JP2004523069A - フローフィールドプレートジオメトリ - Google Patents

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Abstract

流体入口から流体出口まで延長する流路であって、流体出口若しくは流体入口における流路の断面積が、各々流体入口若しくは流体出口における断面積の95%未満である少なくとも1つの流路を備える、燃料電池用のフローフィールドプレートを提供する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池及び電解槽、特にプロトン交換膜型燃料電池及び電解槽に関する。
【0002】
燃料電池とは、燃料及び酸化剤を制御混合して直接電力を発生させる装置である。中間燃焼や発電段階を経ずに直接電力を発生させるため、従来の発電機において燃料を使用するより燃料電池の発電効率が高いことは公知である。燃料電池は単純で望ましいが、実用的な燃料電池システムの開発には近年多数の人員と年月の労力が費やされてきた。電解槽は事実上燃料電池の逆であり、電気を用いて水を水素と酸素に分解する。燃料電池と電解槽は共にいわゆる「水素経済」の主要部になると考えられる。以下は燃料電池に言及するが、基本原理は電解槽にもあてはまることを忘れてはならない。
【0003】
量産されている燃料電池の1つの型はいわゆるプロトン交換膜型(PEM)燃料電池[時おり高分子電解質または固体高分子型燃料電池(PEFC)とも言われる]である。これら電池は水素を燃料として用い、両面に多孔質電極を配置した電気絶縁性(但しイオン伝導性)高分子膜から成る。膜は通常フルオロスルホン酸ポリマーであり、電極は通常、炭素質粉末基板に分散させた貴金属触媒から構成される。この電極と膜の組み合わせはしばしば膜電極接合体(MEA)と呼ばれる。
【0004】
水素燃料は一方の電極(陽極)に供給され、そこで酸化され陽極に電子を、電解質に水素イオンを放出する。酸化剤(通常空気または酸素)はもう一方の電極(陰極)に供給され、そこで陰極からの電子が酸素及び水素イオンと結合し水を生成する。プロトン交換膜型燃料電池の派生はメタノールを燃料として供給する直接メタノール燃料電池である。本発明はそのような燃料電池及びプロトン交換膜を用いるあらゆる他の燃料電池を対象としている。
【0005】
商業用PEM燃料電池ではそのような複数の膜がフローフィールドプレート(セパレーターまたは二極プレートとも言われる)で隔てられて積層されている。フローフィールドプレートは通常、膜の陽極と隣接膜の陰極間の電子移動を良好にするために金属又は黒鉛でできている。
【0006】
フローフィールドプレートは流体(燃料または酸化剤)を供給し、燃料電池の反応生成物として生成した水を除去するために、それら表面に溝パターンを有する。フローフィールドは冷却流体を供給するために備えられてもよい。溝形成にはさまざまな手法が報告されており、例えば、機械加工、エンボス加工、成形(WO00/41260)、また(本発明に特に有用である)レジストを通じてサンドブラスト法(又は移動粒子の運動量を表面の研磨に利用する他のエッチング法(WO01/04982)などによりこれら溝を形成することが提案されている。
【0007】
国際特許出願第WO01/04982号はプレートにレジスト又はマスクをあてがい、サンドブラスト法(または移動粒子の運動量を表面の研磨に利用するウォータージェット加工等の他のエッチング方法)によりフローフィールドプレートを加工し、マスクまたはレジストで形成されたパターンに対応する形状を形成する方法を開示している。
【0008】
そのようなプロセスはWO01/04982が示すようにフローフィールドプレートを貫通する孔、フローフィールドプレートにくぼみや流路を形成することが可能である。本発明を可能にするために充分な背景を提供するとして、WO01/04982のプロセス全体を本明細書に援用する。
【0009】
実際には、これまでの大半のプレートは流路を切削して形成されてきた。従来、切削の欠点として工具磨耗によりテーパー状の流路が生じると考えられてきた。テーパーは容易に制御し難い。通常±25μmを許容範囲とした直線側壁を有する流路を形成することが目標である。
【0010】
フローフィールドプレート、膜、及び関連する燃料及び酸化剤供給の集合体はしばしば燃料電池スタックと言われる。
【0011】
上記記載技術は試作品や限定された幾つかの商用適用先において有用であることを認められているが、幅広い商業受諾を得るために現在、フローフィールドプレートの価格低減及び性能向上に用いるためのジオメトリ範囲の向上が要求されている。
【0012】
WO00/41260は既存のフローフィールドプレート構造の利点及び欠点について詳細に記載している。特に、プレートにわたる圧力損失の維持の必要性及び差圧増加の欠点、すなわちさらに大きい寄生エネルギー需要について説明している。
【0013】
WO00/41260は蛇行流路の湾曲部周辺での渦(eddy)生成の問題についても説明している。
【0014】
WO00/41260に提議されているこれら多種問題の克服方法として直線的な流路を有するフローフィールドプレートを提供すること、また以前の直線的な流路を有するフローフィールドプレートに比して流路長を増加させ、流路幅を低減させることがある。
【0015】
WO00/41260はさらにこのような流路を形成する従来の切削工具の欠点、特に一定幅を有する幅の狭い流路の再形成に支障をきたす工具磨耗について説明している。WO00/41260中の提案としては、そのような微細流路は成形またはエンボス加工により形成可能である。しかし、プレートの成形またはエンボス加工はプレート原料を限定するため、微細形状と原料物性の妥協が必要である。
【0016】
出願人は、もしフローフィールドプレート上に縮小する断面を有する流路を再形成できれば、縮小する断面によりプレートにわたって均一の圧力損失を与えることが可能となり、また、プレート上に変動負荷容量を与えることも可能であることを理解している。このような縮小する断面流路は略いずれのフローフィールドプレートジオメトリに対しても優位である。
【0017】
従って本発明は流体入口からその流体出口まで延在する流路を少なくとも一つ有する、プロトン交換膜型燃料電池または電解槽に用いるフローフィールドプレートを提供する。流体出口または流体入口における流路断面積は各々流体入口または出口における流路断面積の95%未満である。
【0018】
好ましくは流体出口または入口における流路断面積は各々流体入口または出口における流路断面積の75%未満である。
【0019】
流路はフローフィールドの電気化学的に活性な領域を跨がってよく、電気化学的に活性な領域の片側にある流路断面積が、電気化学的に活性な領域のもう片側の流路断面積の95%未満である。
【0020】
本発明のさらなる詳細は請求の範囲及び下記図面の説明から明らかになる。
【0021】
下記記載はレジストを通じブラスト処理(サンドブラスト法)によるフローフィールドプレートの製造に関するが、本発明の特徴は本製造方法に限定されない。
【0022】
ガス送出流路及びガス拡散流路の両方を形成するには、好ましい流路ジオメトリに対応するパターンを有するテンプレート又はレジストをプレート表面に配置するブラスト処理等の技術が用いられてもよい。このような技術はWO01/04982に記載されており、本発明を可能にするためWO01/04982の全体を本明細書に援用する。
【0023】
この技術では、プレートは黒鉛/樹脂複合材料または用いる反応物と著しく反応しない他の無孔な導電性材料から形成される。非常に好ましいブラスト処理法としては空気ブラストの利用がある。ウォータージェット加工は一般的に、簡易制御には激しすぎるが、注意力と優れた制御装置により適用可能である。
【0024】
このような微細形状形成法の代替法にはエキシマレーザーアブレーションまたは化学エッチングがあるが、いずれのプロセスも現プロセスの低コストを達成できていない。
【0025】
本技術では異なる流路幅のプロファイルはマスクの影により変化することが明らかとなった。図1は狭い流路102を表面に形成したフローフィールドプレート101を示す。流路形成に用いるレジストの付影効果により、流路は真上のみからのサンドブラスト粗粒子に効果的にさらされる。この場合、流路のほぼ半円プロファイル及び流路の浅い切削につながる。
【0026】
さらに大きい流路(103及び104)にはレジストの影は小さく、さらに広範囲の角度からフローフィールドプレート表面にサンドブラスト粗粒子が衝突し、そのため表面の深い切削及びさらに平らな流路底が得られる。
【0027】
従って、プレートに異なる流路幅のレジストをあてがい、プレート及びレジストを微粒子のサンドブラストにさらすことで、異なる幅及び深さを有する流路パターンの適用が可能である。
【0028】
異なる幅及び深さを有する流路パターンの適用には利点がある。従来法によるフローフィールドプレート上流路の本来の目的は、反応材料の電極への均一供給を保証し、反応生成物の迅速除去を保証することである。しかしながら、通常、蛇行経路が用いられるため、材料が移動する行程長は長い。
【0029】
反応物を反応表面に均一に供給し、反応生成物を除去することを目的とする別のシステムは肺である。肺では徐々に縮小する流路が配置されており、空気は肺内の反応場への短い経路を有し、二酸化炭素は肺外への短い経路を有する。フローフィールドプレート内に徐々に縮小する流路のネットワークを備えることで、反応ガスは反応場への短い流路を有することになる。
【0030】
極微小流路は、フローフィールドプレートの外へは単に幅広なガス除去流路に開放してもよく、もしくは肺と同様、対応する徐々に拡大する流路のネットワークを備えてもよい。後者の場合、徐々に縮小する流路と徐々に拡大する流路の二つのネットワークは両端で接続してもよく、もしくは電極材料中の拡散により接続性を有するインターディジテイティッド(interdigitated)ネットワークとして配置されてもよい。両端での接続は閉塞除去を補助するため、流路内で高圧状態が維持されるという利点がある。
【0031】
相互接続流路と未接続流路の選択は取扱う電極に依存する。水素イオンは陽極から移動し、高分子を通過して、陰極にて水となる。水は全て電池の陰極側(空気または酸素側)で生成される。陰極側で水が発生するため、空気側のガス流路はあふれを生じさせないよう未接続にできないことを意味する。電極の透過性は高くないため、GDLを用いていない場合、インターディジテイティッド流路にも注意が必要である。また、インターディジテイティッド流路は供給ガス中の不純物除去を制限する。従って、枝分かれした流路が末端同士で接続する、または大きい流路に排出するモデルが好ましい。
【0032】
図2はフローフィールドプレートの概略的な部分平面図を示し、幅広な一次ガス送出流路104は二次ガス送出流路103に分岐し、さらにそれぞれはガス拡散流路102に分岐する。必要に応じて一次ガス送出流路104からガス拡散流路105が分岐してもよい。一次及び二次ガス送出流路及びガス拡散流路はそれぞれ徐々に縮小する流路のネットワークを形成してもよく、また流路配置はフラクタル配置と類似してもよい。
【0033】
一次ガス送出流路は、1mmより大きい、例えば約2mmの幅を有する。このような流路の標準深さは0.25mmであるが、深さは流路形成後のフローフィールドプレートの充分な強度を有する必要性によってのみ制限される。二次ガス送出流路は、1mm未満の、例えば0.5mmの幅を有し、サンドブラスト技術を用いることにより一次ガス送出流路より浅くてもよい。ガス拡散流路幅は、0.2mm未満、例えば約100μmであり、さらに浅くてもよい。
【0034】
フローフィールドプレートはガス拡散層と併用してもよく、またフローフィールドプレート表面上に充分な密度で存在し、充分なガス送出を与えるガス拡散流路を備えることでガス拡散層を省いてもよい。
【0035】
燃料電池として作用する場合、ガス送出流路はガスをフローフィールドプレートの表面にわたって分散するガス拡散流路にガスを送出する。電解槽として作用する場合、ガス拡散流路は、フローフィールドプレートの表面一帯からガスを受け取り、ガス送出流路は回収のためガスを送出するように作用する。
【0036】
サンドブラスト技術では、流路幅の限界値はサンドブラスト処理に用いるマスク厚さの関数である。Image Pro(登録商標)材料(Chromaline Corp.米国)は非常に厚く、125μmである。これらのマスクは流路幅を約100μmに制限する。他のマスク材料は基板にスプレーコートし、その場で曝露することができる。これらの材料は弾性を有し、そのためさらに薄くできる。Chromaline SBX(登録商標)は10〜20μm幅までの形状のエッチングに使用できる。
【0037】
使用できる各種マスクとしては:
a)粘着固定させたシートマスク、
b)材料の好ましい表面を覆い、その後選択的に領域を除去処理できる塗装、スプレーコート、スクリーン印刷、または他の方法により塗布されるマスク、
c)塗布及び再利用が可能なマスク、
d)直接印刷される、または表面に塗布される(例えばインクブラスト印刷)マスク
があり、本発明は特にいずれのマスク形態に限定されないが、b)及びd)タイプは量産に最も適している。
【0038】
言うまでもなく、研磨ブラスト処理に用いられる研磨材料は、形成される形状より小さい微粒子サイズを有している必要がある。しかし、粒子サイズの微小化は研磨速度を遅くする。出願人は、ブラスト処理の際に比較的粗い研磨材料(例えば直径50μm〜250μmのシリカまたはアルミナ粗粒子)の使用により幅広な流路を形成し、続いて細かい研磨材料(例えば直径5〜20μmのシリカまたはアルミナ粗粒子)の使用により微細形状を形成することが有用であることを明らかにした。さらに下記に説明するように、粗い材料と細かい材料は一段階で混合及び塗布されてもよい。本発明はいずれの特定の研磨材料も限定しない。
【0039】
好ましいプレート材料は黒鉛、炭素-炭素複合材料、または炭素樹脂複合材料である。しかし、本発明はこれら材料に限定せず、研磨材の適切な選択及び適切な物理的物性を有するいずれの材料に対しても適用することができる。
【0040】
研磨材料の斜軸ブラストの使用は有利である。図3の概略図では、レジスト1がプレート2上に配置されている。レジスト1は厚みdrと幅wrの開口部3を有する。開口部3を通って吹き付けられた研磨材料はプレート材料を研磨し、深さdv及び幅wvの空隙4を形成する。空隙4の底表面5から粒子がはね返らず、充分な強度で凹部表面6を研磨すると仮定すると、凹部表面の最小角αは開口部3への粒子接近の最小角度で決定される。従って、この空隙形状では、最大空隙幅を次のように計算することができる。
v=wr+2・dv・(wr/dr
【0041】
例として、レジスト厚みを0.125mmと仮定し、開口部サイズ及び所要深さを変化させて算出した空隙幅を表1に示す。
【0042】
【表1】
Figure 2004523069
【0043】
実際には、サンドブラストは数学的に厳密な切削工具を提供するものではなく、図3の空隙形状の形成にはそのような工具で済む。さらに、アンダーカット角度は、αより小さくないという条件で、サンドブラストで生成する研磨粒子の入射角に依存する。もしサンドブラストで生成する研磨粒子の入射角がαより小さい場合、プレート2がレジストの影になり、サンドブラストによる表面の研磨はほとんど生じないか、または全く生じない。
【0044】
実際には図4に示すような空隙形状は、「A」方向から「B」方向まで、異なる方向の広い範囲からの均一のサンドブラストにより、形成されたアンダーカット角度は、研磨材料の流れの方向A及びBとプレート面への垂線の間の角度に近い、各々βAとβBになる。(サンドブラストでは角度のずれが生じるため、アンダーカット角度は流れ方向A及びBの角度に正確には一致しない。)これら角度は図4には同等であるように示されているが、そうでなくてもよい。
【0045】
空隙の形状は異なる強度のブラストを異なる方向から向ける、もしくは異なる頻度で異なる方向からブラストを向ける、または両方法を伴わせることでかなりの程度まで整えることができる。例えば、図5に示す空隙は、「A」及び「B」方向から連続的にブラストすることでくびれ8でつながる空隙4形成することができる。
【0046】
図3ないし図5は、かなりの厚みを有するレジストを示すように誇張された概略図であると理解されたい。そのためアンダーカット角度が小さく示されている。実際には、薄いレジストでは深いアンダーカット空隙が得られる。しかし、アンダーカット角度βが大きいほど、空隙4への突出部7の先端が薄くなる。所定材料における適切なアンダーカット角度βは研磨に必要な強度に依存する。アンダーカット角度は20°より大きい方が好ましく、さらには30°より大きい方が好ましい。さらに好ましくはアンダーカット角度は40°より大きい。60°以上の角度も可能であり、いくつかのジオメトリには有利であるが、60°未満のアンダーカット角度が強度には好ましい。
【0047】
図6に示すように、適切なマスク開口部の間隔及びブラスト方向が選択されれば、一対の近接した空隙4がくびれ8にて融合し、表面では隣接ポート9及び10を接続する一つの空隙も形成できる。
【0048】
フローフィールドプレート製造への本技術の適用例を図7から図9に示す。プレート11は流体入口ポート12を有する。図7に示すように、流体入口ポート12はプレート11表面で流路13と接続する。流路13は流路幅を画定する端14を表面に有する。流路13は、プレート1の本体内部における方がプレート1の表面より広い幅を有する。流路断面の入口がプレート本体内の流路断面の内部より狭い、例えば図3〜図5のいずれかの断面を有している。
【0049】
流路13の最大幅を線15として示す。このようなフローフィールドプレートは同等の断面積を有する狭く平行な側面を有する流路より浅い流路を有することができ、そのため薄いフローフィールドプレートの使用を可能にする。典型的な二極プレートのガス流路は正方形または長方形の断面で、ミリメートルサイズである。例えばBallard(登録商標)プレートは2.5mm角の断面の流路を有する。APS(登録商標)プレートは幅0.9mm、深さ0.6mmの流路を有する。図3に示す基本的な断面を有する流路において、流路断面積は次のように表すことができる。
r・dv+2・(1/2)・dv・(dv/tanα)
【0050】
表2は、図3に示されるように本発明で形成される流路を既知Ballard(登録商標)プレート及びAPS(登録商標)プレートと比較したものである。
【0051】
【表2】
Figure 2004523069
【0052】
流路の深さ及び断面積を一定にすると、このジオメトリは表面により狭い隙間を与えるため、上述した従来のジオメトリの欠点を低減する。これを以下の表3に示す。
【0053】
【表3】
Figure 2004523069
【0054】
言うまでもなく、これらの数値はサンドブラスト技術における理想的なジオメトリにより計算したものであり、実際に得られる寸法は異なる。角度αは種々の流路幅により異なることを理解されたい。これは幅広な流路では狭い流路より大きい角度でアンダーカットを得ることができることを意味する。さらに、レジスト厚みも角度αに影響を及ぼす。従って、流路幅やレジスト厚みを変化させることにより、レジストの影を用いて異なるアンダーカット角度を有する流路を提供できる。
【0055】
図8は図7に類似したジオメトリを示すが、複数のポート16においてプレートに孔をあけて、それらポート周囲をアンダーカットして流路13を画定したものである。この配置では、流路は、流路を橋渡しして表面のポートを接続する覆われた流路を形成する領域により面方向に遮断されている。
【0056】
図9は(図6のように)隣接するポート対を備える類似の配置を示す。
【0057】
異なる方向からのサンドブラストを実施するためには、一操作で研磨材料が複数の流れ方向から向けられるよう複数のブラストガンを使用することができる。あるいは単一ブラストガンを異なる方向から連続して使用することもできる。あるいは複数のブラストガンを異なる方向から続けて使用してもよい。例えば、非平行方向にブラストを向ける2つ以上のブラストガンを具備したサンドブラストヘッド(例えば図3の方向A及びB)がフローフィールドプレート上を横断するようにしてもよい。
【0058】
ブラストは横断する際に、レジストの開口部を方向A及びBからのブラストに連続的に効率良く曝す。方向A及びBに向けられたブラストガンを連続的に横断させても同様の効果が得られる。もし、くびれ8の下にあるこぶ(膨らみ)を平坦にすることが求められるのなら、プレート2の表面に垂直に向けられたブラストガンを用いることができる。そのようなブラストガンは非平行な方向にブラストを向けるための2つ以上のブラストガンを具備するサンドブラストヘッドの一部であってもよく、また別の操作に用いる別のブラストガンでもよい。
【0059】
ブラストの研磨粒子はその直径より小さい開口部には入れず、角度を付けて向けられた粗研磨材を用いて大きいアンダーカット流路を形成でき、また別の垂直に向けられたブラストにより細研磨材を用いてアンダーカットのない微細流路を形成できることは明らかである
【0060】
代替で、あまり好ましくないアンダーカット流路の形成法としては、研磨材の方向を一方向に維持し、相対的にプレートの角度を調節する。本方法は上記方法と併せてもよい。
【0061】
本技術がアンダーカットジオメトリを得るための唯一の技術ではないことは明らかである。例えばエキシマレーザーアブレーションはサンドブラスト技術の模倣として用いることができる。代替としてはプラスチック材料に流路を形成した後、材料を丸めることで流路端を内側に入れることもできる。
【0062】
アンダーカット流路を得るためのさらなる代替法として、2つ以上のプレートからフローフィールドプレートを形成する。図10は、中心の無孔プレート217と、各々中心の無孔プレート217に隣接する面に流路219を有する2つのプレート218とを示す。流路219は中心の無孔プレート217から離れた面に開いているポート220を有する。ポート220は、ポート220から延びて、中心の無孔プレート217から離れた面に形成された微細流路221を有してもよい。プレート218は、上述のサンドブラスト法または他の適切な方法により形成できる。プレート217及び218は重ね合わされ、複合フローフィールドプレートを形成する。フローフィールドはプレート217のいずれかの面に重ねられたプレートに埋め込まれている。ポート220は流体を複合フローフィールドプレート表面から及び該表面へ導くように機能し、微細流路221は複合フローフィールドプレート表面に流体を導くように機能する。(このようなフローフィールドプレート表面の微細流路221は図7〜図9までのジオメトリにも用いられ得る。)
【0063】
幅0.2mm未満のガス拡散流路は、流路13からの流入するガスの拡散に有利に用いられる。
【0064】
プレート217と1つのプレート218を複合し、プレート217の片側のみのフローフィールドを形成できることは明らかである。この場合、プレート217は、任意で、異なるジオメトリのフローフィールド(例えば冷却剤用)をプレート217から離れた側に有することができる。
【0065】
出願人は、もしフローフィールドプレートに縮小する断面を有する流路を繰り返し形成できれば、縮小する断面によりプレートにわたって均一な圧力損失を提供することが可能となり、また、プレート上に変動負荷容量を与えることも可能であることを明らかにした。このような縮小する断面流路は略あらゆるフローフィールドプレートジオメトリに対しても優位である。
【0066】
現在、縮小する断面を有する流路の利点は主に燃料電池の水素側に適用される。動作中、水素はフローフィールドプレートの電気化学的に活性な領域の隣接で消費されるため、プレートから排出されるガスはプレートへの供給量より少ない。したがって段階的に縮小する流路はフローフィールドの電気化学的活性領域にわたり均一な圧力損失を与えられる。
【0067】
所要面積の低減は燃料電池のジオメトリにより変動する。フローフィールドの電気化学的活性領域入口の初期断面積に対する出口断面積の95%低減は多少の有用な効果はあるが、本発明はさらに大きい低減を、通常はフローフィールドの電気化学的活性領域入口の初期断面積から25〜75%範囲での低減、例えばフローフィールドの電気化学的活性領域入口の初期断面積から30〜50%の低減を意図する。
【0068】
複数の流路に分岐する流路については、フローフィールドの電気化学的活性領域から出る複数の流路の断面積の和を用いて断面積の低減率を計算すべきである。
【0069】
酸素側では、消費される各酸素分子につき水分子2つが生成する。現在、商業用燃料電池では、この水は概して液体及び蒸気の両方として生成される。しかし、水の沸点以上での燃料電池操作を可能とする膜技術の向上により、燃料電池から排出されるガス量は供給される量より多くなる。これは段階的に広くなる流路を形成して燃料電池に均一圧力ゲインを提供できることになる。
【0070】
本発明は冷却剤フローフィールドにも用いることができ、特に流路数がフローフィールドの前後で異なる場合に適用できる。
【0071】
フローフィールドの電気化学的活性領域にわたる圧力損失を制御するために、均一に縮小する断面を有さないことが有利である。これにより電池のいくつかの部分が他より熱くなり、それは水管理により調整できる。
【0072】
縮小及び拡大する断面は流路のテーパー、流路深さの増加または減少、もしくは両者で得られる。
【0073】
図11は概略的に一端330から他端331へ先細になるフローフィールドプレートの単一流路304を示す。テーパー流路304の深さは一定であるよう示してあるが、前述より必ずしもそうでないことを理解されたい。他端331の面積は一端330より小さい。使用の際、流路は膜電極(介在するガス拡散層を有しているか、あるいは有していない)に並び、膜電極の電気化学的活性部分に隣接したフローフィールド面積をフローフィールドの電気化学的活性領域と呼ぶことにする。
【0074】
図12は使用できるフローフィールドジオメトリを示す。これはテーパー流路と分岐するフローフィールドジオメトリとを併せたものである。フローフィールドプレート302は燃料ガス送出流路305を燃料ガス排出流路306に接続する複数のテーパー流路304を有する。電気化学的に活性な領域307内で流路は先細になる。隣接している流路304は高圧領域から低圧領域に流れるガス拡散流路308に接続してもよい。
【0075】
出願人は従来の燃料電池配置に用いられる流路のいくつかが省略可能であることを明らかにした。図13はフローフィールドプレート402が環状であり、燃料供給開口部403を有する別形状のフローフィールドを示す。枝分かれしたフローフィールドパターン404(図示部分)は燃料供給開口部403と燃料排出部405を接続する。ランド406はシールのために構成されており、この構成はフローフィールドの形成時または別の段階で形成されてもよい。
【0076】
フローフィールドプレート402の下側の酸化剤のフローフィールドは逆向きであり、フローフィールドプレート402の外縁から流入する酸化剤は内部排出部407へ流れる。このようなフローフィールドプレートを用いた複数のフローフィールドスタックは図14に示す一般的なハウジングで使用されてもよい。チャンバー410は、複数の燃料電池スタック411を収容し、このスタックは、中心開口部412から燃料が供給され、酸化剤がチャンバー内に供給されてスタック間の空間413を満たす。ドレイン405及び407からの廃棄物は、同じまたは反対のスタック端でこの集合体から除去される。
【0077】
言うまでもなく、この配置全部を逆転できるが(酸化剤が中心からで燃料が外側から)、安全性のため、図示した配置が好ましい。この配置では燃料供給開口部403を燃料の貯蔵手段により満たすことも可能である。これによりコンパクトで充電可能なバッテリーのようなエネルギー源を提供できる。
【0078】
従来のフローフィールドプレートは長方形の形状であることより角のシールが問題となるが、図13及び図14の配置は円形状のフローフィールドプレートに限定されない。シールのためには円形状もしくは楕円形状ジオメトリが優位である。円形配置は燃料電池スタックの加圧には理想的でなく、図13に示す、スタックを締めるねじ棒や他の手段を受ける穴を角に取り付けた六角プレートが都合よい。
【0079】
上記のように、研磨ブラスト技術によりフローフィールドプレートを形成する際に、異なる流路サイズの形成には異なる大きさの研磨材を用いることができる。様々なサイズの研磨材を混合し、混合物を生成できる。図15はそのような技術に用いる研磨ブラストガンであり、本体601は流入高圧ガス供給パイプ602と2本の研磨材送出パイプ603及び604を有する。パイプ602からの空気ブラストにより送出パイプ603及び604から研磨材を引き込む。送出パイプは必要なら独立に調節してもよい。研磨材を取り込んだ空気ブラストは空気ブラストの発散を制限するためのパイプ605を通って下の方に進む。従来のサンドブラストによる発散角度は、パイプ605を延長するか、あるいはパイプ605の下流に開口出口を設けることにより、最も発散するブラスト部分を除去することで低減できるが、一般的に約10°である。必要に応じて、パイプを短縮するか、あるいは空気ブラスト中心に障害物を設置することにより、側方に発散させることでブラストを広げることもできる(後者の場合、研磨運動量の損失が見られる)。
【0080】
複数の噴射ヘッド付きブラストガンを本発明により用いてもよい。これはアンダーカットと直線的側壁を有する流路の形成に優位である。図16は簡略化のため2つの噴射ヘッド502を有するブラストガン501を示すが、本発明は1つ以上の噴射ヘッド、好ましくは3つの噴射ヘッドを用いることができることを理解されたい。各噴射ヘッドはブラスト材料503の噴射入射角βA及びβBを変えることができるよう先端に具備されている。基板506を効率よく研磨するために、上記のようにこの角度はレジスト504の厚みdr及びマスクの開口幅wrにより制限される。複数の噴射ヘッドをそれぞれ使用することで空隙505が基板506に形成される。
【0081】
まず、複数の噴射ヘッド付きブラストガンは単に基板上を横断して、ブラスト材料の噴射がアンダーカット空隙505を形成するように向けられてもよい。3つの噴射ヘッドからなる複数の噴射ヘッド付きブラストガンの場合、3つめは好ましくは基板に対し90°に向けられ、空隙に平坦な底面が形成することを確実にする。
【0082】
次に複数の噴射ヘッド付きブラストガンは軸508を中心に基板506の平面から回転(好ましくは平面に垂直に)し、実質上円錐状のブラストをもたらす。これは基板中の空隙や開口が均一にアンダーカットされることを確実にするために特に有利である。もちろん、単一の傾斜ブラストガンの軸周りの基板506の平面からの回転(好ましくは平面に垂直に)でも同様の効果が得られるが、複数のブラストガンにより噴射ヘッドの回転速度を低く設定できることが意図される。
【0083】
もし円錐状のブラスト先端が基材表面に接触するなら、研磨粒子は互いに干渉する可能性がある。しかし、もし先端が基材表面より下方であれば、ブラストは表面では円形または楕円形状を描き、そのような干渉は低減される。
【0084】
WO01/04982に記載されている研磨ブラスト技術では、ブラストガンはプレートに対して一方向に横断し、ブラストガン下のプレートは非平行な方向に移動することでプレート上をブラストがラスター状に横断する。(ブラストガンを固定したまま、プレートを動かせることは明らかであるが、これは設計するにはさらに複雑である)。一定の横断速度を保つことは通常優位であるが、ジオメトリを左右で著しく変化させることが目的である(例えば図12のように)場合、異なる深さの切り口を得るためブラストガンまたはプレートの速度を変化させることは有利になる。本技術を用いて形成できる別のジオメトリとしては、図12と類似しているが、略直線的な流路304を有し、この流路304は、燃料ガス送出流路305から燃料ガス排出流路306まで段階的に浅くなる。
【0085】
上記のようなフローフィールドプレートの多くは、マスクを通す研磨ブラスト処理以外でも得られる(例えば適切な材料の射出成形、エキシマレーザーアブレーション)ことが明らかであろう。
【0086】
研磨ブラスト処理法による炭素質材料の加工は多量の炭素ダストを生成するため、これを処理し、爆発の危険になることを防止する手段が提供される必要がある。研磨材の循環にて空気分級器、または粒子を大きさ又は重量により分離する他のかかる手法を用い、炭素と研磨材を分離し、例えば火炎に通して炭素を焼き切り、除去することができる。
【0087】
空気分級器は細かい研磨粒子と粗いものをも分離し、粒子を必要な場合別々のブラストガンへ送ることもできる。
【0088】
導電性コア及び絶縁性外枠を有するフローフィールドプレートの提供は公知である(例えばWO97/50139、WO01/89019、及び米国特許第3,278,336号)。本発明のフローフィールドはかかる配置にも用いられる。フローフィールド全体が導電性コア上、若しくは部分的に絶縁性外枠上に、また部分的に導電性コア上に配置される。特に、流体の供給部及び排出部は絶縁性外枠上にあってもよい。かかる配置では、流路断面は導電性コア上のみで変化してよく、特に膜電極集合体の電気化学的活性領域の下の領域でテーパーしてよい。
【0089】
上に記述された個別の整数及び組み合わせはそれぞれ独自に本発明を形成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】研磨空気ブラスト技術(サンドブラスト法)により形成されたガス送出流路及びガス拡散流路が組み込まれた流体フローフィールドプレートの一部を概略的に示した部分断面図である。
【図2】ガス送出流路及びガス拡散流路が組み込まれた流体フロープレートの一部を概略的に示した部分平面図である。
【図3】流路アンダーカット法の一つを説明する概略図である。
【図4】図3の方法の技術の限界値を例を挙げて示す概略図である。
【図5】図3の方法を実施するためのさらなる方法を示す概略図である。
【図6】図3の方法をさらに実施するための方法を示す概略図である。
【図7】フローフィールドプレートの流路を示す概略的な部分平面図である。
【図8】フローフィールドプレートのさらなる流路を示す概略的な部分平面図である。
【図9】フローフィールドプレートのさらなる流路を示す概略的な部分平面図である。
【図10】フローフィールドプレートの別の構成を示す部分図である。
【図11】フローフィールドプレートの流路の概略図である。
【図12】フローフィールドプレートジオメトリの概略図である。
【図13】別のフローフィールドプレートジオメトリの概略図である。
【図14】図13のフローフィールドプレートジオメトリの一使用例を示す概略図である。
【図15】本発明に用いる研磨ブラストガンの概略図である。
【図16】複数の噴射ヘッド付きブラストガンの一使用例を示す概略図である。

Claims (11)

  1. プレート上の流体入口から流体出口まで延びる流路であって、流体出口若しくは流体入口における断面積が、各々流体入口若しくは流体出口における断面積の95%未満である少なくとも1つの流路を備える、プロトン交換型膜燃料電池若しくは電解槽のためのフローフィールドプレート。
  2. 流体出口若しくは流体入口における前記流路の断面積は、各々流体入口若しくは流体出口における断面積の75%未満である請求項1に記載のフローフィールドプレート。
  3. 前記流路はフローフィールド内の電気化学的に活性な領域を横断し、前記電気化学的に活性な領域の一方の側の前記流路の断面積が前記電気化学的に活性な領域の他方の側の断面積の95%未満である請求項1または2に記載のフローフィールドプレート。
  4. 前記流路は枝分かれしている請求項1〜3のいずれか一項に記載のフローフィールドプレート。
  5. 前記流路の幅は長さに沿って変化する請求項1〜4のいずれか一項に記載のフローフィールドプレート。
  6. 前記流路の深さは長さに沿って変化する請求項1〜5のいずれか一項に記載のフローフィールドプレート。
  7. 前記流路の断面積は長さに沿って不均一に変化する請求項1〜6のいずれか一項に記載のフローフィールドプレート。
  8. 導電性コアと絶縁枠を含む請求項1〜7のいずれか一項に記載のフローフィールドプレート。
  9. 前記流体入口及び/または流体出口は前記絶縁枠上に配置されている請求項8に記載のフローフィールドプレート。
  10. 前記流路の断面積は前記導電性コア上のみで変化する請求項9に記載のフローフィールドプレート。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のフローフィールドプレートを複数含むプロトン交換型膜燃料電池若しくは電解槽。
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