JP2004526423A - 結合エンドヌクレアーゼ開裂および連結反応を使用した核酸の相違の検出方法 - Google Patents
結合エンドヌクレアーゼ開裂および連結反応を使用した核酸の相違の検出方法 Download PDFInfo
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Abstract
本発明は、単一ヌクレオチド変異または多型性、1つ以上のヌクレオチド挿入、および1つ以上のヌクレオチド欠失を含むDNA配列の相違を検出するための方法である。塩基ミスマッチを含有する標識ヘテロ二重鎖PCRフラグメントを作製する。エンドヌクレアーゼは、変化(1つ以上のミスマッチ塩基)を含有する位置およびこれより少ない程度で非異型(完全に適合した)位置の両方でヘテロ二重鎖PCRフラグメントを開裂する。開裂生成物とDNAリガーゼとの連結は非異型開裂を補正するので、従って実質的にバックグラウンドを減少させる。この後に、反応生成物を検出する検出段階が続き、さらに配列変化の位置が決定される。
Description
【技術分野】
【0001】
本出願は、2000年12月1日に出願された米国仮特許出願第60/250,435号明細書の恩典を主張する。
【0002】
本発明は、補助金番号第ROI−CA65930号および第ROI−CA81467号の下で国立保健研究所によって後援された研究から生まれた。米合衆国政府は一定の権利を保有できる。
【0003】
発明の分野
本発明は、結合エンドヌクレアーゼ(「エンド」)開裂および連結(ライゲーション)反応を使用した核酸の相違の検出に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
DNA配列変化の検出
基礎研究および臨床研究のいずれにおいても、DNA配列変化を高効率かつ高精度で同定することが大いに必要である。かかる変化を検出するための現行技術は、2つのグループに分けることができる。1)既知の変異または多型性の検出、および2)未知の変異または多型性の検出(変異スキャニングとも呼ばれる)。既知の変異および多形性を検出するために種々の有効な方法が開発されており、それらの方法には例えば直接DNAシーケンシング、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、対立遺伝子特異的PCR、DNAアレイ、およびPCR/LDRが含まれる。未知の変異を検出するためにも様々な方法があるが、これらの感度および精度は大きく相違する。
【0005】
臨床検体中の未知の変異を同定するための高処理技術の比較
臨床検体中の未知の変異を同定することは、既知の変異並びに一部の新規合併症についてのスクリーニングと類似の困難を提示する。腫瘍検体中に存在する変異は、基質汚染のためにその遺伝子に対するDNA配列の15%しか表していない場合がある。このため未知の変異についてのスクリーンは、低存在率配列を同定するために高感度を必要とする。大多数の癌遺伝子は変化させられる可能性がある複数のエキソンを含有しているので、広く変異した遺伝子(例、PTEN)についてさえ、単一エキソンのほとんどのアッセイ結果は陰性であると考えられる。しかし、検体をまとめてプールすることによって、所定のアッセイにおいて有意な変異を発見する確率が増加する。検体をプールすることによりスクリーンの能力を増加させるためには、この方法はプーリングの結果として生じるそれ以上の変異希釈を許容するために十分に高い感度を有していなければならない。さらに、異常な生殖細胞系の変異に対しては、検体をプールする能力は複数エキソンにおいて極めて多数の検体を評価するスループットを向上させる。
【0006】
未知の癌変異をスクリーニングすることに関連するその他の重大な厄介な問題は、下記の段階を行う必要である。(i)フレームシフト、ノンセンス、もしくはミスセンス変異のいずれであるかを同定する段階、および(ii)生殖細胞系(即ち、サイレント)多型性からミスセンス変異を区別する段階。後者は、多型性がヒトゲノム内では1kb毎にほぼ1回存在すると推定されるので、極めて重要である。Wang D.G.ら、Science,280(5366):1077−82(1998)、Li W.H.ら、Genetics,129(2):513−23(1991)、Lai E.ら、Genomics,54(1):31−38(1998)、Nickerson D.A.ら、Nat . Ge net,19(3):233−40(1998)、Harding R.M.ら、Am . J . Hum . Genet .,60(4):772−89(1997)、Taillon−Miller P.ら、Genome Res .,8(7):748−54(1998)、Halushka M.K.ら、Nat . Genet .,22(3):239−47(1999)、およびCargill M.ら、Nat . Genet .,22(3):231−38(1999)を参照。明らかに重要性の低い多型性を分離すれば、情報を提供する変異を同定する際の効率が有意に増加するはずである。あいにくなことに、臨床的有意性を備えた追加の希頻度変異を同定する現在の方法は、それらの適用が限定されている。現在までの大多数の方法は、識別するための精度または有効な方法であるための感度のいずれかが欠如している。その結果として、緻密な変異を同定する可能性およびプールされた検体中で腫瘍または生殖細胞系DNAを分析する感度を備えたスキャニング法に対する差し迫った必要がある。
【0007】
直接シーケンシングおよび変化検出アレイ
様々な方法が、未知の変異についてスキャンするために開発されてきた。直接シーケンシングは、あらゆる変異およびその位置を検出できる理想を表しているが、高処理は費用がかかる。Gyllensten U.B.ら、Proc . Natl . Acad . Sci . USA,85(20):7652−56(1988)、Hultman T.ら、Nucleic Acids Res .,17(13):4937−46(1989)、Phear G.A.ら、Methods Mol . Biol .,31:247−56(1994)、Rao V.B.,Anal . Biochem .,216(1):1−14(1994)、Kovach J.S.ら、J . Natl . Cancer Inst .,83(14):1004−9(1991)。この方法は感度が低いためにプールされた検体の正確な解析を妨げ、さらに充実性腫瘍検体に関しては、この方法は基質の汚染に対して脆弱である。盲験試験では、直接シーケンシングは顕微解剖された腫瘍検体中でK−ras変異の20%を同定することができなかった。この数は、肺腫瘍検体中のp53変異の24%が同定されなかった他の試験と一致している。Ahrendt S.ら、Proc . Natl . Acad . Sci . USA,96:7382−87(1999)。自動シーケンス解析をこれらの同一肺腫瘍検体に対して実施すると、この偽陰性値は32%へ上昇した。Ahrendt S.ら、Proc . Natl . Acad . Sci . USA,96:7382−87(1999)。これらの結果は直接シーケンシングに結び付いた感度の限界を反映しており、さらにこのアプローチを自動化するのが困難であることを証明している。検体が特定領域において変異を有することが分かっている場合は、直接シーケンシングを反復して試みれば変異およびその位置を同定することができるはずである。このため直接シーケンシングには、事前に変異を含有することが同定された遺伝子領域において変化した正確な塩基を同定するための第2段階としての有用性があるかも知れない。
【0008】
変化検出アレイ(VDA)は、所定の遺伝子中の大きな配列ブロックをスキャンするために標準ハイブリダイゼーション・マイクロアレイを使用する。スキャニング能力のレベルは高いにもかかわらず、このアプローチは有用性を制限する幾つかの特徴を有している。VDAは、すべての変異を検出することはできず、例えばBRCA2およびp53遺伝子中のフレームシフト変異を検出するのは特に困難である。Ahrendt S.ら、Proc . Natl . Acad . Sci . USA,96:7382−87(1996)、Hacia J.G.ら、Nature Genetics,14(4):441−47(1999)。プライマー伸長アレイもまた、モノヌクレオチド反復配列のスリップを検出することができない。Syvanen A.C.ら、Hum . Mutat .,3(3):172−79(1994)。VDAを使用した場合には11〜21%の高い偽陽性率が観察されている。Halushka M.K.ら、Nat . Genet .,22(3):239−47(1999)。これらの不正確な結果の原因となった可能性がある直接ハイブリダイゼーションの1つの結果には、二次構造の破壊が含まれる。完全適合PCRフラグメントは、異型フラグメント中に存在しない二次構造を想定している。二次構造は、通例はフラグメント/アレイハイブリダイゼーションに関してエネルギー的に好ましくなく、異型フラグメントは真の完全適合フラグメントより高度の結合親和性でアレイ上の完全適合補体に結合することができる。Hacia J.,Nature Genetics(Supplement),21:42−47(1999)。このような非正統的ハイブリダイゼーションは、偽陽性シグナルを生じさせうる。変異含有PCRフラグメントからアレイ上の配列への直接ハイブリダイゼーションは、G+CおよびA+T両方の高含量の局在化領域とともに同時に配列路をアッセイすることの追加の困難を有している。Hacia J.,Nature Genetics(Supplement),21:42−47(1999)。これらの配列路内の一定の変異は、Tmを有意に減少させ、従って偽陰性シグナルを引き起こす可能性がある。
【0009】
ゲルに基づくアッセイ、ミスマッチ開裂酵素、および短縮タンパク質アッセイ
未知の変異を検出するために広く使用されるその他の方法は、相違する電気泳動移動挙動に基づいてホモ二重鎖およびヘテロ二重鎖DNAを分離する。これらの方法には、一本鎖構造的多型性(SSCP)(Suzuki Y.ら、Oncogene,5(7):1037−43(1990)、Makino R.ら、PCR Methods Appl .,2(1):10−13(1992)、Hayashi K.,PCR Methods Appl .,1(1):34−38(1991)、Korn S.ら、J . Clin . Pathol .,46(7):621−23(1993))、変性勾配ゲル電気泳動法(DGGE)(Fahy E.ら、Nucleic Acids Research,25(15):3102−9(1997)、Fodde R.ら、Hum . Mutat .,3(2):83−94(1994)、Guldberg P.ら、Nucleic Acids Res .,22(5):880−81(1994)、Ridanpaa M.ら、Hum . Mol . Genet .,2(6)639−44(1993)、Ridanpaa M.ら、Mutat . Res .,334(3):357−64(1995))、定常変性キャピラリー電気泳動法(CDCE)(Chen J.ら、Environ . Health Perspect,3:227−29(1994)、Khrapko K.ら、Nucleic Acids Res .,22(3):364−69(1994))、ジデオキシフィンガープリンティング(ddf)(Sarkar G.ら、Genomics,13:441−43(1992))、および制限エンドヌクレアーゼフィンガープリンティング法(REF)(Liu Q.ら、Biotechniques,18(3):470−77(1994))が含まれる。類似のアプローチである変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)もまた、ヘテロ二重鎖DNAからホモ二重鎖を分離するが、これはアルキル化非多孔性(スチレンジビニルベンゼン)粒子上でのイオン対逆相液体クロマトグラフィーによる分離に基づいている。Underhill P.A.ら、Genome Res .,7(10):996−1005(1997)。これらの方法は幾つかのは極めて望ましい特徴を含むが、上記で考察したスループットおよび感度の両方に関して完全な方法は1つもない。多型性の位置を同定できる方法(ddFおよびREF)は、プールされた検体中の低レベル変異を評価するためには適切ではない。残りの方法はどちらかと言えば高速で低レベル変異を検出できるが、サイレント多型性からミスセンスを識別することはできない。さらに、これらの方法は変異の位置を定位しないので、例えば直接シーケンシングのようなフォローアップ方法とは余り適合しない。
【0010】
APC遺伝子中のフレームシフトまたは終止コドンを検出するための洗練されたアプローチは、タンパク質短縮法(protein truncation test)と呼ばれる結合転写翻訳アッセイを使用する。Powell S.M.ら、Nature,359(6392):235−37(1992)、Powell S.M.ら、N . Engl . J . Med .,329:1982−87(1993)、Redston M.S.ら、Gastroenterology,108(2):383−92(1995)、Petersen G.M.ら、Hum . Genet .,91(4):307−11(1993)、Su L.K.ら、Cancer Res .,53(12):2728−31(1993)。この方法は現在、大きな遺伝子において短縮タンパク質を生成する変異を発見するために最も強力なアプローチである;しかし、この方法ではミスセンス変異または多型性を検出することはできない。多型性は、RNase Aミスマッチ開裂を通しての例えばDNA−RNAヘテロ二重鎖のようなDNAハイブリッド(Winter E.,Proc . Natl . Acad . Sci . USA,82(22):7575−79(1985)、Perucho M.ら、Cancer Cells,7:137−41(1989)、Myers R.M.ら、Science,230(4731):1242−46(1985))、並びに化学的ミスマッチ開裂(CCM)を通してのDNA−DNAホモ二重鎖(Cotton R.G.H.ら、Proc . Natl . Acad . Sci . USA,85(4397−401(1988)、Hansen L.L.ら、PCR Primer:A Laboratory Manual(PRCプライマー:実験マニュアル)C.W.Diefenbach and G.S.Dveksler編集、Cold Spring Harbor Laboratory Press:New York、第275−86頁(1995)中の「Sensitive and Fast Mutation Detection by Solid−Phase Chemical Cleavage(固相化学開裂による高感度および高速変異検出)」、Haris I.I.ら、PCR Methods Appl .,3(5):268−71(1994))におけるミスマッチの開裂、T4エンドヌクレアーゼVIIもしくはMutY開裂(Youil R.ら、Proc . Natl . Acad . Sci . USA,92(1):87−91(1995)、Xu J.F.ら、Carcinogenesis,17(2):321−26(1996)、Giunta C.ら、Diagn . Mol . Pathol .,5(4):265−70(1996))、またはクリーバーゼ(Cleavase)によって同定できる。近年では、T4エンドヌクレアーゼVIIと類似の活性を備えた植物エンドヌクレアーゼCEL Iが報告されている。Oleykowski C.A.ら、Nucleic Acids Res .,26(20):4597−602(1998)。CEL Iは、ヌクレアーゼS1と類似の活性を有し、中性pHで作用する。その開裂効率およびバックグラウンドは試験されるミスマッチおよび特異的テンプレートに従って変化するので、さらにまだ他のテンプレート(例、GC富裕領域における)の詳細な評価が必要とされる。最も一般的に認められたミスマッチ開裂アプローチは、ミスマッチでの正常および多型性基質のヘテロ二重鎖を開裂させるためにT4エンドヌクレアーゼVIIもしくはMutYを使用することにより多型性の近似位置を同定する。Youil R.ら、Proc . Natl . Acad . Sci . USA,92(1):87−91(1995)、Xu J.F.ら、Carcinogenesis,17(2):321−26(1996)、Giunta C.ら、Diagn . Mol . Pathol .,5(4):265−70(1996)。これらの酵素開裂アプローチは、大多数の多型性の近似位置を同定する;しかしこれらの酵素はしばしばマッチDNAをニックし、高いバックグラウンドノイズを引き起こす。この高いバックグラウンドは充実性腫瘍試験に関して有用性を制限する傾向がある。
【0011】
そこで本発明は、先行技術における上記の欠点を克服することに向けられる。
【発明の開示】
【0012】
発明の概要
本発明の1つの局面は、正常標的塩基配列とは1つ以上の単一塩基の変化、挿入、または欠失によって相違する変異核酸配列を同定するための方法に向けられる。この方法には次の混合が含まれる。(1)潜在的に正常標的塩基配列並びに変異核酸配列を含有する検体;(2)標的塩基配列および変異核酸配列の相補的鎖上でのハイブリダイゼーションに適した2種の標識オリゴヌクレオチドプライマーを提供する段階;および(3)ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成するためにポリメラーゼを提供する段階。ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、オリゴヌクレオチドプライマーが標的塩基配列および/または変異核酸配列をハイブリダイズすることができるハイブリダイゼーション処理、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーが伸長されてそれにオリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズされる標的塩基配列および/または変異核酸配列に相補的な伸長生成物が形成される伸長処理、およびハイブリダイズされた核酸配列が分離される変性処理を含む1回以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルを受ける。ポリメラーゼが不活化された後、ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物は変性させられ、ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物はアニーリングされて潜在的に正常標的塩基配列および変異核酸配列を含有するヘテロ二重鎖生成物が形成される。ミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れるかまたは開裂するエンドヌクレアーゼは、その後ヘテロ二重鎖生成物と混合されてエンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が形成される。エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物は、エンドヌクレアーゼがミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖生成物に優先的にニックを入れるかまたは開裂するように混合される。リガーゼおよび潜在的にニックが入れられたまたは開裂されたヘテロ二重鎖生成物が混合されてリガーゼ再シーリング反応混合物が形成される。リガーゼ再シーリング反応混合物がインキュベートされると、完全適合塩基対でニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物がシーリングされるが、ミスマッチ塩基対に隣接する位置でのニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物は実質的に再シーリングはされない。リガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートすることから生じる生成物はサイズまたは電気泳動移動度によって分離され、正常標的塩基配列および変異核酸配列の存在はリガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートした結果として生じる分離された生成物を区別することによって検体中で検出される。
【0013】
本発明のまた別の局面は、正常標的核酸配列とは1つ以上の単一塩基の変化、挿入、または欠失によって相違する変異核酸配列を同定するための方法に関する。この方法では、潜在的に変異核酸配列を含有しているが必ずしも正常標的核酸配列を含有していない検体、正常標的核酸配列を含有する標準物質、変異核酸配列の相補的鎖上でハイブリダイゼーションに適した2種の標識オリゴヌクレオチドプライマー、およびポリメラーゼが混合されて、第1ポリメラーゼ連鎖反応混合物が形成される。第1ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、標識オリゴヌクレオチドプライマーが変異核酸配列にハイブリダイズできるハイブリダイゼーション処理、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーが伸長されてそれにオリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズされる変異核酸配列に相補的な伸長生成物が形成される伸長処理、およびハイブリダイズされた核酸配列が分離される変性処理を含む1回以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルを受ける。その後ポリメラーゼは不活化される。正常標的核酸配列、標識オリゴヌクレオチドプライマー、およびポリメラーゼが混合されて、第2ポリメラーゼ連鎖反応混合物が形成される。第2ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、標識オリゴヌクレオチドプライマーが正常標的核酸配列にハイブリダイズできるハイブリダイゼーション処理、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーが伸長されてそれにオリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズする正常標的核酸配列に相補的な伸長生成物を形成する伸長処理、およびハイブリダイズされた核酸配列が分離される変性処理を含む1回以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルを受ける。その後ポリメラーゼは不活化される。第1および第2ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物は変性させられ、その後アニーリングされて潜在的に正常標的塩基配列および変異核酸配列を含有するヘテロ二重鎖生成物が形成される。ミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れる、または開裂するエンドヌクレアーゼがヘテロ二重鎖生成物と混合されてエンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が形成される。エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物をインキュベートすると、エンドヌクレアーゼはミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖生成物に優先的にニックを入れる、または開裂する。リガーゼおよび潜在的にニックが入れられた、または開裂されたヘテロ二重鎖生成物が混合されると、リガーゼ再シーリング反応混合物が形成され、これがインキュベートされると、完全適合塩基対でニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物がシーリングされるが、ミスマッチ塩基対に隣接する位置でのニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物は実質的に再シーリングはされない。リガーゼ再シーリング反応混合物をインキューべーとした結果として生じる生成物はサイズまたは電気泳動移動度によって分離され、検体中の正常標的核酸配列および変異核酸配列の存在はリガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートした結果として生じる分離された生成物を区別することによって検出される。
【0014】
本発明のまた別の局面は、次のように完全に適合したDNAにニックを入れたときの連結に適した末端を生成し、ヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れる、または開裂する熱安定性エンドヌクレアーゼに関する。(1)塩基対がミスマッチである、またはミスマッチを1塩基越える場所で、および(2)塩基対がミスマッチである、またはミスマッチを1塩基越える場所でのA/A、G/G、T/T、A/G、A/C、G/A、G/T、T/G、T/C、C/A、またはC/Tミスマッチ塩基対で。代替場所(1)および(2)の各々で、完全に適合したDNAにニックを入れるときに連結に適した末端が生成される。本発明に従った熱安定性エンドヌクレアーゼは、ミスマッチの位置に下線が引かれ大文字で示されているgRcg、rcRc、cgYc、またはgYgy配列を有するものを除いて、いずれかの単一塩基変異または多型性のために形成された少なくとも1本のヘテロ二重鎖に優先的にニックを入れる、または開裂し、完全に適合したDNAでニックを入れるときに連結に適した末端を生成する。あるいはまた、ヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れる、または開裂する熱安定性エンドヌクレアーゼは、塩基対がミスマッチである、または不対塩基を1塩基越える場所で1、2、および3塩基の挿入もしくは欠失を含有しており、完全に適合したDNAでDNAにニックを入れるときに連結に適した末端を生成する。
【0015】
本発明のまた別の局面は、次のいずれかを含有するテルモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)からの変異エンドヌクレアーゼV(「エンドV」)である。(1)Y80A残基の変化;(2)Y80F残基の変化;(3)Y80L、Y80I、Y80V、もしくはY80Mのいずれかの残基の変化;(4)R88A残基の変化;(5)R88L、R88I、R88V、もしくはR88M残基の変化;(6)R88K残基の変化;(7)R88NもしくはR88Q残基の変化;(8)R88DもしくはR88E残基の変化;(9)R88TもしくはR88S残基の変化;(10)E89A残基の変化;(11)E89L、E89I、E89V、もしくはE89M残基の変化;(12)E89D残基の変化;(13)E89NもしくはE89Q残基の変化;(14)E89RもしくはE89K残基の変化;(15)E89TもしくはE89S残基の変化;(16)H116A残基の変化;(17)H116L、H116I、H116VもしくはH116M残基の変化;(18)H116KもしくはH116R残基の変化;(19)H116NもしくはH116Q残基の変化;(20)H116TもしくはH116S残基の変化;(21)K139A残基の変化;(22)K139L、K139I、K139V、もしくはK139M残基の変化;(23)K139R残基の変化;(24)K139NもしくはK139Q残基の変化;(25)K139DもしくはK139E残基の変化;(26)K139TもしくはK139S残基の変化;(27)D43A残基の変化;(28)D43E残基の変化;(29)D105A残基の変化;(30)D105E残基の変化;(31)F46A残基の変化;(32)F46Y残基の変化;(33)F46L、F46I、F46V、もしくはF46M残基の変化;(34)R118A残基の変化;(35)R118L、R118I、R118V、もしくはR118M残基の変化;(36)R118K残基の変化;(37)R118NもしくはR118Q残基の変化;(38)R118DもしくはR118E残基の変化;(39)R118TもしくはR118S残基の変化;(40)F180A残基の変化;(41)F180Y残基の変化;(42)F180L、F180I、F180V、もしくはF180M残基の変化;(43)G83A残基の変化;(44)G83L、G83I、G83V、もしくはG83M残基の変化;(45)G83KもしくはG83R残基の変化;(46)G83NもしくはG83Q残基の変化;(47)G83DもしくはG83E残基の変化;(48)G83TまたはG83S残基の変化;(49)I179A残基の変化;(50)I179KもしくはI179R残基の変化;(51)I179NもしくはI179Q残基の変化;(52)I179DもしくはI179E残基の変化;(53)I179TもしくはI179S残基の変化;(54)D110A残基の変化;または(55)H125A残基の変化。
【0016】
本発明のまた別の局面は、野生型エンドヌクレアーゼVではなくむしろミスマッチ塩基を含有する、少なくとも1つのヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れる、または開裂する変異エンドヌクレアーゼVに向けられる。
【0017】
本発明のまた別の局面は、正常標的核酸配列とは1つ以上の単一塩基の変化、挿入、または欠失によって相違する変異核酸配列を同定するための方法に向けられる。この方法では、潜在的に正常標的核酸配列並びに変異核酸配列を含有する検体、標的核酸配列および変異核酸配列の相補的鎖上でのハイブリダイゼーションに適した2種の標識オリゴヌクレオチドプライマー、およびポリメラーゼが混合されてポリメラーゼ連鎖反応混合物が形成される。ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、オリゴヌクレオチドプライマーが標的核酸配列および/または変異核酸配列にハイブリダイズできるハイブリダイゼーション処理、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーが伸長されてそれにオリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズする標的核酸配列および/または変異核酸配列に相補的な伸長生成物を形成する伸長処理、およびハイブリダイズされた核酸配列が分離される変性処理を含む1回以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルを受ける。ポリメラーゼが不活化された後、ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物が変性かつアニーリングさせられて潜在的に正常標的核酸配列および変異核酸配列を含有するヘテロ二重鎖生成物が形成される。ミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れる、または開裂するエンドヌクレアーゼおよびヘテロ二重鎖生成物が混合されてエンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が形成され、この反応混合物はエンドヌクレアーゼがミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖生成物に優先的にニックを入れる、または開裂するようにインキュベートされる。リガーゼおよび潜在的にニックが入れられた、または開裂されたヘテロ二重鎖生成物が混合されると、リガーゼ再シーリング反応混合物が形成され、これがインキュベートされると、完全適合塩基対でニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物がシーリングされるが、ミスマッチ塩基対に隣接する位置でのニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物は実質的に再シーリングはされない。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼおよび潜在的にニックが入れられた、または開裂されたヘテロ二重鎖生成物が混合されるとポリメラーゼヌクレオチド鎖分解性分解反応混合物が形成され、これはニックへ3’側の数個の塩基を取り除くために3’−5’ヌクレオチド鎖分解活性に有効な条件下でインキュベートされる。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を含むポリメラーゼが不活化された後、3’−5’活性を備えていないポリメラーゼおよびインキュベートされたポリメラーゼ分解反応混合物、標識ジデオキシターミネーター三リン酸ヌクレオチド類、およびデオキシリボヌクレオチド三リン酸類が混合されてポリメラーゼミニシーケンシング反応混合物が形成され、これは3’−5’活性を備えていないポリメラーゼのために有効な条件下でインキュベートされ、ニックが入れられた、または開裂されたヘテロ二重鎖生成物の3’末端が伸長されて、ミニシーケンシング反応生成物が形成される。このミニシーケンシング生成物はサイズもしくは電気泳動移動度によって分離され、さらに正常標的核酸配列および変異核酸配列の存在がポリメラーゼミニシーケンシング反応混合物をインキュベートした結果として生じる分離されたミニシーケンシング生成物を区別することによって検出される。
【0018】
本発明は、遺伝性または散発性癌の発生に関連する6種の遺伝子中の様々な変異についてスクリーニングする試験で証明されたように、未知のフレームシフト、ナンセンス、およびミスセンス変異を同定する際に効果的であることが証明されている。さらにその上、対の生殖細胞系DNAを腫瘍DNAと並行して評価できるので、本発明はミスセンス変異を近くの、または隣接する遺伝性多型性から区別することさえ許容する。このアッセイはさらに検出できる配列変化のタイプに関して極めて広い適用性を有しており、さらにヒトゲノムで見出される典型的変異または多型性の98%を同定することができる。さらに、このアッセイは1.7kb以上の長い領域における変異をスキャニングすることができる。本発明は、正常配列の高度のバックグラウンドにおいて変異を検出できる。本発明は、野生型DNAとの1:20の希釈率で変異または多型性を検出でき、さらに野生型DNAとの希釈率が1:50と低い場合にさえ変異/多型性を検出できる。この高い感度は、本発明をプールされた検体に対して敏感に反応させるので、従ってその処理能力を統計的に有意に増加させる。
【0019】
発明の詳細な説明
DNA配列の相違を検出する
本発明の1つの局面は、正常標的塩基配列とは1つ以上の単一塩基の変化、挿入、または欠失によって相違する変異核酸配列を同定するための方法に向けられる。この方法には次の混合が含まれる。(1)潜在的に正常標的塩基配列並びに変異核酸配列を含有する検体;(2)標的塩基配列および変異核酸配列の相補的鎖上でのハイブリダイゼーションに適した2種の標識オリゴヌクレオチドプライマーを提供する段階;および(3)ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成するためにポリメラーゼを提供する段階。ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、オリゴヌクレオチドプライマーが標的塩基配列および/または変異核酸配列をハイブリダイズすることができるハイブリダイゼーション処理、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーが伸長されてそれにオリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズされる標的塩基配列および/または変異核酸配列に相補的な伸長生成物が形成される伸長処理、およびハイブリダイズされた核酸配列が分離される変性処理を含む1回以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルを受ける。ポリメラーゼが不活化された後、ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物は変性させられ、ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物はアニーリングされて潜在的に正常標的塩基配列および変異核酸配列を含有するヘテロ二重鎖生成物が形成される。ミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れる、または開裂するエンドヌクレアーゼは、その後ヘテロ二重鎖生成物と混合されてエンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が形成される。エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物は、エンドヌクレアーゼがミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖生成物に優先的にニックを入れる、または開裂するように混合される。リガーゼおよび潜在的にニックが入れられた、または開裂されたヘテロ二重鎖生成物が混合されてリガーゼ再シーリング反応混合物が形成される。リガーゼ再シーリング反応混合物がインキュベートされると、完全適合塩基対でニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物がシーリングされるが、ミスマッチ塩基対に隣接する位置でのニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物は実質的に再シーリングはされない。リガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートすることから生じる生成物はサイズまたは電気泳動移動度によって分離され、正常標的塩基配列および変異核酸配列の存在はリガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートした結果として生じる分離された生成物を区別することによって検体中で検出される。
【0020】
本発明の第1段階は、ヘテロ二重鎖核酸フラグメントの作製である。好ましい態様では、野生型および配列変化(例、単一ヌクレオチドの変異または多型性、1つ以上のヌクレオチド挿入、および1つ以上のヌクレオチド欠失)の両方を含むゲノムDNAが標識オリゴヌクレオチドプライマーと一緒にPCR増幅させられる。プライマー中で蛍光、赤外線、放射性、またはその他の標識を使用できる。好ましい態様では、Taq DNAポリメラーゼもしくはその他のPCR酵素が、例えばプロテイナーゼKを用いる消化により不活化される。変異または多型性を含有するフラグメントおよび野生型PCRフラグメントの混合物が変性させられ、その後再アニーリングされてヌクレオチドミスマッチを含むヘテロ二重鎖PCRフラグメントが形成される。好ましい態様では、フラグメントをそれらのTm(熱融点)値より高温(一般には94℃以上)へ加熱することによって変性が達成され、再アニーリングは最初は50〜85℃、より好ましくは65℃へ5〜30分間、より好ましくは15分間冷却され、さらにその後室温へ5〜30分間、より好ましくは15分間冷却されることで達成され、その結果としてヘテロ二重鎖PCRフラグメントが形成される。また別の変性/再生手段を使用することもできる。最初の反応物中に、それから同時に別個の反応物中にも野生型ゲノムDNAが存在するかどうかが不明である場合は、野生型ゲノムDNAは上記と正確に同一のプライマーを使用してPCR増幅させられる。PCRフラグメントおよび野生型PCRフラグメントを含有する当モル量の変異体が混合され、加熱され、その後冷却されるとヌクレオチドミスマッチを含むヘテロ二重鎖PCRフラグメントが形成される。
【0021】
第2段階は、塩基ミスマッチを含有するヘテロ二重鎖DNAを開裂させるためにTmaエンドヌクレアーゼVを利用する。この反応は、好ましくは30分間から1時間に渡り高温(50〜60℃)で、最適化反応バッファー中で実施する。最適反応条件は、中性pH、低いもしくはゼロの塩含量、およびMg2+の存在を含む。TmaエンドVによる開裂を促進するために、例えばDMSOおよびベタインのような有機溶剤または他の化合物の添加を使用してもよい。代替条件または金属コファクター(例えばMn2+)の使用もまた開裂を促進できると考えられる。TmaエンドヌクレアーゼV活性は、最適以下の条件下でさえ十分である可能性がある。開裂部位は、ヌクレオチドミスマッチの3’位置を1ヌクレオチド越える部位であると決定された。
【0022】
次の段階では、バッファーの含量および濃度を熱安定性DNAリガーゼにとって最適なレベルにするために補助バッファーが添加される。好ましい態様では、テルムス(Thermus)種(「Tsp.」)AK16D DNAリガーゼが使用される。この連結反応は、45〜85℃、好ましくは65℃で2〜60分間、好ましくは20分間に渡り実施され、開裂されたミスマッチを変化させずに残しながらTsp.AK16D DNAリガーゼの高度の特異性を利用して相補的ニックを再シーリングする。これは、バックグラウンドを大きく減少させるので、このためアッセイの感度が劇的に増加する。
【0023】
第4段階では、開裂されたフラグメントが、例えば変性ポリアクリルアミドゲル上での電気泳動によって、またはキャピラリー電気泳動によって分離される。段階1のPCRプライマーが標識されるので、フラグメントは適した検出装置を用いて検出できる。好ましい態様では、プライマーは蛍光標識され、自動DNAシーケンシング装置または蛍光フラグメント解析装置を使用して検出される。生成物の長さは、開裂生成物の移動度を蛍光標識分子サイズスタンダードと比較することによって決定される。これにより、変異の位置の近似測定が可能になる。
【0024】
本発明の第2の態様では、どのヌクレオチドが変異したのかを決定するためにマイクロシーケンシング法を組み込むことができる。PCRフラグメントを作製する際に、標識プライマーの代わりに非標識プライマーが使用されるので、ヘテロ二重鎖PCRフラグメントは蛍光性ではない。TmaエンドVによる開裂およびTsp.AK16Dリガーゼによる連結後に、大腸菌DNAポリメラーゼIクレノウフラグメントを使用してTmaエンドVによって生成したニックの3’末端から数個のヌクレオチドが切り出される。次に、テルムス・アクアティクス(Thermus aquaticus)(「Taq」)DNAポリメラーゼFSが、基質としての蛍光標識ジデオキシヌクレオチドおよび非標識デオキシヌクレオチドの混合物を使用して短縮フラグメントを伸長させる。これは短いシーケンシングラダーを生じさせ、そこから変異する位置での正常および変異ヌクレオチドの混合シグナルを原因として異型ヌクレオチドの位置および塩基を決定できる。
【0025】
図1は、本発明のプロセスを図解している略図である。この図面では、検体は潜在的に正常標的核酸配列並びに標的塩基配列とは1つ以上の単一塩基の変化、挿入、または欠失によって相違する変異核酸配列を含む。
【0026】
この方法の第1段階では、潜在的に野生型および変異核酸配列を含有する検体中の標的DNA分子がポリメラーゼ連鎖反応プロセスによって増幅させられる。これには、相補的鎖を相互から分離させるための二本鎖標的DNA分子の変性が含まれる。その後、蛍光標識を含むプライマーF1およびF2が標的DNA分子の一部へハイブリダイズすることが惹起される。DNAポリメラーゼおよびdNTPsの存在下で、プライマーが伸長されて標的DNA分子の1本の鎖に相補的である伸長生成物が形成される。伸長が完了した後、ハイブリダイズされた核酸鎖は変性段階によって相互から分離される。このハイブリダイゼーション、プライマー伸長、および変性のサイクルを十分な増幅が発生するまで繰り返される。これが発生したら、ポリメラーゼが不活化され、ハイブリダイズされた核酸鎖を変性させることによってPCRが終了される。
【0027】
図1の第2段階では、PCRによって形成された伸長生成物が相互にアニーリングされてヘテロ二重鎖生成物が形成される。これらの伸長生成物が検体内の変異核酸配列にハイブリダイズされたプライマーの伸長によって図1の第1段階で形成される程度まで、伸長生成物はミスマッチ塩基を含む。図1の第2段階に示したように、伸長生成物中のミスマッチはA、C、TまたはGヌクレオチドである可能性がある。図1の第2段階において、標的核酸配列によって生成した伸長生成物が変異核酸配列によって生成した伸長生成物とヘテロ二重鎖を形成した場合は、ヘテロ二重鎖中にミスマッチが存在しうる。このような伸長生成物間のこの相補性の欠如は、伸長生成物が相互に入れ替わっている「バブル(bubble)」によって証明される。図1には示されていないが、変異核酸だけから生成された(通常はまれであると思われる)、または標的核酸配列だけから生成された伸長生成物を含有しているホモ二重鎖は完全に相補的であると考えられるため、バブルは形成されないであろう。本発明は、ヘテロ二重鎖中のミスマッチについて解析することにより検体中のこのような変異核酸配列の存在を検出することに向けられる。
【0028】
図1の第3段階は、ヘテロ二重鎖生成物に、ミスマッチ塩基から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖生成物の成分鎖に優先的にニックを入れる、または開裂するエンドヌクレアーゼ処理を受けさせることを含む。図1の第3段階に示されているように変異核酸配列によって生成した伸長生成物へアニーリングされた標的核酸配列によって生成した伸長生成物から形成されるヘテロ二重鎖生成物の場合には、成分核酸鎖はバブルから1塩基離れてニックが入れられる、または開裂される。同様に図1の第3段階に示されているように、エンドヌクレアーゼはこれらの鎖をミスマッチが存在しない非特異的開裂部位で開裂する。ミスマッチが存在する特異的開裂部位で発生するニッキングに関しては、エンドヌクレアーゼは一般にミスマッチ塩基がAまたはGである鎖においてニックを形成する際に極めて有効であり、ミスマッチ塩基がTである鎖においてニックを形成する際には余り有効ではなく、さらにミスマッチ塩基がCであるニッキングでは一般に無効である。これは、ニッキングがミスマッチA、GおよびT塩基では発生しているが、ミスマッチC塩基では発生していない図1の第3段階に示されている。
【0029】
エンドヌクレアーゼ処理が完了した後、結果として生じた潜在的にニックが入れられた、または開裂されたヘテロ二重鎖生成物はリガーゼを用いて処理される。図1の第4段階に示されているように、リガーゼはニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物を完全にミスマッチの塩基で再シールする。しかし、ミスマッチ塩基が存在する場所に隣接する位置でニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物の再シーリングは行われない。
【0030】
リガーゼ再シーリング段階の生成物は、その後サイズまたは電気泳動移動度によって、通常はゲル電気泳動によって相互から分離される。エンドヌクレアーゼまたはリガーゼのどちらかを用いての処理前、エンドヌクレアーゼおよびリガーゼを用いた処理後およびエンドヌクレアーゼおよびリガーゼの両方を用いた処理後のゲル電気泳動の結果は、図1に示されている。その結果として、検体内の変異核酸配列の存在を原因として生成した開裂生成物が検出される。
【0031】
本発明のプロセスを実施する際には、検体はゲノムDNA、腫瘍検体から単離されたDNA、mRNAの二本鎖cDNAコピー、またはPCR増幅DNAフラグメントのいずれかである標的核酸配列を含む可能性がある。本発明のプロセスに従って解析される検体中では、正常標的核酸配列に対する変異核酸配列のモル比は1:20〜20:1の範囲内にある。
【0032】
本発明のプロセスは、正常標的配列において遺伝性もしくは散発性変異または多型性を区別することができる。この区別は、腫瘍抑制遺伝子、癌遺伝子、またはDNA複製もしくは修復遺伝子中で実施できる。このような遺伝子には、Bcl2、Mdm2、Cdc25A、サイクリン(Cyclin)D1、サイクリンE1、Cdk4、サバイビン(survivin)、HSP27、HSP70、p53、p21Cip、p16Ink4a、p19ARF、p15INK4b、p27Kip、Bax、成長因子類、EGFR、Her2−neu、ErbB−3、ErbB−4、c−Met、c−Sea、Ron、c−Ret、NGFR、TrkB、TrkC、IGF1R、CSF1R、CSF2、c−Kit、AXL、Flt−1(VEGFR−1)、Flk−1(VEGFR−2)、PDGFRα、PDGFRβ、FGFR−1、FGFR−2、FGFR−3、FGFR−4、その他のタンパク質チロシンキナーゼレセプター類、β−カテニン、Wnt(s)、Akt、Tcf4、c−Myc、n−Myc、Wisp−1、Wisp−3、K−ras、H−ras、N−ras、c−Jun、c−Fos、PI3K、c−Src、Shc、Raf1、TGFβ、およびMEK、E−カドヘリン、APC、TβRII、Smad2、Smad4、Smad7、PTEN、VHL、BRCA1、BRCA2、ATM、hMSH2、hMLH1、hPMS1、hPMS2、またはhMSH3が含まれる。
【0033】
残留活性Taq DNAポリメラーゼはエンドV開裂DNAを伸長させることができるので、PCR反応はプロテイナーゼKと一緒に45〜75℃で5〜60分間、好ましくは70℃で10分間インキュベートできる。引き続いて、プロテイナーゼKを90〜95℃で10〜60分間、好ましくは70℃で10分間インキュベートすることによって活性化される。増幅およびプロテイナーゼK消化の後、PCRフラグメントはアガロースゲル電気泳動によって分離させられ、臭化エチジウム染色によって可視化できる。
【0034】
標的DNAの大多数の生物学的起源は異型(変異または多型性)および野生型DNAを含むと考えられる。これらの場合には、ヘテロ二重鎖ハイブリダイゼーション段階に外因性的に野生型PCRフラグメントを添加する必要はない。例えば、基質がヘテロ接合性生殖細胞系変異を含有するゲノムDNAである場合は、PCRフラグメントの50%しか変異を含んでおらず、残り半分は野生型配列の変異を含むと考えられる。このため、野生型PCRフラグメントを添加する必要はない。同様に、充実性腫瘍検体のためには、典型的にはこれらの検体内に有意な量の基質性(即ち野生型)DNAが存在する。有意な量の内因性野生型DNAが存在しない基質の起源のためには、ほぼ等量の野生型PCRフラグメントを添加する必要がある。この方法は他の比率の変異対野生型PCRフラグメントと適合するが、変異対野生型PCRフラグメントの最適最終比は1:1でなければならない。
【0035】
標識オリゴヌクレオチドプライマーは、好ましくはそれらの5’末端で標識する。有用な標識には、発色団、蛍光成分、酵素、抗原、重金属、磁気プローブ、赤外線色素、燐光基、放射性物質、化学発光成分、および電気化学的検出成分が含まれる。
【0036】
ポリメラーゼは、テルムス・アクアティクス(Thermus aquaticus)、テルムス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、またはテルモトガ・マリチマ由来の天然もしくは組換えのいずれかの熱安定性ポリメラーゼである。
【0037】
ポリメラーゼ連鎖反応プロセスは、参照として本明細書に組み入れられるH.Erlichら、「ポリメラーゼ連鎖反応における近年の進歩(Recent Advances in the Polymerase Chain Reaction)」,Science,252:1643−50(1991);M.Innisら、PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(PCRプロトコール:方法および適用指針),Academic Press:New York(1990);およびR.Saikiら、「熱安定性DNAポリメラーゼを用いたプライマー使用酵素増幅(Primer−directed Enzymatic Amplification of DNA with a Thermostable DNA Polymerase)」,Science,239:487−91(1988)に十分に記載されている。ポリメラーゼ連鎖反応は、ポリメラーゼもしくは金属コファクターのいずれかを65〜94℃の温度でポリメラーゼ連鎖反応混合物へ添加することによって開始される。ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物を変性させる段階は、プロテイナーゼKの存在下で、好ましくは80〜105℃で、より好ましくは94℃で加熱することによって実施される。ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物をアニーリングする段階は、まず最初に50〜85℃へ、好ましくは65℃へ5〜30分間、好ましくは10分間冷却し、その後は室温へ5〜30分間、好ましくは15分間冷却することによって実施される。
【0038】
ヘテロ二重鎖DNA形成のためには、蛍光標識変異および野生型PCRフラグメントを含有する混合物は、93〜100℃で15秒間〜5分間、好ましくは94℃で1分間加熱することによって、従ってDNAを一本鎖にすることによって変性させられる。この後に、45〜85℃で2〜60分間、好ましくは65℃で10分間の再アニーリング段階、および引き続いて室温で5〜30分間、好ましくは15分間のインキュベーションが続く。このプロセス後には、再アニーリング生成物の50%は理論的には塩基ミスマッチを含有するヘテロ二重鎖DNAである。また別の再アニーリング段階は、温度を1分につき1℃未満、好ましくは94℃から65℃へ30〜60分間低下させることによる95〜25℃への緩徐な冷却である。DNAの代替変性/再生手段(例、塩基を用いての処理、その後の中性化)もまた使用できる。典型的には、ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物は、50bp〜1,700bpの範囲内の長さを有している。
【0039】
エンドヌクレアーゼは、好ましくはテルモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)、アクイフェックス・アエロリカス(Aquifex aeolicus)、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、ピロコッカス・ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)、ピロコッカス・アビッシ(Pyrococcus abyssi)、ピロバクルム・アエロフィウム(Pyrobaculum aerophilum)、アルカエグロブス・フルギドゥス(Archaeoglobus fulgidus)、アエロピルム・ペルニクス(Aeropyrum pernix)、クロストリジウム・アセトブチリクム、または枯草菌からのエンドヌクレアーゼVである。エンドヌクレアーゼは、望ましくはミスマッチ塩基対から1塩基離れた3’側の場所でヘテロ二重鎖生成物にニックを入れる、または開裂する。エンドヌクレアーゼは、優先的にA/A、G/G、T/T、A/G、A/C、G/A、G/T、T/G、T/C、C/A、およびC/Tからなる群より選択されるヘテロ二重鎖生成物内のミスマッチを開裂する。あるいはまた、エンドヌクレアーゼは、ミスマッチの位置に下線が引かれて大文字で示されているgRcg、rcRc、cgYc、およびgYgyからなる群より選択される配列を有するものを除いて、優先的にいずれかの単一塩基の変異または多型性のために形成された少なくとも1つのヘテロ二重鎖生成物にニックを入れる、または開裂する。エンドヌクレアーゼは、ヘテロ二重鎖生成物内の1、2および3塩基の挿入または欠失に優先的にニックを入れる、または開裂する。
【0040】
エンドヌクレアーゼ開裂反応は、好ましくは濃度が2〜7mMのMgCl2の存在下で、または濃度が0.4〜1.2mMのMnCl2の存在下で実施される。MgCl2は、エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物中のエンドヌクレアーゼ対ヘテロ二重鎖生成物の重量比が10:1〜100:1の範囲内にあり、実質的にNaClもしくはKClが存在していない場合に添加すべきである。エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物中のエンドヌクレアーゼ対ヘテロ二重鎖生成物の重量比が1:1〜1:10の範囲内にある場合は、MnCl2を添加すべきである;この場合には、25〜75mM、好ましくは50mMの濃度のNaClもしくはKClが存在する。エンドヌクレアーゼ開裂は、さらにまた2.5〜10%の容積百分率範囲内のDMSOおよび濃度が0.5〜1.5Mの範囲内のベタインの存在下で実施することもできる。好ましくは、エンドヌクレアーゼ処理は65℃で1時間実施される。
【0041】
本発明の第2段階では、ヘテロ二重鎖PCRフラグメントがTmaエンドヌクレアーゼVによって開裂される。TmaエンドヌクレアーゼVは、このプロセスのために理想的である独特の特性を有している。最も重要なのは、優先的にミスマッチの3’側を越えた1塩基を開裂する能力、および相補的領域における偽ニックがDNAリガーゼと連結するために適した基質であるという事実にある。塩基ミスマッチを認識する際により効率的である他のミスマッチ修復酵素があるが、それらは一般にミスマッチで開裂することも、再連結に適した末端を開裂することもしない。適したリガーゼと結び付けると、TmaエンドVのこれらの特性は、ミスマッチ配列と関連した開裂部位を維持しながら、偽ニッキングを原因とするバックグラウンドノイズの減少を可能にする。
【0042】
本発明の第3の段階は、例えばテルムス種AK16D、テルムス・アクアティクス、テルムス・サーモフィルス、ピロコッカス・フリオサス、またはテルモトガ・マリチマのような熱安定性リガーゼを用いてヘテロ二重鎖PCRフラグメント内の非特異的ニックをシールする。熱安定性リガーゼは、テルムス・アクアティクスから引き出すことができる。参照として本明細書に組み入れられるM.Takahashiら、「好熱性DNAリガーゼ(Thermophilic DNA Ligase)」,J . Biol . Chem .,259:10041−47(1984)を参照。あるいはまた、これは組換え技術によって作製できる。このような単離並びにテルムス・アクアティクス由来リガーゼおよびテルムス・サーモフィルス由来リガーゼの組換え生成のための方法は、参照として本明細書に組み入れられるBaranyらへの国際特許第90/17239号明細書およびF.Baranyら、「熱安定性DNAリガーゼコーディング遺伝子のクローニング、過剰発現および塩基配列(Cloning,Overexpression and Nucleotide Sequence of a Thermostable DNA−Ligase Encoding Gene)」,Gene,109:1−11(1991)に開示されている。これらの参考文献は、このリガーゼ並びにDNAのコード化についての完全な配列情報を含む。リガーゼ再シーリングは、それ以上のエンドヌクレオチド開裂を阻害するために好ましくは50mM KClの存在下で実施される。好ましくは、Tsp AK16Dリガーゼが使用される。リガーゼ再シーリングは、25℃で測定したときに7.2〜7.8のpH値で実施される。理想的には、この段階ではTmaエンドヌクレアーゼVの開裂が阻害されなければならない。Tsp AK16Dリガーゼのための最適な反応バッファーは、20mM Tris−HCl(pH8.5)、5mM MgCl2、25〜75mM(好ましくは、50mM)KCl、10mMジチオトレイトール、1mM NAD+、および20mg/mL BSAである。Tong J.ら、Nucleic Acid Research,27:788−94(1999)を参照。後に実施例で証明されるように、TmaエンドVは50mM NaClもしくは50mM KClの存在下でほぼ完全に阻害される。
【0043】
Tsp AK16Dリガーゼ反応のためにほぼ最適な緩衝条件を入手するためには、TmaエンドV反応液に補助バッファーが添加される。ある好ましい態様では、10×補助バッファーは200mM Tris−HCl(pH8.5)、12.5mM MgCl2、500mM KCl、100mM DTT、および200g/mL BSAから構成される。典型的には、TmaエンドヌクレアーゼV開裂反応液からの反応混合物15μL、2μLの10×補助バッファー、1μLの20mM NAD+、および2μLの10〜100nM Tsp AK16Dリガーゼ(ストック酵素溶液)が結合される。この混合液はその後65℃で20分間インキュベートされ、等量のGeneScan停止液(50mM EDTA、1%ブルーデキストランおよび80%ホルムアミド)を添加することによって終了される。
【0044】
次の段階は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法またはキャピラリーゲル電気泳動を使用して実施できる反応生成物の検出を含む。
【0045】
好ましい態様では、反応混合物は94℃で1分間だけ(バックグラウンドシグナルを増加させる可能性があるDNAフラグメント化を回避するため)変性させられ、その後氷上で冷却される。その後、2〜3μLの混合液を6%変性ポリアクリルアミドゲル上に装填して1時間、電気泳動にかけることができる。1,000ボルト、電圧60mM、出力200W、および45℃のゲル温度でABI377塩基配列決定装置(パーキン・エルマー(Perkin Elmer)製)を使用すると、DNA生成物を分離して検出することができるが、キャピラリー電気泳動またはゲル電気泳動を使用することもできる。蛍光基の6−FAM(下方フラグメント)およびTET(上方フラグメント)は、ABIDNA377塩基配列決定装置において各々青色および緑色を分解する。開裂バンドの色は、開裂生成物が上方または下方鎖を起始とするかどうかを示す。TAMRA標識GeneScan Molecularサイズスタンダード500が同一ゲル上に装填される。これは、開裂生成物の相対移動度をサイズスタンダードと比較することによって開裂生成物の分子量を推定することを許容する。好ましくは、GeneScan解析ソフトウエアのバージョン2.1または3.0a(PE−バイオシステムズ(Biosystems)製)が使用されるが、あらゆる最新技術のゲル解析ソフトウエアを代わりに使用することができる。この解析は、変異の近似部位を決定することを許容する。
【0046】
本発明のまた別の局面は、正常標的核酸配列とは1つ以上の単一塩基の変化、挿入、または欠失によって相違する変異核酸配列を同定するための方法に関する。この方法では、潜在的に変異核酸配列を含有しているが必ずしも正常標的核酸配列を含有していない検体、正常標的核酸配列を含有する標準物質、変異核酸配列の相補的鎖上でのハイブリダイゼーションに適した2種の標識オリゴヌクレオチドプライマー、およびポリメラーゼが混合されて、第1ポリメラーゼ連鎖反応混合物が形成される。第1ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、標識オリゴヌクレオチドプライマーが変異核酸配列にハイブリダイズできるハイブリダイゼーション処理、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーが伸長されてそれにオリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズされる変異核酸配列に相補的な伸長生成物が形成される伸長処理、およびハイブリダイズされた核酸配列が分離される変性処理を含む1回以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルを受ける。その後ポリメラーゼは不活化される。正常標的核酸配列、標識オリゴヌクレオチドプライマー、およびポリメラーゼが混合されて、第2ポリメラーゼ連鎖反応混合物が形成される。第2ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、標識オリゴヌクレオチドプライマーが正常標的核酸配列にハイブリダイズできるハイブリダイゼーション処理、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーが伸長されてそれにオリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズする正常標的核酸配列に相補的な伸長生成物を形成する伸長処理、およびハイブリダイズされた核酸配列が分離される変性処理を含む1回以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルを受ける。その後ポリメラーゼは不活化される。第1および第2ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物は変性させられ、その後アニーリングされて潜在的に正常標的核酸配列および変異核酸配列を含有するヘテロ二重鎖生成物が形成される。ミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れる、または開裂するエンドヌクレアーゼは、その後ヘテロ二重鎖生成物と混合されてエンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が形成される。エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物をインキュベートすると、エンドヌクレアーゼは優先的にミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖生成物にニックを入れる、または開裂する。リガーゼおよび潜在的にニックが入れられた、または開裂されたヘテロ二重鎖生成物が混合されると、リガーゼ再シーリング反応混合物が形成され、これがインキュベートされると、完全適合塩基対でニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物がシーリングされるが、ミスマッチ塩基対に隣接する位置でのニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物は実質的に再シーリングはされない。リガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートした結果として生じる生成物はサイズまたは電気泳動移動度によって分離され、検体中の正常標的核酸配列および変異核酸配列標的ヌクレオチドの存在はリガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートした結果として生じる分離された生成物を区別することによって検出される。
【0047】
変異または挿入/欠失の位置および組成を同定するためのDNAマイクロシーケンシング
本発明のまた別の局面は、正常標的核酸配列とは1つ以上の単一塩基の変化、挿入、または欠失によって相違する変異核酸配列を同定するための方法に向けられる。この方法では、潜在的に正常標的核酸配列並びに変異核酸配列を含有する検体、標的核酸配列および変異核酸配列の相補的鎖上でのハイブリダイゼーションに適した2種の標識オリゴヌクレオチドプライマー、およびポリメラーゼが混合されてポリメラーゼ連鎖反応混合物が形成される。ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、オリゴヌクレオチドプライマーが標的核酸配列および/または変異核酸配列にハイブリダイズできるハイブリダイゼーション処理、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーが伸長されてそれにオリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズする標的核酸配列および/または変異核酸配列に相補的な伸長生成物を形成する伸長処理、およびハイブリダイズされた核酸配列が分離される変性処理を含む1回以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルを受ける。ポリメラーゼが不活化された後、ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物が変性かつアニーリングさせられて潜在的に正常標的核酸配列および変異核酸配列を含有するヘテロ二重鎖生成物が形成される。優先的にミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖DNAにニックを入れる、または開裂するエンドヌクレアーゼおよびヘテロ二重鎖生成物が混合されてエンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が形成され、この反応混合物はエンドヌクレアーゼが優先的にミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖生成物にニックを入れる、または開裂するようにインキュベートされる。リガーゼおよび潜在的にニックが入れられた、または開裂されたヘテロ二重鎖生成物が混合されると、リガーゼ再シーリング反応混合物が形成され、これがインキュベートされると、完全適合塩基対でニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物がシーリングされるが、ミスマッチ塩基対に隣接する位置でのニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物は実質的に再シーリングはされない。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼおよび潜在的にニックが入れられた、または開裂されたヘテロ二重鎖生成物が混合されるとポリメラーゼヌクレオチド鎖分解性分解反応混合物が形成されるが、これはそのニックへ3’側の数個の塩基を取り除くために3’−5’ヌクレオチド鎖分解活性のために有効な条件下でインキュベートされる。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼが不活化された後、3’−5’活性を備えていないポリメラーゼおよびインキュベートされたポリメラーゼ分解反応混合物、標識ジデオキシターミネーター三リン酸ヌクレオチド類、およびデオキシリボヌクレオチド三リン酸類が混合されてポリメラーゼミニシーケンシング反応混合物が形成され、これは3’−5’活性を備えていないポリメラーゼのために有効な条件下でインキュベートされ、ニックが入れられた、または開裂されたヘテロ二重鎖生成物の3’末端が伸長されて、ミニシーケンシング反応生成物が形成される。このミニシーケンシング反応生成物はサイズもしくは電気泳動移動度によって分離され、さらに正常標的核酸配列および変異核酸配列の存在がポリメラーゼミニシーケンシング反応混合物をインキュベートした結果として生じる分離されたミニシーケンシング生成物を区別することによって検出される。
【0048】
3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を備えたポリメラーゼを用いた処理は20〜40℃の温度で10〜60分間、好ましくは37℃で30分間実施される。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を備えた適したポリメラーゼは、大腸菌DNAポリメラーゼIクレノウフラグメント、T4 DNAポリメラーゼ、およびT7 DNAポリメラーゼである。
【0049】
3’−5’活性を備えていないポリメラーゼは、20〜85℃の温度で10〜60秒間、好ましくは60℃および30秒間、ポリメラーゼミニシーケンシング反応混合物中で利用される。3’−5’活性を備えていない適したポリメラーゼは、AmpliTaq DNAポリメラーゼFS(パーキン・エルマー製、フォスターシティ、CA)、サーモ・シーケナーゼ(Thermo−sequenase)(アマシャム(Amersham)製、ピスカタウェイ、NJ08855)、およびDyNASeq(M.J.リサーチ(Research)製、590リンカーン街、ウォルサム、MA02451)である。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を備えていない中温性ポリメラーゼの例は、シーケナーゼ(Sequenase)(USB製、クリーブランド、OH44128)、およびその他の3’−5’ エキソヌクレアーゼ活性を無効にする部位特異的変異を有するポリメラーゼ類である。
【0050】
本発明のこの態様では、変化したヌクレオチドの組成および位置を正確に決定するために最適なDNAシーケンシング段階(即ち、マイクロDNAシーケンシング)を含めることができる。本発明のこの変形では、この方法は、PCR反応において非標識PCRプライマーが使用されることを除いて、上記の方法に類似である。これは非標識のPCRフラグメントを生じさせるので、従って蛍光ジデオキシシーケンシングと適合する。蛍光標識の存在または不在は、放射性標識ジデオキシシーケンシングを用いる場合には問題とはならないので、このためこの技術の変形は全くシーケンシングアッセイの検出方法との適合性の1つであり、一般には必ずしもDNAシーケンシングのためには必要とされない。
【0051】
マイクロシーケンシング方法は、2つの追加の段階を含む。第1追加段階では、TmaエンドV開裂およびTsp AK16Dリガーゼとの連結後に、DNAポリメラーゼIクレノウフラグメントの3’エキソヌクレアーゼ活性を利用してTmaエンドVによって生成したミスマッチニックから数個の塩基3’→5’が切断される。大腸菌DNAポリメラーゼIクレノウフラグメントは、T4もしくはT7 DNAポリメラーゼよりほぼ100倍低い3’エキソヌクレアーゼ活性を有している(参照として本明細書に組み入れられるSambrook J.ら、分子クローニング−実験マニュアル(Molecular Cloning−A Laboratory Manual),第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,コールドスプリングハーバー、ニューヨーク(1989)を参照)。これは、たった数塩基のより制御された除去を可能にする。その後AmpliTaq DNAポリメラーゼFS(パーキン・エルマー製)が使用されて、結果として生じたギャップにBigDye(登録商標)ddNTP/dNTPの基質混合物が充填される。これは、変化の正確な位置および性質を決定するために解析できる極めて短い蛍光配列ラダーを生じさせる。
【0052】
テルモトガ・マリチマ・エンドVの変異体
本発明のまた別の局面は、完全に適合したDNAにニックを入れるときに連結に適した末端を生成し、さらに下記のようにヘテロ二重鎖DNAにニックを入れる、または開裂する熱安定性エンドヌクレアーゼに関する。(1)塩基対がミスマッチである、またはミスマッチを1塩基越える場所で、および(2)塩基対がミスマッチである、または1塩基がミスマッチを越える場所でのA/A、G/G、T/T、A/G、A/C、G/A、G/T、T/G、T/C、C/A、またはC/Tミスマッチ塩基対で。代替位置(1)および(2)の各々において、完全に適合したDNAにニックを入れるときに連結に適した末端が生成される。本発明に従った熱安定性エンドヌクレアーゼは、ミスマッチの位置に下線が引かれて大文字で示されているgRcg、rcRc、cgYc、またはgYgy配列を有するものを除いて、優先的にいずれかの単一塩基変異または多型性のために形成された少なくとも1つのヘテロ二重鎖にニックを入れる、または開裂し、完全に適合したDNAにニックを入れるときに連結に適した末端を生成する。あるいはまた、ヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れる、または開裂する熱安定性エンドヌクレアーゼは、塩基対がミスマッチである、または不対塩基を1塩基越える場所で1、2、および3塩基の挿入もしくは欠失を含有しており、完全に適合したDNAでDNAにニックを入れるときに連結に適した末端を生成する。
【0053】
本発明のまた別の局面は、次のいずれかを含有するテルモトガ・マリチマからの変異エンドヌクレアーゼVである。(1)Y80A残基の変化;(2)Y80F残基の変化;(3)Y80L、Y80I、Y80VもしくはY80Mのいずれかの残基の変化;(4)R88Aの残基の変化;(5)R88L、R88I、R88VもしくはR88M残基の変化;(6)R88K残基の変化;(7)R88NもしくはR88Q残基の変化;(8)R88DもしくはR88E残基の変化;(9)R88TもしくはR88S残基の変化;(10)E89A残基の変化;(11)E89L、E89I、E89V、もしくはE89M残基の変化;(12)E89D残基の変化;(13)E89NもしくはE89Q残基の変化;(14)E89RもしくはE89K残基の変化;(15)E89TもしくはE89S残基の変化;(16)H116A残基の変化;(17)H116L、H116I、H116VもしくはH116M残基の変化;(18)H116KもしくはH116R残基の変化;(19)H116NもしくはH116Q残基の変化;(20)H116TもしくはH116S残基の変化;(21)K139A残基の変化;(22)K139L、K139I、K139V、もしくはK139M残基の変化;(23)K139R残基の変化;(24)K139NもしくはK139Q残基の変化;(25)K139DもしくはK139E残基の変化;(26)K139TもしくはK139S残基の変化;(27)D43A残基の変化;(28)D43E残基の変化;(29)D105A残基の変化;(30)D105E残基の変化;(31)F46A残基の変化;(32)F46Y残基の変化;(33)F46L、F46I、F46V、もしくはF46M残基の変化;(34)R118A残基の変化;(35)R118L、R118I、R118V、もしくはR118M残基の変化;(36)R118K残基の変化;(37)R118NもしくはR118Q残基の変化;(38)R118DもしくはR118E残基の変化;(39)R118TもしくはR118S残基の変化;(40)F180A残基の変化;(41)F180Y残基の変化;(42)F180L、F180I、F180V、もしくはF180M残基の変化;(43)G83A残基の変化;(44)G83L、G83I、G83V、もしくはG83M残基の変化;(45)G83KもしくはG83R残基の変化;(46)G83NもしくはG83Q残基の変化;(47)G83DもしくはG83E残基の変化;(48)G83TまたはG83S残基の変化;(49)I179A残基の変化;(50)I179KもしくはI179R残基の変化;(51)I179NもしくはI179Q残基の変化;(52)I179DもしくはI179E残基の変化;(53)I179TもしくはI179S残基の変化;(54)D110A残基の変化;または(55)H125A残基の変化。
【0054】
本発明のまた別の局面は、野生型エンドヌクレアーゼVではなくむしろミスマッチ塩基を含有する、少なくとも1つのヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れる、または開裂する変異エンドヌクレアーゼV(および上記のその使用)に向けられる。好ましくは、ヘテロ二重鎖DNAの少なくとも1つにおけるミスマッチ塩基の1つは「A」または「G」である。
【0055】
実施例
実施例1 試薬類、培地、および菌株類
すべての常用化学試薬類は、シグマ・ケミカル(Sigma Chemicals、セントルイス、MO)社またはフィッシャー・サイエンティフィック社(Fisher Scientific、フェアローン、NJ)から購入した。デオキシヌクレオチド、BSAおよびATPはベーリンガー・マンハイム社(Boehringer−Mannheim、インディアナポリス、IN)から購入した。デオキシオリゴヌクレオチドは、インテグレーテッドDNAテクノロジーズ社(Integrated DNA Technologies Inc.、コーラルビル、IA)から購入した。HiTrap SPカラムはアマシャム・ファルマシア・バイオテック社(Amersham−Pharmacia Biotech、ピスカタウェイ、NJ)から購入した。
【0056】
制限酵素のT4 DNAリガーゼおよびDNAポリメラーゼI(クレノウフラグメント)は、ニューイングランド・バイオラブ社(NewEngland Biolab、ベバリー、MA)から購入した。DNAシーケンシングキット、PCRキット、およびGENESCAN−500(タムラ(TAMRA)サイズスタンダードは、パーキン・エルマー社応用バイオシステム部門(フォスターシティ、CA)から購入した。Pfu DNAポリメラーゼ、PCRバッファーおよびTaqPlus精密PCRキットは、ストラタジーン社(Stratagene、ラヨラ、CA)から購入した。タンパク質アッセイキットは、バイオラッド社(ハーキュリーズ、CA)から購入した。
【0057】
FB培地(1L)は、25gのBactoトリプトン、75gの酵母抽出液、6gのNaCl、1gのグルコース、および50mLの1M Tris−HCl(pH7.6)から構成した。MOPS培地(参照として本明細書に組み入れられるNeidhardt F.C.ら、J . Bacteriol .,119(3):736−747(1974)に記載されている通りに)並びに腸内細菌用培地を作製した。TmaエンドV音波処理バッファーは、20mM HEPES(pH7.4);1mM EDTA(pH8.0);0.1mM DTT;0.15mM PMSF;50mM NaClから構成した。GeneScan停止液は、80%ホルムアミド(アムレスコ(Amresco)製、ソロン、オハイオ州)、50mM EDTA(pH8.0)、1%ブルーデキストラン(シグマ・ケミカル製)から構成した。TBバッファー(1×)は89mM Trisおよび89mMホウ酸から構成した。TEバッファーは、10mM Tris−HCl、pH8.0および1mM EDTAから構成した。
【0058】
プロテイナーゼKは、キアゲン社(QIAGEN、バレンシア、CA)から購入した。マイクロコン(Microcon)30フィルターは、ミリポア社(Millipore、ベッドフォード、MA)から購入した。Taq DNAポリメラーゼFSおよび4種のジデオキシヌクレオチド類は、寛大にもパーキン・エルマー社から提供された。Sep−PakカートリッジC−18は、ウォーターズ社(Waters、ミルフォード、MA)から購入した。Centri−Sep(登録商標)スピンカラムP/N CS−90は、プリンストン・セパレーション社(Princeton Separation、アデルフィア、NJ)から購入した。
【0059】
テルムス種AK16D DNAリガーゼは、参照として本明細書に組み入れられるTong J.ら、「テルムス種AK16D由来の高適合度DNAリガーゼの生化学的特性(Biochemical Properties of a High Fidelity DNA Ligase from Thermus Species AK16D)」,Nucleic Acids Res .,27:788−94(19999)に記載されている通りに大腸菌中でクローニングして過剰発現させ、同質性となるまで精製した。
【0060】
実施例2 テルモトガ・マリチマ・エンドヌクレアーゼVのプラスミド構築、クローニング、発現、および精製
BLASTサーチ(参照として本明細書に組み入れられるAltschul S.F.ら、J . Mol . Biol .,215(3):403−10(1990)を参照)を通して、225アミノ酸の推定オープン・リーディングフレームが大腸菌エンドヌクレアーゼV遺伝子との34%配列同一性を示すテルモトガ・マリチマゲノム内で同定された。この、Tma ORFが実際にエンドヌクレアーゼVをコードすることを証明するために、大腸菌中でクローニングして過剰発現させた。
【0061】
テルモトガ・マリチマ由来の推定エンドヌクレアーゼV遺伝子(nfi)は、フォワードプライマーEV.Tma.01A(
NdeI部位には下線が引かれている)およびリバースプライマーEV.Tma.02R(
SpeIおよびBamHI部位には下線が引かれている)を使用するPCRによって増幅させた。PCR反応混合物(100μL)は、50ngのテルモトガ・マリチマゲノムDNA、10μMのフォワードプライマーEV.Tma.01A、10μMのリバースプライマーEV.Tma.02R、1×Pfu PCRバッファー、100μMの各dNTP、および2.5U Pfu DNAポリメラーゼ(ストラタジーン製、ラヨラ、カリフォルニア州)から構成した。PCR法は、95℃で2分間の予備変性段階、各サイクルが94℃で30秒間の変性および60℃で6分間のアニーリング伸長から構成される25サイクルの2段階増幅、および72℃で5分間の最終伸長段階を含んでいた。PCR生成物は、熱安定性Pfu DNAポリメラーゼを除去するためにルーチンのフェノール抽出およびエタノール沈降によって精製した。参照として本明細書に組み入れられるSambrook J.ら、分子クローニング−実験マニュアル(Molecular Cloning−A Laboratory Manual),第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,コールドスプリングハーバー、ニューヨーク(1989)を参照。精製されたPCR生成物は、NdeIおよびBamHIを用いて消化され、同一対の制限酵素を用いて消化されたpEV1ベクターへ連結された。pEV1は、phoAプロモーター領域内のシャイン・ダルガーノ(Shine−Dalgarno)配列後のNadeI部位および下流複数クローニング部位(BamHI−KasI−BstXI−EcoRV−EcoRI−MluI)を含有するpFBT69の誘導体(参照として本明細書に組み入れられるBarany F.,Gene,63:167−177(1988)を参照)である。推定TmaエンドヌクレアーゼV遺伝子を含有するプラスミドをpEV5と指定し、参照として本明細書に組み入れられるChung C.T.ら、Proc . Natl . Acad . Sci . USA,86(7)2172−75(1989)に記載されている通りに1段階プロトコールによって大腸菌菌株AK53内へ形質転換した。エンドヌクレアーゼV遺伝子は、phoAプロモーターによって調節する。プラスミド構築体の信頼性を保証するためにTmaエンドヌクレアーゼV遺伝子を含有するインサートをシーケンシングした。
【0062】
pEV5を含有する大腸菌の終夜培養物は、50μg/mLアンピシリンを補充したFB培地内へ100倍に希釈した。大腸菌細胞は550nmでの0.8の吸光度へ200rpmで撹拌しながら37℃で増殖させた。培地は、50μg/mLのアンピシリンを補充した1LのMOPS培地内へ50倍に希釈し、同一条件下で一晩増殖させた。10分間の3,000×gでの遠心後、細胞ペレットを10mLのTmaエンドV音波処理バッファー(20mM HEPES(pH7.4);1mM EDTA(pH8.0);0.1mM DTT;0.15mM PMSF;50mM NaCl)中に懸濁させ、氷上で各10秒間ずつ2〜3回音波処理した。
【0063】
エンドヌクレアーゼVタンパク質を精製するために、3,000×gでの15分間の遠心によって細胞破片を取り除いた。上清を70℃で15分間インキュベートして熱不安定性大腸菌宿主タンパク質を変性させた。10,000×gで20分間の遠心によって不活化大腸菌タンパク質を不活化させた後、上清を開始バッファー(50mM HEPES(pH7.4)、1mM EDTA,50mM NaCl,0.1mM DTT)に対して一晩透析した。
【0064】
図2は、プロセス中の様々な段階でのテルモトガ・マリチマ・エンドヌクレアーゼVタンパク質の精製を示している12.5%SDS−PAGEゲルを示している。レーン2は、大腸菌細胞から遊離した全タンパク質を示している。TmaエンドVは熱安定性であるが大多数の大腸菌宿主タンパク質は熱不安定性であるので、TmaエンドV活性を維持しながら大多数の大腸菌宿主タンパク質(大腸菌エンドVを含む、実施例4を参照)を不活化するために溶解液を70℃で15分間加熱した。熱処理後は、不活化大腸菌宿主タンパク質は凝集し、宿主タンパク質の大半はペレット化して遠心により除去できる。これにより、熱処理および遠心後の上清中のタンパク質を示している図2のレーン3に示されているように上清中に主要タンパク質としてTmaエンドVが残る。TmaエンドヌクレアーゼVは約24kDa位置で溶出したので、溶液中にモノマーとして存在することを示している(図2B)。
【0065】
TmaエンドヌクレアーゼVは、スルホプロピル官能基を含有するHiTrap SPカラム(ファルマシア製)を使用してほぼ同質性となるまで精製した。pH7.4のバッファー中で、TmaエンドヌクレアーゼVは、HiTrap SPのための適合する基質にさせる正味正電荷を有している。その後カラムは、NaClの含量を増加させながら溶出用バッファーを使用して段階的に洗浄するか、またはFPLCもしくはHPLCシステムと接続してNaCl濃度勾配を含有するバッファーを使用して洗浄した。カラムからのタンパク質の溶出は、そのタンパク質に対する特定NaCl濃度に左右される。段階的溶出では、タンパク質は50mM間隔で150mM NaCl〜500mM NaClを用いて溶出させた。純粋TmaエンドVは、250〜300mM NaClで溶出した。図2のレーン4は、250〜300mM NaClを用いた溶出からの酵素がほぼ同質性であることを証明している。酵素の濃度は、紫外線吸光法により測定した。タンパク質濃度=A(280)×OD280。参照として本明細書に組み入れられるWetlaufer D.B.,Adv . Prot . Chem .,17:303−390(1962)を参照。TmaエンドVについては、プロティアン(Protean)ソフトウエアプログラム(パワー・マッキントッシュ(Power Macintosh)バージョン3.05、DNA Star製)を使用し、TmaエンドVのタンパク質配列に基づいて計算した1A=0.89mg/mLであった。TmaエンドVタンパク質配列(nfi遺伝子)は、ウエブサイト:http//www . tigr . org/tdb/のTIGR微生物学データベース遺伝子座TM1865、テルモトガ・マリチマのセクション下で入手できる。
【0066】
図2に示した精製TmaエンドヌクレアーゼVに類似の分子量を有する内因性大腸菌エンドヌクレアーゼVが欠けていることを確認するために、このタンパク質をPVDF膜へトランスファーさせ、参照として本明細書に組み入れられるCao W.ら、J . Biol . Chem .,273(49):33002−10(1998)で使用された方法に従ってN−末端シーケンシングを受けさせた。ペプチドシーケンシングの結果は、Tma nfi遺伝子の予想N−末端配列と適合した。さらに、70℃、15分間の熱処理を市販入手元(トレビゲン(Trevigen)社、ゲーサーズバーグ、MD)から購入した大腸菌エンドヌクレアーゼVについて実施した。未処理酵素は報告された通り活性であったが、熱処理酵素はその酵素活性を消失していた。従って、精製において使用した熱処理段階が大腸菌エンドヌクレアーゼVを不活化させたと思われる。
【0067】
実施例3 オリゴヌクレオチド基質の作製
大腸菌エンドヌクレアーゼVは、デオキシイノシン−デオキシイノシンまたはデオキシイノシン−塩基ミスマッチを含有する二本鎖DNA鎖との高度の活性を示す。参照として本明細書に組み入れられるYao M.and Kow Y.W.,J.Biol.Chem.,269(50):31390−96(1994)を参照。エンドVのこの一般的特徴を使用して精製TmaエンドV酵素を機能的に同定した。精製酵素による開裂活性について監視するための基質として、塩基ミスマッチを含有する二本鎖オリゴヌクレオチドを設計した。図3Aは、2種の相違して標識された蛍光オリゴヌクレオチドを使用する単純なアッセイシステムを示している。上方鎖は6−FAMを使用して標識され、下方鎖はTET標識されている。デオキシイノシンヌクレオチドのミスマッチ位置は中心を外れているので、ニックが入れられた生成物は変性ポリアクリルアミドゲル上で共移動しない。相違する二重標識により、ゲル上で両方の鎖上のニッキング事象を容易に観察して区別することができる。
【0068】
オリゴヌクレオチドDNA基質は、「完全ガイド:合成オリゴヌクレオチドの評価および単離(The Complete Guide:Evaluating and Isolating Synthetic Oligonucleotides)」(アプライド・バイオシステムズ社、フォスターシティ、CA)に記載されている通りに変性シーケンシングゲル(7M尿素/10%ポリアクリルアミドゲル)上で精製した。精製オリゴヌクレオチドは、TEバッファー中に溶解させた。等モル濃度の2本の相補的一本鎖を混合し、85℃で3分間インキュベートし、室温で30分間かけて二本鎖DNA基質を形成させた。
【0069】
実施例4 デオキシイノシン含有オリゴヌクレオチドの開裂
精製酵素を機能的に同定するために最初はデオキシイノシン含有基質を使用したが、これは大腸菌エンドヌクレアーゼVがデオキシイノシン含有鎖に向かう高度の活性を示すためであった。参照として本明細書に組み入れられるYao M.ら、J . Biol . Chem .,269(50):31390−96(1994)を参照。
【0070】
開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、他に規定されていない限り5mM MgCl2、10nM DNA基質、および指示された量の精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質を含有する20μL反応混合物中で65℃で30分間実施した。この反応は等量のGeneScan停止液を添加することにより終了させた。この反応混合物をその後94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの検体を10%GeneScan変性ポリアクリルアミドゲル(パーキン・エルマー製)上に装填した。電気泳動は、ABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)を使用して1,500ボルトで1時間実施した。開裂生成物および残留基質は、GeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.0を使用して定量した。
【0071】
酵素濃度が低い場合は(E:S=1:10、S=10nM、E:Sは酵素対基質の比率を表し、Sは基質を表す)、TmaエンドヌクレアーゼVはデオキシイノシンが上方鎖もしくは下方鎖または両方の鎖のいずれに置かれたのかとは無関係に、もっぱらデオキシイノシン含有鎖でニックを入れた(図3B)。開裂は全4種のデオキシイノシン−塩基対(I/A,I/G,I/C,I/T)について有効であったが、これは大腸菌酵素についての以前の観察を確証している。参照として本明細書に組み入れられるYao M.ら、J . Biol . Chem .,269(50):31390−96(1994)を参照。優勢生成物は、両方の鎖上のイノシン塩基から1ヌクレオチド後の3’側でのニッキングにより形成された(図3D)。酵素濃度が高い場合は(E:S=10:1、S=10nM)、TmaエンドヌクレアーゼVはデオキシイノシン含有鎖に効果的にニックを入れ、実質的に完全なニック生成物への変換を生じさせた(図3C)。低酵素濃度を用いた場合の結果(図3B)とは対照的に、高酵素濃度は反対側の鎖のニッキング(例、dI/dA二本鎖オリゴヌクレオチド基質におけるA含有鎖のニッキング)を促進した。I/AおよびI/G基質については、ニッキングは主としてミスマッチAまたはG塩基を1ヌクレオチド越えた3’側で発生した。しかし、I/CおよびI/T基質に対する反対側の鎖のニッキングは低分子量位置で追加の生成物を生じさせた(図3C)。長さマーカーを用いた比較は、38merおよび27merは3’側でのTまたはC塩基のすぐ後の開裂生成物を表しているので、3’側開裂部位がTまたはC塩基の5’側でほぼ2〜3ntであることを示唆した(図3D)。反対側の鎖のニッキングはI/CおよびI/Tでは不完全であったが、デオキシイノシン開裂は完全であり、これはCまたはTの5’側ニッキングがデオキシイノシン含有鎖のニッキング後に発生したことを示している。I/Cにおける5’側での高収率の反対側の鎖のニッキングにI/Cがワトソン・クリック(Watson−Crick)塩基対を形成するという事実(参照として本明細書に組み入れられるXuan J.C.ら、Nucleic Acids Res .,20:5457−64(1992)を参照)、およびI/AおよびI/Gにおけるに5’側での低収率の反対側の鎖のニッキングにそれらが非ワトソン・クリック塩基対を形成するという事実(参照として本明細書に組み入れられるCorfield P.W.ら、Nucleic Acids Res .,15(19):7935−49(1987)を参照)に関連しているかどうかは不明である。I/CおよびI/T塩基対の5’側での反対側の鎖のニッキングは、C/IまたはT/I基質を用いては観察されなかったので、これはニッキング生成物が65℃のインキュベーションでは余り安定性ではなく一本鎖DNAとして変性している、またはこれらの基質でのニッキングは配列の前後関係を原因として余り効率的ではなかったのいずれかであることを示している。これらの結果は、ニッキング事象が一般には3’側で発生するが、この酵素はデオキシイノシン含有鎖に相補的な反対側の鎖の5’側で開裂させることができるを示唆している。以前に実施された試験は、大腸菌エンドヌクレアーゼVがメチルベンズ[ア]アントラセン付加物の5’側を開裂することを示唆していた。参照として本明細書に組み入れられるDemple B.ら、J . Biol . Chem .,257(6):2848−55(1982)を参照。従って、この酵素は一部の病変部位で5’切開を作製できる。上記の結果は、精製酵素がエンドヌクレアーゼVであることを確証した。
【0072】
実施例5 反応バッファーがTmaエンドヌクレアーゼV活性および特異性に及ぼす作用
酵素活性および特異性は酵素によって使用された金属コファクターによって影響を受ける可能性があるので、Mg2+、Mn2+、Fe2+、Ca2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Cd2+、Ba2+またはSr2+のいずれかの存在下でTmaエンドVミスマッチ開裂活性を分析した。各金属の濃度は5mMであった。反応混合物は10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM 金属塩化物、100nM TmaエンドVおよび(A/A)、または(C/T)、または(C/C)のいずれかの塩基ミスマッチを含有する10nMオリゴヌクレオチド類を含んでおり、対照として塩基ミスマッチを含有しない正規オリゴヌクレオチドを使用した。この混合物を65℃で30分間インキュベートし、電気泳動のためにゲル上に装填した。開裂生成物および残留基質は、GeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.0を使用して定量した。開裂生成物は、Mg2+またはMn2+の存在下でのみ観察され、これは試験したセット中でのTmaエンドVの金属コファクターがこれら2種のカチオンだけであることを示している。図4は、基質としてのA/Aミスマッチとともに二本鎖オリゴヌクレオチドDNAを使用した種々の濃度のMg2+またはMn2+の存在下でのTmaエンドV活性を示している。ミスマッチ開裂活性は、Mg2+の濃度が2〜7mMおよびMn2+の濃度が0.4〜1.2mMのときに最も活性であった。
【0073】
実施例6 塩基ミスマッチ含有オリゴヌクレオチド類の開裂
種々の塩基ミスマッチを含有する12種の基質を使用して塩基ミスマッチニッキングを調査した(図5)。開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2もしくは1mM MnCl2、10nM DNA基質および指示した量の精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質を含有する20μL反応混合物中において、65℃、30分間で実施した。この反応は等量のGeneScan停止液を添加することによって終了させた。この反応混合物をその後94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの検体を10%GeneScan変性ポリアクリルアミドゲル(パーキン・エルマー製)上に装填した。電気泳動は、ABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)を使用して1,500ボルトで1時間実施した。開裂生成物および残留基質は、GeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.0を使用して定量した。金属コファクターとしてMg2+を用いると、この酵素はミスマッチでの切開を作製するためにより高度の酵素対基質(E:S)比を必要とした(図5A〜B)。金属コファクターとしてMn2+を用いると、ミスマッチ基質でのニックはより低いE:S比で発生した(図5C〜D)。より高いE:S比でさえ非特異的ニッキングは有意になったが依然として基質を含有する有意に高いミスマッチが残っていたので、ミスマッチの開裂反応は完了までは進行しなかった(図5B)。開裂部位はデオキシイノシン含有基質を用いて同定された部位に同一であった、即ちミスマッチから1ヌクレオチド後の3’側であった。ミスマッチニッキングは、AもしくはG塩基を用いた場合に最も効率的であり、T塩基を用いた場合はそれほど効率的ではなかった。C塩基は、AもしくはT塩基と塩基対合したときにははるかに低い効率でニックが入れられ、開裂はCと塩基対合したときには観察されなかった。このミスマッチ開裂プロファイルは大腸菌酵素と一致している。参照として本明細書に組み入れられるYao M.ら、J.Biol.Chem,269(50):31390−96(1994)を参照。しかし、大腸菌酵素を使用して以前に報告されたように、鎖優先もしくは末端依存性ミスマッチ開裂は観察されなかった(参照として本明細書に組み入れられるYao M.ら、J.Biol.Chem,269(50):31390−96(1994)を参照)。塩基ミスマッチ開裂は、ミスマッチ塩基と5’末端の間の距離とは関係なく上方鎖および下方鎖の両方で発生した(図2A、図5A)。TmaエンドVがミスマッチ塩基と5’末端の間の距離とは関係なく上方鎖および下方鎖の両方で開裂させることができるという所見は予想外で、この酵素が大腸菌酵素と区別する独特の特性を有していることを証明している。中温性大腸菌エンドV酵素を特徴付けた同一著者らは、極めて細菌熱安定性A.フルギドゥス(Archaeoglobus fulgidus)エンドV酵素を特徴付けた(Liuら、Mutation Research,461:169−177(2000)。A.フルギドゥス エンドV酵素だけはDNAを含有するイノシンに対して活性を有していたが、ミスマッチまたはその他の傷害に対しての活性は有していなかった。従って、熱安定性エンドVが塩基ミスマッチを含有する基質に活性を有するであろうとは推定できない。
【0074】
表1は、単一塩基ミスマッチを含有するヘテロ二重鎖合成基質のTmaエンドヌクレアーゼV開裂の結果の要約を提供している。あらゆる可能性のある塩基変化に対して、次を形成する2種の可能性のあるヘテロ二重鎖生成物がある。A⇔G(A−C,G−T);C⇔T(C−A,T−G);A⇔C(A−G,C−T);G⇔T(G−A,T−C);A⇔T(A−A,T−T)、およびG⇔C(G−G,C−C)。
(表1)単一塩基ミスマッチを含有するヘテロ二重鎖合成基質のTmaエンドヌクレアーゼV開裂の要約
備考:
上方鎖:
下方鎖:
開裂記号:
(+++):高強度の開裂。(++):中強度の開裂。(+):低強度の開裂。(−)開裂なし。
これらのヘテロ二重鎖生成物の開裂は必ずしも同一ではないが(即ち、A−CをC−Aと比較する)、これは隣接配列変化の結果としてのDNAの構造における繊細さを反映している。それでも、可能性のある各塩基変化に対して、少なくとも1本の上方鎖および少なくとも1本の下方鎖に対してシグナルが生成される。従って、TmaエンドV酵素は、いずれかの可能性のある単一塩基変異または多型性を認識できるはずである。
【0075】
実施例7 TmaエンドヌクレアーゼVが一本鎖および二本鎖DNAへ及ぼす非特異的開裂活性
TmaエンドVの非特異的開裂活性を決定するために、一本鎖オリゴヌクレオチドおよび正規プラスミドに及ぼす開裂活性を測定した。一本鎖DNA開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2もしくは0.6mM MnCl2、10nM一本鎖DNA基質および指示した量の精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質を含有する20μL反応混合物中において65℃で30分間実施した。
【0076】
プラスミド開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2もしくは1mM MnCl2、10nMプラスミドpFB7.6および指示した量の精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質を含有する20μL反応混合物中において65℃で30分間実施した。
【0077】
この反応は、等量のGeneScan停止液を添加することによって終了させた。この反応混合物をその後94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの検体を10%GeneScan変性ポリアクリルアミドゲル(パーキン・エルマー製)上に装填した。電気泳動は、ABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)を使用して1,500ボルトで1時間実施した。開裂生成物および残留基質は、GeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.0を使用して定量した。
【0078】
この酵素は、AP部位もしくはウラシル含有鎖に特異的に低酵素濃度でニックを入れた(図6A、レーン3〜4および6〜7)。酵素濃度を100nMへ増加させると(E:S=10:1)、反対側の鎖のニッキングが発生し始め(図6A、レーン5および8)、これは反対側の鎖のニッキングがイノシン含有基質にとって独特ではないことを示唆している。この酵素は、AP部位基質とは弱いが明確な複合体を形成したが、ウラシル基質とは形成せず(図6B)、これはこの酵素が基底状態結合を達成するために塩基認識だけに依存するのではないことを示唆している。ウラシル部位との安定性結合の欠如は、エンドVがウラシル修復において重要な役割を果たさないことを指摘している遺伝学的試験と一致している(参照として本明細書に組み入れられるGuo G.ら、J.Bacteriol.,180:46−51(1998)を参照)。
【0079】
I/I基質から入手した結合データは、この酵素が一本鎖法でイノシン基質と相互作用できる可能性があることを証明した。以前の試験は、大腸菌エンドVが一本鎖イノシン基質を開裂することを証明している(参照として本明細書に組み入れられるYaoら、J . Biol . Chem .,271:30672−76(1996)を参照)。この酵素が一本鎖DNAをどのようにして開裂するのかをより明確に理解するために、イノシン、AP部位およびウラシル基質の開裂および結合について試験した。TmaエンドVは、金属コファクターとしてMg2+またはMn2+のどちらかを用いた場合に一本鎖イノシン基質を開裂した(図6C)。一本鎖AP部位またはウラシルの開裂は金属コファクターとしてMn2+を使用することを好むように思われた(図6C)。さらに、Mn2+は非特異的一本鎖DNAの開裂を促進した(図6C)。非特異的エンドヌクレアーゼ活性は、さらにスーパーコイルプラスミド基質を使用して確証された(図6D)。金属コファクターとしてMg2+を使用すると、非特異的エンドヌクレアーゼ活性はプラスミドに1回ニックを入れた。金属コファクターとしてMn2+を使用すると、この酵素は少なくとも2回プラスミド分子にニックを入れることができ、直鎖状プラスミドを生成させた(図6D)。2回のニッキング事象は、ニックが入れられたプラスミド中間物の外観によって証明されたように連続的である。ニックが入れられた、または直鎖状プラスミドへのスーパーコイルプラスミドの変換は、この酵素がDNA分子にアクセスするために遊離5’または3’末端を必要としないことを示唆している。
【0080】
二本鎖イノシン基質を用いた場合のように、一本鎖イノシン基質への結合にはさらに金属コファクターも必要とする(図6E)。一本鎖イノシン基質への結合親和性は、二本鎖より弱いように見えた(図6E)。安定性複合体は、Mg2+の存在下で形成され、これはTmaエンドVがニックが入れられた一本鎖生成物への相当に高い親和性を維持することを示唆した(図6F)。一本鎖イノシン開裂活性は、複製および転写中に一過性一本鎖領域での損傷の修復に役立つ可能性がある。
【0081】
これは、非特異的開裂が金属コファクターとしてMn2+を用いた場合の方が優勢であることを示唆している。さらに、ニックが入れられた、または直鎖状プラスミドへのスーパーコイルプラスミドの変換は、この酵素がDNA分子にアクセスするために遊離5’または3’末端を必要としないことを示唆している。上記の結果は、TmaエンドV開裂がMn2+よりMg2+の存在下における方が特異的であり、Mg2+が反応バッファー中で優先金属コファクターであると決定された。
【0082】
実施例8 pHがTmaエンドヌクレアーゼVの塩基ミスマッチ開裂活性に及ぼす作用
pHは、ミスマッチ開裂に重大な作用を発揮することがある。このアッセイ中の基質は4種のオリゴヌクレオチド群であるが、それらのうちの3種は各々ミスマッチ(A/A)、(C/T)、および(C/C)を含んでおり、残り1種はミスマッチを含まない正規オリゴヌクレオチドである。開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2(または1mM MnCl2)、10n MDNA基質、様々なE:S比を備えた指示した量の精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質を含有するバッファー中において65℃で1時間実施した。
【0083】
相違するpHを作製する際には下記のバッファーを使用した。20mM MES(pH6.0)、20mM MOPS(pH6.5)、10mM HEPES(pH7.0〜7.5)、20mM Tris(pH8.0〜8.5)。A.反応は、5mM MgCl2の存在下で100nMエンドヌクレアーゼV(E:S=10:1)を用いて実施した。B.反応は、1mM MnCl2の存在下で10nMエンドヌクレアーゼV(E:S=1:1)を用いて実施した。
【0084】
その後反応混合物を94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μL検体を10%GeneScan変性ポリアクリルアミドゲル(パーキン・エルマー製)上に装填した。電気泳動は、ABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)を使用して1,500ボルトで1時間実施した。開裂生成物および残留基質は、GeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.0を使用して定量した。
【0085】
図7は、反応バッファーのpHはミスマッチ開裂に重大な作用を発揮することができる。ミスマッチ位置でのニックは、pH6.5で観察できるようになり、5mM Mg2+(E:S=10:1)(図7A)または1mM Mn2+(E:S=1:1)(図7B)の両方の存在下で非特異的開裂において同時増加を伴ってpH7.5で最高に達した。大腸菌エンドヌクレアーゼV(参照として本明細書に組み入れられるGates F.T.,3rd and Linn S.,J . Biol . Chem .,252(5):1647−53(1977)を参照)および大腸菌DNAポリメラーゼ(参照として本明細書に組み入れられるEckert K.A.ら、「反応pHがエキソヌクレアーゼ欠損クレノウポリメラーゼの適合度および加工性に及ぼす作用(Effect of Reaction pH on the Fidelity and Processivity of Exonuclease−Deficient Klenow Polymerase)」,J . Biol . Chem .,268(18):13642−71(1993)を参照)についての以前の試験に一致して、TmaエンドヌクレアーゼVは高pH条件ではより非特異的になった。
【0086】
実施例9 塩が塩基ミスマッチを含有するオリゴヌクレオチド類の開裂に及ぼす作用
反応条件が塩基ミスマッチ開裂にどのように影響を及ぼすのかを試験するために、代表的ミスマッチ開裂を種々のNaCl濃度で試験した。このアッセイでの基質は4種のオリゴヌクレオチド群であるが、それらのうちの3種は各々ミスマッチ(A/A)、(C/T)、および(C/C)を含んでおり、残り1種はミスマッチを含まない正規オリゴヌクレオチドである。開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2または1mM MnCl2、10nMDNA基質および指示した量の精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質を含有する20μL反応混合物中において65℃で30分間実施した。NaClの濃度は、50mM間隔で0〜250mMの範囲内であった。この反応は、等量のGeneScan停止液を添加することによって終了させた。この反応混合物をその後94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの検体を10%GeneScan変性ポリアクリルアミドゲル(パーキン・エルマー製)上に装填した。電気泳動は、ABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)を使用して1,500ボルトで1時間実施した。開裂生成物および残留基質は、GeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.0を使用して定量した。
【0087】
この酵素がMg2+またはMn2+のどちらかを用いてのミスマッチ開裂のために低塩環境を好むことが明白であった。金属コファクターとしてMg2+を用いると、ミスマッチ開裂収率は塩を含まない場合に最高であった。金属コファクターとしてMn2+を用いると、ミスマッチ開裂収率は50mM NaClを用いた場合に最高であった。図8を参照。これは、塩濃度が上昇するとDNA結合親和性が低下するという見解と一致している。これらの条件下では、C−CミスマッチまたはA−Tマッチのどちらを用いても開裂は観察されなかった。
【0088】
上記の実験から、TmaエンドVミスマッチ開裂が最大化され、非特異的ミスマッチ開裂が最小限に抑えられる最適反応バッファー条件が決定された。最適条件は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、および5mM MgCl2である。これらの条件は、基質として主としてオリゴヌクレオチド類を使用したデータから決定した。このため、最適条件は例えばゲノムDNAのような相違する基質を利用したときには変動する可能性がある。さらに、この最適条件は、本発明の状況において最も望ましい開裂特徴に関して最善と思われる条件であるが、最適以下条件も本発明の状況において適合することを述べておかなければならない。
【0089】
実施例10 合成オリゴヌクレオチドDNAを基質として使用した場合のTmaエンドヌクレアーゼV開裂反応条件におけるMg2+およびMn2+濃度の最適化
基質として(A/A)ミスマッチを含有する蛍光標識二本鎖オリゴヌクレオチドを使用して、TmaエンドVの開裂活性を様々な濃度のMg2+またはMn2+を使用して測定した。開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、他に規定されていない限り10nM DNA基質、様々な濃度のMg2+またはMn2+、および100nM TmaエンドV(Mg2+の存在下)または10nM TmaエンドV(Mn2+の存在下)を含有する20μL反応混合物中において65℃で30分間実施した。
【0090】
この反応は、等量のGeneScan停止液(50mM EDTA、80%ホルムアルデヒド、1%ブルーデキストラン)を添加することによって終了させた。この反応混合物をその後94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの検体を10%GeneScan変性ポリアクリルアミドゲル(パーキン・エルマー製)上に装填した。電気泳動は、ABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)を使用して1,500ボルトで1時間実施した。開裂生成物および残留基質は、GeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.0(パーキン・エルマー製)を使用して定量した。定量結果は、図4に示されている。塩基ミスマッチを含有するDNA基質の開裂におけるMg2+の最適濃度は2〜7mMであり、Mn2+の最適濃度は0.4〜1.2mMである。
【0091】
実施例11 PCR増幅
k−ras遺伝子コドン12および13における変異を含むゲノムDNAは変異を含有する細胞系から抽出した。細胞系ht29またはsw1417は正常ゲノムDNAを含有している。細胞系sw620またはsw480は、純粋g12v(g→t)変異を含有するDNAを有している。細胞系Is180から抽出したゲノムDNA内の野生型対変異g12d(g→a)の比率は1:1.8である。細胞系sw1116から抽出したDNA内の野生型対変異g12a(g→c)の比率は1:0.7である。細胞系hct15またはdld1から抽出したゲノムDNA内の野生型対変異g13d(g→a)の比率は1:1.1である。
【0092】
PCR増幅プロセスを実施する際には、フォワードプライマーおよびリバースPCRプライマーはTETおよび6−FAM(PE−バイオシステムズ、フォスターシティ、CA)の5’末端標識を用いて合成できる。これら2種の蛍光基は、ABI377シーケンサーによって解析したときに、各々緑色および青色に見える。上方鎖および下方鎖の鑑別標識は、各鎖から開裂生成物を独立して区別することを許容する。TmaエンドVによるTETおよび6−FAM標識の非特異的開裂を最小限に抑えるために、3種の追加のシトシンデオキシヌクレオチドを各プライマーの5’末端上で合成した。適したプライマーの例は表1Aに示されている。
(表2A)癌遺伝子フラグメントを増幅させるためのPCRプライマー配列
【0093】
PCRプライマーの生成のプロセスでは、200ngの標識プライマーを20μLのddH2O中に溶解させ、等量のホルムアルデヒドと混合した。約64℃で2分間インキュベートした後、7M尿素を含有する100%ポリアクリルアミドゲル上にプライマーを装填した。電気泳動後に、純粋のプライマーを含有するゲルスライスを切り取り、37℃のTNE溶液(0.1M Tris−HCl(pH8.0)、0.5M NaCl、5mM EDTA)中に一晩浸漬した。ゲルスライスを含有する溶液を除去し、メタノールおよび水で予備洗浄したSep−PakカートリッジC−18(ウォーターズ(Waters)製、ミルフォード、マサチューセッツ州)上に装填した。20mLのddH2Oを用いて洗浄した後、2mLの溶出バッファー(5mM TEAA(酢酸トリエチルアミン)、50%メタノール)を用いてプライマーを溶出させ、高速真空装置を用いて乾燥させた。TEバッファーを用いてペレットを懸濁させた。PCR反応は、GeneAmp PCRシステム2400またはGeneAmp PCRシステム9700において実施した。50μLのPCR反応溶液は10mM Tris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、200μMの各dNTP、0.2μMのプライマー、2.5mM MgCl2、および約100ngのゲノムDNAまたはアンプリコンを含有している。高GC含量を用いたVHLエキソン1の増幅では、PCR反応混合物中に2%DMSOを含めた。
【0094】
PCR増幅は、ゲノムDNA、あるいはまた対照のフラグメントを含有するアンプリコンから直接的であってよい。PCR反応のための熱サイクル条件は、非特異的フラグメントの増幅を減少させるように調整しなければならない。表2Bは、様々な遺伝子のための典型的な熱サイクル条件を示している。
【0095】
(表2B)種々の遺伝子中のフラグメントを増幅させるためのPCRサイクル条件
備考:AmpliTaqおよびTaqPlusDNAポリメラーゼについては、初期変性段階後に、ホットスタート(hot start)PCRを実施するためにDNAポリメラーゼを添加した。goldTaqDNAポリメラーゼについては、PCR反応を開始させる前に反応混合物中にDNAポリメラーゼを含めた。PCR装置は、GeneAmp PCRシステム2400または9700(パーキン・エルマー製)である。
【0096】
実施例12 ヘテロ二重鎖DNA基質の作製
TaqDNAポリメラーゼを除去するために、PCRフラグメントを1μLのプロテイナーゼK対12μLのPCR生成物の比率でプロテイナーゼK(20mg/mL、キアゲン製)と一緒にインキュベートした。この反応は、プロテイナーゼKを不活化するために70℃で10分間および80℃で10分間実施した。この混合物を94℃で1分間、65℃で15分間加熱し、その後は室温へ冷却してヘテロ二重鎖DNAを形成させた。例えば細胞系LS180のような正常DNAより多数の変異体を含有する細胞系からのゲノムDNAに対しては、正常ゲノムDNAからのPCRフラグメントを添加して1:1の最終比(変異対野生型)を作り出した。細胞系SW1116における変異対野生型の比率は0.7:1.0であり、純粋変異DNAは入手できないので、ゲノムDNA単独を下記の本文に記載した通りに処理した。ゲノムDNAを例えば標的DNAがAPC、BRCA1、BRCA2およびVHL遺伝子中の変異である血液から精製した場合は、PCRフラグメントは野生型PCRフラグメントを添加せずに以前に記載した通りに処理した。
【0097】
実施例13 基質としてのヘテロ二重鎖PCRフラグメントを使用した場合のTmaエンドV/リガーゼによる変異検出条件の最適化
エンドV開裂のためのDNA基質として合成二本鎖オリゴヌクレオチド類(60〜66mer)を使用したときは、最適バッファー条件はTmaエンドVが高い特異的開裂活性および低い非特異的開裂活性を有する10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2である。しかし、K−ras遺伝子中にG12V変異を含有する約300bpのPCRフラグメントを基質として使用したときには、開裂は観察されなかった。このTmaエンドV開裂活性については、K−rasコドン12変異を含有する様々なヘテロ二重鎖PCRフラグメントを基質として使用した。これらの実験では、野生型およびG12V変異DNA PCR増幅フラグメントの混合物を使用した。結果として生じた2種のヘテロ二重鎖フラグメントは、各々G−AおよびT−Cミスマッチを含有している。上方および下方鎖両方の開裂が観察され、生成物をABI377DNAシーケンシング装置上で分離し、開裂生成物の量はGeneScan 3.0解析ソフトウエア(PE−バイオシステムズ製、フォスターシティ、CA)を使用して定量した。図9は、反応への5%DMSOの添加がミスマッチ開裂活性を約2〜3倍増強させることを示している。ミスマッチ開裂を増強できるその他の有機溶媒には、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、グリセロール、ホルムアルデヒド等が含まれる。
【0098】
開裂を改良するための第2アプローチは、ベタイン、N,N,N−トリメチルグリシンの添加を含んでいた。ベタインは、相違するGC含量を有するDNAフラグメントの融解温度を等しくするために最初に使用した。ベタインの一定の「等安定化(isostabilizing)」濃度において、ATおよびGC対が同等に安定性であることが見出された(参照として本明細書に組み入れられるRees W.A.ら、Biochemistry,32:137−44(1993)を参照)。ベタインは、さらにまた高GC含量を含む領域のPCR増幅を促進するための添加物としても使用した(参照として本明細書に組み入れられるHenke W.ら、「ベタインはGC富裕DNA配列のPCR増幅を向上させる(Betain Improves the PCR Amplification of GC−Rich DNA Sequences),」Nucleic Acids Res .,25:3957−58(1997)を参照)。
【0099】
図10は、反応バッファーへのベタインの添加がTmaエンドVの塩基ミスマッチ開裂活性を促進できるが、これをフラグメント依存性方法で実施することを示している。例えばAPC遺伝子から生成されるもののような低GC含量のPCRフラグメントについては、開裂活性は1.0Mベタインで最大2倍の刺激に達した。例えばK−rasフラグメントのような高GC含量のPCRフラグメントについては、最高開裂活性は1.5Mベタインで観察され、2.7倍のより大きな刺激を生じさせた。高および低GC含量フラグメントの両方に対する相対刺激は、1Mベタインでほぼ同一の2倍であった。
【0100】
NaClの作用をヘテロ二重鎖フラグメントについて再試験し、図11Aは、NaClの添加が開裂反応を阻害することを証明している。50mM NaClで、開裂反応はほぼ完全に阻害された。図11Bは、KClがTmaエンドVのミスマッチ開裂活性に及ぼす作用を示している。このアッセイのための基質としてK−rasG12V(G→T)変異を含有する100ngのヘテロ二重鎖PCRフラグメントを使用し、反応は100nM TmaエンドヌクレアーゼVおよび種々の濃度のKClを含む修正最適反応バッファー(2.0Mベタイン、10%DMSO)中において65℃で1時間実施した。結果は、KClの作用がNaClの作用と実際に類似していること、および50mM KClの存在下ではTmaエンドV開裂活性がほぼ完全に阻害されることを示している。このため、本発明の連結段階では、TmaエンドV開裂活性は実質的に排除される。これらの結果は、反応バッファーに追加の塩を含めるべきではないことを確証している。
【0101】
上記の解析は、基質としてPCRフラグメントを使用した場合は、塩の添加は回避すべきであるが、反応への5%DMSOおよび1〜1.5Mベタインの添加はTmaエンドVの特異的開裂活性を増強できることを示唆している。
【0102】
新規最適反応条件を使用して、TmaエンドV開裂反応の時間経過はK−rasG12D(G→A)変異を含有するPCRフラグメントを使用して65℃で実施した(図12)。これらの実験では、野生型およびG12D変異DNA PCR増幅フラグメントの混合物を使用した。結果として生じた2種のヘテロ二重鎖PCRフラグメントは各々G−TおよびA−Cミスマッチを含有している。上方および下方鎖両方の開裂が観察され、生成物をABI377DNAシーケンシング装置上で分離し、開裂生成物の量はGeneScan 3.0解析ソフトウエアを使用して定量した。生成物は時間経過に渡って線形に増加した。インキュベーション時間が長くなると、非特異的生成物の望ましくない増加を生じさせる可能性がある。このため、基質としてヘテロ二重鎖PCRフラグメントを使用したTmaエンドVのための最適反応条件は、10mM HEPES(pH7.4)、5mM MgCl2、1mM DTT、2%グリセロール、およそ1〜1.5Mベタイン、および5%DMSOを含有する反応バッファー中で65℃で1時間のインキュベーションである。
【0103】
図13(−DNAリガーゼレーン)は、新規最適反応条件が基質としてPCRフラグメントを使用したときにTmaエンドV酵素の高い活性および相対的に良好な特異性を生じさせることを証明している。それでも、非特異的ニッキングが依然として観察されるので、その結果として有意なバックグラウンドシグナルが存在する。
【0104】
実施例14 NAD+DNAリガーゼを用いた連結反応条件
Tsp.AK16Dリガーゼのための最適反応バッファーは、20mM Tris−HCl(pH8.5)、5mM MgCl2、50mM KCl、10mM DTT、1mM NAD+、20μg/mL BSAである(参照として本明細書に組み入れられるTong J.ら、「テルムス種由来高適合度DNAリガーゼAK16Dの生化学的特性(Biochemical Properties of a High Fidelity DNA Ligase from Thermus Species AK16D)」,Nucleic Acids Res .,27:788−94(1999)を参照)。エンドV開裂反応からの15μLの反応混合物を2μLの10×補助バッファー(200mM Tris−HCl(pH8.5)、12.5mM MgCl2、500mM KCl、100mM DTTおよび200μg/mL BSA)、1μLの20mM NAD+、および2μLの10〜60nM Tsp.AK16Dリガーゼに添加した。混合物の最終濃度を20mM Tris−HCl pH8.5、5mM MgCl2、50mM KCl、10mM DTT、1mM NAD+、20μg/mL BSA、および1〜6nM AK16D DNAリガーゼとした。この混合物を65℃で20分間インキュベートし、等量のGeneScan停止液(50mM EDTA、1%ブルーデキストランおよび80%ホルムアミド)を添加することによって終了させた。その後この反応混合物を94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。2〜3μLの混合物を6%変性ポリアクリルアミドゲル上に装填し、次の条件下でABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)中で1時間、電気泳動にかけた。1,000ボルトの電圧、60mAの電流、200Wの出力、および45℃のゲル温度。6−FAMおよびTETは、各々上方および下方鎖プライマーで標識された蛍光基であった。それらはABI DNAシーケンサー377を用いると、各々青色および緑色に見える。このため、TET標識(緑色)開裂バンドが上方鎖から生成され、FAM標識(青色)開裂バンドが下方鎖から生成されると結論することができる。TAMRA標識GeneScan分子サイズスタンダード500(赤色バンド)は同一ゲル上に装填されたので、開裂生成物の分子量はGeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.0aを使用してサイズスタンダードの移動度を開裂生成物の移動度と比較することによって推定できた。
【0105】
実施例15 K−ras遺伝子中のコドン12および13の変異の検出
K−ras遺伝子中のコドン12および13の変異の検出では、TmaエンドV/AK16D DNAリガーゼを用いた変異スキャニングの戦略を最初に試験した。PCR増幅のためのテンプレートとしてコドン12および13において変異を含有する細胞系からのゲノムDNAを使用した。K−ras変異を含有する細胞系は、下記の通りに表3に列挙した。
【0106】
(表3)
上方鎖のPCRプライマーの配列は下記であり、
および下方鎖のプライマーの配列は下記であった。
【0107】
PCR反応は、94℃で2分間で実施し、その後AmpliTaq DNAポリメラーゼを添加し、さらに94℃で15秒間、60℃で2分間の加熱を30サイクル実施した。最終伸長は72℃で7分間実施した。その後ゲノムDNAからの野生型PCRフラグメントを1:1の比率で変異PCRフラグメントと混合した。TaqDNAポリメラーゼを除去するために、各12μLのPCR産物に対して1μLのプロテイナーゼK(20mg/mL、キアゲン製)を添加した。この反応物を70℃で10分間および80℃で10分間インキュベートしてプロテイナーゼKを不活化した。その後この混合物を94℃で1分間、65℃で15分間加熱することによってヘテロ二重鎖フラグメントを形成させ、さらに室温へ冷却した。細胞系SW1116のゲノムDNAから精製したPCRフラグメントは野生型PCRフラグメントの添加を必要としなかった。
【0108】
開裂反応のために、標準反応混合物は10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2、5%DMSO、1.5Mベタイン、100ng PCR産物、および500nM精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質から構成した。この反応混合物を65℃で1時間インキュベートし、15μLの反応混合物を2μLの10×リガーゼ補助バッファー(200mM Tris−HCl(pH8.5)、12.5mM MgCl2、500mM KCl、100mM DTTおよび200μg/mL BSA)に添加することによって反応を終了させた。10×リガーゼ補助バッファーのKClがTmaエンドV開裂活性の阻害の原因である。次に、1μLの20mM NAD+、および2μLの60nM AK16D DNAリガーゼを添加して、リガーゼ反応混合物の最終濃度を20mM Tris−HCl(pH7.6)、5mM MgCl2、50mM KCl、10mM DTT、1mM NAD+、20μg/mL BSA、および6nM AK16D DNAリガーゼとした。この混合物を65℃で20分間インキュベートし、等量のGeneScan停止液(50mM EDTA、1%ブルーデキストランおよび80%ホルムアミド)を添加することによって終了させた。その後この反応混合物を94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの混合物を6%変性ポリアクリルアミドゲル上に装填し、次の条件下でABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)中で1時間、電気泳動にかけた。1,000ボルト、60mA、200W、および45℃のゲル温度。
【0109】
エンドV開裂後、純粋野生型および純粋変異G12Vにおいて主要開裂バンドは全く所見されなかった。G12+G12VおよびG12+G12D(LS180)の検体中では2つの主要開裂バンドが所見された。FAM標識(青色バンド;上方鎖の開裂生成物)の長さは、ミスマッチ開裂についての159bpの予想長さの範囲内にある約157〜160bpであった。TET標識(緑色バンド;下方鎖の開裂生成物)の長さは、同様にミスマッチ開裂についての116bpの予想長さに近い約118bpであった。G12V変異に加えて、変異G12DおよびG12Aもまた類似アッセイにおいて検出された。G12Dアッセイでは、上およびしたの両方の鎖の開裂生成物が観察され、それらの強度はG12Vよりほんのわずかだけ低かった。G12Aの検出でも、両方の鎖の開裂が観察された。上方鎖の生成物の強度はG12Dの強度とほぼ同一であったが、下方鎖の生成物の強度は他の2種の変異体の強度よりはるかに低かった。変異G13Dは検出されなかった。
【0110】
図13は、連結段階の添加が非特異的ニッキングのためにいかにバックグラウンドを劇的に減少させるのかを証明している。このアッセイのために、PCRフラグメントはkrasにおける位置G12でwtもしくは変異のいずれかに対してホモ接合性であった、またはこの位置でヘテロ接合性であったDNA検体から生成した。連結段階を使用しないと、非特異的開裂は全検体において観察される。Tsp.AK16Dリガーゼ段階の添加を行わないと、このバックグラウンドシグナルは劇的に減少する。ヘテロ接合性検体(即ち、各セットの最後の2レーン)中でのみ、ヘテロ二重鎖ミスマッチに関連する開裂が観察され、これらの結果は追加の連結段階が特異的ミスマッチ開裂を傷つけないことを証明している。このため、追加の連結段階は非ミスマッチ位置での開裂を原因とするバックグラウンドを減少させることはできるが、ミスマッチ開裂部位での開裂は連結しない。
【0111】
主要開裂バンドミスマッチ開裂生成物に加えて、一部の非特異的開裂バンドもまた観察された。青色(即ち、上方鎖)開裂生成物を越えて移動する全検体において1つの非特異的バンドが存在する。さらにまた1つは青色およびもう1つは緑色の2種の非特異的開裂生成物が存在するが、これらは低分子量生成物とともに移動し、全4種の検体中に存在する。1〜6nM DNAリガーゼと一緒のインキュベーション後に、青色開裂バンドの上方の非特異的バンドは強度が減少するので、これは非特異的ニックがDNAリガーゼによってシールされたことを意味している。低分子量非特異的バンドは、AK16Dリガーゼの濃度を6nMまで上昇させた場合でさえ存在する(図13参照)。これは、これらが連結不能な変性生成物である、あるいはまた有機溶媒中での65℃で1時間のエンドVインキュベーション中に基質から変性した短いフラグメントである可能性を示唆している。
【0112】
本発明の感度を特徴付けるために、K−rasエキソン1変異を含有するPCRフラグメント中の塩基ミスマッチを様々な比率の変異対野生型DNA比下でアッセイした。本発明を用いると、K−ras変異を含有するDNAに対する1:1の変異対野生型DNA比に対する開裂効率は、G12V、G12DおよびG12Aは典型的には各々高い、中、および低い。このセットの変異を利用すると、広範囲の開裂効率に渡って感度についてスクリーニングすることができ、本発明の有用な範囲をより正確に反映するはずである。K−rasエキソン1変異を含有するPCRフラグメントであるG12V、G12DおよびG12Aを個別に野生型PCRフラグメントと1:1、1:2、1:5、1:10、1:20、1:50、および1:100の変異対野生型比で混合した。これらのフラグメント混合物をその後、上記のTmaエンドVおよびDNAリガーゼ条件を使用してアッセイした。図14は、様々な比率の変異対野生型DNA比についての開裂生成物の量を示している。この結果は、全3種の変異について1:20までの変異対野生型比については開裂シグナルをバックグラウンドから区別できることを示している。1:20を超える比については、正確な位置でのシグナルがまだ観察された;しかし、開裂生成物とバックグラウンドとを決定的に区別するのは困難である。このアッセイから、本発明の感度の限界は約1:20(変異対野生型比)であると思われる。
【0113】
実施例16 p53およびVHL遺伝子中の様々な点変異の検出
様々な点変異をスキャンするエンドVの汎用性を試験するために、本発明の方法をp53およびVHL遺伝子中の様々な点変異を含むゲノムDNAに適用した。p53およびVHL内に点変異を含有する13の検体中のエキソン5、6、7および8に点変異を含有する11の検体を入手した。p53およびVHL遺伝子中のエキソンを増幅させるためのPCRプライマーの配列は、表2Aに列挙した。PCR熱サイクル条件は表2Bに列挙した。500bp VHLエキソン1フラグメントのゲル画像から、約180〜500bpへ伸びるスメア(smear)が観察された。これは、VHLのエキソン1の中央部における極めて高いGC含量のために、この領域で開裂生成物を観察することを極めて困難にする。その結果として、PCRフラグメントとゲノムDNAの他の領域との相互作用が発生する可能性がある。そうであれば、このスメアを減少させるために第2ラウンドのPCR増幅においてテンプレートを希釈すべきである。このため、第2ラウンドのPCR増幅において、PCR産物の100倍希釈物を1μLだけ使用し、以前に考察したのと同一サイクル条件下で、しかし今回は15ラウンドだけ増幅させた。するとスメアは劇的に減少し、その後は生成物を可視化できた。
【0114】
p53変異を含有するゲノムDNAは、腫瘍検体から抽出し、PCR増幅させた。引き続き、等量の変異および野生型PCRフラグメントが存在するように野生型PCRフラグメントを添加した。VHL遺伝子変異を含有するゲノムDNAはヘテロ接合性検体からであったので、野生型PCRフラグメントは添加しなかった。TaqDNAポリメラーゼを除去するために、各12μLのPCR産物に対して1μLのプロテイナーゼK(20mg/mL、キアゲン製)を添加した。この反応物を70℃で10分間および80℃で10分間インキュベートしてプロテイナーゼKを不活化した。その後この混合物を94℃で1分間、65℃で15分間加熱することによってヘテロ二重鎖フラグメントを形成させ、さらに室温へ冷却した。
【0115】
開裂反応のために、標準反応混合物は10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2、5%DMSO、1.5Mベタイン、100ng PCR産物、および500nM精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質から構成した。この反応混合物を65℃で1時間インキュベートし、15μLの反応混合物を2μLの10×リガーゼ補助バッファー(200mM Tris−HCl(pH8.5)、12.5mM MgCl2、500mM KCl、100mM DTTおよび200μg/mL BSA)に添加することによって反応を終了させた。次に、1μLの20mM NAD+、および2μLの60nM AK16D DNAリガーゼを添加して、リガーゼ反応混合物の最終濃度を20mM Tris−HCl(pH7.6)、5mM MgCl2、50mM KCl、10mM DTT、1mM NAD+、20μg/mL BSA、および6nM AK16D DNAリガーゼとした。この混合物を65℃で20分間インキュベートし、等量のGeneScan停止液(50mM EDTA、1%ブルーデキストランおよび80%ホルムアミド)を添加することによって反応を終了させた。その後この反応混合物を94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの混合物を6%変性ポリアクリルアミドゲル上に装填し、次の条件下でABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)中で1時間、電気泳動にかけた。1,000ボルト、60mA、200W、および45℃のゲル温度。
【0116】
この方法による変異スキャニング結果の要約は表4に示した。
【0117】
(表4)癌遺伝子についてのTmaエンドV/リガーゼ変異スキャニングの要約
*:(+++):高強度の開裂;(++):中強度の開裂;(+):低強度の開裂;(−):開裂が観察されなかった。
【0118】
p53遺伝子については、11変異中9の変異が検出された。VHL遺伝子については、13点変異中12の点変異が検出された。全点変異は検出されなかったため、変異の存在および変異対野生型DNA比を検証するためにこれらの検体のPCRフラグメントについてDNAシーケンシングを実施した。結果は、これらの検体中に変異が存在し、検変異対野生型DNA比が検体R175Hを除く検体全部においておよそ1:1であることを示した。R175Hを含有する変異PCRフラグメントへ野生型PCRフラグメントを添加した後、開裂アッセイを繰り返したが、それでもR175Hについての結果はまだ陰性であった。
【0119】
表4中の4変異を除く全変異は、TmaエンドヌクレアーゼVによって認識できた。4種の検出不能な変異は、K−rasG13D(G→A)、p53 R175H(G→A)、R273C(C→T)、およびVHL G164D(G→A)であり(表4)、上方および下方鎖両方についての各変異の周囲配列は表5に列挙した。
【0120】
(表5)開裂強度を含む、上方および下方鎖についての変異および周囲配列変異のリスト
【0121】
二本鎖オリゴヌクレオチド基質を用いた以前のアッセイは、各点変異をこの方法で検出できることを証明し、シトシンを含有するミスマッチが最小効率で開裂された(図3および5、表4)。これらの変異全4つがシトシンミスマッチを含むヘテロ二重鎖PCRフラグメントを生成するにもかかわらず、調査された極めて大多数の変異も生成する。このため、シトシンミスマッチの存在は、これら4つの変異がなぜ検出されなかったのかを十分には説明していない。その代わりに、データはフランキング配列を考慮に入れる必要があることを示唆している。TmaエンドVによって開裂できなかった4つの変異の周囲配列の解析は次のコンセンサス配列を生じさせる。gRcg、rcRc、cgYc、およびgYgy。変異または多型性の位置には下線が引かれており、上方の場合に示されており、列挙されている最後の2つの配列は最初の2つの配列の補体である(式中、RおよびYは各々プリンおよびピリミジン塩基を表す)。極めて初期の予備解析では、ヒト染色体22からの最初の100ランダム単一ヌクレオチド多型性(SNP)を4つの不応配列についてサーチしたところ、唯一rcRcだけが発見された(表6)。
【0122】
(表6)ヒト染色体22、最初の100ランダムSNPにおけるTmaエンドV不応配列の頻度
引き続いてのSNPデータベースにおける約4,000SNPのコンピュータサーチにより、gRcg(および相補的cgYc)の頻度は約0.1%であり、rcRc(および相補的gYgy)が約2%であることが判明した。この予備試験結果は、4つの不応配列の頻度が極めて低いことを示唆しているので(2%)、TmaエンドVがヒトゲノム内で所見された多型性および変異の約98%を開裂できると考えられる。
【0123】
単一塩基変異を検出することに加えて、この解析は本発明が小さな挿入および欠失を検出できることを証明している(表4)。VHL遺伝子中の3塩基挿入およびBRCA1における2塩基欠失は、どちらも両方の鎖について強力な開裂シグナルを生じさせた。VHL遺伝子中の単一塩基欠失はさらに両方の鎖について強力なシグナルを生じさせた。BRCA1遺伝子中の単一挿入および単一塩基欠失を用いると最悪の結果が入手された。挿入および欠失の両方について、1本の鎖だけが開裂されることが観察され、シグナルはどちらの場合にも相当に弱かった。この低い効率にもかかわらず、このタイプのシグナルは未知のサンプルにおける変化を確証することができる。これらの結果は、本発明が小さな挿入および欠失を検出できること、および変異検出と同様に、効率が配列依存性であることを証明している。
【0124】
実施例17 APC遺伝子中のエキソン15のコドン1307におけるT→A変異の検出
本発明の方法を、APC遺伝子中のエキソン15のコドン1307におけるT→A変異をスキャンすることによって臨床検体へ適用した。結腸癌組織からの9つのゲノム検体および4つの野生型検体をアッセイした。
上方鎖PCRプライマーの配列は下記であり、
および下方鎖のプライマーの配列は下記であった。
【0125】
PCR反応条件は表2Bに列挙した。APC変異を含有するゲノムDNAはヘテロ接合性であったので、野生型PCRフラグメントを添加する必要はない。TaqDNAポリメラーゼを除去するために、各12μLのPCR産物に対して1μLのプロテイナーゼK(20mg/mL、キアゲン製)を添加した。この反応物を70℃で10分間および80℃で10分間インキュベートしてプロテイナーゼKを不活化した。その後この混合物を94℃で1分間、65℃で15分間加熱することによってヘテロ二重鎖フラグメントを形成させ、さらに室温へ冷却した。細胞系SW1116のゲノムDNA由来のPCRフラグメントは、野生型PCRフラグメントを添加せずに直接加熱し、冷却してヘテロ二重鎖を生成させた。
【0126】
開裂反応のために、標準反応混合物は10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2、5%DMSO、1.5Mベタイン、100ng PCR産物、および500nM精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質から構成した。この反応混合物を65℃で1時間インキュベートし、15μLの反応混合物を2μLの10×リガーゼ補助バッファー(200mM Tris−HCl(pH8.5)、12.5mM MgCl2、500mM KCl、100mM DTTおよび200μg/mL BSA)に添加することによって反応を終了させた。次に、1μLの20mM NAD+、および2μLの60nM AK16D DNAリガーゼを添加して、リガーゼ反応混合物の最終濃度を20mM Tris−HCl(pH7.6)、5mM MgCl2、50mM KCl、10mM DTT、1mM NAD+、20μg/mL BSA、および6nM AK16D DNAリガーゼとした。この混合物を65℃で20分間インキュベートし、等量のGeneScan停止液(50mM EDTA、1%ブルーデキストランおよび80%ホルムアミド)を添加することによって反応を終了させた。その後この反応混合物を94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの混合物を6%変性ポリアクリルアミドゲル上に装填し、1,000ボルト、60mA、200W、および45℃のゲル温度でABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)中で1時間、電気泳動にかけた。全検体中で正確な変異が検出され、野生型もしくは腫瘍検体中で偽陽性は検出されなかった。開裂活性は、おそらくAPC遺伝子のエキソン15のAT富裕な性質のために、1.5Mベタイン中におけるより1.0Mベタインの存在下における方が高かった(図10B)。このためベタインの量を調整する必要があり、増幅させた領域のGC含量がガイドとして機能する可能性がある。
【0127】
実施例18 希釈検体中でのK−ras変異の検出
本発明の感度を決定するために、K−rasエキソン1変異であるG12V、G12DおよびG12Aを含有するPCRフラグメントをテンプレートとして使用し、本発明の変異検出能力を1:1〜1:100の範囲内の様々な変異対野生型DNA比でアッセイした。G12Aアッセイにおける初期比は、G12A変異を含有するゲノムDNAにおける変異対野生型DNA比が0.7:1であり、純粋変異G12Aは入手できなかったので、0.7:1であった。PCRプライマーの配列は表2Aに列挙し、PCR熱サイクル条件は表2Bに列挙した。TaqDNAポリメラーゼを除去するために、各12μLのPCR産物に対して1μLのプロテイナーゼK(20mg/mL、キアゲン製)を添加した。この反応物を70℃で10分間および80℃で10分間インキュベートしてプロテイナーゼKを不活化した。その後この混合物を94℃で1分間、65℃で15分間加熱することによってヘテロ二重鎖フラグメントを形成させ、さらに室温へ冷却した。
【0128】
K−rasエキソン1変異を含有するPCRフラグメントであるG12V、G12DおよびG12Aを個別に野生型PCRフラグメントと1:1、1:2、1:5、1:10、1:20、1:50、および1:100の変異対野生型比で混合した。このアッセイのために、PCRフラグメントの総量は一定に維持した。このため種々の変異対野生型DNA比を有するヘテロ二重鎖PCRフラグメント100ngはTmaエンドVを用いて開裂し、Tsp.AK16D DNAリガーゼを用いて連結した。
【0129】
開裂反応のために、標準反応混合物は10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2、5%DMSO、1.5Mベタイン、100ng PCR産物、および500nM精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質から構成した。この反応混合物を65℃で1時間インキュベートし、15μLの反応混合物を2μLの10×リガーゼ補助バッファー(200mM Tris−HCl(pH8.5)、12.5mM MgCl2、500mM KCl、100mM DTTおよび200μg/mL BSA)に添加することによって反応を終了させた。次に、20mM NAD+、および2μLの60nM AK16D DNAリガーゼを添加して、リガーゼ反応混合物の最終濃度を20mM Tris−HCl(pH7.6)、5mM MgCl2、50mM KCl、10mM DTT、1mM NAD+、20μg/mL BSA、および6nM AK16D DNAリガーゼとした。この混合物を65℃で20分間インキュベートし、等量のGeneScan停止液(50mM EDTA、1%ブルーデキストランおよび80%ホルムアミド)を添加することによって終了させた。その後この反応混合物を94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの混合物を6%変性ポリアクリルアミドゲル上に装填し、1,000ボルト、60mA、200W、および45℃のゲル温度でABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)中で1時間、電気泳動にかけた。TAMRA標識GeneScan分子サイズスタンダード500を同一ゲル上に装填し、開裂生成物の分子量は、GeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.aを使用してサイズスタンダードの移動度と比較することによって推定できる。
【0130】
図14は、様々な変異対野生型DNA比についての開裂生成物の量を示している。ピーク面積は、GeneScanソフトウエア(バージョン3.0)によって測定し、これを使用して相対蛍光強度を測定した。野生型ホモ二重鎖を生成した開裂シグナルを野生型対照として使用した。バックグラウンド強度は、上方および下方鎖各々の生成物についての開裂バンドのすぐ上方および下方でシグナル強度を測定することによって決定した。バックグラウンドシグナルは、その後相違する比率を含む7検体および野生型1検体から平均化した。開裂生成物に関連するピーク面積は、GeneScan解析ソフトウエア3.0を用いた解析によって決定した。図14における棒グラフは、各変異対野生型比を用いた相対蛍光強度を示している(斜線棒:上方鎖の開裂生成物;黒色棒:下方鎖の開裂生成物)。平均バックグラウンドシグナルは、水平波線で示されている(Bkdg−上は平均上方鎖の開裂生成物に対する平均バックグラウンドシグナルを表しており、bkdg−下は下方鎖の開裂生成物に対する平均バックグラウンドシグナルを表している)。変異、ヌクレオチド変化、およびミスマッチ塩基対はグラフ内に示されている。
【0131】
これらの結果は、本発明が全3変異について少なくとも1:20の変異対野生型DNA比でバックグラウンドシグナルから開裂シグナルを一貫して区別できることを示している。本発明は、1:50という高い変異対野生型DNA比において開裂シグナルを検出することができたが、これは試験したすべての場合で観察はされなかった。このため、本発明は1:20(変異対野生型DNA比)の感度へ限定されている。
【0132】
実施例19 BRCA1、BRCA2、およびVHL遺伝子中の小さな欠失、挿入の検出
本発明が小さな欠失または挿入を検出する能力を決定するために、BRCA1のエキソン2におけるAG欠失もしくはエキソン20におけるC挿入、BRCA2遺伝子のエキソン11におけるT欠失、またはフォン・ヒッペル・リンダウ(von Hippel Lindau(VHL)遺伝子のエキソン2におけるAGA挿入もしくはA欠失のいずれかを含有する検体に適用した。
【0133】
BRCA1中のエキソン2および20、BRCA2中のエキソン11およびVHL中のエキソン2を増幅させるためのPCRプライマーの配列は表2Aに列挙し、PCR熱サイクル条件は表2Bに列挙した。変異は検体中のヘテロ接合性であるので、野生型PCRフラグメントを添加する必要はなかった。TaqDNAポリメラーゼを除去するために、各12μLのPCR産物に対して1μLのプロテイナーゼK(20mg/mL、キアゲン製)を添加した。この反応物を70℃で10分間および80℃で10分間インキュベートしてプロテイナーゼKを不活化した。その後この混合物を94℃で1分間、65℃で15分間加熱することによってヘテロ二重鎖フラグメントを形成させ、さらに室温へ冷却した。
【0134】
開裂反応のために、標準反応混合物は10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2、5%DMSO、1.5Mベタイン、100ng PCR産物、および500nM精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質から構成した。この反応混合物を65℃で1時間インキュベートし、15μLの反応混合物を2μLの10×リガーゼ補助バッファー(200mM Tris−HCl(pH8.5)、12.5mM MgCl2、500mM KCl、100mM DTTおよび200μg/mL BSA)に添加することによって反応を終了させた。次に、1μLの20mM NAD+、および2μLの60nM AK16D DNAリガーゼを添加して、リガーゼ反応混合物の最終濃度を20mM Tris−HCl(pH7.6)、5mM MgCl2、50mM KCl、10mM DTT、1mM NAD+、20μg/mL BSA、および6nM AK16D DNAリガーゼとした。この混合物を65℃で20分間インキュベートし、等量のGeneScan停止液(50mM EDTA、1%ブルーデキストランおよび80%ホルムアミド)を添加することによって反応を終了させた。その後この反応混合物を94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの混合物を6%変性ポリアクリルアミドゲル上に装填し、1,000ボルト、60mA、200W、および45℃のゲル温度でABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)中で1時間、電気泳動にかけた。TAMRA標識GeneScan分子サイズスタンダード500を同一ゲル上に装填したので、開裂生成物の分子量はGeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.0aを使用してサイズスタンダードの移動度を開裂生成物の移動度と比較することによって推定できた。
【0135】
ゲル画像は、BRCA1のAG欠失ミスマッチの開裂が極めて強力であるが、BRCA1のC挿入およびBRCA2のT欠失に関連している開裂バンドがかすかであることを証明した(図15)。T欠失の開裂バンドの下方の非特異的バンドは連結後には除去されたが、これはリガーゼによって非特異的ニックをシールできることを示している。VHL遺伝子については、AGA挿入の開裂は極めて強力であり、A挿入の開裂は極めて良好である(表4)。これらの結果は、エンドVが2〜3つのヌクレオチド挿入または欠失を認識して開裂できることを証明している。さらにまた1つのヌクレオチド挿入または欠失も検出できるが、効率は2もしくは3つのヌクレオチド変化を検出する効率より低いことが観察された。
【0136】
レーン13〜18とレーン19〜24との比較は、臨床検体を使用したときにp53遺伝子中の点変異を区別するためにDNAリガーゼ段階を使用することの長所を証明している。レーン13〜18における重大なバックグラウンドシグナルは、レーン19〜24を除いて全部排除されるので変異シグナルの明白な検出が可能になる。
【0137】
実施例20 長鎖PCRフラグメントにおける変異の検出
本発明が、長鎖PCRフラグメント上で変異スキャンを行う能力を、p53遺伝子からの1.7kb PCRフラグメントを使用して決定した。この1.7kbセグメントを増幅させるために使用したPCRプライマーの配列は表2Aに列挙し、PCR熱サイクル条件は表2Bに列挙した。TaqDNAポリメラーゼを除去するために、各12μLのPCR産物に対して1μLのプロテイナーゼK(20mg/mL、キアゲン製)を添加した。この反応物を70℃で10分間および80℃で10分間インキュベートしてプロテイナーゼKを不活化した。その後この混合物を94℃で1分間、65℃で15分間加熱することによってヘテロ二重鎖フラグメントを形成させ、さらに室温へ冷却した。PCRフラグメントは10mM Tris(pH7.5)および過剰dNTPを用いて2回洗浄し、エンドV開裂反応の前にマイクロコン30フィルター(ミリポア製)遠心段階によってプライマーを除去した。これはバッファー条件の変更を生じさせ、容量を洗浄前のオリジナル容量の半分へ減少させた。このため、DNA濃度は2倍の約10〜20ng/μLへ増加した。TmaエンドV開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、200ng PCRへテロ二重鎖フラグメント、5mM MgCl2、1.5Mベタイン、2%DMSO、および500nM精製TmaエンドVを含有するバッファー中で65℃で1時間実施した。エンドV反応後、フラグメントを再度洗浄してベタインおよびDMSOを除去した。連結は、20mM Tris−HCl(pH7.6)、5mM MgCl2、50mM KCl、10mM DTT、1mM NAD+、および20μg/mL BSAを含有するバッファー中での1〜6nM Tsp.AK16Dリガーゼの存在下で、65℃で20分間実施した。
【0138】
この方法は、テンプレートとしてp53R248W(C→T)を含有するゲノムDNAを使用して実施し、R248W変異を含有する400bp、800bp、1.2kbおよび1.7kbフラグメントを増幅させた。このアッセイは、本発明がサイズが1.7kbまで、もしかするとそれより大きいPCRフラグメントにおける変異を検出できることを証明している(図16)。これらのアッセイでは、上方鎖の開裂(TET標識)もまた観察された。
【0139】
実施例21 p53R248W(C→T)を検出するためのマイクロDNAシーケンシング
マイクロDNAシーケンシングの方法は、図16Aおよび18Aに示されている。p53R248W(C→T)を含有するDNAフラグメントは非標識プライマーを用いてPCRを増幅させた。PCRプライマーの配列は表2Aに列挙し、PCR熱サイクル条件は表2Bに列挙した。p53R248W(C→T)を含有するPCRフラグメントを等量の野生型PCRフラグメントと混合した。TaqDNAポリメラーゼを除去するために、各12μLのPCR産物に対して1μLのプロテイナーゼK(20mg/mL、キアゲン製)を添加した。この反応物を70℃で10分間および80℃で10分間インキュベートしてプロテイナーゼKを不活化した。その後この混合物を94℃で1分間、65℃で15分間加熱することによってヘテロ二重鎖フラグメントを形成させ、さらに室温へ冷却した。PCRフラグメントは10mM Tris(pH7.5)および過剰dNTPを用いて2回洗浄し、エンドV開裂反応の前にマイクロコン30フィルター(ミリポア製)遠心段階によってプライマーを除去した。
【0140】
TmaエンドV開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、、200ng PCRへテロ二重鎖フラグメント、5mM MgCl2、1.5Mベタイン、2%DMSO、および500nMTmaエンドVを含有するバッファー中で65℃で1時間実施した。エンドV反応後、フラグメントを再度洗浄してベタインおよびDMSOを除去した。連結は、20mM Tris−HCl(pH7.6)、5mM MgCl2、50mM KCl、10mM DTT、1mM NAD+、および20μg/mL BSAを含有するバッファー中での1〜6nM Tsp.AK16Dリガーゼの存在下で、65℃で20分間実施した。連結後、この混合物を65℃で20分間インキュベートし、その後洗浄して塩を除去した。
【0141】
ニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物は、DNAポリメラーゼIクレノウフラグメントを用いてニック3’から5’へ数ヌクレオチドを切断し戻した。この反応混合物(40μL)は、1×大腸菌DNAポリメラーゼIバッファーおよび20単位のDNAポリメラーゼIクレノウフラグメントを含む連結反応物からの120ng DNAを含んでいた。この混合物を37℃で30分間インキュベートした。この反応生成物を引き続きシーケンシング反応のための基質として使用した。
【0142】
DNAシーケンシング反応物は、クレノウフラグメント反応物からの30ng DNA、20μM dNTP、20μM ddGTP、224μM ddTTP、22μM ddATP、32μM ddCTP、1×シーケンシングバッファー、および1μLのTaqDNAポリメラーゼFS(パーキン・エルマー製:ロット番号361451005)を含有していた。4種のジデオキシヌクレオチドの比率(A:C:G:T=0.11:0.16:0.10:1.12)は、参照として本明細書に組み入れられるRosenblum B.B.ら、「改良DNAシーケンシングパターンのための新規色素標識ターミネーター(New Dye−Labeled Terminators for Improved DNA Sequencing Pattern)」,Nucleic Acids Res .,25:4500−4(1997)から採用した。この反応混合物はPE GeneAmp PCRシステム2400サーモサイクラーを使用して60℃で30分間インキュベートした。過剰のBigDyeジデオキシヌクレオチドは反応混合物をセントリ・セップ(Centri−Sep)(登録商標)スピンカラムP/N CS−90(プリンストン・セパレーション(Princeton Separation)製、アデルフィア、NJ)上に装填し、3,000rpmで2分間超遠心することによって除去した。5μLの溶離液を等量のGeneScan停止液(50mM EDTA、80%ホルムアミド、および1%ブルーデキストラン)へ添加した。94℃で2分間加熱し、1μLの混合物を10%変性ポリアクリルアミドゲル上に装填し、1,000ボルト、60mA、150Wおよび45℃のゲル温度で電気泳動にかけた。ラン時間は約4時間であった。ランモジュールはEを濾過するように設定し、マトリックスはdRhodamineマトリックスへ設定した。データは、GeneScan解析(バージョン3.0a)を用いて解析した。図16Bを参照。
【0143】
配列結果を比較するために、標準dRhodamineDNAサイクリングシーケンシングもまた実施した。このシーケンシング反応のためのDNAテンプレートは非標識PCRプライマーを用いて増幅させたPCR産物であった。その後、検体は10mM Tris(pH7.5)を用いて2回洗浄し、過剰なプライマーはマイクロコン30フィルター(ミリポア製)遠心段階によって除去した。非標識PCRプライマーの一つはその後シーケンシングプライマーとして使用されるべく添加された。標準DNAシーケンシングはABI Prism dRhodamine Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit(パーキンソン・エルマー製)を使用して実施した。8.0μLのターミネーター用準備ができた反応混合物、6.0μLのPCR産物(10ng/L)、1.0μLの各PCRプライマー(3.2μM)、および7μLのddH2Oを含有する20μLの反応混合物は、PE GeneAmp PCRシステム2400サーモサイクラー中で96℃で10秒間、50℃で5秒間、および60℃で4分間から構成される25サイクルでインキュベートした。反応後、混合物に2μLの3M NaAc(pH.4.6)および50μLの95%エタノールを添加することにより沈降させ、これを氷上に10分間置いた。最高速度で15〜20分間に渡りマイクロ遠心し、70%エタノールを用いてペレットをすすぎ洗い、乾燥させた。その後ペレットを4μLのDNAシーケンシング・ローディングバッファー(5mM EDTA、1%ブルーデキストラン、および80%ホルムアミド)中に懸濁させた。95℃で2分間の加熱後、1〜2μLの混合物を10%変性ポリアクリルアミドゲル(小プレート)上に装填し、1,000ボルト、60mA、150Wおよび45℃のゲル温度で電気泳動にかけた。ラン時間は、ABI DNAシーケンサー377上で約4時間であった。ランモジュールはEを濾過するように設定し、色素セット/プライマーファイルはDT{dR Set Any−primer}へ設定した。シーケンシングパターンは、DNAシーケンシング解析ソフトウエア(バージョン3.0)を用いて解析した(図18を参照)。
【0144】
下方鎖のシーケンシング結果は、図18B(マイクロDNAシーケンシング)および図18C(標準DNAシーケンシング)に示した。G(青色)およびA(緑色)ピークが重複する位置はミスマッチの位置を示しており、変異がG→A(上方鎖についてはC→T)であることを示している。
【0145】
実施例22 7−デアザ−dGTPを含有するPCRフラグメント中のK−ras G12V変異の検出
TmaエンドヌクレアーゼVを用いてヌクレオチド類似体を使用する可能性を探索するために、PCR反応混合物中の正規dgtpの代わりに同一濃度の7−デアザ−dgtpを使用した。PCR反応は、野生型DNA(ht29)および変異DNA g12v(g→t)(sw620)を含有する細胞系からのゲノムDNAを使用してK−rasエキソン1を増幅させるためにセットアップした。PCRプライマーおよびPCRプログラム、Tma開裂およびTsp.DNA連結条件は標準条件と同一であった。7−デアザ−dgtpを含有するPCRフラグメントからの開裂生成物を比較するために、正規dgtpを含有するPCRフラグメントからの開裂生成物も同一ゲル上に装填した。
【0146】
7−デアザ−dGTPにおける7位は、窒素の代わりに炭素である(図17A)。PCR反応は、野生型DNA(HT29)および変異DNA G12V(G→T)(SW620)を含有する細胞系からのゲノムDNAを使用してK−rasエキソン1を増幅させるための準備をした。7−デアザ−dGTPを含有するPCRフラグメントからの開裂生成物と比較する際に、正規dGTPを含有するPCRフラグメントからの開裂生成物もまた同一ゲル上に想定した。7−デアザ−dGTPを含有するヘテロ二重鎖PCRフラグメントについては、(G→T)変異を含有する上方鎖の開裂が阻害されたが、(C→A)を含有する下方鎖の開裂は依然として存在している(図17B)。この結果は、TmaエンドヌクレアーゼVとグアニン中のN−7との接触の可能性を示した。7−デアザGの使用は不応G13D変異の開裂を許容しなかったが、開裂できない類似体を使用することによってG−C塩基対の安定性を低下させるという概念が強固であることが証明された。幾つかの追加の(非特異的)開裂生成物は、デアザGを含有する第2レーンで観察される。特にグアノシンを含むがハイブリダイゼーションを不安定化させるシトシンの代わりに、例えば2−ピリミジノンのようなまた代わりの類似体を考慮に入れることができる。
【0147】
実施例23 変異エンドヌクレアーゼ類
野生型テルモトガ・マリチマ エンドVは、ヒトゲノム内で発見されるSNPのほぼ98%を同定できる。残りのSNPを同定するために、または存在するSNPまたは変異上のより強固なシグナルを達成するためには、修飾または新規エンドV酵素類が必要になることがある。これは、ミスマッチ塩基特異性を変化させるためにテルモトガ・マリチマ エンドV内へ変異を導入すること、または相違するミスマッチ塩基特異性を有する相違する有機体からのエンドVを利用することのいずれかによって達成できる。変異テルモトガ・マリチマ エンドVまたは代替エンドVはこのアッセイで認識できる配列の繰返しを伸長させるために、野生型テルモトガ・マリチマ エンドVを用いた同一反応に使用できた。
【0148】
様々な真核生物、原核生物、および始原菌エンドVオルトログの一次配列アライメントは、進化的に保存されたと思われる数残基を解明した。9種の部位特異的変異体(D43A、Y80A、R88A、E89A、D105A、D110A、H116A、H125A、およびK139A)を構築したが、これらのうち5種(Y80A、R88A、E89A、H116A、およびK139A)は有用な変化した特異性を有すると思われる(表7参照)。
【0149】
(表7)TmaエンドV変異体の酵素活性および結合活性の要約
さらに、この解析はこの酵素にとっての触媒残基として2種のアスパラギン酸塩D43およびD105を同定した。
【0150】
有用なテルモトガ・マリチマ・エンドV変異体を開発するために使用したアプローチは、タンパク質−基質相互作用に含まれる位置での部位特異的変異体を作製することに基づいている。テルモトガ・マリチマ・エンドVは、天然発生デオキシリボヌクレオチド塩基(dA、dC、dG、およびdT)を含有するミスマッチと比較して、適合した基質またはミスマッチ基質のいずれかの内でのイノシンまたはウラシルを用いた有意に大きな開裂活性を証明している。このため、イノシンまたはウラシルに対する酵素の特異性を減少させることによって、および/または天然塩基に対する特異性を増加させることによって天然塩基に対する酵素の相対特異性を増加させることができる。
【0151】
基質に対するタンパク質特異性は、典型的には酵素のアミノ酸側鎖と基質の官能基との相互作用を含む。アミノ酸側鎖と種々の化学成分の基質成分(例、疎水性/極性相互作用)に関わる相互作用は、大きく基質結合を不安定化させ、特異的基質を利用する酵素の能力を劇的に低下させることができる。基質および天然発生デオキシリボヌクレオチド塩基を含有するイノシンおよびウラシルとの劇的に高い活性を伴うインビトロでの酵素機能は余り好都合には開裂されないので、これは1種以上の不安定化相互作用が強力に天然塩基と関連することを示唆している。このため、この酵素を酵素−ミスマッチ塩基相互作用の位置で突然変異を起こさせることによって、天然発生デオキシリボヌクレオチド塩基に好都合となるように酵素の特異性を変化させることができる。DNA基質内のウラシルを認識するヒトUDGを用いて、類似のアプローチが成功している。参照として本明細書に組み入れられるKavliら、The EMBO Journal,15:3442−47(1996)を参照。
【0152】
タンパク質−基質相互作用に直接関係する残基は、同一ファミリーの酵素間で保存される強度の傾向を有している。このため、一次アミノ酸配列アライメントにおいて、高度に保存された残基は突然変異誘発のための優れた候補を表している。突然変異誘発に適したテルモトガ・マリチマ・エンドVにおける位置を同定するために、PAM250残基重量表を用いたClustalWアライメントアルゴリズム(ペアワイズアライメント・パラメーター:Ktuple=1、ギャップペナルティ=3、ウィンドウ=5、およびDiagonals Saved=5;複数アライメント/パラメーター:ギャップペナルティ=10およびギャップ長ペナルティ=10)を使用して高温性および中温性始原菌および真核生物(即ち、テルモトガ・マリチマ(配列番号:37)、ピロバクルム・アエロフィウム(配列番号:38)、ピロコッカス・ホリコシ(配列番号:39)、ピロコッカス・アビッシ(配列番号:40)、ピロコッカス・フリオサス(配列番号:41)、アルカエグロブス・フルギドゥス(配列番号:42)、アエロピルム・ペルニクス(配列番号:43)、クロストリジウム・アセトブチリクム(配列番号:44)、ペスト菌(配列番号:45)、大腸菌(配列番号:46)、枯草菌(配列番号:47)、ネズミチフス菌(配列番号:48)、およびストレプトミセス・コエリカラー(Streptonyces coelicolor)(配列番号:49))からの13種の同定されたおよび推定されたエンドV酵素間で一次アミノ酸配列アライメントを実施した(図19)。アライメントに利用した酵素の大多数は推定エンドV酵素であるので、これらの酵素の大多数のミスマッチ特異性は不明である。その結果として、テルモトガ・マリチマ・エンドV中の候補残基を同定するためにアライメントを利用すると、同種酵素が類似または相違する特異性のどちらを有するのかを推定できる。類似特異性を有すると推定した場合は、エンドVの大多数に対して高度に保存されている残基が候補を提供する。相違する特異性を推定した場合は、2セットの高度に保存された残基が存在する位置は候補を表している。
【0153】
エンドVのファミリー間での類似のミスマッチ特異性を推定する解析では、1)大多数のエンドV酵素に対して高度に保存された、および2)突然変異誘発に対して最善に適しているテルモトガ・マリチマ・エンドV中の12残基(D43、F46、Y80、R88、E89、D105、D110、H116、R118、H125、K139、およびF180)が同定された。脂肪族炭化水素鎖(即ち、L、I、VおよびM残基)はタンパク質−基質相互作用において重要な役割を果たすことができるが、これらの残基との高度の保存の位置は列挙されていない。それはそれらが酵素の疎水性コアを安定化する際にも重要な役割を果たすことができるからである。さらに、高度に保存されたプロリン類およびグリシン類は、これらのアミノ酸残基と関連する独特の化学的および構造的影響のために突然変異誘発にためには避けなければならない。12種の初期セットから9種の部位特異的変異体(D43A、Y80A、R88A、E89A、D105A、D110A、H116A、H125A、およびK139A)およびこれらの変異エンドVs中5種(Y80A、R88A、E89A、H116A、およびK139A)は有用に変化した特異性を有すると思われる。これらの結果は、本発明が変化した特異性を付与するために変異するテルモトガ・マリチマ・エンドV位置を同定するために有用であることを証明している。極性基の化学的性質(例、水素結合供与体対水素結合受容体)はさらにまた基質特異性に強度の影響を及ぼす可能性があるので、これらの位置でのいっそうの変異は本発明の能力を拡大する変異エンドV酵素の生成を促進することができる(表8)。
【0154】
(表8)エンドV変異体、第1群
上記に示した実施例では、アラニンを置換するとミスマッチでの天然発生塩基のための不安定化残基を除去すると予想される。あるいはまた、電荷極性基を純粋疎水性残基を用いて変化させるとミスマッチでの天然発生塩基の安定性または結合親和性が増加することがある。さらに、正電荷または負電荷から残基を変化させると、ミスマッチでの天然塩基が優先されるように酵素の特異性が変化することがある。基質と酵素との間の相互作用は複雑な水素結合ネットワークを含む可能性があるので、天然塩基を含有するミスマッチへの酵素のより優れた活性を入手するためには表7に列挙した2個以上の残基を変化させることが必要になる。さらに、例えばD43EもしくはD105Eのような触媒性残基におけるかすかな変化は、ミスマッチでの天然発生塩基の触媒を支援することがある。
【0155】
エンドVファミリーの一部のメンバー間で異なるミスマッチ特異性を推定する解析において、2つの別個の保存配列セットを含有する2残基(G83およびI179)を同定した。例えば、テルモトガ・マリチマ・エンドVのI179と同種である残基は、極性荷電残基(K)または脂肪族残基(L,IまたはV)のいずれかである。この位置がそのミスマッチでDNA塩基との相互作用することに関係している場合は、残基の組成(極性および荷電対疎水性)はどの基質が優先されるのかに影響を及ぼすと考えられる。最初の突然変異誘発(例えば、I179K)のための基礎として所定の位置でテルモトガ・マリチマ・エンドVとは相違する保存されたセットを使用した(表9)。
【0156】
(表9)エンドV変異体、第2群
【0157】
変異テルモトガ・マリチマ・エンドV酵素を開発することに加えて、他の熱安定性エンドV酵素のクローニングは本発明において使用するためのまた別の、しかし機能的には類似の酵素源を提供する。本発明は、生成物が本発明の熱安定性リガーゼ段階と適合する限り、他の熱安定性エンドV酵素類、または他のエンドヌクレオチド結合分解性酵素類を利用することができる。テルモトガ・マリチマ・エンドVとは相違する基質特異性を含む熱安定性エンドVを利用することによって、本発明の能力をさらに拡大することができる。
【0158】
実施例24 結合エンドV/DNAリガーゼアッセイを使用した変異スキャニング
PCR/LDR/アレイおよびエンドV/DNAリガーゼ変異スキャニング両方の組み合わせを使用した結腸腫瘍DNA中のp53変異の解析は、自動シーケンシングより優れていることを証明した(表10を参照)。PCR/LDRとエンドV/DNAリガーゼを組み合わせることによって26のp53変異を有することが証明された検体23中8検体は自動シーケンシングでは見つけられなかった(65%真陽性、35%偽陰性)。エンドV/DNAリガーゼ変異スキャニングを用いて陽性であるとされた5検体における変異検出は、PCRフラグメントのゲル精製、および手動読み取りを用いた両方の鎖に再シーケンシングを必要とした。重要なことに、エンドV/DNAリガーゼ変異スキャニングは全4つのフレームシフト変異をスコア付けしたが、これはp53変異を有する検体のほぼ20%を説明している。このようなフレームシフト変異は、市販で入手できるp53ハイブリダイゼーションチップの検出能力を超えている。
【0159】
(表10)腫瘍検体中のp53変異の検出:ジデオキシシーケンシングとのPCR/LDRおよびエンドV/DNAリガーゼ変異スキャニングを用いる組み合わせ解析を使用した比較
* シーケンシング結果を入手するためにPCR産物のゲル精製を必要とした。
# PCR/LDRおよびエンドV/DNAリガーゼによって陰性とされた27中の任意の5個の検体のシーケンシングでは新規変異が明らかでない。
【0160】
3種のK−ras変異を使用した混合実験は、エンドV/DNAリガーゼ反応もまた高感度アッセイであることを証明した。1変異シーケンスを20野生型シーケンスを用いて希釈した場合は、変異をバックグラウンドの上方で検出できる。
【0161】
結腸腫瘍DNAは、約10〜50%の基質細胞浸潤を含む非顕微解剖検体から単離した。1つのp53対立遺伝子の変異には、染色体消失または有糸分裂不分離のどちらかを通して発生する他の対立遺伝子のヘテロ接合性の消失(「LOH」)が常に付随していた(即ち、両方の変異染色体が娘細胞へ)。従って、上記の検体からのDNAは90%:10%(10%基質を含む不分離に対して)から33%:67%(50%基質を含む染色体消失に対して)の変異p53:野生型対立遺伝子の範囲を有している。上記の検体を3検体のプール中のp53変異について再解析すると、エンドV変異スキャニングアッセイはまだ全変異体の存在を同定することができた。プールされた検体バンド中数個は個別検体からのバンドより強力で(オリジナルの検体がほとんど変異DNAであることを示唆している)、2、3のバンドは弱かったが、それでもまだ検出できた(オリジナルの検体が実質的な基質汚染を有していることを示唆している)。5または10検体さえのプール中で変異を検出する能力は、癌変異スコアリングを大きく改良する。
【0162】
実施例25 TmaエンドVの部位特異性突然変異誘発
エンドヌクレアーゼ活性のために重要なアミノ酸残基を同定するために、アラニンスキャニング突然変異誘発をテルモトガ・マリチマ・エンドVの9つの保存された位置で実施した(表11)。DDEモチーフ残基D43、E89、D110でのアラニン置換は、イノシン開裂活性を無効にする、または実質的に低下させる。これらの変異体はさらに金属イオンの不在下では二本鎖もしくは一本鎖イノシン基質への結合親和性も入手するが、これはこれらの残基が触媒性Mg2+の調整に関係していることを示唆している。Y80A、H116A、およびそれらより少ない程度でR88Aは、二本鎖もしくは一本鎖イノシン基質またはニック生成物への低い親和性を示す。ニックが入れられたイノシン生成物への緊密な結合の欠如は、生成物遊離が余り律速性ではないので、イノシン基質の代謝回転において観察された増加の原因である。Y80A、R88A、K139A、およびそれらより少ない程度でH116AはAPおよびウラシル基質に向かう低い活性を示す。塩基認識ポケット内またはその近くにあるそれらの位置と一致して、これらの残基は基質認識において重要な役割を果たす可能性がある。
【0163】
(表11)9個のTmaエンドV変異体のDNA開裂活性a
a開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2、10nM DNA基質、100nM精製TmaエンドV変異体を含有する20μL反応混合物中で65℃で30分間実施した。この反応は等量のGeneScan停止液を添加することによって終了させた。この反応混合物をその後94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの検体を10%GeneScan変性ポリアクリルアミドゲル(パーキン・エルマー製)上に装填した。電気泳動は、ABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)を使用して1,500ボルトで1時間実施した。ssI:一本鎖イノシン含有基質。プラス記号の数はイノシン−、ウラシル−、またはAP部位−含有鎖の開裂の程度を表している。(+++)=約10%;(++)=約5%;(+)=約2%;(−)開裂が観察されなかった。
【0164】
部位特異的突然変異誘発を使用して、R88(−→K,Q,E)、H116(−→Q,T,E)、およびK139(−→Q,E)での追加の変異を発生させた。これらの変異体は、コファクターとしてMg2+を使用する活性を実質的に消失していた。変異体中4つ(R88Q,R88E,H116Q,およびH116T)は野生型酵素より良好にMn2+における一定の基質を開裂した(図20のレーン12と比較してレーン4および6、および表12を参照)。変異体はおそらく野生型酵素よりはるかに少なく基質と結合し、その結果として非特異的結合および開裂が少ないので、この結果は驚くことではない。R88QおよびR88E酵素は、G:AおよびA:G両方のミスマッチ基質におけるG塩基を開裂することに野生型酵素より強力な優先を示した。重大なことに、「G」鎖の優先開裂部位は現在はミスマッチ塩基の3’側で優勢である(図20、レーン1および7、表12を参照)。野生型酵素はA:C基質におけるC鎖を開裂しないが、R88変異体は中レベルの活性をしており、「C」鎖の優先開裂部位は現在はこのミスマッチの3’末端から2塩基である(表12)。
【0165】
(表12)野生型および変異TmaエンドVを用いて処理した種々の基質の開裂強度
上付き文字(1〜6)は、開裂パターンおよび相対強度を示している。上付き文字がないものは、開裂パターンが野生型(WT)酵素と同様であることを示している。総開裂強度は切断されていない開始基質に基づいて推定した。(++++)=約30%;(+++)=約20%;(++)=約10%;(+)=約5%;(w)=約2%。
【0166】
TmaエンドV H116QおよびH116Tの両方は、正確に最後から2番目の位置での開裂を含む基質を含有するアデノシンに向かうほぼ排他的な活性を示した(図20、表12、レーン4および6)。「G」含有鎖に向かう活性はほとんど見られず、これはこれらの変異酵素が特異的ミスマッチ配列に対するより強力な酵素の開発に向かう第1段階であることを示唆している。R88およびH116変異体に対する開裂部位における変化は、異型酵素による結合特異的ミスマッチDNAにおける重大な柔軟性を示唆しており、さらに特異的ミスマッチについての非伝統的開裂を理解するための複数の結晶構造に対する必要を強調している。
【0167】
実施例26 アラニンスキャニング突然変異誘発
部位特異的突然変異誘発に対して重複伸長PCR法を使用した(参照してここにその全体が組み込まれるHo S.ら、Gene 77:51−59(1989)を参照)。NdeIおよびSpeIの対を用いて消化したPCR産物は同一対の制限エンドヌクレアーゼを用いて処理したクローニングベクターpEV5へ連結した。連結されたベクター類は、大腸菌菌株AK53(mrrB−、MM294)内へ形質転換させた。インサートを含有するプラスミドを再単離し、変異配列を同定してそれらの構築体にPCRエラーが含まれていないことを確証するために色素ジデオキシターミネーター化学を使用してABIシーケンサー上でシーケンシングした。変異TmaエンドヌクレアーゼV(nfi)遺伝子を含有する菌株は、50μg/mLアンピシリン(参照してここにその全体が組み込まれるNeidhart F.C.ら、J.Bacteriol.119(3):736−47(1974)を参照)を添加した5mLのMOPS培地中で37℃で一晩かけて発現させた。細胞ペーストは、300μLの音波処理バッファー中に懸濁させ、Sonifier Cell Disruptor 350(ブランソン(Branson)製)を使用して4×10秒間をかけて4℃で音波処理した。細胞破片を遠心によって除去した後、TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質を含有する上清を70℃で15分間インキュベートして宿主タンパク質を不活化した。変性したタンパク質は、遠心分離によって可溶性TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質から分離した。TmaエンドヌクレアーゼV変異体のタンパク質濃度は、既知量の野生型TmaエンドヌクレアーゼVを装填した12.5%SDS−PAGEゲルをスキャニングすることによって定量した。部分的に精製したタンパク質は1×TaqI保存バッファーを用いて1μMに希釈し、使用するまで−20℃で保存した。
【0168】
実施例27 異型エンドヌクレアーゼ類をアッセイするためのDNA開裂反応
蛍光標識デオキシオリゴヌクレオチド基質は、(参照してここにその全体が組み込まれるHuang J.ら、Biochemistry,40(30):8738−8748(2001))に記載されている通りに作製した。典型的なイノシン基質の配列(各々、配列番号:50〜51)は次の通りである。
上方鎖でのニック事象は、27nt標識生成物を生成するが下方鎖では38nt標識生成物を生成する。開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、他に規定されていない限り5mM MgCl2、10nM DNA基質、および指示された量の精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質を含有する20μL反応混合物中で65℃で30分間実施した。この反応は等量のGeneScan停止液を添加することで終了させた。この反応混合物をその後94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの検体を10%GeneScan変性ポリアクリルアミドゲル(パーキン・エルマー製)上に装填した。電気泳動は、ABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)を使用して1,500ボルトで1時間実施した。開裂生成物および残留基質は、GeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.0を使用して定量した。
【0169】
実施例28 ゲル移動度シフトアッセイ
結合反応混合物は、100nM二本鎖蛍光標識オリゴヌクレオチドDNA基質、5mM MgCl2もしくはCaCl2または2mM EDTA、2%グリセロール、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、および75mMのTmaエンドヌクレアーゼVタンパク質を含有している。結合反応は、65℃で30分間実施した。検体は、10mM MgCl2もしくはCaCl2または2mM EDTAを添加した1×TBバッファー中の6%天然ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動にかけた。結合および遊離DNA種は次の設定でFluorImager 595(モレキュラー・ダイナミクス製)を使用して解析した。1,000ボルトでPMT、488nmでの励起、530nmでの発光(フィルター530DF30)。データ解析は、ImageQuaNTバージョン4.1(モレキュラー・ダイナミクス製)を使用して実施した。
【0170】
実施例29 異型エンドヌクレアーゼ類によるDNA開裂
TmaエンドV変異体は、重複PCR法を通して生成し、75℃で15分間の熱処理を通して部分的に精製した。結果として生じた変異タンパク質には常在大腸菌エンドヌクレアーゼVが欠けている(参照してここにその全体が組み込まれるHuang J.ら、Biochemistry 40(30):8738−8748(2001)を参照)。開裂アッセイは、両方の鎖で蛍光標識したオリゴヌクレオチド基質を用いて実施した。以前の試験は、野生型TmaエンドVがイノシン部位でニックすることを証明した。酵素が過剰である場合は、これはイノシン含有鎖の反対側の相補的鎖を開裂する(参照してここにその全体が組み込まれるHuang J.ら、Biochemistry,40(30):8738−8748(2001)を参照)。野生型対照について予想されるように、上方のイノシン開裂生成物を表す青色バンドおよび下方の相補的鎖開裂生成物を表す緑色バンドが観察された(図21A)。幾つかの低分子量非特異的開裂生成物もまた観察された。D43AおよびD110Aは、いずれかの鎖を開裂するDNAエンドヌクレアーゼ活性を消失した。E89Aは限定されたイノシン鎖の開裂を示し、相補的鎖の開裂は検出できなかった。Y80A、R88A、H116A、およびK139Aはイノシン鎖に向かうwtレベルの開裂活性を維持したが、相補的鎖開裂活性は消失した。D105AおよびH125Aは、二本鎖基質中の本質的にイノシン含有鎖および相補的鎖の両方に向かうwt開裂活性を維持した(図21A〜C)。Mn2+は、非特異的開裂活性を増強したが、変異体の全開裂プロフィールはMg2+と類似のままであった(図21B〜C)。
【0171】
実施例30 異型エンドヌクレアーゼ類によるイノシン基質への結合
蛍光に基づくゲル移動度シフトアッセイを使用して9つのアラニン置換変異対間で基質結合を比較した(参照してここにその全体が組み込まれるHuang J.ら、Biochemistry,40(30):8738−8748(2001)を参照)。以前に報告されたように、wt TmaエンドVは金属コファクターの不在かでイノシン基質と安定性複合体を形成しなかった(参照してここにその全体が組み込まれるHuang J.ら、Biochemistry,40(30):8738−8748(2001)、および図22Aを参照)。興味深いことに、2つの触媒的に不活性な変異体D43AおよびD110Aは、今度はイノシン基質との別個の複合体を形成した。エンドヌクレアーゼ類上で実施された大多数の変異試験では観察されなかったが、制限エンドヌクレアーゼMunIはこのような特有の特性を示さない、即ち一部の金属結合残基での負電荷の排除は同族配列へ結合特異性を授与しない(参照してここにその全体が組み込まれるLagunavicius A.ら、Biochemistry,36(37):11086−11092(1997)を参照)。負電荷が中和金属イオンの不在下でカルボン酸塩類とリン酸塩との間の静電反発を惹起する可能性があることが示唆されている。負荷電AspもしくはGluをAlaと置換することによって、変異体は金属イオンが含まれていない場合でさえ同族配列へ結合できるようになる。D43AおよびD110A変異体の結合挙動を説明するために同様の概念を適用できるが、これはD43AおよびD110Aが触媒のために必要な二価金属イオンの協調に関わっていることを意味している。
【0172】
例えばMg2+またはCa2+のような金属コファクターの存在下で、変異体の大多数はwt酵素に匹敵する二本鎖イノシン基質への結合親和性を示した(図22B)。Ca2+は結合だけを支援して触媒は支援しないので(参照してここにその全体が組み込まれるHuang J.ら、Biochemistry,40(30):8738−8748(2001)を参照)、シフトしたバンドはES(酵素−基質)複合体を表す。他方Mg2+を用いて観察されたシフトしたバンドは、鎖開裂を原因とする酵素−ニックが入れられた生成物複合体を表す可能性がある。明白にも、Y80AおよびH116Aは、Ca2+を用いたゲルシフトデータによって判定されるようにもはやwt酵素ほど緊密には無傷イノシン基質へ結合しない(図22B)。さらにMg2+を用いたゲルシフトデータは、Y80AおよびH116Aが同様にニックが入れられた生成物への結合親和性を低下させた可能性があることを示唆した(図22C)。アラニン置換変異体がニックが入れられた生成物へのエンドヌクレアーゼ結合に及ぼす影響をより決定的に評価するために、ゲル移動度シフト解析は先行ニックを含む合成イノシンオリゴヌクレオチド基質を使用して実施した(図23)。Ca2+を用いたゲルシフト実験から、Y80A、R88A、およびH116Aが野生型(即ち、wt)酵素と同等に緊密にニックが入れられたイノシン生成物に結合できなかったことは明白である(図23A)。金属コファクターとして触媒的に有能な金属イオンMg2+を使用すると、H116Aはwt酵素のほぼ半分の緊密さでニックが入れられた生成物に結合した(図23B)。Y80Aは、別個のバンドシフトの検出を許容するために十分に長い半減期を有するニックが入れられた生成物への結合を維持しなかった(図23B〜C)。これらの結果は、例えばY80AおよびH116Aのような一部のエンドV異型がESおよびEP結合の両方に影響を及ぼし、他方ではR88Aは主として生成物遊離に影響を及ぼした可能性があることを示唆した。
【0173】
変化した結合挙動が二本鎖配列中のイノシン含有鎖の開裂動態をどのように変化させたのかを評価するために時間経過解析を実施した。この酵素が不足しているときは(E:S=1:10)、wt酵素はニックが入れられた生成物へ結合したままであったので限定された量の基質しか開裂しなかった(図24)。同様に、wtレベルの開裂活性および結合親和性を示した変異H125Aもまた、このイノシン含有二本鎖基質を代謝回転させることができなかった。ゲル移動度シフト解析によってニックが入れられたイノシン基質への親和性の低下を示した(図23)3つの変異体Y80A、R88A、およびH116Aは、今度はこの生成物を遊離することができ、複数代謝回転法でイノシン鎖をニックした(図24A)。最も顕著には、Y80Aによる開裂反応は0.04min−1の見かけの一次速度定数を用いてほぼ完了間近へ進行した。結合データと組み合わせた運動解析は、一部の変異体(Y80Aによって表される)が複数代謝回転を促進するために生成物遊離速度定数k3を増加させることによって反応動力学を変化させたことを示唆している(図24B)。
【0174】
実施例31 異型エンドヌクレアーゼ類による一本鎖イノシン基質の開裂および結合
一本鎖エンドヌクレアーゼ活性を評価するために、蛍光標識(Tet)イノシン含有一本鎖オリゴヌクレオチドを使用して開裂を試験した。大多数のエンドV異型は一本鎖イノシン含有基質に向かうwt開裂活性を維持した(図25A)。二本鎖イノシン含有基質を使用して入手した開裂結果と一致して(図21)、E89Aは重大に低下した開裂活性を有していたが、D43AおよびD110Aは一本鎖イノシン含有基質に向かっては不活性であった(図25A)。一本鎖イノシン含有基質の結合もまた大多数の変異体に対して金属コファクターを必要とした。しかしD43A、D110A、およびE89Aは金属イオンを使用せずに一本鎖イノシン含有基質へ結合することができ(図25B)、これは酵素、イノシン基質、および金属イオン間の一本鎖または二本鎖基質の両方についての類似の相互作用を示唆していた。一本鎖イノシン基質を使用した金属イオンの不在下でのE89Aによる別個のシフトバンドの形成は、E89がD43AおよびD110Aに類似する金属結合において類似の役割を果たせることを示唆している(図22Aおよび25B)。
【0175】
Ca2+の存在下での一本鎖イノシン含有基質の結合パターンは、本質的に二本鎖基質の結合パターンと同一である、即ち大多数の変異体は少なくともwt酵素と同一強度で結合親和性を示した。Y80AおよびH116Aもまたイノシン基質への低い親和性を示した(図25C)。Mg2+の存在下では、Y80AおよびH116Aは遊離DNAバンドの同時消失を伴う強度の低分子量バンドを示し、これは一本鎖基質の大多数が開裂されたことを示唆していた(図25D)。Ca2+を用いて結合の低下が所見されることを前提に、これら2つの変異体がもはや一本鎖ニック生成物に緊密には結合せず、これにより生成物から分離すると思われる。D43A、D110A、およびE89Aは、イノシン基質を開裂することも、はるかに低い速度で開裂することもできなかった(図25A)。予想された通りに、それらは移動度シフトゲルによって所見されたものとは別個の安定性複合体を形成した(図25D)。しかし、それらはwtおよびその他の触媒的に活性なエンドV変異体より高速で移動した。相違する移動パターンを説明する1つのシナリオは、wt酵素および一部の他の活性変異体の結合がニックが入れられたイノシン生成物の結合を惹起して(図25D)、これがより緩徐内動を生じさせることにある(参照してここにその全体が組み込まれるLane D.ら、Microbiol Rev .,56(4):509−28(1992)を参照)。D43、D110A、およびE89A変異体は陰電荷の消失のためにDNAを結合する能力を消失した可能性がある。
【0176】
実施例32 異型エンドヌクレアーゼ類によるウラシルおよびAP部位基質の開裂
TmaエンドV変異体のウラシルエンドヌクレアーゼ活性は、A/U、G/U、およびT/U基質を使用して評価した。D43、D110A、およびE89Aは、ウラシル基質のいずれに向かっても不活性であるが、これは提案された金属結合の役割と一致している(図26A〜C)。様々なイノシン基質に向かう野生型活性を示したD105Aは、ウラシル含有基質との野生型活性を本質的に維持した。H125Aは、G/UおよびT/U基質並びに野生型酵素を開裂した(図26B 〜C);しかし、これは完全な塩基対基質A/Uに対する活性を減少させた(図26A)。Y80Aは最小のウラシル開裂活性を有していた。R88A、H116A、およびK139Aは低いウラシル開裂を示した。これらの3種の変異体によるウラシル開裂の程度は、塩基対の性質によって影響を受けると思われた。基質が例えばA/Uのようなワトソン・クリック(Watson−Crick)塩基対を含有している場合は(図26A)、ウラシル開裂活性は最低であった。基質が例えばG/UまたはT/Uのようなミスマッチを含有している場合は、ウラシル開裂活性が増強された(図26B〜C)。これらの結果はA/UおよびT/U基質を使用したwt酵素の以前の時間経過解析と一致しており(参照してここにその全体が組み込まれるHuang J.ら、Biochemistry,40(30);8738−48(2001)を参照)、これはウラシルは局所的に変形されたミスマッチ環境において塩基認識のためのより良好なシグナルを提供することを示唆している。
【0177】
TmaエンドV変異体のAPエンドヌクレアーゼ活性は、A/AP基質を使用して評価した。大腸菌エンドヌクレアーゼIVは、熱安定性5’APエンドヌクレアーゼである(参照してここにその全体が組み込まれるLjungquist S.,J . Biol . Chem .252(9):p2808−04(1997を参照)。宿主APエンドヌクレアーゼの影響を防止するために、wtおよび変異エンドVはさらにHiTrap SPカラムクロマトグラフィー(アマシャム・ファルマシア・バイオテック製)によって精製した。カラム精製変異タンパク質を使用して、APエンドヌクレアーゼ活性は、どちらも一貫して他の基質に向かうwt DNA開裂活性を示していたD105AおよびH125Aを用いた場合にのみ観察された(図26D)。65℃のアッセイ条件下で、AP基質が特発性開裂を受け、対照レーンで所見されたように弱いバックグラウンドを発生した(図26D)。一部の境界APエンドヌクレアーゼ活性はH116Aと関連している可能性があるが、他の全変異体はAP開裂を排除した。
【0178】
金属結合および活性部位(D43、D110、E89) 本試験からの重大な所見の1つは、金属結合および触媒反応に含まれるアミノ算残基の同定である。生化学的試験から、エンドヌクレアーゼVが金属依存性DNAエンドヌクレアーゼであることが知られている(参照してここにその全体が組み込まれるHuang J.ら、Biochemistry,40(30);8738−48(2001)およびYao M.ら、J . Biol . Chem .,269(23):16260−08(1994)を参照)。この酵素は、金属コファクターとしてMg2+またはMn2+を用いた場合に最も活性である。以前の結合試験は、二価金属イオンが触媒反応のためだけではなく、安定性酵素−基質複合体の形成のためにも必要とされることを証明した(参照してここにその全体が組み込まれるHuang J.ら、Biochemistry,40(30);8738−48(2001)を参照)。多数のエンドヌクレアーゼ類に対して、例えばAspおよびGluのような数種の陰荷電アミノ酸残基が金属結合に含まれている(参照してここにその全体が組み込まれるCao W.ら、J . Biol . Chem .,273(49):33002−10(1998);Kim D.R.ら、Genes Dev .,13(23):3070−80(1999)およびKoval R.A.ら、Curr Opin . Chem . Biol .,3(5):578−83(1999)を参照)。金属イオンを調整するために、変異したこのような残基4個中3個(D43,D110,E89)が重要であると思われる。D43AおよびD110Aは、二本鎖および一本鎖イノシン基質(図21)および二本鎖ウラシルおよびAP部位基質(図26)を含む試験した全基質に向かうエンドヌクレアーゼ活性を無効にする。E89Aは、実質的に触媒活性を低下させた。しかし、全3種の変異体はイノシン基質に向かう野生型結合親和性を維持しているが、これはそれらが触媒作用において果たす重要な役割を示している。極めて興味深いことに、D43AおよびD110A、および一部の場合にはE89Aは、金属イオンの不在下でイノシン基質へ結合する。制限エンドヌクレアーゼMunIにおけるD83AおよびE89Aは、類似の結合挙動を示してきた(参照してここにその全体が組み込まれるLaugnavicius A.ら、Biochemistry,36(37):11086−92(1997)を参照)。より近年には、MunI結晶構造は活性部位で同族DNA位置D83AおよびE89Aと複合した(参照してここにその全体が組み込まれるDeibert M.ら、Embo . J .,18(21):5805−16(1999)を参照)。TmaエンドV中のD43およびD110、およびもしかするとE89は、切断可能なリン酸塩結合の加水分解のための触媒金属に結合することに含まれていると思われる。Ca2+競合は、EcoRVによるDNA開裂に含まれている多数の金属イオンを評価するためのプローブとして使用されてきた(参照してここにその全体が組み込まれるCao W.ら、Biochim . Biop hys . Acta,1546(1):253−60(2001)およびVipond I.B.ら、Biochemistry,34(2):697−704(1995)を参照)。同族部位開裂へのCa2+による刺激作用は、2金属触媒機序の指標であると見なされてきた。Ca2+−Mg2+競合ではイノシン開裂の増強は観察されなかった。従って、エンドヌクレアーゼVにおける鎖開裂に含まれている金属イオンの数はまだ決定されていない。
【0179】
Y80 Y80でのアラニン置換は、二本鎖および一本鎖イノシン基質(図22および25)並びにニックが入れられたイノシン生成物(図23)へのエンドVの親和性を実質的に低下させた。明らかに、弱い結合は生成物からのエンドV分離を助け、それによってイノシン基質の高速代謝回転を可能にする(図24)。APエンドヌクレアーゼおよびウラシルエンドヌクレアーゼ活性の消失は、さらに弱い結合親和性に帰することができる(図26)。これらの結果は、Y80がこの酵素と修復中間物との間で安定性複合体を維持することに重要な役割を果たすことを示唆している。Y80は、塩基接触またはリン酸塩バックボーン相互作用を通して基質および生成物と直接接触することによって、または他のアミノ酸残基によって媒介される接触のネットワークを組織化することによって、このような役割を果たすことができる。促進された生成物遊離の運動学的特性は、ヒトAPエンドヌクレアーゼAPE1においてR177Aに類似である(参照してここにその全体が組み込まれるMol C.D.ら、Nature,403(6768):451−56(2000)を参照)。DNA結合構造では、R177はAP部位上にAPE1へ固定するためにAP部位で3’リン酸塩へ直接接触する(参照してここにその全体が組み込まれるMol C.D.ら、Nature,403(6768):451−56(2000)を参照)。従って、リン酸塩バックボーン接触は、緊密な生成物結合に寄与することができる。
【0180】
R88AおよびH116 R88AおよびH116Aは類似の特性を示す。これらの異型はどちらも二本鎖イノシン基質およびニックが入れられた生成物への親和性を低下させ(図22〜23)、これはより高度の代謝回転を生じさせる(図24)。それらはwtレベルの一本鎖イノシン開裂活性を維持する(図25)。R88AとH116Aの間の主要な相違は、ウラシル基質にある。H116AはR88Aより、G/U基質については約9倍、T/U基質については5倍活性である(図26)。明らかに、R88はウラシル認識においてより重要な役割を果たす。
【0181】
K139 K139でのアラニン置換は、結合にほとんど作用を及ぼさない(図22〜23,25)。K139Aは、二本鎖イノシン基質I/Aに向かうwtレベルの開裂活性を維持する(図21)。wt酵素に類似して、K139Aは緊密な生成物結合のためにイノシン基質を開裂した後にさえ結合を維持する(図24)。エンドVへのK139A置換の主要作用は、非イノシン基質の開裂にある。APエンドヌクレアーゼ活性の欠如に加えて、K139Aはウラシルエンドヌクレアーゼ活性を実質的に低下させた(図26)。K139が種々の基質を用いて果たす可能性がある正確な触媒的役割を理解するためにはより詳細な運動学的解析が必要とされる。
【0182】
エンドヌクレアーゼVの触媒および認識機序の構造的根拠を解明するための第1段階として、TmaエンドヌクレアーゼVの9つの保存された位置でアラニンスキャニング突然変異誘発を実施した。D43およびD110は、E89と一緒に切断可能なリン酸塩結合加水分解のために金属イオンを調整する可能性があり、活性部位の一部である。Y80は基質およびニックが入れられた生成物結合に実質的に寄与する。基質への強力な結合の欠如はAP部位およびウラシル開裂活性の消失の原因である可能性があるが、この同一の特性がさらにまた、生成物遊離段階がもはや律速性ではなくなるようにイノシン含有基質を開裂する運動学を変化させる。R88AおよびH116Aは同様に結合段階へ影響を及ぼし、これは非イノシン基質に向かうエンドヌクレアーゼ活性の現象を生じさせた。K139Aによる緊密な結合は、イノシン基質の代謝回転を制限する。AP部位およびウラシル開裂の欠如は、K139Aは基質もしくは生成物結合以外の段階に影響を及ぼす可能性を示唆している。ここに記載した変異の作用を完全に理解するには、エンドV−DNA複合体構造の決定が待たれる。
【0183】
上記の位置で追加のTmaエンドヌクレアーゼV変異体の生成は、選択されたバッファー条件において野生型酵素より優れたミスマッチ塩基を含有する少なくとも1つのヘテロ二重鎖DNAを優先的にニックを入れる、または開裂するこれら異型中4種(R88Q,R88E,H116Q,およびH116T)を解明した。R88QおよびR88E酵素は、野生型エンドヌクレアーゼよりもG:AおよびA:Gミスマッチ基質の両方においてG塩基を開裂することに対する強力な優先を証明した。H116QおよびH116T酵素は、「A」塩基含有基質に向かうほとんど排他的活性を示した。「G」含有鎖に向かう活性はほとんどなく、これはこれらの異型酵素が特異的ミスマッチ配列に対するより強力な酵素を開発できるという原理の証拠であることを示唆している。このような酵素は、未知の変異および多型性のスコアリング、プーリング実験、および困難な配列環境における変異のための両方においてシグナル/ノイズ比を向上させる。
【0184】
本明細書に好ましい態様を詳細に描出かつ記載してきたが、当業者には本発明から逸脱せずに様々な変形、追加、置換等を行えることは明白であると思われることから、それらは特許請求の範囲に定義されたように本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0185】
【図1】図1はテルモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)(「Tma」)エンドVとTsp.AK16D DNAリガーゼの組み合わせを用いた変異スキャニング法を示している略図である。
【図2A−B】図2A〜BはTmaエンドヌクレアーゼVの精製を示している図である。図2Aは、精製されたエンドVの12.5%SDS−PAGEを示し、図2Bは精製されたエンドVのゲル濾過を示している。分子量マーカーはシグマ・ケミカル社(セントルイス、MO)から入手した。Veは溶出量、V0はボイド容量である。
【図3A−D】図3A〜Dは二本鎖イノシン含有基質上でのTmaエンドヌクレアーゼVの開裂アッセイを示している図である。図3Aは、GeneScanゲル(パーキン・エルマー製)上での蛍光検出を許容するために、上方鎖(配列番号:1)がFam標識されており、下方鎖(配列番号:2)がTet標識されているアッセイデザインである。両方の鎖におけるヌクレオチドの変化の位置には下線が引かれている。基質および優勢生成物の長さはマークされている。開裂部位は矢印によってマークされている。開裂反応は、様々なE:S(酵素:基質)比での5mM MgCl2の存在下で材料および方法の項に記載した通りに実施した。図3Bでは、E:S=1:10であり、基質と生成物との関係は矢印によって示した。図3Cでは、E:S=1:10であり、図3BおよびCの第1レーンは基質陰性対照である。図3Dは、開裂部位の場所を示している。長さマーカーは、図3Aに示したように上方鎖または下方鎖と同一の合成オリゴヌクレオチドであった。
【図4A−B】図4A〜BはMg2+またはMn2+が様々な濃度の場合のTmaエンドヌクレアーゼVの塩基ミスマッチ開裂活性を示している、開裂生成物の相対蛍光強度対MgCl2濃度のプロット図である。
【図5A−D】図5A〜DはTmaエンドヌクレアーゼVがMg2+またはMn2+の存在下で様々な相違する単一塩基ミスマッチを開裂させる能力を示している図である。
【図6A−B】図6A〜BはAPおよびウラシル部位の開裂および結合を示している図である。図6Aは、塩基性部位(AP部位)またはデオキシウリジンを含有する二本鎖オリゴヌクレオチド類の開裂を示している。1:未処理基質対照;2:AP部位対照として50mM NaOH中で95℃で1分間インキュベートされたAP基質;3および10:オリゴヌクレオチド長さマーカー;4および7:1nM TmaエンドV(E:S=:10);5および8:10nM TmaエンドV(E:S=1:1);6および9:100nM TmaエンドV(E:S=10:1)。図6Bは、APおよびウラシル部位のゲル移動度シフトアッセイの図である。反応は、20nM二本鎖オリゴヌクレオチドDNA基質、5mM CaCl2および下記に規定する指示量のTmaエンドVを用いて実施した。その他のバッファー構成要素は不変である。1:基質対照;2:10nM TmaエンドV;4および6:100nM TmaエンドV;7:イノシン基質対照;8:陽性対照としての20nMイノシン基質を含む100nM TmaエンドV。図6C〜Gは、TmaエンドヌクレアーゼVによる一本鎖および非特異的開裂および結合を示している図である。図6Cは、一本鎖オリゴヌクレオチドの開裂を示す。開裂反応は、5mM MgCl2または1mM MnCl2の存在下で10nM TmaエンドV用いて実施した(E:S=1:1)。NS:非特異的配列。図6Dは、プラスミド基質の開裂を示している。開裂反応は、5mM MgCl2または1mM MnCl2の存在下で10nM pFB76プラスミドを用いて実施した。M:1kb DNAラダー;レーン1:無傷プラスミドpFB76;レーン2:100nM TmaエンドVは用いるが金属コファクターは添加せずに実施した開裂反応;レーン3および6:E:S=1:10;レーン4および7:E:S=1:1;レーン5および8:E:S=10:1。図6E〜Gは、一本鎖イノシン基質の結合を示している。結合反応混合物は、100nM一本鎖イノシン基質、2mM EDTA(図6E)または5mM MgCl2(図6F)または5mM MnCl2(図6G)、20%グリセロール、10mM HEPES(pH7.4)、1mM dTT、および10nM−1μm TmaエンドVを含有していた。反応混合物を65℃で30分間インキュベートし、その後6%天然ポリアミドゲルへ装填した。レーン1:E:S=0;レーン2:E:S=1:10;レーン3:E:S=1.2;レーン4:E:S=1:1;レーン5:E:S=5:1;レーン6:E:S=10:1。
【図7A−B】図7A〜BはTmaエンドヌクレアーゼVの塩基ミスマッチ開裂活性にpHが及ぼす作用を示している図である。
【図8】図8はTmaエンドヌクレアーゼVの塩基ミスマッチ開裂活性のためのNaCl至適濃度を示している図である。
【図9】図9はTmaエンドヌクレアーゼVの塩基ミスマッチ開裂活性にDMSO濃度が及ぼす作用を示している、開裂生成物の相対強度対DMSO濃度のプロット図である。
【図10A−B】図10A〜BはTmaエンドヌクレアーゼVの塩基ミスマッチ開裂活性にベタイン濃度が及ぼす作用を示している開裂生成物の相対強度対ベタイン濃度のプロット図である。
【図11A−B】図11A〜Bは開裂生成物の相対強度対KCR濃度のプロット図である。図11Aは、TmaエンドVを用いたPCRフラグメントの開裂にはNaClの濃度が低い、またはゼロであることが好ましいことを示している。図11Bは、TmaエンドVを用いての開裂反応に及ぼすKClの阻害作用を示している。
【図12】図12はTmaエンドVの活性を時間に関して開裂反応と関連付ける相対強度対時間のプロット図である。
【図13A−B】図13Aは、プライマー標識および開裂生成物の予想サイズを示しているK−rasエキソン1アンプリコンの略図である。図13Bは、本発明がK−ras遺伝子中の点変異を検出する能力を示しており、引き続いて様々な量のDNAリガーゼと一緒にインキュベートすると、依然として正確な特異的開裂生成物を維持しながら非特異的開裂生成物をシーリングすることが可能になる。
【図14A−C】図14A〜Cは本発明の感度を示している、蛍光の相対強度対変異/野生型の比率のプロット図である。
【図15】図15は本発明が、BRCA1およびBRCA2における小さな挿入/欠失、およびp53遺伝子中の点変異を検出する能力を示している図である。
【図16A−B】図16A〜Bは本発明が1.7kbのようにDNAの大きな領域内の変異を検出できることを要約して示している図である。図16Aは、プライマー標識および開裂生成物の予想サイズを示しているp53 1.7kbアンプリコンの略図である。図16Bは、本発明がp53遺伝子中の点変異を検出する能力を示しており、引き続いてDNAリガーゼと一緒にインキュベーションすると、依然として正確な特異的開裂生成物を維持しながら非特異的開裂生成物をシーリングすることが可能になる。
【図17A−C】図17A〜Bは、各々グアニンおよび7−デアザ−グアニンに対する化学式を示している。図17Cは、PCRフラグメントが7−デアザ−dGを含有しているときのTmaエンドVの塩基ミスマッチ開裂活性を証明している。
【図18A−C】図18Aは、DNAマイクロシーケンシングプロセスの略図である。図18B〜Cはマイクロシーケンシング反応の配列解析トレースの図である。
【図19】図19は高温性および中温性の古細菌および真核生物由来の同定された13種の推定エンドV酵素類のアライメントの結果を表している。
【図20】図20は、A:GおよびG:Aミスマッチを含有する合成基質上での変異エンドV R88Q、R88E、H116Q、およびH116Tの活性を示している図である。開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、1mM MnCl2、20nM DNA基質、および20nM精製TmaエンドV変異体を含有する20μL反応混合物中で65℃、30分間で実施した。この反応は等量のGeneScan停止液を添加することによって終了させた。その後反応混合物を94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの検体を10%GeneScan変性ポリアクリルアミドゲル(パーキン・エルマー製、フォスターシティ、カリフォルニア州)上に装填した。ABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)を使用して、電気泳動を1,500ボルトで1時間実施した。レーン1〜12は、10%変性ポリアクリルアミドゲル上で解析した開裂生成物を示している。対照として、野生型エンドVについても各々10nN(WT、レーン9,10)および3nM(WT1、レーン11および12)でアッセイした。
【図21A−C】図21A〜Cは二本鎖イノシン含有基質(I/A)上でのTmaエンドヌクレアーゼV変異体の開裂活性を示している図である。イノシン含有基質(上方鎖)はFam標識されており、反対側の鎖(下方鎖)はTet標識されている。Cntl:基質対照(図21A)。図21Bでは、開裂反応は5mM MgCl2の存在下で10:1(S=10nM)のE:S(酵素:基質)比で実施した。図21Cでは、開裂反応は5mM MnCl2の存在下で1:1(S=10nM)のE:S(酵素:基質)比で実施した。
【図22A−C】図22A〜CはTmaエンドヌクレアーゼV変異体のゲル移動度シフトを示している図である。Cntl:基質対照。図22Aでは、MgCl2の代わりに2mM EDTAを使用してイノシン含有二本鎖基質(I/A)を用いてゲル移動度シフトアッセイを実施した。図22Bでは、CaCl2の存在下でイノシン含有二本鎖基質(I/A)を用いてゲル移動度シフトアッセイを実施した。図22Cでは、MgCl2の存在下でイノシン含有二本鎖基質(I/A)を用いてゲル移動度シフトアッセイを実施した。
【図23A−B】図23A〜Bはニックが入れられたイノシン生成物を用いたTmaエンドヌクレアーゼV変異体のゲル移動度シフトを示している図である。Cntl:基質対照。図23BAでは、CaCl2の存在下でニックが入れられたイノシン含有二本鎖基質(I/A)を用いてゲル移動度シフトアッセイを実施した。図23Bでは、MgCl2の存在下でニックが入れられたイノシン含有二本鎖基質(I/A)を用いてゲル移動度シフトアッセイを実施した。
【図24A−B】図24A〜BはTmaエンドV変異体によるイノシン開裂の時間経過解析を示している。開裂反応は、5mM MgCl2の存在下で1:10(S=10nM)のE:S(酵素:基質)の比率を用いて実施した。反応はGeneScan解析のための特定時点で終了させた。楕円:TmaエンドV。
【図25A−D】図25A〜Dは一本鎖イノシン基質の結合および開裂を示している図である。Cntl:基質対照。図25Aは、TmaエンドV変異体による開裂を示している。開裂反応は、5mM MgCl2の存在下で1:1(S=10nM)のE:S(酵素:基質)の比率を用いて記載されたように実施した。図25Bは、金属コファクターを使用しないTmaエンドV変異体のゲル移動度シフトを示している。図25Cは、5mM CaCl2と一緒にTmaエンドV変異体のゲル移動度シフトを示している。図25Dは、5mM MgCl2と一緒にTmaエンドV変異体のゲル移動度シフトを示している。
【図26A−D】図26A〜DはウラシルおよびAP部位基質上でのTmaエンドV変異体の開裂活性を示している図である。開裂反応は、5mM MgCl2の存在下で10:1(S=10nM)のE:S(酵素:基質)の比率を用いて実施した。Cntl:基質対照。図26Aは、A/U基質の開裂を示している。図16Bは、G/U基質の開裂を示している。図26Cは、T/U基質の開裂を示している。図26Dは、AP部位基質(A/AP)の開裂を示している。
【0001】
本出願は、2000年12月1日に出願された米国仮特許出願第60/250,435号明細書の恩典を主張する。
【0002】
本発明は、補助金番号第ROI−CA65930号および第ROI−CA81467号の下で国立保健研究所によって後援された研究から生まれた。米合衆国政府は一定の権利を保有できる。
【0003】
発明の分野
本発明は、結合エンドヌクレアーゼ(「エンド」)開裂および連結(ライゲーション)反応を使用した核酸の相違の検出に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
DNA配列変化の検出
基礎研究および臨床研究のいずれにおいても、DNA配列変化を高効率かつ高精度で同定することが大いに必要である。かかる変化を検出するための現行技術は、2つのグループに分けることができる。1)既知の変異または多型性の検出、および2)未知の変異または多型性の検出(変異スキャニングとも呼ばれる)。既知の変異および多形性を検出するために種々の有効な方法が開発されており、それらの方法には例えば直接DNAシーケンシング、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、対立遺伝子特異的PCR、DNAアレイ、およびPCR/LDRが含まれる。未知の変異を検出するためにも様々な方法があるが、これらの感度および精度は大きく相違する。
【0005】
臨床検体中の未知の変異を同定するための高処理技術の比較
臨床検体中の未知の変異を同定することは、既知の変異並びに一部の新規合併症についてのスクリーニングと類似の困難を提示する。腫瘍検体中に存在する変異は、基質汚染のためにその遺伝子に対するDNA配列の15%しか表していない場合がある。このため未知の変異についてのスクリーンは、低存在率配列を同定するために高感度を必要とする。大多数の癌遺伝子は変化させられる可能性がある複数のエキソンを含有しているので、広く変異した遺伝子(例、PTEN)についてさえ、単一エキソンのほとんどのアッセイ結果は陰性であると考えられる。しかし、検体をまとめてプールすることによって、所定のアッセイにおいて有意な変異を発見する確率が増加する。検体をプールすることによりスクリーンの能力を増加させるためには、この方法はプーリングの結果として生じるそれ以上の変異希釈を許容するために十分に高い感度を有していなければならない。さらに、異常な生殖細胞系の変異に対しては、検体をプールする能力は複数エキソンにおいて極めて多数の検体を評価するスループットを向上させる。
【0006】
未知の癌変異をスクリーニングすることに関連するその他の重大な厄介な問題は、下記の段階を行う必要である。(i)フレームシフト、ノンセンス、もしくはミスセンス変異のいずれであるかを同定する段階、および(ii)生殖細胞系(即ち、サイレント)多型性からミスセンス変異を区別する段階。後者は、多型性がヒトゲノム内では1kb毎にほぼ1回存在すると推定されるので、極めて重要である。Wang D.G.ら、Science,280(5366):1077−82(1998)、Li W.H.ら、Genetics,129(2):513−23(1991)、Lai E.ら、Genomics,54(1):31−38(1998)、Nickerson D.A.ら、Nat . Ge net,19(3):233−40(1998)、Harding R.M.ら、Am . J . Hum . Genet .,60(4):772−89(1997)、Taillon−Miller P.ら、Genome Res .,8(7):748−54(1998)、Halushka M.K.ら、Nat . Genet .,22(3):239−47(1999)、およびCargill M.ら、Nat . Genet .,22(3):231−38(1999)を参照。明らかに重要性の低い多型性を分離すれば、情報を提供する変異を同定する際の効率が有意に増加するはずである。あいにくなことに、臨床的有意性を備えた追加の希頻度変異を同定する現在の方法は、それらの適用が限定されている。現在までの大多数の方法は、識別するための精度または有効な方法であるための感度のいずれかが欠如している。その結果として、緻密な変異を同定する可能性およびプールされた検体中で腫瘍または生殖細胞系DNAを分析する感度を備えたスキャニング法に対する差し迫った必要がある。
【0007】
直接シーケンシングおよび変化検出アレイ
様々な方法が、未知の変異についてスキャンするために開発されてきた。直接シーケンシングは、あらゆる変異およびその位置を検出できる理想を表しているが、高処理は費用がかかる。Gyllensten U.B.ら、Proc . Natl . Acad . Sci . USA,85(20):7652−56(1988)、Hultman T.ら、Nucleic Acids Res .,17(13):4937−46(1989)、Phear G.A.ら、Methods Mol . Biol .,31:247−56(1994)、Rao V.B.,Anal . Biochem .,216(1):1−14(1994)、Kovach J.S.ら、J . Natl . Cancer Inst .,83(14):1004−9(1991)。この方法は感度が低いためにプールされた検体の正確な解析を妨げ、さらに充実性腫瘍検体に関しては、この方法は基質の汚染に対して脆弱である。盲験試験では、直接シーケンシングは顕微解剖された腫瘍検体中でK−ras変異の20%を同定することができなかった。この数は、肺腫瘍検体中のp53変異の24%が同定されなかった他の試験と一致している。Ahrendt S.ら、Proc . Natl . Acad . Sci . USA,96:7382−87(1999)。自動シーケンス解析をこれらの同一肺腫瘍検体に対して実施すると、この偽陰性値は32%へ上昇した。Ahrendt S.ら、Proc . Natl . Acad . Sci . USA,96:7382−87(1999)。これらの結果は直接シーケンシングに結び付いた感度の限界を反映しており、さらにこのアプローチを自動化するのが困難であることを証明している。検体が特定領域において変異を有することが分かっている場合は、直接シーケンシングを反復して試みれば変異およびその位置を同定することができるはずである。このため直接シーケンシングには、事前に変異を含有することが同定された遺伝子領域において変化した正確な塩基を同定するための第2段階としての有用性があるかも知れない。
【0008】
変化検出アレイ(VDA)は、所定の遺伝子中の大きな配列ブロックをスキャンするために標準ハイブリダイゼーション・マイクロアレイを使用する。スキャニング能力のレベルは高いにもかかわらず、このアプローチは有用性を制限する幾つかの特徴を有している。VDAは、すべての変異を検出することはできず、例えばBRCA2およびp53遺伝子中のフレームシフト変異を検出するのは特に困難である。Ahrendt S.ら、Proc . Natl . Acad . Sci . USA,96:7382−87(1996)、Hacia J.G.ら、Nature Genetics,14(4):441−47(1999)。プライマー伸長アレイもまた、モノヌクレオチド反復配列のスリップを検出することができない。Syvanen A.C.ら、Hum . Mutat .,3(3):172−79(1994)。VDAを使用した場合には11〜21%の高い偽陽性率が観察されている。Halushka M.K.ら、Nat . Genet .,22(3):239−47(1999)。これらの不正確な結果の原因となった可能性がある直接ハイブリダイゼーションの1つの結果には、二次構造の破壊が含まれる。完全適合PCRフラグメントは、異型フラグメント中に存在しない二次構造を想定している。二次構造は、通例はフラグメント/アレイハイブリダイゼーションに関してエネルギー的に好ましくなく、異型フラグメントは真の完全適合フラグメントより高度の結合親和性でアレイ上の完全適合補体に結合することができる。Hacia J.,Nature Genetics(Supplement),21:42−47(1999)。このような非正統的ハイブリダイゼーションは、偽陽性シグナルを生じさせうる。変異含有PCRフラグメントからアレイ上の配列への直接ハイブリダイゼーションは、G+CおよびA+T両方の高含量の局在化領域とともに同時に配列路をアッセイすることの追加の困難を有している。Hacia J.,Nature Genetics(Supplement),21:42−47(1999)。これらの配列路内の一定の変異は、Tmを有意に減少させ、従って偽陰性シグナルを引き起こす可能性がある。
【0009】
ゲルに基づくアッセイ、ミスマッチ開裂酵素、および短縮タンパク質アッセイ
未知の変異を検出するために広く使用されるその他の方法は、相違する電気泳動移動挙動に基づいてホモ二重鎖およびヘテロ二重鎖DNAを分離する。これらの方法には、一本鎖構造的多型性(SSCP)(Suzuki Y.ら、Oncogene,5(7):1037−43(1990)、Makino R.ら、PCR Methods Appl .,2(1):10−13(1992)、Hayashi K.,PCR Methods Appl .,1(1):34−38(1991)、Korn S.ら、J . Clin . Pathol .,46(7):621−23(1993))、変性勾配ゲル電気泳動法(DGGE)(Fahy E.ら、Nucleic Acids Research,25(15):3102−9(1997)、Fodde R.ら、Hum . Mutat .,3(2):83−94(1994)、Guldberg P.ら、Nucleic Acids Res .,22(5):880−81(1994)、Ridanpaa M.ら、Hum . Mol . Genet .,2(6)639−44(1993)、Ridanpaa M.ら、Mutat . Res .,334(3):357−64(1995))、定常変性キャピラリー電気泳動法(CDCE)(Chen J.ら、Environ . Health Perspect,3:227−29(1994)、Khrapko K.ら、Nucleic Acids Res .,22(3):364−69(1994))、ジデオキシフィンガープリンティング(ddf)(Sarkar G.ら、Genomics,13:441−43(1992))、および制限エンドヌクレアーゼフィンガープリンティング法(REF)(Liu Q.ら、Biotechniques,18(3):470−77(1994))が含まれる。類似のアプローチである変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)もまた、ヘテロ二重鎖DNAからホモ二重鎖を分離するが、これはアルキル化非多孔性(スチレンジビニルベンゼン)粒子上でのイオン対逆相液体クロマトグラフィーによる分離に基づいている。Underhill P.A.ら、Genome Res .,7(10):996−1005(1997)。これらの方法は幾つかのは極めて望ましい特徴を含むが、上記で考察したスループットおよび感度の両方に関して完全な方法は1つもない。多型性の位置を同定できる方法(ddFおよびREF)は、プールされた検体中の低レベル変異を評価するためには適切ではない。残りの方法はどちらかと言えば高速で低レベル変異を検出できるが、サイレント多型性からミスセンスを識別することはできない。さらに、これらの方法は変異の位置を定位しないので、例えば直接シーケンシングのようなフォローアップ方法とは余り適合しない。
【0010】
APC遺伝子中のフレームシフトまたは終止コドンを検出するための洗練されたアプローチは、タンパク質短縮法(protein truncation test)と呼ばれる結合転写翻訳アッセイを使用する。Powell S.M.ら、Nature,359(6392):235−37(1992)、Powell S.M.ら、N . Engl . J . Med .,329:1982−87(1993)、Redston M.S.ら、Gastroenterology,108(2):383−92(1995)、Petersen G.M.ら、Hum . Genet .,91(4):307−11(1993)、Su L.K.ら、Cancer Res .,53(12):2728−31(1993)。この方法は現在、大きな遺伝子において短縮タンパク質を生成する変異を発見するために最も強力なアプローチである;しかし、この方法ではミスセンス変異または多型性を検出することはできない。多型性は、RNase Aミスマッチ開裂を通しての例えばDNA−RNAヘテロ二重鎖のようなDNAハイブリッド(Winter E.,Proc . Natl . Acad . Sci . USA,82(22):7575−79(1985)、Perucho M.ら、Cancer Cells,7:137−41(1989)、Myers R.M.ら、Science,230(4731):1242−46(1985))、並びに化学的ミスマッチ開裂(CCM)を通してのDNA−DNAホモ二重鎖(Cotton R.G.H.ら、Proc . Natl . Acad . Sci . USA,85(4397−401(1988)、Hansen L.L.ら、PCR Primer:A Laboratory Manual(PRCプライマー:実験マニュアル)C.W.Diefenbach and G.S.Dveksler編集、Cold Spring Harbor Laboratory Press:New York、第275−86頁(1995)中の「Sensitive and Fast Mutation Detection by Solid−Phase Chemical Cleavage(固相化学開裂による高感度および高速変異検出)」、Haris I.I.ら、PCR Methods Appl .,3(5):268−71(1994))におけるミスマッチの開裂、T4エンドヌクレアーゼVIIもしくはMutY開裂(Youil R.ら、Proc . Natl . Acad . Sci . USA,92(1):87−91(1995)、Xu J.F.ら、Carcinogenesis,17(2):321−26(1996)、Giunta C.ら、Diagn . Mol . Pathol .,5(4):265−70(1996))、またはクリーバーゼ(Cleavase)によって同定できる。近年では、T4エンドヌクレアーゼVIIと類似の活性を備えた植物エンドヌクレアーゼCEL Iが報告されている。Oleykowski C.A.ら、Nucleic Acids Res .,26(20):4597−602(1998)。CEL Iは、ヌクレアーゼS1と類似の活性を有し、中性pHで作用する。その開裂効率およびバックグラウンドは試験されるミスマッチおよび特異的テンプレートに従って変化するので、さらにまだ他のテンプレート(例、GC富裕領域における)の詳細な評価が必要とされる。最も一般的に認められたミスマッチ開裂アプローチは、ミスマッチでの正常および多型性基質のヘテロ二重鎖を開裂させるためにT4エンドヌクレアーゼVIIもしくはMutYを使用することにより多型性の近似位置を同定する。Youil R.ら、Proc . Natl . Acad . Sci . USA,92(1):87−91(1995)、Xu J.F.ら、Carcinogenesis,17(2):321−26(1996)、Giunta C.ら、Diagn . Mol . Pathol .,5(4):265−70(1996)。これらの酵素開裂アプローチは、大多数の多型性の近似位置を同定する;しかしこれらの酵素はしばしばマッチDNAをニックし、高いバックグラウンドノイズを引き起こす。この高いバックグラウンドは充実性腫瘍試験に関して有用性を制限する傾向がある。
【0011】
そこで本発明は、先行技術における上記の欠点を克服することに向けられる。
【発明の開示】
【0012】
発明の概要
本発明の1つの局面は、正常標的塩基配列とは1つ以上の単一塩基の変化、挿入、または欠失によって相違する変異核酸配列を同定するための方法に向けられる。この方法には次の混合が含まれる。(1)潜在的に正常標的塩基配列並びに変異核酸配列を含有する検体;(2)標的塩基配列および変異核酸配列の相補的鎖上でのハイブリダイゼーションに適した2種の標識オリゴヌクレオチドプライマーを提供する段階;および(3)ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成するためにポリメラーゼを提供する段階。ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、オリゴヌクレオチドプライマーが標的塩基配列および/または変異核酸配列をハイブリダイズすることができるハイブリダイゼーション処理、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーが伸長されてそれにオリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズされる標的塩基配列および/または変異核酸配列に相補的な伸長生成物が形成される伸長処理、およびハイブリダイズされた核酸配列が分離される変性処理を含む1回以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルを受ける。ポリメラーゼが不活化された後、ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物は変性させられ、ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物はアニーリングされて潜在的に正常標的塩基配列および変異核酸配列を含有するヘテロ二重鎖生成物が形成される。ミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れるかまたは開裂するエンドヌクレアーゼは、その後ヘテロ二重鎖生成物と混合されてエンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が形成される。エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物は、エンドヌクレアーゼがミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖生成物に優先的にニックを入れるかまたは開裂するように混合される。リガーゼおよび潜在的にニックが入れられたまたは開裂されたヘテロ二重鎖生成物が混合されてリガーゼ再シーリング反応混合物が形成される。リガーゼ再シーリング反応混合物がインキュベートされると、完全適合塩基対でニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物がシーリングされるが、ミスマッチ塩基対に隣接する位置でのニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物は実質的に再シーリングはされない。リガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートすることから生じる生成物はサイズまたは電気泳動移動度によって分離され、正常標的塩基配列および変異核酸配列の存在はリガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートした結果として生じる分離された生成物を区別することによって検体中で検出される。
【0013】
本発明のまた別の局面は、正常標的核酸配列とは1つ以上の単一塩基の変化、挿入、または欠失によって相違する変異核酸配列を同定するための方法に関する。この方法では、潜在的に変異核酸配列を含有しているが必ずしも正常標的核酸配列を含有していない検体、正常標的核酸配列を含有する標準物質、変異核酸配列の相補的鎖上でハイブリダイゼーションに適した2種の標識オリゴヌクレオチドプライマー、およびポリメラーゼが混合されて、第1ポリメラーゼ連鎖反応混合物が形成される。第1ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、標識オリゴヌクレオチドプライマーが変異核酸配列にハイブリダイズできるハイブリダイゼーション処理、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーが伸長されてそれにオリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズされる変異核酸配列に相補的な伸長生成物が形成される伸長処理、およびハイブリダイズされた核酸配列が分離される変性処理を含む1回以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルを受ける。その後ポリメラーゼは不活化される。正常標的核酸配列、標識オリゴヌクレオチドプライマー、およびポリメラーゼが混合されて、第2ポリメラーゼ連鎖反応混合物が形成される。第2ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、標識オリゴヌクレオチドプライマーが正常標的核酸配列にハイブリダイズできるハイブリダイゼーション処理、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーが伸長されてそれにオリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズする正常標的核酸配列に相補的な伸長生成物を形成する伸長処理、およびハイブリダイズされた核酸配列が分離される変性処理を含む1回以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルを受ける。その後ポリメラーゼは不活化される。第1および第2ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物は変性させられ、その後アニーリングされて潜在的に正常標的塩基配列および変異核酸配列を含有するヘテロ二重鎖生成物が形成される。ミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れる、または開裂するエンドヌクレアーゼがヘテロ二重鎖生成物と混合されてエンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が形成される。エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物をインキュベートすると、エンドヌクレアーゼはミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖生成物に優先的にニックを入れる、または開裂する。リガーゼおよび潜在的にニックが入れられた、または開裂されたヘテロ二重鎖生成物が混合されると、リガーゼ再シーリング反応混合物が形成され、これがインキュベートされると、完全適合塩基対でニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物がシーリングされるが、ミスマッチ塩基対に隣接する位置でのニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物は実質的に再シーリングはされない。リガーゼ再シーリング反応混合物をインキューべーとした結果として生じる生成物はサイズまたは電気泳動移動度によって分離され、検体中の正常標的核酸配列および変異核酸配列の存在はリガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートした結果として生じる分離された生成物を区別することによって検出される。
【0014】
本発明のまた別の局面は、次のように完全に適合したDNAにニックを入れたときの連結に適した末端を生成し、ヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れる、または開裂する熱安定性エンドヌクレアーゼに関する。(1)塩基対がミスマッチである、またはミスマッチを1塩基越える場所で、および(2)塩基対がミスマッチである、またはミスマッチを1塩基越える場所でのA/A、G/G、T/T、A/G、A/C、G/A、G/T、T/G、T/C、C/A、またはC/Tミスマッチ塩基対で。代替場所(1)および(2)の各々で、完全に適合したDNAにニックを入れるときに連結に適した末端が生成される。本発明に従った熱安定性エンドヌクレアーゼは、ミスマッチの位置に下線が引かれ大文字で示されているgRcg、rcRc、cgYc、またはgYgy配列を有するものを除いて、いずれかの単一塩基変異または多型性のために形成された少なくとも1本のヘテロ二重鎖に優先的にニックを入れる、または開裂し、完全に適合したDNAでニックを入れるときに連結に適した末端を生成する。あるいはまた、ヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れる、または開裂する熱安定性エンドヌクレアーゼは、塩基対がミスマッチである、または不対塩基を1塩基越える場所で1、2、および3塩基の挿入もしくは欠失を含有しており、完全に適合したDNAでDNAにニックを入れるときに連結に適した末端を生成する。
【0015】
本発明のまた別の局面は、次のいずれかを含有するテルモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)からの変異エンドヌクレアーゼV(「エンドV」)である。(1)Y80A残基の変化;(2)Y80F残基の変化;(3)Y80L、Y80I、Y80V、もしくはY80Mのいずれかの残基の変化;(4)R88A残基の変化;(5)R88L、R88I、R88V、もしくはR88M残基の変化;(6)R88K残基の変化;(7)R88NもしくはR88Q残基の変化;(8)R88DもしくはR88E残基の変化;(9)R88TもしくはR88S残基の変化;(10)E89A残基の変化;(11)E89L、E89I、E89V、もしくはE89M残基の変化;(12)E89D残基の変化;(13)E89NもしくはE89Q残基の変化;(14)E89RもしくはE89K残基の変化;(15)E89TもしくはE89S残基の変化;(16)H116A残基の変化;(17)H116L、H116I、H116VもしくはH116M残基の変化;(18)H116KもしくはH116R残基の変化;(19)H116NもしくはH116Q残基の変化;(20)H116TもしくはH116S残基の変化;(21)K139A残基の変化;(22)K139L、K139I、K139V、もしくはK139M残基の変化;(23)K139R残基の変化;(24)K139NもしくはK139Q残基の変化;(25)K139DもしくはK139E残基の変化;(26)K139TもしくはK139S残基の変化;(27)D43A残基の変化;(28)D43E残基の変化;(29)D105A残基の変化;(30)D105E残基の変化;(31)F46A残基の変化;(32)F46Y残基の変化;(33)F46L、F46I、F46V、もしくはF46M残基の変化;(34)R118A残基の変化;(35)R118L、R118I、R118V、もしくはR118M残基の変化;(36)R118K残基の変化;(37)R118NもしくはR118Q残基の変化;(38)R118DもしくはR118E残基の変化;(39)R118TもしくはR118S残基の変化;(40)F180A残基の変化;(41)F180Y残基の変化;(42)F180L、F180I、F180V、もしくはF180M残基の変化;(43)G83A残基の変化;(44)G83L、G83I、G83V、もしくはG83M残基の変化;(45)G83KもしくはG83R残基の変化;(46)G83NもしくはG83Q残基の変化;(47)G83DもしくはG83E残基の変化;(48)G83TまたはG83S残基の変化;(49)I179A残基の変化;(50)I179KもしくはI179R残基の変化;(51)I179NもしくはI179Q残基の変化;(52)I179DもしくはI179E残基の変化;(53)I179TもしくはI179S残基の変化;(54)D110A残基の変化;または(55)H125A残基の変化。
【0016】
本発明のまた別の局面は、野生型エンドヌクレアーゼVではなくむしろミスマッチ塩基を含有する、少なくとも1つのヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れる、または開裂する変異エンドヌクレアーゼVに向けられる。
【0017】
本発明のまた別の局面は、正常標的核酸配列とは1つ以上の単一塩基の変化、挿入、または欠失によって相違する変異核酸配列を同定するための方法に向けられる。この方法では、潜在的に正常標的核酸配列並びに変異核酸配列を含有する検体、標的核酸配列および変異核酸配列の相補的鎖上でのハイブリダイゼーションに適した2種の標識オリゴヌクレオチドプライマー、およびポリメラーゼが混合されてポリメラーゼ連鎖反応混合物が形成される。ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、オリゴヌクレオチドプライマーが標的核酸配列および/または変異核酸配列にハイブリダイズできるハイブリダイゼーション処理、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーが伸長されてそれにオリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズする標的核酸配列および/または変異核酸配列に相補的な伸長生成物を形成する伸長処理、およびハイブリダイズされた核酸配列が分離される変性処理を含む1回以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルを受ける。ポリメラーゼが不活化された後、ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物が変性かつアニーリングさせられて潜在的に正常標的核酸配列および変異核酸配列を含有するヘテロ二重鎖生成物が形成される。ミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れる、または開裂するエンドヌクレアーゼおよびヘテロ二重鎖生成物が混合されてエンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が形成され、この反応混合物はエンドヌクレアーゼがミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖生成物に優先的にニックを入れる、または開裂するようにインキュベートされる。リガーゼおよび潜在的にニックが入れられた、または開裂されたヘテロ二重鎖生成物が混合されると、リガーゼ再シーリング反応混合物が形成され、これがインキュベートされると、完全適合塩基対でニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物がシーリングされるが、ミスマッチ塩基対に隣接する位置でのニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物は実質的に再シーリングはされない。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼおよび潜在的にニックが入れられた、または開裂されたヘテロ二重鎖生成物が混合されるとポリメラーゼヌクレオチド鎖分解性分解反応混合物が形成され、これはニックへ3’側の数個の塩基を取り除くために3’−5’ヌクレオチド鎖分解活性に有効な条件下でインキュベートされる。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を含むポリメラーゼが不活化された後、3’−5’活性を備えていないポリメラーゼおよびインキュベートされたポリメラーゼ分解反応混合物、標識ジデオキシターミネーター三リン酸ヌクレオチド類、およびデオキシリボヌクレオチド三リン酸類が混合されてポリメラーゼミニシーケンシング反応混合物が形成され、これは3’−5’活性を備えていないポリメラーゼのために有効な条件下でインキュベートされ、ニックが入れられた、または開裂されたヘテロ二重鎖生成物の3’末端が伸長されて、ミニシーケンシング反応生成物が形成される。このミニシーケンシング生成物はサイズもしくは電気泳動移動度によって分離され、さらに正常標的核酸配列および変異核酸配列の存在がポリメラーゼミニシーケンシング反応混合物をインキュベートした結果として生じる分離されたミニシーケンシング生成物を区別することによって検出される。
【0018】
本発明は、遺伝性または散発性癌の発生に関連する6種の遺伝子中の様々な変異についてスクリーニングする試験で証明されたように、未知のフレームシフト、ナンセンス、およびミスセンス変異を同定する際に効果的であることが証明されている。さらにその上、対の生殖細胞系DNAを腫瘍DNAと並行して評価できるので、本発明はミスセンス変異を近くの、または隣接する遺伝性多型性から区別することさえ許容する。このアッセイはさらに検出できる配列変化のタイプに関して極めて広い適用性を有しており、さらにヒトゲノムで見出される典型的変異または多型性の98%を同定することができる。さらに、このアッセイは1.7kb以上の長い領域における変異をスキャニングすることができる。本発明は、正常配列の高度のバックグラウンドにおいて変異を検出できる。本発明は、野生型DNAとの1:20の希釈率で変異または多型性を検出でき、さらに野生型DNAとの希釈率が1:50と低い場合にさえ変異/多型性を検出できる。この高い感度は、本発明をプールされた検体に対して敏感に反応させるので、従ってその処理能力を統計的に有意に増加させる。
【0019】
発明の詳細な説明
DNA配列の相違を検出する
本発明の1つの局面は、正常標的塩基配列とは1つ以上の単一塩基の変化、挿入、または欠失によって相違する変異核酸配列を同定するための方法に向けられる。この方法には次の混合が含まれる。(1)潜在的に正常標的塩基配列並びに変異核酸配列を含有する検体;(2)標的塩基配列および変異核酸配列の相補的鎖上でのハイブリダイゼーションに適した2種の標識オリゴヌクレオチドプライマーを提供する段階;および(3)ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成するためにポリメラーゼを提供する段階。ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、オリゴヌクレオチドプライマーが標的塩基配列および/または変異核酸配列をハイブリダイズすることができるハイブリダイゼーション処理、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーが伸長されてそれにオリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズされる標的塩基配列および/または変異核酸配列に相補的な伸長生成物が形成される伸長処理、およびハイブリダイズされた核酸配列が分離される変性処理を含む1回以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルを受ける。ポリメラーゼが不活化された後、ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物は変性させられ、ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物はアニーリングされて潜在的に正常標的塩基配列および変異核酸配列を含有するヘテロ二重鎖生成物が形成される。ミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れる、または開裂するエンドヌクレアーゼは、その後ヘテロ二重鎖生成物と混合されてエンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が形成される。エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物は、エンドヌクレアーゼがミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖生成物に優先的にニックを入れる、または開裂するように混合される。リガーゼおよび潜在的にニックが入れられた、または開裂されたヘテロ二重鎖生成物が混合されてリガーゼ再シーリング反応混合物が形成される。リガーゼ再シーリング反応混合物がインキュベートされると、完全適合塩基対でニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物がシーリングされるが、ミスマッチ塩基対に隣接する位置でのニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物は実質的に再シーリングはされない。リガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートすることから生じる生成物はサイズまたは電気泳動移動度によって分離され、正常標的塩基配列および変異核酸配列の存在はリガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートした結果として生じる分離された生成物を区別することによって検体中で検出される。
【0020】
本発明の第1段階は、ヘテロ二重鎖核酸フラグメントの作製である。好ましい態様では、野生型および配列変化(例、単一ヌクレオチドの変異または多型性、1つ以上のヌクレオチド挿入、および1つ以上のヌクレオチド欠失)の両方を含むゲノムDNAが標識オリゴヌクレオチドプライマーと一緒にPCR増幅させられる。プライマー中で蛍光、赤外線、放射性、またはその他の標識を使用できる。好ましい態様では、Taq DNAポリメラーゼもしくはその他のPCR酵素が、例えばプロテイナーゼKを用いる消化により不活化される。変異または多型性を含有するフラグメントおよび野生型PCRフラグメントの混合物が変性させられ、その後再アニーリングされてヌクレオチドミスマッチを含むヘテロ二重鎖PCRフラグメントが形成される。好ましい態様では、フラグメントをそれらのTm(熱融点)値より高温(一般には94℃以上)へ加熱することによって変性が達成され、再アニーリングは最初は50〜85℃、より好ましくは65℃へ5〜30分間、より好ましくは15分間冷却され、さらにその後室温へ5〜30分間、より好ましくは15分間冷却されることで達成され、その結果としてヘテロ二重鎖PCRフラグメントが形成される。また別の変性/再生手段を使用することもできる。最初の反応物中に、それから同時に別個の反応物中にも野生型ゲノムDNAが存在するかどうかが不明である場合は、野生型ゲノムDNAは上記と正確に同一のプライマーを使用してPCR増幅させられる。PCRフラグメントおよび野生型PCRフラグメントを含有する当モル量の変異体が混合され、加熱され、その後冷却されるとヌクレオチドミスマッチを含むヘテロ二重鎖PCRフラグメントが形成される。
【0021】
第2段階は、塩基ミスマッチを含有するヘテロ二重鎖DNAを開裂させるためにTmaエンドヌクレアーゼVを利用する。この反応は、好ましくは30分間から1時間に渡り高温(50〜60℃)で、最適化反応バッファー中で実施する。最適反応条件は、中性pH、低いもしくはゼロの塩含量、およびMg2+の存在を含む。TmaエンドVによる開裂を促進するために、例えばDMSOおよびベタインのような有機溶剤または他の化合物の添加を使用してもよい。代替条件または金属コファクター(例えばMn2+)の使用もまた開裂を促進できると考えられる。TmaエンドヌクレアーゼV活性は、最適以下の条件下でさえ十分である可能性がある。開裂部位は、ヌクレオチドミスマッチの3’位置を1ヌクレオチド越える部位であると決定された。
【0022】
次の段階では、バッファーの含量および濃度を熱安定性DNAリガーゼにとって最適なレベルにするために補助バッファーが添加される。好ましい態様では、テルムス(Thermus)種(「Tsp.」)AK16D DNAリガーゼが使用される。この連結反応は、45〜85℃、好ましくは65℃で2〜60分間、好ましくは20分間に渡り実施され、開裂されたミスマッチを変化させずに残しながらTsp.AK16D DNAリガーゼの高度の特異性を利用して相補的ニックを再シーリングする。これは、バックグラウンドを大きく減少させるので、このためアッセイの感度が劇的に増加する。
【0023】
第4段階では、開裂されたフラグメントが、例えば変性ポリアクリルアミドゲル上での電気泳動によって、またはキャピラリー電気泳動によって分離される。段階1のPCRプライマーが標識されるので、フラグメントは適した検出装置を用いて検出できる。好ましい態様では、プライマーは蛍光標識され、自動DNAシーケンシング装置または蛍光フラグメント解析装置を使用して検出される。生成物の長さは、開裂生成物の移動度を蛍光標識分子サイズスタンダードと比較することによって決定される。これにより、変異の位置の近似測定が可能になる。
【0024】
本発明の第2の態様では、どのヌクレオチドが変異したのかを決定するためにマイクロシーケンシング法を組み込むことができる。PCRフラグメントを作製する際に、標識プライマーの代わりに非標識プライマーが使用されるので、ヘテロ二重鎖PCRフラグメントは蛍光性ではない。TmaエンドVによる開裂およびTsp.AK16Dリガーゼによる連結後に、大腸菌DNAポリメラーゼIクレノウフラグメントを使用してTmaエンドVによって生成したニックの3’末端から数個のヌクレオチドが切り出される。次に、テルムス・アクアティクス(Thermus aquaticus)(「Taq」)DNAポリメラーゼFSが、基質としての蛍光標識ジデオキシヌクレオチドおよび非標識デオキシヌクレオチドの混合物を使用して短縮フラグメントを伸長させる。これは短いシーケンシングラダーを生じさせ、そこから変異する位置での正常および変異ヌクレオチドの混合シグナルを原因として異型ヌクレオチドの位置および塩基を決定できる。
【0025】
図1は、本発明のプロセスを図解している略図である。この図面では、検体は潜在的に正常標的核酸配列並びに標的塩基配列とは1つ以上の単一塩基の変化、挿入、または欠失によって相違する変異核酸配列を含む。
【0026】
この方法の第1段階では、潜在的に野生型および変異核酸配列を含有する検体中の標的DNA分子がポリメラーゼ連鎖反応プロセスによって増幅させられる。これには、相補的鎖を相互から分離させるための二本鎖標的DNA分子の変性が含まれる。その後、蛍光標識を含むプライマーF1およびF2が標的DNA分子の一部へハイブリダイズすることが惹起される。DNAポリメラーゼおよびdNTPsの存在下で、プライマーが伸長されて標的DNA分子の1本の鎖に相補的である伸長生成物が形成される。伸長が完了した後、ハイブリダイズされた核酸鎖は変性段階によって相互から分離される。このハイブリダイゼーション、プライマー伸長、および変性のサイクルを十分な増幅が発生するまで繰り返される。これが発生したら、ポリメラーゼが不活化され、ハイブリダイズされた核酸鎖を変性させることによってPCRが終了される。
【0027】
図1の第2段階では、PCRによって形成された伸長生成物が相互にアニーリングされてヘテロ二重鎖生成物が形成される。これらの伸長生成物が検体内の変異核酸配列にハイブリダイズされたプライマーの伸長によって図1の第1段階で形成される程度まで、伸長生成物はミスマッチ塩基を含む。図1の第2段階に示したように、伸長生成物中のミスマッチはA、C、TまたはGヌクレオチドである可能性がある。図1の第2段階において、標的核酸配列によって生成した伸長生成物が変異核酸配列によって生成した伸長生成物とヘテロ二重鎖を形成した場合は、ヘテロ二重鎖中にミスマッチが存在しうる。このような伸長生成物間のこの相補性の欠如は、伸長生成物が相互に入れ替わっている「バブル(bubble)」によって証明される。図1には示されていないが、変異核酸だけから生成された(通常はまれであると思われる)、または標的核酸配列だけから生成された伸長生成物を含有しているホモ二重鎖は完全に相補的であると考えられるため、バブルは形成されないであろう。本発明は、ヘテロ二重鎖中のミスマッチについて解析することにより検体中のこのような変異核酸配列の存在を検出することに向けられる。
【0028】
図1の第3段階は、ヘテロ二重鎖生成物に、ミスマッチ塩基から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖生成物の成分鎖に優先的にニックを入れる、または開裂するエンドヌクレアーゼ処理を受けさせることを含む。図1の第3段階に示されているように変異核酸配列によって生成した伸長生成物へアニーリングされた標的核酸配列によって生成した伸長生成物から形成されるヘテロ二重鎖生成物の場合には、成分核酸鎖はバブルから1塩基離れてニックが入れられる、または開裂される。同様に図1の第3段階に示されているように、エンドヌクレアーゼはこれらの鎖をミスマッチが存在しない非特異的開裂部位で開裂する。ミスマッチが存在する特異的開裂部位で発生するニッキングに関しては、エンドヌクレアーゼは一般にミスマッチ塩基がAまたはGである鎖においてニックを形成する際に極めて有効であり、ミスマッチ塩基がTである鎖においてニックを形成する際には余り有効ではなく、さらにミスマッチ塩基がCであるニッキングでは一般に無効である。これは、ニッキングがミスマッチA、GおよびT塩基では発生しているが、ミスマッチC塩基では発生していない図1の第3段階に示されている。
【0029】
エンドヌクレアーゼ処理が完了した後、結果として生じた潜在的にニックが入れられた、または開裂されたヘテロ二重鎖生成物はリガーゼを用いて処理される。図1の第4段階に示されているように、リガーゼはニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物を完全にミスマッチの塩基で再シールする。しかし、ミスマッチ塩基が存在する場所に隣接する位置でニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物の再シーリングは行われない。
【0030】
リガーゼ再シーリング段階の生成物は、その後サイズまたは電気泳動移動度によって、通常はゲル電気泳動によって相互から分離される。エンドヌクレアーゼまたはリガーゼのどちらかを用いての処理前、エンドヌクレアーゼおよびリガーゼを用いた処理後およびエンドヌクレアーゼおよびリガーゼの両方を用いた処理後のゲル電気泳動の結果は、図1に示されている。その結果として、検体内の変異核酸配列の存在を原因として生成した開裂生成物が検出される。
【0031】
本発明のプロセスを実施する際には、検体はゲノムDNA、腫瘍検体から単離されたDNA、mRNAの二本鎖cDNAコピー、またはPCR増幅DNAフラグメントのいずれかである標的核酸配列を含む可能性がある。本発明のプロセスに従って解析される検体中では、正常標的核酸配列に対する変異核酸配列のモル比は1:20〜20:1の範囲内にある。
【0032】
本発明のプロセスは、正常標的配列において遺伝性もしくは散発性変異または多型性を区別することができる。この区別は、腫瘍抑制遺伝子、癌遺伝子、またはDNA複製もしくは修復遺伝子中で実施できる。このような遺伝子には、Bcl2、Mdm2、Cdc25A、サイクリン(Cyclin)D1、サイクリンE1、Cdk4、サバイビン(survivin)、HSP27、HSP70、p53、p21Cip、p16Ink4a、p19ARF、p15INK4b、p27Kip、Bax、成長因子類、EGFR、Her2−neu、ErbB−3、ErbB−4、c−Met、c−Sea、Ron、c−Ret、NGFR、TrkB、TrkC、IGF1R、CSF1R、CSF2、c−Kit、AXL、Flt−1(VEGFR−1)、Flk−1(VEGFR−2)、PDGFRα、PDGFRβ、FGFR−1、FGFR−2、FGFR−3、FGFR−4、その他のタンパク質チロシンキナーゼレセプター類、β−カテニン、Wnt(s)、Akt、Tcf4、c−Myc、n−Myc、Wisp−1、Wisp−3、K−ras、H−ras、N−ras、c−Jun、c−Fos、PI3K、c−Src、Shc、Raf1、TGFβ、およびMEK、E−カドヘリン、APC、TβRII、Smad2、Smad4、Smad7、PTEN、VHL、BRCA1、BRCA2、ATM、hMSH2、hMLH1、hPMS1、hPMS2、またはhMSH3が含まれる。
【0033】
残留活性Taq DNAポリメラーゼはエンドV開裂DNAを伸長させることができるので、PCR反応はプロテイナーゼKと一緒に45〜75℃で5〜60分間、好ましくは70℃で10分間インキュベートできる。引き続いて、プロテイナーゼKを90〜95℃で10〜60分間、好ましくは70℃で10分間インキュベートすることによって活性化される。増幅およびプロテイナーゼK消化の後、PCRフラグメントはアガロースゲル電気泳動によって分離させられ、臭化エチジウム染色によって可視化できる。
【0034】
標的DNAの大多数の生物学的起源は異型(変異または多型性)および野生型DNAを含むと考えられる。これらの場合には、ヘテロ二重鎖ハイブリダイゼーション段階に外因性的に野生型PCRフラグメントを添加する必要はない。例えば、基質がヘテロ接合性生殖細胞系変異を含有するゲノムDNAである場合は、PCRフラグメントの50%しか変異を含んでおらず、残り半分は野生型配列の変異を含むと考えられる。このため、野生型PCRフラグメントを添加する必要はない。同様に、充実性腫瘍検体のためには、典型的にはこれらの検体内に有意な量の基質性(即ち野生型)DNAが存在する。有意な量の内因性野生型DNAが存在しない基質の起源のためには、ほぼ等量の野生型PCRフラグメントを添加する必要がある。この方法は他の比率の変異対野生型PCRフラグメントと適合するが、変異対野生型PCRフラグメントの最適最終比は1:1でなければならない。
【0035】
標識オリゴヌクレオチドプライマーは、好ましくはそれらの5’末端で標識する。有用な標識には、発色団、蛍光成分、酵素、抗原、重金属、磁気プローブ、赤外線色素、燐光基、放射性物質、化学発光成分、および電気化学的検出成分が含まれる。
【0036】
ポリメラーゼは、テルムス・アクアティクス(Thermus aquaticus)、テルムス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、またはテルモトガ・マリチマ由来の天然もしくは組換えのいずれかの熱安定性ポリメラーゼである。
【0037】
ポリメラーゼ連鎖反応プロセスは、参照として本明細書に組み入れられるH.Erlichら、「ポリメラーゼ連鎖反応における近年の進歩(Recent Advances in the Polymerase Chain Reaction)」,Science,252:1643−50(1991);M.Innisら、PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(PCRプロトコール:方法および適用指針),Academic Press:New York(1990);およびR.Saikiら、「熱安定性DNAポリメラーゼを用いたプライマー使用酵素増幅(Primer−directed Enzymatic Amplification of DNA with a Thermostable DNA Polymerase)」,Science,239:487−91(1988)に十分に記載されている。ポリメラーゼ連鎖反応は、ポリメラーゼもしくは金属コファクターのいずれかを65〜94℃の温度でポリメラーゼ連鎖反応混合物へ添加することによって開始される。ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物を変性させる段階は、プロテイナーゼKの存在下で、好ましくは80〜105℃で、より好ましくは94℃で加熱することによって実施される。ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物をアニーリングする段階は、まず最初に50〜85℃へ、好ましくは65℃へ5〜30分間、好ましくは10分間冷却し、その後は室温へ5〜30分間、好ましくは15分間冷却することによって実施される。
【0038】
ヘテロ二重鎖DNA形成のためには、蛍光標識変異および野生型PCRフラグメントを含有する混合物は、93〜100℃で15秒間〜5分間、好ましくは94℃で1分間加熱することによって、従ってDNAを一本鎖にすることによって変性させられる。この後に、45〜85℃で2〜60分間、好ましくは65℃で10分間の再アニーリング段階、および引き続いて室温で5〜30分間、好ましくは15分間のインキュベーションが続く。このプロセス後には、再アニーリング生成物の50%は理論的には塩基ミスマッチを含有するヘテロ二重鎖DNAである。また別の再アニーリング段階は、温度を1分につき1℃未満、好ましくは94℃から65℃へ30〜60分間低下させることによる95〜25℃への緩徐な冷却である。DNAの代替変性/再生手段(例、塩基を用いての処理、その後の中性化)もまた使用できる。典型的には、ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物は、50bp〜1,700bpの範囲内の長さを有している。
【0039】
エンドヌクレアーゼは、好ましくはテルモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)、アクイフェックス・アエロリカス(Aquifex aeolicus)、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、ピロコッカス・ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)、ピロコッカス・アビッシ(Pyrococcus abyssi)、ピロバクルム・アエロフィウム(Pyrobaculum aerophilum)、アルカエグロブス・フルギドゥス(Archaeoglobus fulgidus)、アエロピルム・ペルニクス(Aeropyrum pernix)、クロストリジウム・アセトブチリクム、または枯草菌からのエンドヌクレアーゼVである。エンドヌクレアーゼは、望ましくはミスマッチ塩基対から1塩基離れた3’側の場所でヘテロ二重鎖生成物にニックを入れる、または開裂する。エンドヌクレアーゼは、優先的にA/A、G/G、T/T、A/G、A/C、G/A、G/T、T/G、T/C、C/A、およびC/Tからなる群より選択されるヘテロ二重鎖生成物内のミスマッチを開裂する。あるいはまた、エンドヌクレアーゼは、ミスマッチの位置に下線が引かれて大文字で示されているgRcg、rcRc、cgYc、およびgYgyからなる群より選択される配列を有するものを除いて、優先的にいずれかの単一塩基の変異または多型性のために形成された少なくとも1つのヘテロ二重鎖生成物にニックを入れる、または開裂する。エンドヌクレアーゼは、ヘテロ二重鎖生成物内の1、2および3塩基の挿入または欠失に優先的にニックを入れる、または開裂する。
【0040】
エンドヌクレアーゼ開裂反応は、好ましくは濃度が2〜7mMのMgCl2の存在下で、または濃度が0.4〜1.2mMのMnCl2の存在下で実施される。MgCl2は、エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物中のエンドヌクレアーゼ対ヘテロ二重鎖生成物の重量比が10:1〜100:1の範囲内にあり、実質的にNaClもしくはKClが存在していない場合に添加すべきである。エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物中のエンドヌクレアーゼ対ヘテロ二重鎖生成物の重量比が1:1〜1:10の範囲内にある場合は、MnCl2を添加すべきである;この場合には、25〜75mM、好ましくは50mMの濃度のNaClもしくはKClが存在する。エンドヌクレアーゼ開裂は、さらにまた2.5〜10%の容積百分率範囲内のDMSOおよび濃度が0.5〜1.5Mの範囲内のベタインの存在下で実施することもできる。好ましくは、エンドヌクレアーゼ処理は65℃で1時間実施される。
【0041】
本発明の第2段階では、ヘテロ二重鎖PCRフラグメントがTmaエンドヌクレアーゼVによって開裂される。TmaエンドヌクレアーゼVは、このプロセスのために理想的である独特の特性を有している。最も重要なのは、優先的にミスマッチの3’側を越えた1塩基を開裂する能力、および相補的領域における偽ニックがDNAリガーゼと連結するために適した基質であるという事実にある。塩基ミスマッチを認識する際により効率的である他のミスマッチ修復酵素があるが、それらは一般にミスマッチで開裂することも、再連結に適した末端を開裂することもしない。適したリガーゼと結び付けると、TmaエンドVのこれらの特性は、ミスマッチ配列と関連した開裂部位を維持しながら、偽ニッキングを原因とするバックグラウンドノイズの減少を可能にする。
【0042】
本発明の第3の段階は、例えばテルムス種AK16D、テルムス・アクアティクス、テルムス・サーモフィルス、ピロコッカス・フリオサス、またはテルモトガ・マリチマのような熱安定性リガーゼを用いてヘテロ二重鎖PCRフラグメント内の非特異的ニックをシールする。熱安定性リガーゼは、テルムス・アクアティクスから引き出すことができる。参照として本明細書に組み入れられるM.Takahashiら、「好熱性DNAリガーゼ(Thermophilic DNA Ligase)」,J . Biol . Chem .,259:10041−47(1984)を参照。あるいはまた、これは組換え技術によって作製できる。このような単離並びにテルムス・アクアティクス由来リガーゼおよびテルムス・サーモフィルス由来リガーゼの組換え生成のための方法は、参照として本明細書に組み入れられるBaranyらへの国際特許第90/17239号明細書およびF.Baranyら、「熱安定性DNAリガーゼコーディング遺伝子のクローニング、過剰発現および塩基配列(Cloning,Overexpression and Nucleotide Sequence of a Thermostable DNA−Ligase Encoding Gene)」,Gene,109:1−11(1991)に開示されている。これらの参考文献は、このリガーゼ並びにDNAのコード化についての完全な配列情報を含む。リガーゼ再シーリングは、それ以上のエンドヌクレオチド開裂を阻害するために好ましくは50mM KClの存在下で実施される。好ましくは、Tsp AK16Dリガーゼが使用される。リガーゼ再シーリングは、25℃で測定したときに7.2〜7.8のpH値で実施される。理想的には、この段階ではTmaエンドヌクレアーゼVの開裂が阻害されなければならない。Tsp AK16Dリガーゼのための最適な反応バッファーは、20mM Tris−HCl(pH8.5)、5mM MgCl2、25〜75mM(好ましくは、50mM)KCl、10mMジチオトレイトール、1mM NAD+、および20mg/mL BSAである。Tong J.ら、Nucleic Acid Research,27:788−94(1999)を参照。後に実施例で証明されるように、TmaエンドVは50mM NaClもしくは50mM KClの存在下でほぼ完全に阻害される。
【0043】
Tsp AK16Dリガーゼ反応のためにほぼ最適な緩衝条件を入手するためには、TmaエンドV反応液に補助バッファーが添加される。ある好ましい態様では、10×補助バッファーは200mM Tris−HCl(pH8.5)、12.5mM MgCl2、500mM KCl、100mM DTT、および200g/mL BSAから構成される。典型的には、TmaエンドヌクレアーゼV開裂反応液からの反応混合物15μL、2μLの10×補助バッファー、1μLの20mM NAD+、および2μLの10〜100nM Tsp AK16Dリガーゼ(ストック酵素溶液)が結合される。この混合液はその後65℃で20分間インキュベートされ、等量のGeneScan停止液(50mM EDTA、1%ブルーデキストランおよび80%ホルムアミド)を添加することによって終了される。
【0044】
次の段階は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法またはキャピラリーゲル電気泳動を使用して実施できる反応生成物の検出を含む。
【0045】
好ましい態様では、反応混合物は94℃で1分間だけ(バックグラウンドシグナルを増加させる可能性があるDNAフラグメント化を回避するため)変性させられ、その後氷上で冷却される。その後、2〜3μLの混合液を6%変性ポリアクリルアミドゲル上に装填して1時間、電気泳動にかけることができる。1,000ボルト、電圧60mM、出力200W、および45℃のゲル温度でABI377塩基配列決定装置(パーキン・エルマー(Perkin Elmer)製)を使用すると、DNA生成物を分離して検出することができるが、キャピラリー電気泳動またはゲル電気泳動を使用することもできる。蛍光基の6−FAM(下方フラグメント)およびTET(上方フラグメント)は、ABIDNA377塩基配列決定装置において各々青色および緑色を分解する。開裂バンドの色は、開裂生成物が上方または下方鎖を起始とするかどうかを示す。TAMRA標識GeneScan Molecularサイズスタンダード500が同一ゲル上に装填される。これは、開裂生成物の相対移動度をサイズスタンダードと比較することによって開裂生成物の分子量を推定することを許容する。好ましくは、GeneScan解析ソフトウエアのバージョン2.1または3.0a(PE−バイオシステムズ(Biosystems)製)が使用されるが、あらゆる最新技術のゲル解析ソフトウエアを代わりに使用することができる。この解析は、変異の近似部位を決定することを許容する。
【0046】
本発明のまた別の局面は、正常標的核酸配列とは1つ以上の単一塩基の変化、挿入、または欠失によって相違する変異核酸配列を同定するための方法に関する。この方法では、潜在的に変異核酸配列を含有しているが必ずしも正常標的核酸配列を含有していない検体、正常標的核酸配列を含有する標準物質、変異核酸配列の相補的鎖上でのハイブリダイゼーションに適した2種の標識オリゴヌクレオチドプライマー、およびポリメラーゼが混合されて、第1ポリメラーゼ連鎖反応混合物が形成される。第1ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、標識オリゴヌクレオチドプライマーが変異核酸配列にハイブリダイズできるハイブリダイゼーション処理、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーが伸長されてそれにオリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズされる変異核酸配列に相補的な伸長生成物が形成される伸長処理、およびハイブリダイズされた核酸配列が分離される変性処理を含む1回以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルを受ける。その後ポリメラーゼは不活化される。正常標的核酸配列、標識オリゴヌクレオチドプライマー、およびポリメラーゼが混合されて、第2ポリメラーゼ連鎖反応混合物が形成される。第2ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、標識オリゴヌクレオチドプライマーが正常標的核酸配列にハイブリダイズできるハイブリダイゼーション処理、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーが伸長されてそれにオリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズする正常標的核酸配列に相補的な伸長生成物を形成する伸長処理、およびハイブリダイズされた核酸配列が分離される変性処理を含む1回以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルを受ける。その後ポリメラーゼは不活化される。第1および第2ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物は変性させられ、その後アニーリングされて潜在的に正常標的核酸配列および変異核酸配列を含有するヘテロ二重鎖生成物が形成される。ミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れる、または開裂するエンドヌクレアーゼは、その後ヘテロ二重鎖生成物と混合されてエンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が形成される。エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物をインキュベートすると、エンドヌクレアーゼは優先的にミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖生成物にニックを入れる、または開裂する。リガーゼおよび潜在的にニックが入れられた、または開裂されたヘテロ二重鎖生成物が混合されると、リガーゼ再シーリング反応混合物が形成され、これがインキュベートされると、完全適合塩基対でニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物がシーリングされるが、ミスマッチ塩基対に隣接する位置でのニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物は実質的に再シーリングはされない。リガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートした結果として生じる生成物はサイズまたは電気泳動移動度によって分離され、検体中の正常標的核酸配列および変異核酸配列標的ヌクレオチドの存在はリガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートした結果として生じる分離された生成物を区別することによって検出される。
【0047】
変異または挿入/欠失の位置および組成を同定するためのDNAマイクロシーケンシング
本発明のまた別の局面は、正常標的核酸配列とは1つ以上の単一塩基の変化、挿入、または欠失によって相違する変異核酸配列を同定するための方法に向けられる。この方法では、潜在的に正常標的核酸配列並びに変異核酸配列を含有する検体、標的核酸配列および変異核酸配列の相補的鎖上でのハイブリダイゼーションに適した2種の標識オリゴヌクレオチドプライマー、およびポリメラーゼが混合されてポリメラーゼ連鎖反応混合物が形成される。ポリメラーゼ連鎖反応混合物は、オリゴヌクレオチドプライマーが標的核酸配列および/または変異核酸配列にハイブリダイズできるハイブリダイゼーション処理、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーが伸長されてそれにオリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズする標的核酸配列および/または変異核酸配列に相補的な伸長生成物を形成する伸長処理、およびハイブリダイズされた核酸配列が分離される変性処理を含む1回以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルを受ける。ポリメラーゼが不活化された後、ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物が変性かつアニーリングさせられて潜在的に正常標的核酸配列および変異核酸配列を含有するヘテロ二重鎖生成物が形成される。優先的にミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖DNAにニックを入れる、または開裂するエンドヌクレアーゼおよびヘテロ二重鎖生成物が混合されてエンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が形成され、この反応混合物はエンドヌクレアーゼが優先的にミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖生成物にニックを入れる、または開裂するようにインキュベートされる。リガーゼおよび潜在的にニックが入れられた、または開裂されたヘテロ二重鎖生成物が混合されると、リガーゼ再シーリング反応混合物が形成され、これがインキュベートされると、完全適合塩基対でニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物がシーリングされるが、ミスマッチ塩基対に隣接する位置でのニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物は実質的に再シーリングはされない。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼおよび潜在的にニックが入れられた、または開裂されたヘテロ二重鎖生成物が混合されるとポリメラーゼヌクレオチド鎖分解性分解反応混合物が形成されるが、これはそのニックへ3’側の数個の塩基を取り除くために3’−5’ヌクレオチド鎖分解活性のために有効な条件下でインキュベートされる。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼが不活化された後、3’−5’活性を備えていないポリメラーゼおよびインキュベートされたポリメラーゼ分解反応混合物、標識ジデオキシターミネーター三リン酸ヌクレオチド類、およびデオキシリボヌクレオチド三リン酸類が混合されてポリメラーゼミニシーケンシング反応混合物が形成され、これは3’−5’活性を備えていないポリメラーゼのために有効な条件下でインキュベートされ、ニックが入れられた、または開裂されたヘテロ二重鎖生成物の3’末端が伸長されて、ミニシーケンシング反応生成物が形成される。このミニシーケンシング反応生成物はサイズもしくは電気泳動移動度によって分離され、さらに正常標的核酸配列および変異核酸配列の存在がポリメラーゼミニシーケンシング反応混合物をインキュベートした結果として生じる分離されたミニシーケンシング生成物を区別することによって検出される。
【0048】
3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を備えたポリメラーゼを用いた処理は20〜40℃の温度で10〜60分間、好ましくは37℃で30分間実施される。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を備えた適したポリメラーゼは、大腸菌DNAポリメラーゼIクレノウフラグメント、T4 DNAポリメラーゼ、およびT7 DNAポリメラーゼである。
【0049】
3’−5’活性を備えていないポリメラーゼは、20〜85℃の温度で10〜60秒間、好ましくは60℃および30秒間、ポリメラーゼミニシーケンシング反応混合物中で利用される。3’−5’活性を備えていない適したポリメラーゼは、AmpliTaq DNAポリメラーゼFS(パーキン・エルマー製、フォスターシティ、CA)、サーモ・シーケナーゼ(Thermo−sequenase)(アマシャム(Amersham)製、ピスカタウェイ、NJ08855)、およびDyNASeq(M.J.リサーチ(Research)製、590リンカーン街、ウォルサム、MA02451)である。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を備えていない中温性ポリメラーゼの例は、シーケナーゼ(Sequenase)(USB製、クリーブランド、OH44128)、およびその他の3’−5’ エキソヌクレアーゼ活性を無効にする部位特異的変異を有するポリメラーゼ類である。
【0050】
本発明のこの態様では、変化したヌクレオチドの組成および位置を正確に決定するために最適なDNAシーケンシング段階(即ち、マイクロDNAシーケンシング)を含めることができる。本発明のこの変形では、この方法は、PCR反応において非標識PCRプライマーが使用されることを除いて、上記の方法に類似である。これは非標識のPCRフラグメントを生じさせるので、従って蛍光ジデオキシシーケンシングと適合する。蛍光標識の存在または不在は、放射性標識ジデオキシシーケンシングを用いる場合には問題とはならないので、このためこの技術の変形は全くシーケンシングアッセイの検出方法との適合性の1つであり、一般には必ずしもDNAシーケンシングのためには必要とされない。
【0051】
マイクロシーケンシング方法は、2つの追加の段階を含む。第1追加段階では、TmaエンドV開裂およびTsp AK16Dリガーゼとの連結後に、DNAポリメラーゼIクレノウフラグメントの3’エキソヌクレアーゼ活性を利用してTmaエンドVによって生成したミスマッチニックから数個の塩基3’→5’が切断される。大腸菌DNAポリメラーゼIクレノウフラグメントは、T4もしくはT7 DNAポリメラーゼよりほぼ100倍低い3’エキソヌクレアーゼ活性を有している(参照として本明細書に組み入れられるSambrook J.ら、分子クローニング−実験マニュアル(Molecular Cloning−A Laboratory Manual),第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,コールドスプリングハーバー、ニューヨーク(1989)を参照)。これは、たった数塩基のより制御された除去を可能にする。その後AmpliTaq DNAポリメラーゼFS(パーキン・エルマー製)が使用されて、結果として生じたギャップにBigDye(登録商標)ddNTP/dNTPの基質混合物が充填される。これは、変化の正確な位置および性質を決定するために解析できる極めて短い蛍光配列ラダーを生じさせる。
【0052】
テルモトガ・マリチマ・エンドVの変異体
本発明のまた別の局面は、完全に適合したDNAにニックを入れるときに連結に適した末端を生成し、さらに下記のようにヘテロ二重鎖DNAにニックを入れる、または開裂する熱安定性エンドヌクレアーゼに関する。(1)塩基対がミスマッチである、またはミスマッチを1塩基越える場所で、および(2)塩基対がミスマッチである、または1塩基がミスマッチを越える場所でのA/A、G/G、T/T、A/G、A/C、G/A、G/T、T/G、T/C、C/A、またはC/Tミスマッチ塩基対で。代替位置(1)および(2)の各々において、完全に適合したDNAにニックを入れるときに連結に適した末端が生成される。本発明に従った熱安定性エンドヌクレアーゼは、ミスマッチの位置に下線が引かれて大文字で示されているgRcg、rcRc、cgYc、またはgYgy配列を有するものを除いて、優先的にいずれかの単一塩基変異または多型性のために形成された少なくとも1つのヘテロ二重鎖にニックを入れる、または開裂し、完全に適合したDNAにニックを入れるときに連結に適した末端を生成する。あるいはまた、ヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れる、または開裂する熱安定性エンドヌクレアーゼは、塩基対がミスマッチである、または不対塩基を1塩基越える場所で1、2、および3塩基の挿入もしくは欠失を含有しており、完全に適合したDNAでDNAにニックを入れるときに連結に適した末端を生成する。
【0053】
本発明のまた別の局面は、次のいずれかを含有するテルモトガ・マリチマからの変異エンドヌクレアーゼVである。(1)Y80A残基の変化;(2)Y80F残基の変化;(3)Y80L、Y80I、Y80VもしくはY80Mのいずれかの残基の変化;(4)R88Aの残基の変化;(5)R88L、R88I、R88VもしくはR88M残基の変化;(6)R88K残基の変化;(7)R88NもしくはR88Q残基の変化;(8)R88DもしくはR88E残基の変化;(9)R88TもしくはR88S残基の変化;(10)E89A残基の変化;(11)E89L、E89I、E89V、もしくはE89M残基の変化;(12)E89D残基の変化;(13)E89NもしくはE89Q残基の変化;(14)E89RもしくはE89K残基の変化;(15)E89TもしくはE89S残基の変化;(16)H116A残基の変化;(17)H116L、H116I、H116VもしくはH116M残基の変化;(18)H116KもしくはH116R残基の変化;(19)H116NもしくはH116Q残基の変化;(20)H116TもしくはH116S残基の変化;(21)K139A残基の変化;(22)K139L、K139I、K139V、もしくはK139M残基の変化;(23)K139R残基の変化;(24)K139NもしくはK139Q残基の変化;(25)K139DもしくはK139E残基の変化;(26)K139TもしくはK139S残基の変化;(27)D43A残基の変化;(28)D43E残基の変化;(29)D105A残基の変化;(30)D105E残基の変化;(31)F46A残基の変化;(32)F46Y残基の変化;(33)F46L、F46I、F46V、もしくはF46M残基の変化;(34)R118A残基の変化;(35)R118L、R118I、R118V、もしくはR118M残基の変化;(36)R118K残基の変化;(37)R118NもしくはR118Q残基の変化;(38)R118DもしくはR118E残基の変化;(39)R118TもしくはR118S残基の変化;(40)F180A残基の変化;(41)F180Y残基の変化;(42)F180L、F180I、F180V、もしくはF180M残基の変化;(43)G83A残基の変化;(44)G83L、G83I、G83V、もしくはG83M残基の変化;(45)G83KもしくはG83R残基の変化;(46)G83NもしくはG83Q残基の変化;(47)G83DもしくはG83E残基の変化;(48)G83TまたはG83S残基の変化;(49)I179A残基の変化;(50)I179KもしくはI179R残基の変化;(51)I179NもしくはI179Q残基の変化;(52)I179DもしくはI179E残基の変化;(53)I179TもしくはI179S残基の変化;(54)D110A残基の変化;または(55)H125A残基の変化。
【0054】
本発明のまた別の局面は、野生型エンドヌクレアーゼVではなくむしろミスマッチ塩基を含有する、少なくとも1つのヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れる、または開裂する変異エンドヌクレアーゼV(および上記のその使用)に向けられる。好ましくは、ヘテロ二重鎖DNAの少なくとも1つにおけるミスマッチ塩基の1つは「A」または「G」である。
【0055】
実施例
実施例1 試薬類、培地、および菌株類
すべての常用化学試薬類は、シグマ・ケミカル(Sigma Chemicals、セントルイス、MO)社またはフィッシャー・サイエンティフィック社(Fisher Scientific、フェアローン、NJ)から購入した。デオキシヌクレオチド、BSAおよびATPはベーリンガー・マンハイム社(Boehringer−Mannheim、インディアナポリス、IN)から購入した。デオキシオリゴヌクレオチドは、インテグレーテッドDNAテクノロジーズ社(Integrated DNA Technologies Inc.、コーラルビル、IA)から購入した。HiTrap SPカラムはアマシャム・ファルマシア・バイオテック社(Amersham−Pharmacia Biotech、ピスカタウェイ、NJ)から購入した。
【0056】
制限酵素のT4 DNAリガーゼおよびDNAポリメラーゼI(クレノウフラグメント)は、ニューイングランド・バイオラブ社(NewEngland Biolab、ベバリー、MA)から購入した。DNAシーケンシングキット、PCRキット、およびGENESCAN−500(タムラ(TAMRA)サイズスタンダードは、パーキン・エルマー社応用バイオシステム部門(フォスターシティ、CA)から購入した。Pfu DNAポリメラーゼ、PCRバッファーおよびTaqPlus精密PCRキットは、ストラタジーン社(Stratagene、ラヨラ、CA)から購入した。タンパク質アッセイキットは、バイオラッド社(ハーキュリーズ、CA)から購入した。
【0057】
FB培地(1L)は、25gのBactoトリプトン、75gの酵母抽出液、6gのNaCl、1gのグルコース、および50mLの1M Tris−HCl(pH7.6)から構成した。MOPS培地(参照として本明細書に組み入れられるNeidhardt F.C.ら、J . Bacteriol .,119(3):736−747(1974)に記載されている通りに)並びに腸内細菌用培地を作製した。TmaエンドV音波処理バッファーは、20mM HEPES(pH7.4);1mM EDTA(pH8.0);0.1mM DTT;0.15mM PMSF;50mM NaClから構成した。GeneScan停止液は、80%ホルムアミド(アムレスコ(Amresco)製、ソロン、オハイオ州)、50mM EDTA(pH8.0)、1%ブルーデキストラン(シグマ・ケミカル製)から構成した。TBバッファー(1×)は89mM Trisおよび89mMホウ酸から構成した。TEバッファーは、10mM Tris−HCl、pH8.0および1mM EDTAから構成した。
【0058】
プロテイナーゼKは、キアゲン社(QIAGEN、バレンシア、CA)から購入した。マイクロコン(Microcon)30フィルターは、ミリポア社(Millipore、ベッドフォード、MA)から購入した。Taq DNAポリメラーゼFSおよび4種のジデオキシヌクレオチド類は、寛大にもパーキン・エルマー社から提供された。Sep−PakカートリッジC−18は、ウォーターズ社(Waters、ミルフォード、MA)から購入した。Centri−Sep(登録商標)スピンカラムP/N CS−90は、プリンストン・セパレーション社(Princeton Separation、アデルフィア、NJ)から購入した。
【0059】
テルムス種AK16D DNAリガーゼは、参照として本明細書に組み入れられるTong J.ら、「テルムス種AK16D由来の高適合度DNAリガーゼの生化学的特性(Biochemical Properties of a High Fidelity DNA Ligase from Thermus Species AK16D)」,Nucleic Acids Res .,27:788−94(19999)に記載されている通りに大腸菌中でクローニングして過剰発現させ、同質性となるまで精製した。
【0060】
実施例2 テルモトガ・マリチマ・エンドヌクレアーゼVのプラスミド構築、クローニング、発現、および精製
BLASTサーチ(参照として本明細書に組み入れられるAltschul S.F.ら、J . Mol . Biol .,215(3):403−10(1990)を参照)を通して、225アミノ酸の推定オープン・リーディングフレームが大腸菌エンドヌクレアーゼV遺伝子との34%配列同一性を示すテルモトガ・マリチマゲノム内で同定された。この、Tma ORFが実際にエンドヌクレアーゼVをコードすることを証明するために、大腸菌中でクローニングして過剰発現させた。
【0061】
テルモトガ・マリチマ由来の推定エンドヌクレアーゼV遺伝子(nfi)は、フォワードプライマーEV.Tma.01A(
NdeI部位には下線が引かれている)およびリバースプライマーEV.Tma.02R(
SpeIおよびBamHI部位には下線が引かれている)を使用するPCRによって増幅させた。PCR反応混合物(100μL)は、50ngのテルモトガ・マリチマゲノムDNA、10μMのフォワードプライマーEV.Tma.01A、10μMのリバースプライマーEV.Tma.02R、1×Pfu PCRバッファー、100μMの各dNTP、および2.5U Pfu DNAポリメラーゼ(ストラタジーン製、ラヨラ、カリフォルニア州)から構成した。PCR法は、95℃で2分間の予備変性段階、各サイクルが94℃で30秒間の変性および60℃で6分間のアニーリング伸長から構成される25サイクルの2段階増幅、および72℃で5分間の最終伸長段階を含んでいた。PCR生成物は、熱安定性Pfu DNAポリメラーゼを除去するためにルーチンのフェノール抽出およびエタノール沈降によって精製した。参照として本明細書に組み入れられるSambrook J.ら、分子クローニング−実験マニュアル(Molecular Cloning−A Laboratory Manual),第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,コールドスプリングハーバー、ニューヨーク(1989)を参照。精製されたPCR生成物は、NdeIおよびBamHIを用いて消化され、同一対の制限酵素を用いて消化されたpEV1ベクターへ連結された。pEV1は、phoAプロモーター領域内のシャイン・ダルガーノ(Shine−Dalgarno)配列後のNadeI部位および下流複数クローニング部位(BamHI−KasI−BstXI−EcoRV−EcoRI−MluI)を含有するpFBT69の誘導体(参照として本明細書に組み入れられるBarany F.,Gene,63:167−177(1988)を参照)である。推定TmaエンドヌクレアーゼV遺伝子を含有するプラスミドをpEV5と指定し、参照として本明細書に組み入れられるChung C.T.ら、Proc . Natl . Acad . Sci . USA,86(7)2172−75(1989)に記載されている通りに1段階プロトコールによって大腸菌菌株AK53内へ形質転換した。エンドヌクレアーゼV遺伝子は、phoAプロモーターによって調節する。プラスミド構築体の信頼性を保証するためにTmaエンドヌクレアーゼV遺伝子を含有するインサートをシーケンシングした。
【0062】
pEV5を含有する大腸菌の終夜培養物は、50μg/mLアンピシリンを補充したFB培地内へ100倍に希釈した。大腸菌細胞は550nmでの0.8の吸光度へ200rpmで撹拌しながら37℃で増殖させた。培地は、50μg/mLのアンピシリンを補充した1LのMOPS培地内へ50倍に希釈し、同一条件下で一晩増殖させた。10分間の3,000×gでの遠心後、細胞ペレットを10mLのTmaエンドV音波処理バッファー(20mM HEPES(pH7.4);1mM EDTA(pH8.0);0.1mM DTT;0.15mM PMSF;50mM NaCl)中に懸濁させ、氷上で各10秒間ずつ2〜3回音波処理した。
【0063】
エンドヌクレアーゼVタンパク質を精製するために、3,000×gでの15分間の遠心によって細胞破片を取り除いた。上清を70℃で15分間インキュベートして熱不安定性大腸菌宿主タンパク質を変性させた。10,000×gで20分間の遠心によって不活化大腸菌タンパク質を不活化させた後、上清を開始バッファー(50mM HEPES(pH7.4)、1mM EDTA,50mM NaCl,0.1mM DTT)に対して一晩透析した。
【0064】
図2は、プロセス中の様々な段階でのテルモトガ・マリチマ・エンドヌクレアーゼVタンパク質の精製を示している12.5%SDS−PAGEゲルを示している。レーン2は、大腸菌細胞から遊離した全タンパク質を示している。TmaエンドVは熱安定性であるが大多数の大腸菌宿主タンパク質は熱不安定性であるので、TmaエンドV活性を維持しながら大多数の大腸菌宿主タンパク質(大腸菌エンドVを含む、実施例4を参照)を不活化するために溶解液を70℃で15分間加熱した。熱処理後は、不活化大腸菌宿主タンパク質は凝集し、宿主タンパク質の大半はペレット化して遠心により除去できる。これにより、熱処理および遠心後の上清中のタンパク質を示している図2のレーン3に示されているように上清中に主要タンパク質としてTmaエンドVが残る。TmaエンドヌクレアーゼVは約24kDa位置で溶出したので、溶液中にモノマーとして存在することを示している(図2B)。
【0065】
TmaエンドヌクレアーゼVは、スルホプロピル官能基を含有するHiTrap SPカラム(ファルマシア製)を使用してほぼ同質性となるまで精製した。pH7.4のバッファー中で、TmaエンドヌクレアーゼVは、HiTrap SPのための適合する基質にさせる正味正電荷を有している。その後カラムは、NaClの含量を増加させながら溶出用バッファーを使用して段階的に洗浄するか、またはFPLCもしくはHPLCシステムと接続してNaCl濃度勾配を含有するバッファーを使用して洗浄した。カラムからのタンパク質の溶出は、そのタンパク質に対する特定NaCl濃度に左右される。段階的溶出では、タンパク質は50mM間隔で150mM NaCl〜500mM NaClを用いて溶出させた。純粋TmaエンドVは、250〜300mM NaClで溶出した。図2のレーン4は、250〜300mM NaClを用いた溶出からの酵素がほぼ同質性であることを証明している。酵素の濃度は、紫外線吸光法により測定した。タンパク質濃度=A(280)×OD280。参照として本明細書に組み入れられるWetlaufer D.B.,Adv . Prot . Chem .,17:303−390(1962)を参照。TmaエンドVについては、プロティアン(Protean)ソフトウエアプログラム(パワー・マッキントッシュ(Power Macintosh)バージョン3.05、DNA Star製)を使用し、TmaエンドVのタンパク質配列に基づいて計算した1A=0.89mg/mLであった。TmaエンドVタンパク質配列(nfi遺伝子)は、ウエブサイト:http//www . tigr . org/tdb/のTIGR微生物学データベース遺伝子座TM1865、テルモトガ・マリチマのセクション下で入手できる。
【0066】
図2に示した精製TmaエンドヌクレアーゼVに類似の分子量を有する内因性大腸菌エンドヌクレアーゼVが欠けていることを確認するために、このタンパク質をPVDF膜へトランスファーさせ、参照として本明細書に組み入れられるCao W.ら、J . Biol . Chem .,273(49):33002−10(1998)で使用された方法に従ってN−末端シーケンシングを受けさせた。ペプチドシーケンシングの結果は、Tma nfi遺伝子の予想N−末端配列と適合した。さらに、70℃、15分間の熱処理を市販入手元(トレビゲン(Trevigen)社、ゲーサーズバーグ、MD)から購入した大腸菌エンドヌクレアーゼVについて実施した。未処理酵素は報告された通り活性であったが、熱処理酵素はその酵素活性を消失していた。従って、精製において使用した熱処理段階が大腸菌エンドヌクレアーゼVを不活化させたと思われる。
【0067】
実施例3 オリゴヌクレオチド基質の作製
大腸菌エンドヌクレアーゼVは、デオキシイノシン−デオキシイノシンまたはデオキシイノシン−塩基ミスマッチを含有する二本鎖DNA鎖との高度の活性を示す。参照として本明細書に組み入れられるYao M.and Kow Y.W.,J.Biol.Chem.,269(50):31390−96(1994)を参照。エンドVのこの一般的特徴を使用して精製TmaエンドV酵素を機能的に同定した。精製酵素による開裂活性について監視するための基質として、塩基ミスマッチを含有する二本鎖オリゴヌクレオチドを設計した。図3Aは、2種の相違して標識された蛍光オリゴヌクレオチドを使用する単純なアッセイシステムを示している。上方鎖は6−FAMを使用して標識され、下方鎖はTET標識されている。デオキシイノシンヌクレオチドのミスマッチ位置は中心を外れているので、ニックが入れられた生成物は変性ポリアクリルアミドゲル上で共移動しない。相違する二重標識により、ゲル上で両方の鎖上のニッキング事象を容易に観察して区別することができる。
【0068】
オリゴヌクレオチドDNA基質は、「完全ガイド:合成オリゴヌクレオチドの評価および単離(The Complete Guide:Evaluating and Isolating Synthetic Oligonucleotides)」(アプライド・バイオシステムズ社、フォスターシティ、CA)に記載されている通りに変性シーケンシングゲル(7M尿素/10%ポリアクリルアミドゲル)上で精製した。精製オリゴヌクレオチドは、TEバッファー中に溶解させた。等モル濃度の2本の相補的一本鎖を混合し、85℃で3分間インキュベートし、室温で30分間かけて二本鎖DNA基質を形成させた。
【0069】
実施例4 デオキシイノシン含有オリゴヌクレオチドの開裂
精製酵素を機能的に同定するために最初はデオキシイノシン含有基質を使用したが、これは大腸菌エンドヌクレアーゼVがデオキシイノシン含有鎖に向かう高度の活性を示すためであった。参照として本明細書に組み入れられるYao M.ら、J . Biol . Chem .,269(50):31390−96(1994)を参照。
【0070】
開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、他に規定されていない限り5mM MgCl2、10nM DNA基質、および指示された量の精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質を含有する20μL反応混合物中で65℃で30分間実施した。この反応は等量のGeneScan停止液を添加することにより終了させた。この反応混合物をその後94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの検体を10%GeneScan変性ポリアクリルアミドゲル(パーキン・エルマー製)上に装填した。電気泳動は、ABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)を使用して1,500ボルトで1時間実施した。開裂生成物および残留基質は、GeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.0を使用して定量した。
【0071】
酵素濃度が低い場合は(E:S=1:10、S=10nM、E:Sは酵素対基質の比率を表し、Sは基質を表す)、TmaエンドヌクレアーゼVはデオキシイノシンが上方鎖もしくは下方鎖または両方の鎖のいずれに置かれたのかとは無関係に、もっぱらデオキシイノシン含有鎖でニックを入れた(図3B)。開裂は全4種のデオキシイノシン−塩基対(I/A,I/G,I/C,I/T)について有効であったが、これは大腸菌酵素についての以前の観察を確証している。参照として本明細書に組み入れられるYao M.ら、J . Biol . Chem .,269(50):31390−96(1994)を参照。優勢生成物は、両方の鎖上のイノシン塩基から1ヌクレオチド後の3’側でのニッキングにより形成された(図3D)。酵素濃度が高い場合は(E:S=10:1、S=10nM)、TmaエンドヌクレアーゼVはデオキシイノシン含有鎖に効果的にニックを入れ、実質的に完全なニック生成物への変換を生じさせた(図3C)。低酵素濃度を用いた場合の結果(図3B)とは対照的に、高酵素濃度は反対側の鎖のニッキング(例、dI/dA二本鎖オリゴヌクレオチド基質におけるA含有鎖のニッキング)を促進した。I/AおよびI/G基質については、ニッキングは主としてミスマッチAまたはG塩基を1ヌクレオチド越えた3’側で発生した。しかし、I/CおよびI/T基質に対する反対側の鎖のニッキングは低分子量位置で追加の生成物を生じさせた(図3C)。長さマーカーを用いた比較は、38merおよび27merは3’側でのTまたはC塩基のすぐ後の開裂生成物を表しているので、3’側開裂部位がTまたはC塩基の5’側でほぼ2〜3ntであることを示唆した(図3D)。反対側の鎖のニッキングはI/CおよびI/Tでは不完全であったが、デオキシイノシン開裂は完全であり、これはCまたはTの5’側ニッキングがデオキシイノシン含有鎖のニッキング後に発生したことを示している。I/Cにおける5’側での高収率の反対側の鎖のニッキングにI/Cがワトソン・クリック(Watson−Crick)塩基対を形成するという事実(参照として本明細書に組み入れられるXuan J.C.ら、Nucleic Acids Res .,20:5457−64(1992)を参照)、およびI/AおよびI/Gにおけるに5’側での低収率の反対側の鎖のニッキングにそれらが非ワトソン・クリック塩基対を形成するという事実(参照として本明細書に組み入れられるCorfield P.W.ら、Nucleic Acids Res .,15(19):7935−49(1987)を参照)に関連しているかどうかは不明である。I/CおよびI/T塩基対の5’側での反対側の鎖のニッキングは、C/IまたはT/I基質を用いては観察されなかったので、これはニッキング生成物が65℃のインキュベーションでは余り安定性ではなく一本鎖DNAとして変性している、またはこれらの基質でのニッキングは配列の前後関係を原因として余り効率的ではなかったのいずれかであることを示している。これらの結果は、ニッキング事象が一般には3’側で発生するが、この酵素はデオキシイノシン含有鎖に相補的な反対側の鎖の5’側で開裂させることができるを示唆している。以前に実施された試験は、大腸菌エンドヌクレアーゼVがメチルベンズ[ア]アントラセン付加物の5’側を開裂することを示唆していた。参照として本明細書に組み入れられるDemple B.ら、J . Biol . Chem .,257(6):2848−55(1982)を参照。従って、この酵素は一部の病変部位で5’切開を作製できる。上記の結果は、精製酵素がエンドヌクレアーゼVであることを確証した。
【0072】
実施例5 反応バッファーがTmaエンドヌクレアーゼV活性および特異性に及ぼす作用
酵素活性および特異性は酵素によって使用された金属コファクターによって影響を受ける可能性があるので、Mg2+、Mn2+、Fe2+、Ca2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Cd2+、Ba2+またはSr2+のいずれかの存在下でTmaエンドVミスマッチ開裂活性を分析した。各金属の濃度は5mMであった。反応混合物は10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM 金属塩化物、100nM TmaエンドVおよび(A/A)、または(C/T)、または(C/C)のいずれかの塩基ミスマッチを含有する10nMオリゴヌクレオチド類を含んでおり、対照として塩基ミスマッチを含有しない正規オリゴヌクレオチドを使用した。この混合物を65℃で30分間インキュベートし、電気泳動のためにゲル上に装填した。開裂生成物および残留基質は、GeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.0を使用して定量した。開裂生成物は、Mg2+またはMn2+の存在下でのみ観察され、これは試験したセット中でのTmaエンドVの金属コファクターがこれら2種のカチオンだけであることを示している。図4は、基質としてのA/Aミスマッチとともに二本鎖オリゴヌクレオチドDNAを使用した種々の濃度のMg2+またはMn2+の存在下でのTmaエンドV活性を示している。ミスマッチ開裂活性は、Mg2+の濃度が2〜7mMおよびMn2+の濃度が0.4〜1.2mMのときに最も活性であった。
【0073】
実施例6 塩基ミスマッチ含有オリゴヌクレオチド類の開裂
種々の塩基ミスマッチを含有する12種の基質を使用して塩基ミスマッチニッキングを調査した(図5)。開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2もしくは1mM MnCl2、10nM DNA基質および指示した量の精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質を含有する20μL反応混合物中において、65℃、30分間で実施した。この反応は等量のGeneScan停止液を添加することによって終了させた。この反応混合物をその後94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの検体を10%GeneScan変性ポリアクリルアミドゲル(パーキン・エルマー製)上に装填した。電気泳動は、ABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)を使用して1,500ボルトで1時間実施した。開裂生成物および残留基質は、GeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.0を使用して定量した。金属コファクターとしてMg2+を用いると、この酵素はミスマッチでの切開を作製するためにより高度の酵素対基質(E:S)比を必要とした(図5A〜B)。金属コファクターとしてMn2+を用いると、ミスマッチ基質でのニックはより低いE:S比で発生した(図5C〜D)。より高いE:S比でさえ非特異的ニッキングは有意になったが依然として基質を含有する有意に高いミスマッチが残っていたので、ミスマッチの開裂反応は完了までは進行しなかった(図5B)。開裂部位はデオキシイノシン含有基質を用いて同定された部位に同一であった、即ちミスマッチから1ヌクレオチド後の3’側であった。ミスマッチニッキングは、AもしくはG塩基を用いた場合に最も効率的であり、T塩基を用いた場合はそれほど効率的ではなかった。C塩基は、AもしくはT塩基と塩基対合したときにははるかに低い効率でニックが入れられ、開裂はCと塩基対合したときには観察されなかった。このミスマッチ開裂プロファイルは大腸菌酵素と一致している。参照として本明細書に組み入れられるYao M.ら、J.Biol.Chem,269(50):31390−96(1994)を参照。しかし、大腸菌酵素を使用して以前に報告されたように、鎖優先もしくは末端依存性ミスマッチ開裂は観察されなかった(参照として本明細書に組み入れられるYao M.ら、J.Biol.Chem,269(50):31390−96(1994)を参照)。塩基ミスマッチ開裂は、ミスマッチ塩基と5’末端の間の距離とは関係なく上方鎖および下方鎖の両方で発生した(図2A、図5A)。TmaエンドVがミスマッチ塩基と5’末端の間の距離とは関係なく上方鎖および下方鎖の両方で開裂させることができるという所見は予想外で、この酵素が大腸菌酵素と区別する独特の特性を有していることを証明している。中温性大腸菌エンドV酵素を特徴付けた同一著者らは、極めて細菌熱安定性A.フルギドゥス(Archaeoglobus fulgidus)エンドV酵素を特徴付けた(Liuら、Mutation Research,461:169−177(2000)。A.フルギドゥス エンドV酵素だけはDNAを含有するイノシンに対して活性を有していたが、ミスマッチまたはその他の傷害に対しての活性は有していなかった。従って、熱安定性エンドVが塩基ミスマッチを含有する基質に活性を有するであろうとは推定できない。
【0074】
表1は、単一塩基ミスマッチを含有するヘテロ二重鎖合成基質のTmaエンドヌクレアーゼV開裂の結果の要約を提供している。あらゆる可能性のある塩基変化に対して、次を形成する2種の可能性のあるヘテロ二重鎖生成物がある。A⇔G(A−C,G−T);C⇔T(C−A,T−G);A⇔C(A−G,C−T);G⇔T(G−A,T−C);A⇔T(A−A,T−T)、およびG⇔C(G−G,C−C)。
(表1)単一塩基ミスマッチを含有するヘテロ二重鎖合成基質のTmaエンドヌクレアーゼV開裂の要約
備考:
上方鎖:
下方鎖:
開裂記号:
(+++):高強度の開裂。(++):中強度の開裂。(+):低強度の開裂。(−)開裂なし。
これらのヘテロ二重鎖生成物の開裂は必ずしも同一ではないが(即ち、A−CをC−Aと比較する)、これは隣接配列変化の結果としてのDNAの構造における繊細さを反映している。それでも、可能性のある各塩基変化に対して、少なくとも1本の上方鎖および少なくとも1本の下方鎖に対してシグナルが生成される。従って、TmaエンドV酵素は、いずれかの可能性のある単一塩基変異または多型性を認識できるはずである。
【0075】
実施例7 TmaエンドヌクレアーゼVが一本鎖および二本鎖DNAへ及ぼす非特異的開裂活性
TmaエンドVの非特異的開裂活性を決定するために、一本鎖オリゴヌクレオチドおよび正規プラスミドに及ぼす開裂活性を測定した。一本鎖DNA開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2もしくは0.6mM MnCl2、10nM一本鎖DNA基質および指示した量の精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質を含有する20μL反応混合物中において65℃で30分間実施した。
【0076】
プラスミド開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2もしくは1mM MnCl2、10nMプラスミドpFB7.6および指示した量の精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質を含有する20μL反応混合物中において65℃で30分間実施した。
【0077】
この反応は、等量のGeneScan停止液を添加することによって終了させた。この反応混合物をその後94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの検体を10%GeneScan変性ポリアクリルアミドゲル(パーキン・エルマー製)上に装填した。電気泳動は、ABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)を使用して1,500ボルトで1時間実施した。開裂生成物および残留基質は、GeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.0を使用して定量した。
【0078】
この酵素は、AP部位もしくはウラシル含有鎖に特異的に低酵素濃度でニックを入れた(図6A、レーン3〜4および6〜7)。酵素濃度を100nMへ増加させると(E:S=10:1)、反対側の鎖のニッキングが発生し始め(図6A、レーン5および8)、これは反対側の鎖のニッキングがイノシン含有基質にとって独特ではないことを示唆している。この酵素は、AP部位基質とは弱いが明確な複合体を形成したが、ウラシル基質とは形成せず(図6B)、これはこの酵素が基底状態結合を達成するために塩基認識だけに依存するのではないことを示唆している。ウラシル部位との安定性結合の欠如は、エンドVがウラシル修復において重要な役割を果たさないことを指摘している遺伝学的試験と一致している(参照として本明細書に組み入れられるGuo G.ら、J.Bacteriol.,180:46−51(1998)を参照)。
【0079】
I/I基質から入手した結合データは、この酵素が一本鎖法でイノシン基質と相互作用できる可能性があることを証明した。以前の試験は、大腸菌エンドVが一本鎖イノシン基質を開裂することを証明している(参照として本明細書に組み入れられるYaoら、J . Biol . Chem .,271:30672−76(1996)を参照)。この酵素が一本鎖DNAをどのようにして開裂するのかをより明確に理解するために、イノシン、AP部位およびウラシル基質の開裂および結合について試験した。TmaエンドVは、金属コファクターとしてMg2+またはMn2+のどちらかを用いた場合に一本鎖イノシン基質を開裂した(図6C)。一本鎖AP部位またはウラシルの開裂は金属コファクターとしてMn2+を使用することを好むように思われた(図6C)。さらに、Mn2+は非特異的一本鎖DNAの開裂を促進した(図6C)。非特異的エンドヌクレアーゼ活性は、さらにスーパーコイルプラスミド基質を使用して確証された(図6D)。金属コファクターとしてMg2+を使用すると、非特異的エンドヌクレアーゼ活性はプラスミドに1回ニックを入れた。金属コファクターとしてMn2+を使用すると、この酵素は少なくとも2回プラスミド分子にニックを入れることができ、直鎖状プラスミドを生成させた(図6D)。2回のニッキング事象は、ニックが入れられたプラスミド中間物の外観によって証明されたように連続的である。ニックが入れられた、または直鎖状プラスミドへのスーパーコイルプラスミドの変換は、この酵素がDNA分子にアクセスするために遊離5’または3’末端を必要としないことを示唆している。
【0080】
二本鎖イノシン基質を用いた場合のように、一本鎖イノシン基質への結合にはさらに金属コファクターも必要とする(図6E)。一本鎖イノシン基質への結合親和性は、二本鎖より弱いように見えた(図6E)。安定性複合体は、Mg2+の存在下で形成され、これはTmaエンドVがニックが入れられた一本鎖生成物への相当に高い親和性を維持することを示唆した(図6F)。一本鎖イノシン開裂活性は、複製および転写中に一過性一本鎖領域での損傷の修復に役立つ可能性がある。
【0081】
これは、非特異的開裂が金属コファクターとしてMn2+を用いた場合の方が優勢であることを示唆している。さらに、ニックが入れられた、または直鎖状プラスミドへのスーパーコイルプラスミドの変換は、この酵素がDNA分子にアクセスするために遊離5’または3’末端を必要としないことを示唆している。上記の結果は、TmaエンドV開裂がMn2+よりMg2+の存在下における方が特異的であり、Mg2+が反応バッファー中で優先金属コファクターであると決定された。
【0082】
実施例8 pHがTmaエンドヌクレアーゼVの塩基ミスマッチ開裂活性に及ぼす作用
pHは、ミスマッチ開裂に重大な作用を発揮することがある。このアッセイ中の基質は4種のオリゴヌクレオチド群であるが、それらのうちの3種は各々ミスマッチ(A/A)、(C/T)、および(C/C)を含んでおり、残り1種はミスマッチを含まない正規オリゴヌクレオチドである。開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2(または1mM MnCl2)、10n MDNA基質、様々なE:S比を備えた指示した量の精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質を含有するバッファー中において65℃で1時間実施した。
【0083】
相違するpHを作製する際には下記のバッファーを使用した。20mM MES(pH6.0)、20mM MOPS(pH6.5)、10mM HEPES(pH7.0〜7.5)、20mM Tris(pH8.0〜8.5)。A.反応は、5mM MgCl2の存在下で100nMエンドヌクレアーゼV(E:S=10:1)を用いて実施した。B.反応は、1mM MnCl2の存在下で10nMエンドヌクレアーゼV(E:S=1:1)を用いて実施した。
【0084】
その後反応混合物を94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μL検体を10%GeneScan変性ポリアクリルアミドゲル(パーキン・エルマー製)上に装填した。電気泳動は、ABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)を使用して1,500ボルトで1時間実施した。開裂生成物および残留基質は、GeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.0を使用して定量した。
【0085】
図7は、反応バッファーのpHはミスマッチ開裂に重大な作用を発揮することができる。ミスマッチ位置でのニックは、pH6.5で観察できるようになり、5mM Mg2+(E:S=10:1)(図7A)または1mM Mn2+(E:S=1:1)(図7B)の両方の存在下で非特異的開裂において同時増加を伴ってpH7.5で最高に達した。大腸菌エンドヌクレアーゼV(参照として本明細書に組み入れられるGates F.T.,3rd and Linn S.,J . Biol . Chem .,252(5):1647−53(1977)を参照)および大腸菌DNAポリメラーゼ(参照として本明細書に組み入れられるEckert K.A.ら、「反応pHがエキソヌクレアーゼ欠損クレノウポリメラーゼの適合度および加工性に及ぼす作用(Effect of Reaction pH on the Fidelity and Processivity of Exonuclease−Deficient Klenow Polymerase)」,J . Biol . Chem .,268(18):13642−71(1993)を参照)についての以前の試験に一致して、TmaエンドヌクレアーゼVは高pH条件ではより非特異的になった。
【0086】
実施例9 塩が塩基ミスマッチを含有するオリゴヌクレオチド類の開裂に及ぼす作用
反応条件が塩基ミスマッチ開裂にどのように影響を及ぼすのかを試験するために、代表的ミスマッチ開裂を種々のNaCl濃度で試験した。このアッセイでの基質は4種のオリゴヌクレオチド群であるが、それらのうちの3種は各々ミスマッチ(A/A)、(C/T)、および(C/C)を含んでおり、残り1種はミスマッチを含まない正規オリゴヌクレオチドである。開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2または1mM MnCl2、10nMDNA基質および指示した量の精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質を含有する20μL反応混合物中において65℃で30分間実施した。NaClの濃度は、50mM間隔で0〜250mMの範囲内であった。この反応は、等量のGeneScan停止液を添加することによって終了させた。この反応混合物をその後94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの検体を10%GeneScan変性ポリアクリルアミドゲル(パーキン・エルマー製)上に装填した。電気泳動は、ABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)を使用して1,500ボルトで1時間実施した。開裂生成物および残留基質は、GeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.0を使用して定量した。
【0087】
この酵素がMg2+またはMn2+のどちらかを用いてのミスマッチ開裂のために低塩環境を好むことが明白であった。金属コファクターとしてMg2+を用いると、ミスマッチ開裂収率は塩を含まない場合に最高であった。金属コファクターとしてMn2+を用いると、ミスマッチ開裂収率は50mM NaClを用いた場合に最高であった。図8を参照。これは、塩濃度が上昇するとDNA結合親和性が低下するという見解と一致している。これらの条件下では、C−CミスマッチまたはA−Tマッチのどちらを用いても開裂は観察されなかった。
【0088】
上記の実験から、TmaエンドVミスマッチ開裂が最大化され、非特異的ミスマッチ開裂が最小限に抑えられる最適反応バッファー条件が決定された。最適条件は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、および5mM MgCl2である。これらの条件は、基質として主としてオリゴヌクレオチド類を使用したデータから決定した。このため、最適条件は例えばゲノムDNAのような相違する基質を利用したときには変動する可能性がある。さらに、この最適条件は、本発明の状況において最も望ましい開裂特徴に関して最善と思われる条件であるが、最適以下条件も本発明の状況において適合することを述べておかなければならない。
【0089】
実施例10 合成オリゴヌクレオチドDNAを基質として使用した場合のTmaエンドヌクレアーゼV開裂反応条件におけるMg2+およびMn2+濃度の最適化
基質として(A/A)ミスマッチを含有する蛍光標識二本鎖オリゴヌクレオチドを使用して、TmaエンドVの開裂活性を様々な濃度のMg2+またはMn2+を使用して測定した。開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、他に規定されていない限り10nM DNA基質、様々な濃度のMg2+またはMn2+、および100nM TmaエンドV(Mg2+の存在下)または10nM TmaエンドV(Mn2+の存在下)を含有する20μL反応混合物中において65℃で30分間実施した。
【0090】
この反応は、等量のGeneScan停止液(50mM EDTA、80%ホルムアルデヒド、1%ブルーデキストラン)を添加することによって終了させた。この反応混合物をその後94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの検体を10%GeneScan変性ポリアクリルアミドゲル(パーキン・エルマー製)上に装填した。電気泳動は、ABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)を使用して1,500ボルトで1時間実施した。開裂生成物および残留基質は、GeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.0(パーキン・エルマー製)を使用して定量した。定量結果は、図4に示されている。塩基ミスマッチを含有するDNA基質の開裂におけるMg2+の最適濃度は2〜7mMであり、Mn2+の最適濃度は0.4〜1.2mMである。
【0091】
実施例11 PCR増幅
k−ras遺伝子コドン12および13における変異を含むゲノムDNAは変異を含有する細胞系から抽出した。細胞系ht29またはsw1417は正常ゲノムDNAを含有している。細胞系sw620またはsw480は、純粋g12v(g→t)変異を含有するDNAを有している。細胞系Is180から抽出したゲノムDNA内の野生型対変異g12d(g→a)の比率は1:1.8である。細胞系sw1116から抽出したDNA内の野生型対変異g12a(g→c)の比率は1:0.7である。細胞系hct15またはdld1から抽出したゲノムDNA内の野生型対変異g13d(g→a)の比率は1:1.1である。
【0092】
PCR増幅プロセスを実施する際には、フォワードプライマーおよびリバースPCRプライマーはTETおよび6−FAM(PE−バイオシステムズ、フォスターシティ、CA)の5’末端標識を用いて合成できる。これら2種の蛍光基は、ABI377シーケンサーによって解析したときに、各々緑色および青色に見える。上方鎖および下方鎖の鑑別標識は、各鎖から開裂生成物を独立して区別することを許容する。TmaエンドVによるTETおよび6−FAM標識の非特異的開裂を最小限に抑えるために、3種の追加のシトシンデオキシヌクレオチドを各プライマーの5’末端上で合成した。適したプライマーの例は表1Aに示されている。
(表2A)癌遺伝子フラグメントを増幅させるためのPCRプライマー配列
【0093】
PCRプライマーの生成のプロセスでは、200ngの標識プライマーを20μLのddH2O中に溶解させ、等量のホルムアルデヒドと混合した。約64℃で2分間インキュベートした後、7M尿素を含有する100%ポリアクリルアミドゲル上にプライマーを装填した。電気泳動後に、純粋のプライマーを含有するゲルスライスを切り取り、37℃のTNE溶液(0.1M Tris−HCl(pH8.0)、0.5M NaCl、5mM EDTA)中に一晩浸漬した。ゲルスライスを含有する溶液を除去し、メタノールおよび水で予備洗浄したSep−PakカートリッジC−18(ウォーターズ(Waters)製、ミルフォード、マサチューセッツ州)上に装填した。20mLのddH2Oを用いて洗浄した後、2mLの溶出バッファー(5mM TEAA(酢酸トリエチルアミン)、50%メタノール)を用いてプライマーを溶出させ、高速真空装置を用いて乾燥させた。TEバッファーを用いてペレットを懸濁させた。PCR反応は、GeneAmp PCRシステム2400またはGeneAmp PCRシステム9700において実施した。50μLのPCR反応溶液は10mM Tris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、200μMの各dNTP、0.2μMのプライマー、2.5mM MgCl2、および約100ngのゲノムDNAまたはアンプリコンを含有している。高GC含量を用いたVHLエキソン1の増幅では、PCR反応混合物中に2%DMSOを含めた。
【0094】
PCR増幅は、ゲノムDNA、あるいはまた対照のフラグメントを含有するアンプリコンから直接的であってよい。PCR反応のための熱サイクル条件は、非特異的フラグメントの増幅を減少させるように調整しなければならない。表2Bは、様々な遺伝子のための典型的な熱サイクル条件を示している。
【0095】
(表2B)種々の遺伝子中のフラグメントを増幅させるためのPCRサイクル条件
備考:AmpliTaqおよびTaqPlusDNAポリメラーゼについては、初期変性段階後に、ホットスタート(hot start)PCRを実施するためにDNAポリメラーゼを添加した。goldTaqDNAポリメラーゼについては、PCR反応を開始させる前に反応混合物中にDNAポリメラーゼを含めた。PCR装置は、GeneAmp PCRシステム2400または9700(パーキン・エルマー製)である。
【0096】
実施例12 ヘテロ二重鎖DNA基質の作製
TaqDNAポリメラーゼを除去するために、PCRフラグメントを1μLのプロテイナーゼK対12μLのPCR生成物の比率でプロテイナーゼK(20mg/mL、キアゲン製)と一緒にインキュベートした。この反応は、プロテイナーゼKを不活化するために70℃で10分間および80℃で10分間実施した。この混合物を94℃で1分間、65℃で15分間加熱し、その後は室温へ冷却してヘテロ二重鎖DNAを形成させた。例えば細胞系LS180のような正常DNAより多数の変異体を含有する細胞系からのゲノムDNAに対しては、正常ゲノムDNAからのPCRフラグメントを添加して1:1の最終比(変異対野生型)を作り出した。細胞系SW1116における変異対野生型の比率は0.7:1.0であり、純粋変異DNAは入手できないので、ゲノムDNA単独を下記の本文に記載した通りに処理した。ゲノムDNAを例えば標的DNAがAPC、BRCA1、BRCA2およびVHL遺伝子中の変異である血液から精製した場合は、PCRフラグメントは野生型PCRフラグメントを添加せずに以前に記載した通りに処理した。
【0097】
実施例13 基質としてのヘテロ二重鎖PCRフラグメントを使用した場合のTmaエンドV/リガーゼによる変異検出条件の最適化
エンドV開裂のためのDNA基質として合成二本鎖オリゴヌクレオチド類(60〜66mer)を使用したときは、最適バッファー条件はTmaエンドVが高い特異的開裂活性および低い非特異的開裂活性を有する10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2である。しかし、K−ras遺伝子中にG12V変異を含有する約300bpのPCRフラグメントを基質として使用したときには、開裂は観察されなかった。このTmaエンドV開裂活性については、K−rasコドン12変異を含有する様々なヘテロ二重鎖PCRフラグメントを基質として使用した。これらの実験では、野生型およびG12V変異DNA PCR増幅フラグメントの混合物を使用した。結果として生じた2種のヘテロ二重鎖フラグメントは、各々G−AおよびT−Cミスマッチを含有している。上方および下方鎖両方の開裂が観察され、生成物をABI377DNAシーケンシング装置上で分離し、開裂生成物の量はGeneScan 3.0解析ソフトウエア(PE−バイオシステムズ製、フォスターシティ、CA)を使用して定量した。図9は、反応への5%DMSOの添加がミスマッチ開裂活性を約2〜3倍増強させることを示している。ミスマッチ開裂を増強できるその他の有機溶媒には、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、グリセロール、ホルムアルデヒド等が含まれる。
【0098】
開裂を改良するための第2アプローチは、ベタイン、N,N,N−トリメチルグリシンの添加を含んでいた。ベタインは、相違するGC含量を有するDNAフラグメントの融解温度を等しくするために最初に使用した。ベタインの一定の「等安定化(isostabilizing)」濃度において、ATおよびGC対が同等に安定性であることが見出された(参照として本明細書に組み入れられるRees W.A.ら、Biochemistry,32:137−44(1993)を参照)。ベタインは、さらにまた高GC含量を含む領域のPCR増幅を促進するための添加物としても使用した(参照として本明細書に組み入れられるHenke W.ら、「ベタインはGC富裕DNA配列のPCR増幅を向上させる(Betain Improves the PCR Amplification of GC−Rich DNA Sequences),」Nucleic Acids Res .,25:3957−58(1997)を参照)。
【0099】
図10は、反応バッファーへのベタインの添加がTmaエンドVの塩基ミスマッチ開裂活性を促進できるが、これをフラグメント依存性方法で実施することを示している。例えばAPC遺伝子から生成されるもののような低GC含量のPCRフラグメントについては、開裂活性は1.0Mベタインで最大2倍の刺激に達した。例えばK−rasフラグメントのような高GC含量のPCRフラグメントについては、最高開裂活性は1.5Mベタインで観察され、2.7倍のより大きな刺激を生じさせた。高および低GC含量フラグメントの両方に対する相対刺激は、1Mベタインでほぼ同一の2倍であった。
【0100】
NaClの作用をヘテロ二重鎖フラグメントについて再試験し、図11Aは、NaClの添加が開裂反応を阻害することを証明している。50mM NaClで、開裂反応はほぼ完全に阻害された。図11Bは、KClがTmaエンドVのミスマッチ開裂活性に及ぼす作用を示している。このアッセイのための基質としてK−rasG12V(G→T)変異を含有する100ngのヘテロ二重鎖PCRフラグメントを使用し、反応は100nM TmaエンドヌクレアーゼVおよび種々の濃度のKClを含む修正最適反応バッファー(2.0Mベタイン、10%DMSO)中において65℃で1時間実施した。結果は、KClの作用がNaClの作用と実際に類似していること、および50mM KClの存在下ではTmaエンドV開裂活性がほぼ完全に阻害されることを示している。このため、本発明の連結段階では、TmaエンドV開裂活性は実質的に排除される。これらの結果は、反応バッファーに追加の塩を含めるべきではないことを確証している。
【0101】
上記の解析は、基質としてPCRフラグメントを使用した場合は、塩の添加は回避すべきであるが、反応への5%DMSOおよび1〜1.5Mベタインの添加はTmaエンドVの特異的開裂活性を増強できることを示唆している。
【0102】
新規最適反応条件を使用して、TmaエンドV開裂反応の時間経過はK−rasG12D(G→A)変異を含有するPCRフラグメントを使用して65℃で実施した(図12)。これらの実験では、野生型およびG12D変異DNA PCR増幅フラグメントの混合物を使用した。結果として生じた2種のヘテロ二重鎖PCRフラグメントは各々G−TおよびA−Cミスマッチを含有している。上方および下方鎖両方の開裂が観察され、生成物をABI377DNAシーケンシング装置上で分離し、開裂生成物の量はGeneScan 3.0解析ソフトウエアを使用して定量した。生成物は時間経過に渡って線形に増加した。インキュベーション時間が長くなると、非特異的生成物の望ましくない増加を生じさせる可能性がある。このため、基質としてヘテロ二重鎖PCRフラグメントを使用したTmaエンドVのための最適反応条件は、10mM HEPES(pH7.4)、5mM MgCl2、1mM DTT、2%グリセロール、およそ1〜1.5Mベタイン、および5%DMSOを含有する反応バッファー中で65℃で1時間のインキュベーションである。
【0103】
図13(−DNAリガーゼレーン)は、新規最適反応条件が基質としてPCRフラグメントを使用したときにTmaエンドV酵素の高い活性および相対的に良好な特異性を生じさせることを証明している。それでも、非特異的ニッキングが依然として観察されるので、その結果として有意なバックグラウンドシグナルが存在する。
【0104】
実施例14 NAD+DNAリガーゼを用いた連結反応条件
Tsp.AK16Dリガーゼのための最適反応バッファーは、20mM Tris−HCl(pH8.5)、5mM MgCl2、50mM KCl、10mM DTT、1mM NAD+、20μg/mL BSAである(参照として本明細書に組み入れられるTong J.ら、「テルムス種由来高適合度DNAリガーゼAK16Dの生化学的特性(Biochemical Properties of a High Fidelity DNA Ligase from Thermus Species AK16D)」,Nucleic Acids Res .,27:788−94(1999)を参照)。エンドV開裂反応からの15μLの反応混合物を2μLの10×補助バッファー(200mM Tris−HCl(pH8.5)、12.5mM MgCl2、500mM KCl、100mM DTTおよび200μg/mL BSA)、1μLの20mM NAD+、および2μLの10〜60nM Tsp.AK16Dリガーゼに添加した。混合物の最終濃度を20mM Tris−HCl pH8.5、5mM MgCl2、50mM KCl、10mM DTT、1mM NAD+、20μg/mL BSA、および1〜6nM AK16D DNAリガーゼとした。この混合物を65℃で20分間インキュベートし、等量のGeneScan停止液(50mM EDTA、1%ブルーデキストランおよび80%ホルムアミド)を添加することによって終了させた。その後この反応混合物を94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。2〜3μLの混合物を6%変性ポリアクリルアミドゲル上に装填し、次の条件下でABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)中で1時間、電気泳動にかけた。1,000ボルトの電圧、60mAの電流、200Wの出力、および45℃のゲル温度。6−FAMおよびTETは、各々上方および下方鎖プライマーで標識された蛍光基であった。それらはABI DNAシーケンサー377を用いると、各々青色および緑色に見える。このため、TET標識(緑色)開裂バンドが上方鎖から生成され、FAM標識(青色)開裂バンドが下方鎖から生成されると結論することができる。TAMRA標識GeneScan分子サイズスタンダード500(赤色バンド)は同一ゲル上に装填されたので、開裂生成物の分子量はGeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.0aを使用してサイズスタンダードの移動度を開裂生成物の移動度と比較することによって推定できた。
【0105】
実施例15 K−ras遺伝子中のコドン12および13の変異の検出
K−ras遺伝子中のコドン12および13の変異の検出では、TmaエンドV/AK16D DNAリガーゼを用いた変異スキャニングの戦略を最初に試験した。PCR増幅のためのテンプレートとしてコドン12および13において変異を含有する細胞系からのゲノムDNAを使用した。K−ras変異を含有する細胞系は、下記の通りに表3に列挙した。
【0106】
(表3)
上方鎖のPCRプライマーの配列は下記であり、
および下方鎖のプライマーの配列は下記であった。
【0107】
PCR反応は、94℃で2分間で実施し、その後AmpliTaq DNAポリメラーゼを添加し、さらに94℃で15秒間、60℃で2分間の加熱を30サイクル実施した。最終伸長は72℃で7分間実施した。その後ゲノムDNAからの野生型PCRフラグメントを1:1の比率で変異PCRフラグメントと混合した。TaqDNAポリメラーゼを除去するために、各12μLのPCR産物に対して1μLのプロテイナーゼK(20mg/mL、キアゲン製)を添加した。この反応物を70℃で10分間および80℃で10分間インキュベートしてプロテイナーゼKを不活化した。その後この混合物を94℃で1分間、65℃で15分間加熱することによってヘテロ二重鎖フラグメントを形成させ、さらに室温へ冷却した。細胞系SW1116のゲノムDNAから精製したPCRフラグメントは野生型PCRフラグメントの添加を必要としなかった。
【0108】
開裂反応のために、標準反応混合物は10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2、5%DMSO、1.5Mベタイン、100ng PCR産物、および500nM精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質から構成した。この反応混合物を65℃で1時間インキュベートし、15μLの反応混合物を2μLの10×リガーゼ補助バッファー(200mM Tris−HCl(pH8.5)、12.5mM MgCl2、500mM KCl、100mM DTTおよび200μg/mL BSA)に添加することによって反応を終了させた。10×リガーゼ補助バッファーのKClがTmaエンドV開裂活性の阻害の原因である。次に、1μLの20mM NAD+、および2μLの60nM AK16D DNAリガーゼを添加して、リガーゼ反応混合物の最終濃度を20mM Tris−HCl(pH7.6)、5mM MgCl2、50mM KCl、10mM DTT、1mM NAD+、20μg/mL BSA、および6nM AK16D DNAリガーゼとした。この混合物を65℃で20分間インキュベートし、等量のGeneScan停止液(50mM EDTA、1%ブルーデキストランおよび80%ホルムアミド)を添加することによって終了させた。その後この反応混合物を94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの混合物を6%変性ポリアクリルアミドゲル上に装填し、次の条件下でABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)中で1時間、電気泳動にかけた。1,000ボルト、60mA、200W、および45℃のゲル温度。
【0109】
エンドV開裂後、純粋野生型および純粋変異G12Vにおいて主要開裂バンドは全く所見されなかった。G12+G12VおよびG12+G12D(LS180)の検体中では2つの主要開裂バンドが所見された。FAM標識(青色バンド;上方鎖の開裂生成物)の長さは、ミスマッチ開裂についての159bpの予想長さの範囲内にある約157〜160bpであった。TET標識(緑色バンド;下方鎖の開裂生成物)の長さは、同様にミスマッチ開裂についての116bpの予想長さに近い約118bpであった。G12V変異に加えて、変異G12DおよびG12Aもまた類似アッセイにおいて検出された。G12Dアッセイでは、上およびしたの両方の鎖の開裂生成物が観察され、それらの強度はG12Vよりほんのわずかだけ低かった。G12Aの検出でも、両方の鎖の開裂が観察された。上方鎖の生成物の強度はG12Dの強度とほぼ同一であったが、下方鎖の生成物の強度は他の2種の変異体の強度よりはるかに低かった。変異G13Dは検出されなかった。
【0110】
図13は、連結段階の添加が非特異的ニッキングのためにいかにバックグラウンドを劇的に減少させるのかを証明している。このアッセイのために、PCRフラグメントはkrasにおける位置G12でwtもしくは変異のいずれかに対してホモ接合性であった、またはこの位置でヘテロ接合性であったDNA検体から生成した。連結段階を使用しないと、非特異的開裂は全検体において観察される。Tsp.AK16Dリガーゼ段階の添加を行わないと、このバックグラウンドシグナルは劇的に減少する。ヘテロ接合性検体(即ち、各セットの最後の2レーン)中でのみ、ヘテロ二重鎖ミスマッチに関連する開裂が観察され、これらの結果は追加の連結段階が特異的ミスマッチ開裂を傷つけないことを証明している。このため、追加の連結段階は非ミスマッチ位置での開裂を原因とするバックグラウンドを減少させることはできるが、ミスマッチ開裂部位での開裂は連結しない。
【0111】
主要開裂バンドミスマッチ開裂生成物に加えて、一部の非特異的開裂バンドもまた観察された。青色(即ち、上方鎖)開裂生成物を越えて移動する全検体において1つの非特異的バンドが存在する。さらにまた1つは青色およびもう1つは緑色の2種の非特異的開裂生成物が存在するが、これらは低分子量生成物とともに移動し、全4種の検体中に存在する。1〜6nM DNAリガーゼと一緒のインキュベーション後に、青色開裂バンドの上方の非特異的バンドは強度が減少するので、これは非特異的ニックがDNAリガーゼによってシールされたことを意味している。低分子量非特異的バンドは、AK16Dリガーゼの濃度を6nMまで上昇させた場合でさえ存在する(図13参照)。これは、これらが連結不能な変性生成物である、あるいはまた有機溶媒中での65℃で1時間のエンドVインキュベーション中に基質から変性した短いフラグメントである可能性を示唆している。
【0112】
本発明の感度を特徴付けるために、K−rasエキソン1変異を含有するPCRフラグメント中の塩基ミスマッチを様々な比率の変異対野生型DNA比下でアッセイした。本発明を用いると、K−ras変異を含有するDNAに対する1:1の変異対野生型DNA比に対する開裂効率は、G12V、G12DおよびG12Aは典型的には各々高い、中、および低い。このセットの変異を利用すると、広範囲の開裂効率に渡って感度についてスクリーニングすることができ、本発明の有用な範囲をより正確に反映するはずである。K−rasエキソン1変異を含有するPCRフラグメントであるG12V、G12DおよびG12Aを個別に野生型PCRフラグメントと1:1、1:2、1:5、1:10、1:20、1:50、および1:100の変異対野生型比で混合した。これらのフラグメント混合物をその後、上記のTmaエンドVおよびDNAリガーゼ条件を使用してアッセイした。図14は、様々な比率の変異対野生型DNA比についての開裂生成物の量を示している。この結果は、全3種の変異について1:20までの変異対野生型比については開裂シグナルをバックグラウンドから区別できることを示している。1:20を超える比については、正確な位置でのシグナルがまだ観察された;しかし、開裂生成物とバックグラウンドとを決定的に区別するのは困難である。このアッセイから、本発明の感度の限界は約1:20(変異対野生型比)であると思われる。
【0113】
実施例16 p53およびVHL遺伝子中の様々な点変異の検出
様々な点変異をスキャンするエンドVの汎用性を試験するために、本発明の方法をp53およびVHL遺伝子中の様々な点変異を含むゲノムDNAに適用した。p53およびVHL内に点変異を含有する13の検体中のエキソン5、6、7および8に点変異を含有する11の検体を入手した。p53およびVHL遺伝子中のエキソンを増幅させるためのPCRプライマーの配列は、表2Aに列挙した。PCR熱サイクル条件は表2Bに列挙した。500bp VHLエキソン1フラグメントのゲル画像から、約180〜500bpへ伸びるスメア(smear)が観察された。これは、VHLのエキソン1の中央部における極めて高いGC含量のために、この領域で開裂生成物を観察することを極めて困難にする。その結果として、PCRフラグメントとゲノムDNAの他の領域との相互作用が発生する可能性がある。そうであれば、このスメアを減少させるために第2ラウンドのPCR増幅においてテンプレートを希釈すべきである。このため、第2ラウンドのPCR増幅において、PCR産物の100倍希釈物を1μLだけ使用し、以前に考察したのと同一サイクル条件下で、しかし今回は15ラウンドだけ増幅させた。するとスメアは劇的に減少し、その後は生成物を可視化できた。
【0114】
p53変異を含有するゲノムDNAは、腫瘍検体から抽出し、PCR増幅させた。引き続き、等量の変異および野生型PCRフラグメントが存在するように野生型PCRフラグメントを添加した。VHL遺伝子変異を含有するゲノムDNAはヘテロ接合性検体からであったので、野生型PCRフラグメントは添加しなかった。TaqDNAポリメラーゼを除去するために、各12μLのPCR産物に対して1μLのプロテイナーゼK(20mg/mL、キアゲン製)を添加した。この反応物を70℃で10分間および80℃で10分間インキュベートしてプロテイナーゼKを不活化した。その後この混合物を94℃で1分間、65℃で15分間加熱することによってヘテロ二重鎖フラグメントを形成させ、さらに室温へ冷却した。
【0115】
開裂反応のために、標準反応混合物は10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2、5%DMSO、1.5Mベタイン、100ng PCR産物、および500nM精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質から構成した。この反応混合物を65℃で1時間インキュベートし、15μLの反応混合物を2μLの10×リガーゼ補助バッファー(200mM Tris−HCl(pH8.5)、12.5mM MgCl2、500mM KCl、100mM DTTおよび200μg/mL BSA)に添加することによって反応を終了させた。次に、1μLの20mM NAD+、および2μLの60nM AK16D DNAリガーゼを添加して、リガーゼ反応混合物の最終濃度を20mM Tris−HCl(pH7.6)、5mM MgCl2、50mM KCl、10mM DTT、1mM NAD+、20μg/mL BSA、および6nM AK16D DNAリガーゼとした。この混合物を65℃で20分間インキュベートし、等量のGeneScan停止液(50mM EDTA、1%ブルーデキストランおよび80%ホルムアミド)を添加することによって反応を終了させた。その後この反応混合物を94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの混合物を6%変性ポリアクリルアミドゲル上に装填し、次の条件下でABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)中で1時間、電気泳動にかけた。1,000ボルト、60mA、200W、および45℃のゲル温度。
【0116】
この方法による変異スキャニング結果の要約は表4に示した。
【0117】
(表4)癌遺伝子についてのTmaエンドV/リガーゼ変異スキャニングの要約
*:(+++):高強度の開裂;(++):中強度の開裂;(+):低強度の開裂;(−):開裂が観察されなかった。
【0118】
p53遺伝子については、11変異中9の変異が検出された。VHL遺伝子については、13点変異中12の点変異が検出された。全点変異は検出されなかったため、変異の存在および変異対野生型DNA比を検証するためにこれらの検体のPCRフラグメントについてDNAシーケンシングを実施した。結果は、これらの検体中に変異が存在し、検変異対野生型DNA比が検体R175Hを除く検体全部においておよそ1:1であることを示した。R175Hを含有する変異PCRフラグメントへ野生型PCRフラグメントを添加した後、開裂アッセイを繰り返したが、それでもR175Hについての結果はまだ陰性であった。
【0119】
表4中の4変異を除く全変異は、TmaエンドヌクレアーゼVによって認識できた。4種の検出不能な変異は、K−rasG13D(G→A)、p53 R175H(G→A)、R273C(C→T)、およびVHL G164D(G→A)であり(表4)、上方および下方鎖両方についての各変異の周囲配列は表5に列挙した。
【0120】
(表5)開裂強度を含む、上方および下方鎖についての変異および周囲配列変異のリスト
【0121】
二本鎖オリゴヌクレオチド基質を用いた以前のアッセイは、各点変異をこの方法で検出できることを証明し、シトシンを含有するミスマッチが最小効率で開裂された(図3および5、表4)。これらの変異全4つがシトシンミスマッチを含むヘテロ二重鎖PCRフラグメントを生成するにもかかわらず、調査された極めて大多数の変異も生成する。このため、シトシンミスマッチの存在は、これら4つの変異がなぜ検出されなかったのかを十分には説明していない。その代わりに、データはフランキング配列を考慮に入れる必要があることを示唆している。TmaエンドVによって開裂できなかった4つの変異の周囲配列の解析は次のコンセンサス配列を生じさせる。gRcg、rcRc、cgYc、およびgYgy。変異または多型性の位置には下線が引かれており、上方の場合に示されており、列挙されている最後の2つの配列は最初の2つの配列の補体である(式中、RおよびYは各々プリンおよびピリミジン塩基を表す)。極めて初期の予備解析では、ヒト染色体22からの最初の100ランダム単一ヌクレオチド多型性(SNP)を4つの不応配列についてサーチしたところ、唯一rcRcだけが発見された(表6)。
【0122】
(表6)ヒト染色体22、最初の100ランダムSNPにおけるTmaエンドV不応配列の頻度
引き続いてのSNPデータベースにおける約4,000SNPのコンピュータサーチにより、gRcg(および相補的cgYc)の頻度は約0.1%であり、rcRc(および相補的gYgy)が約2%であることが判明した。この予備試験結果は、4つの不応配列の頻度が極めて低いことを示唆しているので(2%)、TmaエンドVがヒトゲノム内で所見された多型性および変異の約98%を開裂できると考えられる。
【0123】
単一塩基変異を検出することに加えて、この解析は本発明が小さな挿入および欠失を検出できることを証明している(表4)。VHL遺伝子中の3塩基挿入およびBRCA1における2塩基欠失は、どちらも両方の鎖について強力な開裂シグナルを生じさせた。VHL遺伝子中の単一塩基欠失はさらに両方の鎖について強力なシグナルを生じさせた。BRCA1遺伝子中の単一挿入および単一塩基欠失を用いると最悪の結果が入手された。挿入および欠失の両方について、1本の鎖だけが開裂されることが観察され、シグナルはどちらの場合にも相当に弱かった。この低い効率にもかかわらず、このタイプのシグナルは未知のサンプルにおける変化を確証することができる。これらの結果は、本発明が小さな挿入および欠失を検出できること、および変異検出と同様に、効率が配列依存性であることを証明している。
【0124】
実施例17 APC遺伝子中のエキソン15のコドン1307におけるT→A変異の検出
本発明の方法を、APC遺伝子中のエキソン15のコドン1307におけるT→A変異をスキャンすることによって臨床検体へ適用した。結腸癌組織からの9つのゲノム検体および4つの野生型検体をアッセイした。
上方鎖PCRプライマーの配列は下記であり、
および下方鎖のプライマーの配列は下記であった。
【0125】
PCR反応条件は表2Bに列挙した。APC変異を含有するゲノムDNAはヘテロ接合性であったので、野生型PCRフラグメントを添加する必要はない。TaqDNAポリメラーゼを除去するために、各12μLのPCR産物に対して1μLのプロテイナーゼK(20mg/mL、キアゲン製)を添加した。この反応物を70℃で10分間および80℃で10分間インキュベートしてプロテイナーゼKを不活化した。その後この混合物を94℃で1分間、65℃で15分間加熱することによってヘテロ二重鎖フラグメントを形成させ、さらに室温へ冷却した。細胞系SW1116のゲノムDNA由来のPCRフラグメントは、野生型PCRフラグメントを添加せずに直接加熱し、冷却してヘテロ二重鎖を生成させた。
【0126】
開裂反応のために、標準反応混合物は10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2、5%DMSO、1.5Mベタイン、100ng PCR産物、および500nM精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質から構成した。この反応混合物を65℃で1時間インキュベートし、15μLの反応混合物を2μLの10×リガーゼ補助バッファー(200mM Tris−HCl(pH8.5)、12.5mM MgCl2、500mM KCl、100mM DTTおよび200μg/mL BSA)に添加することによって反応を終了させた。次に、1μLの20mM NAD+、および2μLの60nM AK16D DNAリガーゼを添加して、リガーゼ反応混合物の最終濃度を20mM Tris−HCl(pH7.6)、5mM MgCl2、50mM KCl、10mM DTT、1mM NAD+、20μg/mL BSA、および6nM AK16D DNAリガーゼとした。この混合物を65℃で20分間インキュベートし、等量のGeneScan停止液(50mM EDTA、1%ブルーデキストランおよび80%ホルムアミド)を添加することによって反応を終了させた。その後この反応混合物を94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの混合物を6%変性ポリアクリルアミドゲル上に装填し、1,000ボルト、60mA、200W、および45℃のゲル温度でABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)中で1時間、電気泳動にかけた。全検体中で正確な変異が検出され、野生型もしくは腫瘍検体中で偽陽性は検出されなかった。開裂活性は、おそらくAPC遺伝子のエキソン15のAT富裕な性質のために、1.5Mベタイン中におけるより1.0Mベタインの存在下における方が高かった(図10B)。このためベタインの量を調整する必要があり、増幅させた領域のGC含量がガイドとして機能する可能性がある。
【0127】
実施例18 希釈検体中でのK−ras変異の検出
本発明の感度を決定するために、K−rasエキソン1変異であるG12V、G12DおよびG12Aを含有するPCRフラグメントをテンプレートとして使用し、本発明の変異検出能力を1:1〜1:100の範囲内の様々な変異対野生型DNA比でアッセイした。G12Aアッセイにおける初期比は、G12A変異を含有するゲノムDNAにおける変異対野生型DNA比が0.7:1であり、純粋変異G12Aは入手できなかったので、0.7:1であった。PCRプライマーの配列は表2Aに列挙し、PCR熱サイクル条件は表2Bに列挙した。TaqDNAポリメラーゼを除去するために、各12μLのPCR産物に対して1μLのプロテイナーゼK(20mg/mL、キアゲン製)を添加した。この反応物を70℃で10分間および80℃で10分間インキュベートしてプロテイナーゼKを不活化した。その後この混合物を94℃で1分間、65℃で15分間加熱することによってヘテロ二重鎖フラグメントを形成させ、さらに室温へ冷却した。
【0128】
K−rasエキソン1変異を含有するPCRフラグメントであるG12V、G12DおよびG12Aを個別に野生型PCRフラグメントと1:1、1:2、1:5、1:10、1:20、1:50、および1:100の変異対野生型比で混合した。このアッセイのために、PCRフラグメントの総量は一定に維持した。このため種々の変異対野生型DNA比を有するヘテロ二重鎖PCRフラグメント100ngはTmaエンドVを用いて開裂し、Tsp.AK16D DNAリガーゼを用いて連結した。
【0129】
開裂反応のために、標準反応混合物は10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2、5%DMSO、1.5Mベタイン、100ng PCR産物、および500nM精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質から構成した。この反応混合物を65℃で1時間インキュベートし、15μLの反応混合物を2μLの10×リガーゼ補助バッファー(200mM Tris−HCl(pH8.5)、12.5mM MgCl2、500mM KCl、100mM DTTおよび200μg/mL BSA)に添加することによって反応を終了させた。次に、20mM NAD+、および2μLの60nM AK16D DNAリガーゼを添加して、リガーゼ反応混合物の最終濃度を20mM Tris−HCl(pH7.6)、5mM MgCl2、50mM KCl、10mM DTT、1mM NAD+、20μg/mL BSA、および6nM AK16D DNAリガーゼとした。この混合物を65℃で20分間インキュベートし、等量のGeneScan停止液(50mM EDTA、1%ブルーデキストランおよび80%ホルムアミド)を添加することによって終了させた。その後この反応混合物を94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの混合物を6%変性ポリアクリルアミドゲル上に装填し、1,000ボルト、60mA、200W、および45℃のゲル温度でABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)中で1時間、電気泳動にかけた。TAMRA標識GeneScan分子サイズスタンダード500を同一ゲル上に装填し、開裂生成物の分子量は、GeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.aを使用してサイズスタンダードの移動度と比較することによって推定できる。
【0130】
図14は、様々な変異対野生型DNA比についての開裂生成物の量を示している。ピーク面積は、GeneScanソフトウエア(バージョン3.0)によって測定し、これを使用して相対蛍光強度を測定した。野生型ホモ二重鎖を生成した開裂シグナルを野生型対照として使用した。バックグラウンド強度は、上方および下方鎖各々の生成物についての開裂バンドのすぐ上方および下方でシグナル強度を測定することによって決定した。バックグラウンドシグナルは、その後相違する比率を含む7検体および野生型1検体から平均化した。開裂生成物に関連するピーク面積は、GeneScan解析ソフトウエア3.0を用いた解析によって決定した。図14における棒グラフは、各変異対野生型比を用いた相対蛍光強度を示している(斜線棒:上方鎖の開裂生成物;黒色棒:下方鎖の開裂生成物)。平均バックグラウンドシグナルは、水平波線で示されている(Bkdg−上は平均上方鎖の開裂生成物に対する平均バックグラウンドシグナルを表しており、bkdg−下は下方鎖の開裂生成物に対する平均バックグラウンドシグナルを表している)。変異、ヌクレオチド変化、およびミスマッチ塩基対はグラフ内に示されている。
【0131】
これらの結果は、本発明が全3変異について少なくとも1:20の変異対野生型DNA比でバックグラウンドシグナルから開裂シグナルを一貫して区別できることを示している。本発明は、1:50という高い変異対野生型DNA比において開裂シグナルを検出することができたが、これは試験したすべての場合で観察はされなかった。このため、本発明は1:20(変異対野生型DNA比)の感度へ限定されている。
【0132】
実施例19 BRCA1、BRCA2、およびVHL遺伝子中の小さな欠失、挿入の検出
本発明が小さな欠失または挿入を検出する能力を決定するために、BRCA1のエキソン2におけるAG欠失もしくはエキソン20におけるC挿入、BRCA2遺伝子のエキソン11におけるT欠失、またはフォン・ヒッペル・リンダウ(von Hippel Lindau(VHL)遺伝子のエキソン2におけるAGA挿入もしくはA欠失のいずれかを含有する検体に適用した。
【0133】
BRCA1中のエキソン2および20、BRCA2中のエキソン11およびVHL中のエキソン2を増幅させるためのPCRプライマーの配列は表2Aに列挙し、PCR熱サイクル条件は表2Bに列挙した。変異は検体中のヘテロ接合性であるので、野生型PCRフラグメントを添加する必要はなかった。TaqDNAポリメラーゼを除去するために、各12μLのPCR産物に対して1μLのプロテイナーゼK(20mg/mL、キアゲン製)を添加した。この反応物を70℃で10分間および80℃で10分間インキュベートしてプロテイナーゼKを不活化した。その後この混合物を94℃で1分間、65℃で15分間加熱することによってヘテロ二重鎖フラグメントを形成させ、さらに室温へ冷却した。
【0134】
開裂反応のために、標準反応混合物は10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2、5%DMSO、1.5Mベタイン、100ng PCR産物、および500nM精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質から構成した。この反応混合物を65℃で1時間インキュベートし、15μLの反応混合物を2μLの10×リガーゼ補助バッファー(200mM Tris−HCl(pH8.5)、12.5mM MgCl2、500mM KCl、100mM DTTおよび200μg/mL BSA)に添加することによって反応を終了させた。次に、1μLの20mM NAD+、および2μLの60nM AK16D DNAリガーゼを添加して、リガーゼ反応混合物の最終濃度を20mM Tris−HCl(pH7.6)、5mM MgCl2、50mM KCl、10mM DTT、1mM NAD+、20μg/mL BSA、および6nM AK16D DNAリガーゼとした。この混合物を65℃で20分間インキュベートし、等量のGeneScan停止液(50mM EDTA、1%ブルーデキストランおよび80%ホルムアミド)を添加することによって反応を終了させた。その後この反応混合物を94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの混合物を6%変性ポリアクリルアミドゲル上に装填し、1,000ボルト、60mA、200W、および45℃のゲル温度でABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)中で1時間、電気泳動にかけた。TAMRA標識GeneScan分子サイズスタンダード500を同一ゲル上に装填したので、開裂生成物の分子量はGeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.0aを使用してサイズスタンダードの移動度を開裂生成物の移動度と比較することによって推定できた。
【0135】
ゲル画像は、BRCA1のAG欠失ミスマッチの開裂が極めて強力であるが、BRCA1のC挿入およびBRCA2のT欠失に関連している開裂バンドがかすかであることを証明した(図15)。T欠失の開裂バンドの下方の非特異的バンドは連結後には除去されたが、これはリガーゼによって非特異的ニックをシールできることを示している。VHL遺伝子については、AGA挿入の開裂は極めて強力であり、A挿入の開裂は極めて良好である(表4)。これらの結果は、エンドVが2〜3つのヌクレオチド挿入または欠失を認識して開裂できることを証明している。さらにまた1つのヌクレオチド挿入または欠失も検出できるが、効率は2もしくは3つのヌクレオチド変化を検出する効率より低いことが観察された。
【0136】
レーン13〜18とレーン19〜24との比較は、臨床検体を使用したときにp53遺伝子中の点変異を区別するためにDNAリガーゼ段階を使用することの長所を証明している。レーン13〜18における重大なバックグラウンドシグナルは、レーン19〜24を除いて全部排除されるので変異シグナルの明白な検出が可能になる。
【0137】
実施例20 長鎖PCRフラグメントにおける変異の検出
本発明が、長鎖PCRフラグメント上で変異スキャンを行う能力を、p53遺伝子からの1.7kb PCRフラグメントを使用して決定した。この1.7kbセグメントを増幅させるために使用したPCRプライマーの配列は表2Aに列挙し、PCR熱サイクル条件は表2Bに列挙した。TaqDNAポリメラーゼを除去するために、各12μLのPCR産物に対して1μLのプロテイナーゼK(20mg/mL、キアゲン製)を添加した。この反応物を70℃で10分間および80℃で10分間インキュベートしてプロテイナーゼKを不活化した。その後この混合物を94℃で1分間、65℃で15分間加熱することによってヘテロ二重鎖フラグメントを形成させ、さらに室温へ冷却した。PCRフラグメントは10mM Tris(pH7.5)および過剰dNTPを用いて2回洗浄し、エンドV開裂反応の前にマイクロコン30フィルター(ミリポア製)遠心段階によってプライマーを除去した。これはバッファー条件の変更を生じさせ、容量を洗浄前のオリジナル容量の半分へ減少させた。このため、DNA濃度は2倍の約10〜20ng/μLへ増加した。TmaエンドV開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、200ng PCRへテロ二重鎖フラグメント、5mM MgCl2、1.5Mベタイン、2%DMSO、および500nM精製TmaエンドVを含有するバッファー中で65℃で1時間実施した。エンドV反応後、フラグメントを再度洗浄してベタインおよびDMSOを除去した。連結は、20mM Tris−HCl(pH7.6)、5mM MgCl2、50mM KCl、10mM DTT、1mM NAD+、および20μg/mL BSAを含有するバッファー中での1〜6nM Tsp.AK16Dリガーゼの存在下で、65℃で20分間実施した。
【0138】
この方法は、テンプレートとしてp53R248W(C→T)を含有するゲノムDNAを使用して実施し、R248W変異を含有する400bp、800bp、1.2kbおよび1.7kbフラグメントを増幅させた。このアッセイは、本発明がサイズが1.7kbまで、もしかするとそれより大きいPCRフラグメントにおける変異を検出できることを証明している(図16)。これらのアッセイでは、上方鎖の開裂(TET標識)もまた観察された。
【0139】
実施例21 p53R248W(C→T)を検出するためのマイクロDNAシーケンシング
マイクロDNAシーケンシングの方法は、図16Aおよび18Aに示されている。p53R248W(C→T)を含有するDNAフラグメントは非標識プライマーを用いてPCRを増幅させた。PCRプライマーの配列は表2Aに列挙し、PCR熱サイクル条件は表2Bに列挙した。p53R248W(C→T)を含有するPCRフラグメントを等量の野生型PCRフラグメントと混合した。TaqDNAポリメラーゼを除去するために、各12μLのPCR産物に対して1μLのプロテイナーゼK(20mg/mL、キアゲン製)を添加した。この反応物を70℃で10分間および80℃で10分間インキュベートしてプロテイナーゼKを不活化した。その後この混合物を94℃で1分間、65℃で15分間加熱することによってヘテロ二重鎖フラグメントを形成させ、さらに室温へ冷却した。PCRフラグメントは10mM Tris(pH7.5)および過剰dNTPを用いて2回洗浄し、エンドV開裂反応の前にマイクロコン30フィルター(ミリポア製)遠心段階によってプライマーを除去した。
【0140】
TmaエンドV開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、、200ng PCRへテロ二重鎖フラグメント、5mM MgCl2、1.5Mベタイン、2%DMSO、および500nMTmaエンドVを含有するバッファー中で65℃で1時間実施した。エンドV反応後、フラグメントを再度洗浄してベタインおよびDMSOを除去した。連結は、20mM Tris−HCl(pH7.6)、5mM MgCl2、50mM KCl、10mM DTT、1mM NAD+、および20μg/mL BSAを含有するバッファー中での1〜6nM Tsp.AK16Dリガーゼの存在下で、65℃で20分間実施した。連結後、この混合物を65℃で20分間インキュベートし、その後洗浄して塩を除去した。
【0141】
ニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物は、DNAポリメラーゼIクレノウフラグメントを用いてニック3’から5’へ数ヌクレオチドを切断し戻した。この反応混合物(40μL)は、1×大腸菌DNAポリメラーゼIバッファーおよび20単位のDNAポリメラーゼIクレノウフラグメントを含む連結反応物からの120ng DNAを含んでいた。この混合物を37℃で30分間インキュベートした。この反応生成物を引き続きシーケンシング反応のための基質として使用した。
【0142】
DNAシーケンシング反応物は、クレノウフラグメント反応物からの30ng DNA、20μM dNTP、20μM ddGTP、224μM ddTTP、22μM ddATP、32μM ddCTP、1×シーケンシングバッファー、および1μLのTaqDNAポリメラーゼFS(パーキン・エルマー製:ロット番号361451005)を含有していた。4種のジデオキシヌクレオチドの比率(A:C:G:T=0.11:0.16:0.10:1.12)は、参照として本明細書に組み入れられるRosenblum B.B.ら、「改良DNAシーケンシングパターンのための新規色素標識ターミネーター(New Dye−Labeled Terminators for Improved DNA Sequencing Pattern)」,Nucleic Acids Res .,25:4500−4(1997)から採用した。この反応混合物はPE GeneAmp PCRシステム2400サーモサイクラーを使用して60℃で30分間インキュベートした。過剰のBigDyeジデオキシヌクレオチドは反応混合物をセントリ・セップ(Centri−Sep)(登録商標)スピンカラムP/N CS−90(プリンストン・セパレーション(Princeton Separation)製、アデルフィア、NJ)上に装填し、3,000rpmで2分間超遠心することによって除去した。5μLの溶離液を等量のGeneScan停止液(50mM EDTA、80%ホルムアミド、および1%ブルーデキストラン)へ添加した。94℃で2分間加熱し、1μLの混合物を10%変性ポリアクリルアミドゲル上に装填し、1,000ボルト、60mA、150Wおよび45℃のゲル温度で電気泳動にかけた。ラン時間は約4時間であった。ランモジュールはEを濾過するように設定し、マトリックスはdRhodamineマトリックスへ設定した。データは、GeneScan解析(バージョン3.0a)を用いて解析した。図16Bを参照。
【0143】
配列結果を比較するために、標準dRhodamineDNAサイクリングシーケンシングもまた実施した。このシーケンシング反応のためのDNAテンプレートは非標識PCRプライマーを用いて増幅させたPCR産物であった。その後、検体は10mM Tris(pH7.5)を用いて2回洗浄し、過剰なプライマーはマイクロコン30フィルター(ミリポア製)遠心段階によって除去した。非標識PCRプライマーの一つはその後シーケンシングプライマーとして使用されるべく添加された。標準DNAシーケンシングはABI Prism dRhodamine Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit(パーキンソン・エルマー製)を使用して実施した。8.0μLのターミネーター用準備ができた反応混合物、6.0μLのPCR産物(10ng/L)、1.0μLの各PCRプライマー(3.2μM)、および7μLのddH2Oを含有する20μLの反応混合物は、PE GeneAmp PCRシステム2400サーモサイクラー中で96℃で10秒間、50℃で5秒間、および60℃で4分間から構成される25サイクルでインキュベートした。反応後、混合物に2μLの3M NaAc(pH.4.6)および50μLの95%エタノールを添加することにより沈降させ、これを氷上に10分間置いた。最高速度で15〜20分間に渡りマイクロ遠心し、70%エタノールを用いてペレットをすすぎ洗い、乾燥させた。その後ペレットを4μLのDNAシーケンシング・ローディングバッファー(5mM EDTA、1%ブルーデキストラン、および80%ホルムアミド)中に懸濁させた。95℃で2分間の加熱後、1〜2μLの混合物を10%変性ポリアクリルアミドゲル(小プレート)上に装填し、1,000ボルト、60mA、150Wおよび45℃のゲル温度で電気泳動にかけた。ラン時間は、ABI DNAシーケンサー377上で約4時間であった。ランモジュールはEを濾過するように設定し、色素セット/プライマーファイルはDT{dR Set Any−primer}へ設定した。シーケンシングパターンは、DNAシーケンシング解析ソフトウエア(バージョン3.0)を用いて解析した(図18を参照)。
【0144】
下方鎖のシーケンシング結果は、図18B(マイクロDNAシーケンシング)および図18C(標準DNAシーケンシング)に示した。G(青色)およびA(緑色)ピークが重複する位置はミスマッチの位置を示しており、変異がG→A(上方鎖についてはC→T)であることを示している。
【0145】
実施例22 7−デアザ−dGTPを含有するPCRフラグメント中のK−ras G12V変異の検出
TmaエンドヌクレアーゼVを用いてヌクレオチド類似体を使用する可能性を探索するために、PCR反応混合物中の正規dgtpの代わりに同一濃度の7−デアザ−dgtpを使用した。PCR反応は、野生型DNA(ht29)および変異DNA g12v(g→t)(sw620)を含有する細胞系からのゲノムDNAを使用してK−rasエキソン1を増幅させるためにセットアップした。PCRプライマーおよびPCRプログラム、Tma開裂およびTsp.DNA連結条件は標準条件と同一であった。7−デアザ−dgtpを含有するPCRフラグメントからの開裂生成物を比較するために、正規dgtpを含有するPCRフラグメントからの開裂生成物も同一ゲル上に装填した。
【0146】
7−デアザ−dGTPにおける7位は、窒素の代わりに炭素である(図17A)。PCR反応は、野生型DNA(HT29)および変異DNA G12V(G→T)(SW620)を含有する細胞系からのゲノムDNAを使用してK−rasエキソン1を増幅させるための準備をした。7−デアザ−dGTPを含有するPCRフラグメントからの開裂生成物と比較する際に、正規dGTPを含有するPCRフラグメントからの開裂生成物もまた同一ゲル上に想定した。7−デアザ−dGTPを含有するヘテロ二重鎖PCRフラグメントについては、(G→T)変異を含有する上方鎖の開裂が阻害されたが、(C→A)を含有する下方鎖の開裂は依然として存在している(図17B)。この結果は、TmaエンドヌクレアーゼVとグアニン中のN−7との接触の可能性を示した。7−デアザGの使用は不応G13D変異の開裂を許容しなかったが、開裂できない類似体を使用することによってG−C塩基対の安定性を低下させるという概念が強固であることが証明された。幾つかの追加の(非特異的)開裂生成物は、デアザGを含有する第2レーンで観察される。特にグアノシンを含むがハイブリダイゼーションを不安定化させるシトシンの代わりに、例えば2−ピリミジノンのようなまた代わりの類似体を考慮に入れることができる。
【0147】
実施例23 変異エンドヌクレアーゼ類
野生型テルモトガ・マリチマ エンドVは、ヒトゲノム内で発見されるSNPのほぼ98%を同定できる。残りのSNPを同定するために、または存在するSNPまたは変異上のより強固なシグナルを達成するためには、修飾または新規エンドV酵素類が必要になることがある。これは、ミスマッチ塩基特異性を変化させるためにテルモトガ・マリチマ エンドV内へ変異を導入すること、または相違するミスマッチ塩基特異性を有する相違する有機体からのエンドVを利用することのいずれかによって達成できる。変異テルモトガ・マリチマ エンドVまたは代替エンドVはこのアッセイで認識できる配列の繰返しを伸長させるために、野生型テルモトガ・マリチマ エンドVを用いた同一反応に使用できた。
【0148】
様々な真核生物、原核生物、および始原菌エンドVオルトログの一次配列アライメントは、進化的に保存されたと思われる数残基を解明した。9種の部位特異的変異体(D43A、Y80A、R88A、E89A、D105A、D110A、H116A、H125A、およびK139A)を構築したが、これらのうち5種(Y80A、R88A、E89A、H116A、およびK139A)は有用な変化した特異性を有すると思われる(表7参照)。
【0149】
(表7)TmaエンドV変異体の酵素活性および結合活性の要約
さらに、この解析はこの酵素にとっての触媒残基として2種のアスパラギン酸塩D43およびD105を同定した。
【0150】
有用なテルモトガ・マリチマ・エンドV変異体を開発するために使用したアプローチは、タンパク質−基質相互作用に含まれる位置での部位特異的変異体を作製することに基づいている。テルモトガ・マリチマ・エンドVは、天然発生デオキシリボヌクレオチド塩基(dA、dC、dG、およびdT)を含有するミスマッチと比較して、適合した基質またはミスマッチ基質のいずれかの内でのイノシンまたはウラシルを用いた有意に大きな開裂活性を証明している。このため、イノシンまたはウラシルに対する酵素の特異性を減少させることによって、および/または天然塩基に対する特異性を増加させることによって天然塩基に対する酵素の相対特異性を増加させることができる。
【0151】
基質に対するタンパク質特異性は、典型的には酵素のアミノ酸側鎖と基質の官能基との相互作用を含む。アミノ酸側鎖と種々の化学成分の基質成分(例、疎水性/極性相互作用)に関わる相互作用は、大きく基質結合を不安定化させ、特異的基質を利用する酵素の能力を劇的に低下させることができる。基質および天然発生デオキシリボヌクレオチド塩基を含有するイノシンおよびウラシルとの劇的に高い活性を伴うインビトロでの酵素機能は余り好都合には開裂されないので、これは1種以上の不安定化相互作用が強力に天然塩基と関連することを示唆している。このため、この酵素を酵素−ミスマッチ塩基相互作用の位置で突然変異を起こさせることによって、天然発生デオキシリボヌクレオチド塩基に好都合となるように酵素の特異性を変化させることができる。DNA基質内のウラシルを認識するヒトUDGを用いて、類似のアプローチが成功している。参照として本明細書に組み入れられるKavliら、The EMBO Journal,15:3442−47(1996)を参照。
【0152】
タンパク質−基質相互作用に直接関係する残基は、同一ファミリーの酵素間で保存される強度の傾向を有している。このため、一次アミノ酸配列アライメントにおいて、高度に保存された残基は突然変異誘発のための優れた候補を表している。突然変異誘発に適したテルモトガ・マリチマ・エンドVにおける位置を同定するために、PAM250残基重量表を用いたClustalWアライメントアルゴリズム(ペアワイズアライメント・パラメーター:Ktuple=1、ギャップペナルティ=3、ウィンドウ=5、およびDiagonals Saved=5;複数アライメント/パラメーター:ギャップペナルティ=10およびギャップ長ペナルティ=10)を使用して高温性および中温性始原菌および真核生物(即ち、テルモトガ・マリチマ(配列番号:37)、ピロバクルム・アエロフィウム(配列番号:38)、ピロコッカス・ホリコシ(配列番号:39)、ピロコッカス・アビッシ(配列番号:40)、ピロコッカス・フリオサス(配列番号:41)、アルカエグロブス・フルギドゥス(配列番号:42)、アエロピルム・ペルニクス(配列番号:43)、クロストリジウム・アセトブチリクム(配列番号:44)、ペスト菌(配列番号:45)、大腸菌(配列番号:46)、枯草菌(配列番号:47)、ネズミチフス菌(配列番号:48)、およびストレプトミセス・コエリカラー(Streptonyces coelicolor)(配列番号:49))からの13種の同定されたおよび推定されたエンドV酵素間で一次アミノ酸配列アライメントを実施した(図19)。アライメントに利用した酵素の大多数は推定エンドV酵素であるので、これらの酵素の大多数のミスマッチ特異性は不明である。その結果として、テルモトガ・マリチマ・エンドV中の候補残基を同定するためにアライメントを利用すると、同種酵素が類似または相違する特異性のどちらを有するのかを推定できる。類似特異性を有すると推定した場合は、エンドVの大多数に対して高度に保存されている残基が候補を提供する。相違する特異性を推定した場合は、2セットの高度に保存された残基が存在する位置は候補を表している。
【0153】
エンドVのファミリー間での類似のミスマッチ特異性を推定する解析では、1)大多数のエンドV酵素に対して高度に保存された、および2)突然変異誘発に対して最善に適しているテルモトガ・マリチマ・エンドV中の12残基(D43、F46、Y80、R88、E89、D105、D110、H116、R118、H125、K139、およびF180)が同定された。脂肪族炭化水素鎖(即ち、L、I、VおよびM残基)はタンパク質−基質相互作用において重要な役割を果たすことができるが、これらの残基との高度の保存の位置は列挙されていない。それはそれらが酵素の疎水性コアを安定化する際にも重要な役割を果たすことができるからである。さらに、高度に保存されたプロリン類およびグリシン類は、これらのアミノ酸残基と関連する独特の化学的および構造的影響のために突然変異誘発にためには避けなければならない。12種の初期セットから9種の部位特異的変異体(D43A、Y80A、R88A、E89A、D105A、D110A、H116A、H125A、およびK139A)およびこれらの変異エンドVs中5種(Y80A、R88A、E89A、H116A、およびK139A)は有用に変化した特異性を有すると思われる。これらの結果は、本発明が変化した特異性を付与するために変異するテルモトガ・マリチマ・エンドV位置を同定するために有用であることを証明している。極性基の化学的性質(例、水素結合供与体対水素結合受容体)はさらにまた基質特異性に強度の影響を及ぼす可能性があるので、これらの位置でのいっそうの変異は本発明の能力を拡大する変異エンドV酵素の生成を促進することができる(表8)。
【0154】
(表8)エンドV変異体、第1群
上記に示した実施例では、アラニンを置換するとミスマッチでの天然発生塩基のための不安定化残基を除去すると予想される。あるいはまた、電荷極性基を純粋疎水性残基を用いて変化させるとミスマッチでの天然発生塩基の安定性または結合親和性が増加することがある。さらに、正電荷または負電荷から残基を変化させると、ミスマッチでの天然塩基が優先されるように酵素の特異性が変化することがある。基質と酵素との間の相互作用は複雑な水素結合ネットワークを含む可能性があるので、天然塩基を含有するミスマッチへの酵素のより優れた活性を入手するためには表7に列挙した2個以上の残基を変化させることが必要になる。さらに、例えばD43EもしくはD105Eのような触媒性残基におけるかすかな変化は、ミスマッチでの天然発生塩基の触媒を支援することがある。
【0155】
エンドVファミリーの一部のメンバー間で異なるミスマッチ特異性を推定する解析において、2つの別個の保存配列セットを含有する2残基(G83およびI179)を同定した。例えば、テルモトガ・マリチマ・エンドVのI179と同種である残基は、極性荷電残基(K)または脂肪族残基(L,IまたはV)のいずれかである。この位置がそのミスマッチでDNA塩基との相互作用することに関係している場合は、残基の組成(極性および荷電対疎水性)はどの基質が優先されるのかに影響を及ぼすと考えられる。最初の突然変異誘発(例えば、I179K)のための基礎として所定の位置でテルモトガ・マリチマ・エンドVとは相違する保存されたセットを使用した(表9)。
【0156】
(表9)エンドV変異体、第2群
【0157】
変異テルモトガ・マリチマ・エンドV酵素を開発することに加えて、他の熱安定性エンドV酵素のクローニングは本発明において使用するためのまた別の、しかし機能的には類似の酵素源を提供する。本発明は、生成物が本発明の熱安定性リガーゼ段階と適合する限り、他の熱安定性エンドV酵素類、または他のエンドヌクレオチド結合分解性酵素類を利用することができる。テルモトガ・マリチマ・エンドVとは相違する基質特異性を含む熱安定性エンドVを利用することによって、本発明の能力をさらに拡大することができる。
【0158】
実施例24 結合エンドV/DNAリガーゼアッセイを使用した変異スキャニング
PCR/LDR/アレイおよびエンドV/DNAリガーゼ変異スキャニング両方の組み合わせを使用した結腸腫瘍DNA中のp53変異の解析は、自動シーケンシングより優れていることを証明した(表10を参照)。PCR/LDRとエンドV/DNAリガーゼを組み合わせることによって26のp53変異を有することが証明された検体23中8検体は自動シーケンシングでは見つけられなかった(65%真陽性、35%偽陰性)。エンドV/DNAリガーゼ変異スキャニングを用いて陽性であるとされた5検体における変異検出は、PCRフラグメントのゲル精製、および手動読み取りを用いた両方の鎖に再シーケンシングを必要とした。重要なことに、エンドV/DNAリガーゼ変異スキャニングは全4つのフレームシフト変異をスコア付けしたが、これはp53変異を有する検体のほぼ20%を説明している。このようなフレームシフト変異は、市販で入手できるp53ハイブリダイゼーションチップの検出能力を超えている。
【0159】
(表10)腫瘍検体中のp53変異の検出:ジデオキシシーケンシングとのPCR/LDRおよびエンドV/DNAリガーゼ変異スキャニングを用いる組み合わせ解析を使用した比較
* シーケンシング結果を入手するためにPCR産物のゲル精製を必要とした。
# PCR/LDRおよびエンドV/DNAリガーゼによって陰性とされた27中の任意の5個の検体のシーケンシングでは新規変異が明らかでない。
【0160】
3種のK−ras変異を使用した混合実験は、エンドV/DNAリガーゼ反応もまた高感度アッセイであることを証明した。1変異シーケンスを20野生型シーケンスを用いて希釈した場合は、変異をバックグラウンドの上方で検出できる。
【0161】
結腸腫瘍DNAは、約10〜50%の基質細胞浸潤を含む非顕微解剖検体から単離した。1つのp53対立遺伝子の変異には、染色体消失または有糸分裂不分離のどちらかを通して発生する他の対立遺伝子のヘテロ接合性の消失(「LOH」)が常に付随していた(即ち、両方の変異染色体が娘細胞へ)。従って、上記の検体からのDNAは90%:10%(10%基質を含む不分離に対して)から33%:67%(50%基質を含む染色体消失に対して)の変異p53:野生型対立遺伝子の範囲を有している。上記の検体を3検体のプール中のp53変異について再解析すると、エンドV変異スキャニングアッセイはまだ全変異体の存在を同定することができた。プールされた検体バンド中数個は個別検体からのバンドより強力で(オリジナルの検体がほとんど変異DNAであることを示唆している)、2、3のバンドは弱かったが、それでもまだ検出できた(オリジナルの検体が実質的な基質汚染を有していることを示唆している)。5または10検体さえのプール中で変異を検出する能力は、癌変異スコアリングを大きく改良する。
【0162】
実施例25 TmaエンドVの部位特異性突然変異誘発
エンドヌクレアーゼ活性のために重要なアミノ酸残基を同定するために、アラニンスキャニング突然変異誘発をテルモトガ・マリチマ・エンドVの9つの保存された位置で実施した(表11)。DDEモチーフ残基D43、E89、D110でのアラニン置換は、イノシン開裂活性を無効にする、または実質的に低下させる。これらの変異体はさらに金属イオンの不在下では二本鎖もしくは一本鎖イノシン基質への結合親和性も入手するが、これはこれらの残基が触媒性Mg2+の調整に関係していることを示唆している。Y80A、H116A、およびそれらより少ない程度でR88Aは、二本鎖もしくは一本鎖イノシン基質またはニック生成物への低い親和性を示す。ニックが入れられたイノシン生成物への緊密な結合の欠如は、生成物遊離が余り律速性ではないので、イノシン基質の代謝回転において観察された増加の原因である。Y80A、R88A、K139A、およびそれらより少ない程度でH116AはAPおよびウラシル基質に向かう低い活性を示す。塩基認識ポケット内またはその近くにあるそれらの位置と一致して、これらの残基は基質認識において重要な役割を果たす可能性がある。
【0163】
(表11)9個のTmaエンドV変異体のDNA開裂活性a
a開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、5mM MgCl2、10nM DNA基質、100nM精製TmaエンドV変異体を含有する20μL反応混合物中で65℃で30分間実施した。この反応は等量のGeneScan停止液を添加することによって終了させた。この反応混合物をその後94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの検体を10%GeneScan変性ポリアクリルアミドゲル(パーキン・エルマー製)上に装填した。電気泳動は、ABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)を使用して1,500ボルトで1時間実施した。ssI:一本鎖イノシン含有基質。プラス記号の数はイノシン−、ウラシル−、またはAP部位−含有鎖の開裂の程度を表している。(+++)=約10%;(++)=約5%;(+)=約2%;(−)開裂が観察されなかった。
【0164】
部位特異的突然変異誘発を使用して、R88(−→K,Q,E)、H116(−→Q,T,E)、およびK139(−→Q,E)での追加の変異を発生させた。これらの変異体は、コファクターとしてMg2+を使用する活性を実質的に消失していた。変異体中4つ(R88Q,R88E,H116Q,およびH116T)は野生型酵素より良好にMn2+における一定の基質を開裂した(図20のレーン12と比較してレーン4および6、および表12を参照)。変異体はおそらく野生型酵素よりはるかに少なく基質と結合し、その結果として非特異的結合および開裂が少ないので、この結果は驚くことではない。R88QおよびR88E酵素は、G:AおよびA:G両方のミスマッチ基質におけるG塩基を開裂することに野生型酵素より強力な優先を示した。重大なことに、「G」鎖の優先開裂部位は現在はミスマッチ塩基の3’側で優勢である(図20、レーン1および7、表12を参照)。野生型酵素はA:C基質におけるC鎖を開裂しないが、R88変異体は中レベルの活性をしており、「C」鎖の優先開裂部位は現在はこのミスマッチの3’末端から2塩基である(表12)。
【0165】
(表12)野生型および変異TmaエンドVを用いて処理した種々の基質の開裂強度
上付き文字(1〜6)は、開裂パターンおよび相対強度を示している。上付き文字がないものは、開裂パターンが野生型(WT)酵素と同様であることを示している。総開裂強度は切断されていない開始基質に基づいて推定した。(++++)=約30%;(+++)=約20%;(++)=約10%;(+)=約5%;(w)=約2%。
【0166】
TmaエンドV H116QおよびH116Tの両方は、正確に最後から2番目の位置での開裂を含む基質を含有するアデノシンに向かうほぼ排他的な活性を示した(図20、表12、レーン4および6)。「G」含有鎖に向かう活性はほとんど見られず、これはこれらの変異酵素が特異的ミスマッチ配列に対するより強力な酵素の開発に向かう第1段階であることを示唆している。R88およびH116変異体に対する開裂部位における変化は、異型酵素による結合特異的ミスマッチDNAにおける重大な柔軟性を示唆しており、さらに特異的ミスマッチについての非伝統的開裂を理解するための複数の結晶構造に対する必要を強調している。
【0167】
実施例26 アラニンスキャニング突然変異誘発
部位特異的突然変異誘発に対して重複伸長PCR法を使用した(参照してここにその全体が組み込まれるHo S.ら、Gene 77:51−59(1989)を参照)。NdeIおよびSpeIの対を用いて消化したPCR産物は同一対の制限エンドヌクレアーゼを用いて処理したクローニングベクターpEV5へ連結した。連結されたベクター類は、大腸菌菌株AK53(mrrB−、MM294)内へ形質転換させた。インサートを含有するプラスミドを再単離し、変異配列を同定してそれらの構築体にPCRエラーが含まれていないことを確証するために色素ジデオキシターミネーター化学を使用してABIシーケンサー上でシーケンシングした。変異TmaエンドヌクレアーゼV(nfi)遺伝子を含有する菌株は、50μg/mLアンピシリン(参照してここにその全体が組み込まれるNeidhart F.C.ら、J.Bacteriol.119(3):736−47(1974)を参照)を添加した5mLのMOPS培地中で37℃で一晩かけて発現させた。細胞ペーストは、300μLの音波処理バッファー中に懸濁させ、Sonifier Cell Disruptor 350(ブランソン(Branson)製)を使用して4×10秒間をかけて4℃で音波処理した。細胞破片を遠心によって除去した後、TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質を含有する上清を70℃で15分間インキュベートして宿主タンパク質を不活化した。変性したタンパク質は、遠心分離によって可溶性TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質から分離した。TmaエンドヌクレアーゼV変異体のタンパク質濃度は、既知量の野生型TmaエンドヌクレアーゼVを装填した12.5%SDS−PAGEゲルをスキャニングすることによって定量した。部分的に精製したタンパク質は1×TaqI保存バッファーを用いて1μMに希釈し、使用するまで−20℃で保存した。
【0168】
実施例27 異型エンドヌクレアーゼ類をアッセイするためのDNA開裂反応
蛍光標識デオキシオリゴヌクレオチド基質は、(参照してここにその全体が組み込まれるHuang J.ら、Biochemistry,40(30):8738−8748(2001))に記載されている通りに作製した。典型的なイノシン基質の配列(各々、配列番号:50〜51)は次の通りである。
上方鎖でのニック事象は、27nt標識生成物を生成するが下方鎖では38nt標識生成物を生成する。開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、他に規定されていない限り5mM MgCl2、10nM DNA基質、および指示された量の精製TmaエンドヌクレアーゼVタンパク質を含有する20μL反応混合物中で65℃で30分間実施した。この反応は等量のGeneScan停止液を添加することで終了させた。この反応混合物をその後94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの検体を10%GeneScan変性ポリアクリルアミドゲル(パーキン・エルマー製)上に装填した。電気泳動は、ABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)を使用して1,500ボルトで1時間実施した。開裂生成物および残留基質は、GeneScan解析ソフトウエア、バージョン2.1または3.0を使用して定量した。
【0169】
実施例28 ゲル移動度シフトアッセイ
結合反応混合物は、100nM二本鎖蛍光標識オリゴヌクレオチドDNA基質、5mM MgCl2もしくはCaCl2または2mM EDTA、2%グリセロール、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、および75mMのTmaエンドヌクレアーゼVタンパク質を含有している。結合反応は、65℃で30分間実施した。検体は、10mM MgCl2もしくはCaCl2または2mM EDTAを添加した1×TBバッファー中の6%天然ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動にかけた。結合および遊離DNA種は次の設定でFluorImager 595(モレキュラー・ダイナミクス製)を使用して解析した。1,000ボルトでPMT、488nmでの励起、530nmでの発光(フィルター530DF30)。データ解析は、ImageQuaNTバージョン4.1(モレキュラー・ダイナミクス製)を使用して実施した。
【0170】
実施例29 異型エンドヌクレアーゼ類によるDNA開裂
TmaエンドV変異体は、重複PCR法を通して生成し、75℃で15分間の熱処理を通して部分的に精製した。結果として生じた変異タンパク質には常在大腸菌エンドヌクレアーゼVが欠けている(参照してここにその全体が組み込まれるHuang J.ら、Biochemistry 40(30):8738−8748(2001)を参照)。開裂アッセイは、両方の鎖で蛍光標識したオリゴヌクレオチド基質を用いて実施した。以前の試験は、野生型TmaエンドVがイノシン部位でニックすることを証明した。酵素が過剰である場合は、これはイノシン含有鎖の反対側の相補的鎖を開裂する(参照してここにその全体が組み込まれるHuang J.ら、Biochemistry,40(30):8738−8748(2001)を参照)。野生型対照について予想されるように、上方のイノシン開裂生成物を表す青色バンドおよび下方の相補的鎖開裂生成物を表す緑色バンドが観察された(図21A)。幾つかの低分子量非特異的開裂生成物もまた観察された。D43AおよびD110Aは、いずれかの鎖を開裂するDNAエンドヌクレアーゼ活性を消失した。E89Aは限定されたイノシン鎖の開裂を示し、相補的鎖の開裂は検出できなかった。Y80A、R88A、H116A、およびK139Aはイノシン鎖に向かうwtレベルの開裂活性を維持したが、相補的鎖開裂活性は消失した。D105AおよびH125Aは、二本鎖基質中の本質的にイノシン含有鎖および相補的鎖の両方に向かうwt開裂活性を維持した(図21A〜C)。Mn2+は、非特異的開裂活性を増強したが、変異体の全開裂プロフィールはMg2+と類似のままであった(図21B〜C)。
【0171】
実施例30 異型エンドヌクレアーゼ類によるイノシン基質への結合
蛍光に基づくゲル移動度シフトアッセイを使用して9つのアラニン置換変異対間で基質結合を比較した(参照してここにその全体が組み込まれるHuang J.ら、Biochemistry,40(30):8738−8748(2001)を参照)。以前に報告されたように、wt TmaエンドVは金属コファクターの不在かでイノシン基質と安定性複合体を形成しなかった(参照してここにその全体が組み込まれるHuang J.ら、Biochemistry,40(30):8738−8748(2001)、および図22Aを参照)。興味深いことに、2つの触媒的に不活性な変異体D43AおよびD110Aは、今度はイノシン基質との別個の複合体を形成した。エンドヌクレアーゼ類上で実施された大多数の変異試験では観察されなかったが、制限エンドヌクレアーゼMunIはこのような特有の特性を示さない、即ち一部の金属結合残基での負電荷の排除は同族配列へ結合特異性を授与しない(参照してここにその全体が組み込まれるLagunavicius A.ら、Biochemistry,36(37):11086−11092(1997)を参照)。負電荷が中和金属イオンの不在下でカルボン酸塩類とリン酸塩との間の静電反発を惹起する可能性があることが示唆されている。負荷電AspもしくはGluをAlaと置換することによって、変異体は金属イオンが含まれていない場合でさえ同族配列へ結合できるようになる。D43AおよびD110A変異体の結合挙動を説明するために同様の概念を適用できるが、これはD43AおよびD110Aが触媒のために必要な二価金属イオンの協調に関わっていることを意味している。
【0172】
例えばMg2+またはCa2+のような金属コファクターの存在下で、変異体の大多数はwt酵素に匹敵する二本鎖イノシン基質への結合親和性を示した(図22B)。Ca2+は結合だけを支援して触媒は支援しないので(参照してここにその全体が組み込まれるHuang J.ら、Biochemistry,40(30):8738−8748(2001)を参照)、シフトしたバンドはES(酵素−基質)複合体を表す。他方Mg2+を用いて観察されたシフトしたバンドは、鎖開裂を原因とする酵素−ニックが入れられた生成物複合体を表す可能性がある。明白にも、Y80AおよびH116Aは、Ca2+を用いたゲルシフトデータによって判定されるようにもはやwt酵素ほど緊密には無傷イノシン基質へ結合しない(図22B)。さらにMg2+を用いたゲルシフトデータは、Y80AおよびH116Aが同様にニックが入れられた生成物への結合親和性を低下させた可能性があることを示唆した(図22C)。アラニン置換変異体がニックが入れられた生成物へのエンドヌクレアーゼ結合に及ぼす影響をより決定的に評価するために、ゲル移動度シフト解析は先行ニックを含む合成イノシンオリゴヌクレオチド基質を使用して実施した(図23)。Ca2+を用いたゲルシフト実験から、Y80A、R88A、およびH116Aが野生型(即ち、wt)酵素と同等に緊密にニックが入れられたイノシン生成物に結合できなかったことは明白である(図23A)。金属コファクターとして触媒的に有能な金属イオンMg2+を使用すると、H116Aはwt酵素のほぼ半分の緊密さでニックが入れられた生成物に結合した(図23B)。Y80Aは、別個のバンドシフトの検出を許容するために十分に長い半減期を有するニックが入れられた生成物への結合を維持しなかった(図23B〜C)。これらの結果は、例えばY80AおよびH116Aのような一部のエンドV異型がESおよびEP結合の両方に影響を及ぼし、他方ではR88Aは主として生成物遊離に影響を及ぼした可能性があることを示唆した。
【0173】
変化した結合挙動が二本鎖配列中のイノシン含有鎖の開裂動態をどのように変化させたのかを評価するために時間経過解析を実施した。この酵素が不足しているときは(E:S=1:10)、wt酵素はニックが入れられた生成物へ結合したままであったので限定された量の基質しか開裂しなかった(図24)。同様に、wtレベルの開裂活性および結合親和性を示した変異H125Aもまた、このイノシン含有二本鎖基質を代謝回転させることができなかった。ゲル移動度シフト解析によってニックが入れられたイノシン基質への親和性の低下を示した(図23)3つの変異体Y80A、R88A、およびH116Aは、今度はこの生成物を遊離することができ、複数代謝回転法でイノシン鎖をニックした(図24A)。最も顕著には、Y80Aによる開裂反応は0.04min−1の見かけの一次速度定数を用いてほぼ完了間近へ進行した。結合データと組み合わせた運動解析は、一部の変異体(Y80Aによって表される)が複数代謝回転を促進するために生成物遊離速度定数k3を増加させることによって反応動力学を変化させたことを示唆している(図24B)。
【0174】
実施例31 異型エンドヌクレアーゼ類による一本鎖イノシン基質の開裂および結合
一本鎖エンドヌクレアーゼ活性を評価するために、蛍光標識(Tet)イノシン含有一本鎖オリゴヌクレオチドを使用して開裂を試験した。大多数のエンドV異型は一本鎖イノシン含有基質に向かうwt開裂活性を維持した(図25A)。二本鎖イノシン含有基質を使用して入手した開裂結果と一致して(図21)、E89Aは重大に低下した開裂活性を有していたが、D43AおよびD110Aは一本鎖イノシン含有基質に向かっては不活性であった(図25A)。一本鎖イノシン含有基質の結合もまた大多数の変異体に対して金属コファクターを必要とした。しかしD43A、D110A、およびE89Aは金属イオンを使用せずに一本鎖イノシン含有基質へ結合することができ(図25B)、これは酵素、イノシン基質、および金属イオン間の一本鎖または二本鎖基質の両方についての類似の相互作用を示唆していた。一本鎖イノシン基質を使用した金属イオンの不在下でのE89Aによる別個のシフトバンドの形成は、E89がD43AおよびD110Aに類似する金属結合において類似の役割を果たせることを示唆している(図22Aおよび25B)。
【0175】
Ca2+の存在下での一本鎖イノシン含有基質の結合パターンは、本質的に二本鎖基質の結合パターンと同一である、即ち大多数の変異体は少なくともwt酵素と同一強度で結合親和性を示した。Y80AおよびH116Aもまたイノシン基質への低い親和性を示した(図25C)。Mg2+の存在下では、Y80AおよびH116Aは遊離DNAバンドの同時消失を伴う強度の低分子量バンドを示し、これは一本鎖基質の大多数が開裂されたことを示唆していた(図25D)。Ca2+を用いて結合の低下が所見されることを前提に、これら2つの変異体がもはや一本鎖ニック生成物に緊密には結合せず、これにより生成物から分離すると思われる。D43A、D110A、およびE89Aは、イノシン基質を開裂することも、はるかに低い速度で開裂することもできなかった(図25A)。予想された通りに、それらは移動度シフトゲルによって所見されたものとは別個の安定性複合体を形成した(図25D)。しかし、それらはwtおよびその他の触媒的に活性なエンドV変異体より高速で移動した。相違する移動パターンを説明する1つのシナリオは、wt酵素および一部の他の活性変異体の結合がニックが入れられたイノシン生成物の結合を惹起して(図25D)、これがより緩徐内動を生じさせることにある(参照してここにその全体が組み込まれるLane D.ら、Microbiol Rev .,56(4):509−28(1992)を参照)。D43、D110A、およびE89A変異体は陰電荷の消失のためにDNAを結合する能力を消失した可能性がある。
【0176】
実施例32 異型エンドヌクレアーゼ類によるウラシルおよびAP部位基質の開裂
TmaエンドV変異体のウラシルエンドヌクレアーゼ活性は、A/U、G/U、およびT/U基質を使用して評価した。D43、D110A、およびE89Aは、ウラシル基質のいずれに向かっても不活性であるが、これは提案された金属結合の役割と一致している(図26A〜C)。様々なイノシン基質に向かう野生型活性を示したD105Aは、ウラシル含有基質との野生型活性を本質的に維持した。H125Aは、G/UおよびT/U基質並びに野生型酵素を開裂した(図26B 〜C);しかし、これは完全な塩基対基質A/Uに対する活性を減少させた(図26A)。Y80Aは最小のウラシル開裂活性を有していた。R88A、H116A、およびK139Aは低いウラシル開裂を示した。これらの3種の変異体によるウラシル開裂の程度は、塩基対の性質によって影響を受けると思われた。基質が例えばA/Uのようなワトソン・クリック(Watson−Crick)塩基対を含有している場合は(図26A)、ウラシル開裂活性は最低であった。基質が例えばG/UまたはT/Uのようなミスマッチを含有している場合は、ウラシル開裂活性が増強された(図26B〜C)。これらの結果はA/UおよびT/U基質を使用したwt酵素の以前の時間経過解析と一致しており(参照してここにその全体が組み込まれるHuang J.ら、Biochemistry,40(30);8738−48(2001)を参照)、これはウラシルは局所的に変形されたミスマッチ環境において塩基認識のためのより良好なシグナルを提供することを示唆している。
【0177】
TmaエンドV変異体のAPエンドヌクレアーゼ活性は、A/AP基質を使用して評価した。大腸菌エンドヌクレアーゼIVは、熱安定性5’APエンドヌクレアーゼである(参照してここにその全体が組み込まれるLjungquist S.,J . Biol . Chem .252(9):p2808−04(1997を参照)。宿主APエンドヌクレアーゼの影響を防止するために、wtおよび変異エンドVはさらにHiTrap SPカラムクロマトグラフィー(アマシャム・ファルマシア・バイオテック製)によって精製した。カラム精製変異タンパク質を使用して、APエンドヌクレアーゼ活性は、どちらも一貫して他の基質に向かうwt DNA開裂活性を示していたD105AおよびH125Aを用いた場合にのみ観察された(図26D)。65℃のアッセイ条件下で、AP基質が特発性開裂を受け、対照レーンで所見されたように弱いバックグラウンドを発生した(図26D)。一部の境界APエンドヌクレアーゼ活性はH116Aと関連している可能性があるが、他の全変異体はAP開裂を排除した。
【0178】
金属結合および活性部位(D43、D110、E89) 本試験からの重大な所見の1つは、金属結合および触媒反応に含まれるアミノ算残基の同定である。生化学的試験から、エンドヌクレアーゼVが金属依存性DNAエンドヌクレアーゼであることが知られている(参照してここにその全体が組み込まれるHuang J.ら、Biochemistry,40(30);8738−48(2001)およびYao M.ら、J . Biol . Chem .,269(23):16260−08(1994)を参照)。この酵素は、金属コファクターとしてMg2+またはMn2+を用いた場合に最も活性である。以前の結合試験は、二価金属イオンが触媒反応のためだけではなく、安定性酵素−基質複合体の形成のためにも必要とされることを証明した(参照してここにその全体が組み込まれるHuang J.ら、Biochemistry,40(30);8738−48(2001)を参照)。多数のエンドヌクレアーゼ類に対して、例えばAspおよびGluのような数種の陰荷電アミノ酸残基が金属結合に含まれている(参照してここにその全体が組み込まれるCao W.ら、J . Biol . Chem .,273(49):33002−10(1998);Kim D.R.ら、Genes Dev .,13(23):3070−80(1999)およびKoval R.A.ら、Curr Opin . Chem . Biol .,3(5):578−83(1999)を参照)。金属イオンを調整するために、変異したこのような残基4個中3個(D43,D110,E89)が重要であると思われる。D43AおよびD110Aは、二本鎖および一本鎖イノシン基質(図21)および二本鎖ウラシルおよびAP部位基質(図26)を含む試験した全基質に向かうエンドヌクレアーゼ活性を無効にする。E89Aは、実質的に触媒活性を低下させた。しかし、全3種の変異体はイノシン基質に向かう野生型結合親和性を維持しているが、これはそれらが触媒作用において果たす重要な役割を示している。極めて興味深いことに、D43AおよびD110A、および一部の場合にはE89Aは、金属イオンの不在下でイノシン基質へ結合する。制限エンドヌクレアーゼMunIにおけるD83AおよびE89Aは、類似の結合挙動を示してきた(参照してここにその全体が組み込まれるLaugnavicius A.ら、Biochemistry,36(37):11086−92(1997)を参照)。より近年には、MunI結晶構造は活性部位で同族DNA位置D83AおよびE89Aと複合した(参照してここにその全体が組み込まれるDeibert M.ら、Embo . J .,18(21):5805−16(1999)を参照)。TmaエンドV中のD43およびD110、およびもしかするとE89は、切断可能なリン酸塩結合の加水分解のための触媒金属に結合することに含まれていると思われる。Ca2+競合は、EcoRVによるDNA開裂に含まれている多数の金属イオンを評価するためのプローブとして使用されてきた(参照してここにその全体が組み込まれるCao W.ら、Biochim . Biop hys . Acta,1546(1):253−60(2001)およびVipond I.B.ら、Biochemistry,34(2):697−704(1995)を参照)。同族部位開裂へのCa2+による刺激作用は、2金属触媒機序の指標であると見なされてきた。Ca2+−Mg2+競合ではイノシン開裂の増強は観察されなかった。従って、エンドヌクレアーゼVにおける鎖開裂に含まれている金属イオンの数はまだ決定されていない。
【0179】
Y80 Y80でのアラニン置換は、二本鎖および一本鎖イノシン基質(図22および25)並びにニックが入れられたイノシン生成物(図23)へのエンドVの親和性を実質的に低下させた。明らかに、弱い結合は生成物からのエンドV分離を助け、それによってイノシン基質の高速代謝回転を可能にする(図24)。APエンドヌクレアーゼおよびウラシルエンドヌクレアーゼ活性の消失は、さらに弱い結合親和性に帰することができる(図26)。これらの結果は、Y80がこの酵素と修復中間物との間で安定性複合体を維持することに重要な役割を果たすことを示唆している。Y80は、塩基接触またはリン酸塩バックボーン相互作用を通して基質および生成物と直接接触することによって、または他のアミノ酸残基によって媒介される接触のネットワークを組織化することによって、このような役割を果たすことができる。促進された生成物遊離の運動学的特性は、ヒトAPエンドヌクレアーゼAPE1においてR177Aに類似である(参照してここにその全体が組み込まれるMol C.D.ら、Nature,403(6768):451−56(2000)を参照)。DNA結合構造では、R177はAP部位上にAPE1へ固定するためにAP部位で3’リン酸塩へ直接接触する(参照してここにその全体が組み込まれるMol C.D.ら、Nature,403(6768):451−56(2000)を参照)。従って、リン酸塩バックボーン接触は、緊密な生成物結合に寄与することができる。
【0180】
R88AおよびH116 R88AおよびH116Aは類似の特性を示す。これらの異型はどちらも二本鎖イノシン基質およびニックが入れられた生成物への親和性を低下させ(図22〜23)、これはより高度の代謝回転を生じさせる(図24)。それらはwtレベルの一本鎖イノシン開裂活性を維持する(図25)。R88AとH116Aの間の主要な相違は、ウラシル基質にある。H116AはR88Aより、G/U基質については約9倍、T/U基質については5倍活性である(図26)。明らかに、R88はウラシル認識においてより重要な役割を果たす。
【0181】
K139 K139でのアラニン置換は、結合にほとんど作用を及ぼさない(図22〜23,25)。K139Aは、二本鎖イノシン基質I/Aに向かうwtレベルの開裂活性を維持する(図21)。wt酵素に類似して、K139Aは緊密な生成物結合のためにイノシン基質を開裂した後にさえ結合を維持する(図24)。エンドVへのK139A置換の主要作用は、非イノシン基質の開裂にある。APエンドヌクレアーゼ活性の欠如に加えて、K139Aはウラシルエンドヌクレアーゼ活性を実質的に低下させた(図26)。K139が種々の基質を用いて果たす可能性がある正確な触媒的役割を理解するためにはより詳細な運動学的解析が必要とされる。
【0182】
エンドヌクレアーゼVの触媒および認識機序の構造的根拠を解明するための第1段階として、TmaエンドヌクレアーゼVの9つの保存された位置でアラニンスキャニング突然変異誘発を実施した。D43およびD110は、E89と一緒に切断可能なリン酸塩結合加水分解のために金属イオンを調整する可能性があり、活性部位の一部である。Y80は基質およびニックが入れられた生成物結合に実質的に寄与する。基質への強力な結合の欠如はAP部位およびウラシル開裂活性の消失の原因である可能性があるが、この同一の特性がさらにまた、生成物遊離段階がもはや律速性ではなくなるようにイノシン含有基質を開裂する運動学を変化させる。R88AおよびH116Aは同様に結合段階へ影響を及ぼし、これは非イノシン基質に向かうエンドヌクレアーゼ活性の現象を生じさせた。K139Aによる緊密な結合は、イノシン基質の代謝回転を制限する。AP部位およびウラシル開裂の欠如は、K139Aは基質もしくは生成物結合以外の段階に影響を及ぼす可能性を示唆している。ここに記載した変異の作用を完全に理解するには、エンドV−DNA複合体構造の決定が待たれる。
【0183】
上記の位置で追加のTmaエンドヌクレアーゼV変異体の生成は、選択されたバッファー条件において野生型酵素より優れたミスマッチ塩基を含有する少なくとも1つのヘテロ二重鎖DNAを優先的にニックを入れる、または開裂するこれら異型中4種(R88Q,R88E,H116Q,およびH116T)を解明した。R88QおよびR88E酵素は、野生型エンドヌクレアーゼよりもG:AおよびA:Gミスマッチ基質の両方においてG塩基を開裂することに対する強力な優先を証明した。H116QおよびH116T酵素は、「A」塩基含有基質に向かうほとんど排他的活性を示した。「G」含有鎖に向かう活性はほとんどなく、これはこれらの異型酵素が特異的ミスマッチ配列に対するより強力な酵素を開発できるという原理の証拠であることを示唆している。このような酵素は、未知の変異および多型性のスコアリング、プーリング実験、および困難な配列環境における変異のための両方においてシグナル/ノイズ比を向上させる。
【0184】
本明細書に好ましい態様を詳細に描出かつ記載してきたが、当業者には本発明から逸脱せずに様々な変形、追加、置換等を行えることは明白であると思われることから、それらは特許請求の範囲に定義されたように本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0185】
【図1】図1はテルモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)(「Tma」)エンドVとTsp.AK16D DNAリガーゼの組み合わせを用いた変異スキャニング法を示している略図である。
【図2A−B】図2A〜BはTmaエンドヌクレアーゼVの精製を示している図である。図2Aは、精製されたエンドVの12.5%SDS−PAGEを示し、図2Bは精製されたエンドVのゲル濾過を示している。分子量マーカーはシグマ・ケミカル社(セントルイス、MO)から入手した。Veは溶出量、V0はボイド容量である。
【図3A−D】図3A〜Dは二本鎖イノシン含有基質上でのTmaエンドヌクレアーゼVの開裂アッセイを示している図である。図3Aは、GeneScanゲル(パーキン・エルマー製)上での蛍光検出を許容するために、上方鎖(配列番号:1)がFam標識されており、下方鎖(配列番号:2)がTet標識されているアッセイデザインである。両方の鎖におけるヌクレオチドの変化の位置には下線が引かれている。基質および優勢生成物の長さはマークされている。開裂部位は矢印によってマークされている。開裂反応は、様々なE:S(酵素:基質)比での5mM MgCl2の存在下で材料および方法の項に記載した通りに実施した。図3Bでは、E:S=1:10であり、基質と生成物との関係は矢印によって示した。図3Cでは、E:S=1:10であり、図3BおよびCの第1レーンは基質陰性対照である。図3Dは、開裂部位の場所を示している。長さマーカーは、図3Aに示したように上方鎖または下方鎖と同一の合成オリゴヌクレオチドであった。
【図4A−B】図4A〜BはMg2+またはMn2+が様々な濃度の場合のTmaエンドヌクレアーゼVの塩基ミスマッチ開裂活性を示している、開裂生成物の相対蛍光強度対MgCl2濃度のプロット図である。
【図5A−D】図5A〜DはTmaエンドヌクレアーゼVがMg2+またはMn2+の存在下で様々な相違する単一塩基ミスマッチを開裂させる能力を示している図である。
【図6A−B】図6A〜BはAPおよびウラシル部位の開裂および結合を示している図である。図6Aは、塩基性部位(AP部位)またはデオキシウリジンを含有する二本鎖オリゴヌクレオチド類の開裂を示している。1:未処理基質対照;2:AP部位対照として50mM NaOH中で95℃で1分間インキュベートされたAP基質;3および10:オリゴヌクレオチド長さマーカー;4および7:1nM TmaエンドV(E:S=:10);5および8:10nM TmaエンドV(E:S=1:1);6および9:100nM TmaエンドV(E:S=10:1)。図6Bは、APおよびウラシル部位のゲル移動度シフトアッセイの図である。反応は、20nM二本鎖オリゴヌクレオチドDNA基質、5mM CaCl2および下記に規定する指示量のTmaエンドVを用いて実施した。その他のバッファー構成要素は不変である。1:基質対照;2:10nM TmaエンドV;4および6:100nM TmaエンドV;7:イノシン基質対照;8:陽性対照としての20nMイノシン基質を含む100nM TmaエンドV。図6C〜Gは、TmaエンドヌクレアーゼVによる一本鎖および非特異的開裂および結合を示している図である。図6Cは、一本鎖オリゴヌクレオチドの開裂を示す。開裂反応は、5mM MgCl2または1mM MnCl2の存在下で10nM TmaエンドV用いて実施した(E:S=1:1)。NS:非特異的配列。図6Dは、プラスミド基質の開裂を示している。開裂反応は、5mM MgCl2または1mM MnCl2の存在下で10nM pFB76プラスミドを用いて実施した。M:1kb DNAラダー;レーン1:無傷プラスミドpFB76;レーン2:100nM TmaエンドVは用いるが金属コファクターは添加せずに実施した開裂反応;レーン3および6:E:S=1:10;レーン4および7:E:S=1:1;レーン5および8:E:S=10:1。図6E〜Gは、一本鎖イノシン基質の結合を示している。結合反応混合物は、100nM一本鎖イノシン基質、2mM EDTA(図6E)または5mM MgCl2(図6F)または5mM MnCl2(図6G)、20%グリセロール、10mM HEPES(pH7.4)、1mM dTT、および10nM−1μm TmaエンドVを含有していた。反応混合物を65℃で30分間インキュベートし、その後6%天然ポリアミドゲルへ装填した。レーン1:E:S=0;レーン2:E:S=1:10;レーン3:E:S=1.2;レーン4:E:S=1:1;レーン5:E:S=5:1;レーン6:E:S=10:1。
【図7A−B】図7A〜BはTmaエンドヌクレアーゼVの塩基ミスマッチ開裂活性にpHが及ぼす作用を示している図である。
【図8】図8はTmaエンドヌクレアーゼVの塩基ミスマッチ開裂活性のためのNaCl至適濃度を示している図である。
【図9】図9はTmaエンドヌクレアーゼVの塩基ミスマッチ開裂活性にDMSO濃度が及ぼす作用を示している、開裂生成物の相対強度対DMSO濃度のプロット図である。
【図10A−B】図10A〜BはTmaエンドヌクレアーゼVの塩基ミスマッチ開裂活性にベタイン濃度が及ぼす作用を示している開裂生成物の相対強度対ベタイン濃度のプロット図である。
【図11A−B】図11A〜Bは開裂生成物の相対強度対KCR濃度のプロット図である。図11Aは、TmaエンドVを用いたPCRフラグメントの開裂にはNaClの濃度が低い、またはゼロであることが好ましいことを示している。図11Bは、TmaエンドVを用いての開裂反応に及ぼすKClの阻害作用を示している。
【図12】図12はTmaエンドVの活性を時間に関して開裂反応と関連付ける相対強度対時間のプロット図である。
【図13A−B】図13Aは、プライマー標識および開裂生成物の予想サイズを示しているK−rasエキソン1アンプリコンの略図である。図13Bは、本発明がK−ras遺伝子中の点変異を検出する能力を示しており、引き続いて様々な量のDNAリガーゼと一緒にインキュベートすると、依然として正確な特異的開裂生成物を維持しながら非特異的開裂生成物をシーリングすることが可能になる。
【図14A−C】図14A〜Cは本発明の感度を示している、蛍光の相対強度対変異/野生型の比率のプロット図である。
【図15】図15は本発明が、BRCA1およびBRCA2における小さな挿入/欠失、およびp53遺伝子中の点変異を検出する能力を示している図である。
【図16A−B】図16A〜Bは本発明が1.7kbのようにDNAの大きな領域内の変異を検出できることを要約して示している図である。図16Aは、プライマー標識および開裂生成物の予想サイズを示しているp53 1.7kbアンプリコンの略図である。図16Bは、本発明がp53遺伝子中の点変異を検出する能力を示しており、引き続いてDNAリガーゼと一緒にインキュベーションすると、依然として正確な特異的開裂生成物を維持しながら非特異的開裂生成物をシーリングすることが可能になる。
【図17A−C】図17A〜Bは、各々グアニンおよび7−デアザ−グアニンに対する化学式を示している。図17Cは、PCRフラグメントが7−デアザ−dGを含有しているときのTmaエンドVの塩基ミスマッチ開裂活性を証明している。
【図18A−C】図18Aは、DNAマイクロシーケンシングプロセスの略図である。図18B〜Cはマイクロシーケンシング反応の配列解析トレースの図である。
【図19】図19は高温性および中温性の古細菌および真核生物由来の同定された13種の推定エンドV酵素類のアライメントの結果を表している。
【図20】図20は、A:GおよびG:Aミスマッチを含有する合成基質上での変異エンドV R88Q、R88E、H116Q、およびH116Tの活性を示している図である。開裂反応は、10mM HEPES(pH7.4)、1mM DTT、2%グリセロール、1mM MnCl2、20nM DNA基質、および20nM精製TmaエンドV変異体を含有する20μL反応混合物中で65℃、30分間で実施した。この反応は等量のGeneScan停止液を添加することによって終了させた。その後反応混合物を94℃で2分間加熱し、氷上で冷却した。3μLの検体を10%GeneScan変性ポリアクリルアミドゲル(パーキン・エルマー製、フォスターシティ、カリフォルニア州)上に装填した。ABI377シーケンサー(パーキン・エルマー製)を使用して、電気泳動を1,500ボルトで1時間実施した。レーン1〜12は、10%変性ポリアクリルアミドゲル上で解析した開裂生成物を示している。対照として、野生型エンドVについても各々10nN(WT、レーン9,10)および3nM(WT1、レーン11および12)でアッセイした。
【図21A−C】図21A〜Cは二本鎖イノシン含有基質(I/A)上でのTmaエンドヌクレアーゼV変異体の開裂活性を示している図である。イノシン含有基質(上方鎖)はFam標識されており、反対側の鎖(下方鎖)はTet標識されている。Cntl:基質対照(図21A)。図21Bでは、開裂反応は5mM MgCl2の存在下で10:1(S=10nM)のE:S(酵素:基質)比で実施した。図21Cでは、開裂反応は5mM MnCl2の存在下で1:1(S=10nM)のE:S(酵素:基質)比で実施した。
【図22A−C】図22A〜CはTmaエンドヌクレアーゼV変異体のゲル移動度シフトを示している図である。Cntl:基質対照。図22Aでは、MgCl2の代わりに2mM EDTAを使用してイノシン含有二本鎖基質(I/A)を用いてゲル移動度シフトアッセイを実施した。図22Bでは、CaCl2の存在下でイノシン含有二本鎖基質(I/A)を用いてゲル移動度シフトアッセイを実施した。図22Cでは、MgCl2の存在下でイノシン含有二本鎖基質(I/A)を用いてゲル移動度シフトアッセイを実施した。
【図23A−B】図23A〜Bはニックが入れられたイノシン生成物を用いたTmaエンドヌクレアーゼV変異体のゲル移動度シフトを示している図である。Cntl:基質対照。図23BAでは、CaCl2の存在下でニックが入れられたイノシン含有二本鎖基質(I/A)を用いてゲル移動度シフトアッセイを実施した。図23Bでは、MgCl2の存在下でニックが入れられたイノシン含有二本鎖基質(I/A)を用いてゲル移動度シフトアッセイを実施した。
【図24A−B】図24A〜BはTmaエンドV変異体によるイノシン開裂の時間経過解析を示している。開裂反応は、5mM MgCl2の存在下で1:10(S=10nM)のE:S(酵素:基質)の比率を用いて実施した。反応はGeneScan解析のための特定時点で終了させた。楕円:TmaエンドV。
【図25A−D】図25A〜Dは一本鎖イノシン基質の結合および開裂を示している図である。Cntl:基質対照。図25Aは、TmaエンドV変異体による開裂を示している。開裂反応は、5mM MgCl2の存在下で1:1(S=10nM)のE:S(酵素:基質)の比率を用いて記載されたように実施した。図25Bは、金属コファクターを使用しないTmaエンドV変異体のゲル移動度シフトを示している。図25Cは、5mM CaCl2と一緒にTmaエンドV変異体のゲル移動度シフトを示している。図25Dは、5mM MgCl2と一緒にTmaエンドV変異体のゲル移動度シフトを示している。
【図26A−D】図26A〜DはウラシルおよびAP部位基質上でのTmaエンドV変異体の開裂活性を示している図である。開裂反応は、5mM MgCl2の存在下で10:1(S=10nM)のE:S(酵素:基質)の比率を用いて実施した。Cntl:基質対照。図26Aは、A/U基質の開裂を示している。図16Bは、G/U基質の開裂を示している。図26Cは、T/U基質の開裂を示している。図26Dは、AP部位基質(A/AP)の開裂を示している。
Claims (155)
- 正常標的塩基配列とは1つ以上の単一塩基の変化、挿入、または欠失によって相違する変異核酸配列を同定するための方法であって、
潜在的に正常標的塩基配列並びに変異核酸配列を含有する検体を提供する段階;
標的塩基配列および変異核酸配列の相補的鎖上でのハイブリダイゼーションに適した2種の標識オリゴヌクレオチドプライマーを提供する段階;
ポリメラーゼを提供する段階;
ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成するために検体、標識オリゴヌクレオチドプライマー、およびポリメラーゼを混合する段階;
ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、オリゴヌクレオチドプライマーが標的塩基配列および/または変異核酸配列にハイブリダイズすることができるハイブリダイゼーション処理、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーが伸長されてそれにオリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズされる標的塩基配列および/または変異核酸配列に相補的な伸長生成物が形成される伸長処理、ならびにハイブリダイズされた核酸配列が分離される変性処理を含む1回以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルに供する段階;
ポリメラーゼを不活化する段階;
ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物を変性させる段階;
潜在的に正常標的塩基配列および変異核酸配列を含有するヘテロ二重鎖生成物を形成するためにポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物をアニーリングする段階;
ミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れる、または開裂するエンドヌクレアーゼを提供する段階;
エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物を形成するためにヘテロ二重鎖生成物とエンドヌクレアーゼとを混合する段階;
エンドヌクレアーゼがミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖生成物に優先的にニックを入れる、または開裂するようにエンドヌクレアーゼ開裂反応混合物をインキュベートする段階;
リガーゼを提供する段階;
リガーゼ再シーリング反応混合物を形成するために潜在的にニックが入れられた、または開裂されたヘテロ二重鎖生成物およびリガーゼを混合する段階;
ミスマッチ塩基対に隣接する位置でニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物の再シーリングを実質的に生じさせずに完全に適合した塩基対でニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物をシールするためにリガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートする段階;
リガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートする該段階から生じる生成物を、サイズまたは電気泳動移動度によって分離する段階;ならびに
リガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートする該段階の結果として生じる分離された生成物を区別することによって検体中で正常標的塩基配列および変異核酸配列の存在を検出する段階を含む方法。 - 標的塩基配列がゲノムDNAである請求項1に記載の方法。
- 標的塩基配列が腫瘍検体から単離される請求項1に記載の方法。
- 標的塩基配列がmRNAの二本鎖cDNAコピーである請求項1に記載の方法。
- 標的塩基配列がPCR増幅フラグメントである請求項1に記載の方法。
- 2種の標識オリゴヌクレオチドプライマーが蛍光色素、IR色素、または放射性基である請求項1に記載の方法。
- 2種の標識オリゴヌクレオチドプライマーがそれらの5’末端で標識されている請求項6に記載の方法。
- ポリメラーゼが、テルムス・アクアティクス、テルムス・サーモフィルス、ピロコッカス・フリオサス、またはテルモトガ・マリチマに由来する天然もしくは組換えのいずれかの熱安定性ポリメラーゼである、請求項1に記載の方法。
- ポリメラーゼ連鎖反応が、65℃を超える温度でポリメラーゼ連鎖反応混合物へポリメラーゼまたは金属コファクターのいずれかを添加することによって開始される、請求項1に記載の方法。
- ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物を変性させる前記の段階が80〜105℃の温度に加熱することによって実施される、請求項1に記載の方法。
- ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物をアニーリングする前記の段階が最初に20〜85℃の温度および次に室温へ冷却することによって実施される、請求項1に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼがテルモトガ・マリチマ由来のエンドヌクレアーゼVである請求項1に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼがミスマッチ塩基対から3’側の位置でヘテロ二重鎖生成物にニックを入れる、または開裂する、請求項1に記載の方法。
- リガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートする前記の段階が、25℃で測定したときに7.2〜7.8のpH値で実施される、請求項1に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が2〜7mMの濃度でMgCl2をさらに含む請求項1に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物中のエンドヌクレアーゼ対ヘテロ二重鎖生成物の比が10:1〜100:1の範囲内にある請求項15に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が実質的にNaClもKClも含有していない請求項15に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が0.4〜1.2mMの濃度でMnCl2をさらに含む請求項1に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物中のエンドヌクレアーゼ対ヘテロ二重鎖生成物の比が1:1〜1:10の範囲内にある請求項18に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が50〜100mM NaClまたはKClを含む請求項18に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が2.5〜10容量%の範囲内でDMSOを含有する請求項1に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が0.5M〜1.5Mの濃度でベタインを含有する請求項1に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物をインキュベートする前記の段階が50〜65℃で実施される請求項1に記載の方法。
- リガーゼが熱安定性リガーゼである請求項1に記載の方法。
- リガーゼがテルムス種AK16D由来である請求項24に記載の方法。
- リガーゼが、テルムス・アクアティクス、テルムス・サーモフィルス、ピロコッカス・フリオサス、またはテルモトガ・マリチマ由来である、請求項24に記載の方法。
- リガーゼ再シーリング反応混合物が、さらなるエンドヌクレオチド結合分解性開裂を阻害するために50〜150mMのKClを含有する、請求項24に記載の方法。
- 前記分離する段階が変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用することにより実施される請求項1に記載の方法。
- 前記分離する段階がキャピラリーゲル電気泳動を使用することにより実施される請求項1に記載の方法。
- 変異核酸配列対正常標的塩基配列の比率が1:20〜20:1の範囲内にある請求項1に記載の方法。
- ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物が50bp〜1,700bpの範囲内の長さを有する請求項1に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼが、A/A、G/G、T/T、A/G、A/C、G/A、G/T、T/G、T/C、C/A、およびC/Tからなる群より選択されるヘテロ二重鎖生成物内のミスマッチを優先的に開裂する、請求項1に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼが、ミスマッチの位置に下線が引かれ大文字で示されているgRcg、rcRc、cgYc、またはgYgyからなる群より選択される配列を有するものを除いて、いずれかの単一塩基変異または多型性のために形成された少なくとも1本のヘテロ二重鎖生成物に優先的にニックを入れる、または開裂する、請求項1に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼが、ヘテロ二重鎖生成物内の1、2、および3塩基の挿入または欠失に優先的にニックを入れる、または開裂する、請求項1に記載の方法。
- 正常標的配列における多型性から遺伝性または散発性の変異または多型性を区別する請求項1に記載の方法。
- 遺伝性または散発性の変異または多型性が腫瘍抑制遺伝子、癌遺伝子、またはDNA複製もしくは修復遺伝子中で区別される、請求項1に記載の方法。
- 遺伝子が、Bcl2、Mdm2、Cdc25A、サイクリンD1、サイクリンE1、Cdk4、サバイビン、HSP27、HSP70、p53、p21Cip、p16Ink4a、p19ARF、p15INK4b、p27Kip、Bax、成長因子類、EGFR、Her2−neu、ErbB−3、ErbB−4、c−Met、c−Sea、Ron、c−Ret、NGFR、TrkB、TrkC、IGF1R、CSF1R、CSF2、c−Kit、AXL、Flt−1(VEGFR−1)、Flk−1(VEGFR−2)、PDGFRα、PDGFRβ、FGFR−1、FGFR−2、FGFR−3、FGFR−4、その他のタンパク質チロシンキナーゼレセプター類、β−カテニン、Wnt(s)、Akt、Tcf4、c−Myc、n−Myc、Wisp−1、Wisp−3、K−ras、H−ras、N−ras、c−Jun、c−Fos、PI3K、c−Src、Shc、Raf1、TGFβ、およびMEK、E−カドヘリン、APC、TβRII、Smad2、Smad4、Smad7、PTEN、VHL、BRCA1、BRCA2、ATM、hMSH2、hMLH1、hPMS1、hPMS2、およびhMSH3からなる群より選択される、請求項38に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼが、塩基対がミスマッチであるかまたはミスマッチを1塩基越える位置でヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れるかまたは開裂し、完全に適合したDNAにニックを入れたときに連結に適した末端を生成する熱安定性エンドヌクレアーゼである、請求項1に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼが、塩基対がミスマッチであるかまたはミスマッチを1塩基越える位置でのA/A、G/G、T/T、A/G、A/C、G/A、G/T、T/G、T/C、C/A、またはC/Tミスマッチ塩基対でヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れるかまたは開裂し、完全に適合したDNAにニックを入れたときに連結に適した末端を生成する熱安定性エンドヌクレアーゼである、請求項1に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼが、ミスマッチの位置に下線が引かれ大文字で示されているgRcg、rcRc、cgYc、またはgYgy配列を有するものを除いて、いずれかの単一塩基変異または多型性のために形成された少なくとも1本のヘテロ二重鎖に優先的にニックを入れるかまたは開裂し、完全に適合したDNAにニックを入れたときに連結に適した末端を生成する熱安定性エンドヌクレアーゼである、請求項1に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼが、塩基対がミスマッチであるかまたは不対塩基を1塩基越える位置で1、2、および3塩基の挿入または欠失を含有するヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れるかまたは開裂し、完全に適合したDNAにニックを入れたときに連結に適した末端を生成する熱安定性エンドヌクレアーゼである、請求項1に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼが、野生型エンドヌクレアーゼよりむしろミスマッチ塩基を含有する少なくとも1つのヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れるかまたは開裂する変異エンドヌクレアーゼである、請求項1に記載の方法。
- 少なくとも1つのヘテロ二重鎖DNA中のミスマッチ塩基の1つが「A」である請求項42に記載の方法。
- 少なくとも1つのヘテロ二重鎖DNA中のミスマッチ塩基の1つが「G」である請求項42に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼが、(1)Y80A残基の変化;(2)Y80F残基の変化;(3)Y80L、Y80I、Y80V、もしくはY80Mのいずれかの残基の変化;(4)R88A残基の変化;(5)R88L、R88I、R88V、もしくはR88M残基の変化;(6)R88K残基の変化;(7)R88NもしくはR88Q残基の変化;(8)R88DもしくはR88E残基の変化;(9)R88TもしくはR88S残基の変化;(10)E89A残基の変化;(11)E89L、E89I、E89V、もしくはE89M残基の変化;(12)E89D残基の変化;(13)E89NもしくはE89Q残基の変化;(14)E89RもしくはE89K残基の変化;(15)E89TもしくはE89S残基の変化;(16)H116A残基の変化;(17)H116L、H116I、H116V、もしくはH116M残基の変化;(18)H116KもしくはH116R残基の変化;(19)H116NもしくはH116Q残基の変化;(20)H116TもしくはH116S残基の変化;(21)K139A残基の変化;(22)K139L、K139I、K139V、もしくはK139M残基の変化;(23)K139R残基の変化;(24)K139NもしくはK139Q残基の変化;(25)K139DもしくはK139E残基の変化;(26)K139TもしくはK139S残基の変化;(27)D43A残基の変化;(28)D43E残基の変化;(29)D105A残基の変化;(30)D105E残基の変化;(31)F46A残基の変化;(32)F46Y残基の変化;(33)F46L、F46I、F46V、もしくはF46M残基の変化;(34)R118A残基の変化;(35)R118L、R118I、R118V、もしくはR118M残基の変化;(36)R118K残基の変化;(37)R118NもしくはR118Q残基の変化;(38)R118DもしくはR118E残基の変化;(39)R118TもしくはR118S残基の変化;(40)F180A残基の変化;(41)F180Y残基の変化;(42)F180L、F180I、F180V、もしくはF180M残基の変化;(43)G83A残基の変化;(44)G83L、G83I、G83V、もしくはG83M残基の変化;(45)G83KもしくはG83R残基の変化;(46)G83NもしくはG83Q残基の変化;(47)G83DもしくはG83E残基の変化;(48)G83TまたはG83S残基の変化;(49)I179A残基の変化;(50)I179KもしくはI179R残基の変化;(51)I179NもしくはI179Q残基の変化;(52)I179DもしくはI179E残基の変化;(53)I179TもしくはI179S残基の変化;(54)D110A残基の変化;または(55)H125A残基の変化のいずれかを含有するテルモトガ・マリチマ由来の変異エンドヌクレアーゼVである、請求項1に記載の方法。
- 正常標的核酸配列とは1つ以上の単一塩基の変化、挿入、または欠失によって相違する変異核酸配列を同定するための方法であって、
潜在的に変異核酸配列を含有するが、必ずしも正常標的核酸配列を含有していない検体を提供する段階;
正常標的核酸配列を含有する標準を提供する段階;
変異核酸配列の相補的鎖上でのハイブリダイゼーションに適した2種の標識オリゴヌクレオチドプライマーを提供する段階;
ポリメラーゼを提供する段階;
第1ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成するために検体、標準、標識オリゴヌクレオチドプライマー、およびポリメラーゼを混合する段階;
該第1ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、標識オリゴヌクレオチドプライマーが変異核酸配列にハイブリダイズすることができるハイブリダイゼーション処理、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーが伸長されてそれにオリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズされる変異核酸配列に相補的な伸長生成物が形成される伸長処理、およびハイブリダイズされた核酸配列が分離される変性処理を含む1回以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルに供する段階;
ポリメラーゼを不活化する段階;
正常標的核酸配列を提供する段階;
第2ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成するために正常標的核酸配列、標識オリゴヌクレオチドプライマー、およびポリメラーゼを混合する段階;
該第2ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、標識オリゴヌクレオチドプライマーが正常標的核酸配列にハイブリダイズすることができるハイブリダイゼーション処理、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーが伸長されてそれにオリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズされる正常標的核酸配列に相補的な伸長生成物が形成される伸長処理、およびハイブリダイズされた核酸配列が分離される変性処理を含む1回以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルに供する段階;
ポリメラーゼを不活化する段階;
第1および第2のポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物を混合する段階;
第1および第2のポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物を変性させる段階;
正常標的核酸配列および変異核酸配列を潜在的に含有するヘテロ二重鎖生成物を形成するために第1および第2のポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物をアニーリングする段階;
ミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れるかまたは開裂するエンドヌクレアーゼを提供する段階;
エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物を形成するためにヘテロ二重鎖生成物とエンドヌクレアーゼとを混合する段階;
エンドヌクレアーゼがミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖生成物に優先的にニックを入れるかまたは開裂するようにエンドヌクレアーゼ開裂反応混合物をインキュベートする段階;
リガーゼを提供する段階;
リガーゼ再シーリング反応混合物を形成するために潜在的にニックが入れられたまたは開裂されたヘテロ二重鎖生成物およびリガーゼを混合する段階;
ミスマッチ塩基対に隣接する位置でニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物の再シーリングを実質的に生じさせずに完全に適合した塩基対でニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物をシールするためにリガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートする段階;
リガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートする前記の段階から生じる生成物をサイズまたは電気泳動移動度によって分離する段階;ならびに
リガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートする前記の段階の結果として生じる分離された生成物を区別することによって検体中で正常標的核酸配列および変異核酸配列標的ヌクレオチドの存在を検出する段階を含む方法。 - 標的塩基配列がゲノムDNAである請求項46に記載の方法。
- 標的塩基配列が腫瘍検体から単離される請求項46に記載の方法。
- 標的塩基配列がmRNAの二本鎖cDNAコピーである請求項46に記載の方法。
- 標的塩基配列がPCR増幅フラグメントである請求項46に記載の方法。
- 2種の標識オリゴヌクレオチドプライマーが蛍光色素、IR色素、または放射性基である請求項46に記載の方法。
- 2種の標識オリゴヌクレオチドプライマーがそれらの5’末端で標識されている請求項51に記載の方法。
- ポリメラーゼが、テルムス・アクアティクス、テルムス・サーモフィルス、ピロコッカス・フリオサス、またはテルモトガ・マリチマに由来する天然もしくは組換えのいずれかの熱安定性ポリメラーゼである、請求項46に記載の方法。
- ポリメラーゼ連鎖反応が、65〜94℃の温度でポリメラーゼ連鎖反応混合物へポリメラーゼまたは金属コファクターのいずれかを添加することによって開始される、請求項46に記載の方法。
- ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物を変性させる前記の段階が94℃を超える温度へ加熱することによって実施される、請求項46に記載の方法。
- ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物をアニーリングする前記の段階が最初に50〜85℃の温度および続いて室温へ冷却することによって実施される、請求項46に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼがテルモトガ・マリチマ由来のエンドヌクレアーゼVである請求項46に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼがミスマッチ塩基対から1塩基離れた3’側の位置でヘテロ二重鎖生成物にニックを入れるかまたは開裂する、請求項46に記載の方法。
- リガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートする前記の段階が25℃で測定したときに7.2〜7.8のpH値で実施される、請求項46に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が2〜7mMの濃度でMgCl2をさらに含む請求項46に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物中のエンドヌクレアーゼ対ヘテロ二重鎖生成物の比が10:1〜100:1の範囲内にある、請求項60に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が実質的にNaClもKClも含有していない請求項60に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が0.4〜1.2mMの濃度でMnCl2をさらに含む請求項46に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物中のエンドヌクレアーゼ対ヘテロ二重鎖生成物の比が1:1〜1:10の範囲内にある請求項63に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が25〜75mMのNaClまたはKClを含む請求項63に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が2.5%〜10容量%の範囲内でDMSOを含有する請求項46に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物が0.5M〜1.5Mの濃度でベタインを含有する請求項46に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物をインキュベートする前記の段階が65℃で1時間実施される請求項46に記載の方法。
- リガーゼが熱安定性リガーゼである請求項46に記載の方法。
- リガーゼがテルムス種AK16D由来である請求項69に記載の方法。
- リガーゼが、テルムス・アクアティクス、テルムス・サーモフィルス、ピロコッカス・フリオサス、またはテルモトガ・マリチマに由来する、請求項69に記載の方法。
- リガーゼ再シーリング反応混合物がさらなるエンドヌクレオチド結合分解性開裂を阻害するために25〜75mMのKClを含有する、請求項69に記載の方法。
- 前記分離する段階が変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用することにより実施される請求項46に記載の方法。
- 前記分離する段階がキャピラリーゲル電気泳動を使用することにより実施される請求項46に記載の方法。
- 変異核酸配列対正常標的塩基配列の比率が1:20〜20:1の範囲内にある請求項46に記載の方法。
- ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物が50bp〜1,700bpの範囲内の長さを有する請求項46に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼが、A/A、G/G、T/T、A/G、A/C、G/A、G/T、T/G、T/C、C/A、およびC/Tからなる群より選択されるヘテロ二重鎖生成物内のミスマッチを優先的に開裂する、請求項46に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼが、ミスマッチの位置に下線が引かれ大文字で示されているgRcg、rcRc、cgYc、およびgYgyからなる群より選択される配列を有するものを除いて、いずれかの単一塩基変異または多型性のために形成された少なくとも1本のヘテロ二重鎖生成物に優先的にニックを入れるかまたは開裂する、請求項46に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼが、ヘテロ二重鎖生成物内の1、2、および3塩基の挿入または欠失に優先的にニックを入れるかまたは開裂する、請求項46に記載の方法。
- 正常標的配列における多型性から遺伝性または散発性の変異または多型性を区別する請求項46に記載の方法。
- 遺伝性または散発性の変異または多型性が腫瘍抑制遺伝子、癌遺伝子、またはDNA複製もしくは修復遺伝子中で区別される請求項46に記載の方法。
- 遺伝子が、Bcl2、Mdm2、Cdc25A、サイクリンD1、サイクリンE1、Cdk4、サバイビン、HSP27、HSP70、p53、p21Cip、p16Ink4a、p19ARF、p15INK4b、p27Kip、Bax、成長因子類、EGFR、Her2−neu、ErbB−3、ErbB−4、c−Met、c−Sea、Ron、c−Ret、NGFR、TrkB、TrkC、IGF1R、CSF1R、CSF2、c−Kit、AXL、Flt−1(VEGFR−1)、Flk−1(VEGFR−2)、PDGFRα、PDGFRβ、FGFR−1、FGFR−2、FGFR−3、FGFR−4、その他のタンパク質チロシンキナーゼレセプター類、β−カテニン、Wnt(s)、Akt、Tcf4、c−Myc、n−Myc、Wisp−1、Wisp−3、K−ras、H−ras、N−ras、c−Jun、c−Fos、PI3K、c−Src、Shc、Raf1、TGFβ、およびMEK、E−カドヘリン、APC、TβRII、Smad2、Smad4、Smad7、PTEN、VHL、BRCA1、BRCA2、ATM、hMSH2、hMLH1、hPMS1、hPMS2、およびhMSH3からなる群より選択される、請求項81に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼが、塩基対がミスマッチであるかまたはミスマッチを1塩基越える位置でヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れるかまたは開裂し、完全に適合したDNAにニックを入れたときに連結に適した末端を生成する熱安定性エンドヌクレアーゼである、請求項46に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼが、塩基対がミスマッチであるかまたはミスマッチを1塩基越える位置でのA/A、G/G、T/T、A/G、A/C、G/A、G/T、T/G、T/C、C/A、またはC/Tミスマッチ塩基対でヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れるかまたは開裂し、完全に適合したDNAにニックを入れたときに連結に適した末端を生成する熱安定性エンドヌクレアーゼである、請求項46に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼが、ミスマッチの位置に下線が引かれ大文字で示されているgRcg、rcRc、cgYc、またはgYgy配列を有するものを除いて、いずれかの単一塩基変異または多型性のために形成された少なくとも1本のヘテロ二重鎖に優先的にニックを入れるかまたは開裂し、完全に適合したDNAにニックを入れたときに連結に適した末端を生成する熱安定性エンドヌクレアーゼである、請求項46に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼが、塩基対がミスマッチであるかまたは不対塩基を1塩基越える位置で1、2、および3塩基の挿入または欠失を含有するヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れるかまたは開裂し、完全に適合したDNAにニックを入れたときに連結に適した末端を生成する熱安定性エンドヌクレアーゼである、請求項46に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼが、野生型エンドヌクレアーゼよりむしろミスマッチ塩基を含有する少なくとも1つのヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れるかまたは開裂する変異エンドヌクレアーゼである、請求項46に記載の方法。
- 少なくとも1つのヘテロ二重鎖DNA中のミスマッチ塩基の1つが「A」である請求項87に記載の方法。
- 少なくとも1つのヘテロ二重鎖DNA中のミスマッチ塩基の1つが「G」である請求項87に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼが、(1)Y80A残基の変化;(2)Y80F残基の変化;(3)Y80L、Y80I、Y80V、もしくはY80Mのいずれかの残基の変化;(4)R88A残基の変化;(5)R88L、R88I、R88V、もしくはR88M残基の変化;(6)R88K残基の変化;(7)R88NもしくはR88Q残基の変化;(8)R88DもしくはR88E残基の変化;(9)R88TもしくはR88S残基の変化;(10)E89A残基の変化;(11)E89L、E89I、E89V、もしくはE89M残基の変化;(12)E89D残基の変化;(13)E89NもしくはE89Q残基の変化;(14)E89RもしくはE89K残基の変化;(15)E89TもしくはE89S残基の変化;(16)H116A残基の変化;(17)H116L、H116I、H116V、もしくはH116M残基の変化;(18)H116KもしくはH116R残基の変化;(19)H116NもしくはH116Q残基の変化;(20)H116TもしくはH116S残基の変化;(21)K139A残基の変化;(22)K139L、K139I、K139V、もしくはK139M残基の変化;(23)K139R残基の変化;(24)K139NもしくはK139Q残基の変化;(25)K139DもしくはK139E残基の変化;(26)K139TもしくはK139S残基の変化;(27)D43A残基の変化;(28)D43E残基の変化;(29)D105A残基の変化;(30)D105E残基の変化;(31)F46A残基の変化;(32)F46Y残基の変化;(33)F46L、F46I、F46V、もしくはF46M残基の変化;(34)R118A残基の変化;(35)R118L、R118I、R118V、もしくはR118M残基の変化;(36)R118K残基の変化;(37)R118NもしくはR118Q残基の変化;(38)R118DもしくはR118E残基の変化;(39)R118TもしくはR118S残基の変化;(40)F180A残基の変化;(41)F180Y残基の変化;(42)F180L、F180I、F180V、もしくはF180M残基の変化;(43)G83A残基の変化;(44)G83L、G83I、G83V、もしくはG83M残基の変化;(45)G83KもしくはG83R残基の変化;(46)G83NもしくはG83Q残基の変化;(47)G83DもしくはG83E残基の変化;(48)G83TもしくはG83S残基の変化;(49)I179A残基の変化;(50)I179KもしくはI179R残基の変化;(51)I179NもしくはI179Q残基の変化;(52)I179DもしくはI179E残基の変化;(53)I179TもしくはI179S残基の変化;(54)D110A残基の変化;または(55)H125A残基の変化のいずれかを含有するテルモトガ・マリチマ由来の変異エンドヌクレアーゼVである、請求項46に記載の方法。
- 塩基対がミスマッチであるかまたはミスマッチを1塩基越える位置でヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れるかまたは開裂し、完全に適合したDNAにニックを入れたときに連結に適した末端を生成する熱安定性エンドヌクレアーゼ。
- 塩基対がミスマッチであるかまたはミスマッチを1塩基越える位置でのA/A、G/G、T/T、A/G、A/C、G/A、G/T、T/G、T/C、C/A、またはC/Tミスマッチ塩基対でヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れるかまたは開裂し、完全に適合したDNAにニックを入れたときに連結に適した末端を生成する熱安定性エンドヌクレアーゼ。
- ミスマッチの位置に下線が引かれ大文字で示されているgRcg、rcRc、cgYc、またはgYgy配列を有するものを除いて、いずれかの単一塩基変異または多型性のために形成された少なくとも1本のヘテロ二重鎖に優先的にニックを入れるかまたは開裂し、完全に適合したDNAにニックを入れたときに連結に適した末端を生成する熱安定性エンドヌクレアーゼ。
- 塩基対がミスマッチであるかまたは不対塩基を1塩基越える位置で1、2、および3塩基の挿入または欠失を含有するヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れるかまたは開裂し、完全に適合したDNAでDNAにニックを入れたときに連結に適した末端を生成する熱安定性エンドヌクレアーゼ。
- 野生型エンドヌクレアーゼよりむしろ、ミスマッチ塩基を含有する少なくとも1つのヘテロ二重鎖DNAで優先的にニックを入れるかまたは開裂する変異エンドヌクレアーゼ。
- 少なくとも1つのヘテロ二重鎖DNA中のミスマッチ塩基の1つが「A」である請求項95に記載の変異エンドヌクレアーゼ。
- 少なくとも1つのヘテロ二重鎖DNA中のミスマッチ塩基の1つが「G」である請求項95に記載の変異エンドヌクレアーゼ。
- (1)Y80A残基の変化;(2)Y80F残基の変化;(3)Y80L、Y80I、Y80V、もしくはY80Mのいずれかの残基の変化;(4)R88A残基の変化;(5)R88L、R88I、R88V、もしくはR88M残基の変化;(6)R88K残基の変化;(7)R88NもしくはR88Q残基の変化;(8)R88DもしくはR88E残基の変化;(9)R88TもしくはR88S残基の変化;(10)E89A残基の変化;(11)E89L、E89I、E89V、もしくはE89M残基の変化;(12)E89D残基の変化;(13)E89NもしくはE89Q残基の変化;(14)E89RもしくはE89K残基の変化;(15)E89TもしくはE89S残基の変化;(16)H116A残基の変化;(17)H116L、H116I、H116V、もしくはH116M残基の変化;(18)H116KもしくはH116R残基の変化;(19)H116NもしくはH116Q残基の変化;(20)H116TもしくはH116S残基の変化;(21)K139A残基の変化;(22)K139L、K139I、K139V、もしくはK139M残基の変化;(23)K139R残基の変化;(24)K139NもしくはK139Q残基の変化;(25)K139DもしくはK139E残基の変化;(26)K139TもしくはK139S残基の変化;(27)D43A残基の変化;(28)D43E残基の変化;(29)D105A残基の変化;(30)D105E残基の変化;(31)F46A残基の変化;(32)F46Y残基の変化;(33)F46L、F46I、F46V、もしくはF46M残基の変化;(34)R118A残基の変化;(35)R118L、R118I、R118V、もしくはR118M残基の変化;(36)R118K残基の変化;(37)R118NもしくはR118Q残基の変化;(38)R118DもしくはR118E残基の変化;(39)R118TもしくはR118S残基の変化;(40)F180A残基の変化;(41)F180Y残基の変化;(42)F180L、F180I、F180V、もしくはF180M残基の変化;(43)G83A残基の変化;(44)G83L、G83I、G83V、もしくはG83M残基の変化;(45)G83KもしくはG83R残基の変化;(46)G83NもしくはG83Q残基の変化;(47)G83DもしくはG83E残基の変化;(48)G83TまたはG83S残基の変化;(49)I179A残基の変化;(50)I179KもしくはI179R残基の変化;(51)I179NもしくはI179Q残基の変化;(52)I179DもしくはI179E残基の変化;(53)I179TもしくはI179S残基の変化;(54)D110A残基の変化;または(55)H125A残基の変化のいずれかを含有するテルモトガ・マリチマ由来の変異エンドヌクレアーゼV。
- Y80A残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- Y80F残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- Y80L、Y80I、Y80V、もしくはY80M残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- R88A残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- R88L、R88I、R88V、もしくはR88M残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- R88K残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- R88NもしくはR88Q残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- R88DもしくはR88E残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- R88TもしくはR88S残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- E89A残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- E89L、E89I、E89V、もしくはE89M残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- E89D残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- E89NもしくはE89Q残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- E89RもしくはE89K残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- E89TもしくはE89S残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- H116A残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- H116L、H116I、H116V、もしくはH116M残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- H116KもしくはH116R残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- H116NもしくはH116Q残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- H116DもしくはH116E残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- H116TもしくはH116S残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- K139A残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- K139L、K139I、K139V、もしくはK139M残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- K139R残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- K139NもしくはK139Q残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- K139DもしくはK139E残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- K139TもしくはK139S残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- D43A残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- D43E残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- D105A残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- D105E残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- F46A残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- F46Y残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- F46L、F46I、F46V、もしくはF46M残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- R118A残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- R118L、R118I、R118V、もしくはR118M残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- R118K残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- R118NもしくはR118Q残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- R118DもしくはR118E残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- R118TもしくはR118S残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- F180A残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- F180Y残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- F180L、F180I、F180V、もしくはF180M残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- G83A残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- G83L、G83I、G83V、もしくはG83M残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- G83KもしくはG83R残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- G83NもしくはG83Q残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- G83DもしくはG83E残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- G83TもしくはG83S残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- I179A残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- I179KもしくはI179R残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- I179NもしくはI179Q残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- I179DもしくはI179E残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- I179TもしくはI179S残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- D110A残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- H125A残基の変化を含有する請求項98に記載の変異エンドヌクレアーゼV。
- 正常標的核酸配列とは1つ以上の単一塩基の変化、挿入、または欠失によって相違する変異核酸配列を同定するための方法であって、
潜在的に正常標的核酸配列並びに変異核酸配列を含有する検体を提供する段階;
標的核酸配列および変異核酸配列の相補的鎖上でのハイブリダイゼーションに適した2種の標識オリゴヌクレオチドプライマーを提供する段階;
ポリメラーゼを提供する段階;
ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成するために検体、標識オリゴヌクレオチドプライマー、およびポリメラーゼを混合する段階;
ポリメラーゼ連鎖反応混合物を、オリゴヌクレオチドプライマーが標的核酸配列および/または変異核酸配列にハイブリダイズすることができるハイブリダイゼーション処理、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーが伸長されてそれにオリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズされる標的核酸配列および/または変異核酸配列に相補的な伸長生成物が形成される伸長処理、およびハイブリダイズされた核酸配列が分離される変性処理を含む1回以上のポリメラーゼ連鎖反応サイクルに供する段階;
ポリメラーゼを不活化する段階;
ポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物を変性させる段階;
正常標的核酸配列および変異核酸配列を潜在的に含有するヘテロ二重鎖生成物を形成するためにポリメラーゼ連鎖反応伸長生成物をアニーリングする段階;
ミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖DNAに優先的にニックを入れるかまたは開裂するエンドヌクレアーゼを提供する段階;
エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物を形成するためにヘテロ二重鎖生成物とエンドヌクレアーゼとを混合する段階;
エンドヌクレアーゼがミスマッチ塩基対から1塩基離れた位置でヘテロ二重鎖生成物に優先的にニックを入れるかまたは開裂するようにエンドヌクレアーゼ開裂反応混合物をインキュベートする段階;
リガーゼを提供する段階;
リガーゼ再シーリング反応混合物を形成するために潜在的にニックが入れられたまたは開裂されたヘテロ二重鎖生成物およびリガーゼを混合する段階;
ミスマッチ塩基対に隣接する位置でニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物の再シーリングを実質的に生じさせずに完全に適合した塩基対でニックが入れられたヘテロ二重鎖生成物をシールするためにリガーゼ再シーリング反応混合物をインキュベートする段階;
3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを提供する段階;
ポリメラーゼヌクレオチド鎖分解性分解反応混合物を形成するために潜在的にニックが入れられたまたは開裂されたヘテロ二重鎖生成物および3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを混合する段階;
ニックへ3’側の数塩基を除去するために3’−5’ヌクレオチド鎖分解活性に有効な条件下でポリメラーゼヌクレオチド鎖分解性分解反応混合物をインキュベートする段階;
3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを不活化する段階;
3’−5’活性を備えていないポリメラーゼを提供する段階;
ポリメラーゼ・ミニシーケンシング反応混合物を形成するためにインキュベートされたポリメラーゼ分解反応混合物、3’−5’活性を備えていないポリメラーゼ、標識ジデオキシターミネーター三リン酸ヌクレオチド、およびデオキシリボヌクレオチド三リン酸類を混合する段階;
ミニシーケンシング反応生成物を形成するためにニックが入れられたまたは開裂されたヘテロ二重鎖生成物の3’末端を伸長させるために3’−5’活性を備えていないポリメラーゼに有効な条件下でポリメラーゼ・ミニシーケンシング反応混合物をインキュベートする段階;
ミニシーケンシング生成物をサイズまたは電気泳動移動度によって分離する段階;ならびに
ポリメラーゼ・ミニシーケンシング反応混合物をインキュベートする前記の段階の結果として生じる分離されたミニシーケンシング生成物を区別することによって正常標的核酸配列および変異核酸配列の存在を検出する段階を含む、方法。
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