JP2004520001A - 複合糖質の製造 - Google Patents
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Abstract
Description
優先権の請求
本願は、1999年5月18日に出願された米国仮出願第60/134,756号から35 U.S.C. 119(e)のもとで優先権を請求し、この出願は引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府の権利
米国政府は本発明にある種の権利を保有する。国立アレルギー感染症研究所により補助金番号A124016で、そしてNIH国立研究財源センターから補助金番号RR01614及びRR04112で財政支援が提供された。
【0003】
発明の分野
本発明は、グラム陰性細菌におけるLPS主鎖構造上の複合糖質の製造方法に関する。
【0004】
発明の背景
複合糖質は天然に存在し、そしてウイルス、細菌及び真菌病原論、細胞対細胞及び細胞内認識、細胞表面レセプター(receptor)へのホルモン及び病原体の結合を包含する多種多様な生物学的機能に、そして抗原−抗体認識に関与する。「複合糖質」という用語は、一般式(CH2O)nを有する多種多様な化学化合物を包含し、ここで、単量体単位はグルコース、ガラクトース、マンノース、フコース及びシアル酸を包含するがこれらに限定されるものではない何千もの天然に存在するまたは合成の単量体のいずれかから選択される。糖類は、炭素−水素−酸素コアに加えて、アミノ、硫酸またはリン酸基のような追加の成分を有することができる。2〜10の糖単位からなる重合体はオリゴ糖(OS)と呼ばれ、そして10より多くの糖単位からなるものは多糖(PS)と呼ばれる。これらの単糖構成単位は少なくとも10の異なる様式で連結することができ、天文学的な数の異なる組み合わせ及び順列を導く。種内の株及び生物体内の組織でさえ複合糖質構造が異なることが認められている。天然に存在する複合糖質のこの高度の多様性、非常に特異的な組成及び広範囲の生物学的役割は、これらの化合物を特に重要にしている。
【0005】
グラム陰性細菌は複合糖質を含有し、これらは脂質に結合されてリポオリゴ糖(LOS)またはリポ多糖(LPS)を形成する。LOS及びLPSの免疫原性は糖質部分にあり、一方、病原性は脂質部分にある。この理由で、OS及びPSはグラム陰性病原体に対するワクチンとして、そしてグラム陰性細菌の同定のために有用である。
【0006】
米国特許出願5,736,533は、呼吸感染の原因因子である病原体に対する治療薬として有用なオリゴ糖を開示している。病原性細菌は、組織の表面上の糖質に結合することにより組織に集落形成することができ、そして過剰の特定の可溶性オリゴ糖を与えることにより細菌の集落形成の拮抗阻害をもたらすことができると考えられる。
【0007】
LPS及びLOSからのOS及びPSは、特定の細菌病原体を培養で増やし、続いて脂質部分を切断し、精製することにより製造することができる。しかしながら、大部分の病原性細菌は、それらの増殖条件及び遅い増殖の点で培養しにくく、この製造方法を実行不可能にしている。例えば、ヘモフィルス・インフルエンゼは、増殖のために二酸化炭素大気及び脳/心臓抽出を必要とすることが既知である。ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)は、OS及びPS製造のために必要とされる培地培養においてあまり増殖しない。さらに、これらの細菌病原体の多く(例えばナイセリア・メニンギチジス(Neisseria meningitidis))は、エーロゾル及び可能性がある感染蔓延の危険のために大容量で増やすことは危険である可能性がある。迅速に高密度まで増殖するエシェリキア・コリ及びサルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota)のような細菌株において培養しにくい細菌病原体のOS及びPS構造を製造できることは、培養しにくい細菌病原体からのこれらのOS及びPSを製造するための迅速な方法を提供する。
【0008】
真核生物のタンパク質及びペプチドは、しばしば、同様にグリコシル化されているホルモンの特異的結合部位として働く糖質部分をそれらの表面上に有し、すなわち、ペプチド構造に連結された複合糖質を有する。さらに、認識役割に加えて、糖質は機能性糖タンパク質へのポリペプチドの適切な三次元的フォールディングに必要である。細菌はペプチドまたはタンパク質を効率よくまたは真核生物のものと同等にグリコシル化しない。この理由で、細菌は真核生物のペプチド及びタンパク質を増やすための生産細胞として一般に用いられるが、エリトロポエチンのような有用なヒト糖ペプチドは哺乳類細胞において増やされる。米国特許第4,703,008号はエリトロポエチンの製造方法を開示しており、ここでは、このホルモンをコードするDNAでチャイニーズハムスター卵巣細胞のような細胞をトランスフェクションし、そして複合培地中二酸化炭素大気下で増やす。生成するホルモンは、ヒト使用の治療法として有効であるために天然に存在するホルモンに十分に類似している。
【0009】
単離された細胞特異的糖質のさらなる有用性は、感染が表面認識グリコシル化タンパク質に依存している疾患因子の拮抗阻害にである。例えば、ヒト免疫不全ウイルスは、T−4リンパ球上の表面レセプターに結合することが既知である。過剰の遊離したT−4レセプター糖質が患者の体液中に存在する場合、ウイルスは遊離した糖質に結合し、T−4リンパ球に感染するのが効果的に妨げられる。
【0010】
細胞認識分子の投与による細胞表面への抗体の結合の拮抗阻害は、エリテマトーデス、多発性硬化症及び慢性関節リウマチのような自己免疫疾患の処置における治療能力を有することができる。そのような分子は細胞レセプターに結合し、そのような疾患状態において認められる変性を引き起こす自己免疫抗体の結合を妨げることができる。
【0011】
米国特許第4,745,051号は、グリコシル化ペプチド及びタンパク質の製造に実用的用途を有する方法である、昆虫細胞においてDNAを発現する方法を開示している。しかしながら、グリコシル化結果は昆虫に固有のものであり、哺乳類細胞に典型的なものより高いレベルのマンノースからなる。
【0012】
細菌生産細胞におけるペプチド及びポリペプチドの実用的製造は確立している。ペプチド及びタンパク質をグリコシル化するための化学的及び酵素的手段は当該技術分野において周知である。例えば、米国特許5,370,872は、タンパク質にカルボキシルまたはヒドロキシル基を介してPSを連結する方法を開示している。複合糖質の古典的有機合成は長い間既知であるが、限られた実用用途でである。糖重合体分子の複雑さに固有の難点に加えて、多数のグリコシド結合は不安定であり、化学合成中に保護及び脱保護しなければならず、合成の難しさを増し、そして生成物の収率を下げる。
【0013】
有機合成の難点のために、酵素合成が考案されている。グリコシル化は、グリコトランスフェラーゼのような酵素の作用による単量体の順次付加により進むことが既知である。反応生成物は、リアーゼ、アセチラーゼ、スルファターゼ、ホスホリラーゼ、キナーゼ、エピメラーゼ、メチラーゼ、トランスフェラーゼ等によりさらに改変することができる。米国特許第5,308,460号は、固定したマトリックス上でのそのような順次合成を開示している。
【0014】
複合糖質、並びに種または組織に特異的な複合糖質を含有する糖タンパク質及び糖ペプチドのより効率のよい実用的な製造方法の必要性が依然としてある。
【0015】
発明の要約
本発明は、生産細胞における複合糖質の製造に関する。エシェリキア・コリ株K−12のようなある種の細菌は、末端ヘプトースを有するコアリポ糖をもつことが本明細書において開示される。適当な生産細胞はまた、グリコトランスフェラーゼが他の糖単量体を付加して複合糖質を生成せしめる「足場(scaffold)」を形成するために、N−アセチルグルコサミンのような受容体分子の末端ヘプトースへの転移を触媒する酵素も含有する。別の適当な生産細胞がそのような酵素を欠く場合、ヘモフィルス・インフルエンゼの遺伝子rfe (UDP−GlcNAc:ウンデカプレノールGlcNAc−1リン酸トランスフェラーゼ)をコードするDNAを生産細胞中に挿入することができる。好ましくは、rfeの生産は遺伝子lsgGの遺伝子産物の存在により高められる。生産細胞中にグリコトランスフェラーゼをコードする遺伝子を挿入することにより、ヘモフィルス・インフルエンゼ、ナイセリア種、サルモネラ種及びエシェリキア・コリのような細菌に特異的な複合糖質が製造される。ポリシアリルのような哺乳類の複合糖質もまた製造することができる。
【0016】
従って、本発明は、(a)形質転換した生産細胞を該生産細胞の増殖を助けることができる培養培地に接種すること、ここで、該生産細胞は、(i)末端ヘプトース分子を含有するコア脂質構造及び(ii)該ヘプトース分子に受容体分子を付加することができる酵素を含んでなる細菌を、形質転換した生産細胞を生成せしめるために複合糖質を合成するグリコトランスフェラーゼをコードする単離されたDNA配列を該細菌に挿入することによって形質転換することにより調製される;(b)該形質転換した生産細胞を増殖させること;並びに(c)該複合糖質を培養培地から回収することの工程を含んでなる複合糖質の製造方法を提供する。
【0017】
本発明はまた、(a)(i)末端ヘプトースを含有するコア脂質構造及び(ii)該ヘプトースにガラクトース分子を付加する酵素を含んでなるグラム陰性細菌を形質転換すること、ここで、該形質転換したグラム陰性細菌は、オリゴ糖を合成するグリコトランスフェラーゼをコードする単離されたDNA配列を含んでなるベクターを構築することにより調製される;(b)該形質転換したグラム陰性細菌を該形質転換した細菌の増殖を助けることができる培養培地に接種すること;(c)該接種したグラム陰性細胞を増殖させること;及び(d)該オリゴ糖を培養培地から回収することの工程を含んでなるオリゴ糖の製造方法も提供する。
【0018】
本願に開示する方法を用いて、他の複合糖質の実用的製造のために適当な生産細胞を同定することができる。そのような適当な生産細胞は、合成する糖質に特有の受容体分子、またはそのような特有の受容体分子を付加するために改変することができる部位を有する。生産細胞は、適切な受容体を形成するための開始(initiating)lsgGまたはlsgFを含有する。次に他の種、株、組織、ホルモン、レセプターまたは他の細胞表面糖質のグリコトランスフェラーゼをコードするDNAをそのような生産細胞中に挿入することができ、その結果、その種、株、組織、ホルモン、レセプターまたは他の細胞表面糖質に特有のオリゴ糖または多糖が製造される。遺伝子rfc及びlsGのヌクレオチド配列は、TIGR (Bethesda, MD)から利用できるヘモフィルス・インフルエンゼRdデータベースのファイル上にある。グリコトランスフェラーゼの配列は、本明細書に開示する参考文献から利用できる。
【0019】
同様に提供するのは、生成物を分離し精製する方法である。本発明はまた、改変されたレベルの複合糖質を含んでなる生産細胞を生成せしめるために、グリコトランスフェラーゼをコードするキメラDNA配列を含んでなる生産細胞を培養することを含んでなる複合糖質の製造方法も提供し、ここで、生産細胞は、末端ヘプトース分子を含有するコア脂質構造を含んでなり且つヘプトース分子に受容体分子を付加することができる酵素をコードする細菌である。本発明はまた、複合糖質を回収することをさらに含んでなる方法も提供する。
【0020】
発明の詳細な記述
本発明は、遺伝子rfe (UDP−GlcNAc:ウンデカプレノールGlcNAc−1リン酸トランスフェラーゼ) (Alexander et al. (1994) J. Bacteriol., 176−7079−7084)を含有するあらゆるグラム細菌種のコア構造の末端ヘプトースをオリゴ糖合成の受容体として働くように改変することができる方法を提供する。rfe遺伝子は、輸送体脂質ウンデカプレノールリン酸上へのN−アセチルグルコサミン(GlcNac, 「受容体分子」)の転移を触媒するタンパク質をコードする。この遺伝子の調節は、ヘモフィルス・インフルエンゼにおいて同定された調節遺伝子lsgGで制御することができる。lsgGにより引き起こされるrfe発現の増加は、エシェリキア・コリ、サルモネラ・ミネソタ及びヘモフィルス・インフルエンゼを包含する様々なグラム陰性細菌種からのLPS及びLOSの末端ヘプトース上にGlcNAc基の付着をもたらす。このGlcNAcは、グリコトランスフェラーゼの指揮下で、糖単量体の順次付加の足場を形成する受容体分子として働くことが認められている。例えば、ガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子lsgFは、GlcNAcへのガラクトースの付加をもたらす。ヘモフィルス・インフルエンゼのlsgグリコトランスフェラーゼをコードする遺伝子配列はエシェリキア・コリK−12株生産細胞中に挿入されており、その結果、エシェリキア・コリにおいてヘモフィルス・インフルエンゼ特異的LOSエピトープが製造される。
【0021】
rfeと同様の開始酵素を含有するあらゆる生産細胞は、適切な受容体を付加して足場を形成することができる。製造はまた、好ましくは、調節遺伝子lsgGも含有する。次に他の種、株、組織、ホルモン、レセプターまたは他の細胞表面糖質のグリコトランスフェラーゼをコードするDNAをそのような生産細胞中に挿入することができ、その結果、その種、株、組織、ホルモン、レセプターまたは他の細胞表面糖質に特有のオリゴ糖または多糖が製造される。
定義:
複合糖質:SO4、PO4、CO4、CH3、NH4を包含するがこれらに限定されるものではない追加の置換基を有する重合体を包含する、式(CH2O)nのあらゆる重合体、ここで、nは少なくとも3単量体単位に等しい、並びに脂質、ペプチド及びタンパク質に連結したそのような重合体。
生産細胞:本発明に有用な生産細胞は、ある分子で終わるLPSまたはLOS−糖内部コアを含有し且つ延長の足場として働くように末端の分子に受容体分子を付加することができる酵素を含有し、そしてグリコシルトランスフェラーゼをコードする外来DNAで形質転換することができるあらゆる細菌として定義される。他の点では適当であるが適切な受容体分子を欠く細胞は、足場の形成に受容体分子として働くようにLPSまたはLOSを適切に改変するために、それらをrfe及びlsgGのような遺伝子で共形質転換する場合に生産細胞として用いることができる。
Hib生産細胞:ヘモフィルス・インフルエンゼB型特異的OSの製造のための好ましい細胞は、好ましくはグラム陰性細菌、最も好ましくはエシェリキア・コリK−12株JM109である。
合成遺伝子 ( 1または複数 ):所望の複合糖質を合成する酵素または複数の酵素をコードするDNA。これらの遺伝子には、グリコトランスフェラーゼ、リアーゼ、アセチラーゼ、スルファターゼ、ホスホリラーゼ、キナーゼ、エピメラーゼ、メチラーセ等をコードするものが包含される。
実施例1.Hib生産細胞の選択
ヘモフィルス・インフルエンゼb型(Hib)の莢膜株は、髄膜炎及び肺炎を包含する、ヒトにおける様々な侵襲性及び菌血症性感染を招く。Hibの表面リポオリゴ糖(LOS)は、微生物毒力及び病原論における重要な因子であることが既知である。野生型及び突然変異体株からのHib LOSの構造研究により、LOSが保存されたヘプトース三糖コアを含有し、これを各ヘプトース上で追加の糖で延長できることが示されている。最近、エシェリキア・コリK−12コア領域の修正構造が報告され、これは同様にヘプトース三糖内部コア及び主オリゴ糖分岐の末端に存在する第四のヘプトースを含有する:
以前の研究により、合成酵素遺伝子で形質転換したエシェリキア・コリのコア領域は、ヘモフィルス・インフルエンゼ遺伝子の指揮下で糖単量体の付加により延長して約5単量体単位延長された改変されたエシェリキア・コリLPSを製造できることが示された。単量体はヘプトースの各々で付加されると考えられた。(Kwaik et al., Molecular Microbiology, 5:2475−2480 (1990))。それ故、ヘモフィルス・インフルエンゼのものと実質的に同一であるLOSを製造できるかどうかを決定しようと試みてJM109と呼ばれるエシェリキア・コリK−12株をヘモフィルス・インフルエンゼ合成遺伝子で形質転換する作業を行った。
【0022】
エシェリキア・コリ株は、適切な抗生物質を含むLB寒天または培地を用いて37℃で慣例的に培養した。これらの研究に使用したベクターは以前に記述された。(Kwaik et al. (1990))。エシェリキア・コリJM109からのLPSは、Darveau及びHancockの抽出法(Darveau et al. J. Bacteriol. 155(2), 831−838 (1983))により調製した。LPSは、15%アクリルアミドを含有する分離ゲルにおけるSDS−PAGEにより分離し、銀染色により視覚化した。
【0023】
このキメラLPSの構造を決定するために、各サンプルからの数ミリグラムのLPSを無水ヒドラジンで37℃で20分間処理し、次いで冷アセトンで沈殿させた。
【0024】
エシェリキア・コリコアの化学構造を確定し、そしてエシェリキア・コリ受容体基を決定するために、エシェリキア・コリ株JM109からのLPSを以下の実施例6において記述するように組成分析、結合分析及び質量分析法を用いて部分的に特性化した。
2.HibからのLOS合成遺伝子の単離
Hib株A−2は、髄膜炎にかかっている子どもの髄液から最初に単離された。Hib A−2は、アミノ酸及びビタミンを補足したチョコレート寒天または4% Fildes試薬(Difco Laboratories, Detroit)を補足した脳心臓浸出物寒天上で5% CO2大気中35℃で増やした。
【0025】
LOS合成遺伝子(lsg)を含有するHib株A−2からの遺伝子クラスターは以前にクローン化された。(Kwaik et al, (1990))。lsg遺伝子座は、7個の完全なオープンリーディングフレーム(orf)からなる7.4kb DNAフラグメント内に含まれる。この領域は、リポ多糖(LPS)生合成と関連しているHib株Rdのゲノム配列にも存在するいくつかの異なる遺伝子座の一つである。
【0026】
ラムダバクテリオファージEMBL3においてゲノムライブラリーを構築するためにHib株A−2のlsg領域からのDNAを用いた(Kwaik et al, 1990)。エシェリキア・コリ株LE392においてHib LOSオリゴ糖エピトープを発現した26個のファージクローンを調製した。EMBLOS−Iと称するファージ形質転換体は、エシェリキア・コリLE392の4.1kDa LPSに1.4kDaのオリゴ糖が付加されたキメラLPSを生産した。Hib A2 LOS混合物中の2つの成分を認識するモノクローナル抗体(MAb)6E4は、キメラLPS中の新規な5.5kDa成分も認識し、Hib LOSに対するいくらかの免疫化学的類似性を示す。
実施例3.Hib生産細胞の形質転換
エシェリキア・コリ株JM109を改変して提示したキメラの一連のより高質量LPS種を生産するクローンを与える一連のプラスミドを作製するためにEMBLOS−Iの制限フラグメントを用いた。pGEMLOS−4、pGEMLOS−5及びpGEMLOS−7と称する形質転換体は、それぞれ、5.5、5.1及び4.5kDaの改変されたまたはキメラのLPSを生じた。pGEMLOS−4からのLPSのみが6E4エピトープを発現したが、3つ全てがエシェリキア・コリからの4.1kDa LPS種を明らかに改変した。株pGEMLOS−5からのLPSはMAb 3F11と陽性に反応することが認められ、末端のN−アセチルラクトサミンの存在を示唆した。MAb 6E4により認識されるエピトープはまた、ヘモフィルス・インフルエンゼ非類別株2019のLOS並びにサルモネラ・ミネソタRe突然変異体からのLPSにも存在する。ヘモフィルス・インフルエンゼLOSへのこのモノクローナル抗体の結合は、Kdo及びサルモネラ・ミネソタのRe突然変異体からのKdo三糖により阻害することができる。6E4エピトープはヘモフィルスLOSのコアと関連しているので、エシェリキア・コリにおいて発現されるキメラ構造は、エシェリキア・コリ4.1kDa LPS種の受容体基へのヘモフィルスコア構造の付加から生じるのかもしれないと最初は提示された。
【0027】
ヘモフィルス・インフルエンゼ株A−2 lsg遺伝子座からの異なるDNA制限フラグメントが連結されているプラスミドpGEM3Zf+でHib生産細胞を形質転換した(表1及び図1参照)。プラスミドpGEMLOS−4は、lsg遺伝子座を含んでなる7個全てのオープンリーディングフレーム(A−G)を含むDNAの7.4kb bamhI−pstIフラグメントを含有した。プラスミドpGEMLOS−5は、lsgの5個のオープンリーディングフレーム(C−G)を含んでなるDNAの5.5kb HindIII−pstIフラグメントを含有した。プラスミドpGEMLOS−7は、lsg遺伝子座の2個のオープンリーディングフレーム(F−G)を含んでなるDNAの2.8kb sphI−pstIフラグメントを含有した。インサートを含まないプラスミドpGEM3zf+もまた株JM109中に形質転換した。この株及びそれから単離したLPSをPGEMと称した。
実施例4.オリゴ糖の単離及び精製
PGEM(31mg)、pGEMLOS−4(25mg)、pGEMLOS−5(15mg)及びpGEMLOS−7(4.4mg)からのLPSを1%酢酸(2mg LPS/ml)中で100℃で2時間加水分解した。加水分解産物を4℃で5000gで20分間遠心分離し、上清を除いた。ペレットを2mlのH2Oで洗浄し、再び遠心分離した(5000g, 20分, 4℃)。上清及び洗浄液をプールし、凍結乾燥してオリゴ糖画分を得た。基準として、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium) TV 119 Ra突然変異体からの10mgのLPS(Sigma, St. Louis)を同じように処理した。
【0028】
ESI−MS分析のための脱塩したオリゴ糖プールを調製するために、0.05M酢酸ピリジニウム(pH5.2)を1ml/分の流速で用いて、直列につないだ2本のBiO−Select SEC 125−5 HPLCカラム(Bio−Rad, Richmond, CA)上で粗オリゴ糖画分の少量のアリコート(<2mg)をクロマトグラフィーにかけた。カラム流出液をモニターするために屈折率検出器を用い、そしてクロマトグラムを積分器で記録して保存した。
【0029】
大規模分離のために、PGEM(10.2mg)、pGEMLOS−4(9.3mg)及びpGEMLOS−5(7.0mg)からのオリゴ糖画分を0.3mlの0.05M酢酸ピリジニウムバッファー(pH5.2)に溶解し、0.45gmナイロン−66膜を通して遠心分離−濾過した。PGEM及びpGEMLOS−4サンプルは1本のBio−Gel P−4カラム(1.6x84cm, <400メッシュ;Bio−Rad)にかけ、そしてpGEMLOS−5サンプルは直列につないだ2本のBio−Gel P−4カラム(1.6x79cm及び1.6x76.5cm)にかけた。カラムには、30℃で保った水ジャケットを備え付けた。10ml/時間の流速での上方溶出は、P−1ぜん動ポンプ(peristaltic pump) (Pharmacia, Piscataway)で実施した。溶出液は屈折率でモニターし、そして画分を10分間隔で集め、濃縮装置で蒸発乾固させた。
実施例5.オリゴ糖の脱リン酸
オリゴ糖画分を1.5mlポリプロピレンチューブ中に置き、冷48%フッ化水素水で処理して5−10μg/ml溶液を作った。サンプルを4℃で18時間保ち、次いでHF水を蒸発させた。次に、脱リン酸したサンプルを、直列につないだ2本のBiO−Select SEC 125−5 HPLCカラム上で0.05M酢酸ピリジニウム(pH5.2)を用いて再びクロマトグラフィーにかけた。
実施例6.生成物の特性化
天然に存在するHib LOSに対して作製したモノクローナル抗体との反応性により、実施例2において示すように、生成物が天然に存在するHib LOSと同じ免疫化学機能を有することが示された。所望の複合糖質に対する構造の同一性を決定するためにサンプルを異なる技術によりさらに分析した。
a.単糖組成分析
脱リン酸したオリゴ糖画分を400μlの2Mトリフルオロ酢酸に溶解し、100℃で4時間加熱した。加水分解産物をSpeed−Vac濃縮装置で蒸発乾固させ、20μlのH2Oに再溶解し、そして再び乾燥させた。加水分解産物を、CarboPac PA1カラムを有するDionex BioLCシステム(Dionex, Sunnyvale, CA)を用いてパルス電流検出で高速陰イオン交換クロマトグラフィーにより分析した。
b.メチル化分析
粉末NaOHでの使用のために改変した微量分析規模方法を用いて、脱リン酸したオリゴ糖画分に対して結合分析を実施した。部分的にメチル化された酢酸アルジトールを質量分析計でE1及びC1モードでGC/MSにより分析した。
c.液体二次イオン質量分析法 ( LSIMS )
セシウムイオン源を有する質量分析計を用いてLSIMSを実施した。オリゴ糖サンプル(1μl H2O中)をステンレス鋼プローブ先端上で1μlのグリセロール/チオグリセロール(1:1)に加えた。10keVのCs+イオン一次ビームエネルギーを用い、そして二次サンプルイオンを8keVに加速した。走査を300s/decadeで陰イオンモードで取り、静電記録計で記録した。スペクトルを±0.2Daよりよい精度までUltramark 1621 (PCR Research Chemicals, Inc., Gainesville, FL)で手動で質量検定した。
d.電気スプレーイオン化質量分析法 ( ESI−MS )
オリゴ糖及びO−脱アシル化LPSを、陰イオンモードで運転する電気スプレーイオン源を有する質量分析計で分析した。運転溶媒(4μl中1μl)と混合したH2Oにオリゴ糖サンプルを溶解し、約20μl/分の流速で、1%酢酸を含有するH2O/アセトニトリル(1/1, v/v)の流れに注入した。質量検定を陰イオンモードでCsIで実施した。
【0030】
ある場合には、陰イオンモードでESI条件下で運転する配列検出器を有するセクター−直交飛行時間(TOF)装置を用いて、選択したオリゴ糖画分をより高解像力(M/ΔM=2000)で分析した。この場合、溶媒系及び流速は、四重極ESI実験について上に記述したのと本質的に同じであった。4kVの加速電圧及び3.5−4kVの間より高いESI針電圧で500〜3000のm/z範囲にわたって全てのサンプルに5秒/decadeの走査速度を用いた。液体二次イオン質量分析法条件下で取ったCs1からなる外部基準で質量検定を実施し、続いて、陰イオンES−MSモードでサルモネラ・チフィムリウムRa突然変異体のLPSからのオリゴ糖の二重に荷電した脱プロトン化分子イオンの1点補正を行った((M−2H)2−exact=973.2)。
e.マトリックス補助レーザー脱着イオン化 ( MALDI ) 質量分析法
窒素レーザー(337nM)を備えたVoyagerまたはElite MALDI−TOF装置(PerSeptive Biosystems, Framingham, MA)で、O−脱アシル化LPSサンプルを分析した。全てのスペクトルは、他の所で詳細に記述されているような遅延抽出条件を用いて陰イオンモードで記録した。(Gibson et al. J. Amer. Soc. Mass Spec 8:645−658 (1997))。サンプルをH2Oに溶解し(約250pmol/μl)、マトリックス溶液(アセトン中の2,5−ジヒドロキシ安息香酸の飽和溶液)と1:1で混合し、金めっきしたMALDIプレート上で室温で乾燥させた。各サンプルに対して約100レーザーショットを記録し、平均し、次にレニン基質テトラデカペプチド、酸化したインシュリン鎖B及びウシインシュリン(全てSigmaより)からなる外部質量標準物質を用いて質量検定した。これらの条件下での外部検定では、0.1%の質量精度が得られた。比較目的のために、予想される脂質Aフラグメントイオン((M−H)平均=952.009)を用いてPGEMからのO−脱アシル化LPSのスペクトルに一点補正を行い、次にこの脂質Aフラグメントイオン及び4つ全てのサンプルに存在するPGEMからの追加のイオン(m/z 2835.7)を用いて3つのキメラ株のスペクトルを再検定した。
f.四重極 − TOF ( qTOF ) を用いる縦列質量分析法 ( MS / MS )
脱リン酸したオリゴ糖を、ナノスプレーイオン源を備えた質量分析計で陽イオンモードで分析した。分析器は、高圧RFのみのイオンガイド及びそれに続く四重極質量フィルターからなる。高圧四重極衝突セルは第一の質量フィルターに続く。TOF質量分析器は、2.5メートルの有効飛行経路を有する反射を含んでなる。1%酢酸を含有するH2O/アセトニトリル(1/1, v/v)にサンプルを溶解し、各々の2μlをナノスプレー先端に注入した。ナノスプレー針電圧は典型的に800−1000Vであった。一つのサンプル添加は、通常30−40分の分析時間を与え、これによりCID MS/MSのいくつかの個々のイオンの選択の前に通常の質量スペクトルが得られた。MSモードでは、高解像能(8,000FWHM)により各イオンの電荷状態が明白に決定された。CID−MS/MS運転には、大部分の場合において二重に荷電している(M+2H)2+、フラグメンテーションのための前駆体イオンを選択するためにI m/z単位の質量ウインドウを有する四重極質量分析器を用いた。選択したイオンを衝突セルにおいて空気を衝突気体としてフラグメントにし、そして20kVの加速電位で運転する直交TOFで分析した。フラグメントイオンスペクトルを10秒〜1分の間の期間にわたってコンピューター制御下で蓄積した。外部検定に基づく質量指定は、一般に、計算した単同位体値の50ppm以内であり、一方、内部検定は+5ppmまで正確な質量を与えた。
g.LPSのSDS−PAGE分析
我々は、ヘモフィルス・インフルエンゼb型A−2株のlsg領域からのDNAの重複する制限フラグメントを含有する一連のプラスミドでのエシェリキア・コリ株JM109 (O−側鎖を欠くラフLPS (r−LPS)を生産するK−12株)の形質転換を以前に報告している(Kwaik et al, 1990)。部分LOSセグメントが製造された。図1に示すように、pGEMLOS−4クローンはlsg領域中の完全なorfの全て (orf A−G)を含有し、一方、pGEMLOS−5はorf C−Gを含有し、そしてpGEMLOS−7はorf F−Gを含有する。クローンpGEMLOS−4、pGEMLOS−5及びpGEMLOS−7は、4.1kDaのエシェリキア・コリコアにそれぞれ1.4、1.0及び0.4kDaの成分を付加した改変されたLPS構造を生じることがSDS−PAGEにより示された(図2)。
h.MALDI−TOFによる O− 脱アシル化LPSの分析
質量分析法によるLPS分子量及び不均質性の初期スクリーニングのために、PGEM、pGEMLOS−4、pGEMLOS−5及びpGEMLOS−7からのLPSの少量のアリコートを無水ヒドラジンで処理して脂質A部分からO−連結脂肪酸を取り除いた。PGEM O−脱アシル化LPSサンプルは、主要なエシェリキア・コリコア構造に相当する、2738−3172Daの範囲のいくつかの種を含有する。提示組成に合わせると、認められた種はヘプトース(Hep)、ヘキソース(Hex)、3−デオキシ−D−マンノオクツロソン酸(Kdo)、リン酸エステル(Phos)及びホスホエタノールアミン(PEA)の不均質性を示すことが見出された(表2)。特に、両方とも多様な量のリン酸エステル及びPEA有する、3 Hexと3 Hep (2もしくは3 Kdoを有する)または4 Hexと4 Hep (2 Kdoを有する)のいずれかを含有する2つの主要なコアタイプが認められた。pGEMLOS−7 O−脱アシル化LPS混合物は、(M−H)−3334.5及び3456.8の2つの主要な新しい種に加えて、これらの同じ種の多くを含有した。m/z 3334.5種は、明らかに、4 Hex、4 Hep、2 Kdo、2 Phos及び1 O−脱アシル化ジホスホリル化脂質A (O−DPLA)成分を含有するPGEMコア構造へのHex及びN−アセチルヘキソサミン(HexNAc)の付加から生じる。1 PEA成分のさらなる付加は、m/z 3456.8種を与える。これらのデータは、pGEMLOS−7を生じる形質転換がエシェリキア・コリLPSへのHex−HexNAc成分の付加をもたらすことを示唆する。同様に、pGEMLOS−5 O−脱アシル化LPSにおける主要な種(m/z 3700.6及び3823.6)は、4 Hex、4 Hep、2 Kdo、2 Phos、1 O−DPLA及び0または1 PEAを含有するPGEMコア構造への2 Hexと2 HexNAcの付加から生じることが見出された(表2参照)。これらの構造はまた、pGEMLOS−4 O−脱アシル化LPSにおいても、この場合、4 Hex、4 Hep、3 Kdo、2 Phos、1 O−DPLA及び0または1 PEAを含有するPGEMコア構造へのもう一つのHex (m/z 4083.2及び4206.4)またはHexNAc (m/z 4124.5及び4246.8)のいずれかのさらなる付加から生じる新しい種に加えて認められた(表2参照)。キメラLPS構造のうち、これらの高分子量pGEMLOS−4成分のみが第三のKdo成分を含有した。
i.ESI−MS及びLSIMSによるオリゴ糖の分析
PGEM、pGEMLOS−4、pGEMLOS−5及びpGEMLOS−7からのLPSを穏やかな酸加水分解に供して遊離オリゴ糖を遊離させた。最初に、オリゴ糖画分の少量のアリコートをサイズ排除HPLCにより脱塩し、陰イオンESI−MSにより混合物として分析した。ESI−MSスペクトルは、主として二重に荷電したイオン、(M−2H)2−を含有した。一般に、データは、O−脱アシル化LPSのMALDI−TOF分析からの結果と一致した。PGEMサンプルは、1459.3〜2016.7Daの分子量に及ぶ、7つの主要なオリゴ糖及びいくつかの微量の種を含有することが認められた。表3に示すように、提示組成が様々な種に対して決定され、これらは構造が2つの主要なコアタイプ; 3 Hex、3 Hep及び1 Kdoを含有するもの及び4 Hex、4 Hep及び1 Kdoを含有するものからなることを示した。リン酸エステル及びPEA基の数の多様性が、混合物中に存在する多数の種の原因である。
【0031】
pGEMLOS−4、pGEMLOS−5及びpGEMLOS−7サンプルは、より大きい分子量のオリゴ糖に加えて、PGEMサンプル中に存在する種の多くを含有した(表3)。4 Hex、4 Hep、1 Kdo、2 Phos及び0または1 PEAを含有するPGEMコア構造への1個のHex及びHexNAc基の付加と一致する、Mr 2177.7及び2302.5の新しいLPS糖形態がpGEMLOS−7サンプルにおいて認められた。pGEMLOS−5サンプルの高分子量成分(Mr 2543.9及び2666.5)は、さらに別のHex−HexNAc単位のさらなる付加を示唆し、そしてpGEMLOS−4サンプルは、もう一つのHexまたはHexNAc成分の付加と一致するさらに高分子量の物質(Mr 2706.1〜2870.0に及ぶ)を含有した。
【0032】
これらの種の提示組成の決定を助けるために、PGEM、pGEMLOS−4、pGEMLOS−5及びpGEMLOS−7サンプルからのオリゴ糖をサイズ排除クロマトグラフィーにより分離し、画分をLSIMS及び/またはESI−MSにより分析した。次に、2つの主要なPGEMコアタイプ及び様々なキメラ構造に相当する選択した画分をプールし、HF水で脱リン酸し、サイズ排除HPLC上で再びクロマトグラフィーにかけ、陰イオンLSIMSまたはESI−MSにより再び分析した。HF処理後に認められる分子イオンの提示組成を表4に記載する。リン酸エステル及びPEA成分を除去した際に、pGEMLOS−7サンプル中に存在する主要な高質量種はMr (平均)2020.3のオリゴ糖である (1 HexNAc、5 Hex、4 Hep及び1 Kdo)。pGEMLOS−5サンプルは、pGEMLOS−7 LPSへの1 Hex及び1 HexNAcのさらなる付加から生じる、Mr (平均)2386.3のオリゴ糖を含有する (2 HexNAc、6 Hex、4 Hep及び1 Kdo)。この種はpGEMLOS−4サンプルにおいても、さらなるHex (Mr (平均) 2548.4)またはHexNAc (Mr (平均)2589.5)を含有するさらに高分子量の構造に加えて存在する。
j.単糖組成及び結合分析
PGEM、pGEMLOS−4、pGEMLOS−5及びpGEMLOS−7からの遊離オリゴ糖の質量分析法の分析により、異なるキメラ構造が、4 Hex、4 Hep及び1 Kdoを含有する多様にリン酸化されたPGEMコア構造への理論量のヘキソース及びHexNAc基の付加から生じることが示された。いかなるキメラ構造も3 Hex、3 Hep及び1 Kdoコアを含有することが認められなかった。
【0033】
比較目的のために、2つのPGEMコアタイプ並びにpGEMLOS−4、pGEMLOS−5及びpGEMLOS−7からの主要なキメラ構造を含有する脱リン酸したオリゴ糖画分を2Nトリフルオロ酢酸中で加水分解してそれらの単糖組成、従ってHex及びHexNAc基の同一性を決定した。パルス電流検出で高pH陰イオン交換クロマトグラフィーにより分析した場合、PGEM加水分解産物はガラクトース、グルコース及びL−グリセロ−D−マンノ−ヘプトースのみを含有することが認められた(表5)。(Kdo基はこれらの加水分解条件下で回収されない。)2つのコアタイプは、GalGlc2Hep3及びGalGlc3Hep4と同定された。pGEMLOS−7サンプルはGlcNH2Gal2Glc3Hep4を含有し(表5)、大きい方のPGEMコアが1個のGal及び1個のN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)基の付加により改変されていることを示唆した。同様に、pGEMLOS−5サンプルの組成は、大きい方のPGEMコアが、Gal及びGlcNAc基のみでさらにグリコシル化されていることを示唆した。pGEMLOS−5と同じ種を含有したpGEMLOS−4からの画分2は同様の結果を与え、そして3つの主要な種を含有するpGEMLOS−4からの画分1 (表4参照)はわずかに多いGlcNH2を含有した。
【0034】
単糖組成分析に使用した同じ6つの脱リン酸したオリゴ糖画分のアリコートをメチル化分析のために利用して糖結合位置を確定した。GC/MSにより認められる部分的にメチル化された酢酸アルジトールを表6に記載する。再び、2つのPGEMコアタイプを比較することにより、大きい方のPGEMコアの第二の末端ヘプトースがキメラ構造の全てにおいて1,7−結合したヘプトースに転化され、従って新規なグリコシル化の結合部位に相当するはずであるとみなすことは比較的容易である。いかなるキメラ構造もHep3コアでは認められなかったので、おそらく、K−12コア構造中のオリゴ糖分枝上に最近同定された非還元末端ヘプトースは改変された末端ヘプトースである。さらに、いかなる新しい3結合糖もキメラオリゴ糖から得られず、おそらく、糖は全て直鎖で付加されることを示唆した。
k.MS / MSによるキメラオリゴ糖の配列決定
エシェリキア・コリLPSコア及び新規なオリゴ糖成分間の結合部位の同一性を確かめるため及び付加される糖の配列を決定するために、脱リン酸したオリゴ糖をMS/MS分析に供した。これらの実験のために、サンプルを陽イオンモードで試験し、二重に荷電した分子イオン、(M+2H)2+を衝突誘導解離(CID)のために選択した。様々な還元末端(Yタイプ)及び非還元末端(Bタイプ)配列イオンがスペクトルに存在する。PGEMオリゴ糖では、Y6α’ (m/z 732.2 (2+))、Yα5’ (m/z 651.2 (2+))及びY4α’ (m/z 1139.3)フラグメントイオンを包含するYイオン系列、並びにB3α’ (m/z 517.2)、B4α’ (m/z 841.3)、B5 (m/z 1225.4)及びB6 (m/z 1417.4)フラグメントイオンを包含する対応するBイオン系列は、最も大きいオリゴ糖分枝の非還元末端上に第四のヘプトースを有する公開された構造を裏付ける。これらの配列イオンに加えて、スペクトルに存在するいくつかのイオンは、明らかに、高エネルギーCID条件下で起こり得る内部切断から生じる。pGEMLOS−5オリゴ糖のスペクトルにおいて、2つの同様のY及びBタイプイオン系列は、付加された四糖の配列及び結合部位を明確に特定する。m/z 366.1 (B2α’)及び731.3(B4α’)の強いBイオンは、2個のHex−HexNAc成分の順次切断から生じる。これらの喪失はまた、対応するY9α’ (m/z 2020.6)及び7α’ (m/z 1655.5)フラグメントイオンによっても示される。m/z 923.3 (B5α’)0及びm/z 1463.4(Y6α’)のフラグメントイオンは、Hex−HexNAc−Hex−HexNAc成分がヘプトースに連結されることを裏付け、そして大きいオリゴ糖分枝にさらに沿った追加切断は、新規な四糖がPGEMコア構造の最も大きい分枝に結合されることを裏づける。
【0035】
pGEMLOS−7及びpGEMLOS−4からのキメラオリゴ糖のMS/MSスペクトルにおいて、強いBイオンはまた、付加された糖成分の構造も明確に特定した。pGEMLOS−7オリゴ糖(Mr 2019.7)において、m/z 366.1のBイオンは1個のHex−HexNAc二糖成分に対応する。Mr 2587.9のpGEMLOS−4オリゴ糖 (HexNAc3Hex6Hep4→do)は、HexNAc−Hex−HexNAcフラグメント(m/z 569.2)及びHexNAc−Hex−HexNAc−Hex−HexNAcフラグメント(m/z 934.3)を失い、一方、Mr 2546.8のpGEMLOS−4オリゴ糖(HexNAc2Hex7Hep4Kdo)は、Hex−Hex−HexNAc (m/z 528.2)及びHex−Hex−HexNAc−Hex−HexNAc (m/z 893.3)フラグメントを失った。これらのBタイプイオンに加えて、後者のスペクトルは、この場合明らかに内部フラグメントとして生じるm/z 366.1及び731.3の大きいイオンも含有した。
【0036】
オリゴ糖が順次、すなわち、pGEMLOS−7からpGEMLOS−5、pGEMLOS−4へと組み立てられると仮定すると、MS/MSデータは、我々のメチル化分析結果と組み合わせて、図3に示すような推定されるキメラオリゴ糖の部分配列を与える。
【0037】
構造データは、LOS生合成に関与するヘモフィルス・インフルエンゼからの8遺伝子セグメントの一部を含有するプラスミドで形質転換したエシェリキア・コリK−12が、ヘモフィルス・インフルエンゼのものと本質的に同一であるオリゴ糖を製造するように改変することができるキメラLPSを作るという予測を裏付ける。さらに、キメラLPSは分離されたハイブリッドタイプ構造であり、ここで、エシェリキア・コリR−LPSコア構造は最初に合成され、次いで親エシェリキア・コリ株に存在しない別の独立した一組の糖を付加するためにヘモフィルス・インフルエンゼLOS生合成酵素の足場として働くことが示された。従って、生合成経路は順次であり(分離され)、混ざっていないようである。
【0038】
本発明がなされる前に、オリゴ糖延長の受容体としてのエシェリキア・コリR−LPS中の末端分枝ヘプトースの役割または機能性インシエーター酵素の必要条件は未知であった。完全なエシェリキア・コリK−12コアの公開された構造は、第二の末端ヘプトースを含有しないが、むしろ内部コア領域の一部としてこの第四のヘプトースを有した。オリゴ糖分枝はグルコースで終わると考えられ、これはO−抗原及び他の置換基の受容体部位であると提示された。イニシエーター酵素の役割は未知であった。今回、この第四のヘプトースを含有するエシェリキア・コリR−LPS構造(すなわち、完全なコア構造)のみが、プラスミドで形質転換したキメラ株において延長を受け、従って、この組成を有するエシェリキア・コリのみがヘモフィルス・インフルエンゼの製造の生産細胞として有用である。キメラ構造において、GlcNAcは、このヘプトースの7位に付加される最初の糖である。延長順序におけるこの重要な第一段階には2つの可能な説明がある。1、orffもしくはorfgにコードされるヘモフィルスからのN−アセチルグルコサミン特異的グリコシルトランスフェラーゼがこの正確な特異性を有するか、またはこの反応を起こさせるために十分に無差別であるかのいずれかである。2、ある類似したエシェリキア・コリグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子がヘモフィルス調節遺伝子により活性化されている。このプラスミドに含まれる7個の遺伝子の配列比較は、グリコシルトランスフェラーゼ及び調節遺伝子が両方とも存在することを示唆するので、両方の説明が可能である。しかしながら、末端GlcNAc及び1,7−結合したヘプトースが、エシェリキア・コリK−12のいくつかの他の株において非理論量で存在していることは、オリゴ糖分枝の末端へのこの糖の付加がエシェリキア・コリ酵素により成し遂げられることを示唆する。最近、エシェリキア・コリK−12におけるラフ表現型をもたらす突然変異を補足した場合に、補足された株が、反復単位の還元末端にGlcNAcを有するO−抗原を生産することが報告された。PGEMコアの延長におけるこの重要な第一段階の機構にかかわらず、改変されていないPGEMコアR−LPSの大部分はキメラ混合物中に残るので、このGlcNAcの付加が律速であることは明らかである。さらに、pGEMLOS−7からpGEMLOS−5及びpGEMLOS−4へと進む場合に非常にわずかしかまたは全く中間体構造が認められず、いったんこの最初のGlcNAcが付加されると、他のヘモフィルス関連糖の付加が特定の終点に迅速に起こることを示唆する。キメラLPSの生合成における他の段階がこの最初のGlcNAcの付加と同様に不完全である場合、これらの他の中間体構造が認められると予想されるが、何も認められなかった。従って、orffまたはorfgの産物により調節されるエシェリキア・コリからのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼは、キメラ構造におけるこの最初の重要な糖を付加すると思われる。orfgのみを含有するキメラ構築物に関する予備データは、203Da (HexNAc)の質量移動を示し、orfgがこの調節遺伝子をコードすることを示唆した。
【0039】
キメラLPSの生合成における第二段階は、末端GlcNAcの3位へのガラクトースの付加である。生成する二糖、Gal13GlcNAcは、pGEMLOS−7において認められる構造成分であり、これは形質転換プラスミドがヘモフィルスからのorf F−Gを含有する場合に生じる。これらの遺伝子産物の予測されるアミノ酸配列の検討により、orffはエルウィニア・アミロボラ (Erwinia amylovora)からのガラクトシルトランスフェラーゼ(asmE)に高い相同性を有することが示され(66%一致)、これがヘモフィルスにおいてガラクトシルトランスフェラーゼをコードする可能性があることを示唆する。orfGは既知のオリゴ糖生合成遺伝子にいかなる相同性も示さないが、エシェリキア・コリにおいてModEタンパク質をコードする遺伝子に相同である(64%一致)。このタンパク質はモリブデン輸送及び転写の調節に関与し、orfGがヘモフィルスからの調節タンパク質(キメラ株においてエシェリキア・コリからのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ遺伝子を調節している可能性がある)をコードする可能性があることを示唆する。
【0040】
pGEMLOS−5株では、追加の3個の遺伝子が形質転換プラスミドに含まれ(orf C−G)、生成するLPSにおいて追加のGlcNAc及びGalが認められる。これらの糖は、今度は、四糖Gal1−4GlcNAc−3Gal13GlcNAcを特定する。この形質転換体からのLPSは今度は3F11 MAbに反応し、この新しい二糖がβ結合して末端の三糖、Gal14GlcNAc1−3Galを形成することを示唆する。このプラスミドに含まれる新しいorfは全て、既知のグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子といくらかの相同性を有し:orfCは、エキソ多糖合成のためのグリコシルトランスフェラーゼをコードするエルウィニア・アミロボラからのasmD (26%一致)及びLPS内部コア合成に関与する遺伝子であるエルジニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)からのTrsD (38%一致)と相同性を有し、orfDは、ナイセリア・ゴノロエエからのシアリルトランスフェラーゼ遺伝子(lst)と相同性を有し(27%一致)、そしてorfEは、アクチノバチルス種からの推定のグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子(77%一致)及びエルウィニア・アミロボラからのガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子、amsB (27%一致)と相同性を有する。形質転換プラスミドにおけるこれら3個の追加のorfが、明らかに、大きくなるオリゴ糖鎖にさらに2個の糖のみの付加をもたらすことは、グリコシルトランスフェラーゼの一つの受容体がキメラLPSに存在しないことを示すことができる。
【0041】
さらに2個のorfを形質転換プラスミドに加えて(orf A−G)pGEMLOS−4キメラ株を生成せしめると、3F11エピトープは消失し、エプトープの末端Gal基が、Galの6位に明らかに結合した第二のGalまたはGlcNAc成分のいずれかにより覆われることが認められる。pGEMLOS−4 LPS集団に存在するこれらの新しい種はまた、おそらくそれらのコア領域のどこかに、第三のKdo成分を含有することも認められた。野生型エシェリキア・コリK−12 LPS集団に存在する不完全なコア構造にも第三のKdoを含有するものがあるが、キメラ構造のうち、pGEMLOS−4に特有の構造のみが第三のKdoを含有することが認められた。このキメラ株はまた、ヘモフィルス・インフルエンゼにおける内部コア、Kdo関連エピトープを認識するMAb 6E4によっても認識され、この第三のKdoが野生型エシェリキア・コリLPSのコア構造に存在するものと異なるエピトープを形成することを示唆する。従って、株pGEMLOS−4をフォンネッド(fon−ned)する形質転換プラスミドにorf A及びBを加えることは、キメラLPS構造に複数の影響を有するようである。OrfBは、ナイセリア・ゴノロエエからのシアリルトランスフェラーゼ遺伝子に相同である(46%一致)。OrfAは、エシェリキア・コリからのRfb X遺伝子産物(22%一致)及びエルジニナ・エンテロコリチカのTrsA (24%一致)の両方に相同である。これらは推定のO−抗原輸送体であり(36, 37)、orfAはフリッパーゼをコードする可能性があることを示唆する。
【0042】
シアリル−N−アセチルラクトサミンを含有する構造は、野生型ヘモフィルス・インフルエンゼb型株A2 LOS集団のほんのわずかな成分であるが、lsg遺伝子がこのエプトープの合成に関与することを我々は以前に認めている。orfDのトランスポゾン突然変異誘発により、Hib LOS糖形態にガラクトースを付加する全ての能力を失った突然変異体株281.25が生成した。この株は、4個のグルコース及び3個のヘプトースを含有する主要な種より大きい野性型LOS構造をいずれも作ることができなかった。(orfDの下流にある)orfEの突然変異により、一つの重要な違い:株276.4はシアリル−N−アセチルラクトサミンエピトープを作る能力を保持したことを除いて、本質的に同じ欠損を有する株276.4が生成した。これらの結果は、トランスポゾン突然変異体において、orfDのノックアウトがorfEに対する極性作用(polar effect)を有することを示唆し、これは、orfEの遺伝子産物が、それらのグルコース二糖分枝上に末端ガラクトース(1または複数)を含有するより高分子量の野生型構造の合成のために必要なガラクトシルトランスフェラーゼであり、そしてorfDの遺伝子産物が、おそらくシアリル−N−アセチルラクトサミンエピトープの合成のために必要なN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼであることを意味する。これらの指定のケースは、上記の相同性(orfEはガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子に相同である)並びに276.4及び281.25突然変異体株において認められるLOS糖形態に基づいて行うことができる。シアリル−N−アセチルラクトサミン構造のいかなる末端欠失バージョンも276.4 LOS集団において認められなかった(すなわち、シアル酸またはシアル酸とガラクトースのいずれかを欠く種がない)ので、orfd遺伝子は、おそらく、オリゴ糖分枝にGlcNAcを付加するグリコシルトランスフェラーゼをコードすると考えられる。このことはまた、orf C−Eの遺伝子の一つがpGEMLOS−7 LPS構造の末端であるGalの3位にGlcNAcを付加することを明らかに招くという結果とも一致する。
【0043】
このキメラ糖質発現系は、これらのlsg遺伝子の機能を解明することに関係のある情報を提供しており、そしてヘモフィルス・インフルエンゼに対する通常の内因性遺伝子バックグラウンドなしに実施するというさらなる利点を有する。実際、ヘモフィルス・インフルエンゼにおけるlsg遺伝子のいくつかの遺伝子ノックアウトが完成されているが、下流または調節遺伝子の作用がしばしばそれらの機能分析を複雑にし得る。このエシェリキア・コリ発現系では、生成するキメラLPSの構造分析により、合成が順次(非平行)合成として進んだこと、すなわち、キメラLPSの新しい成分はエシェリキア・コリR−LPSの形成後に付加されたことが示されている。この合成が(例えば、R−LPS合成と組み合わされるよりむしろ)順次的であることにより、これらのヘモフィルス・インフルエンゼ遺伝子産物の機能をキメラオリゴ糖構造からより容易に概説することができた。さらに、モノクローナル抗体でのキメラLPS生成物のスクリーニングにより、プラスミドDNAが由来するヘモフィルス株に特有の末端糖配列(エピトープ)の形成をたどることができた。
【0044】
本明細書に引用する全ての公開及び特許は、十分に説明するように引用することにより組み込まれる。
【0045】
本発明は特定の実施例及び態様に関して記述されている。しかしながら、当業者は本発明の精神及び範囲内である変形または改変を行うことができると理解される。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】
【表7】
【0053】
【表8】
a lsgA及びlsgBが両方とも存在する場合には、pGEMLOS−5四糖構造を6−結合ガラクトースまたはGlcNAcのいずれかで延長してpGEMLOS−4 LPSにおいて認められる構造を生成せしめることができ、これはMAb 6E4により認識されるエピトープである可能性がある第三のKdo成分も含有する。従って、これら2個のヘモフィルスorfの機能ははっきりしないままである。
b ヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)のシアリルトランスフェラーゼに高い相同性を有する遺伝子(15)lst、及びlsgBの二重遺伝子ノックアウトでの最近の研究は、lsgBもまたシアリルトランスフェラーゼをコードする可能性があることを示唆する。
c pGEMLOS−5 LPSの構造は、3個のorf、C、D及びEの一つが1,3−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼをコードし、そしてもう一つが1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼをコードすることを示唆する。lsgDまたはlsgEを突然変異体株281.25及び276.4においてそれぞれノックアウトした場合に生成するLOSの我々の以前の研究(16)に基づいて、lsgDがおそらく1,3−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼをコードし、そしてlsgC及びlsgEが両方ともおそらくガラクトシルトランスフェラーゼをコードすると結論付けることができる。
d lsgEをノックアウトした場合に生成するLOS (16)は、受容体がキメラLPSに存在しない可能性があるガラクトシルトランスフェラーゼをlsgEがコードすることを示唆する。
【0054】
【表9】
【図面の簡単な説明】
【図1】
ヘモフィルス・インフルエンゼDNAのlsg領域。
(A)8個のorfの図。(B)m−Tn3(Cm)挿入部位の位置(6)。(c)エシェリキア・コリJM109 LPSを改変したEMBLOS−1サブクローンの制限地図。
【図2】
エシェリキア・コリ株JM109 (pGEMと称する)並びに3つのキメラ株、pGEMLOS−7、pGEMLOS−5及びpGEMLOS−4からのLPSのSDS−PAGE。LPSは〜3.3〜5.5kDaの分子量に及ぶ。
【図3】
キメラオリゴ糖の提示構造。オリゴ糖分枝の末端上に第四のヘプトースを含有する完全なエシェリキア・コリK−12コアのみが改変を受ける。さらなる糖(Rと称する)がこのヘプトースの7位に付加されてキメラオリゴ糖を生成せしめる。
Claims (17)
- (a)形質転換した生産細胞を該生産細胞の増殖を助けることができる培養培地に接種すること(ここで、該生産細胞は、(i)末端ヘプトース分子を含有するコア脂質構造及び(ii)該ヘプトース分子に受容体(acceptor)分子を付加することができる酵素を含んでなる細菌を、形質転換した生産細胞を生成せしめるために複合糖質を合成するグリコトランスフェラーゼをコードする単離されたDNA配列を該細菌中に挿入することによって形質転換することにより調製されるものである);
(b)該形質転換した生産細胞を増殖させること;
(c)該複合糖質を培養培地から回収すること
の工程を含んでなる複合糖質の製造方法。 - 請求項1の形質転換した生産細胞。
- kdoコア上に末端ヘプトースを有し、そしてヘモフィルス・インフルエンゼ(Haemophilus influenzae)のオリゴ糖の合成を触媒するグリコトランスフェラーゼをコードする単離されたDNA配列を挿入しているグラム陰性細菌を含んでなる請求項2の形質転換した生産細胞。
- エシェリキア・コリ(Escherichia coli) K−12株JM109を含んでなる請求項3の形質転換した生産細胞。
- 細菌がグラム陰性細菌である請求項1の方法。
- 細菌がエシェリキア・コリK−12株JM109である請求項1の方法。
- 受容体分子が[N−アセチル]ガラクトースである請求項1の方法。
- 単離されたDNA配列が機能性のヘモフィルス・インフルエンゼ グリコトランスフェラーゼをコードする請求項1の方法。
- 単離されたDNA配列が機能性のナイセリア・ゴノロエエ(Neisseria gonorrhoeae)グリコトランスフェラーゼをコードする請求項1の方法。
- 請求項1の方法に従って製造される複合糖質。
- (a)(i)末端ヘプトースを含有するコア脂質構造及び
(ii)該ヘプトースにガラクトース分子を付加する酵素を含んでなるグラム陰性細菌を形質転換すること(ここで、該形質転換したグラム陰性細菌は、オリゴ糖を合成するグリコトランスフェラーゼをコードする単離されたDNA配列を含んでなるベクターを構築することにより調製されるものである);
(b)該形質転換したグラム陰性細菌を該形質転換した細菌の増殖を助けることができる培養培地に接種すること;
(c)該接種したグラム陰性細菌を増殖させること;及び
(d)該オリゴ糖を培養培地から回収すること
の工程を含んでなるオリゴ糖の製造方法。 - 形質転換した細菌が、ヘモフィルス・インフルエンゼからの単離されたDNA配列で形質転換したエシェリキア・コリK−12である請求項11の方法。
- 請求項11の方法により製造されるオリゴ糖。
- 形質転換した細菌が、ナイセリア・ゴノロエエからの単離されたDNA配列で形質転換したエシェリキア・コリK−12である請求項11の方法。
- 請求項14の方法により製造されるオリゴ糖。
- 改変されたレベルの複合糖質を含んでなる生産細胞を生成せしめるためにグリコトランスフェラーゼをコードするキメラDNA配列を含んでなる生産細胞を培養することを含んでなる(ここで、生産細胞は、末端ヘプトース分子を含有するコア脂質構造を含んでなり且つヘプトース分子に受容体分子を付加することができる酵素をコードする細菌である)、複合糖質の製造方法。
- 複合糖質を回収することをさらに含んでなる請求項16の方法。
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