JP2004521120A - 1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンの精製 - Google Patents
1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンの精製 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004521120A JP2004521120A JP2002560999A JP2002560999A JP2004521120A JP 2004521120 A JP2004521120 A JP 2004521120A JP 2002560999 A JP2002560999 A JP 2002560999A JP 2002560999 A JP2002560999 A JP 2002560999A JP 2004521120 A JP2004521120 A JP 2004521120A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- 365mfc
- mixture
- chlorine
- boiling point
- photochlorination
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07C—ACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
- C07C17/00—Preparation of halogenated hydrocarbons
- C07C17/38—Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives
- C07C17/395—Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by treatment giving rise to a chemical modification of at least one compound
Abstract
1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(R−365mfc)の合成において、R−365mfcと不純物1,1,1,3−テトラチオロ−2−ブテン(R−1354zd)とから成る混合物を精製し、該混合物からR−1354zdを、該混合物1kgあたりに対して少なくとも0.02ワット・時を提供する約300 〜 400nmの波長を有する紫外線の存在下で、R−1354zdの各1モルのための塩素1 〜 5モルと該混合物とを接触させることによって除去する。R−1354zdを、R−365mfcに比べてより多くの塩素を含み且つより高い沸点を有する2,3−ジクロロ−1,1,1,3−テトラフルオロブタン(R−354)又は他のブタンへと転化させて、R−1354zdを10wt.ppm未満まで低下させる。ブタン類はR−365mfcからより容易に分離できる。光塩素化は、R−365mfcの出発量の少なくとも約96重量%が該混合物中で維持されるように行う。
Description
【発明の開示】
【0001】
発明の背景
本発明は、主として、同様な物理的性質を有するクロロフルオロカーボン及びヒドロクロロフルオロカーボン、例えば1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(R−113)、フルオロトリクロロメタン(R−11)及び1,1−ジクロロ―1−フルオロエタン(R−141b)のための代替として特に関心が持たれているR−365mfcとも呼ばれる1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンに関する。
【0002】
R−365mfcは、米国特許第5,917,098号で開示されているように、銅塩及びアミンの存在下で四塩化炭素を2−クロロプレンに加え、次に弗化水素で弗素化することによって1,1,1,3,3−ペンタクロロブタン(R−360)を製造する工程を含む二段法によって調製できる。
【0003】
上記反応には、C1−C4化合物上に様々な数の水素原子、塩素原子、弗素原子を含む多くの副生物が形成されるという特徴がある。これらの副生物及び未反応供給材料は、可能な場合は、蒸留によって分離しても良い。いくつかの化合物は、それらが存在していてもR−365mfcの有用な物理的性質が大きく変化しないので、比較的無害である。その毒性ゆえに除去しなければならない1つの副生物は1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテン(R−1354zd)であるが、そのほんの比較的少量が、形成されるR−365mfc中に典型的に存在する。R−1354zdの沸点は、R−365mfcの沸点に近いので、蒸留によって分離し難い。粗生成物の蒸留後、R−1354zdは、約300 〜 20,000wt.ppmの量で依然として存在する。不飽和化合物には潜在的な毒性があるので、約100wt.ppm未満まで低下させるべきである。好ましくは、R−1354zdの量は、20ppm(wt.)まで、最も好ましくは約10wt.ppm未満まで低下させるべきである。
【0004】
R−365mfcを精製する方法の更なる改良、特に−R1354zdを除去することに関する改良が望まれており、本発明者は、光塩素化によって精製する手段を発見した。
また、R−365mfc反応生成物中に存在し得る他の不飽和副生物(例えばR−1353などを含む)を除去することも有利である。
【0005】
発明の概要
R−365mfc混合物1kgあたりに対して少なくとも0.02ワット・時、好ましくは0.02 〜 2.0ワット・時を提供する波長約300 〜 400nmを有する紫外線の存在下で、R−1354zdの各1モルのための塩素1 〜 5モルと、R−365mfc混合物とを接触させることによって、R−365mfcから実質的に成っていて且つR−1354zdを約20,000wt.ppm以下含む前記R−365mfc混合物から、R−1354zdを含む不飽和副生物を除去する。R−1354zdを、より高い沸点を有し且つR−365mfcから容易に分離できる2,3−ジクロロ−1,1,1,3−テトラフルオロブタン(R−354)又は例えば2,2,3−トリクロロ−1,1,1,3−テトラフルオロブタン(R−344)もしくは2,2,3,4−テトラクロロ−1,1,1,3−テトラフルオロブタン(R−334)のような更に多くの塩素を含む他のブタンへと転化させると、10wt.ppm以下までR−1354zdを低下させることができる。例えば3−クロロ-1,1,1-トリフルオロ−2−ブテン(R−1353)のような他の不飽和化合物も、例えば蒸留よって分離できる他の誘導体へと塩素化することによって除去できる。用いる温度及び圧力を調整して、蒸気相又は液相のいずれかでR−365mfcを提供することができるが、好ましくは蒸気相である。
【0006】
本発明の光塩素化の利点は、所望のR−365mfc生成物に実質的に影響を及ぼさない点である。而して、光塩素化によって、R−1354zd不純物は高い割合で実質的に除去され、R−365mfcが実質的に高い割合で維持される。例えば、光塩素化は、R−365mfcの出発量の少なくとも約96重量%、好ましくは、少なくとも約98重量%が混合物中で維持されるように生起させることができる。出発混合物におけるR−365mfcの割合が、高いとき、例えば少なくとも約98重量%であると考えられるとき、その残留率は実際驚くべきことである。
【0007】
発明の詳細な説明
R−365は、四塩化炭素及び2−クロロプレンから開始する米国特許第5,917,098号のプロセスによって製造できる。粗生成物は、様々な副生物を含む。その粗生成物から1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブタン(R−1354zd)を除去することは特に重要である。蒸留による初期分離後には、R−365mfcの沸点40℃に比べて約16℃の沸点を有する(この沸点の差により、R−365mfcからR−1354zdを分離することが難しい)R−1354zdは、約300 〜 20,000wt.ppm残留している。本発明のプロセスでは、R−1354zd、又は存在しているかもしれない他の不飽和化合物、例えば、3−クロロ−1,1,1−トリフルオロ−2−ブテン(R−1353)を、塩素と反応させて、より高い沸点を有し且つR−365mfcから容易に分離できるより高度に塩素化された化合物を提供する。
【0008】
上記したように、R−365mfcの望ましい出発量の少なくとも約96%(重量基準)以上が混合物中で維持されるように、光塩素化を引き起こすことができる(すなわち、光塩素化による影響を受けない)。
【0009】
上記プロセスでは、例えば上記したような他の副生物の少量と共に、R−1354zdを約300 〜 20,000wt.ppm含む粗R−365mfcを、約300 〜 400nmの波長を有する紫外線の存在下で、塩素と接触させる。紫外線ランプは、前記範囲外の放射線も有するかもしれないが、光塩素化では、前記範囲のUV光が必要であることを理解すべきである。
【0010】
紫外線は、R−365mfc混合物1kgあたりに対して0を超え且つ約0.02ワット・時、好ましくは0.02 〜 2.0ワット・時の照射線量を提供する強度を有する。
紫外線は、水銀、アルゴン、又はキセノンを含むアークランプ、及びタングステン及びハロゲンを含むフィラメントランプによって提供できる。
【0011】
塩素は、R−1354zdの各1モルに対して塩素を約1 〜 5モル、好ましくは約1 〜 約1.5モル提供するのに充分な速度で、粗R−365mfc流中に導入する。塩素対R−1354zd(Cl2/R−1354zd)比又は紫外線照射線量を増加させると、R−1354zdの塩素化が向上することを見出した。一般的に、Cl2/R−1354zd比は非常に低いが、約0.04ワット・時/kgのUV照射線量を用いて、R−1354zdを10wt.ppm未満に低下させることができた。それとは逆に、より高いCl2/R−1354zd比を用いる場合は、はるかに低いUV照射線量を用いることができる。Cl2/R−1354zd比及びUV照射線量を調整して、条件の所望の組合せを提供することができる。
【0012】
用いる温度は、変化させることができるが、約−50℃ 〜 200℃、好ましくは、約25℃ 〜 60℃であることができる。
圧力は、要求どおりに、R−365mfcのための加工条件に適合し、且つR−365mfcが液体又は蒸気であることを保証するのに有利な値を選択する。
【0013】
ランプからの紫外線は、通常、送達エネルギーの速度であるワットで表される。本目的のためには、ある時間にわたって送達されるエネルギーの量として、すなわち、速度よりは「照射線量」として放射線を表すことのほうがより有用であると考えられる。而して、照射線量は、ワット・時で表すことができ、送達されるエネルギーの光子数と、それらの波長と関連があり、更にそれらは、R−1354zdのような不飽和分子の塩素化と関連がある。照射線量は、送達エネルギー速度(光子数/時間)と時間との積であるので、速度又は時間を変化させ得ることは明らかである。しかしながら、実際の用途のためには、速度及び時間は、時間及び生成物収率の制約内において所望の光塩素化反応を行う必要性によって制限される。高速又は長い時間を用いる場合、R−1354zdがR−354(又はR−344又はR−334)へと塩素化されるだけでなく、塩素は、他の分子、特にR−365mfcと反応して、2−クロロ−1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(R−355mdc)を生成させる。又は、極めて低い速度、もしくは短時間の場合には、R−1354zdの塩素化が不充分であることが予期される。塩素対R−365mfc比を増加させると、R−355mdcの生成が増加する傾向がある。1kgのR−365mfcあたり約1.5 〜 5.0ワット・時のUV照射線量、及び約1.5:1を超え且つ約50:1以下のCl2/R−1354zdモル比を含む条件の場合、R−355mdcの生成が増加する傾向がある。
【0014】
以下の実施例で説明しているように、光塩素化は、回分法又は連続法で行うことができる。
R−365mfc含有混合物を光塩素化した後、その塩素化生成物の沸点は、R−365mfcの沸点に近くないので、例えば蒸留によって、R−365mfcから分離することができる。例えば、R−354、R−344、R−334及び光塩素化において典型的に生成される他の塩素化ブタンの沸点は、R−365mfcの沸点(40℃)を少なくとも約40℃超えている。例えば、R−354異性体の沸点は約83℃であると推定され;R−344異性体の沸点は約120℃であると推定され;R−334異性体の沸点は約155℃であると推定される。R−355の沸点は約48℃と推定される(本明細書で言及される沸点は1気圧下での沸点である)。Cl含有副生物は、従来の蒸留によって容易に分離できる。HClのような残留している塩素又はHFは、水性苛性ソーダ中へ塩素を吸収させることによって、カーボンモレキュラシーブに吸着させることによって、又は水性の亜硫酸ナトリウムもしくはチオ硫酸ナトリウムと反応させることによって、分離できる。
【0015】
実施例
実施例1:R−365mfcの液相精製
R−365mfcの光塩素化を、ディップレグ入口(dip leg inlet)と圧力ゲージとを備えている125mLパイレックス(登録商標)圧力容器中で行う。前記容器を、氷水中で冷却し、凝縮させて、0.08%R−1354zdを含む20.0gの不純なR−365mfcを得る。次に、なお冷却しながら、その溶液に、塩素ガス流を10mL/分で約52秒間流す。理想気体の法則にしたがって計算する場合、前記ガス流は、塩素3.6x10-4モルに相当しているべきであるか、又はR−1354zd不純物とモル比1:1であるべきである。次に、その容器を室温まで温める。
【0016】
その反応用器を、波長350nmにおいてピーク強度を有する16RPR−3500ランプを備えているRPR−100ライオネット(Rayonet)反応器(Southern New England Ultraviolet Company)の焦点位置に5分間置く。圧力容器のパイレックス(登録商標)壁は300nm未満の光を遮断する。フェリオキサレート光量測定法(Ferrioxalate actinometry)を用いて受容した放射線を測定する(The Chemists Companion.A.J.Gordon & R.A.Ford,WileyInterscience (1972),pages 362−368を参照されたい)。これらの条件下で、この容器では、この手順により、1.317x10-7アインシュタイン/秒(0.0417ワット)の入射光強度が得られる。1アインシュタインは、光子1モルに等しい。而して、5分間の露光は、3.95x10-5アインシュタイン(0.039ワット・時/kg)の光を供給すべきである。露光後、圧力容器の蒸気ヘッド(vapor head)を、ガスクロマトグラフィーでサンプル抽出する。
実施例2:R−365mfcの蒸気相精製
R−365mfcの光塩素化を、底部に入口及び頂部に出口を備えている125mLパイレックス(登録商標)圧力容器中で行う。その容器を、波長350nmにおいてピーク強度を有する16RPR−3500ランプを備えているRPR−100ライオネット反応器(Southern New England Ultraviolet Company)の焦点位置に置く。圧力容器のパイレックス(登録商標)壁は300nm未満の光を遮断する。その容器を、59℃に維持したパイレックス(登録商標)恒温槽中に浸漬させて、R−365mfcを蒸気相中に確実に残留させる。
【0017】
2つの供給流を、毛管の別々の管長中に流し、次に、混合し、5psig(34.5kPaゲージ)で反応器中に流す。不純なR−365mfcは、0.08%R−1354zdと他の不純物とを含む。1つの流れは不純なR−365mfcを含み、もう1つの流れは塩素を含む。その2つの流れを配合することによって、塩素対R−1354zd比を変化させる。滞留時間及び光強度から照射線量を計算すると、2 〜 3.5ワット・時/kgである。紫外線に露光した後、実施例1の手順でガスクロマトグラフィーによって生成物流を分析する。
【0018】
塩素対R−1354zdのモル比が0.1から約1.5へと増加すると、R−1354zdの濃度及び他のオレフィンの濃度は、それらの供給濃度から、検出限界(10ppm)を下回る濃度まで低下することが観察される。R−1354zd及び他のオレフィンが減少するにつれて、対応する塩素化生成物の増加が観察される。約100ppmのR−1354zd濃度に相当するモル比(すなわち、1.0に近いモル比)では、R−355mdcの濃度は、モル比が大きくなると共に増加し始めることが観察される。
【0001】
発明の背景
本発明は、主として、同様な物理的性質を有するクロロフルオロカーボン及びヒドロクロロフルオロカーボン、例えば1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(R−113)、フルオロトリクロロメタン(R−11)及び1,1−ジクロロ―1−フルオロエタン(R−141b)のための代替として特に関心が持たれているR−365mfcとも呼ばれる1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンに関する。
【0002】
R−365mfcは、米国特許第5,917,098号で開示されているように、銅塩及びアミンの存在下で四塩化炭素を2−クロロプレンに加え、次に弗化水素で弗素化することによって1,1,1,3,3−ペンタクロロブタン(R−360)を製造する工程を含む二段法によって調製できる。
【0003】
上記反応には、C1−C4化合物上に様々な数の水素原子、塩素原子、弗素原子を含む多くの副生物が形成されるという特徴がある。これらの副生物及び未反応供給材料は、可能な場合は、蒸留によって分離しても良い。いくつかの化合物は、それらが存在していてもR−365mfcの有用な物理的性質が大きく変化しないので、比較的無害である。その毒性ゆえに除去しなければならない1つの副生物は1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテン(R−1354zd)であるが、そのほんの比較的少量が、形成されるR−365mfc中に典型的に存在する。R−1354zdの沸点は、R−365mfcの沸点に近いので、蒸留によって分離し難い。粗生成物の蒸留後、R−1354zdは、約300 〜 20,000wt.ppmの量で依然として存在する。不飽和化合物には潜在的な毒性があるので、約100wt.ppm未満まで低下させるべきである。好ましくは、R−1354zdの量は、20ppm(wt.)まで、最も好ましくは約10wt.ppm未満まで低下させるべきである。
【0004】
R−365mfcを精製する方法の更なる改良、特に−R1354zdを除去することに関する改良が望まれており、本発明者は、光塩素化によって精製する手段を発見した。
また、R−365mfc反応生成物中に存在し得る他の不飽和副生物(例えばR−1353などを含む)を除去することも有利である。
【0005】
発明の概要
R−365mfc混合物1kgあたりに対して少なくとも0.02ワット・時、好ましくは0.02 〜 2.0ワット・時を提供する波長約300 〜 400nmを有する紫外線の存在下で、R−1354zdの各1モルのための塩素1 〜 5モルと、R−365mfc混合物とを接触させることによって、R−365mfcから実質的に成っていて且つR−1354zdを約20,000wt.ppm以下含む前記R−365mfc混合物から、R−1354zdを含む不飽和副生物を除去する。R−1354zdを、より高い沸点を有し且つR−365mfcから容易に分離できる2,3−ジクロロ−1,1,1,3−テトラフルオロブタン(R−354)又は例えば2,2,3−トリクロロ−1,1,1,3−テトラフルオロブタン(R−344)もしくは2,2,3,4−テトラクロロ−1,1,1,3−テトラフルオロブタン(R−334)のような更に多くの塩素を含む他のブタンへと転化させると、10wt.ppm以下までR−1354zdを低下させることができる。例えば3−クロロ-1,1,1-トリフルオロ−2−ブテン(R−1353)のような他の不飽和化合物も、例えば蒸留よって分離できる他の誘導体へと塩素化することによって除去できる。用いる温度及び圧力を調整して、蒸気相又は液相のいずれかでR−365mfcを提供することができるが、好ましくは蒸気相である。
【0006】
本発明の光塩素化の利点は、所望のR−365mfc生成物に実質的に影響を及ぼさない点である。而して、光塩素化によって、R−1354zd不純物は高い割合で実質的に除去され、R−365mfcが実質的に高い割合で維持される。例えば、光塩素化は、R−365mfcの出発量の少なくとも約96重量%、好ましくは、少なくとも約98重量%が混合物中で維持されるように生起させることができる。出発混合物におけるR−365mfcの割合が、高いとき、例えば少なくとも約98重量%であると考えられるとき、その残留率は実際驚くべきことである。
【0007】
発明の詳細な説明
R−365は、四塩化炭素及び2−クロロプレンから開始する米国特許第5,917,098号のプロセスによって製造できる。粗生成物は、様々な副生物を含む。その粗生成物から1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブタン(R−1354zd)を除去することは特に重要である。蒸留による初期分離後には、R−365mfcの沸点40℃に比べて約16℃の沸点を有する(この沸点の差により、R−365mfcからR−1354zdを分離することが難しい)R−1354zdは、約300 〜 20,000wt.ppm残留している。本発明のプロセスでは、R−1354zd、又は存在しているかもしれない他の不飽和化合物、例えば、3−クロロ−1,1,1−トリフルオロ−2−ブテン(R−1353)を、塩素と反応させて、より高い沸点を有し且つR−365mfcから容易に分離できるより高度に塩素化された化合物を提供する。
【0008】
上記したように、R−365mfcの望ましい出発量の少なくとも約96%(重量基準)以上が混合物中で維持されるように、光塩素化を引き起こすことができる(すなわち、光塩素化による影響を受けない)。
【0009】
上記プロセスでは、例えば上記したような他の副生物の少量と共に、R−1354zdを約300 〜 20,000wt.ppm含む粗R−365mfcを、約300 〜 400nmの波長を有する紫外線の存在下で、塩素と接触させる。紫外線ランプは、前記範囲外の放射線も有するかもしれないが、光塩素化では、前記範囲のUV光が必要であることを理解すべきである。
【0010】
紫外線は、R−365mfc混合物1kgあたりに対して0を超え且つ約0.02ワット・時、好ましくは0.02 〜 2.0ワット・時の照射線量を提供する強度を有する。
紫外線は、水銀、アルゴン、又はキセノンを含むアークランプ、及びタングステン及びハロゲンを含むフィラメントランプによって提供できる。
【0011】
塩素は、R−1354zdの各1モルに対して塩素を約1 〜 5モル、好ましくは約1 〜 約1.5モル提供するのに充分な速度で、粗R−365mfc流中に導入する。塩素対R−1354zd(Cl2/R−1354zd)比又は紫外線照射線量を増加させると、R−1354zdの塩素化が向上することを見出した。一般的に、Cl2/R−1354zd比は非常に低いが、約0.04ワット・時/kgのUV照射線量を用いて、R−1354zdを10wt.ppm未満に低下させることができた。それとは逆に、より高いCl2/R−1354zd比を用いる場合は、はるかに低いUV照射線量を用いることができる。Cl2/R−1354zd比及びUV照射線量を調整して、条件の所望の組合せを提供することができる。
【0012】
用いる温度は、変化させることができるが、約−50℃ 〜 200℃、好ましくは、約25℃ 〜 60℃であることができる。
圧力は、要求どおりに、R−365mfcのための加工条件に適合し、且つR−365mfcが液体又は蒸気であることを保証するのに有利な値を選択する。
【0013】
ランプからの紫外線は、通常、送達エネルギーの速度であるワットで表される。本目的のためには、ある時間にわたって送達されるエネルギーの量として、すなわち、速度よりは「照射線量」として放射線を表すことのほうがより有用であると考えられる。而して、照射線量は、ワット・時で表すことができ、送達されるエネルギーの光子数と、それらの波長と関連があり、更にそれらは、R−1354zdのような不飽和分子の塩素化と関連がある。照射線量は、送達エネルギー速度(光子数/時間)と時間との積であるので、速度又は時間を変化させ得ることは明らかである。しかしながら、実際の用途のためには、速度及び時間は、時間及び生成物収率の制約内において所望の光塩素化反応を行う必要性によって制限される。高速又は長い時間を用いる場合、R−1354zdがR−354(又はR−344又はR−334)へと塩素化されるだけでなく、塩素は、他の分子、特にR−365mfcと反応して、2−クロロ−1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(R−355mdc)を生成させる。又は、極めて低い速度、もしくは短時間の場合には、R−1354zdの塩素化が不充分であることが予期される。塩素対R−365mfc比を増加させると、R−355mdcの生成が増加する傾向がある。1kgのR−365mfcあたり約1.5 〜 5.0ワット・時のUV照射線量、及び約1.5:1を超え且つ約50:1以下のCl2/R−1354zdモル比を含む条件の場合、R−355mdcの生成が増加する傾向がある。
【0014】
以下の実施例で説明しているように、光塩素化は、回分法又は連続法で行うことができる。
R−365mfc含有混合物を光塩素化した後、その塩素化生成物の沸点は、R−365mfcの沸点に近くないので、例えば蒸留によって、R−365mfcから分離することができる。例えば、R−354、R−344、R−334及び光塩素化において典型的に生成される他の塩素化ブタンの沸点は、R−365mfcの沸点(40℃)を少なくとも約40℃超えている。例えば、R−354異性体の沸点は約83℃であると推定され;R−344異性体の沸点は約120℃であると推定され;R−334異性体の沸点は約155℃であると推定される。R−355の沸点は約48℃と推定される(本明細書で言及される沸点は1気圧下での沸点である)。Cl含有副生物は、従来の蒸留によって容易に分離できる。HClのような残留している塩素又はHFは、水性苛性ソーダ中へ塩素を吸収させることによって、カーボンモレキュラシーブに吸着させることによって、又は水性の亜硫酸ナトリウムもしくはチオ硫酸ナトリウムと反応させることによって、分離できる。
【0015】
実施例
実施例1:R−365mfcの液相精製
R−365mfcの光塩素化を、ディップレグ入口(dip leg inlet)と圧力ゲージとを備えている125mLパイレックス(登録商標)圧力容器中で行う。前記容器を、氷水中で冷却し、凝縮させて、0.08%R−1354zdを含む20.0gの不純なR−365mfcを得る。次に、なお冷却しながら、その溶液に、塩素ガス流を10mL/分で約52秒間流す。理想気体の法則にしたがって計算する場合、前記ガス流は、塩素3.6x10-4モルに相当しているべきであるか、又はR−1354zd不純物とモル比1:1であるべきである。次に、その容器を室温まで温める。
【0016】
その反応用器を、波長350nmにおいてピーク強度を有する16RPR−3500ランプを備えているRPR−100ライオネット(Rayonet)反応器(Southern New England Ultraviolet Company)の焦点位置に5分間置く。圧力容器のパイレックス(登録商標)壁は300nm未満の光を遮断する。フェリオキサレート光量測定法(Ferrioxalate actinometry)を用いて受容した放射線を測定する(The Chemists Companion.A.J.Gordon & R.A.Ford,WileyInterscience (1972),pages 362−368を参照されたい)。これらの条件下で、この容器では、この手順により、1.317x10-7アインシュタイン/秒(0.0417ワット)の入射光強度が得られる。1アインシュタインは、光子1モルに等しい。而して、5分間の露光は、3.95x10-5アインシュタイン(0.039ワット・時/kg)の光を供給すべきである。露光後、圧力容器の蒸気ヘッド(vapor head)を、ガスクロマトグラフィーでサンプル抽出する。
実施例2:R−365mfcの蒸気相精製
R−365mfcの光塩素化を、底部に入口及び頂部に出口を備えている125mLパイレックス(登録商標)圧力容器中で行う。その容器を、波長350nmにおいてピーク強度を有する16RPR−3500ランプを備えているRPR−100ライオネット反応器(Southern New England Ultraviolet Company)の焦点位置に置く。圧力容器のパイレックス(登録商標)壁は300nm未満の光を遮断する。その容器を、59℃に維持したパイレックス(登録商標)恒温槽中に浸漬させて、R−365mfcを蒸気相中に確実に残留させる。
【0017】
2つの供給流を、毛管の別々の管長中に流し、次に、混合し、5psig(34.5kPaゲージ)で反応器中に流す。不純なR−365mfcは、0.08%R−1354zdと他の不純物とを含む。1つの流れは不純なR−365mfcを含み、もう1つの流れは塩素を含む。その2つの流れを配合することによって、塩素対R−1354zd比を変化させる。滞留時間及び光強度から照射線量を計算すると、2 〜 3.5ワット・時/kgである。紫外線に露光した後、実施例1の手順でガスクロマトグラフィーによって生成物流を分析する。
【0018】
塩素対R−1354zdのモル比が0.1から約1.5へと増加すると、R−1354zdの濃度及び他のオレフィンの濃度は、それらの供給濃度から、検出限界(10ppm)を下回る濃度まで低下することが観察される。R−1354zd及び他のオレフィンが減少するにつれて、対応する塩素化生成物の増加が観察される。約100ppmのR−1354zd濃度に相当するモル比(すなわち、1.0に近いモル比)では、R−355mdcの濃度は、モル比が大きくなると共に増加し始めることが観察される。
Claims (12)
- 光塩素化によって、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(R−365mfc)から1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(R−1354zd)又は他のオレフィン不純物を除去する方法であって、
(a)所定重量のR−365mfcと、約20,000wt.ppm以下のR−1354zdとから実質的に成る混合物を、該混合物1kgあたりに対して0を超え且つ少なくとも約0.02ワット・時の照射線量を提供する約300 〜 400nmの波長を有する紫外線の存在下で、R−1354zd又は他のオレフィンの各1モルのための塩素約1 〜 5モルと接触させる工程であって、
該光塩素化が、該所定重量のR−365mfcの少なくとも約96%を該混合物中に維持しつつ、該R−1354zdを、より多量の塩素を含む2,3−ジクロロ−1,1,1,3−テトラフルオロブタン(R−354)又は他のブタンへと転化させることによって、R−1354zd又は他のオレフィンの該混合物中における濃度を100wt.ppm未満に低下させるのに有効である工程;及び
(b)R−365mfcから、工程(a)で形成されたR−354又は他のブタンを分離する工程
を含む方法。 - 該R−354又は他のブタンの沸点が、該R−365mfcの沸点に比べて少なくとも約40℃超高く、且つ該R−365mfc及び該R−354又は他のブタンを、蒸留することによって分離する請求項1記載の方法。
- 回分法で行う請求項1記載の方法。
- 該紫外線が、該混合物1kgあたりに対して約0.02 〜 2ワット・時の照射線量を提供する請求項1記載の方法。
- 約1 〜 1.5モルの塩素が、R−1354zd各1モルのために存在する請求項1記載の方法。
- 工程(a)の接触を、R−365mfcが液体であることを保証するのに充分な温度及び圧力で行う請求項1記載の方法。
- 工程(a)の接触を、R−365mfcが蒸気である温度及び圧力で行う請求項1記載の方法。
- 該温度が、約−50℃ 〜 200℃である請求項1記載の方法。
- 該温度が、約25℃ 〜 60℃である請求項8記載の方法。
- 工程(b)の分離を、蒸留によって行う請求項1記載の方法。
- 該他のオレフィン不純物が、R−1353を含む請求項1記載の方法。
- 連続法で行う請求項1記載の方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US09/737,378 US20020077513A1 (en) | 2000-12-15 | 2000-12-15 | Purification of 1,1,1,3,3-pentafluorobutane |
PCT/US2001/048949 WO2002060845A1 (en) | 2000-12-15 | 2001-12-13 | Purification of 1,1,1,3,3-pentafluorobutane |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004521120A true JP2004521120A (ja) | 2004-07-15 |
Family
ID=24963678
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002560999A Withdrawn JP2004521120A (ja) | 2000-12-15 | 2001-12-13 | 1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンの精製 |
Country Status (4)
Country | Link |
---|---|
US (2) | US20020077513A1 (ja) |
EP (1) | EP1341744A1 (ja) |
JP (1) | JP2004521120A (ja) |
WO (1) | WO2002060845A1 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7214839B2 (en) * | 2003-05-23 | 2007-05-08 | Honeywell International Inc. | Method of making hydrofluorocarbons |
US8766020B2 (en) | 2008-07-31 | 2014-07-01 | Honeywell International Inc. | Process for producing 2,3,3,3-tetrafluoropropene |
EP2170789A1 (en) * | 2007-07-20 | 2010-04-07 | Solvay Fluor GmbH | Process for obtaining a purified hydrofluoroalkane |
US8975454B2 (en) | 2008-07-31 | 2015-03-10 | Honeywell International Inc. | Process for producing 2,3,3,3-tetrafluoropropene |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5944962A (en) * | 1995-10-03 | 1999-08-31 | Laroche Industries, Inc. | Process for photochlorination |
FR2744442B1 (fr) | 1996-02-01 | 1998-02-27 | Atochem Elf Sa | Preparation du 1,1,1,3,3-pentachlorobutane et du 1,1,1,3,3,-pentafluorobutane |
WO1997037955A1 (en) * | 1996-04-04 | 1997-10-16 | Alliedsignal Inc. | PURIFICATION OF 1,1,1,3,3-PENTAFLUOROPROPANE (R-245fa) |
DE50011826D1 (de) | 1999-06-16 | 2006-01-12 | Solvay Fluor Gmbh | Uv-aktivierte chlorierung |
-
2000
- 2000-12-15 US US09/737,378 patent/US20020077513A1/en not_active Abandoned
-
2001
- 2001-12-13 EP EP01994287A patent/EP1341744A1/en not_active Withdrawn
- 2001-12-13 JP JP2002560999A patent/JP2004521120A/ja not_active Withdrawn
- 2001-12-13 WO PCT/US2001/048949 patent/WO2002060845A1/en active Application Filing
-
2003
- 2003-01-07 US US10/337,836 patent/US6702929B2/en not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
EP1341744A1 (en) | 2003-09-10 |
US20020077513A1 (en) | 2002-06-20 |
US20030111332A1 (en) | 2003-06-19 |
US6702929B2 (en) | 2004-03-09 |
WO2002060845A1 (en) | 2002-08-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101793150B1 (ko) | 2,3,3,3-테트라플루오로프로펜 제조방법 | |
US6077982A (en) | Purification of 1,1,1,3,3-pentafluoropropane (R-245fa) | |
AU2007205746B2 (en) | Process for obtaining a purified hydrofluoroalkane | |
JP2013121971A (ja) | 1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの光塩素化 | |
US5336377A (en) | Process for removing 2-chloro-1,1-difluoroethylene from 1,1,1,2-tetrafluoroethane and co-producing 2-chloro-1,1,1,2-tetrafluoroethane | |
EP0563292B1 (en) | Process for removing vinylidene chloride and other unsaturated compounds from 1,1-dichloro-1-fluoroethane | |
JP2004521120A (ja) | 1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンの精製 | |
JPH10120604A (ja) | ヒドロクロロフルオロエタンの精製方法 | |
US5543055A (en) | Purifications of flourinated dimethyl ethers | |
MXPA97009463A (en) | Purification of eteres dimetilicos fluora | |
US6720465B2 (en) | Preparation of highly pure fluorine compounds | |
KR100479747B1 (ko) | 1,1,1,3,3-펜타플루오로프로판(R-245fa)의정제방법 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20050301 |