JP2004522425A - タンパク質クラスターiをコードする遺伝子及びコードされるタンパク質 - Google Patents
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Abstract
本発明は、代謝的に関連する組織において発現されるヒト遺伝子ファミリーの同定に関する。かかる遺伝子は、肥満及び糖尿病のような代謝性疾患の診断において、ならびに該疾患の治療の際に有用な物質の同定において有用であると予想される、「タンパク質クラスターI」と称されるポリペプチドグループをコードする。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、代謝的に関連する組織において発現されるヒト遺伝子ファミリーの特定に関する。かかる遺伝子は、肥満及び糖尿病のような代謝性疾患の診断において、ならびに該疾患の治療において有用な物質の特定において有用であると予想される、「タンパク質クラスターI」と称されるポリペプチドグループをコードする。
【背景技術】
【0002】
代謝性疾患は、正常な代謝を分断する何らかの疾患又は障害と定義される。それらは、栄養欠乏から;内分泌系、肝臓又は腎臓の疾患に関連して;又は遺伝的欠陥の結果として;起こりうる。代謝性疾患は、エネルギーを産生するために、細胞成分を再生するために、又はこれらのプロセスから生じる不必要な産物を排泄するために;不可欠である化学反応の1又はそれ以上における異常によって引き起こされる状態である。いずれの代謝経路が関与しているかに依存して、単一の欠陥化学反応が、1つの身体機能に関わる狭義の、又は多くの器官と系に作用する広義の影響をもたらすことがある。
【0003】
代謝に影響を及ぼす主要なホルモンの1つは、膵臓のランゲルハンス島のベータ細胞で合成されるインスリンである。インスリンは主として代謝の方向を調節し、多くのプロセスを基質の貯蔵へと方向づけ、それらの分解を抑制する。インスリンは、グルコースとアミノ酸ならびにカリウム、マグネシウム、及びリン酸のような重要な無機質の血液から細胞への輸送を高める働きをする。またインスリンは細胞内の様々な酵素反応を調節し、それらの反応はすべて共通の全体的方向、すなわち小さなユニットから大きな分子の合成へと向かう方向性を持つ。インスリンの作用の欠損(真性糖尿病)は、(i)グリコーゲンの形態でのグルコースの貯蔵とエネルギーのためのグルコースの酸化、(ii)脂肪酸及びそれらの前駆体からの脂肪の合成と貯蔵及び脂肪酸酸化の完了、及び(iii)アミノ酸からのタンパク質の合成、に深刻な障害を引き起こす。
【0004】
2種類の糖尿病が存在する。I型は、インスリン注射を必要とするインスリン依存性糖尿病(IDDM)である;以前は若年発症糖尿病と呼ばれていた。このタイプでは、インスリンが膵から分泌されず、それ故注射によって摂取しなければならない。II型のインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)は食事制限によって制御しうる。不十分な膵からのインスリン分泌と分泌されたインスリンに対する組織抵抗性に由来し、ベータ細胞によるインスリン分泌の微妙な変化を合併する。若年性又は成人発症という以前の分類にもかかわらず、どちらのタイプもどのような年齢でも起こりうる;NIDDMが、しかしながら、最も一般的なタイプであり、すべての糖尿病の90パーセントを占める。糖尿病の正確な原因はあいまいなままであるが、NIDDMが遺伝と肥満に結びつくことは明白である。過剰体重又は肥満になる人々においては明らかにNIDDM糖尿病への遺伝的素因が存在する。
【0005】
肥満は通常ボディマス指数(BMI)、すなわち体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で除した値で定義される。体重は非常な精密さで調節される。体重の調節は、正常体重の人だけでなく、肥満が、その付近で体重が調節される設定ポイントの上昇に起因する多くの肥満者においても起こると考えられる。肥満の決定因子は遺伝、環境、及び調節に分類することができる。
【0006】
最近の発見は、どの遺伝子が肥満を決定し、それらがどのようにして体重の調節に影響を及ぼしうるのかを説明する助けとなった。例えば、ob遺伝子における突然変異はマウスにおいて重大な肥満をもたらした;ob遺伝子のクローニングは、この遺伝子によってコードされるタンパク質、レプチンの同定を導いた;レプチンは脂肪組織細胞において産生され、体脂肪を制御するように働く。レプチンは、体重に影響を及ぼす、脂肪組織とエネルギー代謝を制御する脳領域との間のシグナルとして働くので、レプチンの存在は体重が調節されるという概念を裏付ける。
【0007】
糖尿病や肥満のような代謝性疾患は臨床的及び遺伝的に不均質な疾患である。分子遺伝学における最近の進歩により、IDDM及び(若年者の成人発症型糖尿病(MODY)を含む)NIDDMのいくつかのサブタイプに関与する遺伝子が認識された(Velho & Froguel(1997)Diabetes Metab.23 Suppl.2:34−37)。しかし、いくつかのIDDM感受性遺伝子はまだ同定されておらず、また一般的な形態のNIDDMに寄与する遺伝子についてはごくわずかしか知られていない。候補遺伝子及びIDDM又はNIDDMの動物モデルにおいて位置づけされた遺伝子の試験、ならびに種々の個体群からの糖尿病ファミリーのゲノム全体のスキャニングは、ほとんどの糖尿病感受性遺伝子の同定及び新しい潜在的薬剤についての分子標的の特定を可能にするはずである。代謝性疾患に関わる遺伝子の特定は、それ故、新しい予測的及び治療的アプローチの開発に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明によれば、遺伝子及びコードされる相応するタンパク質のファミリー(以下「タンパク質クラスターI」と称する)が特定された。その結果、本発明は、
(a)配列番号1、3、5又は7に示すヌクレオチド配列を含む核酸分子;
(b)ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で、(a)に定義された核酸分子のポリペプチドコード領域に相補的なヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を含む核酸分子;及び
(c)(a)又は(b)に定義されたヌクレオチド配列の遺伝子コードの縮重の結果である核酸配列を含む核酸分子
から選択される単離核酸分子を提供する。
【0009】
本発明によれば核酸分子は、cDNA、化学合成されたDNA、PCRによって単離されたDNA、ゲノムDNA、及びそれらの組合せを含む。DNAから転写されるRNAも本発明に包含される。
【0010】
「ストリンジェントハイブリダイゼーション条件」の語は、標準的なプロトコール(例えばAusubelら、前出)からこの分野において既知であり、例えば+65℃の0.5M NaHPO4、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mM EDTA中でのフィルター結合DNAへのハイブリダイゼーションと+68℃の0.1×SSC/0.1%SDS中での洗浄として理解できる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、該核酸分子は配列表の配列番号1と同じヌクレオチド配列を持つ。しかし、本発明に従った核酸分子は、配列番号1として示す配列に厳密に限定されるわけではない。むしろ本発明は、置換、小さな欠失、挿入又は逆位のような修飾を担い、それにかかわらず本発明に従ったタンパク質クラスターIポリペプチドの特徴を実質的に備えるタンパク質をコードする核酸分子を包含する。その結果、ヌクレオチド配列が配列表において配列番号1として示すヌクレオチド配列と少なくとも90%相同、好ましくは少なくとも95%相同である核酸分子は本発明に包含される。
【0012】
また、ヌクレオチド配列が、遺伝暗号のために、配列番号1として示すヌクレオチド配列に縮重している核酸分子も本発明に含まれる。3個のヌクレオチドの連続的な組分けである「コドン」は1個のアミノ酸をコードする。64個の可能なコドンが存在するが、天然アミノ酸は20個しかないので、ほとんどのアミノ酸は2個以上のコドンによってコードされる。遺伝子コードのこの天然の「縮重(degeneracy)」又は「重複性(redundancy)」は当該技術において周知である。それ故、配列表に示すヌクレオチド配列は、タンパク質クラスターIポリペプチドをコードする配列の、大きいが限定された群の中の一例にすぎない。
【0013】
本発明に従った核酸分子は、分子生物学の当業者に既知の手法において数多くの適用を持つ。これらの手法は、ハイブリダイゼーションプローブとして、染色体及び遺伝子マッピングのため、PCRテクノロジーにおいて、センス又はアンチセンス核酸の作製において、新しい治療分子のスクリーニングにおいて、等々でのそれらの使用を含む。
【0014】
より明細には、本発明によって提供される配列情報は、当該技術において周知の手法によってコードされるポリペプチドの大規模発現を可能にする。本発明の核酸分子はまた、サザン及び/又はノーザンハイブリダイゼーション、及びPCRを含めた周知の手法によって、ヒト対立遺伝子変異体及び種相同体のような関連ポリペプチドをコードする核酸分子の同定と単離を可能にする。ヒトDNA配列についての知識はまた、サザンハイブリダイゼーション又はPCRの使用を通して、クラスターI内のタンパク質をコードするゲノムDNA配列の同定、プロモーター、オペレーター、エンハンサー、リプレッサー等のような発現制御調節配列の同定を可能にする。本発明の核酸分子はまた、細胞がクラスターI内のタンパク質を発現する能力を検出するハイブリダイゼーションアッセイにおいても有用である。本発明の核酸分子はまた、1又はそれ以上の疾患状態の基礎となる、遺伝子座における遺伝子変化を同定するために有用な診断方法の基礎を提供することができ、かかる情報は診断と治療戦略の選択の両方にとって有用である。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、上記で定義したような核酸分子によってコードされる単離ポリペプチドを提供する。好ましい実施形態では、該ポリペプチドは配列表の配列番号2、4、6又は8に従ったアミノ酸配列を持つ。しかし、本発明に従ったポリペプチドは、配列表の中の配列番号2、4、6又は8と同じアミノ酸配列を持つポリペプチドに厳密に限定されるわけではない。むしろ本発明は、置換、小さな欠失、挿入又は逆位のような修飾を担い、それにかかわらずタンパク質クラスターIポリペプチドの特徴を実質的に備えるポリペプチドを包含する。その結果、アミノ酸配列が配列表において配列番号2、4、6又は8として示すアミノ酸配列と少なくとも90%相同、好ましくは少なくとも95%相同であるポリペプチドは本発明に包含される。
【0016】
さらなる態様では、本発明は、上記で定義したような核酸分子を備えるベクターを提供する。該ベクターは、例えば、本発明に従ったDNA分子を担い、その発現を仲介することができる、複製可能な発現ベクターでありうる。本文中において「複製可能な」の語は、ベクターが、導入された所与の種類の宿主細胞において複製することができることを意味する。ベクターの例は、バクテリオファージのようなウイルス、コスミド、プラスミド及び他の組換えベクターである。核酸分子は、当該技術において周知の方法によってベクターゲノム内に挿入する。
【0017】
本発明に従ったベクターを備える培養宿主細胞も本発明に包含される。そのような宿主細胞は、原核細胞、単細胞真核細胞又は多細胞生物から誘導される細胞でありうる。宿主細胞はそれ故、例えば大腸菌細胞のような細菌細胞、Saccharomyces cervisiae又はPichia pastorisのような酵母からの細胞、又は哺乳類細胞でありうる。宿主細胞へのベクターの導入を行うために用いる方法は、組換えDNA法に精通する者には周知の標準的な方法である。
【0018】
さらにもう1つの態様では、本発明は、該ポリペプチドが生産される条件下で本発明に従った宿主細胞を培養し、該ポリペプチドを回収することを含むポリペプチドの生産のための方法を提供する。細胞を増殖させるために使用する培地は、かかる目的に適した従来のいかなる培地であってもよい。適切なベクターは上述したベクターのいずれかであり、適切な宿主細胞は上記に列挙した細胞型のいずれかでありうる。ベクターを構築し、それを宿主細胞に導入するために用いる方法は、組換えDNAの分野においてそのような目的のために既知であるいかなる方法でもよい。細胞によって発現された組換えポリペプチドは、細胞型及びベクターの組成物に依存して、分泌されうる、すなわち細胞膜を通して外へと輸送されうる。
【0019】
さらなる態様では、本発明は、
(i)該核酸分子を含む細胞を提供すること、
(ii)該細胞を候補物質と接触させること、および
(iii)該候補物質の不在下では存在しない作用に関して該細胞をモニターする
ことを含む本発明に従った核酸分子を調節することができる物質を特定するための方法を提供する。
【0020】
スクリーニングのために、適切な宿主細胞を、本発明に従った核酸分子の制御下のレポーター遺伝子を有するベクターで形質転換することができる。既知の活性を持つ物質(すなわち標準物質)又は推定上の活性を持つ物質(すなわち「被験物質」又は「候補物質」の存在下又は不在下でレポーター遺伝子の発現を測定することができる。被験物質の存在下でのレポーター遺伝子の発現レベルの変化を標準物質によって生じる変化と比較する。このようにして、活性物質を同定し、このアッセイにおけるそれらの相対的効力を決定する。
【0021】
トランスフェクションアッセイは、有効物質を特定するために特に有用なスクリーニングアッセイである。トランスフェクションアッセイでは、本発明に従った核酸分子に作動可能に連結されたレポーター遺伝子のような遺伝子を含む核酸を、所望する細胞型にトランスフェクションする。レポーター遺伝子発現の試験レベルを候補物質の存在下で検定し、対照発現レベルと比較する。候補物質の不在下で測定された発現レベルである、レポーター遺伝子発現の対照レベルとは異なる試験発現レベルを生じる物質として、有効物質を特定する。細胞をトランスフェクションするための方法及び種々の好都合なレポーター遺伝子は当該技術において周知である(例えば、Goeddel(編集)、Methods Enzymol.,第185巻,San Diego:Academic Press,Inc.(1990)参照;またSambrook、前出も参照のこと)。
【0022】
この説明全体を通じて、分子生物学の手法に関連して使用するとき「標準プロトコール」及び「標準手順」の語は、「分子生物学における現在のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、F.Ausubelら編集、John Wiley and Sons,Inc.1994、又はSambrook,J.,Fritsch,E.F.及びManiatis,T.、「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory manual)」、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY 1989のような常用実験室マニュアルの中で認められるプロトコール及び手順と理解されるべきである。
【0023】
本発明のさらなる特徴は下記の実施例から明らかになる。実施例1から3は実際のものであり、実施例4から9は予測的である。
【実施例1】
【0024】
タンパク質クラスターの同定
相同タンパク質のファミリー(以下「タンパク質クラスターI」と称する)を、Wormpep20データベース公開(http://www.sanger.ac.uk/Projects/C_elegans/wormpep/index.shtml)の中のすべてのCaenorhabditis elegansタンパク質を使用して「all−versus−all」BLAST手法によって同定した。Wormpepデータベースは、Sanger Centre in Cambridge,UKとGenome Sequencing Center in St.Louis,USAが共同で実施する、C.エレガンス(C.elegans)ゲノム塩基配列決定プロジェクトからの予測タンパク質を含む。18,940個のタンパク質がWormpep20から回収された。類似性を持つタンパク質を一緒に群分けするために、Smith−Watermanクラスター化手順においてタンパク質を使用した(Smith T.F.& Waterman M.S.(1981)「共通分子サブ配列の同定(Identification of common molecular subsequences)」、J.Mol.Biol.147(1):195−197;Pearson WR.(1991)「タンパク質配列ライブラリーの検索:Smith−WatermanとFASTAアルゴリズムの感受性と選択性の比較(Searching protein sequence libraries:comparison of the sensitivity and selectivity of the Smith−Waterman and FASTA algorithms)」、Genomics 11:635−650;Olsenら(1999)「Smith−Waterman整列の至適化(Optimizing Smith−Waterman alignments)」、Pac Symp Biocomput.302−313)。完全に注釈付けられたタンパク質をフィルターにかけて除き、それによって未知の機能の10,130個のタンパク質を1,800のクラスターに群分けすることができた。
【0025】
得られた配列クラスターを、Flybaseデータベース(Berkeley Drosohpila Genome Project;http://www.fruitfly.org)に含まれるキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)タンパク質と比較し、注釈付けられたクラスターを排除した。C.エレガンスとキイロショウジョウバエの両方で保存される、注釈付けられていないタンパク質クラスターを蠕虫/ハエデータセットに保存し、それをCelera Human Genome Database(http://www.celera.com)に対してBLAST手順(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Education/BLASTinfo/information3.html)において使用した。University of Washington(http://www/genome.washington,edu/UWGC/analysistools/phrap.htm)で開発されたPHRAPソフトウエアを使用して、できる限り完全長タンパク質に近くなるようにオーバーラップフラグメントを収集した。未知の機能を持つ相同タンパク質の群(「タンパク質クラスターI」)をさらなる試験のために選択した。
【実施例2】
【0026】
タンパク質クラスターIの分析
(a)整列化
タンパク質クラスターIのヒト部分は3個の遺伝子(配列番号1、5及び7)によってコードされるポリペプチドを含む。さらに、選択的スプライシング(配列番号1として示す遺伝子の624位から794位までの欠失に対応する)は配列番号3を生じる。配列番号1として示す遺伝子は、染色体10番上のクローンRP11−108L7からのヒトDNA配列に含まれることが認められた(GenBankアクセス番号AL133215)。
【0027】
ClustalX多重整列ソフトウエア(例えばftp://ftp.ebi.ac.ukよりダウンロード可能)を用いた、タンパク質クラスターIに含まれるヒトポリペプチド(配列番号2、4、6及び8)の整列を表Iに示す。ClustalXソフトウエアの参照については、Thompsonら(1997)「ClustalXウインドウズインターフェイス:クオリティ分析ツールを援用した多重配列整列のための柔軟な戦略(The clustalX windows interface:flexible strategies for multiple sequence alignment aided by quality analsis tools)」、Nucleic Acids Research,24:4876−4882参照。またJeanmouginら(1998)、「ClustalXによる多重配列整列(Multiple sequence alighnment with ClustalX)」、Trends Biochem.Sci.23:403−405も参照のこと。整列は2つの離れた領域における高度の保存を示し、2つの新規ドメインの存在を示唆した(表Iにおいて星印で示した位置参照)。
【0028】
(b)HMM−Pfam
HMM−Pfam検索を3つのヒトファミリー成員に関して実施した。Pfam(http://pfam.wustl.edu)はタンパク質ファミリーとドメインの大きなコレクションである。Pfamは、これらのファミリーの多重タンパク質整列とプロフィール−HMM(プロフィール隠蔽マルコフモデル(Profile Hidden Markov Models))を含む。プロフィール−HMMは、配列ファミリーのコンセンサス統計的説明を用いて感受性のあるデータベース検索を行うために使用できる。Pfamは、http://pfam.wustl.edu;http://www/sanger/ac.uk/Software/Pfam;及びhttp://www.cgr.ki.se/PfamにおいてWWW上で入手可能である。Pfamの最新バージョン(4.3)は1815ファミリーを含む。これらのPfamファミリーはSWISS−PROT 37及びTrEMBL9の中のタンパク質の63%にマッチする。Pfamの参照については、Batemanら(2000)「Pfamタンパク質ファミリーデータベース(The Pfam protein families database)」、Nucleic Acids Res.28:263−266;Sonnhammerら(1998)「Pfam:多重配列整列化とタンパク質ドメインのHMM−プロフィール(Pfam:Multiple Sequence Alignments and Hmm−Profiles of Protein Domains)」、Nucleic Acids Research,26:322−325;Sonnhammerら(1998)「Pfam:種子整列に基づくタンパク質ドメインファミリーの包括的データベース(Pfam:a Comprehensive Database of Protein Domain Families Based on Seed Alignments)」、Proteins 28:405−420参照。
【0029】
HMM−Pfam検索は、タンパク質クラスターIにおいてはこれまでに既知のドメインが全く同定できないことを示した。
【0030】
(c)TM−HMM
クラスターIの中のヒトタンパク質を、http://www.cbs.dtu.dk/services/TMHMM−1.0において入手可能なTM−HMMツールを用いて分析した。TM−HMMは、膜貫通タンパク質におけるα−ヘリックスの位置と方向をモデリングし、予測する方法である。(Sonnhammerら(1998)「タンパク質配列内の膜貫通ヘリックスを予測するための隠蔽マルコフモデル(A hidden Markov model for predicting transmembrane helices in protein sequences)」、ISMB 6:175−182)。配列番号2、6及び8として示すタンパク質において膜貫通セグメントを同定した(図1)。
【0031】
(d)非ヒトオーソローグの分析
C.エレガンスゲノムは、タンパク質クラスターI内のタンパク質をコードする6個の遺伝子を含み、その進化における最も近い祖先である、C.エレガンスコスミドT04F8.1に含まれる配列(GenBankアクセス番号Z66565;また「線虫C.エレガンスのゲノム配列:生物学を検討するためのプラットフォーム(Genome sequence of the nematode C.elgans:a platform for investigating biology)」、The C.elgans Sequencing Consortium.Science(1998)282:2012−2018も参照のこと。Science(1999)283:35;283:2103;及び285:1493に公表された誤りが掲載されている)は、3個の同定されたヒトタンパク質(配列番号2、6及び8)と53%同一である。
【0032】
キイロショウジョウバエゲノムはタンパク質クラスターIに属する2個の遺伝子を含み、その最も近い類縁(GenBankアクセス番号AE003606_24;Adamsら(2000)「キイロショウジョウバエのゲノム配列(The genome sequence of Drosophila melanogaster)」、Science 287:2185−2195)はヒトタンパク質セットと53%同一である。
【0033】
ヒトタンパク質はまた、Saccharomyces cerevisiaeタンパク質(GenPeptアクセス番号CAA99495.1)に38%の同一性を示す。かかる酵母タンパク質はSaccharomycesゲノムデータベースにおいて推定上の輸送体として注釈付けられている(http://genome−www4.stanford.edu/cgi−bin/SGD/locus.pl?locus=YOR270c)。
【0034】
2つの公的ドブネズミ(Rattus norvegicus)データベースエントリー(GENBANKエントリーAF276997及びS70011)が推定上のトリカルボン酸輸送タンパク質として注釈付けられている。遺伝子はそれぞれ、配列番号1と88%及び79%の同一性を持つ。トリカルボン酸担体は、リンゴ酸又は他のジカルボン酸との電気中性交換においてミトコンドリアの内側の膜を越えてクエン酸又はトリカルボン酸を輸送する(Azziら(1993)J.Bioenerg.Biomembr.25:515−524)。
【実施例3】
【0035】
発現分析
推定上の偽遺伝子を同定するために、EMBL(http://www.embl.org/Services/index.html)によって提供されるESTデータベースを使用してクラスターI内のヒトタンパク質が発現されるかどうかを調べた。タンパク質クラスターIにおいて推定偽遺伝子は同定されなかった。
【0036】
Incyte LifeSeq(登録商標)データベース(http://www.incyte.com)を使用してヒト遺伝子の組織分布を検討した。配列番号1として示す核酸分子は、主として神経系と消化器系において発現されることが認められた。配列番号3として示す核酸分子は主として雄性生殖器において発現された。配列番号5として示す核酸分子は主として肝と胚構造において発現された。配列番号7として示す核酸分子は主として免疫系において発現された。それ故、配列番号1、3、5及び7として示す該核酸分子及び配列番号2、4、6及び8として示すポリペプチドは、生物学的試料中に存在する組織又は細胞型の識別同定のため、そして代謝性疾患及び免疫疾患を含めた疾患及び障害の診断のために有用であることが提議される。
【実施例4】
【0037】
多組織ノーザンブロット法
クラスターI内のタンパク質の発現プロフィールのより完全な解析を行うために多組織ノーザンブロット法(MTN)を実施する。Multiple Tissue Northern(MTN(商標))Blots(http://www.clontech.com/mtn)は、多様な異なるヒト、マウス又はラット組織からのPremium Poly A+RNAを特徴とするあらかじめ作製されたノーザンブロットである。MTN Blotsは、種々の組織における転写産物の大きさと相対的存在率を分析するために使用できる。MTN Blotsはまた、遺伝子ファミリーと選択的スプライシング形態を検討し、交雑種相同性を評価するためにも使用できる。
【実施例5】
【0038】
マイクロアレイを使用した発現プロファイル作成
マイクロアレイは、遺伝子発現プロファイル作成、比較ゲノム学及び遺伝子型分類を含む適用においてDNA及びRNAの変異を測定するために使用できる、数千の異なるDNA配列の高度に整列されたマトリックスから成る(最近の総説については、例えば:Harringtonら(2000)「DNAマイクロアレイを使用した遺伝子発現のモニター(Monitoring gene expression using DNA microarrays)」、Curr.Opin.Microbiol.3(3)285−291;又はDugganら(1999)「cDNAマイクロアレイを用いた発現プロファイル作成(Expression profiling using cDNA Microarrays)」、Nature Genetics Supplement 21:10−14参照)。
【0039】
クラスターI内のタンパク質の発現パターンをGeneChip(登録商標)発現アレイを用いて解析することができる(http://www.affymetrix.com/products/app_exp.html)。簡単に述べると、様々な組織からmRNAを抽出する。T7標識オリゴdTプライマーを用いてそれらを逆転写し、二本鎖cDNAを作製する。次にT7 RNAポリメラーゼとビオチニル化ヌクレオチドによるインビトロ転写法(In Vitro Transcription、IVT)を用いてこれらのcDNAを増幅し、標識する。得られたcRNAの個体群を精製し、熱によって断片化して、約35−200塩基のRNAフラグメントサイズの分布を作製する。GeneChip(登録商標)発現アレイを試料とハイブリダイズする。アレイを洗浄して染色する。共焦点スキャナーを用いてカートリッジを走査し、画像をGeneChip 3.1ソフトウエア(Affymetrix)で解析する。
【実施例6】
【0040】
タンパク質クラスターIに結合するポリペプチドの特定
タンパク質クラスターIと相互作用するタンパク質について検定するために、ツーハイブリッドスクリーニング法を使用することができる。Fields & Song(1989)Nature340:245−247によって最初に記述されたツーハイブリッド法は、インビボでタンパク質−タンパク質相互作用を検出するための酵母ベースの遺伝子アッセイである。この方法は、相互作用するタンパク質の同定を可能にするだけでなく、これらのタンパク質についてのクローン化された遺伝子を直ちに使用可能にする。
【0041】
ツーハイブリッド法を使用して、2つの既知のタンパク質(すなわち対応する遺伝子がこれまでにクローン化されているタンパク質)が相互作用するかどうかを決定することができる。ツーハイブリッド法のもう1つの重要な適用は、ツーハイブリッドライブラリーをスクリーニングすることによって標的タンパク質と相互作用するこれまで未知のタンパク質を同定することである。総説については、例えば:Chienら(1991)「ツーハイブリッドシステム:目的とするタンパク質と相互作用するタンパク質を同定し、かかるタンパク質についての遺伝子をクローニングするための方法(The two−hybrid system:a method to identify and clone genes for proteins that interact with a protein of interest)」、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.88:9578−9582;Bartel PL,Fields(1995)「ツーハイブリッドシステムを用いたタンパク質−タンパク質相互作用の分析(Analyzing protein−protein interactions using two−hybrid system)」、Methods Enzymol.254:241−263;又はWallachら(1998)「酵母ツーハイブリッドスクリーニング手法及びアポトーシスにおけるタンパク質−タンパク質相互作用の検討におけるその使用(The yeast two−hybrid screening technique and its use in the study of protein−protein interactions in apoptosis)」、Curr.Opin.Immunol.10(2):131−136参照。またhttp://www.clontech.com/matchmakerも参照のこと。
【0042】
ツーハイブリッド法は、2つのタンパク質間の相互作用を示すために転写活性化の回復を使用する。この手法の重要な点は、多くの真核生物転写活性化因子が2つの物理的に離れたモジュラードメイン:特定プロモーター配列に結合するDNA結合ドメイン(DNA−BD)及びRNAポリメラーゼII複合体にDNA結合部位の下流の遺伝子の転写を指令する活性化ドメイン(AD)から成るという事実である。DNA−BDとベイトタンパク質Xの融合を生成するためにDNA−BDベクターを使用し、ADともう1つのタンパク質Yの融合を生成するためにADベクターを使用する。ベイトタンパク質と相互作用する新しい又は未知のタンパク質を検索するために、ADとのハイブリッドの完全なライブラリーも構築することができる。ベイトタンパク質Xと候補タンパク質Yの間で相互作用が起こるときには、DNA結合と活性化の役割を担う2つの機能的ドメインがつながって、転写活性化の機能回復を生じる。2つのハイブリッドを、適切な上流結合部位を含むレポーター遺伝子を備えた酵母宿主株に同時形質転換する;レポーター遺伝子の発現は、候補タンパク質と標的タンパク質の間の相互作用を示唆する。
【実施例7】
【0043】
クラスターI遺伝子の完全長クローニング
特定DNAセグメントのインビトロでの酵素的増幅のための周知の手順であるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、タンパク質クラスターI遺伝子の直接クローニングに使用することができる。組織cDNAをPCRによって増幅し、適切なプラスミドにクローニングして、配列決定することができる。総説については、例えばHooft van Huijsduijnen(1998)「PCR援用cDNAクローニング:鉱脈へのガイド付きツアー(PCR−assisted cDNA cloning:a guided tour of the minefield)」、Biotechniques 24:390−392;Lenstra(1995)「ライフサイエンスにおけるポリメラーゼ連鎖反応の適用(The applications of the polymerase chain reaction in the life sciences)」、Cellular & Molecular Biology 41:603−614;又はRashtchian(1995)「ポリメラーゼ連鎖反応を使用して遺伝子をクローニングし、構築するための新しい方法(Novel methods for cloning and engineering genes using the polymease chain reaction)」、Current Opinion in Biotechnology 6:30−36参照。PCR産物の直接クローニングを容易にするために適当な末端を作製するための様々な方法が、例えばAusubelら、前出(15.7章)に述べられている。
【0044】
タンパク質クラスターIの完全長タンパク質をコードするcDNAクローンを単離するための代替的アプローチでは、配列番号1、3、5又は7から成る群より選択されるヌクレオチド配列、又はその部分に対応するDNAフラグメントを、ファージcDNAライブラリーのハイブリダイゼーションスクリーニングのためのプローブとして使用することができる。DNAフラグメントをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によって増幅する。プライマーは好ましくは10−25ヌクレオチドの長さであり、当業者に周知の手順によって決定される。λファージベクターにクローニングしたcDNAを含むλファージライブラリーを大腸菌宿主細胞と共に寒天平板に播種して、増殖させる。ファージプラークをナイロン膜に移し、それを上述したように調製したDNAプローブとハイブリダイズする。陽性コロニーを平板から単離する。cDNAを含むプラスミドを標準方法によって単離したファージから回収する。プラスミドDNAをクローンから単離する。プラスミドを適切な制限酵素で消化してインサートの大きさを決定する。プラスミドの自動シークエンシングによってインサート全体の配列を決定する。
【実施例8】
【0045】
真核宿主細胞におけるタンパク質の組換え発現
クラスターIのタンパク質を生成するために、適当な発現ベクターと標準遺伝子工学手法を用いて、ポリペプチドをコードする核酸分子を適当な宿主細胞において発現させる。例えば、ポリペプチドをコードする配列を市販の発現ベクターにサブクローニングし、標準トランスフェクション試薬を使用して哺乳類、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞にトランスフェクションする。安定してタンパク質を発現する細胞を選択する。場合によって、標準クロマトグラフィー手法を用いてタンパク質を細胞から精製してもよい。精製を容易にするために、アミノ酸配列の部分に対応する1又はそれ以上の合成ペプチド配列に対する抗血清を惹起し、抗血清を使用してタンパク質をアフィニティー精製する。
【実施例9】
【0046】
遺伝子機能の決定
個々の遺伝子の生物学的機能又は作用機構を明らかにするための方法は当該技術において既知である。例えば、RNA干渉(RNAi)は、クローン化した遺伝子を特異的且つ強力に不活性化する方法を提供し、遺伝子機能を検討するための強力なツールを提供する。総説については、例えばFire(1999)「RNAが引き金となる遺伝子休止化(RNA−triggered gene silencing)」、Trends in Genetics 15:358−363;又はKuwabara & Coulson(2000)「RNAi−遺伝子機能を決定するための一般的手法への期待(RNAi−prospects for a general technique for determining gene function)」、Parasitology Today 16:347−349参照。内因性mRNAのセンス及びアンチセンス配列に対応する二本鎖RNA(dsRNA)を細胞に導入すると、コグネイトmRNAは分解され、遺伝子は休止化する。この種の転写後遺伝子休止化(PTGS)はC.エレガンスにおいて最初に発見された(Fireら(1998)Nature 391:806−811)。RNA干渉は最近、C.エレガンス染色体I番上の予測遺伝子のほぼ90%(Fraserら(2000)Nature 408:325−330)及びC.エレガンス染色体III番上の予測遺伝子の96%(Gonczyら(2000)Nature 408:331−336)をターゲティングするために使用された。
【0047】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1a】配列番号2として示すタンパク質において同定された膜貫通領域。
【図1b】配列番号8として示すタンパク質において同定された膜貫通領域。
【図1c】配列番号6として示すタンパク質において同定された膜貫通領域。
【0001】
本発明は、代謝的に関連する組織において発現されるヒト遺伝子ファミリーの特定に関する。かかる遺伝子は、肥満及び糖尿病のような代謝性疾患の診断において、ならびに該疾患の治療において有用な物質の特定において有用であると予想される、「タンパク質クラスターI」と称されるポリペプチドグループをコードする。
【背景技術】
【0002】
代謝性疾患は、正常な代謝を分断する何らかの疾患又は障害と定義される。それらは、栄養欠乏から;内分泌系、肝臓又は腎臓の疾患に関連して;又は遺伝的欠陥の結果として;起こりうる。代謝性疾患は、エネルギーを産生するために、細胞成分を再生するために、又はこれらのプロセスから生じる不必要な産物を排泄するために;不可欠である化学反応の1又はそれ以上における異常によって引き起こされる状態である。いずれの代謝経路が関与しているかに依存して、単一の欠陥化学反応が、1つの身体機能に関わる狭義の、又は多くの器官と系に作用する広義の影響をもたらすことがある。
【0003】
代謝に影響を及ぼす主要なホルモンの1つは、膵臓のランゲルハンス島のベータ細胞で合成されるインスリンである。インスリンは主として代謝の方向を調節し、多くのプロセスを基質の貯蔵へと方向づけ、それらの分解を抑制する。インスリンは、グルコースとアミノ酸ならびにカリウム、マグネシウム、及びリン酸のような重要な無機質の血液から細胞への輸送を高める働きをする。またインスリンは細胞内の様々な酵素反応を調節し、それらの反応はすべて共通の全体的方向、すなわち小さなユニットから大きな分子の合成へと向かう方向性を持つ。インスリンの作用の欠損(真性糖尿病)は、(i)グリコーゲンの形態でのグルコースの貯蔵とエネルギーのためのグルコースの酸化、(ii)脂肪酸及びそれらの前駆体からの脂肪の合成と貯蔵及び脂肪酸酸化の完了、及び(iii)アミノ酸からのタンパク質の合成、に深刻な障害を引き起こす。
【0004】
2種類の糖尿病が存在する。I型は、インスリン注射を必要とするインスリン依存性糖尿病(IDDM)である;以前は若年発症糖尿病と呼ばれていた。このタイプでは、インスリンが膵から分泌されず、それ故注射によって摂取しなければならない。II型のインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)は食事制限によって制御しうる。不十分な膵からのインスリン分泌と分泌されたインスリンに対する組織抵抗性に由来し、ベータ細胞によるインスリン分泌の微妙な変化を合併する。若年性又は成人発症という以前の分類にもかかわらず、どちらのタイプもどのような年齢でも起こりうる;NIDDMが、しかしながら、最も一般的なタイプであり、すべての糖尿病の90パーセントを占める。糖尿病の正確な原因はあいまいなままであるが、NIDDMが遺伝と肥満に結びつくことは明白である。過剰体重又は肥満になる人々においては明らかにNIDDM糖尿病への遺伝的素因が存在する。
【0005】
肥満は通常ボディマス指数(BMI)、すなわち体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で除した値で定義される。体重は非常な精密さで調節される。体重の調節は、正常体重の人だけでなく、肥満が、その付近で体重が調節される設定ポイントの上昇に起因する多くの肥満者においても起こると考えられる。肥満の決定因子は遺伝、環境、及び調節に分類することができる。
【0006】
最近の発見は、どの遺伝子が肥満を決定し、それらがどのようにして体重の調節に影響を及ぼしうるのかを説明する助けとなった。例えば、ob遺伝子における突然変異はマウスにおいて重大な肥満をもたらした;ob遺伝子のクローニングは、この遺伝子によってコードされるタンパク質、レプチンの同定を導いた;レプチンは脂肪組織細胞において産生され、体脂肪を制御するように働く。レプチンは、体重に影響を及ぼす、脂肪組織とエネルギー代謝を制御する脳領域との間のシグナルとして働くので、レプチンの存在は体重が調節されるという概念を裏付ける。
【0007】
糖尿病や肥満のような代謝性疾患は臨床的及び遺伝的に不均質な疾患である。分子遺伝学における最近の進歩により、IDDM及び(若年者の成人発症型糖尿病(MODY)を含む)NIDDMのいくつかのサブタイプに関与する遺伝子が認識された(Velho & Froguel(1997)Diabetes Metab.23 Suppl.2:34−37)。しかし、いくつかのIDDM感受性遺伝子はまだ同定されておらず、また一般的な形態のNIDDMに寄与する遺伝子についてはごくわずかしか知られていない。候補遺伝子及びIDDM又はNIDDMの動物モデルにおいて位置づけされた遺伝子の試験、ならびに種々の個体群からの糖尿病ファミリーのゲノム全体のスキャニングは、ほとんどの糖尿病感受性遺伝子の同定及び新しい潜在的薬剤についての分子標的の特定を可能にするはずである。代謝性疾患に関わる遺伝子の特定は、それ故、新しい予測的及び治療的アプローチの開発に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明によれば、遺伝子及びコードされる相応するタンパク質のファミリー(以下「タンパク質クラスターI」と称する)が特定された。その結果、本発明は、
(a)配列番号1、3、5又は7に示すヌクレオチド配列を含む核酸分子;
(b)ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で、(a)に定義された核酸分子のポリペプチドコード領域に相補的なヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を含む核酸分子;及び
(c)(a)又は(b)に定義されたヌクレオチド配列の遺伝子コードの縮重の結果である核酸配列を含む核酸分子
から選択される単離核酸分子を提供する。
【0009】
本発明によれば核酸分子は、cDNA、化学合成されたDNA、PCRによって単離されたDNA、ゲノムDNA、及びそれらの組合せを含む。DNAから転写されるRNAも本発明に包含される。
【0010】
「ストリンジェントハイブリダイゼーション条件」の語は、標準的なプロトコール(例えばAusubelら、前出)からこの分野において既知であり、例えば+65℃の0.5M NaHPO4、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mM EDTA中でのフィルター結合DNAへのハイブリダイゼーションと+68℃の0.1×SSC/0.1%SDS中での洗浄として理解できる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、該核酸分子は配列表の配列番号1と同じヌクレオチド配列を持つ。しかし、本発明に従った核酸分子は、配列番号1として示す配列に厳密に限定されるわけではない。むしろ本発明は、置換、小さな欠失、挿入又は逆位のような修飾を担い、それにかかわらず本発明に従ったタンパク質クラスターIポリペプチドの特徴を実質的に備えるタンパク質をコードする核酸分子を包含する。その結果、ヌクレオチド配列が配列表において配列番号1として示すヌクレオチド配列と少なくとも90%相同、好ましくは少なくとも95%相同である核酸分子は本発明に包含される。
【0012】
また、ヌクレオチド配列が、遺伝暗号のために、配列番号1として示すヌクレオチド配列に縮重している核酸分子も本発明に含まれる。3個のヌクレオチドの連続的な組分けである「コドン」は1個のアミノ酸をコードする。64個の可能なコドンが存在するが、天然アミノ酸は20個しかないので、ほとんどのアミノ酸は2個以上のコドンによってコードされる。遺伝子コードのこの天然の「縮重(degeneracy)」又は「重複性(redundancy)」は当該技術において周知である。それ故、配列表に示すヌクレオチド配列は、タンパク質クラスターIポリペプチドをコードする配列の、大きいが限定された群の中の一例にすぎない。
【0013】
本発明に従った核酸分子は、分子生物学の当業者に既知の手法において数多くの適用を持つ。これらの手法は、ハイブリダイゼーションプローブとして、染色体及び遺伝子マッピングのため、PCRテクノロジーにおいて、センス又はアンチセンス核酸の作製において、新しい治療分子のスクリーニングにおいて、等々でのそれらの使用を含む。
【0014】
より明細には、本発明によって提供される配列情報は、当該技術において周知の手法によってコードされるポリペプチドの大規模発現を可能にする。本発明の核酸分子はまた、サザン及び/又はノーザンハイブリダイゼーション、及びPCRを含めた周知の手法によって、ヒト対立遺伝子変異体及び種相同体のような関連ポリペプチドをコードする核酸分子の同定と単離を可能にする。ヒトDNA配列についての知識はまた、サザンハイブリダイゼーション又はPCRの使用を通して、クラスターI内のタンパク質をコードするゲノムDNA配列の同定、プロモーター、オペレーター、エンハンサー、リプレッサー等のような発現制御調節配列の同定を可能にする。本発明の核酸分子はまた、細胞がクラスターI内のタンパク質を発現する能力を検出するハイブリダイゼーションアッセイにおいても有用である。本発明の核酸分子はまた、1又はそれ以上の疾患状態の基礎となる、遺伝子座における遺伝子変化を同定するために有用な診断方法の基礎を提供することができ、かかる情報は診断と治療戦略の選択の両方にとって有用である。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、上記で定義したような核酸分子によってコードされる単離ポリペプチドを提供する。好ましい実施形態では、該ポリペプチドは配列表の配列番号2、4、6又は8に従ったアミノ酸配列を持つ。しかし、本発明に従ったポリペプチドは、配列表の中の配列番号2、4、6又は8と同じアミノ酸配列を持つポリペプチドに厳密に限定されるわけではない。むしろ本発明は、置換、小さな欠失、挿入又は逆位のような修飾を担い、それにかかわらずタンパク質クラスターIポリペプチドの特徴を実質的に備えるポリペプチドを包含する。その結果、アミノ酸配列が配列表において配列番号2、4、6又は8として示すアミノ酸配列と少なくとも90%相同、好ましくは少なくとも95%相同であるポリペプチドは本発明に包含される。
【0016】
さらなる態様では、本発明は、上記で定義したような核酸分子を備えるベクターを提供する。該ベクターは、例えば、本発明に従ったDNA分子を担い、その発現を仲介することができる、複製可能な発現ベクターでありうる。本文中において「複製可能な」の語は、ベクターが、導入された所与の種類の宿主細胞において複製することができることを意味する。ベクターの例は、バクテリオファージのようなウイルス、コスミド、プラスミド及び他の組換えベクターである。核酸分子は、当該技術において周知の方法によってベクターゲノム内に挿入する。
【0017】
本発明に従ったベクターを備える培養宿主細胞も本発明に包含される。そのような宿主細胞は、原核細胞、単細胞真核細胞又は多細胞生物から誘導される細胞でありうる。宿主細胞はそれ故、例えば大腸菌細胞のような細菌細胞、Saccharomyces cervisiae又はPichia pastorisのような酵母からの細胞、又は哺乳類細胞でありうる。宿主細胞へのベクターの導入を行うために用いる方法は、組換えDNA法に精通する者には周知の標準的な方法である。
【0018】
さらにもう1つの態様では、本発明は、該ポリペプチドが生産される条件下で本発明に従った宿主細胞を培養し、該ポリペプチドを回収することを含むポリペプチドの生産のための方法を提供する。細胞を増殖させるために使用する培地は、かかる目的に適した従来のいかなる培地であってもよい。適切なベクターは上述したベクターのいずれかであり、適切な宿主細胞は上記に列挙した細胞型のいずれかでありうる。ベクターを構築し、それを宿主細胞に導入するために用いる方法は、組換えDNAの分野においてそのような目的のために既知であるいかなる方法でもよい。細胞によって発現された組換えポリペプチドは、細胞型及びベクターの組成物に依存して、分泌されうる、すなわち細胞膜を通して外へと輸送されうる。
【0019】
さらなる態様では、本発明は、
(i)該核酸分子を含む細胞を提供すること、
(ii)該細胞を候補物質と接触させること、および
(iii)該候補物質の不在下では存在しない作用に関して該細胞をモニターする
ことを含む本発明に従った核酸分子を調節することができる物質を特定するための方法を提供する。
【0020】
スクリーニングのために、適切な宿主細胞を、本発明に従った核酸分子の制御下のレポーター遺伝子を有するベクターで形質転換することができる。既知の活性を持つ物質(すなわち標準物質)又は推定上の活性を持つ物質(すなわち「被験物質」又は「候補物質」の存在下又は不在下でレポーター遺伝子の発現を測定することができる。被験物質の存在下でのレポーター遺伝子の発現レベルの変化を標準物質によって生じる変化と比較する。このようにして、活性物質を同定し、このアッセイにおけるそれらの相対的効力を決定する。
【0021】
トランスフェクションアッセイは、有効物質を特定するために特に有用なスクリーニングアッセイである。トランスフェクションアッセイでは、本発明に従った核酸分子に作動可能に連結されたレポーター遺伝子のような遺伝子を含む核酸を、所望する細胞型にトランスフェクションする。レポーター遺伝子発現の試験レベルを候補物質の存在下で検定し、対照発現レベルと比較する。候補物質の不在下で測定された発現レベルである、レポーター遺伝子発現の対照レベルとは異なる試験発現レベルを生じる物質として、有効物質を特定する。細胞をトランスフェクションするための方法及び種々の好都合なレポーター遺伝子は当該技術において周知である(例えば、Goeddel(編集)、Methods Enzymol.,第185巻,San Diego:Academic Press,Inc.(1990)参照;またSambrook、前出も参照のこと)。
【0022】
この説明全体を通じて、分子生物学の手法に関連して使用するとき「標準プロトコール」及び「標準手順」の語は、「分子生物学における現在のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、F.Ausubelら編集、John Wiley and Sons,Inc.1994、又はSambrook,J.,Fritsch,E.F.及びManiatis,T.、「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory manual)」、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY 1989のような常用実験室マニュアルの中で認められるプロトコール及び手順と理解されるべきである。
【0023】
本発明のさらなる特徴は下記の実施例から明らかになる。実施例1から3は実際のものであり、実施例4から9は予測的である。
【実施例1】
【0024】
タンパク質クラスターの同定
相同タンパク質のファミリー(以下「タンパク質クラスターI」と称する)を、Wormpep20データベース公開(http://www.sanger.ac.uk/Projects/C_elegans/wormpep/index.shtml)の中のすべてのCaenorhabditis elegansタンパク質を使用して「all−versus−all」BLAST手法によって同定した。Wormpepデータベースは、Sanger Centre in Cambridge,UKとGenome Sequencing Center in St.Louis,USAが共同で実施する、C.エレガンス(C.elegans)ゲノム塩基配列決定プロジェクトからの予測タンパク質を含む。18,940個のタンパク質がWormpep20から回収された。類似性を持つタンパク質を一緒に群分けするために、Smith−Watermanクラスター化手順においてタンパク質を使用した(Smith T.F.& Waterman M.S.(1981)「共通分子サブ配列の同定(Identification of common molecular subsequences)」、J.Mol.Biol.147(1):195−197;Pearson WR.(1991)「タンパク質配列ライブラリーの検索:Smith−WatermanとFASTAアルゴリズムの感受性と選択性の比較(Searching protein sequence libraries:comparison of the sensitivity and selectivity of the Smith−Waterman and FASTA algorithms)」、Genomics 11:635−650;Olsenら(1999)「Smith−Waterman整列の至適化(Optimizing Smith−Waterman alignments)」、Pac Symp Biocomput.302−313)。完全に注釈付けられたタンパク質をフィルターにかけて除き、それによって未知の機能の10,130個のタンパク質を1,800のクラスターに群分けすることができた。
【0025】
得られた配列クラスターを、Flybaseデータベース(Berkeley Drosohpila Genome Project;http://www.fruitfly.org)に含まれるキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)タンパク質と比較し、注釈付けられたクラスターを排除した。C.エレガンスとキイロショウジョウバエの両方で保存される、注釈付けられていないタンパク質クラスターを蠕虫/ハエデータセットに保存し、それをCelera Human Genome Database(http://www.celera.com)に対してBLAST手順(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Education/BLASTinfo/information3.html)において使用した。University of Washington(http://www/genome.washington,edu/UWGC/analysistools/phrap.htm)で開発されたPHRAPソフトウエアを使用して、できる限り完全長タンパク質に近くなるようにオーバーラップフラグメントを収集した。未知の機能を持つ相同タンパク質の群(「タンパク質クラスターI」)をさらなる試験のために選択した。
【実施例2】
【0026】
タンパク質クラスターIの分析
(a)整列化
タンパク質クラスターIのヒト部分は3個の遺伝子(配列番号1、5及び7)によってコードされるポリペプチドを含む。さらに、選択的スプライシング(配列番号1として示す遺伝子の624位から794位までの欠失に対応する)は配列番号3を生じる。配列番号1として示す遺伝子は、染色体10番上のクローンRP11−108L7からのヒトDNA配列に含まれることが認められた(GenBankアクセス番号AL133215)。
【0027】
ClustalX多重整列ソフトウエア(例えばftp://ftp.ebi.ac.ukよりダウンロード可能)を用いた、タンパク質クラスターIに含まれるヒトポリペプチド(配列番号2、4、6及び8)の整列を表Iに示す。ClustalXソフトウエアの参照については、Thompsonら(1997)「ClustalXウインドウズインターフェイス:クオリティ分析ツールを援用した多重配列整列のための柔軟な戦略(The clustalX windows interface:flexible strategies for multiple sequence alignment aided by quality analsis tools)」、Nucleic Acids Research,24:4876−4882参照。またJeanmouginら(1998)、「ClustalXによる多重配列整列(Multiple sequence alighnment with ClustalX)」、Trends Biochem.Sci.23:403−405も参照のこと。整列は2つの離れた領域における高度の保存を示し、2つの新規ドメインの存在を示唆した(表Iにおいて星印で示した位置参照)。
【0028】
(b)HMM−Pfam
HMM−Pfam検索を3つのヒトファミリー成員に関して実施した。Pfam(http://pfam.wustl.edu)はタンパク質ファミリーとドメインの大きなコレクションである。Pfamは、これらのファミリーの多重タンパク質整列とプロフィール−HMM(プロフィール隠蔽マルコフモデル(Profile Hidden Markov Models))を含む。プロフィール−HMMは、配列ファミリーのコンセンサス統計的説明を用いて感受性のあるデータベース検索を行うために使用できる。Pfamは、http://pfam.wustl.edu;http://www/sanger/ac.uk/Software/Pfam;及びhttp://www.cgr.ki.se/PfamにおいてWWW上で入手可能である。Pfamの最新バージョン(4.3)は1815ファミリーを含む。これらのPfamファミリーはSWISS−PROT 37及びTrEMBL9の中のタンパク質の63%にマッチする。Pfamの参照については、Batemanら(2000)「Pfamタンパク質ファミリーデータベース(The Pfam protein families database)」、Nucleic Acids Res.28:263−266;Sonnhammerら(1998)「Pfam:多重配列整列化とタンパク質ドメインのHMM−プロフィール(Pfam:Multiple Sequence Alignments and Hmm−Profiles of Protein Domains)」、Nucleic Acids Research,26:322−325;Sonnhammerら(1998)「Pfam:種子整列に基づくタンパク質ドメインファミリーの包括的データベース(Pfam:a Comprehensive Database of Protein Domain Families Based on Seed Alignments)」、Proteins 28:405−420参照。
【0029】
HMM−Pfam検索は、タンパク質クラスターIにおいてはこれまでに既知のドメインが全く同定できないことを示した。
【0030】
(c)TM−HMM
クラスターIの中のヒトタンパク質を、http://www.cbs.dtu.dk/services/TMHMM−1.0において入手可能なTM−HMMツールを用いて分析した。TM−HMMは、膜貫通タンパク質におけるα−ヘリックスの位置と方向をモデリングし、予測する方法である。(Sonnhammerら(1998)「タンパク質配列内の膜貫通ヘリックスを予測するための隠蔽マルコフモデル(A hidden Markov model for predicting transmembrane helices in protein sequences)」、ISMB 6:175−182)。配列番号2、6及び8として示すタンパク質において膜貫通セグメントを同定した(図1)。
【0031】
(d)非ヒトオーソローグの分析
C.エレガンスゲノムは、タンパク質クラスターI内のタンパク質をコードする6個の遺伝子を含み、その進化における最も近い祖先である、C.エレガンスコスミドT04F8.1に含まれる配列(GenBankアクセス番号Z66565;また「線虫C.エレガンスのゲノム配列:生物学を検討するためのプラットフォーム(Genome sequence of the nematode C.elgans:a platform for investigating biology)」、The C.elgans Sequencing Consortium.Science(1998)282:2012−2018も参照のこと。Science(1999)283:35;283:2103;及び285:1493に公表された誤りが掲載されている)は、3個の同定されたヒトタンパク質(配列番号2、6及び8)と53%同一である。
【0032】
キイロショウジョウバエゲノムはタンパク質クラスターIに属する2個の遺伝子を含み、その最も近い類縁(GenBankアクセス番号AE003606_24;Adamsら(2000)「キイロショウジョウバエのゲノム配列(The genome sequence of Drosophila melanogaster)」、Science 287:2185−2195)はヒトタンパク質セットと53%同一である。
【0033】
ヒトタンパク質はまた、Saccharomyces cerevisiaeタンパク質(GenPeptアクセス番号CAA99495.1)に38%の同一性を示す。かかる酵母タンパク質はSaccharomycesゲノムデータベースにおいて推定上の輸送体として注釈付けられている(http://genome−www4.stanford.edu/cgi−bin/SGD/locus.pl?locus=YOR270c)。
【0034】
2つの公的ドブネズミ(Rattus norvegicus)データベースエントリー(GENBANKエントリーAF276997及びS70011)が推定上のトリカルボン酸輸送タンパク質として注釈付けられている。遺伝子はそれぞれ、配列番号1と88%及び79%の同一性を持つ。トリカルボン酸担体は、リンゴ酸又は他のジカルボン酸との電気中性交換においてミトコンドリアの内側の膜を越えてクエン酸又はトリカルボン酸を輸送する(Azziら(1993)J.Bioenerg.Biomembr.25:515−524)。
【実施例3】
【0035】
発現分析
推定上の偽遺伝子を同定するために、EMBL(http://www.embl.org/Services/index.html)によって提供されるESTデータベースを使用してクラスターI内のヒトタンパク質が発現されるかどうかを調べた。タンパク質クラスターIにおいて推定偽遺伝子は同定されなかった。
【0036】
Incyte LifeSeq(登録商標)データベース(http://www.incyte.com)を使用してヒト遺伝子の組織分布を検討した。配列番号1として示す核酸分子は、主として神経系と消化器系において発現されることが認められた。配列番号3として示す核酸分子は主として雄性生殖器において発現された。配列番号5として示す核酸分子は主として肝と胚構造において発現された。配列番号7として示す核酸分子は主として免疫系において発現された。それ故、配列番号1、3、5及び7として示す該核酸分子及び配列番号2、4、6及び8として示すポリペプチドは、生物学的試料中に存在する組織又は細胞型の識別同定のため、そして代謝性疾患及び免疫疾患を含めた疾患及び障害の診断のために有用であることが提議される。
【実施例4】
【0037】
多組織ノーザンブロット法
クラスターI内のタンパク質の発現プロフィールのより完全な解析を行うために多組織ノーザンブロット法(MTN)を実施する。Multiple Tissue Northern(MTN(商標))Blots(http://www.clontech.com/mtn)は、多様な異なるヒト、マウス又はラット組織からのPremium Poly A+RNAを特徴とするあらかじめ作製されたノーザンブロットである。MTN Blotsは、種々の組織における転写産物の大きさと相対的存在率を分析するために使用できる。MTN Blotsはまた、遺伝子ファミリーと選択的スプライシング形態を検討し、交雑種相同性を評価するためにも使用できる。
【実施例5】
【0038】
マイクロアレイを使用した発現プロファイル作成
マイクロアレイは、遺伝子発現プロファイル作成、比較ゲノム学及び遺伝子型分類を含む適用においてDNA及びRNAの変異を測定するために使用できる、数千の異なるDNA配列の高度に整列されたマトリックスから成る(最近の総説については、例えば:Harringtonら(2000)「DNAマイクロアレイを使用した遺伝子発現のモニター(Monitoring gene expression using DNA microarrays)」、Curr.Opin.Microbiol.3(3)285−291;又はDugganら(1999)「cDNAマイクロアレイを用いた発現プロファイル作成(Expression profiling using cDNA Microarrays)」、Nature Genetics Supplement 21:10−14参照)。
【0039】
クラスターI内のタンパク質の発現パターンをGeneChip(登録商標)発現アレイを用いて解析することができる(http://www.affymetrix.com/products/app_exp.html)。簡単に述べると、様々な組織からmRNAを抽出する。T7標識オリゴdTプライマーを用いてそれらを逆転写し、二本鎖cDNAを作製する。次にT7 RNAポリメラーゼとビオチニル化ヌクレオチドによるインビトロ転写法(In Vitro Transcription、IVT)を用いてこれらのcDNAを増幅し、標識する。得られたcRNAの個体群を精製し、熱によって断片化して、約35−200塩基のRNAフラグメントサイズの分布を作製する。GeneChip(登録商標)発現アレイを試料とハイブリダイズする。アレイを洗浄して染色する。共焦点スキャナーを用いてカートリッジを走査し、画像をGeneChip 3.1ソフトウエア(Affymetrix)で解析する。
【実施例6】
【0040】
タンパク質クラスターIに結合するポリペプチドの特定
タンパク質クラスターIと相互作用するタンパク質について検定するために、ツーハイブリッドスクリーニング法を使用することができる。Fields & Song(1989)Nature340:245−247によって最初に記述されたツーハイブリッド法は、インビボでタンパク質−タンパク質相互作用を検出するための酵母ベースの遺伝子アッセイである。この方法は、相互作用するタンパク質の同定を可能にするだけでなく、これらのタンパク質についてのクローン化された遺伝子を直ちに使用可能にする。
【0041】
ツーハイブリッド法を使用して、2つの既知のタンパク質(すなわち対応する遺伝子がこれまでにクローン化されているタンパク質)が相互作用するかどうかを決定することができる。ツーハイブリッド法のもう1つの重要な適用は、ツーハイブリッドライブラリーをスクリーニングすることによって標的タンパク質と相互作用するこれまで未知のタンパク質を同定することである。総説については、例えば:Chienら(1991)「ツーハイブリッドシステム:目的とするタンパク質と相互作用するタンパク質を同定し、かかるタンパク質についての遺伝子をクローニングするための方法(The two−hybrid system:a method to identify and clone genes for proteins that interact with a protein of interest)」、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.88:9578−9582;Bartel PL,Fields(1995)「ツーハイブリッドシステムを用いたタンパク質−タンパク質相互作用の分析(Analyzing protein−protein interactions using two−hybrid system)」、Methods Enzymol.254:241−263;又はWallachら(1998)「酵母ツーハイブリッドスクリーニング手法及びアポトーシスにおけるタンパク質−タンパク質相互作用の検討におけるその使用(The yeast two−hybrid screening technique and its use in the study of protein−protein interactions in apoptosis)」、Curr.Opin.Immunol.10(2):131−136参照。またhttp://www.clontech.com/matchmakerも参照のこと。
【0042】
ツーハイブリッド法は、2つのタンパク質間の相互作用を示すために転写活性化の回復を使用する。この手法の重要な点は、多くの真核生物転写活性化因子が2つの物理的に離れたモジュラードメイン:特定プロモーター配列に結合するDNA結合ドメイン(DNA−BD)及びRNAポリメラーゼII複合体にDNA結合部位の下流の遺伝子の転写を指令する活性化ドメイン(AD)から成るという事実である。DNA−BDとベイトタンパク質Xの融合を生成するためにDNA−BDベクターを使用し、ADともう1つのタンパク質Yの融合を生成するためにADベクターを使用する。ベイトタンパク質と相互作用する新しい又は未知のタンパク質を検索するために、ADとのハイブリッドの完全なライブラリーも構築することができる。ベイトタンパク質Xと候補タンパク質Yの間で相互作用が起こるときには、DNA結合と活性化の役割を担う2つの機能的ドメインがつながって、転写活性化の機能回復を生じる。2つのハイブリッドを、適切な上流結合部位を含むレポーター遺伝子を備えた酵母宿主株に同時形質転換する;レポーター遺伝子の発現は、候補タンパク質と標的タンパク質の間の相互作用を示唆する。
【実施例7】
【0043】
クラスターI遺伝子の完全長クローニング
特定DNAセグメントのインビトロでの酵素的増幅のための周知の手順であるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、タンパク質クラスターI遺伝子の直接クローニングに使用することができる。組織cDNAをPCRによって増幅し、適切なプラスミドにクローニングして、配列決定することができる。総説については、例えばHooft van Huijsduijnen(1998)「PCR援用cDNAクローニング:鉱脈へのガイド付きツアー(PCR−assisted cDNA cloning:a guided tour of the minefield)」、Biotechniques 24:390−392;Lenstra(1995)「ライフサイエンスにおけるポリメラーゼ連鎖反応の適用(The applications of the polymerase chain reaction in the life sciences)」、Cellular & Molecular Biology 41:603−614;又はRashtchian(1995)「ポリメラーゼ連鎖反応を使用して遺伝子をクローニングし、構築するための新しい方法(Novel methods for cloning and engineering genes using the polymease chain reaction)」、Current Opinion in Biotechnology 6:30−36参照。PCR産物の直接クローニングを容易にするために適当な末端を作製するための様々な方法が、例えばAusubelら、前出(15.7章)に述べられている。
【0044】
タンパク質クラスターIの完全長タンパク質をコードするcDNAクローンを単離するための代替的アプローチでは、配列番号1、3、5又は7から成る群より選択されるヌクレオチド配列、又はその部分に対応するDNAフラグメントを、ファージcDNAライブラリーのハイブリダイゼーションスクリーニングのためのプローブとして使用することができる。DNAフラグメントをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によって増幅する。プライマーは好ましくは10−25ヌクレオチドの長さであり、当業者に周知の手順によって決定される。λファージベクターにクローニングしたcDNAを含むλファージライブラリーを大腸菌宿主細胞と共に寒天平板に播種して、増殖させる。ファージプラークをナイロン膜に移し、それを上述したように調製したDNAプローブとハイブリダイズする。陽性コロニーを平板から単離する。cDNAを含むプラスミドを標準方法によって単離したファージから回収する。プラスミドDNAをクローンから単離する。プラスミドを適切な制限酵素で消化してインサートの大きさを決定する。プラスミドの自動シークエンシングによってインサート全体の配列を決定する。
【実施例8】
【0045】
真核宿主細胞におけるタンパク質の組換え発現
クラスターIのタンパク質を生成するために、適当な発現ベクターと標準遺伝子工学手法を用いて、ポリペプチドをコードする核酸分子を適当な宿主細胞において発現させる。例えば、ポリペプチドをコードする配列を市販の発現ベクターにサブクローニングし、標準トランスフェクション試薬を使用して哺乳類、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞にトランスフェクションする。安定してタンパク質を発現する細胞を選択する。場合によって、標準クロマトグラフィー手法を用いてタンパク質を細胞から精製してもよい。精製を容易にするために、アミノ酸配列の部分に対応する1又はそれ以上の合成ペプチド配列に対する抗血清を惹起し、抗血清を使用してタンパク質をアフィニティー精製する。
【実施例9】
【0046】
遺伝子機能の決定
個々の遺伝子の生物学的機能又は作用機構を明らかにするための方法は当該技術において既知である。例えば、RNA干渉(RNAi)は、クローン化した遺伝子を特異的且つ強力に不活性化する方法を提供し、遺伝子機能を検討するための強力なツールを提供する。総説については、例えばFire(1999)「RNAが引き金となる遺伝子休止化(RNA−triggered gene silencing)」、Trends in Genetics 15:358−363;又はKuwabara & Coulson(2000)「RNAi−遺伝子機能を決定するための一般的手法への期待(RNAi−prospects for a general technique for determining gene function)」、Parasitology Today 16:347−349参照。内因性mRNAのセンス及びアンチセンス配列に対応する二本鎖RNA(dsRNA)を細胞に導入すると、コグネイトmRNAは分解され、遺伝子は休止化する。この種の転写後遺伝子休止化(PTGS)はC.エレガンスにおいて最初に発見された(Fireら(1998)Nature 391:806−811)。RNA干渉は最近、C.エレガンス染色体I番上の予測遺伝子のほぼ90%(Fraserら(2000)Nature 408:325−330)及びC.エレガンス染色体III番上の予測遺伝子の96%(Gonczyら(2000)Nature 408:331−336)をターゲティングするために使用された。
【0047】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1a】配列番号2として示すタンパク質において同定された膜貫通領域。
【図1b】配列番号8として示すタンパク質において同定された膜貫通領域。
【図1c】配列番号6として示すタンパク質において同定された膜貫通領域。
Claims (8)
- (a)配列番号1、3、5又は7に示すヌクレオチド配列を含む核酸分子;
(b)ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で、(a)に定義された核酸分子のポリペプチドコード領域に相補的なヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を含む核酸分子;及び
(c)(a)又は(b)に定義されたヌクレオチド配列の遺伝子コードの縮重の結果である核酸配列を含む核酸分子
から選択される単離核酸分子。 - 請求項1に記載の核酸分子によってコードされる単離ポリペプチド。
- 配列表において配列番号2、4、6又は8として示されるアミノ酸配列を有する、請求項2に記載の単離ポリペプチド。
- 請求項1に記載の核酸分子を備えるベクター。
- 請求項1に記載のヌクレオチド配列を担い、その発現を仲介することができる複製可能な発現ベクター。
- 請求項4又は5に記載のベクターを備える培養宿主細胞。
- ポリペプチドが産生される条件下で請求項6に記載の宿主細胞を培養し、該ポリペプチドを回収することを含む、ポリペプチドの生産のための方法。
- (i)該核酸分子を含む細胞を提供すること、
(ii)該細胞を候補物質と接触させること、および
(iii)該候補物質の不在下では存在しない作用に関して該細胞をモニターする
ことを含む請求項1に記載の核酸分子を調節することができる物質を特定するための方法。
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