JP2004519516A5 - - Google Patents

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JP2004519516A5
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【書類名】明細書
【発明の名称】ビオロゲン結合アクリジンベースの分子およびその製造方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】以下の一般式1(1a、1b、1cおよび1d):
【化1】
Figure 2004519516
(1aでは、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11)
R=−MV2+−(CH−CH2Xまたは
−Pyr2+−(CH−CH2X(ここで、m=1〜13))であり、
1bでは、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11)
R=−MV2+−(CH−Acr2Xまたは
−Pyr2+−(CH−Acr2X(ここで、m=1〜11))であり、
1cでは、Y=オルトまたはパラトリル
R=−MV2+−(CH−CH2Xまたは
−Pyr2+−(CH−CH2X(ここで、m=1〜13))であり、
1dでは、Y=−(CH−(ここで、n=1〜10)
R=−Acr−R/2X)であり、アクリジン主環中のNもアルキル基:
=−(CH−CHおよび−(CH−C−(CH−(パラ)(ここでm=0〜13)により第四級化され、
ここで
【化2】
Figure 2004519516
である)のビオロゲン結合アクリジンベースの分子、ならびに製薬上許容可能なその誘導体。
【請求項2】以下の一般式1:
【化3】
Figure 2004519516
(1aでは、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11)
R=−MV2+−(CH−CH2Xまたは
−Pyr2+−(CH−CH2X(ここで、m=1〜13))であり、
1b(では、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11)
R=−MV2+−(CH−Acr2Xまたは
−Pyr2+−(CH−Acr2X(ここで、m=1〜11))であり、
1cでは、Y=オルトまたはパラトリル
R=−MV2+−(CH−CH2Xまたは
−Pyr2+−(CH−CH2X(ここで、m=1〜13))であり、
1dでは、Y=−(CH−(ここで、n=1〜10)
R=−Acr−R/2X)であり、アクリジン主環中のNもアルキル基:
=−(CH−CHおよび−(CH−C−(CH−(パラ)(ここでm=0〜13)により第四級化され、
ここで
【化4】
Figure 2004519516
である)のビオロゲン結合アクリジンベースの分子の製造方法であって、1:1の比でドライアセトニトリル中にω−(アクリジン−9−イル)−α−ブロモアルカンおよび/または1−アルキル−4,4’−ビピリジニウムブロミドの溶液を生成し、前記溶液を20〜50℃の範囲の温度で8〜24時間撹拌して、沈殿を生成し、沈殿を濾過し、ドライアセトニトリルおよびジクロロメタンで洗浄して、あらゆる未反応出発物質を除去し、そのようにして得た固体を精製して、式1(1a、1b、1cおよび1d)の化合物を得る方法。
【請求項3】式1の化合物が酢酸エチル、メタノール、ドライアセトニトリル、ジクロロメタンまたはそれらの任意の混合物から再結晶化される請求項2記載の方法。
【請求項4】式1の化合物が1:4の比のメタノールおよびアセトニトリルの混合物から再結晶化される請求項3記載の方法。
【請求項5】光線療法剤としての一般式1のビオロゲン結合アクリジンベースの分子の使用。
【発明の詳細な説明】
【0001】
産業上の利用分野
本発明は、光線療法剤および触媒的光活性化DNA切断剤として有用な、以下の一般式1(1a、1b、1cおよび1d):
【0002】
【化5】
Figure 2004519516
【0003】
1a(式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11)
R=−MV2+−(CH−CH2Xまたは
−Pyr2+−(CH−CH2X(ここで、m=1〜13))、
1b(式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11)
R=−MV2+−(CH−Acr2Xまたは
−Pyr2+−(CH−Acr2X(ここで、m=1〜11))、
1c(式中、Y=オルトまたはパラトリル
R=−MV2+−(CH−CH2Xまたは
−Pyr2+−(CH−CH2X(ここで、m=1〜13))、
1d(式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜10)
R=−Acr−R/2X
であって、アクリジン主環中のNもアルキル基:
=−(CH−CHおよび−(CH−C−(CH−(パラ)(ここでm=0〜13)
により第四級化される)
【0004】
【化6】
Figure 2004519516
【0005】
のビオロゲン結合アクリジンベースの分子、および/または製薬上許容可能なその誘導体に関する。本発明は、式1の新規の分子の製造方法にも関する。本発明の新規の分子は、インターカレーションおよび/またはビスインターカレーション、ならびに溝結合相互作用による、二重、三重および四重構造を含めたDNAの安定化に有用である。本発明の新規の分子は、二重鎖中およびAG二塩基バルジ含有配列のグアニン(G)部位での選択性に伴う同時増感のみによるDNAの触媒的光活性化切断のためである。
【0006】
本発明は、一般式1(1a、1bおよび1c)の一連の二機能性分子およびそれらの誘導体にも関し、工業的用途において水素を発生させる水の酸化のための光触媒としても有用である。
【0007】
発明の背景
核酸(DNAまたはRNA)と選択的に結合する、そして二重鎖または一本鎖核酸を切断し得る機能性分子の設計は、重要な生化学的および生物医学的用途を有する活発な領域の研究である。これらの有効な作用物質のうちのいくつかは、種々の疾患の治療に、そしてDNA構造およびDNA−タンパク質相互作用を理解するためのプローブとして非常に有用である。天然制限酵素はこれらの用途の多くにおいて非常に有用である一方で、それらのサイズの大きさおよび/または配列認識能力の限定された範囲は、それらの一般的使用を妨げている。それゆえ、DNAの部位選択的または配列特異的修飾を生じ、慣用的制限酵素により認識されない部位でDNAを切断する清潔且つ効率的方法を提供する合成性機能性分子が、非常に必要とされている。
【0008】
この情況において、DNA中の特定の配列または構造ドメインを認識し、結合する能力を有し、そして生理学的条件下(化学的ヌクレアーゼ)で、または光活性化時(フォトヌクレアーゼ)に、核溶解活性を示す多数の合成リガンドが開発されてきた。これらのいくつかの例としては、1,10−フェナントロリン−銅、第一鉄−EDTA、ブレオマイシン、エネジエン,抗生物質およびアントラキノンが挙げられる。例えば、以下の参考文献に対して参照が成され得る:米国特許第5,985,557号、第6,090,543号、第5,739,022号、第5,556,949号、第5,552,278号、第5,504,075号、第4,942,227号;Nielsen, P.E. J.Mol. Recog., 1990, 3, 1;Papavassiliou, A.G.Biochem. J. 1995, 305, 345;Sigman, D.S., Graham, D.R., D’Aurora, V., Stern, A.M. J.Biol. Chem. 1979, 254, 12269;Pope, L.E., Sigman, D.S. Pro. Natl. Acad. Sci. USA. 1984, 81, 3;Tullius, T.D., Dombroski, B.A. Pro. Natl. Acad. Sci. USA. 1986, 83, 5469;Hertzberg, R.P., Dervan, P.B. J.Am. Chem. Soc. 1982, 104, 313;Hecht, S.M., Bleomycin:Chemical, Biochemical and Biological aspects, Ed., Springer Verlag:New York, 1979;Sausville, E.A., Peisach, J.,Horwitz, S.B. Biochemistry, 1978, 17, 2740。しかしながら、多方面性であり、且つ従来の制限酵素を模倣する合成リガンドの開発が待たれている。
【0009】
報告されたいくつかの種類のDNA切断系のうち、光活性化切断剤は、熱条件下でDNAを切断する試薬を上回る有意の実際的利点を保有することが判明している。光活性化DNA切断剤の興味深い局面は、照射前に反応混合物の構成成分の全てを併合することにより、それが反応を空間的、時間的に制御し得ることである。適切な光源による反応混合物の励起は、反応を開始させ、これは光が遮断されるまで続く。空間的および時間的な両方の意味で光を制御する能力は、転写および翻訳のような種々の生化学的過程の時間解決性プローブから、ゲノム分析および治療剤までの範囲の用途に有益であり得る。実例を選定するためには、以下の文献に対する参照が成され得る:米国特許第5,994,410号、第5,734,032号、第5,650,399号、第5,607,924号、第6,087,493号、第6,057,096号、第5,767,288号、第5,439,794号;Armitage, B. Chem. Rev. 1998, 98, 1171およびその中に引用された参考文献;Kochevar, I.E., Dunn, D.A., Bioorg. Photochem. 1990, 1, 273およびその中に引用された参考文献;Paillous, N., Vicendo, P. J. Photochem. Photobiol., B 1993, 20, 203;Nielsen, P.E., Jeppesen, C., Buchardt, O. FEBS lett. 1988, 235, 122;Chow, C.S., Barton, J.K. Methods Enzymol. 1992, 212, 219;Chang, C.−H., Meares, C.F.,Biochemistry 1982, 21, 6332;Riordan, C.G., Wei, P. J. Am. Chem. Soc.1994, 116, 2189;Thorp, H.H. Angew. Chem., Int. Ed. Eng. 1991, 30, 1517;Armitage, B., Yu, C., Devadoss, C., Schuster, G.B. J. Am. Chem. Soc. 1994, 116, 9847;Adam, W., Cadet, J., Dall’Acqua, F., Epe, B., Ramaiah, D., Saha−Moller, C.R. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1995, 34, 107;Uesawa, Y., Kuwahara, J., Sugiura, Y. Biochem. Biophys. Res. Commun. 1989, 164, 903;Ito, K., Inoue, S., Yamamoto, K., Kawanishi, S. J. Biol. Chem. 1993, 268, 13221;Saito, I., Takayama, M., Matsuura, T., Matsugo, S., Kawanishi, S. J. Am. Chem. Soc. 1990, 112, 883;Sako, M., Nagai, K., Maki, Y. J. Chem. Soc. Chem. Commun. 1993, 750。
【0010】
これらの光活性化切断剤は、(i)拡散性(一重項酸素)および非拡散性(ヒドロキシルラジカル)反応性中間物質の生成、(ii)水素原子引抜き反応、ならびに(iii)電子伝達によりDNAを切断することが判明している。これまでに報告された系のほとんどが、1つより多いメカニズムにより光切断を開始する。これらのメカニズム全てにより誘導される損傷は糖または核塩基の初期修飾をもたらし、これが次にホスホジエステル切断を生じるが、1つのメカニズムだけによりDNAを切断する試薬を開発するための、そしてDNA中の特定の配列またはドメインに対してこれらの切断試薬を標的にするための真剣な努力が進行中である。参考文献を以下に挙げる:Cadet, J., Teoule, R. Photochem. Photobiol. 1978, 28, 661;Croke, D.T., Perrouault, L., Sari, M.A., Battioni, J.P., Mansuy, D., Magda, D., Wright, M.M., Miller, R.A., Sessler, J.L., Sansom, P.I. J. Am. Chem. Soc. 1995, 117, 3629;Teodorakis, E., Wilcoxen, K.M. Chem. Commun. 1996, 1927;Suenaga, H., Nakashima, K., Hamachi, I., Shinkai, S. Tetrahedron Lett. 1997, 38, 2479;Cullis, P.M., Malone, M.E., Merson−Davies, L.A. J. Am. Chem. Soc. 1996, 118, 2775;Sies, H., Schulz, W.A., Steenken, S. J.Photochem. Photobiol. B1996, 32, 97;Saito, I., Takayama, M., Sugiyama, H., Nakamura, T. In DNA and RNA Cleavers and Chemotherapy of Cancer and Viral Diseases; Meunier, B., Ed., Kluwer, Netherlands, 1996, pp163−176。
【0011】
近年、核塩基の酸化によるだけを含む光誘導性電子伝達メカニズムにより有効にDNAを切断する分子の設計における関心が増大してきた。このメカニズムの独特の特徴は、切断を合理的に制御し得ることである。グアニンは、その低イオン化能力のために核酸の最も容易に酸化される塩基であるため、このメカニズムによるDNA切断はグアニン(G)で起こる、ということが観察されている。光誘導性電子伝達メカニズムによりDNA切断を引き起こす多数の有機物質ならびに無機物質系が報告されている。しかしながら、これらの試薬のほとんどが低効率性であり、10−8のオーダーの切断効率を有することが判明した。参考文献を以下に示す:Sevilla, M.D., D’Arcy, J.B., Morehouse, K.M., Englehardt, M.L. Photochem. Photobiol. 1979, 29, 37;Blau, W., Croke, D.T., Kelly, J.M., McConnel, D.J., OhUigin, C., Van der Putten, W.J.M. J. Chem. Soc. Chem. Commun. 1987, 751;Sage, E., LeDoan, T., Boyer, V., Helland, D.E., Kittler, Helene, C., Moustacchi, E. J. Mol. Biol. 1989, 209, 297;Brun, A.M., Harriman, A. J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, 8153;Ly, D., Kan, Y., Armitage, B., Schuster, G.B. J. Am. Chem. Soc. 1996, 118, 8747;Hall, D.B., Holmlin, R.E., Barton, J.K. Nature 1996, 382, 731;Gasper, S.M., Schuster, G.B. J. Am. Chem. Soc. 1997, 119, 12762.したがって、電子伝達メカニズムを基礎にした効率的光活性化DNA切断剤が、生物学的用途のために非常に望ましい。
【0012】
電子伝達メカニズムによる光活性化DNA切断剤の場合、反応の効率は、他の条件のほかに、切断剤の還元能力、励起状態エネルギーおよび基底状態塩基の酸化能力によっている。効率的反応が起こるためには、供与体から受容体への正電子伝達の速度は、逆電子伝達過程より大きくなければならない。したがって、光活性化DNA切断剤に関連した非効率性は、結果として生じる酸化塩基および還元増感剤間の効率的逆電子伝達の存在によるものであり得る。このような系に関連した逆電子伝達過程の欠点を克服するために、同時増感メカニズムに基づいた2〜3の例が開発された(Dunn, D.A., Lin, V.H., Kochevar, I.E. Biochemistry 1992, 31, 11620; Atherton, S.J., Beaumont, P.C. J.Phys. Chem. 1987, 91, 3993; Fromherz, P., Ringer, B. J. Am. Chem. Soc. 1986, 108, 5361)。これらの系は、DNAの表面と結合する補助増感剤(電子受容体)に光活性化により電子を伝達する挿入剤でもある増感剤から成る。増感剤から遠く離れて結合する補助増感剤を包含する光増感は、逆電子伝達を抑制し、それによりDNA切断を増大すると予測される。しかしながら、実際は、増感剤および補助増感剤の濃度、距離およびDNA結合親和性に関する複雑化のために、DNA切断効率のほんのわずかな改善(10−7のオーダーで)のみがこれらの系では観察された。
【0013】
したがって、水性媒質中で可溶性であり、逆電子伝達による非効率性を克服し、DNAとの強力な結合相互作用を受け、電子伝達メカニズムだけによるDNA切断を誘導するのに選択的且つ有効である小化合物の開発は、慣用的制限酵素により認識されない部位でのDNA切断の明確且つ効率的方法を含めた生物学的用途のために、非常に望まれる。
【0014】
DNAと強力に且つ選択的に結合し、同時増感メカニズムのみにより機能する選択的且つ有効な光活性化DNA切断剤として作用する機能性分子を提供することが、本発明の目的である。
【0015】
発明の目的
本発明の主な目的は、光療法剤および触媒的光活性化DNA切断剤として用いられ得るビオロゲン結合アクリジンを基礎にした新規の二機能性分子またはそれらの誘導体を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、生物学的意義を有し、且つ高選択性を有する種々のDNA構造(一重鎖、二重鎖、三重鎖および四重鎖)のためのプローブとして作用し得るビオロゲン結合アクリジンを基礎にした二機能性分子またはそれらの誘導体を提供することである。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、同時増感メカニズムのみによる、二重鎖及び塩基バルジ含有DNAの触媒的光活性化DNA切断剤として作用し得るビオロゲン結合アクリジンを基礎にした二機能性分子またはそれらの誘導体を提供することである。
【0018】
本発明のさらに別の目的は、工業的用途における水の酸化のための光触媒として作用し得るビオロゲン結合アクリジンを基礎にした二機能性分子またはそれらの誘導体を提供することである。
【0019】
発明の要約
したがって、本発明は、以下の一般式1(1a、1b、1cおよび1d):
【0020】
【化7】
Figure 2004519516
【0021】
1a(式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11)
R=−MV2+−(CH−CH2Xまたは
−Pyr2+−(CH−CH2X(ここで、m=1〜13))、
1b(式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11)
R=−MV2+−(CH−Acr2Xまたは
−Pyr2+−(CH−Acr2X(ここで、m=1〜11))、
1c(式中、Y=オルトまたはパラトリル
R=−MV2+−(CH−CH2Xまたは
−Pyr2+−(CH−CH2X(ここで、m=1〜13))、
1d(式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜10)
R=−Acr−R/2X
であって、アクリジン主環中のNもアルキル基:
=−(CH−CHおよび−(CH−C−(CH−(パラ)(ここでm=0〜13)
により第四級化される)
【0022】
【化8】
Figure 2004519516
【0023】
のビオロゲン結合アクリジンベースの分子に関する。
【0024】
本発明は、前記の一般式(1a、1b、1cおよび1d)のビオロゲン結合アクリジン、ビスアクリジンおよびアクリジニウム塩を基礎にした新規の二機能性分子の製造方法であって、1:1の比でドライアセトニトリル中にω−(アクリジン−9−イル)−α−ブロモアルカンおよび/または1−アルキル−4,4’−ビピリジニウムブロミドの溶液を生成し、その溶液を20〜50℃の範囲の温度で8〜24時間撹拌して、沈殿を生成し、沈殿を濾過し、ドライアセトニトリルおよびジクロロメタンで洗浄して、あらゆる未反応出発物質を除去し、そのようにして得た固体を精製して、式1(1a、1b、1cおよび1d)の化合物を得る方法にも関する。
【0025】
本発明の一実施態様では、式1の化合物は、好ましくは、メタノールおよびアセトニトリルの混合物(1:4)から再結晶化される。
【0026】
本発明のさらに別の実施態様は、二重鎖およびAG二塩基バルジ含有DNAのG部位の同時増感メカニズムのみによるDNAの触媒的光活性化切断のための、一般式1(1a、1b、1cおよび1d)の二機能性分子およびそれらの製薬上許容可能な誘導体に関する。
【0027】
本発明の別の実施態様では、一般式1(1a、1b、1cおよび1d)の二機能性分子およびそれらの製薬上許容可能な誘導体は、DNA標的か診断剤または光療法剤として用いられる。
【0028】
本発明の別の実施態様では、本発明の二機能性分子は、インターカレーション、ビスインターカレーションおよび溝結合による、二重鎖、三重鎖および四重鎖構造を含めたDNAの安定化のために用いられる。
【0029】
本発明のさらに別の実施態様は、二重鎖およびAG二塩基バルジのG部位での選択性を有するDNAの光触媒的切断のための、ならびにこれらの構造のためのプローブとしての一般式1(1a、1b、1cおよび1d)の二機能性分子の使用である。
【0030】
本発明のさらに別の実施態様は、一般式1(1a、1b、1cおよび1d)の二機能性分子およびそれらの誘導体が工業的用途における水の酸化のための光触媒として用いられることである。
【0031】
本発明の詳細な説明
本発明においては、新規の二機能性分子は、DNA挿入剤および剛性〜柔軟性スペーサー基により結合される補助増感剤を含む。アクリジン部分のような挿入剤は、可視領域での吸収を可能にし、励起状態で電子供与体(増感剤)として作用する。他方、補助増感剤、即ちメチルビオロゲン部分は非常に良好な電子受容体であり、DNAとの溝結合相互作用を受けるのを可能にする。剛性〜柔軟性スペーサー基は、挿入剤と補助増感剤との間の距離および相対的配向の変化によりこれらの系における電子伝達速度を制御するのに主要な役割を演じる。
【0032】
本発明においては、柔軟性〜剛性スペーサー基ならびに異なる条件下で検査されたそれらの光物理学的特性を有する一般式1(1a、1b、1cおよび1d)の一連の新規のビオロゲン結合アクリジン、ビスアクリジンおよびビスアクリジニウム塩が合成された。さらに、これらの分子のDNA結合およびDNA安定化特性が、仔ウシ胸腺DNAおよび合成オリゴヌクレオチドを用いて検査された。光活性化DNA切断特性が調べられ、そしてプラスミドDNA、合成二重鎖および塩基バルジ含有DNA配列を用いることによりこれらの化合物により誘導される配列特異的切断も分析された。さらに、それらの生物学的および触媒的活性のメカニズムが評価された。
【0033】
その結果、一般式1(1a、1b、1cおよび1d)の化合物およびそれらの誘導体は生理学的pH条件で良好な溶解性を有し、良好な吸収特性を示す、ということが観察された。さらに、アクリジン環のプロトン付加は、全く異なる且つ興味深い光物理的およびレドックス特性を示す対応するアクリジニウム塩の生成を導く。吸収および蛍光試験は、ビオロゲンおよびアクリジン部分間の結合による及び空間相互作用による実在を確証する。さらに、蛍光収率の効率的制止が観察されたが、これは制止のメカニズムが1010のオーダーの速度を有する電子伝達メカニズムによるものであることを示す。
【0034】
面白いことに、これらの二機能性分子は、インターカレーションおよび/またはビスインターカレーションならびに溝結合相互作用によるDNAとの強力な結合を示し、通常はポリ(dA)ポリ(dT)配列に対する高親和性を有する。励起すると、これらの分子は非常に効率的に、且つグアニン(G)部位に高選択的に、そしてGGステップの5’−Gを優先して、DNAを切断した。さらに、これらの分子は、塩基バルジを含有する配列に対して非常に誘引性であり、特にAG塩基バルジのG部位で、光活性化時に切断する。これらの化合物により誘導されるDNA切断は、電子伝達メカニズムだけによるものであり、この場合、励起アクリジン部分は電子をメチルビオロゲンに伝達して(MV2+)、アクリジンのラジカルカチオンおよびメチルビオロゲンのラジカルカチオン(MV)を生じる。一旦生成されたアクリジンのラジカルカチオンは、結合の部位でDNA塩基を酸化し得る。そして最後に、予測どおり、G部位でのDNAの効率的切断を引き起こした。さらに、これらの分子は、再利用可能であり、犠牲電子供与体の存在下で触媒として作用することが判明している。したがって、本発明の系は、興味深い光物理的特性を有する二機能性だけでなく、再利用可能で、有効な光活性化DNA切断剤および光療法剤として、ならびに工業的用途における水の酸化のための光触媒として作用する。
【0035】
表1は、1mMのEDTAおよび2または100mMのNaClを含有する緩衝液中の式1a(式中、n=1、R=−MV2+−(CH−CHおよびX=Br、ならびにn=11、R=−MV2+−(CH−CHおよびX=Br)のビオロゲン結合アクリジン化合物、およびビスアクリジン系(式1b(式中、n=1、R=−MV2+−CH−AcrおよびX=Br)の化合物)を基礎にした二機能性分子のDNA会合定数を示す。
【0036】
表2は、DNA溶融試験のために用いられるオリゴヌクレオチドの構造を示す。
【0037】
表3は、DNA切断試験のために用いられるオリゴヌクレオチドの構造を示す。
【0038】
したがって本発明は、式1(1a、1b、1cおよび1d)の化合物により代表される二機能性分子およびそれらの誘導体の製造方法を提供する。
【0039】
一般式1(1a、1b、1cおよび1d)の二機能性分子およびそれらの製薬上許容可能な誘導体は、二重鎖、三重鎖および四重鎖DNAを含めたDNA構造の安定化のために有用である。一般式1(1a、1b、1cおよび1d)の二機能性分子およびそれらの製薬上許容可能な誘導体は、同時増感メカニズムのみによる、二重鎖およびAG二塩基バルジ含有DNAのG部位でのDNAの光触媒的切断のためにも有用である。本発明の新規の分子およびそれらの製薬上許容可能な誘導体は、DNA標的化診断剤または光療法剤として有用である。これらの増感剤は、ヒトまたは動物の診断または治療のために用いられ得る。
【0040】
本発明の二機能性分子は、インターカレーション、ビスインターカレーションおよび溝結合による、二重、三重および四重構造を含めたDNAの安定化のために用いられる。一般式1(1a、1b、1cおよび1d)の二機能性分子は、二重鎖中およびAG二塩基バルジのグアニン(G)部位での選択性を有するDNAの触媒的光活性化切断のためにも用いられ、それゆえこれらの構造のためのプローブとして用いられ得る。一般式1(1a、1bおよび1c)の二機能性分子およびそれらの誘導体は、工業的用途における水の酸化のための光触媒としても用いられる。
【0041】
以下の実施例は説明のために示されるものであり、したがって本発明の範囲を限定するよう意図されるべきでない。
【0042】
実施例1〜4は、一般式1(1a、1b、1cおよび1d)の化合物の典型的合成を示し、実施例5〜11は、二機能性ビオロゲン結合アクリジンベースの分子の光物理的、ならびにin vitroDNA結合および切断特性を示す。
【0043】
実施例1
式1a(式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11);R=−MV2+−(CH−CH2Xまたは−Pyr2+−(CH−CH2X)の化合物により代表される処方物の調製のための一般手法。1:1の比でのドライアセトニトリル(30〜50mL)中のω−(アクリジン−9−イル)−α−ブロモアルカン(1〜10 mmol)および1−アルキル−4,4’−ビピリジニウムブロミド(1〜10mmol、これは、3:1のモル比で4,4’−ピリジンを対応するα−ブロモアルカンと反応させることにより、93〜98%の収率で得た)の溶液を、20℃で10時間撹拌した。このようにして得た沈殿固体を濾過し、ドライアセトニトリルおよびジクロロメタンで洗浄して、あらゆる未反応出発物質を除去した。ジクロロメタンを用いたソックスレー抽出により固体を精製して、式1aの化合物を収率70〜95%で得た。これらの化合物を、メタノールおよびアセトニトリルの混合物(1:4)から再結晶化した。
【0044】
1−[(アクリジン−9−イル)メチル]−1’−ブチル−4,4’−ビピリジニウムジブロミド(式1a(式中、n=1、R=−MV2+−(CH−CHおよびX=Br)の化合物)の物理化学的特性:融点:260〜261℃;分子量:MS(FAB):m/z484(MBr);HNMR(300MHz、DMSO−d):δ=0.91(t,3H), 1.26−1.33(m,2H), 1.89−1.94(m,2H), 4.66(t,2H), 7.11(s,2H), 7.77(t,2H), 7.97(t,2H), 8.31(d,2H), 8.53(d,2H), 8.59(d,2H), 8.66(d,2H), 9.19(d,2H), 9.31(d,2H);13CNMR(75MHz、DMSO−d)δ=149.78−121.41, 61.05, 55.44, 33.01, 19.10, 13.66;性質:真珠光沢黄色粉末。
【0045】
1−[3−(アクリジン−9−イル)プロピル]−1’−ブチル−4,4’−ビピリジニウムジブロミド(式1a(式中、n=3、R=−MV2+−(CH−CHおよびX=Br)の化合物)の物理化学的特性:融点:253〜254℃;分子量:MS(FAB):m/z433(M);HNMR(300MHz、DMSO−d):δ=0.95(t,3H), 1.28−1.40(m,2H), 1.92−2.02(m,2H), 2.46−2.51(m,4H), 3.95(t,2H), 4.74(t,2H), 7.79(t,2H), 8.05(t,2H), 8.28(d,2H), 8.83−8.86(m,6H), 9.45(d,2H), 9.57(d,2H);13CNMR(75MHz、DMSO−d)δ=149.45−124.96, 61.44, 60.73, 33.21, 33.15, 24.97, 19.27, 13.80;性質:真珠光沢黄色粉末。
【0046】
1−[11−(アクリジン−9−イル)ウンデシル]−1’−ブチル−4,4’−ビピリジニウムジブロミド(式1a(式中、n=11、R=−MV2+−(CH−CHおよびX=Br)の化合物)の物理化学的特性:融点:248〜249℃;分子量:MS(FAB):m/z545(MBr);HNMR(300MHz、DMSO−d):δ=0.95(t,3H), 1.23−1.71(m,18H), 1.95−1.98(m,4H), 3.65(t,2H), 4.73(t,4H), 7.65(t,2H), 7.85(t,2H), 8.14(d,2H), 8.38(d,2H), 8.82(d,4H), 9.43(d,4H);13CNMR(75MHz、DMSO−d):148.97−124.71, 61.25, 61.04, 33.07, 31.64, 31.15, 29.68, 29.26, 29.13, 28.76, 27.13, 25.79, 19.15, 13.71;性質:真珠光沢黄色粉末。
【0047】
実施例2
式1b(式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11);R=−MV2+−(CH−Acr2Xまたは−Pyr2+−(CH−Acr2X)の化合物により代表される処方物の調製のための一般手法。2:1の比でのドライアセトニトリル(50〜150mL)中のω−(アクリジン−9−イル)−α−ブロモアルカン(2〜10 mmol)および4,4’−ビピリジン(1〜5mmol)の溶液を、35℃で20時間撹拌した。沈殿固体を濾過し、ジクロロメタンおよびアセトニトリルで洗浄した。ジクロロメタンを用いた固体のソックスレー抽出は、式1bの化合物を収率65〜90%で得た。
【0048】
ビス−1,1’−[(アクリジン−9−イル)メチル]−4,4’−ビピリジニウムジブロミド(式1b(式中、n=1、R=−MV2+−CH−AcrおよびX=Br))の物理化学的特性:融点:>400℃;分子量:MS(FAB):m/z619(MBr);HNMR(300MHz、DMSO−d):δ=7.09(s,4H), 7.77−7.95(m,8H), 8.21−8.55(m,16H), 9.05−9.16(m,8H);13CNMR(75MHz、DMSO−d)δ=150.85−124.51, 58.52;性質:真珠光沢黄色粉末。
【0049】
ビス−1,1’−[3−(アクリジン−9−イル)プロピル]−4,4’−ビピリジニウムジブロミド(式1b(式中、n=3、R=−MV2+−(CH−AcrおよびX=Br))の物理化学的特性:融点:224℃;分子量:MS(FAB):m/z596(M);HNMR(300MHz、DO):δ=2.50−2.60(m,4H), 3.95(t,4H), 4.9(t,4H), 7.79−7.83(m,6H), 8.01−8.07(m,8H), 8.26(d,2H), 8.46−8.48(m,4H), 8.69(d,2H), 8.93(d,2H);13CNMR(75MHz、DMSO−d)δ=150.82−121.86, 60.26, 32.36, 24.30;性質:真珠光沢黄色粉末。
【0050】
ビス−1,1’−[11−(アクリジン−9−イル)ウンデシル]−4,4’−ビピリジニウムジブロミド(式1b(式中、n=11、R=−MV2+−(CH11−AcrおよびX=Br))の物理化学的特性:融点:152−153℃;分子量:MS(FAB):m/z820(M);HNMR(300MHz、DMSO−d):δ=1.22−1.94(m,36H), 3.63(t,4H), 4.64(t,4H), 7.65(t,4H), 7.85(t,4H), 8.04(d,4H), 8.15(d,4H), 8.37(d,2H), 8.63(d,2H), 8.87(d,2H), 9.24(d,2H);13CNMR(75MHz、DMSO−d)δ=151.36−122.30, 60.83, 31.63, 31.07, 29.69, 29.26, 29.11, 28.75, 27.13, 25.79;性質:真珠光沢黄色粉末。
【0051】
実施例3
式1c(式中、Y=オルトまたはパラトリル;R=−MV2+−(CH−CH2Xまたは−Pyr2+−(CH−CH2X)の化合物の合成。1:1の比でのドライアセトニトリル(30〜120mL)中の9−(2−ブロモメチルフェニル)アクリジン(1〜5 mmol)および1−ブチル−4,4’−ビピリジニウムブロミド(1〜5mmol)の溶液を、50℃で15時間撹拌した。このようにして得た沈殿固体を濾過し、ドライアセトニトリルおよびジクロロメタンで洗浄して、あらゆる未反応出発物質を除去した。ジクロロメタンを用いたソックスレー抽出により固体をさらに精製して、式1c(式中、n=1、R=−MV2+−(CH−CHおよびX=Br。アクリジンはオルト位置にある)の化合物を収率35〜55%で得て、生成物を、酢酸エチルからの再結晶化によりさらに精製した。同様に、1:1の比でのドライアセトニトリル(30〜120mL)中の9−(4−ブロモメチルフェニル)アクリジン(1〜5 mmol)および1−ブチル−4,4’−ビピリジニウムブロミド(1〜5mmol)の溶液は、式1c(式中、n=1、R=−MV2+−(CH−CH、X=Br。アクリジンはパラ位置にある)の化合物を収率55〜70%で得て、生成物を、酢酸エチルからの再結晶化によりさらに精製した。
【0052】
1−[(2−(アクリジン−9−イル)−1−メチル)フェニル]−1’−ブチル−4,4’−ビピリジニウムジブロミド(式1c(式中、n=1、R=−MV2+−(CH−CH、X=Brおよびアクリジンはオルト位置にある))の物理化学的特性:融点:224〜225℃;分子量:MS(FAB):m/z561(MBr);HNMR(300MHz、DMSO−d):δ=0.95(t,3H), 1.31−1.39(m,2H), 1.95−2.00(m,2H), 4.73(t,2H), 5.56(s,2H), 7.21(d,2H), 7.42(t,2H), 7.5(d,2H), 7.75−7.89(m,4H), 8.20−8.23(m,4H), 8.41(d,2H), 8.55(d,2H), 9.4(d,2H);13CNMR(75MHz、DMSO−d)δ=148.49−124.24, 62.01, 60.64, 32.67, 18.78, 13.35;性質:黄色粉末。
【0053】
1−[(4−(アクリジン−9−イル)−1−メチル)フェニル]−1’−ブチル−4,4’−ビピリジニウムジブロミド(式1c(式中、n=1、R=−MV2+−(CH−CH、X=Brおよびアクリジンはパラ位置にある))の物理化学的特性:融点:268〜269℃;分子量:MS(FAB):m/z561(MBr);HNMR(300MHz、DMSO−d):δ=0.94(t,3H), 1.31−1.38(m,2H), 1.90−1.95(m,2H), 4.72(t,2H), 6.18(s,2H), 7.57−7.65(m,6H), 7.88−7.92(m,4H), 8.24(d,2H), 8.86(d,2H), 8.88(d,2H), 9.43(d,2H), 9.69(d,2H);13CNMR(75MHz、DMSO−d)δ=149.23−124.22, 62.86, 60.63, 32.70, 18.76, 13.32;性質:黄色粉末。
【0054】
実施例4
式1d(式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜10);R=−Acr−R/2Xであって、アクリジン主環中のNもアルキル基:R=−(CH−CHおよび−(CH−C−(CH−(パラ)(ここでm=0〜13)により四級化されている)の化合物により代表される処方物の調製のための一般手法。1:3の比でのドライアセトニトリル(30〜150mL)中のα,ω−ビス(9−アクリジニル)アルカン(1〜5 mmol)およびハロゲン化アルキル(3〜15mmol)の溶液を、8〜24時間還流した。沈殿固体を濾過し、小部分ずつのドライアセトニトリルおよびジクロロメタンで洗浄して、未反応出発物質を除去した。酢酸エチルおよびアセトニトリルの混合物(1:4)からの再結晶化により固体をさらに精製して、式1dの化合物を収率65〜95%で得た。
【0055】
式1d(式中、n=5、R=−Acr−CHおよびX=1)の化合物の物理化学的特性:融点:222〜223℃;分子量:MS(FAB):m/z561(MBr);HNMR(300MHz、DMSO−d):δ=1.88(m,6H), 3.99(t,4H), 4.82(s,6H), 8.01(t,4H), 8.35(t,4H), 8.78(d,4H), 8.87(d,4H);13CNMR(75MHz、DMSO−d)δ=164.38−20.01, 32.60, 32.22, 30.19, 29.37;性質:黄色粉末。
【0056】
式1d(式中、n=10、R=−Acr−CHおよびX=1)の化合物の物理化学的特性:融点:230〜232℃;HNMR(300MHz、DMSO−d):δ=1.26−1.74(m,16H), 3.97(t,4H), 4.82(s,6H), 8.03(t,4H), 8.43(t,4H), 8.77(d,4H), 8.9(d,4H);13CNMR(75MHz、DMSO−d)δ=164.65−120.03, 33.75, 33.05, 29.94, 29.44, 29.32, 24.97;性質:黄色粉末。
【0057】
実施例5
DNA結合効率:式1aおよび1dの化合物により代表されるアクリジン−ビオロゲン二機能性分子のDNA結合親和性を、異なる塩濃度(2mMおよび100mM)のNaCl緩衝液中の仔ウシ胸腺DNAを用いて分析した。NaCl中に異なる濃度の仔ウシ胸腺DNAを含有する試験溶液を室温で1時間インクとして、複合体生成を完了し、吸収および蛍光技法を用いて分析した。ビオロゲン結合アクリジンの蛍光発光収率の吸収および有効クエンチングにおける強い淡色効果が、DNAの存在下で観察された。ビオロゲン結合アクリジンのDNAとの結合定数を、報告された手法にしたがって確定した。参考文献を以下に示す:A.R.,Skerrett, J.N.H. Trans. Faraday Soc. 1956, 52, 261;McGhee, J.D., von Hippel, P.H. J. Mol. Biol. 1974, 86, 469;Scatchard, G. Am. N.Y. Acad. Sci. 1949, 51, 660;Adam, W., Cadet, J., Dall’Acqua, F., Epe, B., Ramaiah, D., Saha−Moller, C.R. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1995, 34, 107。これらの分子は、仔ウシ胸腺DNAに対する明らかな結合親和性(10のオーダー)を示し、高塩濃度では1オーダー低いことが判明した(表1)。さらにこれらの化合物の蛍光寿命も,DNAの存在下および非存在下で検査した。
【0058】
【表1】
Figure 2004519516
【0059】
これらの結果は、螺旋軸に対して垂直な位置で仔ウシ胸腺DNAの塩基対の間に平らなアクリジン環が挿入され得ることを示す。同時に、ビオロゲン部分は、DNAのリン酸塩主鎖と静電的に相互作用する。緩衝媒質のイオン強度に関する結合定数の強い依存性は、これらの系がインターカレーションにより、ならびに溝結合によってDNAと相互作用することを強く示すものであって、これはそれらの二機能性を示す。
【0060】
実施例6
ポリ(dA)ポリ(dT)に対する特別な親和性の実証。
DNA中のビオロゲン結合アクリジン中のアクリジン発色団の結合部位に関する良好な理解を得るために、これらの分子の吸収および蛍光特性を、種々のポリヌクレオチドの存在下で調べた。ビオロゲン結合アクリジンの緩衝化溶液へのポリ(dA)ポリ(dT)の漸進的付加は、それらの蛍光発光収率の強度の増強を伴って、吸収強度の漸減を生じた(図1)。しかしながら、ポリ(dG)ポリ(dC)の溶液を付加した場合、有意の変化は観察されなかった。これらの結果は、本明細書中で検査したビオロゲン結合アクリジンがA、T配列に対する特別な親和性を保有し、それゆえDNA中のこれらの配列の検出のためのプローブとしての潜在的用途を有し得るという事実を示す。
【0061】
実施例7
DNAの熱安定性の増強。
DNA二重鎖中への小リガンドのインターカレーションは、DNA溶融温度(Tm)、即ち二重螺旋が一本鎖DNAに変性する温度を増大することが知られている(Gasparro, F.P. Psoralen DNA photobiology, CRC Press Inc., Boca Raton, Florida, 1988;Patel, D.J., Cannel, L. Pro. Natl. Acad. Sci. USA 1976, 73, 674)。DNAの熱変性に及ぼす本発明の系の作用を検査するために、仔ウシ胸腺DNAおよび表2に列挙した合成オリゴヌクレオチドを用いて、実験を実行した。
【0062】
【表2】
Figure 2004519516
【0063】
10mMリン酸塩緩衝液中で、式1aおよび1b(それぞれ、式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11);R=−MV2+−(CH−CH2Xまたは−Pyr2+−(CH−CH2Xおよび式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11);R=−MV2+−(CH−Acr2Xまたは−Pyr2+−(CH−Acr2X)の化合物はともに、DNAを安定化し、安定化の程度は、図2に示すように、ビオロゲン結合アクリジンの濃度の増大に伴って増大することが判明した。リガンドの全ての濃度で、転移温度は1つだけ観察され、各々の場合、それは、DNAとの1種類の結合のみがこのような振る舞いに関与することを示す。安定化の程度は、式1a(式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11);R=−MV2+−(CH−CH2Xまたは−Pyr2+−(CH−CH2X)の40μMの化合物の場合に、ほぼ20℃であることが見出されたが、一方、式1b(式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11);R=−MV2+−(CH−Acr2Xまたは−Pyr2+−(CH−Acr2X)の20μMの化合物は、ほぼ18℃安定性を示した。
【0064】
有意の熱安定性のほかに、図3に示すように、これらの分子のDNAとの結合時に、通常大淡色効果(約80%)が観察された。これらの結果は、リガンド分子およびDNA塩基間の強力なπスタッキング相互作用の存在を示す。これは、溶融時のDNA鎖の部分的にすぎない分離を生じ、吸収変化の低減をもたらす。式1aおよび1bの構造により提供される大きな安定性および有意の淡色効果はさらに、それらのDNAとの強力な相互作用、ならびに種々のDNA構造の検出、三重鎖およびG四重鎖構造の安定化に関する生物学における潜在的使用を提供する。
【0065】
実施例8
光活性化DNA切断剤としての実証。
プラスミドDNAを切断し、その後のスーパーコイル(形態I)DNAの、開環緩和(形態II)および線状(形態III)への変換をモニタリングした。プラスミドDNA切断は高感度技法であって、いくつかの修復エンドヌクレアーゼと組合せて用いる場合、それは、損傷に直接関与する種のフィンガープリントの一種として役立ち得る。化合物による一本鎖破断(SSB)の誘導は、形態Iを形態IIへと変換し、その定量は、DNA切断のその効率を示す。DNA緩和検定は、SSBおよびエンドヌクレアーゼ感受性修飾を定量するために用いた(Epe, B., Helger, J., Wild, D. Carcinogenesis 1989, 10, 2019およびEpe, B., Mftzel, P., Adam, W. Chem. Biol. Interaction 1988, 67, 149)。この検定は、形態Iが、一本鎖破断(SSB)または修復エンドヌクレアーゼによる切開により形態IIへと変換され、これはアガロースゲル電気泳動において別々に移動するという事実を用いる。
【0066】
0℃のPM2 DNA(10μg/mL)のリン酸塩緩衝化(pH7.0)空気飽和溶液を、式1aおよび1b(それぞれ、式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11);R=−MV2+−(CH−CH2Xまたは−Pyr2+−(CH−CH2Xおよび式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11);R=−MV2+−(CH−Acr2Xまたは−Pyr2+−(CH−Acr2X))により示される種々の濃度のアクリジン−ビオロゲン二機能性分子の存在下で、360 nmの近UV線を照射した。その後、以下の種類の修飾に関して、DNAを分析した:(i)DNA一本鎖および二本鎖破断、(ii)エキソヌクレアーゼIIIにより認識される塩基損失の部位(AP部位)、(iii)T4エンドヌクレアーゼVに感受性の塩基修飾+AP部位、(iv)エンドヌクレアーゼIIIに感受性の塩基修飾+AP部位、ならびに(v)ホルムアミドピリミジン−DNAグリコシラーゼ(FPGタンパク質)に感受性の塩基修飾+AP部位。アクリジン−ビオロゲン二機能性分子により誘導されるDNA損傷プロフィールを,図4に示す。
【0067】
両化合物は、エンドヌクレアーゼIIIに感受性の非常に少数のAP部位および少数の修飾を誘導したが、しかしFPGタンパク質に感受性の多数の塩基修飾が観察されたことは、損傷プロフィールから明白である。さらに、PM2DNA単独の照射により、あるいは最高濃度のビオロゲン結合アクリジンの存在下で暗所で、有意のDNA損傷は観察されなかったが、それは、観察された損傷がこれらの化合物の光活性化によってのみ開始されたことを示す。それゆえ、これらの化合物は、効率的光活性化DNA切断剤として用いられ得る。
【0068】
実施例9
DNA切断の効率。
アクリジン−ビオロゲンに誘導される主な損傷はFPGタンパク質により認識される(図4)ため、FPG感受性修飾およびSSBの形成に及ぼすこれらの系の照射時間および濃度の作用をわれわれは調べた。図5および図6は、それぞれ式1a(式中、n=1、R=−MV2+−(CH−CHおよびX=Br、ならびにn=11、R=−MV2+−(CH−CHおよびX=Br)のアクリジン−ビオロゲン二機能性誘導体化合物により誘導される一本鎖破断(SSB)およびFPG感受性修飾の照射時間依存性生成を示す。これらの図からわかるように、FPGタンパク質に感受性の損傷は、各々の場合、照射時間の増大に伴って増大し、このことはこれらの化合物の触媒特性を示す。SSBの生成の有意の増大は、30分間照射後でさえ、観察されなかった。同様に、DNA損傷の増大は、図6の挿入図に示したように濃度の増大に伴って観察された。
【0069】
これらの結果は、アクリジン−ビオロゲン二機能性誘導体が、修復エンドヌクレアーゼFPGタンパク質に感受性の多数の塩基修飾を誘導し、修復エンドヌクレアーゼIIIにより認識される損傷はほとんどない、ということを明瞭に実証する。FPGタンパク質は、8−オキソグアノシンおよびホルムアミド−ピリミジン、プリンの開環生成物のような修飾を認識することが知られている(Boiteux, S., Gajewski, E., Laval, J., Dizdarough, M. Biochemistry, 1992, 31, 106)。8−オキソグアノシンおよびホルムアミドピリミジンは、ヒドロキシルラジカルにより(Epe, B., Haring, M., Ramaiah, D., Stopper, H., Abou−Elzahab, M., Adam, W., Saha−Moller, C.R. Carcinogenesis 1993, 14, 2271; Epe, B., Pflaum,M., Haring, M., Hegler, J., Rudiger, H. Toxicol. Lett. 1993, 67, 57)、一重項酸素により、そして電子伝達メカニズムにより(von Sonntag, C. The Chemical Basis of Radiation Biology; Taylor and Francis, London, 1987)、DNA中に生成され得る。
【0070】
ヒドロキシルラジカルおよび一重項酸素の両方の関与は、図4に示した損傷プロフィールが電離放射線および1,4−エテノ−2,3−ベンズオキシリオキシン−1,4−ジプロパン酸の二ナトリウム塩により誘導されるものとは異なるため、除外され得る(Aruoma, O.I., Halliwell, B., Dizdaroglu, M. J. Biol. Chem. 1989, 264, 13024;Muller, E., Boiteux, S., Cunningham, R.P., Epe, B. Nucl. Acids Res. 1990, 18, 5969)。さらに、DNA切断試験は、種々の添加剤の存在下で検査した。これらの試験結果は、アクリジン−ビオロゲン二機能性分子が、特にDNA中のグアニン塩基の修飾(酸化)のために光誘導化電子伝達のみによるDNA損傷の誘導のための試薬として用いられ得ることを示す。
【0071】
実施例10
グアニン(G)での切断の実証。GG配列の5’−GおよびAGバルジのGの)優先的切断。
切断における選択性を調べるために、そして塩基バルジに対するビオロゲン結合アクリジンの任意の優先的反応が存在するか否かを見出すために、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)により、2〜3の末端標識化合成オリゴヌクレオチド(表3)を用いて、われわれは切断反応を分析した。
【0072】
【表3】
Figure 2004519516
【0073】
標準手法にしたがって[γ−32P]ATPおよび細菌T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて、5’−OHで、オリゴヌクレオチドDNA(3)、DNA(5)(CC−バルジ)およびDNA(6)(AG−バルジ)を放射能標識し(Sambrook, J., Fritsh, E.F., Maniatis, T. Molecular cloning:A laboratory manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989)、報告された手法にしたがって、DNA(4)でハイブリダイズし、種々の濃度のビオロゲン結合アクリジンとともにインキュベートして、8つの350 nmランプを含入するRayonet光反応器(RPR)中の微小遠心管中で光源を照射した(Ramaiah, D., Kan, Y., Koch, T., Qrum, H., Schuster, G.B. Pro. Natl. Acad. Sci. USA 1998, 95, 12902;Ramaiah, D., Kan, Y., Koch, T., Qrum, H., Schuster, G.B. Nucl. Acids Res. 1998, 26, 3940)。照射後、試料を緩衝液で沈殿させ、冷70%水性エタノールで2回洗浄し、温ピペリジンで90℃で30分間処理し、真空下で凍結乾燥して、PAGEにより分析した。ルーチンプロトコールにより、マクサム−ギルバートA/G、TおよびC特異的反応を実施した(Maxam, A.M., Gilbert, W. Methods in Enzymol. 1980, 65, 499;Ramaiah, D., Kan, Y., Koch, T., Qrum, H., Schuster, G.B. Pro. Natl. Acad. Sci. USA 1998, 95, 12902)。
【0074】
式1aおよび1b(それぞれ、式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11);R=−MV2+−(CH−CH2Xまたは−Pyr2+−(CH−CH2Xおよび式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11);R=−MV2+−(CH−Acr2Xまたは−Pyr2+−(CH−Acr2X)の化合物の二機能性アクリジン−ビオロゲン誘導体により生じた5’−標識化DNA(3)、DNA(5)およびDNA(6)の切断パターンの選択性を、図7に示す。これらの化合物はともに、3’−Gを上回って5’−Gに関して有意の優先で、GG部位でDNA(3)を切断することが判明した(図7のレーン2および3)。少量の切断もG部位で観察された。同様の観察を、式1aおよび1bの化合物の両方により、DNA(5)(CC−バルジ)に関しても行なった(図7のレーン4および5)。実際には、CCバルジ部位での切断は観察されなかった。式1aおよび1b(それぞれ、式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11);R=−MV2+−(CH−CH2Xまたは−Pyr2+−(CH−CH2Xおよび式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11);R=−MV2+−(CH−Acr2Xまたは−Pyr2+−(CH−Acr2X)の化合物存在下でのDNA(6)(AG−バルジ)の照射は、AGバルジのGでの顕著な選択的切断を生じた(図7のレーン6および7)。式1a(式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11);R=−MV2+−(CH−CH2Xまたは−Pyr2+−(CH−CH2X)の化合物は、二重鎖DNA構造そして塩基バルジを含有する二重鎖の切断においてもより効率的であることが判明した。これらの結果は、これらの分子がDNA中のGG部位の5’−GおよびAG2塩基バルジのGの光活性化選択的切断のために、ならびにそれらの認識のためにも用いられ得ることを示す。
【0075】
実施例11
触媒活性の実証。
研究中の系は高DNA会合定数を有し、照射時にDNA二重鎖および塩基バルジのG部位で効率的に切断することを見出したため、それらが生物学および工業における潜在的用途を有し得るよう、それらの触媒特性をわれわれはさらに実証した。水または緩衝液中の式1a、1bおよび1c(それぞれ、式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11);R=−MV2+−(CH−CH2Xまたは−Pyr2+−(CH−CH2X;式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11);R=−MV2+−(CH−Acr2Xまたは−Pyr2+−(CH−Acr2Xおよび式中、Y=オルトまたはパラトリル;R=−MV2+−(CH−CH2Xまたは−Pyr2+−(CH−CH2X)のビオロゲン結合アクリジンの直接レーザー励起は、過渡的中間物質に指定可能な吸収を示さなかった。しかしながら、N,N−ジメチルアニリン(10mM)またはグアノシン(1.8mM)のような外部電子供与対の存在下で水または緩衝液中で、式1a(式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11);R=−MV2+−(CH−CH2Xまたは−Pyr2+−(CH−CH2X)のビオロゲン結合アクリジンのレーザー励起を実行した場合、395および610 nmで吸収最大を有する過渡的種が観察された。この過渡的物質のスペクトル特徴は、文献で報告されたメチルビオロゲンラジカルカチオン(MV)の特徴と類似した(Watanabe, T., Honda, K. J. Phys. Chem. 1982, 86, 3661;Kelly, L.A., Rodgers, M.A.J. J. Phys. Chem. 1994, 98, 6377)。同様に、水または緩衝液中でのDNA存在下での式1a(式中、Y=−(CH−(ここで、n=1〜11);R=−MV2+−(CH−CH2Xまたは−Pyr2+−(CH−CH2X)のビオロゲン結合アクリジンのレーザー励起は、還元メチルビオロゲンに指定可能な過渡的種を生じた(図8)。
【0076】
これらの結果は、励起アクリジン発色団が電子をビオロゲン部分に伝達して、アクリジンおよび還元メチルビオロゲンのラジカルカチオンを生成することを明瞭に示す。一旦生成されたアクリジンのラジカルカチオンは、媒質中に存在する電子供与体を酸化し(メチルビオロゲンラジカルカチオン(MV)の生成は、外部犠牲電子供与体により促進される)、光子の再吸収のためにアクリジンに戻る。還元メチルビオロゲンは次に、電子を分子酸素に伝達し、それによりメチルビオロゲンに戻って、スーパーオキシドラジカルカチオンを生成する。したがって、これらの二機能性分子およびそれらの誘導体は、犠牲電子供与体の存在下で触媒的光活性化DNA切断剤として、そして工業的用途において水素を発生するために適切な条件下で水の酸化のための触媒として機能し得る。
【0077】
本発明の二機能性分子は、光療法ならびに触媒的光活性化DNA切断および工業的用途のための光増感剤の優れた特性を保有する。本発明の系の主な利点を以下に挙げる:
1.式1(1a、1b、1cおよび1d)により表される化合物は、純粋な単一物質である。
【0078】
2.それらの合成方法は非常に経済的である。
【0079】
3.それらは非常に安定で、水性媒質中に高溶解性で、そして生理学的条件下で中性形態で存在する。
【0080】
4.これらの化合物は良好な吸収特性を有し、暗所および照射条件下で非常に安定である。
【0081】
5.それらは有効な供与体−受容体系を構成し、それらのレドックス特性はpHおよびスペーサー基の一関数として整調され得る。
【0082】
6.それらは、DNAに対する高親和性を有する新規の種類の化合物を生成し、インターカレーション、ビスインターカレーションおよび溝結合によりDNAと相互作用する。
【0083】
7.これらの系は、二重鎖DNA、塩基バルジ、三重鎖および四重鎖DNA構造を含めたDNAの種々の構造を安定化する。
【0084】
8.これらの系は、三重鎖DNAの安定化のために、そしてDNAの選択的光切断のためにも、オリゴヌクレオチドと容易に共有結合し得る。
【0085】
9.これらの系は、AT配列に対する特別な親和性を保有し、それゆえDNA中のこのような配列の検出のためのプローブとしての潜在的用途を有し得る。
【0086】
10.それらは、照射条件下で触媒的方法でDNAを切断し、そして触媒的光活性化DNA切断剤として作用する新規の種類の化合物を生成する。
【0087】
11.それらは、光誘導化電子伝達メカニズムのみにより、そして選択的にグアニン部位でDNAを切断し、そしてDNA中のGG配列の5’−Gでの優れた選択性を有する。
【0088】
12.それらはG部位で選択的に、AG塩基バルジを含有する二重鎖DNAを切断し、それゆえ、AGバルジ含有DNA配列の検出のためのプローブとして作用する。
【0089】
13.これらの系は、外部供与体の存在下での照射時に、有効電荷分離を生じる新規の種類の光増感剤を生成し、それゆえこれらの系およびそれらの誘導体は、水からの光誘導化水素生成を含めた工業的用途における光触媒として作用し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】
種々の濃度のポリ(dA)ポリ(dT)の存在下での式1a(式中、n=1、R=−MV2+−(CH−CHおよびX=Br)の化合物の蛍光増強を示す。
【図2】
種々の濃度の式1a(式中、n=1、R=−MV2+−(CH−CHおよびX=Br)および式1b(式中、n=1、R=−MV2+−CH−AcrおよびX=Br)の化合物によるDNA二重鎖の熱変性温度に及ぼす作用を示す。
【図3】
種々の濃度の式1a(式中、n=1、R=−MV2+−(CH−CHおよびX=Br)および式1b(式中、n=1、R=−MV2+−CH−AcrおよびX=Br)の化合物の存在下でのDNA二重鎖吸収において観察された淡色効果を示す。
【図4】
式1a((250 nM, 18 kJ/m)式中、n=1、R=−MV2+−(CH−CHおよびX=Br、(1 μM, 9 kJ/m)式中、n=11、R=−MV2+−(CH−CHおよびX=Br)の化合物によりPM2 DNAにおいて誘導された一本鎖破断を示すDNA損傷プロフィールおよび種々のエンドヌクレアーゼ感受性修飾を示す。
【図5】
360 nm光(4.6 kJ/m)でのUV照射時に式1a(式中、n=1、R=−MV2+−(CH−CHおよびX=Br)の化合物(0.25 μM、0℃)によりPM2DNAにおいて誘導されたDNA修飾、一本鎖破断(SSB)(○)およびホルムアミドピリミジン−DNAグリコシラーゼ(FPGタンパク質)感受性修飾(△)の時間依存性を示す。
【図6】
360 nm光(4.6 kJ/m)でのUV照射時に式1a(式中、n=1、R=−MV2+−(CH−CHおよびX=Br)の化合物(0.30 μM、0℃)によりPM2DNAにおいて誘導されたDNA修飾、一本鎖破断(SSB)(○)およびホルムアミドグリコシラーゼ(FPGタンパク質)感受性修飾(△)の時間依存性を示す。
【図7】
ピペリジン処理(90℃、30分)による式1a(式中、n=1、R=−MV2+−(CH−CHおよびX=Br)および式1b(式中、n=1、R=−MV2+−CH−AcrおよびX=Br)の化合物により誘導された二重鎖DNA(10 μM)の光切断を示す10%変性ポリアクリルアミドゲルのオートラジオグラムを示す。レーン1:DNA(3)(対照)、レーン2:DNA(3)および50μMの式1a(式中、n=1、R=−MV2+−(CH−CHおよびX=Br)の化合物、レーン3:DNA(3)および50μMの式1b(式中、n=1、R=−MV2+−CH−AcrおよびX=Br)の化合物、レーン4:DNA(5)および50μMの式1a(式中、n=1、R=−MV2+−(CH−CHおよびX=Br)の化合物、レーン5:DNA(5)および50μMの式1b(式中、n=1、R=−MV2+−CH−AcrおよびX=Br)の化合物、レーン6:DNA(6)および50μMの式1a(式中、n=1、R=−MV2+−(CH−CHおよびX=Br)の化合物、レーン7:DNA(6)および50μMの式1b(式中、n=1、R=−MV2+−CH−AcrおよびX=Br)の化合物。マクサム−ギルバートシーケンシングレーンは、A/GおよびTでマークされる。
【図8】
DNA(犠牲電子供与体)の存在下での式1a(式中、n=11、R=−MV2+−(CH−CHおよびX=Br)の化合物の、照射と基の還元かメチルビオロゲンの生成を示すが、これは、ビオロゲン結合アクリジンの触媒特性を実証する。
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