JP2004527239A - プロテインc変異体 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は、高められた抗凝固活性を示す機能的組換えプロテインC変異体、および治療もしくは診断目的上のこうした変異体の使用に向けられる。より具体的には、本発明は、改変されたGlaドメインを含有するプロテインC変異体、および治療もしくは診断目的上のこうした変異体の使用に向けられる。
【背景技術】
【0002】
プロテインCは、一般にプロテインC抗凝固系と呼称される血液の抗凝固系に参画する大きく生理学的に重要なビタミンK依存性タンパク質である。全部のビタミンK依存性タンパク質と同様、プロテインCはN末端の45アミノ酸残基より構成されるGlaドメインもしくはGlaモジュールを含有し、前記ドメインは下でより詳細に論考されるであろうとおり、膜結合親和性に決定的に重要である。
【0003】
前記プロテインC抗凝固系において、プロテインCは、血液凝固のダウンレギュレーターとして、その活性化された形態(APC、Activated Protein C(活性化型プロテインC))のプロテインCに対し相乗的補助因子として作用する補助因子プロテインSおよび無傷の第V因子(FV)を包含する他のタンパク質と協力して機能して、それにより血液の過剰な凝固を予防し、そして従って血栓症を阻害する。活性化された形態のプロテインCにより表されるこの抗凝固活性は、活性化型第VIII因子(VIIIa)および活性化型第V因子(FVa)(これらは血液凝固系の他の補助因子である)を特異的に切断かつ分解することにより血液凝固の反応を阻害するその能力から発する。その結果として、血液凝固に必要な成分、すなわち第X因子(FX)およびプロトロンビンの活性化が阻害され、そして凝固系の活性がそがれる。従って、プロテインCは、適正に機能する血液凝固系に大きく生理学的に重要である。
【0004】
プロテインCの重要性は臨床的観察結果から推定することができる。例えば、重症の血栓塞栓症はホモ接合性のプロテインC欠乏症を伴う個体を冒し、そして冒された個体は彼らの新生児期に既に血栓症を発症する。生じる臨床状態(電撃性紫斑病)は、該状態をプロテインCで治療しない限り、通常は致死性である。他方、ヘテロ接合性のプロテインC欠乏症はより少なく重症の血栓塞栓性の表現型と関連し、そして静脈血栓症に対する比較的軽度の危険因子のみを構成する。この遺伝的特質のキャリアーが、正常プロテインCレベルを伴う個体に比較して血栓症の5ないし10倍より高い危険度を有すると推定されている。しかしながら、より重要なことには、血栓症を伴う最も普遍的な遺伝的欠損はプロテインC系もまた冒している。この状態は通常APC抵抗性と称され、そして、FV遺伝子(その突然変異はFVのアミノ酸配列中のアミノ酸残基Arg506のGln残基での置換につながる)中の単一の点突然変異により最も頻繁に引き起こされる。Arg506は、APCによる切断作用に対し感受性である活性化型FV(FVa)中の3個の切断部位の1個を構成し、そしてこうした突然変異されたFVaは、正常のFVaよりAPCによりより少なく効率的に分解される(非特許文献1)。
【0005】
血液凝固系中の抗凝固成分としてのプロテインCおよび活性化型プロテインC(APC)の生理学的重要性は、治療目的上のこれらの物質の潜在的使用を示す。
【0006】
事実、プロテインCおよびその活性化された形態APCは、既に、治療目的上、若干の程度まで使用されている(非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5)。より具体的には、ヒト血漿から精製されたプロテインCが、ホモ接合性のプロテインC欠乏症での置換療法として使用されており(非特許文献6)、かつまた髄膜炎菌性敗血症による重症の播種性血管内凝固を伴う症例でも成功裏に使用されている(非特許文献7)。さらに、敗血症(大腸菌(E.coli)を使用する)のヒヒモデルにおいて、APCが保護的効果を有することが示され、その効果はAPCを大腸菌(E.coli)注入前に与えた場合にととりわけ顕著であった(非特許文献8)。いずれにしても、今日まで得られた結果は、プロテインCが、上の病状の治療にのみならず、しかしまた凝固系が活性化されている多くの他の病状、例えば静脈血栓症、冠動脈血管の再疎通後、心筋梗塞(MI)後および血管形成術後の血管閉塞の予防および治療にも有用な薬物となるかもしれないことを示唆する。
【0007】
血液凝固の混乱に関係した多様な病状の治療的治療が、高められた抗凝固特性を有するプロテインCの変異体が利用可能であった場合に改良される可能性があることが予見される。さらに、こうした変異体は、改良された性能を有するアッセイを得るためにプロテインC系の他の成分についての多様な生物学的アッセイを改良するための試薬として有用であるとみられる。
【0008】
過去数十年の組換えDNA技術の発展は、所望の生物学的物質を効率的に製造しかつ/もしくは所望のかつ場合によっては特別に設計された特性を有する生物学的物質を創製する可能性に多大な影響を有した。事実、プロテインCの機能的変異体のみならず、しかしまた本質的に野性型のプロテインCも、例えば以下の参考文献で報告されるとおり、組換え技術により製造されている。
【0009】
特許文献1において、ヒトプロテインC誘導体の組換え製造が開示される。しかしながら、ヒト野性型プロテインCに本質的に対応する機能的活性を有するプロテインCポリペプチドの製造のみが開示される。最近、本参考文献により製造された野性型プロテインCが、重症の敗血症の治療で成功裏に使用されている(非特許文献9の刊行前の発表を参照されたい)。
【0010】
組換え技術により製造されたプロテインCの使用は、非特許文献10;非特許文献11にもまた開示される。
【0011】
さらに、残基158−169を包含する活性化ペプチド領域に向けられた突然変異誘発により得られるプロテインCの機能的変異体は、トロンビンに対する高められた感受性を有するかもしれず、こうした変異体は野性型プロテインCより迅速にトロンビンにより活性化される(非特許文献12;非特許文献13)。これらの研究の1つ(非特許文献13)において、突然変異体プロテインCに至る活性化部位周辺に多数の突然変異が導入され、この突然変異体は、トロンビンによるプロテインCの効率的な活性化に通常必要とされる膜タンパク質トロンボモジュリンの非存在下でさえ。血液の凝固の間に形成されるトロンビンにより比較的容易に活性化された。
【0012】
より具体的には、非特許文献13で開示されるトロンビンとの高められた相互作用を有するプロテインC変異体は、活性化ペプチド領域中に突然変異を含んで成り、トロンビン切断部位近くの2個の推定の阻害性酸性残基が変えられている。活性化ペプチド領域中の前記変えられた残基、およびまたGrinnellら(下記)により開示されるAsn313Gln突然変異も含んで成る1種のプロテインCの変異体が、最近、インビボで実施された実験で抗凝固薬として十分に機能することが示された(非特許文献14)。しかしながら、このプロテインC変異体において、高められた抗凝固活性はAsn 313 Gln突然変異により、他の突然変異はトロンビンとの高められた相互作用を生じさせない。
【0013】
非特許文献15で、ヒトプロテインCの機能におけるグリコシル化の役割が検査され、4個の潜在的N−結合グリコシル化部位、すなわち位置97、248、313および329のそれぞれを単独に除外するのに部位特異的突然変異誘発が使用されている。その中に開示されるプロテインC変異体において、Glnがそれぞれ位置97、248および313でAsnの代わりに用いられており、そして、位置248および313でこの置換突然変異を有するプロテインC突然変異体が、他の改変された特性に加えて2ないし3倍高められた抗凝固活性を現したことが示される。
【0014】
野性型プロテインCのアミノ酸配列、例えばセリンプロテアーゼ(SP)モジュール中の最低1個のアミノ酸残基の改変(その改変はプロテインCのグリコシル化を変えない)の導入により、高められた抗凝固活性を表すプロテインCおよびAPCの機能的変異体が、特許文献2に開示される。その中で具体的に開示される1変異体は、残基番号300と314との間の短いアミノ酸残基伸長内に配置されるSPモジュール中の数個の突然変異を含有し、前記変異体は野性型ヒトプロテインCに比較しておよそ400%の高められた抗凝固活性を示す。
【0015】
非特許文献16において、Rezaieらは、Glu357Gln突然変異(すなわちキモトリプシンの番号付けを使用する場合にGlu192Gln)を含んで成るプロテインC突然変異体を開示する。この突然変異体は純粋な系で約2ないし3倍高められた速度でFVaを不活性化するとは言え、血漿中では、該抗凝固活性は野性型のプロテインCに比較して高められない。該突然変異体がα−1アンチトリプシンおよびアンチトロンビンIIIのようなプロテアーゼ阻害剤により迅速に阻害されるからである。
【0016】
天然のプロテインCのGlaドメイン中に改変を有するもしくはそれを欠くプロテインCの変異体もまた以前に報告されている。
【0017】
例えば、天然のプロテインCのGlaドメインを欠きかつThr254Tyr(すなわち、キモトリプシンの番号付けに基づきThr99Tyr)を含んで成るプロテインC変異体が、非特許文献17に開示される。この変異体プロテインCは、リン脂質の非存在下で純粋なFVaすなわち可溶性FVaに対する2倍高められた活性を有するが、しかし、欠けているGlaドメインによって血漿中での抗凝固活性を欠いている。
【0018】
最近、改変されたGlaドメインを有する数種のプロテインC変異体がShenらにより非特許文献18で報告された。これらのプロテインC変異体はGlaドメイン中に数個の置換を含有し、そして、高められたCaおよび/もしくは膜結合特性、ならびに従って活性化型プロテインC(APC)の高められた抗凝固活性も示す。これらの変異体のいくつかはまた、Glaドメイン中に置換改変を含有する他のプロテインC変異体と一緒に特許文献3にも開示されている。後者の参考文献は、全般として、それらのGlaドメイン中の改変すなわち置換により、変えられた、例えば高められた膜結合親和性を表す改変されたビタミンK依存性ポリペプチドに関係する。該ビタミンK依存性ポリペプチドは、第VII因子もしくはいずれかの他のビタミンK依存性タンパク質、例えばプロテインCを含んで成ることができる。この国際特許出願(WO)参考文献によればプロテインC配列中の位置4がいずれの残基によっても占有されない(例えば、Shen(および本発明)の位置10が該WO参考文献の位置11に対応することを意味する)ために、Glaドメイン残基の番号付けが、ShenらとこのWO参考文献との間で異なることに注意すべきである。
【0019】
高められた抗凝固活性および/もしくは他の改変された特性を有するプロテインC変異体が以前に開示されているとしても、高められた抗凝固活性を示しかつ/または治療および/もしくは診断目的上有用であるとみられる他の有益な特性を有するプロテインC変異体の必要性がなお存在する。
【特許文献1】
米国特許出願第US−A−4 775 624号明細書(Bangら)
【特許文献2】
国際特許出願第WO 98/44000号明細書
【特許文献3】
国際特許出願第WO 99/20767号明細書
【非特許文献1】
Dahlbaeck,J.Clin.Invest.1994,94:923−927
【非特許文献2】
VerstraeteとZoldholyi,Drugs 1995,49:856−884
【非特許文献3】
Esmonら,Dev.Biol.Stand.1987,67:51−57
【非特許文献4】
Okajimaら,Am.J.Hematol.1990,33:277−278
【非特許文献5】
Dreyfysら,N.Engl.J.Med.1991,325:1565−1568
【非特許文献6】
MarlarとNeumann,Semin.Thromb.Haemostas.1990,16:299−309
【非特許文献7】
Rivardら,J.Pediatr.1995,126:646−652
【非特許文献8】
Taylorら,J.Clin.Invest.1987,79:918−925
【非特許文献9】
New England Journal of Medicineからの表題“Efficacy and Safety of Recombinant Human Activated Protein C for Severe Sepsis”を伴いかつ2001年2月9日付の論文
【非特許文献10】
Bergら,Biotechnique,1993,14:972−978
【非特許文献11】
Hoyerら,Vox Sang.1994,67:Suppl.3:217−220
【非特許文献12】
Erlichら,Embo.J.1990,9:2367−2373
【非特許文献13】
Richardsonら,Nature 1992,360:261−264
【非特許文献14】
Kurzら,Blood,1997,89:534−540
【非特許文献15】
Grinnellら,J.Biol.Chem.,1991,9778−9785
【非特許文献16】
J.Biol.Chem.1993,268:19943−19948
【非特許文献17】
J.Biol.Chem.,1996,271:23807−23814
【非特許文献18】
J.Biol.Chem.,Vol.273,No.47,pp.31086−31091,1998
【発明の開示】
【0020】
本発明は、改変されたGlaドメインを含有しかつ高められた抗凝固活性を示すプロテインCの機能的変異体に関する。本プロテインC変異体のこの高められた抗凝固活性は、高められたカルシウムおよび/もしくは膜結合特性から本質的に発し、そして、活性の形態のプロテインCチモーゲンであるAPCにより主として現され、前記チモーゲンは事実上不活性である。従って、本発明はまた、改変されたGlaドメインを含有しかつ高められた抗凝固活性を示すAPCの変異体にも関する。GlaドメインはプロテインCの最初のアミノ末端45残基を含んで成り、また、その構造および機能は下でより詳細に論考されるであろう。
【0021】
本発明により、Glaドメインへの最低1、適してはいくつか、例えば最低6、およびより具体的には7もしくはそれ以上のアミノ酸残基の改変(1個もしくは複数)の導入が、Shenら(上記引用文中)によりおよび国際特許出願第WO 99/20767号公開に報告されたGlaドメイン中に改変を有する変異体に比較して、改良された特性を有するプロテインCもしくはAPC変異体を提供することが発見された。
【0022】
適しては、本変異体は、10以上のアミノ酸改変を含有せず、また、適する場合には、この他のGlaドメインとプロテインCのGlaドメインとの間の差異が上で論考されたところの数アミノ酸残基を構成するのみでない限り、プロトロンビンもしくは第X因子由来のGlaドメインを有するハイブリッドプロテインC変異体のような異なるビタミンK依存性タンパク質の間のハイブリッドを包含しない。
【0023】
さらに高められた抗凝固活性のような改良された特性を現す本発明のプロテインC変異体は、例えば治療目的上使用される場合に投薬量もしくは投与の頻度を低下させることにより利益を提供する可能性がある。
【0024】
本発明はまた、前記方法での使用に意図されるDNAセグメントを用いるDNA技術に基づくこうした変異体の製造方法、ならびに治療および/もしくは診断目的上の前記変異体の使用にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
A.プロテインCの分子配列
プロテインC分子は4種の異なる型のモジュールより構成される。アミノ末端からカルボキシ末端の向きで、これらのモジュールは、Glaモジュール、2個のEGF様モジュール(すなわち表皮増殖因子相同物モジュール)、および最後に典型的なセリンプロテアーゼ(SP)モジュールよりなる。血漿中では、循環するプロテインCの大部分は、制限されたタンパク質分解により一本鎖前駆体から生じられる、成熟二本鎖ジスルフィド結合プロテインCチモーゲンよりなる。これら二本の鎖は、GlaおよびEGFモジュールを含有する20kDaのL鎖、ならびにSPモジュールを構成する40kDaのH鎖である。トロンボモジュリンに結合されたトロンビンによる活性化の間に、ペプチド結合Arg−Leu(残基169および170)がH鎖のN末端部分で切断され、そして12アミノ酸残基(残基158−169)を含んで成る活性化ペプチドが遊離される。本発明に関連して、プロテインCおよびその変異体のアミノ酸配列中の残基の番号付けは成熟プロテインCに基づく。
【0026】
プロテインCのアミノ酸配列は、対応するcDNAヌクレオチド配列から推定されており、そして文献に報告されている。さらに、プロテインCのcDNAヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列は、ヒトプロテインC(HSPROTCと呼称される)について受託番号X02750、およびウシプロテインC(BTPBCと呼称される)について受託番号KO 2435のもとにEMBL遺伝子データベース(ドイツ・ハイデルベルク)から入手可能である。
【0027】
上に述べられたとおり、ビタミンK依存性タンパク質のGlaドメインはN末端の45アミノ酸残基を含んで成る。従って、Glaドメイン全体のアミノ酸配列は、ヒトおよびウシプロテインCのようなタンパク質について既知であり、その全アミノ酸配列もしくはそのN末端部分(45残基)が決定されている。上のデータベース配列に基づき、ヒトプロテインCおよびウシプロテインCのGlaドメインは、下に示されるとおり具体的に説明することができる(それぞれ配列番号1および配列番号2):
ANSFLEELRH SSLERECIEE ICDFEEAKEI FQNVDDTLAF WSKHV(配列番号1)
ANSFLEELRP GNVERECSEE VCEFEEAREI FQNTEDTMAF WSKYS(配列番号2)
類似性に関してのこうしたN末端配列の比較、ならびに個々の配列間の逸脱は、突然変異誘発(すなわち改変)の標的として適する位置を示す可能性がある。こうした比較のために、Glaドメインの全アミノ酸配列を知ることは必要ではないかもしれないが、しかし、抗凝固活性に潜在的に重要な位置のアミノ酸残基が決定されている場合は十分である可能性がある。
【0028】
本発明に関して、通常の1文字もしくは3文字記号を、以下の対応表に示されるとおり、アミノ酸の略語として使用する:
【0029】
【表1】
【0030】
B.プロテインCの変異体
上に述べられたとおり、本発明は組換えプロテインCの機能的変異体に関し、前記変異体は改変されたGlaドメインを含有しかつ高められた抗凝固活性を表す。これらの変異体は、1個もしくはそれ以上、適する場合にはいくつか、および好ましくは10を越えないアミノ酸残基に関して野性型の組換えプロテインCと異なり、前記残基は対応する野性型配列中で挿入、欠失もしくは置換(substituted)(すなわち置換(replaced))されて、それによりプロテインCの本変異体を生じる。前記差異(1個もしくは複数)はプロテインCのAPCへの活性化後に維持されるため、本発明はまた、高められた抗凝固活性を有するAPC変異体に関する。適する一態様によれば、改変(1個もしくは複数)は置換(1個もしくは複数)である。
【0031】
現在、こうした変異体は、突然変異誘発、とりわけ、オリゴヌクレオチドプライマーの使用を包含する部位特異的突然変異誘発により便宜的に得られる。しかしながら、本発明は、これらの変異体を得る様式に関係なく、機能的な変異体それ自体に関する。
【0032】
PCとAPCとの間の緊密な関係を鑑み、頻繁には、本発明に関してPCとAPCとの間の明確な区別はなされないが、しかし、呼称PC/APCを使用し、そして、これらの物質の一方が考慮されるか双方が考慮されるかは、文脈が示すことができる。
【0033】
本発明に関して、「変異体」という表現は、野性型分子に比較して高程度の相同性を一般に有する突然変異体分子のような改変された野性型分子を意味する。
【0034】
従って、こうした変異体が、野性型物質に関して実質的相同性を保存するために、数個のみの改変されたアミノ酸残基、およびおそらくただ1個のアミノ酸残基を包含することが好ましい。これは、治療に使用される変異体に対する可能な免疫応答を回避もしくは少なくとも低減するために、インビボでの治療のための本変異体の使用に関してとりわけ重要である。従って、製薬学的目的上、好ましくは、本変異体は、対応する野性型物質に実質的に相同であり、そして点突然変異、例えば1もしくは数個の単一アミノ酸残基の置換、欠失および/もしくは挿入のみを含有する。好ましくは、該変異体は、インビボでの使用のために、1個以上のアミノ酸残基改変を含有し、かつ、約10までのアミノ酸残改変を含有することができる。
【0035】
従って、PC/APCの適する変異体は、高程度、適しては最低95%、および好ましくは最低97%、およびとりわけ最低98%の、野性型成熟PC/APCとのアミノ酸配列の同一性を有する。
【0036】
本発明の診断の態様に関して、高程度の相同性はもちろんより少なく重要であり、主要件は機能的変異体が野性型タンパク質と比較して高められたレベルで所望の活性を示すことである。
【0037】
製薬学的目的上、本発明の好ましい態様はヒトPC/APC変異体に関する。しかしながら、本発明はまた、改変されたGlaドメインにより高められた抗凝固活性を有する哺乳動物起源、例えばウシまたはマウスもしくはラット起源の変異体のようなネズミ起源の他のPC/APC変異体にも関する。
【0038】
上で挙げられたとおり、GlaドメインもしくはGlaモジュールはビタミンK依存性タンパク質ファミリーに特異的であり、そのメンバーは、その中でグルタミン酸(E)残基がγ−カルボキシグルタミン酸残基(Gla)に改変されている特別のタンパク質モジュール(前記Glaモジュール)を含有する。この改変は、プロテインC前駆体中のグルタミン酸残基の側鎖をカルボキシル化するのにビタミンKを使用する酵素により肝で実施される。それぞれヒトおよびウシプロテインCのGlaドメインについて上で示された配列(配列番号1および2)において、E残基は従って循環するタンパク質中でGla残基に転化されている。
【0039】
GlaモジュールはビタミンK依存性タンパク質の最初のアミノ末端45残基より構成され、そしてカルシウムに結合しかつ負に荷電した凝固活性リン脂質に結合する能力をもつタンパク質を提供する。さらに、FVaおよびFVIIIaのタンパク質分解における活性化型プロテインC(APC)の機能に決定的に重要である膜接触部位が前記Glaドメイン中に含有され、APCの活性は、膜表面上でのAPCならびに他のタンパク質、すなわち第V因子およびプロテインS補助因子の会合に際して発現される。しかしながら、多様なビタミンK依存性タンパク質のGla含有領域間の高程度の配列の相同性にもかかわらず、これらのタンパク質は広範な膜親和性を表す。これは、低親和性タンパク質であるプロテインC、例えばヒトプロテインCの膜親和性を改変する、およびより具体的には高めることが可能でありうることを示す。
【0040】
この目的上、高親和性のビタミンK依存性タンパク質の構造は、Shenら(上記)により示唆されたとおり、プロテインCのような低親和性タンパク質の膜結合親和性および従って抗凝固活性を高める可能性がある可能な改変を示唆するための鋳型としてはたらくことができる。例えば、部位特異的突然変異誘発を、プロテインZのような高親和性のビタミンK依存性タンパク質の構造に似ている構造を有するプロテインC変異体を製造するために、野性型プロテインCで実施することができる。
【0041】
しかしながら、全部のビタミンK依存性タンパク質に妥当であるとみられ、かつ、高められた膜結合親和性を生じさせる可能性のあるアミノ酸改変のための可能な位置を予測するとみられる静電分布についての普遍的原型の存在が、第WO 99/20767号公開で示唆されているとは言え、この原型は、Glaドメインのいくつかの位置、すなわち10、11、28、32および33(本発明に関して使用される番号付けによる)にのみ関する。さらに、Shenら(上記)により報告されたとおり、プロテインCは独特の特徴を有することが示されており、かつ、こうした普遍的仮説に必ずしも適合しないとみられる。
【0042】
本発明により、改変(1個もしくは複数)をプロテインCのGlaドメインに導入して、好ましくはインビボおよびインビトロ双方で高められた抗凝固活性のような改良された特性を表す変異体プロテインCを製造することができることが、予期しないことに見出された。こうした変異体は、置換(substitution)(置換(replacement))、欠失もしくは挿入(付加)のような、最低1、適しては最低6、例えば7〜10アミノ酸の改変(1個もしくは複数)を含有する。
【0043】
本発明の一局面によれは、前記最低1個のアミノ酸改変は、位置10、11、28、32もしくは33以外のプロテインCのGlaドメインの1位置での1個のアミノ酸残基についての別の残基の置換である。適しては、前記最低1個のアミノ酸改変は位置12、23もしくは44に配置される。本発明のさらなる一局面は、前記最低1個のアミノ酸改変がS12N、D23SおよびH44Yから選択される置換突然変異であるプロテインC変異体に関する。
【0044】
本発明の他の態様は、前記最低1個のアミノ酸改変が、位置10、11、12、23、32、33および44から選択される1位置に配置されるプロテインC変異体に関する。適しては、位置10、11、12、23、32、33および44の1個以上、および好ましくは全部が、例えば置換により改変される。
【0045】
本発明の一局面によれば、前記最低1個のアミノ酸改変は、E10G11E32D33、Q10G11E32D33、G11N12E32D33、G11E32D33、E32D33およびE32以外の1個もしくはそれ以上のアミノ酸改変から構成される。あるいは、本変異体はこれらの改変の1個もしくはそれ以上を含有することができるが、但し、本変異体はGlaドメイン中に最低1個のさらなる改変を含有する。
【0046】
ずっと高められた抗凝固活性を有する特定の一ヒトプロテインC変異体は、置換突然変異H10Q、S11G、S12N、D23S、Q32E、N33DおよびH44Yを含有する。従って、本プロテインC変異体は、以下のアミノ酸配列:
ANSFLEELRQ GNLERECIEE ICSFEEAKEI FEDVDDTLAF WSKYV(配列番号3)
を有する改変されたGlaドメインを有する。
【0047】
置換H10Q、S11GおよびS12Nのみ、置換D23S、Q32EおよびN33Dのみ、もしくは置換D23S、Q32E、N33DおよびH44Yのみを含有する本発明の変異体がわずかに高められた抗凝固活性を表す場合であっても、全部のこれらの置換を含有する上で挙げられた特定の変異体(配列番号3)は、極めて予期しないことに、Shenら(上記)によりおよび第WO 99/20767号明細書に記述されるプロテインC変異体の抗凝固活性に比較してずっと高められた抗凝固活性を表すことが注目されるべきである。
【0048】
当業者には、置換以外のGlaドメイン中の改変が改良された特性を有するプロテインC変異体を提供する可能性があることが明らかである。さらに、本明細書でとりわけ挙げられるものより他の置換もまたこうした変異体を提供する可能性がある。こうした置換は保存的もしくは非保存的である可能性がある。普遍的な側鎖の特性に基づき、天然に存在する残基は以下の分類に分割される:
1)ノルロイシン、Met、Ala、Val、LeuおよびIleを含んで成る疎水性残基;
2)Cys、SerおよびThrを含んで成る中性の親水性残基;
3)AspおよびGluを含んで成る酸性残基;
4)Asn、Gln、His、LysおよびArgを含んで成る塩基性残基;
5)GlyおよびProを含んで成る鎖の向きに影響する残基;ならびに
6)Trp、TyrおよびPheを含んで成る芳香族残基。
【0049】
非保存的置換は、これらの分類の1種の1メンバーでの別の分類の1メンバーの置換を必要とするかもしれない一方、保存的置換は1アミノ酸残基の同一分類の1メンバーでの置換を必要とするかもしれない。置換突然変異誘発のための目的の位置は、異なる種からの野性型プロテインC中で見出されるアミノ酸残基が例えば側鎖の嵩高さ(bulk)、電荷および/もしくは疎水性に関して異なる位置を包含する。しかしながら、目的の他の位置は、特定のアミノ酸残基が最低数種の異なる種間で異ならないがしかしそれらについて同一であるこうした位置である。こうした位置は生物学的活性にとって潜在的に重要であるからである。最初に候補位置を比較的保存的な様式で置換する。その後、こうした置換が生物学的活性の変化をもたらす場合は、より実質的な置換を導入し、かつ/または、付加、欠失もしくは挿入のような他の改変を行い、そして生じる変異体を生物学的活性についてスクリーニングする。
【0050】
アミノ酸配列の保存的置換もしくは改変は、野性型プロテインCのものに類似である機能的および化学的特徴を有する変異体を生じさせることを期待することができるため、適しては、本プロテインC変異体は、最低1個の非保存的置換、例えば塩基性残基の代わりの芳香族残基、もしくは酸性残基の代わりの塩基性残基の置換を含有する。
【0051】
本発明の改変された(すなわち変異体もしくは突然変異体)PC/APCは高められた抗凝固活性を有するため、生物学的活性についての上に挙げられたスクリーニングは、適しては、抗凝固活性の測定に関する。こうした抗凝固活性は、一般には標準的インビトロ凝固アッセイにおける凝固時間を増大させる本変異体の能力として決定することができる。高められた抗凝固活性は、血漿から生じられもしくは組換えDNA技術により得られるかもしれない野性型PC/APCとの比較で測定する。従って、本発明により有用であるために、該PC/APC変異体は、野性型物質の抗凝固活性より高い抗凝固活性を表すべきである。適しては、本変異体は、野性型プロテインCより最低約400%もしくはそれ以上、例えば1000%まで、または3000%までも高められる抗凝固活性を表す。
【0052】
上のおよび類似の原理に基づき、本発明の好ましい一変異体(配列番号3)を構築した。より具体的には、MacDonaldら(Biochemistry 1997;36:5120−5127)による理論的論文において、全部の既知のGlaドメインの配列を比較し、そして負に荷電したリン脂質に結合するこれらのGlaドメインの能力と配列を相互に関連付けるための努力がなされた。この分析から、多様なGlaドメイン間の負に荷電したリン脂質に対する親和性の大きな変動が、主として位置10および32および33の残基の周辺のアミノ酸配列の差異に関係したことが示唆された。
【0053】
Shenらによる以前の論文(J biol Chem 1998,273:31086−31091)において、いくつかの異なる突然変異体を創製し、そしてMacDonaldらの理論的考慮に従って試験した。これらの突然変異の共通のテーマは、位置11をセリン(S)からグリシン(G)に、また、位置32をグルタミン(Q)からグルタミン酸(E、成熟タンパク質中でGlaに転化されることができる)、および位置33をアスパラギン(N)からアスパラギン酸(D)に変えることであった。加えて、位置10および12はその時点で一方を変えたが、しかし一緒に変えなかった。従って、試験された突然変異体は、G11E32D33(GED)、E32D33(ED)およびE32(E)に加え、E10G11E32D33(EGED)、Q10G11E32D33(QGED)、G11N12E32D33(GNED)であった。
【0054】
QGEDおよびGNEDが抗凝固薬として本質的に同等に有効であったこと、および双方がwt APCより抗凝固性であったことが観察された。wt APCと比較すると、双方の突然変異体は、負に荷電したリン脂質を含有するリン脂質小胞を優れた様式で結合し、かつまたCa2+もよりきつく結合した。その研究の大部分の有効な突然変異体がwt APCよりもより抗凝固性であった場合でさえ、これは低濃度のリン脂質を使用した場合にのみ見出された。従って、APCの改良された酵素活性が使用された全部の膜に対する増大された膜親和性と相互に関連付けられたことが見出された場合であっても、負に荷電したリン脂質に対するAPCの高められた親和性は、低濃度の負に荷電したリン脂質でのAPCの抗凝固(酵素)活性を向上させたのみであったことが示唆された。
【0055】
Shenらの研究(J biol Chem 1998,273:31086−31091)により刺激されて本研究を開始した。理念は、おそらくより有効な突然変異が、双方の位置10、11および12の突然変異を1変異体に組み合わせること、ならびに加えて位置23および44の突然変異が突然変異体APCの有効性に影響を及ぼす可能性があるかどうかを試験することにより創製することができることであった。位置32および33は、それは未だ証明されていないとは言え、Shenらによる研究(J biol Chem 1998,273:31086−31091)から重要であると考えられた。GED、ED(位置32、33)およびE(位置32)に加えてShenらにより試験された突然変異体、すなわち、EGED、QGED、GNEDは、以下の理由から、位置32および33の重要性を確実に証明することができなかった。突然変異体EGED、QGED、GNEDおよびGEDは全部wt APCより有効であったが、しかし、2種の突然変異体EDおよびEはより有効でなかった。これは、位置10〜12周辺の突然変異が、より有効なタンパク質を創製したものであった、ならびに、32および32の突然変異が必要とされなかった可能性を生じさせた。位置10〜12の突然変異は位置32および33の突然変異と組み合わせられなければならないことが仮説として出されたがしかし証明されなかった。しかしながら、位置32および33の突然変異単独は、高められた抗凝固活性を表すプロテインC変異体の創製に不十分であったことが、Shenら(J biol Chem 1998,273:31086−31091)の研究から明らかであった。下に立証されるであろうとおり、位置10〜12(QGN変異体)も、位置23、32、33および44(SEDY変異体)での突然変異誘発も、わずか以上に改良された抗凝固活性をもつ分子を創製しなかった。全部の上で同定された改変を含有する特定の突然変異体(配列番号3)(QGNSEDYもしくは「ALL」と呼称される)のみが高度に有効であった。
【0056】
野性型プロテインCの上で同定された位置で野性型残基を置換するための使用に適するアミノ酸残基に関して、これらのアミノ酸配列と、多様なビタミンK依存性タンパク質のリン脂質結合能力との間の相関分析を包含した、異なるGlaドメインのアミノ酸配列の比較を実施した。これは、QGNが位置10、11および12の興味深い一選択肢であったことを示唆した。ヒトプロテインSおよびウシ第X因子双方がこれらの配列を含んで成り、また、双方のこれらのタンパク質は負に荷電したリン脂質を高親和性で結合するからである。多くのGlaドメイン中で、位置23はセリン(S)残基により占有され、そして、それが、本発明の適する変異体を創製する場合にプロテインCの野性型残基をセリン残基で置換した理由である。位置44の改変は以前に考慮されていなかったことが注目されるべきである。しかしながら、位置44にヒスチジン(H)残基を含有するGlaドメインのみがヒトプロテインCのGlaドメインであり、全部の他のGlaドメインは位置44にチロシン残基を有するため、チロシン(Y)での位置44のヒスチジン残基の置換が有用な改変である可能性があることは論理的であると思われる。
【0057】
上の論考から、Glaドメインが45アミノ酸残基を含有し、そのそれぞれを独立にもしくは組合せで改変することができ、そしてそれにより生じられたAPC変異体が高められた抗凝固活性を有するさらなる変異体についての検索で特徴づけられなければならないとみられる場合であっても、こうした検索は実際に当業者の到達内にあることが明白である。さらに、従来技術に基づき、例えば前駆体として本明細書でとりわけ開示される変異体を使用して、前駆体の変異体(例えば実験の部でとりわけ製造される変異体)と実質的に同一の特性を有するさらなる変異体を、例えば1もしくは数個の保存的置換を導入することにより、あるいは、Glaドメインの一部、または改変されることを意図している前駆体の特性にこうした改変が影響を及ぼさないとみられるプロテインC分子の他の部分に改変を導入することにより、製造することができる。本質的に変化されないもしくは本変異体と同一の特性を表すこうした変異体は、本変異体に同等であるとみなされ、そして従って本発明により包含されるべきである。
C.DNAセグメントおよびその製造法
本発明はまた、PC/APC変異体に関係したデオキシリボ核酸(DNA)セグメントもしくは配列、例えばこれらの変異体をコードする構造遺伝子、改変されたアミノ酸伸長のコーディング配列を含んで成る突然変異誘発プライマーなどにも関する。
【0058】
この点において、遺伝暗号の公知の冗長性を考慮に入れなければならない。すなわち、タンパク質を作成するのに使用されるアミノ酸の大部分について、1個以上のコーディングヌクレオチド三重項(コドン)が特定の一アミノ酸残基をコードもしくは規定する可能性がある。従って、多数の異なるヌクレオチド配列が特定の1アミノ酸残基配列をコードするかもしれない。しかしながら、こうしたヌクレオチド配列は、それらが同一アミノ酸残基配列の産生をもたらす可能性があるために機能的に同等とみなされる。さらに、ときに、プリンもしくはピリミジンのメチル化変異体が所定のヌクレオチド配列に組み込まれるかもしれないが、しかし、こうしたメチル化はいかなる方法でもコーディングに影響を及ぼさない。従って、メチル化変異体を含むもしくは含まないかもしれないこうした機能的に同等な配列もまた、本発明により包含される。
【0059】
本発明の適するDNAセグメントは、本発明の改変された(変異体もしくは突然変異体)PC/APCをコードするDNA配列を含んで成る。すなわち、該DNAセグメントは改変されたPC/APCをコードする構造遺伝子を含んで成る。しかしながら、本発明のDNAセグメントは、例えば突然変異誘発プライマーとしての使用のために、改変されたアミノ酸伸長を含めて約15までの数個のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド三重項を含んで成る比較的短い配列よりなってよい。
【0060】
本発明の構造遺伝子は、好ましくはイントロンを含まない。すなわち、遺伝子はコドンの中断されない配列よりなり、各コドンは前記改変されたPC/APC中に存在するアミノ酸残基をコードする。
【0061】
本発明の適する一DNAセグメントは、野性型タンパク質のGlaモジュールに対応する該アミノ酸配列中の最低1個のアミノ酸改変(挿入、欠失、置換)を除き、野性型ヒトPC/APCに配列が対応するPC/APC変異体を規定するアミノ酸残基配列をコードする。
【0062】
他の適するDNAセグメントは、前記改変(1個もしくは複数)が位置10、11、28、32もしくは33以外の位置のGlaドメインのアミノ酸残基配列中に含有されるPC/APC変異体をコードする。好ましい一DNAセグメントは、改変H10Q、S11G、S12N、D23S、Q32E、N33DおよびH44Yを含有するPC変異体をコードする。
【0063】
加えて、本発明は、本PC/APC変異体をコードする相同なおよび類似のDNA配列、ならびにそれに相補的なRNA配列に関する。
【0064】
本DNAセグメントは、適しては下(D節)にさらに説明されるであろうような慣習的発現ベクター/宿主細胞系でPC/APC変異体を産生させるのに使用することができる。
【0065】
DNAセグメントそれ自体に関して、これらは公知の技術に従って得ることができる。例えば、チェーンターミネーター配列決定法(Sangerら、1977)のような慣習的配列決定方法を使用してヌクレオチド配列を決定すれば、前記セグメントは、とりわけ大型のDNAセグメントを調製するべきである場合は、適しては自動化合成方法に従って化学的に合成することができる。大型のDNAセグメントはまた、本DNAセグメントを構成するいくつかの小さなオリゴヌクレオチドの合成、次いで大型のDNAセグメントを形成するためのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションおよび連結によっても製造することができ、公知の方法が使用される。
【0066】
化学的方法を使用して本DNAセグメントを合成する場合、野性型分子中の1個もしくはそれ以上のアミノ酸残基をコードする適切な塩基の置換、挿入および/もしくは欠失により、野性型PC/APCをコードするDNA配列を改変することがもちろん容易である。
【0067】
適しては、組換えDNA技術を使用して、改変された構造遺伝子を含んで成る本DNAセグメントを製造する。従って、ある遺伝子、すなわち野性型PC/APCをコードするcDNAを含んで成る組換えDNA分子で出発して、改変されたPC/APCをコードする構造遺伝子を含んで成る本発明のDNAセグメントを、前記改変された組換えDNA分子の発現後に、置換(substitution)(置換(replacement))、欠失および/もしくは挿入(付加)のような所望のアミノ酸残基変化を導入するための前記組換えDNA分子の改変により得ることができる。これらの変化の慣習的一達成方法は、例えばPCR技術を用いて実施される部位特異的突然変異誘発による。PCRはポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)の略語であり、そしてMullisとFaloona(1987)により最初に報告された。
【0068】
部位特異的なプライマーに指図される突然変異誘発は今や当該技術分野で標準的であり、そして合成オリゴヌクレオチドプライマーを使用して実施され、そのプライマーは所望の突然変異(1個もしくは複数)を表す制限された不適合を除き突然変異誘発されるべきDNAを含んで成る一本鎖ファージDNAに相補的である。簡潔には、合成オリゴヌクレオチドを、異種DNAを含むファージDNAに相補的な鎖の合成を指図するプライマーとして使用し、そして、生じる二本鎖DNAを、ファージを支援する宿主細菌に形質転換する。形質転換された細菌の培養物をトップアガー上にプレーティングして、該ファージをもつ単一細胞からのプラーク形成を可能にする。この方法において、突然変異されるDNAは、M13ファージ中でのクローン化後に得ることができる一本鎖の形態で利用可能でなくてはならない。部位特異的突然変異誘発はまた「ギャップドデュープレックス(gapped duplex)」法(Vandeyarら,1988;RaleighとWilson,1986)によっても達成することができる。
【0069】
本発明の適する一態様によれば、部位特異的突然変異誘発は標準的PCR技術(MullisとFaloona,1987)を用いて実施する。例示的なPCRに基づく突然変異誘発方法は本開示の実験の部に記述する。本実施例において、突然変異体DNAセグメントの複製がインビトロで達成され、原核生物細胞も真核生物細胞も使用しない。
【0070】
明らかに、部位特異的突然変異誘発は、例えば、野性型PC/APCをコードしかつ発現するcDNA配列もしくは構造遺伝子を含有するベクターで開始することにより、本明細書に記述されるところのPC/APC変異体をコードする本DNAセグメントの構築のための便宜的なツールとして使用することができ、前記ベクターは少なくともDNA複製が可能であり、かつ、本明細書に記述されるところの選択されたヌクレオチドを突然変異して本発明の変異体をコードする本DNAセグメントの1種もしくはそれ以上を形成する。突然変異されたDNAを含有する前記ベクターの複製は、前記ベクターでの宿主細胞、通常は原核生物細胞の形質転換後に得られるかもしれない。突然変異誘発、複製、発現およびスクリーニングの具体的に説明する方法は、本開示の実験の部に記述する。
D.PC/APC変異体の産生
PC/APC変異体をコードする完全なcDNA配列もしくは構造遺伝子を含んで成るこうしたDNAセグメントを使用して、適する宿主細胞、好ましくは真核生物細胞中での前記cDNAの発現により、コードされる変異体を産生させることができる。一般に、本発明の変異体のこうした製造法は、本発明の変異体をコードするDNAセグメントを提供すること;発現ベクター中への提供されたDNAセグメントの導入;適合する宿主細胞へのベクターの導入;前記変異体の発現に必要とされる条件下で該宿主細胞を培養すること;および発現された変異体を宿主細胞から収穫すること、の段階を含んで成る。上に挙げられた段階のそれぞれについて、適する方法は本開示の実験の部に記述する。
【0071】
本発明により使用することができるベクターはDNA複製ベクターを含んで成り、このベクターは、通常は適する宿主細胞中での自律複製のその能力によって本DNAセグメントの複製をもたらすように、本発明のDNAセグメントに効果をもたらして連結することができる。
【0072】
DNA複製のみならずしかしまた本発明のDNAセグメントによりコードされる変異体の産生も達成するために、前記DNAセグメントは発現ベクター、すなわちその中に導入されたDNAセグメントの発現を指図することが可能なベクターに効果をもたらして連結される。DNAの複製および発現は同一もしくは異なるベクターから達成することができる。
【0073】
本発明はまた、DNA複製および/もしくは発現ベクターに効果をもたらして連結された本発明のDNAセグメントを含有する組換えDNA分子にも向けられる。
【0074】
本発明のDNAセグメントを効果をもたらして連結することができるベクターの選択は、例えばタンパク質発現に関して該組換えDNA分子に望ましい機能特性、および形質転換されるべき宿主細胞に直接依存することが公知である。商業的に入手可能なかつ/もしくは従来技術の文献で開示された多様なベクターが、本DNAセグメントとともに使用することができるが、但し、こうしたベクターは前記DNAセグメントの複製を指図することが可能である。PC/APC変異体の構造遺伝子を含有するDNAセグメントの場合は、好ましくは、該ベクターはまた、該ベクターが前記DNAセグメントもしくは遺伝子に効果をもたらして連結される場合に該構造遺伝子を発現することも可能である。
【0075】
本発明の適する一態様は、真核生物細胞発現系、適しては脊椎動物、例えば哺乳動物の細胞発現系に関する。真核生物細胞中で使用することができる発現ベクターは当該技術分野で公知であり、そしていくつかの商業的供給源から入手可能である。一般に、こうしたベクターは所望のDNAセグメントの挿入のための便宜的制限部位を含有する。こうしたベクターの典型的なものは、pSVLおよびpKSV−10(ファルマシア(Pharmacia))、pBPV1/pML2d(インターナショナル バイオテクノロジーズ インク(International Biotechnologies,Inc.))、ストラタジーン(Stratagene)(カリフォルニア州ラホヤ)から入手可能なpXT1、受託番号ATCC 37722としてアメリカン タイプ カルチャー コレクション(The American Type Culture Collection)(ATCC;メリーランド州ロックビル)から入手可能なpJ5Eω、pTDT1(ATCC 31255)ならびに類似の真核生物発現ベクターである。本開示の実験の部では、アデノウイルスでトランスフェクトされたヒト腎細胞中での使用のための発現プラスミドを得るためにpRc/CMV(インヴィトロジェン(Invitrogen)、米国カリフォルニア州から入手可能)を使用した。
【0076】
本発明の組換えDNA分子を構築するのに使用される、適する真核生物細胞発現ベクターは、真核生物細胞中で有効である選択マーカー、好ましくは薬剤耐性選択マーカーを包含する。適する薬剤耐性マーカーは、その発現がネオマイシン耐性をもたらす遺伝子、すなわちネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)遺伝子、Southernら,J.Mol.Appl.Genet.,1:327−341(1982)である。さらなる適する一薬剤耐性マーカーはジェネチシン(G418)に対する耐性を生じさせるマーカーである。あるいは、選択可能なマーカーは別個のプラスミド中に存在することができ、その場合、2種のベクターは宿主細胞のコトランスフェクションにより導入することができ、そして選択は選択可能なマーカーに対し適切な薬剤中で培養することにより達成する。
【0077】
本発明の組換えDNA分子で形質転換されるべき宿主細胞として使用することができる真核生物細胞は、いかなる方法でも制限されないが、但し、細胞培養方法、発現ベクターの繁殖方法および企図される遺伝子産物の発現方法と適合性である細胞系を使用する。適する宿主細胞は酵母および動物細胞を包含する。脊椎動物細胞、およびとりわけ哺乳動物細胞、例えばサル、ネズミ、ハムスターもしくはヒト細胞系が好ましい。適する真核生物宿主細胞は、CCL61としてATCCから入手可能なチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、CRL1658としてATCCから入手可能なNIHスイス(Swiss)マウス胚細胞NIH/3T3、ベビーハムスター腎細胞(BHK)および類似の真核生物組織培養細胞系を包含する。本開示の実験の部において、アデノウイルスでトランスフェクトされたヒト腎細胞系293(アメリカン タイプ カルチャー コレクション(American Type Culture Collection)、米国メリーランド州ロックビルから入手可能)を使用した。
【0078】
本発明の発現系を得るために、真核生物、好ましくは哺乳動物の宿主細胞のような適する宿主細胞を本組換えDNA分子で形質転換し、既知の方法、例えばGrahamら、Virol.,52:456(1973);Wiglerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,76:1373−76(1979)に開示されるような方法を使用する。
【0079】
従って、真核生物宿主細胞中で本発明のDNAセグメントを発現するために、一般に、複製起点、本発明のDNAセグメントの上流に配置されるべきであるプロモーター、リボソーム結合部位、ポリアデニル酸化部位および転写終止配列のような、遺伝子発現を制御するための機能的配列を含有する本発明の組換えDNA分子を使用する。真核生物細胞中で本発明のDNAセグメントを発現するために使用されるべきこうした機能的配列は、ウイルスもしくはウイルス物質から得てよいか、または、例えば前記セグメントが完全な構造遺伝子を含んで成る場合は本DNAセグメント中に固有に含有されるかもしれない。
【0080】
真核生物発現系で使用することができるプロモーターは、従って、アデノウイルス2、ポリオーマウイルス、SV40などのようなウイルスから得てよい。とりわけ、アデノウイルス2の主要後期プロモーター(major late promoter)、ならびにSV40の初期プロモーターおよび後期プロモーターが好ましい。
【0081】
適する複製起点もまたアデノウイルス、ポリオーマウイルス、SV40、水疱性口内炎ウイルス(VSV)およびウシパピローマウイルス(BPV)のようなウイルス由来であってよい。あるいは、宿主染色体中に組込まれることができるベクターを発現ベクターとして使用する場合、宿主染色体の複製起点を利用してよい。
【0082】
真核生物発現系が好ましい場合であっても、原核生物発現系もまた本発明とともに使用することができる。さらに、原核生物系は、本発明のDNAセグメントの複製もしくは増幅を達成するのに有利に使用することができ、その後、前記原核生物系中で産生されたDNAセグメントを、例えば真核生物発現系中でのコードされた産物の発現に使用する。
【0083】
従って、本発明の原核生物ベクターは、原核生物のレプリコン、すなわちそれで形質転換された細菌宿主細胞のような原核生物宿主細胞中での染色体外での組換えDNA分子の自律複製および維持を指図する能力を有するDNA配列を包含する。こうしたレプリコンは当該技術分野で公知である。加えて、原核生物のレプリコンを包含する態様は、その発現がそれで形質転換された細菌宿主に薬剤耐性を賦与する遺伝子もまた包含する。典型的な細菌の薬剤耐性遺伝子は、アンピシリンもしくはテトラサイクリンに対する耐性を賦与するものである。
【0084】
DNA複製のみならずしかしまた発現系にも原核生物系を使用する場合、原核生物のレプリコンを包含するこれらのベクターは、それで形質転換された大腸菌(E.coli)のような細菌宿主細胞中での構造遺伝子を含有する本DNAセグメントの発現、すなわち転写および翻訳を指図することが可能な原核生物プロモーターもまた包含する。プロモーターは、RNAポリメラーゼの結合および転写を起こさせるDNA配列により形成される発現制御要素である。
【0085】
細菌宿主と適合するプロモーター配列は、典型的には、本発明のDNAセグメントの挿入のための便宜的制限部位を含有するプラスミドベクター中で提供される。こうしたベクタープラスミドの典型的なものは、バイオラッド ラボラトリーズ(BioRad Laboratories)、カリフォルニア州リッチモンドから入手可能なpUC8、pUC9、pUC18、pBR322およびpBR329、ならびにファルマシア(Pharmacia)から入手可能なpPLおよびpKK223である。
【0086】
従って、本発明の遺伝子産物を発現することができる原核生物発現系を得るために、適切な原核生物宿主細胞を、例えばManiatisら,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,コールド スプリング ハーバー ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1982)に開示されるような、使用されるベクターの型に典型的に依存する公知の方法に従って、本発明の組換えDNA分子で形質転換する。
【0087】
成功裏に形質転換された原核生物もしくは真核生物細胞を形質転換されない細胞と区別かつそれから分離することができることがもちろん必要である。この目的上、多様な方法が既知であり、そして従来技術の文献に記述されている。
【0088】
こうした一方法に従って、組換えDNAの存在を、形質転換処置にかけられた細胞由来の単一クローンのコロニーのDNA含量を検査することによりアッセイする。こうした方法は、Southern,J.Mol.Biol.98:503(1975)およびBerentら,Biotech.,3:208(1985)により開示されている。
【0089】
成功裏の形質転換はまた、例えば発現された遺伝子産物に特異的なモノクローナルもしくはポリクローナル抗体を使用する公知の免疫学的方法により、または発現された遺伝子産物の生物学的活性の検出により確認することもできる。
【0090】
従って、発現ベクターで成功裏に形質転換された細胞は、表される抗原性もしくは生物学的活性により同定することができる。この目的上、形質転換されていることが疑われる細胞のサンプルを収穫し、そして前記生物学的活性もしくは抗原性のいずれかについてアッセイする。
【0091】
こうした選択された成功裏に形質転換された細胞を使用して、上に開示されたところの所望のPC/APC変異体を産生させる。
E.生物学的活性についてのアッセイ
本発明のPC/APC変異体の生物学的活性をアッセイするための適する方法は、APTT系のような血漿凝固系、および精製された第VIIIa因子の分解に関係する試験に基づく。こうした方法は本開示の実験の部により詳細に開示する。
F.組成物
本PC/APC変異体は、典型的には、意図された使用に適する組成物の形態で提供される。こうした組成物は、PC/APC変異体の生物学的活性を保存しかつまたその安定性も与えるべきである。適する組成物は、例えば生理学的に耐えられる担体と組合せの、治療上有効な量の本発明の変異体を含有する治療組成物である。こうした組成物は、治療上有効な量の、その抗凝固活性を高めるためのプロテインSおよび/もしくは第V因子のようなさらなる有効成分もまた含有することができる。プロテインCはカルシウム依存性タンパク質であるため、適しては、本組成物は、好ましくは生理学的量の二価のカルシウムもまた含有する。
【0092】
一般に組成物の形態、およびとりわけ治療組成物の設計に関して考慮に入れられるべき考慮は当業者に公知であるため、これらをより詳細に記述する必要性は存在しない。
G.治療方法
本発明により、本PC/APC変異体が高められた抗凝固活性を表すことが示された。従って、本発明はまた、個体、例えばヒトにおける凝固の阻害方法に関し、前記方法は、治療上有効な量の本発明の変異体PC/APCを含んで成る組成物を前記個体に投与することを含んで成る。治療することができる病状は本明細のどこか別の場所に開示する。
【0093】
組成物に関して、治療方法の設計に関して考慮されるべき考慮、例えば適する投薬量範囲および投与経路は当業者に公知であり、そして、従って、これらの方法をより詳細に記述する必要性が存在しない。
H.考察
実験の部で製造されかつQGNSEDY(ALL)と呼称される本発明の特定の一変異体は、ずっと改良された特性を表すことが見出された。
【0094】
本変異体はwt APCより抗凝固性であり、そしてそれはまた、GNEDもしくはQGED(Shenら、上記により記述される)のような以前の突然変異体より活性でもある。本変異体がずっと高められた活性を表すことは極めて驚くべきことである。一般に、2種の変異体QGNおよびSEDYのいずれもいかなる増大された抗凝固活性もしくは負に荷電したリン脂質膜に対する増大された親和性を表さないか、またはわずかにのみ表すからである。これは、Glaドメインの膜結合能力が非常に複雑でありかつ単一アミノ酸置換により容易に影響を及ぼされないことを示唆する。Glaドメインの複数の領域が突然変異される場合にのみ、ずっと高められたリン脂質親和性およびずっと増大された抗凝固活性を表すQGNSEDY(ALL)のような独特の変異体を得ることが可能である。
【0095】
QGNSEDY(ALL)の抗凝固活性はプロテインSにより増強され、それは米国特許第5,837,843号明細書にSmirnovとEsmonにより記述されたキメラAPC変異体の活性と対照をなす。この変異体はプロテインCとプロトロンビンとの間のハイブリッドであり、ここでプロトロンビンのGlaドメインがプロテインC(PC)中の対応するGlaドメインを置換している。とは言え、高められたリン脂質結合のため、このPC/APC変異体は野性型APCより抗凝固性であり、その活性はプロテインSにより増強されない。
【0096】
また、欧州特許出願第EP 0 296 413 A2号明細書は、プロトロンビンとPCとの間のみならずしかしまたFVII、FIXもしくはFXとPCとの間のプロテインCハイブリッドにも関する。これらの変異体は、プロトロンビン、FVII、FIX、もしくはFXからのGlaドメインおよびPCからの残部を含有する。しかしながら、これらの変異体において、Glaドメインは最初のN末端43アミノ酸残基に制限され、そして、従って、これらの変異体はwtプロテインCの位置44の改変されたアミノ酸残基を含有しない。これらの変異体が、血液塊形成に対する改良された活性もしくは改良された線維素溶解促進効果を有することがその中で述べられているとは言え、これらの変異体はこうした活性に関して十分に特徴づけられていない。FX/PCハイブリッドのみが製造されかつ特徴づけられ、そしてこのハイブリッドは、第Va因子の改良された不活性化を別にして、wt PCを上回る改良された抗凝固特性を有することが見出されなかった。
【0097】
本変異体GQNSEDY(ALL)でのさらなる極めて予期されない一利点は、それが、APCによるその主切断部位、すなわち位置Arg506で突然変異され(FV:Q506もしくはFV Leidenと呼称される)かつAPC抵抗性と呼称される普遍的な血液凝固障害で存在するFVaを切断することが可能であることである。これは、野性型APC(Arg306(切断される場合にFVaの完全な不活性化をもたらす部位である)の切断において非常に乏しい)を上回る一利点である。従って、野性型APCと対照的に、本変異体QGNSEDY(ALL)は、活性化されたFV:Q506を切断かつ不活性化することが可能である。Arg506での切断と対照的に、Arg306での切断はプロテインSにより増強される。しかしながら、本変異体QGNSEDY(ALL)のさらなる一利点は、それがプロテインSの非存在下でさえ活性化されたFV:Q506を切断することである。なおさらに、この切断は、プロテインSが必要とされない場合であってもプロテインSにより刺激される。活性化された第V因子をArg306で切断する本変異体QGNSEDYの能力は、APC抵抗性を伴う患者についてもまた、それを抗凝固薬として魅力的にする。
【0098】
APCへのその活性化後に高められた抗凝固活性を表す組換えプロテインC分子が、可能な治療化合物、およびプロテインC系の他の成分についての多様な生物学的アッセイで使用されるべき試薬の双方として大きな潜在的使用を有することが明らかである。本発明により、プロテインC分子のGlaモジュール中の突然変異が、主として高められた膜結合活性により、実質的に高められた抗凝固活性につながる可能性があることが示された。従って、こうした突然変異についての系統的検索が、なおより良好な特性をもつ他のプロテインC分子を生じさせるかもしれないことを期待することができる。例えば、高度に特異的な機能をもつAPC分子、例えばArg306でFVaを切断するさらなる分子を設計し、そして従って血液凝固障害APC抵抗性で存在する前記突然変異されたFVに対し良好にはたらくさらなるAPC変異体を生じさせることが可能になる可能性がある。
【0099】
高められた抗凝固活性を表す本プロテインC変異体が、望ましくない血液凝固が阻害されるべきである全部の状況で有用であることができることが予見される。従って、本変異体は、血栓症および他の血栓塞栓性の病状の予防もしくは治療に使用することができる。播種性血管内凝固(DIC)、アテローム硬化症、心筋梗塞、多様な凝固亢進状態および血栓塞栓症、ならびにまた敗血症(sepsis)および敗血症(septicaemia)がこうした病状を具体的に説明する。本変異体は、例えば心筋梗塞に関連するおよび外科手術に関連する血栓溶解療法後の血栓症予防にもまた使用することができる。本プロテインC変異体およびプロテインS(野性型プロテインSもしくはその変異体)の組合せは有用である可能性があり、この組合せ剤はまたAPCに対する補助因子として活性を発現する第V因子も包含する可能性がある。
【0100】
本PC/APC変異体の診断的使用に関して、プロテインS、およびまた第V因子の抗凝固活性についても改良された機能アッセイに対する大きな必要性が存在する。高められた抗凝固活性をもつ突然変異されたAPCがこうしたアッセイで非常に重要であろうことがありそうである。こうしたAPCはより強いシグナルを生じさせることができ、そしてこれは多様なアッセイにおける増大されたS/N比につながることができるからである。
【0101】
非常に独特の特性をもつプロテインCを生じさせるために、プロテインCの他の部分中の突然変異とGlaモジュール中の突然変異を組み合わせることが可能であるかもしれない。イーライ リリー(Ely Lilly)の科学者(Ehrlichら、Embo.J.1990,9:2367−2373;Richardsonら,Nature 1992,360:261−264)、およびまた他のグループが、活性化ペプチド領域周辺の突然変異がTMの非存在下でさえ容易に活性化されたプロテインCを生じたことを既に示している。同様に、活性化ペプチド領域中の突然変異の別の組は、合成細胞(synthesizing cell)から活性の形態で分泌されたプロテインC分子につながった(Ehrlichら,J.Biol.Chem.1989,264:14298−14304)。将来の展望において、活性化過程に影響を及ぼす突然変異。および/もしくは触媒活性に影響を及ぼすSPモジュール中の突然変異を、Glaドメイン中の本突然変異と組み合わせることが興味深くなるかもしれない。また、本突然変異の、APCとその補助因子との間の相互作用を高めるかもしれない将来の突然変異との組合せも予見される。
実験の部
以下の実施例において、本発明を具体的に説明する適する態様を開示する。しかしながら、これらの実施例は本発明を制限するとして解釈されるべきでない。その中に別の方法で述べられない限り、ヒトPC/APC突然変異を製造し、また、ヒト凝固因子、血漿などを使用した。
【0102】
これらの実施例において、以下の材料を使用した。
【0103】
リポフェクチン(Lipofectin)およびジェネチシン(G418)はライフ テクノロジーズ AB(Life Technologies AB)、スウェーデンから入手可能であり、また、ダルベッコのイーグル改変培地(DMEM)はギブコ コーポレーション(Gibco Corp.)から入手可能である。
【0104】
トロンビンおよびヒトプロテインSは以前に記述された方法(Dahlbaeckら,1990;DahlbaeckとHildenbrand,1994)に従って精製した。
実施例1.プロテインCの変異体の製造
(a)部位特異的突然変異誘発
本研究で使用された多様なプロテインC変異体は、本質的にShenら(J Biol Chem 1998,273:31086−31091およびBiochemistry 1977,36 16025−16031)により以前に記述されたところの組換え技術を用いて創製した。
【0105】
Johan Stenflo博士(大学病院臨床化学部(Dept.of Clinical Chemistry,University Hospital),スウェーデン・マルメ)からの寛大な贈り物であった完全長のヒトプロテインC cDNAクローンを制限酵素HindIIIおよびXbaIで消化し、そして、完全長プロテインC cDNAである完全なPCコーディング領域を含んで成る結果として生じる制限フラグメントを、HindIIIおよびXbaIで消化された発現ベクターpRc/CMVにクローン化した。
【0106】
野性型ヒトプロテインCのコーディング配列を含有する、結果として生じる発現ベクターを、プロテインCのGlaモジュールの部位特異的突然変異誘発に使用し、ここで、標的DNAの増幅のためのPCR処置を、以前に記述された(Shenら、上記)とおり実施した。
【0107】
突然変異誘発プライマーを、位置10、11、12、23、32、33および44の野性型アミノ酸残基の多様な他のアミノ酸での置換を引き起こすための本処理での使用のため設計した。より具体的には、位置10でヒスチジン(H)をグルタミン(Q)で置換し;位置11でセリン(S)をグリシン(G)で置換し;位置12でセリンをアスパラギン(N)で置換し;位置23でアスパラギン酸(D)をセリン(S)で置換し;位置32でグルタミン(Q)をグルタミン酸(E)(成熟タンパク質中でGla(γ−カルボキシグルタミン酸)に転化されることができる)で置換し;位置33でアスパラギン(N)をアスパラギン酸(D)で置換し;そして最後に位置44でヒスチジン(H)をチロシン(Y)で置換した。これらのプライマーを使用して、以下の変異体(もしくは突然変異体)を製造した:
QGNと呼称される突然変異体1)(位置10、11、12が突然変異された)。
SEDと呼称される突然変異体2)(位置23、32および33が突然変異された)。
SEDYと呼称される突然変異体3)(位置23、32、33および44が突然変異された)。
QGNSEDYと呼称される突然変異体(突然変異体1)および3)(QGNおよびSEDY)の組合せである)。
【0108】
GNEDと呼称される突然変異体5)およびQGEDと呼称される突然変異体6)(双方はShenらにより以前に記述された)を比較として使用した。
【0109】
QGN突然変異体を製造するために、2種の以下のオリゴヌクレオチドを合成しかつ第一のPCR処置で使用した。すなわち、プライマーAはヌクレオチド配列:5’−AAA TTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG AGA CCC AAG CTT−3’(配列番号4)(HindIIIクローニング部位を包含するベクターpRc/CMV中のヌクレオチド860−895のセンスに対応する)、を有し、また、プライマーBはヌクレオチド配列:GCA CTC CCG CTC CAG GTT GCC TTG ACG GAG CTC CTC CAG GAA(配列番号5)(位置10−12が突然変異された(対応するヌクレオチドの下線付けにより示す)、アミノ酸4−17をコードするDNA伸長の第二鎖に対応する)を有した。これらのプライマーAおよびBを、wtヒトプロテインC cDNAを鋳型として使用したPCR反応で使用した。PCR産物をHind IIIおよびBst BIで切断し、それは突然変異体のアミノ酸残基を含有するおよそ200bp長のフラグメントを生じた。このフラグメントを2個の他のDNA片(一方はwtヒトプロテインC cDNAの大きな部分をコードするBsr BI−Xba Iフラグメントであり、そして他方はHind III−Xba I切断されたpRc/CMVベクターである)に連結した。連結されたcDNAを、制限酵素切断(Hind III/Bsr BI)および配列決定で確認してQGN突然変異を確認した。
【0110】
数段階を行ってSEDYを創製した。第一は、E32D33突然変異を既に有したcDNA(Shenら J Biol Chem 1998,273:31086−31091)中でS23突然変異を創製することであった。2種のプライマーをS23突然変異のため作成した(一方はプライマーCと呼称され、そして他方はプライマーDと呼称される)。プライマーCはヌクレオチド配列:ATA GAG GAG ATC TGT AGC TTC GAG GAG GCC AAG(配列番号6)(突然変異に下線を付ける)を有し;また、プライマーDはヌクレオチド配列:CTT GGC CTC CTC GAA GCT ACA GAT CTC CTC TAT(配列番号7)(突然変異に下線を付ける)を有した。突然変異体cDNAを創製するために2回のPCR反応を実施し、ここで、突然変異体cDNA EDを鋳型として使用し、かつ、ここで、プライマーAおよびCを第一の反応で使用した一方、プライマーDおよびEを第二の反応で使用した。プライマーEはヌクレオチド配列:5’−GCA TTT AGG TGA CAC TAT AGA ATA GGG CCC TCT AGA−3’(配列番号8)(Xba Iクローニング部位を包含するベクターpRc/CMV中のヌクレオチド984−1019に対しアンチセンス)を有した。プライマーAおよびCを必要とした第一のPCR反応はプロテインC cDNAの5’部分(アミノ酸28までをコードする)を増幅した一方、プライマーDおよびEを必要とした第二のPCR反応は、アミノ酸18からプロテインCの終わりまでをコードするcDNAの3’部分を生成させた。その後、これらの反応で産生された2産物を、プライマーAおよびEを使用したさらなるPCR反応で組み合わせた。この処置からの最終産物は、位置23、32および33に突然変異を運搬するプロテインC全体をコードするcDNAであった。その後、該PCR産物をHind IIIおよびSal Iで切断し、それは360bpの5’フラグメントを生じ、それを精製し、そしてwt プロテインCのSal I−Xba Iフラグメントとともに、Hind III−Xba I切断されたpRc/CMVベクターに連結した。このベクターは従って、完全長の突然変異体SEDのcDNAを含有した。このcDNAをPCR反応で鋳型として使用して、突然変異体SEDY(すなわち位置44がヒスチジンからチロシン(Y)に突然変異された)を創製した。この反応において、プライマーAを、位置44を突然変異するように設計されかつ以下のヌクレオチド配列:CTG GTC ACC GTC GAC GTA CTT GGA CCA GAA GGC CAG(配列番号9)(アミノ酸残基39−49をコードする第二鎖に対応し、下線を付けられたコドンは突然変異点である)を有するプライマーFと組み合わせた。該PCR産物をHind IIIおよびSal Iで切断し、そして約360bp長のフラグメントを、プロテインC cDNAの残存する部分、すなわちSal I− Xba IフラグメントおよびHind III−Xba I切断されたpRc/CMVに連結した。
【0111】
その後、突然変異体QGNSEDYをコードする完全に突然変異されたプロテインC cDNAを、QGNおよびSEDY突然変異体のcDNAを使用して創製した。組合せは、制限酵素消化および適切なフラグメントの連結を使用して創製した。従って、QGN変異体cDNAをHind IIIおよびBsr BIで切断し、そして約200bp長の5’フラグメントを単離し、そしてSEDY cDNA由来のBsr BI−Xba Iフラグメント(約1000bp長)と一緒に使用した。該2フラグメントを、Hind III−Xba I切断されたpRc/CVMに連結して、QGNSEDYをコードする完全長の変異体プロテインC cDNA(本文中で「ALL」ともまた称される)を生成させた。最終生成物を配列決定で試験し、そして正しい突然変異を含有することを見出した。
【0112】
記録のために、E32D33突然変異体は、プライマーG:5’−CAG TGT GTC ATC CAC ATC TTC GAA AAT TTC CTT GGC−3’(配列番号10)(アミノ酸27−38のアンチセンス、E32D33突然変異に下線を付ける)を使用して、類似の様式で創製した(この突然変異体はShenら J Biol Chem 1998,273:31086−31091に詳細に記述される)。
【0113】
DNA配列決定は全部の突然変異を確認した。ヒト293細胞中での細胞培養、発現、精製およびプロテインC分子の特徴づけは、記述されるとおり(Shen Lら J Biol Chem 1998,273:31086−31091)実施した。
【0114】
簡潔には、所望の突然変異を含有する、結果として生じるヒトプロテインC cDNAを、SacIIおよびApaIで消化し、そしてその後、SacIIおよびApaI消化からのフラグメント(ヌクレオチド728−1311)を、無傷のヒトプロテインCフラグメント(HindIII−SacII、5’端ヌクレオチド728;およびApaI−XbaI、ヌクレオチド1311−3’端)を含有するベクターpUC18にクローン化して、所望の突然変異を含んで成る、すなわち、ヒト野性型配列の代わりに突然変異された配列を含んで成るヒトプロテインC突然変異体をコードする、ヒトプロテインCの完全長cDNAを製造した。
【0115】
その後、上の突然変異されたヒトプロテインC cDNAのそれぞれをHindIIIおよびXbaIで消化し、そして適切な制限フラグメントを、同一の制限酵素で消化していたベクターpRc/CMVにクローン化した。得られたベクターを、真核生物細胞中での突然変異されたヒトプロテインCの発現に使用した。
【0116】
適切な宿主細胞のトランスフェクション前に、全部の突然変異を、Sangerら、上記のチェーンターミネーター法によるDNA配列決定により確認した。
(b)変異体もしくは野性型プロテインCを産生する安定な形質転換体の製造。
【0117】
変異体もしくは野性型プロテインCを産生する安定な形質転換体を製造するために、アデノウイルスでトランスフェクトされたヒト腎細胞系293を、10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリン、100U/mlストレプトマイシンおよび10μg/mlビタミンK1を含有するDMEM培地中で成長させ、そして、野性型もしくは段階(a)からの突然変異誘発されたプロテインC cDNAを含んで成る発現ベクターでトランスフェクトした。トランスフェクションは、以前に記述された(Felgnerら、1987)ところのリポフェクチン(Lipofectin)法に従って実施した。簡潔には、2mMのL−グルタミンを含有するDMEMで100μlに希釈した2μgのベクターDNAを、同一緩衝液で100μlに希釈した10μlのリポフェクチン(Lipofectin)(1μg/μl)と混合した。混合物を室温で10〜15分間保ち、そして培地で1.8mlに希釈し、そしてその後、同一培地で2回洗浄していた細胞(5cmペトリ皿中25〜50%コンフルエンス)に添加した。
(c)変異体もしくは野性型プロテインCの発現。
【0118】
(b)からのトランスフェクトされた細胞を16時間インキュベートし、その後、培地を、10%仔ウシ血清を含有する完全培地で置き換え、そして細胞を追加の48〜72時間インキュベートした。その後、細胞をトリプシン処理し、そして選択培地(10%血清、400μg/ml G418、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリン、100U/mlストレプトマイシンおよび10μg/mlビタミンK1を含んで成るDMEM)(Grinnellら 1990)を含有する10cm皿に接種した。G418耐性コロニーを3〜5週間の選択後に得た。各DNAトランスフェクション処置から24個のコロニーを選択し、そしてコンフルエンスまで成長させた。全部のコロニーを、モノクローナル抗体HPC4(ヒトプロテインCに特異的)を使用するドットブロットアッセイによりスクリーニングして、プロテインCの発現を検査した。高発現細胞コロニーを選択しかつ選択培地中でコンフルエンスまで成長させた。その後、これらの細胞を馴化培地(血清を欠く選択培地)中で成長させてプロテインCもしくはその変異体の発現を開始させ、この培地は選択培地と同様、72時間ごとに交換した。適する時間の期間の後に、それぞれの発現産物を含有する馴化培地を、下の節(d)での前記産物の精製のため収集した。
(d)組換え野性型および突然変異されたタンパク質の精製
ヒト野性型もしくは突然変異体プロテインCを産生する形質転換体から節(c)で得られた培地を、「偽親和性(pseudo−affinity)」と命名されかつ以前に記述された(Yanら、Biotechnology 1990,Vol.8,665−61)クロマトグラフィー法を含んで成る単純かつ便宜的精製方法にかけた。
【0119】
上で得られた精製されたタンパク質をYM10フィルター(アミコン(Amicon))上で濃縮し、TBS緩衝液(50mMトリス−HClおよび150mM NaCl、pH7.4)に対し12時間透析し、そしてその使用まで−80℃で保存した。
【0120】
上の野性型および突然変異体プロテインCの純度および均一性をSDS−PAGEにより確立した。この電気泳動処置は、還元および非還元条件下で0.1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の存在下でのポリアクリルアミド(10〜15%)スラブゲル電気泳動として行い、ここで前記タンパク質を銀染色(Morrissey,1981)により可視化した。
実施例2.プロテインC突然変異体の特徴づけ
前段階で得られたプロテインC突然変異体を特徴づけるために、突然変異体および野性型プロテインCを活性化し、そして、それらの抗凝固活性を、精製された成分を用いる血漿に基づくアッセイおよび設定を包含する多様な実験系で試験した。
【0121】
2種の血漿系を使用し、一方は活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)系であり、また、他方はトロンボプラスチン(TP)系であった。APTTおよびTP双方の系において、増大する濃度のwtもしくは突然変異体APCの抗凝固活性を試験した。APTT系において、APCの抗凝固活性はFVIIIaおよびFVa双方の分解に依存する一方、TP系は主としてFVa分解に感受性である。しかしながら、希釈されたTP系は、FVIIIaの分解に対してもまた若干の程度まで感受性である。
(a)。APTT反応によりモニターされるところのAPC変異体による凝固の阻害。
【0122】
(i)方法:血漿(50μl)を50μlのAPTT試薬(オルガノン テクニカ(Organon Technica)からのAPTTプラテリン(Platelin)LS)と混合し、そして37℃で200秒間インキュベートした。凝固を、50μlのAPC(図1に示される最終濃度)および50μlの25mM CaCl2の混合物で開始した。凝固時間をアメルング(Amelung)凝固計で測定した。
【0123】
(ii)結果:このAPTTに基づくアッセイにおいて、wt APCの活性を、本発明の突然変異体1)、3)および4)、すなわちQGN、SEDYおよびQGNSEDY(ALL)の活性、ならびにShenら(J biol Chem 1998,273:31086−31091)により以前に記述された2種の突然変異体、すなわちそれぞれGNEDおよびQGEDと呼称される突然変異体5)および6)の活性と比較した。
【0124】
図1を参照すれば、ALLの抗凝固活性はwt APCの抗凝固活性に比較してかなり高められていることが明らかである。使用された最高濃度において、ALLは1000秒を越える凝固時間を生じた一方、wt APCは約200秒の凝固時間を生じたのみであった。添加されるAPCを伴わない基礎の正常凝固時間は約30〜45秒である。他方、2種の以前に記述された突然変異体、QGEDおよびGNEDは非常に異なる結果を生じた。GNEDはwt APCよりかなりより活性であった一方、QGEDは実のところwt APCより少なく活性であった。本発明の変異体QGNおよびSEDYはGNEDと等しく活性であったが、しかしALLより少なく活性であった。
【0125】
本APTTアッセイにおいて、試薬は標準的な商業的試薬であり、これはShenらによる研究(J biol Chem 1998,273:31086−31091)で使用された試薬と対照的である。その研究では希釈されたAPTT試薬を使用した。そうでなければAPC変異体がwt APCよりも活性の抗凝固薬でなかったためである。Shenらの参考文献の考察の節において、これは試薬中のリン脂質のレベルによると説明された。高レベルのリン脂質を使用した場合、Shenらによる研究で使用されたAPC変異体の増大された活性に気づくことは容易でなかった。希釈された試薬を使用した場合にのみ、著者らはAPC変異体の抗凝固活性の強い増大を立証することができた。
【0126】
本変異体QGNSEDY(ALL)は、標準レベルのリン脂質でもまた、wt APCより明らかにずっとより活性であるため、それは独特であるようである。
(b)APTTアッセイにおけるヒトプロテインSの影響
(i)方法:増大する濃度のプロテインSをプロテインS欠乏の血漿に添加して、図2に示される最終濃度を得た。血漿アリコート(50μl)をAPTT試薬と混合し、そしてその後37℃で200秒間インキュベートした。wtもしくはALL突然変異体(QGNSEDY)いずれかのAPCを50μlの容量で添加し(濃度20nM)、そしてその後、50μlの25mM CaCl2の添加により凝固を直ちに開始した。結果を、プロテインS欠乏の血漿中でのプロテインSの濃度に対しプロットされた凝固時間として、図2に示す。
【0127】
これらの実験は本質的に図1に言及して上述されたとおり実施し、プロテインS欠乏の血漿を正常血漿の代わりに使用した。このプロテインS欠乏の血漿はヒト起源のものであり、また、プロテインSの枯渇は、ヒトプロテインSに対する高度に効率的なモノクローナル抗体(Dahlbaeckら(J Biol Chem 1990 265:8127−35)により記述されたHPS54)を使用する免疫吸収の結果であった。
【0128】
(ii)結果:図2を参照すれば、本発明の好ましい変異体、すなわちQGNSEDY変異体が、プロテインSを枯渇された血漿を使用した場合でもまたwt APCよりかなりより活性であったことが明らかである。とりわけ興味深いのは、外因性のプロテインSの添加がQGNSEDYならびにwt APCの抗凝固活性を高めたという観察結果である。プロテインSの非存在下で、突然変異体ALLは約160秒の凝固時間を生じ、そしてこの凝固時間は試験系中のプロテインSの添加により350秒まで延長された。wt APCを用いて得られた対応する値は、プロテインSの非存在下で約100秒の基礎凝固時間であり、そして、本試験で使用された最高のプロテインS濃度の存在下で150秒の延長された凝固時間であった。従って、ALLはプロテインSの存在および非存在下双方でwt APCより本質的により活性であること、ならびに、ALLはさらにプロテインSの存在により増強されることが明らかである。これは、プロテインSにより刺激されなかったEsmonとSmirnovのAPC変異体(国際特許出願第WO 98/20118号明細書に記述される)を用いて彼らにより得られた結果と対照的である。明らかに、本変異体QGNSEDYは、それがプロテインSにより刺激されるため、EsmonとSmirnovにより開示された変異体より優れている。
(c)TP系によりモニターされるところのAPC変異体による凝固の阻害
(i)方法:正常血漿(50μl)を、増大する濃度の多様なAPC変異体(50μl)のアリコートと混合し、その後、組織因子の供給源としての50倍希釈されたトロンボプラスチンの添加により凝固を開始した。凝固を開始するために、希釈されたトロンボプラスチンは25mM CaCl2もまた含有した。
【0129】
(ii)結果:図3から明らかであるとおり、本アッセイで得られた結果はAPTT系で得られたものに類似であった。従って、変異体QGNSEDYはwt APCよりかなりより活性であった。より具体的には、使用された最高濃度で、変異体QGNSEDY(図3でALLと呼称される)は、600秒に近かった凝固時間を生じた。第二の最良の変異体はGNEDであり、これは最高濃度でおよそ180秒の凝固時間を生じた。対照的に、wt APCは約70秒の凝固時間を生じたのみであった。外因性のAPCの添加を伴わずに得られた基礎凝固時間はおよそ40秒であった。
【0130】
明らかに、本実験の結果は、wt APCに比較して、変異体QGNSEDYが独特の特性を有することを示唆する。wt APCは、増大する濃度のwt APCであっても、変異体QGNSEDYの抗凝固活性ほど高い抗凝固活性を決して表さないからである。これは、変異体QGNSEDYのGlaドメインの突然変異誘発により、wt APCに比較して新たなかつ別個の機能を表す分子が創製されたことを示唆するかもしれない。1つのこうした機能は、FXaにより提供されるFVa中のArg506部位の保護に関係する可能性がある。FXaがArg506に近い部位でFVaに結合すること、およびこれがArg506部位の保護をもたらすことが既知である。おそらく、QGNSEDYの独特かつ高いリン脂質結合能力が、FXaにより提供される保護を排除する。凝固アッセイの間に、ある量のFXaが形成され、そしてこれはFVa中のArg506部位を切断するwt APCの能力を制限するかもしれない。QGNSEDY変異体が、リン脂質膜のみならずしかしまたFVa分子に対するその高親和性によりFXaを置換する可能性があることが可能である。さらに、本試験で使用されたAPCの最高濃度で、QGNSEDY変異体は、wt APCが可能であるよりもかなり大きく凝固時間を延長させることが可能である。これは、APC変異体QGNSEDYが独特のインビボ特性を有するかもしれず、また、既に進行中である凝固反応を阻害することが可能であるかもしれないことを示唆する。
【0131】
(d)PTアッセイにおけるプロテインSの影響
実施例2(b)(i)で記述されたものと同様のプロテインS欠乏の血漿を用いた実験もまた実施し、実施例2(c)(i)のトロンボプラスチン系を使用した。それにより得られた結果は、実施例2(b)(ii)のAPTT系について記述されたものに類似であった。簡潔には、QGNSEDY変異体がプロテインSの非存在下で活性であるが、しかしなお、その活性はプロテインSにより増強されることが見出された。
実施例3.APCによるFVaの不活性化
本実施例において、APC変異体QGNSEDYの高められた活性を、FVaの分解をより具体的に特徴づけるよう設計されかつ長時間のFVa活性の喪失を立証する系で確立した。
【0132】
(i)方法:血漿FVa(0.76nM)(血漿を25倍希釈し、そしてその中に含有されるFVをトロンビンの添加により活性化し、これをFVaの供給源として使用した)を、25μMのリン脂質小胞(10%ホスファチジルセリンおよび90%ホスファチジルコリンの混合物)の存在下にAPC(0.39nM)とともにインキュベートした。緩衝液は、25mM Hepes、0.15M NaCl、5mM CaCl2、pH7.5および5mg/ml BSAであり、また、温度は37℃であった。
【0133】
多様な時点でアリコートを抜き取り、そして残存するFVa活性をFVaアッセイにより測定した。このアッセイは、プロトロンビンのFXaに媒介される活性化を増強するFVaの能力に基づいた。このアッセイは、ウシFXa(5nM最終濃度)、50μMリン脂質小胞(10%ホスファチジルセリンおよび90%ホスファチジルコリンの混合物)、ならびに0.5μMウシプロトロンビンを含有した。トロンビンの生成は色原体基質S2238(クロモゲニックス AB(Chromogenix AB)から入手可能)を使用して測定した。
【0134】
(ii)結果:wt APCとのFVaのインキュベーションに引き続いて起こるFVa活性の喪失は、主として2個の切断反応、すなわちArg506およびArg306での結果である。動的に好ましい反応はArg506で起こる反応であり、これがインキュベーションの最初の5分の間に観察されるFVa活性の初期の急速な喪失を生じる。Arg506切断はFVaの部分的阻害のみをもたらす。Nicolaesら(J Biol Chem 1995 270:21158−66)により示されているとおり、Arg506で切断されたFVaは、FXaに対する補助因子としてなお部分的に活性であり、その活性の約40%は維持されているからである。他方、Arg306でのより緩徐な切断はFVa活性の完全な喪失をもたらす。このArg306の切断は、インキュベーションの5分と25分との間で観察されるFVa活性の緩徐な減少に反映されるとおり、ゆっくりと進行している。図4から明らかであるとおり、変異体QGNおよびSEDYはwt APCよりわずかにのみより良好である一方、本変異体QGNSEDYはかなりより強力である。本変異体QGNSEDYは、最初の5分の間におよそ20%のFVa活性までのFV活性の非常に急速な下落を生じるのみならず、しかし最終的にはまたFVaをほとんど完全に阻害する。これらの結果は、本変異体QGNSEDYがwt APCで見られるものより急速にArg506でFVaを切断するのみならず、しかしwt APCと反対に、Arg306部位でもまたFVaを切断することを示唆する。
【0135】
上述されたものに類似の実験(結果は示されない)を実施し、ここで、FVaを不活性化する変異体QGNSEDYおよびwt APCの能力を、以前に特徴づけられた変異体GNEDのこの能力と比較した(図1および図3を参照されたい)。GNED変異体は、他の2種の変異体について得られた曲線のほぼ正確に間に配置される曲線を生じることが見出された。すなわち、GNEDはwt APCより強力であったが、しかし本変異体QGNSEDYより少なく有効であった。これらの実験は、全部、外因性のプロテインSの添加を伴わずに実施した。得られた結果は、以前に開示されたGNED変異体が中間の活性を有することもまた示す、実施例2(a)および(c)で実施されかつそれぞれ図1および図3に具体的に説明される実験の結果と矛盾しなかった。
実施例4.APCによるFVaの不活性化
本実施例において、APCの濃度を変動させ、そして残存するFva活性を、実施例3(i)に記述されるプロトロンビナーゼアッセイを使用して、10分のインキュベーション後に測定した。
【0136】
(i)方法;希釈された正常混合血漿から得られたFVa(0.76nM)を、25mM Hepes(pH7.5)、150mM NaCl、5mM CaCl2および5mg/ml BSA中で、増大する濃度のAPC(最終濃度は図5に示される)および25μMリン脂質小胞(ホスファチジルセリン/ホスファチジルコリン、10/90、mol/mol)とともに37℃でインキュベートした。FVa活性を、実施例3(i)に記述されたところのプロトロンビナーゼアッセイで測定した。
【0137】
(ii)結果:図5から、これらの実験は突然変異体ALLすなわち本変異体QGNSEDYの優れた有効性をはっきりと立証することが明らかである。極めて低濃度のAPCさえFVa活性の強力な阻害をもたらした。さらに、突然変異体ALLは、約40%の活性を表すFVaの中間分解産物をもたらすArg506部位で切断するのみならず、しかしまたFVa活性のほとんど完全な喪失をもたらすArg306部位でも切断することが図5の曲線から明らかである。
実施例5.APCによる正常およびQ506突然変異体FVaの不活性化
本実施例において、正常血漿FVaをAPC抵抗性血漿(FV:Q506−FV Leidenについてのホモ接合性を伴う個体から得られた)からのFVaで置換した。この実験は外因性のプロテインSの存在および非存在の双方で実施した。
【0138】
(i)方法:正常のプールされた血漿、もしくはホモ接合性のAPC抵抗性(FV:Q506もしくはFV Leiden)を伴う個体のいずれかから得られた血漿FVaを、Arg306での切断を確実にするために精製されたヒトプロテインS(100nM)を添加したことを除き実施例(3)(i)に記述されたとおり0.4nM APCおよび25μMリン脂質小胞とともにインキュベートした。図6に示されるところの時点で残存するFVa活性を測定した。
【0139】
(ii)結果:wt APCの添加は、Arg306での切断に対応するFVa活性の緩徐な減少をもたらし、図6中の対応する曲線の傾きは図4に具体的に説明されるwt APCについての曲線の第二の部分に類似であった。対照的に、本変異体QGNSEDY(もしくはALL)は、APC変異体によるArg306でのFVaの高められた切断と矛盾しないFV活性のより急速な下落をもたらした。プロテインSの添加はwt APCおよびQGNSEDY双方の効果を高めたが、しかしなお、2種のタンパク質間の差異が残った。従って、プロテインSはwt APCのみならずしかしまた本APC変異体も刺激し、後者はリン脂質に対するかなり高められた結合親和性を表すと結論することができる。プロテインSはリン脂質に対するAPCの結合親和性を高めることにより機能することが示唆されているため、これは興味深い。これが、プロテインSがそれによりはたらく唯一の機構であることができる場合には、プロテインSの添加がwt APCとQGNSEDY変異体との間の差異を減少させることができると期待することができる。
実施例6.APCの膜結合親和性
リン脂質膜に結合するwtおよび変異体プロテインCの能力を検討するために、表面プラスマ共鳴技術を使用した。この技術の商業的変形物はバイアコア(BIAcore)から入手可能である。本実施例においてはバイアコア(BIAcore)2000を使用した。
【0140】
(i)方法:リン脂質小胞を、バイアコア(BIAcore)からのL1センサーチップの表面上に捕捉した。これらのチップは、共有結合された疎水性脂肪族基をもつデキストランヒドロゲルよりなる。3個の異なる種類の小胞を、押出成形技術を使用して製造し(アベスチン リポファクト(Avestin Lipofact)基本押出成形装置を使用する)、3つの型の小胞は異なるリン脂質組成、すなわち1)100%ホスファチジルコリン(図7)、2)80%ホスファチジルコリンおよび20%ホスファチジルセリン(図(8)、ならびに3)20%ホスファチジルセリン、20%ホスファチジルエタノールアミンおよび60%ホスファチジルコリン(図9)を有した。4種のプロテインC突然変異体、すなわちHPC ALL(すなわちQGNSEDY)、SEDY、QGNおよびSED、ならびにwt HPCを試験した。これらの実験において、プロテインC濃度は0.5μMであり、また、使用された緩衝液は、5mM CaCl2を含有する10mM Hepes、0.15M NaCl、pH7.5であった。
【0141】
ホスファチジルコリンを含有する膜は、負に荷電したホスファチジルセリンが膜の一部でない限り、ビタミンK依存性タンパク質を結合しない。ホスファチジルエタノールアミンは、膜中でのこの型のリン脂質の存在がプロテインCの結合を高めることおよびFVaの分解の速度を高めることが示されているため、とりわけ興味深い。従って、本実施例において、プロテインC変異体がリン脂質の型に対する変えられた特異性を立証したかどうかが検討される。多様な組換えプロテインC変異体を3つの型のリン脂質膜により被覆された異なる表面積を含有したチップを有したバイアコア(BIAcore)機械に注入した。
【0142】
(ii)結果:0.5μMのプロテインCの濃度を使用した。負に荷電したリン脂質膜に対するプロテインCのKdがおよそ15μMであるために、この濃度で、wt プロテインCがいかなるとりわけ強い結合も示すことが期待されないためである。従って、これらの実験において、プロテインC変異体のいずれかの増大された結合能力をみることが可能であるはずである。図7から明らかであるとおり、100%ホスファチジルコリンを含有する膜へのプロテインC変異体の(あるとしても)非常にわずかな結合が存在した。到達された最大応答単位はわずかに約160であった。図8から、20%ホスファチジルセリンを含有する膜上で、とりわけ、Y軸上にプロットされるような応答の急激な増大により反映されるところのプロテインCの急速な会合を立証した本変異体QGNSEDY(もしくはALL)による、かなり良好な結合が存在したことが明らかである。他の変異体すなわちQGN、SEDYおよびSEDはwt プロテインCと同様に挙動した。図9に示される結果は、QGNSEDY(もしくはALL)変異体とwt プロテインCとの間の最も顕著な差異が、ホスファチジルエタノールアミンを含有する膜を使用した場合に観察されたことを具体的に説明する。QGNSEDY変異体は膜への結合の急激な増大を立証し、そして約700単位の応答に非常に急速に達した。後に続く200秒の間に応答はおよそ850応答単位に上昇した。解離に次いでプロテインC注入を中断し、そして結合されたタンパク質は膜から比較的急速に遊離された。該結合はカルシウム依存性であった。EDTAが結合を完全に逆転させたからである。この挙動はビタミンK依存性タンパク質から予測される。
【図面の簡単な説明】
【0143】
以下において、本発明は図面に言及してより詳細に開示され、ここで:
【図1】発明にかかる、ヒト血漿中での活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)に対する多様なAPC変異体(突然変異体)の影響を具体的に説明する。以下のAPC変異体、すなわちヒト野性型(wt)APC(●)、APC突然変異体QGN(□)、APC突然変異体QGED(▲)、APC突然変異体GNED(×)、APC突然変異体SEDY(|)およびAPC突然変異体ALL(もしくはQGNSEDY)(△)を検査した。
【図2】発明にかかる、APTTアッセイにおけるAPC(wtおよび突然変異体)の影響に対するヒトプロテインSの影響を具体的に説明する。以下のAPC変異体、すなわちwt APC(●)およびAPC突然変異体QGNSEDY(ALL)(□)を検査した。
【図3】発明にかかる、ヒト血漿中のプロトロンビン時間に対する多様なAPC変異体の影響を具体的に説明する。以下のAPC変異体、すなわちwt APC(●)、APC突然変異体QGN(□)、APC突然変異体QGED(▲)、APC突然変異体GNED(×)、APC突然変異体SEDY(|)およびAPC突然変異体QGNSEDY(ALL)(△)を検査した。
【図4】発明にかかる、プロトロンビンのFXaに媒介される活性化によるトロンビン生成により測定されるところのヒト第Va因子を不活性化する多様なAPC変異体の能力を具体的に説明し、前記活性化はFVaにより増強される。以下のAPC突然変異体、すなわちwt APC(●)、APC突然変異体QGN(□)、APC突然変異体SEDY(+)およびAPC突然変異QGNSEDY(ALL)(△)を検査した。
【図5】発明にかかる、ヒト第Va因子を不活性化する多様なAPC変異体の能力を具体的に説明し、FVaの活性はプロトロンビナーゼアッセイを用いて測定した。以下のAPC変異体、すなわちwt APC(●)、APC突然変異体QGN(▲)、APC突然変異体SEDY(△)およびAPC突然変異QGNSEDY(ALL)(□)を検査した。
【図6】発明にかかる、APCによる正常すなわち野性型(wt)のFVaおよびQ506突然変異体FVa(FVa Leiden)の不活性化を具体的に説明する。値は:野性型APCでのwt FVa(●);APC突然変異体QGNSEDY(ALL)でのwt FVa(□);wt APCでのR506Q FVa(▲);およびAPC突然変異体QGNSEDY(ALL)でのR506Q FVa(×)の不活性化について示す。
【図7−9】発明にかかる、リン膜に結合するwtおよび変異体プロテインCの能力を具体的に説明する。バイアコア(BIAcore)からの表面プラスマ共鳴技術を使用した。これらの図において、多様なリン脂質、すなわち100%ホスファチジルコリン(図7);20%ホスファチジルセリンおよび80%ホスファチジルコリンの混合物(図8);ならびに20%ホスファチジルセリン、20%ホスファチジルエタノールアミンおよび60%ホスファチジルコリンの混合物(図9)を使用した。全部の試験において、ヒト野性型プロテインC(wt)ならびにAPC変異体QGNSEDY(ALL)、SEDY、SEDおよびQGNを分析した。
Claims (30)
- 血液のプロテインC抗凝固系中で抗凝固活性を示すことが可能で、かつプロテインC(PC)および活性化型プロテインC(APC)から選択される野性型血液凝固成分にアミノ酸配列が実質的に相同な変異体血液凝固成分であって、対応する野性型血液凝固成分により示される抗凝固活性に比較して高められる抗凝固活性を示すことが可能であり、そして前記野性型成分と比較して、最初の45のN末端アミノ酸残基および指定されるGlaドメインを含んで成るそのN末端アミノ酸残基配列中に最低1個のアミノ酸残基の改変を含有する点でそれぞれの野性型成分と異なる、変異体血液凝固成分。
- 対応する野性型成分と最低95%のアミノ酸残基配列の同一性を有する、請求項1記載の変異体成分。
- 対応する野性型成分と最低97%のアミノ酸残基配列の同一性を有する、請求項1記載の変異体成分。
- 対応する野性型成分と最低98%のアミノ酸残基配列の同一性を有する、請求項1記載の変異体成分。
- 前記最低1個のアミノ酸残基の改変が、置換、欠失もしくは挿入されたアミノ酸残基より構成される、いずれかの先行する請求項記載の変異体成分。
- 前記成分が、野性型成分と比較して高められた膜結合親和性を表す変異体PCもしくは変異体APCである、いずれかの先行する請求項記載の変異体成分。
- 野性型プロテインCと比較して高められたカルシウム親和性をさらに表す、請求項6記載の変異体成分。
- 前記変異体成分が、前記Glaドメイン中に最低6および場合によっては7〜10アミノ酸残基の改変を含有する、いずれかの先行する請求項記載の変異体成分。
- 前記変異体成分が、置換突然変異H10Q、S11G、S12N、D23S、Q32E、N33DおよびH44Yを含有する改変されたGlaドメインを含有し、前記改変されたGlaドメインは以下のアミノ酸配列:
ANSFLEELRQ GNLERECIEE ICSFEEAKEI FEDVDDTLAF WSKYV(配列番号3)
を有する、請求項1記載の変異体成分。 - 前記Glaドメインが位置10、11、28、32もしくは33から選択される位置でのアミノ酸置換、およびGlaドメイン中の最低1個のさらなる改変を含有し、場合によっては、前記最低1個のさらなる改変が位置12、23もしくは44から選択される、請求項1−7のいずれか1つ記載の変異体成分。
- 前記最低1個のアミノ酸改変が位置12、23および44から選択される位置での置換突然変異であり、前記置換突然変異がS12N、D23SおよびH44Yから選択される、請求項1−7のいずれか1つ記載の変異体成分。
- 前記最低1個のアミノ酸改変が、位置10、11、12、23、32、33および44から選択される位置に配置され、かつ、場合によっては置換突然変異であり、また、場合によっては、全部の位置10、11、12、23、32、33および44が改変される、請求項1−7のいずれか1つ記載の変異体成分。
- 前記改変(1個もしくは複数)が置換である、いずれかの先行する請求項記載の変異体成分。
- 最低1個の保存的置換をさらに含有する、いずれかの先行する請求項記載の変異体成分。
- 前記野性型血液凝固成分がヒト起源のものである、請求項1−14のいずれか1つ記載の変異体成分。
- いずれかの先行する請求項記載の変異体血液凝固成分をコードするヌクレオチド配列を含んで成るDNAセグメント。
- 適しては発現ベクターである複製可能なベクター、およびその中に挿入された請求項16記載のDNAセグメントを含んで成る組換えDNA分子。
- 適してはその中に安定に組込まれる請求項17記載の組換えDNA分子をもつ、微生物もしくは動物細胞、適しては培養された動物細胞系を含んで成る宿主細胞。
- アデノウイルスでトランスフェクトされたヒト腎細胞である、請求項18記載の宿主細胞。
- (a)野性型血液凝固成分をコードするDNAを提供すること;
(b)前記野性型DNA中に最低1個のヌクレオチド改変を導入して、変異体血液凝固成分をコードする改変されたDNAセグメントを形成すること;および
(c)前記改変されたDNAセグメントを複製すること
を含んで成る、請求項1−15のいずれか1つ記載の変異体血液凝固成分をコードする請求項16記載のDNAセグメントの製造方法。 - (a)前記変異体成分をコードするDNAセグメントを提供すること;
(b)段階(a)で提供される前記DNAセグメントを発現ベクターに導入すること;
(c)前記DNAセグメントを含有する前記ベクターを適合する宿主細胞に導入すること;
(d)段階(c)で提供される宿主細胞を、前記変異体成分の発現に必要とされる条件下で培養すること;および
(e)発現された変異体成分を培養された宿主細胞から単離すること
を含んで成る、請求項1−15のいずれか1つ記載の変異体血液凝固成分の製造方法。 - 有効量の、請求項1−15のいずれか1つ記載の変異体血液凝固成分、および製薬学的に許容できる担体、希釈剤もしくは賦形剤を含んで成る製薬学的組成物。
- 請求項1−15のいずれか1つ記載の変異体血液凝固成分を含んで成る、血液のプロテインC抗凝固系に参画する成分をアッセイするための、適してはキットの形態の診断試験系。
- 変異体血液凝固成分が変異体APCであり、かつ、前記試験系がプロテインSもしくは無傷の抗凝固第V因子の機能的活性をアッセイするための系である、請求項23記載の診断試験系。
- 凝固阻害量の、請求項1−15のいずれか1つ記載の変異体血液凝固成分を含んで成る生理学的に耐えられる組成物を患者に投与することを含んで成る、前記患者における凝固の阻害方法。
- 血栓症が阻害される、請求項25記載の方法。
- 凝固が血液凝固障害APC抵抗性を有する個体において阻害される、請求項26記載の方法。
- 血栓症のような凝固障害の治療もしくは予防のための医薬の製造における、請求項1−15のいずれか1つ記載の変異体成分の使用。
- 変異体成分が変異体PSとともに変異体PCもしくは変異体APCを含んで成る、請求項28記載の使用。
- APC抵抗性の治療のための医薬の製造における請求項28記載の使用。
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