JP2004527385A - 好適には静電制御性の剛性可変性移動式構造を備える装置 - Google Patents
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Abstract
本発明は、好適には静電制御を有する、剛性可変性移動式構造を備える装置に関する。電気的に不安定な領域を減らし、変位曲線を部分的に線形化し、および/または無視できる程度の制御電圧の上昇の変位振幅を増加させるため、移動式構造(12)の変位によりその剛性を修正する。したがって、本発明は、例えば、表面(S)を有し、それに移動式構造(12)の柔軟な梁(22)が少なくとも1点(P)で保持される固定構造(12)からなる。
Description
【0001】
発明の技術分野
本発明は、好適には静電型の、制御手段の作用の下で動くことができる、移動式機械構造を備えた装置に関するものである。
【0002】
本発明は、可変性エアギャップを有する静電コーム(comb)により制御されるマイクロアクチュエータの製造に特に利用可能である。しかしながら、最適化された装置、すなわち大きな出力または変位を可能にしながら低い制御電力に反応する小型の装置が所望されるところでは、他の分野でも利用できる。
【0003】
従来技術
既存の静電アクチュエータは、動作モードによって2種類に分類することができる。
第1の分類は、可変性エアギャップを有する静電コームにより制御されるアクチュエータである。この種類のアクチュエータは、電極間に電位差が加えられた時に生成される電極面に垂直な力を使用する。この力は2つの電極を互いに接近させる傾向がある。
第2の分類は、可変面積式静電コーム(しばしば「インターデジタル化コーム(inter−digitized comb)」と呼ばれる)により制御されるアクチュエータである。この種類のアクチュエータは、電極間に電位差が加えられた時に生成される電極面と平行な横力を使用する。この力は2つの電極を互いに整列させる傾向がある。
【0004】
これら2種類のアクチュエータは、現在マイクロシステム(MEMS、MOEMS、等)に使用されている。それらはマイクロエレクトロニクスから得られるマイクロテクノロジーを使用して作られる。
可変面積式コームは、その大きさのため、この特定の分野で使用されることが最も多い。
【0005】
しかしながら、電極を形成するのに側面に金属を堆積させることが必要な絶縁材料からアクチュエータが作られている時は、可変性エアギャップコームが好んで使用される。満足のゆく動作のためには極薄のエアギャップ(電極間の空間)が必要であり、電極を金属化するのが困難であるとそのような薄いエアギャップを作るのは難しいので、可変面積コームはこのような場合に使用するのが難しい。
【0006】
しかしながら、可変性エアギャップコームには固有の欠点があり、その効率を最適化することが不可能である。すなわち、大きな出力または変位を維持しながら小型化および電圧制御をすることができない。
【0007】
可変性エアギャップコームに特有のこのような欠点とは、第1に、2つの電極間の媒体に放電(ブレイクダウン)をもたらす危険があることであり、第2に、「電気的不安定」の問題である。
【0008】
放電の危険により生じる問題を解決するために複数の方法が周知である。
第1の方法は、電極間の距離を大きくすることである。しかしながら、これは制御電圧の上昇、および/または大型化を招く。
【0009】
別の方法は、例えば、空気をSF6などのより適切なガスに替えることにより電極を分けている媒体の性質を変え、電気的強度を増大させることである。この方法はある程度漏電防護を強化することになるエンキャプスレーション技術を実行することであり、結果として技術的な困難を増加させ、装置の費用を上昇させる。
【0010】
ブレイクダウンの問題は、電極の周り、よって機械構造の周りに真空をつくり出すことでも解決できる。しかしながら、前項の方法と同様に、この方法でも必然的にエンキャプスレーションを使用することになり、さらに、ガスによる減衰効果を排除することになる。
【0011】
電気的不安定の現象は、電極間に加えられた電圧が、同時に機械的部分に偏差をもたらし、空隙または静電エアギャップを減少させるという事実により起こる。しかし、エアギャップの幅が小さいとき静電力は大きい。そのため、電極間に加えられた電圧により生成された制御偏差には静電力の増加が伴い、それがまた偏差を増大させる傾向にある。結果として、電圧が上昇し、変位した構造の機械的剛性が静電力を補償しなくなると、「不安定閾値」に到達する。この閾値の手前で、加えた電圧により機械的構造の位置が完全に決定される。不安定閾値を越えると、移動式構造が自然に動いて電極同士が接触し、その結果短絡が発生し多くは装置の部分的破損に繋がる。
【0012】
例えば、カンチレバーを備え、一方の端が固定され、自由端である他方の端に静電力が加えられる梁を使用する特定の場合では、不安定閾値はエアギャップの3分の1に相当する偏差と一致する。
【0013】
したがって、この電気的不安定現象を考慮し、エアギャップの幅は、用途により固定される必要な機械的変位の少なくとも3倍でなければならない。この結果、静電コームが大型化すると共に印加される電圧が大きくなり、この種の装置にとって大きな欠点となる。
【0014】
J.Mohr、M.KholおよびW.Mentzによる文献「変位の大きな静電式線形アクチュエータによる微小光学スイッチング(Micro−Optical Switching by Electrostatic Linear Actuators with Large Displacements)」(1993年、固定センサ・アクチュエータに関する第7回国際会議、120−123頁)、およびR.Legtenberg、J.Gilbert、S.D.SenturiaおよびM.Elwenspoekによる「静電曲電極アクチュエータ(Electrostatic Curved Electrode Actuators)」(1997年9月、マイクロエレクトロメカニカルシステムズ機関紙第6巻No.3、257−265頁)には、上記の欠点を制限するための方法が開示されている。
【0015】
最初に挙げた文献には、三角形状の電極が開示されている。次に挙げた文献には湾曲した電極が開示されている。これら特殊な電極の形は、変位の振幅を増加させる、または静電制御の性質を直接変えることにより制御電圧を減少させることを目的としている。例えば、湾曲形状により電極の内蔵された固定端付近のエネルギーロスが減少する。
【0016】
非常に大きな偏差を得るために、電気的不安定を使用する方法も周知である。該方法では、故意に不安定領域を通過し、電極同士が接触する直前に機械的な止めを使用して偏差を停止させる。しかしながら、これらの装置は不安定領域に安定した中間的位置を有しない。
【0017】
結果として、機械的構造に安定した偏差をつくり出そうと試みる場合、静電動作に関する重大な限界が存在する。これらの限界により、不安定領域、高い制御電圧、および大型化を避けるためには非常に大きなエアギャップが必要となり、および/または静電制御の非線形動作が必要となる。
【0018】
本発明の要旨
本発明の1つの目的は、大きな出力および変位を可能にしながら小型で且つ低い制御力に応答する、新規設計による移動式機械構造を備えた装置を提供することである。本発明では、動作、すなわち変位(ほぼその全範囲にわたる直線距離)を、制御電圧の関数とすることができる。
【0019】
本発明によると、固定構造、柔軟性のある支持手段により固定構造に接続された移動式構造、および移動式構造を変位させることが可能な制御手段を備えた装置であって、所定の全体剛性を有し、移動式構造に取り付けられた機械的剛性制御手段が前記全体的剛性を修正することにより移動式構造の変位量を変化させることができることを特徴とする装置により、この結果を得ることができる。
【0020】
この場合、有利なことに、剛性制御手段は、移動式構造の変位と共に漸進的に増大するように装置の全体的な剛性を修正することができる。
【0021】
本発明の有利な利用例によると、制御手段は静電式である。しかしながら、他の種類の制御手段も使用することができる。制御手段は、移動部分の外側に設置された、例えば装置に加速度を加えることができるような、駆動システムなどからなってもよい。
【0022】
剛性制御手段は、本発明の範囲から逸脱しない限り、様々な形態をとることができる。
【0023】
よって、第1の実施形態では、移動式構造に固定された梁が、剛性制御手段を具現化する固定構造上の少なくとも一点で支持され、梁と固定構造を構成する要素の少なくとも1つが柔軟性を有し、これら要素は前記支持点が前記柔軟性の要素の曲がりによって変化するような形状である。状況に応じて、梁は、移動式構造を固定構造に接続する柔軟な支持手段に使用される梁か、または移動式構造に付加される、柔軟な支持手段とは異なる要素とすることができる。
【0024】
別の実施形態では、移動式構造が剛性制御手段となる付属の柔軟構造上に少なくとも1点で接触し、付加的柔軟構造の剛性が移動式構造の位置により変化する。
【0025】
また別の実施形態では、移動式構造が剛性制御手段である少なくとも1つのプレッサ装置とこすれるように接触しており、該接触の圧力が調節可能となっている。この場合、プレッサ装置を移動式構造と接触するように取り付けるための手段は、受動的手段でも能動的手段でもよい。「受動的手段」とは、装置外部のエネルギーを加えることなくプレッサ装置を該構造と接触させることのできる手段を指し、「能動的手段」とは、装置外部のエネルギーを使用する手段を指す。
【0026】
ここで、添付図面を参照しながら本発明の非限定的な例示としていくつかの実施形態を説明する。
【0027】
本発明の好適な実施形態の詳細
図1および図3ないし6に例示した本発明の異なる実施形態はすべて、少なくとも1つの柔軟な支持梁22を備える柔軟な支持手段により移動式構造12が固定構造10に接続している静電制御装置に適用する。
【0028】
さらに具体的には、すべての実施形態において、固定構造10は固定コーム14を備え、移動式構造12は移動式コーム16を備えている。固定コーム14および移動式コーム16は制御手段を形成し、装置が稼動していないときdoに等しい値を有するエアギャップにより分離されている。
【0029】
固定コーム14と移動式コーム16との間に従来の方法により適当な制御電圧Vを加えることができる。制御電圧Vを加えると、移動式コーム16が固定コーム14の方向へと移動し、該方向への移動によりエアギャップの値が低下する傾向がある。該方向とは、すなわち図1のロッド20の軸と平行な方向yである。
【0030】
図1および図3ないし6に図解した複数の実施形態では、移動式構造12は移動式コーム16が固定されたロッド20も備える。ロッド20は、移動式コーム16、柔軟な支持梁22および移動式構造の残りの部分を接続する機械的構造である。その一部、例えば柔軟な支持梁22の中心部は、ロッド20の一方の端部と、梁22のもう一つ別の部分に固定されており、よってその端は固定構造10に組み込まれている。
【0031】
上述した従来技術による構成の場合、装置の全体的な剛性は、主に柔軟な支持梁22の柔軟性によって決定する所定の値Koを有する。
この構成における、制御手段により移動式構造12に加えられる電気的変位力Felecは、次の式に表すことができる:
【数1】
ここで、εは梁22を形成する物質の比誘電率を、Sは対向する電極の表面積を、doは非稼動時のエアギャップの値を、Δyは移動式構造12の変位量、すなわち梁22の最大変位を、およびVは制御手段に加えられた制御電圧を意味する。
【0032】
さらに、移動式構造には以下の式で表される機械的復旧力Fmechaが加わる:
【数2】
【0033】
システムは、復旧力と、単にFelec=Fmechaで表される電力とが均衡する限り安定している。平衡(静的)点における移動式構造12の変位量Δyを制御するために必要な制御電圧Vは、以下の式のように推論される:
【数3】
【0034】
曲線V(Δy)はΔy=do/3における最小値を通過する。移動式構造の変位量がこの値を超過する時、装置は不安定になり、電極が互いに接触してその状態を維持する。
【0035】
本発明では、剛性制御手段が移動式構造12に取り付けられており、装置の全体的剛性を修正する。さらに具体的には、剛性制御手段とは、装置の全体的な剛性が、制御手段により制御される移動式構造12の変位量に伴って漸進的に増加するように構成された機械的手段である。
【0036】
図1に示す本発明の実施形態では、剛性制御手段は固定構造10の一部である剛性部分24である。この部分24は表面Sを備え、該表面には柔軟な支持梁22が少なくとも1点Pで接触している(図1では、梁22が2点Pにおいて表面Sと接触している)。剛性部分24の表面Sは、梁の変位量Δyが増大すると、柔軟な支持梁22上の接触点Pがロッド20の中心線に接近するような形状である。結果として、装置の剛性は移動式構造の変形量、すなわち、該構造に加わる変位力とともに増大する。
【0037】
装置の剛性は移動式構造12が変位する間に変化するので、この剛性は、関数K(y)という形式に表すことができ、数式3は以下の式のようになる:
【数4】
【0038】
関数K(y)を選択することにより、安定性の限界、およびさらに一般的には曲線V(Δy)が直接固定される。図2は、制御電圧Vと移動式構造12の変位量Δyとの関係を示したものであり、Aは合成が一定で、且つKoと等しい場合(先行技術)を、Bは剛性K1(y)がKoより大きく、y方向への変位とともに増大する場合を、Cは剛性K2(y)がK1(y)より大きい場合をそれぞれ表す曲線である。この図から、K(y)>Koである全領域に亘り、装置の動き具合を精密に制御するのに本発明による剛性制御手段が有効であることが明らかである。
【0039】
したがって、エアギャップの所定の値について、移動式構造12の安定した変位はもはやこの値の3分の1に限定されず、むしろエアギャップ中に存在する物質のブレイクダウン限界に限定される。よって、安定性を制限する要因はずっと小さい。さらに、電極の面積が少しでも増大すると、制御電圧に影響するだけでなく、ブレイクダウンを防止するのに許される最大変位量にも影響する。
【0040】
詳細をさらに後述するように、図1の実施形態の表面Sの形状は、移動式構造に加えられる変位力の関数として、装置に予め定められた剛性変化を実現するように決定してもよい。
【0041】
さらに、変位の間の機械的構造の変位形状を完全に制御するために、梁22の形状、大きさおよび断面を予め決定することができる。
【0042】
図1を参照して上述した装置では、固定構造10の剛性部分24(剛性制御手段)により装置の全体的剛性が変更され、それにより電気的に不安定な領域がさらに遠くへ押しやられる。
【0043】
あるいは、梁22の形状と大きさを変更する、例えば一方の端から他方の端までの横断面を変更することにより、制御電圧Vの関数である装置の剛性を変えることができる。
【0044】
図3ないし6に例示する実施形態では、図1の場合と異なり、剛性制御手段が柔軟な支持手段22とは異なる。図3の実施形態では、剛性制御手段は装置に付加された相補的な構造であり、該構造により、支持点が所定の形状を有する固定構造10の表面と接触している。
【0045】
さらに具体的には、図3の左側は、相補的構造が、固定構造10に接続する少なくとも1つの柔軟な梁26と、移動式構造に接続する少なくとも1つの梁17とから形成される場合を示している。柔軟な梁26の一端は、所定の形状を有する固定構造の表面Sに少なくとも一点Pにおいて接続している。
【0046】
この構成により、移動式構造12、特に梁26に接触する梁17が方向yへ変位すると、柔軟な梁26が変形し、固定構造の前記表面Sとのその接触点または点Pがロッド20の中心線の方向へ移動する。よって、図1を参照して説明した第1の実施形態では、装置の全体的剛性は印加する電圧に応じて増大する。
【0047】
図3の右側には、本発明のこの第2実施形態の変形例が示されている。この変形例では、相補的構造が梁17の中央線の延長に沿う少なくとも1つの柔軟な梁26’から形成されている。さらに詳細には、柔軟な梁26’は、所定の形状を有する固定構造10の表面Sに少なくとも一点Pにおいて接するように梁17の一端に接触する。前例と同様に、移動式構造12が方向yに向かって変位するにつれ、1または複数の接触点はロッドの中心線に接近する。したがって、装置の全体的剛性は印加する電圧に応じて増加する。
【0048】
図4に例示する別の実施形態では、アームまたは柔軟な梁28を備える相補的構造がロッド20により移動式構造12に固定されている。移動式構造12の一部を形成する柔軟なアーム28は、所定の形状を有する固定支持体10の表面Sに、少なくとも一点Pを介して接触している。
【0049】
図4を参照して前段で説明した構成では、移動式構造12がy方向へ移動するとき、1または複数の接触点Pはロッド20の中心線に徐々に接近することにより、装置の全体的剛性は固定コーム14と移動式コーム16との間に加えられる電圧に応じて増大する。
【0050】
図5に例示するまた別の実施形態では、移動式構造12は、それ自体が固定構造10に接続する柔軟な相補的構造30と少なくとも一点Pにおいて接触する。
【0051】
さらに詳細には、図5に示す実施形態の場合、ロッド20の一端が、例えば端部が固定構造10に組み込まれた一組の柔軟な梁32から形成された柔軟構造30の一部に点Pを介して接触している。梁32の断面と長さは必要な剛性に応じて変えられる。さらに、本装置の動作は、図1、3および4を参照して上述した装置の動作に匹敵するものである。
【0052】
図6にさらに別の実施形態を示す。ここでは、剛性制御手段は少なくとも1つのプレッサ装置であり、調整可能な圧力により移動式構造12と接触するように取り付けられている。
【0053】
具体的には、図6に示す実施形態の場合、2つのプレッサ装置34が、図に36で示すプレッサ手段を介してロッド20の外部表面に接触するように取り付けられている。これらのプレッサ手段36は受動的手段でもよいし、能動的手段でもよい。どちらの場合も、プレッサ手段は、移動式構造12の変位量の増大に応じて調整される圧力により、プレッサ装置34をロッド20に接触させる。
【0054】
本発明によれば、上述した複数の実施形態において、静電制御により装置に課された制約を小さくすることができる。特に、エアギャップを削減できることにより、従来技術による装置と比較して装置を小型化することができる。同様に、印加される制御電圧も削減できる。不安定領域を安定領域とし、よってエアギャップの幅を目標とする変位振幅とほぼ等しくすることができる。さらに、変位の大部分にわたって制御電圧を線形化することができるか、または所望の「変位=f(電圧)」曲線をつくることができる。さらに、本構造は、特に制御電圧が大きいために機械的に安定する。最後に、本発明はいかなる型の静電制御にも適応可能である。
【0055】
例えば、図1を参照して上述に例示した実施形態を使用し、所望の結果を得るためにどのようにして表面Sの形状を決定するかについて説明する。
【0056】
第1段階は、考慮する装置に所望される動作V(Δy)を決定することである。例えば、この動作は図2の曲線Bに定義することができる。これは、不安定性領域に値V(Δy)を加えることに等しい。最初の制限的不安定地点から、所望の最大変位、例えば30μmから40μmのエアギャップが得られるまで、制御電圧を徐々に増大させることにより、偏差を持続させることができる。効果的には、静電的ブレイクダウン限界に到達する前に動きを停止させるため、所望の最大変位を超える剛性を大きく増大させる。
【0057】
次の段階は、前の段階で選択した曲線V(Δy)を得るのに必要な剛性K(y)を計算することである。この計算は上述の数式4を使用して行う。
【0058】
この値は、移動式構造12の変位の間この可変剛性を生成するのに必要な剛性部分24(図1)の表面積Sの形状を推論するのに使用される。これは、該面積を関数g(x)で定義することにより行う。図1に例示するように、この関数g(x)は、梁22の一方の端から表面S上に想定される点までの距離xによって変化する、方向yに直交し、部分24に組み込まれた梁22の端部を通る平面と、表面Sとの距離gの変化を表す。
【0059】
表面積Sを上述のように定義し、ロッド20の中心線に沿って梁22に力Fを加えることにより生じる偏差の値をΔyとするとき、移動式梁22は、横座標aおよびl−a、縦座標g(a)における2つの対称点でのみ部分24に接触する(lは柔軟な梁の長さ)。
【0060】
端部において固定構造に組み込まれ、中心力Fが加わって表面Sに2点Pで接触する梁22は、1つの3次不静定システムを形成する。このシステムは容易に3つの1次システムに分解することができ(力Fが加わる組み込み式梁、第1の点Pにおいて表面Sの反力P1が加わる組み込み式梁、および第2の点Pにおいて表面Sの反力P2が加わる組み込み式梁であり、反力P1とP2の符号は力Fの逆である)、よってこの解を求めることができる。そこで、梁22の総変位量Y(x)は、単純に各1次システムの変位量Y1(x)、Y2(x)およびY3(x)を重ね合わせ:
Y(x)=Y1(x)+Y2(x)+Y3(x)
として表される。
【0061】
力P1およびP2は、梁22がx=aおよびx=l−aの地点で接触点を通過することを考慮して決定される。したがって:
Y(a)=Y(l−a)=g(a)
と言うことができる。
【0062】
結果として、力P1およびP2は除去することができ、変形量の等式は、単純に、梁に加えられる中心力F、および支持点の座標(a,g(a))、(l−a,g(a))の関数として決定することができる。
【0063】
このように梁22の変位量Yを決定した後、梁の最大偏差を計算する。例示した実施形態の場合、x=1/2である場合の変位量Yの値Ymaxに相当する。
【0064】
次の段階は、以下の式を使用して、システムの有効剛性Kcalculated[g(a),Ymax]を決定することである:
F=K(ymax)・Ymax
【0065】
図1の実施形態では、システムの有効剛性は以下の式で与えられる:
【数5】
ここで、Eは梁22の材料の弾性係数を、Iは梁のy軸に対して垂直な部分の二次モーメントを、それぞれ表す。
【0066】
この値Kcalculated(y)を数式4で使用する関数K(y)と混同してはならない。これは、座標(a,g(a))の選択によって決定されるもので、x=aのときのみ関数K(y)と等しい値をとる。
【0067】
梁22の特定の偏差ymaxについて、aおよびg(a)の値によりシステムの剛性が決定する。しかしながら、ある特定の剛性についてこの剛性を得ることのできる点(a,g(a))の無限点が1つ存在する。
【0068】
後述する段階で、最初の曲線V(Δy)を得るのに必要な剛性を生むことができる全ての点(ai,g(ai))を計算する。結果的に、1つの特定の値ymaxについて剛性Kが決まり、この剛性を得るために使用できる全ての点(a,g(a))を数式5を使用して決定する。
【0069】
図7の曲線D、E、FおよびGは、剛性値Kがそれぞれ0.1N/m、0.57N/m、1N/mおよび2N/mである場合の点(a,g(a))の組を表す。K=0.57N/mである場合の曲線Eは、支持が無い場合の梁の実際の変位量に正確に一致する。梁の最初の剛性よりも剛性が小さい場合に相当する曲線Dは、固定構造が梁に対して圧力ではなくむしろ張力として作用するため現実的でない。
【0070】
次の段階は、固定支持体の形状を決定する点(ai,g(ai))=G(a)の組を識別し、これらの点が、変位した構造の変形形状に適合することを確実にする。図8に示すように、特定の剛性について、構造の特定の変形形状が各組(ai,g(ai))に対応する。さらに具体的には、図8は、支持点が全くない場合であって(曲線H)、点の組(a,g(a))の値が同じ剛性K(曲線I)を生じさせるものである場合の梁の変形量y(x)を表す。
【0071】
(ai,g(ai))=G(a)である点の組を識別するため、第一段階では、相互に、および移動式梁の変位に適合する剛性k(yi)を生じさせる全ての点(ai,g(ai))を決定する。これは、選択された全ての点(ai,g(ai))に対応する曲線G(a)が、ymaxの全ての値についてy(a)より大きくなければならないことを意味し、結果として支持点における導関数G’(a)がy’(a)より大きくなければならないことを意味する。これを達成するために、梁が実際に点(ai,g(ai))を通過すること、および各偏差yiについてこの点のみを通過することを確実にすることが必要である。
【0072】
実際には、支持構造の表面Sの連続する点(a,g(a))は、梁22の不安定点から必要な最大偏差までの偏差を走査することにより1つずつ決定される。このために、偏差は増分に分解される。
【0073】
各偏差点y(変形形状のたわみ)の剛性K(y)は、上述の数式4を使用して得られる。図7にはこの剛性Kのために生成される点(ai,g(ai))からなる曲線を示す。次の段階は、接触点とグラジエントとに関する条件を考慮して支持体の形状と前段階で決定された構造の変形形状とを比較し、それにより考えられる偏差と一致する点(a,g(a))を決定することである。
【0074】
次に、上述の条件をどのように考慮するかについて、図9ないし11を参照しながら例を用いて説明する。
【0075】
剛性k1に対応する偏差y1に関し、点(ai,g(ai))が決定されたと仮定する。これに対応する変形量を図9の曲線Jで示す。次の段階では、y1より大きい偏差y2に一致する点(a2,g(a2))を決定するために反復を行う。このようにして求められる剛性k2もまた、k1よりも大きくなければならない。
【0076】
図7に関して上述したように、剛性k2は点の組(ai,g(ai))により求めることもできる。その後、次の段階では、剛性k2を導くg2(a)を表す曲線Lを図9の曲線Jに重ね合わせる。曲線JとLの交差点より下の全ての解は以前の変形量に適合しないので除外する。一般にgi(ai)>yj(ai)(jは0からi−1まで変化する)と表記されるこの第1条件を使用し、aiに可能な値を決定する。
【0077】
さらに、上述したように、一対の(a,g(a))を選択することにより、kの値と、Kcalculated(ymax)とが固定された。したがって、このグラジエントが所望のK(ymax)より小さいままであることを確実にする必要がある。
【0078】
したがって、3つの可能な変形量y(x)をM、NおよびOで示す図10に例示した第2例では、同じ剛性Kを導く一対の(ai,g(ai))として、曲線MおよびN上の点aiは高すぎるということが分かる。このため、曲線Oの第1の支持点を使用する。したがって、さらに大きな偏差を生じる梁の剛性を、同じ点に使用し、K(ym)の増大が大きすぎる曲線MとNの支持点には使用しない。
【0079】
具体的には、選択した点ai(およびその横座標g(ai))は上述の条件を満たす第一点である。
【0080】
上述の数値例では、これらの様々な定数を考慮して、図1の梁22の変形が支持構造の表面SのトポグラフィーG(a)と矛盾したものにならないことを確実にしている。図11は、12μmから30μmまで2μm幅で変化する最大偏差について、梁の連続的変形を示す。この図では、点Qは、各偏差について固定支持体と梁との接触点を表す。よって、それらは可変剛性を生成する表面Sの形状を表している。
【0081】
前段で説明した例示的実施形態は、本発明による剛性制御手段の使用が、計算可能な可変剛性を装置に与えることにより、不安定領域を排除し、変位曲線を部分的に線形化し、および制御電圧を無視できる程度に上昇させるために変位の振幅を増大させる手段であるということを示すものである。
【0082】
明らかに、可変剛性を生成する構造の特徴を計算する方法は、構造の性質によって異なる。よって、図1の表面Sの形状を決定するための上述の方法は、本発明の範囲を制限するものではない。必要な可変剛性を生成するために使用される特徴は、任意の適当な手段(特に自動計算手段を含む)により決定することができる。
【0083】
本発明は多くの技術分野、特に静電コームを使用する装置に適用可能である。特に、応用可能な分野としては、レーザによる遠隔測定(車両障害物の検知など)、バーコード読取り、光ビームの切り換え、シーンの再構成などに使用されるマイクロデフレクタ、例えばより安全なスウィッチング行列および光ファイバーネットワーク、光スウィッチまたは光学可変減衰器などの再構成のための電気通信において、光ビームの空間スウィッチングに使用されるマイクロスウィッチ、マイクロ−ファブリペローなどの膜構造、調整可能な光学部品などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による装置の第1実施形態を例示する横断面図である。
【図2】剛性が一定のKoである場合(先行技術、曲線A)、Koより大きな可変剛性K1(y)の場合(曲線B)、およびK1より大きな可変剛性K2(y)の場合(曲線C)において、移動式構造の変位Δ(μm)に応じて変化する制御電圧V(volt)の変化を示す。
【図3】本発明の第2実施形態の2つの変形例を左右それぞれに示す、図1に対応する断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態を示す、図1および3に対応する断面図である。
【図5】本発明の第4実施形態を示す、図1、3および4に対応する断面図である。
【図6】本発明の第5実施形態を示す、図1および3ないし5に対応する断面図である。
【図7】図1の実施形態における異なる値の剛性Kに対する曲線g(a)をそれぞれD、E、FおよびGで、数値例とともに示したものである。
【図8】支持点がない場合(曲線H)、および剛性kが同じである組(a,g(a))の値(曲線I)に対する、図1の梁の変形量y(x)を示す。
【図9】偏差y1および剛性k1に対応する変形量(曲線J)と、剛性k2を生じさせるg2(a)の値(曲線L)とを示すグラフである。
【図10】M、NおよびOで示す理論的に可能な3つの変形量y(x)と、それぞれに対応する支持点aiを示す。
【図11】考慮する実施例において、図1の梁について得られた連続的変位y(x)を示す。
発明の技術分野
本発明は、好適には静電型の、制御手段の作用の下で動くことができる、移動式機械構造を備えた装置に関するものである。
【0002】
本発明は、可変性エアギャップを有する静電コーム(comb)により制御されるマイクロアクチュエータの製造に特に利用可能である。しかしながら、最適化された装置、すなわち大きな出力または変位を可能にしながら低い制御電力に反応する小型の装置が所望されるところでは、他の分野でも利用できる。
【0003】
従来技術
既存の静電アクチュエータは、動作モードによって2種類に分類することができる。
第1の分類は、可変性エアギャップを有する静電コームにより制御されるアクチュエータである。この種類のアクチュエータは、電極間に電位差が加えられた時に生成される電極面に垂直な力を使用する。この力は2つの電極を互いに接近させる傾向がある。
第2の分類は、可変面積式静電コーム(しばしば「インターデジタル化コーム(inter−digitized comb)」と呼ばれる)により制御されるアクチュエータである。この種類のアクチュエータは、電極間に電位差が加えられた時に生成される電極面と平行な横力を使用する。この力は2つの電極を互いに整列させる傾向がある。
【0004】
これら2種類のアクチュエータは、現在マイクロシステム(MEMS、MOEMS、等)に使用されている。それらはマイクロエレクトロニクスから得られるマイクロテクノロジーを使用して作られる。
可変面積式コームは、その大きさのため、この特定の分野で使用されることが最も多い。
【0005】
しかしながら、電極を形成するのに側面に金属を堆積させることが必要な絶縁材料からアクチュエータが作られている時は、可変性エアギャップコームが好んで使用される。満足のゆく動作のためには極薄のエアギャップ(電極間の空間)が必要であり、電極を金属化するのが困難であるとそのような薄いエアギャップを作るのは難しいので、可変面積コームはこのような場合に使用するのが難しい。
【0006】
しかしながら、可変性エアギャップコームには固有の欠点があり、その効率を最適化することが不可能である。すなわち、大きな出力または変位を維持しながら小型化および電圧制御をすることができない。
【0007】
可変性エアギャップコームに特有のこのような欠点とは、第1に、2つの電極間の媒体に放電(ブレイクダウン)をもたらす危険があることであり、第2に、「電気的不安定」の問題である。
【0008】
放電の危険により生じる問題を解決するために複数の方法が周知である。
第1の方法は、電極間の距離を大きくすることである。しかしながら、これは制御電圧の上昇、および/または大型化を招く。
【0009】
別の方法は、例えば、空気をSF6などのより適切なガスに替えることにより電極を分けている媒体の性質を変え、電気的強度を増大させることである。この方法はある程度漏電防護を強化することになるエンキャプスレーション技術を実行することであり、結果として技術的な困難を増加させ、装置の費用を上昇させる。
【0010】
ブレイクダウンの問題は、電極の周り、よって機械構造の周りに真空をつくり出すことでも解決できる。しかしながら、前項の方法と同様に、この方法でも必然的にエンキャプスレーションを使用することになり、さらに、ガスによる減衰効果を排除することになる。
【0011】
電気的不安定の現象は、電極間に加えられた電圧が、同時に機械的部分に偏差をもたらし、空隙または静電エアギャップを減少させるという事実により起こる。しかし、エアギャップの幅が小さいとき静電力は大きい。そのため、電極間に加えられた電圧により生成された制御偏差には静電力の増加が伴い、それがまた偏差を増大させる傾向にある。結果として、電圧が上昇し、変位した構造の機械的剛性が静電力を補償しなくなると、「不安定閾値」に到達する。この閾値の手前で、加えた電圧により機械的構造の位置が完全に決定される。不安定閾値を越えると、移動式構造が自然に動いて電極同士が接触し、その結果短絡が発生し多くは装置の部分的破損に繋がる。
【0012】
例えば、カンチレバーを備え、一方の端が固定され、自由端である他方の端に静電力が加えられる梁を使用する特定の場合では、不安定閾値はエアギャップの3分の1に相当する偏差と一致する。
【0013】
したがって、この電気的不安定現象を考慮し、エアギャップの幅は、用途により固定される必要な機械的変位の少なくとも3倍でなければならない。この結果、静電コームが大型化すると共に印加される電圧が大きくなり、この種の装置にとって大きな欠点となる。
【0014】
J.Mohr、M.KholおよびW.Mentzによる文献「変位の大きな静電式線形アクチュエータによる微小光学スイッチング(Micro−Optical Switching by Electrostatic Linear Actuators with Large Displacements)」(1993年、固定センサ・アクチュエータに関する第7回国際会議、120−123頁)、およびR.Legtenberg、J.Gilbert、S.D.SenturiaおよびM.Elwenspoekによる「静電曲電極アクチュエータ(Electrostatic Curved Electrode Actuators)」(1997年9月、マイクロエレクトロメカニカルシステムズ機関紙第6巻No.3、257−265頁)には、上記の欠点を制限するための方法が開示されている。
【0015】
最初に挙げた文献には、三角形状の電極が開示されている。次に挙げた文献には湾曲した電極が開示されている。これら特殊な電極の形は、変位の振幅を増加させる、または静電制御の性質を直接変えることにより制御電圧を減少させることを目的としている。例えば、湾曲形状により電極の内蔵された固定端付近のエネルギーロスが減少する。
【0016】
非常に大きな偏差を得るために、電気的不安定を使用する方法も周知である。該方法では、故意に不安定領域を通過し、電極同士が接触する直前に機械的な止めを使用して偏差を停止させる。しかしながら、これらの装置は不安定領域に安定した中間的位置を有しない。
【0017】
結果として、機械的構造に安定した偏差をつくり出そうと試みる場合、静電動作に関する重大な限界が存在する。これらの限界により、不安定領域、高い制御電圧、および大型化を避けるためには非常に大きなエアギャップが必要となり、および/または静電制御の非線形動作が必要となる。
【0018】
本発明の要旨
本発明の1つの目的は、大きな出力および変位を可能にしながら小型で且つ低い制御力に応答する、新規設計による移動式機械構造を備えた装置を提供することである。本発明では、動作、すなわち変位(ほぼその全範囲にわたる直線距離)を、制御電圧の関数とすることができる。
【0019】
本発明によると、固定構造、柔軟性のある支持手段により固定構造に接続された移動式構造、および移動式構造を変位させることが可能な制御手段を備えた装置であって、所定の全体剛性を有し、移動式構造に取り付けられた機械的剛性制御手段が前記全体的剛性を修正することにより移動式構造の変位量を変化させることができることを特徴とする装置により、この結果を得ることができる。
【0020】
この場合、有利なことに、剛性制御手段は、移動式構造の変位と共に漸進的に増大するように装置の全体的な剛性を修正することができる。
【0021】
本発明の有利な利用例によると、制御手段は静電式である。しかしながら、他の種類の制御手段も使用することができる。制御手段は、移動部分の外側に設置された、例えば装置に加速度を加えることができるような、駆動システムなどからなってもよい。
【0022】
剛性制御手段は、本発明の範囲から逸脱しない限り、様々な形態をとることができる。
【0023】
よって、第1の実施形態では、移動式構造に固定された梁が、剛性制御手段を具現化する固定構造上の少なくとも一点で支持され、梁と固定構造を構成する要素の少なくとも1つが柔軟性を有し、これら要素は前記支持点が前記柔軟性の要素の曲がりによって変化するような形状である。状況に応じて、梁は、移動式構造を固定構造に接続する柔軟な支持手段に使用される梁か、または移動式構造に付加される、柔軟な支持手段とは異なる要素とすることができる。
【0024】
別の実施形態では、移動式構造が剛性制御手段となる付属の柔軟構造上に少なくとも1点で接触し、付加的柔軟構造の剛性が移動式構造の位置により変化する。
【0025】
また別の実施形態では、移動式構造が剛性制御手段である少なくとも1つのプレッサ装置とこすれるように接触しており、該接触の圧力が調節可能となっている。この場合、プレッサ装置を移動式構造と接触するように取り付けるための手段は、受動的手段でも能動的手段でもよい。「受動的手段」とは、装置外部のエネルギーを加えることなくプレッサ装置を該構造と接触させることのできる手段を指し、「能動的手段」とは、装置外部のエネルギーを使用する手段を指す。
【0026】
ここで、添付図面を参照しながら本発明の非限定的な例示としていくつかの実施形態を説明する。
【0027】
本発明の好適な実施形態の詳細
図1および図3ないし6に例示した本発明の異なる実施形態はすべて、少なくとも1つの柔軟な支持梁22を備える柔軟な支持手段により移動式構造12が固定構造10に接続している静電制御装置に適用する。
【0028】
さらに具体的には、すべての実施形態において、固定構造10は固定コーム14を備え、移動式構造12は移動式コーム16を備えている。固定コーム14および移動式コーム16は制御手段を形成し、装置が稼動していないときdoに等しい値を有するエアギャップにより分離されている。
【0029】
固定コーム14と移動式コーム16との間に従来の方法により適当な制御電圧Vを加えることができる。制御電圧Vを加えると、移動式コーム16が固定コーム14の方向へと移動し、該方向への移動によりエアギャップの値が低下する傾向がある。該方向とは、すなわち図1のロッド20の軸と平行な方向yである。
【0030】
図1および図3ないし6に図解した複数の実施形態では、移動式構造12は移動式コーム16が固定されたロッド20も備える。ロッド20は、移動式コーム16、柔軟な支持梁22および移動式構造の残りの部分を接続する機械的構造である。その一部、例えば柔軟な支持梁22の中心部は、ロッド20の一方の端部と、梁22のもう一つ別の部分に固定されており、よってその端は固定構造10に組み込まれている。
【0031】
上述した従来技術による構成の場合、装置の全体的な剛性は、主に柔軟な支持梁22の柔軟性によって決定する所定の値Koを有する。
この構成における、制御手段により移動式構造12に加えられる電気的変位力Felecは、次の式に表すことができる:
【数1】
ここで、εは梁22を形成する物質の比誘電率を、Sは対向する電極の表面積を、doは非稼動時のエアギャップの値を、Δyは移動式構造12の変位量、すなわち梁22の最大変位を、およびVは制御手段に加えられた制御電圧を意味する。
【0032】
さらに、移動式構造には以下の式で表される機械的復旧力Fmechaが加わる:
【数2】
【0033】
システムは、復旧力と、単にFelec=Fmechaで表される電力とが均衡する限り安定している。平衡(静的)点における移動式構造12の変位量Δyを制御するために必要な制御電圧Vは、以下の式のように推論される:
【数3】
【0034】
曲線V(Δy)はΔy=do/3における最小値を通過する。移動式構造の変位量がこの値を超過する時、装置は不安定になり、電極が互いに接触してその状態を維持する。
【0035】
本発明では、剛性制御手段が移動式構造12に取り付けられており、装置の全体的剛性を修正する。さらに具体的には、剛性制御手段とは、装置の全体的な剛性が、制御手段により制御される移動式構造12の変位量に伴って漸進的に増加するように構成された機械的手段である。
【0036】
図1に示す本発明の実施形態では、剛性制御手段は固定構造10の一部である剛性部分24である。この部分24は表面Sを備え、該表面には柔軟な支持梁22が少なくとも1点Pで接触している(図1では、梁22が2点Pにおいて表面Sと接触している)。剛性部分24の表面Sは、梁の変位量Δyが増大すると、柔軟な支持梁22上の接触点Pがロッド20の中心線に接近するような形状である。結果として、装置の剛性は移動式構造の変形量、すなわち、該構造に加わる変位力とともに増大する。
【0037】
装置の剛性は移動式構造12が変位する間に変化するので、この剛性は、関数K(y)という形式に表すことができ、数式3は以下の式のようになる:
【数4】
【0038】
関数K(y)を選択することにより、安定性の限界、およびさらに一般的には曲線V(Δy)が直接固定される。図2は、制御電圧Vと移動式構造12の変位量Δyとの関係を示したものであり、Aは合成が一定で、且つKoと等しい場合(先行技術)を、Bは剛性K1(y)がKoより大きく、y方向への変位とともに増大する場合を、Cは剛性K2(y)がK1(y)より大きい場合をそれぞれ表す曲線である。この図から、K(y)>Koである全領域に亘り、装置の動き具合を精密に制御するのに本発明による剛性制御手段が有効であることが明らかである。
【0039】
したがって、エアギャップの所定の値について、移動式構造12の安定した変位はもはやこの値の3分の1に限定されず、むしろエアギャップ中に存在する物質のブレイクダウン限界に限定される。よって、安定性を制限する要因はずっと小さい。さらに、電極の面積が少しでも増大すると、制御電圧に影響するだけでなく、ブレイクダウンを防止するのに許される最大変位量にも影響する。
【0040】
詳細をさらに後述するように、図1の実施形態の表面Sの形状は、移動式構造に加えられる変位力の関数として、装置に予め定められた剛性変化を実現するように決定してもよい。
【0041】
さらに、変位の間の機械的構造の変位形状を完全に制御するために、梁22の形状、大きさおよび断面を予め決定することができる。
【0042】
図1を参照して上述した装置では、固定構造10の剛性部分24(剛性制御手段)により装置の全体的剛性が変更され、それにより電気的に不安定な領域がさらに遠くへ押しやられる。
【0043】
あるいは、梁22の形状と大きさを変更する、例えば一方の端から他方の端までの横断面を変更することにより、制御電圧Vの関数である装置の剛性を変えることができる。
【0044】
図3ないし6に例示する実施形態では、図1の場合と異なり、剛性制御手段が柔軟な支持手段22とは異なる。図3の実施形態では、剛性制御手段は装置に付加された相補的な構造であり、該構造により、支持点が所定の形状を有する固定構造10の表面と接触している。
【0045】
さらに具体的には、図3の左側は、相補的構造が、固定構造10に接続する少なくとも1つの柔軟な梁26と、移動式構造に接続する少なくとも1つの梁17とから形成される場合を示している。柔軟な梁26の一端は、所定の形状を有する固定構造の表面Sに少なくとも一点Pにおいて接続している。
【0046】
この構成により、移動式構造12、特に梁26に接触する梁17が方向yへ変位すると、柔軟な梁26が変形し、固定構造の前記表面Sとのその接触点または点Pがロッド20の中心線の方向へ移動する。よって、図1を参照して説明した第1の実施形態では、装置の全体的剛性は印加する電圧に応じて増大する。
【0047】
図3の右側には、本発明のこの第2実施形態の変形例が示されている。この変形例では、相補的構造が梁17の中央線の延長に沿う少なくとも1つの柔軟な梁26’から形成されている。さらに詳細には、柔軟な梁26’は、所定の形状を有する固定構造10の表面Sに少なくとも一点Pにおいて接するように梁17の一端に接触する。前例と同様に、移動式構造12が方向yに向かって変位するにつれ、1または複数の接触点はロッドの中心線に接近する。したがって、装置の全体的剛性は印加する電圧に応じて増加する。
【0048】
図4に例示する別の実施形態では、アームまたは柔軟な梁28を備える相補的構造がロッド20により移動式構造12に固定されている。移動式構造12の一部を形成する柔軟なアーム28は、所定の形状を有する固定支持体10の表面Sに、少なくとも一点Pを介して接触している。
【0049】
図4を参照して前段で説明した構成では、移動式構造12がy方向へ移動するとき、1または複数の接触点Pはロッド20の中心線に徐々に接近することにより、装置の全体的剛性は固定コーム14と移動式コーム16との間に加えられる電圧に応じて増大する。
【0050】
図5に例示するまた別の実施形態では、移動式構造12は、それ自体が固定構造10に接続する柔軟な相補的構造30と少なくとも一点Pにおいて接触する。
【0051】
さらに詳細には、図5に示す実施形態の場合、ロッド20の一端が、例えば端部が固定構造10に組み込まれた一組の柔軟な梁32から形成された柔軟構造30の一部に点Pを介して接触している。梁32の断面と長さは必要な剛性に応じて変えられる。さらに、本装置の動作は、図1、3および4を参照して上述した装置の動作に匹敵するものである。
【0052】
図6にさらに別の実施形態を示す。ここでは、剛性制御手段は少なくとも1つのプレッサ装置であり、調整可能な圧力により移動式構造12と接触するように取り付けられている。
【0053】
具体的には、図6に示す実施形態の場合、2つのプレッサ装置34が、図に36で示すプレッサ手段を介してロッド20の外部表面に接触するように取り付けられている。これらのプレッサ手段36は受動的手段でもよいし、能動的手段でもよい。どちらの場合も、プレッサ手段は、移動式構造12の変位量の増大に応じて調整される圧力により、プレッサ装置34をロッド20に接触させる。
【0054】
本発明によれば、上述した複数の実施形態において、静電制御により装置に課された制約を小さくすることができる。特に、エアギャップを削減できることにより、従来技術による装置と比較して装置を小型化することができる。同様に、印加される制御電圧も削減できる。不安定領域を安定領域とし、よってエアギャップの幅を目標とする変位振幅とほぼ等しくすることができる。さらに、変位の大部分にわたって制御電圧を線形化することができるか、または所望の「変位=f(電圧)」曲線をつくることができる。さらに、本構造は、特に制御電圧が大きいために機械的に安定する。最後に、本発明はいかなる型の静電制御にも適応可能である。
【0055】
例えば、図1を参照して上述に例示した実施形態を使用し、所望の結果を得るためにどのようにして表面Sの形状を決定するかについて説明する。
【0056】
第1段階は、考慮する装置に所望される動作V(Δy)を決定することである。例えば、この動作は図2の曲線Bに定義することができる。これは、不安定性領域に値V(Δy)を加えることに等しい。最初の制限的不安定地点から、所望の最大変位、例えば30μmから40μmのエアギャップが得られるまで、制御電圧を徐々に増大させることにより、偏差を持続させることができる。効果的には、静電的ブレイクダウン限界に到達する前に動きを停止させるため、所望の最大変位を超える剛性を大きく増大させる。
【0057】
次の段階は、前の段階で選択した曲線V(Δy)を得るのに必要な剛性K(y)を計算することである。この計算は上述の数式4を使用して行う。
【0058】
この値は、移動式構造12の変位の間この可変剛性を生成するのに必要な剛性部分24(図1)の表面積Sの形状を推論するのに使用される。これは、該面積を関数g(x)で定義することにより行う。図1に例示するように、この関数g(x)は、梁22の一方の端から表面S上に想定される点までの距離xによって変化する、方向yに直交し、部分24に組み込まれた梁22の端部を通る平面と、表面Sとの距離gの変化を表す。
【0059】
表面積Sを上述のように定義し、ロッド20の中心線に沿って梁22に力Fを加えることにより生じる偏差の値をΔyとするとき、移動式梁22は、横座標aおよびl−a、縦座標g(a)における2つの対称点でのみ部分24に接触する(lは柔軟な梁の長さ)。
【0060】
端部において固定構造に組み込まれ、中心力Fが加わって表面Sに2点Pで接触する梁22は、1つの3次不静定システムを形成する。このシステムは容易に3つの1次システムに分解することができ(力Fが加わる組み込み式梁、第1の点Pにおいて表面Sの反力P1が加わる組み込み式梁、および第2の点Pにおいて表面Sの反力P2が加わる組み込み式梁であり、反力P1とP2の符号は力Fの逆である)、よってこの解を求めることができる。そこで、梁22の総変位量Y(x)は、単純に各1次システムの変位量Y1(x)、Y2(x)およびY3(x)を重ね合わせ:
Y(x)=Y1(x)+Y2(x)+Y3(x)
として表される。
【0061】
力P1およびP2は、梁22がx=aおよびx=l−aの地点で接触点を通過することを考慮して決定される。したがって:
Y(a)=Y(l−a)=g(a)
と言うことができる。
【0062】
結果として、力P1およびP2は除去することができ、変形量の等式は、単純に、梁に加えられる中心力F、および支持点の座標(a,g(a))、(l−a,g(a))の関数として決定することができる。
【0063】
このように梁22の変位量Yを決定した後、梁の最大偏差を計算する。例示した実施形態の場合、x=1/2である場合の変位量Yの値Ymaxに相当する。
【0064】
次の段階は、以下の式を使用して、システムの有効剛性Kcalculated[g(a),Ymax]を決定することである:
F=K(ymax)・Ymax
【0065】
図1の実施形態では、システムの有効剛性は以下の式で与えられる:
【数5】
ここで、Eは梁22の材料の弾性係数を、Iは梁のy軸に対して垂直な部分の二次モーメントを、それぞれ表す。
【0066】
この値Kcalculated(y)を数式4で使用する関数K(y)と混同してはならない。これは、座標(a,g(a))の選択によって決定されるもので、x=aのときのみ関数K(y)と等しい値をとる。
【0067】
梁22の特定の偏差ymaxについて、aおよびg(a)の値によりシステムの剛性が決定する。しかしながら、ある特定の剛性についてこの剛性を得ることのできる点(a,g(a))の無限点が1つ存在する。
【0068】
後述する段階で、最初の曲線V(Δy)を得るのに必要な剛性を生むことができる全ての点(ai,g(ai))を計算する。結果的に、1つの特定の値ymaxについて剛性Kが決まり、この剛性を得るために使用できる全ての点(a,g(a))を数式5を使用して決定する。
【0069】
図7の曲線D、E、FおよびGは、剛性値Kがそれぞれ0.1N/m、0.57N/m、1N/mおよび2N/mである場合の点(a,g(a))の組を表す。K=0.57N/mである場合の曲線Eは、支持が無い場合の梁の実際の変位量に正確に一致する。梁の最初の剛性よりも剛性が小さい場合に相当する曲線Dは、固定構造が梁に対して圧力ではなくむしろ張力として作用するため現実的でない。
【0070】
次の段階は、固定支持体の形状を決定する点(ai,g(ai))=G(a)の組を識別し、これらの点が、変位した構造の変形形状に適合することを確実にする。図8に示すように、特定の剛性について、構造の特定の変形形状が各組(ai,g(ai))に対応する。さらに具体的には、図8は、支持点が全くない場合であって(曲線H)、点の組(a,g(a))の値が同じ剛性K(曲線I)を生じさせるものである場合の梁の変形量y(x)を表す。
【0071】
(ai,g(ai))=G(a)である点の組を識別するため、第一段階では、相互に、および移動式梁の変位に適合する剛性k(yi)を生じさせる全ての点(ai,g(ai))を決定する。これは、選択された全ての点(ai,g(ai))に対応する曲線G(a)が、ymaxの全ての値についてy(a)より大きくなければならないことを意味し、結果として支持点における導関数G’(a)がy’(a)より大きくなければならないことを意味する。これを達成するために、梁が実際に点(ai,g(ai))を通過すること、および各偏差yiについてこの点のみを通過することを確実にすることが必要である。
【0072】
実際には、支持構造の表面Sの連続する点(a,g(a))は、梁22の不安定点から必要な最大偏差までの偏差を走査することにより1つずつ決定される。このために、偏差は増分に分解される。
【0073】
各偏差点y(変形形状のたわみ)の剛性K(y)は、上述の数式4を使用して得られる。図7にはこの剛性Kのために生成される点(ai,g(ai))からなる曲線を示す。次の段階は、接触点とグラジエントとに関する条件を考慮して支持体の形状と前段階で決定された構造の変形形状とを比較し、それにより考えられる偏差と一致する点(a,g(a))を決定することである。
【0074】
次に、上述の条件をどのように考慮するかについて、図9ないし11を参照しながら例を用いて説明する。
【0075】
剛性k1に対応する偏差y1に関し、点(ai,g(ai))が決定されたと仮定する。これに対応する変形量を図9の曲線Jで示す。次の段階では、y1より大きい偏差y2に一致する点(a2,g(a2))を決定するために反復を行う。このようにして求められる剛性k2もまた、k1よりも大きくなければならない。
【0076】
図7に関して上述したように、剛性k2は点の組(ai,g(ai))により求めることもできる。その後、次の段階では、剛性k2を導くg2(a)を表す曲線Lを図9の曲線Jに重ね合わせる。曲線JとLの交差点より下の全ての解は以前の変形量に適合しないので除外する。一般にgi(ai)>yj(ai)(jは0からi−1まで変化する)と表記されるこの第1条件を使用し、aiに可能な値を決定する。
【0077】
さらに、上述したように、一対の(a,g(a))を選択することにより、kの値と、Kcalculated(ymax)とが固定された。したがって、このグラジエントが所望のK(ymax)より小さいままであることを確実にする必要がある。
【0078】
したがって、3つの可能な変形量y(x)をM、NおよびOで示す図10に例示した第2例では、同じ剛性Kを導く一対の(ai,g(ai))として、曲線MおよびN上の点aiは高すぎるということが分かる。このため、曲線Oの第1の支持点を使用する。したがって、さらに大きな偏差を生じる梁の剛性を、同じ点に使用し、K(ym)の増大が大きすぎる曲線MとNの支持点には使用しない。
【0079】
具体的には、選択した点ai(およびその横座標g(ai))は上述の条件を満たす第一点である。
【0080】
上述の数値例では、これらの様々な定数を考慮して、図1の梁22の変形が支持構造の表面SのトポグラフィーG(a)と矛盾したものにならないことを確実にしている。図11は、12μmから30μmまで2μm幅で変化する最大偏差について、梁の連続的変形を示す。この図では、点Qは、各偏差について固定支持体と梁との接触点を表す。よって、それらは可変剛性を生成する表面Sの形状を表している。
【0081】
前段で説明した例示的実施形態は、本発明による剛性制御手段の使用が、計算可能な可変剛性を装置に与えることにより、不安定領域を排除し、変位曲線を部分的に線形化し、および制御電圧を無視できる程度に上昇させるために変位の振幅を増大させる手段であるということを示すものである。
【0082】
明らかに、可変剛性を生成する構造の特徴を計算する方法は、構造の性質によって異なる。よって、図1の表面Sの形状を決定するための上述の方法は、本発明の範囲を制限するものではない。必要な可変剛性を生成するために使用される特徴は、任意の適当な手段(特に自動計算手段を含む)により決定することができる。
【0083】
本発明は多くの技術分野、特に静電コームを使用する装置に適用可能である。特に、応用可能な分野としては、レーザによる遠隔測定(車両障害物の検知など)、バーコード読取り、光ビームの切り換え、シーンの再構成などに使用されるマイクロデフレクタ、例えばより安全なスウィッチング行列および光ファイバーネットワーク、光スウィッチまたは光学可変減衰器などの再構成のための電気通信において、光ビームの空間スウィッチングに使用されるマイクロスウィッチ、マイクロ−ファブリペローなどの膜構造、調整可能な光学部品などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による装置の第1実施形態を例示する横断面図である。
【図2】剛性が一定のKoである場合(先行技術、曲線A)、Koより大きな可変剛性K1(y)の場合(曲線B)、およびK1より大きな可変剛性K2(y)の場合(曲線C)において、移動式構造の変位Δ(μm)に応じて変化する制御電圧V(volt)の変化を示す。
【図3】本発明の第2実施形態の2つの変形例を左右それぞれに示す、図1に対応する断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態を示す、図1および3に対応する断面図である。
【図5】本発明の第4実施形態を示す、図1、3および4に対応する断面図である。
【図6】本発明の第5実施形態を示す、図1および3ないし5に対応する断面図である。
【図7】図1の実施形態における異なる値の剛性Kに対する曲線g(a)をそれぞれD、E、FおよびGで、数値例とともに示したものである。
【図8】支持点がない場合(曲線H)、および剛性kが同じである組(a,g(a))の値(曲線I)に対する、図1の梁の変形量y(x)を示す。
【図9】偏差y1および剛性k1に対応する変形量(曲線J)と、剛性k2を生じさせるg2(a)の値(曲線L)とを示すグラフである。
【図10】M、NおよびOで示す理論的に可能な3つの変形量y(x)と、それぞれに対応する支持点aiを示す。
【図11】考慮する実施例において、図1の梁について得られた連続的変位y(x)を示す。
Claims (10)
- 固定構造(10)、柔軟な支持手段(22)により固定構造に接続する移動式構造(12)、および移動式構造を変位させることができる制御手段(14、16)を備える装置であって、所定の全体的剛性を有し、移動式構造(12)に取り付けられた機械的剛性制御手段(22、17、26、26’、28、30、34)により、全体的剛性を、移動式構造(12)の変位(F)に応じて変化するように修正することができることを特徴とする装置。
- 全体的剛性が移動式構造(12)の変位(F)に応じて漸進的に増加するように、剛性制御手段(22、17、26、26’、28、30、34)により全体的剛性を修正することができる、請求項1に記載の装置。
- 制御手段(14、16)が静電式である、請求項1または2に記載の装置。
- 移動式構造(12)に固定された梁(22、17)が少なくとも一点(P)において剛性制御手段である固定構造(10)に接触し、梁(22)を構成する少なくとも1つの要素と固定構造(10)が柔軟性を有し、およびこれら要素は、前記柔軟な要素のたわみに応じて前記点(P)の位置が変わるような形状である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の装置。
- 剛性制御手段の梁(22)が、移動式構造(12)と固定構造(10)を接続する柔軟な支持手段にも使用される、請求項4に記載の装置。
- 梁(17)は移動式構造(12)に付加された要素であって、柔軟な支持手段(22)とは異なる、請求項4に記載の装置。
- 移動式構造(12)が剛性制御手段である付加式の柔軟構造(30)に少なくとも一点(P)において接触し、付加式柔軟構造(30)の剛性は移動式構造(12)の位置により変化する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の装置。
- 移動式構造(12)が剛性制御手段である少なくとも1つのプレッサ装置(34)とこすれるように接触しており、前記プレッサ装置(34)は調整可能な圧力で移動式構造(12)に押し当てられている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の装置。
- プレッサ装置(34)が受動的手段(36)により移動式構造(12)に接触している、請求項8に記載の装置。
- プレッサ装置(34)が能動的手段(36)により移動式構造(12)に接触している、請求項8に記載の装置。
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