JP2004527245A - ヒトのガンに関係したマーカーとしての、メチル化が変化したdna配列 - Google Patents
ヒトのガンに関係したマーカーとしての、メチル化が変化したdna配列 Download PDFInfo
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Abstract
メチル化が変化した新規な(103種類の)DNA配列(“マーカー配列”)を開示する。これらDNA配列は、ガンにおいて、正常な組織とは異なる明確なメチル化パターンを有する。多くの場合、これらマーカー配列は、GenBankデータベースには見られない新規な配列になっており、これらマーカー配列のいずれについても、ヒトのガン(例えば膀胱ガンや前立腺ガンなど)においてはそのメチル化パターンの特徴が以前は明らかになっていなかった。これら(103種類)の配列は、ヒトのガンを治療する際の診断用、予後予測用、治療用のマーカーとして、また、メチル化されたCpGを含む核酸を検出するためのキットにおける試薬として有用である。
Description
【0001】
関連する出願の相互参照
本出願は、2000年10月27日に出願されたアメリカ合衆国特許出願シリアル番号第09/699,243号の優先権を主張する。
【0002】
発明の属する技術分野
本発明は、ガン患者において変化したメチル化パターン(高メチル化または低メチル化)を示す新規なヒトDNA配列に関する。メチル化状態が変化した新規なこれらDNA配列は、ヒトのガンの診断、予後予測、治療に用いるマーカーとして有用である。
【0003】
発明の背景
腫瘍形成における初期の遺伝子変化を同定することが、分子レベルでのガン研究の中心的課題となっている。ガンに関連した遺伝子変化の性質とパターンが明らかになると、ガンの早期検出、診断、治療が可能になろう。脊椎動物におけるこのような遺伝子変化は、一般に、3つのカテゴリーのうちの1つに当てはまる。3つのカテゴリーとは、遺伝物質の取得または欠失;遺伝物質の突然変異;“CpG島”内のCpGジヌクレオチド中のシトシン残基のメチル化である。これらのうちでDNAのメチル化だけが可逆的であり、メチル化状態の変化が遺伝子の発現(例えばCpG島がプロモータ領域またはその近傍に位置する遺伝子の転写開始)または遺伝子の安定性に影響を及ぼすことが知られている。
【0004】
CpG 島内での CpG ジヌクレオチドのメチル化
DNAは、高等な真核生物では、CpGジヌクレオチド中のグアノシン残基に対して5’末端側に位置するシトシン残基でのみメチル化される。シトシン塩基のC−5位置がDNA(シトシン−5)メチルトランスフェラーゼという酵素によって変化してこのように共有結合すると、5−メチルシトシン(5−mCyt)の形成がもたらされ、この塩基が独自の性質を持つようになる(例えば自発的脱アミノ反応が起こりやすくなる)。酵素によるこのような変換は、脊椎動物において存在することが知られているDNAの唯一の後成的変化であり、正常な胚発生にとって非常に重要である(Bird, A.P.、Cell、第70巻、5〜8ページ、1992年;LairdとJaenisch、Human Molecular Genetics、第3巻、1487〜1495ページ、1994年;Li他、Cell、第69巻、915〜926ページ、1992年)。
【0005】
CpGジヌクレオチドに5−mCytが存在していることで、脊椎動物が進化していく間にゲノム中のこの配列が5分の1に減った(SchroderetとGartler、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第89巻、957〜961ページ、1992年)。これは、おそらく5−mCytが自発的に脱アミノ反応してチミジンになったためであろう。しかしゲノムのいくつかの領域ではこのような減少は見られず、そのような領域は“CpG島”と呼ばれている(Bird, A.P.、Nature、第321巻、209〜213ページ、1986年;Gardiner−GardenとFrommer、J. Mol. Biol.、第196巻、261〜282ページ、1987年)。これらCpG島は、脊椎動物のゲノムのほんの約1%にしかならないが、それでもゲノムCpGジヌクレオチドの総数の約15%を占めている(AntequeraとBird、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第90巻、11995〜11999ページ、1993年)。CpG島は、予想される(すなわち進化によって減少していない)頻度でCpGを含んでおり(観測値/予測値の比>0.6。なお観測値/予測値の比は、[CpG部位の数/(C塩基の数×G塩基の数)]×各断片のバンド長として計算される)、GCリッチであり(GC含量>0.5。なおGC含量は、(C塩基の数+G塩基の数)/各断片のバンド長として計算される)、典型的な長さは約0.2〜約1kbである。
【0006】
CpG 島内でのメチル化が、遺伝子の発現に影響を及ぼす
CpG島は、多数のハウスキーピング遺伝子と組織特異的遺伝子の上流に位置するが、遺伝子コード領域まで延びていることもある(CrossとBird、Current Opinions in Genetics and Development、第5巻、309〜314ページ、1995年;Larsen他、Genomics、第13巻、1095〜1107ページ、1992年)。体細胞組織のCpG島にあるシトシンのメチル化は、遺伝子の発現に影響を及ぼすと考えられている。メチル化は遺伝子の活性と逆相関することがわかっており、さまざまなメカニズムによって遺伝子の発現を低下させる可能性がある。そうしたメカニズムとしては、転写開始の抑制(Bird, A.P.、Nature、第321巻、209〜213ページ、1986年;Delgado他、EMBO Journal、第17巻、2426〜2435ページ、1998年)、局所的クロマチン構造の破壊(CountsとGoodman、Molecular Carcinogenesis、第11巻、185〜188ページ、1994年;Antequera他、Cell、第62巻、503〜514ページ、1990年)、メチル化した配列と特異的に相互作用するタンパク質の補充による転写因子の結合の直接的または間接的な阻止(Bird, A.P.、Cell、第70巻、5〜8ページ、1992年;CountsとGoodman、Molecular Carcinogenesis、第11巻、185〜188ページ、1994年;Cedar, H.、Cell、第53巻、3〜4ページ、1988年)などが挙げられる。多数の研究によってCpG島のメチル化が遺伝子の発現に及ぼす効果が明らかにされている(例えばCDKN2A/p16遺伝子;Gonzalez−Zulueta他、Cancer Research、第55巻、4531〜4535ページ、1995年)が、常染色体遺伝子上のほとんどのCpG島は生殖系列ではメチル化されないままであり、これらCpG島のメチル化は、一般に遺伝子の発現とは独立である。組織特異的遺伝子は、一般に、それぞれの標的器官においてはメチル化されないが、生殖系列と非発現成熟組織ではメチル化される。他方、構成的に発現しているハウスキーピング遺伝子のCpG島は、生殖系列と体細胞組織では通常はメチル化されない。
【0007】
CpG 島内でのメチル化が、ガンに関係する遺伝子の発現に影響を及ぼす
一連の研究からのデータによると、ガン細胞には、非ガン細胞と比べて変化したメチル化が存在している。これらの研究は、ゲノム・レベル全体でDNAのメチル化が変化するだけでなく、メチル基の分布も変化することを示している。例えば、ある細胞内のガン抑制遺伝子またはガン遺伝子に付随するCpG島の異常なメチル化により、変化した遺伝子発現が起こる可能性がある。このように変化した遺伝子発現により、選択的に有利に増殖する細胞集団が生まれ、これらの細胞の選択によりその生物に対する害がもたらされる可能性がある(すなわちガン)。
【0008】
不十分な相関データ
残念なことに、正常な細胞に対してガン細胞のCpG島内ではCpGジヌクレオチドには変化したメチル化が存在していること、あるいは特別な場合にこのようなメチル化の変化によって遺伝子の発現(またはクロマチンの構造または安定性)の変化がもたらされることがわかっただけでは、この知見を効果的な診断、予後予測、治療に応用するには不十分である。というのも、限られた数のCpG島についてしか特徴が明らかにされておらず、したがって、多数あるCpG島のうちのどの特定のCpG島が実際にガンまたはその原因と関係するか、あるいは有意な相関を示すかについての知識が足りないからである。しかも、特定のガンには、CpG島と見なされる配列構成を有する可能性があるDNA配列を含め、メチル化が変化した複数のDNA配列が関与した複雑なメチル化パターンが存在していることがある。
【0009】
したがって、メチル化が変化した特定のDNA配列を同定してその特徴を明らかにし、そのDNA配列をガンと関連づけ、診断、予後予測、治療に応用できるようにすることが、当業界で必要とされている。
【0010】
発明の概要
本発明により、ガンの診断法または予後予測法であって:検体組織から組織サンプルを取得し;その組織サンプルに由来するDNAに対してメチル化アッセイを行なうことにより、そのDNAのDNA配列中のCpGジヌクレオチドのメチル化状態を明らかにし(ただしこのDNA配列は、配列番号1〜103の配列、配列番号1〜103の配列に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を有する配列、配列番号1〜103の配列と関係したCpG島配列、配列番号1〜103の配列に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を有する配列と関係したCpG島配列、およびこれらの組み合わせからなるグループの中から選択した配列であり、特定の配列番号の配列と関係したCpG島配列は、その特定の配列番号の少なくとも1つのヌクレオチドを含んでいて、CpGジヌクレオチドの頻度が観測値/予測値の比>0.6に対応することと、GC含量>0.5であることの両方の条件を満たす連続したゲノムDNA配列である);診断または予後予測を、上記DNA配列中のCpGジヌクレオチドのメチル化状態を利用して行なう操作:を含む診断法または予後予測法が提供される。DNA配列は、配列番号1〜103の配列と関係したCpG島配列、配列番号1〜103の配列に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を有する配列と関係したCpG島配列、およびこれらの組み合わせからなるグループの中から選択した配列であることが好ましい。DNA配列は、配列番号2、4、6、7、9〜16、19、20、22〜33、35〜43、48、51〜55、59、60、64、71、76、78〜81、84、87〜90の配列と関係したCpG島配列、およびこれらの組み合わせからなるグループの中から選択した配列であることが好ましい。メチル化アッセイの方法は、メチライト、MS−SnuPE(メチル化感受性単一ヌクレオチド・プライマー伸長)、MSP(メチル化特異的PCR)、MCA(メチル化されたCpG島の増幅)、COBRA(亜硫酸水素塩と制限酵素を組み合わせた分析)、およびこれらの組み合わせからなるグループの中から選択することが好ましい。DNA配列中のCpGジヌクレオチドのメチル化状態は、高メチル化、低メチル化、正常メチル化のいずれかであることが好ましい。ガンは、膀胱ガン、前立腺ガン、結腸ガン、肺ガン、腎臓ガン、白血病、乳ガン、子宮ガン、星状膠細胞腫、グリオブラストーマ、神経芽細胞腫からなるグループの中から選択することが好ましい。ガンは、膀胱ガンまたは前立腺ガンであることが好ましい。
【0011】
本発明によりさらに、メチル化されたCpGを含む核酸を検出するのに有効で、1つ以上の容器を含む保持手段を含んで成るキットであって、配列番号1〜103の配列と、配列番号1〜103の配列に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を有する配列とからなるグループの中から選択した配列の任意の領域とハイブリダイズするプローブまたはプライマーを含む容器と;メチル化されたCpGを含む核酸の検出を、このプローブまたはプライマーに基づいて行なうのに必要な付加的な標準メチル化アッセイ用試薬とを備えるキットが提供される。付加的な標準メチル化アッセイ用試薬は、メチライト、MS−SNuPE、MSP MCA、COBRA、およびこれらの組み合わせからなるグループの中から選択したメチル化アッセイを実行するための標準試薬であることが好ましい。プローブまたはプライマーは、配列番号1〜103の配列と、配列番号1〜103の配列に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を有する配列とからなるグループの中から選択した配列中の少なくとも約12〜15個のヌクレオチドを含んで成ることが好ましい。
【0012】
本発明によりさらに、配列番号1、配列番号5、配列番号6、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号18、配列番号24、配列番号25、配列番号32、配列番号34、配列番号37、配列番号38、配列番号42、配列番号44、配列番号51、配列番号52、配列番号62、配列番号64、配列番号65、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号74、配列番号76、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号86、配列番号90、配列番号92、配列番号97、配列番号100からなるグループの中から選択したメチル化されたポリヌクレオチド配列またはメチル化されていないポリヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子が提供される。核酸はメチル化されていることが好ましい。核酸はメチル化されていないことが好ましい。
【0013】
発明の詳細な説明
定義:
“GC含量”とは、特定のDNA配列中の[(C塩基の数+G塩基の数)/各断片のバンド長]を意味する。
【0014】
“観測値/予測値の比”(“O/E比”)とは、特定のDNA配列内のCpGジヌクレオチドの頻度を意味し、[CpG部位の数/(C塩基の数×G塩基の数)]×各断片のバンド長に対応する。
【0015】
“CpG島”とは、(1)CpGジヌクレオチドの頻度が“観測値/予測値の比”>0.6に対応することと、(2)“GC含量”>0.5であることの両方の条件を満たすゲノムDNAの連続領域を意味する。CpG島は、一般に、長さが約0.2〜約1kbであるが、必ずしもそうなっているとは限らない。本発明の特定の配列番号の配列に関係するCpG島配列は、この特定の配列番号の配列の少なくとも1つ以上のヌクレオチドを含んでいて、CpGジヌクレオチドの頻度が観測値/予測値の比>0.6に対応することと、GC含量>0.5であることの両方の条件を満たすゲノムDNAの連続配列である。
【0016】
“メチル化状態”とは、DNA配列内の1つまたは複数のCpGジヌクレオチドに5−メチルシトシン(“5−mCyt”)が存在しているか不在であるかを意味する。
【0017】
“高メチル化”とは、テストするDNAサンプルのDNA配列中の1つまたは複数のCpGジヌクレオチドに存在する5−mCytの量が、正常な対照用DNAサンプル中の対応するCpGジヌクレオチドに見られる5−mCytの量と比べて増加していること、に対応するメチル化状態を意味する。
【0018】
“低メチル化”とは、テストするDNAサンプルのDNA配列中の1つまたは複数のCpGジヌクレオチドに存在する5−mCytの量が、正常な対照用DNAサンプル中の対応するCpGジヌクレオチドに見られる5−mCytの量と比べて減少していること、に対応するメチル化状態を意味する。
【0019】
“メチル化アッセイ”とは、DNA配列中のCpGジヌクレオチドのメチル化状態を明らかにする任意のアッセイを意味する。
【0020】
“MS.AP−PCR”(メチル化感受性アービトラリー・プライムド・ポリメラーゼ連鎖反応)とは、CpGジヌクレオチドを含んでいる可能性が最も大きい領域に焦点を合わせ、CGリッチなプライマーを用いてゲノムの全体走査を行なうことを可能にする公知の技術であり、Gonzalgo他、Cancer Research、第57巻、594〜599ページ、1997年に記載されている。
【0021】
“メチライト”とは、Eads他、Cancer Research、第59巻、2302〜2306ページ、1999年に記載されている、蛍光に基づいた公知のリアルタイムPCR法を意味する。
【0022】
“Ms−SNuPE”(メチル化感受性単一ヌクレオチド・プライマー伸長)とは、GonzalgoとJones、Nucleic Acids Res.、第25巻、2529〜2531ページ、1997年に記載されている公知のアッセイを意味する。
【0023】
“MSP”(メチル化特異的PCR)とは、Herman他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第93巻、9821〜9826ページ、1996年とアメリカ合衆国特許第5,786,146号に記載されている公知のメチル化アッセイを意味する。
【0024】
“COBRA”(亜硫酸水素塩と制限酵素を組み合わせた分析)とは、XiongとLaird、Nucleic Acids Res.、第25巻、2532〜2534ページ、1997年に記載されている公知のメチル化アッセイを意味する。
【0025】
“MCA”(メチル化されたCpG島の増幅)とは、Toyota他、Cancer Res.、第59巻、2307〜2312、第59巻、1999年と、WO 00/26401A1に記載されているメチル化アッセイを意味する。
【0026】
概要
本発明により、正常な組織と比べた場合、ガンにおいて明らかなメチル化パターンを有する103個のDNA配列(すなわち“マーカー配列”)が提供される。メチル化が変化したこれらDNA配列は、膀胱ガンの患者と前立腺ガンの患者から単離した103個のDNA断片に対応しており、多くの場合にGenBankデータベースには見られない新規な配列になっている。ここに示した配列のどれについても、ヒトのガン(例えば膀胱ガンや前立腺ガンが挙げられるが、それだけに限定されない)においてそのメチル化パターンの特徴が以前に明らかにされたことはないことに注意されたい。このメチル化パターンが重要なのは、変化した断片がヒトのガンの予後予測用、診断用、治療用のマーカーとしての可能性を有するからである。
【0027】
ゲノムDNA中でメチル化が変化したマーカー配列の同定
MS.AP−PCR法を用いて膀胱ガンまたは前立腺ガンの患者のゲノムを走査し、正常な人と比べてDNAのメチル化が変化しているかどうかを調べた。というのも、このパターンは非常によく保存されていることが知られているからである。合計で103個のDNA配列(メチル化が変化したDNA配列;“マーカー配列”)を単離し、ガンが正常な組織と比べてはっきりと異なるメチル化パターンを有することを明らかにした。
【0028】
ゲノムDNA中のマーカー配列の同定方法。ガン細胞中で変化したメチル化部位を同定するのに用いられてきた公知のゲノム走査法が多数ある。例えば1つの方法は、制限ランドマーク・ゲノム走査(Kawai他、Mol. Cell. Biol.、第14巻、7421〜7427ページ、1994年)を含んでおり、別の方法は、MCA(メチル化されたCpG島の増幅;Toyota他、Cancer Res.、第59巻、2307〜2312、1999年)を含んでおり、さらに別の方法は、MS.AP−PCR(メチル化感受性アービトラリー・プライムド・ポリメラーゼ連鎖反応;Gonzalgo他、Cancer Res.、第57巻、594〜599ページ、1997年)を含んでいる。この最後の方法を利用すると、CpGジヌクレオチドを含んでいる可能性が最も大きい領域に焦点を合わせ、CGリッチなプライマーを用いてゲノムの全体走査を行なうことが可能になる。本発明で利用するMS.AP−PCR法は、ゲノムDNAの変化したメチル化パターンをスクリーニング(走査)してその変化に関係した特別な配列を単離する上で、迅速且つ効率的な方法である。
【0029】
簡単に説明するならば、標準的な従来法を用い、膀胱ガンまたは前立腺ガンの患者の組織に由来するゲノムDNAを調製した。シトシンのメチル化に対する感度の異なる認識部位を持つ複数の制限酵素(例えばHpaII)を用いてこれらゲノムDNAを消化させた後、GCリッチなプライマーを用いてアービトラリー・プライムド−PCRによる増幅を行なった。メチル化の程度が異なる断片群(例えば高メチル化または低メチル化。メチル化に関する制限酵素の感度、またはDNA配列分析、またはMs−SNuPE分析に基づく;GonzalgoとJones、Nucleic Acids Res.、第25巻、2529〜2531ページ、1997年)をクローニングし、高分解能ポリアクリルアミド・ゲル上でそのPCR産物を分離させた後にシークエンシングした。クローニングした断片をサザン・ブロット分析のプローブとして用い、組織内のこれら領域のメチル化の違いを確認した。DNAクローニング、シークエンシング、PCR、高分解能ポリアクリルアミド・ゲルによる分離、サザン・ブロット分析は、当業者には周知である。
【0030】
結果。走査を行なった患者のゲノムDNAから高メチル化(正常状態と比べてメチル化のレベルが増加)または低メチル化(正常状態と比べてメチル化のレベルが減少)を受けたDNA断片を合計で500個単離した。これら断片のうちで合計178個をシークエンシングしたところ、そのうちの103個は、メチル化パターンが以前に明らかになっていないDNA遺伝子座に対応するという意味で新規であった。対応する配列を[配列番号1〜103]として示してある。この中のいくつかの配列に関しては、文字“n”はヌクレオチド塩基が決定されていないことを意味する。
【0031】
MS.AP−PCRによって同定された新規なマーカー配列。表Iは、MS.AP−PCRによって同定された103個のDNA断片に対応するメチル化パターンと、それに対応する配列データをまとめたものである。合計で103個の断片について、正常組織と比べて高メチル化である(メチル化の獲得;高メチル化パターンを有する)か、あるいは低メチル化である(メチル化の欠失;低メチル化パターンを有する)かを同定した後にシークエンシングした。それぞれのカテゴリーの断片について、((C塩基の数+G塩基の数)/各断片のバンド幅として計算される)“平均GC含量”と、([CpG部位の数/(C塩基の数×G塩基の数)]×各断片のバンド幅として計算される)観測値/予測値の比(“O/E比”)の平均値を示してある。さらに、CpG島と見なされる断片の割合も掲載してある。これは、それぞれのカテゴリーにおいて、“GC含量”>0.5かつ“O/E比”>0.6という条件を満たす配列組成を有するすべての断片の割合に対応する。
【0032】
以上より、MS.AP−PCRによって同定されたこれら103個の断片のうち、60個が高メチル化だった(表I、上の行;表II、[配列番号1〜60])のに対し、43個は低メチル化だった(表I、下の行;表II、[配列番号61〜103])。さらに、103個の断片のうちで55個(メチル化が過剰だった43個と過少だった12個)がCpG島に対応している(すなわち、GC含量>0.5かつ観測値/予測値の比>0.6という条件を満たす)のに対し、残りの48個(メチル化が過剰だった17個と過少だった31個)の断片はCpG島の条件に合致しない(表IIを参照のこと)。
【表1】
【0033】
表IIは、MS.AP−PCRによって同定された103個のDNA断片に対応する個々の配列([配列番号1〜103])についてのメチル化パターンと配列データをまとめたものである。これら103個の断片についてのデータは、高メチル化([配列番号1〜60])または低メチル化([配列番号61〜103])に分けた。表IIには、それぞれの配列について、対応する“断片の名称”、(塩基対;“bp”で表わした)断片の“サイズ”、“GC含量”、“観測値/予測値の比”(“O/E比”)、“説明”(すなわち、CpG島の条件を満たしているかどうか)、“発明者のイニシャル”(IDCM=Isabel D.C. Markl、JC=Jonathan Cheng、GL=Gangning Liang、HF=Hualin Fu、YT=Yoshitaka Tomigahara)、“ガンの出所”、GenBankデータベースの“染色体との一致”も記載されている。ダッシュ(“−”)は、GenBankの染色体との一致が存在しないか、低得点の部分的一致しか存在しないことを意味する。“GC含量”と“O/E比”の平均、ならびにCpG島である断片の割合が、高メチル化のカテゴリーと低メチル化のカテゴリーの最後の項の後に掲載してある。
【0034】
したがって本発明により、ガンの予後予測、診断、治療への応用において有用な103個のDNA断片とそれに対応するマーカー配列(すなわち、メチル化が変化したDNA配列)が提供される。
【0035】
さらに、103個の配列のうちの少なくとも55個は、(GC含量とO/E比に基づく)CpG島に対応している。その55個とは、[配列番号2、4、6、7、9〜16、19、20、22〜33、35〜43、48、51〜55、59、60、64、71、76、78〜81、84、87〜90]である。したがって、所定のCpG島の一部におけるメチル化状態が一般にその島全体を代表しているという事実に基づくと、本発明にはさらに、[配列番号2、4、6、7、9〜16、19、20、22〜33、35〜43、48、51〜55、59、60、64、71、76、78〜81、84、87〜90]と関係した55個のCpG島をガンの予後予測、診断、治療に応用するという新規な利用法も含まれることになる。ただし、特定の配列番号の配列に関係したCpG島配列は、この特定の配列番号の配列の少なくとも1つのヌクレオチドを含んでいて、CpGジヌクレオチドの頻度が観測値/予測値の比>0.6に対応することと、GC含量>0.5であることの両方の条件を満たしているゲノムDNAの連続配列である。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0036】
ガンの診断法および予後予測法。本発明により、メチル化が変化した上記の103個のDNA配列のうちの1つ以上の配列についてのメチル化状態を明らかにすることに基づいたガンの診断法および予後予測法が提供される。一般に、このような方法には、検体組織から組織サンプルを取得し、その組織サンプルに由来するDNAについてメチル化アッセイを行ない、その結果に基づいて診断または予後予測を行なう操作が含まれる。
【0037】
メチル化アッセイは、DNAサンプルのあるDNA配列中の1つまたは複数のCpGジヌクレオチドのメチル化状態を明らかにするのに用いられる。本発明によれば、可能なメチル化状態としては、正常状態(すなわちガンでない対照状態)と比べてメチル化が過剰な状態と過少な状態が挙げられる。高メチル化および低メチル化とは、検体サンプルのあるDNA配列中の1つまたは複数のCpGジヌクレオチドに存在している5−メチルシトシン(“5−mCyt”)が、正常な対照DNAサンプル中の対応するCpGジヌクレオチドに見られる5−mCytの量と比較してそれぞれ増加しているか減少しているかに対応するメチル化のことを意味する。
【0038】
診断または予後予測は、ガンでない正常な組織から得られた対照データと比較することでサンプルDNA配列において明らかになったメチル化状態を少なくとも判断材料の一部として利用して行なう。
【0039】
メチル化アッセイの方法。メチル化アッセイのさまざまな方法が従来技術で知られており、本発明と合わせて利用することができる。これらアッセイにより、あるDNA配列中の1つまたは複数のCpGジヌクレオチド(すなわちCpG島)のメチル化状態を明らかにすることができる。このようなアッセイとしては、亜硫酸水素塩で処理したDNAのDNAシークエンシング、(配列特異的増幅のための)PCR、サザン・ブロット分析、メチル化感受性制限酵素の利用などが特に挙げられる。
【0040】
例えば、亜硫酸水素塩での処理を行なうことによってゲノム・シークエンシングが簡単化され、DNAのメチル化パターンと5−メチルシトシンの分布を解析しやすくなった(Frommer他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第89巻、1827〜1831ページ、1992年)。さらに、亜硫酸水素塩で変換したDNAから増幅したPCR産物を制限酵素で消化させる方法を利用する。それは、例えばSadriとHornsbyが報告している方法(Nucl. Acids Res.、第24巻、5058〜5059ページ、1996年)、またはCOBRA(亜硫酸水素塩と制限酵素を組み合わせた分析)(XiongとLaird、Nucleic Acids Res.、第25巻、2532〜2534ページ、1997年)である。
【0041】
COBRA。COBRA分析は、少量のゲノムDNAに含まれる特定の遺伝子座におけるDNAのメチル化レベルを明らかにするのに有効な定量的メチル化アッセイである(XiongとLaird、Nucleic Acids Res.、第25巻、2532〜2534ページ、1997年)。簡単に説明するならば、制限酵素による消化を利用して、亜硫酸水素ナトリウムで処理したDNAのPCR産物におけるメチル化に依存した配列の違いを明らかにする。メチル化に依存した配列の違いは、Frommerら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第89巻、1827〜1831ページ、1992年)が報告している方法に従って標準的な亜硫酸水素塩処理を行なうことにより、初めてゲノムDNAに導入されている。次に、挿入されたCpG島に対して特異的なプライマーを用い、亜硫酸水素塩で変換したDNAをPCRで増幅した後、制限エンドヌクレアーゼにより消化させ、ゲル電気泳動を行ない、標識した特異的なハイブリダイゼーション・プローブを用いて検出を行なう。元のDNAサンプルにおけるメチル化レベルは、消化されたPCR産物と消化されないPCR産物の相対量に基づき、線形的な定量関係として幅広いDNAのメチル化レベルの中に位置づけられる。さらに、この方法は、顕微解剖してパラフィンに埋め込んだ組織サンプルから得られたDNAに適用することができる。(例えばCOBRAに基づいた典型的なキットに見られるような)COBRA分析用の典型的な試薬としては、特定の遺伝子に対するPCRプライマー(またはメチル化が変化したDNA配列またはCpG島);制限酵素と適切な緩衝液;遺伝子ハイブリダイゼーション・オリゴ;対照ハイブリダイゼーション・オリゴ;オリゴ・プローブ用のキナーゼ標識キット;放射性ヌクレオチドなどが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。さらに、亜硫酸水素塩変換試薬としては、DNA変性緩衝液;スルホン化緩衝液;DNA復元用の試薬またはキット(例えば沈殿、限外濾過、アフィニティ・カラム);脱スルホン化緩衝液;DNA復元成分などが挙げられる。
【0042】
“メチライト”(蛍光に基づいたリアルタイムPCR法)(Eads他、Cancer Res.、第59巻、2302〜2306ページ、1999年)、Ms−SNuPE(メチル化感受性単一ヌクレオチド・プライマー伸長)反応(GonzalgoとJones、Nucleic Acids Res.、第25巻、2529〜2531ページ、1997年)、メチル化特異的PCR(“MSP”;Herman他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第93巻、9821〜9826ページ、1996年とアメリカ合衆国特許第5,786,146号)、メチル化されたCpG島の増幅(“MCA”;Toyota他、Cancer Res.、第59巻、2307〜2312、第59巻、1999年)などのアッセイは、単独で利用したり、これらの方法のうちの別の方法と組み合わせて使用したりすることが好ましい。
【0043】
メチライト。メチライト・アッセイは、蛍光に基づいたリアルタイムPCR(タックマン(登録商標))技術を利用したハイスループットの定量的メチル化アッセイであり、PCRステップの後に操作を行なう必要がない(Eads他、Cancer Res.、第59巻、2302〜2306ページ、1999年)。簡単に説明するならば、メチライト法では、ゲノムDNAが混合したサンプルを、標準的な方法に従って亜硫酸水素ナトリウムを用いた反応により、メチル化に依存した配列の違いを有する混合プールに変換する(亜硫酸水素塩法により、メチル化されていないシトシン残基がウラシルに変換される)。次に、蛍光に基づいたPCRを行なう。そのとき行なわせるのは、(既知のCpGメチル化部位と重なっていないプライマーを用いた)“バイアスのない”PCR反応、または(既知のCpGジヌクレオチドと重なったPCRプライマーを用いた)“バイアスのある”反応である。配列の識別は、増幅プロセスのレベル、または蛍光検出プロセスのレベル、またはその両方で行なうことができる。
【0044】
メチライト・アッセイは、ゲノムDNAサンプル中のメチル化パターンを定量的に調べる方法として利用することができる。このとき、配列の識別は、プローブのハイブリダイゼーションのレベルで起こる。この定量法では、PCR反応により、想定される特定のメチル化部位と重なる蛍光プローブの存在下でバイアスのない増幅が行なわれる。入れたDNAの量に対するバイアスのない対照となるのは、プライマーとプローブのどちらもどのCpGジヌクレオチドとも重なっていない反応である。別の方法として、既知のメチル化部位を“カバー”していない対照オリゴヌクレオチド(“MSP”法の蛍光に基づいたバージョン)、または潜在的なメチル化部位をカバーしているオリゴヌクレオチドのいずれかを用いてバイアスのあるPCRプールを調べることにより、ゲノムのメチル化を定性的に知ることができる。
【0045】
メチライト法は、“タックマン(登録商標)”プローブと合わせて増幅プロセスで利用することができる。例えば、二本鎖ゲノムDNAを亜硫酸水素ナトリウムで処理し、タックマン(登録商標)プローブを用いて2通りあるPCR反応のうちの一方を行なう。そのとき、例えば、バイアスのあるプライマーとタックマン(登録商標)プローブ、またはバイアスのないプライマーとタックマン(登録商標)プローブが使用される。タックマン(登録商標)プローブは、蛍光“レポーター”分子と蛍光“クエンチャー”分子で二重に標識されており、GC含量が比較的多い領域に対して特異的になるように設計されているため、PCRサイクルにおいて順プライマーまたは逆プライマーよりも約10℃高い温度で融ける。するとPCRのアニーリング/伸長ステップにおいてタックマン(登録商標)プローブが十分にハイブリダイズしたままにすることができる。タック・ポリメラーゼという酵素によってPCRを行なっている間に新しい鎖が合成されていくにつれ、その鎖は最終的にアニールされたタックマン(登録商標)プローブに到達する。タック・ポリメラーゼの5’→3’エンドヌクレアーゼ活性によりタックマン(登録商標)プローブが消化され、このプローブから蛍光レポーター分子が放出される。すると、リアルタイム蛍光検出システムを用い、クエンチ状態が解かれた信号を定量的に検出することができる。
【0046】
(例えばメチライトに基づいた典型的なキットに見られるような)メチライト分析用の典型的な試薬としては、特定の遺伝子に対するPCRプライマー(またはメチル化が変化したDNA配列またはCpG島);タックマン(登録商標)プローブ;最適化されたOCR緩衝液とデオキシヌクレオチド;タック・ポリメラーゼなどが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。
【0047】
Ms−SNuPE。Ms−SNuPE法は、DNAを亜硫酸水素塩で処理した後に単一ヌクレオチド・プライマー伸長を行なうことに基づき、特定のCpG部位におけるメチル化の違いを定量的に評価する方法である(GonzalgoとJones、Nucleic Acids Res.、第25巻、2529〜2531ページ、1997年)。簡単に説明するならば、ゲノムDNAを亜硫酸水素ナトリウムと反応させてメチル化していないシトシンをウラシルに変換する一方で、5−メチルシトシンは変化しないままにしておく。次に、亜硫酸水素塩で変換したDNAに対して特異的なPCRプライマーを用いて望む標的配列を増幅し、得られた産物を単離し、注目のCpG部位におけるメチル化を分析するための鋳型として用いる。少量のDNAでも分析することができ(例えば、顕微解剖した病変切片)、しかもCpG部位におけるメチル化状態を明らかにするのに制限酵素を使用せずにすむ。(例えばMs−SNuPEに基づいた典型的なキットに見られるような)Ms−SNuPE分析用の典型的な試薬としては、特定の遺伝子に対するPCRプライマー(またはメチル化が変化したDNA配列またはCpG島);最適化されたPCR緩衝液とデオキシヌクレオチド;ゲル抽出キット;正の調節用プライマー;特定の遺伝子に対するMs−SNuPEプライマー;(Ms−SNuPE反応用の)反応緩衝液;放射性ヌクレオチドなどが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。さらに、亜硫酸水素塩変換試薬としては、DNA変性緩衝液;スルホン化緩衝液;DNA復元用の試薬またはキット(例えば沈殿、限外濾過、アフィニティ・カラム);脱スルホン化緩衝液;DNA復元成分などが挙げられる。
【0048】
MSP。MSP(メチル化特異的PCR)により、メチル化感受性制限酵素を使用せずに、CpG島内のほとんどすべてのCpG部位のメチル化状態を評価することができる(Herman他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第93巻、9821〜9826ページ、1996年;アメリカ合衆国特許第5,786,146号)。簡単に説明するならば、亜硫酸水素ナトリウムを用い、メチル化されたシトシンは除いてメチル化されていないすべてのシトシンをウラシルに変換することによってDNAを変化させた後、メチル化されていないDNAではなくメチル化されたDNAに対して特異的なプライマーを用い、その変化したDNAを増幅する。MSPではほんの少量のDNAしか必要とせず、MSPは、所定のCpG島遺伝子座の0.1%メチル化された対立遺伝子に対して感受性があり、パラフィンに埋め込んだサンプルから抽出したDNAに対してMSPを実行することができる。(例えばMSPに基づいた典型的なキットに見られるような)MSP分析用の典型的な試薬としては、特定の遺伝子に対するメチル化されたPCRプライマーと、特定の遺伝子に対するメチル化されていないPCRプライマー(またはメチル化が変化したDNA配列またはCpG島);最適化されたPCR緩衝液とデオキシヌクレオチド;特異的なプローブなどが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。
【0049】
MCA。MCA法は、ゲノムDNA中の変化したメチル化パターンをスクリーニングし、その変化に関係した特定の配列を単離するのに用いることができる方法である(Toyota他、Cancer Res.、第59巻、2307〜2312、第59巻、1999年)。簡単に説明するならば、シトシンのメチル化に対する感度の異なる認識部位を持つ複数の制限酵素を用いて原発性腫瘍、細胞系、正常組織に由来するゲノムDNAを消化させた後、アービトラリー・プライムド−PCRによる増幅を行なった。メチル化の程度が異なる断片群をクローニングし、高分解能ポリアクリルアミド・ゲル上でPCR産物を分離させた後にシークエンシングした。次に、クローニングした断片をサザン・ブロット分析のプローブとして用い、これら領域のメチル化の違いを確認した。(例えばMCAに基づいた典型的なキットに見られるような)MCA分析用の典型的な試薬としては、ゲノムDNAの任意領域の合成を開始するためのPCRプライマー;PCR緩衝液とヌクレオチド、制限酵素と適切な緩衝液;遺伝子ハイブリダイゼーション用のオリゴまたはプローブ;対照ハイブリダイゼーション用のオリゴまたはプローブなどが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。
【0050】
メチル化されたCpGを含む核酸を検出するためのキット。公知の1つ以上のメチル化アッセイ(上記のものを含む)を実行するのに必要な試薬を、配列番号1〜103の配列またはその一部を含むプライマーまたはプローブと組み合わせ、CpGを含む核酸のメチル化状態を明らかにする。例えば、メチライト、Ms−SNuPE、MCA、COBRA、MSPというメチル化アッセイを単独で、あるいは組み合わせ、配列番号1〜103の配列またはその一部を含むプライマーまたはプローブとともに使用すると、配列番号1〜103に対応するゲノム配列、または配列番号1〜103の配列に関係したCpG島配列に対応するゲノム配列に含まれるCpGジヌクレオチドのメチル化状態を明らかにすることができよう。ただし、特定の配列番号の配列に関係したCpG島配列は、この特定の配列番号の配列の少なくとも1つのヌクレオチドを含んでいて、CpGジヌクレオチドの頻度が観測値/予測値の比>0.6に対応することと、GC含量>0.5であることの両方の条件を満たす連続したゲノムDNA配列である。
関連する出願の相互参照
本出願は、2000年10月27日に出願されたアメリカ合衆国特許出願シリアル番号第09/699,243号の優先権を主張する。
【0002】
発明の属する技術分野
本発明は、ガン患者において変化したメチル化パターン(高メチル化または低メチル化)を示す新規なヒトDNA配列に関する。メチル化状態が変化した新規なこれらDNA配列は、ヒトのガンの診断、予後予測、治療に用いるマーカーとして有用である。
【0003】
発明の背景
腫瘍形成における初期の遺伝子変化を同定することが、分子レベルでのガン研究の中心的課題となっている。ガンに関連した遺伝子変化の性質とパターンが明らかになると、ガンの早期検出、診断、治療が可能になろう。脊椎動物におけるこのような遺伝子変化は、一般に、3つのカテゴリーのうちの1つに当てはまる。3つのカテゴリーとは、遺伝物質の取得または欠失;遺伝物質の突然変異;“CpG島”内のCpGジヌクレオチド中のシトシン残基のメチル化である。これらのうちでDNAのメチル化だけが可逆的であり、メチル化状態の変化が遺伝子の発現(例えばCpG島がプロモータ領域またはその近傍に位置する遺伝子の転写開始)または遺伝子の安定性に影響を及ぼすことが知られている。
【0004】
CpG 島内での CpG ジヌクレオチドのメチル化
DNAは、高等な真核生物では、CpGジヌクレオチド中のグアノシン残基に対して5’末端側に位置するシトシン残基でのみメチル化される。シトシン塩基のC−5位置がDNA(シトシン−5)メチルトランスフェラーゼという酵素によって変化してこのように共有結合すると、5−メチルシトシン(5−mCyt)の形成がもたらされ、この塩基が独自の性質を持つようになる(例えば自発的脱アミノ反応が起こりやすくなる)。酵素によるこのような変換は、脊椎動物において存在することが知られているDNAの唯一の後成的変化であり、正常な胚発生にとって非常に重要である(Bird, A.P.、Cell、第70巻、5〜8ページ、1992年;LairdとJaenisch、Human Molecular Genetics、第3巻、1487〜1495ページ、1994年;Li他、Cell、第69巻、915〜926ページ、1992年)。
【0005】
CpGジヌクレオチドに5−mCytが存在していることで、脊椎動物が進化していく間にゲノム中のこの配列が5分の1に減った(SchroderetとGartler、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第89巻、957〜961ページ、1992年)。これは、おそらく5−mCytが自発的に脱アミノ反応してチミジンになったためであろう。しかしゲノムのいくつかの領域ではこのような減少は見られず、そのような領域は“CpG島”と呼ばれている(Bird, A.P.、Nature、第321巻、209〜213ページ、1986年;Gardiner−GardenとFrommer、J. Mol. Biol.、第196巻、261〜282ページ、1987年)。これらCpG島は、脊椎動物のゲノムのほんの約1%にしかならないが、それでもゲノムCpGジヌクレオチドの総数の約15%を占めている(AntequeraとBird、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第90巻、11995〜11999ページ、1993年)。CpG島は、予想される(すなわち進化によって減少していない)頻度でCpGを含んでおり(観測値/予測値の比>0.6。なお観測値/予測値の比は、[CpG部位の数/(C塩基の数×G塩基の数)]×各断片のバンド長として計算される)、GCリッチであり(GC含量>0.5。なおGC含量は、(C塩基の数+G塩基の数)/各断片のバンド長として計算される)、典型的な長さは約0.2〜約1kbである。
【0006】
CpG 島内でのメチル化が、遺伝子の発現に影響を及ぼす
CpG島は、多数のハウスキーピング遺伝子と組織特異的遺伝子の上流に位置するが、遺伝子コード領域まで延びていることもある(CrossとBird、Current Opinions in Genetics and Development、第5巻、309〜314ページ、1995年;Larsen他、Genomics、第13巻、1095〜1107ページ、1992年)。体細胞組織のCpG島にあるシトシンのメチル化は、遺伝子の発現に影響を及ぼすと考えられている。メチル化は遺伝子の活性と逆相関することがわかっており、さまざまなメカニズムによって遺伝子の発現を低下させる可能性がある。そうしたメカニズムとしては、転写開始の抑制(Bird, A.P.、Nature、第321巻、209〜213ページ、1986年;Delgado他、EMBO Journal、第17巻、2426〜2435ページ、1998年)、局所的クロマチン構造の破壊(CountsとGoodman、Molecular Carcinogenesis、第11巻、185〜188ページ、1994年;Antequera他、Cell、第62巻、503〜514ページ、1990年)、メチル化した配列と特異的に相互作用するタンパク質の補充による転写因子の結合の直接的または間接的な阻止(Bird, A.P.、Cell、第70巻、5〜8ページ、1992年;CountsとGoodman、Molecular Carcinogenesis、第11巻、185〜188ページ、1994年;Cedar, H.、Cell、第53巻、3〜4ページ、1988年)などが挙げられる。多数の研究によってCpG島のメチル化が遺伝子の発現に及ぼす効果が明らかにされている(例えばCDKN2A/p16遺伝子;Gonzalez−Zulueta他、Cancer Research、第55巻、4531〜4535ページ、1995年)が、常染色体遺伝子上のほとんどのCpG島は生殖系列ではメチル化されないままであり、これらCpG島のメチル化は、一般に遺伝子の発現とは独立である。組織特異的遺伝子は、一般に、それぞれの標的器官においてはメチル化されないが、生殖系列と非発現成熟組織ではメチル化される。他方、構成的に発現しているハウスキーピング遺伝子のCpG島は、生殖系列と体細胞組織では通常はメチル化されない。
【0007】
CpG 島内でのメチル化が、ガンに関係する遺伝子の発現に影響を及ぼす
一連の研究からのデータによると、ガン細胞には、非ガン細胞と比べて変化したメチル化が存在している。これらの研究は、ゲノム・レベル全体でDNAのメチル化が変化するだけでなく、メチル基の分布も変化することを示している。例えば、ある細胞内のガン抑制遺伝子またはガン遺伝子に付随するCpG島の異常なメチル化により、変化した遺伝子発現が起こる可能性がある。このように変化した遺伝子発現により、選択的に有利に増殖する細胞集団が生まれ、これらの細胞の選択によりその生物に対する害がもたらされる可能性がある(すなわちガン)。
【0008】
不十分な相関データ
残念なことに、正常な細胞に対してガン細胞のCpG島内ではCpGジヌクレオチドには変化したメチル化が存在していること、あるいは特別な場合にこのようなメチル化の変化によって遺伝子の発現(またはクロマチンの構造または安定性)の変化がもたらされることがわかっただけでは、この知見を効果的な診断、予後予測、治療に応用するには不十分である。というのも、限られた数のCpG島についてしか特徴が明らかにされておらず、したがって、多数あるCpG島のうちのどの特定のCpG島が実際にガンまたはその原因と関係するか、あるいは有意な相関を示すかについての知識が足りないからである。しかも、特定のガンには、CpG島と見なされる配列構成を有する可能性があるDNA配列を含め、メチル化が変化した複数のDNA配列が関与した複雑なメチル化パターンが存在していることがある。
【0009】
したがって、メチル化が変化した特定のDNA配列を同定してその特徴を明らかにし、そのDNA配列をガンと関連づけ、診断、予後予測、治療に応用できるようにすることが、当業界で必要とされている。
【0010】
発明の概要
本発明により、ガンの診断法または予後予測法であって:検体組織から組織サンプルを取得し;その組織サンプルに由来するDNAに対してメチル化アッセイを行なうことにより、そのDNAのDNA配列中のCpGジヌクレオチドのメチル化状態を明らかにし(ただしこのDNA配列は、配列番号1〜103の配列、配列番号1〜103の配列に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を有する配列、配列番号1〜103の配列と関係したCpG島配列、配列番号1〜103の配列に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を有する配列と関係したCpG島配列、およびこれらの組み合わせからなるグループの中から選択した配列であり、特定の配列番号の配列と関係したCpG島配列は、その特定の配列番号の少なくとも1つのヌクレオチドを含んでいて、CpGジヌクレオチドの頻度が観測値/予測値の比>0.6に対応することと、GC含量>0.5であることの両方の条件を満たす連続したゲノムDNA配列である);診断または予後予測を、上記DNA配列中のCpGジヌクレオチドのメチル化状態を利用して行なう操作:を含む診断法または予後予測法が提供される。DNA配列は、配列番号1〜103の配列と関係したCpG島配列、配列番号1〜103の配列に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を有する配列と関係したCpG島配列、およびこれらの組み合わせからなるグループの中から選択した配列であることが好ましい。DNA配列は、配列番号2、4、6、7、9〜16、19、20、22〜33、35〜43、48、51〜55、59、60、64、71、76、78〜81、84、87〜90の配列と関係したCpG島配列、およびこれらの組み合わせからなるグループの中から選択した配列であることが好ましい。メチル化アッセイの方法は、メチライト、MS−SnuPE(メチル化感受性単一ヌクレオチド・プライマー伸長)、MSP(メチル化特異的PCR)、MCA(メチル化されたCpG島の増幅)、COBRA(亜硫酸水素塩と制限酵素を組み合わせた分析)、およびこれらの組み合わせからなるグループの中から選択することが好ましい。DNA配列中のCpGジヌクレオチドのメチル化状態は、高メチル化、低メチル化、正常メチル化のいずれかであることが好ましい。ガンは、膀胱ガン、前立腺ガン、結腸ガン、肺ガン、腎臓ガン、白血病、乳ガン、子宮ガン、星状膠細胞腫、グリオブラストーマ、神経芽細胞腫からなるグループの中から選択することが好ましい。ガンは、膀胱ガンまたは前立腺ガンであることが好ましい。
【0011】
本発明によりさらに、メチル化されたCpGを含む核酸を検出するのに有効で、1つ以上の容器を含む保持手段を含んで成るキットであって、配列番号1〜103の配列と、配列番号1〜103の配列に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を有する配列とからなるグループの中から選択した配列の任意の領域とハイブリダイズするプローブまたはプライマーを含む容器と;メチル化されたCpGを含む核酸の検出を、このプローブまたはプライマーに基づいて行なうのに必要な付加的な標準メチル化アッセイ用試薬とを備えるキットが提供される。付加的な標準メチル化アッセイ用試薬は、メチライト、MS−SNuPE、MSP MCA、COBRA、およびこれらの組み合わせからなるグループの中から選択したメチル化アッセイを実行するための標準試薬であることが好ましい。プローブまたはプライマーは、配列番号1〜103の配列と、配列番号1〜103の配列に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を有する配列とからなるグループの中から選択した配列中の少なくとも約12〜15個のヌクレオチドを含んで成ることが好ましい。
【0012】
本発明によりさらに、配列番号1、配列番号5、配列番号6、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号18、配列番号24、配列番号25、配列番号32、配列番号34、配列番号37、配列番号38、配列番号42、配列番号44、配列番号51、配列番号52、配列番号62、配列番号64、配列番号65、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号74、配列番号76、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号86、配列番号90、配列番号92、配列番号97、配列番号100からなるグループの中から選択したメチル化されたポリヌクレオチド配列またはメチル化されていないポリヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子が提供される。核酸はメチル化されていることが好ましい。核酸はメチル化されていないことが好ましい。
【0013】
発明の詳細な説明
定義:
“GC含量”とは、特定のDNA配列中の[(C塩基の数+G塩基の数)/各断片のバンド長]を意味する。
【0014】
“観測値/予測値の比”(“O/E比”)とは、特定のDNA配列内のCpGジヌクレオチドの頻度を意味し、[CpG部位の数/(C塩基の数×G塩基の数)]×各断片のバンド長に対応する。
【0015】
“CpG島”とは、(1)CpGジヌクレオチドの頻度が“観測値/予測値の比”>0.6に対応することと、(2)“GC含量”>0.5であることの両方の条件を満たすゲノムDNAの連続領域を意味する。CpG島は、一般に、長さが約0.2〜約1kbであるが、必ずしもそうなっているとは限らない。本発明の特定の配列番号の配列に関係するCpG島配列は、この特定の配列番号の配列の少なくとも1つ以上のヌクレオチドを含んでいて、CpGジヌクレオチドの頻度が観測値/予測値の比>0.6に対応することと、GC含量>0.5であることの両方の条件を満たすゲノムDNAの連続配列である。
【0016】
“メチル化状態”とは、DNA配列内の1つまたは複数のCpGジヌクレオチドに5−メチルシトシン(“5−mCyt”)が存在しているか不在であるかを意味する。
【0017】
“高メチル化”とは、テストするDNAサンプルのDNA配列中の1つまたは複数のCpGジヌクレオチドに存在する5−mCytの量が、正常な対照用DNAサンプル中の対応するCpGジヌクレオチドに見られる5−mCytの量と比べて増加していること、に対応するメチル化状態を意味する。
【0018】
“低メチル化”とは、テストするDNAサンプルのDNA配列中の1つまたは複数のCpGジヌクレオチドに存在する5−mCytの量が、正常な対照用DNAサンプル中の対応するCpGジヌクレオチドに見られる5−mCytの量と比べて減少していること、に対応するメチル化状態を意味する。
【0019】
“メチル化アッセイ”とは、DNA配列中のCpGジヌクレオチドのメチル化状態を明らかにする任意のアッセイを意味する。
【0020】
“MS.AP−PCR”(メチル化感受性アービトラリー・プライムド・ポリメラーゼ連鎖反応)とは、CpGジヌクレオチドを含んでいる可能性が最も大きい領域に焦点を合わせ、CGリッチなプライマーを用いてゲノムの全体走査を行なうことを可能にする公知の技術であり、Gonzalgo他、Cancer Research、第57巻、594〜599ページ、1997年に記載されている。
【0021】
“メチライト”とは、Eads他、Cancer Research、第59巻、2302〜2306ページ、1999年に記載されている、蛍光に基づいた公知のリアルタイムPCR法を意味する。
【0022】
“Ms−SNuPE”(メチル化感受性単一ヌクレオチド・プライマー伸長)とは、GonzalgoとJones、Nucleic Acids Res.、第25巻、2529〜2531ページ、1997年に記載されている公知のアッセイを意味する。
【0023】
“MSP”(メチル化特異的PCR)とは、Herman他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第93巻、9821〜9826ページ、1996年とアメリカ合衆国特許第5,786,146号に記載されている公知のメチル化アッセイを意味する。
【0024】
“COBRA”(亜硫酸水素塩と制限酵素を組み合わせた分析)とは、XiongとLaird、Nucleic Acids Res.、第25巻、2532〜2534ページ、1997年に記載されている公知のメチル化アッセイを意味する。
【0025】
“MCA”(メチル化されたCpG島の増幅)とは、Toyota他、Cancer Res.、第59巻、2307〜2312、第59巻、1999年と、WO 00/26401A1に記載されているメチル化アッセイを意味する。
【0026】
概要
本発明により、正常な組織と比べた場合、ガンにおいて明らかなメチル化パターンを有する103個のDNA配列(すなわち“マーカー配列”)が提供される。メチル化が変化したこれらDNA配列は、膀胱ガンの患者と前立腺ガンの患者から単離した103個のDNA断片に対応しており、多くの場合にGenBankデータベースには見られない新規な配列になっている。ここに示した配列のどれについても、ヒトのガン(例えば膀胱ガンや前立腺ガンが挙げられるが、それだけに限定されない)においてそのメチル化パターンの特徴が以前に明らかにされたことはないことに注意されたい。このメチル化パターンが重要なのは、変化した断片がヒトのガンの予後予測用、診断用、治療用のマーカーとしての可能性を有するからである。
【0027】
ゲノムDNA中でメチル化が変化したマーカー配列の同定
MS.AP−PCR法を用いて膀胱ガンまたは前立腺ガンの患者のゲノムを走査し、正常な人と比べてDNAのメチル化が変化しているかどうかを調べた。というのも、このパターンは非常によく保存されていることが知られているからである。合計で103個のDNA配列(メチル化が変化したDNA配列;“マーカー配列”)を単離し、ガンが正常な組織と比べてはっきりと異なるメチル化パターンを有することを明らかにした。
【0028】
ゲノムDNA中のマーカー配列の同定方法。ガン細胞中で変化したメチル化部位を同定するのに用いられてきた公知のゲノム走査法が多数ある。例えば1つの方法は、制限ランドマーク・ゲノム走査(Kawai他、Mol. Cell. Biol.、第14巻、7421〜7427ページ、1994年)を含んでおり、別の方法は、MCA(メチル化されたCpG島の増幅;Toyota他、Cancer Res.、第59巻、2307〜2312、1999年)を含んでおり、さらに別の方法は、MS.AP−PCR(メチル化感受性アービトラリー・プライムド・ポリメラーゼ連鎖反応;Gonzalgo他、Cancer Res.、第57巻、594〜599ページ、1997年)を含んでいる。この最後の方法を利用すると、CpGジヌクレオチドを含んでいる可能性が最も大きい領域に焦点を合わせ、CGリッチなプライマーを用いてゲノムの全体走査を行なうことが可能になる。本発明で利用するMS.AP−PCR法は、ゲノムDNAの変化したメチル化パターンをスクリーニング(走査)してその変化に関係した特別な配列を単離する上で、迅速且つ効率的な方法である。
【0029】
簡単に説明するならば、標準的な従来法を用い、膀胱ガンまたは前立腺ガンの患者の組織に由来するゲノムDNAを調製した。シトシンのメチル化に対する感度の異なる認識部位を持つ複数の制限酵素(例えばHpaII)を用いてこれらゲノムDNAを消化させた後、GCリッチなプライマーを用いてアービトラリー・プライムド−PCRによる増幅を行なった。メチル化の程度が異なる断片群(例えば高メチル化または低メチル化。メチル化に関する制限酵素の感度、またはDNA配列分析、またはMs−SNuPE分析に基づく;GonzalgoとJones、Nucleic Acids Res.、第25巻、2529〜2531ページ、1997年)をクローニングし、高分解能ポリアクリルアミド・ゲル上でそのPCR産物を分離させた後にシークエンシングした。クローニングした断片をサザン・ブロット分析のプローブとして用い、組織内のこれら領域のメチル化の違いを確認した。DNAクローニング、シークエンシング、PCR、高分解能ポリアクリルアミド・ゲルによる分離、サザン・ブロット分析は、当業者には周知である。
【0030】
結果。走査を行なった患者のゲノムDNAから高メチル化(正常状態と比べてメチル化のレベルが増加)または低メチル化(正常状態と比べてメチル化のレベルが減少)を受けたDNA断片を合計で500個単離した。これら断片のうちで合計178個をシークエンシングしたところ、そのうちの103個は、メチル化パターンが以前に明らかになっていないDNA遺伝子座に対応するという意味で新規であった。対応する配列を[配列番号1〜103]として示してある。この中のいくつかの配列に関しては、文字“n”はヌクレオチド塩基が決定されていないことを意味する。
【0031】
MS.AP−PCRによって同定された新規なマーカー配列。表Iは、MS.AP−PCRによって同定された103個のDNA断片に対応するメチル化パターンと、それに対応する配列データをまとめたものである。合計で103個の断片について、正常組織と比べて高メチル化である(メチル化の獲得;高メチル化パターンを有する)か、あるいは低メチル化である(メチル化の欠失;低メチル化パターンを有する)かを同定した後にシークエンシングした。それぞれのカテゴリーの断片について、((C塩基の数+G塩基の数)/各断片のバンド幅として計算される)“平均GC含量”と、([CpG部位の数/(C塩基の数×G塩基の数)]×各断片のバンド幅として計算される)観測値/予測値の比(“O/E比”)の平均値を示してある。さらに、CpG島と見なされる断片の割合も掲載してある。これは、それぞれのカテゴリーにおいて、“GC含量”>0.5かつ“O/E比”>0.6という条件を満たす配列組成を有するすべての断片の割合に対応する。
【0032】
以上より、MS.AP−PCRによって同定されたこれら103個の断片のうち、60個が高メチル化だった(表I、上の行;表II、[配列番号1〜60])のに対し、43個は低メチル化だった(表I、下の行;表II、[配列番号61〜103])。さらに、103個の断片のうちで55個(メチル化が過剰だった43個と過少だった12個)がCpG島に対応している(すなわち、GC含量>0.5かつ観測値/予測値の比>0.6という条件を満たす)のに対し、残りの48個(メチル化が過剰だった17個と過少だった31個)の断片はCpG島の条件に合致しない(表IIを参照のこと)。
【表1】
【0033】
表IIは、MS.AP−PCRによって同定された103個のDNA断片に対応する個々の配列([配列番号1〜103])についてのメチル化パターンと配列データをまとめたものである。これら103個の断片についてのデータは、高メチル化([配列番号1〜60])または低メチル化([配列番号61〜103])に分けた。表IIには、それぞれの配列について、対応する“断片の名称”、(塩基対;“bp”で表わした)断片の“サイズ”、“GC含量”、“観測値/予測値の比”(“O/E比”)、“説明”(すなわち、CpG島の条件を満たしているかどうか)、“発明者のイニシャル”(IDCM=Isabel D.C. Markl、JC=Jonathan Cheng、GL=Gangning Liang、HF=Hualin Fu、YT=Yoshitaka Tomigahara)、“ガンの出所”、GenBankデータベースの“染色体との一致”も記載されている。ダッシュ(“−”)は、GenBankの染色体との一致が存在しないか、低得点の部分的一致しか存在しないことを意味する。“GC含量”と“O/E比”の平均、ならびにCpG島である断片の割合が、高メチル化のカテゴリーと低メチル化のカテゴリーの最後の項の後に掲載してある。
【0034】
したがって本発明により、ガンの予後予測、診断、治療への応用において有用な103個のDNA断片とそれに対応するマーカー配列(すなわち、メチル化が変化したDNA配列)が提供される。
【0035】
さらに、103個の配列のうちの少なくとも55個は、(GC含量とO/E比に基づく)CpG島に対応している。その55個とは、[配列番号2、4、6、7、9〜16、19、20、22〜33、35〜43、48、51〜55、59、60、64、71、76、78〜81、84、87〜90]である。したがって、所定のCpG島の一部におけるメチル化状態が一般にその島全体を代表しているという事実に基づくと、本発明にはさらに、[配列番号2、4、6、7、9〜16、19、20、22〜33、35〜43、48、51〜55、59、60、64、71、76、78〜81、84、87〜90]と関係した55個のCpG島をガンの予後予測、診断、治療に応用するという新規な利用法も含まれることになる。ただし、特定の配列番号の配列に関係したCpG島配列は、この特定の配列番号の配列の少なくとも1つのヌクレオチドを含んでいて、CpGジヌクレオチドの頻度が観測値/予測値の比>0.6に対応することと、GC含量>0.5であることの両方の条件を満たしているゲノムDNAの連続配列である。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0036】
ガンの診断法および予後予測法。本発明により、メチル化が変化した上記の103個のDNA配列のうちの1つ以上の配列についてのメチル化状態を明らかにすることに基づいたガンの診断法および予後予測法が提供される。一般に、このような方法には、検体組織から組織サンプルを取得し、その組織サンプルに由来するDNAについてメチル化アッセイを行ない、その結果に基づいて診断または予後予測を行なう操作が含まれる。
【0037】
メチル化アッセイは、DNAサンプルのあるDNA配列中の1つまたは複数のCpGジヌクレオチドのメチル化状態を明らかにするのに用いられる。本発明によれば、可能なメチル化状態としては、正常状態(すなわちガンでない対照状態)と比べてメチル化が過剰な状態と過少な状態が挙げられる。高メチル化および低メチル化とは、検体サンプルのあるDNA配列中の1つまたは複数のCpGジヌクレオチドに存在している5−メチルシトシン(“5−mCyt”)が、正常な対照DNAサンプル中の対応するCpGジヌクレオチドに見られる5−mCytの量と比較してそれぞれ増加しているか減少しているかに対応するメチル化のことを意味する。
【0038】
診断または予後予測は、ガンでない正常な組織から得られた対照データと比較することでサンプルDNA配列において明らかになったメチル化状態を少なくとも判断材料の一部として利用して行なう。
【0039】
メチル化アッセイの方法。メチル化アッセイのさまざまな方法が従来技術で知られており、本発明と合わせて利用することができる。これらアッセイにより、あるDNA配列中の1つまたは複数のCpGジヌクレオチド(すなわちCpG島)のメチル化状態を明らかにすることができる。このようなアッセイとしては、亜硫酸水素塩で処理したDNAのDNAシークエンシング、(配列特異的増幅のための)PCR、サザン・ブロット分析、メチル化感受性制限酵素の利用などが特に挙げられる。
【0040】
例えば、亜硫酸水素塩での処理を行なうことによってゲノム・シークエンシングが簡単化され、DNAのメチル化パターンと5−メチルシトシンの分布を解析しやすくなった(Frommer他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第89巻、1827〜1831ページ、1992年)。さらに、亜硫酸水素塩で変換したDNAから増幅したPCR産物を制限酵素で消化させる方法を利用する。それは、例えばSadriとHornsbyが報告している方法(Nucl. Acids Res.、第24巻、5058〜5059ページ、1996年)、またはCOBRA(亜硫酸水素塩と制限酵素を組み合わせた分析)(XiongとLaird、Nucleic Acids Res.、第25巻、2532〜2534ページ、1997年)である。
【0041】
COBRA。COBRA分析は、少量のゲノムDNAに含まれる特定の遺伝子座におけるDNAのメチル化レベルを明らかにするのに有効な定量的メチル化アッセイである(XiongとLaird、Nucleic Acids Res.、第25巻、2532〜2534ページ、1997年)。簡単に説明するならば、制限酵素による消化を利用して、亜硫酸水素ナトリウムで処理したDNAのPCR産物におけるメチル化に依存した配列の違いを明らかにする。メチル化に依存した配列の違いは、Frommerら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第89巻、1827〜1831ページ、1992年)が報告している方法に従って標準的な亜硫酸水素塩処理を行なうことにより、初めてゲノムDNAに導入されている。次に、挿入されたCpG島に対して特異的なプライマーを用い、亜硫酸水素塩で変換したDNAをPCRで増幅した後、制限エンドヌクレアーゼにより消化させ、ゲル電気泳動を行ない、標識した特異的なハイブリダイゼーション・プローブを用いて検出を行なう。元のDNAサンプルにおけるメチル化レベルは、消化されたPCR産物と消化されないPCR産物の相対量に基づき、線形的な定量関係として幅広いDNAのメチル化レベルの中に位置づけられる。さらに、この方法は、顕微解剖してパラフィンに埋め込んだ組織サンプルから得られたDNAに適用することができる。(例えばCOBRAに基づいた典型的なキットに見られるような)COBRA分析用の典型的な試薬としては、特定の遺伝子に対するPCRプライマー(またはメチル化が変化したDNA配列またはCpG島);制限酵素と適切な緩衝液;遺伝子ハイブリダイゼーション・オリゴ;対照ハイブリダイゼーション・オリゴ;オリゴ・プローブ用のキナーゼ標識キット;放射性ヌクレオチドなどが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。さらに、亜硫酸水素塩変換試薬としては、DNA変性緩衝液;スルホン化緩衝液;DNA復元用の試薬またはキット(例えば沈殿、限外濾過、アフィニティ・カラム);脱スルホン化緩衝液;DNA復元成分などが挙げられる。
【0042】
“メチライト”(蛍光に基づいたリアルタイムPCR法)(Eads他、Cancer Res.、第59巻、2302〜2306ページ、1999年)、Ms−SNuPE(メチル化感受性単一ヌクレオチド・プライマー伸長)反応(GonzalgoとJones、Nucleic Acids Res.、第25巻、2529〜2531ページ、1997年)、メチル化特異的PCR(“MSP”;Herman他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第93巻、9821〜9826ページ、1996年とアメリカ合衆国特許第5,786,146号)、メチル化されたCpG島の増幅(“MCA”;Toyota他、Cancer Res.、第59巻、2307〜2312、第59巻、1999年)などのアッセイは、単独で利用したり、これらの方法のうちの別の方法と組み合わせて使用したりすることが好ましい。
【0043】
メチライト。メチライト・アッセイは、蛍光に基づいたリアルタイムPCR(タックマン(登録商標))技術を利用したハイスループットの定量的メチル化アッセイであり、PCRステップの後に操作を行なう必要がない(Eads他、Cancer Res.、第59巻、2302〜2306ページ、1999年)。簡単に説明するならば、メチライト法では、ゲノムDNAが混合したサンプルを、標準的な方法に従って亜硫酸水素ナトリウムを用いた反応により、メチル化に依存した配列の違いを有する混合プールに変換する(亜硫酸水素塩法により、メチル化されていないシトシン残基がウラシルに変換される)。次に、蛍光に基づいたPCRを行なう。そのとき行なわせるのは、(既知のCpGメチル化部位と重なっていないプライマーを用いた)“バイアスのない”PCR反応、または(既知のCpGジヌクレオチドと重なったPCRプライマーを用いた)“バイアスのある”反応である。配列の識別は、増幅プロセスのレベル、または蛍光検出プロセスのレベル、またはその両方で行なうことができる。
【0044】
メチライト・アッセイは、ゲノムDNAサンプル中のメチル化パターンを定量的に調べる方法として利用することができる。このとき、配列の識別は、プローブのハイブリダイゼーションのレベルで起こる。この定量法では、PCR反応により、想定される特定のメチル化部位と重なる蛍光プローブの存在下でバイアスのない増幅が行なわれる。入れたDNAの量に対するバイアスのない対照となるのは、プライマーとプローブのどちらもどのCpGジヌクレオチドとも重なっていない反応である。別の方法として、既知のメチル化部位を“カバー”していない対照オリゴヌクレオチド(“MSP”法の蛍光に基づいたバージョン)、または潜在的なメチル化部位をカバーしているオリゴヌクレオチドのいずれかを用いてバイアスのあるPCRプールを調べることにより、ゲノムのメチル化を定性的に知ることができる。
【0045】
メチライト法は、“タックマン(登録商標)”プローブと合わせて増幅プロセスで利用することができる。例えば、二本鎖ゲノムDNAを亜硫酸水素ナトリウムで処理し、タックマン(登録商標)プローブを用いて2通りあるPCR反応のうちの一方を行なう。そのとき、例えば、バイアスのあるプライマーとタックマン(登録商標)プローブ、またはバイアスのないプライマーとタックマン(登録商標)プローブが使用される。タックマン(登録商標)プローブは、蛍光“レポーター”分子と蛍光“クエンチャー”分子で二重に標識されており、GC含量が比較的多い領域に対して特異的になるように設計されているため、PCRサイクルにおいて順プライマーまたは逆プライマーよりも約10℃高い温度で融ける。するとPCRのアニーリング/伸長ステップにおいてタックマン(登録商標)プローブが十分にハイブリダイズしたままにすることができる。タック・ポリメラーゼという酵素によってPCRを行なっている間に新しい鎖が合成されていくにつれ、その鎖は最終的にアニールされたタックマン(登録商標)プローブに到達する。タック・ポリメラーゼの5’→3’エンドヌクレアーゼ活性によりタックマン(登録商標)プローブが消化され、このプローブから蛍光レポーター分子が放出される。すると、リアルタイム蛍光検出システムを用い、クエンチ状態が解かれた信号を定量的に検出することができる。
【0046】
(例えばメチライトに基づいた典型的なキットに見られるような)メチライト分析用の典型的な試薬としては、特定の遺伝子に対するPCRプライマー(またはメチル化が変化したDNA配列またはCpG島);タックマン(登録商標)プローブ;最適化されたOCR緩衝液とデオキシヌクレオチド;タック・ポリメラーゼなどが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。
【0047】
Ms−SNuPE。Ms−SNuPE法は、DNAを亜硫酸水素塩で処理した後に単一ヌクレオチド・プライマー伸長を行なうことに基づき、特定のCpG部位におけるメチル化の違いを定量的に評価する方法である(GonzalgoとJones、Nucleic Acids Res.、第25巻、2529〜2531ページ、1997年)。簡単に説明するならば、ゲノムDNAを亜硫酸水素ナトリウムと反応させてメチル化していないシトシンをウラシルに変換する一方で、5−メチルシトシンは変化しないままにしておく。次に、亜硫酸水素塩で変換したDNAに対して特異的なPCRプライマーを用いて望む標的配列を増幅し、得られた産物を単離し、注目のCpG部位におけるメチル化を分析するための鋳型として用いる。少量のDNAでも分析することができ(例えば、顕微解剖した病変切片)、しかもCpG部位におけるメチル化状態を明らかにするのに制限酵素を使用せずにすむ。(例えばMs−SNuPEに基づいた典型的なキットに見られるような)Ms−SNuPE分析用の典型的な試薬としては、特定の遺伝子に対するPCRプライマー(またはメチル化が変化したDNA配列またはCpG島);最適化されたPCR緩衝液とデオキシヌクレオチド;ゲル抽出キット;正の調節用プライマー;特定の遺伝子に対するMs−SNuPEプライマー;(Ms−SNuPE反応用の)反応緩衝液;放射性ヌクレオチドなどが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。さらに、亜硫酸水素塩変換試薬としては、DNA変性緩衝液;スルホン化緩衝液;DNA復元用の試薬またはキット(例えば沈殿、限外濾過、アフィニティ・カラム);脱スルホン化緩衝液;DNA復元成分などが挙げられる。
【0048】
MSP。MSP(メチル化特異的PCR)により、メチル化感受性制限酵素を使用せずに、CpG島内のほとんどすべてのCpG部位のメチル化状態を評価することができる(Herman他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第93巻、9821〜9826ページ、1996年;アメリカ合衆国特許第5,786,146号)。簡単に説明するならば、亜硫酸水素ナトリウムを用い、メチル化されたシトシンは除いてメチル化されていないすべてのシトシンをウラシルに変換することによってDNAを変化させた後、メチル化されていないDNAではなくメチル化されたDNAに対して特異的なプライマーを用い、その変化したDNAを増幅する。MSPではほんの少量のDNAしか必要とせず、MSPは、所定のCpG島遺伝子座の0.1%メチル化された対立遺伝子に対して感受性があり、パラフィンに埋め込んだサンプルから抽出したDNAに対してMSPを実行することができる。(例えばMSPに基づいた典型的なキットに見られるような)MSP分析用の典型的な試薬としては、特定の遺伝子に対するメチル化されたPCRプライマーと、特定の遺伝子に対するメチル化されていないPCRプライマー(またはメチル化が変化したDNA配列またはCpG島);最適化されたPCR緩衝液とデオキシヌクレオチド;特異的なプローブなどが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。
【0049】
MCA。MCA法は、ゲノムDNA中の変化したメチル化パターンをスクリーニングし、その変化に関係した特定の配列を単離するのに用いることができる方法である(Toyota他、Cancer Res.、第59巻、2307〜2312、第59巻、1999年)。簡単に説明するならば、シトシンのメチル化に対する感度の異なる認識部位を持つ複数の制限酵素を用いて原発性腫瘍、細胞系、正常組織に由来するゲノムDNAを消化させた後、アービトラリー・プライムド−PCRによる増幅を行なった。メチル化の程度が異なる断片群をクローニングし、高分解能ポリアクリルアミド・ゲル上でPCR産物を分離させた後にシークエンシングした。次に、クローニングした断片をサザン・ブロット分析のプローブとして用い、これら領域のメチル化の違いを確認した。(例えばMCAに基づいた典型的なキットに見られるような)MCA分析用の典型的な試薬としては、ゲノムDNAの任意領域の合成を開始するためのPCRプライマー;PCR緩衝液とヌクレオチド、制限酵素と適切な緩衝液;遺伝子ハイブリダイゼーション用のオリゴまたはプローブ;対照ハイブリダイゼーション用のオリゴまたはプローブなどが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。
【0050】
メチル化されたCpGを含む核酸を検出するためのキット。公知の1つ以上のメチル化アッセイ(上記のものを含む)を実行するのに必要な試薬を、配列番号1〜103の配列またはその一部を含むプライマーまたはプローブと組み合わせ、CpGを含む核酸のメチル化状態を明らかにする。例えば、メチライト、Ms−SNuPE、MCA、COBRA、MSPというメチル化アッセイを単独で、あるいは組み合わせ、配列番号1〜103の配列またはその一部を含むプライマーまたはプローブとともに使用すると、配列番号1〜103に対応するゲノム配列、または配列番号1〜103の配列に関係したCpG島配列に対応するゲノム配列に含まれるCpGジヌクレオチドのメチル化状態を明らかにすることができよう。ただし、特定の配列番号の配列に関係したCpG島配列は、この特定の配列番号の配列の少なくとも1つのヌクレオチドを含んでいて、CpGジヌクレオチドの頻度が観測値/予測値の比>0.6に対応することと、GC含量>0.5であることの両方の条件を満たす連続したゲノムDNA配列である。
Claims (12)
- ガンの診断法または予後予測法であって:
(a)検体組織から組織サンプルを取得し;
(b)その組織サンプルに由来するDNAに対してメチル化アッセイを行なうことにより、そのDNAのDNA配列中のCpGジヌクレオチドのメチル化状態を明らかにし(ただしこのDNA配列は、配列番号1〜103の配列、配列番号1〜103の配列に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を有する配列、配列番号1〜103の配列と関係したCpG島配列、配列番号1〜103の配列に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を有する配列と関係したCpG島配列、およびこれらの組み合わせからなるグループの中から選択した配列であり、特定の配列番号の配列と関係したCpG島配列は、その特定の配列番号の少なくとも1つのヌクレオチドを含んでいて、CpGジヌクレオチドの頻度が観測値/予測値の比>0.6に対応することと、GC含量>0.5であることの両方の条件を満たす連続したゲノムDNA配列である);そして
(c)診断または予後予測を、上記DNA配列中のCpGジヌクレオチドのメチル化状態を少なくとも判断材料の一部として利用して行なう;ことを含む、診断法または予後予測法。 - 上記DNA配列が、配列番号1〜103の配列と関係したCpG島配列、配列番号1〜103の配列に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を有する配列と関係したCpG島配列、およびこれらの組み合わせからなるグループの中から選択した配列である、請求項1に記載の診断法または予後予測法。
- 上記DNA配列が、配列番号2、4、6、7、9〜16、19、20、22〜33、35〜43、48、51〜55、59、60、64、71、76、78〜81、84、87〜90の配列と関係したCpG島配列、およびこれらの組み合わせからなるグループの中から選択した配列である、請求項2に記載の診断法または予後予測法。
- メチル化アッセイの方法を、メチライト、MS−SNuPE、MSP、MCA、COBRA、およびこれらの組み合わせからなるグループの中から選択する、請求項1に記載の診断法または予後予測法。
- 上記DNA配列中のCpGジヌクレオチドのメチル化状態が、高メチル化、低メチル化、正常メチル化のいずれかである、請求項1に記載の診断法または予後予測法。
- 上記ガンを、膀胱ガン、前立腺ガン、結腸ガン、肺ガン、腎臓ガン、白血病、乳ガン、子宮ガン、星状膠細胞腫、グリオブラストーマ、神経芽細胞腫からなるグループの中から選択する、請求項1に記載の診断法または予後予測法。
- メチル化されたCpGを含む核酸を検出するのに有効で、1つ以上の容器を含む保持手段を有するキットであって:
(a)配列番号1〜103の配列と、配列番号1〜103の配列に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を有する配列とからなるグループの中から選択した配列の任意の領域とハイブリダイズするプローブまたはプライマーを含む容器と;
(b)メチル化されたCpGを含む核酸の検出を、少なくとも一部はこのプローブまたはプライマーに基づいて行なうのに必要な付加的な標準メチル化アッセイ用試薬:
とを備えるキット。 - 付加的な上記標準メチル化アッセイ用試薬が、メチライト、MS−SNuPE、MSP MCA、COBRA、およびこれらの組み合わせからなるグループの中から選択したメチル化アッセイを実行するための標準試薬である、請求項7に記載のキット。
- 上記のプローブまたはプライマーが、配列番号1〜103の配列と、配列番号1〜103の配列に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を有する配列とからなるグループの中から選択した配列中の少なくとも約12〜15個のヌクレオチドを含む、請求項7に記載のキット。
- 配列番号1、配列番号5、配列番号6、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号18、配列番号24、配列番号25、配列番号32、配列番号34、配列番号37、配列番号38、配列番号42、配列番号44、配列番号51、配列番号52、配列番号62、配列番号64、配列番号65、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号74、配列番号76、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号86、配列番号90、配列番号92、配列番号97、配列番号100からなるグループの中から選択したメチル化されたポリヌクレオチド配列またはメチル化されていないポリヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
- メチル化されている請求項10に記載の核酸。
- メチル化されていない請求項10に記載の核酸。
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