JP2004518165A - フォトクロミック物質およびその製造法 - Google Patents
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Abstract
Description
発明の分野
本発明は、光学特性を備えたフォトクロミック重合体物質の分野、および、そのような物質を安価且つ迅速に製造する方法に関する。より具体的には、該物質は、フォトクロミック性の眼鏡、眼科用レンズ、サングラス、および安全ゴーグルを作成するためのレンズブランクまたは完成品レンズであってもよい。
【0002】
発明の背景
フォトクロミズム(光互変)とは、不活性状態と活性状態との間で色の変化が観察される現象である。活性化は照射によって引き起こされ、この照射源は紫外光、可視光、赤外光などであってもよい。フォトクロミック特性を基礎とした用途は多数存在する。その1つがフォトクロミックレンズである。フォトクロミックレンズには、フォトクロミック化合物を包含した眼鏡、サングラス、安全ゴーグル、およびその他の眼科用レンズが含まれる。初期のフォトクロミックレンズは、ガラスをベースとし、フォトクロミック反応を生じさせるためにハロゲン化銀を添加したものであった。その後、有機フォトクロミック化合物が合成され、これら化合物の性能は劇的に向上している。これら化合物の多くは、重合体系でフォトクロミック反応を生じさせるために使用されている。重合体レンズはガラスレンズに対して軽量性および衝撃強度の高さという点で有利なため、次第にガラスレンズに代わって用いられるようになり、標準的なレンズ材料となっている。一方、フォトクロミックレンズでは、暗色化および明色化の速さ、ならびにより重要な点として、使用中のフォトクロミック安定性も加えて要求される。したがって、最適な性能は、重合体/フォトクロミック色素の組合せおよび製造方法に大きく依存する。
【0003】
フォトクロミックレンズの製造において現在広く使用されている方法は、最初に透明なレンズまたはレンズブランクを作製し、次にこのレンズまたはレンズブランクをフォトクロミック色素の入った水槽に浸漬する方法である。レンズまたはレンズブランクへの色素の移動速度を高めるため、色素溶液を加温することが多い。別の方法として、米国特許第5,130,353号および同第5,185,390号に記載されているように、有機体または重合体のホストからレンズまたはレンズブランクへとフォトクロミック色素を熱拡散させる方法がある。しかしこれらの処理は、長時間を有する、フォトクロミック色素の透過深度が限られるなど、種々の問題を有している。典型的には、有意量の色素を含むのは100〜200ミクロンの表面層のみであり、残りの部分はフォトクロミック反応を本質的に全く生じない。したがって、活性状態での光透過性、ならびに暗色化および明色化の速度は最適ではない。さらに重要な点として、薄い表面層中の色素が一旦劣化すると、フォトクロミック特性が重度に損なわれ、場合によっては消失する。
【0004】
フォトクロミックレンズを作製するための方法および材料は他にも開示されている。1つの方法は、米国特許第5,531,940号および同第6,068,797号に記載されているように、基材もしくはレンズプリフォームの前面もしくは後面、または、2つの薄いレンズもしくはレンズプリフォームの間に、フォトクロミック色素のコーティング層を施す方法である。別の方法では、熱硬化性材料(米国特許第5,405,557号)または熱可塑性材料(米国特許第5,523,030号)の層部分を2つ以上有し、且つ、これら層部分の少なくとも1つが活性状態のフォトクロミック材料を含むようなレンズを作製する。
【0005】
特定の単量体/フォトクロミック色素の処方において適切な開始剤を選択した場合は硬化過程によるフォトクロミック特性への悪影響がほとんどまたは全くないという発見がなされ、この発見に伴って、近年大幅な進歩があった。したがって、これらの樹脂は、紫外線照射もしくは加温、または両者の組合せによって硬化させてもよい。このような材料としては、コーニング社(Corning Inc.)の米国特許第5,873,511号または同第6,034,193号、および、PPGインダストリーズ(PPG Industries)の米国特許第5,981,634号に記載のものがある。一例として、コーニング社から販売されているフォトクロミック液状樹脂であるSun Sensor(登録商標)がある。これらの材料から硬化によって作られるフォトクロミックレンズでは、レンズ全体にわたってフォトクロミック色素が均一に分布しているため、従来の熱拡散法で作られたレンズと比較して、活性状態での色がより暗く、暗色化および明色化がより速く、且つ、寿命がより長い可能性がある。結果として、これらの材料は商業的に成功し、且つ市場占有率を急速に拡大していると思われる。
【0006】
レンズ製造業者では、レンズブランクを製造し、これを、研削、エッジング、および研磨によって最終レンズをつくる光学ラボに販売するのが一般的である。このことはフォトクロミックレンズの場合も同様であり、この場合は最初にフォトクロミックレンズブランクがつくられる。このようなレンズブランクは、液体樹脂を利用した注型加工によって製造されることが多い。現在の技術では、Sun Sensor(登録商標)などのフォトクロミック色素と混合した材料が使用される場合、レンズブランクは、液体フォトクロミック樹脂を用いて作製され、且つ、その厚さ全体にわたってフォトクロミック色素を含む。材料の70%〜80%は研削、エッジング、および研磨の工程中に除去されると推定される。これは大きな無駄を生じ、且つ、フォトクロミック樹脂は一般的に非常に高価であるため材料費を上昇させる。
【0007】
また別の問題点として、フォトクロミック色素はUV照射に対して感受性であることが多いこと、および、部品(part)を完全に硬化させるために加熱を要する場合が多いことがある。
【0008】
したがって、レンズブランクなどのフォトクロミック物質を安価且つ迅速に製造することに対する需要がある。現在用いられている材料および設備にわずかな変更もしくは修正を加えるだけで、または、変更もしくは修正をほとんど加えることなく、適用できるような方法を開発することが好ましい。さらに、製造方法は、新規の材料にも容易に適合できるような融通性を有することも好ましい。
【0009】
発明の概要
本発明は、眼鏡、サングラス、安全ゴーグル等用のフォトクロミックレンズブランクなどのフォトクロミック物質を安価且つ/または迅速に製造するための新規な方法を開示する。これらの方法により提供されるレンズブランクを用いて、フォトクロミック色素が現在の拡散法により得られる100〜200ミクロンよりはるかに厚い層の全体に均一に分布し且つ好ましくは該レンズブランクを研削および仕上げ加工した後の最終レンズの全厚またはほぼ全厚にわたって分布しているような最終レンズを作製することができる。さらに、使用できる材料に制限はない。これらの方法により、市販のフォトクロミックレンズ材料(Sun Sensor(登録商標)など)および配合材料などと同等の利点が提供される。本発明は、大量生産に適した極めて経済的な工程であるという点において独自性を有している。新規の材料および工程を検討しているレンズ製造業者にとって従来のレンズ製造設備に対する変更または修正は重要な懸念となることが多いが、本発明の方法は、従来のレンズ製造設備にわずかな変更もしくは修正を加えるだけで、または、変更もしくは修正をほとんど加えることなく、適用することができる。
【0010】
本発明はまた、本発明の方法により作製される部品(part)、物体(object)、および物質(article)を開示する。本発明の物質は少なくとも2つの層を有する。これらの層は同じかまたは異なる材料でできており、且つ、少なくとも1つの層はフォトクロミック色素を含む。さらに、少なくとも1つの層は半固体重合可能材料から形成される。本明細書において開示および特許請求する「半固体重合可能材料」とは、少なくとも1つの反応性可塑剤と、開始剤と、選択的に少なくとも1つのデッドポリマーとを含み、且つ、フォトクロミック層として使用する場合はさらにフォトクロミック色素を含む、半固体材料を指す。他の層は、液体樹脂または別の半固体重合可能材料で形成されていてもよい。液体樹脂または半固体重合可能材料は、加熱、UV、または両者の組合せなどの重合エネルギー源への曝露によって重合または硬化させることによって一体物を形成してもよい。すなわち、取り扱い、硬化、熱処理、研削、研磨などの通常の操作中に層が分離しないように形成してもよい。このようにして作製された物質は光学的な品質を有し、且つ、識別可能な光学収差を有しない。これら物質は光学的に透明であってもよく、または選択的に、通常の条件下では淡色で且つ強力な照射源への曝露後は暗色であってもよい。複合物質の少なくとも1つの層として使用する半固体重合可能材料は、当該技術分野で周知の硬化性液体配合物と比較して硬化時の収縮度が小さくなるよう設計することによって利点を持たせることができる。半固体材料を用いることによって、フォトクロミック化合物の隣接層への拡散を最小限に抑えながら層間の良好な接着を得ることができる。
【0011】
層部分を2つ以上有する複合フォトクロミック物質を成型するための本発明の方法は、概して、第一の金型部分から金型キャビティを形成する段階;該金型キャビティに第一の材料を装填する段階;選択的に、該第一の材料が液体である場合は該第一の材料を部分的に硬化させる段階;第二の材料が該第一の材料と接触するよう、該金型キャビティに第二の材料を装填する段階;第二の金型部分を該第二の材料と接触させて配置する段階;ならびに、該第一および第二の材料を硬化させることによって一体型の複合物質を形成する段階;を含む方法であって、該第一および第二の材料のうち少なくとも1つが、反応性可塑剤と、開始剤と、選択的にデッドポリマーとを含む半固体重合可能材料であり、且つ、該第一および第二の材料のうち1つが少なくとも1つのフォトクロミック色素を含む方法である。フォトクロミック色素を含む層部分の端厚は約0.1〜10 mmである。フォトクロミック層の中心部の厚さは、選択した金型の曲率によって決定される。最終的な複合フォトクロミック部品は任意の形状または大きさであってよく、且つ、好ましくはレンズブランクの形状を取る。このレンズブランクはフォトクロミック色素を含む層を有するのみであり、したがって、物質全体にフォトクロミック色素を含む従来のレンズブランクと比較して、費用効果が高く且つ安価である。この方法は市販のフォトクロミック材料または配合材料のいずれにも適用可能であり、したがって、既存の装置に対する変更または追加をほとんど必要としないという点も評価されるものと思われる。
【0012】
本発明の第一の態様において、本発明の方法は、所望の表面形状を有する前部金型部分の中に、少なくとも1つのフォトクロミック色素を含む前部層材料を入れる段階を含む。選択的に、前部層材料を入れる金型キャビティを形成するため、第一の後部金型部分も金型アセンブリに含めてよい。前部層材料として液体樹脂を使用する場合は、金型キャビティ内への添加後に部分的に重合させることによって、液体樹脂を高粘度の液体、ゲル、または半固体に変化させてもよい。もしくは、前部層材料は、反応性可塑剤と、開始剤と、選択的にデッドポリマーと、フォトクロミック色素とを含む半固体重合可能材料であってもよい。第一の後部金型が存在する場合は、次にこれを取り外し、続いて、第一の層の上に後部層材料の層を追加することによって一体型の半固体/複合サンドイッチを形成する。このような後部層材料は液体樹脂であってもよく(前部層材料がもともと半固体重合可能材料であった場合)、または半固体重合可能材料であってもよい。いずれの場合も、後部層材料はフォトクロミック添加物を含まない。次に、所望の表面形状を有する次の後部金型部分を後部層材料に接触させて配置し、複合サンドイッチを重合エネルギー源(加熱もしくはUV照射、または両者の組合せなど)に曝露する。この曝露により材料の重合と硬化とが同時に生じる。選択的に、後部層材料の添加前に次の後部金型部分を配置することによって、後部層材料を入れるための次の金型キャビティを該次の後部金型と該第一の材料とによって規定してもよく、その後に複合サンドイッチを硬化させてもよい。
【0013】
本発明の別の態様では、工程を修正することにより薄い界面層を含める。このような工程は、第一の層の材料として液体樹脂を使用し、且つ、金型充填、UV照射に対するフォトクロミック色素の感受性、およびその他の実際上の問題を考慮することにより、液体樹脂を前もって重合させて高粘度にすることができない場合に特に有用である。この態様は、所望の表面形状を有する前部金型アセンブリに、フォトクロミック色素を含有する液体樹脂を入れる段階を含む。液体樹脂は光開始剤を含んでいても含んでいなくてもよいが、光開始剤がこの層内に存在する場合は、低濃度であることが好ましい。少なくとも1つの光開始剤が中に混合された薄い界面層は、半固体プリフォームの表面上またはフォトクロミック液体樹脂の上に液体樹脂を流し入れることによって形成する。この層の厚さは約1〜500ミクロンであり、好ましくは約10〜200ミクロンである。この薄い層をUV照射などの重合エネルギー源に短時間曝露することによって粘度を上昇させ、これによって、第一の層からのフォトクロミック色素の拡散および移動を制限するためのバリアーを形成する。次に、第二の層材料として、フォトクロミック色素を含まない後部層材料を既定のレベルまで充填し、これによって半固体/複合サンドイッチを得る。この後部層材料は液体であっても半固体であってもよい。所望の表面形状を有する後部金型を第二の層材料に接触させて配置し、次に、この複合サンドイッチを硬化させる。このようにして得られたフォトクロミック複合物質は安価で製造も容易であり、且つ、製造工程中のフォトクロミック層へのUV照射が少ないという利点もさらに有する。
【0014】
本発明のまた別の態様では、第一の態様の工程が逆順で実施される。すなわち、後部金型を選択し、次に、フォトクロミック色素を含まない材料を後部金型のキャビティの一部に部分的に装填することにより後部層を形成する。後部層材料が液体である場合は、金型アセンブリにガスケットを具備させ、ブランケットUV照射によって液体材料を高粘度、ゲル、または半固体状態まで硬化させてもよい。原理的に、収縮が制御でき且つ光学収差が回避できる限りは、液体材料を固体状態まで硬化させてもよい。これは、この樹脂がフォトクロミック色素を含まず、したがって色素の劣化を考慮しなくてもよいからである。液体樹脂層を半固体または固体状態まで硬化させる場合は、以後の段階においてこの層を後部金型として利用してもよい。一方、後部層材料がもともと半固体の重合可能状態にある場合、この段階での硬化は選択的に行う。次の段階では、前部金型を選択し、且つ、少なくとも1つのフォトクロミック色素を混合した既定量の前部層材料を添加する。前部層は液体であってもよく(後部層がもともと半固体重合可能材料であった場合)、または半固体重合可能材料であってもよい。次に、半仕上げした後部層と、フォトクロミック色素を含む前部金型とを結合させる。これは、半仕上げした後部金型および後部層を反転させて前部層に押し付けることによって実施してもよい。次に、組み立てた半固体/複合サンドイッチを硬化させる。いずれの場合も、目視確認可能な光学的ひずみを生じることなく後部層と前部層とを確実に結合させることが基本的な要件である。
【0015】
別の態様において、本発明の方法は、前部金型部分とガスケットとを組み立てる段階、続いてキャビティ内に後部層材料を添加する段階、および、所望の形状を有する後部金型部分で該材料を圧搾する段階を含む。後部層材料は液体樹脂または半固体材料のいずれかであってよく、且つ、フォトクロミック色素を含まない。フォトクロミック色素を含まないのは、該色素の劣化を生じることなくUVブランケット硬化を行えるようにするためである。次に前部金型を取り外す。後部層材料が液体樹脂である場合は、半仕上げした後部層を変形させることなく前部金型を取り外せるよう、後部層材料を半固体または固体状態まで硬化させてもよい。次に、所望の表面形状を有する金型を用いて前部金型部分を再度組み立て、フォトクロミック色素を含有する前部層材料を添加する。前部層材料は液体であってもよく(後部層材料がもともと半固体重合可能材料であった場合)、または半固体重合可能材料であってもよい。次に、半仕上げした後部層を前部層に押し付ける。最後に、半固体/複合サンドイッチ全体を硬化させることにより複合フォトクロミック物質を得る。
【0016】
また別の態様では、前述の態様と同様に、前部金型、ガスケット、および後部金型からなる金型アセンブリを利用する。前述の態様との相違点は、フォトクロミック色素を含有する前部層を最初に作製する点である。次に、後部金型を取り外し、後部層用の材料(フォトクロミック色素を含まない)を添加し、2つの層を共に押し付けるため後部金型を再度装着したうえで、これらを硬化させる。
【0017】
上述の全ての方法において、層の1つとして液体樹脂が存在する場合は、金型アセンブリの一部としてガスケットが使用されることが理解される。層の材料がもともと半固体である場合は、半固体材料は漏出することなく金型内に保持されると考えられるため、ガスケットは必要ない。
【0018】
発明の詳細な説明
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されている単数形「1つの(a)」および「1つの(an)」は、「1つまたはそれ以上の」を意味する。
【0019】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されている「半固体」および「半固体状」という用語は、本質的に、重合可能組成物が、周囲温度以下、周囲温度、または周囲温度以上においてゴム状且つタフィー様の塊であることを意味する。好ましくは、半固体塊は、周囲温度および周囲圧力またはそれ以下で滴下しないよう十分な粘度を有するが、同時に、可鍛性を有し、且つ、金型キャビティをわずかに加温するかもしくは2つの金型部分を押し付けあって圧力をかけることにより、または、熱と圧力との組合せにより、容易に変形して金型表面に適合するような塊である。現時点での好ましい態様において、粘度は、材料の取り扱い時(例えば、金型キャビティへの挿入時)の温度において約25,000センチポアズより大きく、好ましくは50,000センチポアズより大きい。このような組成物は、非易流動性材料として取り扱いおよび保管でき、且つ金型アセンブリに容易に挿入でき、且つ同時に、完全に重合した無可塑性のデッドポリマーに同じ操作を行うために必要なものと比較してより低い温度および/または低い圧力で所望の形状に容易に変形および成形できる。
【0020】
本発明の複合フォトクロミック光学物質は、永久的に結合された2つ以上の層を含み、うち少なくとも1つの層は、デッドポリマーと反応性可塑剤とを含む半固体重合可能材料で形成された硬化樹脂である。他の層も半固体重合可能材料で形成されていてもよく、または、液体樹脂で形成されていてもよい。このような半固体重合可能材料は国際公開公報第00/17675号に開示および記載されており、該開示内容は参照として本明細書に組み入れられる。この半固体重合可能材料の層を少なくとも1つ使用することにより、硬化時の複合物質の収縮を低減させて層間を良好に接着させることができ、且つ、フォトクロミック色素を含む層から隣接層への該色素の拡散を最小限に抑えることができる。
【0021】
フォトクロミック色素は、本発明の物質の層の1つに存在していればよく、これによって、全厚にわたってフォトクロミック色素を含むレンズブランクにつきものの、無駄および材料費が低減または排除される。該層の端厚は0.1〜10 mmであってよく、好ましくは0.5〜5 mmであり、より好ましくは0.5〜2 mmである。正確な厚さは、このようなブランクからつくられる最終レンズがレンズの全直径にわたってフォトクロミック色素を含むような条件、および、所望のフォトクロミック挙動を得るため仕上げ後にフォトクロミック色素含有層が十分な厚さを有するような条件によって決定される。最適な性能を確実に得るため、樹脂とフォトクロミック色素との配合は慎重に検証および試験する必要がある。この過程は当業者であれば過度の実験を行うことなく実施可能である。
【0022】
本発明で開示する方法は、フォトクロミック物質の安価且つ迅速な製造に関し、特に、レンズブランクの製造に関する。該レンズブランクは、フォトクロミック化合物を取り入れた眼鏡、サングラス、安全ゴーグル、およびその他の眼科用レンズに使用してもよい。仕上げ済みのレンズまたは眼鏡は、形状が球面であっても非球面であってもよく、且つ、光学特性が単焦点、二焦点、多焦点、または累進焦点であってもよい。具体的には、本発明のフォトクロミック物質は、形状が球面または非球面であり、且つ光学特性が単焦点、二焦点、多焦点、または累進焦点であるレンズブランクであってもよい。レンズブランクの後面は重要でない場合が多く、設計および要件に応じて選択的に平面、球面、または非球面であってもよい。さらに、レンズ中のフォトクロミック色素は十分な厚さで存在する。この厚さは、フォトクロミック色素が仕上げ後のレンズの全直径にわたって確実に分布するように選択される。したがって、仕上げ後のレンズは典型的に、従来のフォトクロミックレンズと比較して反応時間が早い、活性化状態の色が暗い、安定性が高いなどの好ましい特徴を有する。
【0023】
本発明の一般的な実用において、フォトクロミック色素を含有する前部層材料と、フォトクロミック色素を含有しない後部層材料と(うち少なくとも1つの層は、デッドポリマーと反応性可塑剤と開始剤とを含有し、且つフォトクロミック層として使用する場合はさらにフォトクロミック色素を含有する、半固体重合可能材料の層である)は、金型内で互いに接触するように配置される。このようにして得られた半固体/複合サンドイッチを金型間で加圧し、且つ、重合エネルギー源(UV光および/または温度;X線;電子線;ガンマ線;マイクロ波;またはイオン開始剤など)への曝露によって材料を硬化させることによって、フォトクロミック層を有する複合物質を得る。
【0024】
説明を目的とした本明細書の記載内容は、本発明の複合物質を形成する2つの層に関するものであるが、本発明の複合物質およびその作製方法は3つ以上の層を利用したものであってもよいこと、ならびに、このような多層も本発明の範囲に含まれることが理解されるものと思われる。したがって、例えば、前部層および後部層が液体樹脂で形成され且つ中間層が半固体重合可能材料で形成された3つの一体層、または前部層および後部層が半固体材料で形成され且つ中間層が液体樹脂で形成された3つの一体層を有する複合物質を本発明に従って作成してもよい。無論この他の組合せも可能であり、これらも本発明の範囲に含まれる。
【0025】
この種の操作に使用される基本金型は2つのガラス金型を含む。例としてはクラウンガラス、BK−7、およびその他でつくられたガラス金型がある。しかし、金型の材料に制限はない。具体的には、十分な機械強度と所望の表面特性とを有する任意の材料を金型材料として使用してよい。前部金型は、典型的には、凹面が注型樹脂と接触するような金型である。一方、後部金型は、凸面が注型樹脂に面するような金型である。液体樹脂を使用する場合は、樹脂の漏出を防ぐための良好なシーリングを提供でき且つキャビティ内に樹脂を保持できるような十分な剛性を有するガスケットを金型アセンブリに含める。樹脂がもともと半固体である場合は、漏出することなく金型内に保持されるため、ガスケットは不要である。
【0026】
概して、本発明に有用な液体樹脂は、UVまたは温度により硬化できる熱硬化性材料である。例としては、エポキシ、メラミン、スチレン、ウレタン、アクリレート、アクリルエポキシ、アクリルウレタンなどがある。反応性の官能基は、アクリレート、メタクリレート、無水アクリル酸、アクリルアミド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、ハロゲン化ビニル、ビニルシラン、ビニルシロキサン、メタクリル酸シリコーン、複素環式ビニル、ジエン、アリルなどであってもよい。周知度はこれらより低いが重合可能な他の官能基を検討してもよい。例えば、エポキシ(硬化剤との併用)およびウレタン(イソシアネートとアルコールとの反応)などが考えられる。
【0027】
原理的に、液体樹脂配合のための成分として任意の単量体が使用可能である。市販の単量体は数百〜数千種類存在する。その一部を以下に列挙する。例えば、単官能体としては以下のものが含まれるが、これらに限定されることはない:ブチル アクリレート、イソオクチル アクリレート、ヘキサデシル アクリレート、ステアリル アクリレート、イソボルニル アクリレート、ビニル ベンゾレート(vinyl benzolate)、テトラヒドロフルフリル アクリレート(またはメタクリレート)、カプロラクトン アクリレート、シクロヘキシル アクリレート、ベンジル アクリレート、ヒドロキシプロピル アクリレート、ポリエチレングリコール アクリレートなど。二官能体としては以下のものが含まれるが、これらに限定されることはない:ポリエチレングリコール ジアクリレート、ポリプロピレングリコール ジアクリレート、ヘキサンジオール ジアクリレート、Photomer 4200(ヘンケル社(Henkel)製)、ポリブタジエン ジアクリレート(またはジメタクリレート)、Ebecryl 8402(ラドキュア社(Radcure)製)、ビスフェノールAジアクリレート、および、エトキシ化(またはプロポキシ化)ビスフェノールAジアクリレート。三官能体および多官能体としては以下のものが含まれるが、これらに限定されることはない:トリメチロールプロパン トリアクリレート(およびそのエトキシ化またはプロポキシ化誘導体)、ペンタエリトリトール テトラアクリレート(およびそのエトキシ化またはプロポキシ化誘導体)、Photomer 6173(多官能性を有するアクリル酸オリゴマー、ヘンケル社(Henkel)の有標製品)、ならびに、サートマー社(Sartomer)(SRシリーズ)、ラドキュア社(Radcure)(Ebecrylシリーズ)、およびヘンケル社(Henkel)(Photomerシリーズ)から発売されている脂肪族および芳香族のアクリル酸オリゴマーの全ホスト。アクリル酸化学のほかに、スチレン、置換スチレン(例えばクロロスチレンおよびメチスチレンなど)、ならびにその他のビニル誘導体、ビニルエーテル、およびアリル含有化合物を使用してもよい。
【0028】
本発明に有用な半固体重合可能材料は、1つの態様において、それ自体が重合可能または架橋可能な低分子種を少なくとも1つ有するデッドポリマー(またはデッドポリマー混合物)を少なくとも1つ含む。本明細書ではこの低分子種を「反応性可塑剤」と呼ぶ。別の態様では、半固体重合可能材料は、デッドポリマーが存在しない状態で反応性可塑剤または反応性可塑剤の混合物を含む。
【0029】
本明細書および特許請求の範囲において、「デッドポリマー」という用語は、実質的に完全に重合した、一般的に非反応性の重合体を意味する。本明細書および添付の特許請求の範囲において、「実質的に完全に重合した」という用語は、少なくとも95%重合し好ましくは少なくとも98%重合した重合体を意味する。特定の重合体化学を使用する場合は、デッドポリマー自体が反応性可塑剤と反応してもよく、このような反応はデッドポリマーが鎖の中にまたは鎖に結合した不飽和体を有していない場合でも生じてよい。デッドポリマーは直鎖であっても分枝していてもよく、且つ、単独重合体であっても共重合体であってもよい。共重合体の場合、配列分布はランダムであってもブロック状であってもよい。ブロック共重合体は、先細り、多腕、櫛形、または星型であってもよい。ニブロック構造、三ブロック構造、または多ブロック構造もすべて本発明の範囲に含まれる。
【0030】
デッドポリマーは、工程中に利用される重合体の種類に基づいて2つのカテゴリーに分類してもよい。1つのカテゴリーでは、標準的な熱可塑性物質をデッドポリマーとして用いる。これには例えば以下のものが含まれるが、これらに限定されることはない:ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ABS、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリシロキサン、ポリシラン、ポリビニルピロリドン、ポリカプロラクトン、およびポリエーテルイミド。熱可塑性物質は、選択的に、硬化時の架橋を促進するため重合体の主鎖に結合させた(共重合、グラフト、またはその他の方法で組み込んだ)少量の反応体を有していてもよい。これらは工学熱可塑性物質として分類されるものであってもよく、または、生分解性であってもよい。これらの例は本発明の実用において利用可能な組成物の範囲を限定することを意図したものではなく、本開示内容の下で使用されうるデッドポリマー化学の選択範囲の広さを示すことを目的としたものである。寸法が精密な物体内で容易に成型できるような半固体状の組成物を得るため、反応性可塑剤を上述の重合体などの熱可塑性重合体と混合してもよい。硬化時、物体の寸法安定性が固定され、これによって正確な三次元形状または精密な表面特性が得られる。熱可塑性重合体は、最終的な成型品が以下のような特性をもつように選択してもよい:光学透明性、高屈折率、小さい複屈折、優れた耐衝撃性、温度安定性、酸素透過性、UVの透過性または遮断性、低費用、またはこれらの組合せ。
【0031】
もう1つのカテゴリーでは、「熱可塑性エラストマー」をデッドポリマーとして利用する。代表的な熱可塑性エラストマーの1つは、一般的な構造「A−B−A」を有する三ブロック共重合体である。この構造において、Aは熱可塑性の硬質重合体(すなわち、ガラス転移温度が周囲温度より高い)であり、Bはエラストマー(ゴム状)重合体(ガラス転移温度が周囲温度より低い)である。純粋状態において、ABAはミクロ相分離構造を示す。この構造は、ゴム状鎖(B)に結合し且つこれらに囲まれたガラス状の硬質重合体領域(A)からなる。この構造は、特定の組成および加工条件下では、関連ドメインサイズが可視光の波長より小さくなるような構造になる。したがって、このようなABA共重合体でつくられた部分は透明かまたは最悪でも半透明になりうる。熱可塑性エラストマーは、加硫を行わなくても従来の加硫ゴムと同様のゴム状特性を有するが、秩序無秩序転移温度より高い温度では熱可塑性物質として流体の挙動を示す。剪断および伸長に対する融解の挙動は従来の熱可塑性物質と同様である。商業的に重要な熱可塑性エラストマーの例としては、SBS、SIS、およびSEBSがある(Sはポリスチレン、Bはポリブタジエン、Iはポリイソプレン、EBはエチレンブチレン重合体である)。この他の二ブロック体および三ブロック体の候補も多くのものが周知であり、例えば、ポリ(芳香族アミド)−シロキサン、ポリイミド−シロキサン、およびポリウレタンがある。SBSおよび水素化SBS(すなわちSEBS)としては、以下各社の商品が広く周知である:クラトン・ビジネス・グループ社(Kraton Business Group)(Kraton(登録商標))、フィリップス・ペトロリウム社(Phillips Petroleum)(K−resin(登録商標))、およびBASF社(Styrolux(登録商標))。
【0032】
反応性可塑剤には、単量体、オリゴマー反応体もしくは短い重合反応体、オリゴマー架橋剤もしくは短い重合架橋剤、または、マクロマー反応体もしくはマクロマー架橋剤(集合的に「マクロマー」と呼ぶ)が含まれうる。反応性可塑剤は、デッドポリマーと混合させるとデッドポリマーを可塑化し、これによって、周囲温度またはそれ以下、および加工温度において所望の粘稠性を示す(すなわち、周囲温度またはそれ以下においては取り扱いが容易となるよう短時間にわたって形状を維持でき、加工温度においては所望の形状に圧縮または形成できるだけの可鍛性を有する)ような組成物が得られる。該加工温度は、周囲温度よりやや高くまたは低くなるように都合よく選択してもよい。
【0033】
デッドポリマーを使用しないかまたはごく少量使用する場合、反応性可塑剤は、少なくとも1つの反応性官能基を有する反応性の単量体、反応性のオリゴマーもしくは反応性の短重合体、またはこれらの混合物である必要がある。この場合、反応性可塑剤は、繰返し単位が約1〜約1000、好ましくは約1〜約100、である長い鎖状分子である必要がある。これらの反応性可塑剤(または反応性可塑剤の混合物)は、材料取り扱い時(例えば金型キャビティへの挿入時)の温度において、半固体性の挙動を示すよう高い粘性を有し、好ましくは1000センチポアズを上回る粘性を有する。分子量が小さい反応性可塑剤の場合は、最初に混合物をわずかに重合させることによって、本発明で開示している下流の工程に必要な半固体の粘稠性を得てもよい。または、混合物を冷却することによって半固体の粘稠性を得てもよい。
【0034】
反応性可塑剤はそれ自体混合物であってもよく、且つ、単官能体、二官能体、または多官能体から構成されていてもよい。
【0035】
全体として、最終的な配合物中の反応性可塑剤の量および組成は、配合物が半固体状になり、且つ、金型にガスケットを使用する必要なく有効に配合物を取り扱いできるように決定する。すなわち、反応性可塑剤の濃度は、所望の加工温度および圧力において可鍛性および成形性が十分に得られ、一方で、材料の保管温度および閉型温度において混合物が短時間滴下せず且つ自由に流れないような濃度とする。閉型温度は、周囲温度かまたはそれよりわずかに高いもしくは低い温度となるよう都合よく選択してもよい。反応性可塑剤の量は一般的に重量比約0.1%〜約100%であり、好ましくは約1%〜約50%、より好ましくは約3%〜約25%である。反応性可塑剤がオリゴマーまたは短い重合体の反応体または架橋剤である場合は、反応性可塑剤の量は好ましくは重量比約50%〜100%であり、より好ましくは重量比約75%〜100%である。
【0036】
反応性可塑剤およびデッドポリマーの種類および相対量によって、時間および温度依存的な混合物の粘弾特性が決定される。選択した組成物の粘弾特性は広範且つ多様でありうる。本明細書記載の本発明の実施において必要となるのは、組成物が、ある温度において取り扱いおよび/または金型アセンブリへの挿入のために高粘度、半固体、または固体状であり、且つ、金型アセンブリを閉型後に加熱または冷却して達する加工温度において半固体または液体状(すなわち変形可能)である、という点のみである。事実上、既知の全ての材料系は加熱時により高いコンプライアンスを示すことから、成形温度は取り扱い温度と同じかそれより高くするのが通常であるが、かならずしもそうである必要はない。原理的に、ある温度で半固体または固体として取り扱いでき、且つ、(温度変化および/または力を用いてまたは用いずに)所望の形状に適合せしめうるような反応性可塑剤系(デッドポリマー併用または非併用)であれば、任意の反応性可塑剤系が本発明の実施に使用可能である。
【0037】
半固体重合可能材料は、スラブもしくはディスク、または、その他の都合のよいもしくは所望の形状に予備成形してもよい。例えば、混合装置から吐出される材料をスライス(必要であれば低温で)または圧搾して平らなディスク、スラブ、またはシートにしてもよく、さらにこれを、ガスケットを介在させることなく金型部分間でプレスすることにより、レンズまたはその他の目的物を規定してもよい。または、吐出物の個々の塊を、最終目的物に近い形状を有する金型内でプレスしてもよい。この組成物の塊はわずかに上昇させた温度下で金型キャビティの片側に乗せてもよい。次に、半固体化した組成物塊にもう一方の金型部分を接触させ、この進入してくる金型部分で圧搾することによって半固体塊を所望の形状に成形する。この場合も、組成物は粘度の高い半固体状の性質であるため金型から漏出することはなく(金型閉鎖時の締め付けによって絞り出されてくる分を除く)、したがって、金型部分にガスケットを使用する必要はない。さらに、圧搾によって生じうる応力(複屈折)を焼鈍除去するため、閉型後、成形した組成物塊の温度をやや高く維持してもよい。こうして得られたプリフォームユニット(例えばスラブ、ディスク、シート、またはその他の成形物)を、硬化させずに、またはわずかにもしくは部分的に硬化させながら冷却し、さらに、スライス、圧搾、またはプレスした後に保管する。
【0038】
半固体材料を混合直後に使用する場合は、材料の粘度を低下させるため加温を要する場合がある。半固体の性質上、欠損のない物質を加圧せずにつくることは困難である可能性がある。したがってプリフォームをつくることが好ましい。プリフォームは、前部層または後部層と同じ形状および寸法を有していてもよい。射出成形、圧縮成形、トランスファー成形、真空成形など従来の重合体加工技術を用いてプリフォームを作製してもよい。
【0039】
半固体重合可能材料は、ゴム状、可撓性、硬質、耐衝撃性、耐引掻性など、選択した複合物質の構成に所望されるような特性を有するように配合してもよい。
【0040】
その開示内容全体が参照として本明細書に組み入れられるPCT国際公開公報第00/55653号に開示されているように、半固体プリフォームを重合前に追加の表面形成材料または表面修飾材料でコーティングするかまたはこれらの材料に曝露することによって、傾斜材料を形成してもよい。または、当業者に既知の方法を用いて、液体樹脂層の上に表面修飾材料を添加してもよい。このようにして、ゴム状または可撓性の「層」または領域を、例えば物質中の2層の中間部に特異的に組み込んでもよい。このような傾斜材料を用いて、例えば、硬化層間の残留応力を調節および解放してもよい。これにより、材料が互いに強固に結合され且つ層間剥離をきたしにくい複合物質が得られる。同様に、最終産物が任意の外表面部およびその付近で硬質性または耐引掻性を示すよう、耐引掻性材料を含有する表面修飾組成物を特性の改変が所望されるプリフォームの領域または部分に吸収させるかまたはそうでなければ塗布もしくは添加することによって、 液体樹脂層または半固体プリフォームを改変してもよい。別の例においては、イラストレーション、蛍光、UV吸収、または可視化(呈色)を目的とした色素または顔料溶液を表面組成物として使用してもよい。
【0041】
半固体重合可能材料は、半固体を表面材料の槽に浸漬することによって表面形成/修飾組成物に曝露してもよい。または、コーティングおよびパターン作成/転写の当業者に既知の工程によって、半固体プリフォーム上に表面材料を蒸着、塗装、吹付、遠心吹付(spun on)、印刷、または転写してもよい。または、後に半固体材料と接触させる1つ以上の金型表面に表面形成/修飾組成物を吹付、塗装、印刷、パターン形成、フローコーティング、またはその他の方法によって塗布してもよい。この場合、成形段階前に選択的に表面修飾材料を硬化または部分的に硬化させてもよい。特定の表面形成組成物または表面修飾組成物は、未硬化のまたは部分的に硬化した半固体プリフォームの粗いスポンジ様構造の中に吸収または流入させてもよく、続いて、半固体組成物を完全に硬化させ、その結果生じる密な重合ネットワーク内に該組成物を捕捉してもよい。別の場合においては、表面形成/修飾組成物はそれ自体が重合可能であり、半固体プリフォームとともに硬化させると、相互侵入する重合体ネットワーク構造を形成する。いずれの場合においても、表面処理は化学的、物理的、またはその両方により固定化され、これによって、硬化させた樹脂層の表面とその内部の組成物とが異なるものの両者が一体化し且つモノリシックであるような最終産物が得られる。
【0042】
耐引掻性強化を目的とした表面形成材料は、半固体重合可能組成物とともに反応してモノリシックな最終産物を形成するよう、半固体重合可能組成物の反応性可塑剤に適合性のある多官能架橋剤から選択してもよい。この文脈における「適合性」とは、表面形成材料が半固体組成物中に存在する反応性基と好ましい相互作用を生じうることを意味する。耐引掻性の付与に用いられる配合物は、通常、官能価が高い(すなわち官能価が3以上の)1つ以上の反応性化学種からなる。複合物質の表面付近領域でこのような官能価の高い種を重合させると、硬化した樹脂層とモノリシックに統合された、密に架橋した耐引掻性の外層が得られる。このような架橋剤の例としては、トリアクリレートおよびテトラアクリレート、ならびに、これら多官能アクリレートのエトキシ化物またはプロポキシ化物があるが、これらに限定されることはない。表面配合物中に吸蔵されたナノ粒子もまた、耐引掻性を大幅に増強させる。ナノ複合体の当業者であれば、ナノ複合体の文献との組合せを目的として本発明を容易に適合させることが可能である。
【0043】
表面修飾組成物として有用な色素は当業者に周知である。色素は、対象物の表面付近領域に自身を化学的に固定するような反応性基を有していてもよく、または、完全に不活性であってもよい。後者の場合は、重合後、色素分子を囲む密な架橋ネットワークによって対象物の表面領域内に色素が保持される。本発明の処理では、着色用色素の選択肢が先行技術の場合と比較して大幅に拡大される。熱劣化をきたしやすい色素および有機性媒質に溶解する色素も表面形成組成物として使用してよい。チバ・ガイギー社(Ciba Geigy)、アルドリッチ社(Aldrich)、BASF社、デュポン社(DuPont)などから販売されている多くの市販の色素は有機性媒質に対して溶解性である。水相可溶性色素も、有極性もしくは荷電性の表面配合物を用いることによって、または、硬化前の物質への色素の取り込みを促進するような不活性の有極性媒質(例:水、エタノール、エチレングリコール、アセトンなど)に単純に色素を溶解することによって、本発明に使用できる候補となりうる。
【0044】
屈折度を低くする(例えば防眩用途として)などの目的のため、屈折率の低い単量体および架橋剤を表面形成組成物として使用してもよい。このような組成物としては、ビニルまたは(メト)アクリル酸シリコーン、パーフルオロ化または部分的にフッ化したアクリレートおよびメタクリレート、ならびに、ビニルエーテルがあり、具体例としては、ビニル トリフルオロアセテート、トリフルオロエチル アクリレート、ペンタデカフルオロオクチル アクリレート、ヘキサフルオロブチル メタクリレート、パーフルオロエチレングリコール ジアクリレートなどがある。これらのパーフルオロ化化合物は、アクリル酸シリコーンと同様、最終産物の離型特性を向上させる可能性がある。
【0045】
複合レンズに帯電防止表面を付与するため、帯電防止性の単量体または不活性添加物を表面形成組成物として使用してもよい。帯電防止表面は塵粒の収集を最小限に抑え、これによって、光の透過性および透明性を向上させ且つ洗浄の必要性および頻度を低下させる。反応性および不活性の帯電防止添加物は周知であり、文献にも記載されている。防曇性の表面修飾材料として疎水性単量体および/または親水性単量体を用いてもよい。
【0046】
異官能性(Heterofunctional)の添加物を表面形成組成物として使用し、半固体複合物質の表面付近領域に組み込んでもよい。これらの異官能性添加物は、その後、反応部位として、または後のフィルムまたはコーティング用の接着促進剤として作用してもよい。例えば、モノアクリル酸エポキシ、ヒドロキシアクリレート、アミノビニル エーテル、または無水ビニルを、ビニル基の反応により複合物質の表面領域に化学的に組み込んでもよい。次に、ビニル重合以外の化学反応によるフィルムまたはコーティングの捕捉、これらとの反応、および/またはこれらの接着の促進に、エポキシ基、水酸基、アミノ基、または無水基を利用してもよい。
【0047】
フォトクロミック前部層の材料は液体樹脂または半固体材料のいずれであってもよい。液体のフォトクロミック樹脂はコーニング社(Corning Corporation)のSun Sensor(登録商標)など市販のものを用いてもよく、または専用に処方してもよい。前提条件として、単量体とフォトクロミック色素とを含む液体樹脂は、硬化反応後もフォトクロミック特性を維持している必要がある。同様に、半固体重合可能材料をフォトクロミック色素と配合もしくは混合してもよく、または、単量体を介してフォトクロミック色素を半固体中へ導入してもよい。配合および混合には、密閉式混合機(internal mixer)または双筒押出機(twin extruder)などを用いてもよい。一般的に、フォトクロミック色素は重合体に対する溶解度が限られているため、均一に分布させることが困難である可能性がある。このような問題は、最初にフォトクロミック色素を適切な単量体に溶解することによって解決しうる。こうして得た反応性のフォトクロミック溶液を、溶媒和または混合のいずれかによって重合体中へと導入する。このような重合体、単量体、および色素の組成物は、硬化反応後もフォトクロミック特性が維持され、且つ、最適なフォトクロミック性能が得られるように選択する必要がある。
【0048】
フォトクロミック色素は、所望のフォトクロミック特性を有する、一般的なクラスのスピロオキサジン、スピロピラン、およびクロメンから選択してもよい。多数のフォトクロミック色素が文献に記載されており、且つ市販されている。スピロオキサジン色素の例としては、米国特許第3,562,172号、同第4,215,010号、同第4,986,934号、同第5,180,524号、同第5,233,038号、および同第6,004,486号に記載のものがある。スピロピラン色素の例としては、米国特許第4,287,337号、同第4,826,977号、同第5,241,075号、同第5,520,853号、および同第5,604,280号に記載のものがある。本発明に使用できるクロメンは、米国特許第4,889,413号、同第5,066,818号、同第5,200,116号などに記載されている。液体樹脂と混合可能なフォトクロミック色素は以下の文献にも記載されている:「有機フォトクロミック物質(Organic Photochromes)」, A.V. Elstsov編, Consultants Bureau Publishers, New YorkおよびLondon, 1990; 「フォトクロミックガラスの物理および化学(Physics and Chemistry of Photochromic Glasses)」, A.V. Dotsenkoら, CRC Press, Baton RougeおよびNew York, 1998;「超高密度光メモリ用の光反応性材料(Photo−Reactive Materials for Ultrahigh Density Optical Memory)」, M. Ire編, Elsevier, AmsterdamおよびNew York, 1994。色素は、液体樹脂中で単量体またはオリゴマーと反応する可能性のある反応性基を色素自体が有していてもよく、または、完全に不活性であってもよい。
【0049】
重合過程を開始させるため、フリーラジカル重合の当業者に既知である任意のUV式または温度式フリーラジカル開始剤を液体樹脂または半固体重合可能材料に添加してもよい。開始剤の混合物は、特定の場合においてはより効率的にラジカルを生成できるため、利用が好ましいことがある。開始剤は、硬化効率が良く、黄色化せず、且つ、UV開始剤である場合は広い吸収スペクトルを有することが好ましい。開始剤の例としては、チバ・ガイギー社(Ciba Geigy)のIrgacureシリーズおよびDarocurシリーズ、ならびに、サートマー社(Sartomer)のEscacureシリーズが周知でありかつ市販されている。アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル(dicumy peroxide)、5−ブチル ヒドロペルオキシド、過硫酸カリウム、および過硫酸アンモニウムなどの温度式開始剤も周知であり、アルドリッチ社(Aldrich)などの化学物質供給業者から入手可能である。開始剤の参考文献としては、例えば「ポリマーハンドブック(Polymer Handbook)」, J. Brandrup, E.H. Immergut編, 第3版, Wiley, New York, 1989がある。
【0050】
選択的に、前部層または後部層のいずれかの液体樹脂または半固体重合可能材料に、当業者に周知のその他の添加物を少量加えてもよい。このような添加物としては、硬化後に対象物を金型から取り出すのを容易にするための離型剤、従来の非反応性の可塑剤または可撓性付与剤、顔料、色素、有機または無機の線維性または粒子性の強化用充填剤または拡張用充填剤、チキソトロープ(thixotropic)剤、指示薬、阻害剤または安定剤(耐候安定剤または非黄変剤)、UV吸収剤、界面活性剤、流動補助剤、連鎖移動剤、反射防止剤、耐引掻性添加物、などがある。
【0051】
UV硬化は、典型的に、紫外線エネルギー源との関連により生じる。原理的には、任意の紫外線光源を用いて、フリーラジカル重合または架橋反応を開始させることができる。しかし、フォトクロミック色素の劣化を最小限に抑えるため、UV照射は短波長の高エネルギー領域に集中していないことが好ましい。UVの強度および照射時間も慎重に制御する必要がある。紫外線硬化は、「点滅式(blinking)」紫外線光源を用いて行ってもよい。点滅紫外線を用いた硬化により、粘稠性のばらつきが少ない光学物体を作成できる可能性がある。別の方法として、UV照射を回避できるよう、可視光で活性化される光開始剤を使用することも考えられる。熱硬化が所望される場合は、該物質を既定の程度まで重合または硬化させるため、加熱炉または加熱槽を使用してもよい。
【0052】
本発明の第一の態様において、本発明の方法は以下の段階を含む:(i)当業者に周知のような金型アセンブリを形成するため、所望の表面形状と、ガスケット(必要な場合)と、選択的に後部金型とを有する前部金型を選択する段階;(ii)既定の厚さのフォトクロミック樹脂層を形成するため、フォトクロミック色素を含む前部層材料を該金型キャビティ内に注入するかまたはその他の様式で配置する段階;(iii)必要なまたは所望される場合は、該フォトクロミック樹脂を粘性状態または半固体状態まで重合または硬化させる段階;(iv)後部金型がある場合はこれを取り外す段階;(v)第一の層の上に、フォトクロミック色素を含有しない後部層材料を所望の厚さまで添加する段階;(vi)第二の樹脂層の上に、所望の表面形状を有する次の後部金型を配置する段階;(viii)UV照射もしくは加熱、または両者の組合せなどの重合エネルギー源に曝露することによって、該物質を硬化させる段階。層材料が半固体重合可能材料である場合は、該半固体材料が金型の内部キャビティと同じ形状になるよう、選択的に加熱を併用して金型を加圧することが望ましい。
【0053】
フォトクロミック色素の拡散および移動を低減させるため、後部層の樹脂を添加する際は、前部層の樹脂が高粘性状態または半固体状態にあることが好ましい。これは、半固体重合可能材料を使用することによって実現してもよい。または、液体樹脂を使用する場合は、1つの単純な手法として、金型充填前に前部層用の液体樹脂を高粘性状態になるまであらかじめ重合しておく方法がある。この樹脂の注入は、樹脂の粘度を下げるため温度を上昇させた状態で行ってもよい。前部層の樹脂が冷却された後は、その高い粘性により、後部層へのフォトクロミック色素の拡散および移動が効果的に制限される。別の手法として、金型内で液体樹脂が高粘度の液体、ゲル、または半固体材料となるよう、液体樹脂を部分的に重合または硬化させる方法がある。一般的に、簡便性および効率が高いことから、UV硬化が好ましい。硬化時間は10〜600秒であってもよく、好ましくは10〜120秒であり、より好ましくは10〜30秒である。第一の手法に固有の特徴は、第二の樹脂層を添加する前に前部層を重合または硬化させる必要がないことである。一方、第二の手法では、第一の樹脂の特別な予備重合段階が必要ない。前部層に半固体重合可能材料を使用する場合は、材料自体の粘性が十分に高くしたがってフォトクロミック色素の拡散および移動が制限されるため、UVまたは熱による硬化は必要ない。
【0054】
本発明の別の方法では、前部層と後部層との間の界面層を使用する。第一の段階として、前部金型および必要に応じてガスケットにより、フォトクロミック色素を含有する前部層材料を成形する。次に、前部層の上に薄い樹脂層を形成する。次の段階では、後部金型に沿って後部層材料を添加する。次に、このアセンブリを完全に硬化させる。
【0055】
薄い界面層をつくることは多数の理由から有利である。第一に、配合および硬化の両方において、界面層により可撓性がもたらされる。第二に、フォトクロミック色素の拡散および移動を制限するためのバリアー層として該界面層を機能させてもよい。最後の点として、このような層により、前部層と後部層との結合および接着をより強力にできる可能性がある。本明細書で前述したように、少なくとも1つの層を半固体重合可能材料とするという条件下で、液体樹脂または半固体重合可能材料を前部層および後部層に使用してもよい。
【0056】
特定の樹脂/フォトクロミック色素組成物においては、UV硬化によりフォトクロミック特性が損なわれるまたは失われる可能性がある。色素の不活化には2つの機序が考えられる。1つはUV照射による色素の劣化であり、もう1つは色素と光開始剤との相互反応による不活化である。界面層はフォトクロミック色素を含まないため、UV開始剤を含むよう配合してもよく、且つ、続いて粘性状態または半固体状態まで重合または硬化させてもよい。この場合、前部層用の樹脂にUV開始剤を含める必要はない。さらに、配合および硬化に柔軟性があることにより、材料のテーラード化を行えるため、結合および接着をより強力にするための手段が得られる。
【0057】
本発明の方法の別の態様では、必要に応じてガスケットを用いて後部金型が組み立てられ、且つ、フォトクロミック添加物を実質的に含まない液体樹脂または半固体重合可能材料による後部層材料が金型キャビティ内に添加される。所望される場合は、金型アセンブリが選択的に前部金型を含んでいてもよい。材料が液体である場合は、自由な流れが生じないよう粘性が十分高くなるまで硬化させる。材料が半固体重合可能材料である場合は、内部の金型キャビティと同じ形状になるよう、選択的に金型間で加圧してもよい。前部金型がある場合はこれを取り外す。別の適切な前部金型を選択し、且つ、ガスケットが必要な場合はこれを配置する。続いて、前部金型とガスケットにより形成されたキャビティ内に、フォトクロミック色素を含有する前部層材料を装填し、且つ、非フォトクロミック性の後部層材料が入った後部金型を反転させ、これを、フォトクロミック色素を含有する前部層材料に押し付ける。次に、この全体を硬化させることにより最終的な複合フォトクロミック物質を形成する。
【0058】
前述の3つの方法を用いればフォトクロミック色素を含む樹脂層が1つのみであるため安価にフォトクロミック物質を作製できることが理解されるものと思われる。さらに、工程中に金型キャビティを再組立てする必要がないため、工程は迅速且つ連続的である。
【0059】
本発明の別の態様では、前部層および後部層はそれぞれ別々に作製される。前部層および後部層のそれぞれについて、前部金型と、必要に応じてガスケットと、後部金型とを含む金型アセンブリを組み立てる。前部層用の金型アセンブリは所望の最終物質の形状である前部金型を有し、後部層用の金型アセンブリは所望の最終物質の形状である後部金型を有する。前部層および後部層のそれぞれの材料は液体樹脂または半固体重合可能材料のいずれであってもよいが、少なくとも1つは半固体重合可能材料でなければならない。加圧と、選択的に加熱または必要に応じて部分的な硬化とを行うことにより、各層を作製する。次に、活性フォトクロミック添加物を含む前部層から後部金型を取り外し、後部層から前部金型を取り外し、両層の材料を接触させ、且つ、得られた金型アセンブリ(前部層材料の入った前部金型および後部層材料の入った後部金型)を周囲温度またはそれより高い温度下で加圧する。最後に、全体を硬化させることにより最終的な複合フォトクロミック物質を得る。
【0060】
理想的には、本発明の方法において、前部層の材料と後部層の材料とが継目なく結合し且つ視認できる層境界が生じないように、最適な充填条件および硬化条件を適用する。層間を良好に結合させ且つ視認可能な欠陥を界面部に生じさせないようにするには、単量体の拡散により自発的な局所混合を生じさせる必要がある。しかし、混合が過剰になると、フォトクロミック化合物を含有する層からかなりの量の該化合物が拡散する可能性がある。未硬化の液体樹脂を用いた場合は特にこのことが生じうる。本発明は、半固体重合可能材料かまたは部分的に硬化させた高粘性の液体樹脂を使用することによって、界面部では重合体の拡散をある程度生じさせながら、同時に、フォトクロミック化合物含有層から該化合物が大量に失われるのを防ぐことが可能である。これにより、良好な結合をもたらし且つ界面部に視認可能な欠陥を生じさせないことが可能となる。
【0061】
実施例
実施例1.フォトクロミック性の半固体プリフォーム
フォトクロミック色素(例:ジェームズ・ロビンソン社(James Robinson)製の「Thunderstorm Purple」)を、反応性可塑剤ベンジル アクリレートに1 wt%の濃度で溶解した。大型粒子を除去するためこの色素溶液を濾過した。
【0062】
ベンジル アクリレート0.1 g、トリメチロールプロパン トリアクリレート0.2 g、および光開始剤としてIrgacure 819 0.006 gを入れたシンチレーションバイアルに、前述の色素溶液約0.1 gを添加し、撹拌して混合液全体に色素を散乱させた。バイアルにK−Resin KR03−NW 1.6 gを添加し、全ての重合体粒子が反応性可塑剤で覆われるように混合液を撹拌した。バイアル中の最終的な組成は、重合体80 wt%、反応性可塑剤20 wt%となり、且つ、全重量に対して0.05 wt%の色素を含有していた。次に、バイアルに栓をしたうえで、可塑剤に重合体を溶媒和させるため70℃の加熱炉に入れて数日〜1週間放置した。必要に応じて、この様式により複数のバイアルを準備した。
【0063】
上述の期間後、バイアルから混合物を取り出し、約150℃のホットプレート上の1対の石英ガラスプレート間で手動混合することにより、混合物をホモジナイズした。混合物がホモジナイズされた後、1対の石英ガラスプレート間で約1.3 gの材料を圧縮することにより、直径約4 cm、厚さ約1 mmのディスクを得た。
【0064】
実施例2.フォトクロミック物質を含まない半固体プリフォーム
反応性可塑剤にフォトクロミック色素を添加しなかった点と、プリフォームディスクの厚さが約5 mmであった点とを除いては、実施例1と同様の方法で、フォトクロミック物質を含まない半固体プリフォームを作製した。
【0065】
実施例3.半固体の前部層および後部層から作製したフォトクロミック複合物質
実施例1で作製したディスク形の半固体プリフォームを、複合物質のフォトクロミック前部層として使用した。実施例2で作製したディスク形の半固体プリフォームを、後部層として使用した。前部層と後部層とを組み合わせ、約150℃のホットプレート上の1対の石英ガラスプレート間に置いた。両層の良好な接着を得るため、ホットプレートの熱によってプリフォームが軟化する際に、石英ガラスにわずかな陽圧をかけた。次に、この金型アセンブリを、約90℃に設定した別のホットプレートに置き、高輝度白色光を約20分間照射することによって硬化させた(この20分間の間に半固体が硬化した)。次に、硬化した樹脂をガラスプレートから外し、これによって、半固体プリフォームでできたフォトクロミック複合物質を得た。
【0066】
実施例4.フォトクロミック液体樹脂層+半固体層
Corning Sun Sensor(登録商標)樹脂6.5 gを、Irgacure 819 0.02 gと混合した。この混合物をレンズの前部金型部分に入れた。フォトクロミック色素を含有しない半固体レンズプリフォーム(その開示内容が参照として本明細書に組み入れられる国際公開公報第00/17675号に開示および説明されているものから選択してもよい)を液体樹脂の上に置いた。次に、高輝度可視光源(Fiber−Lite Ringlight System、ドラン・ジェナー社(Dolan−Jenner))を20分間照射することによってこのアセンブリを硬化させた。レンズ金型を除去すると一体型のフォトクロミックレンズが得られた。フォトクロミック前部層の厚さは約1.5 mmであった。
【0067】
実施例5.界面層を有するフォトクロミックレンズ
約100 μmの液体樹脂の薄層を、透明な半固体レンズプリフォーム(実施例4で作製したものなど)の表面に置いた。液体樹脂は、エチレングリコールジメタクリレート80%、ベンジルメタクリレート20%、および光開始剤Darocur 1173 0.35%の混合物とした。次に、Fusion UV灯で10秒間照射することによって液体樹脂を部分的に硬化させた。次に、Corning Sun Sensor樹脂5.4 gとIrgacure 819 0.018 gとを混合し、この材料をレンズの前部金型部分に入れた。半固体レンズプリフォームを、部分的に重合させた薄層がフォトクロミック液体樹脂に接触するように、液体樹脂の上に置いた。高輝度照射源を用いてこのアセンブリを硬化させた。こうして得られたフォトクロミックレンズでは、界面層によって結合がより良好になっていた。
【0068】
実施例6.2つの半固体層間のフォトクロミック層
0.25 mmの半固体層をレンズの前部金型に押し付けた。次に、エチレングリコールジメタクリレート80%、ベンジルメタクリレート20%、およびIrgacure 819 0.3%を、Reversacol 195 フォトクロミック材料(ジェームズ・ロビンソン社(James Robinson Ltd.))0.95%と混合することによって、フォトクロミック樹脂を調製した。このフォトクロミック樹脂5.2 gを、薄い半固体層と半固体プリフォーム(実施例4で作製したものなど)との間に置いた。このアセンブリを85℃に加熱し、所望の形状にプレスした。最後に、可視光源を20分間照射することにより硬化させた。
【0069】
実施例7.フォトクロミック液体樹脂層の熱硬化
Corning Sun Sensor樹脂6.25 gを、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.031 gと混合した。この混合物をレンズの前部金型部分に入れた。半固体レンズプリフォーム(実施例4で作製したものなど)を液体樹脂の上に置いた。このアセンブリを加熱炉に入れた。65℃で12時間、80℃で2時間、100℃で2時間、および115℃で1時間の硬化工程を実施した。こうして得られたレンズは、非常に優れたフォトクロミック反応を示した。
【0070】
実施例8.界面層を用いた熱硬化
約200 μmの液体樹脂の薄層を、半固体レンズプリフォーム(実施例4で作製したものなど)の表面に置いた。液体樹脂は、エチレングリコールジメタクリレート80%、ベンジルメタクリレート20%、およびIrgacure 184 0.45%の混合物とした。次に、Fusion UV灯で15秒間照射することによって液体樹脂を部分的に硬化させた。次に、Corning Sun Sensor樹脂5.85 gとAIBN 0.028 gとをレンズの前部金型部分に入れた。半固体レンズプリフォームを、薄層がフォトクロミック液体樹脂に接触するように、液体樹脂の上に置いた。このアセンブリを加熱炉に入れた。65℃で12時間、80℃で2時間、100℃で2時間、および115℃で1時間の硬化工程を実施した。こうして得られたレンズは、非常に優れたフォトクロミック反応を示すとともに、界面の結合も向上していた。
Claims (24)
- 互いに結合された少なくとも2つの硬化樹脂層を含む複合フォトクロミック物質であって、該層のうち少なくとも1つがフォトクロミック色素を含み、且つ、該層のうち1つが半固体重合可能材料で形成されている複合フォトクロミック物質。
- 半固体重合可能材料がデッドポリマーおよび反応性可塑剤を含む、請求項1記載の複合フォトクロミック物質。
- デッドポリマーが、熱可塑性物質、熱硬化性物質、熱可塑性エラストマー、および高性能工学熱可塑性物質からなる群より選択される、請求項2記載の複合フォトクロミック物質。
- 硬化樹脂層が、一体型のモノリシック体を形成する、請求項1、2、または3記載の複合フォトクロミック物質。
- 半固体重合可能材料が、硬化時に小さな収縮を示す、請求項1〜4のいずれか一項記載の複合物質。
- 層のうち1つが半固体重合可能材料で形成され、且つ、他の樹脂層が液体樹脂で形成される、請求項1〜5のいずれか一項記載の複合物質。
- 液体樹脂で形成される樹脂層がフォトクロミック色素を含む、請求項6記載の複合物質。
- 半固体重合可能材料で形成される樹脂層がフォトクロミック色素を含む、請求項6記載の複合物質。
- 2つの樹脂層が半固体重合可能材料で形成される、請求項1〜5のいずれか一項記載の複合物質。
- 硬化樹脂層のうち少なくとも1層の表面上に表面修飾材料をさらに含み、且つ、該表面修飾材料の組成が該硬化樹脂の組成と異なる、請求項1〜9のいずれか一項記載の複合物質。
- 半固体重合可能材料で形成された硬化樹脂層の表面上に表面修飾材料をさらに含み、該表面修飾材料の組成が該硬化樹脂の組成と異なり、且つ、該表面と該硬化樹脂とが一体型のモノリシック体である、請求項1〜9のいずれか一項記載の複合物質。
- 表面修飾材料が、色素、顔料、屈折率の低い単量体、帯電防止性の単量体、防曇性の単量体、異官能性の添加物、および耐引掻性を付与する材料からなる群より選択される、請求項10または11記載の複合物質。
- フォトクロミック層の端厚が約0.1 mm〜約5 mmである、請求項1〜12のいずれか一項記載の複合物質。
- 2つ以上の層部分で形成されたフォトクロミック物質を成形する方法であって、該層部分のうち少なくとも1つが半固体重合可能材料で形成される方法であり、以下の段階を含む方法:
第一の金型部分で金型キャビティを形成する段階;
該金型キャビティに第一の材料を装填する段階;
選択的に、該第一の材料が液体である場合は該第一の材料を部分的に硬化させる段階;
該第一の材料に接触するように第二の材料を該金型キャビティに装填する段階;
該第二の材料に接触するように第二の金型部分を配置する段階;ならびに
一体型の複合物質を形成するために該第一および第二の材料を硬化させる段階であって、該第一および第二の材料のうち少なくとも一方がフォトクロミック色素を含む段階。 - 2つ以上の層部分で形成されたフォトクロミック物質を成形する方法であって、以下の段階を含む方法:
第一の金型部分および選択的に第二の金型部分で、金型キャビティを形成する段階;
該金型キャビティに第一の材料を装填する段階であって、該第一の材料が液体樹脂である段階;
選択的に、該第一の材料を部分的に硬化させる段階;
該第二の金型部分がある場合は該第二の金型部分を取り外す段階;
該第一の材料に接触するように第二の材料を該金型キャビティに装填する段階であって、該第二の材料が半固体重合可能材料である段階;
該第二の材料に接触するように次の第二の金型部分を配置する段階;
該半固体組成物が該金型の内部キャビティと同じ形状になるよう、選択的に加熱を併用して、該金型を加圧する段階;ならびに
一体型の複合物質を形成するために該第一および第二の材料を硬化させる段階であって、該第一および第二の材料のうち少なくとも一方がフォトクロミック色素を含む段階。 - 2つ以上の層部分で形成されたフォトクロミック物質を成形する方法であって、以下の段階を含む方法:
第一の金型部分で金型キャビティを形成する段階;
該金型キャビティに第一の材料を装填する段階であって、該第一の材料が半固体重合可能材料である段階;
該第一の材料に接触するように第二の材料を該金型キャビティに装填する段階であって、該第二の材料が半固体重合可能材料である段階;
該第二の材料に接触するように第二の金型部分を配置する段階;
該半固体組成物が該金型の内部キャビティと同じ形状になるよう、選択的に加熱を併用して、該金型を加圧する段階;ならびに
一体型の複合物質を形成するために該第一および第二の材料を硬化させる段階であって、該第一および第二の材料のうち少なくとも一方がフォトクロミック色素を含む段階。 - 2つ以上の層部分で形成されたフォトクロミック物質を成形する方法であって、以下の段階を含む方法:
第一の金型部分で金型キャビティを形成する段階;
該金型キャビティに第一の材料を装填する段階であって、該第一の材料が半固体重合可能材料である段階;
該第一の材料に接触するように第二の金型部分を配置する段階;
該半固体組成物が該金型の内部キャビティと同じ形状になるよう、選択的に加熱を併用して、該金型を加圧する段階;
次の金型キャビティを規定するために該第二の金型部分を変更する段階であって、該第一の金型部分の表面に接触する表面を該第一の材料が有する段階;
該変更した第二の金型部分と第一の材料とにより既定される該次の金型キャビティに第二の材料を装填する段階であって、該第二の材料が液体樹脂である段階;ならびに
一体型の複合物質を形成するために該第一および第二の材料を硬化させる段階であって、該第一および第二の材料のうち少なくとも一方がフォトクロミック色素を含む段階。 - 半固体重合可能材料がプリフォームである、請求項14〜17のいずれか一項記載の方法。
- 半固体重合可能材料がデッドポリマーおよび反応性可塑剤を含む、請求項14〜18のいずれか一項記載の方法。
- デッドポリマーが、熱可塑性物質、熱硬化性物質、熱可塑性エラストマー、および高性能工学熱可塑性物質からなる群より選択される、請求項18記載の方法。
- 半固体重合可能材料が、硬化時に小さな収縮を示す、請求項14〜20のいずれか一項記載の方法。
- 第一の材料がフォトクロミック色素を含む、請求項14〜21のいずれか一項記載の方法。
- 第二の材料がフォトクロミック色素を含む、請求項14〜22のいずれか一項記載の方法。
- フォトクロミック色素を含む層部分が、端厚約0.1 mm〜約5 mmである、請求項14〜23のいずれか一項記載の方法。
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