JP2004524007A - ヒト・シトクロムp4502d6に対する抗体 - Google Patents
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Abstract
本発明は、本発明において「MAb50−4」及び「MAb184−10」と呼ばれる抗体、並びにCYP2D6との結合に関してMAb50−4及びMAb184−10と競合するポリペプチドを特徴とする。MAb50−4はATCC No.PTA−3489により、MAb184−10はATCC No.PTA−1999により産生されうる。
Description
【0001】
(関連出願との相互参照)
本願は、参照により本明細書に組み込まれる2000年9月29日出願の米国仮出願第60/236,665号に基づく優先権を主張する。
【0002】
(発明の背景)
本明細書において引用される参照は、特許請求の範囲に記載された発明に対する先行技術であるとは認められない。
【0003】
シトクロムP−450酵素は、薬物、環境化学物質、及び生体分子(endobiotics)の代謝を担う重要な酵素系である。ヒト・シトクロムP−450酵素は、個体及び組織に不均一に分布している複数の型で存在している。P−450酵素の複数の型は、オーバーラップする場合もあるが、異なる基質特異性及び生成物特異性を有している(Gonzalez Pharmacol.Rev.40:243−288,1988;Guengerishら.,Adv.Exp.Med.Biol.283:1−11,1991;Guengerishら,Pharmacol.Ther.54:17−61,1992,Coonら,FASEB J.6:669−673,1992;及びNelsonら,Pharmacogenetics 6:1−42,1996)。
【0004】
P450酵素の1つの型は、P450 2D6である(「CYP2D6」とも呼ばれる)。CYP2D6は、多数の薬物の代謝において機能するデブリソキンヒドロキシラーゼであり、多形的に発現している(Gelboinら,Pharmacogenetics 7:469−477,1977)。
【0005】
ヒト集団におけるCYP2D6多形の大部分が、最初、デブリソキン/スパルテインの酸化におけるCYP2D6の役割によって同定された。その後の研究によって、カフカス地方集団の5〜10%及びアジア集団の1%が、低代謝群のための常染色体劣性形質を保有していることが示された(Conzalez,F.J.(1996)The CYP2D Subfamily.In Cytochromes P450:Metabolic and toxicological aspects.C.Ioannides and D.V.Parke(編),CRC Press,Inc.)。
【0006】
阻害性モノクローナル抗体は、基質代謝における異なるP450酵素の量的役割を評価するための単純かつ正確な方法を提供する。CYP2D6を阻害するとして記載されたモノクローナル抗体については、Gelboinら,Pharmacogenetics 7:469−477,1997、Krauszら,Biochemical Pharmacology 54:15−17,1997、及び米国特許第6,060,353号を参照のこと。
【0007】
(発明の概要)
本発明は、本明細書において「MAb50−4」及び「MAb184−10」と呼ばれる抗体、並びにCYP2D6との結合に関してMAb50−4及びMAb184−10と競合するポリペプチドを特徴とする。MAb50−4はATCC No.PTA−3489により、MAb184−10はATCC No.PTA−1999により産生されうる。
【0008】
従って、本発明の第一の態様は、MAb50−4、MAb184−10であるか、又はヒトCYP2D6との結合に関してMAb50−4もしくはMAb184−10のいずれかと競合するポリペプチドを含む、実質的又は部分的に純粋なポリペプチド調製物を記載する。「ポリペプチド」という発現には、単鎖ポリペプチド、及び免疫グロブリンのような多鎖ポリペプチドが含まれる。ヒトCYP2D6との結合に関してMAb50−4又はMAb184−10と競合するポリペプチドは、好ましくは、抗体である。
【0009】
「実質的又は部分的に純粋なポリペプチド調製物」という発現は、存在する全タンパク質の少なくとも10%を構成するポリペプチドを示す。好ましい実施形態において、ポリペプチドは、試料又は調製物の中の全タンパク質の少なくとも約50%、少なくとも約75%、又は少なくとも約95%に相当する。「実質的又は部分的に純粋なポリペプチド調製物」という発現は、精製を必要とはせず、例えば、精製されていない化学合成されたポリペプチドを含みうる。
【0010】
ヒトCYP2D6との結合に関してMAb50−4又はMAb184−10のいずれかと競合するポリペプチドとは、過剰及び同等の量の競合ポリペプチドとMAb50−4又はMAb184−10とが利用された場合、少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約50%、MAb50−4又はMAb184−10の結合を減少させるものである。結合競合アッセイは、MAb50−4又はMAb184−10がヒトCYP2D6と結合する条件を使用して実施されうる。
【0011】
本発明のもう一つの態様は、MAb50−4もしくはMAb184−10のいずれかであるか、又はヒトCYP2D6との結合に関してMAb50−4もしくはMAb184−10のいずれかと競合するモノクローナル抗体であるモノクローナル抗体を記載する。「モノクローナル」抗体とは、均一な抗体集団である。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、又は抗体をコードする外因性核酸を含有している組換え細胞の使用を含む技術のような、種々の技術を使用して作製されうる。
【0012】
本発明のもう一つの態様は、ATCC No.PTA−3489(MAb50−4を産生)又はATCC No.PTA−1999(抗体MAb184−10を産生)から産生されるモノクローナル抗体を記載する。ATCC No.PTA−3489及びATCC No.PTA−1999は、ブダペスト条約に基づき、それぞれ2001年6月29日及び2000年6月7日に、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(10801 University Boulevard,Manassas,VA 20110−2209)に寄託された。
【0013】
本発明のもう一つの態様は、MAb50−4、MAb184−10であるか、又はヒトCYP2D6との結合に関してMAb50−4もしくはMAb184−10のいずれかと競合するポリペプチドを産生する細胞系を記載する。好ましい細胞系は、ハイブリドーマ、及びポリペプチドをコードする組換え核酸を含有している組換え細胞系である。
【0014】
本発明のもう一つの態様は、試料中のCYP2D6に関するアッセイの方法を記載する。その方法は、(a)試料を、本明細書に記載のポリペプチド、好ましくは抗体と接触させる工程;及び(b)ポリペプチドの、試料中に存在する物質と結合する能力を測定する工程を含む。
【0015】
本発明のもう一つの態様は、CYP2D6が化合物を代謝するか否かを決定する方法を記載する。その方法は、(a)CYP2D6と、化合物と、CYP2D6により触媒されるブフラロールの代謝を少なくとも約75%特異的に阻害する本明細書に記載のポリペプチド、好ましくはMAb50−4、MAb184−10であるか、又はヒトCYP2D6との結合に関してMAb50−4もしくはMAb184−10のいずれかと競合するモノクローナル抗体であるポリペプチドとを合わせる工程;及び(b)CYP2D6の、化合物を代謝する能力を測定する工程を含む。
【0016】
本発明のその他の特徴及び利点は、種々の例を含む、本明細書に提供されたさらなる説明より明らかとなる。提供された例は、本発明の実施において有用な種々の成分及び方法論を例示するものである。例は、特許請求の範囲に記載された発明を制限しない。本開示に基づき、当業者は、本発明の実施に有用なその他の成分及び方法論を利用することが可能である。
【0017】
(図面の簡単な説明)
図1は、CYP2D6によるブフラロール1’−水酸化のMAb50−4及びMAb184−10による阻害を示す図である。モノクローナル抗体腹水及びCYP2D6(15pmol)を含む0.1Mリン酸緩衝液970μlを、室温で5分間プレインキュベートした。25μMブフラロール及び1mM NADPHを1mL添加することにより、反応を開始させ、37℃で10分間インキュベートした。モノクローナル抗体の存在下及び非存在下で形成された1’−OH−ブフラロールを内部標準と比較することにより、対照に対する割合(%)を、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で決定した。データは、デュプリケート決定の平均値である。
【0018】
図2は、12個の組換えヒトP450によるマーカー基質の代謝のMAb50−4及びMAb184−10による阻害の特異性を示す図である。個々のP450に関する特異的アッセイは、下記表1に示されている。MAbは、10〜30pmolの組換えP450を含有しているインキュベーション混合物1mL当たり1μlのマウス腹水として使用された。全ての試料が、HPLCによって分析された。データは、トリプリケート決定の平均値(標準誤差付き)である。
【0019】
図3は、12個の組換えヒトP450によるマーカー基質代謝のMAb50−4及びMAb184−10による阻害の特異性を示す図である。個々のP450に関する特異的アッセイは、表1に示されている。MAbは、10〜30pmolの組換えP450を含有しているインキュベーション混合物1mL当たり5μlのマウス腹水として使用された。全ての試料が、HPLCによって分析された。データは、トリプリケート決定の平均値(標準誤差付き)である。
【0020】
図4は、MAb50−4及びMAb184−10を使用した、7個のヒト肝ミクロソーム(HL)のパネルにおけるブフラロール1’−水酸化へのヒトCYP2D6の寄与の評価を示す図である。MAb(5μl腹水)及びHL(30pmol)を含む、補因子を含有しているインキュベーション混合物1mLを、5分間のプレインキュベーションの後、37℃で10分間インキュベートした。PHL=プールされたヒト肝ミクロソーム。ヒト肝ミクロソームにおけるブフラロール1’−ヒドロキシラーゼの対照比活性(nmol/分,nmol)は、それぞれ、2.5(HL14)、1.4(HL15)、0.8(HL16)、5.8(HL17)、3.7(HL18)、2.5(HL19)、及び1.5(PHL)であった。
【0021】
図5は、CYP2D6、CYP3A4、及びCYP2C8/9に特異的な阻害性MAbの組み合わせ使用による、HL16におけるブフラロール1’−水酸化への単一及び複数のP450の寄与の評価を示す図である。
【0022】
(発明の詳細な説明)
モノクローナル抗体MAb50−4及びMAb184−10は、ヒトCYP2D6と結合し、CYP2D6活性を選択的に阻害する。MAb50−4及びMAb184−10が結合するCYP2D6の領域は、ポリペプチド結合のための、好ましくはCYP2D6活性の選択的阻害のための標的部位を提供する。
【0023】
CYP2D6と結合するポリペプチドは、CYP2D6が試料中に存在するか否かの決定のような、多様な用途を有する。好ましいポリペプチドは、CYP2D6と選択的に結合するものである。
【0024】
CYP2D6との選択的結合は、少なくとも以下の非標的P450酵素:CYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2E1、CYP3A4、CYP3A5、及びCYP3A7に関して決定される。CYP2D6と選択的に結合するポリペプチドは、(1)1個以上、好ましくは全ての非標的P450酵素と結合するよりも少なくとも10倍、より好ましくは少なくとも100倍強く、CYP2D6と結合する、及び(2)1個以上、好ましくは全ての非標的P450酵素と検出可能に結合しない条件の下で、CYP2D6と検出可能に結合する、という特徴の一方又は両方を有している。ポリペプチドのP450非標的酵素及びCYP2D6との結合能は、後述の実施例に記載されたもののような条件を使用して測定されうる。
【0025】
より好ましいポリペプチドは、CYP2D6活性を選択的に阻害するものである。CYP2D6活性を選択的に阻害するポリペプチドは、個々のP450の相互作用、並びに薬物及び薬物候補の代謝への寄与に関する情報を提供するために使用されうる。そのような情報は、薬物の効力、薬物の相互作用、及び薬物の毒性の予測に有用であり得る。
【0026】
CYP2D6活性の選択的阻害は、少なくとも以下の非標的P450酵素:CYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2E1、CYP3A4、CYP3A5、及びCYP3A7に関して決定される。ブフラロール代謝を有意に阻害し、1個以上、好ましくは全てのP450非標的酵素を、約25%未満、好ましくは約10%未満、より好ましくは約5%未満阻害する場合、そのポリペプチドはCYP2D6を選択的に阻害する。ブフラロール代謝の有意な阻害は、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも約90%のブフラロールの阻害によって達成される。阻害率(%)は、後述の実施例に記載されたもののような種々の条件を使用して測定されうる。
【0027】
CYP2D6との結合能を有するポリペプチドには、抗体、抗体断片、及びそれらの誘導体が含まれる。抗体の基本構造単位は、ヒンジ領域を介して2個のFab領域と連結されたFc領域を提供する4本のポリペプチド鎖を含有している(例えば、Breitlingら,Recombinant Antibodies,John Wiley&Sons,Inc.and Spektrum Akademischer Verlag,1999;及びLewin,Genes IV,Oxford University Press and Cell Press,1990を参照のこと)。
【0028】
天然に存在する抗体において、4本のポリペプチド鎖は、2本の同一の重鎖及び2本の同一の軽鎖を含有している。重鎖及び軽鎖は、各々、定常領域及び可変領域を含有している。可変領域には、抗原特異性を担う超可変領域が含まれている。
【0029】
2本の重鎖ポリペプチドのカルボキシ末端領域は、ジスルフィド結合により連結されFc領域を作製している定常領域である。Fc領域は、補体及びマクロファージの活性化のような生物学的活性の提供にとって重要である。Fc領域を構成する2本の重鎖ポリペプチドは、各々、ヒンジ領域を介して異なるFab領域へと延びている。
【0030】
Fab領域は、各々、可変領域と定常領域とから構成された軽鎖、及び可変領域と定常領域とを含有している重鎖領域を含有している。軽鎖は定常領域を介してジスルフィド結合によって重鎖と連結されている。
【0031】
Fab領域の軽鎖及び重鎖の可変領域は、抗原結合に参加するFv領域を提供する。Fv領域の特異性は、比較的よく保存されている領域(フレームワーク領域とも呼ばれる)に挟まれている3つの超可変領域(相補性決定領域とも呼ばれる)によって決定される。フレームワーク領域及び相補性決定領域に関連しているアミノ酸は、Kabatら,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services,1991によって記載されているようにして、番号付けされ、整列化されうる。
【0032】
高等脊椎動物においては、軽鎖の2つのクラス及び重鎖の5つのクラスが存在する。軽鎖はκ又はλのいずれかである。重鎖は抗体クラスを定義し、α、β、ε、γ、又はμのいずれかである。例えば、IgGは、γ重鎖を有している。種々の重鎖については、γ1、γ2、γ3、及びγ4のようなサブクラスも存在する。重鎖は、ヒンジ領域及びテール領域に独特のコンフォメーションを与える(Lewin,Genes IV,Oxford University Press and Cell Press,1990)。
【0033】
サブクラスはさらに細分される場合がある。例えば、IgG2サブタイプは、さらにIgG2a及びIgG2bに分類されうる(Hahn G.S.(1982)Antibody Structure,Function and Active Sites.In Physiology of Immunoglobulins:Diagnostic and Clinical Aspects.S.E.Ritzmann(編)Alan Liss Inc.,New York;及びTurner M.W.(1983)Immunoglobulins.In Immunology in Medicine.A Comprehensive Guide to Clinical Immunology.第2版 E.J.Holborow&W.G.Reeves(編)Grune&Stratton,London)。
【0034】
MAb50−4又はMAb184−10のいずれかと競合するポリペプチド
ヒトCYP2D6との結合に関してMAb50−4又はMAb184−10のいずれかと競合するポリペプチドは、種々の技術を使用して入手されうる。適切な技術には、MAb50−4又はMAb184−10を含む競合アッセイを使用した競合性抗体の選択、MAb50−4又はMAb184−10のいずれかからのFv断片を含むポリペプチドの導出、及びMAb50−4又はMAb184−10のいずれかと競合することが同定された抗体からのFv断片を含むポリペプチドの導出が含まれる。
【0035】
Fv断片中に提供される情報に基づき、抗原と結合する多数の異なるポリペプチド誘導体が作製されうる。好ましい誘導体は、抗体標的との結合能を維持しているポリペプチドを得るため、MAb50−4もしくはMAb184−10又はそれらの断片の定常領域又は可変領域に施された修飾を含有している。種々の型の修飾の例には、1個以上のアミノ酸の付加、欠失、置換、及び改変が含まれる。特定のポリペプチドのMAb50−4又はMAb184−10との競合能は、競合実験を使用して決定されうる。
【0036】
適切なポリペプチドは、種々の抗体領域を修飾することにより抗体から導出されうる。修飾は、Fc領域又はFab定常領域のような種々の領域に施すことができる。Fab定常領域が除去される場合、Fvを構成する重鎖及び軽鎖の可変領域は、ポリペプチド・リンカーによって連結されうる。
【0037】
適切なポリペプチドは、Fv領域、特にフレームワーク領域内を修飾することによっても導出されうる。そのような修飾を施す能力は、抗体のヒト化に関する種々の参照に例示されている(例えば、米国特許第5,693,762号、第6,054,297号、及び第6,056,957号を参照のこと)。
【0038】
好ましいポリペプチドは、モノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は、個々のP450の量を定量的に測定することができる、正確で、安定な、かつ高度に特異的な試薬である。それらは、一般的に、ポリクローナル抗体又は化学的阻害剤のいずれかより大きな特異性を有している。さらに、モノクローナル抗体は、強い非競合的阻害動力学を示すことができるため、特定の薬物の代謝へのP450の寄与が、[S]、Km、並びに基質及び触媒反応の型に関わらず、正確に決定されうる。従って、単一のP450と特異的に結合し、かつ/又はそれを阻害するモノクローナル抗体は、複数の型P450を含有している組織における、基質代謝におけるそのP450の役割を同定し定量するために使用されうる。モノクローナルにより達成される阻害の程度は、代謝反応への標的P450の寄与の尺度となる。
【0039】
ポリペプチドの作製
ポリペプチドは、化学合成、組換え核酸技術、及びハイブリドーマの使用を含む技術を含む、標準的な技術を使用して作製されうる。ポリペプチドの化学合成技術は、当分野において周知である(例えば、Vincent,in Peptide and Protein Drug Delivery,New York,N.Y.,Dekker,1990参照)。
【0040】
組換え核酸技術は、ポリペプチド合成のために核酸テンプレートを利用する。インビトロ翻訳の技術、並びに核酸を細胞へと導入し、核酸を発現させてタンパク質を製作するための技術の例は、当分野において周知である(Ausubel,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley,1987−1998、及びSambrookら,in Molecular Cloning,A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989参照)。
【0041】
原核生物(例えば、大腸菌、バチルス(Bacillus)、及びストレプトミセス(Streptomyces))由来のもの、並びに真核生物(例えば、酵母、バキュロウイルス(Baculovirus)、及び哺乳類)由来のものを含む、種々の起源の多様な細胞系が、組換え抗体発現のために使用されうる(Breitlingら,Recombinant Antibodies,John Wiley&Sons,Inc.and Spektrum Akademischer Verlag,1999)。抗体をコードする核酸は、宿主染色体とは別に自律的に存在しうる発現ベクターを使用して、宿主へ導入されうる。又は、抗体をコードする核酸は、宿主染色体へと組み込まれてもよい(例えば、国際特許出願第WO95/17516号参照)。
【0042】
ハイブリドーマとは、不死化された抗体産生細胞系である。ハイブリドーマを製作し使用するための技術の例は、後述の実施例、並びにAusubel Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley,1987−1998、Harlowら,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988、及びKohlerら,Nature 256,495−497,1975のような参照に記載されている。
【0043】
CYP2D6発現レベルの決定
CYP2D6と特異的に結合するポリペプチドは、CYP2D6の発現レベルを決定するために利用されうる。酵素レベルを検出するためにポリペプチドを使用するための種々の形式が、当分野において周知である。
【0044】
一般に、CYP2D6発現レベルを決定するアッセイは、試料をCYP2D6に特異的なポリペプチドと接触させること、及び試料中に存在する物質とのポリペプチド結合を測定することを含む。ポリペプチド結合は、検出可能標識を含有しているポリペプチドを利用した技術、及びCYP2D6特異的ポリペプチドを認識する抗体を使用した技術のような、種々の技術を使用して測定されうる。検出可能標識には、蛍光標識、放射標識、及び基質を定量可能な生成物へと代謝する酵素(例えば、酵素がアルカリホスファターゼであり、基質が5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−ホスフェート/ニトロブルーテトラゾリウムであるような場合)を含む。
【0045】
本発明の一実施形態において、CYP2D6発現は、以下の工程を使用することにより決定される。試料の成分を、SDSポリアクリルアミドゲルのようなゲル上で分離し、分離された試料を吸着することができる物質(例えば、ニトロセルロース紙)へと転写し、CYP2D6に特異的な一次抗体と接触させ、一次抗体に特異的であり、かつ検出可能標識を含んでいる二次抗体と接触させる。次いで、CYP2D6の量を、検出可能標識のアッセイにより定量する。
【0046】
CYP2D6活性及び化合物代謝の決定
CYP2D6活性及び化合物代謝の程度は、当分野において周知の技術を使用してブフラロール代謝をアッセイすることにより測定されうる。代謝の程度を測定することができる1つの手段は、反応を停止させた後、基質及び生成物のレベルを測定し、その活性レベルを阻害性ポリペプチドを添加しなかった対照試料と比較することによる。例えば、ジクロロメタンを添加することにより反応を停止させ、次いで、代謝物を水相から有機相へと抽出し、有機相を乾燥させ、試料残さを代謝物の分離及び定量のために直ちにHPLCに供することができる。代謝レベルを決定するためのその他の方法も許容され、本発明に含まれる。
【0047】
本発明の一実施形態において、基質に対するCYP2D6の活性は、(1)基質を含有している試料をCYP2D6活性を特異的に阻害する抗体と接触させること;(2)基質及び生成物のレベルを測定すること;並びに(3)その基質及び生成物のレベルを、CYP2D6及び基質を含有しているが抗体は含有していない対照試料から得られたレベルと比較することを含む方法において測定される。変動の程度が、基質代謝へのCYP2D6の寄与を示す。
【0048】
実施例
本発明の種々の特徴をさらに例示するために以下に実施例を示す。実施例も、本発明の実施のために有用な方法論を例示する。これらの実施例は、特許請求の範囲に記載された発明を制限しない。
【0049】
実施例1:実験法
抗体の入手及び特徴決定に利用した種々の実験プロトコルを、以下に示す。
【0050】
ヒトP450の調製
P450 3A4、3A7、1A1、1A2、2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、及び2E1、並びにOR(P450オキシドレダクターゼ)のヒトcDNAを、バキュロウイルス発現ベクターに個々に挿入した。スポドプテラ・フルギペドラ(Sporadoptera frugipedra)(Sf21)昆虫細胞に、組換えウィルスを別々に感染させ、P450タンパク質を発現させた。Supersome CYP3A5+ORは、Gentest Inc.より購入した。個々のP450を発現しているSf21細胞よりミクロソームを調製し、使用時まで−80℃で保存した。P450含有量及びタンパク質濃度を決定した。代謝研究の場合には、P450タンパク質をORと共発現させ、マーカー基質を用いてそれらの比活性を測定した(表1)。
【0051】
【表1】
【0052】
モノクローナル抗体のIC50の決定
IC50値は、Grafitバージョン3.09(Data Analysis and Graphic Program,Erithancus Software Ltd.,Staines,UK)を使用して、以下のようにして計算した。
【0053】
【数1】
[式中、V0は非阻害速度であり、vは観察速度であり、sは勾配係数であり、Iは阻害剤濃度である]
【0054】
マウスの免疫感作及びハイブリドーマ作製
バキュロウイルス発現CYP2D6タンパク質を含有しているSf21細胞ミクロソーム50μgを完全フロイントアジュバント0.2mLに乳化させたもので、3匹の雌Balb/cマウスを、4から6週間に3回i.p.注射により免疫感作し(一次免疫感作)、続いて不完全フロイントアジュバントを用いて2回の免疫感作を行った。3回目の免疫感作の3日後、1匹のマウスを屠殺し、脾臓を摘出した。骨髄腫細胞の、解離させた感作脾細胞との融合は、PEG5000処理によって実施した。HAT培地で希釈された細胞を、10,000個/ウェル(0.2mL/ウェル)の密度で10枚の96穴組織培養プレートへと分配した。ハイブリドーマを選出し、選択HAT培地中で増殖させた。
【0055】
抗体産生に関するスクリーニング
モノクローナル抗体スクリーニングは、マウスIgG(H+L)及びマウスIgG(Fc特異的)に対するアルカリホスファターゼ結合ヤギF(ab’)2断片を使用したELISAによって実施した。イムノアッセイ・プレートを、1pmol/ウェル(100μL)のバキュロウイルス発現CYP2D6を含有しているSf21ミクロソーム、又は野生型バキュロウイルス感染Sf21細胞ミクロソームを、1×コーティング溶液を使用してコーティングした。ハイブリドーマが増殖し始めた時点で、各ウェルからの消費済み培地を、ELISAによってCYP2D6に対する抗体の存在に関してスクリーニングした。各陽性ウェルを再スクリーニングし、次いで10%FBSを含む完全培地を使用してサブクローニングした。目的のハイブリドーマを、モノクローナルであることを確実にするため、少なくとも2から3回再サブクローニングした。
【0056】
イムノブロット分析
Sf21細胞から発現されたP450、及び肝ミクロソーム・タンパク質(1pmol/ウェル)をSDS−PAGEに供し、ニトロセルロースへと転写し、培養液又は腹水に由来するモノクローナル抗体を用いて探索した。モノクローナル抗体結合は、アルカリホスファターゼ結合ヤギ抗マウス抗体を使用して検出した。
【0057】
抗体の特徴決定
アイソタイプ決定は、マウス・モノクローナル抗体タイピング・キット(The Binding Site,Inc.)によって提供されるオクタロニー免疫拡散技術を使用して実施した。
【0058】
モノクローナル抗体を含有している腹水の調製
プリスタンによる初回刺激の後、腹水の調製のため、ハイブリドーマ細胞を、106個/匹の密度で各マウスの腹腔に注射した。高度に濃縮されたモノクローナル抗体を含有している腹水を、2から3週後に各マウスから回収した(3〜5mL/匹)。
【0059】
CYP2D6のモノクローナル抗体による阻害
典型的な1mLのインキュベーションは、モノクローナル抗体(必要に応じて0.0039から40μLの腹水)、及び10から30pmolのCYP2D6又はその他のP450、又は30pmolのヒト肝ミクロソーム(全P450)を含有している0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH=7.4)970μLを含有していた。混合物を、室温で5分間プレインキュベートし、最終容量1mLのNADPH(1mM)及び基質(メタノールに溶解)の添加によって反応を開始させ、37℃で10から30分間インキュベートした。抗MK−0677モノクローナル抗体を、非特異的結合の対照として使用した。(1個以上の)代謝物の定量のための内部標準の添加の後に、代謝物を8倍容量のジクロロメタンで抽出し、窒素ガス流の下で乾燥させた。残さを、50から80%のメタノール又はアセトニトリルの水溶液100μLに溶解させ、HPLC又はLC−MSによって直ちに分析した。モノクローナル抗体のCYP2D6以外のP450との交差反応性を決定するためのマーカー・アッセイは、表1に列挙されている。
【0060】
実施例2:結果
ヒトCYP 2D6に対する抗体の生成及び特徴決定に関する結果を、以下に示す。
【0061】
ヒトCYP2D6に特異的なモノクローナル抗体の調製
CYP2D6 cDNAをコードしている組換えバキュロウイルスを感染させたSf21細胞のCYP2D6に富むミクロソームで、マウス免疫感作した。免疫感作の3週間後、免疫感作されたマウスに由来する分散させた脾細胞を骨髄腫細胞と融合させたところ、3,000個超のハイブリドーマ・クローンを含むHAT選択培養物が形成された。ELISAによって、CYP2D6との結合活性が陽性の抗体産生ハイブリドーマ・クローン191個が同定された。インビトロ・アッセイを使用すると、191個のハイブリドーマのうち2個のクローン(MAb184−10及びMAb50−4として定義した)が、CYP2D6酵素活性を強く阻害するモノクローナル抗体を産生した(図1)。しかしながら、2個のモノクローナル抗体は、いずれも、CYP2D6タンパク質を含むイムノブロットを与えず、そのことからCYP2D6上の(1個以上の)エピトープが高度に高次構造性であることが示唆された。モノクローナル抗体の免疫グロブリンのアイソタイプは、オクタロニー免疫拡散技術によって、MAb50−4についてはIgG2b、MAb184−10についてはIgG2aと同定された。
【0062】
CYP2D6に対するモノクローナル抗体の阻害効果
MAb184−10又はMAb50−4を含有しているマウス腹水を、CYP2D6活性の指標として一般に使用されているCYP2D6により触媒されるブフラロール1’−水酸化に対する阻害効果に関して調査した。図1は、腹水の容量に対する阻害の滴定曲線を示している。10〜15pmolのCYP2D6を含有している1mLインキュベーションへの1μLの腹水の添加により、CYP2D6により触媒されるブフラロール代謝は98%超阻害された。MAb50−4及びMAb184−10のIC50値は、それぞれ0.101±0.005、0.05±0.002μL腹水/mLインキュベーションであることが決定され、このことから、モノクローナル抗体の活性が極めて高いことが示唆された。
【0063】
モノクローナル抗体のその他のP450との阻害的交差反応性
モノクローナル抗体の特異性を決定するため、11個の他のヒトcDNA発現P450についてのマーカー・アッセイを調査した(表1)。1μL腹水/mLインキュベーションのモノクローナル抗体は、CYP2D6により触媒されるブフラロール代謝を99%阻害することが見出されたが、他の11個のヒトcDNA発現ヒトCYP1A1(フェナントレン9−水酸化)、CYP1A2(フェナセチンO−脱エチル化)、CYP2A6(クマリン7−水酸化)、CYP2B6(ジアゼパムN−脱メチル化)、CYP2C8(タキソール6α−水酸化)、CYP2C9(フルビプロフェン4’−水酸化)、CYP2C19(メフェニトイン4’−水酸化)、CYP2E1(クロロゾキサゾン6−水酸化)、CYP3A4(テストステロン6β−水酸化)、CYP3A5(テストステロン6β−水酸化)、及びCYP3A7(テストステロン6β−水酸化)に対する有意な阻害的交差反応性は示さなかった(図2)。モノクローナル抗体腹水の容量を、5μL/mLインキュベーションに増加させても、交差反応は観察されなかった(図3)。従って、2個のモノクローナル抗体の阻害効果は、高度にCYP2D6特異的である。
【0064】
ヒト肝ミクロソームにおけるブフラロール代謝へのCYP2D6の寄与
阻害性のMAb184−10及びMAb50−4を、ヒト肝調製物におけるブフラロール1’−水酸化へのCYP2D6の寄与を決定するために使用した。7個体を調査したところ、ヒト肝ミクロソームのブフラロール代謝基底活性は、0.9から5.9nmol/分,nmolの範囲であった。モノクローナル抗体の添加により、CYP2D6依存性の活性は、肝ドナーに依って、最低で47%、最高で93%阻害された(図4)。これらの結果は、CYP2D6に加え、他のP450もブフラロール代謝において役割を果たしていることを示唆している。図4は、各試料中のMAb50−4及びMAb184−10の両方の阻害効果が極めて一致していたことを示している。
【0065】
興味深いことに、7個のヒト肝ミクロソームのうちの1つ(HL16)においては、CYP2D6が、全ブフラロール1’−ヒドロキシラーゼ活性のわずか47%にしか寄与しなかった。他のP450の寄与を決定するために、CYP2D6、CYP2C8/9、及びCYP3A4に特異的な3個の阻害性モノクローナル抗体を、単独で又は組み合わせて使用して、HL16のさらなる分析を実施した。これらのP450の単独でのHL16におけるブフラロール代謝への量的寄与は、CYP2D6が43%、CYP2C8/9が17%、CYP3A4が無視しうる程度と決定された(図5)。3個のモノクローナル抗体を同時にHL16ミクロソームに添加した場合には、阻害性モノクローナル抗体の相加的な効果が観察され、HL16の全ブフラロール1’−ヒドロキシラーゼは63%超阻害された。従って、CYP2D6及びCYP2C8/9は、それぞれおよそ44%及び17%、ブフラロール代謝に寄与した。HL16における残りの酵素活性(37%)についての他のP450の役割は、不明なままである。これらの結果は、ヒト組織における特定の薬物の代謝への個々のP450の寄与の決定において、阻害性モノクローナル抗体が有益であることを証明している。
【0066】
その他の実施形態も、以下の特許請求の範囲に含まれる。いくつかの実施形態を示し説明したが、本発明の本旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修飾を行うことは可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
CYP2D6によるブフラロール1’−水酸化のMAb50−4及びMAb184−10による阻害を示す図である。
【図2】
12個の組換えヒトP450によるマーカー基質の代謝のMAb50−4及びMAb184−10による阻害の特異性を示す図である。
【図3】
12個の組換えヒトP450によるマーカー基質代謝のMAb50−4及びMAb184−10による阻害の特異性を示す図である。
【図4】
MAb50−4及びMAb184−10を使用した、7個のヒト肝ミクロソーム(HL)のパネルにおけるブフラロール1’−水酸化へのヒトCYP2D6の寄与の評価を示す図である。
【図5】
CYP2D6、CYP3A4、及びCYP2C8/9に特異的な阻害性MAbの組み合わせ使用による、HL16におけるブフラロール1’−水酸化への単一及び複数のP450の寄与の評価を示す図である。
(関連出願との相互参照)
本願は、参照により本明細書に組み込まれる2000年9月29日出願の米国仮出願第60/236,665号に基づく優先権を主張する。
【0002】
(発明の背景)
本明細書において引用される参照は、特許請求の範囲に記載された発明に対する先行技術であるとは認められない。
【0003】
シトクロムP−450酵素は、薬物、環境化学物質、及び生体分子(endobiotics)の代謝を担う重要な酵素系である。ヒト・シトクロムP−450酵素は、個体及び組織に不均一に分布している複数の型で存在している。P−450酵素の複数の型は、オーバーラップする場合もあるが、異なる基質特異性及び生成物特異性を有している(Gonzalez Pharmacol.Rev.40:243−288,1988;Guengerishら.,Adv.Exp.Med.Biol.283:1−11,1991;Guengerishら,Pharmacol.Ther.54:17−61,1992,Coonら,FASEB J.6:669−673,1992;及びNelsonら,Pharmacogenetics 6:1−42,1996)。
【0004】
P450酵素の1つの型は、P450 2D6である(「CYP2D6」とも呼ばれる)。CYP2D6は、多数の薬物の代謝において機能するデブリソキンヒドロキシラーゼであり、多形的に発現している(Gelboinら,Pharmacogenetics 7:469−477,1977)。
【0005】
ヒト集団におけるCYP2D6多形の大部分が、最初、デブリソキン/スパルテインの酸化におけるCYP2D6の役割によって同定された。その後の研究によって、カフカス地方集団の5〜10%及びアジア集団の1%が、低代謝群のための常染色体劣性形質を保有していることが示された(Conzalez,F.J.(1996)The CYP2D Subfamily.In Cytochromes P450:Metabolic and toxicological aspects.C.Ioannides and D.V.Parke(編),CRC Press,Inc.)。
【0006】
阻害性モノクローナル抗体は、基質代謝における異なるP450酵素の量的役割を評価するための単純かつ正確な方法を提供する。CYP2D6を阻害するとして記載されたモノクローナル抗体については、Gelboinら,Pharmacogenetics 7:469−477,1997、Krauszら,Biochemical Pharmacology 54:15−17,1997、及び米国特許第6,060,353号を参照のこと。
【0007】
(発明の概要)
本発明は、本明細書において「MAb50−4」及び「MAb184−10」と呼ばれる抗体、並びにCYP2D6との結合に関してMAb50−4及びMAb184−10と競合するポリペプチドを特徴とする。MAb50−4はATCC No.PTA−3489により、MAb184−10はATCC No.PTA−1999により産生されうる。
【0008】
従って、本発明の第一の態様は、MAb50−4、MAb184−10であるか、又はヒトCYP2D6との結合に関してMAb50−4もしくはMAb184−10のいずれかと競合するポリペプチドを含む、実質的又は部分的に純粋なポリペプチド調製物を記載する。「ポリペプチド」という発現には、単鎖ポリペプチド、及び免疫グロブリンのような多鎖ポリペプチドが含まれる。ヒトCYP2D6との結合に関してMAb50−4又はMAb184−10と競合するポリペプチドは、好ましくは、抗体である。
【0009】
「実質的又は部分的に純粋なポリペプチド調製物」という発現は、存在する全タンパク質の少なくとも10%を構成するポリペプチドを示す。好ましい実施形態において、ポリペプチドは、試料又は調製物の中の全タンパク質の少なくとも約50%、少なくとも約75%、又は少なくとも約95%に相当する。「実質的又は部分的に純粋なポリペプチド調製物」という発現は、精製を必要とはせず、例えば、精製されていない化学合成されたポリペプチドを含みうる。
【0010】
ヒトCYP2D6との結合に関してMAb50−4又はMAb184−10のいずれかと競合するポリペプチドとは、過剰及び同等の量の競合ポリペプチドとMAb50−4又はMAb184−10とが利用された場合、少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約50%、MAb50−4又はMAb184−10の結合を減少させるものである。結合競合アッセイは、MAb50−4又はMAb184−10がヒトCYP2D6と結合する条件を使用して実施されうる。
【0011】
本発明のもう一つの態様は、MAb50−4もしくはMAb184−10のいずれかであるか、又はヒトCYP2D6との結合に関してMAb50−4もしくはMAb184−10のいずれかと競合するモノクローナル抗体であるモノクローナル抗体を記載する。「モノクローナル」抗体とは、均一な抗体集団である。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、又は抗体をコードする外因性核酸を含有している組換え細胞の使用を含む技術のような、種々の技術を使用して作製されうる。
【0012】
本発明のもう一つの態様は、ATCC No.PTA−3489(MAb50−4を産生)又はATCC No.PTA−1999(抗体MAb184−10を産生)から産生されるモノクローナル抗体を記載する。ATCC No.PTA−3489及びATCC No.PTA−1999は、ブダペスト条約に基づき、それぞれ2001年6月29日及び2000年6月7日に、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(10801 University Boulevard,Manassas,VA 20110−2209)に寄託された。
【0013】
本発明のもう一つの態様は、MAb50−4、MAb184−10であるか、又はヒトCYP2D6との結合に関してMAb50−4もしくはMAb184−10のいずれかと競合するポリペプチドを産生する細胞系を記載する。好ましい細胞系は、ハイブリドーマ、及びポリペプチドをコードする組換え核酸を含有している組換え細胞系である。
【0014】
本発明のもう一つの態様は、試料中のCYP2D6に関するアッセイの方法を記載する。その方法は、(a)試料を、本明細書に記載のポリペプチド、好ましくは抗体と接触させる工程;及び(b)ポリペプチドの、試料中に存在する物質と結合する能力を測定する工程を含む。
【0015】
本発明のもう一つの態様は、CYP2D6が化合物を代謝するか否かを決定する方法を記載する。その方法は、(a)CYP2D6と、化合物と、CYP2D6により触媒されるブフラロールの代謝を少なくとも約75%特異的に阻害する本明細書に記載のポリペプチド、好ましくはMAb50−4、MAb184−10であるか、又はヒトCYP2D6との結合に関してMAb50−4もしくはMAb184−10のいずれかと競合するモノクローナル抗体であるポリペプチドとを合わせる工程;及び(b)CYP2D6の、化合物を代謝する能力を測定する工程を含む。
【0016】
本発明のその他の特徴及び利点は、種々の例を含む、本明細書に提供されたさらなる説明より明らかとなる。提供された例は、本発明の実施において有用な種々の成分及び方法論を例示するものである。例は、特許請求の範囲に記載された発明を制限しない。本開示に基づき、当業者は、本発明の実施に有用なその他の成分及び方法論を利用することが可能である。
【0017】
(図面の簡単な説明)
図1は、CYP2D6によるブフラロール1’−水酸化のMAb50−4及びMAb184−10による阻害を示す図である。モノクローナル抗体腹水及びCYP2D6(15pmol)を含む0.1Mリン酸緩衝液970μlを、室温で5分間プレインキュベートした。25μMブフラロール及び1mM NADPHを1mL添加することにより、反応を開始させ、37℃で10分間インキュベートした。モノクローナル抗体の存在下及び非存在下で形成された1’−OH−ブフラロールを内部標準と比較することにより、対照に対する割合(%)を、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で決定した。データは、デュプリケート決定の平均値である。
【0018】
図2は、12個の組換えヒトP450によるマーカー基質の代謝のMAb50−4及びMAb184−10による阻害の特異性を示す図である。個々のP450に関する特異的アッセイは、下記表1に示されている。MAbは、10〜30pmolの組換えP450を含有しているインキュベーション混合物1mL当たり1μlのマウス腹水として使用された。全ての試料が、HPLCによって分析された。データは、トリプリケート決定の平均値(標準誤差付き)である。
【0019】
図3は、12個の組換えヒトP450によるマーカー基質代謝のMAb50−4及びMAb184−10による阻害の特異性を示す図である。個々のP450に関する特異的アッセイは、表1に示されている。MAbは、10〜30pmolの組換えP450を含有しているインキュベーション混合物1mL当たり5μlのマウス腹水として使用された。全ての試料が、HPLCによって分析された。データは、トリプリケート決定の平均値(標準誤差付き)である。
【0020】
図4は、MAb50−4及びMAb184−10を使用した、7個のヒト肝ミクロソーム(HL)のパネルにおけるブフラロール1’−水酸化へのヒトCYP2D6の寄与の評価を示す図である。MAb(5μl腹水)及びHL(30pmol)を含む、補因子を含有しているインキュベーション混合物1mLを、5分間のプレインキュベーションの後、37℃で10分間インキュベートした。PHL=プールされたヒト肝ミクロソーム。ヒト肝ミクロソームにおけるブフラロール1’−ヒドロキシラーゼの対照比活性(nmol/分,nmol)は、それぞれ、2.5(HL14)、1.4(HL15)、0.8(HL16)、5.8(HL17)、3.7(HL18)、2.5(HL19)、及び1.5(PHL)であった。
【0021】
図5は、CYP2D6、CYP3A4、及びCYP2C8/9に特異的な阻害性MAbの組み合わせ使用による、HL16におけるブフラロール1’−水酸化への単一及び複数のP450の寄与の評価を示す図である。
【0022】
(発明の詳細な説明)
モノクローナル抗体MAb50−4及びMAb184−10は、ヒトCYP2D6と結合し、CYP2D6活性を選択的に阻害する。MAb50−4及びMAb184−10が結合するCYP2D6の領域は、ポリペプチド結合のための、好ましくはCYP2D6活性の選択的阻害のための標的部位を提供する。
【0023】
CYP2D6と結合するポリペプチドは、CYP2D6が試料中に存在するか否かの決定のような、多様な用途を有する。好ましいポリペプチドは、CYP2D6と選択的に結合するものである。
【0024】
CYP2D6との選択的結合は、少なくとも以下の非標的P450酵素:CYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2E1、CYP3A4、CYP3A5、及びCYP3A7に関して決定される。CYP2D6と選択的に結合するポリペプチドは、(1)1個以上、好ましくは全ての非標的P450酵素と結合するよりも少なくとも10倍、より好ましくは少なくとも100倍強く、CYP2D6と結合する、及び(2)1個以上、好ましくは全ての非標的P450酵素と検出可能に結合しない条件の下で、CYP2D6と検出可能に結合する、という特徴の一方又は両方を有している。ポリペプチドのP450非標的酵素及びCYP2D6との結合能は、後述の実施例に記載されたもののような条件を使用して測定されうる。
【0025】
より好ましいポリペプチドは、CYP2D6活性を選択的に阻害するものである。CYP2D6活性を選択的に阻害するポリペプチドは、個々のP450の相互作用、並びに薬物及び薬物候補の代謝への寄与に関する情報を提供するために使用されうる。そのような情報は、薬物の効力、薬物の相互作用、及び薬物の毒性の予測に有用であり得る。
【0026】
CYP2D6活性の選択的阻害は、少なくとも以下の非標的P450酵素:CYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2E1、CYP3A4、CYP3A5、及びCYP3A7に関して決定される。ブフラロール代謝を有意に阻害し、1個以上、好ましくは全てのP450非標的酵素を、約25%未満、好ましくは約10%未満、より好ましくは約5%未満阻害する場合、そのポリペプチドはCYP2D6を選択的に阻害する。ブフラロール代謝の有意な阻害は、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも約90%のブフラロールの阻害によって達成される。阻害率(%)は、後述の実施例に記載されたもののような種々の条件を使用して測定されうる。
【0027】
CYP2D6との結合能を有するポリペプチドには、抗体、抗体断片、及びそれらの誘導体が含まれる。抗体の基本構造単位は、ヒンジ領域を介して2個のFab領域と連結されたFc領域を提供する4本のポリペプチド鎖を含有している(例えば、Breitlingら,Recombinant Antibodies,John Wiley&Sons,Inc.and Spektrum Akademischer Verlag,1999;及びLewin,Genes IV,Oxford University Press and Cell Press,1990を参照のこと)。
【0028】
天然に存在する抗体において、4本のポリペプチド鎖は、2本の同一の重鎖及び2本の同一の軽鎖を含有している。重鎖及び軽鎖は、各々、定常領域及び可変領域を含有している。可変領域には、抗原特異性を担う超可変領域が含まれている。
【0029】
2本の重鎖ポリペプチドのカルボキシ末端領域は、ジスルフィド結合により連結されFc領域を作製している定常領域である。Fc領域は、補体及びマクロファージの活性化のような生物学的活性の提供にとって重要である。Fc領域を構成する2本の重鎖ポリペプチドは、各々、ヒンジ領域を介して異なるFab領域へと延びている。
【0030】
Fab領域は、各々、可変領域と定常領域とから構成された軽鎖、及び可変領域と定常領域とを含有している重鎖領域を含有している。軽鎖は定常領域を介してジスルフィド結合によって重鎖と連結されている。
【0031】
Fab領域の軽鎖及び重鎖の可変領域は、抗原結合に参加するFv領域を提供する。Fv領域の特異性は、比較的よく保存されている領域(フレームワーク領域とも呼ばれる)に挟まれている3つの超可変領域(相補性決定領域とも呼ばれる)によって決定される。フレームワーク領域及び相補性決定領域に関連しているアミノ酸は、Kabatら,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services,1991によって記載されているようにして、番号付けされ、整列化されうる。
【0032】
高等脊椎動物においては、軽鎖の2つのクラス及び重鎖の5つのクラスが存在する。軽鎖はκ又はλのいずれかである。重鎖は抗体クラスを定義し、α、β、ε、γ、又はμのいずれかである。例えば、IgGは、γ重鎖を有している。種々の重鎖については、γ1、γ2、γ3、及びγ4のようなサブクラスも存在する。重鎖は、ヒンジ領域及びテール領域に独特のコンフォメーションを与える(Lewin,Genes IV,Oxford University Press and Cell Press,1990)。
【0033】
サブクラスはさらに細分される場合がある。例えば、IgG2サブタイプは、さらにIgG2a及びIgG2bに分類されうる(Hahn G.S.(1982)Antibody Structure,Function and Active Sites.In Physiology of Immunoglobulins:Diagnostic and Clinical Aspects.S.E.Ritzmann(編)Alan Liss Inc.,New York;及びTurner M.W.(1983)Immunoglobulins.In Immunology in Medicine.A Comprehensive Guide to Clinical Immunology.第2版 E.J.Holborow&W.G.Reeves(編)Grune&Stratton,London)。
【0034】
MAb50−4又はMAb184−10のいずれかと競合するポリペプチド
ヒトCYP2D6との結合に関してMAb50−4又はMAb184−10のいずれかと競合するポリペプチドは、種々の技術を使用して入手されうる。適切な技術には、MAb50−4又はMAb184−10を含む競合アッセイを使用した競合性抗体の選択、MAb50−4又はMAb184−10のいずれかからのFv断片を含むポリペプチドの導出、及びMAb50−4又はMAb184−10のいずれかと競合することが同定された抗体からのFv断片を含むポリペプチドの導出が含まれる。
【0035】
Fv断片中に提供される情報に基づき、抗原と結合する多数の異なるポリペプチド誘導体が作製されうる。好ましい誘導体は、抗体標的との結合能を維持しているポリペプチドを得るため、MAb50−4もしくはMAb184−10又はそれらの断片の定常領域又は可変領域に施された修飾を含有している。種々の型の修飾の例には、1個以上のアミノ酸の付加、欠失、置換、及び改変が含まれる。特定のポリペプチドのMAb50−4又はMAb184−10との競合能は、競合実験を使用して決定されうる。
【0036】
適切なポリペプチドは、種々の抗体領域を修飾することにより抗体から導出されうる。修飾は、Fc領域又はFab定常領域のような種々の領域に施すことができる。Fab定常領域が除去される場合、Fvを構成する重鎖及び軽鎖の可変領域は、ポリペプチド・リンカーによって連結されうる。
【0037】
適切なポリペプチドは、Fv領域、特にフレームワーク領域内を修飾することによっても導出されうる。そのような修飾を施す能力は、抗体のヒト化に関する種々の参照に例示されている(例えば、米国特許第5,693,762号、第6,054,297号、及び第6,056,957号を参照のこと)。
【0038】
好ましいポリペプチドは、モノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は、個々のP450の量を定量的に測定することができる、正確で、安定な、かつ高度に特異的な試薬である。それらは、一般的に、ポリクローナル抗体又は化学的阻害剤のいずれかより大きな特異性を有している。さらに、モノクローナル抗体は、強い非競合的阻害動力学を示すことができるため、特定の薬物の代謝へのP450の寄与が、[S]、Km、並びに基質及び触媒反応の型に関わらず、正確に決定されうる。従って、単一のP450と特異的に結合し、かつ/又はそれを阻害するモノクローナル抗体は、複数の型P450を含有している組織における、基質代謝におけるそのP450の役割を同定し定量するために使用されうる。モノクローナルにより達成される阻害の程度は、代謝反応への標的P450の寄与の尺度となる。
【0039】
ポリペプチドの作製
ポリペプチドは、化学合成、組換え核酸技術、及びハイブリドーマの使用を含む技術を含む、標準的な技術を使用して作製されうる。ポリペプチドの化学合成技術は、当分野において周知である(例えば、Vincent,in Peptide and Protein Drug Delivery,New York,N.Y.,Dekker,1990参照)。
【0040】
組換え核酸技術は、ポリペプチド合成のために核酸テンプレートを利用する。インビトロ翻訳の技術、並びに核酸を細胞へと導入し、核酸を発現させてタンパク質を製作するための技術の例は、当分野において周知である(Ausubel,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley,1987−1998、及びSambrookら,in Molecular Cloning,A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989参照)。
【0041】
原核生物(例えば、大腸菌、バチルス(Bacillus)、及びストレプトミセス(Streptomyces))由来のもの、並びに真核生物(例えば、酵母、バキュロウイルス(Baculovirus)、及び哺乳類)由来のものを含む、種々の起源の多様な細胞系が、組換え抗体発現のために使用されうる(Breitlingら,Recombinant Antibodies,John Wiley&Sons,Inc.and Spektrum Akademischer Verlag,1999)。抗体をコードする核酸は、宿主染色体とは別に自律的に存在しうる発現ベクターを使用して、宿主へ導入されうる。又は、抗体をコードする核酸は、宿主染色体へと組み込まれてもよい(例えば、国際特許出願第WO95/17516号参照)。
【0042】
ハイブリドーマとは、不死化された抗体産生細胞系である。ハイブリドーマを製作し使用するための技術の例は、後述の実施例、並びにAusubel Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley,1987−1998、Harlowら,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988、及びKohlerら,Nature 256,495−497,1975のような参照に記載されている。
【0043】
CYP2D6発現レベルの決定
CYP2D6と特異的に結合するポリペプチドは、CYP2D6の発現レベルを決定するために利用されうる。酵素レベルを検出するためにポリペプチドを使用するための種々の形式が、当分野において周知である。
【0044】
一般に、CYP2D6発現レベルを決定するアッセイは、試料をCYP2D6に特異的なポリペプチドと接触させること、及び試料中に存在する物質とのポリペプチド結合を測定することを含む。ポリペプチド結合は、検出可能標識を含有しているポリペプチドを利用した技術、及びCYP2D6特異的ポリペプチドを認識する抗体を使用した技術のような、種々の技術を使用して測定されうる。検出可能標識には、蛍光標識、放射標識、及び基質を定量可能な生成物へと代謝する酵素(例えば、酵素がアルカリホスファターゼであり、基質が5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−ホスフェート/ニトロブルーテトラゾリウムであるような場合)を含む。
【0045】
本発明の一実施形態において、CYP2D6発現は、以下の工程を使用することにより決定される。試料の成分を、SDSポリアクリルアミドゲルのようなゲル上で分離し、分離された試料を吸着することができる物質(例えば、ニトロセルロース紙)へと転写し、CYP2D6に特異的な一次抗体と接触させ、一次抗体に特異的であり、かつ検出可能標識を含んでいる二次抗体と接触させる。次いで、CYP2D6の量を、検出可能標識のアッセイにより定量する。
【0046】
CYP2D6活性及び化合物代謝の決定
CYP2D6活性及び化合物代謝の程度は、当分野において周知の技術を使用してブフラロール代謝をアッセイすることにより測定されうる。代謝の程度を測定することができる1つの手段は、反応を停止させた後、基質及び生成物のレベルを測定し、その活性レベルを阻害性ポリペプチドを添加しなかった対照試料と比較することによる。例えば、ジクロロメタンを添加することにより反応を停止させ、次いで、代謝物を水相から有機相へと抽出し、有機相を乾燥させ、試料残さを代謝物の分離及び定量のために直ちにHPLCに供することができる。代謝レベルを決定するためのその他の方法も許容され、本発明に含まれる。
【0047】
本発明の一実施形態において、基質に対するCYP2D6の活性は、(1)基質を含有している試料をCYP2D6活性を特異的に阻害する抗体と接触させること;(2)基質及び生成物のレベルを測定すること;並びに(3)その基質及び生成物のレベルを、CYP2D6及び基質を含有しているが抗体は含有していない対照試料から得られたレベルと比較することを含む方法において測定される。変動の程度が、基質代謝へのCYP2D6の寄与を示す。
【0048】
実施例
本発明の種々の特徴をさらに例示するために以下に実施例を示す。実施例も、本発明の実施のために有用な方法論を例示する。これらの実施例は、特許請求の範囲に記載された発明を制限しない。
【0049】
実施例1:実験法
抗体の入手及び特徴決定に利用した種々の実験プロトコルを、以下に示す。
【0050】
ヒトP450の調製
P450 3A4、3A7、1A1、1A2、2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、及び2E1、並びにOR(P450オキシドレダクターゼ)のヒトcDNAを、バキュロウイルス発現ベクターに個々に挿入した。スポドプテラ・フルギペドラ(Sporadoptera frugipedra)(Sf21)昆虫細胞に、組換えウィルスを別々に感染させ、P450タンパク質を発現させた。Supersome CYP3A5+ORは、Gentest Inc.より購入した。個々のP450を発現しているSf21細胞よりミクロソームを調製し、使用時まで−80℃で保存した。P450含有量及びタンパク質濃度を決定した。代謝研究の場合には、P450タンパク質をORと共発現させ、マーカー基質を用いてそれらの比活性を測定した(表1)。
【0051】
【表1】
【0052】
モノクローナル抗体のIC50の決定
IC50値は、Grafitバージョン3.09(Data Analysis and Graphic Program,Erithancus Software Ltd.,Staines,UK)を使用して、以下のようにして計算した。
【0053】
【数1】
[式中、V0は非阻害速度であり、vは観察速度であり、sは勾配係数であり、Iは阻害剤濃度である]
【0054】
マウスの免疫感作及びハイブリドーマ作製
バキュロウイルス発現CYP2D6タンパク質を含有しているSf21細胞ミクロソーム50μgを完全フロイントアジュバント0.2mLに乳化させたもので、3匹の雌Balb/cマウスを、4から6週間に3回i.p.注射により免疫感作し(一次免疫感作)、続いて不完全フロイントアジュバントを用いて2回の免疫感作を行った。3回目の免疫感作の3日後、1匹のマウスを屠殺し、脾臓を摘出した。骨髄腫細胞の、解離させた感作脾細胞との融合は、PEG5000処理によって実施した。HAT培地で希釈された細胞を、10,000個/ウェル(0.2mL/ウェル)の密度で10枚の96穴組織培養プレートへと分配した。ハイブリドーマを選出し、選択HAT培地中で増殖させた。
【0055】
抗体産生に関するスクリーニング
モノクローナル抗体スクリーニングは、マウスIgG(H+L)及びマウスIgG(Fc特異的)に対するアルカリホスファターゼ結合ヤギF(ab’)2断片を使用したELISAによって実施した。イムノアッセイ・プレートを、1pmol/ウェル(100μL)のバキュロウイルス発現CYP2D6を含有しているSf21ミクロソーム、又は野生型バキュロウイルス感染Sf21細胞ミクロソームを、1×コーティング溶液を使用してコーティングした。ハイブリドーマが増殖し始めた時点で、各ウェルからの消費済み培地を、ELISAによってCYP2D6に対する抗体の存在に関してスクリーニングした。各陽性ウェルを再スクリーニングし、次いで10%FBSを含む完全培地を使用してサブクローニングした。目的のハイブリドーマを、モノクローナルであることを確実にするため、少なくとも2から3回再サブクローニングした。
【0056】
イムノブロット分析
Sf21細胞から発現されたP450、及び肝ミクロソーム・タンパク質(1pmol/ウェル)をSDS−PAGEに供し、ニトロセルロースへと転写し、培養液又は腹水に由来するモノクローナル抗体を用いて探索した。モノクローナル抗体結合は、アルカリホスファターゼ結合ヤギ抗マウス抗体を使用して検出した。
【0057】
抗体の特徴決定
アイソタイプ決定は、マウス・モノクローナル抗体タイピング・キット(The Binding Site,Inc.)によって提供されるオクタロニー免疫拡散技術を使用して実施した。
【0058】
モノクローナル抗体を含有している腹水の調製
プリスタンによる初回刺激の後、腹水の調製のため、ハイブリドーマ細胞を、106個/匹の密度で各マウスの腹腔に注射した。高度に濃縮されたモノクローナル抗体を含有している腹水を、2から3週後に各マウスから回収した(3〜5mL/匹)。
【0059】
CYP2D6のモノクローナル抗体による阻害
典型的な1mLのインキュベーションは、モノクローナル抗体(必要に応じて0.0039から40μLの腹水)、及び10から30pmolのCYP2D6又はその他のP450、又は30pmolのヒト肝ミクロソーム(全P450)を含有している0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH=7.4)970μLを含有していた。混合物を、室温で5分間プレインキュベートし、最終容量1mLのNADPH(1mM)及び基質(メタノールに溶解)の添加によって反応を開始させ、37℃で10から30分間インキュベートした。抗MK−0677モノクローナル抗体を、非特異的結合の対照として使用した。(1個以上の)代謝物の定量のための内部標準の添加の後に、代謝物を8倍容量のジクロロメタンで抽出し、窒素ガス流の下で乾燥させた。残さを、50から80%のメタノール又はアセトニトリルの水溶液100μLに溶解させ、HPLC又はLC−MSによって直ちに分析した。モノクローナル抗体のCYP2D6以外のP450との交差反応性を決定するためのマーカー・アッセイは、表1に列挙されている。
【0060】
実施例2:結果
ヒトCYP 2D6に対する抗体の生成及び特徴決定に関する結果を、以下に示す。
【0061】
ヒトCYP2D6に特異的なモノクローナル抗体の調製
CYP2D6 cDNAをコードしている組換えバキュロウイルスを感染させたSf21細胞のCYP2D6に富むミクロソームで、マウス免疫感作した。免疫感作の3週間後、免疫感作されたマウスに由来する分散させた脾細胞を骨髄腫細胞と融合させたところ、3,000個超のハイブリドーマ・クローンを含むHAT選択培養物が形成された。ELISAによって、CYP2D6との結合活性が陽性の抗体産生ハイブリドーマ・クローン191個が同定された。インビトロ・アッセイを使用すると、191個のハイブリドーマのうち2個のクローン(MAb184−10及びMAb50−4として定義した)が、CYP2D6酵素活性を強く阻害するモノクローナル抗体を産生した(図1)。しかしながら、2個のモノクローナル抗体は、いずれも、CYP2D6タンパク質を含むイムノブロットを与えず、そのことからCYP2D6上の(1個以上の)エピトープが高度に高次構造性であることが示唆された。モノクローナル抗体の免疫グロブリンのアイソタイプは、オクタロニー免疫拡散技術によって、MAb50−4についてはIgG2b、MAb184−10についてはIgG2aと同定された。
【0062】
CYP2D6に対するモノクローナル抗体の阻害効果
MAb184−10又はMAb50−4を含有しているマウス腹水を、CYP2D6活性の指標として一般に使用されているCYP2D6により触媒されるブフラロール1’−水酸化に対する阻害効果に関して調査した。図1は、腹水の容量に対する阻害の滴定曲線を示している。10〜15pmolのCYP2D6を含有している1mLインキュベーションへの1μLの腹水の添加により、CYP2D6により触媒されるブフラロール代謝は98%超阻害された。MAb50−4及びMAb184−10のIC50値は、それぞれ0.101±0.005、0.05±0.002μL腹水/mLインキュベーションであることが決定され、このことから、モノクローナル抗体の活性が極めて高いことが示唆された。
【0063】
モノクローナル抗体のその他のP450との阻害的交差反応性
モノクローナル抗体の特異性を決定するため、11個の他のヒトcDNA発現P450についてのマーカー・アッセイを調査した(表1)。1μL腹水/mLインキュベーションのモノクローナル抗体は、CYP2D6により触媒されるブフラロール代謝を99%阻害することが見出されたが、他の11個のヒトcDNA発現ヒトCYP1A1(フェナントレン9−水酸化)、CYP1A2(フェナセチンO−脱エチル化)、CYP2A6(クマリン7−水酸化)、CYP2B6(ジアゼパムN−脱メチル化)、CYP2C8(タキソール6α−水酸化)、CYP2C9(フルビプロフェン4’−水酸化)、CYP2C19(メフェニトイン4’−水酸化)、CYP2E1(クロロゾキサゾン6−水酸化)、CYP3A4(テストステロン6β−水酸化)、CYP3A5(テストステロン6β−水酸化)、及びCYP3A7(テストステロン6β−水酸化)に対する有意な阻害的交差反応性は示さなかった(図2)。モノクローナル抗体腹水の容量を、5μL/mLインキュベーションに増加させても、交差反応は観察されなかった(図3)。従って、2個のモノクローナル抗体の阻害効果は、高度にCYP2D6特異的である。
【0064】
ヒト肝ミクロソームにおけるブフラロール代謝へのCYP2D6の寄与
阻害性のMAb184−10及びMAb50−4を、ヒト肝調製物におけるブフラロール1’−水酸化へのCYP2D6の寄与を決定するために使用した。7個体を調査したところ、ヒト肝ミクロソームのブフラロール代謝基底活性は、0.9から5.9nmol/分,nmolの範囲であった。モノクローナル抗体の添加により、CYP2D6依存性の活性は、肝ドナーに依って、最低で47%、最高で93%阻害された(図4)。これらの結果は、CYP2D6に加え、他のP450もブフラロール代謝において役割を果たしていることを示唆している。図4は、各試料中のMAb50−4及びMAb184−10の両方の阻害効果が極めて一致していたことを示している。
【0065】
興味深いことに、7個のヒト肝ミクロソームのうちの1つ(HL16)においては、CYP2D6が、全ブフラロール1’−ヒドロキシラーゼ活性のわずか47%にしか寄与しなかった。他のP450の寄与を決定するために、CYP2D6、CYP2C8/9、及びCYP3A4に特異的な3個の阻害性モノクローナル抗体を、単独で又は組み合わせて使用して、HL16のさらなる分析を実施した。これらのP450の単独でのHL16におけるブフラロール代謝への量的寄与は、CYP2D6が43%、CYP2C8/9が17%、CYP3A4が無視しうる程度と決定された(図5)。3個のモノクローナル抗体を同時にHL16ミクロソームに添加した場合には、阻害性モノクローナル抗体の相加的な効果が観察され、HL16の全ブフラロール1’−ヒドロキシラーゼは63%超阻害された。従って、CYP2D6及びCYP2C8/9は、それぞれおよそ44%及び17%、ブフラロール代謝に寄与した。HL16における残りの酵素活性(37%)についての他のP450の役割は、不明なままである。これらの結果は、ヒト組織における特定の薬物の代謝への個々のP450の寄与の決定において、阻害性モノクローナル抗体が有益であることを証明している。
【0066】
その他の実施形態も、以下の特許請求の範囲に含まれる。いくつかの実施形態を示し説明したが、本発明の本旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修飾を行うことは可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
CYP2D6によるブフラロール1’−水酸化のMAb50−4及びMAb184−10による阻害を示す図である。
【図2】
12個の組換えヒトP450によるマーカー基質の代謝のMAb50−4及びMAb184−10による阻害の特異性を示す図である。
【図3】
12個の組換えヒトP450によるマーカー基質代謝のMAb50−4及びMAb184−10による阻害の特異性を示す図である。
【図4】
MAb50−4及びMAb184−10を使用した、7個のヒト肝ミクロソーム(HL)のパネルにおけるブフラロール1’−水酸化へのヒトCYP2D6の寄与の評価を示す図である。
【図5】
CYP2D6、CYP3A4、及びCYP2C8/9に特異的な阻害性MAbの組み合わせ使用による、HL16におけるブフラロール1’−水酸化への単一及び複数のP450の寄与の評価を示す図である。
Claims (25)
- MAb50−4、MAb184−10であるか、又はヒト・シトクロムP450 2D6との結合に関してMAb50−4もしくはMAb184−10のいずれかと競合するポリペプチドを含む、実質的又は部分的に純粋なポリペプチド調製物。
- MAb50−4である、請求項1のポリペプチド。
- MAb184−10である、請求項1のポリペプチド。
- MAb50−4もしくはMAb184−10のいずれかであるか、又はヒト・シトクロムP450 2D6との結合に関してMAb50−4もしくはMAb184−10のいずれかと競合するモノクローナル抗体。
- IgG2bサブタイプもしくはIgG2aサブタイプのいずれかであるか、又はIgG2bサブタイプもしくはIgG2aサブタイプのいずれかに由来する断片である、請求項4のモノクローナル抗体。
- IgG2bサブタイプ又はIgG2aサブタイプである、請求項4のモノクローナル抗体。
- ヒトのCYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2E1、CYP3A4、CYP3A5、及びCYP3A7のうちのいずれかと有意に交差反応しない、請求項6のモノクローナル抗体。
- ヒト・シトクロムP450 2D6により触媒されるブフラロールの代謝を少なくとも75%特異的に阻害する、請求項7のモノクローナル抗体。
- MAb50−4である、請求項4のモノクローナル抗体。
- MAb184−10である、請求項4のモノクローナル抗体。
- MAb50−4、MAb184−10であるか、又はヒト・シトクロムP450 2D6との結合に関してMAb50−4もしくはMAb184−10のいずれかと競合するポリペプチドを産生する細胞系。
- ポリペプチドが、IgG2bサブタイプもしくはIgG2aサブタイプの抗体であるか、又はIgG2bサブタイプもしくはIgG2aサブタイプいずれかに由来する断片である、請求項11の細胞系。
- ポリペプチドが、IgG2bサブタイプ又はIgG2aサブタイプの抗体である、請求項11の細胞系。
- 抗体が、ヒトのCYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2E1、CYP3A4、CYP3A5、及びCYP3A7のうちのいずれかと有意に交差反応しないものである、請求項13の細胞系。
- 抗体が、ヒト・シトクロムP450 2D6により触媒されるブフラロールの代謝を少なくとも75%特異的に阻害するものである、請求項14の細胞系。
- 抗体がMAb50−4である、請求項11の細胞系。
- 抗体がMAb184−10である、請求項11の細胞系。
- 不死化されている、請求項11〜17のいずれかの細胞系。
- ATCC No.PTA−3489である、請求項11の細胞系。
- ATCC No.PTA−1999である、請求項11の細胞系。
- 試料中のシトクロムP450 2D6に関してアッセイする方法であって、
a)該試料を請求項1から3のいずれかのポリペプチドと接触させる工程、及び
b)該ポリペプチドの、該試料中に存在する物質と結合する能力を測定する工程を含む、方法。 - 試料中のシトクロムP450 2D6に関してアッセイする方法であって、
a)該試料を請求項4から10のいずれかの抗体と接触させる工程、及び
b)該抗体の、該試料中に存在する物質と結合する能力を測定する工程を含む、方法。 - シトクロムP450 2D6が化合物を代謝するか否かを決定する方法であって、
a)シトクロムP450 2D6と、該化合物と、MAb50−4、MAb184−10であるか、又はヒト・シトクロムP450 2D6との結合に関してMAb50−4もしくはMAb184−10のいずれかと競合し、かつヒト・シトクロムP450 2D6により触媒されるブフラロールの代謝を少なくとも75%特異的に阻害するモノクローナル抗体とを合わせる工程、及び
b)シトクロムP450 2D6の、該化合物を代謝する能力を測定する工程を含む、方法。 - 抗体がMAb50−4である、請求項23の方法。
- 抗体がMAb184−10である、請求項23の方法。
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