アルコール;(iv)95%アルコール、(v)50%アルコール。スライドグラスを50%メタノール3%H2O2中に10分間静置し、1分間水で洗浄した。5%NGSを10分間添加して、1%NGSで希釈した一次抗体(1μg/ml)を加えて、室温で一晩インキュベートした。サンプルを水で洗浄し、ビオチンGAM(DAKO)と共に30分間室温にてインキュベートした。スライドグラスを水で洗浄し、ストレプトアビジン(HRP)(DAKO)をスライドグラスに添加して30分間インキュベートした。サンプルを水で洗浄し、DAB/AECを反応させた。
【0058】
本発明の4種のモノクローナル抗体は、肺の扁平上皮癌の表面に特異的に発現されるが、正常細胞の表面には発現しない抗原に対して反応することがわかった。さらに、抗体は、子宮頸癌細胞の表面に発現された抗原に対しても免疫反応性を有していることが分かった(図7A〜B)。
【0059】
さらに、ELISAアッセイを以下の方法を用いて実施した。肺洗浄液を、1:2、1:4、1:8、1:16、1:32、1:64、1:128の希釈割合で正確に希釈して100μ/ウェルで4℃で一晩コーティングした。ウェルをTBSTで3回洗浄した。ブロッキングをTBST/2%ジェラチンで行った(200〜100μl/ウェル、37℃、1時間)。その後、TBSTで5回洗浄した。腹水抗体100μl/mlを加えて30℃で1時間インキュベートした。抗マウスIgG AP抗体1:1000を添加して、37℃で1時間インキュベートした。ウェルをTBSTで5回洗浄した。基質P−NPPを各ウェルに添加して405nmでのエンドポイント吸光度測定を行った。図5および図6に示すように、5C6およびAD6モノクローナル抗体は、肺洗浄液組織サンプルと反応した。
【0060】
さらに、細胞フローサイトメトリーを実施して抗体の特異性を調べた。細胞(LS174T、H596、H441およびCaLu3)を、フェニルレッド不含培地中で対数増殖期まで増殖させて、0.025%トリプシンEDTA(BioWhittaker)でフラスコから剥離した。そして、細胞をPBS(pH7.4)で洗浄して30分間培地中に懸濁させてカウントした。全てのその後の手順は、4℃で実施した。
【0061】
細胞をPBSで3回洗浄した。5×105個の細胞を含むサンプルをPBS200μl中に懸濁して、それぞれの反応試験管に入れた。ビオチン化抗体溶液200μlをサンプルに加えて、4℃で30分間インキュベートした。細胞をPBSで3回洗浄して、500μlのPBSに懸濁させた。その後、細胞をフローサイトメトリーで解析した。図8に示すように、肺癌細胞(H596、H441およびCaLu3)は抗体で染色されたが、対照の結腸癌細胞(LS174T)はほとんど染色されなかった。
【0062】
6.3. ワクチンの研究
同種肺癌細胞(すなわち、扁平上皮癌)から膜調製物を得た。膜抽出物を生細胞から得て、低頻度超音波処理に供した。可溶性物質をSephadex G−200で分離して、さらに非連続的ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。個々のバンドをゲルから単離し、DHR(遅延型皮膚過敏症)について調べ、回収してワクチンとして用いた。DHRについての皮膚試験には、30μgの抗原(TAA)を用いた。免疫応答を抑制する阻害物質を含んでいたためSephadex画分Iをワクチンから除去した。例外なく、自己免疫肺製応答の徴候が現れた。各患者で、細胞性および体液性免疫の増強が観察された。DHRは5年以上増大したままであった。外科手術とワクチン接種のにより調べた患者(237例)の80%が生存したが、外科手術だけでは40%しか生存しなかった。
【0063】
6.4. AD7 および5 C6 重鎖ならびに軽鎖のクローニングと決定
AD7および5C6重鎖V領域のクローニングと増幅に用いたプライマーは以下の通りである:
(i) cDNA:MHCGSP1A:
5’−CAT GGA GTT AGT TTG GGC AGC AGA−3’
ブリッジ化アンカープライマー;
5’−GGC CAC GCG TCG ACT AGT ACG GGIIGG GII GGG IIG−3’
(ii) 増幅: MHCGSP2A:
5’−CAG GGG CCA GTG GAT AGA CAG ATG−3’
ブリッジ化アンカープライマー;
5’−GGC CAC GCG TCG ACT AGT ACG GGIIGG GII GGG IIG−3’
以下のプライマーを、 AD7と5C6の軽鎖V領域のクローニングと増幅に用いた:
(i) cDNA:MLCGSP1:
5’−CCT GTT GAA GCT CTT GAC AAT GGG−3’
ブリッジ化アンカープライマー;
5’−GGC CAC GCG TCG ACT AGT ACG GGIIGG GII GGG IIG−3’
(ii) 増幅: MOSKAPPA:
5’−ACT GGA TGG TGG GAA GAT GGA T−3’
ブリッジ化アンカープライマー;
5’−GGC CAC GCG TCG ACT AGT ACG GGIIGG GII GGG IIG−3’。
【0064】
6.5. ヒト − マウスキメラ抗体遺伝子の構築と発現
レトロウイルスベクターpLHCXIIとpLNCXIlを用いて、キメラ重鎖および軽鎖のcDNAをそれぞれ発現させた。pLHCXIIは、ネオ遺伝子の5’側から45塩基の位置にあるEcoRI部位はあるがベクター骨格中のEcoRI部位が破壊されていることを除いてはベクターLNCXと同じである。これはD. Miller博士(Fred Hutchinson Cancer Ressearch Center, Seattle WA)より供与いただいた。ベクターはN2ベクターからM−MuLVの5’末端反復配列(LTR)をM−MSVLRTに置換して、かつヒトサイトメガロウイルス(HCVM)の最初期遺伝子プロモーター3’からneo遺伝子までを含むBalI/XmaIII断片を挿入することにより得た。標的遺伝子のクローニングのために、HindIII、HpaIおよびClaI部位を含むポリリンカーは、3’からHCMVプロモーターまでに挿入された。ベクターpLHCXIIを、ネオマイシン耐性遺伝子を含む1.2KbのEcoRI/BamHIフラグメントをハイグロマイシン耐性を付与する遺伝子を有する1.4KbのEcoRI/BamHIフラグメントと置換して作製した。pLNCXIIHuKのレトロウイルス発現構築物を作製するために、キメラκ鎖(mAb)をコードするcDNAを含むDNA断片をpBluescript構築物をSmaI/ClaIで切断することにより得た。得られたフラグメントを、HpaI/ClaIで直鎖状にしたpLNCXIIベクターにクローニングした。キメラ重鎖をコードするDNA断片配列をpBluescript構築物から、プラスミドをXbaIで切断して、突出部分をKlenowで埋める以外は同様にして得、HindIIIで切断することにより断片を切り出した。できた断片を、HindIII/HpaIで直鎖状にしたpLHCXIIにクローニングして、キメラmAb重鎖の発現構築物であるpLHXIIHuG1を作製した。
【0065】
キメラmAbの開発のために続いて、HCおよびLC発現構築物をSP2/O細胞に、セルポレーターシステムを用いてエレクトロポレーションによって導入した。エレクトロポレーションは以下の通り行った。簡単に説明すると、SP2/O細胞を4.5g/Lグルコース含有血清不含DMEM(JRH Nioscience, Lenexa, KS)で洗浄し、5×106細胞/mlの濃度で同じ培地に懸濁した。プラスミド100μgを4℃に保ったエレクトロポレーションチャンバー中の細胞懸濁液1mlに加えた。細胞とDNAの混合物を650V/cmで13msにて刺激した(キャパシタンスセッティングは 1600 μF)。細胞を4℃で10分間保って、15%FCS含有RPMI1640で希釈した。その後、細胞を5×105細胞/ウェルの濃度で24ウェルプレートの播種した。37℃で15%CO2条件下で、24時間インキュベートした後、ハイグロマイシンまたは活性G418含有選択培地を500〜800μl/mlの濃度でそれぞれ添加した。
【0066】
ヒトマウスキメラmAb(Hu mAb)産生クローンは、タンパク質不含PFHM−IIハイブリドーマ培地(GIBCO, BRL)で増殖させ、プロテインGアフィニティクロマトグラフィで精製した。タンパク質濃度は、BioRadマイクロアッセイ法またはLowry法により測定する。充填済みの4〜20%のSDS−ポリアクリルアミドTris−グリシンゲル(Novex System, San Diego, CA)を用いて、2−メルカプトエタノールでの変性後もしくは未変性でタンパク質を解析した。タンパク質ゲルを、Lamemmliの方法でクマシーブリリアントブルーR250で可視化した。
【0067】
本発明は、ここに記載した特定の実施態様に限定されるものではない。記載の実施態様は、本発明のこの態様の単なる例示として示したものであり、機能的に同等な方法および構成要素は本発明の範囲に含まれる。無論、本明細書の記載および例示において、本発明に関する様々な改変が可能であることは、当業者には明らかであろう。かかる改変もまた、特許請求の範囲に含まれる者である。本明細書中に引用する種々の刊行物は、全体を参照として本明細書中に組込むものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】
モノクローナル抗体5C6、AD6、AD7およびAH1による肺洗浄液のウェスタンブロットの結果を示す。
【図2】
図2は、扁平上皮癌特異的抗体AH1およびAD7ならびにコントロール抗体UPC−10によるADCCの結果である。
【図3】
図3Aは、ヒト扁平上皮癌細胞株H596に対する、扁平上皮癌特異的抗体AH1、AD6、AD7、5C6およびコントロール抗体UPC−lOによるADCCの結果である。図3Bは、ヒトの結腸癌細胞株LS174Tに対する、扁平上皮癌特異的抗体AH1、AD6、AD7、5C6およびコントロール抗体UPC−lOによるADCCの結果である。
【図4】
図4は、扁平上皮癌特異的抗体AH6、AD7および5C6を用いた免疫組織染色の結果である。図4Aは、正常な肺組織をAD6でプロービングした結果である。図4Bは正常な肺組織をAD7でプロービングした結果である。図4Cは、扁平上皮癌肺洗浄液をAD6でプロービングした結果である。図4Dは、扁平上皮癌肺洗浄液を5C6でプロービングした結果である。図4Eは、扁平上皮癌を5C6でプロービングした結果である。図4Fは、扁平上皮癌をAD6でプロービングした結果である。
【図5】
図5は、肺洗浄液を用いた5C6およびAD6モノクローナル抗体による直接法ELISA分析の結果である。
【図6】
図6は、肺洗浄液を用いた5C6、AD6、AH1およびAD7モノクローナル抗体による直接法ELISA分析の結果である
【図7】
図7Aは、SC6およびAD7モノクローナル抗体を使用するパップスメア試験(Pap Smear)の結果である。スライドは形成障害を表わすが、癌特異的抗原を発現する細胞の存在を示す。図7Bは、C56(上)およびAD7(下)を使用して、子宮頸癌細胞をペルオキシダーゼでin situで染色した結果である。
【図8】
図8は、細胞のフローサイトメトリーの結果である。LS174T結腸癌細胞、H596、H441およびCaLu3 肺癌細胞を、AJ6またはAD7抗体で染色した。
Claims (26)
- 以下の特徴を有する、ヒト癌関連タンパク質抗原に特異的なモノクローナル抗体:
a. 該抗原は、癌ではない正常なヒト組織で検出されないこと、
b. 該抗原は、ヒトにおいて特異的な免疫原であること、
c. 該抗原が、結腸癌を有するヒトにおいて、細胞性免疫として発現される免疫応答を誘導すること。 - マウスモノクローナル抗体AD6(ATCC PTA−2460)またはモノクローナル抗体AD6に特異的に結合する癌関連エピトープに特異的に結合する抗体である、請求項1記載の抗体。
- マウスモノクローナル抗体AD7(ATCC PTA−2459)またはモノクローナル抗体AD7に特異的に結合する癌関連エピトープに特異的に結合する抗体である、請求項1記載の抗体。
- マウスモノクローナル抗体5C6(ATCC PTA−2458)またはモノクローナル抗体5C6に特異的に結合する癌関連エピトープに特異的に結合する抗体である、請求項1記載の抗体。
- マウスモノクローナル抗体AH1(ATCC PTA−2457)またはモノクローナル抗体AH1に特異的に結合する癌関連エピトープに特異的に結合する抗体である、請求項1記載の抗体。
- 固相支持体上に固定化された、請求項1記載の抗体。
- 検出可能な標識が付された、請求項1記載の抗体。
- 検出可能な標識が放射性標識である、請求項7記載の抗体。
- 細胞傷害性放射性核種にコンジュゲートされた、請求項1記載の抗体。
- 細胞傷害性薬剤にコンジュゲートされた、請求項1記載の抗体。
- 細胞傷害性タンパク質にコンジュゲートされた、請求項1記載の抗体。
- 請求項10記載の抗体を含む、製薬上許容され得る担体に組み合わされた組成物。
- 請求項11記載の抗体を含む、製薬上許容され得る担体に組み合わされた組成物。
- 請求項1記載のモノクローナル抗体に対するモノクローナル抗体。
- サンプル中のマウスモノクローナル抗体AD6 (ATCC PTA−2460)に結合する癌関連抗原を検出するためのイムノアッセイ法であって、
a. 結合に効果的な量の抗体をサンプルと接触させること;および
b. 精製癌関連タンパク質抗原への抗体の結合を検出することにより抗原を検出すること;
を含む上記方法。 - サンプル中のマウスモノクローナル抗体AD7 (ATCC PTA−2459)に結合する癌関連抗原を検出するためのイムノアッセイ法であって、
a. 結合に効果的な量の抗体をサンプルと接触させること;および
b. 精製癌関連タンパク質抗原への抗体の結合を検出することにより抗原を検出すること;
を含む上記方法。 - サンプル中のマウスモノクローナル抗体AH1 (ATCC PTA−2457)に結合する癌関連抗原を検出するためのイムノアッセイ法であって、
a. 結合に効果的な量の抗体をサンプルと接触させること;および
b. 精製癌関連タンパク質抗原への抗体の結合を検出することにより抗原を検出すること;
を含む上記方法。 - サンプル中のマウスモノクローナル抗体5C6 (ATCC PTA−2458)に結合する癌関連抗原を検出するためのイムノアッセイ法であって、
a. 結合に効果的な量の抗体をサンプルと接触させること;および
b. 精製癌関連タンパク質抗原への抗体の結合を検出することにより抗原を検出すること;
を含む上記方法。 - 患者の癌を診断するための方法であって、以下の:
a. 癌を患っていると疑われる患者から組織標本を切除すること;
b. モノクローナル抗体AD6 (ATCC PTA−2460)と該標本を接触させること;
c. 免疫組織学的染色により標本を染色すること;および
d. 上記染色により抗原抗体複合体の存在を検出すること;
を含む上記方法。 - 患者の癌を診断するための方法であって、以下の:
a. 癌を患っていると疑われる患者から組織標本を切除すること;
b. モノクローナル抗体AD7 (ATCC PTA−2459)と該標本を接触させること;
c. 免疫組織学的染色により標本を染色すること;および
d. 上記染色により抗原抗体複合体の存在を検出すること;
を含む上記方法。 - 患者の癌を診断するための方法であって、以下の:
a. 癌を患っていると疑われる患者から組織標本を切除すること;
b. モノクローナル抗体5C6 (ATCC PTA−2458)と該標本を接触させること;
c. 免疫組織学的染色により標本を染色すること;および
d. 上記染色により抗原抗体複合体の存在を検出すること;
を含む上記方法。 - 患者の癌を診断するための方法であって、以下の:
a. 癌を患っていると疑われる患者から組織標本を切除すること;
b. モノクローナル抗体AH1 (ATCC PTA−2457)と該標本を接触させること;
c. 免疫組織学的染色により標本を染色すること;および
d. 上記染色により抗原抗体複合体の存在を検出すること;
を含む上記方法。 - モノクローナル抗体AD6を含む組成物を投与することを含む、癌患者のADCC反応を誘導する方法。
- モノクローナル抗体AD7を含む組成物を投与することを含む、癌患者のADCC反応を誘導する方法。
- モノクローナル抗体5C6を含む組成物を投与することを含む、癌患者のADCC反応を誘導する方法。
- モノクローナル抗体AH1を含む組成物を投与することを含む、癌患者のADCC反応を誘導する方法。
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