JP2004524909A - 血管の軸方向への伸張のための脈管内デバイスおよび方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、概して、生きている脈管組織から脈管組織移植片を生成するための方法およびデバイスの分野に属し、特に、自己移植片の作製に属する。血管成長を刺激するために血管を軸方向に拡張することよって、血管移植片を形成するための脈管内デバイスおよび方法が、提供される。これらのデバイスは、カテーテルを介して有利に移植され得、これによって、伸張がインビボでなされる場合に、より浸潤性のある移植手順の必要性を排除する。血管ドナーが、移植片のレシピエントである場合、完全に自系の生存する血管移植片が提供される。
Description
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、概して、生きている脈管組織から脈管組織移植片を生成するための方法およびデバイスの分野に属し、特に、自己移植片の作製に属する。
【0002】
脈管移植片は、アテローム性動脈硬化症のプラークの存在により引き起こされる血流の閉塞をバイパスするために広く外科医に使用される。脈管移植片はまた、透析患者における動脈−静脈シャントの提供、脈管の修復または脈管の置換、および動脈瘤の処置のような、他の用途にも使用される。バイパスのための移植片は、しばしば、心臓に血液を供給する動脈である冠状動脈において使用されるが、これに限定されない。
【0003】
脈管移植片を構築するために使用される材料は、通常、合成物かまたは生物学的供給源に由来するかのいずれかであるが、合成材料および生物学的材料の組合せが、開発中である。最も広範に使用される生物学的脈管移植片は、自己伏在静脈または乳腺動脈である。いくつかの一般的な人工移植片は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(例えば、GORTEXTM)またはポリエステル(例えば、DACRONTM)から作製されている。概して、自己移植片は、合成の移植片より首尾よく使用されてきた。自己移植片は、合成移植片より長く開いたまま(機能的)であり、伏在静脈は、しばしば5年未満で不能となる。合成移植片の短い寿命は、特に、狭い直径を有するもの(直径7mm未満)に明白であり、最も直径の狭い合成移植片では、1〜2年またはそれ未満で閉塞する。
【0004】
直径の狭い脈管移植片は、特に、冠状動脈バイパス手術において使用される。内胸動脈(IMA)は、代表的に、静脈の移植片より長い寿命を有する(5年目で95%開いている、対、2年目で85%開いている)ので、適切な自己移植片である。しかし、乳腺動脈組織は、採取が困難であり、代表的に多数のバイパスのために十分な長さを利用できず、そして、その切除は、解決の難しい創傷治癒のような、問題を生じ得る。さらに、閉塞した動脈の修復のために十分な静脈組織を得ることは、静脈瘤のような静脈状態を有する患者において、特に同一の患者での第2または第3の手術においては、解決が難しくあり得る。文献はまた、バイパスに使用されるIMAが、移植のすぐ後に失敗するか、または不確定に開いたままであることを示唆している。例えば、Bergsmaら、Circulation 97(24):2402−05(1998);Cooley,Circulation 97(24):2384−85(1998)を参照のこと。
【0005】
他の動脈(例えば、胃大網、胃、橈骨および脾臓の)はまた、冠状動脈バイパス手順に使用される。いくつかの場合において、凍結または他のプロセスによって保存された自己のまたは同種の伏在静脈が、使用される。最近のAmerican Heart Association/American College of Cardiologyの合意文書は、総動脈血管再生に移行することを強く推奨する(Eagleら、「ACC/AHA Guidelines for coronary artery bypass graft surgery:A report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines」,Committee to Revise the 1991 Guidelines for Coronary Artery Bypass Graft Surgery,American College of Cardiology/American Heart Association,J.Am.Coll.Cardiol.,34(4):1262−347(1999))。
【0006】
より長持ちする直径の狭い脈管移植片の開発は、非常に学術的および産業的に重要な研究の主題である。現在のアプローチの1つは、生きた「組織工学」移植片を作製するための培養細胞と生体材料技術との併用である。しかし、この努力は、首尾良い移植片の要件に関して妨げられている。移植片は、自己修復、非免疫原性、非毒性および非トロンボゲン形成であるべきであり;修復される動脈と類似のコンプライアンスを有するべきであり;外科医によって容易に縫合されるべきであり;いかなる特別の技術も、操作手順も必要とするべきではない。これらの特性を有する移植片を、獲得することは困難である。今日までの相当な努力、および大きな金銭的見返りにも関わらず、学術界および産業界の研究者は、ヒトでの試験において効力が実証されている移植片材料を生成するのに失敗してきた。
【0007】
修復のための脈管移植片のために他の健康な脈管組織を必要とすることを回避または最小化するための努力が、記載されている。例えば、Ruiz−Razuraら、J.Reconstructive Microsurgery,10(6):367−73(1994)およびStarkら、Plastic&Reconstructive Surgery,80(4):570−78(1987)は、急速な動脈の伸長のための、活発な(round)微小血管組織エキスパンダーの使用を開示し、このような急速な過伸張の組織への効果について試験した。このエキスパンダーは、シリコンバルーンであり、これは、伸長されるべき血管の下に配置される。このバルーンに、非常に短時間で生理食塩水を満たし、血管の急速な伸張および伸長を引き起こす。この方法は、静脈移植片を必要とせずに、30mmまでの動脈欠損の閉鎖のために効果的であると言われている。これらの技術は、外傷に対して適切であるが、例えば疾患によって閉塞されている血管において血流を回復するためにためには使用されず、この疾患では障害物を移植片を用いて外科的にバイパスすることによって処置される。これらの開示された方法およびデバイスは、自己移植片または汎用性のある代替品を提供しない。さらに、急速な伸張は、血管を損傷し得る。
【0008】
しかし、軸方向の伸張は、インタクトな血管において平滑筋細胞増殖を増大し得、これによって実質的に血管増殖を促進することが実証された。Conklinの「Viability of Porcine Common Carotid Arteries in a Novel Organ Culture System」MS Thesis,Georgia Institute of Technology,1997;Hanら、「Axial Stretch Increases Cell Proliferation in Arteries in Organ Culture」,Advances in Bioengineering,ASME,BED 48:63−64(2000)を参照のこと。
【0009】
Georgia Tech Research CorporationのPCT WO 99/60952およびVitoの米国特許第6,322,553は、軸方向への膨張を用い機械的に血管を刺激することにより軸方向への増殖を生じるデバイスおよび方法を記載する。これらのデバイスは、血管の外面に固着し、そして従ってインビボでのその使用は、必然的に侵襲性であり、少なくとも内視鏡手術を必要とする。このデバイスのサイズはまた、移植に適切な部位を制限し得る。より侵襲性が少なく、かつインビボでより容易に組み込まれそして使用されるデバイスおよび方法の開発が、有利である。また、自己移植片として使用するための増殖した血管の除去に先立ち、手術の必要性をなくし得ることは患者にとって大いに有益である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、インビボにおいて血管を伸張および増殖させるための最小侵襲性のまたは非侵襲性のデバイスおよび方法を提供することは、本発明の目的である。
【0011】
移植のために適切な、天然の血管を作製する簡潔なデバイスおよび方法を提供することは、本発明の別の目的である。
【0012】
より軽微な手術を伴う自己血管移植片を作製するためのデバイスおよび方法を提供することは、本発明のさらなる目的である。
【0013】
本発明のこれらおよび他の目的、特徴および利点は、図面および添付の特許請求の範囲と合わせることにより、以下の本発明の詳細な記述の概説により明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の要旨)
血管成長を刺激するために血管を軸方向に拡張することよって、血管移植片を形成するための脈管内デバイスおよび方法が、提供される。これらのデバイスは、カテーテルを介して有利に移植され得、これによって、伸張がインビボでなされる場合に、より浸潤性のある移植手順の必要性を排除する。血管ドナーが、移植片のレシピエントである場合、完全に自系の生存する血管移植片が提供される。
【0015】
血管の成長を誘導するために血管を軸方向に拡張するデバイスは、血管の内部管腔部分に直接装着可能な脈管内伸張装置、および血管を軸方向に拡張させるような、伸張機構を操作するための手段を備える。好ましい実施形態において、脈管内伸張機構は、係留ワイヤおよび伸張ワイヤから構成され、ここで、これらのワイヤの遠位末端部分は、互いに軸方向に遠端な位置で、内部管腔部分に別々に係留可能である。このデバイスはさらに、少なくとも2つの管腔を有するカテーテルを備え得、この管腔は、血管の内部管腔部分に伸張ワイヤおよび係留ワイヤを送達するのに適している。このカテーテルおよびワイヤは、キットまたは組立デバイスとして提供され得る。
【0016】
係留ワイヤの遠位末端部分、伸張ワイヤの遠位末端部分、またはその両方は、形状記憶材を含み得るか、この形状を形成し得る。好ましくは、形状記憶材は、ニッケル−チタンまたは形状記憶ポリマーを含む。このような実施形態の操作において、この形状記憶材は、有効な温度変化(例えば、生きた哺乳動物の体へのこの材料の挿入後に直面された温度増加)に応答して、形状を変化する。この形状の変化は、例えば、実質的に直鎖状の形態から、血管の内部管腔部分の第1の位置に摩擦係合するらせん状構造に、伸張ワイヤの遠位末端部分を変化させ得、次いで、係留ワイヤの遠位末端部分を、実質的に直鎖状の形態から、血管の内部管腔部分の第2の位置に係合するらせん状構造に変化させ得る。次いで、伸張力がこのワイヤに適用され得、互いから離れて遠位部分を押したり/引いたりし得る。
【0017】
1つのバリエーションにおいて、この伸張ワイヤはさらに、(例えば、形状記憶材の使用により)形状を、実質的に直鎖状の形態から、圧縮バネとして機能し、伸張力を与えるらせん状構造に変化させる媒介部分を含む。
【0018】
伸張機構を操作する手段としては、機械的駆動、電気機械的駆動、または水圧的駆動である原動機が挙げられ得る。この操作手段は、軸伸張力を、継続的な様式、断続的な様式または周期的な様式で血管に適用させ得、そして、直線的、曲線的、またはそれらの組合せで適用させ得る。このデバイスはまた、伸張機構を操作する手段を制御するための制御装置を備え得る。
【0019】
別の好ましい実施形態において、脈管内伸張機構は、第1のステント、第2のステント、ならびに、この第1のステントおよび第2のステントに作動可能に連結された圧縮バネを備え、ここで、この第1のステントおよび第2のステントは、互いに軸方向に遠隔な位置で、内部管腔部分に別々に係留可能である。この実施形態において、第1のステント、第2のステント、圧縮バネ、またはそれらの組合せは、形状記憶材(例えば、ニッケル−チタン合金または形状記憶ポリマー)を含み得る。
【0020】
これらの実施形態のいずれかにおいて、脈管内伸張機構、またはその部分は、成長刺激因子(血管の成長を増強するのに有効な量で放出され得る)のような治療因子または予防因子を含み得る。別の例は、伸張プロセス中の血餅の危険を最小にするような抗血栓因子(anti−throbotic agent)である。治療因子または予防因子は、デバイス成分中にしみこませられ得るか、もしくはこの成分上にコーディングされ得、そして/またはデバイスをその脈管内部分に送達するカテーテル中に添加され、そして、管腔を通って放出され得る。
【0021】
血管成長を誘導するために、ヒトまたは動物の血管を拡張するための方法が、提供される。この工程は以下を包含する:(i)血管の内部管腔部分に、本明細書中に記載されるデバイスの伸張機構を挿入する工程;(ii)互いに軸方向に遠隔である少なくとも2つの位置で、伸張機構を内部管腔部分に係合する工程;(iii)血管の軸方向の成長を誘導するのに有効な期間にわたり、この少なくとも2つの位置の間で血管を軸方向に伸張するように、伸張機構を操作する工程。この操作工程は、能動的(例えば、この装置またはこの成分に外力を供与する)または受動的(例えば、バネのような弾性力を単に放出する)であり得る。伸張は、細胞成長のための媒体中で、インビボまたはインビトロで実施され得る。
【0022】
血管移植片が必要なヒト患者のために血管移植片を形成する方法がまた、提供される。本方法は、本明細書中に記載の脈管内伸張デバイスおよび方法の1つを使用することで、ドナー血管を拡張する工程、次いで、拡張されたドナー血管の一部を切除する工程、これによってこの部分に血管移植片を提供する工程を包含する。種々の血管型が、本明細書中に記載されるように伸張され得る一方、血管は好ましくは、血管移植片を形成するために血管を伸張した場合、内部哺乳動物動脈、大腿動脈、胃大網動脈、胃動脈、橈骨動脈、および脾動脈から選択される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(発明の詳細な説明)
移動方法(media)を特徴付け、動脈壁の主要な耐力層(load bearing layer)である平滑筋細胞は、機械的な刺激に応答してその細胞外基質の産生を、増殖および増大させることが、知られている。この知見は、冠状動脈バイパスのための適切な直径の自己移植片、または脈管形成を刺激するための脈管内拡張デバイスを使用する他の脈管移植片アプリケーションを作り出すために有利に適用され得ることが、見出された。
【0024】
この拡張デバイスは、ドナーの血管を、血管の種々の地点において固定し、次いで、伸長部分を形成するためにこれらの地点の間で血管を膨らませるかまたは伸張させる。次いで、伸張される部分は、脈管移植片として使用するために切除され得る。本明細書中に記載されるデバイスおよび方法は、同種異系血管移植片および異種血管移植片、ならびにより好ましい自己血管移植片を作製するために使用され得る。
【0025】
(手術のためのデバイスおよび方法)
このデバイスは、ドナーの血管にその内部で取り付けられ得る伸張機構、および血管を膨らませる(すなわち、伸ばす)ように伸張機構を操作するための手段、および操作手段を制御するための任意の制御装置を包含する。少なくとも2つの固着地点が、血管を伸張させるために必要とされる。脈管内膨張デバイスおよび脈管内膨張方法の好ましい実施形態において、血管を伸張するための軸方向の力は、伸張される血管の内面に固定される(すなわち固着される)2つ以上のエレメントの少なくとも1つ、またはその一部に適用される。これらのエレメントは、脈管内伸張機構を構成し、そして好ましくは、導入および使用のためのカテーテルによって血管内に送達され得る。
【0026】
この固定は、他の可能な固定手段(例えば、付着または縫合)を用いるのではなく、好ましくは、摩擦係合による。この係合(engagement)は、以下に記載される形態変化材料を用いるか、または非形態変化材料を用いて、実施され得る。これらの材料は、例えば、伸張機構の少なくとも一部において血管の内側管腔部分を膨張させそしてかみ合わせを起こすためにバルーンの膨張を必要とし得る。固定されたエレメントが互いから離されるにつれて、エレメントの間の血管セグメントは、軸方向の伸張力を受ける。
【0027】
第1の好ましい実施形態において、脈管内伸張機構は、末端部分が、血管内に固着され得るワイヤの対と、ワイヤを互いに離して移動させ、血管を伸張する手段とを包含する。この血管は、直線的に、曲線的に、またはそれらの組み合わせによって、移動され得る(すなわち、伸張される)。この移動は、種々の技術のうちのいずれか(例えば、機械的、電気機械的、または水力の手段による)によって、実施され得る。
【0028】
第2の好ましい実施形態において、脈管内伸張機構は、圧縮バネによってつながれたステントの対を含み、圧縮バネは、ステントを互いに離して移動させ、そして血管を伸張させるための手段として動作する。本明細書中で使用する場合、用語「ステント」は、弾力があり、拡張可能であり、血管壁を係合可能であり、軸方向の力に耐え得るほぼ円筒型の係留をいい;ステントは、主に半径方向力に耐えるために役立つ従来のステントに構造的に似ていても、似ていなくてもよい。
【0029】
これらの異なる2つの設計の構成要素は、例えば、伸張プロセスを実施するためにステントおよびワイヤの組み合わせを使用して、結合され得ることが可能である。これらの固着エレメントは、今日知られているかまたは今後開発される他の適切な構造の形態をとり得ることがまた、想像される。なぜなら、固着エレメントの選択は、一般に、設計的事項とみなされ得るからである。
【0030】
(A.係留ワイヤーを利用する設計)
いくつかの実施形態において、デバイスは、引き伸ばされるべき血管内に固定された2つのワイヤを用いる。これらの例は、図1〜5に示され、以下に記載される。
【0031】
(デバイスおよびその構成要素)
図1に示されるように、キット10は、多内腔カテーテル12および少なくとも2つのワイヤ:伸張ワイヤ14aおよび係留ワイヤー14bを含む。このカテーテル12は、近位端16および反対の遠位端18、ならびに4つの内腔17a、17b、17c、および17dを有する。
【0032】
このカテーテルおよびワイヤは、キットまたは組立てデバイスとして提供され得る。このカテーテルは、標準的な市販のカテーテルであり得る。このカテーテルは、好ましくは、少なくとも2つの内腔、それぞれについて2つのワイヤを有する。更なる内腔が、冷却された生理食塩水または他の目的のために含まれ得る。カテーテルに適切な直径および長さの選択は、当然、伸張について選択される特定の血管、ならびに使用されるべき係留ワイヤーおよび伸張ワイヤの直径および数に依存する。
【0033】
伸張ワイヤ14aは、近位端部20aおよび遠位端部22aを有し、そして係留ワイヤー14bは、近位端部20bおよび遠位端部22bを有する。伸張ワイヤおよび係留ワイヤーの両方は、引き伸ばされるべき血管の内側表面に固定され得なければならない。図2Aおよび2Bは、係留ワイヤー、伸張ワイヤ、またはその両方として役立ち得るワイヤ14を例示する。ワイヤ14は、近位端部20および遠位端部22を有する。遠位端部22は、直線型(図2A)から、血管の内側表面に摩擦的に係合する第2の型に変化し得るべきである。好ましい実施形態において、第2の型は、図2Bに示されるようにスパイラルである。本明細書中で使用される場合、用語「スパイラル」は、任意の螺旋型、渦巻型、コイル型、円筒型、またはカール型を含む。
【0034】
伸張ワイヤ14aは、押す(引き伸ばす)力に供される際、バッキングに耐性であるように、適切なゲージおよび材料の構成であるべきである。このゲージと構成は、管の伸張の間に押すよりもむしろ引く力を受ける係留ワイヤー14bのゲージおよび構成とは異なり得る。
【0035】
他の実施形態において、伸張ワイヤおよび/または係留ワイヤーは、他のより複雑な型に展開する。例えば、伸張ワイヤは、図4A〜図4Bに示されるように、(例えば、体温に温められる際)圧縮バネを有する係留スパイラルに展開し得る。図4Aは、例えば、温度より低い体温の場合の近位端41および遠位端42を有する、直線型の伸張ワイヤ40を示す。図4Bは、遠位端部42が、圧縮ばね部44およびスパイラル係留部46に変換された伸張ワイヤ40を示す。
【0036】
このワイヤは、示される形状の変換を達成するための適切な物質および方法を用いて製造され得る。例えば、このワイヤは、ワイヤの周りにぴったりとフィットする取り外し可能スリーブを有する直線の外形に維持され得る。このようなスリーブは、挿入後にワイヤから滑らせて簡単に除かれ得る。このスリーブは、カテーテル内腔内にフィットする別個の要素であり得るか、またはこのカテーテル自体が、スリーブ機能を果たす。このワイヤの形状変化は、ワイヤの構成材料に固有のバネ作用に起因し得、その結果、スリーブが取り外されると、ワイヤは、カール型に変化する。このような変換は、大半の金属およびポリマー材料において通常示される弾性回復力、すなわち、これらの材料から形成される湾曲したワイヤを真っ直ぐにする、当業者により作られ得る力に起因して生じ得る。
【0037】
好ましい実施形態において、この形態変化機能は、適切な形状記憶材料を含むワイヤ、または少なくともその遠位端部を有することによって達成される。形状記憶材料は、代表的に2つの異なる形状を有し、そしてこれらの形状間での遷移が、種々の刺激に応答して生じ得る。好ましい遷移刺激は、温度の変化である。例えば、ワイヤ14の遠位端22は、室温(例えば、約20℃)で直線になり(図2A)、そしてヒト体温(例えば、約37℃、またはそれよりも上)に温められる場合、スパイラル形状を形成し得る(図2B)ように設計され得る。他の遷移温度が、利用され得る。
【0038】
超弾性効果および形状記憶効果を示すニッケル−チタン合金(例えば、Ninitol)は、特に適切である。他の形状記憶合金および形状記憶ポリマー材料もまた、使用され得る。例えば、このような形状記憶材料は、インビボでの挿入後にワイヤが体温に温められた場合、直線からスパイラルに形状を変化するように製造され得る。形状記憶ポリマーおよび他の形状記憶材料の例は、例えば、MITに対するPCT WO99/42528;Langerらに対する米国特許第6,160,084号;およびShape Memory Materials,(Otsuka&Wayman編),Cambridge University Press(October 1999)(これらは、本明細書中で参考として援用される)に記載される。このような材料でワイヤを形成またはコーティングする方法が、当業者に公知である。
【0039】
好ましい実施形態において、このデバイスは、Langerらに対する米国特許第6,160,084号に記載されるような生分解性形状記憶ポリマーから形成される。特定のポリマーは、伸張手順の完了後に、分解されるように作製され得る。このような材料から形成されるデバイスは、好ましくは、脈管切除または脈管移植の前に取り出す必要はない。
【0040】
圧縮バネの形状記憶材料の「記憶」は、軸の回復に限定されないことに注意することが重要である。形状記憶材料は、その伸長および回復の間複雑な湾曲(例えば、S型)の形態をとり得、これによって、軸血管増殖のための蛇行経路を生成し、そして係留要素間の動脈路を増加しつつ、係留要素間での軸性の分化を減少する。例えば、図8を参照のこと。
【0041】
(操作手段および制御器)
ワイヤの線状移動は、広範な種々の力および当該分野において公知の駆動手段によって駆動され得る。この移動はまた、機械的手段、電気機械的手段、圧力式手段、または第2の構造について第1の構造を制御可能に押す/引くための公知の他の手段を用いて実施され得る。これらのいくつかは、記載されるか、または本明細書中で参考として援用される、Vitoに対する米国特許第6,322,553号に記載のものから適用され得る。
【0042】
このデバイスは、伸張機構を操作する手段を含み、好ましくは、原動機およびこの原動機のための電気的駆動機を含む。この原動機は、係留ワイヤーの遠位端から離れた伸張ワイヤの遠位端を押すおよび/または引くための伸張機構を操作するリニアモーターのような、電気機械的(活性)デバイスであり得る。この操作手段は、好ましくは、少なくとも伸張ワイヤの近位端に作動可能に連結される。
【0043】
回転モーターはまた、当該分野において公知の技術を用いて、必要な直線運動を生むために使用され得る。あるいは、原動機は、圧力で操作し得る。活性デバイスは、一般に長期間の入力を必要とする。原動機はまた、受動デバイス(例えば、バネ、またはバネおよびダンパーの組合せ)であり得、ここで蓄えられた機械的エネルギーは、互いに離れたワイヤの係留部分を押すおよび/または引くために使用される。
【0044】
線状または回転圧マイクロモーターデバイス(アクチュエーター)は、小さいステップサイズの小さい力を送達し、比較的単純な制御エレクトロニクスおよび固有の力過負荷保護を有する。適切なデバイスは、Micro Pulse Systems,Inc.を含む多数の製造供給源から入手可能である。操作手段のパラメーターとしては、伸張機構によって適用される力、伸張機構の移動の速度および方向、伸張機構が操作される時間の長さ、ならびに適用される引き延ばしの型(例えば、連続的、周期的、または間欠的)が挙げられる。
【0045】
制御器は、操作手段を制御する。この制御器は、伸張プロセスを制御するように活性化およびプログラミングされ得るマイクロプロセッサを含み得る。これは、例えば、X線データまたは如何にプロセスが進められるかを示すほかの指示に基づいて、伸張プロセスを制御するように、必要に応じて、好ましくは再プログラミングされ得る。
【0046】
機械的伸張機構または圧力式伸張機構は、数週間までの期間に渡ってゆっくりと離すようにワイヤを動かすように作用する。1つの実施形態において、受動的駆動要素が、予め決定された引き延ばしを長時間提供するために使用され得る。別の実施形態において、駆動機は、例えば、約1ヶ月に渡って数cmの伸張を提供するように自動操作するようプログラミングされ得る。あるいは、ピークおよび平均振幅を増加させる周期的伸張が、使用され得る。圧アクチュエーターを使用して、駆動機を活性化することは、数ミクロン程度の少なさの機械的伸張機構または圧力式伸張機構の増分移動を生じ得る。原動機は、脈管の過剰伸張を予防するために力を制限するように設計される。力の制限は、圧電アクチュエーターがいずれかの実施形態において使用される際に固有であり、永久磁石モーターの場合、電気的駆動回路中に設計され得る。
【0047】
(使用の方法)
カテーテルは、カテーテル挿入について十分に確立された技術を用いて挿入され得る。手短には、ガイドワイヤーは、挿入カテーテルを用いて挿入され、そして通常蛍光顕微鏡技術を用いることによって、標的血管に導かれる。次いで、このカテーテルは、ガイドワイヤー上を滑り、その結果、その遠位端は、標的血管の内腔に配置される。カテーテルの挿入は、その放射線不透性の性質によって容易にされる。
【0048】
温度変化によって活性化され得る形状記憶材料を用いる方法において、係留ワイヤーおよび伸張ワイヤは、代表的に、その遠位端が、正確に標的血管内腔の内側に配置されるまで、体温より下の温度で維持される必要がある。この温度制御を達成するための技術は、当業者に周知である。例えば、冷却された生理食塩水が、カテーテル内腔の内側のワイヤの温度を、活性化温度より下に維持するために1つ以上のカテーテル内腔を貫流し得る。
【0049】
図1および図2を参照して記載されるデバイスは、図3A〜図3Eに例示されるように設置され、そして操作され得る。これらの図において、血流は、左(近位)から右(遠位)でなければならない。図3Aは、カテーテル12の遠位端18が、伸張ワイヤの展開のために所望される部位にあるように、標的血管30内の挿入位置にあるカテーテル12を示す。伸張ワイヤ14aが展開される場合、その遠位端部22aは、体温に温まり、そしてスパイラルに変化し、型を拡大し、そして図3Bに示されるように、血管30の内部表面31に周辺的に係合する。この係合により、伸張ワイヤ14aが血管30に固定され得、そしてその遠位係留点を確立する。
【0050】
次に、近位の係留点が確立される。図3Cに示されるように、カテーテルは、カテーテル12の遠位端18が、係留ワイヤーの展開のための所望の部分にあるように、近位(左に)に最初に移動される。係留ワイヤー14bが、展開される場合、その遠位端部22bは、体温に温まり、そしてスパイラルに変化し、型を拡大し、図3Dに示されるように血管30の内部表面32に周辺的に係合する。この係合により、係留ワイヤー14bが血管30に固定され得、そしてその近位の係留点を確立する。表面31および32でのこれらの遠位および近位の係留点は、それぞれ、引き伸ばされるべき血管セグメントを確立する。
【0051】
次いで、伸張力は、ワイヤ14aおよび14bの1つまたは両方に適用される。これらの伸張力の生成および制御は、上記のように提供され得る。伸張は、連続的、周期的、または間欠的、あるいはこれらの組合せであり得る。図3Eは、伸張ワイヤ14aが、押され、そして血管30を、点31と32との間で伸張、そして成長させることを例示する。図3Eに示される伸張は、線状(または直線)であるが、伸張はまた、曲線様式または直線および曲線の伸張の組み合わせで生じ得る。
【0052】
図1および図3に参照して記載されるデバイスは、図5A〜図5Eに例示されるように設置され、そして操作され得る。これらの図において、血流は、左(近位)から右(遠位)である。図5Aは、カテーテル12の遠位端18が、伸張ワイヤの展開について所望の部位にあるように、標的血管30内の挿入部位にあるカテーテル12を示す。伸張ワイヤ40が、部分的に展開される場合、遠位端部42の先端部分は、体温に温まり、そしてスパイラルに変化し、型を拡大し、図5Bに示されるように、血管30の内部表面31に周辺的に係合するスパイラル46を形成する。この係合により、引き延ばしワイヤ14aが血管30に固定され得、そしてその遠位係留点を確立する。
【0053】
伸張ワイヤ40が連続的に展開され続ける場合、遠位端部42の中間部分は、図5Cに示されるように、圧縮バネ44として作動可能な螺旋型に変換する。この圧縮バネ44は、スパイラル46よりも小さい外径を有し、その結果、この圧縮バネ44は、摩擦的に係合せず、血管壁に固定されるようになる。
【0054】
圧縮バネ44が、完全に形成された後、近位の係留点が、確立される。図5Dに示されるように、このカテーテルは、カテーテル12の遠位端18が、係留ワイヤーの展開について所望の部位にあるように、近位(左に)に最初に移動する。係留ワイヤー50が展開される場合、その遠位端部52は、体温に温まり、そしてスパイラルに変化し、型を拡大し、そして図3Dに示されるように、血管30の内部表面32に周辺的に係合する。この係合により、係留ワイヤー50が血管30に固定され得、そしてその近位の係留点を確立する。
【0055】
表面31および32で、これらの遠位および近位の係留点は、それぞれ固定されるべき血管セグメントを確立する。次いで、伸張力が、バネ44における圧縮の開放によって適用され、図5Eに示されるように、血管30を引き伸ばす。これは、伸張が生じる間に、単にカテーテルを適所に残すためのこの実施形態において便利であり得る。
【0056】
(B.ステントおよびバネの組合わせを利用する設計)
別の実施形態において、脈管内伸張手段は、一対のステントを含み、ここで、このステントは、上記されるワイヤらせんではなく、係留要素として機能する。種々のステント設計が、市販であるか、またはそうでなければ血管の直径を維持する使用について公知であるが、本方法のステントおよびデバイスは、脈管の長さを増加させる軸力を与えるために設計および使用される。
【0057】
(デバイスおよびその部品)
このような設計の1つの例を、図6A〜Bに図示する。図6Aおよび図6Bは、脈管内デバイス60を示し、これは、近位ステント62、遠位ステント64、ならびに遠位ステントと近位ステントとの間に固定される圧縮バネ66から構成される。近位ステント62の一端は、圧縮バネ66の近位端68aと接続されるか、または一体化され、そして遠位ステント64の一端は、圧縮バネ66の遠位端68bと接続されるか、または一体化される。図6Aは、その圧縮された構成におけるバネ66とともにデバイス60を示し、そして図6Bは、その展開されるか、または伸張された構成におけるバネ66とともにデバイス60を示す。
【0058】
本質的に、血管移植のために適切な任意のステントは、本発明の脈管内デバイスにおける使用について適応され得る。好ましいステントは、自己展開であるが、他の手段(例えば、バルーン拡張)によって展開可能でもあり得る。ステントは、種々の型のステントであり得、コイル構造、網状構造、および多孔性構造が挙げられるが、これらに限定されない。展開可能なステントの1つの例は、Steinkeらに対する米国特許第6,033,436号に記載される。図7は、近位または遠位ステント70の1つの実施形態を示し、これは、圧縮バネ72(部分的にのみ示される)と一体化される。この係留ステント70は、血管壁をポジティブに係合する構造的特徴である(示さず)。他の多数の設計が、当該分野において公知であるか、またはそこから慣用的に適応され得る。いくつかの構成は、Ehrらに対する米国特許第6,193,744号に記載されている。これらの特許は、本明細書によって参考として援用される。
【0059】
好ましくは、各ステントは、約5mmと20mmとの間の長さ、より好ましくは、10mmの長さである。望ましいステントの直径は、特定のドナー血管に対して選択され、そのサイズは、変動し得る。
【0060】
圧縮バネは、ステントとともに一体化して形成され得るか、または圧縮バネは、各部品の製造に続いてステントに溶接もしくはそれ以外で装着され得る。好ましくは、全体のデバイスは、1つのピース(piece)、すなわち単一の連続したアセンブリとして製造される。
【0061】
デバイスは、当該分野において公知であるような生体適合性材料で形成され、そして/またはコーティングされるべきである。好ましくは、圧縮バネは、本明細書中に記載されるような形状記憶材料(例えば、ニッケル−チタン合金および形状記憶ポリマー)から作製されるか、または形状記憶材料を含む。圧縮バネは、代替的に、非形状記憶材料(例えば、チタン、ステンレス鋼、または生体適合性ポリマー)から作製され得る。ステントは、好ましくはまた、形状記憶材料から製造されるが、本明細書中に記載されるような非形状記憶材料から作製され得る。
【0062】
(使用方法)
脈管内デバイスは、標的(すなわち、ドナー)血管中に挿入される。次いで、このステントは、自己展開される(例えば、これらが、形状記憶材料を含む場合)か、または当該分野において公知の技術を使用もしくは適応させて、インストールデバイス(例えば、バルーン)の使用とともに展開される。この展開プロセスは、各ステントを摩擦により係合し、従って血管の内部表面の周囲部分に係留させる。このステントは、それらの間のバネが、圧縮されるような位置に係留される。従って、このバネは、係留点の間の血管の切片を伸張させる軸方向の展開力を及ぼす。従って、この圧縮バネの展開は、その血管切片の長さの延長を生じる。
【0063】
図8A〜Bは、圧縮配置(図8A)における圧縮バネ82を備えるステント84およびステント86を含むステント型伸張デバイス80、ならびに展開配置または伸張配置(図8B)における圧縮バネ82を備えるステント84およびステント86を含むステント型伸張デバイス80の1つの実施形態を図示する。図8Bは、どのように血管が、最初の長さLの2倍まで曲線的な(curvilinear)様式で伸張され得るかを図示する。ステント型デバイスはまた、直線状(すなわち直線的な)様式、または曲線的動作および直線的動作の組合わせで伸長するように展開し得る。
【0064】
(C.他の設計特徴)
本明細書中に記載される方法およびデバイスは、必要に応じて、成長因子または他の成長刺激剤(例えば、ホルモン)を含み、さらに血管成長を増強させ得る。例えば、このような成長刺激剤は、ワイヤ、ステントまたは他のデバイス部品を形成する材料に浸透させることによって、血管に送達され得る。あるいはまたはさらに、このデバイス部品は、適切なコーティングまたはレザバとともに提供され得、これらは、このような薬剤を含有し得、そして展開プロセスの間、制御可能に放出し得る。成長因子の例としては、血管内皮成長因子(VEGF)、内皮細胞成長因子(ECGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、および血小板由来成長因子(PDGF)が挙げられる。薬物送達に関する分野において公知である制御された放出についての生体適合性ポリマー材料(例えば、Rothらに対する米国特許第5,879,713号を参照のこと)は、本明細書中に記載されるデバイスを用いる使用について適応され得る。デバイスおよび方法はまた、成長刺激として適用される外部の電場、磁場または電磁場と組合わせて使用され得る。例えば、Millerに対する米国特許第4,846,181号を参照のこと。
【0065】
デバイスはまた、必要に応じて、例えば、感染、血栓症、炎症性反応、瘢痕組織形成、癒着(adhesion)形成、および/または他の有害組織反応を最小化するために、構造的部品に浸透されるか、またはコーティングされる適切な薬物(例えば、治療剤または予防剤)を含み得る。例えば、組織成長が、回避されるべきである場合、特定の抗線維症剤(例えば、5−フルオロウラシルまたはマイトマイシン)が、存在し得る。このデバイスは、より一般的には、抗生物または抗炎症性であるコーティングとともに提供され得る。
【0066】
脈管内伸張デバイスはまた、血管内に導入され得るが、癒着(adhesion)形成を制限するように設計され得る。例えば、ワイヤ、ステント、圧縮バネ、または他の部品は、当該分野において公知であるような癒着形成を減少させるために選択される材料を浸透またはコーティングされ得る。このようなコーティング材料の例としては、種々の他の金属基板およびポリマー基板をコーティングするために使用され得る、パリレン、ポリテトラフルオロエチレン(例えば、TEFLONTM)およびクロム(例えば、ME−92TM,Armoloy Corp.)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
(拡張デバイスおよび方法の適用)
本発明のデバイスおよび方法は、血管性移植片を、ドナー血管の軸方向に伸張(すなわち、拡張または伸張)することによって形成して、成長を刺激するために有用である。この伸張は、インビボまたはインビトロで実施され得る。
【0068】
自己由来の移植片が好ましいが、本明細書中に記載されるデバイスおよび方法はまた、別のヒトまたは他の動物(遺伝的に操作されてヒトによって拒絶されない組織を有するトランスジェニック動物を含む)由来の動脈に適用され得る。例えば、トランスジェニックブタ由来の拡張された動脈は、ヒトにおける異種動脈移植片を提供するために使用され得る。
【0069】
デバイスおよび方法は、本質的に任意のサイズの伸張血管(例えば、静脈、動脈)のサイズにされ得、そして患者またはドナーまたは動物の体内の種々の部位に位置付けられ得るか、または切除され得る。好ましい血管としては、内胸動脈、胃大網動脈、胃動脈、橈骨動脈、大腿動脈、および脾動脈が挙げられるが、これらに限定されない。他の動脈および静脈はまた、この方法およびデバイスとともに使用するために適切な血管であり得る。
【0070】
インビボでの拡張方法の好ましい実施形態において、伸張機構は、例えば、カテーテル、およびある期間達成される血管拡張を用いて、ドナーの血管中に挿入される。次いで、伸張機構は、引き出され、そしてドナーの血管切片の一部は、外科的に摘出される。次いで、ドナーの管の端は、一般に、合併症なしに血管修復においてなされるように、端から端へ縫合されて、ドナーの管を修復し得る。冠状バイパス手術について使用されるいくつかの血管(例えば、胃大網動脈および橈骨動脈)は、修復が不必要であるように最小限の病的状態で摘出され得る。次いで、摘出された血管切片は、それを必要とする患者(好ましくは、ドナーの管を供給する同一の患者である)における移植片としての使用のために備えられる。
【0071】
冠状バイパス手術のための移植片は、代表的には、約10cmと15cmとの間の長さであるのに対して、末梢循環におけるバイパスのための移植片は、代表的には、約25cm以上の長さである。当業者は、管拡張の速度を容易に最適化し得る。拡張速度は、線形または非線型であり得、そして例えば、平均して約5mm/日と10mm/日との間であり得る。
【0072】
このデバイスはまた、インビトロでの拡張のために使用され得る。現在、血管の短いセグメントは、慣用的なバイパス手術の間サルベージされ得、そしてインビトロでの器官培養物またはバイオリアクター系は、第2の手術のために十分な移植組織を成長させるために使用され得る。このような手術は、全てのバイパス手術の約30%に相当する。本明細書中に記載される方法およびデバイスは、このような手術とともに作業するために適応されて、移植材料の長さを増加させ得、および/またはサルベージされたセグメントの必要とされる長さを減少させ得る。伸張した血管は、例えば、公知の凍結技術または凍結乾燥技術を用いて、バイパス手術のために効率的に保存され得る。
【0073】
この方法において、ドナーの血管の一部(例えば、移植に必要とされるよりもより短い)は、移植の必要な患者から外科的に切除され、次いでこの血管部分は、バイオリアクター中のような細胞増殖のための培地中でインビトロでのある期間にわたって伸張される。本明細書中において使用される場合、語句「細胞増殖のための培地」とは、細胞分裂、細胞外マトリクス形成、および管組織の成長を容易にする任意のインビトロ系を含む。例えば、本明細書中に記載される方法に適応され得る、器官および組織の培養物に対する技術を記載する、Goldsteinに対する米国特許第5,899,936号;Wigginsらに対する米国特許第5,879,875号;およびMitraniに対する米国特許第5,888,720号を参照のこと。次いで、拡張された管の全てまたは一部は、患者における移植片としての使用のために備えられる。ドナーが、この移植片のレシピエントである場合、いずれのアプローチを有利に使用しても結果は、完全に自己由来の生体血管移植である。
【0074】
本発明の変更および改変は、前述の記載から当業者に明らかである。このような変更および改変は、前述の特許請求の範囲の範囲内にあると解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、脈管内デバイスの1つの実施形態の一部の斜視図であり、このデバイスは、多管腔カテーテル、係留ワイヤー、および伸張ワイヤを備える。
【図2】図2は、直線配置(図2A)およびらせん配置(図2B)にある、形状記憶材料を含む遠位端部分を備えるワイヤーの斜視図である。
【図3】図3A〜Eは、血管の部分的な断面図である。ここでは、固着された伸張ワイヤを、固着ワイヤから離して押すために外力を使用して、脈管内デバイスの1つの実施形態が、血管を伸張するために、展開され、そして作動される。
【図4】図4は、直線配置(図4A)ならびにらせん端部および圧縮バネを備える複合配置(図4B)にある、形状記憶材料を含む遠位端部分を備えるワイヤの斜視図である。
【図5】図5A〜Eは、血管の部分的な断面図である。血管の中では、固着された伸張ワイヤを、係留ワイヤーから離して押すための一体的な圧縮バネを使用して、脈管内デバイスの第2の実施形態が、血管を伸張するために、展開され、そして作動される。
【図6】図6は、脈管内伸張デバイスの1つの実施形態の側面図である。このデバイスは、2つのステント、および形状記憶材料を含む一体的な圧縮バネを備える。圧縮された配置(図6A)および伸長した配置(図6B)が示される。
【図7】図7は、ステントおよびその一体的な圧縮バネの側面図であり、これらは、脈管内伸張デバイスの1つの実施形態の一部を形作る。
【図8】図8は、脈管内伸張デバイスの1つの実施形態の側面図または平面図である。このデバイスは、2つのステントおよび一体的な圧縮バネを備え、圧縮された配置(図8A)および曲線的に伸びた配置(図8B)で示される。
【0001】
(発明の背景)
本発明は、概して、生きている脈管組織から脈管組織移植片を生成するための方法およびデバイスの分野に属し、特に、自己移植片の作製に属する。
【0002】
脈管移植片は、アテローム性動脈硬化症のプラークの存在により引き起こされる血流の閉塞をバイパスするために広く外科医に使用される。脈管移植片はまた、透析患者における動脈−静脈シャントの提供、脈管の修復または脈管の置換、および動脈瘤の処置のような、他の用途にも使用される。バイパスのための移植片は、しばしば、心臓に血液を供給する動脈である冠状動脈において使用されるが、これに限定されない。
【0003】
脈管移植片を構築するために使用される材料は、通常、合成物かまたは生物学的供給源に由来するかのいずれかであるが、合成材料および生物学的材料の組合せが、開発中である。最も広範に使用される生物学的脈管移植片は、自己伏在静脈または乳腺動脈である。いくつかの一般的な人工移植片は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(例えば、GORTEXTM)またはポリエステル(例えば、DACRONTM)から作製されている。概して、自己移植片は、合成の移植片より首尾よく使用されてきた。自己移植片は、合成移植片より長く開いたまま(機能的)であり、伏在静脈は、しばしば5年未満で不能となる。合成移植片の短い寿命は、特に、狭い直径を有するもの(直径7mm未満)に明白であり、最も直径の狭い合成移植片では、1〜2年またはそれ未満で閉塞する。
【0004】
直径の狭い脈管移植片は、特に、冠状動脈バイパス手術において使用される。内胸動脈(IMA)は、代表的に、静脈の移植片より長い寿命を有する(5年目で95%開いている、対、2年目で85%開いている)ので、適切な自己移植片である。しかし、乳腺動脈組織は、採取が困難であり、代表的に多数のバイパスのために十分な長さを利用できず、そして、その切除は、解決の難しい創傷治癒のような、問題を生じ得る。さらに、閉塞した動脈の修復のために十分な静脈組織を得ることは、静脈瘤のような静脈状態を有する患者において、特に同一の患者での第2または第3の手術においては、解決が難しくあり得る。文献はまた、バイパスに使用されるIMAが、移植のすぐ後に失敗するか、または不確定に開いたままであることを示唆している。例えば、Bergsmaら、Circulation 97(24):2402−05(1998);Cooley,Circulation 97(24):2384−85(1998)を参照のこと。
【0005】
他の動脈(例えば、胃大網、胃、橈骨および脾臓の)はまた、冠状動脈バイパス手順に使用される。いくつかの場合において、凍結または他のプロセスによって保存された自己のまたは同種の伏在静脈が、使用される。最近のAmerican Heart Association/American College of Cardiologyの合意文書は、総動脈血管再生に移行することを強く推奨する(Eagleら、「ACC/AHA Guidelines for coronary artery bypass graft surgery:A report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines」,Committee to Revise the 1991 Guidelines for Coronary Artery Bypass Graft Surgery,American College of Cardiology/American Heart Association,J.Am.Coll.Cardiol.,34(4):1262−347(1999))。
【0006】
より長持ちする直径の狭い脈管移植片の開発は、非常に学術的および産業的に重要な研究の主題である。現在のアプローチの1つは、生きた「組織工学」移植片を作製するための培養細胞と生体材料技術との併用である。しかし、この努力は、首尾良い移植片の要件に関して妨げられている。移植片は、自己修復、非免疫原性、非毒性および非トロンボゲン形成であるべきであり;修復される動脈と類似のコンプライアンスを有するべきであり;外科医によって容易に縫合されるべきであり;いかなる特別の技術も、操作手順も必要とするべきではない。これらの特性を有する移植片を、獲得することは困難である。今日までの相当な努力、および大きな金銭的見返りにも関わらず、学術界および産業界の研究者は、ヒトでの試験において効力が実証されている移植片材料を生成するのに失敗してきた。
【0007】
修復のための脈管移植片のために他の健康な脈管組織を必要とすることを回避または最小化するための努力が、記載されている。例えば、Ruiz−Razuraら、J.Reconstructive Microsurgery,10(6):367−73(1994)およびStarkら、Plastic&Reconstructive Surgery,80(4):570−78(1987)は、急速な動脈の伸長のための、活発な(round)微小血管組織エキスパンダーの使用を開示し、このような急速な過伸張の組織への効果について試験した。このエキスパンダーは、シリコンバルーンであり、これは、伸長されるべき血管の下に配置される。このバルーンに、非常に短時間で生理食塩水を満たし、血管の急速な伸張および伸長を引き起こす。この方法は、静脈移植片を必要とせずに、30mmまでの動脈欠損の閉鎖のために効果的であると言われている。これらの技術は、外傷に対して適切であるが、例えば疾患によって閉塞されている血管において血流を回復するためにためには使用されず、この疾患では障害物を移植片を用いて外科的にバイパスすることによって処置される。これらの開示された方法およびデバイスは、自己移植片または汎用性のある代替品を提供しない。さらに、急速な伸張は、血管を損傷し得る。
【0008】
しかし、軸方向の伸張は、インタクトな血管において平滑筋細胞増殖を増大し得、これによって実質的に血管増殖を促進することが実証された。Conklinの「Viability of Porcine Common Carotid Arteries in a Novel Organ Culture System」MS Thesis,Georgia Institute of Technology,1997;Hanら、「Axial Stretch Increases Cell Proliferation in Arteries in Organ Culture」,Advances in Bioengineering,ASME,BED 48:63−64(2000)を参照のこと。
【0009】
Georgia Tech Research CorporationのPCT WO 99/60952およびVitoの米国特許第6,322,553は、軸方向への膨張を用い機械的に血管を刺激することにより軸方向への増殖を生じるデバイスおよび方法を記載する。これらのデバイスは、血管の外面に固着し、そして従ってインビボでのその使用は、必然的に侵襲性であり、少なくとも内視鏡手術を必要とする。このデバイスのサイズはまた、移植に適切な部位を制限し得る。より侵襲性が少なく、かつインビボでより容易に組み込まれそして使用されるデバイスおよび方法の開発が、有利である。また、自己移植片として使用するための増殖した血管の除去に先立ち、手術の必要性をなくし得ることは患者にとって大いに有益である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、インビボにおいて血管を伸張および増殖させるための最小侵襲性のまたは非侵襲性のデバイスおよび方法を提供することは、本発明の目的である。
【0011】
移植のために適切な、天然の血管を作製する簡潔なデバイスおよび方法を提供することは、本発明の別の目的である。
【0012】
より軽微な手術を伴う自己血管移植片を作製するためのデバイスおよび方法を提供することは、本発明のさらなる目的である。
【0013】
本発明のこれらおよび他の目的、特徴および利点は、図面および添付の特許請求の範囲と合わせることにより、以下の本発明の詳細な記述の概説により明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の要旨)
血管成長を刺激するために血管を軸方向に拡張することよって、血管移植片を形成するための脈管内デバイスおよび方法が、提供される。これらのデバイスは、カテーテルを介して有利に移植され得、これによって、伸張がインビボでなされる場合に、より浸潤性のある移植手順の必要性を排除する。血管ドナーが、移植片のレシピエントである場合、完全に自系の生存する血管移植片が提供される。
【0015】
血管の成長を誘導するために血管を軸方向に拡張するデバイスは、血管の内部管腔部分に直接装着可能な脈管内伸張装置、および血管を軸方向に拡張させるような、伸張機構を操作するための手段を備える。好ましい実施形態において、脈管内伸張機構は、係留ワイヤおよび伸張ワイヤから構成され、ここで、これらのワイヤの遠位末端部分は、互いに軸方向に遠端な位置で、内部管腔部分に別々に係留可能である。このデバイスはさらに、少なくとも2つの管腔を有するカテーテルを備え得、この管腔は、血管の内部管腔部分に伸張ワイヤおよび係留ワイヤを送達するのに適している。このカテーテルおよびワイヤは、キットまたは組立デバイスとして提供され得る。
【0016】
係留ワイヤの遠位末端部分、伸張ワイヤの遠位末端部分、またはその両方は、形状記憶材を含み得るか、この形状を形成し得る。好ましくは、形状記憶材は、ニッケル−チタンまたは形状記憶ポリマーを含む。このような実施形態の操作において、この形状記憶材は、有効な温度変化(例えば、生きた哺乳動物の体へのこの材料の挿入後に直面された温度増加)に応答して、形状を変化する。この形状の変化は、例えば、実質的に直鎖状の形態から、血管の内部管腔部分の第1の位置に摩擦係合するらせん状構造に、伸張ワイヤの遠位末端部分を変化させ得、次いで、係留ワイヤの遠位末端部分を、実質的に直鎖状の形態から、血管の内部管腔部分の第2の位置に係合するらせん状構造に変化させ得る。次いで、伸張力がこのワイヤに適用され得、互いから離れて遠位部分を押したり/引いたりし得る。
【0017】
1つのバリエーションにおいて、この伸張ワイヤはさらに、(例えば、形状記憶材の使用により)形状を、実質的に直鎖状の形態から、圧縮バネとして機能し、伸張力を与えるらせん状構造に変化させる媒介部分を含む。
【0018】
伸張機構を操作する手段としては、機械的駆動、電気機械的駆動、または水圧的駆動である原動機が挙げられ得る。この操作手段は、軸伸張力を、継続的な様式、断続的な様式または周期的な様式で血管に適用させ得、そして、直線的、曲線的、またはそれらの組合せで適用させ得る。このデバイスはまた、伸張機構を操作する手段を制御するための制御装置を備え得る。
【0019】
別の好ましい実施形態において、脈管内伸張機構は、第1のステント、第2のステント、ならびに、この第1のステントおよび第2のステントに作動可能に連結された圧縮バネを備え、ここで、この第1のステントおよび第2のステントは、互いに軸方向に遠隔な位置で、内部管腔部分に別々に係留可能である。この実施形態において、第1のステント、第2のステント、圧縮バネ、またはそれらの組合せは、形状記憶材(例えば、ニッケル−チタン合金または形状記憶ポリマー)を含み得る。
【0020】
これらの実施形態のいずれかにおいて、脈管内伸張機構、またはその部分は、成長刺激因子(血管の成長を増強するのに有効な量で放出され得る)のような治療因子または予防因子を含み得る。別の例は、伸張プロセス中の血餅の危険を最小にするような抗血栓因子(anti−throbotic agent)である。治療因子または予防因子は、デバイス成分中にしみこませられ得るか、もしくはこの成分上にコーディングされ得、そして/またはデバイスをその脈管内部分に送達するカテーテル中に添加され、そして、管腔を通って放出され得る。
【0021】
血管成長を誘導するために、ヒトまたは動物の血管を拡張するための方法が、提供される。この工程は以下を包含する:(i)血管の内部管腔部分に、本明細書中に記載されるデバイスの伸張機構を挿入する工程;(ii)互いに軸方向に遠隔である少なくとも2つの位置で、伸張機構を内部管腔部分に係合する工程;(iii)血管の軸方向の成長を誘導するのに有効な期間にわたり、この少なくとも2つの位置の間で血管を軸方向に伸張するように、伸張機構を操作する工程。この操作工程は、能動的(例えば、この装置またはこの成分に外力を供与する)または受動的(例えば、バネのような弾性力を単に放出する)であり得る。伸張は、細胞成長のための媒体中で、インビボまたはインビトロで実施され得る。
【0022】
血管移植片が必要なヒト患者のために血管移植片を形成する方法がまた、提供される。本方法は、本明細書中に記載の脈管内伸張デバイスおよび方法の1つを使用することで、ドナー血管を拡張する工程、次いで、拡張されたドナー血管の一部を切除する工程、これによってこの部分に血管移植片を提供する工程を包含する。種々の血管型が、本明細書中に記載されるように伸張され得る一方、血管は好ましくは、血管移植片を形成するために血管を伸張した場合、内部哺乳動物動脈、大腿動脈、胃大網動脈、胃動脈、橈骨動脈、および脾動脈から選択される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(発明の詳細な説明)
移動方法(media)を特徴付け、動脈壁の主要な耐力層(load bearing layer)である平滑筋細胞は、機械的な刺激に応答してその細胞外基質の産生を、増殖および増大させることが、知られている。この知見は、冠状動脈バイパスのための適切な直径の自己移植片、または脈管形成を刺激するための脈管内拡張デバイスを使用する他の脈管移植片アプリケーションを作り出すために有利に適用され得ることが、見出された。
【0024】
この拡張デバイスは、ドナーの血管を、血管の種々の地点において固定し、次いで、伸長部分を形成するためにこれらの地点の間で血管を膨らませるかまたは伸張させる。次いで、伸張される部分は、脈管移植片として使用するために切除され得る。本明細書中に記載されるデバイスおよび方法は、同種異系血管移植片および異種血管移植片、ならびにより好ましい自己血管移植片を作製するために使用され得る。
【0025】
(手術のためのデバイスおよび方法)
このデバイスは、ドナーの血管にその内部で取り付けられ得る伸張機構、および血管を膨らませる(すなわち、伸ばす)ように伸張機構を操作するための手段、および操作手段を制御するための任意の制御装置を包含する。少なくとも2つの固着地点が、血管を伸張させるために必要とされる。脈管内膨張デバイスおよび脈管内膨張方法の好ましい実施形態において、血管を伸張するための軸方向の力は、伸張される血管の内面に固定される(すなわち固着される)2つ以上のエレメントの少なくとも1つ、またはその一部に適用される。これらのエレメントは、脈管内伸張機構を構成し、そして好ましくは、導入および使用のためのカテーテルによって血管内に送達され得る。
【0026】
この固定は、他の可能な固定手段(例えば、付着または縫合)を用いるのではなく、好ましくは、摩擦係合による。この係合(engagement)は、以下に記載される形態変化材料を用いるか、または非形態変化材料を用いて、実施され得る。これらの材料は、例えば、伸張機構の少なくとも一部において血管の内側管腔部分を膨張させそしてかみ合わせを起こすためにバルーンの膨張を必要とし得る。固定されたエレメントが互いから離されるにつれて、エレメントの間の血管セグメントは、軸方向の伸張力を受ける。
【0027】
第1の好ましい実施形態において、脈管内伸張機構は、末端部分が、血管内に固着され得るワイヤの対と、ワイヤを互いに離して移動させ、血管を伸張する手段とを包含する。この血管は、直線的に、曲線的に、またはそれらの組み合わせによって、移動され得る(すなわち、伸張される)。この移動は、種々の技術のうちのいずれか(例えば、機械的、電気機械的、または水力の手段による)によって、実施され得る。
【0028】
第2の好ましい実施形態において、脈管内伸張機構は、圧縮バネによってつながれたステントの対を含み、圧縮バネは、ステントを互いに離して移動させ、そして血管を伸張させるための手段として動作する。本明細書中で使用する場合、用語「ステント」は、弾力があり、拡張可能であり、血管壁を係合可能であり、軸方向の力に耐え得るほぼ円筒型の係留をいい;ステントは、主に半径方向力に耐えるために役立つ従来のステントに構造的に似ていても、似ていなくてもよい。
【0029】
これらの異なる2つの設計の構成要素は、例えば、伸張プロセスを実施するためにステントおよびワイヤの組み合わせを使用して、結合され得ることが可能である。これらの固着エレメントは、今日知られているかまたは今後開発される他の適切な構造の形態をとり得ることがまた、想像される。なぜなら、固着エレメントの選択は、一般に、設計的事項とみなされ得るからである。
【0030】
(A.係留ワイヤーを利用する設計)
いくつかの実施形態において、デバイスは、引き伸ばされるべき血管内に固定された2つのワイヤを用いる。これらの例は、図1〜5に示され、以下に記載される。
【0031】
(デバイスおよびその構成要素)
図1に示されるように、キット10は、多内腔カテーテル12および少なくとも2つのワイヤ:伸張ワイヤ14aおよび係留ワイヤー14bを含む。このカテーテル12は、近位端16および反対の遠位端18、ならびに4つの内腔17a、17b、17c、および17dを有する。
【0032】
このカテーテルおよびワイヤは、キットまたは組立てデバイスとして提供され得る。このカテーテルは、標準的な市販のカテーテルであり得る。このカテーテルは、好ましくは、少なくとも2つの内腔、それぞれについて2つのワイヤを有する。更なる内腔が、冷却された生理食塩水または他の目的のために含まれ得る。カテーテルに適切な直径および長さの選択は、当然、伸張について選択される特定の血管、ならびに使用されるべき係留ワイヤーおよび伸張ワイヤの直径および数に依存する。
【0033】
伸張ワイヤ14aは、近位端部20aおよび遠位端部22aを有し、そして係留ワイヤー14bは、近位端部20bおよび遠位端部22bを有する。伸張ワイヤおよび係留ワイヤーの両方は、引き伸ばされるべき血管の内側表面に固定され得なければならない。図2Aおよび2Bは、係留ワイヤー、伸張ワイヤ、またはその両方として役立ち得るワイヤ14を例示する。ワイヤ14は、近位端部20および遠位端部22を有する。遠位端部22は、直線型(図2A)から、血管の内側表面に摩擦的に係合する第2の型に変化し得るべきである。好ましい実施形態において、第2の型は、図2Bに示されるようにスパイラルである。本明細書中で使用される場合、用語「スパイラル」は、任意の螺旋型、渦巻型、コイル型、円筒型、またはカール型を含む。
【0034】
伸張ワイヤ14aは、押す(引き伸ばす)力に供される際、バッキングに耐性であるように、適切なゲージおよび材料の構成であるべきである。このゲージと構成は、管の伸張の間に押すよりもむしろ引く力を受ける係留ワイヤー14bのゲージおよび構成とは異なり得る。
【0035】
他の実施形態において、伸張ワイヤおよび/または係留ワイヤーは、他のより複雑な型に展開する。例えば、伸張ワイヤは、図4A〜図4Bに示されるように、(例えば、体温に温められる際)圧縮バネを有する係留スパイラルに展開し得る。図4Aは、例えば、温度より低い体温の場合の近位端41および遠位端42を有する、直線型の伸張ワイヤ40を示す。図4Bは、遠位端部42が、圧縮ばね部44およびスパイラル係留部46に変換された伸張ワイヤ40を示す。
【0036】
このワイヤは、示される形状の変換を達成するための適切な物質および方法を用いて製造され得る。例えば、このワイヤは、ワイヤの周りにぴったりとフィットする取り外し可能スリーブを有する直線の外形に維持され得る。このようなスリーブは、挿入後にワイヤから滑らせて簡単に除かれ得る。このスリーブは、カテーテル内腔内にフィットする別個の要素であり得るか、またはこのカテーテル自体が、スリーブ機能を果たす。このワイヤの形状変化は、ワイヤの構成材料に固有のバネ作用に起因し得、その結果、スリーブが取り外されると、ワイヤは、カール型に変化する。このような変換は、大半の金属およびポリマー材料において通常示される弾性回復力、すなわち、これらの材料から形成される湾曲したワイヤを真っ直ぐにする、当業者により作られ得る力に起因して生じ得る。
【0037】
好ましい実施形態において、この形態変化機能は、適切な形状記憶材料を含むワイヤ、または少なくともその遠位端部を有することによって達成される。形状記憶材料は、代表的に2つの異なる形状を有し、そしてこれらの形状間での遷移が、種々の刺激に応答して生じ得る。好ましい遷移刺激は、温度の変化である。例えば、ワイヤ14の遠位端22は、室温(例えば、約20℃)で直線になり(図2A)、そしてヒト体温(例えば、約37℃、またはそれよりも上)に温められる場合、スパイラル形状を形成し得る(図2B)ように設計され得る。他の遷移温度が、利用され得る。
【0038】
超弾性効果および形状記憶効果を示すニッケル−チタン合金(例えば、Ninitol)は、特に適切である。他の形状記憶合金および形状記憶ポリマー材料もまた、使用され得る。例えば、このような形状記憶材料は、インビボでの挿入後にワイヤが体温に温められた場合、直線からスパイラルに形状を変化するように製造され得る。形状記憶ポリマーおよび他の形状記憶材料の例は、例えば、MITに対するPCT WO99/42528;Langerらに対する米国特許第6,160,084号;およびShape Memory Materials,(Otsuka&Wayman編),Cambridge University Press(October 1999)(これらは、本明細書中で参考として援用される)に記載される。このような材料でワイヤを形成またはコーティングする方法が、当業者に公知である。
【0039】
好ましい実施形態において、このデバイスは、Langerらに対する米国特許第6,160,084号に記載されるような生分解性形状記憶ポリマーから形成される。特定のポリマーは、伸張手順の完了後に、分解されるように作製され得る。このような材料から形成されるデバイスは、好ましくは、脈管切除または脈管移植の前に取り出す必要はない。
【0040】
圧縮バネの形状記憶材料の「記憶」は、軸の回復に限定されないことに注意することが重要である。形状記憶材料は、その伸長および回復の間複雑な湾曲(例えば、S型)の形態をとり得、これによって、軸血管増殖のための蛇行経路を生成し、そして係留要素間の動脈路を増加しつつ、係留要素間での軸性の分化を減少する。例えば、図8を参照のこと。
【0041】
(操作手段および制御器)
ワイヤの線状移動は、広範な種々の力および当該分野において公知の駆動手段によって駆動され得る。この移動はまた、機械的手段、電気機械的手段、圧力式手段、または第2の構造について第1の構造を制御可能に押す/引くための公知の他の手段を用いて実施され得る。これらのいくつかは、記載されるか、または本明細書中で参考として援用される、Vitoに対する米国特許第6,322,553号に記載のものから適用され得る。
【0042】
このデバイスは、伸張機構を操作する手段を含み、好ましくは、原動機およびこの原動機のための電気的駆動機を含む。この原動機は、係留ワイヤーの遠位端から離れた伸張ワイヤの遠位端を押すおよび/または引くための伸張機構を操作するリニアモーターのような、電気機械的(活性)デバイスであり得る。この操作手段は、好ましくは、少なくとも伸張ワイヤの近位端に作動可能に連結される。
【0043】
回転モーターはまた、当該分野において公知の技術を用いて、必要な直線運動を生むために使用され得る。あるいは、原動機は、圧力で操作し得る。活性デバイスは、一般に長期間の入力を必要とする。原動機はまた、受動デバイス(例えば、バネ、またはバネおよびダンパーの組合せ)であり得、ここで蓄えられた機械的エネルギーは、互いに離れたワイヤの係留部分を押すおよび/または引くために使用される。
【0044】
線状または回転圧マイクロモーターデバイス(アクチュエーター)は、小さいステップサイズの小さい力を送達し、比較的単純な制御エレクトロニクスおよび固有の力過負荷保護を有する。適切なデバイスは、Micro Pulse Systems,Inc.を含む多数の製造供給源から入手可能である。操作手段のパラメーターとしては、伸張機構によって適用される力、伸張機構の移動の速度および方向、伸張機構が操作される時間の長さ、ならびに適用される引き延ばしの型(例えば、連続的、周期的、または間欠的)が挙げられる。
【0045】
制御器は、操作手段を制御する。この制御器は、伸張プロセスを制御するように活性化およびプログラミングされ得るマイクロプロセッサを含み得る。これは、例えば、X線データまたは如何にプロセスが進められるかを示すほかの指示に基づいて、伸張プロセスを制御するように、必要に応じて、好ましくは再プログラミングされ得る。
【0046】
機械的伸張機構または圧力式伸張機構は、数週間までの期間に渡ってゆっくりと離すようにワイヤを動かすように作用する。1つの実施形態において、受動的駆動要素が、予め決定された引き延ばしを長時間提供するために使用され得る。別の実施形態において、駆動機は、例えば、約1ヶ月に渡って数cmの伸張を提供するように自動操作するようプログラミングされ得る。あるいは、ピークおよび平均振幅を増加させる周期的伸張が、使用され得る。圧アクチュエーターを使用して、駆動機を活性化することは、数ミクロン程度の少なさの機械的伸張機構または圧力式伸張機構の増分移動を生じ得る。原動機は、脈管の過剰伸張を予防するために力を制限するように設計される。力の制限は、圧電アクチュエーターがいずれかの実施形態において使用される際に固有であり、永久磁石モーターの場合、電気的駆動回路中に設計され得る。
【0047】
(使用の方法)
カテーテルは、カテーテル挿入について十分に確立された技術を用いて挿入され得る。手短には、ガイドワイヤーは、挿入カテーテルを用いて挿入され、そして通常蛍光顕微鏡技術を用いることによって、標的血管に導かれる。次いで、このカテーテルは、ガイドワイヤー上を滑り、その結果、その遠位端は、標的血管の内腔に配置される。カテーテルの挿入は、その放射線不透性の性質によって容易にされる。
【0048】
温度変化によって活性化され得る形状記憶材料を用いる方法において、係留ワイヤーおよび伸張ワイヤは、代表的に、その遠位端が、正確に標的血管内腔の内側に配置されるまで、体温より下の温度で維持される必要がある。この温度制御を達成するための技術は、当業者に周知である。例えば、冷却された生理食塩水が、カテーテル内腔の内側のワイヤの温度を、活性化温度より下に維持するために1つ以上のカテーテル内腔を貫流し得る。
【0049】
図1および図2を参照して記載されるデバイスは、図3A〜図3Eに例示されるように設置され、そして操作され得る。これらの図において、血流は、左(近位)から右(遠位)でなければならない。図3Aは、カテーテル12の遠位端18が、伸張ワイヤの展開のために所望される部位にあるように、標的血管30内の挿入位置にあるカテーテル12を示す。伸張ワイヤ14aが展開される場合、その遠位端部22aは、体温に温まり、そしてスパイラルに変化し、型を拡大し、そして図3Bに示されるように、血管30の内部表面31に周辺的に係合する。この係合により、伸張ワイヤ14aが血管30に固定され得、そしてその遠位係留点を確立する。
【0050】
次に、近位の係留点が確立される。図3Cに示されるように、カテーテルは、カテーテル12の遠位端18が、係留ワイヤーの展開のための所望の部分にあるように、近位(左に)に最初に移動される。係留ワイヤー14bが、展開される場合、その遠位端部22bは、体温に温まり、そしてスパイラルに変化し、型を拡大し、図3Dに示されるように血管30の内部表面32に周辺的に係合する。この係合により、係留ワイヤー14bが血管30に固定され得、そしてその近位の係留点を確立する。表面31および32でのこれらの遠位および近位の係留点は、それぞれ、引き伸ばされるべき血管セグメントを確立する。
【0051】
次いで、伸張力は、ワイヤ14aおよび14bの1つまたは両方に適用される。これらの伸張力の生成および制御は、上記のように提供され得る。伸張は、連続的、周期的、または間欠的、あるいはこれらの組合せであり得る。図3Eは、伸張ワイヤ14aが、押され、そして血管30を、点31と32との間で伸張、そして成長させることを例示する。図3Eに示される伸張は、線状(または直線)であるが、伸張はまた、曲線様式または直線および曲線の伸張の組み合わせで生じ得る。
【0052】
図1および図3に参照して記載されるデバイスは、図5A〜図5Eに例示されるように設置され、そして操作され得る。これらの図において、血流は、左(近位)から右(遠位)である。図5Aは、カテーテル12の遠位端18が、伸張ワイヤの展開について所望の部位にあるように、標的血管30内の挿入部位にあるカテーテル12を示す。伸張ワイヤ40が、部分的に展開される場合、遠位端部42の先端部分は、体温に温まり、そしてスパイラルに変化し、型を拡大し、図5Bに示されるように、血管30の内部表面31に周辺的に係合するスパイラル46を形成する。この係合により、引き延ばしワイヤ14aが血管30に固定され得、そしてその遠位係留点を確立する。
【0053】
伸張ワイヤ40が連続的に展開され続ける場合、遠位端部42の中間部分は、図5Cに示されるように、圧縮バネ44として作動可能な螺旋型に変換する。この圧縮バネ44は、スパイラル46よりも小さい外径を有し、その結果、この圧縮バネ44は、摩擦的に係合せず、血管壁に固定されるようになる。
【0054】
圧縮バネ44が、完全に形成された後、近位の係留点が、確立される。図5Dに示されるように、このカテーテルは、カテーテル12の遠位端18が、係留ワイヤーの展開について所望の部位にあるように、近位(左に)に最初に移動する。係留ワイヤー50が展開される場合、その遠位端部52は、体温に温まり、そしてスパイラルに変化し、型を拡大し、そして図3Dに示されるように、血管30の内部表面32に周辺的に係合する。この係合により、係留ワイヤー50が血管30に固定され得、そしてその近位の係留点を確立する。
【0055】
表面31および32で、これらの遠位および近位の係留点は、それぞれ固定されるべき血管セグメントを確立する。次いで、伸張力が、バネ44における圧縮の開放によって適用され、図5Eに示されるように、血管30を引き伸ばす。これは、伸張が生じる間に、単にカテーテルを適所に残すためのこの実施形態において便利であり得る。
【0056】
(B.ステントおよびバネの組合わせを利用する設計)
別の実施形態において、脈管内伸張手段は、一対のステントを含み、ここで、このステントは、上記されるワイヤらせんではなく、係留要素として機能する。種々のステント設計が、市販であるか、またはそうでなければ血管の直径を維持する使用について公知であるが、本方法のステントおよびデバイスは、脈管の長さを増加させる軸力を与えるために設計および使用される。
【0057】
(デバイスおよびその部品)
このような設計の1つの例を、図6A〜Bに図示する。図6Aおよび図6Bは、脈管内デバイス60を示し、これは、近位ステント62、遠位ステント64、ならびに遠位ステントと近位ステントとの間に固定される圧縮バネ66から構成される。近位ステント62の一端は、圧縮バネ66の近位端68aと接続されるか、または一体化され、そして遠位ステント64の一端は、圧縮バネ66の遠位端68bと接続されるか、または一体化される。図6Aは、その圧縮された構成におけるバネ66とともにデバイス60を示し、そして図6Bは、その展開されるか、または伸張された構成におけるバネ66とともにデバイス60を示す。
【0058】
本質的に、血管移植のために適切な任意のステントは、本発明の脈管内デバイスにおける使用について適応され得る。好ましいステントは、自己展開であるが、他の手段(例えば、バルーン拡張)によって展開可能でもあり得る。ステントは、種々の型のステントであり得、コイル構造、網状構造、および多孔性構造が挙げられるが、これらに限定されない。展開可能なステントの1つの例は、Steinkeらに対する米国特許第6,033,436号に記載される。図7は、近位または遠位ステント70の1つの実施形態を示し、これは、圧縮バネ72(部分的にのみ示される)と一体化される。この係留ステント70は、血管壁をポジティブに係合する構造的特徴である(示さず)。他の多数の設計が、当該分野において公知であるか、またはそこから慣用的に適応され得る。いくつかの構成は、Ehrらに対する米国特許第6,193,744号に記載されている。これらの特許は、本明細書によって参考として援用される。
【0059】
好ましくは、各ステントは、約5mmと20mmとの間の長さ、より好ましくは、10mmの長さである。望ましいステントの直径は、特定のドナー血管に対して選択され、そのサイズは、変動し得る。
【0060】
圧縮バネは、ステントとともに一体化して形成され得るか、または圧縮バネは、各部品の製造に続いてステントに溶接もしくはそれ以外で装着され得る。好ましくは、全体のデバイスは、1つのピース(piece)、すなわち単一の連続したアセンブリとして製造される。
【0061】
デバイスは、当該分野において公知であるような生体適合性材料で形成され、そして/またはコーティングされるべきである。好ましくは、圧縮バネは、本明細書中に記載されるような形状記憶材料(例えば、ニッケル−チタン合金および形状記憶ポリマー)から作製されるか、または形状記憶材料を含む。圧縮バネは、代替的に、非形状記憶材料(例えば、チタン、ステンレス鋼、または生体適合性ポリマー)から作製され得る。ステントは、好ましくはまた、形状記憶材料から製造されるが、本明細書中に記載されるような非形状記憶材料から作製され得る。
【0062】
(使用方法)
脈管内デバイスは、標的(すなわち、ドナー)血管中に挿入される。次いで、このステントは、自己展開される(例えば、これらが、形状記憶材料を含む場合)か、または当該分野において公知の技術を使用もしくは適応させて、インストールデバイス(例えば、バルーン)の使用とともに展開される。この展開プロセスは、各ステントを摩擦により係合し、従って血管の内部表面の周囲部分に係留させる。このステントは、それらの間のバネが、圧縮されるような位置に係留される。従って、このバネは、係留点の間の血管の切片を伸張させる軸方向の展開力を及ぼす。従って、この圧縮バネの展開は、その血管切片の長さの延長を生じる。
【0063】
図8A〜Bは、圧縮配置(図8A)における圧縮バネ82を備えるステント84およびステント86を含むステント型伸張デバイス80、ならびに展開配置または伸張配置(図8B)における圧縮バネ82を備えるステント84およびステント86を含むステント型伸張デバイス80の1つの実施形態を図示する。図8Bは、どのように血管が、最初の長さLの2倍まで曲線的な(curvilinear)様式で伸張され得るかを図示する。ステント型デバイスはまた、直線状(すなわち直線的な)様式、または曲線的動作および直線的動作の組合わせで伸長するように展開し得る。
【0064】
(C.他の設計特徴)
本明細書中に記載される方法およびデバイスは、必要に応じて、成長因子または他の成長刺激剤(例えば、ホルモン)を含み、さらに血管成長を増強させ得る。例えば、このような成長刺激剤は、ワイヤ、ステントまたは他のデバイス部品を形成する材料に浸透させることによって、血管に送達され得る。あるいはまたはさらに、このデバイス部品は、適切なコーティングまたはレザバとともに提供され得、これらは、このような薬剤を含有し得、そして展開プロセスの間、制御可能に放出し得る。成長因子の例としては、血管内皮成長因子(VEGF)、内皮細胞成長因子(ECGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、および血小板由来成長因子(PDGF)が挙げられる。薬物送達に関する分野において公知である制御された放出についての生体適合性ポリマー材料(例えば、Rothらに対する米国特許第5,879,713号を参照のこと)は、本明細書中に記載されるデバイスを用いる使用について適応され得る。デバイスおよび方法はまた、成長刺激として適用される外部の電場、磁場または電磁場と組合わせて使用され得る。例えば、Millerに対する米国特許第4,846,181号を参照のこと。
【0065】
デバイスはまた、必要に応じて、例えば、感染、血栓症、炎症性反応、瘢痕組織形成、癒着(adhesion)形成、および/または他の有害組織反応を最小化するために、構造的部品に浸透されるか、またはコーティングされる適切な薬物(例えば、治療剤または予防剤)を含み得る。例えば、組織成長が、回避されるべきである場合、特定の抗線維症剤(例えば、5−フルオロウラシルまたはマイトマイシン)が、存在し得る。このデバイスは、より一般的には、抗生物または抗炎症性であるコーティングとともに提供され得る。
【0066】
脈管内伸張デバイスはまた、血管内に導入され得るが、癒着(adhesion)形成を制限するように設計され得る。例えば、ワイヤ、ステント、圧縮バネ、または他の部品は、当該分野において公知であるような癒着形成を減少させるために選択される材料を浸透またはコーティングされ得る。このようなコーティング材料の例としては、種々の他の金属基板およびポリマー基板をコーティングするために使用され得る、パリレン、ポリテトラフルオロエチレン(例えば、TEFLONTM)およびクロム(例えば、ME−92TM,Armoloy Corp.)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
(拡張デバイスおよび方法の適用)
本発明のデバイスおよび方法は、血管性移植片を、ドナー血管の軸方向に伸張(すなわち、拡張または伸張)することによって形成して、成長を刺激するために有用である。この伸張は、インビボまたはインビトロで実施され得る。
【0068】
自己由来の移植片が好ましいが、本明細書中に記載されるデバイスおよび方法はまた、別のヒトまたは他の動物(遺伝的に操作されてヒトによって拒絶されない組織を有するトランスジェニック動物を含む)由来の動脈に適用され得る。例えば、トランスジェニックブタ由来の拡張された動脈は、ヒトにおける異種動脈移植片を提供するために使用され得る。
【0069】
デバイスおよび方法は、本質的に任意のサイズの伸張血管(例えば、静脈、動脈)のサイズにされ得、そして患者またはドナーまたは動物の体内の種々の部位に位置付けられ得るか、または切除され得る。好ましい血管としては、内胸動脈、胃大網動脈、胃動脈、橈骨動脈、大腿動脈、および脾動脈が挙げられるが、これらに限定されない。他の動脈および静脈はまた、この方法およびデバイスとともに使用するために適切な血管であり得る。
【0070】
インビボでの拡張方法の好ましい実施形態において、伸張機構は、例えば、カテーテル、およびある期間達成される血管拡張を用いて、ドナーの血管中に挿入される。次いで、伸張機構は、引き出され、そしてドナーの血管切片の一部は、外科的に摘出される。次いで、ドナーの管の端は、一般に、合併症なしに血管修復においてなされるように、端から端へ縫合されて、ドナーの管を修復し得る。冠状バイパス手術について使用されるいくつかの血管(例えば、胃大網動脈および橈骨動脈)は、修復が不必要であるように最小限の病的状態で摘出され得る。次いで、摘出された血管切片は、それを必要とする患者(好ましくは、ドナーの管を供給する同一の患者である)における移植片としての使用のために備えられる。
【0071】
冠状バイパス手術のための移植片は、代表的には、約10cmと15cmとの間の長さであるのに対して、末梢循環におけるバイパスのための移植片は、代表的には、約25cm以上の長さである。当業者は、管拡張の速度を容易に最適化し得る。拡張速度は、線形または非線型であり得、そして例えば、平均して約5mm/日と10mm/日との間であり得る。
【0072】
このデバイスはまた、インビトロでの拡張のために使用され得る。現在、血管の短いセグメントは、慣用的なバイパス手術の間サルベージされ得、そしてインビトロでの器官培養物またはバイオリアクター系は、第2の手術のために十分な移植組織を成長させるために使用され得る。このような手術は、全てのバイパス手術の約30%に相当する。本明細書中に記載される方法およびデバイスは、このような手術とともに作業するために適応されて、移植材料の長さを増加させ得、および/またはサルベージされたセグメントの必要とされる長さを減少させ得る。伸張した血管は、例えば、公知の凍結技術または凍結乾燥技術を用いて、バイパス手術のために効率的に保存され得る。
【0073】
この方法において、ドナーの血管の一部(例えば、移植に必要とされるよりもより短い)は、移植の必要な患者から外科的に切除され、次いでこの血管部分は、バイオリアクター中のような細胞増殖のための培地中でインビトロでのある期間にわたって伸張される。本明細書中において使用される場合、語句「細胞増殖のための培地」とは、細胞分裂、細胞外マトリクス形成、および管組織の成長を容易にする任意のインビトロ系を含む。例えば、本明細書中に記載される方法に適応され得る、器官および組織の培養物に対する技術を記載する、Goldsteinに対する米国特許第5,899,936号;Wigginsらに対する米国特許第5,879,875号;およびMitraniに対する米国特許第5,888,720号を参照のこと。次いで、拡張された管の全てまたは一部は、患者における移植片としての使用のために備えられる。ドナーが、この移植片のレシピエントである場合、いずれのアプローチを有利に使用しても結果は、完全に自己由来の生体血管移植である。
【0074】
本発明の変更および改変は、前述の記載から当業者に明らかである。このような変更および改変は、前述の特許請求の範囲の範囲内にあると解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、脈管内デバイスの1つの実施形態の一部の斜視図であり、このデバイスは、多管腔カテーテル、係留ワイヤー、および伸張ワイヤを備える。
【図2】図2は、直線配置(図2A)およびらせん配置(図2B)にある、形状記憶材料を含む遠位端部分を備えるワイヤーの斜視図である。
【図3】図3A〜Eは、血管の部分的な断面図である。ここでは、固着された伸張ワイヤを、固着ワイヤから離して押すために外力を使用して、脈管内デバイスの1つの実施形態が、血管を伸張するために、展開され、そして作動される。
【図4】図4は、直線配置(図4A)ならびにらせん端部および圧縮バネを備える複合配置(図4B)にある、形状記憶材料を含む遠位端部分を備えるワイヤの斜視図である。
【図5】図5A〜Eは、血管の部分的な断面図である。血管の中では、固着された伸張ワイヤを、係留ワイヤーから離して押すための一体的な圧縮バネを使用して、脈管内デバイスの第2の実施形態が、血管を伸張するために、展開され、そして作動される。
【図6】図6は、脈管内伸張デバイスの1つの実施形態の側面図である。このデバイスは、2つのステント、および形状記憶材料を含む一体的な圧縮バネを備える。圧縮された配置(図6A)および伸長した配置(図6B)が示される。
【図7】図7は、ステントおよびその一体的な圧縮バネの側面図であり、これらは、脈管内伸張デバイスの1つの実施形態の一部を形作る。
【図8】図8は、脈管内伸張デバイスの1つの実施形態の側面図または平面図である。このデバイスは、2つのステントおよび一体的な圧縮バネを備え、圧縮された配置(図8A)および曲線的に伸びた配置(図8B)で示される。
Claims (35)
- 血管の成長を誘導するために、該血管を軸方向に拡張するためのデバイスであって、以下:
該血管の内部管腔部分に直接的に装着可能な、脈管内伸張機構;および
該血管を軸方向に拡張させるような該伸張機構を操作するための手段、
を備える、デバイス。 - 請求項1に記載のデバイスであって、該脈管内伸張機構が以下:
遠位末端部分を有する係留ワイヤ;および
遠位末端部分を有する伸張ワイヤ;
を備え、ここで、該遠位末端部分が、互いに軸方向に遠隔な位置で、前記内部管腔部位に別々に係留可能である、デバイス。 - 前記係留ワイヤの遠位末端部分、前記伸張ワイヤの遠位末端部分、またはその両方が、形状記憶材を含む、請求項2に記載のデバイス。
- 前記形状記憶材が、形状記憶合金または形状記憶ポリマーを含む、請求項3に記載のデバイス。
- 前記形状記憶材が、生分解性形状記憶ポリマーである、請求項4に記載のデバイス。
- 請求項3に記載のデバイスであって、前記伸張ワイヤの遠位末端部分が、前記形状記憶材の変化を引き起こすのに有効な温度変化に応答して、実質的に直鎖状の形態から、前記血管の内部管腔部分中に位置される場合、該血管の内部管腔部分中の第1の位置に摩擦係合されるらせん状構造に変化する、デバイス。
- 請求項6に記載のデバイスであって、前記係留ワイヤの遠位末端部分が、前記形状記憶材の変化を引き起こすのに有効な温度変化に応答して、実質的に直鎖状の形態から、前記血管の内部管腔部分中に位置される場合、該血管の内部管腔部分中の第2の位置に係合されるらせん状構造に変化する、デバイス。
- 請求項6に記載のデバイスであって、前記伸張ワイヤが媒介部分をさらに含み、該媒介部分は、前記形状記憶材の変化を引き起こすのに有効な温度変化に応答して、実質的に直鎖状の形態から、らせん状の構造に変化し、該らせん状の配置は、圧縮バネとして操作可能である、デバイス。
- 請求項2に記載のデバイスであって、該デバイスは、近位末端と遠位末端との間で拡張する少なくとも2つの管腔を有するカテーテルをさらに備え、該少なくとも2つの管腔のうち一方は、前記伸張ワイヤを前記血管の内部管腔部分に送達するのに適しており、そして、該少なくとも2つの管腔のうちの他方は、前記係留ワイヤを該血管の内部管腔部分に送達するのに適している、デバイス。
- 前記操作する手段が、機械的駆動、電子機械的駆動、または水圧的駆動である原動機を含む、請求項1に記載のデバイス。
- 前記伸張機構を操作する手段が、軸方向への伸張力を、継続的な様式で血管に適用させる、請求項1に記載のデバイス。
- 前記伸張機構を操作する手段が、軸方向への伸張力を、断続的な様式で血管に適用させる、請求項1に記載のデバイス。
- 前記伸張機構を操作する手段が、軸方向への伸張力を、周期的な様式で血管に適用させる、請求項1に記載のデバイス。
- 請求項1に記載のデバイスであって、該デバイスが、前記伸張機構を操作するための前記手段を制御するための制御装置をさらに含む、デバイス。
- 請求項1に記載のデバイスであって、前記脈管内伸張機構が、第1のステント、第2のステント、および該第1のステントおよび該第2のステントに作動可能に連結された圧縮バネを備え、該第1のステントおよび該第2のステントは、互いに、軸方向に遠隔な位置で、前記内部管腔部分に別々に係留可能である、デバイス、
- 前記第1のステント、前記第2のステント、前記圧縮バネ、またはそれらの組合せが、形状記憶材を含む、請求項15に記載のデバイス。
- 前記形状記憶材が、形状記憶合金または形状記憶ポリマーを含む、請求項16に記載のデバイス。
- 前記形状記憶材が、生分解性形状記憶ポリマーを含む、請求項16に記載のデバイス。
- 請求項1に記載のデバイスであって、該デバイスが、治療因子または予防因子をさらに含む、デバイス。
- 請求項19に記載のデバイスであって、前記治療因子または前記予防因子が、前記血管の成長を増強するのに有効な量で放出され得る成長刺激因子を含む、デバイス。
- 前記脈管内伸張機構の全てまたは一部が、放射線不透過性である、請求項1に記載のデバイス。
- 血管成長を誘導するために、ヒトまたは動物の血管を拡張するための方法であって、該方法は以下の工程:
請求項1に記載のデバイスの伸張機構を、血管の内部管腔部分に挿入する工程;
該伸張機構を、少なくとも2つの互いに軸方向に遠隔な位置で該内部管腔部分に係留する工程;および
該血管の軸方向への成長を誘導するのに有効な期間にわたり、該少なくとも2つの位置の間で、該血管を軸方向に伸張するために該伸張機構を操作する工程;
を包含する、方法。 - 前記係留する工程がインビボで生じる、請求項22に記載の方法。
- 前記係留する工程が、細胞成長のための媒体中でインビトロで生じる、請求項22に記載の方法。
- 請求項22に記載の方法であって、前記伸張機構が、継続的な様式で、軸方向への伸張力を前記血管に適用するために操作される、方法。
- 請求項22に記載の方法であって、前記伸張機構が、断続的な様式で、軸方向への伸張力を、前記血管に適用するために操作される、方法。
- 請求項22に記載の方法であって、前記伸張機構が、周期的な様式で、軸方向への伸張力を、前記血管に適用するために操作される、方法。
- 請求項22に記載の方法であって、前記血管が、内部哺乳動物動脈、大腿動脈、胃大網動脈、胃動脈、橈骨動脈、および脾動脈からなる群より選択される、方法。
- 請求項22に記載の方法であって、前記脈管内伸張機構が、遠位末端部分を有する係留ワイヤ、および遠位末端部分を有する伸張ワイヤを含み、ここで、該遠位末端部分が、互いに軸方向に遠隔な位置で、前記内部管腔部分に別々に係留可能である、方法。
- 請求項22に記載の方法であって、前記脈管内伸張機構が、第1のステント、第2のステント、ならびに該第1のステントおよび該第2のステントに作動可能に接続される圧縮バネを備え、該第1のステントおよび該第2のステントが、互いに、軸方向に遠隔な位置で、前記内部管腔位置に別々に係留可能である、方法。
- 請求項22に記載の方法であって、前記伸張機構を係留する工程が、該伸張機構の少なくとも一部に、前記血管の前記内部管腔部分を拡張させ、そして係合させるためにバルーンを膨張させる工程を包含する、方法。
- 血管移植片が必要なヒトまたは動物のための該血管移植片を形成する方法であって、該方法は、以下:
請求項22に記載の方法を使用して、ドナー血管を拡張する工程;および
該拡張されたドナー血管の一部を切除する工程であって、これによって、該部分に、血管移植片が提供される、工程、
を包含する、方法。 - 前記血管拡張が、インビボで実施される、請求項32に記載の方法。
- 前記血管拡張が、細胞成長のための培地において、インビボで実施される、請求項32に記載の方法。
- 前記ドナー血管が、ヒトまたはトランスジェニック動物から得られる、請求項32に記載の方法。
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