JP2004528840A - 酸化ストレスを評価するためのキットおよび方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、酸化ストレスまたは酸化的損傷に対する、ヒトの感受性を評価するための、キットおよび方法に関する。本発明は、酸化ストレスに関連した1つ以上の遺伝子(例えば、より毒性の低い酸素種への毒性酸素種の転換を触媒する酵素をコードする遺伝子、など)において出現し、そしてヒトにおける障害に関連する、1つ以上の多型(例えば、単一ヌクレオチド多型)のヒトゲノムにおける出現を評価する工程を包含する。好ましい評価およびスコア付け方法が、本方法を実施するためのキットと同様に、開示される。
Description
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
食品の化学成分の酸化は、身体を構築して維持し、正常な生理学的機能を可能にするために用いられるエネルギーを提供する。このような酸化は、ある化合物から別の化合物への電子伝達が触媒される、一連の化学反応を含む。これらの反応は、酵素によって触媒され、酵素は、例えば、反応物質、補因子、金属原子または金属イオン、および水分子のうちの1以上を整列させて化学的に活性化するのに役立つ。酵素触媒反応の固有の特異性にもかかわらず、副反応が必然的に生じる。
【0002】
酸素は、生物学的系において、一般的な、かつ比較的化学的に反応性の成分である。2原子酸素は、通常、完全に還元された酸素(すなわち、水)と同様に、身体系に対して比較的無害である。しかし、(例えば、酸化的リン酸化の間の水への酸素の還元の間、または別の生化学的プロセスの副反応による)酸素への1以上の電子伝達は、より反応性のおよび高い酸素種(例えば、過酸化水素、スーパーオキシドラジカル、およびヒドロキシルラジカル)の形成をもたらし得る。これらの比較的反応性形態の酸素は、身体の生物化学的成分(例えば、タンパク質、脂質およびDNA)を損傷して、その成分の正常機能を破壊または阻害し得る。
【0003】
反応性形態の酸素と身体成分との相互作用によって課される生化学的損傷の影響は、多数の方法で現われ得る。DNAは、正常なヒトの身体の成分を作製するための「命令」を保有する遺伝物質である。DNAに対する酸化的損傷は、身体に異常な成分を作製するようにさせる変異(すなわち、「命令」における変化)をもたらし得る。異常な成分は、正常な機能を実施する能力が阻害されていてもよく(または有さなくともよく)、そしてこれは、疾患または障害として現れ得る。同様に、酵素または膜の脂質成分に対する酸化的損傷は、それらの正常な機能を阻害し得るかまたは除去し得る、そしてこれもまた、疾患または障害として現れ得る。ヒトの身体の細胞または組織が、反応性形態の酸素によって引き起こされる損傷を受ける程度は、時々、「酸化ストレス」と称される。従って、身体成分に対する酸化的損傷に関連した疾患および障害は、酸化ストレスの発現である。加齢は、酸化ストレスの別の発現である。時間が経過すると、反応性形態の酸素と身体成分との相互作用によって引き起こされた損傷は、それらの成分の構造および機能を破壊し、身体の構造および機能における検出可能な変化をもたらす。
【0004】
ヒトの身体が反応性形態の酸素を無毒化できず、かつその身体に対するそれらの影響を緩和することができないならば、ヒトの寿命は、顕著にさらに短いかまたは不可能でさえある。しかし、ヒトの身体は、反応性形態の酸素の、より毒性の低い種への転換を触媒し得る酵素、および反応性形態の酸素によって身体成分へと施された損傷を修復し得る他の酵素を含む。
【0005】
病原体感染に応答したヒト免疫反応としては、マクロファージおよび多形核好中球顆粒球の活性化が挙げられる。これらおよび他の免疫細胞の活性化は、これらの細胞による反応性酸素種(例えば、スーパーオキシドラジカルおよび過酸化水素)の産生を増強する。これらの反応性酸素種は、感染細胞に損傷を与えることによって抗感染効果を発揮するが、(特に、それらの産生が厳密に調節されていない場合)宿主組織にも害を及ぼし得る。いくつかの生物(例えば、Bacillus anthracis)は、全身性ショック(またはさらには死亡)を宿主において誘導する程度まで反応性酸素種の過剰産生を誘導し得る。感染に応答して免疫細胞によって生成される反応性酸素種の毒性影響は、抗酸化剤化合物(例えば、グルタチオン)もしくは反応性酸素種の無毒化を触媒する酵素の、宿主における産生によって、または感染した(または潜在的に感染した)宿主への抗酸化剤化合物もしくは抗酸化剤前駆体(例えば、N−アセチル−システイン)の投与によって、制限または予防され得る。
【0006】
免疫系細胞が適切な量の反応性酸素種を産生する能力における欠損は、ヒトの障害(例えば、慢性肉芽腫症(CGD))と関連することが公知である。CGDに罹患した患者は、それらのマクロファージが殺菌有効量の反応性酸素種を産生する能力の顕著な減少(またはその能力の完全な不存在)を示し、そして通常、病原体感染に感受性である。
【0007】
全てでないにしても大部分のヒト遺伝子は、少なくとも少数の点で異なる種々の形態で生じる。ヒト遺伝子における不均一性は、時間の経過にともなってゲノム中で生じた少数の非致死的変異から部分的に生じると考えられる。いくつかの例では、オルタナティブ形態の遺伝子の間の相違は、その遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列における相違として現れる。いくつかのアミノ酸配列の相違は、そのタンパク質の反応性または基質特異性を変更し得る。オルタナティブ形態の遺伝子の間の相違はまた、(存在する場合)その遺伝子が発現される程度に影響を与え得る。しかし、ヒトの遺伝子において生じる多くの不均一性は、何らかの特定の表現型に関連しないようである。既知の不均一性としては、例えば、単一ヌクレオチド多型(すなわち、単一ヌクレオチド残基に相違を有する、オルタナティブ形態の遺伝子)が挙げられる。他の既知の多型形態としては、遺伝子のうちのより大きな(例えば、2〜1000残基の)部分の配列が多数の配列相違を示す多型形態および遺伝子の一部の存在または不存在によって異なる多型形態が挙げられる。
【0008】
多数の障害および生理学的状態は、その障害または生理学的状態を示すヒトのゲノムにおける1以上のオルタナティブ形態の遺伝子の出現と関連付けられている。例えば、Kimuraら(2000,Am.J.Ophthalmol.130:769−773)は、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ遺伝子のSNPの出現とある形態の黄斑変性との間の関連を開示する。個々の障害と個々の遺伝的多型との間の相関は公知であるが、ヒトがさらされている酸化ストレスの全体的状態を評価する方法についての必要性が残っている。本発明は、この必要性を満たす。
【0009】
局所塗布されたスキンケア製品(例えば、クリーム剤(例えば、顔用クリームおよびハンドクリーム、ローション(例えば、日焼け止めローション)、防腐用組成物、抗かゆみ組成物、シェービングクリームおよびシェービングゲル、シャンプーおよび石鹸、収斂剤など)はときどき、抗酸化剤成分(例えば、ビタミンE)を含む。しかし、任意の特定の個体が抗酸化剤成分を含むスキンケア製品を用いるべきであるか否かを決定する何らかの体系的方法が存在するようではない。この理由のために、酸化的損傷に特に感受性である個体の皮膚が顕著に損傷され得、そしてこのような損傷はしばしば、皮膚の変化が外に現れるまで検出されない。この点から、すでに課された損傷の多くは、修復できない。酸化的損傷を被る前に抗酸化剤成分を含むスキンケア製品を用いることが個体にとって有利であるか否かを同定する方法についての必要性が存在する。本発明は、この必要性をも満たす。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、酸化的損傷に対するあるヒトの相対的感受性を評価する方法に関する。この方法は、以下からなる群より選択される少なくとも2つ(そして好ましくは3つ、4つ、6つ、10、15または20以上)の遺伝子における、あるヒトのゲノムにおける障害関連多型(例えば、単一ヌクレオチド多型;SNP)の出現を評価する工程を包含する:
a)毒性酸素種のより毒性の低い酸素種への転換を触媒する酵素をコードする遺伝子;
b)酸化ストレスに対する防御を提供するタンパク質をコードする遺伝子;
c)毒性酸素種の産生を誘導するタンパク質をコードする遺伝子;
d)酸化ストレスを間接的に影響を与えるタンパク質をコードする遺伝子;
e)そのタンパク質の発現レベルが、酸化ストレスに関連したタンパク質をコードする遺伝子;
f)ヒトDNA修復系の成分をコードする遺伝子;および
g)マクロファージまたは多形核好中球顆粒球による毒性酸素種の産生に関連したタンパク質をコードする遺伝子であって、グループa)の遺伝子でも、グループb)の遺伝子でも、グループc)の遺伝子でも、グループd)の遺伝子でも、グループe)の遺伝子でもグループf)の遺伝子でもない遺伝子。実質的に同じ方法を用いて、あるヒトが抗酸化剤成分を含むスキンケア製品を用いるべきであることの妥当性を評価し得る。
【0011】
これらの多型のうちのいずれかの出現は、そのヒトが、酸化的損傷に対して、ゲノムにその多型を含まないヒトよりも感受性であることの指標である。この方法を用いて、あるヒトが抗酸化剤成分を含むスキンケア製品を用いるべきであることの妥当性を評価する場合、これらの多型のうちのいずれかの出現は、その多型が生じない場合よりも、抗酸化剤を含む製品を使用することがそのヒトにとってより妥当であること、または多型が生じない場合よりも多量の抗酸化剤成分を含むスキンケア製品が使用されるべきであることの指標である。さらに、これらの多型のうちの複数の出現は、そのヒトが、酸化的損傷に対して、ゲノムがその多型を含まないヒトよりもさらにより感受性であること(または抗酸化剤成分を含むスキンケア製品またはより多量の抗酸化剤成分を含むスキンケア製品が用いられるべきであることが、その複数の多型が生じない場合よりもさらにより妥当であること)の指標である。好ましくは、これらの遺伝子は、a)、b)、c)、およびd)からなる群より選択され、そしてより好ましくは、これらは、a)、b)、およびc)からなる群より選択される。1つの実施形態では、この方法は、毒性酸素種の、より毒性の低い酸素種への転換を触媒する酵素をコードする遺伝子からなる群より選択される、ヒトのゲノム中の少なくとも4つの遺伝子(例えば、ミトコンドリアマンガンスーパーオキシドジスムターゼをコードする遺伝子、細胞質銅/亜鉛スーパーオキシドジスムターゼをコードする遺伝子、カタラーゼをコードする遺伝子、およびグルタチオンペルオキシダーゼをコードする遺伝子)における障害関連多型の出現を評価する工程を包含する。
【0012】
別の実施形態では、この遺伝子は、マクロファージまたは多形核好中球顆粒球による毒性酸素種の産生に関連する少なくとも1つの遺伝子を包含する。この実施形態では、このアッセイを用いて、ミトコンドリア感染に対するヒトの免疫系の反応に関連したその型の酸化ストレスに対するそのヒトの感受性を評価し得る。例えば、細菌感染(例えば、Bacillus anthracisによる感染、Staphylococcus aureusによる感染、またはEscherichia coliによる感染)によって促進される免疫反応に関連した酸化ストレスに対するそのヒトの感受性。
【0013】
なお別の実施形態では、グループe)由来の少なくとも1つの遺伝子における多型の出現が評価される。例えば、多型の出現は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)をコードする遺伝子において評価され得る(例えば、MMP−1、MMP−2、MMP−3、またはMMP−7をコードする遺伝子(例えば、MMP−1をコードする遺伝子の塩基対1607に生じる1G/2G多型)。
【0014】
別の実施形態では、グループd)由来の少なくとも1つの遺伝子における多型の出現が評価される。例えば、多型の出現は、グルタチオンS−トランスフェラーゼをコードする遺伝子(例えば、グルタチオンSトランスフェラーゼP1をコードする遺伝子、グルタチオンS−トランスフェラーゼθ1をコードする遺伝子、またはグルタチオンS−トランスフェラーゼM1をコードする遺伝子において評価され得る(例えば、グルタチオンSトランスフェラーゼθ1のアミノ酸残基21、141および169のうちの1つで生じた多型)。別の例として、多型の出現は、腫瘍壊死因子αをコードする遺伝子において(例えば、TNFA遺伝子のうちのヌクレオチド残基−238および−308のうちの1つで生じる多型)、またはメチレンテトラヒドロフォレートレダクターゼをコードする遺伝子において評価され得る。
【0015】
個々の障害関連多型の出現が評価される方法は重要ではない。例えば、多型の出現は、ヒトのゲノム由来の核酸を、第1オリゴヌクレオチドと接触させる工程を包含する方法を用いて評価され得る。第1オリゴヌクレオチドは、障害関連多型と、対応する非障害関連多型よりも高いストリンジェンシーでアニールするオリゴヌクレオチドであり得る。第1オリゴヌクレオチドとこの核酸とのアニーリングが評価され得、そしてこのようなアニーリングは、そのヒトのゲノムが、その障害関連多型を含むことの指標である。オリゴヌクレオチドの使用は、そのオリゴヌクレオチドが、慣用方法を用いて支持体へと結合され得るという利点および複数のオリゴヌクレオチドが同じ支持体へと結合されて、複数の多型の同時検出を可能にし得るという利点を有する。非障害関連多型と、対応する障害関連多型よりも高いストリンジェンシーでアニーリングする第2オリゴヌクレオチドを用いる場合、そのヒトゲノムの対立遺伝子の内容が決定され得る。多型配列の検出は、標識されたオリゴヌクレオチド(例えば、分子ビーコンオリゴヌクレオチド)を用いることによって単純化され得る。
【0016】
一旦、ヒトのゲノムの障害関連多型の内容が評価されたら、酸化的損傷(または抗酸化剤成分を含むスキンケア製品を用いることの妥当性)に対する感受性の評価は、そのヒトについての感受性スコアを計算することをさらに含み得る。感受性スコアは、障害関連多型がそのヒトゲノムにおいて生じた選択された遺伝子の各々について、定数と相関係数との積をまとめることによって計算され得る。あるいは、この相関係数は、対応する障害を示す障害関連多型についてヘテロ接合体のヒトの割合を表す係数または対応する障害を示す障害関連多型についてホモ接合体であるヒトの割合を表す係数であり得る。この定数は、酸化的損傷に関するその遺伝子の既知の関連または推量された関連に基づいて選択され得る。この感受性スコアは、酸化的損傷に対するそのヒトの相対的感受性を表す。同様に、より高い感受性スコアは、より低いスコアが対応するよりも高い、ヒトが抗酸化剤成分を含むスキンケア製品を用いるべき、より高い妥当性に対応し、そしてより高いスコアはまた、そのヒトが、より多量のそのような成分を含むスキンケア製品を用いるべきであることを示し得る。
【0017】
別の局面では、本発明は、ヒトへの投与のためにある用量の抗酸化剤組成物(すなわち、抗酸化剤特性を示す化合物(例えば、ビタミンEまたはビタミンC)またはさもなければ身体の正常な抗酸化剤機構を補い得る化合物(例えば、α−リポ酸および補酵素Q)を含む組成物)を選択する方法に関する。この方法は、ヒトのゲノム中の、上記で示した通りのa)、b)、c)、d)、e)、およびf)からなる群より選択される遺伝子のうちの少なくとも1つにおける障害関連多型の出現を評価する工程を包含する。これらの多型の出現を評価した後、一定用量の組成物が選択される。これらの多型のうちの任意のものの出現は、より多くの用量の組成物がそのヒトに投与されるべきであることの指標である。
【0018】
本発明はまた、酸化的損傷に対するヒトの相対的感受性を評価するためのキットに関する。このキットは、上記の通りのa)、b)、c)、d)、e)、およびf)からなる群より選択されるヒトのゲノム中の少なくとも1つの遺伝子における障害関連多型の出現を評価するための試薬を備える。適切な試薬の例としては、対応する非障害関連多型とよりも高いストリンジェンシーで、障害関連多型とアニーリングするオリゴヌクレオチド(例えば、分子ビーコンオリゴヌクレオチド)、および障害関連多型の特徴的残基に隣接する領域に相補的であるオリゴヌクレオチドプライマーが挙げられる。これらのプライマーは、少なくとも特徴的な残基を増幅し、それによってその検出を容易にするために有用である。このキットは、定数と相関係数との積を表す数値を含む指示材料をさらに備え得る。
【0019】
別の局面では、本発明は、ヒトへの投与のための、スキンケア製品(すなわち、抗酸化剤特性を示す化合物(例えば、ビタミンEまたはビタミンC)またはさもなければ身体の正常な抗酸化剤機構を補い得る化合物(例えば、α−リポ酸および補酵素Q)を含むスキンケア製品)中のある用量の抗酸化剤組成物を選択する方法に関する。この方法は、ヒトのゲノム中の上記の通りのa)、b)、c)、d)、e)およびf)からなる群より選択される遺伝子のうちの少なくとも1つにおける障害関連多型の出現を評価する工程を包含する。これらの多型の出現を評価した後、ある用量の組成物が選択される。これらの多型のうちの任意のものの出現は、より多い用量の組成物が、このスキンケア製品においてヒトへと投与されるべきであることの指標である。
【0020】
(発明の詳細な説明)
本発明は、ヒトのゲノム中の、障害と関連した遺伝的多型の出現を評価することによる、酸化的損傷に対するヒトの相対的感受性を評価するためのキットおよび方法に関する。
【0021】
大雑把に単純化して、この方法は、(本発明者らまたは他の者によって)ヒトにおける疾患(例えば、疾患または病理学的状態)と関連付けられた1以上の多型が、試験されるヒトのゲノムにおいて生じるか否かを決定する工程を包含する。いくつかの実施形態では、ヒトのゲノムにおいて生じた多型の数は、値を得るために合計される;この値が高いほど、酸化的損傷に対するそのヒトの感受性が高いと評価される。他の実施形態では、重み付け係数が、試験される各多型に割り当てられ、そしてヒトのゲノムにおいて生じる多型の重み付け係数は、酸化的損傷に対する相対的感受性を表す値を得るために合計される。重み付け係数は、対応する多型が生じる遺伝子に割り当てられた定数と、その多型の出現が、その多型が関連付けられた障害の出現に関してどれくらい有益であるかを記載する相関係数との積を表し得る。本発明は、本明細書中に非常に詳細に記載されるとおりにこの方法を実施するための種々の代替的方法およびキットを包含する。
【0022】
(定義)
本開示で使用される場合、以下の用語は、この節におけるこれに関連する意味を有する。
【0023】
遺伝子において「多型」は、ヒト集団において生じることが公知である遺伝子の一部の代替形態の1つである。例えば、多くの遺伝子は、単一のヌクレオチドの多型形態を示すことが公知であり、それによって遺伝子の単一ヌクレオチド残基の同定は形態の間で異なる。多型形態の各々は、その用語が本明細書中で使用される場合、単一の多型を表す。他の公知の多型形態としては、複数の連続的なヌクレオチド残基、または密接な間隔で配置されたヌクレオチド残基、非連続ヌクレオチド残基が配列中で変化するオルタナティブ形態、単一のヌクレオチド残基または少数のヌクレオチド残基の存在または不在によって異なる形態、および異なるmRNAスプライシングパターンを阻害する形態が挙げられる。
【0024】
「単一ヌクレオチド多型(「SNP」)」は、一部分における単一ヌクレオチド残基の同一性のみが変化する遺伝子の一部のオルタナティブ形態の1つである。
【0025】
「障害関連」多型は、遺伝子の一部のオルタナティブ形態であり、ここでヒトゲノム中のオルタナティブ形態の出現は、ヒトの疾患または病理状態による提示と関連する。
【0026】
「非障害関連」多型は、有意な相関がゲノム中のオルタナティブ形態の出現と疾患または病理状態との間になされない遺伝子の一部のオルタナティブ形態である。非障害関連多型は、当該分野で「天然」の多型を時々示す。
【0027】
2つの多型が遺伝子の同じ部分の2つのオルタナティブ形態である場合、障害関連多型および非障害関連多型は、互いに「対応した」。例として、遺伝子の残基100の同一性が、遺伝子の障害関連多型においてアデニンであり、そして遺伝子の非障害関連多型においてシトシンである場合、次いで、2つの多型は互いに一致した。遺伝子の同じ部分の2つ以上のオルタナティブ形態が存在する場合、3つ以上の一致する多型が存在し得ることが理解される。
【0028】
多型の「特徴的な残基」は、ヌクレオチド残基の同一性が、多型に一致するオルタナティブ形態の間で変化することが公知である、ヌクレオチド残基である。
【0029】
「毒性酸素種」としては、反応性の適切なオーダーにおいて、ヒドロキシルラジカル、スーパーオキシドラジカル、一酸化窒素、ペルオキシ亜硝酸塩(peroxy nitrite)(ONOO−;酸化窒素とスーパーオキシドラジカルとの間の反応の産物)、および過酸化水素が挙げられる。本明細書中で用語が使用される場合、通常二価の酸素は毒性酸素種ではない。
【0030】
「酸化的損傷」は、正常な細胞成分(例えば、DNA、タンパク質または脂質)と毒性酸素種との化学的反応をいい、それによって、成分の少なくとも1つの正常な機能が、阻害されるかまたは除去される。用語「酸化的損傷」および「酸化ストレス」は、本明細書中で交換可能に使用される。
【0031】
「分子ビーコンオリゴヌクレオチド」は、(Kostrikisら、1998,Science 279:1228−1229)に記載されるように、一本鎖オリゴヌクレオチドの5’末端に結合された蛍光標識(例えば、ローダミン、FAM、TET、VIC、JOEまたはHEX)および3’末端に結合された蛍光クエンチャー(例えば、TAMRAまたはDABCYL)(または逆も同じ)を有する一本鎖オリゴヌクレオチドをである。
【0032】
分光光度的方法または分光蛍光分析方法を使用して、差別的に検出され得る場合、2つの分子ビーコンオリゴヌクレオチドは、「スペクトルが異なる」。スペクトルの異なるオリゴヌクレオチドを差別化するために使用され得る特定の例としては、吸収波長または励起波長、発光波長および蛍光寿命が挙げられる。
【0033】
「指示(instructional)材料」は、出版物、記録、図解または本明細書中に記載されるキットをどのように使用するかを伝えるために使用され得る任意の他の媒体の表現、キットを使用して検出可能である種々の多型の有意性を図るための絶対値、またはその両方である。本発明のキットの指示材料は、例えば、本発明のキットを含む容器に加えられるか、またはキットを含む容器と一緒に出荷される。あるいは、指示材料は、指示材料およびキットがレシピテントによって協同して使用されるという意図を有して容器から別々に出荷され得る。
【0034】
2つのポリヌクレオチドのアニールが、相対的な可能性(溶液の条件の場合、ポリヌクレオチドが溶液中でアニールする)を意味する「ストリンジェンシー」は、アニーリングにとってあまり有利とならない。ストリンジェント条件の例としては、当該分野で公知であり、そして入手可能な参考文献において見出され得る(例えば、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,N.Y.,1989,6.3.1−6.3.6)。水性のアニーリング方法および非水性アニーリング方法は、参考文献に記載され、そしていずれか一方が使用され得る。一般的に、第1の対がアニールしやすい(またはアニールされたままである)場合、塩濃度、温度および界面活性剤の濃度の1つ以上が、増大されるので、第2の対よりも高いストリンジェンシーで、第1のポリヌクレオチドはアニールする。
【0035】
障害に関して、障害関連多型の「相関係数」は、多型に対してヘテロ接合性またはホモ接合性であり、障害を阻害するヒトの画分である。あるいは、相関係数は、ヘテロ接合性である人々単独、ホモ接合性である人々単独、またはヘテロ接合性またはホモ接合性のいずれかの人々に起因され得る。
【0036】
「伸長不可能な」ヌクレオチド残基は、ポリメラーゼによってポリヌクレオチドに付加され得るヌクレオチド残基であり(すなわち、ポリメラーゼによって触媒されたその相補体に関連するポリヌクレオチドの伸長による)、そしてポリヌクレオチドへの付加の際、ポリメラーゼによってさらに伸長され得ないポリヌクレオチドを与える。
【0037】
(説明)
本発明は、障害に関連する遺伝的多型のヒトゲノム中での発現を評価することによって酸化的損傷に対するヒトの相対的感受性を評価するキットおよび方法に関する。
【0038】
ヒトの酸化的損傷に対する感受性の程度は、ヒトゲノム中に存在する特定の遺伝子の多型形態を測定することによって評価され得ることが発見された。評価される遺伝子は、酸化ストレスに関連する遺伝子(酸化的損傷に対する保護を提供する遺伝子、および酸化的損傷を悪化させる遺伝子の両方を含む)である。
【0039】
酸化ストレスに対して身体を保護する遺伝子の型は共通して、わずかな毒性酸素種への毒性酸素の転換を触媒する酵素をコードする遺伝子、酸化的損傷に対する保護を直接的に提供するタンパク質をコードする遺伝子、酸化的損傷に対する保護を間接的に提供するタンパク質をコードする遺伝子、ヒトのDNA修復系の構成要素をコードする遺伝子、および微生物感染の際、免疫細胞中の反応性酸素種の誘導性生産に関連する遺伝子(前記のグループ内に必ずしも含まれない)である。
【0040】
多数の遺伝子は、ヒトDNA修復系の成分をコードし、そして実質的にこれらの遺伝子のいずれかにおいて、障害関連多型は、酸化ストレスに対する個体の感受性の情報であり得る。これらの遺伝子の例としては、アプリン(apurinic)エンドヌクレアーゼおよびアピリミジンエンドヌクレアーゼ、紫外線によって損傷されるヌクレオチド残基の切除を触媒する酵素、および部位特異的組換えを触媒する酵素をコードする遺伝子が挙げられる。多くのこのような遺伝子は、公知であり、そしてWoodら、2001,Science 291(5507):1284−1289に列挙される遺伝子を含む。
【0041】
微生物感染の際、免疫細胞中の反応性酸素種の生産を誘導する遺伝子は、マクロファージおよび多形核好中球顆粒球の呼吸バースト(ときどき酸化バーストと示される)現象に関連する遺伝子(例えば、ヒトの食細胞特異的NADPH−オキシダーゼ複合体の成分をコードする遺伝子)を含み、それによって毒性酸素種は、微生物(例えば、原生動物、またはPseudomonas、SalmonellaまたはSerratia細菌のような細菌、あるいはBacillus anthracis、Escherichia coliまたはStaphylococcus aureusのような公知の病原)による組織の侵襲に対する応答において生産される。マクロファージの抗菌活性を阻害するかまたは破壊する障害(例えば、慢性肉芽腫症)に罹患する患者において異常であることが公知の遺伝子もまた、このグループ内に含まれる。
【0042】
特定の生物体(例えば、Bacillus anthracis)による感染に対する応答における免疫系の成分によって生産される毒性酸素種は、ヒトの身体に所望でない効果を有し得ることが公知である(例えば、Hannaら、1994,Mol.Med.1:7−18)。B.anthracisに罹患した患者において、これらの毒性種は、全身性ショックまたは死さえも誘発する。抗酸化化合物のタイムリーな投与は、これらの効果を緩和し、そして曝露前の抗酸化剤の投与は、特に酸化ストレスに対する高い感受性を示す個体において、これらを阻害し得るか、または予防さえし得る。このような抗体の同定は、(例えば、本明細書中に記載される方法を使用して)B.anthracisまたは他の病理への曝露の危険な状態の個体が、予測された曝露または可能性の前に抗酸化剤を投与されるべきか否かを評価するために使用され得る。
【0043】
アレルゲンの求電子性の電位を減少させること(またはそれらの代謝)の原因である反応を触媒する(このプロセスは、アレルゲンの生体内変化を示す)酵素をコードする遺伝子はまた、免疫細胞中で生産される反応性酸素種の生産に影響する(例えば、アレルゲンが身体から除去される速度を調節することによって影響する)。酵素のグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)ファミリーのメンバー(例えば、GSTθ1(GSTT1)、GSTM1およびGSTP1)は、アレルゲンの生体内変化に関与する。これらの酵素はまた、酸素のより多くのそしてより少ない反応形態の間の相互交換を触媒する。従って、これらのGST遺伝子の1つにおける1つ以上の多型の出現は、酸化ストレスに対するヒトの感受性を評価するために使用される。例えば、Lutzらは、皮膚中のGSTT1酵素およびGSTM1酵素の存在、ならびにGSTT1遺伝子およびGSTM1遺伝子の1つまたは両方の欠損を保有する状態は、アレルゲンのアレルギー効果に対する増大した脆弱性に関連することを示す(Lutzら、2001,Med.Pr.52:45−51)。
【0044】
アレルゲンの曝露に応答する免疫系の成分による毒性酸素種の生産に関与される別の酵素は、腫瘍壊死因子α(TNFA)である。Allenら(2000,Immunogenetics 51:201−205)は、TNFAをコードする遺伝子の−308塩基対(すなわちプロモーター領域中)に生じる多型を記載した。この多型は、皮膚の刺激原に対する個体の応答に影響する。ヒトのTNFA遺伝子の対立遺伝子に生じるこの障害関連多型の2つの形態を評価することは、酸化ストレスに対するヒトの感受性の評価を可能にする(例えば、これは、皮膚の刺激原の曝露によって誘発される免疫応答を生じる)。
【0045】
わずかな毒性酸素種への毒性酸素種の転換を触媒する酵素に共通して、4つ(すなわち、ミトコンドリア型マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD)、細胞質銅/亜鉛(cytoplasmic copper/zinc)スーパーオキシドジスムターゼ(CZSOD)、カタラーゼ(CAT)およびグルタチオンペルオキシダーゼ(GP))は、特に関連性である。これらの遺伝子に生じる多型は、種々の障害に関連することが公知である(例えば、Kimuraら、2000,Am.J.Ophthalmol.130:769−773を参照のこと)。これらの4つの遺伝子の少なくとも1つ(および好ましくは2、3、または全て)での障害関連多型の出現は、本明細書中に記載される方法において評価されるべきであり、これらの遺伝子の重要性が得られる。同様に、本明細書中に記載されるキットは、これらの4つの遺伝子の少なくとも1つ(および好ましくは2、3または全て)において障害関連多型を検出するための試薬を好ましくは含む。さらに、これらの遺伝子における障害関連多型の出現の有意性は、酸化ストレスに関連する他の遺伝子中の障害関連多型よりもこれらの遺伝子の障害関連多型に対する、より大きな重み係数の評価によって適用され得る。
【0046】
酸化ストレスに関連する遺伝子中の2つ以上の障害関連多形性のヒトゲノムにおける検出が、ヒトが酸化的損傷に対する増強した感受性を全体的に示すことを、示すことは以前、明らかでなかった。以前の研究は、これらの遺伝子の1つの多型と特定の障害との間の関連のみを認識することと考えられる(例えば、Kimuraの参考文献におけるしん滲出性黄斑変性症)。本発明者らは、酸化的損傷に対するヒトの全体的な(すなわち、特定の組織、細胞型または器官に限定されない)感受性を評価するための方法およびキットを最初に記載することと考えられる。
【0047】
上で述べられたMnSOD、CZSOD、CATおよびGP遺伝子に加えて、他の遺伝子は、酸化的損傷に対して、例えば、わずかな毒性の種へと酸素の毒性種を転換することによって、酸素の毒性形態の前駆体を除去することによって、または酸化的損傷を修復することによって直接的または間接的な保護を提供するタンパク質をコードする。これらの遺伝子の例としては、以下をコードする遺伝子が挙げられる:グルタチオンS−トランスフェラーゼP1、グルタチオンS−トランスフェラーゼθ1、グルタチオンS−トランスフェラーゼM1、グルタチオンレラクターゼ、チオレドキシンレラクターゼ、パラオキソナーゼ、NAD(P)H:キノンオキシドレラクターゼ1およびキノンオキシドリラクターゼ2、8−オキソ−7,8−ジヒドロデオキシグアノシントリホスファターゼ、ならびにエポキシドヒドロラーゼ。これらの遺伝子中の1つ以上の障害関連多型のヒトゲノムにおける検出は、ヒトが酸化的損傷に対する増強した感受性を示すことを示す。本明細書中に記載される方法およびキットは、酸化ストレスに対するヒトの感受性を評価するためのこの指標を使用し得る。
【0048】
酸化的損傷を悪化させる遺伝子は共通して、直接的(例えば、酸素の毒性種が直接産物または副産物である反応を触媒することによって)、または間接的(例えば、酸素の毒性種の産物の原因になる代謝経路を通ってフラックスを増強することによって)のいずれかで毒性酸素種の生産を誘導するタンパク質をコードする遺伝子である。毒性酸素種の生産を直接的または間接的に誘導するタンパク質の例としては、ミエロペルオキシダーゼ、腫瘍壊死因子α、NADH/NADPHオキシダーゼp22ホクス(phox)プロテイン、酸化窒素シンターゼキサンチンオキシダーゼおよびチトクロムP450が挙げられる。これらのタンパク質の1つをコードする1つ以上の遺伝子における障害関連多型のヒトゲノムにおける検出は、ヒトが酸化的損傷に対する増強した感受性を示すことを示す。
【0049】
本明細書中に記載される方法はまた、遺伝子が酸化ストレスに影響する機構が理解されるか否かに関係なく、酸化的損傷に関連する遺伝子の多型形態のヒトゲノム中での存在を測定することによって、酸化的損傷に対する感受性を評価するために使用され得る。例として、アポリポプロテインEは、酸化ストレスに影響し得る複数機能分子である。ApoE4表現型は、例えば、アルツハイマー病を罹患する患者における増大したヒドロキシラジカルレベルに関連することが公知であり、そしてApoEの発現は、酸化ストレスを悪化させることが公知である。さらなる例として、酸化ストレスの増強は、各々増加したホモシステインレベル、抑制した血清ビリルビンレベル、抑制した酸性ホスファターゼ活性、抑制したタンパク質ホスホチロシンホスファターゼ活性および抑制したエピネフリンオキシダーゼ活性に関連することが公知である。従って、これらのレベルおよび活性に影響するタンパク質をコードする遺伝子における多型のゲノム中での出現は、決定され得、そしてこれらの出現は、酸化ストレスに対するヒトの感受性を推定するために使用され得る。多型が、酸化的損傷に対する改変された感受性に関連し得る遺伝子の例としては、以下が挙げられる:UDP−ガラクトノシルトランスフェラーゼ 1A1(すなわち、UGT1A1遺伝子)、酸性ホスファターゼをコードする遺伝子、タンパク質ホスホチロシンホスファターゼ、エピネフリンオキシダーゼ、ApoE4、シスタチオニンβ−シンターゼ、シスタチオニンγ−リアーゼ、N5−メチルTHF:ホモシステインメチルトランスフェラーゼ、メチレンテトラヒドロホレート(methylenetetrahydrofolate)レダクターゼ(MTHFR)、およびS−アデノシルメチオニンメチルトランスフェラーゼ。Uelandら(2001,Trends Pharmacol.Sci.22:195−201)は、MTHFRをコードする遺伝子の塩基対677で生じる多型を記載した。この多型は、葉酸の分布に影響し、それによってDNA合成およびホモシステインレベルに影響する。ヒトのMTHFR遺伝子の対立遺伝子に生じるこの障害関連多型の形態を評価することは、酸化ストレスに起因するダメージに対するヒトの感受性の評価を可能にする。
【0050】
熱ショックタンパク質はまた、酸化的損傷から少なくとも間接的な細胞の保護を提供することが公知であり、そして熱ショックタンパク質の遺伝子多型の出現は、多型が障害関連多型であることが既知である場合、酸化的損傷に対する感受性の有益なマーカーとして使用され得る。
【0051】
多型の出現が起こる遺伝子が、身体における反応性酸素種の生産または破壊に直接的または間接的に関与することは重要ではない。関連が、ヒトにおける遺伝子の発現レベルと酸化ストレスレベルとの間になされ得る場合、十分である。例として、Aparnaら(2001,J.Biol.Chem.276(17):14264)は、ヒトにおけるマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)遺伝子の発現レベルと酸化ストレスとの間の関連を記載した。MMP−1、MMP−2、MMP−3およびMMP−7を示すMMPをコードする遺伝子の発現は、過酸化水素の低いレベルでの存在よりも、より高い定常状態レベルの存在において増強される。この観察は、ヒトにおける少なくともこれら4つのMMP遺伝子の発現が、酸化ストレスのレベルに関連することを示す。従って、これらMMP遺伝子の1つにおける多型の出現は、酸化ストレスに対するヒトの感受性を評価するために使用され得る。例えば、Aparnaらは、MMP−1をコードする遺伝子の塩基対1607に生じる多型(1G/2G)を記載した。この多型は、過酸化水素レベルに応答するMMP−1遺伝子の発現のレベルに影響する。従って、ヒトのMMP−1遺伝子の対立遺伝子に生じるこの多型の2つの形態を評価することは、酸化ストレスに対するヒトの感受性の評価を可能にする。
【0052】
酸化的損傷に対する感受性に対して有益であり得る上記遺伝子における多型の例としては以下が挙げられる:
MnSODのアミノ酸残基9(すなわちシグナル配列)で、アラニン残基からバリン残基への転換を表す多型;
MnSODのアミノ酸残基58で、イソロイシン残基からチミン残基への転換を表す多型;
CZSODのアミノ酸残基7で、バリン残基からグルタミン酸残基への転換を表す多型;
CZSODのアミノ酸残基6で、システイン残基からフェニルアラニン残基への転換を表す多型;
カタラーゼ遺伝子のヌクレオチド残基−262(すなわち、プロモーター領域)で、シトシン残基からチミン残基への転換を表す多型;
グルタチオンペルオキシダーゼのアミノ酸残基198で、プロリン残基からロイシン残基への転換を表すhGPX1遺伝子中の多型;
グルタチオンS−トランスフェラーゼP1のアミノ酸残基105で、バリン残基からイソロイシン残基への転換を表すGSTP1遺伝子中の多型;
グルタチオンS−トランスフェラーゼθ1のアミノ酸残基21で、アラニン残基からスレオニン残基への転換を表すGSTT1遺伝子中の多型;
グルタチオンS−トランスフェラーゼθ1のアミノ酸残基141で、アスパラギン酸残基からアスパラギン残基への転換を表すGSTT1遺伝子中の多型;
グルタチオンS−トランスフェラーゼθ1のアミノ酸残基169で、バリン残基からイソロイシン残基への転換を表すGSTT1遺伝子中の多型;
グルタチオンS−トランスフェラーゼM1のアミノ酸残基173で、リジン残基からアスパラギン残基への転換を表すGSTM1遺伝子中の多型;
メチレンテトラヒドロホレートレダクターゼ(MTHFR)をコードする遺伝子のヌクレオチド残基677で、シトシン残基からチミン残基への転換を表す多型;
パラオキソナーゼをコードする遺伝子のヌクレオチド残基−107(すなわち、プロモーター領域)で、チミン残基からシトシン残基への転換を表す多型;
NAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼをコードする遺伝子のヌクレオチド残基242(すなわち、コード領域)で、シトシン残基からチミン残基への転換を表す多型;
エポキシドヒドロラーゼをコードする遺伝子のエキソン3中のヌクレオチド残基113で、チミン残基からシトシン残基への転換を表す多型(すなわち、エポキシドヒドロラーゼ中のチロシン残基からヒスチジン残基への転換に影響する);
ミエロペルオキシダーゼをコードする遺伝子のヌクレオチド残基−463(すなわち、プロモーター領域)で、グアニン残基からアデニン残基への転換を表す多型;
腫瘍壊死因子α(すなわちTNF2と示されたTNFプロモーター改変体)をコードする遺伝子のヌクレオチド残基−238(すなわち、プロモーター領域)で、アデニン残基への転換を表す多型;
腫瘍壊死因子α(すなわちTNF3と示されたTNFプロモーター改変体)をコードする遺伝子のヌクレオチド残基−308(すなわち、プロモーター領域)で、アデニン残基への転換を表す多型;
NADH/NADPHオキシダーゼp22サブユニットをコードするホックス遺伝子のヌクレオチド残基242(すなわち、コード領域)で、シトシン残基からチミン残基への転換を表す多型;
一酸化窒素シンターゼをコードする遺伝子のイントロン4中の27塩基対の繰り返し(すなわち、ヌクレオチド5130と5511との間)を表す多型;
チトクロムP450をコードする遺伝子のヌクレオチド残基−290(すなわち、5’隣接領域)で、アデニン残基からグアニン残基への転換を表す多型(すなわちCYP3A4チトクロムP450改変体と示された多型);
ApoE遺伝子のApoE4対立遺伝子を表す多型;
シスタチオニンβ−シンターゼをコードする遺伝子のヌクレオチド残基699(すなわち、コード領域)で、シトシン残基からチミン残基への転換を表す多型;
MMP−1をコードするヒト遺伝子の塩基対1607(Aparnaらの番号付けを使用して)で生じる1G/2G多型。
【0053】
(酸化的損傷に対する感受性を評価する方法)
本発明は、酸化的損傷に対するヒトの相対的感受性を評価する方法を包含する。この感受性は、ゲノムが酸化ストレスに関連する遺伝子における単一の障害関連多型を含まない仮想的ヒトと比べて計算され得る。あるいは、感受性は、評価されるヒトに比べて1つ以上の異なる障害関連多型を有し得る、別のヒトと比べて計算され得る。実際には、未処理の感受性スコアが計算される基準は、スコアが比較される全てのヒトに対して同じ基準が使用される(すなわち、その結果、スコアが互いに関連付けられ得る)限り、重要ではない。
【0054】
酸化的損傷に対するヒトの相対的感受性は、種々の組成物、条件、および介入の危険性および利益の評価を可能にする。1つの実施形態において、酸化的損傷に対するヒトの感受性は、ヒトが1つ以上の抗酸化剤を含む組成物で栄養物摂取を補充することによって利益を得るかどうかを決定するために使用され得る。さらに、酸化的損傷に対するヒトの相対的感受性は、このような抗酸化剤含有組成物の適切な用量を示し得る。別の実施形態において、ヒトに関する条件または介入(例えば、毒性酸素種の出現を誘導することが公知である高圧酸素または薬学的薬剤をヒトに投与すること)の適切さは、酸化的損傷に対するヒトの感受性を評価することによって決定され得る。
【0055】
酸化的損傷に対するヒトの感受性は、酸化ストレスに関連する複数の遺伝子(例えば、3、4、6、8、10、15、20、または30以上の遺伝子)における障害関連多型の、ヒトゲノムでの出現率を評価することによって、評価される。これらの遺伝子の1つにおける障害関連多型の出現率は、ゲノム中に多型が見出されないヒトと比べて、ヒトが酸化的損傷に対するより大きな感受性を有することの指標である。当然、ヒトゲノムにおける2つ以上のこのような多型の出現率は、ヒトが酸化的損傷に対するさらなるより大きな感受性を示すことを示す。
【0056】
酸化ストレスに関する遺伝子におけるあらゆる障害関連多型の出現率は、酸化ストレスに対する感受性を必ずしも等しく示さない。種々の障害関連多型の重要性の差異を説明するために、重み付け係数が、本明細書中に記載される方法およびキットで検出された各多型に割り当てられ得る。上記に示されたように、4つの遺伝子(MnSOD、CZSOD、CAT、およびGP)は、ヒトの酸化ストレスにおいて非常に重要な役割を有することが公知である。他の全てが等しい場合、これら4つの遺伝子の1つで出現する障害関連多型は、酸化ストレスにおいてより重要性が低い役割を有する遺伝子で出現する多型よりも、より重要である。従って、より大きな重み付け係数が、他に比べてこれらの多型に割り当てられ得る。例として、これら4つの多型に与えられた重み付け係数は、他の遺伝子における障害関連多型(以下に議論されるように、対応する障害と等しい関連性を有する)に割り当てられる重み付け係数よりも1〜10倍大きくあり得る。好ましくは、MnSOD遺伝子、CZSOD遺伝子、CAT遺伝子、およびGP遺伝子における多型に割り当てられる重み付け係数は、他の遺伝子における障害関連多型に割り当てられる重み付け係数の2倍である。
【0057】
ヒトゲノムにおける障害関連多型の出現率に割り当てられることを決定する重要性に影響し得る別の係数は、多型が対応する障害と相関する程度である。いくつかの障害には、遺伝的多型の出現率と大いに相関する障害もあれば、多型とより低い相関を示す障害もある。多型が障害(すなわち、疾患または病理学的状態)と関連することが報告される場合、多型と障害との間の関連の程度が、しばしば報告される。多型と障害との間の相関関係を記述する係数を計算する1つの有用な方法は、ゲノム中に障害関連多型が生じている個体がその障害を示すかまたは発症する可能性を記述するオッズ比を計算することである。本明細書中に記載されるキットおよび方法は、ヒトが疾患関連多型についてホモ接合性であるかどうかを検出するために使用され得るので、ホモ接合性個体について計算されたオッズ比はまた、これらが入手可能である場合、使用され得る。オッズ比は、当該分野で記載されるように計算され得る。
【0058】
障害関連多型について、オッズ比は、以下のように計算され得る。第1に、障害に罹患することのオッズは、多型が生じる第1の集団について、第1の集団における罹患個体の数を第1の集団の個体総数で割ることによって計算される。第2に、障害に罹患することのオッズは、多型が生じない第1の集団について、第2の集団における罹患個体の数を第2の集団の個体総数で割ることによって計算される。第3に、オッズ比は、第1の集団に対するオッズを第2の集団に対するオッズで割ることによって計算される。オッズ比が1より大きい場合、これは多型の出現率が障害の出現率に関連するという指標である。さらに、オッズ比の大きさは、関係の有意さの指標である。
【0059】
ヒトについての全酸化ストレス感受性スコアは、以下のように決定され得る。重要性スコアは、本明細書中に記載される方法またはキットを使用して、ヒトゲノム中に検出される各障害関連多型に割り当てられ得る。重要性スコアは、定数(例えば、1.00)であり、そして任意の重要性因子(例えば、MnSOD遺伝子、CZSOD遺伝子、CAT遺伝子、およびGP遺伝子について、1〜10、好ましくは2)および入手可能な任意の相関係数を掛けられる。多型についてのホモ接合性と対応する障害との間の相関を記載する情報が入手可能な場合、この相関係数は、少なくとも方法またはキットが被験体ゲノムにおける対応する非障害関連多型の出現率を除外するために使用される場合、僅かな多型の出現率に対する相関係数の代わりに使用されるべきである。重要性係数および相関係数が入手可能でない場合、値1.00が各々に割り当てられるべきである。全スコアは、本方法または本キットを使用して検出される、各障害関連多型に対する重要性係数を合計することによって決定される。この全酸化ストレス感受性スコアは、他の被験体から得られた値と比較され得るか、またはゲノムが酸化ストレスに関連する遺伝子にいずれの障害関連多型をも含まないヒトにおいて見出されることが期待される値(すなわち0)と比較され得る。
【0060】
例として、Kimuraの文献は、MnSOD遺伝子に生じる2つの対応する多型を記載する(すなわち、MnSOD遺伝子の特定の位置でのCまたはTいずれかの出現)。ゲノムに障害関連多型が出現する個体は、障害(黄斑変性の形成)に対して1.43のオッズ比を示し、同一の多型についてホモ接合性である個体は、10.14のオッズ比を示す。従って、MnSOD遺伝子が本明細書中に記載される方法およびキットで評価される遺伝子の1つである場合、1.43の重み付け係数が、被験体ゲノム中での障害関連多型の出現率に適用され得、本方法または本キットが、他の対応する多型が被験体ゲノム中に存在しないことを決定するために使用される場合、10.14の重み付け係数が、適用され得る。本明細書中に示されるように、さらなる係数が、この係数と合わせられ、酸化ストレスにおけるMnSOD遺伝子の重要性を示し得る。従って、この後者の係数が、2として選択される場合、Kimuraによって記載される障害関連多型の出現率は、2.86の重要性を割り当てられ得、そして多型の排他的出現率(すなわち、ホモ接合性)は、20.28の重要性を割り当てられ得る。
【0061】
任意の特定の障害関連多型(または非障害関連多型)の出現率を評価するために使用される方法は、重要ではない。多型の出現を検出する多数の方法が、当該分野で公知であり、実質的にこれらの方法のいずれかが、本明細書中に記載されるキットおよび方法において使用され得る。当然、本キットに含まれる試薬は、多型を検出するために使用される方法に依存して変化する。いくつかの適切な多型検出方法の例は以下に提供される。
【0062】
1つの実施形態において、オリゴヌクレオチドプライマー対は、多型領域を含む遺伝子の一部分を増幅するために使用される。多型領域で出現する1つ以上の多型の検出は、1つの多型がこの部分に出現する場合にのみ、ストリンジェントな条件下で増幅された部分とアニーリングするが、別の多型がその部分に存在する場合、増幅された部分とアニーリングしない配列を有するオリゴヌクレオチドと、増幅された部分とを接触することによって達成され得る。種々の受容可能なストリンジェントな条件が当該分野で公知であり、当業者によって、任意の特定の増幅された部分/オリゴヌクレオチド対に対して適切なように改変され得る。ストリンジェントな条件の例は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃でのハイブリダイゼーション、続いての0.2×SSC、0.1%(重量/体積)SDS中、50℃での1回以上の洗浄である。
【0063】
代替的な実施形態において、1つ以上の分子ビーコンオリゴヌクレオチドは、被験体ゲノムのコピー、被験体ゲノムの部分または被験体ゲノムから生成された増幅産物(例えば、その部分において、多型が出現することが公知である酸化ストレス関連遺伝子の増幅された部分)を含むサンプル中で多型(障害関連多型、非障害関連多型、またはそれら両方)を検出するために使用される。
【0064】
分子ビーコンプローブは、記載される(Kostrikisら、1998,Science 279:1228−1229)ように、その5’末端に結合された蛍光標識(例えば、ローダミン、FAM、TET、VIC、JOE、またはHEX)およびその3’末端に結合された蛍光消光体(例えば、TAMRAまたはDABCYL)を有する(逆もまた同様)一本鎖オリゴヌクレオチドである。各分子ビーコンプローブの配列は、2つの相補的ヘアピン領域を含むように選択され、それによってこのプローブは自己アニーリングしてヘアピン構造を形成し得る。5’末端および3’末端は、ヘアピン構造が形成された場合、密接に会合される。このプローブはまた、標的配列(例えば、酸化ストレス関連遺伝子の一塩基多型)に相補的であるように選択される標的化部位を含む。標的化部分および少なくとも1つのヘアピン領域は、互いに非常に近位に配置され、このことは、標的化部分がヘアピン領域と重なるかまたは隣接するかのいずれかであり、これらの間に約5ヌクレオチド残基以下が存在することを意味する。
【0065】
分子ビーコンプローブのヘアピン領域が、互いにアニーリングする場合、このプローブは蛍光を発しない。なぜなら、ヘアピン構造が形成され、プローブの一端に結合された蛍光消光体がプローブのもう一方の末端に結合された標識の蛍光を消光するからである。プローブの標的化部分が、標的配列を有する核酸の領域とアニーリングする場合、ヘアピン構造の形成が阻害され、蛍光消光体は蛍光標識と会合せず、このプローブは蛍光を発する。複数の分子ビーコンプローブは、単一の反応混合物中で使用され得、プローブに結合する蛍光は、分子ビーコンプローブがスペクトル的に異なる場合、区別され得る。
【0066】
従って、この実施形態において、1つ以上の分子ビーコンプローブが使用され、その各々は、酸化ストレス関連遺伝子(例えば、本明細書中に開示される遺伝子の1つ)の1つの多型の標的領域(例えば、20〜40ヌクレオチド残基、より好ましくは20〜30残基)に相補的である標的化領域を有する。検出されるべき多型が、一塩基ヌクレオチド多型(SNP)である場合、標的領域は、多型が出現するヌクレオチド残基を含み、そして好ましくはそれをほぼ中心とする。より好ましくは、2つのこのようなプローブが使用され、1つは、遺伝子の1つの多型(例えば、SNPの2つの多型の1つ)の標的領域に完全に相補的な標的化領域を有し、もう1つは、遺伝子の対応する多型(例えば、SNPのもう1つの多型)の標的領域に完全に相補的な標的化領域を有する。
【0067】
酸化的損傷関連遺伝子における多型がどのように評価され得るかに関するさらに別の実施形態において、多型の特徴的な残基の近傍の領域に相補的であるオリゴヌクレオチドプライマーは、ポリメラーゼ酵素を使用して伸長され、この特徴的な残基に相補的な位置でプライマーに付加されたヌクレオチド残基の正体が、決定される。このプライマーは、伸長不可能なヌクレオチド残基の存在下で、限定数(または1つのみ)のヌクレオチド残基がプライマーに組込まれることを保証するように伸張され得る。この型の方法は、当該分野で公知であり(例えば、Orchid Biocomputer,Inc.のSNP−IT(登録商標)技術)、例えば、米国特許第6,013,431号および同第6,004,744号に記載される。
【0068】
(酸化ストレスに関連する個々の障害に対する感受性を評価する方法)
酸化ストレスに対する患者の感受性は、酸化ストレスおよびその生理学的な結果に関連するかまたはこれらによって引き起こされることが公知である個々の障害に対する、患者の感受性を予測する。例として、アルツハイマー病の発症、進行、またはそれらの両方は、脳組織を含む患者の組織が受けた酸化的損傷によって影響されると考えられる。酸化的損傷関連障害の発症および進行の速度または可能性は、酸化ストレスに対する患者の全感受性を評価することによって見積もられ得る。
【0069】
他の開示が、単一遺伝子の多型の患者に出現する酸化ストレス関連障害に対する感受性に関連し得る(例えば、アルツハイマー病に対する患者の感受性は、ApoE4遺伝子の多型の出現に関連している)としても、この開示は、このような障害の発症または進行を複数の遺伝子(個々の遺伝子の多型と障害との間の関連が認識されない遺伝子を含む)の多型の患者における出現と初めて相関づけると考えられる。従って、例として、他の開示は、単一遺伝子(ApoE4)のアルツハイマー病関連多型を同定し得るとしても、これらは、アルツハイマー病に対する感受性を他の遺伝子の多型の出現と関連付けない。アルツハイマー病に対する感受性は、以前にアルツハイマー病との公知の関連を有さなかった遺伝子における障害関連多型の患者での出現と関連し得ることが、本明細書中で初めて開示される。例として、アルツハイマー病に対する患者の感受性は、本明細書中に記載される任意の遺伝子(例えば、本明細書中にa)〜g)と示される群の遺伝子)における障害関連多型の患者での出現を検出することによって評価され得る。
【0070】
それらに対する感受性がこれらの方法を使用して評価され得る個々の障害は、アルツハイマー病に限定されない。これらの方法は、酸化ストレスまたは酸化ストレスの生理学的結果と関連すること、これらによって引き起こされること、またはこれらによって悪化することが現在公知である、実質的に任意の障害に対する感受性を評価するために使用され得る。これらの障害の例としては、動脈硬化;アテローム性硬化症;自己免疫疾患(例えば、黄斑変性および乾癬);細菌感染、ウイルス感染、真菌感染、および寄生生物感染;皮膚厚、皮膚反発性、および皮膚可撓性の加齢性の喪失;アレルギー;脱毛;毛髪退色(例えば、白髪化);腫瘍形成;脳変性障害(例えば、アルツハイマー病、ローゲリグ病、ハンティングトン病、およびパーキンソン病);他の神経変性障害(例えば、フリートライヒ運動失調、遺伝性痙性対麻痺、小脳退行、および筋萎縮性側索硬化症);呼吸障害(例えば、喘息);炎症性障害(例えば、膵炎)が挙げられる。
【0071】
(酸化ストレスを評価するためのキット)
本発明は、酸化ストレスに対するヒトの相対的感受性を評価するためのキットを包含する。このキットは、本明細書中に記載される1つ以上の方法を実施するための試薬を含む。本明細書中に記載される方法の特定の実施形態において使用される試薬は、上記に示される。これらの方法を、種々の代替的なサンプル調製物および多型検出方法または多型検出化学を使用して実施するために有用な試薬は、当業者に明らかである。
【0072】
個々の遺伝子における多型を検出するためのキットは、当該分野で公知であり、本発明のキットは、類似する構成要素を有し得る。しかし、本キットの重要な特徴は、本キットが、ユーザが酸化ストレスに関連する少なくとも3つの遺伝子における障害関連多型を検出することを可能にする試薬を含むことである。好ましくは、本キットは、このような遺伝子の少なくとも4個、6個、8個、10個、15個、20個、または30個以上における障害関連多型の検出を可能にする試薬を含む。
【0073】
1つの実施形態において、本キットは、ストリンジェントな条件下で、これらの遺伝子の1つの障害関連多型とアニーリングするが、非障害関連多型とアニーリングしない複数のヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドの各々は、好ましくは、オリゴヌクレオチドの操作を容易にするために表面に結合される。これらのオリゴヌクレオチドは、複数の表面と連結され得る(例えば、特定の多型に関するオリゴヌクレオチドは、別の多型に関するオリゴヌクレオチドが結合される粒子とは別の粒子に結合される)か、またはこれらのオリゴヌクレオチドは、1つの表面の別の領域に結合され得る(例えば、Affymetrix,Inc.のGENECHIPTMデバイス中の表面)。個々のオリゴヌクレオチドとそれらに対応する多型との間のアニーリングは、標準的な方法を使用して検出され得る。本キットはまた、分子ビーコンプローブとして、または伸長プライマーとして有用なオリゴヌクレオチドを含み得る。
【0074】
1つの実施形態において、本キットはさらに、DNA回収キットまたは器具(例えば、同時係属中の米国特許出願番号第09/302,623号(特許化)に記載されるようなキットまたは器具)を含む。有利には、このキットまたは器具を使用して回収されたDNAは、保存され得るかまたは記録され得、そして、以前に未知であった多型が、酸化ストレスに関連する遺伝子で発見された場合、または以前に認識されていなかった多型の重要性が理解された場合、さらなる試験に供される。
【0075】
本発明はまた、ヒトが抗酸化剤成分を含有するスキンケア製品を使用するべきであるという妥当性を評価するための方法に関する。本方法は、ヒトにおける酸化ストレスの程度を評価するために、本明細書中に記載されるように実施される。より高いレベルの酸化ストレスがヒトにおいて検出される場合(すなわち、本明細書中で同定される遺伝子において障害関連多型を有さないヒトよりも)、このヒトが抗酸化剤成分を含有するスキンケア製品を使用するべきであるということが、妥当である。ヒトにおいて検出されるより高い程度の酸化ストレス(または本明細書中に記載されるような、より高い感受性スコア)は、このヒトがこのようなスキンケア製品を使用するべきであるという増加した妥当性に相関し、そしてより高い用量の抗酸化剤成分がこのスキンケア製品に含有されるべきであることもまた示す。
【0076】
変更が、その広い発明の概念から逸脱することなく、上記に記載される実施形態に対してなされ得ることが、当業者によって理解される。
【0077】
本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の精神および範囲内に、改変を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
上記の要旨、ならびに上記の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明は、添付の図面とともに読まれる場合、よりよく理解される。本発明は、示される正確な取り合わせおよび手段に限定されない。
【図1A】図1Aは、いくつかの遺伝子における多型の出現を分析することによって得られる結果の例を示すイメージである。図1Aに示される結果は、仮想的な第1のヒトに由来する。丸印は、これらの丸印の列の左に示したこれらの遺伝子の異なる多型を表す。黒丸は、多型の存在を示す。白丸は、多型が存在しないことを示す。各丸印の下の数字は、それらの多型および疾患または障害についての相関係数を表す。
【図1B】図1Bは、いくつかの遺伝子における多型の出現を分析することによって得られる結果の例を示すイメージである。図1Bに示される結果は、仮想的な第2のヒトに由来する。丸印は、これらの丸印の列の左に示したこれらの遺伝子の異なる多型を表す。黒丸は、多型の存在を示す。白丸は、多型が存在しないことを示す。各丸印の下の数字は、それらの多型および疾患または障害についての相関係数を表す。
【0001】
(発明の背景)
食品の化学成分の酸化は、身体を構築して維持し、正常な生理学的機能を可能にするために用いられるエネルギーを提供する。このような酸化は、ある化合物から別の化合物への電子伝達が触媒される、一連の化学反応を含む。これらの反応は、酵素によって触媒され、酵素は、例えば、反応物質、補因子、金属原子または金属イオン、および水分子のうちの1以上を整列させて化学的に活性化するのに役立つ。酵素触媒反応の固有の特異性にもかかわらず、副反応が必然的に生じる。
【0002】
酸素は、生物学的系において、一般的な、かつ比較的化学的に反応性の成分である。2原子酸素は、通常、完全に還元された酸素(すなわち、水)と同様に、身体系に対して比較的無害である。しかし、(例えば、酸化的リン酸化の間の水への酸素の還元の間、または別の生化学的プロセスの副反応による)酸素への1以上の電子伝達は、より反応性のおよび高い酸素種(例えば、過酸化水素、スーパーオキシドラジカル、およびヒドロキシルラジカル)の形成をもたらし得る。これらの比較的反応性形態の酸素は、身体の生物化学的成分(例えば、タンパク質、脂質およびDNA)を損傷して、その成分の正常機能を破壊または阻害し得る。
【0003】
反応性形態の酸素と身体成分との相互作用によって課される生化学的損傷の影響は、多数の方法で現われ得る。DNAは、正常なヒトの身体の成分を作製するための「命令」を保有する遺伝物質である。DNAに対する酸化的損傷は、身体に異常な成分を作製するようにさせる変異(すなわち、「命令」における変化)をもたらし得る。異常な成分は、正常な機能を実施する能力が阻害されていてもよく(または有さなくともよく)、そしてこれは、疾患または障害として現れ得る。同様に、酵素または膜の脂質成分に対する酸化的損傷は、それらの正常な機能を阻害し得るかまたは除去し得る、そしてこれもまた、疾患または障害として現れ得る。ヒトの身体の細胞または組織が、反応性形態の酸素によって引き起こされる損傷を受ける程度は、時々、「酸化ストレス」と称される。従って、身体成分に対する酸化的損傷に関連した疾患および障害は、酸化ストレスの発現である。加齢は、酸化ストレスの別の発現である。時間が経過すると、反応性形態の酸素と身体成分との相互作用によって引き起こされた損傷は、それらの成分の構造および機能を破壊し、身体の構造および機能における検出可能な変化をもたらす。
【0004】
ヒトの身体が反応性形態の酸素を無毒化できず、かつその身体に対するそれらの影響を緩和することができないならば、ヒトの寿命は、顕著にさらに短いかまたは不可能でさえある。しかし、ヒトの身体は、反応性形態の酸素の、より毒性の低い種への転換を触媒し得る酵素、および反応性形態の酸素によって身体成分へと施された損傷を修復し得る他の酵素を含む。
【0005】
病原体感染に応答したヒト免疫反応としては、マクロファージおよび多形核好中球顆粒球の活性化が挙げられる。これらおよび他の免疫細胞の活性化は、これらの細胞による反応性酸素種(例えば、スーパーオキシドラジカルおよび過酸化水素)の産生を増強する。これらの反応性酸素種は、感染細胞に損傷を与えることによって抗感染効果を発揮するが、(特に、それらの産生が厳密に調節されていない場合)宿主組織にも害を及ぼし得る。いくつかの生物(例えば、Bacillus anthracis)は、全身性ショック(またはさらには死亡)を宿主において誘導する程度まで反応性酸素種の過剰産生を誘導し得る。感染に応答して免疫細胞によって生成される反応性酸素種の毒性影響は、抗酸化剤化合物(例えば、グルタチオン)もしくは反応性酸素種の無毒化を触媒する酵素の、宿主における産生によって、または感染した(または潜在的に感染した)宿主への抗酸化剤化合物もしくは抗酸化剤前駆体(例えば、N−アセチル−システイン)の投与によって、制限または予防され得る。
【0006】
免疫系細胞が適切な量の反応性酸素種を産生する能力における欠損は、ヒトの障害(例えば、慢性肉芽腫症(CGD))と関連することが公知である。CGDに罹患した患者は、それらのマクロファージが殺菌有効量の反応性酸素種を産生する能力の顕著な減少(またはその能力の完全な不存在)を示し、そして通常、病原体感染に感受性である。
【0007】
全てでないにしても大部分のヒト遺伝子は、少なくとも少数の点で異なる種々の形態で生じる。ヒト遺伝子における不均一性は、時間の経過にともなってゲノム中で生じた少数の非致死的変異から部分的に生じると考えられる。いくつかの例では、オルタナティブ形態の遺伝子の間の相違は、その遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列における相違として現れる。いくつかのアミノ酸配列の相違は、そのタンパク質の反応性または基質特異性を変更し得る。オルタナティブ形態の遺伝子の間の相違はまた、(存在する場合)その遺伝子が発現される程度に影響を与え得る。しかし、ヒトの遺伝子において生じる多くの不均一性は、何らかの特定の表現型に関連しないようである。既知の不均一性としては、例えば、単一ヌクレオチド多型(すなわち、単一ヌクレオチド残基に相違を有する、オルタナティブ形態の遺伝子)が挙げられる。他の既知の多型形態としては、遺伝子のうちのより大きな(例えば、2〜1000残基の)部分の配列が多数の配列相違を示す多型形態および遺伝子の一部の存在または不存在によって異なる多型形態が挙げられる。
【0008】
多数の障害および生理学的状態は、その障害または生理学的状態を示すヒトのゲノムにおける1以上のオルタナティブ形態の遺伝子の出現と関連付けられている。例えば、Kimuraら(2000,Am.J.Ophthalmol.130:769−773)は、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ遺伝子のSNPの出現とある形態の黄斑変性との間の関連を開示する。個々の障害と個々の遺伝的多型との間の相関は公知であるが、ヒトがさらされている酸化ストレスの全体的状態を評価する方法についての必要性が残っている。本発明は、この必要性を満たす。
【0009】
局所塗布されたスキンケア製品(例えば、クリーム剤(例えば、顔用クリームおよびハンドクリーム、ローション(例えば、日焼け止めローション)、防腐用組成物、抗かゆみ組成物、シェービングクリームおよびシェービングゲル、シャンプーおよび石鹸、収斂剤など)はときどき、抗酸化剤成分(例えば、ビタミンE)を含む。しかし、任意の特定の個体が抗酸化剤成分を含むスキンケア製品を用いるべきであるか否かを決定する何らかの体系的方法が存在するようではない。この理由のために、酸化的損傷に特に感受性である個体の皮膚が顕著に損傷され得、そしてこのような損傷はしばしば、皮膚の変化が外に現れるまで検出されない。この点から、すでに課された損傷の多くは、修復できない。酸化的損傷を被る前に抗酸化剤成分を含むスキンケア製品を用いることが個体にとって有利であるか否かを同定する方法についての必要性が存在する。本発明は、この必要性をも満たす。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、酸化的損傷に対するあるヒトの相対的感受性を評価する方法に関する。この方法は、以下からなる群より選択される少なくとも2つ(そして好ましくは3つ、4つ、6つ、10、15または20以上)の遺伝子における、あるヒトのゲノムにおける障害関連多型(例えば、単一ヌクレオチド多型;SNP)の出現を評価する工程を包含する:
a)毒性酸素種のより毒性の低い酸素種への転換を触媒する酵素をコードする遺伝子;
b)酸化ストレスに対する防御を提供するタンパク質をコードする遺伝子;
c)毒性酸素種の産生を誘導するタンパク質をコードする遺伝子;
d)酸化ストレスを間接的に影響を与えるタンパク質をコードする遺伝子;
e)そのタンパク質の発現レベルが、酸化ストレスに関連したタンパク質をコードする遺伝子;
f)ヒトDNA修復系の成分をコードする遺伝子;および
g)マクロファージまたは多形核好中球顆粒球による毒性酸素種の産生に関連したタンパク質をコードする遺伝子であって、グループa)の遺伝子でも、グループb)の遺伝子でも、グループc)の遺伝子でも、グループd)の遺伝子でも、グループe)の遺伝子でもグループf)の遺伝子でもない遺伝子。実質的に同じ方法を用いて、あるヒトが抗酸化剤成分を含むスキンケア製品を用いるべきであることの妥当性を評価し得る。
【0011】
これらの多型のうちのいずれかの出現は、そのヒトが、酸化的損傷に対して、ゲノムにその多型を含まないヒトよりも感受性であることの指標である。この方法を用いて、あるヒトが抗酸化剤成分を含むスキンケア製品を用いるべきであることの妥当性を評価する場合、これらの多型のうちのいずれかの出現は、その多型が生じない場合よりも、抗酸化剤を含む製品を使用することがそのヒトにとってより妥当であること、または多型が生じない場合よりも多量の抗酸化剤成分を含むスキンケア製品が使用されるべきであることの指標である。さらに、これらの多型のうちの複数の出現は、そのヒトが、酸化的損傷に対して、ゲノムがその多型を含まないヒトよりもさらにより感受性であること(または抗酸化剤成分を含むスキンケア製品またはより多量の抗酸化剤成分を含むスキンケア製品が用いられるべきであることが、その複数の多型が生じない場合よりもさらにより妥当であること)の指標である。好ましくは、これらの遺伝子は、a)、b)、c)、およびd)からなる群より選択され、そしてより好ましくは、これらは、a)、b)、およびc)からなる群より選択される。1つの実施形態では、この方法は、毒性酸素種の、より毒性の低い酸素種への転換を触媒する酵素をコードする遺伝子からなる群より選択される、ヒトのゲノム中の少なくとも4つの遺伝子(例えば、ミトコンドリアマンガンスーパーオキシドジスムターゼをコードする遺伝子、細胞質銅/亜鉛スーパーオキシドジスムターゼをコードする遺伝子、カタラーゼをコードする遺伝子、およびグルタチオンペルオキシダーゼをコードする遺伝子)における障害関連多型の出現を評価する工程を包含する。
【0012】
別の実施形態では、この遺伝子は、マクロファージまたは多形核好中球顆粒球による毒性酸素種の産生に関連する少なくとも1つの遺伝子を包含する。この実施形態では、このアッセイを用いて、ミトコンドリア感染に対するヒトの免疫系の反応に関連したその型の酸化ストレスに対するそのヒトの感受性を評価し得る。例えば、細菌感染(例えば、Bacillus anthracisによる感染、Staphylococcus aureusによる感染、またはEscherichia coliによる感染)によって促進される免疫反応に関連した酸化ストレスに対するそのヒトの感受性。
【0013】
なお別の実施形態では、グループe)由来の少なくとも1つの遺伝子における多型の出現が評価される。例えば、多型の出現は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)をコードする遺伝子において評価され得る(例えば、MMP−1、MMP−2、MMP−3、またはMMP−7をコードする遺伝子(例えば、MMP−1をコードする遺伝子の塩基対1607に生じる1G/2G多型)。
【0014】
別の実施形態では、グループd)由来の少なくとも1つの遺伝子における多型の出現が評価される。例えば、多型の出現は、グルタチオンS−トランスフェラーゼをコードする遺伝子(例えば、グルタチオンSトランスフェラーゼP1をコードする遺伝子、グルタチオンS−トランスフェラーゼθ1をコードする遺伝子、またはグルタチオンS−トランスフェラーゼM1をコードする遺伝子において評価され得る(例えば、グルタチオンSトランスフェラーゼθ1のアミノ酸残基21、141および169のうちの1つで生じた多型)。別の例として、多型の出現は、腫瘍壊死因子αをコードする遺伝子において(例えば、TNFA遺伝子のうちのヌクレオチド残基−238および−308のうちの1つで生じる多型)、またはメチレンテトラヒドロフォレートレダクターゼをコードする遺伝子において評価され得る。
【0015】
個々の障害関連多型の出現が評価される方法は重要ではない。例えば、多型の出現は、ヒトのゲノム由来の核酸を、第1オリゴヌクレオチドと接触させる工程を包含する方法を用いて評価され得る。第1オリゴヌクレオチドは、障害関連多型と、対応する非障害関連多型よりも高いストリンジェンシーでアニールするオリゴヌクレオチドであり得る。第1オリゴヌクレオチドとこの核酸とのアニーリングが評価され得、そしてこのようなアニーリングは、そのヒトのゲノムが、その障害関連多型を含むことの指標である。オリゴヌクレオチドの使用は、そのオリゴヌクレオチドが、慣用方法を用いて支持体へと結合され得るという利点および複数のオリゴヌクレオチドが同じ支持体へと結合されて、複数の多型の同時検出を可能にし得るという利点を有する。非障害関連多型と、対応する障害関連多型よりも高いストリンジェンシーでアニーリングする第2オリゴヌクレオチドを用いる場合、そのヒトゲノムの対立遺伝子の内容が決定され得る。多型配列の検出は、標識されたオリゴヌクレオチド(例えば、分子ビーコンオリゴヌクレオチド)を用いることによって単純化され得る。
【0016】
一旦、ヒトのゲノムの障害関連多型の内容が評価されたら、酸化的損傷(または抗酸化剤成分を含むスキンケア製品を用いることの妥当性)に対する感受性の評価は、そのヒトについての感受性スコアを計算することをさらに含み得る。感受性スコアは、障害関連多型がそのヒトゲノムにおいて生じた選択された遺伝子の各々について、定数と相関係数との積をまとめることによって計算され得る。あるいは、この相関係数は、対応する障害を示す障害関連多型についてヘテロ接合体のヒトの割合を表す係数または対応する障害を示す障害関連多型についてホモ接合体であるヒトの割合を表す係数であり得る。この定数は、酸化的損傷に関するその遺伝子の既知の関連または推量された関連に基づいて選択され得る。この感受性スコアは、酸化的損傷に対するそのヒトの相対的感受性を表す。同様に、より高い感受性スコアは、より低いスコアが対応するよりも高い、ヒトが抗酸化剤成分を含むスキンケア製品を用いるべき、より高い妥当性に対応し、そしてより高いスコアはまた、そのヒトが、より多量のそのような成分を含むスキンケア製品を用いるべきであることを示し得る。
【0017】
別の局面では、本発明は、ヒトへの投与のためにある用量の抗酸化剤組成物(すなわち、抗酸化剤特性を示す化合物(例えば、ビタミンEまたはビタミンC)またはさもなければ身体の正常な抗酸化剤機構を補い得る化合物(例えば、α−リポ酸および補酵素Q)を含む組成物)を選択する方法に関する。この方法は、ヒトのゲノム中の、上記で示した通りのa)、b)、c)、d)、e)、およびf)からなる群より選択される遺伝子のうちの少なくとも1つにおける障害関連多型の出現を評価する工程を包含する。これらの多型の出現を評価した後、一定用量の組成物が選択される。これらの多型のうちの任意のものの出現は、より多くの用量の組成物がそのヒトに投与されるべきであることの指標である。
【0018】
本発明はまた、酸化的損傷に対するヒトの相対的感受性を評価するためのキットに関する。このキットは、上記の通りのa)、b)、c)、d)、e)、およびf)からなる群より選択されるヒトのゲノム中の少なくとも1つの遺伝子における障害関連多型の出現を評価するための試薬を備える。適切な試薬の例としては、対応する非障害関連多型とよりも高いストリンジェンシーで、障害関連多型とアニーリングするオリゴヌクレオチド(例えば、分子ビーコンオリゴヌクレオチド)、および障害関連多型の特徴的残基に隣接する領域に相補的であるオリゴヌクレオチドプライマーが挙げられる。これらのプライマーは、少なくとも特徴的な残基を増幅し、それによってその検出を容易にするために有用である。このキットは、定数と相関係数との積を表す数値を含む指示材料をさらに備え得る。
【0019】
別の局面では、本発明は、ヒトへの投与のための、スキンケア製品(すなわち、抗酸化剤特性を示す化合物(例えば、ビタミンEまたはビタミンC)またはさもなければ身体の正常な抗酸化剤機構を補い得る化合物(例えば、α−リポ酸および補酵素Q)を含むスキンケア製品)中のある用量の抗酸化剤組成物を選択する方法に関する。この方法は、ヒトのゲノム中の上記の通りのa)、b)、c)、d)、e)およびf)からなる群より選択される遺伝子のうちの少なくとも1つにおける障害関連多型の出現を評価する工程を包含する。これらの多型の出現を評価した後、ある用量の組成物が選択される。これらの多型のうちの任意のものの出現は、より多い用量の組成物が、このスキンケア製品においてヒトへと投与されるべきであることの指標である。
【0020】
(発明の詳細な説明)
本発明は、ヒトのゲノム中の、障害と関連した遺伝的多型の出現を評価することによる、酸化的損傷に対するヒトの相対的感受性を評価するためのキットおよび方法に関する。
【0021】
大雑把に単純化して、この方法は、(本発明者らまたは他の者によって)ヒトにおける疾患(例えば、疾患または病理学的状態)と関連付けられた1以上の多型が、試験されるヒトのゲノムにおいて生じるか否かを決定する工程を包含する。いくつかの実施形態では、ヒトのゲノムにおいて生じた多型の数は、値を得るために合計される;この値が高いほど、酸化的損傷に対するそのヒトの感受性が高いと評価される。他の実施形態では、重み付け係数が、試験される各多型に割り当てられ、そしてヒトのゲノムにおいて生じる多型の重み付け係数は、酸化的損傷に対する相対的感受性を表す値を得るために合計される。重み付け係数は、対応する多型が生じる遺伝子に割り当てられた定数と、その多型の出現が、その多型が関連付けられた障害の出現に関してどれくらい有益であるかを記載する相関係数との積を表し得る。本発明は、本明細書中に非常に詳細に記載されるとおりにこの方法を実施するための種々の代替的方法およびキットを包含する。
【0022】
(定義)
本開示で使用される場合、以下の用語は、この節におけるこれに関連する意味を有する。
【0023】
遺伝子において「多型」は、ヒト集団において生じることが公知である遺伝子の一部の代替形態の1つである。例えば、多くの遺伝子は、単一のヌクレオチドの多型形態を示すことが公知であり、それによって遺伝子の単一ヌクレオチド残基の同定は形態の間で異なる。多型形態の各々は、その用語が本明細書中で使用される場合、単一の多型を表す。他の公知の多型形態としては、複数の連続的なヌクレオチド残基、または密接な間隔で配置されたヌクレオチド残基、非連続ヌクレオチド残基が配列中で変化するオルタナティブ形態、単一のヌクレオチド残基または少数のヌクレオチド残基の存在または不在によって異なる形態、および異なるmRNAスプライシングパターンを阻害する形態が挙げられる。
【0024】
「単一ヌクレオチド多型(「SNP」)」は、一部分における単一ヌクレオチド残基の同一性のみが変化する遺伝子の一部のオルタナティブ形態の1つである。
【0025】
「障害関連」多型は、遺伝子の一部のオルタナティブ形態であり、ここでヒトゲノム中のオルタナティブ形態の出現は、ヒトの疾患または病理状態による提示と関連する。
【0026】
「非障害関連」多型は、有意な相関がゲノム中のオルタナティブ形態の出現と疾患または病理状態との間になされない遺伝子の一部のオルタナティブ形態である。非障害関連多型は、当該分野で「天然」の多型を時々示す。
【0027】
2つの多型が遺伝子の同じ部分の2つのオルタナティブ形態である場合、障害関連多型および非障害関連多型は、互いに「対応した」。例として、遺伝子の残基100の同一性が、遺伝子の障害関連多型においてアデニンであり、そして遺伝子の非障害関連多型においてシトシンである場合、次いで、2つの多型は互いに一致した。遺伝子の同じ部分の2つ以上のオルタナティブ形態が存在する場合、3つ以上の一致する多型が存在し得ることが理解される。
【0028】
多型の「特徴的な残基」は、ヌクレオチド残基の同一性が、多型に一致するオルタナティブ形態の間で変化することが公知である、ヌクレオチド残基である。
【0029】
「毒性酸素種」としては、反応性の適切なオーダーにおいて、ヒドロキシルラジカル、スーパーオキシドラジカル、一酸化窒素、ペルオキシ亜硝酸塩(peroxy nitrite)(ONOO−;酸化窒素とスーパーオキシドラジカルとの間の反応の産物)、および過酸化水素が挙げられる。本明細書中で用語が使用される場合、通常二価の酸素は毒性酸素種ではない。
【0030】
「酸化的損傷」は、正常な細胞成分(例えば、DNA、タンパク質または脂質)と毒性酸素種との化学的反応をいい、それによって、成分の少なくとも1つの正常な機能が、阻害されるかまたは除去される。用語「酸化的損傷」および「酸化ストレス」は、本明細書中で交換可能に使用される。
【0031】
「分子ビーコンオリゴヌクレオチド」は、(Kostrikisら、1998,Science 279:1228−1229)に記載されるように、一本鎖オリゴヌクレオチドの5’末端に結合された蛍光標識(例えば、ローダミン、FAM、TET、VIC、JOEまたはHEX)および3’末端に結合された蛍光クエンチャー(例えば、TAMRAまたはDABCYL)(または逆も同じ)を有する一本鎖オリゴヌクレオチドをである。
【0032】
分光光度的方法または分光蛍光分析方法を使用して、差別的に検出され得る場合、2つの分子ビーコンオリゴヌクレオチドは、「スペクトルが異なる」。スペクトルの異なるオリゴヌクレオチドを差別化するために使用され得る特定の例としては、吸収波長または励起波長、発光波長および蛍光寿命が挙げられる。
【0033】
「指示(instructional)材料」は、出版物、記録、図解または本明細書中に記載されるキットをどのように使用するかを伝えるために使用され得る任意の他の媒体の表現、キットを使用して検出可能である種々の多型の有意性を図るための絶対値、またはその両方である。本発明のキットの指示材料は、例えば、本発明のキットを含む容器に加えられるか、またはキットを含む容器と一緒に出荷される。あるいは、指示材料は、指示材料およびキットがレシピテントによって協同して使用されるという意図を有して容器から別々に出荷され得る。
【0034】
2つのポリヌクレオチドのアニールが、相対的な可能性(溶液の条件の場合、ポリヌクレオチドが溶液中でアニールする)を意味する「ストリンジェンシー」は、アニーリングにとってあまり有利とならない。ストリンジェント条件の例としては、当該分野で公知であり、そして入手可能な参考文献において見出され得る(例えば、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,N.Y.,1989,6.3.1−6.3.6)。水性のアニーリング方法および非水性アニーリング方法は、参考文献に記載され、そしていずれか一方が使用され得る。一般的に、第1の対がアニールしやすい(またはアニールされたままである)場合、塩濃度、温度および界面活性剤の濃度の1つ以上が、増大されるので、第2の対よりも高いストリンジェンシーで、第1のポリヌクレオチドはアニールする。
【0035】
障害に関して、障害関連多型の「相関係数」は、多型に対してヘテロ接合性またはホモ接合性であり、障害を阻害するヒトの画分である。あるいは、相関係数は、ヘテロ接合性である人々単独、ホモ接合性である人々単独、またはヘテロ接合性またはホモ接合性のいずれかの人々に起因され得る。
【0036】
「伸長不可能な」ヌクレオチド残基は、ポリメラーゼによってポリヌクレオチドに付加され得るヌクレオチド残基であり(すなわち、ポリメラーゼによって触媒されたその相補体に関連するポリヌクレオチドの伸長による)、そしてポリヌクレオチドへの付加の際、ポリメラーゼによってさらに伸長され得ないポリヌクレオチドを与える。
【0037】
(説明)
本発明は、障害に関連する遺伝的多型のヒトゲノム中での発現を評価することによって酸化的損傷に対するヒトの相対的感受性を評価するキットおよび方法に関する。
【0038】
ヒトの酸化的損傷に対する感受性の程度は、ヒトゲノム中に存在する特定の遺伝子の多型形態を測定することによって評価され得ることが発見された。評価される遺伝子は、酸化ストレスに関連する遺伝子(酸化的損傷に対する保護を提供する遺伝子、および酸化的損傷を悪化させる遺伝子の両方を含む)である。
【0039】
酸化ストレスに対して身体を保護する遺伝子の型は共通して、わずかな毒性酸素種への毒性酸素の転換を触媒する酵素をコードする遺伝子、酸化的損傷に対する保護を直接的に提供するタンパク質をコードする遺伝子、酸化的損傷に対する保護を間接的に提供するタンパク質をコードする遺伝子、ヒトのDNA修復系の構成要素をコードする遺伝子、および微生物感染の際、免疫細胞中の反応性酸素種の誘導性生産に関連する遺伝子(前記のグループ内に必ずしも含まれない)である。
【0040】
多数の遺伝子は、ヒトDNA修復系の成分をコードし、そして実質的にこれらの遺伝子のいずれかにおいて、障害関連多型は、酸化ストレスに対する個体の感受性の情報であり得る。これらの遺伝子の例としては、アプリン(apurinic)エンドヌクレアーゼおよびアピリミジンエンドヌクレアーゼ、紫外線によって損傷されるヌクレオチド残基の切除を触媒する酵素、および部位特異的組換えを触媒する酵素をコードする遺伝子が挙げられる。多くのこのような遺伝子は、公知であり、そしてWoodら、2001,Science 291(5507):1284−1289に列挙される遺伝子を含む。
【0041】
微生物感染の際、免疫細胞中の反応性酸素種の生産を誘導する遺伝子は、マクロファージおよび多形核好中球顆粒球の呼吸バースト(ときどき酸化バーストと示される)現象に関連する遺伝子(例えば、ヒトの食細胞特異的NADPH−オキシダーゼ複合体の成分をコードする遺伝子)を含み、それによって毒性酸素種は、微生物(例えば、原生動物、またはPseudomonas、SalmonellaまたはSerratia細菌のような細菌、あるいはBacillus anthracis、Escherichia coliまたはStaphylococcus aureusのような公知の病原)による組織の侵襲に対する応答において生産される。マクロファージの抗菌活性を阻害するかまたは破壊する障害(例えば、慢性肉芽腫症)に罹患する患者において異常であることが公知の遺伝子もまた、このグループ内に含まれる。
【0042】
特定の生物体(例えば、Bacillus anthracis)による感染に対する応答における免疫系の成分によって生産される毒性酸素種は、ヒトの身体に所望でない効果を有し得ることが公知である(例えば、Hannaら、1994,Mol.Med.1:7−18)。B.anthracisに罹患した患者において、これらの毒性種は、全身性ショックまたは死さえも誘発する。抗酸化化合物のタイムリーな投与は、これらの効果を緩和し、そして曝露前の抗酸化剤の投与は、特に酸化ストレスに対する高い感受性を示す個体において、これらを阻害し得るか、または予防さえし得る。このような抗体の同定は、(例えば、本明細書中に記載される方法を使用して)B.anthracisまたは他の病理への曝露の危険な状態の個体が、予測された曝露または可能性の前に抗酸化剤を投与されるべきか否かを評価するために使用され得る。
【0043】
アレルゲンの求電子性の電位を減少させること(またはそれらの代謝)の原因である反応を触媒する(このプロセスは、アレルゲンの生体内変化を示す)酵素をコードする遺伝子はまた、免疫細胞中で生産される反応性酸素種の生産に影響する(例えば、アレルゲンが身体から除去される速度を調節することによって影響する)。酵素のグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)ファミリーのメンバー(例えば、GSTθ1(GSTT1)、GSTM1およびGSTP1)は、アレルゲンの生体内変化に関与する。これらの酵素はまた、酸素のより多くのそしてより少ない反応形態の間の相互交換を触媒する。従って、これらのGST遺伝子の1つにおける1つ以上の多型の出現は、酸化ストレスに対するヒトの感受性を評価するために使用される。例えば、Lutzらは、皮膚中のGSTT1酵素およびGSTM1酵素の存在、ならびにGSTT1遺伝子およびGSTM1遺伝子の1つまたは両方の欠損を保有する状態は、アレルゲンのアレルギー効果に対する増大した脆弱性に関連することを示す(Lutzら、2001,Med.Pr.52:45−51)。
【0044】
アレルゲンの曝露に応答する免疫系の成分による毒性酸素種の生産に関与される別の酵素は、腫瘍壊死因子α(TNFA)である。Allenら(2000,Immunogenetics 51:201−205)は、TNFAをコードする遺伝子の−308塩基対(すなわちプロモーター領域中)に生じる多型を記載した。この多型は、皮膚の刺激原に対する個体の応答に影響する。ヒトのTNFA遺伝子の対立遺伝子に生じるこの障害関連多型の2つの形態を評価することは、酸化ストレスに対するヒトの感受性の評価を可能にする(例えば、これは、皮膚の刺激原の曝露によって誘発される免疫応答を生じる)。
【0045】
わずかな毒性酸素種への毒性酸素種の転換を触媒する酵素に共通して、4つ(すなわち、ミトコンドリア型マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD)、細胞質銅/亜鉛(cytoplasmic copper/zinc)スーパーオキシドジスムターゼ(CZSOD)、カタラーゼ(CAT)およびグルタチオンペルオキシダーゼ(GP))は、特に関連性である。これらの遺伝子に生じる多型は、種々の障害に関連することが公知である(例えば、Kimuraら、2000,Am.J.Ophthalmol.130:769−773を参照のこと)。これらの4つの遺伝子の少なくとも1つ(および好ましくは2、3、または全て)での障害関連多型の出現は、本明細書中に記載される方法において評価されるべきであり、これらの遺伝子の重要性が得られる。同様に、本明細書中に記載されるキットは、これらの4つの遺伝子の少なくとも1つ(および好ましくは2、3または全て)において障害関連多型を検出するための試薬を好ましくは含む。さらに、これらの遺伝子における障害関連多型の出現の有意性は、酸化ストレスに関連する他の遺伝子中の障害関連多型よりもこれらの遺伝子の障害関連多型に対する、より大きな重み係数の評価によって適用され得る。
【0046】
酸化ストレスに関連する遺伝子中の2つ以上の障害関連多形性のヒトゲノムにおける検出が、ヒトが酸化的損傷に対する増強した感受性を全体的に示すことを、示すことは以前、明らかでなかった。以前の研究は、これらの遺伝子の1つの多型と特定の障害との間の関連のみを認識することと考えられる(例えば、Kimuraの参考文献におけるしん滲出性黄斑変性症)。本発明者らは、酸化的損傷に対するヒトの全体的な(すなわち、特定の組織、細胞型または器官に限定されない)感受性を評価するための方法およびキットを最初に記載することと考えられる。
【0047】
上で述べられたMnSOD、CZSOD、CATおよびGP遺伝子に加えて、他の遺伝子は、酸化的損傷に対して、例えば、わずかな毒性の種へと酸素の毒性種を転換することによって、酸素の毒性形態の前駆体を除去することによって、または酸化的損傷を修復することによって直接的または間接的な保護を提供するタンパク質をコードする。これらの遺伝子の例としては、以下をコードする遺伝子が挙げられる:グルタチオンS−トランスフェラーゼP1、グルタチオンS−トランスフェラーゼθ1、グルタチオンS−トランスフェラーゼM1、グルタチオンレラクターゼ、チオレドキシンレラクターゼ、パラオキソナーゼ、NAD(P)H:キノンオキシドレラクターゼ1およびキノンオキシドリラクターゼ2、8−オキソ−7,8−ジヒドロデオキシグアノシントリホスファターゼ、ならびにエポキシドヒドロラーゼ。これらの遺伝子中の1つ以上の障害関連多型のヒトゲノムにおける検出は、ヒトが酸化的損傷に対する増強した感受性を示すことを示す。本明細書中に記載される方法およびキットは、酸化ストレスに対するヒトの感受性を評価するためのこの指標を使用し得る。
【0048】
酸化的損傷を悪化させる遺伝子は共通して、直接的(例えば、酸素の毒性種が直接産物または副産物である反応を触媒することによって)、または間接的(例えば、酸素の毒性種の産物の原因になる代謝経路を通ってフラックスを増強することによって)のいずれかで毒性酸素種の生産を誘導するタンパク質をコードする遺伝子である。毒性酸素種の生産を直接的または間接的に誘導するタンパク質の例としては、ミエロペルオキシダーゼ、腫瘍壊死因子α、NADH/NADPHオキシダーゼp22ホクス(phox)プロテイン、酸化窒素シンターゼキサンチンオキシダーゼおよびチトクロムP450が挙げられる。これらのタンパク質の1つをコードする1つ以上の遺伝子における障害関連多型のヒトゲノムにおける検出は、ヒトが酸化的損傷に対する増強した感受性を示すことを示す。
【0049】
本明細書中に記載される方法はまた、遺伝子が酸化ストレスに影響する機構が理解されるか否かに関係なく、酸化的損傷に関連する遺伝子の多型形態のヒトゲノム中での存在を測定することによって、酸化的損傷に対する感受性を評価するために使用され得る。例として、アポリポプロテインEは、酸化ストレスに影響し得る複数機能分子である。ApoE4表現型は、例えば、アルツハイマー病を罹患する患者における増大したヒドロキシラジカルレベルに関連することが公知であり、そしてApoEの発現は、酸化ストレスを悪化させることが公知である。さらなる例として、酸化ストレスの増強は、各々増加したホモシステインレベル、抑制した血清ビリルビンレベル、抑制した酸性ホスファターゼ活性、抑制したタンパク質ホスホチロシンホスファターゼ活性および抑制したエピネフリンオキシダーゼ活性に関連することが公知である。従って、これらのレベルおよび活性に影響するタンパク質をコードする遺伝子における多型のゲノム中での出現は、決定され得、そしてこれらの出現は、酸化ストレスに対するヒトの感受性を推定するために使用され得る。多型が、酸化的損傷に対する改変された感受性に関連し得る遺伝子の例としては、以下が挙げられる:UDP−ガラクトノシルトランスフェラーゼ 1A1(すなわち、UGT1A1遺伝子)、酸性ホスファターゼをコードする遺伝子、タンパク質ホスホチロシンホスファターゼ、エピネフリンオキシダーゼ、ApoE4、シスタチオニンβ−シンターゼ、シスタチオニンγ−リアーゼ、N5−メチルTHF:ホモシステインメチルトランスフェラーゼ、メチレンテトラヒドロホレート(methylenetetrahydrofolate)レダクターゼ(MTHFR)、およびS−アデノシルメチオニンメチルトランスフェラーゼ。Uelandら(2001,Trends Pharmacol.Sci.22:195−201)は、MTHFRをコードする遺伝子の塩基対677で生じる多型を記載した。この多型は、葉酸の分布に影響し、それによってDNA合成およびホモシステインレベルに影響する。ヒトのMTHFR遺伝子の対立遺伝子に生じるこの障害関連多型の形態を評価することは、酸化ストレスに起因するダメージに対するヒトの感受性の評価を可能にする。
【0050】
熱ショックタンパク質はまた、酸化的損傷から少なくとも間接的な細胞の保護を提供することが公知であり、そして熱ショックタンパク質の遺伝子多型の出現は、多型が障害関連多型であることが既知である場合、酸化的損傷に対する感受性の有益なマーカーとして使用され得る。
【0051】
多型の出現が起こる遺伝子が、身体における反応性酸素種の生産または破壊に直接的または間接的に関与することは重要ではない。関連が、ヒトにおける遺伝子の発現レベルと酸化ストレスレベルとの間になされ得る場合、十分である。例として、Aparnaら(2001,J.Biol.Chem.276(17):14264)は、ヒトにおけるマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)遺伝子の発現レベルと酸化ストレスとの間の関連を記載した。MMP−1、MMP−2、MMP−3およびMMP−7を示すMMPをコードする遺伝子の発現は、過酸化水素の低いレベルでの存在よりも、より高い定常状態レベルの存在において増強される。この観察は、ヒトにおける少なくともこれら4つのMMP遺伝子の発現が、酸化ストレスのレベルに関連することを示す。従って、これらMMP遺伝子の1つにおける多型の出現は、酸化ストレスに対するヒトの感受性を評価するために使用され得る。例えば、Aparnaらは、MMP−1をコードする遺伝子の塩基対1607に生じる多型(1G/2G)を記載した。この多型は、過酸化水素レベルに応答するMMP−1遺伝子の発現のレベルに影響する。従って、ヒトのMMP−1遺伝子の対立遺伝子に生じるこの多型の2つの形態を評価することは、酸化ストレスに対するヒトの感受性の評価を可能にする。
【0052】
酸化的損傷に対する感受性に対して有益であり得る上記遺伝子における多型の例としては以下が挙げられる:
MnSODのアミノ酸残基9(すなわちシグナル配列)で、アラニン残基からバリン残基への転換を表す多型;
MnSODのアミノ酸残基58で、イソロイシン残基からチミン残基への転換を表す多型;
CZSODのアミノ酸残基7で、バリン残基からグルタミン酸残基への転換を表す多型;
CZSODのアミノ酸残基6で、システイン残基からフェニルアラニン残基への転換を表す多型;
カタラーゼ遺伝子のヌクレオチド残基−262(すなわち、プロモーター領域)で、シトシン残基からチミン残基への転換を表す多型;
グルタチオンペルオキシダーゼのアミノ酸残基198で、プロリン残基からロイシン残基への転換を表すhGPX1遺伝子中の多型;
グルタチオンS−トランスフェラーゼP1のアミノ酸残基105で、バリン残基からイソロイシン残基への転換を表すGSTP1遺伝子中の多型;
グルタチオンS−トランスフェラーゼθ1のアミノ酸残基21で、アラニン残基からスレオニン残基への転換を表すGSTT1遺伝子中の多型;
グルタチオンS−トランスフェラーゼθ1のアミノ酸残基141で、アスパラギン酸残基からアスパラギン残基への転換を表すGSTT1遺伝子中の多型;
グルタチオンS−トランスフェラーゼθ1のアミノ酸残基169で、バリン残基からイソロイシン残基への転換を表すGSTT1遺伝子中の多型;
グルタチオンS−トランスフェラーゼM1のアミノ酸残基173で、リジン残基からアスパラギン残基への転換を表すGSTM1遺伝子中の多型;
メチレンテトラヒドロホレートレダクターゼ(MTHFR)をコードする遺伝子のヌクレオチド残基677で、シトシン残基からチミン残基への転換を表す多型;
パラオキソナーゼをコードする遺伝子のヌクレオチド残基−107(すなわち、プロモーター領域)で、チミン残基からシトシン残基への転換を表す多型;
NAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼをコードする遺伝子のヌクレオチド残基242(すなわち、コード領域)で、シトシン残基からチミン残基への転換を表す多型;
エポキシドヒドロラーゼをコードする遺伝子のエキソン3中のヌクレオチド残基113で、チミン残基からシトシン残基への転換を表す多型(すなわち、エポキシドヒドロラーゼ中のチロシン残基からヒスチジン残基への転換に影響する);
ミエロペルオキシダーゼをコードする遺伝子のヌクレオチド残基−463(すなわち、プロモーター領域)で、グアニン残基からアデニン残基への転換を表す多型;
腫瘍壊死因子α(すなわちTNF2と示されたTNFプロモーター改変体)をコードする遺伝子のヌクレオチド残基−238(すなわち、プロモーター領域)で、アデニン残基への転換を表す多型;
腫瘍壊死因子α(すなわちTNF3と示されたTNFプロモーター改変体)をコードする遺伝子のヌクレオチド残基−308(すなわち、プロモーター領域)で、アデニン残基への転換を表す多型;
NADH/NADPHオキシダーゼp22サブユニットをコードするホックス遺伝子のヌクレオチド残基242(すなわち、コード領域)で、シトシン残基からチミン残基への転換を表す多型;
一酸化窒素シンターゼをコードする遺伝子のイントロン4中の27塩基対の繰り返し(すなわち、ヌクレオチド5130と5511との間)を表す多型;
チトクロムP450をコードする遺伝子のヌクレオチド残基−290(すなわち、5’隣接領域)で、アデニン残基からグアニン残基への転換を表す多型(すなわちCYP3A4チトクロムP450改変体と示された多型);
ApoE遺伝子のApoE4対立遺伝子を表す多型;
シスタチオニンβ−シンターゼをコードする遺伝子のヌクレオチド残基699(すなわち、コード領域)で、シトシン残基からチミン残基への転換を表す多型;
MMP−1をコードするヒト遺伝子の塩基対1607(Aparnaらの番号付けを使用して)で生じる1G/2G多型。
【0053】
(酸化的損傷に対する感受性を評価する方法)
本発明は、酸化的損傷に対するヒトの相対的感受性を評価する方法を包含する。この感受性は、ゲノムが酸化ストレスに関連する遺伝子における単一の障害関連多型を含まない仮想的ヒトと比べて計算され得る。あるいは、感受性は、評価されるヒトに比べて1つ以上の異なる障害関連多型を有し得る、別のヒトと比べて計算され得る。実際には、未処理の感受性スコアが計算される基準は、スコアが比較される全てのヒトに対して同じ基準が使用される(すなわち、その結果、スコアが互いに関連付けられ得る)限り、重要ではない。
【0054】
酸化的損傷に対するヒトの相対的感受性は、種々の組成物、条件、および介入の危険性および利益の評価を可能にする。1つの実施形態において、酸化的損傷に対するヒトの感受性は、ヒトが1つ以上の抗酸化剤を含む組成物で栄養物摂取を補充することによって利益を得るかどうかを決定するために使用され得る。さらに、酸化的損傷に対するヒトの相対的感受性は、このような抗酸化剤含有組成物の適切な用量を示し得る。別の実施形態において、ヒトに関する条件または介入(例えば、毒性酸素種の出現を誘導することが公知である高圧酸素または薬学的薬剤をヒトに投与すること)の適切さは、酸化的損傷に対するヒトの感受性を評価することによって決定され得る。
【0055】
酸化的損傷に対するヒトの感受性は、酸化ストレスに関連する複数の遺伝子(例えば、3、4、6、8、10、15、20、または30以上の遺伝子)における障害関連多型の、ヒトゲノムでの出現率を評価することによって、評価される。これらの遺伝子の1つにおける障害関連多型の出現率は、ゲノム中に多型が見出されないヒトと比べて、ヒトが酸化的損傷に対するより大きな感受性を有することの指標である。当然、ヒトゲノムにおける2つ以上のこのような多型の出現率は、ヒトが酸化的損傷に対するさらなるより大きな感受性を示すことを示す。
【0056】
酸化ストレスに関する遺伝子におけるあらゆる障害関連多型の出現率は、酸化ストレスに対する感受性を必ずしも等しく示さない。種々の障害関連多型の重要性の差異を説明するために、重み付け係数が、本明細書中に記載される方法およびキットで検出された各多型に割り当てられ得る。上記に示されたように、4つの遺伝子(MnSOD、CZSOD、CAT、およびGP)は、ヒトの酸化ストレスにおいて非常に重要な役割を有することが公知である。他の全てが等しい場合、これら4つの遺伝子の1つで出現する障害関連多型は、酸化ストレスにおいてより重要性が低い役割を有する遺伝子で出現する多型よりも、より重要である。従って、より大きな重み付け係数が、他に比べてこれらの多型に割り当てられ得る。例として、これら4つの多型に与えられた重み付け係数は、他の遺伝子における障害関連多型(以下に議論されるように、対応する障害と等しい関連性を有する)に割り当てられる重み付け係数よりも1〜10倍大きくあり得る。好ましくは、MnSOD遺伝子、CZSOD遺伝子、CAT遺伝子、およびGP遺伝子における多型に割り当てられる重み付け係数は、他の遺伝子における障害関連多型に割り当てられる重み付け係数の2倍である。
【0057】
ヒトゲノムにおける障害関連多型の出現率に割り当てられることを決定する重要性に影響し得る別の係数は、多型が対応する障害と相関する程度である。いくつかの障害には、遺伝的多型の出現率と大いに相関する障害もあれば、多型とより低い相関を示す障害もある。多型が障害(すなわち、疾患または病理学的状態)と関連することが報告される場合、多型と障害との間の関連の程度が、しばしば報告される。多型と障害との間の相関関係を記述する係数を計算する1つの有用な方法は、ゲノム中に障害関連多型が生じている個体がその障害を示すかまたは発症する可能性を記述するオッズ比を計算することである。本明細書中に記載されるキットおよび方法は、ヒトが疾患関連多型についてホモ接合性であるかどうかを検出するために使用され得るので、ホモ接合性個体について計算されたオッズ比はまた、これらが入手可能である場合、使用され得る。オッズ比は、当該分野で記載されるように計算され得る。
【0058】
障害関連多型について、オッズ比は、以下のように計算され得る。第1に、障害に罹患することのオッズは、多型が生じる第1の集団について、第1の集団における罹患個体の数を第1の集団の個体総数で割ることによって計算される。第2に、障害に罹患することのオッズは、多型が生じない第1の集団について、第2の集団における罹患個体の数を第2の集団の個体総数で割ることによって計算される。第3に、オッズ比は、第1の集団に対するオッズを第2の集団に対するオッズで割ることによって計算される。オッズ比が1より大きい場合、これは多型の出現率が障害の出現率に関連するという指標である。さらに、オッズ比の大きさは、関係の有意さの指標である。
【0059】
ヒトについての全酸化ストレス感受性スコアは、以下のように決定され得る。重要性スコアは、本明細書中に記載される方法またはキットを使用して、ヒトゲノム中に検出される各障害関連多型に割り当てられ得る。重要性スコアは、定数(例えば、1.00)であり、そして任意の重要性因子(例えば、MnSOD遺伝子、CZSOD遺伝子、CAT遺伝子、およびGP遺伝子について、1〜10、好ましくは2)および入手可能な任意の相関係数を掛けられる。多型についてのホモ接合性と対応する障害との間の相関を記載する情報が入手可能な場合、この相関係数は、少なくとも方法またはキットが被験体ゲノムにおける対応する非障害関連多型の出現率を除外するために使用される場合、僅かな多型の出現率に対する相関係数の代わりに使用されるべきである。重要性係数および相関係数が入手可能でない場合、値1.00が各々に割り当てられるべきである。全スコアは、本方法または本キットを使用して検出される、各障害関連多型に対する重要性係数を合計することによって決定される。この全酸化ストレス感受性スコアは、他の被験体から得られた値と比較され得るか、またはゲノムが酸化ストレスに関連する遺伝子にいずれの障害関連多型をも含まないヒトにおいて見出されることが期待される値(すなわち0)と比較され得る。
【0060】
例として、Kimuraの文献は、MnSOD遺伝子に生じる2つの対応する多型を記載する(すなわち、MnSOD遺伝子の特定の位置でのCまたはTいずれかの出現)。ゲノムに障害関連多型が出現する個体は、障害(黄斑変性の形成)に対して1.43のオッズ比を示し、同一の多型についてホモ接合性である個体は、10.14のオッズ比を示す。従って、MnSOD遺伝子が本明細書中に記載される方法およびキットで評価される遺伝子の1つである場合、1.43の重み付け係数が、被験体ゲノム中での障害関連多型の出現率に適用され得、本方法または本キットが、他の対応する多型が被験体ゲノム中に存在しないことを決定するために使用される場合、10.14の重み付け係数が、適用され得る。本明細書中に示されるように、さらなる係数が、この係数と合わせられ、酸化ストレスにおけるMnSOD遺伝子の重要性を示し得る。従って、この後者の係数が、2として選択される場合、Kimuraによって記載される障害関連多型の出現率は、2.86の重要性を割り当てられ得、そして多型の排他的出現率(すなわち、ホモ接合性)は、20.28の重要性を割り当てられ得る。
【0061】
任意の特定の障害関連多型(または非障害関連多型)の出現率を評価するために使用される方法は、重要ではない。多型の出現を検出する多数の方法が、当該分野で公知であり、実質的にこれらの方法のいずれかが、本明細書中に記載されるキットおよび方法において使用され得る。当然、本キットに含まれる試薬は、多型を検出するために使用される方法に依存して変化する。いくつかの適切な多型検出方法の例は以下に提供される。
【0062】
1つの実施形態において、オリゴヌクレオチドプライマー対は、多型領域を含む遺伝子の一部分を増幅するために使用される。多型領域で出現する1つ以上の多型の検出は、1つの多型がこの部分に出現する場合にのみ、ストリンジェントな条件下で増幅された部分とアニーリングするが、別の多型がその部分に存在する場合、増幅された部分とアニーリングしない配列を有するオリゴヌクレオチドと、増幅された部分とを接触することによって達成され得る。種々の受容可能なストリンジェントな条件が当該分野で公知であり、当業者によって、任意の特定の増幅された部分/オリゴヌクレオチド対に対して適切なように改変され得る。ストリンジェントな条件の例は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃でのハイブリダイゼーション、続いての0.2×SSC、0.1%(重量/体積)SDS中、50℃での1回以上の洗浄である。
【0063】
代替的な実施形態において、1つ以上の分子ビーコンオリゴヌクレオチドは、被験体ゲノムのコピー、被験体ゲノムの部分または被験体ゲノムから生成された増幅産物(例えば、その部分において、多型が出現することが公知である酸化ストレス関連遺伝子の増幅された部分)を含むサンプル中で多型(障害関連多型、非障害関連多型、またはそれら両方)を検出するために使用される。
【0064】
分子ビーコンプローブは、記載される(Kostrikisら、1998,Science 279:1228−1229)ように、その5’末端に結合された蛍光標識(例えば、ローダミン、FAM、TET、VIC、JOE、またはHEX)およびその3’末端に結合された蛍光消光体(例えば、TAMRAまたはDABCYL)を有する(逆もまた同様)一本鎖オリゴヌクレオチドである。各分子ビーコンプローブの配列は、2つの相補的ヘアピン領域を含むように選択され、それによってこのプローブは自己アニーリングしてヘアピン構造を形成し得る。5’末端および3’末端は、ヘアピン構造が形成された場合、密接に会合される。このプローブはまた、標的配列(例えば、酸化ストレス関連遺伝子の一塩基多型)に相補的であるように選択される標的化部位を含む。標的化部分および少なくとも1つのヘアピン領域は、互いに非常に近位に配置され、このことは、標的化部分がヘアピン領域と重なるかまたは隣接するかのいずれかであり、これらの間に約5ヌクレオチド残基以下が存在することを意味する。
【0065】
分子ビーコンプローブのヘアピン領域が、互いにアニーリングする場合、このプローブは蛍光を発しない。なぜなら、ヘアピン構造が形成され、プローブの一端に結合された蛍光消光体がプローブのもう一方の末端に結合された標識の蛍光を消光するからである。プローブの標的化部分が、標的配列を有する核酸の領域とアニーリングする場合、ヘアピン構造の形成が阻害され、蛍光消光体は蛍光標識と会合せず、このプローブは蛍光を発する。複数の分子ビーコンプローブは、単一の反応混合物中で使用され得、プローブに結合する蛍光は、分子ビーコンプローブがスペクトル的に異なる場合、区別され得る。
【0066】
従って、この実施形態において、1つ以上の分子ビーコンプローブが使用され、その各々は、酸化ストレス関連遺伝子(例えば、本明細書中に開示される遺伝子の1つ)の1つの多型の標的領域(例えば、20〜40ヌクレオチド残基、より好ましくは20〜30残基)に相補的である標的化領域を有する。検出されるべき多型が、一塩基ヌクレオチド多型(SNP)である場合、標的領域は、多型が出現するヌクレオチド残基を含み、そして好ましくはそれをほぼ中心とする。より好ましくは、2つのこのようなプローブが使用され、1つは、遺伝子の1つの多型(例えば、SNPの2つの多型の1つ)の標的領域に完全に相補的な標的化領域を有し、もう1つは、遺伝子の対応する多型(例えば、SNPのもう1つの多型)の標的領域に完全に相補的な標的化領域を有する。
【0067】
酸化的損傷関連遺伝子における多型がどのように評価され得るかに関するさらに別の実施形態において、多型の特徴的な残基の近傍の領域に相補的であるオリゴヌクレオチドプライマーは、ポリメラーゼ酵素を使用して伸長され、この特徴的な残基に相補的な位置でプライマーに付加されたヌクレオチド残基の正体が、決定される。このプライマーは、伸長不可能なヌクレオチド残基の存在下で、限定数(または1つのみ)のヌクレオチド残基がプライマーに組込まれることを保証するように伸張され得る。この型の方法は、当該分野で公知であり(例えば、Orchid Biocomputer,Inc.のSNP−IT(登録商標)技術)、例えば、米国特許第6,013,431号および同第6,004,744号に記載される。
【0068】
(酸化ストレスに関連する個々の障害に対する感受性を評価する方法)
酸化ストレスに対する患者の感受性は、酸化ストレスおよびその生理学的な結果に関連するかまたはこれらによって引き起こされることが公知である個々の障害に対する、患者の感受性を予測する。例として、アルツハイマー病の発症、進行、またはそれらの両方は、脳組織を含む患者の組織が受けた酸化的損傷によって影響されると考えられる。酸化的損傷関連障害の発症および進行の速度または可能性は、酸化ストレスに対する患者の全感受性を評価することによって見積もられ得る。
【0069】
他の開示が、単一遺伝子の多型の患者に出現する酸化ストレス関連障害に対する感受性に関連し得る(例えば、アルツハイマー病に対する患者の感受性は、ApoE4遺伝子の多型の出現に関連している)としても、この開示は、このような障害の発症または進行を複数の遺伝子(個々の遺伝子の多型と障害との間の関連が認識されない遺伝子を含む)の多型の患者における出現と初めて相関づけると考えられる。従って、例として、他の開示は、単一遺伝子(ApoE4)のアルツハイマー病関連多型を同定し得るとしても、これらは、アルツハイマー病に対する感受性を他の遺伝子の多型の出現と関連付けない。アルツハイマー病に対する感受性は、以前にアルツハイマー病との公知の関連を有さなかった遺伝子における障害関連多型の患者での出現と関連し得ることが、本明細書中で初めて開示される。例として、アルツハイマー病に対する患者の感受性は、本明細書中に記載される任意の遺伝子(例えば、本明細書中にa)〜g)と示される群の遺伝子)における障害関連多型の患者での出現を検出することによって評価され得る。
【0070】
それらに対する感受性がこれらの方法を使用して評価され得る個々の障害は、アルツハイマー病に限定されない。これらの方法は、酸化ストレスまたは酸化ストレスの生理学的結果と関連すること、これらによって引き起こされること、またはこれらによって悪化することが現在公知である、実質的に任意の障害に対する感受性を評価するために使用され得る。これらの障害の例としては、動脈硬化;アテローム性硬化症;自己免疫疾患(例えば、黄斑変性および乾癬);細菌感染、ウイルス感染、真菌感染、および寄生生物感染;皮膚厚、皮膚反発性、および皮膚可撓性の加齢性の喪失;アレルギー;脱毛;毛髪退色(例えば、白髪化);腫瘍形成;脳変性障害(例えば、アルツハイマー病、ローゲリグ病、ハンティングトン病、およびパーキンソン病);他の神経変性障害(例えば、フリートライヒ運動失調、遺伝性痙性対麻痺、小脳退行、および筋萎縮性側索硬化症);呼吸障害(例えば、喘息);炎症性障害(例えば、膵炎)が挙げられる。
【0071】
(酸化ストレスを評価するためのキット)
本発明は、酸化ストレスに対するヒトの相対的感受性を評価するためのキットを包含する。このキットは、本明細書中に記載される1つ以上の方法を実施するための試薬を含む。本明細書中に記載される方法の特定の実施形態において使用される試薬は、上記に示される。これらの方法を、種々の代替的なサンプル調製物および多型検出方法または多型検出化学を使用して実施するために有用な試薬は、当業者に明らかである。
【0072】
個々の遺伝子における多型を検出するためのキットは、当該分野で公知であり、本発明のキットは、類似する構成要素を有し得る。しかし、本キットの重要な特徴は、本キットが、ユーザが酸化ストレスに関連する少なくとも3つの遺伝子における障害関連多型を検出することを可能にする試薬を含むことである。好ましくは、本キットは、このような遺伝子の少なくとも4個、6個、8個、10個、15個、20個、または30個以上における障害関連多型の検出を可能にする試薬を含む。
【0073】
1つの実施形態において、本キットは、ストリンジェントな条件下で、これらの遺伝子の1つの障害関連多型とアニーリングするが、非障害関連多型とアニーリングしない複数のヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドの各々は、好ましくは、オリゴヌクレオチドの操作を容易にするために表面に結合される。これらのオリゴヌクレオチドは、複数の表面と連結され得る(例えば、特定の多型に関するオリゴヌクレオチドは、別の多型に関するオリゴヌクレオチドが結合される粒子とは別の粒子に結合される)か、またはこれらのオリゴヌクレオチドは、1つの表面の別の領域に結合され得る(例えば、Affymetrix,Inc.のGENECHIPTMデバイス中の表面)。個々のオリゴヌクレオチドとそれらに対応する多型との間のアニーリングは、標準的な方法を使用して検出され得る。本キットはまた、分子ビーコンプローブとして、または伸長プライマーとして有用なオリゴヌクレオチドを含み得る。
【0074】
1つの実施形態において、本キットはさらに、DNA回収キットまたは器具(例えば、同時係属中の米国特許出願番号第09/302,623号(特許化)に記載されるようなキットまたは器具)を含む。有利には、このキットまたは器具を使用して回収されたDNAは、保存され得るかまたは記録され得、そして、以前に未知であった多型が、酸化ストレスに関連する遺伝子で発見された場合、または以前に認識されていなかった多型の重要性が理解された場合、さらなる試験に供される。
【0075】
本発明はまた、ヒトが抗酸化剤成分を含有するスキンケア製品を使用するべきであるという妥当性を評価するための方法に関する。本方法は、ヒトにおける酸化ストレスの程度を評価するために、本明細書中に記載されるように実施される。より高いレベルの酸化ストレスがヒトにおいて検出される場合(すなわち、本明細書中で同定される遺伝子において障害関連多型を有さないヒトよりも)、このヒトが抗酸化剤成分を含有するスキンケア製品を使用するべきであるということが、妥当である。ヒトにおいて検出されるより高い程度の酸化ストレス(または本明細書中に記載されるような、より高い感受性スコア)は、このヒトがこのようなスキンケア製品を使用するべきであるという増加した妥当性に相関し、そしてより高い用量の抗酸化剤成分がこのスキンケア製品に含有されるべきであることもまた示す。
【0076】
変更が、その広い発明の概念から逸脱することなく、上記に記載される実施形態に対してなされ得ることが、当業者によって理解される。
【0077】
本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の精神および範囲内に、改変を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
上記の要旨、ならびに上記の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明は、添付の図面とともに読まれる場合、よりよく理解される。本発明は、示される正確な取り合わせおよび手段に限定されない。
【図1A】図1Aは、いくつかの遺伝子における多型の出現を分析することによって得られる結果の例を示すイメージである。図1Aに示される結果は、仮想的な第1のヒトに由来する。丸印は、これらの丸印の列の左に示したこれらの遺伝子の異なる多型を表す。黒丸は、多型の存在を示す。白丸は、多型が存在しないことを示す。各丸印の下の数字は、それらの多型および疾患または障害についての相関係数を表す。
【図1B】図1Bは、いくつかの遺伝子における多型の出現を分析することによって得られる結果の例を示すイメージである。図1Bに示される結果は、仮想的な第2のヒトに由来する。丸印は、これらの丸印の列の左に示したこれらの遺伝子の異なる多型を表す。黒丸は、多型の存在を示す。白丸は、多型が存在しないことを示す。各丸印の下の数字は、それらの多型および疾患または障害についての相関係数を表す。
Claims (73)
- 酸化的損傷に対するヒトの相対的感受性を評価するための方法であって、該方法は、以下:
a) より毒性の低い酸素種への毒性酸素種の転換を触媒する酵素をコードする遺伝子;
b) 酸化ストレスに対する保護を提供するタンパク質をコードする遺伝子;
c) 毒性の酸化ストレスの生成を導くタンパク質をコードする遺伝子;
d) 酸化ストレスに間接的に影響するタンパク質をコードする遺伝子;
e) タンパク質の発現レベルが酸化ストレスに関係する、タンパク質をコードする遺伝子;
f) ヒトDNA修復系の成分をコードする遺伝子;および
g) マクロファージ、または多形核好中球性顆粒球による毒性酸素種の生成と関係するタンパク質をコードし、そしてa)、b)、c)、d)、e)またはf)の遺伝子ではない遺伝子、
からなる群より選択される、少なくとも2つの遺伝子において、ヒトゲノム中で障害関連の多型の出現を評価する工程を包含する方法であって、
ここで、任意の多型の出現は、該ヒトが、ゲノムに多型を含まないヒトよりも酸化的損傷により感受性であることの指標であり、これによって複数の多型の出現は、該ヒトが、ゲノムに多型を含まないヒトよりも酸化的損傷に、より一層感受性であることの指標である、方法。 - 前記遺伝子が、前記a)、b)、c)およびd)からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記遺伝子が、前記a)、b)およびc)からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記遺伝子が、マクロファージまたは多形核好中球性顆粒球による毒性酸素種の生成と関係するタンパク質をコードする、少なくとも1つの遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記遺伝子が、食細胞特異的なNADPHオキシダーゼ複合体の成分をコードする遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記遺伝子が、マトリクスメタロプロテイナーゼをコードする遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記マトリクスメタロプロテイナーゼが、MMP−1、MMP−2、MMP−3およびMMP−7からなる群より選択される、請求項6に記載の方法。
- 前記マトリクスメタロプロテイナーゼが、MMP−1である、請求項7に記載の方法。
- 前記遺伝子が、グルタチオンS−トランスフェラーゼをコードする遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記グルタチオンS−トランスフェラーゼが、GSTP1、GSTT1およびGSTM1からなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
- 前記遺伝子が、腫瘍壊死因子αをコードする遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記遺伝子が、メチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼをコードする遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。
- 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記遺伝子が、
i) ミトコンドリアマンガンスーパーオキシドジムスターゼ(MnSOD)をコードする遺伝子、
ii) 細胞質銅/亜鉛スーパーオキシドジムスターゼ(CZSOD)をコードする遺伝子、
iii) カタラーゼをコードする遺伝子、および
iv) グルタチオンペルオキシダーゼをコードする遺伝子、
を含む、方法。 - 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記遺伝子が、
i) MnSODをコードする遺伝子、
ii) CZSODをコードする遺伝子、
iii) カタラーゼをコードする遺伝子、
iv) グルタチオンペルオキシダーゼをコードする遺伝子、
v) グルタチオンS−トランスフェラーゼP1(GSTP1)をコードする遺伝子、
vi) グルタチオンS−トランスフェラーゼθ1(GSTT1)をコードする遺伝子、
vii) グルタチオンS−トランスフェラーゼM1(GSTM1)をコードする遺伝子、
viii) グルタチオンレダクターゼをコードする遺伝子、
ix) チオレドキシンレダクターゼをコードする遺伝子、
x) パラオキソナーゼをコードする遺伝子、
xi) NAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼ1をコードする遺伝子、
xii) 8−オキソ−7,8−ジヒドロデオキシグアノシントリホスファターゼをコードする遺伝子、
xiii) エポキシドヒドロラーゼをコードする遺伝子、
xiv) ミエロペルオキシダーゼをコードする遺伝子、
xv) 腫瘍壊死因子αをコードする遺伝子、
xvi) NADH/NADPHオキシダーゼp22ホックス(phox)タンパク質をコードする遺伝子、
xvii) 一酸化窒素シンターゼをコードする遺伝子、
xviii) キサンチンオキシダーゼをコードする遺伝子、
xix) シトクロムP450をコードする遺伝子、
xx) アポリポタンパク質Eをコードする遺伝子、
xxi) UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1A1をコードする遺伝子、
xxii) 酸ホスファターゼをコードする遺伝子、
xxiii) タンパク質ホスホチロシンホスファターゼをコードする遺伝子、
xxiv) エピネフリンオキシダーゼをコードする遺伝子、
xxv) シスタチオニンβ−シンターゼをコードする遺伝子、
xxvi) シスタチオニンγ−リアーゼをコードする遺伝子、
xxvii) N5−メチルTHF:ホモシステインメチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子、
xxviii) メチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼをコードする遺伝子、
xxix) S−アデノシルメチオニンメチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子、
xxx) 熱ショックタンパク質をコードする遺伝子、
xxxi) 食細胞特異的NADPHオキシダーゼ複合体の成分をコードする遺伝子、および
xxxii) マトリクスメタロプロテイナーゼをコードする遺伝子、
からなる群より選択される、方法。 - 前記遺伝子が、前記i)〜iv)からなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
- 前記遺伝子が、前記i)〜xi)からなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
- 前記遺伝子が、前記i)〜xvii)からなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
- 前記i)〜xxxii)のうちの少なくとも4つにおいて、ヒトゲノム中の障害関連多型の出現を評価する工程を含む、請求項14に記載の方法。
- 前記i)〜xxxii)のうちの少なくとも6つにおいて、ヒトゲノム中の障害関連多型の出現を評価する工程を含む、請求項14に記載の方法。
- 前記i)〜xxxii)のうちの少なくとも10個において、ヒトゲノム中の障害関連多型の出現を評価する工程を含む、請求項14に記載の方法。
- 前記i)〜xxxii)のうちの少なくとも15個において、ヒトゲノム中の障害関連多型の出現を評価する工程を含む、請求項14に記載の方法。
- 請求項1に記載の方法であって、ここで、個々の障害関連多型の出現が、対応する非障害関連多型よりも障害関連多型とより高度なストリンジェンシーでアニールする第1オリゴヌクレオチドと、ヒトゲノム由来の核酸を接触させる工程、および該第1オリゴヌクレオチドと該核酸とのアニールを評価する工程によって評価され、
これによって、該第1オリゴヌクレオチドと該核酸とのアニールは、該ヒトゲノムが障害関連多型を含むことの指標である、方法。 - 前記第1オリゴヌクレオチドが支持体に結合される、請求項22に記載の方法。
- 前記支持体が、これに結合した複数の異なる第1オリゴヌクレオチドを有する、請求項23に記載の方法。
- 前記支持体が、対応する非障害関連多型よりも障害関連多型とより高度なストリンジェンシーでアニールする、少なくとも5つの前記第1オリゴヌクレオチドを結合した、請求項23に記載の方法。
- 前記支持体が、対応する非障害関連多型よりも障害関連多型とより高度なストリンジェンシーでアニールする、少なくとも10個の前記第1オリゴヌクレオチドを結合した、請求項23に記載の方法。
- 前記支持体が、対応する非障害関連多型よりも障害関連多型とより高度なストリンジェンシーでアニールする、少なくとも15個の前記第1オリゴヌクレオチドを結合した、請求項23に記載の方法。
- 前記第1オリゴヌクレオチドが、分子ビーコンオリゴヌクレオチドである、請求項22に記載の方法。
- 請求項22に記載の方法であって、ここで、個々の障害関連多型の出現が、
対応する障害非関連多型よりも障害関連多型とより高度なストリンジェンシーでアニールする第2オリゴヌクレオチドと、前記核酸を接触させる工程、および該第2オリゴヌクレオチドと該核酸とのアニーリングを評価する工程、
によってさらに評価され、これによって、該第2オリゴヌクレオチドと該核酸とのアニーリングは、前記ヒトゲノムが障害関連多型を含まないことの指標である、方法。 - 前記第2オリゴヌクレオチドが支持体に結合された、請求項29に記載の方法。
- 前記第1オリゴヌクレオチドおよび前記第2オリゴヌクレオチドが同じ支持体に結合された、請求項30に記載の方法。
- 前記第2オリゴヌクレオチドが、分子ビーコンオリゴヌクレオチドである、請求項29に記載の方法。
- 前記第1オリゴヌクレオチドおよび前記第2オリゴヌクレオチドが、スペクトルの異なる分子ビーコンオリゴヌクレオチドである、請求項32に記載の方法。
- 請求項1に記載の方法であって、さらに、障害関連多型がヒトゲノム中に出現する各々の選択された遺伝子について、定数および相関係数の結果を集計することによって、感受性スコアを計算する工程を含み、ここで、該相関係数は、ヒト画分が対応の障害を示す、障害関連多型についてヘテロ接合性であるか、またはホモ接合性であるかを示し、これによって、該感受性スコアが、酸化的損傷に対するヒトの相対的感受性を示す、方法。
- 同じ定数が前記各々の選択された遺伝子について使用される、請求項34に記載の方法。
- 前記群a)の各々の遺伝子について使用される定数が、前記群b)、群c)、群d)、および群e)の遺伝子について使用される定数より大きい、請求項34に記載の方法。
- 前記群a)の各々の遺伝子について使用される定数が、前記群b)、群c)、群d)、および群e)の遺伝子について使用される定数の少なくとも2倍である、請求項34に記載の方法。
- 前記各々の多型が、単一ヌクレオチド多型(SNP)である、請求項1に記載の方法。
- 請求項1に記載の方法であって、ここで、SNPの出現が、該SNPに3’側で隣接する領域に相補的であるプライマーと、ヒトゲノム由来の核酸をアニールさせる工程、ポリメラーゼを使用して該プライマーを伸長して該SNPに相補的なヌクレオチド残基をプライマーに加える工程、および該SNPに相補的なヌクレオチド残基の正体を検出する工程、によって評価される、方法。
- 前記ヌクレオチド残基が伸長不可能な残基である、請求項39に記載の方法。
- ヒトへの投与のための抗酸化組成物の用量を選択する方法であって、該方法が、
a) より毒性の低い酸素種への毒性酸素種の転換を触媒する酵素をコードする遺伝子;
b) 酸化ストレスに対する保護を提供するタンパク質をコードする遺伝子;
c) 毒性の酸化ストレスの生成を導くタンパク質をコードする遺伝子;
d) 酸化ストレスに間接的に影響するタンパク質をコードする遺伝子;
e) タンパク質の発現レベルが酸化ストレスに関係する、タンパク質をコードする遺伝子;
f) ヒトDNA修復系の成分をコードする遺伝子;および
g) マクロファージ、または多形核好中球性顆粒球による毒性酸素種の生成と関係するタンパク質をコードし、そしてa)、b)、c)、d)、e)またはf)の遺伝子ではない遺伝子、
からなる群より選択される、少なくとも1つの遺伝子において、ヒトゲノム中の障害関連多型の出現を評価する工程であって、ここで、任意の多型の出現は、より多くの用量の組成物がヒトに投与されるべきであることの指標である、工程;ならびに、該多型の出現に基づいて、組成物の用量を選択する工程、を含む、方法。 - 酸化的損傷に対するヒトの相対的感受性を評価するためのキットであって、該キットは、
a) より毒性の低い酸素種への毒性酸素種の転換を触媒する酵素をコードする遺伝子;
b) 酸化ストレスに対する保護を提供するタンパク質をコードする遺伝子;
c) 毒性の酸化ストレスの生成を導くタンパク質をコードする遺伝子;
d) 酸化ストレスに間接的に影響するタンパク質をコードする遺伝子;
e) タンパク質の発現レベルが酸化ストレスに関係する、タンパク質をコードする遺伝子;
f) ヒトDNA修復系の成分をコードする遺伝子;および
g) マクロファージ、または多形核好中球性顆粒球による毒性酸素種の生成と関係するタンパク質をコードし、そしてa)、b)、c)、d)、e)またはf)の遺伝子ではない遺伝子、
からなる群より選択される、少なくとも2つの遺伝子において、ヒトゲノム中の障害関連多型の出現を評価するための試薬を含む、キット。 - 前記試薬が、対応する非障害関連多型よりも障害関連多型とより高度なストリンジェンシーでアニールする第1オリゴヌクレオチドを含む、請求項42に記載のキット。
- 前記第1オリゴヌクレオチドの各々が、支持体に結合されている、請求項43に記載のキット。
- 前記第1オリゴヌクレオチドの各々が、同じ支持体に結合されている、請求項44に記載のキット。
- 前記第1オリゴヌクレオチドの各々が、異なる支持体に結合されている、請求項44に記載のキット。
- 前記第1オリゴヌクレオチドが、分子ビーコンオリゴヌクレオチドである、請求項43に記載のキット。
- 前記キットがさらに、対応する非障害関連多型よりも障害関連多型とより高度なストリンジェンシーでアニールする第2オリゴヌクレオチドを含む、請求項43に記載のキット。
- 前記第1オリゴヌクレオチドおよび第2オリゴヌクレオチドが、スペクトルの異なる分子ビーコンオリゴヌクレオチドである、請求項48に記載のキット。
- 前記試薬が、少なくとも特徴的な残基を増幅するために、障害関連多型の特徴的な残基に隣接した領域に相補的であるプライマーを含む、請求項42に記載のキット。
- 前記特徴的な残基に相補的なヌクレオチド残基を添加することによって前記プライマーを伸長し得るポリメラーゼをさらに含む、請求項50に記載のキット。
- 伸長不可能なヌクレオチド残基をさらに含む、請求項51に記載のキット。
- 請求項42に記載のキットであって、定数および相関関数の結果を表す数値を含む、指示材料をさらに含み、ここで、該相関関数は、対応する障害を示す、障害関連多型についてヒト画分がヘテロ接合性であるか、またはホモ接合性であるかを示す、キット。
- 同じ定数が各々の選択された遺伝子について使用される、請求項53に記載のキット。
- 前記群a)の各々の遺伝子について使用される定数が、前記群b)、群c)、群d)、および群e)の遺伝子について使用される定数より大きい、請求項53に記載のキット。
- 前記群a)の各々の遺伝子について使用される定数が、前記群b)、群c)、群d)、および群e)の遺伝子について使用される定数の少なくとも2倍である、請求項53に記載のキット。
- 請求項42に記載のキットであって、ここで、前記遺伝子が、
i) MnSODをコードする遺伝子、
ii) CZSODをコードする遺伝子、
iii) カタラーゼをコードする遺伝子、
iv) グルタチオンペルオキシダーゼをコードする遺伝子、
v) グルタチオンS−トランスフェラーゼP1(GSTP1)をコードする遺伝子、
vi) グルタチオンS−トランスフェラーゼθ1(GSTT1)をコードする遺伝子、
vii) グルタチオンS−トランスフェラーゼM1(GSTM1)をコードする遺伝子、
viii) グルタチオンレダクターゼをコードする遺伝子、
ix) チオレドキシンレダクターゼをコードする遺伝子、
x) パラオキソナーゼをコードする遺伝子、
xi) NAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼ1をコードする遺伝子、
xii) 8−オキソ−7,8−ジヒドロデオキシグアノシントリホスファターゼをコードする遺伝子、
xiii) エポキシドヒドロラーゼをコードする遺伝子、
xiv) ミエロペルオキシダーゼをコードする遺伝子、
xv) 腫瘍壊死因子αをコードする遺伝子、
xvi) NADH/NADPHオキシダーゼp22ホックス(phox)タンパク質をコードする遺伝子、
xvii) 一酸化窒素シンターゼをコードする遺伝子、
xviii) キサンチンオキシダーゼをコードする遺伝子、
xix) シトクロムP450をコードする遺伝子、
xx) アポリポタンパク質Eをコードする遺伝子、
xxi) UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1A1をコードする遺伝子、
xxii) 酸ホスファターゼをコードする遺伝子、
xxiii) タンパク質ホスホチロシンホスファターゼをコードする遺伝子、
xxiv) エピネフリンオキシダーゼをコードする遺伝子、
xxv) シスタチオニンβ−シンターゼをコードする遺伝子、
xxvi) シスタチオニンγ−リラーゼをコードする遺伝子、
xxvii) N5−メチルTHF:ホモシステインメチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子、
xxviii) メチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼをコードする遺伝子、
xxix) S−アデノシルメチオニンメチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子、
xxx) 熱ショックタンパク質をコードする遺伝子、
xxxi) 食細胞特異的NADPHオキシダーゼ複合体の成分をコードする遺伝子、および
xxxii) マトリクスメタロプロテイナーゼをコードする遺伝子、
からなる群より選択される、キット。 - ヒトが抗酸化剤を含むスキンケア製品を使用するべきであるという適否を評価する方法であって、該方法が、
a) より毒性の低い酸素種への毒性酸素種の転換を触媒する酵素をコードする遺伝子;
b) 酸化ストレスに対する保護を提供するタンパク質をコードする遺伝子;
c) 毒性の酸化ストレスの生成を導くタンパク質をコードする遺伝子;
d) 酸化ストレスに間接的に影響するタンパク質をコードする遺伝子;
e) タンパク質の発現レベルが酸化ストレスに関係する、タンパク質をコードする遺伝子;
f) ヒトDNA修復系の成分をコードする遺伝子;および
g) マクロファージ、または多形核好中球性顆粒球による毒性酸素種の生成と関係するタンパク質をコードし、そしてa)、b)、c)、d)、e)またはf)の遺伝子ではない遺伝子、
からなる群より選択される少なくとも2つの遺伝子において、ヒトゲノム中の障害関連多型の出現を評価する工程を含む方法であって、
ここで、任意の多型の出現は、該ヒトが、ゲノムに多型を含まないヒトよりも抗酸化剤を含むスキンケア製品を使用することがより好ましいことの指標であり、これによって複数の多型の出現は、該ヒトが、該多型をゲノムに含まないヒトよりも、抗酸化剤を含むスキンケア製品を使用するべきであることがより一層望ましいことの指標である、方法。 - 前記遺伝子が、マトリクスメタロプロテイナーゼをコードする遺伝子を含む、請求項58に記載の方法。
- 前記マトリクスメタロプロテイナーゼが、MMP−1、MMP−2、MMP−3およびMMP−7からなる群より選択される、請求項59に記載の方法。
- 前記マトリクスメタロプロテイナーゼが、MMP−1である、請求項60に記載の方法。
- 前記遺伝子が、グルタチオンS−トランスフェラーゼをコードする遺伝子を含む、請求項58に記載の方法。
- 前記グルタチオンS−トランスフェラーゼが、GSTP1、GSTT1およびGSTM1からなる群より選択される、請求項62に記載の方法。
- 前記遺伝子が、腫瘍壊死因子αをコードする遺伝子を含む、請求項58に記載の方法。
- 前記遺伝子が、メチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ酵素をコードする遺伝子を含む、請求項58に記載の方法。
- ヒトに投与される、スキンケア製品中の抗酸化組成物の用量を選択する方法であって、該方法が、
a) より毒性の低い酸素種への毒性酸素種の転換を触媒する酵素をコードする遺伝子;
b) 酸化ストレスに対する保護を提供するタンパク質をコードする遺伝子;
c) 毒性の酸化ストレスの生成を導くタンパク質をコードする遺伝子;
d) 酸化ストレスに間接的に影響するタンパク質をコードする遺伝子;
e) タンパク質の発現レベルが酸化ストレスに関係する、タンパク質をコードする遺伝子;
f) ヒトDNA修復系の成分をコードする遺伝子;および
g) マクロファージ、または多形核好中球性顆粒球による毒性酸素種の生成と関係するタンパク質をコードし、そしてa)、b)、c)、d)、e)またはf)の遺伝子ではない遺伝子、
からなる群より選択される、少なくとも1つの遺伝子において、ヒトゲノム中で障害関連の多型の出現を評価する工程であって、
これによって、任意の多型の出現は、より多くの用量の組成物が、該スキンケア製品において該ヒトに投与されるべきであることの指標である、工程;ならびに、
多型の出現に基づく該スキンケア製品についての組成物の用量を選択する工程、を包含する、方法。 - 前記遺伝子が、マトリクスメタロプロテイナーゼをコードする遺伝子を含む、請求項66に記載の方法。
- 前記マトリクスメタロプロテイナーゼが、MMP−1、MMP−2、MMP−3およびMMP−7からなる群より選択される、請求項67に記載の方法。
- 前記マトリクスメタロプロテイナーゼが、MMP−1である、請求項68に記載の方法。
- 前記遺伝子が、グルタチオンS−トランスフェラーゼをコードする遺伝子を含む、請求項66に記載の方法。
- 前記グルタチオンS−トランスフェラーゼが、GSTP1、GSTT1およびGSTM1からなる群より選択される、請求項70に記載の方法。
- 前記遺伝子が、腫瘍壊死因子αをコードする遺伝子を含む、請求項66に記載の方法。
- 前記遺伝子が、メチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ酵素をコードする遺伝子を含む、請求項66に記載の方法。
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