JP2004529613A - 改善された抗体特性を有する遺伝的に改変された抗体産生細胞系統を作製するための方法 - Google Patents

改善された抗体特性を有する遺伝的に改変された抗体産生細胞系統を作製するための方法 Download PDF

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Abstract

ヒトミスマッチ修復遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子は、超変異性細胞および生物体を作製するために使用できる。これらの遺伝子を細胞およびトランスジェニック動物内に導入することにより、新規で有用な性質を有する新規の細胞系統および動物変種が、天然の変異速度に依存するよりもさらに効率的に作製できる。これらの方法は、増強された生化学的活性を有する改変された抗体を産生するための関係する抗原に対して指向する免疫グロブリン遺伝子内で遺伝子多様性を生成するために有用である。さらに、これらの方法は、抗体産生の増加したレベルを有する抗体産生細胞を作製するために有用である。

Description

【0001】
[発明の技術分野]
本発明は、抗体成熟および細胞産生の分野に関連する。具体的には、変異誘発の分野に関連する。
【0002】
[発明の背景]
外来および/または内因性ポリペプチドの活性をブロックするための抗体の使用は、疾患の根本原因を治療するための有効で選択的な戦略を提供する。具体的には、有効な治療剤としてのモノクローナル抗体(MAb)、例えばFDAが承認したレオプロ(ReoPro, Glaser, V.(1996) Can ReoPro repolish tarnished monoclonal therapeutics? Nat. Biotechnol 14:1216−1217)、セントコール(Centocor)からの抗血小板MAb、ヘルセプチン(Herceptin, Weiner, L.M.(1999) Monoclonal antibody therapy of cancer, Semin. Oncol. 26:43−51) 、ジェネンテク(Gentech) からの抗−Her2/neu MAb、およびシナジス(Synagis,Saez−Llorens, X.E., et al.(1998) Safety and pharmacokinetics of an intramuscular humanized monoclonal antibody to respiratory syncytial virus in premature infants and infants with bronchopulmonary dysplasia. Pediat.Infect. Dis. J.17:787−791)、すなわちメジミュン(Medimmune) により生産される抗呼吸器合胞性ウイルスMAbの使用である。
【0003】
候補タンパク質標的に対するMAbを作製するための標準的方法は、当該技術分野の熟練者には既知である。要約すると、アジュバントの存在下で精製した抗原を注入したげっ歯類、例えばマウスまたはラットに注入して、免疫反応を発生させる(Shield, C.F., et al.(1996) A cost−effective analysis of OKT3 induction therapy in cadaveric kidney transplantation. Am. J. Kidney Dis. 27:855−864) 。正の免疫血清を有するげっ歯類を屠殺しそして脾臓細胞を単離する。単離された脾臓細胞をメラノーマに融合して不死化細胞系統を作製しこれを次いで抗体産生のためにスクリーニングする。陽性系統を単離しそして抗体産生に関して特性を試験する。ヒト治療剤としてのげっ歯類MAbの直接使用は、げっ歯類抗体を用いて処置した患者のかなりの人数内にヒト抗−げっ歯類抗体(HARA)反応が発生する事実により困惑される(Khazarli,M.B. et al.,(1994) Human immune response to monoclonal antibodies. J. Immunother. 15:42−52) 。HARAの問題を回避するために、抗原結合ドメインを構成する免疫グロブリン(Ig)サブユニットの重鎖および軽鎖可変領域内にみいだされる重要なモチーフである相補性決定領域(CDR)をヒト抗体骨格上にグラフトすると、HARA反応を起こさないでこれらのキメラ分子が抗原へのそれらの結合活性を維持できることがみいだされた(Emery, S.C., and Harris, W.J.,”Strategies for humanizing antibodies” In:ANTIBODY ENGINEERING C.A.K. Borrebaeck (Ed.) Oxford University Press, N.Y. 1995, pp 159−183) 。げっ歯類誘導MAbの「ヒト化(humaization) 」(以後本明細書中でHAbと呼ぶ)の間に存在する共通の問題は、ヒトIg骨格上へのグラフトの際のCDRドメインの三次元構造内のコンフォーメション的変化による結合親和性の低下である(Queenらへの米国特許第5,530,101 号)。この問題を克服するには、高い親和性HAbを再創成するためにフレームワーク操作内および/またはCDRコーディング領域自体内に追加のアミノ酸残基を挿入するかかまたは除くことにより追加のHAbベクターを操作することが通常必要である(Queenらへの米国特許第5,530,101 号)。この方法は、高親和性HAbに導くことができる変化を予測するためにコストがかかるコンピューターモデリングプログラムに使用を含む著しく時間を要する手順である。ある場合には、HAbの親和性はMAbのものに決して回復されず、これらに殆ど治療的な用途を与えない。
【0004】
抗体操作に存在する別の問題は、臨床物質のための分子の製造のために必要な安定で高収率の産生細胞系統の作製である。この問題を回避するために当該技術分野の熟練者により標準手順内に数種の戦略が採用されている。一つの方法は、全抗体または単鎖抗体を産生するグラフトされたヒト軽鎖および重鎖を含む外因性Ig融合遺伝子をトランスフェクションされたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞の使用であり、これは抗原結合性ポリペプチドを形成する軽鎖および重鎖双方を含むキメラ分子である(Reff, M.E.(1993) High−level productionof recombinant immunoglobulins in mammalian cells. Curr. Opin. Biotechnol. 4:573−576) 。別の方法は、ヒトのグラフトした免疫系を含むトランスジェニックマウスまたはヒトIg遺伝子レパートリーを含むトランスジェニックマウスより誘導されたヒトリンパ細胞の使用を用いる。さらに別の方法は、ヒト抗−サル反応を欠失すると報告された霊長類MAbを産生するサルの使用を用いる(Neuberger, M. and Gruggermann, M. (1997) Monoclonal antibodies. Mice perform a human repertoire, Nature 386; 25−26)。すべての場合に、高い親和性抗体の十分な量を生成できる細胞系統の作製は、臨床研究のために十分の材料を産生するための重要な限界となる。これらの限界のために、他の組換え系、例えば植物の使用が、ヒト化抗体の安定で高レベル産生に導くであろう系として現在開発されている(Fiedler, U. and Conrad, U (1995) High−level production and long−term storage of engineered antibodies in transgenic tobacco seeds. Bio/Technology 13: 1090−1093) 。
【0005】
抗原に高い結合親和性を有するHAbおよびMAbをもたらす可変ドメイン内に多様な抗体配列を生成するための方法は、さらに強力な治療および診断試薬をそれぞれ創成するために有用であろう。その上、全抗体分子を通じてランダムに改変されたヌクレオチドおよびポリペプチド残基の生成は、抗原性がより低いおよび/または有用な薬動力学的性質を有する新規の試薬をもたらすであろう。本明細書中に記載される本発明は、生化学的活性抗体をコードする免疫グロブリンを産生する宿主細胞の内因性ミスマッチ修復(MMR)活性をブロックすることにより生体内の抗体構造を通じてランダムな遺伝子変異の使用を指向する。本発明は、反復された生体内遺伝子改変のための方法および増強された結合および薬動力学的プロフィールを有する抗体の選択にも関する。
【0006】
さらに、抗体の増加した量を分泌できる遺伝的に改変された宿主細胞を開発する能力は、製品開発のための細胞宿主を創成するための価値ある方法も提供するであろう。本明細書中に記載される本発明は、MMRのブロックを介する増加した抗体産生を有する遺伝的に改変細胞宿主の創成を指向する。
【0007】
本発明は、高親和性抗体の生成および抗体産生の高いレベルを有する細胞系統の生成を容易とする。本発明の別の利点は、本明細書中に記載される実施例および図面中に記載される。
【0008】
[発明の要約]
本発明は、遺伝的に改変された抗体(単鎖分子を含む)および生体外および生体内で後代産生細胞宿主を生成するための方法を提供し、これにより抗体は、所望の生化学的性質、例えば増加した抗原結合、増加した遺伝子発現、および/または宿主細胞による増強された細胞外分泌を有するが、これらに限定はされない。増加した結合活性を有する抗体または増加した抗体産生を有する細胞を同定するための一つの方法は、増強された結合性質を有する分子を産生するMMR欠陥抗体産生細胞クローンまたは抗体産物の増加した量を産生するように遺伝的に改変されたクローンのスクリーニングを介する。
【0009】
本発明中で使用するために適する抗体産生細胞は、げっ歯類、霊長類、またはヒトハイブリドーマまたはリンパ芽球;トランスフェクションされそして外因性Igサブユニットまたはキメラ単鎖分子を発現する哺乳動物細胞;トランスフェクションされそして外因性Igサブユニットまたはキメラ単鎖分子を発現する植物細胞、酵母または細菌を含み、しかしこれらに限定はされない。
【0010】
このように、本発明は、ミスマッチ修復遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子を含んでなるポリヌクレオチドを、抗体産生可能な細胞内に導入することによる超変異性(supermutable)抗体産生細胞を作製するための方法を提供する。抗体産生が可能な細胞には、天然に抗体を産生する細胞、および免疫グロブリンをコードする配列の導入を介して抗体を産生するように操作された細胞が含まれる。好都合には、細胞内へのポリヌクレオチド配列の導入はトランスフェクションにより達成される。
【0011】
本発明は、優性ネガティブミスマッチ修復(MMR)遺伝子、例えばPMS2(好ましくはヒトPMS2)、MLH1、PMS1、MSH2、またはMSH2を抗体産生可能な細胞内に導入することにより超変異性抗体産生細胞を作製する方法も提供する。ミスマッチ修復遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子は、ミスマッチ修復遺伝子の末端短縮変異体であってもよい(好ましくはコドン134、または野生型PMS2のヌクレオチド424におけるチミジンにおける末端短縮変異体)。本発明は、ミスマッチ修復遺伝子活性が抑制されている方法も提供する。これは、例えばミスマッチ修復遺伝子または転写体に対して指向するアンチセンス分子を用いて達成されてもよい。
【0012】
本発明の別の態様は、ミスマッチ修復遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子を含んでなるポリヌクレオチドを動物の受精卵内に導入することによる超変異性抗体産生細胞を作製するための方法を提供する、これらの方法は、引き続いて卵を擬−妊娠雌内に移植し、これにより受精卵を成熟したトランスジェニック動物に生育させることを含んでもよい。ミスマッチ修復遺伝子は、例えばPMS2(好ましくはヒトPMS2)、MLH1、PMS1、MSH2、またはMSH2を含んでもよい。ミスマッチ修復遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子は、ミスマッチ修復遺伝子の末端短縮変異体であってもよい(好ましくはコドン134、または野生型PMS2のヌクレオチド424におけるチミジンにおける末端短縮変異体)。
【0013】
本発明は、抗体産生可能でありそしてミスマッチ修復遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子を含む培養された超変異性哺乳動物細胞の均質組成物をさらに提供する。ミスマッチ修復遺伝子は、例えばPMS2(好ましくはヒトPMS2)、MLH1、PMS1、MSH2、またはMSH2を含んでもよい。ミスマッチ修復遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子は、ミスマッチ修復遺伝子の末端短縮変異体であってもよい(好ましくはコドン134、または野生型PMS2のヌクレオチド424におけるチミジンにおける末端短縮変異体)。カルチャーの細胞はPMS2(好ましくはヒトPMS2)、MLH1またはPMS1を含んでもよく、またはヒトmutL同族体、またはhPMS2の最初の133アミノ酸を発現してもよい。
【0014】
本発明は、さらに、細胞がミスマッチ修復遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子を含む関係する免疫グロブリンに関して選択された免疫グロブリン産生細胞を培養することにより関係する免疫グロブリン遺伝子内に変異を生成するための方法を提供する。細胞より産生される免疫グロブリンの性質は、免疫グロブリン遺伝子が変異を包含するかどうかを確認してアッセイできる。このアッセイは、免疫グロブリンをコードするポリヌクレオチドを分析するように向けられてもよく、または免疫グロブリンポリペプチド自体に向けられてもよい。
【0015】
本発明は、ミスマッチ修復遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子を発現する細胞を培養することにより抗体産生細胞内での抗体産生に影響する遺伝子内に変異を生成し、そして関係する遺伝子内の変異を細胞が包含する、例えば新規の生化学的特徴(例えば免疫グロブリン産物の過剰発現および/または分泌)が生成するかどうかを決定するために細胞を試験するための方法も提供する。試験は、関係する免疫グロブリン遺伝子の定常状態発現の分析、および/または関係する免疫グロブリン遺伝子によりコードされる分泌されたタンパク質の量の分析を含んでもよい。本発明は、げっ歯類、非−ヒト霊長類およびヒトよりの細胞を含み、この方法により作製された原核および真核トランスジェニック細胞も包含する。
【0016】
本発明の他の特徴は、誘導性プロモーターに操作可能に連結するミスマッチ修復遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子を含む誘導性ベクターが抗体産生細胞内に導入されている抗体産生細胞の超変異性を可逆的に改変する方法を包含する。細胞は、優性ネガティブミスマッチ修復遺伝子(これはPMS2(好ましくはヒトPMS2)、MLH1、またはPMS1であることができる)を発現を誘導する誘導性薬剤を用いて処理される。あるいは、細胞はヒトmutL同族体またはhPMS2の最初の133アミノ酸を発現するように誘導されてもよい。他の態様では、細胞は事前選択された関係する免疫グロブリン遺伝子を同時トランスフェクションすることにより抗体産生可能性を付与されてもよい。超変異性細胞の免疫グロブリン遺伝子、またはこれらの方法により産生されたタンパク質は、所望の性質に関して分析されてもよく、そして誘導は宿主細胞の遺伝的安定性が回復されるように停止されてもよい。
【0017】
本発明は、優性ネガティブミスマッチ修復遺伝子を含む細胞(天然または細胞内に優性ネガティブミスマッチ修復遺伝子が導入されたかのいずれか)内に免疫グロブリンタンパク質をコードするポリヌクレオチドをトランスフェクションし、免疫グロブリン遺伝子が変異されそして変異免疫グロブリンを産生させるように細胞を培養し、該変異免疫グロブリンタンパク質の所望の性質に関してスクリーニングし、所望の性質を有する選択された変異免疫グロブリンをコードするポリヌクレオチド分子を単離し、そして変異抗体がそれ以上の遺伝的な改変を持たずに一定して産生されるように遺伝的に安定した細胞内に該変異ポリヌクレオチドをトランスフェクションすることによる遺伝改変抗体を産生する方法も包含する。優性ネガティブミスマッチ修復遺伝子は、PMS2(好ましくはヒトPMS2)、MLH1、またはPMS1であってもよい。あるいは、細胞はヒトmutL同族体またはhPMS2の最初の133アミノ酸を発現してもよい。
【0018】
本発明は、さらに、抗原結合ポリペプチドの増強された量を発現する遺伝的改変細胞系統を生成するための方法も提供する。これらの抗原結合ポリペプチドは、例えば免疫グロブリンであってもよい。本発明の方法は、抗原結合ポリペプチドの増強された量を分泌する遺伝的改変細胞系統を生成するための方法も包含する。細胞系統は、抗原結合ポリペプチド、例えば抗体を産生する細胞内に遺伝子超変異の増強された割合を与える優性ネガティブミスマッチ修復遺伝子により超変異性を与えられる。かかる細胞にはハイブリドーマが含まれ、しかしそれに限定はされない。抗原結合ポリペプチドの増強された量の発現は、抗原結合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの増強された転写または翻訳を介して、または例えば抗原結合ポリペプチドの増強された分泌を介してでもよい。
【0019】
細胞宿主のMMR活性をブロックすることにより、またはMMR欠陥細胞宿主内に免疫グロブリンをコードする遺伝子をトランスフェクションすることにより生体内で遺伝的改変抗体を創成するための方法も提供される。
【0020】
可変ドメイン内の遺伝子変化により抗原への増加した結合性質を有する抗体が、細胞宿主の内因性MMRをブロックする本発明の方法で提供される。軽鎖および/または重鎖内のCDR領域内の遺伝子変化による抗原への増加した結合性質を有する抗体も、細胞宿主の外因性MMRをブロックする本発明の方法で提供される。
【0021】
本発明は、げっ歯類、霊長類、およびヒトを含みこれらに限定はされない宿主生物体内の増強された薬動力学的性質を有するMMR欠陥Ab産生細胞系統内の遺伝子改変抗体を創成する方法を提供する。
【0022】
本発明のこれらおよびその他の性質は、以下に記載する態様の1種またはそれ以上により提供される。本発明の一つの態様において、抗体産生細胞系統を超変異性とするための方法が提供される。MMR遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子をコードするポリヌクレオチドを抗体産生細胞内に導入する。細胞は、遺伝子の導入の結果として超変異性となる。
【0023】
本発明の別の態様では、免疫グロブリンポリペプチドまたは単鎖抗体をコードする内因性遺伝子内に変異を導入するための方法が提供される。MMR遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子をコードするポリヌクレオチドを細胞内に導入する。MMR遺伝子対立遺伝子の導入および発現の結果として細胞は超変異性となる。細胞はさらに関係する免疫グロブリン遺伝子を含んでなる。細胞を培養しそして免疫グロブリンまたは関係する単鎖抗体をコードする遺伝子が変異を包含するかどうかを決定するために試験する。本発明の別の態様では、変異免疫グロブリンポリペプチドまたは単鎖抗体をコードする遺伝子を単離しそして遺伝的に安定な細胞内に発現してもよい。好ましい態様では、改変された抗体は、少なくとも一種の望ましい性質、例えば、これに限定はされないが増強された結合性に関してスクリーニングされる。
【0024】
本発明の別の態様では、Ig軽鎖および重鎖またはそれらの間の組み合わせをコードする遺伝子または遺伝子の組が、MMR欠陥である哺乳動物細胞宿主内に導入される。細胞を培養し、そして増強された結合性を有する抗体に関してクローンを分析する。
【0025】
本発明の別の態様では、細胞の新規の表現型を生成すための方法が提供される。MMR遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子をコードするポリヌクレオチドを細胞内に導入する。遺伝子の導入の結果として細胞は超変異性となる。細胞を培養する。表現型がポリペプチドの増強された分泌である新規の表現型に関して細胞を試験する。
【0026】
本発明のこれらおよびその他の態様は、細胞および動物内に増強された変異性を生成できる方法ならびに有利な薬動力学的プロフィールを有する高親和性抗体の大規模生産のために潜在的に有用な変異を包含する細胞よび動物を当該技術分野に提供する。
【0027】
宿主細胞の保存されたミスマッチ修復(MMR)プロセスを利用して超変異性抗体産生細胞を開発するための方法を発見した。細胞またはトランスジェニック動物内に導入された場合に、かかる遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子は、DNA修復の有効性を低下することにより自発変異の割合を増加し、そしてこれにより細胞または動物に超変異性を与える。次いで、超変異性細胞または動物は、関係する遺伝子内に新規の変異を展開するために利用できる。抗体産生細胞、例えば、これらに限定はされないが、ハイブリドーマ、Ig軽鎖および重鎖をコードする遺伝子を用いてトランスフェクションされた哺乳動物細胞、単鎖抗体をコードする遺伝子を用いてトランスフェクションされた哺乳動物細胞、Ig遺伝子を用いてトランスフェクションされた真核細胞中のMMRのブロッキングは、増強された抗体産生を有するクローンに導く細胞および/または増強された生化学的性質、例えば増加した抗原結合を有する遺伝子改変抗体を含む細胞内の変異割合を増強できる。ミスマッチプルーフリーディングとも呼ばれるMMRのプロセスは、細菌から哺乳動物におよぶ細胞内のタンパク質複合体により行われる。MMR遺伝子はかかるミスマッチ修復複合体のタンパク質の一つをコードする遺伝子である。作用機構のいかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、MMR複合体は、ヌクレオチド塩基の非−相補的対形成よりもたらされるDNAらせんの乱れを検出すると考えられる。より新しいDNA鎖上の非相補塩基を切除し、そして切除した塩基を以前のDNA鎖に相補的である適当な塩基と置換する。この方法で、細胞はDNA複製における過誤の結果として起きる多数の変異を排除する。
【0028】
優性ネガティブ対立遺伝子は、同じ細胞内の野生型対立遺伝子の存在下でもMMR欠陥表現型を起こさせる。MMR遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子の例はヒト遺伝子hPMS2−134であり、これはコドン134において末端短縮変異を有する(配列番号15)。この変異は、134番目のアミノ酸の位置で異常な終止をこの遺伝子産物に起こさせ、N−末端133アミノ酸を含む短縮されたポリペプチドをもたらす。かかる変異は、変異の割合を上昇させ、これはDNA複製の後に細胞中に蓄積する。ミスマッチ修復遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子の発現は、野生型対立遺伝子の存在下であってもミスマッチ修復活性の障害をもたらす。かかる効果を生成するあらゆる対立遺伝子が本発明に使用できる。MMR遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子は、ヒト、動物、酵母、細菌、またはその他の生物体の細胞より得ることができる。かかる対立遺伝子は、欠陥MMR活性に関して細胞をスクリーニングして同定できる。ガンを有する動物またはヒトからの細胞を欠陥ミスマッチ修復遺伝子に関してスクリーニングできる。結腸ガン患者からの細胞が特に有用であろう。MMRタンパク質をコードするいかなる細胞からのゲノムDNA、cDNA、またはmRNAも、野生型配列からの変動に関して分析できる。MMR遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子は、例えばhPMS2−134対立遺伝子またはその他のMMR遺伝子の変種を作製することにより人工的に創成もできる。部位指定変異誘導の種々の技術が使用できる。天然でも人工であっても、超変異性細胞または動物の生成に使用するためのかかる対立遺伝子の適合性は、1種またはそれ以上の野生型対立遺伝子の存在下でで対立遺伝子により起こるミスマッチ修復活性を、これが優性ネガティブ対立遺伝子であるかどうかを決定するために試験して評価できる。
【0029】
ミスマッチ修復遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子がその中に導入された細胞または動物は、超変異性となる。これは、かかる細胞または動物の自発変異割合がかかる対立遺伝子を持たない細胞または動物と比較して高いことを意味する。自発変異割合の上昇の程度は、正常の細胞または動物のものの少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、200倍、500倍または1000倍であることができる。化学変異原、例えば、これらに限定はされないが、スルホン酸メタン、スルホン酸ジメチル、O6−メチルベンザジン、MNU、ENUなどの使用は、それ自体がMMR欠陥のもののさらに10〜100倍の割合に増加するためにMMR欠陥細胞内で使用できる。
【0030】
本発明の一つの局面によると、MMRタンパク質の優性ネガティブ形をコードするポリヌクレオチドを細胞内に導入する。遺伝子は、MMR複合体の一部分、例えばPMS2、PMS1、MLH1、またはMSH2であるタンパク質をコードするいかなる優性ネガティブ対立遺伝子であることができる。優性ネガティブ対立遺伝子は、天然に存在するかまたは実験室内で作製できる。ポリヌクレオチドは、ゲノムDNA、cDNA、RNA、または化学的に合成されたポリヌクレオチドの形であることができる。
【0031】
ポリヌクレオチドは、構成的活性プロモーターセグメント(例えば、これらに限定はされないが、CMV、SV40、伸長因子またはLTR配列)を含む発現ベクター内に、または誘導性プロモーター配列、例えばステロイド誘導性pINDベクター(Invitrogen)内にクローンでき、ここで、優性ネガティブMMR遺伝子の発現は調節できる。ポリヌクレオチドはトランスフェクションにより細胞内に導入できる。
【0032】
本発明の別の局面によると、Ig遺伝子、Ig遺伝子の組またはIg遺伝子の全体または一部分を含むキメラ遺伝子の組である免疫グロブリン(Ig)遺伝子は、MMR欠陥細胞宿主内にトランスフェクションでき、細胞を培養しそして新規の生化学的特徴を有する遺伝子改変Ig遺伝子を含むクローンに関してスクリーニングできる。MMR欠陥細胞は、ヒト、霊長類、哺乳動物、げっ歯類、植物、酵母または原核分野のものであってもよい。新規の生化学的特徴を有するIgをコードする変異遺伝子をそれぞれのクローンより単離しそして遺伝的に安定な細胞(例えば正常のMMRを有する細胞)内に導入して、新規の生化学的特徴を有するIgを一定して産生するクローンを提供してもよい。新規の生化学的特徴を有するIgをコードするIg遺伝子を単離する方法は、当該技術分野で既知のいかなる方法であってもよい。新規の生化学的特徴を有するIgをコードする単離されたポリヌクレオチドの導入も当該技術分野では既知のいかなる方法を用いて行ってもよく、これには、新規の生化学的特徴を有するIgをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターのトランスフェクションを含み、これに限定はされない。Ig遺伝子、Ig遺伝子の一組またはIg遺伝子の全体または一部分を含むキメラ遺伝子をMMR欠陥宿主細胞内にトランスフェクションする別の方法として、かかるIg遺伝子を優性ネガティブミスマッチ修復遺伝子をコードする遺伝子と同時に遺伝的に安定な細胞内にトランスフェクションして細胞に超変異性を与えてもよい。
【0033】
トランスフェクションは、ポリヌクレオチドを細胞内に導入するあるプロセスである。トランスフェクションのプロセスは、生きている動物内、例えば遺伝子治療のためのベクターを用いて行うことができ、または生体外で、例えばカルチャー内の1種またはそれ以上の単離された細胞の懸濁液を用いて行うことができる。細胞は、例えばヒトまたはその他の霊長類、哺乳動物またはその他の脊椎動物、非脊椎動物より単離された細胞を含む真核生物細胞、および単細胞生物体、例えば原生動物、酵母、または細菌のいかなるタイプであってもよい。
【0034】
一般に、トランスフェクションは細胞の懸濁液または単細胞を用いて行われるが、しかし処理された細胞または組織の十分なフラクションが、トランスフェクション細胞が培養および利用できるようにポリヌクレオチドを組み込んでいる限り、他の方法も適用できる。ポリヌクレオチドのタンパク質産物は、一時的または安定に細胞内に発現されてもよい。トランスフェクションの技術は周知である。ポリヌクレオチドを導入するめに利用できる各種技術は、エレクトロポレーション、形質導入、細胞融合、塩化カルシウムの利用、関係する細胞との融合のために脂質と一緒のポリヌクレオチドのパッケージングを含み、これらの限定はされない。細胞がMMR遺伝子を用いてトランスフェクションされると、細胞は培養されカルチャー内に再生成できる。遺伝子が多数の細胞世代にわたって一定のレベルで発現されるようにトランスフェクションが安定である場合には、細胞系統がもたらされる。
【0035】
単離された細胞は、個別の細胞を機械的に分離して取り出しそして酵素、例えばコラゲナーゼまたはトリプシンを用いる組織の前処理を行うかまたは行わないかのいずれかでこれらの適当な細胞カルチャー媒体に移した、ヒトまたは動物の組織から得られた細胞である。かかる単離された細胞は、典型的には細胞の他のタイプの非存在下で培養される。ミスマッチ修復遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子の導入のために選定された細胞は、一次細胞カルチャーまたは不死化細胞系統の形の真核生物体から誘導してもよく、または単細胞生物体の懸濁液から誘導してもよい。
【0036】
MMRタンパク質の優性ネガティブ形をコードするポリヌクレオチドは、トランスジェニック動物を産生するこにより動物のゲノム内に導入できる。動物は、適当な技術がトランスジェニック動物を作製するために利用できるいかなる種であってもよい。例えば、トランスジェニック動物は、家畜、例えばウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマなどより、組換えタンパク質の産生のために使用される動物、例えばそれらの乳中に組換えポリペプチドを発現するウシ、ブタ、またはヤギより、研究または産物試験のための実験用動物、例えばマウス、ラット、モルモット、ハムスター、ラビットなどより作製できる。次いで、MMR欠陥であると決定された細胞系統は、全体で不変の免疫グロブリン遺伝子および/またはMMR欠陥動物のあらゆる組織からのMMR欠陥細胞内に単鎖抗体をコードするキメラ遺伝子を導入して、生体外で遺伝子改変免疫グロブリン遺伝子を産生するための起源として使用される。
【0037】
トランスフェクションされた細胞系統またはトランスジェニック動物のコロニーが産生されると、関係する1種またはそれ以上の遺伝子内に新規の変異を生成するために使用できる。関係する遺伝子は、細胞系統またはトランスジェニック動物により天然に所有されるかまたは細胞系統またはトランスジェニック動物内に導入されたあらゆる遺伝子であることができる。変異誘導のためにかかる細胞または動物を使用する一つの長所は、細胞または動物を変異原性薬品または放射線に暴露しなくてもよいことであり、これらは暴露の対象物および実験者の双方に二次的な有害作用を有することがある。しかし、化学的変異原はMMR欠陥と組み合わせて使用してもよく、これはかかる変異原に未決定機構により低い毒性を与える。次いで、超変異性動物を養育しそして遺伝子可変性細胞を産生するために有用である新規の細胞系統を同定するために単離およびクローニングされてもよい遺伝子可変B細胞を産生するものに関して選択することができる。新しい形質が同定されると、優性ネガティブMMR遺伝子対立遺伝子は、当該技術分野の熟練者により使用される技術により対立遺伝子を直接ノックアウトするか、または優性ネガティブ対立遺伝子を欠失するメイトに培養して所望の形質および安定なゲノムを有する後代を選択することにより除去できる。別の方法は、CRE−LOX発現系を用いる方法であり、これにより優性ネガティブ対立遺伝子は、遺伝的に異なる免疫グロブリンプロフィールを含む動物が確立されると、動物ゲノムより切除される。さらに別の方法は、コルチコステロイドの存在下で外因性遺伝子を発現する誘導性ベクター、例えばステロイド誘導pIND(Invitrogen)またはpMAM(Clontech)ベクターの使用である。
【0038】
変異は、細胞または動物の遺伝型における改変を分析、例えばゲノムDNA、cDNA、メッセンジャーRNAの配列、または関係する遺伝子と関連するアミノ酸を検討して検出できる。変異は、抗体力価の生成をスクリーニングしてでも検出できる。変異ポリペプチドは、変異遺伝子によりコードされるタンパク質の電気泳動移動度、分光分析特性、またはその他の物理的または構造的特定における改変を同定して検出できる。現場で、単離された形で、またはモデル系内でタンパク質の改変された機能もスクリーニングできる。関係する遺伝子の機能と関連する細胞または動物のあらゆる性質、例えば、これに限定はされないがIg分泌の改変をスクリーニングできる。
【0039】
ミスマッチ修復タンパク質および核酸配列の例は、下記を含む。
【0040】
【表1】
Figure 2004529613
【0041】
【表2】
Figure 2004529613
【0042】
【表3】
Figure 2004529613
【0043】
【表4】
Figure 2004529613
【0044】
【表5】
Figure 2004529613
【0045】
【表6】
Figure 2004529613
【0046】
【表7】
Figure 2004529613
【0047】
本発明の背景に関するさらなる情報として、下記の参考文献を参照してもよく、これらのそれぞれはその全体を引用することにより本明細書中に編入される。
【0048】
【表8】
Figure 2004529613
【0049】
【表9】
Figure 2004529613
【0050】
【表10】
Figure 2004529613
【0051】
上記の開示は一般的に本発明を説明するものである。さらに完全な理解は、下記の特定の実施例を参照して得ることができ、これらは本明細書中に説明の目的で提供されるものであり、本発明の範囲を制限することは意図しない。
【0052】
実施例1:ハイブリドーマ細胞内の優性ネガティブMMR遺伝子の安定発現
ニコライデスら(Nicolaides et al.(1998) A Naturally Occurring hPMS2 Mutation Can Confer a Dominant Negative Mutator Phenotype Mol. Cell. Biol.18:1635−1641) により、別の場合にMMRに慣れた細胞中の優性ネガティブ対立遺伝子の発現がこれらの宿主細胞MMR欠陥に導くことがこれまで知られている。MMR欠陥細胞の創成は、宿主生物体子孫の全ゲノムを通じて遺伝子改変の生成に導き、改変された性質の生化学物を産生するであろう遺伝子改変子孫または同胞の集団を得ることができる。本特許出願は、げっ歯類ハイブリドーマ、ヒトハイブリドーマ、ヒト免疫グロブリン遺伝子産物を産生するキメラげっ歯類細胞、免疫グロブリン遺伝子を発現するヒト細胞、単鎖抗体を産生する哺乳動物細胞、および哺乳動物免疫グロブリン遺伝子またはキメラ免疫グロブリン分子、例えば単鎖抗体内に含まれるものを産生する原核細胞を含み、これらに限定はされない抗体産生細胞内の優性ネガティブMMR遺伝子の使用を教示する。抗体産生のために使用される上記の細胞発現系は、抗体治療の当該技術分野の熟練者には周知である。
【0053】
MMR遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子を用いるMMR欠陥ハイブリドーマを創成するための能力を実証するために、我々は、最初にヒトIgEタンパク質に対して指向する抗体を産生することが知られているマウスハイブリドーマ細胞系統を、本明細書中では、ヒトPMS2(HBPMS2と呼ばれる細胞系統)、PMS134(HB134と呼ばれる細胞系統)と呼ばれる以前に公開された優性ネガティブPMS2であるを含む発現ベクターを用いて、または挿入なし(HBvecと呼ばれる細胞系統)でトランスフェクションした。その結果は、PMS134変異体が実際に強固な優性ネガティブ効果を発揮できたこと示し、MMR欠陥の生化学的および遺伝的徴候もたらすことを示した。意外にも、全長PMS2も低いMMR活性をもたらし、一方空ベクターを含む細胞内では効果が見られないという知見が得られた。本方法の簡単な説明を以下に記載する。
【0054】
MMR活性を評価するために、MMRに慣れたマウスH36ハイブリドーマ細胞系統を種々のhPMS2発現プラスミド細胞系統にレポーター構築物を加えて用いてトランスフェクションした。クローニング部位の上流に延伸因子プロモーター、その後に哺乳動物ポリアデニル化シグナルを含むpEF発現ベクター内にMMR遺伝子をクローニングした。このベクターは、このプラスミドを保持する細胞の選択を可能とするMEOr遺伝子も含んでいる。要約すると、製造者のプロトコールに従い(Life Technologies) 、ポリリポソームを用いてそれぞれのベクター1μgで細胞をトランスフェクションした。次いで、G418の0.5mg/ml中で10日間細胞を選択し、そしてG418耐性細胞を遺伝子発現を分析するために一緒にプールした。pEF構築物は、EF遺伝子のエキソン1をエキソン2から分離するイントロンを含み、これをポリリンカークローニング部位の5’末端に近接している。これはスプライスされた産物を発現する細胞に関して迅速な逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)スクリーニングを可能とする。17日目に、細胞100,000個を単離しそしてこれらのRNAを以前に記載されたトリゾール(trizol)法を用いて抽出した(Nicolaides N.C., Kinzler, K.W. and Vogelstein, B. (1995) Analysis of the 5’ region of PMS2reveals heterogeneous transcripts and a novel overlapping gene. Genomics 29:329−334)。スーパースクリプトII(Superscript II, Life Technologies)を用いてRNAを逆転写しそして、公開されたヒトPMS2 cDNAのnt283に中心があるEF遺伝子のエキソン1内に位置するセンスプライマー(5’−ttt cgc aac ggg ttt gcc g−3’) およびアンチセンスプライマー(5’−gtt tca gagtta agc ctt cg−3’)を用いてPCR増幅し、これは全長ならびにPMS134遺伝子発現の双方を検出した。反応は、以前に記載した緩衝液および条件を用いて行い(Nicolaides, N.C., et al.(1995) Genomic organization of the human PMS2 gene family. Genomics 30:195−206)、下記の増幅パラメーターを使用した:94℃で30秒間、52℃で2分間、72℃で2分間を30サイクル。反応はアガロースゲル上で分析した。図1は、安定に形質導入されたH36細胞内のPMS発現の代表的な例を示す。
【0055】
これらの遺伝子によりコードされるタンパク質の発現は、以前に記載された方法に従ってタンパク質のN−末端中に位置する最初の20アミノ酸に指向するポリクローナル抗体を用いるウエスタンブロットを介して確認した(データは記載せず)(Nicolaides et al.(1998) A Naturally Occurring hPMS2 Mutation CanConfer a Dominant Negative Mutator Phenotype. Mol. Cell. Biol. 18:1635−1641)。
【0056】
実施例2:hPMS134はハイブリドーマ細胞中にMMR活性欠陥および超変異性を起こす
MMR欠陥の特質は、宿主細胞ゲノム内の不安定なマイクロサテライト反復の生成である。この表現型は、マイクロサテライト不安定性(MI)と呼ばれる(Modrich, P. (1994) Mismatch repair, genetic stability, and cancer Science 266:1959−1960; Palombo, F. et al. (1994) Mismatch repair and cancer Nature 36:417) 。MIは、宿主細胞の全ゲノムを通じて反復的モノ−、ジ−および/またはトリ ヌクレオチド反復配列内の欠失および/または挿入より成る。真核細胞の広範な遺伝子分析は、MI産生が可能な生化学的欠陥のみが欠陥MMRであることを見いだした(Strand, M. et al. (1993) Destabilization of tracts of simple repetitive DNA in yeast by mutations affecting DNA mismatch repair Nature 365:274−276; Perucho, M. (1996) Cancer of the microsatellite mutator phenotype, Biol Chem. 377:675−684; Eshleman J.R., and Markowitz, S.D.(1996) Mismatch repair defects in human carcinogenesis, Hum.Mol. Genet. 5: 1489−494)。欠陥MMRがMI促進に対して有するこの独特の特徴を考慮して、宿主細胞内のMMR活性の欠失に関して研究するための生化学的マーカーとしてこれが今では使用されている(Perucho, M.(1996)Cancer of themicrosatellite mutator phenotype. Biol. Chem. 377:675−684); Eshleman J.R. and Markowitz, S.D.(1996) Mismatch repair defects in human carcinogenesis. Hum. Mol. Genet. 5:1489−494;Liu,T.,et al.(2000) Microsatellite instability as a predictor of a mutation in a DNA mismatch repair gene in familial colorectal cancer Genes Chromosomes Cancer 27:17−25)。
【0057】
真核細胞中のMMR欠陥を検出するために使用される方法は、フレームシフトによりそのリーディングフレームを破壊するコーディング領域内に挿入されたポリヌクレオチド反復を有するレポーター遺伝子を使用するものである。MMRが欠陥性である場合に、レポーター遺伝子は、オープンリーディングフレームを有するレポーターを含むクローンを生成するポリヌクレオチド反復内にランダム変異(すなわち挿入および/または欠失)を取得する。我々は、HBvec、HBPMS2、およびHBPMS134細胞内のMMR活性を測定するためにMMR−感受性レポーター遺伝子の使用を利用した。レポーター構築物は、ハイグロマイシン耐性(HYG)遺伝子およびそのコーディング領域の5’末端に29bpのアウトオブフレーム(out−of frame)ポリ−CA領域を含むβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を含むpCAR−OFを用いた。pCAR−OFレポーターは、フレーム回復変異(すなわち挿入または欠失)がトランスフェクションの後に起きない限り、β−ガラクトシダーゼ活性を生成しない。実施例1記載のプロトコールに従い、複製反応においてpCAR−OFベクターを用いてHBvec、HBPMS2、およびHBPMS134細胞をトランスフェクションした。MMRエフェクターおよびpCAR−OFレポータープラスミドの双方を保持する細胞を選択するために0.5mg/ml G481および0.5mg/ml HYG中で細胞を選択した。pCARベクターを用いてトランスフェクションしたすべてのカルチャーは、同様の数のHYG/G481耐性細胞をもたらした。次いでカルチャーを増大しそしてその場(in situ) および/または細胞抽出液の生化学的分析によりβ−ガラクトシダーゼ活性を試験した。その場での分析のために、細胞100,000個を採取しそして1%グルテルアルデヒド(gluteraldehyde)中に固定し、リン酸緩衝生理食塩水中で洗浄し、24−ウエルプレート中のX−gal基質溶液〔0.15M NaCl、1mM MgCl、3.3mM KFe(CN)、3.3mM KFe(CN)、0.2%X−gal〕1ml中で2時間、37℃でインキュベーションした。500mM重炭酸ナトリウム溶液中で反応を停止しそして分析のために顕微鏡スライドに移した。それぞれ細胞200個の3視野で青色(β−ガラクトシダーゼ陽性細胞)または白色(β−ガラクトシダーゼ陰性細胞)を計数してMMR不活性化を評価した。表1は、これらの研究よりの結果を示す。β−ガラクトシダーゼ陽性細胞がHBvec細胞中では観察されなかったが、視野あたりに細胞の10%がHB134カルチャー中でβ−ガラクトシダーゼ陽性でありそして視野あたりに細胞の2%がHBPMS2カルチャー中でβ−ガラクトシダーゼ陽性であった。
【0058】
細胞抽出液を上記のカルチャーより調製して、以前の記載のようにして定量的生化学アッセイを用いてβ−ガラクトシダーゼを測定した(Nicolaides et al(1998) A Naturally Occurring hPMS2 Mutation Can Confer a Dominant NegativeMutator Phenotype Mol. Cell. Biol. 18:1635−1641; Nicolaides, N.C. et al.(1992) The Jun family members, c−JUN and JUND, transactivate the humanc−myb promoter via an Ap1 like element, J. Biol. Chem. 267:19665−19672)。要約すると、細胞100,000個を採取、遠心分離しそして0.25Mトリス(Tris)、pH8.0の200μl中に再懸濁した。細胞を3回冷凍/解凍して溶解しそして上清を14,000rpmでミクロ遠心分離して採取して細胞残差を除いた。タンパク質含有量は、OD280 での分光分析により決定した。生化学的アッセイのために、45mM 2−メルカプトエタノール、1mM MgCl、0.1M NaPO、および0.6mg/mlクロロフェノール レッド−β−D−ガラクトピラノシド(CPRG 、Boeringer Mannheim) を含む緩衝液にタンパク質20μgを加えた。反応物を1時間インキュベーションし、0.5MNaCOを加えて停止し、そして576nmで分光法により分析した。H36細胞溶解液をバックグラウンドを差し引くために使用した。図2は、種々の細胞系統からの抽出液中のβ−ガラクトシダーゼ活性を示す。図示のように、HB134細胞が最高量のβ−ガラクトシダーゼを産生し、一方pCAR−OFを含むHBvec細胞内には活性が認められなかった。これらのデータは、優性ネガティブMMR遺伝子対立遺伝子を用いるMMR欠陥ハイブリドーマ細胞生成の能力を実証する。
【0059】
表1.pCAR−OFレポーターベクターを用いてトランスフェクションされたHBvec、HBPMS2、およびHB134細胞のβ−ガラクトシダーゼ発現。細胞はpCAR−OFβ−ガラクトシダーゼレポータープラスミドを用いてトランスフェクションされた。トランスフェクションされた細胞をハイグロマイシンおよびG418中で選択しそしてX−gal溶液を用いて染色してβ−ガラクトシダーゼ活性(青色細胞)を測定した。それぞれ細胞200個の3視野で、顕微鏡により分析した。下の結果は、これらの実験の+/−標準偏差を示す。
各クローンにより産生。500mM重炭酸ナトリウム50μlを加えて反応を停止しそしてバイオラッド(BioRad)プレートリーダーを用いて415nmにおけるODにより分析した。次いでバックグラウンド細胞(H36対照細胞)を越える強いシグナルを示すクローンを単離しそして特性検討およびELISAデータの追加の確認のために3回の実験において10mlカルチャーに増大した。ELISAは、同じクローンよりの条件調整(CM)に基づいても行い、それぞれのウエルの条件調整した媒体内での全Ig産生を測定した。次いで増加したELISAシグナルを生成しそして増加した抗体レベルを有するクローンをさらに実施例4に記載のようにして抗体を過剰発現および/または過剰分泌する変種に関して分析した。HBvecまたはHB134細胞からのそれぞれの5個の96−ウエルプレートの分析は、HBvec対照と比較して、さらに高い光学密度(OD)値を有するクローンの著しい数が、MMR欠陥HB134細胞中に観察されることを見いだした。図4は、さらに高い親和性で特定の抗原(この場合にはIgE)に結合する抗体を産生するHB134クローンの代表的な例を示す。図4は、1)IgE抗原への増加した結合に導く抗体可変ドメインの遺伝子改変、または2)抗体分子の過剰産生/分泌に導く細胞宿主の遺伝子改変による、さらに高いOD読みを有するHB134プレートよりの2クローンを示すHBvec(左図)またはHB134(右図)の96ウエルの分析からの粗データを示す。抗−Ig ELISAは、図4に示す2種のクローンが、より低いOD値を示す周囲のウエルと同様にそれらのCM内でIgレベルを有することを見いだした。これらのデータは、抗体の抗原結合ドメイン内に遺伝子改変が起こり、これらはさらにより高い抗原への結合を可能とすることを示唆する。
【0060】
ELISAにより決定されたより高いOD値を生成するクローンをさらに遺伝子レベルに関して分析して、軽鎖または重鎖可変領域内の変異が起き、これはより高い結合親和性に導き、これによりより強いELISAシグナルを生成することを確認した。要約すると、細胞100,000個を採取しそして上記のトリアゾール法を用いてRNAを抽出した。製造者(Life Technologies) の示唆のようにしてスーパースクリプトIIを用いてRNAを逆転写しそして可変軽鎖および重鎖内に含まれる抗原結合部位に関してPCR増幅した。これらの遺伝子の異質性のために、親H36株から軽鎖および重鎖対立遺伝子を増幅するために下記の縮重プライマーを使用した。
軽鎖センス:5’−GGA TTT TCA GGT GCA GAT TTT CAG−3’(配列番号1)
軽鎖アンチセンス:5’−ACT GGA TGG TGG GAA GAT
GGA−3’(配列番号2)
重鎖センス:5’−A(G/T)GTN(A/C)AG CTN CAG (C/G)AG TC−3’(配列番号3)
重鎖アンチセンス:5’−TNC CTT G(A/G)C CCC AGT
A(G/A)(A/T)C−3’(配列番号4)
縮重オリゴヌクレオチドを用いるPCR反応は、94℃で30秒間、52℃で1分間、および72℃で1分間の35サイクルで行う。産物はアガロースゲル上で分析する。予想した分子量の産物をジーンクリーン(Gene Clean, Bio 101) によりゲルより精製し、T−末端ベクター中にクローニングし、そして可変軽鎖および重鎖の野生型配列を同定するために配列決定した。野生型配列が決定されると、非縮重プライマーを陽性HB134クローンのRT−PCR増幅のために作製した。軽鎖および重鎖の双方を増幅、ゲル精製しそして相当するセンスおよびアンチセンスプライマーを用いて配列決定した。RT−PCR産物の配列決定は、内因性免疫グロブリン遺伝子の代表的な配列データを与えそしてPCR誘導変異によるものではなかった。次いでクローンからの配列を配列比較のための野生型配列と比較した。免疫グロブリン軽鎖または重鎖内に生体内変異を創成するための能力の例を図5に示し、ここでHB134クローン92がhIgEの高いシグナルを有することがELISAにより特定された。軽鎖を特異性センスおよびアンチセンスプライマーを用いて増幅した。軽鎖をRT−PCR増幅しそして得られた産物を精製しそして自動化ABI377配列決定装置により分析した。クローンAで示されるように、CDR領域3の−4上流の残基は、ACTからTATへの遺伝子変化を有し、これはCDR#3の直前のフレームワーク領域内でThrからSerへの変化をもたらす。クローンBでは、CDR領域の−6上流の残基はCCCからCTCへの変化を有し、これはCDR#2の前のフレームワーク領域内でProからHisへの変化をもたらす。
【0061】
免疫グロブリン遺伝子またはキメラ免疫グロブリン遺伝子内にランダム変異を生成する能力は、ハイブリドーマに限定はされない。ニコライデスら(Nicolaides et al.(1998) A Naturally Occurring hPMS2 Mutation Can Confer a Dominant Negative Mutator Phenotype Mol. Cell. Biol. 18:1635−1641)は、以前に、超変異性ハムスター細胞を生成し、内因性遺伝子内に変異を生成する能力を示した。ヒト化抗体を産生するための共通の方法は、ヒトIg骨格上にMAb(げっ歯類宿主を免疫化して作製)からのCDR配列をグラフトし、そしてチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞内にキメラ遺伝子をトランスフェクションし、これは一方ではCHO細胞による分泌される機能性Abを産生する(Shields, R.L. et al.(1995) Anti−IgE monoclonal antibodies that inhibit allergen−specific histamine release. Int. Arch. Allergy Immunol. 107:412−413) 。本応用内で記載された方法は、宿主細胞、例えばげっ歯類細胞系統、植物、酵母および原性生物内にトランスフェクションされたIg遺伝子またはキメラIg内に遺伝子改変を生成するためにも有用である(Frigerio L. et al. (2000) Assembly, secretion, and vacuolar delivery of a hybrid immunogloblin in Plants, Plnat Physiol. 123:1483−1494)。
【0062】
これらのデータは、超変異性ハイブリドーマ、または培養および選択できるその他のIg産生宿主細胞を生成し、増強された生化学的性質を有する抗体を得る構造的に改変された免疫グロブリンを同定し、増加した抗原結合親和性を含み、これらに限定はされない能力を実証する。さらに、アミノ酸変化または多数の変化をもたらす免疫グロブリン遺伝子内のミスセンス変異を含む超変異性クローンは、次いでさらに生体内安定性、抗原クリアランス、抗原へのオン−オフ結合などを特徴とすることができる。クローンは、生体内変異の続くラウンドのためにさらに増大できそして以上に表記した戦略を用いてスクリーニングできる。
【0063】
細胞または全生体内に遺伝子変異を生成するための化学的変異原の使用は、これらの薬剤が「正常」の細胞上に有する毒性効果により限定される。化学的変異原、例えばMNUのMMR欠陥生物体内での使用はさらに許容性であり、MMR欠陥単独よりも遺伝子変異において10〜100倍増加を得る(Bignami M, (2000)Unmasking a killer: DNA O(6)−methylguanine and the cytotoxicity of methylating agents. Mutat. Res.462:71−82)。この戦略は、改変された生化学的性質、例えば抗原への増強された結合親和性などを有する機能性Abを得る免疫グロブリン遺伝子またはキメラ中の追加的な変異を増加するための方法として、MMR−欠陥Ab産生細胞内に使用される化学変異原の使用を許容する。
【0064】
実施例4:増強された抗体産生を有する抗体産生細胞の作製
上記に表記したスクリーニング戦略の後のH36およびHB134よりのクローンの分析は、増強された量の抗体を媒体内に産生する著しい量のクローンを同定した。可変領域内に含まれる抗原結合ドメイン内の変異の結果として、これらのクローンのサブセットは、ELISAにより測定してより高いIg結合データを与えたが、他のものは「増強された」抗体産生を含むことが見いだされた。分泌されたMAbの増強された量を産生するクローンの纏めを表2に示し、この表で、H36対照細胞と比較して、HB134細胞からのクローンのかなりの数が、条件調整した媒体内で増強されたAb産生を生成することが見いだされた。
【0065】
表2.抗体の高いレベルを産生するハイブリドーマ細胞の作製。上昇したIgレベルがELISAによりHB134クローンでアッセイされた。480クローンの分析は、クローンのかなりの数がこれらのCM中で上昇したMAb産生を有することを示した。定量すると、増強された発現または分泌のいずれかにより、H36細胞系統からのクローンと比較して、これらのクローンの数種がMAbの500ng/ml以上を産生したことを示した。
【0066】
【表11】
Figure 2004529613
【0067】
増加した産生が、単に抗体を形成するポリペプチドの過剰発現に導くであろうIg座における遺伝子改変によるのか、または分泌経路機構に影響する遺伝子改変による増強された分泌によるものかを決定するために、条件調整した媒体(CM)内のより高いMAbレベルを有するHB134クローンの細胞分析を解析した。この問題に取り組むために、我々はそれらのCM内に抗体の増加したレベルを有する3種のHB134クローンを増大した。10,000個の細胞をウエスタンブロット分析のために調製して、細胞内定常状態Igタンパク質レベルをアッセイした(図6)。さらに、H36細胞を標準基準として使用し(レーン2)そしてげっ歯類繊維芽細胞(レーン1)をIg陰性対照として使用した。要約すると、細胞を遠心分離によりペレット化し、そしてSDS溶解緩衝液(60mMトリス、pH6.8、2%SDS、10%グリセロール、0.1M 2−メルカプトエタノール、0.001%ブロモフェノールブルー)300μl中で直接溶解しそして5分間煮沸した。溶解タンパク質を4〜12%NuPAGEゲル上で電気泳動により分離した(Ig重鎖の分析のため)。48mMトリス塩基、40mMグリシン、0.0375%SDS、20%メタノール中のインモビロン(Immobilon) −P(Millipore) 上にゲルをエレクトロブロットし、そして0.05%トウイーン(Tween) −20および5%濃縮牛乳を加えたトリス−緩衝生理食塩水(TBS)中、室温で1時間ブロックした。TBS緩衝液中のヒツジ抗マウスホースラディッシュペルオキシダーゼ共役モノクローナル抗体の1:10,000希釈液を用いてフィルターをプローブしそしてスーパーシグナル(Supersignal)基質(Pierce)を用いて化学発光法により検出した。実験を2回繰り返して再現性を確認した。図6は代表的な再現性試験を示し、ここで、クローンのサブセットは増加したAb産生を示す増強されたIg産生を有し(レーン5)一方他のものは対照試料と同様の定常状態レベルを有していたが、しかしCM内でAbのさらに高いレベルを有していた。これらのデータは、HB134クローンのサブセットが遺伝子改変を含み、これは一方で抗体の高い分泌を生成する機構を示唆する。
【0068】
細胞または全生体内に遺伝子変異を生成するための化学的変異原の使用は、これらの薬剤が「正常」の細胞上に有する毒性効果により限定される。化学的変異原、例えばMNUのMMR欠陥生物体内での使用はさらに許容性であり、MMR欠陥単独よりも遺伝子変異において10〜100倍増加を得る(Bignami M, (2000)Unmasking a killer: DNA O(6)−methylguanine and the cytotoxicity of methylating agents. Mutat. Res.462:71−82)。この戦略は、改変された生化学的性質、例えば抗原への増強された結合親和性などを有する機能性Abを得る免疫グロブリン遺伝子またはキメラ中の追加的な変異を増加するための方法として、MMR−欠陥Ab産生細胞内に使用される化学変異原の使用を許容する。
【0069】
実施例5:新規のアウトプット形質を有するハイブリドーマ細胞内の遺伝子安定性の確立
MMRの最初の段階は、MutSαおよびMutLαと呼ばれる2種のタンパク質複合体に依存する(Nicolaides et al.(1998) A Naturally Occurring hPMS2 Mutation Can Confer a Dominant Negative Mutator Phenotype Mol. Cell. Biol. 18:1635−1641) 。優性ネガティブMMR対立遺伝子は、「修正」されたヌクレオチドを含んでなるヌクレオチドの切除および重合に関与する下流生化学物質とのこれら複合体の形成を攪乱することができる。この用途からの実施例は、ハイブリドーマ細胞系統内に発現された場合の末端短縮したMMR対立遺伝子(PMS134)ならびに全長ヒトPMS2の能力が、細胞分裂あたりのその全ゲノムを通じて遺伝的改変を獲得する超変異性細胞系統をもたらすMMRをブロックすることができることを示す。抗体、単鎖抗体、免疫グロブリン遺伝子の過剰発現および/または抗体の増強された分泌をコードする遺伝子内に遺伝的改変を含む細胞系統が一旦産生されると、細胞宿主のゲノムの原状を回復することが望ましい。これは、誘導性ベクターの使用により達成され、これにより優性ネガティブMMR遺伝子がかかるベクター内にクローンされ、Ab産生細胞内に導入されそして細胞はインデューサー分子および/または条件の存在下で培養される。誘導性ベクターには、化学調節されたプロモーター、例えばステロイド誘導性MMTV、テトラサイクリン調節されたプロモーター、温度感受性MMR遺伝子対立遺伝子、および温度感受性プロモーターが含まれ、これらに限定はされない。
【0070】
上記の結果は、いくつかの結論に導く。第一に、hPMS2およびPMS134の発現は、ハイブリドーマ細胞内のマイクロサテライト不安定性の増加をもたらす。この上昇したマイクロサテライト不安定性がMMR欠陥によることは、安定に導入された細胞からの抽出液の評価により証明された。PMS134の発現は、MMR中の極性欠陥をもたらし、これは5’方向からの修復を試験するために設計されたヘテロ二本鎖を用いてのみ観察された(同じ抽出液中で3’方向からの修復に著しい欠陥は観察されなかった)(Nicolaides et al.(1998) A Naturally Occurring hPMS2 Mutation Can Confer a Dominant Negative Mutator Phenotype Mol. Cell. Biol. 18:1635−1641) 。興味あることに、hMLH1中の細胞欠陥もMMR内の極性欠陥を有するが、しかしこの場合には3’方向からの修復に優先的に影響する(Drummond, J.T, et al.(1996) Cisplatin and adriamycin resistance are associated with MetLa and mismatch repair deficiency in an ovarian tumor cell line. J. Biol. Chem. 271:9645−19648) 。原核および真核生物双方における以前の研究より、分離された酵素成分が2種の方向からの修復を媒介することが知られている。我々の研究は、ドルモンドらのものと組み合わせて(Shields, R.L. et al. (1995) Anti−IgE monoclonal antibodies that inhibit allergen−specific histamine release. Int. Arch. Allergy Immunol. 107:412−413)、5’修復がhPMS2に主として依存し、一方3’修復はhMLH1に主として依存するモデルを強く示唆する。PMS2とMLH1の間の二量複合体がこの方向性をどのように設定するかは容易に想像される。この組み合わせた結果は、方向性MMRにおける欠陥が、MMR欠陥表現型を生成するために十分であることを実証しそしてあらゆるMMR遺伝子対立遺伝子が、遺伝子改変ハイブリドーマ細胞、またはIg遺伝子産物を産生する細胞系統を生成するために有用であることを示唆する。さらに、かかるMMR対立遺伝子の使用は、改変された生化学的性質を有する遺伝的改変Igポリペプチドならびに抗体分子の増強された量を産生する細胞宿主を生成するために有用であろう。
【0071】
本応用で教示される他の方法は、MMRをブロックするために使用されるあらゆる方法が、増強された生化学的特徴、例えば、これらに限定はされないが、増加した抗原結合、増強された薬動力学的プロフィールなどを有する遺伝子改変抗体に導くことができる抗体産生細胞内に超変異性を生成するように挙動できる。これらのプロセスは、実施例4、図6に示した増加したIg発現および/または表2に示した増加した抗体分泌を有する抗体産生細胞を作製するためにも使用できる。
【0072】
さらに、我々は、改変された生化学的特徴、例えば、これらに限定はされないが、増加した抗原結合親和性(図5Aおよび5B)に導くであろうIg遺伝子内の遺伝的改変を増加するために抗体産生細胞内のMMRをブロックする利用法を実証する。かかる細胞内のMMRのブロックは、細菌、酵母、原生動物、昆虫、げっ歯類、霊長類、哺乳動物細胞、およびヒトを含むあらゆる種よりの優性ネガティブMMR遺伝子対立遺伝子の使用を介して可能である。MMRのブロックは、MMR生化学経路内に含まれるいずれかの遺伝子に指向するアンチセンスRNAまたはデオキシヌクレオチドの使用を介してでも生成できる。MMRのブロックは、抗体を含みこれに限定はされないMMR複合体のサブユニットを用いて干渉するポリペプチドの使用を介して可能である。最後に、MMRのブロックは、MMRをブロックすることが知られている化学薬品、例えば、これらに限定はされないが、非加水分解性ATP類似体の使用を介してでもよい(Galio,L, et al. (1999) ATP hydrolysis−dependent formation of a dynamic ternary nucleoprotein complex with MutS and MutL. Nucl. Acids Res. 27:2325−23231) 。
【図面の簡単な説明】
【図1】
PMS2およびPMS134 MMR遺伝子を安定に発現するハイブリドーマ細胞。げっ歯類ハイブリドーマ細胞系統内にトランスフェクションしたMMR遺伝子の定常状態mRNA発現を示す。安定な発現は、3カ月の連続成長後に見いだされた。(−)レーンは、逆転写酵素が添加されなかった陰性対照を示し、そして(+)レーンは逆転写されそしてMMR遺伝子についてPCR増幅された試料および対照として内部ハウスキーピング遺伝子を示す。
【図2】
遺伝的超変異性ハイブリドーマ細胞の創成。優性ネガティブMMR遺伝子対立遺伝子をMMR−感受性レポーター遺伝子を発現する細胞内に発現した。優性ネガティブ対立遺伝子、例えばPMS134および他の種よりのMMR遺伝子の発現は、増強された生化学的特徴を有する遺伝子改変免疫グロブリン遺伝子を産生するために使用できる超変異性表現型を有する抗体産生細胞ならびに増加したIg発現および/または分泌を有する系統をもたらす。図示の値は、pCAR−OFレポーター遺伝子内の遺伝子改変よりの細胞内に含まれる機能性□−ガラクトシダーゼの量を反映する変換されたCPRG基質の量を示す。β−ガラクトシダーゼ活性の高い量は、欠陥MMRによるさらに高い変異速度を反映する。
【図3】
増加した結合活性および/または増加した発現/分泌を有する抗体を含む抗体産生細胞を同定するためのスクリーニング法。
【図4】
増加した結合活性を有する遺伝子改変抗体の生成。hIgEに特異性の抗体についてスクリーニングした96ウエルプレートよりのELISA値を示す。高い結合値を有するクローン2個がHB134カルチャー内で見いだされた。
【図5】
抗体の可変鎖内の配列改変(MMR欠陥HB134抗体産生体細胞内の軽鎖可変領域内の変異)。矢印は、HB134細胞より誘導されたクローンからの細胞のサブセット内で変異が起きたヌクレオチドを示す。パネルA:変化は軽鎖可変領域内でThrからSerへの変化をもたらす。コード配列はアンチセンス方向である。パネルB:変化は、軽鎖可変領域内でProからHisへの変化をもたらす。
【図6】
増強された定常状態Igタンパク質レベルを有するMMR−欠陥クローンの生成。条件調製媒体内でのMAbの高いレベル(>500ng/ml)を有するHB134クローンからの重鎖免疫グロブリンのウエスタンブロットは、クローンの一つのサブセットが免疫グロブリン(Ig)のさらに高い定常状態レベルを発現することを示す。H36細胞系統は、親株内の定常状態レベルを測定するための対照として使用した。レーン1:繊維芽細胞(陰性対照)、レーン2:H35細胞、レーン3:高いMAbレベルを有するHB134クローン、レーン4:高いMAbレベルを有するHB134クローン、レーン5:高いMAbレベルを有するHB134クローン。

Claims (72)

  1. ミスマッチ修復遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子を含んでなるポリヌクレオチドを抗体産生可能な細胞内に導入することを含んでなる、超変異性抗体産生細胞を作製するための方法。
  2. 該ポリヌクレオチドが生体外での細胞の懸濁液のトランスフェクションにより導入される、請求項1記載の方法。
  3. 該ミスマッチ修復遺伝子がPMS2である、請求項1記載の方法。
  4. 該ミスマッチ修復遺伝子がヒトPMS2である、請求項1記載の方法。
  5. 該ミスマッチ修復遺伝子がMLH1である、請求項1記載の方法。
  6. 該ミスマッチ修復遺伝子がPMS1である、請求項1記載の方法。
  7. 該ミスマッチ修復遺伝子がMSH2である、請求項1記載の方法。
  8. 該ミスマッチ修復遺伝子がMSH2である、請求項1記載の方法。
  9. 該対立遺伝子が末端短縮変異を含んでなる、請求項4記載の方法。
  10. 該対立遺伝子がコドン134における末端短縮変異を含んでなる、請求項4記載の方法。
  11. 該末端短縮変異が野生型PMS2のヌクレオチド424におけるチミジンである、請求項10記載の方法。
  12. 該ポリヌクレオチドが動物の受精卵内に導入される、請求項1記載の方法。
  13. 受精卵が次いで擬妊娠雌内に移植され、これにより受精卵が成熟トランスジェニック動物に発育する、請求項12記載の方法。
  14. 該ミスマッチ修復遺伝子がPMS2である、請求項12記載の方法。
  15. 該ミスマッチ修復遺伝子がヒトPMS2である、請求項12記載の方法。
  16. 該ミスマッチ修復遺伝子がヒトMLH1である、請求項12記載の方法。
  17. 該ミスマッチ修復遺伝子がヒトPMS1である、請求項12記載の方法。
  18. 該ミスマッチ修復遺伝子がヒトmutL同族体である、請求項11記載の方法。
  19. 該対立遺伝子が末端短縮変異を含んでなる、請求項15記載の方法。
  20. 該対立遺伝子がコドン134における末端短縮変異を含んでなる、請求項15記載の方法。
  21. 該末端短縮変異が野生型PMS2のヌクレオチド424におけるチミジンである、請求項19記載の方法。
  22. 該能力が、該細胞内への免疫グロブリン遺伝子の同時導入による、請求項1記載の方法。
  23. 該細胞がミスマッチ修復遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子を含んでなる、超変異性哺乳動物細胞の均質培養物。
  24. ミスマッチ修復遺伝子がPMS2である、請求項23記載の超変異性哺乳動物細胞の培養物。
  25. ミスマッチ修復遺伝子がヒトPMS2である、請求項24記載の超変異性哺乳動物細胞の培養物。
  26. ミスマッチ修復遺伝子がMLH1である、請求項23記載の超変異性哺乳動物細胞の培養物。
  27. ミスマッチ修復遺伝子がPMS1である、請求項23記載の超変異性哺乳動物細胞の培養物。
  28. ミスマッチ修復遺伝子がmutL同族体である、請求項23記載の超変異性哺乳動物細胞の培養物。
  29. 細胞がhPMS2の最初の133アミノ酸より成るタンパク質を発現する、請求項23記載の超変異性哺乳動物細胞の培養物。
  30. 該遺伝子およびミスマッチ修復遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子を含んでなる該細胞を培養し、そして
    関係する該遺伝子が変異を包含するかどうかを決定するために細胞を試験する
    ことを含んでなる抗体産生細胞内の抗体産生に影響を及ぼす遺伝子内の変異を生起するための方法。
  31. 試験の段階が、該遺伝子のヌクレオチド配列を分析することを含んでなる、請求項30記載の方法。
  32. 試験の段階が、該遺伝子より転写されたmRNAを分析することを含んでなる、請求項30記載の方法。
  33. 試験の段階が、関係する遺伝子によりコードされるタンパク質を分析することを含んでなる、請求項30記載の方法。
  34. 試験の段階が、該遺伝子の表現型を分析することを含んでなる、請求項30記載の方法。
  35. 試験の段階が、抗体の結合活性を分析することを含んでなる、請求項30記載の方法。
  36. ミスマッチ修復遺伝子の対立遺伝子を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチドを哺乳動物細胞内に導入するプロセスにより哺乳動物をMMR欠陥性とし、これにより細胞が超変異性となる方法。
  37. 試験の段階が該遺伝子のヌクレオチド配列を分析することを含んでなる、請求項36記載の方法。
  38. 試験の段階が、該遺伝子より転写されたmRNAを分析することを含んでなる、請求項36記載の方法。
  39. 試験の段階が、該遺伝子によりコードされるタンパク質を分析することを含んでなる、請求項36記載の方法。
  40. 試験の段階が、該遺伝子の表現型を分析することを含んでなる、請求項36記載の方法。
  41. 試験の段階が、抗体の結合活性を分析することを含んでなる、請求項36記載の方法。
  42. 該遺伝子およびミスマッチ修復遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子をコードするポリヌクレオチドを含んでなる該細胞を培養し、そして
    該遺伝子の産物に新規の生化学的特性を与えて該遺伝子内の少なくとも1つの変異を該細胞が包含するかどうかを決定するために該細胞を試験する(その際、該新規生化学的特性が該産物の過剰発現、該産物の増強された分泌、抗原に対する該産物の増強された親和性、およびそれらの組み合わせよりなる群より選ばれる。)
    ことを含んでなる、抗体産生細胞内の抗体産生に影響する遺伝子内に変異を生成するための方法。
  43. 試験の段階が、該細胞の免疫グロブリン遺伝子の定常状態発現を分析することを含んでなる、請求項42記載の方法。
  44. 試験の段階が、該細胞の免疫グロブリン遺伝子より転写された定常状態mRNAを分析することを含んでなる、請求項42記載の方法。
  45. 試験の段階が、該細胞の免疫グロブリン遺伝子によりコードされた分泌タンパク質の量を分析することを含んでなる、請求項42記載の方法。
  46. DNA変異原の存在下で細胞内にミスマッチ修復遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子を含んでなるポリヌクレオチドを導入するプロセスにより細胞が作製される、請求項36記載の方法。
  47. 試験の段階が、該細胞の免疫グロブリン遺伝子のヌクレオチド配列を分析することを含んでなる、請求項46記載の方法。
  48. 試験の段階が、該細胞の免疫グロブリン遺伝子より転写されたmRNAを分析することを含んでなる、請求項46記載の方法。
  49. 試験の段階が、該遺伝子によりコードされる免疫グロブリンタンパク質を分析することを含んでなる、請求項46記載の方法。
  50. 試験の段階が、該遺伝子によりコードされるタンパク質の生化学的活性を分析することを含んでなる、請求項46記載の方法。
  51. 請求項42の方法により作製された超変異性トランスジェニック哺乳動物細胞。
  52. 該細胞が霊長類由来である、請求項51記載のトランスジェニック哺乳動物細胞。
  53. 該細胞がげっ歯類由来である、請求項51記載のトランスジェニック哺乳動物細胞。
  54. 該細胞がヒト由来である、請求項51記載のトランスジェニック哺乳動物細胞。
  55. 該細胞が真核動物由来である、請求項51記載のトランスジェニック哺乳動物細胞。
  56. 該細胞が原核動物由来である、請求項51細胞内に誘導可能なニック哺乳動物細胞。
  57. 細胞内に誘導性ベクターを導入し、その際、該誘導性ベクターが誘導性プロモーターに操作可能に連結したミスマッチ修復遺伝子の優性ネガティブ対立遺伝子を含んでなり、そして該優性ネガティブミスマッチ修復遺伝子を発現するように該細胞を誘導することを含んでなる、抗体産生細胞の超変異性を可逆的に改変する方法。
  58. 該ミスマッチ修復遺伝子がPMS2である、請求項57記載の方法。
  59. 該ミスマッチ修復遺伝子がヒトPMS2である、請求項58記載の方法。
  60. 該ミスマッチ修復遺伝子がMLH1である、請求項57記載の方法。
  61. 該ミスマッチ修復遺伝子がPMS1である、請求項57記載の方法。
  62. 該ミスマッチ修復遺伝子がヒトmutL同族体である、請求項57記載の方法。
  63. 該細胞が、hPMS2の最初の133アミノ酸より成るタンパク質を発現する、請求項57記載の方法。
  64. 該抗体産生細胞により発現された免疫グロブリンタンパク質を分析することをさらに含んでなる、請求項57記載の方法。
  65. 該細胞の導入を停止し、これにより該細胞の遺伝的安定性を回復することをさらに含んでなる、請求項64記載の方法。
  66. 免疫グロブリンタンパク質をコードするポリヌクレオチドを細胞内にトランスフェクションし(その際、該細胞が優性ネガティブミスマッチ修復遺伝子を含んでなる。)、
    細胞を培養し、これにより超変異性免疫グロブリンタンパク質をコードする超変異性ポリヌクレオチドを産生し、
    該超変異性免疫グロブリンタンパク質の所望の性質に関してスクリーニングし、該超変異性ポリヌクレオチドを単離し、そして
    該超変異性ポリヌクレオチドを遺伝的に安定な細胞内にトランスフェクションし、これにより超変異性抗体産生性で遺伝的に安定な細胞を産生する
    ことを含んでなる遺伝的に改変された抗体を産生する方法。
  67. 該ミスマッチ修復遺伝子がPMS2である、請求項66記載の方法。
  68. 該ミスマッチ修復遺伝子がヒトPMS2である、請求項66記載の方法。
  69. 該ミスマッチ修復遺伝子がMLH1である、請求項66記載の方法。
  70. 該ミスマッチ修復遺伝子がPMS1である、請求項66記載の方法。
  71. 該ミスマッチ修復遺伝子がヒトmutL同族体である、請求項66記載の方法。
  72. 該細胞が、hPMS2の最初の133アミノ酸より成るタンパク質を発現する、請求項66記載の方法。
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