JP2004521128A - Bmpによるヒト骨髄由来cd105+細胞の軟骨形成能 - Google Patents

Bmpによるヒト骨髄由来cd105+細胞の軟骨形成能 Download PDF

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Abstract

軟骨修復に有用なBMPの組成物ならびにこれらの組成物を利用する方法が、開示される。骨髄から単離され、かつ軟骨修復に有用なBMPを用いて処理された、組織培養で拡張されていない細胞を含む組成物、ならびにこれらの組成物を利用する方法がまた、開示される。この組成物は、変形性関節症の処置、軟骨欠損の処置および関連する組織修復において、有用である。本発明において、BMPを含む組成物は、軟骨修復を必要としている患者、または軟骨組織を含む疾患または欠損(例えば、変形性関節症)を有する患者に投与される。好ましい実施形態において、本発明は、有効量のBMP−2またはBMP−9を含む組成物を含む。

Description

【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、結合組織および軟骨修復を含む組織修復の分野に関する。より詳細には、本発明は、骨形態形成タンパク質(BMP)および軟骨形成において重要な役割を果たす組成物に関する。特に、本発明はまた、軟骨組織(例えば、関節軟骨)の誘導のためのBMPの使用、およびIL−1の阻害効果を部分的にブロックするための治療剤としてのBMPの使用に関する。
【0002】
本発明はさらに、組織修復において使用するための、骨髄から単離された非組織培養拡張細胞の使用に関する。本発明はさらに、骨髄から単離された非組織培養拡張細胞および軟骨組織(例えば、関節軟骨)の誘導のための骨形態形成タンパク質(BMP)を含む組成物に関する。
【0003】
関節軟骨は、無血管性かつ無神経性であり、そして濃い細胞外マトリックス成分からなる特殊化した微小環境中に空間的に包埋された軟骨細胞からなる。軟骨細胞は、バランスのとれた同化機能および異化機能によって、軟骨の構造を維持する[Curr Opin Cell Biol 1(5)、989−94(1989)]。軟骨傷害は、これらの機能のバランスを乱し、そして炎症性サイトカイン(インターロイキン−1(IL−1)および腫瘍壊死因子(TNF)を含む)の存在と関連する[Rheumatol Int2(2)、49−53(1982);Arthritis Rheum 29(4)、461−70(1986);Arthritis Rheum 29(2)、262−73(1986)]。軟骨が外傷または疾患プロセスによって損傷される場合、関節軟骨はまた、限定された自発的修復応答を有する。
【0004】
骨髄由来細胞成分は、前駆細胞の供給源であり、そしてその分化に必要な関連増殖因子であることによって、損傷した関節軟骨の修復において、重要な役割を果たす。外科的手順は、周りの環境がこれらの細胞の分化について適切な刺激を提供することを望んで、基礎をなす肋軟骨下の骨を貫通することによって、創傷した部位へ骨髄由来の間充織前駆細胞を補充することを目的とする。これらの手順は、通常、関節軟骨ではなく線維軟骨を生じる[Arthritis Rheum 42、1331−1342(1998);Articular Cartilage and Knee Joint Function:Basic Science and Arthroscopy(Ewing,J.W.編)、Raven Press、New York(1990)]。損傷した関節軟骨の修復には、損傷部位において、サイトカインおよび因子によるこれらの前駆細胞の動員および分化が必要である。複雑なインビボ環境が、軟骨への前駆細胞の形質転換において重要な分化因子の同定を困難にしている[Suhら、Operative Techniques in Orthopaedics.7:270−278(1997)O’Driscoll、The Journal of Bone and Joint Surgery.80:1795−1812(1998)]。骨髄は、2つの細胞性成分からなる:非造血細胞とその直ぐ近位に存在する造血細胞。非造血区画内に、多能間充織特性を示す細胞集団が存在し、多能性間充織細胞(MMC)[Majumdarら、Jurnal of Cellular Physiology.185:98−106(2000);Majumdarら、Journal of Cellular Physiology(2001)189:275−284]、間充織幹細胞(MSC)[Pittengerら、Science.284:143−147(1999)]または間充織前駆細胞(MPC)[Johnstoneら、Experimental Cell Research.238:265−272(1998)]。骨髄中に存在する間充織前駆細胞は、インビボおよびまたはインビトロの環境に適切に配置される場合に、複数の結合組織系統(骨芽細胞、軟骨細胞、タン細胞、脂肪細胞および筋細胞を含む)に分化する能力を有する[Science 279、1528−1530(1998);Bone 19、421−428(1996);Bone 13、81−95(1992);Tissue Engineering 4、415−428(1998);Journal of Orthpedic Research 16、406−413(1998)]。これらの骨髄由来の間充織細胞は、組織培養拡張後にのみ、多能間充織特徴を獲得する。MMCは、細胞表面マーカー(これらの細胞によって発現されるエンドグリン(endoglin)(CD105))を認識する免疫選択手順を使用して、ヒト骨髄から単離されている[Majumdarら、Journal of Cellular Physiology.185:98−106(2000)]。
【0005】
骨、軟骨、腱および骨中に存在する他の組織の形成を担う分子ならびに他の組織抽出物についての研究は、骨形態形成タンパク質(BMP)と称される新規セットの分子の発見を導いた。とりわけ、いくつかのタンパク質(BMP−1〜BMP−16と称される)の構造が、以前に解明されている。骨形態形成タンパク質(BMP)、TGF−βおよびインスリン様増殖因子は、インビボおよびインビトロの両方において、軟骨形成を促進するか、または軟骨形成効果を示すことが示されている[J Cell Physiol 185(1)、98−106(2000);Bone 19(補遺1)、1S−12S(1996);Clin Orthop(補遺367)、S186−203(1999)]。BMPは、元々鉱物質除去された骨において検出され、この鉱物質除去された骨から精製された、増殖および分化因子のTGF−βスーパーファミリーの分泌分子である[Proc Natl Acad Sci U S A 85(24)、9484−8(1998)]。20種の哺乳動物BMPが同定され、そして3つのII型レセプターがBMPに結合することが示されている[Trends Genet 10(1)、16−21(1994)]。BMP結合は、リン酸化およびSmad経路を介したシグナル伝達の前に、I型およびII型レセプターの二量体化を生じる[Bone 19(6)、569−74(1996)]。BMPは、軟骨および骨の形成において重要な調節因子として機能することが示されており[Annu Rev Biochem 67、753−91(1998)]、そしてまた成体骨格系の修復および再構築においても機能することが示されている[Genes Dev 3(11)、1657−68(1989);J Bone Miner Res 14(10)、1734−41(1999);The Journal of Bone and Joint Surgery 82−A(2)、151−160(2000)]。
【0006】
転写因子Sox−9は、BMP−2シグナル伝達経路の下流の重要な媒介因子であることが示されている[The Journal of Bone and Joint Surgery 82−A(2)、151−160(2000)]。Sox−9は、性決定領域Y(Sry)のアミノ酸に高い相同性を有する、79アミノ酸の高移動群型のDNA結合ドメインの存在によって特徴付けられる[Curr Opin Genet Dev 7(3)、338−44(1997)]。Sox−9は、胚発生の間にCol2A1の遺伝子のパターンと密接に対応するパターンで発現され[Dev Dyn 209(4)、377−86(1997);Dev Biol 183(1)、108−21(1997)]そして軟骨マトリックス合成の間に発現され[Genes Dev 3(11)、1657−68(1989);J Bone Miner Res 14(10)、1734−41(1999);The Journal of Bone and Joint Surgery 82−A(2)、151−160(2000);Science 289(5477)、313−6(2000);J Biol Chem 275(24)、17937−45(2000);Curr Opin Genet Dev 7(3)、338−44(1997);Dev Dyn 209(4)、377−86(1997);Dev Biol 183(1)、108−21(1997);Nat Genet 16(2)、174−8(1997)]、このことは、軟骨形成および骨格形成におけるSox−9の役割を示唆する。Sox−9のアップレギュレーションが、不死化細胞株においてCol2A1およびアグレカン(aggrecan)の両方の発現を増強することが示されている[The Journal of Bone and Joint Surgery 82−A(2)、151−160(2000)]。IL−1およびTNFを含む炎症促進性分子は、Col2A1およびアグレカンの発現を阻害する[The Journal of Bone and Joint Surgery 82−A(2)、151−160(2000);J Clin Invest 82(6)、2026−37(1998);Biochim Biophys Acta 1052(3)、366−78(1990);J Cell Physiol 166(2)、351−9(1996)]。これらの炎症性サイトカインの阻害効果は、Sox−9のダウンレギュレーションによって媒介されることが報告されている[J Biol Chem 275(5)、3687−92(2000)]。変形性関節症および慢性関節リウマチにおいて上昇したレベルで存在するIL−1およびTNFの阻害効果は、これらの疾患状態における軟骨の破壊に関与していた[Rheumatol Int 2(2)、49−53(2000);Arthritis Rheum 29(4)、461−70(1986);Arthritis Rheum 29(2)、262−739(1986);J Biol Chem 275(5)、3687−92(2000)]。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明によって、本出願人らは、BMP−2およびBMP−9が、ヒト間充織前駆細胞の軟骨形成分化を促進することを実証した。本出願人らは、これらのBMPの軟骨形成能が、IL−1の炎症効果を克服できたことをさらに実証した。BMPが関節の軟骨細胞によるマトリックス合成を刺激する能力および軟骨細胞表現型を維持する能力は、軟骨欠損修復および変形性関節症の予防/逆転、軟骨細胞表現型を含む重要な適用を示唆する。これらのBMPは、軟骨の分化、増殖、維持および修復について特に有用であり得る。従って、本発明は、軟骨形成における、BMPを含む組成物および方法に関する。本発明はさらに、IL−1の炎症効果をブロックするかまたは部分的にブロックするためのBMPの使用に関する。BMPおよび本発明において有用な他のタンパク質を、以下にさらに記載する。
【0008】
本発明において、BMPを含む組成物は、軟骨修復を必要としている患者、または軟骨組織を含む疾患または欠損(例えば、変形性関節症)を有する患者に投与される。好ましい実施形態において、本発明は、有効量のBMP−2またはBMP−9を含む組成物を含む。
【0009】
この組成物において、タンパク質は、薬学的に受容可能なビヒクルと混合され得る。特定の実施形態において、この組成物はさらに、1以上のさらなるトランスフォーミング増殖因子−βタンパク質または骨形態形成タンパク質を含み得る。BMP関連タンパク質および別のTGF−βまたはBMPの両方を含む組成物は、関節軟骨の処置のために特に有用であり得、ここで、関節表面、軟骨、肋軟骨下の骨および/または軟骨と骨との間の潮標(tidemark)界面は、修復される必要があり得る。
【0010】
本発明はまた、軟骨組織の治癒および組織修復のための方法、変形性関節症もしくは他の軟骨欠損を処置するための方法、ならびにこれらを必要とする患者における軟骨組織形成を誘導するための方法も含み、この方法は、有効量のBMP組成物をこの患者に投与する工程を包含する。好ましい実施形態において、この方法において利用される組成物は、BMP−2および/またはBMP−9を含む。本発明はまた、軟骨細胞または軟骨組織の誘導のために有用なタンパク質のアミノ酸配列を有する1つのモノマー、およびTGF−βサブファミリーの別のタンパク質のアミノ酸配列を有する1つのモノマーを含む、ヘテロ二量体タンパク質分子を含む。
【0011】
本発明はさらに、軟骨形成能を有する、骨髄から単離された非組織培養拡張細胞を含む組成物に関する。好ましい実施形態において、非組織培養拡張細胞は、CD105+細胞である。さらなる実施形態において、本発明の組成物は、ヒト骨髄から単離された非組織培養拡張細胞、ならびに軟骨および/または骨の形成を誘導するタンパク質を含む。骨髄および非組織培養拡張細胞から単離されたこれらの細胞は、BMPによって処理された場合、軟骨形成能を実証する。
【0012】
好ましい実施形態において、非組織培養拡張細胞の処理のため、および本発明の他の実施形態における使用のための活性因子としては、タンパク質のトランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)スーパーファミリーとして公知のタンパク質からなる群より選択される、1以上のタンパク質、好ましくは骨形態形成タンパク質(BMP)、増殖および分化因子(GDF)ならびに本明細書中でより完全に記載される他のタンパク質から選択される、1以上のタンパク質が挙げられる。本発明において有用な、骨形成タンパク質、DNA配列、組成物およびこれらを作製する方法は、BMPタンパク質(BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6およびBMP−7(例えば、米国特許第5,108,922号;同第5,013,649号;同第5,116,738号;同第5,106,748号;同第5,187,076号;同第5,459,047号;同第5,849,880号および同第5,141,905号に開示される);BMP−8(PCT公開WO91/18098に開示される);およびBMP−9(PCT公開WO93/00432に開示される)、BMP−10(PCT公開WO94/26893に開示される);BMP−11(PCT公開WO94/26892に開示される)、またはBMP−12もしくはBMP−13(PCT公開WO95/16035に開示される)、またはBMP−15(PCT公開WO96/36710に開示される)もしくはBMP−16(1996年9月18日出願の、同時係属中の特許出願番号08/715/202に開示される)を含む。好ましい実施形態において、このBMPは、BMP−2およびBMP−9からなる群より選択される。
【0013】
さらに有用であり得る他のDNA分子およびそれらがコードするタンパク質としては、Vgr−2、ならびに任意の増殖因子および分化因子[GDF](PCT出願WO94/15965;WO94/15949;WO95/01801;WO95/01802;WO94/21681;WO94/15966などに開示されるものを含む)をコードするものが挙げられる。さらに本発明において有用であるのは、BIP(WO94/01557に開示される);ならびにMP52(PCT出願WO93/16099に開示される)であり得る。上記の出願全ての開示は、その中に含まれる開示について、本明細書によって参考として援用される。
【0014】
有用であり得る他のDNA分子およびそれらがコードするタンパク質としては、増殖因子(例えば、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF−αおよびTGF−β)、hedgehogタンパク質(例えば、ソニック(sonic)hedgehog、インドhedgehogおよび砂漠hedgehog)、副甲状腺ホルモンおよび副甲状腺ホルモン関連ペプチド、カドヘリン、アクチビン、インヒビン、およびIGF、FSH、frizzledタンパク質、frzbタンパク質、frazzledタンパク質、PDGFおよび他の内皮増殖因子)、BMP結合タンパク質(例えば、コルディン(chordin)およびフェツイン(fetuin))、エストロゲンおよび他のステロイド、ならびにこれらの短縮バージョン、ならびに転写因子(例えば、wntタンパク質、mad遺伝子およびcbfa)が挙げられる。
【0015】
上記で同定された出願の開示は、参考として本明細書中に本明細書によって援用される。これらのタンパク質の骨における存在と共に、これらのタンパク質の特有の誘導性の活性は、これらのタンパク質が、骨修復プロセスおよび軟骨修復プロセスの重要な調節因子であり、そして骨組織の正常な維持に関与し得ることを示唆する。
【0016】
本発明の単離された細胞は、BMPまたは他の軟骨誘導タンパク質を用いて処理され得る。さらなる実施形態において、BMPタンパク質をコードするDNA配列は、当業者に公知の方法を用いてこれらの細胞中に取り込まれ得る。
【0017】
拡張せずに骨髄から直接単離された細胞が、いくつかの理由のために治療目的に対して好ましい。第1に、接着に基づく選択は、軟骨形成の潜在性と必ずしも関連付けられることが今まで示されていない特徴を示す細胞の部分集団を優先的に選択する。それらが接着ができないことに基づいて、軟骨形成の可能性を有する潜在的な重要な細胞部分集団を破棄してしまう可能性が減少される。細胞拡張の間の分化因子に対するインビトロ応答が、細胞表面特徴を変化させ得、それらの細胞を宿主に対して免疫原性にし、そして移植後に対宿主性移植片反応を引き起こすことという可能性はある。最後に、本発明によって、CD105細胞の軟骨形成分化が、細胞の培養および/または細胞の拡張に依存しないことが実証された。従って、無血清条件のBMPの存在下における3次元マトリクス中でのヒト骨髄由来CD105細胞の軟骨形成分化に基づいて、本発明は、関節軟骨の修復のために移植される骨髄由来自己細胞を利用する、臨床移植プロトコルを特徴とする。このプロトコルは、長期であり、高価であり、そして面倒な細胞の培養拡張を排除する。
【0018】
従って、本発明は、ヒト骨髄から単離され、そしてアルギネートの3次元マトリクス中に直接カプセル化され、そして無血清培地中で培養された、CD105細胞をさらに特徴とする。従って、本発明の組成物は、薬学的に受容可能なビヒクルまたは適切なマトリクスをさらに含み得る。
【0019】
本発明はまた、軟骨組織治癒および軟骨組織修復を必要とする患者において軟骨組織治癒および軟骨組織修復のための方法、変形性関節症または他の軟骨欠損の処置を必要とする患者において変形性関節症または他の軟骨欠損を処置するための方法、ならびに軟骨組織形成の誘導を必要とする患者においてにおいて軟骨組織形成を誘導するための方法を含み、これらの方法は、本発明の組成物の有効量を上記の患者に投与する工程を包含し、この組成物は、骨髄から単離され、組織培養で拡張されていない細胞、ならびに骨誘導タンパク質および/または軟骨誘導タンパク質を含む。好ましい実施形態において、この組成物は、CD105+細胞およびBMPを含む。
【0020】
好ましい実施形態において、本発明の方法は、CD105+細胞および有効量のBMP−2またはBMP−9を含む組成物を投与する工程を包含する。別の実施形態において、この方法は、細胞と同時にかまたはその後に、BMP−2またはBMP−9を含む組成物の有効量をこの患者に投与する工程を包含する。
【0021】
初代幹細胞および前駆細胞を用いて種々の臨床適用が提唱されている[Fuchsら、Cell.100:143−155(2000)]。間葉細胞治療が、培養で拡張した細胞を用いる種々の組織修復に対して提唱されている[Caplan Journal of Orthopaedic Research.9:641−650(1991)]。本発明は、細胞に基づく組織修復の臨床適用を拡張し、それらの細胞のインビトロ操作を最小化する手順が有利である。本発明によって示されるように、培養による拡張を伴なわない間葉細胞の分化潜在性は、結合組織疾患の臨床治療を提供する。
【0022】
(発明の詳細な説明)
本発明は、軟骨形成性分化を促進するBMPを含む組成物に関する。これらの組成物は、変形性関節症に関連した生理学的レベルのIL−1の存在下で、軟骨特異的細胞外マトリクス分子の発現を維持し得る。本発明は、さらに、これらの組成物を利用する方法に関する。これらの組成物および方法に好ましいBMPは、BMP−2およびBMP−9である。BMP−2のアミノ酸配列をコードするDNAおよびBMP−2のアミノ酸配列、ならびにこれらを調製する方法は、米国特許第5,013,649号の実施例に記載され、その開示は、本明細書中で参考として援用される。BMP−9のアミノ酸配列をコードするDNAおよびBMP−9のアミノ酸配列は、WO93/00432に開示され、その開示は、本明細書中で参考として援用される。
【0023】
本発明はまた、骨髄から単離された、非組織培養拡張された細胞(これは、軟骨形成能を有する)を含む組成物に関する。好ましい実施形態では、非組織培養拡張された細胞は、CD105+細胞である。さらなる実施形態では、本発明の組成物は、ヒト骨髄から単離された、非組織培養拡張された細胞、ならびに軟骨および/または骨の形成を誘導するタンパク質を含む。骨髄から単離され、そして非組織培養拡張された、これらの細胞は、BMPで処理した場合、軟骨形成能を示す。本発明により、本出願人らは、これらの細胞が、軟骨修復を含む結合組織疾患の臨床的処置に重要な、前駆体細胞の供給源となる可能性を有することを示した。従って、単離された細胞は、BMPタンパク質で処理され得る。さらなる実施形態では、BMPをコードする配列が、細胞に組み込まれ得る。
【0024】
本発明の組成物および方法は、軟骨組織または他の組織が、通常形成されず、そして軟骨の治癒(例えば、ヒトおよび他の動物における、関節軟骨の断裂、変形および他の軟骨欠損)に関する適用を有する状況において、軟骨組織または他の組織の形成の誘導に関する適用を見出す。タンパク質を誘導する軟骨組織を用いるこのような調製物は、軟骨組織に対する損傷を防ぐことに関する予防的用途、ならびに骨または他の組織に対する軟骨の改善された固定に関する用途、および軟骨組織に対する欠損を修復することに関する用途を有し得る。本発明の組成物により誘導された新規の軟骨組織形成は、先天性軟骨欠損、外傷誘発性軟骨欠損、または他の起源の他の軟骨欠損の修復に寄与し、そして軟骨の付着または修復のための手術に有用である。本発明の組成物はまた、関節炎および他の軟骨欠損の処置に有用であり得る。本発明の組成物はまた、軟骨組織を治癒または再生することが望ましい他の適応症に用いられ得る。このような適応症としては、関節軟骨に対する損傷の再生または修復が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物は、軟骨形成細胞を誘引するか、軟骨形成細胞の増殖を刺激するか、または軟骨形成細胞の前駆体の分化を誘導する環境を提供し得る。
【0025】
本発明の方法に有用なタンパク質は、軟骨組織の形成を誘導し得る。軟骨組織とは、軟骨細胞、および軟骨細胞により形成される組織を意味し、これらは軟骨の組織学的特徴および組成上の特徴を示す。これらのタンパク質は、以下に記載されるアッセイにおいて軟骨組織形成活性を示す能力により、さらに特徴付けされ得る。これらのタンパク質が、他の型の組織(例えば、腱および靱帯)の形成を誘導する能力を有し得ることが意図される。
【0026】
本発明の軟骨組織形成を誘導するための組成物は、タンパク質を誘導する有効量の軟骨組織を含み得る。好ましい実施形態では、活性な薬剤は、本明細書中でさらに十分に記載されるような、トランスフォーミング成長因子β(TGF−β)スーパーファミリーのタンパク質として公知のタンパク質の群から選択される(好ましくは、骨形態形成タンパク質(BMP)、増殖および分化因子(GDF)、ならびに他のタンパク質から選択される)1つ以上のタンパク質である。本発明において有用な、骨形成タンパク質、DNA配列、組成物、およびこれらを作製する方法は、BMPタンパク質である、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6およびBMP−7(例えば、米国特許第5,108,922号;同第5,013,649号;同第5,116,738号;5,106,748号;同第5,187,076号;同第5,459,047号;同第5,849,880号;および同第5,141,905号に開示される);BMP−8(PCT公開WO91/18098に開示される);ならびにBMP−9(PCT公開WO93/00432に開示される);BMP−10(PCT公開WO94/26893に開示される);BMP−11(PCT公開WO94/26892に開示される)、またはBMP−12もしくはBMP−13(PCT公開WO95/16035に開示される)、またはBMP−15(PCT公開WO96/36710に開示される)またはBMP−16(1996年9月18日に出願された、同時係属特許出願番号08/715/202に開示される)を含むものである。これらの組成物および方法に好ましいBMPは、BMP−2およびBMP−9である。BMP−2のアミノ酸配列をコードするDNAおよびBMP−2のアミノ酸配列、ならびにこれらを調製する方法は、例えば、米国特許第5,013,649号(その開示は本明細書中で参考として援用される)に開示される。BMP−9のアミノ酸配列をコードするDNAおよびBMP−9のアミノ酸配列は、例えば、WO93/00432(その開示は本明細書中で参考として援用される)に開示される。
【0027】
他のDNA分子およびこのDNAがコードするタンパク質(これらもまた有用であり得る)としては、Vgr−2、および任意の増殖および分化因子[GDF](PCT公開WO94/15965;WO94/15949;WO95/01801;WO95/01802;WO94/21681;WO94/15966などに開示されるものを含む)をコードするものが挙げられる。BIP(WO94/01557に開示される);およびMP52(PCT公開WO93/16099に開示される)もまた本発明において有用であり得る。上記の出願の全ての開示は、これらに含まれる開示について本明細書中で参考として援用される。
【0028】
タンパク質は、他の関連するタンパク質および増殖因子と協力して、または、恐らく、相乗的に作用することが予想される。BMPタンパク質をコードするDNAに加えて、他のDNA分子、およびこのDNAがコードするタンパク質(これらも有用である得る)としては、以下を含む、他の治療的に有用な薬剤をコードするDNA分子が挙げられる:増殖因子(例えば、上皮増殖因子(EGF)、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、FGF−4、トランスホーミング増殖因子(TGF−αおよびTGF−β)、白血病阻害因子(LIF/HILDA/DIA)、インスリン様増殖因子(IGF−IおよびIGF−II))、インターロイキン(例えば、IL−11)、ヘッジホッグ(hedgehog)タンパク質(例えば、ソニック(sonic)ヘッジホッグ、インディアン(indian)ヘッジホッグおよびデザート(desert)ヘッジホッグ)、副甲状腺ホルモンおよび副甲状腺ホルモン関連ペプチド、カドヘリン、アクチビン、インヒビン、ならびにIGF、FSH、frizzledタンパク質、frzbタンパク質、またはfrazzledタンパク質,PDGFおよび他の上皮増殖因子、BMP結合タンパク質(例えば、コルジン(chordin)およびフェチュイン(fetuin))、エストロゲンおよび他のステロイド、およびその短縮型バージョン、ならびに転写因子(例えば、wntタンパク質、mad遺伝子、およびcbfa)。これらの薬剤の部分もまた、本発明の組成物に用いられ得る。このような組成物は、軟骨と骨の間の接合部の欠損(これは、連続する解剖学的位置で同時に生じる)を処置するために有用であり得、そして骨に付着した軟骨の部位での組織の再生に有用であり得る。
【0029】
上記で確認される出願の開示は、本明細書中で参考として援用される。これらのタンパク質の固有の誘導活性は、骨におけるこれらの存在と共に、これらが、骨および軟骨の修復プロセスの重要な調節因子であり、そして骨組織の通常の維持に関与し得ることを示唆する。
【0030】
本明細書中で提供される軟骨組織誘導タンパク質はまた、天然に存在するタンパク質の配列に類似する配列によりコードされる因子を含むが、このタンパク質に対する改変は、天然で提供され得る(例えば、ポリペプチド中のアミノ酸変化を生じ得るヌクレオチド配列中の対立遺伝子改変体)か、または故意に操作され得る。例えば、合成ポリペプチドは、タンパク質のアミノ酸残基の連続する配列を、完全に複製し得るか、または部分的に複製し得る。これらの配列は、一次構造、二次構造、または三次構造および立体配座特徴を、天然に存在するタンパク質の軟骨組織増殖因子ポリペプチドまたは軟骨組織維持因子ポリペプチドと共有することにより、これらに共通する、軟骨組織または他の組織の増殖因子または成長因子の生物学的特性を保有し得る。従って、これらは、治療用組成物および治療プロセスにおける、天然に存在する軟骨組織誘導性ポリペプチドおよび軟骨組織維持ポリペプチドの、生物学的に活性な代用物として用いられ得る。
【0031】
本明細書中に記載される軟骨組織誘導性タンパク質の配列の他の特異的変異は、グリコシル化部位の改変に関与する。これらの改変は、O連結グリコシル化部位またはN連結グリコシル化部位に関与し得る。例えば、グリコシル化の欠如または部分的のみのグリコシル化は、アスパラギンが連結したグリコシル化認識部位でのアミノ酸の置換または欠失から生じる。このアスパラギンが連結したグリコシル化認識部位は、適切な細胞性グリコシル化酵素により特異的に認識される、トリペプチド配列を含む。これらのトリペプチド配列は、アスパラギン−X−スレオニン、アスパラギン−X−セリン、またはアスパラギン−X−システインであり得、ここで、Xは、通常、プロリンを除く任意のアミノ酸である。グリコシル化認識部位の第1または第3のアミノ酸位置の1つまたは両方での種々のアミノ酸置換または欠失(および/あるいは第2の位置でのアミノ酸欠失)は、改変されたトリペプチド配列においてグリコシル化を生じない。さらに、タンパク質の細菌発現はまた、たとえグリコシル化部位が改変されていなくとも、非グリコシル化タンパク質の産生を生じる。
【0032】
このような生理学的に受容可能なタンパク質組成物の調製および処方(pH、等張性、安定性などに関して適切である)は、当業者の範囲内である。治療用組成物はまた、TGF−βタンパク質における種特異性の欠如に起因して、獣医学的適用のために現在価値がある。特に、ヒトに加えて、家畜動物およびサラブレッドウマは、本発明の組成物を用いるこのような処置について、望ましい患者である。
【0033】
治療方法は、この組成物を、注射可能物および/またはインプラントまたはデバイスとして、局所的、全身に、または局部的に投与する工程を包含する。投与される場合、本発明における使用のための治療組成物は、当然のことながら、発熱物質を含まず、生理学的に受容可能な形態である。さらに、この組成物は、望ましくは、組織損傷の部位に送達するために、カプセル化され得るかまたは粘性形態で注射され得る。局所的投与は、創傷治癒および組織修復に適切であり得る。やはり上記の組成物に必要に応じて含まれ得るタンパク質以外の治療的に有用な薬剤は、代替的にまたはさらに、本発明の方法においてこの組成物を同時にまたはこの組成物と連続して投与され得る。さらに、本発明の組成物は、軟骨傷害の現在利用可能な処置(例えば、縫合(例えば、ビクリル縫合、外科的腸縫合(Ethicon Inc.Somerville,NJ))または軟骨異型移植片もしくは自己移植片)とともに、縫合または移植片の治癒可能性を増強または促進するために、使用され得る。例えば、縫合、異型移植片または自己移植片は、移植前に、本発明の組成物中に浸漬され得る。タンパク質または本発明の組成物を、例えば、凍結乾燥により、縫合材料に組み込むこともまた可能である。
【0034】
上記のように、本発明の組成物は、多くの軟骨欠損を処置するための方法(例えば、軟骨損傷の領域における軟骨組織の再生)において使用されて、軟骨組織の断裂および種々の他の型の組織欠損または創傷の修復を補助し得る。これらの方法は、本発明の方法に従って、このような軟骨組織または他の組織修復の必要な患者に、軟骨組織誘導タンパク質(例えば、その開示が、本明細書中に参考として援用されるWO95/16035に記載されるタンパク質)の有効量を含む組成物を投与する工程を包含する。これらの方法はまた、上記のBMPタンパク質の少なくとも1つとともに、軟骨組織誘導タンパク質の投与を包含する。
【0035】
別の実施形態において、この方法は、モノマーの1つが軟骨組織誘導BMPポリペプチドであり、第2のモノマーが、増殖因子のTGF−βスーパーファミリーのメンバーであるヘテロダイマータンパク質の投与を包含し得る。さらに、これらの方法はまた、他の増殖因子(例えば、EGF、FGF、TGF−α、TGF−β、およびIGFを含む)とともに、軟骨組織誘導タンパク質の投与を包含する。
【0036】
従って、本発明のさらなる局面は、軟骨組織を修復するための治療的方法および組成物、ならびに関節炎および関節炎に関連する他の状態を処置することである。このような組成物は、薬学的に受容可能なビヒクル、キャリアまたはマトリクスと混合された状態で、1以上の軟骨組織誘導タンパク質(例えば、BMP−2またはBMP−9)の治療的有効量を含む。
【0037】
培養により拡張されたMMCは、関節の軟骨修復の部位に軟骨形成性増殖因子を送達するために操作され得る。従って、MMCとBMPの組み合わせは、臨床的軟骨修復手順を提供し得、かつこの手順を大きく改良し得る。
【0038】
本発明の実施形態のための投薬レジメンは、組成物の作用を改変する種々の要因(例えば、形成することが所望される軟骨組織の量、軟骨組織損傷の部位、損傷を受けた軟骨組織の状態、創傷のサイズ、損傷を受けた組織の型、患者の年齢、性別および食餌、任意の感染の重篤性、投与の時間および他の臨床的要因)を考慮に入れて、主治医により決定される。この投薬量は、再構成に使用されるマトリクスの型および組成物中のさらなるタンパク質の型によって変化し得る。最終組成物への他の公知の増殖因子(例えば、IGF−I(インスリン様増殖因子I))の添加はまた、投薬量に影響を及ぼし得る。概して、軟骨組織の形成を誘導するに有用な組換えBMPタンパク質の量は、容積で約20ccの欠損について約1〜約100μgの量にある。概して、軟骨組織の維持を誘導するために有用な組換えBMPタンパク質の量は、溶液1mlあたり約1〜約1000ngの量にある。
【0039】
関節の軟骨損傷を含む種々の状態の処置が必要な患者の同定は、当該分野で周知の手順により達成され得る。これらの手順は、複式エネルギーX線吸収測定(dual energy X−ray absorptiometry)(DEXA)(Kilgusら、J.Bone & Joint Surgery,75−B:279−287(1992);Markelら、Acta Orthop Scand,61:487−498(1990));および定量的コンピュータ連動断層撮影(QCT)(Lavel−Jeantetら、J Comput Assist Tomogr,17:915−921(1993);Markel,Calcif Tissue Int,49:427−432(1991));シングルフォトン吸収測定(single photon absorptiometry)(Markelら、Calcif Tissue Int,48:392−399(1991));超音波伝達速度(UTV)(Heaneyら、JAMA,261:2986−2990(1989);Langtonら、Clin Phys Physiol Meas,11:243−249(1990));ならびにx線評価(radiographic assessment)(Gluerら、J.Bone&Mineral Res,9:671−677(1994))を使用する骨質量/骨密度の測定を含む。他の同定方法は、当業者に公知である。上記の刊行物は、本明細書中に参考として援用される。
【0040】
進行は、軟骨組織形成、または軟骨組織増殖および/もしくは軟骨組織修復の定期的評価によりモニターされ得る。この進行は、当該分野で公知の方法(例えば、X線、関節鏡検査、組織形態決定およびテトラサイクリン標識)によりモニターされ得る。
【0041】
拡張させずに骨髄から直接単離した細胞は、いくつかの治療的利点を有する。接着に基づく選択は、軟骨形成能力と必ず相関することを決して示さない特徴を示す細胞亜集団を優先的に選択する。細胞の接着する能力に基づいて、軟骨形成能力を有する細胞の潜在的に重要な亜集団を除く可能性が減少される。培養拡張の間の分化因子に対するインビトロでの応答は、細胞表面特徴を改変し得、このことは、細胞を宿主に対して免疫原性にし、移植後に対宿主性移植片応答を生じさせる。最後に、本発明により、CD105細胞の軟骨形成性分化は、細胞の培養および/または拡張に依存しないことが実証された。無血清条件にてBMPの存在下で3次元マトリクスにおけるヒト骨髄由来CD105細胞の軟骨形成性分化に基づいて、従って、本発明は、関節軟骨の修復のための移植された骨髄由来自己細胞を使用する臨床的移植プロトコルを特徴とする。このプロトコルは、長時間にわたる、高価かつ労力を要する細胞の培養拡張を排除する。
【0042】
本発明は、ヒト骨髄から単離したCD105細胞を拡張させ、およびアルギン酸の3次元マトリクス中に直接カプセル化し、無血清培地中で培養される非組織培養をさらに特徴とする。従って、さらなる実施形態は、適切なマトリクスを含む。
【0043】
本発明は、軟骨性組織治癒および軟骨組織修復のため、変形性関節症または他の軟骨欠損を処置するため、および軟骨組織形成の必要がある患者において軟骨組織形成を誘導するための方法を包含し、この方法は、骨髄から単離した非組織培養拡張細胞ならびに骨および/または軟骨誘導タンパク質を含む本発明の組成物の有効量を、この患者に投与する工程を包含する。好ましい実施形態において、この組成物は、非組織培養拡張CD105細胞およびBMPを含む。好ましい実施形態において、本発明は、CD105細胞および有効量のBMP−2またはBMP−9を含む組成物を含む。この方法は、細胞または引き続き有効量の、BMP−2またはBMP−9を含む組成物を同時にこの患者に投与する工程を包含する。
【0044】
初代幹細胞および前駆体細胞を使用する種々の臨床的用途が提唱されてきた[Fuchsら、Cell.100:143−155(2000)]。間葉細胞治療は、培養拡張細胞を使用した種々の組織修復のために提唱されてきた[Caplan Journal of Orthopaedic Research.9:641−650(1991)]。本発明は、細胞ベースの組織修復の臨床的適用を拡げ、これら細胞のインビトロ操作を最小にする手順は有利である。本発明により示されるように培養拡張を伴わない間葉細胞の分化能力は、結合組織疾患の臨床的処置を提供する。
【0045】
本発明の組成物は、キャリアとして適切なマトリクスおよび/または金属イオン封鎖剤を含み得る。例えば、このマトリクスが、この組成物を支持し得るか、または軟骨組織形成および/または他の組織形成のための表面を提供し得る。このマトリクスは、タンパク質の遅い放出および/またはその提示のための適切な環境を提供し得る。金属イオン封鎖剤は、注射または他の手段を介して投与を容易にすることに役立つ物質であり得るか、または適用の部位からタンパク質の移動を遅くし得る。
【0046】
キャリア材料の選択は、生体適合性、生体分解性、機械的特性、審美的外観、および界面特性に基づく。この組成物の特定の適用により、適切な処方が規定される。この組成物の潜在的なマトリクスは、生体分解性かつ化学的に規定され得る。さらにマトリクスは、純粋なタンパク質または細胞外マトリクス成分から構成される。他の潜在的なマトリクスは、非生体分解性かつ化学的に規定される。好ましいマトリクスとしては、Helistat(登録商標)(Integra LifeSciences,Plainsboro,N.J.)のようなコラーゲンベースの材料(スポンジを含む)または注射可能な形態のコラーゲン、ならびに例えば、ヒアルロン酸由来の金属イオン封鎖剤(生体分解性であり得る)が挙げられる。生体分解性材料(例えば、セルロースフィルムまたは手術用メッシュ)はまた、マトリクスとして役立ち得る。このような材料は、傷害部位に縫合されるかまたは軟骨の周りに巻きつけられ得る。
【0047】
キャリアの別の好ましいクラスは、ポリマーマトリクスであり、これらのマトリクスとしては、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)のポリマー、および乳酸とグリコール酸とのコポリマーが挙げられる。これらのマトリクスは、スポンジの形態または多孔性粒子の形態であり得、そしてまた金属イオン封鎖剤を含み得る。適切なポリマーマトリクスは、例えば、W093/00050(この開示は、本明細書中に参考として援用される)に記載される。
【0048】
本願の実施において有用なさらなる適切な組成物としては、例えば、マンニトール、スクロース、ラクトース、グルコースまたはグリシンのような凍結保護剤(cryogenic protector)(凍結乾燥の間にタンパク質が変性するのを防ぐため)、抗微生物性防腐剤(例えば、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、ならびにベンジルアルコール);抗酸化剤(例えば、EDTA)、クエン酸およびBHT(ブチルヒドロキシトルエン);ならびに界面活性剤(例えば、ポリ(ソルベート)およびポリ(オキシエチレン))が挙げられる。
【0049】
金属イオン封鎖剤の好ましいファミリーとしては、血液、フィブリン凝固および/またはアルキルセルロース(ヒドロキシアルキルセルロースを含む)のようなセルロース材料(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースが挙げられる)が挙げられ、最も好ましくは、カルボキシメチルセルロース(CMC)のカチオン性塩である。他の好ましい金属イオン封鎖剤としては、ヒアルロン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシエチレンオキシド、カルボキシビニルポリマーおよびポリ(ビニルアルコール)が挙げられる。本明細書中で有用な金属イオン封鎖剤の量は、処方物の総重量に基づいて、0.5〜20wt%、好ましくは、1〜10wt%である。これは、ポリマーマトリクスからタンパク質の脱着を防止し、組成物の適切な取り扱いを提供するために必要な量を表すが、前駆体細胞が、マトリクスに浸潤することを妨げるほどではなく、それによりこのタンパク質に前駆体細胞の活性を補助する機会を提供する。
【0050】
本発明の特定の実施形態において、組成物の成分は、再吸収性ポリマー送達系(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、またはそれらのコポリマー、ポリオルトエステル、ポリオルトカーボネート、および他のポリマー)にカプセル化され得る。適切なポリマーは、EP 0145240中の実施例に開示され、この開示は、本明細書中に参考として援用される。あるいは、BMPは、リポソーム中にカプセル化され得る。例えば、TGF−βタンパク質のリポソーム送達は、米国特許第5,206,023号、同第5,270,300号、および同第5,368,858号に開示され、これらの開示の各々は、本明細書中に参考として援用される。これらの送達系はともに、後にまたはより持続した期間にわたりBMPの放出を提供するように改変され得、軟骨細胞および軟骨維持に対するBMPの有利な効果が、軟骨細胞および軟骨組織の誘導に対するBMPの有利な効果を補足するように作用させる。
【0051】
本発明のタンパク質および組成物はまた、細胞集団(例えば、胚細胞または幹細胞の集団)を処理して、これらの細胞の増殖、分化および/または維持を増強または高めるために有用であり得る。処置された細胞集団は、遺伝子治療適用に有用であり得る。
【0052】
以下の実施例は、BMPがヒト間葉前駆体細胞の軟骨形成性分化を促進することおよびこれらBMPがIL−1の炎症性効果を克服する能力を実証することにおいて、本発明の実施を例示する。
【0053】
以下の実施例は、BMPが非組織培養拡張ヒト間葉前駆体細胞の軟骨形成性分化を促進することを実証することにおいて、本発明の実施をさらに例示する。
【0054】
(実施例1:MMCの単離および培養拡張)
ヒトMMCを以前報告された手順[Journal of Cellular Physiology 176,57−669(1998)]に従って単離した。単球(MNC)を、以前報告された手順[J Cell Physiol 185(1),98−106(2000)]の改変に従って、ヒト骨髄サンプルから単離した。骨髄サンプル中の有核細胞全てを、単離緩衝液(カルシウムおよびマグネシウム非含有リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、2%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.6%クエン酸ナトリウムおよび1%ペニシリン−ストレプトマイシン)を使用して、1mlあたり7×10細胞の濃度に希釈した。30〜35mlの希釈細胞懸濁液を、15mlのFicoll−Paque(Pharmacia,Piscataway,NJ)に重層し、800×gにて20分間遠心分離した。MNCを回収し、計数し、磁性活性化細胞選別(MACS)緩衝液(0.5% BSAおよび2mM EDTA含有PBS,pH7.2)で洗浄し、MACS緩衝液中にて2〜4×10細胞/mlに再懸濁した。1×10のMNCを、0.2mlの抗ヒトCD105抗体−マイクロビーズとともに4℃にて45分間インキュベートし、CD105細胞を、MSカラム(Miltenyi Biotec)を使用して製造業者の推奨に従って単離した。CD105細胞を、カラム溶出液として回収する一方、CD105細胞を、カラムに結合させたままにした。CD105細胞を、磁石からはずし、細胞をMACS緩衝液を使用して流すことにより、カラムから回収した。CD105細胞を、185cm Nunclon Soloフラスコ(Nunc Inc.,Naperville,IL)中に、1フラスコあたり5〜7.5×10細胞の密度にて入れて、α−MEM(10%ウシ胎仔血清(FBS,Hyclone,Logan,UT)および1%抗真菌性抗生物質を補充した)からなる完全培地中で37℃にて、空気中5%COで培養した。培地を48時間後に交換し、その後は3〜4日ごとに交換した。14日目に、0.05%トリプシン/EDTAとともにインキュベートすることにより細胞を剥がし(初代(p0)と称する)、1フラスコあたり1×10細胞の密度にて拡張するために、継代1細胞として、再び入れた。この細胞は、6日から7日で90%コンフルエントに達し、その後、この細胞を、上記のように継代するか、または他のアッセイにおいて使用するか、または将来使用するために液体窒素中で、90% FBSおよび10% ジメチルスルホキシド中に保存するかのいずれかであった。この研究のために使用した細胞は、継代2または継代3から得た。CD105細胞は、間葉起源であり、多能性分化能を有するので、CD105細胞をMMCと称した。
【0055】
(実施例2:アルギン酸中でのMMCの培養)
MMCを、以前報告した手順[J Cell Physiol 185(1),98−106(2000)]に従ってアルギン酸中にカプセル化した。簡潔には、MMCを、剥がし、洗浄緩衝液(0.15M NaCl,25mM Hepes、pH7.0)を使用して洗浄し、洗浄緩衝液中に1.2%アルギン酸中で25×10/mlの密度に再懸濁した。細胞懸濁液の個々のビーズを、20ゲージ針を介して、102mM CaClおよび25mM Hepes(pH7.0)を含む溶液へと直ぐに移した。このビーズを、10分間重合させ、洗浄緩衝液中で1回洗浄し、完全培地中で3回洗浄し、同じ培地中で、空気中5%COにより37℃にて一晩培養した。翌日、この培地を、化学的に規定された培地(高グルコース、100nM デキサメタゾン(Sigma)、50μg/ml アスコルビン酸−2−ホスフェート(WAKO Pure Chemicals,Tokyo,Japan)、100μg/mlのピルビン酸ナトリウム(Life Technologies)、50μg/ml プロリン(Sigma)、1% ITS−Premix(Becton Dickenson,Bedford,MA)および100ng/ml rhBMP−2もしくはrhBMP−9を含有するDMEMからなる)に交換した。この培地を、翌2〜3週にわたり1週間に2回交換した。RNAを、培養の間に種々の時間間隔で遺伝子の発現を試験するために細胞から単離した。
【0056】
IL−1研究に関して、軟骨形成性分化のために、BMP含有または非含有無血清培地にて14〜21日間、アルギン酸中でMMCを培養した。14日目、ビーズを洗浄し、200pg/mlのIL−1(Roche Biochemicals,Indianapolis,IN)を含有する培地中で、先の研究[Journal of Cellular Physiology 176,57−66(1998)]において報告したように、72時間培養した(17日目)。再び、ビーズを洗浄し、BMP含有培地中で96時間培養した(21日目)。RNAを14日目、17日目および21日目に細胞から単離した。次の研究において、MMCをアルギン酸ビーズ中で14日間培養し、引き続いてBMP単独、IL−1単独、またはIL−1とBMPの種々の組み合わせにて、さらに7日間培養した。RNAを、14日目および21日目に細胞から単離した。
【0057】
別の研究において、拡張させた細胞を、3次元アルギン酸マトリクス中にカプセル化し、IL−11とBMP−9ありまたはなしで無血清培地中で培養して、軟骨形成性分化を受けるそれらの能力について分析した。
【0058】
(実施例3:RNA調製およびノーザンブロット分析)
培養拡張MMCをアルギン酸ビーズにカプセル化し、無血清培地中で培養した。RNA単離に関して、ビーズを細胞回収緩衝液(55mM クエン酸ナトリウム、0.15M NaClおよび25mM Hepes,pH7.0)に移し、4℃にて10分間インキュベートし、細胞をアルギン酸マトリクスから放出し、1400×gにて15分間、4℃で遠心分離して、細胞を回収した。総RNAを、以前報告した手順[Journal of Cellular Physiology 176,57−66(1998)]により細胞ペレットから調製した。簡潔には、細胞ペレットを、溶解緩衝液(4M グアニジウムイソチオシアネート、0.03M 酢酸ナトリウムおよび0.4g/ml 塩化セシウム)中に再懸濁し、溶解物を5.7M 塩化セシウムに重層し、SW40ローター(Beckman,Palo Alto,CA)で155,000×gにて18時間遠心分離した。RNAペレットを、0.5〜1mg/mlにて水中に溶解した。ノーザンブロッティング分析に関して、1サンプルあたり5μgの総RNAを、1%ホルムアミド−アガロースゲルで分画した。電気泳動に続いて、RNAを、正に荷電したナイロン膜(BrightStar−Plus(Ambion,Austin,TX))に転写した。ノーザン分析用の遺伝子プローブを表Iに列挙する特異的オリゴヌクレオチドプライマーを使用して、PCR増幅産物として調製し、この増幅産物を配列決定によって確認した。これらのプローブを、[α−32P]dCTP(NEN Life Sciences Products)により、ランダムプライマー法を使用して、製造業者(Amersharn Pharmacia Biotech Inc.,NJ)が推奨するように放射性標識し、ultrahyb溶液(Ambion)中で一晩ハイブリダイズさせた。Col2Alハイブリダイゼーションを、54℃にて行い、他は全て、42℃にて行った。フィルターを、2×SSC/0.1 %SDS中で室温にて洗浄し、次いで、0.1×SSC/0.1%SDS中で65℃にて30分間洗浄した。このフィルターを、X線フィルムに一晩曝した。ハイブリダイゼーションシグナルを、x線画像をスキャンし、画像尺度(Fuji Photo and Film Co,Japan)を利用することにより定量した。Col2A1、アグリカン(aggrecan)、COMPおよびSox−9のmRNAレベルを、β2−ミクログロブリンとの正規化によりRNA負荷について較正した。逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によるCol2AI遺伝子発現の検出に関して、RNAを、RNeasyキット(Qiagen,Valencia,CA)による2〜3の溶解ビーズから単離した細胞から調製した。RT−PCRを、テンプレートとしての総RNA、オリゴヌクレオチドプライマー、RNA PCRコアキット(PerkinElmer,Norfolk,CT)を使用して行った。増幅産物を、1.2% E−ゲル(Invitrogen,Carlsbad,CA)で分析した。
【0059】
【表1】
Figure 2004521128
(実施例4;BMP−2およびBMP−9は、MMCの軟骨形成性分化を誘導する)
TGF−βの存在下で培養した間葉幹細胞および前駆体細胞を、軟骨形成性分化させる[Tissue Engineering 4,415−428(1998);The Journal of Bone and Joint Surjery 80(12),1745−1757(1998)]。アルギン酸中で培養し、TGF−β3により刺激したMMCは、Col2A1を発現し、軟骨形成性系統に沿って分化する[J Cell Physiol 185(1),98−106(2000)]。BMPの軟骨形成性分化に対する効果を試験するために、3名のドナー由来の、単層培養により拡張させたMMCを、100ng/mlのrhBMP−2またはrhBMP−9の存在下で3次元アルギン酸マトリクス中にてさらに培養した。RT−PCRを、種々の時間間隔で細胞から抽出したRNAに対して行い、Col2A1の発現を検出した。この結果は、Col2A1発現が、8日目〜14日目に3名のドナー全ての細胞において誘導されることを示した。14日目に、総RNAを培養中の細胞から調製し、ノーザンブロット分析を行った。この結果は、3名のドナー全てが、BMPおよび発現されたCol2Alの両方による刺激に応答する一方、その発現は、非処理細胞において検出されないことを示した。この結果はまた、BMP−9処置が、BMP−2より高いレベルのCol2Al発現を誘導することを示した。
【0060】
これは、BMP−2が軟骨形成関連転写因子Sox−9の発現をアップレギュレートし、続いてCol2Alおよびアグリカンの発現を調節するというマウス研究において示された[The Journal of Bone and Joint Surgery 82−A(2),151−160(2000)]。ヒトMMCにおけるこの観察を評価し、軟骨形成性系統の進行の状態をさらに分析するために、軟骨形成性特異的マーカー(アグリカン、軟骨オリゴマータンパク質(COMP)およびSox−9)の発現を調査した。複数のドナー由来のMMCを分析した。結果は、この群の代表的な1名のドナーからのものである。アグリカンおよびCOMPの両方の発現は、Col2Al発現に類似の様式で、BMPに応答して増大した。Sox−9は、未処理細胞における発現の基底レベルを示したが、BMPで処理した細胞において、観察可能なアップレギュレーションを受けた。従って、アルギン酸培養におけるMMCを、BMP−2およびBMP−9により軟骨形成性系統に沿って分化するように誘導することが意図される。
【0061】
IL−11およびBMP−9研究において、IL−11もBMP−9も非含有およびIL−11単独のみ含有させて培養した細胞は、Col2Alを発現しなかった。漸増濃度のBMP−9とともに培養した細胞は、未処理細胞と比較した場合、有意なレベルのCol2Al発現を示した。IL−11とBMP−9を組み合わせて培養した細胞は、BMP−9単独より高いレベルのCol2Al発現を示した。IL−11とBMP−9の相乗効果は、10ng/mlのIL−11の濃度にて最適であった。この濃度にて、Col2Al発現がBMP−9単独より5倍超高かった。
【0062】
(実施例5:MMCにおける軟骨形成マーカーの時間依存的様式での発現において安定して増加するBMP誘導)
アルギネートビーズ中で培養したMMCから、5日、10日および15日目に単離したRNAを、ノーザン分析に供した。結果(図1)は、Col2A1遺伝子発現は、10日目に検出され15日目まで連続して増加することを示した。アグリカン(aggrecan)発現は、5日目に検出され、培養物中で日ごと進行性の増加を示した。また、BMP−9処理細胞は、Col2A1およびアグリカン両方の、BMP−2処理細胞より高い発現を示した。この結果は、MMCがBMP−2およびBMP−9で処理される場合、アグリカン発現が、Col2A1発現より早く応答することを示す。
【0063】
(実施例6:BMPは、IL−1の炎症性効果を克服する)
以前の研究は、IL−1が、Col2A1およびアグリカンを含む軟骨形成特異的遺伝子を、転写因子Sox−9のダウンレギュレーションによって阻害することを示した(Biochim Biophys Acta 1052(3),366−78(1990);J Cell Physiol 166(2),351−9(1996);J Biol Chem 275(5),3687−92(2000))。これら3つの遺伝子の発現を分析することによって、軟骨形成に分化したMMCに対するIL−1の効果を試験した。結果は、14日目に、BMP−2およびBMP−9が、Col2A1およびアグリカンの発現を誘導し、以前に言及したように、BMP−9処理が、BMP−2処理よりも高レベルの発現を生じさせることを示した(図2、レーン1〜3)。BMPの除去およびIL−1の72時間にわたる添加は、Col2A1、アグリカンおよびSox−9の減少したレベルの発現を導いた(レーン4〜6)。IL−1の除去およびBMPのさらなる96時間の期間にわたる添加は、21日間にわたってBMPに連続して曝露した細胞(レーン10〜12)に類似した発現レベルを有する3つの遺伝子の発現回復を生じた(レーン7〜9)。
【0064】
次いで、IL−1の存在下でのBMPの効果を、試験した。細胞を、軟骨形成系統にそって14日間分化させ、続いて、IL−1単独、BMP単独,ならびにIL−1およびBMPを一緒に、7日間存在させた。結果(図3)は、未処理細胞(レーン1)および漸増濃度のIL−1にさらに7日間曝露した14日目の未処理細胞が、予想通り、Col2A1の発現はなく、測定可能なSox−9の発現はない(レーン2〜4)ことを示した。BMPで処理した細胞は、Col2A1発現によって例証されるように、最初の14日間、軟骨形成性分化を介して進行した(レーン5および18)。軟骨形成性に分化した細胞を漸増濃度のBMP−2にさらに7日間曝露したことによって、Col2A1およびSox−9の発現が増加した(レーン6〜8)。同様の効果を、BMP−9処理で観察した(レーン19〜21)が、BMP−9に対する最大応答は、100ng/mlの最低用量で達成された。BMP−2およびBMP−9の両方は、IL−1誘導性のCol2A1およびSox−9の抑制を、特に、使用したIL−1の最低濃度(20pg/ml)で部分的に妨げ得た(それぞれ、レーン9〜17および22〜30)。さらに、BMP−9は、全ての濃度のIL−1でより高いレベルのCol2A1発現を維持し得た。これらの観察は、BMPが、炎症性サイトカインを含む環境において同化因子として機能する能力を有する潜在的分子であることを示した。
【0065】
(実施例7:CD105細胞の単離および培養拡張)
ヒトMMCを、以前に報告された手順(Majumdar et al.,Journal of Cellular Physiology.185:98−106(2000))に従って単離した。単核細胞(MNC)を、ヒト骨髄より単離し、0.5% BSAおよび2mM EDTAを含むリン酸緩衝化生理食塩水(pH7.2)からなる磁気活性化細胞ソーティング(MACS)緩衝液で洗浄した。これらの細胞を、MACS緩衝液中で再懸濁し、1×10個のMNCを、0.2mlの抗ヒトCD105抗体−微小ビーズ(Miltenyi Biotec,Auburn,CA)とともに、4℃で45分間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、製造業者の推薦に従って、磁気カラムMS(Miltenyi Biotec)で分離した。カラム溶出物は、CD105細胞からなる。磁石からカラムを回収して、MACS緩衝液で細胞をフラッシュすることによって、付着したCD105細胞を回収した。小画分のCD105細胞(5〜7.5×10個)を、185cm Nunclon Soloフラスコ(Nunc Inc.,Naperville,IL)に、10%ウシ胎仔血清(FBS,Hyclone,Logan,UT)および1%抗真菌性抗生物質(Life Technologies,Gaithersburg,MD)を補充したα−MEMからなる完全培地中で、空気中5%CO中37℃にてプレートして、細胞のプレーティング効率について分析した。14日目、細胞を、0.05%トリプシン−EDTA(Life Technologies)処理によって剥がし、将来の使用のために、液体窒素中で90% FBSおよび10%ジメチルスルホキシド中で貯蔵した。
【0066】
(実施例8:フローサイトメトリー)
細胞表面分子の分析を、以前に報告された手順(Majumdar et al.,Journal of Cellular Physiology.176:57−66(1998))に従って行った。カラムで単離したCD105細胞を、FACS緩衝液(PBS中2% BSA、0.1%アジ化ナトリウム)中で洗浄し、細胞のアリコート(1×10〜1×10個)を、抗ヒトCD45蛍光色素結合体化モノクローナル抗体(Pharmingen,San Diego)とともにインキュベートした。細胞を洗浄し、細胞ペレットを、1%パラホルムアルデヒドを含むFACS緩衝液に再懸濁した。非特異的蛍光を、マウスアイソタイプモノクローナル抗体とともにインキュベートした細胞調製物の等量のアリコートを使用して決定した。Cell−Questソフトウェアを使用するBecton Dickson装置(San Jose,CA)で10,000〜50,000回の事象を分析することによって、データを収集した。
【0067】
(実施例9:アルギネートでのCD105細胞の培養)
CD105細胞を、以前に報告された手順(Majumdar et al.,2000)の改変によって、アルギネート中にカプセル化した。細胞を、洗浄緩衝液(0.15M NaCl、25mM Hepes(pH7.0))で洗浄し、10〜20×10個/mlの細胞密度で、洗浄緩衝液中1.2%アルギネート中に再懸濁した。次いで、細胞懸濁物の個々のビーズを、20ゲージの注射針を通して、102mM CaClおよび25mM Hepes(pH7.0)を含有する溶液中に徐々に搾り出した。ビーズを10分間重合させ、洗浄緩衝液で1回、完全培地で3回洗浄し、空気中5%CO中37℃にて同一の培地中で一晩培養した。次の日、培地を、化学的に規定された培地(Majumdar et al.,2000)に交換した。アルギネートビーズを、上記の培地(未処理)または100ng/ml BMP−2もしくはBMP−9で補充した培地(処理)中で培養した。培地を、次の3週間にわたって、週に2回交換した。MNCおよびCD105細胞をまた、アルギネートビーズ中に同一濃度でカプセル化し、同様に培養した。
【0068】
(実施例10:RNA調製および分析)
複数のドナー由来のCD105細胞を、アルギネートビーズ中にカプセル化し、3週間培養した。培養期間の最後に、細胞をビーズから回収し、総RNAを、RNeasyキット(Qiagen,Valencia,CA)によって細胞ペレットより抽出し、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)−elisaを、以前に報告された手順(Majumdar et al.,1998)に従って行った。簡単には、RT−PCRを、テンプレートとしての総RNA、オリゴヌクレオチドプライマー(表II)、RNA PCRコアキット(Perkin−Elmer,Norfolk,CT)を使用して行い、そしてデオキシヌクレオチドをジゴキシゲニン標識ヌクレオチド(Roche Biochemicals,Indianapolis,IN)と置換して増幅産物を標識した。Elisaを製造業者(Roche Biochemicals,Indianapolis,IN)によって推奨されるように行った。各ドナー由来の各未処理サンプルおよび処理サンプルについてのデータを、b2−ミクログロブリンに対して正規化した。軟骨特異的マーカー(II型コラーゲン、アグリコンおよび連結タンパク質が挙げられる)によって、進行を決定した。各ドナーについて、II型コラーゲン、アグリコンおよび連結タンパク質の発現を、未処理に対する倍数増加(fold increase)として見積もった。結果は、3人のドナーについての平均倍数増加である。RT−PCR elisa分析(図4)は、未処理細胞と比較して、BMP−2処理細胞およびBMP−9処理細胞が、Col2A1、アグリコンおよび連結タンパク質を含む軟骨形成特異的遺伝子についての遺伝子発現における有意な増加を有したことを示した。このことは、CD105細胞が軟骨形成性分化を行うことを示唆する。対照的に、MNCおよびCD105細胞は、軟骨形成性の分化の証拠を示さなかった。
【0069】
【表2】
Figure 2004521128
(実施例11:免疫組織化学)
免疫組織化学を、アルギネート中のII型コラーゲンタンパク質の存在を検出するために、以前に報告された手順(Majumdar et al.,2000)に従って行った。培養物からのアルギネートビーズを、水で洗浄し、そして、不可逆的な重合のために100mM塩化バリウム中で10分間インキュベートした。次いで、ビーズを水で再度洗浄し、10%緩衝化ホルマリン中で固定化し、パラフィン中に包埋した。アルギネートビーズの切片を、ヤギ抗II型コラーゲン抗体(Southern Biotechnology Associates,Birmingham,AL)とともにインキュベートした。切片を、ビオチン化抗ヤギ抗体および西洋ワサビペルオキシダーゼH試薬(Vector Laboratories,Burlingame,CA)とともにインキュベートすることによって、免疫反応性を検出した。この切片をペルオキシダーゼ基質3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)およびHで処理することによって、シグナルを発色させた。画像を、35mmスライドフィルム上に記録し、そして多パネルの図を、Photoshop(Adobe Systems,San Jose,CA)を用いて作成した。実験コントロールは、非免疫一次抗体、続く二次抗体で染色したアルギネート切片からなった。結果は、未処理細胞と比較して、BMP−2処理細胞およびBMP−9処理細胞が、II型コラーゲンタンパク質の有意な存在を示したことを、示す。II型コラーゲンタンパク質は、分化する細胞によるこのタンパク質の分泌、続いてアルギネートマトリクス中へのエントラップメントに起因して、細胞間領域に存在した。非免疫一次抗体で染色したアルギネート切片は、免疫反応性を何ら示さなかった。
【0070】
本発明は、詳細に示され、そしてその好ましい実施形態に対する参照とともに記載されるが、形態における種々の変更および詳細が、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲を逸脱することなく本明細書中でなされ得ることは、当業者に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1A】図1は、BMP−2およびBMP−9による、時間依存様式での、軟骨形成マーカーの発現の誘導に関する。図1A、総RNAを単離し、そしてCol2A1プローブ、アグリカンプローブ、およびSox−9プローブ、ならびにローディングコントロールとしてβ2−ミクログロブリンプローブを用いるノーザン分析に供した。図1B、走査デンシトメトリーによるCol2A1シグナル、アグリカンシグナル、およびSox−9シグナルの定量を示す。レーン1、4および7−未処理細胞;レーン2、5および8−rhBMP−2処理細胞;レーン3,6および9−rhBMP−9処理細胞。
【図1B】図1は、BMP−2およびBMP−9による、時間依存様式での、軟骨形成マーカーの発現の誘導に関する。図1A、総RNAを単離し、そしてCol2A1プローブ、アグリカンプローブ、およびSox−9プローブ、ならびにローディングコントロールとしてβ2−ミクログロブリンプローブを用いるノーザン分析に供した。図1B、走査デンシトメトリーによるCol2A1シグナル、アグリカンシグナル、およびSox−9シグナルの定量を示す。レーン1、4および7−未処理細胞;レーン2、5および8−rhBMP−2処理細胞;レーン3,6および9−rhBMP−9処理細胞。
【図2A】図2は、BMP−2およびBMP−9が、IL−1撤退後の軟骨形成マーカーの発現を逆転し得ることを示す。図2A、総RNAが単離され、そしてCol2A1プローブ、アグリカンプローブ、およびSox−9プローブ、ならびにローディングコントロールとしてβ2−ミクログロブリンプローブを用いるノーザン分析に供した。培養の14日後のCol2A1、アグリカンおよびSox−9の発現を示す(レーン1〜3)。培養物由来の細胞のアリコートを、取り出し、洗浄し、そして200pg/mlのIL−1を有する培地中で72時間培養した(レーン4〜6)。IL−1で処理した細胞の細胞アリコートを、取り出し、洗浄し、そしてさらに96時間、BMPの有りまたは無しで培養した(レーン7〜9)。BMPの有りまたは無しでの並行培養はまた、21日の総培養期間の間維持された(レーン10〜12)。図2B、走査デンシトメトリーによるCol2A1シグナル、アグリカンシグナル、およびSox−9シグナルの定量を示す。
【図2B】図2は、BMP−2およびBMP−9が、IL−1撤退後の軟骨形成マーカーの発現を逆転し得ることを示す。図2A、総RNAが単離され、そしてCol2A1プローブ、アグリカンプローブ、およびSox−9プローブ、ならびにローディングコントロールとしてβ2−ミクログロブリンプローブを用いるノーザン分析に供した。培養の14日後のCol2A1、アグリカンおよびSox−9の発現を実証する(レーン1〜3)。培養物由来の細胞のアリコートを、取り出し、洗浄し、そして200pg/mlのIL−1を有する培地中で72時間培養した(レーン4〜6)。IL−1で処理した細胞の細胞アリコートを、取り出し、洗浄し、そしてさらに96時間、BMPの有りまたは無しで培養した(レーン7〜9)。BMPの有りまたは無しでの並行培養はまた、21日の総培養期間の間維持された(レーン10〜12)。図2B、走査デンシトメトリーによるCol2A1シグナル、アグリカンシグナル、およびSox−9シグナルの定量を示す。
【図3A】図3は、IL−1の阻害効果を克服するBMP−2およびBMP−9の能力を示す。図3Aおよび3C、総RNAを単離し、そしてCol2A1プローブおよびSox−9プローブ、ならびにローディングコントロールとしてβ2−ミクログロブリンプローブを用いるノーザン分析に供した。細胞を21日間処理せず(レーン1)、そして14日間培養した未処理の細胞を、続いて、7日間、IL−1で処理した(レーン2〜4)。細胞を、14日間BMP−2で処理し(レーン5)、BMP−2処理細胞のアリコートを、漸増濃度のBMP−2(レーン6〜8)か、またはBMP−2とIL−1を共に(レーン9〜17)のいずれかで、さらに7日間培養した。細胞を、BMP−9で14日間処理した(レーン18)、BMP−9処理した細胞のアリコートを、漸増濃度のBMP−9(レーン19〜21)か、またはBMP−9とIL−1を共に(レーン22〜30)のいずれかで、さらに7日間培養した。図3Bおよび3D、走査デンシトメトリーによるCol2A1シグナルおよびSox−9シグナルの定量を示す。
【図3B】図3は、IL−1の阻害効果を克服するBMP−2およびBMP−9の能力を示す。図3Aおよび3C、総RNAを単離し、そしてCol2A1プローブおよびSox−9プローブ、ならびにローディングコントロールとしてβ2−ミクログロブリンプローブを用いるノーザン分析に供した。細胞を21日間処理せず(レーン1)、そして14日間培養した未処理の細胞を、続いて、7日間、IL−1で処理した(レーン2〜4)。細胞を、14日間BMP−2で処理し(レーン5)、BMP−2処理細胞のアリコートを、漸増濃度のBMP−2(レーン6〜8)か、またはBMP−2とIL−1を共に(レーン9〜17)のいずれかで、さらに7日間培養した。細胞を、BMP−9で14日間処理した(レーン18)、BMP−9処理した細胞のアリコートを、漸増濃度のBMP−9(レーン19〜21)か、またはBMP−9とIL−1を共に(レーン22〜30)のいずれかで、さらに7日間培養した。図3Bおよび3D、走査デンシトメトリーによるcol2A1シグナルおよびSox−9シグナルの定量を示す。
【図3C】図3は、IL−1の阻害効果を克服するBMP−2およびBMP−9の能力を示す。図3Aおよび3C、総RNAを単離し、そしてCol2A1プローブおよびSox−9プローブ、ならびにローディングコントロールとしてβ2−ミクログロブリンプローブを用いるノーザン分析に供した。細胞を21日間処理せず(レーン1)、そして14日間培養した未処理の細胞を、続いて、7日間、IL−1で処理した(レーン2〜4)。細胞を、14日間BMP−2で処理し(レーン5)、BMP−2処理細胞のアリコートを、漸増濃度のBMP−2(レーン6〜8)か、またはBMP−2とIL−1を共に(レーン9〜17)のいずれかで、さらに7日間培養した。細胞を、BMP−9で14日間処理した(レーン18)、BMP−9処理した細胞のアリコートを、漸増濃度のBMP−9(レーン19〜21)か、またはBMP−9とIL−1を共に(レーン22〜30)のいずれかで、さらに7日間培養した。図3Bおよび3D、走査デンシトメトリーによるcol2A1シグナルおよびSox−9シグナルの定量を示す。
【図3D】図3は、IL−1の阻害効果を克服するBMP−2およびBMP−9の能力を示す。図3Aおよび3C、総RNAを単離し、そしてCol2A1プローブおよびSox−9プローブ、ならびにローディングコントロールとしてβ2−ミクログロブリンプローブを用いるノーザン分析に供した。細胞を21日間処理せず(レーン1)、そして14日間培養した未処理の細胞を、続いて、7日間、IL−1で処理した(レーン2〜4)。細胞を、14日間BMP−2で処理し(レーン5)、BMP−2処理細胞のアリコートを、漸増濃度のBMP−2(レーン6〜8)か、またはBMP−2とIL−1を共に(レーン9〜17)のいずれかで、さらに7日間培養した。細胞を、BMP−9で14日間処理した(レーン18)、BMP−9処理した細胞のアリコートを、漸増濃度のBMP−9(レーン19〜21)か、またはBMP−9とIL−1を共に(レーン22〜30)のいずれかで、さらに7日間培養した。図3Bおよび3D、走査デンシトメトリーによるcol2A1シグナルおよびSox−9シグナルの定量を示す。
【図4】図4は、アルギナート培養中のCD105細胞による、軟骨特異的マーカーの遺伝子発現を示す。ヒト骨髄から単離されたCD105細胞を、アルギナートにカプセル化し、そしてBMP−2またはBMP−9を補充した無血清培地(未処理)で、3週間培養した。II型コラーゲン、アグリカンおよびリンクタンパク質についてのRT−PCR elisaを、細胞から抽出したRNAに対して実施した。バーは、3人のドナーの平均(+SEM)を示す。

Claims (31)

  1. BMPを含む、軟骨組織の形成および維持を誘導するための組成物。
  2. 軟骨細胞または軟骨組織の形成および/または維持の誘導を必要とする患者において、軟骨細胞または軟骨組織の形成および/または維持を誘導するための方法であって、該方法は、請求項1に記載の組成物の有効量を該患者に投与する工程を包含する、方法。
  3. 関節炎または他の軟骨組織欠損の処置を必要とする患者において、関節炎または他の軟骨組織欠損を処置するための方法であって、該方法は、請求項1に記載の組成物の有効量を該患者に投与する工程を包含する、方法。
  4. 関節軟骨欠損または関節軟骨損傷の処置を必要とする患者において、関節軟骨欠損または関節軟骨損傷を処置する方法であって、該方法は、請求項1に記載の組成物の有効量を該患者に投与する工程を包含する、方法。
  5. 前記BMPが、BMP−2およびBMP−9からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
  6. 前記BMPが、BMP−2およびBMP−9からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
  7. 前記BMPが、BMP−2およびBMP−9からなる群より選択される、請求項3に記載の方法。
  8. 前記BMPが、BMP−2およびBMP−9からなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
  9. BMPを含む、IL−1またはTNFの阻害効果をブロックまたは抑制するための組成物。
  10. 前記BMPが、BMP−2およびBMP−9からなる群より選択される、請求項9に記載の組成物。
  11. IL−1の阻害効果をブロックまたは抑制するための方法であって、該方法は、有効量のBMPを投与する工程を包含する、方法。
  12. 前記BMPが、BMP−2およびBMP−9からなる群より選択される、請求項11に記載の方法。
  13. 関節軟骨修復における使用のためのMMCおよびBMPを含む組成物。
  14. IL−11およびBMP−9を含む、軟骨形成を誘導するための組成物。
  15. 骨髄から単離され、組織培養で拡張されていない細胞を含む、軟骨形成を誘導するための組成物。
  16. 前記細胞が、CD105+細胞である、請求項15に記載の組成物。
  17. 適切なマトリクスをさらに含む、請求項16に記載の組成物。
  18. 骨誘導因子および/または軟骨誘導因子をさらに含む、請求項17に記載の組成物。
  19. 前記因子がBMPである、請求項18に記載の組成物。
  20. 前記BMPが、BMP−2およびBMP−9からなる群より選択される、請求項19に記載の組成物。
  21. 軟骨形成の誘導を必要とする患者において、軟骨形成を誘導するための方法であって、該方法は、骨髄から単離され、組織培養で拡張されていない細胞を含む組成物の有効量を該患者に投与する工程を包含する、方法。
  22. 前記細胞が、CD105+細胞である、請求項21に記載の方法。
  23. 骨誘導因子および/または軟骨誘導因子を投与する工程をさらに包含する、請求項22に記載の方法。
  24. 前記因子がBMPである、請求項23に記載の方法。
  25. 前記BMPが、BMP−2およびBMP−9からなる群より選択される、請求項24に記載の方法。
  26. 関節炎または他の軟骨組織欠損の処置を必要とする患者において、関節炎または他の軟骨組織欠損を処置するための方法であって、該方法は、請求項15に記載の組成物の有効量を該患者に投与する工程を包含する、方法。
  27. 関節軟骨欠損または関節軟骨損傷の処置を必要とする患者において、関節軟骨欠損または関節軟骨損傷を処置する方法であって、該方法は、請求項15に記載の組成物の有効量を該患者に投与する工程を包含する、方法。
  28. 組織修復のための組成物であって、該組成物は、骨髄から単離され、組織培養で拡張されていない細胞ならびに骨誘導因子および/または軟骨誘導因子を含む、組成物。
  29. 前記単離された細胞がCD105+細胞であり、そして前記因子がBMPである、請求項28に記載の組成物。
  30. 適切なマトリクスをさらに含む、請求項29に記載の組成物。
  31. 前記BMPが、BMP−2およびBMP−9からなる群より選択される、請求項30に記載の組成物。
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