JP2004520890A - 手術用開創器と併用するためのセグメントアームアセンブリならびにこれに関する器具および方法 - Google Patents

手術用開創器と併用するためのセグメントアームアセンブリならびにこれに関する器具および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、手術用開創器および外科手術中に身体の既定領域を保定させるための装置に関し、より詳細には、低侵襲の冠動脈バイパス移植外科手術に関連して使用される手術用開創器および保定装置に関する。より具体的には、そのような外科手術に関して互いに併用できるよう特別に構成された手術用開創器および保定装置に関する。開創器は、開創器のアームまたはラック部分のいずれかに第一および第二のシャフト部分を有する保定アームを術者が配置できるような外部レールシステムを含み、且つ、保定アームに対する保定装置の作動および回転と、単一のノブまたは作動器の開創器作動に対する保定アームの回転とを解放可能な状態で制御するため、そり状部品および保定装置から離して配置されたコネクターを含む。

Description

【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、手術用開創器および外科手術中に身体の既定領域を保定させるための装置に関し、より詳細には、好ましくは冠動脈バイパス移植手術で使用される改良セグメントアームアセンブリと関連して使用される手術用開創器および保定装置に関し、さらに、より具体的には、種々の外科手術で使用される種々の手術用開創器および保定装置と併用されるセグメントアームに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
心臓血管系疾患は年間数百万人が罹患する疾患であり、米国および世界中で多くの人の死因となっている。特に多くみられる心臓血管疾患の形態としては、心臓に向かう血流に影響を与えるような、アテローム性動脈硬化症(冠動脈疾患)または心臓血管系内の重要箇所で血流の阻害を引き起こすその他の症状に起因する、心臓への血液供給の減少がある。
【0003】
このような閉塞または狭窄を治療する技術のひとつに、冠動脈バイパス移植手術として周知であり、より一般的には「心臓バイパス」手術として周知である外科手技がある。バイパス移植という手段による閉塞冠動脈または狭窄冠動脈の外科的矯正は、今日においても、複数の移植片を要する場合は特に、最も広く行われている手技であると考えられる。
【0004】
冠動脈バイパス移植手術では、術者は、移植用に身体の別の部位から静脈の一部を切除するか、または、動脈の一方の端を切離し、他方の端を動脈血流に接着させたまま、切離した端を冠動脈内の閉塞部を越えた位置に接続する。身体の別の部位から取得した静脈を使用する場合は、術者は、閉塞部をバイパスする箇所にこの静脈を取り付ける。いずれの場合も、心臓への正常な血流を回復することが目的である。
【0005】
さらに、この技術を使用する場合、術者は胸部中央を下方向に長い切開を行い、胸骨を鋸断し、2等分された胸骨の両片を開き、その後、心臓を停止させ、移植片を所定の位置に縫合する間、身体の他の領域に酸素含有血液が循環し続けるよう、患者を心肺バイパス装置に接続するために必要な手技をいくつか行う。このような手技は、ひとつの一般的な治療技術であるものの、長時間を要し、外傷性で、かなりの費用を要し、さらに、心臓、中枢神経系および血液供給に障害を与える可能性がある。
【0006】
経皮経管的動脈形成術(PTCA)などのインターベンション技術は、いくつかの理由から、アテローム性動脈硬化症による閉塞の治療における第一選択肢として支持を集めてきた。経管的アプローチは、特に、伏在静脈移植のような相同組織を利用するバイパス移植と比較して、患者の外傷が少なく回復期間が短い低侵襲技術である。さらに、患者は組織片のドナー部位に合併症を発症することが多く、これは胸骨切開術および吻合術よりも負担が大きくなる場合もある。
【0007】
PTCAは成功頻度が高いが、再狭窄などの合併症または血栓症および塞栓症が生じ得る。再狭窄血管は、しばしば矯正のために外科的介入を必要としうる。従来の冠状動脈バイパス手術のような外科的再狭窄矯正は、手術中、心臓を停止させ、患者を心肺バイパス装置に接続する必要がある。
【0008】
近年、患者の費用、リスクおよび外傷を軽減するための努力の中で、医師たちは、経肋間的、および内視鏡的な手術部位へのアクセスなど、侵襲性が最小限かまたはより低い心臓への外科的アプローチを好むようになっている。そのような手技を使用する場合、手術中に心臓は拍動している。したがって、いかなる形式の心肺バイパスも必要なく、且つ、患者をそのようなバイパス装置に接続するための広範な外科手技を行う必要もない。
【0009】
しかし、拍動している心臓に低侵襲バイパス移植を行うというこのような試みは、繊細な外科手技であること、術野を狭くすると十分なアクセスが得られないこと、および移植部位で組織の動きを十分に安定および低減させる方法がないことから、冗長で、危険且つ困難であると考えられてきた。これらの手技は心筋が拍動を続けている状態で行われるため、術者が移植片を所定の位置に縫合する間も血流が継続し、且つ、心臓が三次元で動き続ける。さらに、移植片を取り付ける外科手技は、非常に小さな血管を通し且つ手術中に動き続ける組織に対して一連の縫合を行う必要がある。移植片が所定の場所に確実に取り付けられ、且つ漏出を起こさないよう、これらの縫合を完全且つ確実に行うことが必要である。
【0010】
米国特許第5,730,757号には、内胸動脈切開用のアクセスプラットフォームが開示されている。同特許に記載のアクセスプラットフォームは、ブレードを横方向に駆動しこれらを分離または接触させるスプレッダー部品に連結された第一のブレードおよび第二のブレード、ならびに該第一のブレードに連結された支持パッドを有する。ねじれ部品が、作動可能な状態で第一のブレードおよびスプレッダー部品に連結され、これは、第一のブレードを垂直にいずれかの方向に移動させるために使用される。したがって、術者の作業スペースが増加し、且つ、内胸動脈を切開するための視覚的アクセスが向上する。ブレードに連結された組織開創器は、切開部周辺の軟部組織を術者の作業領域から遠ざけるために使用する。さらに、アクセスプラットフォームは、心臓固定器を取り付けるために使用することができるポートを含んでいてもよい。
【0011】
Ferrariらの米国特許第5,875,782号、Cohnの米国特許第6,033,362号、Cartierらの米国特許第6,102,854号、Shertsらの米国特許第5,947,896号、およびBenettiらの米国特許第5,894,843号にも、拍動中の心臓に対する外科手技を可能にするために患者の心臓または他の器官の既定領域を保定するための種々の装置が記載されている。このような装置は、種々の保定用部品および1つの細長いアームを含む。アーム部分は、人がアーム部分を保持する必要がないよう、肋骨用開創器に可動状態で取り付けられていてもよい。開示されているひとつの態様においては、保定力が心臓に加えられ、且つ、心臓の収縮によって手術中に標的部位で垂直または水平方向の動きが生じることがないよう、該器具は、心臓表面の位置で二又部品を十分に保持するための装置をさらに含む。
【0012】
Borstらの米国特許第5,836,311号にも、拍動中の心臓に対する外科手技を可能にするために患者の心臓または他の器官の既定領域を保定するための器具が記載されている。該器具は、吸引圧を使用して心臓表面に取り付けられる複数の吸引部品を有する一つ脚または二又の部品を含む。この装置のアーム部分は、人がアーム部分を保持する必要がないよう、肋骨用開創器または他の外科用装置に可動状態で取り付けられていてもよく、且つ、吸引装置は心臓表面に固定されてもよい。
【0013】
したがって、心臓など身体の既定領域を保定するための新規のシステムおよびそれに関連する装置、ならびにそれらに関連する方法を提供することが望ましい。特に、先行技術の装置と比較してより複雑度が小さく、且つ、よりユーザーフレンドリーである、そのようなシステムおよび装置を提供することが望ましい。そのようなシステムおよび装置は、構造が単純で且つ先行技術の装置よりも低コストであることが好ましい。
【発明の開示】
【0014】
発明の概要
本発明は、身体の既定領域の引き寄せ、保定、または操作のためのシステムを特徴とする。該システムは、手術用開創器と併用するためのそり状アセンブリ、保定用のアームシステムまたは器具、および組織の支持または保定用の装置、ならびにそれらに関連する使用方法を含む。本発明はさらに、例えば横隔膜用開創器、弁用開創器、外科手技中に使用する光源または吸引装置など、多数の手術用器具のうち任意の器具を支持するシステムも特徴とする。
【0015】
本明細書に記載されている保定システムならびにそれに関連する装置および器具は、手術中に心臓が拍動し続けるオフポンプ(off-pump)冠動脈バイパス移植手術、および/または心臓を停止させる弁膜手術における使用に特に利点を有する。本発明のひとつの利点は、開創器のアーム部分またはラック部分に接続し且つ保定装置または手術用器具を所望の位置に保持する、セグメントアームシステムの幅広い用途に関する。開創器の外部レールシステムを使用することによって、保定アームシステムを開創器の所望の位置に取り付けることが可能となり、且つ、保定アームシステムをアームの一端から滑動させるまたは特定の位置に特別に取り付ける必要がなくなる。さらに、本発明のセグメントアームアセンブリによって、開創器および保定装置の各々から離れている単一のノブで制御される保定装置または手術用器具の完全な三次元移動が可能となる。セグメントアームアセンブリはまた、術者による容易且つ便利な操作が可能であり、且つ、所望の標的位置で術者の視野を妨害しないように移動可能である。
【0016】
一般的な局面において、本発明の保定システムは、好ましくは患者の心臓組織の既定領域を保定させるために使用される。このシステムは、好ましくは、開創器、既定領域を局所的に保定するための保定装置、ならびに/または、手術用器具および該保定装置を開創器に機能的に固定する保定アームシステムを含む。開創器は、好ましくは、2本のアームおよび1つのラック部分を有するレールシステムを含む。ラック部分は、選択的に2本のアームを互いに離すことができるよう、且つ、2本のアームを所望の固定された関係に維持できるよう、アーム2本を連結する。本発明の好ましい形式において、2本のアームおよびラック部分は、保定アームシステムのそり状部品を所望の位置で収容できるように構成される。
【0017】
保定装置は、好ましくは、Cohn Cardiac Stabilizerとして広く知られている種類の装置、または、Genzyme Corporation(マサチューセッツ州、Cambridge)から販売されているImmobilizerを含むが、U字型または吸引型の装置を使用してもよい。保定装置の好ましい形態は、一般的に、中心に開口部が配置された平面を有する正方形、長方形または涙形の部品である。この開口部は、術者が拍動中の心臓の組織に対して吻合またはその他の手技を行うための領域である。吻合が完了した際に吻合部周辺から装置を除去するために部品またはその端部を分離できるよう、保定装置は好ましくは複数の部品を含む。後により詳述するように、一時的な脈管閉塞を生じさせるため、好ましくは、可撓性テープを組織に縫合し次に保定装置に通す。保定装置が組織に接触した状態で所望の方向および位置に配置されたら、保定装置の開口部を通じて可撓性テープをぴったり引くことにより、組織の既定領域を捉捕するシステムが提供される。
【0018】
保定アームシステムは、好ましくは、細長いアームであって、開創器に装着するための近位コネクターと保定装置または手術用器具を該細長いアームに解放可能な状態で接続するための遠位コネクターとを有する細長いアームを含む。遠位コネクターによって、保定装置を回転および滑動により所望の位置に移動させて患者の組織の既定領域に接触させることが可能となる。この態様の保定アームシステムはまた、好ましくは、アーム長のほぼ中間に位置する回転部分を含む。回転部分によって、保定装置の相対的な動きのための追加的な位置、および、保定アームシステムの所望の位置を保定装置に対して且つ開創器に沿って固定するための共通の位置が提供される。さらに、回転部分によって、ユーザーはアーム部分の少なくとも一部分を所望の外科手術部位から離して配置できる。これは、アームシステムが、安定した手術部位を提供し且つ患者の心臓の種々の位置へのアクセスを可能にするための十分な効果を提供し、且つ、術者または助手の視野を妨害しないようにするためである。保定アームシステムは、開創器アームのレールの少なくとも1つおよび/または開創器のラック部分に保定アームシステムを取り外し可能な状態で固定するための近位コネクターに接続され、且つ、好ましくは開創器に沿って滑動可能である、そり状部分をさらに含む。保定アームシステムは、好ましくは、選択的にそり状部品に連結する回転式装着機構を含む。本発明の好ましい形式において、アームに対するそり状部品の回転運動は、回転部分の操作によって制御される。
【0019】
本発明の1つの局面において、開創器のアームは、好ましくは前部エッジとアーム上面に設けられたステップとで構成され、これにより、実質的にアーム全長にわたる細長いレール表面が形成される。ステップは、好ましくは、あらかじめ定められ且つ一定の距離で前部エッジから間隔を空けて配置され、且つ、開創器の連結部分またはラック部分にも配置される。さらに、そり状アセンブリは、好ましくは、開創器のアームまたはラック部分のうち1つ以上の所望の位置で前部エッジとステップとを取り外し可能な状態で連結できるよう構成される。そり状部品は、好ましくは、そり状部品が取り外し可能且つ滑動可能な状態でアームまたはラック部分に固定されるよう、開創器のアームまたはラック部分でステップと前部エッジとを選択的に連結させるためのレバーを含む。
【0020】
以下に、本発明の他の局面および態様について詳述する。
【0021】
本発明の性質および所望の目的のより十分な理解を助けるため、以下に、添付図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。添付の図面において、類似の参照番号は複数の図面にわたって対応している部品を示す。
【0022】
好ましい態様の説明
患者の心臓を保定するためのシステムは、種々の縫合技術または手技に特に有用である。この種の手技のひとつの例として、心臓手術中のバイパス移植片の吻合がある。この種の手技において、術者は、周長が約1mmである血管の周囲を、心臓表面の動いている血管に縫合することを試みる。本発明の別の利用領域としては、悲惨な結果を回避するためにアクセスおよび保定が極めて重要であるか、または、正確に規定された術野を確保することが所望される、脳手術、心臓弁手術、または他の血管手術がある。当業者には、本発明が、心臓手術に特に適しているものの、既定領域の組織の保定、引き寄せ、または隔離が所望される身体上または身体内の任意の位置で使用可能であることが理解されるものと思われる。これには、肝臓、腎臓、膀胱、胃、腸、脳および脈管ならびに他の軟部組織の手術が含まれるが、これらに限定されることはない。さらに、後述するように、当業者には、術中に任意の手術用器具または装置が自立式となるように、システムの支持部品を適合させてもよいことが理解されるものと思われる。
【0023】
次に、添付の図面中の種々の図を参照して説明する。これらの図面において、類似の記号は類似の要素を示す。添付の図面には、本発明の保定システム100の好ましい形式および代替形式の種々の図が示されている。以下により詳細に説明するように、本発明の態様は、患者の心臓または他の器官など身体の既定領域のアクセス可能性または保定に資する用途、および、術者による患者に対する外科的手術または手技の実施を可能にすることを意図したものである。保定システム100は、胸骨切開または胸骨小切開を用いた、拍動中の心臓に対する単一または複数の血管のオフポンプ冠動脈バイパス手術に関して特に有用であるが、当業者がこの他の種々の用途を考案することも可能であると思われる。
【0024】
術者は、組織を捉捕し、且つ、その特定領域での心臓の運動を減少させるため、外科手技を行う予定の領域において心臓に軽度の接触または圧縮力を加えるために保定システム100を使用してもよい。本発明の好ましい形式においては、抑制力と保定力との組み合わせを利用して心臓表面を保定するため、保定システム100は、可撓性テープもしくは縫合糸または他の機械的手段とを組み合わせて使用される。特定の手技においては、血管を閉塞させるために針および縫合糸を使用して動脈周囲に牽引縫合を行うことが利点となる可能性もある。次に、該血管を通る血流が術者が所望するように制限されるよう、これらの縫合糸を保定装置に取り付けてもよい。
【0025】
以下、具体的に図面を参照しながら説明する。本発明の保定システム100は、開創器102、アームシステムまたは保定アーム104および保定装置106を含む。開創器102は、保定アーム104がそり状部品140を介して固定できるよう特別に構成されている。開創器102は、好ましくは、第一のアーム部分112とラック部分114とを有する固定式のL型部品110を含む。開創器102はまた、L型部品110と可動的に連絡されたハンドル118を有する可動の第二のアーム部分116を含む。
【0026】
保定装置106の好ましい形式は、通常、開口部または窓領域190を有する涙型または長方形である。保定装置106は、好ましくは、一般的に平面である第一の表面196を含むが、保定装置と患者の既定領域または心臓の組織との間の連結を容易にするため、平面でない(textured)表面を含んでいてもよい。保定装置106の第二の表面197は、好ましくは、第二の表面197から延出するポスト部品198を含む。以下に詳述するように、ポスト部品198は、好ましくは、遠位コネクター184によって第一のシャフト部分182に解放可能且つ回転可能な状態で連結される。
【0027】
保定アームまたはサブシステム104は、好ましくは、開創器102および保定装置106に連結する細長いアーム部分180を含む。アーム部分180は、好ましくは、遠位コネクター184を有する第一のシャフト部分182を含む。遠位コネクター184は、好ましくは、第一のシャフト部分182の遠位端周囲を完全に回転可能であって、且つ、保定装置106を回転可能且つ取り外し可能な状態で保持する。アーム部分180はまた、第二のシャフト部分186を含み、この第二のシャフト部分186は、該第二のシャフト部分186の近位端周囲を好ましくは完全に回転可能であり且つ装着機構またはそり状部品140などのコネクターによって開創器102に装着可能である近位コネクター162を有する。第二のシャフト部分186の近位コネクター162は、好ましくは、そり状部品140上に位置するボール状部品160に回転可能な状態で連結するが、平行または垂直を含め、これに対する種々の向きに配置してもよい。本発明の好ましい形式においては、図1〜図8に示すように、ボール状部品160はそり状部品140から横方向に延出するが、図9に示すように、ボール状部品160はまた、直立する部品であってもよい。
【0028】
第一のシャフト部分182の近位端と第二のアーム部分186の遠位端とは、好ましくは、第一のシャフト部分182と第二のシャフト部分186との間の回転運動を可能にするためにアーム部分180の要素に対して回転する可動ノブアセンブリ188などの駆動部品によって連結される。駆動部品は本明細書においては可動ノブアセンブリとして説明しているが、本明細書中でより詳細に説明している所望の特徴および機能を実施するため、レバー、滑動部品、ロックアセンブリ、ねじ部品、液圧アセンブリ、サムラチェット(thumb ratchet)、トグルスイッチ、キー、ウォームギヤー、または類似の部品を使用してもよい。同様に、駆動部品の動きを遠位端部分および近位端部分に伝達するため、液圧部品、ケーブル、滑動部品、トグルまたは類似の機構など、他の種々の機構を用いてもよい。したがって、可動ノブアセンブリ188は、第一のシャフト部分182と第二のシャフト部分186との間の相対的な動きを制御することに加え、好ましくは、そり状部品140に対するアーム部分180の回転運動を制御し、且つ、可動ノブアセンブリを操作することによってアーム部分180に対して保定装置106を固定、取り外し可能、および/または回転可能状態にすることを可能にする。
【0029】
アーム部分180の第一のシャフト部分および第二のシャフト部分は、好ましくは、それぞれ空洞管状部品181および剛体管状部品183を含む。さらに、第一のシャフト部分および第二のシャフト部分はそれぞれ、管状部品に対する第一のポジションと第二のポジションとの間を移動できる細長い可動プランジャーロッド185および187を含む。第一のシャフト部分182および第二のシャフト部分186は、好ましくは直線的で、且つ、長さがほぼ等しい。または、第一のシャフト部分および第二のシャフト部分は長さが等しくなくてもよく、且つ、1つまたは両方のシャフト部分は湾曲していてもよい。シャフト部分の長さは、可動ノブアセンブリ188を術者の視野または術野の側方または外部に配置することを可能にし、且つ同時に、所望の外科手技における保定装置106の配置の自由度を増加させるように選択される。保定装置106は術野の種々の位置に配置してもよく、且つ、開創器のアーム部分および/またはラック部分のいずれかから延出するように配置してもよい。したがって、保定アーム104は開創器のアームまたはラック部分から所望の手術部位まで十分な距離を有して延出し、且つ同時に、手術部位で術者の視野を妨害しないよう調節可能であることが重要である。術野中の所望されうる各位置における保定装置の動きを最小化するために保定アームによって十分な保定および強度を提供する必要性があるが、これも本発明により解決される。これにより、第一のシャフト部分および第二のシャフト部分を一列に配置する場合またはこれらを鋭角もしくは鈍角に方向決定する場合に保定装置106が所望の位置に保持される。
【0030】
保定アーム104の可動ノブアセンブリ188は、好ましくは可動の第一のカム要素191を有するノブ189、および、好ましくは固定の第二のカム要素195を有するねじ部品193を好ましくは含む。図に示すように、ノブ189は、保定アーム104の縦方向に対して概ね垂直に移動可能であって、且つ、ねじ部品193に沿って可動ノブアセンブリ188を圧縮させ、これによって第一のシャフト部分182および第二のシャフト部分186の回転運動を固定する。可動ノブアセンブリ188を締付けることによっても、第一のカム要素191が動き、第一のシャフト部分182と連結したプランジャーロッド185の角度つき端部192と接触する。第一のカム要素191の動きおよびこれに関連したプランジャーロッド185の遠位方向への移動によって、保定アーム104に対して保定装置106が締め付けられ、最終的に固定される。さらに、可動ノブアセンブリ188を締め付けることによって、第二のシャフト部分184と連結したプランジャーロッド187の角度つき端部194に接触し且つこれを動かすように、第二のカム要素195が作動する。第二のカム要素195および角度つき端部194の近位方向への移動によって、第二のシャフト部分がそり状部品140のボールマウント160に対して固定され、これにより、第二のシャフト部分186とそり状部品140との間の回転運動が防止される。
【0031】
保定アーム104の可動ノブアセンブリ188によって、操作対象の組織に隣接した所望の三次元位置で保定装置を方向決定するため開創器102に対して保定装置106およびアーム部分180を回転させることがユーザーにとって可能となる。可動ノブアセンブリ188を右回りに回転させると、ノブ189がねじ部品193に沿って遠位方向に移動し、且つ、可動プランジャーロッド185および187が横方向に移動する。可動プランジャーロッド185および187のこの動きは、第一のシャフト部分182と第二のシャフト部分186との間の接触を増強させるよう機能し、且つ、アーム部分とそり状部品140と保定装置106との間の接触も増強させるよう機能する。可動ノブアセンブリ188を左回りに回転させると、ノブ189がねじ部品193に沿って近位方向に移動し、これによって可動ノブアセンブリ188を解放し且つ第一のシャフト部分182と第二のシャフト部分186との間の接触を緩和し、且つ、種々の部品間が移動可能となるよう、アーム部分とそり状部品140との間、およびアーム部分と保定装置106との間の接触を緩和する。
【0032】
アーム部分180の遠位コネクター184は、その側面を少なくとも1つ通る細長いスロット151を有する概ね円柱状の部品150からなる。または、遠位コネクターは、球根型または梨型の部品であってもよい。本発明の好ましい形式において、遠位コネクター184は、好ましくは、保定装置106の配置の自由度を増加させるためアーム部分180に対して回転可能であるが、これらの部品は互いに固定されていてもよいと考えられる。遠位コネクター184は、アーム部分180の遠位端と遠位コネクター184の近位端との間にわたされている外部スリーブ152によって、アーム部分180の遠位端に保持される。外部スリーブ152はまた、遠位コネクターの近位端部分の溝154に嵌合する内部コネクター153を包囲し、且つ、アーム部分180に対する遠位コネクター184の回転運動に対する摩擦抵抗を制限するようアーム部分の遠位端に隣接する。遠位コネクター184のスロット151のサイズは、保定装置106のポスト部品198が横方向に通過でき、これにより保定装置がスロット151を介して保定アーム104に容易に着脱できるように決定される。
【0033】
図に示すように、遠位コネクター184の遠位端は、ポスト部品198が完全に回転でき、これにより保定装置の可動範囲が増大するよう、スロット表面の他の部分よりわずかに大きい部分を含む。この配置によって、好ましくは、可動範囲を増大させ且つポスト部品198を中央に位置付けすると同時に、保定装置106のポスト部品198がスロット151から遠位方向に通過することを防ぐ。位置決定におけるこのような柔軟性があることによって、術者は保定装置106を所望の位置且つ患者の心臓表面のほぼ任意の位置に容易に配置できる。第一のカム要素191および第一のシャフト部分182のプランジャーロッド185の遠位方向への動きによって、保定アーム104に対して保定装置106が締め付けられ、最終的に固定される。保定装置106のポスト部品198に対するプランジャーロッド185の遠位方向の動きによって、ポスト部品198が遠位コネクター184のスロット151の遠位表面の下縁表面に押し付けられ、これによって、好ましくは、ポスト部品198がその中に固定されて保持され、且つ、保定装置のさらなる動きが防止される。
【0034】
アーム部分180に対する可動ノブアセンブリ188の左回転によって、プランジャーロッド185の角つき端部192が管状部品181内を近位方向に移動する。この近位方向の移動は、ばね部品178がプランジャーロッド185の一部分を押すために生じ、このことによって、プランジャーロッド185の遠位端がスロット151および保定装置106のポスト部品198から離れて近位方向に移動する。プランジャーロッド185の遠位端のこの近位方向への移動によって、保定装置106のポスト部品198が回転し、および/または遠位コネクター184から解放される。本発明において、ばね部品178は、保定部品を所望に応じて容易に取り外しできるよう、プランジャーロッド185が保定装置106のポスト部品198から通常離れた状態になるように配置される。
【0035】
遠位コネクター184が概ね円柱型であることとスロット151の開口とによって、遠位コネクター184と保定装置のポスト部品198との間の接触が最適化される。この配置によって、ポスト部品と遠位コネクターとの間の回転運動(軸回転運動(pivotal movement)および回転運動(rotational movement))が可能な状態を保ちつつ、ポスト部品を選択的に遠位コネクター184内に保持することができる。さらに、本発明の好ましい形式では、プランジャーロッド185がスロット151から離れている場合でも、ポスト部品198は好ましくは遠位コネクター184のスロット151内に保持される。さらに、本発明において、第一のシャフト部分182に対する遠位コネクター184の回転およびばね部品178の使用によって、管状部品181の使用における融通性が増大する。この増大した融通性によって、ユーザーが術野内の所望の位置にアーム部分および保定装置を操作することがさらに可能となる。こうした移動の自由および融通性は、スペースが限られており、且つ、過度の実験を行うことなく術者のニーズに対応するために可能な限り装置の融通性が要求される本発明にとって望ましいものである。
【0036】
アームセグメント180の第二のシャフト部分186の近位コネクター184は、そり状部品140のボール状部品160を収容できるよう、わずかに球根状であってもよい細長い部品164からなる。近位コネクター184は、好ましくは、その側面のうち少なくとも1つを通る細長いスロット164を含む。本発明の好ましい形式において、近位コネクター162は、好ましくは、そり状部品140に対する保定装置106の配置の融通性を増大させるため、第二のシャフト部分186に対して回転可能である。本発明の好ましい形式ではそり状部品と近位コネクター162との間の相対的な動きが大きくなるようになっているが、これらの部品はまた、互いに固定されていてもよいと考えられる。近位コネクター162は、アーム部分180の近位端上に延びる外部スリーブ部分によってアーム部分180の近位端に保持される。外部スリーブ部分は、好ましくは、近位コネクター162の遠位端部分の溝168に嵌合し且つアーム部分の近位端に接触するOリング166によって、第二のシャフト部分186に保持される。近位コネクター162は、遠位コネクター184に関して本明細書に記載されている追加的な回転運動を近位コネクター162に提供するため、遠位コネクター184に関して本明細書に記載されている構成と類似の方式で構成されてもよいと考えられる。近位コネクター162のスロット164のサイズは、そり状部品のボール状部品160が横方向に通過でき、これによって、近位コネクターがスロット164を介してそり状部品140に容易に装着され且つこれに対して動くように決定される。
【0037】
すでに簡潔に説明したように、開創器102は好ましくは第二のアーム部分116上に位置するハンドル118を含み、ハンドル118は、2つのアーム部分112および116を互いに対して位置変更できるよう回転可能である。好ましい態様においては、ハンドル118の回転によって、1対のポストまたはピニオンがラック部分114の外部端121bの歯115に連続的に連結し、これによって、第一のアーム112と第二のアーム116との間の距離が増減される。ハンドルは、好ましくは底面に突起部を含む。アームが所望の位置に来たときにユーザーがハンドルを所定の位置にロックできるよう、該突起部は、アームおよびラック部分に隣接する開創器に設けられたスロットに嵌合する。開創器のピニオンおよび歯は患者の胸部からの圧力によって次第に磨耗していくため、この特徴は、開創器を複数の手技で比較的長期にわたって再使用する場合に特に有用である。アームまたはハンドルがロックポジションに保持されていなければ、磨耗が生じるにしたがって、胸骨からの圧力によってアームが互いに近づく方向に移動する可能性がある。特定の具体的な態様において、ラック部分114は、当業者に公知であるfinochetti型ラックを用いて構成される。ラック部分114および可動の第二のアーム116は、ハンドル118とともに、アーム部分112および116の相互的な位置を変えるためのラック・ピニオン型の手段を提供する。図に示すように、この型のラック部分114は横方向に延出する歯状部品115を複数含む。歯状部品115は、ポストまたは第二のアーム部分116のハンドル118と機能的に接触して配置されている同様の歯嵌合部品と嵌合する。第二のアーム部分116をラック部分114に沿って移動させるには種々の機序が利用可能であると考えられる。例えば、ギア機構、滑動およびロッキング機構、または類似の形態を、第一のアーム112に対する第二のアーム116の分離および固定に利用してもよい。ただし、選択的に第一のアーム部分112および第二のアーム部分116を平行、鈍角または鋭角に移動させることを目的として、当業者に公知の手段を任意の数だけ用いて開創器102を構成または設計することは、本発明の範囲に含まれる。
【0038】
開創器102の少なくとも1つのアーム部分および好ましくは各アーム部分112および116ならびにラック部分114は、それぞれ、開創器102の各要素の内面に沿って配置された前部エッジ面120a、120bおよび120cを有するように構成される。この構成において、各アームおよびラック部分の前部エッジは互いに対面する。開創器102はまた、好ましくは、開創器102の第一のアーム112および第二のアーム116の外面に沿って配置された外部エッジ面121a、121bおよび121cを含む。第一のアーム112および第二のアーム116ならびにラック部分114の上面には、該第一のアームおよび第二のアームならびにラック部分の各表面の前部エッジに対して間隔を空けた状態でステップ面122a、122bおよび122cが設けられ、これにより、開創器のアームおよびラック部分に細長い縁面または外部レール面が形成される。ステップ面122a〜122cは、好ましくは、前部エッジから既定の距離だけ後方に配置され、各アームおよびラック部分上で、前部エッジと反対の方向に鋭角を形成する。後述するように、アームおよびラック部分上面の前部エッジ面120a〜120cおよびステップ面122a〜122cは、互いに対面するように、且つ、第一のアーム112および第二のアーム116ならびにラック部分114の前部エッジ面(120a、120bまたは120c)および関連するステップ面(122a、122bまたは122c)に連結することによって装着機序またはそり状部品140を開創器102に容易に固定できるように、特に配置および構成される。
【0039】
本発明の好ましい形式の平面図にも示しているように、ステップ面122aおよび122cに隣接する第一のアーム部分および第二のアーム部分の前部エッジ面120aおよび120cは、第一のアームおよび第二のアームの中間点が、第一のアーム112および第二のアーム116の内部端もしくは外部端のいずれか一方または両方の距離よりも大きい間隔を空けて配置されるよう、好ましくはわずかに凹状に構成される。さらに、開創器102によって患者の胸部を開く際に、第一のアーム112と第二のアーム116とを離す動きが増強されこれにより開胸量が増加するよう、各アームの外部エッジ面121aおよび121cの曲率は、同じアームの前部エッジ面120aおよび120cよりも大きいことが好ましい。したがって、全体的に概ねクラムシェル型である本発明の好ましい構成により、第一のアーム112と第二のアーム116との間隔がある距離であるとき、アームの外面の中間点の間隔は、ラック部分に接する端またはラック部分114から最も離れた端の間隔よりも大きくなる。この構成の利点は、患者の胸骨の開口部が端部よりも中心部で広くなり、したがって、分離量が同じであっても、術者にとって最も一般的な作業領域が従来の開創器よりも大きくなることである。
【0040】
さらに、各アーム112および116の上面は、好ましくは、各アームの長さ方向に対して概ね垂直に延びる複数のスロット123を含む。これらのスロット123は、第一のアーム112および第二のアーム116上で、それぞれ前部エッジ面120aおよび120cからステップ面122aおよび122cを経由して外部エッジ面121aおよび121cまで延びる。これらのスロット123は、スロット内に配置されうる縫合糸を切断または妨害することなくそり状部品140がスロットに沿って移動できるように、各アーム112および116の前部エッジ面120aおよび120cを通ってわたるように構成される。さらに、各スロット123は、好ましくは、スロットに接し且つアームを貫通する貫通孔124を含む。本発明の好ましい用途において、所望の心臓表面をよりよく露出させるために縫合糸によって心膜または他の組織を引き寄せて術者の視野外に保持できるよう、スロット123を使用して、患者の心膜に通した縫合糸をその中に配置してもよい。本発明の好ましい形式では、縫合糸および把持器(clamp)は術者の作業領域外に保持される。手術中に、縫合糸を保持するために使用される把持器または他の器具の遠位端を中に配置および保持できるよう、貫通孔124の、アームの上面および底面に接する部分は、好ましくは先細りになっている。器具の遠位端を貫通孔124に配置できるようにすることによって、縫合糸は、手術中、あまり目につかない安定した位置に保持される。縫合糸はまた、器具を持ち上げ把持器を解放し、把持器を通じて縫合糸を引き、次に貫通孔内に残したまま把持器を閉じることによって随時必要に応じて調節してもよく、または、貫通孔内で交換してもよい。さらに、手術中に生じうる開創器の無関係な移動を最小限に抑えるため、術者によってはこれらの貫通孔を利用して開創器を患者に縫合する場合もあると考えられる。
【0041】
本発明の典型的な態様において、開創器102の第一のアーム112および第二のアーム116はそれぞれ、その底面に装着された取り外し可能な胸骨状ブレード130を含む。特定の手技で所望されるブレード130の選択的な配置およびスペーシングを可能にすることによって胸骨全切開または胸骨小切開手術における開創器の使用を容易にするため、および、開創器102およびブレード130の簡便な再殺菌のため、各ブレード130は取り外し可能である。
【0042】
図に示すように、ブレード130はアーム112および116の底面に沿って配置され、且つ、好ましくは、アームに対して水平方向および垂直方向に回転可能である。ブレード130は、第一のアーム112および第二のアーム116の底面の細長いうね状スロット132内へと滑動可能である。ブレード130は、引き寄せ力または圧力を患者の胸骨の輪郭に沿って均一に分配できるよう、制限された距離にわたって旋回してもよく、且つ、選択的にスロット132内に配置されてもよい。各ブレード130の上部134は、特に、ブレードの開創器への挿入を容易にするように構成される。特に、ブレード130の上部134は、上方に延長し且つ概ね楕円形である縁部品が第一のアーム112および第二のアーム116の底面に配置されたうね状スロット132に収容されるように構成される。この面は、うね状スロット内に配置された追加スロット139内を滑動する、突出したボール状部品をさらに含む。開創器の最初の配置時に、挿入位置でブレードが各アームに沿ってほぼ直線上に配置されうるよう、ボール状部品は、追加スロット139を越えて滑動できるようわずかに押し下げ可能である。アームが引き寄せられる際、内側のブレードおよび最も外側のブレードは引き寄せ位置に移動し、これによって、わずかに湾曲した形状を呈する。本発明の好ましい形式において、引き寄せ位置は患者の解剖学的構造と概ね一致し、且つ、患者の胸骨の圧力をブレードに均一に分配させる。ボール状部品、追加スロットおよびうね状スロットの使用によって、ブレードは、一時的に直線状の構成を呈し、且つ、目につきにくく(lower profile)且つ引き寄せエッジが維持されるよう開創器に対してわずかに上昇する。ブレードが胸骨内に挿入されると、挿入後に圧力がわずかに解放されることによってボール状部品が追加スロットの最も内側の端に戻る。このときさらに、わずかに湾曲した開創器の形状にブレードが従ってこれにより患者の胸骨を引き寄せるための最適なてこ作用が提供されるよう、ブレードが垂直および水平方向にわずかに回転してもよい。ブレード130の上部134は、通常、第一のアーム112および第二のアーム116の底面に沿って延び、且つ、ブレード130がアーム112および116の前部エッジ面120aおよび120cから内側方向に短距離延出するように配置される。ブレード130はまた、患者の胸骨を容易に引っ掛けられるよう、ブレード130の上部134から湾曲状態で下方に延出して開創器の底面より下まで延びる下部138を含む。該下部はまた、好ましくは、第一のアーム112および第二のアーム116の外部エッジ面121の方向に短距離にわたって後方に湾曲し、これにより、隣接する患者の胸骨の位置決めおよび保持を容易にするような、全体的にC字型またはL字型の形状を有するブレード130を形成する。したがって、ブレード130と第一のアームおよび第二のアームの移動とによって、外科手技で所望される組織、骨などの引き寄せを行うことが可能となる。
【0043】
本発明の好ましい態様の保定アーム104はまた、作動可能な状態で接続されたそり状部品140を含む。そり状部品140は、必要とされる操作を最小限に押さえつつ、術者が保定装置106の軸位置を複数決定できるように構成される。上述で詳しく説明したように、そり状部品によって、可動ノブアセンブリ188の回転に応じた水平軸方向の動きおよび垂直軸方向の動きが可能となる。典型的な態様において、そり状部品140の底部は、前部エッジリップ142、可動である第二のリップ143、および作動レバー144を含む。作動レバー144の動きによって第二のリップ143が前部エッジリップ142に向かう方向および前部エッジリップ142から離れる方向に移動できるよう、作動レバー144は、好ましくは作動レバー144の回転軸から外れた位置にあるピン145によって、回転可能な状態で第二のリップ143の細長いスロットに接続される。前部エッジリップ142は、このリップの内部が開創器の前部エッジ面120a〜120cの形状および構成と概ね一致するように構成される。前部エッジリップ142はまた、好ましくは開創器102の前部エッジ面120a、120bまたは120cのうちいずれかの任意の位置に容易に固定できる鋭角面が前部エッジリップ142により形成されるよう、開創器のアームおよび/またはラック部分の前部エッジ面120a〜120cの下に後方に延出する部分を含む。
【0044】
図面にも示すように、そり状部品140の第二のリップ143は、選択的に開創器のステップ面122a〜122cのいずれかの陥没した側面に嵌合できるよう、そり状部品140の下に前部エッジリップから後方に距離を置いて配置された半円形または楕円形の部品である。第二のリップ143はまた、通常、開創器の前部エッジ面120a〜120cと関連するステップ面122a〜122cとの間でそり状部品140の内側内面が開創器102上面を弓状に横切るように延び且つ開創器上面に配置されるように構成される。そり状部品の第二リップ143と内側内面との間でステップ面と連結する鋭角が形成され、これにより、選択されたステップ面120a、120b、120cがその中に確実に保持されるよう、第二のリップ143はそり状部品140の下側に滑動可能な状態で装着され、且つ、作動レバー144の回転に応じて移動可能である。
【0045】
本発明の好ましい態様において、そり状部品140はまた、ボール状部品またはノブ部品160を含む別の部分を含む。そり状部品140のこの部分によって、術者は、水平方向および垂直方向を組み合わせた保定アーム104の回転運動を行うことができる。これらの動きはいずれも、離して配置された可動ノブアセンブリ188の操作によって有利に制御される。さらに、アーム部分180は、第一のシャフト部分182と第二のシャフト部分186との間に形成される角が上向き、下向き、または横向きになり、且つ鋭角または鈍角になるように配置してもよい。可動ノブアセンブリ188は、術部へのアクセスに対する保定アームの干渉を最小限に抑えるため、ならびに、保定アーム104の有効な長さおよび方向を増減するためのさらなる選択肢が術者に与えられるよう、そり状部品140のボール状部品160の上または下に配置してもよい。
【0046】
好ましい態様のボール状部品160は、そり状部品140の長さ方向に対して概ね直線または平行に延びる。または、図9に示すように、ボール状部品160は、上述の前部エッジリップ142、第二のリップ143および作動レバー144を含む底部と上述の第二のシャフト部分186との間に第一または垂直の回転軸が形成されるよう、そり状部品140の底部から上方に延出するように配置されていてもよい。これらの配置によって、そり状部品が開創器のアームおよび/またはラック部分に沿った位置にロックされているか否かとは無関係に、第二のシャフト部分186の近位コネクター162がそり状部品140に対して完全に回転可能となる。さらに、図に示すように、そり状部品は開創器の前部エッジ上に内方向にまたは直接的に位置付けられることが好ましく、それがこの配置によって可能になる。この配置によってそり状部品の可動範囲が大幅に増加し、したがって保定アームの可動範囲が増加し、最終的に保定装置の融通性および可動範囲が大幅に増加する。例えば、そり状部品140の動きおよび保定アーム104の回転によって、保定装置が開創器102の前部エッジ120の内側へと延出するよう第一のシャフト部分182と第二のシャフト部分186との間の角度を鋭角にすることによって、ユーザーが保定装置106をアームおよび/またはラック部分の下方に配置することが可能となる。
【0047】
これらの特徴は、第一および第二のシャフト部分をそり状部品140から間隔をおいて配置される可動ノブアセンブリ188と組み合わせて使用することによって、さらに増強される。これらの特長によって、アーム部分の近位部分が術野内で最小限に抑えられるかまたは術野から直立するようにしつつ、開創器のアームの下方を含む広範な位置に保定装置を配置することが可能となる。この、配置を広範に選択できることは、心臓の後面を手術する場合、および心臓の選択部分が術野の側方へと操作される特定の場合において、特に有用である。さらに、第一のシャフト部分182および第二のシャフト部分186を用いて、且つ、湾曲したこれらの部分を1つ以上使用して、湾曲の半径ならびに第一のシャフト部分と第二のシャフト部分とによってつくられる角度を上方向または下方向に配向させてもよい。これにより、保定装置の最適位置を決定するためのさらなる選択肢がユーザーに提供される。例えば、第一のシャフト部分と第二のシャフト部分とによって形成される角が下向きになるようにアーム部分を配置した場合、アーム部分の遠位端はあまり目につかず、したがってアーム部分は手術に干渉しないようになる。このことは、可動ノブアセンブリ188が開創器のアーム部分またはラック部分の水平軸より上方にまたはこれと平行して配置される場合に特に当てはまる。同様に、第一のシャフト部分と第二のシャフト部分とによって形成される角が上向きである場合、術者は、他の保定装置を使用する場合よりも狭い角度で術野にアプローチしてもよい。さらに、この配置は、可動ノブアセンブリ188を開創器のアーム部分またはラック部分の水平軸より下に配置することによってさらに強調してもよい。さらに、ボール状部品160もまた、開創器に対して内側方向に延出するよう角度を付けてもよい。これによって、そり状部品の上部および第二のシャフト部分186の近位コネクター162がアームおよびラック部分の前部エッジの内側方向に延出し、したがって本発明の融通性がさらに増大する。この種の配置においては、アームまたはラック部分の幅方向に対して垂直よりも一般的に大きい角度にアーム部分を配置する必要が生じる場合がある。この方式において、第二のシャフト部分186の近位コネクター162はそり状部品140のボール状部品160周囲を動くことができ、これにより、患者の心臓における所望の既定領域において保定アーム104および保定装置106を水平方向および回転方向に位置決定することが容易になる。
【0048】
図10は、第一のシャフト部分182が複数のテレスコーピング部品170で形成される、本発明の別の形式を示した図である。この態様において、テレスコーピング部品の幅は、遠位コネクター184から近位方向に向かって増大する。これらの補助テレスコーピング部品は、テレスコーピング部品を互いに約4分の1回転させることによって手動でロックポジションに調節可能であってもよい。または、ロッド様部品がテレスコーピング部品170と嵌合するよう、または、ケーブルもしくは液圧に応じてテレスコーピング部品がロックされるよう、テレスコーピング部品は可動ノブアセンブリ188の作動の際にロックされてもよい。この態様において、保定装置の所望の位置または実施される外科手技の種類に基づいて必要に応じて第一のシャフト部分の長さが調節できるよう、この長さは調節可能であり、このことは本発明のさらなる利点である。同様に、セットアップ中は、手術部位の準備を妨げないように第一のシャフト部分を調節してもよく、且つその後、可動ノブアセンブリ188を作動させることによって遠位コネクターおよび保定装置を手術部位の所望の位置に遠隔的に移動させてもよい。
【0049】
本発明の好ましい局面に従った保定システム100の使用法は、図面を参照しながら以下の説明を読むことにより最もよく理解されると考えられる。以下の説明では、特に冠動脈バイパス移植手術に関連した保定システムの使用について言及するが、本発明の保定装置の用途がそのような使用法に限定されることはない。
【0050】
外科手術のため患者を適切に準備および体位決定し、且つ、保定システムの使用に先行して必要とされる行為を完了した後、ブレード130の上部134が概ね互いに接触するよう開創器102のアーム112および116を閉じる。術者は、次に、各ブレードの下部138を切開部に隣接するように位置決定し、さらに、ブレードが切開部を通り胸骨を越えて押し進められるよう、開創器を押し下げるかまたはその他の方式でブレードおよび患者を操作する。
【0051】
開創器挿入後、術者は、第二のアーム部分116のハンドル118を回転させることによって開創器の2つのアーム部分112および116の相対的な位置を変化させる。術者は患者の胸骨を開きながら、その下の結合組織も開放し、且つ、患者の心臓を覆っている心膜も開く。心臓を可視化するため、縫合糸(図には示していない)を心膜に通し、次に、縫合糸が術野から離れた位置に置かれるよう開創器アームのスロット123に通すことによって、心臓周囲の心膜を引き寄せる。前述のように、縫合糸を保持する把持器(図には示していない)の遠位端が貫通孔124内に配置されるよう該把持用器具をスロットに配置してもよく、または、縫合糸オーガナイザーを使用してもよい。このことによって、以後の手技において術者の障害とならない位置に縫合糸および把持器を配置することができる。1つ以上の血管に対してバイパス移植手術を行うため、術者は、所望の視野を確保し且つ心臓の生存度を評価するために患者の胸骨をさらに開くための以後の作業を実施した後、実施する特定の手技について視野の障害を最小にし且つ最良のアクセスが得られると予測される位置において、開創器アーム部分112および116またはラック部分114のうちいずれかひとつの上に保定アーム104を装着する。
【0052】
認識されるべき点として、バイパス移植手術は、心臓の後部または背面を含む心臓表面ほぼ全域の動脈または動脈分枝に関与しうる。したがって、保定アームを開創器のラック部分114またはアーム112もしくは116のいずれかに装着可能であることは特に利点となりうる。本発明の好ましい形式においては、保定アーム104がボール状部品160の縦軸および/または開創器部品の水平軸の上方または下方に配置されるよう、第一のシャフト部分182と第二のシャフト部分186との相対的な配置によって形成される弧によって保定アーム104が配置されてもよい。手術中、開創器102は典型的に開創器のスロート(throat)が患者の頭部に対面するように身体上に配置され、術者は典型的に患者の一方の側に、看護師は患者の他方の側に位置し、器具は患者の身体を横切って渡される。したがって、本発明の好ましい形式においては、手術への干渉がなく且つ所望の心臓表面に最も良好にアクセスできる表面を決定するにあたってさらなる選択肢となる表面が術者に提供される。
【0053】
保定アーム104を開創器102に装着するため、術者は、第二のリップ143が離脱ポジションになり且つそり状部品140の前部エッジリップ142から離れた位置になるよう、そり状作動レバー144を回転させる。そり状部品140をこのように構成した後、術者は、選択したアームまたはラック部分の前部エッジの上方に前部エッジリップ142を配置することによって、アーム112および116またはラック部分114上の多数の利用可能位置のうち任意の個所でそり状部品140を開創器102に配置する。そり状部品140の好ましい構成において、術者は、開創器アームの全長にわたってそり状部品を滑動させる必要がなく、または、限られた数の既定位置から選択する必要がなく、むしろ、そり状部品140を所望の位置に直接配置できる。この方式により、術者は、開創器102のラック部分114またはアーム112および116の任意の位置にそり状部品140を取り外し可能な状態で配置でき、これらの既定領域のいずれかに最初に配置されたそり状部品140と開創器とを最初に組み立てる必要がない。この構成の利点は、術者が、最終的に所望されると考えられる位置に近いと予測される位置に最初にそり状部品140を配置してもよいことである。手術中に、異なる配置が必要となった場合、または異なる位置でより良好なアクセスが得られる場合、術者は、あらかじめ選択したアームまたはラック部分に沿って所望の位置までそり状部品140を滑動させてもよく、または、特定の手技に対する最良のアクセスがアームおよびラック部分上のどの位置で得られるかを確認するためそり状部品140を開創器から取り外して様々な位置を試してもよい。さらにまた、このようなそり状構成によって、術者は、そり状部品140を位置決めする際に、開創器の上を通っている可能性がある縫合糸がそり状部品140によって切断または干渉されるという心配をすることなく、特定の外科手技を行うことができる。さらに、複数の血管を手術する場合、または、複数の表面へのアクセスが所望される場合、その手技の特定部分の必要性に対応するため、そり状部品の配置は容易に調節可能であってもよい。
【0054】
次に、術者は、そり状部品140の前部エッジリップ150を開創器102の所望領域上で前部エッジ面120a、120bまたは120cの上に配置し、次に、開創器102の対応するステップ面122a〜122cの垂直延出面に第二のリップ143が接触および嵌合するようそり状作動レバー154を所望に応じて部分的または完全に回転させることによって、そり状部品を所定の位置に固定してもよい。術者は、開創器のアームまたはラック部分に沿って開創器上の概ね所望の位置にそり状部品を配置したら、次に、可動ノブアセンブリ188を緩め且つノブ189を回転させこれによって近位コネクター162とそり状部品140との連結を緩め且つ保定装置106を仮の所望位置に配置することによって、保定装置106を心臓表面上の最終的な所望位置の付近に最初に配置してもよい。認識されるべき点として、この過程は、アーム部分180の第一のシャフト部分182と第二のシャフト部分186との間で形成される弧を上方向、下方向、または水平方向に向けることを含んでいてもよく、且つ、心臓の所望の位置または領域で保定装置106の位置を修正するため随時且つ必要な回数だけ繰り返してもよい。
【0055】
次に、術者は、保定させる心臓の既定領域に対する保定装置106の位置を決定するため、そり状部品140のボール状部品160の周囲で近位コネクター162を回転させてもよく、且つ、アーム部品180をそり状部品140に対して縦方向および/または回転方向に移動させてもよい。患者の心臓上における保定装置106の位置が満足できる状態になったら、術者は、残りの全手技にわたって保定アーム104および保定装置106が所望の位置に保持されるよう、可動ノブアセンブリ188のノブ189を締め付けてもよい。保定装置106が心臓の既定領域と所望の接触状態になったら、術者は、アーム部分の近位コネクター162がそり状部品に対してさらに回転または移動することを防ぐため、および、保定装置106が遠位コネクター184に対してさらに移動することを防ぐため、保定アーム104のノブ189を締め付けてもよい。術者はまた、保定装置の微調整を可能にし、且つ次に、保定アーム104の端付近で保定装置106がさらに動くことを最終的に防ぐため、アーム部分180のノブ189を徐々に締め付けこれによってアーム部分の遠位コネクター184と保定装置106のポスト部品196との連結を強化してもよい。最後に、開創器に対するそり状部品の滑動を防ぐため、作動レバー144を最終ロックポジションまで回転させてもよい。本発明の好ましい形式では、第一のシャフト部分182の遠位コネクター184と保定装置106のポスト部品196との間の連結がノブ189の初期回転中に初めに締め付けられるようにアーム部分180の可動ノブアセンブリ188を構成することも可能であると考えられる。次に、ノブ189をさらに回転させることによって、第二のシャフト部分186の近位コネクター162とそり状部品のボール状部品160との間の連結が強化される。次に、ノブ189を引き続き回転させることによって、それ以上の相対的な動きが抑制され、これによって、保定アームシステムは、開創器に対して保定装置を保持する。
【0056】
移植手術完了後、術者は、本質的に上述の段階を逆に行うことによって保定アーム104および保定装置106を取り外してもよく、または、術者は、単純に作動レバー144を解放して保定アーム全体および保定装置を術野から取り除いてもよい。同様に、新しい保定装置を装着するため、または、次の手技を行う間、障害とならない位置に保定アームを移動できるよう、作動レバーを嵌合ポジションと離脱ポジションとの間で動かしてもよい。
【0057】
以上、保定装置の把持および支持という見地から本発明の保定システムについて説明した。しかし、該システムは、例えば横隔膜用開創器または弁用開創器などの開創器または類似の装置に種々の手術用器具のうち任意の器具を取り外し可能な状態で固定するよう構成されてもよく、このことは本発明の範囲に含まれる。さらに、本明細書の説明では1度に1つの保定アームが使用されているが、複数または多数の保定アームを開創器に固定することも本発明の範囲に含まれる。例えば、1つの保定アームで横隔膜用開創器を支持し、別の保定アームで組織保定器または吸引装置を支持してもよい。
【0058】
以上、特定の用語を使用して本発明の好ましい態様を説明したが、このような記述は説明のみを目的としたものであり、添付の特許請求の範囲または意図から逸脱することなく変更および改変が為されうることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1Aおよび図1Bは、本発明の第一の局面による、身体の既定領域の保定を補助する保定システムの好ましい形式を示した斜視図である。保定アームシステムは開創器アームに装着された状態で図示されている。図1Aは保定アームシステムの伸張形態を、図1Bは非伸張形態を示している。
【図2】図2Aおよび図2Bは、本発明の第一の局面による、身体の既定領域の保定を補助する保定システムの好ましい形式を示した斜視図である。保定アームシステムは開創器のラック部分に装着された状態で図示されている。図2Aは保定アームシステムの伸張形態を、図2Bは非伸張形態を示している。
【図3】図3Aおよび図3Bは、本発明の第一の局面による、身体の既定領域の保定を補助する保定システムの好ましい形式を示した下方斜視図である。保定アームシステムは開創器のラック部分に装着された状態で図示されている。図3Aは伸張形態を、図3Bは非伸張形態を示している。
【図4】図4Aおよび図4Bは、本発明の保定アームシステムおよび保定装置の斜視図である。保定アームシステムは一対の非伸張形態で図示されている。
【図5】本発明の保定アームシステム、保定装置およびそり状部品の拡大斜視図(部分的に断面図)である。
【図6】図6Aおよび図6Bは、本発明の保定アーム遠位部分および保定装置の拡大斜視図(部分的に断面図)である。それぞれ、保定装置に対して可動ポジションおよび固定ポジションにある保定アームシステムおよび保定装置を示す。
【図7】図7Aおよび図7Bは、本発明の保定アーム近位部分およびそり状部品の拡大斜視図(部分的に断面図)である。それぞれ、そり状部品に対して可動ポジションおよび固定ポジションにある保定アームシステムおよび保定装置を示す。
【図8】図8Aおよび図8Bは、本発明の保定アームシステムの可動アームアセンブリの拡大斜視図(部分的に断面図)である。そり状部品および保定装置に対して可動ポジションおよび固定ポジションにある保定アームシステムを示す。
【図9】本発明の第一の局面による、身体の既定領域の保定を補助する本発明の保定アームシステムおよび保定装置の別の形式を示した斜視図である。保定アームシステムは非伸張形態で図示されている。
【図10】アームがテレスコーピングシリンダーを含む、本発明の保定アームシステムの別の斜視図である。

Claims (38)

  1. 患者の外科手技に使用されるシステムであって、以下を含むシステム:
    複数の開創器アームと該開創器アームに連結する部分とを有する開創器であって、該開創器アームが互いに対して可動である開創器;
    該開創器に対して作動可能な状態で配置可能な保定アームであって、医療手技中に所望の位置に医療器具を保持するようなサイズである保定アーム;
    該保定アーム上に作動可能な状態で配置された保定装置;
    選択的に該開創器上に装着可能であり、且つ、該保定アームに対して回転可能であるコネクター;および
    該保定アームと連結したノブアセンブリであって、該開創器および該保定装置から離して配置され、且つ、該保定装置の位置決定を制御するために調節可能であるノブアセンブリ。
  2. ノブアセンブリが、開創器および保定装置に対する保定アームの位置決定を制御するために調節可能である、請求項1記載のシステム。
  3. 保定アームが、互いに対して可動である1対のシャフト部分を含む、請求項1記載のシステム。
  4. 保定アームが遠位端部分と近位端部分とを含み、且つ、該遠位端部分が、取り外し可能な状態で装着された保定装置を含む、請求項1記載のシステム。
  5. 保定アームが複数のコネクターを含み、且つ、該コネクターがノブアセンブリ部品の動きに対応して可動である、請求項4記載のシステム。
  6. 保定アームがノブアセンブリ部品を含み、且つ、該ノブ部品の作動が該保定アームの遠位端部分の保定装置の動きに影響を及ぼす、請求項4記載のシステム。
  7. ノブアセンブリの動きによって、第一のロッド部品が遠位方向および近位方向へ移動し、且つ、選択的に該第一のロッド部品がその遠位方向および近位方向のうちいずれか一方への移動によって保定装置の一部分に嵌合する、請求項1記載のシステム。
  8. 保定装置を保定アームに対して嵌合および離脱させるためロッド部品が嵌合ポジションと離脱ポジションとの間を移動可能である、請求項7記載のシステム。
  9. ロッド部品が、嵌合ポジションにおいては保定アームの遠位端部分に配置されたスロット部品内に延出し、且つ、離脱ポジションにおいてはスロット部品から離れた位置に配置される、請求項7記載のシステム。
  10. ノブアセンブリの動きによって、第二のロッド部品が遠位方向および近位方向へ移動し、且つ、選択的に該第二のロッド部品が嵌合ポジションと離脱ポジションとの間で保定アームの一部分を通過する、請求項1記載のシステム。
  11. 外科手技に使用されるシステムであって、以下を含むシステム:
    複数の開創器アームと該開創器アームに連結する部分とを有する開創器であって、該開創器アームがエッジ面を含み、且つ、互いに対して可動である開創器;
    遠位端部分と近位端部分とを有する保定アームであって、該開創器に対して作動可能な状態で配置可能であり、且つ、医療手技中に所望の位置に医療器具を保持するようなサイズである保定アーム;
    該保定アームの該遠位端部分と該医療器具とを開創器に対する所望の位置に配置するため、該開創器に装着可能であり且つ該保定アームと相互作用するコネクター;および
    該保定アームと連結し、且つ、該保定アームの該遠位端部分および該近位端部分から離れた位置に配置された制御アセンブリであって、第一のポジションと第二のポジションとの間を移動可能であり、且つ、開創器に対する保定アームの位置が第一のポジションで調節可能であり且つ第二のポジションで固定されるような、制御アセンブリ。
  12. 保定アームが、互いに対して可動である複数のシャフト部分を有する、請求項11記載のシステム。
  13. 保定アームの遠位端部分が該保定アームの近位端に対して回転可能である、請求項11記載のシステム。
  14. 保定アームが、その遠位端部分に取り外し可能な医療器具を有する、請求項11記載のシステム。
  15. 保定アームの制御アセンブリの作動が、該保定アームの遠位端部分の医療器具の動きに影響を及ぼす、請求項14記載のシステム。
  16. 保定アームの遠位端部分に対する医療器具の動きを制限するため、該保定アームの制御アセンブリの部品の作動によって、該保定アームに関連した可動部品の縦方向の移動が生じる、請求項11記載のシステム。
  17. 保定アームが、保定アームが医療器具に対して固定される第一のポジションと該保定アームが該医療器具に対して移動可能である第二のポジションとの間で移動可能である複数の可動部品を含む、請求項16記載のシステム。
  18. 保定アームが、可動部品を中に有する管状部分を含む、請求項11記載のシステム。
  19. 可動部品が、医療器具に対する嵌合ポジションと離脱ポジションとの間を移動する、請求項18記載のシステム。
  20. 外科手技に使用される保定システムであって、以下を含むシステム:
    制御アセンブリならびに遠位端部分および近位端部分を有し、且つ、複数のシャフト部分を有する保定アームであって、医療手技中に保定装置を所望の位置に保持するため患者に対して作動可能な状態で配置可能であり、且つ、該制御アセンブリが該保定アームの遠位端部分および近位端部分から離れた位置に配置される、保定アーム;および
    該保定アームの該遠位端部分に作動可能な状態で接続され、且つ、医療手技中に患者の組織の一部分を保定するようなサイズである表面を含む保定装置であって、該保定アームの該制御アセンブリの作動に応じて該保定アームに対して可動である保定装置。
  21. 制御アセンブリの動きを保定アームの遠位端部分の部品の動きに変換するため、該保定アームが、遠位端部分と近位端部分との間に延びる複数の管状部品と少なくとも1つの可動部品とを含む、請求項20記載のシステム。
  22. 保定アームの複数の管状部品のうち少なくとも1つにおいて、少なくとも1つの可動部品が遠位方向および近位方向に移動可能である、請求項21記載のシステム。
  23. 保定アームが、制御アセンブリと該保定アームの近位端部分との間に延びる追加の可動部品を含む、請求項22記載のシステム。
  24. 保定アームが、細長い遠位シャフト部分および近位シャフト部分を含み、且つ、制御アセンブリがその間に配置される、請求項20記載のシステム。
  25. 遠位シャフト部分および近位シャフト部分が可動部品を含み、且つ、該可動部品の少なくとも1つが、保定アームが保定装置に対して可動である第一のポジションと保定装置が保定アームに対して固定される第二のポジションとの間で可動である、請求項24記載のシステム。
  26. 外科手技に使用される保定システムであって、以下を含むシステム:
    遠位端部分および近位端部分を有し、且つ、遠位シャフト部分および近位シャフト部分ならびにその間にある制御アセンブリを有する保定アームであって、該制御アセンブリが、該第一および第二のシャフト部分が互いに対して可動である第一のポジションと該第一および第二のシャフト部分が互いに対して固定される第二のポジションとの間で可動である、保定アーム。
  27. 第一のシャフト部分と第二のシャフト部分との間で湾曲角が形成され、且つ、該湾曲角を維持するため該制御アセンブリが第二のポジションに移動可能である、請求項26記載の保定システム。
  28. 保定システムが、保定アームの第一のシャフト部分に作動可能な状態で接続された保定装置をさらに含み、且つ、保定装置が、制御アセンブリの作動に応じて該保定アームに対して可動である、請求項26記載の保定システム。
  29. 保定装置を保定アームに対して固定関係に維持するため、該保定アームの制御アセンブリの作動によって、該保定アームと連結した可動部品が遠位方向へ移動する、請求項28記載のシステム。
  30. 保定アームに対する保定装置の相対的な移動を可能にするため、該保定アームの制御アセンブリの作動によって、該保定アームと連結した可動部品が近位方向へ移動する、請求項28記載のシステム。
  31. 保定アームの制御アセンブリの作動によって、近位シャフト部分と連結した第二の細長い可動部品の近位方向への移動が可能となる、請求項26記載のシステム。
  32. 外科手技に使用される保定システムであって、以下を含むシステム:
    遠位端部分および近位端部分、第一および第二のシャフト部分、ならびにそれらに連結した制御アセンブリを有し、且つ、医療手技中に保定装置を所望の位置に保持するよう構成された該遠位端部分をさらに含む保定アームであって、該近位端部分が開創器の部品に嵌合するよう構成され、且つ、該制御アセンブリの動きを該第一および第二のシャフト部分を介して該遠位端部分および近位端部分まで外側方向に伝達させるため、少なくとも1つの可動部品を含むような、保定アーム;および
    水平方向および垂直方向の回転軸ならびに保定アームの近位端部分に嵌合するための部品を有するそり状部品であって、該近位端部分が、それから離れた位置に配置された該制御アセンブリの動きに応じて該部品に対する固定ポジションまで移動可能である、そり状部品。
  33. 保定アームが遠位コネクターを含み、且つ、該遠位コネクターが、制御アセンブリの第一のポジションにおいて該制御アセンブリに対して可動であり且つ該制御アセンブリの第二のポジションにおいて該制御アセンブリに対して固定ポジションにある、請求項32記載のシステム。
  34. 開創器をさらに含む請求項32記載のシステムであって、そり状部品がそれに接続可能であり、該そり状部品が第一のポジションと第二のポジションとの間で可動である作動部品を含み、該作動部品の第一および第二のポジションにおいて保定アームが該そり状部品に対して可動であり、且つ、制御アセンブリの第一および第二のポジションにおいて該そり状部品が該開創器に対して可動である、請求項32記載のシステム。
  35. 以下の段階を含む、外科手技を行う方法:
    制御アセンブリならびに遠位端部分および近位端部分を有し、且つ、複数のシャフト部分を有する保定アームを提供する段階であって、医療手技中に保定装置を所望の位置に保持するため該保定アームが作動可能な状態で患者に対して配置可能である段階;
    該制御アセンブリが該保定アームの該遠位端部分および近位端部分から離して配置されるよう、保定アームに沿った配置に該制御アセンブリを提供する段階;
    該保定アームの該遠位端部分に作動可能な状態で接続され、且つ、医療手技中に患者の組織の一部分を保定するようなサイズである表面を含む保定装置を提供する段階であって、該保定装置が、該保定アームの該制御アセンブリの作動に応じて該保定アームに対して可動である段階;および
    該制御アセンブリを第一の位置と第二の位置との間で移動させる段階であって、該保定装置が、第一のポジションにおいて該保定アームの該遠位端部分に対して可動であり、且つ、第二のポジションにおいて該保定アームに対して強固に保持される段階。
  36. 保定アームの近位端部分が、第一のポジションにおいてそり状部品に対して可動であり、且つ、第二のポジションにおいて該そり状部品に対して強固に保持される、請求項35記載の方法であって、制御アセンブリの第一のポジションにおいて保定装置と保定アームとを患者の組織に対する所望の位置に配置し、且つ、制御アセンブリが第二のポジションに移動したとき該保定アームと該保定装置とを所望の位置に強固に保持する段階を含む、請求項35記載の方法。
  37. 手術用開創器が提供され、且つ、保定アームがそり状部品を介してそれに装着可能である、請求項35記載の方法であって、該そり状部品が、第一ポジションと第二のポジションとの間を移動可能である作動レバーを含み、且つ、該そり状部品が、第一のポジションにおいて開創器に沿って移動可能であり且つ第二のポジションにおいて固定状態で保持される、請求項35記載の方法。
  38. 作動レバーの第一および第二のポジションにおいて保定アームがそり状部品に対して可動であり、且つ、制御アセンブリの第一および第二のポジションにおいて該そり状部品が開創器に対して可動である、請求項37記載の方法。
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